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  1. 札幌市議会 2004-07-20
    平成16年(常任)総務委員会−07月20日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    平成16年(常任)総務委員会−07月20日-記録平成16年(常任)総務委員会  札幌市議会総務委員会記録            平成16年7月20日(火曜日)       ────────────────────────       開 会 午前10時1分 ○長内直也 委員長  ただいまから,総務委員会を開会いたします。  報告事項でありますが,三宅副委員長,原口委員からは,欠席する旨,届け出がございました。  議事に入ります。  (仮称)札幌市立大学基本計画についてを議題といたします。  ここで,理事者より説明を受けます。 ◎下平尾 企画調整局長  (仮称)札幌市立大学については,1年余りにわたる市民論議の集大成として,大学化検討懇話会の提言を受け,昨年,基本構想を策定しました。これに基づき,市立大学の設置に関し,専門的見地から審議・検討を行うために設置した大学設置準備委員会での審議結果をもとに,このたび,(仮称)札幌市立大学基本計画を取りまとめました。  本日は,その内容について,報告します。 ◎橋本 大学設置準備室長  基本計画は,1年間の市民論議からの提言を受けて昨年9月に策定した基本構想と,市立大学の教育や運営に関して専門的見地から審議・検討を行うために設けた大学設置準備委員会での審議結果をもとに策定しました。  本日は,基本構想を具体化した部分,あるいは,その考え方を修正した部分の主な4項目を中心に説明します。  まず,設置・運営形態ですが,基本構想では,公立大学法人制度の選択も視野に入れて,透明性,柔軟性,効率性の高い設置・運営形態を目指すこととしておりましたが,ご承知のとおり,ことし4月1日からすべての国立大学が法人化しております。また,公立大学においても,多くの自治体が法人化を決定,あるいは前向きに検討しているところです。さらに,本市の準備委員会も,公立大学法人が適当であるとの結論を出したこともあり,今回の基本計画では,産学連携を初めとした地域貢献などにおいて大学として最大の効果を上げることができる公立大学法人制度を選択することとしております。  次に,学部・学科入学定員についてですが,基本構想においては,デザイン学部入学定員は100名とし,そのうち20名を社会人の夜間主コースとしておりました。しかしながら,準備委員会において,日中,仕事を持った社会人が夜間に都心部のサテライト教室で学ぶにしても,4年間,通年で通い―さらに,デザイン学部ですので実習等が非常に多いわけで,土曜日などに芸術の森キャンパスに実習に通うことは負担が重く,果たして長期的な需要があるのかという意見が多数を占めました。  そこで,この基本計画においては,当面は,短期集中的に技術・技能の習得を目指す社会人特別プログラム公開講座の実績,あるいは,社会人に対して1年次入学や3年次編入学社会人特別枠を設けることにしております。それらの需要を見きわめながら,大学完成年次つまり開学4年後をめどに導入を検討していきたいと考えております。 また,3年次編入学の定員については,基本構想では,今後検討を進めるとしておりましたが,基本計画では,デザイン学部20名,看護学部10名としております。  なお,看護学部入学定員80名については,基本構想から変更ありません。  次に,3点目の,都心部サテライト施設の設置についてですが,基本構想では,設置を検討することとしておりましたが,芸術の森キャンパスは都心から距離があること,それから,将来的な大学間ネットワークの拠点として,また,先ほど申し上げた社会人特別プログラムの実施,公開講座などの生涯学習支援,あるいは,産学連携促進のための企業との連絡窓口機能を都心部に設ける必要があることから,基本計画では開学時に設置することとしております。
     なお,開学後,当面は民間ビルを借り上げたり, 市所有の施設を活用して対応していきたいと考えております。  4点目の大学院整備についてですが,基本構想では,将来計画として,両学部それぞれに基礎を置いた大学院の整備を検討するとしておりました。これについて,準備委員会では,社会が求める高度な人材ニーズに対応するためには,大学院レベルの高度な教育研究機能が必要であるとの意見が数多くあったことから,基本計画では,両学部ともに,学部に基礎を置く大学院を整備することとしております。  特に,デザイン学部に基礎を置く大学院については,産学連携等を通じた地域産業への貢献に早期に対応する必要があり,企業が求める高度な研究を行うためには,大学院の高い研究機能が必要であり,できるだけ早期の大学院開設が望ましいという意見が多数を占めたことから,制度的に最短となる開学3年目の平成20年4月の設置を目指していきたいと考えております。  看護学部に基礎を置く大学院については,大学院で研究指導できる資格を有する教員の確保に課題があることから,学部の学年進行を待って段階的に整備することとし,学部が完成する開学5年目の22年4月の開設を目指していくこととしております。  なお,定員等については,大学院の各研究科における具体的な教育研究内容とともに,今後,検討を進めていきたいと考えております。 ○長内直也 委員長  質疑を行います。 ◆小須田悟士 委員  まず,公立大学法人制度についてですが,ことしの第1回定例市議会における予算特別委員会で,我が会派の近藤議員が,産学連携に積極的に取り組むために,市立大学の設置・運営主体公立大学法人とすべきであると主張しました。我が会派としても,公立大学法人制度を導入すべきとの意見が大勢を占めているわけですが,予算特別委員会での答弁では,大学設置準備委員会で審議し,基本計画の中で方向性を明らかにするということでした。今回の資料を見ると,このたびの基本計画では,公立大学法人制度を導入すべきということがはっきりと書かれております。私も,民間的経営手法を十分に生かすことのできる公立法人制度は,これからの市立大学に最もふさわしい設置・運営形態であると認識しております。  そこで質問ですが,公立大学法人制度を導入する具体的なメリットはどのような点にあると考えているのか,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  法人化のメリットについてですが,まず,教職員の身分が非公務員となり,兼職・兼業制限が緩和されることから,産学連携を初めとした地域貢献に取り組みやすくなることがあります。  次に,通常は学長と兼務することになる理事長を中心とした権限と責任の所在が明確になります。大学独自の判断による組織・予算編成が可能になることから,大学の創意工夫を生かした柔軟な運営ができるようになります。  次に,法人の役員等に学外者の任用が可能になるため,民間的な発想や経営手法を取り入れることができ,大学運営の効率性を高めることができます。 そして,目標や計画の設定とその公表,実績に対する第三者評価とその結果の公表,第三者評価大学運営への反映というサイクルを経ることにより,透明性の高い大学運営を行うことが可能になるとともに,継続的な大学運営の改善が図られるメリットもあります。 ◆小須田悟士 委員  次に,大学設置認可の手続についてですが,大学を設置するには,文部科学大臣の認可が必要であり,先週,報道されたところによると,大阪府立の3大学を統合する大阪府立大学の設置は認可されたようですが,東京都立の4大学を統合する首都大学東京設置認可は,現段階では見送られたということでした。このようなニュースを聞いて,私は文部科学省設置認可の審査は非常に厳しいのではないかという印象を受けました。  そこで,大学の設置認可申請から文部科学大臣の認可までの手続の流れはどのようになっているのか,お伺いします。  また,以前は,文部科学省が大学の設置に対して,余り積極的ではなく,抑制的な姿勢であったと私は認識しておりますが,現在はどのような状況なのか,あわせてお伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  大学設置認可手続についてですが,認可申請から文部科学大臣の認可までの手続の流れは―平成18年4月に開学するためには,その1年前の17年4月に設置認可申請を行う必要があります。その後,文部科学省による審査が行われ,設置認可は,市立大学が新設校であることから,17年11月となります。  次に,文部科学省大学設置に対する姿勢についてですが,委員ご指摘のとおり,以前は抑制的な姿勢であったと認識しております。  しかし,小泉内閣の進める規制緩和政策の流れの中で,厳しい事前規制から,現在は事後チェックへと変わっており,先日,文部科学省大学設置に係る事前協議を行った際も,特に大きな問題は指摘されておりません。 ◆小須田悟士 委員  概要資料の2ページに,市立大学設置趣旨が明記されております。学術研究高度化等に対応した職業人の養成を目指すこと,街づくり全体に,より大きな価値を生み出す知と創造の拠点―大変すばらしい趣旨ですが,将来を担う人材を育成する大学にとっては,何といっても優秀な教員の確保が必要であると思います。また,基本計画にも示されておりますが,市立大学の使命である地域貢献の成果を最良のものとするためにも優秀な教員の確保,質の高い研究活動を行うとともに,その研究成果を積極的に地域に還元する必要があると考えます。  そこで,優秀な教員を確保するためにどのような方策を考えているのか,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  優秀な教員を確保することは,大学の成功を左右する極めて重要な要素であると考えております。そのためには,さまざまな知識,経験を有する教員を広く募集し,公立大学法人制度の導入を生かした任用形態や処遇を検討する必要があります。したがって,公募制や業績を反映した給与制度など,魅力ある処遇を整備して優秀な教員の確保に努めていきたいと考えております。 ◆小須田悟士 委員  次に,運営管理にかかわる問題ですが,先ほどの答弁で公立大学法人メリットとして挙げられた中に,権限と責任の所在が明確になるということがありました。そうすると,本市が直接市立大学を設置,運営する場合には,大学に権限が集まるわけではありませんが,法人化すると,大学を設置,運営する法人に権限が集まることになります。市立大学は市民の税金を投じて行う本市の一大プロジェクトでもありますので,法人の一存ですべてのことが決められることにはならないわけです。大学院に関して,設立団体である本市の市長や議会が関与することができないのであれば,市と法人との考えが異なってきた場合に対応できないのではないかという懸念が生まれます。  そこで,公立大学法人制度を導入した場合に,市長や議会が法人の大学運営に対してどのような関与を行うことができるのか,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  公立大学法人制度を導入した場合の法人に対する市長や議会の関与についてですが,主な点としては,まず,市長は,公立大学法人が向こう6年間に達成すべき中期目標を定め,これを法人に対して指示することになります。 また,この中期目標を市長が策定する場合には,あらかじめ議会の議決を経なければならないことになっております。また,法人は,中期目標を達成するために,中期計画を策定しなければなりませんが,これを策定する際には,市長の認可を受けなければならないことになっております。さらに,市長は,状況の変化により,法人が中期計画を適正かつ確実に実施できなくなったと認めるときは,その中期計画の変更を命じることができます。 次に,本市から法人に対して交付する運営費交付金については,本市の予算であることから,その決定については,議会の議決を経なければならないことになります。  これらのことにより,市長や議会が法人をチェックし,その意向を十分に反映させることができるものと考えております。 ◆畑瀬幸二 委員  大学の法人化について,お伺いします。  基本計画で大学の設置や運営形態について,公立大学法人制度を導入することが明らかにされました。公立大学法人の設立には,総務省及び文部科学省の両大臣の認可が必要となりますが,法人設立認可申請から認可までの両省の一連の流れはどのようなものか,お伺いします。  それから,法人設立後は,国立大学と同じように,中期目標中期計画を策定しなければなりませんが,その手続の流れはどのようなものか,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  公立大学法人に係るスケジュールについてですが,法人の設立認可申請については,認可事務を所管する総務省及び文部科学省によると,平成17年4月に行う大学の設置認可申請と必ずしも同時でなくてもよいとのことです。設立認可申請に当たっては,議会の議決を経た公立大学法人の定款が必要になるため,17年の秋ごろまでに議決いただきたいと考えております。 また,公立大学法人設立認可申請は,この定款の議決後,速やかに行うこととなります。設立認可に要する期間については,おおむね二,三カ月程度と聞いております。  次に,中期目標中期計画の策定に係る手続についてですが,設立団体である本市が策定する中期目標については,あらかじめ公立大学法人の意見を聞き,その意見に配慮しなければならないことから,公立大学法人が設立される18年4月以降,議会の議決をいただいて策定する予定です。また,法人が策定する中期計画については,中期目標策定後,速やかに市長の認可を経て決定したいと考えております。 ◆畑瀬幸二 委員  次に,人事面のあり方について,お伺いします。  まず,大学事務局の職員についてですが,公立大学法人は,本市とは別の法人となるものの,初めからすべての事務局職員法人単独で雇用することは難しいのではないかと考えます。少なくとも,当分の間は,法人の設立団体である本市職員を法人に派遣して大学事務局の職務を行わせることが必要になると考えます。  しかし,そうなると大学の事務局に法人のプロパー職員と,本市からの派遣職員が混在することになります。そこで,大学事務局の職員数についてはどの程度を想定しているのか,お伺いします。また,事務局職員は,プロパー職員だけにする考えなのか,あるいは本市職員の派遣についても想定しているのか,お伺いします。  加えて,本市職員の派遣を想定しているならば,その派遣数はどの程度を想定しているのか。また,派遣職員と,プロパー職員勤務条件についてはどのように考えているのか,お伺いします。  次に,現在の高専及び高看の教員についてですが,今回設置する市立大学は,高専及び高看を発展的に継承することになっていることから,高専は平成20年度,高看は平成19年度をもってそれぞれ閉校することとしております。  そこで,問題となるのは,高専及び高看の教員の処遇です。市立大学教員選考は公募により行うとの考え方が先ほど示されましたが,現在の高専及び高看の教員は,大学の教員として採用されることとなるのか。また,採用できない教員がいる場合にはどのように処遇するのか,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  人事面のあり方についてですが,まず,事務局職員数については,他大学の状況を調査し,検討したところ,30名から35名程度の職員が必要ではないかと考えております。 また,事務局職員は,委員ご指摘のとおり,本市からの派遣職員プロパー職員で組織することを考えておりますが,派遣職員数は未確定です。将来的には,段階的にプロパー職員に切りかえていく予定ですが,本市との調整業務等もあることから,全職員をプロパー化することは現在のところ考えておりません。  次に,事務局職員勤務条件ですが,本市からの派遣職員については,市の基準を下回らないという配慮が必要となります。プロパー職員については,法人が独自に採用することから,必ずしも派遣職員と同一とする必要はないものと考えております。  次に,現在の高専及び高看の教員についてですが,市立大学の教員は,高専及び高看から任用する教員と,一般公募により採用する教員で組織することを考えております。教員選考の中で,教育研究実績に関する文部科学省教員資格審査,カリキュラムとの適合性により,大学での任用が難しい教員の処遇については,市内部の関係部局と連携を図りながら具体的に検討を進めていきたいと考えております。 ◆畑瀬幸二 委員  次に,財政システムについて,お伺いします。  地方独立行政法人の会計は企業会計が原則であり,当然,本市の一般会計とは異なります。  そこで,地方独立行政法人の会計と,本市一般会計との相違点,それから,地方独立行政法人会計の特徴について,お伺いします。  また,市民に対する財政状況の公表が重要になると考えますが,どのように行う考えなのか,あわせてお伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  公立大学法人財政システムについてですが,地方独立行政法人法における公立大学法人財政システムの主な特徴としては,まず,資本金の額が100億円を超える場合,または負債の額が200億円を超える場合は,会計監査人つまり公認会計士などの外部の監査を受けることが挙げられます。  また,自治体から使途制限のない運営費交付金が交付されること,毎事業年度において剰余金が発生したときは,その剰余金は翌事業年度に繰り越して使用できること,さらには,あらかじめ設定した限度額の範囲内で短期借入することができますが,設立団体以外からの長期借入債券発行ができないことなどが特徴として挙げられます。  次に,市民に対する財政状況の公表についてですが,財務諸表を公告するとともに,これらの書類を,一定期間公開することにより行うこととなります。 ◆畑瀬幸二 委員  次に,経営全体の展望について,お伺いします。  公立大学法人は,自治体から独立した法人であり,みずから予算編成を行うことができることから,大学を運営するに当たり,経営の観点というものが極めて重要になります。  そこで,大学全体の運営費はどの程度になるのか。入学金や授業料などではどの程度賄えるものなのか。  また,本市からの運営費交付金について,将来的に減少する見通しなのかどうか。  加えて,地方交付税による措置は,本市が大学を設置する場合と同様に行われるのか。  以上,法人経営の将来展望にかかわる3点について,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  大学の運営経費は,基本計画参考資料4―計画書本書の39ページに試算結果を掲載しております。  これは,平成13年の市民論議に当たり,公表した標準的な試算額ですが,約19億5,000万円としており,入学金,授業料等学生納付金による自己収入は約3億7,000万円であり,収支不足が生じることから,公立大学法人の場合は,本市から運営費交付金が交付されることになります。将来的に運営費交付金を減少させるかどうかについては,法人運営の効率化を図りながら,継続的に検討していきたいと考えております。また,学生納付金運営費交付金だけに頼ることなく,企業との共同研究や企業からの受託研究を行うことにより,外部資金の獲得も目指していきたいと考えております。  次に,地方交付税の措置についてですが,今春,開設した秋田県の国際教養大学のケースにおいて,総務省はその設立団体である秋田県に対して,法人の大学についても自治体が大学を設置する場合と同様の措置を行うことを確認しております。 ◆畑瀬幸二 委員  法人化に絞って質問してきましたけれども,私は,法人化の最大のメリットというものは,業務運営における自主性が十分配慮され,そのことによってよりよい教育・研究ができる点にあると受けとめております。本市が目指す地域社会に貢献できる大学も,この制度のメリットを生かせるか否かにかかっていると考えますので,今後,一層,制度のメリットだけでなく,デメリットも踏まえた上で,透明性,柔軟性,効率性といった点を意識しながら,間違いのない運営形態を目指してもらいたいということを求めて,私の質問を終ります。 ◆阿知良寛美 委員  大学院の設置について,お伺いします。  市立大学における大学院整備については,本年の第2回定例市議会における我が会派の芦原議員代表質問に対して,市長は,大学院において,より高度な専門性を持った人材を育成するとともに,研究機関を積極的に生かし,地域貢献に取り組んでいくことは,市立大学の重要な使命であると考えており,また,大学設置準備委員会で出された方向性を尊重し,できるだけ早期の設置を目指していきたいと答弁しております。  そして,今回の基本計画においては,大学院の設置時期について,デザイン大学院は,産学連携等を通じた地域産業への貢献に早期に対応するため,開学3年目の平成20年4月の設置,また,看護の大学院は,学部の学年進行を待って段階的に整備することとし,開学5年目の22年4月の設置を目指すと明らかにしたところです。  そこで,今回の基本計画において,大学院の設置時期を明らかにする具体的なメリットはどのようなものか,お伺いします。  また,特にデザイン系大学院の設置を学部完成前の20年4月とした理由はどのようなものかついて,もう少し詳しく説明願います。 ◎橋本 大学設置準備室長  大学院の設置時期を基本計画で明らかにするメリットについてですが, 一つは,できるだけ多くの優秀な学生を確保するためです。新設大学である札幌市立大学が高い評価を得られるかどうかは,第1期,第2期生の志願状況就職状況が大変重要だと考えております。このため,受験生に対して,大学院の開設時期を早期に周知することにより,大学院進学を視野に入れた優秀な学生を集めたいと考えております。  もう一つは,優秀な教員を確保するためです。他大学における大学院整備状況教育研究環境から考えると,全国から多くの優秀な教員を確保するためには,大学院早期整備計画も含め,よりよい研究環境を提示することは不可欠です。  次に,デザイン系大学院の設置を平成20年4月とした理由についてですが,デザイン系大学院を早期に開設することは,市立大学基本理念に掲げる地域貢献を早期に実現するために大変重要であると考えております。デザイン分野については,産学連携や社会人の再教育などを通じた地域産業の活性化やユニバーサルデザインエコデザインといった学際的・先進的な教育研究に積極的に取り組んでいく必要があります。また,企業が求める高度な研究を行うためには,大学院の設置は不可欠であり,近年,急増している産学官プロジェクト等において,企業の資金提供による共同研究受託研究などを行うことにより外部資金の獲得が可能になると考えております。  こうしたことから,デザイン系大学院を,制度的に最短となる20年4月に設置することとしたものです。 ◆阿知良寛美 委員  大学院においては,どのような人材を養成していこうと考えているのか,デザイン,看護のそれぞれの分野について,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  大学院で養成する人材像についてですが,まず,デザイン系大学院ですが,学部では,デザインの手法や造型力を中心とした基本的な能力の習得に重点を置くのに対し,大学院では,さらに高度なデザイン教育を行い,デザインをビジネスや先端技術に結びつけ,新しい産業を創造できるような実践的職業人を養成したいと考えております。  次に,看護系大学院ですが,看護の各専門分野において実践・研究等の各面で卓越した能力を発揮できる専門看護師の養成を視野に入れるとともに,医療従事者と連携を図れる管理能力を持った人材などを養成していきたいと考えております。 ◆阿知良寛美 委員  地域産業の振興,新産業の創出や地域看護の充実など,地域課題に対応した研究を大学院で行い,地域に貢献していくことは市立大学の重要な使命であると私も思います。  そのような意味でも,高度な教育研究大学院で早期に取り組んでいくために,開学当初から熱意を持った優秀な教員を確保していくことは非常に重要であると考えますので,そのことを要望して,私の質問を終わります。 ◆飯坂宗子 委員  基本計画では,新しくできる市立大学公立大学法人にすると言い切っております。  公立大学法人というものは,地方独立行政法人の一つとされております。公立大学の法人化を選択するかどうかは自治体の判断に任されているということで,最終的には,地方議会で定款や条例を議決して決めるという手続になろうかと思います。先ほどのやりとりでは,2005年秋ごろまでにということですから,来年の第3回定例市議会くらいには議会に提示されるのかと聞いておりました。  ただ,自治体が公立大学を法人化しないという選択も法律上は全く問題ないと思うのですけれどもいかがか,お伺いします。  あわせて,今,なぜ法人化なのか。そして,今,なぜ大学化なのか。市民意見の中でも,高専を残してほしい,高看を卒業した看護師と,4年制の大学を卒業した看護師とどこが違うのかわからないといった率直な意見があります。  ですから,その点について,いま一度,お伺いします。 ◎下平尾 企画調整局長  まず,法人化については,委員ご指摘のとおり,法人化しなければならないわけではありません。  基本計画において法人化を選択したメリットは―先ほど来,お答えしたようなメリットがあるということで,法人化を選択した方がいいだろうと判断したものです。これについては,大学設置準備委員会でも十分に議論し,そのような方向性が望ましいと考え,このたびの基本計画に盛り込んだものです。  それから,法人化及び大学化のそもそも論についてですが,これについては,1年余りにわたる市民論議,そして,検討懇話会等において高専,高看を市立大学として統合,設置することについてのさまざまな意見をいただきながら,やはり,新しい時代に―例えばデザイン分野であれば,これからのさまざまなデザイン産業の需要に本市が貢献していくための人材育成としての必要性,それから,看護の分野では,看護,医療の高度化に対して,コーディネーターとなれるような管理能力を持った看護師の育成が必要であるといったことから,この大学でそのような人材を育成していこうと考えたわけです。  この点については,その構想策定に着手して以来,さまざまな団体からの支援表明も受けております。看護協会や医師会,デザイン関係についてもさまざまな業界からぜひ大学化により人材育成と地域貢献を果たしてほしいという支援をいただいており,私どもとしては,大学化ということが時代の要請に合っているのではないかと考えているところです。 ◆飯坂宗子 委員  局長は,法人化によるメリットということを強調されておりますが,全国の例を見ても―先ほど東京都立大学の話も出ましたけれども―公立大学を法人化するということについて地域でいろいろ問題が生じております。本市の場合は,既に大学があるわけではなく―高専と高看を廃して新しい大学をつくるということですから,事情はちょっと違うのではないかと思います。いずれにしても,法人化にかかわる懸念は依然としてあると思います。  そこでまず,市立大学設立に当たっての費用についての質問ですが,基本計画では,高専と高看のキャンパスはそのまま利用するけれども,さらに教育棟を合わせて3棟新築しなければならないということで,それだけでも約60億円かかるということです。  それから,大学化に伴う学長,教授,教員などの人件費はどうか。先ほど運営費は19億円程度の試算ということでしたが,そのうち人件費はどれくらいになるのか,お伺いします。  それから,学問の自由と大学の自治についてです。  先ほど申し上げたように,公立大学法人というものは,地方独立行政法人の一つですから―地方独立行政法人というものは,効率的かつ効果的な運営ということが一番の目的となっているわけです。これを大学に当てはめることについては非常に矛盾があるということで国会でもいろいろ議論があり,地方独立行政法人法の第7章では,公立大学法人に関する特例規定を設けております。具体的には,第69条で,設立団体―つまり本市―は,公立大学法人が設置する大学における教育研究の特性に常に配慮しなければならないと定めております。また,この法律の附帯決議でも,定款をつくるに当たっては,学問の自由と大学の自治を侵すことのないよう大学の自主性,自律性が最大限に発揮し得る仕組みをつくることもうたっております。  本市は市立大学を法人として立ち上げるということですが,大学の基本中の基本である学問の自由と大学の自治についてはどう保障しようと考えているのか,お伺いします。  次に,関係者との協議についてです。先ほど高専と高看の教員の身分がどうなるのかというやりとりがありましたけれども,法人化ということですから大学に採用されたとしても公務員ではありません。ですから,身分が非常に不安定になると思います。また,任期制など,年次を区切って採用するということも言われております。  採用された後はどうなるかという問題も一つありますが,その前に,今いる高看や高専の教授,教員たち全員が大学には採用されないという話です。教員のうちどの程度が大学に残れるのか。また,これまでどのような協議を重ねてきて,今後,開学に当たり同意と納得をどのように得ようとしているのか,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  人件費の予測についてですが,歳出約19億円のうち約12億円が人件費です。やはり,大学は教員が命ですので,優秀なスタッフを十分に確保していきたいと考えております。  次に,法人化と学問の自由,大学の自治についてですが,学問の自由,大学の自治を尊重することは,大学の運営を行うに当たって極めて重要であると考えております。このことは,地方独立行政法人法においても―設立団体が定款の作成等を行うに当たっては,大学における教育研究の特性に常に配慮することが義務づけられております。したがって,法人の基本的な組織や運営についての定款を策定する際などには,衆議院の附帯決議の趣旨を尊重していきたいと考えております。  次に,高専,高看の教員の今後についてですが,大学設置に関して協議するために,高専,高看と大学設置準備室との間で連絡会議を設置しながら,これまで,任用の考え方など人事関係も含めて,随時,協議を進めてきました。また,大学で任用できない教員の処遇については,大変重要なことと認識しておりますので,誠意をもって対応していきたいと考えております。  ただ,何名の教員を大学において採用できるかということについては,現在,準備委員会で議論しており,今後,選考委員会において決定していくことですので,現段階では答えられません。  ただ,誤解されると困りますが,高専や高看の教員が大学で採用されなかったからだめな教員というわけではありません。逆に,大学の教員が優秀な高校の教員であるかというと,そうとも限りません。高専は教育が専門です。大学は教育に加えて研究がありますので,これまで教育を一生懸命に行ってきた方,またプラスアルファとして独自に研究を行ってきた方など,いろいろな教員がいる中で―高校,高専において優秀な教員もたくさんおります。ただ,そのような教員が必ずしも大学の教員にマッチするかというと―また別な基準になります。あくまでも大学の教員としてどうかという判断で選考を行っていくことになります。 ◆飯坂宗子 委員  まず,費用の面ですが,全国的には,法人化によって人件費を削減していくということです。例えば,四つある大学を一つにして―教員の大規模なリストラということが大問題になっているわけです。本市の場合は,高専,高看を大学化するわけですから,それにふさわしい人材を配置しなければならないということで,むしろ人件費はふえるということなのだろうと思います。  そこで,問題は―将来の心配もあるので確認しておきたいのですが―先ほど交付税については公立大学と同様に交付されるという話でした。現在,公立大学にどのように交付されているかというと,経常支出から学費収入を除いた額―本市で言えば約15億8,000万円のおよそ半分,つまり,約8億円は交付金として地方財政へ補てんされる仕組みになっていると思うのですが,これは変わらないのですね。  というのは,横浜市では,統一して法人化した大学をつくって,5年度後にはこれをゼロにするという計画を出して大問題になっているわけです。経常支出から学費収入を差し引いた額の半分は国から交付されるのに,ゼロにするという計画を立てると,交付金は大学で使わずにほかに使うことになるのです。本市の大学の場合は,これまでと状況が変わらないということであれば経常支出から学費収入を差し引いた額の半分は国から交付されると思うのですがいかがか,確認しておきます。
     それから,教員の採用について,高専,高看と大学は違うので,必ずしも大学に採用されないということは―原則はそうだと思うのです。しかし,現実問題として高専には36名,高看には13名の教員がいます。この人たちがどうなるかという問題が生じるわけですから,そのような一般論ではなく,きちんと同意と納得を得られるような進め方をしてほしいと思います。  それから,冒頭で申し上げましたが,大学化に関する問題は教職員だけにとどまる問題ではありません。例えば,高専を目指していた中学生が―高専がなくなるということを,もっと早く周知してほしかったということなど,生徒や父母からもいろいろな意見があります。そのように,高看や高専に入学したいと考えていた中学生からも周知が遅いという意見が出ているのですから,教職員と同時に,生徒たちに対する合意と納得を得ることも必要と思いますけれどもいかがか,お伺いします。  次に,中期目標運営費交付金についてです。  中期目標について,先ほどの答弁では2006年4月以降に決定して議会に諮るということでした。中期目標というものは―6年間の目標を市長が大学法人に定めさせるということになっているわけです。そして,評価委員会を設置して業績評価を行い,その結果に基づいて運営費交付金を交付する―だれが交付するかというと本市が交付することになります。そのときの中期目標運営費交付金の関係ですが,ここでも,効率的運営ということが随分と強調されております。先ほど私が学問の自由と大学の自治の話を強調したのは,大学で効率的運営や成果主義ということばかりが強調されると,本当の意味での基礎研究や学問の自由が脅かされる危険があると思ったからです。この点について,市としては現時点でどう考えているのか,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  まず,地方交付税交付金についてですが,法人化しても,国としての考え方は変わらないということを確認しております。  次に,高専,高看の教員の処遇についてですが,例えば,高看の教員については,今後,希望を聞きながら,大学化についていろいろ話し合っていきたいと思いますが,大学で採用されない教員の処遇については―皆さん看護師の免許を持っておりますので,例えば市立病院や保健所,保健センターなど,各局が協力して本人の意向を聞きながらできる限りの対応を行っていきたいと考えております。  高専の教員についても―大学の開学は平成18年です。高専は5年制ですのでその後も3年間存続しますから,その間に定年を迎える方もいますし,また,大学に採用されなかった教員についても,市内部のそれに近い職業につけるように各局と連携をとりながらしっかり対応していきたいと考えております。  次に,高専廃止の周知が遅過ぎたのではないかということについてですが,確かに昨年9月に基本構想を発表して―高専は17年度の募集から停止するという発表を受けて,周知が遅いという意見が電話により数件寄せられました。ただ,札幌東高等学校にデザインコースを新設しますし,大学になっても,教員による各学校への出前講座や,また高等学校との連携などというものにきめ細かく取り組んでいきたいと思います。さらに,11年ころから,高校生が大学のカリキュラムを単位として取得すると,それが高校の単位として認定できる制度もできており,また,高校生が大学の授業を受けられるような制度も考えておりますので,そのような方法でも連携していきたいと考えております。  次に,中期目標運営費交付金について,法人化すると,運営費交付金が減るのではないかということについてですが,地方独立行政法人法においては,中期目標期間の終了時に,組織及び業務の全般にわたる検討を行い,その結果に基づき,所要の措置を講ずることとされております。したがって,中期目標の達成状況について,地方独立行政法人評価委員会の評価を運営費交付金にも反映させることになります。しかしながら,評価委員会の評価に当たっては,事務の効率性の観点だけでなく,教育研究の特性に十分配慮した評価を行うことが必要であると考えております。  したがって,ご質問の点については,今後,他の公立大学法人の状況を見ながら慎重に検討していきたいと考えております。  昨年の夏,法人化について―社会的にも―特に共産党が発行する新聞にも法人化反対と書かれておりました。しかし,それは国立大学のことなのです。公立大学国立大学の基本的なスタンスが違うのは―国立大学法人については,基本目標を文部科学大臣がまず決めるのです。ところが,公立大学法人というものは,基本的に,大学の中期目標をその大学法人に事前に聞きながら,さらに議会に諮って,そこでオープンにして議論されるという民主的な手続をとっておりますので,必ずしも国立大学法人とは同じではありません。 ◆飯坂宗子 委員  国立大学法人については,今,室長からもお話があったように,効率化の名のもとに大学財政を削減して,目標まで文部科学省が決めるということで,一つの国家統制です。そして,交付金もこれから5年間で約450億円削減するということで,予算削減が先にありきなのです。公立大学は違うと言いますが,準じてこうなってきておりますから―きょうは賛否を決める委員会ではありませんが―懸念される材料についていろいろ聞いているところなのです。  関係者との話し合いについては,今後も十分に行っていただきたいと思います。  最後に,学内の民主主義―大学自治についてですが,法人の初代学長は,市長が直接任命できることとなっており,川崎氏の名前が既に挙がっております。学長と理事長を兼務する場合と,学長とは別に理事長を市長が改めて任命する方法と,自治体によって違いがあると思います。  そこで,教授会を初めとする学内の民主主義をどう保障していくかということが非常に大事だと思いますが,そのような機構をつくる考えがあるのかどうか,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  学長が法人の理事長を兼ねる場合―総合大学は理事長と学長は違う人物という場合がありますけれども―小さな大学では,通常は―また法律も―学長と理事長を兼ねることが原則になっております。  そこで,経営と教育研究の双方の権限が学長に集中して民主的に運営されるのかということについてですが,公立大学法人については,経営に関する重要事項を審議する経営審議機関と,教育研究に関する重要事項を審議する教育研究審議機関を置かなければならないとされております。したがって,例えば,学長は両審議機関の審議結果を尊重しなければならないと定款に定めるなどの手法により,学長の権限行使に対するチェックが働くものと考えます。また,役員会を設置することも可能ですので,この役員会について同様の規定を定めることによっても同じような効果が期待できます。また,従来から教授会というものもあります。そうしたいろいろな組織の設置によって,お互いにチェックし合って民主的な運営ができるものと考えております。 ◆飯坂宗子 委員  大学が大学であるためには,やはり,学問の自由がきちんと保障されていることと,それから,学内の民主主義がきっちり働いていること。そのようなところがいい研究なりいい学問の府になると思うのです。  そのような点で,経営審議機関あるいは教育研究審議機関を定款で定めている公立大学法人の例もありますけれども,教員人事を役員だけで決める,あるいは,教育研究審議機関に学外者の参加も可能とするということなどいろいろありますが,それらがよく働く場合と,大学に介入するように働く場合があって―きょうここで判断できないと思うのですが―そのような懸念材料がいろいろあるわけです。ですから,教授会や学生の組織など,大学を構成している人たちが,自分たちの意見を十分反映できる,そして研究に没頭できるシステム,機構をぜひつくっていただきたいと思います。  きょうは,基本計画の報告ということですから,今後,議会に定款なり条例が提案された段階で,その内容も吟味しながら,また,引き続き議論させていただきたいと思います。 ◆小林郁子 委員  本日のやりとりも含めて,市立大学像がますます具体化してきました。そして,学長に川崎さんが就任予定ということもあり,期待は大きくなっております。  しかし,この基本計画を具体化するとなれば,なかなか大きな課題があると思います。行政だけではなく,市民にとってもこれからが本番なのではないかと思います。計画書に載っておりますが,市民からの意見も10カ月で99件寄せられたということです。これについても,本当に拝聴すべきものが多いと感じました。  そこで質問ですが,大学化のスケジュールに関しては,以前にいただいた資料を見てみると,今年度は実施計画を策定して,施設設計も行うこととされております。実施計画というものは,本当に細かい―来年の申請に向けてのカリキュラムはどうするか,教員はだれにするかということまですべて定めていくものだと思っております。そのような中で―それと関係するのかどうかわかりませんが―学生の募集についてお伺いします。  学生の募集は,当然,来年になると思いますが,いつごろから,どのような方法で行おうと考えているのか,そして,その業務はどの部署が担うことになるのか,お伺いします。  それから,先ほど来,教員の採用について公募制を採用するというお話がありました。これについて,市民意見の中に,これからは実践的な教育を目指すということであれば,民間企業経験者や企業経営者なども講師あるいは教員として必要ではないかという意見もありました。その点についてはどのように考えているのか,あわせてお伺いします。  それから,独立行政法人とするという方向性が示されておりますが,それについては,民間企業の経営感覚を持って経営していくという趣旨は十分わかります。大学の設置に当たり,デザインと看護という専門職の養成に特化していこうという大学の特性を打ち出しており,そのことによって,産業振興や文化の形成,地域医療,高度医療を図っていくということだと思います。そのような方向性と,もう一つ―よく市町村がつくる大学として,アメリカなどにはコミュニティ大学というものがあって,そこでは教養的なものを含めて市民が学ぶことができます。これこそ,市民に開かれた大学です。  今回,大学の基本構想では,市民に開かれた大学,市民の力になる大学,市民が誇れる大学という三つの使命がうたわれておりました。法人化ということになると,目的がかなり明確化してくることもあって,経営もかなり効率化しようということになると思いますが,その中で,市民に開かれた大学という使命についてはどのような形で果たしていこうと考えているのか,お伺いします。  それから,使命の一つである市民の力になる大学―法人化ということになると,むしろその方がふさわしいというか,こちらの使命が強くなるかもしれません。産学官の連携,あるいは産学の連携ということがこれから図られてくる,また,図られなければならないと思うのです。そのような中で,今では世界的にも若者が先端企業で活躍しており,学生の起業を支援することも必要ではないかという意見があります。  また,基本計画の中では,附属研究センターを設置するとうたっております。産学連携といっても,具体的な仕組みや仕掛けがないと決して動くものではないと思うのですが,附属研究センターというものはどのような形で設置していく考えなのか,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  来年度の学生募集を,いつ,どのように,どの部署が実施するのかということについてですが,まず,開学1年前の来年4月に大学の設置認可申請を提出し,通常では11月ごろ認可を受けることになりますが,学生の募集については,その前の春ごろから大学設置準備室で進めていきたいと考えております。文部科学省にも,認可前であっても,認可予定とはっきり明記すれば問題ないと確認しております。  次に,民間企業の第一線で働く方を教員にしてはどうかということについてですが,このことは委員がおっしゃるとおり,市民の意見にも複数ありました。  さまざまな知識や経験を有する人材を大学に迎えることは大変有意義なことであると考えております。大学設置基準が緩和され,大学において教育研究を担当するのに支障がなければ,会社役員や社員を現職のままでも大学の専任教員として任用することが可能となりました。市立大学では,産学連携に積極的に取り組むこととしておりますので,民間企業の第一線で活躍し,すぐれた業績を有する方の採用についても前向きに検討したいと考えております。  次に,開かれた大学とは具体的に何を考えているのかということについてですが,まず一つは,社会人や障がいを持った方―障がいを持った方は試験一つを受けるにも大変だと思います。このため,そのような環境づくりや,また,仕事を持った社会人が大学に来て授業を受けることについての配慮―先ほど申しましたように,サテライト教室で教員の指導を受けるということも考えております。さらに,生涯学習,障がい者に配慮することなど,市民に開かれた大学ということを法人の定款の中にしっかり明記していきたいと考えております。  次に,附属研究センターについてですが,機能については―市立大学では産業振興や地域看護の充実など,地域貢献を果たすための研究に力を入れていく必要があると考えております。具体的には,デザイン学部看護学部研究機能を基盤として,産学連携の促進機能,デザインと看護の共同研究機能,地域の健康支援機能,そして,これらの連携窓口機能を整備していきたいと考えております。  次に,附センターの開設についてですが,産学連携の促進機能,デザインと看護の共同研究機能及び連携窓口機能については,デザイン学部がある芸術の森キャンパスに整備したいと考えております。また,地域の健康支援機能については,看護学部がある桑園キャンパスに整備したいと考えております。また,附属研究センター機能の開設については,開学と同時にスタートしたいと考えておりますが,施設については今後検討していきたいと考えております。研究を実際に行いながら,どのような方法,施設,規模がいいのか考えていきたいと思っております。 ◆小林郁子 委員  学生の募集については,全国的にPRしていく必要があるのではないかと思いますので―そのあたりは時間も必要であることがよくわかります。やはり,優秀な学生に入学してもらうためにはPRは欠かせないと思います。  また,開かれた大学ということで,生涯学習,あるいは,障がいのある方に配慮していくというお答えがありましたが,次に,障がいのある方の受け入れについて,お伺いします。  基本計画にも,障がいのある学生の受け入れについての配慮がいろいろ書かれております。国内では,年間約3,000名の障がいのある方が大学を受験し,約500名が合格していると聞いております。デザインと看護という今回の学部設置の中では―障がいのある方の方が,よりきめ細かなことにも気づくというか―学長予定者の川崎さんもそうですが,すぐれた職業人になることが期待されると思います。  そのような中で,障がいのある受験生に対して,これからどのような配慮を考えていくのか。計画にもありますが,もう少し具体的な方策について,お伺いします。  それから,学生ボランティアなどによって学内支援体制をつくるということもあります。これについても,具体的にどのように考えているのか,お伺いします。  もう一つは,施設整備ですけれども,障がいのある方の受け入れとして,これからユニバーサルデザインの設計を行うということです。それについて,具体的にはどのような施設整備を考えているのか,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  障がいのある学生の受け入れのうち,入学試験における具体的な配慮についてですが,個々の障がいの状態に応じた十分な配慮を行うためにきめ細かな事前相談を行い, 例えば,視覚に障がいのある学生に対しては点字試験の実施,拡大文字の問題冊子の配付,また,視覚や手足に障がいのある学生に対しては,試験時間の延長,別室での受験といった配慮,対応を考えていきたいと思います。  入学後の修学や学生生活における支援策については,聴覚に障がいのある学生のかわりに講義のノートをとるボランティアの支援を初め,総合的な大学内の支援窓口や,障がいのある学生とサポートする学生,そして,大学全体で支援するためのガイドブックを作成して意識を高めていきたいと考えております。  また,多くの学生がボランティアにかかわることは,豊かな感性を育てること,そして,ユニバーサルデザインの実践など,教育面での効果も大変大きいと考えており,学生ボランティアが活動しやすい環境づくりや動機づけに努めていきたいと考えております。  次に,障がいに対応した施設整備についてですが,市民に開かれた大学の実現に向けて,障がいを持った学生,市民が大学施設を利用することを前提に施設整備を考えております。市立大学は高専,高看の既存施設を最大限に有効活用して設置していきます。  そこで,芸術の森キャンパスの既存施設については,各校舎の上下階の移動を容易にするためにエレベーターを数基新設します。また,既存のエレベーターは,障がい者に対応できるように改造していきたいと考えております。そのほか,既存施設の障壁を解消するために,スロープや誘導用ブロックの設置,主な出入り口を自動ドアにするなどの改修工事を考えております。桑園キャンパスについては,既存施設にエレベーターを新設するなど,同様の改修を行うことにしております。  二つのキャンパスの増築校舎については,障壁のない,快適でだれもが使いやすい―ユニバーサルの施設を目指していきたいと考えております。具体的には,現在の施設から増築校舎への移動には,経路がわかりやすく,段差のない連絡通路を設けます。また,車いす用の駐車場や講義室の座席,車いす以外の障がいを持つ人にも対応した多機能のトイレも設置していきたいと考えております。  これらの考え方については,福祉のまちづくり条例を遵守することはもちろん,障がいを持つ方々の福祉団体から意見を聞きなら進めていきたい,そして,使いやすい大学をつくっていきたいと考えております。 ◆小林郁子 委員  次に,障がいのある方への就労支援の面で大学が果たす役割について,特にデザインの面でお伺いします。  障がいのある方の就労の場としては,現在,小規模作業所と授産施設がかなり大きな比率を占めております。そこでは木工,工芸品やホームページの作成などいろいろ行っておりますが,そのような製品にデザイン面での付加価値をつけるというか―デザインがすぐれていれば市場でも十分流通すると考えます。大学の設置に当たって,障がいのある方の就労支援の一環として,デザイン面での指導ができないものかどうか,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  市立大学は,大学が持つ多様な知的資源を地域に還元し,幅広く地域に貢献することを重要な設立目的としております。小規模作業所は市内に約140あると認識しておりますが,その作業所が製作する製品の機能性や質の向上においてデザインが果たす役割はまだまだあり,十分に大きなデザイン的な効果があるものと思います。そのようなことから,小規模作業所に関係する方々を対象にしたデザインの講習会など,作業所に対する支援について,今後,長期的な視点に立って検討していきたいと考えております。 ◆小林郁子 委員  そのような意味では,市民に開かれた大学が実現されるのではないかと思います。本当に札幌の街づくりにこの大学が貢献してほしいと思います。  ただ,卒業しても市内に働く場がなければ,本州に行ってしまいます。それを防ぐためにも,大学は,関係機関やほかの大学,あるいは民間企業などと日常的に密接な連携をとり合っていなければ,学生の働く場の確保はなかなか難しいのではないかと思います。その点についても,これから十分勘案していただきたいということを要望して,終わります。 ◆松浦忠 委員  教員の任用制度ですけれども,これについては,今説明があったように,私は,きちんと年限を区切って,そして,年俸制での採用を行うべきだと思います。現在,審議会で検討中とのことですが,その審議会にも,議会の意見もぜひ反映させていただきたいと申し上げておきます。  そこで,年限を区切った年俸制についてどのように考えているのか,お伺いします。  次に,先ほどの説明では,高専は教育,大学はそれにプラスして研究という話でした。私は,大学には大きく分けて二つの流れがあると思います。一つは,科学的に立証していける学問分野と,それから,科学的には立証できない―いわゆるそれぞれの人の見方,受けとめ方によって評価されていく部分の二つがあると思います。例えば,デザインなどは人の受けとめ方,見方によって全く評価が違ってきます。看護学部については,精神的な看護という部分では科学的な評価はなかなか難しいと思います。  そこで,看護学部の教員について―高看では教員を教務と呼んでおりますが―教務を務めた方が病院の師長になっていくという人事に現在はなっております。看護学部の教授の要件として,例えば大学を出ていること,あるいは,看護についての研究論文を発表したことがあるというような資格要件を求めるのかどうか,現時点での考え方をお伺いします。私は,これは非常に大事なところだと思うのです。大学の教授といえば,まず第1の条件は大学を卒業していなければ,一般的にはなかなか難しい。それから,論文を何本書いた,そして,どの雑誌に掲載されたかということが今までの大学教授の選考基準の大宗を占めておりました。そこで今回,看護学部の教授においてはどのようなものを基準に採用しようと考えているのか。  今まで,研究分野というものは,高看にはありませんでした。しかし,研究分野についても,どのような分野を想定して施設などをつくろうとしているのか―このようなこともある程度は準備委員会で具体的に示していかなければ,教員の採用一つにしても―私は,特に看護学部については非常に難しいと思います。  私は,現在の教務の方が教授あるいは助教授に必ずしも不適ではないと思っているのです。現在の教務も,高看で資格を取って,病院で実務に携わって,その中から教育に適していると思われる方が務めているわけです。そうすると,その中で,さらに研究などもしてみたいという方がいれば,それは教授としての資質が十分にあるのではないかと私は思うのです。その点についてどのように考えているのか,お伺いします。  もう一つは,高看を大学化するということになると,なぜ現在の3年制から4年制になるのか―ふえた1年は何なのかということをきちんと明らかにしなければならないと思うのです。私は,現在の医療現場におけるさまざまな問題点から考えると―医師法上,医者が行われなければならない仕事を,実際は看護師が行っていることがあります。現在抱えているそのような矛盾点や問題点について,むしろ,医療行政を担当している厚生労働省などと協議して―医師が行わなければならない処置等を,現在は実際に看護師が行っている―そのように実務的に可能な業務について,新たな資格制度をつくって札幌市立大学で試験的に取り組んでいくということがあって初めて大学化という意味が出てくるのだろうと―私は,医療問題についてずっと現場を調査し,今までいろいろなことに取り組んでくる中でそのように感じております。この点についてどのように考えているのか,お伺いします。  それから,デザインの関係について,特に教授の採用に当たって,どのようなことを基準にしていこうと現段階で考えているのか―もちろん選考委員会には皆さんの意見がたたき台として示されるのでしょうから,そのような中でデザインの教授を採用するに当たりどのようなことを考えているのかということが一つの要件になると思いますが,これについてもお示し願います。  それから,私は,現在の高専の教員が大学において不採用になった場合,市立中学校あるいは高等学校への登用を考えてはどうかと思うのですがいかがか,お伺いします。  それから,サテライト施設について,民間施設の活用も含めて検討していくという話がありました。きのうの朝日新聞に,文部科学省が,学校施設などの耐震性の問題で,現在の耐震改修などを含めて金がかかり過ぎるので,もう少し金のかからない方法を研究するという記事がありました。そのようなことも考えると,現在,旧教育委員会の庁舎は全く活用されておりません。この旧校舎は鉄筋コンクリートの古い建物で,非常にいい材質でつくられておりますから,私はこの建物の活用についても検討すべきではないかと思いますが,この旧教育委員会庁舎の活用を検討対象にしたかどうか,お伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  教員採用について年限を定めての年俸制を導入してはどうかということについてですが,法人化には基本的に幾つかの大きな目的があります。その一つに,業績主義に基づく人事管理というものがあります。年限を定めた年俸制というものも業績主義を背景としておりますので―年俸制になるか,または別な形になるか―一つは任期制の問題,もう一つは年俸制,給料については業績を反映した給与制度にしていきたいと,現在,準備委員会でも議論され,検討しているところです。  次に,看護学部の教員採用に当たっての資格についてですが,まず,大学の教員になるためには―文部科学省が定めております大学設置基準に一定のことが書かれております。例えば,助手になるためには,学士の学位を有することということなど―幾つかの基準があります。また,学歴のほかに,教育実績も加味されますが,最終的には文部科学省の資格審査を受けることになります。  次に,看護学部の附属研究センターについてですが,本市立大学看護学部は,高齢社会を意識して,地域看護に力を入れたいと考えております。具体的には,大学の学部または大学院でいろいろ研究した部分を,地域と現職の看護師,保健師にアドバイスできる,また相談できる―そのようなコーディネートができる窓口を附属研究センターに設けたいと考えております。その中には,地域看護とともに―現在,子育てがいろいろ問題になっておりますので―子育てについての研究も考えております。  それから,現在の高看が3年制で,大学化に伴い1年ふえて4年制になるが,この1年の差は何かということについてですが,高看の教育理念は,基本的には,必要とされる技術,知識を習得することが第一です。大学においては,高度な知識,技術にプラスして,チーム医療の中で問題解決していく,さらに,チーム医療の中で連携をとる,リーダーシップをとっていくという人材が求められておりますので,1年ふえることによって―わかりやすく言うと,看護師に加えて保健師の国家試験の受験資格が得られるようになります。  次に,デザイン学部の教授ですけれども,どのような点に主眼をおいて選考していくのかということについてですが,お手元の計画書の10ページに,今回,初めて空間デザイン系,製品デザイン系,情報デザイン系,メディアデザイン系という4コースの概要を示しました。空間デザイン系については,建築や都市環境,景観等を考えていく。製品デザイン系については,工業製品を中心にしなからも,医療デザインなど,この大学が看護とデザインの両学部を持っている特徴を生かした学際的な分野に取り組んでいきたい。情報デザイン系―いわゆるIT―については―現在,非常に成長している分野であり,デジタルコンテンツの世界ではデザインが非常に大きな比重を占めておりますので,これに力を入れていきたいと考えております。メディアデザイン系は,文化・芸術や知的財産権,マネジメント,プロデュースの手法を対象とします。具体的には,一定のデザイン力を持ちながらも,市場開発や企画力など,一つの製品の販売―いわゆるセールスまでの総合的な企画を立てられるような,マネジメントもできるようなプロデューサー的なデザイナーを養成していきたいということです。このような四つのコースを目安に,デザイン系学部の教授,教員を採用していきたいと考えております。  次に,大学で採用にならなかった高専の教員について,市立の中学,高等学校の教員に採用してはどうかということについてですが,高専の教員の中には,高等学校や中学校の教員免状を持っている方がおりますので,委員のご指摘も含めて,総合的に考えていきたいと思います。  それから,旧教育委員会庁舎の利用についてですが,この建物は耐震上の問題があり,かなり改造しなければ使えないということで,現在のところ,大学で使用することは考えておりません。 ◆松浦忠 委員  私は,業績主義というところに非常に難しい面があると思うのです。  科学的に―例えば算数で言うと,正解率が何%だからこうしよう―このようなことは極めて単純ですが,この二つの学科は,そのような点で業績と言っても判断が難しいと思います。私は,人事採用というものは一つのかけだと思うのです。したがって,きちんと年俸を決めて,期限をつけて採用して,そして,その業績・結果によって更新するかどうか判断するという方法しかないと思うのです。業績主義だということになれば,一般的にはボーナスで多い,少ないを決めるなどという話になるのですが,私は,この場合にはなかなかそうはいかないと思います。このことについては,最初からきちんと取り組むべきではないかと思いますので,十分に検討していただきたいと思います。  それから,看護学部ですが,看護師と保健師は,今でも―3年間高看で勉強すると看護師の受験資格が与えられます。看護師の資格があれば,他の学校に入学してさらに1年間勉強すれば助産師,保健師の受験資格が得られるわけです。4年制にすることによって看護師に加えて保健師の受験資格が得られるようになるということでしたが,それは現在と何ら変わらないわけです。  私は,やはり大学化ということですから―国との難しい話は別にして―大学としての特色ということであれば,せめて4年間で看護師と助産師と保健師という三つの受験資格が得られるくらいのことでなければならないのではないかと思います。私は,つい数カ月前に,本市在住のモスクワ大学の医学部を卒業した方と会う機会がありました。モスクワ大学の医学部を卒業したのは日本人で2人目だということです。その方の話では,入学することは易しいということです。モスクワ大学は日本で言えば東京大学のようなものです。しかし,卒業するのにみんな大変苦労したという話をしておりました。  私は,現在のカリキュラムなどについて工夫してやり方を変えて,三つの国家資格の受験資格を取得させる―そのかわりこれだけの単位を取得してもらう。時間的に無理であれば―時間数は短くても,大学というものは自分がどう勉強するかという部分もあるわけですから―そのようなことを含めて最低でもこの三つの受験資格を与えるというようにしていかなければ,私は札幌市立大学の特色は出てこないのではないかと思います。  それから,両学部に共通して,教授の任用についてです。  文部科学省は一定の基準を示しているでしょうけれども,例えば,東京大学名誉教授の安藤忠雄さんという建築家は,工業学校の建築学科しか出ておりません。そして,独学であれだけ有名なデザイン建築を手がけていったわけです。私は,教授の採用について,最低限,学士を持っていなければ―4年制大学の卒業証書を持っていなければいけないということにこだわっていてはだめだと思います。その点については,文部科学省ともきちんと話をして,特色ある教授陣をそろえることが大事ではないかと思います。  私は,要件に学位ということが出てきたことにちょっとがっかりしました。むしろ,個性ある教授を集めるという考え方であると思っていたのですが,この点についていかがお考えか,改めてお伺いします。 ◎橋本 大学設置準備室長  看護学部において三つの受験資格を得られるようにしてはどうか―具体的には助産師の受験資格ですが,助産師は,少子化ということで,現在,なかなか厳しい状況にあります。  そのような中で,この大学の一つの特徴は,札幌圏の既存大学と連携していくということですので,札幌市立大学に在籍しながらも,他の大学で助産師に必要な単位を取れば資格を得られますので,その点については柔軟に対応できるように配慮していきたいと考えております。  もう一つの特徴として,この大学は,高齢社会を意識した地域介護に貢献するということですので,保健師と看護師の資格取得を重視していきたい―さらに力を入れていきたいと考えております。  次に,学位や文部科学省の基準にこだわらずに,実績主義で特色ある教員を採用すべきだということについてですが,委員のおっしゃることは非常によくわかります。あくまでも,文部科学省の資格審査には合格しなければなりませんが,ご提言のように,文部科学省の基準には,専門分野について特にすぐれた知識及び経験を有することが認められる者については大学の教授になってもいいとされております。まさに,先ほど言われた安藤教授がこれに当はまると思いますが,そのようなことも視野に入れて,大きな考え方に立って教員採用を進めていきたい,準備していきたいと考えております。 ◆松浦忠 委員  地域医療ということで保健師と看護師の資格取得を重視していきたいということでしたが,子育て支援ということであれば―母親が胎内に子供をみごもったところからいろいろな相談が発生してくると思うのです。生まれるまでは助産師の仕事で,そして,その先も助産師の役割はあると思うのです。私は,少子化,あるいは他大学との連携云々ということではなくて,ほかにない札幌市立大学としての特色という意味で看護学部を設ける―4年制ということについては,私は三つの資格をきちんと取れるようなカリキュラム構成とし,そのような認定をきちんと国からもらう。そうでなければ―どこかの大学に行って講義を受けてくれば単位を認定するということは―そのような大学間の交流というものは,既存の国立大学でも行われており,特に私立大学ではそのようなことに早くから取り組んでおります。これからつくる大学ですから,少なくともそのくらいのことはきちんと取り込んで,そして,この点が既存の大学と札幌市立大学との違いだと明示していかなければ,人材も集まってこないと思います。同じであれば,近くにある大学に行って,勉強しようということになるわけです。  そのような点では,再度,よく検討して取り組んでいただきたいということを強く求めておきます。検討結果については次の機会に報告いただきたいと思います。 ○長内直也 委員長  ほかにございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○長内直也 委員長  なければ,質疑を終了いたします。  以上で,本日の委員会を閉会いたします。     ──────────────       閉 会 午前11時53分...