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平成16年(常任)厚生委員会−05月26日-記録

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  1. 札幌市議会 2004-05-26
    平成16年(常任)厚生委員会−05月26日-記録


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    平成16年(常任)厚生委員会−05月26日-記録平成16年(常任)厚生委員会  札幌市議会厚生委員会記録            平成16年5月26日(水曜日)       ────────────────────────       開 会 午前10時 ○大嶋薫 委員長  ただいまから,厚生委員会を開会いたします。  報告事項でありますが,柿崎委員からは,欠席する旨,連絡がございました。  それでは,議事に入ります。  札幌敬老優待乗車証制度についてを議題とし,資料に基づき,理事者から説明を受けます。 ◎中田 保健福祉部長  私から,敬老優待乗車証検討経過などにつきまして,お手元の資料に基づき,ご説明させていただきます。  敬老優待乗車証,いわゆる敬老パスは,昭和50年に制度が創設されて以来,29年が経過しました。この間,この制度を取り巻く社会や経済の状況は大きく変化していることから,昨年,この制度内容や実情について市民皆様にお示しし,そのあり方について改めて問題提起をさせていただいたところであります。  その後,行いましたアンケート調査やさまざまな市民議論を踏まえ,去る3月18日の予算特別委員会では,利用上限年間2万3,000円とし,利用者負担を1人当たり3,000円とするプリペイドカード方式検討案として提示させていただきました。それによってさまざまなご議論をいただきましたが,その後,それらも踏まえ,さらに検討を進めてきたところでございますので,その経過についてご報告をさせていただきます。  まず,1点目でありますが,検討案について,4月の約1カ月間,札幌コールセンターに寄せられた市民のご意見などを取りまとめた内容についてでございます。  意見募集の期間は本年4月2日から4月30日までで,合計1,032件のご意見,ご要望をいただきました。寄せられた方の年齢は,70歳未満の方が251名で,全体の約24%,敬老パス交付対象となる70歳以上の方が574名で,全体の55%を超えております。このほか,年齢の不明な方も207名で,全体の20%いらっしゃいました。  寄せられたご意見などの内容につきましては,利用者負担について容認するという方が59.4%,反対される方が15.7%となっております。また,利用上限を設けることについては,引き上げを望む方を含め,容認される方が24.3%に対し,反対をされる方が44.2%となっております。  なお,利用上限について,反対または引き上げを求めるとされた方のうち,利用者負担を上げてもよいという方は約半数でありました。  次のページは,寄せられたご意見の一部を抜粋したものですが,一部負担を容認するというご意見現状維持を求めるご意見,一部の不適正な利用についてのご意見利用上限額引き上げを求めるご意見,あるいは,子供料金にすべきといったご意見などがございます。  次に,2点目の交通事業者との協議についてでございます。  敬老パス制度についてご協力をいただいている各交通事業者とは,これまでもこの制度の運営についてご相談をしてまいりましたが,検討案を提示した後,議会での議論ども踏まえ,割引率などについてさらに協議を重ねてまいりました。  札幌市から協力を求めた事項は,割引率引き上げなど事業費に係る協力利用実績の把握など技術的な協力でございますが,これらにつきましては,現在のところ,一定の具体的な合意が得られるところまでは至っておりません。
     これに対し,各交通事業者の基本的な考え方としてお示しいただいているのは,一つは,現行制度では利用実績事業費に大きな乖離があることから,実績に見合う負担を受けられる制度を望んでいること,二つ目は,交通事業者としては大変厳しい経営環境にあるが,意義ある敬老優待乗車証制度を存続させるため可能な限り協力をしたい,この2点でございます。  次に,今後の検討方向でありますが,一つには,利用上限額及び利用者負担額などのより望ましい制度内容二つ目には,利用実績に応じた事業費負担や適正な利用を確保するためのシステムといったことについて,これまでの議会でご議論いただいた内容市民から寄せられたご意見を反映した,より市民理解が得られるような制度を目指し,各交通事業者との協議や技術的な検討をさらに継続してまいりたいと考えております。 ○大嶋薫 委員長  それでは,質疑を行います。  質疑はございませんか。 ◆勝木勇人 委員  我が会派としましては,これまで,平成16年度は,予算どおり現行制度のまま実施して,敬老パスをどういう形にするべきかについてはさらに時間をかけて議論するべきだという主張をしてきたわけですが,今の説明からいきますと,我が会派の意向が酌み取られたのかなと。また,市長は,この10月から新しい制度実施を主張していたわけですが,この方向性はとりあえず崩れたものと理解したいわけです。  10月の実施はもうないということなのかどうか,その点をもう一度明確にしていただきたいと思います。 ◎横山 保健福祉局理事  実施時期についての問題でございますけれども,新しい制度実施する場合の準備期間など,さまざまな点を考慮いたしますと,本年10月からの実施は困難であると考えているところでございます。 ◆勝木勇人 委員  それでは,見直し実施時期はいつなのか,また,見直した新しい制度を適用するまでの間,どういう形で制度が進められていくのか,この2点をお伺いします。 ◎横山 保健福祉局理事  見直し実施時期についてでありますけれども,この間,昨年のアンケート調査を初め,多くの市民からいただいたご意見等を踏まえまして,検討を進めてまいりました。また,具体的な検討案もお示しさせていただき,この案についても,さまざまな観点からのご議論をいただいていると我々は認識しております。新たな制度に向けては,平成17年度当初からの実施を目指し,今後さまざまな整理を行ってまいりたいと考えているところです。  また,その場合,今年10月以降,平成16年度内につきましては,交通事業者との調整を図り,協力を得ながら,現行制度を継続したいと考えているところでございます。 ◆勝木勇人 委員  現行制度はとりあえず年度内ということですね。  これまでの我が会派の主張は,敬老パス交付対象となる現行の70歳以上ということについて,年齢引き上げるのはだめだということを主張してきておりますし,また,所得による対象者絞り込みはすべきでないと主張してきております。現在ではこの2点をどう考えておられるのか,お伺いしたい。  また,現在は,市外からの転入者にも直ちに敬老パス交付されていますが,一定期間,居住して,札幌市にある程度貢献した方を対象とするということも我が会派は主張してきています。いわゆる居住制限を導入する考えはあるのか,お伺いします。 ◎中田 保健福祉部長  まず,対象となる方の年齢引き上げについてでございますが,3月に私どもが提示させていただいた案では,利用上限額利用者負担をお願いしたいと考えておりますので,現在のところ,さらに対象年齢引き上げることについては行わない方向検討を進めております。  なお,昨年11月のアンケート結果におきましても,対象年齢については現行どおりを希望される方が約6割以上いらっしゃいました。  それから,2点目の所得によって交付対象者を絞り込むことについてでございますが,敬老パス制度趣旨などから,現時点では,いわゆる所得制限は行わない方向検討を進めております。  それから,3点目のいわゆる居住制限についてでありますけれども,昨年行いましたアンケートの結果,あるいは各区の老人クラブなどへの説明会では,本市で一定期間を過ごされた方を対象とすべきではないかという趣旨のご意見も多数いただいているところでございます。そのようなことを踏まえながら,さらにいろいろな角度から居住制限導入可能性について検討してまいりたいと考えております。 ◆勝木勇人 委員  居住制限も一応は視野に入るということでした。そして,利用者負担を求めることも視野に入れてという答弁だったと思います。  敬老パスは,生活困窮者の救済を目指したものではなく,あくまでも敬老ということで,長年,社会に貢献されたお年寄りの労苦をねぎらい,これに敬意を払うという精神から出てきたものであります。そういう意味合いからは,累進課税制度的な所得による色分けなどを導入すべきでないというのが我が会派の主張でございまして,その点も酌み取られたものと考えます。  我が会派の意向を踏まえますと,今,答弁があったように所得による対象者絞り込みをしないことはいいのですが,利用者負担についても,所得によって,負担額に差をつけるべきでないと考えるわけですが,この点について,再度,お伺いします。 ◎中田 保健福祉部長  利用者にご負担をいただくあり方につきましては,委員がご指摘のような意見を含めまして,さまざまな議論があるところでございます。  今後,制度全体の中で検討してまいりたいと考えておりますので,ご理解をいただきたいと存じます。 ◆林家とんでん平 委員  この敬老パスは,市民の関心が大変高く,きょうも,傍聴者がたくさんお越しになっていますし,マスコミの方もたくさんいらっしゃっているということで,それがおわかりかと思います。  そこで,この間,新聞あるいはテレビに,バス会社の難色を背景にというような記事が載っていますけれども,少しずつ,何か解釈の仕方が違うような気がするのです。ですから,先ほど,なぜ10月実施ができなかったのかということをお聞きになっていましたけれども,もう少し,私たちが統一した認識を持てるような答弁をお願いします。 ◎横山 保健福祉局理事  この間,3月にお示しした検討案につきましては,さまざまな議論がなされたり,多くの意見が寄せられているところでございます。そこで,これまで,議会を初め,ご議論をいただいた内容市民皆様から寄せられたご意見を踏まえまして,より望ましい制度とするためには,利用上限あるいは利用者負担という制度内容について,もう少し深めた具体的な検討が必要であろうと判断をしているところです。さらに,利用実績に応じまして,事業費負担していくことが可能となるようなシステム,あるいはカードそのものの性格,位置づけ,それから,適正な利用を確保するための技術的な検討等につきましても,さらに具体的なものを深めていくことが必要だろうと考えております。また,各交通事業者との協議をさらに進めていくことなどを考え合わせまして,10月実施は非常に困難だという判断をしたところでございます。 ◆林家とんでん平 委員  コールセンターに寄せられた意見などを見ますと,利用者負担一定理解が得られていると思うのですが,利用上限額の設定については,一部の市民の間に,いまだに反対という声や,これをもっと引き上げてほしいという意見があります。その中で,利用上限額市民に提示した意義について伺いたいと思います。 ◎中田 保健福祉部長  利用上限額を設けたことにつきましては,現行制度の中で事業費利用実績との乖離が指摘されております中で,今後も利用制限のないフリーパスを将来に向かって存続していく場合に,利用実績に見合う負担をしていくことを考えますと,財政的にも困難な状況にあると考えております。このような意義ある制度を将来的にも存続をさせていくためには,利用上限額を設けることもやむを得ないものと考えたものでございます。 ◆林家とんでん平 委員  しかし,市民の声として,現在の利用回数について制限されるのではないかという心配があると思うのです。  そこで,現在の検討案であります2万3,000円の利用上限額を設定した場合,利用回数の多い高齢者,少ない高齢者負担はどのようになるのか,確認させていただきたいと思います。 ◎中田 保健福祉部長  利用上限額を設ける場合の利用回数の多い方,少ない方の負担の形について,少し例を含めてご説明させていただきたいと思います。  私どもが3月にお示しした検討案は,利用上限額2万3,000円,1人平均の負担が3,000円ということでカードでお渡しするということでした。  昨年10月に行いましたアンケートによる実態調査におきましては,敬老優待乗車証をお持ちの方の約半数は,お示しした利用上限額年間2万3,000円の範囲内におおむね入ると見られることから,これらの方々のご負担交付時にお支払いいただく3,000円となります。  一方,2万3,000円を超えてお使いになる方につきましては,当初ご負担いただく3,000円と利用上限額である2万3,000円を超える部分を乗車料金としてお支払いいただくことになりますので,その部分がご負担していただく内容となります。例えば,年間5万円をお使いになる方では,2万3,000円を超える部分は,残り2万7,000円となります。これは,一般の1,000円のウィズユーカードであれば1,100円使えて,プレミア率は9.1%ですから,この2万7,000円につきましては,それを使いますと実質2万4,500円程度になります。つまり,それと交付時にお支払いいただく3,000円を合わせて2万7,500円程度ということで,年間を通しますと約半分のご負担交通機関をご利用いただける,このように試算できると考えております。  なお,利用上限額利用負担額につきましても,今後の制度検討の中で,引き続き,さらにしっかり検討してまいりたいと考えておりますので,ご理解いただきたいと思います。 ◆林家とんでん平 委員  私たち民主党市民の会は,高齢化社会の進展による市の厳しい財政状況には理解を示していますけれども,今の利用上限額では不足だと考えています。コールセンターに寄せられている意見の中でも,検討案利用上限額では不足だとしている市民が多いのではないかと思うのです。  そこで,せっかくもう少し時間をいただくわけですから,いま一度,利用者の立場に立って,利用上限額を上げることができるように最大限の努力をすべきであると思うのですが,その点はどうでしょうか。 ◎中田 保健福祉部長  去る3月の予算特別委員会でもご議論いただきましたが,市民から寄せられた意見などにも利用上限額引き上げを望む声が多いと認識しております。  今後,そのようなご意見を十分踏まえまして,各交通事業者にも敬老パス制度趣旨をさらにご理解いただけるように努めながら,割引率等の面で引き続き協議を進める中で,私どもとして最大限の努力をしてまいりたいと考えております。 ◆林家とんでん平 委員  昨年11月に行ったアンケート調査によると,利用頻度に大きなばらつきがあります。これは皆さんもご存じかと思いますけれども,一律の利用上限額を設定しても,不足する方もいれば,中には多過ぎるという方もいる,そういうばらつきがありますね。生活環境がそれぞれ違いますから,それは当たり前のことです。例えば,名古屋市や川崎市,横浜市でも,今,敬老パス見直しが進んでおりますが,いろいろな方法があると思うのです。  そこで,利用上限額に幾つかの段階をつけて,例えば上限額を1万円にするとか,3万円にするとか,5万円にするとか,また上限なしにするとか,いろいろな方法があると思うのです。市民が選択する方法も取り入れることができないかどうか,その辺をお聞きしたいと思います。 ◎中田 保健福祉部長  敬老優待乗車証をお持ちの方の利用頻度に大きなばらつきがあることは,私どもも認識しております。このような利用実態に対応するための一つの方策としまして,利用上限を複数設けることは有効なものと考えられますので,ご負担いただく金額とのバランスも考慮しながら,ご提案を前向きに検討してまいりたいと存じます。 ◆高橋功 委員  先ほど勝木委員質疑の中で,所得制限は行わない考えですというような答弁があったと思います。私どもは,さきの予算特別委員会でも,70歳以上といってもいろいろな方々,さまざまなお立場の方がおいでになるわけだから,仮に利用者への負担を求めるとしても,所得の低い皆様に対しての配慮ということを主張してきたところです。  そういう意味では,今現在,仮定の話になるかもしれないけれども,仮に負担をお願いする場合でも,所得の低い方々に対する具体的な軽減策考えているものが何かあるのかどうか,これが1点目です。  それから,2点目は,今,林家委員から,利用上限を設けるとして,2万3,000円だけではなくて,いろいろ選択肢があってもいいのではないかという提案がありました。それも有効だというご答弁のようだけれども,その選択肢を仮に設けた場合に,利用者負担は今提案されている3,000円で済むのかということを伺います。 ◎中田 保健福祉部長  1点目の負担軽減策についてであります。  これは,提示させていただいております検討案では,利用上限を設けるという関係から,ご負担をいただく金額は可能な限り低く定めて,今後の検討においては,所得の比較的低い方々にもさらに十分配慮したものにしてまいりたいと考えております。  2点目の利用上限引き上げなどに伴う利用者負担引き上げという点でございますが,仮に利用上限引き上げ検討する場合にありましても,先ほど申し上げましたようなことから,利用者にご負担いただく額は可能な限り低く設定するように配慮していきたいと考えております。 ◆高橋功 委員  昨年の6月以降,敬老パスについての議論が具体的になって,私も地元の70歳以上の方,またそうではない若い方々も含めて,いろいろな話をお伺いするし,私は意識的に議論をさせていただいています。  敬老パスは,今まで無料でもらえたし,なおかつ,フリーで使っていただけた。これは,別にご褒美で差し上げているわけではないでしょう。趣旨としては,70歳になったからおめでとうございますではないのです。やはり,敬老意味,そして外出支援であったり介護予防であったり,そういう観点があるわけだから,できるだけその方々が使えるだけ使っていただこうという趣旨からすると,一番,抵抗感があるのは利用上限だと私は実感しているのです。  もう一つ,いろいろな声として聞くのは,利用上限は設定されるは,利用者負担は今のところは3,000円ということで,二重負担ではありませんかというご意見をかなり多く聞いています。そういう意味では,先ほどから利用上限を上げろという意見があるけれども,その前に,利用上限そのものについて設けないでほしいという声を聞きます。これは,やはり率直なご意見として真摯に受けとめるべきだと私は思っているのです。  そういう意味では,先ほど私が言った二重負担ではないかということから言っても,3,000円の負担,あるいは利用上限のどちらかを撤回するという考えはないですか。 ◎中田 保健福祉部長  利用上限利用負担ということで二重の負担になるのではないかというご指摘でございます。  利用制限のない現行制度における利用実績などから,先ほども申し上げましたが,財政的な面からも,将来に向けて存続していくためには利用上限を設けることもやむを得ないと考えてきたものであります。  しかし,制度見直しの基本的な考え方として,私どもは,敬老趣旨とともに,外出支援とか介護予防といった福祉サービス的な視点からも存続していくことが必要であるという考え方から,上限はできる限り高く設定したいという考えで当初の2万3,000円というものを提示させていただきました。  この点につきましては,参考までに申し上げたいと思いますが,利用上限額を設定している他の政令指定都市は4市ございますけれども,福岡市の場合は,介護保険料段階に応じて8,000円または1万2,000円という負担でありまして,この1万2,000円が上限額となっております。そのほかの市も8,000円とか6,000円といったレベルでありまして,隣の石狩市におきましては,昨年まで5,000円を,今年度は3,000円に下げているといった状況からも,皆様にその点でご理解をいただけるのではないかと思っております。  また一方で,利用者負担につきまして,このような福祉サービス利用という意味合いから,それを利用していただく,受益者として一部ご負担をいただくという趣旨からこういうご提案をさせていただいておりますけれども,可能な限り低い負担にとどめたいと考えたものでございまして,そのようなことから,このような上限を設定し,かつ,ご負担をいただくという趣旨をご理解いただきたいと存じます。  なお,ご負担いただく金額につきましては,昨年行ったアンケート調査では,フリーパスを想定して回答された方もいらっしゃると思いますけれども,月額500円,または1,000円ということで回答をされた方が合わせますと半数近くに上っております。また,その後,私ども老人クラブなどからもご意見を伺いましたけれども,5,000円,3,000円ぐらいならば負担してもいいというようなご意見もある中で,当初,まず3,000円というご提案させていただいたということでございます。 ◆高橋功 委員  今,私は,利用上限そのものについて撤回したらどうかということでお伺いをしたのだけれども部長から,他都市はもっと低いのですという答弁でした。  例えば,細かい話になるけれども,私は地元が南区です。そうすると,定山渓から都心部に出てくるのに片道どのくらいかかるか。これはおわかりだと思うが,700円くらいかかる。まさか,片道だけ行って,帰ってこないわけにはいかないですから,往復で千五,六百円ですよ。2万3,000円ということは,単純にいけば,12で割ったら月2,000円弱でしょう。私は地元だから言っているのではなくて,こういう例が現にあるのです。厚別や新札幌の向こうとか手稲の曙とか,遠いところはたくさんあります。そういうことから言うと,今,市が提案している金額では,月1回,1往復です。それを超えた分は,あとは自分の負担だ,こういうことですね。  私は,何も地域エゴの話をしているのではないと思っているのだけれども,例えば,札幌市の今の交通料金体系均一料金ならまだわかる。地下鉄だって,1駅でも200円,どれだけ乗っても200円ということにしているのならまだわかる。でも,現状は,遠くなればなるほど負担は高くなっているわけです。そういうことからいうと,やはり市民の率直な意見として不公平でないのかという意見もないわけでない。これを不公平と言うのが適切かどうかはわからないけれども,そういう声を現にいただいているわけです。  私は,利用上限額設定そのものにも反対をするし,それから,仮にしたとしても,2万3,000円では話にならないということを言いたいのです。2万3,000円と言われて月1回程度しか都市部に行けず,不公平という声に対して,どう答えるか,ぜひ伺いたい。 ◎中田 保健福祉部長  札幌の広い市域の中で,お住まいの地域によって交通機関利用できる条件,環境が大きく異なってくることはございますし,ご指摘のように,都心から離れたところに住んでいる方が都心に出る場合は,1回当たり利用料金が高くなるということも私どもは認識しております。  そのようなことからも,確かに,制限を設けないことが理想であることは私どもも十分理解できるところでございます。しかし,先ほど来申し上げておりますように,この制度を財政的な面からも将来的に存続していくことができる制度としていくためには,やはり,利用上限を設けることもやむを得ないと考えたところをまずご理解いただきたいと存じます。  なお,一方で,都心にお住まいの方が,その事情によって,例えば遠いところの病院やご親戚のところに出かけられるといった場合も同様なことが言えるかと思いますので,そのようなことを含めまして,一律に定めることについてご理解をいただきたいと存じます。 ◆高橋功 委員  今の部長のご答弁はわかり切った話なのです。もちろん,定山渓の方が都心に出ると往復千五,六百円かかるのと,同じことで,中央区に住んでいる方が定山渓に行かないとは限らない。ただ,それは,ある意味の詭弁で,住んでいるところから都心部に出かけることが一般的です。中央区の方が篠路に行ったり,手稲曙に行くことはあります。そういう例もあるでしょう。でも,そういう話でご理解くださいというのはなかなか難しいと私は思う。  いずれにしても,どんな制度であれ,当たり前のことだけれども市民方々理解がなくて突っ走ると,ろくなことは絶対ないわけです。そういう意味では,先ほど来,10月1日にはどうも無理ですと判断されたことについては,私どもも是とするところです。どこかで決めなければならないのは理解していますけれども,本当にしっかりと時間をかけて,より理解されるものにしていかなければならないと最後に申し上げて,終わりたいと思います。 ◆小川勝美 委員  私たちは,上田市長が去年7月の初議会敬老パス見直し問題を取り上げたときから,一貫して現行制度敬老パスをしっかり守るべきだ,こういうことを主張してまいりました。そして,議会にも,現行制度をしっかり守ってほしいという思いを込めた150件を超える請願・陳情が出されています。そして,私たちの質問に答える形で,上田市長は,敬老パス制度を守るために見直すのだ,こういうことを一貫して主張していました。  しかし,3月18日に予算特別委員会で示された市の案というのは,敬老パス制度をやめて,1万円のウィズユーカード2枚を平均3,000円で販売するというものですから,多くの市民の皆さんは敬老パス制度というふうには受け取っていない。ウィズユーカードを格安で販売する制度だということで,非常に批判の声が多い。それが,コールセンターへの意見の中でも,利用上限反対だというのが70歳以上の方の50.7%に上っている例にもあらわれているのではないかと思うわけであります。そういう市民の強い反対の声とか,あるいは,予算議会で示された交通事業者との協議の中で,今回は半年間先送りという形で,差し当たり現行制度で存続するという点については私は評価をするのであります。  しかし,それでは,あと半年後にまた似たような改悪案が出されて,それが実施に移されて,市民に押しつけられるのかなと危惧をするものですから,そのことについて何点かお尋ねをしたいと思います。  今回示されたウィズユーカードのようなやり方,しかも,予算議会で示されたときのウィズユーカードは絵柄だけを変えるという中身ですから,ウィズユーカード2枚を3,000円で買った高齢者が,場合によっては,高校生の孫に1枚取られたら, 高校生がその1枚を使って乗れるということであったわけです。こんなやり方は絶対に正しくないと思うのであります。  そういう面では,市長が議会で何度も答弁したように,敬老パスというものにきちっとすべきだと思うのですが。この点についてもう一度お尋ねします。  特に,今回,コールセンターに寄せられた市民意見でも,利用上限には強い反対が出ています。これは,やはり,29年間フリーで,無料で使えていた敬老パスの本質を大きく変質させることになって,将来的には廃止につながることになると思うのですけれども,この点はどうお考えなのか。上田市長の言われた敬老パス制度を守るための見直しだということと大きく違うと思うのです。しかも,利用上限額と一部負担とダブルでやってくるなど,横浜市だってやっていないようなことを札幌市がやろうというわけですから,その点についてのお考えをお尋ねします。  それからもう一つ敬老パスのスタート以来の大きな点は,札幌市が敬老パスを発行するけれども交通事業者の皆さんも,敬老の精神で利用者敬老パスで乗っていただくということを行ってきました。特に,高齢者の皆さんは,朝ラッシュとか夕ラッシュに乗るのはごくまれで,一般的には,日中,バスや地下鉄のすいている時間に乗っている方が多いわけです。  そのときに,中田部長や以前の理事者がどのように議会に説明していたかというと,日中,空気を運んでいるときに高齢者に乗っていただければ,幾ばくかのお金を支払うわけですから,空気を運ぶよりも高齢者に乗っていただくことによって交通事業者の収入にもなるのです,こういう説明であったわけです。そして,それに基づいて今まで事業者に支払われてきたと思うのです。それは,利用実態を計算しながら,その半額を支払うというような計算方法がありますね。その計算方法をぜひお示しいただきたい。  それが,なぜ今回から利用実績に見合う負担にするというのか。ここは,いろいろな中身の中でも大幅な変更なのです。今までは,交通事業者にも一定のご協力をいただいていく,しかも,空気を運ぶよりも,70歳以上の高齢者に乗っていただければ,そのことによって交通事業者も収入になるのだ,こういうふうなことをやりながら,そして,高齢者が外出の機会をふやす,社会参加の機会をふやすことによって,健康を増進したり,介護予防に役立つという大きな役割を果たしてきているのに,今度は利用上限も設けてしまう。その大きな要因になっているのは,利用実績に見合う負担と,ここで方針の大転換をしていることが今回のような大改悪案が出てくる要因ではないかと思うのですけれども,この点について,まず最初にお尋ねをしておきたいと思います。 ◎中田 保健福祉部長  まず,基本的に,この制度趣旨というのは,私どもも,社会に貢献していただいた方に対して敬老の精神をあらわすことと,社会参加をしていただこうという趣旨理解をしております。また,敬老の精神をあらわす方法としては,必ずしもフリーパスで無料でということでのみあらわせるものではなくて,その事業を行うための事業費を支えていただく側,税を負担する側の力量といいますか,そういうものとのバランスで最大限の努力をする方法で十分に制度趣旨を実現していけるものであると考えております。  したがいまして,私どもは,ウィズユーカードというご提案をさせていただきましたけれどもカード方式にすることによって,その趣旨が変質したり,あるいは廃止に結びつくという理解をしておりません。  それから,1点目のご質問ですが,カード機能の面で,必ずしも適正な利用がされないのではないかということであります。この点につきましても,当初そういう形でご提案をさせていただきましたけれども,さらにもう少し時間をかける中で, 機能面においてもよりよい形になるような,ご指摘の点をできる限り解決できるような方向検討してまいりたいと思っております。  また,日中のすいている時間帯に乗る方が多いという点につきましても,敬老パス制度の創設した時期から既に30年近く経過する中で,社会経済の状況,また交通事業者を取り巻く環境なども変わってきており,また,利用状況も変わってきているという中で,私どもは,改めてその検証,あり方検討させていただきたいということでございます。  そこでまず,今のフリーパスの場合の計算方法はどのように割り出しているかということでございますが,前年の各交通事業者の乗車実績に基づいて,市民1人当たり年間乗車する回数を推計し,さらに70歳以上の方の乗車回数を推計する,それに基準単価を掛けて交付枚数の16万枚,平成16年度見込みでは17万枚といったような数字を掛けた,推計した数字で交通事業者に協定に基づいて負担しているという状況にございます。これをカード方式にすることによって,推計で行われた部分がより実態に近い形の負担になると考えております。 ◆小川勝美 委員  それでは,基準単価というのはどのようになっているのですか。基準単価というのは,実際の金額の半額を掛けているのではないですか。今度はそれを利用実績というと,全額を払うことを意味しているのでしょう。私の先ほどの質問は,今まで29年間続けてきた敬老パスですが,基準単価が大きく変わることが利用上限額の設定と利用者一部負担を求める要因になっているのではないですかと私はお尋ねしたのです。その点についてお答えてください。 ◎中田 保健福祉部長  先ほど申し上げました協定額の算定の根拠となる中に平均乗車単価というのがございます。これにつきましては,各事業者ごとに,各路線の状況に応じて利用の頻度などを考慮した中で定めておりまして,各交通事業者を平均しますと大体210円ぐらいになります。これは,高齢者の方が1回に乗車する回数が1区間か2区間といったような調査もかつて行われたことから,これは,私どももある程度お認めいただけるものかと考えております。ただし,この協定額そのものが推計で行われているという部分ではそのとおりかと思っております。  先ほど申し上げましたように,フリーパスから利用上限を設ける形になるということで,敬老パス趣旨,あるいは本質を変えるということでございますけれども,その制度を維持していくために,将来に向かってその負担ができるのかどうかという点からも検討する中で,できる限り負担のできる範囲で制度を定めていくという趣旨からは,それを変質させることにはならないと私ども考えております。 ◆小川勝美 委員  今まで高齢者敬老パスで自由に交通機関に乗って外出できるということで,そのことにより,家族も一緒に,孫も一緒に乗るということで交通事業者の収入にもなっていたわけです。今度は,利用上限が決められると。先ほどありましたように,厚別などはバスと地下鉄を乗り継いで出てくると本当に高い交通料金がかかります。山鼻の専門病院に通っている人たちは片道630円ですからね。今度はフリーでなくなるということになると,もらった高齢者の方はみずから利用制限をしていくわけです。そうなると,バスなどの公共交通機関への乗車習慣が奪われて,将来的にはバス事業者などの利用客の減少にもつながるだろうと思います。以前,ある政令市では,敬老パスの改悪が打ち出されたとき,交通事業者も一緒になって反対運動をやったというところがありますから,そういう特徴もあるわけです。  今回,交通事業者に対して,市が協力要請をしていくということです。先ほど割引率等について引き続き協議していくということでありましたけれども,各交通事業者は市の要請に対して誠意を持って対応されているのかどうか。また,予算議会の中では,市長なり助役が交通事業者に要請に行くべきだ,こういう声も出されましたけれども,それらはどのような対応をされてきているのか。  それから,民間バス事業者は何社もあるわけですけれども,温度差があるのではないかという気もするのです。それらの協議の中身について,明らかにしていただきたい。 ◎中田 保健福祉部長  各交通事業者との協議,交渉に関連してのご質問でございますが,各交通事業者に対しましては,昨年3月18日に具体的な案を提示し,ご議論いただいた後,直ちに,副市長が各社の社長にお会いするといったようなことから,その後も実務的な協議を精力的に進めてまいったところです。  その中で,各交通事業者から示されている基本的な意向としては,これまでの制度では利用実績事業費に非常に大きな乖離があるので,それを埋める方向で新しい制度検討をしてほしいということと,交通事業を取り巻く環境が大変厳しい中であるけれども,意義ある敬老パス制度については存続させる方向で,事業者として可能な限り協力していきたいということでした。私どもとしては,交通事業者の事情に応じて,誠心誠意,協議をさせていただいていると考えております。  なお,現時点では,一定の合意に至っておりませんし,各交通事業者の温度差というご指摘でありますけれども,それぞれの事情も異なっておりますので,もう少し時間をかけていかなければならないと思っております。交渉の途中にございますので,さらなる内容については,この場面では申し上げられないことをご理解いただきたいと思います。 ◆小川勝美 委員  そうすると,この3月に示された市の案では,2万3,000円のプリペイドカードで乗ってもらう,そして,先ほど言われたように,利用実績に見合う負担というやり方はなくなって,基準単価の改善,こういうふうな方向検討されているということですか。その辺のことをお尋ねしたい。  先ほど言ったように,利用実績に見合う負担ということで,70歳以上の市民利用回数に基準単価を掛けて負担をしている今までのやり方を大きく変えるようなことは,すべきではないと思います。基準単価を一定程度引き上げるということは,経済状況などを考えてわからないわけではないですけれども利用実績に見合う負担ということで全額を支払っていくやり方ではなく,現行の制度を守っていくのにふさわしいような形での交通事業者への協力ということについて,これからも働きかけていくのですか。 ◎中田 保健福祉部長  まず,現在の負担の額というものは,先ほど申し上げましたように,いわゆる推計に基づいて各事業者と協議をさせていただいております。しかし,長年の経過の中で,私ども利用の実績との乖離が相当あることは認識してございます。したがいまして,実際に,先ほど申し上げたような算出方法に基づいての協定額と利用実績というものには乖離があって,また大変厳しい状況の中で,交通事業者の方では,実績に見合った負担をという要請がございます。  そこで,今回,新しい制度検討する上では,一定利用上限額を設けること,かつ,できることならばそれを実績に応じた形で精算をしていく方式に近づけることによって,これまでの推計によるものから,ある程度,実際に使ったものを確認した中で支払いをしていく方法に切りかえていける,よりよい方向に向けていけると考えております。  なお,今フリーパスの段階で実績と乖離があるという部分について,満度にすべて負担しなければならないという要請をいただいているわけでもありませんので,先ほどご指摘の割引率という点で,一定額について,実績を前提にそのうちどのぐらいの割り引きをしていただけるか,また,どの程度の負担で済むかといった内容で今協議させていただいております。私どもは,それに向けて,最大限,さらに協議を進め,努力していきたいと考えております。 ◆小川勝美 委員  そうすると,市が3月18日に示した自己負担1人当たり平均3,000円,それから利用上限額2万3,000円というのは,これは一たん白紙になって,再度,検討していく,こういうことですか。 ◎中田 保健福祉部長  白紙に戻すという理解はしておりません。あくまで,これまでの市民議論の経過,あるいは,議会でご議論をいただいた経過の中で,検討していただく一つの案として提示したものでありますので,それに基づいて,さらに,よりご理解いただける制度に向けて検討していくという趣旨でございますので,ご理解いただきたいと思います。 ◆小川勝美 委員  現行制度で29年間続いてきたものを,市営バスがこの4月から全路線を民間バス会社に移譲したことにより,民間バス会社の力が強くなったことを背景にして,敬老パスを使い,市からさらに幾らかお金を引き出そうという揺さぶりが,今までよりも,ずっと強まってきているのではないか,そんな気もいたします。ですから,交通事業者にも誠意を持って対応してもらうよう協議を進めながら,特に,今言われた利用実績に見合う負担ということによって利用上限額を設けていくということになりますと,上田市長自身がずっと述べていた敬老パス制度を存続させるための見直しということを大きく変質させることになります。そういうことは絶対行うべきではないと思うのです。上田市長が言っていた敬老パス制度を存続させるということについて多くの市民理解しているのは,利用上限額などはないし,アンケートにも上限額を導入していいかなんていう項目はないのです。  今回のアンケートでも50%を超える人たちが利用上限額の設定に強く反対しています。いくら見直しをするといっても,市民理解協力がなかったらできないのです。29年間続けてきたものを,木に竹を接ぐようなことなんかできるわけがありません。
     その点について,横山理事はどうお考えなのかお尋ねをして,質問を終わります。 ◎横山 保健福祉局理事  段々のご質問の中で,敬老優待乗車証の非常に大きい変質,あるいは,将来に向かっての廃止というご指摘がございます。  部長からも答弁させていただきましたが,この精神,目的,趣旨というものは十分尊重した上で,将来に向けて存続させたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。  ただ,その方法につきましては,社会状況,今後予測されるいろいろな状況,それらを踏まえた上で,もちろん利用される方々のご意見も踏まえまして,基本的に廃止などを考えているわけでは全くなくて,よりよい制度にしていきたいということを考えておりますので,ご理解をいただきたいと思います。 ◆佐藤典子 委員  コールセンターに寄せられた1,032件の意見は,市の方から,利用上限2万3,000円,そして平均3,000円の負担という提示がされた後の意見です。先ほどありましたように,約6割の方が利用者負担を容認しているというような分析になっています。そのほかに,15.7%は反対の声がある,また,約24%の方は引き上げを含んで利用上限は容認している,そして,44%の方が利用上限には反対しているという数字が出ています。かなりの方が利用上限には反対していることは明らかだと思います。そして,その他の意見としては,子供料金にするのはどうかと。子供料金と言うと語弊がありますが,半額で利用できるようなやり方はどうかというさまざまな声が寄せられています。  皆さんがおっしゃられているとおりで,市民理解を得てこの制度を進めなければ何も意味がないと私どもも思っております。そして,市長も,市民議論を十分踏まえて敬老パス制度見直し, 決めていきたいということでありましたので,これまで,コールセンター以外にタウントーク,老人クラブなどで意見が寄せられましたし,その中の声も聞いておりますが,それを踏まえて,議論は十分に深まったという認識に立っておられるのかどうか,そして,それらの意見を傾向的な分析もあわせて,総体的にどのように認識されておられるのか,まず伺います。 ◎中田 保健福祉部長  敬老パス制度に関して,市民の方から寄せられたご意見などについての私どもの認識でございます。  昨年,問題提起されて以来,ご指摘のようないろいろな形で市民の方にご議論いただき,またご意見をいただいてまいりました。  まず,その経過の中で,私どもとしては,市民の方にそのような制度内容や実情をご理解いただき,また,制度をどうしようかということについても一定理解を得られてきていると認識しております。それは,これまでの経過の中で,一つには,この制度を維持していくためには何らかの見直しが必要という声が相当数ありました。さらに,何らかの形での自己負担もやむを得ないといったご意見が多数に上ってきたと私どもは認識をしております。特に,具体案を提示させていただき,またコールセンター意見を募集させていただいた後の状況でございますが,コールセンターには1,032件の意見が寄せられました。そのほか,私どもの部署にも150件程度,また,その間,今日まで3回の出前講座を行いまして,そこにおきましてもさまざまなご意見をいただいておりますけれども,おおむねコールセンターにいただいたご意見の傾向とほぼ一致しているという認識でございます。 ◆佐藤典子 委員  一定理解は得られているという認識に立っておられるということと,出前講座もされてこられたということで,努力はされているのだなということは感じさせていただいておりますが,ここに寄せられた意見の中で,やはり,利用上限額については,44%を超す方が異議ありとおっしゃられていることを踏まえまして,この利用上限額2万3,000円は最低という考え方に立って,この上,どのぐらいの上限にできるのか,今の段階でどういう認識をお持ちか,まずお聞きします。 ◎中田 保健福祉部長  私どもも,市民皆様からのご意見の中には利用上限引き上げるといったような声が相当数あることは十分認識してございますが,先ほど来,答弁させていただいておりますように,各交通事業者に対しまして割引率等での協力も要請する中で,私どもとしては,その部分で最大限利用する範囲を広げるという方向での努力を今後も引き続きしてまいりたいと思っておりますので,ご理解をいただきたいと思います。 ◆佐藤典子 委員  市民ネットワーク北海道の方でも独自のアンケートをしまして,70歳を超えておられる方の85%が敬老パスを持っておられる,持っていない方も12%くらいの方がいらっしゃるのですが,所得に応じての自己負担とか,今の札幌のさまざまな状況を勘案した場合,自己負担というのはやむを得ないのではないかというような声も受けとめています。  しかし,反対に,一律の自己負担はいかがなものかということがあります。というのは,先ほどから出ておりますが,低い所得の方もたくさんいらっしゃいますし,また,市民税非課税の方もたくさんおられるという認識に立ちまして,きめ細やかに対応するために,例えば,先ほど来出ておりました段階別の利用上限額を設定するという方法があります。そして,2万3,000円の算出の方法が,市の方で実施したアンケートの結果で,利用回数の平均中央値が116回で,それに210円を掛けたものが約2万3,000円なのでという根拠も以前に聞きました。  しかし,一般的な平均値でいきますと214回ということで,実際の平均値としては2倍の利用をされているということになり,そうなりますと交通費として1人4万5,000円も使われているということでは,本当に2万3,000円は低過ぎるというのは明らかだと思います。  利用上限額の設定についてはこれから検討されるということですので,例えば上限額を2万円,5万円,そして3万円とした場合,負担額については,その1割を負担するというような,段階別の上限額を設定し,利用負担考えていくというようなことについて,どのようにお考えか,お聞かせください。 ◎中田 保健福祉部長  まず,利用上限額の設定に関してでございますけれども委員がご質問の内容につきましては,先ほど林家委員にもお答えさせていただきましたが,利用実態ばらつきがあるという私どもの認識から,そのような幾つかの段階,パターンを設けることにつきましては,そのばらつきをなるべくなくしてそれぞれに応じて円滑に使っていただくという面での方策としては有効であると考えております。具体的な部分につきましては,さらに利用上限額利用者負担との関係を十分考慮しながら検討してまいりたいと思います。  それから,非課税世帯に対する配慮を含めた負担の軽減という部分でありますけれども,これにつきましても,今後,具体的な検討を進めていく中で,できる限り低いところに負担額を設定できるような形で検討してまいりたいと思っております。それは,非課税世帯といいますか,所得の比較的低い方への配慮につながるものであると考えてございます。 ◆佐藤典子 委員  これまで,敬老の精神と社会参加ということで無料で利用されてこられた皆さんにとって,利用者負担があるということは,本当に大きな負担になると思っています。そこのところをさらに配慮していただきまして,さまざまな観点から,どのようなやり方が望ましいのか,慎重に検討していただきたいと思っております。  それから,先ほどから,交通事業者との交渉の中でさまざまな課題があるというお話が出ておりましたので,細かいことはもうお聞きしませんが,今後のスケジュールを教えていただきたいと思います。来年度の4月から新制度でスタートしたいということを先ほど述べられておりますが,このような議論を深めていく場がどのような時点で持たれるのか,また,どのように最終的に決めていかれるのか,タイムスケジュールを教えていただきたいと思います。 ◎中田 保健福祉部長  今後の検討を進めていくタイムスケジュールということでございますが,理事から答弁がありましたけれども,新年度当初を目指すということでございます。現在のところ,これからさらに,事業者を初め,市民皆様のご意見も伺いながら,制度の形を具体的に検討していきたいと思っておりますので,その内容によりまして,準備期間ども含めたところも見きわめていかなければならないと思っております。そのため,具体的にいつ,どのような形でということは現段階では明確には申し上げられませんけれども,そのような形でさらに具体的な詰めをなるべく早く行っていきたいと考えております。 ◆佐藤典子 委員  ということは,交通事業者との交渉の進めぐあいによって最終的な段階に入っていくということでありますので,さらに,本日の議論市民の皆さんの声を十分に踏まえていただいて,より皆さんが納得できる,市民のための持続可能な制度を望みたいと思っております。  市民ネットワークでは,従来から申し上げておりますが,敬老パス利用されている方は85%おられます。そして,私たちのアンケートによりますと,持っていらっしゃらない残りの12%の中で,半分の方は体が不自由で利用できないという実態が上がっております。今後,後期高齢者の方もどんどんふえていかれますし,全体的に高齢者の移動支援というものを考えた場合,今回の敬老パスも移動の手段の一つということも考えられます。さらに,そうした方々が安心して老後を暮らすことができるという制度全体の仕組みへと考えていっていただけるように,検討を進めていっていただきたいと思います。 ◆堀川素人 委員  一番先にお聞きしたいのは,敬老パス事業の見直しについては,前にも桂市長のときに出てきまして,その中で見直されたのは,実際に中身がわかってみれば何の改正にもなっていない,初めの方程式の中に織り込まれたことが形となってあらわれて,いかにもそれが変わったようにして,つじつまを合わせたみたいで,何にも変わっていないということが支払い側と受け取る側の中での状態なのです。  今回の改正は,それで一回落ちついたものが,上田市政になってから,再浮上した。何を目的にこの問題が再浮上されたのか,再浮上させたのはどこなのか。 ◎横山 保健福祉局理事  これまでも,敬老パスについての検討は市役所の中でやられてきておりましたし,それから,時期,時期によりましてはご提示をし,一部,変更して継続してきている実情にございます。30年来継続している事業でございますが,この間,社会経済状況というものも非常に変わってございまして,高齢者方々に対するいろいろな施策も相当に変質を遂げてきておりました。  したがって,当初の本質のところは変わってございませんけれども,長年,社会貢献をいただいた方々に対してどのような手だてをしていくかというその方策の部分におきまして,最近の状況の中で,継続的にやっていくためには,全体の財政状況でありますとか,あるいは,今後ご利用になられる方々の増加の状況だとか,それから,支える側の問題だとか,交通事業者状況だとか,こういうものを総合的に見た中で,今回,ご提案し,ご議論させていただいているところでございます。 ◆堀川素人 委員  わかりやすく言えば,札幌市の財政が非常に厳しくなったという現実があって,財政再建という中でこの問題にも手をつけざるを得ない,こういうことがあって手をつけたのではないか,こう思うのです。  私は,それをきちんと言わなければだめなのではないかと思います。今,段々の議論を聞いていると,この問題だけ取り上げて,札幌市全体の財政の問題,今の札幌市を取り巻く経済的環境の問題,こういう問題が全然出てこない。敬老パスで約35億円の歳出がある。これから高齢者がどんどんふえていけば,極めて負担が大きくなる。現在でも,利用状況からいって70億円の負担をしてくれというのが民間会社の考え方です。そして,高齢者がふえて利用がふえていけば,幾ら何でも民間事業者にこれでやってくれとはなかなか言えない。こういう中で,財政的にかなり厳しいものがあるから,一定のところでこのサービスを切り下げていかなければ札幌市がやっていけいなのだということだと私は思うのです。  今,札幌市は2兆円以上の借金を抱えております。市役所の人によく聞きます。この借金は返せるのですかと。返せる人がいて,返す方法も明らかにできるならば私はぜひ聞きたいので,説明する人がいるならば出してくれ,こう言う。だれもそのことに答えられないで,この借金を未来にどんどん送っているのですよ。このことを我々は真剣に考えなければならない。  確かに,もらっている人にとっては大変うれしいことですよ。でも,それが我々の孫やその先の世代のツケに残されていくとするならば,我々のやることは限界があるということなのですよ。未来の人は我々と今話ができない。その話ができない人と,我々は話をしながら時代を次に送っていかなければならないのです。  そう考えたときに,何をすべきか。今も話があったように,札幌市のむだもある。今回の件で,今の原案のままやったならば,4億円を削減できる。でも,本当は4億円だけであってはならないと私は思うのですよ。ただ金を持ってきて4億円の埋め合わせをするならば,札幌市職員の3.5ポ イント高い給与を,そのうちの端っこの0.5を削ったとしても,この4億円というのは十分に埋められて余りが来る。こういう状況で,だから,むだをするなということがよく言われる。敬老パスのサービスを低下することについて,むだな部分を削らず,一番先に我々のところに犠牲を強いるのはけしからぬと言うのはこういうことなのです。  でも,負担はしなければならぬということは,コールセンターに寄せられた意見の中で,70歳以上の69%の人が認めているではないですか。そこの部分について,ただサービスがなくなる,なくならないなどという問題ではなくて,これから札幌市をどうつくっていかなければならぬのか,こういう議論をきちんとしたならば,高齢者方々理解をしてくれると思う。  そこで,具体的な話になりますけれども,私が今まで調査した中では,民間事業者が主張している利用実績事業費に極めて大きな乖離があります。地下鉄は1.4倍と言う。それから,ジェイ・アールバスは2倍と言う。中央バスは3.何倍,じょうてつバスも3.何倍と言っている。こんな違いがあって,調査も一定しないものをやって,それだけでもってこの大事な問題を決めようとする。払う方の責任として市みずからが調査をしなければだめだと私は思うのですけれども,私が今言ったような事実はありますか。 ◎中田 保健福祉部長  現在の敬老パス利用実態利用実績ということに関連してのご質問でございますが,乖離があるということを申し上げているその前提となっている利用実績について,これが協定額より大幅に上回っているということで,その上回っている部分を私どもはどのように把握したかということです。  まず,基本的に,敬老パスは,フリーパスですので,現段階で完全に実態を把握することは事実上困難であると考えております。一つには,具体的にご指摘がございましたけれども,各交通事業者がそれぞれの調査あるいは通常の乗降の中で把握した数字を私どもの方でそれぞれからいただいておりまして,市営交通の地下鉄などにつきましては,自動改札を通しますのでほぼ正確な数字を把握しております。確かに,ご指摘のように1.4倍ということは私どももそのように承知しております。また,市電につきましても,バスと同様に,一定期間,カウントした数字で年間を推計するわけですけれども,これにつきましても3倍を超えていると私どもは承知しております。また,民間バスにつきましても,会社によって違いますが,ある会社は,年間を通じて敬老パス利用の方をカウントしておりますので,乗降の数としてはほぼ正確に把握していると思いますが,その数は私どももいただいております。また別の会社については,一定期間,時期を変えて,市内を走っているバス全部に調査員を乗せて調査をするという方法でデータをとり,1年間に推計した中で,2倍,多いところで3.9倍ということがありました。私どもは,それらの数字を総合的に分析して,先ほど申し上げましたような協定の基準単価を単純に掛けていきますと,ほぼ2倍程度の実績はあるととらえておりました。ただ,あくまで推計にとどまるわけです。  そこで,これについて,必ずしも正確ではないのではないかというご指摘もありましたが,一つの方法としまして,私どもは,昨年行ったアンケート調査の中で,70歳以上の高齢者2,500名の方のうち80%からご回答をいただきましたけれども,その方々にはできる限り詳細な利用の実態についてご回答いただきました中で,それらの乗降回数を分析しますと,おおむね私どもが協定している回数の倍ぐらいあるということになりました。  この面からも,これまで各交通事業者の方から言われていた乖離あるいは実績という部分がほぼ裏づけられたような形になっていると考えておりますので,そのことを踏まえて,今後の制度検討に結びつけていきたいと考えております。 ◆堀川素人 委員  今までは敬老パスをもらっていたけれども,ふだんは余り利用しないので,今度は3,000円も取られるとすれば,敬老パスの申請をせず,そういう中で受けられるべきサービスが受けられない人も出てくる。  それから,さっき言った2万3,000円の上限で3,000円負担ですから,およそ2万円を本市で持ちますという話です。先ほども高橋(功)議員の方から出てきましたけれども,定山渓から都心部に出てくると月に1回しか利用できない。このように,この制度を改めることによって新たな不平等をつくる。街の人に,どうぞ,出ていってバスに乗ってくださいと言うならば,定山渓の人にだってそれを言わなければならない。定山渓の人は動かなくてもいいということか。こういう不平等をつくり出すわけです。  平均よりもたくさん乗る人については,一定のお金を払ってください,それから,使わないで敬老パスを返上するような人については,乗るときに,例えばワンコインで100円くらい払って乗ってくださいと。こうやってワンコインの制度について,あなた方が勉強して,理解をしてもらうようにしたならば,札幌市の財政も極めて大きな改善が見られます。そういう気持ちでやるならば,ワンコインというものについては余り負担感がなくできる。そうすれば,難しいことは要らない。経済的に大変困窮している人については福祉の観点から別なものとして考えてあげる,こういうことも研究をしなければいけないと私は思います。  今示されている3,000円の負担は,月に直しますと250円ですよ。やるならばきちんとやってあげた方がいい。この問題については,極めて理念がしっかりしていなければだめな問題です。しかも,この借金は,今の70歳以上の方々が払うわけがないのだから,間違いなくそこから下の人たちの負担になるのです。これだけ借金がありますと,間違いなく何世代にもわたってこれから返し続けなければなりません。私は,やっぱりそこに影響を与えるような制度であってはならぬと思う。  このことについて,今,敬老パスをもらっている人たちにもよく説明をして,新制度実施を延期するならば,みんなでもってそういうことをきちんと説明しに歩く,そして,今後長く続く制度にしていただきたい。私はこう思うのだけれども,また,そうやっていかなければならないと思うが,その決意のほど,考え方をきちんと示してください。 ◎横山 保健福祉局理事  この問題は,ここ数年来,非常に大きな論議を呼んだ上で今いろいろお示しさせていただき,今の段階でもまださまざまなご意見があります。非常に大きい問題だと私は考えてございまして,その点につきましては委員の言われるとおりでございます。  したがいまして,実情だとか,あるいは,新たな制度に向けてやっていく場合の我々の努力につきましては,皆様に本当に十分な説明を差し上げた上で,いろいろなご意見もお伺いしながらやっていく決意でございます。  ただ,3,000円を負担するのであれば敬老パスを受け取らなくなる人も出てくるだろう,そういうところの手当てはどうするのか,また,たくさん乗る人について,一定負担の中でもやっていくような方法もあるのではないか,さらにワンコインというお話もございました。これらにつきましては,今までお答えしたとおり,どの道をとってやっていけるかというのは,いま少し時間をおかしいただきたいと考えております。 ◆堀川素人 委員  最後に,ここにいらっしゃる理事者の方に聞いても仕方がないのですけれども,今まで,ここにはせっかくたくさんの傍聴者がいますから,あえてお話し……。 ○大嶋薫 委員長  仕方がないという発言は取り消してください。それから聞いてください。 ◆堀川素人 委員  答えることじゃない。答えられないからです。  何を言おうとするかといえば,今,大事な敬老パスが,間もなく収束になってくるかなと思う。 10月と言っていましたからね。そのときに,理事も部長もかわるということ,これが札幌市の人事だとするならば,極めて無責任ではないかと思うのです。 今までかかわっていた人が最後までやるのが一般的であると思うのです。今回異動してきた方々は,大変優秀な方々ですよ。でも,それは別として,きちんとやり続けた方がよい。この件でどちらかの方がやめたのだという話も聞いております。お二人が大変苦労されているのはよくわかりますよ。私も何回も話を聞いています。でも,それほど難しい問題であるならば,札幌市長として,今回の人事は大変まずい。私はこのことをきちっと言って,終わります。 ○大嶋薫 委員長  ほかにございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○大嶋薫 委員長  なければ,質疑を終了いたします。  以上で,委員会を閉会いたします。     ──────────────       開 会 午前11時35分...