札幌市議会 2004-03-03
平成16年第 1回定例会−03月03日-04号
議 員 堀 川 素 人
議 員 笹 出 昭 夫
議 員 三 上 洋 右
議 員 上瀬戸 正 則
議 員 宮 本 吉 人
議 員 畑 瀬 幸 二
議 員 大 西 利 夫
議 員 柿 崎 勲
議 員 義 卜 雄 一
議 員 小 川 勝 美
議 員 飯 坂 宗 子
議 員 原 口 伸 一
議 員 田 中 昭 男
議 員 福 士 勝
議 員 松 浦 忠
議 員 大 越 誠 幸
議 員 高 橋 忠 明
議 員 小 谷 俵 藏
議 員 猪 熊 輝 夫
議 員 川口谷 正
議 員 伊与部 敏 雄
議 員 湊 谷 隆
議 員 小 田 信 孝
議 員 柴 田 薫 心
議 員 佐 藤 美智夫
――
――――――――――――――――
〇欠席議員(なし)
――
――――――――――――――――
〇説明員
市 長 上 田 文 雄
助 役 田 中 賢 龍
助 役 福 迫 尚一郎
助 役 小 澤 正 明
収 入 役 牧 野 勝 幸
交通事業管理者
交 通 局 長 黒 田 隆 樹
水道事業管理者
水 道 局 長 小 川 敏 雄
総務局長 濱 田 雅 英
企画調整局長 下平尾 文 子
財政局長 平 口 愛一郎
市民局長 高 本 光 藏
保健福祉局長 宮 田 睦 彦
環境局長 中 野 淑 文
経済局長 波 田 正 明
建設局長 田 中 透
都市局長 千 葉 守
下水道局長 仁 科 聰
市立札幌病院長 富 樫 武 弘
消防局長 藤 林 義 廣
教育委員会委員 千 葉 瑞 穂
教育委員会教育長 松 平 英 明
選挙管理委員会委員長 越 智 健 一
人事委員会委員 品 川 吉 正
人事委員会事務局長 宮 崎 芳 幸
監査委員 川 越 公 夫
監査事務局長 南 槇 子
――
――――――――――――――――
〇説明員
事務局長 岸 稔
事務局次長 長 岡 大
総務課長 高屋敷 智 彦
議事課長 大 島 和 幸
調査係長 武 田 章 憲
資料係長 山 越 英 明
議事係長 出 井 浩 義
記録係長 長谷川 万壽美
委員会一係長 酒 井 欣 洋
委員会二係長 中 村 俊 樹
書 記 菅 原 正 子
書 記 柴 井 康
書 記 堀 川 秀 樹
書 記 酒 井 智 美
書 記 本 島 光 二
書 記 松 崎 朗 子
――
――――――――――――――――
〔午後1時開議〕
○副議長(
西村茂樹) ただいまから,本日の会議を開きます。
出席議員数は,65人です。
――
――――――――――――――――
○副議長(
西村茂樹) 本日の
会議録署名議員として
馬場泰年議員,
三浦英三議員を指名します。
――
――――――――――――――――
○副議長(
西村茂樹) ここで,
事務局長に諸般の報告をさせます。
◎
事務局長(岸稔) 報告いたします。
武市憲一議長は,所用のため遅参する旨,届け出がございました。
本日の議事日程及び
質問順序表は,お手元に配付いたしております。
以上でございます。
――
――――――――――――――――
○副議長(
西村茂樹) これより,議事に入ります。
日程第1,議案第1号から第59号までの59件を一括議題といたします。
昨日に引き続き,代表質問を行います。
通告がありますので,順次発言を許します。
恩村一郎議員。
(恩村
一郎議員登壇・拍手)
◆恩村一郎議員 私は,ただいまから,
新政クラブを代表して,今議会に提案されております諸議案並びに市政の諸課題について,順次質問をしてまいります。
まず初めに,市長による
予算編成過程の公開についてお伺いいたします。
この問題は,昨年の第2回定例会において,我が会派から上田市長に要望した件でありますが,これについては,昨年暮れに,平成16年度
予算編成に際して,各局からの要望原案のすべてがインターネット上でも公開され,各局が平成16年度予算にいかなる考え方でもって対処しようとしているのか,知ることができました。大変よい試みであり,周囲の市民からも好評であったことを申し上げておきます。
その上に立って,最終の市長査定を経て提案されている予算案になっているわけですが,これについては,その結果が従来どおりの形で出されているだけであり,市長自身が各局原案に対し判断したその経過については知ることができません。各局要望に対して,市長が取捨選択したその経過のすべてをお知らせいただくことが市長の
予算編成経過の公開ということになろうかと思いますが,いかがでしょうか。
現状は,前半の半分の実施率ということになっているわけですから,原案に対比する形でコメントをつけていただき,後半の公開実施をぜひやられるべきだと思いますが,市長のお考えをお伺いしたいと思います。
次に,今年度
予算編成に関連して,税制の視点から,減税の実施による
経済活性化について,税制改正と,いわゆる三位一体の改革の二つの視点からお伺いをいたします。
昨年末に決定されました平成16年度
税制改正大綱におきましては,厳しい財政状況のもとではあっても,できる限りの工夫を凝らして,
デフレ不況を一刻も早く克服するための思い切った
経済活性化策に取り組むこととされました。
その中で,
資産デフレからの脱却のためには,資産の活用による経済活性が必要ですが,
商業地等における
固定資産税の税負担はなお重く,とりわけ,大都市部における商業地や工業地におけるいわゆる実効税率は,全国平均のそれを上回っているとの指摘がなされていたことから,
税制改正大綱では,
商業地等に係る
固定資産税について,
課税標準額の上限が法定されている70%の場合に算定される税額から,
地方公共団体の条例の定めるところにより,60%から70%の範囲内で条例で定める割合とした場合に算定される税額まで減額することができることとされました。
固定資産税につきましては,平成15年度
評価替え等の影響により,
市町村税収に大幅な減収が生じていることや,極めて厳しい
市町村財政も考慮しつつ,負担水準の高い
商業地等について,平成16年度及び平成17年度に限り,市町村の条例の定めるところにより税額を減額できる仕組みが創設されたところです。
このような制度ができたことを受け,ことしの1月22日に,社団法人である
札幌ビルヂング協会から,議会と市長あてに
固定資産税,
都市計画税の負担軽減に関する要望書が提出されました。これは,
オフィスビルの空き室の割合,つまり,空室率の上昇や賃料水準の大幅な下落などで経営環境が悪化している
ビル事業者が,札幌市において今回の
固定資産税等の
負担軽減措置の実施を求めたものです。
しかし,今議会に提案されている平成16年度予算案を見ますと,この制度の適用をされるお考えはないように思われます。
そこで,質問ですが,もし仮に札幌市において条例で60%の減額を実施した場合の減収額がどの程度のものになるのかをお聞かせください。また,この条例による減額制度の取り扱いについて,札幌市の基本的な考え方をお伺いします。
続いて,三位一体の改革に関連してお伺いをします。
三位一体,つまり,
国庫補助負担金の改革と
地方交付税の改革及び
税源移譲を含む税源配分の見直しの三つを合わせてやろうとするものです。その中で,
税源移譲に関しては,当初,基幹税の充実を基本に行うこととされていましたが,構造改革と経済財政の中期展望2003年度改定の中で,2006年度までに所得税から
個人住民税への本格的な
税源移譲を実現することとされました。当然,この場合,歳入中立でしょうから,市民にとっては
租税負担総額は変わらないものの,個別に見ると,国税である所得税が減税され,地方税である市民税が増税されるというものです。市民税の税率は,地方税法にその標準税率が定められていますが,実際に採用する税率は,各地方自治体が条例で定めることになっています。現在,市民税に関して,個人,法人を問わず,超過課税こそあれ,標準税率を下回る課税をしている団体はありません。
しかし,これは,法律上は各自治体の裁量の範囲ですから,今後の住民税への
税源移譲と
自治体裁量の余地が拡大した場合に,市民からの
住民税減税の動きが大きくなることも考えられます。したがって,札幌市において,
税源移譲に合わせて,地域経済の活性化のために
個人住民税を減税するという大胆な発想の転換を求められることも考えられますが,これについて市長のお考えをお伺いします。
次に,
入札制度についてお伺いします。
入札制度の透明性,客観性等,そのあり方については,これまでにも幾度となく定例会の代表質問の場においても取り上げられ,とりわけ,平成12年に起きた
市幹部職員の不祥事以降,平成13年度からは
入札制度改善委員会から提言された改善案に基づき,札幌市としても適正な
入札制度の運用を目指し,さまざまな対策が実施されてきたところです。
しかし,改善策が実施されてから3年,この間,一向に回復の兆しが見られない厳しい経済状況と相まって,公正性を求めるのとは別の次元で入札時の競争が激化していることは私も承知するところです。
とりわけ,工事の予定価格の事前公表により,これまでの経緯から,苦労して
積算見積もりをしなくとも一定の乗率で
最低制限価格を割り出すことのできる,否,割り出してしまう業者がふえ,
同額落札者同士による抽せんで落札者を決めるという事態がふえています。
実際,平成15年度,これはまだ期の途中ですが,工事にかかわる
同額抽せんの件数は,
契約管理課分で980件中119件,区の
総務企画課分で363件中95件と,全体では平成14年度における割合,1,613件中37件,率にして2.3%から,平成15年度では1,343件中214件,率にして15.9%へと大幅に増加しており,昨年の第3回定例会において自民党の長内議員の指摘にもあったとおり,決して好ましいこととは言えません。
また,こうした同額落札による抽せんのほか,さきの
決算特別委員会でも指摘申し上げたとおり,
指名競争入札による
最低制限価格の導入により,各区役所間の
清掃業務委託料を調べてみましたところ,その仕事量はほとんど変わらないにもかかわらず,
一般競争入札になった場合と
指名競争入札になった場合とでは,年間経費で最大1,000万円以上もの開きが生じていることは,入札方式が適切であったとしても,税金の公正な使われ方として納得できるものではありません。
さらには,
各区土木センターにおける
清掃業務についても,各区において市民部長ないしは土木部長が委員長となって被
指名選考委員会を構成し,業者の選定に当たり,入札を実施してはいるものの,実態を見てみますと,限られた業者が長期にわたり一つの区の
清掃業務を独占しているとともに,幾つもの区の仕事を請け負っています。しかも,
落札価格においても,複数年にわたり同額といった何らかの疑念を抱かせるような実態が見られるなど,余り目立たないところでの入札実態においては,首をかしげたくなるような事態が起きており,改めて
入札制度全体に対する根本的な見直しが求められているものと考えます。
公平・公正な
入札制度のあり方については,多くの自治体において,不正行為を防ぐために
さまざま手段が講じられてきてはおりますが,いまだ絶対的なものはなく,苦慮しているのが現状です。
そうした中で,昨年暮れに,
公正取引委員会の研究会がまとめた報告書に記されているように,広く入札を募る
一般競争入札の対象範囲の拡大のほか,価格だけにとらわれず,その業者の技術力や品質も考慮して落札者を決定する,
総合評価落札方式の活用の検討も重要なことと考えますし,やはり,昨年暮れに横浜市が打ち出した,
最低制限価格制度の原則撤廃に伴う,
落札価格がその工事内容に照らして妥当かどうかを調べる低
入札価格調査制度の導入といった手法や,昨今,話題となりつつある政策入札の取り入れも早急に検討する必要があろうと考えます。
そこで,質問ですが,まず1点目として,さきに指摘した各区における
清掃業務の委託実態は,厳正な入札のもとに行われているとは言いがたい実情にあると思われますが,公正さを保つためにどのような対応を検討されているのか,伺います。
次に,2点目として,くじ引きなど,工事契約に関してさまざまな問題点が指摘されつつある現状の
入札制度に対し,これら問題点を解消するためにどのような対応策をとられようとしているのか,伺います。
次に,
敬老パス制度の見直し問題について触れさせていただきます。
申し上げるまでもなく,この問題は,
上田市長誕生以来,市長みずから提起をされ,目下のところ,一番大きな市民的な関心を巻き起こしている問題です。代表質問の初日から,各会派からも質問がなされているところですが,改めて,この問題に対する
新政クラブの取り組みの立場と経過を市長に申し上げておきたいと思います。
前回,平成10年の見直しに際しては,当時の私どもの会派として,大幅な見直しには賛成できないことを態度表明いたしております。結果的に,平成10年の見直しでは,当時の民生委員の方による
手渡し方式から,現行の申告制での交付にとどまり,現在に至っている次第です。
さて,今回の見直しの必要性として,上田市長は,いわゆる35億円と毎年2億円の負担増の問題から提起されてきています。この問題は,前回の見直しの際にも同様であったわけですが,前回の見直しの際も,我が会派としては,額の絶対的な数値の問題もありますが,他政令市の
敬老パス制度の事業費と比較してみると,札幌市がずば抜けて高額な事業費になっているというわけではないこと,また一方で,この制度に協力していただいている,特に
民間バス事業者からは,市から受け取る額と
パス利用者の乗車実態とは大きな乖離があるとの主張があることなどを指摘いたしました。その視点は,今回の見直しの背景にもそのまま当てはまるものと考えます。
我が会派は,こうした視点を今回も主張させていただき,今後の本問題への対応をしてまいるつもりでいます。
私どもは,今回の見直し問題に際して,他政令市の動向を知る上で,川崎市と横浜市に出向き,両市のお話を伺ってまいりました。同時に,去る2月20日,
敬老パス対象者の方々にお集まりいただき,本問題に対するご意見をお聞きする懇談会を開催いたしました。当初は50人程度の参加者を予定しておりましたが,私どもの予想を上回る約100人の方がご出席になり,改めてこの問題に対する市民の関心の高さを痛感いたしました。
そこで,この場で出された意見を幾つかご紹介し,質問に入らせていただきます。
まず,
見直し賛成のご意見がありました。対象者の数が経年的に大幅に増加してきていること,他政令市の中には一部有料負担の市も存在すること,受益者の立場だけでなく,市全体で判断しなければならないこと,ただ,この場合には,もっと討論できる資料が欲しいとの観点からでした。
そして,
見直し反対,
現行どおりといった意見もまた多く出されました。その理由として,
交付対象者の多くは,長年,市はもとより,社会の発展に寄与してきたつもりであり,この程度の恩恵はあってしかるべきであること,敬老パスの見直し以前に,行政内部の問題として,市職員の
給与レベルが民間に比して高額で,また必ずしも忙しそうな人ばかりでなく,こうした部分にもメスを入れるべきではないかといった意見,介護予防の点からも現行制度は大いに役立っていると考えられること,現行の35億円の幾分かを削減しても,全体に比して焼け石に水ではないのか,それなら逆に有効利用の方策を考えた方がよい等々,総じて
敬老パス単独を切り離して財政問題を論じるやり方はおかしいという指摘だと私どもは感じました。
また,民間バス問題については,乗車実態を1年間くらいきちんと把握,検証してからの話ではないかとの指摘や,また一方,民間バスの協力を得なければならないこの制度であるから,ある程度,民間事業者に対する配慮は仕方ないのではないか,あるいは,さらにJRにもこの制度を拡充してほしいとの希望の声もありました。中には,上田市長が当選直後からこの問題を取り上げてきていることについては,残念だ,失望したとの意見も幾つかあったことを報告させていただきます。
そこで,質問ですが,昨年,本問題を提起されました折に,現行の問題点の中で,市全体の高齢者福祉施策の3分の1をこの敬老パスが占めているため,敬老パス以外の他の高齢者福祉施策が圧迫されているということを述べられていました。最近,この点が述べられなくなった理由はわかりませんが,市長が表明しているように,一部有料化が仮になった場合に,他の高齢者福祉施策がどうなるかということです。
申し上げるまでもなく,高齢者福祉については,以前より根強い市民希望があります。札幌市が毎年行っている札幌市政世論調査の報告書によれば,市政に関する要望の順位において,昭和57年度から平成14年度まで,老人福祉,高齢化対策,高齢者福祉の項目で高齢者関連施策が21年連続で第2位となっている事実があります。
このように,多くの市民が市に対して高齢者のため福祉の充実を毎年求め続けていることを考えれば,一部有料化によって生じた財政上の余裕は,敬老パス以外の他の高齢福祉の充実に充当されるべきものと考えますが,市長のお考えをお伺いいたします。
次に,敬老パスの交付方法についてですが,平成10年,必要な方には指定された会場に取りに来るという方法に変更されておりますが,この一斉交付についても,高齢者が交付を安全に受けられる会場が地域にない等の課題があると伺っております。実際に,交付の手続を行う民生委員の方々がご苦労されて高齢者を介助して交付の対応をしているという話も伺っているところです。また,70歳以上の80%を超えるご高齢の方が敬老パスの交付を受けられるということで,一斉交付会場は大変混雑するとも伺っています。
先ほどの敬老パスアンケートでは,事業の継続か否か,利用状況の設問が中心となっているため,交付場所や交付方法等の課題が取り上げられずに,二の次にされているような感じが否めないところです。確かに,制度の今後のあり方については重要な問題と思いますが,ここで何がしかの修正を行うのであれば,せっかくの機会であることなので,市民サービスとしての敬老パスの交付等,制度全般についても整理する必要があろうかと考えます。
先ほど述べましたように,我が会派は横浜市へ出向いてまいりましたが,横浜市では,昨年9月に自己負担を導入したときに,自己負担額の納付とパスの受け渡しについては,郵政公社と業務委託契約を結び,市内300カ所を超す郵便局を利用し,市民の利便を図っているとのことです。このように,少々の工夫を凝らすことにより,市民サービスが向上するものと考えます。
そこで,質問の第2点目ですが,札幌市においても,横浜市のように交付方法を工夫すべきと考えますが,市長のお考えをお伺いいたします。
次に,児童虐待問題について伺います。
この問題については,昨今の社会情勢の変化の中で急激にクローズアップされつつあるとともに,これまでにも,我が会派を初め,各会派からさまざまな視点に立って質問がなされてきたところです。また,国においても,次世代育成支援対策推進法の成立などで育児支援の体制整備が進められていますが,残念ながら,児童虐待は増加の一途にあり,1月下旬に大阪府岸和田市で中学生が昏睡状態で見つかった事件などは記憶に新しいところです。
札幌市の児童相談所における児童虐待の相談受理件数を伺いましたところ,平成13年の301件をピークに,徐々に減少傾向にはあるようですが,全国に比して,その虐待の内容はネグレクト,いわゆる養育拒否によるものが圧倒的に多いという顕著な傾向を示しているとのことでした。
そうした中で,間違えば死につながる危険性のある虐待の早期発見や虐待予防に向けた育児支援との連携による地域における虐待防止システムの構築といったことが急がれています。例えば,大阪市では,2002年度から,区単位での虐待防止体制をつくるために,子ども家庭支援員の制度をつくり,家庭を訪問し,相談や情報提供を行うことで,孤立した親が引き起こしがちな児童虐待に対処しています。また,こうした訪問型の事業が各地で展開されつつあり,国でもこうした動きを統合し,育児支援家庭訪問事業として新年度から実施する運びと聞いています。
札幌市においても,平成12年度から札幌市児童虐待予防地域協力員を配置し,虐待の発見や相談,支援に努めているところですが,さきにも述べました岸和田の事件が示すように,育児支援型虐待防止策の限界も浮き彫りになってきています。
そこで,質問ですが,児童虐待の防止に向け,国が警察の介入も含めた体制の整備を目指す中,札幌市としては,まず,これまで児童虐待の対応としてどのように取り組んでこられたのか,お伺いします。
また,これらを有効に機能させていく上で,市民への啓発はもとより,町内会や学校,ボランティア団体等との連携をより積極的に進めていく仕組みづくりが必要であろうと考えますが,今後どのようなことを重点として取り組んでいくのか,あわせてお伺いします。
次に,観光客2,000万人誘致施策に関連してお伺いします。
市長は,就任以来,
経済活性化へ向けた施策の一つとして,観光客2,000万人誘致を掲げ,今年度予算においても,観光文化局の新設を初め,その一連の施策を進める上で,集客交流のためのシティPRキャンペーン強化を打ち出し,6,800万円余りを計上しています。事実,観光は札幌の基幹産業の一つであり,景気低迷の続く中,また,千歳と海外を結ぶ直行便の運休等の影響もあり,札幌を訪れる観光客の数は,平成8年度以降,1,300万人台の横ばい状態が続いているのが現状です。
当然のことながら,市では,これまで,観光コンベンション部を中心に,本州方面の窓口である東京事務所等とも連携をとりながら,観光客誘致へ向けての積極的な取り組みを実施され,先月開催されたさっぽろ雪まつりを初め,ライラックまつりやYOSAKOIソーラン祭り,ビアガーデンが展開されるさっぽろ夏まつり,そして,ホワイトイルミネーション等,国内はもとより,海外へも売り込みを図り,実績を上げているところです。
しかし,札幌の観光は,一般的には,自然が織りなす四季折々の変化に依存するところが大であり,通年で札幌の観光を楽しめるための目玉,リピーターを呼び込む工夫といった点においては,残念ながら物足りなさを感ぜずにはおられません。
そうした中,昭和57年の基盤造成着工以来,20年余りの歳月をかけた総合公園,モエレ沼公園が,この秋,中央噴水の完成とともにいよいよ全面完成を迎えます。ご承知のとおり,モエレ沼公園は,世界的彫刻家で既に故人となられたイサム・ノグチ氏が,生前,最後に手がけた作品で,総面積189ヘクタールと,ニューヨークのセントラルパークの半分強の広さを誇る広大なものです。
医学生から彫刻家へと転身されたイサム・ノグチ氏が,生前,一番やりたかった仕事は雄大な公園をつくることだったと言われています。それが,いわゆる地球を彫刻する構想で,アメリカ各地で提案し続けましたが,ついに実現することができませんでした。それが,偶然,札幌市の環状グリーンベルト構想の北東部緑地の拠点として位置づけられたごみ処分場のモエレ地区にイサム・ノグチ氏が着目,彫刻の概念を庭園や公園にまで広げた,地球に直接彫り込む彫刻とも考えられる子供のための公園をつくるアイデアを提案したのです。そのイサム・ノグチ氏のプランが札幌市に取り入れられ,モエレ沼公園の仕事に着手したのは今から16年前の1988年の雪解けの季節でした。
そのモエレ沼公園の目玉ともいうべきカラマツ林の中央部に掘り込まれる噴水は,噴き上げ時の高さが25メートルにも及ぶという,彼がアメリカのフロリダにつくった動く噴水に匹敵するものとも言われるものです。恐らく,この完成は,日本でも大きな反響を呼ぶに違いないものと思われます。
加えて,そのそばにあるモエレ山は,札幌市の本庁舎をバケツにすると7.6杯分の土を盛った,人工的な土構造物としては国内最大で,ちょうどこの晩秋に標高50メートルになります。国土地理院の地図には50メートル以上のものが表示されるといいますから,モエレ山が50メートルになるということは,札幌市にとっては大きなニュースであり,公園完成とあわせ,宣伝効果の高いものと考えます。
また,今,大通西8丁目にあるブラックスライドマントラという滑り台にしても,イサム・ノグチ氏がモエレの仕事をやることになった運びから札幌市に持ちかけた話であり,他の幾つかの都市がうらやましがっているとの話も耳にします。いわんや,この滑り台は世界に一つしかありません。こういうすばらしい芸術作品を,札幌市はなぜもっと普及宣伝しようとしないのでしょうか。
札幌の魅力を生かすキーワードは環境と文化だと思います。そう考えると,芸術文化施設を観光資源として活用するとの考えに基づくこのたびの観光文化局の新設には,それなりの施策を心から期待したいと考えます。
ところで,モエレ沼公園は,2002年度グッドデザイン賞の大賞を受賞しました。そのときの審査委員長を務めた名古屋市立大学大学院の川崎和男教授はこう言っておられます。審査の評価基準には3種類あり,一つ目は美しいデザインであるかということです。二つ目は,すぐれたデザインであることです。そして,三つ目は,未来を開くデザインであるかどうかが決め手だと言われるのです。そして,こうも言われています。この公園は,決して生産現場ではありませんが,子供たちにとっては大変貴重な財産になっていくはずですから,投資の価値は非常に高いものだと思いますと。
札幌市が,これから,モエレ沼公園が持っている価値を日本全国へ,そして世界へ向かって発信していけば,この公園はやがては間違いなく世界遺産になるのではないかと考えるのです。
そうした中,実はことしがイサム・ノグチ氏の生誕100年に当たることから,彫刻家はもとより,芸術にかかわる,また,芸術に関心の高い多くの方々がこの公園の完成を今や遅しと楽しみにしており,最近発刊されたイサム・ノグチ氏を特集した雑誌の中でも,そのすばらしさが紹介されています。
しかし,このすばらしき財産を前に,札幌市民の関心の度合いはといいますと,残念ながらいま一つの感があることは否めません。
そこで,観光客2,000万人誘致を目指す札幌市としては,集客交流,観光事業の目玉として,リピーターの呼び込み,通年観光の目玉として,先ほども述べましたとおり,このモエレ沼公園を,国内はもとより,世界に向けて売り出していく必要があろうと考えますし,また,これを活用しない手はないと考えるところです。
公園というハードは完成します。これからはこの公園をいかに活用していくかというソフトの勝負であり,さらには,そのための交通アクセスの整備,公園内を楽しむための使い勝手の便宜を図るといったことも求められましょう。
そこで,札幌市は,観光客2,000万人誘致施策とあわせ,このモエレ沼公園の価値をどのように考え,また,これを市の観光の目玉として売り出し,活用していくプランを持っているのか,新設される観光文化局の役割とあわせ,お伺いします。
また,全面完成はことし秋とのことですが,民間とのタイアップも視野に入れ,グランドオープン,さらには,プレイベント等の事業開催の計画はどのように考えているのか,世界に誇る大変な財産を札幌市が持ったという観点からお伺いします。
さて,最後に,清田区の抱える諸問題について,順次お伺いいたします。
ご承知のとおり,平成9年に豊平区から分区した清田区は,札幌市の南の玄関口に位置する区でありながらも,他の9区と比較し,軌道系の交通機関がないことから,今もって区の中心核づくりといったものが進まず,インフラ整備の立ちおくれに区民のいら立ちは隠せません。最大の関心事である地下鉄の延伸は,平成13年春の札幌市総合交通対策調査審議会の答申で,清田方面への延伸の可能性が示されて以降,その後の進捗状況については何ら示されることはなく,むしろ,交通事業の財政面の厳しさばかりが浮き彫りとなって伝えられるにとどまっています。
地下鉄事業については,経営状況の悪い都市に対し,国より経営健全化計画の提出による財政措置の対応策も通知され,札幌市も対応をとられたところですが,国道36号線という北海道における大動脈を抱える清田区民にとっては,地下鉄事業の経営健全化とは別の側面で,インフラ整備としての地下鉄の延伸を一日も早く望まずにはいられません。
私も,機会あるごとに,軌道系交通機関の必要性を訴え,地下鉄延伸に関して伺ってきたところですが,公共交通機関を軸とした環境に負荷をかけない交通網の整備を目指す上田市長は,地下鉄の清田方面への延伸についてどのように取り組んでいかれるお考えなのか,お伺いしたいと思います。
次に,清田地区の道路網の整備について伺い
ます。
清田地区の幹線道路として位置づけられている清田通は,昭和62年に都市計画決定の最終変更が行われたわけですが,以来,19年余りを経過した現在も,札幌国際大学に接する区間は手つかずのままで,今もって未整備となっています。地元では,防災上の観点からも一日も早い全面開通を求める声が大きく,平成11年には清田通早期開通促進対策委員会が設立され,毎年,市長あてに要望書を提出し続けているとともに,昨年には,清田中央地区の周辺住民から8,407名に上る署名も出されたところです。
確かに,公共性と個人の権利の調整が大変難しいことは十分承知はしておりますが,地域住民の強い要望があることや,この清田通の開通を前提に周辺地域の開発が行われてきたことなど,過去の経緯と照らし合わせても,早期全面開通へ向けた札幌市の積極的取り組みが強く求められるところです。
また,皆さんのご記憶にも新しいところですが,昨年の9月26日の十勝沖地震で,清田区は,家屋の損壊や道路の亀裂,さらには液状化現象等の被害をこうむりました。清田団地を中心とする清田地区は,地形的な制約から,この地区以外に連絡する幹線道路といったものが清田中央通と清田・真栄通しかなく,この道路が災害で寸断されてしまいますと地区が孤立してしまう危険性は大です。さらには,宅地開発が進められた清田南地区では,隣接地で一部開発を断念した箇所も出てきたため,新たに整備された清田南通の全面開通にも影響を及ぼしてきています。また,この冬もそうでしたが,各道路とも,冬期間は雪で幅員が大変狭くなり,道路環境の悪化は著しく,開発された清田南地区への人口の張りつきが進めば,交通問題が一層深刻化するのは明らかです。
清田地区の道路網は,こうしたさまざまな問題を抱えるとともに,やはり,何といっても地区以外との連係が弱いことから,災害時の避難路の確保に不安があります。
そこで,これまでにも申し上げてきてはおりますが,なお一層,防災上の観点からも,未整備区間の早期開通や清田南通の東方向への延伸などによる地区外との連携道路の充実が不可欠と考えるわけですが,清田通未整備区間も含めた清田地区の道路網の充実に向けて,札幌市としては今後どのように取り組んでいかれるのか,お伺いします。
さて,最後にもう一点,清田区有明地区に設置が予定されています産業廃棄物の最終処分場問題について伺います。
この問題は,清田区有明地区の採石場跡地に管理型の産業廃棄物最終処分場をつくろうというもので,平成11年2月に事業計画が持ち上がってから丸5年を経過しました。私も,この計画が提出された当初から,清田区民にとって重要な問題であるとして,議会や委員会でたびたび取り上げてきたところですが,この間,さまざまな意見が飛び交う中で,事業者による周辺地域の住民に対する7回の説明会,また,周辺地域の住民たちによって構成された検討委員会での8回の説明,さらには,住民との協議を受けての2度の事業計画の変更等が行われました。
そして,これらの経緯を踏まえ,札幌市は,事業者が住民理解のための一定の手続,努力を行ってきたとして,昨年10月,事業申請を受理,その後,告示,縦覧を経て,利害関係者による意見提出を求め,その意見に対する判断を学識経験者らによる専門委員会へとゆだねているところで,3月ないし4月にはこの設置計画に対する札幌市の最終判断がなされると聞いています。
今回の縦覧に基づく意見提出に関しては,個人18人と三つの団体から合わせて123件の意見が出され,とりわけ地下水や河川の汚染,汚濁にかかわる生活環境保全上の意見が50件にも上ったとのことです。これに対する専門委員会の見解はまだ明らかにされてはいませんが,最終的にどうするかは,市長の判断にゆだねられます。
そこで,この有明地区の最終処分場の設置の取り扱いについて,どのように判断されるのか,まずはお伺いいたします。
また,清田区は,自然環境を生かした街づくりを目指しており,さきにまとめられた清田区まちづくりビジョン2020においても,当該処分場の設置予定地である有明地区は,自然緑地ゾーンに含まれており,市の緑の基本計画における環状グリーンベルトの一部にもなる予定となっています。
この設置計画地は,採石場の跡地を活用するもので,現在は,確かに緑化はされていない状況であり,計画では埋め立て終了後に緑化復元することになっていますが,このような地域の利用計画がある場所において最終処分場が計画されるということに対し,大きな疑問を持つところです。
さらに,今回の有明の処分場は,川のすぐ近くに設置されようとしています。基本的に,こうした処分場は,川の上流部には設置しないというのは衆目の一致するところです。ましてや,その地域において地下水を利用する人や企業があるならば,いわんをやです。人間が行うことですから,ミスがあって当たり前,海外では,やむなく川の上流部にこうした施設をつくるときには,水源から何キロも離れた場所に,しかも,雨で流出した際のリスクを最小限にとどめるために幾つものバリアを設置し,安全対策を施していると聞きます。
そこで,最終処分場の設置を計画するに当たり,これらの街づくりにかかわる計画との整合性についてどのようにお考えなのか,お伺いいたします。
また,私は,昨年の
決算特別委員会において,産業廃棄物の最終処分場建設に対する基本的考えについてお尋ねをし,市長から,産業廃棄物の最終処分は,排出者責任が第一にあり,市域内での処分の原則もほぼ共通の理解となっていて,どこかにつくらなければならないものとの答弁をいただきました。
となれば,今回,この計画が認められたとするならば,今後,緑豊かな山間部に次々と処分場がつくられることになるのではないかといった不安さえ生まれてきます。事業活動が続く限り,産業廃棄物の処理は避けては通れないものであり,市域内処理という考え方に基づけば,最終処分の設置の問題は,本件だけにとどまることではないと考えております。
確かに,産業廃棄物は,排出事業者の処理責任となっておりますので,産業廃棄物処理施設の設置は民間で行われるものではありますが,このたびの施設設置計画の住民側の反応を考えますと,私は,民間にすべてを任せるのではなく,市も何らかのかかわりを持つべきものと考えており,これらの施設の設置における市の関与のあり方について検討すべきではないかと思っているところです。
そこで,質問ですが,民間の最終処分場設置問題に対し,市として,今後,どのように取り組んでいくお考えなのか,お尋ねいたします。
以上で,私の質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(
西村茂樹) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 6点にわたりますご質問がございましたので,私からは,財政問題,敬老パス問題,それから観光振興策,この3点についてお答え申し上げまして,その余は担当助役からご説明を申し上げたいと思います。
まず最初に,財政問題でありますけれども,1点目の
予算編成過程の公開についてでございますが,これは,
予算編成に係る透明性を確保するということのほかに,市民に市政へしっかり意見を述べていただく,市民の意見を反映させていくということを目的として行ったものであります。
具体的には,編成に先立って,各局の幹部と政策・施策議論を行いました市長とのプレビューの結果だとか,
予算編成方針,各局からの予算要求,査定の結果や内容などを公開してまいりました。
このように,予算案となるまでの各過程において,その都度,情報を公開するということは初めての試みでございまして,試行錯誤の面もありましたけれども,どのような情報をどのように市民の皆様に公表していくかについては,今,議員がご指摘の点も含めまして,今後とも検討を深めてまいりたいと,このように考えているところでございます。
2点目の
商業地等にかかわる
固定資産税等の条例減額措置についてであります。
まず,減額をした場合の影響額について申し上げますが,負担水準の上限を,現行70%から60%に引き下げるとした場合に,
固定資産税,それから
都市計画税を合わせて約34億円の減収になると見込まれているところであります。
次に,札幌市としての基本的な考え方についてでございますけれども,地価の下落に対しましては,平成10年度から価格の据え置き年度において価格修正を行う制度が導入されて以来,価格の見直しを毎年実施して,これまでの減収額を合わせますと約127億円となっておりまして,平成16年度には,平成15年7月1日の地価調査による下落状況を反映した修正によりまして約18億円の減収を見込んでいるところであります。
また,札幌市といたしましては,従来より国に対して財源確保の観点から,他の指定都市と共同して負担水準の70%維持ということを強く要望してきたところでありまして,当該条例減額に伴う
地方交付税による補てんなども全くないわけでありますので,また,従前から申し上げておりますように,中期財政見通しによる巨額の財源不足といったものが見込まれておりますので,現時点においては減額を実施する環境にはないと,このように考えているところであります。
3点目の地域
経済活性化のための個人市民税の減額についてであります。
まず,現行の地方財政法では,個人市民税について標準税率を下回る税率を定めることは,学校,道路などの公共施設の建設事業費等の財源とするための地方債の発行について一定の制限を受けることとされているところであります。
また,自主財源の大半を占める市税収入が,平成9年度以降,低迷を続けておりまして,平成11年度から定率減税が実施されていることなどによりまして,平成16年度予算では,平成3年度とほぼ同程度の2,588億円にとどまっていることや,中期財政見通しによる巨額の財源不足を考えますと,個人市民税について標準税率を下回る税率による課税を行うということは,現時点では実施する環境にないと考えられますけれども,今後の
税源移譲されるその状況,こういったものをしっかりと見定めていきたいというふうに考えているところであります。
次いで,敬老パスについてお答えをさせていただきます。
まず,1点目の制度の見直しと他の高齢者福祉の充実についてであります。
今後,高齢化がさらに進むに従いまして,介護だとか生活上の支援を必要とする方々に対するさまざまな福祉施策の充実が求められまして,そのための事業費の増大が予測されるところであります。
敬老優待乗車証制度のあり方につきましては,先日もご答弁いたしましたけれども,具体的な制度についての論議をさらに深めていく必要があるところであります。その中で財政上のバランスを考えながら,高齢者福祉にも配慮していかなければならないと考えておるところであります。
次に,2点目の敬老優待乗車証の交付方法についてであります。
現在の交付方法につきましては,市民の利便を図ることや,制度を適正に,また円滑に運営する観点から,制度そのもののあり方とあわせて検討していく必要があると考えておりますので,ご質問の趣旨を十分に踏まえて,望ましい交付方法になるよう工夫をしてまいりたいと,このように考えておるところであります。
次に,観光振興におけるモエレ沼公園の活用についてお答えをさせていただきます。
1点目の観光資源としての価値と観光文化局の役割についてでございます。
モエレ沼公園は,その芸術的な価値からも,極めて有力な観光資源の一つになると私どもは期待をしているところでありまして,北海道の雄大さと世界的な芸術というものを一度に体験できるという,これまでにない要素を持ち合わせているものと考えておるわけであります。
新設いたします観光文化局は,観光行政と文化行政を一体化することによりまして,文化的な施設や文化に関する事業を新しい観光資源として生かして,文化との相乗効果といったものを図って,集客の増加にもつなげていくものであります。
その意味からも,新しい札幌の顔とも言えるモエレ沼公園をシティーセールスや観光宣伝の中心に据えて,国内外に広く伝えていくために,観光ポスターだとか,あるいはDVDなどに使用いたしまして,さまざまな手法によってPRするとともに,ここを会場にするコンベンション等のソフト事業についても検討してまいりたいと,このように考えておるところであります。
次に,2点目のグランドオープン等のイベント開催計画についてであります。
モエレ沼公園の完成を記念するグランドオープン行事につきましては,地域イベントとの連携を視野に入れまして,平成17年度に開催することを検討しておりますが,このほかにも,市民,企業からの協力を得ながら,イサム・ノグチにちなんだイベントの開催にも適宜取り組んでまいりたいと,このように考えているところであります。
私からは,以上でございます。
○副議長(
西村茂樹) 田中助役。
◎助役(田中賢龍) 私からは,2点目の
入札制度についてお答えをいたします。
1点目の各区における
清掃業務の入札につきましては,それぞれ必要な調査を行った上で可否を判断したものでございますが,より適正な執行としていくため,平成16年度に向けましては,低入札価格調査の手法などについて,庁内の関係箇所に周知を図ったところでございます。
なお,平成16年度から
清掃業務の指導・調整の一元化を行いまして,より適正な執行について検討してまいりたいと考えております。
2点目の工事に関する
入札制度につきましては,透明性の拡大などにより,これまで適正化に努めてきたところでございますけれども,一方では,ご質問のように,抽せんが多くなるなど,検討を要する状況も生じておりますことから,さまざまなご意見をお聞きしながら,引き続き改善に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(
西村茂樹) 福迫助役。
◎助役(福迫尚一郎) 最後にご質問がありました清田区の諸問題について,私の方からお答えさせていただきます。
1点目の地下鉄の清田方面への延伸についてであります。
議員ご指摘のとおり,清田区民の皆様方が地下鉄の延伸を望んでおられることは十分認識しております。
しかしながら,札幌市の中期財政見通しに示される財源不足や交通事業の経営状況を勘案いたしますと,地下鉄を取り巻く環境は非常に厳しい状況であります。清田方面への延伸につきましては,今後の人口動向や地域の街づくりの進展などを慎重に見きわめながら,引き続き検討してまいりたいと考えております。
次に,2点目の清田地区の道路網の整備についてであります。
清田地区は,急峻ながけで隣接地区と隔てられていたり,地域内においても起伏が多いなどの地形的特性を持っております。そのため,防災の観点から,隣接する地区と連携する新たな道路の検討や,清田通を含む未整備区間の整備促進を図るなど,地域全体の道路網の充実を考える必要があると認識いたしております。
したがいまして,来年度から取り組みます全市的な都市計画道路の見直しの中で,清田地区の道路網の充実につきましても検討してまいりたいと考えております。
次に,3点目の産業廃棄物の最終処分場問題についてお答えいたします。
まず,最終処分場の設置の取り扱いについてでありますが,現在,地域住民と事業者とは協議を継続しておりまして,さらにまた,学識経験者によります専門委員会で申請内容の詳細を
協議,検討いただいているところでございます。許可につきましては,事業者と住民との協議状況や専門委員会からの意見,そして,利害関係者からの意見等を十分見きわめながら,総合的に判断してまいりたいと考えております。
次に,清田区における札幌市の街づくり計画との整合性についてでございますが,このような施設の設置に当たりましては,予定地における自然環境や地域ごとの計画に配慮いたしまして,施設の構造設備計画や維持管理計画,跡地利用計画等を定めるなど,その地域との整合性に十分留意していかなければならないものと考えております。
また,次の民間の最終処分場設置問題に対します今後の市としての取り組みについてでありますが,産業廃棄物最終処分場は,市内の事業活動の振興の観点からも,市域内に必要な施設であると考えております。
しかしながら,施設の設置による生活環境や自然環境への影響が懸念されますことから,本市の果たすべき役割について,市民や処理事業者などの意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(
西村茂樹) 小澤助役。
◎助役(小澤正明) 私から,児童虐待についてお答えいたします。
1点目の児童虐待のこれまでの対応についてでありますが,札幌市では,増加する児童虐待に迅速かつ専門的に対応するため,平成14年度に児童虐待対応担当課を設置し,また,土・日など閉庁日も対応できるよう児童虐待相談員を配置するなど,24時間相談体制の整備をし,一方では,虐待予防・防止関係機関との連携及び啓発活動を推進するなど,児童虐待防止の取り組みを強めてきているところであります。
次に,2点目の今後の取り組みについてでありますが,虐待の早期発見と早期対応は,今後も重要課題の一つであると認識しているところであります。このためには,市民の方々の目に触れやすい場所にパンフレットを配置するなど,啓発活動を一層促進するとともに,子供や家庭の状況を把握しやすい立場にある児童虐待予防地域協力員を拡充するなど,関係機関との連携をさらに強化してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(
西村茂樹) ここで,およそ20分間休憩します。
――
――――――――――――――――
休 憩 午後1時58分
再 開 午後2時21分
――
――――――――――――――――
○副議長(
西村茂樹) これより,会議を再開します。
代表質問を続行します。
小林郁子議員。
(小林郁子議員登壇・拍手)
◆小林郁子議員 私は,ただいまから,市民ネットワーク北海道を代表し,本定例会に提案されました諸議案並びに市政の諸課題について質問をいたします。
2004年も,はや2カ月たちますが,この間,国内は,戦後58年間,平和社会の構築と民主主義の確立へと歩んできた国民の努力を大きく覆すような出来事が続きました。中でも,国民議論を巻き起こしているイラクへの自衛隊派遣は,紛争の解決の手段として武力の行使を禁止する日本国憲法に違反するものであり,これについては,上田市長も,自衛隊の駐屯地を抱える札幌の市長として,イラクの治安情勢が緊迫している中での自衛隊の派遣には反対する旨を表明されました。
また,国内の経済社会状況は一層厳しさを増しており,来年度の国の予算は,税収が3年連続マイナスとなり,税収不足を補うために30兆円以上の赤字国債を発行しています。地方分権を推進すべき三位一体改革も自治体財政を圧迫する結果になり,本市では,
地方交付税と臨時財政対策債を合わせても昨年度比8.2%減になるなど,厳しい
予算編成を余儀なくされています。一方で,道州制も俎上に上りつつあり,北海道の自立にとって本市の役割もますます重要になり,道内他市町村との連携が一層必要になっています。
このような中で,上田市政が発足して8カ月になりますが,市政がこれまでの官主体から市民主体へと変わったことを,今,多くの市民が実感しつつあります。今後は,市民との情報共有を進め,元気ビジョンに示された市民自治の推進,市役所改革を一層進めていくべきと考えます。
このような観点に立って,以下,順次質問をいたします。
初めに,行財政改革についてお伺いします。
新年度予算を見ますと,
地方交付税収入が減少する一方で,生活保護費などの扶助費が増加するなど厳しい財政状況にあって,積極的に事業の重点化を図ったことがうかがえます。
しかしながら,財政調整基金を取り崩さざるを得ず,本市の中期財政見通しでも,2005年度は240億円から400億円以上の歳入不足が生じるとされています。今後は,市債の返済やインフラの更新がピークを迎える一方で,三位一体改革の影響で
地方交付税が減少するなど,2010年ごろには本市の財政は危機的な状況になると言われており,事務事業の徹底した見直しが必要になっています。
そこで,1点目に,外部の視点による事務事業の評価,見直しについて伺います。
市長は,就任後すぐに,政策,施策,事業を含めた行政評価の必要性について触れ,現在,行政評価のあり方検討委員会が設置されており,間もなくその検討結果が出されようとしています。その結果を踏まえて,市が評価のあり方を決めていくことになっていますが,財政の厳しさを抱え,大胆な行政経費の削減を図らなければならない今,できるところからの早急な取り組みが求められています。
行政内部による事務事業の評価が行われて5年目になりますが,内部と外部による評価が違うことは,今年度に神戸市が民間の専門家に依頼して実施した事務事業外部評価を見ても明らかになっています。神戸市では,評価した181の施設管理やごみ収集などの基礎的事業のうち,67事業について,抜本的見直しの必要があるとの結果が出されています。
本市においても,外部の視点による事務事業の見直しにより,事業等のあり方をとらえ直し,各部局の予算などにも反映させる取り組みを行っていく必要があると考えますがいかがか,伺います。
2点目は,予算におけるメリットシステムの導入についてです。
市長は200億円の経費削減を約束され,新年度においても人員削減や事務事業の見直しにより,約80億円の削減効果を生み出したとしています。この目標を達成するためには,今後一層の取り組みが求められますが,このような切り詰めるという発想のみではなく,職員が創意工夫し,自主的に達成意欲を持つことも必要です。
その方法として,各部局から現行の事務事業の中で,事務のやり方や委託料の見直しなどを図り,経費節減できるものや新たな財源確保の方策などを提案してもらい,その成果によって翌年度予算に反映させるメリットシステムが考えられます。既に横浜市や神戸市など政令指定都市で実施し効果を上げているところもありますが,本市においても,予算のメリットシステムを導入することについていかがか,伺います。
3点目は,本市の出資団体等の見直しについてです。
1953年に指定団体に市が初めて出資して以来,本市が出資する指定団体は現在40団体になっています。当初は,行政機能を補完,代替する役割を担うものとして,民間の人材や経営手法を活用しながら公共サービスを提供することが可能となるよう設立されましたが,既に設立後59年を経過しているものもあり,団体内部には経営のノウハウが蓄積されてきているものも多いと思われます。また,市民の行政に対する需要も変化し,市の財政運営も厳しさを増している今,本市の関与のあり方を抜本的に見直す時期に来ています。
これらの団体と行政は,公益性が高く,収益の低いものについては公的補助を行いながら
も,本来,契約関係で業務を行うものであり,両者は対等の関係に立つべきです。長年にわたり,市の局長,部長等の経験者を団体に送る,いわゆる天下りを続けることや,市の現職職員を派遣することは,団体の自立をおくらせ,時には妨げにもなっています。市の人的関与は,団体の運営が軌道に乗るまでなど,その必要性は限られているはずです。
そこで,二つの点について伺います。
一つは,出資団体等に関する情報提供についてです。
出資団体等が保有する文書の公開については,札幌市情報公開条例により公開の対象となる団体は,指定団体とされている,市が資本金や基本財産などの額の25%以上を出資している法人か,市から補助金などの財政的な援助を受けている団体のうち市長が指定した団体であり,また,公開するか否かは団体が決定することとなっているなど,出資団体等の運営実態について市民が知ることのできる範囲は極めて限られている状態です。また,札幌市出資団体の指導調整事務実施要綱においても,市民が閲覧を請求できるのは,これらの指定団体に限られています。
このたび,指定団体等の交際費の支出について不適切な取り扱いが市の調査によって明らかになりましたが,このようなことが長年続けられるのは,団体等の情報公開度が低いことにも起因しています。公的資金が投入されている以上,情報公開の義務を明確にする必要があると考えます。
そこで,商法では3%以上の株主は会計帳簿などの閲覧・謄写請求権がありますが,このことからも,市民への情報提供対象団体を現在の出資比率25%以上から3%以上に緩和し,市は株主として知り得る経営情報を市民に公開するなど,市の情報提供に係る対象団体の範囲を広げる必要があると考えますがいかがか,伺います。
二つ目は,市は,出資団体の見直しに向け,第三者評価委員会の設置を予定していますが,この評価結果を受け,統合,廃止,事業の整理などを明らかにし,また,存続する団体については協定を結び,運営改善に取り組むべきと考えますがいかがか,伺います。
4点目は,機構改革についてです。
このたび,4月からの実施予定の機構編成案が公表されました。
それによりますと,重点政策を実現するための政策本位の組織にすることを基本方針にしています。その内容を見ますと,これまで,本市において手薄とされていた雇用対策を充実させるための組織として経済局雇用推進部を創設することや,三局にまたがっていた新エネ・省エネ等の施策部門を環境局に一元化するなどは評価されます。
また,新年度からは,助役の呼称を副市長に改め,市長から副市長へ,副市長から局・区長へと権限移譲を進め,スピード感のある市役所運営を目指すとしています。このように市民に近いところで仕事を進めるという考え方は,私たちの主張に通ずるところであり,評価できます。
ただ,権限移譲を進めれば進めるほど,政策全体のチェックや進行管理をする機能も強化する必要が出てまいりますし,市長が市民の方々と対話して直接得た知見や政策上のアイデアを素早く実行できる体制をつくることも必要です。そうした点で,市長の政策づくりをしっかりサポートする政策室ないし秘書室のような,いわば官房的機能を強化することが必要ではないかと考えます。
そこで,一つ目ですが,今後の機構編成に向けて,市長の官房的機能を強化するお考えはないのか,伺います。
二つ目は,庶務や経理などの内部管理業務の一元化についてです。
機構改革によって局が分かれ,部が新設されることにより懸念されるのが,庶務経理などの内部事務部門が増加することです。旅費計算や福利厚生手続,財務会計,物品の調達などについて各部局ごとに行う現在の方式から,共通事務については管理を統合することにより,人工の削減を図ることが可能になると考えますがいかがか,伺います。
次に,科学技術の振興について伺います。
20世紀は,科学技術の世紀と言われるように,目覚ましい科学技術の進歩が今日の豊かな社会をつくり上げています。しかし一方で,その技術の使用によっては大きな災厄を人類にもたらす危険もあり,科学技術が真に人類の福祉の向上につながっているかについては,私たちの不断の監視もまた必要になっています。さらに,近年は,経済の低迷や地球規模の環境問題など新たな課題も生まれており,科学技術は,こうしたさまざまな社会的課題の解決に貢献するとともに,新たな付加価値を創造し,真に豊かな社会を実現するために寄与することが求められています。
国では,1995年に科学技術基本法が施行され,この中に科学技術振興に対する自治体の責務も盛り込まれています。
札幌市は,創建時に海外の技術を導入して街づくりを進めてきた歴史を持ち,今日では,高等教育機関が22校,公立試験研究機関が16あるなど,大学や研究機関が集積するとともに,ほぼ20年前に札幌テクノパークを造成するなど,情報関連産業の振興に努め,また,次世代の産業として注目されるバイオテクノロジー関連の研究シーズも集まっています。
これらを背景に,現在,札幌市では,次世代ポストゲノムに関する研究開発事業化を促進する次世代ポストゲノム研究推進協議会に参画するなど,産・学・官の協働体制による新たなビジネスチャンスの可能性を探るとともに,札幌ベンチャー創出特区の認定を受け,既存産業の高度化と新産業の創出による重層的な産業基盤の形成を目指しています。また,この2月に札幌市科学技術振興ビジョンの素案を発表し,大学などの研究機関における研究活動の活発化を図るとともに,その成果を豊かな市民生活の実現や地域経済の活性化につなげていくこととしています。
市が昨年11月に高等教育機関などの研究者を対象に行ったアンケート調査によりますと,札幌の研究環境に対して情報インフラに対するアクセシビリティーが高いことが評価されていますが,研究に必要な実験スペースの確保や他研究機関での研究パートナーの確保の点では評価が低く,研究者が研究しやすい環境を今後どのように整備していくのか,また,研究者同士のマッチングを図る仕組みをどのように構築していくのかが課題であると思われます。また,同アンケートの中では,産・学・官の連携については80%以上の研究者が積極的な意向を示しています。
そこで,伺いますが,1点目は,研究者が研究,交流しやすい環境整備をどのように行っていくかについてです。
2点目は,科学技術の振興を図っていくためには産学官連携の一層の推進が必要と考えますが,どのように取り組んでいかれるのか,伺います。
次に,就業支援について伺います。
長引く経済の低迷が雇用情勢に深刻な影響を与えています。2003年の札幌市内の倒産件数は,負債総額1,000万円以上のものが251件に上り,年平均の完全失業率は過去最悪6.7%を記録しています。昨年12月の札幌圏の有効求人倍率は0.43倍で,年齢別では中高年層が特に厳しく,また,道内では,いわゆるフリーターが若者を中心に10万人に上ると言われており,若者が定職につくことの難しさが,その生活のさまざまな面に影を落としています。女性の就業についても,パート,アルバイトなどの非正規雇用者の70%は女性で占められているなど,その就業形態は不安定であり,離職理由もリストラ,期間満了などによる非自発的理由が急増しており,厳しい雇用情勢が続いています。
そのような中で,札幌市が新年度にハローワーク,民間と連携し,就業サポートセンターを開設することは注目されます。
そこで,伺いますが,1点目は,就業サポートセンターは,その事業の一貫として女性の就職支援事業を挙げています。札幌の女性の年齢階層別労働力率は,依然,M字型の傾向を強く示しており,子育てが一段落した後の再就職支援が強く望まれています。女性のライフスタイルに合った就業支援についての方策を伺います。
あわせて,就業サポートセンターにおいて,現在その多くは女性が担っているコミュニティビジネスやワーカーズ・コレクティブなど,新しい働き方への支援も必要と考えますが,これらの事業についてはどのように取り組まれるのか,伺います。
2点目は,就業支援として人材育成支援も大きな課題です。
就業サポートセンターにおいては,専門学校や大学,人材ビジネス会社などと連携し,職業訓練などの情報を提供することや,企業の求める人材を把握し,求職者の訓練カリキュラムの作成やキャリアコンサルティングなど,人材育成支援も行うべきと考えますがいかがか,伺います。
次に,食の安心・安全についてです。
私たちの食を取り巻く社会状況は,食のグローバル化,多様化とともに,アトピー,アレルギーの増加,農薬や食品添加物の問題はもとより,遺伝子組みかえ食品,鳥インフルエンザなど,次々に新たな問題が発生し,消費者の食への不安は増幅するばかりです。特に,ここ数年,食品事故や食品をめぐる偽装表示,BSE問題等で政府への批判は高まっています。
このような状況の中,国では,2003年5月,食品の安全性の確保に関し基本方針を定めた食品安全基本法を制定しました。この法律は,国の責務と同時に自治体の責務も定めており,各地で食品安全条例を制定しようという動きが始まっています。
群馬県では,全国に先駆け,県の施策について,制度の新設,改廃,運用の改善などを求める申し出制度を導入しようとしています。また,東京都は,法の不備で食品の安全が確保されず消費者の不安が高まっているとして,全国初の食品安全基本条例を制定する予定です。
北海道では,遺伝子組みかえ作物の栽培を条例で規制する方針を固め,道産食品の安全性を保障する食に関する条例の2005年4月施行を目指し,検討を進めています。札幌市においては,来年度に向けて食品衛生監視指導計画を策定中であり,さらに,4月より衛生管理に自主的に取り組む食品取り扱い業者を評価,認定する食品衛生管理認定制度を導入することになっていると聞いております。
市民ネットワークは,食の安全に向け,1991年より定例市議会などで,残留農薬,ポストハーベストなどの情報公開を求めてまいりました。現在では,札幌市の食品衛生情報誌「キッチンメール」等での公開が実現し,食に関するリスク情報を知る権利が保障されています。食の安全は,すべての市民の権利であるという考え方に立ち,食品等の安全性や適正な食品表示の確保にかかわる市の施策について,新設,改廃,制度運用の改善を求める申し出制度の導入や,事業者の対応を見きわめつつ,子供基準など必要な独自基準の設定,また,予防原則の考え方を取り入れた食品の安全性評価などを盛り込んだ札幌市独自の食の安全基本条例をつくる必要があると考えます。
そこで,1点目に,食の安全に関してどのように認識されているのか,伺います。
2点目に,食の安全の確保に向けて,今後どのように取り組んでいかれるのか,伺います。
次に,福祉政策についてお伺いします。
1点目は,障がい者の就労支援についてです。
長引く不況などの影響で雇用・就労環境は厳しい状況にあり,障がいのある人の就労は一層困難になっています。民間企業における障がい者の法定雇用率は1.8%ですが,札幌圏では2000年に1.60%であったものが2003年には1.56%になり,法定雇用率達成企業の割合も同じく46.4%から42.9%へと低くなっています。
また,市が実施したアンケート調査でも,2002年時点で仕事をしている人は,身体障がい者で33%,知的障がい者で42%,精神障がい者で27%となっています。その就労形態も授産施設,小規模作業所での作業,パート,アルバイトの割合が高くなっています。
本市では,これまでも身体障がい者就職相談員を設置したり,知的障がい者就労相談主任手当支給事業への補助を実施したりしていますが,施設から地域への流れの中で,障がい者の本格的な就労支援施策が求められています。国でも,障がい者の雇用の促進等に関する法律を改正し,特例子会社制度や就業と生活の総合的な支援策にも力点を置いたところです。
そこで,伺います。
一つ目は,市長は,昨年,市職員採用で身体障がい者を別枠で採用することを発表されましたが,札幌市が出資する指定団体について障がい者雇用の実態を見ますと,2001年時点の調査で,39団体中,障がい者を雇用しているのは5団体にとどまり,今後とも雇用する考えがないところや,現状では困難というところが33団体に上っています。
公的資金の投入されているこれらの団体について,障がい者雇用を促進するよう働きかけるべきと考えますがいかがか,伺います。
二つ目は,IT,情報通信技術を活用した就労支援についてです。
昨今の急速なITの進展は,障がい者にとって,情報の入手や発信を通じた社会参加にとどまらず,パソコンを活用した在宅就労など,新たな可能性を開くものと考えますが,このITを活用した就労支援について今後どのように取り組んでいくか,伺います。
三つ目は,障がい者の就労促進に向け,障がい者就業支援のネットワークに参加するなどして,国,民間企業,NPOなどの関係機関と連携し,支援を進めていく必要があると考えますがいかがか,伺います。
2点目は,高齢者等の移動支援についてです。
市民ネットワークでは,2003年11月から2カ月間,敬老パスを含めた移動・移送サービスのあり方について,40歳以上の方を対象にアンケート調査を実施しました。318名から回答をいただき,その結果,全体の82%が敬老パスは存続すべきと答えています。存続への方策としましては,多い順に,所得に応じて自己負担する,利用額の上限を設ける,一律自己負担する,対象年齢を引き上げるとなっています。この調査結果から見ても,制度を存続し,存続の方法としては,さらに市民議論を深めることとし,市民が納得のいく持続可能な制度にすべきと考えます。
また,この調査結果では,70歳以上で敬老パスを持っている方が88%,持っていない方が12%でした。持っていない方の56%が体が不自由で利用できないと答えており,これは,札幌市の敬老パスアンケートとほぼ同様の比率になっています。体が不自由で敬老パスを持っていない方々の主な外出目的は,通院,買い物ですが,そのための移動手段としては,90%が家族の車やタクシーを利用すると答えています。
あわせて,現在実施されている社会福祉協議会の移動サービスや介護タクシー,また,NPO等の移動・移送サービスについて,全体の73%が情報が少なくてわからないと答えています。利用した方も,予約が面倒などの声があり,既存のサービスのPR不足と利用しづらい実態が明らかになりました。
このことからも,敬老パスの交付を受けていない虚弱高齢者の移動支援の不十分さが明らかになりましたが,高齢者の自立にとって移動の支援は重要な施策の一つであり,今後,一層の充実と整備が求められます。
そこで,伺います。
国土交通省と厚生労働省は,本年2月12日,NPO法人などが介護保険で高齢者を病院などに有料で運ぶサービスについて,国交省の許可があればタクシー事業の許可がなくても移送できるようにする案を求め,2004年度より段階的に実施するとしています。公共交通機関を利用することが困難な要介護高齢者や身体障がい者など,移動制約者を対象とした必要な介助などと連続して,または一体として行われる個別的な移送サービスを,STS,スペシャル・トランスポート・サービスと定義づけ,NPOなどの移送サービスについては構造改革特区の試行結果を踏まえた許可要件になる見通しです。昨年10月には,札幌市内でNPOや当事者団体などによるSTS協議会が発足し,新交通システム確立に向けた具体的な準備に入っており,注
目されるところです。
今後は,一人では外出困難な虚弱高齢者等に対し,既存のサービスを周知するとともに充実すべきと考えますがいかがか,あわせてNPOの移送サービスの活用など,移動支援の拡充を図るべきと考えますがいかがか,伺います。
次は,子供政策についてです。
子供の権利条例制定について,2点伺います。
1989年に国連で子どもの権利条約が採択され,日本は1994年に批准し,世界で158番目の締約国となりました。国内では,川崎市や奈井江町が子どもの権利条例を制定し,川西市は子どもの人権オンブズパーソンを設置するなど,多くの自治体で子供の最善の利益の確保と子供の権利の保障に向けた取り組みが始まっています。
子供を取り巻く社会状況は,核家族化や少子化など,家庭や地域の子育て機能の低下,虐待や引きこもり,いじめなど,ますます問題は深刻化しています。このような中で,子供の権利が十分に守られる環境の実現を目指して,札幌の未来を担う子供たちにとって何が必要なのかを改めて議論することは,大変意義深いものがあります。
そこで,質問ですが,1点目に,子供の権利条例制定に向けては,制定過程に子供自身が加わり,子供が意見表明することが重要と考えていますが,あわせて,市民,地域における広範な取り組みによって条例制定の必要性についての意識を高めることも重要です。子供を取り巻く大人や地域における市民議論を,具体的にどのような手法により進めようとされているのか,お考えを伺います。
2点目に,これまでも学校教育の場で副読本などを用いながら子供の権利についての学びを行っていますが,本格的な条例づくりに向けて,一層,学校教育の場での取り組みが重要になってきます。新設される子ども未来局での条例づくり過程において,教育委員会との連動も不可欠と考えますが,どのように連携を図っていくお考えか,伺います。
次に,環境政策について2点伺います。
1点目は,風力発電についてです。
CO2 排出量削減関連事業として,風力発電の実現化に向けての調査費が新年度予算に計上されています。今,自然エネルギー促進の気運が世界じゅうで高まっており,ヨハネスブルグ自然エネルギー連合などの活動が活発化する中,本年6月にはドイツの都市ボンで自然エネルギーサミット2004が開催される予定です。
風力発電事業が急成長しているドイツでは,風力発電に一大産業が生まれており,この10年間で,風力発電機製造など直接的に労働している人や,その関連会社などで間接的に労働している人も合わせて,約4万5,000人もの新たな雇用が生まれています。また,風力発電の量産化に伴い,コストが劇的に低下をしており,過去5年間だけでも風力発電コストは20%ほども減少しています。欧州風力エネルギー協会からの報告では,火力発電や原発とほぼ同レベルのコストにまで下がってきています。
日本においては,苫前町で42基の風車が設置され,日本初のウインドファームが誕生するなど,今年度末には国内で576基,総出力46万3,000キロワットの風力発電機が稼働するまでになりました。
しかし,自然エネルギー導入には多額の資金を要するため,こうした動きに共通しているのは,地域で活動するNPOやまちおこしグループなどの市民団体による取り組みがあることであり,それに協力する自治体や企業との協働が形づくられている点です。
2001年に浜頓別町で日本初の市民出資による市民風車が完成してから,続く2003年には青森県と秋田県でも市民風車が二つのNPO事業として運転を開始しています。地域の風を利用して,未来の環境と地域の経済という二つの利益を地域に還元していく試みは,全国各地で多くの共感を呼び,北海道,東北での実績が全国に波及し,24の都道府県において市民風車を中心とした自然エネルギーのプロジェクトが生まれています。
市民ネットワークでは,かねてより風力発電の重要性を主張しておりましたが,このたび,その実現に向けた調査が行われることになり,大いに期待しております。
そこで,質問です。
一つ目に,風力発電事業性評価業務では,札幌市における風力発電の実現可能性を検討するため風況調査を行うこととしておりますが,札幌市内のどこで,どのような調査をしようと考えておられるのか,伺います。
二つ目に,風力発電は多額の資金を要するため,本市におきましては,広く市民の寄附,出資を初めとする多様な市民参加で風車を建設すべきと考えます。今回の調査ではPFI手法の導入を検討するようですが,市民協力を得る手法の検討をすべきであると考えますがいかがか,伺います。
2点目は,緑30%増についてです。
2004年度予算では,緑30%増の実現に向けて,都市公園の整備等に加え,公共施設,民有地,道路の三つの緑化推進事業が大きな柱となっています。
現在,急速な都市化の進展により,市街地の緑は減少の一途をたどり,草地,農地もまた住宅地などへの都市的な利用転換に伴い,特に高い減少率を示しています。そのことからも,緑30%増達成のためには,街路樹の複層化や屋上緑化,公共未利用地の緑化など,新しい手法の導入や緑化推進に向けた場所の提供が不可欠になっています。
しかし,本市の厳しい財政状況を考えますと,今までの行政主導型の緑化事業のほかに,市民参加による緑化やNPOなどの市民運動の展開,民間のさらなる緑化活動が大変重要になっており,こうした民間の取り組みなくして30%の目標達成は難しいものと思われます。
そこで,質問です。
一つ目に,2003年9月には,本市所有の東部緑地において行政・企業・民間グループの共催による植樹会が行われ,本市職員も10名ほど参加されたと聞いております。こうした行政と企業と市民が互いに協力して,一緒に体験しながら地域の森づくりを進めることが,今後ますます重要になってきます。企業が材料を調達し,市民がパワーを出し,行政が土地を提供することによって新しい札幌の文化の森が生まれるのです。
こうした市民参加の緑化を,今後,具体的にどのように進めていくおつもりか,また,市民が緑に関心や愛着を持ち,緑のあり方や重要性を学ぶなど,市民レベルでの緑化活動の推進も不可欠ですが,今後は,こうした市民活動への支援をどのように進めていくおつもりか,伺います。
二つ目に,現在,公共施設を含めた建築や宅地の造成などを行う場合に,札幌市緑の保全と創出に関する条例で規定されている緑化率を基準として緑化が行われていますが,今後の公共施設の緑化については,民間の基準よりも高い緑化率の達成を目指すべきと考えますがいかがか,伺います。
次に,路面電車について伺います。
市営交通の始まりとなった路面電車が登場して,ことしで77年になります。
この間,地下鉄ができ,車との競合が激化したことから,2001年に策定された交通事業改革プランにおいて,今年度末までに,路面電車については,存廃を含め,事業の方向性を結論づけるとされていましたが,一昨日の市長答弁によりますと,路面電車を存続させるために,経営形態の見直しによる効率化や車両施設の更新など,さらなる課題の解決に向けて検討を進めると述べられています。
私としましても,環境に優しく,また高齢者も乗りやすいこと,北海道遺産にも指定されていることや,2003年に市が実施したアンケート調査においても54.4%の人が存続させるべきと回答していることからも,課題の解決に向けて積極的に取り組まれることを望みます。
そこで,路面電車の課題について3点伺います。
1点目に,経営の効率化に当たっては,運行委託の推進や民間活力を生かした新たな経営形態など幅広い検討が必要と考えますがいかがか,伺います。
2点目は,路面電車の沿線地域が8年前に用途地域の変更がなされて以来,高層マンションが増加しているにもかかわらず,乗車人員は減少しています。今後,需要確保の観点から,沿線住民への意識啓発や電車活用に向けての協働の取り組みが必要と思いますがいかがか,伺います。
3点目は,電車離れの原因の一つに,目的地までの所要時間の40%は信号待ちや乗降で停車しているなど,スムーズな走行が困難になっている現状があります。今年度には,3回にわたり優先信号実験が行われていますが,走行環境の改善に向けて積極的に取り組むべきと考えますがいかがか,伺います。
次に,教育問題について,教育長に2点伺います。
1点目は,学校教育における君が代の取り扱いについてです。
2000年9月,教育委員会は,国旗掲揚や国歌斉唱の完全実施を求める職務命令を全市立学校長に通達しました。その後,教育の現場では,日の丸・君が代の強制が年々強まり,昨年の卒業式,入学式では,日の丸・君が代とも実施率が100%と報じられております。
札幌弁護士会は,2002年2月に,札幌南高校が卒業式において君が代斉唱を実施することに関連して,学校行事に関する意見表明権及び参加権を侵害する行為であって,子どもの権利条約第12条に違反する行為であることを認定し,学校が生徒らの意見を真摯に受けとめ,今後も,生徒らに対しさらに十分な説明と協議を行い,納得を得られるよう最大限の努力を続けることを勧告しました。
ここで,南高の生徒が反対していたのは,君が代そのものではなく,君が代を卒業式の場で強制しようとしたことです。一昨日,村松議員の代表質問に対し,市長がるる答弁されましたように,君が代はいろいろな歴史を持っているがゆえに国民の中にもさまざまな意見があります。君が代の歴史をどう見るか,君が代についてどのような意見を持つかは,その人の内心の問題ですから,お互いに強制できるものではありませんし,これは個人の思想,良心,信条に深くかかわるものです。
しかし,卒業式の場で君が代を流すと,歌うか歌わないか,立つか座るかの意思表明を大勢の前でしなければならなくなり,個人の思想について表現したくない人まで表現することを強制させられることになります。そして,そのときに起こる,だれが歌っているかとか,だれが座っているかなどとせんさくする状況は,卒業式の場にふさわしいものでありません。卒業式は,学校生活をともに過ごしてきた友達と喜びを分かち合い,それぞれの一歩を進める大切な場です。このような場で,評価の分かれる君が代斉唱を実施,強制することが教育なのでしょうか。
また,この問題は,子供たちだけではなく,教職員も含めた学校全体の問題であり,そこにかかわるすべての人たちの思想,良心の問題にもかかわることです。このことからも,学校側には,子供たちはもとより,教職員,保護者への十分な説明と理解を得ることが求められています。
そこで,質問ですが,2004年度には本市におきましても子供の権利条例制定に向けた準備が始められようとしている中で,卒業式などにおいて君が代についての子供たちの内心の自由をどのように保障していくおつもりか,お考えを伺います。
2点目は,平和教育についてです。
戦後半世紀が経過し,戦争を知らない世代がふえる中で,今ほど平和憲法に基づく平和教育が求められるときはありません。このたび,防衛庁は,小・中学生向けに広報ビデオ「ディフェンス3」を制作し,希望する小・中学校へ無料で送付するとしています。このようなテレビゲームの架空の世界を使って子供に戦争のことを教えることについて,また,ビデオを使用しての広報は,社会への影響が大きいことからも大きな危惧を感じます。
そこで,戦争や平和について考えさせる貴重な場所となっている白石平和資料館を見学するなど,教育の場で子供たちに平和のとうとさを教えていく工夫が必要と考えますがいかがか,伺います。
最後に,平和政策についてです。
本年7月26日から29日まで開催される国連軍縮札幌会議への取り組みについて伺います。
イラク特措法及び基本計画に基づき,小泉政権は人道復興支援の名のもと,陸上自衛隊を戦場であるイラクに派遣し始めました。
イラクに派遣される陸上自衛隊の大半は北海道の北部方面隊です。昨年12月1日から,イラク派遣への不安や悩みを電話で受ける,自衛官と市民をつなぐ人権ホットラインが開設され,市民ネットワークのメンバーもボランティアとして参加しています。北海道を初め,全国の自衛隊員や家族から,せめて安全になるまで派遣を延ばしてほしい,危険が高まっているようなので行くのをやめるよう説得したいなど,不安や心の痛み,イラク派遣反対の声が数多く寄せられました。
昨日も,イラクで爆発テロにより154人以上の人が死亡したと報じられていますが,イラクに対する真の復興支援とは,武装した自衛隊をイラクに送ることではなく,国連など国際機関やNGOと連携した非軍事による協力を強化し,イラク国民自身の手による復興を支えることです。
このような状況の中,平和宣言都市札幌において国連軍縮会議が開催されることは大変意義のあることであり,これを機に,上田市政のさっぽろ元気ビジョンにもありますように,国際平和交流を推進し,戦争に反対する立場を国内外に示し,平和な世界の実現を広く呼びかけることが重要だと考えています。
前回,1997年に札幌市において開催された国連軍縮札幌会議には,世界28カ国から軍縮問題の専門家73名が参加し,軍縮及び地域安全保障のための新たな課題をテーマに活発な議論が展開されました。
しかし,この会議の市民・道民向けのオリエンテーションとしては,記念講演会が開催されたのみで,市民の意見交流はありませんでした。世界の平和をつくるには,市民が地域から平和への声を上げ続けることこそ重要と考えます。
そこで,質問です。
1点目は,国連が主催する軍縮会議とともに,道内はもとより,平和活動を行っている全国のNGO等の団体や市民によるフォーラムなどを札幌市が開催し,その企画・運営を工夫し,市民参加を図るべきと考えますがいかがか,伺います。
2点目は,戦後,年月の経過とともに,戦争や原爆の体験者が高齢化し,平和のとうとさに対する意識が希薄になりつつあります。そのような中で,軍縮会議について,これをどのように市民に周知し,市民の平和への意識を高めていかれるのか,また,市民が参加しやすい平和への広範な取り組みを積極的に行うべきと考えますがいかがか,伺います。
以上で,私の質問のすべてを終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(
西村茂樹) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 10点にわたりますご質問でございますので,1,2,3,5の4点について私から答弁をさせていただきまして,その余を担当助役並びに教育長から答弁することにさせていただきます。
まず,行財政改革についてのご質問についてお答えをいたします。
まず,1点目の外部の視点による事務事業の評価,見直しについてでございますけれども,より厳しさを増します財政状況に対応するために,当面,現在取り組んでおります事務事業の総点検を強化いたしまして,徹底した行政経費の削減と事務事業の見直しを進めていく必要があるというふうに考えておりまして,その際には,行政内部での検討に加えまして,市役所改革市民会議からも意見をいただきながら取り組みを進めてまいりたいと,このように考えております。
その上で,外部の評価を組み込んだ行政評価制度をできるだけ早期に導入いたしまして,その評価結果を,事業の見直しや予算の編成に活用する仕組みを整備していきたいと考えているところであります。
2点目の予算におけるメリットシステムの導入についてでございます。
厳しい札幌市の財政状況の中で,今後さらに予算の効率化,合理化を進めるためには,
予算編成のみならず,職員みずからが常日ごろの事務事業の執行に当たりまして創意工夫を重ねるというようなことが必要であります。そういう改善意欲といったものを持たせるための制度の創設が必要であると,私も考えるところであります。
そこで,各局の予算執行における自主的な見直しにより節減いたしました額を翌年度の予算の要求額として認める,いわゆる節約奨励制度について,現在,その制度設計を行っているところでありまして,新年度から導入してまいりたいと考えているところであります。
3点目の出資団体等の見直しについてでありますけれども,まず,出資比率の低い団体に対する情報提供につきましては,その提供目的と,それに合った有効かつ提供可能な情報内容,対象となる団体の範囲や公開方法などについて,各団体からのご意見をお聞きしながら,いろいろな側面から研究してまいりたいと考えております。
次に,評価結果を受けての取り組みについてでございますが,平成16年度に設置いたします第三者評価委員会の評価結果を受けて,市といたしまして,統廃合等を進めるための課題の整理といったものを行った上で見直しの方針を定め,その実現に向けて計画的に取り組んでまいりたいと考えております。
また,存続する団体につきましては,
指定管理者制度などに代表される社会経済環境の変化に対応いたしまして,市民サービスの向上につながる運営体制となるように,経営目標の設定とその達成に向けた取り組みを指導してまいりたいと思います。
4点目の機構改革についてであります。
まず,市長の官房的機能の強化についてでございますが,現在,市役所改革推進室において私のさっぽろ元気ビジョンの進行管理等を担っていただいているところでありますけれども,さらに,市役所改革市民会議やタウントークなどで市民の方からいただいた提言などを幅広く検討し,機動的に実行できるような仕組み,これをつくることも一つの方策ではないかというふうに思います。ご提言の趣旨を踏まえて,次年度以降に向けて検討してまいりたいと考えております。
次に,庶務や経理などの内部管理業務の一元化についてでありますけれども,全庁で行っているさまざまな事務の手順,これを検証いたしまして効率化を進めるということは,内部努力の徹底による経費節減を図る上でも重要な課題であるというふうに認識をしているところであります。
現在,IT技術の活用によって事務の効率化を図るべく検討を進めておりますので,その中で,内部管理業務の一元化についてもどのようなことができるのかを検討させていただきたいと考えるところであります。
次に,科学技術の振興についてのお答えをさせていただきます。
1点目の研究,交流しやすい環境整備についてでありますけれども,札幌市といたしましては,高度な研究開発機能の集積が進む北大の北キャンパスエリアにおいてインキュベーション機能の充実を図るほか,コーディネーターの配置,交通アクセスの改善などの環境整備に取り組んでまいりたいと考えているところであります。将来的には,これがモデルとなって,札幌圏,さらには全道に展開していくということを期待しているものであります。
2点目の産学官連携の推進についてでございますけれども,現在,大学と北海道経済産業局,北海道,札幌市,経済界などで構成する北大リサーチアンドビジネスパーク構想推進協議会,ここで産学官連携によるさまざまな事業に取り組んでいるところであります。
今後は,海外の先進地でありますフィンランドやスウェーデンにおける,この国々は非常に成功した国だというふうに言われているところでありますけれども,これらの国々も非常に時間をかけた地道な取り組み事例の結果,成功しているわけでありますので,その地道な努力に学びつつ,実効性のある産・学・官の連携を推進してまいりたいと,このように考えているところであります。これにより,大学や研究機関などの研究開発が実用化へつながり,豊かな市民生活の実現や地域経済の活性化が図られるものと期待しているところであります。
次に,就業支援についてお答えをさせていただきます。
1点目の女性の就業支援と新しい働き方への支援についてであります。
特に,女性の就業につきましては,出産,育児を契機にいたしまして,フルタイムで働くことが困難になったり,退職を余儀なくされたりするケースが多くあるわけであります。このため,就業サポートセンターにおける主要な支援事業の一つといたしまして,子育て,介護などで一たん離職された方々が再就職を目指す場合に必要となります情報,知識などを提供するセミナーや,キャリアカウンセリング,そして,個別な職業紹介を含めた支援事業を予定しているところであります。
また,ワーカーズ・コレクティブなどの働き方は,今後,新たな就業・雇用の場を創出していく観点から,これらを積極的に支援することが必要であるというふうに考えております。
平成16年度においては,新たな就労形態の実態調査と新たに起業を目指す方々を対象とした起業家講座というものを予定しているところであります。
2点目の人材育成支援についてでありますけれども,就労形態などの働き方の多様化というものが進展する中で,新たな就業機会の確保と雇用のマッチング,このマッチングの強化という緊急な課題とともに,就職につながる人材育成の支援も重要な課題であるというふうに認識をしております。このため,民間教育訓練機関などとの連携というものも考慮に入れまして,また,今後,設置を予定しております札幌市雇用対策検討委員会による専門的な立場からの提言もいただきながら検討してまいりたいと考えているところであります。
次に,福祉政策についてお答えをさせていただきます。
1点目の障がいのある方の就労支援についてであります。
札幌市における就業・雇用情勢は依然として厳しい状況にありますが,障がいのある方の就労にも影響を与えているというところであります。
しかしながら,障がいのある方の就労につきましては非常に重要なことだというふうに認識しておりますので,札幌市といたしましても,当面,新たにオープンいたします保健福祉局関連施設の
清掃業務の委託を検討しておりまして,今後とも就労支援に努めてまいりたいと考えております。なお,札幌市が出資する指定団体におきましても,雇用の検討をさらに進めていただくように要請してまいりたいと考えております。
また,ITを活用いたしました就労支援につきましては,昨年10月に開設いたしました障がい者ITサポートセンターを拠点といたしまして,パソコンを活用した在宅就労等の相談だとか,インターネットによります雇用情報の提供等を展開し,引き続き,障がいのある方の就労支援に努めてまいりたいと考えております。
さらに,障がいのある方の就労推進につきましては,公共職業安定所を中心といたしました障害者雇用連絡会議などの場を通じまして,関係機関との連携をより密にしていくということを試みながら,就労の場の確保に努めていくとともに,雇用の安定等を目的として設置されております障害者就業・生活支援センターのさらなる活用を図ってまいりたいと考えております。
次に,2点目の高齢者等の移動支援についてであります。
虚弱高齢者等の自立生活を支援するために,外出を支援するサービスの充実は必要であると認識しております。現在,介護保険制度や制度外で実施されているNPO法人など,民間事業所によりますさまざまな形態の移送サービスのほかに,各区の社会福祉協議会が実施しておりますボランティアによる移送サービス等がありますが,これらにつきましては,札幌市が発行しておりますガイドブックや実施機関の広報紙などで周知を図ってきているところであります。
これまでの課題であった訪問介護事業者等による移送サービスと道路運送法上の取り扱いについて,法整備に向けての方針が今示されたところでありますので,それらを見きわめながら,虚弱な高齢者等が必要とする外出サービスを受けられるように,既存のサービスの円滑な活用や周知方法,札幌市におけるSTS,スペシャル・トランスポート・サービスのあり方など,移動支援の拡充について関係機関と連携を図りながら検討してまいりたいと,このように考えているところであります。
私からは,以上でございます。
○副議長(西村茂樹) 田中助役。
◎助役(田中賢龍) 私からは,最後にご質問のございました平和政策についてお答えいたします。
まず,国連軍縮札幌会議への取り組みについてです。
今回の国連軍縮札幌会議は,市民の皆様が国際的な視点から平和について考えるよい機会でございますので,限られた予算の中ではございますが,軍縮会議に関連したもので,かつ札幌市が主催する事業にふさわしい内容のものとしてどのような事業が実施できるのか,また,どのような形で市民の皆様の参加,協力をいただくことができるのか,検討してまいります。
次に,軍縮会議や,これに関連して実施する事業の周知等についてでありますが,開催に際しましては,広報さっぽろや札幌市のホームページなど,できるだけ多くの媒体を通じて,開催の意義なども含めて啓発につながるようなPRに努め,市民の平和意識の高揚につないでまいりたいと考えております。また,この会議にあわせて行う催しにつきましても,多くの市民の方々が参加しやすい環境に配慮するよう心がけてまいりたいと考えております。
○副議長(西村茂樹) 福迫助役。
◎助役(福迫尚一郎) 7番目にご質問のありました環境政策と8番目にご質問のありました路面電車につきましては,私の方からお答えさせていただきます。
1点目の風力発電についてであります。
まず,風況調査についてでございますが,調査地点の候補は,札幌市の気象観測データなどから,事業化の目安となります年平均6メーター以上の風速が期待できます手稲山口や茨戸方面であります。そこで,これら2方面を中心に調査地点を選びまして,高さ30メーター程度の観測用風車を設置いたしまして,季節変動も含めた正確な風速を測定することによりまして,風力発電の実現可能性を検証したいと考えております。
二つ目の事業手法の検討についてでありますが,風力発電の事業化には,電力の買い取り価格が長期に安定していることが重要な条件となります。電力会社による買い取りに関しましては,昨年4月に,新エネルギーによる発電割合を義務づけます,電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法,RPS法と言われているものですが,これが導入されました。これによりまして,風力発電買い取り量の増加が期待できますが,しかし反面,その買い取り価格が市場原理にさらされ,想定した価格が維持されないという懸念があります。
こうした厳しい条件の中で,大型の風力発電事業を実現させるためには,多様な手法を幅広く検討する必要がありますことから,議員ご提案の市民からの協力を得る手法も念頭に置きまして,調査を進めてまいりたいと考えております。
次に,2点目の緑30%増についてであります。
まず,市民参加による緑化の進め方と市民活動の支援についてお答えさせていただきます。
街の緑をふやすためには,議員ご指摘のとおり,行政の取り組みだけでは限界があり,市民や企業,NPO法人等の協力が不可欠であると認識しております。
市民参加の緑化につきましては,これまでもさまざまな機会を通じて実施に努めてきたところでありますが,今後は,緑化活動を行っている団体の状況や,支援,施策等の情報を広く市民に発信いたしますとともに,植樹可能な場所の提供に努めるなど,市民活動を積極的に支援することによりまして,これまで以上に市民参加による緑化を推進してまいりたいと,このように考えております。
次に,公共施設の緑化についてであります。
公共施設につきましては,高い水準で緑化を進めていく必要があると認識しておりますので,ご指摘の点も踏まえまして,今後の公共施設の緑化をより進めてまいりたいと考えております。
次に,路面電車についてお答えさせていただきます。
1点目の新たな経営形態の検討についてでありますが,路面電車を存続させるためには,より一層の経営の効率化を図る必要がありますことから,新年度におきましては,路面電車経営形態検討調査費を計上しまして,新たな視点での民間活力の導入の可能性について検討してまいりたいと考えております。
2点目の需要確保策につきましては,人と環境を重視し,公共交通を基軸とした交通施策を進めていくという観点から,沿線の方々がマイカーの利用を極力減らし,路面電車を利用していただくよう,さまざまな機会をとらえて意識啓発の訴えを行い,市民や地域,行政が協働し,実効性のある取り組みを進めてまいりたいと考えております。
3点目の走行環境の改善につきましては,北海道運輸局,北海道警察,札幌市など,関係機関で構成されます路面電車活性化プログラム策定委員会におきまして,走行時間の短縮により路面電車の利便性の向上を図るため,昨年の9月末,11月上旬,本年の1月末の各1週間,優先信号の実験を行ったところであります。昨年の2回の実験におきまして,優先信号による走行時間の短縮効果が見られましたことから,現在取りまとめ中の1月の結果も踏まえまして,関係機関と協議を行いながら,本格的な優先信号の実施に向けて取り組んでまいりたいと,このように考えております。
以上でございます。
○副議長(
西村茂樹) 小澤助役。
◎助役(小澤正明) 私から,食の安心・安全と子供政策についてお答えいたします。
食の安心・安全についての1点目,食の安全に関する認識についてでありますが,農薬問題やBSE,鳥インフルエンザの発生などによる食品への影響を心配し,市民の皆様の間では食の安全に対する意識が非常に高まっており,札幌市としても,食の安全を確保することを最重要課題として取り組む必要があるものと認識をしております。
次に,2点目の今後の取り組みについてでありますが,平成15年に庁内に保健福祉局を中心として総務局,市民局,経済局,教育委員会から成る食の安全に関する連絡会議を設置しまして,関係部局の連携強化を図っているところでございます。
また,現在,食品の生産,流通,製造,加工,販売及び消費に関して,食中毒などの市民への危害を未然に防止し,食の安全確保を図るための札幌市食品衛生監視指導計画を策定するに当たり,計画素案を公表し,広く市民からの意見を求めているところであります。食品安全行政の中核となるこの計画は,毎年,重点的な監視・指導やその実施体制,立入検査や食品の抜き取り検査,さらには,市民啓発や情報及び意見交換の実施など,幅広い食品衛生に関する施策を定めており,これに基づきまして市民の食の安全を確保することといたしております。
さらに,16年度には,食品事業者を対象にHACCPの考え方に基づき,衛生管理の手法である札幌市独自の札幌市食品衛生管理認定制度を創設し,食品事業者の意識啓発及び自主的な衛生管理の推進などを通じて,札幌市民の食の安全確保に努めてまいります。
次に,子供政策についてお答えいたします。
1点目の子供の権利条例制定に向けた市民議論についてでありますが,子供の権利を守りはぐくむ立場にある大人や地域の方々の認識が重要であることから,子供の権利を考えるフォーラムや勉強会などを開催して,子供の権利の大切さを理解していただくとともに,市民が活発な議論を交わす場としていきたいと考えております。ここで出された意見やアンケート調査,ホームページなどを通して寄せられる市民の幅広い意見等も集約しながら,条例制定に向けた議論を深めていく場として,市民の代表者や学識経験者などによる,仮称ですが,条例検討委員会を設置したいと考えております。
2点目の教育委員会との連携についてでありますが,実効性ある条例づくりには,教育委員会など,子供施策を担当する市の関係部局で構成する検討委員会を設けまして,子供の権利実現のために一層の連携を深めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(
西村茂樹) 松平教育長。
◎教育長(松平英明) 教育問題につきまして,私からお答えを申し上げます。
1点目の卒業式等における子供たちの内心の自由の保障についてでありますが,国歌の指導は,子供の内心にまで立ち至って強制しようとするものではなく,あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくものであります。子供への指導に際しましては,教育的な配慮に基づいて適切に対応することにより,内心の自由を侵さないよう努めていくべきものと考えております。
2点目の学校における平和に関する教育についてでありますが,教育委員会といたしましては,札幌市学校教育の重点の中の国際理解教育におきまして,世界の平和に貢献し,国際社会で信頼と尊敬を得るにふさわしい資質の育成を位置づけ,教員の意識啓発を図っているところでございます。
この学校教育の重点を受け,各学校におきましては,例えば,道徳や社会科などの学習で戦争を体験した方々から話を伺ったり,開拓記念館の戦争にかかわる展示物を見学するなど,学習の工夫を図っているところでございます。
以上でございます。
○副議長(
西村茂樹) ここで,およそ20分間休憩します。
――
――――――――――――――――
休 憩 午後3時31分
再 開 午後3時55分
――
――――――――――――――――
○議長(武市憲一) これより,会議を再開します。
代表質問を続行します。
佐藤美智夫議員。
(佐藤美智夫議員登壇・拍手)
◆佐藤美智夫議員 私は,ただいまから,市政改革クラブを代表いたしまして,当面する市政の諸課題の中から,来客2,000万人構想の実現と都市景観など,都市の魅力づくりの推進について質問をいたします。
札幌市は,港もなく重工業地帯もない都市であるため,経済的な基盤が弱く,一たび日本経済が不況に陥ると,イの一番に経済が落ち込む傾向にあります。このように典型的な消費都市が生きていくためには,これまでと違った発想で抜本的に変革の政策を考えざるを得ない状況であります。
そういう中で,本市は観光都市を標榜しておりますが,平成14年の入り込み客数は1,300万人ほどであり,統計によりますと,観光総消費額4,286億円,就業創出効果4万1,129人,経済波及効果6,124億円と言われております。
上田市長は,来客2,000万人構想を提唱されていますが,その達成には700万人ほどの上乗せが必要であり,並大抵の努力では達成できないかと思われます。観光とは,見て心に残るものであり,あすへの活力になるものであります。そのためには,今から観光客を魅了するインパクトのある街づくりをすることが必要であり,そのためには大きな目標を立てて,綿密に描いた戦略,戦術を図ることが肝心であります。
先般の新聞に,全国財務局長会議で北海道財務局長が,北海道観光について,自然は一流,施設は二流,料理は三流,サービスは四流,関係者の意識は五流だとの発言をしたという記事が掲載されておりました。
本市の場合,観光施設は,大倉山ジャンプ台,藻岩山,羊ケ丘展望台など自然を生かした施設が中心で,都心部では道庁,時計台などが散在いたしております。そこで,必要なのは,自然を生かしたこれまでの施設に加えて,観光客に強い印象を与えるよい都市景観や,観光客に見てもらえ再度来てもらえる一流の施設の整備が必要であると思うのであります。
この都市景観の問題につきましては,昭和56年の第1回定例会で,私が初めて取り上げたところであります。このとき,都市景観審議会を設置し,指導要綱を制定してはどうか,また,駅前通や大通公園の電線の地中埋設を進めてはどうかなどの質問をさせていただきました。その結果,翌年の昭和57年には,都市景観委員会が設置され,また,都市景観基本計画が策定され,都市景観賞を創設されるなど,行政に大きな進展があったところであります。
また,そのときの質問で,創成川通をアンダーパス化させ,水辺公園としてよみがえらせ,大通公園と直角に交わる一大グリーンベルト構想を提唱するとともに,大通公園も東側に延ばしてはどうかとの提案もしたところであります。当時の板垣市長は,将来,創成川通の大幅な改築が行われるときに,道路管理者である国などの関係機関と調整を図りながら検討すべき問題であると,非常に前向きの答弁でありました。
この代表質問から約20年たち,時代は移り変わりましたが,再度,この地域の開発について提言できるときが来たことを私はうれしく思っております。
札幌は歴史が浅いと言われておりますが,開拓初期の建築物など,明治や大正ロマンの名残もまだ幾らか残っております。しかし,水辺の風景は一番なくなったかもしれません。札幌開拓の初期の地図をごらんになった方はご存じと思いますが,札幌は豊平川扇状地に開けた街であり,当時は,縦横に豊平川の支流が街中を走っていたのであります。
小樽運河も,かつては運河を保存して何になるという意見もあり,埋め立てられるところでありましたが,街並みを保存する意見も強く,論争の末,半分だけ保存された経緯は皆さんご承知だろうと思います。都心部から近いせいもあったのでしょうが,ガラス工房が立地し,観光客が訪れるようになってから,その数も年を追うごとに飛躍的に増加し,今では一大観光地となり,観光客は札幌を通過して小樽に行ってしまうほどの繁栄ぶりであります。それは,小樽が歴史的街並みや施設を保存してきた結果であろうと思うのであります。
そこで,私が提案したいのは,観光産業を札幌経済発展の牽引役とするためにも,観光の核となる歴史的街並みの復元,保存と都市景観の核となる施設群の創設であります。すなわち,創成川の一部を大友堀としてよみがえらせ,水辺公園として復活,整備させると同時に,豊平館や時計台などの歴史的建築物をその沿線に移転し,歴史的街並みを復元するとともに新たに創造するものであります。
もう少し詳しく私の構想をお話しいたしますと,現在,創成川と言われている南3条から北6条あたりまでは,札幌開拓の初期には元村地区から延びてきた大友堀の終点部分に当たり,石狩湾からの運河輸送の主要幹線で,札幌開拓にとって非常に重要な都市施設であったわけであります。
その沿線には豊平館があり,その北側4丁区画ほどが札幌農学校の開設当初の所在地であり,今の時計台もその中に位置していたのであります。また,西側には札幌区裁判所等の司法施設が所在しておりました。さらに,大友堀の反対側には屯田兵指令部が位置し,現在でも古い石づくりの教会が残っております。
そこで,私が提案したいのは,今後50年,100年の札幌市の都市景観を考えるならば,水辺の景色を生かした大友堀公園として再整備してはどうかと思うのであります。具体的には,豊平館も創建当初の場所に戻し,また,時計台も旧札幌農学校の敷地内で豊平館の北側隣の大友堀の沿線に配置するなど,歴史的建造物も沿線に配置し,市民や観光客が散策できる形の水辺の公園として整備していってはどうかと思うのであります。
私が大友堀という名前にこだわるのは,大友亀太郎氏の開拓にかける情熱や息吹や歴史を後世に残したいと思うからであります。時計台は,現在地にあって日本三大がっかり名所の一つと言われておりますし,豊平館は,本来,観光資源として観光客の鑑賞にたえ得る立派な施設であるにもかかわらず,中島公園に移設されたために,全くと言っていいほど観光資源として生かされていません。また,現存していない屯田兵指令部等については復元するなど,観光の目玉としての多少のフィクションを交えて歴史的な街並みや景観をつくっていくべきだと思うのであります。
NHK,市民会館,王子製紙,中央バスターミナルを含めた北側の街区は,創世1.1.1区(さんく)としての整備が予定されております。そういう地域であるからこそ,今後の札幌観光の魅力づくり,都市づくりも含めて事業化を進めるならば,建設・建築業界にとっても腕の見せどころであり,その効果ははかり知れなく,取り組む価値が十分にあると思うのであります。
そうして,大通を起点にテレビ塔,大友堀公園の中には豊平館,時計台,札幌農学校,札幌区裁判所,屯田兵指令部,その背後に創世1.1.1区(さんく)の高層ビルがあり,そこからサッポロビール工場,ファクトリーに行くこともできますが,直進して道立劇場,札幌駅,JRタワー,駅前通,道庁,三越の中心街,そして,薄野繁華街に至る一つの散策道路をつくるのです。歩いて50分程度の観光ルートをつくり上げるのも,観光客に対するサービスではないかと思うのであります。
倉敷の美観地区も,数百メートルの街並みを残したことによって,年間650万人の観光客が訪れていると聞きます。小樽も850万人と聞きます。札幌も発想の転換により努力をすれば,700万人の観光客増員は十分に可能であります。札幌市も創建136年を迎え,単に新しい街並みではなく,古い街並みを保存することによって落ちつきも生まれるでしょうし,風格も出るのではないかと思われます。
いつまでも創建から日が浅い都市ではありません。いずれは創建200年,300年という時を迎えるのであります。そういうときを迎えることも考慮し,また,市民や観光客にも札幌創建時のことも想像してもらい,古い物を大切にする都市であることを知っていただきたいと思うのであります。そうすることが,世界の中での屈指の観光都市として成長することにつながると思うのであります。
民間出身の市長だからこそ,従来の枠組みにとらわれない型にはまった都市計画ではなく,柔軟な発想と大胆な取り組みのもとに,今後百年,二百年の大計を見据えた構想を立てていただきたいと思うのでありますが,大友堀公園を中心とする歴史的景観の復元・保存について市長のお考えをお伺いいたします。
続いて,お伺いしたいのは,個々の具体的な都市景観の問題についてであります。
統一性のある景観は美しく見えるものです。本市の歩道は,計画的に整備されておりますが,残念なことに,この歩道に使われているブロックの色彩やデザインあるいは材質等が場所によってまちまちであり,計画的に設計されていないのであります。さらに,街路灯やサインなどの路上ポールについても同様であり,例えば,駅前通を少し歩いただけでも,街路灯,信号機,歩道標識,その他のポール類が数多く設置されていますが,統一感がなく,無造作に置かれている感があります。歩道や街路灯は,まさに街のデザインの背景になるものであり,それが街全体の視点で調和のとれたものでなければ,逆に都市景観形成の阻害要因になります。
私は,札幌市の都市景観が市民の誇りであり,また,世界に誇れる美しい都市として認識されていくように,これらの状況をぜひとも改善していかなければならないと考えているところであります。そのためには,札幌市内における公共事業の都市景観に係るトータルデザインの基準を定めた都市景観デザインガイドラインを策定すべきと考えますが,この点について市長の考えをお伺いいたします。
続いて,歴史的な景観的価値の高い建造物の保存についてお伺いいたします。
私は,歴史的な価値の高い建造物は,札幌の大切な景観財産として,市民,行政等,全市民の手で大切に保存していくべきであり,そのためには,単に指定だけにとどまらず,早急に実のある助成制度を立ち上げていくべきであると考えます。
先日,新聞報道にもありましたが,現在,国においても,こうした問題に対応していくべく,景観法という新法を制定し,国全体として良好な景観を守り,つくり出していく動きがあり,こうした景観重要建築物等についても保存していくための支援や相続税の軽減措置が盛り込まれていると聞いております。
こうした国の動きなども踏まえると,既に都市景観条例を制定している札幌市としては,どのように対応していくのか,市長の考えをお伺いいたします。
続きまして,大通公園のにぎわいを取り戻す方策についてお伺いいたします。
大通公園を挟む南大通と北大通の沿線は,ほとんどが
オフィスビルであり,特に夕方の時間帯を過ぎると,にぎわいの感じられない寂しい通りとなっております。
そこで,公園内に通年営業できるおしゃれなオープンカフェを設置してはどうかと考えます。しょうしゃなオープンカフェを設置して,夏は市民や観光客がゆっくりと木陰でくつろげる憩いの場として,冬はホワイトイルミネーションを背景に温かい飲み物で体を温めるようなぬくもりの空間として,にぎわいを演出してはどうかと思うのであります。
私は,民間に先駆けてこうした仕掛けを打ち出し,ただ歩くだけの公園ではなく,人がとどまることにより,
オフィスビルの低階層のにぎわい,活性化にも刺激を与え,人が集まる美しい都市景観が形成されると考えますが,市長の考えをお伺いいたします。
続いて,私は,観光客を呼び込む具体的な方策についてお伺いいたします。
札幌市では,札幌観光協会など関係団体と連携し,平成4年度から観光客誘致キャンペーン,いわゆる札幌の夕べを東京,大阪,名古屋で開催し,主に旅行関連企業の幹部に対するPRを行っております。
私もキャンペーンに参加したことがありますが,短時間の立食パーティーに2,000万円もかけ,料理の多くは食べ残されており,それがどれだけ実際の観光客増加につながっているのか,効果を見定めるのが非常に難しい事業ではないかと感じているところであります。
そこで,お伺いいたしますが,道外からの観光客の誘致について,今までの取り組みをどのように評価しているのか,また,来年度に向け,新たな視点を取り入れるつもりがあるのかどうか,お伺いをいたします。
次に,現在,中国からは年間1万人前後の観光客があります。中国の開放政策や経済発展,そして12億8,000万人と言われる膨大な人口を考えると,潜在的な観光旅行ニーズは非常に高く,ここ数年のうちに5倍,10倍といった勢いで観光客が増加していくことが予想されております。
昨年,中国から13名のマスコミ関係者を招待して札幌を知っていただく機会をつくりましたが,それは大変効果があったと思います。それを韓国やアジア等,近隣諸国にも拡大して,札幌を見てもらい,札幌の業者との懇談会を開催してもらいたいと思うところであります。
札幌市では,昨年11月に北京に事務所を開設し職員を派遣しておりますが,機能の一つとして観光客誘致のためのシティPR機能が挙げられており,来年度はこうした活動に本格的に取り組んでいくことが期待されているところであります。
そこで,中国からの観光客の誘致に当たって,北京事務所を拠点とした取り組みをどのように進めていくのか,具体的にお伺いいたしたいと存じます。
続きまして,私が提案したいのは,イベントやコンベンションの開催についてであります。
本市の場合,冬の雪まつり,夏のYOSAKOIソーラン祭りと,毎年開催されるイベントは充実してきました。しかし,国際的なイベントも集客の面からは大事ではないかと思うのであります。
札幌市は,過去,昭和47年の札幌オリンピック,さらには昭和61年のさっぽろ花と緑の博覧会,平成14年のワールドカップサッカーなど,大きなイベントをいずれも成功させてきた実績があります。こういうイベントを開催することによって,都市整備はもちろん,札幌の名を印象づけ,また,開催時期の前後を含めて観光客の増加を見込めるわけであります。このようにして,折々に札幌の名を世界に発信していかなければ,いつまでも冬季オリンピックの札幌を覚えていてくれているとは限りません。
このようなイベントには,スポーツ関連のものと博覧会のものがありますが,国際博覧会的なものは,最近では昭和61年,百合が原公園で開催されたさっぽろ花と緑の博覧会以降,開催されておりません。この花と緑の博覧会は,当時,各地でいろいろなイベントが開催され,食の祭典のように最終の収支が赤字で失敗したところも非常に多かったのでありますが,この花博は黒字で成功したところであります。そのとき担当した職員もまだ在職していると聞きますので,成功体験を引き継ぐことも可能であります。
そこで,お伺いいたしますが,最近,商工会議所で企画,検討されている国際花と緑の博覧会のようなイベントを再び誘致すべきではないかと思いますが,いかがでありましょうか。市長は,環境や緑化についても推進する考えを掲げていますが,ぜひ,こうした事業の開催を通じて,観光の起爆剤にしてほしいと思うところであります。
また,札幌ドーム周辺につきましても,すばらしい観光資源になり得る要素を有していると思うのであります。私が提案したいのは,羊ケ丘の札幌ドームを核に,その周辺を観光の目玉ともなるレジャー施設の集積地にしてはどうかと思うのであります。
先日,某雑誌で桑園の札幌競馬場を羊ケ丘に移転してはどうかと提案した記事が掲載されていましたが,福住地区町内会連合会からは,タウントークの際に,パークゴルフ場,子供サッカー場等の多角的野外体育関連施設を設けてほしいとの声がありました。
私は,これらの施設もさることながら,円山にある動物園を移転させてはどうかと思うのであります。
札幌ドームには,市内・市外を問わず,コンサドーレのファンを含むサッカーファンや,ことしからは,移転してくる日本ハムを含むプロ野球ファンが集まるわけであります。また,羊ケ丘展望台は,国内・国外の観光客が訪れるところであります。このような人が集まる場所には,さらに人が集まり,喜ばれる施設を集中させ,相乗効果でメリットが出る施設を集積させることが,観光客を誘致し,ひいては各施設の稼働率を上げ,経営改善につなげることができると思うのであります。
円山動物園は,昭和26年に開園して以来,札幌市民を初めとする多くの皆様に親しまれてきたわけでありますが,残念ながら,来園者数は,昭和49年の124万人をピークとして長期減少傾向にあり,今年度は63万7,000人にとどまっております。
一方,旭川市の旭山動物園につきましては,動物舎を自然体に近づけるという斬新なアイデアを取り入れて,広く道内から来園者を誘致することに成功しており,平成8年度の26万人から,今年度は既に80万人を突破しております。
円山動物園も,来年度予算では,動物病院の整備などで約2億3,000万円の施設整備費が提案されておりますが,全体として施設は老朽化しており,管理,補修,整備等に重点を置かざるを得ないのが実情であります。
また,園内が全体的に傾斜のため,お年寄りが孫と一緒に来ても,歩きにくくて疲れるという苦情もあります。また,敷地面積も22ヘクタールのうち,半分以上が山と樹木に占められているため,動物を自然生態に近づけた施設展示で観覧させるということは,面積の上から制約を受け,現行の円山動物園での実施は難しいものがあると思います。
さらには,交通アクセスも,昔は動物園近くの円山公園に市電の発着場がありましたが,それも廃止されたため,近年では車での来園が主になっており,山岳地帯で進入道路も少ないため,ゴールデンウイークには大渋滞になるなど,交通アクセスの面からも問題があります。
また,動物園に隣接する円山球場で開催されていたプロ野球も札幌ドームに移りましたので,これらとの相乗効果も望めない状況にあり,現行の円山動物園をベースに活性化を図ることは極めて難しいのではないかと考えるのであります。
そこで,お伺いいたしますが,交通の便もすこぶる良好で,市民の目がドームに向いている現在,羊ケ丘の農業試験場に動物園を移転させることが,動物園の将来展望を考えたとき,最適な土地であると思うのでありますが,市長の考えをお伺いいたします。
次に,機構改革についてお伺いいたします。
市長は,来年度,観光文化局を新設されるとのことでありますが,観光における都市景観と都市施設の整備は連動して行わなければならず,来客2,000万人構想を市税収入を上げるための営業活動の一環とも考えるならば,芸術の文化からスポーツ文化,生活文化に至るまで幅広い定義を持つ文化は別に扱い,観光一点集中で考えるべきと思うのであります。
そうしなければ,観光と都市景観というものが薄れ,何かをつくり上げようとする職員の意欲をそぎ,結局,名ばかりの局になってしまうと思うからであります。
市長は,文化と一体で考えたいとの答弁でありましたが,私は,観光局あるいは観光都市景観局とした方が目的が明確になると思うのでありますが,そういう方向性を踏まえた名称にするお考えはないか,再度お伺いいたします。
時間の制約もあり,私の思いの一部しか質問できませんでしたが,観光にとってもう一つ大切なのが,冒頭に取り上げました財務局長の言葉をまつまでもなく,関係者の意識改革,観光関係者を支える市民意識の醸成,ひいては札幌市を訪れる観光客に対する市民のもてなしの心の醸成であります。これらをどのように盛り上げていくおつもりか,お伺いいたします。
また,市長は,どのようにすれば2,000万人になると考え,この構想を打ち上げられたのか,お聞かせいただきたいと思います。
以上,観光と都市景観に関する質問をさせていただきましたが,市長が公約に掲げた熱い思いが実り,我が札幌市で観光客数2,000万人が実現し,1兆円以上の経済波及効果を上げ,札幌の経済が潤い,市民生活が向上されることを祈りつつ,私の代表質問を終わらせていただきます。ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(武市憲一) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 議員からご指摘のございました昭和56年の第1回定例市議会,それから57年の第4回定例市議会の議事録を読ませていただきまして,議員と当時の板垣市長との間で,札幌市の将来について熱い夢が語られているという,大変興味深く読ませていただきました。
そして,今日,来客2,000万人の構想の実現と都市景観というテーマで,たくさんの具体的なご提言をちょうだいしたことに対して敬意を表し,順次,私と福迫助役で手分けをいたしましてご質問にご回答を申し上げたいと,このように思います。
まず,大友堀公園を中心とする歴史的景観の復元・保存についてでございますが,来客2,000万人を目指すというときに,都心において歴史的な資源を活用した景観づくり等,回遊性を高める街並みを創出するということは,私も大変大事なことであると,このように思います。
そこで,ご提言の創成川通の緑地空間の一部を水辺と一体となった大友堀公園として整備を図るというお話につきましても,都心の街づくりを進める上で夢のある発想であるというふうに思います。今後とも,さまざまな観点から議論を深めてまいりたいと,このように考えております。
観光客を呼び込むための具体的方策についてでございます。
道外からの観光客誘致につきましては,これまで,観光客誘致キャンペーンというものを実施いたしまして,北海道や観光関連企業・団体と一体となって現地に赴き,トップセールスを初め,マスコミへのPRや旅行業界向けのセミナー,懇談会などを精力的に行うなど,札幌市の食と観光の魅力を伝えるために一定の役割を果たしてきたというふうに認識をしているところであります。
今後は,旅行形態の変化などに対応いたしまして,より効果的な観光客誘致を図るために,広域的な連携を強化するほか,業種別にそれぞれの特性に合ったプロモーションを展開するとともに,札幌の観光関連企業や周辺市町村が,より多く参加できる手法も取り入れるということもやってまいりたいと考えております。
また,中国からの観光客の誘致につきましては,これまで,民間と連携した現地プロモーションやトップセールスなどにより観光客の誘致を進めてまいりました。昨年11月に開設いたしました北京駐在員事務所,これは,札幌市内企業の中国ビジネス展開支援と,シティPRによる札幌市への観光客誘致活動を目的に,中国の政府,団体,企業等と密接なネットワークを構築することに積極的に取り組んできているわけであります。
今後は,中国での観光ニーズの的確な把握とさまざまな人的なネットワークやマスコミの積極的な活用を通して,シティPRの拠点としての役割をさらに高めてまいりたいと,このように考えているところであります。
次に,国際的なイベントの誘致・開催についてでございますが,世界の注目を集めるスポーツ大会や博覧会など,国際的なイベントの開催というのは,札幌の魅力を国内外にPRする絶好の機会でありまして,観光産業の振興にも大きな役割を果たすものと認識をしているところであります。
このようなイベント開催に当たっては,行政や経済界のみならず,市民を含めた街全体での一丸となった取り組みが不可欠であるというふうに考えております。したがいまして,関係機関と密接な連携を図るとともに,街づくりや経済効果などを勘案しながら,ご質問のありました国際的なイベントの誘致・開催を検討してまいりたいと,このように考えております。
観光文化局の設置についてのご質問でございます。
ご質問にありましたとおり,観光の振興にとって良好な都市景観の形成というものが重要であることについては,私も意見を同じくしております。
また,札幌市には,開拓使時代をほうふつとさせる時計台だとか豊平館など,世界に誇り得る文化施設が多数あるわけでございます。こうした文化施設も札幌市の良好な都市景観の形成に大きく寄与し得るものと考えております。
したがいまして,私は,将来,来客2,000万人の目標達成に向けて,文化施設などを観光資源として位置づけて,これを活用するとともに,文化の振興を通して広く市民が芸術・文化に親しむこと,これを目標に文化の薫る街づくりを進めていきたいと,このように考えているところであります。
このようなことから,観光と文化を結びつける観光文化局というものを設置しようとするものでございますので,ご理解のほどをお願い申し上げたいと思います。
次に,市民のおもてなしの心の醸成と来客2,000万人構想の実現についてでございます。
来札されるすべての方に感動を与えるということは,観光都市として最も大切なことと思います。その中心になるのが,市民一人一人のおもてなしの心,ここにあるものと私も考えております。
そこで,15年度から実施しております集客交流・シティPRキャンペーン事業では,市民のおもてなしの心を札幌の新しい観光資源にというふうに位置づけまして,観光ボランティア活動の充実やポスターによる啓発など,おもてなしを柱の一つとして市民意識の醸成に努めておるわけであります。
16年度には,札幌の絵はがきを全戸に配布いたしまして,市民一人一人が知人に来札を呼びかけるというような働きかけをしてまいりたいと考えるわけであります。
来客2,000万人の実現に向けては,さまざまな方策を多角的に組み合わせていかなければならないものと考えておりますし,中でも,繰り返し札幌を訪れていただく,いわゆるリピーターの増加策というものが大切であります。そのために,既存の観光資源の再構築と新たな観光資源の開発,そして,都市景観,交通の利便性を向上させるという取り組み,さらには,広域的な連携によって魅力を増すなど,何度訪ねても温かく迎えられ,そして新たな発見がある街を目指して地道な努力を積み重ねてまいりたいと思います。
一方で,政府系の国際会議や国際経済人会議,医学系の学会など,大規模なコンベンションを連続して開催することも有効な手段と考えており,積極的に誘致をしてまいりたいと考えております。
さらに,東アジアからの企業奨励旅行,いわゆるインセンティブツアーでは,16年度は既に7件,約1万人の誘致が決定しており,引き続き,これらの取り組みを強化しながら,来客2,000万人の実現を目指していきたいと,このように考えているところでございます。
その余の質問については,福迫助役の方からご回答いたします。
○議長(武市憲一) 福迫助役。
◎助役(福迫尚一郎) 2番目にご質問がございました都市景観デザインガイドライン,3番目の歴史的な景観的価値の高い建造物,4番目の大通公園の景観形成,7番目の円山動物園の羊ケ丘への移転,これにつきまして私の方からお答えさせていただきます。
まず,公共事業に関します都市景観デザインガイドラインについてでございます。
議員ご指摘のとおり,歩道の仕上げや街路灯等の路上ポール類は,街並みの景観に大きな影響を与えるものでありますことから,街全体のバランスや周辺環境との調和に配慮したデザイン計画が必要であります。したがいまして,これら公共事業におけるデザインについての一定の基準を示したガイドライン等の策定に向けまして検討を進めてまいりたいと考えております。
次に,歴史的な景観的価値の高い建造物の保存についてであります。
現在,都市景観重要建築物等の保全につきましては,都市景観アドバイザー制度の活用によります技術的支援を行っているところであります。一方,来年度制定される予定の景観法及び関連法におきましては,国による支援策も盛り込まれております。こうした動きを注視いたしまして,また,本市の財政状況も勘案しながら,どのような支援策が可能であるか慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。
次に,大通公園の景観を形成する方策,あるいは,にぎわいを取り戻す方策についてであります。
大通公園の景観につきましては,今までも都市景観条例に基づく都市景観形成地区といたしまして,市民や事業者の皆様方の協力をいただきながら,風格と潤いのある街並み形成に努めてきたところであります。
今後におきましても,議員ご指摘の点も参考にしながら,市民に親しまれ,観光客の皆様にも喜んでいただけるような魅力的な大通公園の景観形成に取り組んでまいりたいと,このように考えております。
最後に,円山動物園の羊ケ丘への移転についてであります。
ご提案の中で移転先として想定されております羊ケ丘の札幌ドームの後背地は,独立行政法人農業技術研究機構の北海道農業研究センターが農業試験場として使用している国有地であり,また,風致地区や鳥獣保護区に指定されているなど,市街地周辺の保全すべき緑地として位置づけられているところでございます。一方,円山動物園につきましては,平成12年度にチンパンジー館を新設し,平成13・14年度に熱帯動物館猛獣舎を改修するなど,施設の充実を進めているところであります。
このようなことから,現段階では,動物園の移転を検討することは大変難しいことと考えておりますが,多くの方々にご来場をいただくために,どのようにすれば,より魅力ある施設になるかということにつきましては,引き続き検討をしてまいりたいと考えております。
なお,議員からご指摘のありました札幌ドーム周辺には,ドームと相乗効果の発揮できる機能を集積しまして,スポーツ文化や集客交流産業の振興にかかわる拠点としての形成を図ってまいりたいと,このように考えております。
以上でございます。
○議長(武市憲一) 以上で,代表質問はすべて終了しました。
(三上洋右議員「議長」と呼び,発言の許可を求む)
○議長(武市憲一) 三上洋右議員。
◆三上洋右議員 特別委員会設置及び委員会付託の動議を提出いたします。
ただいま議題とされております議案59件のうち,平成16年度の予算にかかわる議案については,委員34人から成る第一部予算特別委員会及び委員33人から成る第二部予算特別委員会を設置し,お手元に配付の議案付託表のとおり両特別委員会に,また,その他の議案については,同表のとおり関係の常任委員会にそれぞれ付託することを求める動議であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(武市憲一) ただいまの三上議会運営委員長の動議に対し,所定の賛成者がありますので,本動議を直ちに問題とし,採決を行います。
動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(武市憲一) 異議なしと認めます。したがって,ただいま議題とされております議案59件のうち,平成16年度の予算にかかわる議案については,委員34人から成る第一部予算特別委員会及び委員33人から成る第二部予算特別委員会を設置し,お手元に配付の議案付託表のとおり両特別委員会に,また,その他の議案については,同表のとおり関係の常任委員会にそれぞれ付託されました。
〔付託表は巻末資料に掲載〕
――
――――――――――――――――
○議長(武市憲一) ここで,日程に追加して,ただいま設置されました第一部・第二部予算特別委員会の委員の選任を議題とします。
本件につきましては,お手元に配付の委員名簿のとおり指名することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(武市憲一) 異議なしと認めます。したがって,委員名簿のとおりそれぞれ選任されました。
なお,第一部・第二部予算特別委員会における発言のための委員交代は,先例によりまして,両特別委員長の許可を得た上で行っていただくこととします。
〔名簿は巻末議決事件等一覧表参照〕
――
――――――――――――――――
○議長(武市憲一) さらに,日程に追加して,第一部・第二部予算特別委員会の委員長の選任を議題といたします。
(三上洋右議員「議長」と呼び,発言の許可を求む)
○議長(武市憲一) 三上洋右議員。
◆三上洋右議員 第一部・第二部予算特別委員会の委員長の選任につきまして,指名推選の動議を提出いたします。
第一部予算特別委員長に宮川 潤議員を,第二部予算特別委員長に本郷俊史議員をそれぞれ選任することを求める動議であります。
(「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(武市憲一) ただいまの三上議会運営委員長の動議に対し,所定の賛成者がありますので,本動議を直ちに問題とし,採決を行います。
本動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(武市憲一) 異議なしと認めます。したがって,第一部予算特別委員長に宮川 潤議員が,第二部予算特別委員長に本郷俊史議員がそれぞれ選任されました。
――
――――――――――――――――
○議長(武市憲一) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し,明日3月4日から3月7日までは委員会審査等のため休会とし,3月8日午後1時に再開したいと思いますが,ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(武市憲一) 異議なしと認めます。したがって,そのように決定しました。
――
――――――――――――――――
○議長(武市憲一) 本日は,これで散会します。
――
――――――――――――――――
散 会 午後4時44分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 武 市 憲 一
署名議員 西 村 茂 樹
副議長 馬 場 泰 年
署名議員 三 浦 英 三...