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平成16年(常任)総務委員会−02月13日-記録

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  1. 札幌市議会 2004-02-13
    平成16年(常任)総務委員会−02月13日-記録


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    平成16年(常任)総務委員会−02月13日-記録平成16年(常任)総務委員会  札幌市議会総務委員会記録            平成16年2月13日(金曜日)       ────────────────────────       開 会 午前9時1分 ○山田一仁 委員長  ただいまから,総務委員会を開会いたします。  報告事項でありますが,藤川委員からは,欠席する旨,届け出がありました。  議事に入ります。  住民基本台帳ネットワークシステムに関する,陳情第4号,陳情第21号の2件を一括して議題といたします。  質疑を行います。 ◆飯坂宗子 委員  まず,選択制導入という市長公約がトーンダウンしてきていると私は見ておりますので,そのことについて伺います。  市長選は再選挙になったわけですけれども,言ってみれば,公約の目玉に住民基本台帳ネットワークシステム選択制導入ということがあったと思うのです。市長は,再選挙の前後でどのように言っていたかというと,住民基本台帳法自体立法ニーズがない。つまり,地方自治体から,このようなものがあればいいという声があったと総務省は言っているけれども,そのようななことを言っている自治体はないということで,立法ニーズがないということを指摘しておりました。二つ目には,コンピューターセキュリティー管理は非常に困難である,外部からの侵入は防ぎ切れるものではないということも言っておりました。それから,個人情報が漏えいした場合に,最終的には自治体――本市の場合であれば市長が責任をとるということで,市民に十分に説明できないことには責任を負えないということも含めて,法律構造自体が大変問題なのだという見解でした。  本市の場合は,ご承知のように,前桂市長時代の2002年8月の1次稼働の際に,市民の意思に関係なく,すべての市民データシステムに接続されております。現在,11けたの番号をつけられていることに対する,市民抵抗感は非常に根強いものです。これは,実際に住民基本台帳コードの受け取りを拒否した人だけではなく,広く潜在しているものと私も承知しております。つまり,桂市長から上田市長にかわって,この問題がどう展開していくのかということが,非常に注目されていた点だと思うのです。  そこで,1月の記者会見上田市長が述べていることは,当初言っていたこと,あるいは,12月の記者会見で,長野県の実験結果を踏まえて重大な決断もあり得ると言っていたことから考えれば非常にトーンダウンしていると感じるのです。  そこで,なぜこのように市長政治判断がトーンダウンしてきたのか,させている最大の要因は何なのか,お伺いします。 ◎上田 市長  選挙の際に私が申し上げてきた経過というものは,ご指摘のとおりだと考えております。そこで申し上げてきた一番の眼目というものは――法律構造的な問題があるというところが最大の問題であると私は考えております。したがって,法改正がなければ,この問題についての抜本的な対策を立てることができないということも,一つ,そこから導かれる結論だと思います。  しかるに,法律が変わらない中で,我々が現在,危惧している問題についてどのように対処するのかということについて,どのような具体的な方法がとれるのかということを模索するという作業が,札幌市長の立場として求められることになるわけです。  その際に――私が選択制と言っていたことは――もちろん,法律上,選択制というものが既にあって,不参加ということも可能である――自由という規定が法律上あって――そのような制度が用意されているということであれば,法律構造上はさほど問題ないかもしれません。しかし,そのようなものがない以上,どうするかということになると,事実上,選択制と同じ結果になるような状態をつくり出すことができる可能性はないかということになります。  その意味で,頭にあったものは――まさに横浜方式というものが,既に,事実上の選択制で――これは事実上で,法律上の選択制ではないわけですが――事実上,選択制という形態をとっている。これは全員参加するということを前提にしたものだと総務省は言っておりますし,横浜市は,そのような約束をした覚えはないと聞いており,見解の相違はあります。しかし,住民の接続してほしくないという気持ちを,反映させる事実上の結果になっているという状態はあります。  それとの対比において,本市においても同じようなことができないかと――法律上は,そのような選択制がないということを前提にして,そのような事実上の形ではあっても,市民の要望にこたえることができないかというところで,悩みながら,その可能性を探っていくことになろうかと思います。
     そこで,一つは,住民基本台帳法第36条の2に離脱についての規定があり,ご承知のように,緊急の事態が発生した場合には必要な措置を講じなければならないという責任が自治体の長には課せられておりますので,緊急の事態,すなわち,住民基本台帳ネットワークシステムの根本的な危険性というか,修復しがたい問題点が発生した場合には,当然,その危険から住民のプライバシーを守るという重大な責務に照らして,究極の方法としては離脱ということも選択肢としてあると思うわけです。  ところが,そのような事態が現に発生しているかというと,ここでまた判断――考え方は二つに分かれると思います。それは,抽象的な危険があればいいのか,それとも具体的な危険がなければそのように判断してはならないのかということです。  私は,抽象的危険については――一般論として,コンピューターシステムに絶対というものはあり得ないはずだと思います。ですから――追っかけっこのようなものであり,絶対的な安全性は保ちがたいということが常識と言えば常識で,そのような意味では抽象的な危険はいつもあると私どもは理解しなければならないと考えます。ですから,抽象的危険があるものであれば,それに参加しないということを選択できるかどうかという判断が一つです。  私は,そのことについては,哲学論争というか,セキュリティーに対してどの程度が保障されていればいいのかという判断のときに,抽象的危険があれば,そのことによって参加しないことも保障されていると考えることは,本市の場合には少し厳しいと判断しました。  というのは,本市は,既に平成14年,2002年8月の段階で――議会でどのような議論があったかは承知をしておりませんし,前の桂市長がどのような判断で行ったのかはわかりませんが,結果的に,札幌市民あるいは札幌市は,そのような抽象的危険をのみ込むと判断したからこそ,住民基本台帳ネットワークシステムに接続したのだと私は考えております。その行政行為を,私が当選したことによってひっくり返すことまではできないだろうと考えております。  それでは,どうするのかということになりますけれども,具体的な危険が発生した場合には,これは今までの状況とは違うと私は判断したいと思います。それはどのようなことかというと,今まで住民基本台帳ネットワークシステムでこれが危険だと言われてきたことで――例えばAという町からBという町のシステムに侵入して情報を書きかえる,あるいは,無尽蔵に情報を得ることができるというような状態が発生することが一番危険ではないかと考えるわけです。  本市のセキュリティーが幾ら立派なものであり,そして,本市職員セキュリティーポリシーをしっかり体現した立派な職員であったとしても,他の自治体から容易に侵入されるということで,私たちが管理している情報の漏えいを防ぎようがないような状況になれば――これは具体的な危険ということになります。そのようなことが本市において起きなくても,全国のどこかでそのようなことが起こった場合には,システムの具体的な危険性が発生したのだと私は理解します。本市でも,いつでも起こり得る状況だと理解します。この場合には,私はやはり離脱するより方法がないのではないかと考えているわけです。  その後どうなるかというと,当然,総務省には責任がありますので,おそらく,具体的な危険をなくすための措置を講じて,そのようなことはもうないということになります。そのときに,さあ,どうするかということで,やはり接続しなければならないのか,あるいは離脱したままでいいのか,それとも,希望しない人だけは接続しなくてもいいという方法がとれるようにするのかというあたりで事実上の選択制といった問題が出てくるのではないかと思います。そのような手順を踏まなければならないのではないかと考えているわけです。  委員がおっしゃっていることは――この間の記者会見で述べていることは,従前,私が申し上げていたことと比べてトーンダウンしているのではないかということでしたけれども,選択制に対する意欲が,いささか減じたのではないかというご心配をちょうだいしたことと思います。それは,ゆっくり説明して,思考過程を理解いただけるチャンスがきょう与えられましたので,私が申し上げていることはそのようなことだとご理解いただいた上で――私は,この問題は,法律がある以上,それほど簡単に解決できる問題ではないと思いつつ,しかし,その問題点を克服することは極めて難しい問題であるという認識の中で――そのはざまで,最大限,私どもがその責任と権限によって何ができるかということを追求していく姿勢はいささかも変わっていないということでご理解いただきたいと思います。 ◆飯坂宗子 委員  市長から段々の説明がありましたが,まさしく,法律をめぐって,現在,各地で――自治体の長が最終責任者となっているわけですから――そこで,矢祭町や国立市,あるいは杉並区や横浜市など,国との摩擦もありながらも,2次稼働を断念した自治体や,あるいは部分的な接続を行っている自治体など,いろいろあるわけです。それも,みんな,市長が最初に指摘した法律上の問題があるため――そこが一つのネックになっていろいろやっているのだと思うのです。  そこで,総務省は接続するようにと言っているわけです。それに対して,自治体の長の判断で接続しない,あるいは部分的にしか接続しないという自治体が現実に罰せられたりしているのか,お伺いします。  それから,1月の記者会見のときにもおっしゃっているのですが,総務省と長野県で見解が違うということです。どこが違っているのでしょうか。  先ほど,市長がおっしゃったA市からB市に侵入してデータを書きかえることができるかという問題をめぐって,総務省は,品川区で実験して大丈夫だったと言っているわけでしょう。  けれども,報道されなかった長野県の記者会見でのやりとりも――私は膨大な資料を全部読みましたけれども――不正アクセス禁止法があって,最後のファイアウォールを破ってしまうと,法律に抵触するから実験はしなかったけれども,可能だということを専門家が言っているのです。  そこが,まさしく総務省と長野県との見解の違いになっているわけですけれども,それに対して,本市としては,総務省と長野県に合同実験をしてほしいという申し入れを粘り強く行うのだと言っております。けれども,もう合同で侵入実験を実施するつもりはないと総務省が拒否しているわけですから,そのようなことを言っていても非常に難しいと思うのです。  そうであれば,本市が独自に侵入実験を実施するとおっしゃっているのですけれども,仮に本市が独自の実験を実施することになったときに,長野県が行った実験においてネックになった――不正アクセス禁止法の壁を破れなかった,最大の見解の違いになっているところを超えた実験ができるのかどうか,お伺いします。 ◎上田 市長  国立市では一たん接続して,その後に離脱したという経過があります。これは処罰も何もされておりませんし,矢祭町も処罰の対象になったとは聞いておりません。横浜市も同様です。  それから,長野県と総務省との間で行われた合同実験について,不正アクセスとなる入り口までは行ったという報告がなされているわけで――最終的な報告は来週ぐらいになるのではないかと思います。1月末に報告するという情報もありましたけれども,それがおくれているということです。その報告書をしっかり読んで,どこが変なのかということは,私どもも,またしっかりと認識した上で言わなければ不正確になるかと思いますけれども,とりあえず入り口までは行ったという報道があります。  私は,一番心配しているところについて,不正アクセス禁止法を盾にとって総務省が防御する,やらせないということは,おかしいのではないかと思っております。もちろん法律はあるわけですけれども,そして,それが法律に抵触する行為であることは間違いないでしょう。しかし,それは実験ですし,国民が一番関心を持っている部分であり,また総務省も,セキュリティーシステムといったものが万々大丈夫であることを国民に訴える場面ですから,これはこたえた方がいいということになるはずです。これは,どこまで考えた上での総務省の判断なのかはわかりませんけれども,そのような実験はもうやらないと言っている国の姿勢は,これから未来永劫に変わらないということはないのではないかと思っております。私は,国というものをもう少し信頼したいと思っております。  なぜならば,疑問が寄せられて,そこまで技術力を持った方が対峙して,その入り口まで来たということまで言っているわけですから,大変なリスクを負いながら,大変な労力を重ねて,玄関口までやっとたどり着いたということなのですから,さあ,いらっしゃい,大丈夫ですと見せることが総務省としては正しい選択であると私は思います。  ですから,世論では,そこまで来てどうしてやらないのか――やっぱり破られるからでしょうということになりますから,断り続けることは,総務省にとって――日本全体にとって決してメリットのある選択ではないと私は思います。ですから,その実験を実施してほしいと強く申し入れていくことが一番の筋であると私は思います。  それができなかったときは本市が独自に云々と言っておりますけれども,そこが破られなければ同じような結果になるということはご指摘のとおりだと思います。また違う方法があるのか,検討しなければなりませんけれども,ファイアウォールそのもの不正アクセス禁止法という二つのファイアウォールがあるということで,私たちが,現在,懸念していることが十分に払拭できない状況のまま滞ってしまっているということが現状だと思いますので,長野県が実施した実験最終報告書を見て,どこまで突っ込んだ結論が出てくるのかということを見きわめた上で,また対応を考えていきたいと思います。 ◆飯坂宗子 委員  答弁の中にもありましたけれども,国立市,矢祭町など,現在,住民基本台帳ネットワークシステムに接続していない自治体が実際に処罰されている事例はないのです。接続しなさいというような指導はいろいろされているかもしれないのですけれども,切断したからといって,実際に処罰されている例はないのです。私は,この問題は,最終的に市長政治判断になるのではないかと考えているのです。  そのような点で,違法かどうかという話も――選択制について,総務省は違法だと言っているけれども,上田市長は違法だとは考えていないと記者会見ではっきり言っております。そうすると,希望者だけを接続するためにも一たん切断しなければならない。ということであれば,切断するという判断を市長がするかどうかにかかっているのではないかと私は考えているのです。  そのときに――きょうの答弁にもありましたし,条例の説明のときにもあったのですけれども――要するに,本市が独自の実験を行って重大な危険性が見つかった場合には,切断することも考えると言っているのですが,私は,上田市長気持ちから考えれば逆ではないかと思うのです。要するに,万全だ,安全だということが証明されなければ,それが証明されるまでの間は接続しないということが,上田市長としては筋の通る話ではないかと思うのです。  なぜかというと,何か重大な事故が起こらない限り接続し続けていくのだということになれば,逆に事故が起きることを待っているということになります。そうなれば大変なのです。そのような面では,万全だ,安全だと総務省は言っているけれども,本当に万全,安全なのか,そのことを逆に証明しなさいと――それまでは市長の責任で切断するというぐらいの政治判断をしてもいいのではないかと私は考えているのです。そのようなことについてはどのように考えているのか,お伺いします。  あわせて,札幌市民住民基本台帳ネットワークシステムに――個人の意思に関係なく接続されているのですが,どれだけの人が自分の意思で500円支払って住民基本台帳カードを購入しているのか,お伺いします。  昨年の8月25日から2次稼働が始まりました。この住民基本台帳カードについては,国からの補助金もあるということで――手数料は500円ということで希望者に発行しております。当初,市は15年度中に人口の3%――つまり5万4,000枚を発行予定数として予算を組みました。その後,毎年2%ずつ――5年で人口の11%,数で言うと19万8,000枚発行することを想定しております。  そこで,一番直近の数字で,実際に発行された枚数は何枚なのか――人口比何%なのか,お伺いします。  それから,発行枚数だけではなく,これを使って実際に住民票広域交付を利用した人――住民票などはもちろん住民基本台帳カードを使わなくても取得できますが――カードの発行を受けて,カード住民票を取得した人は何人いるのか,お伺いします。 ◎上田 市長  私の立場からすれば,安全性が証明されない限り,切断して,安全性が立証されればその段階で接続すればいいではないか――その方が筋が通るのではないかというご指摘についてですが,これは確かに一つの筋ではあると思います。  ただ,私に重くのしかかっていることは,平成14年8月15日に,一度――第1次稼働の際に接続しているという現実です。この点は,国立市と同じであり,国立市がやったのだから,本市だってやれるのではないかと言われれば,それはそれまでです。しかし,私の法律家としての立場も多少あるわけです。立証責任ということで,どちらが何を証明しなければならないかというときに,現実にあるものをひっくり返すためには,疑問を持つ方が,このようなことが具体的にあるということを証明しなければ,なかなか難しいと考えているのです。  政治判断としてはそうでなくてもいいのだという考え方もあると思いますけれども,そのような意味では私の限界なのだと思います。具体的な危険を立証しなければならないということは,委員の言葉を借りれば,システムが傷つくことを待っているようだという表現にもなろうかと思いますけれども,そうではなくて――もちろん,そのような危険な状態が発生すれば,それは立証できた,疑問が明らかになったということで,そのように判断することになると思います。 ◎石原 地域振興部長  昨年8月の2次稼働以降の住民基本台帳カード発行状況ですけれども,1月末現在で3,374枚の発行という状況です。  それから,住民票の他都市交付についてですが――札幌市民が他の自治体で交付を受けた件数は491件,逆に他の自治体の住民が本市で住民票を取得した件数が439件,合わせて930件の他都市交付を行ったという状況です。 ◆飯坂宗子 委員  住民基本台帳カードによって便利になるとPRしたけれども,実際は,本市が予定していた5万4,000枚に対して,年度末の3月まであと1カ月半ほどありますが,いずれにしても3,374枚という状況です。人口比にすればわずか0.18%なのです。当初は3%程度が全国平均と見込んだ。ところが,この間,その6分の1しか利用されていない。余りメリットがないということがここにあらわれているのです。  現在,住民基本台帳カードに登録されているのは,いわゆる4情報だけで,これからどんどん情報をふやしていけばもっと利用がふえるのだと言っている自治体もあるようですけれども,そうなればなったで,情報が漏えいする危険性と相まって,また不安が高まるということになるわけです。  この住民基本台帳ネットワークシステムについては,準備期間も含めて,また,カードの発行も含めて,事業費はこれまでにどれだけかかってきたのか,お伺いします。 ◎石原 地域振興部長  これまでの構築コスト全体では約10億5,000万円,それから,ランニングコストとして約1億5,000万円を見込んでおります。 ◆飯坂宗子 委員  これまで,およそ10億5,000万円かけてシステムをつくってきた,そして,これからもランニングコストだけで1億5,000万円かかるということです。そして,セキュリティーを万全にするための対策が必要だということになれば,さらに莫大なお金がかかるということです。  総務省が便利だと吹聴している割には,札幌市民利用実績は――カード発行実績は3,374枚程度ということですから,市民側から言えばほんのわずかの人しか現在は使っていないということです。ですから,これは,管理する側――国側にはメリットがあるかもしれませんけれども――国からの助成もありますが,各自治体は莫大なお金と手間をかけて,そして責任は市長がとらされる。税金を莫大にかけて,しかし,実際には住民にはさほどのメリットがないというものなのです。  いろいろ見解が異なっておりますけれども,上田市長指摘どおり法律に最初から矛盾があるわけです。立場上,苦しいという弁明がいろいろありましたけれども,市長が先延ばしすればするほど――4年間の間でと考えていると,逆に,だんだんやりにくくなるのではないかと私は感じているのです。ですから,早期に決断して,そして,これが違法かどうかということについては司法の場で裁いていただくということも含めて取り組まなければ,この問題の結論は出ないのではないかと思いますがいかがか,お伺いします。 ◎上田 市長  飯坂委員のご意見はご意見として,私は丁重にちょうだいします。 ◆小田信孝 委員  市長の1月23日の記者会見での説明の中に――住民基本台帳法によって第三者住民基本台帳を閲覧できることになっております。市長は,具体的に数字を挙げて説明しておりますが,閲覧申請者1,600名に対して,閲覧件数が29万件という統計になっており,1人当たり約81件閲覧していることになります。要するに,大量閲覧が圧倒的に多いという状況になっております。  市民が単純におかしいと感じていることの一つは,法律によって,だれでも閲覧できるということに対してどうして規制がかかっていないのか,野放しになっているのかということです。この辺については,市長住民基本台帳ネットワークシステム絡み選択制ということを表明し――どこでどう調べたのかはわからないけれども,ダイレクトメールがどんどん来る,おかしい,どこから情報が漏れているのだという話もあって――その辺については,接続したくない人については接続しなくてもいいようなシステムを考えたいという選択制の話が市長から発せられたものですから,市民には選択制ありきという認識になっている人もいるのです。  そこで,単純におかしいと思うことは,法律に基づいて勝手に第三者台帳を閲覧できるという状況を市長はどうして野放しにしているのか。この辺の法改正についても,当然,何らかのアクション,あるいはいろいろなことを市長は考えているのでしょうか。これは市民の素朴な疑問です。選択制を表明した後にこの質問が特に多くなってきておりますので,まず,その辺の認識について,お伺いします。  それから,記者会見や,いろいろな形で住民基本台帳ネットワークシステムに対する市長の考えがどんどん報道されておりますので,もうそろそろ中間報告が終わって,次の最終的な段階――市長政治判断を最終結論として出さなければならない時期に差しかかっている現時点で,本市が独自に侵入実験を実施するという市長の強い意識があるのかどうかということについても聞きたいという市民の声が私どものところに寄せられているのです。その辺について,市長はどのように考えているのか,お伺いします。  それから,現在,審査を行っている陳情には,個人情報が改ざんされるという非常に大きな心配が四つほど列記されており,そして,このような改ざんの心配があるから住民基本台帳ネットワークシステムに対して不信がある,あるいは選択制にしてほしいと書かれております。  こうした改ざんの可能性について,現在のところ,市長はどのような見解なのか,お伺いします。  それから,法的な手続についてですが,最終的な結論を出す前に――市長の強い意思として,法的な手続――住民基本台帳ネットワークシステムに対して,現在のところ選択制も含めて国の考え方が非常に納得できない,あるいは改ざんされるおそれがあるということで,市長自身が訴訟という手法をとってまで争う意思があるのかどうか,お伺いします。  それから,このような検討をずっと続けて,本当にいろいろなことがわかるまでということになると,結論の時期がいつになるのだろうかという思いが市民にはあると思うのです。  ですから,もうそろそろ結論を出す時期を――この時期までに選択制はできるできない,あるいは,法的な手段をとってきちんと結論を出すという最終的な時期を明確に示すべきではないかと考えますがいかがか,お伺いします。  最後に,私は,この問題は全国的に余り広がっていないという印象を受けております。もしかすると,全国の多くの自治体では,長野県と総務省実験などいろいろなことがある程度判明してから判断しようと考えているのではないか,ずっと様子を見ているのではないかと思うのです。そのようなことで,余り全国的に広まっていかないということについてはどのように認識しているのか,お伺いします。 ◎上田 市長  第三者による住民基本台帳の閲覧ということが野放しになっている状況について,選択制ということを表明するからには,自分の情報を知られたくないというプライバシーの自由を認めるという思想的な原点に立っているわけだから,住民基本台帳ネットワークシステムではなくて,台帳そのものの閲覧についても自分の情報は見せたくないという人への配慮を法改正という形で求めないのかというご質問と受け止めました。  私も,1,600名という昨年の住民基本台帳の閲覧状況についての統計を聞いて,少々驚きました。これはのべ人数ですから,実際はもっと少ない人数だろうと思います。そのような方が繰り返し申請して29万件の情報を得ている。すべからく,これは業者なのだろうと思います。  具体的に,どうして私のところにランドセルのセールスが来るのか,どうして中学校の制服のセールスが来るのかということで,戸惑いを持ったり,家庭の中をのぞかれているというような不愉快な気分になることを――これは,私たちの市民生活の中で守られるべき権利としてあるのではないかと思う気持ちは,私は十分に理解するところです。  確かに,住民基本台帳法では,いわゆる4情報だけですけれども,住所,氏名,性別,生年月日だけについては情報を開示することになっております。それをもっと制限してはどうかという考え方は,私はあっていい話だと思います。  どの範囲で,どのような制限を加えるかということについては少し考えなければなりませんけれども,ダイレクトメールのために名簿業者がばっこするような状況は,本来,住民基本台帳を公開することの目的の中には少なくとも入っていないだろうと私は思いますので,そのようなものについては排除すべきではないかと現段階では考えております。  ただ,それは,法技術的にどこまでがどうなのかという線引きも非常に難しい議論があると思います。立法技術上の問題として,そのような意図があっても,どこまでできるかということについては難しい問題も含まれているということは理解できるところです。  ただ,抽象的というようなことではなくて,もっと具体的な危険――閲覧されることによって具体的な危険がある,守られるべき利益があるという事態――例えばDV被害やストーカー被害などといった問題が発生した場合には,その方に対する情報は秘匿する,公開しないという制度があってもいいだろうと私は考えております。  これについては,総務省も,現在,そのような考え方でいるようですけれども,条例によって制限を課していきたいと基本的には考えております。そこで,DV被害者の場合,どのようなことがあった場合にどうすればいいのかということがありますけれども,既存の制度と同じようなものということで考えるならば――例えば離婚する際に,紛争中であるにもかかわらず,勝手に離婚届を提出してしまう配偶者がいるときに,6カ月間という期限付きですけれども,それを防止するために離婚届を受理しないようにする届出が,現在,できることになっております。ストーカーの被害に遭っている方,あるいはDV被害に遭っている方については,立法技術的にはそれと同じようなことができるのではないかというイメージを,現在,持っているところです。  次に,選択制についての最終結論を出す時期について,これは,いつごろ,どのように考えているのかということについてですが,私は,この問題については最終結論というものがあり得ないのではないかと思います。というのは,問題が次々に発生してくるものだと思うからです。現在,私どもは,この問題についてこうだと言えるかというと,非常に流動的な要素がたくさんがあって,しかも,コンピューターの技術と追っかけっこをしなければならないという事態にはまり込んでいる――そのような議論でもあるわけです。ですから,私は,いつまでに結論を出すということについては,なかなか難しいのではないかと思っております。  選択制があり得るのかどうかということについての結論に特化して申し上げれば,いわゆる法制度としての選択制というものは初めからないわけですから,その認識についてはそのとおり申し上げることはやぶさかではありません。  そして,市民が,私の発言に対して,選択制というものが現実にあると誤解して,どうしてそのような制度があるのにやらないのだという混乱が生じているとすれば,それは私の本意ではありませんので,その点についてしっかり情報を提供していきたいと思います。  次に,本市独自の侵入実験可能性についてですが,長野県がだめであれば本市が独自で実施するといったときに,長野県の実験を超える実験を本市だからできるという保証は,おそらくないだろうと思いますので,また,いろいろ違うことを考えなければならないのではないかと考えております。  次に,個人情報の改ざんの可能性について,陳情者を初めとする市民が心配しているけれども,どう考えているのかということについてですが,私は,まさにそこが問題だと思って――この問題の一番の問題は,A市からB市に入っていく――その改ざんの可能性です。  担当職員が自分の自治体の情報を改ざんすることは幾らでもあり得ることだと思います。あってはなりませんけれども,やろうと思えばできることです。これは,セキュリティーポリシーというか,倫理によってしっかりと,あるいは罰則を科すことによって,そのようなことが起こらないように私どもは取り組まなければなりません。  しかし,ほかの自治体等から侵入されるなどのことによって,本市の情報をぐちゃぐちゃにされるようなことがあり得るかということについては,現在,長野県でも実験しているところですので,その意味では,このようなものを容認できないという立場で,この問題の重大性を認識しながら,現在どのようなことが可能かということをお話しさせていただいているところだとご理解いただきたいと思います。  次に,国の制度なので,本市が原告になり,国を被告にしてこの問題についての訴訟を起こす気概はないのかということについてですが,訴訟形態としては極めて難しいと思います。これはへ理屈かもしれませんけれども,私は,第一には,訴訟という形態ではなく,法律を改正する運動によるべきであろうと考えております。  具体的な侵害行為――法益が侵害されたという事件になった場合には,あるいは,本市が国を被告として訴訟を起こすということはあり得るかもしれませんが,法律を変えてほしいという趣旨による訴訟行為は原則的にはないと私は理解しております。  次に,他の自治体は余り乗り気ではないのではないか,様子を見ているのではないかということについてですけれども,私もおそらくそうなのだろうと考えております。  この問題について,これだけ長野県あるいは横浜市の動きについて新聞等により何度も報道されていて,自分たちが責任を持つ中で,みずからの住民に対する情報に無関心である首長は一人としていないと私は信じております。みんな,どうすればいいのだろうかと困っている――その上で,長野県が先頭に立って,そのような実験を実施したり,総務省と渡り合ったりしているということを,かたずをのんで見守っているということが現状であろうと考えております。  そして,私が耳にしているのは,本市の場合,住民基本台帳ネットワークシステムを構築するためにおよそ10億5,000万円のお金がかかった,そして,セキュリティーコストというか,ランニングコストに毎年およそ1億5,000万円かかるということが本当に見合うのかということについて,本市のような規模の自治体だから――これだけの人口がいるから,そこそこ耐えているけれども,小規模な自治体にはそのような財源が本当にあるのかということで,極めて重大で深刻な悩みを首長たちが抱えているということもよく聞いております。  だからといって,そこでセキュリティーに対するコストを欠いてしまった場合には,それこそシステムの危険なポイントが幾つもでき上がってくるということになりますので,そのような意味で,費用対効果の問題――セキュリティーの質を常に保っておかなければならないために投資するお金が,国が言う便利さに見合うお金なのかということについては,本当に考えていかなければならないことだと私は考えております。 ◆小田信孝 委員  費用対効果の問題については,まだ始まったばかりですし,今後,この住民基本台帳カードセキュリティーが保障されれば,このカードにいろいろな付加価値をつけられるようになって利用価値がだんだんと高められていくと思うのです。電子政府と言われているものは,まさに,そのようなことを前提としており,そのあらわれとして今スタートするものが住民基本台帳ネットワークシステムなのだろうと私は考えております。セキュリティーさえ確保されれば――いろいろな実験などによりある程度落ちついて信用が高まれば,カードについても利用価値が高まって,私は,費用対効果という問題についての評価が変わっていくと思います。そのことについては,私は意見として申し上げておきます。  12月に,個人情報の改ざんの可能性について一斉に報じられました。  そこで,前回の総務委員会でも,セキュリティーについて,ファイアウォールが三重になっているから心配ない,万が一の場合は,24時間監視ではないけれども,ある程度の時間単位で侵入したかどうかが判明するからきちんと管理できるという説明を受けております。  この改ざんの可能性については,これだけ大々的に報道されておりますので,市民には――もしかすると,自身の特有の情報を改ざんされてしまうのではないかという心配があると思うのです。これについては,現在のところは実験できないわけですから,最終的に改ざんできるかどうかという話にはならないのですけれども,本市としては,現在のところ,報道されているような個人情報の改ざんの可能性について,きょう,この委員会の席上で,セキュリティーの担当者から,改ざんの可能性があるのかどうかということをきちんと示していただきたいと思います。  最後に,住民基本台帳ネットワークシステムに絡む独自の条例についてですが,横浜市では条例案を議会に提出しており,その中で市長の責務もきちんと規定しております。そこで,このような条例の制定についてはどのように考えているのか,お伺いします。 ◎高本 市民局長  住民基本台帳情報の改ざんの可能性についてですが,本市に関しては――昨年実施した長野県の実験の中で,県内の一部の町村が庁内のLANとつながっているという状況の中で改ざんの可能性があるということでしたけれども,本市では,平成元年から住民基本台帳を電算化しており,いわゆる4情報のほかに,本籍や前住所,世帯主などといった13の情報について独自のシステムがあります。今回の住民基本台帳ネットワークシステムについては,その独自のシステムとは別のシステムをつくり,住所,氏名,生年月日,住民票コードとその変更情報のいわゆる4情報については,その別のシステムが全国と接続しているという状況です。したがって,今回の長野県の実験の中で,A市からB市へ不正に侵入できるのかどうかということがはっきりしないということで合同の実験を要請したわけですけれども,もしそのような可能性があるとすれば,本市の場合は,改ざんというよりは,その4情報が流出するという可能性があります。  ですから,データ内容の改ざんについては,職員が悪意を持って行うとすれば別の話ですけれども,それ以外は,住民基本台帳ネットワークシステム上で情報が改ざんされることはありません。 ◎上田 市長  独自の条例を制定する考えはあるのかということについてですが,もちろん,先ほどのDVあるいはストーカー絡みの問題については条例化を考えております。  それから,有事の際の住民基本台帳ネットワークシステムの切断の要件や手続といったことについては,条例がなければできないということではありませんが,住民基本台帳法第36条の2の規定をより具体化するという意味で――あるいは市民に,そのようなことがあるのだということをしっかり理解いただくというような趣旨から条例化も含めて検討していきたいと考えております。 ◆小田信孝 委員  個人情報の改ざんの可能性についての市民の心配は――日常,新聞,テレビを見ておりますから――新聞においては相当大きな活字で報道されており,また,テレビのニュースに関しては市民はもう相当な量でインプットされております。市民局長の答弁内容については――現在のところ,このような前提だから大丈夫だということを,例えば広報さっぽろなど,市民に提供できるいろいろな媒体を活用して,新聞報道ではこのように言われているけれども,あるいは,いろいろなマスコミではこのように言われているけれども,実際は,前提としてこのようなことだから心配ないということをきちんと情報として示す――市民にきちんと広報していただきたいと思うのです。  心配ばかり,雨のように降ってくるのです。こうなるのではないか,ああなるのではないかと非常に心配が多いのです。そこは,皆さんから,このような状況なので心配ない,現時点ではこうだという説明があれば,また,市民のもある程度安心する,落ちつくということになるのではないかと思いますので,そのような情報提供についても,もっと具体的に,量的に拡大していただきたいと要望します。 ◆高橋克朋 委員  先ほどのやりとりの中で,市長は,法改正なくして選択制ということはできないと言っておりました。選択制という制度があれば,おそらく,上田市長は当初から選択してきたのだと思います。しかし,一方で,市長はこれを公約として掲げてきたことも事実です。そこで,法改正なくしてできないということは,市長になってからわかったことなのか,あるいは,市長になる前から,このことがわかっていて現在のような形になったのか,お伺いします。 ◎上田 市長  選択制という言葉の意味合いを正確に限定的に申し上げるならば,それは現実に法律に規定がないわけですから,法改正なしにはできないということを先ほど申し上げたものです。  私が選挙の際に申し上げていたことは,札幌市というものは,既に平成14年8月の1次稼働の段階で接続しているという条件の中で何ができるのかということです。自分の意思に従って接続しなくてもいいという状況ができるための方法として,横浜市などの例があるということを申し上げていたわけです。それと同じような状況にするためにはどうすればいいかという議論をさせていただいているわけです。  ですから,それを称して,いわゆる選択制,事実上の選択制というようなことは法改正しなくてもできる――そのような可能性を探ること自体はできそうだという前提の中で申し上げていたものとご理解ください。 ◆高橋克朋 委員  横浜市の例など,いろいろありましたけれども,本市の場合は,既に平成14年8月に接続してきた経緯があるのです。  市長は,先ほど答弁の中で,前桂市長の時代の――前の議論はよくわからないと言ったのです。それでいて,あえて選挙公約としてこの選択制を掲げたことは,市長としての認識が甘かったのではないかと私は言わざるを得ないのですが,その点についてはいかがですか。 ◎上田 市長  どのような議論があったのかわからないと言ったのは,議事録を見ていないという意味です。議事録は市民に示されておりません。見ようと思えば見ることができたかもしれませんが,私はそれを見ていないという趣旨です。  それから,市民が一番目にする広報さっぽろには,私は住民基本台帳ネットワークシステムに関する記載を見つけることができなかった。どのような議論をした上で,あるいは,このシステムの問題性について議論を交わして,そして,議会での議論の上でこのシステムに参加したというようなことは私は知らないと言っているわけです。  ですから,前の桂市長が接続したということについて――接続すること自体に市民がどのような意見を持っているかということについて議論を呼びかけたのかということを知りませんので,私は,素直に,法律家としてもこの制度は問題があるという,自身の考えを述べたということです。 ◆高橋克朋 委員  公約としてあるならば――法改正なくしてできないわけですから,例えば法改正を求めていくというようなことが本来の形ではないかと私は思うのです。  同時に,現時点で選択制ということは厳しいという市長の答弁がありましたけれども,抽象的な問題だったらと――これは判断の基準です。判断の基準の中に,結局,選択制を選ぶとすれば,現時点では接続を全部切らなければ選択制ということはあり得ないのです。そうすると,具体的な事例がなければ市長選択制ということができないということになると思うのですけれども,この点についてはいかがですか。 ◎上田 市長  それで結構です。私の現在の認識はそのようなものです。 ◆小林郁子 委員  住民基本台帳ネットワークシステムの問題は,技術上の,あるいは法律的な問題や,またプライバシーという人権の問題もあるものと考えております。  まず,技術上の問題の中で,長野県の行った実験がありますけれども――長野県も自治体として責任を負っている分野の安全性の確認ということで実験を実施したわけです。そのような意味で,安全性の確認ということですけれども――前回の総務委員会において示された図があります。その中で,私もどこがどうなっているかという質問をして,本市の場合は――この図で言えば1ということで,外部からインターネットを利用して侵入されることはまずできないようになっている――システムとしてあり得ないということです。それから,2として書いてあるように,庁内LANから――要するに既存の住民基本台帳システムなどから侵入されるというようなことにもなっていない。そしてまた,ファイアウォールが3つある中で――長野県では,ファイアウォールを通過しながら,CSサーバを通って,最後のファイアウォールを通過する可能性がある――そのような最後のファイアウォールを通過する可能性のところで,その前に電源を落とすなどという対応をすれば,地方自治情報センターから,何か異常があったかという連絡が来る。不正な情報を流してもわからないのではないかと長野県は言っているのですが,前回の委員会における答弁では,不正な情報が流された場合にはわかるということでした。  そのような意味では,極めて万全なように聞こえるのです。そうであるとすれば――現在,本市が実験を行いたいと言っているわけですけれども,その実験について,きょうの朝日新聞の記事によると,総務省に長野県と合同で実験を行ってほしいと要請したところ,総務省は,そのつもりはないということでした。
     そうであれば,毎年やっている調査を――昨年は品川区において総務省実験を実施したわけですけれども,その実験を2004年度には本市で実施してほしいと要望しているということが書かれておりました。この要望については,総務省との関係で,現在,どのようになっているのか,お伺いします。また,本市が独自に実験するということになれば,どの部分について,どのような実験をしようと考えているのか,お伺いします。 ◎高本 市民局長  総務省との関係についてですが,住民基本台帳ネットワークシステム対策会議で出た問題――総務省の見解と長野県の見解が相違している部分について,合同で実験を行ってほしいということで,2月6日に総務大臣あての市長名の文書を持って総務省を訪問しました。そして実務上の責任者である市町村課長にその文書を渡してきたわけですが,その時点では,まだ長野県の実施した実験の最終報告がなされていないということもあって,それを待ってからコメントしたいという話でした。  そのような中で,現時点では――これは,既に総務大臣や事務次官が談話という形で発表していることですが,国の所管する部分における実験については,総務省も責任を持って実験を行うということです。いずれにしても,現時点では,長野県と総務省合同実験ということは極めて難しいと私どもは理解しておりますけれども,最終的には,総務省のコメントを待って次の考えに進もうと考えております。  前回の中間報告において,その合同実験が行われないということであれば独自の実験も検討しなければならないと申し上げておりますけれども,いずれにしても,現在,問題となっていることは,都道府県サーバに対する実験ということもあって,国あるいは北海道の同意が得られなければ,本市独自の実験はできません。  そのようなことについては,今後,総務省にもさらに申し入れを行っていくことになりますけれども,具体的にどのような実験を行うかということについては,きょうの新聞でも報道されていたようなことも一つの選択肢としてはあるのではないかということで――具体的には,今後,対策会議において本市独自でどのような実験を行うかということについて協議し,市長とも相談をしながら進めていきたいと考えております。 ◆小林郁子 委員  最終的には,本市独自で実験を行うかもしれないということがあるのかもしれませんけれども,そのときに,長野県が経験していることとして,実験を行うときに,実験期間はいつからいつまでということなどを途中で総務省は公表しているのです。ということは,長野県は自身の責任管轄範囲のことだから,いつからいつまで実験して,最終的にどうしようということを自身で決めているわけです。ですから,総務省に途中でそのようなことを公表されると,ある意味で危険なことが起こるわけです。  そのような総務省の態度――実験すらも認めないというようなことについて,もし本市が実験を行おうとするときに毅然として総務省に意見することができるのかどうか――そのような決意のほどをお伺いします。  それから,法的な問題になりますけれども,住民基本台帳事務というものは地方自治法上,自治事務ということです。にもかかわらず,法務省は,選択制はだめだということなど,いろいろ言っているわけです。実際は各自治体が責任を負わされていて,事故があれば,その損害賠償責任は各自治体の長にあるわけです。責任があるところには,当然,権限があってしかるべきだと思うのです。  そこで,この事務が自治事務であると言われていることについて,市長はどのように認識しているのか,お伺いします。  もう一つ,法的な問題とあわせて,プライバシーという人権に関する問題が住民基本台帳ネットワークシステムにはあるわけです。先ほど杉並区の例が出ました。杉並区は本市と逆です。現在は不参加の状態で,これから接続されたくない人を除いて接続する――システムに接続したいと総務省に言っているわけです。そして,総務省がそれを認めないと言っているわけです。杉並区はそのように表明をするに当たって,51万人以上の全区民に調査を実施して,接続を希望しない方には申し出てもらっているわけです。そのような中で,16.85%の方が自分の情報はシステムに載せないでほしいと答えております。  そしてまた,横浜市の場合は,現在24.36%の住民が自分の情報は載せないでほしいと言っている。つまり,約4人に1人が接続を望んでいないという状況があるわけです。本市で,これから選択制にしようというときに申し出てもらえばどの程度のパーセントになるかということはありますが,プライバシーの問題としては――国で,現在,約300項目の事務においてこのシステムを使用することができるようになっているわけです。しかし,それらの事務については横の連携をしてはならないことになっているから単体で使うということです。それが,法律を改正さえすれば,それらを全部つなぐことも可能で個人をトータル的に把握できるようになる。ですから,全く知らないところで,自身の情報がいろいろなところに使われていく社会になる――そのことに対する危機感というものが大きいのだと私は思っているのです。  そのような意味で,杉並区が提訴しても……ということが先ほどから出ておりましたけれども,提訴することによる効果について,市長はどのように考えているのか,お伺いします。 ◎高本 市民局長  今後,本市が独自で実験を行う場合,その手法については――いずれにしても国や北海道の同意がなければならないのです。そのようなときに,国に対してどのような姿勢で臨むかということについてですが,今回,長野県と総務省の見解の相違について合同実験を要請した本市のねらいは,個人情報セキュリティーに対して不安を持っている市民の不安を解消してほしいということです。そのことについて強く申し上げてきたわけですけれども,総務省においても,その件については,今後,IT社会の推進,あるいは電子政府の実現に向けて,全く同じような認識を持っていると理解しましたので,国が実験を行うにしても,私どもと合同で実験するにしても,市民が納得できるような方法で臨んでもらいたいということを,これからも粘り強く訴えていきたいと考えております。 ◎上田 市長  住民基本台帳を管理し,それを運用するということは,まさに自治事務ですので,そのすべての責任は,本市においては私が負い,また,その運用に対する権限も札幌市長が負うという形になっているわけです。したがって,その責任と権限を持った人間が,その運用について危ぶまれたり――住民のプライバシーが守られないことがあり得るという事態を想定した場合には,それを回避するために最大限の努力をするべきであるということは当然のことだと思います。  その意味で,今回の総務省との実験という問題についても,総務省からやりましょうと言われて,総務省が自分のところは安全だと納得させるためのメニューで行うのではなくて,やはり,本市がリーダーシップを持ち,このような科目で,このような方法で,このような人員で,このようなスタッフで実験を行うのだと――総務省の用意したメニューでは困りますと言える内容でなければ実験の意味がないと思うのです。そのような意味で,自治事務という観点から言えば,リーダーシップ,イニシアチブはこちらになければならないと私は認識しております。  次に,提訴による効果の認識についてですが――まず,プライバシーについては,言うまでもなく,憲法第13条によって保障されている基本的人権ですので,それを最大限に尊重していくことが市政を運営していく中で重要なことであると認識しております。  そして,杉並区が横浜市と同じような扱いを受けないことに対して訴訟を提起するという情報を新聞紙上でちょうだいしておりますが,これは,訴訟形態としてなかなか難しいところもあるかと思います。憲法第14条にうたわれている法の下の平等に照らした時に,そのような自治体間の差別的な取り扱いについて,裁判所がどのように判断するかということも法律的には興味深いところがあります。杉並区の16.85%の区民が接続してほしくない,残りの方は接続してほしいと言っているところで選んだ方法を,国が一切まかりならぬということはいかがなものかという気持ちは,私は理解できないわけではありません。 ◆小林郁子 委員  正面を切って総務省選択制をということを求めれば,なかなか認めてくれないことはあるのですけれども,そのような中で,横浜市がとった方法というものは便宜的な選択制ということです。全員接続しているけれども,望まない人の情報には印がついていて,職権消除という状況になっているわけです。  そのようなことを考えると,本市の対応として,現実的にこのようなことはできないのか――検討の余地がないのかと思うのです。国立市や矢祭町のように完全に接続していない自治体はあるのですが,横浜市のように,接続はしているけれども,その一部の住民の情報が職権消除になっているというような場合に,このシステムをつくることによるメリット――例えば,年金の調査のときに,住民票を取りに区役所などに行かなくてもいいということなど,いろいろあります。  横浜市の場合には,接続している人としていない人がいるわけですから,どうしているのかと思えば,接続していないのと同じような状況――要するに従来どおりやっているということです。つまり,市民の理解を得ながら,従来どおりに窓口で証明の交付を受けてもらっている。ただ,パスポートのようなものになると,接続している人の分は自動的に発行できる――そのようなやり方になっているようです。  そのようなことを考えると,従来やっていたところに少々戻るわけですけれども,そのような理解を得ながら,本市でも,職権消除のような――一部の接続を望まない人の情報については職権で消除する。しかし,本市の住民基本台帳にはきちんとのっているというような方法ができないのかどうかということを,検討したことがあるのかどうか,お伺いします。  それから,今後の安全性に関してですけれども,東京都の狛江市では検証会議というものを設けているのです。法律家や技術者,それから行政の専門家も参加して,このシステム安全性がどうなのかということや,システムの運営管理について常に検証する会議を設けているということなのです。本市においても,そのような機関も必要ではないかと考えますがいかがか,お伺いします。 ◎高本 市民局長  横浜市の状況について説明しますが,横浜市は,平成14年8月5日の1次稼働の段階では接続しておりませんでした。それを,選択制の導入――要するに市民の選択にゆだねるということで,国が検討・協議してきましたけれども,法制度上,そのような制度がないという中で,便宜的な措置として,国と神奈川県とLASDEC――地方自治情報センター――との協議のもとで,近い将来,全住民分を接続するという前提のもとで事実上の選択制という手法をとったものです。その電算上の処理については,委員のおっしゃったとおり,職権消除という印をつけて,画面を見ればその方がわかるというものです。  現在,住民基本台帳ネットワークシステムについては,その情報を国や北海道が使うか使わないか――要するに市民が,例えば年金については1年に1回,現況届の提出を義務付けられており,そのときに従来は住民票が必要だったわけですが,それが,年金担当の機関でその人が生存しているかどうかということを住民基本台帳ネットワークシステムを利用して確認する――先ほどからメリットのことについては余り話が出ていませんでしたけれども,そのようなメリットがあります。  そのような状況の中で,横浜市は,職権消除の印がある人については,住民票をあえて本人に持ってきてもらうということで――先ほど言った三者の合意のもとでそのような形式をとっております。杉並区がまさに今,そのような横浜方式での接続を行おうということで動いておりますけれども,それについては,現在のところ,国も東京都も認めていないということです。  いずれにしても,電算上の便法としてはそのような方法があります。しかし,横浜市がそのような状況になってから――国からも通知がありましたが,各自治体において,ある人の情報については職権消除している状況ということであれば,その自治体全体の情報が正確ではないということで国や北海道では全くそれを使わないという状況です。ですから,仮に本市が対外的に宣言してそのようにしたとすれば,現在接続している方の情報もおそらく使われなくなるのではないかと考えております。 ◎石原 地域振興部長  庁内における検証会議設置に対する認識についてですけれども,委員のおっしゃる検証会議については,私どもは詳しい情報を持っておりませんので,どのような機能を持って,どのようなメンバーで構成されているのかということについてはわかりかねます。  ただ,システム全体についての検証作業というものは常に行っていかなければならないと思っておりますし,住民基本台帳ネットワークシステムでは,それぞれの管理する部分がありますから,その立場の中で検証していく作業については,これまでも行ってきておりますし,これからも行っていく必要はあると考えております。  その場合に,どのような体制でやるべきなのかということについては,先ほど住民基本台帳全体に関する条例の関係のお話もありましたけれども,そのような中で,今後,検討していけるのではないかと考えております。 ◆小林郁子 委員  職権消除については,確かに,市民の理解を得なければできないことだと思いますけれども,いろいろな手法を検討すべきではないかと私は思っており,そのような意味で申し上げたのです。  また,東京都の狛江市の検討会議の場合には,市役所外部の委員で構成しているということです。ですから,そのようなものも必要ではないかということを,ぜひ検討いただきたいと思います。  いずれにしても,物すごい費用をかけたシステムです。しかし,現場の――区役所の担当職員は――人員も含めて従来と同じ体制なのです。そのような中で,このシステムが導入されて膨大なマニュアルが来て,それを見ながらやらなければならないのです。そのような意味では,精神的にかなり負担がふえたという声を聞きます。本当に,市としても大変な事務を負っているわけです。  そのような中で,市長選択制を何とか導入したいということを表明しておりますので,これからその方向に向けてあらゆる道を探っていただきたいということを要望して,終わります。 ◆松浦忠 委員  私は,昨年の7月の市長就任直後の補正予算の際に,この問題について市長と質疑を交わしました。コンピューターというものは,もう言わずもがな――アメリカで開発されて以来,できたものを知恵のある者が破っていくというイタチごっこがずっと続いているわけです。先般も,京都大学の研究員が,国の言う安全というものがどの程度かということで実験してみると,極めてお粗末だったと逮捕されたときに本人が述べているわけです。京都大学の教授会も,これが果たして逮捕に値するのかどうかということを言っているわけです。これは,コンピューターばかりではなくて――科学技術というものは,法律で規制すること自体がおかしなことだと私は思っているのです。そのようなことがあって,科学技術というものは進歩してきているのです。  それからもう一つは,国は,不正アクセス禁止法の第8条で50万円以下または1年以下の懲役刑という罰則を設けております。それほど信頼できるシステムであれば,このようなものは要らないのです。市民局長が先ほど小田委員の質問に,札幌市の安全だなどと答えておりました。それほど安全なものであれば,このような罰則など要らないのです。安全ではないから,罰則をつくって,何とかみんなやらないようにと言っているのです。  私は,今,憲法の第12条,第13条,それから財産権に関する第29条をもう一度よく読み直してみました。そうすると,憲法で定められている基本的人権が侵される可能性のあるようなものを市長が導入することについては――市町村長というものは,憲法に書かれていることを実際に単位区域内の住民の権利を擁護するという立場にあると私は思うのです。そのような観点から考えれば,市長選択制ということを求めることは当然です。  私は,法律というものは,国民を保護するものと,もう一つは規制するものだと思っているのです。先ほどの市長の答弁を聞いていると,現状肯定論に立っている部分があります。私は,市長が基本的に持っている,選挙のときに掲げていた考え方は間違いではないと思っているのです。したがって,私はここで,一つは,国にはきちんと本市からメニューを示して,具体的にこのような方法で実験を行おうではないかと呼びかけていくべきだと思います。  もう一つは,市民に対して,国はこのように安全だと言っている。しかし,このような危険性があると,その危険性もきちんと併記して,そして,先ほど私が指摘したこの法律の矛盾点――安全だと言っていながら,罰則を設けているという矛盾点を,市長としては可能な限りの方法を講じて市民に知らせて,その上で市民が国に対してこのような法律は改正しなければならないといううねりがわき上がるように誘導することが,私は市長の責任だと思うのです。  私は前期においても議員を務めておりましたけれども,前の桂市長については,はっきり言うと,そのような認識はさらさらなかった。ただ,国がやることについては全部やるのだという姿勢でした。それから,市民局長以下――ここに並んでいる皆さんも,国に逆らえば地方交付税交付金が削られる,交付金で嫌がらせを受ける,補助金事業で嫌がらせを受ける――せいぜいこの程度の認識なのです。  したがって,私はいつも言っておりますが,市長は,確かに部下を信頼をしなければならないけれども,日常的に信頼して任せる仕事と,今まで市役所がやってきたことで,自身が市長になる前に,札幌市はこれではだめだ,やっぱり自分が市長になって,ここの部分はこう変えなければならないと考えていた一番基本の部分はきちんと取り組んでいくべきだと私は思うのです。先ほどの答弁を聞いていると,何となく法律の現状肯定論に立ってと――軸足がずれてしまっているような気がするのです。軸足は,現状肯定論ではなくて,現状に問題ありということで両論を併記して,市民がわかるような情報を提供して,例えば市民の意識調査を行うにしても,その上で行うのでなければだめだと私は思うのです。  まず,市長はその点についてどのように考えているのか,お伺いします。 ◎上田 市長  現状肯定論とおっしゃいますけれども,現状肯定論であれば,このような議論は私はしません。まさに,現状に対して疑問があり,問題があると思うからこそ,どうすればいいかと議論しているのですし,多くの方の意見もちょうだいしているところです。  ただ,オール・オア・ナッシングの議論――これがこうだからこうでなければならない,この選択しかないのだというようなことも,また非現実的な議論だと私は思います。その上で,現在,与えられている条件の中で,どうすれば,どこまで,どのようにできるのかという議論を尽くすことが,おそらく,私は民主主義社会における人間の知恵であるのだと思います。  そのような意味で,確かに,不正アクセス禁止法というものがあることは,まさに不正アクセスされることを前提にしなければその法律は成り立たないわけですので,当然,コンピューター社会の中で不正が行われることが前提になっております。絶対はないということです。  前総務大臣は,当初は絶対に大丈夫だと言っておりましたけれども,その後,絶対というものはないのだということを大きな声で言い直しました。これは当然のことです。私は,絶対ということを言ってはならないと思います。そのような危険の中にあって,私たちは利便性とプライバシーの危険性は,本来,はかりにかけてはならないはずのことであるけれども,かけざるを得ない状況の中で,どれだけプライバシーを守っていくことができるかということを,私たちはこの文明社会の中でやっていかなければならないということを迫られているのだと思います。私たちが自分で選び取ったものではないのですけれども,それを完全にだめだと言って拒否して社会が成り立つかというと,まだそこまでは来ていないのです。そのような選択肢がないという上でどうするかというようなはざまの中で,行政責任者として最大限の努力をしていかなければならないと私は認識しておりますので,現在,そのような立場で答弁させていただいているところです。 ◆松浦忠 委員  現在,自衛隊のイラク派遣をめぐって,東北の元自衛隊の幹部であった市長の職にある方が,政府見解とは異なり,派遣すべきではないと言って,盛んに全国民に訴えております。私は,選挙で選ばれた市長の立場というものは,そのようなものであるべきだと思っているのです。  したがって,今,この行政事務を――既に接続したものを切断するということはできない――訴訟も,率直に言えば,憲法と照らしてどうなのかということがいろいろありますけれども,私は,訴訟議論ではなくて,札幌市民に,国民に,もっと認識を深めてもらう,そして法改正に向かっていくということが大事だと思うのです。そのためには,札幌市というものは全国で5番目の大都市ですから,その札幌市長がどう物を言うかということは,ある面では,このように――きょうも朝早くからテレビが来ているように,マスコミが注目して全国に情報を提供してくれるわけです。全国民に教材を提供してくれるのです  そのような意味で,私は,市長が,この法律危険性,それから,電子政府の中でやるべきものと取り込んではいけないもの――基本的に憲法で保障されているようなこのような事務は取り組むべきない。しかし,単純なものについてはいいというようにきちんと区別して,もっとわかりやすく市民に明確に示すべきだと思うのです。  そのような点では,市長就任以来,市民に対して,住民基本台帳ネットワークシステム危険性,それから利便性という両論併記のわかりやすい説明というものはなかったと私は記憶しているのです。この点について,これから市長はどのようにしていこうと考えているのか,お伺いします。 ◎上田 市長  委員のご指摘を待つまでもなく,私も,これまでの住民基本台帳ネットワークシステムに関する広報というものが欠乏しているということは認識しております。  そこで,広報さっぽろ3月号に,今まで本市は住民基本台帳ネットワークシステムの何にこだわっているのか,何が問題なのかということをわかりやすく解説し,総務省はこう言っている――両論併記といいますか――それから現状,問題点といったもの――これは説明することが技術的に非常に難しいところもありますが,そのことをきちんと説明する広報誌を出そうということで,現在,準備しているところです。 ◆松浦忠 委員  私は,住民基本台帳ネットワークシステムに関する広報は,最低でも見開き2ページ程度を使って,年間通じて,市民からの疑問に答えるということを徹底してやるべきだと思うのです。これは国民の基本的人権が守られるかどうかという非常に重要な問題なのです。したがって,たまたま3月号ではそのようにすると言っているけれども,これからも継続して取り組んでいく意向があるかどうか,お伺いします。  次に,現在,いろいろな課題についてタウントークを行っておりますけれども,私は,住民基本台帳ネットワークシステムに絞ったタウントークということで,市長が出席した上での市民との話し合いの場を持ち,そして,この問題点市民がどう受けとめているか,その認識の程度を市長が直接知るということが大事だと思うのです。これはぜひ実施するべきだと私は思うのですがいかがか,お伺いします。 ◎上田 市長  もちろん,事あるたびに――住民基本台帳ネットワークシステム問題点が明らかになって,本市がとるべき対応が迫られ,その際に市民にご理解いただく必要性が出てきた場面には,当然,広報さっぽろ等で広報していかなければならない,あるいは,意見を募集していかなければならないということについては,基本的に委員のおっしゃるとおりだと私は考えております。  次に,タウントークについてですけれども,住民基本台帳ネットワークシステムだけを問題点として――特化してタウントークを行うかどうかということについては,そのような場面があるかもわかりませんけれども,現在のところ,そのようなことは考えておりません。住民基本台帳ネットワークシステムについての議論を話題の一つに入れること自体は,十分に検討していきたいと思います。 ◆松浦忠 委員  いずれにしても,私は,この問題については,市民はその危険性というものを十分に認識していないと思うのです。その中で,政府側が一方的に法律をつくって推し進めていく。そして,それを維持していくのにかなりの経費がかかるというような実態にあります。  国から金が来るからこれはいいのだ,あるいは,これは市民の負担だからだめだという話がよくありますけれども,国のお金にしても,どこのお金にしても,みんな私たち国民一人一人の負担なのです。したがって,そのような現在の問題点は,これだけ金をかけて――このような4情報ぐらいであれば国はこれほど金をかけるわけがないのです。やっぱり,次にいろいろなものを取り込んでいこうという思惑があるから国はやるのであって,その危険性市長市民に向かってきちんと伝えていく,広報もしていく,あるいは,問われなくても市長みずから市民との何かの会合のときには必ず話題に入れていく――タウントークなど市民と話し合うときには市長側から必ず話題に入れていくというように市民に啓蒙していくという姿勢が必要なのです。市民から問われれば答えるということではなくて,市長みずから市民に啓蒙していく,そして,市民の判断によって――主権者の意思を国会議員選挙などで反映させていくというような権利を市民がどう守るかということについての役割は,市長の大きな柱だと私は認識しているのです。  最後に,市長にそのことを求めたいと思いますが,いかがですか。 ◎上田 市長  ご指摘の趣旨はよく理解します。  これまで,いろいろなところで話してきたことは,目の前にある敬老パスの問題や,あるいは札幌駅前通地下歩行空間の問題など――語るべきことがたくさんあり,住民基本台帳ネットワークシステムについては優先順位が低かったというか――これは本当はもっと大きな問題であるということはご指摘のとおりですので,そうしなければならないということは十分理解します。これまでのタウントーク等では,選択しなければならない直近の政策課題などについて説明し,意見をちょうだいしてきた経過がありました。  これからは,住民基本台帳ネットワークシステムについても――ただ,これは非常に議論しにくいのです。目に見えないものですので,総務省もどのように説明するかということで困っているのです。というのは――私は総務省の担当者からも何度も聞いておりますけれども,国民に対して便利になると言っても,たかだかパスポートと,自分の住民票を旅行先で取れるというようなことしか言えないということで困っているのです。国から言わせれば,存否を確認できるという意味合いで便利です。現在,264項目もの事務をやれるということになっておりますけれども,現実には20項目程度にしか使っていないというような状況の中で,どんどんお金がかかっていくことについては,総務省自身も内心はじくじたるものがあることは間違いないことだと思います。私どもも,その問題点について話すときに,やはりリアリティーを持って話すことはとても難しいところもあります。  そのような意味で,この問題については,痛みというものを直接感じるということでもなく,ずっと想像力をたくましくしていくと,このような社会になって管理されてしまうのかと――そのような窮屈な社会というものをイメージできるようにならなければ,なかなか理解していただけないということも,問題の性質として内包しているということで,説明が難しいものと考えております。  そのような意味で,機会をとらえて,我々はこの問題をどのように認識すればいいのかということ,そして,今,我々は何を選んでしまったのかということを説明することについて,私は積極的な姿勢を持って取り組んでいきたいと思います。 ◆三上洋右 委員  市民は,政治,行政にわかりやすさを求めているわけですけれども,この住民基本台帳ネットワークシステムについては,昨年の第3回定例市議会において私は質問させていただきましたが,市長がどう言おうと,トーンダウンしてきたことは否めないと思うのです。  市長は,君が代の取りやめ,あるいはイラク派遣反対など,非常に歯切れよくびしびしと決断されるところはされているのです。ですから,私は,市長が選挙に出馬したときには,選択制の導入ということを本気で考えているのだと思っておりました。  しかし,市長に当選してみると――市長は,接続済みということも,離脱すればどうなるかということも法律家として熟知していたと答弁しております。それなのに,当選した直後はあたかも選択制を導入するかのような報道がなされておりました。それが,だんだん今のような答弁になってきたわけてですけれども,どうも振り上げたこぶしのおろしどころを探しあぐねて今日まで来たのではないかと私は思っているのです。  そうではない,今まで熟知していたと断言しているわけですから,違うのかもしれませんけれども,そうでなければどうも腑に落ちない,符合しないのです。この件に関しては,どうもこれまでの市長の歯切れよさがないのです。  わかっていて,それを公約としたのであれば,これは自治事務でもあるわけですから,市長が決断すれば切断できるわけです。しかし,それもしない。私は,この問題に限って言えば,ただ,いたずらに混乱,不安をあおっているような気がします。何についても完全に,100%,絶対ということはあり得ない。完全なものはないわけですから,不安というものはどのようなことにもあるわけです。この住民基本台帳ネットワークシステムに限ったことではないのです。  しかし,随分こだわっている。市長のそのお考えは,思想的なものがあって,取り扱いによっては大変なことになるということもわかっておりますけれども,市長は,そのようなことを感じているから選択制ということを表明しているということはわかりますが,どうも矛盾するのは,選択制ということをわかって――離脱すればどうなるか,あるいは,本市は接続済みだということをわかっていて選択制ということを表明していたということは――勘違いしていたのではないかと思うのです。既に接続しているということを知らなかったのではないのか――そうでなければ腑に落ちないところがあるのです。  もし,このシステムに接続していないという状況であれば,当然,選択制を導入したと思うのですけれども,まず,その事実を知っていたのかどうか,お伺いします。 それから,現在,住民基本台帳カード発行枚数が3,374枚ということで,非常に少ないのです。当然,導入した以上は利用してもらわなければなりません。しかし,市長が反対だということであればPRなどもできない。ぬるま湯につかったような状況でいるのでは,現場が一番混乱すると私は思うのです。  この際,わかりやすさということで市長の口から,選択制の導入は今はできない。断念。言葉として,今は断念した。しかし,将来的には――法律的にできるということになれば――クリアできる条件が整ったときには選択制の導入を考えますというように,私は割り切って言った方が現時点ではいいと思うのです。  現状は――新聞では,選択制当面見送り――議会側は事実上の断念と評価しているのです。私は,きょう,段々の話を聞いていて,ここでわかりやすくピリオドを打つ――市長の口から,現状では断念という言葉をはっきり言うべきだと思うのですが,いかがですか。 ◎上田 市長  事柄はさほど明快ではないと思います。もちろん,はっきりとしたわかりやすさということから言えば,三上委員がおっしゃるように総括する方が市民にとっては楽かもしれません。しかし,これは楽な問題ではないのだいうことを私は申し上げたいのです。そのような割り切れる状況ではないということを,私は,今まで2時間弱にわたって話してきたわけです。  選択制という言葉自体も――そのような制度を前提にした選択制ということを言っているわけでないということは当初から申し上げているわけで,事実上の,あるいは横浜方式というものを称して選択制と呼ぶなどというような形で申し上げてきたことが――新聞を見た限りでは,選択制という言葉がひとり歩きしたということはあります。けれども,前提になっている現象,事象としては,そのようなもので語るより他に方法がない――報道していただくしかないということです。私は,いろいろなところで話すときには,選択制と言うけれども,そのようなものは実際に制度としてあるわけではありませんので,事実上,そのようなことができるようにしていきたいということを申し上げてきているわけです。  また,断念,あるいは今はできないというような話は――もちろん,今すぐそのいわゆる選択制というようなことができるかと言えば,それはできないということになるのでしょうけれども,だから,今まで言ってきたことが違うのだということではないと私は考えております。 ◆三上洋右 委員  別に言葉遊びをしているわけでなく,法的に選択制という制度があるわけではないということは,市長も百も承知で選択制ということを打ち上げたわけでしょう。選択制ということを公約に掲げたわけでしょう。 ですから,選択制ではなく――それは各人が希望するという言葉になるのか,それはわかりませんけれども,総じて選択制――自分で選べるようにということについては,今みたいな議論をしているから非常にわかりづらいのです。理解できないのです。 ですから,私は,もしかすると市長は勘違いして――市長になってみて,これはもう接続しているから選択制ということは無理だということがわかったと――そのような間違いはだれにでもあるのですから,そのようなこともあり得るでしょう。  そのことが言えないとすれば,苦しいかもしれませんが,だとすれば,せめて,現在は導入断念――選択制はできないけれども,将来,法律を改正して――そのような市民のニーズ,不安にこたえられるように,自由意思で選択できるように活動を続けていく,あるいは,あきらめないで選択制を求めていくと表明するなど,きちんとした方がいいと思うのです。  先ほどのお話のように,上田市長は,まだやってくれているのだから,私たち市民が陳情すれば議会もそれに応じてと――そうではないでしょう。市長の今までの答弁でも,選択制ということはできないわけです。もちろん,市長が決断すれば別ですよ。  私は,あえて言うならば――逆説ですけれども,市長は,公約に掲げて本当にそう思っているのであれば,ここで切断して,どうですかと市民に尋ねる――そうすべきだと思うのです。それができないとすれば,これ以上,市民を混乱させずに,わかりやすさをきちんと提供する。そのためには,現状ではできないから断念する。しかし,将来――選択制はあくまでも自分の考えとして持っているのだから求めていくとはっきり言った方がきちんとけじめがつくのです。 ◎上田 市長  住民基本台帳法の改正があった数年前以来,この問題については,私は法律家として認識しております。特に,平成14年8月の1次稼働の間近になった段階で,幾つかの集会を組織したり,そのようなものに参加したり,そこで話したりというような活動を行ってきた経過があります。そして,接続して,2次稼働までの間に市長選挙があったわけですので,そのような住民基本台帳ネットワークシステムの問題性がますます明らかになるというような認識のもとで,選挙も戦ったのです。  その中で――接続しているという状況の中で何ができるのかということになると――もう接続しないという選択肢はないわけですから,そうすると,接続したものをどうするのかという次の議論になります。はっきりしたわかりやすさといえば,切断することが一番いい方法だということはそのとおりだと思います。  ただ,それは,抽象的な危険性ということだけで切断できるかという認識をまた持たなければならないというところでの話です。要するに,コンピューター社会の中で,住民基本台帳ネットワークシステムというものはそもそも限界があって,セキュリティー管理というものはイタチごっこでやっていかなければならないようなものだから使わないのだと――一度接続してしまった中でそのように言い切れるかどうかという問題なのです。そのような悩みの中で出てきている話なのです。  ですから,わかりにくいと言えばわかりにくいのかもしれませんけれども,それは,市民全員が悩まなければならない問題だと私は考えております。 ◆三上洋右 委員  これは前と同じで――昨年の第3回定例市議会のときも堂々めぐりで平行線でした。  住民基本台帳カードの発行,取得についてですが,このようなシステムでこうなっているというPRをこれからする考えはあるのかどうか,お伺いします。  それから,これ以上はやめますけれども,今のように市長の話は非常にわかりづらいのです。苦しい胸のうちはわかるけれども,それでは,どうして選択制ということを公約に掲げたのか。それから,当選後に選択制を導入するかのような発言をなぜしたのかということについては理解できないのです。(発言する者あり)  ですから,市長にはきちんと答える責務があると私は思うのです。それを今のような答弁で,住民基本台帳ネットワークシステムは国が法律や,あるいは態度を変えない間は同じことをずっと言い続けていかなければならない。人間は永久にそのようなものなのかもしれませんけれども,首長としては立場が違うわけですから,評論家が一般論で言っているようなことでは済まないと思うのです。そのことについてはどのように考えているのか,お伺いします。 ◎上田 市長  私は,選択制を導入するというところまで断言したつもりはありません。導入することを検討すると言ったのであって――おそらく,どこでもそのように言っていると思います。制度があれば導入するという言葉でいいのですけれども,ないところでそのような工夫をしようというわけですから,導入することを検討すると必ず言っていると思います。そのようにご理解いただきたいと思います。  それから,この問題は,首長として立場が変わったのだからはっきりするべきというお話についてですが,これはなかなか難しい問題です。首長としては,憲法第13条の問題も含めて,住民のプライバシー情報に対するセキュリティーについて,常に考えていかなければならない立場にありますので,いい方法があるということを見逃さないように,いつでも対応できるように,感覚を鋭くしておくことが必要だと,私は心得ております。 ◎石原 地域振興部長  住民基本台帳カード発行に関するPRについてですけれども,カードの発行自体を取り上げてということはなかなか難しい部分があるかもしれませんが,――先ほど広報さっぽろの3月号で住民基本台帳ネットワークシステムそのものについてのPR等をしていくということを申し上げましたけれども,当然,その中でもカードについても触れていきますし,今後,そのような機会があれば,対応していきたいと考えております。 ◆三上洋右 委員  私は,段々の市長の答弁,お話の中で,この住民基本台帳ネットワークシステムの問題についてはどうしても腑に落ちないのです。選択制を導入するとは言っていない,導入を検討する――制度もないのだからと言いますけれども,私はそのようには思いません。市長は本当に選択制を導入するつもりだったのだと私は思っているのです。しかし,それをはっきりそうではないと言えば,これは話としては非常にややこしくなる。  ですから,あくまでも選択制を模索していくというような姿勢は――それは市長個人の考え方ですから私はいいと思うのですけれども,現在はできないのだということを,断念という言葉で――断念と言うと,あきらめるという意味だからだめだという意味だと思いますが――これからは,市長としての立場で,現状ではできないということをもっとわかりやすく発言されることを要望して,終わります。 ○山田一仁 委員長  ほかにありませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○山田一仁 委員長  なければ,質疑を終了いたします。  取り扱いについてお諮りいたします。  取り扱いは,いかがいたしますか。
     (「継続審査」と呼ぶ者あり) ○山田一仁 委員長  陳情第4号及び陳情第21号の2件を継続審査とすることに,ご異議ありませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○山田一仁 委員長  異議なしと認め,陳情第4号及び陳情第21号の2件は継続審査と決定されました。  以上で,本日の委員会を閉会いたします。     ──────────────       閉 会 午前11時12分...