札幌市議会 > 2001-03-13 >
平成13年第一部予算特別委員会−03月13日-04号
平成13年第二部予算特別委員会−03月13日-04号

ツイート シェア
  1. 札幌市議会 2001-03-13
    平成13年第二部予算特別委員会−03月13日-04号


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    平成13年第二部予算特別委員会−03月13日-04号平成13年第二部予算特別委員会  札幌市議会第二部予算特別委員会記録(第4号)                 平成13年3月13日(火曜日)       ────────────────────────────────── ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 34人     委 員 長  大 西 利 夫 君       副委員長   高 橋 克 朋 君     委   員  小 谷 俵 藏 君       委   員  常 本 省 三 君     委   員  高 橋 忠 明 君       委   員  武 市 憲 一 君     委   員  村 山 優 治 君       委   員  原 口 伸 一 君     委   員  三 上 洋 右 君       委   員  宮 村 素 子 君     委   員  横 山 光 之 君       委   員  堀 川 素 人 君     委   員  勝 木 勇 人 君       委   員  山 田 一 仁 君     委   員  長 内 直 也 君       委   員  伊与部 敏 雄 君     委   員  加 藤   齊 君       委   員  西 村 茂 樹 君     委   員  小 野 正 美 君       委   員  村 上 勝 志 君     委   員  常 見 寿 夫 君       委   員  小 田 信 孝 君     委   員  柿 崎   勲 君       委   員  涌 井 国 夫 君     委   員  本 郷 俊 史 君       委   員  青 山 浪 子 君     委   員  荒 川 尚 次 君       委   員  小 川 勝 美 君
        委   員  武 藤 光 惠 君       委   員  熊 谷 憲 一 君     委   員  岩 村 よね子 君       委   員  岡   千 陽 君     委   員  恩 村 一 郎 君       委   員  山 口 た か 君       ──────────────────────────────────     開 議 午後1時 ○大西利夫 委員長  ただいまから,第二部予算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが,特にございません。  それでは,議事に入ります。  議案第14号 平成13年度札幌市病院事業会計予算の質疑を行います。 ◆宮村素子 委員  私は,周産期医療関係リスクマネジメントについて質問をさせていただきます。  まず最初に,周産期医療への取り組みについてお伺いいたします。  札幌市は年々出生率が低下してきておりますけれども,そんな中にありましても,未熟児の出生は増加傾向にありまして,これは医学の進歩ですとか,出産年齢が高齢化していると,そういったことに起因しているかと思います。また,たばこ等,女性の生活スタイルの変化など,そういったことも要因になっているかと思いますが,未熟児の出生は減らないと,そういう状況にございます。  この未熟児の出生,その一連はハイリスク妊娠・出産というふうに言っておりますけれども,このハイリスク妊娠・出産は,早期の質の高い医療ケアを行うことによりまして,生まれてくる子供の予後が全く違ってくるわけです。一生医療が必要,また福祉が必要と,そういった子供として成長するか,または,ある時期に健康児と同じような成長・発達に移行していくかと,そういった状況にありまして,特に,ハイリスク妊娠・出産にかかわる超未熟児医療重要性というのは,私も,既に今まで何回か述べてきているところでございます。  それで,まず1点目,周産期医療の現状についてお伺いするわけですけれども,市立病院では,周産期医療に関連した整備を進めていただいておりまして,大変その実績は私も評価しているところでございます。特に,道央圏をカバーしての,周産期といいますか,未熟児センターとしての市立病院の実績というのは高いものがあるというふうに思います。  服部先生を初め,関係職員の周産期医療にかかわります質の向上への情熱ということで,関連の専門誌等にも論文が随分出ておりまして,私も,たまに寄ります書店で,思わず買わずにはいられなかった,そんな論文がたくさん出ておりまして,私たち市民としては大変うれしいことだと思っております。  市立病院でのそうした現状の中で,母胎ケアを含む周産期医療の現状,実績はどのようになっているか,お示しいただきたいと思います。  それとあわせて,特に緊急対応が求められております未熟児母体搬送等の数字についても,どのような状況になっているか,お示しいただきたいと思います。  2点目の質問でございますけれども,北海道は,全般的に見まして,周産期医療に関しては必ずしも整備されているとは言えない状況にあります。やっとこのたび,道で,旧厚生省の周産期医療対策事業実施要綱及び周産期医療システム整備指針に基づきまして,事業実施主体として,関連します施設の整備,また周産期医療システム構築事業について,13年度から稼働したいと,そのように進めているというふうに,私は,聞いているところでございます。  すなわち,国の指定を受けることができる周産期医療システム整備指針に基づくフル装備では,周産期医療体制の整備は,北海道としてはなかなか進まないし,札幌市としましても,市立病院がその体制まで持っていくには大変高いハードルがあるわけです。道では,現在の整備状況の中で,指定とはいかないまでも,認定の手続で基幹病院の整備を進めたい,そして,周産期医療体制の整備をしたいというふうに考えているということですが,市立病院の周産期医療に関しまして,道央圏をもう既にある意味ではカバーしている,そういった現状から,道から何らかの要請がされるのではないかというふうに思うわけです。  市立病院としまして,北海道から認定施設の要請があった場合は,どのように対応するおつもりなのか,伺いたいと思います。  まず,先に2点お願いします。 ◎中西 病院長  まず最初に,周産期医療の現状についてでございますけれども,当院の周産期医療に対する取り組みは,まず,新生児科で,平成9年10月にNICU新生児特定集中治療室6床を整備しまして,そのとき同時に,医師2名,看護婦4名を増員いたしまして,24時間体制をとり,診療の充実を図っております。  新生児科は,平成11年の札幌圏における院外出生児受け入れ数191件のうち136件,すなわち71.2%の未熟児を受け入れております。  それから,母体の緊急搬送についても,札幌圏受け入れ可能施設8カ所合計187件のうち79件,42.2%を受け入れており,いずれも道央圏中心的役割を担っていると思っております。  2点目の北海道周期医療システム整備計画との関連についてでございますが,北海道におきましては,周産期医療の充実を図るため,平成13年度に周産期医療にかかわる施設やシステムの整備を行う予定と伺っております。  現在,現状の体制,設備のままで,北海道における三次医療圏の周産期医療を担う総合周期医療センターとしての機能を担当するよう要請されております。当院といたしましては,道の要請を受諾する予定でございます。 ◆宮村素子 委員  現状について,数字としてお示しいただきました。  もう1点伺いたいのは,道央圏をカバーしている現状というのが,今のお答えの中で出てまいりました。それで,今後ということになるわけですけれども,道のそうした認定の動きがあって,市もそれを受ける考えでいると。そうしますと,これからますます,市立病院道央圏の中でしっかりと位置づけて,サポートしていかなければならないと。今までは何とか一生懸命受けられる範囲は受けていたけれども,今度は,全面的に道央圏をカバーしますよと,そういう姿勢でやっていきますと,今の整備体制で,果たして期待にこたえられるのかどうか,そこが大変危惧するところでございます。  そこで,周産期医療機能をどのように今後高めていって,その認定に対応しようとするのか。そして,最終的には,国の指定を受けることができる施設整備の方向に進まざるを得ないのではないかというふうに思うわけですけれども,その計画はないのか,伺いたいと思います。 ◎中西 病院長  今後の市立病院取り組みについてでございますけれども,総合周期センターとして国の指定を受けるためには,現在の施設に加えまして,PICU,周産期集中治療室6床,それからNICU3床の整備が必要でございます。その際,建設費運営費に対して国及び道の補助金を受けることができるかと思います。  しかし,当院の建物,施設には,現在,拡充整備を行うスペースはございませんし,医師・看護婦の増員など,診療体制への整備も必要なことから,当面は現行体制のまま周産期医療を担う努力を続けてまいりたいと考えております。  しかしながら,今後,認定に伴い,少子化やハイリスク出産に対する公的医療機関の担う役割が大きくなると予想されることから,当院としても,リスクを抱えた母子への適切な医療の提供を行うために,可能な限りの努力をしたいと考えておりまして,現在,委員会を設置して検討作業に入っております。  そのためにも,北海道,札幌市の周産期医療に対する財政措置等の動向を見ながら対応してまいりたいと考えております。  以上です。 ◆宮村素子 委員  今後ということで,いろんなハードルが高いとはいえ,それに対してどう対応できるか検討されるということでございますので,ぜひともご検討いただきたいなと思います。  北海道の中では,国の指定の施設として,整備可能な要素を一番持っているのは,この市立札幌病院でありまして,ぜひとも,そこのところ,道の予算に関連します要望もぜひ強くしていただきまして,この周産期医療体制の整備をさらに進めていただきますよう要望したいと思います。  それと,もう一つの質問でございますけれども,リスクマネジメントに関しての問題でございます。  医療事故関連マスコミ報道はまだまだ続いておりまして,なぜ,そんな事故が起きるのか,一般市民も不思議でならないと,そういった事故が次から次へ起きている現状にあります。昨年の3定の特別委員会におきましても,リスクマネジメント取り組みに関しまして,職員の研修や看護職員医療事故防止研修,そして医療事故防止のための具体的な取り組みについて伺って,提案もしたところでございます。  昨今の医療事故を考えますときに,看護上の問題というのは,どうしてもそこの中で切り離せない状況にあります。それから,看護職は,どうしても,チームで医療をやっていきますので,1人の人が一から最後まで全部関連してというわけにいかない。3交代の中でいろんな業務を,一つの危険を伴う看護行為につきましても,引き継いで仕事をしていくという,そういう特徴がありまして,どうしても看護職が関係していると。また,看護職の働きによっては医療事故がかなり防止できることもあったり,また,看護職のたくさんの目で見て,ドクターに,どうもこれはおかしいのじゃないのと,それから,どうも薬剤,ちょっとおかしいのじゃないか,また,患者さんに起きた変化をすぐに察知して報告していくという,そういうようなことでの看護職の役割というのは大変大きいし,期待されているというふうに思っております。  市立病院としまして,看護職員リスクマネジメントに対して,今後,どのように対応するのかということを気にしておりましたところ,13年度に向けて,市立病院では看護リスクマネジメント担当課長を新設すると,そのようにお聞きしましたが,まず1点目は,今回,新設すると聞いております看護リスクマネジメント担当課長位置づけやその役割について,どのようにお考えなのか伺います。  もう1点ですけれども,市立病院は大病院でございますので,一人のリスクマネジメント担当課長だけが奔走しても,医療事故の防止に100%機能できるというふうには思わないわけでございまして,他の職種においても,リスクマネジャーの配置について考えていくべきではないかというふうに思いますが,それをあわせてどのように考えているか,伺いたいと思います。 ◎高垣 理事  ただいまの第1点目のご質問に対しましてお答えさせていただきます。  看護リスクマネジメント担当課長位置づけといたしましては,日ごろより医師やコ・メディカル部門との連携が深く,いわゆるヒヤリ・ハット事例に接する機会が多い看護職を,事例の調査研究予防策周知徹底を図り,各部門との連絡調整を行うことができるよう,専任の職として新設するものでございます。  この看護リスクマネジメント担当課長の新設によりまして,医療現場全般にわたって,リスクの度合いや予測可能性を調査・検討し,あるいはリスクマネジメントシステム改善をさらに一層進めることができることになるものと考えております。 ◎景浦 理事  第2点目についてお答えいたします。  リスクマネジャーの配置については,現在,院内の要綱を整備するなど,病院としてリスクマネジメントに取り組んでおりまして,その中で,インシデントの報告,検討及びこれらの改善をより一層推進する目的で,院内各部署の職員をリスクマネジャーとして指名することについて検討しているところであります。  リスクマネジャーとして指名を受ける職員には,各病棟,外来,手術室の医師及び看護婦を初めとして,コ・メディカル事務部門に所属する職員を予定しておりまして,これらの職員が医療事故の防止や安全対策を実践することによって,リスクマネジメントに対する全職員の意識高揚につながり,ひいては,より良質な医療提供ができ,市民の高い信頼を得ることができるものと考えております。  以上です。 ◆宮村素子 委員  最後に要望になりますけれども,専任のリスクマネジャー課長職として配置する,新設するということで,私はそれは大変高く評価するところでございます。  今後,病院内全般にわたりまして,コ・メディカル部門との,リスクマネジャーという位置づけをおいて,連携をとっていくということで,医療事故が本当に予防されていくことを切に望むところでございます。  そして,もう一つ,職場内の活性化ということも大事でして,やはり小さなミスも上司に言えて,そこで適切な指導が受けられて,再度そういったミスにつながらないという,そういった一連の行動がとれるような部下の教育といいますか,みんなで問題解決していく,そういった場づくりをお願いしたいということと,特に,看護職にも管理職がありますし,他職種もそうですけれども,部下がちょっとした提言・提案なり,またはこういうことが事故につながるなというような,そういった上司に対しての報告といいますか,上司に対しても,この場合はちょっと注意した方がいいのじゃないというようなことも,部下から言いやすいような,そういった上司のといいますか,言いたいのだけれども聞き入れてくれそうもない,なかなかそういった人格の上司というのは,問題が滞りますよね。今回の,これとは関係ない事故でも,上司の聞き入れる要素が余りなかったというようなことが大きな問題につながっているということもありまして,これは看護の現場,医療の中でも同じく起こり得ることで,管理職にある方のやっぱり指導といいますか,部下の意見をよく聞いて,そして事故を未然に防ぐ,市立病院が市民にさらに信頼される病院となるように,そういった管理職の教育も切に望んで終わりたいと思います。 ◆小野正美 委員  私の方は,極めて簡潔に,後ほどうちの会派の真打ちも登場しますので,質問をさせていただきます。  まず最初に,私ごとで恐縮でありますけれども,この2月の上旬に,久々のといいますか,待望の入院を2泊3日でさせていただきまして,林先生初めスタッフの皆さんに大変お世話になりまして,おかげで元気にこうして活動を続けております。きょうはちょっと風邪気味でありますけれども,そういった中で,非常に健康のありがたさというものを痛感いたしております。  私どもの会派の会長が,この1月1日に亡くなりましたし,先日,手稲区の道議会議員も49歳で亡くなったわけでありまして,そういう健康のありがたさ,常日ごろから健康管理あるいは定期的な検診や検査を受けていくということも大事なことだと思っております。  私も,2泊3日でありましたけれども,病院のベッドにいまして,非常に市立病院の忙しさといいますか,4人部屋でありましたけれども,3日間の間に2人退院されて,退院されて2時間か3時間もしないうちに,また新しい次の患者さんが入ってこられるという中で,特に看護職員の方々がその都度いろんな説明をしたり,あるいは最初の日など,夜通しで,そういう患者さんに対応されている姿を見まして,大変な勤務状態だなという思いがいたしました。  それと,私が今まで見聞きしている病院に比べて,非常に看護職員の方が若くていらっしゃると。そういう面では,勤続年数が短いのかなということで,本当に年休がちゃんととれているのか,あるいは,長く働いていくことのできる職場になっているのかなというような思いをいろいろしたわけであります。  最初に質問したいと思いますが,具体的に看護職員の方の勤務条件がどうなっているのか。平均在職年数平均年齢がどうなって,特に,そういった中で,年休の取得状況がどのようになっているのかお聞きをしたいと思います。  恐らくは,非常に在職年数も短いし,年休の取得状況も簡単なことではないと思うわけでありますけれども,これはどういったことが原因であると認識をしているのか,あるいは市立札幌病院の特異な例なのか。ほかの公立の病院と比較してどういう状況なのかということもお聞きをしたいと思います。  あわせて,こういった状態の中で,この間,この特別委員会の中でも議論をされてきているわけでありますけれども,こういった年休の取得状況を高めていく,あるいは在職年数を延ばすためにどのような対策を講じてきているのか,この点もあわせてお聞きをしたいと思います。 ◎高垣 理事  まず,看護職員平均年齢と,それから平均在職年数についてお答えさせていただきます。  平成12年度におきます本院の看護職員平均年齢は35歳,平均在職年数は11年でございます。なお,このような平均年齢及び平均在職年数は,札幌市に限ったものではなく,各政令指定都市道内主要都市市立病院におきましても,ほぼ同様の平均年齢及び平均在職年数となっております。  また,本院の看護職員年休取得状況は,平成9年では6.2日,平成12年度では7.1日と,少しずつではございますが改善されてきております。これは,看護方式の変更や業務の見直し,年休の取得を奨励するなどの成果であろうと考えております。  次に,在職年数を延ばす努力についてでございますが,看護職員退職事由のうち,「家事・育児専念のため」は比較的少なく,全体の4分の1弱にとどまっております。このことは,常時25名前後の産前産後休暇・育児休業取得者がいることからも,育児休業等の取得がしやすい職場環境の整備がなされており,また,定員80名の院内保育園を設置するなど,働きながら子育てができる環境が整っているためだと考えております。  さらに,専門職として仕事を継続していくためには,資質の向上と職務満足度のアップが重要になってまいります。看護部といたしましては,個々の自己実現と士気の向上に向けまして,10年目以上の職員を対象に院内研修を実施したり,院外研修参加の機会を与えるなど,日々努力をしていることも大きな要因と考えております。  実際に,就職先を選ぶ条件には,研修企画が整備されていることが,常に上位に入っていることも事実でございます。  したがいまして,今後とも,家事・育児と仕事が両立できる環境の整備に努め,在職年数を延ばすよう努力したいと考えております。 ◆小野正美 委員  年休の取得状況を上げるためにさまざまな努力をされて,具体的に,6.2から平成12年度で7.1に上がっているわけです。しかし,札幌市の職員全体の年休取得状況が,これは11年度ですけれども,15.9日ということでいえば,その半分以下という状態でありまして,まだまだこういう年休が取得しやすい環境づくりが必要なのだろうと思います。  さらに,看護職員退職理由としては,いわゆる不可抗力といいますか,結婚してほかの都市へ転居をするとか,あるいは配偶者が転勤のために退職するとか,そういった方もいらっしゃるわけで,必ずしも,家事・育児のためにやめざるを得ないという人ばかりではないと思うのですけれども,なかなか仕事を続けていくことが難しい側面もあろうかと思います。さらに努力をしていただきたいと思います。  ただ,いわゆる実稼働人員,これが定数どおりなかなか配置されないと。具体的にいえば,年度途中に退職される方がいたり,あるいは産休,それから育児休業,こういった取得などで,実稼働人員定数割れをしてくるという点があろうかと思うのです。  こういった非稼働職員の代替として,札幌市の場合に,臨時職員で対応するということになっているわけですけれども,なかなか年度途中でのこういった看護職員の確保,臨時職員であっても確保は非常に難しいと。特に,非常に高度な医療を行っているわけでありまして,やはり一度職を離れて,資格を持っていても,第一線から離れていて,この市立病院のような高度な医療を提供しているところに,臨時職員として入ってくることもなかなか難しい点があろうかなと思うわけです。  いずれにしても,年度途中で,こういう実稼働人員定員割れをしてくるというか,非常にそれが下がってくることによって,なかなか職場を休むことができないという状況が生まれていると思いますので,やはり年間を通した実稼働人員を確保するための方策が必要かと思います。  そこで,質問なのですけれども,看護職員の採用において,来年度,実稼働人員を確保するためのどういった努力がなされているのか,ここ二,三年の実績との比較も含めて,明らかにしていただきたいと思います。それから,やむを得ない手段といいますか,次の方策として,臨時職員を確保するわけでありますけれども,これにどのように取り組んでいくのか。特に,働きなれた市立病院を退職して,いわゆる,今現在,職についていない方もいらっしゃると思いますので,そういった方々に登録をしてもらうというか,いざというときに,そういった要請にこたえることができる人たちをあらかじめ確保とか,そういったことも必要かなと思うのですが,この点,どのようにお考えか,お聞きをしたいと思います。 ◎高垣 理事  ただいまの委員のご指摘のとおり,今年度は大分厳しかったというのが本音でございます。  今年度の看護職員必要採用者が27名でございましたが,予想を上回ります採用辞退者があったために,最終的には23名の採用にとどまりました。  そこで,平成13年度の看護職員の採用につきましては,恒例の採用辞退者及び年度途中の普通退職者の的確な把握に努めたところでございます。その結果,具体的には,本院におきまして,13年度は46名の職員を採用する予定でございます。  また,育児休業取得等に伴う代替職員としての臨時職員の採用につきましても,これまでどおり速やかに配置できるように,関係機関等,例えば,ナースバンク等と連携を深くとりながら,引き続き努力してまいる所存でございます。 ◆涌井国夫 委員  私は,医療廃棄物の処理について,まず質問をしたいと思います。  札幌市は,環境に配慮した事務事業を行うためのシステムを国際的に規格化したISO14001の認証取得を平成13年度中に目指しております。市立病院としても,色分けしたごみ箱を設置するなど,廃棄物の分別を徹底しているというふうに伺っているところであります。  本年4月から廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部が改正されることに伴いまして,廃棄物の不法投棄,あるいは不適正な処分をした場合,処理業者だけではなくて,排出業者にもその責任が及ぶということになるわけでございます。  市立病院では,特に,血液等が付着した注射針,あるいはガーゼ類など,感染症を生ずる恐れのあるものを特別管理産業廃棄物としており,より一層の廃棄物処理に対する厳正な対応が求められているわけであります。  そこで,市立病院での感染性廃棄物の分別,管理,処分について,どのように行われているのか。また,感染性廃棄物のほかに,医療機関から排出される特殊な廃棄物として,放射性廃棄物がございます。この放射性廃棄物については,産業廃棄物処理法からも除かれておりまして,その特殊性から,極めて高度な処理ではなかろうかと思いますが,どのような方法で管理,処分をしているのか,お伺いしたいと思います。  次に,毒薬の管理体制についてお伺いしたいと思います。  先般,仙台の医療機関におきまして,毒薬に指定されている筋弛緩剤を故意に輸液に混入したとされる事件がございまして,各マスコミにも大きく報道されたわけでございます。この事件を受けまして,本年1月に,厚生労働省から各都道府県,政令指定都市あてに,毒薬等の適正な保管管理等の徹底についてという通知が出されました。  そこで,市立病院では,どの程度の種類の毒薬を扱っており,その管理方法,管理体制はどのように行われているのか。また,今後,毒薬の管理体制を強化すべきというふうに思いますけれども,もし,管理体制の強化の検討をされているのであれば,あわせてお伺いをしたいと思います。 ◎林 副院長  私の方から,感染性廃棄物の分別,管理,処分方法についてお答えいたします。  市立札幌病院院内で発生する感染性廃棄物の処理方法についてでございますけれども,まず,分別や管理についてでございます。  病棟や外来などの感染性廃棄物が発生するすべての部署に専用容器を設置しており,注射針や血液の付着したガーゼ類など,感染の危機を伴う廃棄物について,その分別を徹底して行っております。当院では,医師,看護婦,検査技師などで構成する感染性廃棄物管理委員会を設置し,定期的に巡回を行うなどの活動によりまして,適正な分別や管理を推進しているところでございます。  また,このような分別された感染性廃棄物の処分方法につきましては,許可を受けている専門業者への委託によってすべて焼却処分を行っておりますが,今回の法律の一部改正に伴いまして,産業廃棄物管理票による最終埋め立て処分までの確認に加え,処分場への現地確認を行うこととしております。  以上です。 ◎景浦 理事  第2点目の放射性廃棄物の管理,処分につきましてお答えします。  市立札幌病院内で発生する放射性廃棄物といたしましては,RI検査で使用する診療用放射性同位元素廃棄物がございます。使用前の放射性同位元素につきましては,関係法令により定められた基準に基づき,耐火貯蔵庫内の金庫に厳重に保管しており,また,使用後の放射性同位元素により汚染された廃棄物,例えば注射器やガーゼ,ガラス瓶などにつきましては,可燃物,難燃物及び不燃物放射性固体廃棄物に厳密に分類し,ドラム缶詰めにした上で,廃棄保管室内に厳重に保管しているところであります。  この保管された放射性固体廃棄物の処分方法につきましては,関係法令に基づき,文部科学省の外郭団体であります日本アイソトープ協会に委託して処分しているところであります。  以上です。 ◎高橋 薬剤部長  それでは,私の方から,3点目の毒薬の関係について申し上げます。  当院におきましては,委員がご指摘になりました筋弛緩剤のほか,麻酔剤あるいは抗悪性腫瘍剤などを含めまして,合計21品目の毒薬指定になっております注射剤を採用いたしております。  その貯蔵あるいは管理方法につきましては,薬事法で詳細に定められておりまして,それを遵守いたしまして,厳密に取り扱っているところでございます。  なお,具体的に申し上げますと,薬事法第48条にのっとりまして,毒薬の貯蔵,陳列に際しましては,それぞれ室温保存用,あるいは冷所保存用とに分けまして,それぞれを施錠可能な専用の毒薬庫に貯蔵いたしております。また,その使用に際しましては,すべて医師からの指示に基づきまして,伝票あるいは処方箋などによって,それぞれの保管場所からその都度供給を受けるということになっております。  最後に,今後の毒薬等の管理体制につきましては,薬剤部内に毒薬の管理担当の専任者を新たに指名するとともに,保管場所ごとの使用状況のチェック体制を強化する予定をいたしておりまして,特に,手術室等において多量に用いられており,厳密な管理が要求されております,いわゆる筋弛緩剤につきましては,麻薬に準じた,そういう取り扱いをするべく,その管理体制を強化する予定をいたしております。  以上でございます。 ◆涌井国夫 委員  感染性廃棄物,放射性廃棄物については,よく理解をいたしました。
     この毒薬の管理体制についてでございますけれども,昨年の札幌市の保健所が,市内220件の病院への立入検査の中で,17件の病院に対して,毒薬・劇薬の管理が不適正であったということで,改善通知を出したそうでございます。  特に問題になったのは,病院内の薬局部署からのナースステーションにある一時保管庫での一般の薬と毒薬・劇薬は分けて保管し,特に,毒薬の場合については,かぎをかけて管理しなければならないと,先ほどお話をされました薬事法で決められているわけであります。その決められていることが徹底されていなかったという事例が,極めて多かったということでございます。  ここのナースステーション,先ほどもいろいろ看護のリスクマネジメントについてのお話を,伺いましたけれども,看護婦さんの,いわゆる毒薬・劇薬に対する取り扱い,あるいは知識といったものが,新しく入った看護婦さんなんかは,そういったような極めてリスクが大きい,危険が伴うところについては,やはりしっかりとした経験のある方を配置しなければならないというふうに私は思うわけでありますけれども,この辺の看護婦さんの研修,あるいは市立札幌病院看護婦のそういう研修の中での取り組みを行っているのかどうかを含めて,どういう体制で行っているのか,お伺いをしたいというふうに,これは高垣理事がいいのかなというふうに思いますけれども,よろしくお願いしたいと思います。  それから,医師の接遇と公務員の意識改革について質問をしたいと思います。  医療は,患者さんの生命あるいは身体に直接にかかわることから,常に患者さんの立場になって話を聞いて,患者さんやそのご家族の不安を取り除き,希望を与え続けていく作業ではないかというふうに思うわけであります。そうした信頼関係を築くことが,医療の根本でなければならないと思うわけであります。  市立病院では,昨年7月から,インフォームド・コンセントの理念に基づいて,医療情報の提供を開始したと伺っております。これにより,医師と患者さんとがともに医療情報を共有し,今まで以上に信頼を深められると期待しているところであります。  しかしながら,その一方で,私のところにも,医師の接遇に関するさまざまな相談がございまして,その中には,もちろん感謝の気持ちをあらわすものもありますが,非常に残念なことに,厳しい内容のもあるわけであります。  また,市立病院の医師の平均在職年数は8年くらいで,他の病院や大学からの転入・転出による人事異動が頻繁に行われていると聞いております。接遇に対する患者さんの厳しい意見を考えるときに,市立病院の医師の一部には,公務員の医師としての意識がどれだけあるのか,一抹の不安を覚えるわけであります。  そこで,市立病院の医師の接遇を含めた教育はどのように行っているのか,また,公務員の医師としての意識,自覚について,どのように指導・教育されているのか,お伺いをしたいと思います。 ◎高垣 理事  毒薬の管理について,病棟等ではどういうような指導体制をとっているかというご質問だったと思いますが,毒薬を使う病棟は限られた病棟なので,余り数としてはございませんが,婦長,副婦長,ベテランのナースが必ずチェックをし,施行もできるだけ新採用者,それから新人のナースにはさせないようにしてございます。それから,現在,薬剤師が病棟に上がってまいりまして,薬歴管理というのをしてございます。そのために,私ども看護職が指導するよりも,よりベテランの薬剤師から非常にきちんとした指導がされてございますので,当院としては余り問題がないというふうに考えております。  これでよろしいでしょうか。 ◎中西 病院長  医師の接遇と公務員の意識や自覚についての指導・教育についてでございますけれども,市立札幌病院の医師に対する指導・教育についてでありますが,ご質問にありましたとおり,医師と患者さんとの間におけるインフォームド・コンセントを柱とした信頼関係の構築が重要であると認識しておりまして,接遇を含めた研修の実施などにより,医療サービスの質の向上に努めております。  具体的に申し上げますと,医師の新規採用時における研修を毎年実施しております。その中で,地方公務員制度や公務員としてのモラルについての教育にも力を入れているところでございます。  また,採用後におきましては,医局内の研修や各所属の診療科における勉強会などにおきまして,医師として,あるいは公務員としての意識の高揚に努めているところであります。  なお,昨年の7月から診療情報の開示を行っておりますが,現在まで提供申し込みの相談を受けたケースはございますが,実際に申し込まれたケースはございません。したがいまして,医師と患者さんとの信頼関係が構築されていると,私は考えております。 ◆涌井国夫 委員  公務員の医師としての自覚についての指導・教育はされていることはわかりましたけれども,近年,非常に公務員に対する倫理規定,あるいは職務上の行動基準というのが大変に問題にもなってございますので,さまざまな業者とのさまざまな関係のないように,十分に含んで対応していただければというふうに思っております。  最後に,肺動脈血栓塞栓症,いわゆるエコノミークラス症候群について質問をいたします。  最近の報道で,飛行機の狭い座席で長旅をした後に,突然,呼吸困難などになるエコノミークラス症候群と呼ばれる血栓症が話題になっておりました。これは長い時間座ったまま足を動かさないと足の静脈に血栓ができる場合があり,その血栓が血流に乗って肺に入ると,肺の血管をふさぐ肺塞栓症を起こし,呼吸困難になり意識不明,あるいは死亡する危険もあるというふうに言われているわけであります。こうした長時間同じ姿勢を崩さずにいると起きる血栓症や肺塞栓症がエコノミークラス症候群というふうに呼ばれているわけであります。  昨年,オーストラリアのエコノミークラス症候群の被害者や遺族らが大手航空会社5社に対し,航空会社は危険性があるとの警告を怠ったということで,損害賠償を求めた報道がございました。こういったような状況もありまして,日本航空,全日空等長距離路線の各運行会社は,機内ビデオ,あるいはホームページ上で,機内で行える予防対策を示したり,さまざまな取り組みをされているわけでございます。  また,新東京国際空港クリニックの牧野所長さんの報道でありましたけれども,羽田空港の利用客がこの8年間に25人もエコノミークラス症候群で死亡していたというのがわかったというような報道もされております。  こうした中,私の調査では,もともとこの病気は手術後の安静を求められる入院患者の間などに発症例が知られていたそうでございまして,したがって,機内という特殊環境だけではなくて,高脂血症,あるいは糖尿病などの危険因子がある人は,日常の暮らしでも起こり得るそうでございます。であるならば,こうした研究に本市でもぜひ取り組んでいただきたいというふうに思いますけれどもいかがか,お伺いしたいと思います。  また,この病気は,手術後であっても発症するわけでありますので,そういう危険因子を持っている患者さんへの予防対策について,どのように取り組んでおられるのか,お伺いをしたいというふうに思います。 ◎吉田 理事  エコノミークラス症候群につきましては,ただいま委員のご指摘,ご説明のあったとおりでございます。  本来,この病気は,欧米で非常に多く見られ,かなり注目されておりますが,日本では発症が非常に少なく,最近,ようやく注目を浴びてきたところでございます。  この症候群は,長時間の手術,それから下肢を動かすことのできない患者さん,肥満あるいは婦人科の手術の後などの患者さんの手術後の合併症として起きることがありますので,当院では,平成12年2月開催の院内研修会におきまして,深部静脈血栓症の臨床というテーマで,院内職員への教育を実施したところであります。  また,この内容につきましては,当院発行の学術雑誌であります市立札幌病院医誌に掲載し,各診療科等でも活用を図っているところであります。  さらに,委員のご指摘にもありましたように,深部静脈血栓症や肺塞栓症の予防的措置,対策を進めることが急務と考えており,医師を中心とした予防対策委員会を発足させ,本疾患に対する危険因子や弾力ストッキング,ハドマー,過大静脈フィルター使用などの具体的処置をマニュアル化すべく組織的な対応を進めているところでございます。 ◆涌井国夫 委員  大変に安心をしたわけでございます。このエコノミー症候群を防ぐには,水分の補給,あるいはストレッチ等を呼びかけて防ぐこともできるというふうにも思っておりまして,飛行中は十分水を飲むとかお酒を控えるとか,手足を動かすなどをすれば,起こりにくくなるというふうにも伺っております。  一方,手術後の,今,お話をしていただいた対応で安心したわけでありますけれども,どうか,今後,十分に研究をされて,その対応策にしっかり取り組んでいただきますよう要望して終わりたいと思います。 ◆武藤光惠 委員  私からは,市立病院の経営健全化計画にかかわって,何点かお尋ねします。  これまでも,駐車場の有料化,あるいは保育や交換手の業務を初めとする業務委託化の拡大など,いろいろな行政改革という柱に沿って,いろいろな事業が推進されてきたわけですが,このような,市民からは決して歓迎されない健全化計画の内容が,果たして市立病院から見て,経済効果があったとお考えになっているのかどうなのか,お尋ねをします。  また,あわせて,これから先,委託業務もほぼ完了し,それから院外処方も終わりということで,これから先の市立病院の経営内容を見ていきますと,改めての大きな取り組みはないのかなと思いますが,この経営健全化計画自体は,さらに20年先まで続いていくわけですから,この流れの中で,今後,どのような内容の健全化計画をお考えなのか,この点についてもお尋ねをしたいと思います。 ◎清水 事務局長  経営健全化計画の効果と,それからこれからと,この2点ということでお伺いいたしました。  まず,1点目の健全化計画の効果でありますけれども,平成8年12月に経営健全化に取り組んで以来,外部からの経営診断結果や内部の対策本部,さらには七つの作業部会の地道な活動によりまして,病院事業のあらゆる分野にわたります係数アップ,あるいは見直し,予防,効率化などに努めました。  その結果,実際に効果を上げ始めました平成9年以来,12年度末まででおよそ14億8,000万円の改善効果を上げたところでありますし,さらに,13年度にありましても,2億2,000万円を改善すると見込んでいるところでございます。  ご承知いただいておりますとおり,これは単年度に上げた効果額の合算額でありまして,この額は,次年度以降の単年度改善効果額に加算されるものでございまして,当院の経営改善は相当に進んでいるものと考えているところでございます。  それから,2点目の今後の改善についてでありますが,改善努力の期限やさらなる推進,これについては,当院を含め,すべての企業にあっては,その経営改善努力というのは永遠の課題であろうと考えてございます。その時々に発生する課題に即応策をとることも大切でありますが,長期の視点に立って,これから発生するでありましょう課題や,あるいは時代の趨勢を厳しく読みとった積極的な策の発見,推進も重要な責務であろうと考えております。  そうした観点から,例えば,新年度に予定しております医療機能評価機構による認定を受審いたしますことなども,これからの経営改善に直結するものであろうと考えているところでありまして,さらに改善に努力を続けてまいる所存でございます。  以上です。 ◆武藤光惠 委員  経営健全化計画自体,私は,命を守る病院として,本当に患者の命を守る医療機関として,医療収益で保とうとしているのかどうなのかと,このところが今のお話を聞いても非常に不安なわけなのですね。  例えば,健全化計画という名のもとで,自治体病院の経営診断も受けているわけなのですが,その中でも,病床占床率を当面の目標93%にということで,こういう目標も掲げられて,毎年予算にも93%の目標を据えているわけですね。ところが,実態としては,病床占床率はおおむね91%程度で推移をしていると。これは,以前の議会でも質問させていただきましたけれども,病床占床率を高めるために何をするのかと。市立病院は急性期病院なのだということを銘打ちまして,在院日数の短縮,こういうことも行ってきましたよね。こういうことをしながらも,なおかつ,目標を達成できない。本当に,必要とする患者に,必要なだけの入院期間を保障しているのかどうなのかということについても,私は,非常に不安になるわけです。  さらに,その経営健全化計画の中の柱にもなっているものの一つに,特別室の利用促進というのも,毎年項目に掲げられています。そこで,特別室の利用についても,お尋ねをしたいと思うのですが,現在,特別室というのは数が変更になっていますけれども,96年,新病院のスタート当初は50室ありましたけれども,2000年度で,今年度では41に減らしてきていますね。そういう中で,私は,占床率自体が90%を少し切るぐらいになっていて,さらに,この占床率の1割程度が免除になっているというお話を伺っております。ですから,実質でいくと,実際に料金収入としてつながる特別室の活用というのは,80%弱ぐらい,これが現状なわけですよね。  そこで,お尋ねしたいのですが,利用促進とありますが,市立病院の特別室の値段というのは,非常に高くないのかと思うわけなのです。私は,札幌市内のいろいろな病院で,特別室は幾らなのかを聞いてみました。市立病院は,自治体病院ですから,通常だと一般の民間病院より安いだろうとだれしもが思っているだろうと思うのですが,市立病院並みの特別室,そういう設備の同等の特別室の値段を調べてみたところ,大体四,五千円が多いのです。安いところでは,1日1,500円から3,000円,ここにおふろがつけば3,500円になるのですが,ほとんどが,高くても6,000円,そして8,000円,こういう程度で推移をしているのですね。ところが,市立病院の特別室の値段は,特別室Aで1万2,000円,特別室Bが1万円,それから上等室というのがありまして,これが1日8,000円なわけですね。この点について,私は,これを拡充ということで,市立病院自体が経営健全化計画だと言いながら,この利用促進を図っているわけなのですが,この値段が,他の病院に比べて高過ぎると思わないのかどうなのか。  あわせて,現在,数も減ってはきているのですが,私は,先ほども言いましたように,市立病院の経営というのは,駐車場の有料化だとかいろんな業務を民間委託するだとかで,収益を上げるのではなく,医療収益を上げて経営を支えるべきだと,この立場から考えますと,この特別室を重症室に変えることによって,患者負担も求めず,そして,医療収入として重症室1室3,000円で診療報酬で加算されてくるわけなのですね。  ですから,特別室をこんなに抱えるのではなく,重症室に変更して,医療収益を上げることに貢献させるべきでないのかと思いますが,この2点いかがか,お尋ねをします。 ◎林 副院長  お答えいたします。  まず,差額室,特別室または上等室,それから重症室の関係でございますけれども,平成8年度では50室の差額室があったわけです。これは特別室A,B,それから上等室と,それを合わせまして50床ということでございます。そのときの重症室は46床ということでございまして,それから2年ごとに少しずつ,今,委員がご指摘のとおり,重症のいろいろな患者さんの多さだとかのことを考えまして,差額室から重症室へ移しまして,差額室の方が現在のところ,平成12年で41室ということになっていまして,重症室は55床と,約9床を移行しています。平成13年度に入りましてからは,さらに4床を差額室から重症室の方に移すという予定になっております。  それからもう一つですけれども,この差額室の値段のことに関してでございますけれども,これは,いろいろなほかの病院とか,それから新しく建ったとか,いろんな設備だとか,そういういろいろな要因がありまして,もう一つは財政上の問題,アメニティーの問題だとかいろいろありますので,今後,これを,私たちの方に病床検討委員会がありまして,そこで検討いたしまして,病院全体として検討したいと思っています。  以上です。 ◆武藤光惠 委員  今のご答弁ですと,2001年,新年度からは4床が重症室に変るということで,特別室の数は37床にするということですね。  私,最初に言いましたように,占床率90%弱,このうちの1割が免除率だと,先ほど言いましたけれども,特別室が免除されるというのは,患者さんの症状にあわせて個室が必要だという病院の判断に基づいて,やむを得ず特別室を活用した場合免除対象になるわけですよね。これは国の制度の内容なのですね。  ですから,そのぐらいの数は,これまでも55の重症室があっても必要だということが,例年の数字からも明らかになっているわけですから,やはり大幅な見直しをして,この重症室に充てて,医業収益に結びつけるべきだということを改めて求めておきたいと思います。  それから,値段についてですが,やはり経営主体に考えると下げるわけにはいかないのです。それが市立病院の健全化計画の中身だろうと思うのですが,やはり,市立病院の立場からすれば,自治体病院として,経営オンリーではなくて,市民が本当に安心して受診ができる,安心して入院ができる,そういう病院にする役割があるのだということを認識すれば,やはりせめて札幌市内の民間病院並みに,それ以下にしても問題はないと思うのですが,そういうような値下げを当然すべきだと思います。  先ほど検討するいうことで,ご答弁がありましたので,この点についても,早急に検討をされるよう求めておきたいと思います。  あわせて,次に,保育園の業務委託について,何点かお尋ねをします。  これも,健全化計画の大きな柱となって,98年から保育園の業務が委託業務とされました。その98年以前,直営で保育園業務をやられていたときにかかっていた費用は,人件費及び給食材料費で,8,500万円程度でした。これが委託されたことによって,その経費が2,900万に激減するわけですね。これは,皆さん方から考えると最大の経済効果が生まれたと,こういう判断に立つのでしょうけれども,このような差を考えたときに,果たして80名の子供たちが健やかに安全に保育されているのだろうかということを,私は非常に不安に思います。  そこで,改めて,この委託業務にかかわって,保育園の保育士が全員有資格者であるのか,常勤勤務となっているのか。それから,正職員であるのかパートなのか,この点についても,お示しをいただきたいと思います。 ◎清水 事務局長  院内保育園の運営につきましては,今,ご指摘のように,働いていただきます保育士は全員常勤であることと,それから保育士の資格を有していることを条件づけての委託契約でございますので,その点についてはご心配なかろうかと思います。  以上です。 ◆武藤光惠 委員  今,有資格かどうかというご答弁がありました。そのほかにも,私,今お尋ねしたのですが,実際に働いている人たちが,常勤職員で正職員として雇用されている人なのか。委託している業務先の問題ですけれども,そこまでは,当然本市が押さえるべき問題だと思いますが,パートかどうなのか。 ◎清水 事務局長  私どものところで働いてくださる職員が,当委託契約先の会社で,正職員であるかなしかについては,現在のところ特に指定はしてございません。 ◆武藤光惠 委員  だから,私は,やっぱり委託業務というのは問題があるなと思うわけなのですが,98年にスタートしたこの保育業務の委託化というのは,一般競争入札で行われていますね。そのときに,入札に参加した業者,説明会には5業者が来ましたけれども,実際に入札に参加したのは4業者,この4業者をいろいろ調べてみました。  札幌市は,保育部門に限っては,保育業務として登録されているところはありません。ですから,すべて登録業者ではありませんが,この入札に参加した業者を調べてみて,びっくりしたことが実はいろいろあったのですね。  一つは,確かに病院関係で,この4社についても委託業務を行っている。ところが,主流は,例えば,メンテナンスだとか清掃業務だとか,ある病院では清掃業務を主として,そこに院内保育,保育業務もプラスして両方の委託契約を1本にして結んでいるところも,実は入札に参加しているのですね。  それから,これが落札した業者かどうかということは明らかにしませんが,これらの入札に参加した業者の多くのところでは,例えば,院内保育,ほとんどみんな院内保育はやっているのですけれども,札幌市内や市外も含めまして,既に契約継続できないということで,契約解除になっているところもある。それから,もうことしの春に契約が切れるのだけれども,契約はしないという,こういう病院も全道各地で生まれているのですね。  それは,札幌市は,先ほど事務局長が全部有資格者だとおっしゃいました。ここは札幌市が徹底されているからいいのかなと思うのですが,他の院内保育をやっているところは,3人の職員がいるのですが,有資格者は1人しかいない。こういうことを平然とやっているところが入札に参加してきているわけですよ。  新年度予算を見ますと,債務負担行為ということで,新年度内に保育業務の委託契約を行いたいということで,今議会にも提案されています。つまり,2002年度からは,またこの業者が変わるかどうかわかりませんが,入札を行って,また契約をし直すと,こういうことで既に想定されているわけですね。そうなれば,また同じ業者が参入してくることは明らかだと思うのです。ですから,私は,やはりこの点についても,民間委託の不備さが非常に大きくあらわれているのではないのかなと思うのですが,この点について,入札参入業者,どのように評価されて,このように継続して契約を行ってきたのか,この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。  それともう1点は,この委託料の2,900万,先ほど直営でやっていたころと比べて,8,500万が2,900万ですから,非常に金額が安くなっていると。民間の保育園というのは,公立の保育園に比べて運営費も人件費も非常に少ないということが,先日の保健福祉局でも問題になっていました。公立に比べても大変低いと言われている民間の保育園,同規模の保育園でどのぐらいの経費がかかるのか。人件費と運営費を含めて,80人規模で見ますと,大体年間ぎりぎりだと言われている金額なのですが,8,200万かかるのですよ,賃金も公立と比べるとかなり安いという民間で。ですから,最低でもこのぐらいなければ80名の子供をしっかり保育できないはずなのに,この2,900万でどのように保育がされているのか不安なのですが,この点についての不安を感じないのか,これで納得していらっしゃるのか,この点についても,明らかにしていただきたいと思います。 ◎清水 事務局長  現在の保育園の運営に,私ども不安を感じておりましたら,この業者をずっとこの間継続して契約することはなかったと思います。  保育内容の担保は,私が委員長になっておりますけれども,保育園の運営会議,運営委員会というものを院内につくりまして,これはお母さん方の代表,あるいは組合,それから私ども,それから看護部,いろいろかかわりのある方々が集まって,常に保育内容の点検をさせていただいております。  したがいまして,何か問題がありますと,一番敏感な子供たち,子供たちのお父さん,お母さんから話も完全に受け入れできるようなシステムができておりますので,ご心配のことはなかろうと思います。  それから,これからの入札業者に対してどう対応するのかということでありますが,これは私ども,あくまでも子供たちが認可保育所並みの保育を受けられるということ,そのことを前提に,そのことが担保できない業者であれば,いかなる体制を整えていようと,これは拒否せざるを得ません。それは何で制約をするかと。ただ一つ仕様書であります。私どもが提示する仕様書に,全員有資格者であるというようなこと,常勤であるということ,そういった保育内容の質の低下を招くようなことのない仕様書を提示しながら,業者の応札を待つと,そういう姿勢でございます。  それから,経費について,8,500万が2,900万になったと,こういうことで,非常に低いという話でありますが,確かに,この数字だけを申し上げますと3分の1ぐらいでしょうか。ただ,この2,900万,ちょっと正確な計数は今手持ちにありませんので正確には申し上げられませんが,今,委員がおっしゃっておりますのは,恐らく委託契約額であろうと,こう思いますけれども,実はそのほかに,この委託契約額に含まれておりますのは,働いてくださる職員の給与,それは直接保育に従事する職員の人件費,それから給食材料費のみであります。  したがって,その他の経費はすべて病院で直接支出をすることになりますので,この5割ないしは10割くらいはさらに加算をされると。ほぼ6,000万の範囲の運営になっていようか思います。  以上です。 ◆武藤光惠 委員  いずれにしましても,どういう業者を選定していくのかという問題を含めまして,現在,民間保育所をやっている社会福祉法人等が参入できないというのは,やはり契約金,今6,000万ぐらい加算されるというお話もありましたけれども,人件費を生み出すこともままならない。例えば,先ほども言いましたけれども,この参入してきた業者の多くは,札幌市は12名全員が園長を含めて有資格者ですけれども,それは仕様書に沿ってそういう形できちんとやっているというお答えがありました。その点についてはそのとおりだろうと思うのですが,他の院内保育所を見ても,有資格であっても,わずか1カ月の手取り収入が,参入業者の中の1社ですけれども,有資格者でリーダー手当もついている人なのですが,1カ月の給与明細は10万なのですよ。リーダー手当が2,000円,そして,この人が労働基準監督署に最低賃金の保障がないということを持ち込んだところ,今度は労働契約がないということで突き放されているのですね。  ですから,そういうように,本当に保育のプロ,保育のノウハウをしっかりと押さえている,そういう民間の社会福祉法人等も参入できるような形にするのであれば,やはり契約金自体を引き上げなければ,だれも手を挙げてこないという実態が明らかではないかと思うのです。  ですから,私は,改めて,このような,本当に何かあったときに責任がとれない,市立札幌病院としても仕様書は示した,運営委員会も開いている,だけれども,そこで働いている人がパートなのか正職員なのか,それは委託業者の都合ですよと。本当にその委員会できちんと議論しているとなれば,そこまでも仕様書に求めるべきだと思うわけなのですね。それ以上に必要なのは,やはり直営方式に戻してでも,子供たちの安全,ひいては,これは市立病院を支えている看護婦さんたちの仕事の保障なわけですから,この点についても,委託をやめて直営に戻すよう強く求めて,質問を終わりたいと思います。 ◆恩村一郎 委員  私の方からは,改正健康保険法,この1月から発効したわけなのですけれども,このうちの老人医療についてちょっとお伺いしたいと思います。  今回の法改正で,高齢者の医療費負担の限度額の考え方ですとか,実質負担額への影響というのがあったかと思うのですが,とりわけ高齢者の外来患者についても,限度額はあるが所要医療費の1割の定率負担が規定されたと。そういう中で,医療機関の規模や特性に応じた患者の受け入れに伴って,限度額の設定というのは行われているわけなのですが,例えば,先ほどもありましたように,急性期疾患,いわゆるこういう言い方してよろしいのでしょうか,急病・救急患者に対する200床以上の,市立病院のような大規模病院での診療の場合ですと,限度額が5,000円の負担と。また,200床未満の小規模病院,診療所での診療の場合ですと,限度額が3,000円の負担。見方によっては受診者の負担軽減が図られたということになっているわけなのですが,この改正法の施行から2カ月が経過したと。こういう中で,実は,大都市圏などで高齢者医療費の定率制の影響で,70歳以上の患者の受診数が減ったといったような,そういった報道が実は先だってされました。  本来,この改正法が目的としていたところとはどうも違った方向に患者さんたちの動向があるのかなというふうに思うのですが,これによって,市立病院での患者さんの動向には,この法改正の意図が反映された結果となって出てきているのかどうか,その実態等について,まずお伺いしたいと思います。 ◎清水 事務局長  ご質問のこの1月,2月の70歳以上の患者さんの動向でございますが,1日当たりの患者で申し上げますと,1月は前年比38人,6.6%の増であります。それから2月は34人,5.8%の増となっております。  当院における70歳以上の患者さんの動向ですが,ここ数年,ずっと前年度を上回る状況でありまして,全患者数に対する70歳以上の患者さんの割合は,平成10年以降24.8%,26.5%,28.0%となっておりまして,依然として増加傾向にありますことから,ただいま委員がご指摘のありました,このたびのですね,必ずしも法改正の意図が反映された結果には,当院においてはなっていないと,そういう状況でございます。 ◆恩村一郎 委員  実際の本来の法改正の趣旨とはちょっと違う方向に行っているというお話なのですが,本来,病院の特性を生かした患者の誘導策が有効に働かないというのは,正直言って何らかの原因があるのかなというふうに思うわけなのですが,市立病院の場合,高額医療機器を含めて,いわば市民の大切な資産を預かって運営されている病院であるということ,そういう中で,最大限その能力を引き出して,その機器等を活用してほしいなというふうに考えます。  今のこの現状を市立病院としてはどういうふうに分析して,どのような方向性を持ってこれから先,じゃ,運営していこうとしているのか。すなわち,制度の変更にもかかわらずふえ続けているという患者さんたちを,これまで同様,ずっと受け入れていく形でやっていくのかどうなのか。今後の見通し等も含めて,お伺いできればと思うのです。 ◎清水 事務局長  ただいまお答えしましたとおり,患者さんの動向が,法制度が意図したとおりになっていないと。この背景には,先日も大きく新聞等で報道されておりましたけれども,一般市民の中に,根強く大病院志向の心情があるということ等がございます。また,制度的に申し上げますと,多数科,一つの科だけではなくて複数の科を受診する患者さんにとっては,いわゆる現行改正制度の,受診病院・診療所を分散して,そのたびに自己負担限度額3,000円を支払うことになりますよりも,大病院で複数の科を受診することで5,000円のみで済むというようなこと,すなわち経済的に大きなメリットがあるわけでありまして,当然,そのような選択の意思が大きく影響しているものと考えているところでございます。  これからの当院の運営にありましては,やはり病院機能の有効かつ効率的な活用の見地から,札幌市医師会が当院内に設置しております地域医療室というのがあるのですが,そこを通じて,私どもの病院と中小の病院,病病連携,それから19床以下の診療所,病診連携を一層進める中で,適正な患者さんの受け入れに努めてまいりたいと,そう考えております。 ◆恩村一郎 委員  今,お話ございましたけれども,やはりそういった形で,ともかく,いわゆる双方向の医療体制の確立というのでしょうか,市立病院で受け入れて,ある程度の治療が終わったらその地域の身近なところに戻してあげる,本来の目的としている,そういう方向にできるだけ持っていけるように,また患者さんたちの理解を深めていただくように,ぜひご努力していただきたい。そして,市立病院の本来の役割を果たしていっていただければなというふうに思います。  それと,もう1点,続けてあれなのですが,実は,児童虐待の問題について。静療院における治療を通じての児童虐待への対応について,実はお伺いしたいと思っています。  これは,先だって,保健福祉局関連の質疑の中でもやりとりがあったわけなのですが,児童福祉センターの調査でも,児童虐待に関する相談件数というのは,平成8年では78件であったものが,その後毎年ふえてきまして,平成11年には137件にも上っていると。札幌市でも,こういった状況に対して,児童虐待予防・防止ネットワーク会議なるものを設置して活動を始めたということは承知しているのですが,先だってのこの委員会の中でも,実は青山委員からも指摘がありましたように,虐待を受けた子供たち,そして虐待をする親たちのメンタルヘルスということに対する取り組みというのは,今後,大変重要な問題だというふうに私も考えております。  そこで,市立札幌病院静療院におけます対応について,ちょっと2点ほど伺いたいのですが,まず,1点は,虐待を受けた子供たちの受け入れについて,治療経過等の実例を踏まえて,その実態をお伺いしたいと。  次に,2点目として,児童虐待の今後の取り組みについて,どのように考えておられるのか,あわせてこの点についても,お伺いしたいと思います。 ◎安田 静療院長  まず,被虐待児受け入れの実態について,治療経過等を含めて申し上げます。  まず,軽症例としては,本市豊平保健センターから乳幼児発達相談を通して,育児困難を抱え,幼児に対する育児放棄,暴力に至る母親について当院児童精神科医への相談事例がふえてきております。  重症例としては,当院児童部への入院事例が,平成10年度では2件,11年度では4件,12年度に至っては6件と,着実にふえてきております。この入院している子供たちは,本市児童福祉総合センター,医療機関からの依頼で半数ずつを占めております。  性的虐待を中心に,幼児期から心身の虐待を受けた例が多く,入院直後から,児童の例では落ち着きのなさ,思春期の例では健忘・ヒステリー症状,リストカット等の自傷行為が目立ちます。  それでも,多くは,3カ月間ほどの,守られているという安心感を与えるような環境調整,自己評価の著しい低下から自己肯定へのカウンセリング,不眠,不安抑うつ状態に対する薬物療法などによる治療で,安定してきております。  しかし,このような重症例の子供たちの家庭の中には,家庭での指導力に問題を抱えている事例が多く,また,その家庭に対して,関係機関との連携によるフォローアップが十分できないことから,なかなか自宅に戻せないといった困った現状があります。  次に,児童虐待にかかわる当院の取り組みについてであります。  当院では,児童・青年期の精神科医療としては,これまで自閉症を中心とする発達障害を主に取り上げてきました。
     しかし,先ほど申し上げました重症例のように,昨今,児童を取り巻く精神科的諸問題は複雑化,多様化してきております。例えば,虐待保護者には気分障害,アルコール乱用,人格障害等の高い精神疾患罹患率,例えば,実父の33%,実母の49%が指摘されております。したがって,委員ご指摘のように,虐待する保護者の精神医学的対応は見逃せない問題と存じます。  このような背景のもと,当院では,一般成人部門の精神科医,児童精神科医,精神科療法士等の精神医療スタッフを種々に有していることから,保護者の心のケアを含めて,総合的に取り組むべき課題として認識しております。  したがいまして,今後は,軽症例では,各区の保健センターと,また重症例では,各区の保健センターはもちろんのこと,本市児童福祉総合センター,小児科等の医療機関と,それぞれケースに応じた連携の中で,医療スタッフの育成を図っていきたいと考えております。 ◆恩村一郎 委員  今,お話がございましたけれども,やはりこれから静療院自体の果たす役割というのは結構大きなものが出てくるのかなと,今までとは違った形での役割が出てくるのかなというふうに思います。  そういう中で,先ほど来言っております,私もまた違う機会でも随分言わせていただきましたけれども,いわゆる心のケアといいますか,メンタルヘルスに対する取り組みというのも,関係部局と力を合わせて積極的にやっていただきたいということを重ねて申し上げまして,質問を終わります。 ◆山口たか 委員  先ほど医療事故の質疑がございましたけれども,私も,それに関連しまして,重複を避けて,簡潔に伺いたいと思います。  連日,医療事故医療ミスの報道がされているわけですけれども,記憶に残っているのは,横浜市立大学の患者取り違い事故とか,それから昨年の3月の判決では,小樽市立病院がクモ膜下出血を一過性の高血圧と誤診したために患者さんが亡くなったということで,3,200万円の賠償命令が出ていると。それから,やはり昨年の5月は,札幌市内の大きな脳外科の病院で,B型とA型の輸血の血液型のミスで亡くなったとか,3月4日には,日高門別町の国保病院で,血圧降下剤と血糖値を下げる薬を間違って処方して,3日後に亡くなったとか。本当に,毎日毎日新聞を見ますと,このような事例が報道されていまして,今,医療に対する不安と不信というのはとても高いのじゃないかということを改めて感じているのですけれども,市立札幌病院におきましても,過日,6年前の診療をめぐるトラブルというのが報道されておりまして,一方で,臓器移植など高度医療が進んでいるということで,初歩的な医療ミスが重大な事故につながる危険性なんかも非常に高くなっているのかということで,私は,これは大変大きな問題だろうというふうに考えまして,改めて伺いたいと思います。  本市立病院におけます医療過誤対策について,どのような方法をとっていらっしゃるのか,確認を含めてお伺いをしたいと思います。  それから,先ほどもありましたが,事故の一歩手前のインシデントといいますか,冷やりとした,はっとした具体的事例ですけれども,ある調査では,看護婦さんの90%以上がこのヒヤリ・ハットを体験していると。しかも,このヒヤリ・ハットは,統計学上は大きな事故の30倍以上起こるだろうというふうに言われていると,物の本にも書かれておりますけれども,この市立札幌病院におけます具体的事例をお示しいただきたいと思います。それから,それらの事例は,その後の診療にどのように生かされているのか,以上,お尋ねしたいと思います。 ◎景浦 理事  インシデントの具体的な事例及びその後の対応ということでございますけれども,インシデント事例の主な内容といたしましては,病棟における薬剤関連の指示受けや転記に関するミスなど,確認不足によるものが大半を占めているところであります。  また,病棟内での高齢の患者さんの転倒やベッドからの転落などについても報告されております。さらにまた,検査検体の取り違えとか調剤過誤なども,毎月報告されております。  これらは,幸い,大事には至っていないものの,重大な事故に発展する可能性も否定できないところでありますので,すべて,毎月行われておりますインシデント委員会において発生原因を分析し,再発防止策を検討の上,全部署にフィードバックすることによりまして,同様の事例を防ぐように努めております。  以上です。 ◆山口たか 委員  今,何例かお示しいただいたわけですけれども,これは個々の具体的事例の対応ということがもちろん大事だと思いますが,それを含めまして,それだけではやっぱり根絶は困難でありまして,事故やミスを犯さない体制づくり,土壌づくり,あるいは人間の行うことですから,絶対というのはあり得ないので,それを最小限に食いとめることを,システムとしてやっぱり求められるというふうに思うわけなのです。従来からリスクマネジメントという観点から取り組みをされているのは,個々のセクションごとに行われているということで,先ほども,リスクマネジャーを配置するということでしたが,病院として,総合的・総体的,全庁的なリスクマネジメントというものが必ずしも行われていなかったようにも聞いております。  そこで,お尋ねしたいのですけれども,国からも,リスクマネジメントの指針というものが出されました。そこで,本病院におきまして,マニュアルの改善,作成などについて,どのような現状か,取り組みを含め,概要も含めてお尋ねをしたいと思います。 ◎景浦 理事  お答えします。  市立札幌病院では,医療事故を未然に防止するために,または万が一,事故が発生した場合に適切に対応するために,インシデント委員会を中心に検討を重ね,総合的なリスクマネジメントマニュアルの整備がほぼ完了しておりまして,4月から施行するということでございます。  また,このマニュアルの施行とあわせまして,医療事故の防止を目的とした医療安全対策会議など,院内組織を強化したところでありまして,これらによりまして,院内で発生するインシデント事例の報告及び医療事故防止の徹底をさらに図っていく所存でございます。 ◆山口たか 委員  4月から新たなマニュアルで,充実した施行ということですので,少しでも市民の受診者の不安が改善されるようご期待を申し上げたいと思いますが,最後になりますけれども,直接医療ミスということではございませんけれども,病院運営の基本的スタンスということでお尋ねをしたいと思います。  実は,病院に対する苦情とか異議とか,あるいは要望など,私のところにも時々お電話をいただきますが,一体どのようなものがあるかということで,病院と,それから市民の声を聞く課を含めて資料をちょうだいいたしました。中身を見させていただきますと,ほとんどの診療科にまたがっていたり,それからドクターの対応とか診療待ち時間が3時間とかいう部分,それから看護婦さんの対応とか,主治医が話の途中で席を立ったりするとか,それから一番やはり大きかったなと思うのは,市立病院で診察を受けながら在宅で治療していた方が,容体が急変して,市立病院に救急搬送を頼んだけれども断られたという事例なんかについても,市民の方から寄せられております。  そこで,もちろんこの苦情のすべてがすべて,このとおりじゃない部分もあるかと思いますし,中には,本当にお一人で何十件も電話をされて,マニアックな部分もあるというのは承知しておりますけれども,やはり,インフォームド・コンセントが不十分な部分があって誤解を生じているのかなとか,読んでいて,そのようなことも感じる事例なんかもございまして,これらは,やはり姿勢を,市民の方に,正すべきではないかなというふうに感じる次第です。  これまで,やはり私どもも,患者の立場ですと,ドクターやナースというのは特別の専門職で,一度病院に入ってしまうと,まないたの上のコイというような心理状態で,なかなか疑問があっても言えないとか,そういうようなことでずっときましたし,やはりそういう苦情なんかにつきましても,密室の中で解決されてきた部分が多いかと思いますけれども,こういう時代になってまいりまして,今のような事例,症例,それから苦情につきましても,やはり病院として基本的姿勢が改めて問われてくるのではないかなというふうに思います。  先ほど,涌井委員からはドクターの公務員としての意識改革ということがございましたけれども,私は,病院全体としてどのようにお考えか,基本的姿勢について確認をさせていただきたいと思います。 ◎中西 病院長  市民が安心,また信頼できる病院運営に対する基本姿勢ということでございますけれども,市立札幌病院では,市民の方々が安心,信頼できる病院づくりを目指しまして,すべての患者さんに対して,その人格,信条を尊重し,常に優しさを持って診療に専心するいう基本理念を定めまして,職員全員に周知しているところでございます。  ただ,市民から厳しいご指摘をいただいていることも事実でありますので,これらのご指摘を参考とさせていただきまして,病院に勤務するすべての職員が常に患者さんの気持ちを思いやり,優しさを持って診療に当たるよう,今後とも努めてまいりたいと思ってございます。  以上です。 ◆伊与部敏雄 委員  私も,病院関係について,数点お尋ねいたします。  まず最初に,財政問題ですけれども,一番後ろに優秀な中村財政課長が座っているから,中村財政課長にお尋ねしたい。  予算書,これ企業会計の予算説明書,これは29ページの総括表に載っていますけれども,市立札幌病院は,いわゆる1年間で合計254億6,000万円の収支の事業を行っている。収入も支出も254億6,000万円に近い。しかし,これを見ますと,単年度で経常収支は19億3,700万円の赤字となっています。  同時に,一般会計からの繰り出し,市立病院に一般会計から86億966万円繰り出ししている。市立札幌病院は約30科ある。本院だけで27科ある。そういう中で,私は,中村財政課長にお尋ねしたいのは,一般会計から繰り出ししている86億966万円のうち,長期の借入金,いわゆる病院からいうと長期の借入金が35億5,700万円ある。これはずっと続いている。新しい病院が平成7年にできて以降,今はもう6年間たちますけれども,ずっと続いている。この35億5,700万円は,どのぐらいこれ続いていくのか。これはやっぱり一たんどこかでもって割り切って,ゼロにしたら中西院長は喜ぶだろうね,はっきり言って。そういう財政の大きな流れの中で,一般会計として,病院会計に繰り出ししている35億5,700万円の長期借入金について,一般会計からは貸し出しですわね,病院としては借入だ,これについてどういう基本的な考え方を持っているのか,まず1点目,明らかにしていただきたいと思います。  2点目は,治験についてです。  私,市立病院の治験について質問すると言ったら,ある人が,「ちけん」とは何だと。札幌地方検察庁かと。こう言って尋ねた人がいるけれども,札幌地方検察庁ではありません。「ちけん」とは,要するに明治の治,試験の験,いわゆる治験,言うならば,まだ薬になる以前の薬を投入して臨床試験をやると,こういうような解釈でよろしいのではないかと,そう思いますけれども,いずれにしても,国の厚生省が薬として認める以前の,要するに薬の試験と,これが治験と,こういうふうに言われているのです。  私は,実はこの治験について,六,七年前に質問したことがある。なぜかというと,そのときは,この治験の研究費,並びに薬品メーカーからお願いされる,依頼を受ける,その収入と支出が全然,この病院の一般会計に入っていなかったことがある。他都市で,これはみんな病院会計に入れないで,そして,お医者さんが逮捕されて,お医者さんが全部使ってちゃって,地方公務員法違反で逮捕されて,豚箱に入った実例もある。  市立札幌病院では,新しい病院になってから,平成7年から,ようやくこの治験に対して,薬品業者からの依頼,それから研究費の支出,これについて明確に出すようになった。非常に私は注目している。しかし,予算書を見ても全然わかりません,はっきり言って。治験で何ぼ収入があったとか,そのために研究費を何ぼ出したということは,予算書を見ても数字が具体的に出てこない。だから,これはどういうような状態になっているのか,まず簡単にひとつお答えを願いたいと思います。  次に,質問いたしますが,臓器の移植問題について,今,非常に関心を持たれている。先月,北大で脳死の肝臓移植がなされた。市立病院の臓器移植についていろいろ事前に調べてみたら,腎臓移植,これについては去年1年間で脳死関係で2件やっている。しかし,そのほかに,生体移植だとか,それから献体移植だとか,そういうものを含めますと,もう何十件とやっているらしいのだけれども,臓器移植について,今の状況はどうなっているのか。  そして同時に,収支のバランスが本当にとれているのかどうかという問題もある。やればいいというものでもないし,人を助けるためには,金に糸目はつけないというわけにもいかないし,やっぱりこれは診療報酬の中できちっと定められているのかどうかという問題もある。さまざまな見方,考え方があると思いますけれども,現在の市立病院の臓器移植についてどういうような状況になっているのか,ひとつ明らかにしていただきたいと思います。  それから,4番目に,私は,常日ごろ,先ほど冒頭に言いましたように,本院の27科,27科の原価計算をしなさいと,診療原価の計算をするべきだということを今まで盛んに言ってきました。しかし,今まで原価計算はなされていなかった。ようやく,去年から27科の原価計算をするような状況に一歩踏み込んだというふうに私は聞いているのだけれども,今,どのような状況になっているのか。これまたひとつ明らかにしていただきたいと思います。 ◎中村 財政課長  1点目の一般会計からの病院事業会計に対します35億強の長期貸付金,病院事業会計にとりましては借入金ということになりますけれども,一般会計として一たんゼロにしてはどうか,いつまで続けるのかというようなご質問ですが,委員がご指摘のように,一般会計から企業会計に対する繰り出しというのは,トータルで620億ほどございます。また,国保会計,介護保険会計を中心とする特別会計に対しましては563億と。これはいずれも13年度の数値ですけれども,トータルしますと1,180億という額になります。この中には,税等の一般財源だけではなく,今,お話にありました貸付金ということの金額も相当ございますけれども,結論から申しますと,一般会計の財政状況が厳しい中では,この35億5,700万円の貸付金については,当面続けざるを得ないと。  ただ,私も市役所生活の振り出しは市立病院でございまして,二十数年前の私がおりましたころから比べますと,現状の市立病院における経営努力というのは,非常に涙ぐましいと申しますか,大変な努力をされているということ十分承知をしております。  しかし,35億強を一遍に一般財源で持ち出すか,あるいは段階的に持ち出すかというような問題はありますけれども,当然,一般会計からの状況からしますと,すぐに解消というようなことは難しいものと考えております。  以上です。 ◎富樫 副院長  治験につきましてお答え申し上げます。  市販前のお薬の臨床試験,これを治験と申しますが,以前は,いろいろな薬品会社等が不明朗な点があったやに,ほかの病院について聞いておりますけれども,平成9年に薬事法が改正されまして,新GCPという基準が設けられまして,当院におきましても,外部委員3名を含めた治験委員会を立ち上げまして,そこで十分審議いたしまして,実施しているところでございますので,委員のご指摘のようなことは,私たちの病院ではないと自信を持って言えると存じます。  なお,治験等の契約件数でございますが,平成11年度実績では39件,5,592万円の治験収入,このほかに,市販後の調査等が69件,1,023万円ございまして,合計で6,616万円となっております。  ちなみに,現在進行しております12年度におきましては,1月現在,治験が30件,3,675万円,それから市販後調査が73件,1,289万円で,合計4,964万円でございます。  これを財源といたしましての研究費でございますが,図書の購入費とか必要な物品,医師の出張等に使わせていただいておりますが,11年度は3,711万円,12年度は2,961万円が充てられております。  なお,13年度予算では収入で5,023万円,支出で3,807万円を計上しているところでございます。 ◎吉田 理事  臓器移植についてお答え申し上げます。  第1点目の当院における臓器移植の実績でありますが,臓器移植につきましては,心臓,肺,肝臓,腎臓,膵臓,小腸,その他角膜,皮膚等が移植の対象となっておりますが,このうち,当院におきましては,腎移植科において腎臓移植を行っております。  腎臓移植の件数につきましては,ここ3年間の実績で申し上げますと,10年度が11例,生体腎移植が10例,献腎移植が1例,11年度が16例,生体腎14例,献腎2例,また,今年度12年度では,きょう現在で24例でございまして,この24例の内訳としましては,生体腎19例,献腎3例,脳死移植よりの腎移植が2例となっております。  腎移植の収支につきましては,まず収入では,保険適用による診療報酬請求の額で,31日間入院いたしました1例目では523万円,52日間入院いたしました2例目では640万円であります。  一方,支出では,腎受け入れ経費として,提供元の医療機関に対し,1例につき70万円を,臓器移植ネットワークを通じて支出いたします。  なお,腎臓,肝臓以外の臓器につきましては,現在のところ保険が適用されませんので,これにかかる費用は,移植施設,あるいは提供を受けた患者さんの負担になるものであります。  次に,移植手術の損益計算でありますが,当院では,これまでのところ個別治療ごとの損益計算をしておりませんので,正確な収支の均衡につきましては申し上げられませんが,先進的高度医療に対する診療報酬上での評価が高まっておりますことと,さきに申し上げました請求額から判断いたしますと,収支のバランスは十分成り立つものと考えております。 ◎清水 事務局長  診療科別原価計算の関係でございますが,先般来,ご指摘をいただいてまいりました各診療科別原価計算でありますが,現在,11年度の実績をもとに,本院29科への収益配分の基準について検討を進めているところでございます。これまでの方法で把握してまいりました診療科別の診療報酬などを,院内での実態調査や診療報酬の項目別把握,各医療従事者の各科への貢献額の算出などを通して,各診療科の収益,コストを再配分するなどの作業を進めてございます。  当然のことでありますが,非生産部門であります事務局職員費用や管理的経費も含め,すべてのコストを各診療科へ配分する考え方の確定をも含めて,現在努力しているところでございます。  以上です。 ◆伊与部敏雄 委員  まず,治験ですけれども,先ほど,副院長が答弁しましたが,現在の状況はわかりました。治験の実施は,さっき委員会,その他を含めてと言いましたけれども,手続,手順ですね,例えば,薬品メーカーからどういうふうに依頼を受けて,それを薬品メーカーから依頼を受けたことを全部受けて全部やるというわけじゃないと思いますけれども,その辺の治験の実施に対してどのような手続を踏んで,本院としては治験をするのか,それをまずひとつ明らかにしていただきたい。同時に,現在,どのような薬,薬でもいろいろあると思いますよ,これは,27科あるわけですから,27科で一つずつやっても27の薬が治験されているという,そういう実態になるわけですから,今,どういう薬を治験しているのか,これも含めてひとつ明らかにしていただきたいと思います。  それから,2番目に,先ほど,移植問題について説明を受けましたけれども,まず,先ほど答弁にありましたように,腎臓と肝臓の移植については,これは診療報酬で賄うような体制になっている。そのほかの五臓六腑,そういうところは,もう診療報酬は適用されないと,個人負担だと,こういう答弁をなされましたが,それに対しては,国からも道からも,補助金は一切出ないと,全く個人負担だと,こういうことなのですけれども──うん,うん,うなずいていたら質問できなくなっちゃうから,もう答弁しているような感じだから,やりずらいのですが。  いずれにしても,そういうような状況もるる説明をして,答弁をいただきたいと思います。  それから,もう一つは,今後,市立病院は腎臓しか移植しないのか。心臓とか肝臓,膵臓だとかはしないのか。うちの同僚の澤木さんも糖尿から膵臓にいって肝臓にいって亡くなったのですが,膵臓だとか肝臓は,市立病院では移植できないのか,やるつもりはないのか,基本的な姿勢をひとつ明らかにしていただきたいと思います。これが治験と移植問題です。  それから,清水局長にお尋ねしたいのだけれども,原価計算の実施状況について,今までどういうような取り組みをしてきたということについてお尋ねしたいのだけれども,現在,はっきり言って,どのような取り組みをしているのですか。  同時に,外部監査,これは札幌市の外部監査契約に基づく監査に関する条例,これは去年の平成11年3月4日にできましたよ,これは地方自治法の改正,言うならば,法第252条の27に基づいて外部監査をしてもいいことになった。それで,調べたら,早速,市立病院にこの外部監査が入ったというのだね。今,外部監査をやっている最中だというふうに聞きますけれども,それ以前に,病院独自の内部監査,いわゆる原価計算をやってきたけれども,同時に,この法律改正に基づいて外部監査が入ってきた。外部監査というのは,病院が頼んで入ったわけじゃないから,これは費用は約2,000万円ぐらいかかるらしいのだけれども,これは一番後ろに座っている人たちが出すのでしょう。  いずれにしても,内部の原価計算の基本的なスタンスと,今,外部の包括監査が市立病院に入っている最中だと,こういうふうに聞きますが,どんな書類を出して,どんな監査をされているのか,その辺も含めてひとつ明らかにしていただきたい。 ◎富樫 副院長  まず,治験の件についてお答え申し上げます。  治験薬,すなわちまだ市販されていない新しいお薬,新薬と申しますが,そういう薬で,海外または国内で開発されましたものにつきまして,臨床試験をしなければいけないという申し込みが,病院の治験審査委員会に審査を受けるべく申請がございまして,その上で,先ほど申し上げました,民間人3人を含めた治験審査委員会で十分審議して,病院長がこれを許可するという形で審査を受け,そして,その許可が得られましたお薬について,外来または病棟等におきまして,患者さん,または患者さんの保護者に十分なインフォームド・コンセントを行いまして,そして治験を行うという,そういう手順を踏ませていただいております。  なお,現在,糖尿病の治療薬,それから悪性腫瘍の治療薬,それから心臓血管系の治療薬,そのほか,ワクチンを含めて非常に多岐にわたりまして,11科,24品目について治験を行っているところでございます。 ◎吉田 理事  臓器移植についてお答えいたします。  全く委員ご指摘のとおりでございまして,先進医療の部分と,我々が全くその枠の中でしか診療ができない保険医療との間には大きなギャップといいますか,ディスクレパンシーがあります。これが我々の知識と実際に患者さんに治療してさしあげる技術との間で,常に苦しんでいるというか,悩んでいるところでございます。  補助金についてでありますけれども,個々の移植症例について特段の補助金はございませんが,当院は臓器移植ネットワークの会員の指定を受け,組織適合検査でありますHLA検査のセンター施設としての業務を担っておりますことから,国及び道より補助金を受けております。  補助金額につきましては,10年度,11年度は1,400万円,12年度は,制度の改正によりまして670万円となっております。  続きまして,他の臓器,委員ご指摘の五臓六腑でございますが,腎臓以外の移植施設につきましては,移植関係学会合同委員会というものがありまして,そこで選定されることが条件となっております。したがいまして,その選定に当たりましては,症例数,研究実績等の施設基準が設けられております。  選定条件の1項目を挙げますと,当該臓器移植に関する研究実績でございます。研究実績が一定以上あること,具体的には,心臓,肝臓につきましては,研究年数が5年以上,また実際に,当該臓器の移植を犬や猿を用いた動物実験で継続的に行っているという選定条件がございます。  したがいまして,こういう選定条件のもとでは,現状では,当院での他の臓器移植症例の拡大はできない実情でございます。  現在,腎臓以外の移植施設として指定されている医療機関は,11の大学病院と名古屋第二赤十字病院となっております。  なお,市立札幌病院といたしましては,今後とも,自治体病院の使命にかんがみ,移植医療を含む高度な先進医療技術を習得し,その技術,及び施設としての機能を発揮する中で,札幌市民を初め,道民の健康福祉増進に寄与すべきであると基本的に考えております。 ◎清水 事務局長  私どもが院内でやっている診療科別原価計算と,外部監査法人のやっていることと,こういうことでございますが,私どもは,先ほども少し申し上げましたけれども,従来は各診療科のお医者さんが所属する診療科の収益としておりましたものを,院内のお医者さん方を含め,医療従事者の,例えば,1週間の全労働時間をどういう作業に使ったかというような実態調査をいたしまして,その比例配分,実際のやっております実務に応じた配分をひとつやっていこうと,こういうようなことを含めて,従来押さえておりました診療科別の収益をもう一度再配分して整理を図ろうと,こういうことを主としてやっております。  また,外部監査法人でありますが,これは昨年の7月からいろいろ私どもの所有しております総勘定元帳,収入伝票,支払い伝票,振替伝票,ありとあらゆる書類を提出いたしまして,一定の手法で外部監査法人ならではの分析を進めてくださっているものと,こう考えておりまして,その結果が3月下旬に公表される予定と伺っておりますので,その結果も,私どもの原価計算の考え方に大きな手助けになるものと考えているところであります。  以上です。 ◆伊与部敏雄 委員  実は,冒頭,財政問題についてお話ししましたけれども,これは単年度で19億3,700万円ですか,赤字があったと。これは累積で言うと,市立札幌病院の累積赤字は幾らあるかというと約128億円ある。この128億円は累積赤字ですから,単年度19億3,700万円の赤字を出している,これが継続していきますと,まだまだふえる可能性が出てくると。  平成7年に,皆さんが長期財政計画をつくったときに,私の記憶ですと,平成14年には単年度黒字になると,こういうような長期財政計画をつくったことを私は知っていますよ。  しかし,13年度の予算を見たら,もう単年度で19億数千万円の赤字になっている。累積赤字が128億円もある。14年度で,長期財政計画の見通しの中で,単年度で黒字になるはずがないのじゃないですか。いつ単年度で黒字になるという見通しを,今現在持っているのか。いわゆる財政の長期計画,見通し,その他について,ひとつ最後に明らかにしていただきたいと思います。 ◎中西 病院長  今後の財政収支の見通しについてでございますけれども,今後の財政収支の見通しは,診療報酬改定や給与改定などもございますけれども,これらを盛り込んだ一定の条件のもとで,また,院外処方箋の全面発行を昨年行いまして,これらの影響も考慮した上で見直しを図りました結果,これまでご報告してまいりました財政収支見通し,すなわち,平成17年度の単年度の資金剰余,平成27年度の損益収支の黒字転換につきまして大きな影響はないものと考えてございます。  なお,これまで平成21年度に見込んでおりました年度末の資金不足,不良債務の解消は,平成12年度の執行状況を勘案いたしますと,今年度で達成できるものと考えております。すなわち,現在の中長期財政収支見通しよりも数年早く達成できる可能性がございます。  今後とも,鋭意経営改善に努めてまいりたいと存じております。  以上でございます。 ○大西利夫 委員長  以上で,議案第14号の質疑を終了いたします。  本日は,これをもって終了し,次回は,15日午後1時から,建設局関係の審査を行いますので,定刻までにご参集ください。  それでは,散会いたします。     ──────────────       散 会 午後3時10分...