札幌市議会 2000-10-17
平成12年第一部決算特別委員会−10月17日-06号
平成12年第一部
決算特別委員会−10月17日-06号平成12年第一部
決算特別委員会
札幌市議会第一部
決算特別委員会記録(第6号)
平成12年10月17日(火曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 32人(欠は欠席者)
委 員 長 飯 坂 宗 子 君 副委員長 福 士 勝 君
委 員 柴 田 薫 心 君 委 員 大 越 誠 幸 君
委 員 宮 本 吉 人 君 委 員 千 葉 英 守 君
委 員 上瀬戸 正 則 君 欠 委 員 道 見 重 信 君
委 員 笹 出 昭 夫 君 委 員 馬 場 泰 年 君
委 員 鈴 木 健 雄 君 委 員 近 藤 和 雄 君
委 員 村 松 正 海 君 委 員 五十嵐 徳 美 君
委 員 湊 谷 隆 君 委 員 澤 木 繁 成 君
委 員 川口谷 正 君 委 員 猪 熊 輝 夫 君
委 員 畑 瀬 幸 二 君 委 員 大 嶋 薫 君
委 員 藤 原 廣 昭 君 委 員 本 舘 嘉 三 君
委 員 小 田 信 孝 君 委 員 義 卜 雄 一 君
委 員 高 橋 功 君 委 員 三 浦 英 三 君
委 員 生 駒 正 尚 君 委 員 井 上 ひさ子 君
委 員 宮 川 潤 君 委 員 坂 本 恭 子 君
委 員 田 中 昭 男 君 委 員 小 林 郁 子 君
委 員 松 浦 忠 君
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開 議 午後1時12分
○飯坂宗子 委員長 ただいまから,第一部
決算特別委員会を開会いたします。
ここで,暫時休憩をいたします。
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休 憩 午後1時12分
再 開 午後1時43分
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○飯坂宗子 委員長 委員会を再開いたします。
報告事項でありますが,道見委員からは欠席する旨の,柴田委員からは遅参する旨の届け出がございました。
それでは,議事に入ります。
第9款 教育費 第1項
教育委員会費から第8項
学校保健給食費までを一括して質疑を行います。
◆小林郁子 委員 それでは,私の方から,大きく二つの点にわたりお伺いをいたします。
初めに,障害児教育の推進についてでございます。
本市では,障害児教育を教育行政の重点施策の一つとして位置づけて,そのあり方について
特殊教育振興審議会に諮問し,ことし3月,その答申が出されており,現在は,
障害児教育推進の基本方針,そして基本計画を策定中でございます。
そこで,
基本計画策定に当たりまして,基本となる考え方についてお伺いをいたします。
一人の障害のある子供について考えますときに,学校教育だけで足りるものではなくて,福祉とか医療,保健,このような施策などとの横の広がり,それからまた,年齢的に成長していくに伴い,就労や地域で生きるために必要な支援施策として,縦の深まり,このような縦と横を見据えた総合的な視点が必要であると考えます。
また,その最も基本のところでは,施策を推進する側の思いではなく,子供の権利に基づいて,子供を主体とした総合的な施策展開が図られるべきと考えますけれども,
障害児教育推進の計画の策定に当たりまして,基本的な考えをまずお伺いしたいと思います。
それから,続きまして,計画の策定についてですけれども,計画を策定するに当たりましては,専門家という人たちに依存することなく,日々,その障害のある子供と向き合って暮らしている,そういう事実をよく見ている当事者たる保護者の意見を十分に聞いて策定されるべきものと考えますが,計画策定はどのように進められるのか,その方法と
日程的スケジュールについてお伺いをいたします。
◎岩崎
学校教育部長 ただいまのご質問の2点につきまして,私の方からお答えをさせていただきます。
まず,質問の1点目でございますが,
障害児教育推進基本計画策定の基本的な考え方についてでございますが,本市におきましては,これまでも教育行政の重点施策の一つとして,障害児教育の充実に努めてきておりますが,近年,ノーマライゼーションの理念が広がりを見せている中で,障害の重度・重複化あるいは多様化の現状がございまして,一人一人の
教育的ニーズに応じたきめ細やかな教育,これと地域での教育を軸とした新たな展開が求められているところでございます。
今後におきましては,本市におけるこれからの障害児教育につきまして,中長期的な展望に立った計画を策定し,障害のある子供たちの教育の充実を図ってまいりたいと,このように考えてございます。
ご質問の2点目の今後のスケジュールについてでございますが,本年3月に,
特殊教育振興審議会からいただきました答申を受けまして,具体的な課題を分析・検討するとともに,関係部局との調整等を行いながら,計画策定へ向けての素案づくりを現在進めている段階でございます。平成13年のなるべく早い時期をめどといたしまして策定したいと,このように考えてございます。
また,策定方法についてでございますが,幅広く市民の方から寄せられておりますご意見,要望等も取り入れながら,
特殊教育振興審議会を適宜開催する中で,多角的な見地からのご意見をいただき,策定に当たりたいと,このように考えております。
以上でございます。
◆小林郁子 委員 計画の策定に当たりまして,総合的な視点といいますか,そしてまた関係部局との調整を含めながら,ぜひ計画自体を総合的な施策で立てていただきたいというふうに思っております。
それから,続きまして,障害の多様化への対応についてでございますけれども,障害児教育を考える上で,現在,障害の多様化への対応といいますか,そういうことが実際大きな課題になりつつあります。子供の就学上の悩みを抱えている保護者に対して教育相談が行われております。その相談状況,一般相談,特殊相談というふうにございますけれども,相談件数がふえている,そしてまた障害種別の多様化もあらわれております。そのような障害の多様化の状況がある中で,障害のある子供たちが,じゃ,どこに,例えば,特殊学級とか普通学級とか通級とか,どこに行くのがふさわしいのかということを決めるのは,非常に慎重に対応しなければならなくなっていると思います。
現在,そのような中で,
就学指導委員会の判定にかけられているケースがどのくらいあるのか。そのうち,保護者は普通学級を望むけれども,教育委員会の決定としては特殊学級がふさわしいというような食い違いを見せるような場合には,どのような対応がとられるのか。保護者の,そして本人の希望を最優先すべきと,私どもは考えますけれども,その対応についてお伺いをしたいと思います。
◎岩崎
学校教育部長 就学指導の状況についてお答えを申し上げます。
障害のある子供の就学につきましては,保護者の申請に基づきまして,今お話のございました
就学指導委員会が判定を行ってございます。この結果を受けまして,教育委員会が盲・聾・養護学校,特殊学級,通
級指導教室等の学校指定を行ってございます。
平成11年度でございますが,383名の子供が
就学指導委員会の判定を受けておりますが,そのうち27名が判定とは異なる学校もしくは学級に就学してございます。
保護者の意見と
就学指導委員会の意見が異なる場合につきましては,保護者と私
ども教育委員会とで十分話し合いを行い,可能な限り,保護者の意見を尊重して学校を決めてございます。
以上でございます。
◆小林郁子 委員 私どもも,いつでも,どこでも,だれでも,今言われたように,普通学級に入りたい子供たちには,その道を開くという方向,これから教育委員会としても進めていっていただきたいと思っております。
それから,続きまして,障害の多様化の中で,LD,学習障害を持つ子供たちへの対応についてお伺いをいたします。
知能指数は低くないけれども,計算とか読み書きとか推論など,特定の範囲で学習が困難な子と,そういうような方を学習障害というふうに今呼んでおりますけれども,このような方々は,周囲の人たちからは,単に怠けているとか,そういうような誤解から人間関係がまずくなっているということも出てきております。
このLDの指導につきましては,昨年,文部省の
調査研究協力者会議の報告が出されております。教育現場でのLDへの対応は,まだまだこれからだと,私どもは思っております。
そこで,お伺いいたしますけれども,LDを抱える子供の出現率というのは,一説には2%から3%と言われております。そうしますと,札幌市内の小学生が約11万人ですから,2,000人から3,000人の数のLD児がいることになります。本市におきましては,LDの現状をどのように認識されておられるのか,まず1点目お伺いをいたします。
それから,2点目としまして,その対応についてです。
LDを抱える子供について,教師がLDについての認識を持ち,指導に当たらなければ,単に怠けているとかずる休みをしているというふうに思われまして,LDが要因となって,さらにいじめや不登校など,二次的な障害があらわれてまいります。そのために,教師への研修,そして学校全体としての認識,取り組み体制というのが非常に重要になるわけですけれども,私の知る限りでは,仙台市におきまして,仙台市教育委員会が
LD児等理解啓発手引書というわかりやすいマニュアルをつくっております。
札幌市におきましても,このLDを含む障害の複雑多様化に対応するために,本市における取り組みとしてどのようなことが考えられているのか,お伺いをしたいと思います。
それからまた,3点目でございますけれども,その取り組みに当たりまして,LD児を抱える保護者の方々の意見を十分尊重し,また反映するような,そのような形での取り組みを進めていただきたいと思っておりますが,以上3点いかがか,お伺いをしたいと思います。
◎高橋
指導担当部長 学習障害等につきまして,まとめて私の方からお答え申し上げます。
まず,学習障害についての実態把握についてでありますが,平成11年7月の文部省の
調査研究協力者会議の報告の中に,「学習障害の判断・実態把握基準(試案)」が示されております。それによりますと,実態の把握を校内の委員会で行い,教育委員会が設置する
専門家チームが判断することとされておりまして,現在,全国15の県及び都市が文部省のモデル事業として指定を受けております。
本市においては,今のところ,
専門家チームが設置されておらず,文部省の試案に基づいた判断・実態把握は行ってございません。しかし,指導主事の学校訪問等の機会を通しまして,学習障害等の疑いのある児童・生徒の実態について,可能な限り,その把握に努めているところでございます。
次に,今後の対応についてでございますが,学習障害だけではなく,広く学習面でさまざまな困難を抱えている子供たちの特性等を理解し,個に応じた指導の充実を図っていくことが必要であると考えております。そのために,これまでも学習障害等にかかわる講演会や研修講座を開催してまいりましたけれども,今後は,さらに具体的で実践的な研修を設定するよう努めてまいりたいと考えております。
また,通常の学級の教員が,より具体的で専門的な理解を深めることが必要であり,かつ,学校の体制づくりの契機となるよう,子供の理解と指導に直接役立つ指導資料を今年度中に作成するため,準備を進めているところでございます。
3点目の,関係の保護者を指導資料の編集委員に加えることについてでございますが,この作成に当たりましては,幅広い観点から,子供の実態を把握することが必要でありますことから,何らかの形で関係の保護者の意見が反映されるような方策を考えてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆小林郁子 委員 ぜひ,わかりやすい,教師にも,そして保護者に配ってもいいようなわかりやすいものをおつくりいただきたいと思っております。
それから,私の質問の大きな2点目ですけれども,教育現場における国旗・国歌の取り扱いについてでございます。
国旗・国歌の取り扱いについて,この9月18日に,教育委員会から各学校長に対しまして職務命令が出されましたが,
市民ネットワークといたしましても,これについて抗議をし,その撤回を要請してまいりました。それは,このことによって,子供たちに,そして教師に対して,内心にわたる強制は許されないと考えるからです。
今回,職務命令を発した要因の一つとして,国旗掲揚と国歌斉唱の実施状況として,札幌市の実施率が都道府県,他の指定都市に比べて低いということを重要視されておられます。
そこでまず,4点お伺いをいたします。
まず,入学式・卒業式で実施率が低いということですけれども,この低いということが,学校教育上,何か支障が認められるのかということです。
それから,2点目ですが,国旗・国歌法の施行後,初めての卒業式・入学式がありましたことしの3・4月,実施率は以前と比べて変化があったのかどうなのか,お伺いをします。
それから,3点目ですけれども,これまで実施率が上がってこなかったその原因は何にあるとお考えか,お伺いをいたします。
それから,4点目ですが,法の施行後,国旗・国歌のことで,保護者とか子供たちから,これまで実施してほしいというような要望が果たしてあったのかどうなのか,まず,この4点についてお伺いをいたします。
◎高橋
指導担当部長 4点について,まとめてお答え申し上げます。
まず,1点目の実施率が低いということで,学校教育上,支障があるかどうかという点でございます。
法的拘束力を有する
学習指導要領に基づきまして国旗・国歌を適切に指導することは,公教育を行う学校に課せられた責務であります。(発言する者あり)学校における国旗・国歌の指導は,子供たちに,我が国の国旗と国歌の意義を理解させ,これを尊重する態度を育てるとともに,諸外国の国旗・国歌も同様に尊重する態度を育てるために,
学習指導要領に基づいて行っているものであります。
実施率が低いということは,その指導が適正に行われていないということであり,学校教育として果たすべき責務を果たしておらず,(発言する者あり)教育上,支障があったと認識しております。
2点目の今春の国旗・国歌の実施率についてのご質問でございますが,平成10年度と11年度の卒業式における国旗・国歌の実施率を比較いたしますと,国旗については,小学校で10年度が88.5%,11年度が92.3%に,中学校では,同じように,62.5%から80.4%となり,国歌につきましては,小学校で32.1%が46.9%に,中学校では11.5%が12.4%となっております。また,同じく,11年度と12年度の入学式における国旗・国歌の比較でございますが,国旗につきましては,小学校で88.9%が91.8%に,中学校では61.5%が77.6%となり,国歌については,小学校で28.8%が40.9に,中学校では11.5%が13.3%となっております。
3点目の国旗・国歌の実施率が上がらなかった理由でございますが,教育委員会といたしましては,これまでも
学習指導要領に基づいた適正な実施に向けて,各学校において教職員の理解を得るよう努めるとともに,十分に時間をかけて話し合いを継続したところであります。しかしながら,教職員の理解は十分得られず,国旗・国歌の実施に向けた取り組みが進まなかったことから,実施率が上がらなかったものと考えております。
4点目,国旗・国歌についての保護者や子供たちから実施の要望はあったかということでございますが,国旗・国歌の実施につきましては,これまでも保護者や市民の方々から,教育委員会や市民の声を聞く課などに,国旗・国歌についての指導や入学式・卒業式における国旗掲揚・国歌斉唱の実施を要望する声がございました。また,このたびの国旗・国歌にかかわる教育委員会の措置に対しても,多くの保護者及び市民から,「今まで卒業式や入学式に国旗・国歌がなかったのが不思議である」「国旗・国歌の問題は,
学習指導要領にのっとり実施するのが当然である」などの声が届いているところでございます。(発言する者あり)
以上でございます。
◆小林郁子 委員 この教育委員会の通知を見ますと,国際社会を生き抜く力をはぐくむこと,そのために国旗・国歌の掲揚が必要であるということでございますけれども,人が生まれ育つのは,まず地域です。その地域を愛して,その心が,国を愛する心につながるのであって,国が先にあるわけではないと,私は思っております。地域を愛することにつながるさまざまな教育の中から,真に国を愛し,国際社会を愛する心が育つのではないかと考えております。国旗・国歌を強制するところから,そのような心が育ってくるとは,私は思われません。(発言する者あり)
次に,2番目としまして,子供たちへの影響についてお伺いをいたします。
教育長は,実施が子供たちにとって強制という部分もあるけれども,それは,嫌なことがあっても,それを子供たちに教えなければならないと言われております。しかし,このことは,算数や国語,それは嫌だけれども習わなければならないということと,事柄の性質が違います。その人の命でもある信条・信仰にかかわる問題です。君が代の「君」は,日本及び日本国民統合の象徴である天皇を指すというのが国の見解ですので,神の前では皆平等であるという信条を持つ,例えばクリスチャンの家庭の子供たちは,その歌を歌うことができないという場合があると思われます。
そのようなことにつきまして,まず,お伺いをいたしますけれども,そのような子供たちに対して強制していくことになるのではないか,その対応について現場ではどのようになさるおつもりか,これはぜひ教育長にお答えをいただきたいと思います。
◎山 教育長 教育におきます国旗・国歌の指導についてでありますが,
学習指導要領に沿いまして,国旗・国歌の指導を行います際は,これは憲法で保障されております思想・信条の自由あるいは信仰の自由,こうしたものにまで立ち入って強制するということでの趣旨ではなく,あくまでも学習指導上の課題として実施をするものであります。したがいまして,子供たちへの指導に際しましては,一人一人の子供の状況を慎重に判断しながら,教育的な配慮に基づいて適切に行っていくことが大事であり,決して内心の自由を侵す,こうしたことについて考えているものではございません。
信仰の,宗教の問題がございましたが,これまでも,例えば,宗教上の理由から格技等の教育活動に参加しないお子さんがいらっしゃる場合には,日常の指導の中で,子供の信条や考え方をきめ細かくとらえまして,保護者とも相談しながら,慎重に判断し,先ほどの内心の自由を侵すことのないよう適切に対応するよう努めてきたところであります。
国旗・国歌の指導に当たりましても,同様の教育的配慮が十分必要なものだと,このように考えております。
以上でございます。(発言する者あり)
◆小林郁子 委員 大変きれいな言葉で言われたものですから,もう少し具体的に私の方で,例えば,こういうことでしょうか,歌うことのできない子供たちに歌わなくてもいいのだよという,そういうような指導を実際にしてくれると。しかも,それも慎重にしていかないと,いじめの対象になると思われます。このようなこと自体,無理をしてしなければならない,そのこと自体,本当に子供の幸せにつながるのかどうなのかと,私は思います。
今,教育長のご答弁にもありました内心の自由を侵すものではないということであるとしますならば,子供たちに対してそういうことであるとすれば,教師に対しても同じことが言えるのではないでしょうか。(発言する者あり)教師でもクリスチャンとかいろんな方がいらっしゃいます。そういう信条・信仰を持つ方々についても,どうしてもやらなければ,職務上の処分の対象になるということでしょうか,お伺いをしたいと思います。
◎高橋
指導担当部長 教員の場合でございますけれども,国旗及び国歌に関する法律制定にかかわる国会審議の中で,国は,一般に,思想・良心の自由は,それが内心にとどまる限りにおいては絶対的に保障されなければならないと考えるが,それが外部的行為となってあらわれるような場合には,一定の合理的範囲内の制約を受けると述べまして,学校においても,校長の判断で,
学習指導要領に基づき,式典を厳粛に実施するとともに,子供に国旗・国歌を尊重する態度を指導する一環として,子供にみずから範を示すことによる教育上の効果を期待して,教員に対して,国旗に敬意を払い,国歌を斉唱するように命ずることは,学校という機関や教員の職務の特性に考えてみれば,社会通念上,合理的な範囲内のものと考えられると,こういうふうに見解を示しております。私どもとしましては,この見解に沿って対処してまいりたいと,このように考えております。
以上でございます。
◆小林郁子 委員 私といたしましては,教育の現場において,もう一度じっくりとこのことについては議論を重ねて実行すべきだと思います。
以上で終わります。
◆五十嵐徳美 委員 私も,国旗・国歌問題について,教育現場の正常化という観点から,何点か質問させていただきます。
国際化と言われ続けて久しいわけでありますが,21世紀という新たな時代を迎えるに当たって,これからの国際社会を生きていく上で,日本人としての自覚や国際協調の精神を培うという国旗・国歌の指導の今日的意義を十分に認識し,その徹底を図ることが学校教育に課せられた責務であると,私は考えているのであります。このことは,さきの代表質問で,教育長が,国旗・国歌の理解,尊重が,望ましい教育を実現するための第一歩であり,基本となるとの認識を示されたことと相通ずるものであります。このたびの職務命令は,そのような認識に立ち,本来あるべき姿への学校の適正化を願って発せられたものと理解をし,大いなる決断として,高く評価をするものであります。
しかしながら,必ずしも,その趣旨を十分理解せず,残念なことに,(発言する者あり)一部に,職務命令の撤回を求める動きがあることも事実であります。15日発表の産經新聞,北海道で購読はされていないわけでありますが,そこにも出ておりましたし,けさの地元新聞の報道にもありましたように,教職員団体が対抗戦術として,10月2日から13日までの間に,6カ所の小学校において,指導主事などの校舎内への立ち入りを阻止するという異常な行動があらわれております。研究授業を通して,子供たちへの教育のあり方をともに学ぼうとする取り組みに対して,何の権利,またどのような法的根拠をもって阻止することができるのか。全く不条理なこのような対応は,社会一般常識からも大きくかけ離れており,児童・生徒を持つ親の一人としても,それは許されることではありません。
その他にも,昭和46年に,北教組と道教委が取り交わした協定書があります。地方公務員法による第55条の権利で取り決めをされたものでありますけれども,これまで学校現場においては,教員の長期休業日,すなわち夏休み,冬休みにおいて,扱いは原則として校外研修日とし,事前に研修項目と居場所を届け出するだけで,その研修内容,目的など,一切の報告の義務を必要とせず,さらに驚くべきことは,実家への帰省までも自宅研修とする扱いとなっていることや,(発言する者あり)さらには勤務時間内であっても,聞き及ぶところによりますと,職員組合への会議の出席については,正式な届け出はなく,鉛筆年休という,後に消しゴムで消すことができることから,鉛筆年休として記入するということも伺っております。(発言する者あり)まさに,正常な状態であるとは考えられません。
そんな状況は全国的に見ても,北海道とともに札幌市は,極めて異常なことであるというふうに考えます。(発言する者あり)
そこで,質問をいたします。
先ほど札幌市内の実施率はお話を伺いましたが,他の政令指定都市の国旗・国歌の実施状況の推移はどのようになっているのか。また,このたびの措置を行ったのは,札幌市だけであるというふうに伺っております。なぜ札幌市だけが職務命令を行うことになったのか,その経緯をお伺いし,あわせて,その法的根拠についてもお伺いをいたします。
◎高橋
指導担当部長 まず,1点目の他の政令指定都市の国旗・国歌の実施状況の推移についてでございます。(発言する者あり)
小・中学校の卒業式を例にとりますと,現行の
学習指導要領が実施されました平成2年度の卒業式における国旗掲揚の実施状況は,政令指定都市11都市中,札幌,横浜,大阪以外の8都市で,小・中学校とも100%の実施率となっております。国旗・国歌の法制後の平成11年度におきましては,札幌市を除く政令指定都市において,ほぼ完全実施の状況にございます。国歌斉唱につきましては,平成2年度の卒業式におきまして,小・中学校とも,ほぼ100%の実施率であった都市は,仙台,川崎,名古屋,北九州の4都市でありましたが,法制化後の平成11年度においては,小学校で9都市が,中学校で8都市がほぼ100%の実施率となっておりまして,その他の都市においても,小・中学校とも,実施率は上がってきております。
以上でございます。(発言する者あり)
◎岩崎
学校教育部長 ご質問の2点目と3点目につきまして,私の方からお答えを申し上げます。
2点目の職務命令を発した経緯についてでございますが,法的拘束力を有する
学習指導要領に基づきまして,国旗・国歌を適切に指導することは,公教育を行う学校に課せられた責務でございます。(発言する者あり)教育委員会といたしましては,これまで長年にわたりまして,教職員の理解を得る努力をしてきたところでございますが,今日まで適正に実施されなかったことから,改めまして,このことについての確認と自覚を促すとともに,その具体的な取り扱いを示しまして,校務全般をつかさどる校長に対し,職務命令を発するに至ったものでございます。(発言する者あり)
3点目の職務命令の法的根拠についてでございますが,地方公務員法は,第30条で,服務の根本基準といたしまして,すべて職員は,全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し,かつ職務の遂行に当たっては,全力を挙げてこれに専念しなければならないと規定し,同35条には,職務に専念する義務,及び32条に,法令等及び上司の職務上の命令に従う義務の規定がございます。また,地教行法第43条の1項,市町村委員会は,県費負担教職員の服務を監督する,及び第2項で,職務を遂行するに当たりまして,市町村委員会その他職務上の上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないと,こういう規定がございます。(発言する者あり)さらに,同35条に,職員の任免,給与,懲戒,服務,その他身分取り扱いに関する事項は,この法律及び他の法律に特別の定めがある場合を除き,地方公務員法の定めるところによると,このような規定がございます。なお,これに違反した場合でございますが,地方公務員法29条の1項により,懲戒処分として,戒告,減給,停職,または免職の処分をすることができると,このようになってございます。このたびの職務命令は,これらの法令に基づいて発したものでございます。
以上でございます。
◆五十嵐徳美 委員 ただいまの答弁で,札幌市の現状,長い間,異常な状況で実施されていないという実情が確認できました。
そうした中で,国旗・国歌の指導は,
学習指導要領に基づいて行うべきであるということにもかかわらず,
学習指導要領に法的拘束力はなく,これに縛られるものではないとする事実誤認も甚だしい主張があることは,まことに残念であります。さらに,憲法との関係においても,
学習指導要領よりも上位法令であるとの理由から,その精神を侵すものであるという主張も聞いております。私は,このような主張に対して,
学習指導要領の法的根拠を改めて明確に示すべきであると思います。
そこで,質問いたしますが,
学習指導要領の法的拘束力について,その根拠を示していただきたいというふうに思います。また,あわせて,上位法令との関係についても,その整合性を明確にわかりやすく示していただきたいというふうに思います。
◎高橋
指導担当部長 学習指導要領の法的拘束力についてでありますが,学校教育法施行規則に,教育課程については,文部大臣が別に公示する
学習指導要領によるものとすると定められておりまして,平成2年の伝習館高校事件最高裁判決におきまして,
学習指導要領は法規としての性質を有するとした原審の判断は,正当として是認することができると示されていることからも,
学習指導要領が法的拘束力を有することは明らかであります。また,憲法との関係につきましては,同判決で,右
学習指導要領の性質をそのように解することが憲法23条,26条に違反するものではないことは,永山中学校事件最高裁判決の趣旨とするところであると示されておりますことから,
学習指導要領の法規たる性格が上位法令である憲法に違反するものではないと認識しております。
以上でございます。(発言する者あり)
◆五十嵐徳美 委員 法的拘束力がある
学習指導要領に基づいての国旗・国歌の指導が適正に実施されていないということは,教育公務員としての職務を放棄していると言わざるを得ないことです。ほかのことについても,果たして正常な学校運営,学習指導が行われているのか,疑義を抱かせるものであります。(発言する者あり)教育次長の「国旗・国歌の問題は,正常な学校運営のバロメーターである」との発言は,まさに的を射たものとして,札幌市の異常な現状に対する非難と,(発言する者あり)本来の姿である正常な教育への期待を込めた教育関係者や多くの市民の声を代弁しているものと理解をしております。(発言する者あり)
ただいまの答弁で,他の都市の状況や職務命令の法的根拠については,よく確認ができました。ただ,今回の職務命令についても,折しも先日開催されたオリンピック開催の時期に合わせたように,また文部省の圧力があったなどのうわさも聞いておりますが,(発言する者あり)なぜこの時期なのかという疑問の声も多く聞かれております。私自身も,卒業式・入学式の直前に職務命令を発した方がより効果があったのでないかというふうに感じておりますけれども,なぜこの時期に職務命令を発することになったのか,お伺いをいたします。
◎本間 教育次長 なぜ,この時期に職務命令を発したかということでございますが,国旗・国歌の指導は,長年にわたりまして,
学習指導要領に基づき適正に実施するよう各学校に指導を続けてきているものでございます。
しかし,昨年,法制化されたにもかかわらず,今春の実施状況は,全国最低でございました。札幌の子供だけが法令で定められていることを学習できないという状態をいつまでも放置するわけにはまいらず,(発言する者あり)市教委としての対応を検討してまいりましたけれども,各学校での入学式・卒業式の実施に向けた具体的な準備などが,実際にはこの時期から始まること,また,国旗・国歌の児童・生徒への指導に当たって,卒業式・入学式に向けて十分に時間をかけて指導をすることが必要であると,このような配慮のもとで,これ以上,猶予はできないというふうに判断をいたしまして,この時期に発したものでございます。
◆五十嵐徳美 委員 ある児童の声が聞こえてきまして,なぜ学校で君が代を教えてくれないのかといった疑問であったり,(発言する者あり)先生みずからが(発言する者あり)どう教えていいかわからないと,そんな声も聞かれます。
私が子供のころ通っていた小・中学校においては,ごく自然と日の丸が掲揚され,君が代を歌っておりました。何の強制力も感ぜず,ごくごく自然と日本人として受け入れてまいったのも事実であります。
国旗・国歌の指導が,日常的な指導の中で継続した形で行われることは,まさに真の意味で国旗・国歌の理解,尊重につながること,そのことが国際社会の中で生きていく上での日本人としての自覚と責任を醸成することにつながるということを確信しております。
私は,これまで,社会一般常識とかけ離れた教育現場において,この国旗・国歌問題を教育現場の正常化という観点より質問をしてまいりましたが,このことは,学校支援,サポートしていく教育委員会が,今後どのような姿勢のもとにかかわっていくかが大きく要因としてあります。
そこで,教育委員長に質問をさせていただきます。
今回の職務命令に関して,国旗・国歌の完全実施による教育現場の正常化に向けて,どのように取り組んでいく姿勢,決意をお持ちであるか,お伺いいたします。
◎牧口 教育委員長 まず,第1点の職務命令についての見解でありますけれども,教育委員会は,教育に関する事務を管理,執行するに当たりましては,地方教育行政の組織及び運営に関する法律,地方教育行政法とも言いますけれども,その第25条に基づき,法令,条令に準拠しなければならないものと定められております。これは,行政の他の部門でも同様でございまして,講学上,いわゆる法律による行政の原理と言われるものであります。したがって,その管理,執行に当たる教育公務員は,地方教育行政法第35条,地方公務員法第32条により,その職務を遂行するに当たりましては,法令,条令,上司の職務上の命令に従わなければならないものであります。
国旗の掲揚・国歌の斉唱を定めました
学習指導要領は,今,担当部長から答弁いたしましたけれども,学校教育法,同法施行規則に基づきまして,文部省告示として制定されたものでありますから,法令の体系に属し,法的効力が認められるものであります。このことにつきましては,最高裁大法廷昭和51年5月21日及び最高裁第一小法廷平成2年1月18日判決におきまして,判示されているところであります。
学習指導要領は,国旗の掲揚・国歌の斉唱を定めておりますけれども,そこにおける国旗は日章旗であり,国歌は君が代であることは,平成11年法律第127号により明確になったところであります。したがいまして,教育委員会も教育公務員も
学習指導要領に従いまして,日章旗の掲揚,君が代斉唱を指導すべき義務があるのであります。今回の教育長の職務命令は,このような法令の定めるところによりましてとられた措置でありまして,適法,相当であると確信をいたしております。
今後における取り組みでございますけれども,私といたしましては,教育基本法第1条に定める教育の目的を実現することを基本といたしまして,地方教育行政法25条に定める法令に準拠し,粛々と進めていかなければならないものと考えております。
以上です。
◆五十嵐徳美 委員 ぜひその決意を持って遂行していただきたいと思いますが,最後に1点だけご質問をさせていただきます。
学校管理規則の改正の部分であります。
学校運営の適正化という観点から,職務命令とあわせて,このたび職員会議に関する学校管理規則の一部改正が行われました。現に,職員会議の本来の機能が発揮されていない場面があったり,職員会議があたかも最高決議機関であるような運営をなされたことに対して,払拭する意味で高く評価をするものであります。これまで学校によっては,入学式や卒業式での国旗・国歌の実施について,校長先生が職員会議の議題にすることすらできないという異常な事態も聞いておりました。このような学校運営上の困難を解決するためにも,このたびの改正はまさに的を射ているというふうに思います。
しかし,この規則改正が,校長の独断,独裁を許すもので,教職員の意見を一切聞かなくてよい,ひいては民主的な職場を破壊するものであるという,実態からかけ離れた,誇張した批判をする教職員もいると聞いております。(発言する者あり)この規則改正がどのような趣旨に基づいて改正されたのか,教職員の皆さんにも十分に理解をさせる必要があると思います。
最後の質問でありますが,このたびの学校管理規則の改正がどのような趣旨で行われたのか,最後にお伺いをして,質問を終わります。
◎岩崎
学校教育部長 学校管理規則につきまして,私の方からお答えを申し上げます。
学校管理規則の改正の趣旨についてでございますが,これまでの学校管理規則におきましては,職員会議の位置づけが明確でなく,最高議決機関として位置づけられている実態もあることから,校長の職務の円滑な執行に資するための補助機関として明確に位置づけ,校長が主宰することを明記する必要があったことから,学校教育法施行規則の一部改正に伴って行ったものでございます。
この改正によりまして,職員会議の意義や役割が改めて明確になり,校長のリーダーシップのもとに適正な学校運営が推進されるとともに,特色ある学校の創造に向けた取り組みが進むことを期待しているところでございます。
以上でございます。(発言する者あり)
◆大嶋薫 委員 私の方から,学校管理規則の改正の問題,日の丸・君が代に関する職務命令,大きく二つについて伺いますが,まず,学校管理規則の改正について,先に終わらせてから,職務命令問題に移らせていただきたいと思います。
今,多少,五十嵐委員との中で,どのような趣旨でこの改正が行われたのかというふうなことでのやりとりがありました。ただ,この文言,改正前は,校務の運営上必要があるときは,所属職員の意見を求めて適正な学校の運営に努めるという表現が,改正によって,その職務の円滑な執行に資するためという文言になっております。この文言,今,お答えになったような解釈の仕方は教育委員会として考えておられることと理解いたしますけれども,この文言の,役割ということの位置づけは,今,伺いましたが,ただ,意義という点について,いささかわからないというか,今のご答弁の中ではわからない部分があります。そこの部分について,明確にもう一度お答えいただきたい。
職員会議の設置者,これ,この条文には含まれていないわけですけれども,これはだれなのかということについても伺います。
それから,もう1点は,置くことができるというふうな表現になっております。これは,逆に考えれば置かなくてもよい,今,五十嵐委員との中にもありましたけれども,置かずに重要事項について校長が権限を持って行うというようなことも,こういう表現では許されるのではないかというふうに考えてしまうわけですね。今回の改正問題,あるいは職務命令の出し方等々の経緯を見ると,どうしてもそういうふうに受け取らざるを得ない。これは,改正によって,勝手に物事を決めるということではないというふうに理解しておりますけれども,このことについて,まず,明確にお答えいただきたい。
また,主宰するというふうな表現がありました。これは辞典に書かれた意味をそのまま受け取りますと,中心となって物事を取り計らう,あるいは取りまとめを行うというふうに書いております。これと違った意味があるのかどうか,今,置かなくてもよいということについて伺ったことと関連して,伺います。
◎岩崎
学校教育部長 ただいま,3点のご質問がございました。
1点目の職員会議の意義という点でございますが,まず,職員会議の旧の条項で言いますと,職員会議を開くときは,校務の運営上必要があるときと,こういうような表記がされておりますが,このたび改正したものでは,校長の職務の円滑な執行に資するためと,明確にその意義を規定してございます。さらに,後ほどまたご説明申し上げますが,主宰するという文言の中で,校長がその権限を持つということを示したものでございます。
2点目の職員会議の設置者はだれかというご質問でございますが,これはこの条項でお読みとりのとおり,各学校の校長でございます。
3点目の職員会議を置かなくてもよいと,こういう事態を想定しておられるのかというご質問と,また,主宰をするという意味合いについてでございます。
職員会議を置かなくてもよいのかということでございますが,これは,例えば,極めて小規模な学校などにおいて,校長が判断して置かないことはあり得るということは想定してございますが,本市の現状におきましては,すべての学校に置くことになると,このように考えてございます。(発言する者あり)
また,校長が主宰するということでございますが,校長には,職員会議について必要な一切の措置をとる権限があり,校長みずからが職員会議を管理し,運営するという意味で,単に取りまとめを行うという意味ではございません。
◆大嶋薫 委員 後ろから何か当たり前というふうな声も聞こえるのですが,全く当たり前でないのですよね。(発言する者あり)
主宰という言葉,そして,この意味するもの,現実に職員会議を開くという場合に,この意味自体が非常に問題になるわけです。勝手に,今,答えの中にあった,管理し運営すると。これまでは運営するというのはありましたけれども,管理するというような発想は,これまでの経過の中ではなかったはず。なぜ,この管理するという言葉を入れなければならないのか。そして,そのことは管理規則の中に,文言としては入っていないわけですね。主宰すると言っている中に,その言葉もひっくるめて,勝手に入れてしまうというようなこととしか受け取れないわけですよ。言葉は厳密に,とりわけ規則とか法律というのは厳密に運用しなければなりません。だから,この点については,この運用のあり方,主宰するという意味を,どうこれまでの経緯を尊重して行っていくのかという点については,やはりしっかりした配慮が必要だというふうに思います。
職員会議のあり方,あるいは学校運営のあり方,地域に開放された取り組みを行っていく,あるいは学校評議会の問題,こういう課題がこれからだんだんと出てまいります。そうすると,当然,この職員会議のあり方についても,家庭,地域との連携協力といったことを十分配慮した,意識した扱いにならざるを得ないし,さらには,教職員が自主的,創造性を発揮して,かつ,積極的,主体的に学校運営に参加するという,これまで戦後五十数年,教育現場の中で,あるいは地域の中でつくられてきた,この役割,これをしっかりと尊重し,そしてまた認識しながら進めなければならないというふうに考えますが,この点について伺います。
◎岩崎
学校教育部長 先ほどご答弁申し上げました,校長みずからが職員会議を管理し,運営すると,この趣旨でございますが,校長は,みずから校務をつかさどって,所属職員を監督すると,こういう法規定がございます。したがいまして,この職員会議の位置づけは,あくまでも校長が主宰し,管理し運営すると,こういう意味でお話申し上げたところでございます。
したがいまして,その中で,例えば,校長の考え方ですとか,あるいは校務の運営のあり方,さらには学校行事等におけるいろんなことの情報が交換され,学年あるいは学級,教科等の枠を超えて意見交流がなされて,最終的に校長がそのことを決定していくと,こういう趣旨でございますから,決して開かれた学校づくりに反するものではなくて,まさに校長のリーダーシップのもとに行っていくという趣旨でございます。
以上でございます。
◆大嶋薫 委員 今,いろいろ伺いましたけれども,すっきりとした答えはできないのかなと。ただ,校長のリーダーシップということと,今,部長がおっしゃった,やはりいろんな意見をしっかり反映させていくのだというところと,この部分が大事だろうという気がします。ただ,リーダーシップということが管理ということの側面に流れてしまわないということは,今のお答えの中で,ある程度,私どもとしては受けとめておきますので,開かれた論議を進めていくのだという前提に立って,この管理規則の改正については扱っていただきたいと要望申し上げて,次に移ります。
日の丸・君が代の職務命令に関してであります。
これは,私も,代表質問の中で,大枠のところはやりとりをさせていただきました。
今,段々の論議ありましたけれども,国際化の時代,あるいは環境といった課題,グローバリズムという大きな枠組みの中で,いろんな課題が21世紀に山積していると。そこに向かって生きていく子供たちにどういうふうな教育を行っていかなければならないのか,これはそれぞれの課題の中で,いろんな形で論じられてきていることだと思います。
ただ,その中で,やはり歴史教育あるいは環境教育への取り組み,こういう中から,ある意味で,国旗・国歌への尊重,理解というのは,自然な形で生まれてくるものであって,いわば文部省が言っているよ,指導要領にあるよと,学校行事で,はい,演壇に飾りました,口ぱくでもいいから音楽流して歌いましたということが,果たして,そういう本来の国際理解教育,あるいは新しい時代に向かっての子供の教育,成長に資するのかどうかという点については,極めて疑問があるということについて,私も代表質問で触れさせていただきました。
くどくど言いませんで,質問に入らせていただきますが,代表質問と多少重なる部分ありますが,これは代表質問においてきちんと答えられていなかった部分がありますから,ご了解いただきたいと思います。そしてまた,基本的な考え方について,まず,少し伺わせていただきたいと思います。
1点目でありますが,本会議での再質問の中で,私は,教育長からのお答えの中で,一層正しい認識を持たせ,それらを尊重する態度を育てることは重要なことであるけれども,そのような態度が職務命令という強制から生まれると考えているのかというふうに再質問させていただきました。その質問に対して,子供にとって強制という部分もあろうかと思いますが,強制という意味は,公教育というのは,嫌な,嫌いなことであっても,それを子供に教えなければならないということでありますが,あくまでも公教育の立場からこれを行うというふうにお答えをいただきました。
これは,私の理解としては,強制ということをめぐって,この日の丸・君が代の職務命令の問題,前提としていろんな論議がされておりますから,そこにかかわって,本当にお答えいただいたのかなという気がしています。お答え,吟味しまして。
一般的には,子供が強制と受け取る場面,これはあるのかもしれません。ただ,そのことと,前もって強制力を持って教育を行うというふうに前提を持つことというのは全く相反することだというふうに理解しています。ふだんの教育実践や子供とのかかわりの中で,相互の信頼関係があるから,ある意味で,子供が強制というふうに受け取る場合であっても,その信頼関係の中で成り立つ,先ほど言ったように,あらかじめ強制ということが前提的に認められるということではないというふうに考えております。教育を行う側からの,子供たちに対して強制をもって行うことは避けるべきというふうに考えますが,この点について,まず1点目伺います。
それから,2点目です。
先ほど,最高裁の判例によって,
学習指導要領が法的拘束力を有するのだということは何回かのやりとりがありました。これは,繰り返し代表質問の中でも行われておりますし,事前のいろんなこの問題に関するやりとりの中でも問題の所在が明確になってくると,この
学習指導要領を持ち出して,法的拘束力があるからやるのだというふうに,ある意味で逃げ込む場といいますか,答弁に真っ正面から答えられないと,逃げ込む場になっているような感じが私はしています。これは,ある意味で,この最高裁判例は,一般的に法的拘束力を有するというふうに理解するのであって,生徒に一方的に一定の理念や観念を教え込むことを強制するような場合,こういうことは避けるのだよということを,当然,憲法,教育基本法がありますから,そこを前提として言っているのだというふうに私は理解しています。したがって,法的拘束力を有するから,当然にそれに従う義務があるのだと,職務命令が正当化されるのだということにはならないと考えますが,この点についていかがか,伺います。
3点目,これも代表質問のお答えの中で,法的拘束力を有する
学習指導要領に基づいて,国旗・国歌を適切に指導することは,公教育を行う学校に課せられた責務,自国及び他国の国旗・国歌を尊重する態度を育てることは重要なことというふうに,これは極めて当たり前といいますか,前段除いてですけれども,法的拘束力を有する
学習指導要領に基づいてという部分は,私は,後段でまたやりとりさせていただきますが,ただ,適切に指導するということは一定程度認めざるを得ないのかなと。ただ,適切に指導するということはどういうことなのだということは,これまで段々のやりとりをしてきましたけれども,具体的にはお答えいただいていません。そういう経過の中で,適切な指導,それから尊重する態度,こういう大切な事柄が職務命令という,ある意味で強制する中から生まれてくるのかどうかと,そういうふうに考えて,適切な指導とか尊重する態度とかというふうに表現されているのかどうか,この点について伺います。
4点目です。
ご存じのように,国旗・国歌法案,いろんな論議の末,制定されました。この中で,国会の論議もいろいろありました。それから,市民レベルの論議もいろいろありました。そういう中で,義務・尊重規定や罰則を規定していない,このことは既に皆さんご承知のとおりだと思います。その理由といいますか,なぜ義務・尊重規定や罰則を規定していないのかということについては,いろんな前提といいますか,いろんな課題があってのことでありますけれども,一つは,やはり戦争責任あるいは戦後処理をめぐってのいろんな課題が未解決であるということ,戦争の歴史にかかわる近代の歴史の問題がそこに横たわっていること,これは明らかなことだと思います。ここに至った経緯をやはりしっかり尊重する,このことが大事だと考えますが,このことについてどうか。そしてまた,戦争を挟んだ近現代史における歴史的事実の中で,日の丸・君が代が何を象徴しているというふうに考えておられるのか,このことについて伺います。
5点目,これは教育委員長にお伺いしますけれども,教育委員長にも,この間の経緯について,代表質問の中でもお伺いさせていただきました。
日の丸・君が代をめぐる状況について,この論議を客観的に把握し,賛否双方の意見について幅広い検討が必要であるというふうに私は思っていますし,当然,教育委員会としてもそういう前提で物事を進めているというふうに考えているわけですけれども,この問題に関して,みずからどこかに赴いての調査を行ったり,あるいはみずからの発意による調査を指示したことがあったのかどうか,この点について伺います。
◎山 教育長 1点目の,代表質問におきます私の答弁に関連してのご質問につきましてお答え申し上げます。
ご答弁申し上げました趣旨は,公教育としての学校教育におきましては,
学習指導要領に基づいて教育指導を行われなければならないと。その際,子供にとって,教育指導上の一定の制限を伴うということはあろうかと思いますとの考え方で申し上げたものでありまして,例えば,子供に対して,基本的な生活習慣,あるいは授業等で,算数の九九なり,理科のいろんな宿題,暗記,これらを含めて,仮に嫌いであったり,嫌であっても,指導しなければならない,また,そうした面で,その指導は,子供の側からとった場合に強制であると受けとめられるようなこともあろうかと,こうご答弁申し上げたところであります。しかし,このことは,教科書に沿って指導する上での日常的な教育指導上の課題でございまして,その際,国旗・国歌を念頭に置いて,内心の自由を侵してまで強制することを意図したものではないということを申し上げるところでございますが,その点,本会議におきまして,意を尽くせなかったところがあったことについては,そのように考えてございます。
以上でございます。
◎高橋
指導担当部長 最高裁判決で,教師に対し,一方的な一定の理論や観念を生徒に教え込むことは例外としているということについて,さらに,したがって職務命令が正当化されることにはならないのではないかということでございますが,委員ご指摘のこの問題については,昭和51年の永山中学校事件に対する最高裁判決において,
学習指導要領には,その内容においても,教師に対して,一方的な一定の理論ないしは観念を生徒に教え込むことを強制する点は全く含まれていないとの判断がなされております。
このことによりまして,国旗掲揚・国歌斉唱を指導するものとするという項目を盛り込んだ
学習指導要領は,全体として法的拘束力を有することが一般に明らかになったと認識しております。
したがいまして,
学習指導要領にのっとって指導することを求めたこのたびの職務命令は,正当なものと考えております。
以上でございます。
◎岩崎
学校教育部長 私の方から,3点目のことについてご答弁申し上げたいと思います。
代表質問でもお答え申し上げておりますが,子供たちが日本国民としての自覚と誇りを持って,国際社会に生き,活躍する上で,自国の国旗・国歌に対する理解や尊重,そして,他国の国旗・国歌,その国の人々を愛する心等を持つことは大変重要でありまして,これらのことにかんがみて,国旗及び国歌に対して,一層正しい認識を持たせて,それらを尊重する態度を育てることは大変重要なことであると,このような認識を踏まえて,法的拘束性を有します
学習指導要領に基づきまして,国旗・国歌を適切に指導することは,公教育を行う学校に課せられた責務であり,その実施について,各学校を指導してきたところでございます。
一方,これまで長年にわたりまして,各学校での教職員の皆さんの理解を得る努力を継続してきたのでございますが,それにもかかわらず,今日まで適正に実施されなかった。そこで,このたびの職務命令を発するに至ったところでございます。
しかし,この職務命令は,校長に対して発したものでございまして,各教員が子供に対して強制をすると,こういう意図ではございません。(発言する者あり)あくまでも教員の本来的な役割を踏まえ,指導を行うと,こういう趣旨でございます。
以上でございます。(発言する者あり)
◎高橋
指導担当部長 4点目の国旗・国歌法は,義務・尊重規定や罰則規定を持っていないと,この経緯を尊重すべきだが,いかがかと。また,近現代史における歴史認識,さらに日の丸・君が代が何を象徴していると考えるかという点でございますが,まず,国旗・国歌法が,国民に対して義務規定や尊重規定を定めていないことは,委員ご指摘のとおりでございます。国旗掲揚・国歌斉唱の指導は,あくまで学校教育における指導上の課題でございまして,学校教育法を受けた
学習指導要領において,我が国の国旗と国歌の意義を理解させ,これを尊重する態度を育てるとともに,諸外国の国旗・国歌も同様に尊重する態度を育てるよう配慮することと明記されておりますことから,これにのっとって指導を行うもので,公教育の責務であると認識しているところでございます。
その際,地方公務員法,地教行法の法令等におきまして,その職務に違反し,また怠った場合の罰則規定が設けられており,このたびの職務命令において,改めて明確に意識を喚起したものであると考えております。
国旗及び国歌の由来,意味につきましては,法制化に当たっての審議において,国の見解が示されておるところでございますが,歴史的な事実に対する認識と評価につきましては,歴史認識や歴史観の問題として考えるべきものでありまして,教育委員会といたしましては,言及する立場にないと思ってございます。(発言する者あり)
国旗・国歌の指導は,教育指導上の課題といたしまして,これとは区別して考えていくべきものであると考えております。
以上でございます。
◎牧口 教育委員長 これまで,私といたしましては,みずから調査したり,あるいは指示をしたりしたことはございませんけれども,指定都市教育委員教育長協議会などにおきまして,政令指定都市の方々とお話しする機会がありますが,既に各都市におきましては,ほとんどの教育委員会におきまして,国旗掲揚・国歌斉唱について完全実施をされており,このことが議題や話題になるということは極めて少ない状況にございます。
しかしながら,文部省が主催する「都道府県・指定都市教育委員長・教育長会議」などにおきましては,毎回,国旗・国歌についての状況説明があり,資料の配付がございまして,これをもって私としては,把握をしているつもりでございます。
教育公務員が,先ほど申し上げましたけれども,法令にのっとり教育指導を行うことは当然の責務であり,また,国際社会の中におきまして,自国及び他国の国旗・国歌を尊重する態度を育てることは極めて重要であり,そのことについて私どもは議論を重ねてきたところであります。
しかしながら,本市の国旗の掲揚・国歌の斉唱は,極めて低い状況にありまして,かねてから適正な指導を行うべきであると考えておりました。したがいまして,このたびの決定につきましては適正なものであると,各委員の認識が一致しているところでございます。(発言する者あり)
◆大嶋薫 委員 今,とりあえず本論といいますか,課題に入る前に,一般的なといいますか,基本となるお考えを伺わせていただきました。
ただ,私,極めて真っすぐに,直球をど真ん中に投げているつもりではありますけれども,そこからキャッチャーの側があちこち逃げていったり,あるいは適当にそらしたりというふうな感じを,代表質問の際も感じていたわけですけれども,そういう感じが否めません。
今,教育指導要領の問題,あるいは段々の経過,いろいろありますから,教育委員会は教育委員会としての論議を重ねてきたのだろうということは認めさせていただきたいと思いますけれども,ただ,その論議が今,先ほど言ったように,子供たちの未来,21世紀,いわゆる学級崩壊等,あるいはいじめ,子供の虐待,子供が抱えている問題がこれほどたくさんある中で,なぜこの問題で,21世紀にふさわしい日の丸・君が代をとにかく卒業式にやらなきゃならないのだということで,果たして子供の今の現状に対してこたえていけるのかどうかという点については,本当に疑問を感じています。
具体的に入っていきますけれども,今,2点目の指導要領の点についてお答えいただきました。76年の,いわゆる永山中の学力テストの最高裁判例を持ち出していただきましたが,このときは,
学習指導要領の表現,これは「望ましい」という表現です。で,89年の改定によって「指導するものとする」という表現に変えられました。ですから,お答えいただいた「指導するもの」という表現が,最高裁の判例によって認められているということは,これはそういうふうには言えない,これは指摘しておきます。
もう一つ,最高裁判例を持ち出していただきましたので,それに即して見解を伺わせていただきますけれども,最高裁判決の中では,その理由の中で,「その中には」というのは,「
学習指導要領の中には」です。「ある程度細目にわたり,かつ詳細にすぎ,また,必ずしも法的拘束力を持って地方公共団体を制約し,または教師を強制するのに適切でなく,また,果たしてそのように制約し,ないしは強制する趣旨であるかどうか疑わしいものが幾分含まれているとしても」,この「も」の後が大事です。「右指導要領のもとにおける教師による創造的かつ弾力的な教育の余地や地方ごとの特殊性を反映した個別化の余地が十分に残されており」ということが判断の一つの根拠になっているわけです。ですから,「しても」以下の文言が担保されているかどうかによって,この指導要領の法的拘束力と扱いも異なってくるというふうに考えますがどうか,伺います。(発言する者あり)
2点目です。
3,4点目にかかわっての再質問でありますけれども,私は,国旗・国歌法の成立の経緯を尊重するのかどうかということについて伺いました。このことについては答えをいただいていません。
ある意味で,いろいろ国際化の問題等々論じられておりますけれども,この学校行事における諸外国の扱い,卒業式自体,そういう形式ばった式が行われない,これがアメリカ,イギリス,フランス,ドイツ,イタリア,カナダ。クラス単位で行われたり,あるいはパーティー形式で行われたり。日本のように,式典であるというふうにさっきお答えが出て,びっくりしたのですが,いわゆる学校行事で学校教育の一環として行われているというふうに私は理解していますから,当然,その目的に沿って,子供の自主的な考え方を育てていく,いろいろありますけれども,そういう教育目的に沿って行われるのが卒業式・入学式だというふうに理解していますが,それは置いておいて,取り組まれていないということが一つあります。ということは,どこも式として挙げなければならないというようなことを言っている国はないということですね。
それと,ドイツ,イタリア,これは,先ほど歴史認識の部分で関係ないよというふうにあなたたちは答えていますが,教育指導上の問題であるとしたら,関係ないのじゃなくて,このことをしっかり踏まえて行っていかなきゃならないのでないかというふうに思うわけですよ。こういう全く関係なく進めるというふうな発想がどうして出てくるのか私はわからない。今の点について,もう一度明確にお答えいただきます。(発言する者あり)
◎高橋
指導担当部長 まず,1点目の最高裁判決の先ほどの永山中学校事件の部分でございますけれども,永山中学校事件最高裁判決,さらに伝習館高校事件最高裁判決によりまして,
学習指導要領全体として法的拘束力を有するということが確定しているというふうに認識しております。
また,平成6年の村山内閣が,学校における国旗・国歌の指導について,政府統一見解を出しておりますが,それによりますと,「
学習指導要領は,学校教育法の規定に基づいて,各学校における教育課程の基準として文部省告示で定められたものであり,各学校においては,この基準に基づいて教育課程を編成しなければならない」とされておりまして,この政府見解は,法制化前の平成11年7月21日の衆議院内閣委員会において維持することが確認されておりまして,これが国の見解と示されているものでございます。
また,あわせまして,先ほど委員ご指摘の永山中学校事件最高裁判決の部分でございますが,「疑わしいものが幾分含まれているとしても,右指導要領のもとにおける教師による創造的かつ弾力的な教育の余地や地方ごとの特殊性を反映した個別化の余地が十分に残されており」と,この後半でございますが,「全体としてはなお,全国的な大綱的基準としての性格を持つものと認められるし,また,その内容においても,教師に対し,一方的な一定の理論ないしは観念を生徒に教え込むことを強制するような点は全く含まれていないのである。よって,これは拘束力を有する。」と,こういう判決になっております。
もう1点でございます。国旗・国歌法成立の経緯の点でございました。
国旗・国歌法は,国会において,さまざまなご意見のもとで審議を経たということを承知してございますが,法として制定されたものでございまして,私どもとしましては,その法を尊重する立場にあると考えているところでございます。
もう一つ,歴史的認識という点でございましたが,先ほどとまた同じ繰り返しになると思いますけれども,私どもは,歴史認識や歴史観の問題として考えるべきものとしておりまして,国旗・国歌の指導につきましては,教育指導上の課題として,これと区別して考えていくべきものであると,そのように考えております。
以上でございます。
◆大嶋薫 委員 国旗・国歌法を尊重するかどうかって聞いてないのだわ。経過を尊重するかどうかって聞いているのだわ。もう1回。(発言する者あり)
◎高橋
指導担当部長 もう一度繰り返しになって恐縮でございますけれども,国旗・国歌法の経緯については,さまざまな審議がなされたということは承知しておるところでございます。しかし,法として制定されたものでありますから,その法を尊重する立場にあるということを申し上げたつもりでございます。
以上でございます。(発言する者あり)
◆大嶋薫 委員 何を考えて教育を行おうとしているのか。教育指導上の問題という,さっきお答えいただいたことに関して,教育指導上の問題であるならば,なおさら歴史教育の視点,あるいはこれからの国際化,今挙げた国際理解教育と言っているならば,国際的にどういうふうな扱いが行われているのかということを尊重しなければならないでしょうというふうに言っているわけですよね。それをわざわざ問題はぐらかして,そういうことは承知していると。承知しているかどうか聞いているわけじゃないですよ。指導要領についても,担保措置はあるのですか,担保されていることが,この職務命令という実態の中で,どういうふうに担保されているのですか,こういうことを聞いているわけですよ。職務命令によって,強制されるわけです,現場では。それは,続けての中で,再度違った視点から伺わせていただきます。
どうしても,余計な答えがいっぱいあって,聞いたことには答えない。こういう内容になっているのですよ,これね。職務命令について,具体的に再度伺います。
1点目,職務命令というのは,校長に対して出されたという,今,お答えがありました。この中で,それと並列といいますか,そういうお答えと同時に,各教員が子供に対して強制するという意図ではなく,あくまでも教育の本来的な役割を踏まえて指導を行うというふうにあります。ただ,これまでのお答えを聞いていると,教育の本来的な役割を踏まえてというのが,一体どういうふうに教育委員会の方で理解されているのか,これは多少疑問の点あります。その中で,職務命令と同時に取り扱い要領というものが示されています。
これは,取り扱い要領の3ということで,実施に当たっての留意事項というふうにされていまして,教職員,児童・生徒,保護者及び地域住民,それらに対する対応が示されています。
この内容を見ると,当然,これはこれまでも日の丸の掲揚・君が代の斉唱を卒業式・入学式で指導するということの中で,教育委員会は,現場に対する中で,各小・中学校長に職務命令を出したということになっていますけれども,同じ留意事項に示す内容は,適正に指導されていたのではないかというふうに思うわけですよね,当然。これが特段,表現も変わっている,留意事項も異なっているということであれば別ですけれども,基本的に,この内容に沿って指導は行われてきたというふうに考えます。
適正に指導されているはずのものが,なぜ,職務命令という形で校長に,いわゆる処分も含めた命令を出さなければならないのか。これは,教育委員会みずからが指導性を欠いていたのか,それとも校長の学校現場での指導性が欠けていたのか,そしてまた,指導性の欠如ということが職務命令で補えるというふうに考えているのかどうか,この点が1点目です。(発言する者あり)
2点目です。
職務命令を出したことによって,各小・中学校長に対して具体的にどのような取り扱いの変化を期待している,または予想しているのか,(発言する者あり)これ取り扱い要領の3,(4)にあって,校長の実施した内容,これ処分の内容含めていますけれども,具体的にはどのような内容をこの中では指しているのか。式の準備業務を拒否というふうにありますけれども,この準備業務は,どのような形で教職員に示されるのか,このプロセスがやはり明確でなければ,この校長に出した職務命令が自動的に校長から教職員,そして教職員から,先ほど子供の良心の自由は尊重されるのですよというお答えをしながら,子供に対しても影響力を及ぼすというふうに考えるわけですが,そのプロセスをきちんと具体的にお答えいただきたい。
それから,3点目。
市立学校の卒業式及び入学式における国旗・国歌の対応経過というふうなことが,やはり職務命令と同時に示されています。この中に,文部省からは機会あるごとに指導がなされ,特に今春の卒業式・入学式後の直接指導では,北海道,札幌市に重点を置いて,国旗・国歌の完全実施を以前にも増して強く求めてきているというふうな状況がご丁寧に書かれています。違うお答えの中では,この決定は自主的・主体的な判断によって行ったのだというふうなことを答えているのですが,なぜこのような文言を,ある意味で一つの圧力をかけるような,この職務命令の中に,強制という文言は入っていないけれども,処罰するぞと,これは文部省がこういうふうに言っているから,教育委員会はやるのだぞというような表現が,なぜわざわざここの中に書かれなければならないのか。自主的な,主体的な判断によって行ったという答弁と明らかに矛盾するというふうに考えますが,この点についてどうか,伺います。
それから,4点目,これは教育委員長に伺いますが,先ほど,みずからの発意による調査を行っていないというお答えがありました。しかし,この件,私がいろんな市民レベルの取り組みの中で,北九州市の教育委員会が,今春の日の丸・君が代の取り組みの中で──起立をしなかった教職員に対して懲戒処分を行ったということが事実としてあります。この懲戒処分に対して,福岡県弁護士会は,基本的にそこまでの処分ということをもって行うのは,やはり良心の自由あるいは憲法に抵触するおそれがあるのではないかという意味を込めて,福岡県弁護士会が警告書という形で北九州市教育委員会に発しています。このことについての見解を伺います。
◎岩崎
学校教育部長 私の方から,1点目と2点目についてお答えを申し上げたいと思います。
まず,1点目の保護者及び地域住民に対して説明するということについてのご質問でございますが,私
ども教育委員会といたしましては,これまでも,学校,家庭,地域社会が一体となって教育を進めることを基本として,開かれた学校づくり,これを推進してきたところでございます。
したがいまして,各学校におかれましては,国旗・国歌の実施状況が低い中で,その適正な実施を進める上で,保護者や地域住民の方々にいろいろな機会を通しまして学校の現状を説明し,理解を求め,協力を得るよう努めることが何よりも大切であったと,このように認識をしてきております。
しかし,当然のことながら,保護者や地域の方々には,国旗・国歌に対するいろいろな考え方があることを十分承知してございます。憲法19条で保障されております思想・良心の自由や,同じく20条で保障されております信教の自由を侵してまで,その協力についての強制をするものでない,こういうことは当然のことと考えております。
2点目の職務命令でのその後の校長の行為についてでございますが,今回の職務命令でございますが,国旗・国歌の指導が,あくまでも法規としての性格を有する
学習指導要領に基づいて実施されることを求めたものでございますので,今後の学校運営におきましては,法に基づく教育指導が適正に行われるものと,このように私ども確信をしているところでございます。
また,各校長におかれましては,今回の措置を積極的に受けとめてくださっております。したがいまして,学校運営の責任者としての十分な自覚のもとに,国旗・国歌の完全実施に向けて大きく踏み出すものと,こんなふうに考えてございますが,いずれにいたしましても,校長が実施した内容についてということについてでございますが,このたびの,卒業式及び入学式における国旗及び国歌の取り扱いについての職務命令,これに添付してございます取り扱い要領に示した内容を指したものでございます。
また,段々の中で,準備業務と,どのような形で教職員に示すかということでございますが,これは前段でいろいろ申し上げてきましたとおりに,校長が判断をし,これからそれぞれの学校で行われると,このように考えてございます。
以上でございます。
◎本間 教育次長 文部省が強く求めたということから,今回の教育委員会で言っている自主的判断というのは矛盾ではないかというご指摘でございます。
文部大臣は,ご承知のとおり,地方教育行政の組織及び運営に関する法律第48条の規定によりまして,「都道府県又は市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため,必要な指導,助言又は援助を行うことができる。」とされておりまして,このことは当然のことでございます。したがいまして,従来から適切な指導を受けているところでありまして,今回のこともそのことを伝えているわけであります。
しかし,今回の職務命令につきましては,子供たちのよりよい未来を願い,望ましい教育の姿を実現するための基本であるとの認識に立ちまして,学校管理責任を有します札幌市教育委員会が,自主的かつ主体的に判断をし,発したものでありまして,ほかからの圧力によって決定したということは全くございません。
以上でございます。(発言する者あり)
◎牧口 教育委員長 福岡県弁護士会の警告の件でございますけれども,北九州市教育委員会は,君が代斉唱時に着席しておりました教員に対しまして,懲戒処分をいたしました。この事案につきまして,職員団体から,福岡県弁護士会に対しまして,人権侵犯事件として救済申し立てがあったものであります。これに対しまして,委員ご指摘のとおり,福岡県弁護士会人権擁護委員会は,北九州市教育委員会に対しまして警告処分をいたしました。
しかし,その警告の理由につきましては,福岡県弁護士会は,プライバシーの問題もありまして,現在まで公表しておりません。これの警告書は17ページに上るというふうに聞いておりますけれども,私から,現在,福岡県弁護士会に対しまして,その開示を求めております。しかし,委員会を開催し,その上で回答するということでございます。
したがいまして,現時点におきましては,その内容が明らかでございませんので,コメントする立場にないことをご了解いただきたいと思います。
◆大嶋薫 委員 今,教育委員長のご答弁いただいた件,これは,この職務命令という形で処分を前提として発せられたわけですから,本市の教育委員会においては,人権侵害に当たる部分あるいは良心の自由という憲法とかかわる問題,これはやはりしっかり受けとめて,そこを基本にした扱いがなされなければならないというふうに感じますし,今,教育委員長のご答弁の中でも,適切かつ慎重な対応を行っていくというふうな趣旨が当然あったわけで,混乱が起きないような慎重な判断を,やはり教育委員会としても今後の扱いについてきちんとした判断をしていただきたいというふうに,これは要望させていただきます。
職務命令に関しての段々のお答えをいただきました。先ほどから申しているように,本当にこのまま職務命令が正当化されるといいますか,そういう中で,実際の扱い,これは今,私が具体的にご質問した件に関して,校長が取り扱うのだというふうな答えしかいただいていません。そういうことであれば,先ほど職員会議,学校管理規則の中でお答えいただいたいろんな意見をきちんと論議して,その中から判断をしていくということがリーダーシップの前提にあるのだというようなお答えとかなり違う観点に立っているのかなという気がしますが,これはやはり先ほどのお答えが,この問題を取り扱う場合の基本であるというふうに確認させていただきます。
いろんな憲法にかかわる問題,あるいは理解を求め,協力を得るよう努めることが何よりも大切なことだというふうに認識しているというお答えはいただきながらも,具体的なプロセスが,どういうふうに教職員や子供たちに対して行われていくのか,あるいは,本当にその指導要領の問題にも触れましたけれども,国旗・国歌法の経緯について,一切判断を示さない,教育をどういう根拠に基づいて,どういう理想なり,指針に基づいて行っていくのかということが,全くこの君が代・日の丸の扱いについて配慮されていないということについては,極めてこれは残念と言うよりも(発言する者あり)その扱い,これからやっぱりきちんと歴史認識の問題というのは根本だと思いますから,やはりこの問題を扱うときには,先ほど言ったように,教育指導上の問題としてしっかりと踏まえていただきたいと思います。
今言った危惧にかかわる部分ですけれども,一方で,論議を尊重するというふうなことが言われながら,一方では断固やるのだよというようなことが繰り返し,次長の口から言われている。これは,一部の新聞,業界紙ですけれども,その中に書かれていたことですが,「このまま校長先生たちに粘り強く話し合いをしていただくということでは限界がある。校長先生だけに頑張れ,頑張れ,しっかりやれと言っても一歩も進まない」と,こういう言い方は,この職務命令は,教職員にも及ぶというふうに受け取らざるを得ないのですね,こういうふうに言っているということは。(発言する者あり)この点についてどういうふうに次長は判断されるのか。
それから,2点目。
これも次長のお言葉ですけれども,札幌市の,先ほどもありました「学校教育を正常化するのだというとらえが何よりも大事だと思っている。国旗・国歌が十分にできていない学校は,ほかのことも十分にできていない」(発言する者あり)との発言をされています。十分にできていないというふうに判断した客観的な根拠があるのかどうか,この点について伺います。(発言する者あり)
3点目。
広島県府中市の教育委員会,(発言する者あり)この春の問題で,日の丸・君が代の扱いで起きたことですけれども,文部省の
学習指導要領に基づき適切に扱うよう,学校に対して,小・中学校に対して求めた。しかし,それを受けた校長先生は,人間は平等と教える同和教育と君が代の歌詞の整合性について県教委の合理的説明を待ちたいという返事が,現場の校長先生の方から教育委員会に出された。結局この答えは出されなくて,職務命令も出されなかったという経緯があります。この経緯についてどのように教育委員会としてはとらえているのか,この点について伺います。(発言する者あり)
◎本間 教育次長 ただいまお話ございました件の1点目,2点目につきましては,委員からお話がございましたとおり,私が,あるところで(発言する者あり)発言したものについて,実際に聞いていない人たちがそれを記事にまとめたということでありますので,詳細については,私はそれについて言及することはいたしませんが,大筋,私はそのような発言をしております。
そのようなことから,まず,1点目の職務命令は教職員にまで及ぶというご指摘でございますけれども,何度も担当部長等々からお話をしてございますように,このたびの職務命令は,あくまでも教育委員会が校長に対して発したものであるということを改めてここで申し上げさせていただきたい。したがいまして,教員は,法令にある
学習指導要領にのっとって,教育指導を行うということでございます。
それから,2点目の国旗・国歌ができていないということにかかわりまして,ほかのことも十分にできていないと言っているが,何か根拠があるかというご指摘でございます。
このことにつきましてお話をさせていただきますが,教育委員会には,もちろん私もそうでありますが,長年,実際に学校に勤めていた者,そして校長,教頭など管理職を経験してきた者など,多数の職員がおります。また,各学校の校長あるいは多くの教職員の方々と私どもは緊密に連携を取り合い,学校の実態について把握をしておりますし,また,そのことが教育委員会としての責務でもあると認識をしているところであります。
したがいまして,この場であえて,こういう場でありますから,あえて私から個々の具体的な事例を列挙するようなことは差し控えさせていただきますが,(発言する者あり)この発言には十分な根拠がございますし,多くの方々に認めていただいているものでございます。(発言する者あり)
それから,3点目の広島県府中市教育委員会の件でございますが,このことにつきましては,府中市教育委員会が,それこそ自主的・主体的に判断したことであるととらえておりまして,札幌市教育委員会のこのたびの措置も,私どもの自主的・主体的な判断において決定したことでございます。
他の教育委員会の判断につきまして,見解を述べる立場にはございません。
以上でございます。
◆大嶋薫 委員 他の教育委員会で起きたことについて,見解を言う立場にございませんと,紋切り型というか,切り口上というか,先ほども言ったけれども,日の丸・君が代の中で,どういうふうに歴史的な経過が踏まえられているのかということがこの中で問題になっているわけですよ。それに対して,きちんと答えるかどうか,そのことがなければ,教育指導上,関係ありませんよなんていうことは言えないわけですよ。
それともう一つ,今,客観的な根拠,それは校長,教頭によって何かあるのだということですけれども,問題は,現場の子供がどれだけ伸び伸び成長しているかということが私の言う客観的な基準ですよ。校長,教頭,管理者が,教育委員会から,職務命令,指導という形で言われて,それがそのまま実行できないことがあるかもしれません。でも,そのことと,子供たちに,本当に伸び伸びとした21世紀にふさわしい教育が行われているかということと別ですよ。質問の意図を全く関係なく解釈して答えているという,こういうことでは,やっぱり札幌市の教育,暗たんたる思いがします。
最後に,教育長に伺いますけれども,今,少し時間がかかりましたけれども,段々のやりとりさせていただきました。現場の取り扱いがどうなるかということについても,やはり具体的に示されませんでした。指導要領に対する見解,このことについても,本当の意味で客観的に判例をどう扱うかということについては,極めて一方的な判断によってこれを正当化しようとしている。なお,あまつさえ,そのことを施行令あるいは教育公務員法等々で,まるでそれが当たり前かのように補完しようとして論理立てしている。このことについては,改めてきちんと論じさせていただきたいと思いますけれども,ただ,段々申し上げましたように,この職務命令は各小・中学校長に対して発せられた。そのことがある意味で子供にとっての強制に及ぶか及ばないのかという点についての一定の見解もいただきました。ただ,そのことをしっかりと踏まえるためには,やはりこれまでつくられてきた,子供たち,あるいは地域の皆さん,保護者,教職員含めた自主的・創造的な取り組み,このことを抜きにしてあり得ないだろうというふうに私は感じています。
今回のことが,ある意味で教職員への強制ともとられる形になれば,これは現場での混乱を招くこととなるというふうに考えますけれども,この点について,明確にお答えいただきたいと思います。
2点目は,子供たちと内心の自由とのかかわりで,指導上の混乱を招く,これはある意味で予想されるわけですけれども,ただ,このことを,やはり卒業式・入学式で取り組みを進めるということの中では,教職員含めた学校関係者,先ほども言いましたが,子供たちの教育目標,あるいはこれまで踏まえてきたものを十分に尊重し,そして論議をきちんと行う中で進めていく,このことが必要かと思いますけれども,この点について伺います。(発言する者あり)
◎山 教育長 まず,1点目の学校における混乱の問題でありますが,私といたしましては,やはり各校長,教職員は,基本的に,人格,識見ともにすぐれた方が教職についておられるわけでありまして,教育公務員として法にのっとって指導に当たる意識を,そうした意味では,今回,喚起しようとしたものでありますが,既に全国では実施しているところが多数ございますし,また,札幌市においても実施しているところであります。そうした適正に実施されているところとも十分連携を図りながら進めることにより,混乱はないというふうに信じております。
また,2点目のそうした場合の話し合いについてでありますが,私どもとして,今回の職務命令は,個々の学校におきます卒業式・入学式の実施に当たりましては,例えば,国旗を正面に掲げることを原則としながらも,これによりがたい場合は,あくまで実施を前提とするものでありますが,教職員の意見を聞きつつ,校長の判断において,式場全体の構成の中で自然に見える場所に掲揚することもあり得ると,このように考えてございます。
以上でございます。
◆大嶋薫 委員 今後の取り扱いについて伺ったのですけれども,現場のいろんなこの間の取り組み,これをやっぱりきちんと尊重しなければならないし,あくまでも,先ほど管理規則等との絡みの中でもちょっと言わせていただきましたが,やっぱりきちんとした話し合いを,論議を踏まえて行っていくというふうなことで,今のお答えを確認させていただいていいかどうか,この点,もう一度。(発言する者あり)
◎山 教育長 具体的な実施に当たりましては,教職員の意見を聞きつつ,校長の判断において全体的な実施を進めていくということでございます。
以上であります。(発言する者あり)
○飯坂宗子 委員長 ここで,委員会をおよそ20分間休憩いたします。
──────────────
休 憩 午後3時33分
再 開 午後3時54分
──────────────
○飯坂宗子 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き,質疑を行います。
◆高橋功 委員 私は,大きく3点にわたってお伺いをいたしたいと思っております。
先ほど来,段々の議論もございましたこの国旗・国歌について,私も,改めてお伺いをいたしたいと思いますし,さらに,奨学金のことにつきましてと学校トイレの問題,この大きく3点,お伺いをいたしたいと思いますので,よろしくお願いをいたします。
まず,先ほど来いろいろと議論のあったところでございますが,国旗・国歌問題についてお伺いをいたします。
憲法19条には,当然でございますが,「思想及び良心の自由は,これを侵してはならない。」と,こう定められております。我が党は,また,私どもの国のシンボルであるこの国旗・国歌といえども,これを敬う信条は,国民各個人の良心の領域の問題だと。教育現場において,国旗・国歌を教え,そして子供たちがこれを学ぶことはこれは当然だとしても,掲揚そして斉唱するかどうかについては,あくまでも個人の自由意思であると,決して強制されるべきものではないと,こういう見解を一貫して主張してまいりました。憲法19条等で保障されている,この思想・良心の自由,いわゆる内心の自由については,絶対に守られなければならないと,こう考えているところでございます。
その中で,さきの定例議会本会議におきまして,教育長から,子供にとっての強制という部分もあろうかと思う等の答弁がありました。この答弁につきましては,今申し上げたように,内心の自由を保障することは当然のことという前提の上で,公教育を行う学校においては,一定の制約を受けることがあり得ると,こういう趣旨と理解をいたしたところであります。
私は,教育長が,子供の内心の自由についての見解を再度明確にすることは,やはりより多くの市民の理解を得ることになる,こう考えます。先ほど来と重複するところもあるかもしれませんが,あえて,私も今,段々申し上げたことでございますので,学校教育において,国旗掲揚や国歌斉唱を子供に指導することは,子供の内心の自由を侵して強制することになるのか,教育委員会としての見解を改めて明確に,なるべくわかりやすく,先ほどからいろいろ答弁ありますが,明快にまず示していただきたいと思います。
大きな2点目でありますが,札幌市の奨学金についてお伺いをいたしたいと思います。
現在,大変長引いているこの不況の中で,世帯主の失業だとか,それから給与のカット,そういったことによりまして,家計が悪化をして,教育費の負担が大変になっていらっしゃる世帯が増加をしております。こうした経済状況のもとで,就職,そして転職もなかなかままならない,家計の改善はなかなか難しい状況にあるのかなと,こう認識をしております。経済的理由などで,高校,大学を中途退学する子供たちがふえていると,こういう報道もございました。私のところにも,実はこの中途退学までには至らないまでも,生活に追われて授業料を払うのが大変だ,進学をあきらめざるを得ない,そういう相談がよく持ちかけられております。
こうした中で,子供たちが学業を進めていく上で,少しでも不安をなくすためには,やはり行政などによる支援が極めて重要であり,そして,その一つが言うまでもなく,今申し上げてきた奨学金制度だというふうに思います。
国の制度である日本育英会の奨学金につきましては,我が党も,かねてからこのことについては主張しており,実を結びまして,昨年度から有利子奨学金の大幅拡充,そして,親の失業などで家計が急変した場合,そうした場合には無利子で対応する緊急採用奨学金制度の創設が実現をしたわけでございます。
しかし,我が国の奨学金制度というのは,いろいろ調べてみますと,欧米諸国に比べると,まだまだ立ちおくれている,こういう状況にあるのかなと,そういう現状だというふうに言わざるを得ない状況だと思います。
例えば,アメリカでは,大学生の総数とほぼ同数程度の規模の奨学金提供があります。それから,イギリスでは,大学生の総数の,これは逆に約2倍規模の奨学金提供があると。一方,我が国では,公私合わせて奨学金提供は,全大学生の2割にすぎない,これが実態だというふうに言われております。
当然のことですが,未来を担う子供さんたちが,各家庭の経済状況にかかわらないで就学ができると,そういう環境を整えるためにも,この奨学金制度の一層の拡充というのは,私は大事だ,必要だと,こう考えております。
そこで,札幌市において,教育委員会で,高校生,それから大学生を対象に,札幌市奨学金制度というのを持っているわけでありますが,この奨学金を受けるための条件,そして奨学金の内容,それから,ここ数年の経過を含めて,奨学生の人数,採用者に対する応募の倍率,さらに総支給額の状況,この点をまずお伺いをいたしたいと思います。
3番目でございます。学校のトイレのことであります。
よく昔は3Kと言ったのですが,最近は5Kとかと言って,札幌市の場合は,暗いとか汚い,臭い,怖い,壊れていると,こういうトイレについていろいろ言われた時代もあったようですが,今はもうそういう意味では,計画的に施設を改修されまして,メンテナンス等も大分充実をされまして,ほぼ解消がされているのかなと,こういうふうに伺っております。
ただ,現状,大部分のご家庭では洋式なのですね。我が家でもそうですし,恐らくきょうここにおいでになる方々のほとんどは洋式になってきているのかな,日本全体がそうですから。そういう中において,洋式の便器について,平成9年のときにも議論をさせていただきましたけれども,札幌市内の小・中学校のすべての学校に設置が終わりましたと,札幌市内の学校で洋式のトイレがない学校はありませんと,こういうことでございましたが,問題は,私,きょう,ここでぜひ問題提起をさせていただきたいと思っておるのは,その比率ですね,洋式と和式の設置比率,これが果たしてどうなのだろうと,こう実はかねてから思っておりました。
本州の他都市でアンケート調査を行ったそうであります。そのときに,どういう結果が出たかというと,小学校の低学年,1年・2年・3年生ぐらいの子供たち,児童は,圧倒的に洋式を好むと。ところが,女の子の場合は,高学年になり,中学生になっていくと,これはもう和式を好む割合がだんだんだんだん高くなったのだそうです。それは,やっぱり大きくなるにつれて,だれが座ったかわからないとか,ひんやりするとか,それぞれ理由があるのでしょうけれども,成長の過程に伴って,洋式,和式の率がどうも逆転をしていると,こういう結果が出たようであります。男子の場合は,児童・生徒,小学校の低・高,中学校を通じて,大体共通して洋式を好む率が高くなっているようであります。
そこで,教育委員会として,今の設置比率ですね,洋式と和式の設置比率,現状のままでいいのかと。
実は,なぜこういうことを聞くかというと,平成9年のときに,この本委員会で,小・中学校の洋式便器の設置比率はどのような基準で設置されているのかと,あわせて,その基準について妥当と考えているのかと,こういう質問がありまして,それに対して,当時の古田総務部長は,「和式を中心に設置をしているところでございますが,現状で一応その数は充足しているもの」と,現状のもので大体妥当だというふうにお答えになっているのですが,果たしてそうなのか。
このことについて,私,いろいろ伺うと,今現在,男子については1対3だそうですね,洋式と和式の比率は1対3,女子は2対7だと,こう伺いました。女子の方が男子よりも,いわゆる和式の率が高いのですね。どちらかといえば,和式をメーンに進めてきた本市の小学校,中学校のトイレ,この設置基準について後ほど伺いますが,まず,いつ決めたのか,どのような考え方でこの設置基準を決めたのか,大変長くなりましたけれども,大きく3点,まずお伺いをいたしたいと思います。
◎山 教育長 国旗・国歌問題に関します子供の内心の自由についてのご質問でありますが,先ほど大嶋委員のご質問にもご答弁申し上げたところでありますが,改めてお答え申し上げます。
公教育としての学校教育におきましては,
学習指導要領に基づいて指導を行うわけでありますが,その際,子供にとって,指導上の一定の制限を伴うものと考えております。子供に対しまして,たとえ,嫌いであったり,苦手で興味がなかったことであっても指導すべきものであり,それを子供の側からは強制であるというふうに受けとめる場合があろうかと思います。このことは,議員ご指摘のとおり,子供の内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨のものでないことは,改めて明言させていただきたいと存じます。
したがいまして,子供に対しての指導に当たりましては,具体的な個々のケースにつきまして,その状況を慎重に判断し,あくまでも内心の自由を侵さないよう,適切な配慮が必要なものと,このように考えてございます。
以上でございます。
◎岩崎
学校教育部長 私の方から,札幌市の奨学金についてお答えをさせていただきます。
数点ございましたが,まず,札幌市の奨学金を受けるための条件と奨学金の内容についてお話を申し上げたいと思います。
奨学金を受ける奨学生の条件でございますが,本人または保護者が札幌市民であって,大学,高等専門学校,高校,専修学校の専門課程または高等課程に在学する学生・生徒で,学資に乏しく,学業が優秀で善良な者と,このようになってございます。
次に,奨学金の内容でございますが,支給月額は,大学生では,国公立で6,000円,私立で9,000円,高校生では,国公立で5,000円,私立で8,000円でございます。また,1年生に対しましては,入学支度資金といたしまして,大学生では,国公立で1万4,000円,私立で2万1,000円,高校生では,国公立では1万円,私立で1万5,000円を支給してございます。なお,本奨学金は,返還の義務はございません。
質問の2点目でございますが,ここ数年の奨学生の人数と採用者に対する応募者の倍率についてでございますが,奨学生の総数は,平成10年度432人,11年度433人,本年度は437人となってございます。また,採用者に対する応募者の倍率についてでございますが,新規採用者の状況で申し上げますと,平成10年度3.5倍,11年度4.7倍,本年度は4.0倍と,このようになってございます。
3点目のご質問でございますが,支給額の状況でございます。
奨学金と入学支度資金の合計で,平成10年度は,トータルでございますが3,443万8,000円,11年度,同じく3,441万7,000円,本年度につきましては,これはあくまでも予算額でございますが3,464万7,000円,このようになってございます。
以上でございます。
◎霜觸 総務部長 学校トイレの設置基準を定めた時期とその考え方についてのご質問でございます。
現在の設置基準は,昭和40年代後半からトイレの水洗化が進むのに伴いまして,一般家庭の洋式便器の普及率も上昇してきましたこと,また,学校からの設置要望もふえ始めたこともありまして,昭和54年,初めて学校トイレに洋式便器を採用したときに基準を定めてございます。
その際,設置比率の考え方につきましては,他の公共施設等を参考にしながら,一般公衆トイレに準じまして,和式を中心に設定したものでございます。
◆高橋功 委員 国旗・国歌についてですけれども,今,教育長から答弁いただきました。子供にとって,教育指導上の一定の制限を伴うものもあるという意味が,子供にとっての強制という表現になったというふうに私は理解をしているのですが,やはり内心の自由を侵してまで決して強制するものではないと,こういうことが今の答弁で再度私は明確になったというふうに考えておりますので,この点は,本当にしっかりとお願いをしたいと思います。
ところで,この国旗・国歌についてもう1点お伺いしたいのですが,このたびのこの職務命令は,先ほどから議論ありましたが,校長に発せられたものであると。にもかかわらず,これが教員はもとより,ひいては子供に対する強制となる,憲法19条で保障されている思想・良心の自由の,いわゆる内心の自由を侵すものではないかと,こういう指摘がさきの代表質問でもありました。それから,職務命令は校長に対して発せられたものであって,教員は内心の自由があるから,国歌斉唱の際に起立や斉唱を拒否できる,こういう声も聞かれています。
私は,先ほどからも議論ありましたし,公教育によって,教員は法的拘束力を有する
学習指導要領,これに基づいて国旗・国歌の指導を行わなければならないと,こういう職務上の義務があるのだと,こう理解をしていますし,教員は一定の制約を受けるものと,こう考えております。しかし,そうは言っても,このことは,先ほど来申し上げているように,憲法19条で保障している内心の自由を侵すものではないと,こういう認識に立って,またお伺いをしたいと思うのですが,先ほどもあったかもしれませんが,職務命令は,教員に対して強制することになるのか,いま一度確認をいたしたいと思います。
あわせて,教員が,国歌斉唱の際,起立や斉唱を拒否することができるのか,この点,明確にお答えをいただきたいと思います。
2点目の奨学金についてですけれども,今の答弁で,本市の奨学金制度の状況は,ある程度理解をいたしましたけれども,日本育英会なんかと違いまして返還義務がない,そういう点に本市の制度の特徴があると,こう思います。
しかし,ただいま答弁あったように,現状,高校生で,国公立5,000円,私立で8,000円,大学生で,国公立6,000円,私立9,000円と,この支給月額というのは,今日,ただいまこの時代に,余りに低いのではないのですか,低過ぎませんか,こう思います。この点。
それから,奨学生の総数が,大体430人程度ですかね,支給額も予算組みとして3,400万程度と,こういうお話でございますが,ここ数年,全く変動がないようであります。一方で,新たに奨学生を採用する際の倍率というのは3.5倍,それから4.7倍,こういうことで,この奨学金をいただくには相当狭き門をくぐらなければならないと,こういう状況だというように思います。
少なくても,一生懸命学ぶ意欲と能力が,意思があるにもかかわらず,経済的理由で学ぶことができないという状況は少しでも避けなきゃいけない。それで社会に出て,返せるものは返せばいいわけですから。それが,若くして学ぶ意欲も能力もあるにもかかわらずと,こういう状況を避けるためにも,ぜひ将来を担う本市の子供たちが,家庭の経済状況を心配しないで就学できるように,今申し上げた札幌市奨学金制度,支給額,それから支給対象ともに拡充をするお考えはないか,再度お伺いをいたします。
3点目のトイレのことでございますが,先ほど霜觸部長からもいろいろご答弁ありましたが,昭和40年からどんどんどんどん水洗化が進んできて,54年に決めたのですと,こういう答弁ですね。それからもう20年以上たっている。その間,やはりこの設置基準というのは,現状と明らかにずれているのだ,私はこう思います。
私も教育委員会も,ずれているのだということを断定する資料がありませんから,私は,現場でいろんな声を聞いている中で申し上げているし,教育委員会も,いやいや1対3でいいのだと,こう言い切れるだけのものはないと思うのですね。
そんな意味では,先ほど例を出しましたけれども,一度,本市の生徒さん,児童,子供さんたちにきちっとアンケートをとるべきだろうと,調査すべきだと。そのことのお考えがあるかどうか,ぜひともそのアンケートを実施して,そしてその結果を踏まえて,設置基準を見直すべきだと,こう考えますが,この点いかがか,お伺いいたします。
◎高橋
指導担当部長 国旗・国歌について,2点お答えを申し上げます。
まず,教員に対しての職務命令を考えていないかという点でございますが,今回,法的拘束力を有する
学習指導要領に基づいて国旗・国歌を適切に指導するということは,公教育を行う学校教育に課せられました責務であるというふうに申し上げてまいりました。教育委員会といたしましては,これまでも長年にわたって,教職員の理解を得る努力をしてきたところでございますが,今日まで適正に実施されなかったことから,改めてこのことにつきまして,確認と自覚を促す意味で,校務全般をつかさどる校長に対して,職務命令を発したものでございます。教職員に対して発するという意図はございません。
あわせまして,教職員の内心の自由にかかわってでございます。教員の起立や斉唱の拒否にかかわってでございますが,委員ご指摘のとおり,教育公務員は,法令に基づき,教育指導を行う職務上の責務を有しているということは,先ほどから申し上げてまいりましたとおりでございます。
平成11年7月21日の衆議院内閣委員会文教委員会連合審査会においての文部大臣見解がございますが,「学校において,校長の判断で
学習指導要領に基づき式典を厳粛に実施するとともに,児童・生徒に国旗・国歌を尊重する態度を指導する一環として児童・生徒にみずから範を示すことによる教育上の効果を期待して,教員に対しても国旗に敬意を払い国歌を斉唱するように命ずることは,学校という機関や教員の職務の特性にかんがえてみれば,社会通念上合理的な範囲内のものと考えられます。そういう点から,これを命ずることにより,教員の思想,良心の自由を制約するものではない」と,こういう見解を示しております。
したがいまして,繰り返しになりますけれども,教育公務員は,法令にのっとって教育を行う職務上の責務を負うという,一定の制約を負うものと考えているところでございます。
以上でございます。
◎岩崎
学校教育部長 札幌市の奨学金につきまして,ご質問の,制度を拡充する考えはないかという点についてお答えを申し上げます。
本奨学金の制度でございますが,札幌市奨学基金から生ずる利子及び利益金によって運営することを原則としてございます。しかしながら,近年,低金利の影響を受けまして,基金から生ずる利子等のみで制度を運営することは大変難しく,一般会計からの充当によって事業費を確保しているのが実態でございます。
平成11年度の決算額で申し上げますと,支出額3,441万7,000円のうち,基金から生ずる利子の額が1,469万2,000円でございます。残りの1,972万5,000円が一般会計からの充当と,このようになってございます。
本市の大変厳しい財政状況を考えますと,制度の拡充というのは,現段階では難しいと考えておりますが,今後,基金の増額などに一層努めてまいりたいと,このように考えてございます。
以上でございます。(「やらないって言ってるようなものだ」と呼ぶ者あり)
◎霜觸 総務部長 学校トイレについてでございます。
ただいま委員から段々のお話がございました。確かに今の設置基準でいいのかと言われれば,私どもにも頑張れる根拠は実はないのでございまして,昭和54年に設置以来20年もたっておりますので,ここらで調査を実施する必要があると考えております。児童のアンケートをとるなど,速やかに調査を実施いたしまして,新たな設置比率を検討してまいりたいと考えております。
◆高橋功 委員 国旗・国歌については,先ほど来申し上げているように,やはり教員に対しても子供に対しても,この憲法19条で保障されている思想・良心の自由,いわゆる内心の自由,ここに十分配慮をして進めていくということを要望しておきたいと思います。
奨学金については,岩崎部長,先ほど後ろからも「やらないってことじゃないか」みたいな声がありましたけれども,確かに今,利率が下がっているし,果実がなかなかというのは,それはわかります。ある程度,そういうところにやはりもっと何とか知恵を絞って,またお願いをするところはお願いをして,我々も財政にも物を言っていきたいと思いますが,こういうところにきちっとやっぱり手厚くしていくということは,本市のまさに教育行政の根幹を問われるのかなという気が私はしますので,英断だと私は思いますので,英断されることをぜひともお願いをしたいと,こう思います。
トイレについて,霜觸部長,いわゆる札幌市内,中学生が5万5,000人ですか,小学生が10万弱,9万9,000ですか,約十五,六万の小・中学生がいます。全部とは言いませんが,少なくても1校とか2校ではなくて,ある程度子供たちの意見をぜひ聞いてください。これ私は,絶対,絶対というか,相当,洋式希望が多いと思いますよ。何も,私,全部洋式にしろと言いません。それまた,先ほどから申し上げているように,一方で,和式の方がいいって子もいるわけですから。特に女子なんかはね。ただ,余りにも今の設置基準が実態とかけ離れているのでないですかと,こういうことですから,その根拠となるアンケートを早急に実施していただいて,そして設置基準の見直しに具体的に取り組んでいただきたいと,このことをお願いして,終わりたいと思います。
◆坂本恭子 委員 私からは,大きく3点質問いたします。
学校給食,情報教育,学校図書館について,順次伺いますので,委員長,よろしくお願いいたします。
学校給食にかかわって,大きく2点質問いたします。
まず,質問の第1は,調理業務の民間委託化についてです。
楽しさとゆとりある給食推進事業の中で,民間委託が進められており,現在15校に拡大していますが,調理業務の民間委託の問題については,この間,繰り返し指摘してきたところです。現場での具体的問題点として,1定でも取り上げた調理体制について,調理師の資格を持つチーフ1名と調理パート数名で構成されておりますが,この体制の中で,常にいろいろな問題が生じています。これは単に,チーフの指導力が不足しているからとか,調理員に調理現場での経験が少ない人が多かったからとかの原因ではないと,私どもは考えております。
そもそも市教委は,民間委託導入について,経験豊かな専門企業のノウハウを導入するのだとおっしゃっていましたが,少ないコストでより大きな利潤を追求するのが企業の本質です。すべての調理員をパートで確保し,人件費を低く抑え,業務をこなす中で起こるこのような状況は,想定できたはずです。委託校での調理業務の現状,状況をどうとらえ,認識されておられるのか,まず伺います。
また,民間委託導入にかかわって,98年1定では,当時の霜觸学校教育部参事は,調理業務を民間委託したとしても,献立は学校栄養職員が考えますし,食材も学校が品質や安全性を確かめながら購入することは,これまでと同じと答弁しておられます。
ところが,この間,今までは,生の鳥がらや野菜からつくっていた鳥がらスープを全校一斉に業者のつくったパック入りスープに変更したのは問題です。購入方法は,以前と同様,各学校が対応することにはなっていますが,あわせて導入された統一献立,統一レシピによって,どんな食材を使うのか,どんな調味料を使うのか,使用量まで細かく指定され,もし変更するのであれば,どうしてそうするのかを報告しなければならないという状況の中で,結局は指定されたものを使わざるを得ないというのが現状です。献立づくりや調理業務は,市内の学校どこに行っても同じものにせよというのは,すなわち低いレベルに皆合わせよということではないでしょうか。今までの経験で養われた手づくりの技術,毎日,子供の喜ぶ顔を思い浮かべながら,愛情込めてつくられてきた給食が,学校の独自性も出せない,柔軟な献立づくりにも支障を来すことになると思いますが,どのようにお考えか,伺います。
学校給食にかかわっての2番目の質問です。
給食に供給されている牛乳のパック,このリサイクルについて伺います。
牛乳の納入業者については,2学期からの北海道段階での入札制度の変更によって,学校で飲み終わった牛乳パックの回収が,3学期より,されなくなります。この唐突で一方的な変更で,学校現場は大変混乱しています。
これまで,先生と子供,PTAが連携して,環境教育の一環と位置づけ,牛乳パックのリサイクルを積極的に行ってきた学校もありますが,学校側は廃棄処分するしかないのではと,今悩んでいるということです。これまで,毎日,飲み終わった牛乳パックで業者が回収してくれたものはリサイクルに回る,そのように子供たちも多くの先生も思ってきたようですが,それらのほとんどが実は廃棄をされていた,リサイクルには回っていなかったというのは事実ですか,お聞きします。
◎大西 事業調整担当部長 大きく2点につきましてご答弁申し上げます。
まず,1点目の調理委託の問題につきましての評価ということでございます。
委託校におきます調理業務の状況についてでございますが,委託しております業務内容は,食材の切裁,加熱,炊飯といったような調理作業,それと,配膳と下膳,食器等の洗浄・保管並びに施設清掃などでございます。
いずれの学校におきましても,給食時間におくれることもなく,適切に行われていると確認しております。また,契約どおりの適正な業務執行がなされていると認識してございます。
また,委託校で働いております業務責任者及び調理員の方々,これらの方につきましても,子供たちのために,学校給食を提供することの意義を十分理解し,やりがいを持って取り組んでおりまして,さらには,学校栄養職員と業務責任者との連絡もスムーズに行われておりまして,運営上,調理作業面,衛生管理面とも,全く問題がないと聞いておるところでございます。
したがいまして,私どもといたしましては,現在の調理業務の民間委託は,改善事業の趣旨に沿って,期待どおり順調に進んでいると,こういうふうに認識しております。
今後とも,給食現場の状況の適切な把握に努めますとともに,必要な指導を行いながら,子供たちに喜ばれる学校給食を目指してまいりたいと,こう考えております。
次に,レシピ等の統一の件についてでございますが,レシピにつきましては,食品名,切り方などの処理の仕方,調理方法や衛生管理のポイントを表記したものでございます。このたびの改善事業の中でのレシピの標準化につきましては,本市のすべての学校において,一定水準の給食を子供たちに提供できるようにするということが一番でございまして,調理作業を行う調理員の方も,レシピに従ったつくり方によりまして,衛生的かつ基本的な調理方法が身につくこととなります。例えば,学校を異動したとしましても,どこの学校においても安全で安定した給食をつくることができますように,このレシピの標準化を進めているものであります。
次に,牛乳パックのリサイクルの経緯等についてでございますが,本市はもとより,道内市町村の学校給食用牛乳の供給につきましては,北海道におきまして決定をしております。本年3月に国で定めました学校給食用牛乳対策要綱を受けまして,北海道が,この2学期から学校給食用牛乳の供給制度を変更したものでございます。この新しい制度では,入札制度を導入することにより,競争原理を働かせた透明性の高い価格形成手法がとられており,その新制度実施に当たりまして,北海道は,従来,学校給食用牛乳の供給業者が自主的に行っておりました牛乳パックの回収につきましては,供給業者の義務はないものとして整理をしてございまして,その旨の通知をしているところでございます。
なお,2学期につきましては,各学校での混乱も予想されますことから,2学期を限度として,乳業者が各学校の実態に応じまして対応すると,こういうふうになってございます。
以上です。
◆坂本恭子 委員 学校給食の民間委託,契約どおり適正な執行である,あるいは,大変現状スムーズに動いているというようなご答弁でした。そしてまた,統一レシピ,統一献立の中では,一定水準で提供するようにという,そういう指導をしているということだったと思いますけれども,現状スムーズに動いている,これはすなわち,現場を全く市教委の方たちが見ていらっしゃらない,そういうことだと思います。そしてさらに,一定水準で提供すると,この基準というのが最低の基準になっていると,このことも指摘せざるを得ないと思います。
教育の一環として,学校給食は非常に重要だと考えますし,そのためには,あくまでも直営方式が基本となります。子供を持つ親たちの願いも,安全で安心できる給食を与えたいというのが共通のものではないでしょうか。教育としての学校給食に携わるさまざまな人たちがおります。学習指導や生活指導を行う教員,献立づくりから始まって,栄養のあるおいしいものを食べさせたいと願う栄養士,そして,愛情豊かな手づくり調理を通じて食生活を支える調理員など,これらの方たちが連携してこそ,子供たちは安心して学校生活を送ることができます。
しかし,市職員である栄養士と委託パートの調理員,あるいは調理師免許を持つチーフとそうでない調理員など,雇用の形態の上で,調理現場での連携は大変難しいものとなっています。改めて,民間委託をやめて直営方式に戻すべきと思いますが,お考えを伺います。
また,楽しさとゆとりある給食推進事業の大きな柱である食指導についても伺います。
食に関する指導に対しての要求は,栄養士にとって大変強いものとなっています。もっと教室に足を運んで子供たちに教えたい,給食便りなどニュースの発行にも力を入れたいという思いがあります。しかし,栄養士は教員ではないので,個人の意欲ややる気,あるいは受け入れる教員の側の対応などに左右されやすくなります。このような現状をどのように受けとめておられるのか,伺います。
また,牛乳パックについてですが,北海道で行われている入札制度について,競争原理を採用して,コストを下げるために回収を取りやめた,こういうご答弁だったと思います。全く教育的な配慮がなされていないのではないかと,そういうふうに思います。
牛乳パックについては,環境教育の観点からも,学校でのリサイクルの意義は大切なものと思いますが,それは子供たちへ説明して,それぞれの年代に応じた納得,教員の負担も大変なわけですから,その合意,そして保護者の力を借りる場合には,その相談と,時間をかけた協議と体制づくりが必要です。にもかかわらず,年度途中で突然,一方的に回収方法を変えるということ自体が問題です。押しつけではなく,時間をかけて,子供,教員,保護者が協議できる,柔軟な対応をすべきであり,必要に応じては,せめて今年度末までは,今までどおりの回収も行うべきであります。このように,現場の声を聞いた柔軟な対応をすべきですがいかがか,対処の仕方を伺います。
◎大西 事業調整担当部長 3点ございましたが,まず,調理委託事業を直営に戻してはどうかということでございます。
先ほども申し上げましたが,調理委託事業の中では,調理業務を行うチーフと学校栄養士との連絡等も密に行い,それと,衛生管理作業表というもの,いわゆる栄養士が指示のもとにつくっている表,そういうものに従いまして,双方で綿密な作業基準,それと衛生ポイントの留意事項等の打ち合わせ等々も進めまして,子供たちのために安全でおいしい給食が十分なされておると,こういうふうに考えているところでございます。また,食材等々につきましても,本市から提供する食材で調理をしていただくというようなこと,さらには,委託の中では,優秀な技術力のある方々または関係機関数社で代替等も可能だというようなこと等から,今やっているやり方で今後とも進めさせていただくと,こういうふうに考えているところでございます。
次に,食指導の関係についてでございます。
給食現場での食指導等についてでございますが,昨今の社会や家庭環境の変化に伴いまして,子供たちには,特にさまざまな食生活上の問題が生じておりまして,こうした食事環境の中に置かれております子供たちに対する食指導の重要性,これは非常に高まっておりますことは,学校栄養職員の一致した認識で,今回の改善事業におきます食指導の充実は,こうした学校栄養職員みずからの認識と理解のもとに,この食指導を進めていくことが事業化されたものであります。
そんな意味で,研修につきましても,改善事業の推進組織であります給食改善事業推進委員会というものを立ち上げておりまして,この中に,学校栄養職員から成ります食教育部会を設けまして,食指導に関します計画あるいは資料集を作成する,そんなことや,子供たちの発達に応じました指導のあり方,または授業やチーム・ティーチングへの参画の仕方をテーマとしたり,指導の実践交流などの全体研修を行いまして,食指導に関します知識あるいは技術の向上に努めております。
それから,3点目の牛乳パックの今後の取り組みについてでございます。
3学期からの対応についてでありますが,牛乳パックのリサイクルにつきましては,私も,その実施に向けた体制づくりを各学校で自主的に行っていただくことは,教育の一環としても極めて重要であると考えております。さらには,今日のリサイクル社会の構築や本市のごみ対策等の視点からも,社会的に要請されております取り組みであると考えております。
したがいまして,3学期以降の各学校における牛乳パックリサイクルに向けましては,市教委といたしましても,関係機関との情報の交換を行いながら,実施に当たりましての問題点を整理するなどしまして,各学校が牛乳パックのリサイクルに積極的に取り組んでいただけるよう効果的な指導を行うなど,各学校の実態を十分配慮してリサイクル実施のための環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○飯坂宗子 委員長 答弁される理事者の皆さんに一言お願いします。
本日は,まだ質問予定者が多数残っております。そこで,委員の質問に的確に,かつ簡潔にご答弁を願いたいと思います。
◆坂本恭子 委員 学校給食については,調理員のチーフと栄養職員の連絡を密にしているだとか,さまざま民間委託を正当化する理由づけについて述べられました。しかし,学校給食が教育として取り組まれるためには,やはり直営方式に戻すべきだと思っております。
教育にはお金をかけない,行革の一環として民間委託を進めるという市教委の姿勢は,教育の質の低下をますます助長することになります。教育を守り,子供を守るために,調理業務の民間委託導入は即刻中止すべきということを強く主張しておきます。
また,牛乳パックについてですが,リサイクルを学校で自主的にやっていただきたいと,今後の対応については,問題点を整理してというお話でしたけれども,やはり3学期,どう対応するのかと,ここに対しての明確なご答弁はいただけませんでした。何よりも現場の声を大切にしながら,市教委として責任ある対応を早急に行うように要望しておきます。
大きな質問の第2は,情報教育に関してです。
現在,各学校へのコンピューター整備が進められており,小学校では,1校につき22台,中学校には,各校42台が導入されています。整備率は, 現在,小学校178校で84.4%,中学校では,85校85%となっています。
コンピューターを使用しての授業は,発達に応じた扱いをするよう求められており,児童・生徒が情報手段を積極的に活用できるよう充実に努める,教材の適切な活用を図るなど,教える教師の側に高い技術が必要となります。
ところが,コンピューター操作や授業での活用方法,指導能力について,多くの教員は専門的な研修が不十分なため,担当の教員によっては,コンピューター授業の回数が違ったり,子供任せの授業になっていたりと,十分に活用できない,児童に指導できないという問題が広がってきていると思うのですが,この点についてどのように現状を認識しているのか,伺います。
また,教員への研修体制については,現場の状況に即していないため,個々の教員に大変な負担となっていると聞いております。せっかくの教員研修も,「授業があって行けない」「日常の業務量が膨大で学習時間が確保できない」というのが実態です。
教育センターに研修会場を限定せず,せめて各区で研修を行うなど,研修方法にも改善が必要と考えますが,いかがでしょうか。
また,専任指導員の配置あるいは助手の配置など,具体的に検討すべきと思いますがいかがですか,伺います。
◎高橋
指導担当部長 本市の教員のコンピューター操作,指導能力の現状について,私の方からお答え申し上げます。
平成12年3月末現在でございますが,コンピューターを操作できる教員の割合は,小学校で49.1%,中学校で66.7%,高等学校で68.1%,養護学校69.0%でございまして,平均57%となっております。また,コンピューターで指導できる教員の割合は,小学校27.9%,中学校28.3%,高等学校20.0%,養護学校29.6%で,平均27.6%となってございますが,これは全国とほぼ同水準にあると押さえております。(発言する者あり)
次に,情報教育推進に当たっての教育に対する具体的支援についてでございますが,委員ご指摘のように,私どもコンピューター推進につきましては,教育センターにおきまして,毎年,習熟度に合わせたコースを設けるとともに,教科に生かせる内容を取り入れた情報教育研修講座を開設し,平成11年度には344名が受講しているところでございます。
しかし,本年の2月から運用が開始されました緊急雇用対策事業の一環でございます情報教育支援デスクにおきまして,これにつきましては,各学校で行われる校内研修会等へ講師を派遣しまして,この8カ月間で延べ51回,768名が受講したところでございます。
このほかに,平成10年には,情報教育指導資料を市立学校全教員に配付し,実践事例を紹介したところでございますが,今後とも,さらに積極的に情報提供するなど,教員の要望に応じた支援に努めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
◎岩崎
学校教育部長 ご質問の3点目の,コンピューター教育にかかわっての専任の指導員もしくは助手を配置するお考えはないかという点についてお答えを申し上げます。
授業におきますコンピューターの活用は,やはり教育活動の一環として大事にしたいと考えてございます。したがいまして,教員が直接指導に当たるということが大変効果的なものと,こういうふうに考えてございます。
そのため,ただいま,
指導担当部長の方からもご説明申し上げましたけれども,情報教育支援デスク等の活用により,一人一人の教員の資質を高めることが,まず当面の課題であると,このように考えてございます。
以上でございます。
◆坂本恭子 委員 研修体制の強化などで全国レベルに近い数字になっているということでありましたけれども,全く活用できるようになっていないということが大変よくわかりました。教育活動の一環ということで,補助体制もしけないというようなお話でしたけれども,実際にコンピューターがとまってしまうと,それに対してどう対応していいのかわからないと。職員室まで走っていって,他の先生に対応を求めていると,こういう現場の声に率直に耳を傾けるべきだと思います。
IT革命の呼び声の中,物だけ買って,学校にコンピューターを整備しても,その後の対応が不十分なため,コンピューター教育が実りあるものになっていかないという実態を今,指摘をいたしました。しかも,コンピューター機器は,6年から7年で更新しなくてはなりません。一たん整備を導入したら,莫大な予算をつけ続けなければならない,こういう状況になります。
私どもは,新しい技術を社会全体が有効に活用できるようにするための施策は重要であり,新技術を国民共有の財産として活用を進めるべきとの立場です。しかし,IT革命の看板を従来型の公共事業の推進策に使ったり,景気対策の手段にするようなことがあってはならないと考えます。多様な情報を入手し,発信するコミュニケーションの手段としてのインターネットなど,人類の文化,技術の発展をきちんと教育現場で継承するためにも,教員への支援体制をますます強化していくと,このことを心から望みます。
大きな質問の第3は,学校図書館についてです。
本市の小・中学校の蔵書数は,小学校105万2,460冊,中学校では45万642冊であり,これは,それぞれ文部省が示した学校図書館図書標準に照らして,小学校56.4%,中学校37.2%という,極めて低い充足率になっています。学校図書館に本がないというのが実態です。学校図書館を学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であるとの位置づけのもとに,その健全な発達を図り,もって学校教育を充実するとした学校図書館法に照らしても問題があると指摘せざるを得ないと思います。これまで,図書購入費を十分に予算化してこなかったことが,この事態を招いたのではないでしょうか。
1996年の場合を例に挙げますと,国が示した学校図書館図書交付税算入額は,小学校1億670万円に対し,本市の予算は8,650万円で,81%にすぎません。中学校では,国の示した算入額1億3,580万円に対して5,720万円,42%です。97年度以降の図書費予算は,小学校1億3,180万円,本年度まで全くふえずに同額が続いています。中学校は,97年度8,270万,本年度は8,550万円で,ほぼ横ばいになっています。学校図書館の蔵書が少ない原因の一つは,この予算の少なさであり,増額が必要と思いますがいかがでしょうか,伺います。
また,蔵書の少ない原因のもう一つは,図書の管理体制にあるのではないでしょうか。このたび行われた緊急雇用対策の一環として,学校図書の整理,ラベル張りなどで,一気に小学校が33万冊,中学校30万冊が処分されました。15年経過した図書が自動的に廃棄されたわけですが,これまでの間,使えない本が蔵書数に加えられ,必要な新しい本の購入ができなかったことは,図書にかかわる仕事を専門にできる職員がいなかったこと,これが大きい要因ではないでしょうか。貸し出しは行っても,返却の仕事にまで手が回らず,子供たちの手元に置きっ放しになっていても返却の指導ができないまま,気がついたら図書館の本が半分に減ってしまっていた,こういう話も耳にします。
1997年に,学校図書館法が改正され,それまで「当分の間置かないことができる」とされていた司書教諭を12学級以上の学校に,2003年4月より配置しなければならなくなりました。
本市では,現段階で,小・中合わせて271校がこの司書教諭要配置校とされ,有資格者は182名になっています。今年度資格取得講習の受講者は約100名ということで,このまま毎年推移すれば,2003年までに各校平均二,三名の司書教諭を配置することが可能になります。
ところが,この資格取得講習は,本来5科目10単位習得しなければならないところ,校務分掌上の図書係に通算2年ないし4年従事すれば,2科目4単位,あるいは1科目2単位,それぞれ減免されることとなっております。本市の有資格者も,大半はこの軽減措置が適用されているということです。
ここでの問題は,単位軽減措置が昨年4月から開始され,司書教諭の配置が行われる直前の2003年3月31日に廃止されることです。まさに特別の経過措置であり,数合わせの場当たり的なやり方と言わざるを得ません。
学校図書館は,学校教育をより豊かにする上で欠くことのできない基礎的な設備であり,学校における図書活動の中心として,大きな役割を発揮することが期待されています。そして,これを実践する担い手が司書教諭です。このような不十分な研修体制で資格を取り,さらに教科や学級を担任しながら兼任で学校図書館の運営に当たる状態では,貧困な現状を解決するには不十分です。開店休業状態の学校図書館を一日も早くなくし,豊かな活動に発展させるために司書教諭の専任化を図るべきと思いますが,いかがでしょうか。
また,11学級以下の学校にも,同様に2003年から司書教諭を配置すべきと思いますがいかがですか,あわせて伺います。
◎霜觸 総務部長 学校図書館の予算についてお答えを申し上げます。
私どもの学校図書館の予算につきましては,平成6年,それから平成9年と,予算の幅にいたしますと,30%から40%,ないしは50%と,それぞれ大幅に予算を更新して,現在に至っております。
確かに,当初国で定めました学校図書館の図書標準をもとに,今,委員おっしゃいました比率,小学校で56%,あるいは中学校で37%というお話がございましたけれども,私どもは,それに加えて,寄託図書制度というのを持っておりまして,それを加えますと,小学校は65%,中学校で40%と,若干数字が上がるというふうに認識をいたしているところでございます。
いずれにいたしましても,図書館の果たす役割は大変大きいことも私ども十分認識しておりますので,できる限り早く整備目標に到達するよう努力をしてまいりたいと考えております。
◎岩崎
学校教育部長 司書教諭の件につきまして,私の方からお答えをさせていただきます。
司書教諭のことでございますが,現在のところ,専任で配置する定数措置はとられていないことから,校務の一つとして分掌していくと,このようにとらえてございます。
したがいまして,司書教諭となる教員につきましては,図書館業務に携わる時間等を考慮いたしまして,学校全体での校務分掌上の工夫を行い,担当授業時間数の軽減を図るなどの検討が今後必要になってくると,このように考えてございます。
なお,これまでも,本市といたしましては,司書教諭を専任教諭として配置するよう,指定都市教育委員教育長協議会及び北海道都市教育委員会連絡協議会等を通じまして,国及び北海道教育委員会に対して要望してきておりますが,今後とも引き続き働きかけてまいりたいと,このように考えてございます。
2点目の平成15年度におきます目標は12学級以上と,11学級以下についてもというご指摘についてでございますが,比較的順調に有資格者の研修が進んでございます。しかし,実際にその有資格者の方の人事等を考えますと,かなりの数の有資格者が必要だと,このように現在考えてございます。
したがいまして,当面は12学級以上,これを目標に努力をしてまいりたいと,このように考えてございます。
以上でございます。
◆坂本恭子 委員 21世紀を目前に控え,学校図書館が子供たちの学ぶ喜びをはぐくむためにも,その充実は緊急の課題となっております。学校図書館を機能させるためには,やはり司書教諭の専任化は必要不可欠と考えますので,早急な取り組みを求めます。
また,11学級以下の学校への配置についてですが,若干,有資格者がふえていけばというようなお話もありましたが,97年の衆議院文教委員会において,当時の政府委員がこのように答弁をしております。「やむを得ず,一定規模以上ということにするわけで,だからといって,その規模以下に置かれなくてもいいということではもちろんない」,こういう答弁をしております。
教育条件の平等を保障する上でも,極めて積極的に対応するように,心から願って,私の質問をすべて終わります。
◆宮本吉人 委員 ただいままで,各議員がいろんな立場から取り上げてまいりましたことでありますが,私も,国旗・国歌と学校管理規則の改正について,再確認をいたしながら質問をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)頭の悪い人がいるから,もう一回やります。
地球上に生きる人類は,それぞれの地域で国家を形成して,その国の歴史に基づく象徴,シンボルとして,その国をあらわす国旗と国歌があるのであります。
国際社会においては,それぞれの国の伝統と文化を理解し,また,その違いを知り,お互いに尊重し合うことが何よりも大切であります。国際都市として発展を目指す札幌市にとって,学校教育において,子供たちがお互いの国の伝統と文化を理解し,尊重し合うことを学ぶことは,何よりも大切であり,その原点は,お互いの国の国旗と国歌を尊重し,(発言する者あり)理解し合うことから始まると,私は考えているのであります。
すなわち,このことは,子供のころから,正常な学校運営の中で,国旗・国歌について適正に指導されなければならないと思います。(発言する者あり)
現実に,私が所属する団体において,国際交流事業として,子供たちの交換交流を行っておりますが,そのたびに私が持つ印象は,日本に受け入れをした外国の子供たちは,日本の国旗・国歌に対して,しっかりとした礼節を持って対応しているのに対して,日本の子供たちは,押しなべてだらだらとした態度で,国歌も満足に歌えない状態にあるのであります。教えていないからであります。日本の子供たちが,交換先の外国に出向いたときにおいても,同じような場面で,訪問した国の国旗・国歌に対してきちんとした対応ができず,ひんしゅくを買っていると聞いております。(発言する者あり)これは,相手の国を尊重していないととられ,私どもは大変恥ずかしい思いをしているところでございます。(発言する者あり)
私の知り合いの外国の方が,くしくもおっしゃっておりました。「だれも知り合いのいない国を訪れたときに,まず最初に,その国の国旗に対して尊敬と親愛の形を表現することが大切である」と,話されておりました。世界において,国旗・国歌のない国はないのであります。なのに,反対,反対という,国旗・国歌は要らないと思っているのでないかという状況を私は憂慮しております。(発言する者あり)
○福士勝 副委員長 静粛にお願いします。
◆宮本吉人 委員 (続)日本においても,古くから,慣習として,日の丸が国旗であり,君が代が国歌であると認められておりました。このことは,これまでの各種の世論調査においても明らかになっているところであります。
しかし,一部の教職員を中心とする団体は,自分たちの偏った考えを押しつけ,利己的とも思えるイデオロギーに偏って,ただやみくもに反対してきたことは,皆さん方もご承知のとおりであります。(発言する者あり)しかし,このことは,
○福士勝 副委員長 委員の皆さん,質問中ですので静粛にお願いします。
◆宮本吉人 委員 (続)逆に言えば,このことが押しつけであり,強制であると,私は考えております。(発言する者あり)
国旗・国歌については,だれが決めたのだとか,どこにそれが決められているのだとかの主張がありますが,反対であるならば,しっかりと,その問題についての代案をつくって,そして,それを主張しながら,例えば,日の丸がだめだったら,日の三角,日のバッテンでもいいのです。君が代がだめならば,「さくらさくら」でもいいのです。私は,少なくても,代案を持ってしっかりした意見を言うのが本当ではないかと思います。(発言する者あり)
こうした反対のための反対に終止符を打つべく,政府において明確に,いわゆる国旗・国歌法が成立したのであります。法律で決めなければ守れないということは,非常に私は情けないと思いますが,(発言する者あり)考えるまでもなく,元来,教員は,先ほどから話がありますように,法に従って職務を務めなければならない公務員であります。その公務員が,いまだに国旗・国歌の指導を行わないのは,まさに法律違反と言っても過言ではないと思います。(発言する者あり)
私の意見でありますから,もう1回確認しているのです。(発言する者あり)
○福士勝 副委員長 宮本委員,質問をお願いします。
◆宮本吉人 委員 (続)また,教育公務員は,先ほども話ありましたように,教員として採用されるときに,服務の宣誓書に署名をして教員になっているのであります。このたびの職務命令は,こうした学校現場の状況を背景にして発せられた,現実に対応したということであります。長年にわたり教育委員会が粘り強く指導してきたにもかかわらず,一部の教員の反対のために,本来の職員会議の意義や役割がゆがめられ,校長が国旗や国歌を適正に実施しようとしても,執拗な妨害に遭って実施できないでいたのではないかと,それが実態であったと,私は確信しているわけであります。(発言する者あり)確認中であります。
私も,議員になりましてから十数年にわたり,毎年,卒業式前に市立の小学校・中学校・高校の校長先生とPTA会長に対して,国旗の掲揚と国歌の斉唱の要請を行ってきたところであります。しかし,この十数年来,改善がほとんど進んでおりません。
学校における儀式において,国旗・国歌を実施することの意義を私は長年にわたり叫び続けてまいりました。最初のころは,全道の教職員が属する各学校の分会と言われるところから,抗議や嫌がらせの電報や手紙がたくさん寄せられました。そのほとんどが同じような文章であることから,いわゆる組合の指令であると,私は推測しております。
国旗や国歌について,押しつけだとか強制だとか騒いでいる教員がいることこそ考え違いも甚だしく,教育公務員(発言する者あり)としての職責を忘れた身勝手な言い方であると考えるのであります。(発言する者あり)
○福士勝 副委員長 傍聴席の皆さん,静かにしてください。
◆宮本吉人 委員 (続)むしろ押しつけとか脅迫まがいの強制をしてきたのは自分たちであり,
○福士勝 副委員長 宮本委員,質問に入ってください。
◆宮本吉人 委員 (続)法によって身分が保障されている公務員である教員自身が法を守らず,一方で,教育する権利は教員にあるなどと主張し,職員会議において,そのすべてを教員だけで決定しようとしている実態があるのであります。(発言する者あり)職員会議も,一部の教員がわけのわからない論議を吹っかけて,校長の指示・指令を妨害している現状を私は知っております。(発言する者あり)もともと我が国では,国旗や国歌は適正に
○福士勝 副委員長 宮本委員,質問に入ってください。
◆宮本吉人 委員 (続)実施されていたものであります。一体だれがだれの了解をとってやめさせたのか。
以前は,これは適正に実行されて,国旗が上げられ,国歌が歌われていたのでありますが,(発言する者あり)閉鎖的な教育現場で,脅迫,恫喝など,強制的なやり方でやめさせたのが実態ではないでしょうか。(発言する者あり)
そもそも学校は,だれのものでありましょうか。学校は,(発言する者あり)先生のものではありません。(発言する者あり)健やかな子供の成長を願う,地域の人々,市民,国民のものであるはずなのに,一部の考え違いをした教員が学校を私物化した考えのもとに教育を行っていることが,まさに大問題であります。
○福士勝 副委員長 宮本委員,質問してください。
◆宮本吉人 委員 (続)これから質問やります。
それら一部教員は,
学習指導要領に法的拘束力がないとして,一党一派に偏った教育をしたり,校長の職務権限を意識的に無視し,校長交渉と称して,校長をつるし上げているということも聞いているところであります。(発言する者あり)
事実,過去においても,学校で勇気を持って指導しようとする校長が出たときには,学校は当然,今のような妨害に遭って荒れたのであります。(発言する者あり)その荒れた学校について指導室は何をしてきたか。(発言する者あり)校長を研究室に入れて,そして,学校をそのまま続けた。こういったことが,今まで教育に燃えていた校長先生が……
○福士勝 副委員長 宮本委員,再三申し上げますけれども,質問に入ってください。
◆宮本吉人 委員 (続)わかりました。
失意のもとに退職していったことも聞いております。
また,近いことでありますけれども,退職を1年後に控えた校長が,さまざまなつるし上げに遭い,心身とも疲れ,そして,脅迫や生命の危険まで感じて退職していったということも聞いております。(発言する者あり)
そこで,質問でありますが,職務命令を受けた校長が,妨害を受けたり,突き上げを受けて窮地に追い込まれないよう,教育委員会は,どのようにこれを支援して守っていこうとしておられるのか,お伺いいたします。
◎本間 教育次長 このたびの国旗・国歌の問題でありますが,教育委員会といたしましては,各学校の具体的な状況の把握をしたり,あるいは校長の考えを聞いたり,さらには,校長会などと情報交換や協議を十分に重ねた上で,職務命令の実施を決定したものでございます。
このことを踏まえまして,来春の卒業式・入学式における完全実施に向けて,各校長が実施のための実質的な話し合いを確保できるよう条件整備を行う一方,もしも,実施に伴う課題や問題が生じたような場合には,(発言する者あり)校長ひとりだけで解決しようとせず,校長会など,横の連携をとっていただくとともに,教育委員会と相互の密接な連携を図りながら,(発言する者あり)問題解決ができるよう,全面的に校長を支援してまいりたいと,このように考えております。(発言する者あり)
◆宮本吉人 委員 ただいまの答弁で,教育委員会が大変な覚悟を持って(発言する者あり)職務命令を発し,その上で校長を全面的に支援をしていくということが確認でき,大変安心をいたしました。(発言する者あり)
そこで,要求をしておきます。
学校現場において,今まで述べたようなことが校長の身に発生した場合,直ちに報告していただきたい。さらにまた,教育長,教育次長あるいは担当者に対しても,同様な脅迫まがいの恫喝などがあった場合,同じように報告していただくことを要求しておきます。(発言する者あり)
さらに,千葉助役には,教育長初め教育関係者の皆さんが勇気を持ってとった行動に対して,全面的に支援をしていただくことを要求いたします。(発言する者あり)
私は,かつて小学校,中学校,高校と,12年間にわたってPTAの役員を務めた経験があります。そのころから学校の閉鎖的な体質を問題として取り上げ,一般社会には通じない,全く理解しがたい組織運営のあり方について指摘をしてまいりました。しかし,その体質は,現在もまるで変わっておらず,教職員は「井の中のカワズ」だと言われている状況も仕方がないと思われてなりません。これらは,新卒の学生が,一般社会の経験のないまま教師になり,教員研修に不備があるところも問題であると思うのでございます。現実に,京都では,初任研修はもちろんのこと,3年,5年,10年研修が,校長命令で行われているのに,なぜ札幌ではできないのか,こういうところも問題があるように思われます。(発言する者あり)
社会におけるすべての組織には,必ずリーダーになる長がおります。その長の判断と決定によって,組織としての目的を達しております。学校といえども,組織である以上,例外ではないはずであります。(発言する者あり)
○福士勝 副委員長 宮本委員,質問ですか。
◆宮本吉人 委員 (続)前段でも述べましたように,国家としての重要な問題である国旗・国歌のことを
○福士勝 副委員長 整理してください。
◆宮本吉人 委員 (続)職員会議の議決で左右するというのはもってのほかで,校務分掌まで話し合わなければならないということは,全く非常識きわまりなく,断じて許されないことであります。(発言する者あり)
また,昔は,校長先生がよく教室の後ろのドアから静かに入ってきて,その教室の授業の風景やら子供たちの様子をそっと見ていたものでありますが,最近では,自分の教室へ入るのはプライバシーの侵害だと主張する教員がいて,校長は教室の中に入れない状態であるとか……
○福士勝 副委員長 宮本委員,質問に入ってください。
◆宮本吉人 委員 (続)今ね,大事なところなものですから,もう少し我慢してください。
○福士勝 副委員長 もう少し整理をして,質問に入ってください。
◆宮本吉人 委員 (続)指導主事による学校訪問は,事前に予告し,職員会議で了解がなければ実施できないなど,論外なことが行われているようであります。(「原稿見ないでしゃべってみろ」と呼ぶ者あり)これが,僕が書いた原稿を整理してもらったやつ。
先日,10月6日に,市内の小学校を指導主事が訪問したときには,十数人の教職員が学校の玄関前で指導主事を取り囲み,大声で叫んだり,学校へ入ることを拒否し,その異常な状態を見た近所の主婦が110番をして,パトカーが出動する騒ぎになったことが,産經新聞で報道されておりま經した。(発言する者あり)
無法な行動をとる教職員は,まさに世の中のことがわかっておらず,言語道断であります。このようなことを考えるにつけ,このたび,教育委員会が学校管理規則を改正したことは,校長が学校という組織の長として,専門的な経験と見識を持ち,まさにリーダーとして教職員を引っ張っていくことができるよう,職員会議の役割を明確に規定したものと,私は大いに評価をしております。
○福士勝 副委員長 宮本委員,もっと整理をしてください。同じことの繰り返しですよ。
◆宮本吉人 委員 (続)もう一言で入ります。
しかしながら,職員団体は,このことにも反対をし,教育委員会に撤回を求めるため,交渉を要求していると聞いておりますが,私は,学校管理規則の改正などは,当然,教育委員会の権限において決定されるべきものであり,職員団体と交渉すべき内容ではないと考えております。(発言する者あり)
○福士勝 副委員長 私語は慎んでください。質問中ですから。(発言する者あり)
◆宮本吉人 委員 (続)そこで,質問でありますが──黙って聞け。(発言する者あり)黙って聞けよ。
○福士勝 副委員長 早く質問してください。
◆宮本吉人 委員 (続)このたびの管理規則改正は,職員団体との交渉の対象になるものなのか,ならないものなのか,確認をしたく思いますので,法的根拠に基づいて,答弁をお願いいたします。
◎岩崎
学校教育部長 学校管理規則の改正にかかわる交渉事項云々の問題でございますが,職員団体との交渉につきましては,地方公務員法第55条1項で,勤務条件に関する場合,交渉の申し入れに応ずるべきであると,こういうふうに定められておりますが,同条3項で「地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は,交渉の対象とすることができない。」と,こういうふうに規定されてございます。
したがいまして,職員会議の規定に係る学校管理規則改正につきましては,明らかに勤務条件等の要素を含まない地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項であることから,職員団体の交渉の対象にならないと,このように考えております。
以上でございます。
◆宮本吉人 委員 私は,教育委員会が,法に基づいて国旗・国歌の適正な指導を行うとともに,職員団体との関係においても,法に基づいて,毅然たる態度をもって対応することを強く望むところであります。
ここで,要求をいたします。(発言する者あり)要望ではちょっと,私個人は要求というふうに言いたいと思います。
教員は,採用され,教壇に立つ前に,先ほど申しましたように,法に基づく教育公務員として職務を遂行するとの服務の宣誓をしたはずであります。国旗・国歌を指導しないことは,この宣誓に反した行動である。したがって,教育委員会は,厳しく指導していただきたい。
また,管理運営事項についても,おかしな理由をつけて,交渉事項と曲解をしている者に対して,法を守らせるようにしていただきたい。
また,このたびのことに関して行われた
指導担当部長との話し合い,これは何か交渉と言っているようでありますが,この様子についても,たまたま知り得た産經新聞が,怒号とののしり声の中でと報道しておりました。このような不法な要求をおどしとも言えるような方法で通そうとする姿勢は,もはや教員の姿ではないと言えます。(発言する者あり)
ここに札教短信というやつを私,手に入れて,これ読んでみたのですが,この表現なんかも,例えば,議会の代表質問の答弁において,山教育長は,「子供にとっては,強制という部分もあろうかと思う」と言っているのに対して,この短信では,「教育長が,教育の強制を議会答弁で口にしたことで,事態は権力による教育への介入に発展した」となっています。全く意図を故意に変えた表現になっております。また,9月21日付の北海道通信において,教育次長から,「国旗・国歌の問題は,正常な学校運営ができているかどうかのバロメーターであり,一つのシンボルとして考えるべきだと思っている」とあるのに対し,これは,「教育次長の発言は,国旗・国歌をしていない学校は,すべての教育活動が正常に行われていない悪い学校であると決めつけるものだ。次長の発言は,教職員の努力だけでなく,そこに通う地域の保護者をも見下した発言であり,断じて許されるものではない。教育次長がこのような発言をすること自体,恥ずかしいことだ」というふうに,このように全く違った,意図的な報道がされております。これらのことについて,私は,大変問題であると思います。(発言する者あり)
したがいまして,市教委と教職団体との交渉や話し合いの場面を市民やマスコミに公開し,市民の目や耳には届かない本当の姿を明らかにすることを要求するものであります。また,これらのことについても,私は,ぜひ傍聴をしたいと考えております。また,学校においては,このことに関する職員会議の内容についても,広く市民に問うべきであると思うわけであります。(発言する者あり)
国旗・国歌が適正に指導されることは,子供たちに日本国民としての自覚と誇りを持たせ,国際社会を生き抜いていく力をはぐくむ基本であります。学校においては,校長のリーダーシップのもとに,適切な学校運営がなされ,一方,教育委員会は,主体性と自信を持って,このことを支援していくことが本市の望ましい学校教育の実現につながるものと思います。
教育委員会,各学校長が,引き続き学校運営の正常化に向けて努力し,来年の春こそ,国旗・国歌が完全に実施されることを期待して,終わります。
◆畑瀬幸二 委員 札幌市が教育行政を進めていく場合,憲法あるいは教育基本法,さらには学校教育法,地方教育行政の組織及び運営に関する法律,
学習指導要領等々,さまざま遵守していくことがあるわけでありますけれども,先ほど来の大嶋委員と教育委員会のやりとりを聞いておりますと,やっぱり無理な答弁があるなと,つまり都合のいい答弁をされているという部分が否めません。そんな意味で,今回の重要な問題について,抜いてはならない天下の宝刀を抜いたという感じがするのであります。
強制から生まれるものは何もありません。そんな意味で,職務命令をするということは,逆に言うと,皆さん方のこれまでの,協力や理解を求める努力というものが足りなかったという部分をしっかり受けとめて,この種対応していかなければならないものだと,私はその点を強く指摘しておきたいと思います。
さて,最近の新しい学校建築を見てまいりますと,時代の要請にこたえたさまざまな点が反映されているなと,こう思います。
例えば,O-157食中毒事件が随分と世の中を震撼させてまいりましたが,新しい学校建築の中では,ドライシステムが導入される形になってまいりました。一方,環境教育,リサイクルの重要性にかんがみて,新しい学校では,リサイクルヤード施設を確保するようになってまいりました。このように,新しい学校というのは,時代の要請にかなった建築設計になっているわけであります。
したがいまして,今日的には一番望ましいあり方だと思いますので,こうした学校がどんどんつくられることを望むものでありますが,一方において,とはいっても,数多くある既存校との差の問題がございます。教育行政として,これから力を入れていかなければならない点は,この差をいかに埋めていくのかということも重要な仕事ではないかと思うのであります。
そんな観点に立って,私は,今回大きく二つ質問してまいりたいと思います。
一つは,学校給食にかかわってであります。二つ目には,環境教育,リサイクルにかかわってであります。
最初に,学校給食にかかわって,順次質問してまいりますが,1点目は,ドライシステムの導入についてであります。
文部省は,O-157対策の切り札として,このことを推奨しております。予算もつけて宣伝をしております。したがって,私は,文部省が相当宣伝されているから,このドライシステム,全国的にも相当広まっているのかなと,こう思ったのでございますが,札幌市では,現実に2校しか採用していない。今後の計画を聞きますと,新設あるいは改築校で導入をしていくということなので,なかなか思うようなペースでは進まないだろうと,こう想定されるのであります。
そこで,今のペースでいくと,本市の場合,整備が完了するのはいつごろになるのか,これを聞いておきたいと思います。
あわせて,このドライシステムの導入のペースを速めるためには,改築計画の前倒ししかないのではないかと思いますが,どのように考えていらっしゃるか,伺いたいと思います。
質問の2点目は,食器保管庫の確保のあり方についてであります。
平成11年度から,札幌市は,給食改善事業という形で事業を進めているところであります。その中心的な内容は,食器の改善あるいはランチルームをつくるということなどでありますが,これまで11年度では10校ほど,12年度では26校ほど,そして,平成13年度では,予定として67校ほど計画しているところでありますが,この保管庫の確保のあり方について,実は,13年度の状況をきめ細かく聞いたのでありますが,次のような問題があるように思います。
一つは,一番望ましい食器保管庫の確保の仕方は,調理室から近いところに確保するというのが,安全衛生上,あるいは子供たちとの接触事故等の回避の問題,さらには,音が出ますから,音への配慮,こういったことを考えますならば,やはり遠いところに食器保管庫を確保するというのはいかがなものかなと,こう思うのであります。
13年度計画の中で35校を予定しておりますが,その距離を見てまいりますと,平均で14メーターある。最大遠いところでは,36メーターになっている。30メーター以上離れているところが3校も入っている。これは,平成11年度,12年度はなかったことであります。だんだんだんだん食器保管室の確保の仕方が遠くなってきている。先ほど私が指摘したような問題が懸念されるわけでありますけれども,こういう点を重視しながら,今後,食器保管室の確保をすることが重要だと考えますが,見解を伺っておきたいと思います。
それから,ただいま私が申し上げた平成13年度の計画校の中に,そのように遠い学校が6校も含まれているわけでありますけれども,これ学校から出てきたまま,これを採用するというやり方でいいのか。検討の余地はないのかですね,予算措置も含めて具体的に相談をしていくことも必要ではないかと,こう思うのです。
なぜ私がそういうことを言うかというと,予算がないから,今あるところはここだけという発想がされたらどうなるでありましょう。現在ある教室は,さまざまな目途で使われているのであります。多少予算がかかっても,できるだけ本来の姿にかなうようなところに設けることが大事なので,その場合,予算のことは配慮しないで,そういうことを決めている可能性があるとするならば,私は,検討の余地が十分あると思うので,その点も含めて個別相談をすべきだと思いますが,見解を伺っておきたいと思います。
3点目の質問でありますが,コンテナの整備についてであります。
本市は,親子学校給食をスタートして相当たつわけでありますが,親学校でつくった給食を子学校へ運ぶ,その場合のスタイルはコンテナで輸送するというのを原則にいたしているところであります。
これは,衛生管理面からそのような方法をとっていると思うのでありますが,私は,当然,これは100%実施されると思ったのですが,実は,小規模校でございますけれども,ここではコンテナ輸送が行われていない実態がある。これは,私は,改善事業を実施する以前の基本的な問題として,このようなことは早急に解消するということが必要であると思うのでありますが,この点についての見解を伺っておきたいと思います。
それから,4点目でありますが,先ほど,坂本委員も触れました学校給食用牛乳紙容器の回収についてであります。
道から8月に通達が出されました。私も,その内容を拝見いたしましたが,唐突の感が否めません。そもそも年度途中にこのような通達を出して,年度途中に実施しなさい,こんなむちゃな話がありますか。札幌市教育委員会は,こうしたむちゃな道の指導に従って作業を進めていくわけにはいかないと思うのでありますが,そこで,さっき出された最終的な答弁は,3学期以降,リサイクルが自主的に行われるよう,その環境を整備したいということでありますが,この答弁は,ちょっと抽象的であります。
道は,2学期までですよと,3学期以降については,ちゃんと学校で考えてくださいよと言っているのですが,これは一つの通達であります。札幌市教育委員会は,今,3学期以降もリサイクルに協力するということでありますが,これをやろうとする場合は,二つの道しかない。ごみで出すか,リサイクルで出すしかない。当然,学校としては,環境教育をしている関係上,リサイクルに持っていかなければ,これは大変なことになると思うのです。しかし,リサイクルに持っていく場合に,現在の実態からいきますと,せいぜい50校ぐらいしかやっていないでしょう。6分の1しかリサイクルやっていない,6分の5がまだやっていない,それをすぐやらないとならないわけです。これは,この50校ですら相当時間をかけてやってきた経緯があります。大半の学校がやっていない中でこれから移行するとなれば,やはり,移行期間を十分とって,そしてやっていくということが必要であります。
果たして3学期中にこれが完了するのでありましょうか。もし,3学期中に完了しなければ,職務命令かける考えですか,この点の考え方を聞かせてください。
次に,大きな項目の環境教育,リサイクルについて伺います。
環境教育の取り組みにつきまして,札幌市におきましても,この問題,重視をいたしまして進めているところであります。小学校4年生あるいは5年生には,環境局がつくった副読本を全員に配付をして学習をされている,あるいは,環境教育推進校を定めて委託研究をされているというふうに私ども聞いております。大変結構なことだと思います。
そこで,この議会で,この環境教育の取り組みが,一体,総体的にどの程度取り組まれているのか,こういうやりとりをしたことがなかったものですから,改めて取り組みの現状について伺っておきたいと思います。
それから,環境教育に現在まだ取り組んでいない学校も,少ないけれどもあると思うのでありますが,そうした学校への今後の対応については,どのようなお考えを持っていらっしゃるのか,あわせて伺っておきたいと思います。
それから,環境教育,リサイクルの2点目の質問でありますけれども,学校のリサイクル率についてであります。
現在,札幌市の学校では,分別を徹底してございます。事業系一般ごみについては,3分別から4分別,それから産業系廃棄物についても,3分別ほどされているということでございます。
そこで,当
決算特別委員会の総務局所管の部分で,総務局から報告されたことでありますが,この札幌市本庁舎のリサイクル率は89%でありました。このリサイクル率89%の試算の仕方は,実は,札幌市の一般事業系ごみの手引の中に,その試算方法が書いてあるわけでありますが,それによるところであります。
そこで,その試算方法によれば,学校の場合は,今日どのようなリサイクル率になっているのか,この点を伺っておきたいと思います。
3点目でありますが,ごみ保管室の確保について伺っておきたいと思います。
前段,私申し上げましたように,新しい学校の中には,実は,リサイクルのことに配慮して,しっかりとしたスペースをとってございます。具体的に,どのように確保されているかというと,3室とっている。一つは厨かい庫,一つはじんかい庫,もう一つはリサイクル分別庫,それぞれ7平米から8平米の広さでとっていらっしゃる。今後,拡大されるであろう分別方法,あるいはリサイクルの発展,こうしたことにも十分こたえたスペースではないかと,これはすばらしいことだと,私はこう思うのであります。
そこで,現在,分別を学校で進めているわけでありますけれども,分別の容器をどういうところに置いているかというと,昇降口,つまり玄関ですね,それから階段下という状況になっております。学校を訪れた方はよくわかると思いますけれども,玄関の横に大きなバケツがばっと置いてある。これは,私は,安全管理上あるいは美観上,余り好ましいスタイルではないと思うのです。
特に,一般ごみで,どこの学校とは申しませんけれども,ぼや騒ぎに近いことがありましたね。この管理の問題は,とても大切です。また,産業系のごみだって置いてある。ガラスあり,鉄くずありです。そういうものを玄関に並べたり,あるいは階段の下に並べたりしておくことが,安全な管理をしているというような状況になるでしょうか。私は,ならないと思います。
したがって,これ用のしっかりとした管理ができるスペースを確保すべきだと考えますが,見解を伺っておきたいと思います。
以上,都合7点について全部質問いたしました。委員長のご指示のとおりにいたしましたので,順次お答えをいただきたいと思います。
◎霜觸 総務部長 私から,ドライシステムの整備についてお答えを申し上げます。
ドライシステムの整備,いつごろの時期に全校に普及するのかということでございますけれども,現在,給食の調理室はほとんどウエットシステムでございます。これは,委員おっしゃったとおり,O-157以降,国を挙げてドライシステム化を図ってきているところでございまして,お話にございましたけれども,現在2校ほど設置をしてございます。大変,調理員を初め,学校関係者からも高い評価を受けているところでございます。
ただ,このドライシステムは,5.5教室分のスペースが必要であると,大変広いスペースが要る。ちなみに,ウエットの場合は2.5教室で済むと。そういったことから考えますと,なかなか既設校の中で,この余裕教室5.5を確保して,ドライシステム化を図るというのは,大変厳しい状況にございます。
それで,委員のお話にもございました新設・改築時に設置をしていくという方針で,実は私どもも進めているところでございます。
ただ,現行の財政状況の中では,改築校の問題につきましては,なかなか思うとおり進んでいないのが現状でございます。私どもといたしましては,今後の改築計画につきましては,できるだけ延命化を図りながら持っていきたいという考え方を持っておりまして,そういった点から考えますと,ドライシステム化の全校整備というのは,なかなか時間がかかるのかなというふうに考えております。
◎大西 事業調整担当部長 食器消毒保管庫等3件につきまして,私の方からお答え申し上げます。
まず,食器消毒保管庫の確保についてでございます。
従来の本市学校給食で使用しています食器は3種類ございまして,給食室内の保管庫で消毒保管してございました。しかしながら,改善事業に伴いまして,5種類の強化磁器食器を導入いたしております。これにつきましては,既存の保管庫での収納は物理的に不可能ということでございまして,給食室内に新しい食器保管庫を設けることもスペース的に困難でございますことから,関係部局等とも協議をいたしまして,余裕教室等を活用して,食器保管庫として整備しているものでございます。その結果,委員もお話のように,給食室から若干離れた場所に食器保管室を整備しなければならない学校も幾つか出てきているのは事実でございます。
私どもとしましては,その距離につきましては,作業に支障のない範囲かどうか検討しながら,また子供たちとのぶつかり等の危険性等がどうかというようなことも考え合わせながら検討してきておりますし,また,配置の場所につきましても,学校等とも協議の上,設置をしているものでございます。
なお,改修に当たりましては,多少遠いということで,衛生管理の観点から,手洗い等の設置を行っておりますし,使用に当たりましても,給食室からの出入りの際には,調理員が履き物を交換するなど工夫をいたしておりまして,衛生の確保等にも留意をしてございます。また,廊下等への水滴落下を防ぐとか,効率的に食器かごを積載することの可能な食器運搬車を新たに支給するとか,調理員の運搬・清掃作業を軽減するための対策も講じております。また,配膳の際には,調理員が細心の注意を払うなどいたしまして,子供たちへの事故未然防止対策等も講じております。
このような工夫や対策によりまして,安全の確保や衛生管理の徹底を図ってまいりたいと考えております。
次に,子学校への給食配送についてでございます。
小規模校というお話がありましたけれども,密封型のコンテナでないもので配送しているのではないかということでございます。
私どもも,実態を調べましたところ,やはり小規模校の2校につきまして,現状において,通常のコンテナでは学校の構造上使用できないため,食器・食缶等を一部,箱に入れて運搬しているということが,委員おっしゃるとおり,わかりました。
私どもとしましては,当初,しっかりしたコンテナを学校側に配送したわけでございますが,私どものチェックまたは,その後の確認等の相違もありまして,実態がわかったわけでございますが,委員お話しのとおり,食器・食缶等の運搬につきましては,密閉しました箱を使用するのが原則でございますので,直ちに,その構造の箱を用意し,改善してまいりたいと,こういうふうに思っております。
次に,牛乳パックのリサイクルの件についてでございます。
委員お話しのとおり,2学期現在,牛乳パックのリサイクルをやってございます学校は,小・中合わせまして67校,約21.8%の実施状況でございます。
3学期に向けてのリサイクルの実施でございますが,各学校の実態にも十分配慮しながら,各学校で牛乳パックのリサイクルに積極的に取り組むことができますよう,効果的な指導を行うなど,リサイクル実施のための環境整備,具体的には,既に実施している学校がございますので,そういうものも参考にしたり,または,他都市で,パックを切る安全なカッター等もそのために独自につくられているというのもございますので,そのようなものも参考にしながら,学校等に指導をし,協力要請に努めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
◎高橋
指導担当部長 環境教育の取り組み状況の実態と,取り組んでいない学校への今後の対応についてお答えをさせていただきます。
本市におきまして,環境教育に計画的に取り組んでいる学校は,平成8年度と今年度とを比較いたしますと,小学校が,平成8年度75%でありましたのが,今年度94%,中学校におきましては,同じく66%から89%へと増加してございます。
各学校におきましては,各教科の学習や総合的な学習の時間におきまして,地域の環境を調べたり,ごみ問題やリサイクルの学習を行っております。また,児童会やPTA活動等においても,ごみの分別やリングプル等の資源回収,あるいは不用品バザーなど,循環型社会への参加意識を啓発する活動も行われております。
次に,環境教育に計画的に取り組んでいない学校への今後の対応でございますけれども,それに該当しますのは,現在,小学校6%,中学校11%と押さえてございます。
教育委員会といたしましては,教員に対しましては,研究委託校の実践事例発表会を開催してその啓発に努めたり,あるいは研修講座に参加することの啓発を図ったりしていきたいと考えております。また,あわせて,児童・生徒用として,環境局が中心となりまして,教育委員会,下水道局などの関係部局が連携いたしまして,環境副読本を作成中でございまして,来年度,小学校全学年に配付する予定で,現在,作業を進めておるところでございます。
以上でございます。
◎霜觸 総務部長 私から,ごみのリサイクルについてご答弁申し上げます。
先に,ごみの分別の状況とリサイクル率のことでございますけれども,平成11年度に学校から排出されました一般廃棄物は,約5万4,000キロリットルでございます。その内訳といたしまして,焼却されます一般ごみが約3万1,000キロリットル,これは全体の57.4%でございます。それから,資源化ごみが約2万2,000キロリットル,これは40.7%に当たります。瓶・缶類,約1,000キロリットルで,これは1.9%であります。
リサイクル率は,一般廃棄物に占めます資源化ごみと瓶・缶類の割合でございますから,学校でのリサイクル率は,現在42.6%となっております。ちなみに10年度は,リサイクル率は37.3%でございましたので,リサイクル率は,徐々に上がってきているのかなと考えております。
このほか,新聞ですとか雑誌,段ボール類,それらは古紙回収に回しておりまして,これらの数量を把握することは,現在ちょっと困難でございますけれども,これらを含めますと,リサイクル率はさらにアップするということになります。
それから,もう1点,ごみの保管場所の件でございます。
確かに,委員のお話のとおり,現在,星置中,平岡緑中,厚別北中,この3校につきましては,新設校でございますので,厨かい庫ですとか,じんかい庫ですとか,リサイクル分別庫が基準に基づいてもう整備をされているということでございます。それに比べますと,既設校は,厨かい庫は整備をしてございますけれども,じんかい庫が独立して整備されていないという状況がございます。それぞれ既設校におきまして,その利便性ですとか空きスペースの工夫の中で,保管場所が確保されております。
ご指摘のとおり,安全性の問題あるいは美観の問題等,そのほかの衛生上の観点からも,その学校,学校の個別の状況に応じまして,状態を見きわめながら検討させていただきたいと考えております。
以上でございます。
◆畑瀬幸二 委員 順次お答えをいただいたところでありますが,再質問をしてまいりたいと思います。
まず,ドライシステムの関係でありますが,本市では,この間,O-157が発生してきませんでした。これは,調理員の皆さん,栄養士の皆さん,学校関係者の皆さんの不断の努力のたまものだと,私は高く評価しておきたいと思います。
しかし,文部省が言っておりますように,O-157を発生させない一番の特効薬はこれだということで推奨しているわけでありますから,本市もできるだけこのシステムの導入について,積極的に動いていただきたいと,こう思います。
しかし,現実には,新設校か改築校でないとできないということになりますと,この3年間で,これに該当する学校はたった2校しかなかった,つくってこなかったという,どちらかというと,昔と比べると,この部分の新設・改築というのは本当に遅くなってきた。私は,こんなことでは,このドライシステムというのは,何十年もかかると,こう思います。
そこで,質問でありますけれども,改築の必要性の中に,このドライシステム,この部分を入れて判断すべきだと思いますが,どうお考えか,伺っておきたいと思います。
2点目は,食器保管室の確保についてでございます。
先ほどの答弁の中で,私が質問した内容について率直に答えていただいていない。その部分は,この点であります。具体的に,平成13年度ノミネートされる学校の中で,6校ほど遠いところがあるけれども,予算措置も含めて,具体的にその学校と検討の余地はないのか検討してみてはどうだという質問をしたのであります。この点について見解を伺いたいと思うのです。
なぜこういうことを言うかというと,教育委員会の方で指導している内容は,1階のしかるべきところにとってくださいという指導しかしていないはずです。予算のことは一言も触れていない。しかし,少し予算があったらば,もうちょっと近いところに考えることができるのだなという部分もあるかもしれない。そういうことも含めて,できるだけ望ましい方向に確保すべきだと,こう思うのでありますが,この点,再度伺っておきたいと思います。
それから,給食改善校の関係でありますけれども,これまで103校,平成13年度が終われば103校終わるという形になります。残る学校は200校余りということになります。
あと何年かけてやるのだということを今聞きましたら,現5年計画でやるというのです。現5年計画でやるということは,後ろは平成16年,しかし,ご案内のように,5年計画というのは,必ず1年前倒しして次の計画に移っていきますから,私は,最低でも平成15年には完了する,前倒しをして計画を進めると,そういう形で持っていかなければ,現5年計画中には実質的に終了しないのではないかと,こう思うのでありますが,この点についても見解を伺っておきたいと思います。
それから,3点目のコンテナの整備について。
これは,すぐ整備をするということでありますので,長い間,小規模校だけ,特定の学校だけ,ある意味では放置されてきたわけでありますから,いつまで完備せよとは言いませんけれども,早急に整備をしていただきたい,かように思います。
それから,4点目の学校給食用牛乳紙容器の回収についてであります。
リサイクルについての方向でさまざまな協力をしていく,環境整備に努めていくということでありますけれども,先ほど私申し上げましたように,3学期,いわゆる来年の3月に移行できなかった学校については,職務命令かけるのですかと聞いた。まさかそんなことはしないと思うけれども,やっていない学校は,低学年を抱えたところが結構多いのですね,見てみますと。
いろいろな準備,体制というものは必要であります。やはりリサイクルを進めるためには,その後,自発的にこの運動が続いていくような環境をつくっていかなければならない。そういう意味では,学校挙げて,十分な体制をとった中で初めて移行していくべきものと。道が札幌市の実態を踏まえないで通達を出してきたことについて,札幌市の教育委員会は,ここで防波堤になる,そうやって進めていくぐらいの決意がなければならないと思うのでありますが,再度見解を伺っておきたいと思います。
それから,環境教育,リサイクル問題に移りますが,1点目の環境教育の取り組みについてであります。
順次,環境教育に取り組む学校がふえてまいりました。いいものは黙ってても自発的にふえるのです。だから,今やられていない学校でも,私は,多分ふえていくでしょうと。そういうものなのです,教育というのは。だから,理解を得られたならば,こういうような結果になるわけですから,ぜひこれからも環境教育の充実には力を入れていただきたいと思うのであります。
ところで,現在,副読本を使って,4・5年生頑張っていらっしゃいますけれども,これさらに低学年レベルにこの授業分野を拡大していくという考えはないのか,この点を伺っておきたいと思います。
なぜこのようなことを聞くかといいますと,例えば,リサイクル先進国でありますスウェーデンなどでは,小さなころから,このリサイクルという問題について学習を受けられるようにしております。スイスなんかにおいても,小さいころから,10分別について学校で教わって,そして,リサイクル先進国としての今日の地位を築き上げております。
私は,段階を踏んだ形の中で結構ですから,それをさらに低学年に広げていくという努力があってもいいのではないかと,こう思いますが,その件について見解を伺っておきたいと思います。
あわせて,教える側の問題といたしまして,環境教育がだんだんだんだん充実してまいりますと,確かに先生方は環境教育にかかわる指導資料を持っておりますけれども,しかし,今の資料だけでは,私は足りなくなってくると思うのですね。
例えば,日本の環境教育にかかわる必要な資料というのは,必ずしも解析調査されていない。例えば,ダイオキシンにかかわって必要なベンゼンという物質がありますが,このベンゼンについて,人体に与える影響については,向こう3年間かけて,これから調査すると日本国は言っているわけであります。ドイツなんかと比べると15年遅い,調査が。しかし,おくれているけれども,これからだんだんだんだん調査資料が出てくるでありましょう。教師の側にとっては,そうした新しい資料が必要となってくると思いますが,そうしたことの提供について,適宜・適切に行っていくべきと考えますし,あわせて,現在も環境教育にかかわる研修を行っていると思いますが,この充実なんかも必要になってくると思いますので,この点について,見解を伺っておきたいと思います。
それから,学校のリサイクル率であります。
現在のところ,新聞などを除くと42.6%の数字であると。それを入れると,まだ高くなるであろうというご報告でした。
今後,リサイクル率について,これ必ず問われてまいりますから,正確な試算ができるように,ぜひ用意をしていただきたい,こう要望しておきたいと思います。
それから,3点目のごみ保管室の確保でありますけれども,余り期待するような答弁でありませんでした。
私は,この保管室の確保につきましては,この5年先のことも考えて,やはりスペースを確保しておくべきだと思うのですよ。例えば,集める場所と,それから収集することを考えますと,やはり取り扱いがしやすいところに設ける必要がある。だから,今,相当プレハブなんかも発達しておりまして,いいのできておりますからね,昇降口の隣に,学校敷地内に,そういうスペースを確保するということで,新設校と差のないような状況をつくっていくということも一つの方法だと思いますが,お考えを聞いておきたいと思います。
以上についてお答えください。
◎霜觸 総務部長 先に,ドライシステムの関係でございます。
なかなか整備が進まないドライシステムに対する委員のご叱責だろうと考えております。
ご指摘の,校舎の改築事業の必要性あるいはその優先度を考える際の要素の一つといたしまして,ドライシステム化の緊急性,重要性を訴えていくことは,新たな視点に立った貴重なご提言と受けとめているところでございます。
今後とも,参考にさせていただきまして,鋭意,改築事業に取り組んでまいりたいと考えております。
それから,もう1点,ごみの保管庫の件でございますけれども,委員のご提案と受けとめさせていただきます。私ども先ほど申し上げましたとおり,各学校の実情に合った保管場所を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎大西 事業調整担当部長 それでは,食器保管庫のことし実施したのを再度近くにできないかという件についてでございますが,これは,今年整備を計画していますのは,67校の改善事業のうち,調理室を設けます35校につきまして,食器保管室の整備を今進めているところでございます。
その中で,先ほどもちょっと補足をしましたが,学校側との打ち合わせの中では,1階ないし2階に置いてもいいと,ダムウエーターがあるものですから移動可能だというようなことで調整をしてまいりました。
確かに委員ご指摘のように,多少遠くにならざるを得ないというところもございますが,さらに,別な教室をどこか2階,3階の方と転用できないかどうか等々も含めまして,遠いところについては,再度見直し等も図りながら,配置につきまして進めさせていただきたいと思います。
次に,改善事業は103校進んでいるけれども,その残りの5カ年における促進ができないかということでございますが,いわゆる給食を進めています小・中学校は,合わせまして307校ございます。来年度の改善事業を進めるためのことしの整備事業67校含めて103校の整備が終わりまして,残り204校という形になります。
3年間で103校やってまいりました。残りの3年で200校やっていくということになりますが,これらにつきましても,なかなか5年計画等の前倒しという意味でいきますと,1年当たりの校数がこれまで以上にかなり高い数になっていくというような,ちょっと厳しい状況もございますが,現場等の意向,またはこの事業が大変喜ばれているというようなこともありますので,私ども,できる限りの努力をさせていただきたいと思います。
最後に,牛乳パックの3学期からの対応について,何が何でもと,例えば職務命令までもかけるのかと,こういうお話でございますが,委員ご指摘の,小学校の方は,現在既に30%,中学校がやはり少なくて4%の実施率ということで,先ほど申し上げましたが,合わせて22%の実施率と,こんなことになっております。
やはり何といいましても,リサイクルを進めますためには,子供たちの理解,それから先生方の指導,そして父母の協力,こういうものが合わさって実施可能かと思いますし,さらには,いろんな工程,手順の中で,必要な消耗品,機材等も必要になってきます。そんなこともあわせまして,3学期に向けて1校でも余計にやってもらうよう,今後とも努力をしてまいりたいと思います。
強制をと,そこまでは考えておりませんので,あくまでも環境教育の一環でと,こういうことでありますので,ご理解をいただきたいと思います。
◎高橋
指導担当部長 1点目は,環境教育の重要さにかんがみて,現在,小学校4・5年を対象にして配付されております副読本の配付対象学年を広げる考えはないのかというご質問と承っております。2点目は,それにかかわりまして,教員研修のあり方についてどのように考えるかと,このように受けとめさせていただきまして,お答えを申し上げます。
現在,その4・5年を対象にしております副読本を,先ほど少々話をさせていただいたところでございますが,環境局が中心となりまして,私
ども教育委員会と下水道局などの関係部局が連携をして現在研究をしておりまして,これまで発行していた各種副読本を統合した形で児童用の環境用副読本を作成中で,来年度,小学校全学年に配付する予定でございます。
次に,教員研修につきましてでございますが,先ほども触れましたように,環境教育研修講座等,先進的な実践者あるいは専門的知識を持つ外部講師等をお招きしまして,教員の研修機会をつくっておるところでございますが,本年度中に,環境教育に関する実践事例のQ&Aを盛り込みました総合的な学習の時間の指導資料を作成しまして,全教員を対象に配付したいと考えております。
あわせて,関係部局と連携を図りながら,最新の情報やデータ等の提供に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆畑瀬幸二 委員 学校給食の関係につきましては,るる私の考えを述べさせていただきまして,今,答弁あったことを了といたしますけれども,ぜひ積極的に予算確保に向けて努力をしていただきたいと思います。
それから,最近の教育予算の確保につきましては,一方で,教育改善事業を行っているわけでありますから,札幌市の教育予算はしっかりと確保していくという決意に立って,教育環境の充実並びに教育内容の充実に努めていっていただきたい,さように考えます。
それから,リサイクルの関係につきましては,環境教育がこれだけ進んでまいりますと,そしてリサイクルや分別も児童・生徒がしっかりかかわってまいりますと,理論・実践の場という形になります。学校で教わったリサイクルのノウハウというものは,必ずや家庭に影響を与えるでありましょう。家庭に影響を与えるということは,それは地域に与えるということでありますから,学校で行われる理論と実践というのは,相当なやっぱり効果を与えることになると思います。
そういう重要性を認識しながら,現場で活躍される皆さん方の声というものを十分に反映をした環境教育の充実が推進されますように,特に要望して,私の質問を終わります。
◆三浦英三 委員 学校給食について,先ほど来,坂本委員,それから今の畑瀬委員からも種々質問がありましたけれども,私の方からは,この学校給食の改善事業そのものの検証について,端的にお聞きしたいと思いますので,よろしくお願いしたいと思います。
これは,平成9年9月に,札幌市の学校給食運営委員会から提言が出されました。「札幌市における学校給食の今後のあり方について」という提言であります。これを本市が受ける形で,「楽しさとゆとりのある給食推進事業」と,このように銘打って,先ほど来お話がありましたように,食器具とか食器消毒保管庫とかランチルームなどが整備をされた。それが,平成11年4月から,改善校10校において,新しい給食がスタートをした。さらに,今年度は26校を加えて,今現在36校で改善事業を進めているということであります。
この事業には,先ほどからの話にもあるように,いろいろな施策が含まれておりまして,この給食を通して,学校における健康教育をさらに充実させていくという意味からいって,そういう観点からも,我が会派としても,この改善事業の推進に対しては,大いに期待を寄せているところであります。
そして,より効果的なこの健康教育を進めていくためには,食事環境の整備推進というのは無論のことでありますけれども,喫食時間の延長とか,ランチルームを活用した各種交流会食の実施,さらには食に関する指導の充実を図っていくことが,子供たちの人間形成とか,健康に対する自己管理能力の向上といった面で,極めて重要であると,このように思うわけであります。
そこで,質問でありますが,先ほど来の話の中で,今後とも引き続きこの事業を全学校を改善対象校として進めていかれる,こういうことだと思いますけれども,1点目の質問ですが,平成11年度の改善校におけるこの事業について,教育委員会としてどのように評価をされているのか。特に,ランチルームの活用については,子供たちの食を通じた社交性を培う上で大変有意義であると,このように考えています。改善校でのランチルームの使用状況について教えていただきたいと思います。
あわせて,この子供たちの食事に要する時間についてでありますけれども,このことは,食器の改善とともに,残食率の減にもつながる大切な要素を含んでいると思うわけであります。そういう意味で,新たな工夫によって,この会食時間を実際にどのくらい確保できたのか,これをお示し願いたいと思います。
2点目の質問ですけれども,改善事業においては,食に関する指導の充実とか家庭との連携強化,いわばソフト面のことが柱として掲げられております。
食に関する指導は,教育活動の重要な一環であり,より一層の充実が求められております。特に,家庭との連携について,子供たちの食生活全体のレベルアップを図っていくためにも,学校と家庭が相互のコミュニケーションを深める必要があると考えるわけであります。
そこで,この食に関する指導と家庭との連携について,現在どのように取り組まれているのか,お示しを願いたいと思います。
◎大西 事業調整担当部長 改善事業につきましてお答え申し上げます。
1点目の改善事業の評価についてでございます。特に,ランチルーム及び喫食時間がどうなったかという点についてお答えを申し上げたいと思います。
改善事業は,11年度から10校,平成12年度26校,合わせまして36校において行っております。大変好評でございまして,子供たちは,ぬくもりと温かみのある磁器食器になったとか,喫食時間も長くとれるようになったと,こういうような報告を学校からいただいております。
特にランチルームでございますが,いずれの学校におきましても,多目的室をランチルームとして積極的に活用しておりまして,他の学級や学年との交流給食や,子供たちがみずから考えながら献立を選べますバイキング給食やセレクト給食に利用しております。改善校におけるこれらのランチルームの使用実績についてでございますが,11年度は,1校平均で年63回,実施延べ学級数も887学級に上っているところでございます。
また,子供たちの喫食時間でございますが,改善校では,調理員が,教室の前までの配膳・下膳を行ったり,あるいはランチルームのセッティングを行うことによりまして,これまでの食事時間が15分から20分程度でございましたのが,おおむね5分ないし10分程度延びまして,約25分から30分となっていると,報告を受けております。
いずれにいたしましても,この楽しさとゆとりのある給食推進事業につきましては,調理体制の整備も含めまして順調に進んでおりまして,私どもとしましては,初期の期待どおりの成果を上げているものと認識をしているところであります。
次に,食指導及び家庭との連携についてでございます。
改善事業におきましては,食事環境の整備と同様に,食指導の充実や家庭との連携強化は,委員ご指摘のとおり,将来を担う子供たちの健康教育の重要な柱であると位置づけております。
そこで,食に関します指導についてでありますが,改善校におきましては,ランチルームでの給食時間を栄養職員による食指導の場として活用しており,また,学級を訪問して指導を行う,そんな拡大も図っておりますし,学級担任と2人でチーム・ティーチングを実施したり,積極的に食指導を行っているところでございます。また,指導の手引書や指導資料集の作成のほか,栄養職員に対します研修も進めているところでございます。
次に,家庭との連携についてでございますが,これまでも給食だよりなどを通じまして,給食の献立をお知らせしたり,または保護者の給食試食会を実施するなど,今回の改善事業によりまして,保護者の方々の学校給食に対します関心も高まってきておりまして,献立であるとか,また,つくり方であるとか,こういうような問い合わせも学校側に寄せられております。
いずれにしましても,栄養や健康に対します相談,講習会の場を今後とも設けることを検討するなど,家庭との連携強化の方策をさらに検討,実施してまいりたいと,こういうふうに考えてございます。
◆三浦英三 委員 今ご説明がありましたけれども,この改善事業を進めていく上において,もう1点だけちょっとお聞きしたいと思うのですが,この事業の運営上,ハード面とかソフト面も含めて,いろんなセクションの方,また多くの職種の方との強力な連携なくしては,この事業は推進できない,このように考えております。
そういう意味から,この教育委員会の中に,学校給食改善事業推進委員会という組織が設置されていると,このように聞いていますけれども,どのような組織で,また,部会等も設けていろいろされているようでありますが,この委員会は具体的にどのようなことに取り組んでいるのかということを教えていただきたいなと,お答え願いたいと思います。
◎大西 事業調整担当部長 ただいまの改善事業の,より推進を図るという趣旨で,平成11年2月に学校給食改善事業推進委員会というのを立ち上げております。その中では,総体にわたる推進方策,企画立案,連絡調整など,円滑な運営を図ることを目的といたしまして,関係課長及び学校長等で構成をいたしております。
その中に,学校栄養職員によります食教育部会と調理員によります調理企画部会を設けまして,食に関する指導や献立改善,研修の充実強化,調理作業の改善などにつきまして,具体的な検討を進めているところでございます。
これまでも,食に関する指導につきましては,年間指導計画に基づく実践指導資料集などを作成しておりますし,献立改善のための料理カードづくりも進めております。さらには,指導の手引の作成に取り組んでいるところでございます。また,調理に関しましても,料理レシピの標準化や衛生管理に留意しました調理手順の検討なども行っておりまして,改善事業の円滑な推進に努めているところでございます。
以上でございます。
◆三浦英三 委員 これまでも,我が会派では,ランチルームの活用,さらには残食の問題について,過去に何回か指摘をしてまいりました。
今,いろんなこの改善事業の内容,推進体制などをお聞きしましたけれども,この事業が本当に,適正かつ着実に進んで,今後も大きな成果を得るように強く期待をしておきたいと思います。
最後に,要望にしますけれども,特にランチルームを使用した交流給食の実施については,今後とも積極的に推進をしていただきたいと,こういうふうに思いますので,よろしくお願いしたいと思います。
以上で,私の質問を終わります。
◆宮川潤 委員 私,4点質問いたしますが,まず最初に,1点だけ取り上げて,この問題で質問したいと思います。
それは,先ほど来,この場で取り上げられております学校給食の牛乳パックの回収の問題であります。
道の入札の変更に伴って,今回,急にこういう対応になりましたが,3学期から,今までの回収の方法,業者が引き取る方法をやめるということで,問題になっております。
学校現場で,これがどういう場合に問題になるのかといいますと,先ほど数字を挙げられておりました,小学校で30%,中学校4%はリサイクルを既にやっている。ここでは,もちろん問題にならないでしょう。それから,その残りの,今,業者に引き取ってもらっているところで,3学期以降はごみとして出すというような対応になったところも,これは問題にならないでしょう。それでは,3学期でなくて,せめて新年度からやってほしいと,3学期の間は今までどおりの回収をというふうに切実に求めるところはどこかというと,環境教育リサイクルを進めてもらいたいという教育委員会の要請に今度こたえたいというところが,3学期どうするのか,これ問題になるわけですよ。
先ほどお話ありました,子供たちの理解も得ながらでないと進められないことだと,教職員の負担ということも考えなければ進められないことだと,そして,保護者の方々の協力も必要だと。こういう努力でやるのであれば,教育委員会としては,その保護者らも教育委員会の要請にこたえたいというのであれば,せめて3学期の間,短期間ですよ,しかも,この機会に,3学期からリサイクルを,あるいは新年度からというふうに,この機会に新たにやろうというふうに動き出す学校。私,失礼ですけれども,それほど急激にはならないのではないか,むしろ,来年度以降,時間をかけてふえていくとは思いますよ。だとすれば,期限も限られた問題であり,そして,校数も恐らくは限られた問題でしょう。しかも,そこは,教育委員会の要請にこたえたいというところですよ。そういうところが,せめて短期間だというのに,こたえるような対応ができないのですか。
皆さんに協力をお願いするというのであれば,教育委員会,こたえたいから,さまざま努力をされると思いますが,あと何カ月,二月ぐらいですかね,そういう対応の仕方,限られた数ですから,もう個別な対応でということで,その3学期の間の方策について検討してもらいたいと。今すぐこうやって業者回収するという方法でなくても,もしどうしても,あと何カ月か,3学期の間という学校が幾つか出たら,それには検討するという姿勢で臨んでもらいたいと思いますけれども,どうですか。
◎大西 事業調整担当部長 3学期については,おっしゃるとおり,期間も短いということで大変かと思いますけれども,いずれにしても,こういう環境教育行政の趣旨もありますし,私ども既に,実は校長会等でもお話をさせていただいておりますので,あとは具体の内容と学校の意向も出していただきながら,できる範囲で努めてまいりたいと,こう思っております。
◆宮川潤 委員 できる範囲ということでしたので,努力してもらいたいと,検討してもらいたいと,強く要望します。
それでは,この後,学校教育について,改めて3点伺います。
第1に,老朽校舎改築・修繕についてであります。第2番目は,養護教諭の配置についてであります。第3番目は,障害児教育についてであります。
まず,第1,老朽校舎の改築についてでありますが,この問題について,我が党は,不要不急の大型開発から生活に密着した暮らし・福祉・教育への転換という政策の中で,主要な柱としても位置づけて,繰り返し求めてきた問題であります。
かつて,本市の教育予算は,学校建設に大きなウエートを置いてきました。近年は,児童・生徒数が減少に転じる中で,学校の新設にかかる経費が減少したものの,かつて大量建設してきた校舎が,一気に,老朽化による改築・改修に迫られる事態へと進行しています。また,増築を繰り返してきた結果,部分的に危険校舎となっている事例も多数となっています。建築年度により,必要な改築を行うことは当然ですが,それに加えて,校舎の実態に応じた速やかな対応ということもまた求められてきていると思うのであります。
東区内にあります札幌中学校は,防衛校という位置づけがされている関係があるのかもしれませんが,廊下の天井が,通常2.7メーターだそうですが,ここは2.3メーターということで,圧迫感が強いという声が非常に強く出されていますし,廊下の幅も狭いのですが,その廊下に流し台が突き出る形で取りつけられております。校舎全体が暗い,子供たちからも教職員からも,改築の要望があると聞いており,改築すべきと思いますがいかがか,伺います。
次に,養護教諭の配置についてであります。
不登校の子供がふえる中で,教室にはどうしても行けないけれども,保健室までなら何とか行けると,いわゆる保健室登校という言葉も生まれております。過度な受験競争や詰め込み教育などで,子供のストレスが異常に高まる中,保健室が子供の安らぎの場となっている実態もあります。病気やけが,健康管理という従来からの保健室の機能を超えた役割が期待されているところです。当然,養護教諭が果たす役割も大きくなり,忙しくなるわけですから,複数配置へと向かうことは当然の時代の流れと思うわけであります。
養護教諭の目が十分に児童・生徒に行き届き,ゆとりを持って子供に接することができるように,複数配置へと足を踏み出すべきと思いますがいかがか,伺います。
また,近年,保健室を訪れる子供がふえているという実態について,経年的に数値で掌握されていらっしゃれば,お示しを願いたいと思うのであります。
質問の第3は,中学校の障害児学級の整備に関してであります。
本市の昨年度,障害児学級を持つ学校数は,小学校で47校,中学校は22校となっております。もともと中学校は,校区が広いこともあり,全市に22校しかないことは,通学に困難を来すことが容易に想像されます。実際に,白石区や北区のあいの里,篠路,太平地域,手稲西部の地域,清田区真栄の方面,これらから設置の要望があるやに伺っております。
障害があるのですから,通学にも配慮があってしかるべきと思うのですが,実態はその逆で,通学は一般の教室に通う子供以上に大変であり,この点から,中学校の障害児学級設置校をふやすべきと考えますがいかがか,伺います。
◎霜觸 総務部長 札幌中学校の改築についてでございますけれども,委員のお話段々ございましたが,実は私も,実情を見てまいりまして,確かにそういう面もあるのかなというふうに思っております。
現校舎は,当初の部分で昭和46年,以降,48年,49年に増築を行いまして,現在に至っているものでございます。また,建築後30年余りしか経過していないこともありまして,まだまだ十分に使用に耐え得るものと考えてございます。
現実的には,現5年計画におきましては,昭和39年以前に建築をいたしました校舎の老朽度合いを見ながら,優先度の高い校舎を改築することといたしておりますことをご理解いただきたいと思います。
◎岩崎
学校教育部長 私の方から,養護教諭の複数配置と中学校の特殊学級の整備についてお答えを申し上げます。
まず,保健室を担当しております養護教諭,これの複数配置についてでございますが,小・中学校の養護教諭の配置基準は,北海道教育委員会が定めてございまして,現時点では,その基準を超えて配置することは困難でございますが,平成13年度からの実施が今予定されております国の次期教職員定数改善計画案におきましては,養護教諭の配置基準を,現行,いわゆる学級数を基準とする方法から,児童・生徒数を基準とする方法に改めると,このように聞いてございます。この改善内容に関します国,そしてそれを受ける道の動向を見きわめてまいりたいと,このように考えてございます。
2点目の保健室への生徒の登校状況,増加状況でございますが,大変申しわけございません,現時点で私の手元にデータがございませんので,ご容赦をいただければと思います。
3点目の中学校の特殊学級の整備についてでございます。
現5年計画におきましては,特殊学級,中学校の方は,7校に情緒障害児学級を整備することと,このようにしているところでございます。
委員ご指摘のように,いろいろなところで要望もあり,さらには,できるだけ近いところでやるべきでないかというご指摘についてでございますけれども,私どもといたしましても,小学校に比べて,中学校につきましては,校区も広く,小学校2校から3校に対して1校設置していることもあり,その結果から,設置校数は少なく,低くなってございますが,率で言いますと,大体同じ程度の率になっております。
しかし,現5年計画におきましては,体力的な面などから,できるだけ小学校を優先して考えてございますが,委員ご指摘のように,中学生につきましても,地域社会で自立した生活を送るための基礎的な人間関係等の育成を図るために,設置の要望の多い地区など,個々の状況等を総合的に判断し,可能な限り,適切な整備を中学校についても進めてまいりたいと,このように考えてございます。
以上でございます。
◆宮川潤 委員 中学校の改築についてでありますが,使用に耐えると,30年だからということがありましたけれども,個々の学校によって違いがあるということを,私,受けとめていただきたいなと。築年度によるというのは,これは一つの基準でしょう。
しかし,それだけではなくて,札幌中学校全体としては,暗いとか狭いとかという,要望が非常に強いところであります。とりわけ要望として強いのは,霜觸部長もごらんになったというふうにおっしゃっておりますが,体育館の床については,非常に傷みが激しい状態で,バスケットボールのドリブルをしたら,床の場所によってバウンドの強さが違うというような状態で,これは,スポーツ・体育,楽しむというような状態ではないというふうに私は思います。これについては,部長もごらんになったそうですけれども,教育長もごらんになっているはずだと,私,思いますが,ごらんになってどうですか,いかがお考えになったでしょうか。少なくともこの床の張りかえぐらいはすぐにやってもらいたいと思いますが,いかがでしょうか。
◎山 教育長 札幌中学校,ことしの春,学校訪問の一環として,私も見せていただきました。その際,体育館につきましても,生徒がちょうど運動しておりましたが,ご指摘のような状況を私も拝見いたしました。
いろんな,年数のことありますけれども,築年数あるいは建物の関係ございまして,かなり傷んでいる状況でございますので,やはり早い時期に改修すべきだと,私も思っております。そのように対応させていただきます。
◆宮川潤 委員 早い時期ということなので,ぜひ来年やってもらいたいと,こう思いますよ。
養護教諭の関係ですけれども,私は,やっぱり,果たしている役割というのは年々重くなってきて,仕事も忙しくなってきているはずだというふうに思うのですが,そういう果たしている役割について,子供たちがどれほど来ているのか,そこを頼りにしているのか,訪れている子供の数を掌握していないということは,私,やっぱりこれは問題だというふうに思います。そういう実態をつかんでこそ,養護教諭の今果たしている役割,正確に評価できるし,忙しくなっている,大変になっているという実態もつかんでいく前提になるものだと,こういうふうに思います。
大体,保健室登校という言葉があるぐらいですから,学校にとって,非常に,なくてはならない。養護教諭の複数配置については,今後検討していただきたいというふうに求めておきますけれども,当面する対策としては,臨時の対応ということについても,私は求めたいというふうに思います。
修学旅行の際に,何日間か,養護の先生は学校にいないわけです。研修ですとか,あるいは養護教諭自身が休暇をとるということもあるでしょう。そういう場合に,保健室にかぎがかけられて,入ることができない。そして,ぐあいの悪い子供さんは,職員室のソファーに寝かされているということもあると聞いております。こういう状態はやっぱり異常であるというふうに思うのです。直ちに改善すべきというふうに思います。そのためには,必要な要員も確保すべきというふうに思いますけれどもいかがか,伺います。
中学校の障害児学級についてでありますが,他都市との比較を見ますと,整備のおくれというのは明らかであります。
それぞれ都道府県によって,障害児学級の認可基準に違いがありますけれども,北海道の認可基準と同様に,最低1人以上ということにしている,そういう都道府県にある政令指定都市は,仙台,千葉,川崎,横浜,京都,大阪,神戸,それと札幌と,こうなります。8市ありますが,各市内の全中学校数に占める障害児学級設置校の割合,川崎が一番多くて92.1%です。神戸87.8,大阪82.9,横浜73.7,仙台68.7,京都66.2,ここまでは高いのですが,千葉になると,ぐっと下がって23.2です。しかし,本市はさらにその下,最下位22.6%,こういう設置率についてどう思われますか。設置を大幅にふやさなくてはならないと思いますがいかがですか,伺います。
◎岩崎
学校教育部長 最初に,養護教諭が,修学旅行等の引率で休務をするというような場合,不在の場合に,それにかわる措置はいかがかというご質問でございますが,それについては,先ほどもお話し申し上げましたが,代替措置を講じる場合も,道教委が定める基準によって行っており,基準日を設定されてございますので,現段階では難しいなと,このように考えてございます。
ただ,委員ご指摘のように,本当にぐあいの悪くなった子供たちが職員室の中にいたということでございますが,これにつきましては,恐らくできるだけ子供たちを身近に置いて様子を見たいという気持ちがあったのかと思います。
しかし,基本的には,その症状に応じて,やはり保健室をきちっと開けて,そこで子供たちを休養させるべきと,こんなふうに考えてございますので,いわゆる休養の体制等につきまして,今までも各学校では対応しているところでございますが,今後,より適切な対応に努めるように指導してまいりたいと,このように考えてございます。
次に,特殊学級の整備について,他都市と比較しておくれているのではないかと,こういうご指摘でございます。
ご指摘のように,本市の場合に,4人以上の在籍等の要件がございまして,そういうことと,それから全市的なバランスを考慮しながら配置をしてきたところでございます。
しかし,ご指摘のように,いろいろな差もございますので,本市として,これからの整備につきましては,この4人以上という認可条件も緩和されましたので,北海道教育委員会と協議の上,できるだけ早急な整備を進めてまいりたい,こういうように考えてございます。
以上でございます。
◆宮川潤 委員 養護教諭の問題で,保健室にかぎがかかっている。要は,かぎを開ければそれでいいということではなくて,必要な,人の配置もしなくてはならないということで,強く求めておきたいというふうに思います。現場とも相談をしながら,ぜひ改善していただきたいというふうに思います。
次に,市立高校における養護教諭の問題ですけれども,現在,市立高校は30学級ありますから,2名配置されております。ところが,間口削減ということになれば,29学級,現在の国の配置基準ですと1名ということになります。30学級2名から,29学級1名,これは余りにもひどいというふうに思います。これは,絶対に許せることでないと,対応してもらいたいと,2名の配置を守っていただきたいということを強く思いますが,この点についていかがか。
次に,障害児学級についてでありますけれども,他都市との比較において非常に低いということは,これは特殊教育の振興審議会の中でも問題になって,発言されています。委員の方で,こういう発言をされている方がいます。「一番ショッキングだったのは,特殊学級の設置率,札幌は非常に低い」と,こうおっしゃっております。別の委員の方は,設置率と整備費用の関係について触れながら,こうおっしゃっています。「整備費が,札幌市は3,000万円とかなりかけていて,それで小学校が29.1%,中学校は28.8%」,こう言いながら,それとの比較で,「横浜は1,900万とかなりかけている。かなりかけているけれども,ここは,86.7%と76.5%と,数字に大きな開きがある」と,こういう趣旨の発言をされています。設置率について非常に低いということで,改善していただきたいと思いますし,あわせて,予算の確保をして,質の点でも落とさないようにしていくということが大切なことなのだろうというふうに思います。
この特殊教育の振興審議会の答申が出されました。
障害児教育推進の今後のあり方についてでありますが,その中でも,先ほど地域との関係ということもありましたけれども,この答申の中でも,地域に根差した教育の推進という項を1項起こしまして,その中で,「障害のある子供の多くは,毎日の放課後や休日,夏・冬休みの期間などは,家庭にこもりがちであり,また,地域外の特殊学級などに通学している場合には,同じ地域の子供と交流する機会が少ないなど,学校や地域の支援なしには,地域とのかかわりが十分にとれない」と,こう言っています。やはりこう指摘されていることからも,現状には問題があるというふうに,私,思います。
進んでいる都市では,本市と違う努力もまたしながらここまで数値を上げてきたというふうに思うのです。札幌も,なお一層の努力をしなくてはならない位置にあると思うのですが,改めて,整備を急速に進めていかなくてはならないという決意について聞かせていただきたいと思います。
◎本間 教育次長 特殊学級の整備について,私の方からお答えをさせていただきます。
宮川委員からいろいろお話がございましたように,札幌市の,特に中学校の設置率につきましては,設置率という観点から見ますと,低いのは事実でございます。
このことにつきましては,札幌市の特殊教育の歴史的な経過から見まして,小規模で数多くつくるという考え方よりは,集団での教育を非常に重く見たという時代がずっと長く続いておりまして,したがいまして,中学校の場合には,よい,悪いは別といたしまして,歴史的な考え方といたしまして,通学させることも社会性あるいは体力をつける一環であるというような考えで,これまでしてきたような傾向があったように思います。(発言する者あり)
しかしながら,時代とともに,社会の要請あるいは本市への要望等々,時代は変化してまいります。したがいまして,
特殊教育振興審議会に基本計画を策定するための諮問をし,答申をいただいたということは,そういう動きを的確にキャッチをいたしまして,時代に合った対応の仕方をしていくべきと,そのように教育委員会も判断をしたところでございます。
したがいまして,今後は,そういう考えも一方では大切にしながらも,答申にございますように,地域の中で子供たちを育てていくという大きな柱がございますし,生徒の実態等々を十分に把握しながら,今後の対応,努力してまいりたいと,このように考えております。
◆宮川潤 委員 今後,障害児学級の整備を進める際に,しばしば隘路となるであろうと思われることは,余裕教室など,スペースの確保ということであります。
仙台,川崎,横浜,大阪,神戸,これらの都市では,札幌と違って,学校を新・増設する場合には,最初から特殊学級のスペースを設計の中に見込んでつくる,そういうやり方をしています。
札幌の設置率,先ほども言いましたが,22.6%,今申し上げましたように,新・増設の場合に,最初から設計に見込んでいる仙台,川崎などは,68.7%から92.1%の範囲です。明らかに,私,違いがあるというふうに思います。
今後,新・増設,設計をするというときには,3教室分のスペース,今まで障害児学級を設置するときに必要だとしてきたスペースでありますが,その3教室分を十分に確保して設計していけば,これは無理なくできますし,地域のバランスということもあらかじめ考慮することができます。計画的な配置も進めることができます。
今後,障害児学級を設置する上で,極めて重要な観点だというふうに思いますので,この点について,ぜひ検討していただけますように要望して,終わります。
◎岩崎
学校教育部長 高等学校の間口減によりまして,養護教諭の配置基準が1人になってしまうのではないかというご指摘でございます。
委員ご指摘のように,現行の配置基準では2人配置を維持することは困難でございますが,先ほどもお話し申し上げましたように,小・中学校の場合と同様,養護教諭の定数改善が今,図られる可能性がございます。
今後,国が策定するこの計画の内容,制度等について,十分見きわめてまいりたいと思いますし,なお,養護教諭の定数改善につきましては,今までも国及び道に要望してきておりますが,引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
以上です。
○飯坂宗子 委員長 ここで,およそ20分間,委員会を休憩いたします。
──────────────
休 憩 午後6時48分
再 開 午後7時10分
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○飯坂宗子 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き,質疑を行います。
◆藤原廣昭 委員 私は,大きく5点について質問いたします。
その第1は,新たな学校給食用牛乳供給事業について,その第2は,学校図書館の蔵書充実について,その第3は,学校図書館の司書教諭について,第4は,学校評議員制度について,最後,第5は,国旗・国歌について,簡単に質問をさせていただきたいと思います。
初めに,新たな学校給食牛乳供給事業についてであります。
1957年,酪農の健全な発展を図るとともに,児童・生徒の体位・体力の向上に資するために,酪肉振興法が定められ,2年後から,この法律の趣旨に基づき,学校給食用の牛乳供給事業が始まり,約40年が経過をいたしております。
国は,昨年,11年3月に公表した新たな酪農・乳業対策大綱に基づき,学校給食用牛乳供給事業の制度の改正を行いました。制度改正のポイントの第1は,供給事業者及び供給価格決定のあり方について,第2は,国の助成のあり方を,従来の一律定額単価助成から政策誘導性の高い助成に転換をしたことであります。
質問の第1は,2学期から,供給制度の変更に伴い,本市の学校給食用牛乳の供給価格及び保護者負担はどのように変わったのか,お伺いをいたします。
あわせて,1学期までの各区納入業者と2学期からの納入業者は,各区別に,どのように変わったのか。そしてまた,牛乳の価格は,原料,生産,運賃の合計金額とされておりますけれども,運賃の基準となる各メーカーの拠点場所はどこになっているのか,お伺いをいたします。
第2の質問は,新たな助成制度の中に,学校給食用牛乳の消費拡大を図ることを目的とする補助がありますけれども,本市では,消費量の拡大を図り,補助を今後活用する考えはないのか,まず,この大きな2点について質問をいたします。
◎大西 事業調整担当部長 まず,1点目の学校給食用牛乳の2学期からの供給価格及び保護者負担額についてということでございます。
この供給価格及び供給業者につきましては,ご案内のとおり,国の制度に基づきまして,都道府県知事が決定するということになってございます。
このたびの北海道における入札の結果,この2学期及び3学期の道内の供給価格は,1学期より,1本当たり6銭値下がりしまして,33円33銭となっております。これに対しまして,1本当たりの補助金といたしましては,本年度限りの暫定措置であります1円70銭の補助金が引き続き受けられるということになっております。これに加えまして,新たに安定需要確保対策事業の補助金51銭と,北海道が定めました基準日数を上回った場合に支給されます日数拡大奨励金30銭が加算されまして,その結果,本市におきます保護者負担額は,1学期に比べまして,1本当たり87銭低減されまして,30円82銭となってございます。
また,この入札等に伴いまして,供給業者の変更状況でございますが,まず,全体で6社ございまして,従来は区別になってございませんでしたが,業者名を申し上げますと,森永乳業が37校,サツラク農協が33学校,新札幌乳業が25校,明治乳業が81校,北海道保証牛乳が30校,雪印乳業が110校,養護の分校等も含めまして316校,2学期から,このようになっております。
1学期の状況でございますが,森永乳業が44校,サツラク農協が32校,新札幌乳業が8校,明治乳業が89校,北海道保証牛乳が24校,雪印乳業が119校,合わせまして316,以上の状況となっております。
なお,製造場所等については,後ほどお届けしたいと思います。
次に,新たな助成制度の中で,本市学校給食用牛乳の消費量の拡大についてでありますが,この消費拡大に伴う補助金は,通常200ccの容器から250または300の大型容器に切りかえました場合,学校での牛乳の供給日数を一定以上拡大した場合などに交付される奨励金でございます。
本市では,先ほどもお答えしましたとおり,既に,北海道が定めました基準日数を上回って牛乳を提供しておりまして,日数拡大奨励金が入ってきてございます。また,現状におきましても,既に,毎日の献立が,さまざまな食材からバランスよく栄養摂取をしている,そういう工夫もしてございますから,あえて,これまで以上に栄養の摂取を牛乳に依存する必要はないものと考えておりまして,現在のところ,供給回数の増加や牛乳容器の大型化を図る,そういう考えは持っていないところでございます。
以上です。
◆藤原廣昭 委員 ただいま,それぞれの業者別などの数字が明らかになりましたけれども,今は区別で言いませんでしたが,私が調べた中では,例えば,南区は明治牛乳,そして,中央区も明治牛乳,そして,西区はサツラク牛乳,手稲,北区,東区は雪印,白石区は保証牛乳,豊平区は森永,そして,厚別区は新札幌牛乳,それからつけ加えて,清田も明治牛乳というような状況になっているわけであります。
これ,後で資料をいただけるということでありますけれども,どこが発送の基準となっているのか,運賃の基準になっているのかと。そこがやっぱり大きなこれからの問題になってきますので,きょうはあえて触れませんけれども,後で,メーカーの発送の拠点となる場所を明らかにしていただきたい。
そういう中で,総体で30円82銭程度の負担だということになっておりますけれども,例えば,一番高い南区などで32円17銭という供給価格,メーカーが札を入れた価格でありまして,最低でも,やはり幾つかダブっておりますが,31円7銭という,そうした数字になっておりまして,これから,こうした価格の問題が,どのように保護者などに負担がかかってくるのかというのは,この制度は,大変いいところもあるわけでありますけれども,かなりの問題点もあるということを指摘をしておきたいと思うわけであります。
そこで,次の質問でありますけれども,この新たに変わった制度の中には,助成制度を進める上で,新たな,供給の合理化ということがその要綱の中で示されているわけであります。施設機器などの整備にかかる補助が導入されて,本市では,例えば,先ほどの質問にもあったように,保冷庫などについては,平成9年,10年と整備をしてきて,こうしたことは,今,十分,そろえる対象になってはいないわけでありますけれども,こうしたことがその補助対象にもなってきているわけであります。それ以外にも,さまざまな補助が,この中にあるわけでありますけれども,そうした補助を今後活用していくお考えがあるのかどうか,3点目にお伺いをいたします。
4点目は,来年度のこの助成制度,部長も今答弁されましたように,補助の中身によっては,今年度限りと,新年度から消えるものも出てくるわけでありまして,そうなれば保護者の負担がふえることにならないか,心配でもありまして,こうした制度の見通しなどについて,4点目,お伺いをいたします。
◎大西 事業調整担当部長 ただいまの2点につきましてお答えを申し上げます。
まず,補助制度の活用についてどうかということでございます。
委員もお話のとおり,補助制度のうち,機器等の整備につきましては,既に本市の場合,牛乳保冷庫等の整備も終わっております。その他,メニュー補助等あるわけでございますが,本市の場合,給食牛乳価格の低額を何とか願いたいということで,道の方とも詳細協議をしておりますが,なかなか該当する項目がないというようなことで,残念ではありますが,現状の2学期・3学期の状況から,新たなものがない状況にございます。
したがいまして,本市におきましては,牛乳の供給回数をふやすとか,量を多くするとか,そういうことしかないわけでありますが,先ほども言いましたような状況から,補助金の大きな変更はないと思っているところであります。今後とも,牛乳の供給価格の低減につながるような何らかの補助制度,これらにつきましても,来年度以降,国に対して,道の方から働きかける,また,私どもも,牛乳の保護者負担の低額について,政令市とともに要望等もしておりますので,そういう中でも,何かの助成策を見つけていただくように,さらに強い要請をしてまいりたいと,こういうふうに考えております。
それから,来年度の保護者の負担額についてでございます。
先ほどもお話がありましたとおり,助成制度の本年度の経過措置であります1本当たり1円70銭の補助,これにつきましては,今年度限りで,来年度は,国において廃止をするというような見通しもあるやに道の方から聞いてございます。
したがいまして,来年につきましては,従来より補助が少なくなるという懸念もありますので,先ほど言いましたような要望を今後とも道の方へも強く要請してまいりたいと,このように考えているところであります。
◆藤原廣昭 委員 要望を申し上げて,次の質問に移りたいと思います。
先ほどの答弁でも,大型容器の250ccや300ccなどに変更した場合,これはその単年度限りの補助でしかないということが,今回の新たなこの事業の中でうたわれているわけでありまして,ましてや,この保護者の立場に立てば,2階に上がった途端にはしごを外されたような助成制度なわけでもありまして,ぜひ機会あるたびに,新年度に向けて,この保護者の負担が高くならないように,そうした働きかけをしていただきたいと思います。また,この助成制度の中には,普及啓発教材整備事業,あるいは調理用の牛乳費の軽減,定額助成や2分の1の助成というようなことがありますから,ぜひそういうことも念頭に置いて事業を進めていただきたいと思います。
次に,学校図書館の蔵書充実と司書教諭の問題について,あわせて質問をしていきたいと思います。
私も,6月の第2回定例議会の中で,代表質問で,この学校図書館の蔵書問題,そしてまた,司書教諭の問題について触れてまいりました。
先ほどからも,同じような趣旨の問題に触れられておりますが,これまで,毎年,学校図書館において,図書館の標準基準などで定められている廃棄処分する年数などに基づいて,廃棄処分の手続が行われてきたと思うわけでありますけれども,そうした手続がどのような方法で行われて,平成11年度はどのような状況で報告されているのか,まず,第1点目,お伺いをいたします。
第2点目は,その代表質問の中でも,58年以前に購入した本ということで答弁がされているわけであります。学校などに配付をされております札幌市の小・中学校図書館廃棄基準表を見ますと,文学全集などは,古い読み仮名を使ったものと旧仮名遣いというのがありますけれども,例えば,10年くらい経過をしたもの,あるいは参考書などでは5年ぐらい経過をしたものということが,この基準の中に,1982年に改定をされたものでありますが,示されているわけであります。そんな意味では,もっともっと,58年以前ではなくて,最近のものも整理をしていかなければならなかったはずなのですけれども,そういうことが十分されていない状況にあるわけであります。なぜ58年以前というようなことを,そういう意味から,前提として実施をされたのか,2点目にお伺いをいたします。
3点目の質問は,いろいろな答弁の中でも,小学校では充足率80%,中学校では60%の目標値の設定となっておりますけれども,こうした目標値の設定が何を基準に,いつされたのか。まず,学校図書館の蔵書充実について,前段の質問をしたいと思います。
次に,司書教諭の養成と専任化の関係であります。
質問の第1点目は,昨年度,1999年度に司書教諭の資格を自費で取得をした人,あるいは教育大学に講習に行って取った人,あるいは放送大学を受講して取った人,あるいは,新規採用で,結果として合格した時点で,学校の司書教諭の資格を取っていた人,この四つの人数別,平成11年度はどのような状況になっているのか,まず,お伺いをしたいと思います。と同時に,今年度末までの取得者の見込み状況と,今後2002年までの養成計画とその見通しについて,お伺いをしたいと思います。
関連して,質問の2点目は,2003年より,小・中学校で司書教諭,とりわけ12クラス以上の学校ということが前提になるわけであります。
本市の場合には,11クラス以下という学校は,養護学校も含めて,小・中・高ですね,市立高校含めて総数で322校あると思うわけでありますけれども,そのうち12クラス以上は271校で,残り51校,約16%が当面,対象外となっているわけであります。
こうしたことは,先ほども触れられましたけれども,憲法でも保障されている教育の機会均等の趣旨から言いますと,基本的には,学校やクラスの規模によって格差をつけるべきではないと思うわけであります。11クラス以下の学校でも実施する場合は,どのようなことが整えば,本市においても実施が可能なのか,国の法律改正を待たなければ実施できないのか,本市としては,11クラス以下の学校における実現をどのように考えているのか,まず,この2点について,それぞれお伺いいたします。
◎霜觸 総務部長 最初に,図書の廃棄手続について申し上げます。
札幌市の会計規則の規定に基づきまして,図書は物品として廃棄手続を行っているところでございます。詳しく具体的に申し上げますと,物品管理者であります学校長は,破損をしている,あるいはそのデータが古くて利用されない図書を不用物品として廃棄することに決定をいたしますと,物品返納書を作成いたしまして,不用物品処分伺書によりまして教育委員会の承認を受けた後,廃棄処分をして図書台帳から削除すると,そういう手続になってございます。
なお,学校が廃棄手続を行った件数,11年度の状況でございますけれども,学校図書館蔵書整備事業を行いましたので,例年より減少をしておりますが,小学校62校で2万3,132冊,中学校は10校で7,397冊と,このようになってございます。
それから,本市の学校図書館の廃棄の中で,昨年度実施をいたしました学校図書館蔵書整備事業で,15年以上経過をした図書を対象に原則廃棄をいたしました。これは,日常的な図書整備を補完するものとして行った事業でございまして,当然,資料が古くて活用が見込まれない図書を対象にしたものでございます。そこを一律に廃棄をしたのではなくて,継続の必要性があるものについては,担当の先生に見ていただきまして,蔵書として残しているということでございます。
さらに,蔵書率の話でございます。学校図書館図書標準,文部省が定めた基準でございますけれども,これは平成5年に定められたものでございますが,本市におきましては,当時,学校図書館の図書の充足率が全体で低い状況にありましたことから,教材・教具の予算の状況ですとか,児童・生徒数あるいは学級数の増を勘案いたしまして,当時の財政状況等を見きわめながら,数年度を見越した当面整備すべき目標として,国の学校図書館図書標準の,小学校は80%,それから中学校は60%と設定したものでございます。
以上でございます。
◎岩崎
学校教育部長 司書教諭につきまして,私の方からお答えを申し上げます。
ご質問の1点目になりますが,平成11年度の学校図書館の司書教諭講習修了者,まず,本市が受講支援をしております放送大学利用者が17名,教員養成大学利用者が20名でございます。また,新規採用者が9名,そのほか自主的な講習修了者などが55名ございまして,合計101名となってございます。
今後の修了見込み数についてでございますが,今年度につきましては,年度途中でもあり,把握は大変難しゅうございますが,前年度を上回る修了者が見込まれておりまして,総体では,本年度修了時点で,現在,配置を必要とする学校数を上回る修了者を確保できるのではないかと,このような見通しを持ってございます。
しかし,修了者,いわゆる資格者はさらに上回ることが望ましいため,平成13年度,14年度につきましても,同程度以上の修了者数を期待し,かつ確保できる,こういうふうに考えてございます。
2点目の11学級以下の学校への配置についてでございます。
これにつきましては,現行の法そのものがあくまでも12となっておりますが,それは努力目標でございます。当然のことながら,11学級以下についても,私ども札幌市としても,配置できることになってございます。
ただ,前段で申し上げましたように,まず,有資格者を確保するということが最大の目標でございまして,そういう意味からは,当面,12学級以上の学校に配置するという法定要件を整えることが急務であり,その実現に最大限の努力をしていきたいと,こういうふうに考えてございます。
以上でございます。
◆藤原廣昭 委員 まず,学校図書館の蔵書充実についてであります。
ご承知のとおり,現在の文部省が定めている学校図書館標準基準では,小学校で12クラスの場合は7,960冊の本が,中学校では1万720冊の本が,その目標とされているわけであります。これに対して,先ほども質問でありましたけれども,小学校では56.4%,中学校では37.2%になっているわけであります。1校平均,小学校で見ますと3,860冊,中学校では7,611冊の本が不足をしているという状況になっているわけであります。
確かに,寄託図書などのそうした活用も,ある面では評価はできますけれども,この時期に来て,この7,960冊や1万720冊の本に対して,80%,60%というその充足率を目安にするのではなくて,やはりこの機運の中で,100%,学校標準基点に基づく,例えば,小学校12クラスの場合は,先ほど申し上げたような数字に近づける,実現する努力をすべきだと考えますが,どのようにお考えか,お伺いをいたします。
次に,バーコードの活用の問題であります。
バーコードの活用は,緊急雇用対策資金を活用して行われたものでありますけれども,この見通しが全く不透明になっているわけであります。
やはり,せっかく本の裏表紙などにこうしたバーコードがついているわけでありますから,今後の図書の管理なども含めた中で,あるいは,現在,校務分掌などで担当している先生が仕事をしやすいような形に,早く,このバーコードの有効活用ができるようにすべきではないかと思いますけれども,その時期などについて,具体的にどのようにお考えなのか,お伺いをしたいと思うわけであります。
次に,司書教諭の関係であります。
先ほど,今年度は,それぞれ四つの取得項目の中で,101名の方がそれぞれ資格を取得したと。現在,12クラス以上の学校271を上回る人が,多分この3月末までに確保できるのではないか。そして,2001年度,2002年度においても,それぞれ今年度と同程度の100名前後の数が確保できるのではないかということであります。
そうすれば,なかなかこれは,対前年比を一気にというふうに読むことも難しいところもありますけれども,仮に100人ずつ2年間で取得をすれば,471名,約500名近い皆さんが取得をすることになるわけであります。そうすると,先ほど2番目に質問をいたしました11クラスの学校についても,十分,有資格者を確保するに足りると思うわけでありますけれども,そうした視点から,どのようにお考えなのか,お伺いをしたいと思うわけであります。
このような中で,司書教諭の関係については,それぞれ国や道の関係だということで,先ほどもお答えがあったわけであります。それでは,この間,どのように国や道に対して,先ほどの回答にもありましたように,北海道都市教育委員会連絡協議会などを通じて,北海道教育委員会や国に対して要望を出しているということでありますけれども,具体的にどのような内容の要望を出して,状況としては,すぐでき得ないということでありますから,明確な期待できるような回答は寄せられていないと思うのですが,それぞれ毎年出している要望に対して,どのような国や道から報告がされているのか,あわせてお伺いをしたいと思います。
◎霜觸 総務部長 図書の充足率のお話でございます。
確かに,当時いろんな状況を勘案いたしまして,小学校80%,中学校60%と設定をいたしましたけれども,昨今,司書教諭も配置され,学校図書館の果たす役割が大きく叫ばれている今,この設定については,見直す必要があると考えております。今後,国の学校図書館の図書の標準そのものを目標として,図書整備を進めるべく検討してまいりたいと考えております。
2点目の,今回の整備事業で,蔵書のデータを作成いたしました。お話にもございました,この利用方法を含めました電算システムの開発を私どもも早急に進めたいと考えております。なるたけ早い時期に実現をしたいと考えております。
以上でございます。
◎岩崎
学校教育部長 まず,司書教諭につきましてお答えを申し上げたいと思います。
最初に,11学級以下への配置という視点でございますが,先ほどからお答えを申し上げているように,271という学校数に見合った数というようなお話を申し上げたところでございますが,実際に人事配置をするときには,ある一定量の,これは明確な数字の基準はございませんけれども,確保する必要があろうかと思います。
したがいまして,それらの中で,12学級以上の学校に配置することが可能になった,その段階でゆとりがある,あるいはそれ以上の確保をしているときには,当然,11学級以下についても検討できると,このように考えてございます。
それから,2点目の司書教諭の専任化に対する,国,道への要望でございます。
これにつきましては,先ほどお話がありましたような形で,国及び道に対して要望を上げているところですが,特に,そのことについての動向は,その後,報告は受けてございません。
以上でございます。
◆藤原廣昭 委員 その要望を出して,国も検討しているかしていないかということが,なかなかよくわからないわけでありますけれども,昭和29年でしょうか,もうこの法律ができて,約半世紀にもなろうとしているわけでありまして,附則の中では,確かに「当分の間」ということでありますが,やはりこの学校図書館法,図書館も,ある意味では特別な教室なのかもしれません。しかし,学校には,理科室や図工,技術室ですとか音楽室なんかありますけれども,そういうところには,そういう特別法がないわけですね。学校図書館だけ,学校図書館法という法律があって,その目的がきちっと定められているわけでありまして,ぜひ専任化に向けて,さらに国や道に働きかけて,そうした実現に向けての取り組みや,そして,国や道の考え方をやはりきちっと引き出すべきではないかというふうに思うわけであります。
こういう中で,関連してでありますけれども,現実問題として,今,資格を取った先生方が,これからいろんなところとの協議を進めて,実施をされることになると思うわけでありますが,やはりこの制度というのは,今までも校務分掌であって,ただ,司書教諭の資格がなければ今後はできませんよということに置きかわったようなものであって,仕事の中身は,従来の,先生が兼任をすると,全く同じなわけでありますね。先生方も一生懸命仕事をしているわけでありまして,中学校では,教科の担任やクラブの顧問ですとか,いろんな担当もしています。小学校でも同じことが言えるわけであります。そんな意味では,やはりやりたくても,十分,そうした廃棄処分とか,図書を有効に活用して,授業や子供たちに生かしていく,そうした取り組みがしたくてもでき得ない状況,やっても30%,あるいは個々人の差にもよりますけれども,そうした状況になっているわけでありまして,ぜひそういう現場の声,そうしたものも,国や道に,しっかり本市の教育委員会が訴えて,実施をするべきだというふうに思うわけでありますが,どのようにお考えになっているのか,お伺いをしたいと思います。
◎岩崎
学校教育部長 今,藤原委員ご指摘のように,平成15年度に向けましては,現段階では,あくまでも校務分掌の一つとして考えて,司書教諭となる教員を配置しなければいけないと,このように考えてございます。したがいまして,当然,教員の担当授業時数等の軽減ですとか,あるいは,校内の協力体制,あるいはその運用等についても,十分検討する必要があろうかと思います。
したがいまして,今後,校長会等,関係者ともいろんな問題点を話し合いながら,要望申し上げていきたいと,このように考えてございます。
以上でございます。
◆藤原廣昭 委員 要望申し上げて,次の質問に移りたいと思います。
学校図書の充実については,霜觸総務部長からも,今の基準というものを見直して,いわゆる文部省の定める学校標準規定に近づけていきたいということであります。ぜひその実現に向けて努力をしていただきたいと思いますし,新年度の予算要求も,もう始まっていると思いますけれども,きょうは,後ろに財政局の方もいらっしゃると思いますが,どうかそうした実現に向けて,そういう予算の配置ができるように,強く要望しておきたいというふうに思いますし,バーコードについても,そうした電算化の早急な取り組みができるように,強く要望しておきたいと思うわけであります。
司書教諭の関係については,今もお答えがあって,国や道の考え方が定まっていないということでありますけれども,やはり出したからには,その年々において,国や道の考え方がどのように変わっているのか,そういったこともきちっと私ども議会などにも報告をしていただきたいと思います。さらには,最後のお答えにもありましたけれども,学校図書館に対するさまざまな理解や認識というものが個々人によって異なっているわけでありまして,そうしたことを職場の中でも話し合っていける,そうしたポイント整理を教育委員会としてもしっかりしていただくと同時に,これから関係者の皆さんとも,ぜひそういう具体的な議論ができるような場を早急につくっていただきたいと思うわけであります。
次に,学校評議員制度の関係についてであります。(発言する者あり)
文部省は,98年9月21日に中央教育審議会により答申された今後の地方教育行政のあり方についてというところで,ことしの1月に,学校教育法の施行規則の一部を改正して,この4月にこれが施行されているわけであります。
このそれぞれの大きな目的というのは,言うまでもありませんけれども,年度当初,教育目標や計画を保護者や地域の方々に公表し,その後に達成状況を説明するなど,また,保護者や地域の方の意向を把握し,また反映をして,協力を得ることとなっているわけであります。
しかし,この問題は,評議員制度には,代表質問でも指摘をしたとおり,幾つかの問題があるわけであります。
その中で,本市としては,文部省の地方課が出しております学校評議員の取り組み例によって,この中では,三重県の例を挙げて,守秘義務を課せるなどの文章例も出されているわけでありますけれども,その理由として,どうするのかという質問に対して,山教育長は,代表質問の中で,児童や生徒,保護者のプライバシーなどにかかわることもあるので,それらに対応し得るよう,規定については検討していきたいということでありますが,やはりこの生徒や児童の問題については,中学校においては,それぞれ心の相談室というのでしょうか,そうしたものがあったり,本来の学校評議員制度とはちょっとかけ離れたものに何かしていこうというような懸念もあるわけであります。
そんな意味で,私としては,やはりこの守秘義務という,そして,さらには罰則規定までも設けているのが,ある県のこういう評議員制度の中にあるわけでありまして,開かれた学校,開かれた教育という意味では,私ども民主党も,私も大賛成でありますが,しかし,その聞かれたことが,地域の人にお答えすることができない,そういうことがあって,本当のこの評議員制度として,機能が発揮をしていくのかというところが,大きな問題点があるわけでありますけれども,その辺のお考えについて。
そして,2点目については,ことしは,小・中校で各2校,幼稚園で1園,それぞれ研究委託を行っているわけでありますけれども,その取り組み状況についてはどのようになっているのか,まず2点お伺いをいたします。
◎岩崎
学校教育部長 私の方から,2点お答えをいたします。
まず,委員ご指摘の学校評議員制度,これが本来的なものとかけ離れるのではないかという,特に守秘義務とのかかわりの中でのご心配の点でございます。
現在,後ほどお答えいたしますけれども,いろんな取り組みをまさに始めたところでございますが,代表質問等で述べた守秘義務につきましては,あくまでも,個々,子供の個人的なプライバシー,これを想定してございますので,委員ご指摘のように,例えば,学校の説明責任,あるいは学校の中のいろんなこと,差し支えない範囲での,これは決してそういう条項には含まれていかないと,このように考えてございます。
それから,2点目の本市の学校評議員制度に関する研究委託の進捗状況でございますが,今年度から2カ年継続で,幼稚園1園,小・中・高等学校各2校ずつ,計7校に研究を委託してございます。
この学校評議員制度のあり方をどういうふうにしたらいいのかということも含めまして,仕組みのあり方について研究を進めておりますが,現在1年目ということもあり,各学校では,本州の先進的な取り組みをしている学校等の視察,あるいはその成果を生かしながら,それぞれの学校での実態に即した導入のあり方を今,詰めていると,こういうところでございます。
年度途中であり,その視察等の結果がすべてまとまっているわけでございませんが,私どもも,できるだけ多く学校と交流しながら,その成果の一部でも,広くPRする,あるいはPTAや各地域にある既存の組織等からも意見を聞きながら,どうするか等を一緒に研究をしてまいりたいと,このように考えている,そういうのが経過でございます。
以上でございます。
◆藤原廣昭 委員 ただいまお答えがありましたけれども,やはり,本市としては,守秘義務を課せるというような項目を設けるべきではないと,私は考えるわけであります。そして,この研究委託制度は2年間ということでありますけれども,特にこの評議員制度は,いつから実施をする,必ず実施をしなければならないという,決められた制度ではありません。そんな意味では,長々時間をかける必要はないと思いますけれども,文部省のそうした事例に基づくことなく,本市独自のやはりきちっとした取り組みをしていかなければいけないと思うわけでありますよね。やはり,学校現場だけ見に行くのではなくて,例えば,先進国でもこうした取り組みはされて,本市が考えている,あるいは文部省が考えているような構成メンバーではなくて,もっともっと幅広い人材を取り入れた制度にしているわけでありまして,ぜひ本市の教育委員会としても,そういうのを,国内や国外にも視察に行って,よりよい本市の独自の制度を設けるべきだというふうに思います。
特に,海外など,あるいは東京の世田谷区などでは,生徒の代表なども入れているかのように聞いているわけであります。子どもの権利条約の中には,やはり子供としての意見表明権というのが,その第12条の中で保障されていたりして,やはり,学校生活を通じて,こうしたものに対するさまざまな体験というか,活動を通じて子供を育てていくという意味からも,ぜひ私は,ただ単に,子供を管理する,教えるというものよりも,子供とともに一緒に教育を考えていく,そうした点に立って,この教育委員制度の中に,構成メンバー入れる。あるいは,ほかの地域の学校では,教頭先生も入ったり,給食担当の先生や保健担当の先生や生徒指導の先生も入っているわけであります。そうした先生方も入れたり,あるいは医師や薬剤師なども入れたりして,幅広い角度から学校のあり方や子供たちの生き方というものを見詰める,そうした制度にしようとしているわけでありまして,本市としても,くどいようでありますけれども,必ずしも文部省のそうした事例に基づくことなく,やっぱり独自の学校評議員制度を確立するよう強く望んで,最後の質問に移りたいと思うわけであります。
最後に,国旗・国歌の問題についてでありますけれども,初めに,一連の本市における国旗・国歌の問題について,私は文教常任委員会に所属をしておりますが,事前にも事後にも何ら報告がありません。各会派の議員会長,幹事長にはそれぞれ報告をして,それぞれの会派として,私どもも,聞いております。
しかし,そんなことがまかり通れば,それぞれの幾つかある委員会はすべて要らないことになって,すべて,議員会長や議員団長,あるいは幹事長のところに報告をしに行けば,事が済むというようなことになるわけであります。
そんな意味では,文教常任委員会を軽視しているのではないかと思うわけでありますけれども,教育長,どのようにお考えなのか,まず最初にお伺いをしたいと思います。
◎山 教育長 このたびの職務命令を発しました9月18日でありますが,直ちに,私どもとしましては,各会派並びに文教委員長にご報告を申し上げております。
したがいまして,文教委員会を開催するか否かにつきましては,各会派あるいは文教委員長のご判断にお任せをしたと,そのような考え方でいたところであります。(発言する者あり)
◆藤原廣昭 委員 確かに文教委員長は委員長でありますけれども,やはり各文教常任委員に(発言する者あり)きちっと報告をする。(発言する者あり)私は,今,後ろから声がありましたけれども,副委員長を仰せつかっていますが,だけど,そういう問題でなくて,やはり文教常任委員すべてにきちっとこれを報告していく,そういう姿勢が問われているわけでありまして,やはりこれからの委員会の取り扱いの問題もありますので,ぜひ担当助役であります千葉助役には,こうした取り扱いが今後ないように,教育委員会の事務局に指導をしていただきたいと思うわけであります。(発言する者あり)
次に,具体的な質問に移りますけれども,私どもの民主党の考え方は,先ほど大嶋議員の方から,それぞれ質問など,指摘もありました。
私は,単純な,素朴な質問をしたいと思うわけでありますけれども,この君が代ですね,これからこうしたことが本市で,もし実施をされるとなると,その具体的な国旗の,経緯や,あるいは君が代の内容などについても教えていくのかと思うのであります。その際に,子供から,「この君が代の歌詞は,どういう意味なのか」というふうに尋ねられた場合,市の教育委員会としてはどのように教えていくのか,答えていくのか,まずお伺いをしたいと思うわけであります。
第2点目には,例えば,本市の中学校の
学習指導要領などを調べてみますと,理科の項目の中では,大地の変化,あるいは地層の過去の様子などという項目があって,どのような形でこの石ができていくのかというようなことが,学説上,出てくるわけですけれども,君が代の歌詞をまずどなたか詳しく答えていただいて,その
学習指導要領に基づく理科の,大地の変化,地層の過去の様子,そういうようなものから,どうやってこの石ができたのかというようなことの整合性をまずこの場で明らかにしていただきたいと思います。(発言する者あり)
◎高橋
指導担当部長 国歌・君が代についての見解ということでございますが,私どもの方は,先日の9月18日の職務命令を発しましたときに,あわせまして,学校における国旗及び国歌に関する指導についてという文書を発しまして,その中に,国歌・君が代についての解説を付してございます。ここで申し上げますと,大変時間がかかりますが,(発言する者あり)この問題につきましては,簡単に申し上げますと,「日本国憲法は,その前文で,主権が国民に存することを宣言し,国民主権を基本原理とした上で,天皇は,日本国及び日本国民統合の象徴であり,その地位は,国民の総意に基づくものとして規定している。このような天皇の地位は,国民主権,基本的人権の尊重,法のもとの平等という憲法の理念と矛盾するものでない」,以下,こういう内容,これは政府見解でございますが,(発言する者あり)それを配付したところでございます。
2点目の歌詞の意味でございますが,これも同じく,君が代の歌詞の意味につきましては,政府見解が次のように示されてございまして,「君が代の君に関することについて,君が代の歌詞そのものが,平安時代の古今和歌集や和漢朗詠集に起源を持ち,その後,明治政府に至るまでの祝いの歌として,長い間,民衆の幅広い支持を受けたもので,この場合の君が代の君とは,相手を指すことが一般的で,必ずしも天皇を指しているとは限らなかったと考えられる」と,以下,同じように,この歌詞の解説がございます。
これが君が代の歌詞解釈,政府見解の一部を申し上げました。
以上でございます。(発言する者あり)
◆藤原廣昭 委員 私,もっと具体的に,そんなこと言っても子供わからないと思うのですよ。君が代のことを,どういう意味なのかと。例えば,さざれ石というのはどういう意味なのかと。そういうことを具体的に聞いているわけでして,もっと詳しく説明してくださいよ。
◎高橋
指導担当部長 君が代の歌詞については,私から,委員ご指摘の,そのさざれ石云々ということについては,私自身の見解について申し述べる立場にはございません。(発言する者あり)
ただ,先ほど申し上げました君が代の歌詞の政府見解に従っておるというふうに申し上げておきます。(発言する者あり)
以上でございます。
◆藤原廣昭 委員 では,これ,私どもとしては,これについて反対ではありますけれども,教えるというふうに仮定をした場合,どのように,札幌市の教育委員会として,先生方に,こういう中身ですよと,そして,こういうふうに子供に教えてくださいよと,そういうことが,どういうふうに教えるのか,教育長,どういうふうにこの解釈をするのか,具体的に答えてくださいよ。(発言する者あり)
◎本間 教育次長
指導担当部長からお答えをいたしましておりますとおり,国歌・君が代の歌詞の内容につきましては,一教育委員会が見解を申し述べるのではなくて,(発言する者あり)これは国歌でございますので,国の見解に基づいて行うものということでございます。(発言する者あり)
それから,各学校の教員(発言する者あり)が,子供たちにどのように指導するかということにつきましては,他の教育内容もそうでございますけれども,あくまでも内容の大綱は,法であります
学習指導要領にのっとりまして,それを具体的に,いつ,どのように教えるかにつきましては,それこそ各学校の自主性・主体性に(発言する者あり)基づいて行うものでございます。(発言する者あり)
◆藤原廣昭 委員 そういう責任逃れの答弁では許されないと思うのですよ,これ。やはりきちっと見解を示してもらわないと。(発言する者あり)
◎本間 教育次長 そのようにおっしゃられましても,教育は,そのように基本的なことだけ決めまして,細かいことにつきましては,(発言する者あり)各学校で指導するということでございますから,(発言する者あり)そのことはご理解いただかなければ,教育は成り立たないと存じます。(発言する者あり)
◆藤原廣昭 委員 それでは,きょう,後ろにも,指導主事とか皆さんいますけれども,それぞれ指導主事は,学校をある意味で指導をしたりする立場にあると思うのですけれども,指導主事が,聞かれたら,どうやってこれ答えるのですか。
教育長,どうなのですか。
◎山 教育長 国歌の解釈そのものについては,国が既に見解を示しているわけでありまして,私どもは,全国的な中で,国歌の歌詞の意味については,それに沿って行うこととなります。
したがいまして,私どもは,政府の考え方,国で示している考え方に沿って教えることになるものと思っています。
◆藤原廣昭 委員 それでは納得できないと思うのですよ。やはり,確かにそれは,あなた方から言えば,先ほど部長が言われたように,この歌は,象徴,天皇云々ということは言えないのかもしれません。そこは百歩譲ってそうだとしても,じゃ,この君が代という歌詞を子供に聞かれた場合に,具体的にどうやって教えていくのか。(発言する者あり)それと,
学習指導要領の,いわゆる岩ができる,石ができるという通常の学説上との矛盾というようなものが,当然,子供も感じるわけですよ,これ。そういうところをどうやって教えていくのか。そういうことがきっちり明らかにならないといけない。
そのためには,この君が代の歌詞全文に対する,やはり札幌市の教育委員会としてのきちっとした見解がなければ,何ぼあれだとしたって,校長に職務命令を出したって,校長だってかわいそうだと思いますよ,それは。(発言する者あり)
その辺の,君が代の,何回も言いますけれども,委員長にも申し上げますが,君が代の歌詞をしっかり,子供に聞かれたらどういうふうに教えるのか,そこのところについて,きちっとした答弁をいただかなければ,私どもとしては納得できない。(発言する者あり)
◎本間 教育次長 何度もお答えをいたしますが,国歌・君が代の歌詞の内容については,これは国歌でございますので,国の見解に基づいて行うと,こういうことでございます。(発言する者あり)
これを子供にどのように教えるか,まさにこれは教育の根幹にかかわるところでございまして,教育委員会が細かくこのように教えろということは,それこそ教育課程の編成からいって,間違いでございます。(発言する者あり)
したがいまして,いつ,どのように教えるかということに(発言する者あり)つきましては,まさに教育課程の問題でございます。これが基本でございます。ご理解をいただきたいと存じます。
◆藤原廣昭 委員 それでは全然納得できません。国の見解と言うのなら,国の見解出ているのですか。示してください,出ているのなら。出ていないのに,それは,国歌の位置づけは,こういう天皇を象徴するものだということの,いわゆる総称的なものの表現であって,君が代の具体的な歌詞については全く触れられていないわけでありますから,そこをきっちり明らかにしてもらわなかったら,引き下がるわけにはいかないですよ。(発言する者あり)
◎本間 教育次長 何度もお答えいたしますが,国歌・君が代の歌詞の内容につきましては,これは国の見解に基づいて行うべきものと理解をしております。国の見解といたしましては,我が国が末永く繁栄することを歌った歌と,このようになっているのは,皆様ご承知のとおりと存じます。
以上でございます。
◆藤原廣昭 委員 総体的に,この君が代というのは,今言われたように,そういう中身であるということは,あなた方の理解は,わかるかもしれない。だけれども,こうした具体的な君が代の歌詞,それぞれの言葉に対しての中身を私は聞いているわけでありまして,当然,子供だってそういうことは聞くと思うのですよ。(発言する者あり)それがしっかりしなかったら,私ども中学生の親として,(発言する者あり)国の見解が出ているのなら,次長,示してください。そんな抽象的な,そういう我が国の繁栄を願うような歌という,そういうくくりではなくて,具体的に,例えばさざれ石というのはどういうような石なのか含めてきちっと答えてくださいよ。(発言する者あり)
○飯坂宗子 委員長 藤原委員の質問の趣旨は,君が代の歌詞の意味について,市教委の見解をお尋ねしているわけです。先ほどから何度か同じことを繰り返しているのですが,次長のご答弁は,国の見解に従うと,その域を一歩も出ないわけですよね。それでは平行していると思うのですが,藤原委員の質問に対して答えられるのかどうなのか,それもう一度。
◎本間 教育次長 何度もお答えいたしますが,国歌・君が代につきましては,国の方の見解が出ております。我が国,君が代ですから,我が国は,末永く繁栄をすると,そういうことを願っての歌であると,このように解説をしたわけでございます。これ以上の説明はございません。
◆藤原廣昭 委員 それは,子供もそれでは納得できない。(発言する者あり)やはり,歌総体としてのそういう意思や目標はそうなのかもしれませんけれども,具体的な歌詞の一つ一つの言葉について,私は見解を聞いているわけでありまして,そこについてきちっと答えていただきたいと思うのです。(発言する者あり)
◎高橋
指導担当部長 私の方から,政府の見解の中に,今,次長が申し述べましたように,君が代の君に関することにつきましては,先ほどのような見解でございますが,平安時代の古今和歌集あるいは和漢朗詠集に起源を持つと,こういうふうにされておりまして,その内容につきましては,古今和歌集,和漢朗詠集の解釈によるものというふうに考えております。(発言する者あり)
◆藤原廣昭 委員 じゃ,私,わかりませんから,その古今和歌集の解釈ね,君が代もわかりませんから,(発言する者あり)だから,ここできちっと教えてください,それ。(発言する者あり)少なくとも国歌というものは,理路整然としたものでなければいけない,こういう中途半端なようなものを,国旗・国歌なんてことを,子供に教えられたら困るわけですよ。やはり,きちっと説明をしていただきたい。今のようなことでは,全く納得はいきません。
○飯坂宗子 委員長 答弁できますか。
平行線なのですよ。
そこで,藤原さんは,この答弁の繰り返しでは納得できないということですよね。(発言する者あり)
それで,このままでは,ちょっと進まないものですから,暫時休憩をとりまして,理事会で調整を図りたいと思いますが,よろしいでしょうか。(発言する者あり)
本間次長の答弁を受けてから,休憩します。
◎本間 教育次長 国歌・君が代の歌詞につきましては,先ほど申し上げましたように,部長からもお話をしてございますが,君が代は,これは我が国全体のことを指すと,千代に八千代にですから,これはこのとおり解釈すればいいことでありまして,末永くいつまでもさざれ石のように風雪に耐えて,(発言する者あり)かたくなった石のようにいつまでも繁栄を願うと,このような歌詞でございます。(発言する者あり)これ以上のご答弁はもうありません。
以上でございます。
◆藤原廣昭 委員 そんなことで,じゃ,さざれ石というのは,どういう意味なのですか。さざれ石というのは。触れていないです。(発言する者あり)
○飯坂宗子 委員長 ちょっと待ってください。ちょっと中身にも入ってはきたのですが,先ほど来,平行線で,このまま続行したのでは,かなり時間がかかると思うのですよ。
それで,一回休憩をして,理事会で諮りたいと思いますが,よろしいでしょうか。
では,暫時休憩いたします。
──────────────
休 憩 午後8時9分
再 開 午後8時26分
──────────────
○飯坂宗子 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き,質疑を続行いたします。
◆藤原廣昭 委員 もう一度確認をいたしますけれども,先ほど,本間次長や担当の部長は,この具体的な解釈については,教育委員会が示すことではなくて,各学校長がそれぞれ,その指導をすることだと,そう言ったのですね。言ったわけですね。ですから,その場合に,じゃ,それを前提にして,それを学校長がどのような解釈をして子供に教えていくのか,全部の小・中学校,市立高等学校,この校長から,今月中に全部,どういうふうに教えるのか,各校別に指導というか,君が代の具体的な解釈の内容を,きちっと教育委員会から指示を出して,それを全部集めてください。
そうすることによって,本間次長が先ほど言ったように,私どもがそれを指導するのではなくて,
学習指導要領に基づいて,各学校で校長がそれをやることだというふうに,先ほど言っているわけですから,それをきちっと守っていただけるのであれば,私は,この質問をある程度,ここで終止符を打ちたい。
それから,同時に,学校教育課程の中に,そういうことは,教育委員会は踏み込めないということであるのであれば,今後こうしたことが,教育委員会含めて本当に踏み込んでいかないと,そういうことをもう一度,この二つを確認しておきたいと思います。
◎本間 教育次長 先ほど答弁いたしましたことをまた繰り返してお話させていただくことになろうかと思いますが,先ほど私が話したことは,ただいま藤原委員がおっしゃったようなこととは,いささか異なるかと存じます。
改めてお話をさせていただきますが,国歌・君が代の内容につきまして,歌詞の内容につきましては,この国歌は,国が法制化をした,決定をしたというものでございまして,その内容につきましては,国の見解である,簡単に言いますと,我が国が末永く繁栄することを願っている歌であるということであります。
したがいまして,この国歌・君が代の歌詞の原点につきましては,古今和歌集であるとか和漢朗詠集というふうに言われておりますので,このことにつきまして,それこそ各学校で,子供たちに指導する,いわゆる教育指導上の問題といたしましては,これは各学校で,それをどのように,どのような方法で,子供たちに合わせて創意工夫をして指導していくかということにつきましては,これは各学校で行うものであると,このように申し上げたわけであります。
見解については,以上でございます。(発言する者あり)
◆藤原廣昭 委員 教育長に申し上げますけれども,私も今,再開をして,質問したように,
学習指導要領に基づいて,それぞれ具体的に,それぞれが考えることだと,学校が考えることだと。その場合に,じゃ,子供が,私がさっき言ったように,「さざれ石というのはどういう石なのですか」というふうに聞いた場合に,どういう石だということを説明するのか,それを全部の学校長に,やはりそこの部分をどういうふうに解釈をするのか,例えばさざれ石,そこの部分をどういうふうに解釈するのか,そこをきちっと文章で,全部の校長に指示をして,そこの部分を子供に聞かれたらどういうふうに教えるのか,私ども民主党に,きちっとその報告をいただけますか。
◎山 教育長 先ほど来申し上げておりますように,国歌としての解釈について,意味づけについては,既に昨年の7月21日に出ているわけであります。
例えば,さざれ石というお話ございましたが,それは,古今和歌集における,あるいは和漢朗詠集における言葉としての意味,これについて,いわゆる一つの古典の作品,その解釈についてまで私どもがあえて流す必要はないものと思っています。
国歌の意味については,それは,このような国歌である,そして,先ほど次長が申し上げたような国の大きな解釈の中での,そのことは教育上の基本としてあろうかと思いますが,繰り返すようですが,和漢朗詠集,古今和歌集の一つの歌について,あえてその解釈を流す必要はないものと,このように考えております。それは,各学校において承知のことと思います。(発言する者あり)
◆井上ひさ子 委員 私は,具体的な教育の課題について,3点質問したいと思います。
まず初めに,遠距離通学者の通学定期料金の助成制度についてです。
この制度は,歴史が長く,1973年,交通局が,市電・市バスの通学定期の値上げ相当分を助成する趣旨で発足し,その間,改定されたけれども,1992年3月の廃止まで助成されてきました。これを受けて,その4月,教育委員会は,札幌市立小学校及び中学校の児童・生徒に対する交通機関通学定期料金助成要綱を制定し,助成対象を民営の交通機関にも拡大し,父母からは喜ばれたわけでありますが,今,これが,父母の大変な負担になってきています。
学校別申請者数の推移を見ますと,小学校13校,中学校12校,1,460名になっています。しかし,この間の数年のこの推移を見ますと,人数も減少しておりますし,学校建設なども予定されているところもあり,予算は減ってきているわけですから,今の時期,全額助成または増額できるのではないかと考えますが,いかがですか。
共通の認識として,何点か述べさせていただきますと,例えば,新川小学校では,638人中380人がバス通学しています。そして,この中の子供たちの3分の1は,今度は新川西中学校にバス通学をしなければなりません。私は,ここに通っているお母さんにバス代を試算していただきました。小学校6年間で14万4,600円,中学校の3年間で12万600円になっています。合計で26万5,200円,これは,夏・冬休みを除いてです。こんなにも負担になっています。
また,手稲区の西宮の沢や富丘からも,手稲中央小学校に129人の子供たちが通っています。通っている子供たちの声も聞いてみました。「込んでいて乗れない」「定期を落としてしまった。その場合,全額負担になって,しかられた」「冬場は大変だ」,いろんな,通学で困ったことを述べていましたけれども,子供たちは元気に通っています。
ひとしく教育を受ける権利を保障していただきたいのです。通学定期料金助成制度の改善を強く求めたいと思いますが,いかがでしょうか。
2点目は,小・中学校のプールについてです。
夏の短い北海道,子供たちに少しでも長くプールで遊んで,本当に泳げるようになってほしい。小学校については,残すところ10校になってまいりました。この中では,用地が狭い関係や下水道の未整備の3校含め,一日も早い設置が求められています。5年計画の中で,これらの学校について,具体的にどのように整備を進めていくのか,お尋ねします。
また,中学校のプールについてですが,これは,学校から格技場が必要だという声もあり,本市教育委員会としても,最重点として,格技場を進めている,そして,その中で,今,プールが,大変おくれています。
学習指導要領の保健体育の中でも,水泳の事故防止,これに関する心得を守り,健康,安全に留意して水泳ができるようにと述べられていますが,この中学校のプール建設についてどのように検討されていくのか,お尋ねします。
三つ目は,学校グラウンド整備についてです。
学校グラウンド整備の目安は,大体15年から20年と聞いております。しかし,表面が大変かたくなり,転んでけがをしたとか,水はけが悪い,ことしの大雨では,グラウンドが利用できない,また運動会を延期したなどというところも出ています。貯留事業校を含む,5年計画,グラウンド整備校を見ますと,年に10校から十二,三校,これが整備されているのですが,2000年については4校と,ペースががくんと落ちています。整備が待たれているときだけに,これでいいのかと危惧しています。
そこで,現5年計画では,30校整備予定ということですが,この取り組みが非常に消極的と私は考えます。速やかに調査をし整備に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか,お尋ねいたします。
◎岩崎
学校教育部長 遠距離通学者の通学定期料金の助成制度についてお答えを申し上げます。
委員のお話にもございましたけれども,この通学定期料金助成の増額につきましては,この制度の申請者は,ここ数年減少してきてございます。大変厳しい財政状況下にはございますが,就学者の状況等も見ながら検討してまいりたいと,このように考えてございます。
◎霜觸 総務部長 私から,まず,プールについてお答え申し上げます。
小学校のプールでございますけれども,委員おっしゃるとおり,残りあと10校ということで,さまざまな条件を整えないと,整備ができない状況になってございます。
そこで,今後,順次,条件が整い次第,整備を進めて,何とか設置率100%を目指して進めてまいりたいと考えております。
それから,中学校のプールについてでございますけれども,確かに,
学習指導要領では,水泳の事故防止に関する心得を守り,健康,安全に留意して水泳ができるようにするとされておりますが,後段で,水泳の指導については,適切な水泳場の確保が困難な場合は,これを扱わないことができるけれども,水泳の事故防止に関する心得については必ず取り上げると,そういう取り扱いになってございます。
そこで,本市でも,水泳の事故防止に関する指導については各学校で実施しているところでありまして,お尋ねのプールでございますけれども,教育委員会といたしましては,昭和63年度から,プールにかわりまして格技場の設置を進めているところでございます。
お話の中にもございましたけれども,格技場は,そういった事業以外にも使用可能な施設でございまして,総合的な視野から体育事業の充実が図られると,あるいは,部活動や特別活動等の多目的な活用が可能でございますし,さらに,プールに比べまして,四季を通じて非常に利用効果が高いということもございまして,学校からの要望も強いと。
したがいまして,今後も,全校設置を目指しまして,格技場の整備を進めてまいりたいと考えてございます。
それから,グラウンドの件でございますけれども,今後のグラウンドの整備の取り組みでございます。
表面の補修につきましては,今後とも,おおむね5年周期で行ってまいりたいと思います。
ご指摘のございました全面改修につきましては,これは15年から20年をめどにやるのでございますけれども,ご存じのとおり,昨今の厳しい財政状況等によりまして,ご指摘のとおり,整備校数は減少しておりますが,各学校の状況を的確に把握いたしまして,改修の緊急性,必要性等を見きわめながら,計画的に実施してまいりたいと考えてございます。
◆井上ひさ子 委員 遠距離通学者の定期料金の助成制度について,状況を見て検討するというふうに,私,前向きに受けとめました。ぜひとも実現することを求めておきたいと思います。
それと,プールの,小学校の10校についてなのですけれども,私も調べてみました。下水道の未整備の3カ所については,下水計画があるのは東米里,豊滝です。でも,これについても,他の下水道事業とあわせてやりますので,例えば,豊滝ですと,工事の関係で用地買収がおくれれば,これは本当に,5年以内にはできないと,そういうふうに左右されると思います。それと,下水計画のない福移については,例えば,丘珠中学校のように,トラフに流すような,そういう方法もやっぱり検討されなければならないというふうに思います。また,用地が狭隘なところは,近くの用地を借りるとか買うとか,そういうふうにして確保しなければならないと考えます。
これについては,いずれにしても,他の部局とやっぱり連携をとりながら,どういう方向をとっていくのかということでは,本当にその辺を,一日も早く設置するために連携をとり合ってやっていくことを求めておきたいと思います。
それと,私は,このプールの問題について,議会でも繰り返し質問を行ってまいりました。本当に今,9割を超える学校で設置されたと。その中で,残されている学校の子供たちからは,期待されています。100%の小学校で実現した暁には,中学校にも,次の段階で検討するというふうな,そういう答弁を何度かいただいておりました。しかし,今のご答弁でいきますと,格技場を最優先にして,このプールは,検討は少し薄まったかなというふうに今,聞いていたところなのです。
それで,実は,その当時,中学校でプールを持っていたのが24校,今16校にやっぱり減ってきているのですよね。そういうところで,方向の転換があったというふうに私は思うのですが,これについては,やっぱり今,水難の事故のそういう予防などもしているというような話もありましたけれども,やっぱり泳げるようになる。また,子供がおぼれているのを親として助けられるような,競技で何十メートル,100メートル泳げなくても,やっぱり泳げる,それが学校の教育の中で行われると,そういうことを私は,本当に教育を通じてやっていただきたいというふうに思いますので,これについては,前向きに検討していくことを強く求めたいと思います。
それと,グラウンドのことについてです。
表面がかたくなるところは補修するということと緊急性,そういう問題についてはやるというふうな答弁がありましたけれども,この間,実は,98年度に整備された手稲宮丘小学校のグラウンドの裏山から,浸透水のため,運動会を延期したこともあると聞いていますが,その後の状況はどうなっているのかということが一つです。
それと,99年度,伏古小学校のグラウンド,これは雨水貯留機能として整備が行われましたが,行われた後にも,土の入れかえをしなければならないのではないかと言われています。これについてはどのようになったのでしょうか。
それから,1984年に工事をして,15年経過している稲陵中学校についてです。雨がやんだ後,排水管から水があふれている,周辺が水浸しだというふうに出ていますけれども,これについては,15年がもう経過していますが,どのように対処されるのか,改めてお尋ねしたいと思います。
◎霜觸 総務部長 今,個々のグラウンドについての整備の状況でございますけれども,手稲宮丘小学校につきましては,委員のおっしゃったとおり,沢水等により,非常にグラウンドの水はけが悪い状態であったために,使い勝手が非常に悪かったと。それで,11年度中に,実は,暗渠等の増設をして,速やかに補修を行っております。
それから,伏古小学校につきましては,雨水貯留事業を活用いたしまして,確かに11年度に改修工事を行いました。ですが,期待した改修効果があらわれていないのは事実でございます。
それで,雨水貯留事業で造成したグラウンドと通常のグラウンドとは,暗渠の敷設の間隔ですとか,表土の種類等に違いはないのですけれども,その原因としては,想定よりも地下水の水位が高かった,あるいは,造成後,間もないために,表土が適度なかたさに達していなかったなど等が考えられます。その状況を見ながら,適切な対策を講じてまいりたいと考えてございます。
それから,稲陵中学校につきましても,でこぼこを直すとか,排水管の水回りを整備するとか,そういった必要な補修を行ってまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても,各学校において,緊急的に必要となる部分の補修につきましては,その都度,適時適切に行ってまいりたいと考えております。
◆井上ひさ子 委員 今,三つの学校のグラウンドを出しました。なぜかと言えば,長年待たれていて,やっと改修工事が行われた。それには多額のお金もかかっていますし,子供たちにとっても,グラウンドの利用ができない,そういう不便があるわけですね。ところが,土も柔らかくなって,よかったというふうに喜んでいる矢先に,また次の年には,グラウンドがよくならなくて,補修しなければならない,また土を入れなければならない。幾つかのところを見ていますと,こういうことが起こっているのですよね。私は,手法に問題があるのかとお聞きしましたら,それについてはないと。同じように進めているということでしたけれども,整備してから落ちつくまで,1年とか2年かかっても仕方がないというのが,どうしても,今のこういういろいろなものが進んでいる中で,私,納得できないのですよね。
それで,事前にその調査をするときに,やっぱりボーリングまでいかなくても,そこの土地がどういう状況なのかというところを,専門家の方,また皆さんの中でも,それに本当に頑張ってやっている方もおられますので,連携をとって,その学校に合った整備の方策があるのではないかというふうに思うのですよね。そこのところについて,今後の対策について,改めてお尋ねします。
◎霜觸 総務部長 おっしゃるとおり,確かに,改修したばかりなのに,非常にグラウンドの状況が悪かったという事実がございます。
それで,今後,このような地域で全面改修を行う場合には,事前の調査を今までより,一層慎重に行いまして,土の入れかえの量ですとか,表土や砂の種類ですとか,あるいは量等の技術的な検討を進めまして,その方策を十分検討してまいりたいと考えております。
◆井上ひさ子 委員 稲陵中学校については,先ほど補修するとのことでしたが,9月初めの大雨のときに,連絡がありまして,私,見に行きました。排水管周辺が水浸しで,写真を撮っておりましたら,自転車に乗っている方が来られまして,「まるで遊水池だ」って言ったのですよね。そのときに,手稲山口小学校,手稲中央小学校,ここに行きましたら,子供たちが既に野球をする準備をして,グラウンドに集まっていました。前田北中学校にも行きましたけれども,水はけは大変よくなっています。雨が降っているときであれば,そういうこともあり得るのでしょうけれども,水がやっぱり,雨が上がった段階で,そのようなことがあるということで言えば,やはり先ほど指摘されたようなことがあるのではないかというふうに思うのですよね。
学校現場でも,こういうところというのはあるのでしょうけれども,なかなかお金がかかって言いづらいことですが,この際,調査をして,前向きに,そして,大変危険なところもありますので,検討されて整備されることを強く求めたいと思います。
◆猪熊輝夫 委員 6点質問します。
まず,1点目は,幼稚園の問題について質問いたします。
予算議会の中でも,実は発言をさせていただきましたが,幼稚園の園長の登用問題についてであります。
昭和49年から,市立幼稚園が開園されて,今日に至っておりますが,今17園ある中で,幼稚園の教諭から採用された園長は3名と。しかも,それは,指導室経由という形でなければ園長に登用されることはないという形で推移をしてきた。
そこで,49年から今日に至る経緯の中で,いわゆる幼稚園から園長を採用するということに,まさにもう不自然はないという視点で問題提起をさせていただいたら,当時の
学校教育部長である本間現次長が,前向きにそのことについて検討する方向を明らかにされました。来年度ということを意識いたしますと,この機会に,その方向性がどうなったのかという点を確認させていただいておかなければいけないなと,こう思うものですから,その点についての具体的な解決策のご回答をお願いしたい。
さらに,もう一つは,私立幼稚園において,預かり保育というのが具体的に行われてきているところでございますが,今日,それがどういう状況になっているのか,あるいは,その指導体制の内容など,ぜひ報告を願いたいと,これが一つ目でございます。
次に,大きく二つ目,通学路の安全確保に関連をして質問いたします。
実は,私自身は,南区から出させていただいているという関係で,南区の状況などを念頭に置きながら発言をさせていただきたいと思うのですが,いわゆる8メーター未満,こういった通学路が南区には多くございます。
そこで,果たして教育委員会は,小学校や中学校などの通学路について,年度初めにそれぞれの学校から提出を求めているところでございますが,8メーター以上の道路について総延長が何ぼあって,あるいは8メーター未満,すなわち四間道路の727がどれだけあって,6メーター道路が何ぼあって,三間道路の545が何ぼあって,4メーターが何ぼあるというような状況把握をしているのであれば,それを聞かせていただきたい。しかも,把握をして,狭いなりに子供の安全確保のために何らかの施策展開をしているとすれば,それについてもお聞かせを願いたい。
大きな三つ目。
実は今,創成,豊水,曙,大通,4小学校の統合問題が浮上しまして,それについて,PTAやあるいは地域の皆さん方に対してご説明に入っているというぐあいに聞いておりますが,この四つの学校の中で,いわゆる特殊学級が大通小学校や豊水小学校にある。あるいはまた,通級指導教室が創成や大通小学校にあるということはご存じのとおりでございますが,こういった部分に対する父母への説明というのは,どういう形で対応されているのか,大きくその3点をご質問いたします。
◎霜觸 総務部長 私から,私立幼稚園の預かり保育の状況について答弁をさせていただきます。
この預かり保育の状況でございますけれども,今年度は,全幼稚園133園のうち,預かり保育を実施しているのは90園で,実施率は67.7%となってございます。
園児数につきましては,1年間の中で人数が増減をいたしますことから,今年度調査したものがございませんけれども,平成10年度の統計によりますと,1園1日当たり,預かり保育の園児数は,平均9.9人となってございます。
次に,預かり保育の指導体制でございますけれども,先に内容から申し上げますと,幼稚園におきまして,1日の教育時間,およそこれ4時間でございます。この4時間を標準としながら,預かり保育は,この教育時間以外に,通常の教育時間の前後ですとか,あるいは長期休業期間中,地域の実態ですとか保護者の要請に応じまして,それぞれの幼稚園が希望者を対象に行う教育活動が,いわゆる預かり保育でございます。
そこで,これに対するその指導体制でございますけれども,当然のことでございますが,この指導に当たる人員の確保,これについては適切な指導体制を整えなければならない。また,資格として,幼稚園教諭の免許を有する幼稚園教師の指導と責任のもとに行うこと。それから,通常の教育活動と預かり保育のそれぞれの担当者が緊密な連絡を図る,こういった指導体制のもとに,各幼稚園で預かり保育が実施されているのが現状でございます。
続きまして,通学路の点についてお答えを申し上げます。
1点目の幅員の狭い通学路の把握についてでございます。
例年,委員もご指摘のとおり,春に行っております通学路調査では,幅員が狭くて歩道除雪の行われていない路線については把握をしておりますけれども,道路の幅員やそれぞれのキロ数,総延長等は調査をしておりません。したがいまして,通学路の幅員別の状況ですとか,歩道が確保できていない通学路の割合については,申しわけございませんけれども,把握はできておりません。
ご指摘のとおり,通学路を道路幅員別に分類し,歩道が確保できない通学路の割合を把握することは,改善策を講ずる上で基礎資料となりますことから,今後は,これらの状況を的確に把握するように調査手法を検討してまいりたいと考えております。
あわせまして,通学路の安全性の確保についてでございますけれども,教育委員会といたしましては,歩道や道路の除雪はもとより,特に通行する児童・生徒が多い歩道につきましては排雪を,また,学校周辺の交差点につきましては,見通しをよくするための除排雪を重点的に行うように,各土木部に依頼をいたしまして,児童・生徒の安全確保に取り組んでいるところでございます。
また,各学校におきましても,区役所が中心となりまして組織しております冬の通学路安全対策会議等によりまして,地域の方々と相互に連携をとりながら,通学路の巡回ですとか,あるいは除排雪状況の点検などを行いまして,冬期間の通学安全対策に努めているところでございます。
今後とも,これらの取り組みをさらに推進するとともに,委員のご指摘にございました道路拡幅等による歩道の確保ですとか,それから,地域の方々とより一層連携を含めました安全確保の方策につきまして,関係部局・関係機関とも協議しながら検討を行いまして,冬期間の通学路の状況の改善に努めてまいりたいと考えてございます。
統廃合の関係でございます。
ご指摘の都心部4校の統合につきまして,ただいま父母への説明,地域に対する説明を行っているところでございます。
特殊学級,あるいは通級指導教室がそれぞれの統合対象校にあることは承知をいたしております。私どもといたしましては,それぞれの各学校の教育内容等の状況を踏まえまして,その対応につきまして,保護者あるいは関係者に対しまして,ご理解をいただくよう,今後,説明会を開催する予定になってございます。
以上でございます。
◎本間 教育次長 1点目の幼稚園長の登用について,私の方からお答えを申し上げます。
委員ご指摘のとおり,本市の市立幼稚園,これ17園ございますが,半数以上が開園から15年以上経過いたしまして,今後,年齢的にも,あるいは経験年数からも,管理職としてふさわしい教員が徐々にふえてくるものと思われますので,さらに意欲を喚起し,より一層幼稚園教育の活性を図るためにも,幼稚園教諭に園長への道を開くことが必要と,このように考えております。
したがいまして,これまでの選考方法に加え,幼稚園に勤務する教員から直接園長に昇任する選考制度を本年度から実施することとし,この12月に初めての選考検査を実施する予定でございます。
◆猪熊輝夫 委員 次長の答弁からお話をしたいと思いますが,やっと踏み込んでいただくということで,幼稚園の先生の皆さんもまた大いに目標を持って,小さな子供たちを対象にして頑張るものということで,ご期待をし,さらに施策の充実のためにということで,より一層の努力をお願いしたいと,こう思います。
そこで,一方で,私立の幼稚園の預かり保育の実態を把握していない。把握していないし,一応理屈つけて,出入りがあるから把握が難しいのですというお話をされる。出入りしようと何しようとわかるのは,4月1日はどうだと,7月1日はどうだと,10月1日はどうだと,節目をつくったり,1年の流れで出入りが多いと思われる時期がどこにあるということになれば,いわゆる短期ケアの分で一番多いと予想されるところはここだなというところを輪切りして,それぞれの状況を把握すればいいことなのですよ。
だから,問題は,そういう状況を把握しようという熱意がない。あなた任せというところに,僕はやっぱり問題があると。みんな人の子ですよ,人の子。
預かり保育というのがどういう形でやられているかという保育内容についても把握していない。そして,4時間という幼稚園の部分は同じようにやっているのでないかと。そして,その前後,保育的な部分に対しては,いわゆる物みたいに,カリキュラムを組まないでやっているのかどうかもわからないのだから,これ,皆さんは。把握していない。困った市民の子供を預かっている。市民ですから。市民の関係について教育委員会がかかわっている以上は,しっかりと把握してなきゃならぬ。事故が発生したら,だれが責任持つ。教育委員会が責任持たずして,持つところはない。原因はもちろんありますよ,いろいろな経緯の中に。まず,教育委員会が責任持って,安全で安心して,年齢別に,いわゆる育ち行く過程の刺激というものが十分満たされているかどうかという検証がなされていなかったら,預かり保育の意味がないじゃないですか。駅の一時物預かりと一緒になってしまう,これ。
だから,そういう点では,もう少しまじめにやってもらわなきゃいかぬと思うのですが,少なくとも指導体制,その具体的な内容,それと状況把握,10年度で,やっているところは,およそ10人というぐあいになっているのだけれども,それじゃ11年,12年ということでどう変化してきている。ふえてきているのでないの。そういうような点で,しっかりと状況把握をすれば,幼稚園の行政と保育園の行政というのが,今のようなテンポでいいのかどうかということも,具体的に再検討しなきゃならぬ,そういうデータになるのですよ。しかし,そういうこと全くしないというのは,もう全く無責任状態。
だから,少なくともこれらについて緊急に,10年が9.9だとすれば,11年どうなった,12年は,年間平均するとって言わないで,どこかの節目節目で,二つぐらい輪切りした中で,その利用している状況というものを把握する。そして,問題点について,この3年間でどういうことがあって,それらを克服してどういう保育内容になっているかということを,しっかりとやっぱり把握していかないとだめではないのかという点で,これについて,今年度中に,少なくともことし中に,まずは把握すべきと考えますが,実態と指導体制の確立という点で,どういう決意をするか,そのことについてお聞かせ願いたいと,こう思います。
それから,二つ目,通学路の関係なのですが,冬のこともさることながら,例えば,8メーターあるいは727の道路まで,いわゆる80か70ぐらいの歩道を両側につくる,こういうようなことで土木センターはやっているのですよ。皆さん,知っていますか。多分,教育委員会の方は知らないはずだ。全くそれを解決しようという情熱がないから。実態把握してないのだから。
ただし,両側にそういう歩道がつけられたときに,除雪が大変なのですよ。だから,せめて状況を把握していて,727とか8メーターという道路の部分は,両側につけるのでなく,どっちかに寄せれば,1メーター50ぐらいの歩道が確保できるではないか。そして,通学路だとすれば,特別に回数をふやして,排雪も含めてやってもらう。この1メーター50の歩道というのは,雪堆積場だからね,一般的には。でも,通学路という位置づけをさせていただいたら,除雪だけではなく,排雪という形でやる。しかもそこには電柱は立っていないという状況をつくらなきゃだめなのだよ。電柱や電話柱,いわゆる路上工作物がはびこっていたら,排雪ができないわけだから。
そういうようなことを含めて,もう少し親身になった施策の具体化ということがあっていいのでないかと。そして,どうしてもここはできないというのは,地域の皆さん方に返して,先ほど言ったように,PTA,地域,学校,一体となって子供たちの安全確保のための努力をしていくというようなことで,最終的に4メーター道路を通学路にせざるを得ないとすれば,車の状況によっては,道路拡幅のために,教育委員会が予算を組まない限り,用地買収をするところはありませんからね。道路管理者は,寄附を前提にして道路つくっているのですから,教育委員会が本当に安全上必要だというようなところで,地域と一体になって検証していったときに,重大な決意をして,事故が発生する前に速やかに対応するということが大事だと思う。
我が党の畑瀬議員の話によると,この何年かで26万台,札幌でふえたというのだから。札幌にある車は90万台だと,こう言われたので,大変な量ふえているということは,路地裏まで車が走るようになってきているということですよ。だから,そういう状況を考えて,子供の安全確保という点でどうする。歩道ができないとすれば,夏場だけでも,一人か二人歩けるような形で安全なさくを立てて,鎖をつけていく。そして,冬場は,排雪を徹底してもらうというようなことを含めて,さくを立てるためには,現状把握がなければできないじゃないですか。
しっかりとひとつやってもらいたいと思うのだけれども,これも,やりますということでほやほやとした答弁だめ。いつまでやるかということで,やっぱり市民の不安に一日も早くこたえていくという教育委員会の積極的な姿勢を指し示すべきだという立場であえて申し上げて,もう1回,決意のほどを聞かせてもらいたい。
それから,特殊学級がある四つの学校の統合問題についてなのですが,僕はとっても残念だ。ハンデのある子が,小学校区をはるか越えて,いろいろ調べていったら,石山の果てから篠路の果てまでここへ通っているというのだ。やっと通学という点で,なれて,ここだと思って必死にやっている。そしたら,統合問題出た。何らそういう意味では,具体的に問題提起がなされていない。ハンデのある人が,二重にハンデをしょわされて,一等先になぜ問題提起ができないの。皆さん方は冷たい。冷たい。差別だ,これは。少なくとも一番先に,そういったハンデのある人方に,具体的に,安心して受けとめていただけるような説明があっていいのでないの。
いろいろ調べていったら,これを担当しているのは,学校教育部学務課だということがわかった。何もやっていない。何もやっていないのだ,これ。いつ,どうやって,そういう人方の父母の皆さんに説明するのか,明確に答えてもらいたい。
◎霜觸 総務部長 1点目,私立幼稚園の預かり保育の件でございますが,委員もご承知かと思いますけれども,基本的に,私立幼稚園につきましては,道の所管となってございますが,日常的な指導体制はともかく,現在どういう状況になっているかにつきましては,私どもも,各私立幼稚園の協力を求めながら,実態把握に努めたいと考えてございます。
それから,通学路の関係についても,確かに幅員幅,それから総延長等,そういった調査はやってございませんでした。それについては,早急に調査方法等を検討して,できるだけ早く調査をしてまいりたいと考えております。
◎岩崎
学校教育部長 ただいまの統合を予定されている4校についての,特に特殊学級,そして通級指導学級に通っているお子さんあるいは保護者への説明等につきましては,総務部と連携をとりながら,早急に行いたいと,このように考えてございます。
◆猪熊輝夫 委員 早急にということで,あえてそれが決意だと。僕は,ぼっかけますからね。もう徹底してぼっかけるから。それで,これについて予算議会までに僕に報告なければ,予算議会でも,もう1回発言させてもらいますので。
それで,問題は,少子社会なのですね。僕,企画調整局でも発言させていただいたのですけれども,おととしが,特殊出生率,札幌は1.11,その前が1.08,魚住助役のお話を聞いたのですが,どうやら去年は1.05だというのです,特殊出生率,がくっと落ちる。それで,1.43とか,今1.34という数字が全国的な特殊出生率の数字ということで,皆さんも押さえていらっしゃると思うのだけれども,ここへきて,すべての制度がもう崩壊しつつある。いわゆる集団で生活するための必要なルールというのがみんな壊れてきているという状況で,団塊の世代が18年後,70歳になる,昭和23年生まれ。そこへ行き着く過程の中で,日本の集団はなり得なくなるという,生意気にも僕は危機意識を感じています。
そこで,産み育てたいという女性が産み育てやすい環境というものをどうつくるのかという点で,札幌市が何と何と何やれると。国に求めなきゃいかぬことには何がある。そして,いわゆる双方で改善できることには何があるというようなことで,市民にはっきりと少子対策の施策を明示して,そして,国への働きかけと市民への理解を求め,具体的政策を展開していくということが大事ではないか。
そんな点で,例えば,保育行政,幼稚園行政のあり方という点で,就学前の子供を統合して──もういまや多くの人が社会参加をしていくという形の中で,保育してもらう人が圧倒的に多くなって,保育してもらわないというのは少数派になってきている。私立幼稚園の実態は,はるかかなたまで,1時間半前後かかって子供を送り迎えしている。子供にとって,その苦痛たるや,これで情緒が豊かになって,成長にとっても必要なことになるかっていうの。僕は極めて問題があると,こう思っている一人なのです。
それが,幼稚園と保育園とが統一をされて,小学校区単位で受け皿が整備されていくとすればどうなると。そうすれば,子育て支援事業という屋上屋はなくなるのでないのと。ことし生まれた子供のお母さん方が,情報交換ができるじゃない。初めてのお母さんも安心して子育てができるという,少ないなりに地域の集団ができるではないか。そのことができるのかできないのか。
児童手当というのが1万5,000円でいいのかと。思い切って3万ぐらい必要なのかと。経済的負担があるとするなら,あるいは税控除という方法でいくのかとか,あるいは乳幼児の医療費が,今2歳まで無料ということになったけれども,就学前全額を無料にするのがいいのかどうかというようなことだとか,育児休業,育児時間,時間外労働,住宅問題など,いろいろある。これが末端の札幌市がやれることと,国にやってもらわなきゃいかぬことと,双方でやれることを分けて,具体的に市民に指し示していくためにも,僕は,今日の札幌市の幼稚園の実態的矛盾,保育園の矛盾というような点で,思い切って就学前子供対策を統一するようなことを含めて,具体的に検討したらどうかと,こう考えているのです。そのためにも,教育委員会所管という部分を,いわゆる保健福祉局の保育園と一本化するというような形で,所管する機構を改めて,その中で就学前対策というものをしっかりやったらどうだろうかと,こう考えるのですが,いわゆる幼保一元という点で,この機構改革を含めて,いま1回,どういう考え方を持っておられるのかということについて,お聞かせいただきたいと思います。
◎霜觸 総務部長 委員の段々のお話の中の幼保一元化のお話でございますが,まず最初に,幼稚園の所管を保健福祉局に移し,就学前幼児対策の窓口を一本化すべきではないかという,そのご質問でございますけれども,幼稚園の所管を保健福祉局に移管をすることにつきましては,国の所管が,幼稚園は文部省,保育所は厚生省となっていること,あるいはその法的な根拠ですとか,設置目的が異なる現行制度の中で大変難しいと考えてございます。
しかし,本市としては,就学前幼児対策を含めました少子化対策は大変深刻な問題であると認識しておりますので,所管は所管としながらも,それぞれの所管の枠を越えた対応が必要であると考えてございます。
そうした考え方のもとに,既に幼稚園を所管しております教育委員会と保育所を所管する保健福祉局児童家庭部の関係課によりまして,その連携を図るために,平成11年の3月でございますけれども,幼稚園教育・保育施設連絡会議を設置してございます。
今後,幼稚園教育と保育施策のより効率的な,あるいは効果的な実現を目指しまして,教育委員会といたしましても,さまざまな場面で,従前にも増して保健福祉局と連携を深めていくとともに,その施策の展開について検討してまいりたいと考えてございます。
それから,2点目の幼稚園と保育所の一元化のお話でございますけれども,家庭や地域の教育力が確かに減退している状況の中で,さらには女性の就労の機会も拡大をしていると。それから,少子化の予想を超えるスピードでの進行など,社会が大きく変動している中で,就学前の子供たちの健全育成をどのように図っていけばいいのか,あるいは,子供を産み育てやすい環境をどう整備していけばいいのか,そういった大変困難な課題に対する対応策の一つとして,委員の貴重なご提言をいただいたものと受けとめてございます。
この幼稚園と保育所を一元化することにつきましては,幼稚園と保育所の制度上の問題のあること,あるいはその幼稚園や学校の選択の自由を求める市民の要望も一方である中で,なかなか難しい状況にあると考えてございますが,本市といたしましても,第4次の長期総合計画の中で,子育てと仕事などとの両立支援という施策がございます。その一つとして,保育所と幼稚園の連携を図るとうたっており,幼・保連携の考え方は,時代の大きな流れであると認識をしてございます。これから全庁的かつ多角的に取り組んでいく中で,ご提言の内容を参考にしながら,検討してまいりたいと考えております。
◆猪熊輝夫 委員 部長ね,以前に質問したことと前段変わっていないのですよ。変わっていないということは,やる気ないのだわ。率直に言うからね。
本当に大変なのですよ。4総でやるといったら,2020年までかかるのだわ。そしたら,もう団塊の世代ははるか70超えている。もうにっちもさっちもいかない状況になっている。そんな悠長な話ししていることでない。あと18年ですよ,あと18年。ですから,緊急に対策を立てなきゃいかぬ。
部長も見に行ったじゃないですか。千代田区の和泉小学校併設の建物,そうしておいて,相変わらず,言ってみれば,見て見ないふりしたような答弁,だめなのだわ。法律的に全部クリアしてるじゃない,全部。
そんな点で,教育委員会全体が後ずさりするような発想でなくて,だれかがやっぱり足,前へ踏み出していかなきゃ,だれかが。部長ですよ,それは。見てきたのだもの。教育委員会を代表して見てきたのだから。そして,保健福祉局の担当部長も見ているのだ,一緒に。話は簡単じゃない。やる気の問題だ。
そして,文部省枠と厚生省枠というのは,きちんとすみ分けをしていけるのですよ,すみ分けを。そしてきちんと説明もできる。きちんとやっているのだから,そのことをやっぱり今度は,部長は,実務の方でなくて,総体判断する部分を見てきて,「うん,いけるな」と。そしたら,実務の係長や課長が,今度は複数で行って,「あれどうだった」って持ち帰って検討できるような形にして,そして,具体的に保健福祉局と合わせて就学前子供対策というのをしっかりと練り上げて市民の前に提示をしていくということをぜひやってもらいたい。
意見として強く申し上げ,また,期待しています。予算議会で楽しみにしておりますので,よろしくお願いをします。
それで次に,4点目,5点目,発言をさせていただきたいと思うのですが,先ほどから,障害児教育の問題が取りざたをされていました。それで,国際人としての云々ということで,国旗・国歌のお話ありました。どれも大事だなと,こう思っているのですけれども,今,札幌のこの障害児教育という点で,僕なりにざあっと振り返ってみて,いわゆる戦後,障害のある子供たちが家庭に引きこもりがちということで,教育を受ける機会というのがなかなかなかった。そんな点で,札幌方式という言い方をされる人もいらっしゃるようなのだけれども,ある面では,北海道方式と言うのかもしれませんが,今の,いわゆる特殊学級や養護学級システムということで具体化して,今日の歴史があります。そして,今,札幌市は,それをできるだけ小学校の校区を越えて子供たちを移動させないように,校区の中でやれるように,しかし,一遍にはできないという言い方の域を出ないで,少しずつ,行動半径をできるだけ縮めていこうということを方針として出されている。
しかし,明らかに今日,分離教育なのですよ。障害のある子と障害のない子と,分離して教育している。そのことによって,皆さん,そういう環境で学んだゆえに心にバリアがある。どうやって触れていいかわからないと,たびたびちゅうちょする。教育委員会の皆さん方は,本当に障害のある子と積極的にかかわっているから,バリアないのかもしれぬ。しかし,多くの人方がバリアを持たざるを得ない環境。ただし,それをどう克服するか。交流教育で補うって言っている。うそだよ,これ。ほんの一部はできている。一部はできている。ゼロではない。先生方が必死にやっているところはうまくいっているところもある。しかし,多くはない。僕はある先生,複数に聞いた。そしたら,「熊さん,それうそだ。できていない」と言う。だれといったら,先生の名前も言える。しかし,言う場でないから言いませんけれども,僕は,事実に基づいて言っているということを理解してほしいの。
だから,少なくとも,時代が変わってきて,日本の国内だって,統合教育ということを実践しているところが出てきているじゃないですか。世界は全体としてそういう方向へ向かっていっている,ヨーロッパ中心に。
いわゆる時代の変遷の中で,分離教育で,まず,家庭から障害のある子を学校あるいはそういう施設,組織に参加していただくようにしてきた。これからは,本当の意味での平等,統合というものを実現していく具体化のための時期に差しかかってきているのですよ。そのことに対して,なかなか踏み込もうとしない。かたくなに,意地張って審議会つくって,そこでの方向,統合という形で出さないで,それで当面充実させるという,そういう方向しか出さないのだわ。
しかし,これは世界の中で立ちおくれという感じになっていきますよ。みんな思いやりその他を持ちながら,先進国にいる人々が後進国の人方に思いを寄せながら,仲良く,生きがいというものを全体で成就していこうという社会になってきているのだから。島国・日本は,おくれをとって,世界の国々からばかにされるような感じに,表現悪いけれども,なっていく,このままいったら。
だから,僕は,少なくても,他の都市でやっているとすれば,札幌市がそのことについて積極的に取り組んでもおかしくないという点で,どう考えるか,その考え方をいま1回聞きたい。
それから,もう一つ,再雇用問題について質問します。
傍聴席にいろいろな立場の人いらっしゃいますから,何の配慮もなく,率直に言う。
校長職が定年になったときに,いわゆる再雇用という点では,学校開放事業,交通安全,青少年健全育成などの相談員,各区相談員,こういった形で,ほぼ希望する先生方は,100%再就職・再雇用というものがなされている。一般の教員が定年を迎えて,「わし,まだ元気だから,少しでも貢献したい」と,こう言って教育委員会に行ったら,「そんな窓口ありません」と言われるというのだよ。どこにあるのだ,この窓口。ないのか,本当に。
僕は,少なくとも,そんな形で校長先生と一般教員とを分け隔てするようなことが教育委員会であるとすれば,大変なことだ,これは。こんな状況の中で,国旗・国歌もあったものじゃない,こんなもの。どういう状況になっているのか,聞かせてください。
◎本間 教育次長 最初に,統合教育についての基本的な考え方,姿勢について,お答えをいたします。
統合教育は,お話ございましたように,ノーマライゼーションの理念に基づく望ましい障害児教育を実現するための将来に向けての大きな目標であり,また,世界においても潮流となっていると,このように認識をしております。
本市におきましても,その方向性を視野に入れながら,札幌市障害児教育,特殊教育推進の基本方針に基づきまして,現状を踏まえながら,継続的,段階的に取り組み,多様な子供に対応できる障害児教育の充実に努めてまいりたいと,このように考えてございます。
◎岩崎
学校教育部長 定年退職者に対します就職等のことについてでございますけれども,再就職につきましては,推薦依頼があった場合に応じて,適任と思われる方について情報提供,これを行っておりますが,いずれにいたしましても,定年退職後のことでございますので,本来の職務の範囲を超えるものと,こんなふうにとらえております。
これまでも,校長の退職者につきましては,専門的識見などからの推薦依頼があり,便宜的に情報提供を行っていたところでございますが,この中で,教諭でご退職された方についての依頼等もあり,これらの方をご紹介すると,そういう例もございました。
また,教諭で退職された方の場合には,現在,初任者の採用が非常に少なくなってございまして,その点で狭き門になってございますが,初任者研修の非常勤講師としてのご希望を校長を経由してお伺いしていると,こういうようなことはございます。
以上でございます。
◆猪熊輝夫 委員 非常勤講師というのは,週に2日前後だよ。それで,それは幾分か一般の教員も入っている。しかし,それは,勤務形態としては非常にわずかなのですよ。それ以外は,窓口ないのだ。窓口ないの。だれに聞いても,「私のところでありません」と言って拒否しているのだって。部長のところが今度は窓口になるのかい。
僕は,一般教員の部分も,きちんとやって,そして,学校現場で差別というような形が生まれないように,やっぱり配慮をすべきだと思う。そんな点で,差別が発生するようではいけない。
それから,もう一つは,校長先生方がそういったことで,教育委員会に物が言えなくなるようなことがあってはいけないと思う。僕の懸念だよ,これは。少なくとも,黙っていたら,教育委員会が定年後の道を,2年なり3年なりというのを保障してくれる。抵抗したら,具体的に提言したら,そのことに道が閉ざされることになるような感情を抱かせるような対応をするようではだめだ。そして,平等にということで,学校が一丸体制で教育できる,こういう状況をつくっていただきたいという私の願いですから,そのことについて,学校教育部の部長のところが窓口になるならなるということを含めて,いま1回聞かせていただきたい,こう思います。
それで,もう一つ,その統合教育の関係なのですが,幼稚園や保育園,これは統合教育やっている。とってもすばらしいのだ,これ。入園式に僕は楽しみで行く。どのぐらいぐちゃぐちゃになるか。もう集団ということになれていないから,障害のある子もない子も,もう本当に集団ということが成り立たないような状況。ところが,卒園式に行ったら,これが見事に集団ができ上がっている。それに対する先生方のかかわりというのが本当にすばらしいのだなと,こう思いますし,少なくとも卒園のときに,障害のある子とない子が,一緒の学校に行くと思っている,みんな。そしたら,急に何々ちゃんが行けないということがわかる。「どうして」って親が聞かれて,親が答えられない。幼稚園,保育園で,本当にすばらしい保育をやっていて,そして小学校で分離をしているという矛盾に一日も早く気づくべきだ。
統合教育は金がかかる。しかし,人づくりというのは金がかかるのです,一定程度。その決意なくして,このことできない。
そして,教室は,1人の先生ではできないのですよ,それは。副担任ということで,その人数によって,ぴしっと配置をして,連携とれるような状況つくっていかなきゃ。すべての教育をそういう形でやれって言っているのでないですよ。体力その他いろいろあるわけですから。そういう形で,統合という原則を踏まえて,そして,支え合う,思いやるという心を持ち合う,我慢するという気持ちを持ち合うというような形で集団というものが醸成されていって,大人社会になっていったときに,同じ場で働いたときに,しっかりと支え合っていけるという状況をつくる。少なくとも,「あいつはおれより全く生産力がない。あいつがいなければおれの負担が軽減される」と,こういうような思いがなくなるような社会をつくらなければいかぬわけだから,これからは。
だから,そんな点で,ぜひ,次長を中心にして全力を挙げて取り組むということですから,率直に期待をさせていただいて,このことは意見として強く申し上げておきたい。
前段の分だけ,部長。
◎岩崎
学校教育部長 窓口が私云々というお話でございましたけれども,前段でもお話し申し上げましたように,あくまでも情報提供をさせていただくと,これは,一般の教諭の先生であってもやぶさかでは全くございません。
したがいまして,そういう形での情報提供は,あくまでも,いわゆるそういう要求があった場合,要求ということは,求人があった場合についての情報提供でございます。それには努めていきたいと,このように考えてございますが,現在,既にご案内のことだと思いますが,新たな再任用制度の検討が始まってございます。この中で対応していくということも考えられますので,今後,検討課題にさせていただきたいと思いますが,先ほども申し上げましたように,あくまでも基本的には,情報提供という視点で押さえさせていただければと思います。
以上でございます。
◆猪熊輝夫 委員 検討するというのは,しないと一緒なのだよ。今まで僕,18年間かな,こうやって発言させていただいているけれども,検討するとか研究するというのは,やらないということだから。だから,少なくても,情報提供ならするというのなら,するということで,取り組んでくださいよ。もう少し本音でやろうや。そんなこと言っているようじゃだめだって。
ただし,部長は今,首,縦に振ってくれたから,答弁は要りません。よろしくお願いしたいと思います。
それで最後に,国旗・国歌の部分でずっと話聞いてて,僕とっても心配に感じているものですから,率直に申し上げて,見解があるとすれば聞かせてもらいたいと,こう思っているのです。
従前,
学習指導要領の中では,国旗・国歌についてはうたっている。
そして,入学式や卒業式というものが,例えば,入学式というのは,1年生が「うわあ,楽しそうだ」と,「これから,何いろいろと楽しいことがあるのだろう」と,こんな胸膨らむような形でお迎えするというのが入学式ですよ。それで,すばらしく先生方,ご苦労いただいて,正面舞台というのは,本当にディズニーランドだ。本当に胸躍る。大人が見たって躍るのだから。子供なんてのは本当に「楽しいことあるな」と思えるように工夫してくれている。卒業式というのは,涙出るよ。(発言する者あり)卒業式には,6年生が後輩たちに向かって,これからの自分たちの学校の伝統というものをしっかりと,さらに大きなものにしてほしいという呼びかけするのだ。そしたら,5年生以下が,この1年間教わったという感謝含めて,何か具体的なことして,さらに,先輩,羽ばたいていってくださいと言って送るのだわ。そして,それを地域の人やお父さんやお母さん,僕もそうだけれども,胸熱くして,手ぬぐいで目ふきながら,「ああ,子供たち,とってもいい思い出できて,母校として誇り持てるようなそういう卒業式だったな」という感じで,僕は,これ8年以上通っていますから,僕は,とっても,いい卒業式だったなと,こう思っている。
しかし,正面に日の丸と,多分日の丸だけでなく,市旗も置くということを想定して言っているのだと思うのだけれども,そんな感じでやって,せっかく先生方が創造して,本当に豊かなものとしてつくっていこうということで,校長先生反対しているのでないのだよ,みんなで意見一致してやってきていることを,あなた方は職務命令というその一言で全部ぶち壊すということになっていく。(発言する者あり)僕は,そう思えてならないのだわ。(発言する者あり)
そして,この職務命令出てから,PTAのお母さん方,わざわざ僕のところへ来てくれた。「猪熊さん,少し心配だ」って,「どうなるのだろう」っていうような形で来たときに,僕は,「そうはならないと信じたいけれども,職務命令というのは怖いのだよ」と。「いろいろ調べていったら,処分というものを背景にして,職務命令出している。舞台がどうなるかということも心配だけれども,学校の先生方が心一つになるのでなくて,ばらばらになっていくということもまたさらに大変だ」と,僕は,そういうことをお話ししたのですよ。そしたら,「大変だね」と,「猪熊さん,それ何とかしてください」と,僕ひとりでは何ともならぬ,この頑強な教育委員会,改めてくれることはない。
そういうような点で,入学式や卒業式のああいった舞台というものが全部壊れていくような形なのか,それをやったら,処分の対象になるのかどうか,僕は,それが心配だから,少なくとも,まず一つは答えてほしい。
それから,もう一つ。
強制,すなわち業務命令,処分を背景にして何が生まれる。結論はどうあれ,友愛だとか共感などということが生まれて,温かい気持ちをお互いに持つことができるかと。決してそうではなくて,不満とか怒り,それ以外の何物でもない。抑えられ,処分を背景にして,「やれ」と言われて,何が残るかといったら,怒りとか不満が心の中にうっせきする,少なくとも。そういう形で先生方は教壇に立たねばならぬ。こういう状況になってくる。極めて悲しいことだと思う。
僕は,そんな点で,ぜひそうならないように,学校の先生方と十分話し合って,少なくても子供たちが犠牲になることのないようにしてもらいたい,こう考えるのです。
それで,どうしてこれだけもめるかというと,第二次世界大戦までの,いわゆる三国同盟やったドイツやイタリアは,言ってみれば,戦後,国旗あるいは国歌というのは,何らかの形で国民合意を経て変えてきているのだわ。変えてきている。日本だけは,アメリカの占領下で,天皇が象徴天皇という位置づけをされたけれども,国旗・国歌はずるっぺで来ちゃったのだ,これ,ずるずるっと。国民の中に,何の協議も提起もない。そして,僕は,このまま行ったら,慣習も,イギリスのような形で,憲法あるいはそれ以上だというような形でいくのかなと,こう思った。ところが,ある日突然,どう間違ったものだか,国会であんなことになった。そして,その強制はしないという形でとりあえずやっている。今まさに,処分を背景にして,学校現場では強制しようとしている。ここが問題なのですよ。
先生方は,第二次世界大戦が終わったときにどういう感情になったか。僕が勉強した範囲で言えば,子供たちを学徒ということで戦場に送ってしまった,私たちがもう少し頑張れば,戦場に送らないで済んだという痛みを感じて,二度と再び子供たちを戦場に送るまい,こう誓ったというの。そういった先人の思いから,今の先生方も,やっぱり平和って大事だと,子供たちを犠牲にさせてはいけない,この思いをずっと引っ張ってきている。
しかし,国はそういった節目をつくらないでここまで来て,今回,こういった節目になって,皆さん方がそれを大上段に振りかざしたというところに原因があるわけだから。
そんな点をやっぱりしっかり受けとめて,藤原君の質問ではないけれども,現場で,小学校の低学年の子供たちみんなに説明して,「さあ,みんなで歌おう」というような形ができるような,納得のいくような,国民合意というものをどう図るかというところがポイントなのだから。
そういうことをしっかりと受けとめて,各学校の責任者としての教育委員会が決断をして,矢面に立つというぐらいの気概を持つべきでないの。そういったことをできないで,文部省から何回も呼ばれて,やらざるを得ない。今やそうではないと,私どもの決意だと,ここまで変わってきたと。どうしてというような感じ,(発言する者あり)みんな持っている。
そんな点で,少なくとも,学校現場が,子供たちが犠牲になることのないような,そういう状況を何としても,策は今ないかもしれぬけれども,悩み抜いてつくってもらいたいと思うが,教育長,そういった点での考え方,聞かせてください。
◎山 教育長 私は,基本的に,やはり教職員は,先ほどもお答え申し上げたところでありますが,人格,識見ともにすぐれている方が,子供中心に,子供を真ん中に据えて教育というものに熱意を燃やし,また仕事を進めている方だと思います。そうした意味では,混乱が起きる,あるいはつらいことがあるというお話でありますが,私は,今回,そうした教師としての目的意識のもとで,国旗・国歌について正しい指導をしていただけるものと信じております。
また,子供がつくっている,今の,例えば入学式・卒業式のお話ございましたが,こうしたものについて,校長,各教職員が,子供たちを中心に据えた場合に,一概にそれを壊すということの中で国旗・国歌が実施されるというものではないと。それは,先ほどお答え申し上げましたとおり,教職員と知恵を出し合いながら,校長に,人格者,識見を持った人間として判断をいただき,子供たちに喜ばれる卒業式・入学式を実施していただけると,私は,そのように思っております。
◆猪熊輝夫 委員 教育長,それね,率直に言って詭弁なのですよ。処分を背景にして職務命令出しておいて,校長はきちんとやってくれるというのは,それは僕は詭弁に聞こえる。この結果,何が生まれるかというと,残念ながらゾンビ族の集団になるのだわ。太鼓持ちだとか,仕事するふりしたり,石頭の集団になってみたりね,いわゆる徒党を組んでやらないと物ができなくなったり,あるいは(発言する者あり)秘密主義だとか,効率のみを追い求める。(発言する者あり)札幌市の教育委員会自身も,ある面では,そういう形態になっているのかもしれぬよ,これ,こういう感じで進めるというのは。
だから,僕は,少なくてもそういう点で,(発言する者あり)少なくても,学校現場が創造性豊かに,校長先生が提案したときに,「先生,それもいいけれども,こうやったら,なおよくなる」という提言をしながら,子供たちにしっかりとこたえていくような,そういう職員会議になっていかなきゃいかぬのだわ。
しかし,校長先生が決めたことを周知する機関,こういう形だけを追い求めるかのようになっていっている。残念ながら,職務命令,処分を背景にするということは,そういうことだから。いわゆる人間関係すべてを壊す。今までやっとこうやって築いてきたものを,取り返しつかなくしていくという点。
そして,そんな点で,労使の関係でのやり方含めて,少なくても,もう少し創意工夫をして,互いの信頼関係を前提にして,話し合いというものが煮詰まっていくような形にされるように(発言する者あり)強く求め,周りがとってもうるさいのだけれども,委員長は何の注意をしないのが残念だが,私の真意を受け取ってもらって,今後しっかりやっていただくことを強く求めて,終わります。
◆生駒正尚 委員 私は,小学校の統廃合問題と日の丸・君が代についてお尋ねします。
最初に,日の丸・君が代の問題です。
最初に,教育長にまずお尋ねします。
一つは,教育長の答弁で,子供にも強制が部分的には及ぶという答弁ですが,これについては相当この間やってきております。
それで,いま一度お尋ねしますけれども,教育ということはあくまでも指導であって,そこにいろんな枠づけなんかがあるにしても,教育に直接強制,とりわけ子供に強制が及ぶというのはなじまないと思います。
それで,相当修正してきていますから,答弁,思い切って,一番最初の,子供にも強制がある部分及ぶという,この部分は,やっぱり撤回すべきだと思うのです。この点,改めて伺います。
2点目は,きょうのこの委員会ですが,私も共産党議員団事務局十数年,議員で十数年やってね,二十数年,26年かな,ここにいますけれども,こういう場面は初めてですわね。これね,校長先生がたくさん来ておりますし,現場の教職員の皆さんも来ております。一緒に,そろって傍聴するというのも初めてだし,大量に校長先生に席を占められるというのも初めてだし,まことに異常な事態だと思うのですよ。(発言する者あり)
そこで,私は,びっくりしているのですよ。これは,いかに去年の3定の答弁で,市長も,それから
学校教育部長も,法制化はされたけれども,取り扱いは国の方でも変わらないと。したがって,市長が,市民の皆さんにそういう強制ということは毛頭考えていないと。
学校教育部長,今の次長ですよ,これも教職員にはそういう強制は及ばないと言ったのですよ。これを変えたわけでしょう。大変な重大な変更なのですよ。(発言する者あり)それについてるる聞かれて,るる答えているけれども,答えになっていない。
そこで,いかに重大な変更が起きたかというのは,きょうのこの委員会の姿を見れば,そこに示されているというように,私,思います。それで,この点,どういう感懐を持っておられるか。教育長も,市の行政職始めて,ずっとやってきて長いと思うのですが,こういう場面,初めてだと思うのですよ。このことについての感懐を伺います。
二つ目は,これだけの校長先生が来ている,教職員の皆さんが来ている。現場教職員は,やはり大変な危機感を持っていると思うのです。日の丸・君が代の職務命令と。日の丸・君が代ということ自体に問題があるということと同時に,管理規則の改悪によって,一般民主主義,教育現場の民主主義は一体どうなるのかという危機感を持っておられると思います。
それから,校長先生の中にもいろんな方々がおられて,そして,内心じくじたる思いをされている方もおられる。いろいろあると思うのです。
こういう傍聴の状況なっておりますが,教育委員会として,先ほど校長先生何人かに聞いたら,休暇をとって来ているということですから,職務命令がよもや出されたのかな,出されてはいないだろうと思っていましたが,そうでないみたいです。
それで,教育委員会として,きょうの委員会審議について,校長先生に対して,連絡をとったことあるか,通知したことあるか,案内をしたことあるか,呼びかけたことあるか,このうちどれかやったことあるか,この点,お尋ねします。
三つ目,(発言する者あり)やはりきょうの事態見ると,今後どうなるのかということは,現場にいる方々がそれ相応の受けとめ方をしていると思うのです。その点では,まことに重大な変更を,何ら納得し得る説明をされないで態度を変更したと。したがって,職務命令の撤回と,それから学校管理規則の改悪を改めて撤回することを求めたいと思いますけれどもいかがか,まずお尋ねします。
◎山 教育長 1点目の子供に対する強制という言葉について,そうした考え方の撤回を求めるということでありますが,私は,お答えをこれまで申し上げてまいりましたが,この国旗・国歌の指導は,子供の内心の自由まで侵し,またそこに立ち入って行うものではなくて,あくまでも指導要領に沿って行う教育指導上の課題だということで進めたいということであります。
したがいまして,学校教育として必要な教育指導上の課題を進めることにつきまして,これを撤回するという考えはございません。
ただ,子供の指導に関しましては,子供の一人一人の状況を慎重に判断して,教育的な配慮に基づいて適切に対応していく,これが内心の自由を確保する上で留意しなければならないことだという認識は持ってございます。
また,きょう,多くの校長先生,各教職員の皆様,そして市民の皆さんがここにおみえになっていることは,私も驚いております。ただ,この問題について,やはり非常に,社会における大きな,また札幌における大きなテーマであるということで,関心をお持ちになっておられるということは強く感じます。そのように存じます。
それから,校長に対して何らかの働きかけをしたのかということでありますが,それは全くございません。(発言する者あり)
それから,職務命令と学校教育の教育規則の改悪だということで,それを撤回せよということでありますが,職務命令につきましては,国旗・国歌の適正な指導を求めるという職務命令でありますので,これは
学習指導要領にのっとって行うものであり,撤回する考えはございませんし,また,改正された学校管理規則につきましても,これは撤回することなく進めてまいりたいと,このように存じます。
以上でございます。
◆生駒正尚 委員 ご答弁いろいろいただきました。何ら知らせてないと。どうして来たのでしょうね。
それから,最初の子供にかかわる強制の部分というやつですね,撤回するつもりはないということなのですが,ずっと答弁言い直してきていますよね,何回かね。きょうで4回目,言い直していますよね。
最初は,強制という言葉は,公教育なので,嫌いなことであっても応じなきゃならないことだとか,その次に,うちの宮川議員に,教育指導上の一定の制約を受けることもあると。その次に,宮川議員の再質問には,子供の側から強制であるというふうに受けとめる部分もあるとかね,一定の制約を受けるものと,こう言ってきていますね。きょうの答弁でも,やっぱりそういうことでした。
そうしますと,最初の,子供にかかわる強制というのは,指導上の問題で,強制という言葉はなじまないのですよ,子供に対しては。指導なのですよ,あくまでも,それは。そういう意味で,すっきりここは撤回した方がいいということを言っているわけですが,(発言する者あり)ただ,今までの答弁見ると,教育長が,あの本会議で言い間違ったということもあるのですよ。(発言する者あり)その後,3回,4回というふうに答弁修正してきている。答弁修正なのですよ,これは。
そういうことになると,どうなるかといったら,答弁は,めろめろということなのですよ。今になって,最初の部分は,撤回することはできないと,これは言えるでしょう,そこに戻るとね。だけど,内容的に見ると,もうめろめろ。
したがって,ここでもう1回聞きますが,そういう意味で,事実上の修正であり,事実上の撤回であるというふうに私は理解するのですけれども,それでよければ答弁に立たなくていいし,いや,そうじゃないというのであれば,答弁に立っていただきたいと思います。
◎山 教育長 当初,本会議におきましてお答えしたことにつきまして,大変混乱した状況でありましたが,私が申し上げたことは,表現といいますか,言い方をいろいろかえているということでございますが,基本的には全く同じでありまして,変わってございません。
したがいまして,強制という言葉は,子供にとって強制と受けとめられる部分もあるというふうに私は申し上げたのでありまして,子供の側のとらえ方として,そういう部分もあると。公教育は,そういう性格をもともと持つものであると。いわゆる基礎的な生活習慣を身につけさせる上で,子供にとってはしたくない,嫌だということも,やはりそれは社会性を身につけていく上で必要なわけでありまして,しつけの問題も含めて,子供にとってはそういうふうに受けとめる部分もあるというふうに私は思っております。今でもその考え方は変わりません。
◆生駒正尚 委員 この問題だけは,ちょっとけりをつけますけれども,そうすると,子供にとってはそう受けとめられることがあるという,そういう意味ですよね,説明は。そうすると,子供に対して,指導によってこの問題,日の丸・君が代の問題ですよ,今やっているのはね,の問題で強制されることはないと,そういうことですね。
◎山 教育長 強制という部分は,教育指導上の中でそう受けとめられる部分があると申し上げているのでありまして,あくまでも,子供が持っております思想・信条等の内心の自由は,これは,間違いなく保障されるものだということであります。
◆生駒正尚 委員 ちょっと違うのでないかと思うの。内心の自由があろうが,教育上の問題であれば,子供には強制してはならないのですよ。子供が強制的と受けとめる場合があるというのであれば,それはあるかもしれない。しかし,今やっている問題で,強制をすると。指導上で強制があると。つまり,強制があるのに,それを指導する。つまり,強制をする。そういうことをおっしゃっているのではないのでしょうと聞いているのです。(発言する者あり)
◎山 教育長 おっしゃるとおりであります。
私は,子供にとっては強制と受けとめる部分もあるということを申し上げたので,公教育で行う教育指導というのは,強制だというふうに私は思っておりません。
◆生駒正尚 委員 そこで,事実上,最初の答弁が修正,あるいはその内容は,今の教育長の答弁で,強制はないという意味の説明があったと思います。
それで,順次質問しますが,いわゆる基本問題と,今後どうなっていくのかという具体的問題がこれは生じてきます。その問題にかかわってお尋ねしたいと思いますが,いわゆる内心の自由というのが随分言われております。憲法と教育基本法とのかかわりですね,日の丸・君が代の。
それで,教育長は,きょうの答弁でも,日の丸・君が代についての指導は,法的拘束力を有する
学習指導要領に基づいてと,これ繰り返し言っております。
学習指導要領というのは,文部省の文書なのですよ,文部省の文書。それが,歴史的な流れの中で,文部省が,それを法的拘束力を有するようにそういう力を加えて,そういうものになり得るようにしてきたという歴史があると,私は思っています。
したがって,一度聞きます,これでね。1点目は,
学習指導要領は法律ですか。これは質問です。(発言する者あり)質問です。
それから,日の丸・君が代の尊重を指導すると,指導要領に基づいてね,そう言うけれども,実際に国旗及び国歌に関する法律には,これ条文持ってきましたが,ここには,尊重という言葉は入っていないのですよ。大きな議論があったのですよ。自民党は入れたかったのです。だけども,あの国会で入れられなかったのですよ。そういう議論があったのですよ。これは事実なのですよ。
そうすると,法律にはそれが入っていない。
学習指導要領は,法的拘束力を有するというふうに言っていますが,今,国旗・国歌にかかわってつくられた法律に尊重ということが入れられなかった。なぜかというと,尊重ということで価値観が生ずるのですよ。私は,尊重したくないですよ,はっきり言って。いろんな歴史があるから。だから,これ,そういう価値観が生じる。したがって,その価値観について国会の中でもドンパチとやったわけですよ。だから,入れられなかった。
ここを踏まえれば,新しい法律に入れられなかったこの尊重を,何ゆえに
学習指導要領の規定によって,文部省,そして教育委員会が指導できるのですか。これね,
学習指導要領自身が新しい法律と矛盾しているのですよ,中身的に言うと。法を越えているのですよ,この国旗・国歌にかかわる。そう思いませんか。これ自体が私は問題だと思いますけれどもいかがか,伺います。
2点目。
尊重の文言が,これは内心の自由にやはり触れる部分なのですよ。つまり,中正的・中立的というか,黙って見れない人がいるわけですよ。そうすると,つまり,憲法で言う思想・良心の自由,あるいはこの内心の自由──結局,価値観が入ってきた場合に,どうして尊重できますか,これ問題あると考えている人が。
だから,これ,単なる文言の問題でなくて,そういう尊重という言葉を,
学習指導要領が現行の国旗・国歌法を越えてやっている。そういうことから,このことの論議が始まった段階で,やはり多くの問題を提起する人はいます。そういう人たちの内心に対して,
学習指導要領に入っている尊重ですね,触れていくことになるわけですが,どうしてこれ,そこの自由は認めているのだと繰り返し言いますけれども,内心までわかりますか,教育委員会の皆さん,一つ一つ。
この点,結局,その心の中もわからない人が侵さないと言ったって,どんなふうになっているかわかるのですか,これ。この点,伺います。
3点。
文部省の文書,言ってみれば
学習指導要領ですけれども,これ,本当に最初は文書だったのです,単なる。ですから,これを文部行政の中で,それから繰り返される自民党の要求,この中で,そういう拘束力を持つものと,今答えているようなものになってきたのです。ですから,簡単に言うと,これはもともと憲法違反,教育基本法違反,こういう状態だというふうに思っています。
日の丸・君が代を何としてもやらなきゃならないという人は,今,これと別にやっていることは,教育基本法の改悪,それから,現行教科書の採択制度の改悪,現行歴史教育への攻撃,こういうことをやってきている。その主張と一緒なのですよ,これは。したがって,今や憲法が危ないと言っているでしょう。そういうところが,国旗・国歌ということで日の丸・君が代を通そうとしている。日本の国民にとって,今のニュースずっと見ていると,わかるでしょう,そういう極めて危険な,教育基本法10条,(発言する者あり)それから憲法に違反する,(発言する者あり)そういうものだと思うのですけれども,改めて伺います。
◆千葉英守 委員 (関連)今,内心の話も出ましたし,それから,
学習指導要領の話が出ましたので,生駒さんの考え方もあるかもしれませんけれども,私なりの考え方を申し上げたいと思います。
今,論議をいたしております国旗・国歌の問題でありますけれども,全国の実施状況を見ましても,どこの県も政令都市も,ほぼ100%の実施状況になっておりまして,今この論議をしているというのが,もう私自身もちょっと歯がゆい思いもするわけであります。(発言する者あり)
学習指導要領の中に特に定められているわけでありますけれども,小・中学校の社会科あるいは小学校の音楽科,入学式・卒業式における指導と,こういうことで,国旗・国歌の問題が取り上げられているわけでありますが,私は,これからの日本の21世紀の教育の問題として,国際理解教育ということを取り上げても,やはりさまざまな観点から国旗・国歌というのを子供たちに教えていかなければならぬものだろうと思っています。(発言する者あり)それは,それぞれの国の歴史あるいは我が国の歴史等々を勉強していく上で,日本の国歌ってどうだったのだろう,国旗ってどうだったのだろうと,子供たちというのは,そういうことを学びたいという思いがあるわけでありますが,実際なかなかその部分に触れさせてもらえないという,そういう不満というか,そういうものを感じていることも事実であります。
ですから,私どもがここで申し上げたいのは,国際教育を行っていくためにも,この学習指導領の範囲の中だけで教育をするというよりも,もう少し広い範囲の中で,この国旗・国歌というものに触れさせていく,あるいは教育をしていくということが大事なのだろうと思っています。
と申しますのは,私,先般,中国の瀋陽,札幌市との友好都市20周年で参りまして,瀋陽の小西路小学校というところに参りました。約800人ほどの子供たちが学んでいる,中規模ぐらいの学校でありますけれども,その子供たちが,ほぼ全員と言っていいほど,外から中にかけて並んで,ようこそいらっしゃいましたということで,大歓迎をしていただいて,私も大変胸が熱くなる思いでございました。そして,短時間でありましたけれども,子供たちが歌を歌い,そして踊りを踊って,さらには楽器を使って日本の歌を演奏してくれたわけであります。そして,最後には,中国の国歌と,そして国旗を掲げて,そういうようこそいらっしゃいましたという大歓迎を受けたときに,まさにこれが本当の教育だなという気がいたしたわけであります。
まさに今,中国は,世界に伍して,(発言する者あり)いや体制は違います。違いますが,しかし,子供たちが教育を受けて,そして,目を輝かせているあの姿は,共産主義であろうが,自由主義であろうが(発言する者あり)同じだと,私は思っております。(発言する者あり)今,日本の子供,札幌の子供たちに,あの輝かしい瞳をもう一度復活させるためにも,やはり我が国に誇りを持つ,そういう教育を推進することが大切だなと,こう思っておるところでありまして,(発言する者あり)そこで,質問でありますけれども,この
学習指導要領に特に定めている以外の国旗・国歌の指導について,本市教育委員会はどのように考えておるのか。さらには,学校における日章旗及び君が代の歴史的由来の指導,これは,戦争以前の,やっぱり君が代ができたそのときからのさまざまな歴史的背景も含めて,そういう歴史的な経過についても幅広く子供たちに教えていくという,そういうことが大切だろうと思いますけれども,この考え方について,教育委員会はどのように見解を示されているのか教えていただきたいと,こう思います。(発言する者あり)
◎高橋
指導担当部長 まず,1点目に,二つご指摘がございました。
学習指導要領は法律かと。それから,憲法19条あるいは教育基本法,上位法に違反していないかという問題点,まずお答え申し上げます。
先ほど来申し上げておりますが,平成2年の伝習館高校事件最高裁判決において,「
学習指導要領は法規としての性質を有するとした原審の判断は,正当として是認することができる」と示されておりますことから,
学習指導要領が法的拘束力を有することは明らかであるというふうに認識しております。
上位法に違反しているのではないかというご指摘でございますが,先ほども大嶋委員のご質問にお答えしたところでございますが,国旗・国歌法は,国民に対して義務規定や尊重規定を定めておりませんことはご承知のとおりでございます。ただ,国旗掲揚・国歌斉唱の指導につきましては,私どもあくまでも学校教育における指導上の課題であり,学校教育法を受けた
学習指導要領において,我が国の国旗と国歌の意義を理解させ,これを尊重する態度を育てると,こういうふうに明記されていることから,これにのっとって指導を行うものであります。
したがいまして,国旗・国歌を尊重する指導は,憲法19条と教育基本法10条に反するものではないと認識いたしております。
2点目の,子供の内心の自由という問題でございました。
私たち,先ほどから申し上げておりますが,子供たちが日本国民としての自覚と誇りを持って,国際社会に生き,活躍する上で,自国の国旗・国歌に対する理解と尊重なくして,他国の国旗・国歌,その国の人々を愛する心は持ち得ない。したがって,国旗及び国歌に対して一層正しい認識を持たせ,それらを尊重する態度を育てることは重要なことと,こうした認識のもとで,法的拘束力を有する
学習指導要領に基づいて,国旗・国歌を適切に指導することは,公教育を行う学校に課せられた責務であるというふうに考えております。あわせて,教育公務員としての職務上の義務であるというふうに考えております。
ただ,この国旗・国歌の指導におきましては,子供の内心にまで立ち至って強制しようとする趣旨のものではなく,あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくものであるというふうに考えております。
3点目の千葉委員のご指摘でございますが,歴史認識ということでございました。
歴史教育については,客観的,学問的な研究成果を踏まえながら,事実は事実として正しく指導すること,また,児童・生徒の発達段階に応じて指導することが重要であること,戦前・戦後の客観的な事実については,子供たちにしっかり教えていかなければならないことと考える,こういう意味で,歴史教育,特に近・現代史を正しく日本の児童・生徒に教えることも国際理解を深める上で極めて重要であるという文部大臣見解がございまして,これに異なるものではないというふうに考えております。
以上でございます。(発言する者あり)
◎岩崎
学校教育部長 いわゆる
学習指導要領に書かれている以外の国旗・国歌等の指導については,まさに以外でございますので,いろいろな場面で想定されるかと思います。
例えば,学校行事等,あるいは新しく設定されます総合的な学習の時間の中でも,当然,国際理解教育の一環として行われることが想定されますし,あるいは,学校を離れて,いわゆる国際交流の中でも,当然,そういう認識がはぐくまれると,こんなふうに考えております。
以上でございます。
◆生駒正尚 委員 今の答弁で,
学習指導要領は法律ですかといったら,法律でないのですよ,これはね。いわゆる判例で,法的拘束力を持つものだ,つまり,法令的性格を持つと,こういうことであって,法律じゃないのですよ,これは。ですから,私,聞いているのですよ。
だから,法的拘束力を持つというのは,文部省の指令が,下の教育委員会や学校に向かって法的拘束力を持つという意味であって,今,国旗・国歌の問題では,これは新しい法律ができて,その中で,尊重も入れられなかったし,義務規定まで入れられなかったわけでしょう。したがって,この
学習指導要領は,それを越えるものじゃないのですよ。なぜかと。法律じゃないですから。法律であれば,どちらが優先するかという問題が出てくるのだけれども,問題にならないのですよ。つまり,法律ではない。これを私,指摘しておきたいと思います。
したがって,(発言する者あり)こういう法律でないものが,なぜ法律的な拘束力を持つようになったかというのは,さっき言ったでしょう。文部省の文書が,自民党や政府の圧力によって,そういう法的拘束力を持つものに仕上げられたのであって,私は,法律としては全然認めがたいものだということを指摘しておきます。
次に,教職員が,この職務命令のもとで,憲法第19条の思想・良心,いわゆる内心の自由が保障されるかのということです。答弁では,内心の自由を制約しないと言っております。
一つ質問,教職員が内心の自由に従って,日の丸・君が代を指導しなかった場合,許されるのか。これ単純な質問ですが,もうちょっと言っておくと,指導にもいろんな程度が出てくるのですよ,実際は。その場合に,これがきちんとした指導でない,これがきちんとした指導であるという線引きができるかどうかという問題も出てきます。そこで,ここでは単純に,指導しなかった場合,許されないと答えるのだろうね,許されるのか。
二つ,教職員が内心の自由に従って,日の丸の前に起立を求められて,起立しないことは許されるのか。これも同じことなのですけれどもね。
三つ目,君が代斉唱に当たって,沈黙は許されるか。これが内心の自由の保障というような感じで言われておりますが,沈黙は許されるのか。
四つ目,内心と違う,つまり自分の信条と違う,君が代の斉唱や日の丸に対する起立という物理的行為が,精神的苦痛を伴い,悩みを生じさせ,しかも教職員だけでなく,教師間でのあつれきや葛藤を生じさせる。これは職務命令のもとでは,特にひどくなると思うのですけれども,この悩み,あつれき,葛藤という部分は,内心の自由にかかわるものであるのかどうか。にもかかわらず,職務命令によって自分の意思,内心と違う方向に動くということは,これは職務命令だと思うのですけれども,これは内心の自由がもはや侵害されたということになるのではないでしょうか,伺います。
◎高橋
指導担当部長 教員の内心の自由について,私の方からお答えをさせていただきます。
委員ご指摘の,指導しなかった場合ということでございます。
先ほども申し上げましたように,
学習指導要領に基づいて国旗・国歌を適切に指導するということが指導要領に示されてございますので,しかもそれに基づいて指導するということは,公教育に求められている責務であると考えれば,教育公務員としては,それに基づき教育指導を子供に対して行うのは職務上の義務でございますので,そのように指導していただくように期待するところでございます。
なお,起立しない,沈黙をした場合というご指摘でございましたが,私どもとしては,このたびの職務命令は,教育長,次長からも何度も申し上げてございますように,校長に対して発したものでございまして,教員に対して職務命令を課したものではないところでございますので,教員は教育公務員としての責務と自覚のもとに教育指導を行うものであり,教育上の効果の上から,子供にみずから範を示すことを期待しているものでございます。
以上でございます。
◆生駒正尚 委員 そしたら,教員には期待するということでいいのですね,これ1点ね。
それから,校長先生にも同じように内心の自由があるのですが,これは職務命令で内心の自由を奪うということですか,伺います。
◎高橋
指導担当部長 学校長に対してのご質問でございますが,これは,先ほどから申し上げておりますように,学教法によりまして,校長は,校務をつかさどり,所属職員を監督するという職分を担っております。この国旗・国歌は,学校行事でございますので,教育課程の一部分でありますけれども,この教育課程の編成の権限と責任は校長にございます。したがいまして,この国旗・国歌の問題については,先ほどの政府の答弁,もう一度繰り返させていただきますが,「一般に,思想・良心の自由は,それが内心にとどまる限りにおいては,絶対的に保障されなければならないと考える」と,こういう見解とともに,「それが外部的行為になってあらわれるような場合には,一定の合理的範囲内の制約を受け得る」と述べておりますことから,私どもといたしましては,校長は,校長職として,学校運営の主体者として,ご自分の判断で,国旗・国歌の推進を図っていただけるものと考えております。
以上でございます。
◆生駒正尚 委員 学校長さんは制約を受ける。結局,内心の自由にかかわって,それは制約を受けるということですから,内心の自由は侵害されるということなのですかって聞いて,もう一度聞きます。
◎高橋
指導担当部長 私,法律の専門家でもございませんが,ただ,私どもの考えております内心の自由と申しますのは,例えばの話で大変恐縮でございますけれども,私が今,ここでお話を申し上げているこの心の内の部分を内心というふうに考えておりますので,(発言する者あり)当然,私どもが行動を起こしている,外部的行為になってあらわれている部分では,私の心の内はどなたにもわからないわけであります。(発言する者あり)したがいまして,外部的行為となってあらわれた場合,それは,教育公務員としての姿勢が外部的行為になってあらわれているのであろうと,そのように考えております。
以上でございます。
◆生駒正尚 委員 つまり,二重人格をやれということなのだけれども,(発言する者あり)つまり,内心の自由は,どう見ても制約されるのですよ,職務命令によって。(発言する者あり)
ですから,先ほどから言っているように,国旗・国歌の法律の上に立たない,法律でない
学習指導要領に基づいて,その職務命令によって,校長先生の内心の自由は侵害されるというのが今回の事態なのですよ。幾ら憲法違反じゃないとか,教育基本法10条を侵すものでないとか言ったって,結局その重要部分である内心の自由,ここを侵すものだということを今の答弁でははっきり言っていますからね。重大な問題であり,とてもこれは容認できるものではありません。
次に質問進めます。
次,三つ目は,日の丸・君が代というものについてです。
これさっき「さざれ石の」からずっと出ていましたけれども,この君が代・日の丸についての説明で,先ほど答弁もありました。教育長も次長も言っておりますが,国際社会の中にあってと,殊さらこう言っていますね,自国及び他国の伝統と文化を理解し,互いに尊重し合うことが大切だと,そのことを教えるのだということなのですが,そこで聞きます。
一つ,日の丸・君が代が日本の伝統文化,国民性を象徴するというのが,どんな内容のことを言っているのか。
二つ目,日の丸・君が代を戦前の軍国主義,天皇絶対の体制のシンボルと見ている国民がいることは知っているか。
三つ目,日の丸・君が代が,戦前,不幸な戦争の旗印となってきた歴史的事実,天皇絶対の体制のシンボルであったという歴史的事実,これは消すことができないと思うが,どうか。
四つ目,教職員がこうした歴史的事実について,科学として生徒に指導することは当然のことと思うが,許されるのかどうか。
五つ目,国際関係のことがかなり言われておりますけれども,特に東アジアの国々は,日本の動向に敏感です。日本が侵略戦争の反省をしていないと見られる政治家などの言動に対して,特に敏感です。国際関係というのであれば,日本の国家が行った,この点での反省がなければ,東アジアにおける友好は本物にならないという実態に実際あります。真に国際的な子供たちを育成する上では,歴史の事実は知らせなければならず,そうした日本の侵略の象徴であった日の丸・君が代の実像を事実として教えなければならないと思うが,どうか。
◎高橋
指導担当部長 日の丸・君が代と日本の伝統文化,国民性との関係でございます。
国旗・国歌は,いずれの国でも,その国の象徴として大切に扱われており,国民のアイデンティティーのあかしとして,重要な役割を果たしていると考えてございます。
平成10年の中教審答申においては,「我が国は,継承すべきすぐれた文化や伝統的諸価値を持っている。誠実さや互いを思い合って協調する和の精神,自然を畏敬し,調和しようとする心などは,我々の生活の中で大切にされてきた」と述べられております。
私どもも,我が国は,長い歴史の中で,生活を通して培われた衣食住にかかわる文化や独自の言葉の文化など,他の国とは異なる文化を生み,伝統として継承されてきたものと理解しております。
したがいまして,こうしたことを踏まえまして,我が国の伝統文化,国民性であるという言葉で,包括的に表現したものでございます。
2点目の歴史的な事実に対する認識と評価でございます。
日の丸・君が代のシンボル,歴史的な意味ということでございますが,先ほどもご答弁申し上げましたけれども,この歴史的な事実に対する認識と評価につきましては,歴史認識や歴史観の問題として考えるべきであるというふうに考えております。したがいまして,教育委員会として言及する立場にはございません。(発言する者あり)
なお,国旗・国歌の指導は,教育指導上の課題として,これと区別して考えていくものであるというふうに考えております。(発言する者あり)
3点目でございますが,歴史教育,特に近・現代史の指導との関係でございました。
これは,先ほども申し上げたところでございますが,教員が子供にどう指導するのかということにかかわって,あわせて申し上げますと,先ほど文部大臣の見解を申し述べましたように,従来から,近・現代史の教育につきましては,
学習指導要領に基づきまして,国際理解と国際協調の観点から,客観的な事実を正しく指導するとともに,調和のとれた指導ということで充実に努めてきたところであります。
特に,歴史教育については,客観的,学問的な研究成果を踏まえながら,先ほどから重ねて申し上げますけれども,事実は事実として正しく指導すること,また,児童・生徒の発達段階に応じて指導することは重要であるというふうに考えております。
戦前・戦後の客観的な事実につきましては,文部大臣見解でも,子供たちにしっかり教えなければならないことと,ただし,国旗・国歌の指導については,これとは区別して考えるものという見解でございます。(発言する者あり)
以上でございます。
◆生駒正尚 委員 1番目の何とかのアイデンティティーとか言っているけれども,何も言わなかったよね。伝統とか何かって繰り返して,何も言ってなかった。
問題は,根拠がないのだ,日の丸・君が代が伝統なんていうのは。ヨーロッパの国は,第二次世界大戦以降,その時期に,それからフランス革命やったフランスは,いわゆる絶対主義的な王政時代から変わるときに,ほとんどの国が国旗も国歌も変えているのですよ。そういう意味で,つくられた今の旗というのはそういうものなの。日本は,明治でもって,これが強調された中で,軍国主義時代ですよ,ずっと,それをそのまま引っ張ってきたのがこれですからね。我々は,アイデンティティーの中に組み込まれる,そういうことを拒否する歴史を持っているのですよ,私たち共産党はね。
そういう意味では,(発言する者あり)個人じゃないのだ,歴史的にこのことをやってきたの。あなたが生まれる前からやってきたの。(発言する者あり)だから,これは全く中身をやっぱり答えていないという点では,答弁を避けられているということね,指摘しておきます。
それから,戦前の軍国主義,天皇絶対の体制のシンボルと見ている国民がいることを知っているかと聞いているのに,なぜ,いること知っていると言わないの。僕もその国民の一人だから。私たちがはっきりこれはこういうものだというふうに何回も指摘しているの知っているでしょう。どうしてそういう人がいるということ知っていると言わないのですか。言及する立場にないというのは一体どういうことさ,もう1回答えてくださいよ。言及する立場にないということで,知っていることはしゃべらないということなの。知っているでしょう。だって知っているかどうかだもの,知っているのなら,知っていると言えばいいでしょう。
私は,このテーマで言った,いわゆる侵略と絶対天皇制礼賛のシンボルが日の丸・君が代と思っていますよ。僕ここにいますから。そういう国民もいるのかどうかと聞いているのだから,これは知っているか,知っていないか,もう一度聞きます。(発言する者あり)
それから,あと,客観的,学問的に事実を教えるというこの答弁で,まあいいでしょう,これはね。
今のやつ,答えてください。
◎高橋
指導担当部長 歴史的事実に対する認識,それから評価ということについては,いろいろなお考えがあるということは承知してございます。
ただ,このことについて,先ほどから何度も繰り返し申し上げますように,教育委員会として歴史観,歴史認識の問題についてこうであるというようなことに言及する立場にはございませんということを申し上げたつもりでございます。
以上でございます。
◆生駒正尚 委員 いや,次の質問に移りますけれども,結局,この一つの歴史的事実の内容には立ち入らないという答弁ですわね。
だけれども,問題は,ちまたでこうこうこういう人知っているかというふうに聞いていて,それで,私の歴史観はこうでありますということをしゃべることにならないでしょう。それは立ち入ったことにならないでしょう,そういう人がいるというのは知っていると言うのは。立ち入ったことになるのかね。それほど自民党やそういう圧力が強いのか,文部省のそういう強制的なものが重いのか,まことに遺憾な答弁であるということを指摘します。
次に,子供に対する,いわゆる不当な支配,内心の自由という問題についてお聞きします。
先ほども聞きましたけれども,これ子供に日の丸・君が代への尊重を教えると言っていますが,さっきも議論で,これ尊重ってどういう内容で尊重を教えるのですか。尊重という言葉だけ教えるのですか,これね。当然,ここには,尊重するのであれば,尊重する理由があります。でも,歴史とか文化,伝統と,こうやって教えるのですね。これでは,やっぱりいろんな言い方が,考え方があるわけだから,評価があるわけだから。尊重という中には評価が入ってくるのですよ,いや応なしに。尊重を教えるというのは,どういうふうに教えるのか,まず聞いておきます。
それから,二つ目は,子供は斉唱しない自由を内心の自由との関係で保障されるのか,それとも強制されるのか。
三つ目,子供は日の丸に対して起立しない自由を内心の自由との関係で保障されるのか。
まず,聞きます。
◎岩崎
学校教育部長 1点目の件でございますけれども,このことのみで子供たちを評価するようなことは当然ございません。
2点目,3点目,子供に斉唱しない自由,あるいは起立しない自由はあるかという点でございますけれども,何度も繰り返して申し上げてございますけれども,国旗・国歌の指導につきましては,子供の内心にまで立ち入って強制しようと,こういう趣旨のものではございません。
したがいまして,起立をしない,あるいは歌わないというような子供がいた場合に,その子供に対してどのような指導を行っていくかというと,あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくものであります。
さらにもう少し端的に申しますと,無理やり口をこじあけてでも歌わせると,そういうようなことは全く考えておりません。(発言する者あり)
いずれにいたしましても,内心の自由を侵して強制するものではございません。
以上でございます。
◆生駒正尚 委員 無理やりやったら,大変なことになるよね。
保障されるという,そういう答弁に聞こえますが,次に聞きますけれども,内心の問題というのは,先ほども言ったけれども,外から見えないのですよ。とりわけ子供の内心というのは,外から見てわかるのかどうかという問題なのですよ。どういう影響を与えるか。内心の自由を保障しているといったって,中で悩んだりなんかってこと,これが内心なのですよ。特に子供の内心の自由をどう保障するかという問題なのですよ。
そこで,お尋ねしますけれども,1976年の,いわゆる永山中学校の学テの問題,上告事件当時の文部省の御手洗初等中等局長は,国会答弁で,次のように答えています。「入学式や卒業式に,日の丸を前にして起立を求められて,起立するかしないか,君が代斉唱に当たって,歌うか口をつぐんだまま沈黙を通すか,それはあくまでも強制に当たらないということは肝要。児童に,精神的な苦痛を伴うような指導を行う,これは適切ではありません」,これは文部省の当時の初等中等局長が答えていますが,これはずっとそういうことで引き継がれてきていると思います。この当時で,こういうふうに言われております。
それで,強制に当たらないということが肝要だという意味なのですが,口をつぐむのも,立たないのも,認められるととれますが,これはいかがか。
次に,内心の自由を認めたとしても,問題があります。内心の自由を,今,答弁なんかでも認めます,認めますと言っています。認めた場合でも問題があります。それは,内心の自由,それを確保するために,沈黙の自由,これも守ると言っています。沈黙の自由,つまり斉唱のときに口をつぐむ,起立のときに立たない。沈黙の自由,これも認めると言っていますね。
しかし,この沈黙の自由をみんなの前で行使すると,一人一人が内心に持っている思想や信条を人々の前にさらすことになってしまうのです。見えてしまいますね。プライバシーの問題にもかかわって,職務命令や体制的に組まれた指導のもとでは,これは内心の自由を押しつぶして全体に合わせていくか,それとも勇気を持って内心の自由に従った場合でも,黙っていることが内心を外にさらすことになる。子供にこういうことが起こったら,どういうことになるか,問題ないと思いますか。
まさに国家的な教育への介入によって,子供の精神に痛苦を与えることがあり得るわけです,これは。(発言する者あり)こういう内心の問題を考えるのが大人の責任であると,私は思いますから,この点をお尋ねします。
◎高橋
指導担当部長 子供が国歌斉唱の際に,口をつぐんだり,起立しなかったりいうことは認められるのかというご質問でございますが,先ほどから述べさせていただいておりますとおり,国旗・国歌の指導は,子供の内心にまで立ち至って強制しようとする趣旨のものではなく,あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくものでございます。
あわせまして,沈黙の自由を行使することによって,かえって内心の自由を侵すことになるのではないかというご指摘でございますけれども,この問題につきましても,国旗・国歌の指導に際して,子供が単に起立をしなかったり,あるいは歌わなかったというようなことのみをもって,何らかの不利益をこうむるようなことが学校内で行われたり,児童・生徒に心理的な強制力が働くような方法で指導が行われることはあってはならないことと考えております。
したがいまして,子供への指導に際しましては,一人一人の子供の状況を慎重に判断し,あくまでも内心の自由を侵さないよう,教育的配慮に基づき,適切に対応していくべきものと考えております。
以上でございます。(発言する者あり)
◆生駒正尚 委員 内心の自由が見えますか。本当に一人一人の子供の中に起こっていることが,きちっと見れたら,今の教育問題なんか起こらないのですよ。現にいろんな,あってはならないことが起きているでしょう。
この日の丸・君が代の問題でも,本当に子供の内心まできちっと見て,今,これ危ないなとわかりますか。これ,わかるということを前提に,判断できると,内心の自由は守れると,こうおっしゃっているのかどうか。
私は,なかなかできないだろうと思うのですよ。難しいものがあると思うのですよ。そういう意味で,これは極めてデリケートな問題ですから,今言ったような,あってはならないことって,事あれば言うけれども,いつも繰り返されているでしょう。内心にかかわるこの問題は,本当にどういうことになるのかという,大きな問題が生じてくる,そういう要素を持っているのです。内心の自由,全部見えますか,聞きます。(発言する者あり)
○飯坂宗子 委員長 静粛にしてください。
◎高橋
指導担当部長 内心の自由が見えるかということでございますが,相手方,あるいは私の考え方がわからない,わからないから内心の自由であるというふうに考えております。
以上でございます。
◆生駒正尚 委員 わからないから内心の自由なんて,それがさらされるのですよ。いいですか。私が指摘しているのは,内心の自由ということ,自分の信条に基づいて,みんなの前で立たない,みんなの前で歌わないということは,暴露されるのですよ,その人の内心が。いいですか,そういうことになりますでしょう。そういうふうな場合に,本当にその人の痛苦,子供の悩みということがあらかじめわかりますか。それから,同じように行動している場合でも,その子供の内心がわかりますかって聞いているのです。
◎高橋
指導担当部長 先ほどもお答えしたところなのですが,現在でも,学習指導上におきまして,宗教上の理由から,格技等の教育活動に参加しない子供がいる場合においては,日常の指導の中で,子供の信条や考え方をきめ細かくとらえて,ほかの子供たちに気づかせないよう,保護者とも相談しながら,慎重に判断し,内心の自由を侵すことのないよう適切に対応しているところであります。
国旗・国歌の指導につきましても,同様の教育的配慮をすべきものと考えております。
以上でございます。(発言する者あり)
◎本間 教育次長 重ねて私から申し上げますけれども,ただいま内心の自由ということのみの議論になってございますけれども,これは本来,思想・良心の自由でありまして,いわゆる思想・良心の自由,あるいは信条の自由ということであろうかと思います。ですから,内心の自由ということは,いわゆる内心の自由ということでありますので,本来は,この議論は,思想・良心の自由を侵すかどうかという判断をすべきであろうかというふうに思っております。
また,生駒委員,内心が見えますかというご指摘でございますが,もし見えるというようなことになりましたら,それ自身が,いわゆる内心といいますか,思想・良心の自由を侵すことになるということになるわけでありますから,見えないからこそ,学校では,特に子供たちに心理的な強制力が働くような方法で指導が行われるようなことがないように,十分な配慮,慎重な配慮が必要であると,このように申し上げているところでございます。(発言する者あり)
◆生駒正尚 委員 実際上は,子供の心を尊重してというふうに出ましたけれども,段々の中で明らかになったのは,明らかに今回の職務命令による,そういう学校長への強制ということに伴って,極めて子供に対する,現場教職員に対する,そういう内心の自由を侵害する事態を起こす体制をしいたと,重大な問題であると,これを容認することは,私としてはできないということを指摘し,この問題,終わりたいと思います。
小・中学校の統廃合問題については,これは,質問用意しましたけれども,断固として,これ私どもは強行することに問題を提起しております。
ですから,この問題はまた別なところでやりますけれども,決してこの中央区における4小学校の統廃合問題を強権的にやらないということを強く求めて,終わりたいと思います。
○飯坂宗子 委員長 第1項
教育委員会費等の質疑を終了いたします。
以上で,本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが,あす午後1時から,教育委員会のうち生涯学習部及び中央図書館関係の質疑を行いますので,定刻までにご参集ください。
本日は,これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後10時48分...