札幌市議会 2000-10-05
平成12年第二部決算特別委員会−10月05日-02号
平成12年第二部
決算特別委員会−10月05日-02号平成12年第二部
決算特別委員会
札幌市議会第二部
決算特別委員会記録(第2号)
平成12年10月5日(木曜日)
─────────────────────────────────
●議題 付託案件の審査
●出席委員 34人
委 員 長 柿 崎 勲 君 副委員長 西 村 茂 樹 君
委 員 小 谷 俵 藏 君 委 員 常 本 省 三 君
委 員 高 橋 忠 明 君 委 員 武 市 憲 一 君
委 員 村 山 優 治 君 委 員 原 口 伸 一 君
委 員 三 上 洋 右 君 委 員 宮 村 素 子 君
委 員 横 山 光 之 君 委 員 堀 川 素 人 君
委 員 勝 木 勇 人 君 委 員 高 橋 克 朋 君
委 員 山 田 一 仁 君 委 員 長 内 直 也 君
委 員 伊与部 敏 雄 君 委 員 加 藤 齊 君
委 員 大 西 利 夫 君 委 員 小 野 正 美 君
委 員 村 上 勝 志 君 委 員 常 見 寿 夫 君
委 員 森 健 次 君 委 員 涌 井 国 夫 君
委 員 本 郷 俊 史 君 委 員 青 山 浪 子 君
委 員 荒 川 尚 次 君 委 員 小 川 勝 美 君
委 員 武 藤 光 惠 君 委 員 熊 谷 憲 一 君
委 員 岩 村 よね子 君 委 員 岡 千 陽 君
委 員 恩 村 一 郎 君 委 員 山 口 た か 君
──────────────────────────────────
開 議 午後1時
○柿崎勲 委員長 ただいまから,第二部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが,特にございません。
なお,審議に先立ちまして,審査方法について理事会で申し合わせをいたしましたので,ご報告をいたします。
質疑者及び答弁者は,起立して発言をしていただきます。
答弁を行います部長及び課長は,冒頭に職,氏名を名乗ってから発言をしていただきます。なお,答弁が続行する場合は,最初だけで結構です。
また,委員から特に答弁者を指名した場合は,その方に答弁をしていただきます。
以上,よろしくご協力をお願いいたします。
それでは,議事に入ります。
議案第1号 平成11年度札幌市各
会計歳入歳出決算認定の件中関係分ほか,付託議案5件を一括議題といたします。
最初に,第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費の質疑を行います。
◆宮村素子 委員 私は,福祉除雪について質問いたします。
このたび,福祉除雪の試行実施の内容が示されたところでございますが,この福祉除雪については,高齢者,障害者世帯で,自分で除雪ができないと,そういった世帯に対し,公道の除雪時に間口に積まれました雪の処理を行政が支援すると,そういうものでございます。
このたびの事業化に当たりまして,これまで多くの,市民の要望が強かったことでございますので,市民各層の有識者から構成されます市民委員会等でさまざまな論議がされた。また,民生委員,地域の町内会の役員の方々とも活発な意見交換をされて,そして一定の考え方をまとめられたというふうに伺っております。ですから,いろんな考えがあるかもしれませんけれども,市民の意見がある程度反映されているのかなと,そんなふうに考えているところでございます。
また,高齢化がどんどん進んでおりまして,自分で自宅周辺の除雪をするということは,大変につらい仕事でございますので,そういった世帯が,ますます今後ふえてくると思います。特に,除雪車が左右に積んでいきました雪は,重くて固くて,それを処理するのは,高齢者にとりまして,また障害者にとりましても大変につらい。それでなくても,除雪が市民要望の最たるものでございますので,今年度のこの試行実施を,私も大変期待しているところでございます。
ところで,今年度は,2,400万円の予算をもって,試行的に各区2連町,合計20地区,1,100世帯を対象に実施計画が出されておりますけれども,試行に当たり,大きな特徴と言えると思いますが,間口除雪の実施形態を,行政が直接業者に発注して実施します行政発注型と,地域のマンパワーの活用で対応する地域協力型との二通りを考えているようでございます。特に,地域協力型というのは,
有償ボランティアといいますか,今までの地域の支え合いの中で,有償ということが含まれてくる,今までにない市民参加方式をとるということですけれども,これら二つの形態につきまして,違いはどういったものなのか,さらに,地域協力員型を取り入れましたねらいは何なのかをお伺いしたいと思います。
また,その利用に当たりまして,市民に一部負担を求める内容となっているわけですが,福祉サービスの利用と一定の負担というのは,これから超高齢社会を迎えるに当たりまして,公平・適正の考えから,私はある程度必要なことと思っております。
ここで,考え方を確認しておきたいのですけれども,今回の福祉除雪の実施に当たっては,いかなる考えのもとに市民への一部負担が必要と判断されたのか,また,その金額を,非課税世帯では5,000円,そして課税世帯は1万円とした理由をお聞かせいただきたいと思います。
◎富山 総務部長 2点お尋ねでございますが,まず1点目,間口除雪の実施形態等の違いについてでございます。
行政発注型でございますが,これは,除雪対象世帯が決定した後に,行政が民間会社等に発注して除雪を行うと,こういうものでございます。地域協力員型につきましては,会社ではなくて,地域の方々を中心に除雪作業をお願いしたいと。行政発注型の作業内容と同じ内容で除雪ができる場合には,会社に支払う金額と同一の額を報酬としてお支払いしたいと,このように考えてございます。
次に,この地域協力員型を取り入れるねらいでございますが,地域の方々のマンパワーを有効に活用して,
コミュニティーを生かしながら支え合い活動を支援していくと,こういうものでございます。
2点目の,市民に負担を求めることについてでございます。
本市では,除雪作業,これは市民と行政の
パートナーシップを基本としてございます。生活道路の除雪は,公道確保のための除雪,こういうことで行政が行っておりますが,その際に残された間口の雪につきましては,市民に処理をお願いしているところでございます。
今回,福祉除雪として行う間口除雪は,特定の方々に対して新たにサービスを提供するということになりますので,公平の観点から,他の福祉施策と同様に,サービスを受ける方に一定の負担をお願いしたものでございます。
金額についてでございますが,課税世帯の1万円は,実際に要する費用を約2万円と見込んでおりますが,
パートナーシップの考え方から,その半額を負担していただくこと。また,非課税世帯の5,000円につきましては,半額まではいきませんが,スコップですとか,手袋ですとか,こういう除雪用具の実費分をご負担いただくと,こういうことで設定したものでございます。
以上でございます。
◆宮村素子 委員 ただいまお答えいただきましたが,一番は,この除雪。これからの除雪事業は,福祉除雪とはいえ,やはり市民と行政の
パートナーシップによって,今回は試行ですが,今後,水準を高めて,本当に高齢者,障害者の快適な冬の生活を支援していくというものにならなければならないというふうに思います。
そういうふうに考えますと,介護保険等でも,負担の是非が大変問われている状況でございますけれども,雪国の特徴として,雪は絶対降ってまいりますので,やはり利用する人の一部負担というのは,やむを得ないなと私は判断しているわけですが,いずれにいたしましても,市民の声を今後も十分に反映させて,よい施策に展開していっていただきたいと思います。
そこで,再度質問いたします。試行実施計画では,連町単位20地区を選定したわけですが,予算上の都合,また,この方法がいいのかどうかということもあって試行的に限定してということだとは思いますけれども,対象とならない地域でも,この福祉除雪への要望が当然あろうかと思います。この20地区について,どのような考え方で選定されたのか,お伺いします。
また,今回は20地区としても,この事業は多くの市民が本当に要望しているものでありますので,早期に本格実施へ移行していくことを期待するものですが,今後の本格実施の見通しはどうなっているのかもあわせてお伺いします。
◎富山 総務部長 1点目の試行地区の考え方でございます。
先ほど委員からお話しがございました,この試行の内容を決めるに際しましては,福祉除雪を考える市民委員会,こういうものを立ち上げております。この委員会から基本的な考え方が示されておりまして,その中では,
連合町内会単位を基本とすること,あるいは,高齢者人口の多いところ,一戸建て住居の多いところ,そして
ボランティア活動に熱心なところと,こういった要素を加味することといったご提言をいただいております。それに基づきまして,20地区を選定したところでございます。
2点目の本格実施の見通しでございますが,試行実施結果を十分検証した上で,この事業を20地区から市内全地域に,早期に拡大していけるように努めてまいりたいと,このように考えております。
以上でございます。
◆宮村素子 委員 早期に全地区に拡大していくと,そういったことでございますので,ぜひこのたびの検証を十分に行っていただきたいと思います。
そこで,要望でございますけれども,一つは,本市の除雪事業というのは,市民の十分な理解を得てと,そういうふうにおっしゃっておりますが,今後も,多くの市民が期待している新たな施策でありますので,きちんと検証していただきたい,そして,市民への十分な周知も,これからもっと進めていただきたい,そのようにして,本格実施をしていただきたいと思います。
そして,先ほど,業者がする場合と,それから地域の協力員型,その違いがありましたけれども,協力員型の方が,私は,やはり小回りがきくといいますか,いいのではないかなというふうに想像しておりますが,
地域コミュニティーの活性化を図るためにも,
福祉除雪利用者の近隣の人をも積極的に巻き込んで実施していっていただきたいなと,そんなふうに強く要望いたします。
そして,もう一つは,自分で除雪できない高齢者世帯を考えますと,やはり介護保険の適用を受けている,またデイサービスを利用していると,そういったことがあろうかと思います。介護保険が今スタートしておりまして,除雪そのものは介護のサービスの中には入っていませんけれども,多分にして,家に入っていくときに,その積み上げられた雪を乗り越えていかなきゃならない。じゃ,ちょっと雪をよけてとか,そんなことがあったり,今回はできたら12時ぐらいまでに間口除雪をしたいというふうに見通しが出ているようですが,訪問看護を推進しております
訪問看護ステーションなんかの話では,冬に困ることは,訪問看護をしている方は,一定の時間で行きますけれども,急に呼ばれて行ったとき,雪がやっぱり邪魔をすると,そういったことがございますし,デイサービスなんかの朝の迎えは,おおよそ9時ぐらいにはお迎えが来て,車に乗って,そして
デイサービス利用に行くということがこれからどんどんふえていくだろうと思います,当然この福祉除雪を利用する方々は。
ですから,その時間の配慮も,これからは十分していただきたいと思います。今回の試行段階の中で,どの時間帯が,より,このサービスを受ける方にとっていいのかということも,早くにすれというのは,大変難しいことかもしれませんけれども,そこも十分考慮に入れまして,ぜひ,市民に喜ばれる福祉除雪になるよう十分検証していただきたいと,それを強く要望しまして,終わります。
◆小野正美 委員 では,私は大きく3点,最初に障害福祉部にかかわって2点質問をいたします。
最初に,ことし3月の第1回定例議会でも,代表質問及び特別委員会で取り上げてまいりましたが,第1種自閉症児施設,つまり札幌市のぞみ学園の再編に関して,この間,現在までの検討状況について伺いたいと思います。
のぞみ学園については,再編に向けた当局の認識も伺ってますし,また,昨年策定をされた札幌市
療育支援体制基本計画検討委員会の答申の中でも,その方向性が提言をされ,その具体的な取り組みを強く求めてきたわけでありますし,今年度は,関係部局でのプロジェクトを組織して検討を進めていくということでありました。つまり,あとはもう実行あるのみ,具体化するのみでありまして,細かくは述べませんけれども,やはり,かねがね,私どもは,こののぞみ学園の再編に当たって,単に自閉症児の施設としての処遇環境を改善することだけで終わるのではなくして,この機会に,自閉症児・者全体,特に強度行動障害をあわせ持つ方々の処遇のあり方全般を見据えた取り組み方策の検討が必要と思います。
さらに,この施設をどうするかということとあわせて,こうした方々の地域での生活,これをどのように支えていくのか,あるいは支援していくのか,このことも論議されるべきと指摘もしてきましたし,このプロジェクトの中でも検討されてきているものと期待をしてきたわけであります。
質問ですが,第1点目として,このプロジェクトは,どの部局で構成をしたのか,また,重点的な検討課題をどのように設定をしたのか,お聞きをします。
それから,プロジェクトでのこれまでの検討経過について明らかにしていただきたいと思います。
次に,2点目の質問でありますが,
精神障害者地域生活支援センターについてであります。
地域で生活する精神障害者の方々にとって,残念ながら,精神障害に対する誤解や,あるいは社会的偏見はいまだ根強く残っておりますし,また,障害者の福祉施策についても,他の施策に比べておくれていると,不十分であると,そういうことが議会の中でも議論をされてきてます。そういう現状の中で,地域で家族ともども孤立した生活を強いられているという人も多くいるかと思います。
最近のいろいろな悲しい残念な事件・事故などを含めて,こういった時代を背景にして,特有の心の悩みや,あるいは病がふえる。そういった中で,保健予防と精神医療の面からの施策はもちろんでありますが,地域で安心して生活できるような支援体制が求められているわけであります。
今般,
精神保健福祉法の改正に伴って,社会復帰施設として法定化されました
精神障害者地域生活支援センター,これは,やはり地域で生活する精神障害者の方々の相談援助を行う拠点施設として位置づけられますし,地域にあって,本当に日常的な相談や助言を行う,あるいは,精神障害者の方々が本当に気軽に立ち寄って一時を過ごせる,利用できる施設として,こうした精神障害者の方々の社会参加を促す,あるいは,病状の悪化や再入院などを防ぐ上でも大変重要なものであろうと思います。
しかし,この
精神障害者地域生活支援センター,今回の法定化の中でも,規模としては,職員5名,そして,利用に当たっては,原則,登録制という運営基準がありまして,ある程度,利用する対象者というのは限られるわけでありまして,したがって,この箇所をより多くしていかなければならないということになるわけです。
国の
障害者プランでは,人口おおむね30万人に2カ所という目標数値が掲げられているわけでありますけれども,残念ながら,本市では,この5年計画では2カ所の設置のみであります。いずれにしましても,先ほど述べました重要な役割を考えますと,より多くの施設を早急に整備していかなければならないと思うのですが,今後の整備についてどのように考えているのか,まずお伺いをしたいと思います。
それから,次に,この5年計画で2カ所計画をされているわけですが,その1カ所については,
精神保健福祉センター,
夜間急病センター,保健所などとの複合施設として計画をされています。現在,大通西19丁目に技能訓練会館があって,これが東札幌地区に移転をすると。その跡地に建設をするということでありますけれども,この複合施設がどのように運用されるのか,あるいは,
地域生活支援センターの中心的な役割を担うものと期待をされるわけでありますが,このことが市民にとって,具体的にどのような意義があるものと考えられているのか,その点お聞きをしたいと思います。
◎佐々木
障害保健福祉部長 まず,1点目の,
のぞみ学園再編に関しますプロジェクトの構成と検討課題についでありますが,本年7月に,
障害保健福祉部,
児童福祉総合センター,そして
市立札幌病院静療院の3部の関係部課長でプロジェクトを組織し,のぞみ学園の今後のあり方,強度行動障害をあわせ持つ自閉症児・者の処遇のあり方,本市の
自閉症者対策等を重点課題として,これまで検討を進めてまいりました。
次に,プロジェクトの検討経過についてでありますが,重点課題の整理・解決に向け,きょうまで3回の会議を開催し,本市での自閉症者処遇のあり方や,のぞみ学園の位置づけを中心に検討を進めてまいりました。
また,プロジェクトでの検討会議と並行いたしまして,親の会の代表の方などとの意見交換も行ってきたところであります。
2点目の
精神障害者地域生活支援センターに関します今後の施設整備の考え方でございますが,今般の法律改正に伴いまして,その後,国におきましても,
社会復帰施設運営費補助については,施設利用者の処遇の向上を図る観点から,指導員等を増員するなど,大幅な内容改善が図られております。このように,施設の開設の意向を持たれている法人等にとりましても,整備環境が整いつつありますことから,今後は民間活力の有効活用も図りながら,できるだけ早く施設整備が進むよう,本市としても努力してまいりたいと考えております。
次に,複合施設としての意義についてでございますが,精神保健福祉の専門機関である
精神保健福祉センターと,
精神障害者地域生活支援センターが密接な連携を図ることにより,精神障害者の方々に対しまして,医療及び福祉の面から,より専門的な対応が可能となります。
また,今後,市内の
地域生活支援センター間における指導的・中心的な役割を担うことによりまして,
ネットワーク化が図られ,精神障害者の方々の社会参加・社会復帰の促進に寄与できるものと考えているところでございます。
以上であります。
◆小野正美 委員 ただいまの,
のぞみ学園再編に向けて,プロジェクトの検討経過などの説明がありまして,このプロジェクトとは別に,親の会代表者との意見交換を行ったという回答でありますが,これに限らず,やはり今後の
障害者福祉施策の見直しに当たっては,障害当事者だとか,あるいは関係者を含めた,市民参加による議論が必要だと思います。
こういった点と,それから,ことしの1定でも,多くの会派,あるいは委員からも指摘をしたように,早急に具体化を図っていくべきだということと,それから,親の会代表もそうですけれども,具体的に,それぞれこうした方々を処遇している施設の職員の皆さんとか,そういった関係者を幅広く巻き込んでといいますか,そういうような議論を早急に行っていく必要があるのではないかと。それも,単に内部のプロジェクトというだけではなくて,そういう人たちも含めた検討委員会というような形で設置をして,きちっと調査費もつけて,他の都市の関係する施設や施策,視察なども含めた,そういう取り組みをぜひしていくべきと思うのですが,この点どのようお考えなのか,明らかにしていただきたいと思います。
それから,
精神障害者地域生活支援センターについてですけれども,今,大幅に内容の,いわゆる運営費補助などの内容が大幅に改善されたという回答ですけれども,具体的に運営費の補助はどの程度の金額になるのか,その点明らかにしてください。
それから,5年計画で2カ所というのは,いかにも少ないわけでありまして,先ほども言いましたけれども,国の
障害者プランでは,人口30万に2カ所,つまり,180万都市札幌では,12カ所になるわけですね。5年計画では2カ所となっているのだけれども,12カ所必要と認識をしているのかどうか,この点明らかにしていただきたいと思います。それから,民間活力の導入などについても今言われましたが,例えば,手稲区のある医療法人なのですけれども,今,自己所有の施設を増改築している,そこに精神障害者の方の援護寮とか,あるいはショートステイなども可能な施設として,この10月にも着工して,来年2月から運営を開始をしたいという話も聞いているわけです。こういった民間活力といいますか,こういったことをやっぱり支援していくというか,連携していくというか,そういうことも必要だと思うのですが,この点どのように考えられているのか,お聞きをしたいと思います。
◎佐々木
障害保健福祉部長 まず,1点目の,のぞみ学園のプロジェクトの今後の方向についてでございますが,関係部局での議論継続とあわせまして,ただいまの親の会の皆さんや,あるいは専門的な処遇に当たられている施設の職員,さらには民間精神科の医師等の参加も得まして,自閉症者処遇のあり方の検討を進めていくことは重要なことだと認識をいたしております。したがいまして,ご意見のありました検討委員会の設置等の手法も十分に研究した上で,より多くの方々が議論される場として,プロジェクトの充実を図ってまいりたいと考えてございます。
次に,
精神障害者地域生活支援センターの運営費補助の金額でございますが,国及び市からの補助金として月額185万5,000円,年額にして2,226万円の運営費補助があります。この基準額で,少なくとも施設長以下5名の専門職の配置を行い,地域で生活をする精神障害者の方々の日常的相談や指導を行うことになります。
次に,今後の,5年計画以外の整備の必要についての認識でございますが,委員ご指摘のとおり,その必要性につきましては,私どもも十分に認識をいたしているところでございます。したがいまして,今後,事前に計画の申し出などある場合に,国の目標数値を念頭に置きながら,本市における適正な配置等を判断の上,個別の支援につきまして関係部局と協議をしながら整備に努めてまいりたいと考えてございます。
◆小野正美 委員 特に
精神障害者地域生活支援センターについては,先ほど言いましたけれども,手稲区の医療法人で,今,増改築の工事にかかろうとしている。その近隣の町内会も,町内会長を先頭に,さまざまな形で理解と協力を得るための努力もされているわけですから,来年2月に完成して,こういった援護寮なんかの運用を開始するわけですから,そういった時期に合わせて,ぜひ,この支援センターの開始もできるように支援をしていただきたい,また,そういう連携をとっていただきたいと思います。
次に,福祉除雪の試行実施に当たって質問をしたいと思いますが,先ほど議論がありましたように,市民への一部負担が盛り込まれているわけですが,これについても一定の理解をするわけであります。例えば,既に実施をしている江別では,一
シーズン当たり1万1,250円。これは,今年度から,課税世帯では1万8,250円,非課税世帯で1万250円ですか。それから砂川市では1万5,0001.5メーターとなってますけれども,もっと広い範囲でされているようです。ですから,単純に比較をすることができないわけですが,市民の利用者の方の一定の負担はやむを得ないものと思うわけですけれども,ただ,その中で,市民税非課税世帯に5,000円の負担をしていただくという点は,やはり問題があるのではないかと,再考すべきではないかと思います。
非課税世帯というと,所得が,年金収入で考えれば,年収約260万円以下ということになるわけですが,260万円以下というのは,非常に下がたくさんあるわけでして,相当低い所得であっても,生活保護を受けないで頑張っていらっしゃると,そういう世帯も多数あるわけですね。
具体的に,おととしの12月に出された,介護保険の計画策定に向けた高齢者生活実態調査報告書,この中には,施設と在宅の方があるわけですけれども,在宅の方の収入の調査によると,いわ18.3%,障害年金の方が9.6%と。金額にしても,年収100万円未満の方が32.5%,100万円から200万円未満の方が28.9%と,合わせれば60%の方が200万円未満なのです。生活保護の支給額,これは70歳の夫婦2人世帯で,住宅費は実費分だと思いますからそれを除いて,冬期加算などを含めて,1年間に,最低生活費として位置づけられているのが193万5,150円なわけです。つまり,こういった生活保護水準以下の収入で生活をされている方が60%,65歳で,確かに単身の場合もあるし夫婦世帯の場合もいろいろあろうかと思うのですが,そういった状況を考えれば,やはりこれ,5,000円といっても,負担を求めるというのは非常に厳しい面があるのじゃないかと。一戸建てと言われますけれども,連れ合いといいますか,多くは,ご主人が残してくれた家で,遺族年金で暮らしている方もいらっしゃるわけですから,ぜひこの点を見直していく。こういった方々も住みなれた地域で安心して生活をしていただけるようにこの福祉除雪をやっていくわけですから,ぜひこの点,考え直す必要があるのではないかというのが1点目です。
それから,もう一つは,こういった福祉除雪を実施するに当たって,地域との連携がますます重要になるのではないかと思います。具体的に,先ほど宮村委員からも言われましたけれども,まずこういった制度をPRされなきゃならぬし,こういったことが必要な世帯というのはどのようにして把握するかといえば,やはり町内会長さんであったり,民生委員であったりとか,そういう地域に非常に詳しい方でないとならないわけですね。既に,試行実施をする地域では,8月ごろからそういった方々に対する説明会もやっていらっしゃいますし,具体的に今回,地域が決まって試行が確定したら,そういった方々との連携深められると思います。さらには,この地域の福祉ボランティア,除雪ボランティアの方々との連携など含めて,地域との連携が福祉除雪を実施する上で大変重要だと思うのですが,その点どのように考えていらっしゃるのか,お聞きをしたいと思います。
◎富山 総務部長 1点目の市民税非課税世帯の負担についてでございます。
今,委員からご指摘ございました,市民税のかからない世帯,例えば年金収入で申し上げますと260万円くらいまでですね。確かに,全員が,このレベルの年金を受給しているわけではないと。それは,私どもも十分承知をしてございます。ただ,この5,000円につきましては,宮村委員にもご説明を申し上げましたが,スコップですとか手袋ですとかの実費相当分をご負担いただきたいと,このように考えてございます。
一戸建てに居住しますと,住宅維持費と,こういうものもかかるわけでございまして,その一つと見た場合に,1シーズン約3.5カ月かと思いますが,5,000円を割り返しますと1,400円前後ということになります。金額は,いろいろな算定方法がございますが,まずは今冬の試行段階で実施をして,試行実施後に,再度,本格実施に向けた検討の一つとして市民委員会を開くことになってございますので,その場で議論をしていただくと,このように今の段階では考えております。
2点目,地域との連携につきまして,私どもとしましても十分にその重要性を認識しておりまして,今回の試行に当たりましても,具体的に地域に入り,説明会を開催した上で,町内会や福祉のまち推進センターなどの関係者と十分意見交換をしてございます。これら,地域と連携が図れるように,今後とも十分努めてまいりたいと,このように考えております。
◆小野正美 委員 富山部長,1定のときに,小さく産んで大きく育てると,そういうお話がありまして,この問題も,非課税世帯の負担の問題について,今,答弁で,試行段階であるので,本実施に向けて検討していきたいというお話でしたが,先ほどお話ししたことも含めて,あるいは他都市のいろんな手法も含めて,ぜひ検討していただきたいと思いますし,そういった私どもの指摘が十分反映されるように要望して,終わりたいと思います。
◆本郷俊史 委員 私からは,2年後に迫りましたDPI世界会議札幌大会につきまして,札幌市の支援強化,また,開催に向けた市民意識の向上,あわせて福祉の街づくりの推進,こういった観点から質問をさせていただきたいというふうに思います。
9月の末に,手稲区民センターで,「DPIって何だろう」,こういう市民講座がございまして,組織委員会としても,これから全道,キャラバンで回って,そういった意味での意識啓発に今取り組んでいるところでございます。この大会,2年前,第5回のメキシコ大会で札幌大会が決定されたわけですけれども,実は,その前から,障害をお持ちの方々が,関係の行政機関に行ったり,あるいはいろいろな啓発活動と,本当にご苦労されてきて,大会の札幌誘致が決まったと。この間,さまざまな努力をされているわけでございます。
お聞きをしますと,やはり何といっても財政的な問題,それから,DPIと言っても,ここ最近,マスコミ等でも取り上げられて,関係者の中に意識が広がっておりますけれども,まだまだ一般の方々に理解が至っていない。そういった広報活動,さらにはボランティアの確保。今回の大会は第6回ですけれども,過去最大規模になるというようなことで,単にその介助のボランティアだけではなくて,通訳も含めて,この通訳も,世界各国ですので,メキシコ大会の例なんかを聞きますと,英語に1回訳して,それを日本語に訳してみたいなことで,なかなかそういったスタッフが大変だったと,この組織委員会だけではなかなか,この大会の成功というのは,関係のJRだとかそういった機関を含めて,行政のやっぱりバックアップが重要でないかというふうに思っているわけでございます。
そこで,大会へ向けての本市の支援策でございますけれども,今年度から組織委員会に係長職を1名派遣していると,また,補助金も交付をしている,こういうことでございますが,この2年後の大会の成功に向けて,今後どのような支援を考えていらっしゃるか。あわせて,組織委員会の最近の動向についてもお伺いしたいと思います。
それと,DPIの趣旨は,障害者自身の主体的な活動によって,完全参加と平等の実現を目指すと,こういった趣旨でございますので,予定されている会議のスケジュールなどを見ても,そういった方々が分科会等でテーマを決めて,かなり専門的に論議をされると。ですから,宿泊施設から会場に行って,会場でその会議を開かれて,夜またホテルに帰る,このようなスケジュールでございますけれども,私は,この大会を,関係者だけの大会に終わらせるのではなくて,もっと,大会の前後も含めまして,市民をも巻き込んだ,そういった大会にぜひするべきだという観点から,この市民啓発,PRにどのように取り組んでいかれるか,お伺いしたいと思います。
あわせて,大会を札幌で開く,このことによる効果についてでございます。
前回のメキシコの例で言いますと,1万カ所の段差解消だとか,あるいはリフト付バスの路線バスへの導入だとか,そういったハード面でのバリアフリーの推進。あるいは,そのボランティアに携わったことによってボランティア意識の向上,福祉マンパワーの養成などの効果があったというふうに伺っております。私も,この大会を通じて,ぜひ,この札幌の中で,こういったことが推進されるべきだというふうに思っておりますので,この点の認識をお伺いしたいと思います。
◎佐々木
障害保健福祉部長 まず,第1点目の,DPI札幌大会への本市としての支援策についてでありますが,ただいま委員からのお話にもございましたように,本年4月から,組織委員会事務局に係長職1名を派遣いたしております。さらに,補助金を交付するなど,人的・経済的支援を行っているところであります。また,庁内組織である福祉の街づくり推進協議会の中にDPI部会を設置し,内部の協力支援体制を確立いたしたところであります。さらに,広報・啓発活動やバリアフリー化に向けた環境整備につきましても,関係部局と連携をとりながら積極的に進めているところであります。
次に,2点目のDPI組織委員会の最近の動向についてでありますが,DPI札幌大会は,本年8月の日本身体障害者団体連合会を含めた五つの福祉団体による中央レベルでの合意によりまして,「アジア太平洋障害者の十年」の最終年記念フォーラムと位置づけ,実施するという運びになりました。そのことによりまして,本大会の成功に向けた,全国レベルでの組織強化が図られたものと認識をいたしているところであります。
また,本年度のDPI組織委員会では,会員数の拡大による経済基盤の強化や,大会の公式シンボルマーク,キャッチフレーズの募集,あるいは手こぎ自転車によるキャンペーン等,道内を中心として,より多くの人々にDPI札幌大会を知ってもらうための広報・啓発活動を精力的に行っているところであります。
また,大会の開催に伴いまして,私どもの認識といたしましては,障害者の方々や障害福祉関係者だけの大会だけに終わらせることなく,すべての市民にとって意義のある大会にしたいという考え方は,ただいまの委員の考え方,あるいは大会関係者の皆様方と同じ考えでございます。このような観点で,今後,市民あるいは事業者の皆様方に協力をいただくとともに,また関係機関等を通じてPRをしてまいりたいと思っております。
最後のお尋ねでございますが,この大会を通しまして,障害者の方々に対する市民の理解が深まるとともに,心のバリアフリー化が進み,ノーマライゼーション社会の構築に大きく貢献することを期待いたしております。そういった観点から,このDPI札幌大会が札幌の福祉の街づくりを一層進める契機となるであろうと,こういうふうに考えているところでございます。
以上でございます。
◆本郷俊史 委員 ぜひ積極的な支援ということで,お願いをしておきたいと思います。
それで,先ほど申しました,組織委員会等が一生懸命活動されている中で,昨年,新千歳空港からJR札幌駅を通じて,大会の会場となる道立総合体育館「きたえーる」までという部分のバリアフリーの調査を実はされておりまして,本市にかかわる部分は,地下鉄の札幌駅だとか大通駅だとかということですけれども,こういう調査をされております。障害者の目で見て早急に改善していただきたいこと,あるいは,実際はすぐにできなくても代替措置としてやれるようなことなど,整理をされているわけでございますけれども,やはりなかなか,段差解消という部分だけではなくて,身障者の方のトイレが少ないだとか,使いづらいだとか,あるいは英語版の案内表示が少ないだとか,そういうさまざまな観点でやられているわけでございます。
ことしから来年にかけては,都心部や宿泊施設周辺,ここについてのバリアフリー調査を行うというふうにお聞きをしているわけでございますけれども,この調査をしまして,その後のその改善への対応がどうなるのかと。先ほど申しましたことで言えば,札幌駅,大通駅につきましては,今年度,エレベーター設置の設計費が計上されているということでございますので,何とかこの大会まで間に合うのかなというふうに思うわけですが,今申し上げた都心周辺,まさに札幌市にかかわってくる部分ですけれども,この実態調査を受けて,どのように対応されるのかということ。
あわせまして,今,札幌市で出しています車いすガイドブックというのがございます。これは,公共施設に限らず,車いすで入れる,利用できるお店だとか飲食店だとか,そういったことを書いているわけですが,この実態調査も踏まえた上で,このバリアフリーマップを大会の参加者用におつくりするというふうに伺っておりますけれども,この点もあわせて。
なおかつ,大会だけで終わるのではなくて,大会後にもこれを活用できるようなことを考えていただきたいというふうに思うのですけれども,その点お願いいたします。
◎佐々木
障害保健福祉部長 ただいまのバリアフリー化の実態調査でございますが,現在,車いす使用の障害者の方々の協力を得ながら,都心部,会場,あるいは宿泊先等を中心に実態調査を行っているところであります。この調査によりまして,今までも整備を進めてきておりますが,さらに整備の必要な箇所が見つかった場合には,逐次関係部局に依頼するなど,庁内組織を通してバリアフリー化に関する施策の集約や調整を図りながら整備を進めてまいりたいと,こう考えております。
2点目のバリアフリーマップでございますが,今後は,数カ国語のマップを2002年のDPI札幌大会に向けて作成をしたいと思っております。大会関係者や市民の方に必要な情報を提供していくということに活用したいと思っております。
また,大会後は,観光客や障害者の方々の情報マップとしても広く活用していただくよう,逐次情報を更新していくように努めてまいりたいと,こう考えてございます。
◆本郷俊史 委員 バリアフリーマップなのですが,実は,私ども,3年前の代表質問のときに,視覚障害の方の盲導犬同伴可というシールがあるわけですけれども,盲導犬を連れて,ホテルに宿泊できる,飲食店に入れる,こういった部分がなかなか進んでいないのではないかということで質問をさせていただいたことがございます。それで,今回のこのDPIに関して言えば,あらゆる障害を超えてということですので,明らかに車いすの方が,絶対数は多いわけですけれども,中には視覚障害の方で盲導犬を連れている,こういうケースがございます。なかなかこれ,原局に聞いても,どこがそういう許可されるところなのかというのは,数的には押さえていらっしゃらない。盲導犬協会の方でも,どこまで押さえているかというのはありますけれども,ぜひこういう大会を契機に,先ほど申し上げましたように,ぜひこういうことの働きかけを各関係機関等にしていただいて,こういうことが進むように要望したいと思います。
それから,市民PRの中で,これは教育委員会の方に絡むと思うのですけれども,これからの子供たち,今,いじめだとか,いろいろな問題ございます。総合的な学習の時間の中でも,ボランティアということが言われてきております。2年後のこの大会,せっかくの大会でございますので,ぜひ,子供たちにそういった部分で触れ合うような機会も考えていただければということを要望して,終わります。
◆武藤光惠 委員 私からも,福祉除雪問題について何点かお尋ねをしたいと思います。
まず,今冬から試行的に実施されようとしている,本市の言うところの福祉除雪の問題なのですが,福祉除雪と言いますけれども,実際に発表されている内容は,公道除雪作業によって生じた公道部分の間口の残雪の処理,いわゆる除雪車が残していった雪の処理をする。これが今冬試行されようとしている福祉除雪ということで,発表されているわけなのですが,この公道部分の間口除雪で,本来の福祉除雪という内容にふさわしいとお考えなのかどうか,この点を改めて伺いたいと思います。
また,あわせて,これまでにも社会福祉協議会が窓口となって,社協の事業として除雪ボランティア事業というのが行われてきています。この事業そのものは,屋根の雪おろしや通路の除雪,当然,間口の除雪も行ってきているわけなのですが,この事業との関連,どのようにその整合性を図っていくのか。
この社協の除雪ボランティア事業というのは,札幌市の補助金の中で,社協の事業として行われてきているのですね。今冬から実施されようとしている福祉除雪につきましても,本市が社協に委託料を払って,社協の事業として行われようとしているわけなのですが,この点改めて,二つの事業の整合性について,まずはお尋ねをしたいと思います。
◎富山 総務部長 1点目,福祉除雪事業ということで,福祉,この冠が適切かどうかということかと思いますが,この事業は,除雪ボランティアなどで対応できない,高齢者や障害者など,自力で除雪が難しい世帯を対象にした施策であります。こういうところから福祉除雪ということで「福祉」の冠をつけたもので,私どもは,何ら問題ないと,このように考えております。
2点目の,除雪ボランティアと間口除雪の整合性でございます。
先ほども宮村委員のご質問にお答えいたしましたが,試行では,行政発注型と地域協力員型の二つに分けてございまして,行政発注型で行う地域にありましては,敷地内と公道部分に分けて,その役割分担をはっきりさせて整合性をとってございます。地域協力員型は,ボランティアの一種である地域協力員に間口除雪を有料でやっていただくだけでなくて,敷地内における除雪ボランティア,この部分も必要に応じて兼務をしていただくと,このように考えてございまして,したがって,間口除雪と敷地内除雪をあわせてやっていただくと,こういう部門も出てこようかと思っております。いずれの場合も,間口除雪と社協でやっております除雪ボランティア事業,これを合理的に組み合わせて実施いたしまして,現行のボランティアの方々との連携が図れる,このように考えております。
以上でございます。
◆武藤光惠 委員 社協の除雪ボランティア事業とあわせてということになりますよね。今,部長のご答弁で想定できるのは,例えば,このボランティア事業の利用者というのは年々ふえてましてね,96年度ですと,いわゆる通路から間口までの除雪,651世帯の利用だったのが,これは無料なものですからどんどんふえていくわけですよね。99年度で見ますと,1,084件,そしてさらに,これは屋根の雪おろしもやってくれますから,96年,35世帯の利用だったのが,これもふえてきまして,99年度を見ますと,87世帯が利用されているわけなのですよ。これを合計しましても1,171世帯ですか,こういう利用があるわけですよね。
そして,この利用にあわせて,今回からやろうとしている福祉除雪,間口除雪の導入が,いわゆるこの除雪ボランティアとあわせたという形になるのであれば,結局,今回は試行的にということで,1区2連町ということで始まりますよね。当然これは,本格実施では全
連合町内会単位でやっていくのでしょうけれども,ことしの試行内容見ましても,1,100世帯が目標ですから,そうなってくると,今まで除雪ボランティア事業を利用していた人の間口を,1,100世帯,大体数字は一致しますよね。これまでも除雪ボランティアで間口まではやられてましたから,通路も,ことし札幌市がやろうとしている福祉除雪の内容である間口除雪も,このボランティア事業でやられてきているのですよね,無償で。
こういうことを考えると,ボランティア事業の内容を少なくして,その分を福祉除雪の部分でやるというようなことでお考えになっているのか。そうだとすれば,範囲は広がらないわけですよね,数的には。そういうような試行方法なのか,この点についても確認をさせていただきたいと思います。
◎富山 総務部長 今,委員からお話ございました昨年の例で申し上げますと,およそ1,100世帯,それで,ボランティアの数は約2,000人ということでございます。この活動者の方々の年齢構成等を見てみますと,60歳超えている方が多うございます。この方々,現在,ボランティアで間口除雪,かたくて重い,この雪の除雪ということがほとんどで,携わっていただいているわけでございまして,この除雪ボランティア事業を受けたいという希望者に比例して,なかなか,ボランティアの数がふえてないというのが実態でございます。
そこで,今後ますます比例していかなくなりますので,私ども行政が,最も重い,重労働になる間口除雪を支援することで,今までやっていらっしゃった方が,敷地内のやわらかく軽い雪,この排雪作業に従事をしていただく,こういう支え合いの維持・発展を期待して,この制度を考えたものでございます。
以上でございます。
◆武藤光惠 委員 そもそもこの除雪ボランティア事業というのは,善意に基づいて行われてきた事業ですよね。先ほど費用の問題でも,1世帯,非課税世帯で5,000円徴収,課税世帯で1万円徴収ということで,先ほどの質疑の中でも,なぜ非課税世帯から5,000円徴収しなければならないのかと,こういうお話がありました。その答弁の中で,5,000円というのは実費分だというお話がありましたよね。
除雪ボランティア事業の中では,実は,その
ボランティア活動に対して1世帯5,000円の支給は,先ほど部長が答弁した内容と同じように,手袋だとかスコップ代の実費分として,既に支給されている内容なのですよ。
そういうことを考えるならば,結局,今冬から実施しようとしている福祉除雪,これも,1世帯やれば2万円協力員に出すこと,そういうことは予算化されているわけですよね。そして,土木センターがやる行政発注型の方も1世帯2万円と,こういうような金額も発表されているところなのですが,これは労働に対する賃金ということにはなりませんよね。行政側も盛んに言う,いわゆる
有償ボランティアの中身だと,こういうお話も既に伺っていますが,今までやっていた除雪ボランティアと,今回のその内容,働く側からしてみれば,さほど私は変わらないだろうと思うわけなのです。どちらもボランティアとしての要素が非常に強いわけですよね。だけど,部長がおっしゃるのは,ボランティアの確保が難しい,それが最大の原因で,そして,そこのところを解消するために,かたい雪は2万円出して,協力員を募ってやっていくのだと,こういうお話でしたが,結局そういう中で,果たして協力員を募ることができるのかどうなのか,私は,このところが非常に不安に思うわけなのです。
ボランティアの登録数というのは,実際の活動者数よりももっと多いのですよね,年々。実際に社協では,こうやって一生懸命善意で活動されている方々にボランティア保険というのを掛けているのですけれども,このお金というのは,除雪ボランティアを除いては,実は本人負担なのですよ。本人が,仕事があるかないかわからない,自分の善意で登録するボランティアとして,この登録をしても,日中働いていたら,需要と供給の関係で,利用者の必要とする時間帯に出動できないボランティアも,登録はしていても派遣されていかない場合も,実態としていっぱいあるわけなのです。ですから,ボランティア保険に加入するために,300円,500円,700円といういろいろなランクがあって,掛け捨てなので,毎年毎年掛けるわけなのです。
登録されている除雪ボランティアの方々が,11年度の数字はちょっと押さえていませんが,2年前で見ましても1,585名,実際にこの中で
ボランティア活動に参加できなかった人が93名ほどいたわけなのですね。こういうように,善意でやっていたボランティア事業,ここにもおのずから限界があるということで,本市が事業化するのであれば,私はやはりきちんとした,ボランティアの延長ではない,事業としてこれを確立すべきではないのかと思っています。
我が党は,昨年,福祉除雪条例案というのを,否決されましたけれども出しまして,この中でも,どのぐらい予算がかかるのかというのも,実際に数字を示して皆さんにお諮りをしてきました。通路の除雪をするのには,シルバー人材センターで見ると,1時間1,406円かかる,屋根の雪おろしも,1回やると1万円はかかると。これだけの費用をかけたとしても,現在のホームヘルパー派遣世帯から割り出して,その3分の2世帯に,みんなに派遣したとしても1億4,000万円のお金しかかからないのだから,これを事業化すべきだと。今求められているのは,ボランティアに依拠した事業ではなくて,本格的に本市がしっかりとした予算を組んで,事業化として行うことだと思うのですが,この辺についてはいかがお考えでしょうか。
◎富山 総務部長 先ほど来申し上げておりますが,私ども,今考えているのは,行政で発注する形と,それから地域協力員,二つの形態を考えてございます。
行政で発注する部分,これは,対象世帯が決まった段階で,区の土木センターから建設会社等,業者に発注するわけでございまして,この部分につきましては,間口ではございますが,行政が完全に主導すると,行政の事業だということでご理解いただきたいと思います。片や地域協力員の方でございますが,これは,現在社協でボランティア事業として取り組んでいる,これをより拡大していきたいということで,まず試行の中では,私ども,ボランティアの補助事業と同じように,補助金を出して,それで社協の事業としてやっていくと,このように考えております。
◆武藤光惠 委員 利用者から見ると,実際に今度の間口除雪を利用することになれば,費用負担がかかってくるわけですから,今まである社協の除雪ボランティア事業に殺到するであろうことは想定できるわけですよね。それと,実際にボランティアをやる側からしても,どうしてこういう,5,000円,2万円という格差がつくのかということで,私は,協力員自体を,非常に組織しづらいことにつながっていくのではないかと考えるわけです。ですから,この点についても,これまで行われてきた除雪ボランティア事業を本当に生かすためには,やはり本格的な福祉除雪制度を設けるべきだということを強調して,強く求めておきたいと思います。
また,費用の問題についてお尋ねをしますけれども,先ほどからも問題になっているとおり,実際に,この除雪制度を活用できる年齢層というのは,障害者や高齢者などの除雪弱者であるわけですよね。ですから,当然,高齢のために働けない,障害を持っているために働けない,そして,先ほども小野委員が,65歳以上の方々がどんな年収で生活しているのかということを述べていましたけれども,実際に非課税世帯の方々が圧倒的多数である高齢者,障害者の実態を考えるならば,やはり費用徴収はすべきではない。この点を私は改めてお尋ねしたいのですが,これが公平だと本当にお考えなのかどうなのか,お伺いします。
◎富山 総務部長 市道の維持管理,これは道路の機能を保持するための事務でございまして,これは市といたしまして,幹線道路,生活道路といった道路の形状ですとか性格に応じて,機能保持に努めることと認識しております。
除排雪事業にかかる間口処理,あるいは生活道路の排雪は,従前から
パートナーシップの考え方を基本として,市民の皆様にご負担をいただいているところでございます。したがいまして,今回,間口除雪,これは確かに除雪車が両サイドに寄せていった雪でございますが,この部分につきましても,
パートナーシップの考え方を基本といたしております。
そこで,やはりこれは新たにサービスを創設するものでございますし,公平性の考え,なおかつ現在の福祉施策,この辺を絡みあわせて私どもはご負担をお願いしたいと,このように考えたところでございます。
◆武藤光惠 委員 今,部長もおっしゃいましたけれども,そもそも保健福祉局のお仕事ではないかもしれませんが,冬場の道路除雪の目的とは何なのかと,こういう問題ですよね。これは,昨年3定のときの雪対策担当部長の答弁で,その問題についてこう述べているのです。冬期の道路除雪の目的は,道路の通行を確保し,地域における産業振興と民生の安定に寄与することを目的として行っていると。この立場からしますと,やはり公道部分の除雪,今問題になっている間口除雪をしなければならない最大の要因というのは,除雪車が通った後,残していった雪なのですね。これは,本来道路管理者の責任で持っていかなければならない雪なのだと。今述べましたように,行政としても,道路除雪の目的として,民生の安定に,それから通路の確保,こういうことを言っているわけですから,通路を確保するのであれば,間口の雪も当然持っていかなければならない,こういうことにつながってくるのではないでしょうか。
ですから,その立場から考えても,天下の公道から,お金を徴収するというのは,代表質問でも言いましたけれども,地方自治法,財政法から見ても抵触するのではないかと,こう考えるわけなのです。これを保健福祉局にお尋ねしてもご答弁しかねるかと思いますので,これは建設局に回させてもらいますけれども,やはりこういう立場からも,それから,65歳以上の高齢者あるいは障害者の所得状況から見ても,費用負担はすべきではないし,費用負担を導入することによって,経済的にゆとりがない人,これは既に介護保険の導入などでも明らかになっていますが,要介護度がどんなに高くても,自分の懐と相談して介護を受けなければならない,こういう状況から,1万円分だけ介護を受ける,2万円分だけ介護を受ける,こういうような事態が既に明らかになっているわけなのですよ。ですから,お金がないために,せっかくいい制度ができても利用できないような高齢者や障害者をつくることになりかねない。その立場からも,費用負担はやめるべきだということを求めまして,私の質問を終わります。
◆恩村一郎 委員 私の方からは,大きなくくりで二つのことについて伺いたいと思います。
まず初めに,ことしの5月にアクセス札幌で開催されました「いきいき福祉さっぽろ2000」についてなのですが,開催当日,私も会場の方に伺いまして展示機器等を見せていただきました。100社余りの企業・団体が出展されて,最新の福祉機器を初め,さまざまな介護用品も展示されていたほか,3日間の会期中,合わせて7回,福祉や介護に関するセミナーも開催されるなど,福祉に対する市民の関心を呼ぶためのさまざまな努力が見られたなというふうに思っております。
確かに,介護保険導入後間もない時期であり,話題性などから考えましても,非常にタイムリーな企画であったなというふうには思いますし,また保健福祉局としても,この規模で開催するイベントとしては初めてのものであったというふうに聞いております。私自身,非常に期待と関心を持ってその会場に伺ったわけなのですが,展示会場を回った結果,幾つかの問題点があったなというふうに感じております。
まず,展示会全体のあり方を考えた際に,市民向けの,啓発のための展示会であったのか,それとも企業を対象とした産業振興のための展示会であったのか。確かに,局としては初めて取り組んだということであったのかもしれませんが,どうも事業そのものの,開催のコンセプトが不明瞭であったような気がしてなりません。実際に会場では,このコンセプトが明確でなかったためではないでしょうか,業者の方も混乱してまして,訪れた方に対して,いわゆる売らんかなの姿勢の業者もおりましたし,そういったものに対して非常に反発を持った来場者もいらっしゃいました。
また,高齢者や障害者の方たちの来場を考えた際に,果たしてこのアクセス札幌という場所が開催によかったのかどうか。さらには,個々の展示物についても,北国の生活に適応した福祉機器が展示されていたか。この点について,さらに言いますと,展示機器に対する主催者の理解とチェックの必要性というのは,僕はもっとあったように思います。そういった部分で少なからず疑問を感じて帰ってきたわけなのですが,市街地から離れたあのような大きな会場で開催するのではなくて,もっと市民にとって身近な場所で開催した方がよかったのではないでしょうか。
また,展示物についても,テーマを絞って,コーナー分けをして展示をした方がよかったのではないか,そうすれば,もっと市民にとって,訪れやすく,展示内容についても理解しやすかったのではないかというふうに思います。かいつまんで言うならば,開催場所,会場構成など,運営全体について幾つかの課題があったように思います。
そこで,まず1点目として,開催を終えて,今回の展示会をどのように評価されているのか伺いたいと思います。
続いて,2点目として,今回の開催によって明らかになった課題ですとか問題点などを考えた際に,次に開催する際は,テーマの絞り込みですとか開催場所の選定,さらに展示機器等の選定についても,もう少し工夫,検討する必要があろうかと思うわけなのですが,その点についてもどのようにお考えなのか,あわせてお伺いしたいと思います。
◎富山 総務部長 「いきいき福祉さっぽろ2000」について2点お尋ねでございます。
1点目は,開催の評価でございますが,私ども,来場者,出展企業の方々からアンケートをとってございますが,いろいろな,甘口辛口のご意見が寄せられております。ただ,この展示会は,介護保険がスタートして,福祉・介護についての市民の関心が高まっていることを踏まえまして,福祉機器などについてさまざまな情報提供を行うということを第1の目的として開催したものでございます。
今,ご指摘のような問題がございましたが,来場者のアンケートを見ますと,福祉機器の情報提供,こういう部分につきましては,積極的に評価をしていただいた意見が多うございまして,それなりの成果をおさめたものと思っております。
次に,次回開催についてでございますが,テーマの設定ですとか展示機器の選定など運営面での課題,これにつきましては,関係部局とも協議,検討する必要がございますし,本年度下期には,中央区ですとか西区ですとか豊平区で,市民にとって身近な区レベルで,福祉・介護をテーマに展示会等を開催しております。今後は,こうした区レベルですとか,民間による開催も一つの方法でないかと,このように考えておりますが,いずれにいたしましても,本市の財政事情等を考慮しながら,どのような形態での開催がよいのか,現在検討している最中でございます。
以上でございます。
◆恩村一郎 委員 今,また新たなやり方といいますか,検討されているということなのですが,せっかく開催するわけですから,形だけにとどまらず,本当に実のあるものにしていただきたいというふうに思います。
また,やる場合に,行政サイドの考え方だけではなくて,民間の,いわゆる病院ですとか施設ですとか,さらには利用者の声,意見といったものを,もっとそういう協力も得た格好でぜひともおやりになっていただきたい。そうすれば,本当に皆さんにとっていい形のものができるのじゃないかというふうに思います。
それと,続いてもう1点,
精神保健福祉センターについてお伺いしたいのですが,
精神保健福祉センターは,平成9年4月の開設以来,精神障害者の方を抱える家族の集いを初めとしまして,10年度にはデイケア調査研究事業,うつ病の当事者の集まりの会の支援,そして,11年度には,一般市民を対象としたやさしいメンタルヘルス講座をスタートさせるなど,さまざまな事業に取り組まれているというふうに聞いております。
また,現在,年間の相談件数が3,000件を超えるという中で,本年度からは,試行的ですけれども,精神障害者の方が地域で安心して生活するための地域支援策としてホームヘルプ事業に着手されまして,ホームヘルパーの養成研修ですとか技術指導,援助を始められたということは,本当にその成果を期待したいというふうに思います。
さらに,さきの第2回定例会でも触れさせていただきましたが,心の問題について,これは,多様な市民のニーズとセンターに課せられた今日的な課題にも対応するため,この10月から医師職1名を増員されたと。相談,診療機能,調査研究機能ですとか,専門性の充実を図られたということは大変心強く思うわけなのですが,まさに来るべき21世紀が心の時代というふうに言われる中で,今後,このセンターの果たす役割というのは,ただ精神保健福祉施策の中核機関としての役割のみにとどまらず,福祉の街づくりの観点からも,より実りある施策の実行を求められるものではないかというふうに考えます。
そこで,質問なのですが,新たに8人体制になったということを踏まえまして,今後の事業の拡充についてどのようにお考えなのか,お伺いしたいと思います。
さらに,2点目として,本庁事務の移管についてもお伺いしたいと思うのですが,今般の
精神保健福祉法の改正で,平成14年度以降,本庁所管の精神医療審査会,それから通院医療費公費負担及び精神障害者保健福祉手帳に係る事務局の事務,審査等が,精神保険福祉センターに移管されるというふうに聞いております。そうなりますと,実際に,これらの事務等というのは,精神障害者の方の人権ですとか医療,福祉にかかわるもので,非常に重要な問題だというふうに私は考えるわけなのですが,これら業務の移管が精神障害者の方たちにとってどのような影響があるのか,この点についてもお伺いしておきたいと思います。
◎七田 精神保健担当部長
精神保健福祉センターについてお答えいたします。
まず,1点目の
精神保健福祉センターの事業の拡充についてでございますけれども,最近,17歳の若者の心の問題ですとか,大変,報道をにぎわしているような事件がありますが,思春期を中心にして,引きこもり,あるいは登校拒否,家庭内暴力など,問題が大変多くなってきております。そこで,今後新たに,このような思春期の精神保健対策に取り組んでまいりたいと思っています。このほかに,3年目に入りますデイケア調査研究事業の拡充,さらには,「こころの健康まつり」ですとか,各種スポーツ大会をやっておりますけれども,そのような普及啓発事業をさらに拡充してまいりたいと思っております。
第2点目の本庁事務の移管についてでありますが,ご指摘のとおり,精神医療審査会といいますのは,精神障害者の方たちの人権と,精神医療を適切に受けたり,保護を受けるというような観点から,大変重要な役割を持っておりますけれども,本庁の部局よりは,精神科医師や専門職のいる
精神保健福祉センターの方が,より専門的に,また,ある程度独立性を持って審査事務を行えるということから移管されることになったものでございます。
精神障害者保健福祉手帳等につきましても,全く同様の観点からでして,
精神保健福祉センターに事務が移管することにより,一層適切な業務が行えるのではないかと思っております。
以上です。
◆恩村一郎 委員 今,お話ありましたように,実際に,今後このセンターの果たす役割というのは非常に増大してくるだろうというふうに思います。精神障害,これは心の問題に起因して,だれでもなり得る問題だろうというふうに思っておりますし,現在,札幌市見ましても,181万の中で2万人以上,市民の100人に1人以上の方が何らかのそういう疾患を持ってらっしゃる。このような現実を考えた場合に,やはり精神保健福祉施策の充実というのは,これからますます図っていかなければならないのではないかというふうに思います。そんな意味も含めまして,きょうは財政当局の方もお見えになってますので,ぜひとも,この精神保健福祉施策に対しての手厚い予算づけをお願いしたいということを要望しまして,終わります。
◆山口たか 委員 私の方から,障害者のヘルパー派遣について,簡潔にお尋ねをしたいと思います。
昨年の厚生常任委員会に,障害者団体の方から,ホームヘルパーの派遣時間の上限を撤廃してほしいという陳情,さらに,自選式といいますか,自分でヘルパーさんを選べるような方式もあわせて採用してほしいのだというような陳情がございまして,これは採択されております。ことしになりまして,新しく4月1日から施行になりましたホームヘルプサービス事業運営要綱を見ますと,上限の時間制限というものが盛り込まれていないので,これは陳情の成果かなというふうに認識をしておりましたが,現実には上限があるのだということでお聞きをしまして,資料をいただきましたら,3月27日付事務連絡ということで,各区保健福祉サービス課長あてに,障害福祉課から,週当たりの派遣上限は28時間としますということで通知,事務連絡ということでの上限が設けられているわけなのですね。これについて,議会で採択をしているわけですし,本当にせっぱ詰まった要望だったというふうに各会派の委員の皆さんも認識をして理解を示していたわけですから,その辺のところが,要綱には入っていないけれども,このような,現実的には上限があるということについて,どのようにお考えかということが1点目です。
それから,2点目は,介護保険がスタートいたしまして,65歳に達した障害者の方は,これまで,障害のさまざまな,ヘルパー事業を含めて,障害福祉の施策の方で地域での生活をサポートをされていたわけなのですけれども,65歳になりますと,要介護度の認定を受けるということで,重度の方はほとんどが要介護度5にはなるのですが,それにいたしましても,介護保険サービスだけでは,これまでのサービスよりも低下をしてしまうという例が出始めております。これについて,どのようにお考えか,私は,さまざまなサービスを組み合わせて,これまでのサービスを低下させてはいけないというふうに考えているわけなのですが,それについていかがか,お願いをいたします。
◎佐々木
障害保健福祉部長 まず,1点目の,ホームヘルプサービスの派遣時間数の制限についてでございますが,個々の障害者に必要とされる量のサービスを提供することは,望ましいことと,私どもも認識をいたしております。しかしながら,現実的な対応といたしましては,予算の範囲内での執行,あるいは,介護保険の高齢障害者の方々については一定の利用限度内でのサービスの受給となっている,これらのことの整合性などを勘案しまして,派遣時間数に一定の制限を設けることはやむを得ないことだと,こう考えてございます。
2点目の,介護保険への移行に伴うサービス低下に対する基本的な考え方と対応でございますが,介護保険への移行に伴いホームヘルプのサービス量の低下を招き,日常生活の継続性に著しい支障が生じることのないよう対応していくことは必要なことだと考えてございます。このため,国の通知に基づき,全身性重度障害者などの方々につきましては,介護保険のサービス量が不足するような場合には,引き続き,障害者施策から1週当たり28時間の範囲内で必要な時間数を上乗せをする対応をとっているところでございます。
以上であります。
◆山口たか 委員 理想としては,希望をするだけ派遣したいけれども,財政上無理だというようなお答えだったというふうに思います。このホームヘルプ派遣要綱によりますと,障害者の生活の安定と自立並びに社会参加の促進というのが目的としてうたわれておりますし,それから次のページの第10条には,部長は派遣対象者ごとにサービス内容や派遣回数や派遣時間を考慮するというふうになっておりまして,一律条件を設けるということは,この要綱と整合性がなくなってくるというふうに考えざるを得ないのです。先ほども申しましたように,だれもかれも,上限がなくなるとですね,どんどんどんどんサービスを要求してくるということはあり得ないことでありまして,やむにやまれず,せっぱ詰まっての要求だった,昨年の厚生委員会の質疑でもそうでございました。そういうことを考えますならば,ぜひこの辺の充実というものが図られなくてはならないというふうに考えるわけなのですけれども,その辺について再度お尋ねします。
それから,もう1点の確認ですが,介護保険関連につきましては,国の通知でも,介護保険で対応できない部分については引き続きサービスを提供することができるということですから,現在障害者サービスを受けている方が65歳になって介護保険になった場合,今のサービス水準は低下しないということで確認をしたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。
以上2点です。
◎佐々木
障害保健福祉部長 まず,1点目のホームヘルプサービス事業の件でございますが,重度の全身性障害者など,重度の障害者につきましては,このホームヘルプサービス以外にも実は制度がございまして,全身性重度障害者介護料助成事業,あるいはガイドヘルパー派遣事業,これらの3事業を組み合わせた中で,本市としては一体的な運用を行って,在宅生活に必要な介護の時間を確保するように努めて,これまでも来ましたし,今後も努めてまいりたいと,こう考えております。
それから,2点目の件でございますが,これにつきましては,国の方でも,従来の介護保険の移行に当たって,全身性,あるいは視力・聴力の障害のある方等,制限列挙ではございますが,重度の障害者の方々にはサービス低下することのないような措置をということでありますので,それぞれの自治体ごとの従来の障害施策の中でサービスを確保するということになっておりまして,そのような考え方で,今後も,今までのサービスの範囲内でのサービスを提供してまいりたいと,こう考えてございます。
◆山口たか 委員 これまでもその3本の事業を中心に行ってきたと,これからもやっていきたいというお答えでございました。であるならば,少なくともヘルパー派遣でなくて,介護人派遣事業などについては,当然その上限撤廃の議会の趣旨があるわけですから,その辺については,ほかの事業を上乗せしていくということが今のお答えの趣旨ということで確認をしたいのですが,よろしいでしょうか。
◎佐々木
障害保健福祉部長 ホームヘルプサーサービス事業につきましては,11年度までは週当たり24時間を,4時間,本年度から延ばしました。それから,全身性の重度障害者の介護料助成事業につきましても,84時間から,本年度は90時間に延ばしたところでございます。このように,逐次改善を図ってきたところであります。今後につきましても努力してまいりたいと,こう考えております。
◆小谷俵藏 委員 それでは,私から,平岸の道道西野白石線から平岸5条18丁目に至る間,特に,先ほどもお話が出ておりました静療院等の付近にかかわるゾーンについて,そしてまた,これらにかかわる道路整備等についての問題,これらについて改めてお尋ねをさせていただきたいと存じます。
このことにつきましては,5月であったと思いますが,社会福祉法人草の実会による知的障害者授産施設の建設に対して,地元の反対陳情が出ておりました。現地調査もしっかりいたしました。この陳情は全会一致で不採択ということになりました。ただ,問題は,いわゆるこの通りのですね,ゾーン,そして道路,環境,これが,現在の社会の中において,果たしてこういった環境でいいのかということを率直に受けとめ,そのときに質問をさせていただきました。ご答弁もいただきました。
また,このたびの代表質問において,我が党の長内議員も,このことについて質問をいたしました。答弁は,総論の域を実は脱しておりませんでした。重要な事柄でございますので,私から,再度,詳細について質問をさせていただきます。
ここは,一部,静療院等の病院もございますが,その大半が福祉にかかわる諸施設で,非常に古くからゾーン化をしておりました。そして,先ほど小野委員からも出ておりましたのぞみ学園については,今新たに改装、また静療院についても改装作業が,中身は具体的にわかりませんが──けさ,私は,5時に起きて,現地に行って,写真を三十数枚,その通りを通って,撮りました。そして,本日,それぞれの状況を目で再度,確認をしてまいったわけであります。
南側には,皆様方ご存じのように,札幌霊堂,あるいは札幌斎場,葬儀場がございます。そして反対側には,古くから平岸霊園がございます。大型の墓地でございます。
そして,
市立札幌病院静療院,のぞみ学園,のぞみ分校,老人痴呆性の疾患センター。さらには札幌市のかしわ学園,第2かしわ学園。かしわ学園は知的障害児の受け入れ,通園施設であります。そして,第2かしわ学園は,それを終えた方々の通所施設であります。ひまわり整肢園,体の不自由な学齢前の子供たちが,ここにお母さんに連れられて,そして,その痛々しい体を少しでもよくするために一生懸命頑張っている施設であります。
また,病院の関連として,ここに,市立札幌病院の,いわゆる感染症患者を中心とした分院がございます。そして,先ほど申し上げましたように知的障害者の授産施設,ワークセンターが今建設中で,私も非常にどういったものができるのかなと心配もしておりました。きょう行って,その現状を見ましたら,ぐるりと囲いをされておりまして詳しくは見えませんでしたけれども,上から見る限りでは,まさにおとぎの国に行ったような景観の,すばらしい施設が建設中で,実はほっと胸をなでおろしたところでありました。
ここのゾーンに対して,私は,好むと好まざるとによらず,こうした施設は絶対必要不可欠な施設であります。そして,その施設を,ゾーンとして,これから十分機能を発揮していくためには,地域住民はもとより,札幌市政の中で,ここのあり方について特段の意を配していかなければならない。
今までの答弁では,検討します,前向きに検討します,こういう趣旨の答弁で終わっております。ただ前向きに検討します的な答弁では,よくある答弁であります。私は,このことについて,これは保健福祉局の関係部局,道路については建設局,さらには病院,市立札幌病院ですね,そして,病院の駐車場になっているところから沢状態になって林があり,墓地があります,これは,緑化の力が必要になろうかと思います。今,砂利敷きの中で,そこに雑然と車が駐車されております。これは静療院関係の職員の方々の車だと思います。そのほかいろいろな諸施設を見ても,いかに煩雑かということであります。施設をいかに立派に整えても,その環境がよくならなければ,私は決して,札幌市としての,行政としての責任を果たしたとは言えないと思います。
ですから,今申し上げましたように,関係する4部局のプロジェクトチームを早急につくって,どういう方法でここを整備していくかということを早急に検討,努力をしていただきたい。やはり前向きにするためには,具体的なチームをつくらなければ,それぞれの原局にまたがっているわけですから,思うようにいきません。この辺についてお尋ねをいたしたいと思います。
◎佐々木
障害保健福祉部長 ただいまお尋ねの
市立札幌病院静療院周辺の環境整備についてでございますが,委員ご指摘のとおり,障害福祉施設が増設される中で,この地域の医療機関あるいは福祉施設が連携をとって地域の発展に寄与していくことが,従来にも増して必要と考えております。したがいまして,
市立札幌病院静療院,豊平区等関係部局と定期的に協議をする場を設け,住民の方々からのご意見もいただきながら,環境改善の方策等の具体的な検討を今後進めてまいりたいと考えてございます。
◆小谷俵藏 委員 今までよりは少し前に進んだような感もいたしますが,七分目かなと,こう思っておりますが,これは,やっぱり環境局の関係もしっかり取り込んで,そして道路なんかは,あそこは車道,歩道,通常のフラットなものですが,歩道に力点を置いて,インターロッキングカラーでもってやるとか,あるいは,ほとんど片側は札幌市の市有地ですよね,もう少し歩道を広げる,あるいは街路灯を特徴のある,皆さんが,「ああ,いいな」と,こう思える──それが本当の地域に住む方々,通る方々,そして,そこにお世話になっている方々の,ノーマライゼーションになるのですよ。そのことをひとつ大至急取り組んでください。
それから,これに関連してもう一つ,前に見に行ったときにも,私は非常に気になっておりました。きょうは,実は35枚の写真をこうやって撮ってきてありますが,その中にも写っております。
静療院の実はあそこに,職員の方々の寄宿舎があります。ほとんど入居者は皆無に等しいことが何年来も続いているというふうに伺っております。荒れ放題でした,5月に行ったときは。物置等は排除してなくなっておりましたが,裏側,北側に回ってみますと,ガラス窓は斜めになり,割れたガラスが──これが札幌市の施設かな,寂しいなという感じが強くいたしました。
これは病院の施設であります。私はやはり,この病院を退院されて,家庭では,まだ十分に,生活するにはどうなのかな,その中間施設としてリハビリーケアのできるような施設を,市立病院と十分協議をして,
障害保健福祉部が中心となって取り組むべきでないのか。私,あれ壊したらどうなのと言ったら,何千万円かかるというのですね。それであれば,あれを逆に生かして,お年寄りでも家庭と病院の中間というので,老健施設とかそういうのがあるわけでありますが,やっぱりそういうふうに,精神障害をお持ちの方のケア施設として活用するように考えられてはどうか。これについては,ひとつ局長,ご所見をいただきたいと思いますが,いかがでしょう。
◎舘美 保健福祉局長 市立病院の医師宿舎ですね。これを福祉サイドでの活用ということでございますけれども,この施設を所管いたします市立病院とも十分協議いたしまして検討してまいりたい,このように考えております。
◆小谷俵藏 委員 十分協議をして検討していきたいと,こういうことでありますが,ひとつ積極的に,十分検討しなければならない。当然です。保健福祉局だけでは決められません。きょうは助役さんもいらっしゃいます,助役さんにあえてここで質問するのはやめておきますが,やっぱりこれは大切な,大切な札幌市の財産ですから,これをどうやって生かしていくかということを,病院でなくて福祉が考えなければだめです,福祉が。ですから,積極的に協議して実現させてください。要望しておきます。
終わり。
◆岩村よね子 委員 私は,自閉症を初めとする知的障害児・者の支援体制の充実について,のぞみ学園のあり方プロジェクトチームと知的障害児・者の施設にかかわって質問いたします。
一つ目は,のぞみ学園のあり方検討プロジェクトの問題ですが,先ほどの小野委員の質疑を極力踏まえながら,私からも幾つか伺います。
この委員会が始まる前に,1定の予算特別委員会を傍聴した自閉症者のお母さんから電話が参りました。精神障害者の施設に入所している20代の息子さんは,行動障害を施設職員に十分に理解してもらっていないために,母親がいろいろ対応の仕方を申し入れると,不満があるのなら連れて帰ってほしいというふうに言われ続けているということでした。外泊した後,帰りたがらないときもあって,このまま親子で心中してしまおうと思うことがあるというふうにお話しされておりました。春に議論いたしましたプロジェクトチームの結論を早く出して,親子を救ってほしいというふうな電話でございました。
小野委員の指摘するとおり,私も,障害当事者,家族,民間の専門家を入れたプロジェクトチームにしていくという,本人や家族の実態,民間専門家の経験を反映させたものにしていくべきだと強く思うわけですけれども,先ほどの部長の答弁では,手法を研究し,充実を図っていくというふうなことでしたが,質問の一つは,どのくらいの期間,研究して,いつから具体的に親の会や民間専門家を入れたプロジェクトチームを始めていくのかということです。
それから,二つ目は,5年計画にこれが入っていない中で,プロジェクトチームの結論をいつ出して,具体的な建設に向けた着手はいつになるのか,早くという多くの方々の期待にこたえるものであるのかどうかについて,まずお伺いいたします。
◎佐々木
障害保健福祉部長 のぞみ学園のあり方につきましては,この7月から,先ほど申し上げましたような内部検討のプロジェクトを立ち上げて,部長会議を3回,そのほか視察,あるいは課長,係長の事務会議も数回行ってまいりましたし,また,親の会の皆さんとも話し合いをしてまいりました。私どもは,本年度の中で,のぞみ学園の処遇の現状についてはできるだけ改善をする必要があるとの認識を持ってございますので,今年度中に,一定の方向の結論を見出したいなということで,今検討しているところであります。
そこで,次年度以降につきましては,その経過を見ながら,私ども,関係部局とよく協議の上,今後は詰めてまいりたいなと,こう考えております。
以上でございます。
◆岩村よね子 委員 のぞみ学園の整備については今年度中にということで,次については次年度以降の検討ということで,いつごろまでにというのは,今後の検討ということだと思うのですけれども,このプロジェクトチームの検討内容についてなのですが,7月から3回の会議を持たれて,先ほどどういうふうな到達点かということを伺いました。私はこの間,自閉症の資料を読んだり,また親の会の方たちとお話をする中で,アメリカのノースカロライナの実践が,本当に希望が見出せるものだなというふうに思っているところです。早期発見と早期療育,学校教育から就労と生活の自立,そういうふうな支援プログラムがあって,診断されてから生涯にわたるプログラムがしっかりと確立され,成人の自閉症者の95%がノースカロライナでは在宅生活をしている,こういうふうな資料でございました。日本にも広がってきているというふうなことを聞いておりますけれども,私は,今後のプロジェクトチームの検討内容として,自閉症の専門的なケアのできる職員の養成,それから,親・兄弟のカウンセリング,健康管理をしていく,そういうふうな機能を持つ支援体制,地域の人たちが出入りできる交流施設としての内容,生涯にわたって地域生活を可能としていくプログラムの研究,こういう機能を持つ拠点施設,自閉症児・者の処遇のあり方,これらの役割を果たすセンターとして,いろいろな建設施設整備のあり方,このようなことについてもすべきだというふうに思うのですけれども,今後のプロジェクトチームの検討内容で,ぜひこの点も検討していただきたいというふうに思うのですが,どうでしょうか。
◎佐々木
障害保健福祉部長 ただいま委員からご提案のありました件も含めて,総合的に検討してまいりたいと,こう考えております。
◆岩村よね子 委員 早期にという親の願いを改めて強調して,要望したいと思います。
次に,知的障害児・者のショートステイ,特に緊急避難時,一時保護の受け入れ体制について伺いたいと思います。
今,札幌市内の知的障害児・者の施設はほぼ満杯,7月1日時点で,入所希望者が91人,判定を受けて待っていられる方が63人おります。市内の14施設のうち,ショートステイの専用床を持っているのは,4施設,17床ということなのですけれども,非常に不足しているという実態がありますとともに,知的障害児・者の予測できない事態で,緊急に一時的保護が必要なときに,受け入れ体制がないという事例に私は遭遇いたしました。自閉症の行動障害児・者が,高等養護学校の長期休暇のとき,急に荒れた状態になって,いろいろ関係機関に相談したけれども,結局はたらい回しの状態になって,24時間,土・日・祝日,受け入れ,その体制がないというふうに訴えておられるお母さんがいるのですが,こういうふうな,長期休暇で在宅とか,それから在宅生活で自閉症児・者がパニック状態になったときの,今の24時間受け入れ体制,土・日・祝日,こういうふうな体制がどうなっているのか,この点について伺いたいと思います。
◎佐々木
障害保健福祉部長 知的障害者のショートステイ等の対応の整備状況でございますが,今5カ年の中で,知的障害者の入所施設3施設を建設する予定でございまして,その中にショートステイ専用床も設けることで計画をしているところであります。
そのほか,知的障害者のハード整備だけではなくて,ソフト事業の充実も,これから各施設あるいは医療機関とも連携をとりながら充実をさせてまいりたいと,こう考えてございます。
2点目の,自閉症の方の緊急時対応についてでございますが,在宅の自閉症児の方の対応については,ふだんから,かかりつけの主治医でありますとかショートステイの実施施設,あるいは専門機関とのかかわりを持つことで,パニックになったときにも対応していくということが重要なことではないかなと,こう考えてございます。
本市の専門機関といたしましては,児童相談所,知的障害者更生相談所,いわゆる「まあち」等の施設,それから第1種自閉症児施設を運営する
市立札幌病院静療院等があり,これらの機関を利用されて,指導・助言を受けていただける体制となっているところであります。
なお,一時的に精神症状があり,緊急に精神科受診が必要と思われる場合には,北海道精神科救急医療システムにより対応することになります。具体的には,日曜・祭日等は新聞に掲載をされております救急当番医療機関に,夜間につきましては札幌市医師会の
夜間急病センターを通じて当番医療機関を受診していただくということでございます。
◆岩村よね子 委員 今,部長がお話しされたような対応の仕方について,自閉症の強度行動障害を持つご両親の方々が,知らないわけです。本当に周知をしていないわけですね。自分の息子がパニックになったときに,よもや精神科に入れようというふうには思わなかったと,お母さんは言っております。やはり,知的障害児・者の養護学校とか施設でショートステイを経験しているわけですから,どこか受け入れる施設が欲しいというふうに考えが働いたということなのですけれども,高等養護学校の夏休み・冬休み中の長期休暇,全く寮も学校も閉鎖されてというか,終わりになって,家族に全面的に託される,こういうふうな状況があるわけですが,学生ではない在宅の障害者も含めて,本当に,今,部長がおっしゃったような中身を親御さんたちに徹底していくことが必要だと思うのです。特に高等養護学校の長期休暇体制については,学校と,児童相談所,それから関係する静療院であるとか,一時的に緊急避難を受け入れてくれる知的障害者の施設であるとか,そういう関係機関との協議を行って,どういう方策があるのかということを,きちんと学校関係者とか親に周知徹底していくことが,本当に私は必要だなというふうに思います。
その子のご両親は,日曜日の夜に発作が起こったため,もうどうしようもなくて,どこにも相談できなくて,車に閉じ込めたままお父さんが一晩じゅうドライブをしたというふうなことでした。一般の方たちには
夜間急病センターとか,周知徹底されている中身となっておりますが,このような子供たちの場合に,どうしたらいいのかということを,PRというか,周知徹底方を,関係機関と図っていくことが本当に大事だと思うのですけれども,この点についてはいろいろな関係機関があると思いますので,助役に,この点について,どういうふうな方策をとっていくかということをお伺いしたいと思います。
◎大長 助役 部長の方から詳しい答弁を申し上げておりますけれども,予期しないときにそういう状態が起きるということは,本当に大変なことだということはよくわかりますので,今後とも,そういう状態になりましたときには,相談あるいは治療を受けられる,あるいは指導を受けられるというようなところをよりふやすように,あるいは,そういうところがあるのだということがよくPRされるようにしてまいりたいというふうに思ってございます。
◆岩村よね子 委員 ぜひ具体的に取り組んでいただきたいということを要望します。
自閉症を初めとして,知的障害児を持つお父さんお母さんというのは,本当に,診断がついたときから,成長するに従ってさまざまな試練にさらされながら,思春期を迎えて,荒れる時期には命がけで子供と向き合うというふうなことがあるわけですけれども,自閉症児・者が安心して暮らせる,そういう支援体制の早期確立を求めて,質問を終わります。
◆岡千陽 委員 私は,精神障害者の交通費助成と,視覚障害者の日常生活用具と訓練について伺います。
まず,精神障害者の交通費助成についてです。98年5月からスタートしている精神障害者の交通費助成の制度ですが,ことしの3月までは,1・2級の方には月2万円,3級の方には月1万円のウィズユーカードが交付され,ことし4月からは,1・2級の方は月3万円に,3級の方は月1万5,000円に引き上げられました。我が党は,これまでも取り上げてきましたけれども,10割全額助成が,精神障害者の方や家族の皆さんの大きな願いになっています。作業所と病院への交通費だけでも,6カ月以内には,もう使い切ってしまう。さらに,病院の回数が多くなる方は,作業所へ通う回数を減らしている。大通公園にも行ってみたい,もっと外を歩きたいと思っても,交通費が高くて,結局,家の中に引きこもってしまっているのが現状です。
また,精神障害者の親御さんからは,自分たちも高齢化していて,年金生活になると生活自体が精いっぱいで,せめて交通費全額助成があればもっと外に行けられる,本当に切実な願いになっています。
昨年の第3回定例市議会の我が党の質問に対して,部長は,交通費の10割助成の必要性につきましては,精神障害者の社会参加を目的として開始をした事業でありますので,その必要性については十分認識をしている。来年度の予算編成における交通費助成は,格差を是正すべく最大限の努力をしてまいりたいと考えておりますと,力強いご答弁でしたが,実際は他の心身障害者との格差の是正も行われていません。
そこで,伺いますが,部長はこの状況をどうお考えになっているのか,社会参加という目的に立ち返って,10割助成を実施すべきと考えますがいかがでしょうか,伺います。
次に,視覚障害者の日常生活用具と訓練についてです。
本市で視覚障害者手帳の交付を受けている人は,2000年3月31日現在,5,965人となっています。特に,ここ数年は中途失明者の増加が特徴的だということです。視覚に障害を受けたことで,日常生活の中でさまざまな困難が生じ,コミュニケーションにも支障を来します。
札幌市視力障害者福祉センターでは,コミュニケーション訓練の取り組みとして点字訓練を行っていますが,これは,点字が使える人とのコミュニケーションはとれますが,晴眼者,目の見える方とのコミュニケーションとなると,相手が点字を打ち書きできなければ無理があります。特に,
中途失明者の皆さんにとっては,点字よりも,それまで使っていた文字を介してのコミュニケーションという要望が強くなっています。そのような中で,パソコンを利用した音声ワープロが発売されており,操作や文書の編集が視力を使わずにできます。パソコンを有効に活用することで,晴眼者とのコミュニケーションをより密接にし,また,点字では困難な訂正や文書管理も安易に行えます。最近では利用を望む方もふえていますが,1台が30万円以上という高額のため,購入したくてもできない現状です。
そこで,伺いますけれども,パソコンをコミュニケーション手段と位置づけて,日常生活用具として加え,給付を実施すべきと考えますがいかがでしょうか,これが1点目です。
2点目として,視覚障害者の生活訓練職員についてですが,札幌市視力障害者福祉センターでは,中途失明者社会適用訓練事業として,札幌市身体障害者福祉協会に委託し,生活訓練事業を実施しています。これに携わっている訓練職員は,現在は1名です。この生活訓練職員の業務内容をどのようにとらえて,また位置づけているのか,伺います。
◎佐々木
障害保健福祉部長 まず,1点目の精神障害者の交通費助成でございますが,この制度は,ご承知のとおり,平成10年5月から始めてきたところでございます。この間,利用実態も見ながら,その充実に努めてきたところであります。しかしながら,この精神障害者交通費助成は,他の障害者施策にある交通事業者の5割負担の適用がなく,現在まで大きな差異となっているところであります。この点につきましては,引き続き,国に働きをかけていきますとともに,各交通事業者に対しましても,粘り強く協力を要請する一方,本年度から,先ほど委員ご指摘のとおり,精神障害者手帳の所持者には,1・2級の方につきましては共通ウィズユーカード3万円,3級者の方には1万5,000円と,前年度に比べまして5割の増額を図ったところであります。他の障害の方との格差の是正に向けて,今後も努力をしていく必要があると,こう考えているところでございます。
2点目の視覚障害者に対する日常生活用具のパソコンの件でございますが,私どもといたしましても,パソコンあるいは周辺機器につきましては,視覚障害者の団体の皆さん方から要望いただいております品目でもございます。その必要性も,私ども認識をいたしております。日常生活の利便性を図る観点からも必要なものであると認識をいたしております。
現在,13大都市の心身障害者(児)福祉主管課長会議の要望項目として,この点を取り上げ,国に対しても要望をいたしているところであります。
3点目の日常生活訓練事業についてでございますが,これにつきましては,現在,事業の委託先であります身体障害者福祉協会が雇用した1名の指導員によりまして,日常の生活訓練でありますとか白杖歩行訓練をセットした訓練指導が行われているところであります。この事業につきましては,訓練希望の申し込みから長時間待たされる,こういうような状況にはなってございませんで,今,1人の指導員で業務をこなしておりまして,さらに1人ふやすというような状況にはないというふうに考えているところでございます。
◆岡千陽 委員 まず,交通費助成なのですけれども,格差の是正のために今後努力をしていく,さらに交通事業者に粘り強く要請していくという,本当に力強いお言葉でしたが,それを何としても実現するためにも,さらに,実際には,仙台,横浜,川崎,名古屋,京都,神戸,北九州といった政令市では,もう10割助成が行われているわけですので,ぜひ,精神障害のある方の社会参加が目的という導入の経緯に立ち返って,10割助成を早急に実現していくよう,こちらは強く要望しておきます。
あと,パソコンに関してなのですけれども,国にも要望はされているということで,ぜひ引き続き要望はお願いしたいのですが,現在,視覚障害者の日常生活用具の中に,文字を読むことが可能になる拡大読書機に対して,19万8,000円を上限額として給付が行われているのですね。それで,パソコンを利用した音声の出るワープロも,文字を読み取るという目的では,拡大読書機と同様に位置づけることができないでしょうか。国に改善を迫っているのも大事なのですけれども,同時に,札幌市独自で,日常生活用具として加え,給付を実施すべきと考えますが,要望が多いですので,国の状況を待たずにでも,市独自で実施するおつもりはないでしょうか,伺います。
また,生活訓練業務なのですけれども,生活訓練職員の業務,今のご答弁にもありましたが,歩行とトイレや入浴,身だしなみ,ふとんの上げおろしなど,本当に生活全般の幅広い内容になっています。
また,一度訓練が終了した人が,病院が変わったなどの状況の変化によって,もう1回訓練歩行を申し込んだり,さらに季節の変化,夏場に歩行の訓練をした人が,雪道でもやっぱり不安だから歩行の訓練をしたいというふうに,一人の人が何回も何回も申し込んできている状況になっていて,この訓練職員の方は,その都度対応を行っている状況です。
この広い全市を1人で対応しているという現状では,利用者が増加してくると,やっぱり,申し込みをした人が,すぐに対応できないという状況もあって,実際に申し込んでも,待たされたという事実も起きています。動作の訓練はもちろんなのですけれども,さらに悩みをゆっくりと聞いて,その不安を取り除くといった心のケアということも訓練職員には求められて,動作の指導プラス心のケアという部分では,視覚障害者個々のニーズに合わせて,訓練の充実を図る上でも,先ほどは無理だとおっしゃった増員,ぜひ必要だと思うので,増員のご検討ができないかどうか,もう一度伺います。
◎佐々木
障害保健福祉部長 1点目の日常生活用具の点につきましては,これは従来,国の,指定されたものをもって対応しているものであります。個々の項目は,それぞれたくさんございます。それぞれの障害の方の中にも,ニーズがたくさんございます。ただいま委員ご指摘のものだけではなくて,いろんな団体からいろんなものが要望されておりますが,これをそれぞれにこたえるのでなく,やはり国の基準全体,あるいは全国の障害者全体の要望の度合いの中から決められる,規定されるものと認識をしておりますので,札幌市単独では,現時点で追加指定する考えはございません。
それから,2点目の動作訓練そのほか心のケアも含めてというお話でございますが,この点については,現在の指導員は,各団体の皆様方から大変好評をいただいている指導員でございますし,私どもも,市民の皆さんから理解をいただいていて,十分であると思いますが,ただ,心のケアの問題については,この日常生活訓練事業の中には,従来は概念として余り入ってなかったことです。先ほど来出ている心のケアという点は重要な点でありますので,今後,研究課題とさせていただきたいと,こう考えております。
◆岡千陽 委員 ぜひ心のケアという点での検討と,現在の職員の方,本当に好評で,もう1回来てもらいたいというような要望が出ているのですけれども,ただ男性の方なのですよね。お料理の指導なども行っていただいているのですけれども,男性の方にお料理はどうかと遠慮なさる方がいらっしゃったり,あと,女性の方がいろんなことを相談するときには,やはり女性の方がいいなという声もありますので,その辺も一緒に検討してください。
あと,あわせてなのですけれども,こういった事業が行われているということ自体の周知徹底が,なかなかわからないということがあります。視覚障害者手帳交付のときに,手当とか年金の説明はあるのですが,このような細かなものは,パンフレットを渡されて見てくださいというふうになっているようなのですけれども,目の見えない方は読むことができない,あと,家族の方がなかなか中まで細かく読んでもこれに気づかないということも多くなっていますので,ぜひこういった事業を幅広く知っていただく上で,周知徹底の工夫をお願いして,終わります。
◆熊谷憲一 委員 私は,本年4月,札幌市社協に設置された福祉サービス調整委員会及び福祉サービス苦情相談センターの執行状況及びその評価について,質問をさせていただきたいと思います。
4月1日より8月31日までの5カ月間に苦情相談センターが対応した苦情件数は,予想に反して極めて少なく,合計123件,1カ月平均25件弱にすぎず,しかもその件数がますます少なくなっており,また,調整委員会に付議された件数は1件もないのが今の現状となっております。
この調整委員会や相談センターの設置は,介護保険導入を前に,福祉サービス,とりわけ介護保険の導入のもとで,介護サービスが措置制度から民間の事業者と利用者間の契約に基づくサービスの提供に変わったことによって,その当事者間のトラブルや利用者の苦情を処理する機関として設置されたものであります。こういう実態の中で,非常に件数が少ないということは,苦情やトラブルが本当に少ないのか。そういう実態にあるのだというと,むしろ,利用者の苦情が,深く沈殿して,そのために,当初期待された調整委員会や苦情相談センターの役割が発揮されていない,機能されていないのではないかという危惧を私はぬぐい去ることができないのであります。
同じ期間に,その本庁や区役所に寄せられた介護保険関連の苦情が291件,区役所で対応した相談件数は4,206件,そのうちの半数以上が介護保険絡みであります。区役所窓口の相談の中身,これについては定かでありませんけれども,苦情として訪れていても,介護保険制度のシステムの説明,これであきらめさせられる,そういう実態もあると聞いております。そして,相談センターへつなげている状況,これにないことも,実際の相談の件数と苦情相談センターの件数の乖離を見れば明らかではないでしょうか。
民間の介護110番に寄せられている相談は,とりわけ,経過がたつにつれて,介護保険制度そのものの質問とか苦情から,事業者に対する苦情あるいは不満,こういう具体的な形で寄せられて,相談がかなり長時間になる,そういうことも報告をされております。
そこで,第1の質問ですけれども,苦情相談センターへの苦情が少ない現状について,どう評価しておられるのか,お伺いをいたします。
◎富山 総務部長 社協の苦情相談センターへの相談件数についてのお尋ねでございます。
福祉サービスに関する苦情は,区役所でも対応してございます。今ご指摘ございましたように,相談件数というのは,4月1日から8月末までで4,200件,こういう実態にございます。区役所で対応しております関係上,区で解決されることが多いと,こういうことも一面の事実かと思っております。
また,サービス調整委員会にかかったものが一つもないということも,これも,この委員会にかかる前段階で,苦情相談センターでその内容を伺いまして対応しておりますので,その段階で解決しておると,このように私ども認識しております。
いずれにいたしましても,市民にとって身近なところで早期解決が図られるということが望ましいわけでございますから,今後とも適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
◆熊谷憲一 委員 評価については,どう考えられておりますか。その苦情が減っているのか,それとも,私が述べたように,むしろ深刻化,そういう危惧があるのでないかというふうに思うのですけれども,その辺,もう一度お伺いします。
◎富山 総務部長 件数で申し上げますと,区役所,あるいは社協の苦情相談センター,これが低くなってきてございます。今お話にございました,潜在化した苦情があるのではないかということでございますが,これはそれぞれのケースによって異なりまして,一概には言えないかと思います。私ども,評価と申し上げましても,今のところは件数,それから,若干相談件数ですとか苦情の件数,こういうものを分析しておりますが,まだ潜在化しているか顕在化しているかということの分析はしておりませんので,いましばらく推移を見たいと思っております。
◆熊谷憲一 委員 わかりました。
それに関連する質問ですけれども,どうもその苦情相談センターの存在自体が市民にほとんど知られていないのではないかと,そのために,そこに寄せられる苦情が少ないのではないかというふうに考えるのです。特に,市民に周知する手だて,第三者機関の苦情相談センターがあるよという,そういう手だてが打たれているか,あるいは,区役所の相談や苦情でも,そこにつなげる手だてが打たれているかどうか,その辺について,広報や周知の方法,これまでとってきた経過などについて,わかる範囲で結構ですけれども,お伺いをしたいと思います。
◎富山 総務部長 周知でございます。社協の苦情相談センター,これは,介護保険のサービスが始まったことしの4月に開設したものでございまして,このときにも,きょう委員長になっております柿崎委員長から,PRを徹底するようにと厳しいご指摘を受けております。この際,広報さっぽろへの掲載を初めとしまして,ご指摘を受けて,テレビへの掲載ですとか各種パンフレットへの掲載,それからケアマネジャーを通じた周知など,さまざまな形でPRしてきたところでございます。
また,今後,1号保険者からの保険料の徴収に当たりまして,この苦情処理センターへの申し立てについて,来週でございますが,新聞に保存版の折り込みを予定しておりまして,積極的なPRを図っていきたいと考えております。
以上でございます。
◆熊谷憲一 委員 最後に,要望して終わりたいと思うのですけれども,今,行政オンブズマン設立の準備がされているところでありますが,行政オンブズマンは,行政執行にかかわる範囲と限定せざるを得ないと。今後検討されると思うのですけれども,そういう点では,介護保険のような民間業者と利用者間,このいわゆる民民間の苦情処理ですね,こういう第三者機関の役割がますます重要になってくると思います。単に,その福祉サービスの利用者だけでなく,広く市民に周知をする努力をお願いして,質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○柿崎勲 委員長 以上で,第1項 社会福祉費の質疑を終了いたします。
ここで,おおよそ20分間,委員会を休憩いたします。
──────────────
休 憩 午後3時16分
再 開 午後3時40分
──────────────
○柿崎勲 委員長 委員会を再開いたします。
次に,第2項 児童福祉費及び母子寡婦福祉資金貸付会計決算について,一括して質疑を行います。
◆小野正美 委員 私の方からは,札幌北保育園にかかわる問題について,1点質問をいたします。
この札幌北保育園は,社会福祉法人新陽会,理事長は見延順章,園長は見延千鶴子。この見延順章さんですね,私は全く面識がないわけですけれども,調べましたら,昭和50年から本市の市議会議員を5期20年間,平成3年から4年間,議長をされております。その後,平成7年からは道議会議員で,現在2期目ということであります。
この札幌北保育園ですけれども,現在,北区北33条西11丁目,幼児単独で,定員が90名で運営をされているわけですが,今年度,街路事業によって移転が必要であるということで,約400メートル離れた北32条西9丁目の市有地に移転をするということで,改築工事がこの8月の末に着工されているようです。
先ほどの小谷委員ではありませんけれども,私もこの場所に先日行ってまいりまして,写真も撮ってきました。それで,もちろん朝5時ではありませんで,8時過ぎですか,登園の時間帯に行きまして,園長先生にはお会いできませんでしたけれども,そんなことで,それでは具体的な質問に入らせていただきます。
まず,移転が必要になったということなのですけれども,この当該地に,いわゆる都市計画決定をされた道路があるわけです。街路事業として,新琴似2条通,これは相当古いときに,昭和11年10月2日に,飛行場北線ということで,幅員が20メーターということで都市計画決定をされたと。その後,名称だとか起点とか終点とか幅員の変更などいろいろありましたけれども,昭和48年4月20日に,幅員が32メーターということで計画変更されていると。直近の平成11年,昨年の10月1日には幅員20メーターということで計画が変更され,そして,この当該地の区間,約250メーターほどが事業認可をされたということです。
こういう経過の中で,昭和51年9月に社会福祉法人新陽会が認可をされて,11月1日に札幌北保育園が開園をしているわけであります。この土地は,当初は三浦精一さんという方が持ち主で,この方も新陽会の設立時に理事として入っているようですが,この土地は,平成2年に見延順章さんの夫人と息子さんの名義で取得されているわけです。そういう経過があります。
この保育園なのですけれども,平屋木造モルタルで495.66平方メートルと。街路事業の幅員が32メーターなら,ほんのわずかですけれども建物に触れる,そういう状況です。しかし,幅員20メーターになった場合には,建物には支障がないと。ただし,園庭といいますか,そこが削られるということで,保育園の設置基準ですか,屋外遊戯場,この面積が不足するので移転補償をされて改築するということのようです。
そこで,まず一つ,質問は,こうした都市計画道路などのあるところに,そういう都市計画決定があるところに,将来支障となるのに保育園の設置がなぜ認められたのかということです。確かに個人の財産権ですから,その土地に何を建てようが構わないのかもしれませんけれども,こういった国庫補助を受けて実施する,あるいは,長い期間にわたって子供の保育という公益事業をやっていただくための土地なわけですから,こういう計画があって,近い将来支障が生じる,そういう土地にこういう保育園が認可をされたのはなぜなのかということです。
それともう一つは,この土地に関連して,先日,いわゆる規制緩和に関する説明を受けた際に,施設の自己所有規制の見直し,この中で,保育所の設置に必要な土地及び建物については,これまで設置者が所有権を有しているか,あるいは,国もしくは地方公共団体から貸与もしくは使用許可を受けていることが原則とされていたが,これからは,一定の要件を満たす場合には,国または地方公共団体以外の者から不動産の貸与を受けて設置することが認められると。つまり,今までは,設置者が所有権を有しているか,あるいは国もしくは地方公共団体から貸与,使用許可を受けていることが原則だったわけです。今言ったように,この土地は,当初から個人の持ち物なのです。三浦さんが持っていた。現在は,この理事長のパートナーの夫人と息子さんの名義で所有されているわけです。その土地に,こうした社会福祉法人の保育園が設立されていることについて,この間どういう指導がなされてきたのか。具体的に言えば,理事を務められている方なのですから,土地を持っていれば,その法人に寄附をして,その法人の土地として登記をして,将来とも安定してそこの土地で保育園なりいろんな福祉事業が行われるのが筋だと思うのです。そういう趣旨だったと思うのです。ところが,こうなっていないのはどうなのかということをお聞きしたい。
それから,3点目には,今回移転する土地なのですけれども,昭和57年8月18日に,土地開発公社が保育園の新設予定地として用地先行取得をされています。
そういった背景なのですけれども,確かに,札幌が急成長する過程で,いわゆるポストの数ほど保育所をという,そういうような形でどんどんどんどん保育所の設置を進めてきた時期がございます。具体的に,昭和45年には45カ所ほどでしたけれども,昭和46年から始まった札幌市の長期総合計画の中では,1年間に10カ所だとか12カ所年には136カ所になっているわけです。しかし,昭和55年からの5年計画では,6カ所,6カ所,4カ所,2カ所,1カ所という形で,保育園の設置は縮小傾向にあるわけですね。昭和61年の段階で157カ所になり,現在は158カ所です。
このように,57年に新設予定地として,しかもこの札幌北保育園からわずか400メートルしか離れていない場所に先行取得する必要性があったのかどうかですね,こういう背景の中で。そして,先行取得をしたにもかかわらず,なぜこの間,新設されないで放置をされてきて,今になって移転の場所として貸与するのかということなのです。この点,まず3点お聞きをしたいと思います。
◎平井 児童家庭部長 札幌北保育園につきましては,昭和51年9月10日付で,当時の厚生大臣から社会福祉法人の設立認可を得ております。保育園事業をやる際,土地については理事からの貸与ということで,15年契約で,なるほど原則としては,法人の土地・建物等は,社会福祉法人の持ち物,あるいは地方公共団体からの貸与ということはありますけれども,当時,ラッシュで,いわゆる長期の貸与計画できちっとしたものであればということで,土地の借地というのを例外的に認められております。
今回の規制緩和で,特に,社会福祉法人以外の者ができるということで,これは,土地,建物両方合わせまして,借地,借家,これを認めるということで緩和になったものでございます。
また,都市計画区域内に建物を建設する場合には,鉄筋コンクリート造り等,強固な建築物につきましては制限をされておりますが,当該保育園のような木造建築物等については,その制限が緩和されているところでございまして,昭和51年11月1日付で,当時の札幌市長から,施設の認可が行われたところでございます。
それから,今回の移転先の土地の先行取得でございますが,当時の起案によりますと,この北区の北地区,人口急増が進んでおり,また,地域住民からも保育所設置要望が高いということで,55年から始まりました保育所整備計画も,土地の取得がなかなか困難な状況の中で,58年度以降に保育園を新設することとして,57年8月に保育部から保育所用地としての先行取得を依頼し,土地開発公社が先行取得したものでございます。
その後,保育所が建ってこなかった経過でございますが,数次の整備計画ございまして,そこがのっておりませんので,その経過等については推測の域を出ませんけれども,当時の北区の待機児童の状況を言いますと,50年代は100名を超える待機児童を抱えておりましたが,60年以降,61年を100名としまして,62年には37名,翌年62名ということで,ずっと100名を割っておりまして,そういったことも重要な要素になり,今日まで計画も先送りになってきたものと推定をされます。
◆小野正美 委員 25年ほど前の話ですからあれですけれども,いろいろと説明を受けましたが,確かに,個人の財産権を保障しなければならないということで,個人が自分のお金で家を建てるということまで制約はできないと思うのです。それから,先ほど言われた都市計画法の中でも,階数が2階以下だとか,いわゆる地下をつくらないとか,木造で簡単に壊すことが可能だとか,容易に移転をすることが可能だとか,そういう場合には認めなければならないとあるわけですね。しかし,やはりこういう国庫補助で建設する施設を,あえてこういう場所に許可することが,果たして適切だったのかどうかという疑問が残ります。
それから,新設の予定地の確保についても,北区全体としての待機児童の数を言われましたけれども,この札幌北保育園は,昭和51年に120名定員で施設整備が図られているのですが,昭和57年に90名定員に下げているのですね。下げざるを得なかったのですよ。そういった保育園から,わずか400メーターのところに新設予定地を先行取得する必要性が果たしてあったのかというのは極めて疑問です。
それは置いといて,次の質問にとりあえず移りますが,用地部の用地部長にも出席をお願いしてますので,この点,用地部長の方に2点ほど質問してまいりたいと思います。
さっき言ったような街路事業計画があって,そういった土地に保育園が建てられたわけですけれども,今年度,用地買収を行うことになりましたね,その理由を明らかにしていただきたい。
それから,見延氏が持っている土地以外にも,たくさんの地権者の方がいらっしゃると思うのです。私も現地へ行ってみましたら,非常に,アパートだとか作業所だとか,はっきりと言ったら,いろいろ入り組んでいる場所でありました。それから,お聞きをしたら,三浦さんが亡くなられて,その相続のことだとかいろいろあるようです。そういった意味で,この保育園が建っている土地以外の地権者との交渉の見通しはどうなのかを明らかにしてほしいと思います。
それから,道路用地は当然買収をされたのでしょうけれども,なぜ保育園の移転補償を行う必要があるのか。建物には何の支障もないわけです。その理由を明らかにしていただきたいのと,それから,具体的に,移転補償をされるわけですけれども,その金額,その金額を算出した基準について明らかにしていただきたいと思います。
◎大根田 建設局用地部長 1点目の,事業着手に当たりまして,なぜここのところが用地買収の対象になるのかと,こういうご質問だと思いますが,当該事業は,冒頭でありましたように,平成11年10月1日に,幅員20メートルに都市計画変更されまして,本年の4月7日に事業認可を得ております。
事業期間が平成12年度から16年度でありまして,このうち,用地買収事業期間を平成12年度から15年度,道路の造成工事は15年度から16年度と,こういう計画になっております。
また,事業着手に当たりましては,平成11年11月16日に地元への事業説明を行いまして,ことしの事業認可後,個別に交渉に入っている状況であります。
このような中で,なぜここの場所がその買収の対象になってきているのかと,こういうことでございます。当該地につきましては,道路用地だけということであれば,先ほど委員からも話ありましたように,幅員20メーターであれば,直接建物には支障はないわけですが,保育所の機能として必要とする,いわゆる児童福祉施設最低基準で定められています屋外遊戯施設が基準を満たさなくなると。こういうことから,機能回復を図るために,どのような方法がいいかということを慎重に検討した結果,建物を移転しなければならないという結果になりまして,このような補償をすることになりました。
他の権利者との見通しであります。これにつきましては,事業区間が約260メートルと比較的短い区間でありまして,支障物件の調査,確定,あるいは権利調整の見通しとか,当該年度の補助事業としての執行見通し,権利者の要望等,これらを総合的に判断いたしまして,可能なところから執行するという判断のもとに,当該保育園は,そのような形で今年度から執行したと,こういうことであります。他の権利者との交渉の見通しにつきましては,各権利者の土地とか建物の状況確認,あるいはその補償の進め方,実施時期などについて,今,協議をいたしておりまして,計画である平成15年度までの事業用地買収に向けて,現在鋭意努力しているところでございます。
それから,大きい2点目の,保育園の移転補償をなぜ行う必要があるのかと,こういうことでございますが,先ほどとダブった答えになりますが,直接建物には支障ありませんが,必置とされている屋外遊戯場が厚生省令第63号に定める児童福祉施設最低基準を満たさなくなる,こういうことから,現在地でどのような機能回復ができるか検討した結果,機能回復ができないということで,補償するに至りました。
補償金額の明示をしていただきたいという話でございますが,企業者である札幌市と権利者との信頼関係,これは交渉事の大前提でございまして,信頼関係が損なわれますと,やはり非常に事業の執行に支障になると。補償金額を公表することは,当該権利者はもとより,他の権利者に対しても,公表することによって無用な混乱を生じさせ,円滑な交渉事務に支障が生じるおそれがあるということで,公共事業の円滑な執行の妨げにならないように,このような形で公表できないというふうに考えておりまして,今,金額を明示しろということにつきましては,大変申しわけないのですが,差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
なお,その補償金額の算出根拠あるいは方法でございますが,現在の建物と同種,同等の建物を再築するのに要する費用,これを補償するものであります。その算定方法につきましては,現在ある当該建物ですが,これの推定再建築費をまず算定いたします。その額に,当該建物のいわゆる補償率というものを掛けまして,その補償率を掛けて出された金額に,さらに,取り壊し工事分を加えまして,また,その取り壊しをしたときに処分できる発生材が生じますので,その分を差し引いた額が,いわゆる補償額というふうになります。端的に言いますと,新築する費用から一定の減価する分を差し引いて,そこから取り壊す費用を,当然これはかかりますから,加算した上で,取り壊して発生する処分可能な部分を金額として差し引いた額と,こういうことでございます。
以上です。
◆小野正美 委員 今年度,この土地を用地買収されるわけですが,250メーターほどの工事区間ですから,取得したところから工事をやるというわけにいかなくて,すべての取得が終わってからでないと工事に入れないと思うのですよね。いろいろと,地権者がたくさんいて,いろんな状況の中で,必ずしもすぐにはできない。計画でも12年から15年までかけて用買をするというわけなのですが,そういった中でも,今年度,この土地だけは用地買収をしたということなわけですね。
その必要性についてですが,いわゆる保育園と3.3平米以上という基準があると。現状は470.25平米で,道路用地として136.17平米が削られるので,残りは334.08平米と。整備定員が120名で,3.3平米であれば,396で不足をするのですけれども,しかし実際は,この保育園は,120名で整備をするのに必要なお金を国庫補助で得ていながらですよ,実際には90名定員でやっているのですよ。90名定員であり,しかも,年度始めには定員割れの保育園なのです。年度の後半になって,ようやく90名の定員を満たす,そういう保育園なのです。そういう中で,90名定員であれば,十分に屋外遊戯場も確保できるわけです。なぜ,こういう議論がされなかったのですか。ここの地点で,改築も含めて──いろいろ苦労されている保育園だってあるわけですから。いっとき仮園舎を設けなければならぬとかいろいろあるし,そうしないでも,いっとき外の遊戯場をつぶして,そこに改築してやるとか,いろいろあると思うのです。土地の取得はそう簡単じゃないのですから。そういうようなことを,果たして,検討し,相手側とも協議をした経過があるのかどうか,その点明らかにしていただきたいと思います。
それから,補償額ですね,これ,なぜ公表できないのですか。交渉している真っ最中であればそうはいかないかもわからぬけれども,もう結論が出ている。金額が決められているのでしょう。そして,他の補償交渉に混乱を生じると言うけれども,適正に,一定の基準に基づいて交渉がなされているならば,これはしかも,いわゆる公金を支出するわけですから,どこかの示談交渉で金を決めているわけじゃないのですから,なぜこれ,補償額が明らかにできないのか,この点,再度答えてください。
◎大根田 建設局用地部長 1点目の,整備定員は120名だけれども,実際の定員は90名だと。90名で補償すべきでないのかというご質問だと思いますが,確かに現定員は90名でありますが,当該保育施設の整備定員は,あくまでも120名の施設として設置しておりますことから,補償をする考え方といたしましては,設置されている従前の規模・機能を補償しなければならないという考え方であります。
それで,たとえそうであったとしても,当該地でいろいろ工夫して,そういう機能が確保できないのか,どういう検討をしたのだということだと思いますが,現在地での機能回復ということにつきましては,例えば建物を引き家または改造したりして,必要な屋外遊戯場の面積を確保することができるかどうかという検討をいたしました。しかし,引き家をする余地は,当該敷地は非常に狭いものですから,そのような余地はないということ,そしてまた,改造するにしても,狭い土地ですから,当然今までの平屋の中では,そういう形はできませんので,2階建て等にしなければならないと。こういうことになりますと,その際は,児童福祉施設最低基準によりまして,耐火構造建築物にしなければならないと。こういうふうな形になりますと,その補償につきましては,金額がかさむので非常に困難であると。
また,保育施設は,その性格から,休園することができないというふうに判断いたしておりまして,改造などの工事期間中は,当然,仮園舎の設置が必要となることが想定されます。
また,その児童福祉施設最低基準には,最低基準を超えて,設備を有し,または運営している児童福祉施設については,最低基準を理由として,その設備または運営を低下させてはならないということも言われておりまして,これらのことから総合的に判断をいたしまして,いわゆる地区外の再築,私どもとしては構外再築というふうに言っておりますが,その方法が合理的な補償の仕方だというふうに認定したところでございます。
それから,再度,補償金を公表できないのはなぜだ,こういうご質問でございますが,先ほどの繰り返しになるような答弁になりますが,道路の整備など公共事業の施行に伴う用地買収等の事務においても,適切な行政運営が図られているかなどを見る必要があることは当然であります。ただ,どの程度の補償をしたかについては,各権利者といたしましては,それを他の者に知られたくないというのが通常でありまして,これを公にするならば,権利者の事業協力は非常に困難な状況になります。
また,その補償金額について,補償の具体的な算定基準等が公になれば,補償金算定に至るその諸条件の違いを正しく認識あるいは評価することなく,自己に有利なようにそれを活用され,正しい理解を得るまでに非常に時間と労力がかかりまして,交渉が非常に難航する,こういうことが予想されます。
これらのことから,このような公共事業の交渉は相互の信頼関係が最も重要なことから,円滑な交渉事務を進める上で,支障が生じないように,補償金の公表は差し控えさせていただきたいと,こういうことでございます。
(伊与部敏雄君「委員長,議事進行」と呼び,発言の許可を求む)
◆伊与部敏雄 委員 先ほどから段々の話を聞いてますと,質問者と答弁者と,これ平行してですね,幾らこれ,質問,答弁してもかみ合わない,はっきり言って。これはやっぱり暫時休憩して,市として統一見解をしっかり出していかないと,いずれにしても,札幌市民の税金が使われているわけですから,それが,許容の限界として,どこまでこれ──守秘義務その他あるかもしれないけれども,これは少なくとも,市民が納得のいくような,議会が納得いくような──議会が納得しないで,そしてこういう事実があるということは,これは大変ですから,だれから聞いても,いや,これは正しくこうこうこういうふうにしたというね,そういう事実関係をきちっとしないと,これはやっぱり市民の税金を使って,公金を使ってやるわけですから。しかも,土地の問題だけでなしに移転補償の問題,二つも三つも重なってあるわけですから。これは,委員長,この際,金額の問題,その具体的な,何十何円まで明らかにせいと,そういうことについては,これ,百歩下がりますけれども,しかし,ある程度の金額について公表できないなんていう,ずっと公表できない公表できないと言ったら,これ質問できないじゃないですか,はっきり言って。(発言する者あり)公金の使い道について議会が精査するのにですよ,それができないというのだったら,議会は何のために,チェック機関としてですよ,チェック機関としての機能を果たせないじゃないですか。ですから,監査委員もいますけれども,これは,やっぱり監査委員,審査室その他含めて,これは用地部の部長がそうだということだけでなしに,総合的に判断をして統一見解を出さなかったら,議会がチェック機関としての機能を果たせない。委員長,暫時休憩して,その統一見解を出してください。(発言する者あり)
○柿崎勲 委員長 用地部長,先ほどの答弁で,2回,補償についてお話をされましたけれども,その答弁の域を出ないということですか。(発言する者あり)
◎大根田 建設局用地部長 これは,やはり交渉する上で,今,事業継続中でありますし,これを公表することによりまして,今後の補償交渉に重大な影響が出てまいりますので,これはあくまでも公表を差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
○柿崎勲 委員長 伊与部委員に申し上げますが,今の用地部長の答弁は,あくまでも,暫時休憩してもですね,(発言する者あり)用地部長の立場として断じて補償金額について公表できないと,私に向かってお話をされましたので,これが,暫時休憩して,結果,公表するということになたしますが,いかがですか。(発言する者あり)
◆伊与部敏雄 委員 だから,用地部長はそういう個人的な判断をしているけれども,監査委員だとか,審査室だとか,それから助役だとか,局長だとか,みんなの総合的な判断はどうかということを聞きたいわけですよ。(発言する者あり)だから,暫時休憩して,総合的に,そういう関係者が集まって協議して統一見解出しなさいと言っているの。(「議事進行」と呼ぶ者あり)(発言する者あり)
○柿崎勲 委員長 小野委員,ありますか。
◆小野正美 委員 伊与部委員の指摘も,本当に市民の声として重大に受けとめていただかなければならないと思います。
これは,相手との信頼関係だとか,それから他の補償交渉に重大な影響というか混乱が生じると言われますけれども,少なくとも相手は個人じゃなくて法人なのですよ。社会福祉法人で,札幌市の委託を受けて保育事業をやっているわけですよ。しかも,先ほど言いましたけれども,本来は土地も所有していなければならないのに,例外的に認められてきた存在なのですよ。そして,今度は移転先として市の土地を無償貸与されて,引き続き事業をやるというわけですよ。そういう点で非常に疑問が残ります。不信が残ります。
しかし,それを前提にした上で,引き続き質問をさせていただきますけれども,今言われたように,あくまでも現状と同程度の施設を建設することができる金額と。そして,なおかつ,これはもう25年たって,僕が実際見てきたときも,かなりもう老朽化してて,煙突なんかはひびが入っていて,鎖で縛って何とか維持しているようなところです。そういう意味での減価というのがあるわけですから,いわゆる補償率というやつですね。これはよく,要するに半値以下だとかいろいろ言われるのだけれども,具体的にどの程度の補償率になるのですか。4割ですか,5割ですか,3割ですか,その点だけは明らかにしていただきたいと思います。
◎大根田 建設局用地部長 端的に申しまして,補償率はどのぐらいかということでございますが,先ほども言いましたように,特定をして申し上げますと,大体そこから金額が推測されますので,そういう面では,特定的なことは申し上げられませんが,現在の補償率としまして,減価する割合と言った方がわかりやすいのかもしれませんが,現在といたしましては,やや古い木造の建物,これはいろいろ状況が違いますから一概には申し上げられませんが,おおむね1割から2割程度の減額と,こういうことになろうかと思います。
◆小野正美 委員 私は,2割から3割ぐらいが補償率じゃないかという話を聞いたこともあるのですが,今言われたのは1割から2割ということですが,建物は約496平米ですから,500と見てですね,それで,今建設をするとすればどのぐらいかかるかということなのだけれども,これは業者によっていろいろ違うのでしょうが,国庫補助の基準単価というのがありますから,1平米当たり約20万円ちょっとですよ。つまり,約500平米であれば1億円です。補償率が2割としたら8,000万円ですね。この程度が補償額ということで考えていいですか。いいですね。はい。(発言する者あり)
それでは,引き続いて児童家庭部の方に質問をしてまいります。
先ほど,移転が必要なのは,屋外遊戯場が基準面積を下回るためと。だけれども残りが334.8平米で,90人定員であれば297平米で十分可能なのだけれども,25年前の整備定員が120名で,それで金をもらって建てたのだが,今は90名定員になっていると。120名と90名比べれば,保育単価は90名の方が高いのですよね。それで今運営をしてきているわけです。いずれにしても,そういう形で今回補償されるわけなのですけれども,築25年ですけれども,もっと以前に,いわゆるポストの数ほど保育園をということで建てられた,古い保育園がたくさんあるわけです。それで,自己資金がない,足りない,あるいは,札幌市や国の予算の枠の関係で順番が来ないという形で,古い施設であるけれども,我慢して,辛抱して保育をしていただいている法人もたくさんあるわけです。その中で,この保育園が今年度あったわけなのだけれども,当然順番はもっと先のはずだと思うのですね。
この点で,一つは,この老朽改築,予算の範囲内で国庫補助制度に基づいて,建築費あるいは暖房設備費などの助成を行うわけですけれども,今年度は一体何カ所でこうした改築が行われるのか。本来的には,この札幌北保育園は,現状の中で言えば,どの程度の時期になるはずだったのか,この点を明らかにしていただきたいと思います。
それから,移転先の土地のことなのですが,その土地を先行取得したことについても非常に疑義が残りますけれども,果たしてこの保育園の土地として好ましいのかどうかという疑問があるのです。実際に私も現地へ行ってみました。そうすると,現在は,北陽小学校のグラウンドの相当高いバックネットで片一方がふさがれて,そして奥は5階建てのマンションです。そして,隣が4階建てのマンションです。三方ふさがれているのです。行きどまりの道路が1本あるだけです。そこで保育園が建てられている,今,工事をやっていました。それで,車で送り迎えなんかをするわけですから,どこに車をとめるのか。園庭の中に車を入れるのか,子供たちが遊んでいる園庭に。それとか,いざというときの避難経路がどうなっているのか。この点,1本の道しかないところで,いざというときにどうやって子供たち避難するのですか。そういった検討がなされているのかどうか,これを明らかにしてください。
◎平井 児童家庭部長 施設が老朽化していきますので,逐次,改築の必要が出てまいります。そういう意味では,本市におきましては,5年ごとに見直しをして,5年計画を立て,順次改築を行っているところでございます。本年度は,札幌北保育園を含め7カ所の改築を予定して,事業を進めているところであります。
それで,今次5年計画が始まりますときに,40年から50年初頭にかけての各施設,それを抱える法人に改築の希望調査を行いました。そういった中で,この5カ年では資金計画等で難しいとか,建物の老朽度,あるいは待機児童の張りつき状況,そんなことを勘案して,今回5カ年の中で順位を決めたわけでございますが,単なる老朽度,耐用年数でいきますと,今回は街路事業ということで12年度に入りましたけれども,今次5カ年の後年次,あるいは次期5カ年の初年度ぐらいの順番かなというふうに思います。
それから,移転地のことでございますが,当該北陽小学校,新陽小学校両通学区域の中には,現在,認可保育所ございません。多数,隣の小学校区あるいは近所の保育所に通っているお子さんがおられます。また,移転地は,小学校に隣接している,あるいは街区公園にも近いということで,私ども,保育所用地としては,好ましい場所と判断をしているところでございます。
また,取りつけ道路もございますので,そこを両等の対応につきましては,敷地内に父兄専用の駐車場ということで5台分の敷地を確保すると。それから,屋外遊戯場にスチールさくを設けて児童の安全確保を図るという予定でおります。(「避難,緊急時はどうするのですか」と呼ぶ者あり)
敷地の裏の方に出口を確保していると。
◆小野正美 委員 裏ということは,奥にマンションがありますね。マンションの駐車場をお借りして避難をするということですね。現地見ましたから。そういうような場所にですね,あえて先行取得した土地に今回移転をすると。しかも,通常であれば,次期5年計画に入るかどうかというのが,たまさか今回,移転補償が出るので移転することができるというわけですね。
それでは,次に,この移転改築に伴ってどういう協議がなされているのかお聞きをしたいと思うのです。一応乳幼児併設ということで,120名定員で整備をされるということで,いろんな必要な要件があろうかと思いますし,そういう最低基準だけじゃなくして,本市がいろいろ今推進をしている子育て支援相談室だとか,いろんな事業があるわけですが,そういったことがきちっと担保されるのかどうかですね,そういう施設概要を明らかにしていただきたいと思います。
それから,改築の費用についてです。
先ほどので,補償額がおおよそ推定されるわけですけれども,鉄筋,いわゆるRCの2階建てで750平米という施設と概略聞いているわけです。これも,国庫補助を受けるとすれば,基準単価,20万ちょっとですから,1億5,000万円なり1億6,000万円というお金がかかるだろうということです。そうすると,通常は,国庫補助を受ければ,その8分の1を自己資金として用意をすることになるわけですけれども,今回の場合には,そういう国庫補助を受けないで自己資金でやると。その自己資金の多くは移転補償なのだろうけれども,やると。ただ,いずれにしても,さっき推計した補償額からすれば,7,000万円なり8,000万円の差が生じるはずなのです。この法人は,土地も取得できない。しかも,幼児だけでは定員が120名満たせなくて90名に下げている。乳幼児併設であればもっとふえるはずなのだけれども,乳児の受け入れをするためには沐浴室などもつくらなきゃならぬ,そういう改修もしなきゃならぬ,しかし,その改修の金もないという法人なのですね。その法人がどのようにして,この改築費用をつくろうとしているのか。そういう資金計画,あるいは返済計画,こういったことを確認されているのかどうか,お聞きをします。
◎平井 児童家庭部長 改築施設の概要ですが,今おっしゃられましたように,構造,面積につきましては,鉄筋コンクリート2階建て,延べ面積792平米ということで,最近の保護者の方からの要望によりますと,乳幼児併設で一貫ということでございますので,私どもは,改築あるいは新築の場合は,乳幼児併設園という形で指導をしておりまして,120名定員の乳幼児併設園ということで,10%以上の乳児の受け入れスペースを確保することと,乳児,幼児,それぞれの受け入れスペースについて,十分に確保されております。
また,今おっしゃられました地域子育て支援相談室等の整備につきましても,育児相談等が可能な専用室が確保されております。
それから,本市の社会福祉施設の国庫補助事業につきましては,要領に基づきまして施設整備計画書を提出させて審査しているところでございますが,本市の補助を受けることなしに,これは整備するものでございますので,施設計画書の提出等の義務づけはございません。ただし,児童施設,福祉施設としての最低基準が満たされているか,あるいは,これから長期にわたり継続的に運営をしていかなければならないということで,施設整備に当たっては,その確認を行う必要がありますので,必要な説明を求め,協議を行い,これに準じた,最低基準を守った施設整備が図られるように協議を行ってきたところでございます。
◆小野正美 委員 施設整備,それから資金計画などについて協議をしてきたということなのですけれども,約1億6,000万円なり1億5,000万円の費用がかかる。国庫補助を受ける場合には,資金計画書を提出して,不足分については,社会福祉医療事業団から借り入れるとか,あるいは,自己資金で幾ら,どの程度賄うとか,それぞれ返済計画とか,返済の寄附者がだれで,どれだけの寄附をするとか,そのためには預金残高証明を提出するとか,いろんなチェックがあるわけですね。
それから,そういう意味では,やはり市の土地を貸与して,継続して保育の運営費を補助していくわけですし,そういう面では,きちっとした資金計画,本当に安心できる資金計画でやられているのかどうかということは,これはやっぱり責任あると思うのですよ。変なところからお金を借りて建てられて,大変なことになったりしたら困るわけですね。そんなことを含めて,本当に適正な計画が持たれているのかどうかです。
確かに,自己資金で全部やるからと言われれば──こういう社会福祉法人,ここ一,二年いろいろな問題があって,建設する場合に,設計業者,あるいは工事業者も含めて,行政側が立ち会って競争入札で選定をするだとか,あるいは,工事も,その設計書どおりに工事が行われているかどうか,中間を含めてやっているわけなのだけれども,これもすべて,今回は自己資金だからやらんでいいわけなのですね。この点も含めて,どういうような協議,あるいはどういう確認をされているのか,改めてお聞きをします。
◎平井 児童家庭部長 先ほども申し上げましたけれども,国庫補助等を受けませんものですから,施設整備計画書という書類等の提出の義務はございません。ただし,保育所運営に当たっては,継続的・安定的に運営をしていかなければならないということで,施設整備等については,最等で説明を受けました。その際,あわせて事業計画,資金計画等についても説明を受けました。その説明によりますと,保育園の事業計画と借入育園の事業計画と遜色のないものでございました。
◆小野正美 委員 立場上はそういう答弁しかなされないのでしょうけれども,私としては,本当に,社会福祉法人という立場で,いろんな問題があると,非常に今回いろいろと調べさせていただいて思ったところです。特に,知的障害児を抱えている親も,子供たちの卒業後の行き場所だとか,働き場所をつくろうと,いろいろな苦心をされているのですよ。小規模作業所をつくろうとしても,でき上がれば,年間700万円なりの補助があって,それだって大変なのですが,それも,半年間の実績がなければ補助がつかないわけで,その間の立ち上がり資金として300万円をつくろうと,それすら苦労しているのですよ。
終わります。
◆本郷俊史 委員 私からは,今,大変大きな問題になっております児童虐待について質問をさせていただきます。
連日繰り返される悲惨な事件の報道がございます。この間,国において,ことしの5月に児童虐待防止法が成立をいたしまして,この11月から施行になる。その防止法の中で,地方公共団体の責務として,関係機関及び民間団体の連携の強化,また,その虐待防止のために必要な体制の整備,こういうことがあるわけでございますけれども,本市におきましては,ことしの3月に,20以上の関係機関によりまして,札幌市児童虐待予防・防止連絡会議というものが立ち上がりまして,この7月に第1回の会合が持たれたわけでございます。
この児童虐待防止には,やはり早期発見,素早い対応ということが大きな核になるわけで,この連絡会議の充実ということが今後重要になってくるかと思いますので,この点について質問をいたします。
この7月の会議では,児童虐待件数など,本市の状況の共通認識,また,各関係機関の活動状況等の意見交換,そして,今回のこの児童虐待防止法に関する講演,こうあったわけですけれども,この連絡会の運営要綱の中で,事業内容等というのがございます。この中で,予防の啓発活動だとか,あるいは虐待に関する研修会の開催,こういったことをうたわれているわけですけれども,今後,この連絡会議,どのような活動展開になっていくのか,1点目お伺いをいたします。
それから,この会議の中で,区単位の,今これは札幌市全体ですけれども,それを各区単位に,防止ネットワーク会議を立ち上げると,こういうことでございます。区単位の場合,これが,例えば道警なんかは,今度,それぞれの警察署ということになっていくのでしょうけれども,どこが中心になって,この市の連絡会議とどういう関係になっていくのかということをお伺いいたします。
3点目は,この中で,さらに地域協力員制度の新設ということがうたわれております。この児童虐待に関する講習を3時間受けて,それぞれ登録証をいただいて登録をされると。初年度2,500人,2年次目5,000人,こういうことでございます。あくまで,これは個人の登録でございます。この個人の登録していただいた協力員の方と,この区の防止ネットワーク会議との連携がどのような形になるのか,そして,登録後のこの方たちの活動,研修というものがどういうふうになっているのか,お尋ねをいたします。
それと,この中で,一般市民,登録希望者というふうになっていますけれども,どのような方々がどれくらいの割合で登録されるようなことをお考えなのか,お伺いをいたします。
あわせて,これは概略で結構ですけれども,全国的に見て,児童相談所の相談件数が10年前に比べて,相当数,7倍とか,ふえているわけです。本市におきましては,そこまでではないですけれども,本市の児童虐待の現況につきまして,簡略にお願いいたします。
◎竹内
児童福祉総合センター所長 委員お尋ねの,第1点目の,本市の児童虐待予防・防止連絡会議のこれからの方向性ということでございますが,これは札幌市内の子供に関するすべての機関・団体を網羅しておりますので,この方たちと,これからにつきましてもいろんな連絡・協議を進めていく,そんなふうに考えております。本年度やりましたような各機関の活動状況等について,それぞれが意見交換をする,そういうふうに考えております。
それから,2番目の,区に設置を予定しております児童虐待予防・防止ネットワークについてでございますが,これは,各区の保健センターが中心となりまして,母子保健の立場から児童虐待の防止活動を展開するということでございます。これは,今年度中に各区に設立する運びとなっております。当児童相談所といたしましては,このネットワークが設立されることによりまして,地域での児童虐待の予防・防止の啓発等,きめ細かく対応していくことが可能になるだろう,そんなふうに期待をしているところであります。そのほかにも,市内には,このネットワーク会議を初めとして,子供に関するさまざまな活動を行っている機関や団体があるわけでございますけれども,児童相談所としましては,それらのネットワークが効果的・効率的に活動できるように,調整機能を持ってそれらを高めていきたい,そんなふうに思っております。
次に,児童虐待地域協力員についてのお尋ねでありますが,児童虐待というのは,家庭の密室状態の中で起こることが多うございまして,なかなか発見できないというのが現状でございます。虐待を早期に発見するためには,地域でいろんな公的な活動をされている方々や,子供と日常的に接している機関の方々の協力を得ることが必要不可欠であると,そんなふうに考えております。そこで,これらの方々を対象にいたしまして,児童虐待に関する研修を受講していただきまして,その修了者を児童虐待地域協力員として登録しようというふうに考えております。
協力員の役割といたしましては,児童相談所と一体的に援助活動を行うことでございますが,具体的には,虐待の発見と通告,子供に関する情報収集,地域内の子供の見守り活動,それから児童虐待の予防・防止の啓発等が活動内容になろうかと考えております。
それから,登録に当たりましては,いろんな,私どもが考えます協力員の役割等の研修を受講していただくということを考えているところであります。
それから,今日の児童虐待の実態というお尋ねでございましたが,11年度は全体で137件の児童虐待の相談が寄せられ,これらに対応したところであります。
以上でございます。
◆本郷俊史 委員 地域協力員,なるべく現場に近い方々に,そういったことを通報していただく,こんなようなことかと思うのですけれども,今,研修の話が出ました。ことしの1定で,児童虐待対応研修プログラムを作成しますと,こういう答弁があったわけでございますが,これが今どのような状況になっているかということと,この研修のための資料ですね,厚生省で手引書というものが,厚いものがあるわけでございますけれども,こういった関係の方々に広く理解をしてただくためには,なるべく使い勝手のいい,日常的にすぐ手引きできる,こういったもので,なおかつ幅広く多くの方に行き渡る,こういったことが必要かと思いますので,その点お伺いをいたします。
それとあわせて,今137件というお話ございました,平成11年度。中身見ますと,大変いろんなケースがあるわけでございまして,同じく1定のときに,その対策として意識調査を実施したいと,こういうご答弁だったかと思います。今回,国の方でも,ことしから来年にかけて,いわゆる虐待の実態だとか,あるいはそれぞれの機関でどのような対応しているかみたいな調査を行うと。札幌市は,その全国調査の一環として,この秋にも実施をされると。この秋といいますか,今月,10月ですね。この調査がどの程度の規模で行われ,また,この結果が,国の方に,厚生省の方に行くわけですけれども,当然この札幌で行うわけですので,その結果がいつごろまとまって,本市のこの虐待の,先ほどありました連絡会議の中で施策としてどのように生かされていくのか,この点お伺いします。
◎竹内
児童福祉総合センター所長 第1点目の児童の虐待予防・防止に関する手引の件でございますけれども,ただいま,児童虐待の地域協力員を初め関係の方々に対する手引につきましては,厚生省の手引書をもとに製作に取りかかっているところでございます。
2番目の児童虐待に関する大規模な実態調査の件でございますが,これは,厚生省がただいま,児童虐待及び対策の実態把握に関する研究として,実態調査を実施することになっております。この調査というのは,ちょっと中身を申し上げますと,福祉関係の事務所・施設,児童福祉施設,それから幼稚園,小・中学校,弁護士,医療機関など,幅広く児童虐待の実態を報告いただくものでございまして,その調査結果として,本市分の調査内容がそれぞれフィードバックされることになっております。したがいまして,私どもとしては,当調査が円滑に実施できるように,この調査に協力をしてまいりたい,こんなふうに考えております。
それから,これはいつから始まるかということでございますが,平成12年秋に,今,秋でございますけれども,間もなく始まるというふうに聞いておりますが,12年度のいわゆる前期分,8月までの分を調査する。それから,13年度に,12年度の9月から3月までの分を調査すると,そういうふうなことを聞いております。
以上でございます。
◆本郷俊史 委員 研修プログラムは今作成中ということで,ぜひ,先ほど私申し上げましたとおり,そういうことに携わる方が本当に活用できるような中身で,なるべく早く作成をお願いしたいということを要望します。
それと,今回立ち上げられましたこの連絡会議ですけれども,相談所,ここがやはり中心になって進めていくわけですが,いろいろお聞きしますと,今,受けている件数,137件ということでした。一時保護一つとっても,なかなか家庭裁判所の審判まで時間がかかるだとか,平均でも3週間以上,1カ月とか1カ月半とか,そういう形になっていたり,あるいは,処遇の実態でも,7割から8割がもう1回,家に戻って,この在宅の指導,継続指導といいますかね,これを続けている。あるいは,今のいろんな少年の事件等,複雑な難しい問題,こういったものを毎日現場で抱えながら,なおかつ,今のこの厚生省の実態調査だとか,あるいは研修プログラムの作成だとか,こういうことをこれから行っていくわけですね。そして,1定のときにもありましたけれども,医師とか医療機関の方々の通告義務,守秘義務との関係性もあって,そういうところに理解をいただく,こういう作業もある。そういうことを考えますと,本当に今のこの組織体制,この強化がやはり必要ではないかというふうに思うわけでございます。この点の認識について。
また,今申し上げましたことですけれども,この実態調査を行った結果,問題点だとか改善点だとか,それぞれ出てまいると思います。この辺の予算措置を含めた国への要望が必要かと思うわけですけれども,この点お尋ねをいたします。
◎竹内
児童福祉総合センター所長 ご承知のとおり,児童虐待の防止に関する法律というのが秋から施行されることになっております。したがいまして,これまで以上に虐待通告件数が増加するということが考えられるところでございます。そういう意味におきまして,児童相談所の体制を強化していく必要があるというふうに認識をしているところであります。これらにつきましては,関係部局とも十分に協議を重ねて,体制の強化に努めていきたいというふうに考えております。(発言する者あり)
予算措置につきましても,十分に努力をしてまいりたい,こんなふうに考えております。
◆岩村よね子 委員 私からも,児童虐待にかかわる児童相談所の体制強化について質問したいと思います。本郷委員とダブらないように頑張ってみます。
虐待処理件数,私が調べたところでは,1990年,9年前の1,101件に対して,今1万2,411件ということで,全国的には10倍強というふうなことになっているわけですね。札幌市においては,今お話ありましたように,5年前に比べて2倍強,137件というふうな件数が出ているわけですけれども,さっき所長さんのご答弁にもありましたように,今後のいろいろな取り組み,啓発活動,それから,今,子供を取り巻く環境が大変厳しいという中で,どんどんふえていくということが予想されるわけです。そこで児童相談所の役割というのが大変重要になってくるということは,今の質疑でもございましたが,今のその相談体制ですね,児童相談所に電話かかってきて,相談を本当に受け持っていくだけの人員がいるのかどうか,対応するその職種とその人員,中心的に取り組んでいる課題であるとか,また,現在の人員配置で不足な部分があるのかどうか,その点について,まず最初に伺います。
◎竹内
児童福祉総合センター所長 ただいまの本郷委員の質問の中でもありましたけれども,今後,虐待者である保護者への指導の義務化であるとか,通告に対する即応体制の確立,関係機関・団体との連携の強化,それから,虐待に関する啓発活動の促進等々と,大変業務もふえてまいるというふうに考えております。したがいまして,先ほど申し上げましたとおりでありますけれども,関係機関とも十分に協議を重ねて体制の強化に努めてまいりたい,そんなふうに考えております。
それから,現状の人員体制でございますけれども,確かに,現職員数ではなかなか余裕がない,それから,困難・複雑なケースになかなかしっかりと対応していくのが厳しくなってきたということは事実でございます。したがいまして,これらも含めて体制の強化に努めてまいりたい,そんなふうに思っております。
以上でございます。
◆岩村よね子 委員 対応する職種について伺ったのです。人数と職種について,どういう職種がここにかかわっているかというふうなことをお伺いしたわけなのですけれども。
◎青山 相談判定課長 細かい話になってきましたので,私の方からお答えさせていただきます。
現在,児童福祉司は,私どもの方に16人配置されておりまして,児童虐待の方でありますとか,そういう方にかかわっておりますのは13名。それから心理判定員,児童虐待なり非行等でかかわっているのが5名と,プラス非常勤職2名で,合計7名という形でかかわっております。
以上であります。
◆岩村よね子 委員 本当に,先ほども,児童虐待については,その虐待者へのかかわりが非常に困難だというふうな状況をお話しされました。児相の中のいろいろな相談事に比べて,この児童虐待にかけるエネルギーというのは,本当にもう大変なものがあるというふうに伺っているわけですけれども,来年度に向けて,この要員を増員していく,児童福祉司,心理判定員,相談体制を強化していくというふうなお考えがあるのかどうか,その辺について,所長さんに伺います。
◎竹内
児童福祉総合センター所長 何度も申しますが,この児童虐待については,よりきめ細かく対応をしていくことが予防・防止につながるというふうに考えております。したがいまして,この児童福祉司等を初めとした対応職員の増員,体制強化について努力してまいりたい,そういうふうに思っております。
◆岩村よね子 委員 本当に現場の苦労を酌み取って,増員ということで頑張っていただきたいというふうに思います。
それと,児相の場合は,この児童虐待にかかわる専任のお医者さんが小児神経科医ということで伺っているのですけれども,児童の虐待問題というのは,即,その両親,親とのかかわりが非常に重要になってくるというふうに思うのです。札幌市における児童虐待の状況,この資料をいただきましたところでは,65%が実の母親というふうなことなのですね。虐待されている子供の50%近くが小学校入学前の乳幼児ということで,母親が幼い我が子を虐待しているという,こういう数字になっているわけです。子育ての困難さということが,私はこの数字から読み取れるなというふうに思っているのですが,ある保健婦さんの報告では,虐待している母親のうちの9割が,神経症とかその予備軍,そして人格障害,こういうふうな背景を持っているというふうな,こういう報告も私聞いたことあるのです。保健センターで乳児検診のときに,ちょっと危ないなというふうなものを発見するとか,小児科でもって先生が発見するとか,こういうふうな機会というのは今後もふえてくるというふうに思うのですけれども,実際,保健センターとか小児科の病院では,そのお母さんに問題ありということで問題意識を持ったとしても,深くかかわっていくという,そういうふうな人的体制も余裕もないわけですよね。
それで,本当にこの児童虐待というのは,子供の虐待を発見する,そして一時保護するということにすごく世間の問題意識というのが今盛り上がってきているところだと思うのですけれども,もう一歩進んで,母親へのケア,父親へのケアというか,虐待者に対するケアが本当に継続的に行われなければ,再発していく,また,虐待を受けた子が大きくなって結婚して子供を産んだときに,また虐待をしていくというふうに,虐待の連鎖が起こってくるという,そういうふうな報告も聞いているところなのですよね。そういう乳幼児期に心の傷を負った子供たちのケアと,それから虐待者である親へのケアという意味では,児童と成人の両方の精神科的な研究なさっている,研修なさっている先生が,やっぱりスーパーバイザーというか,中心的な役割を果たす人として児童相談所に配置されるべきではないかというふうに私は思うのです。他都市の状況を見ても,政令市の中で7市が,精神科領域の先生が児相に常駐されているという,そういう数字も伺っているところなのですけれども,本当の意味での早期発見から,予防,そして継続的なフォロー体制,この一貫したシステムづくりのためにも,どうしても児童精神科医の配置が必要だというふうに私は思うのですが,所長さんのご見解,必要と思っていらっしゃるかどうか,そのあたりを伺いたいと思います。
◎竹内
児童福祉総合センター所長 ただいま,委員の方からのお話の,児童の精神科を標榜している医師を何らかの形で配置している政令指定都市について見ますと,4市ございます。札幌市につきましては,ただいま小児神経科の医師を専任としております。それ以外の,いわゆる児童の精神科を担当するのは,市立病院の静療院の医師3名に嘱託という形でゆだねているわけでございます。
現状の中では,私どものこの体制で十分対応できている,いわゆるボリュームとしてはできているというふうに考えております。ただ,児童虐待等の大変複雑な親子関係等の中で,そういう精神科の医師のかかわりというのが必要なケースもあるということは十分に認識をしておりますので,この精神科医師の配置については,今後の課題というふうに考えております。
以上でございます。
◆岩村よね子 委員 児童精神科の分野の先生が,北海道でもそんなにたくさんいないということも聞いているのですけれども,やはり精神科領域からのアプローチという点で,ぜひ前向きな検討課題として取り組んでいただきたいというふうに思います。非常勤で今,静療院の先生方がかかわっているというふうなことですけれども,本当にこれから区単位のネットワークが発展して,一つ一つのケースについてずっと長期間追っていくといったような場合には,やはり精神科の先生の深いかかわり,ケースの事例検討なんかについても深いかかわりというのが必要になっていくというふうに思いますので,重ねて前向きな検討をお願いしたいというふうに思います。
それから,さっきの地域のネットワークの立ち上げ,いろいろなお話ありましたけれども,ぜひ,その中でも長期的な視点というのかな,先ほどお話しした,予防から早期発見,継続的なフォロー,そしてずっと経年的に長い間追っていく,札幌市から転居した場合は,その転居先の児童相談所への連絡であるとか,一生涯管理して,そして虐待を防止していくという,そういう本当に息の長い取り組みになっていくというふうに思うのです。そういう体制で,ぜひ,虐待を起こす親のさまざまな事情,かわいそうな子供を虐待しているむごい親ということではなくて,親自身も本当に心が病んでいると,子育てが困難な状況になっていると,そんな視点で,ぜひ今後とも取り組まれるように強く希望いたしまして,質問を終わります。
◆山口たか 委員 虐待問題が続きましたので,私の質問と重複する部分もありますので,ちょっと角度を変えて,児童相談所のあり方というような観点でさせていただこうと思いますが,その前に,全部関連をしてくるので,大きく,子育て支援,少子化対策について,まずお尋ねします。それから虐待問題,その後,DV,家庭内暴力の問題というふうにいきたいと思いますが,委員長にちょっとご了承いただきたいのですが,最後の家庭内暴力の問題は,次の項の生活保護費とちょっと絡んでくる部分がございまして,それで一括して質問してよろしいでしょうか。
○西村茂樹 副委員長 はい,結構です。簡潔に,ひとつその辺はまとめてやってください。
◆山口たか 委員 それでは,まず子育て支援の方から参りたいと思います。
ただいま岩村委員からもお話しございましたように,母親が子育ての中で孤立をしている状況というのが近年クローズアップされてまして,そこが虐待につながったり,いろんな問題を引き起こしているということがございます。私も,1定のときも質問をさせていただいたのですけれども,そのときは,たしか,少子化に関する基礎的な調査というのが終了したばかりで,きちんとした分析,政策的にまだできていないということでしたので,改めて,まず,ことしの2月にまとめました,その少子化の調査についてお尋ねをしたいと思います。
この調査ですけれども,これをどのように分析して,どのように札幌市の少子化対策に生かそうとされているのかということが1点目です。
特に,札幌の子育ての特徴というものについて,どのように認識をお持ちになったのか,それが2点目です。
それから,3点目です。これは,都市経営室が電子会議室というのを去年やりまして,その中で,子育てに優しい街を考えようというテーマでインターネットを使って議論をいたしまして,私も,書き込みはしませんでしたが,ずっと読ませていただいてまして,活発な議論があったように認識をしております。そのような電子会議室の議論も含めまして,これからの札幌市,非常に今,全国的にも合計特殊出生率が下がっている,どんどん子供が生まれない街になっている,そのようなことについて,どのように対策をお立てになろうとしているのかということをお尋ねしたいと思います。
それから,児童相談所についてですけれども,ただいま,地域との連携,地域協力員のこととか出ましたし,それから,親のフォロー,バックアップ体制ということについても質問が出ましたので,ちょっと角度を変えて,させていただきます。
この児童虐待予防・防止連絡会議が立ち上がったということは評価をしたいと思います。7月に第1回目の会合が持たれたということでございますけれども,これをやっぱり実効性のあるものにしていかないと,なかなか効果は上がらないだろうと考えるわけなのです。この出席者名簿を見せていただいても,これ,充て職で入っていますから,立ち上げたときにいた人が,もう第1回目の会議のときにはいないという方が,私が知っているだけでも4人ぐらいいらっしゃるし,そういう意味では,どれだけここがきっちりとした実効性のあるものになっていくかということなのです。その中で私が重要だと思うのは,やっぱり日々現場でいろいろなケースを抱えて活動していらっしゃる職員の方の意見なりをどれだけ吸い上げて,全市的なものに持っていくかということだと思うのですけれども,聞くところによりますと,この予防・防止連絡会議の立ち上げについて,これ,職員は知らなかったというふうに聞いておりますし,そのことに関して職員から意見を吸い上げた,くみ上げたということはないというふうに聞いております。それで果たして実効性のある会議になり得るのかということが非常に大きな疑問ですので,それについてどうお考えになっているのかということが,虐待に関しては第1点目です。
それから,子どもの権利条約批准から,やっとことしになって具体的に,初めてそれに沿った法整備というのがなされたわけなのですけれども,虐待もはっきり位置づけられたといいますか,定義づけられたということがございます。特に,早期発見に努めねばならないとされた教師とか,子供にかかわる人たち,その方たちへの情報提供なり研修についてどのようにお考えになっているのかということが2点目です。
それから,あわせまして,これからは,虐待のおそれがあるというときも立ち入り調査できるというふうに児童虐待防止法第9条に位置づけられましたけれども,実際には,すぐ踏み込むとか,なかなか難しい部分があるかと思いますが,第10条には,警察の援助を求めることができるというふうになっておりますので,その辺の道警との連携ですね,具体的な連携というものが,年に一,二回の予防・防止連絡会議じゃなくて,もっと実効性のある部分での連携というのが求められてくると思うのですが,それについてどうお考えか,お尋ねします。
それから,次なのですけれども,児相の役割もだんだん変わってきているというふうにも認識をしております。例えば,最近は,家庭内暴力,ドメスティック・バイオレンスで,シェルターとかですね,それから,道の女性援助センターに駆け込んでくる数が非常にふえておりますが,道の女性援助センターは保育機能がないので,母子が分離されてしまうという例が非常にふえているというふうに聞いてます。最近の児相に関して,そのような形での,虐待ではなくて,夫の暴力から逃げてきた,母子で逃げてきた,この受け入れというのが実績としてどれぐらいあるのかということについてお尋ねしたいと思います。
以上です。
◎平井 児童家庭部長 私からは,最初の少子化関連のご質問についてお答えをいたします。
まず,昨年実施をいたしました少子化に関する調査結果でございますけれども,本市の特徴といたしましては,一つは,伝統的な結婚観・家族観に縛られない意識が見られたこと。二つ目としては,男女とも,今,委員のおっしゃいましたように,女性が子育て期に一たん退職をし,その後,再就職するライフコース,いわゆるM型を肯定していること。三つ目としては,子育てに対する経済的負担感を強く意識し,経済的支援を強く期待する傾向があらわれているというような特徴がございました。
また,電子会議室で実施しました,「子育てにやさしいまちを語り合おう」というテーマには,7,601件のアクセス,534(49ページで訂正)の発言が寄せられました。現在,政策上の,提案に直結する形での取りまとめまでは至っておりませんけれども,双方向性を生かした情報のやりとりが可能になったこと,さらにはサラリーマン層などの参加市民層の拡大が図られたこと,これらは評価できることかなと思います。
少子化問題は,単に行政ばかりでなしに,市民一人一人,企業,学校など,幅広い範囲に及ぶことから,その影響は,本市にとりましても市政の長期的な運営方針にかかわる重要な課題でありますので,去る9月20日に,社会福祉審議会に,今後の札幌市の具体的な少子化対策についてということで諮問を行いました。さきに実施しました少子化の実態調査,さらには電子会議室でのやりとりの状況,こういったものも,この審議会の審議過程で十分活用していただいて,本市の特性を踏まえた少子化対策の提言をいただきたいものと思っております。
◎竹内
児童福祉総合センター所長 ただいま質問のございました,本市の児童虐待予防・防止連絡会議の設置について,所属の職員が承知をしてなかったということのお尋ねでございますけれども,これについては,国の方がこういう事業を実施せいということで,各地方に周知をされておりまして,このことにつきましては,昨年来から職員の間で,特に係会議等で協議をしておりまして,この会議が結成されることを承知してなかったというのは,ちょっと私ども意外に感じているところでございます。
それから,これらの児童虐待等の早期発見に関する情報の提供等ということであろうかと思いますが,新しくできた児童虐待の防止の法律の中では,第5条に,早期発見に努めなければならない職業の人ということで,学校の教職員,それから児童福祉施設の職員,それから医師,保健婦,弁護士,その他児童の福祉に職務上関係のある者と,こういうふうに規定をされているところであります。
ところで,札幌市の児童虐待予防・防止連絡会議というのは,これらの団体をすべて網羅しているところでありまして,その委員さんを通じて,これらの問題について周知を図ってまいりたい,そんなふうに考えているところでございます。
確かに,団体を代表する者というふうになっておりますので,任期といいますか,その職でなくなれば,また新たな方にかわってしまうという,弊害といいますか,問題点はあろうかと思いますが,私たちは,そういう団体等と連携を密にしながら,そういうそごのないような会議のあり方で進めてまいりたいと,そんなふうに思っているところでございます。
それから,女性センターの狭隘のために,親子がまたそこで分離されなければならないというふうなことで,児童相談所で,その分離された子供を扱った件数はというふうなお尋ねでございますが,平成11年度は,8人のお子さん,これは,6人の兄弟と,それから2人の兄弟,いわゆる2世帯といいますか,2件でございます。
それから今年度,これ9月末現在でございますが,5人のお子さん,これは件数で言いますと4世帯といいますか,4件ということでありまして,2人の兄弟が1組,そのほかはそれぞれ1人ずつ3名ということで,計5人ということになっております。
以上でございます。
◆山口たか 委員 少子化の方なのですけれども,審議会に9月20日諮問されたということで,この結果や電子会議室の議論も含めて検討ということなのでしょうが,やはりこの少子化対策というのは,待ったなしという部分がありまして,これは今までも,何度も何度も,子育て支援計画とか,それから,市民局がやりました,子育て中の母親の意識調査とか,いろんな調査が行われているわけですから,それにのっとって,いかなる支援体制をつくっていくかということが早急に求められていくのだと思います。
そこで,この審議会なのですけれども,私も昨年度入ってましたが,先ほど来の質疑でも申しましたが,充て職が多かったりですね,それから,個別の,例えば保育料とか,学童とか,一つのテーマで話し合う,そういうことにはなれているかもしれませんが,少子化対策というかなり大きな話になると,果たしてこれまでの社会福祉審議会メンバーで十分なのかどうかということが出てくるかと思います。当事者制というか,当事者度を高めるという意味でも,ただ審議会に諮問するというだけでは不十分だと思いますので,その辺のお考えをお示しいただきたいと思いますし,この結論というか,答申はいつごろお出しになるご予定かということを再質問で伺いたいと思います。
それから,経済的負担の軽減とか,M字型就労,一たん仕事をやめて子育てをして,子供が大きくなったら再就職という志向が強いという,札幌の特徴としてお答えがございました。私は,さらにそれに加えまして,転勤族の妻を中心にしまして,地域と切り離されたところで結婚して,初めて子供を産むと。丸裸で家族をスタートさせねばならないというところが,ほかの地域と比べて大きな違いかなというのを感じております。今回やりましたこの調査は,他都市との比較がないですから,その辺が多分わからないと思いますが,男女共同参画白書なんか読んで,他都市との比較を見ますと,そういうような札幌の特殊性というものがすごく浮かび上がってきますから,そういう意味では,孤立して子育てをする母親,しかも専業主婦が多いという特徴がありますから,その辺の母親に対するアプローチをやっぱりどういうふうにしていくかということが,これから大変重要だろうと思います。
札幌でも児童会館を使ったいろんな事業がありますが,やはり「待ち」なのですね。カナダなんかではアウトリッジといって,手を差し伸べて,援助が必要な人のところにも行くとかですね,そういう積極的な形がないと,先ほど来の虐待の問題も含めて,なかなか救われないのではないかというふうに考えますが,その辺の,積極的に出ていくお考えはおありかどうか,お尋ねをしたいと思います。
それから,児相についてですが,係会議からも伝わっていたので,知らない人がいるというのはちょっと考えられないというようなお答えでしたが,現実に,そういう議論はあったとしても,このような会議がいつ立ち上がってどうなっているかとか,そのことに意見を求められたという記憶はないという職員が複数いるわけですから,それは,やったとしても,会議のやり方にやっぱり問題があるのではないかというふうに指摘をせざるを得ないと思いますが,今後,このような現場の方たちの声を反映されるような仕組みというものをお考えかどうか,再質問をしたいと思います。
それから,充て職など,非常に多くの方が入っている会議ですから,実効性という意味では,さらに,先ほどお答えがありました区でのネットワークの中で具体的な展開というものが図られなくてはならないのかなというふうに考えるのです。その辺では,区の保健センターが中心ということでしたけれども,乳児健診なんかで来る母子の中で,ハイリスクといいますか,例えば望んだ妊娠ではなく,産まれた子供をやはりどうしても愛せないとか,それから夫との関係がうまくいっていないとか,それから経済的な問題があるという方たちは,虐待にいきやすいというふうに言われておりますし,その辺は乳児健診の中で把握をしていらっしゃるので,その辺の,先ほどの児童家庭部への質問と同じですが,保健婦さんが,ただの見守りではなくて,アウトリッジといいますか,積極的に訪ねていって,なおかつ児童会館のいろんな事業に引っ張ってくるぐらいまでのことをしないと,なかなか実効性が上がっていかないというふうに考えますが,その辺について,保健センターのあり方についてどうお考えか,あわせて伺います。
それから,先ほど,道警との連携というところのお答えが抜けましたので,もう一度お答えをいただきたいと思います。
それから,DVですね。平成11年は8人,それから9月まででは5人,母子分離で,子供だけが児相に一時保護されるということでしたが,例えばきのうなんかもありましたよね。夫の暴力で逃げて来たと,やはり母子分離だったというふうに伺っていますが,それは何歳の子で何人だったのでしょうか,お答えいただきたいと思います。
それと関連をいたしまして,この道立の援助センター,本当に満杯でございます。私の知っている人も相談に来ましたけれども,民間シェルターもだめ,道立援助センターもだめ,児童家庭部でやっている母子寮も満員ということで,室蘭に逃げていったという事例もあります。そういう意味では,1定のときも申しましたけれども,母子寮を活用したこの駆け込みシェルターの機能がもっと充実を──やっぱり1カ所では全然足りないのではないかというふうに感じてならないのですけれども,平成11年度1カ所で,12年度は増設がなかったのですが,その辺のお考えについて,あわせてお尋ねします。
◎平井 児童家庭部長 先ほどの答弁で,電子会議室の発言件数を,私,354と申し上げましたが,534の間違いでございますので,まず訂正をさせていただきます。
それから,社会福祉審議会のあり方でございますが,先般諮問いたしました総会におきまして,その審議状況について報告いたしますと,少子化問題は幅広い領域にかかわり,また関係する当事者も幅広いことから,審議会の中に新たに少子化対策専門分科会を設置し,諮問案件に限って審議することが決定されました。
また,これに対応して,現在の社会福祉審議会の構成委員にとどまらず,新たに,人口問題,男女共同参画,まちづくりなどにかかわる学識経験者を臨時委員として数名程度選任し,総合的な調査・審議を行う予定となっております。審議期間についてはかなり長期に及ぶと思いますけれども,状況によっては,中間報告等をしていただけるような協議を考えてまいりたいと思っております。
それから,子育て支援策でございますが,子育て担当の係の中で話しをするときは,やはり,引きこもりがちな,孤立しがちなお母さん方を,どうやって地域の活動に引っ張り出すかということが,実はいつも話の最後には行き着くところでございます。
それで,現在,まさに子育て支援事業ということで,家庭を孤立させないために,さまざまな活動を展開させていただいておりますが,地域にさまざまなボランティアの方々がおられます。三世代交流の会,あるいは読み聞かせの会,いろんなジャンルの方々がいます。それで,地域でいろんな活動をするときに,これらのいろんなボランティアの方とも交流をしまして,あるいは,いろんな連絡会議等で,まず地域で子育てにかかわっている人方がお互いに知り合いになって,それで地域全体でそういう主婦を孤立化させないで引っ張っていこうというようなことで,今,地域のネットワークづくりをきめ細かく進めさせていただいているところでございます。
それから,私どもで,いわゆるシェルター1カ所持っておりますけれども,現在,お話しのように,道立のセンターにおきましても恒常的に定員を超過している,それから,私どもの施設におきましても常時満員という状況になってございまして,5年計画では1施設の拡充を予定しているところでございますので,女性に対する暴力に関する担当部局であります男女共同参画室とも連携をとりながら,早期に,実現に向けて検討を進めていきたいと考えております。
◎竹内
児童福祉総合センター所長 1点目の児童相談所の中の職員間の意思の疎通と,そんなふうなことで受けとめておりますけれども,今後,そういうことがないように,私としても努めてまいりたいと考えているところであります。
それから,より地域に密着した,きめ細かなネットワークづくりというふうなことでございますが,私どもが設置した児童虐待予防・防止連絡会議というのは,それぞれ子供にかかわる関係機関・団体の代表の方たちに集まっていただきまして,今日的な状況であるとか,国のいろんな施策の状況であるとか,まずそういうことを周知していきたい,そんなことが一つありますし,それから,今日的な課題やお互いの情報交換,意思の疎通というふうなことを考えてございます。
それから,各区ごとに設置をいたしました虐待防止のネットワーク,これはまさしくネットワークでございますけれども,先ほどもご説明を申し上げましたが,母子保健福祉の視点というか,そういうところから設立をするものでございます。ですから,よりきめ細かな,地域での見守り活動等が一層進むというふうに期待をしているところでございます。
それから,より具体的にといいますか,地域において虐待ケースというのが発見された場合につきましては,従来も,各ケースごとに関係機関の方々,それに直接従事している職員の方々等に集まっていただきまして,これはワーキンググループというふうな言い方をしておりますけれども,そういうことで,その事案の具体的な対応の検討,それから支援,援助の活動を検討し,そして実施すると,そんなふうに行っているところでございます。
それから,次の,ハイリスクを抱えた親への,それから孤立化した親への支援ということでございますけれども,確かに,これらの方々は,みずからが相談機関を訪れるということが少ないということが言えます。したがいまして,なかなか発見できないという,そういうふうな実態もございます。これにつきましては,今後とも,保健センターでの1歳半健診であるとか3歳児健診,それから,保健婦さんの家庭訪問の機会を通じて,そして,新たに設置を予定しております児童虐待地域協力員の皆さん方の見守りの中で発見に努めてまいりたい,そして,これらの家庭であるとか,親の支援を行っていきたい,そんなふうに考えているところでございます。
以上でございます。
○西村茂樹 副委員長 道警との関係について。
◎平井 児童家庭部長 先ほど一つ答弁が落ちておりました。警察との連携でございますけれども,現在,北海道警察本部とは,立入調査のときであるとか,それから家庭訪問時の警察官の同行ですね,警察官に一緒に行ってもらう同行や,それから,虐待された子供が交番に駆け込んだ場合の取り扱いにつきましては,今,双方で確認作業を進めているところであります。これは文書で取り交わしをしようというふうに考えておりますが,そういうことを踏まえながら,今後とも一層の連携を深めて虐待の防止に努めていきたいというふうに思っております。
それから,昨日保護した件でございますが,3人のお子さんがおりまして,上が4歳,2番目が1歳9カ月,それから3番目が3カ月というふうな子供を保護いたしました。この上の4歳と1歳9カ月の子供については,児童相談所で保護いたしております。
以上でございます。
◆山口たか 委員 審議会のことにつきましては,これまでにない形で精力的に議論をしていただけるのかなというふうにお聞きをしましたので,できるだけ深い議論を,なおかつ早くということを求めておきたいというふうに考えます。
それから,児童相談所の件なのですけれども,4歳の子,1歳の子,3カ月の子ということなのですが,4歳と1歳が母子分離ということで,父親の暴力からお母さんとともに逃げてきて,さらに児童相談所と女性援助センターに引き裂かれると,これは,私はあってはならないことだというふうに思いますし,本人が望まない分離というのは,人権侵害ではないかというふうに考えざる得ないのですね。1歳とか4歳ですよ。
そういうことを考えますと,平井部長の方から,できるだけ早くもう1カ所のシェルターというふうなお答えありましたが,現実に女性援助センターの周りは,やくざのお父さんとかですね,そういう人が張り込んでいる事例なんかもあって,援助センターに駆け込むというのがもうわかっちゃっているわけですから,そういう意味では,母子寮とか公的な施設よりは,むしろ住宅街の民家とかですね,そういうところにそういうものも必要かなというふうに考えるわけなのです。
いずれにしろ,母子分離を極力避けなくてはいけないということを考えたときに,今,児童相談所の中で,発達医療センターが,もう入院のニーズがないということで,この3年間あいてますよね,使ってないですよね。昔の肢体不自由児母子訓練センターで,改組になって,今,発達医療センターということで,通所と入院の二つありますけれども,入院が,この3年間全く使われてないわけで,その辺があいているのではないかと。緊急に,そこで母子を,もちろん緊急ですけれども,保護できないのかなというふうに考えるわけなのですが,その辺についてはいかがかなというふうに思いますので,お答えをいただけたらと思います。
それから,公的な場所じゃないところで,目立たない場所でやるということについてもお考えをお聞かせください。
○西村茂樹 副委員長 あと質問があれば,ずっと出していただければ。
◆山口たか 委員 答え次第なのです。
◎竹内
児童福祉総合センター所長 母子分離の保護のあり方についての質問でございますけれども,確かに,ただいまの
児童福祉総合センターの中には,母子入院の部屋が数個ありまして,あいていることは事実でありますが,ただ,発達医療センターも,新たな,1歳半までの,いわゆる重度の障害児の療育訓練というふうな形も進めておりまして,それが即,そういうふうな活用に向くのか向かないのかということは,十分に検討しないとならないことだというふうに思っております。
◎平井 児童家庭部長 民間も含めた,女性に対する暴力への対応の基幹部分につきましては,市民局が所管でございますので,当局とも連携をとりながら対応を検討してまいりたいと考えております。
◆山口たか 委員 それでは,最後になりますけれども,今,市民局が所管ですね,この部分については。私は,これについては限界があるのではないかというふうに考えておりまして,男女共同参画の普及啓発とか,そういうことがどうしてもメーンになってまいりますので,実際に本当に困って駆け込んでくる方には,もっと福祉的な視点で,事業を持つ部局が担当した方がよいのではないかと感じているわけなのです。どうしても男女共同参画室は対応も鈍いというふうに思わざるを得ないのですが,その辺の機構について,ご検討なさるお気持ちがおありかどうか,これは助役にお尋ねをしたいと思います。
それから,児童相談所の活用につきましては,そのような流れからだんだんニーズが変わってきているわけですから,そういうことの活用もぜひ検討していただきたい,これは要望にしたいと思います。
最後なのですが,最初に申しました生活保護と関連してなのですけれども,シェルターに駆け込んでいらっしゃる方,着の身着のまま来るわけですから,生活保護なんかを受けるような形になるのが多いのですが,これはもう,関係機関会議を立ち上げていただいたので,スムーズに,転校の手続とか生活保護の受給ができるようになりまして,これは大変ありがたいし,評価をしたいというふうに考えますが,一方で,生活保護を受けられた,そのような家庭内暴力で逃げてこられた方たちに対する生保の窓口対応ということが,必ずしも彼女たちの心の傷とか状況に対応されていないということを指摘しておきたいと思います。
就労を促進することは,それは生活保護としては当然とは思いますけれども,実家に帰れとか,早く働けとかいうことで,精神的にも身体的にも傷ついた人たちに,さらに言葉で追い打ちをかけるような事例も幾つか見られるということがございます。特に家庭訪問の場合,1対1になってしまうわけですから,そういう事例を実際に私も聞いてますし,そういう目に遭った方からお話を伺ったりしている中で,先般,3月30日に,白石の,大変残念なことですが,保護課で不祥事があって,処分なんかもございました。そういう意味では,大部分のケースワーカーの方は一生懸命お仕事されていることは十分認識はしておりますし,さらに,ケースワーカーの方が逆に危険な目に遭うという事例も聞いてはおりますけれども,特にこのような家庭内暴力の方たちの対応につきまして,研修なんかをどのようにおやりになっているのか,そのような言葉での暴力ということは,やはり何としても避けねばいけないことだと思いますが,その辺の研修と,それから,この密室での家庭訪問のあり方についてどのようにお考えか,お伺いしたいと思います。
◎大長 助役 女性への暴力への対応につきまして,市民局の対応は鈍いという委員の発言にはちょっと納得をしかねますけれども,しかし,機構上改善の余地があるというご意見があったことは,所管の総務局に伝えまして,そして検討をするように話をきちっといたします。
◎富山 総務部長 ケースワーカーの窓口対応について,私からお答えを申し上げますが,ケースワーカーに対する一般的な研修は,本庁が主催して行っている全体研修と,それから,各区が独自に行う研修と,二通りやっております。全体研修の中では,その時々の新たな制度,あるいは社会的関心事,こういったものを取り上げてやっておりまして,昨年は,女性に対する家庭内暴力ですとか児童虐待,介護保険などをテーマに研修を行ったところでございます。
ケースワーカーの仕事というのは,委員ご指摘のとおり,人と人とのつながりと,これに基づく信頼関係に立っているものでございまして,相手の痛みを知り,人間性を尊重する気持ち,こういうものが必要かと思っております。したがいまして,研修は,専門的知識,あるいは技能の習得はもとよりでございますが,より豊かな人間性の涵養が必要と考えておりまして,今後ともこういった研修を充実していきたいと考えてございます。
密室内での対応ということでございますが,保護を必要とする方,特に家庭内暴力によって緊急避難した方は,心身ともに疲れ切っていると思われますので,このような世帯に対するケースワークについては,複数職員による家庭訪問なども検討していきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
◆長内直也 委員 私からは,利用者の側に立った子育て支援の方策について,何点かお伺いしたいと思います。
最初に,認可外保育施設についてであります。
これまで議会の中でも,待機児童の解消について常に議論をされております。札幌市も待機児童解消に向けまして,保育所の新設,あるいは老朽保育所の増改築に伴う定員増などによりまして,この5年計画でも,705名の定員拡大を行う予定であるというふうに伺っております。
しかしながら,現状では相変わらず待機児童の解決はまだまだされていないということでありまして,利用する側にとりましても,認可外保育施設に頼らざる得ない,頼らなければならない状況であると思います。
そこで,何点か質問をさせていただきますが,札幌市は認可外施設に立入調査を実施しているということでありますけれども,その調査方法,実施回数,実施結果,調査時の留意点等,調査内容についてお伺いしたいと思います。
次に,札幌市にある認可外施設の現状についてどのような状況なのか,お伺いしたいと思います。
それから,厚生省の方から規制緩和の通知が4月に来ているということでありますが,その内容についてお伺いしたいのと,また,それによりまして,市の認可基準がどのように変わっていくのか,あるいは,認可外から認可保育所になるのはどれくらいの数になるのか,その見込みについてもお伺いしたいと思います。
◎平井 児童家庭部長 いわゆる認可外の施設につきましては,毎年1回立入検査をしております。11年度の結果を申し上げますと,67カ所実施いたしました。実施方法は,保育課の職員2名により,あらかじめ施設から資料を提出いただいて,そして施設側の対応を判断しているわけでございます。
実施結果の主な指摘事項を申し上げますと,避難訓練の未実施が7件,避難訓練の回数不足が5件,転落防止さくの未設置が1件,保育士の数の不足が1件というような中身になっておりますが,神奈川の大和市の認可外施設で起こりましたような児童虐待等の実態はございませんでした。
12年度につきましても,現在実施中でございまして,10月1日現在,対象施設の約80%が立ち入り済みとなっております。特に今年度は,ベビーホテルにつきましては,当面の指導基準に不適合の状況が継続しているもの,著しく保育料金が低く,不適切に行われているもの,こんなところを留意して調査をしております。
認可外施設の現状でございますが,認可外施設は市に対する届け出の義務等がございませんので,施設の中には,年1回実施する立入検査時には存在しておったけれども,翌年にはなくなっているもの,あるいは開所後二,三年でつぶれているもの,それから,本市の知らないところで開設しているもの,さまざまございまして,その一方では,充実した保育内容で10年以上も継続しているというようなところもございます。
なかなかこのように把握の難しい施設でございますけれども,総体的に言えますことは,建物,設備等の状況が,国で示す基準にはなかなか追いつかない。しかしながら,保育の状況におきましては,質の高いレベルを維持していると。例えば,保護者との連絡が良好だとか,保育内容についても,施設長を中心によく検討を重ねているというような施設が見られるところでございます。
それから,国の認可の規制緩和でございますけれども,一つは,社会福祉法人がこれを運営できるというものを,学校法人あるいは企業,NPO等に対象を拡大したこと,それから,原則として土地・建物等は個人所有,法人所有ということでございましたが,これは借地・借家を認める,それから,最低人員も30人であったものを20人にというのが大きな内容でございます。
◆長内直也 委員 済みません,もう1点。それによって,市の認可基準が変更になるのかどうかですね。それから,認可外から認可保育所に新たに加わると見込まれるのはどれぐらいあるかということについてお伺いします。
◎平井 児童家庭部長 申しわけございません。これら規制緩和によりましても,保育所一般にあります,いわゆる最低基準というものもございますし,それから,保育に欠けるという状況も認可に当たっては必要でございます。そういった意味では,その最低基準に,この今の認可外の施設を照らしますと,該当するのは3件ほどかなということでございます。
ただし,今,待機児童もおりますし,こういった現状も踏まえながら,この国の規制緩和を受けて,どのような形で札幌市として実施していくのか,この認可の基準というのを現在内部で改めて,新しい認可基準,この国の規制緩和を受けた基準が必要ということで,どういうような基準が必要かということで,内部で検討を進めているところでございます。
◆長内直也 委員 ただいまのご答弁によりますと,認可外の施設につきまして,建物とか設備の面においては,余り基準を満たしていないということでありますが,保育の面につきましては,10年以上継続するような質的に高いレベルの施設もあるということでございました。
また,規制緩和に合わせた形の市の基準によりますと,3園ぐらいが新たに認可される見込みだということであります。そういった意味では,まだまだ,やはり待機児童その他を考えますと,いわゆる認可外の施設を利用するというか,そっちの方にも頼らざるを得ないという現状が見えてまいります。そういった意味で,認可外施設の質的な向上に向けまして,どのように対応していらっしゃるのか。あわせまして,認可外施設に対しまして,例えば健康診断等の実施などにおきまして,認可保育所に比べて若干劣っているというふうにも伺っておりますので,そういったことも含めて札幌市がどのように対応していくのか,その辺についてお伺いしたいと思います。
◎平井 児童家庭部長 認可外施設のレベルの向上,質的向上にどのような対応をしているのかということで,立入検査におきまして,当面の指導基準をクリアした施設のうち,希望する施設につきましては,施設内容について市民等に情報提供,あるいは,情報を提供できる冊子を作成し,区役所関係に置いてございます。
それから,児童の処遇という観点から,重要な役割を果たしている保育士や調理員を対象に,年5回ほどの研修会を行っております。
また,給食実施施設に対しましては,本市の統一献立表等を提供し,参考にしていただいております。
今おっしゃいました,これら研修の充実のほかに,委員のご要望のありました健康診断等も含めまして,さらにこれらの認可外施設が質的にも向上できるように,総合的に私どもも対応を考えていきたいというふうに考えております。
◆長内直也 委員 ただいま認可外施設の質的向上に向けて検討するということでございますので,ぜひとも利用者の側に立った積極的な取り組みをしていただきたいというふうに考えます。
それから,もう1点だけご質問させていただきますが,同じような観点から,乳幼児の健康支援デイサービス事業についてであります。
近年,女性の社会進出がますます進んでいるということもありまして,ただ一方,労働環境ということを考えますと,まだまだ仕事と子育ての両立というものは厳しいというふうな認識を持っております。
また,よく聞く話なのですが,通常保育の時間内に子供を迎えに行くことができないというような場合や,また,急な子供の病気やけが,そういった場合に仕事を休んで世話するということもなかなか困難だという声を聞くわけであります。本市におきましても,特別保育というものを推進されまして,大部分の保育所で時間の延長といった対応をされているわけでありますけれども,一方では,疾病等により集団保育が受けられない児童などを受け入れる施設が設置されていないということもありました。
そういった中で,昨年の12月に,ようやく,病気回復期の子供を一時的に預かる施設を東区の天使病院に開設したということを聞きました。そこで,このデイサービス事業のこれまでの利用の実績,それから,現在まだ1施設ということで,1日に利用できる人数がわずか4名ということであり,受け皿につきましてはまだまだ不十分だと思いますが,この事業の今後の整備計画についてお伺いしたいと思います。
◎平井 児童家庭部長 デイサービス事業でございますけれども,12月15日の開設以来,約8カ月半がたちましたが,利用は6割に達しておりまして,1日当たり平均しますと,2.5人というような高い利用でございます。
また,今おっしゃいましたように,ベッド数が少のうございますので,利用日が重なり,利用できなかった児童も100人を超えるような状況にございます。5年計画におきましては,4施設の拠点的配置を予定しておりまして,ぜひ,13年度以降の早い時期に,2カ所目の,今東区にありますので,例えば南方面とか,なかなか利用しづらい地区もございますので,そういった地区の配置等も考えながら,2カ所目の施設を早急に建設する方向で検討していきたいと考えております。
◆長内直也 委員 積極的に推進していただくということですので,ぜひとも,最初に申し上げましたとおり,利用者の側に立った支援に,極力,力を入れていただきますように,よろしくお願いいたします。
○西村茂樹 副委員長 ここで,およそ30分間,委員会を休憩いたします。
──────────────
休 憩 午後5時55分
再 開 午後6時25分
──────────────
○柿崎勲 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き,質疑を行います。
◆大西利夫 委員 私は,本市の保育行政について,大きく3点お伺いをいたします。
質問の第1は,保育料の収納対策についてでございます。
保育料を確実に徴収することは,保護者の方々の負担の公平を確保するとともに,時代のニーズに対応した保育サービスを提供するためにも,必要欠くべからざることだと,私は考えております。
そこで,私の手元の資料によりますと,本市の保育料収納率は,政令都市の中でも,必ずしもいい状況ではございませんで,平成11年度決算では,政令市の中で上から10番目,96.52%でございます。
そこで,お尋ねをいたしますが,この滞納は,どのような理由によるものなのか,お伺いをいたします。
2点目に,政令市の中には,いろいろな努力をされまして,収納率がほぼ100%の都市もございますが,本市の場合,徴収が不能となった額,いわゆる不納欠損額は,平成10年度,11年度の決算では,どの程度になっているのか,お尋ねをいたします。
それから2点目に,保育所の待機児童の状況についてでございます。
平成12年7月1日現在の調査によりますと,本市の保育所の待機児童は,全市で399人となってございます。また,このほかにも,認可外施設に通っている児童を含めますと,かなりの保育需要があると考えられます。そこで,現在,待機児童対策としてどのような対策をされているのか,お尋ねをいたします。
次に,待機の状況を各区別に見てまいりますと,人数の多い区,少ない区に,かなりの開きがございます。例えば,北区では待機児童が85人なのに対しまして,豊平区では全く発生していない,こういう状況になっているのであります。これらは,施設整備などの際に,いろいろなその地域バランスという点で当然配慮されているものと,こう考えてございますが,こうしたアンバランスの理由をどのように考えておりますか。さらに,これらの解消についてどのように対応されていくのか,お伺いをいたします。
とりあえず,以上についてお答えをいただきたいと思います。
◎平井 児童家庭部長 保育料の収納対策でございますが,まず滞納の理由でございます。
理由は千差万別でございますが,総じて言えますことは,住宅ローンなど多額の借金,いわゆる多重債務を抱えている場合が多くて,保育料の納付に対する意識も,どちらかといえば低いことから,無計画な支出,他の支出を優先するというような形で,結果として保育料を払えないケース,これがほとんどでございます。
次に,平成10年度と11年度の不納欠損額でありますけれども,5年の時効によりまして不納欠損処分をいたしました額は,平成10年度が2,171万5,482円,平成11年度が2,797万8,200円でございます。
2点目の待機児童対策でごさいますが,本市の待機児童対策は,最優先課題というふうにとらえておりまして,今次5年計画におきましても,5年間で705名の定員拡大を図ることとしておりす。特に本年度におきましては,清田区,手稲区にそれぞれ保育所の創設を行ったほか,老朽改築,それから増築整備等を行いまして,合わせて405名の定員増を図りまして,13年度当初には,ぜひ待機児童ゼロというところからスタートしたいということで,集中的に405名の整備を進めているところでございます。
それから,区別の待機児童のばらつきでございますが,全市的な傾向といたしまして,郊外の大規模開発地域を抱える区において,保育需要の増加に比べまして,既存の保育所に十分な定員が確保されていないというようなことから,特に郊外部で待機児童が多く発生しております。それで,今次5カ年の中では,これらの状況を見ながら,分区した区や既成市街地等,今後も保育需要の増大が見込まれる地域について,保育所の創設や既存施設の移転改築等を行うことによりまして,施設の適正配置を図っていきたいと考えております。
◆大西利夫 委員 保育料の収納対策にかかわって,再質問をさせていただきたいと思います。
答弁の中にございましたが,保育サービスを受けながら保育料を支払わない方がおりまして,その理由も,住宅ローン等の返済など,無計画な支払いによるものがほとんどであるということであります。しかも,不納欠損金も2,000万円を超え3,000万円近くに上っていることは,私が冒頭申し上げましたように,保護者の方々の負担の公平,それから,時代のニーズに対応した保育サービスの提供といったことに,危惧を持たざるを得ないのであります。
そこで,収納対策については,職員の皆さんが大変ご苦労をされていると思うのでありますが,収納率向上のためにどのような対策を行ってきたのか,また,今後どうしていくのかということについてお尋ねをいたします。
次に,規制緩和についてであります。
先ほど長内委員の方から,規制緩和の基本的変更部分についてお尋ねをいたしましたので,私は割愛をさせていただきますが,本市の保育所の設置状況を見てまいりますと,現在,認可保育所が,公営で29,民営で129,合わせて158カ所となっているのであります。一方,認可外保育所は,指定認可外が12,一般認可外が67,事業所内施設が68,合計で147カ所となっているのであります。今回の規制緩和によりまして,この民間の参入も認められたことでありまして,認可外から認可施設にできる限り移行するべきだというふうに私は考えてございます。この場合,認可外から認可施設に変更する場合に,どのような条件が必要となり,その認可権限はどこが持つことになっているのか,お尋ねをいたします。
次に,規制緩和に関連をいたしまして,規制緩和措置によって,今後の保育所整備は大きく変わっていくものというふうに私は理解をいたしますが,この場合,保育所整備計画の再検討が必要と思われますが,どのようにお考えか,お伺いをいたします。
また,この件について既に検討を行っているとすれば,どのような観点で検討されているのか,お伺いをしたいと思います。
さらに,今年度を初年度とする5年計画が既に立ち上がってございますが,この5年計画との整合性の確保についてどのように考えられているのか,お尋ねをいたします。
次に,この緩和措置によって今後の保育行政が大きく変わっていくことは先ほど申し上げたとおりでございますが,我が会派が従来から主張してまいりました幼保の一元化,最近は保育の一元化と,こういうふうに変わっているようでありますが,より進むことになるのではないかと,私は考えるのでありますが,このことについて具体的にお伺いをしたいと思います。
◎平井 児童家庭部長 まず,1点目の収納率向上策でございますが,一つは,通常の督促状,催告書のほかに,特別催告書を送付しております。それから,書面のほか,電話による納付督励,口座振替制度の導入,それから保育園長を保育料収納事務協力員に発令,あるいは保育料徴収指導員の設置ということで,特に昨年からは,なかなか連絡のとれないところ,あるいは滞納の状況によっては,直接,保護者宅に出向いたり,保護者と面談をしたりして,生活実態を把握した上で納付指導等を実施しております。今年度においても,これらの対策を継続,充実強化するとともに,各区,各保育所とも連携をとりながら,きめ細かな対応をしているわけでございます。
しかしながら,再三の呼び出し,あるいは納付相談等に応じてくれない滞納者,さらにまた,納付資力がありながら納付相談もないところに対しましては,給与の差し押さえなどの滞納処分も行わざるを得ないというようなことで,給与照会等もかけているところでございます。
それから,規制緩和でございますけれども,先ほど申し上げました国の三つの方針のほかに,さらに,社会福祉法人格の取得を行わずに認可される場合の要件として,国は三つ挙げてございます。一つは経済的基礎があること,二つ目は社会的信望があること,三つ目は財務内容が適正であるというようなことで,本市におきましては,この国の通知をもとにしまして,現在,内部で,認可基準,条件等の検討を進めているところでございます。認可権限については,政令市の場合,市長が行うことになっております。
国としては,待機児童対策として,従前の社会福祉法人以外に,既存のやっているところ,あるいは,いろんな事業主体がこの事業に参加するということが,この規制緩和の大きな理由でございます。
私どもの現行の5年計画は,認可保育所を中心としまして,施設整備を中心に行っているわけですけれども,この規制緩和を受けまして,一定の要件をクリアできれば,既にある施設等についても認可になっていくというようなことで,また,学校法人等もできますので,例えば幼稚園を経営していて空き教室があるというようなところも,
保育所を設置するというようなこともございます。
そういったことで,全体の待機児童解消に向けて,新たな基準をつくって,既存の認可保育所のほかに,さらにこういった既存の受け皿について,どういう形で役割分担をしていくのか,個々の,地区ごとの,小学校区単位ごとの就学前児童数,そして保育状況,あるいは幼稚園の状況を地区ごとに,今,精査をしておりまして,それらも受けながら,新たに内部的にそういう認可基準等をつくりながら,これまでと違う形も含めて,待機児童の解消に向けて努力をしていきたいと考えております。
それから,もちろん,今回,学校法人等もこの事業に参入というようなことでございまして,今後の施設整備を進めていく際には,幼保の連携というものも,その可能性について十分考慮しながら取り組んでいきたいというふうに考えております。
◆大西利夫 委員 最後になりますが,3点ほど要望を申し上げたいと思います。
一つは,収納対策についてであります。繰り返しになりますけれども,負担の公平の確保という点から,重要なことであることは先ほど申し上げたとおりでありますが,十分な納付相談などを行いながら,収納対策の充実強化を強く求めておきたいと思います。
二つ目には,規制緩和によって今後の保育行政は大きく変わっていくと予想されますことから,しっかりとした整備計画を作成いたしまして,待機児童ゼロ作戦をぜひとも実現していただきたいということを,これまた強く要望しておきたいと思います。
3点目に,本市の少子化対策についてであります。この点につきましては,先ほど山口議員の方から既に質問で出てございますので,私からは,その内容についてしっかりとやっていただきたいということを申し上げたいと思うのですが,ご案内のとおり,少子化傾向は全然歯どめがかからないというのが今日の状況でございまして,厚生省の発表によりますと,合計特殊出生率は,全国で,11年度で見ますと1.34ポイント,札幌市の場合は,まだ11年度の結果が出ていないようでございますが,10年度で見てまいりますと,1.11ポイントということになってございまして,数字を見てまいりますと,年々低下をしているということであります。さらに,平成11年度の場合でありますが,住民基本台帳ベースの出生数はさらに低下してございますから,この1.11ポイントがさらに低下するだろうというふうに,私は見てございます。
こうした少子化への対応として,本市は,例えば,児童福祉施策として,保育施設の充実であるとか,子育てに伴う経済的負担の軽減を図るために,多子世帯に対する保育料の軽減措置などをとっているところでございまして,この点は,私は,評価できるものと思ってございます。しかし,今日的背景から見てまいりますと,十分とは言えない状況でございまして,したがって,今後とも積極的に本問題について取り組んでいくべきだと,こう考えておりますので,強くこれも要望しておきたいと思います。
以上で質問を終わります。
◆青山浪子 委員 私は,子育て支援について,2点お伺いいたします。
まず,子育て家庭への情報提供についてであります。
札幌市では,子育てに対する従来からのサービスに加え,地域子育て支援事業を展開されており,ここ二,三年の間に,地域での子育て支援の輪が広がってきていることに対しては,大変評価をしております。子育てを支える制度やサービスは,保健・医療・福祉から教育に至るまで,多岐にわたっておりますが,こうした情報は担当部局からそれぞれ個別に提供されているため,市民にとっては,どこが窓口か,どこへ相談に行けばよいのかといったことがわかりにくくなっております。
そこで,私は,子育て家庭の安心感を高める上では,さまざまな制度やサービスが一目でわかる子育て便利帳のようなものを作成し配布することが必要ではないかと考えますがいかがか,お伺いいたします。
次に,公共施設への授乳コーナー等の設置に関してであります。
本市には,他都市では見られない連絡所制度があり,身近な出先機関としてさまざまなサービスを提供していますが,まだまだ,市民の皆さんが窓口に足を運ばなければならない機会がたくさんあります。さらに,子育て中の親が,図書館,コンサートホールなどの文化施設,さらには体育館などのスポーツ施設を,乳幼児を連れて利用することも,なかなか難しいと思います。
本市では託児サービスを積極的に進めておりますが,そこまでいかなくても,市の公共施設などに,子供の世話をするコーナーや,ちょっとの間,子供を座らせておけるベビーチェアなどがあるだけで,かなり,子供や親の気持ちが,心理的に違うのではないかと思います。
そこで,質問ですが,本市の公共施設への授乳コーナー,ベビーシート,ベビーチェアなどの設置状況はどのようになっているのか,また,昨年,少子化対策臨時特例交付金が交付されましたが,この分野でどのように活用されたのかをお伺いいたします。
◎平井 児童家庭部長 子育て支援にかかわるいろいろな情報,いろんな部局から出ていて,市民の側から見れば,これを一元的に集約して,子育てに関する制度やサービス,そういったものをすべて網羅した子育て便利帳的なものをということで,まさに,委員ご指摘のように,こういったものができますと,子育て家庭の安心感を高めることに役立つと考えられますので,関係部局の協力を得て,作成に向け検討を進めてまいりたいと考えております。
それから,2点目の授乳コーナーでございますが,少子化対策臨時特例交付金によりましては,まず各区役所,それから区民センター,保健センターなど42施設に,授乳コーナー3カ所,ベビーシート・ベビーベッド86台,ベビーチェア148台を設置しております。
また,地下鉄駅41駅,バスターミナル16施設に,ベビーシート56台,ベビーチェア57台を設置しております。そのほか,札幌天神山国際ハウスや札幌芸術の森など8施設に,授乳コーナー2カ所,ベビーシート・ベビーベッド15台,ベビーチェア13台を設置したところでございます。これらの交付金による設置も含めましてトータルしますと,現在では,すべての保健センターに,授乳コーナー,ベビーシート等の設置を行いましたほか,すべての区役所,区民センター,地下鉄駅,市営バスターミナルに,ベビーシート,ベビーチェアを設置したことになります。
以上でございます。
◆青山浪子 委員 ただいまの答弁をお聞きいたしまして,まず1点目の子育て便利帳については,作成に向けて検討をするとのことでありますので,ぜひ早期に実現されるよう強く要望いたしたいと思います。
2点目の公共施設への授乳コーナー等の設置につきましては,この問題を,子育てを母親だけの問題とするのではなく,広く市民にPRするためのよい機会であると考えますし,少子化対策との関連で,今後も継続的に推進していくべきではないかと考えます。改めて,今後の整備計画についてお伺いをいたします。
◎平井 児童家庭部長 まさにおっしゃられるように,外出しやすく,また公共サービスを利用しやすいという観点から,可能な限り,いろんな公共施設,民間施設も含めて,こういう設備がなされていくように努力をしたいと思います。また,少子化対策について,現在,審議会等に諮問をしておりますので,この審議会等においても,具体的にその整備目標なりが提言されるものかなというふうに考えております。いずれにいたしましても,着々とこういうものが整備されて,子育て支援につながるように努力をしてまいりたいと思っております。
◆武藤光惠 委員 私からも,待機児童の問題について,幾つか質問をしたいと思います。
これまで,保育園の待機児童の問題は,本市にとっても大きな問題であり,また,少子化対策の重点課題として,いろいろな事業も進められてきております。その中でも特に問題なのは,乳児の受け入れが大変不足していると。こういう現状のもとで,98年には,国の直接補助事業として,乳児保育促進対策費補助金交付というのが,これは,市を通さず,国が法人に直接補助を行うという方法で実施されており,その時点でも,新たに乳児受け入れを行ったものが4園,そして,乳児の受け入れを拡大したもの,資質の向上を行ったところ105園ということで,大幅に改善も図られてきているところです。
しかし,昨年,99年11月にも,国は,少子化対策臨時特例交付金,こういう措置をとりまして,本市におきましても,この特例交付金を使って新たにその増員を図るという手だてをとってきましたが,現在なお,今年度7月1日の待機児童数を見ましても,399人,そのうち249人が乳児ということで,まだまだ不足している状況があります。
そこで,お尋ねしますが,ことしから5年計画もスタートしたところですが,待機児童解消の見通しがあるのかどうなのか,この点について1点。また,この間,定員数をはるかに上回って,5%,10%どころか,園によっては25%増しで園児を入所させなければならないような,こういう保育園も出てきたわけです。私たちは,非常にこの問題は重要だと思っているわけなのですが,この点について,どのように評価されているのか,この点についてのお考えもお示しください。
3点目,今5カ年で,計画では新設4園とあります。既に今年度は2園新設される予定でありますが,あとの2園,新設されるとなると,現在,社会福祉法人が保育園を創設するとき,その土地,これは原則として法人所有でなければだめだと,先ほどもこういうお話がありました。また,現在,保育園用地として,本市が確保されている市有地,厚別,平岸,西野と,3カ所抱えているわけなのですが,これらの土地を,民間の法人が利用したいとなった場合,これは札幌市の市有地ではあるけれども,基本的には法人所有でなければだめだという原則に立てば,基本的に市有地を法人に買ってもらって運営してもらうことになるのかどうなのか,まずは,この3点についてお尋ねをします。
◎平井 児童家庭部長 本市の待機児童の解消でございますが,5カ年全体では705の定員増,そして,当面,13年度には,年度当初の待機を解消したいということで,今年度,特にこのうち,精力的に周知をいたしまして,405名の定員の拡大ということで,待機児童の解消を目指しているところでございます。今後とも,待機児童の状況等を勘案しながら,総体的に保育需要を見込みながら,先ほどの規制緩和等の考えも踏まえながら,十分に将来の保育需要等を見越しながら,一刻も早く,年度当初と言わず,年間通して待機児童の解消ということに努力をしていきたいというふうに考えております。
それから,現在,待機児童を抱えているので,多くの,158の保育所の中で,最高20,定員を超えた受け入れをしていただいております。保育需要がどの程度伸びていくのか,昨今の社会経済情勢等を見ながら,なかなか推測は難しいことではございますが,やはり定員内での保育というのが私どもも適正と考えておりまして,先ほどの待機児童の解消とあわせ,この辺も,可能な限り定員超過という事態が起こらないように,その辺の推計等も,実態を見ながら見きわめてまいりたいと考えております。
それから,保育所を新設する場合の用地でございますが,私どもの方針としては,基本的には,保育所を新設する場合には,土地は自己所有ということで,もし市有地でありましても,創設の場合はそれを購入していただくということを原則に,これからも整備を進めていきたいというふうに考えております。
◆武藤光惠 委員 来年度当初には,その待機児童解消ということで,今ご努力いただいているのかもしれませんけれども,実際に20%を超えている園も,まだまだたくさんあるという現状がありますね。私は,札幌市の保育園の構成というのは,8割方,民間の社会福祉法人に依拠しているわけですから,公立にももっと頑張ってもらいたいという思いも,非常に強く思っているところなのです。ところが,96年,98年で,公立の乳児保育園2園では,30人ずつ定員減を行っていると。片やでは,こういうことも行っているわけですよ。ですから,やはり公が責任を持つという立場からすれば,公立の整備についても,民間の定員増を解消するために,その役割をやはりしっかり果たしていただきたいということを述べておきたいと思います。
また,土地の問題ですが,今ご答弁ありました。例えば,札幌北保育園の問題なのですが,私は,小野さんと重複しないように幾つか質問したい。
札幌北保育園は,今回,移転費用で園舎を建てるということになりましたよね。これは,たまたま近隣に,保育園用地として市が確保していた土地があったから,土地も市が無償貸与ということで移転することになったわけですよね。この移転について,先ほどいろんな議論がありましたけれども,土地計画法53条,54条からすると,この街路事業に沿って行われた事業に基づいた移転については,何ら問題がないわけですよ。あるとすれば,道義的な問題ですよね。既に昭和11年に都市計画決定がされていて,なおかつ,行政に一番詳しいはずの市会議員が理事長で,いずれは移転しなければならない場所に建てたと。ここのところが,道義的な問題として,市民からもいろいろな疑念が持たれるわけなのですが,これは法的に裁かれる問題でありませんので,法的な問題としてはクリアしながら,今回,移転したわけですよ。
57年に札幌市が確保したこの土地が近隣になければどうだったのかと,私は,非常にここのところが疑問なのですが,たまたま近くに土地があったから移転できた。だけれども,札幌北保育園というのは,先ほど小野さんへのご答弁であったように,老朽改築する年度にはまだ達してないわけですね。ですから,この街路事業によって移転をしなければならないとなったならば,その建物については移転費用が出ても,その土地の確保についてはみずからの負担でやらなければならない,これが用地部の見解でもあると思うのです。そうなれば,この保育園はそう簡単には移転できないだろうということになりますね。そうなると,この街路事業自体がスタートできないのではないのかと,私は考えるわけなのですが,この点について,土地がもしなかったら,この保育園は,街路事業との関係でどうなるのか,どのようにして土地の確保をすべきなのか,この点についてお伺いをしたいと思います。
◎平井 児童家庭部長 40年代から50年代にかけて,待機児童が大変多く発生しまして,保育所の創設が求められた,もちろん小学校もそうですけれども。それで,12カ所,11カ所というような,2けた台の保育所を設置してきた時代がありました。その中で,保育所設立に当たっては,なかなか土地の手当てまでできないというようなことから,市で土地の手当てをして整備を進めるというような状況になって,現在,129の私立の保育園のうちで,88カ所,68.2%が市有地貸与でございます。
それで,経過年数がたちますと,老朽改築ということが出てきます。保育需要もだんだん変転をしてまいりますので,保育需要の発生するところに適正配置というようなことで,土地の手当ても,現行,私どもの市有地で,あるいは民間自己所有以外の私人等からの借地。そういった移転改築する場合の土地の手当ては,法人でご努力いただくのもそうですけれども,私どもも一方では,適正配置,それから保育所に通っている子供への手当てもしなければなりませんので,土地の手当てというものも考えていかなければならない。今回の北の場合も,老朽化になった場合の土地の手当ては,法人とともに知恵を出さなければならない。それで,一定の基準に該当していれば,私どもとしても貸与の基準に基づいて貸与しなければならない,そういう状況にあります。
◆武藤光惠 委員 老朽改築では,今現在,もう事業がスタート,決定した段階で,それは使わないわけですよね。だけれども,実際に子供たちが保育園生活をしているわけですから,確かにその保障は必要ですよね。その場合,通常の事業による移転を考えた場合,先ほど言いましたように,上屋は,自分の建物は移転費用が出るけれども,その土地自体については,借地ですから補償がないわけですよね。ですから,片や,その分を自費で出さなければならない現状でありながら,保育園という性格から,その移転改築費でなくても,本市として,その土地を確保しなければならないと,こういうことですね,今のお話は。だから,どっちにしても,たまたま市有地として保育園用地があってこちらに移転することになったけれども,そうでない,近隣に土地がない場合であっても,自費で土地を探すのではなく,保育園の性格上,札幌市が土地を探して提供すると,こういうような理解でいいのでしょうか。
◎平井 児童家庭部長 今,約6割,7割が市有地貸与でございます。それで,移転ということでの改築,それから保育需要というのも,子供さんが大きくなると,そこの地域には保育需要が発生しないというふうに動いていきます。また,新たな保育需要も発生しますので,全体で,老朽というような改築時期には,移転も含めて,保育需要を見ながら考えていかなければならない。待機児童を出さない,それから受け皿づくりということで,市政の一つの方針のもとに,地域の動きを見ながら,それに合わせた体制,受け皿づくりをしていかなければならないというような状況にあります。
それから,移転する場合には,土地の問題,法人で手当てができるのか,あるいは行政で手当てできないのか,個々の法人の出資等も違いますし,また,法人で希望する移転地等がある場合もあります。ケース・バイ・ケースですけれども,基本的に,法人が現在所有してないと,市の市有地を貸与して運営をしているというようなところについては,移転に当たっては,やはり市としても手当てをいろいろ考えていかなければならないということでございます。
◆武藤光惠 委員 今,いろいろ長いお話がありましたけれども,結果からすれば,札幌市の責任で,その保育所の定員を確保するために,土地を,どこであっても確保してやらなければならないと,こういう立場だということですよね。
そこで,お尋ねしたいのですが,今回の土地は,市有地の無償貸与ということになっていますが,ことし2月8日,大長助役決裁で,市有地貸与の基本方針というのが出されていますね。この中では,社会福祉法人等,社会福祉事業法第22条に定める社会福祉法人,当該整備事業に係る施設を持って設立予定する者を含む,及び民法第34条に規定する公益法人という規定をしながら,決定方法というのが書かれているのですが,次の貸与基準に合致したときに市有地の貸与を検討する。原則は個人で所有するということだけれども,こういうような基準を設けて,その市有地を貸与することもできるのだということで,何点か項目が,その貸与基準が設けられています。
そこで,この市有地の貸与を行うときに,札幌市社会福祉施設整備審査会,ここに諮った上で決定しなければならないとなっているわけなのですが,この無償貸与については,この審査会を経たのかどうなのか,この点についてを伺いたいと思います。
◎平井 児童家庭部長 整備審査会は,移転改築等,建物も含め,国の補助とかかわるものについて,審査会の対象でございます。今回の場合は,国の補助とかかわりませんので,この内部の規定で,基本方針であります貸与基準に基づいて処理をしました。
◆武藤光惠 委員 どういう方法で動いたのかということが基準の対象なのでしょうか。今回は,移転費用で移ったから,この審査会にかけなくてもいいと,そして,老朽新設だとか,新設の場合は,当然,これに該当するかどうか審査会で検討するわけですよね。今回は,この中身に,この基本方針から見て,移転新築だということで,この基準には,あえて諮る必要もなく,社会福祉法人でありながら,無償貸与を決定することができるということなのでしょうか,もう一回お願いします。
◎平井 児童家庭部長 国庫補助等を伴う事業等についてはあれでございますけれども,今回は,施設等も,事業の改築ということで,この審査会の審査の該当には,案件にはなりません。ただ,土地の貸与については,それとは別個に貸与基準というのがございますので,この基準に基づき処置をいたしました。
◆武藤光惠 委員 国庫補助事業ではないからと言ってますけれども,この市有地貸与の基本方針,これまた別にあるなら話が変わってくるのですが,これは,対象者,社会福祉法人等と規定しているだけで,国庫補助事業でなければならないとか,そういう規定は,これを見る分についてはないわけなのですね。ですから,私は,一般的に社会福祉法人,例えばこれは,保育園だけではなくて,特養だとか老健施設,こういうものについても,札幌市の土地を無償貸与するときには,このような検討が必要であり,札幌市社会福祉施設整備審査会にすべてかけられるのかと思っていたわけなのですが,そうではないということなのでしょうか,改めてお尋ねします。
◎平井 児童家庭部長 これは,施設整備審査会とは別の,一つの市有地貸与の基本方針でございまして,これの決定方法ということですが,次の貸与基準に合致したとき市有地の貸与を検討すると。いわゆる市有地貸与の基本方針です。なお,施設整備費補助を伴うものについては,札幌市社会福祉施設整備審査会に諮った上で決定するものということになってございます。
これは,単なる土地の貸与でございまして,この施設整備を伴うものでございませんので,審査会に諮らず決定いたしました。
◆武藤光惠 委員 これは,通常の保育園という見方をしての判断なのかなということで,非常に疑問が残ります。
ちょっともう一つなのですが,先ほど私,民間保育園の定数増の問題についてお尋ねしましたけれども,実は,この北保育園というのは,先ほど小野委員もおっしゃいましたが,当初120名で,それが90名に変更されている。器自体,移転費用自体も120名分出るわけなのですから,90名を120名に増員するように求めたことはおありなのでしょうか。ずっと90で来ているというのが現状ですけれども,この点はいかがですか。
◎平井 児童家庭部長 要請をしたかどうかは,私,まだ1年少しで,よくわかりませんけれども,この保育所の入所状況を見ますと,年度当初は90を割っていて,年度末には定員90に満たすというようなことで,それで,幼児専門園でございますので,最近は国の方も低年齢児に力を入れているということで,乳幼児併設というような,保護者の方の選択もありますので,そういう状況にございます。
◆武藤光惠 委員 確かに,現在91名で,1名オーバーしてますが,なかなか子供の集まりづらい地域だというのが今のお答えかと思うのですけどね。私,先ほど言った,前段でお話ししましたけれども,国も挙げて,今,乳児の受入枠をどうするのかということが最大の焦点にもなっているわけですよ。そのための特別交付金だとか,国が直接補助事業を行うだとか,こうやって,本市の中でも,民間の社会福祉法人は,一生懸命,乳児がないところにも併設園にして乳児を受け入れる,こういう努力をしてきているわけですよね。ですから,これまでどうして,120の枠があるところに乳児併設の園ができないできたのか。
今,ずっとカウントをされたものも発表されていますが,これ全部,年度ごとの7月1日現在の数字ですけれども,97年でいけば,686人の待機者のうち483人が乳児,98年でも,622人の待機者のうち378人が乳児,こういうように,6割,7割方が乳児なのですよ。ですから,乳児保育園をどうやって広げていくのか,これが本市にとっても課題であったはずですし,そうであればこそ,その幼児園に対しても,乳児併設を指導されてきたという経過が,これまでも他の民間を見ればあるわけですよね。それにこたえる形で乳幼児併設園ができてきている。そういう努力がされてきているわけですよ。
ですから,幼児で集まらなくても,そういうことから考えれば,ここの札幌北保育園についても,本市が乳児併設園とすべく努力をやはりされるべきではなかったのか。だから,この点をちゃんとやってきたのかどうなのかということをお尋ねしているのですが,改めて,乳児園の併設については,いかがでしょうか。
◎平井 児童家庭部長 全体のキャパはあっても,乳児を受け入れるということになれば,匍匐室なり授乳室なり,一定の改造が必要ですし,一定のスペースが必要で,やはり相当なお金がかかります。この改造なり何なりするためには,国の補助金も出ておりませんし,一般的には改築というのはなかなかお金がかかって苦しいというようところがありますので,今,幼児単独のところについては,改築の時期に合わせて乳幼児併設にするというような形で,利用者の要望にこたえるような格好でやっております。
◆武藤光惠 委員 先ほども言いましたけれども,98年には,国が,市を通さないで,直接,法人に補助を行うという形で,札幌市でも4園が新たに乳児受け入れを図ってきているのですよ。
それから,今までの乳幼児併設園でも乳児の受入枠を拡大してきているのですね。こういうことを図っているのは,中身の改造も含めて,105園あると聞いてますよ。ですから,こういうような,補助を受けることができたにもかかわらずやってなかったというのは,札幌市は,やはりこの保育園に対して,どういうような配慮で,今,大変で,少しでも受入枠を広げなければならないというときに,枠がある,その施設としては受け入れ態勢をとれる,こういう園を放置しておいたのか,私としては非常に納得がいきません。
また,質問はこれで終わりにしたいと思いますが,私は,このような問題が社会的にもにわかに大きな問題になっているという状況から考えますと,この土地自体が購入された時期が,今から大分前ですけれども,1982年8月18日に土地開発公社が9,000万円で購入しているわけですよ,これを保育園用地として。そして,市が買い戻ししたのは94年,このときには,事務費や金利等を含めて1億6,600万円でこの土地を買い戻ししていると,こういうような状況があるわけですね。ただ寝かしておくだけで,これだけお金が膨らむのですよ。これは,市民の税金のむだ遣いそのものではないのでしょうか。
さらに,今現在,無認可園にしても,指定無認可園にしても,市の十分な補助を受けられない,そういう中で,先日も,ことしに入ってから,鉄道病院の,これは院内保育園としての位置づけですが,地域の子供たちも実は受け入れをして,無認可園としてずっとやられてきたのです。ところが,この場所が,中央区から東区に移らなければならないことになって,何が大変だったかと言えば,やはり場所の確保,どこに移ろうかということで,本当に大変な思いを父母も含めてやったわけなのですね。
ですから,このようなところで土地の無償貸与がやれるのであれば,やはりもっと枠を広げて,多くの子供たちが入っている園に対して,指定無認可園や無認可園に対しても,もっと市は場所の確保をすべきではないのかと。こういう立場から考えても,今回のこの札幌北保育園に対しては,余りにも札幌市が至れり尽くせりではないのかということを強調して,私の質問を終わります。
◆小谷俵藏 委員 私からも,保育園に関連して質問をさせていただきます。
決算書の60ページ,61ページに,保育所費が6,600万余ということで,特に,公立の運営費,私立の運営費,公立に対して,私立は約10倍に近い数字であります。これを見ても,いかに札幌市内で,私立の果たす役割というものが大きいかということがうかがい知れるわけであります。
また一方,こうした中で,保育園の設置について,一体どういうフレームで設置をされているのかということで,私もちょっと調べてみましたが,現在,90人定員ということで考えた場合に,建設費がおおむね1億5,000万円程度かかるであ3,000万円程度ということでありますから,総建築事業費の86.66%が,補助金,実は公費で賄われて新しい保育園ができるようになっているようであります,数字が間違っていたら教えてください。
また,土地については,かつては,自己所有地,自分で土地を用意してという時代がずっとありましたけれども,段々の話にもありますように,札幌市が必要に応じて無償貸与と,こういうことで,非常にその体制は,ある面では充実をしてきたのかなというふうに考えております。
私は,ここで質問を申し上げたい。実は,過日の勉強会等の資料で,平成11年度社会福祉法人及び社会福祉施設指導監査結果という22ページにわたる資料をちょうだいいたしておりました。この3ページ目に,ページは打ってありません,3枚目と申し上げた方がいいのですか,数えると22枚あります,社会福祉法人における指導内容というのがありました。
まず一つには,理事会の運営及び監事監査等,そして二つ目に,財産管理等というふうに,大きく二つに分かれております。この財産管理等の11番目に,みだりに,入所者,施設職員から寄附金を受け入れているということで,文書指導が,平成11年度,そして,その前の年の10年度,それぞれ1件ずつあります。みだりに,入所者,施設職員から寄附を受け入れているということで,口頭でなく文書指導がなされております。この「みだりに」ということ,そしてその一件,文書指導,社会福祉に熱意と理解を有し,かつ,経営者は,実際に法人運営の職責を果たし得るものであるとして,当然,認可を受けている法人が,みだりに寄附を受け入れていることは問題であると思うのですが,その内容について説明をしていただきたいと存じます。
◎鈴木 監査指導室長 平成11年度の社会福祉法人に対する文書指導の内容についてでございます。
この法人は,平成9年4月1日付で特別昇給をした職員について,昇級幅が大変大きくて,この法人の給与表でも15号俸から16号俸相当に当たると,こういうことから,一般常識から乖離をしている,それから,あわせて,その特別昇給分とほぼ同額を法人に寄附しているのは適切でないと,そういうふうに判断をして指導したところでございます。
以上でございます。
◆小谷俵藏 委員 これまでに,その指導をしてきたということですが,どんな指導をしてきたのか,その指導の結果,改善がされたのか,お知らせをいただきたい。
◎鈴木 監査指導室長 文書指導をするということは,社会福祉法人に対して,文書でお伝えをし,理事会に諮って改善策を練っていただくと,こういうことで文書を出しているものであります。
そこで,どんな改善がされたかと,こういうことでありますけれども,特別昇給した職員について,平成10年,11年と確認をいたしておりますが,その方の昇給をとめております。つまり,2年間とめてますから,15号というのを先ほど申し上げたのですけれども,そういう意味で言うと,13号が高くなっているという結果になろうかと思います。
それから,もう一つは,平成9年のときには給与から天引きで控除をしていたという事実がありました。そういったことはおやめをいただいたと,こういうことでございます。
以上です。
◆小谷俵藏 委員 かつては給与から天引きをしていたと,こういうことであります。私は,それを聞きまして,最近いろいろ不祥事が,国,地方を問わず,福祉事業その他,またいろいろ政治的な何かでも,中央でもありましたね,公設秘書の問題,大変な問題になりました。あるいはまた,福祉法人も,いわゆる上台,下台という言葉が当たるかどうか別ですが,見積もりは高く出して,補助金を決定してもらった。そして,実際の発注は,下台と言ったらいいのでしょうか,どうなのでしょうか,そうして出したと。その差額は,自分で負担すべき部分に多分充てたのだろうと,そういう考え方だったのだろうと。そうすると,丸々,無手でそれが全部でき上がったと,こういう仕組みに結果としてはなったのだろうけども,途中でああいう状態になってしまったと。大変なことだと思いますが,こうした現象と比較をして,これは違反しているのかどうなのか,お示しいただきたい。
◎鈴木 監査指導室長 法律に違反をしているかどうかというお尋ねでありますけれども,端的に申し上げますと,社会福祉関係法令にそういった条文がありませんので,違反しているかどうかを答えるならば,違反はしていないというふうに答えざるを得ません。しかしながら,平成11年度までの監査というのは,厚生省からの機関委任事務として,我々が仕事をいたしております。その機関委任事務の中に,厚生省から監査に当たっての着眼点というものが示されて,これは日本全国統一で示されております。その中に,先ほどの,委員おっしゃった,みだりに寄附金を要求している云々という言葉がありまして,そういうことに該当すると,私は判断をして指摘いたしたところでございます。
社会福祉法人の運営というのは,大部分は税で賄われております。そういった,極めて公共性の高い法人,施設であると,こういうふうに考えまして,この事例のように,大幅な給与の昇給,それから,その昇給分を法人に寄附をしているというのは,納税者の理解を得られるものではないと,こういうふうに判断をしたところでございます。
以上でございます。
◆小谷俵藏 委員 法令に照らすと,違反ということには当たらないのでなかろうかと。しかし,そういう指導要綱からすると,反していると,こういうことで,今,説明がありましたが,いずれにしても,ゆゆしきことでないのかなと。
そこで,私は,もう少しこのことについて,今後の指導をどうしていくのかということもお伺いしたいし,今,数字的なものはおっしゃっておりませんでしたけれども,これは,第一線を退職された方が,一方では年金を受けながら,一方では施設長として,そこで仕事をしていらっしゃる。その方々,複数,3名というふうに私は聞いておりますが,さっき号俸で言ってましたけれども,金額で,どれだけだったのがどれだけになって,寄附ということになってますが,寄附ということの確実性は,どういう形で,まさしくこれは寄附に当たったということの確認をされたのか,お示しをいただきたいと思います。
◎鈴木 監査指導室長 平成9年に10万円ほど上げたと,こういうことでございます。上げる前の給料が17万円台,18万円台の方々で,それが,27万円ないし28万円に,10万円ほど上がったと,そういうことでございます。
◆小谷俵藏 委員 10万円上がったと,その10万円がそっくりそちらへ回ったということですね。実質的に懐に入っているのは,従来のままだったと,こういうことですね。よろしいですね。
非常にこれ,わかりづらい構造ですね。(発言する者あり)わかりやすいという声も,それは,見方によって,考え方によっては本当にわかりやすい。いや,不適切だということがわかりやすいと,こういうことだと思うのですが。
私は,最後に要望として申し上げておきます。
こういうゆゆしきことがあってはならない,それは当然のことでありますけれども,今後,この福祉事業,これは保育園の事業も,今,女性の方々の社会参加がどんどんどんどんふえてきている。これに伴って,幼稚園は少なくなっているけれども,保育園はふえつつあると。総体は減っていても,そういう現象ありますね。そういったこと,あるいはまた,あすは介護保険制度等々の関係もありますけれども,この福祉にかかわるそうしたニーズ,必要性は高まってまいります。
私は,この福祉の原点は何なのか,経営者として,この福祉にかかわる中で,何を目的としてどのような姿勢で臨むかということが何よりも大切なわけであって,どんなことがあっても,社会の批判を得るようなことは断じて許されない,それが福祉事業であります。その精神,その考え方を,行政として,今までより,一層的確に掌握しながら,指導徹底を図っていき,当然,監査ももちろん,それ以上にしていかなければなりませんけれども,やはりこれから,この福祉のニーズが高まれば高まるほど,非常に気配りをしていかなければならない,このことを強く申し上げ,今後,十分意を配して取り組んでいただくよう求めて,終わります。
◆熊谷憲一 委員 私は,留守家庭児童対策についてお伺いをしたいと思います。
99年9月の札幌市地方社会福祉審議会の札幌市の放課後児童健全育成事業のあり方の答申を受けて,2000年4月1日,要綱の改定を行い,市の助成金が打ち切られてもなお自力で運営し続けてきた民間施設方式の児童育成会4カ所に対して,助成金の復活を行ったところであります。しかし,答申の重要な柱であった,障害のある児童を受け入れている民間施設方式については,早急に助成金による障害児加算の樹立を図ることで,より積極的に障害のある児童を受け入れることができるようにする必要があることや,対象学年について,弟妹が児童クラブ等に在籍している留守家庭児童や障害のある留守家庭児童など,特に必要と認められる場合には,4年生以上の受け入れについても検討する必要がある。このことについては,要綱では全く前進的な改定はなされませんでした。
そこで,質問の第1でありますけれども,障害児加算の充実についてであります。
札幌市の基準は,2名以上の障害児を受け入れている民間施設方式に対して,一律40万7,000円の加算を行っておりますが,これは,道の基準に比べて,障害児2人から4人までについては15万7,000円,5人から8人まででは72万1,000円,9人以上では128万5,000円も低い額になっている。これは問題であります。当面,せめて道並みの障害児加算に引き上げるべきと思うがいかがか,これが第1点であります。
質問の第2は,対象学年の拡大の問題であります。
改正児童福祉法では,おおむね10歳未満と位置づけられていることも踏まえ,答申が指摘するように,4年生以上の受け入れについて早急に検討すべきと考えるがいかがか,伺います。
◎八反田 少年育成担当部長 ただいまいただきました2点のご質問について,順次お答えを申し上げたいと思います。
障害児加算として,今,道の基準額が例示されましたけれど,ただいまの金額,私どもの押さえでは,あくまでも補助対象基準額としての金額でありまして,実際の助成対象というのは,それの2分の1ということでございます。
そこででありますけれど,私どもは,民間施設方式に対して,障害児加算ということで,平成10年度からこの制度を実施しております。年度当初において,複数の障害のあるお子さんを受け入れている民間育成会に対して,ただいまの金額を助成しております。平成11年度には6カ所,それから12年度には12カ所ということで,2倍になっておりまして,着実に,この障害児の受け入れに対して寄与しているというふうに押さえてございます。
この加算制度は,全国ではまだ制度化されていない都市もございます。本市独自の助成制度を行ってきたということ,このあたりのことについては,関係者の皆様にも一応ご理解をいただいているものと思っております。
それから,道並みにというところで,今,半分にしてというようなお話もありましたが,あくまでもこれは障害児加算ということでありますので,そのベースになるのは運営費でございます。道の運営費自体のことは今お話に出ませんでしたけれど,加算自体,一応の,一定の水準にあると,私ども認識をしておりますし,運営費と合わせた助成額全体で見ると,私どもの運営費,大変きめ細かく設定をさせていただいておりますので,むしろ高いものがあるということでございます。当面は,この現状の水準を維持しながら,今後の方向性について,事業全体の中で考えていきたいというふうに思っております。
それから,対象学年の拡大についてでございますが,本市の留守家庭児童対策という面では,現要綱にあります1年生から3年生までの低学年を一応基本として考えていきたいと。それで,4年生以上の高学年のお子さんについては,すべての児童の健全育成を図る中でということで進めてまいりたいというふうに考えております。
今ご質問の中にありました,昨年の答申では,障害のある留守家庭児童など,特に必要と認められる場合にはというような触れ方でございます。検討を要する課題という認識はしております。この点を含めまして,事業全体の中でよく見きわめながら対応を考えていきたいというふうに思っております。
◆熊谷憲一 委員 ことしの2月の1定の我が党の質問に対する答弁で,障害児加算の充実の問題や児童クラブ等への4年生以上の受け入れについては,今後検討すべき課題ということで,検討というあたりを強く押し出しているのは,特に今回の要綱の改定では,答申の中身は,ただ検討ではなくて,強い意向,必要であると。検討するようにと,例えばこの件については検討するようにと,そういう答申ではないわけですよ。必要である,こういうふうに言っております。
今回の要綱の改定,全くこの問題に手をつけなかったと。この理由をやはり明らかにする必要が,市民にも明らかにする必要があるのではないかと。
特に,私は,答申の内容を尊重する立場に立つならば,少なくともこの問題については,どういう理由で改定できなかったのか,この辺についてはきちんと市民の前に明らかにすると,そういうのが必要なのではないかというふうに考えております。
しからば,今後,この問題に対して,4年生以上の問題や,それから対象学年の拡大や障害児加算の問題についてどのような見通しで考えていくのか,このことについて再度,お答えをしていただきたいと思います。
◎八反田 少年育成担当部長 検討に当たっては,一つ一つよく見きわめながらというふうにご答弁を申し上げてきたかと思います。まず,急を要する民間施設のといいますか,公民の共存ということを優先したというふうにご理解をいただきたいと思っております。
◆熊谷憲一 委員 なぜ今回,改定を行わなかったのですか,その理由ですね,それを明らかにしていただきたいと思ったのですけれども,基本的には,今の水準は,他の都市に比べていいというようなことで,今の基準で答申の考え方が述べられているにもかかわらず,全体に比べて札幌市は少し進んでいるから改定する必要はないというような観点ですから,それは全くおかしいのではないかというふうに思います。
次に,質問の第3に移りたいと思うのですけれども,家賃助成の増額についてであります。
助成金の交付基準では,実費額の50%以内としながら,限度額を,10人から20人については2万8,000円,23人から45人では3万9,000円,46人以上では4万4,000円としております。実費額と交付限度額の乖離が極端なまでになっていると思います。実勢に合わせて,家賃助成額の改定が必要と考えますがいかがか,お伺いいたします。
◎八反田 少年育成担当部長 ただいま,制度自体のことは,ご質問の中でおっしゃっていただいたとおり,実質家賃といいますか,家賃実費額の2分の1を助成するということが基本でございます。その中で,登録児童数によってランクを三つに分けておりまして,その金額も今おっしゃっていただいたとおりであります。2分の1助成ということですから,家賃として想定をしておりますのは,5万6,000円,7万8,000円,8万8,000円ということでございます。家賃の実勢,それから政令市の比較においても,これも対応いただける範囲という理解をしてございます。
◆熊谷憲一 委員 実際のところは,家賃補助は非常に足りないと,乖離していると。ぜひ,実勢との違いを調べられて,交付限度額,実勢に合わせるように改善することを要望して,私の質問を終わりたいと思います。
◆岡千陽 委員 私は,母子寡婦福祉資金,特にその中でも,事業開始資金,事業継続資金について伺います。
1982年4月1日から,母子及び寡婦福祉法となり,法律に基づく貸し付け制度に改められている母子寡婦福祉資金貸付制度ですけれども,この制度に対して,現在,借りづらい,大変利用しづらいという苦情が出されています。実際の貸し付け状況を見ますと,母子福祉資金では,事業開始資金が,98年度1件,280万円,99年度は0件,事業継続資金は,98年・99年度ともに0件,寡婦福祉資金では,事業開始資金が98年・99年度ともに0件,事業継続資金は,98年度1件,60万円,99年度0件,利用件数が極めて少ない状況になっています。
そこで,お聞きしますが,この貸付制度を本市はどのように位置づけているのか,また,利用件数が少ないというこの現状をどのように受けとめているのか,お答えください。
◎平井 児童家庭部長 母子・寡婦の自立支援ということで,必要な資金というふうに考えておりますし,これを利用して,それぞれ自立に向かって,これらの資金を活用してほしいと考えております。
事業資金につきましては,事業をやる場合のいろいろな基準,それから事業としてできるかいろいろなこともございますし,こういうご時世では,事業開始というのもなかなか難しい時代なのかなというようなことが影響していると思っております。
◆岡千陽 委員 ただいま部長の,本当に,この制度の目的としては,貴重な資金であり,経済的自立の助成と生活意欲の助長を図るといったようなご答弁でしたけれども,社会的にも弱い立場である母子・寡婦の方々に対する福祉対策,これが本来の目的であるはずです。
借りづらいというところで,実際,母子相談の状況から見てみますと,母子寡婦福祉資金の相談・貸し付け件数が,98年度は,4,537件の相談に対して,貸し付け件数が641件,7分の1です。99年度は,6,481件の相談に対して,貸し付け件数は711件,9分の1です。相談件数から見ても,この貸し付け件数が極端に低くなっています。母子・婦人相談員の方たちからも,長引く不況の影響で,相談件数も増加して,内容も深刻になっているというお話も伺っています。やはり,これは,相談件数から見て貸し付け件数が少ないということは,利用しづらい状態にあるのではないかと考えます。
実際に,借りづらいとおっしゃる方から,その理由として,保証人が要件づけられていることが出されています。夫がいないことから来る不利益もあって,通常の融資が困難な中で,この保証人が必要ということが高いハードルとなっていると,こういう方々が少なくないことが現実に起きています。事実上,制度はあっても,借りられない事態が発生している状況です。さらに,この制度があるということ自体,市民や零細業者に知らされていない,わからなかったということも,利用者が少なくなっていることにつながっていると思われます。
そこで,伺いますが,1点目として,この制度の目的に立ち返り,利用しやすい制度にしていくために,検討していくおつもりはあるかどうか。
2点目として,この貸し付け制度を普及するために,どのような手法がとられていますか,伺います。
◎平井 児童家庭部長 保証人を立てなければならないということは,この母子寡婦法施行令によりまして定められております。これを受けまして,札幌市においては,保証人の要件としては,基本的には札幌市内に住所を有することを原則といたしておりますけれども,2親等以内であれば,北海道内に住所を有する方を保証人とすることができるということで,実はこの要件を緩和し,利用しやすい形での対応を図っているところでございます。
それから,PRでございますが,広報さっぽろで毎年1回PRをいたしておりますほか,市民便利帳に掲載をしております。
また,一人親家庭の皆さんに対する各種の優遇措置をまとめましたリーフレット「ひとり親家庭のための暮らしガイド」,これにも掲載をしておりまして,区役所に置いてございますが,特に,相談に訪れる各区役所の母子・婦人相談の窓口において,相談に当たっては,これらを見ながらいろいろ説明ができるようなことも考えていきたいというふうに考えております。
◆岡千陽 委員 部長も先ほどおっしゃったように,この母子家庭だとか寡婦の方々,社会的にも弱い立場に置かれている方に対しては,その方のためにつくられた制度であるので,間口を狭くして利用しづらいということはあってはならないというふうに考えます。要件緩和をしてご努力されているというご答弁もありましたが,さらにご努力をしていただきまして,ぜひ利用しやすい制度にしていくために,前向きなご検討を強く要望いたしまして,終わります。
○柿崎勲 委員長 以上で,第2項 児童福祉費及び母子寡婦福祉資金貸付会計決算の質疑を終了いたします。
次に,第4項 生活保護費の質疑を行います。
◆小川勝美 委員 生活保護の問題について,私は,今回は就労問題に絞ってお尋ねをしたいと思います。
今,深刻な不況の中で,特に雇用問題が深刻になってきております。このことは,先日の本会議の代表質問でも改めてお尋ねをしたところであります。そういう中で,なかなか仕事につけない,そういうことからやむなく生活保護を受けなければならない,こういう人たちがふえてきております。
昨年度の,失業に伴って保護開始された世帯が580世帯,働いているけれども収入が減った,正規のところに勤めていた者が,パート収入のようになってしまったと,こういうことで,稼働収入の減少に伴って保護を開始した世帯が192世帯,それから,リトスラ・解雇などで雇用保険を受けていたが,給付期間の満了によって,ほかに収入の道がないために生活保護を受けざるを得なかったということで119世帯,合わせて,昨年度だけで,新たに保護開始した世帯の中で,この就労問題が大きな理由になって保護が開始された世帯というのは891世帯です。一昨年の781世帯,その前の523世帯と比較をして,非常に大きな比率になってきている特徴がございます。そういう非常に厳しい就労状況にあることについて,どのように認識をされているか,ひとつお尋ねをしたい,これが質問の第1点です。
そういう,生活保護を受けている,受けざるを得ないような雇用状況になってきている状況があると同時に,片方で,保護が開始されますと,病気等があれば,医療扶助を受けて病気の治療に当たることが保護の第一原則ですけれども,働く意欲が十分あり,就労するに足る健康状態であれば,働かなければならない。そのための就労指導というのは,保護の上では,当然,適正になされているだろうと思うのでありますけれども,この就労指導がされても,実質的には就労に至らない状況が現状の雇用情勢の中にあるわけです。
しかし,機械的に,また過度に就労指導されることによって,保護世帯の中には,ノイローゼあるいはストレス性の胃炎になって,病院で受診せざるを得ない,こんな状況なども現実には起こっております。その辺の,適切な就労指導と機械的に過度な就労指導というのは,これ中身違うだろうと思うのですね。やっぱり雇用情勢などを十分見きわめた上で,適切な就労指導がなされなければならないと思うのですけれども,その点についてお尋ねをしたいと。
いわゆる病気に追い込んでいく,以前には,札幌の東区で,就労指導を受けた方が,市営住宅のベランダで首つり自殺したという事例もありましたよね。それは,ケースワーカーの対応が間違っていたのではないけど,受け取る側にとっては,非常に,働く意欲が十分ありながら,しかし,職安に通っても全く仕事がない,あるいは,たまたま面接に行くところがあっても,そこでまた落とされると,こういうことになって追い込まれていく。そんな中で,さらに追い打ちをかけるような就労指導が行われると,先ほど言ったような不測の事態まで引き起こすようなことにもなりかねないわけですので,その辺の状況に応じて,やっぱり適切な指導をしなければならないのでないか。この辺のことについて,病気に至らせるような指導の仕方は,やっぱり,過度,誤りでないかなと思うのですけれども,その点についてお尋ねをしたいと思います。
それから,もう一つ,今,職安などに通うわけですが,通う人たち,人づてで仕事を探すだとか,いろんな方法をとっておりますけれども,人づてで仕事を探した場合は,ケースワーカーなんかは就労活動として認定をしないわけですね。それで,どうしてもハローワークまで行かなければならない。公的機関での就労確認,求職活動を確認していくと,こういうことを求められるわけですね。それがきちっとされないと,保護費の支給がとめられて,銀行振り込みがやめられて,そして,窓口支給,こういって,求職活動を強く求められる,こういうことが現実に行われております。それでは,一生懸命頑張れば頑張るほど,交通費が生活費を食ってしまう,こういうことが現実に行われています。
私のところの厚別区のもみじ台から,新札幌に出て,地下鉄に乗って月寒のハローワークまで行くと,片道で350円ぐらいかかりますかね。往復で700円,週2回ずつ通うとか,あるいは,その間に,たまたまいいところがあって面接に行ったと,こういうことになると,その交通費も,全部,今の仕組みの中で,本来と違うやり方で,生活費を食うような仕掛けになっています。
独身,五十何歳のひとり暮らしの人なんかの8,000円ぐらいですよね。そして,1カ月,一生懸命求職,仕事を求めてハローワークであるとか,あるいは面接に行くとかで交通費を使えば,5,000円や6,000円,すぐ7,000円ぐらいかかるのです。
今,それらについて,私は,相談受けた人に,区役所に行って,交通費を出してもらいなさい,そう言っているのですけども,ところが,いつどこに行って,ハローワークに何月何日に行ってきましたと,こういうのを月々,文書にして提出しているのですが,交通費が一切払われてない,これが実態なのですよ。これは,生活保護法12条違反だと思うのですけれども,この点についてお尋ねをしたい。
生活保護法第12条では,「生活扶助は,困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して,左に掲げる事項の範囲内において行われる。」として,1,衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの,これが,いわゆる生活保護の1類,2類であります。そして,2として,移送,これは交通費です。一時扶助であります。これが出されていないとなれば,生活保護法第12条に違反して,生活保護の実施機関みずからが違法行為をやっているのでないかと思うのですけども,この点についてどうお考えになっているか,お尋ねをしたいと思います。
◎富山 総務部長 まず,現状の労働市場,経済事情を踏まえて,生保受給者の開始理由,それから,どのような認識に立っているかというお尋ねでございます。
新聞,報道機関などによりますと,全国レベルでは,景況感というのは上向いてきているということでございますが,依然として,道内企業,道内の経済状況というのは,低迷しているということでございます。したがいまして,保護率で見ましても,平成7年前後から非常にアップを続けておりまして,今年度に入りましても,前年実績では0.1ポイントぐらい増加してございまして,現在20.7‰ぐらいになっている実態にございます。
先ほど委員の方から,開始理由,失業ですとか稼働収入等の減少,社会保険給付満了の件数を前年あるいは前々年との比較でお話しございましたが,やはりこういうところから分析をいたしますと,相当,経済情勢,雇用状況,これは厳しいものになっていると,このように私ども認識をしております。
次に,2番目の就労指導についてでございます。
就労可能な被保護者の方々,年齢,性別に関係なく稼働能力の活用を図ると,これは申すまでもございませんが,やはり先ほど申し上げましたように,経済状況から見まして,50代後半から60代の方々は,若年層に比べまして就労機会が少ないと,これも数字的に出てございます。しかしながら,就労の機会が少ないからといっても,やはり早い者勝ちという実態もございます。したがって,こういう時代だからこそ積極的に求職活動を行わなければ,ますます就労の機会を失うと,こういう事実もございます。したがいまして,雇用環境を乗り切るためには,一層の求職活動が必要であるということをご理解いただいた上で,被保護者一人一人の適性,環境などを考え合わせた就労指導を行っているところでございます。
次に,3点目は,求職のための移送費でございます。
求職活動に必要な交通費につきましては,今ご指摘のように,生活保護の取り扱い上,被保護者が実施機関の指示または指導を受けて,求職または施設利用のため熱心かつ誠実に努力した場合に,その移送費を一時扶助として給付できることになっておりまして,本市におきましても,被保護者がケースワーカーの指導のもとに熱心かつ誠実に求職活動に取り組んでいると認められる場合には給付することになってございますが,ただ,各区の実績といたしましては,申請もございませんことから,ここ数年,支給に至った事例はございません。
以上でございます。
◆小川勝美 委員 厚別区だとか白石区だとか手稲区というのは,私,直接,保護課長に聞いて,出してないと。そんなのあるのですかと,支給できることも現場の課長さん知らないですよ。それ,どうして,全市で出してないのですか,それとも申請がないのでということなのですか,どういうことですか。申請すれば出すのですか,これからは。
今までこういったような,誠実にやって,もうそれこそ何月何日にどこへ行ってと,判こもらってこいと言うから言われたとおり守って,判こ,氏名,出しているのですね。そして,先ほど私が言ったように,交通費もちゃんと言って,もらいなさい,そのことを言っているにもかかわらず,申請書なんて出させないという形で,それは生活費で賄うものですということで現場では理解されてて,現実は,部長の言っていることと違うのでないですか。市内どこの区で,そうやって移送費の申請させて,申請書出させている区ありますか。どこの区で,実際やってますか,やってないでしょう。
これ,先ほどの話では,ないということは,保護の実施機関が,生活保護上必要な移送費をみずから出さないで,わずか,ひとり暮らしだったら7万円ぐらいの生活費の中から,月5,000円だとか7,000円という交通費を指導によって使わせて,就労指導の名によって使わせて,実質的に憲法25条違反の生活を強いるということを,生活保護の指導の名によってやっているということは,憲法25条違反,それから生活保護法第12条に実施機関が違反していることにならないかどうか,この点お尋ねをしたい。
その上に立って,改めて,こういう指導に基づいて求職活動すると。ましてや,その多くの人たちは,できるだけ早く保護を離脱して,働くところがあれば働きたいと,みんな思っているのですよ。そして,熱心かつ誠実に職安なんかに通うし,職安だけでなくて,自分の友達通じても職を探しているのですよ。これは熱心かつ誠実にやっているのです。そして,面接があれば面接にも行っている。そのことは,みんなケースワーカー,いつどこに行ったという記録出しているから知っている。しかし,その交通費は出さないで,生活費の中でやれと,これはおかしいのでないかと思うのです。それを是正する意思,どういう対応をするのか,各区に対してどんな指導をされるのか,この点も含めてお尋ねをしたいと思います。
◎富山 総務部長 求職活動に伴う交通費は,これは本来,その頻度にもよるわけでございますが,基準生活費で賄われるべきもので,一時扶助として移送費を支給するのは,今お話ありますように,熱心かつ誠実,努力した被保護者の自立助長の観点からということでございまして,これは,昨年の10月に厚生省の社会援護局保護係と協議をしてございますが,生活一時扶助は,基準生活費が一切の需要を賄うべきことを前提としつつ,一定の場合に,自立助長,最低生活の確保等の観点から個別に対応するものと,こういうことでございます。したがいまして,私ども,こういう考えのもとに,各区の保護課に指導をしているところでございます。(発言する者あり)
これは,先ほどお答えしておりますとおり,私どもの調べでは,本人の申請がございません。したがって,事例はございません。
◆小川勝美 委員 部長,それは詭弁って言わないかい。そういう答弁は詭弁。申請がないからと言っているけれども,現場では,一時扶助の申請をさせないように対応しているのでないですか。したがって,この移送費については,先ほど言ったように,いろんな書類,どこに,いつ行って,何ぼ金かかったかもわかる書類を出させながらも,一時扶助の申請書を出させない,こういうことをやっているのだったら,誠実かつ熱心に努力している人をどうやって選んでいるのですか。何を基準にして申請書出させるのですか。ケースワークというのはそういうことだろうさ。必要な人に必要な保護費を支給するためにこういう申請書を出しなさいと,こういうことをやらなければならないのがケースワーカーであり保護の実施機関の仕事でないですか,違いますか。
◎富山 総務部長 熱心かつ誠実な場合と,これは包括的にこのような場合であるということは言えないと思うのです。今,委員ご指摘されましたように,まさにケースワークでございまして,例えば,求職のための身体条件ですとか家庭的な条件,あるいは,その方の持っている能力等,まちまちでございますから,それはやはり文字どおりケースワークということになろうかと思います。
先ほど答弁漏れをしておりましたが,今後どういう指導をするのかと,周知をするのかということでございますが,担当のケースワーカーが個々の被保護者の方に就労指導を行う際に,個別に周知してまいりましたが,事前に一律に周知するということになりますと,例えばハローワークに行けば必ず支給できる性質のものだと,そういうようなことも,混乱を招くといった面もございますので,やはり先ほど申し上げました個々の被保護者の就労指導の中で個別に周知をしてまいりたいと。こういうことを各区のケースワーカー,査察指導員に,再度この趣旨を徹底してまいりたいと,このように考えております。
◆小川勝美 委員 部長,先ほど私が言った,1件も申請ないということは,ケースワーカーから保護世帯に知らせてないからでないのですか。それは全く,全市で1人も,1年たっても2年たっても何もない。厚別なんか分区されてから11年目ですけれども,1件もないのですよ。それは,誠実かつ熱心な人が1人もいないようなケースワークしかしてなかったということを,実施機関がみずから証明しているようなことにならないか。全市でそういう誠実かつ熱心な人が1人もいないというのは,実施機関の,本庁の指導が悪いということだよ。どこかの区が悪いということでないのだから。違いますか,局長,この点についてどう考えますか。
◎舘美 保健福祉局長 1件もなかったということは,部長が答えてますようにいろんな理由があるかと思いますけれども,いずれにいたしましても,今後,委員の指摘も踏まえまして,一層徹底し,周知に努めてまいりたい,こう思っております。
◆小川勝美 委員 局長,今まで間違っていたから,これから是正していきたいと,こういうことだと思うのです。そうですよね。病院に行く場合は,移送費出ているのですよ,交通費出ているのですよ,病院から確認もらって,出ているのです。どうして,ハローワークに行けという指導を受けて,ハローワークに行った部分の交通費出ないで,生活費を切り詰めて行かなきゃならないのか,あるいは面接に行くということになるのか。これは,この保護の実態から言って,ぜひそうしなければ,憲法25条違反,生活保護法違反を実施機関が行うことになりますので,局長,その辺はきちっと是正されるよう強く求めて,この点は終わりたいと思います。
最後に,その就労との関係で,ことし3月3日に,生活保護の全国の主管者会議が開かれました。その中で,今の世帯主に稼働能力がある世帯については,就労の機会が得られれば要保護状態から脱却することができるが,就労に結びつくケースはごくわずかである。とりわけ職業能力が不足している被保護世帯についてはその傾向が強い,こういうふうに,この主管課長会議で厚生省は述べているわけですよね。したがって,被保護者の職業能力の向上を推進するとともに,就労の機会の確保が図れるよう積極的に取り組まれたいと,こういうふうに言いながら,次で,技術指導費の拡大ということで,就労促進に役立つためには,どうしても資格を取得することが重要だと,こういうことで,新年度から,職業訓練校へ入学すること,あるいはヘルパー養成学校に入ること,生活保護費の支給と別に,これら学校での技能習得,資格取得に向けての必要経費も保護費で出るように改善されました。
これらについて,今,実際に就業に困っている人たちにどういう形で徹底されていますか。移送費の問題とあわせて,これも大事な点なので,その辺,ケースワークとあわせて,現場のケースワークでこれらのことがどういうふうに実施されているのか,この点をお尋ねして,質問は終わりたいと思います。きちっと答弁してください。
◎富山 総務部長 不況下の時代でございますから,やはり就職に役立つ資格・技能の習得,これは積極的に支援していく,これは非常に大切なことかと思っております。
昨年までもこういった制度はございましたが,今年度からは,技能習得費の拡充として,雇用保険法に規定する就労のための教育訓練講座を受講する場合,こういう場合も追加されておりますし,給付条件も緩和をされております。こういったことは被保護者の自立に大きく寄与するものでございますから,今までもケースワークの中では周知をしてきてございますが,なおこの3月に改善されたことにつきまして,積極的な活用を図るべく,各地に周知徹底を強めてまいりたいと,このように考えております。
◆横山光之 委員 最後に,ホームレス対策についてお伺いをいたします。
バブル経済の崩壊後,深刻な不況のもとに,民間企業を中心として厳しいリストラの嵐が吹き荒れ,かつてない規模で新たな失業者が生み出されておりますが,その影響を受けて,近年,大都市部を中心に,公園や河川敷等で野宿生活を送っているホームレスが増加し,大きな社会問題となっております。その数は,昨年11月の厚生省の調査では,2万人を超える状況でありますが,最近の調査では,2万2,000人に達していると言われております。
ホームレスに至る要因はさまざまであります。会社倒産による失業,日雇い等不安定な職業での失職という仕事の問題,それに離婚,虐待,家出等の家族の問題,そして家賃の滞納による立ち退きや住み込み先の喪失等の住居の問題など,複雑な問題が絡み合っておりますが,だれにも惑わされずに気ままな生活を送れるので,定住しない方がいいという方もいるということであります。
また,ホームレスの平均年齢は50歳代半ばで,高齢者も相当数おり,野宿生活の長期化によって結核等疾病を抱える者や,アルコール依存症や精神に障害を持つ者も含まれているということであります。
このような状況を踏まえて,昨年2月には,大都市の深刻な訴えを真摯に受けとめた当時の小渕内閣のもと,関係省庁及び関係自治体で構成するホームレス問題連絡会議が設置されまして,同年5月には,ホームレス問題に対する当面の対策が取りまとめられて,初めて国が自治体とともにホームレス対策に本格的に取り組むことが打ち出されたのであります。
我が党でも,この問題に強い関心を持っており,先日の政令指定都市議員連絡協議会においても,このホームレス問題が取り上げられたところであります。そこで示された他都市の取り組みは,東京都の6億5,000万円を最高として,大阪市6億円,川崎市,横浜市が3億円などと多大の予算が組まれ,各種の対策を講じているということであります。
外国の例でありますが,ニューヨーク市では,6万5,000人のホームレスのために400億円が支出され,担当職員が1,700人もいるということであります。日本でも,大阪市の方は8,000人ないし1万人と言われております。東京都が6,000人,名古屋市が1,200人など,ホームレスの規模が数千人にも上る各都市では大変なことであるということを感じているのであります。
現在のところ,札幌市の場合は,昨年12月の調査では50名,ことしの北大ボランティアの調査でも102名と少数であり,積雪寒冷地という地理的条件からすると,ホームレスにとっては住みづらく,急激な増加はないものと予想をされます。しかしながら,ホームレスは,大都市固有の問題であり,他都市の例を見ても増加の一途をたどっているということからすると,札幌市においても着実に増加をするものと考えられます。このため,ホームレス対策は,常に先手を打って取り組む必要があると思うのであります。
さて,札幌市の場合,ホームレスというと,北区のエルムの里公園でテントを張って生活している,いわば長期滞在型,定住型のものと,それ以外の移動型の二つに分けることができると思うのであります。
まず,定住型の場合でありますが,私は,北区のエルムの里公園がホームレスによって占拠されており,付近住民が大変困っている,このままではホームレスの里になってしまう,これではいけないと考えて,さきの第1回定例市議会の予算特別委員会において,富山総務部長にも出席をいただいて,どう対応するのかを質問いたしました。その折,魚住助役から,他都市の例や参考意見を聞きながら,関係部局が一丸となって対応していきたいという大変力強いご答弁をいただいたところであります。聞きますと,エルムの里公園のホームレス対策のために,既に3回も関係部局が集まって協議をされているということであります。早速,札幌市として真剣に取り組まれているということでありまして,高く評価をするものであります。
しかし,第1回定例市議会以来,既に6カ月が経過をしておりますけれども,行ってみればわかりますが,エルムの里公園のホームレスの実態は,結果として何ら目立った改善が見えておりません。地域住民は,一体どういうことになるのかということで,大変心配をしながら見守っているところであります。
そこで,質問の第1点目として,今回は,公園管理の責任者である齊藤緑化推進部長にわざわざご出席を願いましたので,お尋ねをいたしますが,エルムの里公園におけるホームレスの数は,現在どうなっているのか,また,3回に及ぶ関係部局との協議の結果,どのような対応をとるということになっているのか,お伺いをいたします。
次に,移動型のホームレスについてでありますが,市内のホームレスのうち,大半がこの移動型であります。札幌市は積雪寒冷の地であり,厳しい冬がそこまでやってきているということを考えると,これらのホームレスの対策をどうしていくのかが問題であります。
そこで,質問の第2点目として,これまで札幌市は,福祉行政の面から移動型のホームレスの対策をどのように行ってきたのか,また,今年度はどのように取り組んでいこうとしているのか,お伺いをしたいと存じます。
◎齊藤 環境局緑化推進部長 ただいま,横山委員からホームレス対策につきましてご質問がございましたが,私からは,第1点目のエルムの里公園に関しましてお答えをさせていただきたいと思います。
まず,エルムの里公園のホームレスの現状でございますが,現在,テントが17張りあります。人数は,昨年より2名ふえまして,19名になっております。現地での対応といたしましては,本年度も引き続きまして,定期的な現地での指導,具体的に申し上げますと,週1回,北区土木部の職員が現地に赴きまして,退去するように注意,警告をしているところでございます。また,警察へのパトロールの要請でございますとか,占用物件撤去の立て看板設置なども行っているところでございます。
また,関係部局との協議でございますが,今年度も,5月以降,緑化推進部と北区土木部が数回にわたり,現状分析及びその対策につきまして検討してまいりました。さらに,この8月からは,保護指導課,公園管理課,北区及び中央区の維持建設課,保護課の関係課長以下,実務担当者によります連絡協議会を開催してございます。そのほか,9月には,地元町内会と鉄西連絡所,北区土木部が,今後の対策等につきまして協議をしております。
しかしながら,委員がただいまご指摘のとおり,なかなか決定的な方策を見出せないのが実情でございます。したがいまして,今後とも粘り強く指導・勧告を行う一方,公園としての機能を回復すべく,地元の皆さんのご意見をお聞きしながら,市全体で検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
◎富山 総務部長 2点目の,ホームレス対策の現状と今後の取り組みについてお答えをいたします。
本市は,今ご指摘のように,積雪寒冷という,非常にホームレスの住みづらい土地かとは思いますが,若干ずつふえてきていると。特に冬期間での対策ということに重点を置いておりまして,高齢者,障害者,入院を要する病弱者を対象に,区の保護課での生活相談,緊急入院による医療扶助,救護施設への入所といった生活保護の適用を実施してきております。ただ,移動型のホームレス,この表現が適切かどうかわかりませんが,ふえてきておりまして,やはりこの冬期対策をどうするかと。昨年の12月にもホームレスの実数等を確認するための深夜調査を実施しておりますが,今年度は,この調査を実施した上で,生活保護による医療扶助,救護施設入所が必要な,いわゆる要援護者の発見に努めることとしております。
ホームレスにも高齢化の波が押し寄せておりまして,冬期間のホームレス生活は限界に近づいていると思われる高齢者も散見されますので,本人の意思を確認しながら,適切な生活保護の適用につながるような支援を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆横山光之 委員 ホームレス問題の解決については,各都市で大変苦労をしているわけでありますが,札幌市もなかなかこの決め手がなくてご苦労をされているということがわかるところであります。
ホームレスが都市に集まるというのは,彼らが生活するための食料とか物資,いろんなものが手に入りやすいということや,親,兄弟,親類縁者に知られずに,何人にも束縛されないといった精神的な面も大きいのかと思います。
ある大都市で,緊急的措置として食料等の生活用品の支給を行ったところ,近隣の都市からホームレスが集まって,一挙にその数が増加をしたということがあったというふうに聞いております。このように余り過保護な対策を行うと,札幌は住みやすいということで,道内や本州から呼び寄せることになって,かえって問題の解決を難しくするということも言えるかと思うのであります。いまや大都市病とも言うべきホームレス問題の解決は,極めて複雑かつ困難な問題であります。初めに申し上げましたように,札幌市におけるホームレス問題が,手に負えない,あるいは深刻な事態にならないように,常に先手を打って取り組んでいただきたいということを要望して,質問を終わりたいと思います。
○柿崎勲 委員長 以上で,第4項 生活保護費の質疑を終了いたします。
本日は,これをもって終了し,次回は,あす6日午後1時から,保健福祉局関係のうち,高齢保健福祉部,保険医療部,保健衛生部,生活衛生部,衛生研究所及び高等看護学院の審査を行いますので,定刻までにご参集ください。
それでは,散会いたします。
──────────────
散 会 午後8時21分...