委 員 武 藤 光 惠 君 委 員 宮 川 潤 君
委 員 佐々木 周 子 君 委 員 菅 井 盈 君
委 員 松 浦 忠 君 委 員 北 川 一 夫 君
──────────────────────────────────
開 議 午後1時
○村山 委員長 ただいまから,第二部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが,新山委員からは欠席する旨,宮本委員,菅井委員からは遅参する旨,それぞれ届け出がございましたので,ご報告を申し上げます。
それでは,議事に入ります。
議案第4号 平成9年度札幌市
交通事業会計決算認定の件及び議案第5号 平成9年度札幌市
高速電車事業会計決算認定の件について質疑を行います。
◆小野 委員 それでは,私の方からは,バス事業を中心に,交通事業の今後のあり方,大きくは二つ,一つは規制緩和への対応,もう一つは
地下鉄東西線の延長に伴うバス路線の再編成などについてお聞きをしたいと思います。
最初に,規制緩和への対応についてお伺いをいたします。
本市は,これまで地下鉄を基軸として,バス・電車それぞれが効率的な連携のもとで
公共交通ネットワークづくりを進めてきたわけでありますし,民間の事業者においても,単に採算性のみでなくて,それぞれ地域住民のニーズや行政ニーズを踏まえたバスの運行に協力をいただいてきているものと認識をしているわけです。こういった
ネットワークの実効性を高めるために,民営バスにおいても,地下鉄への乗り継ぎ,あるいは乗り継ぎの割引制度,あるいは
共通カードシステムの導入など,そういったサービスの向上が図られてきたわけであります。
もう一方,ご承知のとおり,市場競争原理の導入を目的とした規制緩和を,いわゆる
乗り合いバス事業についても,平成13年度までに実施するということが閣議で決定をされているわけでありまして,その規制緩和の柱を要約すれば,路線の参入だとか撤退は,それぞれの事業者の自由として,運賃は上限を定めて,その枠内でその事業者の判断において運賃を定めていくというようなことかと思います。
そういった面で,こういった規制緩和が進むと,収支の悪いバス路線については次々と切り捨てられる,あるいは地域によって運賃の格差が生じる,さらにはもっと極端に言えば,もうけの多いところ,とりわけ
都心部地下鉄の上を格安のバスが走ると,そういうような事態が起こり得るのではないかと,そういった懸念すらあるわけであります。
そこで,1点目の質問として,今日まで本市が中心になって
公共交通ネットワークを進めてきたわけでありますけれども,そういった意味で,
乗り継ぎ制度や
共通カードシステムなどの
利用者サービスも今後とも継続をしていかなければならないと考えるわけでありますが,こういった規制緩和に向けて,どのような取り組みを考えておられるのか,その点お聞きをしたいと思います。
この
乗り合いバス事業の規制緩和に関する具体的な方策については,現在,桂市長も委員となっておられる
運輸政策審議会において審議が続けられ,今年度中には,その答申がなされると伺っています。そういった中で,いわゆる公営と民営のあり方についても議論がされていると聞いているわけですが,私どもの会派としては,生活路線においては,いわゆる不採算であっても,それぞれの地域の実情に応じた必要性から運行しているものであって,単に生産性とか経済性のみの観点から,この議論がなされてはいけないと。やはり規制緩和の前提となっている生活路線の維持についても,十分に慎重な検討が必要と考えているわけでありますが,2点目の質問として,こうしたさきの代表質問の中でも指摘をしてきていますけれども,
運輸政策審議会の公営あるいは民営をめぐる議論をどのように受けとめているのか,そういった規制緩和後における
市営バス事業の役割についてはどのように考えておられるのか,その点をまず,お聞きをしたいと思います。
◎齋藤
事業管理部長 お答えをいたします。
まず初めに,
公共交通ネットワーク維持のための利用者のサービスについてでございますが,本市はこれまでも都心部の交通渋滞の緩和や
都市環境保全などのため,基幹交通であります地下鉄と,
フィーダー輸送を担うバスとの短絡を進めておりまして,あわせて
交通需要マネジメントなど,
公共交通ネットワークを維持・拡大する努力を続けてきたところでございます。
また,交通事業にとりましても,こうした
ネットワークの機能を高めるため,
共通カードシステムの導入など,異なる交通機関との連携や,こうしたカードのプレミアムの付与など,利便性を向上させる施策を展開してきたところでございますが,規制緩和後にありましても,
公共交通ネットワークの必要性は変わらないと,このように考えておりまして,今後とも,他の交通事業者とも協力しながら,より一層の
サービス向上策に取り組んでまいりたいと,このように考えております。
次に,
運輸政策審議会での議論と
市営バス事業の役割についてでございますが,これまで
市営バス事業は,経済性の観点ではなく,街づくりや福祉面との緊密な連携をもって事業運営を行ってまいりまして,公営事業としての期待にこたえる努力を続けてきたところでございます。
今後,高齢化社会の到来や
都市環境保全の要請が高まる中で,経済性に重点を置いた規制緩和の実施後にあっても,公共性の高い
市営バス事業の果たす役割はますます高まるものと認識をしております。
したがいまして,これら一連の審議会の動きを見きわめるとともに,より公共性を考慮した事業運営に努めながら,市民の足を確保してまいりたいと,このように考えております。
◆小野 委員 今の答弁で,都市政策の観点,福祉の面や,あるいは街づくりの面からも,今後,公共交通の基軸として
市営バス事業が果たすべき役割がますます高まるということを確認できると思います。
ご承知のとおり,現在,本市として
市営交通事業の
経営健全化計画を進めているわけですけれども,そういった中で,さきの代表質問で,我が会派も取り上げましたが,いわゆる健全化計画の目標の中で,累積欠損金の解消は,計画よりも進んでいると。ただ,これは職員削減などの内部効率化を前倒しで実施したことによって,一時的な効果として生じているにほかならないわけで,今後,需要の回復の兆しが見えない,あるいは規制緩和後の影響を考えると,極めて先行き厳しいものがあろうかと思います。
さきの代表質問に対する桂市長の答弁として,このまま需要の減少が続くようであれば,計画どおりの累積欠損金の解消は難しく,そのために生産性の向上や事業規模の再編など,経営の効率化に向けて検討を進めてまいりたいと,そういう趣旨の答弁がありました。
既にその具体的な検討に入っているものと考えますけれども,ここで忘れてはならない,あるいは指摘をしておかなければならないことは,先ほども言いましたが,現行の健全化計画の中で,職員にかかわるものはこれまですべて行ってきたのだということであります。
もちろん,効率的な事業運営を行うために,日常的な業務の見直し,あるいはこれから先,規制緩和のもとで,民間との比較など,さまざまな形で情報を公開する,あるいはガラス張りの議論に対応していかなければならないわけですけれども,やはり事業が健全化計画と乖離しているからといって,そのしわ寄せを職員に短絡させると,そういった形での経営の効率化というのは,余りにも短絡的といいますか,本末転倒ではないかと思います。
そこで,質問になりますけれども,交通事業の経営の健全化に当たって,今日まで幾度となく,全庁が一丸となって取り組むということを常々言明をされてこられました。議会の中でも,我々の会派としても,あらゆる機会を通じて,この問題を取り上げてきているわけでありますけれども,具体的に言えば,先般の経済局の議論の中でも取り上げたわけですが,市の施設と地下鉄を結ぶバス路線,これを利用者が少ないからということでこういったバスの設定をやめたという,いわば他人事のような答弁がございました。
具体的に,そういったバスの利用者をふやすための方策などが全く検討されていない,そういう中で,せっかくあったバス路線を取りやめているという,そういう実態が明らかになっているわけであります。確かに計画策定時に想定し得なかった
社会経済情勢の変化もあって,需要の喚起が極めて難しいことも理解をしますけれども,やはりこの市営交通の経営の健全化のために,これまで以上に全庁挙げて,認識を一つにして,一体となった取り組みが必要と思うわけですが,この点,改めてどのように考えられているのか,お聞きをしたいと思います。
それから次に,
地下鉄東西線の宮の沢延長に伴う,具体的には来年2月25日に開業するわけですけれども,それに合わせたバス路線の再編成についてお聞きをしたいと思います。
特に,西区手稲方面がこの対象になっているわけですけれども,こういった再編成に当たって,利用者の利便性の向上,あるいは地域住民の皆さんの理解が得られるものでなければ,せっかくの地下鉄延長も意味をなさないわけであります。
質問として,延長方面の
市営バス路線の再編成はどのような内容になっているのか,あるいは,それについて,これまで地元説明やさまざまなことに取り組まれてきていると思いますけれども,どのような対応をしてきているのか,あるいは地元の意見に対してどのように答えているのか,その点お聞きをしたいと思います。
それから,特に,手稲方面からは,JRバスと中央バスが都心に向かって直行便を運行しているわけですけれども,JRバス,中央バスについても,それぞれ宮の沢駅などへ乗り継ぐこともあり得ると思うわけですが,この点がどのようになっているのか,あわせてお伺いいたしたいと思います。
◎齋藤
事業管理部長 それでは,経営の効率化に当たりましての取り組みの姿勢についてご答弁申し上げます。
交通事業の
経営健全化計画の遂行に当たりましては,これまでも全庁挙げて取り組んできたところでございますが,計画策定時に想定し得なかった景気の低迷や規制緩和の実施など,交通事業を取り巻く環境が大きく変わってきております。
そうした状況を踏まえまして,経営のさらなる健全化を達成するための方策について,現在検討に入ったところでございますが,委員のお話にもありましたように,厳しい事業環境を十分に認識をし,これまで以上に経営の効率化に努力をするとともに,全庁の協力体制を密にして,健全化に取り組んでまいりたいと,このように考えております。
それから次に,東西線延長に伴うJRバス,中央バスの路線再編成についてでございますが,私どもから,両者に対しまして,少しでも多くの宮の沢駅への短絡をお願いしてきたところでございます。現在,両者において具体的な再編成の作業を進めているところでございますが,私どもの要望を取り入れていただき,宮の沢駅への連絡を基本とした再編成を行う予定でございます。
◎新見 自動車部長
地下鉄東西線の延長部開業に伴います
市営バス路線の再編成でございますが,特に影響が大きい西区につきましては,昨年秋から,
連合町内会長に対しまして,まず,極力,地下鉄駅に短絡を図ることを基本原則といたします交通局の考え方をご説明申し上げまして,また,地域ごとのご意見を伺い,これをもとに再編の素案を作成し,ご説明申し上げて,本年3月に提示いたしました。
この案に対しまして,
関係町内会長さんから,区役所への連絡路線の復活などの要望が出されてまいりましたので,私どもは,可能な限りこれを受け入れた原案を策定いたしまして,西区を初め,手稲区,北区の関係町内会への説明会を実施し,おおむねご理解をいただいてきているところでございます。
再編成の主な内容でございますが,現在,地下鉄の琴似駅に接続しております路線のうち,新設されます発寒南駅には,西野方面からの路線を短絡させ,また,宮の沢駅につきましては,発寒,手稲方面からの路線を短絡させることにより,より効率的な運行形態の確立を図るとともに,北区から西区への地域間の連絡路線を設けることとして,利用者の利便性を考慮した路線形態にしていきたいということで,準備を進めているところでございます。
以上でございます。
◆小野 委員 全庁挙げての需要喚起策の努力について,先ほど経済局での議論の話もしました。また,後ほどの委員の質問に対して,きょう企画調整局の部長のご出席もいただいているわけでありますが,やはり,それぞれ具体的な取り組みといいますか,そういう点検も含めて,きちっとやっていかなければならないと思います。
それから,地下鉄延長に伴うバス路線の再編成について,特にJRバス,中央バスについても,手稲方面から
地下鉄宮の沢へ短絡することによって,この利用者も相当数見込まれていることと思います。
先ほど言いましたように,手稲方面は,主として,JRバス,中央バスが運行しているわけで,それが市営バスと異なって,区間制ではなくて乗車距離によって運賃が変わる
距離別運賃制になっていると。市営バスの場合は,1区間,2区間という割と長いスパンでの区間制ですけれども,民営バスは乗車距離だと。そういったところと競合する市営バス,手稲区から地下鉄琴似駅に向かっている稲積線,発寒線の一部区間においても,同様な運賃体系になっているわけです。
こういった運賃体系になっていることとあわせて,このバス路線については,今日まで,地下鉄との
乗り継ぎ割引が実施をされていないと。バスの部門で20円,それから地下鉄で60円,合わせて80円の割引がされていないわけであります。そういう面では,手稲方面からの市営バスの利用者は,地下鉄に乗り継ぐ場合において,こういった割引がされていないという不利益をこうむってきたという実態がございます。
今回,中央バス,市営バスも含めて,地下鉄短絡がより多くなるわけで,そういった中で,この
乗り継ぎ割引を行わなければ,地下鉄に乗り継ぐことによって,今までの都心直行便に比べて,割高感を感じざるを得ないわけですが,この点,手稲方面のバス路線について,地下鉄との
乗り継ぎ割引を,市営バスを含めて他の民営バスにおいても実施をするよう努力すべきだと思うのですが,この点についてどのように考えられているか,お伺いをしたいと思います。
◎齋藤
事業管理部長 ただいまご質問のありました手稲方面のバス路線と地下鉄の
乗り継ぎ割引について,ご答弁申し上げます。
先ほどもご答弁申し上げましたように,東西線延長に伴います路線再編成によりまして,手稲方面からのバス利用者の多くは,
地下鉄宮の沢駅に乗り継ぐものと考えております。このため,
乗り継ぎ利用者への対応について,JRバス,中央バスと協議を進めてきたところでございますが,
乗り継ぎ割引を実施することで,三者が了解をしたところでございまして,これによって,
地下鉄乗り継ぎ利用者の利便性の向上が図られるものと考えております。
なお,
乗り継ぎ運賃は,既存の場合と同様,大人の場合で,バス運賃と地下鉄運賃の合計額の80円引きとなる予定でございます。
以上でございます。
◆小野 委員 ただいま,手稲方面からバスで地下鉄に乗り継ぐ際の
乗り継ぎ割引を実施するという,非常に前向きな答弁をいただきました。
具体的に,手稲の北口から地下鉄の琴似を通じて大通まで,現在460 円かかっているわけですけれども,これが割引をされることによって,もちろん地下鉄が1区間ふえますから,20円上がるわけで,差し引きして,いわゆる60円安くなると。非常に手稲方面の住民にとっては喜ばしいことと思います。
こういったことを含めて,この地下鉄延長に合わせて,なお一層,
公共交通ネットワークづくりとして努力をしていただきたいと思います。
それから,先ほども言いましたけれども,ますますこれから環境問題を含めて,自動車依存型からの脱皮,脱却ということも含めて,公共交通の役割,一層重要になってくるわけで,そういった中で,ぜひとも
市営交通事業がその牽引車となっていかなければならない,そういう努力をしていただきたいと思います。
あわせて,交通事業の経営健全化は,一部局だけの問題ではなくして,言葉でよく言われますけれども,本当にその実効性といいますか,それが実のあるものとして進められるように努力をいただきたい。
そういう意味で,先ほど事業の見直しなども含めて検討を進めているというお話でありましたので,今後,我々議会に対しても,そういった説明があろうかと思いますが,ぜひそういった全市的な立場からの議論に私どもも参画をしていきたい。あわせて,交通局の皆さんにおいてもそういった努力をいただきたいと思います。
以上,要望を申し上げて終わらせていただきます。
◆義卜 委員 それでは,私は,
経営健全化計画の検討と定期券を含みますサービスの向上策についてお伺いをしてまいりたいと思います。
その前に,きょうは20日ということで,ノーカーデーでございます。昨年の料金改定のときも,たしか私申し上げたかと思うのですけれども,
経営健全化計画が策定されました平成3年12月に,五つの柱を立てました。経営の効率化,需要喚起策,それから受益者負担,財政支援,職員の意識改革と,こう挙がっておりました。
全庁的に取り組もうとしている,この公共交通への推進の流れの中で,5日と20日というのは何の日であるのかという,これは市民がもっと公共交通に目を向けると,いろんな趣旨があってスタートしたノーカーデーでございますけれども。
私,前にも申し上げたときに,バスの運転手がなぜにPRをしないのかと,車内で,エコキップの日は,これを乗客の方々に,もちろんふだんから周知徹底を図ることは当然かと思いますけれども,わからない方もまだまだおるということで申し上げたことがあるかと思います。きょう乗ってみましたら,全くそのような放送はございません。
私は,これは何を言いたいかといいますと,先ほど言いました職員の意識改革という中に,毎度申し上げていますけれども,職員一人一人が企業職員としての自覚を持つように云々と,こう計画にあるのですが,これが果たしてどのように徹底されているのかということが,甚だこれ疑問に思います。
したがいまして,これから何点か質問してまいりますけれども,経営が危機状況にあるということを現場の方々も含めてどこまで認識しているのかということが疑問になったところでございますので,これから,何点か質問してまいりますが,もう少し,毎度おなじみの答弁ではなくて,本当に危機意識を持った状態の中で,交通局としてこのように取り組んでいくのだという姿勢をぜひ出していただきたいと,このように思います。
まず,1点目の質問でございますけれども,先ほどもお話が出てまいりました,いわゆる
経営健全化計画の検討ということでございます。
平成9年度の決算の状況を見ますと,電車・バスの事業会計,あるいは地下鉄の事業会計,これらは,その年に料金改定が行われたということですから,当然,前年度の8年度に比べて,損益が好転していると,これは数字上からいえば当然のことだと思います。
しかしながら,事業の根っこの部分であります乗車人員,これを見てみますと,これはもう今さら申し上げるまでもなく,相当落ち込んできていますし,健全化計画との乖離は,これは本当に進んでおります。
地下鉄の利用状況,平成9年度実績で見ますと,1日の平均利用者57万7,571 人と,これは前年比4%落ち込んでおります。これは,二つの路線しかなかった時代の水準にまで落ち込んだというふうに思いますし,67万を割るというのは,東豊線が福住まで延長されて以降,初めてのことでございます。
また,健全化計画当初の目標でいきますと,平成9年度は約75万5,000 人ですから,これと比べても2割以上も下回っているということからして,まさに危機状態にあると,私は思います。
したがって,この計画と実績との乖離ですね,これをどのようにして埋めていくかということが,これは申すまでもなく,最大の課題であろうと思います。
そこで,例えば,経費ですけれども,これは当然支払い利息のようなものが固定的に決まっていますので,その削減には,これはおのずと限界があろうかと思いますけれども,乗車人員の落ち込みによる収入の減少がこのまま続くということになりますと,
交通事業そのものがこれはもう完全に行き詰まってしまうと。したがって,
経営健全化計画の達成というのは,これは難しい,非常に達成は困難なものではないかというふうに思います。このまま健全化計画を続行するのか,あるいはまた続行できるのかという,そういうところに非常に私は疑問を持っております。
その健全化計画を進めようとしている中に,先ほど話が出てまいりました,いわゆる規制緩和という,これがもう完全に
健全化計画そのものの足を引っ張るというか,引きずりおろすような大きな要因になるのではないかと思っております。
民営事業者は,当然,黒字になるのか赤字になるのかという採算面で検討しますので,今,地下鉄に短絡している民営事業者も当然,規制緩和後の,いわゆる
需給調整規制が廃止されるというふうになりますと,いきなり都心にバスが乗り込んでくるということも十分にこれは考えられるわけでございまして,したがって,私は,
バスそのものに限らず,地下鉄の経営にも,これは多大な影響を及ぼすというふうになろうかと思います。
したがって,今後の交通事業の根幹にかかわる大きな問題でございますので,この規制緩和に向けた取り組みをどうするのかということが喫緊の課題になってくるだろうと思っております。
そこでまず,1点目の質問でございます。
こうした需要と計画の,いわゆる乖離ですね,これは
社会経済情勢の変化が大きな要因であろうとは思いますけれども,また,マイカーが普及してきたということも要因として考えられるかと思います。
経営健全化計画が策定されました平成3年12月,この時点と現在の
社会経済情勢の違い,まず,どのような認識を持っておるか,お伺いいたします。
二つ目は,現行の,先ほど申し上げました健全化計画をどうするのかという問題でございます。
先般の代表質問におきます理事者の答弁は,こうなっておりますね。「
経営健全化計画は,長期的なものであるから,現時点で計画を変更すべきではないものの,計画を着実に進めるための経営効率化など,さまざまな方策を検討している」というようなご答弁でございました。
そこで,この健全化計画に関するこうした方策の検討の状況,また,その方法について,まずはお伺いをいたします。
◎齋藤
事業管理部長 お答えいたします。
まず,第1点目の
経営健全化計画の策定当初と現在の社会情勢の違いについてでありますが,計画策定当時は,いわゆるバブルの経済の最盛期にありまして,今日の長期にわたる経済の停滞を予想するのは大変難しい状況にございました。
また,先ほどお話にもありましたバスの
需給調整規制の廃止などの規制緩和の動きも,平成8年度からのものでございまして,計画策定後の
社会経済情勢の変化は,それ以前よりも大変大きなものとなっておりまして,これらが相乗的に,需要が計画と乖離した大きな原因になっているものと,このように認識をしておるところでございます。
そこで,今後の
経営健全化計画についての検討状況,方法についてでございますが,これらの
社会経済情勢の変化を考えますと,正直申し上げまして,乗車人員の大幅な増加は大変難しいと,このように考えておりまして,このままの状態では,計画の目標を達成することは非常に難しくなってまいりますことから,現在,計画を着実に進めるための方策について検討に着手したところでございます。
この検討に当たりましては,市民各層の意見を広く聞くことが必要と考えておりますことから,なるべく早い時期に,市営企業調査審議会の委員の皆様方から,これからの
市営交通事業のあり方に関するご意見をちょうだいいたしまして,そのご意見を踏まえながら,
経営健全化計画を着実に進めるための方策を取りまとめていきたい,このように考えております。
以上でございます。
◆義卜 委員 市営企業調査審議会の方々からのご意見を聞く,これももちろん大事なことであろうかと思います。改めて,この市営企業調査審議会の皆さん方からご意見を聞くまでもなく,いろんなことは十分に考えられるものもあろうかと私は思っております。
要するに,需要をどうやって掘り起こしていくのかという1点に尽きるかと思います。建物をつくっても,それが必ずしも需要喚起につながらないということもございますし,これはもう,それこそ全庁一丸となって取り組んでいく必要があろうかと思います。
そこで,この需要が減ってきていると,これをどうやって掘り起こしていくかということですけれども,民営事業者の場合は,いろんな商品を出しております。いわゆるソフト面でいろんな利用者のサービスを図ってきているわけでございますが,交通局として今までそれなりのソフト面のサービス,市民へのサービスをされてきたことは評価をしておりますけれども,この経営が,先ほど申しましたように,危機的状況にあればあるほど,もっともっと知恵を絞って,多くの市民に利用していただくような方策をとっていくことが必要だと思っております。
そこで,定期券の話でございます。
これは,プレミアムがついたウィズユーカード,共通ウィズユーカードの利用がある程度順調に伸びてきているということでございますけれども,定期券の利用者に限ってみますと,これは年々,申し上げるまでもなく落ちてきております。
このいただいた9年度の実績を見ましても,電車が対前年比で84%となっておりますね。それから,自動車が前年比90.1%,地下鉄を見ますと,これは全線3線合計で92.8%ということですから,定期券
離れが一層進んでいるというふうに思います。
私は,このことは,ウィズユーカードに変わったというのも,それは一面ではあるかと思いますけれども,定期券そのものに対する魅力がなくなってきたのではないかというふうにも考えます。したがって,私は,この定期券そのもののサービス,これを再検討する時期に来ていると,こう思っております。
いろんなアイデアはあるかと思いますけれども,札幌市で,ヨーロッパとかどこかに,公共交通の利用促進をどうするかということで,調査団を派遣した経緯がございますね。帰ってこられて,これをシンポジウムとして「公共交通機関を軸とした街づくりに向けて」という「人にやさしい交通対策シンポジウム」を開催しました。このときに,東大教授の大西先生が,基調講演の中で,ドイツのフライブルクの話をされまして,環境定期券というのをご紹介されておりました。これは,1枚の定期券があれば,家族4人が使えるというようなものでございまして,ただこの考え方の根底には,環境という目的のために,公共交通を育てていくことが必要だという,そういう政策的な合意が前提にあると。したがって,公共交通というのは,環境のために必要なのだという新しい視点が前提にあって,こういうものが定着し得るのだというようなお話がございました。
あれから数年たちまして,この環境定期券という言葉は,我が会派でも,市長要望で毎度申し上げてきたのですけれども,その後,4年,5年たちまして,どの程度この環境定期券が日本で普及したかということを調べてみますと,東京都のエコ定期券というのが,これはつい最近ですけれども,都営バスで使われております。これは家族の運賃が一律100 円になるという環境定期券でございます。もちろん日にちは限定しております。
神奈川中央交通でも東京と同じような環境定期券を導入しております。それから,川崎市営バス,横浜市営バスも,この夏から導入した。あるいは,その他民間では,小田急とか江ノ島電鉄とか,いろいろなところでやっております。私は,ぜひこうした環境定期券なるものの導入を検討すべきだと思っております。
もう一つ,今申し上げました定期券離れが進んでいるということでございますので,その環境定期券と──今の定期券というのは,購入した本人,記名されている本人しか使えないという,他人が使 ってはならぬというふうになっておりますが,私は,週休2日制ということもございますし,ご主人や息子さんの定期券をどなたか家族が使えるような,いわゆる持参人式の定期券に変えてはどうかということを再三申し上げてまいりました。
これは,本市でも,民営事業者で,持参人方式が大変好評だということで,今行われておりますけれども,こうした持参人式の定期券というものも一つの方法として検討すべき時期に来ていると私は思います。
そこで,再質問をいたしますけれども,交通局としまして,今後どのような乗客誘致のための
サービス向上策をもって,歯どめがかからない,この現象にストップをかけようとしているのか,この点についてお聞きをします。
二つ目は,この公共交通の利便性を高めるために,今申し上げました環境定期券だとか,あるいは持参人式定期券の導入というものを検討すべきではないかと思いますがいかがか,お伺いをいたします。
◎齋藤
事業管理部長 それでは,
サービス向上策と定期券の利用促進についての方策のご質問をまとめてお答えを申し上げます。
まず,
サービス向上策につきましては,乗客のニーズに合わせた新たな券種の開発や接遇研修等の強化など,これまでさまざまな取り組みをしてきたところでございますが,今日の
社会経済情勢の中では,乗客の増加を図ることはなかなか難しいのも現実でございます。
しかしながら,乗車人員の確保は,事業運営の基本に当たりますことから,乗客誘致のための
サービス向上策について,今後,より一層努力を続けてまいりたいと,このように考えております。
そこで次に,質問の2番目でございますが,定期券の利用促進の方策についていろいろお話がございましたが,乗客誘致のための定期券の利便性の向上は,これは最大必要と考えておりますことから,通勤定期券に持参人式を導入する方向で,現在,関係機関,民営事業者と調整を行っているところでございます。
◆義卜 委員 持参人式の定期券については,民営と協議をしているということでございますので,ぜひこれは早期に実現できるように努力をしていただきたいと思いまして,これは要望にとどめます。
そこで,この環境定期券でございますけれども,これは先ほど申し上げましたように,交通局としてやるとかやらないとかという話ではなくて,やはり全庁的というか,当然,一般会計からの補てんの話でございますので,そういう環境保全ということから考えますと,これは管理者にお伺いするというよりも,助役にちょっとお聞きしたいのです。先ほど私,幾つかの例を申し上げましたけれども,また,全国的に環境基本計画というものが策定されておりまして,私,先般,浜松とか京都へ行ってまいりました。
浜松は,管理者も非常に熱心に構想を練られておりますトランジットモールというものを,この11月ぐらいに執行される予定ですけれども,そこにおきましても,これは遠州鉄道という民鉄ですけれども,環境定期券というものを検討されております。
それから,京都におきましても,例の「京(みやこ)のアジェンダ21」というものが策定されまして,ここでも環境定期券,広域乗車を可能にするという,環境定期券もそれぞれ自治体や民営鉄道によって中身が違うのですけれども,ネーミングとして環境定期券というものを検討されております。
そこで,現在,市民局で,例のエコキップというものを所管いたしておりまして,その延長と考えれば市民局なのかなと思いますけれども,またその一方で,今申し上げましたように,環境局でもこういった取り組みがされております。
そこで,この環境定期券は,私は,積雪寒冷という,この札幌でございますので,道路が凍結する1月とか2月に限定するのも札幌らしい環境定期券なのかなと,このようにも思っておりますけれども,環境定期券に対するご見解をお聞きしたいと思います。
◎魚住 助役 公共輸送機関,特に地下鉄とか市電というのは,環境に非常に優しい乗り物であると,この時代にマッチしている事業であると,このように認識しております。
本市でも,今お話がございましたように,環境保全につきましては,重点施策として取り組んでいるところでございますので,ただいまお話にありました環境定期券につきましても,先ほど部長からもお話がありましたが,いろいろ市民が利用しやすい公共輸送機関にしたいと考えております。
そういう観点から,今後,全庁挙げて,これも環境局,また市民局,また交通局,この3局でいろいろ検討してまいりたいと,このように思います。
◆荒川 委員 私は,10月1日,代表質問で,交通問題について質問させていただきました。
今,義卜議員の質問の中にも,その際の理事者答弁,市長答弁などについても触れた質問がありましたが,端的に私,3点についてお尋ねをいたします。
第1点は,料金改定のこの前年度の決算にあらわれた結果についてであります。
一昨年の4定で,料金改定が論議された際,示された増収見込みは,地下鉄1%,市バス1.9 %の値上げに伴う乗客逸走を見込んだ上で,地下鉄は年間9.0 %,34億円の収入増。市バスは6.1 %,5億8,000 万円の収入増,合わせて39億8,000 万円,こういうふうになっていたわけでありますが,今,我々が審査している97年度決算,ここにあらわれた実績は,地下鉄の増収は6.5 %の23億4,000 万円,市バスは1.2 %の1億1,000 万円,合わせて24億6,000 万円にとどまっています。
すなわち,地下鉄で10億5,000 万円,市バスで4億7,000 万円,合わせて15億2,000 万円もの年間乗車料収入での見込み違い,こういうことになっているわけでありますが,なぜこのように大きな狂いが生じたのか,また,このような結果をどう受けとめているのか,明らかにしていただきたい。
質問の第2は,今,義卜委員も触れられましたが,健全化計画との関連であります。
本会議でも指摘しましたが,健全化計画の乗車料収入の見込みと実績との大きな乖離がますます目立ってきております。97年度決算にあらわれた実績では,地下鉄で,1日平均の輸送人員で17万7,015 人,23.5%の落ち込み,年間で,計画対比の落ち込みは115 億5,400 万円,市バスで言いますと,1日平均5万2,049 人,これまた23.6%の落ち込み,年間で計画対比の減収は37億1,100 万円,こういう数字になっているわけです。
先ほど申し上げました料金の値上げによってもくろんだ増収,約40億円ですから,逸走の部分を計算した分は約40億円,逸走がなければ45億というふうにはじいたわけですが,この約40億円,実際にはこれが24億というところにとどまっているわけですがね。この健全化計画の乗車料収入の見込みが達成されていれば,この値上げというのは,3年も4年もしなくて済むというようなものになるわけですね。
この計画の柱でもある乗車人員で,これほど大きな乖離が生じている再建計画,6年を経過して,既にその破綻は明らかだというふうに私は考えますが,このことについてどう考えるか,これは管理者からお答えいただきますか。
健全化計画の修正については考えないのか,先ほど義卜委員の質問に対する答弁では,計画を着実に進めるために,その方策を,改めて市営企業審議会に諮るというようなことですが,計画は着実にいっていないわけだ。だから,着実に進めるなどという言い方で,新たな方策を検討してもらう,これは私は,余りにも現実離れした言い回しでないかと思うのですよ。やはり,健全化計画の破綻を認めて,これを修正すると,こういう立場に立たなければ,どうにもならぬのでないかというふうに思いますが,その点どうなのか。
3番目に,昨年の料金改定でも見込みが大きく狂った。健全化計画のもとでの6年間の実績でもそれは顕著だと,こういう中で,今後の乗客増をどう図るかという問題,これも義卜委員が今,触れられました。
私は,代表質問で,料金面での新たな市民サービスを検討すべき,こういうことを申し上げながら,今,義卜委員が触れられた環境定期券の問題にも,それから,通勤・通学定期券の割引率の拡大の問題にも,また,具体的にJRなどと競合する場合,他の交通機関よりも高くなっている料金の見直し,乗り継いでも高上がりとならない乗車料金の設定,パーク・アンド・ライド駐車場利用とセットにした定期券の発行など,市民を地下鉄や市バスに誘導するソフト面での新たなサービスを検討すべき,こういうふうに指摘したわけでありますが,本会議の答弁は,これとは余りにもかみ合わない,そういう答弁に終始していたというふうに思います。
今になって,この環境定期券については検討するとか,あるいは定期の持参人方式,通勤に限ってこれも検討してみるとか,そういう話が出てきていますが,やはり,今のこの危機的な状況,市民の市営交通離れがこれだけ進んで,計画が完全に狂っているという現状を踏まえて,やはり積極的な料金面などでの市民サービスの拡大によって,市民を市営交通に誘導する,こういう対応を急いで,しかも積極的,前向きに検討を進めるべきだということを重ねてお尋ねしておきたいと思います。
以上です。
◎井原 交通事業管理者 私の方から,健全化計画がもう既に破綻をしているのではないかと,今後どういうふうにしてやっていくのかというお尋ねでございます。
私ども,乗車人員の落ち込みが続き,さらには規制緩和の波が押し寄せると,市営交通にとっては大変厳しい時代を迎えていることにつきましては,十分認識をいたしております。
これも代表質問で市長からお答えを申し上げましたけれども,この健全化計画は進めて今7年目でございますが,確かに事業との乖離というのはだんだん大きくなってきております。
しかしながら,私どもは,今はこの健全化計画を着実に推進するための回復策の検討に入ったところでございまして,まずは事業者みずからが経費の削減,これはいろんな方法あろうかと思いますけれども,そういう方法。それとあわせて,先ほどからいろいろ議論がありましたように,やはり需要の回復をどういうふうに図っていくかということをあわせまして,生産性を一層高めながら,何とか今の計画に追いついていきたいなということを考えてございます。もちろん私どもだけではなくて,全庁的な視点からも事業を展開しながら公共交通の役割を果たしてまいりたいと,このように考えてございます。
以上です。
◎嘉指 財務担当部長 1点目の質問にお答えをいたします。
確かに委員ご指摘のとおり,私どもの9年度予算の段階では,委員ご指摘の増収額を実は見込んでございました。当然,予算の編成時,1%,1.9 %の逸走も実は計上してございます。
しかしながら,実績におきましては,8年度と9年度を比較いたしますと,バス事業では約1億 1,480 万円,地下鉄事業で申し上げますと23億4,740 万円,実は増収になってございます。
確かに,委員ご指摘のように,増収の見込み額と決算で申し上げますと,減額になってございますし,それぞれ段々のご指摘がございましたように,確かに輸送人員の減が,いろいろな要因が重なって,その影響が大きく響いているというのが実態でございます。
しかしながら,乗車人員が落ち込む中で,対前年度と比較をいたしますと,24億6,000 万円程度の増額ということでございますので,私どもといたしましては,今回の料金改定につきましては,一定の効果があったものというふうに認識をいたしてございます。
◆荒川 委員 料金改定をして効果がないということだったら,やらない方がいいので,当たり前のことなのですよ。効果が,収入面であるというのは。
しかし,計画と比較して余りにも大きな乗車料収入の減,これは6年経過して7年目に立ち至っている健全化計画との比較で,その数字を先ほど私も挙げて,これは料金値上げの3年分,4年分にもなるじゃないかという話ししましたけれどもね。
私は,この料金を改定するということが,値上げをするということが,今の経済状況の中で,なお一層市民の市営交通離れを招いていると。料金改定のときも,私は,そういうふうに言いましたが,1年間たっての結果はやはりそのことを数字があらわしていると思うのですよ。
健全化計画は,3年に1回の料金改定というのを見込んで,先ほど5本の柱の一つ,受益者負担という話出ていましたけれども,今,料金を値上げして,市民の市営交通離れを招くという事態は,本来であれば,値上げによって45億円というものが実際には,さっき部長からも話あった25億円弱というところにとどまっているわけでしょう。
計画との乖離でいえば,さっき私,9年度実績で言いましたが,地下鉄の場合,115 億ですよ,そして,市バスの場合,37億ですよ。153 億にもなる,そういう乗客離れの計画というのが,まるで現実を離れたところでつくられたものではなかったと私は思うのですよ。そんなでたらめな計画だったと思わないのですよ。しかし,こうなるだろうと,プロが実績をもとにしてはじいた計画がこれだけ狂っ た。26億の値上げの分の増収,153 億の計画からの後退,こういう数字を見るときに,値上げをしてさらに市民の市営交通離れを引き起こすという,この悪循環をなお繰り返す健全化計画でいいのかということを私は真剣に考えなきゃならないのじゃないかと思うのですよ。
新たな,料金も含めたサービス面で,ソフトの面で,市民を市営交通に誘導する,本気になって考えたら,料金のことだって当然考えなきゃならないということになると思うのですが,この点,改めて管理者,どういうふうにお考えになっていますか。
◎井原 交通事業管理者 平成9年度の値上げ,これが逆に乗客の逸走を招いているのではないかというお話もございました。
私ども,料金値上げをやりますと,その年は,必ず乗客の逸走というのが起きます。
先ほど荒川委員からご提示ありました1%ないし1.9 %というのは,その前回のときの料金値上げのときの逸走率でございます。我々もそれぐらいの逸走があるだろうと,こう思っておりましたけれども,現実には,平成9年4月の段階には逆にプラスの1%あった。5月は若干減りましたけれども,結局これだけ大きな乖離が出た,例えば,平成9年で申し上げますと,これは景気の低迷というのが非常に大きな影響としてあるのではないだろうか。その状況が,平成9年11月に至りますと,大きく11.2%の前年対比の乗客の減となって出ました。
これは何だろうといいますと,我々の推察するところでございますけれども,山一の経営破綻であるとか,あるいは拓銀の経営破綻が起きた月でございました。それも景気の低迷によって,やはり乗客減は確かに続いてございますが,必ずしも,料金によっての逸走というのはありますけれども,これは私ども公営交通だけではなくて,民営のあらゆる公共交通事業を全部眺めてみましても,今はみんな乗客減が続いてございます。
ですから,我々は,これからの回復策というのを考えるときには,もちろんそういった乗客減からもう一度復活するにはどうしたらいいか。今,荒川委員おっしゃったように,サービスももちろんでございます,それから,その他の収入,財産収入であるとか広告収入であるとか,あらゆる手を使いながら,何とか健全化計画というものを軌道に乗せるべく努力をしなきゃならぬだろう,こんなふうに考えてございまして,それで,先ほど私は,回復策ということで申し上げたわけでございます。これからのいろいろな手だてをどうするかについては,先ほども申し上げたとおり,審議会もございますし,もちろん議会の中でもいろいろご議論をいただきながら,あらゆる方策をとりながら,何とか回復策の立案に向けて努力をしてまいりたいと,こんなふうに思ってございます。
◆荒川 委員 これでやめますが,やはり,押しなべて不況の影響を他の交通事業者も受けていると言って済ますわけにいかないと私は思うのですよ。
やはり,今のような不況の状況,最近の経済企画庁の発表では,これはますます厳しくなっていくという見通しまで出してきているわけですから。こういう中で本当に,市民の生活実態も踏まえた乗客誘導策というものを本気で考えていかなければならぬと私は思いますし,健全化計画についても,回復策をとるというだけでなくて,やはり修正を,市民の立場で加えていくということが必要だろうと思っているのです。
恐らく今,検討の中に,経費節減ということで,今後さらに人件費抑制というような方向に向かうような気配も私は感じておりますけれども,しかし,再建計画の破綻を取り繕ってきたのは,人件費を抑え込んで,経費を抑え込んで,支払い利息が減ったからということで,これだけ大きな乗客の逸走を何とかトータルではカバーリングしてきたと。これを一昨年の4定の論議で,そちらから答弁をいただいたかなと,今,私思い出していましたが,人件費の抑制というのが,計画を上回る形でどんどんどんどん進められて,破綻した計画を取り繕っている。それをさらに突き詰めるというようなことになれば,これは安全問題だとか,あるいは職場の団結の問題だとか,いろんなところにとばっちりが出てくるということを私,危惧もしております。
この点,本市の地下鉄を中心とする市営交通の使命を果たすという立場で,市民本位にやはり交通財政の再建を図らなければならぬということを,最後に申し上げて終わります。
◆佐々木[周] 委員 私も,交通事業のうち,バス事業についてお伺いいたします。
各委員の方から
経営健全化計画についてのいろいろな議論がありまして,私も,日ごろから地下鉄を利用していまして,本当に乗客がふえないな,減ってきているなということを自分で実感しているところで,本当にこれからの市営交通のあり方というのは,やはり市民に乗っていただく,そして,乗りたいというか,そういう魅力的な経営を目指していく。それは,やはり先ほど委員の方からもございましたけれども,サービス産業というか,やっぱりその一線なのですよね,交通事業というのは。やはり市民の方に,温かく,そして明るく,今まで暗い話題ばっかりだったのですけれども,そういったところで,職員の方たちが一丸となって頑張っていただければなというふうに日々感じておりました。
それで,きょうはひとつ明るい話題をということで,実は97年3定,昨年の3定で,超低床のノンステップ・バスの導入についてお聞きいたしました。
それで,先日お尋ねいたしましたら,もう間もなく,その車両が,たった1台なのですけれども,やっと入ってくると。そして,地下鉄真駒内駅から市立病院まで,1台で行ったり来たりするということで市民の目に触れていくというか,そういう状況になりますので,その点についてお聞きいたします。
昨年お聞きいたしましたときには,今の高齢社会,そして少子社会,その中で,みんなが乗りやすいバスなのだよということで,市民の方にPRをしていただきたいだとか,それから乗る側の意見も取り入れてほしいだとか,そういうようなことを質問いたしました。
今回の質問といたしまして,間もなくというふうにお聞きしましたけれども,導入の時期についてお聞きします。
それから,バスの仕様なのですけれども,いろいろな特徴を備えているというふうにお聞きいたしましたが,特に乗降客への配慮,その辺のところを重点的に,どんな仕様になっているのかをお示しください。
それから,これから冬に向かっての走行になりますので,昨年も私,いろいろその辺のところ,除雪の問題,それからバスベイの問題とか,道路の仕様も含めた形で,いろいろ提案,提言いたしましたけれども,今後の冬に向けてどんな点が問題になっていて,解決策についてどのようにお考えになっているのかについてもお聞きいたします。
それから,もう1点なのですけれども,車いすの対応についても,やはり可能になれば,もっともっと障害のある方たちの活動もふえるのではないかと思うのです。そういった障害のある方,それから高齢者の方も含めまして,試乗会などを設けてはいかがでしょうか,3点目にお聞きしたいと思います。
以上です。
◎新見 自動車部長 まず,1点目のノンステップ・バスの納入時期と仕様についてでございますけれども,ノンステップ・バスの導入につきましては,当初6月ごろを予定しておりましたが,補助金の申請等,諸手続の関係から,11月15日の納車で契約を済ませております。今のところ予定どおり入る予定でございます。
納車後は,路線での試走並びに乗務員の機器の取り扱いの訓練を行いまして,12月初旬から,実際に路線運行ができるように,今準備を進めているところでございます。
次に,主な仕様でございますけれども,歩道との段差を少しでも少なくするために,車高を23センチまで低下させる,これをニーリング装置と言うそうですが,それを装備いたしております。
さらに,車いすのままで乗りおりができるように,扉の中央を大きく開く,これはグライド・スライド・ドアというシステムですけれども,それを採用いたしまして,あわせて電動式スロープ板を設置いたしました。
また,車両の中央部には,2台の車いすを収容するスペースを確保いたしまして,その車いすの固定方法につきましては,より短時間に,安全に固定操作できるように,エア固定式を採用しているところでございます。
さらに,視聴覚の障害の方々の安全を考慮いたしまして,保護棒につきましても黄色い色にするというような工夫も凝らしまして,安全で快適にご利用いただけるのではないかというふうに考えております。
次に,積雪寒冷地独特の問題にどう対応するかということでございますけれども,何といっても雪対策ということになろうかと思います。この車は,車高が低いわけでございまして,雪道のわだちですとか,電車軌道を横断する場合に,路面と床面が接触してしまうということが予想されますけれども,この場合には,一時的に車高をアップする装置がついてございますので,これを可動して回避できることから,特に今のところ運行に支障はないのでないかというふうに考えております。
さらに,バス停留所の除雪も問題になるわけでございますが,バス停留所の除雪につきましては,交通局が独自でやっておりまして,支障のないように対応してまいりたいというふうに考えておりますし,また,車道の除雪ですとか,付近の歩道の除雪につきましては,北海道開発局並びに本市の建設局が担当しておりますので,そちらの方とも連絡を密にしながら,安全の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
3点目の市民へのPR周知の関係でございますけれども,車いすご利用の方並びに高齢者の方等,こういうノンステップ・バスを利用される方にとっては初めて導入するバスでございますので,運行経路並びに運行時刻など,広報誌を通じながら広く,利用する市民の方に周知を図ってまいりたいと。
また,あわせて関係団体とも協議しながら,車いすの固定方法ですとか,また乗りおりの方法などのご案内を兼ねまして,試乗会を開催させていただきたいというふうに考えております。
以上でございます。
◆佐々木[周] 委員 今のご答弁で,本当にいろんな点で配慮をしていただいたと。
それから,旭川電気軌道にはなかった,スロープも出せるようになるということとか,車高を高くできるだとか,いろいろな配慮がされていて,それがどういうふうに市民に評価されるかというところ,また運転手さんなどの技術力のことも多分いろいろおありになると思います。
それから,除雪なのですけれども,私,市営バスじゃないのです,路線の都合で民間のバスの方なのですが,車道と歩道はきれいに除雪がされるのですね。それが,路側帯と申しますか,ちょうどバス停のところに雪山が残っておりまして,雪山をおりた形でバスに乗るという状況があります。ですから,その辺も,交通局の方でとおっしゃっていましたが,私は,本当に一つ一つのバス停全部するというのは大変だろうなというふうにも思いますし,沿道の市民の方にも協力をいただくなり,やはりこれからの交通事業すべてですけれども,市民の方にも協力していただくというか,そういうことで,本当に気持ちよく,安心して乗れるような,そういうような形でぜひ市民にPRなさって,これからの21世紀に向けて,どなたでも安心して楽に乗れますよということでアピールをしていただきたいというふうに思っております。
それから,バス事業に関連して,もう1点お聞きしたいのですけれども,バスターミナルのことなのです。
それで,私,視力障害の方にお会いしましたときに,最近バスターミナルでの場内放送がなくなったと,最近というのは大分前なのですけれども。それで,これも
経営健全化計画の中で,できるだけ職員を減らしたいと,そういう中で,やはり行われたというふうに記憶しております。
ところが,その案内がなくなったために,何番の乗り口から乗るのかとか,そういうのが大変わかりづらいと,そういうご意見がございました。
それで,私お聞きしましたら,視力障害の方がわかるようなステップというか,配慮をしているところがありました。ブロックですね,点字ブロックなどを敷設したところもあるというふうに聞いておりますけれども,それだけではやっぱり不足しているのではないか。
例えば,ターミナルの入り口の近くに,ターミナル全体の点字での案内板だとか,それから,先日,病院などでは,手すりに点字で,こちらに行きますと何科ですよというか,そういうような点字でご案内しているという部分もありました。ですから,そういった形で,ターミナルの中ででも,そういった配慮ができるのではないかというふうに思います。
そこで,質問したいのは,今後そのブロックの敷設,それから点字の案内板,そのようなことについても,財政の面でいうと新たな支出というのは大変だと思います。後ろの方に財政の課長もいらっしゃいますけれども,こういった点は,福祉の街づくりというか,そういう視点からいえば,例えば,保健福祉局の支援を受けるだとか,そういうことも可能ではないかと思うのですが,交通局といたしまして
,バス事業として,それらについてどのようにお考えか,お尋ねいたします。
◎新見 自動車部長 点字ブロック,点字案内板の件についてですが,点字ブロックにつきましては,確かに一部のターミナルにしか設置されておりませんが,私ども,視力障害の方々の安全性の確保という観点からは,その必要性は十分理解しておりますので,今後新設されるバスの発着所につきましては,点字ブロックを設置していきたいというふうに考えております。
なお,未設置の施設があるわけでございますが,今お話ありましたように,バス事業の現状が非常に厳しいというのもご理解いただいておるようでございますが,そういう点につきましても,施設の改修に合わせて,点字ブロックを設置していくような検討を進めていきたいというふうに考えております。
また,点字案内板につきましては,今,病院の例ですとか,いろいろな例をお話しいただきましたけれども,そういう他の公共施設の設置方法ですとか,他の都市なりの設置方法等について,もう少しお時間をいただいて,調査研究をさせていただいて,どのような設置方法が可能なのかということにつきまして検討していきたいというふうに考えております。
以上でございます。
◆佐々木[周] 委員 最後に,要望です。
今,障害のある方でも,本当に公共交通を利用して,社会参加するということが大変広がってまいりました。
公共交通をどうしてもっと皆さん利用しないのかといったときに,経済の不況だとか,そういうこともありますけれども,やはり環境問題だとか,それから福祉の問題だとか,そういう点で,もっともっとPRなさって,市民の方が本当に乗りたいと思うような事業を広げていただきたいと望んでおります。
以上です。
◆伊藤 委員 それぞれの委員から,
経営健全化計画について,そのあり方について段々の議論がございました。私からも,平成9年度の決算状況を踏まえて,今後の経営姿勢について質問をさせていただきたいと思います。
平成9年度の決算の中身を分析しますと,再建計画と実績の数値の乖離ということが先ほどからいろいろと議論をされているわけでございますけれども,荒川議員からも,収入面での乖離の問題が出ておりました。私も,正直言って,この乖離については大変驚いているところでございまして,この状況では,今後どうなっていくのかなと,本当に懸念をしているところであります。
3事業の乗車数ひとつ見ても,平成7年度が約84万900 人ということで,平成7年度がピークでありますけれども,8年度には,前年度対比でマイナス3.8 %,さらに9年度では,さらにふえて4.7 %のマイナスと,こういうことでございまして,9年度の計画人員に対して,約23万1,300 人下回っているわけであり,これはもう23%の減少になるわけであります。もちろん平成10年度に入っても,このマイナス傾向が続いているわけであります。
このような経営状況を考えると,本当に今日までの経営方針がこのままでよかったのか,疑問を抱かざるを得ない,そういう状況にあるわけでございまして,これまで全庁的に交通局に対する支援方策,こうしたことが講じられた。それは当然承知をしているわけでありますけれども,しかし,必ずしもその計画で成果が上がっていないというふうにも思っているわけであります。
経済状況が非常に低迷をしている折ではありますけれども,経営の根幹をなす乗車料収入が伸び悩んでいく,これからもそのことはある程度はもう予測はつく,そういう状況にあるのではないかというふうに思っております。
交通局を取り巻く環境が一段と厳しい中で,私は,これからやはり抜本的な体質改善を図る時期に来ているのだろうと,そんなふうにも思っております。今後ソフト面においても,やはりサービスメニューを講じていかなければならない,そうした施策が必要であろうというふうにも思っております。
このような観点から,
サービス向上策と増収策についてお伺いをしたいと思っておりますが,まず,
サービス向上策として,地下鉄の営業時間の拡大についてであります。
平成8年度に実施された第4回市営交通モニターアンケートですか,この資料も実はいただいているわけでありますけれども,始終発時間の変更を望んでいる,こういう市民の皆さんが60%以上に達しているということであります。
もちろん経済界からも,早朝の勤労者等の皆さんに対する利便性を図る上から,この営業時間の拡大をしてほしい,こういう要望が私どもにも寄せられるわけでありますけれども,そこで質問であります。
一つには,現行の始発時刻6時15分,それから終発時刻23時30分に設定をした経緯,さらに二つ目として,始終発時刻の他都市の実情と本市の水準についてどのようになっているか,この二つについてお伺いをいたしたいと思います。