札幌市議会 1998-03-23
平成10年第一部予算特別委員会−03月23日-09号
平成10年第一部
予算特別委員会−03月23日-09号平成10年第一部
予算特別委員会
札幌市議会第一部
予算特別委員会記録(第9号)
平成10年3月23日(月曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 34人
委 員 長 宮 本 吉 人 君 副委員長 加 藤 斉 君
委 員 越 智 健 一 君 委 員 小 谷 俵 藏 君
委 員 室 橋 一 郎 君 委 員 佐 藤 美智夫 君
委 員 宮 村 素 子 君 委 員 村 山 優 治 君
委 員 堀 川 素 人 君 委 員 原 口 伸 一 君
委 員 三 上 洋 右 君 委 員 佐々木 肇 君
委 員 笹 出 昭 夫 君 委 員 新 山 君
委 員 鈴 木 健 雄 君 委 員 勝 木 勇 人 君
委 員 岡 本 修 造 君 委 員 澤 木 繁 成 君
委 員 川口谷 正 君 委 員 大 西 利 夫 君
委 員 岩 木 みどり 君 委 員 小 野 正 美 君
委 員 常 見 寿 夫 君 委 員 丹 野 勝 君
委 員 春 原 良 雄 君 委 員 小 田 信 孝 君
委 員 高 橋 功 君 委 員 高 橋 重 人 君
委 員 生 駒 正 尚 君 委 員 横 山 博 子 君
委 員 山 口 た か 君 委 員 中 嶋 和 子 君
委 員 福 士 勝 君 委 員 田 中 昭 男 君
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開 議 午後1時1分
○宮本 委員長 ただいまから,第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが,小谷委員から欠席する旨,高橋 功委員から遅参する旨の報告がございました。
なお,委員の交代でありますが,常本委員から宮村委員,千葉委員から堀川委員と交代する旨の届け出がありました。
それでは,議事に入ります。
初めに,第8款 消防費,第2条の第2表継続費のうち関係分,第3条第3
表債務負担行為のうち関係分,第4条第4表地方債のうち関係分及び議案第36号 札幌市
消防手数料条例の一部を改正する条例案を一括して質疑を行います。
◆山口 委員 それでは,質問させていただきますけれども,昨年の10月16日から
臓器移植法が施行されることになりまして,救急医療,それから救急搬送にも,新しい分野といいますか,新たな課題が出てきたのではないかと考えるわけです。
そこで,この問題に関連いたしまして質問をいたします。
1点目ですけれども,衛生局などで,この法律制定以降,
ドナーカードを配付しておりまして,かなり多くの方がこれを受け取って,ドナー,臓器提供の意思表示をしているというふうに考えられるわけですけれども,これが現在どのような状況になっているのか,消防局として把握している範囲でよろしいので,お答えいただきたいと思います。
それから,2点目ですが,これまでも,119 番通報がありましたら,本当に速やかに対応され,多くの方の命を救われてきたことは高く評価をしたいと思いますけれども,心臓停止,駆けつけたときに心停止というのはどれぐらいあって,それが,蘇生術等を含め,いろんな措置をされるかと思うのですが,蘇生といいますか,それがどれぐらいあるのか。さらに,1カ月以降の生存率といいますか,それが札幌市の消防局の場合,どれぐらいあるのか,お伺いをしたいと思います。
それから,法律施行以降きょうまでに,
臓器移植の事例があるのかないのか,あるとしたら,どれぐらいあるのか,お教えいただきたいと思います。
◎藤塚
警防部長 お答えをいたします。
まず,1点目の
ドナーカードの配付状況でございますが,
日本臓器移植ネットワーク北海道ブロックセンターによりますと,本年2月末現在で約5万枚,市内に配付したと承っております。
次に,2点目の関係でございますが,
救命効果の実態という内容だったと思いますけれども,本市における
救命効果の実態については,平成9年中において,心肺を停止した患者数は804 人おられまして,このうち,家族や救急隊員が心臓や呼吸の停止を確認した患者数は412 名であります。このうち,1カ月の状況を調べましたところ,46名の方が蘇生しておりまして,11.2%の蘇生率となっております。
次に,3点目の
臓器移植法の関係の事例でございますが,心臓移植などの実例につきましては確認をしておりません。
以上でございます。
◆山口 委員
ドナーカードにつきまして,5万とおっしゃったのか,ちょっと聞き取れなかったのですが。
◎藤塚
警防部長 5万です。
◆山口 委員 5万枚が配付をされているということで,これを受けた方が
全員ドナーとして意思表示をしているわけではないと思いますので,かなり減るにしましても,提供をするという方がかなり,万の単位で札幌市内にもいらっしゃるだろうということです。
いろんな課題があるかというふうに思いますが,今,搬送の後の蘇生のことを伺いましたら,11.2%,46人の方が蘇生をなさっているということで,この問題は,脳死と植物状態は違うし,脳死を何でもって判定するかというのは,私は,国会で決まる段階では賛否両論真っ二つで,
国民的議論としてはなかったのではないかというふうな認識を持っているわけです。現在,道内で,事例は把握していないということでしたが,もしもドナーが発生をした場合,道内含め,全国的にはどのような状況になって移植というのが行われるのか,ちょっと教えていただきたいというふうに思います。
それから,札幌市の11.2%という蘇生率は,とても高いのではないかと思いますけれども,全国で比べるとどうなのか。この札幌の実績を全国的に広げるといいますか,
救命効果を高めるような施策といいますか,そのようなことがあるのかないのか,お尋ねをしたいというふうに思います。
◎藤塚
警防部長 1点目の医療体制についてでございますが,札幌市内には,
臓器提供施設として,
北海道大学医学部附属病院と
札幌医科大学医学部附属病院の2カ所がございます。
なお,
臓器移植を実施する施設は,北海道にはございませんで,東京,大阪,本州方面に限られております。
次に,2点目の全国的な比較についてでございますが,平成9年度の蘇生率がまだ発表されておりませんので,平成8年中のデータで申し上げますと,蘇生率は全国で4.3 %でございますので,本市における蘇生率と比較しますと,2.6 倍の高さを示しております。
次に,その効果を全国的にどう生かすのかというような内容だったと思いますけれども,この
救命効果の実態を把握するために,昨年6月に
自治省消防庁に
救命効果検証委員会が設置されております。この委員会には当消防局も参画しておりますが,この委員会から,医療機関との連携がスムーズに行われております
東京消防庁,
大阪消防局,
札幌消防局を初め,全国5消防機関が指定されまして,昨年11月から平成11年4月までの間に,救急隊が関与いたしました
心肺停止患者に関する調査をただいま実施しているところでございます。
この結果を踏まえまして,より高い
救命効果の向上を図ることを目的に,さらに,
救急救命士法の見直しなどについて当委員会で検討するということを伺っておりますので,この結果を踏まえて,本市の果たす役割は極めて高いものと受けとめております。
以上でございます。
◆山口 委員 非常にすぐれた救急体制をとっていらっしゃるということは十分認識をしておりますが,実は私,土曜日に車で旭川方面に参りまして,あと30分ぐらい遅ければ,高速道路の9台の事故に巻き込まれていたということで,時間的にちょっと早かったので大丈夫だったのですけれども,そういう意味では,いつ自分自身がドナーになるかもしれないということを常にはらんでいるわけですが,救急として現場に駆けつけたときに,けがなり意識不明の方が
ドナーカードを持っていた場合,さっきおっしゃった札医大とか北大に搬送されるのかどうなのか。救急としては,どこまでおやりになるお考えがあるのか,お伺いをしたいというふうに思います。
それから,
ドナーカードを持っていた人が市立病院に運ばれていた場合,北大や札医大に搬送されて,
臓器移植の,その2カ所は取り出す方ですから,移植する方はまた別ということで,取り出す方の病院に運ばれて,積極的に
臓器移植に貢献をなさるというお考えなのかどうなのか,お伺いをします。
◎藤塚
警防部長 ドナーカードを持っている場合の医療機関の選定というような内容だったと思いますけれども,救急隊は,あくまで傷病者の救命を最優先しておりますので,カードを持つ持たないは別にしまして,それに合致した病院を選定することになっております。
次,搬送関係についてでございますが,
日本救急医学会及び
日本臓器移植ネットワークの見解といたしまして,脳死判定のために
臓器提供施設への搬送はしてはならないとはっきり明記されておりますので,要請は来ないものと受けとめております。
以上でございます。
◆山口 委員 わかりました。
私としては,確認という意味で実はお聞きをしたので,積極的にそれぞれの病院へ運んで,臓器を取り出すという立場ではないということを改めて申し上げたいと思いますし,今の救急のお考えとしては,まず先に,このカードを持っている,いないにかかわらず,救命に全力を挙げるということですので,最後にお伺いをしたいと思います。
救急車の高度化と
救急救命士の充足体制について,これは今までも議会で取り上げられてまいりましたが,札幌市の場合,今年度,現状はどうなっているのかをお伺いしたいと思います。
それから,低体温療法というのをちょっと聞いたことがございまして,患者さんの体温を下げることで,日大病院の救急の場合は,
クモ膜下出血のうちの75%が蘇生をしたというような報告も読んだことがございまして,これは
臓器移植の問題と救急,これからもっとさまざまな議論をして,国民的な合意というのを高める必要があるだろうと考えておりますけれども,特に,その蘇生を含めて,札幌市の高度化の現状について最後にお伺いをします。
◎藤塚
警防部長 高度化の推進状況についてお答えをいたします。
本市では,平成3年度から
救急高度化推進整備事業に積極的に取り組みまして,本年3月17日をもちまして,24隊すべての救急隊に高
規格救急車の配置を完了しております。
また,
救急救命士につきましては,現在90名おります。きのう,3月22日,20名の職員が試験を受けておりますので,この方々が合格しまして配置される6月になりますと,1救急隊に必ず1名以上の救命士が同乗する形になります。
以上でございます。
◆福士 委員 私から,
防災対策について4点ほどお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
まず,1点目は,
自主防災の資機材の保管場所についてであります。
今年度から,
自主防災活動の推進の一環として進められておりますが,
防災資機材の助成に関しては,これまでの委員会等を通じて,ある町内会では,助成を受けたくても,これらを保管する場所がないため,やむを得ず申請を断念している,こういう事実が数々あるわけであります。それらを指摘した上で,その対策として,町内会が
防災資機材を収納するための保管庫を公園内に設置できないものかと,そういうお願いをし,早急に協議,検討をしていただいたというふうに思います。
この点に関しては,20日の委員会で環境局にお聞きをしたところ,今現在,消防局と,認可をする条件等々について整理をしている,こういうことでありますから,ぜひ速やかに対応していただけるよう,この点は,まず要望をさせていただきたいというふうに思います。
これに関連をいたしまして,私は,消防局で保有管理をする
防火水槽の用地,この関係で,保管庫の
設置場所として公園と同じような取り扱いができないのかどうか,ぜひ検討をお願いをしたい。
調べてみますと,公設の
防火水槽は市内に600 基あるわけであります。当然,公園の中に設置をされていたり,さらには,住宅街の一角に設置をされているものもあるわけであります。用地の規模としては約50平米程度ですが,
防火水槽は地下に埋設をされている,そういう意味では,表向き,地表面の関係は更地になっている。そこで,消防活動に支障のない範囲で,公園と同様に,この
設置場所として町内会に活用させてもいいのではないか,この点,まずお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
それから,2点目でありますけれども,
備蓄物資の
整備計画についてであります。
現在,本市では,緊急の生活物資を確保するために,
大手スーパーなどと物資の供給に関する協定を締結して,流通備蓄を充実しているわけでありますけれども,災害時の物資供給に関する応援体制の整備が着実に進められています。この点は評価をするわけでありますけれども,しかしながら,これらによって必要な物資が調達されるのは,いずれも,発災後,ある程度の時間が経過した時点,時間がかかるわけでありますから,そういう意味では,
避難場所にいる被災者の方々にとって,
必要最小限の備蓄を市としてはあらかじめ整備をしていく,このことが必要だというふうに思っております。
こういう点に関しては,さきの阪神・
淡路大震災以降,札幌市は
備蓄物資をその当時の約4倍の量に強化をしている,現在,非常食が12万食,毛布2万枚,寝袋1万個を初め,
トイレ対策として簡易のトイレ,さらには,
災害弱者対策として,やわらかい食べ物だとか,粉ミルク等々を整備するなど,年々
備蓄物資の拡充が図られているわけであります。しかしながら,今後において,何をどれぐらい整備をしていくかという
整備計画については,まだ明らかにされてないわけであります。
そこで,お尋ねでありますが,今後,整備を進めていく
備蓄物資についての
整備計画があれば,お示しをいただきたい。
それから,3点目には,消防・
防災トータルシステムの整備に関連してであります。
従来から,情報・
通信ネットワークの拡充・整備について,代質や委員会等々で見解を承ってまいりましたが,先般提示をされた
地域防災計画の原案の中で,
指令システムや
消防救急無線システムなどをより効率的に拡充をしていくことは明確に位置づけられているわけでありますから,これらについては,今後の
整備計画として理解をすることができます。
そこで,私がお尋ねをしたいのは,この中の
地域防災無線システムの導入の関係であります。
本市では,災害時の初動対応を確保する一方策として,市職員を学校などの
避難場所に参集をさせる
特別動員体制を確立し,
マニュアルに基づいて訓練を実施する,そういう意味では,
避難場所における
被災者対応の充実強化が図られていることも事実であります。このことは大変望ましいわけでありますが,仮に電話回線が途絶した場合,現在では,
避難場所と
災害対策本部,あるいは区の本部との連絡がとれない,そういう状況になるわけでありますから,せっかく取り組まれた体制が有効に機能しない,こういうことになりかねないわけであります。
そこで,お伺いをいたしますが,今後整備をされていく消防・
防災トータルシステムの枠組みの中で,この
地域防災無線の導入については,どういう位置づけになっているのか,どのような考えのもとで整備をしていこうとするのか,お伺いをしたい。
4点目は,
防災訓練に関連してお伺いをいたします。
札幌市も,阪神・淡路以来,その内容は大きく変化をしてきているわけであります。例えば,昨年9月1日に西区で実施された
総合防災訓練,この関係は,自衛隊だとか警察などと連携をする,そして,救出・救助訓練を行ったと同時に,
自主防活動を中心とした地域住民の初動訓練,これらも行ったわけでありますし,災害時の応援協定を締結した民間企業なども積極的に参加をされているわけであります。
また,本年1月16日ですか,市職員を対象に,早朝時の
非常参集訓練と
対策本部の運営,あるいは
避難場所での対応に関する訓練を実施し,約3,000 人が参加をして,自宅から
避難場所や最寄りの区役所等々に参集し,被害情報の伝達訓練,これらの関係も行ってきております。
いずれにしましても,これらの関係は,従来から見ると,形態や内容も極めて新しい内容を取り込む等々が目に見えている,そして,職員の参集時にはイメージトレーニングも取り入れる,こういう形になってきています。効果的な訓練になっていることは,十分認識をしているわけであります。
いずれにしても,評価をする一方,実際に訓練に参加された市民,あるいは
関係機関の声だとか,他都市の訓練実態との比較などについては,まだ十分認識をしていないわけでありますから,ぜひその辺を含めて,現在実施している一連の
防災訓練に関して,どのような評価をしているのか,また,今後の訓練の考え方をぜひお伺いをさせていただきたいと思います。
◎小田桐
防災部参事 私から,1点目と2点目についてお答えいたします。
1点目の
防火水槽用地に
防災資機材保管庫を設置することについてでありますが,現在,私設のものを除きまして,全部で612 基の
防火水槽がございまして,このうち,
消防用地分としましては449 基であります。これらの用地につきましては,従来より,子供の遊び場となることの危険防止や,駐車場,
資材置き場,菜園など,いわゆる不正な使用を防ぐために,管理上,周囲にフェンスを設けてきたところでございまして,現状では,ほぼ半数が終了しているところでございます。
したがいまして,
資材置き場という件でございますが,
自主防災資機材の
設置場所として問題がないか,あるいは消防車への給水活動に対する影響なども考慮の上,
設置場所として,公園と同様な許可条件のもとに活用していただくことも検討してまいりたいと考えております。
2点目の
備蓄物資の
整備計画についてでありますが,基本的には,発災後24時間以内に緊急に必要となる物資を整備してまいりたいと考えております。
目標といたしましては,想定地震による被害評価で示された被災者12万7,100 人という数字を基本といたしまして,まず,食料対策につきましては,現状12万食のほか,本市の人口比率によりますと,乳児や高齢者がそれぞれ2%と12%の割合となっている現状から,
乳児用粉ミルクと哺乳瓶を,あるいは高齢者用といたしましては
アルファ米やパウンドケーキを,それぞれに見合った分量の整備を考えております。
また,
トイレ対策といたしましては,使用頻度などを考慮いたしまして,
避難場所の
トイレブースを使用する洋式便座,
排便収納袋,それと化学薬剤,及び,乳児や通常のトイレの使用が困難な高齢者用の紙おむつを考えております。
さらに,防寒対策といたしましては,既に毛布,寝袋を備蓄しておりますが,
全壊建物数の割合,あるいは消失家屋を考慮して増強する考えでおりますし,新たに
避難場所の簡易な照明器具につきましても整備していく考えでおります。
以上申し上げました整備目標につきましては,新年度の早い時期に予定しております防災会議に諮り,新
地域防災計画に位置づけてまいります。
以上でございます。
◎相生 防災部長 私から,3点目と4点目についてお答えいたします。
3点目の
地域防災無線の導入についてでございますが,消防局では,現在,消防・
防災トータルシステム全体の耐用年数の到来がございまして,更新整備を計画しております。新年度から,これらの基礎調査を実施することといたしております。
地域防災無線につきましては,この計画と一体として位置づけ,その機能が有効に発揮できるようなシステムを構築してまいりたいと,こんなふうに考えております。
また,整備の考え方でありますが,委員ご指摘のとおり,
災害対策本部,区
対策本部,
避難場所,自衛隊等の
防災関係機関,
ライフライン企業,
応援協定機関との
ネットワーク化を考えておりまして,各機関に共通する
専用周波数帯の
無線機器等を配備いたしまして,情報収集・伝達はもとより,応急対策,支援,市民広報など,災害時の諸活動が効果的に行えるようなシステムにしてまいりたいと,こんなふうに考えているところでございます。
4点目の
防災訓練の評価と今後の考え方についてでございますが,
総合防災訓練につきましては,各機関が具体的な場面を想定いたしまして,初動,応急,
復旧対策等のシナリオ型の訓練を時系列的に行っているところであり,各区ごとに行われております
防災訓練も同様としております。
いずれの訓練にいたしましても,参加された市民の方々や
関係機関からは,実災害に即したものとして評価をいただいているところでありますし,他都市と比較いたしましても,規模の大小はありますが,実施内容については,ほぼ同じでございます。
非常参集訓練等につきましても,新たに確立した
職員動員体制や
マニュアルのもとに,効果的に実施できているものと考えております。
今後の訓練の考え方についてでございますが,各訓練は,実施する時間や場所などの制約もあります。必ずしも,これで十分とは言えないところもあると,こんなふうに考えておりますので,さらに検討を重ねまして,より実践的で効果のある訓練としてまいりたいと,こんなふうに思っております。
以上でございます。
◆福士 委員
自主防災資機材の関係でありますが,公園ということが環境局との間でご協議をいただいている,そして,今の
防火水槽の関係,449 基が直轄の消防局の関係だというふうになっているわけでありますから,今,地域的に
自主防災活動が極めて高まりを見せている,そういう状況でありますので,ぜひ,公園内に引き続いて,この
防火水槽の関係も早急に条件整備等々をしていただいて地域の声にこたえる,そういうことでお願いをいたしたいというふうに思います。
それから,2点目の
備蓄物資の関係でありますけれども,新しい
地域防災計画,見直しが出てくるわけであります。そこで,いずれにしても,具体的に
整備計画目標的なものは,はっきり市民に示すべきだというふうに思います。
いずれにしても,どのような
備蓄物資をどのくらい保有していくのかという点については,家庭で備蓄をする関係もあるわけですから,それらが一つの参考材料になるわけでありますが,そういう意味での情報という関係では,極めて重要だというふうに思いますし,さらには,行政と市民の役割分担を考える,そういう観点からとらえても,この
整備計画を明確に打ち出す必要があるというふうに思います。
それと,3点目の
地域防災無線の関係でありますけれども,いずれにしても,大惨事における情報・
通信ネットワークの重要性は極めて高いわけでありますし,十分に機能を果たさない,そういう事態に陥った場合は,諸活動に大変な支障を来すわけでありますから,ぜひ,今おっしゃっていただいたご答弁等々を含めて,
防災関連機関等との通信回線を確保するこの
地域防災無線を早急に整備することを強く要望しておきたいと思います。
最後に,
防災訓練の関係であります。
確かに,札幌市の関係,大きく変化をしてまいりました。そういう意味では,実践的で効果のある,そういう訓練になってきているわけでありますけれども,それらを踏まえて,いわゆる抜き打ち訓練を実施してみてはどうかという関係であります。
例えば,職員の
非常参集訓練などについては,早朝を想定して実施をしているわけでありますが,しかしながら,いつやってくるかわからない地震に備える,そういう意味では,平常時からいろんなケースに対応できる,そういう訓練を重ねることが非常に重要だというふうに考えておりますし,また,
災害対策本部を設置する,そして関係部局との情報の収集・伝達を行う訓練については勤務時間中でも可能ではないか,こういうふうに思っております。ただ,一時的に多数の職員が職場を離れる,こういう問題もあるわけでありますが,阪神・淡路というような実際経験をした受け皿があるということ,札幌市とは若干違いますけれども,しかしながら,そういう訓練も必要だという観点から,完全な抜き打ち訓練がかなり難しいことは一面認めながらも,今後,
総合防災訓練や
非常参集訓練の際に,すべてシナリオどおりに進めるのではなくて,予定外の事態が発生する抜き打ち的な訓練をぜひ実施してみてはどうかということでお伺いをさせていただきたいと思います。
◎相生 防災部長 お答えします。
いつ発生するかわからない災害に対応するためには,抜き打ち的な要素を含んだ訓練をすべきであるということは,私どもも認識はしているところでございます。
しかしながら,訓練を勤務時間中に抜き打ちで行うことには,来庁している市民への対応問題,あるいは,一時的ではありますが,業務の停滞,各局・区及び
防災関係機関との連携など,困難な要素も多少ございます。また,部分的に訓練をしてみることでは余り効果が上がらないのではないかと,こんなような考え方もございます。
いずれにいたしましても,今後の訓練のあり方につきましては,他都市の実施例,あるいは問題点などもよく調査をさせていただき,検討し,今後の訓練に生かしてまいりたいと,こんなふうに思っております。
以上でございます。
◆福士 委員 いずれにしても,抜き打ち的ということであれば,確かに難しい困難な要素がたくさんあることは承知をしているわけであります。しかしながら,自治体でいろんな努力をしながら,この訓練のあり方を今問うている,そういう形になっておりますし,例えば平成9年1月10日から20日まで,この10日間に
防災訓練をする,特定の日時だとか場所を示さない,そういうことでは兵庫県が実施をした抜き打ち
防災訓練,これが画期的だ,こういうふうに言われているわけでありますから,その辺をもう少し調査をして,「困難」を先に出さないで,前向きに進めるという努力が求められているというふうに思います。
いずれにしましても,この兵庫の関係では,
防災訓練センターが逐次提供する情報により,
関係機関が本番同様に対応力を発揮できるかどうか,そういうものを調査するために,関係者に事前に日時だとか場所を知らせないで実施をしたわけであります。その結果,今おっしゃったようなことを含めて,当然,現場は大混乱するわけであります。しかしながら,防災システムが回線トラブルで作動していなかった,電話やファクスが足りなかった,こういう数々の問題点が出てきた,そういうことで,訓練後に作成した検証結果によると,約110 項目の問題点が浮き彫りになった,そういう意味で,今後の防災体制改善のために貴重な経験になったという締めくくりができているわけであります。
いずれにしましても,いろんな見方がある,これまでの初歩的な訓練というのは,確かに世間の防災への関心を高める,そういう意味では極めて意義があるし効果的だと。しかしながら,被害軽減には,災害マネジメント能力向上を目指した専門的な訓練が,これからは求められてくるわけでありますから,ぜひ実践的な訓練を,創意と工夫で,今後積極的に行っていくことを強く要望して終わりたいと思います。
◆宮村 委員 私は,地震によります電気火災の防止について質問したいと思います。
阪神・
淡路大震災が発生した際に,地震による建築物やライフラインなどに対します直接的な被害のほかに,大規模な延焼火災によって甚大な被害が生じたことは,私たち,よく承知していることでございます。
本市におきましても,この貴重な経験をもとに新
地域防災計画の策定を進めているところでございますが,神戸市において調査,作成しました震災の記録の中から,火災について調べてみますと,神戸市内では,地震が発生した午前5時46分の直後から6時までのわずか14分間に59件,17日当日中に109 件,そして地震発生後の10日間に175 件の火災が発生し,このうち,出火原因が判明したものが67件となっております。
その中で特に注目すべき点としまして,電気製品の転倒や物品の落下によりまして電源コードが破損し,火災となったものが33件で,判明している出火原因の49%を占めているという,さらに,損壊した送電設備の復旧に伴いまして,送電を開始した際に,転倒した電気器具や損傷した電気配線などから出火した例があったというふうに報告していることでございます。
一般的に,電気というのは,私,ガスよりも安全といいますか,そんなふうな認識でおりましたけれども,この報告書によりまして,大変電気の怖さに改めて驚いているところでございます。
本市におきましては,一昨年,655 件の火災が発生しているというふうに伺っております。火災に至る原因はさまざまあるかと思いますが,この中で,電気に関する火災が昨年は何件発生しているのか,また,どのような状況で火災となっているのかを,まずお伺いしたいと思います。
次に,2点目でございますが,本市におきましても,昭和43年の十勝沖地震や昭和57年の浦河沖地震の際には,震度4程度の揺れを記録しておりますので,これらの地震による電気関係の火災が発生しているのかどうか,伺いたいと思います。
◎釜谷 予防部長 1点目の,本市における昨年の電気による火災の発生状況についてお答えいたします。
昨年の火災件数655 件のうち,電気配線,電気器具などの電気関係から出火しているものが49件でありまして,火災件数の7.5 %を占めております。その内訳を申し上げますと,電気配線の短絡等によるものが33件,電気器具の故障などによるものが12件,コンセントやプラグの不良,タコ足配線などによるものが4件となってございます。
次に,2点目の本市における過去の地震発生時の電気関係の火災発生でございますけれども,当局における地震の記録の中には,幸いにも,そのような火災事例はございません。しかしながら,平成5年の釧路沖地震では,釧路,帯広両市内におきまして,11件の火災のうち2件が,北海道南西沖地震では,奥尻町,大成町で9件の火災のうち1件が,電気が原因で発生している,こういう情報を得てございます。
◆宮村 委員 電気を原因とする火災というのが7.5 %あるということで,やはり皆無ではないということがわかりましたし,北海道南西沖地震等におきましても,電気が原因だったろうという火災は発生していると,そういう実態でございます。
そこで,もう2点質問させていただきますけれども,家庭を守る主婦の立場といたしまして,地震を感じたときにまず考えますのは,火の始末,そして安全に避難すると,そういったことでございます。地震が発生したときの避難の心得といたしまして,配付されているパンフレット,いろんなものを見ましても,まず行動としましては,ガスの元栓をひねるとか,プロパンガスの場合はガスボンベのコックを閉めるとか,ストーブの火を消す,それから電気製品のスイッチやブレーカーを切って避難すると,そういったことが避難の心得として書かれているわけです。特に,電気のブレーカーにつきましては,天井に近いところ,私ども簡単に手が届かないような状況にございますし,スイッチも,なかなか手の届かないところ,もしくは電気製品の裏側にあるなど,そういった状況ですので,突然発生しました地震に際しては,果たしてこれだけのことができるのだろうかというふうに思います。
そこで,まず1点目としてお伺いしますけれども,先ほど申しました,地震による電気火災の実態報告を踏まえまして,今後の対応について,消防
関係機関などではどのように考えているのか,ご質問いたします。
2点目ですが,聞くところによりますと,地震の揺れを感知して自動的に電路を遮断する感震ブレーカーという装置が開発されているように聞いております。このような装置があれば,地震が発生した際の電気による火災防止には大変有効ではないかと考えるのですけれども,この感震ブレーカーの普及についてどのように考えられるか,ちょっと伺いたいと思います。
◎釜谷 予防部長 まず,1点目の地震による電気火災を防止するための今後の対応について,消防
関係機関などではどのように考えているのかということについてお答えをいたします。
震災による電気火災の報告に基づきまして,現在,出火防止の観点から,
自治省消防庁に地震時の出火防止対策に関する研究会を,また電気対策の立場から,通産省を中心に検討会を設置いたしまして,これらの対応策について研究・検討を進めているところでございます。
2点目の感震ブレーカーの普及についてでございますけれども,地震を感知して自動的に電気を遮断する感震ブレーカーにつきましては,地震に伴う電気火災の出火防止対策として,一つの有効な対策であると考えております。
しかしながら,地震の設定震度をどのようにするのか,あるいはまた,電路をもとから遮断された場合,エレベーターの中に人が閉じ込められる,あるいは照明が消えることによって避難行動が制約される,そしてまた,遮断された後に通電を行う際,居住者あるいは電力会社による確実な安全確認というのが必要であること等々,さまざまな問題点がございまして,ただいま申し上げました研究会,検討会において,感震ブレーカーの信頼性,及び地震時における電気器具の遮断方法について検討を進めているところでございますから,これらの推移を見ながら,普及対応について考えてまいりたいと,このように思っております。
◆宮村 委員 最後に要望になりますけれども,地震による電気火災防止,出火防止対策に関しましては,
関係機関といいますか,国レベルで検討を進めているということでございまして,そういう状況ですが,本市におきましても,阪神・
淡路大震災を教訓にいたしまして,積極的に出火防止,電気による火災の防止対策に取り組んでいただきたいというふうに思います。
今,一家庭での電気の使用というのは大変多いというふうに思いますし,夜間突然の地震,停電がありますと,避難するのが精いっぱいでございます。この感震ブレーカーといいますか,地震時の電気火災防止装置,これとともに,一時的に避難通路の確保ができる,ブレーカーを落としながら本当に短い時間ですけれども避難通路を照明すると,そういった装置も開発されているように聞いております。まだ,そういった装置の使用に当たっては課題が多いと,そのように伺ったところですが,ぜひ,市営住宅ですとか公共の施設,また,特に市営住宅では,高齢者,障害者などの入居ということも積極的に考える設計になっていくようでございますので,ぜひ,この安全対策の上で,こういった安全器具のさらなる検討をお願いしたいと思いまして,終わります。
◆小野 委員 私は,大きく2点について,一つは消防学校,二つ目は
自主防災組織と消防団活動について質問をいたします。
まず,いわゆる消防学校についてでありますが,現5年計画では,消防学校構想という表記はなく,消防研修訓練施設の整備事業として位置づけられているわけです。96年1定において,我が党の川口谷委員から,本市の新しい発展に対応した研修・訓練の必要性にかかわる質問をいたしました。その際,北海道消防学校との役割分担を含め,最良の方法について十分調査検討をして取り組むこと,そして,そうした考え方,いわゆる消防学校としての方針があるならば,事前に十分に議会サイドにも説明を尽くしていただきたいと指摘をしてきたところです。そこで,ことしの1月に入りまして,市長の記者会見の中で,公式に消防学校の建設概要が報告をされ,報道されました。
そこで,質問の第1点目として,消防学校の建設に当たっては,十分な検討をして計画されたことと思いますが,改めて,本市消防学校の建設に至った経緯についてお伺いをしたいと思います。
それから,2点目は,北海道消防学校と本市消防学校の教育・訓練について,どのような違いがあるのか。現在も,北海道消防学校で本市消防職員の新規採用職員研修などを実施しているわけですけれども,これらを含めて,どのようになっていくのか,お聞きをしたいと思います。
次に,
自主防災組織と消防団の活動についてであります。
先ほどもいろいろとやりとりがありましたけれども,本市では,97年度から,
防災対策強化の一環として単位町内会ごとに
自主防災組織の結成とその活動の推進をしてきておりまして,地域防災リーダーの研修,あるいは
防災訓練への参加,あるいは
防災資機材の助成などに取り組んでいるわけです。
こういった努力の結果もありまして,非常に多くの
自主防災組織が結成をされてきています。わずか昨年1年間の取り組みですけれども,約500 の町内会で結成をされたと。すべての町内会で約2,000 ちょっとですから,4割で結成をされたということで,こういった組織づくりでは極めてスピーディーな対応がなされていると感じています。
しかし,町内会にもいろんな事情がございまして,特に都心部に位置する町内会などでは,役員が高齢化している,役員だけでなくて住民も高齢化しているわけでありまして,若い人がいないと。若い人がいても,なかなか町内会の活動にかかわってもらえないと。それからまた,私どものように手稲区などでは,役員も比較的若い人が多いのですけれども,当然ながら仕事を持っていて,平日あるいは昼間などの活動,防災のリーダーの研修会もたしか平日1日がかりで行われておりましたから,そういったところに参加することもできない。さらには,行政は,何かと町内会に対していろんなことを押しつけてくると,あれもこれもやってくれという,そういう不満もあります。そういった中で,私自身も町内会長をやって,会議でこういった立場上,何とか
自主防災組織をつくろうではないかという提起をしますけれども,なかなか先輩の皆さんは乗ってこないと,具体化できないという状況がございます。
そこで,1点目の質問として,確かにいろいろなことで,これは阪神・
淡路大震災の教訓などがあろうかと思うのですけれども,
自主防災組織が非常に結成をされてきているわけですが,なかなか難しい実情もあると,そういったことについてどのように考えていけばよいのか,あるいは,こういった事情のある町内会に対しては,どう対応していこうとしているのか,この点お聞きをしたいと思います。
それから次に,こういった町内会の
自主防災組織の活動と地元消防団を担っている方々との関係についてであります。
本市の消防団組織は,その組織と活動の実績については高く評価されておりますし,それを構成している消防団の団員の皆さんは,団の活動のみならず,多くは,私が見ているところでは自営業者の方が多いわけですけれども,商店街だとか,あるいは私ども町内会も含めて,あらゆる活動でリーダー的存在になっているわけであります。火災だとか災害時には,消防職員と同様に,いち早く現場に駆けつけて諸活動に従事しているわけですけれども,いわゆる
自主防災組織が動くべき地震災害などの発生時には,こういった消防団の人たちがどういったかかわりを持つのか,もっと言えば,地域の
自主防災組織をつくるに当たっても,こういった消防団の人たちに中心になってもらえないものか,あるいは,具体的な
自主防災組織の活動の際に,こういった消防団の人たちが中心になってもらえないものかと,そういう期待もあるわけですが,実際問題として,我が札幌市の,いわゆる消防活動の中において消防団員の皆さんも組み込まれていると思いますので,どういったかかわりになるのか,その点をお聞きをしたいと思います。
◎竹内 総務部参事 第1点目の,札幌市消防学校を建設するに至った経緯についてお答えいたします。
平成8年度からの5年計画の中で,都市型災害や広域的な災害に対する職員の知識,技術のレベルアップを図るため,消防研修訓練施設の整備事業を計画いたし,その構想を推し進める中で,平成8年度の第1回の定例市議会におきまして,より高度で専門的な研修・訓練を充実するためには,教室や寮を備えた学校への検討が求められたところでございます。このことを受けまして,関係各局,さらには北海道とも協議をいたしました。その結果,採用から退職まで一貫した教育体制の確立を目指しまして,札幌市独自の消防学校の建設が必要であるという結論に達したものでございます。
第2点目の,北海道消防学校との教育訓練の違いについてでございますが,北海道消防学校の教育訓練は,全道72消防本部ごとに,都市構造,あるいは消防の組織,装備がそれぞれ異なっておりますことから,平均的な教育,最大公約数的な教育訓練を行っている現況にございます。
一方,当局が目指しますものは,実務直結型の教育訓練でございまして,札幌市の都市構造,あるいは装備,あるいは災害の内容に応じた教育訓練を行うということで,学校で得た知識,技術が,そのまま実務に直結できるという大きなメリットがあり,この点において大きな違いがあるというふうに考えております。
◎相生 防災部長
自主防災組織に関します1点目,2点目についてお答えいたします。
1点目の組織結成が困難な場合の対応についてでございますが,基本的には,阪神・
淡路大震災の教訓にも見られましたとおり,もろもろの事情があるにいたしましても,何とかご努力をいただいて,単位町内会ごとに編成されることが望ましいと,こんなふうに考えているところでございますが,委員ご指摘のような事情がある町内会もお聞きしておりますので,各町内会におかれては,隣接の町内会と共同して組織してはいかがなものか,あるいはまた,地域内の企業等にもご支援を求めて組織する等の方法もあるものと考えております。これらのことにつきましては,継続して実施をしてまいりますリーダー研修等でご説明をさせていただき,ご理解を求めてまいりたいと,こんなふうに考えているところでございます。
2点目の地震災害発生時における消防団活動の流れと役割ということでございますが,消防団の方々は,大規模な災害や地震等が発生した場合には,消防団の災害活動要綱がございまして,これに基づき,原則的には各消防分団の管轄区域内で消火活動あるいは救護活動等に当たることになってございます。地震発生直後の初期段階,または被害が小規模な場合には,当然このようなことですから,町内会と一体となって活動をいたします。
震災等の規模によりましては,各区ごとに消防団の指揮本部が設置されることになりまして,消防団長の判断するところによりまして,被害の大きな他の地域へ移動して活動しなければならないと,このような場合もございますので,この辺も含めまして,町内会の方々にはご理解をいただきたいと,こんなふうに思っております。
以上でございます。
◆小野 委員
自主防災組織について,この1年間で一気に500 結成されたと。問題は,先ほど言いましたけれども,なかなかそういう議論になっていない,あるいは,まだ結成されてないところにどうやって組織をしていくかということだと思いますし,
自主防災組織がどういう組織で,どういうときにどういう役割を果たすのかということも含めて,もっと鮮明に市民の皆さんにも理解をしていただくことも必要かなと。それから,私自身も努力をしていきたいと思います。
消防学校についてですが,本市の都市構造や災害状況に即して,いわゆる実務直結型の教育と,これを採用当初から一貫した研修体制で行っていくのだということです。率直なところ,私,2年前,96年1定のときには災害・雪対策調査特別委員会に所属をしていましたが,はっきり言いまして,研修・訓練施設の充実という言い方にとどまっていたり,あるいは宿泊施設は考えていないとか,そういうようなご答弁がありまして,ちょっと遠慮した感じがするなと,もうはっきり消防学校構想と打ち出せばいいのになと個人的には思っていました。過去の経過がどうなっていったのか,ちょっとあれですけれども。いずれにしましても,こういう形で本市の消防学校の整備をするという方向性については,期待もしていますし,今後の展開に注目をしていきたいと思います。
その上に立って,再質問を2点ほど行います。
そういった意味で,最近の災害は非常に広域化している,あるいは,そういった中で,札幌の消防が北海道における消防行政,あるいは具体的な救助活動などにおいても非常に主導的な,もう断トツの役割を担っているわけでありまして,北海道消防学校との連携,関係があろうかと思いますけれども,やはり地下街だとか高層ビルだとか,いろんな災害の規模や内容に対応する訓練を,他の市町村の消防本部の職員を受け入れて,研修・訓練の場としてお役に立つと,そういう必要性もあるかと思うのですが,この点をどのように考えているのか,お聞きをしたいと思います。
それから,2点目,先ほど来の
自主防災組織の組織化,あるいは,そういった市民の意識を高めていくということも含めて必要になっているわけでありますが,いただいた資料の中で,施設の特色として,1階から3階のホールをカーテンウォールにし,明るく市民にも親しまれる景観としたと。いわば,消防学校として,消防職員や消防団員の研修・訓練の場だけかなと思っていたら,何か市民にも親しまれる景観としたということになっているようでありますので,こういった点,市民が見学をする,あるいは消防学校を訪ねて何らかの勉強をするというようなことも考えられているのか,その点お聞きをしたいと思います。
◎竹内 総務部参事 第1点目の他市町村からの受け入れについてお答えいたします。
本市が目指しております消防学校は,札幌市の消防職員及び団員を対象としたカリキュラムの編成や,それに伴う受講者の数,あるいは独自の教材を使用するという計画でありますことから,他市町村からの職員の受け入れについては難しいものがあると認識しております。
しかしながら,北海道消防学校の研修科目にない
救急救命士の養成研修,あるいは火災調査の実務等の専門的な研修につきましては,現在も,他市町村からの派遣要請に基づきまして,受託研修という形で受け入れをしておりますので,今後とも,内容に応じまして対処してまいりたいと考えております。
次に,市民見学会等の対応についてでございますが,毎年,市民見学会や小学校の社会科の授業に伴う施設見学,さらにはJICA,これらの研修などで,1,300 名ぐらいの方が研修所を訪れております。
今後とも,市民の方々が施設見学などを通しまして,防火・防災に対する正しい理解をいただけますように努力をしてまいりたいと考えております。
以上です。
◆丹野 委員 段々の各委員からの大事な設問での議論がありましたが,私の方からは,大きく2点に分けて質問したいと思います。
初めに,平成9年中の火災発生状況では,火災発生件数が655 件ということで,これは過去最多の件数となっております。このうち,火災による死者は,放火による自殺者4人を除きますと,私の住む清田区の住民3人を含めて,全市で20人の方が亡くなられていると。この数は,前年に比べて10人も多い状況であるということであります。最近の新聞やテレビ報道でも,ことしに入って焼死者を伴う火災が相次いで発生しておりまして,たまたま,この質問をつくっている最中に,最中というかその日に,東区で,きのうまた火災がありまして高齢者の方が亡くなられたと。大変に痛ましいことであると思うのですが,このように,やはりまた悲しい数が一つふえたということであります。特に,高齢者の皆さん方や,一人で避難できない乳幼児,いわゆる火災弱者と呼ばれる方々の焼死していく危険性が,これからは非常に多くなっていくのかなと,このように判断し,心を痛めているところであります。
私が調べた部分ではありますが,焼死者の年齢構成,昨年は高齢者が6人ということで,全体の30%を占めていると,大変高いと思います。このほか,乳幼児が1人,その他,成人が13人ということでありました。これに対して,ことしは,きのう亡くなられた高齢者がお1人,それから乳幼児が2人,児童が1人,成人は6人と,このような内訳になっておりました。
焼死者火災の主な出火原因,これらについても調べてみましたら,圧倒的に多いのはたばこ。ですから,たばこを吸われる方は注意しなきゃならないなと思うのですが,ストーブ,それからこんろ等が非常に火災の発生原因になっているということで,これらたばこ以外のものについては,どこの家庭でも使われている部分なので,使いやすさから火災になっていくのかな,こんなふうにも考えられます。
そういう中で,消防局としては,高齢者など火災弱者を対象に,毎年2月に防災福祉安全強化運動を実施していると。中身については,お年寄りや障害者世帯の防火訪問,それから防火メッセージカードの配付などをしているということであります。民生委員,それから訪問看護員,いわゆるホームヘルパーの方々を対象にした防火研修会の開催などを行って,出火防止,それから焼死者発生防止に努力していると,こういうことでありました。
それで,この防火メッセージカードってどんなものですかということで聞きましたら,こういうものですということで,今持ってきたのですが,非常に色も鮮やかで,デザインも非常にいいなというふうに感じますけれども,一目見て感ずる部分は,これは,ただの防火チェックの標語を書いたシールなのかなという思いがしました。何が言いたいかといいますと,火災発生のときにどこに電話するのかという部分で考えると,やっぱり119 番になります。119 番以外,110 番にかける人も相当いるのではないかと思いますから,こういうものをつくるときは,119 番という文字をもっと大きくしたらどうなのかなと,このように思います。それから,もう一つ言いますと,これが暗いところでも浮き出すような蛍光型であれば,なおいいのかなと,これを見て思いました。
そこで,消防局のさまざまな努力を今申し上げたところなのですが,二つほど質問いたします。
第1点目は,火災の際に,なぜ避難ができなかったのかという部分であります。亡くなられました方々には本当に残念でなりませんけれども,昨年,ことしと,次々に起こる火災で焼死に至った経緯,これらは,救急活動に取り組まれる立場でどのような経緯があったのか,お示し願いたいと思います。
それから,二つ目ですが,悲惨な焼死者火災を防止するために,消防局では,先ほど述べた対策のほかにさまざまな対応策があるのだろうと思うのです。そういった対応策があれば,お示しいただきたいと思います。
◎釜谷 予防部長 それでは,1点目の昨年及びことしの火災により焼死に至った経過についてお答えをいたします。
火災の際に,泥酔あるいは熟睡によって火災の発見がおくれて逃げおくれたと。それから,火災に気づいても,乳幼児や,病気などのために避難することができなかったなどによって亡くなってございます。
また,ことしについてもほぼ同様の傾向でございます。
次に,2点目のどのような対応策を講じてきたのかについてお答えいたします。
焼死者のほとんどが住宅火災から発生している状況から,火災の早期発見あるいは早期避難に有効な簡易火災警報器,あるいは火災防止に効果のある過熱防止装置付こんろ等の住宅用防災機器の普及促進を図っているところでございます。さらにまた,春,夏,秋の火災予防運動や各種の防火行事を通じまして,広く市民に対し,出火防止の広報活動を積極的に実施してきているところでございます。
また,ことしに入りまして,大変痛ましいことに,10人が火災により亡くなっており,特に,西区の集合住宅での4件の火災で,乳幼児2人を含む5人が亡くなられたことから,西消防署において,区役所,連合町内会長,消防団長等を構成員とした緊急対策会議を開催いたしまして,連携の強化を図ったところでございます。また,集合住宅などを対象とした防火講話や避難訓練の実施,消防職・団員による広報チラシの戸別配付,そして,多数の人の集まる施設等においての広報など,啓発活動を行ってきたところでございます。
さらに,全市的な取り組みといたしまして,全町内会に緊急回覧用のリーフレットを配付するとともに,予防査察や消防車両による巡回広報の強化,そして新聞,テレビ,ラジオ等,報道機関を通じまして出火防止を呼びかけたところでございます。
何よりも重要なことは,市民一人一人に火災を出さないように注意していただくことでありますので,消防局といたしましても,地域と密着した消防団員や防火委員との連携を保ちながら,より一層の出火防止に努めてまいりたいと,このように考えております。
◆丹野 委員 市民一人一人が火災防止に努めることなのだと,これはもっともなことであります。
安全器具の普及などもこれからしていくのだろうと思うのですが,簡易火災警報器,また,過熱防止付こんろなどのお話もありました。これらについても,市民の多くの方々にPRすることにより利用されていくのかなと思います。
それから,火災があったときに消防局が配られている緊急回覧というものを見せていただきました。これ,一目見て,火災に対する緊張度というか注意度というか,そういうものがすぐ浮かぶのかなと思うのですが,この中身に詳しく丁寧に表示されている実例の部分,これはこれですごくいいのですが,できればこの上の字ぐらいの大きさで書かれていた方がいいのかなと。これも,ちょっとそんなふうに感じましたので,つけ加えておきます。
さて,それで,二つ目の質問ですが,先ほど
自主防災について小野委員の方からも質問ありましたが,地域で活動する消防団の皆さん方の活動について幾つか質問いたします。
ご承知のとおり,昨年11月4日に清田区が誕生しまして,早々に清田消防団が結成されました。私ども,それから区の議員の皆さん方が全部招かれて,その結成式に臨んだわけですが,消防の任務はということで見ていきますと,消防組織法というのですか,第1条に「その施設及び人員を活用して,国民の生命,身体及び財産を火災から保護するとともに,水火災又は地震等の災害を防除し,及びこれらの災害に因る被害を軽減する」ために活動すると,このように記されております。
そこで,本市の消防団は,火災や水害などの災害活動,それから地域住民の防災機関としての予防広報活動,そのほかには,不審なものがないかというようなものを含めての各種の警戒活動,このほか,人々の命と暮らしを守るための防災指導など,研修も含めてということで,日夜大変な中でご苦労されていることに対しましては,本当に感謝をするものであります。
特に,消防団員の皆さんというのは,先ほどの小野委員のお話にもありましたように,仕事を持っております。そして,すべての団員の方々は,ボランティア精神で活動されておりまして,みずからの手で災害を防ぎ,郷土を守るのだと,この清田の団結成のときも,そのように皆さんが口々に言っておられました。それを聞いて,本当に頼もしい感じがしたわけであります。
実は,ちょっと話それますが,昨年4月でしたか,私,今,美しが丘に住んでいるのですが,近所で早朝に住宅火災が発生しました。この火災の場合は,発見が遅かったのです。ですから,煙が家の中に充満して,2階に子供2人が取り残されてしまった,こういう状況でありました。ところが,たまたま居合わせた市民の方々が,率先してこの2人の子供さんをその火災の現場から救い出したわけです。当然,2人の方は署長から表彰を受けられたわけであります。後で聞いたのですが,そのうちのお1人が,この消防団員でありました。こういうことを見ていきますと,本当に,常日ごろ,消防団の皆さん方は,地域の中にあってそういう意識で注意しながら活動をされているのだなと,本当にありがたく思った次第であります。
また,過日,消防団員と消防署員が協力して救急救命講習というのをやられておりまして,私も20人ぐらいのご婦人に呼びかけましたら,ぜひ受けたいということで,申し込んで受けました。私は最後までいられなかったのですが,受けた方々のお話を聞きますと,救急救命の初めの方は先生から随分指摘を受けたのですが,2時間後には見事に全員がクリアして,そしてその参加証書なるカードをいただいて,意気揚々に帰っていく,あの姿が印象的でした。
そのような取り組みで,日ごろから防火に対する知識,そして,このような災害が起こったときの取り組みに対して,まず声を出していきなさい,呼びかけていきなさいということが基本であったようであります。
この二つの出来事を通して,さらに2問質問したいと思います。
昨年,清田消防団が新設されたのですが,消防団の体制と装備,先ほど,一部やりとりがありましたが,全体の装備についてはどのようになっているのか。
二つ目は,この消防団の平成10年度の活動計画,これについてどうなっているのか,お示しいただきたいと思います。
◎佐藤 総務部長 1点目の消防団の体制及び装備でございますが,本市の消防団につきましては,昨年,100 名の定員増を行いまして,また,清田消防団の結成に合わせまして,同消防団に平岡分団,里塚分団を新設いたしました。このことから,現在は,10消防団,74分団,定員2,150 名の体制になっております。
また,装備につきましては,小型消防動力ポンプを初め,照明装置やジャッキなどを備えました簡易の救助資機材,組み立て式の1トン水槽などを配置しております。
次に,2点目の消防団の活動計画でございますが,主に三つの活動を柱として,毎年,業務計画を策定しております。
一つといたしましては,消防・防災活動がございますが,これは,建物火災や野火火災,水害などに出動いたしまして,消火,救助・救急活動,あるいは災害現場周辺の警戒活動に当たっているものでございます。
二つといたしましては,予防・警戒活動がございます。これは,春季及び歳末の特別警戒期間中の警戒パトロールの実施,春,秋の火災予防運動期間を中心といたしました一般住宅への防火訪問の実施,及び住宅火災を防止するために防火チェック票などの配付を行いまして,火災予防を呼びかけております。
また,放火防止のために,夜間におきます巡回パトロールや空き家の調査,及び高齢者など災害弱者を火災から守るための実態調査などを行っております。これらの活動には,延べ人員で約2万人の消防団の活動を予定してございます。
三つといたしましては,研修・訓練の活動がございますが,これにつきましては,市民への応急手当て普及啓発の促進や
自主防災組織への指導など,多くの消防団員に活躍していただくことになっております。
以上でございます。
◆丹野 委員 今,三つの活動を柱として取り組むというお話がありました。そのとおりしっかり取り組んでいただきたいと,期待申し上げます。
最後になりますが,このように,消防署員も含め,消防団の皆さん方の地域活動,これらについては,今,るる申し上げてきたところでありますが,それでは,一番大事な部分として,健康管理はどうなっていくのかということであります。消防署員の皆さん方の場合,健康診断等は市の施設で行っているのでしょう。では,消防団員の場合はどうなるのか。自分で健康管理,皆さんしているようではありますが,されていない方々のためにも,消防局としてどのようにこの点を考えていかれるのか,最後にお示しいただきたいと思います。
◎佐藤 総務部長 消防団員の健康管理の問題でございますが,団員につきましても,消防職員と同様に,強靱な体力を要求されてございます。
本市におきましては,消防団員の健康管理の充実を図るために,40歳以上で勤務先で受診している方を除く団員を対象にいたしまして,血圧の測定,尿検査,胸部エックス線検査など,こういった検診を行っております。また,1次検診で異常が認められました方につきましては,さらに2次検診を実施しているところでございます。
以上でございます。
◆横山[博] 委員 2点について質問をさせていただきたいと思います。
最初は,先日も災害・雪対策調査特別委員会でも確認というか,お尋ねをしたことですけれども,繰り返すようですが,きょうは局長に,その点でどうお考えなのか,再度お尋ねをしたいと思います。
いわゆる
地域防災計画,新しい計画が策定に向けて準備が進められています。いろんな面で市民の皆さんも注目をされているというふうに思いますけれども,それと,今,全庁的に進められている,いわゆる行財政改革推進計画,これによると,職員の削減,また,部局の統廃合が進められていくわけですね。そうなると,現在,この新計画の中にも,最大震度6のときには,初動の体制で1万8,000 人の職員が出動する体制になっているということで記載をされていますが,職員が削減されていくということと相矛盾するものではないかと。そういう意味では,職員の削減,部局の統廃合が,この
地域防災計画,新しい計画を策定し,それを実効あるものにするためには,非常にその点で,統括をする消防局,その最高責任者としてどのようにお考えなのか。影響があると私は考えますけれども,その辺いかがか,いま一度ご認識をお尋ねしたいというふうに思います。
質問の二つ目は,この間,繰り返し私どもは,本市の消防力について,その増強を求めてまいりました。今,段々の委員の皆さんの質疑,議論をお聞きしていましても,例えば
自主防災組織の確立という点でも,なかなか,これからご苦労なさる部分があるのかなと,組織化も苦労されているというふうに受けとめています。そして,丹野委員もご質問されたように,今,札幌市の災害,火災は,大都市という,そういう環境の中で大変複雑化している,いわゆる高いレベルの消火能力,対応が求められている点で,消防力の充足率が今のままでいいのかと。この間,一貫して私どもはこの問題を取り上げ,充足を求めてきたわけです。
しかし,歴年さかのぼってみましても,それこそ救急車だとか,救助工作車だとか,一部,大台に乗っている部門はありますけれども,その他はほとんど横ばいという状態が続いているということで,昨年の決算特別委員会でも,私どもの高橋重人委員が質問されたそのことに対して,今後とも努力をしていくというふうにご答弁をされていますが,その努力された結果,どのように新年度予算に反映されているのか,お示しをいただきたいというふうに思います。
◎高橋 消防局長 1点目の新しい防災計画の実効性ということについてでありますが,さきの調査特別委員会におきましてお答えしたことの繰り返しということになろうかと思いますけれども,この計画の策定に当たりましては,それぞれの
関係機関,それからライフラインに携わっている関係企業等が参画をいたしまして,十二分に検討を進めてきたものでございます。もちろん,阪神・
淡路大震災における痛ましいことを貴重な教訓といたしまして,それを柱としてこの計画を推し進めてきているところでございます。
そして,私どもの持っております現計画との大きな違いと申しますと,市民あるいはライフライン関係企業,そして
防災関係機関との連携,役割分担の明確化ということが,現計画と大きく異なり,進んでいることだというふうに認識をさせていただいております。
委員ご心配,ご指摘のございました,行財政改革による人員削減というようなことがあったといたしましても,このことをもって,この新しい計画が左右されることがないというふうに私どもは考えておりますし,むしろ,民間活力を大いに支援をしていただく体制をとることによって,これらが補完され,充実した計画になろうかというふうに考えているところでございます。
2点目の充足率につきましては,毎年お答えを申し上げているとおりで,繰り返しになるかと思いますけれども,先ほどの各委員さん方へのご答弁の中でも申し上げておりましたが,私どもの消防力の基準の考え方につきましては,国等の基準がございます。その中でも,一部,その基準に至っていない項目もあることは事実でありますけれども,ただ,基準以外の装備の面,これについては,それぞれの都市の状況に応じて弾力的に対応していくということで,むしろ,基準に載っていないものの機材の整備というようなことについて進め,札幌市民が安心できる,そういった装備,体制を目指して進めているところでございまして,特に本年度におきましても,水槽車,それから救急車各1台増強される運びとなっております。
いずれにいたしましても,消防力の充実,パワーを十分発揮できるような体制整備,これに努めていきたいと,こういうふうに考えております。
以上でございます。
◆横山[博] 委員 1点目の新しい
地域防災計画について,局長は大丈夫だというふうにおっしゃいました。
市民,それから事業所の役割が確かに明記されていますけれども,しかし,このことで緊急災害時の公的な責任があいまいになりはしないかと。なりはしないかということではなくて,なると。そんな意味では,この
地域防災計画が形骸化しないように,十分に
関係機関との協議を詰めていっていただいて,ある意味では,この新しい計画そのものも,状況の変化で補充,拡充していくという構えで,ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思っています。
大変不安が残るということを言わせていただきたいというふうに思います。
2点目の消防力の充足率の問題です。
確かに,札幌市の消防力は,市域内だけではなくて,市域外,豊浜トンネルの事故のときだとか,全道的に,あるいは神戸の地震のときにも大変貢献をされたと。そして,さらには国際的にも大変貢献されているということに対しては,私自身も十分に認識をしているところです。ですから,今,局長がご答弁になって,努力をされてきたと,今年度も,そういう点ではかなりレベルの高い整備が進められているということは認めつつも,その前提にあるのは,国が告示している消防の充足率の基準ではないか。国が告示しているのは,必要最少限度というふうに言われている基準なのですね。ですから,そんな意味では,基準の項目に記されていない,そういう部分も頑張っているのだから,基準に記されている項目についてはこの程度でいいのだということにはならない。大前提は,やはり国が示している充足率の基準を一日も早くクリアして,さらにその拡充をしていくということではないかと。
それと,もう1点,人員についてなのですけれども,若干,消防職員の皆さんの人数がふえてはおります。消防学校も設置されて,かなりレベルの高いそういうものがこれからも進んでいくということには期待をしています。しかし,繰り返すようですけれども,国が示している人員の基準,それが昨年度はマイナスに,平成9年度はその率が下がっているというこの現状,丹野委員も,火災の問題についてご質問なさいましたが,消防職員の皆さんの処遇についても,この間,改善を求めてきております。その大前提は,やはり人員の充足,人員の確保というか,そういう点でどうなのか,この人員の問題についても,そのお考えについてお示しを願いたいというふうに思います。
◎佐藤 総務部長 消防力の基準の中の人員の充足率が9年度は下がったと,こういうご指摘でございますが,これは,4週8休に伴う休務率が変わったことによるもので,人数的には大きく変わっておりません。
そこで,最近の消防の定員でございますけれども,8年から9年には28名ふえておりますし,7年から8年には30名ふえてございます。その前の7年にも24名ほどの定員増が図られておりまして,こういった体制で,必要な人員は今まで確保してきたと,このように考えているところでございます。
◆横山[博] 委員 今,私がお尋ねしたのは,人員はふえていると,それは認めながらも,充足率は,昨年度,8年度は90.5%だったのが,今年度,9年度は87.1%という数字が示されている,この問題についてどうなのかということをお尋ねしたのですけれども,もう一度ご答弁を願います。
◎高橋 消防局長 今,私,すぐ申し上げられる数字を手元に持っておりませんけれども,いずれにいたしましても,消防の基準,車両等も含めての資材,それから人員の充足について,もっとふやせという,私どもにとりまして非常に心強い応援だろうと思っております。
いずれにいたしましても,安全で住みよい街づくりのために,決して消防力の低下を来すことのないように,職員の活動能力の向上も含めまして努力してまいりたいと,このように考えております。
以上です。
◆横山[博] 委員 局長がおっしゃるとおり,私どもは,札幌市の消防が力をつけていっていただきたいと。
新しい
地域防災計画も策定をされようということでは,本当に名実ともにその計画に沿って,市民の皆さんが安心して暮らせる,そういう街づくりを進めていっていただくためにも,積極的に国に対しても予算を要求する,または,消防力の充足の基準の中に高規格のそういうものも項目として加えていく,もちろん本市の財政担当の局にも予算の増額の要求も含めて,頑張っていただきたいということで,終わります。
◆笹出 委員 私は,日常の救急体制の充実強化についてお尋ねをいたします。
私どもが小さいときに考えておりました消防,そういう部分から考えてみますと,今日の消防局,署,あるいは署員の皆さん方の,いわゆる守備範囲が広がったことで,本当にびっくりするぐらい仕事が多様化していっている,そんなことで,本当に日ごろの署員の皆さん方の活躍については敬意を表するところでございます。近ごろとみに,毎日,しかも幾度となく救急車のサイレンの音を耳にするわけでございます。私の近くでも,救急車の出動を要請したという話をたくさん聞くようになりました。本当に多くの市民が,救急車の必要性とありがたみを実感しているのであります。
そこで,本市における過去5年間の救急出動状況を調べてみますと,平成5年の救急車の出動件数は年間4万979 件,昨年,平成9年中は実に5万件を突破しまして,1日当たりにしますと137 回に増加しているわけでございます。
このような状況を考慮されてか,平成10年度の消防予算で,今もお話がありましたように,高
規格救急車を,1台ではありますが,増車の計画がなされておりまして,市民の要望にこたえた措置であると評価をするものでございます。
また,本市では,平成3年に制定されました
救急救命士法をきっかけとしまして,平成5年には本市独自の
救急救命士養成所を開設するとともに,平成7年には,
救急救命士の生涯研修を兼ねた養成を目的といたしました救急ワークステーションを全国に先駆けて開設をし,全道にその間口を開放するなど,救命率の向上のためにさまざまな取り組みをされてございます。本市の救急体制が一層充実強化されていることにつきましては,全国的に高い評価を受けているものと認識をし,市民の一人として大変心強く思っているところでもございます。
しかし,交通事故や災害の出動のみならず,現在では,高齢化やストレス社会にあって,脳卒中であるとか,あるいは心筋梗塞などの患者がふえていると言われておりますので,救急に対する市民の期待と要望が,それに迅速さも一層高くなっているのも事実でございます。
このことから,市民の要望にこたえて,今まで以上に救命率の向上を図るために,消防内部の体制強化のほかに,医療機関との連携や,救急現場に居合わせた市民による応急手当てが重要ではないかと考えるのでございます。
そこで,2点質問をさせていただきます。
1点目といたしまして,心電図伝送システムについてお伺いをいたします。
現在,救急自動車から心電図などの患者情報を札幌医大病院と市立札幌病院に送ることができるようになっておりますが,これまでの活用状況とその効果についてお尋ねをいたします。
2点目は,119 番受け付け時の応急手当ての指導についてであります。
本市においては,各消防署や平成6年度に設立した財団法人札幌市防災協会が中心となって,積極的に応急手当ての普及啓発を推進しているところでございますけれども,過日の新聞報道やテレビで,119 番受け付け時の応急手当ての指導についてということで拝見をいたしました。これは,東北地方のある消防本部における取り組みの紹介でございましたけれども,119 番通報を受けた指令員が,その電話をかけてきた人に人工呼吸などの応急手当てを電話口で指導することによって救命率の向上に成果を上げている,こういう内容のものでございました。救急現場に居合わせた市民が必ずしも応急手当ての知識や技術を持っているとは限りませんし,仮に持っていたとしても,相当動揺もしているわけでございまして,的確な手当てを行うということは非常に難しいことであろうと思われるわけでございます。そのような場合に,指導員が電話口で落ちついて適切な指導を行うことができれば,少しでも現場にいる人が応急の手当てを施せるというものであります。
そこで,本市においては,この119 番受け付け時の電話口での応急手当ての指導についてどのように受けとめておられるのか,また,具体的な取り組みをされているとするならば,それをお伺いいたします。
◎藤塚
警防部長 お答えをいたします。
心電図伝送システムの活用状況についてでございますが,心肺機能が停止するなどの重篤な患者や心疾患のある重症患者で心電図伝送を行った患者数は,平成9年中で727 (397 ページで訂正)件でございます。
また,この効果でございますが,救急隊員が救急現場で搬送途中に心電図や血液中の酸素濃度などの状況を医療機関へ伝送して,具体的な指示を受けるようになっております。一方,受け入れ医療機関では,その伝送によって患者の容態をかなり具体的に把握することができます。このことによりまして,その容態に合った受け入れ準備ができますので,時間を食うことなく,即,治療ができます。非常に役に立っていると思っております。
次に,2点目の関係でございますが,119 番受け付け時の応急手当ての指導についてでございます。
現在,消防局では,指令員個々の判断で指導を行っておりますが,委員ご指摘のとおり,119 番通報受け付け時に電話口で適切な指導を行うことは,市民による応急手当ての普及に非常に効果があると受けとめております。
したがいまして,電話口で適切な指導を行うために,現在,医師,看護婦さんの応援を得まして,指導
マニュアルの作成に取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
◆笹出 委員 ただいまお答えをいただきまして,実はびっくりしていたのですけれども,平成9年中で272 件の伝送をやられているということで,本当に,心電図伝送システムは,重篤な患者であればあるほど,その必要性,効果が高いのだというふうに改めて認識をいたしました。
しかし,現在では,札幌医大附属病院と市立札幌病院の2カ所で受信できる状況となってございますけれども,重篤患者がこのように272 ,こんなような大きな数字で発生がありますと,これからも,いつ発生するかわからないわけですね。
そこで,出動回数においても,先ほども申しましたように,高齢社会を迎えているわけですから,これからもまだまだその増加が考えられるわけでございますので,さらに,受信のできる医療機関を拡充する必要があるのではないか,こう思うのであります。
私は,札幌市に救命機能を備えた3次医療機関が3カ所あるというふうにお聞きをしてございますし,先ほどの2カ所の病院とは豊平川を隔てた南東方向に国立札幌病院があるわけでございまして,この病院も,救命救急センターとして位置づけられておりまして,その必要性は非常に高いものであると考えておりますけれども,いかがかお尋ねをいたします。
また,119 番受け付け時の応急手当ての指導ということでお尋ねをしましたけれども,119 番にかかってくる電話の内容というのは種々雑多なものがありますから,その中で迅速に判断をして対応される,こういうことは,指令員の皆さん方の判断も,物すごく窓口が広がって大変だなという感じがするわけでございますが,救命率の向上ということに視点を置きますと,それだけまた大事なお仕事であろうかなと,そんなふうに考えられますし,現在,局も早速,その
マニュアルづくりに取り組んでおられるということでございますから,非常に我々にとって心強いことでございます。その
マニュアルを効果的に運用するためには,指令員の方々に,救急隊員あるいは
救急救命士と同様の医学的な知識が今度は求められてくるのでないかなと,そんな感じがするわけでございます。つきましては,現在の指令員の救急に関する資格状況と,今後,指令員に
救急救命士の資格を持った職員を配置する考えがあるのか,あわせてお伺いをいたしまして,私の質問を終わらせていただきます。
◎藤塚
警防部長 委員長,お答えする前に一つ訂正がございます。私,平成9年中に心電図伝送を行った件数を272 と申し上げましたが,727 件の,大幅な増,大変申しわけございませんでした。よろしくお願いいたします。
それでは,お答えをいたします。
1点目の国立札幌病院の件についてでございますが,委員がご指摘のとおり,救命救急センターとして重篤な患者治療のための3次医療機関に指定されておりまして,心電図受信装置の設置は必要であると考えております。これまで,同病院と協議してまいりましたところ,平成10年度に設置することで合意をいたしておりまして,その準備を進めているところでございます。
次に,2点目の指令員の関係についてでございますが,現在,指令員の勤務体制は3部制で,33名の職員を配置しております。このうち,6割に当たる21名が救急隊員の資格を修得しております。
また,
救急救命士の配置についてでございますが,一層その充実を図るため,
救急救命士の養成状況を踏まえながら配置してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○宮本 委員長 以上で,第8款 消防費などの質疑を終了いたします。
ここで,理事者交代を含め,委員会を暫時休憩いたします。
───────────────
休 憩 午後2時51分
再 開 午後3時10分
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○宮本 委員長 委員会を再開いたします。
議案第18号 平成10年度札幌市下水道事業会計予算の質疑を行います。
◆新山 委員 私からは,財政状況について2点質問をいたします。
本市が下水道事業に着手したのは,大正15年からという長い歴史があるわけでありますが,本格的な整備は,札幌オリンピックの開催を契機として,市の重点施策として位置づけられた昭和46年度からであります。
その後,現在の7次にわたる5ヵ年計画の中で,本市の急激な人口の増加や都市化の進展に伴う普及促進事業はもとより,浸水対策事業や公共用水域の水質保全のための改善や高度処理,あるいは雪対策事業など,約9,000 億円の巨費を投じて積極的に推進してきているわけであります。特に昭和54年度から昭和57年度にかけては下水道建設のピークを迎え,単年度で400 億円を超える事業費を投入してきているわけであります。
この結果,下水道普及率は,他に例を見ないほど短期間に上昇して,今や99%に達し,大都市の中でもトップクラスになっているところであり,これまでの下水道局のご努力に対し,深く敬意をあらわすものであります。
下水道は先行投資型の典型的な事業であり,その建設には,巨額の建設費と長い年月が必要となってくるわけであります。このことは,平成10年度予定貸借対照表の固定資産合計が7,507 億7,700 万円となっており,他企業の水道及び交通局と比較をしても,水道局の約2.4 倍,交通事業・高速電車事業の約1.5 倍となっているところからも,いかに下水道整備にお金がかかるかということがわかるわけであります。
一方,このような巨額な建設投資にかかる財源ですが,国庫補助金,企業債及び自己資金のうち,特に企業債,借入資本金が,将来の市民負担として下水道使用料にはね返ってくるわけでありますから,この残高をいかに縮減していくかが極めて重要な課題であると思うところであります。
そこで,お伺いをいたしますが,平成10年度の予定貸借対照表の借入資本金残高は3,493 億2,000 万円で,前年度より約51億円,1.5 %増加しております。この未償還残高を過去5年間で比較をすると,どのような推移となるのか,お聞きをいたします。
また,下水道は,昨年4月より,長期的な財政基盤の安定化を確保するため,平均で6.45%の使用料の値上げを行ったところであります。平成30年までの財政計画策定時で,企業債の元利償還金及び未償還残高それぞれのピークを示しておりますが,このときと社会経済情勢が相当変化してきていると思いますので,今現在の状況の中で,今後,これらのピークがどうなるのか,お伺いをいたします。
◎齊藤 総務部長 それでは,第1点目の未償還残高の推移についてお答えをいたします。
ご存じのように,下水道事業を整備するに当たりましては,補助事業と単独事業がございます。また,各年の事業費,さらには過去に借り入れをいたしました元金の償還額によりまして,各年度の残高が変わってまいりますが,私どもといたしましては,極力,企業債の残高を抑制する方向で事業執行に当たっております。
そこでまず,ご質問の第1点目であります未償還残高の推移でございますが,各年度末の残高状況を申し上げますと,平成6年度は3,191 億円でございました。これが,7年度には3.4 %増加をいたしまして3,302 億円,8年度には2.5 %増の3,387 億円,9年度には1.6 %増の3,442 億円,そして,10年度は1.5 %増の3,493 億円となる予定でございまして,総じて申し上げれば,未償還残高の増加額は鈍化の傾向を示していると思います。
次に,第2点目の元利償還金及び未償還残高のピークは,財政計画策定時と比較をして,どのように推移をしていくかについてでございますが,これを将来推計いたしますには,今後の建設事業費,起債の発行額,発行利率などの条件設定が必要となってまいります。
そこで,平成10年度までについてはこれまでの実績がございますので,これに基づきまして試算をすることになりますが,平成11年度以降につきましては,前回の審議会に提出をしております資料をもとに推計をしてまいりますと,まず,元利償還金の推移でございますが,元金は,平成21年度までは増加の傾向を示しておりまして,また,利息は比較的安定して推移する傾向にございます。
なお,元利合計負担のピークにつきましては平成21年度でございまして,その額は416 億円ぐらいになるのではなかろうかと試算されます。これは,ご指摘のように,昭和54年から57年度にかけまして各年400 億円を超える建設費を投入し,下水道の普及促進に努めてまいりましたが,これら借り入れた企業債が,ちょうど30年目の満期を迎えると,これによることが主でございます。
次に,平成11年度以降の企業債の残高でございますが,現時点での試算で申し上げますと,平成14年度までは各年の償還額よりも借入額の方が多いため徐々に増加傾向を示しまして,平成14年度に残高のピークを迎えると思われまして,その額は3,616 億円になる予定でございます。それ以降は,建設事業費の減少に伴いまして償還額が借入額を上回りますので,徐々に減少していくものと見込まれております。
いずれにいたしましても,資本費負担は当面右肩上がりの傾向を示しておりますことから,今後は長期的展望に立った企業経営に努めてまいりたいと,このように考えております。
以上でございます。
◆新山 委員 次に,このような将来における資本費の重みを率直に受けとめ,下水道事業も,近い将来,大変な時代に突入するものと予測され,企業みずからの経営努力については避けることができない事柄と考えます。
もとより,我が党といたしましては,平成10年度予算編成に向けて,行政改革の要望を提出いたしております。その内容としては,21世紀の初頭に到来する少子高齢化時代を念頭に置き,昨今の厳しい経済環境を認識し,さらに,本市の弱い財政基盤を考えたとき,思い切った行政改革の断行は避けて通れないというものであります。
本市を取り巻く経済状況は,拓銀を初めとする民間の大型倒産の中で,想像の域を超えるほどの悪い状況になっております。こうした不況のさなか,公共事業の見直し論議は,公共事業に高く依存をしている民間企業にあっては,収益の実質減につながる重大事であります。したがいまして,民間企業にあっては,人件費を初めとする諸経費の削減,経営形態や経営方針の変更など,あらゆる手だてを講じてこの難局を乗り切っていこうと努力をしていると聞いております。
下水道事業にあっては,今日,短期間にこれだけの高普及率を達成し,市民の財産として誇れるものと,私は高く評価をいたしておりますが,これからは,維持管理の時代への過渡期に当たって,いかに維持管理コストを低く抑え,よい行政サービスを提供していくかが時代の要請であり,当然のことながら,公共事業に携わる者として,この市民の負託にこたえていくことが今日的な使命であると思います。
そこで,お伺いをいたしますが,こうした実態を踏まえ,下水道局として,今後の事業運営に対してどのような改革論議を進めているのかということ,あわせて,どのようなことを効率化の検討課題としているのか,具体的にお伺いをいたします。
◎齊藤 総務部長 ただいまの下水道事業における経営の効率化の対応について,お答えを申し上げます。
公営企業として事業の健全な経営を目指す経営の効率化は,これからも市民負担に大きく影響を及ぼすものであるとの認識に立ちまして,昨年4月に経営企画課を設置するとともに,内部に経営効率化検討委員会を発足させまして,具体的な効率化の論議を進めております。
特に,ことしの秋には新庁舎に移転することが決まっておりまして,これを契機といたしまして,平成11年度には大幅な機構及び定数の見直しを行うべく,その実施計画を策定しているところでございます。
具体的には,新庁舎移転によりまして財団法人札幌市下水道資源公社との同居が可能となりますことから,現在,その業務件数が増加傾向にございます公共ます関連の業務や地下水の検針業務について委託化を図るとともに,局全体の執行体制につきましても大幅に見直しを行いまして,現在,各部で抱えております類似業務,例えば財産管理や工事契約,さらには雪対策などを担当しております技術開発部門を一元化していくと。さらに,職員をできる限り縮減をし,現行組織をスリム化する方向で効率化を図ってまいりたいと,このように考えております。また,OA化の技術も日進月歩いたしておりますので,この積極的導入を,さらに省力化とあわせて進めていきたい,このように考えております。さらに,施設の維持管理面におきましては,市民サービスの低下にならないことを念頭に,できるだけ早い機会に下水管理事務所の統廃合を図り,効率化を積極的に進めるとともに,さらに,処理場施設を含め,下水道施設全般にわたる見直しに鋭意取り組んでまいりたいと,このように考えております。
以上でございます。
◆新山 委員 ただいま,将来の下水道事業経営に対し,将来のあるべき姿を踏まえ,真剣に効率化の論議がなされているということで,一応の安心をいたしたところでありますが,いずれにしても,効率化に対する姿勢として大事なことは,下水道局の職員一丸となった意識改革であると思います。すなわち,下水道の仕事に携わる一人一人の職員が明確な目的意識を持って,要は,やる気を起こさなければ何事も進まないと思うのであります。
私は,そのきっかけとなるものとして,厳しい経済環境の中で民間企業ではよく,社訓や会社の経営理念を社員に意識高揚の手段として取り入れ,一定の成果を上げていると伺っております。そのような中,大切なことは大きく3点あろうかと思います。
その一つは,下水道事業も企業でありますから,当然のことながら,職員全員が原価を強く意識することが大切と思います。すなわち,最少の経費で最大の効果を上げるために,下水道に働く職員の一人一人が常にコスト意識を持って,企業の経営安定を図ることが必要であります。
二つ目は,刻々と変わる社会情勢に臨機応変に対応するためには,従来の役所慣行にとらわれない大胆な発想の転換が必要であり,情報の収集には細心の注意を払い,時代の波に乗りおくれないことが大切であります。
三つ目としては,下水道事業運営に当たって,市民の信頼関係の確保に努めることであります。当然,一般企業にとって顧客との信頼関係は一番大切なものであり,そのためには,企業は,平素の企業活動はもとより,コマーシャルやお客様への訪問を通して信頼関係を築いております。市民生活に密接な関係のある下水道事業が市民の負担と信頼で成り立つ公営企業であり,その経営姿勢としては,職員の強い企業意識の高揚がなくては成立し得ない事業であると強く認識をいたしております。そんな意味から,市民サービスを永続的に提供をし,市民に愛される事業を展開する使命があるわけでありますから,まずもって,健全経営を目指す公営企業としての企業理念を明確に職員に示していくことが大切と考えますが,ご意見をお伺いいたします。
◎島田 下水道局長 企業は人なりという格言がございますけれども,混迷します社会情勢の中で,この言葉は,官民を問わず,また,時代を問わず企業経営の柱になるものと考えております。
したがいまして,公営企業といたしましての使命であります公共性はもとより,さらに経済性を発揮するために,下水道局で働く職員が一丸となって企業意識を持つことは極めて大切なことであり,そのバックボーンとなります経営理念の必要性を強く認識いたしまして,委員からお話のありましたことを真摯に受けとめさせていただきまして,早急に検討してまいりたいと思っております。
◆川口谷 委員 それでは最初に,下水道事業の財政計画と今年度予算案の比較対比についてお伺いをいたします。
現在の財政計画,これは97年から2000年までを期間として4年間で策定してありますけれども,2000年度末では,汚水分として約53億円の資金不足が見込まれたことから,去年の4月,下水道料金の改定を行ったところであります。
今回,予算を拝見いたしますと,総体で約40億円の資金残が見込まれているということでありますけれども,これについて,財政計画上での98年度末の汚水分の資金残と比較して,好転することになると考えられるわけであります。
そこで,当初の財政計画と98年度予算を比較した場合に,料金算定のベースになる汚水分の資金残はどういう状況になっていくのか,また,その理由についてお答えをいただきたいと思います。これ,1点目であります。
次に,2点目でありますけれども,公共工事のコスト縮減対策についてであります。
下水道事業は,もとより,これは土木建設の中では建設局所管が一番大きいわけですが,それに次ぐ大規模な部門だというふうに思いますけれども,コスト縮減対策については,去年の4月,国の方で行動指針というものが決められまして,各省庁,各自治体が,その後取り組むということになっておりまして,本市でも昨年12月,行動計画を決めました。
これは,97年から99年の3カ年の縮減目標を10%以上にするという中身になっております。この10%の目標については,工事の計画・設計の見直しなど,発注者側の努力で6%,資材流通機構の改善などによる工事構成要素のコスト縮減など,発注者以外の分野で4%ということになっておりまして,率直なところ,これの目標達成というのはなかなか大変ではないかなと思います。
下水道局では,現在も年間340 億円ベースの事業をやっているわけでありまして,財政的に厳しい今日,このコスト縮減対策が今後の事業展開に大変大きな影響を与えるというか,重要な課題だというふうに思います。
そこで,1点目の質問でありますけれども,下水道局として,このコスト縮減対策の取り組み状況はどうであったのか,これ1点目であります。
このテーマの二つ目の質問ですけれども,このたびの行動計画の中で,下水道局として取り組んでいる主な施策について示していただきたいと思います。
次に,3点目の質問でありますけれども,第7次5ヵ年計画の進捗状況についてであります。
去年6月の国の財政構造改革の推進方策では,ご承知のように,公共事業費についても削減の方針が出されておりまして,98年から2000年の3カ年を集中改革期間として,7・5・3%の目標が示されたところであります。これによって,国の方では7.8 %減の公共事業費になった,非常に厳しい縮減になっています。しかしながら,下水道は国の重点事業でもありまして,他の公共事業と比べると,縮減率ですね,これは低いかもしれませんけれども,影響は免れないわけです。
そこで,質問の1点目としまして,98年度予算では,本市の場合,どういう影響を受けたのか,これが1点目です。
2点目は,第7次5ヵ年計画で1,700 億円に対する,この計画に対する進捗状況,どういう状況にあるのか,2点目お答えをいただきたいと思います。
以上です。
◎齊藤 総務部長 それでは,私の方から。
まず,第1点目のご質問でございます平成10年度予算における汚水分にかかわります資金残の状況といたしましては,財政計画と比較いたしまして,単年度で4億5,300 万円好転をする予定でございます。
そこで,この理由についてでございますが,まず,収入面におきましては,利用世帯等の増によりまして下水道使用料の増が見込まれまして,計画に比べて1億9,700 万円増収を予定しております。次に,支出面におきましては,動力費等の減などによりまして,維持管理費で1億4,900 万円の節減が考えられております。さらに,起債等の利率の低減によりまして,支払い利息が1億2,900 万減少することなどによるものでございます。
この結果,資金残といたしましては,平成8年度の決算で生じております7億9,800 万円にこの4億5,300 万円を加えまして,合計で12億5,100 万円の好転となりまして,平成10年度末での資金残額は30億8,300 万円となる予定でございます。
◎小西 建設部長 それでは,私の方から,コスト縮減対策と第7次5ヵ年計画の進捗状況の2点についてお答え申し上げます。
まず,コスト縮減対策に関する第1点目の下水道局としての取り組み状況でございますけれども,このたびの本市のコスト縮減対策の行動計画の策定に当たりましては,建設局を初めといたしまして,工事部門を所管する各局で構成されましたコスト縮減対策検討委員会により審議されているところでございまして,この中で,下水道局も参画をして,コスト縮減につながる施策の掘り起こしに努めてきているところでございます。
また,局内におきましても,管渠部門と処理場・ポンプ場部門に分けた検討委員会を設置し,現在,コスト縮減のための施策の実施に向けて,具体的な作業を行っているところでございます。
また,2点目の行動計画の主な施策についてでございますけれども,まず,管渠部門から申し上げますと,最小管径の見直し,マンホール構造の小型化,そして,老朽管の更新時におきます非掘削工法の採用等,また,処理場・ポンプ場部門で申し上げますと,沈砂池の除じん機の簡略化や,従来,地下深く築造されておりました沈砂池をできるだけ浅く築造することが可能な,いわゆる後沈砂池の採用でありますとか,電気機械設備における予備機器類の見直しなどの施策を盛り込んでおります。このほか,各部局共通の課題でもございますけれども,発注ロットの大型化や早期発注につきましても施策の一つとして考えているところでございます。
今後,これらの施策のほかにも,局内の検討委員会でさらに新たな施策を加え,目標の達成に向けて努力してまいりたいと考えているところでございます。
次に,7次5ヵ年計画の進捗状況についてお答え申し上げます。
まず,1点目の国費削減の平成10年度予算への影響についてでございますが,ご指摘のように,本市の下水事業におきましても,国の財政構造改革によります事業費削減の影響を受けまして,5ヵ年計画の平成10年度計画額350 億円に対しまして13億円,率にいたしまして3.7 %減の337 億円と,厳しい状況になっております。
次に,2点目の第7次5ヵ年計画の進捗状況についてでございますけれども,5カ年の全体事業費1,700 億円に対しまして,平成10年度までの3カ年では,事業費で1,040 億円,率にいたしまして61.2%を計上しております。
これに対しまして,平成10年度予算までの予定では,平成8年度の補正7億を加えまして1,027 億2,600 万円,率にいたしまして60.4%の進捗となりまして,事業費で12億7,400 万円の減,率にいたしまして0.8 %の減と,若干下回っておりますけれども,今のところ,5ヵ年計画との乖離はそれほどではないと考えているところでございます。
以上でございます。
◆川口谷 委員 今,三つ質問をいたしましたけれども,それぞれに再質問をさせていただきます。
一つは,財政計画にかかわりまして,汚水分の資金残は,当初の財政計画では18億3,200 万円であったものが12億5,100 万の好転になるということのようであります。財政計画は,使用料改定を判断する基礎にしているものでありまして,こういうふうに計画と予算に大きな差が生じることは,今後の事業運営に大きな影響を与えるのではないかなというふうに思うのですよ。
そこで,当初の財政計画と予算の間にこうした乖離が生じた理由,今も一部ありましたけれども,どこにあるのか。また,これだけの資金残の好転について,どのように考えていくべきなのか,これは見解を示していただきたいと思います。
それから,2点目のところですけれども,コスト縮減のところですね,今お答えをいただきましたが,そもそも日本の公共事業は,諸外国と比較をして2割なり3割高いということで,よくその筋の方々から指摘を受けているわけですね。しかし,いわゆる護送船団方式というようなことなどもありまして,なかなか下げ切らないということが言われています。
今,コスト縮減に積極的に取り組んでいくのだというお答えはありましたけれども,しかし,これについては,冒頭申し上げたように,現下の財政状況の中で,本市の街づくりを進めるにしても,既にある都市基盤施設を保持していくにしても,今回の計画年次である99年度までということではなくて,今後とも技術開発を含めて継続して取り組むべきものだというふうに思います。いわば,このコスト縮減というのは永久の課題でもあるというふうに思います。
この点,下水道局としてどう考えているのか。局長は,いみじくも,企業は人なりと格言を用いられたわけでございますけれども,どういうことを考えておられるのか,これはコスト縮減にかかわる再質問です。
それと,3点目の7次5ヵ年の進捗状況にかかわりまして,この5ヵ年計画で,今のところ,それほど乖離はないと言いますけれども,今後,5%,3%と,国の指針に従って削減されると,影響が大きく出るというふうに思います。これは,ちょうど5ヵ年計画と国の集中改革期間が重なるということもありまして,1,700 億円の達成というのは非常に厳しいと判断されるのではないでしょうか。しかし,国費が削減されたとしても,コスト縮減を進めて事業の効率化を図ることで,5ヵ年計画を変更することなく達成してもらいたいものだなというふうに思います。
そこで,5ヵ年計画の今後の見通しについての所見,そして,下水道事業というものの将来展望についても示していただきたいと思います。
特に,下水道事業の将来展望につきましては,言う人に言わせると,札幌の下水道の,少なくとも基盤整備はほぼもう終わっていると。そろそろ,サンセットとは言いませんけれども,一定の戦線の縮小ということがあってもいいのではないかという声があります。金額が大きいだけに,大変大事なところだと思います。
私,財政の質問のときに,他会計に対する繰出金を聞いたわけですけれども,国保とか交通とか病院に加えまして,下水道には大体二百五,六十億円ベースで毎年ほぼルールに従って繰り出すということになっておりますので,いわば,準義務的経費化をしておりまして,下水道事業の努力というのは非常に求められると思いますが,下水道事業の将来展望についてもお答えをいただきたいと思います。
以上です。
◎齊藤 総務部長 私の方から,ご質問の趣旨でございます汚水分にかかわる資金残につきまして,当初の財政計画と平成10年度予算との間に乖離を生じている理由についてでありますが,財政計画を策定する際には,一定期間におきます係数の推移を見て,長期的な視点から使用料等の収入や動力費,委託料,人件費等の維持管理費,さらには企業債の償還利率等,さまざまな要素を考慮して策定しているものでございます。
一方,予算につきましては,予算の編成時点におきます経済見通しを考慮の上,それぞれの要素をその時点時点で再考し作成しているものでございますので,ご指摘のような,計画と予算との間に乖離を生じているものでございます。
なお,好転をした資金残につきましては,将来におきます市民負担の軽減につながるよう,今後とも健全で安定的な経営に努めてまいりたいと,このように考えておりますので,よろしくお願いいたします。
◎小西 建設部長 それでは,ただいまの,今後におきますコスト縮減対策への取り組みについてでございますけれども,基本的には,ご指摘のように,コスト縮減は一時的なものではなくて,長期的に続けるべきものと思っておりますし,あわせて,これまでの公共事業の体質改善という側面も担っていると認識しております。
特に,下水道局におきましては,この厳しい財政状況下で,今後も普及促進,浸水対策,水質改善対策,さらには老朽施設の更新事業,雪対策事業など,やらなければならない多くの事業を抱えておりますので,これらを計画的に推進するためにも,このたびの計画年次にとらわれることなく,継続的に取り組んでいかなければならないと認識をしているところでございます。
現段階で考えられている施策の一例を挙げますと,先ほど申し上げました施策以外に,さらにシールド工事における二次覆工の省略化と長距離推進の施工,それから処理施設の小型化,処理機械の高効率化等のほか,清掃工場から発生します余剰電力の処理場施設への活用,さらに,下水汚泥焼却灰の有効利用等が考えられますけれども,いずれにいたしましても,今後とも国や他都市の情報,民間レベルの新技術をも取り入れながら,積極的にコスト縮減対策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
以上です。
◎島田 下水道局長 私から,今後の5ヵ年計画の見通し,そして,下水道事業の将来展望ということにつきましてお答えをさせていただきたいと思います。
まず最初に,5ヵ年計画の今後の見通しでございますけれども,公共事業費の削減が平成12年度まで継続をされますと,本市の下水道事業にとりましても,ますます厳しい状況になるものと思われます。しかしながら,現5ヵ年計画の事業内容は,いずれも市民生活に密着をいたしました必要不可欠な事業を推進しているところでございますことから,今後とも,国費の必要額の確保に向けまして最大限の努力を進めますとともに,コスト縮減を初め,より一層の効率的な事業執行を図りながら,5ヵ年計画で予定をしております事業を鋭意推進してまいりたいと,そのように考えております。
また,下水道事業の将来展望ということでございますけれども,さきに可決されました本市の街づくりの方向を定めております基本構想や,環境局で策定中でございます環境基本計画におきましても,下水道の果たすべき役割はますます大きくなるものと考えております。
このことから,ただいま,委員,いみじくも言われました,基本的な下水道施設は概成したじゃないかというお話でございますけれども,下水道の今後の展開といたしましては,よりよい水環境,水循環の創造,そして再生に視点を置きながら,人口の増加に伴います施設の増強,浸水の防除,そして公共用水域の水質保全のための合流式下水道の改善と,あわせまして,高度な処理水質の確保,それから資源,施設の有効利用,さらに,今後ますますウエートが高まってまいります老朽化施設の改築・更新・再構築といった,いわゆる第2世代の下水道へと事業の重点が移行していくものと考えております。
また,このほかにも,今後とも市民要望がますます強くなります雪対策,そして下水道管内を利用いたしました光ファイバーによります高度情報化時代へ向けました下水道の積極的な貢献,さらには震災時におきます下水道施設の有効活用を目指しました事業展開も進めてまいりたいと,このように考えてございます。
以上でございます。
◆川口谷 委員 局長の方から,7次計画あるいは将来展望についてお答えをいただきました。
そこのところは理解をいたしましたが,コスト縮減のところで,私も建設局とも接触をしまして,公共事業のコスト削減というのは,これはもう至上命題だということで,建設局どうなのだと,いろんな部ともキャッチボールをしまして,コスト縮減の具体的な心構えとか,本当に正味あと2年しかないわけですね。97,98,99ということで。だから,正味2年間で10%のコスト縮減をするということになると,大変至難のわざではないかなというふうに思うのですね。
今,局長の方からも,最大限努力をするということでございますけれども,端的に言って,10%以上の縮減の見通しを持っておられるかどうか,すばり聞かせてもらいたいと思います。建設局サイド,何部とは言いませんけれども,一生懸命頭かいておりまして,とにかく,やるだけやるのだという精神論で答えていただきました。
私も,技術的なことについては全くの素人ですけれども,例えば道路で言うと,こういうことがあるのですね。今,スパイクタイヤがなくなりましたからそうでもなくなりましたけれども,オーバーレイやるときに,今は工場でアスファルトをつくりまして,ダンプカーに乗せて,工事の後ろずうっとついていってオーバーレイしていくと,そして転圧していくというようなことをやりますね。この間,業界紙か何かで見たのですけれども,道路のでこぼこを,凹凸を削った片っ端から熱加えて,アスファルトを再生して,順次それをまたすぐ後ろの車で敷いて転圧してしまうと,そうすると,コストが40%で済むというのですよ。これは大きいと思うのですが,建設に聞いたら,その技術についてはまだ情報を持っておりませんということで,手がついていないみたいですけれども,私は,たまたまそういうニュースを見たので申し上げたのですが,これからは,随分と,そういうあらゆる技術開発に敏感になる必要があるのではないかなと思うのです。
もう一つだけ,これもご承知の方多いと思うのですが,交通信号機,今,ランプが三つついていますよね,青,黄,赤と。それで,これを一つの電気の球で全部表現するライトがあるというのですね。球一つで,青から黄色になって赤に変わると。そうすると,交差点交差点に添架しているものは,少なくとも単純に言えば,重量は3分の1で済むわけですよ。非常にコストダウンになると思うのですが,理由はわからないけれども,国内どこにも採用されていない。これは,ぜひやるべきだと思うのですけれども,法律的なこともあるでしょう。しかし,社会全体のコスト負担からいけば,即,着手していいのではないかなと思うのですが,さて,下水道の場合,地下に潜ってやっている仕事なものですから,私の目にはマンホールぐらいしか目に入りませんけれども,10%以上の目標ということについて,本音のところ,正味残された2年で達成することができるのかどうか,その見通しを聞かせていただきたいと思います。
◎島田 下水道局長 大変厳しいお話をいただきましたけれども,委員お話しのように,大変難しい状況でもございます。
私どもといたしましては,こういう厳しい財政状況の中で,5ヵ年計画の達成をどうやって中身としてやっていくかということを考えましたときに,やはりできるだけコストを縮減しながら,それから新しい技術等も導入いたしながら,掲げております事業が最大やれるように努力をしたいということでございまして,委員言われますように,新しい技術,それから他都市でのいろいろな情報,そういうものもいただきながら,私どもとしましては,目標値達成に向けまして最大限の努力をいたしてまいりますということでおわかりをいただきたいと思います。よろしく。
◆川口谷 委員 どうも局長の人柄でそういうふうに言われますと,私も二の矢なかなか継げませんけれども,いずれにしても,これからの社会,分母が小さくなるわけです。それを支える人が少なくなるわけでして,コスト削減・縮減というのは,我々お互いに生きていくための永久の課題だというふうに思います。企業は人なり,下水道局の人柄について私は信用をしておりますけれども,また,決算の折々に事業のそれぞれの評価についても聞かせていただくことにして,局長の政治生命をかけて頑張っていただくようお願いしまして,質問を終わります。
◆小田 委員 今,お2人の方から財政問題で質問がございましたけれども,私も,まだ勉強したてでございますので,私の方からは1問だけ質問をさせていただきます。それから,大きな2点目は,下水道局の持っております施設や資源の有効利用,この二つについて質問させていただきます。
最初の1点目の下水道局の財政問題のうち,経費削減の問題につきまして質問をさせていただきます。
本市の下水道事業会計でございますけれども,昭和57年度から,地方公営企業法の一部を適用して経理処理をしているということで勉強させていただきました。足かけ16年になっているそうでございます。この間,札幌市の都市化の進展に伴いまして,これまで,下水道の普及促進,浸水対策事業,それから水質改善対策,そして,今もお話出ておりましたように,雪対策事業など,積極的に行ってきているところであります。
その結果,これらにかかわる維持管理経費及び減価償却費,また,借入金にかかわる元利償還金などの増加によりまして,これまでの下水道事業会計の予算規模は右肩上がりに推移をしてきたところであります。
ところが,平成10年度予算と9年度予算とを比較してみますと,支出総額では,前年度より14億4,600 万円,率にいたしますと1.5 %減少しまして984 億4,400 万円,一方,収入総額でございますけれども,0.2 %の1億7,300 万円減少しまして,831 億7,400 万円となっております。
そこで,収入及び支出について,それぞれの特徴的な内容についてお伺いをしたいわけであります。
まず,支出のうち収益的支出でございますけれども,支出全体では,前年度に対しまして0.7 %増の505 億6,500 万円となっておりますが,この内訳を見ますと営業費用で3.5 %増の324 億5,300 万円,営業外費用は3.8 %減の180 億8,200 万円と,大きく落ち込んでいるわけであります。それは,どういう理由からなのか。
また,資本的支出においては,3.7 %減の478 億7,900 万円となっておりますけれども,この内訳を見ますと,建設事業費で8億円減の337 億円となっているということでありまして,これは,国の財政構造改革法,もうちょっと長い名前の法律でありますけれども,この影響を受けたものであるというふうに考えているわけであります。しかし,償還金が前年度に対し6.7 %減の138 億4,200 万円と大きく減少しておりますが,私の認識では,貸借対照表の企業債残高も前年度に対し増加しているわけでありますから,当然,償還金も累増するのではないかと思っていたところであります。なぜ減少しているのか,その理由をお伺いしたいと思います。
次に,収入でありますけれども,収益的収入で,その大半を占めますのが下水道使用料と一般会計繰入金であります。繰入金につきましては,これまでのルールで,例えば雨は公費で負担する,こういうルールでありますけれども,ルールで一般会計から繰り入れされているわけでありますから,そのルールに基づいて計上されておりまして,問題はないと思うのでありますが,下水道使用料につきましては,その年の天候や景気の動向を大きく受けるのではないかというふうに思います。特に最近の景気でございますけれども,大変に厳しい状況でありまして,例えばホテルテルメ倒産ということになりまして,これは下水道局にとっては大きな収入源を失ったと,こういうふうに私は推測しているところでありますが,9年度の見込みと10年度予算をどのような考え方に基づいてこれを積算したのか,お尋ねいたします。
また,資本的収入の中で,建設事業費との関連で企業債,それから国庫補助金が前年度を下回ることはわかりますが,その一方で,一般会計補助金,負担金が大きく伸びている要因は何なのか,それぞれお伺いをいたします。
一遍に質問させていただきますけれども,次は,下水道の持っている施設や資源の有効利用についてであります。
近年,地球環境保全という,今議会でも大変に論議されておりましたけれども,地球環境保全,あるいは,ほかの分野でも資源の有効利用やリサイクルによる省資源化,省エネルギー化などの重要性が叫ばれてきております。
下水道におきましても,管渠や処理場の施設を初め,下水処理水,それから下水汚泥などの資源を有効に活用することが大きな使命の一つになっていると思うのであります。
札幌市の長期総合計画の中でも,水道局は四つの基本方針をうたっておられます。中でも注目しているのは,本市の場合,北国特有の対応として,下水道の持つ施設や下水の熱エネルギーを活用した雪対策であります。この点につきましては,以前から議会でずっと論議をされてきておりますし,平成4年の1定で,直接投入についての代表質問がなされた経緯もあります。札幌市がこれまで積極的に取り組んでいることは,大いに評価をしたいと思いますけれども,今後も含めて,下水道施設や施設の有効利用につきましては積極的に取り組んでいる,また,積極的な認識が発表されている,こういうことで,私はその点につきましては十分に認識をしているところであります。
そこで,具体的なことを2点お尋ねいたしますけれども,まず1点目として,雪対策による下水道の持つ施設や資源の有効利用について,未処理下水を使ったケースとしては初めてであります大通の下水道管投雪施設,このシーズンから本格的に運転を行ったというふうに聞いておりますが,その運転状況はどうであったのかをお伺いいたします。
2点目は,雪対策以外の下水道の持つ施設や資源の有効活用として,例えばコンポスト化などがありますけれども,下水道事業としてこれまで取り組んでいる状況について,雪対策以外のものにつきましても,あわせて,この際,伺わせていただきます。
◎齊藤 総務部長 それでは,財政問題につきまして,第1点目の支出の増減からご説明を申し上げます。
まず,収益的支出のうち営業費用で10億8,800 万円増加をしております要因でございますが,職員の給料,手当などの人件費で約1億円,また,管渠の延長,処理水量,汚泥量などの業務量の増,さらに修繕費などで7億1,300 万円,それから資産の増加に伴います減価償却費等で約2億7,500 万円,それぞれ増加をすることによるものでございます。
また,営業外費用で減少する要因でございますが,大半は,金利の低下によります支払い利息の減少でございます。
次に,資本的支出の企業債償還金が減少する要因でございますが,ご指摘のとおり,既発債にかかわります償還金は7億3,700 万円増加をいたしておりますが,一方で,納税準備金を財源といたします繰り上げ償還が,平成9年度に比べまして17億3,200 万円減少することによるものでございます。
次に,第2点目の収入の増減についてご説明いたしますと,まず,事業収入の根幹をなしております下水道の使用料でございますが,平成9年度の見込みは,幸いにも,昨年夏場の好天に支えられまして,予算額の219 億2,600 万円を確保できる見通しとなってございます。
また,平成10年度についてでございますが,この先,どの程度,景気の停滞の影響が出てくるかは,現段階で予測がなかなか難しいところでございますが,いずれにいたしましても,予算確保に向けて最大限の努力をしていく所存でございます。
最後に,資本的収入における一般会計補助金及び負担金が大きく伸びている要因でございますが,一般会計補助金につきましては,臨時財政特例債等の元金償還にかかわります増加分でございまして,これにつきましては,全額,国からの交付税措置がなされておりまして,償還金の財源としているものでございます。
また,負担金につきましては,管渠整備で予定をしております大谷地流通団地にかかわります他会計負担金の増加によるものでございます。
以上でございます。
◎鈴木 工事担当部長 私から,資源の有効利用につきましてお答えを申し上げます。
第1点目の大通下水道管投雪施設の運転状況についてでございますが,この冬の降雪量は,現在のところ4メートル程度と,平年より若干少ない量となっておりますけれども,大通投雪施設は,今シーズン,1月14日から3月5日までの期間で約18日間投雪を行いました。
その結果,雪の処理量といたしましては,ダンプトラックで1,400 台,1万9,000 立米余りとなっております。ちなみに,この量を一晩当たりで見ますと,平均でダンプトラック76台分となり,最大では102 台分の処理を行うことができました。当初の設計能力であります100 台分の処理に十分こたえられたものと判断しております。
続きまして,第2点目の雪対策以外の下水道施設の資源の有効活用についてでありますが,まず,下水処理水の活用としましては,創成川処理場の高度処理水を,水源を失っている安春川や屯田川などに送水して,せせらぎの回復に利用したり,また,防火施設として,その送水管に消火栓を設置しまして,防火用水としての機能も持たせております。
次に,下水汚泥の有効活用としましては,ご質問にもございましたように,下水汚泥を堆肥化いたしまして,札幌コンポストとして農業やゴルフ場の緑農地の利用に販売しておりますし,残りの下水汚泥についても焼却を行い,その焼却灰をごみの埋立地の覆土材や下水道工事の埋め戻し材として有効に利用しております。
そのほか,下水処理場の上部空間などの利用をいたしまして,テニスコートや野球場,サッカー場,パークゴルフ場などを設置いたしまして,市民の快適なレクリエーションの場として開放し,施設の有効活用に努めております。
◆小田 委員 最初に,経費削減の方でございますけれども,ただいまの答弁で,要因はわかりました。
支出の減少要因は,金利の低下あるいは国の財政構造改革などによる,いわゆる外的要因によるものであります。ただし,財政構造改革,きょうも新聞に出ておりましたけれども,いろいろ論議があるようでございまして,これは,また今後,国の方でどういうふうに変化していくか見守っていかなければならないなというふうに思っているところであります。
業務量の増,及び施設の老朽化などに伴う維持管理費は大幅に増加しているわけでありまして,事業運営上,決して好ましい状況ではないというふうに思いますので,今後の経費削減に向けた企業努力を強く要望しておきます。これは,質問いたしません。
先ほどの,施設や資源の有効活用について再質問させていただきます。
今,部長の方からお話をお伺いいたしまして,下水道の持つ施設や資源をいろいろな方面に有効に利用しているということは理解を深めました。その中で,下水道管投雪施設,これは,これまでも予算・決算の各委員会で何回か取り上げられております。直近では,平成8年の1定のとき,それから平成9年の3定のときにも,それぞれ取り上げられております。排雪現場の近くで雪処理ができるなどの有効な施設でありますし,引き続き,第2,第3の建設に向けて,ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思うのであります。
再質問させていただきますけれども,雪対策としては,今,説明ありました大通の投雪施設に引き続きまして,手稲方面に2番目の施設を建設する予定で,このための実験も行っているというふうに聞いておりますが,この手稲方面の建設時期の見通しや実験の結果についてもお聞かせをいただきたいと思います。
それから次に,雪対策以外の下水道施設の資源の有効活用でありますけれども,先ほど言いましたように,地球環境の保全が今後ますます重要な課題となってくる中で,下水道は,もっともっと前面に出て,下水道の持つ資源の有効活用について,あらゆる角度から技術開発を行っていくべきだというふうに考えております。下水処理から出るこの下水汚泥の処分問題は,今後,永久に続く課題でありますので,さらなる有効活用について検討すべきでないかというふうに思うわけであります。
そこで,2点目でありますけれども,下水道全般にわたる施設や資源の有効活用について,今後の本市の取り組みはどのようなものがあるのか,お伺いをいたします。
◎鈴木 工事担当部長 下水道管投雪施設の新たな建設についてお答えいたします。
現在,手稲区と西区の境界線であります追分通の中央分離帯に,ダンプトラックによる直接投雪施設の建設を予定しております。建設時期につきましては,平成11年度に着手し,その年度の冬には使用できるよう準備を進めております。
また,この冬実施いたしました現場実験の結果についてでありますけれども,追分通に布設されている下水道管は,内空4メートルの箱型で,大通より断面が大きく,夜間水量も多く,かつ流速も速いなど,雪処理の条件が良好なことから,大通のようなロータリー設備を使わず,もっと簡易な施設で雪処理が可能かどうか,数通りの方法で実験いたしました。その結果,幾つかの方法で,一晩にトラックで150 台余りの雪を処理できることが確認され,今後,さらに検討を加え,少ない費用で効果のある方法を選定し,実用化できるものと考えております。
次に,2点目の下水道全般にわたる施設や資源の有効利用についてでありますが,これまで実施してきている雪対策,せせらぎの回復,コンポスト化などの推進とともに,さらに災害対策の一環として,例えば,下水道管のマンホールを利用した仮設トイレを公園敷地などに設置する方法ですとか,建設現場からの発生土で,通常,残土として処分せざるを得ない粘土や泥炭などを下水道の焼却灰と混合することによって,建設現場の埋め戻し材に再利用する方法,そのほかにも,いろいろなことをただいま検討中でございます。これにつきましては,各都市でもいろんなことを実験しておりますので,それらの事例も参考にしながら,本市の実態に即応した技術開発を積極的に行っていまいりたいと,そのように考えております。
◆小田 委員 最後に要望にさせていただきますけれども,ただいまご説明ございました手稲方面での施設でございます。
追分通でございますけれども,道路が50メーターということで,これは将来を見越してこういうふうにいろいろ設計され,現在こういう施設ができ上がったわけですが,実は,この追分通に入っていきます,接続しております地元の道路には,稲積7号線,これはバス通りになっております,それから,次に稲積6号線というのがございます。これが,後からできて,いろいろと道路構造上,問題がございます。直接この追分通に接続していないわけです。道路構造が,いろいろと,これから検討しなきゃならない構造になっておりますので,これは直接は下水道局でございませんけれども,関係の局に働きかけていただいて,ダンプが出入りするわけですから,当然アクセスとして,道路の構造もいろいろと今後検討されなきゃならないというふうに私は思います。稲積6号線につきましては,この追分通との接続がスムーズにいくように,また,信号機等が設置されまして事故が起きないように,こういった点につきましても,今後,関係の各局と連絡をとっていただきまして,理想どおりのすばらしい施設になるように,ぜひご努力いただきたいと思います。
以上は要望させていただきます。ありがとうございました。
◆高橋[重] 委員 私は,簡潔に1点質問をいたしますが,それは,下水道に対する市民の理解と協力をどういうふうに求めていって費用負担をできるだけ抑えるかという問題についてなのです。
先般,テレビ放送を見ておりましたら,台所排水の浄化作戦という形で,ある番組が組まれておりました。今,全国どこでも下水道が普及をしているという中で,国民の下水道に対する期待も大きいわけです。しかし,下水道を通して排水される,その下水道そのものに流す水が非常に汚れておると。これは,当然のことなわけですね。そこで,この汚れを,いかに各家庭で抑えるかというようなことで工夫をしていくことで,下水道の負担を軽くするということが出されておりました。
それを見ますと,例えば,米のとぎ汁を流すときに,米をといで,汁を大体台所で流してしまう,私もたまに米をとぐことがございます。大体,投げます。しかし,このテレビを見てからは,投げないでバケツの方へそれを移して,できるだけ下水に流さないようにしようというように,私自身は意識をちょっと変えることができました。しかし,大変面倒くさいということもあるし,また,どれだけ流せばどれだけ汚れるかということがよくわからないということもございまして,こういうことの宣伝といいますか,PRといいますか,教育といいますか,このことがいかに重要かということを教えられたわけでございます。
そこで,まずお聞きしたいことは,下水に流入してくる家庭系の排水と事業系の排水,このテレビでは,家庭系が97%,事業系が3%と,こういうふうに言っていましたけれども,札幌市の場合は,この事業系と家庭系がどういう割合になっておるのかというのが第1点です。
第2点は,ことしの予算を見ますと,下水道にかかる費用が505 億6,500 万円,約500 億円かかると。そのうち,営業費用が324 億円だと,こうなっておるわけですね。処理水を浄化するのには,この営業費用324 億円が充てられると思いますけれども,処理場全体でこの維持管理にかかる費用が324 億円のうちどのぐらいあり,さらに,汚染しているBODの除去に直接かかる費用はどのぐらいかということも非常に明らかにしてほしい問題なわけです。
それから,3番目には,各家庭から出されてくる排水の汚染の度合いというのは一体どのぐらいで,それを浄化して放流するときのはどのぐらいなのかと,この関係も明らかにしていただきたいと思います。
◎河村 施設部長 まず,第1点目の家庭排水の占める割合でありますが,本市におきましては,流入水量のおおむね65%が家庭用であり,残りの35%が業務用となっております。
2点目の処理場の維持管理にかかわる費用でありますが,約110 億円であります。そのうち,BOD除去に直接関係するものは,処理場の水処理電力量の約50%強を占め,空気吹き込み用送風機の電力量が約6億円,BOD除去に関連する汚泥処理費用が約9億円,合わせまして約15億円程度になるかと推定されております。
なお,3点目の処理場への流入水質は,計画値ではBOD200ppmでありますが,実績では約190ppm,処理水質は,計画値ではBOD20ppm でありますが,実績値では約10ppm となっております。
以上であります。
◆高橋[重] 委員 65%が家庭系で,35%が事業系であると。そうしますと,市民の家庭生活の中から出る65%というものについて,どれだけ協力を求めるかということが一つの課題でないかと思います。
また,110 億円費用がかかるということで,その費用も,190ppmを10ppm まで,約20分の1に浄化するための費用です。
そこで,190ppmが下がってくれば,それだけ,かかる費用も軽減されるだろうと,こう思います。実際に,フライパンの油を取るといったことをやったり,家庭できちっと流さない,このテレビでは,非常にきちょうめんな方の家庭を紹介しておりまして,余ったものは下水に流さない,米汁ももちろん流さないし,お酒も流さない。それから,食べた後の食器ですね,そういう汚れたものは全部,普通は洗剤をつけてどんと流しちゃうけれども,まずティッシュペーパーかなんかで,それも新しいティッシュペーパーでないのですよ,一回使ったやつも保存しておいて,それで汚れた食べかすなんかをきれいにふき取って,そして,その後,洗浄するというようなことをやっておりましたので,大変な協力といいますか,意識的にやっている人はそこまでやっているのかと。
しかし,我々の一般家庭では,そこまでできなくても,もうちょっと理解をして努力すると,例えば,20%ぐらいBODを削減する協力をするというようなことをやったら,一体どうなるかということを,例えば,あなたたちが,一般の市民の人が排出している10%,あるいは20%,30%削減の努力をすれば,下水がこれだけよくなって負担が軽くなりますというようなことを市民に知らせるならば,それじゃ,私もちょっと努力をしてみようかということになるのでないかと思います。仮に2割下げたと仮定した場合に,どれだけ経費の節減になるのかということが推計できれば,明らかにしていただきたい。
それから,台所排水の浄化作戦というようなことで,やっぱり市民にいろいろな協力を求める,例えば,下水道科学館ができましたが,伺いますと,5万6,000 人の方が見学に来たと。非常に市民が下水道を理解する上でも,いい施設ができたのでないかと思いますが,この下水道科学館を通しての市民協力,あるいは,今まで以上に,いろんな角度での市民の理解を求めるような研究もされていいのではないかと,こう思いますが,その点でどのように考えておられるか,そういうことも明らかにしていただきたいと思います。
◎河村 施設部長 まず,第1点目の放流水質の改善の見込みについてでありますが,各家庭で20%のBODを削減すると仮定した場合,処理場の流入水は約13%ほどのBODが減ることになりまので,現在のBOD190ppmが165ppm程度になるかと推定されます。
一般に,流入水質が下がれば,当然,放流水質もよくなる傾向がございますので,相応の改善が見込まれ,公共用水域の水質保全に大きく貢献できるものと考えております。
次に,経費の節約の見込みについてでありますが,非常にマクロな計算となりますけれども,先ほど申し上げましたBOD除去に深く関係のある送風機電力量と汚泥処理費用約15億円のうち,約2億円程度を対象に節約することが可能であるというふうに考えております。
第2点目の基本的な認識でありますが,ご指摘のとおり,市民の理解と協力によって台所排水の負荷を削減することができれば,エネルギーの消費をより少なくすることができ,地球環境の保全という点からも大いに貢献できると考えております。特に,負荷削減のためのPRについてでありますが,昨年オープンした下水道科学館では,下水道に関するPR拠点のみならず,地球環境の保全という観点からも,展示を行ったり,イベントを開催しているところでありまして,下水に油を流さないようなPRも行っております。
基本的には,市民一人一人の下水道や環境保全に対する意識の問題と考えておりますので,今後,ご指摘の点を踏まえまして,さらに効果的なPR方法についても,環境局を初め,関係部局と連携をとりながら検討してまいりたいと考えております。
◆高橋[重] 委員 20%の削減ができれば約2億円の節約になるということですので,市民の皆さんにも,ひとつその努力をしていただく,協力をしていただくという点で,さらに,PRその他,いろいろと検討をしていただきたいと思います。
小学校でも下水道の勉強というようなことが組まれておりますし,ごみ問題でも副読本なんかを出しております。そういうものと抱き合わせをして,学校教育でも,あるいは家庭教育でも,物を大事にしようとするようなことが,また人を大事にする,社会を明るくする,そういう方向に結びついていくよう努力をしていっていただきたいと,そう思います。
さらに,35%を占めておる事業系ですね,この事業系というのは,また多種多様だろうと思うのです。この前,新聞でも,ラーメン店,食堂からの排水が下水の負荷になっておるということが報道されましたけれども,事業系の場合は,商売上やむを得ないということの現実があるかもわかりませんが,業種によっては,研究すると,いろんなことがまた工夫できるかもわかりません。その点で,事業系の排水に対して何か指導する考えがおありであれば,明らかにしていただきたいと思います。
◎河村 施設部長 事業系で50トン未満については,法律上,今,規制はかかっておりませんけれども,ラーメン屋とかなんか,非常にBODが高い排水を流す業種については,個別にラーメン屋さん等にも当たりながら,油の除去についてできるだけ協力してもらうような努力をしていきたい。
それから,1,000 トン以上の大きな事業所については,きっちりとした除外施設の管理を指導すべく,こちらとしては徹底的にやっていきたいというふうに思っております。
以上であります。
◆中嶋 委員 私は,コスト縮減対策と環境ホルモンについてお伺いいたします。
まず初めに,コスト縮減についてです。
これにつきましては,昨年の決算特別委員会で,我が会派の山口委員の方から,三重県の例ですとか,国の動向を踏まえながら質問いたしました。そのときの回答といたしましては,既に本市としては十分縮減対策をとっており,また,三重県は普及率も非常に低くて,本市として参考になる部分は少ないというような内容であったと記憶しております。3月5日の常任委員会で私も質問いたしましたし,また,先ほど川口谷委員の質疑の中で,10%のコスト縮減策ということが示されました。このこと自体は評価しておりますし,ぜひ,この10%を達成していただきたいというふうに思います。
そこで,重複を避けて縮減策について具体的にお伺いしていきたいと思っております。
昨年12月に東京都の下水道局では,建設コスト縮減に関する行動計画をまとめました。これによりますと,98年度の下水道建設コスト縮減は,96年度に比べ3%以上を目標として,金額では約64億円を見込んでおり,数値目標とは別に,技術提案型競争入札方式の試行も盛り込まれております。短期・中期・長期課題として,50項目ほどが具体的施策として盛り込まれております。この中の3点について,先ほど具体的にマンホールのことですとか,老朽管の問題ですとか,管径のことなどが示されましたので,具体的に伺ってまいりたいと思います。
まず初めは,ライフサイクルコストという考え方の導入についてお伺いいたします。
東京都では,この施設の設計に当たっては,今まで建設費が重視され,維持管理経費を考慮したライフサイクルコストについての検討は必ずしも十分でなかったとして,今後,建設,維持管理,更新など,施設全体のライフサイクルコストを適正に評価して,事業を実施するとしております。検討に当たっては,建築仕上げ,建築設備など,ライフサイクルコストの評価のしやすいものから実施し,将来的には,他自治体の動向を踏まえ,当局関係部署との調整を行い,施設全体のライフサイクルコストの算出方法の確立を目指すとしております。
本市の下水道の普及率も100 %に近づいていることを考えますと,今後は維持管理の時代に入ると思われます。そこで,ライフサイクルコストを意識した設計を本市としても行っていくべきと考えますが,この考えについてお伺いいたします。
また,本市では,今までこのような考え方について検討されてきたのかどうかについてもお伺いしたいと思います。
2点目は,管渠工事に関する新しい技術の導入によるシールド工事の二次覆工の省略化と長距離化についてです。
施工技術の革新,材料の品質改良等により,雨水幹線等において,使用用途によって二次覆工圧の減少,または省略するとされています。このシールド工事の二次覆工の省略化と長距離化に対する取り組み,また,これらを実施した場合の現時点で考えられる縮減効果はどの程度のものなのか,お伺いしたいと思います。
3点目は,汚泥処理の機械設備の大型化についてです。
建設コストや用地整備費の軽減や焼却ヤードの土地有効活用が可能となるため,焼却炉と脱水機の大型化を目指すとしていますけれども,これは維持管理費の軽減も当然期待できるものと考えますが,汚泥処理の機械設備の大型化への取り組みと,また,実施した場合の効果についてはどれぐらいあるものなのか,お伺いしたいと思います。
次は,環境ホルモンについてお伺いいたします。
1点目は,非イオン界面活性剤の測定結果について伺います。昨年の1定の予算委員会で,私は,このことを調査してほしいということで質問いたしました。早速この調査を実施していただきまして,2回ほど調査したと伺っておりますけれども,この結果についてお伺いいたしたいと思います。
また,この調査は,まだ国の検査項目には入っていないために,本市としては,全国に先駆けた先進的な取り組みとなったと思いますけれども,このことについては非常に高く評価しておりますので,この測定結果についてお示しください。
◆生駒 委員 (関連)下水について,コストの縮減問題で若干関連してお聞きしたいと思います。
私は,昨年からおととしにかけて,下水道事業において巨額の工事が計画を上回ってやられてきたという問題から,工事の計画に基づく適正な縮減という形で問題を提起してきました。
そこで,今,論議されているように,コスト縮減のための市の行動計画が出ました。それで,この問題で,下水にかかわる点でお聞きしましたら,一つは,技術基準等の見直しで挙げられているのが,下水道管渠の最小管径の見直し,300 ミリを250 ミリにする,あるいは,マンホールの設置基準の見直し,これは間隔を粗くする,それから,マンホールの小型化,小さくする,こういう見直しがあります。大体これが一つブロックになりますね。
それから,二つ目には,設計方法の見直しで,下水沈砂池の粗目除じん機の見直し,これは,二つあるものを一つでやれるのじゃないかと。それから,雨水ポンプ施設の沈砂池位置の変更ということで,これは深いとか浅いとかということだったかな,先ほど出ていましたが。
それから,三つ目のブロックとしては,技術開発という点では,シールド工事にかかわる長距離と二次覆工の省略というふうになると思いますが,今,質問でも出ていましたけれども,問題は,実際にこの3ブロック,1,2,3,分けてですね,いつになったら効果が出てくるのかということです,その1,2,3について。10年度,11年度は望み得ないということだとか,ちらっと聞いていますけれども。そうすると,12年度,13年度,もっと先になるのか,ブロックで挙げましたけれども,具体的に見ると,どれについてはどのくらいで効果が出てくるという,そこですね,明らかにしていただきたいと思います。
◎小西 建設部長 それではまず,中嶋委員の公共工事のコスト縮減対策に対する問題についてお答えいたします。
まず,第1点目のライフサイクルコストについてでございますけれども,ご指摘のように,施設の建設に当たりましては,単に建設費の低廉だけを考えるのではなくて,建設後の維持管理に要する,いわゆるランニングコスト,さらに,施設や設備の耐久性をも含めた総合的な評価に立って事業を進めることが大切であると考えております。
そういうことで,下水道局におきましても,基本的には,この考え方に基づいて事業執行に努めているところでありますけれども,現在のところ,その評価をより客観的にするための算出方法の確立等,新たに研究すべき点がありますので,今後の課題の一つとして検討してまいりたいと考えております。
次に,2点目のシールド工事の二次覆工の省略化と長距離化への取り組みと縮減効果はどうかということでありますけれども,この施策につきましては,現段階では,技術的にまだ十分確立されていない面もございますので,今後とも,技術革新の動向を見きわめながら,実施に向け検討をし,縮減効果を検証してまいたりたいと考えております。
また,続きまして,汚泥処理の機械設備の大型化ということでございますけれども,これにつきましては,既に事業着手をしております西部スラッジセンターで,汚泥集中処理の一環として,今後,発注予定の脱水機と焼却炉において,現在,大型化を図るべく作業を進めているところでございます。
そこで,この大型化の導入によります縮減効果はどうであるかということでございますけれども,脱水機に関しましては約6%,それから焼却炉に関しましては約8%程度になるものと算定しているところでございます。
もう1点の生駒委員の関連のお話でございますけれども,3点ほどありました。例えば,マンホール云々,それから設計基準の見直しでありますとか,シールド等もございました。それで,今,我々は,前段で申し上げました2点ほどについてですが,前段の1点については,9年から11年の3カ年の間で何とか実施可能かなというふうに考えておりますし,それから,2点目の設計方法の見直しでありますとか,雨水ポンプの後沈砂池,先ほど私も答弁いたしましたけれども,これにつきましても,11年度に何とか着工ができるのかなというふうに考えておりまして,その効果があらわれるのは12年度以降というふうに考えております。
それから,3点目になりますけれども,シールド工事の大型化でありますとか,それから推進の長距離化ということにつきましては,先ほど申し上げましたように,まだ技術の発展途上で,新技術を取り入れながら状況を見きわめるという必要がございますので,現段階では,12年度以降になるのかなというふうに解釈をしております。
以上でございます。
◎吉中 処理担当部長 それでは,私の方から,中嶋委員ご質問の非イオン界面活性剤の測定結果についてお答えいたします。
平成9年度におきましては,ご質問のとおり,各処理場で年2回,各処理場へ流れております流入下水及び河川に放流される処理水について測定を行ったところであります。
この測定結果につきましては,流入水では0.32から3.4ppmと,施設により流入濃度の差が見られておりますが,全施設の平均では1.3ppmとなっております。また,処理水では,半数以上の施設では,定量下限の0.16ppm 以下となっております。それから,定量された施設でも,0.18から0.37ppm という値でございました。
現在のところ,他都市における下水処理関係で測定された非イオン界面活性剤のデータは十分ではありませんで,正確な比較はできませんが,文献によりますと,処理水で0.1 から1.1ppmの範囲と言われておりまして,今回までの本市の測定値は,それほど高い値を示していないものと,こう認識しております。
また,0.16ppm という定量下限値につきましては,さらに下限値を下げて精度を上げるというように検討を進めるほか,下水処理場における実態調査に今後も努めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
◆中嶋 委員 まず,1点目にライフサイクルコストの方なのですけれども,私も,こんなに下水道事業で電気をたくさん使っているとは知らなかったのですが,例えば95年度の資料ですと,全国の下水処理場で使う電力というのは40億キロワットということで,日本全体の0.56%に上るということだそうです。これは,下水処理場だけですので,下水とか雨水を処理場に送るポンプ場なんかも含めると,55億キロワットということで,大変なパーセントだなというふうに思います。下水道の普及率はまだ55%ということでありますので,本当に大変な数字だなというふうに思います。COP3などで日本のCO2 の削減計画なども示されましたけれども,間接的ではありますが,こういう電力の消費を抑えるということが下水道局にも求められております。
それで,今,これから今後の課題として研究していくということですけれども,私も自宅でできることとして,テレビのスイッチなんかを必ず切るようにしているのですが,そういうふうにすぐできることなどはないのかどうか,お伺いしたいと思います。
それと,昨年の山口委員への答弁では,もう既に十分取り組んでいるということで,余り前向きとは受け取れない答弁だったのですが,しかし,12月には市の方のいろいろな削減策ですか,札幌市公共工事コスト縮減対策に関する行動計画が示されまして,この中には具体的に下水道局の取り組みが既にたくさん盛り込まれております。それで,私どもが質問いたしましたのが10月21日でしたので,その時点でもう既に計画が練られていたのではないのかなというふうに思ってしまうのですけれども。川口谷委員の質問にもありましたけれども,4月に公共工事についての何か国の動きというのは出ておりましたので,その時点で,当然下水道局としても縮減策を考えてこられたのではないかと思いますが,何かちょっと,いまひとつ答弁が前向きでなかったので,これについては議会を軽視しているのかなというふうにもちょっと疑ってしまうのですけれども,これについて1点お伺いいたします。
それと,環境ホルモンについてなのですけれども,今のところ余り心配はないというようなことでしたが,今,新たに環境ホルモンというような問題が出ておりまして,非常に低い値でも問題が起きるかもしれないということもありますので,ぜひ引き続き調査をお願いしたいと思います。
それと,名古屋の下水処理場で検査いたしましたところ,ノニルフェノールという環境ホルモンが検出されました。河川の方は,非常にノニルフェノールの濃度は薄かったのですが,やはり下水処理場の方は高かったということがございますので,今後,この環境ホルモンに対する取り組みについてはどのようにお考えか,お伺いいたしたいと思います。
◎小西 建設部長 公共工事の縮減についてでございますけれども,確かに,前回のお話で,山口委員の方から三重県の実態について調べて,そのことについてご質問がありました。
確かに,公共工事の縮減につきましては,9年,10年,11年の3カ年という経過がございますけれども,我々も,コスト縮減を図らなければならないという情報は既に耳に入っております。ただ,官報に載っております,例えば建設省から提示されたものについて,我々はその当時は入手してございませんでした。ただ,その中身を見ましても,三重県の,先ほど申し上げましたけれども,普及率が大変低いということで,県が自治体,市町村に,下水道計画のコスト縮減に向けた施策を考えましょうと,基本計画はこうしなさいと,分流か,合流か,それから,区域の計画汚水量をどう定めたらいいのか,それから,排水区域をどう定めたらいいかという基本論を提示しております。これが一般論で書かれている内容でございまして,それにつきましては,我々は,従前からその基本計画は行っておりますと,こういう答弁です。ただ,そのほかに入っております細かい施策がございます。マンホールの間隔云々だとか,そういうものについては,確かに我々も参考にしなければなりません。そういう点で,前回答弁いたしました,ほとんど行っている,要するに,大都市で普及が90%を超えているところについては,基本計画論的なものは既に行ってきていますよと,そういうことでございまして,それ以降の詳細については今後検討してまいりたいというふうに答弁したと記憶しております。
それから,例を挙げまして,例えば全国で55%に満たない中でも,電力消費量が40億キロ,55億キロぐらいになるだろうということで,もうちょっとスイッチを切って消費を抑えられないかというようなことでございますけれども,これにつきましても,既にポンプ場,処理場は,すべて今,自動化しておりますので,そういう点で,電気のオン・オフ,要するに,切りかえスイッチ,これについては適宜やっているように我々聞いております。
◎吉中 処理担当部長 下水処理におきましても,環境ホルモンであるノニルフェノールという物質が生成されているというお話でございます。
確かに,河川が少なくて下水処理水が多いというデータも見ております。このノニルフェノールという物質でございますけれども,これは,我々といたしましても非常に関心を強めているところでございますが,この物質が環境や人体に及ぼす影響といたしましては,まだ詳細な結果が出ておりませんし,調査中であるというふうに聞いております。したがいまして,今後も国や専門機関の調査結果及び他都市の動向等の情報収集に努めまして,関連部局とも連携を図り,慎重に対応してまいりたいと考えております。
◆中嶋 委員 ぜひ,環境ホルモンについては,全国に先駆けて対応していただくことを要望しておきます。
それと,先ほどの議会でのやりとりなのですけれども,三重県の項目というのも,やはり結構いいこと書いてありまして,このチェックリストには,一番最初に,「人口密集地域等の効率的な整備箇所か」というようなこともありますので,ぜひパーセントだけじゃなく,やはり中身ももう少し検討して削減策に入れていただきたいと思います。
あと,この間の答弁では,結構努力しているということでしたので,今回10%,このように具体的に例が出てきますと,今までのやりとりは何であったのかなというふうにちょっと思いますので,ぜひ,前向きと感じられるような内容にしていただきたいと思います。
◆堀川 委員 本市の下水道の普及率が99%を超えたということで,先ほどもありましたけれども,全国的な平均から見ますと,大変すばらしい普及率だと,そう思っておりますし,我々も,市民として大変胸を張って下水道のことについては語れると,こういう状況かと思います。
また,そういうことを考えたときに,先ほどもちょっと出ておりましたけれども,布設をしていくと,それの維持管理業務が非常に重要かつ広範な仕事になってくるのかなと,こう思っております。
その中で,札幌市下水道資源公社というものがあるわけですが,そこに大部分が委託をされていると。札幌市下水道資源公社が下水道の維持管理のうち,厚別コンポスト工場や西部スラッジセンターの業務,それに関する汚泥処理業務を受託して実施していると聞いておりますけれども,さらに,その受託した業務のうち,相当部分を民間の維持管理業者に再委託しているようでありますが,その再委託先のライラック興業という会社についてお伺いをしたいと思います。
まず,この会社の役員は,札幌市の労働組合の元幹部が名を連ねていると聞いております。
そこで,質問でありますけれども,公社からの主な再委託先はどのようになっているのか。また,そのうち,ライラック興業は,いつから,どのような業務を,どの程度受託しているのか。
第2点目には,その際,どのような契約手続によって受託しているのか,これをまずお聞きしたいと思います。
◎河村 施設部長 第1点目の公社からの主な再委託先でありますけれども,8年度決算では,公社全体で20億円の札幌市からの受託事業のうち,西部スラッジセンター関連で7億9,000 万円についてライラック興業が受託し,厚別コンポスト関連の6億3,000 万円は他の民間メンテナンス公社が受託しております。
ライラック興業の公社からの受託実績でありますけれども,58年に1億7,000 万円,その後,62年に創成川の汚泥処理を受託して,汚泥の発生量の増加やスラッジセンターの焼却炉の増設等があって,現在の7億9,000 万の受託金額となっているものであります。
2点目の契約手続でありますが,公社では,基本的には札幌市の契約方法に準じて行われており,札幌市の指名競争入札とほとんど同様の事務手続によって行われております。すなわち,資格要件として,札幌市の競争入札参加資格者名簿及び建設省所管の下水道処理施設維持管理業者登録簿に登録され,業務遂行上必要な有資格者,特級ボイラー等ですが,それを有し,かつ,市内に本社を有する企業を選定したと報告を受けております。
◆堀川 委員 そうしますと,今の中から言いますと,公社全体では20億であって,ライラック興業が7億9,000 万受けていると。それから,民間のメンテナンス会社が6億3,000 万受けていますと。そうしますと,ざっと計算しまして,あと約7億ぐらいでしょうか,7億切れるぐらいでしょうか,それは公社で直接やられているというふうに理解していいのでしょうか。
◎河村 施設部長 残りの金額については,電力代は,直接,公社から払っていると,それから,細かい話ですけれども,脱水ケーキ,脱水アッシュの運搬等は別な民間会社が個別に行っておりますし,それ以外については,管理公社の職員費等,それから修繕工事等については,特に資源公社から発注になっております。
以上であります。
◆堀川 委員 そうしますと,この仕事ができる業者で,本社が札幌市にある業者は3業者しかないと。僕も調べているのですけれども,この3業者のうち,今,公社から受けている二つの企業がありますよね。それから,もう一つの企業,これは荏原,そういう会社が受けていまして,その3業者しかないと。その3業者の中で指名をやっている。普通は,指名というのは,大体5社ぐらい業者を指定しまして,その中で入札をすると聞いているのですけれども,今回,この3業者しかなくて,3業者がそれぞれ順繰りに仕事をとるというのか,大体決まって仕事をとると。そうするならば,指名競争入札というようなことを言っているのだけれども,実際には,そういう健全な競争原理が働いた指名競争入札になっていないのじゃないかということをまず一つは指摘をしておきます。
それから次に,ライラック興業という会社なのですけれども,現在の役員は,代表取締役が渡邊健 ,元市労連副委員長,代表取締役清本五郎,元市労連副委員長,取締役佐藤一博,元市職委員長,監査役,小竹正明,元市職委員長,この会社の設立当時の社長は,初代の社長,八十島一久,元市労支部長,それで,初代の取締役専務が木村正勝,元市職副委員長,2代目代表取締役社長が,またその木村正勝であります。現在は,3代目の渡邊健 が代表取締役になっていると。このことを見た場合に,このライラック興業というのはどういう会社なのでしょうか,組合員の会社なのか,それとも天下り先としての会社なのか,でも,天下りの会社というのは,よく政府でも問題になっている,民間の会社に天下っていく。ところが,これは,そもそも組合が支配をして,ある意味では営業している,この組合の役員をやった人を送り込んで,やっている会社じゃないかと。これほど見事に役員が労組の元幹部で占められている,そして,そこの会社が7億9,000 万の受注を札幌市下水道資源公社から受けていると。今,天下りが非常に批判をされている。なぜ批判をされるか。こういう事業の発注というのは,公権力の行使の一部であります。公権力の行使の一部に私的な,恣意的な意思が入っていく,こういうことは,公平な競争原理からいっても極めてまずい。こういう中で,アメリカなどでは,関係者については,その人が退職した後,一生,そういう自分が権力を持ったところへの天下りはできないと。それから,日本政府でも,何年間は行けない,こういうふうに決めているわけです。それは,今言ったように,まさに恣意的な意思が働く可能性がある,こういうことであります。
そこでもって,今,こういう会社が,組合の幹部が仕切る会社があって,そこが札幌市の仕事を受注する,こういうことに対して,市民がどういう理解をするのか。僕は,市民がこのことに対して極めて不審を抱くと思うのです。
まず,このことについて,札幌市として,発注をしていることに対して,今気づいたのか,それとも前から気づいていたのか,これについて伺って,また,このことが望ましい方法なのか,それとも,やはり避けなければならない発注の仕方なのか,このことについて見解を伺いたいと思います。
◎齊藤 総務部長 それでは,お答えいたします。
まず,契約の相手方でございますが,私どもの方としては,この業務は極めて特殊なものでございますから,資格要件として,先ほども申し上げましたように,本市の競争入札参加資格者名簿に登載をされまして,かつ,市内に本社を有する企業の中で下水道処理施設維持管理業者登録簿,これは建設省が所管しております,こういったものに登録をされている業者を選定いたします。それから,今度,さらに持っている免許について大変厳しいのでございます。一つは,例えば危険物の取り扱い者,これは乙種の第四類,それから,2点目といたしましては,第二種酸素欠乏危険作業の主任者,それから,3番目としては,第1種電気工事士,それから,4点目としては,ガス溶接主任者のほか,西部スラッジセンターについては,特に特級ボイラー技士,こういったものの資格,さらには,クレーン運転の特別教育を修了した者,こういったものがございます。私どもは,こういう資格要件を設けまして,いろいろ市内で当たりましたところ,資格要件を有する市内の業者は3社しか現在のところございません。
それから次に,天下りのお話がございましたけれども,私どもの方としては,会社の経営の中,特に役員構成については,ちょっと中に入ってそれをチェックするというようなことよりは,むしろ,今やっている受託業務の完全履行,これを保証できる技術力,実績,それから経営内容,そして職員等を考慮して委託をしておりまして,実際のところ,その会社の役員構成にはかかわっておりません。
そういうことで,いろいろ,私ども何回も申し上げますけれども,指名に当たりましては,業務委託の完全履行を保証する技術力,実績,経営内容,そういったものを考慮して,今のところ委託をしているわけでございます。ご了承願いたいと思います。
◆堀川 委員 そういう答弁しかできないのかなと,ただ思いますけれども。それで,3社しか業者がないというのは,とにかく不健全である。それから,確かに難しい専門的な資格を持った人でなければできないという,こういうことも確かにあるのでしょうけれども,それも今の不健全さから言うならば,本来はやはり公平な競争原理が働くようにして業者を育てていかなければならぬ立場にあるわけです。それが長年3社に固定をしてやっていくこと,このことに一つまず問題がある。
それから,今,答弁の中で,役員の構成についてはタッチできないと。でも,市民の負託を受けながら,市民にいささかのそういう疑いというのでしょうか,不審を抱かせないためにも,その会社の全容をできるだけ知るということは大変大事なことであります。そのことについて,役員の構成については触れることができない。でも,実際に触れたら,こういう状態なのですよ。そうしますと,ほかの業者は,今,こういう不況の中で,本当に目を皿にして,汗水たらして事業を探してあるいている。役所からも仕事が欲しい,こういう状況の中で,これだけの人間関係が札幌市役所とあるところが受託をする,そして,ここが受託したのは,昭和58年で,たったの1年何カ月しかたっていない会社が1億7,000 万からの仕事を受けているのですよ。普通,そういうことはあり得ないわけですよ。そういうことから考えるならば,僕は,恣意的な意思が働いたのじゃないかなと,こう市民が考えても,そんなに間違いではないのじゃないかと,こう思うわけです。
それでまず,もう一度,お伺いをしますけれども,こういう組合の役員が,これは道から受注をする,国から受注をするというならばいいですよ,そうするならば,自分の人脈という部分では,そういう恣意的な関係がないところです。ところが,札幌市の組合,これは労使関係の中で対等な関係でもって交渉をする,こうした人方が,次に,その会社をこれだけ見事に組合員で固めてつくって,これがそれなりの影響がないということは,僕は言えないと。この会社がこういう営業をすること自体,僕はやっぱりまずいと,正直言って思っているのです。それについて,この会社が営業をする,そしてこれからも受注をふやしていく,これは僕はやっぱり市民は納得しないと,こう思いますので,その点についてお考えを聞いておきたいと。
◎島田 下水道局長 組合のOBが天下りという話のくだりございましたけれども,一般的に言われております天下りというのは,発注権限等を持ちました立場から,その受ける立場に行った場合に,もともと持っておりました権限を利用しながらやっていくという意味を持っていることと思っております。
組合役員のOBが行っている会社ということでございますけれども,実質的にそういう面でのつながりを私どもは理解しておりませんし,また,札幌市内の中で特殊な業務を遂行できる業者が三つしかないということから,この3社の一つとしてこの会社をとらえているにすぎないということでございます。今まで,OBが役員をしているということがネックになったり,いろいろ支障を生じたり,損害を与えたりということは一切ないわけでございますけれども,委員言われますように,やはり業者の数が少ないということは,そういう見方もあり得るのかなというふうにも思いますので,そういうことを念頭に置きながら,やはり業者の育成という面にも努力をしていきたいと思います。
以上でございます。
◆堀川 委員 なかなかお認めになりづらいところだとこう,思います。そこはそのぐらいにいたしまして,そうしましたら,今,3社しかないということは,余り健全ではないということなのですね,発注の仕方として。
今現在そういう会社がないというのですけれども,一つは,これから育てていく意思があるのかどうかということと,もう一つは,先ほどの答弁の中で,今後,その発注の仕方を,そういう市民の誤解がないように変えていく意思があるのか,その点を聞いていきたいと思います。その点についてお願いをいたします。
◎島田 下水道局長 今後のことでございますけれども,今,部長からも説明ありましたし,私からも説明申しましたように,焼却センターの維持管理業務というのは,大変特殊な要素を持った,資格を持った人たちの集団ということにもなりますので,新たな会社を即つくってということにもなかなかつながらないのかなという思いはいたします。ですが,類似の施設が今後できてくるということも考え合わせますと,やはり3社だけではなくて,そういう業者を育成していくということも大事だと思っております。
また,ただいま委託しております事業の中でも,専門的に見まして,このそれぞれの会社がまた別の専門業者に頼まざるを得ないような業務がありますれば,それはできるだけ分割をいたしまして,それぞれの専門業者に対しまして委託できるようなシステムづくりに取り組んでいきたいというふうに思っております。
以上でございます。
◆堀川 委員 最後に,要望いたしますけれども,今回の,今言いました組合の役員が会社をつくって,札幌市から発注を受けて活動をしている。これが市民にどう映るのかということ,ここの部分についても大変大事な問題でして,例えば,市長がパートナーシップと,よく最近言いますけれども,これは市民と行政の対等な中での信頼関係,これをもとにしなければ成り立たないわけであります。いささかも市民の信頼を裏切るような──実際には,それは僕は今,違法だと言っているわけではなくて,もう少し高い規範でもって,そういう疑いを持たれるような構図,形というのですかね,構図,これはやはり避けるべきであると,そう思っておりますので,今後の事業の発注については,新たな業者の保護,育成を含めまして,市民に誤解のないようにぜひやっていただきたいと。
また,この問題につきましては,ライラック商事,それからフクリ企画サービス,こういうものも含めまして,今後,自民党として挙げてこの問題についてきちっと取り組んでいくというふうになっておりますので,その辺につきましても,今後,そういう市民の信頼を裏切ることのないような形で,ぜひやっていただきたいと,このことを申しまして質問を終わらせていただきます。
○宮本 委員長 これをもちまして,下水道事業会計の質疑を終了いたします。
以上で,本委員会に付託されました全案件に対する質疑のすべてを終了いたします。
次回の委員会は,3月25日午後1時から,付託されました全案件に対する討論及び採決を行いますので,定刻までにご参集ください。
本日は,これをもちまして散会します。
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散 会 午後5時15分...