札幌市議会 1997-06-10
平成 9年第 2回定例会−06月10日-03号
議案第8号 札幌市
農業体験交流施設条例の一部を改正する条例案
議案第9号 札幌市
地区計画等の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例案
議案第10号
札幌市営住宅条例の一部を改正する条例案
議案第11号 財産の取得の件(
工業団地造成事業用地)
議案第12号 財産の取得の件(
公共施設用地)
議案第13号 財産の取得の件(
全天候型多目的施設用地)
議案第14号 町の区域を新たに画し,変更し,及び廃止する件
議案第15号 町の区画を新たに画し,変更し,及び廃止することに伴う関係条例の整理に関する条例案
議案第16号 市道の認定,変更及び廃止の件
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〇出席議員(69人)
議 長 柴 田 薫 心 君
副 議 長 富 田 新 一 君
議 員 高 橋 克 朋 君
議 員 勝 木 勇 人 君
議 員 鈴 木 健 雄 君
議 員 堀 川 素 人 君
議 員 新 山 やすし 君
議 員 大 嶋 薫 君
議 員 小 野 正 美 君
議 員 本 郷 俊 史 君
議 員 高 橋 功 君
議 員 宮 川 潤 君
議 員 中 嶋 和 子 君
議 員 田 中 昭 男 君
議 員 松 浦 忠 君
議 員 北 川 一 夫 君
議 員 横 山 光 之 君
議 員 馬 場 泰 年 君
議 員 宮 村 素 子 君
議 員 笹 出 昭 夫 君
議 員 佐々木 肇 君
議 員 三 上 洋 右 君
議 員 岩 木 みどり 君
議 員 畑 瀬 幸 二 君
議 員 大 西 利 夫 君
議 員 義 卜 雄 一 君
議 員 涌 井 国 夫 君
議 員 横 山 博 子 君
議 員 武 藤 光 惠 君
議 員 山 口 た か 君
議 員 道 見 重 信 君
議 員 上瀬戸 正 則 君
議 員 伊 藤 知 光 君
議 員 原 口 伸 一 君
議 員 千 葉 英 守 君
議 員 村 山 優 治 君
議 員 猪 熊 輝 夫 君
議 員 西 村 茂 樹 君
議 員 川口谷 正 君
議 員 小 田 信 孝 君
議 員 柿 崎 勲 君
議 員 生 駒 正 尚 君
議 員 佐々木 周 子 君
議 員 福 士 勝 君
議 員 宮 本 吉 人 君
議 員 武 市 憲 一 君
議 員 大 越 誠 幸 君
議 員 高 橋 忠 明 君
議 員 常 本 省 三 君
議 員 佐 藤 美智夫 君
議 員 加 藤 斉 君
議 員 丹 野 勝 君
議 員 本 舘 嘉 三 君
議 員 森 健 次 君
議 員 春 原 良 雄 君
議 員 荒 川 尚 次 君
議 員 飯 坂 宗 子 君
議 員 室 橋 一 郎 君
議 員 小 谷 俵 藏 君
議 員 山 田 信市郎 君
議 員 越 智 健 一 君
議 員 吉 野 晃 司 君
議 員 澤 木 繁 成 君
議 員 伊与部 敏 雄 君
議 員 湊 谷 隆 君
議 員 岡 本 修 造 君
議 員 常 見 寿 夫 君
議 員 高 橋 重 人 君
議 員 菅 井 盈 君
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〇欠席議員(なし)
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〇説明員
市長 桂 信 雄 君
助役 魚 住 昌 也 君
助役 石 原 弘 之 君
助役 大 長 記 興 君
収入役 伊 藤 忠 男 君
交通事業管理者交通局長 井 原 貴 男 君
水道事業管理者水道局長 平 賀 岑 吾 君
総務局長 佐々木 喜 四 君
企画調整局長 広 畑 民 雄 君
財政局長 米 田 耕一郎 君
市民局長 鈴 木 俊 雄 君
民生局長 吉 本 朗 生 君
衛生局長 上 村 友 也 君
環境局長 平 田 匡 宏 君
経済局長 高 橋 登 君
建設局長 瓜 田 一 郎 君
都市整備局長 松 見 紀 忠 君
建築局長 前 川 一 彦 君
市立札幌病院長 中 西 昌 美 君
消防局長 高 橋 彦 博 君
教育委員会委員 山 藤 邦 雄 君
教育委員会教育長 千 葉 瑞 穂 君
選挙管理委員会委員長 長 岡 武 夫 君
選挙管理委員会委員 関 口 英 一 君
人事委員会委員長 山 岡 暸 君
人事委員会事務局長 大 門 隆 司 君
監査委員 日 野 晃 輔 君
監査事務局長 淋 代 恒 芳 君
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〇
事務局出席職員
事務局長 植 田 英 次 君
事務局次長 坪 田 玲 二 君
総務課長 山 内 馨 君
議事課長 土 屋 逞 君
調査係長 渡 辺 三 省 君
資料係長 高 橋 道 孝 君
議事係長 細 川 正 人 君
記録係長 前 野 保 雄 君
委員会一係長 木 村 義 広 君
委員会二係長 常 野 正 浩 君
書記 佐 藤 比登利 君
書記 高 佐 三緒子 君
書記 尾 形 英 樹 君
書記 今 井 一 行 君
書記 山 本 扶 美 君
書記 松 田 寛 司 君
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〔午後1時開議〕
○議長(柴田薫心君) これより本日の会議を開きます。
出席議員数は,59人であります。
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○議長(柴田薫心君) 本日の
会議録署名議員として越智健一君,澤木繁成君を指名します。
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○議長(柴田薫心君) ここで,事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(植田英次君) 報告いたします。
福士 勝議員は,所用のため遅参する旨,届け出がございました。
本日の議事日程及び
質問順序表は,お手元に配付いたしております。
以上でございます。
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○議長(柴田薫心君) これより議事に入ります。
日程第1,議案第1号から第16号までの16件を一括議題といたします。
昨日に引き続きまして,代表質問を行います。
通告がありますので,順次発言を許します。
高橋 功君。
(高橋 功君登壇・拍手)
◆高橋功君 私は,ただいまから,
公明議員団を代表して,市政に関する諸問題について質問をいたします。
初めに,財政問題についてお伺いをいたします。
財政問題につきましては,さきの第1回定例議会におきましても,また今議会においても,さまざまな議論がされておりますので,私は,少し違った観点から,提言を交えて,予算執行の効率化などについて質問をいたします。
予算は,言うまでもなく,1年度間の歳入と歳出の見積もりであり,特に歳出については,歳入とは違い,執行の上限を定めるものでもあります。したがって,歳出については,予算超過の執行はあり得ず,逆に予算の執行残である不用額が生じることは,当然と申しますか,やむを得ないものであります。
過去3年間の決算における歳出予算の執行率を見てみますと,継続費の
逓次繰り越しや繰越明許など,翌年度に執行する額を除いた実質的な執行率は,平成5年度が98.7%,平成6年度は98.6%,平成7年度は98.0%であります。各年度とも2%程度の不用額を生じているわけでありますが,その額を見ますと,先ほど申し上げた翌年度に繰り越す額を除いた純不用額は,平成5年度で 103億円,平成6年度で 113億円,平成7年度では 166億円にも上ります。
私は,この不用額の多寡をここで議論するつもりはありませんし,これらの要因には,中小企業への貸付金など,景気の動向により,需要の見込みが予算で見ていたより下回ったり,建設事業における契約差金などが含まれていることも十分承知をしております。
各年度の決算については第3回定例議会において審議を行っており,平成8年度の決算についても,現在,調整中であり,次の定例議会において審議がされることと思います。
この決算議会に当たって,各局から決算内容の説明を受けるわけでありますが,私は,過去のこの説明をお聞きしていて,非常に気になる点があります。それは何かと申しますと,前段に申し上げた予算の執行率についての説明であります。執行率の高い部の説明については,言葉は悪いのでありますが,胸を張ったような説明ぶりですし,逆に執行率の低い部の説明については,非常に恐縮ぎみに説明をされるのであります。
しかし,予算の執行の成果は,その執行率の高さではなく,何をしてきたかの中身が問題なのであり,最小の経費で最大の効果を上げることが予算執行の基本であることは,今さら言うまでもないことであります。所期の目的を達成し,さらに,当初予定していた予算よりも少ない予算で執行できたものであれば大いに胸を張れるものであり,そのようにして生じる不用額は高く評価され,歓迎されるべきものではないでしょうか。
よく,役所の予算は前年実績主義であり,予算を残すと翌年度の予算が切られるといった話がされ,予算単年度主義においては,予算は使わなければ損をするという発想があります。そこで,決まったように,年度末になると,予算を消化するために,それほど必要のないものを買ったり,工事をしたり,出張に行ったりして予算を使い切るというものであります。こうした役所特有の慣習は,市民の目から見ても余りにも非常識なものであり,到底,市民の理解や納得は得られないと思うのであります。
会計室から毎年発行されております「会計年報」で平成7年度の一般会計の支出状況を見ますと,支出額の約2割以上が年度末に執行されております。これは,施設の建設などの竣工が年度末になるものが多いことや,予算全体の執行状況を見る必要から,その執行を後送りにしていたものを年度末に執行したことなどによるものもあるでしょうが,しかし,これらの要因を差し引いても,やはり
予算使い切りのための執行がかなりの部分を占めるものと考えるのであります。
1カ月ほど前の新聞に三重県の財政再建に関する記事があり,その中に,予算の
節約システムを採用し,使い切り予算の見直しを宣言したというものがありました。その内容はと申しますと,節約予算の2分の1については,翌年度,査定なしで各部局の新規事業に充てることを認めたというものであります。その成果として,昨年度の節約分の総額は約1億円に上り,その見返りとして,新規事業で41件,約 5,000万円が節約分で認められたそうであります。
予算編成においては,最小の経費で最大の効果を念頭に置いて,
必要最小限の
事務事業費を計上されていることとは思いますが,予算の執行段階でも,さらなる効率化が図られるべきであることは言うまでもありません。この点に関しては,
財政局長名で出される「予算の執行方針」の中でも各関係局長に要請をされているところでありますが,その成果を上げるためには,是非は別としても,何らかのインセンティブが必要ではないかと考えるのであります。その意味でも,先ほど申し上げた三重県の試みは大変参考になるものであると思います。
そこで,質問の第1点目でありますが,本市における
予算使い切り主義をなくし,予算の効率的な執行を奨励するため,本市においても予算節約に対する何らかの
メリットシステムを導入すべきであると考えますが,桂市長のご見解をお伺いいたします。
質問の第2点目は,毎年生じる不用額の活用についてであります。
ご承知のとおり,年度間の財源調整のために
財政調整基金というものが設けられております。この
財政調整基金は,ピーク時の昭和57年度には約 305億円の残高がありましたが,最近の厳しい財政状況を反映し,かなりの部分を支消してきた結果,現在ではその残高も90億円を切り,平成8年度,9年度,ともに30億円の支消が予算に計上されており,だんだんと底をつきつつあります。
本市の財政規模を考えた場合には,どの程度蓄えておくことが適当であるかは,その時々の状況にもよりますが,現状を見る限り,年度間の財源調整を果たすには余りにも心細いものになっているのではないかと思うのであります。
そこで,不用額が生じた場合,それによって生まれる財源の余裕分について,市債発行の縮減を図り,後年次の負担を軽減する方法もあるとは思いますが,一方,昭和50年代前半には,毎年のように,
決算剰余金の処分として10億円以上もの金額を
財政調整基金に積み立てをしていた時期もあったわけで,これと同様に,不用額によって生まれる
余裕財源分を
財政調整基金に積み立て,今後の財政運営の一助にするという考え方もあるのではないかと思うのでありますが,市長のお考えをお伺いいたします。
次に,行政改革と本市の街づくりの関係についてお伺いいたします。
現在,我が国では,国,地方を通じて
行財政改革が幅広く論議され,検討が進められております。国では,中央省庁の再編や現業部門への外庁制度の導入などの組織改革を初め,特殊法人あるいは公益法人の見直し,また,財政の
あり方そのものにメスを入れる
財政構造改革の検討,さらには,金融,経済,社会保障,教育など,さまざまな分野にわたる改革が進められようとしております。
一方,これと並行して,地方分権の動きも本格化してきており,昨年の暮れには,国と
地方公共団体との対等・協力の新しい関係を構築するといった方向性で,
機関委任事務制度の廃止を盛り込んだ
地方分権推進委員会からの第1次勧告が出され,現在は,来る7月上旬にも予定されている第2次勧告に向けて,特に国と地方の税財源のあり方を中心に,検討が進められているようであります。
これらの一連の改革については,実にさまざまな立場からいろいろな意見や考えが出され,一部には中央官僚の抵抗なども報じられているところではありますが,私は,行政改革にしても,地方分権にしても,国民・住民の生活を基調とした理念,すなわち行政の原点にいま一度立ち返る姿勢が必要であると思うのであります。そういう中で,真の意味での明治維新,戦後改革に次ぐ第3の改革,21世紀の我が国の将来を支える行政の再構築が実現されるものと切に思うのであります。
もちろん,地方においても,あらゆる努力を傾注しなければなりません。札幌市においても,平成7年度に策定をした
行政改革大綱に基づいて鋭意取り組んでおられることは承知しておりますが,国の行革の動きと地方分権の動向を先読みしながら,今後,さらなる対応が必要だと考えるものであります。特に,国,地方を通じる行革の根幹の課題になっているのが財政問題であることに思いをはせるとき,本市の行政,街づくりへの影響を懸念せざるを得ないのであります。
確かに,現在の我が国の財政状況は,危機的な状況にあります。平成9年度の国債残高が 254兆円,国と地方を合わせた
長期債務残高が 476兆円と,
主要先進国の中でも最悪の水準であり,このまま現在の財政構造を放置しておくと,国民生活が破綻するおそれがあるとさえ言われております。また,本市における財政状態も,平成9年度末の市債残高が約 8,700億円と,初めて一般会計の規模を突破するなど,大変厳しい状況にあります。
さらに,昨今の経済情勢を見てみますと,景気は回復の動きを続けているとはいうものの,そのテンポは緩やかであり,税収の大幅な増加も見込める状況にはありません。
このような状況の中で,最近,国においては,財政危機を打開するための方策として
財政構造改革5原則が示されるとともに,この5原則を受けて,
公共投資基本計画を初めとする各種5カ年計画の計画期間の延長や,当面の
公共投資関係予算の抑制などが検討されております。
今後,本市の第3次5年計画を執行するに当たりまして,国における
財政構造改革の動向を踏まえていくことが不可欠でありますが,第3次5年計画は,言うまでもなく,将来に向けた積極的な街づくりの推進を図るための計画であり,21世紀へのかけ橋となる重要な計画と位置づけられていることを忘れてはならないと思います。
したがって,国におけるこれらの動向が本市の5年計画に影響を及ぼすにしても,単純に一定率を削減するなどといった安易な考え方はとるべきではないと,私は強く主張するものであります。整備水準がある一定の水準に達している事業について,比較的,優先度・緊急度の低い事業を先送りするなどということは当然として,
市民ニーズの強い教育,福祉,医療,環境などといった分野については,まだまだ整備水準が十分とは言い切れない状態でありますし,21世紀を見据えた新たな都市基盤の整備も進めなければなりません。こういった分野の事業については,5年計画を着実に実行していくことが重要であると考えるのであります。
最近の国における
財政構造改革をめぐる議論を見ておりますと,何か,
財政構造改革イコール歳出の削減という論調が強くなってきているようでありますが,私は,歳出を削減することのみが
財政構造改革であるとは考えていないのであります。国における公共事業の
事業別シェアはこの20年間ほとんど変わっておらず,硬直化した予算編成が問題となっておりますが,この硬直化した予算編成のあり方を,住民のニーズが高い事業を重点的に行うというめり張りのきいた予算編成に変えていくことこそが真の
財政構造改革であり,ひいては,住民の生活を基調とした,住民本位の血の通った行政の実現であると確信するものであります。
そこで,市長にお尋ねをいたします。
国における
行財政改革の動向を踏まえた上で,昨年からスタートし,2年目を迎える第3次5年計画をどのように執行していくおつもりですか,基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
次に,本市職員の高齢化に係る人事管理に関してお伺いいたします。
昨今,大きな問題となっております
高齢化社会への対応は,保健・医療・福祉に限らず,雇用,年金など,あらゆる分野で取り組むべき社会全体の課題となっております。
国は,こうした流れに対処するため,平成7年11月に,
高齢社会対策の基本理念を明らかにして,その方向を示し,国を初め,社会全体として
高齢社会対策を総合的に推進していくため,
高齢社会対策基本法を制定いたしました。そして,同法に沿って,政府は,今後推進すべき
高齢社会対策の指針として,昨年7月に
高齢社会対策大綱を策定したところであります。
この大綱においては,健康・福祉,学習・社会参加,生活環境など,広範な分野での施策目標が掲げられていますが,中でも,とりわけ高齢者の雇用・就業機会の確保という分野が大きな柱として位置づけられております。これは,高齢社会・少子社会においては
労働力人口も高齢化していくことに対応し,活力ある社会を維持し続けるためには,勤労者が高齢期までその能力を有効に発揮できる雇用・就業環境の整備を進めるものであり,そうすることによって,退職後も,本人が希望すれば65歳まで現役で就労できる継続雇用を推進するとともに,高齢者がその意欲と能力に応じて就業することが可能となる多様な機会の確保を図っていくものであります。
また,これに先立って,平成6年11月には,年金制度の長期的安定を目的として
公的年金制度の改正が行われております。満額年金の
支給開始年齢を,平成13年度から3年に1歳ずつ段階的に引き上げ,平成25年度には65歳から支給が開始されることになっております。
したがって,高齢者の再雇用制度を進めるに当たっては,在職中から,高齢者の勤労意欲の維持や健康管理,能力開発などの準備も必要としますし,これに加えて,
公的年金制度との関連にも留意して整備を行っていくことが必要であるとされております。
このように,社会全体で高齢化に対する準備を進めていかなければならないということを踏まえて,本市の職員の状況を見てみますと,
人事委員会年報によれば,一般職員の平均年齢は,昨年4月1日現在で41.4歳であり,政令市の中でも上位に位置しており,職員の高齢化が顕著であるということが言えますし,また,ここ5年間では平均年齢が 1.5歳も上昇しており,急激に高齢化が進んでいるという実態であります。
これは,
政令指定都市移行時や
冬季オリンピック開催時に大量採用した職員,いわゆる団塊の世代と言われている職員層が40代後半に差しかかったことが大きな要因と考えられます。職員の年齢構成を見ても,本年度では45歳から49歳までの職員が全体の約22%を占めている状態にあり,また,この職員層が平均年齢を押し上げていることから,今後も職員の高齢化の傾向が続いていくことが予想されるところであります。
そこで,本市においても,職員の高齢化に対応するための人事管理が必要不可欠となってきます。まず,職員の高齢化による弊害を防ぎ,勤労意欲を維持するための施策が行われなければなりません。また,心身ともに健康な状態で職務に当たることが大切であり,在職中から
健康管理体制を充実させることが求められてくるとともに,職員の退職後の就業機会の確保についての準備も必要になってくるかと思うのであります。
特に,10年後には団塊の世代が退職時期に差しかかり,現在の職員構成から推計しますと,退職者数がピークとなる平成21年度には,全会計で今年度の約3倍の職員が定年を迎えることとなり,退職手当の支払いが大きな課題となってまいります。また,それらの職員の補充方法を慎重に計画し,職員の年齢構成の是正も検討しなければなりません。
私は,来るべき高齢社会においても,札幌市の行政組織が効率的に機能して,もって市民サービスが向上することを期待するものでありますが,そのためには,職員一人一人が能力を十分に発揮することができる活力のある組織を維持することが必要であると考えるものであります。
そこで,以上の事柄に関連して3点ほど伺います。
1点目は,現在,国においては,職員の再雇用制度の実施に向けての検討を行っていると聞いておりますが,本市においても,高齢社会・少子社会における人材活用策として退職者を再雇用し,長年培った知識や経験を市民サービスに生かしてもらえる制度を整えるべきであると思いますが,これについての考えをお伺いいたします。
2点目に,再雇用制度を実現するとした場合,在職中から,高齢職員の勤労意欲を維持するための人事管理や,退職後の勤務にもつながる健康管理が必要とされますが,どのような対応を考えておられるのかお聞かせ願いたいと思います。
3点目は,やがて到来する団塊の世代の退職時の対応についてであります。
先ほど申し上げたように,退職手当の支払いが財政を圧迫するのではないかと私は懸念いたしておりますが,これについては,どうお考えでしょうか。また,この退職者の補充に当たっては,再雇用制度を活用して計画的に進めることにより,新たな団塊の世代の発生を防ぎ,職員の年齢構成の不均衡を是正することも可能となってくるかと思いますが,この点についても,考えをお伺いいたします。
次に,環境問題のうち大気汚染対策について伺います。
本市における過去の大気汚染問題を振り返ってみますと,冬に円山の山頂から都心部を見ると,街全体が黒いスモッグにすっぽりと覆われ,テレビ塔の上の方だけが見えるなどというようなことが言われた,昭和30年代から40年代前半の石炭暖房によるスモッグ問題,また,昭和50年代前半から平成3年ころまで市民を大いに悩ませたスパイクタイヤによる粉じん問題が挙げられます。これらについては,まさに官民一体となった取り組みによって克服し,今日のような青空を取り戻したことには一定の評価をするものであります。
しかしながら,このような目に見える大気汚染が解消したからといって,本市の大気環境が全く問題がない状況であるとは言えないのであります。先日発行されました本市の環境白書にもあるとおり,自動車の排気ガスによる二酸化窒素の濃度は環境基準を辛うじてクリアしている状況であり,また,酸性雨,オゾン層の破壊という地球環境問題など,取り組むべき課題が多く残されている状況にあります。
さらに,最近,全国的に,従来の高濃度・局所的な環境汚染に加え,ダイオキシンやベンゼン,テトラクロロエチレンを初めとする有害大気汚染物質を原因とする低濃度・長期間暴露による発がん性など,人体への影響が注目されております。
そこで,まず第1点目の質問は,ダイオキシンを初めとする有害大気汚染物質への取り組みについてであります。
国においては, 234種の物質を有害大気汚染物質としてリストアップし,このうち,ダイオキシンを初めとする22種が優先取り組み物質とされ,モニタリング等を行っていくこととしておりますが,さらに,このうちベンゼンなど3種の物質については,指定物質として本年4月から法規制が開始されたところであります。
また,ダイオキシンについては,最大の発生源と言われているごみ焼却場等において実態把握がされてきており,環境庁では,ダイオキシンを優先取り組み物質から指定物質に格上げして,法規制をかけるべく検討中であると聞いております。指定物質になると,抑制基準や環境基準が定められることが想定されるわけでありますが,この場合,本市としては,ダイオキシンを初めとする有害物質への取り組みを,分析体制を含め,どう進めていくおつもりか伺います。
次に2点目の質問は,酸性雨問題についてであります。
国においては,酸性雨の実態を把握するため第1次,2次酸性雨調査を実施しておりますが,この中では,森林等自然植生に対する影響,湖や沼に対する影響については不明確とされておりました。しかしながら,現在進行中の第3次酸性雨調査では,本年4月に発表された中間報告において,樹木の衰退に対する酸性雨の影響調査の必要性,このままの状況が続いた場合に,湖や沼の酸性化が進行し,魚類が生息できなくなるなど,湖沼の死滅等の懸念が示されたところであります。
本市においては,これまで酸性雨の把握調査が行われておりますが,雨,雪,霧についての実態把握調査,ブロンズ像への影響調査のみであるので,湖沼に対する影響を長期的に見ていく上からも,湖沼に対する測定を実施するなど,測定体制の強化を図るべきであると考えますがいかがか,お尋ねをいたします。
また,酸性雨の問題は,地球環境問題としてとらえられているように,大陸からの影響も指摘されるなど,広範囲に影響を及ぼすものであり,一地域の取り組みで解決することは困難であるということは,私も理解をしているところであります。
しかしながら,本市も酸性雨に対して影響を与えていることは事実であり,可能な事柄から取り組んでいくことが重要であると考えるのであります。特に,地球環境問題への取り組みは,市民レベルにおいては生活スタイルの変革,事業者においては環境に配慮した生産・流通・廃棄行動など,行政のみならず,市民及び事業者と連携を持った行動が必要であります。
そこで,酸性雨の解決に寄与するために,市民と一体となって取り組んでいける方策はないのか,あわせてお尋ねをいたします。
次に,福祉問題についてお伺いいたします。
1点目は,視覚障害のある方々への福祉についてであります。
本市の身体障害者手帳交付の実績によりますと,ここ数年の間における視覚障害を理由といたします手帳交付者は,例年 100名程度増加している状況にあります。この増加の原因を分析しますと,それまでは視覚に問題がなかった方が,糖尿病,緑内障などの理由によって,新たに視覚障害者になっているものと考えるのであります。突然視覚を失った方のご苦労というものには想像を絶するものがありますが,いずれにせよ,行政はもちろん,一般の市民にありましても,さまざまな現行の諸制度を十分に活用し,視覚障害者の方々が一刻も早く自活への道を歩めるよう支援すべきなのであります。
札幌市は,これら中途で視覚を失った方への福祉のため,日常生活訓練,白杖歩行訓練,点字訓練等の施策を実施しておりますことは承知をしておりますが,今後も,一層これらの施策の充実に努力していただきたいものと考えております。
そこで質問でありますが,本日は,本会議場の傍聴席に,本議会で初めて視覚障害者の方が盲導犬と一緒に見えておりますが,その盲導犬に対します市民の理解喚起の問題であります。
現在,本市では,北海道盲導犬協会から17頭の盲導犬が貸与され,視覚障害者の生活支援に携わっているのでありますが,伺いますと,市民の盲導犬に対します理解の不足のためでありましょうか,公共施設を含め,民間の施設等においても,盲導犬が視覚障害者と行動をともにできないところがあると伺っております。昨年来いろいろ論議のありました北海道盲導犬協会も,体制を立て直し,盲導犬育成に懸命の努力をしております昨今,盲導犬を正しく理解し,優しく迎える市民環境の醸成は,過酷な状況にあります視覚障害者の自立のため不可欠な施策と考えるのでありますが,市長のお考えを伺いたいと思います。
2点目は,高齢者福祉施策への取り組みのうち,ニーズ把握についてお伺いいたします。
本年4月1日の本市の高齢化率は12.2%となり,ついに12%を超え,全国平均を下回ってはおりますが,若い都市と言われた札幌も高齢化の波にのみ込まれようとしております。特に,ここ数年の動向は,1年で約 0.5ポイントずつの上昇という顕著な傾向を示しております。
一方,平成7年10月の国勢調査結果によりますと,高齢夫婦世帯は3万 516世帯,高齢単身者は3万 772人であり,いずれも前回調査に比べて約50%増となってきております。このまま推移しますと,平成12年には高齢化率が14%台となり,いわゆる高齢社会に突入することが予測されるところであります。
本市としても,このような人口の高齢化を見越し,これに対応したさまざまな取り組みを行ってきているわけでありますが,とりわけ,平成6年2月に策定された高齢者保健福祉計画は,高齢者に対する保健・福祉サービスの具体的な提供目標を定めたものであり,今後も着実に推進していくことを強く望むものであります。
ところで,現実の福祉サービスの利用状況でありますが,例年発表されます,いわゆる老人保健福祉マップによる本市の在宅サービスの利用率は,全国と比較しますと,この数年来,ずっと低位の状態を続けております。
その原因はいろいろと考えられますが,その一つとして,現在のサービスの内容及び提供体制が,高齢者のニーズに十分にこたえた利用しやすいものになっていないのではないかと考えるものであります。いかに豊富なメニューを並べても,利用者が求めるものでなかったり,利用に不便を感じるようでは,真の福祉サービスとは言えません。ニーズに対応したサービスを提供し,利用しやすい環境を整えてこそ,本当の福祉行政と言えるのであります。
従来の福祉サービスは,現象が発生してから,それもある程度の時間経過の後に制度化されてきた,いわば守りの施策であったように感じられます。21世紀の高齢社会を見据えた場合,ニーズを先取りして制度化することも考えていかなければならず,高齢者のニーズを的確に把握し,先手を打った施策の実現が必要になると考えるものであります。
そこで,市長にお尋ねいたします。
本市として,このような観点からの高齢者のニーズ調査について,どのように考えておられるのか,何か具体策をお持ちなのかお聞かせください。
次に,公営住宅法の改正に伴う諸問題についてお尋ねいたします。
公営住宅法は,来るべき
高齢化社会への対応,既存ストックの有効活用,地方の自主性の拡大,これら三つの理念に基づき,昨年5月に改正されたところであります。
その内容としては,高齢者等の入居資格の緩和や,入居者の収入と住宅の便益に応じた新家賃の導入など,真に住宅に困窮する方の居住の安定を図るものであり,また,住宅の供給面では,第1種,第2種の種別を撤廃し,建てかえ事業に係る要件を緩和するとともに,新たに借り上げ型公営住宅を制度化し,安定的かつ弾力的な住宅の供給を図ろうとするものであります。
加えて,知的障害者等のグループホーム事業に公営住宅の貸し付けが可能になり,福祉との連携においても,住宅政策の充実が求められるところであります。
私は,本市市営住宅の供給面・管理面の双方において,このたびの法改正の趣旨を十分に反映し,住宅に困窮する方が市営住宅に入居できる機会がより拡大され,かつ居住の安定が図られることを大いに期待するものであります。
そこで,法改正に伴う新制度についてお伺いいたします。
まず,新家賃制度についてであります。
市営住宅の家賃については,これまでは各住宅に固定の家賃が定められていましたが,法改正により,入居者の収入及び住宅の便益に応じた,いわゆる応能応益家賃制度を導入したものであります。これは,低所得者には低廉な家賃,一定水準以上の収入のある方にはその負担能力に応じた家賃をいただくというものであり,私は,特に高齢者等の真に住宅に困窮する方にとっては大きなメリットがあるものと考えております。
そこで,質問の1点目として,この新家賃制度の導入により,現行家賃制度と比較してどう変わるのか,全体的な傾向についてお答えをいただきたいと思います。
また,2点目として,平成10年度の家賃が決定されるのは本年秋以降になると聞いておりますが,既存の入居者に対して,今後どのように対応していかれるのか,新制度についてのPR等とあわせてお伺いをいたします。
次に,借り上げ型の市営住宅の導入についてであります。
国の住宅政策の動向を見ますと,各住宅戸数面の充足を背景に,居住水準の設定など,住宅政策の力点は規模を中心とした住宅の質の向上に移り,制度の改善を行いながら進めてきております。
しかしながら,現状を見ますと,人口増加率の鎮静化や,大都市圏への人口流入も鈍化している一方で,家族観の変化に伴う世帯の小規模化の進展による世帯数の増加や,少死少産化による世帯の高齢化が進んでおります。さらには,従来の家族構成やライフスタイルが崩れ,居住形態の多様化に伴い,ライフステージに応じた住みかえ等の多様な居住ニーズがあらわれてきております。また,絶対的な住宅不足のときには,国や
地方公共団体が主体となって住宅の供給を行うことは不可欠でありましたが,我が国の経済が発展し,成熟する中で,民間事業者による供給能力の向上,さらには,住宅ストックの充実に伴い,借家市場や既存住宅の流通市場が拡大するなど,住宅市場の構造が変化してきております。
このようなことから,今回の公営住宅法改正において,従前は
地方公共団体の直接建設しか認めていなかった公営住宅に,新たに,民間事業者等が建設した賃貸住宅を買い取り,または借り上げをして,公営住宅として供給する手法が盛り込まれております。
このうち,借り上げ型については,
地方公共団体が用地を取得する必要がなく,事業者に対する部分的な建設費補助はあるものの,財源の軽減は図られますし,さらには民間活用による未利用地の活性化や,利便性の高い場所での展開も期待されるところであります。
本市においては,既に,特定優良賃貸住宅制度に基づき,中堅所得世帯を対象とした借り上げ型を平成5年より供給しており,現在, 567戸の管理戸数を有する実績を持っております。現5年計画に公営住宅の借り上げ型を位置づけし,計画期間内の目標として 600戸の着工を掲げ,現在,その借り上げ型の要綱及び建設基準の作成に取り組んでいるところであると聞いております。
私は,現在の市営住宅の応募倍率から見ても,その量はまだ不足しているものと考えますが,民間の住宅市場が充実・拡大されている状況から,市営住宅の供給に対しては,広く住宅市場全般を視野に入れた展開が必要であると考えております。
そこで質問でありますが,1点目として,この借り上げ型市営住宅の推進には整備すべき課題はあるとは思いますが,目標としている着手時期など,スケジュールについてお尋ねをいたします。
また,他の政令指定都市の動向について把握をされていれば,あわせてお伺いいたします。
2点目として,この施策の導入に当たっては,都心及び都心周辺への積極的な展開や,老朽木造密集地域の環境改善に寄与できるような手法の検討,さらには,民間活用でもありますので,機能やデザイン等も事業者の意向を十分に考慮した柔軟な対応が必要と考えます。現在,要綱及び建設基準を作成中とのことでありますが,このような手法の検討や柔軟な対応について取り組む考えがあるかお伺いをいたします。
以上で,私の質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(柴田薫心君) 答弁を求めます。
桂市長。
◎市長(桂信雄君) まず,私から数点お答えいたします。
最初は,財政問題についてであります。
第1点目の予算節約
メリットシステムの採用についてでございますが,本市の予算編成におきましては,既に,一部の経費について要求枠を設け,事業を見直したものについては,その財源を他の事業へ充当することを認めており,その意味では節約を奨励するものと考えておりますが,さらに予算執行の効率化が図られるよう,ただいまのご提言の趣旨も踏まえて,今後とも研究してまいりたいと考えております。
第2点目の不用額の基金への積み立てについてでございますが,従前から,不用等により財源の都合がついた場合には,予算で予定された基金の取り崩しをできるだけ行わないこととしておりまして,さらに基金へ積み立てることにつきましては,市債残高の状況や,預金と借り入れの金利差を踏まえ,市債発行の抑制など,他の手段と比較検討しながら適切に選択してまいりたいと考えております。
次に,行政改革を踏まえた第3次5年計画の執行についてであります。
本市においても,
財政構造改革を初めとする一連の改革論議の背景にある社会経済状況の変化を踏まえて,みずから改革に着手する必要があると考えており,先日,5年計画事業のみならず,市の事務事業全般の見直しについて検討を指示したところであります。
その検討に際しましては,ご主張のとおり,事業の優先度に十分配慮する必要があると考えておりまして,今後の見直しに当たりましては,21世紀を見据えた新たな都市基盤の整備や,環境,福祉など,整備水準を向上させる必要がある分野の事業を着実に実施する方向で検討してまいりたいと考えております。
次は,職員の高齢化に係る人事管理についてであります。
まず,第1点目の職員の再雇用制度につきましては,昨年,本市の人事委員会から,高齢者雇用制度の導入に向けて検討するように意見が出されておりますので,本年4月に担当職員を配置して具体的な検討に着手したところであります。
2点目の職員の高齢化への対応につきましては,高齢職員の知識,経験を十分に生かせる職への登用や,研修を活用して能力の再開発を進めるなど,より一層,活力ある職員の育成に努めてまいりたいと考えております。また,
健康管理体制については,成人病健診の検査項目をふやすなどしておりますが,今後も,さらに充実させてまいりたいと考えております。
3点目のいわゆる団塊の世代の退職時の対応についてでありますが,退職手当につきましては,ご指摘のとおり,将来,財政負担の拡大が見込まれますので,今後,関係部局において対応を検討してまいりたいと考えております。また,この時期の職員補充につきましては,再雇用制度の活用という方策も大変有効でありますので,これも念頭に置きまして計画的な採用を検討し,年齢構成の不均衡を極力是正するよう努力してまいりたいと考えております。
次は,福祉問題についてであります。
盲導犬に対する理解喚起の問題でありますが,ご指摘のとおり,盲導犬使用者が利用できない施設がまだありますことは承知をいたしております。しかしながら,一方で,北海道盲導犬協会や視覚に障害のある方々の地道な努力の結果,公共交通機関はもちろんのこと,相当数のホテル,飲食店等にありましても,利用が認められる状況にもなってまいりました。
本市におきましても,国,北海道とともに,市民の盲導犬に対する正しい理解の推進に一層の努力をしてまいりたいと考えております。
また,高齢者のニーズ把握への取り組みについてでございますが,高齢者対策を実施する上で,ニーズを把握することは,極めて重要なことと認識しております。とりわけ,近年の高齢者を取り巻く環境の変化及び活動内容の多様化等を考慮しますと,さまざまな角度からの調査が必要であると考えております。
このような観点から,平成9年度におきましては,高齢者移動実態調査と,健康高齢者の生きがい対策と施設のあり方調査を実施いたします。さらに,高齢者の生活全般にわたっての基礎データ収集のために,平成10年度に,新たに高齢者生活実態調査を実施したいと考えているところであります。これらの調査によりまして得られたデータをもとに,今後とも高齢者対策の充実に努めてまいる所存であります。
以上です。
○議長(柴田薫心君) 魚住助役。
◎助役(魚住昌也君) 私から,公営住宅法の改正についてお答えいたします。
まず,新しい家賃制度についてでありますが,ご質問にもありましたように,応能応益家賃の導入により,入居者の状況に応じたきめ細かな対応が可能となるものであり,これからの
高齢化社会にふさわしい制度であると評価しております。
そこで,1点目の新家賃の全体的な傾向についてでございますが,法改正の趣旨は,低所得者には低廉な家賃,収入基準を上回る方には応分の負担ということでございます。本市の入居者を見ますと,低所得の方が比較的多いため,全体としては家賃の下がる世帯が多いと思われます。
また,2点目の平成10年度の家賃決定にかかわる既存入居者への対応につきましては,近々,入居者全世帯に収入の申告をしていただき,これをもとに平成10年度の家賃を決定することとなりますが,それに先立ち,新制度の概要と家賃の計算方法をお知らせするパンフレット等を各戸に配付するとともに,個別の相談にも対応してまいる所存でございます。
次に,借り上げ型の市営住宅の導入についてお答えいたします。
1点目の着手時期などスケジュールについてでございますが,現5年計画での着工目標戸数を 600戸と設定しており,現在,平成9年度末をめどとして,借り上げ要綱及び建設基準を策定することとしております。また,平成10年度の早い時期に事業者等に対する説明会を行い,できれば10年度中には事業着手をしたいと考えております。
また,他の政令都市の動向でございますが,既に5都市において,従前からありました福祉型などの借り上げ公共賃貸住宅制度を活用して進めておりますし,他の都市については,本市同様,公営住宅法の改正を受けて検討に入っているとのことでございます。
2点目の施策の導入に当たっての柔軟な対応についてでございますが,ご指摘のように,都心・都心周辺への事業展開や,老朽住宅密集地域の環境改善は重要であると認識しておりますので,その手法などにつきましても鋭意検討をしてまいりたいと考えております。
また,建設に際しましては,公営住宅法の趣旨や本市の特性を踏まえた建設基準を策定することとしておりますので,最低限,その基準を守っていただきますが,民間活用でもございますので,事業者の意向も十分に考慮しながら対応する必要があると考えているところでございます。
以上でございます。
○議長(柴田薫心君) 石原助役。
◎助役(石原弘之君) 私から,大気汚染対策についてお答えをいたします。
1点目のダイオキシンを初めとする有害大気汚染物質への取り組みについてでありますが,砒素やクロロホルムなど優先的に取り組まなければならない22物質のうち,ダイオキシンを含む6物質につきましては,現在のところ,自治体での検査体制が十分確立されていないことなどから,当面,国が調査を行い,実態把握に努めることとなっております。一方,残りの16物質については自治体で取り組むことになりましたので,本市においても,本年度から一般大気環境の調査を実施する予定でございます。
また,ベンゼン等3種類の指定物質を排出する事業者に対しては,排出基準の遵守を指導するとともに,今後,ダイオキシンが指定物質に追加された場合には,国と十分連携を図りながら,検査体制を含め,検討してまいりたいと考えております。
2点目の酸性雨問題についてでありますが,測定体制の強化については,酸性雨による影響を総合的かつ長期的に把握するため,現在実施している調査に加え,湖沼の調査についても検討してまいる考えであります。
次に,酸性雨対策としての市民と一体となった取り組みについてでございますが,酸性雨の原因物質が本市では主に自動車から排出されていることから,これまでも自動車排出ガス対策を推進してまいりましたが,本年度からは,さらに駐停車時にエンジンをとめるアイドリング・ストップ運動を実施しております。この運動は,アイドリングストップ・エコクラブの設立など,市民や事業者の皆さんと一体となって展開するもので,地球環境を守る市民運動の一つとして定着するよう努力をしてまいる考えであります。
以上でございます。
○議長(柴田薫心君) ここで,およそ30分間休憩いたします。
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休 憩 午後1時53分
再 開 午後2時25分
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○副議長(富田新一君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問の続行であります。
宮川 潤君。
(宮川 潤君登壇・拍手)
◆宮川潤君 私は,ただいまから,日本共産党を代表して,当面する市政の重要課題について質問をいたします。
最初の質問は,市長の政治姿勢と行政改革の問題についてであります。
消費税の増税や医療保険制度の改悪で,9兆円もの新たな負担が国民に押しつけられようとしていることに対して,どこかおかしい,もっとやり方があるのではないか,肝心なところにメスが入っていないのではないかなど,政府の行財政運営に対する国民の疑問や批判の声が広がっております。
日本共産党は,こうした国民の声にこたえ,軍事費や大企業優遇の政治にメスを入れ,公共事業のむだを省くなど,国民本位の民主的改革を進め,増税なしの財政再建実現に取り組んでおります。
以上の立場から,以下4点伺います。
質問の第1は,
行財政改革の基本問題についてです。
日本共産党は,数字も具体的に示した財政再建10カ年計画を提言しておりますが,具体的には,公共事業のむだ遣い,軍事費など三つの聖域にメスを入れることによって,歳出で10兆円,大企業に甘い特権的減免税の是正など,歳入で5兆円ふやすことができ,福祉や教育など必要な施策には予算を確保しながら,10年間で国家財政の赤字体質から抜け出すことができるという内容です。
このように,むだをなくして行財政を財界奉仕から国民奉仕に切りかえようとする我が党の財政再建10カ年計画について,市長はどのように受けとめられるのか。真の行政改革,財政再建を実現するには,指摘した三つの聖域についてメスを入れるべきと考えますがいかがか,地方における
行財政改革においても,こうした基本的問題を踏まえるべきと考えますがいかがか,伺います。
また,我が党は,行政のあり方を根本的に切りかえるため,多くの国民が求めている企業献金の禁止,高級官僚の天下り禁止,国民への情報公開の三つを行革のかなめとして提言していますが,市長はこれをどう受けとめておられるのか,桂市長の
行財政改革に対する基本的な考え方とあわせてお尋ねをいたします。
質問の第2は,政府の
財政構造改革方針に関してであります。
橋本内閣が閣議決定をしたこの方針は,一切の聖域なしと言って,医療,福祉,教育,中小企業など国民生活関連予算を大きく切り縮めようとしております。すなわち,社会保障の年間 5,000億円の削減,年金の給付水準引き下げ,
支給開始年齢のさらなる延長,雇用保険の改悪等々,国民福祉を根本から脅かす国民犠牲の計画であり,国民や市民生活に大きな悪影響を及ぼすことが懸念されますが,市長は,これらが実施されると市民生活と本市の行財政にどのような影響があると考えているのか伺います。
また,これとは反対に,財政危機の最大の原因である
公共投資基本計画については, 630兆円の総額はそのままに,10年計画を3年延長するだけであり,軍事費の縮減策も見せかけの実質増額ということに見られるように,財政危機の最大の根源である浪費構造は相も変わらず聖域とされ,メスが入れられておりません。これでは,浪費の構造はそのままにし,国民の購買力を押し下げ,国民生活を厳しいものにし,財政再建に逆行することになると考えますがいかがか,政府の
財政構造改革方針についての市長の評価,見解を伺います。
質問の第3は,敬老無料パスの改悪問題についてであります。
市長は,市民から喜ばれている70歳以上の高齢者の敬老優待乗車証制度について,行革の名のもとに見直しに着手いたしましたが,これを知った市内の高齢者の中に反対の声が急速に広がっております。
見直しの内容は,所得制限や年齢の引き上げ,費用負担の導入など,どれをとっても利用者を減らし,市費の持ち出しの削減がねらいであることは明らかです。
見直しの理由について市長は厳しい財政状況を挙げていますが,このように,単に市費の持ち出しを減らすために市民負担を導入し,敬老パスの利用者を削減することが行政改革だと市長はお考えなのかどうか,今回の敬老パス制度の見直し・改悪のどこが行政改革なのか伺います。
そもそもこの敬老パスの制度は,交付規則でも明記しているように,敬老の立場から,高齢者の社会参加促進を目的としたもので,これまでの議会答弁でも,理事者は,単なる福祉サービスとは違う,敬老の精神に基づく制度であるから70歳以上の方に一律交付している旨,明らかにしてきたものであります。それを,今,所得制限を導入し,一律交付という制度を崩すことは,これまでの考え方と大きく矛盾することと考えないのかどうか。所得による差を設け,利用者を削減することは,本市みずからが敬老の精神を踏みにじることになると考えますがいかがか,市長の見解を伺います。
我が党は,行政改革の名に値しない敬老パスの改悪・見直しはやめて,現行制度の存続を強く求めるものでありますがいかがか,伺います。
質問の第4は,学校給食の民間委託化の問題についてであります。
行革を叫ぶ自民党が再三にわたって学校給食の民間委託化を要求,本市教育委員会がその検討を開始したことは,まことに遺憾であります。この間,自民党などが要求した保健所の統廃合,仲よし子ども館廃止を見ても,機構,事業,人員の削減によって本来必要な予算を削減しようとするものであり,行政改革というよりも改悪であります。学校給食の委託化も同様であります。
民間委託化し,安上がりのサービスに切りかえることが行政改革であると考えているのかどうか,伺います。
学校給食は教育の一環として位置づけられており,しかも,子供たちの健康と生命にかかわる重大問題であります。日本じゅうを震撼させたO-157問題では,感染被害を一挙に拡大することになるセンター方式が全国で問題となり,直営で行っている札幌方式が安全でよい給食と高い評価を受けたのはご承知のとおりであります。
これを民間に任せるということは,教育の一環としての学校給食をゆがめ,安全性の上からも大きな問題が生じてくることは必至と言わなくてはなりません。ことしの夏も,O-157による感染被害が多発する可能性があるということが既に伝えられております。この重大な時期に,あえて学校給食の民間委託化を方向づけるおつもりなのかどうか,伺います。
我が党は,市教委が安易な対応はやめ,民間委託化の検討の中止を強く求めるものでありますがいかがか,対応について伺います。
次に,開発と街づくりに関する基本的問題について質問します。
質問の第1は,国の公共事業基本計画の見直しとも関連させて,国際ゾーン計画についてです。
国,地方の公債残高が約 400兆円,いわゆる隠れ借金を含めると 500兆円を超すと言われる異常な状況のもとで,公共事業の抑制が叫ばれ,とりわけゼネコン奉仕の大規模プロジェクトの見直しが求められている今日,市長は,本市の開発計画についてどのように対処されようとしているのかお尋ねいたします。
また,数年前に総事業費 2,400億円とはじき出されている国際ゾーン計画についてですが,創成川の親水公園化と大通公園の東への拡張は,財政状況も考慮しながら,国際ゾーン計画と切り離して,本市において順次推進することとしながらも,都心部の3街区に超高層ビルを林立させて都心部の過密の弊害に拍車をかける,いわゆる国際ゾーン計画については,これを取りやめるべきと考えますがいかがか,お尋ねします。
質問の第2は,道の開発計画ともかかわる千歳のエアカーゴ基地と石狩湾新港についてです。
まず,本市としても既に5億円を協力金として負担をし,手をかしてきた国際エアカーゴ基地構想についてです。
北海道経済の活性化と国際化に貢献するとして,大々的に宣伝された新千歳空港国際エアカーゴ基地構想は,将来20万トンを目指して,貨物取扱量を年間当面2万トンとした見込みが,8年たって96年度,わずかに5分の1の 4,400トンで,2年前の94年度より 1,300トンも減っており,破綻はだれの目にも明らかであります。
新聞の社説でも,超低空飛行どころか完全に失速ぎみとして,墜落する前に貨物基地より旅客重視でと方向転換を指摘される始末であります。
道自身も事実上,戦略プロジェクトの旗をおろしたこの構想について,市長はその破綻を認めておられるのかどうか,また,現状を踏まえて,北海道にどう対応しようとしておられるのか明らかにしていただきたいのであります。
次に,石狩湾新港管理組合への加入についてであります。
我が党は,さきの予算特別委員会で,北海道開発の目玉の一つとして位置づけられた石狩湾新港には膨大な資金が投入されてきたが,貨物取扱量は目標値の 610万トンに対して 226万トンと37%にとどまっているにもかかわらず,釜山との大型コンテナ航路などを口実に,さらに金をつぎ込もうとしていると指摘し,札幌市がこのような計画の渦中に途中から入り込んで費用負担を背負い込むべきではないと,新港管理組合への参加に反対の意見を述べたところです。
理事者の答弁でも,加入に際して20億から30億円程度が必要になるということが明らかになっております。
過去に例を見ないほどの厳しい財政状況と言うのであれば,エアカーゴ基地ともども不要不急のプロジェクトである石狩湾新港の管理組合への加入は,たとえ要請を受けても見合わせるべきと思いますがいかがか,伺います。
質問の第3は,バブル崩壊に伴う地価下落で,巨額の市費持ち出しによる穴埋めを強いることになっている工業団地の造成及び分譲事業についてです。
昨年の第3回定例議会に提案されました米里北工業団地での約6億 5,000万円のまちづくり推進基金からの穴埋めに続く,今回の新川工業団地での約9億 5,000万円の基金繰入提案は,大問題と言わなくてはなりません。
しかも,造成原価を下回る分譲価格の設定によるこのような赤字処理としての市費導入とあわせて,96年度で事業を終了したことになっている米里北工業団地の造成事業の場合で,昨年度,団地分譲金収入となった35億円のうち,その51.6%は,これもまた,まちづくり推進基金が買い取って用地を抱いているものであり,新川工業団地の場合も,予定の66億円余の分譲金収入中,98年度の事業終了時に売れ残った分譲地は,同様にまちづくり推進基金が一時立てかえて用地を買い取り,その後に処分する方法をとるものと思われますから,いつ売れるかによって,市民福祉の事業にも直結するまちづくり推進基金の活用に大きな影響をもたらすことが懸念されるものであります。
市長は,公共性があるとはいうものの,特定企業に対する工業団地分譲事業におけるこのような不始末が市民にはね返っている現状について,失政の責任をどのようにとろうとされるのか,工業団地の赤字処理に多額の市費を投入している現状についてどのように考え,今後の工業団地事業についてどう考えておられるのか,市民の前に明らかにしていただきたいのであります。
質問の第4は,JR札幌駅南口土地区画整理事業についてです。
第1は,この区画整理事業の計画の破綻で本市が大きな損失をこうむり,それを市民の税金で賄おうとしている点についてです。
本市が3年前に,事業費を生み出すために土地開発基金を使って肩がわり取得した北5条西5丁目の保留地 1,300平方メートルの土地は,70億円で取得したものが,今日の実勢価格は19億円へと暴落しているのであります。現在の時点でこの保留地を売却したとすると,札幌市は50億円プラス金利分の損失をこうむることになるではありませんか。
市長は,損失のツケを市民に押しつけようとするのですか,はっきりとお答えください。
第2は,受益者に応分の負担を求めるべきと考えないのかどうかということです。
区画整理事業で発生した損失は施行者の責任というのは,そのとおりでしょう。しかし,駅前広場の整備によって最も利益を得るのはだれでしょうか。JR北海道であり,大丸であることはだれが見ても明らかです。広場の拡張と機能の拡充により,駅前周辺へ人の流れが集中することは確実です。ある意味では,そのための事業でもあるのです。
その上,JRと大丸は,市の事業計画では1平方メートル当たり 580万円の予定価格を,約4分の1の 148万円で手に入れたのですから, 368億円もぼろもうけしたことになるわけです。
本市としては,赤字補てんとしてJRなどに応分の負担を求め,市民の負担を軽くするように努力すべきではないのでしょうか,お尋ねいたします。
第3は,JR本社への移転補償についてであります。
JR北海道は,1987年の分割・民営化時に,1平方メートル当たり約 2,500円というただ同然の値段で,国民の財産である札幌駅の周辺の一等地を手に入れたのです。そして,飛び地で事業を展開するのではうまみがないと,区画整理事業による換地と容積率のアップなどによって,何の苦労もなく高価な土地にかえさせました。だから,ホテル建設を計画できたのです。
したがって,今回の区画整理事業による最大の受益者はJRだと思うのですが,市長はそうはお考えにならないのか伺います。
また,本市は,JR本社の桑園への移転補償費を56億円支払っていますが,JRは,国鉄時代の1970年代から移転の計画を進めており,1980年代からは桑園駅の社有地への移転が具体化されていたのです。つまり,市の区画整理事業によって,本来ならみずから負担すべき本社屋の移転・新築費58億円を,1円も負担することなく手に入れたことになるわけです。
私は,このようなJRへの移転補償はおかしいと考えますがいかがか,市長のご所見を伺います。
第4は,事業の変更についてです。
さきに述べましたように,本市が70億円で購入したことになる保留地は,現在19億円にまで価格が暴落しました。しかも,3年分割で処分を始めたのは1993年度ですが,その前年から地価の下落が始まり,1平方メートル当たりの近傍公示価格で,91年の 1,130万円が92年には 995万円,93年には 823万円,94年が 666万円,95年が 500万円と急激に下落していったのです。
事業に支障を来すこのような事態の進行を考えれば,区画整理事業の途中であっても,必要な手続をとっての事業変更は可能だったはずでありますが,なぜそうしなかったのか。事業の見直しや減歩率の変更などを行わなかったことが今回の札幌市の負担増につながったことについて,市長はどう責任を感じているのか明らかにしていただきたいのであります。
次に,生活保護行政について質問します。
本市の生活保護行政の問題点については,これまでもさまざまな指摘がなされてきましたが,憲法が施行されて50周年に当たる今日においても,市民の人権を侵害する措置が本市生活保護行政の中で行われていることは,まことに遺憾であります。
そこで,生活保護行政に関する不服審査請求にかかわる問題に絞って伺います。
質問の第1は,ストーブの支給問題についてであります。
昨年11月,市内の生活保護受給者から北海道知事に提出されていたストーブ支給申請却下に対する不服審査請求に対して,去る5月23日,申請却下処分はこれを取り消すという道の裁決が下されました。不服審査請求を認めた道内初の裁決として,まことに異例のことであります。
そもそも今回の不服審査請求は,昨年10月,生活保護を受給していた61歳の女性が,ガス暖房用のストーブが設置されていた部屋からストーブのない住居に転居するに当たって,ストーブの支給を求める申請を行ったことに対して,白石区福祉部が申請を却下したことから起こされたものです。
本市は,これまで,転居の際のストーブ購入について,通常の生活費と冬季加算で購入すべきとしてきたのですが,今回の道の裁決は,憲法第25条,生活保護法第1条,第2条及び第4条に照らして,本市の対応を真っ向から否定したものでありますが,市長は,道の裁決をどのように受けとめ,どのように反省しておられるのかお示しいただきたいのであります。
また,裁決を受けた直後,本市は91年物の中古ストーブと寄贈された石油タンクを支給するという対応をしましたが,これは不当であるとして受け取りを拒否されました。このような本市の対応は,まことにかたくなな姿勢と言わなければならず,不服審査請求を行ったことに対して,遺恨でも持っているかのような対応に感ぜられるのであります。また,本市が道の裁決に対して,心から承服していない,反省していない対応とも思われるのですがいかがか,伺います。
今後は,転居の際のストーブの支給については,道の裁決と生活保護法の趣旨にのっとって,市長承認基準の2万 5,000円以内にあえてこだわることなく,4万 2,000円以内で支給する知事の承認基準を採用するなど,対応を改善すべきでありますがいかがか,今後の対応について伺います。
質問の第2は,通院移送費についてであります。
この問題についても,現在,数件の不服審査請求が道に提出されております。生活保護法は,必要即応の原則を定めており,移送費の取り扱いについては,入院・転院・退院・通院による受診,または外泊に伴う移送のための交通費を最低限度の範囲で支給すると明記されています。
ところが,こうした通院移送費の支給について,ケースワーカーが保護受給者に十分知らせることもなく,また,ほかから聞いて保護変更申請書を提出した人に対しても,申請月前のものは該当しないと却下する冷たい対応がとられてきました。道が通院移送費について申請の2カ月前まで遡及して支給しているのに比べて,本市の対応は余りにも機械的であり,実態にそぐわないものであります。
法第9条,第15条の精神に基づき,保護受給者に漏れなく,通院移送費を支給することについての説明の徹底を図るとともに,移送費の支給に当たっては,申請どおり全額を支給するよう対応を改善すべきと考えますが,今後の対応策について伺います。
次に,学童保育について質問をいたします。
児童福祉法の一部改正が国会で可決され,これまでさまざまな形態で行われてきた留守家庭児童対策が,放課後児童健全育成事業として児童福祉法に位置づけられ,社会福祉事業法の第2条において保育所と同格の第2種社会福祉事業として規定されるなど,法制化が図られました。市内の学童保育関係者も待望していた法制化でありますが,これに伴う政府みずからの取り組みについては,十分なものではありません。
したがって,真に市民と学童保育関係者の切実な要望にこたえるためには,法制化を受けた本市の取り組み強化が重要であり,これまで多くの父母,関係者が求めてきた専用室の保障,専任指導員の配置などを含めた保護機能の充実,福祉的側面の抜本的強化が本市の取り組みの基本に据えられていくべきものと考えますがいかがか,伺います。
また,法制化を受けて解決すべき具体的課題についてですが,本市の設置基準が,現在,児童クラブを1小学校区に一つと限定していることにより生じる問題の解決が必要です。この問題は,児童クラブ関係者と本市教育委員会との間でトラブルともなってきたものです。
児童会館内に児童クラブが開設され,経過措置の2年が過ぎた時点で,それまであった共同学童保育への市の助成が打ち切られてしまいますが,助成を打ち切られた後もなお,児童会館内児童クラブは学童保育としては不十分と,共同学童保育の運営を続けるところがふえ,助成を継続してほしい,そのためにも実態に応じて共同学童保育所の併存を認めてほしいという強い要望が出されています。現行のままでは,児童福祉法などで位置づけられた放課後学童健全育成事業として最もふさわしい取り組みとなっている共同学童保育所には,市の助成が行かないという矛盾した状況が生じることになるのであります。
法制化を機に,児童クラブと共同学童保育所とを併存させる方針を導入し,児童会館内児童クラブがある校区での共同学童保育所への助成継続など,実態に即した対策によってこの問題の解決を図るべきと考えますがいかがか,対処方針を伺います。
次に,緑地などの環境保全に関して質問します。
本市の森林は,毎年,開発行為などにより数十ヘクタールずつ減少を続けており,特に開発志向の強い民有林こそ保全施策を必要としております。昨年来,緑地保全上,重大な問題が頻発しており,本市における緑地などの環境保全対策の抜本的強化が求められております。
そこで伺います。
質問の第1は,緑地保全に対する本市の基本的な取り組みについてです。
失われ続ける本市の緑地の現状をどのように受けとめ,どのように対策強化を図るおつもりか伺います。とりわけ市街化調整区域の民有林の保全対策が急がれますが,区域のゾーニング,保全の計画化を急ぎ,都市計画上の網かけや土地の買い取りを含む積極的保全対策を進めるべきと考えますがいかがか,伺います。
質問の第2は,真駒内南町に隣接する樹林地についてでありますが,本市の緑地保全対策の姿勢が問われる問題であります。
本市みずからがAクラスの樹林地と位置づけたにもかかわらず,既に開発許可をおろしてしまったように,開発者に対する働きかけも弱いものでありました。保全のためには開発許可申請を受け付けないことが重要であり,事前協議の段階で強力に指導することができたはずです。
改めて,樹林地保全のために,開発の見直しを含めて,関係住民の要望が受け入れられるよう強力に指導すべきと考えますがいかがか,伺います。
質問の第3は,藻岩山山ろくの自然保護についてであります。
昨年来,私どもが議会でもたびたび取り上げてきた中央区伏見5丁目の約 9,300平方メートルの民有林についてですが,市が都市環境緑地として保全する方針のもと,一昨年の11月以来,公有地拡大推進法に基づいて,土地所有者と買い取りのための協議を行ってまいりましたが,価格面などで折り合いがつかない中,最近も樹木伐採の話が持ち上がり,自然林保護を求める地域住民に不安を与えております。
この自然林が,国の天然記念物に指定されている藻岩山原始林ともつながって,その保全に深くかかわっているだけに,自然破壊を防止するための本市としての踏み込んだ対策が今必要と考えますが,いかがか。市民が親しめる自然歩道の新設ルートの対象に位置づけるなど,この森の開発を制する新たな対応についても検討すべきと考えますがいかがか,伺います。
質問の第4は,宮の沢4条5丁目の樹林地に関してであります。
民間の開発計画が持ち上がり,長い間この自然になれ親しんできた付近住民から,何とか林を守ってほしいとの陳情が本市議会にも寄せられております。建設委員会の視察で現地を見ましたが,勾配のきつい傾斜地に樹木が密生しており,何カ所もの湧水があり,地面には厚く堆積した落ち葉が踏み締める足をやわらかく受けとめ,保水力の強さをうかがわせるところであり,この貴重な自然を保全できるように本市が積極的に対応すべきと考えますがいかがか,改めて伺います。
質問の第5は,豊平川河畔林についてであります。
豊平川の河川敷にはほとんど樹木は残っておりませんが,残されたわずかな河畔林さえ伐採され続けております。環状北大橋の北側の河畔林は,カワセミの営巣地ともなっているところですが,取水場とするため,一部伐採されました。また,東雁来の排水機場の川下に船着き場をつくって,ここでも河畔林を伐採しております。
これまで,石狩川開発建設部は,洪水対策として護岸工事を行い,また,本市は,緑地造成と称して樹木を伐採し,公園,野球場などの施設を河川敷に整備してきたのでありますが,今後は,野鳥のすみかとしても大切な残されたわずかな緑を守り,河畔林は保全する方向に転換すべきと考えますが,いかがか。予定されている豊水大橋から雁来大橋にかけての緑地整備においても,河畔林,樹木には手をつけないことを本市としてもはっきりと示すべき時期ではないかと思いますがいかがか,市長のご所見を伺います。
質問の第6は,東雁来にある通称雁来の森の保全についてです。
緑の少ない東区の中で,比較的まとまって樹木が残されているのが雁来の森でありますが,この森を含める形で東雁来土地区画整理事業が進められております。この計画は,東雁来汚水処理場跡地の雁来の森を伐採して道路と住宅・公共施設をつくろうとするものであり,問題です。この区画整理事業は,広大な農地を中心に進められるものであるだけに,貴重な雁来の森を残す形での道路や宅地・
公共施設用地の配置が十分可能であります。
雁来の森を守るよう計画を再検討すべきと考えますがいかがか,伺います。
質問の第7は,自然豊かなモエレ沼と周辺の整備についてです。
馬蹄形のモエレ沼の一端は雁来新川に,もう一端は篠路新川に接しております。その雁来新川は,水量が不足し,汚れも目立ち,衛生面でも心配されております。
そこで,豊平川から雁来新川に水を送ることで,雁来新川に水流をよみがえらせ,その流れの一部をモエレ沼にも送ることで,沼の水質向上につながるのではないかと思うのですがいかがか,伺います。
最後に,傷病鳥獣の保護対策について質問いたします。
ことしの1月の日本海におけるロシア船籍タンカーからの重油流出事故で傷ついた鳥が,治療のためにウトナイ湖サンクチュアリに運ばれ,獣医やボランティアの協力でリハビリを受けて元気になった姿がテレビなどで放映され,道民に感動を与えました。
野生動物の宝庫と言われる北海道においても,開発が進む中で野生動物の生息域が狭まり,人間生活に起因する傷ついた野生動物が急増しています。このことから,道は,本年度から傷病鳥獣保護収容のネットワークづくりに全道的に取り組むと聞いております。自然に囲まれた本市においても,円山動物園だけでも毎年約 200前後の負傷した鳥獣が市民から持ち込まれているという状況です。
そこで伺いますが,道が現在進めようとしている傷病鳥獣保護収容ネットワークシステムとの協力・共同にとどまらず,札幌市独自の取り組みが必要と考えますが,いかがか。京都市では,府の予算で京都市動物園の中に傷病鳥獣保護収容センターを建設するなど,積極的に取り組んでいると聞いておりますが,札幌市においてもそのような考えはないのかどうか伺います。
以上で,私の質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(富田新一君) 答弁を求めます。
桂市長。
◎市長(桂信雄君) それでは,まず私からお答えをいたします。
最初は,行政改革についてでございます。
1点目の
行財政改革の基本問題と2点目の
財政構造改革の問題につきましては,それぞれ関連しておりますので,まとめてお答えをさせていただきます。
行財政改革につきましては,これまでも議会等でたびたびお答えをしておりますとおり,その基本理念は,国民福祉あるいは住民福祉を向上させるために,社会経済情勢や行政需要の変化に対応し,行政の組織や事業のあり方などを再構築していくことであると考えております。
国政の場においても,厳しい財政状況を踏まえ,この基本的な考え方に立って,
財政構造改革など広い範囲にわたって,さまざまな観点から検討されているものと認識をしております。
本市といたしましても,この理念に基づいて取り組みを進めているところでございます。
次は,敬老パス制度についてであります。
この制度は,昭和50年1月の事業開始以来,既に20年余を経過しておりまして,この間,社会の高齢化・少子化を初めとして,社会情勢に大きな変化が見られたところでございます。このような状況の中で,本制度に対して,近年,市民の中からさまざまなご意見が寄せられており,制度のあり方について大変関心が高まっているものと認識をしております。
そこで,本市といたしましては,21世紀の高齢社会において本制度がどうあるべきかという観点から,調査検討を始めたところであります。
今後の検討に当たりましては,制度制定の趣旨を尊重し,広く市民のご意見をお聞きする中で,社会情勢に適応した制度を目指していく考えであります。
次は,開発と街づくりに関する基本的問題についてであります。
第1点目の国の公共事業の見直しとの関連についてのご質問でありますが,まず,本市の開発計画につきましては,社会経済情勢の変化や財政状況にも配慮しつつ,計画的に推進すべきものと考えております。
また,国際ゾーン計画については,市民が誇りを持って次代に引き継ぐことのできる風格ある都市空間づくりを目指すものでありますことから,本市の歴史的遺産であります大通や創成川を含め,一体的・総合的な整備を図ることが重要であると考えているところであります。
第2点目の道の開発計画についてのご質問でありますが,まず,国際エアカーゴ基地構想についてお答えをいたします。
国際エアカーゴ基地構想における国際貨物取扱規模の目標と現状につきましては,当初目標の2万トンと比較いたしますと,下回っている現状にございます。これは,当初予定をしておりました国際貨物定期便の乗り入れがまだ実現していないなどの事情によるものでございますが,現在,道が中心となって,国際貨物定期便の誘致や旅客定期便にあわせた貨物の拡大などの努力を重ねているところであります。
また,昨年春には,条件つきではありますが,新千歳空港に以遠権が認められ,これによる期待も示されておりますので,今後の推移を見守っていきたいと考えております。
次に,石狩湾新港管理組合への加入についてでありますが,石狩湾新港は,札幌圏の流通の拠点であり,また,新港及びその後背地の整備開発は,圏内の産業振興に重要な影響を及ぼすことから,本市は,広域的立場から,石狩湾新港地域開発連絡協議会,石狩開発株式会社,北海道などの関係機関と連携しながら,その整備促進に協力しているところであります。
しかしながら,ご質問にありました石狩湾新港管理組合への加入の件につきましては,本市に対し組合からはまだ正式な申し入れはありません。したがいまして,これまでにも申し上げてまいりましたように,もし正式な加入の要請があったときには,議会にお諮りをした上,その方向を決めてまいりたいと考えております。
第3点目の工業団地の造成と分譲事業についてのご質問でありますが,米里北地区及び新川地区工業団地造成事業につきましては,当初予測できなかった経済状況の変化により,実勢価格が造成原価を下回る結果となったものであります。これを造成原価で分譲した場合には,分譲が長期化し,本市の工業振興や財政面に少なからぬ影響を与えることが予測されますことから,造成原価を下回る実勢価格での分譲もやむを得ないと判断し,分譲金収入の不足分については,まちづくり推進基金からの繰り入れにより補うこととしたものであります。
今後の工業団地の造成事業につきましては,低廉で良質な工業団地の供給が次第に難しくなっておりますが,工業用地の供給は,その需要動向から,今後も産業振興上,不可欠と考えておりますので,企業のニーズに合った供給ができるよう,民間活力の導入も含めて新しい手法の検討に取り組んでまいりたいと考えております。
4点目のJR札幌駅南口開発と区画整理事業についてのご質問であります。
まず,保留地価格の低下に伴う対応についてでありますが,都心部を中心とする地価の大幅な低下もあり,実勢価格では,確かにご指摘のような状況が生じていることについては認識をいたしております。
今後,保留地に隣接する市有地と合わせ,公益的関連施設の誘致も含めた有効な土地活用を今年度中にはまとめるように努めてまいりたいと考えております。
次に,保留地価格の低下に対するJRなどへの応分の負担についてでありますが,南口地区は,本市施行による土地区画整理事業として土地の集約化を図ったものであり,公共広場である南口広場そのものが1万 2,000平方メートルから1万 9,000平方メートルへと, 7,000平方メートルも拡大が図られるものであります。保留地価格は下がってはおりますが,本事業は既に土地区画整理法に基づき仮換地指定処分も終えており,その差額を他の土地所有者に課すことはできないものであります。
三つ目のJR本社への移転補償についてでありますが,駅南口地区の整備に当たっては,平成4年の札幌駅周辺地区整備構想において,土地の集約化と駅前広場整備を図るために,その事業手法として土地区画整理事業方式により行うこととしたものであります。JR本社屋につきましては,本事業において支障となるため,土地区画整理事業法に基づく損失補償基準によって換地先への移転の補償を行ったものであり,問題はないと考えております。
四つ目の区画整理事業の変更についてでありますが,本事業は,平成5年度において,土地区画整理法に基づき仮換地指定処分を行い,地権者それぞれの権利が確定したものであり,その後保留地の価格が下がったとしても,事業の見直しを行うことにはならないものと考えております。
次に,傷病鳥獣の保護対策についてお答えいたします。
現在,北海道で,公立動物園,北海道獣医師会,ボランティアなどの協力のもとで,傷病鳥獣保護収容ネットワークを全道展開しようとしているところであります。
本市も,このシステムの中でその一翼を担い,さらに本年度建築いたします円山動物園センターに研修施設を設け,ボランティアの研修など,動物園の特徴を生かした傷病鳥獣の保護収容対策を進めてまいりたいと考えております。
なお,傷病鳥獣の保護対策を考えた場合,道央に基幹的な保護収容センターはぜひとも必要であると考えており,円山動物園には設置できる敷地もありますので,今後,収容センターの建設について北海道と十分に協議をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○副議長(富田新一君) 石原助役。
◎助役(石原弘之君) 私から,緑地など環境保全についてお答えをいたします。
まず,1点目の緑地保全に対する本市の基本的な取り組みについてであります。
市街地を取り巻く自然緑地は,札幌の個性を象徴し,豊かな市民性をはぐくむ貴重な財産であり,その積極的な保全と活用を図ることを基本姿勢としております。
このうち,将来にわたり良好な都市環境緑地として維持・保全を図る必要がある民有林については,これまで緑地保全地区の指定,都市環境緑地事業による森林の公有化,市民の森事業,緑化推進条例に基づく指導等により,その保全に努めてきたところであります。
さらに,現在,市街化調整区域内の良好な民有林について,将来にわたって保存すべき区域,開発の規制を強化しながら保全・活用すべき区域などの検討を行っているところであり,これに基づいて,今後は緑化推進条例及び風致地区内建築等規制条例などの見直しを含め,より体系的・効果的な保全策を進めてまいりたいと考えております。
次に,2点目の真駒内南町の樹林地の保全についてであります。
当該地は,将来にわたり保全を図りたい重要な樹林地に位置していたため,当初,買い取りを前提として,誠意を持って開発者と交渉を進めたところでありますが,残念ながら成立まで至らなかったものであります。そのため,次善の策として,緑化推進条例による緑化計画協議の段階で,残置樹林地の基準割合である30%以上を約67%まで拡大する協力を得,さらに,新たな植栽により,結果的には約82%の樹林地になるよう強い指導をしたところであります。
開発者に対する指導についてでありますが,先日,開発者と地元町内会との話し合いが持たれたと聞いておりますので,その推移を見守っていきたいと考えております。
次に,3点目の藻岩山山ろくの自然保護についてであります。
当該地は,良好な樹林地でありますが,市街地に近接しておりますことから土地の開発志向が強く,土地所有者との調整が大変難しい状況になってきております。
しかし,この土地の重要性は十分認識しておりますので,自然歩道への活用なども含めて,樹林の保全について地権者のご理解を得られるよう,引き続き協議を進めてまいりたいと考えております。
4点目の宮の沢4条5丁目の樹林地についてでありますが,当該地は,市街化区域内に位置し,都市計画法上は計画的な市街化を促進する区域と位置づけられております。周辺地域では既に宅地開発が進み,住宅が連檐していること,また,所有者の開発意思がかたく,今後,樹林地の保全を図るための法規制,例えば緑地保全地区や緑保全地区の指定を行おうとしても,所有者の同意を得ることが極めて難しく,当該地の自然保全については困難な状況にあると考えております。
次に,5点目の豊平川河畔林についてであります。
本市が行っている豊平川緑地の整備は,河川管理者である国の河川改修が完了した区域内の高水敷について,占用許可を受け,植栽をしたり,市民のスポーツ・レクリエーションの場として整備を行っているものであります。
豊水大橋から雁来大橋の区間につきましても,占用許可を受けた際に,残されている樹林は保全していく考えであります。
次に,6点目の雁来の森の保全についてであります。
当地区は,伏籠川総合治水計画の区域内に含まれ,調整池への雨水導入や豊平川左岸堤防強化のための盛り土計画を予定しておりますので,ご質問の林地については,現状のままで残すことは困難であると考えております。
しかしながら,事業計画においては,既存の林地面積と比較して約3倍の緑道及び公園を計画しており,その中でこの林地にかわる新たな植栽に努めることとしているほか,移植可能な樹林については極力移植を実施することとし,地区の保全とあわせて豊平川緑地との一体化を図ることで,水と緑の潤いのある街づくりを目指してまいりたいと考えております。
7点目のモエレ沼と周辺の整備についてでありますが,モエレ沼については,これまでも管理者である国がしゅんせつを行ってきております。今後とも,雁来新川を含め,より一層の水質浄化に向けた取り組みについて国に要望してまいりたいと考えております。
以上であります。
○副議長(富田新一君) 大長助役。
◎助役(大長記興君) 私から,生活保護行政について答弁を申し上げます。
まず,1点目のストーブの支給問題についてでありますが,このたびの道の裁決書は,本件について再度調査することを求められたものでありましたことから,白石区福祉部では早速に再調査を行い,この結果,本人の特別な事情を配慮し,既に特別基準によって現金支給を決定しているところであります。
今後の対応につきましては,保護の実施は国が示す取扱方針に基づいて行うものであり,したがって,支給申請の都度,個別に必要性を調査し,要否を判断してまいりたいと考えております。
2点目の通院移送費につきましては,現在その周知に努めているところであり,遡及支給につきましては,生活保護は申請に基づくという国の示す原則により取り扱うものと考えております。
以上です。
○副議長(富田新一君) 千葉教育長。
◎教育長(千葉瑞穂君) まず,第1点目の行政改革についてのご質問のうちの4点目の学校給食の見直しについてでありますが,昨日の鈴木議員のご質問にもお答え申し上げましたとおり,現在,学校給食運営委員会の審議が進められているところであり,教育委員会といたしましては,この提言を受けて検討を進めていく予定であります。
いずれにいたしましても,学校給食の見直しにつきましては,子供たちにとって学校給食をいかによりよいものにしていくかという観点から取り組んでまいりたいと考えております。
なお,学校給食の衛生管理につきましては,今後とも細心の注意を払っていかなければならないものと考えております。
次に,第4点目の留守家庭児童対策についてであります。
ご質問の本市の留守家庭児童対策の基本方向と具体的な諸問題につきましてあわせてお答えいたしますが,昨日の鈴木議員のご質問に市長からお答えしましたように,本市の留守家庭児童対策の基本方向につきましては,留守家庭児童と一般児童を分け隔てなく実施してきました従来の健全育成とあわせて,今後は児童家庭福祉の要素を取り入れた施策が必要になるものと認識しております。
なお,具体的な施策の展開や民間施設方式のあり方などにつきましては,これから示されます政令で定める基準や議会のご意見,他都市の動向などを踏まえて,本市としての施策の方向を総合的に検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
(宮川 潤君「議長」と呼び,発言の許可を求む)
○副議長(富田新一君) 宮川 潤君。
◆宮川潤君 まず最初に,雁来の森についてでありますが,盛り土をすることもあって残すことは困難だということでありますが,付近一帯,大きく農地として開けているところなので,その中での配置の仕方の工夫によってできないのかどうか。大変残念でありますので,この点については,ぜひ残していただけるような形での再検討をお願いしたいということで要望をしておきます。
それから次に,敬老パスについてでありますが,ご答弁では,制定の趣旨を尊重するということでありました。制定の趣旨であれば,これは敬老の精神ということで明らかであります。そして,この敬老パス制度ができてから,今までに何度も議会でこのあり方について議論が行われましたが,例えば,その中で,今までも所得制限を設けたらどうかという質問がされたこともありました。そのときに,理事者は何と答弁してきたかといいますと,敬老の精神であるからこそ,単なる福祉サービスとは違う,一律に支給するものだ,このように言って,今まで敬老パスを守ってきたのであります。制定の趣旨を尊重するということであれば,これは制度の縮小をすべきでないと思いますので,この点,市長からですね,制度の縮小・改悪はしない,するつもりはないと,このようにはっきりとぜひご答弁いただきたいというふうに思います。
次に,生活保護,ストーブの支給のことでありますが,私もこの件では市長あての申し入れを行いましたが,そのとき,担当部署の方は非常にかたくなな態度でもって,ストーブの支給については改善しないようなことを言っておりましたけれども,しかし,これまでの経過を見ますと,まずストーブを支給してほしいという支給申請があり,それをまず却下した。次に,中古ストーブを2万 4,000円の範囲内で現物支給をし,それが拒否されると,態度を改めて4万円の現金支給をした。態度が何度も途中で変わっている。
これらの経過を踏まえてですね,過ちは過ちと認め,反省すべきことは反省し,やはり態度を改めるということが必要だと思います。市長は,今回の件について反省しているのかどうか,今後繰り返さない,同じ間違いは繰り返さないと考えているのかどうか,ぜひこの点,明らかにしていただきたいと思います。
○副議長(富田新一君) 桂市長。
◎市長(桂信雄君) それでは,私からお答えいたしますけれども,まず敬老パス制度についてであります。
ただいまお答えしましたように,制度制定の趣旨を尊重し,広く市民のご意見をお聞きする中で社会情勢に適応した制度を目指していきたいと,このように申し上げています。今後の社会情勢,既に大きな変革がありますけれども,これからもさらに大きな変革が予想される社会情勢に対応するような,そういう状況を十分見きわめて,これを検討していきたいと,こういうことを申し上げているわけであります。
それから,ストーブの件についてでありますけれども,この件につきましては,法の趣旨に基づいて,従来の取り扱いに従った処理をしたわけでありますけれども,しかし,この件について不服審査を受けた上級官庁である道の裁決が異なるといいますか,再度よく調査をするようにという,そういう裁決をいただいたわけでありますから,それに従って再調査を行い,現金支給を決定したというわけであります。
この間にいろいろとご心配をおかけしたという事実は認めます。
以上です。
(宮川 潤君「議長」と呼び,発言の許可を求む)
○副議長(富田新一君) 宮川 潤君。
◆宮川潤君 敬老パスについて,広く市民の声を聞くというのであれば,検討懇話会の内容についても市民の皆さんに明らかにして,その上で市民の皆さんの声を聞くべきではないのですか。この点について,広く本当に市民の声を聞こうとしているのかどうか,疑問です。
市長,どうですか。
○副議長(富田新一君) 桂市長。
◎市長(桂信雄君) 私は,今,懇談会の意見を聞いて,それで物事を決めるということはこれまでも言ったことはありませんし,そのようにも考えておりません。広く市民の意見を聞いて,そして,当然,その中には議会のご審議も入ると思います。そういうものを通じて,本来どうあるべきか,これから先を考えてどれが望ましい方向かということを決めていきたい,このように思っております。
(宮川 潤君「議長」と呼び,発言の許可を求む)
○副議長(富田新一君) まだありますか。
宮川 潤君。(発言する者あり)
◆宮川潤君 市長の態度は,結局,市民の声を聞くということも言いながら,一方では(発言する者あり)
○副議長(富田新一君) ちょっと静粛に,静粛にお願いします。
◆宮川潤君 (続)懇話会の内容についても(議場騒然聴取不能)……甚だ遺憾であります。(発言する者あり)
また,生活保護の件についても,市長はきちっと反省すべきことは反省するということを明らかにすべきである。大変残念であります。(発言する者あり)
○副議長(富田新一君) お諮りをします。
本日の会議はこれをもって終了し,明6月11日午後1時に再開いたしたいと存じますが,ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(富田新一君) ご異議なしと認めます。よって,さよう決定されました。
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――――――――――――――――――
○副議長(富田新一君) 本日は,これで散会いたします。
――
――――――――――――――――――
散 会 午後3時22分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 柴 田 薫 心
副議長 富 田 新 一
署名議員 越 智 健 一
署名議員 澤 木 繁 成...