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平成 9年第二部予算特別委員会−03月19日-09号
平成 9年第一部予算特別委員会−03月19日-09号

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  1. 札幌市議会 1997-03-19
    平成 9年第一部予算特別委員会−03月19日-09号


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    平成 9年第一部予算特別委員会−03月19日-09号平成 9年第一部予算特別委員会             札幌市議会第一部予算特別委員会記録(第9号)                 平成9年3月19日(水曜日)       ───────────────────────────────────                   〔 聴 聞 会 〕 ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 33人(欠は欠席者)     委 員 長  加 藤   斉 君       副委員長   三 上 洋 右 君     委   員  吉 野 晃 司 君       委   員  越 智 健 一 君     委   員  山 田 信市郎 君       委   員  大 越 誠 幸 君     委   員  武 市 憲 一 君       委   員  宮 本 吉 人 君     委   員  上瀬戸 正 則 君       委   員  馬 場 泰 年 君     委   員  横 山 光 之 君     欠 委   員  堀 川 素 人 君     委   員  鈴 木 健 雄 君       委   員  高 橋 克 朋 君     委   員  岡 本 修 造 君       委   員  富 田 新 一 君     委   員  川口谷   正 君       委   員  畑 瀬 幸 二 君     委   員  岩 木 みどり 君       委   員  大 嶋   薫 君     委   員  常 見 寿 夫 君       委   員  丹 野   勝 君     委   員  森   健 次 君       委   員  義 卜 雄 一 君     委   員  高 橋   功 君       委   員  荒 川 尚 次 君
        委   員  生 駒 正 尚 君       委   員  横 山 博 子 君     委   員  宮 川   潤 君       委   員  佐々木 周 子 君     委   員  中 嶋 和 子 君       委   員  福 士   勝 君     委   員  田 中 昭 男 君       委   員  松 浦   忠 君       ─────────────────────────────────── ●参考人     佐 藤 馨 一 君      峯 廻 紀 昌 君      木 村 俊 二 君     池 田 都詩子 君       ───────────────────────────────────       開 議 午前10時 ○加藤 委員長  ただいまから,第一部予算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが,堀川委員からは欠席の旨の届け出がございました。  それでは,議事に入ります。  議案第18号 平成9年度札幌市下水道事業会計予算及び議案第31号 札幌市下水道条例の一部を改正する条例案を一括して議題といたします。  下水道料金改定に関する聴聞会を行います。  初めに,開会に当たり,市議会を代表いたしまして,議長より一言ごあいさつを申し上げます。 ○柴田 議長  議長の柴田でございます。  本日,陳述を賜ります皆様におかれましては,時節柄,何かとご多用のところ,私どもの依頼を快くお受けくださり,ここにご出席をいただきましたことを心より御礼を申し上げる次第であります。  申し上げるまでもなく,下水道は安全で快適な生活を送るための不可欠な都市基盤施設でありますとともに,市民要望の第1位に挙げられる本市の最重要課題の一つであります。  雪対策への活用とその果たす役割は,これまで以上に重要性を増しているところでございます。それだけに,下水道料金の改定は,市民生活に密接に関係する重要な問題でありますことから,市議会といたしましても,審議に当たり,より慎重を期すべきであると考え,皆様のご協力をいただき,本日の聴聞会を開催いたした次第であります。  ご出席をいただきました参考人の皆様におかれましては,本市の下水道事業について,日ごろから造詣の深い方々でございますので,忌憚のないご意見を賜りまして委員会審査の参考とし,審議の充実を図りたいと存じます。  以上,簡単ではございますが,開会に当たりましてのお礼とごあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございました。 ○加藤 委員長  続きまして,私は,本日の進行を務めさせていただきます第一部予算特別委員会の委員長の加藤でございます。よろしくお願いをいたしたいと思います。  早速でございますが,聴聞会を進めるに当たりまして,陳述をされる参考人の皆様にお願いの事項がございます。  まず,発言時間についてでありますが,かねてよりお願いのとおり,お一人おおむね20分程度を予定いたしております。  なお,発言順序につきましては,お手元に配付の参考人氏名及び発言順序表の順に従い,私の方から指名させていただきます。  最後に,皆様方からご意見を伺いました後に,委員からの質疑時間を設けておりますので,この点をお含みの上,よろしくお願いを申し上げたいと存じます。  それでは,参考人の方からご意見を賜りたいと存じます。  なお,参考人の方は着席のままご発言ください。  最初に,佐藤馨一さんにお願いいたします。 ◎佐藤 参考人  ただいまご紹介いただきました佐藤馨一でございます。  私は,北海道大学工学部土木工学科におきまして,交通計画学講座を担任しております。下水道事業そのものについては専門外ですが,公共交通事業の採算性や財源問題,また市民の合意形成等の問題を専門としているために,本聴聞会の参考人に指名されたものと理解しております。  さて,本市議会において提案されております議案第31号の札幌市下水道条例の一部を改正する条例案についてはやむを得ないものと判断し,下水道料金の改定を妥当と認めるものであります。  以下において,その理由を述べたいと思います。  まず,第1の理由は,下水道事業には代替性がないということです。つまり,今日の都市生活におきましては,下水道事業の役割を他にかえることはもうできません。  交通事業を例にとりますと,例えば,地下鉄が値上げしたときに,JRとか自家用車にお客が流れることがよく起きます。また,近距離でありましたら,地下鉄に乗ることをやめて歩く人も出てきます。このような現象を代替行為といいますが,事,下水道事業に関しましては,このようなかわりになるものは,もうこの札幌市には存在しないと言っていいかもしれません。  特に,札幌市におきましては,平成7年度において,下水道の総人口普及率が98.6%に達し,ほとんどすべての市民がみずからのし尿や家庭汚水の処理を札幌市の下水道事業に任せております。このた め,下水道事業者が料金の改定をしたいと提案した場合に,市民としてはそれに対する抵抗の手段がない,せいぜいトイレに行くことを我慢するということができるかということですが,これもほとんどできません。ですから,そのような提案は受け入れるしかない。一番大事なのはこの点でありまして,下水道料金の改定に当たりましては,市民は常に弱い立場に置かれているということ,これを念頭に置いて事業の推進を図っていただきたいということが第1の論点であります。  第2の論点でありますが,札幌市の下水道の現在の料金,また,今回の改定額が極めてリーズナブ ル,すなわち納得のいくものであるというのがやむを得ないという理由の第2点であります。  さきに述べましたが,下水道事業は独占的であり,代替性がないために,もし暴利を図ろうとすればできないことはないかもしれません。そこで,札幌市の下水道料金日本全国の中でどの位置を占めるかを調べてみました。1カ月に20立方メーター使用するとしまして,12の政令指定都市と東京都の料金を比較いたしますと,今回の料金改定後におきましても,札幌市の下水道料金は1,270 円となり,下から2番目の位置,安いことがわかりました。  ちなみに,一番安い都市は,大阪市の625 円になりますが,これは早くから下水道事業に着手して,資本費の利子負担が低いことや整備区域が札幌市に比べて非常に狭いことで,効率的に事業の展開ができるということ等があって安い料金になっていると思います。  また,札幌市の下水道料金は,北海道内の他の都市と比較しましても最も安く,札幌市民は快適な都市生活を,他都市よりも少ない自己負担によって過ごしていると言っていいだろうと思います。  ところで,今回の料金の改定は,下水道事業財政収支が悪化し,累積資金が赤字になっているために行うものではありません。管理運営費の推移を見ますと,平成8年度は約30億円の黒字となる予定となっております。これは平成4年度の料金改定企業債元利償還金が,市中金利の低下等によって少なくなったこと等によるのだろうと思います。  しかし,今後は,処理水量の増加等に伴う維持管理費の増加や,これまで据え置かれてきました企業債元利償還金の増加が見込まれるために,平成12年度には,累積資金額が53億円程度不足すると想定されております。これを解消するために,今回,基本料金で30円,従量料金で月に20立方メーター使うとして40円の下水道料金の改定をあえて提案したことは,堤防の穴の一穴を見逃すことなく措置したことに私は等しいと思います。下水道事業を推進する者の責任ある決断だろうと,私は高く評価したいと思います。  第3の理由は,平成8年度から平成12年度に予定されております第7次下水道整備5カ年計画が極めて重要な政策であり,これらの事業を完全に実施するためにも,財源の確保が必要であろうということであります。  特に,総人口普及率を99.2%まで高めることや,老朽管の更新,汚泥の集中処理システムの整備などは必要不可欠な事業であると理解できます。これに伴い,企業債の元利償還金が増大し,平成12年に は,さきに述べましたように,53億円程度の累積資金の不足が生じ,その額はさらに拡大していくものと想定されています。もし,今回の料金の改定がなければ,平成14年には未償還額がピークに達し,下水道財政が破綻しかねないおそれもあります。  幸いに,本市の下水道事業は,平成13年度以降は事業がピークから次第に減少し始めまして,借入金額も減少してくる予定であります。  札幌市の下水道事業は,これから5年間がまさに正念場であります。一番苦しい時期を迎えることになるだろうと思います。この時期を乗り切るためにも,札幌市当局はもちろん,市民においても,応分の負担や努力をすることは近代都市に住むものの責務であろうかと思います。  最後に,第4の理由を述べたいと思います。  札幌市の下水道事業は,現時点において高い評価点を与えることができるかと思います。しかし,現在が優秀であるといっても,将来とも優秀である保証がないことは,多くの学生を見てきた教官の一人としてはっきりと断言できます。現在の優秀さにおごることなく,さらなる努力がいかになされているかということを問う必要があるだろうと思います。  ここに資料としていただいております下水道使用料金改定資料を見ますと,これまで下水道局が 行ってきました効率化項目と今後の方策についての説明が述べられております。これを見ますと,さらなる努力についての意図はうかがえます。したがって,札幌市の下水道事業は,将来においても安心できるものと考えられます。  しかし,多少の懸念はないわけではありません。それは,事業の経営効率化と高度化が混在しているのではないかなという懸念であります。経営の効率化を目指すならば,その数値目標を明示しなければなりません。特に,効率化のために支出する金額と,それによってどれだけのお金が節約できるかというその比較が重要になってくるだろうと思います。  しかし,この参考資料等におきましては,効率化についての基本的な考え方や当面の事業内容の説明はありますが,その事業効果については詳しく説明されていない点は,今後,さらに当局において検討いただきたいことと考えております。  私は,土木工学を専門とするエンジニアの一人として,その反省を込めて述べたいと思いますが,エンジニアというのは,よいものをつくりたいという本能といいますか欲望が潜んでおります。これがために,よりよいものをつくれば,多少のお金がかかっても許されるのではないかという甘えが出ることが往々にしてあります。  例えば,上越新幹線,これは国鉄の技術者が全力で取り組みまして,非常によい新幹線をつくりました。当時の関係者は,時速200 キロで走ってもたばこが倒れないと,車両の安定性や軌道の支持力を自慢したものでした。しかし,新幹線においては,たばこが倒れないほどの安定性は必要なく,ビールが倒れなければいいのです。結局,新幹線への過大投資が引き金となって,国鉄が破綻したことはご存じのとおりであります。  衛生工学を含む広い意味での土木工学は,シビルエンジニアリングと呼ばれております。市民のための工学と称されております。それだけに,エンジニアに対する市民の監視,すなわちシビリアンコントロール,これが非常に大切になってくるだろうと思います。  その点で,本聴聞会が,その機能を十分に果たしていることに対して敬意を表しまして,私の発言とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。 ○加藤 委員長  どうもありがとうございました。  次に,峯廻紀昌さんにお願いをいたします。 ◎峯廻 参考人  ただいまご紹介をいただきました峯廻でございます。  本日は,札幌市の聴聞会におきまして,このような意見を述べる機会を与えていただきましたことに対しまして,心より感謝申し上げます。  私は,現在,連合北海道札幌地区連合会の方におりますが,職務柄,市民生活に密着します公共料金につきましては深い関心を持っておりまして,そういう立場から意見を申し述べさせていただきたいというふうに思います。  このたび,この参考人を引き受けるに当たりまして,早々,審議議案を初めとする札幌市市営企業調査審議会資料議事録等たくさんいただきました。まことに短期間ではございますが,私なりにいろいろ勉強させていただきまして感ずるところがございますので,まずその点を申し上げたいというふうに思います。  下水道は,日常の市民生活事業活動から生ずる汚水を処理して,放流先である河川などの公共用水域の水質を保全し,また,大雨から市街地を守るため,浸水の防除などを行うものでございまして,札幌市は,特に,1972年の冬季オリンピックを契機といたしまして,積極的な整備を進めてきておりま す。もう記憶も薄らいでいる方もいらっしゃるかというふうにも思いますが,札幌市も,1981年8月に2度にわたる集中豪雨に見舞われまして,桑園,元町,北郷,そして二十四軒地域など,市内各所の下水道マンホールからの溢水や河川がはんらんするなど,大きな被害が発生をしております。  これを契機といたしまして,特に雨に強い街づくりを目指し,アクアレインボー計画と言っているそうでございますが,浸水対策に力を注ぎまして,それまで5年に1度の降雨に対応した下水道から,10年に1度の降雨を想定した下水道にレベルアップする中で,浸水対策を精力的に進めてきております。  この結果,現在では普及率が98%を超え,水洗化率も99%に達しているということでございます。今や,快適な市民生活に欠かすことのできない重要な都市基盤施設となっているというふうに思います。  一方,処理場,ポンプ場など,過去に建設された下水道施設が年々老朽化してきており,その改築・更新事業がますますこれから増大するなど,下水道事業については,今後とも積極的に推進していく必要があるというふうに思います。  私たちは,日ごろ何げなく使っている下水道ではございますが,記憶にも新しい阪神・淡路大震災時のように,一たんその機能を損なうと,トイレの確保が困難になり,雑排水が垂れ流しになるなど,文字どおりライフラインが断たれます。そういった中で下水道の果たす役割の重要性を再認識したところでございます。  また,最近では,市民要望の最も多い雪対策事業の関係でも,下水道が持つエネルギーを利用して,下水の処理水を利用した流雪溝や融雪槽などの整備が進められており,冬の市民生活にも大きな貢献を果たしているというふうに思います。  札幌市は,一年のうち半年近くも雪に閉ざされる積雪寒冷地であることを考えますと,雪対策は今後とも積極的に進めていかなければならないというふうに考えます。また,市民もこれを強く望んでいるというふうに思います。  さて,このたびの審議会の答申では,今後の下水道整備の方向性,事業運営のあり方,使用料のあり方など,今後の下水道事業の展開についてさまざまな観点から,大変貴重な提言がなされていますが,その中で,私の感じたことを申し上げたいというふうに思います。  今後の下水道整備のあり方としては,先ほど申し上げました,従来から言われている基本的な役割のほか,環境の改善・保全に積極的に貢献することが述べられております。札幌市は,一昨年の12月に環境基本条例を制定いたしまして,環境保全基本理念が示されておりますので,下水道も,汚れた水をきれいに戻すという環境保全の面では大きな役割を担っているというふうに思います。  また,環境保全という観点から申し上げますと,これは単に行政側だけがその役割を担うのではな く,使用者である市民みずからも日常生活の中で,例えば,下水道施設に負荷を与える油脂分などは除去して下水道に流すなど,やはり水質の汚濁防止に努めるよう心がける必要があるというふうに思います。  ディスポーザーなどの生活の利便性が図られるものがかなり普及してきておりますが,審議会の中でもその使用についてかなり論議があったようでございます。環境を守るという基本的スタンスに立て ば,多少利便性は我慢する中でも,やはり使用を抑制して,少しでも下水道施設の効率的な運営,ひいては維持管理費の削減に協力することが,私たち市民としての一つの責務ではないかなというふうに 思っております。また,下水道という公共財産を後世の時代まで大切に継承していくことがより必要になってくるのではないでしょうか。  昨年,下水道法が改正されまして,市内に張りめぐらされました大規模な公共ネットワークとしての下水道の持つ特性を生かして,民間事業においても,情報通信網としての光ファイバーケーブルの敷設ができるようになったと聞いております。  昨今,情報通信網の進展は極めて著しいものがありまして,行政機関はもとより,民間事業者も取り込んだ多角的,そして広域的な情報通信網としての光ファイバーケーブルの整備は,時代に即した大変意義深いものがあるというふうに思います。具体的な整備はこれからのようでございますが,種々問題点もあるというふうに聞いてございますので,その解決を図りながら推進していただきたいというふうに思っております。  次に,事業運営に関して申し上げたいというふうに思いますが,札幌市の下水道事業につきまして は,公営企業として,常に企業の経済性を発揮するとともに,公共の福祉を増進するよう求められております。これまでも経営の効率化にかなり努められている中で,1992年度からの実績を見ますと,かなりOA化が推進されており,また,財務会計システムの構築,そして下水道管理システムが導入さ れ,事務処理の省力化,維持管理業務の効率化が図られているようでございます。また,組織,業務の見直しも進められる中で,機構・組織の統廃合も図られているようでございます。  国レベルにおきましても,行政改革が叫ばれている今日でございますが,下水道事業についても,今後,一層の内部効率化がかなり求められてくるわけでありまして,汚泥処理の集中化,ポンプ場の無人化など,事業運営の効率化が述べられております。  私は,何といっても職員一人一人の意識改革,つまりコスト意識の涵養というものが何よりも大切ではないかというふうに考えております。よく企業は人なりと言われますが,企業人としての自覚を持つことが肝要であり,今後,下水道局職員が一丸となって,より効率的な事業運営に取り組んでいただきたいというふうに思っております。  また,下水道事業運営に関して,職員の労働条件の観点から若干お話をさせていただきますと,処理場で働く労働者の方々は,臭気やウイルス問題など,苛酷な労働条件下に置かれております。そういった中で,健康管理の上からも,その改善を図るため,環境対策費用としての事業費を確保することが必要であるというふうに思います。  このたびの答申では,日ごろ目に触れない下水道を市民にわかりやすく理解をしてもらうために,広報活動の一層の充実を図ることが強くうたわれております。現在,創成川の処理場の敷地内に建設しています下水道科学館は,本年5月にオープンというふうに聞いておりますが,この施設を広報活動の拠点とする中で積極的な活動を図り,下水道整備計画,そして水質情報などの提供に努め,市民にわかりやすく,そして親しまれる下水道となるよう心がける必要があると述べられております。これに関しましては,私も大変共感するところでございます。  また,札幌市の学校教育の中では,小学校4年生を対象としました社会科の施設見学の中に,清掃施設などとともに下水道施設も含まれています。子供から大人に至るまで,幅広く市民に対する広報活動が図られるものと期待をしているところでございます。  また,財政運営に関しましては,これまでの下水道料金改定の経緯を資料の中で勉強させていただきましたが,前回の1992年の改定につきましては,資本費分というのでしょうか,企業債の元利償還金汚水分全額について使用者負担,いわゆる料金負担とし,雨水公費汚水私費の原則が確立したようでございます。このことによりまして,財政基盤の安定化がより図られ,健全な財政運営が進められたわけでございます。雨水公費汚水私費の原則とは,一般的に耳なれない言葉でございますけれども,雨水にかかわる経費については,自然現象に起因するものがありますので,税金などの収入で賄うということで,汚水にかかわる経費は,利用者から使用料でいただくという考え方のようでございます。  これは,下水道財政運営の指針とされている下水道財政研究会の報告の中で述べられておりまして,全国的にも確立をされているという考え方で,今後もこの考え方を堅持していくことが述べられております。  近年におけます少子化・高齢化社会の進展に伴いまして,世帯規模が縮小化しております。審議会におきましても,現行の使用料体系に関して基本料金従量料金ランク設定について検討すべきではないかという議論があったようでございます。資料を拝見する中で,札幌市の使用料体系 は,使えば使うほど1トン当たりの単価が高くなるという,いわゆる累進制がとられております。これは他の都市におきましても,その度合いに差がございますが,累進制を採用しておりまして,日常生活上,最低限の排出量は低廉な使用料とすることや,節水型社会への志向から,大口利用者は高い使用料になっているようでございます。  現在のランク分けでは,10トンまでを基本の水量としまして,それ以上については水量ごとに段階的に単価が設定され,最終的には5,000 トンを超える部分まで,8段階の中で設定されております。  札幌市の場合は,家事用の平均が16トンというふうになっているようでございますが,審議会の論議では,社会的な趨勢として,世帯規模が縮小していることから,このあたりのランクを見据える中で,基本水量を含めランク分けを細分化してはとの意向のようでございますが,最終的な答申では,世帯規模の縮小化等に伴う使用料体系のあり方については,今後,検討すべき課題であるということになっております。  私も,この点につきましては,意見を同じくするものでございまして,現在の世帯構成等を十分調査する中で,将来を見据えてぜひとも検討していただきたいというふうに思います。  最後に,料金の問題につきまして,所見を述べさせていただきたいというふうに思います。  今回の内容につきましては,資料を拝見する中で,今後の財政収支下水道施設の改築・更新等に伴う維持管理費の増加や,過去に設備投資をし,その財源として借り入れた企業債の元利償還金の増加が見込まれることから,財政の悪化が避けられないという状況の中,料金改定が必要であるというふうに言っております。  特に,下水道施設は長期にわたる基幹的公共施設であるために,長期的な展望に立って,世代間の負担の公平を期することが最も重要であるというふうに言われております。子々孫々まで継承される下水道施設でありますので,その時々の市の財政事情によって市民負担に著しい差がつくことは,負担の公平を欠くことになるわけでございまして,将来を見通した財政計画を樹立して,事業運営を進めていくことが大切であるということは言うまでもございません。  今回の料金改定率につきましては,平均で6.45%と,前回の33.5%,そして前々回の33.4%と比較してみますと,かなり低目になっていますが,これにつきましては,前回そして前々回につい て,先ほどもお話ししましたが,料金負担対象経費に変更があったことから,比較的高い改定率になったようでございます。  私は,最近,料金改定が行われた他都市の状況も資料で拝見をいたしましたが,昨年,政令都市の中で仙台市,川崎市,横浜市,京都市,広島市,5都市が改定しております。その平均改定率を見ますと13%から28%程度と,いずれも2けたになっている状況であります。その都市の持つ地域事情等の違いもありますので,必ずしも一概には比較できませんが,札幌市は極めて低い改定率になっているというふうに思います。  また,料金表を見ましても,10トンまでの基本料金の改定率が5.26%,一般家庭の平均水量16トンの場合は5.7 %と,いずれも平均改定率6.45%を下回っております。市民負担の軽減についても十分な配慮がなされており,今回の改定については,札幌市が最大限の内部努力をした上での提案であるということがうかがわれますので,私は,健全な財政運営を進めるためにはやむを得ないことと思います。  最後になりますが,このような機会を与えていただきましたことに,重ねて御礼を申し上げますとともに,ご清聴いただいたことに関し感謝を申し上げまして,私の陳述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○加藤 委員長  どうもありがとうございました。  次に,木村俊二さんにお願いをいたします。 ◎木村 参考人  札幌地区労働組合総連合札幌地区労連で,専従をしております木村と申します。  私は,下水道料金値上げ反対の立場から,市民・労働者を代表して陳述を行わせていただきたいと思います。  今回の下水道料金の値上げ反対の特徴は,下水道事業の経常収支の赤字というよりも,今後の安定的な運営を目的としたものとなっています。確かに,安定的な公営企業運営は大切ですが,市民に負担を押しつける安易なやり方は,市民・労働者から見ると納得できないというのが実感であります。今回の下水道料金値上げに反対する第1の理由は,今の市民・労働者の生活実態からすれ ば,かつてない厳しい状況にあり,下水道料金値上げは市民生活を一層破壊することにつながります。現在,労働者の生活実態は,長引く不況のもと,実質賃金がマイナスとなっており,家計は火の車です。
     我々の加盟組織であります印刷労働者で組織する全印総連という組合が,ここ数年,家計簿調査を行っておりますが,それによると,実質賃金は低下し,教育費や税金,公共料金の値上げが大きく労働者の生活を圧迫しているという実態が報告されております。  この調査を1993年と1996年で比較してみますと,夫婦共働き家庭の平均の実収入が36万3,725 円から33万8,083 円と減っております。夫の賃金はこの間2,237 円の増加はありますが,妻は長引く不況や失業で1万1,358 円減っているのが大きな要因になっております。可処分所得で見ますと,30万6,625 円から28万1,279 円と,2万5,346 円も減っております。こうした厳しい実態と なっているわけです。しかも,こうした収入減に対し,当然支出の抑制を図っているわけですが,節約し切れないのは水道,下水道,光熱費です。  調査によれば,収入減で食費,被服費,教養娯楽費,交際費,小遣い,居住費などは支出制限していますが,水道,下水道,光熱費は節約して も,この間,月3,382 円の増加となっておりま す。このことからも,上下水道や光熱費は,どうしても節約し切れない,生活に欠かせないものであることがはっきりしてきます。  さらに,政府は,今,消費税の3%から5%へのアップ,医療保険制度の健保本人2割負担を初めとする大改悪,特別減税廃止など,戦後最高と言われる9兆円もの,これを各国民に当てますと国民1人当たり7万5,000 円,家族4人の標準家庭におきましては,30万円を超えるかつてない国民負担増を今ねらっているところでございます。  こうした市民生活が,かつてない厳しいときに,札幌市が昨年の市営交通料金の値上げに続きまして,今回,下水道料金を値上げすることは市民の理解を得られるものではありません。  第2の理由は,国の9兆円もの国民負担増や札幌市の公共料金値上げは物価を引き上げ,景気を一層深刻なものにするということです。消費購買力に大きな比重を占める個人消費が,労働者の実質賃金の低下と物価の上昇で一層冷え込むことは確実であります。現に,札幌市企業経営動向調査でも,97年度は消費税のアップが景気に大きく影響すると見ている企業が7割を超えると言っております。これに札幌市の公共料金が値上げされれば,一段と企業,とりわけ中小零細企業に大きな影響を与えることは必至であります。  札幌では,ご存じのように,ブルーハウスや協同広告社などの倒産を初め,倒産件数が急増しております。札幌市商工会議所でも,先だっての私どもとの懇談の中で,かつてない倒産状況にあるという認識を示しているところであります。札幌市は,他の政令市に比べ中小零細企業が多く,水道・下水道料金の今回の値上げは,中小零細企業の経営を悪化させることにもつながっていくと思います。企業の倒産や失業の増加は,市税にも大きな影響を与えることからも,今回の値上げはやめるべきだと考えます。  第3の理由は,今回の値上げは従来と同じ下水道運営を市民負担に頼るものとなっているということです。  札幌市の料金体系の抜本的な改善を抜きに,市民に負担を一方的に押しつけるやり方は,市民から納得を得られるものではないと考えます。  具体的に申しますと,その一つは,下水道の汚水分にかかわる建設費を,札幌市は他の政令市と異なって市費を全く投入せず,市民負担に転嫁しているということです。神戸市は,汚水にかかわる下水道施設建設の元利償還の6割を市費投入していると聞いております。札幌市がゼロというのは市民は納得できません。せめて他の政令市並みに市費を投入すべきだと考えます。  もう一つは,札幌市の下水道料金の料金体系 が,大口利用者を優遇するものになっているということです。つまり,他の政令市では,膨大な建設設備投資を必要とする上下水道事業において は,原因者負担を強化するという考えのもとで,大口利用者に段階的に料金を高く設定しております。  本州から転勤してきた労働者が,札幌市の上下水道料金が高いということを口をそろえて訴えるのも,こうした中小企業や家庭用に高く設定された札幌市の料金体系から来るところではないかと思います。大口利用者にも,他の政令市並みに段階的に料金を高く設定するなら,市民の大きな負担を少しでも軽減できると考えます。  こうした市民に大きな負担を強いる料金体系を改善することなしに,市や大企業の努力なしに,市民にだけ負担を転嫁する今回の料金改定は,市民には納得できないと思います。  以上の理由から,今回の下水道料金値上げはすべきではないと考えます。  また,今回の料金改定は,審議会からの答申に基づき行われているわけですが,この審議会の答申が,本当に市民の声を十分に踏まえ検討されているのかが問題と言えます。審議会の審議経過や答申を見ても,そこには市民の生活実態や市民の声がなかなか生かされておらず,市当局の意に沿う内容になっているように見えます。  市営交通料金値上げのときは,市民モニター等で市民の声を聞いたと聞いていますが,今回の下水道料金改定に当たっては行われていないと聞いています。水道や下水道は生活に欠かせないものであり,お年寄りや低所得者,さらに中小零細企業などの暮らしや営業に大きく影響を及ぼすものでございます。こうした声に十分配慮することが大事だと考えます。そうしたことを考えると,審議会の委員構成においても,反対意見を反映できるような民主的な選定が必要となっていると考えます。  例えば,現在,札幌市における労働組合のローカルセンターは,連合の札幌地区連合と私ども全道連の札幌地区労連の二つがありますが,各種審議会メンバーには,連合系のみが選任されているという実態からも明らかであります。これらの改善も今後必要だと考えます。  審議会答申では,市民サービスの向上を挙げていますが,市民・労働者からすれば最大の市民 サービスは,低料金で下水道の安定的な供給を確保するということだと思います。今回の値上げ は,平成8年度末には30億円もの資金余剰が生ずる見込みだという中で行われようとしています。これは,市の努力は否定しませんが,やはり料金改定で市民負担を繰り返してきた市民の犠牲の上に成り立っているというふうに思います。  こうした経常利益が黒字に転じ,市民生活がかつてない厳しい状況のもとで,料金改定を押しつけるのは市民から納得されるものではありません。こういう時だからこそ,市や大企業は,市民にかわってせめて他の政令市並みの努力をしていただきたいと思います。  最後に,市民生活と地域経済を守る立場から も,下水道料金値上げを行わないよう,十分な議会審議を尽くされるようお願いいたしまして,私の陳述を終わります。 ○加藤 委員長  どうもありがとうございました。  最後に,池田都詩子さんにお願いをいたします。 ◎池田 参考人  市民ネットワーク北海道から推薦を受け,本日,参考人として意見を述べさせていただきます池田都詩子と申します。  本日は,サービスを受ける市民が,今後の運営方針や財政面において,意見を述べる機会をいただき大変うれしく思っております。  私は,下水道使用料金値上げにつきまして,反対という立場で,市民としての率直な意見を述べさせていただきます。  本年4月からの消費税率引き上げに伴い,日常生活におけるさまざまな必需品が実質値上げとなり,市民の生活が圧迫する中で,このたびの水道料金,下水道使用料金,市営交通運賃,この三つの公共料金値上げは私たち市民の家計に大きく響き,厳しいものがあります。今回の平均値上げ率は6.45%,料金にすると基本料金で30円,平均使用料で約40円ほどですが,私が下水道使用料金値上げに反対する理由は,大きく分けると二つございます。  一つは,今後,5年間に使われる事業費を項目別に見て,疑問を感じる点があるということ。そしてもう一つは,計画されている事業内容のままですと水環境を破壊するおそれがあるということです。  それでは,これらについて私が考えていることを詳しく述べさせていただきます。  札幌市は,現在,下水道普及率が総人口に対して98.6%と,全国平均である54%をはるかに上回る非常に高い水準となっております。ところが第7次下水道整備5カ年計画の概要を見ますと,最終年度の2000年に普及率99.2%を目指すとしており,そのために延長する分を含めた下水管等の費用が519 億円となっております。これは1,700 億円の総事業費の33%という大きな割合で,私は非常に驚きました。  下水道の普及は文化のバロメーターと言われてきました。といいますのは,国が下水道整備第1次5カ年計画をスタートさせたのが1963年,東京オリンピック開催の前年です。当時,水洗トイレがないのは外国からのお客様に恥ずかしいと盛んに言われたそうです。札幌市においても,下水道の普及が高まった契機は,昭和47年に開催された冬季オリンピックと聞いております。  下水道の整備がこのように恥を原動力に進み,トイレの水洗化を可能にするのは下水道だけであると考えられていたからでしょう。  安全で快適な生活環境のために,家庭や事業者が排出する汚水の処理は不可欠である点は理解したとしても,今後,5年間で総人口普及率0.6 %を上げるために,莫大な建設費が投入されることには大きな疑問を感じます。  下水道事業イコール下水管整備という図式が前提に置かれて,汚水を運ぶ下水管を延ばし,集めた汚水をより高度な技術で処理をする,これが下水道事業の最大の目的と思われてなりません。汚水を処理する方法は,集合処理と個別処理に大別されております。いわゆる下水道は,集合処理の代表格であり,各戸で排出された汚水を下水管で1カ所に集めて処理をする方式です。  札幌市でも,地域ごとに9カ所の処理場が設置され処理されています。確かにそれは効率がよ く,全体的なコストも安くなると考えるのが一般的でしょう。しかし,集合処理方式は,各家庭から処理施設まで汚水を運ぶための下水管を建設するために多額の費用がかかります。おおよそ処理施設1に対してその2倍の費用が下水管建設には必要であると言われています。これは,最初に述べましたとおり,下水道普及率0.6 %を高めるに当たり,下水管の整備延長と処理区切りかえ管 に,総事業費の3割強である519 億円を投じられることが如実に物語っていると言えます。  個別処理としましては,合併処理浄化槽が挙げられます。このコスト負担を見ますと,合併処理浄化槽の建設費は,1世帯当たり約100 万円と言われています。1世帯の家族人数が三,四人とした場合,人口1人当たり約30万円前後です。対して下水道の建設では,人口1人当たり大体100 万円ぐらいと言われています。人口密集地域では集合処理の経済性は発揮できるかもしれませんが,人口密度が低い地域ではかえって不利になります。1ヘクタール当たりの人口が120 人を下回る地域では,個別処理の方が経済的であるという意見が多く出されています。処理施設だけを考えれば,個別処理の方が高くついたとしても,汚水を運ぶ下水管の費用を含めた全体コストはどうなのかといった比較検討は,下水道局においてされたのでしょうか。  そもそも,下水道が公共の汚水処理を唯一担うものとし,それが漫然とされてきたことに下水道神話という言葉が生まれたのでしょう。けれど も,処理能力を考えると,合併処理浄化槽は,大規模な処理施設とほとんど差はなく,むしろ水質は合併処理浄化槽の方が高いといったケースも多くなってきました。合併処理浄化槽は,地域におけるリサイクル施設,環境実感型施設,投資効率の高い住民密着型社会資本と位置づけられています。にもかかわらず,下水道法では,これを下水道と定義していません。公共用水域,すなわち海・川・湖の水質を保全することこそ下水道事業の本来の目的で,それは下水道法に定められているとおりです。  下水道と同じ効果を持つ施設は下水道と言ってよいはずです。それをいかにもランクが低いような浄化槽という言葉を当てはめ,軽視した傾向が今でも続いています。  合併処理浄化槽がなかった時代には,単独浄化槽の放流水は水質が悪く,放流した先でいろいろな問題を引き起こしました。このため,浄化槽の設置に際して,水利組合等に放流同意が事実上義務づけられ,この同意に当たって高額な放流料金が要求されるケースもたくさんあったようです。  けれども,小型で高性能な合併処理浄化槽が普及されてきたことから,国は浄化槽の設置に放流同意書の添付を義務づけることは違法とし,放流同意書を廃止する通達を1988年に出しました。それが違法であることを承知しながら9年間も放置していただけではなく,大阪府みずから同意書の指示を行っていたことが,数日前の報道で明らかになりました。行政の責任は非常に重く,この同意金が水利組合の最大の収入源であったことは言うまでもありませんし,それは許されることでもありません。  私は,この報道を知ったとき,合併処理浄化槽の正しい認識や正当な社会的評価の広がっていないことも,この問題をさらに根深いものにしていると感じました。さらに,下水道の建設と合併処理浄化槽の建設では,国から出る補助金に差があり過ぎます。また,この管轄は建設省と厚生省にまたがっています。札幌市でも,合併処理浄化槽は環境局が担当しています。私は,ここに行政の縦割りの弊害を感じました。  札幌市に残された1%ほどの下水道未整備地域は,おおよそが人口密度の低い地域と思われま す。ここでは,ぜひ低コストな代替施設の検討をしていただきたいと思います。  さて,次に,水環境の破壊といった点です。下水道は排除の論理で進められてきたシステムと言われています。下水道の整備によって川の水が 減ったり,なくなったり,極端なのは川そのものがなくなってしまう事例が,下水道先進地では起きています。  例えば,下水道普及率100 %の大阪では,高度成長期に,川は地下に埋設された下水管に置きかえられ,どんどん埋め立てられました。そして,地上は道路や駐車場にかわりました。治水上問題のないものについては,順次埋め立てを行うというのが当時の方針で,そのころの大阪の下水道事業のPRパンフレットには,工事前の汚れた川と工事後のきれいな道路の写真が対比され使われていたそうです。そこには,ごみが浮かび,悪臭を放つ汚れた川をきれいにする発想はなく,排除の論理から臭いものにふたをするように,私たちの目の前から消え,そして都市の中の川の何十%かが消失しました。  川が消失したことも大きな問題ですが,最近,特に憂慮されているのが川や地下水の枯渇化で す。下水道が普及したことにより,汚水は確かに川に直接流れ込むことはなくなりました。が,同時に,川の水をも奪ったのです。汚水も雨水も下水管に流れ込み,地域の小さな川には戻りませ ん。また,これまでの河川整備のあり方が,治水・利水を大前提にして行われ,洪水対策も兼ね備えた最良のものが,川の河畔をコンクリートで護岸することでした。これも,やはり水を上流から下流へと流すためだけの単なる水路として川を位置づけたのは,排除の論理に基づいていると言えましょう。  この護岸整備が川の河畔にあった土や緑といった自然の保水力をなくしました。下水道の整備と護岸の整備,このダブルパンチによって川の水は減少し,そして川としての魅力を失いました。実際,雪解けの時期や雨が多く降ったときにはほどほどの水量がある川も,晴れた日が続くとたちまち細々とした流れになってしまう川が,私の地域でも見られます。  また,地下水の枯渇化も同様です。市街化された街にアスファルト舗装された道路では保水力も弱まっていますから,地下水となる雨水は地面になかなかしみ込むことはありません。辛うじてしみ込んでも水は下水道管に取り込まれ,そして処理場に続く川に流されていきます。浸水対策事業として,アクアレインボー計画がありますが,その中に,雨水流出抑制型下水道として,浸透式下水道と貯留が挙げられております。確かに地下水の涵養と自然界の水の循環サイクルを取り戻す効果が期待される浸透式下水道ではありますが,それは全市的な取り組みではありません。  水を限りある貴重な資源として見たとき,もっと身近なところで水を循環させるべきではないかと私は考えます。昔の日本は,せせらぎを身近な至るところで見ることができました。そして,そのせせらぎを壊さぬよう,家庭から出す排水に気を配ってきました。小さなせせらぎは少し大きな次のせせらぎへ,そして大きな川へと次々に流れることで,距離や時間も手伝い,川本来が持つ自然の浄化作用で水質は保たれていました。これ は,今後の水環境を考える上で非常に重要な課題ではないでしょうか。  地球上で私たちが使える淡水はほんのわずかである上に,その使いやすい水の多くは流れている水,つまり河川の水だということを,水環境における第一任者の中西準子氏は述べています。川は,私たちにとって水資源と,地域における自然環境に大きな影響と役割を果たすことをもう一度認識するべきでしょう。  水行政にかかわる建設省の河川審議会は,昨年12月に,「社会経済の変化を踏まえた今後の河川制度のあり方について」という提言を出しまし た。それは,河川制度を取り巻く状況が大きく変化している中で,河川は治水・利水の役割だけではなく,潤いのある水辺空間や多様な生物の生息・生育環境としてとらえられるようになっていると述べています。そして,その変化を踏まえ河川制度の改正を行うべきとしています。これは河川行政のみならず,水に関連するすべての行政が方向転換をしていく時期を迎えたと言えるのではないでしょうか。今回いただきました札幌市営企業調査審議会の「札幌市下水道事業の健全な運営管理の方策等に関する答申」を読ませていただき,私はその思いをより一層深めました。  答申では,今後の下水道整備のあり方について,「近年,温暖化,酸性雨など地球環境問題への関心が高まるなか,市民の意識としては,より身近な自然環境を享受し,自然とのふれあいを大切にしたいということがこれまで以上に高まっている。こうした背景から,今後の下水道は,浸水の防除,生活環境の改善,公共用水域の水質保全という従来の基本的役割にとどまらず,環境への負荷を軽減し,よりよい環境づくりに積極的な役割を果たすシステムとして整備を進める必要がある。」と提言しています。  さらに,札幌市においては,一昨年,環境基本条例が制定されましたが,この理念の実現に向け,環境基本計画を策定し,環境保全対策を積極的に進めると桂市長は提案しています。これを札幌市の全体的な取り組みと解釈するのならば,下水道局の運営及び財政に当然反映されるべきではないでしょうか。そして,行政の縦割りの弊害を克服し,関係するすべての部局が協議することも不可欠であると考えます。  これまで述べました問題に対して,有効な施策が講じられた上での下水道使用料金値上げは,受益者として応分の負担は妥当であると受けとめられるでしょう。  このたびの料金値上げには,論ずるべきことがまだまだあると思い,反対の立場で意見を述べさせていただきました。散漫な意見を最後までお聞きくださいまして,ありがとうございました。 ○加藤 委員長  どうもありがとうございまし た。  それでは,各委員から参考人の方に対して質疑があればお受けいたします。  なお,この場合,どなたの質疑なのかわかるように,初めに参考人のお名前をおっしゃってからお願いをいたしたいと思います。  質疑はございませんか。 ◆松浦 委員  佐藤馨一さんにお尋ねをいたします。  最後に,投資効率ということについて,とりわけ技術者は高度技術を求めるがゆえに,経済効率というものを余り考えないと,この点について指摘をされておりましたが,佐藤さんは,この下水道の今回の料金改定と下水道の現在の運営状況について,そういう観点から見て,もっと具体的に,例えばこういう点がこう改善されるべきでないかという所見がありましたら,お聞かせいただきたいと思います。 ◎佐藤 参考人  下水の問題は,どこまで廃棄物処理をするかという,そのレベルの問題が非常に大事だと思います。それをできる限り高くしようと思ったら,それの技術的な可能性は十分あると思います。  ところが,それに伴うお金も随分かかります。これがこの札幌市において,下水処理において公共が責任を持ってやる範囲は何かということの技術的な確認とそれに伴うコスト,そこのきちっとしたけじめが次に必要になってくるだろうと思います。  ですから,私の意見は,今後,札幌市の下水道処理において,どのレベルまでの処理を行うのかということについて,しっかりとした方針を持ってほしいという意味を込めております。 ○加藤 委員長  ほかに質疑ございますか。 ◆中嶋 委員  佐藤さんにお伺いいたします。  一番最初のところで,下水道には代替性がないということをおっしゃっていましたけれども,今,合併浄化槽なども非常に機能が向上いたしまして,人口密度が低いところではこれを取り入れるということもかなり行われておりますけれども,これについてはどんなふうにお考えでしょうか,お伺いいたします。 ◎佐藤 参考人  都市における下水処理システムにつきましては,その都市における地形とか,また下水の普及率の問題等がそれぞれ絡んでくるだろうと思います。  札幌市の場合には,非常に広範囲な下水道の対象面積がございまして,それについて,現在既に98.6%の総人口普及率になっているわけです。  この札幌市の今後のことを考えますと,下水道の事業対象区域というのは,将来においても責任ある形で統一的に下水処理を行うべきものだと私は思っています。現在の市街化区域が,市街化調整区域の方に拡大する際には,また今のような問題が検討されることもあり得るかもしれませんが,現在の都市計画において市街化区域として設定したものについては,行政においての責任ある統一された下水道システムをとっていくべきだろうと考えております。 ○加藤 委員長  ほかにございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○加藤 委員長  なければ,参考人の方に対する質疑を終了いたします。  最後になりましたが,私の方からも参考人の皆様に一言お礼を申し上げたいと存じます。  皆様におかれましては,大変お忙しいところ,当委員会のために時間を割いていただき,まことにありがとうございました。  本日承りました貴重なご意見につきましては,今後の審査の上で十分参考にさせていただき,慎重な審議を行って,市民の負託にこたえてまいりたいと存じます。  本日は,まことにありがとうございました。  以上で,下水道料金改定に関する聴聞会を終了いたします。  本日は,これをもって終了し,次回の委員会は,3月24日午後1時から,下水道局関係の審査を行いますので,定刻までにご参集ください。  それでは,散会いたします。     ───────────────       散 会 午前11時5分...