委 員 高 橋 重 人 君 委 員 飯 坂 宗 子 君
委 員 武 藤 光 惠 君 委 員 山 口 た か 君
委 員 菅 井 盈 君 委 員 北 川 一 夫 君
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開 議 午後1時
○千葉 委員長 ただいまから,第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でございますけれども,特にございません。
それでは,議事に入ります。
議案第13号 平成9年度札幌市
病院事業会計予算及び議案第30号
市立病院使用料及び
手数料条例の一部を改正する条例案について,一括して質疑を行います。
◆宮村 委員 私は,
未熟児センターの
NICU化につきまして質問したいと思います。
今日,道内における周産
期医療システムの整備につきましては,周産期医療の大変厳しい設置条件がございまして,それが障害となりまして,思うように進んでいないのが現実かと思っております。
NICUは,ご存じのとおり,新生児の集中治療ということでございますが,
医療技術の格段の進歩に伴いまして,初期の救命と適切なケアで,現状ではハンディなく十分育てられると,そういった状況になってきております。こうした中で,道においては,やっと新年度から本格的に
医療機関の
状況調査に乗り出すというふうに聞いております。
私は,かねてから,札幌市医師会や
北海道看護協会を通じて,周産期医療の充実を市に対しましても陳情してきておりました。私も,未熟児の医療の管理の責任者としてずっと働いていた中で,本当に北海道における不備さといいますか,そのことを痛感しながら働いている毎日でございました。
そこで,私は,昨年の1定でも
代表質問で,本市の周産期医療の充実強化を訴えまして,
市立札幌病院の果たす役割が極めて大きいことをお尋ねしてきたところでございます。それに対しまして,新病院では,その重要性を認識され,同一フロアに
未熟児センターと産婦人科を配置して連携を保つことと,
未熟児センターでは
NICU並みの治療を行うとの回答をいただきました。
現在の
未熟児センターは,医師・看護婦が24時間体制をとり,管理料を算定できるような正式な
NICUにはなっていないと認識しております。
そこで質問でございますが,1点目は,
未熟児センターの現状につきまして,どういった現況になっているのか伺いたいと思います。
2点目は,
NICU化の予定というのはないのでしょうか。
3点目は,もし予定があるとすれば,その時期,
NICU化する病床数または
人員配置等につきましても伺いたいと思います。
4点目としまして,
NICU化により,
未熟児センターの収支がどうなるのかもお聞きしたいと思います。
◎中西 病院長 ただいま,
未熟児センターの現状についてということでご質問ございましたけれども,まず,
未熟児センターの利用状況などについてお答えいたします。
平成8年4月1日から平成9年2月28日まで,大体11カ月でございますけれども,新生児の
受け入れ数は240 名でございます。この内訳は,ほかから転送されてきました新生児が123 名,当院産科で出生し
未熟児センターに入院しました新生児が117 名で,合計240 名でございます。
このうち,他院から
母体搬送され,当院で出生しました新生児は82名でございます。内訳は,その中に双子1組,三つ子が1組,それから四つ子が1組ございます。四つ子は,男2名,女2名ということでございます。
次に,
NICU化の予定及び時期と体制についてでございますけれども,当院の
未熟児センターは,新
病院建設時に
NICU化に必要な
医療機器,空調設備,発電設備を整備しておりましたので,ほかの条件としましては,専任の医師が常時
NICUに勤務すること,すなわち24時間体制をとると。それから,看護婦さんが患者さん3人に対して1人の割合で
NICUに勤務するということ。それからもう一つは,
NICU1床当たり7平米以上というような条件がございますけれども,これらを満たすと,正式な
NICUとすることができます。そこで,一般会計と協議を進めた結果,平成9年度からは正式な
NICU化を実施したいと考えております。
NICU化する病床数は,看護婦さんの配置効率や収支を考慮し,
未熟児センター38床のうち6床が適当ではないかと,今現在のところ考えております。
人員の体制といたしましては,医師の夜間常駐や看護婦さんが3床に1人必要なことから,医師が5名,看護婦さんが32名の体制が最低限必要ですので,医師及び看護婦さんは,それぞれ2名ずつの増員が必要かと考えております。
なお,実施の時期につきましては,施設の改修や人員確保の関係から,平成9年10月ごろをめどと考えております。
次に,
未熟児センターの収支についてでございますけれども,平成9年度
予算ベースで試算いたしますと,
NICU化しないで現行の
未熟児センターの体制でまいりますと,年間7,600 万円の赤字となります。
NICU化した場合ですと1億400 万円の赤字と算定されますので,その差2,800 万円悪化すると考えております。
以上でございます。
◆宮村 委員 ただいまの説明を伺いまして,
市立病院の未
熟児医療に対して前向きに対応していくという,そういう姿勢を伺うことができて,大変うれしく思っております。
未
熟児医療には,とにかく費用がかかるということは,よく理解できます。
そこで,さらに質問ですけれども,周産期医療においては,
未熟児センターの整備とともに,ただいまお聞きしますと,
母体搬送でという方も82名おりましたけれども,母体の
受け入れ態勢の整備も欠かせないわけでございます。
市立病院では,母体の
受け入れ態勢をどのように考えておられるのか伺いたいと思います。
それともう1点は,
少子化対策として,周産期医療に対する国の動きをどうとらえているのか,わかる範囲で結構でございますが,お聞かせいただきたいと思います。
◎中西 病院長 お答えいたします。
母体搬送のことについてでございますけれども,本院に搬送されました
ハイリスクの妊産婦のうち,診察の結果,妊娠30周以降で破水していない場合,あるいは切迫早産でないなどの理由によりまして,緊急に分娩に至らなかったため,もとの病院に戻ったり,あるいは自宅に帰った患者さんを除きまして,平成8年4月1日から平成9年2月28日まで約11カ月間で,
母体搬送を受け入れの件数は76名でございます。82名というのは,双子とか三つ子が入っていますので,実際には76名でございます。
それから,これらについてのこと,またほかの病院との連携の状況だとかいろいろございますけれども,ご存じかと思いますけれども,
北海道医師会が中心となりまして,いわゆる道央圏の周産
期医療システムについて,現在,検討しております。中でも,空床等の情報の
ネットワークについては,当院が情報の
センターと位置づけられておりまして,
未熟児センターの先生方が中心となって検討しております。そうではございますけれども,実際には,札幌圏の
母体搬送の8割程度は,
市立札幌病院で受け入れているのが現状でございます。
次に,周産期医療に対する国の動きについてでございますけれども,厚生省が平成8年5月に周産
期医療対策事業実施要綱を定め,その実施主体である都道府県に通知しましたことは,既にご存じかと思いますけれども,厚生省の補助を受けるためには,次の四つのことを最低限しなければなりません。周産
期医療協議会の設置,それから周産
期医療情報ネットワークの事業,周産
期医療関係者研修事業,それから周産
期医療調査研修事業などがございますけれども,これらの実施が必要でございまして,設置要件が非常に厳しくて,平成8年度では,道内はございませんけれども,全国で4施設だけが認められております。平成8年度の補助総額は22億9,700 万円と聞いております。
それからもう一つですけれども,自治省では,厚生省の基準が非常に厳しいということで,現在,さらにワンランク下げたようなことを想定しまして,実質的に
市立札幌病院のように,周産期医療に準じたことをやっているところを全国的に調査しております。実際に,昨年の夏ですけれども,自治省の理事官が当院に視察に来ております。見ていかれまして,そういう事情を踏まえて調査していって,交付金などをかなり考慮していきたいというようなことを聞いております。
以上でございます。
◆宮村 委員 今,
ネットワークの話がございましたけれども,
母体搬送するということでの背景というのは,絶対その
ネットワークがないとできないわけですよね。ですから,今後も
ネットワークの強化というのをぜひお願いしたいなというふうに思うところでございます。多分,近隣のこういった小さい子供が生まれそうだとか,そういったような状況に出くわすといいますか,そういう状況を迎えて病院では,一番
市立病院に目が向くのが現状でございますので,困ってからそれぞれの施設が病院探しするということではなくて,事前の
ネットワークを強化することによって,うまく対象を拾って,いいケアにつなげていってほしいと本当に思うところでございます。
周産
期医療システムの
母体搬送も含めた整備は,都道府県の仕事であります。私は,北海道としてもっと充実すべきだというふうに強く強く思うわけですが,今言いましたように,
市立病院は本当に北海道の
基幹病院としての歴史がありまして,大変いい成績を上げている。そういったようなことから,今までの実績をもとにしまして,
市立病院の責務といいますか,それを念頭に置いて,お聞きしますと,大変厳しい経営状況になると,そのことは十分認識いたしましたが,今後におきましても,
少子化対策として,また子供のハンディのない成長を願って,また,そのかかわりの中でお母さんの子供に対する育児の気持ちも育てていくという,そういうことで,大変意義深い医療でございますので,一層の整備に努めていただきたいと要望いたしまして,終わります。
◆小野 委員 私は,病院の皆さんのご努力に敬意を表しつつ質問させていただきたいと思います。
3月3日というのは,ひな祭りでもあるのですが,いわゆる耳の日ということで,
聴力障害者の皆さんが権利や福祉の増進のために,3月3日の前後に,さまざまな催しを行うわけです。
ことしの場合も,3月2日にかでる2 ・7 で耳の日市民の集いというのが行われまして,私もそこへ行って初めて知って,大変びっくりしたというか,うれしかったのですが,看護婦の
手話コーラスというのが行われまして,
市立札幌病院の
手話サークルの皆さんが
手話コーラスをされたわけです。白衣姿の看護婦さんとか検査技師さん,事務職の方約18名,新聞には10名という報道もありましたけれども,2曲発表されて,非常に感動を覚えました。
それで,その前段に
聴力障害者協会の事務局長が,昨年4月に
手話通訳者を配置するに当たって非常にごたごたがあったと,けれども,それからこの1年間,お互いに通い合って,今では協会と病院は仲よくなり過ぎてと言いましたね,なり過ぎて,いろんなことの話ができるようになったと,あした3月3日から通訳者がもう一人ふえて,このように複数化がこれだけ早く実現したということを喜んで報告をしました。会場の中からも拍手が沸き起こったわけです。
私自身,通訳者の配置の過程,あるいは昨年の6月の
代表質問でも,この課題について取り上げてきたことから,この1年間でここまで,病院の
スタッフの皆さんが手話を通して,
聴力障害者の皆さんや
手話サークルで活動している人々と気持ちを通じ合えるようになった,あるいは,協会と病院の皆さんの信頼関係が深まったということを非常にうれしく思いますし,そういう面での病院の皆さんのご努力に敬意を表したいと思うのです。
それでは,ちょっと具体的な質問をいたしますが,昨年4月以降の
通訳件数,利用者ですね,その推移について明らかにしていただきたいと思います。一定の時期からある程度ふえてきたと思いますが,そのふえてきた理由なり背景について,病院側としては,どのように考えておられるのかという点です。
それから,今回,具体的に2人目がこの3月から配置をされているわけですが,その過程,どのような形で2人目の通訳者の募集なり配置をしてきたのか,その点についてまずお聞かせいただきたいと思います。
◎高橋
病院理事 昨年3月に専属の
手話通訳者1名を配置いたしまして,4月から本格的に業務を開始して,ようやく1年経過したところでございます。
第1点のご質問の通訳の件数の推移でございますが,8年4月から9年2月までの11カ月間の
通訳件数は413 件,月平均をいたしますと37.5件であります。月々の件数でございますが,4月から7月までは一月平均22.5件,8月から2月までの平均が46.1件,約倍に増加をしております。特に,1月になりましてからは,一月で55件にも上ったような状況でございます。
次に,増加の理由と背景についてでありますが,いかにして患者をスムーズに受け入れられるかにつきまして,民生局の
専属手話通訳者や,
先ほどお話がありました
札幌聴力障害者協会と話し合いをいたしまして,種々検討を行ってきたところであります。
具体的に申し上げますと,
受け付けの仕方について,マニュアルの作成についてのお話。2番目には,札幌市の
手話通訳派遣事業制度をできるだけ活用していただけるよう,民生局に対して協力依頼を行ってきましたこと。三つ目としては,
受け付け方法を工夫いたしまして,
聴障マークや
聴障シールの積極的な活用を図りまして,窓口職員,診療科の看護婦,
ボランティア等の理解と十分な協力が得られたということ。それから四つ目には,
専任手話通訳者の業務を主として診察時の通訳にとどめたというようなことが挙げられて,ある程度患者をスムーズに受け入れられる体制が整ったと,こういうことが言えるかと思います。
それから,2人目の募集についてでございますけれども,ご質問の中にもございましたが,昨年の2定で小野議員の
代表質問を受けまして,市長が「通訳者の業務が過重にならないよう,患者さんにご迷惑をおかけしないよう,今後の動向を見きわめつつ,状況に応じて柔軟に対応していきたい」と,このようにお答えをしております。病院としても,常に研修を行ってまいりまして,患者の推移を注意深く見てきたわけでございます。
この結果,先ほど申し上げましたように,
通訳件数が当初の2倍程度に増加したということ,それから入院患者に対する通訳もふえまして,勤務時間が長くなってきていること,それから札幌市の
手話通訳派遣事業を利用して来院される方々の日程調整がつかない日が多くなってきたこと,こんなようなことから,複数体制に向け,増員のため本格的な検討をしてきたわけでございますが,3月1日から2名体制ということに踏み切ったものでございます。
◆小野 委員 配置した当初は,1日に1人のときだとかいろいろあったわけですけれども,特に
聴力障害者の方ですから,情報が浸透するには若干時間がかかるわけです。
それと,やはり行きつけの医者をかえるということは非常に難しいわけなのですけれども,いつ行っても
手話通訳者がいるという,そういう安心感から,高齢の聾唖者の方ですけれども,途中から移られた方を私自身も知っていますけれども,そういう経過があったと思うのですね。
今,いろいろ工夫されたことなんかもお話を伺ったわけですけれども,1年間に利用者が約2倍になってきたことを含めて2人目の配置になったわけで,こういう経過の中で,よかった点といいますか,その点は正しく評価をしておかなければならないし,今後にとっても,いい点はお互いに確認をしておきたいと思うのです。
その点について,私自身が二,三思っていることがあるのですが,一つは,確かに処遇といいますか,採用の条件についてはまだ課題があろうかと思います。しかし,病院の職員として採用したということが,まず一つよかったことだと思います。というのは,他の民間の病院の例などでは,病院から
聴力障害者協会に委託をして,協会の職員として派遣をされているという形,あるいは通訳室というのが別に設けられて,そこで待機をしているという状態,こういうことがあるわけですね。その点,
市立病院の場合には,今言いましたけれども病院の職員として,医事課の外来係の一員として配置をされている。直属の上司は係長であり課長なわけですね。そういう面では,通訳者に対して病院が協力するのではなくて,病院の一つの仕事として
通訳業務を位置づけてきたという,そういう一体感が通訳者にとってもよかったし,通訳者を通して利用者の増にもつながったのではないかという気がします。
もう一つは,今,答弁をいただきましたけれども,
受け付けの方法の工夫だとか,あるいは通訳者を必要なときしか呼ばないと,むやみやたらと呼ばないと。例えば,ああいう大病院ですから,
受け付けから始まって,診療科の前にいて,それから中に入ってまた待って,もう
半日がかりなわけですね。そこをずっと通訳者がつき合っていると,診療以外のときにもいろいろ会話をしなければならないということで,非常に疲労がたまるわけです。その点,基本的には診療のとき,あるいは検査の説明のときということに限定をして,もちろん患者さんによってケース・バイ・ケースでいろいろ違う面があろうかと思いますが,そういうことを基本にして,病院の
スタッフの皆さんも,通訳者に頼らなくてもやれることはやろうと,この患者さんには筆談が可能ですかと,そういうことを聞いた上でいろいろ対応するとか,あるいは自然な形でおつき合いできればということで,手話を勉強する人たちがふえてきたとか,そういう非常にいい面があったのでないかという気がします。
そんなことを含めて,私の方からは,いい面しか言いませんけれども,課題として,病院の方も含めて押さえている点があれば,ちょっと明らかにしていただきたいと思います。
◎高橋
病院理事 よかった点と課題ということでございますが,よかった点というのは,今,
小野委員のお話のとおりだと私も受け取っております。
さらに加えまして,医師や看護婦や
検査技師等の職員が,
手話通訳に対して非常に理解と認識が深まってきたということも挙げられると思います。
また,
手話通訳者さんが大変積極的な方で,
手話サークルを病院の中につくられておりまして,時間外でございますけれども,そこへも頻繁に出てこられる。そのことも一生懸命やっておられるというようなことから,相互の理解が深まっているということがよかった点だというふうに思っております。
課題といえば,いろいろあるのかもしれませんけれども,今現在のところは順調に推移をしていると考えております。
◆小野 委員 最後は要望になりますけれども,病院の
スタッフの一員として
手話通訳者が配置をされていると,それぞれの協力体制が今はつくられてきているわけですから,ぜひそういういい面を大事にしながら,今後,聴力に障害のある方が安心して
市立札幌病院で医療を受けられるように。特に,こうした
公的病院において
手話通訳者が配置をされているのは,
市立札幌病院が初めてですから,そういう面では,病院だけではなくて,公的機関にきちんと
手話通訳者が配置をされていくためにも,ぜひ大事にして,この成果を生かしていただくように努力をしていただきたいと思います。
あわせて,これからどんどん利用者もふえていくことが予想されますし,例えば,前々から言われているわけですけれども,病院という特性からして男女両性の配置を考える必要があるとか,あるいは,このことは病院だけではないのですけれども,
手話通訳者の身分の改善,身分保障の問題,これらについて,引き続き私自身も努力をしていきたいと思いますし,病院の中でもご検討いただきたいと思います。
最後,要望でありますけれども,この間の努力に敬意を表して,終わらせていただきます。
◆本郷 委員 私からは,
総合医療情報システム,
通称オーダリングシステムについてお伺いをいたします。
市立病院は,一昨年の10月,新病院へ移転をしたわけですが,私もこの間,何回か視察にお伺いをしております。
病院の建物あるいは
医療機器など,ハード面においては格段の整備充実をされた反面,患者さんの診療待ち時間,あるいは会計や薬の待ち時間の短縮,解消といった問題や,会計伝票の
搬送システムなど,まだまだ改善されるべき課題があるというふうに認識をしております。
ソフト面で言えば,
コンピューターを導入した
医療情報システム,これなどは,病院の新築にあわせて稼働されるのが通常ではないかと思うわけでありますが,
市立病院の場合,財政的な問題や,あるいは短期間に旧病院から移転して,新しい施設で開院しなければならないなど,種々の事情もあったのかと思いますけれども,現在,この
システムが導入されておりません。しかし,他都市の
総合病院や,あるいは本市においても
北大病院,
厚生病院を初め,幾つかの
総合病院で既にこの
システムを導入し,効果を上げているとのことであります。今後,他の病院との競合に勝ち残っていくためにも,この
システムの導入はぜひ必要であるというふうに思うものであります。
今5年計画の中で,
総合医療情報システムの開発が計画をされているようでありますが,先ほども申したように,
患者サービスにつながるこの
システムを早期に導入すべきとの思いから,以下,何点かご質問をさせていただきます。
1点目は,計画をしている
総合医療情報システムの目的,内容。あわせて,導入した場合の効果についてお伺いをいたします。
また,これは工事費にもかかわってくる問題でございますので,確認でありますけれども,
システム導入に対応できる,例えば
コンピューター用の
LAN回線が付設されているとか,あるいは,そのための電算室が用意されているとか,そういった施設・建物になっているかという点もあわせてお伺いをいたします。
◎林 副院長
総合医療情報システムの目的についてでございますけれども,当
市立札幌病院では,例えば1人の患者さんのデータは,検査結果は検査部,それから料金計算は事務局,薬や治療の内容は診療科や薬剤部と,各部門ごとに情報をそれぞれ保管しておるわけでございます。これらの情報を得るためには,電話とか書類で,その都度問い合わせをしなければならないわけでございます。
そういう状況でございますので,第3次5年計画で,病院の診療情報を一元化するために,
総合医療情報システム,約してオーダリング
システムでございますけれども,その導入を計画したわけでございます。
この計画の目的とするところは,病院内の各種情報の共有化を図り,医療事務の簡略化・迅速化を図るため,医療各部門に運用している各種の
医療情報システムを
ネットワーク化する
システムでございます。
2番目に,
システムの内容でございますけれども,患者の身長,体重,血液型などを入力いたします患者基本オーダー,それから入院予定患者の入院予定日,入院病棟,主治医などを入力いたします入院基本オーダー,食事の開始日,種類,特別食の種類,配ぜん先を入力する食事オーダー,それから検査の指示や結果,薬の内容を知ることができる検査オーダーやまた処方オーダー,診察や検査の予約をする診療予約オーダーなどを考えております。
それから,次に
システムの導入効果でございますけれども,情報の伝達が院内の通信網を通じまして,各部門にいち早く伝達されますので,診察の待ち時間,会計の待ち時間,それから薬の待ち時間などの短縮を図ることができます。これらは,ご指摘のとおり,患者さんのサービスにつながると思われます。また,情報の発生する部門ですぐ入力することは,請求漏れの防止と診療報酬請求事務を合理化することができるわけでございます。さらに,画面での入力となるため,各種伝票の転記作業の軽減や書類の搬送が少なくなります。それに加えて,伝票の印刷費の削減によるランニングコストを低く抑えることも期待しているわけでございます。
最後に,工事のお尋ねでございますが,新病院は院内の回線,
LAN回線ですけれども,ローカルエリア・
ネットワークでございます。これの基幹工事はもう既に終わってございます。導入を計画しています
医療情報システムは,この
LAN回線を使う予定でございます。
以上でございます。
◆本郷 委員 内容,効果については理解をいたします。
そこで,具体的な今後のスケジュールでございますけれども,この
システムをいつから導入し,また,開発スケジュールをどのように考えているかお尋ねをいたします。
それとあわせて,これにかかる費用についてでありますが,ただいまのご答弁で,回線工事等の施設整備については,既に新病院開設時に基幹の部分の工事が終わっているとのことでございますので,ある程度,この工事費については低く抑えることができるのかと思います。
それとは別に,
システム全体にかかわる開発経費がどのぐらいかかるのか,その概要をお知らせいただきたいと思います。
◎林 副院長 この
システムの導入時期でございますけれども,平成10年10月に稼働の予定をしてございます。
導入に際しましては,全
システムを同じ時期に稼働させますと混乱を招くおそれがございますので,入院に関係いたします
システムの方を先に導入を考えております。いわゆる食事・入院基本オーダー,検査・患者基本オーダー,入院の処方オーダーをまず最初に考えております。次いで,それらについて職員がよくなれるということが大事でありまして,それを熟知した後において,外来処方オーダーや診療予約オーダーなどを平成11年以降,順次導入する考えでございます。
それから,開発経費の概要についてでございますけれども,総額は約3億円を予定しております。その内訳でございますけれども,院内の回線工事,電算室の工事費に5,000 万円,開発費に5カ年で約2億5,000 万円を予定しております。
以上でございます。
◆本郷 委員 開発費が5年で2億5,000 万ということでありますけれども,先ほどのご答弁の中で,一つは,医療事務の簡略化によるランニングコストの低減,また請求漏れ防止といった効果,さらにこれが一番大事だと思うのですけれども,患者さんの増につながる要因の一つとして,待ち時間の短縮等によるサービス向上。
平成8年度決算見込みによる1日平均の外来患者数は2,051 人ということでございますけれども,ここ数カ月の外来患者数を見ますと,昨年10月以降で見てみますと,平均で2,185 人と好調に推移をしているわけで,ぜひこの好調を維持していただきたいと思うのでありますが,特に一番多いときで2,700 人を超えた日もあったというふうに伺っております。
システムを導入しないで,現状の体制で対応するとすれば,ある程度限界もあるものというふうに思います。その意味からも,今後,この
システムの早期導入に向けて,なお一層のご努力を要望しまして,質問を終わります。
◆高橋[重] 委員 それでは,私は4点ほど聞きたいわけですが,まず第1点は財政にかかわる問題。第2点は,薬品が非常に高いという問題。それから,今回医療保険制度の改定ということで,患者や病院にも影響が出るのではないかということがございますので,その問題。さらに,4点目として看護婦の3交代制から2交代制への問題。この四つの問題について質問いたします。
まず,財政問題でお聞きいたします。
新年度予算案を見ますと,予算総括表で収支の一覧表が出ておりますが,8億6,464 万6,000 円の資金不足を来すようになっております。過去5年間の資金の状況を見ておりますと,いずれも黒字の資金状況であったわけですが,平成9年,新年度に赤字になるということは,財政運営上,一つの大きな問題をもたらすというふうに思います。
そこで,赤字を見込む主要な原因はどこにあるのかというのが第1点です。
それから,過去黒字を出しておるわけですが,平成8年の決算見込みは,それではどういう状況にあるのか,これも第2点目として明らかにしていただきたいと思います。
さらに,全体として見ればこうなのですけれども,特に病院の主要な収入である医業収益と,それから病院の本来の費用,いわゆる医業費用,これを比較をいたしますと,この分野においてはいずれも赤字を計上せざるを得ない。平成5年からの決算総括表を見てみますと,平成5年では27億円,平成6年では29億円,平成7年では69億円,この年が一番大きな赤字をここでつくっておるわけですが,さらに平成8年,本年度は34億円を見込んでおるということで,ここの医業収益と医業費用との大変大きな乖離ということが,病院経営の一つの特徴をあらわしているのではないかと思うわけです。この乖離の問題について,どのように認識されておられるのか,まずこの3点について明らかにしていただきたいと思います。
◎高橋
病院理事 今年度予算の8億6,500 万の資金不足についてのお尋ねでございますけれども,今年度の収益的収支の方から申し上げますと,収入の大宗をなします診療収益,昨年の4月の診療報酬の改定が医療費平均で3.4 %のアップ,同時に薬価基準が2.6 %引き下げられたために,全体では0.8 %の引き上げという形で低く抑えられました。そういったことから,収入の伸びが非常に低くなってございます。
一方,支出においては,人件費が医療費用の45%でございますけれども,8年度のベアは0.96%,それから退職者の増,こういったことなどによりまして3億5,000 万円ほどふえたということ。さらには,経費で,薬品は先ほどのお話のとおり下がりましたけれども,医療材料,これは手術の増加とか入院患者の増により飛躍的にふえ,2億1,000 万ほどふえたということ。こういうようなことから,8億6,500 万の資金不足を計上せざるを得なかったということになるわけであります。
それから,平成8年度の決算見込みで資金不足は起きないのかということでございますが,今現在で考えますと,8億9,000 万円ほどの資金シ ョートになろうかと思っております。
それから,医業収益と医業費用の乖離の問題がございますけれども,これは,今申し上げておりますような,年々診療報酬は低く抑えられ,さらに人勧等による人件費が高騰していると,こういうことに起因をするものであるというふうに認識をしております。
◆高橋[重] 委員 今のご答弁のような要因があって,非常に厳しい財政を見込まざるを得ないということだと思いますけれども,収入の大宗を占める医業収入の中でも,特に診療報酬の問題が,
市立病院のみならず,どこの病院においても経営上の大きな問題になっているのだろうと思うのです。
それで,診療報酬が病院の実態に合うものになっていないという点で,今のご答弁では,人勧もこれありというような,人勧で人件費を上げていく,これは当然のことです。あるいはまた,人勧自体が低過ぎるというような問題もないわけではない,そこで働く
市立病院の職員の皆さんの給与を改定するのは当然ですから。そして,それに見合うような形で,診療報酬が改定されていくと,人件費のみならず,物件費についてもそういうことが必要だと思いますけれども,その点で,こういうような連動していかない診療報酬のあり方について,病院を経営する側から見て,これをどのように受けとめて,そしてこれは一
市立病院のみならず,全国の公立病院や
医療機関の共通した問題でありますけれども,そういう場所でこの問題をどのように議論をし,問題として取り上げ,そして政府・厚生省に対して要望すると,改善を求めるというようなことが極めて重要な課題であることは,こういうような実態から見ても明らかなわけです。その点についてどうお考えなのか,どんな行動をされてきたのか,その点を明らかにしていただきたいと思います。
診療報酬の中身については,どの分野が一番実態に合わないのか。今,高橋理事のご答弁で,人勧に見合わないというご答弁でありますけれども,どの分野のどういうところがおくれているのか。こういう問題は,国民的に議論をするということが望ましいと思うのです。
今,厚生省の厚生行政の中で,いろんな弱点とかぼろが出てまいりました。あるいは,厚生省トップ官僚の汚職・腐敗というような問題も指摘されておりますけれども,ここにあるのは,どんな分野でも秘密主義といいますか,国民に公開されない。そして,厚生省の一部官僚が,ちょっとした審議会なんかをつくって,そこで審議をして,どんどん決めてしまうというような問題が,私は今改善が求められていることでないかと思うのですね。その点について,まさにこの診療報酬もその一つではないのかというような感じもいたしますので,どの点が問題なのかも,あわせて明らかにしていただきたいと思います。
◎大橋 副院長 お答えいたします。
平成9年度の診療報酬についてですけれども,平成9年度の会計は,消費税率の引き上げに応じて行う臨時特別的な措置として行われるものですけれども,保険
医療機関などの消費税負担について,診療報酬の改定を行うとともに,診療報酬の合理化・適正化を推進していくものであります。改定幅は,消費税率の引き上げに伴う改定が0.7 %,診療報酬の合理化を図るための改定が0.9 %で,合わせて1.7 %の引き上げということになりますけれども,薬価基準の引き下げが4.4 %,医療費ベースにしますと1.32%の引き下げとなりまして,差し引きしますと0.38%の増となります。
診療報酬の改定は,経営上から見ますと,全体として,過去10年間で9.4 %の伸びであったのに対して,国における医療費抑制策から低く抑えられている一方,職員給与額のベースアップが過去10年間で23.82 %の増となっております。こういうことが病院の経営を圧迫し,極めて厳しい状況に置かれていることは,ご指摘のとおりだと思います。
その対策ですけれども,当院といたしましても,公営企業の立場から,適宜な改定が必要であると認識し,全国自治体病院協議会を通じて,関係方面に改善・是正方を要望しているところであります。
それから,どのような面で一番おくれているかというご質問なのですけれども,先ほど高橋理事の方からお話がありましたけれども,やはり医療材料費の伸びが一番多いと思います。
それで,昨年9月に,手術室における医療材料費のコストが反映するかどうかについて検討したところによりますと,手術代に含まれるとかということで,約半分が請求できないことになっております。そういう面が多々あると,一月に直すと大体2,000 万ぐらいになり,単純計算でいきますと2億4,000 万ぐらいになるのですけれども,そういうような面が非常に大きな問題になっていくと思いますし,いろんな面があると思いますけれども,そういう点を含めて検討していきたいと思います。
以上です。
◆高橋[重] 委員 今の副院長のご答弁で,医療材料費の半分が請求できないと,月2,000 万円ぐらいがあるというお話で,医療行為,診療行為にかかわる費用が診療報酬の中に見込まれるということは,我々国民の側から見て当然なのだろうと思うのですね。ところが,それがそうなっていないということでいけば,むしろ病院経営自体が,公立病院の場合にはまだ一般会計があり,いろいろな財政支援の道が残されているという面があるとしても,医療にかかわる費用は診療報酬で均衡をとるということが絶対に基本的なのだろうと思うのですね。この点では,厚生省がそうしていない問題。
今のご答弁で,自治体病院の協議会を通じて要望もしておるのだということでございますけれども,相手は国であり厚生省です。壁は決して薄いものではなくて,幾ら言ってもなかなか言うことを聞いてくれないというようなことかもわかりませんけれども,ここのところは,自治体病院のみならず全
医療機関が力を合わせて,改善を求めるというようなことがあっても当然だろうと思います。今までのやり方とこれからのやり方,特に今,ある意味では厚生行政の全般が問われているという状況がございます。そうした中で,厚生行政のあり方全般の中でも,病院経営の側から見て,診療報酬の改善は極めて重要な課題であるということを改めて位置づけをし直していただいて,取り組みを強めていただきたいということを強く要望しておきます。
それでは,次の薬価問題でありますけれども,この薬価問題は,医療保険の改定とあわせて大きな問題になっておるわけです。
今回,政府は,医療保険の改定を行って,大変大きな負担を国民にかぶせようとしておると。この問題を審議するときに,日本の薬価が外国と比べて非常に高いのではないかと,もう少し薬価を低く抑えるならば,国民負担もその分だけ軽減することができるのではないか。今回,医療の改定による国民負担は2兆円と言われております。それで,その2兆円を負担しないような見直しができないかというようなところから,薬価問題が大きくクローズアップされてまいりました。
国民医療費が,現在,約27兆円と言われておりますが,そのうち約3分の1に近い8兆円が薬剤費であると,こう言われておるわけです。そして,いろいろなところで諸外国の薬価と比較検討いたしますと,例えばアメリカと比べて1.1 倍,ドイツと比べて1.4 倍,フランスやイギリスと比べると2.7 倍というように非常に高くなっておると。しかも,新薬と言われるものほど高くて,日本はイギリスやフランスの4倍であるというようなことが言われています。片や,製薬会社の利益はどうなのかということも,いろいろ製薬会社の経営状況なんかが出されて,その中で,非常に利益率が高いと。つまり,製薬会社のもうけを一層加速しているような,それが高い薬価になっておることのあらわれだというようなことが言われているわけです。
そこで,国会においては,私どものそういう指摘に対して,橋本首相も小泉厚生大臣もその事実を認めて,厚生省としても,薬価の適正化に向けて努力をしていくというような答弁もあり,これからそういう方向に向かう可能性が出ておるわけです。しかし,この問題も国会で議論をし,政府がそう答弁したから直ちにそういくかというと,そう簡単ではないと思うわけです。
大事なことは,その業界といいますか,それに関連しているいろいろな機関が,その問題についても調査研究を深めて,可能な限りの声を上げていくということが,国民世論の力ということが大事でないかと思うわけです。その点について,高い薬価の問題について,まず病院を経営されておる
市立病院の立場に立って,どのようにこれを見られておるか。あるいは,この問題についても,先ほどの診療報酬と同じように,公立病院の協議会等において,問題にするようなことがあったのかどうか,ひとつ明らかにしていただきたいと思うわけです。それが第1点です。
それから,今回の医療保険の改定によって,非常に影響が出るだろうということは明らかです。
市立病院の場合,一体どうなるのかということでございますけれども,今回は,政府管掌健保の場合,本人の1割負担が2割になる,あるいは全部に通じて1種類の薬代が1日15円になるというようなことや,あるいは老人保健については1日710 円が1,000 円になる,低所得者はちょっと低いですけれども。それから,外来については1,020円が1回500 円で,一月4回が限度で2,000 円と。いずれも薬代1日15円がついてくると。こういうことで,非常に大きな影響が出るのでないかと思いますが,現在,
市立病院に通っておられるいろいろな患者さんがございますが,一般的に見て,どういう患者の負担増になるか,まずそれを明らかにしていただきたいと思うわけです。
それから,次の質問は看護婦の問題です。
看護婦は,特に厚生省は,国立病院について,現在の3交代制を2交代制にすると,1日8時間勤務を1日15時間勤務,実際の拘束時間は16時間半ぐらいになるというようなことを出したために,病院関係者,特に看護婦の皆さん方から猛烈な反対の声が上がっておるわけです。
こういう厚生省のやり方について,これは本当に医療破壊につながると私は思うわけですけれども,どんなふうに考えるか。そして,
市立病院においては,こういう厚生省のようなやり方はやはりだめだということで,病院としては,絶対こういう方向には行かぬという決意を持って臨んでいただきたいわけですが,そのお考えがあるかないか,この点をお聞きしたいと思います。
◎高橋
病院理事 私から,薬価問題についてお答えをさせていただきます。
近年,医療に携わる者の中で,どういうふうに薬価の問題について言われているかといいますと,苦悩する病院と繁栄する周辺産業,こういう言われ方をしております。平成4年に流通改善近代化と称しまして,医薬品がいわゆる建て値制になったことによりまして,医療品メーカーが利益を上げている一方で,病院は大半が赤字に転落をしている,こういう実態が現在ございます。これは,ある新聞に出たものでございますが,メーカーの高笑い,卸屋の薄笑い,病院の一人泣きと,こういうようなことも言われている状況であります。
これはなぜかといいますと,今,委員のお話にございましたように,欧米に比べて医薬品が非常に高いと。こういうようなことから,国において,薬価をどんどん切り下げてきたことによるものであります。この10年間で28.38 %薬価基準が引き下げられております。これは,先ほどの診療報酬の引き下げの問題ともろに重なっております。それがゆえに診療報酬が上がらない。
先ほど,診療報酬をもっと上げればよいのではないかというふうに応援をいただいておったわけですけれども,薬価が下がったことによって病院が苦しくなった。なぜかといいますと,薬価基準は下がったけれども,卸値はなかなか下がらない。したがって,一定の薬価差益をそれぞれの病院が確保できていれば,そういうことはないのでありますけれども,当然ながら,薬価差益は少なくなる。薬価差益は,当然ながら,病院の発注事務や保管,それから中間におけるロス,こういうようなものを賄うためのものでございますから,経費として,あるいは経営資源として非常に貴重なものでございますけれども,こういうものがだんだん薄くなってきております関係上,苦しくなっているという実態にあります。
したがいまして,私どもとしては,病院もメーカーも卸も,三者とも繁栄するような,そういうような医療品の流通環境の改善が必要であろうというふうに考えているわけですけれども,そのような考えのもとに,先ほども申し上げた全国自治体病院協議会を通して,これもまた国等に要望をいたしているところでございます。
◎大橋 副院長 第2点の医療保険制度改正についてのご質問にお答えします。
今回の保険制度の改正は,一部負担の見直しによることから,病院全体の経営としては,ほとんど影響はないものと思われます。
ただ,患者の負担増という観点から見ますと,多少影響があるものと思われますが,患者さんは,病気の状態に応じて私たちの病院に来る方が多いことから,医療保険制度改正が直ちに患者の減少につながるかどうかは予測しがたい状況です。今後,患者の動向を見ながら,推移を見ていきたいと思います。
それから,老人とか若人の場合,実際に保険にどのような影響があるかというお尋ねに対してなのですけれども,例えば私たちの病院に1カ月大体3.2 回,1回に大体4種類のお薬を1週間分もらったとしますと,老人の場合ですけれども,現行では定額負担ですので1,020 円になりますけれども,改正案のとおりに試算いたしますと,大体1,860 円増になります。それから,風邪なんかで1カ月に1回通院して,2種類の薬を5日間もらった場合,現行の定額として1,020 円ですけれども,改正後は650 円となって,むしろ370 円安くなります。
それから,保険本人の2割負担に関してですけれども,現行でいきますと,1カ月に2回ぐらい通院して,1回につき3種類のお薬を7日間もらった場合は,現行では1,470 円でございますけれども,改正後は2,130 円の増になります。
大体以上の結果だと思いますけれども,あと家族の場合は,伸びが660 円程度に抑えられている状況だと思います。
以上です。
◎高垣 看護部長 看護婦の2交代制についての考え方をお聞きしたいとのお尋ねでございますが,私たちといたしましては,看護の質を高め,働く看護婦に満足感をもたらし,また,限られた看護要員の中で,より専門性の高いケアを効率よく提供するためには,どのような夜勤体制がよいのか,時代の趨勢もかんがみながら研究してまいりたいと考えております。
以上のことから,現時点では,2交代制については全く考えておりませんので,検討もしておりません。
◆高橋[重] 委員 まず,薬品の問題では,研究して,それぞれ公立病院協議会等でもやるということですので,大いに深めて,とにかく日本の医薬品が高いというこの現実に立って,しかも今,理事がご答弁のように,製薬会社が高笑いをしておるというようなことは,社会的にもゆゆしき問題であります。企業は当然,適正な利潤を追求するということは当たり前でありますけれども,適正以上に,ぼろもうけをするようなことは正常な状態ではないということになりますので,特に製薬会社の利益率が極めて高いということを,あらゆる形で世論を喚起するようにやっていただきたいなと思います。
それから,医療費の改定でご答弁がございましたけれども,いずれにしても,病院には影響はないだろうと。しかし,患者さんは多少は負担がふえるかもしれないと,今,具体的な話がございました。しかし,中には負担が軽くなるというようなお話で,そういう人も家族の中でおられるでしょうけれども,しかし,総体として見れば,やはり大きな負担がかぶさってくることは明らかです。
私が勤医協で調べていただきましたところ,お年寄りの場合,現実の患者さんに基づいて,どうなっているのだといったら,お年寄りで胃潰瘍を患い,脳梗塞や心臓疾患を患って,月3回通院しておる人の場合で,内服薬が7種類14日分を2回,それから2種類を10日分3回もらうと,現在1,020 円なのだけれども,今度改定されれば5,340 円で5.2 倍になるというような実態の報告を聞いたわけです。また,
市立病院から先般いただいた資料を見ましても,老人の場合で2.8 倍とか,あるいは被用者本人の場合でも2.4 倍とか,2倍以上あるいは3倍近い,そういう負担がかぶさるということは,患者さんにすれば大変なことでありますし,それがひいては病院に向く足を重くすると,なかなか病院に行きづらくなるということになるわけです。
そこで,先ほどのご答弁では,病院にも余り影響ないのじゃないかと,今後の動向を見るということなのですけれども,患者が行きづらくなるような保険の改悪,こういうようなことは病院経営にも,私はマイナスの影響があらわれるのではないかということを指摘をしたいと思います。
それから,看護部長のご答弁で,2交代制を
市立病院は考えていないと,現在の3交代制を堅持しながら,時代に合った効率的な高いサービスをというようなご見解ですので,国のこういうやり方,一体3交代制を2交代にすることが,こういうような面から見てどうなのか,非常に大きな疑問を持たざるを得ないのですよね。その点では国の……(「
市立病院はやらないと言っている」と呼ぶ者あり)やらないという点はいいのですよ。それは全面的に受けとめる。(発言する者あり)いや,その立場を堅持してやっていただきたい。そういうことで終了しましょう。
◆山口 委員 私も2点伺おうと思ったのですけれども,1点目の診療の待ち時間の解消について,先ほど本郷委員の質問がございまして,オーダリング
システムということでお答えがありましたので,これについては1点だけお伺いをしたいと思います。
先ほどの答弁の中で,平成10年10月から稼働というこの
システムのお答えがございましたが,1度に全部やると大変だということで,入院のオーダーを先にやって,順次というふうなことでしたけれども,私どもの方に入ってくる市民の方のお声としては,確かに建物はよくなったし,サービスも向上はしたけれども,待ち時間についてはむしろ旧病院より長くなっている部分があると。平均して3時間,あるいは極端な場合5時間とか,投薬だけで3時間という方もいらっしゃるということで相談が参っておるわけですが,この辺のところで,今,平均の待ち時間は診療でどれぐらいになっているか,押さえていらっしゃるのかということ。
それから,入院の方ではなくて,むしろ1日2,000 人を超える外来の患者さんの方の
コンピューターシステム化ということを先行させるべきではないかというふうに,今のご答弁を聞いて考えたわけですが,それについていかがか,伺います。
それから2点目ですけれども,今のサービス向上とも関連をいたしますが,現在,病院に初めて行きますと,ほとんどの方は1階のカウンターで,元婦長さんがいろいろ相談に乗ってくださっている窓口へ行きまして,自分は一体どこの科に行くべきかというようなことで相談をさせていただいて,その指示で,ボランティアの方が付き添ってくださって,外来の方に回していただくわけですが,そこが必ずしも適切な科に振り分けられていないと。そこを受診したところ,違う科だったというようなことも,よく聞いております。
私も見ていましたら,非常にたくさんの患者さんが訪れて,短時間で聞き取って,何科というふうに振り分けるというのは非常に大変な作業だなということを感じておりましたけれども,その辺のところで,総合外来みたいな考え方,北大が導入をしておりますけれども,ボランティアさんや看護婦さんが振り分けるだけではなくて,ちゃんとした外来として位置づけて,そこである程度診療をして,そこによって,さらに専門的なところへというような,そういう考え方というのが必要ではないかなと感じたわけですけれども,それについていかがか,この2点伺います。
◎林 副院長 今,ご質問ありました2点についてお答えしたいと思います。
まず第1点ですけれども,外来の混雑,待ち時間いろいろありまして,オーダリング
システムは入院の方より先に外来の方をした方がよろしかろうという点でございますが,いろいろな病院を私も見てきたのですけれども,最初に入力する人は,かなり熟練というのですか,なれ,そういうことが必要であります。一気に外来の方に導入されますと,かなり混雑しまして,入力する人も,若い医師から年とった私のような者までいまして,年齢に応じて,入力はだめだということにもなっていますので,できるだけそういうのをならしまして,ほとんど入力するのは医師,看護婦,それから検査技師,それから放射線科とか事務系とか,各年齢層がありますので,かなりなれさせると,そういうことを考えまして,入院部門から導入するということにいたしました。
それから,第2点目の総合外来の件でございますけれども,当院では,外来患者が来られますと,総合案内のところで,先ほど山口委員の方からお尋ねありましたように,前の婦長さんが新患で来た患者さんの相談を受けまして,大体こちらの方の科でないかということで,いろいろな科に行くわけです。
私は内科の方ですので,内科を例にとって言いますと,内科に来ますと,看護婦さんが,どういう症状とかいろいろ聞きまして,新患の医師の方に回すわけです。そこの医師はベテランといいますか,年齢が多い方,経験年数が多いということでございますけれども,医師を1名,新患に充てまして,その医師が判断いたしまして,外来に出ている専門の医師,大体網羅していますので,この患者はこういう医師に回した方がいいと,循環器なら循環器,消化器なら消化器の医師に回すという形にしまして,風邪とか簡単なものであれば自分のところで処理すると。それから,そこの分類に入っていないが,自分の得意であれば自分が診ると。そういうこととか,それからまた,腎結石とか,そのほか婦人科的なものの疾患も来ますので,そういうときには,新患を診ている医師がそちらの方に依頼を書いて診てもらうということでございます。私の病院は限られた医師の人数でやっていますので,大学の方とそのまま比較するのは適当ではないと考えています。
そういうことでございますので,新来の患者さんはできるだけ丁寧に診ると,診断も正確にするという意味で,時間的にかなりの時間がかかると考えています。
再来の患者については,できるだけ早く診るようにしていますけれども,予約制導入,これは先ほども申しましたオーダリング
システムと関連しますので,予約制をできるだけ入れまして,今,一部で個人的に約半数の医師が行っていますけれども,それを全員にしまして,オーダリング
システムに外来部門もうまく稼働するようにやっていきたいと思っています。
以上です。
◆山口 委員
コンピューター入力の問題で,年齢的な問題というようなこともございまして,わからなくはない部分もありますが,それは順次平成11年以降ということですと,待ち時間の解消というのはしばらく解決策・改善策はないのかなというふうに,今伺っていて感じたわけです。
これについて,2点目の質問ともかかわるのですけれども,自治体病院のあり方ということで何回か取り上げさせていただきまして,現在,介護と看護あるいはケアとケアが混在しているような状況の中で,地域のクリニックと
総合病院とのすみ分けといいますか,役割分担というところで,例えばインフルエンザがはやったときは病院も大層経営的にはよかったというようなことも伺いますが,むしろそれぐらいの方は地域のクリニックへ振り分けていく,そのようなことで役割分担を明確にして,自治体病院のあり方みたいなところで整理をしていくと。患者さんが減ると,逆に困る部分もあるわけですけれども,その辺の線引きなり,難しい部分とは感じますけれども,そういうようなこともやりつつ,総合外来的な部分も今あるというふうなお答えはありました。
例えば,私も去年,乳腺の方の病気でちょっと病院へ行きましたが,医療法の縛りもあるとは存じますが,例えば乳腺科というふうな看板を掲げているところがございますと,女性の場合はすぐそこへ行くということが可能です。ところが,今,医療法の縛りで必ずしも乳腺ということが名乗れない,一般外科というようなことでくくられておりますので。そうすると,外科の中でも,どういう外科が本当にいいのかというところの情報はなかなかないという中で,人材的には幅広い経験と知識がないと,総合外来なんていうのはできないということも十分承知をしておりますけれども,今後の自治体病院のあり方として,そういう先駆的なところも実験的にやっていっていただきたいし,そのことが手おくれというような事態もなくすことにつながっていくのかなと感じている次第です。
最後ですので要望になってしまいますが,その辺のところで,できるだけオーダリング
システムを早くやっていただくということ。それから,総合相談のところでもう少し人をふやすとか,本当に今,元婦長さんは大変です。その辺のところで,もう少しじっくりお話を聞いてから振り分けられるようなそこの窓口の充実なんかも,とりあえず
システム開発までは必要ではないかと感じておりますので,その辺のご検討をお願いしたいというふうに思います。
終わります。
◆伊与部 委員 私は,簡潔に財政問題について数点お伺いいたします。
まず,財政収支の計画ですが,私は,本件については,平成4年の1定に,当時の理事にお尋ねして資料もちゃんともらった。
この財政収支の計画によれば,平成9年度には16億1,400 万円の黒字が出ることになっている。先ほど高橋さんから質問があった,平成8年度には,この財政収支計画では8億3,200 万円の黒字が出ることになっている。先ほどの答弁では,逆に8億9,000 万円の赤字が出るというのだね。8年度で8億3,200 万円黒字が出るのに,8年度で8億9,000 万円赤字。それから,9年度のこの予算を見ますと,既に先ほども話があったように,企業会計の33ページに平成9年度札幌市病院事業会計の予算総括表が載っている。これには,右側の一番下に8億6,464 万6,000 円が赤字になると。
財政計画と予算,この乖離が余りにも大きい。8年度では約17億円ですね。それから,9年度では財政収支の計画と比較して25億円もある。このままどんどんどんどんいったら,10年間で病院沈没ですわ。率直に言って,100 億ぐらいの赤字になっちゃう。そういう財政収支計画と決算・予算の乖離が余りにもひど過ぎる。これは一体どういうふうに判断しているのか,これをまずひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
それから,
病院事業会計予算総括表を見ますと,収益的収入及び支出は完全に25億6,400 万円の赤字という予算を組んでいるわけですよ。それから,資本的収入及び支出の中でも,赤字が3億1,800 万円。ところが,内部留保資金が19億5,200 万円ある。さらにまた,過年度累積の内部留保資金が6,500 万ぐらいある。約20億円あった。その内部留保資金を全部つぎ込んで予算を立てても,8億6,400 万円の赤字になると。しかし,この10年間の計画では,9年度は16億円の黒字になるという計算を立てている。だから,この計画と予算・決算の乖離,これは本当に厳しく受けとめなかったら,病院会計は,国保・交通・病院になっちゃうのでないかと,そんな危惧がひしひしと伝わってくる。これはやっぱり議論しておかなったら,このまますっと通しちゃったら大変なことになる。10年後には100 億の赤字になる。
同時に,一般会計からの長期財政計画の繰り入れを見ますと,計画では約40億,病院会計に入れると。同時に,約30億の長期借入資金,こういうものがある。これは今,どういうふうになっていますか。9年度の予算の中には,一般会計からの借り入れその他,具体的には全然出てこない。これはどうなるのか,ひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。
それから,これはやっぱり計画が間違いだったのでしょうかね,誤算か間違いか当てずっぽうか。計画ですから,よく交通局では,部長がいないのだけれども,見通しだとか推計だとか,推定だとかを出すのだけれども,病院はまともに計画を出してきているのだから,見込みでもないし推定でもないし推計でもないのだわ,計画が出ている。計画とこんなに違うのだったら,計画でない,無計画でないですか。無計画部長って,いるのですか。そんなことも含めて,ちょっと答弁してください。
◎高橋
病院理事 財政計画と差が出ている主な要因について,まずお尋ねがございましたけれども,9年度末の資金状況,9年度予算と平成3年度に策定をいたしました財政計画を比較してみます。
まず,収入でございますけれども,診療収益で,予算では163 億7,800 万を立てておりますが,計画では155 億7,000 万でございますので,その差が8億2,100 万の増。それから,一般会計の収入の部門だけで申し上げますと,8億1,800 万円の減,その他収入で2億9,400 万円の増がありますから,収入では合計2億9,700 万円増加いたしました。しかし一方で,先ほどの高橋委員のご質問にもございましたけれども,人件費で11億6,700 万円,それから薬品,医療材料,給食材料等で10億1,900 万円,経費で5億1,500 万円,減価償却で9,500 万円計画よりふえてございます。支払い利息等については3億200 万円の減となっておりますけれども,合計で24億9,400 万円の増となっております。したがって,収支差し引きで21億9,700 万円の悪化,これに,先ほどご指摘もございましたけれども,資本収支や留保資金,こういったものを加えたり引いたりいたしますと,24億7,900 万円の悪化をして,8億6,500 万円の資金不足になるということになります。
収支の状況の悪化は,平成9年度だけ単年度で見るというわけにはまいりませんけれども,これまでの蓄積がこういう形になっているものであります。その一つは,やはり診療報酬の改定が,先ほども申し上げましたが,10年間で9.4 %しか伸びていない。しかしながら,職員給与費のベースアップは23.8%,こういうものが一つあります。つまり,診療報酬改定で給与改定が賄えない状況にあると。さらに,薬価差益が縮小したということ。それから,高度医療に伴う新規の医療材料費が増加したこと。これらが大きな要因となっているというふうに言えるかと思います。
それから,一般会計では,当時の計画では,40億4,900 万円の繰り入れということでございますが,9年度予算では31億6,800 万円でございます。したがって,その差が8億8,100 万円減額となっています。
内容的に申し上げますと,未
熟児医療等の収支差補てん分が1億3,700 万,それから企業債の利息でありますとか,長期借入金の利息相当分,これが4億4,800 万円減になっております。それから,建設の財源であります企業債償還金の負担が,借入額がもともと少なかったということによって1億1,500 万円の減。これら7億円については,こういう収支差とか,あるいは利率の低下とか,こういったことでございますから,当然減といいますか,減っても当然のところというふうに思っているところであります。しかし,額面にあらわれるのは8億8,100 万円の減,こういう形であらわれてきます。しかし,一般会計からの繰入金の見直しについては,平成6年に行っておりまして,高度
医療機器の運営費でありますとか,リハビリの施設運営費とか,臨床研修事業の経費の補助でありますとか,こういったものを増加をしていただいております。今後とも,財政局とは繰り入れの項目について,重ねて協議をしてまいりたいと考えているところです。
それから,当初計画が間違っていたのではないかというお尋ねもございました。平成3年度に作成した財政計画は,当時としては,可能な限りの情報に基づいて作成されたものと考えています。
例えば,今の違いで大きなものを申し上げますと,占床率なんかは,救急も含めて96%でありましたけれども,今の予算では,当然,救急はそれほどないわけでありますので,94.3%というように下方修正をして予算を立てていたり,あるいは,外来患者を当時は1日1,800 人というふうに見込んでいたわけですけれども,その後,4週8休の土曜日完全休日になりました関係上,総体を変えないために,1日2,170 人の外来患者に見直した。そういったことをやっているわけです。
また,看護体系についても,当時は2対1看護というのは制度としてございませんでした。したがって,特3類の拡大を予定していたわけですけれども,
患者サービスの向上を図るため,平成8年度から2対1看護を導入しました。
それから,経費面で申し上げますと,財政計画では考慮していなかった人勧に伴う給与改定,それから4週8休制の導入,それから手当の役職加算,こういった制度改正がございましたので人件費を大きく圧迫をしているということになります。
それから薬品費は,薬価基準が下がり薬品代も下がりましたけれども,先ほどのお話のように,新薬の採用など,購入単価が上がったことによって,これはニアイコールであります。
それから材料費ですが,これはHIVとか院内感染の防止策,さらにはPL法の施行などによりまして,非常に材料費が高くなる。さらに,ディスポ製品が非常にふえたというような医療環境の変化がたくさんあったということでございまして,当時の計画としては,適正な見込みであったのではないかと思いますけれども,この環境の変化が余りにも大きく,そして早いために,こういう差になってあらわれているのではないかというふうに分析をしているところであります。
◆伊与部 委員
市立病院が札幌にできて,ことしで128 年,明治2年にできて128 年たって,そして一昨年,約250 億もかけて新しい立派な病院ができた。古い病院のときは,まあまあということだったのだけれども,今度新しい病院ができて,財政収支計画は順調に8年度から伸びていくよと。しかし,先ほども話があったように,民間の病院だったら,もう既に倒産ですわね。今,高橋理事からお話があったように,1年間に三十数億。
私がなぜ今回問題にするかというと,この8年度,9年度が一番重要な時期なのです。なぜかというと,新しい病院は7年の10月から始まったわけですから,7年度の決算は6カ月しかないですわね。ですから,言うならば8年度の決算見込み,これがこれからの資金ベースの基本になっていくと。ですから,重要な時期なのだというやっぱり共通の認識に立たないとだめだ。それなのに,8年度は計画よりも8億9,000 万円も赤字,9年度は計画よりも25億円も赤字になるというような状態。このペースだと,もうすぐ100 億になっちゃう。それから始まっては大変だ。
交通と同じように,経営健全化計画をやっぱり直ちに立てなきゃならないと私は思う。内部努力をどういうふうにしてきたか,7年,8年くぐったわけですから,1年半くぐったわけです。1年半くぐって,計画が全然無計画だったと。計画はつくったけれども,無計画に等しい状態の数字になっている。そういう状態を,あなたたち今,7年,8年くぐって,新しい病院でどういうような内部努力をやっているか,どういうような経営健全化計画を立てたらいいのか,こういうことを考えているのかどうか。
それと,この前,去年の決算ですか,おととしだったですか,高橋理事に質問したら,こういう状態になる見通しがあるので,外部に経営健全化の委託をすると言った。どこにしているのですか,どういう状態なのですか。そういうような内容について,ひとつきめ細かく答弁いただきたいし,同時に,財政計画の見直し,これは当然見直ししなきゃならないと。計画は全然話にならないわけですから,これは見直ししなきゃならないでしょう,はっきり言って。我々の手元に出てきているのは,平成17年までの計画が出てきていたのですよ。その見直しを全然しないといったら,大変なことになる。
同時に,一般会計からの繰入金,今,理事が答弁しました。確かに,あなたが言っているようなところはふえている。しかし,8億8,100 万円も総体的には一般会計からの持ち出し,繰り入れが減っているのだと。一番大きいのは,高度看護に要する経費,計画には7億5,000 万円一般会計から繰り入れすることになっている。予算ではゼロだ。
先ほど,宮村さんからの話だったら,未熟児の医療に要する経費,計画では一般会計から2億1,100 万円繰り入れしようとしていた。ところが,9年度の予算では1億400 万円だ。1億3,700 万円も一般会計からの繰り入れが減っている。先ほどの質問だったら,一般会計から計画どおり入っていたら,完全にできますよ。未熟児とはいかないけれども,完成されていないという感じだね。
そんなことで,経営健全化対策本部を組織してやるべきだ。そして,委託をして,早急に長期財政計画の見直しをして,経営健全化計画をやっぱりきちっとつくるべきだと。どうですか。
◎高橋
病院理事 病院経営が大変非常な事態になっているということは十分認識をしております。
そこで,平成8年度,おまえたちは何をしたのかというようなお話であろうかと思いますが,これは収入増と支出減ということが基本であります。収入増を図るために,麻酔科医を2名増員をいたしました。それで,手術件数が1.4 倍まで上がっております。そういった増加を図りました。それから,2対1看護の導入をして収入増を図った。あるいは,平成9年度においても増収効果の高い部署しか増員しないと,こういったようなことをやってきました。また,医材委員会を初めとする各種内部の委員会で,支出減に努めるような案も出て,それは直ちに実行を始めているところであります。
また,昨年12月に院内に経営健全対策化本部というのを設置をいたしました。これについては,後ほど詳しく申し上げます。それからあとは,外部に診断を仰ぐというようなことも考えています。
まず,経営健全化対策本部でありますけれども,昨年12月に院長を本部長として,七つの作業部会をその下に置いて,既に行動を開始しています。短期にできるもの,それから中期的なもの,長期的なもの,こういうものに着目して,短期にできるものは即日からやっていこうと,こういうような構えで,七つの作業部会としては,収益対策としては入院部門,それから外来部門,それから診療部門,運営部門,それから費用対策としては人件費,材料費,経費の3部門の作業部会を組織しているところであります。各作業部会とも,本院の現状分析並びに他の
医療機関等の実態調査,こういったものを行いまして,増収あるいは費用削減の具体案を策定しているところであります。具体的に申し上げますと,診療報酬の請求の漏れですとか,高度
医療機器の稼働率の向上でありますとか,診察室,病室等の稼働率の向上,費用の削減といったようなものを目標にやっておるわけであります。
さらに,経営診断は社団法人の全国自治体病院協議会を予定しております。当該団体は全国の自治体病院を会員とする機関でありますので,豊富な資料と経験に基づいて,これまでも数々の病院の診断を行って実績を上げております。そういったことを踏まえて,経営診断やあるいは経営対策本部の案などを踏まえて,計画の見直しもしてみたい,そう思っています。
それから,一般会計の繰り入れの問題でありますけれども,独立採算になじまない部分について,一般会計の負担のもとに経営をすると。これは,公営企業法17条に明記されているところでありまして,これらについては,一般会計から十分な繰り入れをいただいております。
なお,この問題については,さらに財政当局とも話を重ねてまいりたいと,こういうふうに思っております。
◆伊与部 委員 一般会計からの繰り入れが計画よりも8億8,100 万円少ない。先ほど言ったように,その少ない原因は,足りなくなったからすぽっと補てんすると,こういう単純な繰り入れでないわけですね。
だから,収益的収入の中で,本院分だけですけれども,例えば医業収益だとか,それから医業外収益に対し,さらにまた資本費の負担金,こういう約20項目に対する繰入金なわけですね。その中で,先ほど私が言ったような,例えば高度看護に要する費用,それから未熟児の医療に対する費用だとか,そういう項目別に繰り入れがなされてきたわけですね。
しかし,私からいうと,金に色ついていないのですよね。8億8,100 万円は実際に一般会計から持ち出しがなかったわけですから,この辺は計画どおりに一般会計から何らかの形で,例えば長借でもいいから繰り入れしてはいかがなものかと。一般会計は,見通しはちゃんと計画どおりやればいい。病院は,例えば外来だとか入院だとか,いろいろさまざまな
医療機器だとか薬品のむだだとか,さまざま複雑にあるから,病院は大変だけれども,一般会計は収入・支出,計画つくればそのままいくのだから,企業会計でないから。そうでしょう。だから,そういう点では,一般会計の繰入金については,計画どおりいきなさいと言っている。
特に,私が問題にしたいのは,高度看護に要する費用,これは計画に7億5,000 万あったのだけれども,予算ではゼロだ。ゼロの計画を何でつくらなきゃならないの。7億5,000 万円やるといっているのに,計画ではゼロでしょう。9年度の予算の中には7億5,000 万円の高度看護に要する経費ゼロ,ゼロの計画を何で計画に入れなきゃならないの。だれが聞いても,おかしいでしょう。ゼロの計画はのせるなというの。腹立つよ,本当に。市会議員をばかにしたら,けしからんよ,とんでもない話だ。
それから,占床率にいたしましても,8年度の決算見込みでは86.1%,それが9年度では94.3%になっていますわね。8.2 %上昇する。それから1日平均の入院患者にしても,8年度では697 人だけれども,9年度では764 人,1日平均67人ふえるというのだ。それから,1日平均の外来患者数だって120 人ふえる。年間では,合計2万9,200 人ふえるというのだ。そういう見込みをしていても,9年度赤字予算を組まざるを得ないような状態。
それで,赤字予算を組まなきゃならないような状態の中で,今,高橋理事が言っているように,去年の12月に,院内に経営健全化対策本部,院長をキャップにして七つの作業部門をつくって,短期・長期にわたってやれるものとやれないものと,短期の場合あしたからでもやると,そういうようなことを結論出したと言っている。さらにまた,今まで
市立札幌病院は128 年間やってきたけれども,こういう社団法人全国自治体病院協議会に何かお伺い立てて,こういう財政状態なのだけれどもいかがでございましょうかと,これは金取られるのですか,金,幾ら取られるの。
それから経営健全化対策本部,これはむしろ内部というよりも外部からも入れて,経営健全化対策,それこそ全庁的に。交通なんて,全庁的に全庁的にといつも言っている。
市立病院だけでは,経営健全化対策本部をつくったってだめ。それこそ全庁的に経営健全化対策本部をつくったらいかがと思うのだけれども,助役をキャップにして,石原さんかだれかわからぬけれどもね。病院だけで経営健全化対策本部をつくってもだめ。全庁的につくった方が私はいいと思うけれども,いかがか。
◎高橋
病院理事 全庁的につくってはいかがかということでありますが,交通局の再建計画の場合は,需要喚起という問題で,その需要喚起をどういうふうに持ち込むかというようなこと,あるいは総合交通計画の中で位置づけがございました。
私どもの場合も,需要喚起というようなことが当てはまるのかどうかはわかりませんけれども,まずは私どもの成果あるいは診断結果,こういうものを踏まえて考えさせていただきたいと思います。
◆伊与部 委員 助役,ちょっと暇そうだから。
助役ね,8億8,100 万一般会計から減った。一般会計からいったら,いやいや,減ったからいいことだと,そう腹の中で思っているかもしれない。しかし,一方では,病院がこれだけ赤字予算を組まなきゃらないような状態。そういう中で,計画をちゃんとつくって,一回は計画を容認したのだから,この容認をした計画のペースで,一般会計から私は繰り入れるべきだと。これは繰り入れたって,だれも怒らない。だって,一回はちゃんと計画をつくったのだから。一般会計も,市長だとか助役が入って,それを容認したのだから。ルール化になったのだから,そのルールに合わせて出しなさいというのさ。だれも文句言わないでしょう。自民党から共産党まで,文句言わないですよ,はっきり言って。これはどうですか。
◎石原 助役 いろいろ具体的なご指摘をいただきまして,大部分は私も認識を同じくいたしております。
そこで,一般会計からの繰出金についての考え方でございますけれども,近年,ご承知のように,一般会計も大変厳しいわけですから,本当は繰り出しをしたくないのですが,その辺は伊与部委員も十分ご承知の上でご質問をされていると思うのです。しかし,病院事業は,その使命から申し上げても,不採算部門を補って市民の信頼を得ているわけでありますし,そういった意味では,私は,ある程度の繰り出しはやむを得ないことだと思っております。
高橋理事からお答えをいたしましたように,内部機関の組織,それから外部機関の委託は,それはそれなりに進めてもらいますけれども,財政の立場でそれを十分チェックさせていただいて,今後,繰り出しについて取り組んでまいりたいと思っております。
○千葉 委員長 以上で,議案第13号及び第30号の質疑を終了いたします。
本日は,これをもって終了し,次回は明後日13日午後1時から,建設局関係の審査を行いますので,定刻までにご参集をお願いをいたします。
それでは,散会いたします。
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散 会 午後2時53分...