書記 松 田 寛 司 君
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〔午後1時開議〕
○議長(
柴田薫心君) ただいまから,休会前に引き続き会議を開きます。
出席議員数は,60人であります。
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○議長(
柴田薫心君) 本日の
会議録署名議員として宮村素子君,飯坂宗子君を指名します。
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○議長(
柴田薫心君) ここで,
事務局長に諸般の報告をさせます。
◎
事務局長(入江一郎君) 報告いたします。
室橋一郎議員及び加藤 斉議員は,所用のため本日の会議を欠席する旨,届け出がございました。
去る12月5日,
人事委員会委員長から,議案第15号 札幌市
職員給与条例等の一部を改正する条例案に対する意見書が,また,去る12月13日,市長から,平成8年第3回定例会において採択されました請願・陳情の処理の経過及び結果の報告がそれぞれ提出されましたので,その写しを各
議員控室に配付いたしました。
本日の
議事日程,
陳情受理付託一覧表及び
議案等審査結果報告書は,お手元に配付いたしております。
以上でございます。
〔一覧表は巻末資料に掲載〕
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○議長(
柴田薫心君) これより議事に入ります。
日程第1,議案第1号から第9号まで及び議案第11号から第15号まで,並びに請願第26号から第79号まで,並びに陳情第 104号,陳情第 105号,陳情第 118号及び陳情第 120号から第 123号まで,並びに
意見書案第1号
季節労働者の雇用と生活安定を求める意見書及び
意見書案第2号
地下鉄建設費に対する
国庫補助の拡大等を求める意見書の77件を一括議題といたします。
委員長報告及び提案説明を求めます。
まず,
議案審査特別委員長 武市憲一君。
(
武市憲一君登壇)
◎
武市憲一君
議案審査特別委員会に付託されました
市営交通乗車料金の改定にかかわる議案2件及び請願・陳情58件について,その審査結果をご報告いたしますとともに,当
委員会所属議員全員により提出いたしました
意見書案第2号について,その提案趣旨をご説明いたします。
なお,今回の
料金改定案は,市民生活に直結する大変重要な案件であることから,当委員会といたしましても,審議に当たり慎重を期すべきであると考え,12月10日に聴聞会を開催し,4名の参考人の方からご意見を拝聴して,審査の参考とさせていただきましたことをご報告いたします。
それでは,質疑の主なるものについてでありますが,バス・
地下鉄乗り継ぎ特定割引措置の廃止を見送り,
激変緩和措置として
値上げ幅を半分にとどめたが,
次期改定まで継続すべきではないか。消費税率が引き上げられても,料金に転嫁することは,今回の改定にさらなる上乗せをすることとなるため,見合わせるべきと考えるがどうか。物価の動向を考慮して,平均10%
交通乗車料金を改定するとのことであるが,本市の
消費者物価指数が
前回改定時に比べて99.9%と下がっている中で,妥当な
料金設定と言えるのか。
市営交通を利用しにくい地域の住民にとっては,
一般会計からの多額の
繰り入れは不公平感があり,
繰り入れを続ける以上,
均一料金制度を導入するなど,市民に共有される
都市基盤として整備すべきと考えるがどうか。
以上の観点から,石山地区など対キロ制がとられ,
乗り継ぎ割引が適用されていない地域に対しても割引を実施すべきではないか。
現在の
財政状況が
経営健全化計画より好転しているのは,職員の削減など
内部効率化によるものであり,かなめとなる
乗車料収入は,当初の計画を年間約83億円も下回っているが,原因をどう分析しているのか。
今回の
料金改定では約45億円の増収を見込んでいるが,
計画どおりの
乗車人員が確保できれば,
料金改定の必要はないのではないか。
料金値上げによる乗客の減少を考慮すれば,改定による増収効果は著しく低くなると思うがどうか。昨年度と今年度における高金利債の借りかえについて,その実績と効果はどうなっているのか。
経営健全化計画における
内部効率化及び
需要喚起策などの進捗状況は,どのようになっているのか。交通局の組織を企業として経営しやすいものにするため,現業職から昇任していく
人事制度をとるとともに,
地方公営企業法に基づき,交通局独自の
給与体系を採用すべきと思うがどうか。
内部効率化としての
職員削減のため,5年間
新規採用を控えてきたが,組織の活性化の観点から,今後の
職員採用計画をどのように考えているのか。 800人以上の
職員削減を行いながら,
人件費総額は下がっているように見えず,むしろ1人当たりの人件費は非常にふえていると思われるが,どのような理由によるものなのか。年収 1,000万を超える
交通局職員が多数いるが,
新規採用者から新たな給料表を適用し,人件費の抑制を図ってはどうか。
サービス向上プロジェクトが十分機能しておらず,企業人としての意識が薄い職員も見られるが,どう改善していく考えか。
大通バスセンタービルの
有効利用など,交通局が所有する資産の活用を積極的に推進すべきと思うが,新たな活用手法は導入されているのか。
交通事業について市民から提言を受ける
札幌市営交通問題懇話会での
意見具申のうち,具体的に実施された項目にはどのようなものがあるのか。近年,利用者が急増しているインターネットを活用し,
市営交通の運行情報や
経営状況をより早く的確に提供する方策を検討すべきではないか。
公共交通について市民が論議する
市民交通フォーラムにおいて提案されたさまざまなアイデアを,今後の
交通政策にどのように生かしていく考えなのか。
地下鉄の
初乗り料金は,仮に建設にかかわる資本費を 100%反映すれば 330円となるところを,
都市基盤としての位置づけから,将来の世代との負担の公平を図るため 200円としているものであり,このような点について市民に広く理解を求めていくことが必要と思うがどうか。
本市の地下鉄は,定期券の割引率が他都市の地下鉄やJRより低いが,利用者がJRを選択する一因となっているのではないか。
地下鉄車両の購入契約を一括発注から分離発注に変更したと聞くが,
経費節減の効果はどの程度になるのか。また,
車両検査周期の延長や外注により
経費節減が図られているものの,30分以上の遅延,もしくは欠便に至る故障も増加していることから,安全走行の確保に留意する必要があるのではないか。
2次にわたる2万人
プロジェクトにより,平成13年までに4万人の
乗車人員増を見込んでいるが,現実に達成可能な数値に目標を変更すべきではないのか。
需要喚起のため,
地下鉄沿線や駅後背地の
高度利用を図っていると聞くが,景気低迷により民間開発が停滞している現状に対する認識が甘いのではないか。
マイカー通勤者が
公共交通利用者を上回っている現状から,15分以内で最寄りの
交通機関にアクセスできるシステムを構築するなど,車にまさる利便性を実現すべきと考えるがどうか。
また,地下鉄やバスの
現行ダイヤは等間隔ではなく,わかりにくいが,利用者が待ち時間を計算に入れて行動できるよう
パターンダイヤを採用してはどうか。
パーク・アンド・ライド駐車場の
整備促進のため,本年4月,
整備資金融資制度が創設されたが,
活用状況及び効果はどうなっているのか。また,都心部への自家用車の
乗り入れ規制について,市民の理解を得ながら実施すべき時期に来ているのではないか。
パーク・アンド・ライド駐車場の整備に当たっては,地下鉄駅周辺のデパートで
買い物客にアンケートするなど,まずは
利用見込みを調査してはどうか。
パーク・アンド・ライド駐車場の整備により地下鉄の乗客増を図る一方で,都心の
大型駐車場整備を進めているが,施策に整合性がないのではないか。
また,札幌駅
前地下通路の整備が南北線の減収を招くおそれがあるなど,各部局で単独に事業を立案している弊害が出ており,総合的な
街づくりが必要と思うがどうか。休日の売り上げが伸び悩んでいる都心部の商店街とタイアップして,
買い物客に乗車券を配るなど,商店街の活性化と地下鉄の
利用促進を図ってはどうか。
地下鉄の建設については,
インフラ整備の一環として
国庫補助の増額を求めるべきと思うが,地下鉄のある他の都市と連携して要望活動を行っているのか。
バス事業の
経営効率化に伴って乗務員や車両が減少する中,路線数は減少していないが,どのような
経営努力をしてきたのか。
一般会計からの
繰り入れを行わなければ
バス路線のうち90%が赤字となるが,どのような要因が
収支バランスに影響するのか。
民間バス会社の乗務員の勤務時間が1週44時間である中で,
市営交通の乗務員の勤務時間を38時間45分と設定している理由は何か。また,実際に乗務している時間も6時間16分と民間に比べ短いが,乗務時間を29分間延長し,
リフレッシュ休暇を見直すことで1割もの人件費の節減が図られるのではないか。67路線中44路線が赤字であるが,
バス路線の見直しに当たっては,市民の交通権を守る立場を堅持すべきではないか。
市バス・
ファクトリー線では,その路線で生じた赤字を企業が負担しているが,施設と連携した
バス運行を今後どのように拡大していく考えか。他都市ではオフラッシュ時,住宅街の中に
小型バスを走らせ,きめ細かい
住民サービスを提供している例があるが,本市でも実施を検討すべきではないか。
また,
バス接近表示システムや
循環路線の導入,
自由乗降方式の採用などは,どのように検討されてきたのか。国の
規制緩和の一環として,
乗り合いバス事業の需要と供給の
調整措置が廃止される動きがあるが,民間との競争激化も予想されるため,将来の本
市バス事業のあり方について,民営化も含め,今から検討を加えていくべきではないか。今回の答申には,
観光バス事業の廃止が盛り込まれているが,どのような根拠に基づくものなのか。また,廃止時期はいつごろになる見通しなのか。
公営交通は,公共の福祉という使命を帯び,廃止できない不
採算バス路線を多く抱えていることから,
市営企業調査審議会の第10次答申に沿って,
赤字相当分については
一般会計からの財政援助により賄うべきではないか。
藻岩山と市電をタイアップして
観光事業の目玉とし,ロープウエーとの
乗り継ぎにより,
新規需要の拡大につなげてはどうか。地域住民などで構成される「市電の会」を育成し,連携することにより,
需要喚起が図られるのではないか。
民営交通機関との
共通乗車カードについて,
プレミアムの付与を検討中と聞くが,実施時期はいつごろになるのか。また,
ウィズユーカードの 500円券についても,
プレミアムの付与やデザインの多様化を考えてはいないのか。
記念ウィズユーカードとしてワールドカップのカードをシリーズ化し,販売促進を図ってはどうか等の質疑がありました。
これらに対して理事者から,平成4年度から今日に至るまで,
経営健全化計画の目標達成に向けて全力を注いできたが,これまでの
内部効率化や
一般会計からの財政支援を行っても,なお不足するところについては,やむを得ず市民の皆様に負担をお願いせざるを得ないことから,今議会において特に経営の厳しい地下鉄とバスの
料金改定を提案したものである。
なお,バス・
地下鉄乗り継ぎ特定割引措置を廃止したことによる急激な負担増を緩和するため,廃止による
値上げ幅40円を半額の20円に圧縮したが,この経過措置をいつまで継続するかについては,利用者の混乱を招くことなどから,当面続ける必要があるものと考える旨の答弁がありました。
以上が,本委員会における質疑及び答弁の概要であります。
引き続き,付託された全案件を一括して討論を行いましたところ,自民党・三上委員,市民の会,公明,新政クラブを代表して涌井委員,共産党・武藤委員,市民ネットワーク・山口委員から,それぞれの立場で意見の表明がありました。
討論終結後,採決を行いましたところ,
市営交通料金の値上げに反対する請願第26号から第79号まで及び陳情第 120号から第 123号までの合計58件については,賛成少数で不採択とすべきものと,議案第6号及び第7号の2件については,賛成多数で可決すべきものと決定いたしました。
なお,審査を重ねる中で,膨大な累積欠損金を抜本的に解消するためには,より一層の
需要喚起が必要であることとあわせて,巨額の
地下鉄建設費の負担軽減を図ることが最重要課題であるとの認識に至りましたことから,
意見書案第2号
地下鉄建設費に対する
国庫補助の拡大などを求める意見書を提案した次第であります。
以上で報告及び説明を終わります。
○議長(
柴田薫心君) 次に,総務委員長 佐々木周子君。
(佐々木周子君登壇)
◎佐々木周子君 総務委員会に付託されました議案8件及び陳情3件につきまして,その審査結果をご報告いたしますとともに,総務
委員会所属議員全員の提出による
意見書案第1号について,その提案趣旨をご説明いたします。
最初に,
札幌広域圏組合の設立等にかかわる議案第1号中関係分及び第2号から第4号までの4件についてでありますが,主なる質疑として,
札幌広域圏組合については,ふるさと市町村圏基金を設置し,その運用益でソフト事業を行うこととなっているが,低金利時代にあって,さらに,別途,事業費負担が生じることはないのか。また,ソフト事業の実施に当たっては,圏域住民同士の交流という部分に力点を置いた展開が必要と思うが,具体的にどのようなことを考えているのか。
ふるさと市町村圏制度を導入することにより,国からの支援など,どのような点で有利になるのか。政令指定都市がこの制度を導入し組合を設立しているという事例がない中,本市がこれを進める理由は何か。ふるさと市町村圏計画の策定に当たって,各自治体においては,議会や住民の合意をどのような形で得ようとしているのか。
札幌広域圏組合が現段階で各自治体の自主性を奪うものではないといっても,将来的に,自治省や地方制度調査会が志向する自治体再編の方向へひとり歩きをするという懸念を払拭できないものと考えるがどうか等の質疑がありました。
続いて,討論を行いましたところ,市民の会・富田委員からは可決すべきものとの立場で,共産党・荒川委員からは否決すべきものとの立場で意見の表明がありました。
討論終結後,採決を行いましたところ,いずれも賛成多数で可決すべきものと決定いたしました。
次に,本市職員の給与改定にかかわる議案第14号及び第15号の2件についてでありますが,主なる質疑として,昨今の景気低迷により,民間企業では人件費の抑制など徹底したリストラを実行している中,本市は人事委員会の勧告どおり職員の給与を引き上げようとしているが,これまでの勧告の実施状況はどのようになっているのか。本市職員の給与に関しては,民間企業の社員や国家公務員の給与と比較した場合,どのような認識を持っているのか。公営企業については,それぞれの
経営状況を考慮の上,職員の給与額を定めるべきと考えるがどうか等の質疑がありました。
討論はなく,採決を行いましたところ,いずれも全会一致,可決すべきものと決定いたしました。
次に,議案第11号及び第12号の2件についてでありますが,質疑・討論はなく,採決を行いましたところ,いずれも全会一致,可決すべきものと決定いたしました。
次に,
季節労働者冬期
雇用援護制度等にかかわる陳情第 104号,第 105号及び第 118号の3件についてでありますが,主なる質疑として,冬期
雇用援護制度については,3年間の暫定措置であるということなどにその問題点があると考えるが,多くの
季節労働者を抱えている本市としては,国に対し,どのような形で要望しているのか。また,公共事業の発注など冬期間の就労対策として,どのような施策を講じてきているのか等の質疑がありました。
これらに対して理事者から,
季節労働者対策については,積雪寒冷地である北海道の全体的な問題であるというとらえ方から,国に対しては,本年11月に全道市長会を通じて本制度の延長方の要望を行っている。また,冬期間の工事発注については,工法の進歩により年々かなりの件数をふやしてきており,今後も発注拡大により,就労機会を確保していきたい旨の答弁がありました。
討論はなく,採決を行いましたところ,いずれも全会一致,採択すべきものと決定いたしました。
なお,陳情趣旨の実効を期するため,
意見書案第1号
季節労働者の雇用と生活安定を求める意見書を提案した次第であります。
以上で報告及び説明を終わります。
○議長(
柴田薫心君) 次に,文教委員長 義卜雄一君。
(義卜雄一君登壇)
◎義卜雄一君 文教委員会に付託されました議案3件につきまして,その審査結果をご報告いたします。
最初に,議案第1号 平成8年度札幌市
一般会計補正予算(第5号)中関係分についてでありますが,主なる質疑として,病原性大腸菌O-157対策として,給食従事者に対する検便の回数を月2回にふやしたが,これにより給食の安全性はどの程度高まるのか。また,来年度も継続することにより,予算はどのようになるのか。当面の対策費や今後の調理施設の整備に要する経費については,国から財源措置される予定はあるのか。安全衛生上,給食従事者の専用トイレが必要になると思うが,どのように考えているのか等の質疑がありました。
討論はなく,採決を行いましたところ,全会一致,可決すべきものと決定いたしました。
次に,議案第8号 札幌市
図書館条例の一部を改正する条例案についてでありますが,主なる質疑として,移転新築される図書館では司書の有資格者は何名となるのか。図書館が祝日を休館日とする理由は何か。また,祝日の開館を求める市民の声に速やかに対応すべきではないのか等の質疑がありました。
討論はなく,採決を行いましたところ,全会一致,可決すべきものと決定いたしました。
次に,議案第9号 札幌市
青少年科学館条例の一部を改正する条例案についてでありますが,主なる質疑として,生涯学習の時代と言われる中,青少年科学館の将来展望や今後の事業展開をどのように考えているのか。また,リニューアルオープン後の利用人員の見通しはどうか。これまでの入館者に市内の小・中学生が占める割合は,どのようになっているのか。科学館の今後のあり方については,経費のかさむ産業展示場的なものとするのか,あるいは創造性豊かな青少年の育成を目指すのか,十分検討すべきではないのか。科学館の本来の設置目的を考慮し,観覧料については親子割引制度を導入すべきではないのか。高齢者への減免措置の運用はどのようになっているのか等の質疑がありました。
続いて,討論を行いましたところ,共産党・生駒委員及び会派無所属・松浦委員から,否決すべきものとの立場で意見の表明がありました。
討論終結後,採決を行いましたところ,賛成多数で可決すべきものと決定いたしました。
以上で報告を終わります。
○議長(
柴田薫心君) 次に,厚生委員長 大西利夫君。
(大西利夫君登壇)
◎大西利夫君 厚生委員会に付託されました議案第5号 札幌市
病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案について,その審査結果をご報告いたします。
主なる質疑として,精神神経科の診療科名を精神科と神経内科とに変更するとのことだが,神経内科については,静療院ではなく,引き続き市立札幌病院本院が担当するのか。また,歯科を歯科口腔外科に変更するに当たり,新たに医師職は配置されるのか等の質疑がありました。
討論はなく,採決の結果,議案第5号は,全会一致,可決すべきものと決定いたしました。
以上で報告を終わります。
○議長(
柴田薫心君) 次に,建設委員長 原口伸一君。
◎原口伸一君 建設委員会に付託されました議案第13号 市道の認定,変更及び廃止の件につきまして,その審査結果をご報告いたします。
主なる質疑として,今回市道に認定する路線のうち,造成中の篠路住宅団地内の路線には,まだ道路として整備されていないものもあるが,現段階で市道に認定するのはどのような理由によるのか。団地造成事業開始時点で,区域内に整備される道路を一括して市道認定することはできなかったのか。また,過去において本市が星置及び前田地区の住宅団地を造成した際には,どの時点で市道認定を行っていたのか。従来,団地造成区域内における路線を認定するに当たっては,道路整備が完了した後に認定することを原則としてきたことから,本件のように未整備の段階で認定する場合は,議案書を提出するに際し,その旨を明示すべきではないのか。道路管理者である本市が道路を整備する場合,整備前に認定する例もあるとのことだが,認定する段階で既に実施設計は行っているのか等の質疑がありました。
討論はなく,採決の結果,議案第13号は,全会一致,可決すべきものと決定いたしました。
以上で報告を終わります。
○議長(
柴田薫心君) ただいまの各
委員長報告に対し,質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
柴田薫心君) 質疑がなければ,討論に入ります。
通告がありますので,順次発言を許します。
まず,三上洋右君。
(三上洋右君登壇)
◆三上洋右君 私は,ただいまから,自由民主党議員会を代表いたしまして,本議会に提案されました関係諸議案につきましては,これに賛成する立場から,また,
交通料金値上げ反対に関する請願・陳情を不採択とする立場から簡潔に討論を行います。
諸議案のうち,特に交通
料金改定に関する議案第6号及び第7号につきましては,これまでの
交通事業の
内部効率化の努力をある程度評価することと,去る12月2日,我が会派を初め,市民の会,公明及び新政クラブによる4会派の地下鉄・バス
乗り継ぎ制度特定割引制度の廃止に当たっての経過措置設定の申し入れの要望どおり,経過措置を設ける考えを明らかにされたこと,さらには市電の料金を据え置いたことなどから,本
料金改定案は,再建途上の
交通事業の経営健全化と安定した輸送サービスの維持・向上のためには,長期的に見てやむを得ないものと判断したところであります。
ご承知のとおり,本市の
交通事業は,昭和2年に電車事業,昭和5年に
バス事業がそれぞれ発足し,また,昭和46年にはオリンピックに合わせて地下鉄南北線が開業して,きょうまで市民の足として活躍をしてまいりました。特に,地下鉄は,他都市と比較しても非常に速いスピードで南北線,東西線,東豊線と建設を進め,開業からわずか25年で営業キロ数は45.2キロメートルに達しており,東西線延長部開業により営業キロ数は48キロメートルになり,地下鉄50キロ構想の実現もあと少しとなります。
このように,本市の
交通事業は,市民生活に欠くことのできない
交通機関として大きな役割を果たしておりましたが,輸送人員の低迷が続く中で,地下鉄建設にかかわる資本費負担の増嵩,人件費の増大などにより,事業経営が危機に陥り,市においては,平成3年12月,
経営健全化計画を策定し,4年度からスタートさせたのであります。
この計画は,電車・バスについては平成13年度までに,地下鉄については平成36年度に,それぞれ累積欠損金を解消することを目標とするもので,
交通局職員の 880人の削減などによる人件費や経費の切り詰め,資産の有効活用などによる増収対策,全庁を挙げた
需要喚起,
一般会計からの 705億円もの財政支援などから構成されております。そして,
職員削減の前倒しや経費の節減で,これまでのところ,累積欠損金の解消状況は計画よりも好転しております。したがって,これまでの経営健全化に向けての努力はそれなりに評価できるものであります。
しかし,その状況をつぶさに見てまいりますと,我々は,
交通事業にはまだまだ課題があると指摘せざるを得ません。
去る12月3日,我が自由民主党議員会は,札幌市行財政改革第1次提言を市長に対していたしました。この提言は13項目にわたるものでありますが,この提言の中で,交通局に対しては,事業の抱える経営課題として,第1に,現業部門の職員の1人当たりの給与水準が高いこと,第2に,バス・地下鉄利用者の減少により
経営健全化計画と乖離が生じていること,第3に,
観光バス事業が慢性的赤字に直面していることを指摘し,今後のあり方の具体的な提言を行っております。
また,去る12月5日,政府行政改革委員会の
規制緩和小委員会が
規制緩和に関する報告書をまとめ,行政改革委員会に提出いたしました。その内容を見ると,
バス事業,特に
乗り合いバス事業については,都市部の多需要路線が必ずしも効率的ではない公営事業者によって運営され,利用者利便が十分に図られていないという問題意識から,需給調整規制の撤廃が提言されております。
バス事業は,
経営健全化計画を策定した当時よりもはるかに厳しい事業環境となっているのであり,こうした中では,より一層の合理化をなくしては,残念ながら生き残ることは難しいのであります。
理事者は,このような厳しい事業環境を正しく認識し,我が会派の提出した行財政改革提言を実行していただきたいのであります。
こうした考え方に立って,
議案審査特別委員会における我が会派は,10年間に 300億円もの
一般会計からの支援を受けてやっと経営が成り立つという
バス事業のあり方について,観光バスの廃止や路線バスの見直しについて,
規制緩和も踏まえてその考え方を問い,バスの民営化の検討について要望をいたしました。また,地下鉄の料金負担のあり方について質問し,資本費を 100%反映させると地下鉄初乗りが 330円になり,本改定案による地下鉄初乗り 200円との差が,いわゆる将来の世代との負担の公平化を図るものであるということも明らかにしたのであります。さらに,人件費の抑制,
国庫補助増額に向けての要望活動の強化,PRの重要性,地域によるバス・地下鉄の
乗り継ぎ割引の不公平の問題など,具体的に質疑をしてきたところであります。
そして,こうした質疑の結果,理事者からは課題もお聞きしましたが,我々の認識とそう大きな隔たりがないと感じたところであります。料金の値上げについては,基本的には,事業者が最大限の
経営効率化を進め,それでもなお
公営交通として安定した輸送サービスを維持することが難しくなった場合に,最小限の値上げが認められるものでありますが,こうした質疑を踏まえ,我が会派は,これまでの
経営努力と今後の経営改善に向けての理事者の取り組み姿勢を考慮して,今回の
料金改定についてはやむを得ないとするものであります。
しかし,この立場は,
経営健全化計画にある3年に一度の
料金改定を無条件に容認するものではありません。重ねて申し上げますが,まずは事業者の
経営努力が先決であり,それでもなお足りない分に限り市民の負担をお願いするというのが基本であり,最も重要なことであります。そもそも,現在の料金制度は独立採算の原則に基づいているものであり,その趣旨からは,
一般会計からの財政支援は最小限とすべきものであります。事業者は,
一般会計からの財政支援を少しでも減ずるように努力をしなければなりません。
一方,
均一料金制度を導入する場合は,
都市基盤整備,
街づくりの一環的事業として行政の積極的関与が正当化され,
一般会計からの支援が可能となる,このように我々は考えるものであります。
したがって,我々は,これらを踏まえた上で,交通行政そのものにかかわる議論を今後も続けてまいりたいと考えております。
以上で私の討論を終了いたしますが,今回の議案審議の中で我が会派の議員が申し上げた意見,要望などが,今後の
交通事業の再建の中で的確に反映されるよう求めるものであります。
以上で終わります。
○議長(
柴田薫心君) 次に,涌井国夫君。
(涌井国夫君登壇)
◆涌井国夫君 私は,ただいまから,社会民主市民の会,公明,新政クラブを代表いたしまして,交通
料金改定にかかわります議案第6号及び第7号には賛成の立場で,また,請願・陳情58件については不採択の立場で討論を行います。
今回の
料金改定は,92年4月以来,実に5年ぶりであると同時に,91年12月に策定した札幌市
交通事業の
経営健全化計画がスタートしてから初となります。
その健全化計画では,地下鉄事業は東豊線延長部開業後30年,電車及び
バス事業は10年以内に累積欠損金の解消を図ることを目標としており,具体策として,経営の効率化,
需要喚起策,受益者負担,財政支援,職員の意識改革の5点をその柱として取り組んできたところでありま
す。しかし,市民生活に密着している
市営交通事業の
経営状況は,依然厳しいものがあります。
そこで,議案についてですが,92年度以降,今回取り組んできた健全化策5点のうち,
需要喚起策は不十分に推移していますが,内部努力や財政支援,職員の意識改革などは
財政状況に大きな効果をもたらし,結果として健全化計画を上回っていること,すなわち一定の内部努力が見られること,また,
料金改定額では,バスで10円,地下鉄で20円と,全国政令市との比較でも水準並みにあり,しかも最小限に抑えていること,さらに,
乗り継ぎ割引料金のうち5キロまで1区料金としている特例措置の廃止に当たって経過措置を講じたこと,路面電車の改定を見送ったことなどから,今日の厳しい状況にある
市営交通事業を維持していくためには,改定は長期的に見てやむを得ないものと判断したところであります。
なお,来年4月に消費税が万一5%に引き上げられても,これを市営地下鉄・
バス料金に転嫁することはすべきではないと考えます。さらに,このたびの特別割引制度に設けた経過措置の期間については,次期見直しまでの間,継続すべきであります。
経済は低迷し,いまだ景気回復が進まない中で,市民生活も大変厳しいという事情は理解できるにしても,一方では,
公営交通を安定的に維持,存続していく上で,その経営基盤を確保するための必要最小限の受益者負担はやむを得ないと考えます。しかし,何といっても,事業者の
経営努力は何よりも優先されなければなりません。
今日,
交通事業の
財政状況を見てみますと,健全化計画との対比は,確かに各会計ともプラスで維持しております。その内容は,職員の 880名にも及ぶ削減や経費の節減など,経営の効率化や
一般会計からの財政支援,附帯事業の積極的展開,職員の意識改革などの積極面から形成されており,肝心の
乗車料収入は年々減少しているのであります。すなわち,収入の源であります
乗車料収入の減少分を合理化による経費の節減によってカバーしているのが実態であります。この姿は,経営上は全く好ましくない状態で,こうした手法には限界があるのであります。この解決のためには,乗客の誘致策,すなわち
需要喚起策の積極的な展開がなければなりません。
本市は,健全化計画の中で,
地下鉄沿線の
街づくりとあわせた公共施設の配置を初め,新しい名所づくりの推進や,民活事業の支援等を図るとした,いわゆる2万人
プロジェクトを中心にした施策の推進を提起し,その効果のほどについて胸を張ったのであります。しかし,需要は年々減少し,健全化計画と95年度実績の比較では,
交通事業全体で約11万 6,000人の減となり,特に地下鉄事業においては約8万 4,000人も乖離しているのであります。
これは,本市の見込み違いがあったことを指摘せざるを得ないのであります。すなわち,まず沿線の
街づくりについてですが,用途地域の見直しや住宅団地の整備などを民活に誘導し定住人口の増を計画したのでありますが,今日,
地下鉄沿線の定住人口は減少あるいは横ばいの状況になっているのであります。また,あわせて,土地の
高度利用を図るため,容積率の緩和や市街地の再開発整備構想なども計画され,実施に移されましたが,これらの施策は乗客の誘致策と整合しなかったのであります。
これは,91年のいわゆるバブル経済の崩壊によって民間資金の動きが停滞し,民間活力を誘導できなかったことに起因すること大であります。すなわち,経済見通しに甘さがあったことを指摘しなければなりません。
したがって,今後の対策を講じるに当たっては,新しい発想で,なおかつ市民にもその効果が見える形で需要の掘り起こしを考えていくべきと思うのであります。
次に,
パーク・アンド・ライド駐車場の積極的推進についてであります。
パーク・アンド・ライド駐車場の確保は,地下鉄駅周辺で難しいという点は理解できます。しかし,この施策は,都心交通対策として,
乗車人員の誘致策として,明らかに効果が期待できるものであります。したがって,投資効果の少ない都心駅を除いて,積極的に取り組むことを強く求めておきます。
次に,都心部の自家用乗車の
乗り入れ規制についてであります。
マイカーの増加は年々拡大され,今は全国一の伸長都市であります。この傾向は今後も続くと予想され,本市も,その規制のために,ハード・ソフト両面から啓蒙事業を展開していますが,その効果はほとんどない状況であります。これを見過ごしては,今後の
公共交通利用の促進や快適な都市環境の保全はできないと考えます。多少時間をかけても,
街づくりの理念を明らかにし,具体的施策を示し,市民の理解を得ながら,規制に向けての検討を真剣に進める時期に来ていると思います。これからの積極的な検討を求めておきます。
これらのことを踏まえ,いま一度,本市がモータリゼーションの伸展や都市機能を飛躍的に改善するため,あえて莫大な建設費を伴う地下鉄建設の道を選択した理由を市政全般で受けとめるとともに,今後の未整備区間の延伸はもとより,現在の事業運営を維持するには,道路や駐車場整備を初めとした整合性ある
街づくり,区の中心核づくりを意識した交通計画等,総合的視点に立った必要な方策を考えながら,市民の理解と協力をいただくことがなければならないと考えるのであります。
最後に,
市営交通の健全経営の達成は,単に交通局内部の努力だけでできるものでないことは,たびたび申し上げてまいりました。まさに,全庁的取り組みが絶対に不可欠であり,市長はその先頭に立つべきであります。その点で,今日までの取り組みを見て,甘さがあることについて指摘せざるを得ない部分もあり,かけ声だけで終わることがないよう強く要望します。
以上,申し上げてまいりましたが,今回の議案審議の中で社会民主市民の会,公明,新政クラブの議員が申し上げました指摘事項や意見については,今後の
交通事業の経営に的確に反映されるよう求めまして,討論を終わります。(拍手)
○議長(
柴田薫心君) 次に,武藤光惠君。
(武藤光惠君登壇)
◆武藤光惠君 私は,ただいまから,日本共産党を代表して,本定例会に付託された議案中,札幌広域市町村圏組合の設立にかかわる議案第1号
一般会計補正予算,議案第2号
公債会計補正予算,議案第3号
札幌広域圏組合の設立に関する協議の件,議案第4号
札幌広域市町村圏振興協議会の廃止に関する件,
市営交通料金の値上げを内容とする議案第6号 札幌市
自動車乗車料金条例の一部を改正する条例案,議案第7号 札幌市
高速電車乗車料金条例の一部を改正する条例案,及び
料金値上げを含む議案第9号 札幌市
青少年科学館条例の一部を改正する条例案に反対し,
市営交通料金の値上げに反対する請願・陳情58件の採択を主張する立場から討論を行います。
まず,複合的一部事務組合,すなわち特別地方公共団体としての札幌広域市町村圏組合の設立にかかわる議案について我が党が反対する理由についてです。
この問題に関し,我が党は,第3回定例市議会での代表質問で,任意の協議会等での調整による広域行政推進とは異なって,管理者と議会を擁する一部事務組合として,すなわち各市町村の枠を超えた特別地方公共団体として,広域圏計画の策定などを目的として設立される組合が,市町村の自主性を奪い,地方自治を脅かすおそれがないのかと市長にただしましたが,市長は,広域計画についても,それぞれの構成市町村が行う事業を広域的視点から調整し,各市町村の意向を十分に踏まえて策定されるもので,ご指摘のような懸念はないと答弁されました。
しかし,広域計画の策定をも目的とする複合的一部事務組合は,2年前の地方自治法の一部改正によって導入された広域連合と,国または都道府県からの権限移譲を除いてほとんど変わりがないのです。その広域連合に関して,2年前の11月22日に出された地方制度調査会の地方分権の推進に関する答申では,この制度は調査会の答申に基づいて創設されたもので,積極的な活用を図るべきとした上で,地域づくりの主体である市町村が積極的に行政を展開していくためには,その行財政能力をさらに強化していくことが望ましいことから,市町村の自主的な合併を支援すべきであると,広域連合から市町村合併へと自治体再編を志向しているのです。
石狩支庁管内の6市1町3村によって構成される
札幌広域圏組合がつくろうとする総合計画について,各市町村の計画との整合性を図るものとの答弁が出されてはいるものの,広域行政圏計画としてつくられることとされている基本構想,基本計画,実施計画が,それぞれの住民や議会に諮られる具体的な手だては何ら明らかにされていないだけに,国や道の指導のもとに策定される広域計画が関係市町村に枠をかけることとなって,政府や地方制度調査会が目指す道州制や市町村合併につながる懸念を払拭できないのです。
図書館などの情報ネットワーク化や国際関連での協力,住民同士の交流促進などのソフト事業なら,今までどおりの任意の協議会で,役割や負担についても分担して推進できるものであるだけに,不透明な広域行政推進機構に我が党は賛成できないところです。
次に,
青少年科学館条例の一部改正についてですが,科学館の展示,プラネタリウム,回数券,共通券など,大人の観覧料を 6.3%ないし16.7%値上げしようとするものであり,反対です。
次に,
市営交通料金値上げにかかわる問題についてですが,我が党は,今議会最大の争点となった
市営交通料金の値上げ問題について,本会議の代表質問と特別委員会の質疑を通して,市民の世論と運動を背景に,その問題点を厳しく追及してきましたが,論戦の中で浮き彫りにされた問題点の第1は,値上げ案自体の不当性です。
まず,地下鉄20円,市バス10円の基本運賃の値上げについてですが,4年前の
料金改定時と比較して,今日,
消費者物価指数で 99.90%と物価が鎮静している中での10%もの値上げは,突出した
値上げ幅と言わなければなりません。
また,市バスと地下鉄の
乗り継ぎ割引が改悪されて10円の値上げになることや,地下鉄の3キロから5キロまでの特例2区での市バス
乗り継ぎにおいて,地下鉄料金を1区並みとしてきた従来の措置を廃止するという当初提案は,市バスと地下鉄を乗り継いで利用している市民に,片道で40円から80円もの値上げを押しつけるもので,市民の批判を無視できずに,特例廃止に経過措置を講ずる修正を加えて,とりあえず
値上げ幅を60円にまで圧縮したとはいうものの,その値上げ率は21.4%となるものであり,25年前の地下鉄開業時,乗り継いでも料金は同じと,強引にバスを地下鉄に短絡させてスタートした
乗り継ぎ制度をさらに形骸化させる,市民に対する背信です。
問題点の第2は,今回の
料金改定が市民生活に与える影響です。
長引く不況の中で,中小企業の経営不振や大企業のリストラの影響もあって,雇用関係の悪化とあわせて市民生活はかつてない厳しさに直面しておりますが,収入が落ち込んだり実質賃金が目減りしている市民にとって,今回の交通料金の値上げがいかに深刻な打撃となるかは,58件もの
値上げ反対の請願・陳情の代表者がこもごもに訴えていたとおりではないでしょうか。
問題点の第3は,4年前の交通
料金改定の際につくられた健全化計画の破綻です。
健全化計画よりも財政的には好転したというものの,その中身は,この4年間,交通・高速の両会計合わせて,人件費削減で99億 7,000万円,経費減で93億 5,000万円,支払い利息等の減で27億円と,それぞれ計画を上回った一方で,
乗車料収入では,一般
交通事業で55億 8,000万円,高速電車事業で 147億 6,000万円も計画を下回っているのです。
96年度予算編成時の交通局の試算によれば,健全化計画対比での輸送人員減は,市バスで1日平均3万 700人の13.9%,地下鉄で1日平均11万 7,875人の15.8%となっており,
料金改定分を除いて輸送人員減による年間の
乗車料収入の落ち込みは,一般交通で16億円,地下鉄で67億円の合計83億円にも達しているのです。今回の値上げで予定している年間の増収額が約45億円でありますから,
計画どおりに市民に
市営交通を利用してもらえたなら値上げの必要はないということです。
また,今日までに健全化計画を32人も上回る 842人もの
交通局職員の削減を強行している上に,さらに人件費抑制,
職員削減を進めようとの動きは,安全輸送や乗客サービスへの影響さえ懸念されるものであり,計画に比して15%前後もの輸送人員減が市民の
市営交通離れを端的に示すものであることとあわせ,健全化計画の破綻は明らかです。
問題点の第4は,
需要喚起策についてです。
市民に
市営交通を利用してもらうための
需要喚起策とは何かを端的に示しているのは,JRとの競合路線の現状です。JRの新札幌と札幌駅間の料金は 250円であるのに対して,地下鉄の新さっぽろと札幌間の料金は,現在 290円,それが今回の改定料金で 310円と,格差が40円から60円に拡大することになりますが,この4年間で新札幌におけるJR利用客は 38.43%伸びている一方で,地下鉄利用者は7.15%落ち込み,そのシェアは,4年前のJR 23.65%,地下鉄 76.35%から,95年度はJR 31.59%,地下鉄 68.41%へと7.94%の変動が起きています。地下鉄からJRへの乗客移行の背景に料金格差があることは明らかであり,今回,その格差をさらに拡大することは,この動きを加速させるものではないでしょうか。
通勤・通学定期の割引率でも,JRが通勤49.6%,通学70.5%であるのに対して,地下鉄は通勤30%,通学60%ですから,乗客に対する定期を含めた料金面でのサービスで,本市交通局がおくれをとっていることは明らかであり,市民を
市営交通に誘導するための
需要喚起策として,通勤・通学定期の割引を拡大すべきとの我が党の要求に背を向ける交通局の対応は,問題と言わなければなりません。
また,パーク・アンド・ライドを本格的に進めることも,駐車料込みの割安定期の実現とあわせて,市民に,マイカーを郊外地下鉄駅周辺の公共駐車場に置いて,地下鉄で都心に出入りしてもらう上で欠かせない施策ですが,市当局は,いまだ必要な地下鉄駅に必要な駐車場を確保するという姿勢に立ち切っていないことが問題です。また,高齢者や障害者にも安心して地下鉄を利用してもらうために欠かせないエレベーターの全駅設置も,
需要喚起策として急がなければなりません。
問題点の第5は,抜本的な都市
公営交通の財政確立についてです。
キロ当たり 200億円もの巨額を要する地下鉄建設に対して,国が実質19%の補助にとどめていることが地下鉄財政の危機を招いていることは明らかです。不可欠の都市施設であり,市民の足を守る使命を担う都市
公営交通に対して,欧米並みに設備投資にかかわる費用は公費負担とさせることは,抜本的な
公営交通の再建にとって欠かせないことは明らかです。
また,高金利の地下鉄建設に伴う企業債を低利の企業債に借りかえて支払い利息を軽減させるためにも,国に対して改善を求めなければなりません。我が党が,最高の8%を含めて金利5%以上の企業債残高が 3,130億円にも達している本市地下鉄財政の現状を踏まえた,積極的な国への対応を強く要求したのは当然です。
さらに,本市
交通事業に対する
一般会計からの援助も欠かせません。4年前に,
市営企業調査審議会が市長に答申した,不採算であっても行政上運行を余儀なくされる市
バス路線への
赤字相当分の
一般会計負担について,市長が今日に至るまで放置していることは問題です。
市営交通が都市施設であり,市民の足であるという役割を担っている中で,不採算部門に対して
一般会計が財政援助を行うことは当然の交通財政再建対策であることも,我が党は厳しく指摘したところです。
以上,申し上げてきたように,多くの問題点を抱えた今回の
市営交通料金の値上げは到底容認できないところであり,市民の願いを込めた請願・陳情58件の採択とあわせて,値上げ関連の二つの条例案には反対であることを重ねて主張し,討論を終わります。(拍手)
○議長(
柴田薫心君) 次に,山口たか君。
(山口たか君登壇)
◆山口たか君 私は,ただいまから,市民ネットワークを代表し,今定例会に提案されました議案第6号
自動車乗車料金条例の一部改正条例案及び第7号
高速電車乗車料金条例の一部改正条例案に反対し,議案関連の請願・陳情58件については,その要旨を採択すべき立場から簡潔に討論いたします。
今回の交通
料金改定は,いまだ景気の低迷が続く中での提案であり,さらに,政府の予算編成の動向から,97年度10兆円を超える国民負担増が予測される状況下で,果たして市民の理解は得られる内容かどうかを検証する必要があると考えておりました。
本市
交通事業の
料金改定の経緯を概観いたしますと,毎回共通していることは,人件費,物件費の上昇,
乗車人員の伸び悩みや減少による収益的収支の悪化,建設投資に伴う企業債償還金の増加などが
料金改定の理由とされております。
しかしながら,札幌市が野村総研に委託して実施し,本年3月公表されました
公共交通を軸とした「都市交通システムとその対象となるサービスのあり方に関する調査研究」でも指摘されておりますように,「札幌市における
公共交通の現状は,市民にとって複雑でわかりにくく,移動に伴う身体的負担も大きいなど,利用しにくいものになっている。自動車に対する特性や優位性が不明確であり,
公共交通が競争力を失っている」ことから,
料金改定,利用者の伸び悩み,赤字の拡大という悪循環を断ち切ることができず,
交通事業の
財政状況は一層逼迫の度を増しています。
交通局においては,
経営健全化計画に基づきまして,職員定数の削減,資産の有効活用など,労使一体となって多角的に経営改善に取り組んでこられたことは評価いたしますが,それらの努力に反し,市民の
公共交通離れは進み,バスの
乗車人員はこの4年間で1日当たり3万 6,000人減少しておりますし,地下鉄
乗車人員は東豊線の延長で増加したものの,1日平均62万 7,000人であり,健全化計画における71万 1,000人と比べ,実に8万 4,000人もの乖離が生じています。昨年は,遂に,自動車による通勤が,地下鉄・バスを抜いて第1位になりました。
市民ネットワークは,これまで,市民の日常生活の足として欠くことのできない
市営交通は,利便性と低料金を基本とし,一層の整備を図ること,また,環境保全,交通安全の観点から,脱車社会を目指し,
公共交通を軸とした
街づくりのための総合政策の確立を訴えてまいりました。しかし,市民ネットワークの主張は,本市の政策に反映されてこなかったのが現実と言わざるを得ません。
全国で一,二位を争うほどの道路の整備率,都心部における駐車場の整備と拡充など,まさに車優先の施策であり,加えて大通から札幌駅までの地下通路計画など,市民の
公共交通離れを促進する施策が多く,
街づくりと
交通政策が整合性を有していないのであります。
代表質問や特別委員会の質疑におきましても,企画調整局,市民局,建設局,交通局など交通関係部局における施策の有機的展開の必要性や機構の見直し,また,担当助役の事務分掌の見直しなどを提案いたしましたが,市長を初めとする理事者に,それら総合交通体系の確立に向けての積極的な取り組み姿勢が見られなかったことは,まことに残念であります。
また,特別委員会での質疑を通し,交通問題の当事者としての認識が希薄であることが明らかになった企画調整局は,一方で,さきに申し上げた調査研究報告書の冒頭で,モータリゼーションの進展など,
公共交通を取り巻く社会環境が厳しい状態で,経営悪化を避けるため運賃値上げを繰り返すことによって,さらに
公共交通の利用低迷を引き起こす悪循環に陥り,市民生活や経済活動に著しい影響を及ぼすことが懸念されると指摘をしており,庁内の政策に矛盾があるのであります。この指摘を課題として取り組む全庁的な体制がない中で,
料金改定には反対せざるを得ないのであります。これが反対の第1の理由です。
無論,交通局自体にも解決可能な課題が山積しています。具体的には,運行の定時性の確保,
乗り継ぎ時間の短縮,
パターンダイヤの採用など,利便性の向上であり,例えば,横浜市が総合計画の中で,最寄り駅まで15分の交通体系整備を打ち出し,バス
利用促進委員会を設置している点などから多くを学ぶべきと考えております。また,パーク・アンド・ライドの全面展開,バス系統の大胆な再編,さらには,車両の快適性の向上,職員の生産性向上に向けた意識改革などについては,早急に取り組むべき課題でありながら,今日までの成果は不十分と言わざるを得ません。これが反対の第2の理由です。
また,今議会に提案されております議案第3号では,
札幌広域圏組合の設立に関する協議の件が提案され,基金への出資金9億 1,160万円が計上されております。この組合の当面の役割として,図書館ネットワーク事業が予定されておりますが,市民の社会経済活動の広域化に伴い,各自治体の重要課題でありますごみを初めとする環境,福祉,医療などの問題について,市民参加のシステムを取り入れた上で取り組むべきであると考えております。
とりわけ,
交通政策については,パーソントリップ調査の結果などにもありますように,市民の日常活動が札幌圏に拡大している今日,市民の日常の動線に対応した交通体系を中心に立案されることが必要です。
札幌広域圏組合が札幌圏の総合的な
交通政策を重要課題として取り上げ,早急に取り組むことを強く要望いたします。
曲がり角の
公共交通を全面的に検証し,新しい
交通政策を打ち立てることなしに
交通事業の
経営健全化計画の達成は極めて困難であることに,理事者は深く思いをいたすとともに,さきの聴聞会において参考人から提起されました貴重な提言について,積極的に取り組むことを求めるものです。
最後に,請願・陳情58件についてでありますが,以上申し上げました市民ネットワークの反対理由とは必ずしも一致するものではありませんが,結論の一致をもって採択すべきであることを申し上げ,私の討論を終了いたします。
○議長(
柴田薫心君) 次に,松浦 忠君。
(松浦 忠君登壇)
◆松浦忠君 私は,議案第1号から第5号まで,さらに請願第26号から第79号まで54件,陳情第 120号から第 123号まで4件に賛成,議案第6号,第7号,第9号に反対の採決態度を明らかにいたします。
そこで,議案第6号,第7号,第9号に反対する理由を明らかにいたします。
まず,議案第6号の
自動車乗車料金条例の一部改正条例案についてでありますが,民営路線バスと比較して,1週間勤務時間が短い。市営バスは1週間38時間45分,民営路線バス17社は,平成9年3月末まで1週間44時間,平成9年4月より1週間40時間に移行する予定となっています。せめて労働基準法で定める1週間40時間まで,1時間15分延長すべきであります。また,ハンドル時間と言われております実乗務時間についても,現在の1日6時間16分を最低30分延長すれば,実乗務時間の 7.7%に相当します。
労働基準法では,有給休暇は1年間20日間となっております。市長と労働組合で決めて実施している
リフレッシュ休暇,いわゆる疲労回復のための5日間の休暇については,廃止すべきであります。これは,昭和47年から始まって今日に至っていますが,当時は週休2日となっておらず,時間短縮の側面もあったと思われます。
しかし,現在は週休2日,年間勤務日数は法定で 222日,休暇は 143日です。5日間のリフレッシュ疲労回復休暇を廃止すれば 2.3%の労働時間に相当します。実乗務時間30分の延長で 7.7%,5日間の疲労回復休暇を廃止しますと 2.3%となります。これを合わせますと10%の勤務時間が出てまいります。
バス運転手の平成7年度給与総額は73億 3,300万余となっております。平成7年度の赤字は4億 5,400万円余であります。73億 3,300万円の10%は7億 3,300万円余であり,赤字を解消して,なお,おつりが来ます。したがって,本案件には反対であります。
次に,議案第7号 高速電車料金条例の一部改正条例案についてでありますが,地下鉄建設計画の基本となる
乗車人員が,東豊線で大幅に狂いが生じました。これら修正のしようのない状況に対して,抜本的な建設費の返済対策を提示すべきであります。
次に,職員の勤務時間を,1週38時間45分を40時間とすべきであります。これら具体案が提示される中で乗車料金も決められるべきであります。
したがって,本案件には反対であります。
次に,議案第9号
青少年科学館条例の一部改正条例案についてでありますが,青少年科学館は,青少年に理科・科学をわかりやすい実験や体験の中で興味を持たせ,将来,理工科学系に進む子供たちを1人でも多く創出することが設置目的であります。
しかし,今回,改築の中で設置される設備は,国内の最新機器展示場となっています。この状況で進めば,今後,技術革新に伴う設置機器の更新費用が多額にかかることとなります。したがって,観光名所的な位置づけとするのか,青少年育成を目的とするのか,方向性を明らかにすべきであります。
また,入館料金については,小学生までは,親子連れについては大幅な割引を行い,子供たちに入館しやすくし,そして,科学・理科に対する興味を大いに持たせるようにすべきであると思います。
これらの条件が満たされておりませんので,反対であります。
最後に,市長に申し上げます。
市民生活と企業経営にも影響を与える議案第6号,第7号,いわゆる地下鉄・バス乗車
料金値上げ案に対する,市民から直接意見を聞く唯一の場である請願者・陳情者の補足説明を拝聴する審査日,さらに,議会が実施した陳述人の意見を拝聴する日,この両特別委員会に市長は欠席をされました。さらに,実質審議であります12日の特別委員会も,13時45分から30分程度市長は出席しただけであります。
市長は,市民から選挙で選ばれ,市政全般にわたる運営に自信と確信を持って執行されていることと思います。
交通料金値上げについては,交通局を主導してやっていく上で,必要やむを得ずの措置と考えてのことでしょう。市長の考えに対して,市民が意見を申し立てる,法律上保障されている請願・陳情者の補足説明による声に真摯に耳を傾けることが,市民が市政に関心を持ち,市長が掲げる市民参加の市政推進力となると私は思います。
また,12日の特別委員会は,市長は 177万人の唯一の代表者でありますが,議員は市長の68倍の目と耳を持って市民にさまざまな意見をいただき,くみ上げております。したがって,担当助役1人の出席では,市長の3分の1の業務のみ担当で,十分な審議ができませんでした。市長は,今後,値上げ案などを審議するときは,万障繰り合わせて出席し,市民や議員と大いに意見を交わして事を決していくことを求めます。
また,労働組合役員のやみ専従,地方自治法,
地方公営企業法の違反と思われる労働組合のやみ専従,さらにまた,専従期限の延長をして欠勤扱いとなっているものなど,早期に解消することを求めて終わります。
○議長(
柴田薫心君) 以上で討論を終結し,採決に入ります。
この場合,分割して採決を行います。
まず,請願第26号から第79号まで及び陳情第 120号から第 123号までの58件を一括議題といたします。
請願54件及び陳情4件の58件を採択することに賛成の諸君のご起立を求めます。
(賛成者起立)
○議長(
柴田薫心君) 起立少数であります。よって,請願第26号から第79号まで及び陳情第 120号から第 123号までの58件は不採択とすることに決定されました。
次に,議案第6号及び議案第7号の2件を一括議題といたします。
議案2件を可決することに賛成の諸君のご起立を求めます。