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平成 8年議案審査特別委員会−12月13日-05号

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  1. 札幌市議会 1996-12-13
    平成 8年議案審査特別委員会−12月13日-05号


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    平成 8年議案審査特別委員会−12月13日-05号平成 8年議案審査特別委員会             札幌市議会議案審査特別委員会記録(第5号)                 平成8年12月13日(金曜日)       ────────────────────────────────── ●議題 付託案件審査出席委員 23人      委員長  武 市 憲 一 君         副委員長  西 村 茂 樹 君     委  員  宮 本 吉 人 君         委  員  原 口 伸 一 君     委  員  伊 藤 知 光 君         委  員  道 見 重 信 君     委  員  三 上 洋 右 君         委  員  佐々木   肇 君     委  員  新 山     君         委  員  堀 川 素 人 君     委  員  鈴 木 健 雄 君         委  員  湊 谷   隆 君     委  員  大 西 利 夫 君         委  員  畑 瀬 幸 二 君     委  員  北 川 一 夫 君         委  員  本 舘 嘉 三 君     委  員  春 原 良 雄 君         委  員  義 卜 雄 一 君     委  員  涌 井 国 夫 君         委  員  荒 川 尚 次 君     委  員  武 藤 光 惠 君         委  員  山 口 た か 君     委  員  福 士   勝 君       ──────────────────────────────────       開 議 午後1時
    ○武市 委員長  ただいまから,議案審査特別委員会を開会いたします。  報告事項は,特にございません。  それでは,議事に入ります。  本委員会に付託されました議案2件及び請願陳情58件を一括議題とし,討論を行います。 ◆三上 委員  私は,ただいまから,本委員会に付託されました市長提案の二つの議案に賛成の立場から,また,本委員会に付託されました請願及び陳情のすべてを不採択とする立場から,自由民主党議案審査特別委員会委員を代表いたしまして,以下,簡潔に討論をいたします。  まず,議案につきましては,これまでの交通事業内部効率化努力をある程度評価することと,去る12月2日,我々4会派地下鉄バス乗り継ぎ制度特定割引制度廃止に当たっての経過措置設定の申し入れの要望どおり経過措置を設ける考えを明らかにされたこと,さらには市電の料金を据え置いたことなどから,本料金改定案は,再建途上交通事業経営健全化と安定した輸送サービスの維持・向上のためには,長期的に見てやむを得ないものと判断したところであります。  ご承知のとおり,本市交通事業は,昭和2年に電車事業,昭和5年にバス事業がそれぞれ発足し,また,昭和46年にはオリンピックに合わせて地下鉄南北線が開業して,きょうまで市民の足として活躍をしてまいりました。特に地下鉄は,他都市と比較しても非常に速いスピードで南北線東西線東豊線と建設を進め,開業からわずか25年で営業キロ数は45.2キロメートルに達しており,東西線延長部開業により営業キロ数は48キロメートルになり,地下鉄50キロ構想の実現もあと少しとなります。  このように,本市交通事業は,市民生活に欠くことのできない交通機関として大きな役割を果たしておりましたが,輸送人員の低迷が続く中で,地下鉄建設にかかわる資本費負担の増嵩,人件費の増大などにより事業経営が危機に陥り,市においては,平成3年12月,経営健全化計画を策定し,4年度からスタートさせたのであります。  この計画は,電車バスについては平成13年度までに,地下鉄については平成36年度に,それぞれ累積欠損金を解消することを目標とするもので,交通局職員の880 人の削減などによる人件費経費の切り詰め,資産の有効活用などによる増収対策,全庁挙げた需要喚起一般会計からの 705億円もの財政支援などから構成されております。そして,職員削減の前倒しや経費の節減で,これまでのところ,累積欠損金解消状況計画よりも好転しております。したがって,これまでの経営健全化に向けての努力はそれなりに評価できるものであります。  しかし,その状況をつぶさに見てまいりますと,我々は,交通事業にはまだまだ課題があると指摘せざるを得ません。  去る12月3日,我が自由民主党議員会は,札幌行財政改革第1次提言市長に対していたしました。この提言は13項目にわたるものでありますが,この提言の中で,交通局に対しては,事業の抱える経営課題として,第1に,現業部門職員の1人当たり給与水準が高いこと,第2に,バス地下鉄利用者減少により経営健全化計画と乖離が生じていること,第3に,観光バス事業慢性的赤字に直面していることを指摘し,今後のあり方の具体的な提言を行っております。  また,去る12月5日,政府行政改革委員会規制緩和小委員会規制緩和に関する報告書をまとめ,行政改革委員会に提出いたしました。その内容を見ると,バス事業,特に乗り合いバス事業については,都市部の多需要路線が必ずしも効率的ではない公営事業者によって運営され,利用者利便が十分に図られていないという問題意識から,需給調整規制の撤廃が提言されております。  バス事業は,経営健全化計画を策定した当時よりもはるかに厳しい事業環境となっているのであり,こうした中では,より一層の合理化をなくしては,残念ながら生き残ることは難しいのであります。  理事者は,このような厳しい事業環境を正しく認識し,我が会派の提出した行財政改革提言を実行していただきたいのであります。  こうした考え方に立って,昨日の質疑について我が会派は,10年間に300 億円もの一般会計からの支援を受けてやっと経営が成り立つというバス事業あり方について,観光バス廃止路線バス見直しについて,規制緩和も踏まえてその考え方を問い,バス民営化の検討について要望をいたしました。また,地下鉄料金負担あり方について質問し,資本費を100 %反映させると地下鉄初乗りが330 円になり,本改定案による地下鉄初乗り200 円との差が,いわゆる将来の世代との負担公平化を図るものであるということも明らかにしたのであります。さらに,人件費の抑制,国庫補助増額に向けての要望活動の強化,PRの重要性,地域によるバス地下鉄乗り継ぎ割引の不公平の問題など,具体的に質疑をしてきたところであります。  そして,こうした質疑の結果,理事者からは課題もお聞きしましたが,我々の認識とそう大きな隔たりがないと感じたところであります。料金値上げについては,基本的には,事業者が最大限の経営効率化を進め,それでもなお公営交通として安定した輸送サービスを維持することが難しくなった場合に,最小限値上げが認められるのでありますが,こうした質疑を踏まえ,我が会派は,これまでの経営努力と今後の経営改善に向けての理事者取り組み姿勢を考慮して,今回の料金改定についてはやむを得ないとするものであります。  しかし,この立場は,経営健全化計画にある3年に一度の料金改定を無条件に容認するものではありません。重ねて申しますが,まずは事業者経営努力が先決であり,それでもなお足りない分に限り市民負担をお願いするというのが基本であり,最も重要なことであります。そもそも,現在の料金制度独立採算の原則に基づいているものであり,その趣旨からは,一般会計からの財政支援最小限とすべきものであります。事業者は,一般会計からの財政支援を少しでも減ずるように努力をしなければなりません。  一方,均一料金制度を導入する場合は,都市基盤整備街づくり一環的事業として行政積極的関与が正当化され,一般会計からの支援が可能となる,このように我々は考えます。  したがって,我々は,これらを踏まえた上で,交通行政そのものにかかわる議論を今後も続けていきたいと考えております。  以上で私の討論を終了いたしますが,今回の議案審議の中で申し上げました意見等が,今後の交通事業再建の中で的確に反映されるよう求めて終わるものであります。ありがとうございました。 ◆涌井 委員  私は,ただいまから,議案審査特別委員会に所属する社会民主市民の会,公明,新政クラブ委員を代表して,今特別委員会に付託されています議案2件について賛成の立場で,請願陳情58件については不採択立場討論を行います。  今回の料金改定は,92年4月以来,実に5年ぶりであると同時に,91年12月に策定した札幌交通事業経営健全化計画がスタートしてから初となります。  その健全化計画では,地下鉄事業は,東豊線延長部開業後30年,電車及びバス事業は10年以内に累積欠損金の解消を図ることを目標としており,具体策として,経営効率化需要喚起策受益者負担財政支援職員意識改革の5点をその柱として取り組んできたところであります。しかし,市民生活に密着している市営交通事業経営状況は,依然厳しいものがあります。  そこで,議案についてですが,92年度以降,今回取り組んできた健全化策5点のうち,需要喚起策は不十分に推移していますが,内部努力財政支援職員意識改革などは財政状況に大きな効果をもたらし,結果として健全化計画を上回っていること,すなわち一定の内部努力が見られること,また,料金改定額は,バスで10円,地下鉄で20円と,全国政令市との比較でも水準並みであり,しかも最小限に抑えていること,さらに,乗り継ぎ割引料金のうち,5キロまで1区料金としている特例措置廃止に当たって経過措置を講じたこと,路面電車改定を見送ったことなどから,今日の厳しい状況にある市営交通事業を維持していくためには,改定は長期的に見てやむを得ないものと判断したところであります。  なお,来年4月に消費税が万一5%に引き上げられても,これを市営地下鉄バス料金に転嫁することはすべきではないと考えます。さらに,このたびの特別割引制度に設けた経過措置の期間については,次期見直しまでの間,継続すべきであります。  経済は低迷し,いまだ景気回復が進まない中で,市民生活も大変厳しいという事情は理解できるにしても,一方では,公営交通を安定的に維持,存続していく上で,その経営基盤を確保するための必要最小限受益者負担はやむを得ないと考えます。しかし,何といっても,事業者経営努力は何よりも優先されなければなりません。  今日,交通事業財政状況を見てみますと,健全化計画との対比は,確かに各会計ともプラスで維持しています。その内容は,職員の880 名にも及ぶ削減経費の節減など,経営効率化一般会計からの財政支援附帯事業積極的展開職員意識改革などの積極面から形成されており,肝心の乗車料収入は年々減少しているのであります。すなわち,収入の源であります乗車料収入減少分合理化による経費削減によってカバーしているのが実態であります。この姿は,経営上は全く好ましくない状態で,こうした手法には限界があるのであります。この解決のためには,乗客誘致策,すなわち需要喚起策の積極的な展開がなければなりません。  本市は,健全化計画の中で,地下鉄沿線街づくりとあわせた公共施設の配置を初め,新しい名所づくりの推進や,民活事業支援等を図るとした,いわゆる2万人プロジェクトを中心にした施策の推進を提起し,その効果のほどについて胸を張ったのであります。しかし,需要は年々減少し,健全化計画と95年度実績の比較では,交通事業全体で約11万6,000 人の減となり,特に地下鉄事業においては約8万4,000 人も乖離しているのであります。  これは,本市見込み違いがあったことを指摘せざるを得ないのであります。すなわち,まず沿線の街づくりについてですが,用途地域見直し住宅団地の整備などを民活に誘導し,定住人口の増を計画したのでありますが,今日,地下鉄沿線定住人口減少あるいは横ばいの状況になっているのであります。また,あわせて,土地の高度利用を図るため,容積率の緩和や市街地の再開発整備構想なども計画され,実施に移されましたが,これらの施策乗客誘致策と整合しなかったのであります。  これは,91年のいわゆるバブル経済の崩壊によって民間資金の動きが停滞し,民間活力を誘導できなかったことに起因すること大であります。すなわち,経済見通しに甘さがあったことを指摘しなければなりません。  したがって,今後の対策を講じるに当たっては,新しい発想で,なおかつ市民にもその効果が見える形で需要の掘り起こしを考えていくべきものと思うのであります。  次に,パーク・アンド・ライド駐車場積極的推進についてであります。  パーク・アンド・ライド駐車場の確保は,地下鉄駅周辺で難しいという点は理解できます。しかし,この施策は,都心交通対策として,乗車人員誘致策として,明らかに効果が期待できるものであります。したがって,多少の困難があっても積極的に取り組むことを強く求めておきます。  次に,都心部自家用自動車乗り入れ規制についてであります。  マイカーの増加は年々拡大され,今は全国一の伸長都市であります。この傾向は今後も続くと予想されます。本市も,その規制のために,ハード・ソフト両面から啓蒙事業を展開していますが,その効果はほとんどない状況であります。これを見過ごしては,今後の公共交通利用の促進や快適な都市環境の保全はできないと考えます。多少時間をかけても,街づくりの理念を明らかにし,具体的施策を示し,市民の理解を得ながら,規制に向けての検討を真剣に進める時期に来ていると思います。これからの積極的な検討を求めておきます。  これらのことを踏まえ,いま一度,本市がモータリーゼーションの伸展や都市機能を飛躍的に改善するため,あえて膨大な建設費を伴う地下鉄建設の道を選択した理由を市政全般で受けとめるとともに,今後の未整備区間の延伸はもとより,現在の事業運営を維持するには,道路や駐車場整備を初めとした整合性ある街づくり,区の中心核づくりを意識した交通計画等総合的視点に立った必要な方策を考えながら,市民の理解と協力をいただくことがなければならないと考えるものであります。  最後に,市営交通健全経営の達成には,単に交通局内部努力だけでできるものではないことは,たびたび申し上げてまいりました。まさに,全庁的取り組みが絶対に不可欠であり,市長はその先頭に立つべきであります。その点で,今日までの取り組みを見て,甘さがあることについて指摘せざるを得ない部分もあり,かけ声だけで終わることがないよう強く要望します。  以上,申し上げてまいりましたが,今回の議案審議の中で社会民主市民の会,公明,新政クラブ委員が申し上げました指摘事項や意見については,今後の交通事業経営に的確に反映されるよう求めまして,討論を終わります。(拍手) ◆武藤 委員  私は,ただいまから,日本共産党を代表して,本特別委員会に付託された市営交通料金値上げを内容とする議案第6号 札幌自動車乗車料金条例の一部を改正する条例案議案第7号 札幌高速電車乗車料金条例の一部を改正する条例案に反対し,市営交通料金値上げに反対する請願陳情58件の採択を主張する立場から討論を行います。  我が党は,今議会最大の争点となった市営交通料金値上げ問題について,本会議の代表質問と本特別委員会質疑を通して,市民の世論と運動を背景に,その問題点を厳しく追及してきましたが,論戦の中で浮き彫りにされた問題点の第1は,値上げ案自体不当性です。  まず,地下鉄20円,市バス10円の基本運賃値上げについてですが,4年前の料金改定時と比較して,今日,消費者物価指数で99.90 %と物価が鎮静している中での10%もの値上げは,突出した値上げ幅と言わなければなりません。  また,市バス地下鉄乗り継ぎ割引が改悪されて10円の値上げになることや,地下鉄の3キロから5キロまでの特例2区での市バス乗り継ぎにおいて,地下鉄料金を1区並みとしてきた従来の措置を廃止するという提案は,市バス地下鉄を乗り継いで利用している市民に片道で40円から80円もの値上げを押しつけるもので,市民の批判を無視できずに,特例廃止経過措置を講ずる修正を加えて,とりあえず値上げ幅を60円にまで圧縮したとはいうものの,25年前の地下鉄開業時,乗り継いでも料金は同じと,強引にバス地下鉄に短絡させてスタートした乗り継ぎ制度をさらに形骸化させる,市民に対する背信です。  問題点の第2は,今回の料金改定市民生活に与える影響です。  長引く不況の中で,中小企業経営不振や大企業のリストラの影響もあって,雇用関係の悪化とあわせて市民生活はかつてない厳しさに直面しておりますが,収入が落ち込んだり実質賃金が目減りしている市民にとって,今回の交通料金値上げがいかに深刻な打撃となるかは,58件もの値上げ反対請願陳情代表者がこもごもに訴えていたとおりではないでしょうか。  問題点の第3は,4年前に交通料金改定の際につくられた健全化計画の破綻です。  健全化計画よりも財政的には好転したというものの,その中身は,この4年間,交通・高速の両会計合わせて,人件費削減で99億7,000 万円,経費削減で93億5,000 万円,支払い利息等の減で27億円と,それぞれ計画を上回った一方で,乗車料収入では,一般交通事業で55億8,000 万円,高速電車事業で147 億6,000 万円も計画を下回っているのです。  96年度予算編成時の交通局の試算によれば,健全化計画対比での輸送人員減は,市バスで1日平均3万700 人の13.9%,地下鉄で1日平均11万7,875 人の15.8%となっており,料金改定分を除いて輸送人員減による年間の乗車料収入の落ち込みは,一般交通で16億円,地下鉄で67億円の合計83億円にも達しているのです。  今日までに健全化計画を32人も上回る842 人もの交通局職員削減を強行している上に,さらに人件費抑制職員削減を進めようとの動きは,安全輸送乗客サービスへの影響さえ懸念されるものであり,計画に比して15%前後もの輸送人員減市民市営交通離れを端的に示すものであることとあわせて,健全化計画の破綻は明らかであります。  問題点の第4は,需要喚起策についてです。  市民市営交通を利用してもらうための需要喚起策とは何かを端的に示しているのは,JRとの競合路線の現状です。JRの新札幌札幌駅間の料金は250 円であるのに対して,地下鉄の新さっぽろとさっぽろ間の料金は,現在290 円,今回の改定料金は310 円と,格差が40円から60円に拡大することになりますが,この4年間で新札幌におけるJR利用客は38.43 %伸びている一方で,地下鉄利用者は7.15%落ち込み,そのシェアは,4年前のJR23.65 %,地下鉄76.35 %から,95年度は,JR31.59 %,地下鉄68.41 %へと7.94%の変動が起きています。地下鉄からJRへの乗客移行の背景に料金格差があることは明らかであり,今回,その格差をさらに拡大することは,この動きを加速させるものではないでしょうか。  通勤通学定期割引率でも,JR通勤49.6%,通学70.5%であるのに対して,地下鉄通勤30%,通学60%ですから,乗客に対する定期を含めた料金面でのサービスで,本市交通局がおくれをとっていることは明らかであり,市民市営交通に誘導するための需要喚起策として,通勤通学定期割引を拡大すべきとの我が党の要求に背を向ける交通局の対応は,問題と言わなければなりません。  また,パーク・アンド・ライドを本格的に進めることも,駐車料込み割安定期の実現とあわせて,市民に,マイカー郊外地下鉄駅周辺の公共駐車場に置いて,地下鉄で都心に出入りしてもらう上で欠かせない施策でありますが,市当局は,いまだ必要な地下鉄駅に必要な駐車場を確保するという姿勢に立ち切っていないことが問題です。また,高齢者障害者にも安心して地下鉄を利用してもらうために欠かせないエレベーターの全駅設置も,需要喚起策として急がなければなりません。  問題点の第5は,抜本的な都市公営交通財政確立についてです。  キロ当たり200 億円の巨額を要する地下鉄建設に対して,国が実質19%の補助にとどめていることが地下鉄財政の危機を招いていることは明らかです。不可欠の都市施設であり,市民の足を守る使命を担う都市公営交通に対して,欧米並み設備投資にかかわる費用は公費負担とさせることは,抜本的な公営交通再建にとって欠かせないことは明らかです。  また,高金利の地下鉄建設に伴う企業債を低利の企業債に借りかえて支払い利息を軽減させるためにも,国に対して改善を求めなければなりません。我が党が,最高の8%を含めて金利5%以上の企業債残高が3,130 億円にも達している本市地下鉄財政の現状を踏まえた,積極的な国への対応を強く要求したのは当然です。  さらに,本市交通事業に対する一般会計からの援助も欠かせません。4年前に,市営交通調査審議会市長に答申した,不採算であっても行政上運行を余儀なくされる市バス路線への赤字相当分一般会計負担について,市長が今日に至るまで放置していることは問題です。市営交通都市施設であり,市民の足であるという役割を担っている中で,不採算部門に対して一般会計財政援助を行うことも当然の交通財政再建対策であることも,我が党が厳しく指摘したところであります。  以上,申し上げてきたように,多くの問題点を抱えた今回の市営交通料金値上げは到底容認できないところであり,市民の願いを込めた請願陳情58件の採択とあわせて,値上げ関連の二つの条例案には反対であることを重ねて申し上げ,討論を終わります。 ◆山口 委員  私は,ただいまから,本特別委員会に付託されました議案第6号及び第7号に反対し,議案関連請願陳情58件については,その要旨を採択すべきとの立場から簡潔に討論いたします。  本市交通事業料金改定の経緯を概観いたしますと,これまでも共通していることは,人件費物件費の上昇,乗車人員の伸び悩みや減少による収益的収支の悪化,建設投資に伴う企業債償還金の増加などが料金改定の理由とされております。  しかしながら,札幌市が野村総研に委託して実施いたしました公共交通を軸とした「都市交通システムとその対象となるサービスあり方に関する調査研究」でも指摘されておりますように,札幌市における公共交通の現状は,市民にとって複雑でわかりにくく,移動に伴う身体的負担も大きいなど,利用しにくいものとなっていることや,自動車に対する優位性が不明確であり,公共交通競争力を失っていることから,料金改定利用者の伸び悩み,赤字の拡大という悪循環を断ち切ることができず,交通事業財政状況は一層逼迫の度を増しています。  交通局においては,経営健全化計画に基づきまして,職員定数削減,資産の有効活用など,労使一体となって多角的に経営改善に取り組んでおられる姿勢については評価いたしますが,それらの努力をあざ笑うかのように,市民公共交通離れはとどまることを知りません。  昨年は自動車による通勤が,ついに地下鉄バスを抜いて第1位となっております。また,バス乗車人員は,この4年間で1日当たり3万 6,000人減少しておりますし,地下鉄乗車人員東豊線の延長で若干増加したものの,1日平均62万7,000 人であり,健全化計画と比べても,実に8万4,000 人もの乖離が生じております。交通局自助努力のみで経営健全化計画の達成は不可能であります。  市民ネットワークは,これまで,市民の日常生活の足として欠くことのできない市営交通は,利便性と低料金を基本とし,一層の整備を図ること,また,環境保全,交通安全の観点からも,脱車社会を目指した公共交通を軸とした街づくりのための総合交通政策の確立を訴えてまいりました。しかし,私どもの主張は,本市施策に反映されてこなかったのが現実と言わざるを得ません。  全国で一,二位を争うほどの道路の整備率,都心部における駐車場の整備と駐車場案内システムの設置,まさに車優先の施策であり,加えて,大通から札幌駅までの地下通路計画は,市民公共交通離れを促進するものであります。街づくり交通政策が整合性を有していないのであります。  代表質問特別委員会での質疑においても,市長,助役を初めとする理事者に,総合交通体系の確立に向けての積極的な取り組み姿勢が見られなかったことはまことに残念であり,このような状況の中での料金改定には反対せざるを得ないのであります。これが反対の第1の理由です。  無論,交通局自体でも解決可能な課題が山積しております。具体的には,定時性の確保,乗り継ぎ時間の短縮,パターンダイヤの採用,バスレーンの拡充,パーク・アンド・ライドの全面展開,バス系統の大胆な再編,さらには,車両の快適性の向上や職員の生産性向上に向けた意識改革などについても,早急に取り組むべき課題でありながら,これまでの成果は不十分と言わざるを得ないのであります。  以上述べてまいりましたが,モータリーゼーションの伸展など,公共交通を取り巻く社会環境が厳しい状態で,経営悪化を避けるために運賃値上げを繰り返すことによって,さらに公共交通の利用低迷を引き起こす悪循環に陥り,市民生活や経済活動に著しい影響を及ぼすことが懸念されると,これは企画調整局が指摘をしております。しかし,その企画調整局も交通問題の当事者としての認識が希薄であり,大きな問題であると考えます。  以上述べてまいりましたが,曲がり角の公共交通を全面的に検証し,新しい交通政策を打ち立てることなしに,この悪循環から抜け出せないということを指摘いたしまして,私の討論を終了いたします。 ○武市 委員長  以上で討論を終結し,直ちに採決を行います。  この場合,分割して採決を行います。  初めに,市営交通料金値上げに反対する請願第26号から第79号まで及び陳情第120 号から第123 号までの,以上58件を一括問題といたします。  以上の請願陳情58件を採択すべきものと決定することに賛成の委員の起立を求めます。  (賛成者起立) ○武市 委員長  起立少数であります。よって,請願陳情58件は不採択とすべきものと決定いたしました。  次に,議案第6号 札幌自動車乗車料金条例の一部を改正する条例案及び議案第7号 札幌高速電車乗車料金条例の一部を改正する条例案の,以上2件を一括問題といたします。  以上の議案2件を可決すべきものと決定することに賛成の委員の起立を求めます。  (賛成者起立) ○武市 委員長  起立多数であります。よって,議案第6号及び第7号の2件は,可決すべきものと決定いたしました。  最後に,意見書案についてお諮りいたします。  当委員会は,聴聞会の開催を含め4日間の実質審査を行ってきたわけでありますが,段々の議論の中で明らかとなってまいりましたのは,膨大な累積欠損金を抜本的に解消するためには,より一層の需要喚起が必要であることと,あわせて巨額の地下鉄建設費の負担軽減を図ることが最重要課題であるということであります。  以上の観点から,お手元に配付のとおり,国庫補助を拡大するとともに,高金利企業債の借りかえ措置の拡充を求めることを趣旨とする意見書案を,当委員会所属議員全員によりまして本会議に提案したいと存じますが,ご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○武市 委員長  異議なしと認め,そのように決定させていただきます。  以上をもちまして,本委員会に付託されました全案件の審査を終了いたします。     ────────────── ○武市 委員長  一言だけごあいさつを申し上げたいと思います。  委員の皆様方には,特に昨日は遅くまで大変ご苦労さまでございました。調べてみますと,委員会で10時を回ったのは,約5年ぶりということでございます。最後に多少のハプニングがございましたけれども,皆さん方のご協力をいただいて,無事終了させていただきました。どうもありがとうございました。(拍手)     ────────────── ○武市 委員長  これをもちまして,議案審査特別委員会を閉会いたします。     ──────────────       閉 会 午後1時38分...