○武市
委員長 ただいまから,
議案審査特別委員会を開会いたします。
報告事項は,特にございません。
それでは,議事に入ります。
本
委員会に付託されました
議案2件及び
請願・
陳情58件を
一括議題とし,
討論を行います。
◆三上
委員 私は,ただいまから,本
委員会に付託されました
市長提案の二つの
議案に賛成の
立場から,また,本
委員会に付託されました
請願及び
陳情のすべてを不
採択とする
立場から,
自由民主党の
議案審査特別委員会委員を代表いたしまして,以下,簡潔に
討論をいたします。
まず,
議案につきましては,これまでの
交通事業の
内部効率化の
努力をある程度評価することと,去る12月2日,我々4
会派の
地下鉄・
バス乗り継ぎ制度特定割引制度の
廃止に当たっての
経過措置設定の申し入れの
要望どおり,
経過措置を設ける考えを明らかにされたこと,さらには市電の
料金を据え置いたことなどから,本
料金改定案は,
再建途上の
交通事業の
経営健全化と安定した
輸送サービスの維持・向上のためには,長期的に見てやむを得ないものと判断したところであります。
ご承知のとおり,
本市の
交通事業は,昭和2年に
電車事業,昭和5年に
バス事業がそれぞれ発足し,また,昭和46年にはオリンピックに合わせて
地下鉄南北線が開業して,きょうまで
市民の足として活躍をしてまいりました。特に
地下鉄は,他
都市と比較しても非常に速いスピードで
南北線,
東西線,
東豊線と建設を進め,開業からわずか25年で
営業キロ数は45.2キロメートルに達しており,
東西線延長部開業により
営業キロ数は48キロメートルになり,
地下鉄50キロ構想の実現もあと少しとなります。
このように,
本市の
交通事業は,
市民生活に欠くことのできない
交通機関として大きな役割を果たしておりましたが,
輸送人員の低迷が続く中で,
地下鉄建設にかかわる
資本費負担の増嵩,
人件費の増大などにより
事業経営が危機に陥り,市においては,
平成3年12月,
経営健全化計画を策定し,4年度からスタートさせたのであります。
この
計画は,
電車・
バスについては
平成13年度までに,
地下鉄については
平成36年度に,それぞれ
累積欠損金を解消することを目標とするもので,
交通局職員の880 人の
削減などによる
人件費や
経費の切り詰め,資産の
有効活用などによる
増収対策,全庁挙げた
需要喚起,
一般会計からの 705億円もの
財政支援などから構成されております。そして,
職員削減の前倒しや
経費の節減で,これまでのところ,
累積欠損金の
解消状況は
計画よりも好転しております。したがって,これまでの
経営健全化に向けての
努力はそれなりに評価できるものであります。
しかし,その
状況をつぶさに見てまいりますと,我々は,
交通事業にはまだまだ課題があると指摘せざるを得ません。
去る12月3日,我が
自由民主党議員会は,
札幌市
行財政改革第1次
提言を
市長に対していたしました。この
提言は13項目にわたるものでありますが,この
提言の中で,
交通局に対しては,
事業の抱える
経営課題として,第1に,
現業部門の
職員の1人
当たりの
給与水準が高いこと,第2に,
バス・
地下鉄利用者の
減少により
経営健全化計画と乖離が生じていること,第3に,
観光バス事業が
慢性的赤字に直面していることを指摘し,今後の
あり方の具体的な
提言を行っております。
また,去る12月5日,
政府行政改革委員会の
規制緩和小委員会が
規制緩和に関する
報告書をまとめ,
行政改革委員会に提出いたしました。その内容を見ると,
バス事業,特に
乗り合いバス事業については,
都市部の多
需要路線が必ずしも効率的ではない
公営事業者によって運営され,
利用者利便が十分に図られていないという
問題意識から,
需給調整規制の撤廃が
提言されております。
バス事業は,
経営健全化計画を策定した当時よりもはるかに厳しい
事業環境となっているのであり,こうした中では,より一層の
合理化をなくしては,残念ながら生き残ることは難しいのであります。
理事者は,このような厳しい
事業環境を正しく認識し,我が
会派の提出した
行財政改革提言を実行していただきたいのであります。
こうした
考え方に立って,昨日の
質疑について我が
会派は,10年間に300 億円もの
一般会計からの
支援を受けてやっと
経営が成り立つという
バス事業の
あり方について,
観光バスの
廃止や
路線バスの
見直しについて,
規制緩和も踏まえてその
考え方を問い,
バスの
民営化の検討について要望をいたしました。また,
地下鉄の
料金負担の
あり方について質問し,
資本費を100 %反映させると
地下鉄初乗りが330 円になり,本
改定案による
地下鉄初乗り200 円との差が,いわゆる将来の世代との
負担の
公平化を図るものであるということも明らかにしたのであります。さらに,
人件費の抑制,
国庫補助増額に向けての
要望活動の強化,PRの
重要性,地域による
バス・
地下鉄の
乗り継ぎ割引の不公平の問題など,具体的に
質疑をしてきたところであります。
そして,こうした
質疑の結果,
理事者からは課題もお聞きしましたが,我々の認識とそう大きな隔たりがないと感じたところであります。
料金の
値上げについては,基本的には,
事業者が最大限の
経営効率化を進め,それでもなお
公営交通として安定した
輸送サービスを維持することが難しくなった場合に,
最小限の
値上げが認められるのでありますが,こうした
質疑を踏まえ,我が
会派は,これまでの
経営努力と今後の
経営改善に向けての
理事者の
取り組み姿勢を考慮して,今回の
料金改定についてはやむを得ないとするものであります。
しかし,この
立場は,
経営健全化計画にある3年に一度の
料金改定を無条件に容認するものではありません。重ねて申しますが,まずは
事業者の
経営努力が先決であり,それでもなお足りない分に
限り市民の
負担をお願いするというのが基本であり,最も重要なことであります。そもそも,現在の
料金制度は
独立採算の原則に基づいているものであり,その趣旨からは,
一般会計からの
財政支援は
最小限とすべきものであります。
事業者は,
一般会計からの
財政支援を少しでも減ずるように
努力をしなければなりません。
一方,
均一料金制度を導入する場合は,
都市基盤整備,
街づくりの
一環的事業として
行政の
積極的関与が正当化され,
一般会計からの
支援が可能となる,このように我々は考えます。
したがって,我々は,これらを踏まえた上で,
交通行政そのものにかかわる議論を今後も続けていきたいと考えております。
以上で私の
討論を終了いたしますが,今回の
議案審議の中で申し上げました
意見等が,今後の
交通事業の
再建の中で的確に反映されるよう求めて終わるものであります。ありがとうございました。
◆涌井
委員 私は,ただいまから,
議案審査特別委員会に所属する
社会民主市民の会,公明,
新政クラブの
委員を代表して,今
特別委員会に付託されています
議案2件について賛成の
立場で,
請願・
陳情58件については不
採択の
立場で
討論を行います。
今回の
料金改定は,92年4月以来,実に5年ぶりであると同時に,91年12月に策定した
札幌市
交通事業の
経営健全化計画がスタートしてから初となります。
その
健全化計画では,
地下鉄事業は,
東豊線延長部開業後30年,
電車及び
バス事業は10年以内に
累積欠損金の解消を図ることを目標としており,
具体策として,
経営の
効率化,
需要喚起策,
受益者負担,
財政支援,
職員の
意識改革の5点をその柱として取り組んできたところであります。しかし,
市民生活に密着している
市営交通事業の
経営状況は,依然厳しいものがあります。
そこで,
議案についてですが,92年度以降,今回取り組んできた
健全化策5点のうち,
需要喚起策は不十分に推移していますが,
内部努力や
財政支援,
職員の
意識改革などは
財政状況に大きな
効果をもたらし,結果として
健全化計画を上回っていること,すなわち一定の
内部努力が見られること,また,
料金改定額は,
バスで10円,
地下鉄で20円と,
全国政令市との比較でも
水準並みであり,しかも
最小限に抑えていること,さらに,
乗り継ぎ割引料金のうち,5キロまで1区
料金としている
特例措置の
廃止に当たって
経過措置を講じたこと,
路面電車の
改定を見送ったことなどから,今日の厳しい
状況にある
市営交通事業を維持していくためには,
改定は長期的に見てやむを得ないものと判断したところであります。
なお,来年4月に
消費税が万一5%に引き上げられても,これを
市営地下鉄・
バス料金に転嫁することはすべきではないと考えます。さらに,このたびの
特別割引制度に設けた
経過措置の期間については,
次期見直しまでの間,継続すべきであります。
経済は低迷し,いまだ
景気回復が進まない中で,
市民生活も大変厳しいという事情は理解できるにしても,一方では,
公営交通を安定的に維持,存続していく上で,その
経営基盤を確保するための
必要最小限の
受益者負担はやむを得ないと考えます。しかし,何といっても,
事業者の
経営努力は何よりも優先されなければなりません。
今日,
交通事業の
財政状況を見てみますと,
健全化計画との対比は,確かに各
会計ともプラスで維持しています。その内容は,
職員の880 名にも及ぶ
削減や
経費の節減など,
経営の
効率化や
一般会計からの
財政支援,
附帯事業の
積極的展開,
職員の
意識改革などの
積極面から形成されており,肝心の
乗車料収入は年々
減少しているのであります。すなわち,
収入の源であります
乗車料収入の
減少分を
合理化による
経費の
削減によってカバーしているのが実態であります。この姿は,
経営上は全く好ましくない状態で,こうした手法には限界があるのであります。この解決のためには,
乗客の
誘致策,すなわち
需要喚起策の積極的な展開がなければなりません。
本市は,
健全化計画の中で,
地下鉄沿線の
街づくりとあわせた
公共施設の配置を初め,新しい
名所づくりの推進や,
民活事業の
支援等を図るとした,いわゆる2万人プロジェクトを中心にした
施策の推進を提起し,その
効果のほどについて胸を張ったのであります。しかし,
需要は年々
減少し,
健全化計画と95年度実績の比較では,
交通事業全体で約11万6,000 人の減となり,特に
地下鉄事業においては約8万4,000 人も乖離しているのであります。
これは,
本市の
見込み違いがあったことを指摘せざるを得ないのであります。すなわち,まず沿線の
街づくりについてですが,
用途地域の
見直しや
住宅団地の整備などを民活に誘導し,
定住人口の増を
計画したのでありますが,今日,
地下鉄沿線の
定住人口は
減少あるいは横ばいの
状況になっているのであります。また,あわせて,土地の
高度利用を図るため,
容積率の緩和や市街地の再
開発整備構想なども
計画され,実施に移されましたが,これらの
施策は
乗客の
誘致策と整合しなかったのであります。
これは,91年のいわゆる
バブル経済の崩壊によって
民間資金の動きが停滞し,
民間活力を誘導できなかったことに起因すること大であります。すなわち,
経済見通しに甘さがあったことを指摘しなければなりません。
したがって,今後の対策を講じるに当たっては,新しい発想で,なおかつ
市民にもその
効果が見える形で
需要の掘り起こしを考えていくべきものと思うのであります。
次に,
パーク・アンド・ライド駐車場の
積極的推進についてであります。
パーク・アンド・ライド駐車場の確保は,
地下鉄駅周辺で難しいという点は理解できます。しかし,この
施策は,
都心交通対策として,
乗車人員の
誘致策として,明らかに
効果が期待できるものであります。したがって,多少の困難があっても積極的に取り組むことを強く求めておきます。
次に,
都心部の
自家用自動車の
乗り入れ規制についてであります。
マイカーの増加は年々拡大され,今は全国一の
伸長都市であります。この傾向は今後も続くと予想されます。
本市も,その
規制のために,ハード・
ソフト両面から
啓蒙事業を展開していますが,その
効果はほとんどない
状況であります。これを見過ごしては,今後の
公共交通利用の促進や快適な
都市環境の保全はできないと考えます。多少時間をかけても,
街づくりの理念を明らかにし,
具体的施策を示し,
市民の理解を得ながら,
規制に向けての検討を真剣に進める時期に来ていると思います。これからの積極的な検討を求めておきます。
これらのことを踏まえ,いま一度,
本市がモータリーゼーションの伸展や
都市機能を飛躍的に改善するため,あえて膨大な
建設費を伴う
地下鉄建設の道を選択した理由を
市政全般で受けとめるとともに,今後の未
整備区間の延伸はもとより,現在の
事業運営を維持するには,道路や
駐車場整備を初めとした整合性ある
街づくり,区の
中心核づくりを意識した
交通計画等,
総合的視点に立った必要な方策を考えながら,
市民の理解と協力をいただくことがなければならないと考えるものであります。
最後に,
市営交通の
健全経営の達成には,単に
交通局内部の
努力だけでできるものではないことは,たびたび申し上げてまいりました。まさに,全
庁的取り組みが絶対に不可欠であり,
市長はその先頭に立つべきであります。その点で,今日までの
取り組みを見て,甘さがあることについて指摘せざるを得ない部分もあり,かけ声だけで終わることがないよう強く要望します。
以上,申し上げてまいりましたが,今回の
議案審議の中で
社会民主市民の会,公明,
新政クラブの
委員が申し上げました
指摘事項や意見については,今後の
交通事業の
経営に的確に反映されるよう求めまして,
討論を終わります。(拍手)
◆武藤
委員 私は,ただいまから,
日本共産党を代表して,本
特別委員会に付託された
市営交通料金の
値上げを内容とする
議案第6号
札幌市
自動車乗車料金条例の一部を改正する
条例案,
議案第7号
札幌市
高速電車乗車料金条例の一部を改正する
条例案に反対し,
市営交通料金の
値上げに反対する
請願・
陳情58件の
採択を主張する
立場から
討論を行います。
我が党は,今
議会最大の争点となった
市営交通料金の
値上げ問題について,本会議の
代表質問と本
特別委員会の
質疑を通して,
市民の世論と運動を背景に,その
問題点を厳しく追及してきましたが,論戦の中で浮き彫りにされた
問題点の第1は,
値上げ案自体の
不当性です。
まず,
地下鉄20円,
市バス10円の
基本運賃の
値上げについてですが,4年前の
料金改定時と比較して,今日,
消費者物価指数で99.90 %と物価が鎮静している中での10%もの
値上げは,突出した
値上げ幅と言わなければなりません。
また,
市バスと
地下鉄の
乗り継ぎ割引が改悪されて10円の
値上げになることや,
地下鉄の3キロから5キロまでの特例2区での
市バス乗り継ぎにおいて,
地下鉄料金を1区並みとしてきた従来の措置を
廃止するという提案は,
市バスと
地下鉄を乗り継いで利用している
市民に片道で40円から80円もの
値上げを押しつけるもので,
市民の批判を無視できずに,
特例廃止に
経過措置を講ずる修正を加えて,とりあえず
値上げ幅を60円にまで圧縮したとはいうものの,25年前の
地下鉄開業時,乗り継いでも
料金は同じと,強引に
バスを
地下鉄に短絡させてスタートした
乗り継ぎ制度をさらに形骸化させる,
市民に対する背信です。
問題点の第2は,今回の
料金改定が
市民生活に与える影響です。
長引く不況の中で,
中小企業の
経営不振や大企業のリストラの影響もあって,
雇用関係の悪化とあわせて
市民生活はかつてない厳しさに直面しておりますが,
収入が落ち込んだり
実質賃金が目減りしている
市民にとって,今回の
交通料金の
値上げがいかに深刻な打撃となるかは,58件もの
値上げ反対の
請願・
陳情の
代表者がこもごもに訴えていたとおりではないでしょうか。
問題点の第3は,4年前に
交通料金改定の際につくられた
健全化計画の破綻です。
健全化計画よりも財政的には好転したというものの,その中身は,この4年間,
交通・高速の両
会計合わせて,
人件費削減で99億7,000 万円,
経費削減で93億5,000 万円,
支払い利息等の減で27億円と,それぞれ
計画を上回った一方で,
乗車料収入では,
一般交通事業で55億8,000 万円,
高速電車事業で147 億6,000 万円も
計画を下回っているのです。
96年度
予算編成時の
交通局の試算によれば,
健全化計画対比での
輸送人員減は,
市バスで1日平均3万700 人の13.9%,
地下鉄で1日平均11万7,875 人の15.8%となっており,
料金改定分を除いて
輸送人員減による年間の
乗車料収入の落ち込みは,
一般交通で16億円,
地下鉄で67億円の合計83億円にも達しているのです。
今日までに
健全化計画を32人も上回る842 人もの
交通局職員の
削減を強行している上に,さらに
人件費抑制,
職員削減を進めようとの動きは,
安全輸送や
乗客サービスへの影響さえ懸念されるものであり,
計画に比して15%前後もの
輸送人員減が
市民の
市営交通離れを端的に示すものであることとあわせて,
健全化計画の破綻は明らかであります。
問題点の第4は,
需要喚起策についてです。
市民に
市営交通を利用してもらうための
需要喚起策とは何かを端的に示しているのは,
JRとの
競合路線の現状です。
JRの新
札幌と
札幌駅間の
料金は250 円であるのに対して,
地下鉄の新さっぽろとさっぽろ間の
料金は,現在290 円,今回の
改定料金は310 円と,格差が40円から60円に拡大することになりますが,この4年間で新
札幌における
JR利用客は38.43 %伸びている一方で,
地下鉄利用者は7.15%落ち込み,そのシェアは,4年前の
JR23.65 %,
地下鉄76.35 %から,95年度は,
JR31.59 %,
地下鉄68.41 %へと7.94%の変動が起きています。
地下鉄から
JRへの
乗客移行の背景に
料金格差があることは明らかであり,今回,その格差をさらに拡大することは,この動きを加速させるものではないでしょうか。
通勤・
通学定期の
割引率でも,
JRが
通勤49.6%,通学70.5%であるのに対して,
地下鉄は
通勤30%,通学60%ですから,
乗客に対する定期を含めた
料金面での
サービスで,
本市交通局がおくれをとっていることは明らかであり,
市民を
市営交通に誘導するための
需要喚起策として,
通勤・
通学定期の
割引を拡大すべきとの我が党の要求に背を向ける
交通局の対応は,問題と言わなければなりません。
また,
パーク・アンド・ライドを本格的に進めることも,
駐車料込みの
割安定期の実現とあわせて,
市民に,
マイカーを
郊外地下鉄駅周辺の
公共駐車場に置いて,
地下鉄で都心に出入りしてもらう上で欠かせない
施策でありますが,
市当局は,いまだ必要な
地下鉄駅に必要な
駐車場を確保するという姿勢に立ち切っていないことが問題です。また,
高齢者や
障害者にも安心して
地下鉄を利用してもらうために欠かせないエレベーターの全
駅設置も,
需要喚起策として急がなければなりません。
問題点の第5は,抜本的な
都市公営交通の
財政確立についてです。
キロ当たり200 億円の巨額を要する
地下鉄建設に対して,国が実質19%の補助にとどめていることが
地下鉄財政の危機を招いていることは明らかです。不可欠の
都市施設であり,
市民の足を守る使命を担う
都市公営交通に対して,
欧米並みに
設備投資にかかわる費用は
公費負担とさせることは,抜本的な
公営交通の
再建にとって欠かせないことは明らかです。
また,高金利の
地下鉄建設に伴う
企業債を低利の
企業債に借りかえて
支払い利息を軽減させるためにも,国に対して改善を求めなければなりません。我が党が,最高の8%を含めて金利5%以上の
企業債残高が3,130 億円にも達している
本市地下鉄財政の現状を踏まえた,積極的な国への対応を強く要求したのは当然です。
さらに,
本市交通事業に対する
一般会計からの援助も欠かせません。4年前に,
市営交通調査審議会が
市長に答申した,不採算であっても
行政上運行を余儀なくされる
市バス路線への
赤字相当分の
一般会計負担について,
市長が今日に至るまで放置していることは問題です。
市営交通が
都市施設であり,
市民の足であるという役割を担っている中で,不
採算部門に対して
一般会計が
財政援助を行うことも当然の
交通財政再建対策であることも,我が党が厳しく指摘したところであります。
以上,申し上げてきたように,多くの
問題点を抱えた今回の
市営交通料金の
値上げは到底容認できないところであり,
市民の願いを込めた
請願・
陳情58件の
採択とあわせて,
値上げ関連の二つの
条例案には反対であることを重ねて申し上げ,
討論を終わります。
◆山口
委員 私は,ただいまから,本
特別委員会に付託されました
議案第6号及び第7号に反対し,
議案関連の
請願・
陳情58件については,その要旨を
採択すべきとの
立場から簡潔に
討論いたします。
本市交通事業の
料金改定の経緯を概観いたしますと,これまでも共通していることは,
人件費,
物件費の上昇,
乗車人員の伸び悩みや
減少による
収益的収支の悪化,
建設投資に伴う
企業債償還金の増加などが
料金改定の理由とされております。
しかしながら,
札幌市が
野村総研に委託して実施いたしました
公共交通を軸とした「
都市交通システムとその対象となる
サービスの
あり方に関する
調査研究」でも指摘されておりますように,
札幌市における
公共交通の現状は,
市民にとって複雑でわかりにくく,移動に伴う
身体的負担も大きいなど,利用しにくいものとなっていることや,
自動車に対する
優位性が不明確であり,
公共交通が
競争力を失っていることから,
料金改定,
利用者の伸び悩み,赤字の拡大という悪循環を断ち切ることができず,
交通事業の
財政状況は一層逼迫の度を増しています。
交通局においては,
経営健全化計画に基づきまして,
職員定数の
削減,資産の
有効活用など,
労使一体となって多角的に
経営改善に取り組んでおられる姿勢については評価いたしますが,それらの
努力をあざ笑うかのように,
市民の
公共交通離れはとどまることを知りません。
昨年は
自動車による
通勤が,ついに
地下鉄・
バスを抜いて第1位となっております。また,
バスの
乗車人員は,この4年間で1日
当たり3万 6,000人
減少しておりますし,
地下鉄乗車人員は
東豊線の延長で若干増加したものの,1日平均62万7,000 人であり,
健全化計画と比べても,実に8万4,000 人もの乖離が生じております。
交通局の
自助努力のみで
経営健全化計画の達成は不可能であります。
市民ネットワークは,これまで,
市民の日常生活の足として欠くことのできない
市営交通は,利便性と低
料金を基本とし,一層の整備を図ること,また,環境保全,
交通安全の観点からも,脱車社会を目指した
公共交通を軸とした
街づくりのための総合
交通政策の確立を訴えてまいりました。しかし,私どもの主張は,
本市の
施策に反映されてこなかったのが現実と言わざるを得ません。
全国で一,二位を争うほどの道路の整備率,
都心部における
駐車場の整備と
駐車場案内システムの設置,まさに車優先の
施策であり,加えて,大通から
札幌駅までの地下通路
計画は,
市民の
公共交通離れを促進するものであります。
街づくりと
交通政策が整合性を有していないのであります。
代表質問や
特別委員会での
質疑においても,
市長,助役を初めとする
理事者に,総合
交通体系の確立に向けての積極的な
取り組み姿勢が見られなかったことはまことに残念であり,このような
状況の中での
料金改定には反対せざるを得ないのであります。これが反対の第1の理由です。
無論,
交通局自体でも解決可能な課題が山積しております。具体的には,定時性の確保,乗り継ぎ時間の短縮,パターンダイヤの採用,
バスレーンの拡充,
パーク・アンド・ライドの全面展開,
バス系統の大胆な再編,さらには,車両の快適性の向上や
職員の生産性向上に向けた
意識改革などについても,早急に取り組むべき課題でありながら,これまでの成果は不十分と言わざるを得ないのであります。
以上述べてまいりましたが,モータリーゼーションの伸展など,
公共交通を取り巻く社会環境が厳しい状態で,
経営悪化を避けるために運賃
値上げを繰り返すことによって,さらに
公共交通の利用低迷を引き起こす悪循環に陥り,
市民生活や経済活動に著しい影響を及ぼすことが懸念されると,これは企画調整局が指摘をしております。しかし,その企画調整局も
交通問題の当事者としての認識が希薄であり,大きな問題であると考えます。
以上述べてまいりましたが,曲がり角の
公共交通を全面的に検証し,新しい
交通政策を打ち立てることなしに,この悪循環から抜け出せないということを指摘いたしまして,私の
討論を終了いたします。
○武市
委員長 以上で
討論を終結し,直ちに採決を行います。
この場合,分割して採決を行います。
初めに,
市営交通料金の
値上げに反対する
請願第26号から第79号まで及び
陳情第120 号から第123 号までの,以上58件を一括問題といたします。
以上の
請願・
陳情58件を
採択すべきものと決定することに賛成の
委員の起立を求めます。
(賛成者起立)
○武市
委員長 起立少数であります。よって,
請願・
陳情58件は不
採択とすべきものと決定いたしました。
次に,
議案第6号
札幌市
自動車乗車料金条例の一部を改正する
条例案及び
議案第7号
札幌市
高速電車乗車料金条例の一部を改正する
条例案の,以上2件を一括問題といたします。
以上の
議案2件を可決すべきものと決定することに賛成の
委員の起立を求めます。
(賛成者起立)
○武市
委員長 起立多数であります。よって,
議案第6号及び第7号の2件は,可決すべきものと決定いたしました。
最後に,意見書案についてお諮りいたします。
当
委員会は,聴聞会の開催を含め4日間の実質
審査を行ってきたわけでありますが,段々の議論の中で明らかとなってまいりましたのは,膨大な
累積欠損金を抜本的に解消するためには,より一層の
需要喚起が必要であることと,あわせて巨額の
地下鉄建設費の
負担軽減を図ることが最重要課題であるということであります。
以上の観点から,お手元に配付のとおり,国庫補助を拡大するとともに,高金利
企業債の借りかえ措置の拡充を求めることを趣旨とする意見書案を,当
委員会所属議員全員によりまして本会議に提案したいと存じますが,ご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○武市
委員長 異議なしと認め,そのように決定させていただきます。
以上をもちまして,本
委員会に付託されました全案件の
審査を終了いたします。
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○武市
委員長 一言だけごあいさつを申し上げたいと思います。
委員の皆様方には,特に昨日は遅くまで大変ご苦労さまでございました。調べてみますと,
委員会で10時を回ったのは,約5年ぶりということでございます。最後に多少のハプニングがございましたけれども,皆さん方のご協力をいただいて,無事終了させていただきました。どうもありがとうございました。(拍手)
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○武市
委員長 これをもちまして,
議案審査特別委員会を閉会いたします。
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閉 会 午後1時38分...