札幌市議会 1996-10-01
平成 8年第 3回定例会−10月01日-02号
平成 8年第 3回定例会−10月01日-02号平成 8年第 3回定例会
平成8年 第3回定例会
札 幌 市 議 会 会 議 録 ( 第 2 号 )
平成8年10月1日(火曜日)
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〇議事日程(第2号)
開議日時 10月1日 午後1時
第1 議案第1号から第23号まで(市長提出)
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〇本日の会議に付した事件
追加日程 議案第24号 平成8年度札幌市
一般会計補正予算(第3号)
議案第8号の訂正
日程第1 議案第1号 平成7年度札幌市各
会計歳入歳出決算認定の件
議案第2号 平成7年度札幌市
病院事業会計決算認定の件
議案第3号 平成7年度札幌市
中央卸売市場事業会計決算認定の件
議案第4号 平成7年度札幌市
交通事業会計決算認定の件
議案第5号 平成7年度札幌市
高速電車事業会計決算認定の件
議案第6号 平成7年度札幌市
水道事業会計決算認定の件
議案第7号 平成7年度札幌市
下水道事業会計決算認定の件
議案第8号 平成8年度札幌市
一般会計補正予算(第4号)
議案第9号 平成8年度札幌市
団地造成会計補正予算(第1号)
議案第10号 平成8年度札幌市
公債会計補正予算(第2号)
議案第11号 財産の処分の件議決変更の件(
工業団地用地)
議案第12号 札幌市税条例の一部を改正する条例案
議案第13号 札幌市
都市公園条例の一部を改正する条例案
議案第14号 札幌市
体育施設条例の一部を改正する条例案
議案第15号 札幌市
スポーツ交流施設条例案
議案第16号 札幌市
児童会館条例の一部を改正する条例案
議案第17号 財産の取得の件(
廃棄物埋立用地)
議案第18号 財産の取得の件(公園用地)
議案第19号
専決処分承認の件(札幌市職員等の旅費に関する条例及び札幌市墓地条例の一部改正)
議案第20号
専決処分承認の件(
札幌広域市町村圏振興協議会規約変更)
議案第21号
専決処分承認の件(札幌市石狩町
茨戸下水処理場管理組合規約変更)
議案第22号
専決処分承認の件(
石狩西部広域水道企業団規約変更)
議案第23号 市道の認定,変更及び廃止の件
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〇出席議員(68人)
議 長 柴 田 薫 心 君
副 議 長 澤 木 繁 成 君
議 員 高 橋 克 朋 君
議 員 勝 木 勇 人 君
議 員 鈴 木 健 雄 君
議 員 堀 川 素 人 君
議 員 新 山 やすし 君
議 員 大 嶋 薫 君
議 員 北 川 一 夫 君
議 員 小 野 正 美 君
議 員 本 郷 俊 史 君
議 員 高 橋 功 君
議 員 宮 川 潤 君
議 員 中 嶋 和 子 君
議 員 田 中 昭 男 君
議 員 松 浦 忠 君
議 員 横 山 光 之 君
議 員 馬 場 泰 年 君
議 員 宮 村 素 子 君
議 員 笹 出 昭 夫 君
議 員 佐々木 肇 君
議 員 三 上 洋 右 君
議 員 岩 木 みどり 君
議 員 畑 瀬 幸 二 君
議 員 大 西 利 夫 君
議 員 義 卜 雄 一 君
議 員 涌 井 国 夫 君
議 員 横 山 博 子 君
議 員 武 藤 光 惠 君
議 員 山 口 た か 君
議 員 上瀬戸 正 則 君
議 員 伊 藤 知 光 君
議 員 原 口 伸 一 君
議 員 千 葉 英 守 君
議 員 村 山 優 治 君
議 員 猪 熊 輝 夫 君
議 員 西 村 茂 樹 君
議 員 川口谷 正 君
議 員 小 田 信 孝 君
議 員 柿 崎 勲 君
議 員 生 駒 正 尚 君
議 員 佐々木 周 子 君
議 員 福 士 勝 君
議 員 宮 本 吉 人 君
議 員 武 市 憲 一 君
議 員 大 越 誠 幸 君
議 員 高 橋 忠 明 君
議 員 常 本 省 三 君
議 員 佐 藤 美智夫 君
議 員 加 藤 斉 君
議 員 富 田 新 一 君
議 員 丹 野 勝 君
議 員 本 舘 嘉 三 君
議 員 森 健 次 君
議 員 春 原 良 雄 君
議 員 荒 川 尚 次 君
議 員 飯 坂 宗 子 君
議 員 室 橋 一 郎 君
議 員 小 谷 俵 藏 君
議 員 山 田 信市郎 君
議 員 越 智 健 一 君
議 員 吉 野 晃 司 君
議 員 伊与部 敏 雄 君
議 員 湊 谷 隆 君
議 員 岡 本 修 造 君
議 員 常 見 寿 夫 君
議 員 高 橋 重 人 君
議 員 菅 井 盈 君
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〇欠席議員(1人)
議 員 道 見 重 信 君
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〇説明員
市長 桂 信 雄 君
助役 魚 住 昌 也 君
助役 田 中 良 明 君
助役 石 原 弘 之 君
収入役 伊 藤 忠 男 君
交通事業管理者交通局長 土 榮 勝 司 君
水道事業管理者水道局長 平 賀 岑 吾 君
総務局長 大 長 記 興 君
企画調整局長 井 原 貴 男 君
財政局長 米 田 耕一郎 君
市民局長 前 川 一 彦 君
民生局長 佐々木 利 幸 君
衛生局長 上 村 友 也 君
環境局長 平 田 匡 宏 君
経済局長 鈴 木 俊 雄 君
建設局長 瓜 田 一 郎 君
都市整備局長 広 畑 民 雄 君
下水道局長 松 見 紀 忠 君
建築局長 西 村 公 男 君
市立札幌病院長 中 西 昌 美 君
消防局長 吉 本 朗 生 君
教育委員会委員 山 藤 邦 雄 君
教育委員会教育長 千 葉 瑞 穂 君
選挙管理委員会委員長 長 岡 武 夫 君
選挙管理委員会委員 加 藤 隆 司 君
選挙管理委員会委員 宮 口 健太郎 君
選挙管理委員会委員 関 口 英 一 君
人事委員会委員長 山 岡 暸 君
人事委員会事務局長 大 門 隆 司 君
監査委員 谷 口 政 範 君
監査事務局長 稲 垣 豊 穂 君
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〇
事務局出席職員
事務局長 入 江 一 郎 君
事務局次長 植 田 英 次 君
総務課長 小 村 雅 彦 君
議事課長 土 屋 逞 君
調査係長 渡 辺 三 省 君
資料係長 高 橋 道 孝 君
議事係長 細 川 正 人 君
記録係長 前 野 保 雄 君
委員会一係長 山 本 祥 一 君
委員会二係長 常 野 正 浩 君
書記 佐 藤 比登利 君
書記 高 佐 三緒子 君
書記 尾 形 英 樹 君
書記 今 井 一 行 君
書記 山 本 扶 美 君
書記 松 田 寛 司 君
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〔午後1時開議〕
○議長(柴田薫心君) ただいまから,休会前に引き続き会議を開きます。
出席議員数は,65人であります。
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○議長(柴田薫心君) 本日の
会議録署名議員として武市憲一君,春原良雄君を指名します。
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○議長(柴田薫心君) ここで,事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(入江一郎君) 報告いたします。
道見重信議員は,所用のため本日の会議を欠席する旨,
高橋忠明議員は,所用のため遅参する旨,それぞれ届出がございました。
昨日,市長から,松浦 忠議員の文書質問4項目中3項目に対する答弁書が提出されましたので,その写しを各議員控室に配付いたしました。
本日の議事日程,請願・
陳情受理付託一覧表及び質問順序表は,お手元に配付いたしております。
以上でございます。
〔一覧表は巻末資料に掲載〕
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○議長(柴田薫心君) これより議事に入ります。
ここで,日程に追加いたしまして,議案第24号 平成8年度札幌市
一般会計補正予算(第3号)を議題といたします。
本件は,市長の提出によるものであります。
また,市長から,お手元に配付のとおり,議案第8号の訂正の申出がございます。
では,説明を求めます。桂市長。
(市長桂 信雄君登壇)
◎市長(桂信雄君) ただいま上程をされました議案第24号 平成8年度札幌市
一般会計補正予算につきまして,ご説明申し上げます。
これは,去る9月27日の衆議院の解散に伴い,来る10月20日に衆議院議員総選挙が執行されることになりましたので,その執行に必要な経費4億 4,000万円を追加するものであります。
また,これに伴い,既に提出をいたしております議案第8号 平成8年度札幌市
一般会計補正予算につきまして,計数整理等のため,所要の訂正を行わせていただきたいと存じます。
以上で,ただいま上程をされました案件の説明を終わります。よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。
○議長(柴田薫心君) それでは,議案の訂正についてお諮りします。
議案第8号の訂正については,これを承認することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(柴田薫心君) ご異議なしと認めます。よって,議案第8号の訂正については,これを承認することに決定されました。
これより,議案第24号に対する質疑に入りますが,通告がありませんので,質疑を終結します。
(大越誠幸君「議長」と呼び,発言の許可を求む)
○議長(柴田薫心君) 大越誠幸君。
◆大越誠幸君
委員会付託の動議を提出いたします。
すなわち,ただいま議題とされております議案第24号を
総務委員会に付託することを求める動議であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(柴田薫心君) ただいまの
大越議会運営委員長の動議に対し,所定の賛成者がありますので,本動議を直ちに問題とし,採決を行います。
動議のとおり決することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(柴田薫心君) ご異議なしと認めます。よって,議案第24号は
総務委員会に付託されました。
○議長(柴田薫心君) 次に,日程第1,議案第1号から第23号までの23件を一括議題といたします。
ただいまから代表質問に入ります。
通告がありますので,順次発言を許します。
上瀬戸正則君。
(
上瀬戸正則君登壇・拍手)
◆
上瀬戸正則君 私は,ただいまから,自由民主党を代表いたしまして,本議会に上程されました諸議案並びに市政の諸問題につきまして,提言を含めながら順次質問をさせていただきます。
初めに,財政問題についてお伺いをいたします。
まずその第1は,平成7年度決算についてであります。平成7年度は桂市政2期目のスタートの年であり,今回の決算は,市長が公約に掲げた北の
理想都市サッポロの実現に向け,その第一歩を踏み出された予算の執行の結果であります。
ここで,決算の内容を見ます前に,平成7年度予算がどのような状況の中で編成されたものかを振り返っておきたいと思います。
日本経済は,バブル崩壊後の景気低迷から,数次にわたる国の経済政策もあり,緩やかながら回復基調をたどりつつも,従前のような力強さはなく,依然として不透明感を払拭できるものとは申せませんでした。国の財政も,平成6年度末の公債残高が 200兆円を突破し,国債費が政策経費を圧迫するなど,構造的にもますます厳しさを増し,
一般会計予算の規模は70兆 971億円と,前年度予算に対し 2.9%の減少となったのであります。これは,NTT資金の繰り上げ償還の減少などによるものではありますけれども,予算の規模が前年度を下回るということは40年ぶりのことであり,極めて異例なものとなったのであります。
一方,地方財政はと申しますと,減税分を除いた通常収支において,過去最大の規模であった昭和54年度を上回る約4兆 2,600億円もの財源不足が見込まれ,これを
交付税特別会計の借入れや財源対策債の発行で補てんすることとしたものであります。平成7年度末の地方全体の借入金残高は 120兆円近いものになると見込まれたのであります。
このような極めて厳しい財政環境の中で編成されました本市の予算は,市長並びに市議選挙を控えていたため,当初は骨格予算として編成をされたのでございます。しかし,行政の継続性,事業の早期執行に配慮した積極的な予算計上がなされ,骨格予算とは言ってもかなり骨太の編成となったのであります。その後,市民の新たな負託にこたえた肉づけ予算をもって桂市政2期目のスタートの予算ができ上がったのであります。その総額は,全会計を合わせて約1兆 4,060億円となり,特に一般会計においては実質的に 6.2%の伸びを確保され,
地方財政計画や国の一般歳出の伸びを大きく上回るものとなり,住民要望や景気にも配慮した,まさに積極的な予算となったのであります。
そこで,予算の執行結果であります平成7年度決算の成果を私なりに見てまいりますと,阪神・淡路大震災の悲劇を教訓として,いち早く新たな
地域防災計画の策定に着手したのを初め,
耐震性貯水槽の整備,
応急救援備蓄物資の整備,さらには,被災状況の把握のためのいわゆる
高所監視カメラを設置するなど,市民生活の安全にも十分な配慮がなされたところであります。
また,札幌市
高齢者保健福祉計画の2年次目として,いわゆる在宅福祉3本柱を中心に事業の充実を図るなど,この計画の一層の推進に努め,さらに
身体障害者デイサービス事業や
精神薄弱者地域生活支援事業を新たに実施するなど,札幌市
障害者福祉計画や札幌市
地域福祉計画の初年度として着実なスタートを切ったのであります。
このほか,
環境基本条例の制定や,市民にも定着をしてまいりましたさっぽ
ろダイエット運動の継続などにより,ごみの減量と
リサイクル社会の構築がさらに推進をされたのであります。さらには,市内の事業所の9割以上を占めると言われます中小企業に対しましても,経営安定のための
金融対策資金貸付金を大幅に増額し,景気回復を側面からバックアップしたのを初め,人材育成の拠点施設の整備に向けた基本構想の策定など,その振興にも大いに意を用いられたところであります。
これらは,すべて市長が掲げる北の
理想都市サッポロの実現を図るための6本の施策の柱に沿って実施されたものであり,いずれも所期の目的を十分に達成をし,桂市政の新たな第一歩を画するものとして十分の成果を上げたものと,我が会派といたしましては高く評価をいたしているところでございます。
しかし,その一方で,歳入の大宗をなす市税について,収入率が91.9%と,前年度を 0.5ポイントも下回り,指定都市の中で最も低い収入率となり,財政状況の厳しい本市にとりましては,極めて大きな課題となってきていると思うのであります。
そこでお尋ねをいたしますが,今回認定に付されております平成7年度決算は,市長が2期目のスタートを切るものとして編成された予算の執行結果でありますが,市長自身,この決算をどのように評価をされておられるのか,まずお伺いをいたします。
また,市税収入率の向上策については,いろいろと苦心をされていることは十分承知をしておりますが,収入率91.9%というこの率について,市長はどのように受けとめられているのか。また,その改善にどう取り組もうとしているのか,お考えをあわせてお伺いをいたすものでございます。
次に,国の経済政策への対応につきましてお伺いをいたします。
経済企画庁の「
地域経済動向」によりますと,我が国の景気動向について,昨年来の「景気の回復基調に足踏みが見られる」この表現が,今年に入ってからは,「緩やかながら回復の動きを続けている」このような表現に変わってまいりまして,この9月の
月例経済報告でも,緩やかな回復が続いているとの判断が継続をされ,やっと本格的な回復に向かうものと期待をさせるものでありました。
私自身も,経済指標を見る限りは,景気が緩やかな回復基調にあるものとの認識をいたしておりますが,いまひとつ景気回復という言葉が実感としてわかないのであります。このようなことが,経済界を中心に景気対策としての
補正予算編成を求める声が強まっている理由ではないかと考えるのであります。
しかし,過日,国会が解散されましたことから,早期の補正予算の編成はなくなったわけでありますけれども,選挙後においては,今後の景気の動向にもよりますけれども,私は,何らかの対策がとられるのではないかと考えるのであります。
そこで,政府が景気対策のための経済対策をとられた場合に,本市としてどのような対応をなされるのか,財源面での見通しも含めてお伺いをいたしたいと思います。
次に,地方分権と行政改革についてお伺いをいたします。
平成5年の6月に,憲政史上初めて,地方分権の推進に関する決議が衆参両院において全会一致で可決をされたわけでありますし,昨年の5月には,5年間の時限立法で
地方分権推進法が制定されたのであります。この法律に基づいて設置された
地方分権推進委員会から,本年3月に中間報告がなされ,現在,具体的な検討が進められていることはご案内のとおりでございます。
この中間報告では,地方分権とは,
中央省庁主導の縦割りの
画一行政システムを住民主導の個性的で総合的な
行政システムに変更することであり,また,身の回りの課題に関する地域住民の自己決定権の拡充を意味すると述べられています。
私は,常々,それぞれの自治体がその地域の実情を反映しつつ,その自治体にとって本質的に重要と判断した行政課題については,自治体の自主的な判断を最大限尊重するシステムが保障されなければならない,このように考えております。自治とは,その地域にとって何が重要な問題であるかを,それぞれの自治体がみずからの責任において選択できる自由のことであります。そう考えますと,地方分権とは,ただ単に国から地方へ権限を移せばよいということではなく,地方自治の活性化を可能にするところに真の意義があるのではないかと思うのであります。
地域づくりや
暮らしづくりにかかわる身近な行政の仕事を,単に地域の行政機関にゆだねればいいというだけの意味ではなく,身近な行政の仕事が,地域住民の自主的な選択に基づき,より人間的かつ創造的に行政の中で展開され得るということが大切なのであります。まさに,その点においてこそ,21世紀に向かう我が国の政治・
行政システムのあり方を根本的に変える地方分権の意義があるのではないかと思うところであります。
しかし,地方分権が推進されれば自動的に市民の暮らしが向上するわけではありません。個性的で豊かな街づくりに結びつけるためには,自治体を挙げての自覚と準備が重要であります。地方分権の推進に伴い,自治体の街づくりについての自主性が強化をされることになりますが,その反面,個々の自治体の自覚や創意工夫,努力などを含めた行財政能力に応じて,自治体間にもろもろの格差が生じることになってくるわけであります。すなわち,街づくりの責任は,これまでと比較にならないほど自治体自身に強く求められることになるのであります。
本市としても,地方分権のこうした厳しい側面を十分に理解をした上で,みずからの責任によって政策を決定し,着実に行政を執行していく能力と体制を整備していく必要があるのであります。それが,今まさに求められている本市の行政改革なのではないかと私は思うのであります。
昨年11月に本市の
行政改革大綱が策定をされ,この大綱には,確かに地方分権を意識しながら,行政の総合化や効率化,市民との連携強化などのテーマが盛り込まれておりますが,具体的にはどのような検討が進められているのでありましょうか。高齢化,国際化,情報化,さらには少子化が進み,市民の
生活スタイルも多種多様になってきており,今までの行政のフレームを超えた課題が次々と生まれてきているのであります。
このような社会状況の中で地方分権が実現されるとすれば,より総合的・長期的な
政策ビジョンと戦略的に政策運営を行う
都市経営手腕が何よりも求められるのであります。このためには,市長の政策決定,調整,そして政策執行など,
トップマネジメントを補佐する機能を一層強化すること,すなわち
政策形成システムそのものを再構築する必要がありますし,さらには,総合的・横断的な
行政テーマに対しまして,現在の縦割り組織の枠組みを超えた対応が必要となってくるわけでありますし,機構・組織の再編でもこのことが配慮されなければならないと考えるものであります。
また,市民との連携を基調とした行政を進めるために,どのような取り組みを行う考えなのでしょうか。
今後の行政にとって重要課題と言われる福祉,街づくりなどの分野では,市民の積極的な協力を得ることが不可欠となります。しかし,都市の規模が大きくなればなるほど,市民と行政の距離は離れていきます。それだけに,大都市においては,市民と行政とを結びつけるより小さな行政単位と申しますか,区役所の役割が重要になってくると思うのであります。住民の身近な問題に対して,迅速かつきめ細かに対応できるような,そしてまた,区の総合行政を一層推進できるようなシステムの構築を目指した区役所の改革,機能強化が必要ではないかと考えるのであります。
来年の11月には清田区が誕生いたすわけでありますが,ただ単に豊平区を分けるというのではなく,これを契機として,新たな役割を担った10の区を創造するというくらいの意気込みが必要ではないでしょうか。今こそ,地域行政の核となる区役所の組織を大胆に再編すべきではないかと思うのであります。
そのほかにも,行政改革には実施すべき課題がたくさんあります。事務事業の民間委託の推進,出資団体の統廃合とその活性化,事業の抜本的な見直しなど,かねてから我が会派では具体的な提言も行いながら指摘をしてきたところでございます。
以上,幾つかの提言を含めまして私の考えを述べてまいりましたが,これらを含めて,以下2点について質問をいたします。
まず第1点は,地方分権についてであります。
地方分権は,これだけ大きな課題であるにもかかわらず,一方では,しょせん役所間の権限争いで市民生活には直接関係がない,単に国から地方への権限の移しかえにすぎない,こういった声も聞かれないわけではございません。このような状況を踏まえて,地方分権に対する市長の基本的な考え方を伺いたいのでございます。
2点目は,地方分権時代に向けた本市の行政改革の取り組みであります。
分権に備えて,行政改革ではどのような取り組みを進めておられるのか。とりわけ,本市の組織についての課題を市長はどのようにとらえているのでしょうか。具体的な組織改革の方向性も含めて,市長のご所見を伺いたいのであります。
次に,市営企業の運営のあり方についてお伺いをいたします。
現在,市営企業のうち,交通,水道,下水道の各事業につきましては,第12次札幌市営企業調査審議会が開催をされて,市長の諮問により,その運営管理の方策等を審議しているところでございます。この審議会の答申を受けて,今後の3事業の運営管理についての市長としての考えをまとめられるものと理解はいたしておりますので,具体的なことにつきましては,しかるべき機会に,慎重に検討させていただきたいと考えておりますが,市営企業の運営についての基本的な考え方について,数点お伺いをいたします。
市営企業は,利用者からの料金収入を基本として運営されておりますから,我が国の経済システムのもとでは,一定期間ごとの料金改定は避けられないものと考えております。重要なのは,料金の決定において独立採算の趣旨が十分に生かされているかどうかということであります。
市営企業が法で独立採算を義務づけられている理由は,利用する者としない者との負担の均衡を図るということもありますが,経理を自主独立化することによって損益の明確化を図り,市営企業の自主的な責任を明らかにして事業意欲を高めようとするものであり,またあわせて,創意工夫を喚起して,事業の合理的・能率的な運営を促進させようとする目的もあり,この点を十分に認識をする必要があります。
つまり,市長部局の一般公共事務などに比べ,より民営企業に近いことから,民営企業と同様に経済性を発揮することが求められているものでありますし,そうした経済性が十分に発揮されて,初めて適正な料金が設定できるものであります。いやしくも,効率化・合理化の不徹底により赤字となった分,また赤字が予測される分を安易に市民の負担する料金に求めることは,決して許されるものではないと思うのは当然であります。
こうした考え方に立ちまして,以下,交通事業,水道事業,下水道事業の各事業についてお伺いをいたします。
初めに,交通事業について3点お伺いいたします。
ご承知のとおり,交通事業は,平成4年度から経営健全化に取り組んでいるところでありますが,これまで,需要の伸び悩みや昨年度の料金改定見送りにより収入が当初見込みを下回っているにもかかわらず,目標以上に累積欠損金の縮小が図られておりますことは,計画を上回る人員削減などの内部効率化を初めとする支出の切り詰めに努力してきた結果であると評価をいたしているところでございます。
今後も,常に効率化や経費削減の意識を持って健全化に向けて努力をしていただきたいと思いますけれども,交通事業の収入の基本は,言うまでもなく,利用者に負担をしていただく料金であります。したがって,健全化を円滑に推進していくためには,需要をいかに確保するかということが最重要課題であると考えるわけであります。
交通事業の需要喚起策については,これまで,市全体でさまざまな施策を講じてきていることは承知をしておりますし,また,直ちに効果の出るような需要喚起策を見出すことはなかなか難しいことも理解はしておりますが,例えば,市電のループ化とあわせた都心部のショッピングモール化といったような,市民が憩える快適な都市空間を創出する,そうした交通施設と街づくりが一体となった施設をふやしていくことが,長期的には公共交通機関の地位を高めることになるのではないかと考えるものであります。
そこで,質問の第1点でありますが,マイカーの増加や週休2日制の進展,あるいは市民の生活様式の多様化や価値観の変化など,交通を取り巻く環境が大きく変化をしている中で,今後どのような需要喚起策の展開を考えておられるのか,お聞かせをいただきたいと思うのであります。
2点目でありますが,健全化計画では,遊休地や施設の空きスペースなどを積極的に有効活用していくという取り組みをしております。これまでにも,バブル経済崩壊に伴う地価の下落や民間設備投資意欲の減退といった不動産を取り巻く経済環境が大変厳しい中にあって,土地活用の面においては,麻生バスターミナル用地や地下鉄の工事建設事務所跡地などへ民間活力を導入したり,また,白石バスターミナル内の店舗設置や本局庁舎フロアを民間企業の事務所スペースとして貸し出すなど,積極的に取り組んできたことは承知をしているところであります。
こうした努力の結果,平成8年度収入予定額を含めた健全化後の累積増収額は10億円を超え,健全化計画を1億円ほど上回ることがほぼ確実であるとのことであります。特に,これらの収入は,活用後,長期間にわたって安定的・継続的収益として期待されると同時に,その大半が純益として交通事業の健全化に貢献するものでありますので,今後とも積極的に取り組むべき課題であると考えるのであります。
そこで,今後活用可能な資産の内容とあわせて活用の方法についても,具体的にお聞かせをいただきたいのであります。
3点目は,バス事業についてでありますが,健全化計画では,市営バス事業の累積欠損金を平成13年度までに解消するとしておりましたが,平成4年度の料金改定による増収と計画を上回る経費削減などにより,平成5年度には累積欠損金を解消いたしたところでございます。しかしながら,平成6年度から経常収支は再び悪化をし,平成7年度決算では約4億 5,000万の赤字となっております。さらには,平成8年度には9億円を超える赤字が見込まれているところでございます。
こうした状況を部門別で見てみますと,観光貸し切り事業は,健全化計画をスタートした平成4年度以降,経常収支は一度も黒字に転じたことがなく,平成7年度の赤字は約1億 6,000万円,市営バス事業全体の赤字の約35%を占めるに至っております。また,現在,観光バス事業を営んでいる民間事業者も多く,事業者間のサービス競争も激しいことから,今後,ますます観光貸し切り事業の経営は厳しくなると思われるのであります。
観光貸し切り事業は,市民の日常生活にとって不可欠な事業ではなく,毎年赤字の状況で,市営バス事業の経営を圧迫していることを考えますと,もうそろそろ廃止すべき時期に来ているのではないかと考えるのでありますが,そのお考えについてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
次に,水道事業についてお伺いをいたします。
長引く景気低迷が給水収益にも影響しておりますし,水道の財政運営も今後相当な困難が予測されるところであります。このような中において,水道局では,事業の効率化・減量化の方策として,主に現場部門について民間委託化を進めており,将来的には3分の1に近い職員を削減するという,いまだかつてない大改革とも言える長期的な合理化計画を3年前に策定をされておりますし,この計画に基づく経営の効率化を年々着実に実行に移されているわけでありまして,高い評価をいたすものでございます。
しかし,バブル経済崩壊以降,民間企業においては,生き残りをかけて血のにじむようなリストラを断行している中にあって,水道事業においても,将来の世代にツケを残すことのないよう,さらなる経営の効率化に向け真剣な努力を積み重ねることが,市民の期待にこたえる道であると確信をいたしているところでございます。
そこで,質問の1点目でありますが,将来に向けた事業の推進,また市民負担の議論の前提となります今後の経営の効率化の問題について,水道局としての取り組み方針についてお伺いをいたしたいと思うのであります。
次に,水道事業は,経営面のほか,全国的に頻発をしております渇水,また,さきの阪神・淡路大震災における断水などの実態を考慮しますと,今さらながら,ライフラインとしての水道の役割の重大さが再認識されているところでございます。このため,災害に強い水道の早期実現への要望も市民の間に一層高まっているのであります。
また,同様に,これまで本市の水道を担ってきた基幹施設の老朽化が進んでおりますことから,安全で安定した給水の確保のために,水道システム機能の維持・向上が必要とされるところであり,さらには,市民の理解と協力のもとに水道事業を運営していくためには,市民サービスの充実が強く望まれるのであります。
我が党といたしましては,21世紀を展望したとき,効率的経営を確保すると,こういうことを前提としながら,将来にわたり水道の使命を果たし,子孫にこれを継承していくためには,市民にとって必要な事業は,ぜひ積極的に推進していただきたいと考えるところであります。
そこで,質問の2点目といたしまして,災害に強い水道の実現と水道システム機能の維持・向上にかかわる施策につきまして,既に,災害時の飲料水確保を目的とした緊急貯水槽の整備など,さまざまな施策に取り組まれていることは承知をしておりますが,将来にわたって安全で安定した給水を確保する上で,これらの視点は極めて重要であると考えております。今後,具体的にどのような施策に取り組まれていかれるのか,お尋ねをいたします。
質問の第3点でございますが,水道の恩恵が広く行き渡った今日においては,高普及時代にふさわしい市民サービスの充実が求められております。このことは,私の経験から申し上げますと,使用者の側に立って,多様な要望を把握し,きめ細かくこれにこたえていくことではないかと思うのであり,その意味では,例えば,現在実施をしております訪問サービスは,市民ニーズによくこたえ,その成果を上げているものと評価をしているところであります。
そこで,このような市民サービスに直結する事業を今後ともさらに積極的に展開すべきと考えますが,いかがでありましょうか。
次に,下水道事業についてお伺いをいたします。
本市の下水道事業は,大正15年に始動して以来,70年間に飛躍的に進展し,平成7年度末において管渠の延長が 7,348キロメートル,ポンプ場17ヵ所,処理場9ヵ所を有する,98.6%と全国でも有数の高普及率を達成をしております。これも,ひとえに関係者の皆様方の深い理解と,これまで事業に携わってこられた先輩諸氏の努力のたまものと深く敬意を表するところであります。
そこで,現在の財政計画がこの8年度で終了することに加え,都市アメニティーの向上や雪対策など,生活環境の面からも新たな役割を果たす必要があることや,安定的で,かつ質の高いサービスを提供するためには,長期的視点に立った財政計画の見直しが必要であると考え,市長は,先般,交通,水道とともに,下水道事業の今後の展開と健全な運営管理の方策について審議会に諮問をしているところであります。この審議会において,新たな下水道5ヵ年事業の位置づけや維持管理体制のあり方,さらに,これら事業の進展に伴う下水道財政問題など,活発な論議が展開されていると推測をいたすわけであります。
その結果,市民に応分の負担をしていただく,いわゆる料金改定を行う場合においても,我が党が常日ごろ申し上げているように,時代の流れに応じた事業の根本的な見直し,また事務事業の委託化の推進,さらには第三セクターの統廃合やその活性化の問題など,企業内努力を推し進める必要があると考えております。
したがいまして,下水道普及率が99%に達しようとしている現段階においては,事業としてはかなりの程度成熟をしてきており,建設の時代から維持管理の時代へと移行する大きな転換期と考え,今後においては,人件費を初めとする経費の節減による,いわゆるランニングコストの低減,さらには建設費の抑制が重要な課題と認識をしていますが,事務事業の効率化の基本的な考え方,さらに,この機会を契機に,下水道事業全体の事務事業の総点検を行い,事業の効率化・減量化に努めるべきと考えられますが,市長の見解をお伺いをいたします。
2点目といたしまして,特に,職員給与費であります人件費の問題でありますが,先ほどから申しておりますように,交通事業では,経営健全化計画において 880人の人員削減計画を立てて実施をしているところでございますし,また,水道事業においても,業務改善計画の中で技能職員を全廃するといった大胆な削減計画を立て,実施をしているわけであります。同じ公営企業であります下水道事業においても,今後どのように取り組みを行おうとしているのか,市長のご所見をお伺いいたします。
次に,雪対策についてお伺いをいたします。
本市の除雪体制は,市民・行政・除雪業者が一体となって,地域に密着したきめ細かな除排雪作業を総合的かつ効率的に実施をする,いわゆるマルチゾーン除雪や,メッシュ単位での気象状況,精度の高い降雪予報を可能とした降雪情報システムなど,他都市に類を見ない体制をしいていることは周知の事実でありますし,私も,国内はもとより世界的にも誇れるものと自負をしているところであります。
しかしながら,平成7年度は観測史上最大の豪雪となり,特に本年1月8日から9日にかけましては,これまで経験したことのないような猛吹雪に見舞われ,バスや市電など市内の公共交通機関が,一時的ではありますが,全面運休するという異常事態となり,市民生活が大きく混乱をいたしたことは記憶に新しいところであります。万全と思われた本市の除雪体制も,この自然の猛威の前には,まだまだ改善をすべき点があることを改めて認識させられることになったのであります。
こうした豪雪の経験を踏まえ,改めるべき部分は改めるという観点から,緊急時に備えた検討を進めていると聞いておりますが,今冬においても昨冬同様の豪雪の可能性がある以上,一層この検討に努め, 170万札幌市民の生活を守るため,万全の準備体制を強く望んでおきたいと思うのであります。
さて,この自然の猛威は,除雪費に如実にあらわれる結果となっているのであります。すなわち,平成7年の除雪費は,当初の約93億円に対し,約 1.7倍の 160億円にも及ぶ経費を要し,その財源確保に大変苦労されたと伺っております。
しかしながら,こうした除雪費の財源確保の苦労は,何も豪雪時に限ったものではないのであります。本市の雪対策の総合指針であります雪さっぽろ21計画の推進には,多大な財政負担を伴うことは容易に推測をされるのであります。この計画の柱であります除雪水準のレベルアップ,雪対策施設の整備,パートナーシップ制度の確立,これらいずれの事業についても,年々予算を上積みしているにもかかわらず,市民要望が,昨年度まで18年間,依然として第1位という結果を招いているのであります。
そこで私は,このような状況を踏まえ,行政も市民も従来からの発想を転換していく必要があるという観点から,以下の3点について質問をしたいのであります。
まず第1点目は,雪対策に関する役割分担の明確化についてであります。
先ほども申しましたとおり,18年もの長い間,連続して市民要望が第1位であるということは,ひとえに行政サービスと市民ニーズの乖離,すなわち,サービスを提供する側とそれを享受する側の認識の差に起因をしているのではないかと考えるのであります。これを解消するためには,行政は限られた財源の中で市民ニーズの実現により一層努力をすることは当然でありますが,これに対する市民や企業は,従来からの行政にのみ依存をする考え方を改める必要があるのではないでしょうか。
すなわち,雪対策に当たって,市民・行政・企業のそれぞれの役割を明確にし,自助努力を行い,連携をすべき時期が到来をしていると思うのであります。我慢すべきことは我慢をし,本当に必要と思われるところにお金をかけていくことが,長い目で見れば,本市にとっても最良のことではないかと思うからであります。
例えば,行政が中心となって子供からお年寄りに至るまでの幅広い年代の方々による市民フォーラムを開いたり,また,産・学・官による専門的な討論の場を設けるなど,あらゆる機会を通じて役割分担を明確にすべきであると考えるのでありますが,市長のお考えをお聞かせ願いたいのであります。
第2点目でありますが,私は,雪対策について,今までの,雪を処理するという効率一辺倒の解決だけではなく,冬になれば雪が降ってくるのは当たり前のことではありますけれども,雪は私たちのすぐ身近にあるものなのだ,こうとらえた上で,車には寒冷地仕様車がありますように,冬を前提にした街づくり,言うならば,寒冷地仕様の街づくりをしていくことが重要であると考えるのであります。
ここで私の考える寒冷地仕様とは,さまざまな技術で雪を処理するというだけではなく,例えば,雪景色を都市景観の一部として取り込んだり,また雪を冷熱源として利用するなどの親雪・利雪型の発想を取り込む,こういったことを意味しているわけであります。
雪さっぽろ21計画に基づき,未来に残る社会資本として,流雪溝,そして融雪槽,坂道ヒーティング整備など,雪国向けの道路整備を推進しておりますし,このことについては高く評価をいたしているものでありますが,これをさらに進めて考え,一般の公共施設や都市施設に寒冷地仕様を施すべきと考えるのであります。
本市が北に位置する都市である以上,雪や寒さの障害をすべて取り除くということはできないわけでありますし,仮にそれができたとしても,そのためには莫大な社会投資を要するとともに,市内で処理できる雪の量にもおのずと限界があることは十分想像がつくわけですから,行政が先頭に立って寒冷地仕様を提唱し,さまざまな雪対策をリードしていくことが,ひいては除雪費の軽減につながり,結果として市民負担の軽減をもたらすのではないかと考えるのであります。
一方,市民は,行政が推進する街づくりに,信頼と合意に基づくパートナーシップ型の雪対策に参加する,個々人においても,雪対策を考慮した住宅や公共交通機関の利用促進など,身近な寒冷地仕様の生活を心がける,こういったことこそが北の
理想都市サッポロ発の仕様,暮らし方なのではないかと考えるのであります。
そこで私は,将来にわたって札幌にふさわしい寒冷地仕様の街づくりをより一層推進する必要があると考えるのでありますが,市長はどのようにお考えか,お聞かせを願いたいのであります。
最後に,3点目でありますが,雪対策にかかわる財源確保についてであります。
今後,行政,市民などの役割分担を明確にし,また,寒冷地仕様の街づくりを推進するなど,質の高い雪対策を進めるにいたしましても,その財源を確保することは,現状においても非常に困難なことであります。私は,今日まで,関係機関のご協力や事務当局の苦労によって,流雪溝や融雪槽,そして坂道ヒーティングなどの雪対策施設の整備費,また除雪費などが年々拡充してきていることは十分評価をしているところであります。
しかしながら,雪さっぽろ21計画の推進により,今後ますます増加が見込まれる雪対策費を考えますと,昨今の財政状況の中,自治体のみの努力では相当な困難が伴うのではないかと考えるのであります。
そこで,国の支援を切に要望するのでありますが,雪対策にかかわる補助事業の現状を見てみますと,例えば除雪費に投入されております国費は,その対象道路となっておりますのが,市内のいわゆる道道また主要市道に限定をされておりまして,一般市道についてはその対象外となっていると。また,予算対比で見ましても,約 5.2%,金額にいたしますと,その年度によっても違いますけれども,5億円程度,約 100億円かかっている除雪費のうち5億円程度しか国の補助をいただいていないのが実態であります。また,雪堆積場にいたしましても,専用施設として土地を取得しようとした場合,補助対象項目にならないのが実情であります。
私は,これらのことから,雪対策の財源確保の方策として,その補助対象枠の拡大,また補助対象項目の弾力的な運用について,強く国に要望をしていく必要があると考えるのでありますが,市長のお考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に,ごみ問題,特に大型ごみの収集体制についてお伺いをいたします。
ごみの問題は,今日,埋立地の逼迫を主たる要因とする処理コストの増加,さらには地球環境保全,自然保護の視点からリサイクルが強く叫ばれるなど,全国的にも非常に大きな関心が寄せられている問題であります。
国においては,ご承知のように,平成8年度を初年度とする第8次廃棄物処理施設整備計画において,
リサイクル社会への転換を明確に位置づけた上で,7次計画の1.78倍の,金額にいたしますと5兆 500億円の大事業を予定をしており,他の公共事業費の伸びを大きく上回るこの措置を見ましても,ごみ問題の重大性,緊急性が明らかであると申せましょう。
桂市長は,就任当初からごみ問題には極めて意欲的で,市民1人当たり 100グラムからのごみ減量を提唱する一方,本年を初年度とする第3次5年計画の中でも積極的に新規の事業を盛り込むなど,その前向きな姿勢にまずもって敬意を表したいと思いますし,また,この5年計画事業に位置づけられております各事業のうち,日常的な市民生活に最も関連の深い事業として,平成9年4月に施行される容器包装リサイクル法に対応する瓶・缶・ペットボトルなどの資源物の全市収集については,平成10年度中の実施に向けて,既に資源選別施設の整備に着手するなど準備が進められているわけでありますが,大型ごみの収集体制の整備については,今年度を検討期間として実施方針の整理を行っていくと伺っております。
そこで,この大型ごみの今後の取扱いについて,市長の所見を順次伺ってまいりたいと存じます。
平成7年の3月に出されました札幌市廃棄物減量等推進審議会の答申によりますと,この大型ごみについては,現行のステーション方式の短所として,安易な排出機運を助長すること,また危険物・排出禁止物に対する指導の限界性,また事業系大型ごみの便乗排出の実態など,種々の問題があり,抜本的見直しが必要と指摘をした上で,他の大都市が採用して大きなごみ減量効果をもたらしている,いわゆる戸別収集方式への移行を検討すべきとしております。
さらに,戸別収集方式の移行検討に際しては,ステーションへの排出労力の解消による市民サービスの向上,適正処理困難指定廃棄物の業界による有料回収との整合性の確保,多量排出者と少量排出者の公平性確保の観点から,一定の市民負担の導入を検討すべき時期に来ているとし,その検討に際しては,幅広く市民の意見を求め,市民コンセンサスの形成を前提として進めることとしているのであります。
この大型ごみの戸別収集については,13大都市では,北九州,大阪,京都,横浜,川崎,千葉の各市,そして東京都が既に実施をしており,特に,近年,戸別収集に移行した北九州市,横浜市,千葉市のデータでは50%を超える大型ごみの減量が達成され,非常に大きな成果をおさめております。また,北九州,東京都では既に有料による収集を実施をし,千葉市,横浜市も近く有料制への移行を決定済みでもございますし,福岡,京都の両市でも検討が進められているやにお聞きをしているところでございます。
これらのことから,少なくとも戸別に収集することについては,事業系大型ごみの排除等による減量効果が明らかでありますことから,ぜひとも早期に実施すべきものと考えるのであります。
さて,この場合の大きな課題は,同時に有料制に踏み切るかどうかであります。これらの問題についての市民の意向を確認するために行った本年度の第1回市政モニター調査の結果によりますと,どのような条件でも有料制に反対であるという市民はわずか8%で,大多数の市民が,ごみ問題の現状にかんがみ,大型ごみの戸別有料収集に理解を示していることが明かとなったわけであります。
そこで私は,大きな減量効果が明らかであり,モニター調査の結果から,市民のコンセンサスも十分得られたと考えられる大型ごみの戸別有料収集については,英断をもって速やかに実施すべきとの立場から,次の3点について市長の見解をいただきたいと存じます。
第1点目は,市長は,今回の市政モニター調査の結果をどのように受けとめ,戸別有料収集の実施の時期をいつごろとお考えなのか,明確にお答えをいただきたいのであります。
2点目は,実施する場合における基本的な考え方であります。
調査結果を詳細に分析をいたしますと,札幌市民は,戸別有料収集については理解をするとしつつも,その実施に当たっては,不法投棄ごみへの対策や大型ごみのリサイクルシステムの確立,さらには,料金の設定に当たっては過大な負担とならないことなどの意向が読み取れるのであります。特に,料金については,社会的弱者への配慮を含めた検討が必要と存じますが,これらの点についていかがお考えなのか,お伺いをいたします。
3点目は,フロン回収の実施についてであります。
戸別収集は,あらかじめ収集の申込みを行う方式となるわけでありますから,これまでのステーション収集と異なり,事前に排出品を掌握できることになりますので,これまで手つかずであった市の収集によるフロン回収の取り組みも容易になると思われるのであります。フロンによるオゾン層の破壊が叫ばれて久しいわけでありますが,新聞報道によりますと,米航空宇宙局といいますか,NASAの情報によりますと,南極上空でオゾン濃度の減少域が円状に広がるオゾンホールが,この9月上旬に過去最大の大きさに発達しているというようなニュースが流されております。
この憂慮すべき事態に当たり,今を生きる者の務めとして,札幌市も,大型ごみの戸別収集の開始にあわせて,ぜひとも家庭から排出される冷蔵庫等のフロン回収システムを整備すべきと考えます。市長の前進的なご答弁をいただきたいと存じます。
次に,私学振興についてお伺いをいたします。
出生数の減少に伴って全国的に少子化傾向がかなりのペースで進んでおり,本市におきましても,昭和48年をピークに出生率は低下傾向を続けております。このようなことから,毎年実施をしております学校基本調査におきましても,小学校では昭和58年度をピークに,また中学校では昭和62年度をピークに子供の数が減少に転じており,現在も減り続けていることはご承知のとおりであります。
私は,高齢化の問題も大変大きな重要な問題であると思っておりますが,国の将来や活力ということを考えますと,この少子化の問題は,さらに重大な事項であると思っております。人口の自然増を図るといった人口政策については,国全体の施策によらなければなりませんが,私たちとしては,今いる子供たち,そしてまた,これから生まれてくる子供たちが豊かな人間性をはぐくみ,たくましく成長していけるよう努力をしていかなければならないと思うのであります。
また,今日の生涯学習社会の中で,より質の高い生き方を追求していくためには,やはり幼児期からその基礎をしっかりと培うことが大切であると考えるものであります。本市におきましても,幼稚園教育振興計画や子育て支援計画など,他の都市に先駆けて,幼児教育なり保育なり,子供たちの教育や福祉の向上のために努力をされておりますことは評価をしているところであります。
ただ,私は,この場合,どの子供たちも同じように処遇されるといいましょうか,行政としては,公立の施設であろうと私立の施設であろうと,入っている子供たちに基本的に差が生じないような配慮をすべきであろうと常々考えている一人であります。
もう少し具体的に申し上げますと,ことしの5月現在で,幼稚園は,市立が17園で園児数 235人に対しまして,私立は 136園の園児数2万 7,358人となっております。実に,私立は全幼稚園児数の93%も占めている現状にあるわけであります。また,同じく,高等学校の場合でも,全日制で見ますと,公立が35校の生徒数が4万8人に対し,私立が20校の2万 413人と,生徒全体の約33.8%を占めておるわけでありまして,本市の場合,いずれも私学が果たしている役割は大変重要であると考えるのであります。
単純な経費比較はできないとは思いますけれども,幼稚園の場合,保護者の負担は,年間で見ますと公私格差が3倍以上ありますし,市費の充当額では,私学助成金は園児1人当たりに換算いたしまして約4万円に対し,市立では60万も70万もかかっているやに伺っております。また,私立高校では,毎年生徒1人当たり1万円の助成を要望しておりますが,現在のところ,その半分程度しか助成されていないのが現状であります。
本市において,私学が果たすこの大きなウエートに比較して,私学助成の現実は,いまだ不十分と言わざるを得ないのであります。
私は,ここで,これら幼稚園や私立の中学校,高等学校に対し,いわゆる私学助成あるいは私学振興について,市長はどのような考えを持っておられるのか,また,今後どのように対応されようとしているのか,前向きな答弁を願うものであります。
最後になりますが,旧国鉄東札幌駅跡地周辺地区の開発整備計画についてお尋ねをいたします。
私も,与えられた時間が60分でありまして,もう残りが約8分ほどでございますので,前置きはちょっと抜きにいたしまして,端的に,これから整備をしようとしていることについて,数点,市長の考え方をお聞きをしてまいりたいと,このように考えます。
ご案内のように,この東札幌駅跡地というのは,面積15.3ヘクタール,また,都心部から3キロ圏という非常に立地に恵まれた広大な土地でありますし,私自身も,過去2回の代表質問において,この地の早期整備について市長に訴えてまいりました。また,ご案内のように,さきの議会で,この用地については平成9年度中に国鉄清算事業団から取得をすると,また,事業の整備手法については区画整理事業でその整備をしていきたいと,こういったことが既に発表をされております。
しかし,私は,ここで,きょうは多くの白石区民も傍聴をしておりますが,私と同じような思いで,この地については1日も早く整備を進めてもらいたいと,こういった方々が多くお集まりでございますし,もちろん私もその一人でございます。
そこで,具体的に,数点,市長の考え方をお答えをいただきたいと思うのであります。
まず,その第1点は,旧東札幌駅跡地の取得についてであります。
ただいま申し上げましたように,平成9年度までに,市が先行取得の方向を明かにしておりますが,その後の交渉経過といいますか,事業団との交渉を踏まえた現在の見通しはどのようになっているか,まずそれをお伺いをいたします。
また,清算事業団用地としては,この駅跡地のみならず,国道12号から北側にも線路跡地として,幾ばくかの用地が未活用のまま残されております。先ほどから申し上げておりますように,私は,この開発に当たっては,駅跡地のみならず,周辺地区も含めた大きな視点で取り組む必要があるものと,そう考えております。もちろん,これほどの大規模開発でありますので,現実的には,ある程度長期的なスパンで段階的に着手していかなければならない面はあろうとは存じますけれども,しかしながら,街づくりの視点としては,常に将来を見越して計画的に進めていくことが肝要であり,このような観点から,それら用地,すなわち国道12号の北側についても,市としてどんなふうに考えられておるのか,あわせてお答えをいただきたいのであります。
2点目は,事業手法として,いわゆるリーディング・プロジェクト制度ということでございます。開発整備に当たっては,市で,自治省が定めておりますこのリーディング・プロジェクト制度を活用する方向で検討を進めておりますが,先般,国から正式に指定を受けたと聞いております。計画の早期実現,具体化を望む私どもといたしましては,この知らせに大いに期待を膨らませているところでございます。
ただ,私の記憶では,これまでに本市で行われてきた地域開発事業に関して,この制度が適用されたという事例は承知をいたしておりません。この地区の開発整備計画の内容と,このリーディング・プロジェクトという制度が具体的にどのようなかかわりを持ってくるのか,その制度の概要,特徴,さらには,今回この制度をあえて活用することとなった理由などについてもお聞かせをいただきたいのであります。
第3点は,道路,公園等のいわゆる基盤整備についてであります。
この地周辺は,貨物駅廃止以来,駅跡地のために地域が分断をされている状況の早期解決を地元としても最も強く望んでいることでありまして,したがって,東西間のアクセスを確保するため,地区内道路の早期整備がまず第一に必要と感じております。また,この隣接地区には,まとまった空き地や緑地が不足しておりますことから,都市緑化や防災拠点の整備の観点からも,地区公園規模の公園をぜひ早期に確保していただきたいと考えるものであります。
さらに,大規模幹線自転車道路,いわゆるサイクリングロードにつきましても,この開発と一体的に整備をすることにより,北広島市との連続化が図られるわけでありますし,地域交流がより一層推進をされるものと期待をされるわけであります。
これら基盤の整備については,東札幌駅跡地15.3ヘクタールを中心とした周辺21ヘクタールを,札幌市施行の区画整理事業により実施するということについては先ほども申し上げましたが,今後の区画整理事業のスケジュールについてもお伺いをいたしたいと思います。
さらに,地元としても,地域東西間の連絡道路,公園等の早期着手を強く望んでおり,この事業の中で調整が可能かどうかもあわせてお伺いをしたいのであります。
質問の4点目は,土地利用の考え方と課題等についてであります。
土地利用構想では,国道12号側に,公共施設及び公園を一体的に配備した公共ゾーンを,そしてまた,南側であります南郷通側には,商業施設と一体的なにぎわいと魅力ある業態の集積をねらう商業ゾーンを考えていると聞いております。
しかしながら,国道12号側には,倉庫群,業務ビル,一般住宅,さらにはオイルタンク等が立地をしており,また,南側についても,業務活動を行っている地権者が複数いるわけでありますが,現在,構想されております土地利用計画と整合性を図るためには,場合によっては,これらの施設の移転も必要となってくると思われるのでありますが,どのように対応されるお考えなのか,お聞かせをいただきたいと存じます。
また,商業ゾーンにつきましても,公共施設と同時期に開設されることが望ましいと思われますが,このためには,積極的に民間による再開発事業の誘導を図る必要があると考えるのでありますが,商業施設の誘致についてどのように考えているのか,あわせてお伺いをいたしたいと思います。
5点目は,交通処理についてであります。
公共施設や商業施設が新設をされますと,週末やイベント開催時には多量の交通が発生すると予測をされるところであります。地域住民といたしましては,交通渋滞による住環境の悪化が懸念されるところであります。私は,地下鉄の需要喚起という面からも,この立地条件を生かして公共交通機関での誘導を図るべきと考えるのであります。
そこで,施設配置による交通処理についてどのように考えておられるのか,具体的にお聞かせをいただきたいのであります。
質問の第6点目は,国道12号の平面化の可能性についてであります。
この地域が隣接いたします菊水地区,東札幌地区,白石中央地区では,駅跡地や国道12号の跨線橋により地域が分断をされ,交通に不便を来していることから,平面化の要望が出ているところでもございます。
しかし,一方,跨線橋を現状のまま残して,旧線路跡を自転車道路といいますか,サイクリングロードとして整備をして,自転車や歩行者の交通の便を図るべきでないか,こういった意見もあるわけでございます。
そこでお伺いをいたしますが,国道12号の平面化について市長はどのように考えておられるのか,お聞かせをいただきたいのであります。
最後に,これら計画実施に向けた市内部の取り組み体制についてお伺いをいたします。
これまで種々述べてまいりましたように,東札幌駅跡地の開発整備は,札幌市全体の街づくりの拠点として,大きな構想のもとに進められようとしております。今後,これら事業の推進に当たってのさまざまな課題に対処し,開発整備構想から計画実施に向けて街づくりを進めるためにどのような取り組みを考えておられるのか,具体的にお尋ねをいたしたいと存じます。
以上で質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(柴田薫心君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) まず,私から数点についてお答えをいたします。
最初は,財政問題についてであります。
まず,第1点目の平成7年度決算の評価についてでありますが,平成7年度は,景気低迷の影響などによりまして,市税においては2年連続して予算額を下回ったほか,4年連続して減収補てん債の発行を余儀なくされるなど,依然として厳しい財政状況でありました。
しかしながら,そのような状況にありましても,将来を見据えた街づくりを着実に進めていく必要があり,また,防災対策や景気対策にも配慮しながら,市民の方々が安心して暮らしていくための施策に積極的に取り組んだところであります。
この結果,平成7年度予算に盛り込んだ諸施策をほぼ完全に執行することができ,所期の目的は十分に達成できたものと考えております。
次に,平成7年度の市税収入率91.9%の受けとめ方についてであります。
近年の市税収入率の低下傾向に対しましては,従来より特別納税対策本部を設置するなど,税負担の公平を期するため積極的に努力をしてまいりましたが,不動産不況などさまざまな要因があったとはいえ,収入率の一層の低下という結果となりましたことにつきましては,深刻な問題として大変厳しく受けとめているところであります。
そこで,今後の対策といたしましては,納税環境が依然として厳しい状況の中で,引き続き特別納税対策本部を設置し,各事案に即したより具体的な滞納整理方法を徹底するほか,納税主査を初めとする職員の増強,さらには徴収技術の向上のための研修を充実し,滞納整理の基本であります財産の差押え,公売などを進め,滞納の圧縮に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
第2点目の政府の経済対策への対応についてでありますが,政府が景気回復のための経済対策をとる場合には,本市としても,これに歩調を合わせるとともに,積雪寒冷地であることを考慮して,債務負担行為の活用などを含め機動的に取り組んでまいりたいと考えております。また,その場合の財源の見通しにつきましては,過去の経済対策と同様の措置がとられるものと考えております。
次に,地方分権と行政改革についてであります。
まず,1点目の地方分権に対する基本的な考え方でありますが,地方分権は,国と地方間の単なる権限移譲の問題ではなく,それぞれの自治体が地域住民の多様なニーズに,より迅速かつ的確にこたえられるよう,住民の意見を十分に反映しながら,自治体みずからの権限と責任で街づくりができるようにすることであると考えております。
したがいまして,本市といたしましては,職員の意識改革や体制づくりを進めることはもちろんのこと,地方分権は市民にとっても日常生活に密接に関連する非常に大事な問題でありますので,市民の皆さんとともにその推進に取り組んでまいりたいと考えております。
また,2点目の地方分権に備えた本市の行政改革についてであります。
ご質問にもありましたように,時代の変革に対応し得る体制づくりを進めることは,極めて重要な課題であると私も認識をいたしておりまして,現在,行政全体についてさまざまな角度から見直しを行っているところであります。
特に,組織につきましては,市民ニーズの多様化に対応し,より総合的な視点から,個性豊かな街づくりを進めていくための企画調整機能の見直し,高齢化時代に対応する保健・福祉サービスの一元的供給に向けた組織再編,地域住民に最も身近なサービスを提供する区役所の機能強化など,組織体制の再構築を行うべく取り組んでいるところでございます。
次は,3公営企業の運営のあり方についてであります。
初めに,交通事業についてお答えいたします。
第1点目の需要喚起策についてでございますが,市営交通のみならず,公共交通機関に対する基礎需要そのものが伸び悩むなど,市営交通を取り巻く環境は極めて厳しい状況にございます。このような中で,より多くの方々に市営交通を利用していただくためには,市営交通機関の利便性やサービス等の一層の向上に努めるほか,街づくり全体の中で新規事業の創出を図ることが必要不可欠であるとの認識に立ち,これまで,地下鉄沿線の土地の高度利用化促進や地域開発整備,あるいは公共施設等の戦略的配置,ソフト事業の展開等に努めてきたところであります。
本年の4月からスタートいたしました新5年計画におきましても,需要喚起策にかかわるさまざまな事業を盛り込んでおりますが,今後は,まずこの計画の具体化,実現に全力を尽くすとともに,さらには,この計画の内容にとどまらず,民間の開発計画等の誘導も含めて,全庁挙げてなお一層の需要創出を図るべく努力をしてまいりたいと考えております。
第2点目の資産の活用についてであります。
まず,今後活用可能な資産といたしましては,土地では,従来から健全化計画で活用を予定をしておりました用地にその他の遊休地を加え,合わせて31ヵ所,約14万 9,000平方メートルを考えております。また,建物,施設につきましては,今後とも,使用形態の見直しを図り,資産活用可能な余剰スペースの創出に努めてまいりたいと考えております。
今後の活用の方法につきましては,これまでの民間活力の導入をさらに推し進めるほか,交通開発公社など本市の第三セクターとの連携による事業開発についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
第3点目の観光貸し切り事業の廃止についてであります。
現在開催されております第12次札幌市営企業調査審議会で,観光貸し切り事業を含めた交通事業全般についてご審議をいただいておりまして,10月末に答申がなされる予定となっております。したがいまして,この答申を受けた後,廃止を含めた検討をしてまいりたいと考えております。
次は,水道事業についてであります。
まず,1点目の経営の効率化に向けた取り組み方針でございますが,ご承知のように,水道事業におきましては,以前から検針業務の委託化の拡大などを推進してまいりましたが,さらに平成7年度から本格的な業務改善に着手し,新たに施設の保守点検業務や給配水管の維持作業業務の委託化などの改善を行ってきております。今後とも,市民サービスの低下を招かないよう留意しながら,民間活力を導入して委託拡大や,さらに新たな観点から各業務の見直しを推進し,引き続き効率的な経営に取り組んでいく決意であります。
2点目の災害に強い水道の実現と水道システム機能の維持・向上にかかわる施策につきましては,今後とも計画的に実施してまいりたいと考えております。
また,水道はまさに都市のライフラインでございますので,水道システム全体の機能を十分に点検,再評価して,長期的な視点に立ち,継続した取り組みに努めてまいります。
具体的には,お話にもありました緊急貯水槽を,今後は,広域避難場所を中心に全市的に展開を図っていく考えでございます。また,災害時の飲料水確保に加えて,都心部を火災から守るための藻岩第1幹線の更新事業,藻岩浄水場の抜本的な改修事業,外面腐食管の更新事業などに積極的に取り組んでいく計画であります。
3点目の市民サービスに直結する事業でありますが,市民要望に対するきめ細かな配慮が必要なことは全く同感でありまして,ご指摘の訪問サービス事業の継続を初めといたしまして,耐震化も含めた給配水管の整備,中高層建築物への直結給水の拡大,検針・収納システムの改善など,市民サービスの一層の充実に努めたいと思っております。
次は,下水道事業会計についてであります。
経営効率化につきましては,これまでもポンプ場の無人化,汚泥処理の集中化,事務部門の整理・統合等を実施してまいりました。
そこで,経営効率化の基本的な考え方でございますが,施設の更新にあわせて最新の技術を導入するなど,市民サービス水準の維持・向上などに配慮しながら,常に効率的な経営の推進に努力してまいりたいと考えております。
また,ただいまご質問にもありましたように,下水道の普及率が99%に達し,建設の時代から維持管理の時代に移行する極めて大切な時期にありますので,いま一度,事業の総点検を行うとともに,職員の再配置計画等を含め経営健全化のための所要の措置を講じ,経営計画に的確に反映させてまいりたいと考えております。
次は,ごみ問題についてお答えいたします。
大型ごみの収集体制にかかわるご質問の第1点目についてでございます。
まず,市政モニター調査の結果につきましては,ご指摘のとおり,今日のごみ問題に対する市民の皆さんの理解が予想以上に進み,戸別有料収集の実施については一定のご理解をいただいたものと受けとめております。
また,実施の時期につきましては,十分なPRの期間を考慮いたしまして,明年度10月を目途に検討を進めているところであります。
第2点目のご質問のうち,不法投棄対策につきましては,郊外の山林,原野への投棄,また,ごみステーションへの違反排出が考えられますので,PRの徹底はもちろんのこと,パトロール及び処理体制につきましても万全の対応を検討してまいりたいと考えております。
また,大型ごみのリサイクルシステムにつきましては,再生品の提供,情報交換,研修などの機能を持つリサイクルプラザの建設を進めておりますので,この完成に合わせて,より効果的なシステムを整備してまいりたいと考えております。
次に,料金設定の考え方でございますが,札幌市廃棄物の減量及び処理に関する条例に定める手数料の考え方を基本としながらも,既に実施,または実施を予定しております他都市の状況や,ご質問の趣旨も踏まえて,市民にとって過大な負担とならないよう設定してまいりたいと考えます。
第3点目は,冷蔵庫のフロン回収についてのご提言でございますが,市が収集するすべての冷蔵庫については,戸別有料収集の開始と同時に実施すべく,具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
私からは以上であります。
○議長(柴田薫心君) 魚住助役。
◎助役(魚住昌也君) 雪対策につきまして,私からお答えいたします。
まず,第1点目の役割分担についてでありますが,本市の雪対策の総合指針である雪さっぽろ21計画に基づき,除雪パートナーシップ制度など役割分担の確立を目指してきたところでございます。
しかしながら,ご指摘のとおり,行政ができることには限界がありますことから,今後,よりきめ細かな雪対策を進めるためには,行政・市民・企業のおのおのが,なすべき役割の認識を深め,協力し合うことが重要であると考えております。したがいまして,幅広い市民の方々の意見を取り入れ,行政・市民・企業のコンセンサスを形成する必要がありますことから,ご提案いただいた手法も含め,今後,積極的に検討してまいりたいと考えております。
次に,第2点目の寒冷地仕様の街づくりについてでございますが,ご指摘の点は,本市の街づくりにおいて,雪を受け入れ,そして共存するという視点を従来以上に充実させたものであり,雪に強い街づくりとあわせ,本市の一つの方向を示唆する貴重なご意見と考えております。
したがいまして,今後は,ご提案の趣旨を踏まえ,あらゆる機会を通じて検討を深め,新たなライフスタイルの創造を目指し,北の理想都市としての街づくりを進めてまいりたいと考えております。
最後に,第3点目についてでございますが,雪対策にかかわる財源確保は,雪さっぽろ21計画を推進する上で大変重要なことと認識しております。このため,従来より国に対し,北海道市長会や全国雪寒都市対策協議会などさまざまな機会を通じ,ご指摘の補助対象枠の拡大や補助対象項目の弾力的な運用について要望してきたところであり,今後とも引き続き強く要望してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(柴田薫心君) 田中助役。
◎助役(田中良明君) 旧東札幌駅跡地の利用計画につきまして,私からお答えを申し上げます。
まず,第1点目の用地の取得についてでございますが,駅跡地15.3ヘクタールにつきましては,現在,平成9年度までに全地先行取得することを前提として,清算事業団と具体的な交渉を進めているところでございますが,条件が折り合えば,できるだけ早い時期に取得することも検討してまいりたいと考えております。
また,周辺地区の開発につきましては,東札幌駅跡地の開発構想が具体化してくるに従いまして地元からの期待も高まってきておりますので,サイクリングロードの用地の確保も含め,お話にもございましたように,長期的な視点に立った検討を進めてまいりたいと考えております。
第2点目のリーディング・プロジェクト制度についてでございますが,この制度は,21世紀に向けて重要な地域政策課題について先導的な取り組みを行う地方公共団体に対して,国が積極的に支援する制度としまして昭和61年度に創設されたものでございます。本市におきましても,今回,初めて指定を受けることになります。
この制度の特徴は,まず,計画を策定するに当たって,その費用が地方交付税で措置されるほか,中核となる施設整備については,有利な起債であります地域総合整備事業債を重点的に充てることができるなどのメリットがありまして,大規模プロジェクトとなりますこの東札幌地区開発計画に対しまして良質な財源を確保ができるということが,この制度を活用することになりました理由でございます。
今回の指定に当たりましては,コンベンションセンターと人材育成拠点施設を中核施設として整備をし,地域間の多様な交流を推進するプロジェクトとして自治省に要望してきたところでございます。
今後は,学識経験者等も含めた計画策定委員会を設置し,ことしから来年にかけて具体的な整備推進計画を検討し,自治省から計画の採択を受けた上で事業に着手をしてまいりたいと考えております。
次に,第3点目の道路,公園等の基盤の整備についてでございますが,まず,基盤整備手法として予定しております土地区画整理事業のスケジュールについてでございます。
本年度の現況測量等の区画整理B調査に引き続きまして,平成9年度に基本計画の策定を,平成10年度に都市計画決定を予定しております。その後,平成11年度に事業認可を受け,平成17年ごろの事業完了を目指しております。
また,基盤整備の早期着手についてでございますが,本市が国鉄清算事業団用地を取得した場合は,大部分が本市の所有地となることから,工事着手するための手続等が進み次第,できるだけ早く道路,公園等の整備を行いたいと考えております。
第4点目の土地利用の考え方と課題についてでございますが,倉庫群等の民間の施設につきましては,土地利用計画に合わせた地区内での移転を基本と考えてはおりますが,地権者の方々の理解が得られた場合には,地区外への移転につきましても対応していく必要があろうと考えております。
また,南郷通側の商業ゾーンにつきましては,民間による再開発事業の誘導を図ってまいりたいと考えておりますが,ここでは地権者の土地と保留地を合わせて利用することが想定されますので,適切な商業施設の早期開設を促すような保留地処分方法を検討しなければならないと考えております。
第5点目の施設の配置による交通処理の考え方についてでございますが,基本的には,需要喚起の観点からも地下鉄等の公共交通機関の利用を誘導したいと考えておりますが,ご指摘の交通障害が起きないよう,施設計画にあわせて地区の交通計画を検討してまいりたいと考えております。
第6点目の国道12号線の平面化の可能性についてでございますが,東札幌地区の土地利用計画及び国道12号北側の街づくりを考えた場合,平面化が望ましいものと考えております。
しかしながら,工事の際の交通処理,地権者対応並びに支障物件の取扱い等の課題も大きいことから,今後,費用対効果も考慮に入れながら,また道路管理者である国とも協議をしながら検討してまいりたいと考えております。
最後に,実施計画に向けた市内部の取り組み体制づくりについてでございますが,本市といたしましても,当該地の開発整備につきましては,土地区画整理事業だけではなく,各種の複合的な事業により推進する必要がある全市的なプロジェクトとして位置づけをしております。したがいまして,取り組み体制につきましても,担当セクションを一元化して対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(柴田薫心君) 千葉教育長。
◎教育長(千葉瑞穂君) 6点目の私学振興につきまして,私からお答えいたします。
私学振興につきましては,本市といたしましても,施設整備の拡充や運営基盤の強化,あるいは教員研修の充実などを図る観点から,これまでも設置者に対する貸付事業や教材・教具等の補助を行っており,さらには,保護者の負担軽減を図るため,就園奨励費等の補助を行ってきたところであります。
今後におきましても,ご指摘のとおり,本市における私学が果たす重要性にかんがみ,これら貸付金や補助金などの一層の拡充について,鋭意努力してまいりたいと考えております。
あわせて,国や道による私学への助成策の拡充につきましても,北海道市長会等を通じまして,引き続き,国及び道に対し働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(柴田薫心君) ここで,およそ30分間休憩いたします。
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休 憩 午後2時29分
再 開 午後3時1分
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○副議長(澤木繁成君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問の続行であります。猪熊輝夫君。
(猪熊輝夫君登壇・拍手)
◆猪熊輝夫君 私は,社会民主市民の会を代表して,本定例会に付託されました1995年度決算及び諸議案,並びに当面する市政の重要な課題につきまして,順次質問をいたします。
まず最初に,財政問題についてであります。
国内の景気動向は,91年度以降,いわゆる平成不況が長く続き,95年度はようやく回復の軌道に乗った時期に当たります。また,国の財政は,バブル景気で90年度に赤字国債から脱却を果たしたものの,その後の景気低迷により悪化の一途をたどり,再び赤字国債の発行を余儀なくされ,96年度末の国債残高は 243兆円に達すると見込まれ,これに地方債などを加えると 442兆円もの債務残になるものと予測されています。
こうした状況のもとで,市長は,95年度予算の編成に当たり,市民生活の安定と景気対策の観点から国庫補助事業の全額計上を行うなど,総額1兆 4,060億円,前年度比 5.1%増の積極予算を組む一方,効率的・機動的財政運営のため,事務事業の見直し,再構築,行革推進などに取り組んでこられたところであります。
そこで,以下95年度の一般会計決算を中心に,主な点について見てまいります。
実質収支は3億 5,300万円の黒字計上をし,うち1億 7,700万円を財政調整基金に積み立て,基金の取り崩しは53億円の予算に対し10億円にとどめるなど,努力の跡も見られ評価できるものであります。
また,歳入の状況では,市税収入の低下が目立ち,収入率は91.9%となり,70年度以降最悪の状態で,政令市の中でも最下位となり,この結果,収入未済額は 226億円と過去最高額に達したことは極めて問題であります。このため市債発行額は 1,020億円と初めて 1,000億円の大台を超え,これにより,一般会計の市債残高は 7,047億円,前年度比11.5%増と大きく膨らみ,後年度負担を考えますと危惧されるところであります。他方,地方交付税は,留保財源もない中で予算対比48億円増の 1,085億円を確保したものの,市債とともに依存財源がふえたこととなりました。
次に,歳出でありますが, 166億円の純不用額が見られますが,それぞれ中小企業貸付減や用地費減などの理由によるものであり,特に問題はないものと考えられます。
私は,ここで,本市の71年度政令市移行後の普通会計各款別歳出の推移について分析を試みたところでありますが,それによりますと,95年度までの24年間で金額の伸びが著しいものは,商工費,民生費,諸支出金,公債費の順で,構成比では,土木費が33%から29%へダウンし,民生費が15.8%台から20.6%へとアップし,この間の時代背景を写し出しているものと理解されました。
しかし,今後の財政状況を考えますと,歳入の大幅な伸びが期待できないとすれば,歳出の不要不急部分を削減するなど,思い切った発想の転換が必要な時期に来ているのではないかと考えます。つまり,70年代以降続いたハード面の整備から,今後はソフト面の充実に力を注ぐべきものと考えるのであります。
そこで,以下,これまでの私なりの見解を踏まえつつ,順次質問に入らせていただきます。
質問の第1は,厳しい歳入の状況についての認識と今後の対処方針についてであります。
さきにも触れましたように,市税収入率は最悪の状態となっており,このまま推移するならば,今後の財政運営は重大な危機に瀕することになるものと考えます。市税の確保に当たって,収入未済額 226億円のうち,特に住専絡みなどを含む累積化・高額化している滞納税額の処理について,今後どのような見通しをお持ちなのかお伺いいたします。
また,関連して,来年度の固定資産税評価替えに当たり,最近の土地公示価格下落という状況の中で,現行の負担調整措置が97年度以降も継続されると納税額は上昇することは避けられないものと考えられますが,市民感情として税額を96年度水準にするなどの声もあり,その見通しについてお伺いいたします。
質問の第2は,今後の厳しい税財政環境から,財政健全化のためには増税か歳出削減という手段を取らざるを得ません。しかし,前者についての市民合意は得がたく,勢い歳出にメスを入れることになろうと存じます。この場合,私は,本市の社会基盤整備は一定程度達成されているものと判断し,今後は,時代の要請に応じ,思い切って福祉,医療,教育,文化などソフト面への投資を充実すべきであると考えますが,市長の見解を伺いたいと存じます。
質問の第3は,他会計繰出金などの増嵩についてであります。
諸支出金は年々増嵩し,95年度は 1,269億 8,000万円,前年度比 8.6%増で,中でも他会計繰出金は 907億 3,000万円とその多くを占めているのであります。また,大型公共施設建設に伴う将来コスト増,例えば音楽ホール,コミュニティドーム,ホワイトドームなどがそれに当たります。これらは,いずれも,それぞれの事業執行に伴う所要の繰出金や運営経費でありますが,今後,将来コストの軽減などの観点から,可能な限り,各事業経営の健全化と事業内容の厳しい吟味と市民理解を求める努力を行うべきと考えますが,その対処方針をお伺いいたします。
次に,丘珠問題についてであります。
我が会派は,さきの定例会で,この間の経過と各方面の意向を踏まえ7点の課題を指摘し,ジェット化のための滑走路延長は不適当との見解を示しました。あわせて,自衛隊ヘリコプターによる騒音問題の解決に努力するとともに,現在の許容範囲内で有効利用する観点で取り組むよう求めたところであります。
7月25日,市長は,知事との会談においてジェット化断念を正式に決定し,道内航空網の拠点空港としてプロペラ機により路線の存続を図る,必要な整備については引き続き第7次空港整備5ヵ年計画の中で求めていくとの方針変更を示されたのであります。周辺地域の住民はもとより,21世紀札幌の街づくりにとっても大変大きな課題として,長年各方面において論議されてきたこの問題に一つの結論が下されたことにより,丘珠空港のみならず周辺整備も大きな転換を迎えることになります。
そこで,質問の第1点目ですが,市長は8月5日の
総務委員会で,情報の把握,住民の合意,道との役割分担について誤りがなかったのかどうかとの我が会派の質問に,大いに反省材料としてこれからの取り組みに生かしたいと答えております。このたびの手続・手順を欠いた提案のあり方には,地元を中心に混乱を招くなど多くの問題がありました。市長はこの点においてどのような責任を感じておられるのか,お伺いします。
2点目に,賛成・反対の各団体はもちろん,周辺住民との信頼関係の回復と今後の整備に向けた住民参加のあり方について,改めて市長の考えと決意を伺います。
3点目は,7月の方針変更後の7次空整などへの対応についてであります。
プロペラ機による存続を前提としての空港整備に関し,その後の国などとの協議の進捗状況について伺います。
あわせて,次期プロペラ機の機種決定時期の見通しについても伺います。
4点目は,今後の整備に合わせて緩衝地帯の整備などの騒音対策について十分検討すべきと考えますが,市長の見解を伺います。
次に,札幌駅南口土地区画整理事業に関連する諸問題と,札幌駅前通地下通路整備計画についてお伺いいたします。
最初に,札幌駅南口土地区画整理事業でありますが,当初計画では,92年度から96年度までの事業期間でありました。しかし,計画は近々変更され,完成は99年度となり,3年間延期されるのであります。これは,将来の代替地や仮営業場所の確保,地下街における既存不適格部分の改善などに配慮した地下街計画と,これにかかわる入居条件などをJR北海道とテナントとの間で協議してきたのですが,話し合いがまとまらなかったからであります。
その後,移転補償を前提として,建物明渡しを求める提訴をテナント17業者に対して行ったのでありますが,最後まで訴訟を継続した7業者とも,96年6月27日の第15回目の審尋で和解が成立したのであります。和解内容は,全テナントは96年9月末日までに当該営業場所を明け渡すこと,ライラックパセオに移転希望の5テナントは96年11月1日から営業できるようにすること,残る二つのテナントは現地下街などに移転先を確保するとのものであります。
これに伴って,JR本社ビルの取り壊し工事は今月から始まり,来年3月末日までに終了することになったのであります。あわせて,ステーションデパート株式会社は,96年8月30日の臨時総会で,97年4月1日付で営業権を札幌駅地下街開発株式会社に譲渡することを決め,地下街事業者の統合化が実現することになり,地下街整備を98年度末までに完了し,駅前広場の完成と同時並行的に終了する計画が実施されることになるのであります。
このように,この事業は,駅前広場を,既存面積約1万 2,100平方メートルを約1万 9,000平方メートルに拡張する事業のみならず,地下街の既存不適格の整備などに関連する事業にもなり,それに伴う幾つかの問題点が摘出されているのであります。
その一つは,総事業費の変更であります。
当初計画では,総事業費91億円で,その内容は,工事費が15億円,移転補償費が70億円,業務費が6億円でありました。しかし,総事業費が93億円に変更されたのであります。その主な原因は,移転補償費が73億円になったことにあります。その内訳は,JR本社ビル移転補償に56億 2,000万円,テナント移転補償費が当初13億 8,000万円だったものが16億 8,000万円になったのであります。テナント移転交渉は,札幌市は一切かかわっていない状態の中で,口は出すな金は出せという状況が出てきたのであります。この3億円の捻出を,札幌市は,工事費の15億円を3億円減少して12億円に計画を変更して,基本設計・実質設計に取り組むことにしたのですが,当初計画のどこを変更して3億円を捻出したのか,まず,このことについてお伺いいたします。
第2に,完成予定が99年度になることで,業務費が6億円から8億円になり2億円の増額になりましたが,その内訳についても具体的に明らかにしていただきたいのであります。
第3に,この事業によって出た保留地を,93年度から95年度の3ヵ年にわたって70億円で買わされたのであります。その面積わずか約 387坪,1坪約 1,800万円,ちなみに現在の推定価格の総額は約40億円であり,約30億円の逆ざや現象が出ています。加えて,70億円を土地開発公社の基金から借用して支払っておりますから,この金利が現在約1億 8,000万円になっており,合計約31億 8,000万円の札幌市民の負担が強いられることになっているのであります。
本市は,本年3月,我が会派の質問に対して,札幌駅に隣接した貴重な土地であり,公共的・文化的土地利用も含め,96年度中には保留地の処分に関する方向性を明らかにしていきたい旨の答弁をしているのであります。同時に,公共的・文化的土地利用という観点から,道立劇場構想に加えてもらい,隣接する市有地,面積約 641坪と合わせて約 1,028坪の土地利用を考えるか,さらに代替,等価交換など,早急に利用の方向性を明らかにしなければ,今後,毎年約1億数千万円の金利の上積みがなされ,市民負担の増大になりかねないと思いますが,市長は本件に対してどのような措置を行おうとしているのかお伺いいたします。
次に,札幌駅前通地下通路整備についてであります。
この整備については,建設省からの顧問2名を含む札幌駅前通地下通路整備検討委員会が,第1回目を95年8月4日に開催,96年4月5日の第4回委員会で総括がなされ,今後の検討課題が提起され,事実上,検討委員会の作業が終了しております。今後は,95年度に行われた検討委員会の基本的デザインなどの検討を踏まえ,96年度以降は,整備に向けて関係機関と協議を行い,都市計画決定手続を進め,早期着工を目指すとのことであります。
また,その内容は,整備区間延長 465メートル,事業費 150億円と聞いております。このような大規模事業計画の検討が進んでいるようでありますが,5年計画にも計上されている重要プロジェクトでありますので,議会の場でも十分な議論がなされるべきと考えます。
そこで第1に,事業計画の内容について早急に明らかにしていただきたいと思いますが,市長の見解を伺います。
さらに,検討委員が今後の主な検討課題について6項目の課題を提起しております。その一つは各種地下埋設物の移設について,二つには既存地下鉄施設への影響について,三つには沿道ビルの接続について,四つには街路樹の復元について,五つにはシンボル空間としての演出について,六つは交通弱者対策についてであります。
このような中で私が一番心配しているのが,札幌のシンボルであるハルニレなどの街路樹の工事期間中の保存,そして,復元しても根の下の土が少ないために根が張らず,暴風に弱くなってしまうなど,復元方法であります。樹木は,一度枯れたらもとに戻りません。同時に,整備に支障となる上下水道など供給処理施設や通信施設などの移設,並びに,民間ビルとの接続に対する費用負担,さらに,せっかく完成したロマネット計画による歩道部分に対する影響など,事業費が 150億円で終わらないのは必至であります。
また,交通局の地下鉄利用客の減少は当然考えなければなりません。事業実施の上で予想されるさまざまな課題を考えますと,事業費 150億円をさらに大幅に上回ることも考えられますが,第2に,この点について市長の見解をお伺いしたいのであります。
第3に,交通局の地下鉄利用客の減少は1日どのぐらいになると考えているのか。そのことは,交通経営健全化計画とどのように整合するのか,あわせてお伺いしたいのであります。
第4に,東豊線建設時に合わせてつくった大通からSTV駐車場までの 130.863メートルのコンコースは,いまだに使われていないまま出口のないコンコースとなっており,現在,札幌市振興公社管理用地になっておりますが,いつ出口をつくり通用できるコンコースになるのかお伺いしたいのであります。
次に,産業振興策についてであります。
我が国経済は,バブル経済崩壊後の4年に及ぶ長期低迷を経て,ようやく一部に景気回復の兆しが見えてきたと言われております。しかし,産業の空洞化や大企業を中心とした合理化が進行し,また,価格破壊,地価の下落がまだまだ続き,企業の設備投資意欲が高まらない現状では,中小企業の経営環境は依然として厳しい状況にあります。まさに,産業構造の大きな変化を伴った歴史的な転換期にあり,こうした社会経済の潮流を背景として,本市の脆弱な財政基盤を見たとき,これからも本市が活力を維持し発展を続けていくためには,産業の振興が何より重要であります。特に,本市の産業構造の足腰を強いものとするために製造業の振興が重要であることは,これまでも何度も指摘されてきたところであります。
そこで,質問の第1点目は,第2次産業,特に製造業の振興策についてであります。
地場中小企業にとっては,大競争時代を迎えて生き残りをかけた厳しい選択と不断の努力が求められているときに,本市としても,これまで以上に思い切った振興策が必要であると考えます。
具体的に二,三申し上げますと,この厳しい経営環境の中で,地場中小企業にも技術開発,製品開発や新分野への進出などを積極的に進めて発展してきた企業が徐々にふえてきておりますが,これらの企業にもっとスポットを当てて集中的に支援するといっためり張りのある施策展開を図るべきではないかと思います。
例えば,市は除雪対策に毎年 100億円以上,この冬は 150億円もの膨大な予算を計上して取り組んできておりますが,除雪費の一部を除排雪機器の改良などの研究開発費に充て,これを札幌の気象条件を熟知した地場中小企業に市が指導をしながら行わせたならば,将来的には経費の削減が図られるとともに,企業の技術力の向上にもつながり,これほどかなったことはないのではないかと思います。企業誘致が思うように進まない今日,それぞれの地方がその地域特性を生かした産業の振興に取り組みつつあります。私は,今こそ21世紀をしっかりと見据えて,札幌にふさわしい産業の創出を目指して重点的に取り組んでいくべきと考えます。
そこで,現在の産業構造の大きな転換期を本市工業振興の好機ととらえ,以上申し上げた地場企業の技術開発などを促進するために,産・学・官による実効性ある連携づくりをするなど,積極的に地場中小企業を支援,誘導していく戦略を持つべきと考えますが,この点について考え方をお伺いいたします。
2点目は,情報通信産業の振興についてであります。
本市は,情報通信技術があらゆる産業の基盤技術として広い分野に大きな波及効果をもたらすものであるとの認識のもとに,既に10年以上にわたって札幌テクノパークの造成,札幌市エレクトロニクスセンターの設立などの事業を実施し,その技術を担う情報通信産業の振興に積極的に力を注いできました。
そこで,これからのマルチメディア時代を見据え,本市のリーディング産業の一つとして地場の情報通信産業の育成に力を入れていくべきであると考えますが,この点についてのお考えをお伺いいたします。
第3点目は,工業団地の造成・分譲の促進策についてお尋ねいたします。
工業団地政策は,いまや都市間競争の時代に入ったと言っても過言ではありません。大都市札幌の名にあぐらをかき,低廉で良質な用地供給という行政に課せられた本来の使命を失った場合,その帰結は企業の市外流出であり,ひいては,産業の空洞化といった事態に陥るのであります。その意味では,私は,今般の米里北地区工業団地の分譲価格引下げの決断を了とするものであります。
また,札幌にふさわしい産業の集積拠点化を図るには,新たな工業団地の造成が必要であることは申すまでもありません。しかしながら,鎮静化の傾向にあるとはいえ,市内の土地の価格が,周辺自治体と比較した場合,際立って高いという現状では,これまでのように市街化区域に連担する土地を取得しての整備方法をもっては,企業ニーズに応じた低廉かつ良質な工業用地の供給は極めて難しいものとなることは想像にかたくありません。
そこで,本市を取り巻く企業の立地環境も年々厳しくなる中,例えば市街化調整区域に飛び地での開発を行うなど,低廉良質な魅力ある工業団地の供給を積極的に図っていくべきではないかと考えますが,ご所見をお伺いいたします。
4点目は,海外に目を向けた本市経済活動の取り組みについてお尋ねいたします。
経済のグローバル化が急速に進展する中で,地場企業は,国内市場の開拓とあわせ,新たなビジネスチャンスとして海外市場にも大きな関心を寄せております。また,本市の基幹産業として,すそ野の広い観光産業においても,さらに海外に目を向けた対応を積極的に推進することが求められているところであります。特に,これからは,経済成長の著しいアジア諸国・地域への積極的なアプローチが本市にとっても必要ではないかと思うのであります。中でも,東アジアは,多くの人口を擁しているほか,現在,世界で最も成長性の高い消費市場を形成しつつあり,貿易を初め,観光面での潜在的需要も,はかり知れない可能性を秘めていると言われております。
このような趨勢を見ますと,私は,21世紀に向けた本市の産業振興や観光客誘致の展開を果敢に推進していくためには,東アジア地域をターゲットに,本市産業の紹介や観光情報の提供など新たな取り組みが必要ではないかと考えるのであります。そのためにも,この地域に札幌事務所の設置を検討すべきと考えますが,市長のご所見をお伺いいたします。
次に,O-157対策についてお伺いいたします。
9月27日現在,本市の感染者は11人であり,2次感染の発生はなく,今後の単発的な発生はあるにしても,堺市のような大量感染を,未然に防ぐという点では,関係機関による対策が功を奏したと言えます。通常,年間数百人の死者が出ると言われるインフルエンザに比べると,はるかに感染経路も狭く死亡率も低いO-157が,なぜ,パニックとも言えるような社会的混乱を引き起こしたのでありましょうか。
一つには,目新しい病気で行政や医師も含めて社会が情報不足だったこと,二つには,カイワレ犯人説がひとり歩きしたように,いまだに感染源が特定できないこと,三つには,溶血性尿毒症症候群に対する治療法が確立していないことなどが考えられます。この点については,所管官庁である厚生省の対策のおくれは明らかであり,一刻も早い抜本的対策の確立が求められるのであります。
一方,感染者の発生数だけを見れば落ちつきを取り戻しているとはいえ,後遺症とも言えるような社会的影響については引き続き課題も多く,のど元過ぎた熱さを忘れないうちに何点か伺います。
1点目は,情報提供についてであります。
各区の保健所にも,市民や飲食店関係者から健康相談や衛生上のアドバイスを求める問い合わせが殺到したと聞いています。見えない恐怖の中で,あいまいな情報に戸惑う市民も多く見られました。
情報の収集と適切な処理,さらに,相談・指導など業務量の増大に対して関係部局からの応援など適切な体制がつくられたかどうか,また,情報提供の手段や方法について反省すべき点はなかったのかどうか,まず伺います。
2点目は,食品業界対策であります。
カイワレ業界の受けた打撃については,新聞やテレビなどで詳しく報道されていますが,感染源とされている牛や豚の内臓から,レタス,キャベツなどの生野菜,魚介類の刺身材料まで,O-157による売上げの減少は広範囲にわたっており,生産者や販売業者はいまだに苦しんでおります。
本市は,この状況について具体的に実態把握し,どのような対策を講じているのか伺います。
あわせて,今後も売上げの減少が続くようであれば,需要回復に向けて何らかの対応が必要と考えますが,ご所見をお伺いいたします。
3点目は,学校給食についてであります。
学校給食の現場においても,集団感染の危険性が高いことから衛生管理の徹底や野菜の熱処理など懸命な対策が続けられています。しかしながら,栄養士を初め関係職員に過重な負担をかけていないか,衛生管理に要する備品・消耗品購入の予算措置がスムーズに行われているのかどうかは市教委にとって大きな課題でありますが,これらの対策についてお伺いいたします。
また,厚生省の衛生基準と文部省の見解が異なり,現場での混乱があると聞いております。現場の通達や指示は,市教委と保健所が協議し一本化を図るべきと考えますが,市長の見解を伺います。
次に,福祉に関する諸課題についてであります。
最初に,住民福祉活動の推進についてであります。
我が国の高齢者人口比率は既に15%を超え,まさに高齢社会を迎えました。90年に老人福祉法を初め福祉関係8法が改正され,高齢者福祉は市町村を基盤にして推進されることになりました。こうした状況の中で,我々が特に重視しなければならないのは,福祉政策の方向が施設福祉から地域福祉へと移行してきたことであります。こういった地域福祉を推し進めていくに当たって重要なことの一つは,行政が行う在宅福祉サービスの整備充実でありますが,それとともに,地域住民全体の理解・協力のもとに住民主体の福祉活動が進められなければなりません。
在宅福祉サービスについては,札幌市
高齢者保健福祉計画に基づいて,現在,その整備充実が図られてきているところでありますが,住民福祉活動については,まず93年に札幌市社会福祉協議会が地域福祉市民活動計画を策定し,これに基づき,特に小地域福祉ネットワーク活動を中心に据え,その推進を図ってきました。
また,札幌市では,公私協働による福祉推進のシステムづくりを行うことを目指した札幌市地域福祉社会計画を95年に策定し,2005年を目標年次として新たな方策を進めております。
そこで,まず質問の1点目として,市社協の地域福祉市民活動計画と地域福祉社会計画の関係について伺います。
札幌市では,この地域福祉社会計画の策定に当たって,市社協が93年から99年までの目標年次で策定した地域福祉市民活動計画とどのように調整したのか。また,市社協が小地域福祉活動を進めてわずか2年余にして福祉のまち推進センターを中心とした新たな事業を進めることにしたのは,どのような考えからなのか伺います。
質問の2点目は,住民福祉活動の基盤となる体制づくりについてであります。
本市では,地域福祉社会計画に基づき,地域の住民福祉活動を進めていくための組織として,地区社会福祉協議会単位に地区福祉のまち推進センターの設立を進めており,現在24地区に推進センターができ,年度内にあと数ヵ所予定されていると聞いております。この1年余の間に,現在ある83地区社会福祉協議会の約3分の1に地区推進センターが設置されるわけであり,これは,福祉を地域の問題としてしっかりと受けとめようとする意識のあらわれであり,その活動を高く評価する次第であります。
こういった住民の福祉活動を進めていく上で一番大事なことは,援助を必要とする人と援助活動をする人とをつなぐ福祉活動の核,いわゆるキーパーソンとなる人をつくることであり,私は,それは福祉推進員であると思います。援助活動というのは,個人の生活,つまりプライバシーの領域に入り込む活動であり,活動に携わる方の資質にかかわる難しさもあることから,小地域福祉ネットワーク活動の中心的担い手であった福祉推進員を区社協の委嘱とし,地区福祉のまち推進センターの核になる活動者として,その役割や身分を位置づけていく考えはないのでしょうか。
また,従来から地域の福祉活動の推進に当たっている民生委員・児童委員との連携が不可欠と考えますが,所見を伺います。
質問の3点目は,区社会福祉協議会の体制強化についてであります。
区社会福祉協議会は,地区の福祉活動を支えていく役割を果たすことが期待されていますが,現行の4ないし6人の事務局体制では,関係機関とのコーディネートなど十分にその機能を発揮できない現状にあります。
そこで,社協の体制強化のため本市職員の派遣も含めて支援の充実を図るべきと考えますが,ご所見をお伺いいたします。
質問の4点目は,地域の福祉活動推進における連絡所の位置づけについてであります。
札幌市は,現在,連絡所を設置し住民活動の振興を図っているところでありますが,これからの高齢社会に対応していくためには,
地域づくりのテーマも,今後は福祉にシフトしていかざるを得ない状況にあります。これからの連絡所は,そういった地域福祉活動推進の拠点として機能すべきと考えます。
そこで,連絡所を市民局から民生局へ移管することを展望しつつ,当面は住民福祉活動に対する支援を連絡所の業務として位置づけるべきと考えますが,そのご所見もお伺いいたします。
次に,本市の子供に関する施策についてでありますが,我が国の人口構造は急速に高齢化しつつある一方で,幼児人口は減少の傾向をたどっております。93年の我が国の出生数は 118万人であり,戦後直後の47年の半分以下となっております。また,合計特殊出生数は1.46人と史上最低を記録しており,本市の場合はさらに低い1.18人となっております。このような状態が続けば,社会的にいろいろなところでゆがみが生じることとなり,将来が懸念されるところであります。
このような現象は,本市においても顕著にあらわれております。特に,子育て中の家庭における深刻な悩みとしては,母親同士の交流の機会が減少していく,また世代間の伝達が難しくなってきている中で,子育てに関するノウハウが伝わらない。さらには,近隣とのつながりが希薄化していく中で,子育て中の母親が孤立化していくなどの状況を生み出しております。こういったことが,育児ノイローゼから親が我が子を虐待するなど痛ましい事例を生み出し,また,子供の健全な成長にも影響を与え,いじめの問題を引き起こす一つの要因とも考えられ,このことが深刻な社会問題にもなっております。
このような状況の中で,子供自身が健やかに育っていく社会,親が子育てに喜びや楽しみを持てる社会,そういった社会を形成していくための指針あるいは計画が必要であると我が会派が強く主張してきたところであります。
そこで,このことに関連して具体的にお伺いいたします。
その1点目は,仲よし子ども館についてであります。
札幌市子育て支援計画の中で,仲よし子ども館については,地域での子育て支援として今日の子育て家庭を取り巻く状況の変化に対応するため,家庭での育児力向上を図ることを目的として,事業の質的転換を図ることが位置づけられているところであります。これまで培ってきたノウハウを生かし,今の時代に合った子育て支援策として市民ニーズにこたえていくことが必要であり,このためには,母親同士の交流の機会を設け,母親の育児サークルづくりを進めるなど,地域に密着した母と子のための新たな施策の展開を図ることが望ましく,児童会館の午前中の空き時間を活用するなど,地域での支援を行うことにより,全国的にも最先端の取り組みの子育て支援策となるのではと思うのであります。
そこで質問ですが,検討されている仲よし子ども館の質的転換の内容についてお伺いいたします。
2点目は,子供に関する行政組織についてであります。
国においては,現在,児童福祉法の抜本的な改正を検討しているところであり,早ければ97年には国会へ改正案が提出される予定であると聞いております。こういった状況の中で,本市の子供に関する施策は,民生局,市民局,教育委員会など多岐にわたっており,子供とその親,さらには家庭に対する支援を含めた総合的な施策を考えるには,かなり大きく踏み込んだ子供に関する施策を担当する部局の設置が必要であります。さらに,この計画の中でも行政の推進体制として,子供に関する施策を総合的に担当する部局の設置について提言しているところであります。
先ほど述べました社会問題を解消するためにも,本市としての子供に関する行政への本格的な取り組みが,今必要とされている時期であります。広範な,子供に関する行政を総括し,家庭への支援を含めたこれからの子供に関する総合的な施策を推進するためには,専門性を有した子供に関する部局,例えば児童家庭部,さらには子供局といった部局の設置が必要ではないかと考えますが,市長の見解をお伺いいたします。
次に,精神保健福祉についてであります。
本年4月から施行された精神保健福祉法の大都市特例の規定により,本市においても精神保健福祉審議会において基本計画策定が始まり,精神保健福祉センターについては,新5年計画に位置づけられた施設整備までの間,旧職員会館で,必要な業務を行うとされるなど,精神保健にかかわる施策は着実に進展しているところであります。しかしながら,一口に精神保健福祉と言っても,アルコール依存症,神経症,ノイローゼなど,広く現代人の心の悩みに対応することが求められるようになっております。
また,利用者の約7割が札幌市民である道立精神保健センターは,精神障害回復者やぼけ老人を支える家族の会,アルコール依存症者の社会復帰,思春期や青年期のさまざまな悩みを持つ人々や親などに対し,外来での相談のほかに日常生活や活動へのサポートを行ってきており,このような事業の引継ぎが大きな課題となります。
そこで質問の第1点目ですが,暫定措置とはいえ,旧職員会館で開設するセンターでは,このような社会的な要請や事業の引継ぎにしっかりとこたえるものでなくてはなりません。スペースや人材の確保についての考えを,まずお伺いいたします。
2点目に,各区保健所に配置されている精神保健福祉相談員についてであります。
今年度より,市内全保健所での週1回のデイケアが開始されましたが,行政手続だけに終わらない相談業務は,面接が長時間にわたったり,家庭訪問などの外勤が必要なこともあります。さらに,本市では一般職での配置であるにもかかわらず,研修制度の不備もあり,職場内に相談する仲間もなく,多様化する相談のケースに的確に対応できないという現状があります。
本市においては,児童相談所や精神薄弱者更生相談所の心理判定員なども専門職ではないため人材確保に苦慮している現状があります。今後のセンター機能の整備の必要性を考えると,市立札幌病院静療院に配置されている医療技術職員との人事交流によって,相談や活動支援に携わる職員の専門性の確保と人的充実を図っていく必要があると考えます。
そこで質問ですが,相談員の複数配置と専門性の確保について基本的な考え方をお伺いいたします。
次に,雪対策についてであります。
本市の除雪は,年々ふえ続ける交通量と冬季経済活動を維持し,そして市民生活活動の基盤と快適環境を支えるため,この冬よりマルチゾーン除雪体制を本格的に導入し実施しているところであります。
この冬は過去に類を見ない豪雪で,特に1月8から9日にかけては,一時,地下鉄を除いた公共交通機関が全面運休する事態になったのでありますが,除雪業者と現場職員の不眠不休の努力の結果,2日後には幹線道路のすべてを平常に回復し,かつ,バス路線も復旧できたのであります。
このように車道除雪については水準が向上してきておりますが,一方,歩道除雪という観点では,数多くの問題が見受けられるのであります。冬季の歩道の状態を見ますと,至るところで堆雪による狭小化や閉塞化が見られ,また,路面も圧雪などによって歩行者の環境は極めて悪く,危険な状況になっていることが数多く見られます。この状況は,交差点においても同様にあり,交差点に背丈ほどに雪が積み上げられた状態は歩行者の視野を妨げ,また,歩道から横断歩道への出入口が狭くなったり大きな段差ができたりする,歩道自体も凍結してつるつる路面になるなど,歩行者にとって極めて危険な状況になっており,高齢者や障害者,子供たちにとって大きな障害となっているのであります。このことは,車道優先の除雪を実施してきたからにほかならず,歩道は車道ほど充実した除雪を行っていないのが本市の実情であります。歩道の中でも,特に冬季の交通環境の確保は最も重要で,かつ急がれる課題であります。
ことしの2月,東区で相次いで悲しい事故が発生しましたが,このような事故を二度と繰り返してはならず,これを解決するためには,除排雪の強化というハード面,地域,学校,行政,そして除雪業者などが一体となって,児童の安全確保を考えるというソフト面の方策をバランスよく行うことが重要であります。
そこで質問ですが,第1点目は,ハード面の対策についてであります。
市は,この冬の除排雪で通学路の安全性の確保について積極的に取り組む方針であると聞いておりますが,具体的にどのようなことを考えておられるのか,まず伺います。
第2点目は,ソフト面の対策についてであります。
現在,学校単位で設立しているスクールゾーン実行委員会を,冬季通学路の安全確保に積極的に活用することを考えるべきであります。例えば,昨年から本格化したマルチゾーン除雪を基本として,その地区内に設立されている幾つかのスクールゾーン実行委員会を一つにまとめ,冬季における通学路の安全確保について検討してもらう。そのためには,新たに連絡会議的なものを設立させることもできるのではないかと思います。その会議には,その地区のマルチ除雪業者も参加させ,地域,学校,行政,除雪業者が一体となって,その地区内に対応した具体的な通学路の安全性の確保を検討してもらう,このようなソフト面での対策がぜひ必要と思うのであります。歩道の除排雪強化というハード面も大切でありますが,このようなソフト面の対策もより重要であると考えますが,市長のご所見をお伺いいたします。
最後に,路面電車路線の延伸ループ化についてお伺いいたします。
昨年度決算の交通3事業の中で,唯一黒字を出しているのが電車事業会計でありますが,その路面電車は,現在運行中の1路線を残し,他は地下鉄開業とともに廃止しました。このような傾向は全国的なものですが,早くからモータリゼーションの進んだ国では,日本より早く路面電車の廃止が始まっています。
しかし,今日,欧米諸国では,環境に優しい乗り物として路面電車が見直されており,日本も,最近ようやく建設省が路面電車の拡充指針を打ち出すに至りました。本市においても,自動車の排気ガスに含まれるCO2 による地球温暖化やNOX による大気汚染,慢性的な交通渋滞や交通事故の増加など深刻化の兆しを見せる交通事情を考慮した場合,路面電車の復活が有効な手だてとなることは間違いのないところであります。
また,自動車交通重視の社会がどこに行き着くのか,内外の諸都市を教訓にするならば,将来的に都心部への交通規制は必至であり,都心部における交通輸送の整備には,環境面はもとより,エネルギー効率や建設費,用地取得問題などから,路面電車の延伸がより重要で現実的な考えとなります。
特に,都心部の東側地域においては,本市の活発な経済活動に連動する素地を持ちながらも,交通網の弱点から再開発がおくれているように思われてなりません。したがって,この地域への交通アクセスとして路面電車路線の延伸が必要と考えるのであります。あわせて,現在の路面電車は,4丁目停留所とすすきのの停留所が連結していないため,利用者にとってはこの上なく不便で,このことによる利用離れも無視できないと考えます。
したがって,電車路線のループ化を図り,より効率的な運行と利便性の向上に努めるべきであります。
こうした基本的視点に立って,以下,何点かお伺いいたします。
まず第1点目は,高度経済成長に伴ない急激なモータリゼーションの波が押し寄せ,その影響で日本の多くの都市から路面電車が姿を消しました。しかし,最近は,環境面や経済性など,さまざまな利点から路面電車の復興を図る動きが強まっております。そうした状況の中での建設省の考え方は,それなりに評価すべきと考えます。本市においても,この考え方を積極的に受けとめて路面電車の活性化を図るべきと考えますが,基本的な見解を伺います。
また,今般の建設省の考え方には,財政的な裏づけはあるのかどうかをあわせてお伺いいたします。
2点目は,路面電車の活用を図る場合,本市が取り組むべき最大の課題は,路線延伸とループ化であります。単なるループ化だけでは新しい時代の交通体系のあり方に悔いを残すことは,目に見えております。東側地域には,経済活動のほか,公共施設として市民ギャラリーや中央体育館,民間では,二条市場や年間数百万人が利用するサッポロファクトリーがあり,バスセンターは乗継ぎ施設としてその存在を無視できません。こうした点を公共交通網としてカバーできるかどうか課題も多いと思いますが,この機会に,将来を見通した街づくりと交通体系のあり方について,しっかりと検討した上で計画を示すべきだと考えます。
市長は,都心部における東側地域への交通アクセスについて,どのような考えを持っておられるのかお伺いいたします。
3点目は,本市の路面電車をループ化した場合,延伸の度合いにもよりますが,事業費について推計したことがあるのかどうか。あるとすれば,参考までにお聞かせ願いたいと思います。
あわせて,その場合,事業期間もお示しいただきたいと思います。
4点目は,路面電車の軌道改善についてであります。
古い,遅いという電車に対するイメージには車両の更新でカバーしてきていると思うのでありますが,停留所が狭く安全性に欠けるとの指摘にどう対応しようとしているのか関心を持っております。本市の軌道は道路中央に敷設していますから,電車が道路中央部を,車は歩道寄りを走行する形となっており,停留所へは車道を横切らなければならない上,停留所は狭く,路面凍結時には,そこまで渡ったり,そこで待つには,健常者でさえ大変なときもあります。ドライバーも結構神経を使うところであります。
ドイツのボンでは,電車軌道の敷設方法を,本市とは正反対に電車を歩道沿いに走行させており,利用者は,車の危険に脅かされることなく歩道を停留所として利用しているのであります。しかも,歩道沿いの軌道は,違法路上駐車対策にも一役買っており,環境対策を含めれば,一石三鳥の効果と言えます。単純には比較できませんが,他都市の努力なり経過なりを含め,そこに学ぶことは大切なことであります。将来とも路面電車の活用を考えるならば,この点の改善を含めて総合的に検討していくことが重要と考えますが,市長の見解を伺います。
以上で,私の質問のすべてを終了いたしました。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(澤木繁成君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) まず私から,数点についてお答えをいたします。
最初は,財政問題であります。
第1点目の市税にかかわるご質問のうち,累積・高額化している滞納処理の見通しについてでありますが, 300万円以上の高額滞納者は 844人で滞納税額全体の約52%を占めております。このうち,手形の受託など収入に結びつく見通しのあるものが28%,滞納処分をしているものが約55%となっております。
滞納処分をしているものにつきましては,主として差押えに続いて換価処分に移るということになるわけでありますが,住専絡みの滞納処分に見られますように,特に私債権との競合に劣後したり,競売事件等と重複するなどの問題を抱えるものも数多く,整理に至るまでには時間を要するものと考えられますが,粘り強く収入を図っていく方針であります。
次に,固定資産税の評価替えについてであります。
固定資産税の平成9年度以降の負担のあり方につきましては,現在,さまざまな議論が出されていることは承知をいたしておりますが,固定資産税が市町村の安定した財源として位置づけられた基幹税目であるという現状を十分に踏まえて,地方分権を目指した地方税制のあり方など幅広い観点から,今後,政府税制調査会等において十分議論され,その内容が定まっていくものと認識しております。
第2点目のソフト面への投資の充実についてであります。
今後とも予想されます厳しい財政環境を考えますと,今まで以上に限られた財源の効率的・重点的な配分が必要になるものと認識をしており,高齢化社会や生涯学習社会への対応など,時代の要請に的確にこたえるべく,第3次5年計画の中におきまして,
高齢者保健福祉計画を初めとする福祉3計画の推進や市民文化の創造などを重点課題に位置づけて取り組んでいくこととしております。
第3点目の将来コストの軽減についてであります。
ご指摘のありました経費は,いずれも準義務的な性格を持つ経費であり,財政運営の弾力性や機動性の確保という観点から,事業目的や経営状況にも配慮しつつ,今後とも各事業につきまして見直しを怠らないよう努めますとともに,負担のあり方について十分な検討を行い,将来に過大な負担とならないよう心がけてまいりたいと考えております。
次に,丘珠問題についてお答えいたします。
1点目の私の責任についてであります。
このたびのジェット化問題につきましては,道内航空網の拠点である丘珠空港の民間定期便を存続させることが,本市にとっても,また道内他都市にとっても重要なことであるとの考え方で進めてきたものでございます。しかし,その際の手続・手順の中には,これまで議会におきまして何度もお話をしてまいりましたとおり,反省すべき点があったと考えております。
2点目の周辺住民の方々などへの対応についてでございますが,この問題につきましては,今後も本議会で十分ご審議いただくほか,関係住民の方々などに対しましても,さまざまな形で適宜,適切な情報提供に努め,皆様のご意見などを伺いながら進めてまいりたいと考えております。
3点目の7次空整等への対応についてでございますが,現在,北海道が主体となって検討を進め,運輸省等との間で協議を行っているところでございますが,プロペラ機での丘珠路線の存続に必要な整備につきましては,7次空整の中で対応いただけるよう,北海道とともに努力を続けてまいりたいと考えておりますし,国からもご理解をいただけるものと思っております。
また,次期プロペラ機の機種決定時期についてでございますが,エアーニッポン株式会社からは,先にYS11にかわるプロペラ機による路線存続の意向が表明されました。しかし,具体的な機種選定につきましては,私どもからお願いをしております低騒音であることなどを含めたさまざまな事柄について,エアーニッポン株式会社といたしましても慎重に検討,確認する必要がありますことから,今しばらく時間を要するものと伺っております。
4点目の騒音対策についてでございますが,空港整備の内容がある程度見えてまいりました段階で,ご指摘の緩衝地帯の整備なども含めて,空港周辺の街づくりの中で十分検討してまいりたいと考えております。
次は,産業振興策についてでございます。
まず,第1点目の製造業の振興策についてお答えいたします。
本市の財政基盤を確固としたものにするために産業の振興が重要であることは,十分認識いたしております。特に,製造業の振興につきましては,昨年,工業振興計画を策定して,その施策展開を図っているところであります。この計画では,本市の都市特性や優位性を生かし,札幌にふさわしい産業の創出,育成を目指すことを重点の一つとしております。具体的には,今年度,企業の保有技術調査を行っており,この調査データをもとにして,来年度以降,地場中小企業の研究開発等を促進するため,産・学・官による技術や情報などを活発に交流させる連携システムをつくって取り組んでまいりたいと考えております。
次に,第2点目の情報通信産業の振興についてであります。
この産業を本市の基幹産業の一つとして,より一層の振興を図っていくためには,これまでの企業集積を生かした企業の技術連携を促進することが重要であると考えております。ことしの5月には,札幌市エレクトロニクスセンターに,マルチメディア技術のさまざまな組合せによる製品化を試みる施設としてディジタル工房をオープンしたところであり,今後とも技術革新の動向を踏まえた技術連携施策を実施してまいりたいと考えております。
次に,第3点目の工業団地の造成・分譲の促進策についてでございます。
本市工業の振興を図る上で,その受皿となる工業団地を整備することが重要なことは,申すまでもありません。
現在,実施中の市内企業の意向調査によりますと,工業用地に対する需要は根強くあるものの,低廉な用地を希望する企業が多いのも事実であります。こうしたことから,企業ニーズに合った工業団地の整備が今後も必要と受けとめておりますが,低廉で良質な工業団地を造成するということは,非常に難しくなってきております。
したがいまして,今後,工業団地の整備については,民間活力の導入や周辺自治体との役割分担を視野に入れるとともに,市街化調整区域内での用地選定や企業誘致に向けた優遇策などについて,引き続き検討してまいりたいと考えております。
次に,第4点目の東アジア地域への札幌事務所の設置についてでございますが,ご指摘のとおり,東アジア地域との経済,観光等の交流促進が重要な位置を占めていくものと認識をいたしております。これまでも通商アドバイザーによる情報の収集や提供,自治体国際化協会の海外事務所への職員の派遣などによりまして,本市の産業や観光のPRに努めてまいったところであります。
ご質問にありました本市単独での海外事務所の設置については,今後の課題にさせていただきたいと思いますが,当面は,平成8年度中にシンガポールに開設が予定されております道の東アジア事務所を有効に活用させていただくことで検討してまいりたいと思っております。
次に,住民福祉活動の推進についてであります。
1点目の地域福祉市民活動計画と地域福祉社会計画についてであります。
地域福祉社会計画は,社会福祉協議会が策定をいたしました市民活動計画に盛り込まれている事業について,行政との連携や支援システムを明らかにしたものでありまして,計画策定に当たっては社会福祉協議会にも参画していただき策定したものであります。
また,福祉のまち推進センター事業については,財政的支援など行政の役割を明確にすることにより,市民福祉活動の一層の振興を図るとともに,小地域福祉ネットワーク事業の成果と手法を活用しながら福祉活動を行うことにしたものであります。
2点目は,住民福祉活動の基盤となる体制づくりについてでございます。
ご指摘のとおり,福祉活動の核となる人をつくっていくことは非常に重要であり,福祉推進員も含め,活動の中心となる方々が活動しやすい条件整備を図っていくため,その役割や身分の位置づけなどについて,社会福祉協議会とも協議をしてまいりたいと考えております。
また,民生委員・児童委員との連携につきましては,特に,ニーズ調査活動への参加協力や援助対象者とボランティアの橋渡し,地域住民への福祉に関する啓発普及といったことで,連携は不可欠であると考えておりますので,今後も,そういった連携を密にして活動を進めるようお願いしてまいりたいと考えております。
3点目の区社会福祉協議会の体制強化につきましては,今年度は職員を4名増員したところであります。今後においても,社会福祉協議会における組織と事業全体の見直しとあわせて,民間の福祉活動の拠点としての役割を十分に発揮できる体制の確保について,社会福祉協議会と協議をしてまいります。
次は,4点目の連絡所の位置づけについてであります。
区制施行以来24年を経過して,より一層地域に密着した区行政の推進を行うために,現在,区役所全体の見直しを検討しておりますので,この中で住民福祉活動に対する支援を連絡所業務の一つとしてまいりたいと考えております。
なお,連絡所を市民局から民生局に移管することにつきましては,連絡所はさまざまな住民組織の振興にもかかわっておりますので,慎重に対処いたしたいと考えております。
私からの最後のご答弁は,路面電車の路線のループ化についてであります。
まず,第1点目の路面電車の活性化と国の財政的な裏づけについてでありますが,路面電車は,大気汚染の心配のない,非常に経済的で,かつ路面で乗降できることから,高齢者に優しい公共交通機関であり,都心部における市民の足として定着をしております。したがいまして,今後の街づくりの中で,国の施策等も考慮しながら,その活性化について積極的に検討してまいりたいと考えております。
また,建設省の支援策につきましては,現時点では明確ではありませんが,具体的に制度化された際には十分活用してまいりたいと考えております。
2点目の都心部東側地域への路線の延伸につきましては,地下鉄との関係や走行環境,採算性等を慎重に検討しなければならないと考えております。
3点目の事業費及び事業期間についてでありますが,ループ化そのものについて具体化するためには,なお検討時間が必要と考えておりまして,事業費等につきましても,まだ試算をしていない段階であります。
次に,第4点目の軌道の改善につきましては,ただいまお話がありましたような諸外国の事例も十分に研究し,参考にしてまいりたいと考えております。
私からは以上です。
○副議長(澤木繁成君) 魚住助役。
◎助役(魚住昌也君) 私からは,2点についてお答えいたします。
まず,札幌駅南口土地区画整理事業についてお答えいたします。
札幌駅を中心とする地区は,日本の北の玄関口として,道内はもとより,国内外のさまざまな情報の集発信の場として整備が求められており,民間事業者による商業・業務施設のみならず文化施設の整備も進められなければならないと考えております。そのため,道立劇場の立地にも強い関心を持ち,また期待をしているところでございます。
そのような中で,このたび,地下街事業者の一本化について,営業譲渡の合意がなされたことにより事業推進上の障害もなくなりましたので,今後は南口土地区画整理事業の促進に努めなければならないと考えているところでございます。
そこで,ご質問の第1点目の工事費の減額についてでございますが,地下街と駅前広場を結ぶ階段施設につきまして,当初,区画整理事業に組み入れておりましたが,地下街事業者であります札幌駅地下街開発株式会社との工事区分の見直しにより3億円の減額が可能となり,駅前広場建設費を12億円としたところでございます。
第2点目の業務費の増額についてでございますが,3ヵ年の事業延伸に伴う人件費等の増額によるものでございます。
第3点目の保留地の利用及び処分についてでございますが,ご指摘のように金利等の問題もありますので,基本的には,隣接する市有地と一体的に,できるだけ早い時期に利用,処分しなければならないと考えているところでございます。当該地は札幌駅に隣接した貴重な土地であり,駅周辺にふさわしい市民開放型の施設用地としての活用が望ましいと考えておりますが,いずれにいたしましても,最終的には,当該事業区域内にありますJR北海道所有地あるいは国鉄清算事業団用地の利用の方向を見定めながら決めてまいりたいと考えているところでございます。
次に,冬季通学路の安全確保についてお答えいたします。
第1点目のハード面の対策についてでございますが,今冬は,特に通学路の安全確保を重点対策として,取り組む考えであります。具体的には,通学路の運搬排雪の回数をふやし,シーズンを通して適切な歩行者空間の確保を図るとともに,小学校周辺や地下鉄駅の主要な交差点につきましても,横断歩道除雪の徹底や,児童の視野に立った交差点排雪を行い,見通しをよくするなど,歩行者優先のきめ細かな除排雪を行ってまいりたいと考えております。
第2点目のソフト面の対策についてでありますが,通学路の安全確保は,ハード面の対策はもとより,学校,地域,行政,さらに除雪業者も一体となって取り組むことが大変重要であると考えております。
そこで,今冬からは,スクールゾーン実行委員会とマルチゾーンの地区除雪連絡協議会を一体とした通学路安全推進連絡協議会を設置し,その地区に適した具体的なアクションプログラムを策定するなど,ソフト面の安全対策についても充実していくよう検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(澤木繁成君) 田中助役。
◎助役(田中良明君) 私から,3点のご質問にお答えを申し上げます。
まず最初は,札幌駅前通地下通路整備計画についてでございます。
第1点目の事業計画の内容についてでございますが,平成7年度は,札幌駅前通地下通路整備検討委員会を設置し,地下通路としてのコンセプト,デザインなどをまとめたところでございますが,その中で事業化に向けて幾つかの課題も指摘をされております。このことから,現在,技術的な検討や事業手法など課題の整理に取り組んでいるところでございまして,今後,基本設計をまとめた上で議会にお諮りをし,この計画を進めてまいりたいと考えております。
次に,第2点目の事業費についてでございますが,検討委員会におけるデザインやコンセプトをベースにした検討では,事業費を約 150億円と試算しておりますが,地上におけるハルニレの保存,上下水道等地下埋設物の移設,さらに地下鉄施設の一部改造などの関連事業を考えますと,事業費の増加が予想されるところでございます。したがいまして,現在,関係機関との協議を進めているところでございますが,事業費の軽減を図ることも含めて,これらの課題を早急に整理をしてまいりたいと考えております。
次に,第3点目の交通事業経営健全化計画との整合性についてでございますが,地下通路を設置することで地下鉄利用者の数に影響が出ることは否定はできないと考えております。しかしながら,当該地下通路は,市民にとって快適な歩行空間となるとともに,都心部を活性化させる都市基盤として重要な役割を担うと考えているところであります。
したがいまして,交通事業経営健全化計画に関しましては,この懸念されることも十分念頭に置きながら,公共交通への利用促進策を一層推進することで,さらなる需要の創出を図ってまいりたいと考えております。
次に,第4点目の西2丁目通地下通路の整備見通しについてでございますが,西2丁目通につきましては,札幌駅前通,大通とともに地下歩行者ネットワークの主要幹線と考えているところでございます。
その整備の見通しにつきましては,仮称国際ゾーン整備構想の進捗など周辺の開発動向を見きわめながら,地下歩行ネットワークの形成に向け,取り組んでまいりたいと考えております。
次にO-157対策についてでございます。
第1点目の情報提供並びに体制整備についてでございますが,本市といたしましては,全国の患者発生等の動向から,いち早く7月の26日に庁内の関係部局から成る病原性大腸菌O-157対策連絡会議を立ち上げたところでございますが,8月1日に,市内における初めての患者発生とともに,これを外部の関係機関を含めた対策本部として発展的に移行させたところでございます。この連絡会議及び対策本部におきましては,関係機関等における対策等の情報交換とともに,総合的な対策についての協議を行い,関係する施設,団体等に対し予防措置等に関する通知,指導の徹底に努めてきたところでございます。
一般市民に対しましては,保健所において土・日曜日を含めてO-157に関する相談に応じるとともに,無料で便検査を行って市民の不安解消に努めてまいりました。さらに,市民にこの疾患に関する正しい知識と予防方法について的確に理解をしていただくために,広報誌に2ヵ月にわたって啓発記事を掲載するとともに,チラシをつくりまして,区役所や保健所窓口での配布,あるいは町内会組織による戸別回覧を行ったほか,保健所において市民に対し食品取扱いに関するビデオテープの貸出しを行っております。このほか,新聞,テレビ,ラジオ等,あらゆる広報媒体を活用して市民への啓発に努めてまいったところでございます。また,外国人に対する英語版の啓発チラシを作成し,国際プラザ等において配布をしたところでございます。
これらのことから,本市におけるこの疾患への対応につきましては,でき得る限りの対応がとられたものと考えておりますが,今後とも関係機関等との連携を密接に図りながら万全の態勢をとってまいりたいと考えております。
第2点目の食品業界に対する対策でございますが,国においては,O-157による影響が食品業界の中小企業者にも波及していると判断をし,この8月26日付で,肉製品製造業,飲食料品小売業など13業種を指定し,中小企業信用保険法に基づく災害復旧並みの補償の特例措置を講じたのを初め,国民金融公庫などにおいて融資の対応を行うなど,金融対策がとられたところでございます。
本市におきましても,同様な状況が認められましたので,早速,経営相談の窓口体制をとるとともに,中小企業者の経営基盤の安定を図るために病原性大腸菌O-157対策資金を創設し,既に対応しているところでございます。
なお,今後につきましては,その動向を十分に注視してまいりたいと考えております。
学校給食に関することに関しましては,後ほど教育長から答弁をいたします。
次に,精神保健福祉についてでございます。
第1点目の精神保健福祉センターのスペースと人材の確保についてでございますが,来年度,旧職員会館を改修して開設する精神保健福祉センターは,業務の効果的な連携を図る観点から保健所と併設をするものでございまして,所内における相談にとどまらず,所外における集団指導を積極的に展開するなど,その専門的能力を最大に生かし,また,スペースに関しても有効にこれを活用して,市民ニーズにこたえるように努めてまいりたいと考えております。また,職員につきましては,精神科医師を初め,運営に必要な専門職員の配置に努めてまいりたいと存じております。
第2点目の精神保健福祉相談員の複数配置と専門性の確保についてでございますが,今日,精神障害者の方々のニーズが多様化している実情から見まして,これからは保健婦のかかわりが一層強く求められていると考えております。
したがいまして,今後は,精神保健福祉相談員と保健婦との役割分担を明確にしながら,保健婦の精神保健業務へのかかわりを高めてまいりたいと考えております。
また,精神保健福祉相談員の専門性の確保についてでございますが,精神保健福祉センターの主要な業務の一つに保健所職員等に対する研修を考えておりますので,精神保健福祉相談員等に対して積極的にこれを実施するとともに,人事交流につきましても,ご指摘の点も含め,適材適所の配置に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(澤木繁成君) 石原助役。
◎助役(石原弘之君) 私から,子供に関する施策についてお答えいたします。
第1点目の仲よし子ども館の質的転換の内容についてであります。
本年7月に札幌市子育て支援計画を策定いたしましたが,ご指摘のとおり,この計画の中で,仲よし子ども館については,地域での子育て家庭への支援として,今日の子育て家庭を取り巻く状況の変化に対応するため家庭での育児力向上を図ることを目的として,事業の質的転換を図ることとしております。
従来の幼児主体であったものから,母親を主体として,児童会館等の公共施設を有効活用し,また,対象年齢を従来より拡大することにより,これまでより多くの母親と子供を対象とした事業として考えております。
事業内容といたしましては,母親の仲間づくりを支援するサークル育成・支援,親子の遊びを体験していただくあそびの広場,母親同士が気軽に集える場を提供する子育てサロン,子育てに関する講座の開催,子育てに関する相談の支援,心身の発達に心配のある乳幼児とその親に対する支援などにより,平成9年4月から地域の育児環境の整備を図ってまいりたいと考えております。
また,従来は幼児を主体とした通年の事業でありましたが,基本的に,母親の交流の機会を設けて,母親の自主性を高め,サークル・グループなどの活動に結びつける内容で考えております。
第2点目の子供に関する行政組織についてでございますが,現在,子供に関する施策につきましては,お話にありますように,福祉の面から教育の面まで内容が多岐にわたり,関連する部局も複数にわたっている現状であり,総合的な施策を推進するためには,その有機的な連携が必要となっております。このため,さきに述べた子育て支援策を含め,子供に関する施策に総合的に取り組める組織体制について,既存組織の再編も視野に入れて,現在,関係各局において,ご提案のありました児童家庭部など部相当の組織を設置する方向で考えております。
いずれにいたしましても,局を含めた本市全体の組織改革の中で考えなければならない問題でありますので,今後,全体的な行政組織のあり方の中で結論を得たいと考えております。
以上でございます。
○副議長(澤木繁成君) 千葉教育長。
◎教育長(千葉瑞穂君) O-157対策についてのご質問のうち3点目の学校給食について,私からお答えいたします。
まず,病原性大腸菌O-157対策のために,給食関係職員に過重な負担をかけているのではないかという点であります。
学校給食においては何よりも安全性が優先されることから,現在,関係職員が一丸となって食中毒の防止に取り組んでいるところであります。特に,2学期からは,日常の衛生管理のための点検や調理の手数がふえたこと等により,業務が一部ふえてはおりますが,これらはいずれも安全な学校給食を実施するために必要なことと考えております。
次に,衛生管理に要する備品・消耗品購入のための予算措置についてでありますが,保存用の専用冷凍庫や消耗品など,当面,緊急に必要なものにつきましては,既に所要の措置を講じたところであります。
その他の施設・設備等の改善につきましても,今後,十分検討の上,計画的に整備を進めてまいりたいと考えております。
学校に対する指導や指示の内容の一本化を図ることについてでございますが,ご指摘のとおり,このたびの文部省と厚生省の指導内容に一部相違がございました。この点に関しましては,今後,関係部局と十分協議し,学校に対する指導などに相違が生じないよう適切に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(澤木繁成君) お諮りをします。
本日の会議はこれをもって終了し,明10月2日午後1時に再開いたしたいと存じますが,ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(澤木繁成君) ご異議なしと認めます。よって,さよう決定されました。
○副議長(澤木繁成君) 本日は,これで散会いたします。
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散 会 午後4時31分
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上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 柴 田 薫 心
副議長 澤 木 繁 成
署名議員 武 市 憲 一
署名議員 春 原 良 雄...