札幌市議会 1996-02-28
平成 8年第 1回定例会−02月28日-02号
平成 8年第 1回定例会−02月28日-02号平成 8年第 1回定例会
平成8年 第1回定例会
札 幌 市 議 会 会 議 録 ( 第 2 号 )
平成8年2月28日(水曜日)
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〇議事日程(第2号)
開議日時 2月28日 午後1時
第1 議案第1号から第76号まで(市長提出)
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〇本日の会議に付した事件
日程第1 議案第1号 平成8年度札幌市
一般会計予算
議案第2号 平成8年度札幌市
土地区画整理会計予算
議案第3号 平成8年度札幌市
団地造成会計予算
議案第4号 平成8年度札幌市
駐車場会計予算
議案第5号 平成8年度札幌市
母子寡婦福祉資金貸付会計予算
議案第6号 平成8年度札幌市
国民健康保険会計予算
議案第7号 平成8年度札幌市
老人医療会計予算
議 員 山 口 た か 君
議 員 道 見 重 信 君
議 員 上瀬戸 正 則 君
議 員 伊 藤 知 光 君
議 員 原 口 伸 一 君
議 員 千 葉 英 守 君
議 員 村 山 優 治 君
議 員 猪 熊 輝 夫 君
議 員 西 村 茂 樹 君
議 員 川口谷 正 君
議 員 小 田 信 孝 君
議 員 柿 崎 勲 君
議 員 生 駒 正 尚 君
議 員 佐々木 周 子 君
議 員 福 士 勝 君
議 員 宮 本 吉 人 君
議 員 武 市 憲 一 君
議 員 大 越 誠 幸 君
議 員 高 橋 忠 明 君
議 員 常 本 省 三 君
議 員 佐 藤 美智夫 君
議 員 加 藤 斉 君
議 員 富 田 新 一 君
議 員 丹 野 勝 君
議 員 本 舘 嘉 三 君
議 員 森 健 次 君
議 員 春 原 良 雄 君
議 員 荒 川 尚 次 君
議 員 飯 坂 宗 子 君
議 員 室 橋 一 郎 君
議 員 小 谷 俵 藏 君
議 員 山 田 信市郎 君
議 員 越 智 健 一 君
議 員 吉 野 晃 司 君
議 員 伊与部 敏 雄 君
議 員 湊 谷 隆 君
議 員 岡 本 修 造 君
議 員 常 見 寿 夫 君
議 員 高 橋 重 人 君
議 員 菅 井 盈 君
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〇欠席議員(なし)
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〇説明員
市長 桂 信 雄 君
助役 魚 住 昌 也 君
助役 田 中 良 明 君
助役 石 原 弘 之 君
収入役 伊 藤 忠 男 君
交通事業管理者交通局長 土 榮 勝 司 君
水道事業管理者水道局長 平 賀 岑 吾 君
総務局長 大 長 記 興 君
企画調整局長 井 原 貴 男 君
財政局長 米 田 耕一郎 君
市民局長 前 川 一 彦 君
民生局長 佐々木 利 幸 君
衛生局長 上 村 友 也 君
環境局長 平 田 匡 宏 君
経済局長 鈴 木 俊 雄 君
建設局長 瓜 田 一 郎 君
都市整備局長 広 畑 民 雄 君
下水道局長 松 見 紀 忠 君
建築局長 西 村 公 男 君
市立札幌病院長 手 戸 一 郎 君
消防局長 中 谷 多 宏 君
教育委員会委員 山 本 順 子 君
教育委員会教育長 藤 島 積 君
選挙管理委員会委員長 長 岡 武 夫 君
選挙管理委員会委員 加 藤 隆 司 君
人事委員会委員長 山 岡 暸 君
人事委員会事務局長 大 門 隆 司 君
監査委員 谷 口 政 範 君
監査事務局長 三 上 重 之 君
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〇
事務局出席職員
事務局長 入 江 一 郎 君
事務局次長 植 田 英 次 君
総務課長 小 村 雅 彦 君
議事課長 土 屋 逞 君
調査係長 渡 辺 三 省 君
資料係長 高 橋 道 孝 君
議事係長 細 川 正 人 君
記録係長 前 野 保 雄 君
委員会一係長 山 本 祥 一 君
委員会二係長 常 野 正 浩 君
書記 佐 藤 比登利 君
書記 高 佐 三緒子 君
書記 鈴 木 和 弥 君
書記 尾 形 英 樹 君
書記 今 井 一 行 君
書記 山 本 扶 美 君
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〔午後1時開議〕
○議長(柴田薫心君) ただいまから,休会前に引き続き会議を開きます。
出席議員数は,64人であります。
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○議長(柴田薫心君) 本日の
会議録署名議員として伊与部敏雄君,菅井 盈君を指名します。
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○議長(柴田薫心君) ここで,事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(入江一郎君) 報告いたします。
猪熊輝夫議員は,所用のため遅参する旨,届出がございました。
本日の議事日程及び質問順序表は,お手元に配付いたしております。以上でございます。
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○議長(柴田薫心君) これより議事に入ります。
日程第1,議案第1号から第76号までの76件を一括議題といたします。
ただいまから代表質問に入ります。
通告がありますので,順次発言を許します。伊藤知光君。
(伊藤知光君登壇・拍手)
◆伊藤知光君 私は,ただいまから
自由民主党議員会を代表いたしまして,今議会に提案されました平成8年度予算,その他の諸案件,及び当面する市政の諸問題について,順次質問をさせていただきます。
初めに,財政問題についてお伺いをいたします。
まず,本市予算に深くかかわりのある国家予算及び
地方財政計画の概要について見てみたいと存じます。
我が国の財政は,公債残高が平成7年度末には約 222兆円にも達する見込みであり,国債費が政策的経費を圧迫するなど,構造的にますます厳しさを増しており,今後の
社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくためには,財政の健全化を図り,できるだけ速やかに公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが基本的な課題であります。
このような中で編成された平成8年度の国の
一般会計予算は,前年度に比べ 5.8%の増と,平成3年度以来の高い伸びとなったものの,政策経費である一般歳出は 2.4%増と抑制されたものとなっております。税収は特別減税の継続や利子所得の大幅減などで,前年度当初比 4.4%減となり,歳入不足を補うため,当初予算としては,平成元年度以来7年ぶりに償還財源の裏づけがない赤字国債を発行することとなり,
所得税減税に伴う
つなぎ国債と合わせた赤字国債全体の発行額は,過去最大の11兆 9,980億円となり,平成8年度末の国債残高は 241兆円程度にもなると言われており,極めて厳しい財政状況にあります。
一方,平成8年度の
地方財政計画を見ますと,おおむね国と同一の基調により策定されており,その規模は85兆 2,848億円と,前年度に比し 3.4%増の見込みとなっております。中でも,歳入のうち,地方税,
地方譲与税,
地方交付税を合わせた
一般財源比率は61.7%と,5年連続の減となり,その逆に
地方債依存度は15.2%と,過去最高のものになっております。また,
交付税特別会計借入金を含めた地方の借入金残高は,平成8年度末では 136兆円を超えるものと見込まれており,地方財政も国と同様,引き続き財政の健全化に向けた努力が必要であると申せます。
こうした国及び地方の財政状況の中で編成されました本市の平成8年度予算は,一般会計で 8,325億円,特別会計で 3,030億円,企業会計で 3,332億円,全会計で1兆 4,687億円となっているのであります。
その内容を見てみますと,歳入については,市税が,税制改正の影響もあって,前年度比 2.5%増という極めて低い伸びしか見込まれていない中で,
地方交付税については,見積額全額が計上されているとともに,市債については,良質な市債の重点的な活用が図られているとはいえ,24.0%増の 1,180億円が見込まれているほか,さらには残りわずかとなった
財政調整基金を30億円取り崩すこととしているなど,財源の確保に大変苦心していることがうかがわれるところであります。
一方,歳出については,平成8年度は新たにスタートする5年計画の初年度という重要な年でもあり,従来から市民要望が最も高い雪対策については,
除排雪そのものにかかわる予算が,当初としては初めて 100億円を超えるなど,前年度比 8.2%増と高い伸びを確保されておりますし,防災体制,災害対策の強化としては,
地域防災計画の見直しまでの間における緊急対策として,災害時に避難場所や救護活動の拠点となる公共施設の耐震調査を実施するなど,
企業会計分も含めると,前年度比40.4%増と大幅な増額が図られております。
また,福祉・
保健医療施策の充実としては,計画の3年次目を迎える札幌市
高齢者保健福祉計画について,前年度予算に対して
事業費ベースで29.1%増と,その目標達成に向けて着実に増加を図られており,経済の活性化については,
中小企業金融対策資金貸付金について,前年度に引き続き新規貸付け枠で大幅な増額を図るとともに,景気回復に資するため,
普通建設事業については前年度予算に対し 6.2%増,特に
地方単独事業については,
地方財政計画の 3.1%を大きく上回る 6.7%増の伸び率を確保されております。
このように平成8年度予算は,厳しい財政状況の中にあって財源確保に最大限の努力を払い,21世紀へのかけ橋ともなる第3次5年計画の第一歩として,できる限りの施策が盛り込まれているものであり,北の
理想都市サッポロの実現に向けた市長の並み並みならぬ意欲のほどがうかがえる予算であると,高く評価をするものであります。
そこでお伺いをいたしますが,厳しい財政環境の中で,第3次5年計画の初年度である平成8年度予算の編成に当たり,特に意を用いた点,重点を置いた点についてお聞かせいただきたいのであります。
次に,
食糧費予算の削減についてお伺いをいたします。
昨年来,
地方公共団体の,いわゆる官官接待に端を発した公金の不適正な取扱いは,多くの国民の行政への信頼を失わせるものであり,まことに遺憾なことでありました。本市におきましても,いわゆるカラ接待などの不適正な行為はなかったと信ずるものではありますが,なお見直すべき点があったのも事実であります。
市長は,昨年の第3回定例市議会で,いち早くもてなしのための接待の廃止を表明し,平成8年度予算についても,削減の方向で厳しく臨むと答弁をされましたが,実際にどのような考え方で
食糧費予算の削減を行ったのかお聞かせください。
また,
食糧費予算の適正な執行を担保するためには,
情報公開制度の活用も有効であると考えますが,そのような観点から,情報公開の対象を拡大する考えはないのかお伺いをいたします。
次に,今回の予算に盛り込まれております
各種使用料・手数料の改定についてお伺いをいたします。
言うまでもなく,使用料・手数料は,施設の利用や特定の人のために行う役務の提供,いわゆる
行政サービスに要する経費について,
受益者負担の原則にのっとり,その受益に応じた負担を徴するものであります。したがって,受益を受ける市民とそうでない市民との負担の公平確保の見地からも,また,今後とも安定的に
行政サービスを提供していくためにも,行政の効率的な運営に努めることを前提とするのはもちろんでありますが,その上で,
社会経済情勢に応じた改定を適時適切に行うことは,十分に理解できるところであります。
そこでお尋ねをいたしますが,今回の使用料・手数料の見直しに当たっての基本的な考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
また,
受益者負担の適正化とは申しましても,市民生活に今以上の負担をお願いするものであり,少しでもその負担増が小さなものであってほしいというのが,私の率直な気持ちでもありますので,そのような観点から特に配慮した点があれば,あわせてお聞かせをいただきたいのであります。
次に,長期的な街づくりの視点についてお伺いいたします。
西暦2000年までを計画期間とした次期5年計画は,21世紀へのかけ橋となる重要な計画であります。この中に,防災体制の強化や福祉の充実など,市民生活の充実,レベルアップに向けた施策が重点的に盛り込まれたことは,北の
理想都市づくりを目指す桂市政の
市民生活重視の考えのあらわれとして十分評価できるものであります。しかし,事業計画の中でも,都心部の再整備や
総合交通体系整備といった
ビッグプロジェクトは,
計画最終年度である2000年以降にも引き継がれていくものであり,その将来展開を十分見きわめながら事業を進めていく必要があります。
また,急速に進む高齢化や
地球環境保全にかかわる問題,国際的な産業競争の激化など,今後,自治体行政を取り巻く環境は,ますます厳しさを増すものと思われます。このような状況の中で,常に長期的な街づくりの方向を見据えながら,社会情勢の変化に柔軟に対応していくことが求められます。
ご存じのとおり,札幌は,明治2年に開拓本府の建設が開始されてから約二,三十年で現在の本市の骨格をほぼつくり上げており,札幌の都市魅力を形成している整然と区画された街並みや大通公園,市街地の中の貴重な緑地である植物園や中島公園なども,この開拓の歴史の中で築き上げられたものであります。
このように, 100年を経た今も色あせない先人たちの大いなる遺産が我々に残されたのと同様,我々もまた,将来の札幌市民に美しく住みやすい札幌を引き継いでいかねばなりません。21世紀を目前に控え,社会全体が大きな変革を迎えつつある今こそ,先人たちの遺志を受け継ぎ,より長期を見据えながら,よりよい選択をしていかなければならないと思うのであります。
さて,この長期的な
街づくり方針の見直しに当たるものとして,5年計画,さらには予算の中にも
次期長期総合計画の策定が盛り込まれておりますが,この新計画策定に関して2点ほどお伺いをいたします。
その第1点目は,新計画策定の必要性についてであります。
現在の第3次
長期総合計画は,昭和63年の策定から約8年を経過したところでありますが,この間における社会環境の変化を振り返りますと,まさに激動の時代と言うにふさわしく,高齢化や国際化・情報化は予想以上のスピードで進んでおります。
さらに,例えば
地球環境保全にかかわる問題についても,オゾン層の破壊や
地球温暖化などの問題の深刻化を背景として,世界レベルでの
取り組み意識は飛躍的に高まってきております。
一方,
自治体レベルでも環境条例の制定やごみの減量化・
リサイクル推進などの取り組みが進められており,高度成長期における公害問題とは異なり,まさに,ローカルであると同時にグローバルな課題となっております。しかし,第3次
長期総合計画は,昭和63年の策定ということもあり,こうした課題意識について明快に語られてはおりません。
このような問題を考え合わせますと,新計画策定のための取り組みを始めようということは,すなわち,第3次
長期総合計画で掲げる街づくりの方針自体が社会情勢の変化に合わなくなってきている,そのため見直しを行う必要があるというふうにも受けとめられるわけでありますが,この点に関し,現在の
長期総合計画についての再評価を含め,新計画策定の必要性について,どのように考えているかについてお尋ねをいたします。
第2点目は,新計画策定に当たっての基本的な視点と手法についてであります。
長期総合計画は,長期的な街づくりの方針としての性格と,社会情勢の変化に柔軟,的確に対応した具体的な行政計画としての性格の両方をあわせ持ったものでなければなりません。連綿と受け継がれてきた街づくりの哲学は受け継ぎつつ,社会の変化に対応した新たな施策の方向を打ち出していくことが必要であり,慎重かつ大胆な発想でその見直しに取り組んでいかねばならないものと考えるのであります。
最近話題になっております公的介護保険制度の導入など,高齢化時代に対応した福祉の充実のための財源をどこに求めるかは,今後,自治体財政にとって非常に大きな課題であります。また,こうした社会保障費負担の増大は,生産年齢人口の減少と相まって,社会全体の活力低下を引き起こす懸念もあります。
そのほか,本年は特に実感された除雪の問題など,市長も折に触れ,言われておりますが,市政運営に関して責任を負う者の立場で物を見た場合,行政のみの対応だけでは,さまざまな課題に対処し切れない時代になりつつあると言えましょう。
このような中で,今まで以上に市民や企業の力が生かされるよう,市民・企業・行政が一体となった街づくりを進めていかなければなりません。そのためには,新計画の策定に当たっては,行政や我々議会だけではなく,市民一人一人がみずからの問題として街づくりを考えていくような取り組みを進める必要があります。その内容及び手法の両面にわたり,街づくりに対する権利と責任を市民が自覚し,共有できるような計画づくりを目指すべきと考えます。計画策定に当たっての視点とその手法について,基本的な考え方をお聞かせください。
次に,雪対策についてお伺いをいたします。
今冬の記録的な大雪は,私たち市民の想像をはるかに超えたもので,まさに北国の厳しさを改めて痛感した出来事であったのではないかと思います。特に1月8日から9日にかけての豪雪は,24時間降雪量が市内全域で50センチを超え,地下鉄以外の公共交通機関が,一時的とはいえ全面運休したり,道路が通行どめになるなど,都市機能全般にわたり大きな障害を与える結果となっております。
このため札幌市では,1月9日,魚住助役を本部長とする緊急雪害対策本部を設置し,自衛隊の出動を要請するなど,懸命な緊急除雪作業を実施したことにより,市民生活はおおむね三,四日で平常に回復したことは,記録ずくめの大雪であったことを考えれば,私はこの対応を高く評価しているところであります。
さて,平成12年度を目標とした雪さっぽろ21計画は,都市における総合的な雪対策として画期的なものであり,雪対策の充実を望む市民の代表として,私もこの計画が一日も早く達成することを強く願っているのであります。
現在まで着実に推進されている計画でありますが,策定された平成3年以降,社会情勢や行政課題はかなり変化してきており,これらの対応もまた必要になってきているのではないかと思うのであります。
近年,豊平川河川敷などの既存雪堆積場は撤退を余儀なくされており,雪堆積場の確保が急務となっておりますし,また,策定時には盛り込まれていなかった宅地内の雪処理施設として,家庭用融雪槽の融資あっせん制度の充実や,生活道路の坂道の安全対策等が大きな課題となっております。
雪対策は,やはり状況の変化を的確にとらえて推進していかなければならないと考えますが,これらのことを踏まえて,以下の2点について質問をいたします。
まず質問の第1点目は,市民が設置する雪処理施設に対する支援についてであります。
今冬の大雪で大きな課題となったものに,雪堆積場の問題があります。今後,さらに都市化が進むことは必然であり,現状のような遊休地,借り物主体ではなく,今回の議会に上程されております屯田雪堆積場のように夏場は公園として利用するなど,通年の有効利用できる形で,雪堆積を目的に,将来を見越した用地確保を積極的に行なっていく必要があると思われます。
また,豊平川の河川敷は,今回の雪害を契機に,改めて河川管理者と協議の上,最大限に活用を図るべきと考えるものであります。
こうした雪堆積場への市民の持込み量は,総容量のおおよそ半分にも及ぶと伺っており,今後,さらに雪堆積場の確保が困難となっていく状況を考えれば,市民みずからが雪処理のために融雪施設を設置することに対して,行政は最大限に支援をしていくべきであり,またこれらの普及が,結果として除排雪の作業経費の減少につながっていくことも期待されるのではないかと思うのであります。
この支援策として本市では,札幌市融雪槽設置資金融資あっせん制度を平成6年度から既にスタートさせており,6年度は当初予算を大幅に上回る78件の融資件数があったものの,7年度は51件と,逆に6年度を下回るものとなっていることは承知をしております。こうした申込み件数の減少は,6年度の小雪が影響していることも考えられますが,私は,民間の融資利率が低く推移している中で,この制度の融資利率 3.2%に対して市民の割高感があるからではないかと思うのであります。
また,現在の制度は,融資の対象を埋設型の小型融雪槽に限定しており,宅地内のロードヒーティングは対象としておりません。この方法も,市民みずからが雪処理をしていく有効な手段として求められているものと思われます。
そこで質問ですが,家庭用の融雪施設の普及を図る上からも,現在の融資制度にロードヒーティングを含めるとともに,金利を下げる,または思い切って助成制度へ転換するなど,市民にとって利用しやいものにすべきと考えますが,その見解をお伺いします。
質問の第2点目は,坂道ヒーティング整備についてであります。
冬季の安全な交通の確保は本市の大きな課題であり,特に,坂道の安全対策は必要不可欠で,本市では,脱スパイクタイヤを契機に,昭和63年度から坂道ヒーティング事業を開始しているところであります。当初予定のバス路線等の幹線系 167ヵ所の整備に加え,先ほど申し上げましたが,雪さっぽろ21計画に盛り込まれていなかったにもかかわらず,平成5年度からは,対象範囲を広げて補助幹線系 150ヵ所の整備に着手しており,平成8年度予算に残りの50ヵ所の整備が計上され,完了する運びとなったことは,市民にとってまことに喜ばしい次第と考えるのであります。
このように幹線系・補助幹線系と順次整備を行い,成果を上げてきたわけでありますが,依然として,生活道路の坂道は残された大きな課題となっております。ヒーティングは,確かに完璧な解決策ではありますが,多額の設置費が必要でありますし,第2次坂道ヒーティング整備を終えた段階でも,毎年の電気料,ガス代などの維持管理費は約10億円,さらに改修費で年間約7億円にも達し,財政負担が莫大に必要なことは認識しておりますので,すべての生活道路の坂道にヒーティングを整備せよとは申しませんが,ヒーティング以外では対応が不可能な坂道があるのも事実であります。
そこでお伺いいたしますが,生活道路につきましても,これまでのような明確な設置基準を設け,最低限の整備は行う必要があると考えますが,お考えをお聞かせ願います。
次に,全天候型多目的施設についてご質問いたします。
先般,市長が発表された新5年計画の中で,大規模事業として特に注目されるのが全天候型多目的施設,いわゆるドームであります。
我が党は,これまで代表質問等を通じて,一貫して積雪寒冷地の北国におけるドームの必要性を強く主張してきたところであり,このたび,2002年のワールドカップサッカー対応のスタジアムをドーム化するとした市長の決断に賛意を表するものであります。とりわけ,今回のドーム化の実現には,2002年のワールドカップ開催都市へ札幌市が立候補したことが,私たちの大きな夢を開かせる大きな要因でありました。
本市がこのワールドカップサッカーの開催都市として立候補した大きな理由には,札幌オリンピックを契機に札幌の街が大きく発展し,その後,冬季アジア大会やユニバーシアード冬季大会など,数多くの国際レベルの冬季スポーツ大会を開催して国際社会の発展と平和に貢献し,また,今再び21世紀初頭を飾る国際的なスポーツイベントであるワールドカップの開催都市として立候補することにより,来るべき21世紀への国際社会でも重要な役割を果たす国際都市さっぽろを目指すことにあると私は考えております。
そして,このたびこのワールドカップサッカー対応スタジアムが,長年の懸案であるドームという形で方針が明らかにされたことは,私にとっても非常に感慨深いものがあります。このような思いを含め,札幌市に今通年利用可能な全天候型多目的施設を建設する意義について,私なりに考えてみたいと思います。
私は,本格的な国際化時代を迎え,とりわけ,北方圏の拠点都市を目指している本市が真に国際都市としての地位を確保していくためには,これまで以上に質の高い都市環境づくりが必要であり,それにふさわしい都市機能の整備が大きな課題になってくると考えます。
一方,国内においても,それぞれの地域の風土特性を生かした個性豊かな都市づくりが進み,いわゆる生き残りをかけた都市間競争も激しさを増していくものと思います。したがって,本市が21世紀においても活力ある都市として発展していくためには,長期的な視野に立つとともに,こうした時代の流れに柔軟に対応できる都市づくりの発想が求められており,スポーツというジャンルを超えた多様な可能性と魅力を秘めたドームを建設し,それを後世の市民の財産として残していくことが,私たちの責務であると考えるものであります。
また,ドームは,四季を通じてプロスポーツの観戦やみずからが多様なスポーツを楽しむことができる21世紀のシンボル的な施設となります。さらに,商業的な活用として,国際的な見本市や展示会の開催も可能となり,本市が目指す国際コンベンション都市づくりに大きく貢献します。
このほか,年間 200万人を超える入場者が見込まれており,地下鉄利用により,地下鉄需要の拡大に貢献するばかりか,ナイター設備を持つ野球場としての対応も可能であり,本市の他の事業への相乗効果も期待できるのであります。
ただいま申し上げてまいりましたように,本市にドームが誕生することによる効果は多岐にわたります。このようなインパクトの強いドーム建設に当たっては,札幌らしさを感じさせる地域性や独自性が発揮され,他都市のドームとは異なる特色を持つことが極めて大切だと思っており,このドームが,道民・市民にとって,未来へのランドマーク的役割を果たしてくれることを願わずにはいられません。確かに,現在のドーム計画においては,建設資金の調達の問題や将来の管理運営の問題などを含め,解決すべき課題もありますが,熟慮の上,市長の決断を得た今,私たち自由民主党としては,市長とともに,困難で魅力に満ちたドーム建設を実現する決意であります。
こうしたことを踏まえ,以下4点について質問をしてまいります。
質問の1点目は,先般,経済界からの資金協力額の提示がありましたが,期待した額を大幅に下回ったことから,今回のドーム化の決断は,市長としても苦渋の決断であったと思います。聞くところによれば,今後,経済界としても協力額の上積みに努力をする意向であり,また,北海道としても実現に向けた資金協力の意向があり,さらにホワイトドーム推進会議も存続され,市民運動の一翼を担うこととなっております。
このように,市長のご決断後,状況は好転の兆しを見せておりますが,このような動きを踏まえまして,市長の現在の心境について,率直な気持ちをお聞かせください。
質問の2点目は,本事業は5年計画の重点事業の一つでありますが,例えば,音楽専用ホールの事業費は約 190億円であり,ドームの建設費はその2倍と,これまでにない
ビッグプロジェクトであります。そこで,市民の中から,福祉や防災など生活に密着した施策に力を入れるべきだとの議論が出るのは当然のことであります。
そこで,現在の5年計画を1年繰り上げて,平成8年度から執行する新5年計画を推進する上で,他の事業に影響を及ぼすことがないのかどうかについてお伺いいたします。
質問の3点目は,ドーム建設財源の問題についてであります。
市長は,平成6年4月の札幌商工会議所並びにホワイトドーム推進会議の要望に対し,これまでドーム化に必要な金額の資金調達を経済界と北海道にお願いしたいと述べてこられましたが,この資金協力の見通しをどのように考えておられるのかお伺いいたします。
質問の4点目は,ドーム完成後の施設利用についてであります。
私は,ドームの利用のあり方として,スポーツ,文化イベント,コンベンションなどの利用にとどまらず,市民生活に密着した施設として,例えばコミュニティ機能や健康づくり機能といったものを附帯させ,市民の利用を推進すべきと考えますが,いかがでしょうか。
次に,廃棄物対策の長期展望と大型ごみ対策についてお伺いいたします。
まず質問の1点目でありますが,今後の廃棄物対策に関する基本的な考え方についてお尋ねいたします。
今や,資源循環型・リサイクル型社会への転換は,国も地方も焦眉の急となっております。今までのようなかけ声だけの取り組みではなく,何を,いかに,いつから進めるのか,実行そのものが求められる段階に至っております。このような国家的・国民的課題に対して,国においては総額5兆 500億円に上る第8次廃棄物処理施設整備計画,通称リサイクル・ゴーゴー計画が策定され,明確にリサイクル型社会への転換を重点目標に掲げて,平成8年度を初年度に計画を進めようとしております。
一方,札幌市でも,国の動きと時期を同じくして新5年計画がスタートするわけであります。
札幌市の年間ごみ量は,平成8年度に 116万トンと見込まれております。毎年 100万トンを超えるごみの量を前に,この新5年計画を通して札幌市はどのような廃棄物対策を目指そうとしているのでしょうか。特に,今後のごみ減量・リサイクルへ向けたごみ対策を総合的に,かつ強力に実行していくためには,いつまでも札幌市という枠の中だけで考えていてよいものか,将来を見据えた真剣な議論が必要なのでないかと,私は考えるのであります。
札幌市は,第3次
長期総合計画において札幌複合交流圏構想を掲げ,近隣市町村との協力関係の構築へ向けて,これまでさまざまな分野で協議を積み重ねてまいりました。ごみ問題についても,従来,問題とされてきた産業廃棄物だけではなく,市町村に処理責任のある一般廃棄物についても,広域的な協力関係を検討すべきではないかと思うのであります。
すなわち,ごみを衛生的に,かつ減容化して処理するためには,清掃工場や破砕工場の建設が必要なわけでありますが,巨額の事業費を伴うため,近隣の大部分の市町村では,財政上の問題から思うに任せないのが実情であります。一方,札幌市は,これらの中間処理施設は整っているものの,最終処分地である埋立地の確保が年々困難になってきている状況であります。
将来的な廃棄物処理の望ましいあり方を,本市と一体的な日常生活圏を構成している札幌都市圏という地域的広がりの中でとらえ直し,環境の保全,処理施設や土地など地域資産の有効活用,さらには処理・処分費用にかかわる経済的効率性を考えるとき,双方ともに利益のあることならば,相互に協力していくことが理想であります。それを実現していくためには,今から近隣市町村との協議を進めていこうとする姿勢が必要であり,5年計画のスタートに当たって,そのような認識が望まれるところであります。
そこでお尋ねいたしますが,新5年計画において,廃棄物対策としてはどのような方針のもとに事業の計画化を図られたのか。また,5年計画事業の実施によって,どのような減量・リサイクル効果を得ることができるのか,実施する施策と事業効果の予測について,その全体像をお示し願いたいのであります。
さらに,将来的な一般廃棄物の処理に関して,近隣市町村との協議を検討すべきと考えるものでありますが,市長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
次に2点目といたしましては,大型ごみの問題であります。
市長は,年頭記者会見において,ごみの減量化を目指し,家庭から出される大型ごみの有料化へ向け,具体的検討に入る考えを明らかにされました。また,1月末には,札幌市廃棄物減量等推進審議会からも市長に対し,ごみ減量・リサイクルに関する諸方策について答申があり,その中の一つに,家庭系大型ごみの戸別有料収集への移行が提言されております。
大型ごみの有料化については,我が党が従来から主張してきた重要な政策課題であり,今後のごみ減量・リサイクルを進める方策の一つとして積極的に取り組むべきものと考えているところであります。
戦後,日本が経済成長を達成していく過程で,大量生産・大量消費という社会経済システムができ上がり,我々は,世界で最も豊かな国民生活を享受したかわりに,ごみの大量廃棄という社会を生んでしまいました。
今,深刻さを増すごみ問題に直面し,我々は,大量廃棄を容認した社会のあり方を改めて問い直し,企業も市民も,一人一人がみずからのごみの処理責任を厳しく見つめ直さなければならないと思うのであります。
もちろん,有料化によって家計負担がふえることに,もろ手を挙げて賛成する者はいないでありましょう。だれもが,負担を嫌い,受けるサービスにはその向上を要求いたします。しかし,ごみ問題の現状を考えるとき,果たしてこれでよいのでありましょうか。心ない市民は,大量にごみを出して何らはばかることなく,一方では,少しでもごみを減らそうと努力を続けている市民がいる。同じ納税者に対するサービスのあり方として,実に不公平であります。また,自己の責任において処理すべき事業者が,ごみステーションに排出をして知らぬふりを決め込むことは,社会正義に反する行為であります。
このような種々の問題を見るとき,現行の収集方式を改め,各家々に出向く戸別収集方式へ変更することは,ぜひとも必要な改革であります。現在のような,ステーションにごみを無料で出しほうだいというままでは,なかなか市民にごみを抑制しようとする動機が働きにくいものであります。
しかし,戸別収集方式は,ステーション方式と比べると,作業効率の低下は避けられないはずでありますから,収集経費が増加することは,だれの目にも明らかであります。また一方で,戸別収集になれば,それだけサービスの向上が見込まれるのでありますから,市民に納得のいく適正な額を負担してもらうことに,広く理解を求めていくべきと考えるところであります。
そこで,家庭系大型ごみの戸別有料収集について,8年度において具体的な検討を行うとのことでありますが,新たな制度を導入しようとする理由,戸別有料収集の実施によって期待される減量効果の見通し,さらに市民のコンセンサスづくりへ向けた基本的なスタンスについて,そのお考えをお示しいただきたいと思います。
次に,都心周辺部の整備方針についてお伺いいたします。
本市の街づくりは,昭和30年代以降,急激な人口集中に対応し,新市街地の整備を重点に進められてきましたが,現在は,既成市街地の再整備,本格的な再開発の時代に入ってきております。
このことは,市街地の熟成度合いや,また時代環境の変化の激しさをあらわしているとも言え,さらに21世紀の都市整備のあり方を展望したとき,人口や人口構成,経済活力,社会資本投下の財政余力など,想定される社会・経済条件を考えますと,都市をどう効率的にマネージするかという視点を基本に据えて,都市の居住性を高めていくことが求められるのであります。
したがいまして,既に長い年月をかけて社会資本が蓄積されている既成市街地にこそ,焦点を当てなければならないのは必然のことであります。それだけに,市として都市整備の戦略を改めて明確にする必要があるわけでありますが,その意味で,私は,既成市街地の中でも,都心に隣接している都心周辺部の街づくりが一層重要となってくると考えるのであります。
しかし,その現状を見ますと,総じて,人口の減少ないし停滞,高齢化と小規模世帯化,老朽化,商店街の衰退,一部地域での道路不良などの問題を抱えております。とりわけ,例えば山鼻・曙地区など,都心の南側・西側縁辺の地域については,古くからの札幌有数の住宅地であるゆえにか,時代に適合した地区更新がなかなか進まず,取り残されているのが実情であります。いわゆる地上げによる虫食い状の空地も多く見られ,反面では,無秩序な中高層化が広がる懸念も強く持たれるところであります。
したがって,私は,こうした現状にかんがみ,さらに次の二つの点から,今後の重点として都心周辺部の整備に取り組むべきではないかと考えるのであります。そして,このことが活力低下に悩む他の旧市街地の街づくりを先導することにもなると思うのであります。
一つは,都心とのかかわりについてであります。
本市の都心は,冬季オリンピックの開催を契機として骨格が整い,今日に至っておりますが,20年以上たった現在,商業・業務機能への著しい特化,都心商業力の総体的低下などが目立ち,魅力の乏しさが指摘されるところであります。にぎわい豊かな都心としてその求心力を回復するためには,文化的機能や居住機能などの多様な機能を複合的にあわせ持つ必要があると思います。特に居住機能に関しては,単なる住宅の供給としてだけではなく,公共施設の配置なども含めて,そのあり方をさらに考えていかなければならない問題であります。
こうしたことから本市の場合,私は,都心部における定住人口の呼び込みとあわせ,むしろ,それ以上に今後とも住宅地として期待される都心周辺の地域について,既存のストックと都心に近いというメリットを最大限に活用し,その再生を図ることが重要であると考えるのであります。そして,このことが同時に,都心の持っているさまざまな資産を生かすとともに,都心機能を支えることになると考えます。
二つ目は,快適で魅力に富んだ居住環境の質的な向上のためには,地域個性の創出による良質な街並みの形成が,重要な視点として求められるところであります。個性のあらわし方はさまざまでありますが,その大きな要素の一つである歴史性を考えた場合,とりわけ都心縁辺の旧市街地は,明治時代から代表的な住宅地として,歴史のある商店街とともに札幌らしい街並み,雰囲気を形づくってきたところであります。
しかし,個別の建てかえなどが進む中で将来の不安が強く残るところであり,そうした歴史的資源を今後にどう生かしていくかが,これからの大きな課題であると考えます。
このような観点から,私は,都心周辺部の整備に関し,以下2点について質問をいたします。
まず1点目でありますが,今回の第3次5年計画において,都心周辺部における街づくり整備方針の策定が挙げられております。このことは,ただいま申し上げてきた主張に沿ったものとして大いに評価をし,また期待をするものでありますが,都心周辺部整備の都市整備上の位置づけや策定上のねらいなど,基本的な考え方をお聞かせいただきたいのであります。
質問の2点目は,その場合の整備のあり方や進め方についてであります。
街づくりは,地域の生活に根差し,これを大事に育てていくという視点がなければなりません。例えば,先ほど申し上げたような都心縁辺の地域については,歴史に培われたよさを生かした整備が望まれます。それだけに整備手法等の面での難しさが予想され,地域との十分な合意形成がとりわけ不可欠であると考えますが,その対応は,他の地域にとってもモデルとなる全市的かつ先駆的意義を持つものと思われます。そこで,その点を含め,市長のお考えについてお伺いをいたします。
次に,消防職員・団員などに対する教育訓練体制についてお伺いいたします。
昨年は,阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件と,これまで経験したことのない災害が発生し,特に阪神・淡路大震災では 6,300人余りのとうとい生命が失われるなど,極めて痛ましい災害となりました。
本市においても,こうした教訓を踏まえ,昨年3月,防災会議に地震対策部会を設け,緊急に取り組むべき対策として,災害対策本部の運営を初め,広域応援,緊急医療,避難場所の運営,生活物資,ライフラインなどに関して,即対応できるものにあっては直ちに着手され,約 280項目にわたる緊急対策をいち早くまとめられたことは,市民の安全を願う理念に基づいたものであり,大いに評価できると思いますし,この緊急対策を第一歩として,現在調査を進めている被害想定に基づき,さらにハード・ソフト両面にわたって検討が加えられ,平成10年度には,よりきめ細やかな防災対策が確立されるものと期待しております。
しかし,防災対策の基本は何か,これを原点に返って考えてみますと,防災計画という制度を整備することに加え,この計画を実効あるものにするには,これを動かす人づくりがなければなりません。いかにしてその人材を育成していくかが,防災対策のもう一つの柱になっていなければならないと思うのであります。
人材の育成は一朝一夕にできるものではなく,また求められる知識,技術の幅も広く,とりわけ重要なのは,自分たちの街は自分たちで守るといった地域や職場単位での自主防災の意識を浸透させるための市民防災リーダーの育成であり,さらにはあらゆる災害の発生に際し,常に市民の生命・財産の安全を負託されている消防職員・団員に対する教育訓練の充実強化ではないかと考えるのであります。
本市の消防職員・団員の教育訓練の現状は,江別市にある北海道消防学校で行っている新採用消防職員の初任教育や幹部教育などに派遣していると伺っておりますが,私が調べたところによりますと,北海道消防学校では,道内の消防職員・団員約3万 7,000名を教育対象としておりますが,教育や寮の関係から,最大収容能力は 252名で,各教育訓練課程を合計しても,年間 1,200名までの教育が限界であり,各消防本部が希望する人数を入校させることが難しく,また消防の装備や組織規模,さらには都市形態が異なる市町村の消防職員を一まとめにした教育のため,教育カリキュラムも平均的な教育訓練にならざるを得ないのが実態でありまして,本市のように高層ビルが立ち並び,地下街や地下鉄が縦横に走る都市構造から見て,他の消防本部の職員と同じ教育内容でよいのか疑問を感じるのであります。
これを補完するため,西区八軒にある消防訓練所では,年間を通して,はしご車や化学車を使用しての救助訓練や災害防御活動を主体とした訓練を行っているようでありますが,さまざまな都市型災害の対応を考えるとき,果たして,現在の教育訓練体制で十分な災害対応ができるのか心配をしているところであります。
消防学校は,消防組織法においては,都道府県が設置しなければならないとされており,また,政令指定都市では独自に設置することができるとされております。そうしたことから,東京都はもちろんでありますが,横浜市,名古屋市,京都市,大阪市,神戸市,福岡市でも独自の消防学校を設置し,この4月には千葉市でも開校すると伺っております。このように,政令指定都市の半数以上に独自の消防学校があり,それぞれの都市構造,気候風土等に見合った教育訓練内容で,人材の育成に努めております。
市長は,常々,災害に強い街づくりが市民生活の基盤であると申しておりますが,真にこの理念を実現させるためには,本市独自の消防学校を設置して,人づくりから始めることが確実で安全な近道であると考えるのであります。
現在の消防職員の年齢構成を見ますと,近い将来,毎年80から90名前後のベテラン職員が退職し,その分,新しい人が採用される時期が到来しますし,また,火災予防や後方支援的な活動を中心としている消防団の活動も,阪神・淡路大震災以来,災害の第一線で活躍してもらわなければならない事態にもなっております。
また,本市では 103の自主防災組織が結成されておりますが,まだ市内全域をカバーするにはほど遠い状況にあります。より多くの町内会や自治会,そして企業を含めて自主防災組織を定着させ,円滑な活動を推進するための防災リーダーを新たに養成し,定期的に研修を受けてもらうようなシステムをつくらなければならないと思うのであります。人づくりには,相当な時間が必要なわけであります。これらを真剣に考えますと,当然いまから準備をしておかなければなりません。
また,札幌の都市構造,消防の組織規模からしても,消防学校を持つべき時期に来ていると考えますので,新5年計画に盛り込まれている消防研修訓練施設の整備事業を一歩進めて,体制的にも消防組織法に基づく消防学校として位置づけ,都市化の進展によって,ますます複雑多岐にわたる災害対策のため,また,災害から市民を守るために,危険な災害現場の最前線で防御活動を行う消防職員・団員の教育訓練を一層充実させ,その力をフルに発揮でき得る精鋭部隊を育成しなければなりませんし,さらに高度な最新の専門知識・技術を身につけてもらわなければなりません。市民の防災リーダーの育成も,このような一貫した体制のもとで実施すべきであると強く感じているのであります。
災害のない街札幌,安全な街札幌をつくるために,札幌独自の消防学校を早期に設置すべきであると思うのでありますが,市長のお考えをお伺いいたします。
最後に,いじめ問題についてお伺いいたします。
愛知県で起きた中学生の痛ましい自殺事故から,ちょうど1年たった昨年11月,新潟県においても同様の事故が発生し,社会に大きな衝撃を与えました。事態を重視した文部省は,昨年12月と本年2月に臨時の全国教育長会議を開催し,文部大臣みずからが子供たちへ直接呼びかけたり,緊急アピールの発表を行っております。
いじめ問題については,我が党がさきの議会において再三にわたって取り上げたところであり,札幌市教委においては,全国に先駆けて全市一斉に,体罰の根絶及びいじめ防止に関する取り組み強化月間を設定し,学校と連携して精力的な取り組みを行なっております。
しかしながら,新聞の報道にもありますように,平成6年度に発生した全国のいじめは,小・中・高校合わせて5万 6,000件に上っており,前年度の 2.6倍に急増しているとのことであります。その理由として文部省では,各学校における総点検の結果,潜在化していたいじめが一気に掘り起こされた結果としております。確かに,その点は理解できます。
それにしても,いじめの問題について,文部省や教育委員会はもとより,各学校が懸命に取り組んでいるにもかかわらず,いじめがふえ続け,みずからかけがえのない命を絶つという痛ましい事件が繰り返されているのは,なぜでありましょうか。
私は,いじめ問題をもっと大きな視点に立ってとらえ,本市として関係者が有機的なつながりを持ちながら,これまでに行われてきた取り組みを総点検するとともに,単に対症療法的取り組みばかりではなく,いじめが起きない予防的取り組みに視点を当てた対応が重要であると考えるのであります。
いじめの原因や背景としては,学校の指導のあり方や核家族化・少子化傾向に伴う親の養育態度の変化,地域社会の人間関係の希薄化など,学校,家庭,社会,それぞれの要因が複雑に絡み合っているとも指摘されております。
したがって私は,いじめをなくするために,この問題を本市の教育問題の根幹にかかわる最重要課題として位置づけ,有機的,総合的な取り組みの全体構想を立てることが,まず第一であると考えるのであります。
これらの問題については,単に学校だけで取り組むのではなく,家庭や地域社会と一体となった地域ぐるみの取り組みが大切であり,今こそ,市教委としてどのような考え方や構想を持っているのかを具体的に示す必要があると思うのであります。
さらには,潜在化しているいじめを早期に発見し,早期に解決することは当然のことではありますが,いじめが起こらない予防的な取り組みこそが大切であり,このことが,いじめの根絶に最も有効であると確信しております。直ちに効果があらわれるものではありませんが,中長期的展望に立って,息の長い,確かな取り組みを展開していくべきであると思うのであります。
人の心の痛みがわかる優しい心をはぐくむためにも,希薄な人間関係を改善させるためにも,そして体験不足から生じるさまざまな問題を解消させるためにも,こうした取り組みを具体化させることが重要であると考えるのであります。
そこで,本市におけるいじめ問題の総合的な対応と平成8年度における具体的取り組みについて,さらには新5年計画も含めた中長期的な予防的取り組みについて,教育長のご所見をお伺いいたします。
以上で,私の質問のすべてを終えます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(柴田薫心君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) まず,私から数点お答えをいたします。
最初に,財政問題についてでございます。
第1点目の平成8年度予算の編成に当たって,意を用いた点についてでありますが,ご案内のとおり,平成8年度は,このたび策定をいたしました第3次の5年計画の初年度に当たります。21世紀へのかけ橋の基礎を固める重要な年でありますことから,この計画事業について,各分野のバランスにも配慮しながら,積極的に盛り込むように心がけたところであります。
中でも,21世紀に向けた快適な都市空間・都市環境の創出を図るための都市基盤づくり,阪神・淡路大震災を教訓とする防災体制・防災対策の強化,高齢化社会に対応するための福祉・保健医療の充実,人に優しい交通対策など,交通環境の整備や環境保全に向けた総合交通・総合環境対策の推進,北方圏の中枢都市としての国際化・広域化の推進,都市活力の源泉となる産業活動を活発化するための経済の活性化,多様な市民ニーズにこたえるための市民文化の創造と地域コミュニティーの向上,これらにつきましては,特に重点を置いたところであります。
第2点目の
食糧費予算の削減についてであります。
まず,平成8年度の
食糧費予算の削減についての考え方でありますが,昨年の10月と12月に発表いたしましたとおり,もてなしのための接待の廃止,その他の会食の縮減を決定し,直ちに実施をしたところでありますが,これらの決定を踏まえて,中央官庁などとの会食にかかわるものについては,平成6年度決算から,少なくとも半減となるように,またその他の食糧費についても,平成7年度予算から,各部において1割以上削減することを基本として,必要最小限の額に削減をしたものであります。その結果,一般会計におきましては,前年度に比して
食糧費予算が約3割削減されたことになりました。
また,食糧費にかかわる情報公開につきましては,市政の透明性をより一層高めるとともに,
情報公開条例の原則公開の精神を尊重し,平成8年度から,公開の対象を拡大する方向で検討してまいりたいと考えております。
第3点目の使用料・手数料の見直しに当たっての基本的な考え方についてでありますが,本市の使用料・手数料につきましては,従来から一定の期間ごとに見直しを行ってまいりましたが,現行の料金の大部分は,平成4年度以降据え置いているところであります。この間,行政の効率化や経費削減に積極的に努めてまいりましたが,人件費及び諸物価の上昇等によって収支のバランスが崩れてきており,ただいまご指摘のとおり,今後とも市民サービスを安定的に供給していくために,また
受益者負担の適正化を図るという観点から,必要最小限の範囲での改定をお願いしたところであります。
しかし,その中でも
情報公開制度における文書等の閲覧手数料につきましては,この制度の趣旨を考慮して無料化することとし,また,今回,使用料の改定を行う社会教育施設,体育施設のうちで,個人利用に係る子供料金を設定しているすべての施設について,学校週5日制の実施に伴う校外活動の支援も含め,青少年の健全育成を推し進める観点から,中学生以下の子供料金を据え置くこととしたところであります。
次は,長期的な街づくりの視点についてお答えをいたします。
第1点目の次期の
長期総合計画策定の必要性についてであります。
現在の第3次
長期総合計画では,高齢化や国際化といった社会の趨勢を踏まえ,「世界に結ぶ」「北の都市機能を創造する」「先駆的な実験を継続する」この三つの方向や,その実現のための施策体系を定めております。
これらの基本的な街づくりの方向が,必ずしも今日の社会情勢にそぐわなくなっているとは認識いたしておりません。しかし,
地球環境保全や社会参加に対する意識の高まりに積極的に対応するための施策体系の再構築や,予想を上回る高齢化,少子化,国際化,情報化の進展等による人口及び経済に関する将来フレームの見直しの必要があること,また,現在,策定作業が進められている新たな全国総合開発計画や道の
長期総合計画等との整合を図りつつ,新たな施策展開の方向を検討する必要があることなどから,新計画の策定に着手したいと考えております。
次に,第2点目の計画策定の基本的な視点と手法についてでございます。
本市の目指すべき方向等につきましては,今後,
長期総合計画審議会や議会においてご審議いただくことと考えておりますが,今後とも,高齢化,国際化,情報化などの趨勢は続くものと考えられますことから,これらを含めた社会環境の変化に的確に対応するとともに,新しい時代の要請にこたえながら検討を進めていく必要があるものと考えております。
このようなことから,計画策定の手法につきましても,各界各層の市民意見を収集するための事業を充実するとともに,長期的な街づくりの指針としての一貫性と社会情勢変化に対応する柔軟性を同時に備えた計画となるように,論議を尽くしながら見直しに取り組んでまいりたいと考えております。
次に,全天候型多目的施設に関するご質問についてであります。
第1点目のドーム化決断後の私の心境についてでありますが,私は,かねてから,1年を通じて天候に左右されない国際レベルのスポーツイベント等が開催可能なドームが建設されて,道民も市民の皆さんにも喜んで利用していただき,そこで地域の活性化に結びつくような事業が展開されることは,まことにすばらしいことであると思っております。
また,この施設は,積雪寒冷地の本市にとって市民生活の多様性と快適性を高める魅力的な施設であり,多くの道民・市民にとって待望の施設でもありますので,北海道や経済界にもご支援をいただきながら,ぜひともドーム化を実現したいということが,現在の私の心境であり,また,決意でもあります。
第2点目のドーム建設による新5年計画への影響についてでございますが,全天候型多目的施設につきましては,新5年計画において,市民が生き生きと安心して暮らせる街づくりを進めるための
高齢者保健福祉計画などの実現や雪対策の着実なレベルアップ,また,昨年の阪神・淡路大震災の教訓を生かした災害に強い街づくりを進めるための新しい防災計画の策定など,他の施策とも十分な調整を図り,重要事業として組み入れたものであります。したがいまして,このドーム建設に当たりましては,他の5年計画事業の執行に影響を及ぼすことのないよう最大限の努力をしてまいらなければならないと考えております。
第3点目の資金協力の見通しについてでありますが,現在,経済界におきましては,さきにご提示をいただきました協力額の上積みに向けた取り組みを進めております。また,ホワイトドーム推進会議が中心となって道民・市民に協力を呼びかけるなど,新しい展開を見せております。また,北海道もできる限りの協力をしたいとの意向であり,このことに期待するとともに,今後一層の要請を進めてまいる所存であります。
また,本市といたしましても,より有利な起債が得られるように努めてまいりますが,北海道や経済界を初め,多くの道民・市民の皆様のご支援を得て,所要の財源を確保してまいりたい,このように考えております。
第4点目のドームの附帯機能についてでありますが,ドームにおいてスポーツやイベントが行われないときであっても,にぎわいと活気に満ちた運営を確保し,また,道民・市民が気軽に利用できるように附帯機能を充実させていくことは,非常に大切なことだと思っておりますので,ご指摘のようなコミュニティ機能や健康づくり機能などについて,今後検討してまいりたいと考えております。
次は,廃棄物対策の長期展望と大型ごみ対策についてであります。
第1点目の今後の廃棄物対策に関する基本的な考え方でございますが,従来にも増して資源循環型社会へ向けた本格的な取り組みを行うために,三つの基本方針のもとに,今後5年間の廃棄物対策を進めることにしております。一つはごみ減量・リサイクルの総合的な推進であり,二つ目は新たな収集体制の整備,そして三つ目は廃棄物の適正な処理の確保であります。
これらの方針のもとに,従来の施策に加えて,資源物収集体制の整備,リサイクルプラザの建設,第5清掃工場の建設等を行うことによって,平成12年度における総収集量 120万トンのうち9万 2,000トンの減量・リサイクルを図ることができる見込みであります。
また,将来的な一般廃棄物の処理に関する近隣市町村との協議につきましては,大変貴重なご提言でありますので,他の行政分野にかかわる課題とともに,札幌都市圏連絡会議等を通じて検討してまいりたいと考えております。
2点目の家庭系大型ごみの戸別有料収集に関するご質問でありますが,収集方法を変更しようとする主な理由として,一つは,高齢化社会を迎えて,年々大型化する粗大ごみの排出労力の負担を軽減する必要があるということ,二つ目は,事業系ごみの適正な排出をお願いし,あわせて業界による適正処理困難物の有料回収システムの円滑な推進を図る必要があること,三つ目は,危険物,排出禁止物の排除を徹底することなどであります。その際,排出量に応じた住民サービスの公平化と戸別収集による
行政サービスの向上にかんがみ,一定の経費について,市民の皆さんにご負担いただく方向で検討をしてまいりたいと考えております。
また,有料化へ向けた検討においては,市民の皆様のご理解を得られるよう,機会あるごとにごみ問題の状況をお知らせしながら努力をしていく所存であります。
なお,減量効果の見通しについてでございますが,既に実施をしている他都市の例から見て,本市においても効果が期待できるものと思っているところであります。私からは以上です。
○議長(柴田薫心君) 魚住助役。
◎助役(魚住昌也君) 雪対策と都心部の整備方針につきまして,私からお答えいたします。
まず,雪対策についてお答えいたします。
1点目の雪処理施設に対する支援策についてでございますが,市民みずからが雪処理を行う融雪施設の普及を図ることは重要なことと認識しております。したがいまして,平成6年度からスタートしております融資あっせん制度の改善を図り,ご提案のロードヒーティングへの適用拡大や金利の引下げ等を早急に検討し,利用促進を図ってまいりたいと考えております。
次に,2点目の坂道ヒーティング整備についてでございますが,ご指摘のとおり,生活道路の坂道すべてにヒーティングを行うことは困難でありますので,従来からの砂箱設置や緊急的な砂散布に加え,勾配,幅員,交通量,道路状況,事故の可能性など,さまざまな角度から検証し,計画的な砂散布や路面整正の強化など,新たな路面管理手法をまずは確立してまいりたいと考えております。
お話にありました急な坂道の生活道路のロードヒーティングにつきましては,今後の研究課題としてまいりたいと考えております。
次に,都心周辺部の整備方針につきましてお答えいたします。
1点目の整備の基本的な考え方についてでありますが,都心周辺部は,現在,ご指摘のような問題を抱え,活力低下を招いていることから,居住性を高め,活性化を図る必要があり,今後の街づくりの重心を都心周辺部に置いて,その整備に取り組まなければならないと考えております。
その場合,都心に近接する住宅地としての居住機能の望ましいあり方や方策について,お話しのように,それぞれのストックを生かし合うことを基本にしながら,そこに住む人の世代構成を初め,住宅環境,公共施設の配置等,各地域の特性を踏まえまして,多角的に検討,整理する必要がございます。加えて,地域の合意形成や整備手法など,成熟した市街地であるがゆえの難しさもありますので,長期的,かつ粘り強い取り組みが必要でございます。
新5年計画で予定しております街づくり整備方針は,その第一歩として,居住機能のあり方等の検討と地域みずからが街づくりを考える際のきっかけづくりを主眼に,将来ビジョンや手法面を含めた街づくりの基本方向を明らかにし,次のステップにつなげていきたいと考えております。
2点目の整備のあり方と進め方についてでございますが,都心周辺部は,札幌らしい個性的な街並み空間が残っており,残すべきところはできるだけ保全ないし再生を図るという視点から,さまざまな事業手法や制度を複合的に活用していきたいと考えております。
そのため,整備方針策定の中で,他の既成市街地においてもモデルとなる重点地区を設定し,保全・修復型のきめ細かい再開発手法を模索していくとともに,その一環として,平成8年度には,こうした既成市街地における土地区画整理事業導入の可能性調査をケーススタディー的に行う予定でおります。
一方,整備の進め方でございますが,街づくりは,当初の段階から,地域の総意と主体的な取り組みが重要であり,これがあって初めて地域と行政が連携した質の高い街並み形成が可能となるものでございます。このため,市民と行政が一緒になってまちづくりを推進する中核的組織として,街づくりセンターをできるだけ早期に立ち上げていきたいと考えております。以上でございます。
○議長(柴田薫心君) 石原助役。
◎助役(石原弘之君) 私から7点目の消防職員・団員に対する研修訓練のあり方についてお答えをいたします。
消防職員・団員に対する研修訓練の一層の充実は,市民の安全を守る消防行政にとりまして,今後とも重要なことであると認識しており,新5年計画の中でも,消防研修訓練施設の整備を予定しているところであります。
また,市民防災リーダーの育成も,市民と一体となった地域防災対策を強化する上で大切なことであると思っております。
ご提言の消防学校の構想につきましては,北海道との協議も必要でありますが,人材の育成は,防災対策を進める上で最も基本的なことでありますので,前向きに検討してまいりたいと考えております。
○議長(柴田薫心君) 藤島教育長。
◎教育長(藤島積君) いじめ問題について,私からお答えをいたします。
まず,いじめ問題の総合的な対応についてであります。
いじめ問題については,ご指摘のとおり,単に市教委や学校だけで取り組むのではなく,家庭や地域,関係機関などが一体となって取り組むことが大切であると考えております。
本市におきましては,人間性の尊重を重要な指針の一つとして,生涯学習推進構想を昨年策定したところでございます。さらに,札幌市の「教育推進の目標」や各学校の教育課程においても,生命のとうとさや思いやりを育てる心の教育を教育実践の基本的な視点として掲げております。また,学校,PTA及び関係機関などの代表者による,いじめ防止のための連絡協議会を設置し,それぞれの立場から広くご意見をいただくとともに,関係者が密接に連携を図りながら,総合的にいじめ問題に取り組んでまいりたいと考えております。
次に,平成8年度における具体的な取り組みについてであります。
ただいま申し上げましたいじめ防止連絡協議会を開催するほか,児童・生徒を持つ全家庭向けのリーフレットを作成して,PTAや町内会,各関係機関等に配付するとともに,地域ぐるみでいじめ防止に取り組むよう,各区のPTA連合会が行う事業を支援するなどして幅広く理解と協力を求めてまいりたいと考えております。
また,各学校においては,子どもの権利条約の趣旨等も踏まえながら,昨年度実施したいじめ防止取り組み強化月間を今年度はさらに一歩進めて,予防的な取り組みや校内研修会などを年間を通して計画的に行ってまいります。
このほか,全教員に配付する新たな指導資料の有効活用や各種研修会を充実させるなど,教員の資質向上を図りながら,より一層きめ細かな対応に努めてまいりたいと考えております。
また,中長期的な予防的取り組みについてでございますが,いじめをなくするためには,何よりも心の教育が大切であり,自然体験学習やボランティア活動などへの積極的な参加も効果的であると考えております。
子供たちは,集団生活を通して,自然とふれ合う機会が余りにも少なく,結果的に人間関係をつくっていくことを苦手としており,このこともいじめの原因の一つであると考えております。これからの子供たちには,家から離れた外での生活を通して自然の厳しさやたくましさなどを身をもって体験させ,日常の学校生活や家庭生活では得られないさまざまな経験を積ませることによって,心と心が響き合う人間関係を培っていくことが大切であると考えております。
このようなことから,市教委といたしましては,小学校高学年を対象に,自然体験・ふれあい促進事業を新5年計画に位置づけ,子供たちの健全育成に鋭意努力をしてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(柴田薫心君) ここで,およそ30分間休憩いたします。
──────────────────
休 憩 午後2時23分
再 開 午後2時55分
──────────────────
○副議長(澤木繁成君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問の続行であります。川口谷 正君。
(川口谷 正君登壇・拍手)
◆川口谷正君 私は,社会民主市民の会を代表して,本定例会に付託をされました1996年度札幌市予算案,並びに第3次5年計画及び当面する市政の緊要な課題につきまして,順次質問いたしたいと存じます。
最初に,私は,今定例会の持つ意義について触れておきたいと思います。
我々は,昨年,戦後50年という歴史の大きな節目を経て,今21世紀に向かう最終コーナーに差しかかっています。本市においても,この50年間で,多くのものを手にする一方,また解決すべき多くの課題を抱えることになりました。人口は,終戦当時の22万人から 176万人へと急成長し,道路や上下水道など,都市基盤の整備は高水準に達し,ばい煙,粉じんという2大公害問題も克服して,四季折々の自然の美しさに支えられ,国内でも最も住んでみたい街との高い評価を得る街となりました。
しかし,反面,急速に到来した少子・高齢社会や高度情報化・国際化の進行という時代状況への対応,自然災害に対する備え,また,当面する景気対策など,多くの課題がわれわれを待ち受けているのであります。
それだけに,われわれは市民の負託にこたえてこれらの課題に取り組み,来たるべき21世紀への橋渡しとしてのこの時期に,的確な政策選択を行わねばならない重大な責任と義務があるものと考えるのであります。市長の実り多い答弁を期待し,以下質問に入らせていただきます。
最初に,財政問題についてでありますが,96年度の国の予算案は,経済見通しを個人消費の緩やかな回復と民間設備投資の回復が大企業から中小企業にも広がるものとして,成長率を 2.5%と見込み,総額で前年度比 5.8%増の75兆 1,049億円としているのであります。しかし,4年連続の税収減で歳入の28%を国債に依存すること,歳出で住専処理に 6,850億円という多額の資金を投入する予定など,大きな問題を抱えたものとなっています。
地方財政計画の規模は85兆 2,800億円 3.4%増,
地方交付税は16兆 8,400億円 4.3%増でありますが,地方債計画は約18兆 1,103億円13%増となっており,この結果,地方の借入金は 136兆円と一段と膨脹し,このため
一般財源比率は低下して,
地方債依存度は15.2%にまで高まるものと見込まれます。
さて,本市の予算案についてでありますが,予算編成の基本方針として,北の
理想都市サッポロ実現のため,事業の計画的推進と国保,交通事業の健全化,事務事業の見直し及び使用料等を見直すとしています。
予算規模は,一般会計で前年比5%増の 8,325億円のほか,特別会計,企業会計合わせ総額1兆 4,687億円となっており,厳しい財政事情にもかかわらず,所要の事業は推進しようとの市長の決意がうかがわれます。
次に,歳入を見てまいりますと,市税は 2,857億円でわずか 2.5%増,
地方交付税は 1,090億円を見込んではいるものの,留保財源はなく,市債を 228億円増の 1,180億円と予定し,なお不足する財源について,
財政調整基金の取り崩し30億円などで賄う苦しいやりくりとなっているのであります。
特に,歳入の大宗をなす市税は69億円増を見込んでいますが,94年度実績は収入率で92.4%と前年を下回り,95年度決算も厳しいものと思われます。市債は,前年度比24%増で歳入全体の伸び5%を大幅に上回り,公債依存度は14.2%と過去最高の水準に達しているのであります。さらに,
財政調整基金はいよいよ底をつき,本市の財政は一段と硬直化が進み,ここ数年で最も苦しい運営を迫られることになるのではないかと考えるのであります。
しかしながら,こうした財政状況とはいえ所要事業の停滞は許されず,そのためには歳入の確保が強く求められるところでありますが,中でも貴重な自主財源である市税収入の確保が重要であります。ご承知のとおり,市税収入は,景気動向などから見ても早急な回復は困難であり,歳入欠陥を招くおそれがあるのではないかと危惧するのであります。
そこで質問でありますが,市税の95年度決算の見込みと市税の確保について,これまでの対策に加えて,今後どのような具体策を講じ,その見通しをどう立てておられるのかお伺いをいたします。
次に,市債についてでありますが,国の方針とも相まって,積極的に市債を活用しようとの姿勢がうかがわれます。しかし,反面,市債は後年度負担を伴い,その取扱いについては慎重を期す必要もあろうかと考えます。
本市の市債残高は,ここ数年,増嵩の一途をたどり,一般会計では,90年度で 4,910億円であったものが95年度末では 7,051億円と見込まれ,40%強増加をし,元利償還金も 485億円から 639億円,約32%増加しているのであります。もちろん市債発行に当たっては国の許可も必要であり,また,交付税措置のある良質な資金の活用にも心がけておられるところでありますが,その他の市債の発行額は 311億 6,000万円,前年比32.7%増を見込み,年々その額は増加し,今後,不安なしとしないのであります。
そこで2点目の質問でありますが,投資的経費の確保や市民要望の強い施策を推進するためとはいえ,いわば借金である市債発行に当たっての考え方や見通しをどう持っておられるのかお示しをいただきたいのであります。
次に,このたびの一般会計の編成に当たっての基本的方針についてであります。
96年度は新5年計画のスタートの年でもあり,都市基盤づくりや防災体制,福祉・
保健医療施策などを重点として,各分野のバランスに配慮したとしています。また,行政改革の推進にも積極的に取り組み,経常的に行なっている事務事業の見直しにより,約18億円の財源を生み出しております。行政のリストラは重要な課題であり,着実に進めていかなければなりませんが,その一方で,市政の中には,高齢化の進展に対する対応や教育環境の充実といった観点から,増額せざるを得ない経常的な経費もふえている現状があり,一律的な予算削減ではなく,市民ニーズを踏まえながら,より適切な予算措置が求められているところであります。
そこで3点目の質問でありますが,経常的な事務事業を対象に,予算要求の枠となる,いわゆるシーリングを設定しておりますが,この点について,市長の基本的な方針をお示し願いたいと思います。
次に,第3次5年計画に関してお尋ねをいたします。
さきに発表された新5年計画の概要によれば,この計画は,21世紀へのかけ橋となる重要な計画と位置づけ,災害に強い街づくりを進めるほか,福祉3計画の推進,総合交通や環境対策の充実,経済の活性化,生涯学習の拠点整備などを柱としています。総事業費は2兆 3,600億円で,第2次5年計画に比べて26.2%の増と,大型の計画となっております。
そこで最初にお伺いをしたいのは,市民参加についてでありますが,近年,地域社会づくりへの関心が強まる中で,共通認識となっているのは,市民参加を基本として市民と行政が相互に検討を深め,積極的な合意形成を図りながら,市政を推進していくことであります。同時に,市民団体や企業など民間との適切な連携協力を進め,市民本位の街づくりを推進することが大切となっています。
そこで,改めて市民参加と市民本位の街づくりの必要性について,市長の基本姿勢を伺いたいと存じます。
2点目は,新計画策定に当たって,市は,時代の潮流に的確に対応するとともに,今日的な課題となっている地方分権や規制緩和に関しても柔軟に対応することを強調していますが,その考え方をどう反映されたのかお伺いをいたします。
三つ目は,事業費について,新計画の総事業費の財源内訳は,国及び道費が 3,213億円,市債が約 7,256億円,その他財源が約 6,131億円,一般財源は約 7,000億円となっており,前計画に比べ,国や道,一般財源の割合が減少し,市債とその他財源が増加をしています。そのため,厳しい財政運営を余儀なくされている桂市政にとって,税源を醸成していくことは緊要な課題となっております。
ご承知のように,本市は第3次産業の比率が80%を超え,極めて高いものの,その経営基盤は弱く,その上,市が力を注いできた都市型軽工業を中心とする第2次産業の振興も大きな課題となっております。こうした現況のもとで,本市の産業基盤の形成をどう図ろうとしていかれるのか,市長の見解を伺います。
4点目は,本市も大都市であるがゆえに,街づくりに関しては,さまざまな行政需要を抱えています。医療・福祉に始まり,公営交通,環境,文化,都市基盤整備など,市域内のみならず,市域外にも便益や効用が及ぶ事業を数多く進めておりますが,財源保障は十分でありません。したがって,これまで以上に,国庫補助負担金の算定基準の適正化など,大都市税財源制度の充実を国に対して強く求めていく必要があると考えますが,市長の見解をお伺いをいたします。
5点目に,主要指標に関してでありますが,新計画における人口推計方法によると,計画最終年の2000年には,本市の人口は 183万 9,000人と推計をしております。昨年10月1日現在の人口は 175万 6,968人でありますから,向こう5年間で8万 2,032人増,対前年増加率は 0.9%となります。
一方,第3次
長期総合計画では,2005年に人口 190万から 200万人を想定していますが,今回の新計画における人口推計では,2005年における本市の人口推移をどうとらえているのか伺います。
6点目として,長期ビジョンについてでありますけれども,新年度予算案に99年度策定の
次期長期総合計画策定費が計上されましたが,新
長期総合計画策定ということになれば,その前段に現計画の事業点検が必要になろうかと考えます。
そこで,それら点検結果の公表と議会への報告時期,並びに
長期総合計画審議会への諮問について,あわせて見解を伺いたいと存じます。
次に,全天候型多目的施設についてお伺いをいたします。
札幌市は,世界でもまれな豪雪地域の大都市として知られており,今シーズンは,殊さらその感を深めたところであります。しかし,我々は,この雪を単に余計なもの,不便なものとして扱うのではなく,それを利雪,克雪してプラスに転化する知恵を身につけています。雪まつりは,その象徴的なものとして,今や北国札幌の年間を通じての世界に誇るイベントに成長してまいりました。
スポーツでは,当然のことながら,スキー,スケートを中心としたスポーツの花が咲き誇り,ジャンプを初めとして,世界的レベルの選手も多数輩出をしています。
このような厳しい気象条件のもとでも,市民の健康と楽しみを求める声にこたえて,本市では,これまで小規模な全天候型コミュニティドームの建設を進めると同時に,市長においては,昨年の選挙で,全天候型多目的施設,いわゆるホワイトドームの建設も公約として掲げ,このたび新5年計画に盛り込むこととされました。
このドーム計画は,既に計画決定されていたワールドカップ向けサッカー場をドーム化することで,その実現を図ろうとするものであります。しかし,これまでのドーム建設の決定経過を見てまいりますと,我々として,もろ手を挙げて賛同しかねる経過もありました。それは,この百年に一度の大プロジェクト決定に当たり,市経済団体やドーム推進会議との調整に手間取り,議会サイドとの意思疎通が不十分なまま見切り発車をした感があるからであります。この点については,民主的な市政運営の立場からは納得しがたいものであり,改めて市長の反省を促したいと思います。
さて,このドーム計画に対する市民各界各層の反応でありますが,好意的なものや,また雪や高齢対策に意を注ぐべきといった慎重論もあることを踏まえて,今後留意しなければならない幾つかの点について,市長の見解を伺いたいと考えます。
まずその一つは,財源対策であります。
本市の最近の財政事情は,既に述べたとおり,極めて逼迫しており,ここに建設費だけで 360億円の大方を本市が投ずるわけでありまして,その財源をいかに確保しようとするのかであります。
ドーム球場は,1988年の東京ドームを皮切りに,福岡にでき,その後,大阪,名古屋,横浜でも次々建設が進められており,そのいずれもが民間資本によっています。このため,各自治体の財政負担は極めて少なく,むしろ固定資産税や法人税を初めとする歳入増に大きく寄与するものと言われています。それに対し,本市の,いわば官主導の行き方は,民間の官依存体質を助長させるおそれがあり,決して好ましいものとは言えません。
そこで,今後の市経済界や道との連携のあり方も含め,財源確保の見通しを明らかにしていただきたいのであります。
次に,建設費についてであります。
これは,各種工事発注に際し,巷間よく指摘がありますのは,「官は高く,民は安い」というものであります。私は,投資が巨額であるだけに,この建設費の積算に当たっては,民間手法を十分に取り入れ,冗費の徹底的な削減や単価の見直しなどを行うべきだと考えるのであります。
また,入札に当たっては,本年1月から外国企業の参入も可能となったところであり,入札結果次第では,建設費の抑制も期待できるのではないかと考えるのであります。
そこで2点目の質問でありますが,建設費やコンペの方式などにつき,どう考えておられるのか,お示しをいただきたいのであります。
次に,利用計画と採算見通しについてであります。
利用計画は,年間 178日 203万人を想定をしておりますが,これは,年間の利用率約48%であり,他の施設の例から見ても,かなり低い設定ではないかと考えられます。仮に機材等の入れかえ準備に60日を充てたとしても利用率は65%であり,例えば大阪ドームの 290日80%などと比較した場合,相当の格差があるのであります。
また,せっかくの施設にむだな空白日を生じさせないためにも,予約のない日などは市民開放の日とするなど,積極的な方策も検討すべきだと考えます。
また,採算見通しは,これまで明らかになったところによれば,5年間で創業費を償却し,6年目からは単年度収支で黒字に転換するとのことであります。
そこで3点目は,利用計画並びに採算見通しについて,その考え方を伺いたいのであります。
次に,建設地でありますが,羊ヶ丘の農業試験場用地を予定地としておりますが,この地は国道36号線沿いで,地下鉄東豊線福住駅から 650メートル,徒歩で10分程度であり,市内的には交通手段に恵まれた地でありますが,全道規模の集客を考えますと,JRとの接続には難点があります。また,緑地空間としての価値や鳥獣保護区,風致地区として一定の制約を受けることなど,課題が残されています。これらの条件をどのように克服されようとするのかお伺いをいたします。
ドームの最後に,関連をいたしまして,東芝札幌サッカーチームの件についてお伺いをいたします。
東芝がことしから札幌に進出をし,間もなく始まるJFLでの活躍が待たれるところであります。また,東芝は選手の補強も活発に行い,来年にはJリーグ入りの可能性もあると言われています。この東芝に対する市民の関心も徐々に高まっているところでありますが,このチームの運営については,新会社も設立をされ,市民株主募集という手段も講じるなど,若手経済人を中心に安定経営のための努力も続けられています。しかし,このチームの船出に当たっては,まだまだ資金や施設面で難問も多く,札幌で初めてのプロチームの前途は波高しと言われております。
そこで私は,東芝の活動やサッカーゲームが本市に経済波及効果をもたらすことなどを考え,また,チームの末永い繁栄を考えますと,市民や企業とともに,行政の積極的な支援が必要と考えるのであります。既に,本市以外では室蘭市の支援申出も明らかになっており,また,昨年話題となった大分市の大分トリニティの企業・市民・行政三位一体の行き方も大いに参考になろうかと考えます。
そこで本市として,東芝札幌チームの支援についてどのように考えておられるのか,市長の見解をお伺いしたいのであります。
次に,福祉問題についてであります。
新5年計画も,来たるべき社会が高齢化,国際化,情報化が一段と進むものと想定し,それに備え,対応できる体制づくりを目指すものとして策定をされております。
我が国の高齢化のテンポは際立った速さであり,わずか24年で高齢社会に到達し,欧米との比較において,その速さは群を抜いているのであります。本市の場合は,21世紀には14%を突破し,国を上回る速さの16年間で高齢社会に入り,終戦直後の団塊の世代が高齢化する2014年には,一挙に高齢化が進むものと考えられます。
こうした高齢社会を目前に,本市では94年2月に,国のゴールドプランに基づき,札幌市
高齢者保健福祉計画を策定をいたしましたが,この計画は,99年までの6年間で,他都市と比較をして立ちおくれぎみな本市の高齢者保健福祉サービスのレベルアップを図ろうとするものであります。
そこで私は,この計画が2年を経過した現時点で,これまでの計画の進捗状況を点検し,その成果と課題を明らかにしていくことが重要であると考えております。この場合,特に高齢者福祉の充実につき,何点かお伺いをしたいと思うのであります。
まず,ホームヘルプ事業でありますが,計画では,99年度の目標量を要介護者1万 3,420人,ヘルパーを 910人と設定し,96年度予算においても,ヘルパーは常勤換算で 294人と予定をしております。また,新規事業として,24時間巡回型サービスをモデル地区2ヵ所で実施することとしています。これは,ヘルパー数でいえば,スタート時の68人の約4倍であり,24時間型巡回サービスは,ホームヘルプの質的改善でもあり,評価できるものと考えるものであります。
しかし,問題は,介護ニーズにどれだけこたえているのかということであります。既に指摘があるように,本市の老人病床数は,対人口10万人当たり 520床で,老人1人当たり医療費が 113万 8,000円と全国一高く,また治療を必要としない入院患者,いわゆる社会的入院を含む長期入院が 9,000人と,一向に減らない状況にあります。これは,在宅での介護ニーズが社会的入院に転化しているとも言えるわけでありまして,この点の改善が強く望まれるのであります。
そこで質問でありますが,この2年間,ホームヘルプ事業は,ニーズに対してどれだけ供給できたのか,派遣時間や世帯数につき,成果と課題をお示しいただきたいのであります。
また,96年度予算にある 294人のヘルパーは,目標数に対して過少と思われるのでありますが,計画の達成に向けて問題はないのかどうかお伺いをいたします。
また,いわゆる社会的入院についての,この2年間での改善について,あわせてお伺いをいたします。
次に,特養ホームとデイサービス事業でありますが,計画に沿って2年間整備が行われてまいりましたが,96年度予算を見ますと,特養ホーム4ヵ所とデイサービスセンターなどの新増築が計画され,施設整備が進められることから,サービスの改善が図られるものと期待をされますが,これまでの各施設の利用状況や待機者がどのように改善されるのか,お示しをいただきたいのであります。
次に,食事の宅配サービス事業についてであります。
昨年2月から社会福祉法人が市内4区で始めたこの事業を,同年7月からは本市も委託事業として位置づけ,新年度からは全市で実施する計画であります。
食事はだれにとっても欠かせないものでありますが,高齢者にとって,病気や障害などで,買い物や食事をつくること,栄養管理に基づいた食事づくりが困難であり,ホームヘルパーに依頼する場合も多く,宅配ニーズは極めて高くなっているわけであります。
現在民間で実施されている内容は,平日の昼と夕方の2食でありますが,他都市にない特徴として,1ヵ月単位での事前メニュー配付や,弁当食と家庭食及び利用日を含めた選択制,また,高血圧,肝臓,糖尿など6種の特別食を備えていることなどがあります。本市は,このうち夕食について補助を実施し,対象は65歳以上のひとり暮らしで,かつ虚弱な高齢者となっておりますが,利用者は,本年1月末現在で 180人となっております。
同時に,この事業の副次的な効果として,日々安否の確認が行えるほか,医療,保健,福祉等の相談サービスについても,専門相談員との連携がとられることがあります。去年11月,中央区で,玄関先に倒れていた高齢者を配食担当者が発見し,一命を取りとめた例もありました。
また,この事業は,短時間に配達を行うため,より多くの地域拠点で,より多くの人々の協力が必要となり,地域の福祉社会づくりやボランティアの組織化に大きな役割を果たすとともに,知的障害者や精神障害者が配達を担い,利用者とのふれ合いや社会参加に大きな成果を上げております。
そこで質問でありますが,第1に,この食事の宅配事業をどのように位置づけ,今後どう展開されようとするのか,見解をお伺いをいたします。
2点目に,補助対象について,夫婦世帯であっても2人とも虚弱で,同様のニーズがあり,また,比較的健康でも健康管理や予防上,宅配は意義があり,新年度からの全市実施に合わせ,対象基準を拡大すべきと考えますが,見解をお伺いをいたします。
第3に,配送体制の整備を進めるためには,福祉のまち推進センターの活動の大きな柱として,センターが中心となって,それぞれの地域条件の中でボランティアを組織したり,障害者の共同作業所等の活動とするなど,多様な取り組みをすべきと考えますが,見解をお伺いをいたします。
次に,
高齢者保健福祉計画全体の進捗状況と計画達成の見通しについてであります。
96年度末における進捗状況は,ホームヘルプサービス32%,デイサービス71%,ショートステイ79%,特養ホーム80%で,全体平均で60%程度と見込まれておりますが,計画の前半3年間の進捗状況をどのように評価をしているのか,また,残り3年間で計画達成は可能なのかどうか,見通しを伺いたいのであります。
次に,新5年計画における
高齢者保健福祉計画の取り組みと,公的介護保険制度の導入に伴う計画の見直しについてであります。
この計画は,99年を目標年次としておりますが,新5年計画との間に1年のずれが生ずることになります。国のゴールドプランにおける公的介護保険制度導入の議論の中では,措置制度を前提とする現行ゴールドプランでは,サービスの絶対量の不足が見込まれ,例えば「新・新ゴールドプラン」といった新たな基盤整備の必要性が検討されているようでありますが,本市においても,2000年以降,引き続き高齢者のニーズに対応した計画的な基盤整備を図っていくことが必要であると考えます。
この1月末に出された公的介護保険に関する答申は,その内容において,現在の国や自治体の各種計画の見直しを必然的に迫っていくものと考えられます。それは,答申内容が基本的に公的サービスの整備とサービス量の確保を求めているからであります。
これを本市に当てはめるなら,多くのデイサービスや特養ホームの待機者を抱える現状から,現計画が全うされたとしても,今後,整備数を上回る待機者が想定をされます。また,厚生省では新ゴールドプラン進捗状況をおおむね順調としてはおりますが,公的介護保険の導入によっては,介護サービスのニーズが相当程度高まると考えられます。
こうした状況を念頭に置き,今後基盤整備を進める必要があり,大幅な目標量の引上げや前倒しを図るべきであり,96年度中にも現計画を見直し,新札幌市
高齢者保健福祉計画策定に着手すべきと考えるのであります。
そこで質問でありますが,新5年計画の中で,
高齢者保健福祉計画について,2000年度も含め,どのような取り組みがなされようとしているのか,また,公的介護保険制度の導入等に伴う
高齢者保健福祉計画の見直しについてどのように考えているのか,見解を伺います。
次に,子供の福祉についてであります。
国は,中央児童福祉審議会が,戦後50年を経た児童福祉法を新たな時代に対応した積極的な内容とするための検討に入り,早ければ98年度にも改正する予定と伺っております。児童福祉法が改正されますと,本市が現在策定に向け作業を進めているエンゼルプランとの整合性を初め,さまざまな検討課題が出てくると思うのであります。
そこでお伺いをいたしますが,第1は,98年度に児童福祉法が改正され,留守家庭児童対策や育児支援を含めた法整備がなされた場合,本市のエンゼルプランも見直す必要があると考えますが,見解をお伺いをいたします。
二つ目は,仲よし子ども館事業を見直し,子育て事業に転換する構想があると伺っておりますが,児童福祉法で新たに位置づけられる子育て支援,具体的には,厚生省所管の児童館で実施されている母親クラブ等を参考にしつつ,小学校区単位の支援事業を展開すべきと考えますが,見解をお伺いをいたします。
第3に,現在,本市の子供施策は,民生局,市民局,教育委員会の3局にまたがっており,特に健全育成については,市民局と教育委員会で同じような対応をしている実情があります。また,教育委員会で行なっている留守家庭児童対策も,他都市では,民生局の児童部や児童福祉部で対応するケースが主流であります。
そこで,本市も子供の施策にかかわるセクションを児童部とし,保育部,児童福祉総合センターとともに子供局を設置すべきと考えますが,お考えを伺いたいと存じます。
次に,交通問題についてお伺いをいたします。
本市の交通政策は,バス,地下鉄などの公共交通を軸とした街づくりを目指す,人に優しい交通政策として進められ,交通渋滞や事故を減らし,合わせて都市環境の保全や高齢者などに対する福祉面,さらには都市構造形成の視点などから取り組まれていると考えています。
しかし,本市の交通事情の現状は,市の施策とは裏腹に深刻化しつつあります。それは,改めて指摘するまでもなく,急速な車社会の到来が背景となっていると言わなければなりません。札幌市内の自動車保有台数は,94年現在で約83万 8,000台となっており,この5年間の増加率は24%強で,11大都市中最高の伸び率となっており,自動車が急増していることがわかります。昨年10月の市政モニター調査では,通勤手段として,自家用車が43%,地下鉄は37%となり,一昨年とは順位が入れかわり,マイカー依存が一段と進んでいることがうかがわれます。
環境保全の視点から見れば,本市の自動車排ガスによる大気汚染は,過去10年間で,環境基準値を超えた年が4年もあり,人体や
地球温暖化などに対する影響が懸念され,大きな社会問題ともなっています。
一方,公共交通として市民共有の財産でもある市営交通事業は,91年12月に札幌市交通事業の経営健全化策を策定し,高速電車で約30年,電車・自動車事業で10年以内に累積欠損の解消を目指すこととしましたが,96年度の交通予算案では,累積欠損金は95億円好転するものと予定をされています。
しかし,個々の施策を見ますとき,健全化策の柱の一つ,経営効率化は,労働組合の協力もあり,人員削減も進み,また財政支援策による特例債の満期一括償還も予定どおりで,金利負担の軽減につながっています。ところが,もう一本の柱である需要喚起策では十分な成果が見られず,年を追うごとに計画との乖離が進んでいます。この需要喚起策は,今後の交通事業の帰趨を左右する輸送人員にかかわるものであるだけに,この点の突き詰めた検証が必要であると思うのであります。
さらに,95年度に予定をされていた交通料金の改定も凍結され,この影響額43億円についても,今後の経営努力の中で解消を図らなければなりません。
また,自動車利用の増大と公共交通離れは,市営交通のみならず,民間事業者も含めた公共交通全体の問題であり,市営バスと主要民営バス5社の輸送動向を見ますと,1日当たりの乗車人員が,89年には45万 5,000人であったものが,93年には人口増があったにもかかわらず44万 3,000人と減少しており,これが各事業所の経営に大きな影響を与えているのであります。
そこで私は,これらの課題に市長がどのように対処されようとするのか,以下,順次質問をいたします。
1点目は,これまで申し上げたことから,まず市営交通として現在どのような乗客誘致を考えているのか,また,料金収入の減少が続く中で厳しい状況にありますが,市営交通の将来について,どのようなお考えを持っているのかお伺いをいたします。
この冬は,雪のため,バス・電車は無ダイヤになることがしばしばあり,豪雪時には,来るのか来ないのかわからないバスを,吹雪の中で待ち続けた市民も多いのであります。マイカーにはナビゲーションシステムの普及など最新技術が導入されていますが,バスは旧態依然とした状況であり,また現状の公共交通は,個々の事業者によってそれぞれ運行されていますが,今後は,公共交通情報の一元化や最新の技術を用いた情報提供方法などによって検討を進めるべきと考えます。
本市では,大変使いやすいプリペイドカードも導入され,去る2月18,25の両日,試行的に発行されたホリデーキップのように,市営・民営共通で使えるような便利なカードシステムを開発をしていくべきでありますし,ラッシュ時を外れた時間帯の格安料金制度も必要かと考えます。さらに,このような公共交通相互の連携を深め,共同化を推進していくことなど,公共交通について,まだまだ多くの工夫がなされていいと思うのであります。
そこで,これら具体的な改革,改善を行いつつ,市民に対する啓蒙,PR活動,また,環境問題としてのアピールなど,市民意識の喚起に全力を挙げるべきではないかと思うのでありますが,見解を伺いたいのであります。
2点目は,人に優しい交通政策の実現に向けた公共交通の利用促進対策についてであります。この点について,そのお考えをお示しをいただきたいのであります。
また,これと並行して,マイカー規制についても検討すべき時期に来ていると思います。具体的には,冬季間やラッシュ時間帯,あるいは都心部などの条件を付しながら,マイカー乗り入れ規制について,大胆に市民,企業,団体との対話に入るべきだと考えるのでありますが,市長のお考えを伺いたいのであります。
3点目は,需要喚起策についてであります。
これは,さきに触れましたとおり,今後の輸送人員増の重要なポイントとなっております。健全化策では,交通計画的,戦略的なものに大別して,この4年間取り組まれてきたものでありますが,この間の総括と,今後,新5年計画の中で具体的にどのような需要喚起策を展開しようとされるのかお伺いをいたします。
次に,雪対策についてであります。
去る2月5日と26日,東区で小学生と老婦人が,雪に関連する交通事故で亡くなるという悲しい事件が起きました。私は,お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りしますとともに,ご遺族の皆様に深く哀悼の意をささげるものであります。
ここで私は,最初に,小学生の事故につき,一言申し上げたいと存じます。
この事故は,午前8時25分,学校横の横断歩道で,学校への給油を終えたタンクローリー車に児童がひかれて亡くなったものであります。私は,この事故で最も考えさせられましたのは,市の道路管理上の問題と同時に,学校や地域社会の連携という問題であります。連続的な豪雪のもとでの事故であり,短絡的に結果責任を云々しようとするものではありませんが,少なくとも,校地を取り囲む歩道や横断歩道の管理につき,行政はもとより学校や地域はどうであったのか,給油がなぜ最も危険な時間帯に行われたのか,運転者の注意義務等々を指摘しなければなりません。言葉をかえて言えば,社会的連帯感の欠如の結果であったのではないかと思うのであります。
そこで市長,今回の事故にかんがみ,今後,少なくとも学校周辺の除排雪については,地域社会の協力も得ながら最優先して行い,この種の事故の絶滅を期すよう強く求めておきます。
さて,この冬は,12月から1月にかけて記録的な大雪でありました。特に1月9日のどか雪は,市民生活に大きな混乱をもたらしました。まさに災害でありました。
ここで,若干本市の降雪状況を見てみますと,年間降雪量は,94年までの44年間で平均 489センチであります。月間最大降雪量を記録した月は,94年までの10年間で,12月が3年,1月が4年,2月が3年であり,12月の降雪量が1月を上回った年は4年あります。
これらのことを踏まえて,まず初めに,雪による災害対策についてお伺いをいたします。
本市の防災計画では,雪害予防計画を「異常降雪による交通のしゃ断等の雪害を予防するため,迅速な除雪を実施し交通の確保を図るための計画である。」と定義し,内容は,平常の降雪時のものを指しています。今回のようなどか雪による,震災や水害並みの極端な都市機能の麻痺に関する対策については位置づけられておりません。
1月9日は,各地域の降雪状況が速やかに情報として1ヵ所に集中する状況にはなく,状況の把握と認識がおくれました。また,市内部の関係部の間や関係機関である開発局,北海道及び北海道警察などとの連絡・連携体制が不十分で,市民への情報提供,報道機関への情報提供も十分ではありませんでした。
さらに,一般車両の通行や駐車が除排雪作業の障害となり,路面電車の運休も,車両が軌道上に乗り入れたことによるものが原因でありました。
このたびの事態から言えることは,速やかに公共交通機関を回復し,ライフラインの維持のための車両通行の確保のため,除排雪作業を優先し,一刻でも早く道路網を復旧することが必要であったことであります。このためには,幹線道路での強力な交通規制の導入も必要であると考えるのであります。
現在の雪害予防計画は,平常時の除雪体制であり,年間降雪量6メートルを超える年が5年に1度生じ,毎年1度のどか雪を考えるならば,例えば初動体制に入る前後の初冬期におけるどか雪,連続したどか雪,短時間でのどか雪など,レベルに応じた細かな対策が必要と考えるのであります。
そこで質問でありますが,今回の雪害の教訓をどうとらえ,防災計画の見直しに今後どう生かそうとしているのかお伺いをいたします。
次に,除排雪直営事業についてであります。
今回の雪害で原局間及び関係機関の間の連携が混乱する中で,市の現業職員で構成する市役所労働組合の取り組みは注目すべきものと思います。市労組では,市の雪害対策本部の設置に呼応し,全職場総動員体制で臨むべく,各原局とも連携を図り,学校や下水職場の組合員が,除雪困難世帯の間口除雪やごみ収集の応援にいつでも出動できるよう待機体制をとりました。
また,マルチ除雪の本格実施でたまたま余力の出た各区土木事業所の機材,人員の投入は,重要な役割を果たしました。共同企業体を構成する建設土木業者は,マルチ除雪の本格実施で人や機材は総動員に近く,雪害時の増強まで手が回らなかった状況にあります。
また,近年は,集中降雪が前半に起こる年が多く,初動体制及びフル稼働体制を従来よりも早い時期に確立する必要があります。しかし,民間企業は,12月が土木建設の最後の追い込みの時期であるため,本格稼働は難しく,この点においても,直営事業の存在が重視されるのであります。
そこで質問でありますが,現在,市はマルチゾーン除雪体制の導入とともに,直営事業を縮小し,将来的に全面撤退する方針のようでありますが,防災並びに除雪水準の確保などを十分考慮した方針にすべきと考えますが,見解をお伺いいたします。
次に,雪堆積場の確保及び雪処理施設の整備であります。
市は,毎年約 1,000万立方メートルの堆積場を確保しています。特に,豊平川の河川用地は大きなウエートを占めていますが,実績搬入量では,90年度に全体の約37%であったものが,94年度には22%にまで減少をしております。
一方,雪処理施設は,流雪溝,融雪槽の整備を進めており,完成しますと,1シーズン 450万立米となります。また,大口径の下水管への直接投雪や下水未処理水熱の利用によるロードヒーティングも実用化に向け試験が続けられておりますが,その処理量にも限界があります。
このため,今後も雪堆積場の確保が必要であり,雪堆積を前提とした大規模公園の整備など恒常的な雪堆積場の確保はもとより,豊平川河川用地の確保はきわめて重要であります。
そこで質問でありますが,第1は,今後の雪堆積場の確保について,その考え方をお伺いをいたします。
第2は,試験段階にある下水道事業による雪対策の実用化へのめど,及び今後の下水道事業による雪対策の推進に関する基本的考え方についてお伺いをいたします。
最後に,環境問題についてであります。
まず,環境基本条例に基づく具体的施策の展開についてであります。
昨年12月に札幌市環境基本条例が制定され,新年度予算に関連事業費が計上されるなど,環境都市さっぽろへ向けての第一歩を踏み出しました。環境基本法においても,第7条や第34条に,地球環境の視点から自治体の役割の重要性を示していることから,地球市民としての本市の施策について,まず伺います。
1点目は,自治体職員及び民間団体の国際協力についてであります。
環境問題の取り組みに,もはや国境はないといっても過言ではありません。お金や物を送る国際協力・援助から,みずからの体と知恵と技術を役立てることが当たり前になってきました。協力,援助に行った多くの人は,地球市民としての自覚を携えて自分の住む地域に戻ってまいります。国際協力は生きた環境学習の場であり,地球市民をいかに多く育てることができるかが,環境都市さっぽろづくりの大きなかぎでもあります。
この観点から,本市の職員や市民をアジア地域,北方圏の国々や地域NGOとの国際協力・交流に送り出すための支援策を急ぐべきと考えますが,見解を伺います。
2点目は,省エネルギー政策についてであります。
地球規模での深刻な環境破壊を食いとめるためには,先進国,とりわけ大都市におけるエネルギー消費量の削減が必要であり,本市においても,エネルギー多消費型の都市構造が,大気汚染や緑の破壊という生活環境だけでなく,環境全般にまで影響を及ぼしています。
環境基本計画やローカル・アジェンダには,省エネルギーに向けた施策や目標値の設定が重要と考えますが,市長の見解を伺います。
また,ごみ対策で示したように,エネルギー・ダイエットプランに取り組むべきと考えますが,あわせて見解を伺います。
次に,廃棄物対策についてであります。
本年1月25日,札幌市廃棄物減量等推進審議会から,ごみ減量・
リサイクル推進のための具体的諸方策についての答申が出されました。
本市では,93年1月に策定したさっぽろ・ダイエット・プランを初め,家庭系・事業系・産業廃棄物のそれぞれについて減量化・資源化に行政・企業・市民が一体となって取り組んできました。しかし,残念ながら,いまだに大きな成果を上げるに至っていないのが現状であり,家庭,学校,地域,職場など,あらゆる機会を通じて,市民がごみ減量のために行動できるための行政・社会システムをつくり上げることが急務となっています。
そこで,この答申についてどのように受けとめ,施策の展開を考えておられるのか,以下3点伺います。
まず,資源物対策についてであります。
審議会が行なった94年12月の中間報告においても,瓶・缶などの資源分別収集を中心とした施策の早期の取り組みが提起され,95年6月に成立した,いわゆる包装容器リサイクル法では,金属缶,ガラス瓶,紙製容器,プラスチック製容器について,97年度から7品目,2000年度からは12品目分別収集を義務づけられることになります。
本市では,瓶・缶モデル収集事業に取り組み,全市的な資源物収集体制の展開へと向かっていますが,市民協力のあり方や収集体制など,これまでのモデル事業の中で明らかになった課題をどのように認識し,全市への展開の中で解決を図ろうとしているのかお伺いをいたします。
あわせて,資源選別施設建設の見通しと,分別後の資源化ルートについての考えも伺います。
次に,大型ごみ対策についてであります。
現在本市で行われている収集方法は,事業系ごみの便乗排出,危険物・排出禁止物の混入,大型化・重量化による排出困難性の増大など,多くの問題点が指摘をされてきました。他都市では,戸別収集への移行によって,大幅な減量効果が見られること,資源化・リサイクル化により社会還元が可能になること,市民サービスの向上につながることなどから,本市においても実施を急ぐべきと考えます。
しかし,戸別収集体制の導入と有料化がワンセットとして検討されていることは,大きな疑問であります。家庭ごみの無料収集は,本市の廃棄物政策の根幹をなすものであり,その変更に当たっては,製造者回収責任の明確化,減量・リサイクルへの市民意識の向上や,市民サービスとコスト負担のあり方などについて,慎重かつ徹底的な検討を行なった上での市民合意が必要と考えるのであります。
まず,早期に戸別収集体制に移行し,
行政サービスの向上,資源化・リサイクルに向けた体制の整備状況等を踏まえて,改めて市民負担のあり方を論ずべきと考えますが,市長の見解を伺います。
3点目は,事業系ごみに対する取り組みについてであります。
93年1月に,札幌市リサイクルシステム制定委員会からの答申を受け,その答申に基づいた施策への取り組みが行われていますが,必ずしも順調に進んでいる状況にありません。とりわけ,94年4月から,小規模事業所の排出ごみは自己責任で処理することになりましたが,実施率は約3割であり,大きな課題であります。今後の計画達成に向けての施策について,分別・資源化への見通しも含め,お伺いをいたします。
以上で,私の質問のすべてを終了いたしました。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(澤木繁成君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) それでは,まず私からお答えをいたします。
最初は,財政問題についてであります。
第1点目の平成7年度の市税決算見込み及び今後の対策とその見通しについてであります。
まず,決算見込みについてでありますが,1月末現在の収入状況を見ますと,収入率におきまして,固定資産税が0.07ポイント,滞納繰越分が 3.2ポイント,それぞれ前年度を下回っておりまして,予算額の確保は厳しい状況にありますことから,現在,全力で税収の確保に取り組んでいるところであります。
次に,今後の対策についてでありますが,これまでも特別納税対策本部を設置し,滞納市税の圧縮に全力で取り組んでいるところでございますが,今後はさらに,ふえ続ける累積高額滞納者,特に不動産関連事案に対する滞納整理について,最重点課題として取り組み,個々の原因に応じた納税対策を講じるなど,一つ一つ粘り強く対応してまいりたいと考えております。
また,8年度の収入見通しについてでありますが,このような納税対策を確実に推進するとともに,課税客体の把握にも力を注ぎ,予算額の確保を図ってまいりたいと考えております。
第2点目の市債発行に当たっての考え方と見通しについてであります。
まず,市債発行に当たっての考え方でありますが,財政面での厳しさが増してきている中にあっても,各施策を積極的に推進するとともに,世代間の公平な負担を図る観点からも,市債の活用は必要であると考えておりますが,その発行に当たりましては,発行規模の増大に伴う後年度の財政負担にも十分考慮しつつ,特に元利償還金に交付税措置のある良質な市債の活用に努めているところであります。
次に,将来的な財政負担の見通しについてでありますが,一定の条件のもとで公債費比率及び起債制限比率について向こう5年間を推計いたしますと,現在より1ないし2%程度増加するものと見込まれます。その場合でも,他の政令指定都市よりも低水準でありますことから,直ちに財政の硬直化を招くものとは考えておりませんが,今後とも市債の発行については十分慎重な判断をし,将来において過大な負担とならないように努めてまいりたいと考えております。
第3点目のいわゆるシーリングの設定についての基本的な方針でありますが,扶助費や維持補修費などの,いわゆる義務的な経費につきましては,シーリングの対象外とした上で,これらの経費以外の一般行政経費につきまして,原則として平成7年度予算額から10%を削減した額を予算要求の上限としたシーリングを設定したところであります。これは,各部局で事務事業全般にわたっての見直しや再構築を促進するためのものでありまして,これによって生み出された財源は,市民サービスの向上のための事業等に振り向けておりまして,このようなスクラップ・アンド・ビルドの徹底を図ることによって,市民ニーズに的確に対応した予算編成となるよう配慮したところであります。
次は,新しい5年計画についてであります。
第1点目の市民参加と市民本位の街づくりについてでございます。
5年計画の実現を図っていくためには,市民の深い理解と積極的な協力を得ながら,ともに街づくりを進めていくということが基本と考えております。
今回の5年計画の策定に当たりましても,このような基本的な認識に立って,新たな試みとして,市政モニターの活用や郵便・ファクスによる意見,提言の募集を行い,市民意向の的確な把握に努めたところであります。
5年計画の推進に当たりましては,街づくりサッポロ会議の開催や広聴システムの整備などを通じて,市民の声を市政に反映させるための制度を充実するほか,個々の事業を展開していく場合におきましても,懇話会,審議会などの開催,アンケートなどの積極的な活用により,一層の市民参加と市民意向の把握に努め,市民本位の街づくりを進めてまいりたいと考えております。
2点目の地方分権と規制緩和の計画への反映状況についてでございます。
地方分権につきましては,昨年5月に地方分権推進法が制定されたところであり,現在,国の地方分権推進委員会において多角的な検討が進められている段階であります。
地方分権は,21世紀を見据えた今後の地方の行政を推進し,また,地域のニーズに的確に対応した行政運営を進めていく上で,極めて重要なものであり,かねてから,さまざまな機会を通じて,国等に対し十分な分権がなされるよう要請をしてきております。
また,規制緩和につきましても,現在,政府において幅広い規制の見直しを行なっており,その実現を大いに期待しているところであります。
したがいまして,今回の5年計画におきましても,本市として,国等への働きかけを行う一方で,地方分権の進展に十分対応できる体制づくりと個性的な街づくりに努めてまいりたいと考えているところであります。
3点目の経済的な発展基盤の形成についてであります。
活発な産業活動は本市の財政構造を強化していくものでございますことから,5年計画におきましても,経済の活性化を重点課題の一つとして,積極的にその事業化を図っているところであります。
具体的には,本市事業所の90%以上を占める中小企業の経営基盤の安定強化のために,融資制度や経営診断などの充実強化を図ったほか,中長期的な観点からの基盤整備といたしまして,企業を支える人材育成拠点施設の整備,今後の本市産業を牽引する新札幌型産業創出のための調査研究,経済活動の国際化に対応するための世界貿易センター連合への加盟など,今後の本市の産業振興のための布石となるような施策を組み入れたところであります。
4点目の計画推進のための財源確保の取り組みについてであります。
本市の財政事情は,たとえば国保会計への多額の繰り出し,あるいは地下鉄・交通事業の財政健全化の推進といったように,極めて厳しい状況にあります。
このような中で,計画事業を着実に執行していくために,必要な財源の確保につきましては,機会あるごとに国などの関係機関へ働きかけてまいりたいと考えております。具体的には,
高齢者保健福祉計画の推進,国民健康保険財政の安定化,雪さっぽろ21計画の推進,全天候型多目的施設の整備などの事項にかかわる所要の財源措置の拡充や見直しにつきまして,特に重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
5点目の平成17年における将来人口規模についてであります。
ご質問の将来人口につきましては,今日までの本市の人口動向は,第3次
長期総合計画で想定しました,平成17年において 190万人から 200万人という推計の範囲内で推移してきていると考えております。
そこで,今後の見通しでありますが,昨平成7年国勢調査人口をもとに推計をしてみますと,平成17年における本市の人口は,おそらく 190万人台の前半で推移するものと想定しております。
6点目の
次期長期総合計画の策定についてであります。
現計画の点検作業につきましては,新計画策定のために必要な基礎的データ収集や,本市を取り巻く社会環境についての現況や課題整理,基本的な対応方向の検討等とあわせて進めていく必要があると考えております。したがいまして,これらの作業の進捗状況を見ながら,
長期総合計画審議会における審議の過程の中で,逐次ご報告を行なってまいりたいと存じます。
また,
長期総合計画審議会への諮問につきましては,年内をめどに進めたいと考えております。
次に,全天候型多目的施設に関する幾つかのご質問にお答えをいたします。
第1点目の,今後の経済界や北海道との連携のあり方を含めた財源確保の見通しについてであります。
先ほど伊藤議員にも答弁をいたしましたとおり,現在,経済界におきましては,さらなる資金協力額の上積みに向けた取り組みを進めておりますし,また,ホワイトドーム推進会議におきましても,道民・市民の皆様に協力をいただくための具体的な検討に入っております。
今後は,北海道には引き続き一層の支援要請をしてまいりますが,本市としても,より有利な起債が得られるように努め,北海道や経済界を初め,多くの道民・市民の皆様のご支援を得て,所要の財源を確保してまいりたいと考えております。
第2点目の建設費やコンペ方式についてでありますが,まずコンペの方式につきましては,今後,学識経験者などによる審査委員会を設置し,この委員会で十分審議した上で,ドームの設計,施工の考え方を決定してまいりたいと考えておりますが,その決定に当たりましては,民間の技術力等を十分反映させていきたいと,このように考えております。
また,建設費の積算に当たりましても,実勢をより的確に反映させたものとするよう努めてまいりたいと考えております。
第3点目の利用計画と採算の見通しについてでありますが,まず利用計画につきましては,スポーツ利用,文化イベント利用,コンベンション利用等を中心として組み立てており,現在本市で開催されている大型イベントなどを参考とした場合,利用日数としては 178日,稼働率で約50%程度の利用を見込めるものと考えております。
次に,ドームの採算見通しについてでありますが,本市のドーム運営に当たりましては,プロスポーツの積極的な誘致や他都市ドームとの連携した事業の実施,及び各種イベントの新規開発などの経営努力を行うことによって稼働率を向上させ,より安定した経営ができるよう努めていくことが必要であると考えております。
次に,第4点目の鳥獣保護区及び風致地区の問題についてであります。
まず,鳥獣保護区についてでありますが,羊ヶ丘の建設予定地は,羊ヶ丘白旗山鳥獣保護区の一部でありますことから,この用地の鳥類や動物の状況を把握するための生態系調査を実施し,この調査結果をもとに所轄官庁と協議を行なってまいりましたが,特に施設建設には支障がないとのご見解をいただいております。
次に,風致地区についてでありますが,ここに建設する施設につきましては,学識経験者などで構成する羊ヶ丘土地利用基本計画等検討委員会におきまして,景観シミュレーションなどをもとにご検討いただいております。
今後につきましても,都市景観委員会など,第三者機関のご意見もお伺いしながら,風致に関する法令や条例の趣旨を尊重し,当該地区の風致を損なわないよう計画を進めてまいりたいと考えております。
第5点目の東芝サッカーチームへの支援についてであります。
東芝サッカーチームの札幌移転は,本年2月8日の日本サッカー協会の理事会において正式に承認をされ,札幌をホームタウンとする本道初のプロスポーツチームが誕生いたしました。このホームタウンチームは,あすのJリーガーを目指す子供たちの夢をはぐくみ,市民スポーツの振興や,地元チームを応援することから生まれる市民の連帯感など,魅力ある本市の街づくりにはもちろんのこと,全道的にも大きく貢献するものと期待をしております。
また,この運営会社は4月に設立されることとなっておりますが,ご指摘をいただきましたように,Jリーグに昇格するまでの期間は,経営基盤の確立が課題となり,行政・経済界はもとより,道民・市民が一体となった支援が必要でありますので,今後,議会とも十分協議をしながら,本市としても運営会社への出資などの支援をしてまいりたいと,このように考えております。
次は,福祉問題であります。
高齢者福祉の充実についてでありますが,第1点目のホームヘルプサービス事業についてであります。
この2年間,ニーズの増加に対応できるよう,在宅福祉サービス協会の基盤整備や,在宅介護支援センターへの委託拡大を行うとともに,サービス内容の充実のため,早朝・夜間の派遣や派遣時間の拡大を図ってきたところであります。
その結果,平成5年度と比較いたしますと,派遣世帯では, 477世帯が平成8年1月末には 946世帯と約2倍となります。また,総派遣時間数でも,約6万 2,000時間であったものが約13万時間と,これも約2倍の伸びとなっております。
また,課題としては,日曜・祝日の派遣や1世帯当たりの派遣時間増への今後の対応と,ヘルパーのより一層の質的向上を図っていくことなどがあります。
ホームヘルパー数の計画目標の達成についてでありますが,平成8年度予算ではヘルパー数 294人であり, 910人の目標に対しましては約32%の進捗率でありますが,今後3年間で達成するよう最大限の努力をいたします。
次に,いわゆる社会的入院についてでありますが,その実態については,正確には把握いたしておりません。
しかし,特別養護老人ホームの入所待機者のうちで,病院に入院中であるという人の割合は,平成6年4月では約47%で,平成8年1月現在では,これが約42%であり,ここ数年の変化を見る限り,漸減傾向にあるというふうに言えると思います。
第2点目の特別養護老人ホーム及びデイサービス事業についてでありますが,特別養護老人ホームにつきましては,平成7年度末,22の施設で定員 2,030人となっておりますが,平成8年度には26施設 2,360人となる予定であります。
また,デイサービスセンターにつきましては,平成7年度末,34施設でありますものが,平成8年度末には,さらに10ヵ所の整備を行なって44施設となる予定であります。
現時点での待機者は,特別養護老人ホームでは 724人,デイサービスでは 613人でありますが,これらの整備を終えた後には,特別養護老人ホームは退所者分を含めて約 600人が入所可能となりますし,デイサービスについては約 700人が新たに利用可能となりますので,現在の待機者のほとんどは一応解消されるというふうに考えております。
しかし,今後,当然新たな利用希望者がふえてまいりますので,着実な計画達成に向けて,国と協議を進めながら整備の促進を図ってまいりたいと考えております。
第3点目の配食サービスについてでありますが,この事業は,配食だけではなくて,安否の確認や緊急時の対応など福祉的な要素を加味し,実施しているものでありまして,高齢者の方々が安心して生活を送るための非常に効果的な事業であると考えております。
現在,ひとり暮らしの虚弱な高齢者の方々を対象として,市内の4区で事業を展開しておりますが,平成8年度は全市的な展開を行う予定であります。その後,その推移を見守りつつ,虚弱な高齢者夫婦の方々などへの対象者拡大について検討してまいりたいと考えております。
また,配送体制の多様な取り組みについては,事業の福祉的な側面からこれを推進することといたしまして,既に一部ではボランティア等が参加をしておりますが,さらに福祉のまち推進センターがどうかかわることができるのか,地域の実情等を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
第4点目の
高齢者保健福祉計画全体の進捗状況の評価と計画達成の見通しについてでありますが,計画がスタートいたしました平成6年度以来,計画関連事業費の大幅な増額を図り,介護サービス基盤の整備を鋭意進めてきたところでありまして,計画全体としては,おおむね順調な進捗が図られてきていると考えております。
今後,計画の達成に向けましては,国庫補助金等の財源確保など大きな課題はありますが,引き続き全力を挙げて取り組みを進め,計画の達成を図ってまいりたいと考えております。
次に,第5点目の新5年計画における
高齢者保健福祉計画の取り組みと公的介護保険制度の導入に伴う計画の見直しについてであります。
まず,新5年計画における取り組みについてでありますが,新5年計画では
高齢者保健福祉計画の推進をその重点課題として位置づけ,現計画を最終目標年次であります平成11年度までに着実に達成を図ることにいたしております。
また,平成12年度につきましては,現計画の目標水準を基本としながら,要介護高齢者の増加に見合った施設及び在宅介護サービス基盤の充実強化を図ることにしております。
次に,
高齢者保健福祉計画の見直しについてでありますが,現在,国においては,老人保健福祉審議会が審議を進めております介護保険制度の導入に対応して,新たな介護基盤整備計画の策定について検討の意向が示されております。
この介護保険制度の導入に当たりましては,十分な介護サービス量の確保が不可欠であり,制度導入が明確になった時点では本市においても現行の計画の見直しが必要となりますことから,今後,国や道の動向などを十分に見きわめながら,計画の見直しについて検討を図ってまいりたいと考えております。
次に,子供の福祉についてであります。
第1点目の札幌市版エンゼルプランの見直しについてでございます。
現在策定作業を進めておりますエンゼルプランは,長期的な視点に立つとともに,札幌市地域福祉社会計画等とも十分整合性を図るように考えているものであります。
ご指摘のとおり,厚生省では,児童福祉施策を抜本的に見直す方針を打ち出し,保育制度のあり方やいじめ問題への対応,母子保健対策などを大きなテーマとして,今後検討していくやに伺っております。したがいまして,これら状況の変化を十分見きわめつつ,柔軟に対応できるようにしてまいりたい,このように考えております。
第2点目の仲よし子ども館についてでございますが,本市におきます少子化等の進行に対しまして,広範な子育て支援という視点から,仲よし子ども館の質的転換の検討を進めているところであります。
その内容といたしましては,従来の事業形態を幼児主体から母親等を主体とし,さらには,地域で子育て中の母親などが孤立しないように,その仲間づくりを支援していくことなどを基本として,現在,関係部局が協議を進めているところであります。
ご質問のありました件につきましては,児童館における母親クラブ等を参考にしながら,児童会館の有効活用も含めて検討を進めてまいりたいと考えております。
第3点目の子供局の設置についてでありますが,昨年の11月に策定いたしました新行政改革大綱と,これを踏まえたDRプログラムでは,青少年施策や児童施策などをより有機的に推進するために,組織改革を検討しなければならないということにしてあります。したがいまして,今後,関係部局において,子供にかかわる行政組織のあり方について,総合的に検討してまいりたいと考えております。
次は,環境問題についてであります。
1点目の環境基本条例に基づく具体的施策の展開のうち,まず,自治体職員及び民間団体の国際協力についてでありますが,従来から国際協力事業団,いわゆるJICA研修員の受入れでありますとか,本市職員の海外派遣は積極的に進めてきたところであります。
今後も,JICAとの連携をより深めるとともに,8年度からは,国際環境自治体協議会やアジア・太平洋環境会議に新たに参加をするなど,さらに積極的な国際協力を推進してまいりますほか,市民への支援策についても,条例に基づく施策を具体化する中で,必要な措置を検討してまいりたいと考えております。
次に,省エネルギー政策についてでありますが,現在行なっております環境基本計画策定のための基礎調査をもとに,エネルギー使用量削減を含めた本市の環境目標を設定し,この目標を達成するための計画を策定する予定であります。この中には,ご指摘にあったエネルギー・ダイエットプランの内容も含めたいと考えております。
2点目の廃棄物対策にかかわるご質問の資源物収集についてでございますが,昨年の10月から,従来の東区の北光・北栄地区に新たに北区の大平地区を加えて,資源物収集モデル事業を行なっております。
その際,市民の排出利便性を考慮し,それまでの月2回の収集から週1回の決まった曜日の収集に改めたこと,地元への事前説明をきめ細かく行なったことなどから,両地区とも,現在までのところ,ほぼ目標とする収集量の水準にあると考えております。
しかしながら,一部のごみステーションでは,資源物収集の日に他のごみが出されていたり,細かい点でルールを守っていただけない例もございますので,全市的に実施する場合におきましては,それらをいかに徹底していくかが課題であり,平成8年度に新たに設定しますモデル地区への取り組みを初めとして,効果的な方策を検討してまいりたいと考えております。
また,資源選別施設につきましては,平成10年度までに市内の南北2ヵ所に整備を進めてまいりたいと考えております。
分別後の資源化ルートにつきましては,昨年12月に,容器包装リサイクル法にかかわる政・省令の一部が公布され,分別収集の対象品目や分別の基準が明らかにされました。その中で,瓶及びペットボトルにつきましては,指定法人ルートの引き取り,缶・紙パックにつきましては,既存の引き取りルートでのリサイクルが予定されておりますので,本市といたしましても,その方法で進めてまいりたいと思っております。
次に,大型ごみ対策についてでありますが,ご指摘の戸別収集体制への移行は,早期に実施したいものと考えております。
しかし,審議会の答申にも,戸別収集の導入は,排出利便性の点で
行政サービスの向上が図られる一方で,
受益者負担の観点から,一定の経費を市民の皆さんにご負担いただくことが公平であるとされておりますので,私といたしましては,戸別収集の導入と大型ごみの有料化については一体のものとしてとらえて,今後,その負担のあり方を含めて慎重に検討してまいりたいと考えております。
次に,事業系ごみに対する取り組みについてでございますが,小規模事業所のごみ有料化への早期の移行につきましては,7年度は戸別訪問によるローラー作戦を実施して効果が上がっておりますので,8年度はさらに指導体制の一層の強化を図り,全事業所の有料化へ向けて最大限の努力をしたいと考えております。
なお,事業系ごみの分別・資源化につきましては,現在,大規模建築物を中心に事業所訪問を行い,実態に応じた指導を進めているところでありまして,小規模事業所につきましても,有料化移行の推移を見きわめた上で検討してまいりたいと考えております。私からは以上であります。
○副議長(澤木繁成君) 魚住助役。
◎助役(魚住昌也君) 雪対策につきまして,私からお答えいたします。
冒頭お話にございました,去る2月5日に起きましたタンクローリー車による学童の死亡事故,並びに26日に起きました除雪車による死亡事故は,まことに遺憾なことであり,亡くなられた方のご冥福を心からお祈りを申し上げますとともに,ご遺族に対しましても心よりお悔やみを申し上げます。
特に通学時の事故につきましては,二度と同様の事故が起きないよう,通学路の安全確保はもとより,学校周辺の除雪には,より一層留意してまいりたいと考えております。
そこで,ご質問の1点目の今回の雪害の教訓についてでございますが,従前にも増して,幹線,バス路線など緊急性の高い道路の確保,さらに情報の把握や市民への情報提供,関係機関との連携強化等を図っていく必要があると認識したところでございます。したがいまして,これらの教訓を,現在進めております防災計画の見直しに反映させてまいりたいと考えております。
2点目の除排雪直営事業についてでございますが,除雪に携わる民間業者につきましては,マルチゾーン除雪の試行から本格実施を通じ,除雪能力が年々強化されてきており,また,これにあわせまして,業者に除雪機械を貸与するなどにより体制の強化が図られるものと考えております。
したがいまして,将来的に直営事業が見直されたといたしましても,あわせて区土木部の組織運営の効率化及び機能強化も図る考えでありますので,防災並びに除雪水準は確保されるものと考えております。
3点目は,雪堆積場の確保についての基本的な考え方でありますが,既存の雪堆積場の確保はもとより,雪さっぽろ21計画に基づき,雪堆積場の拡充に努めてまいりたいと考えております。
しかしながら,今冬のような状況もありますことから,ご提案の豊平川河川敷の確保,雪堆積を前提とした大規模公園の整備などにつきまして,なお一層努力をしてまいりたいと考えております。
次に,下水道事業による雪対策でありますが,お話にありました試験的段階にある施策につきましては,早期実用化に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
また,今後の下水道事業による雪対策推進の基本的な考え方といたしましては,下水道の持つ資産・資源を有効に活用する観点から,雪さっぽろ21計画との整合を図り,すでに供用を開始しております大規模融雪槽や流雪溝など,下水の熱エネルギー等を利用した施設のさらなる拡大を図ってまいりたいと考えております。
○副議長(澤木繁成君) 田中助役。
◎助役(田中良明君) 交通問題につきまして,私からお答えを申し上げます。
第1点目の市営交通についてでございますが,まず,市営交通の乗客誘致といたしましては,これまで,プレミアムつきのウィズユーカードの発行によるサービスの向上や,あるいはサタデー・テーリング,ウィズユー・フェスティバル等のイベントの開催などによる乗客誘致に努めているところでございます。
今後とも,ソフト面で新しい企画に積極的に取り組み,また,ハード面におきましても,3事業のそれぞれの施設を市民の皆様がさらに利用しやすいように整備するなど,改善に努力を続けてまいりたいと考えております。
また,交通事業の基本はサービス事業でありまして,お客様一人一人を大切にすることが最も大切であると考えておりますので,一層,接遇面の向上にも力を入れてまいりたいと考えております。
次に,市営交通の将来についてでございます。
事業運営の効率化等によりまして,現在は累積欠損金が計画よりも少ない状況ではございますが,しかし,事業環境は大変厳しく,楽観できるものではないということを十分に認識をしてございます。
その一方,都市環境を守るという視点から,今後,公共交通機関の重要性はますます高まるものと考えておりまして,したがいまして,市民の足である市営交通の事業基盤を将来に向けてより確かなものにするために,経営健全化に引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
次に,2点目の公共交通の利用促進についてでございますが,従来から進めてまいりましたバスターミナルやパーク・アンド・ライド駐車場の整備などのさまざまな施策に加え,新5年計画におきましては,バスの活性化や料金制度のあり方などについて検討を進めるほか,これまで個々の事業者が行なっていた利用情報の提供を一元的に行う総合的な交通案内システムの具体化に取り組むなど,公共交通機関相互の連携強化を推進することにより,公共交通全体の利便性向上に一層努めてまいりたいと考えております。
さらに,マイカー規制についてでございますが,現在,人に優しい交通対策をスタートさせておりますので,まずは,バスレーンの拡大など,公共交通の優位性,利便性を高めていくことにより,公共交通の利用促進に取り組むことが肝要であると考えております。
また,今後とも,さまざまな広報メディアやキャンペーンなどを通じて,自動車利用の自粛を促すとともに,先般設置されました市民交通フォーラムでの議論の中でも,市民の側から,自動車の規制や環境面からの総量抑制を含めた交通問題に関するご意見もあらわれ始めておりますので,マイカー規制につきましては,これらの推移を見守りながら検討してまいりたいと考えております。
次に,第3点目の需要喚起策についてでございますが,平成4年度から,地下鉄沿線の容積率拡大,あるいは再開発事業の実施等により,沿線の土地の高度利用を促進するとともに,パーク・アンド・ライド駐車場,バスターミナル等の整備拡充を進めてまいりました。
また,ソフト施策として,リンケージ・アップ フェスティバル等の新規イベントや人に優しい交通対策の取り組みを進め,さらに健康づくりセンターやサッポロファクトリーなどの施設を地下鉄沿線に配置,誘導して,新規需要の創出に積極的に取り組んでまいりました。
しかしながら,週休2日制の拡大や景気の低迷,あるいはお話にもございましたようなマイカーの増などの要因によって地下鉄の基礎需要が落ち込んでいることから,結果としての地下鉄利用は伸び悩んでいるところでございます。
そこで,今回の新しい5年計画における需要喚起策の新たな展開についてでございますが,まず,東西線延長終点駅周辺地区あるいは豊平6・6地区などの地下鉄沿線の街づくりを推進するとともに,大谷地駅などのパーク・アンド・ライド駐車場や東西線延長に伴うバスターミナルの整備にも取り組んでまいります。
また,全天候型多目的施設や音楽専用ホール,コミュニティドーム,大倉山,サッポロさとらんどなど,魅力的な公共施設の配置に努めるとともに,これらの施設を活用したイベントやソフト事業の開発,シャトルバスの改善,さらには公共交通全体の利用促進策もあわせて,一層の需要創出に向け,全庁を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(澤木繁成君) お諮りをします。
本日の会議はこれをもって終了し,明2月29日午後1時に再開いたしたいと存じますが,ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(澤木繁成君) ご異議なしと認めます。よって,さよう決定されました。
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○副議長(澤木繁成君) 本日は,これで散会いたします。
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散 会 午後4時34分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 柴 田 薫 心
副議長 澤 木 繁 成
署名議員 伊与部 敏 雄
署名議員 菅 井 盈...