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平成 6年第 4回定例会−12月07日-03号

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    平成 6年第 4回定例会−12月07日-03号


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    平成 6年第 4回定例会−12月07日-03号平成 6年第 4回定例会                平成6年    第4回定例会           札 幌 市 議 会 会 議 録 ( 第 3 号 )                 平成6年12月7日(水曜日)               ───────────────── 〇議事日程(第3号)  開議日時 12月7日 午後1時 第1 議案第1号から第7号まで及び議案第9号から第14号まで(市長提出)               ───────────────── 〇本日の会議に付した事件 日程第1 議案第1号 平成6年度札幌市一般会計補正予算(第3号)  議案第2号 平成6年度札幌市公債会計補正予算(第4号)  議案第3号 平成6年度札幌市交通事業会計補正予算(第1号)  議案第4号 平成6年度札幌市高速電車事業会計補正予算(第3号)  議案第5号 札幌市職員の勤務条件に関する条例の全部を改正する条例案  議案第6号 札幌市乳幼児医療費助成条例及び札幌市老人医療費助成条例の一部を改正する条例案
     議案第7号 札幌市北方自然教育園条例案  議案第9号 財産の取得の件(廃棄物埋立用地)  議案第10号 財産の取得の件(公園用地)  議案第11号 財産の取得の件(都市環境緑地用地)  議案第12号 財産の取得の件(住宅団地用地)  議案第13号 市道の認定,変更及び廃止の件  議案第14号 札幌市国民健康保険条例の一部を改正する条例案               ───────────────── 〇出席議員(69人) 議   長       見 延 順 章 君 副 議 長       伊与部 敏 雄 君 議   員       藤 原 廣 昭 君 議   員       畑 瀬 幸 二 君 議   員       大 西 利 夫 君 議   員       三 上 洋 右 君 議   員       上瀬戸 正 則 君 議   員       原 口 伸 一 君 議   員       義 卜 雄 一 君 議   員       佐々木   肇 君 議   員       道 見 重 信 君 議   員       伊 藤 知 光 君 議   員       武 藤 光 惠 君 議   員       井 上 ひさ子 君 議   員       山 口 た か 君 議   員       福 士   勝 君 議   員       猪 熊 輝 夫 君 議   員       西 村 茂 樹 君 議   員       川口谷   正 君 議   員       加 藤   斉 君 議   員       村 山 優 治 君 議   員       宮 本 吉 人 君 議   員       大 越 誠 幸 君 議   員       春 原 良 雄 君 議   員       柿 崎   勲 君 議   員       千 葉 英 守 君 議   員       武 市 憲 一 君 議   員       横 山 博 子 君 議   員       中 嶋 和 子 君 議   員       佐々木 周 子 君 議   員       富 田 新 一 君 議   員       澤 木 繁 成 君 議   員       高 橋 忠 明 君 議   員       常 本 省 三 君 議   員       佐 藤 美智夫 君 議   員       丹 野   勝 君 議   員       森   健 次 君 議   員       関 口 英 一 君 議   員       八 田 信 之 君 議   員       佐 藤 寿 雄 君 議   員       飯 坂 宗 子 君 議   員       生 駒 正 尚 君 議   員       小 川 勝 美 君 議   員       水 由 正 美 君 議   員       赤 田   司 君 議   員       湊 谷   隆 君 議   員       柴 田 薫 心 君 議   員       山 田 信市郎 君 議   員       長 岡 武 夫 君 議   員       政 氏   雅 君 議   員       本 舘 嘉 三 君 議   員       唯   博 幸 君 議   員       室 橋 一 郎 君 議   員       青 木   護 君 議   員       荒 川 尚 次 君 議   員       工 藤   勲 君 議   員       岡 本 修 造 君 議   員       山 崎 七 郎 君 議   員       藤 田 雅 弘 君 議   員       加 藤 隆 司 君 議   員       越 智 健 一 君 議   員       吉 野 晃 司 君 議   員       田 畔   満 君 議   員       常 見 寿 夫 君 議   員       田 畑 光 雄 君 議   員       野 間 義 男 君 議   員       高 橋 重 人 君 議   員       菊 田 勝 雄 君 議   員       菅 井   盈 君   ───────────────── 〇欠席議員(1人) 議   員       小 谷 俵 藏 君   ───────────────── 〇説明員 市長          桂   信 雄 君 助役          魚 住 昌 也 君 助役          田 中 良 明 君 助役          石 原 弘 之 君 収入役         長 部 幸 一 君 交通事業管理者交通局長 土 榮 勝 司 君 水道事業管理者水道局長 小 谷 勝 也 君 総務局長        伊 藤 忠 男 君 企画調整局長      井 原 貴 男 君 財政局長        久 元 喜 造 君 市民局長        松 崎   誠 君 民生局長        大 長 記 興 君 衛生局長        高 杉 信 男 君 環境局長        前 田 悦 雄 君 経済局長        鈴 木 俊 雄 君 建設局長        平 賀 岑 吾 君 都市整備局長      広 畑 民 雄 君
    下水道局長       松 見 紀 忠 君 建築局長        関 谷 幸 正 君 市立札幌病院長     手 戸 一 郎 君 消防局長        中 谷 多 宏 君 教育委員会委員     山 藤 邦 雄 君 教育委員会教育長    藤 島   積 君 選挙管理委員会委員長  宮 川 新 市 君 選挙管理委員会委員   須 合 一 雄 君 選挙管理委員会委員   杉 本   強 君 人事委員会委員長    山 岡   暸 君 人事委員会事務局長   水 島 典 弘 君 監査委員         野 島 廣 紀 君 監査事務局長      東 山   誠 君   ───────────────── 〇事務局出席職員 事務局長        鍛冶沢   徹 君 事務局次長       植 田 英 次 君 総務課長        佐 藤 正 明 君 議事課長        土 屋   逞 君 調査係長        木 村 正 実 君 資料係長        高 橋 道 孝 君 議事係長        細 川 正 人 君 記録係長        前 野 保 雄 君 委員会一係長      山 本 祥 一 君 委員会二係長      常 野 正 浩 君 書記          佐 藤 比登利 君 書記          高 佐 三緒子 君 書記          鈴 木 和 弥 君 書記          尾 形 英 樹 君 書記          今 井 一 行 君 書記          山 本 扶 美 君   ─────────────────  〔午後1時開議〕 ○議長(見延順章君) ただいまから,休会前に引き続き会議を開きます。  出席議員数は,59人であります。   ───────────────── ○議長(見延順章君) 本日の会議録署名議員として森 健次君,原口伸一君を指名します。   ───────────────── ○議長(見延順章君) ここで,事務局長に諸般の報告をさせます。 ◎事務局長鍛冶沢徹君) 報告いたします。  小谷俵藏議員は,所用のため本日の会議を欠席する旨,届出がございました。  本日の議事日程及び質問順序表は,お手元に配付いたしております。以上でございます。   ───────────────── ○議長(見延順章君) これより議事に入ります。  日程第1,議案第1号から第7号まで及び議案第9号から第14号までの13件を一括議題といたします。  ただいまから代表質問に入ります。  通告がありますので,順次発言を許します。赤田 司君。  (赤田 司君登壇・拍手) ◆赤田司君 社会党の議員会を代表して,当面する市政上の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  この機会に,私は,21世紀に生きる人類に与えられたテーマと言われております平和と人権と環境を守る立場から,身近な問題を取り上げながらお尋ねをいたしたいと思うのであります。  なお,私どもの会派の代表質問は,今後とも永遠に続けられるでありましょうけれども,私の質問は,これをもって千秋楽とさせていただきたいのであります。  市長は,11月22日に,来春の市長選挙に立起することを表明するとともに,長期的な展望に立った基本政策を明らかにしたのでありますけれども,その具体的な内容について,まずお尋ねをしたいのであります。市政の責任者というのは,常に札幌の未来を正しく予測をして,それに対応する行政を進めていかなければならないものであり,市民に対しては,この人に市政を任せておけば札幌の将来はこうなっていく,だから安心だという信頼感を与えるためにも必要だと思うからであります。  市長は,その基本的な政治理念として,自然と調和したさわやかなまちづくりを提唱いたしておりますが,私もその理念には全く同感であります。  本市では,すでに自然と調和したまちづくりを進めておりまして,夢のグリーンベルト構想を推進したり,あるいはまた,河川の改修工事等にいたしましても,コンクリートで練り固めるだけの花鳥風月を損なうような工事から,最近では,自然の石を活用して景観を損なわない工法にと変わってきているのでありますが,そうした自然との調和を目指すまちづくりの中で,いまなお気になるのが街路樹の剪定の仕方なのであります。  私が視察をしてきた道外や海外の都市では,たとえ積雪寒冷地帯であろうとも,街路樹は伸び伸びと生い茂っていたのであります。樹木というのは,人間が吐き出した炭酸ガスや車の排気ガスを吸い取ってくれて,人間に必要な酸素を供給してくれる大切なものだから,可能な限り自然に繁茂させるべきだという価値観に基づいての措置だというのであります。  それらの街と比較をした札幌の街路樹は,枝の切過ぎで,人間の吐き出す炭酸ガスや車の排気ガスを吸い取る力もなければ,人間に必要な酸素を供給する力もないという感じがするのであります。なぜそれほどまでに短くするのかということについてですけれども,多くの市民から,街路樹を伸ばすと信号機が隠れて見えなくなる,風で倒れると危険,落ち葉がごみとなって街を汚す,だから短くしてほしいと要望されているからだというのであります。しかし,そういう声もある一方では,夏の暑い盛りに枝をばつばつと切り取ってトラックに積んで,残り少なくなったごみの埋立地に運ぶ姿を痛々しい思いで見詰めている市民も多く見受けられるのであります。  私に言わせれば,信号機が見えなくなるというなら,見えなくしている枝だけを取り除けばいいのではないかと思うのであります。樹木というのは,枝が伸びるのに比例して,それを支えるために根も伸びる特性を持っているわけですから,枝を切って根も伸びないようにするのも,枝を自然に伸ばして根を張りめぐらせるのも,風に対する抵抗力では同じではないかと思うのであります。落ち葉をかさこそと踏みしめるところに季節の移り変わりを感ずる風情があるはずなのに,落ち葉をごみとしてしか見ない感性にこそ不自然なものを感ずるのであります。  都会に住みなれるということは,いつの間にか自然と自然観が薄れてしまうことではないかと思うのであります。そうした状況の中で,少しでも自然を取り戻すためには,せめて街路樹ぐらいは可能な限り自然に茂らせるべきだと思うのであります。そのためには,短くしろという市民の声と,なるべくなら切らないでほしいという市民の声も調和させていただきたいのであります。  市長が訴えている自然と調和したさわやかなまちづくりのためには,まず街路樹剪定基準の見直しも含めるべきではないかと思うのですが,いかがなものかお尋ねをいたしたいのであります。  市長は,また,芸術文化の振興と施設の整備促進を唱えているのですが,私も同感であります。  すでに本市では,音楽専用ホールは建設に着手されており,演劇ホール能楽堂についても調査費が計上されているのでありますが,それらの施設というのは,つくることだけが目的ではなくて,つくった後の健全な経営と有効な活用が求められていると思うのであります。施設の完成は,芸術文化振興のスタートラインでしかないと思うのであります。  すでにオープンした道外各地のコンサートホールの中には,盛大な竣工パーティーを開いて間もなく利用者が少なくなって,経営を維持するために,パイプオルガンのあるホールで演歌のカラオケ大会を開いたり,あるいは宗教団体の集会や呉服の展示用にまで使用させている例もあるというのであります。私は,札幌にその二の舞をさせてはならないと思うのであります。  本市の音楽専用ホールの完成後は,札幌公響楽団やPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)の主要な演奏会場として,また,市内外の音楽家の発表の場として使われると思うのでありますが,そのホールを支える音楽ファンをふやす方策を進めていかなければならないと思うのであります。  札幌では,これまで長い間,市内の中学校において,札響の団員を講師とした音楽教室が開催されてきたのでありますが,そこでクラシック音楽を聞いてなれ親しんだ子供たちが成長して,札響のファンとなって演奏会に参加したり,あるいはまた,会員となって経営を支えてきていたのであります。その中学校における音楽教室が,学校週5日制の実施以来,開催校がゼロになってしまったことを,非常に残念に思っているものであります。  専用ホール有効活用健全経営を目指すためには,運営財団が中心となって学校その他関係機関と協力して,中学校における音楽教室の再開や,わかりづらいクラシックをわかりやすく解説もする親と子のコンサートのようなものも開催し,音楽愛好者の増加を求めていくべきではないかと思うのでありますが,いかがなものかお尋ねをいたしたいのであります。  次に,演劇専用ホールについてでありますが,ご承知のように,札幌ではミュージカル「キャッツ」が200万都市名古屋を超えるロングランに成功しておりますし,その後で上演された「オペラ座の怪人」につきましても,1年近い長い間,客席を埋め尽くす人を動員していたのであります。  札幌に演劇のファンが多い理由の一つには,長い歴史を持つ民間の組織であります演劇鑑賞協会の存在と,1万人に近い会員の地道な努力による演劇を支える環境づくりがあったからだと思うのであります。演鑑の人たちは,いま,ホールのできることを夢に見ながら,その活用と健全経営を目指して,会員の増加や組織の法人化等受皿づくりの努力も続けているのであります。  演劇専用ホール健全経営を目指すためには,利用者のすそ野を広げるために力を尽くしている民間の組織に対しても,たとえ,ささやかであろうとも財政的な援助の手を差し伸べるべきではないかと思うのであります。  このようなことも含めて,計画の段階から市民と経済界,そして行政が一体となって経営の安定化を目指すべきではないかと思うのですが,いかがなものかお尋ねしたいのであります。  次に,能楽堂についてでありますが,日本古来伝承文化の継承は,利用者による収支の尺度ではかるべき問題ではなく,文化遺産として守り育てるものでなければならないと思うのであります。その意味では,施設の使用料収入には期待することなく,能楽堂を中心に,それ以外の日本の伝統文化の活用の場とさせることも考えるべきではないかと思うのですが,いかがなものかお尋ねをいたしたいのであります。  次に,文化財保護の立場から,いよいよ本格的な改修工事を始めることになった時計台についてお尋ねをしたいのであります。  時計台については,「現在地にそのまま置くべきだ」「移転したほうがいい」という両論に分かれて論議が続けられてきたのですが,対立する二つの意見も,木造の古い建物を永久に保存させたいという願いでは共通の認識となっているのであります。  私もまた,時計台にはいつまでも健在で,あの鐘の音を響かせ続けてほしいと願っているものでありますが,木造のトタン屋根の建物にとっての最大の天敵は,雨や風や雪や排ガスよりも,木の葉から滴り落ちる雨滴だと言われているのであります。ご承知のように,いまの時計台は,建物を覆い隠すように伸びているアカシアやシラカバの木の葉から滴り落ちる雨滴をふんだんに浴びせかけられているのであります。  時計台の改修に際しては,建物保護という立場からだけではなくて,それに関連する敷地整備も考慮すべきではないかと思うのでありますが,いかがなものかお尋ねをいたしたいのであります。  また,内部の活用計画についてでありますが,時計機械や鐘は,時計台の重要な要素であることから,たとえばこれを映像化し,市民や見学者に見ていただくことも時計台への一層の愛着と保護の気持ちにつながると考えているところでありますが,このことについてのお考えもお聞かせをいただきたいのであります。  次に,市長は,世界と結ぶ心ときめく街さっぽろを目指して,イベント,コンベンションの誘致等によって国際交流を促進すると訴えております。私も同感であります。しかし,心の通じ合う,心をときめかせる国際交流の大切さを感ずると同時に,その難しさも感ずるのであります。  たとえば,日本が大好きで日本に帰化したい,永住したいと希望している海外の人も多数いるわけですけれども,その反面,いまなお日本を理解もしていなければ好意も感じていない人も意外と多いことが感じられるからであります。ご承知のように,お隣の韓国では,アンケート調査等によりますと,嫌いな国のトップは依然として日本になっていると言われておりますし,ヨーロッパでも,「嫌われる日本人」という本が出版されているとも言われているのであります。  そうした状況の中で,訪れる国,訪れてきた国の人たちと心のときめく交流を進めるためには,日本に対して苦言を呈する人の言葉にも謙虚に耳を傾けて,それを受け入れる寛容さが必要ではないかと思うのであります。  たとえば,1991年10月に来日したオランダのベアトリクス女王は,皇居で開かれた晩さん会のスピーチで,「第二次大戦のときに,日本がどんなにひどいことをしたか私たちは忘れていない。しかし,大半の日本の人は忘れている。忘れられてはいても,そのような歴史のあったことをこの機会にお伝えしたい」と言っており,同じころシンガポールの首相は,「私たちの持っている被害者としての歴史観に対して,日本人が加害者としての歴史観を持たない限り,アジアの友人としては認めない」と言っているのであります。  ことし私の家にも来てくれた20数名の留学生の話によりますと,「ヨーロッパでは,戦勝国と敗戦国の間で歴史的な事実を照らし合わせて,共通の歴史観を持たせる教科書がつくられている。日本はそういうことをしていない。だから,戦争を知らない子供たちがそのまま戦争を知らない若者となっているために,国際交流で違和感を与えているのではないか」と言うのであります。「日本の学生と話をすればするほど心が通じ合わなくなる。なぜなら,歴史観が余りにもかけ離れているから」とも言われたのであります。また,日本の学生に,中国も日本と同じ漢字を使っているのを知って驚いたと言われて,聞いたほうがなお驚いたそうであります。日本には,いまなお精神的な鎖国性が残っていて,そのことが,かつては関東大震災のときに朝鮮人を虐殺したように,いままた朝鮮に核疑惑問題が起きたら,何の関係もない在日韓国人朝鮮人のチマチョゴリが切り裂かれたりするのではないかという厳しい指摘も受けたのであります。  国際交流を進めるためには,外国の人たちの声を率直に受けとめた上で,国際的に通用する共通の歴史観価値観,異なった文化を受け入れる柔軟な感性を市民に植えつける努力と,外国の人たちに対しても,日本の心を正しく理解させるための努力が必要ではないかと思うのであります。関係当局は,国際交流をどのようにして進めようとしているのかお尋ねしたいのであります。  市長はまた,風格あるまち・都市空間のあるまち・快適なまちづくりを目指すとも訴えており,私もその理念のすべてに同感なのでありますが,それをどう進めようとしているかについてお尋ねしたいのであります。  風格のある街の一つに,歴史の古いイギリスのロンドンがあるのではないかと思うのですが,そのロンドンでは,日本で言えば江戸時代,すでに街中の電線類が地下に埋設されていたというのであります。札幌を風格のある街にするためには,ロンドンと比較をして1世紀以上もおくれている電線類地中化事業を,今後も速いテンポで進めるべきではないかと思うのですが,いかがなものかお尋ねをいたしたいのであります。  風格もあり,魅力もある街としては,フランスのパリもあると思うのですが,ご承知のように,パリでも古くから,深くて広い地下共同溝をつくり上げていたのであります。本市のように,舗装した道路を掘り起こして下水管を入れて,埋め戻したと思ったらまた掘り起こして,今度はガス工事をする,細くて古い水道管が破損をして路上を水浸しにするようなことは,パリの街では見られなくなっているのではないかと思うのであります。  札幌も風格のある落ちついたまちづくりを目指すためには,いきなりパリ並みとは言わないまでも,民間企業とも連携を密にして,同じ年に2度も3度も道路を掘り返すようなことのない配慮をすべきではないかと思うのですが,いかがなものかお尋ねしたいのであります。  札幌の貴重な都市空間としては大通公園があり,市民にも観光客にも親しまれているのですが,その大通公園と連動している創成川については,両側を走っている2本の車道に遮られて空間を失い,人の近づけない場所となっているのであります。その創成川の再生を目指して周辺に空間を求め,市民グループから両岸を走る車道の地中化,公共の施設の建設,水量の増加等の提言が示されているのでありますが,それをどう受けとめて,どう対応しようとしているのかお尋ねしたいのであります。  札幌を快適な街にするためには,いろいろさまざまな問題がありますけれども,その一つに,ますます深刻化している交通渋滞対策があると思うのであります。  以前に私が視察をしたスウェーデンのウプサラ市では,抜本的な渋滞対策として,バスやタクシーや消防車,救急車等を除くその他一切のマイカーの市内乗入れを禁止していたのであります。そのプランを住民投票にかけたところ,80%以上の人が反対をして,実施をしようとした日はピケを張って阻止されたそうですけれども,いざ実施をしてみたら,バスやタクシーの利用で行きたいところへ着きたい時間に到着できるようになったため,それまで反対をしていた人たちからも,たちまちのうちに高く評価されるようになったというのであります。  いまの札幌でそこまでのことはできないとしても,海外でもすでに実施しているラッシュ時におけるマイカーの1人乗りの禁止,車両ナンバーの奇数の車は月・水・金,偶数の車は火・木・土の乗入れにして,マイカーの数を半分に減らす方法,あるいは官公庁や民間の企業の大胆な時差出勤等を前向きで検討する時期ではないかと思うのですが,いかがなものかお尋ねしたいのであります。  なお,札幌では豊かな水資源の確保による快適な生活を目指し,豊平峡や定山渓にダムをつくり,安全でおいしい水を提供するための行政が推進されております。豊平峡のダムの周辺には,マイカーの乗入れを禁止するという厳しい措置もとられているのであります。  さらに,将来の人口増を予測して,当別ダムの建設計画も進められているのでありますが,その当別ダムの周辺には2ヵ所のゴルフ場計画が立てられているのであります。ゴルフ場というのは,たとえどんなに低公害による芝生づくりをしたとしても,水を汚すことにはつながっても,浄化することにはつながらないと思うのであります。安全でおいしい水資源を確保するためには,水源の集水区域を自然のままに残すことが最も適切であると思うのですが,いかがなものかお尋ねしたいのであります。  次に,ごみの減量対策についてお尋ねしたいのであります。  札幌市が快適なまちづくりとごみの減量を目指して取り組んできたものに,生ごみを活用して良質の肥料にリサイクルさせるためのコンポスト化容器の購入者に対する助成制度があります。最近,その市の助成を受けてコンポスト化容器を購入した市民の投書が新聞に載っていたのですが,それによりますと,「コンポスト化容器を購入して以来,生ごみを出したことは一度もない。そのため,わが家のごみの量は半分に減った」と書かれていたのであります。市の調査でも,助成を受けて購入した容器の活用によるごみの減量効果は,1万トン以上にもなっているのであります。  しかし,そのコンポスト化容器の利用者は,設置可能の家庭数推定18万戸のうち,いまなお4分の1以下の推定4万戸にしかなっていないというのであります。購入者に対する助成制度については暫定的なものとなっており,特別委員会における質疑では,コンポスト化容器の価格が半額になったという理由で,助成の打切りもほのめかされていたのですが,ごみの減量を目指すためには,市民にも歓迎されておりますこの制度をさらに延長させて,設置戸数をふやしていくべきではないかと思うのですが,いかがなものかお尋ねしたいのであります。  次に,桂市政の誕生によって実現した平和都市宣言に関連する事業についてお尋ねしたいのであります。  一昨年の春,本市では,宣言を求める市議会の満場一致の議決を尊重して平和都市宣言を行い,その趣旨を徹底させるために,初年度予算として500万を計上していたのであります。計上された500万の予算で実施された具体的な事業としては,ユニセフ親善大使の黒柳徹子氏を招いて平和をテーマとする記念講演会の開催があり,多くの市民が参加し,深い感銘を受けていたのであります。その講演の中では,内乱や紛糾というのは,ほんのちょっとしたきっかけで起こり得ること。そしてそのとき,最大の犠牲者となるのは老人と子供と女性,障害を持った人たちであること。それを未然に防ぐためには,宗教や民族や異なった文化を認め合う豊かな心と,平和を守るための不断の努力が必要であるということが訴えられていたのであります。  きわめて意義の深かった初年度の成果を踏まえて,予算も事業も次年度からはさらに拡大されるものと期待していたのですが,その翌年度の予算では,5分の1の100万円に削減されていたのであります。一般会計当初予算7,650億円の札幌の平和事業関連予算が100万円,お隣の広島町は一般会計当初予算が149億円,財政規模では札幌の50分の1以下にもかかわらず,平和関連予算は現在140万7,000円が計上されているというのであります。いま計上されている100万円の予算では,札幌が平和都市宣言都市になったことを周知させることも,平和の理念を徹底させることも難しいのではないかと思うのであります。記念講演の中で黒柳徹子氏も訴えていたように,平和を守るためには,絶え間ない努力が必要であり,そのためには記念事業や関連予算というのは,ふやすことがあっても減らしてはならないと思うのであります。  関連する事業としては,私どもの会派が政策として提案しております広島,長崎,沖縄への少年少女平和使節団の派遣,子供たちに対する平和教育,公共の施設を利用した平和展の開催,あるいはまた,記念講演の実施等を考慮すべきではないかと思うのですが,いかがなものかお尋ねしたいのであります。  また,私どもがかねてから提言してきた白石区の平和通と都心を結ぶ橋を平和都市宣言記念橋として平和大橋と命名し,札幌に来た人たちが必ず訪れたくなるような魅力的なものにすること,その橋の周辺には,市民のくつろげる緑地空間をつくること等について,その後どのように対応してきているのかお尋ねしたいのであります。  次に,教育問題についてお尋ねしたいのであります。
     ごく最近,愛知県では,級友のいじめが原因で,1人の中学生が命のとうとさを知りながらも若い命をみずから絶ち切るという痛ましい事件が発生したのであります。これはまさに氷山の一角であり,愛知だけに起きた極端な例ではなくて,いつどこで発生するかわからない問題ではないかと思うのであります。未来に生きる子供たちの幸せを目指すためには,一人一人の子供たちに対して,行き届いた温かい教育の目が注がれなければならないと思うのであります。そのために役立つことであれば,お金の出し惜しみをしない行政を推進されるよう,まず冒頭において要望したいのであります。  そこで,質問に移りたいのですが,一つは,学校週5日制についてであります。  いま教育の現場で起きている難しい授業,おもしろくない学校,厳しい管理,いじめ,暴力,不登校などの弊害は,差別と選別の受験体制の中でつくられた知識偏重の教育に起因していると言われているのであります。文部省もその弊害を認めて,子供たちの心と体にゆとりを持たせることの必要性から,学校週5日制を実施しようとするようになったのであります。一昨年9月から月1回,来年の4月からは月2回の5日制の実施が予定されており,多くの子供たちは,5日制で休みになった日は日曜,祝・祭日と同じように受けとめて,楽しく過ごしているのであります。  この5日制については,一昨年の実施が初めてではなく,戦後間もない1948年から52年まで,32の府県において実施されていたのであります。そのことを証明する国立教育研究所の報告によれば,発足して間もない地方の教育委員会に対して5日制を勧めたのは,アメリカの太平洋陸軍司令部の地方軍政部だというのであります。しかし,その子供たちや教師にも歓迎された5日制は,わずか4年足らずで挫折してしまったというのであります。なぜなら,文部省が学習指導要領を改定せず,授業時間をそのまま放置したため,平日の授業時数がふえ,教師や子供たちの負担が大きくなったからだと言われているのであります。  いままた,6日制に合わせてつくった指導要領をそのままにして5日制を推進させようとすれば,過去にあった挫折の歴史を繰り返すことになるものと懸念されているのであります。  市教委は,従来,6日制に合わせた指導要領でも,余裕日の活用によって,月1度や2度の5日制には支障が生じないという姿勢をとってきているのであります。しかし,私は,授業に支障は起きていなくても,教育にはすでに支障が起きていると思うのであります。たとえば月1回の5日制が実施されるようになってからは,子供たちにとっては有益な映画の上映も演劇鑑賞の時間もなくなり,中学校で開かれていた札響の音楽教室も開催されなくなっているからであります。人生の中で最も感受性の強い年代に,芸術文化に親しむ時間もとれないで,心身ともに健全な成長は望めないのではないかと思うのであります。  そこで,幾つかお尋ねしたいのであります。  一つは,市教委の姿勢についてであります。  いまなお市教委は,現行の指導要領で支障を来たすことなく月2回の5日制を実施可能と考えておられるのかどうかであります。  次に,各学校からの調査報告書についてでありますが,そこに書かれているのは,現場の声というよりも,管理者の側の意向ではないかと思うのですが,実態はどうなのかお尋ねしたいのであります。  次は,現場の声についてでありますが,私どもに聞こえてくる教育現場の声というのは,現行の指導要領に拘束されながらの5日制は困難だという声ばかりなのですが,市教委ではそういった現場の声に直接耳を傾ける機会を設けておられるのかどうか,お尋ねしたいのであります。  次は,5日制の早期完全実施についてでありますが,このことにつきましては,指導要領の改定なくして実現のあり得ないことは,挫折の歴史によって証明されているところであり,札幌市議会でもその必要性を認め,指導要領の改定を求める意見書を満場一致で採択しているのであります。市教委は,そうした事実を直視して,従来の見解にこだわることなく,文部省に対し強く改定を求めるべきではないかと思うのですが,いかがお考えなのかお尋ねしたいのであります。  次は,子どもの権利条約についてであります。  この条約は,本年3月批准され,5月から発効されているのですが,この条約のつくられたことも,意味や内容もよくわからないという父母,教師,子供の数が,マスコミの調査によりますと60%から70%にもなっていると言われているのであります。わからない理由の一つに,条約の文章が余りにも難し過ぎるからだとも言われているのでありますが,子供たちの人権を守り,権利を擁護するために必要な条約であっても,わからないままにしておいたのでは宝の持ちぐされになってしまうと思うのであります。  未来に生きる子供たちに対して,民主主義の原理を教え,人権尊重の意識を自覚させ,深刻化しているいじめをなくすためにも,条約の文章をわかりやすく解説し,理解させなければならないのではないかと思うのであります。子供たちに対しては,あなたたちは自分の求めようとしていることを自由に発言ができるようになったということ。子供たちの人権を大人が踏みにじることはできないということ。子供を養う責任は父母にあることなどをわかりやすく伝えて理解させ,与えられた権利を行使できるようにしなければならないと思うのであります。  札幌では,子どもの権利条約については,いま,どの程度子供たちや父母や教師に理解されていると見ているのか。この条約を浸透させるためにどのような取組みをしているのか,お尋ねをいたしたいのであります。  次に,観点別評価の問題についてお尋ねをいたしたいのであります。  道教委は,高校入試に際しての個人調査書,いわゆる内申書の様式を変更して,これまでになかった子供たちの学習に対する意欲や関心や態度を教師の主観で記入させようとしているのであります。この観点別評価というのは,テストの学力点のような客観性もなければ基準もなく,科学的な根拠もない評価ではないかと思うのであります。だからこそ,その評価に不安を抱く父母,市民から,停止を求める陳情書が議会に提出されたのだと思うのであります。  私もまた,人間が人間を正しく評価をするということは,人間が針の穴をくぐり抜けるよりも難しいことではなかろうかと思うのであり,しかも,その評価によって一人の人間の人生が左右されるかもしれないことを思うときに,恐ろしささえ感ずるのであります。学習に対する意欲にしても,関心にしても,態度にしても,学校の中の子供たちの行動を見ているだけでは判断のできないものが多いのではないかと思うのであります。  ある教師の体験によりますと,卒業が間近になってから急に宿題を忘れてくる子供がいたというのであります。幾ら注意しても忘れてくるので,宿題を忘れてばかりいる意欲のない子供と思っていたというのです。ところが,その子は卒業式当日,これを先生にあげるといって持ってきたものがあり,それは等身大の大きさで描かれた教師の肖像画だったというのであります。尊敬する大好きな先生の肖像画をかき上げるために,その子は宿題も忘れて没頭していたのであります。その行為の中には,宿題をきちんと書いて出すこと以上の強い意欲が込められていたのではないかと思うのであります。  そうした事例が示すように,教師の目には意欲も関心もないと思えていても,実際には逆の例も少なくないと思うのであります。だからこそ,私は,加点もするが減点もする,褒めもするがけなしもする評価を,感情を持った人間の主観によってさせてはならないと思うのであります。観点別評価の実施については,慎重な上にも慎重な姿勢で臨むべきではないかと思うのですが,いかがなものかお尋ねしたいのであります。  最後に,国民健康保険についてでありますが,このことにつきましては,私どもの会派の練り上げた提言を含めてお尋ねをいたしたいのであります。  国民健康保険は,自営業者や年金生活者,無職者などを中心とした公的医療保険であり,高齢者や低所得者などを多く抱えているため,社会経済状況,高齢化の進行などの影響を受けやすい制度であります。また,ご承知のように,国民健康保険は国の団体委任事務とされ,事業の運営が健全に行われるよう,その責任は国に義務づけられているのであります。市民にとりましては,だれもが,いつでも,どこでも安心して医療を受けられる公的医療保険制度の確立が必要であり,このためには,医療費を支払うための保険料をだれがどのように負担するかという,負担のあり方を考えていかなければならないと思うのであります。  現時点では,一般会計からの繰入れはやむを得ない措置であると思いますが,中長期的には医療費の抑制,高齢者対策の推進,健康教育,健康づくりといった諸施策の推進が国保会計に影響を与えることになるだろうと思うのであります。しかし,現在,本市が抱えている深刻な国保問題を根本的に解決するためには,国保制度そのものの矛盾を克服しなければならず,被保険者や地方自治体に負担が転嫁されないよう,国自身の医療保険制度の抜本的改正がなされるべきであると思うのであります。  私どもはこのような立場から,一貫して国保問題の解決のために努力をし,時には保険料の据置きを強く主張し,改善を求め,今日では納付回数を年5回から10回にふやさせたり,口座振替を推進し,さらには1984年度までの赤字を88年度に解消させたほか,その後の一般会計からの大幅な繰入れにより,少しでも市民の保険料の負担の軽減に努力してきたと自負しているところでもあります。  しかしながら,現実には国保の抱える問題の多いことも直視するものであります。  一つには,高齢化の進展による医療費の増加であります。本市国保加入者の1人当たり医療費は,若人が23万1,000円,老人が114万円,全体で46万4,889円となっており,いずれも政令都市中第1位となっているのであります。  二つ目としては,低所得者の増加の問題があります。医療保険全体の枠組みの中でも,国保には保険料負担の困難な低所得者層が集中する傾向にあり,このことが中間所得者層に保険料負担のしわ寄せを与えているのであります。  三つ目に,保険料負担の不均衡の問題があります。国保では,保険料が個々の市町村によって異なっておりますが,その原因としては,医療費の地域差,被保険者の所得の差などがあるのであります。  以上の問題については,全国的な問題であり,国においても少しずつ改善がなされているようでありますが,いずれも抜本的な改正とはなっていないのであります。  そこで質問いたしますが,1995年度の制度改正に向けて,医療保険審議会の国保部会では,どのような制度改正を行おうとしているのかお聞きしたいのであります。  次に,医療費に関連のあります医療環境についてであります。  本市の国民健康保険は,他の医療保険に比べて病気にかかりやすい高齢者を多く抱え,その財政基盤はきわめて脆弱であるという性格を持っているのであります。  札幌には医療機関が集中し,特に高度な医療を受けることができる専門医療機関が多く立地するなど,医療を受ける市民にとっては好ましい状況ですが,国保財政にとってはきわめて厳しい環境となっているのであります。  1988年に,21世紀を展望して,地域的なアンバランスを解消し,だれもが健やかに安心して暮らすことのできる地域社会の創造を目指し,これからの北海道の保健医療の進むべき将来方向と,それを実現する主な手だてを明らかにした北海道地域医療計画が策定され,生涯を通じた健康づくりの推進と,保健・医療・福祉が一体となった効果的なサービスを,いつでもどこでも必要に応じて提供できるシステムの整備が進められることになったのであります。したがって,この間,保健医療施設の充実や整備,あるいは医療従事者の養成確保が進められ,市民の健康水準は著しく向上してきましたが,一方,高齢化が進み,1993年には,こうした社会環境の変化等を踏まえ,北海道地域医療計画の見直しが行われているのであります。  そこで質問でありますが,バブルの崩壊など社会経済環境の変化により,本市の医療機関数及び老人病院数は現在どのようになっているのか。また,ベッド数はどのようになっているのか,他の政令都市の状況もあわせてお示しいただきたいのであります。  次に,一般会計からの繰入金についてであります。  国保会計は,本来,加入者が病院で支払う一部負担金と国庫補助金,そして保険料で賄うことになっております。しかしながら,医療費の増加に伴って保険料も高額になり,その負担も厳しいものになっていることから,一般会計の繰入れ措置を行い,市民負担の軽減を図っているところであります。高齢者の増加や低所得者の増加は,保険者の努力のみでは解決できない問題であることから,政策的観点から加入者負担の軽減を図るため多額の繰入れを行なっているところであります。  そこで,お伺いいたしますが,最近5年間の一般会計からの繰入金は,累計で幾らになるのか。また,本市の一般会計からの繰入れ措置は,他の政令都市と比べてどのような状況にあるのかお聞きしたいのであります。  次に,保険料についてであります。  本市の1世帯当たりの平均保険料は14万8,029円で,名古屋市,福岡市に次いで第3番目に高額となっており,1人当たりの保険料では7万8,990円で,1番の高額となっているのであります。一方,医療費が本市同様高額となっている道内32市の中で,本市は1世帯当たり保険料は26番目,1人当たり保険料は19番目と低いランクになっているのであります。  今回,提出された条例改正案によりますと,医療費の安い政令市と比べ,確かに札幌市の国保料は高いという実感が多くの市民の中にあることは認めなければならないと思いますが,このたびの直接請求によりますと,国保料の値下げを行うことを求めているのであります。  毎年一般会計から多額の繰入れが現に行われており,この繰入れをどこまですればよいのかという尺度はきわめて難しい問題であります。元来,国からの国保負担及び被保険者からの保険料で運営されるべきものとされている今日,一般会計からの繰入れについては,基本的に行わない状態が好ましいものであると思うのであります。しかしながら,国保制度発足当時から比べますと,第1次産業従事者の減少や高齢者の増加を初め,低所得者層の増加などの原因により,保険料収入が伸び悩み,医療費の増加と相まって構造的な矛盾が顕著となってきており,一保険者の努力では根本的解決ができないものの,あえて一般会計繰入れの措置で現実対応を図ってきているのであります。  したがって,国保制度の安定化のためには,医療費に対する定率の国庫負担の充実を初めとした制度的運営基盤の安定を図る必要があると思うのであります。  一方,本市として取り組むべきことは,高齢者保健・福祉対策との連携による各施策のより一層の充実を早急に実現することが,国保財政の安定化を図るために必要であります。  しかしながら,ここで論議されようとしている基金の取崩しを含めた一般会計からの繰入れで国保料を値下げをするということは,将来にわたって支出の増加が予想される中での一時しのぎと言わざるを得ないと思うのであります。  今回の直接請求には,財源については何も触れられておりませんが,この団体のパンフレット等を見てみますと,基金の一部を充てることで保険料の引下げを求めているのでありますが,これはことさらに余裕金があるがごとき記述となっているのであります。本市の事業遂行上設けられている18の基金のうち,自由に使える基金は限られており,本市の財政と事業を困難にしようとする責任のなさを感ぜざるを得ないのであります。  さらに,これまで本議会において国保問題は毎回のように審議されてきましたが,なぜいまの時期に,法令に抵触するだけでなくて,たとえば保険料の賦課最高限度額を2万円引き下げると全体の保険料が下がるがごとき主張が見られるなど,市民を惑わすような内容を含んだ直接請求が出されるのか疑問でありますが,市長は,基金取崩しによる保険料値下げの論議に対してどのように考えておられるのか,お答えいただきたいのであります。  次に,保険料の減免についてお伺いいたします。  国保制度においては,保険料のうち平等割,均等割については応益割であり全体の50%,負担能力で決まる所得割が全体の50%であり,社会保険制度の保険料の算定が所得比例していることに比べると,制度上どうしても低所得者に対して厳しいものがあります。保険料の減免制度については,札幌市における減免制度として,災害その他特別の事情により所得が減少した場合等に適用しているとのことでありますが,直接請求に言われている経済的な理由による減免は行なっていないのかどうか,お答えいただきたいのであります。  最後に,保険料の収納状況についてお伺いいたします。  言うまでもなく,国保制度運営の基本は,国の補助金と保険料になっていることから,保険料の確保は大変重要なものであります。今回の直接請求運動で憂慮するのは,国と地方の責任のみが強調されるために,この制度を支える保険料の持つ大変重要な意味をないがしろにするという悪影響を被保険者に与えるのではないかということであります。国民健康保険制度は,社会保障制度の枠内の社会保険に位置づけられていますが,保険の技術を利用している以上,保険料を納めるのは被保険者の当然の責務であり,保険料を納めなくても国や地方が肩がわりすればよいという安易な考え方の蔓延は,この制度の存続そのものを危うくするものになり,市民の健康福祉の維持向上のためには看過し得ないものであります。被保険者の負担の公平の原則からいっても,保険料の収納率の向上は重要なことであります。  昨今の厳しい社会経済情勢の中で,保険料の徴収を行なっている区役所の職員や嘱託員は,相当の努力を重ねながらも,実際は収納率をアップすることが思うに任せず困難をきわめておりますが,支払い困難に陥った滞納者に対しましては,その生活実態を十分調査し,理解する中で支払い能力を見きわめ,対応していく姿勢が必要であると思うのであります。  確かに,景気の冷込みの中で保険料の徴収は難しいという状況があったとは思いますが,94年度の収納率の状況はどうなっているのか。このたびの直接請求運動が,収納率に影響を及ぼしていることはないのかどうか危惧をいたしているところであります。札幌市では,収納率の向上に対する取組みをいままで以上に努力をしてもらいたいと思いますが,その決意のほどをお伺いいたしたいのであります。  以上をもちまして,私の質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(見延順章君) 答弁を求めます。桂市長。 ◎市長(桂信雄君) まず,私からお答えをいたします。  第1点目の街路樹剪定基準の見直しについてであります。  街路樹の機能を十分に発揮するためには,適切な剪定作業を実施することが必要不可欠であります。ご指摘のとおり,基本的には自然樹の形で大きく育てることが大切であると考えているところであります。これまでにも,枝を切り過ぎるとのご指摘もありまして,剪定の見直しを進めておりますが,今後さらに剪定に当たっては十分配慮してまいりたいと思います。  次に,芸術文化の振興と施設整備についてであります。  第1点目の音楽専用ホールについてでございますが,音楽を愛する多くの市民の参加により,ホールを取り巻く市民の輪が大きく広がることは,札幌の音楽文化を一層豊かなものにすると考えております。そのため,ご指摘にもありましたように,子供たちのための音楽教育を自主事業の大きな柱として位置づけ,新しい視点に立った札幌らしい企画を札幌交響楽団とともにプロデュースしていきたいと考えております。  2点目,3点目の演劇専用ホール能楽堂についてでございます。  この二つの施設につきましては,今年度から運用や活用方策を中心に基礎調査を始めた段階でございますが,演劇専用ホールにおける市民と経済界,行政との役割分担や,能楽堂を中心に,それ以外の日本の伝統文化も含めた幅広い施設の整備につきましても,今後調査を進める中で十分検討してまいりたいと考えております。  第4点目の時計台についてでございます。  最初に,建物保護のための樹液対策と関連する敷地整備についてであります。  修復工事に当たりましては,建物にかかる樹木の最小限の剪定を行う計画であります。また,修復後に行う散策路や植栽,緑化といったような敷地整備の中で適正な剪定を行い,建物と樹木保護の両面に配慮した対策を講じてまいりたいと考えております。  次に,内部の活用計画についてでございますが,一昨年の市民論議を踏まえまして,時計台の歴史や文化財としての価値が理解できるよう展示の見直しを図るとともに,市民に一層親しまれるよう文化的な催しの場としての利用方法でありますとか,見学者へのサービス機能の充実などの検討を進めているところであります。  ただいまご提言のありました時計機械の仕組みや鐘の映像化につきましては,展示計画の中で検討させていただきたいと思います。  次に,第3点目の国際交流の推進についてでございます。  私どもが国際交流を進めるに当たりましては,市民一人一人が国際社会に通じる国際感覚を身につけることが肝要でありまして,このためには,異なる文化・伝統,それから価値観といったものを相互に理解する心を持つことが最も大切なことと認識をしております。  こうした点を踏まえて,これまでも姉妹都市や北方圏諸都市との交流を積極的に展開してきたところでありますが,特に姉妹都市との交流は,模範的なケースとして内外に評価されているところであります。今後は,これらとの交流を充実させるとともに,地理的にも経済的にも密接なつながりのあるアジア・太平洋地域との交流の輪を一層広げてまいりたいと考えております。  次に,長期的展望に立った基本政策のうち,平和都市宣言に関するご質問にお答えいたします。  第1点目の平和関係事業の実施につきましては,これまでも記念講演会の開催や宣言パネルの掲示など,平和都市宣言の普及啓発を初めとして,姉妹都市交流や北方都市市長会議などの国際交流事業,さらにはPMFの開催など,全市的な事務事業の中で平和につながる施策を進めてきたところでございます。  こうした取組みは,今後も平和関係事業という特段の枠組みにとらわれることなく,着実に地道に継続していくことが大切だと考えておりますが,来年は終戦50周年という戦後の日本にとっては節目の年でもございます。そうしたことも念頭に置きまして,来年度は市政全体の事務事業の中で,より一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  第2点目の仮称平和大橋につきましては,国の道路・河川との関係もありますことから,現在も関係各機関等と協議中でございます。今後は,ご提言の趣旨を踏まえ,名称,デザイン等について,景観,環境などにも配慮しながら検討してまいりたいと考えております。  次に,私から国民健康保険問題についてお答えをいたします。  第1点目は,国民健康保険の制度改正についてでございますが,現在,医療保険審議会の国保部会において,平成7年度予算編成に向けて審議がなされております。  主な審議内容は,保険料負担の不均衡,低所得者層への対応,老人加入率20%上限問題などについて検討が進められていると聞いております。いずれも国に対して要望している事項でありますので,審議の推移を注目しているところであります。  第2点目は,医療環境についてであります。  老人病院を含めた本市の医療機関数及び病床数は,平成6年度では2,379ヵ所で4万4,320床となっており,そのうち老人病院は53ヵ所で9,067床となっております。他の政令指定都市と比較いたしますと,老人病院数やその病床数が多いこと,また,老人病院を含めた人口10万人当たりの病床数も政令都市中1番ということになっております。  第3点目は,一般会計からの繰入金についてであります。  本市の一般会計繰入金総額は,過去5年間の合計で約900億円となっております。  また,他の政令指定都市との比較についてでありますが,被保険者1人当たりに換算いたしますと,平成5年度決算においては5万6,798円で最も高額となっており,本市に次いで繰入れの多い市でも3万4,645円であります。また,最も繰入額の低い市においては,8,818円となっているところであります。したがいまして,本市は政令指定都市の中では群を抜いており,加入者の方々の保険料軽減のため,最大限の努力を払っているところであります。  第4点目は,保険料の値下げについてであります。  基金の取崩しによって保険料を引き下げることは無責任ではないかとのご指摘でございましたが,私も同じ認識に立つものであります。本市の各種基金はそれぞれに目的を持っているものでありまして,また,これらを取り崩すことは,本来のそれぞれの基金を活用する事業を圧迫し,あるいは将来の財政運営に著しい支障を来たすことになるものと考えます。  また,保険料の引下げは,医療費が引き続き増加し続けている中で,翌年度以降もさらに大きな財政負担となってはね返ってくる性格を持つものであります。したがいまして,このような将来展望のない財政運営は,本市全体の財政基盤を危うくするものでありまして,市政執行の責任者として容認できるものではありません。  第5点目は,保険料の減免についてであります。  保険料の減免につきましては,災害に遭ったり,事業の不振や失業などの理由によって,前年より所得が著しく減少した世帯などで,生活に困窮し,保険料を納付することが困難であると認められるものについて減免をしております。その大半は,経済的理由によるものであります。  最後に,収納率向上についてでございます。  本市国保事業の健全な運営のためには,収納率を他都市並みに向上させることが不可欠であり,加入者の方々の負担の公平を図る上からも,より一層収納対策の強化を図ってまいりたいと考えております。私からは以上であります。 ○議長(見延順章君) 魚住助役。 ◎助役(魚住昌也君) 長期的展望に立った基本政策のうち,風格あるまち・都市空間のあるまち・快適なまちづくりにつきまして,私からお答えいたします。  最初に,電線類地中化事業についてでございますが,これまでも都市における安全で快適な歩行空間の確保,災害の防止,景観の向上,さらに冬季の除雪対策などの観点から,都心部のロマネット計画と一体的に事業推進を図ってきたところであります。  今後は,都心部とともに,区の中心となる主要な地区につきましても,現在国が策定中の第3期電線類地中化計画と整合を図りながら電線類の地中化を進め,地域の特性を生かしたまちづくり・道づくりに努めてまいりたいと考えております。  次に,道路の掘返し防止策についてでございますが,本市におきましては,札幌市道路占用許可基準を定めて,道路の完成後,舗装道路については3年間掘削を許可しないなど,いわゆる工事の掘削制限規定により,道路の維持・保全に努めているところでございます。  また,本市の工事担当部局を初め,各公益事業者及び市内各警察署で構成する札幌市道路上工事調整協議会を定期的に開催し,これら関係機関が相互に連絡調整しながら,堀返しの防止を図っているところでございます。  ご指摘のとおり,今後さらに,工事施工者と連携を密にし,できるだけ繰り返し掘り返すことのないように配慮してまいりたいと存じます。  次に,市民グループによる創成川再生の提言についてでございますが,かねてより市民グループの創成川ルネッサンスから,創成川周辺の再生にかかわる提言がなされているところでございます。まちづくりへの市民参加という観点から,市民グループの積極的な取組みは歓迎すべきものであり,提言内容につきましては,今後のまちづくりの参考にさせていただきたいと考えております。  次に,交通渋滞対策についてお答えいたします。  交通渋滞対策につきましては,本年度から推進している人に優しい交通対策の中で,マイカーの利用自粛の促進と公共交通機関の利便性や快適性を向上させるための施策として,民間バスも含めたプリペイドカードの共通化やパーク・アンド・ライド駐車場の整備,バスレーンの拡充強化,さわやかノーカーデーの拡充などを従前にも増して積極的に実施してきているところでございます。
     そこで,欧米の諸都市で現在とられております渋滞対策の本市での導入についてのお尋ねでございますが,これらの先進事例は,歴史的経緯や置かれた環境も違う各都市が,長い年月をかけ,試行錯誤の上,その都市の実情に合った対応策として選択されたものであると考えております。  いまや交通問題は,世界共通の都市政策課題でありますことから,これらの先進的事例は,今後の本市の交通政策を進めていく上において大変参考になり,一定の示唆を与えてくれているものと受けとめております。  そのようなことから,どのような方策が本市の実情に合致し,市民や事業者の理解と協力を得られるかなどについて,今後十分に調査研究し,導入可能なものから段階的に取り入れてまいりたいと考えております。  次に,当別ダム周辺のゴルフ場計画についてでございますが,当別ダム上流のゴルフ場につきましては,現在,北海道がゴルフ場開発規制に対する暫定措置及びゴルフ場開発規制に関する要綱に基づき,開発者から事前協議を受け,審議をしているところであります。  札幌市といたしましては,従来から水源上流でのゴルフ場開発は基本的に好ましくないとの立場に立ち,本件についても当別町並びに石狩西部広域水道企業団に対し,好ましくない旨の意思表示をしてきているところでございます。  水道の基本姿勢は,安全な水源を確保することにありますので,今後とも関係機関と連絡を密にいたしまして,安全な水道水源の確保に努力してまいりたいと考えております。  次に,ごみ減量にかかわるコンポスト化容器購入助成制度の延長についてでございます。  この助成制度は,家庭系ごみの約40%を占める生ごみの減量対策として,平成4年度から開始し,本年度までの3ヵ年間で合わせて9,200基を助成して,家庭系ごみの減量に大きな成果を上げてまいりました。  ご提言の助成制度の延長につきましては,依然として多くの市民の皆さんからの要望もありますことから,十分に検討をしてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(見延順章君) 藤島教育長。 ◎教育長(藤島積君) 教育問題について,私からお答えをいたします。  まず,1点目の学校週5日制についてのご質問のうち,現行学習指導要領のもとでの月2回実施についてであります。  このことにつきましては,これまでもたびたびお答えしてまいりましたように,月2回の実施になった場合においても,行事の精選や指導内容,指導方法の工夫改善等により,現行の学習指導要領で対応できると判断しております。  次に,学校週5日制にかかわる研究委託校からの報告についてであります。  各研究委託校では,研究推進のための体制を整え,地域,父母を含め,全教職員挙げて調査研究に取り組んできております。したがいまして,その調査研究結果の報告につきましては,研究委託校における全教職員の実践の結果であると考えております。  また,各学校の取組み状況の把握につきましては,市教委が主催する学校運営研修会や教育課程研究集会等で学校週5日制についてのテーマを設け,それぞれの実践を交流し研究協議をしてきたところでございます。あわせて,校内の研修会等を通じて,各学校の率直な声についても聞いてきたところでございます。  今後,学校週5日制が完全実施になる場合には,市教委といたしましても,学習指導要領の改定が必要と考えており,指定都市教育委員教育長協議会を通じて,国に対し,完全実施に向けて展望の提示と諸条件の整備について要望しているところでございます。  2点目の児童の権利に関する条約についてお答えをいたします。  このことについては,子供を取り巻く社会全体がこの条約の趣旨を理解し,その精神を生かしていくことが何よりも大切であると考えております。本市におきましては,市民局におきまして小冊子を作成し,区民センター等で広く一般市民に配布しており,理解は徐々に深まっているものと考えております。  市教委といたしましては,児童・生徒向けの啓発資料として,条約の内容がわかりやすく解説されている外務省作成のリーフレットを,幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び養護学校の各学校に配付をしたところでございます。  また,教員に対しましては,教育課程研究集会など研修の場で取り上げ,条約の趣旨,内容についての理解を深めるよう努めております。さらに,各学校での研修の資料となるよう,この条約の本文を小冊子にまとめ,全教員に配付する準備をただいま進めているところでございます。  今後とも,さまざまな機会をとらえて,児童の権利に関する条約について,子供や教員の理解が深まるよう努力してまいりたいと考えております。  3点目の観点別学習状況の評価についてでございますが,ご承知のとおり,公立高校入学者選抜は,道教委の公立高校入学者選抜の手引によって実施されております。道教委では,観点別学習状況の評価を,公立高校の入学者選抜に当たって,学力検査の成績と教科の評定だけではなく,生徒の個性を多面的にとらえたり,生徒一人一人のすぐれている点や長所を積極的に評価し,これを活用する観点から,昨年度より導入したものであり,市教委といたしましても,入試改善の一環であると,このようにとらえております。  観点別学習状況の評価につきましては,あくまで生徒一人一人の個性やよさを,多面的にとらえるものであるというご趣旨をご理解いただきたいと,このように考えております。以上でございます。 ○議長(見延順章君) ここで,およそ30分間休憩いたします。   ─────────────────      休 憩 午後2時13分      再 開 午後2時45分   ───────────────── ○副議長(伊与部敏雄君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。  代表質問の続行でございます。加藤隆司君。  (加藤隆司君登壇・拍手) ◆加藤隆司君 本年最後の本会議に当たりまして,自由民主党議員会を代表して質問する機会が与えられましたことを光栄に存じます。  また,私にとりましても,今回が最後の代表質問になろうと思いますので,私が議員生活を送りました20年の間の札幌市政を振り返りながら,将来のまちづくりの方向について,私の意見を交えて質問をさせていただきます。  顧みますに,私が本市議会に議席を得ましたのは昭和50年の春でございます。自来,快適な市民生活の実現,市民福祉の一層の増進に向けて,ご指示,ご支援をいただいた市民の負託にこたえるべく,微力ではございましたが,最善の努力を傾注してまいりました。  この間の,桂市長を初め,いまは故人となられました板垣前市長,理事者の方々,また職員各位,そして数多くの出会いの中でご厚情をいただいた諸先輩,同僚諸兄のご支援,ご鞭撻の数々に対し,ここに厚く御礼を申し上げる次第であります。  本市は,この20年の間に目覚ましい発展を遂げました。昭和50年当時の状況を振り返りますと,人口は約124万人,全国では神戸市に次ぐ7番目の都市規模でありました。平成6年現在,本市は174万人を超える人口を擁し,全国で5番目の都市に成長したのであります。  都市施設の面を見ましても,私が議員に就任したころは,保健所が1区に1ヵ所ようやく整備された時期でありました。その後,昭和56年には1区1区民センターの実現,59年には1区1図書館と1体育館の整備完了,そして本年度には,ついに老人福祉センターと在宅介護支援センターが1区に1ヵ所ずつ整備されるに至り,このことのみをとりましても,隔世の感を禁じ得ないのであります。  都市基盤の整備に目を向けますと,私は,機会あるごとに近隣市町村などとの広域的な連携の必要性を訴えてまいりました。この20年の間,自動車の普及は著しく,市民の生活圏も拡大したのでありますが,石狩湾新港地域への国道231号線の拡幅整備や新千歳空港へのアクセスの向上など,広域的な交通基盤の充実が図られた一方,広報さっぽろにおける道内市町村のPR活動,大通ふるさと市場の開催など,広域的な観点に立ったソフト事業も行われてまいりました。これらの事業の展開により,近隣市町村との結びつきは一層強められたのであります。  このほか,都市圏道路網の1環状5放射形態から2環状2バイパス13放射形態へと発展,地下鉄東西線,東豊線の建設といった交通基盤の整備,100年計画と言われる環状夢のグリーンベルト構想の推進を初め,農業近代化の促進,いよいよ来年オープンをするサッポロさとらんど事業の展開など,都市環境緑地の活用による保全も着々と進み,これらの事業により冬季オリンピックを機に形成された本市の基盤が,その後の20年によって豊かに彩られてきたのであります。  また,北方都市会議の提唱と第1回札幌会議の開催,札幌国際見本市のスタート,ユニバーシアード冬季大会と2度のアジア冬季競技大会の開催,札幌芸術の森の建設とPMFの開催など,国際都市基盤と交流ステージの充実が図られたのもこの20年の間であります。  私は,これら数々の記念碑的な事業に,本市議会議員として立ち会うことができ,大いなる喜びとともに,高い誇りを感じているのであります。  これらのほかにも市民要望の大きい地域に密着した除雪体制の充実,心身ともに健全な児童の発達と家庭教育の補完機能を重視した児童会館の展開,スパイクタイヤによる車粉の防止対策など,私が深く思いを入れた施策・事業は多々ございました。  桂市長においては,この4年間,市民生活の充実,市民福祉の推進を最大の目標に据えられ,21世紀の躍動都市さっぽろを目指して,厳しい財政事情の中,市政を着実に推進されたのであります。その原動力は,桂市長の郷土札幌への限りない愛情にあるものと推察をいたします。  今日の札幌は,このような過程を経て築かれてきたのでありますが,その道のりは決して平たんなものとは言えない状況にあったのもまた事実でございます。  200年に1度と言われるほどの降雨をもたらし,本市をわずかの間に続けて襲った昭和50年,56年の集中豪雨と台風は,北東部の低地を初めとする田畑の冠水,市内各地の床上・床下浸水,都市交通のマヒ,家屋損壊,死者1名という大きな,そして悲しい被害を与えました。  この結果,本市は,この災害で得た貴重な体験を生かし,伏籠川流域の総合治水事業,あるいは浸水対策事業としてのアクアレインボー計画を推進し,災害に強い安全なまちづくりを長期的課題として進めてきたのであります。  一方,財政事情を見ましても,非常に厳しい状況にありました。この間には,補助金の削減,景気の著しい後退など,本市を取り巻く財政環境はきわめて悪化をし,まちづくりの財源の確保には他の自治体にも増して特段の努力があったと存じます。  また,人口急増による諸問題やオイルショックの影響,バブル経済の崩壊による経済環境の激変など,大都市として対応を余儀なくされる問題も次々と訪れ,都市経営上,並み並みならぬ苦労も思い起こされるのであります。  こうして過去20年間を振り返ってみますと,まちづくりにとっての,来たるべき時代に対して的確な認識を持つこと,長期的な視点に立った対応策を持つこと,総合的な視野を持つことの3点の必要性をあらためて痛感する次第であります。  そこで初めに,新たな時代に対応した本市の長期的なまちづくりについてお伺いをいたします。  21世紀を間近に控えた今日,本市を取り巻く社会経済環境は,大きな変化を見せております。経済の国際化,産業の国際分業化,企業活動の国際的平準化は,わが国企業の大きな変革を余儀なくさせている一方,地域間競争を激化させ,これらは産業振興や都市開発などの枠組みを大きく変化させつつあります。  国内の社会経済に目を転じますと,雇用慣行の変化,人と環境に優しい分野への投資負担の拡大,製造物責任法への対応など,企業活動環境の変化には急激なものがあります。  また,次の代に確実に実現するであろう高度情報基盤の実用化も,わが国の産業構造や市民生活に大きな変化を与えるものと思われます。これらの変化が本市のまちづくりに大きな影響を及ぼすのは必至であります。  中枢機能について見ますと,現在,本市には道内の約半数の機能が集中しており,また,全国の都市の中でも本市の経済的機能,行政的機能,文化的機能は,大きな機能集積を見せております。しかしながら,現在進行している社会環境の変化が,北海道の今後に大きな衝撃を与えることは確実であります。  私は,本市が新たな時代に対応するに当たっては,さらに一層,都市機能を向上させなければならないと考えております。そのためには,現在の,北海道の拠点都市札幌という視点から,全国,さらに世界の拠点都市札幌という考え方の拡大も当然に必要でありましょうし,あわせて,世界に二つとない独自の情報を札幌が蓄積し,発信をしていく機能を形成していかなければならないと考えるのであります。  本市は,わが国において積雪寒冷地に位置している唯一の大都市であります。創建以来100有余年の市民の願いであった雪と寒さの克服も,先人たちの連綿たる努力の成果となって,いま実りつつあります。また,同時に,北国の厳しい風土に根をおろした本市独特の生活文化や技術が築かれてきているのであります。  私は,長年にわたるこれらの情報の蓄積の中から,世界に対して現在誇り得る,また,次の時代をリードし得る札幌からの情報発信力の潜在性を認め,これを高めていく必要性を強く感じているのであります。  一方,昨今の市民ニーズの変化に目を転じますと,心の豊かさや精神的充実への志向が一層高まり,都市施設整備の考え方も量的な充足から質の高い整備へと転換が求められているほか,高齢化の進行に対応した地域に密着した福祉の展開や女性の社会参加の促進,並びに仕事と余暇とを両立させる環境の整備など,生活者の視点に立った施策の充実もまた必要になってきております。  いまから100余年前,本市のまちづくりを構想し,荒涼たる原野を切り開いた先人たちは,「他日五州第一都」と大いなる望みを抱きました。私は,市民の一人一人が,幸せを感じながら心豊かに暮らせること,そして,市民の一人一人が生き生きと活動できること,この二つの実現がなったとき,札幌は初めて先人の目指した世界第一の都になると思うのであります。  本市は,昭和63年3月に長期総合計画を策定しましたが,その後の社会環境の急激な変化はさきに述べたとおりであり,本市にとってはきわめて厳しい時代を迎えているのであります。いまここで心を新たにし,それらのすべてに対して長期的,総合的な視点に立ちながら,積極的に対応していかなければ,世界に誇り得る都市札幌は決して実現しないことでありましょう。  そこで,お尋ねいたしますが,21世紀を間近に控えた今日の本市のまちづくりの課題について,市長はどのように認識されているのかお聞かせ願いたいのであります。  あわせて,これらの急激な社会環境の変化のもと,的確な時代認識に立ち,新しい時代に対応する新たな長期ビジョンを策定すべき時期に来ていると考えるのでありますがいかがでありましょうか,市長のお考えをお伺いいたします。  次に,21世紀を展望した人づくりについてお伺いをいたします。  いままで述べましたように,本市が世界に誇り得る都市として発展していくためには,長期的,総合的視点に立った将来計画とあわせて,それを推進する最も大切な原動力の一つとして,私が力説をしたいのは人であります。21世紀を間近に控えて,私たちの社会の変化と発展は,まことに目覚ましく,ことに,いわゆる先端技術の発展には目覚ましいものがあります。それに伴い,私たちの生活は大きくさま変わりをいたしました。かつては空想の産物でしかなかったものが,次々と現実となり,私たちの職場や,それのみならず家庭にまで入り込んできております。私たちは,まさに高度な先端科学技術の恩恵の中で,便利で快適な生活を送っているのであります。  戦後はや50年がたとうとしていますが,戦後の混乱期を経験した者として,この現在の日本の社会の進歩発展を眺むるに,実に感無量のものがあります。日本の戦後復興は,1950年代後半からの高度成長期になし遂げられました。資源の乏しいわが国が,戦後の混乱期を乗り越え,驚異的な経済成長をなし遂げることができた要因として,いろいろなことが挙げられておりますが,私が注目をしたいのは人であります。この高度成長は,日本がそれまで培ってきた優秀な人材があればこそ,達成することが可能であったと思うのであります。高度成長を支え続けたものとして,技術力や組織力など,人的な資源の存在を抜きにして考えることはできないと思うのであります。  また,先ほども触れましたが,本市の歴史を振り返って見ましても,今日の発展は,大いなる望みを胸に,未来の本市の姿を思い描きながらご苦労された諸先輩,先人,市民があったればこそと思うのであります。  社会の様相は,以前に比べて大きく変わっています。人材の育成も社会の変化に対応したものでなければならないと思うのであります。現在の社会は,10年一昔どころか,5年一昔という言われ方をするほどの変化の激しさを見せております。  21世紀へ向けての人材の育成を考えるとき,いまにも増して,変化の激しい時代に対応できる資質や能力が求められるであろうことは想像にかたくありません。また,21世紀を担うべき世代は,私たちの世代とは違って,生まれたときから先端科学技術の社会で,豊かな物に囲まれて育ってきております。また,家庭の環境や地域社会のあり方なども大きく変わってきております。  こうした現代の子供を取り巻くさまざまな環境が子供たちの成長にもたらす功罪を見きわめて,21世紀の社会を担う子供たちの育成を考えていかなければならないと思うのであります。  さて,21世紀を展望した人づくりについて考えますとき,私は,どうしても心の教育について申し上げなければなりません。  先ほど私は人的資源を取り上げ,人材の育成という観点から申し上げましたが,これからの時代をリードする人材には,創造的な能力とともに,豊かな心が育っていなければならないと考えるものであります。知識や能力を身につけることは,いつの時代においても大切なことであります。しかし,そのこととともに,それを使いこなす人間の中身が豊かでなければならないと思うのであります。  その観点から申し上げますと,明治以来の能力主義による教育の弊害が言われているのは,この心の教育が欠けてきたという指摘のように思えるのであります。言いかえますと,かつてだれもが身につけていた寛容さとか,優しさとか,しなやかさなど,人として大切にされてきた感性が,もしかしたら社会の発展,特に経済の発展においてそのことを置き去りにしてきたかもしれないと憂慮するのであります。  かつてソニーの名誉会長である井深 大さんが,「あと半分の教育」という本において,あと半分,すなわち心の教育の重要さを指摘しておりましたが,私も同感であります。私たちの愛すべきこの札幌の地に,薫り高い文化を積み上げていく人材は,創造性に富んだ能力を持つとともに,豊かな心を培った青少年でなければならないと考える次第であります。  これからますます進むであろう国際化を考えますとき,あるいは福祉の充実や環境教育の大切さを考えますとき,青少年らしいみずみずしい感性を身につけ,そして人や自然に優しい感受性を蓄えた若者が,たくさん育ってほしいと念願するものであります。  幸い本市は,山や川,そして雪など,豊かな自然環境に恵まれております。この恵まれた地理的条件を,学校教育においても積極的に活用していただきたいと思うものであります。  教育行政においては,未来を展望しつつ,新しい時代は人づくりからという観点から,心豊かでたくましい若者の育成に努力いただきたいと考えるのであります。  そこで,お尋ねいたしますが,札幌の21世紀のまちづくりを構想する中で,人的資源の育成に当たっては,特に学校教育の果たす役割をどのようにとらえているのか,お聞かせ願いたいのであります。  また,心の教育について,どのように考えているのかお伺いいたします。  次に,高齢者の生きがい対策についてであります。  先ごろ発表されました平成6年度の国民生活白書によりますと,現在,国民の約14%である65歳以上の人口比率は,2050年までに約28%,実に約3.5人に1人が65歳以上という状況にまで上昇すると予測をしております。  一方,本市における高齢者人口の割合を見ますと,本年4月には10.6%,10月には10.8%と,確実に,しかもハイペースで上昇しております。また,昨年の札幌市民の平均寿命は,男性76.5歳,女性は82.9歳で,いずれも全国平均を上回っております。  これらのことは,今後加速度的に増加するであろう本市の高齢化の傾向を如実に示しており,長寿の夢がかないつつあるとの喜びと同時に,いよいよ本格的な高齢化社会を迎えるのだなとの実感が,一段と重みを増してこの身に伝わってくるのであります。  白書では,人生80年時代を迎え,高齢期はもはや余生ではなく,人生の4分の1を占める独立した時期と位置づけした上で,高齢者が精神的にも生活の面でも自立する必要性を提示しており,高齢者が快適に過ごせるまちづくりや,生活のためのさまざまな支援策を推進することを強調しております。  本市においては,すでに,高齢化社会への対応を21世紀に向けての重要課題と受けとめ,平成3年には高齢化対策指針を策定し,さらに本年2月には,この指針の保健・福祉分野における平成11年度までの具体的事業量を明らかにした札幌市高齢者保健福祉計画を策定されたのであります。  計画では,高齢化の進展とともに,確実に予想される寝たきりや痴呆性など,援護を必要とする高齢者に一層適切に対応していくためのサービス体制づくりを中心に,各種の事業に取り組むことにしています。  ここで,高齢弱者対策に重きを置かれた計画であることと,それを推進することについては,いささかの異論を挟むものではありませんし,むしろ,そうすることがまず第1に大切なことと強く認識をしているものであります。  一方で,私は,これらと並行して,高齢者人口の9割近くを占めるとされる健康な高齢者に対して,積極的な社会参加を促し,活力ある生活を送っていただくための生きがい対策事業について力を入れて推進することが,真に幸せを感じる実りある長寿社会の実現のためにきわめて重要であると思うのであります。  このような観点から,札幌市が長年にわたって実施をしてきた二つの生きがい対策事業について,市長のお考えをお伺いしたいと思います。  1点目は,老人農園についてであります。  老人農園は,数ある生きがい対策事業の中でも,昭和47年から先駆け的に始められたものであり,公共用地などの遊休地が,老人クラブ単位に無償で提供され,種まきや管理,収穫まで自主運営によって行われる,高齢者にとっては健康づくり,協調,親睦,収穫の喜び等,かっこうの事業であり,ことしも12ヵ所5ヘクタールの農園を,60クラブ1,000人ほどの方たちが利用されているのであります。  私は,農業を営み,こよなく土を愛し,親しみを感じている一人でありますが,土を相手に生きているという人は,心も体も健康で,総じて長寿であるということであります。耕すほどの土地を持つことがきわめて難しくなってきた今日,遊んでいる土地を利用し,自分たちの手で育てた野菜や花を仲間同士で収穫する喜びをもっと大勢の人に味わってもらえるなら,こんな大きな生きがいに通じることはないと思うのでありますが,いかがでありましょうか。  さらに大勢の高齢者が利用できるように,遊休地の活用を一層積極的に進め,老人農園の拡充を図るべきと考えますが,市長のお考えをお尋ねいたします。  2点目は,シルバー人材センターについてであります。  札幌市シルバー人材センターは,昭和55年8月に創設されており,本年10月末現在,会員は2,500名を超え,平成6年度受注額は7億4,000万円と見込まれるなど,大きくその成果を上げているところであります。関係者皆様のたゆまぬご努力に深く敬意を表するものであります。  さて,人材センターは,筆耕事務,庭木の剪定や冬囲いから駐輪場の管理,家事援助などの短期的かつ多様な仕事を通じて着実に実績を伸ばしているのでありますが,豊富な経験や技術を生かして,ある程度長期に働きたいなど,会員の新たなニーズも聞かれる中で,会員がどのくらい希望どおりの仕事に就業しているかというと,現在の会員数,会員層,受注業務の内容などから推測をいたしまして,必ずしも満足な状態にはないように思うのであります。また,せっかく適当な仕事があっても,作業場が十分確保できないため,受注量を縮小したり,納期などの関係で受注そのものを見合わせざるを得ないケースもあると聞いております。  年金法の改正により年金の支給年齢が引き上げられるなど,高齢者を取り巻く経済環境もますます厳しくなってきております。  このような状況の中で,高齢者の生きがい対策の柱として,また,高齢者の労働能力を安定的に供給し,地域社会の発展に寄与する中心的役割としての人材センターを,より一層強い組織に育てていただきたいと思うのであります。  そこで,新たな就業の機会の開拓及び作業場の確保について,本市の支援体制を含めて市長のお考えをお尋ねいたします。  次に,私が生まれ育ち,そしてはぐくんでくれた北部地域のさらなる発展のために,私も地域の一員として真剣に取り組んできた篠路地区住宅団地造成事業を含めた篠路地域のまちづくりについてお伺いをいたします。
     札幌市が住宅団地の造成を実施するこの篠路の地は,安政2年に幕吏荒井金助氏が,開拓と警備を目的として農家を入植させ,早山清太郎氏の指導のもと,篠路農業の基礎を築いた,まさに篠路発祥の地であります。自来,先人の努力により優良な農産物生産地として,また,北部地域の生活都心として古くから発展を続けてきたところであります。  ところで,本市の人口増加も近年では年間2万人を下回る状況の中で,この篠路地区を含む北区では,コンスタントに5,000人程度がふえ続けており,それに伴い,各種の都市施設の整備や宅地造成等が積極的に進められ,現在では全市の中でも一,二を競う発展を続けており,近い将来,分区も十分に予想される現状にあります。  このような状況の中で,篠路地区の様相も大きく変貌を遂げており,特に篠路駅を中心とする地区については,本市の第3次長期総合計画の中で地域中心核としても位置づけられ,北部地域の要衝の地として積極的なまちづくりが期待されているところであります。  一方,札幌市による住宅団地造成事業は,昭和62年度に事業を完了した前田・星置団地が最後に手がけた事業となっておりますが,その後も引き続き札幌市による団地開発が市民から強く要望されておりました。  このような背景のもとに,平成3年3月に北区篠路町上篠路及び拓北地区が一般保留区域に位置づけられ,平成6年度から12年度までの7ヵ年計画で,総事業費443億円,造成面積70余ヘクタールという広大な規模をもって住宅団地として開発されることになったわけであります。  私は,この計画が策定された当初から,北部地域の生活都心としての発展を続けてきたこの地のさらなる発展を願い,20年間にわたる市議会議員としての重大な責任感と決意のもとに,この開発の実現に向けて私なりに誠意を持って努力をしてまいりましたが,この地は,開基以来138年という非常に長い歴史と伝統のある土地柄であり,一朝一夕には解決のできない事柄もありまして,開発計画が暗礁に乗り上げた一時期は,私の議員生活の中で最も悩み苦しんだところでありました。しかしながら,平成6年度に入りまして,関係者のご尽力により事業の見込みが立ち,現在,用地取得等の諸作業が鋭意進められておりますことは,これひとえに地元権利者のご協力はもちろんのことでありますけれども,政令都市札幌の職員としての使命感,責任感のなせるわざであり,まさに寝食を忘れての仕事に対する真剣な業務遂行の姿勢に対し,心より敬意と感謝を申し上げる次第であります。私自身,万感胸に迫るものがございます。  さて,この篠路地区住宅団地開発の基本方針は,良好な宅地を安定的に供給するという目的もさることながら,この団地づくりを起爆剤として地域中心核の育成を図り,あわせて篠路駅周辺とあいの里及び百合が原を有機的に結ぶ市街地形成を図るものと伺っておりますが,この開発は単なる住宅団地造成にとどまらず,篠路地域全体のまちづくりに重要な役割を果たすものでありますから,私自身も大きな期待を寄せているところであります。  また,この住宅団地におけるまちづくりのあり方として,北国にふさわしい利便性の高いまちづくり,身近な自然を生かしたまちづくり,快適な居住環境を目指したまちづくり,高齢化社会に優しいまちづくり等を考えていると伺っておりますが,まさに21世紀を見据えた潤いと安らぎを持ち,かつ機能的なまちづくりを進める必要があると考えるものであります。  そこで,2点についてお伺いいたします。  1点目は,篠路住宅団地の造成に当たっては,地域の豊かな自然,歴史的建造物など,地域の歴史的要素を景観の中に取り込み,新しい街並みの中にもその風景の記憶を刻み込むようなまちづくりをお願いしたいと考えるのでありますが,これらを今後のまちづくりの中でどのようにお考えなのか,お聞かせ願いたいと思います。  2点目は,将来を展望したとき,この篠路住宅団地は北部地域の要衝の地区でありますので,地域中心核のかなめとして,将来の行政需要にも十分対応できるまちづくりが必要であると考えております。あわせて,住む人が誇りを持てる良好な住環境をあわせ持つ,総合的なまちづくりが必要であると考えるのでありますが,どのようなまちづくりをなされようとしているのか,お聞かせ願いたいのであります。  以上で,私の質問のすべてを終了いたしましたが,結びに,この任期限りで本市議会を去るに当たって,議会の皆さんへ私の思いを一言申し述べさせていただきます。  今日まで本市議会は,自他ともに模範議会と言われる円滑な議会運営を行なっております。常に新しさに挑戦する真摯な立場で,切磋琢磨しながら議論を重ねつつも,小異を捨てて大同につくことで心を合わせて議会を守ってきたのであります。このような伝統ある議会運営を堅持していくことは,市民からの負託を受けたわれわれ議員の責務でありますし,議会を円滑に推進するためにも,会議における時間厳守や議会慣例を守っていくことが大切であると考えるのであります。  さらに,地方分権の推進が提唱されている今日におきましては,行政のみならず議会におきましても,常に市民本位の立場で見直しが必要と思いますので,今後とも皆さんが真剣に対処して,いよいよ立派な本市議会として発展させていただきますよう,心より御願い申し上げる次第であります。  明年はいよいよ選挙の年を迎えるわけでありますが,桂市長を初め全議員が打ちそろってめでたく当選し,市民の幸せのため,大札幌市建設のために,ますますご健勝でご活躍をいただきますよう念願をいたしまして,私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(伊与部敏雄君) 答弁を求めます。桂市長。 ◎市長(桂信雄君) それでは,私から最初にお答えをいたします。  まず,ただいまの加藤さんの20年にわたる議員活動を振り返っての思いを込めたご質問に対して,心から敬意を表します。  最初は,新たな時代に対応した本市の長期的なまちづくりについてであります。  第1点目の本市のまちづくりの課題につきましてでございますが,ご質問にもございましたように,国際化や高度情報化,高齢化といった昨今の社会経済環境の変化は非常に急激なものがありまして,これに伴って,市民の意識や,そして生活そのものにも変化が生じてきていることにつきましては,私も同様な認識であります。  本格的な国際化,高度情報化時代を迎えて,北方圏をリードする魅力的な国際都市として本市が発展していくためには,世界に開かれたまちづくりの推進,国際交流基盤の強化とともに,世界に向けて発信し得る独自の技術,文化,産業といったようなものを創造していくことが,これまで以上に重要になると考えております。  また,新しい時代に対応した都市機能の高度化や広域交通網の整備が進められることにより,本市の拠点性が一層高められ,その効果がより広い範囲に波及されていくことは,本市はもとより,北海道全体の活性化にとっても重要であると受けとめております。  市民生活の面におきましては,高齢化の進行に対して,地域に密着した福祉の推進が一層必要になっております。また,自由時間の増加により,みずからの価値観に応じた個性的な生き方を選択する市民が確実にふえつつある一方,情報化や技術革新の進展とともに,自然とのふれ合い,人と人とのふれ合いの場を求める市民もふえてくると思います。したがいまして,自然と調和した快適な都市環境を形成するとともに,子供からお年寄りまで,すべての世代が互いに支え合い,自己の能力を発揮しながら生き生きと暮らせる,活力と魅力に富んだまちづくりの必要性を強く認識いたしております。  2点目の新たな長期ビジョンの策定についてでございますが,時代の変化に対応したまちづくりの長期ビジョンの必要性につきましては,私も十分認識いたしております。  国におきましては,今年度,現行の第4次全国総合開発計画にかわる新たな計画の策定作業を開始し,また北海道におきましても,現行計画であります北海道新長期総合計画の点検を進めているところであります。  一方,本市におきましては,パーソントリップ調査を今年度から実施をしておりまして,明年には国勢調査の実施も予定をいたしているところであります。  したがいまして,本市といたしましては,国や道の計画の策定状況や,本市の発展動向の把握に必要な各種調査の結果を見きわめながら,新たな時代に対応した長期計画のあり方について,今後検討してまいりたいと考えております。  次は,加藤さんが生まれ育ったかけがえのないふるさとであって,それだけに特別に感慨の深い,篠路地区のまちづくりについてお答えをいたします。  1点目,2点目を合わせてお答えいたします。  篠路地区の住宅団地造成に当たりましては,そこに住む人々が,地域のふれ合いを通して健康で文化的な生活を営むための都市施設の整備はもちろんのこと,将来においても十分対応できるような生活利便施設や行政施設用地を確保した生活都心としての機能に加えて,福祉や高齢化等,社会のニーズにこたえた北国型の街並みづくりを行う必要があると考えて,現在検討を進めております。  そこで,ただいまお話がありました篠路の長い歴史を刻んだ建造物などの地域遺産,貴重な樹林,豊かな河川空間などの自然を積極的に活用し,新しい街の中にも原風景をとどめ,そこに住む人々が,この篠路住宅団地に自分のふるさとを感じるようなまちづくりも重要なことと思いますので,今後,事業化の中で可能な限り取り込んでまいりたいと考えております。私からは以上であります。 ○副議長(伊与部敏雄君) 田中助役。 ◎助役(田中良明君) 高齢者の生きがい対策について,私からお答えを申し上げます。  第1点目の老人農園の拡充についてでございますが,土に親しむことの健康への効果は,本市といたしましても十分認識をしているところでございます。本市の発展とともに,公共用地などの遊休地を確保することが年々厳しくなってきてはおりますが,高齢者の健康と生きがいのためにも,この事業の充実に向けて努力をしてまいりたいと考えております。  第2点目のシルバー人材センター事業の拡充等についてでございますが,会員の意欲や能力を十分に発揮していただくためには,就業範囲や職種を広げるとともに,受注量を確保していくことが第一に必要なことから,人材センターでは,関係機関や企業に対しまして就業機会の拡大等を働きかけますとともに,新たな分野として,今年度からは家事手伝いの業務を本格的に開始をしたところでございます。さらに今後は,ホワイトカラー系の職種の拡大を図るなど,多様化する就業ニーズに対応していくための施策を進めてまいっているところでございます。  また,作業場の確保についてでございますが,会員の増加とともに,その事業量も一層増大するものと考えられますので,人材センターが必要とする作業場の確保について,本市としても積極的に支援をしてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(伊与部敏雄君) 藤島教育長。 ◎教育長(藤島積君) まちづくりを構想する中での人づくりについて,私からお答えをいたします。  将来の札幌市の発展を考えるとき,豊かな心を持ちながら,変化の激しい時代に対応できる資質や能力の育成が必要であるとのご指摘でございますが,このたびの学習指導要領もまさにそのことをねらっているものであり,全く同感でございます。  21世紀に生きる子供たちは,札幌の豊かな自然の中で,フロンティア精神に満ち,地球規模で活躍できる国際性豊かな人間に育てることが大切であります。そのためには,個性や創造性を発揮して生きていくことができる資質や能力を育成し,豊かな心を培うとともに,みずから課題に気づき,その解決や実現の方法を考えたり判断したりする,問題解決的な学習や体験的な学習をますます重視していかなければならないものと考えております。  こうした学習によって培われた力は,生涯学習社会において求められている自己教育力の基礎になるものであり,学校教育はもちろん,家庭や地域社会の中においても育てられるものであります。  各学校におきましては,小学校の生活科を初めとして,各教科で体験を重視した学習が進められており,地域に根差したボランティア活動などの実践もふえてきております。  市教委といたしましては,今後とも各学校において,みずから学ぶ力と豊かな心をはぐくむことを目指した教育活動が,一層充実するよう指導してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(伊与部敏雄君) お諮りいたします。  本日の会議はこれをもって終了し,明12月8日午後1時に再開いたしたいと存じますが,ご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○副議長(伊与部敏雄君) ご異議なしと認めます。よって,さよう決定いたしました。   ───────────────── ○副議長(伊与部敏雄君) 本日は,これで散会いたします。   ─────────────────      散 会 午後3時37分 上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。  議  長                   見  延  順  章  副 議 長                   伊 与 部  敏  雄  署名議員                   森     健  次  署名議員                   原  口  伸  一...