札幌市議会 1994-10-03
平成 6年第 3回定例会−10月03日-03号
平成 6年第 3回定例会−10月03日-03号平成 6年第 3回定例会
平成6年 第3回定例会
札 幌 市 議 会 会 議 録 ( 第 3 号 )
平成6年10月3日(月曜日)
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〇
議事日程(第3号)
開議日時 10月3日 午後1時
第1 議案第1号から第9号まで,議案第11号,議案第12号及び議案第16号から第19号まで(市長提出)
議案第20号から第22号まで(
共産党所属議員全員提出)
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〇本日の会議に付した事件
日程第1 議案第1号 平成5年度札幌市各
会計歳入歳出決算認定の件
議案第2号 平成5年度札幌市
病院事業会計決算認定の件
議案第3号 平成5年度札幌市
中央卸売市場事業会計決算認定の件
議案第4号 平成5年度札幌市
交通事業会計決算認定の件
議案第5号 平成5年度札幌市
高速電車事業会計決算認定の件
議案第6号 平成5年度札幌市
水道事業会計決算認定の件
議案第7号 平成5年度札幌市
下水道事業会計決算認定の件
議案第8号 札幌市
区民センター条例の一部を改正する条例案
議案第9号 札幌市
保健所設置条例及び札幌市
保健所運営協議会条例の一部を改正する条例案
議案第11号 札幌市
体育施設条例の一部を改正する条例案
議案第12号 札幌市
児童会館条例の一部を改正する条例案
議案第16号 財産の取得の件(
廃棄物埋立用地)
議案第17号 財産の取得の件(
工業団地用地)
議案第18号 市道の認定及び変更の件
議案第19号
株式会社札幌振興公社定款変更に係る
議決権行使の件
議案第20号 札幌市
高齢者等住宅改造費助成条例案
議案第21号 札幌市
福祉住宅条例案
議案第22号 札幌市
民間賃貸住宅家賃等助成条例案
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〇
出席議員(69人)
議 長 見 延 順 章 君
副 議 長 伊与部 敏 雄 君
議 員 藤 原 廣 昭 君
議 員 畑 瀬 幸 二 君
議 員 大 西 利 夫 君
議 員 三 上 洋 右 君
議 員 上瀬戸 正 則 君
議 員 原 口 伸 一 君
議 員 義 卜 雄 一 君
議 員 佐々木 肇 君
議 員 道 見 重 信 君
議 員 伊 藤 知 光 君
議 員 武 藤 光 惠 君
議 員 井 上 ひさ子 君
議 員 山 口 た か 君
議 員 福 士 勝 君
議 員 猪 熊 輝 夫 君
議 員 西 村 茂 樹 君
議 員 川口谷 正 君
議 員 加 藤 斉 君
議 員 村 山 優 治 君
議 員 宮 本 吉 人 君
議 員 大 越 誠 幸 君
議 員 春 原 良 雄 君
議 員 柿 崎 勲 君
議 員 千 葉 英 守 君
議 員 武 市 憲 一 君
議 員 横 山 博 子 君
議 員 中 嶋 和 子 君
議 員 佐々木 周 子 君
議 員 富 田 新 一 君
議 員 澤 木 繁 成 君
議 員 高 橋 忠 明 君
議 員 常 本 省 三 君
議 員 佐 藤 美智夫 君
議 員 丹 野 勝 君
議 員 森 健 次 君
議 員 関 口 英 一 君
議 員 八 田 信 之 君
議 員 佐 藤 寿 雄 君
議 員 飯 坂 宗 子 君
議 員 生 駒 正 尚 君
議 員 小 川 勝 美 君
議 員 水 由 正 美 君
議 員 赤 田 司 君
議 員 湊 谷 隆 君
議 員 柴 田 薫 心 君
議 員 山 田 信市郎 君
議 員 長 岡 武 夫 君
議 員 政 氏 雅 君
議 員 本 舘 嘉 三 君
議 員 唯 博 幸 君
議 員 室 橋 一 郎 君
議 員 青 木 護 君
議 員 荒 川 尚 次 君
議 員 工 藤 勲 君
議 員 岡 本 修 造 君
議 員 滝 沢 隆 君
議 員 山 崎 七 郎 君
議 員 藤 田 雅 弘 君
議 員 加 藤 隆 司 君
議 員 越 智 健 一 君
議 員 吉 野 晃 司 君
議 員 田 畔 満 君
議 員 常 見 寿 夫 君
議 員 田 畑 光 雄 君
議 員 野 間 義 男 君
議 員 高 橋 重 人 君
議 員 菊 田 勝 雄 君
議 員 菅 井 盈 君
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〇欠席議員(1人)
議 員 小 谷 俵 藏 君
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〇説明員
市長 桂 信 雄 君
助役 魚 住 昌 也 君
助役 田 中 良 明 君
助役 石 原 弘 之 君
収入役 長 部 幸 一 君
交通事業管理者交通局長 土 榮 勝 司 君
水道事業管理者水道局長 小 谷 勝 也 君
総務局長 伊 藤 忠 男 君
企画調整局長 井 原 貴 男 君
財政局長 久 元 喜 造 君
市民局長 松 崎 誠 君
民生局長 大 長 記 興 君
衛生局長 高 杉 信 男 君
環境局長 前 田 悦 雄 君
経済局長 鈴 木 俊 雄 君
建設局長 平 賀 岑 吾 君
都市整備局長 広 畑 民 雄 君
下水道局長 松 見 紀 忠 君
建築局長 関 谷 幸 正 君
市立札幌病院長 手 戸 一 郎 君
消防局長 中 谷 多 宏 君
教育委員会委員 松 村 郁 夫 君
教育委員会教育長 藤 島 積 君
選挙管理委員会委員長 宮 川 新 市 君
選挙管理委員会委員 杉 本 強 君
人事委員会委員長 山 岡 暸 君
人事委員会事務局長 水 島 典 弘 君
監査委員 野 島 廣 紀 君
監査事務局長 東 山 誠 君
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〇
事務局出席職員
事務局長 鍛冶沢 徹 君
事務局次長 植 田 英 次 君
総務課長 佐 藤 正 明 君
議事課長 土 屋 逞 君
調査係長 木 村 正 実 君
資料係長 高 橋 道 孝 君
議事係長 細 川 正 人 君
記録係長 前 野 保 雄 君
委員会一係長 山 本 祥 一 君
委員会二係長 常 野 正 浩 君
書記 佐 藤 比登利 君
書記 高 佐 三緒子 君
書記 鈴 木 和 弥 君
書記 尾 形 英 樹 君
書記 今 井 一 行 君
書記 山 本 扶 美 君
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〔午後1時開議〕
○副議長(伊与部敏雄君) ただいまから,休会前に引き続き会議を開きます。
出席議員数は,64人であります。
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○副議長(伊与部敏雄君) 本日の
会議録署名議員として西村茂樹君,越智健一君を指名いたします。
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○副議長(伊与部敏雄君) ここで,
事務局長に諸般の報告をさせます。
◎
事務局長(鍛冶沢徹君) 報告いたします。
小谷俵藏議員は,所用のため本日から10月7日までの会議を欠席する旨,
見延順章議長,
吉野晃司議員及び
田畑光雄議員は,所用のため遅参する旨,それぞれ届出がございました。
本日の
議事日程,
陳情受理付託一覧表及び
質問順序表は,お手元に配付いたしております。以上でございます。
〔一覧表は巻末資料に掲載〕
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○副議長(伊与部敏雄君) これより議事に入ります。
日程第1,議案第1号から第9号まで,議案第11号,議案第12号及び議案第16号から第22号までの18件を一括議題といたします。
ただいまから
代表質問に入ります。
通告がありますので,順次発言を許します。
大西利夫君。
(
大西利夫君登壇・拍手)
◆
大西利夫君 私は,ただいまより
社会党議員会を代表して,1993年度決算並びに当面する市政の諸問題について,順次質問いたします。
初めに,私は,今回の決算議会の意義について若干申し上げておきたいと存じます。
1991年4月の
統一自治体選挙におきまして桂市政が誕生し,4年の歳月が経過しようとしています。この間,内外の情勢は目まぐるしい変化を遂げました。特に,昨年8月,
自民党単独政権が終えんし,
細川連立政権が生まれ,その後,羽田政権から今日の
社会党首班の村山政権へと移行し,日本も本格的な連立時代を迎えていることはご承知のとおりであります。
また,経済面では,91年度以降3年にわたって景気の低迷が続き,国を初め,本市においても,
景気対策に多くの投資を余儀なくされたところであります。
こうした激しく厳しい環境の中での桂市政の運営であっただけに,市長が公約として掲げた施策の執行には多くの困難があったものと理解されるところであります。
しかし,桂市長は,急ピッチで進む
高齢化社会やマルチメディアを初めとする新たな
情報化社会の到来,また,経済や文化,人事の面での急速な国際化に対応する札幌の
まちづくりに全力を挙げてこられたものと考えておりますが,この際,あらためて4年の任期を目前にして,この間,施策の全般にわたる成果と欠陥について,わが党の見解を明らかにすることは意義のあることと考えるのであります。
振り返ってみますと,市長は4年前,
市長選挙立起に当たり,
市政執行の
基本的姿勢と幾つかの公約を明らかにいたしました。その基本理念は,人と自然に愛情ある市政,創造へのたゆまぬ挑戦,市民本位の立場を貫くことでありました。さらに政策の柱としては,
すこやかサッポロ,いきいき
サッポロ,
おおらかサッポロ,うるおい
サッポロ,そしてふれあい
サッポロ,みんなの
サッポロを具体的に推進することでありました。
これを受けて市長は,就任直後の1991年第2回定例会で,わが党の
代表質問に答え,躍動都市さっぽろを基本に,快適で楽しく,活力と魅力あふれる街,憲法の理念であるすべての市民が平和で安らぎを感じ,安心して暮らせる
市民福祉の街の実現を目指していきたいと,
市政執行の決意を述べているのであります。
ここで私は,今日までの主な事業について検証してみたいと思うのであります。
まず1992年3月30日,本市議会の決議に基づき
平和都市宣言が行われ,その中で憲法の重要な理念がうたわれました。しかし,1993年度以降の
啓発事業において,いま一工夫を凝らし,市民一人一人のものになる努力が求められています。
高齢者保健福祉計画の策定に当たっては,市民の声も取り入れ,福祉に対する市長の積極的な姿勢がうかがえます。しかし,この計画の達成のためには財源問題など多くの課題がありますが,急速な高齢化に対応した計画の達成は至上命題であります。
次に,冬季間における雪問題では,雪さっぽろ21計画を策定,
パートナーシップ制度や
マルチゾーン方式による
完全除排雪体制の確立を目指し,取り組まれています。しかし,除雪費用の公私の負担のあり方や
財源確保についての検討が残されています。
さらに,ごみ問題について,市長は1993年の
年頭記者会見で,減量と
リサイクルの取組みの決意を表明いたしました。それは,
家庭系ごみ一般収集の3分別化を図るなど,積極姿勢は見られるものの,
リサイクル団地構想の具体化による
事業系ごみ,
産業廃棄物の減量化が急がれなければなりません。
また,地下鉄50キロ体制の確立とともに,交通局の経営健全化問題であります。
札幌市民の足として地下鉄は欠くことのできない交通手段であり,基幹交通としての役割は,市民がひとしく認めるところであります。しかし,
地下鉄建設に伴う膨大な赤字のツケは市民に回ってきています。桂市長が就任後,交通局の健全化に当たり,交通局の人員削減やウィズユーカードの導入など,経営努力に積極的に取り組み,本市全体で頑張っていることは高く評価するものであります。
しかし,財政再建には地下鉄の
需要増加策が不可欠であり,そのために公共施設の建設や人口が集積する
まちづくりの誘導,再開発などが急がれています。しかし,いまだにその見通しが明確に見えてこないのは残念でなりません。
このように,全体的には積極面を多としても,まだ不十分な課題が残されていると考えるのであります。
さて,この間,日本の政治や経済が激変する中で,札幌市の
行政執行の上でも少なからず影響を受けてまいりました。いま私たちの前には超
高齢化社会,さらには国際化,情報化とも言われる21世紀の新しい時代に向かって進行しています。また,200万都市札幌を標榜するとき,わが党との政策協定も含め,市長は,公約の各課題の実現に向け,一層奮闘されるように期待するものであります。
そこで質問ですが,その第1は,市長は今日まで
行政執行に携わってこられた経験を踏まえ,全体を見通してどの程度公約が達成されてきたと判断されるのか,お伺いいたします。
また,躍動都市さっぽろを目指し,これからの国際化,情報化,高齢化を迎え,さらに200万人口を目指す本市の次期5年計画について,市長はどのようにお考えになるのかお伺いします。
質問の第2は,第1点目の公約に関する総括及び次期5年計画についてのお考えを踏まえ,来年4月に迫った
次期市長選挙に向けていかなる姿勢で臨もうとしているのか,お伺いいたします。
次に,財政問題についてお尋ねします。
1993年度は,桂市政の5年計画の2年次目に当たりますが,
景気低迷の厳しい経済環境のもとで予算編成が行われたこともあり,当初から市税の伸びはほとんど望めず,
地方交付税についても減額は必至という状況にありました。
このように,きわめて厳しい環境のもとでの決算でありましたが,市長は躍動都市さっぽろの実現に向けて,高度化する
市民要望や
社会福祉の充実,実効ある
景気対策を行うことを重点に市政の運営に当たってこられました。その結果,国の
総合経済対策とあわせて積極的な
事業展開を行い,当初予定をした事業についてほぼ満足のいく形で実施されたものと判断され,
決算内容については,おおむね評価に値するものであると考えております。
しかしながら,市税の極端な不振もあって,財源として多額の市債に頼らざるを得ないという好ましからざる事態も見られ,今後の
財政運営には特段の努力が求められているのであります。
ここで,1993年度決算につき詳細に見てまいりますと,当初予算に加えて,国の
総合経済対策に合わせた3回の補正を含めて合計6回の補正予算が組まれ,
一般会計は,
地方財政計画や国の一般歳出の伸びを上回る7,720億円,前年度比8.5%増の
最終予算額に対し決算額7,522億円,前年度比7.7%増,総額で1兆3,431億円,前年度比7.5%増と高い伸びを示しております。
一般会計の歳入では,市税が
景気低迷の影響で101億円の減額補正を行い,結果としては2,744億円,前年度比0.6%増にとどまり,
地方交付税は前年度比6.3%減の967億円となり,これを主に市債777億円によって所要の財源を確保しております。歳入の大宗をなす
市税収入は,その伸び率が現行の
地方税制度ができて以来最低であり,また,収入率は93.9%,
収入未済額は32.5%増の170億円弱で,いかに不況下とはいえ,ゆゆしき事態であると言わなければなりません。また,市債は,
交付税措置がなされるものが多いとはいえ過去最高額に達しており,後年度における
財政負担は避けられないものであります。
この結果,本市の財政構造は急速に悪化しつつあり,
自主財源比率2.6ポイント,
一般財源等比率5.4ポイント,
経常収支比率4.0ポイントとそれぞれ悪化し,
公債費比率も初めて13%の大台に乗ったこととあわせて,今後の
財政運営に暗い影を落としているのであります。
次に,歳出でありますが,1993年度の重点施策であった福祉・保健医療の充実,
廃棄物処理対策の充実,
景気対策の実施などについては,バランスよく順調に実施されたものと評価をするものであります。
それは,このたび,われわれが試みた前板垣市政の1990年度決算と,桂市政の93年度決算の
普通会計ベースにおける主要項目の比較においても明らかとなっております。この4年間で決算全体の伸びは21.6%でありましたが,
社会資本整備に当たる
普通建設事業費では約30%,除雪の
施設整備費等は実に1,159%の伸びであり,
都市基盤整備についても着々と進んでいる状況が見てとれるのであります。
そのほか,
老人福祉費が約44%増と,福祉を重視した市長の姿勢があらわれているとともに,産業の活性化を図るため,商工費127%増となっており,
市民要望の強い分野に配慮するとともに,
市民ニーズを的確にとらえた桂市長の
市政運営が見られたと考えるのであります。
もちろん,除排雪費のように横ばいに推移しているものや,双子の赤字である
国保会計への繰出金20%増,
高速電車事業会計繰出金58%増など,相変わらず多額の
財政負担となっている点など改善すべき事項は見られるものの,総じて
決算内容は評価すべきものであると考えております。
そこで質問に入りますが,その第1は,今後の
財政運営のあり方についてであります。
去る9月9日,政府は
月例経済報告で事実上の
景気回復宣言を行いましたが,経済界を初めとして景気判断にはなお慎重を期す向きが多く,特に本道においては
各種統計指標,たとえば
北海道東北開発公庫の
設備投資動向は,全産業で前年
比マイナス12%や,7月の
大型小売店販売額が前年
比プラス3.4%,
鉱工業生産指数,前年
比プラス0.9%,
有効求人倍率0.54のいずれを見てもまちまちであり,景気の回復は,いましばらくは予断を許さない状況にあると判断されるものであります。
このことは,今後,
市税収入の回復にも時間を要すると思われ,国税も大幅な収入増は期待できないものと考えられます。しかしながら,市政の停滞は許されず,21世紀を目前にして多様な
市民ニーズや社会情勢の変化に対応するためには,スリムで効果的な
行財政運営が求められるところであります。
そこで,市長においては,こうした厳しい条件下で今後の
財政運営をどのように展開されようとするのか。とりわけ,重要なテーマである自主財源の確保や,効率的な
行財政運営の推進といった課題に対してどのように対処されるかお伺いしたいのであります。
また,市税の収納対策についてでありますが,このことについては機会あるごとに指摘をし,また,関係者においては多大な努力をいただいていることは承知をいたしております。しかし,結果から言えば,本市の財政がここ数年悪化の一途をたどり,放置できない状況であります。たとえば,
収入未済額は,89年当時60億7,000万円であったものが93年度は169億7,000万円,実に2.8倍,金額にして109億円増となり,特にこの3年間は毎年32%から39%とハイペースの増加が続いています。
こうした事態は,単に一自治体の努力に期することのできない側面もあるとはいえ,一刻も早い改善を図る必要があります。そのためには,これまでの
特別収納対策にとどまらず,収納率の悪い不動産業を初めとする業界対策や大口対策に重点を絞り込むことなどが必要と考えるのであります。あらためて
市税収納対策の考え方についてもお伺いする次第であります。
第2の質問は,
地方消費税の問題についてであります。
政府与党は,9月22日
税制改革大綱を決定いたしました。この
税制改革大綱は,現在開会中の臨時国会の場で論議が交わされておりますが,その骨子は,21世紀の少子・
高齢社会に向けて必要とされる
財源確保のため,所得・資産・消費のバランスのとれた税体系を構築するとした,社会党,自民党,
新党さきがけの与党3党の合意に基づくものであります。
さて,この
税制改革大綱の中で,
地方自治体が長年にわたって求めてきた
地方消費税が初めて創設されることになりました。しかし,これは,消費税が持つ益税や食料品非課税問題などを残しつつも,
地方税源の充実という観点からは評価すべきものであると考えています。
いま,
地方分権推進と地方自治の確立は,国会においても決議がなされるなど時代の要請でもあり,今後,さらに
地方自治体が処理すべき施策や事業の範囲が拡大することは必至であります。そして,その基本となるのは,
地方自治体が自律的・主体的に
行財政運営を行うことができる
地方税源の充実強化であることは当然であります。国民経済における
地方自治体の役割は大きくなっており,国民生活と密接に関連する行政の多くは,
地方自治体の手にゆだねられております。
また,今後の
高齢化社会の到来に備えて,
生活関連社会基盤の
計画的整備やゴールドプランの着実な実施などが強く求められており,その財政需要が大きく増加していくことは明らかであります。このことは,本市においても全く同様な状況にあり,特に本年度よりスタートさせた札幌市
高齢者保健福祉計画を例にとるまでもなく,
地方財源の充実は,本市にとっても緊急の課題であります。
さきにも触れましたが,本市の税収構造は直接税が90%を超え,景気の影響を受けざるを得ないものとなっており,安定的な税収を考える場合,バランスのとれた収入を目指さなければなりません。今回の
税制改革大綱によれば,現在の
消費譲与税を廃止し,消費税1%を
都道府県税として当分の間徴収は国が行い,各市町村へは都道府県が配分するものとされています。
そこで,今回の
地方消費税について,市長の基本的な考え方及び導入された場合の
財源補てんをどのように考えておられるのかお伺いいたします。
次に,急速な
高齢化社会に向けての福祉の推進についてお尋ねいたします。
日本の国民の平均寿命は,1935年,昭和10年で男子46.92歳,女子49.63歳といずれも50歳に満たず,欧米諸国と比較して10歳余りも短かったものが戦後急速な伸びを見せ,昭和40年代には欧米の水準に達しました。その後も順調な伸びを見せ,1993年には男子76.25歳,女子82.51歳となり,日本国民は世界でも最も長寿の国民となっているのであります。そして,近年,65歳以上の高齢者人口も1993年10月1日現在,約1,690万人と総人口の13.5%を占めているのであります。さらに,厚生省の日本の将来推計人口によれば,2014年には3,000万人を突破し,総人口比率は23.6%に達するのであります。
国はこうした結果と予測を踏まえ,1989年に高齢者保健福祉推進十か年戦略,すなわちゴールドプランを策定し,本格的に
高齢化社会に対応すべくその指針を示しました。しかし,今日の福祉に対するニーズの高度化,多様化はますます強くなり,それに対応するために,本年4月に現行ゴールドプランを見直し,新ゴールドプランを策定し,6月には予算を含めた実施計画をまとめたのであります。その内容は,1999年を目標に,ホームヘルパーなど重要計画をおおむね事業費で2倍,事業量で1.6倍と大幅に見直すというものであります。
しかし,一方では,国は現行ゴールドプランの見直しの中で,自治体負担の比率を高めるなどの検討もしているやに聞いております。
私は,こうした国の動向を的確に受けとめ,本市においても
高齢者保健福祉計画のみならず,将来を見据えた体系的総合福祉計画を策定し,
札幌市民の皆さんから喜んでもらえる福祉の
まちづくりを実現すべきと考えるものであります。
さて,本市の場合,65歳以上の高齢者人口は,1985年,総人口に占める割合が7.5%でありましたが,1990年では9.1%,1993年10.5%,2000年には13.7%と予想され,全国との比較では多少低いものの,伸長傾向は75歳以上の後期高齢者も含め全く同じで,急速な高齢化は避けられない状況となっております。
加えて,厚生省がまとめた93年版老人保健福祉マップによれば,ホームヘルパー,ショートステイ,デイサービスの3本柱の合計利用率は全国で最も低く,過去3年間の伸びも他の政令都市に比べ低く,格差は開く一方となっているのであります。
そこで,第1の質問ですが,以上のような状況を踏まえ,本市のこうした低い水準を考えた場合,本市の
高齢者保健福祉計画の確実な達成を確保するため,国の
財政負担を縮減することなく自治体のゴールドプランを積極的に支援するように,あらゆる機会をとらえて強く訴えていくべきだと考えますが,市長の見解をお伺いいたします。
第2は,高齢者福祉を積極的に進めるための
財政運営と企業の福祉活動の推進についてであります。
本市においても,本年2月に
高齢者保健福祉計画を策定し,急速に進む
高齢化社会に対応すべく取組みをスタートさせました。しかし,財政基盤が脆弱な中で,短期間に福祉の水準の引上げを図らなければならない本市にとって,その
財源確保は大きな課題となっているのであります。言うまでもなく,行政の努力だけにとどまらず,広範な市民の協力がなければ
高齢化社会を支えていくことは非常に難しいと思うのであります。
こうしたことを考えた場合,本市の今日的
財政運営のあり方や企業の社会的貢献,さらには市民の地域でのボランティア活動など,広く福祉に対する理解を求めていくことが大変大事なことと思うのであります。
そこで質問ですが,その一つは,本市の今日までの
財政運営は,どちらかといえば公共事業重視型のように思われますが,今後は今日的時代の要請に基づいて福祉重視型にスタンスを変えていくべきと思いますが,市長の見解をお伺いします。
また,今日,企業自身が地域社会の一員として社会的貢献活動など,福祉面においてもその一翼を担っていただくことが期待されています。そこで,たとえば企業が行うボランティア活動に要する経費について,税控除の対象とすることにより企業ボランティアの活性化の呼び水にするなど,企業が福祉活動を行いやすい条件づくりの一つとして,税法上の措置を国に働きかけるべきと思いますが,市長の考えをお伺いします。
第3は,
高齢化社会を展望した総合的な住宅対策であります。
これからの
高齢化社会は,公的住宅の活用による居住の安定向上とともに,地域での居住の継続の支援や高齢期の経済的な特性に応じた新しい住まい方を可能にするなど,市民のだれもが安心して居住できる住環境の整備が求められています。まさに,高齢期を生き生きと過ごすことができる,そして地域コミュニティーの形成にも配慮した住宅施策の展開が求められていると考えます。
本市においては,これまでも市営住宅建設などの際に,高齢者を意識した住宅づくりに心がけてはいるものの,これからの急速な
高齢化社会を考えた場合,不安を感じざるを得ないのであります。
そこで,総合的な住宅施策の基本的方向として本年4月に策定された札幌市住宅基本計画についてお尋ねいたします。
この計画の中で,特に高齢者や障害者に対する住宅施策として,一つは,だれもが安全,快適に暮らせる
まちづくり,住まいづくり,もう一つは,自立生活と継続居住の支援が今後の住宅施策の基本的方向であると述べられております。計画の目標年次は2005年度とされていますが,とりわけ高齢者に対する住宅施策は,重要かつ緊急的課題であることを十分認識され,早急に具体的な施策の展開を進めるべきと考えますが,市長の見解をお伺いいたします。
最後に,わが党がかねてから提唱してまいりましたシルバータウン構想の実現に向けてお尋ねします。
早くから,わが党は急速な
高齢化社会を想定し,高齢者の自立と社会参加を支援するとともに,すべての市民が交流し,相互理解を深め,ともに生きる社会の実現を求めてまいりました。具体的には,各種の施設を総合的,体系的に整備したシルバータウンを構想したのであります。こうした取組みは,現在,全国各所で実施されてきていますが,特に代表的なものは,神戸市の緑あふれる総合福祉ゾーン「しあわせの村」の建設であります。
私も過日厚生委員会の視察で現地を見てまいりました。自立社会参加実現のための施設,学習・交流・リフレッシュのための施設,屋内外スポーツ・レクリエーション施設,宿泊施設など,実に30にも近い各種の施設が1ヵ所に集合して福祉の街が形成されているのであります。私は,今日の社会状況の中で,シルバータウン構想はいまこそ実現する絶好の時機到来と確信するものであります。
そこで質問ですが,一つは,1992年策定した現5年計画において,シルバータウン構想の基本的な考え方,すなわち「高齢者の健康づくりと福祉機能を備えた施設を一体的に整備し,若い世代との交流を図ることができる
まちづくりを目指す」を踏まえ,調査費として1,000万円を計上されていますが,いまだに具体的な予算化がなされていないのであります。これはどのような理由なのか,また,今後残された5年計画終了までに事業化に向けて調査の意思があるのかどうかお伺いいたします。
二つは,本市は現在
高齢者保健福祉計画に取り組んでおりますが,この事業は,最終年度1999年度では285億円と,きわめて大きな財源を必要とする大事な事業であります。しかし,同時に2005年200万人口を想定している本市の実情から,高齢者の健康づくりと福祉機能を備えた施設の一体的整備と若年世代との交流を図りながら快適な生活を送ることができる福祉の
まちづくりは,何としても実現すべきであります。もちろん,この事業化のためには相当の財源が必要でありますが,この事業こそ民間活力を大いにお願いし,企業が社会的役割の一翼を担っていただく好機と考えます。私は,次期5年計画の中で,このシルバータウン構想の事業化をぜひとも実現し,本市の福祉にかける情熱の決意を示すべきと考えますが,市長の見解をお伺いします。
次に,交通事業についてお伺いします。
本市の交通事業会計は,平成4年から健全化計画達成のために,理事者,職員,市民が一体となり頑張っておられることに心から敬意を表します。
さて,平成5年度決算は,健全化計画との対比で見ると,乗車料収入では,輸送人員の減少によって交通事業,高速電車事業ともに落ち込んだものの,金利の低減や人件費の削減,経費の節約などの効果によって,累積欠損金が交通事業で42億3,900万円,高速電車事業で77億4,400万円,合計で約120億円好転しました。この結果は,これからの交通事業に大きなプラス要因として反映されるものと考えます。しかし,輸送人員の減少は事業収入の最大の要素であるだけに,その原因を徹底究明し,対策を講じなければならないと考えます。当局はこの視点に立って,有効な手だてを講じられるように強く要望しておきます。
また,東豊線・豊水すすきのと福住間延長は10月14日から開業されることになりました。建設計画と実績の対比では,開業時期が5.5ヵ月短縮されたこと,建設費が109億200万円節約されたこと,さらに,エレベーターやエスカレーターの諸設備が全駅に配置されたこと,労務災害は過去の地下鉄工事に比べ大幅に減少し,死亡事故はゼロであったことなど,大きな成果をおさめました。しかし,反面,建設費を節約した努力は大いに評価するものの,そのために特にバスの短絡が実施され,朝ラッシュ時の短時間に大量の乗客が集中することが予想されている福住駅などにおいて,ホームの幅員が狭く,乗客輸送の安全確保のため十分な施設容量となっているのか不安があり,開業以降は十分注意が必要であり,市民利用の安全性を図っていただくよう申し上げておきます。
さて,地下鉄東西線は本年は見送られるとの大方の予想に反し,事業免許を取得いたしました。これは,市長を初め原局や議会,そして地元期成会など関係者の一体的な活動が功を奏したものと考えます。それだけに,今後の建設計画の実施や需要喚起のための駅周辺開発などは,地元住民の理解と協力を得ながら,しっかりとやっていかなければなりません。
さて,本市は,約半年にわたって積雪寒冷の気候条件のもとで生活を余儀なくされ,そのために交通問題は市民の最も重要な課題であります。特に,冬,雪が降ると道路での走行条件が悪化し,夏に増して道路混雑が深刻化しています。朝夕のラッシュ時には除雪の行き届いた幹線に一般車が集中し,バスレーンも実質的な車線数の減少によってほとんど機能していないのが実情であります。その結果,バスの表定速度が低下し,定時運行の確保が困難となり,バスを待つ市民の皆さんからの苦情は数知れないほどであります。したがって,冬季の気象条件に左右されない唯一の大量公共輸送機関である地下鉄の整備は,私たち市民にとって大事な施策であると認識しています。
そこで質問ですが,第1に,さきに本市の総合交通対策調査審議会から答申された地下鉄整備50キロ構想は,東西線延長が完成しますと,残された計画路線は福住一北野までの約3.6キロとなります。市長は,今後,残された計画路線の完遂に向け,どのように取り組もうとされているのかお伺いいたします。
また,50キロ構想実現後は,さらに将来を想定した本市の大都市圏としての新たな地下鉄や新交通システムなどの交通施設計画が必要と考えますが,あわせて見解をお伺いします。
第2に,東西線延長に伴う駅周辺開発についてお尋ねします。
計画では,設置駅は仮称発寒駅,手稲東駅の2駅となっていますが,発寒駅周辺の開発は考えられていないとのことであります。しかし,今日週休2日制の定着や自家用車の増加など,需要喚起の環境は必ずしも有利に展開していないように思います。現に既設線の乗車人口が減少傾向で続いていることを考えれば,1日3万8,000人の確保は大変なことだと予想します。
このような背景を考えた場合,終着駅周辺ほどの開発は考えないにしても,たとえば市営住宅の建設や公共施設の配置など,需要に寄与できる何らかの整備が必要と考えますが,見解をお伺いします。
また,本市では,地下鉄の整備にあわせてバス路線を最寄りの地下鉄に短絡させ,地下鉄とバスなどを有機的に結合させた公共交通ネットワークを目指していますが,このための乗継施設の整備について発寒駅ではどのような計画をお持ちなのか,お伺いをいたします。
第3は,終着駅周辺開発についてお尋ねします。
計画では,全体で7ヘクタールの建設用地を必要とし,うち1ヘクタール弱は市有地,残り6ヘクタールは買収となるようであります。この活用は高度利用を行い,平成10年度を目途に一大交通結節拠点として開発するとの計画であります。内容もパーク・アンド・ライド駐車場,駐輪場,大規模複合公共施設,複合商業施設,ホテル,高層集合住宅の建設など,大変盛りだくさんの事業計画になっております。しかし,この構想の実現は,すべて土地の取得が前提となります。
そこで質問ですが,第1に,現地は個人住宅や企業の立て込んでいるところであり,土地の買収が難しいと予想されますが,全体のどの程度の買収が終了しているのか,また,今後どのような計画で進められていくのかお伺いします。
この場合,住民の皆さんとの十分な話合いによって,穏便にして早期に進められるように強く要望しておきます。
第2は,開発プロジェクトについてお尋ねします。
開発計画では,ホテルの建設や複合商業施設など民間活力を活用しなければならない事業も多くありますが,その点の見通しはどのように考えられているのか。また,その上に立って当初のマスタープランどおり計画は進められるのかどうかお伺いをします。
第3に,交通アクセスについてお尋ねします。
この開発地域は,西野・屯田通,二十四軒・手稲通及び北5条・手稲通に面した位置にあり,バスターミナルの建設予定地は西野・屯田通に面しています。この道路の幅員は18メートルと他の関連する道路より狭くなっており,ここにバスの出入り口を予定していますが,これでは最初から混雑が予想されます。
そこで,バスターミナルの出入り口も含め,全体的な交通アクセスを見直すべきと考えますが,見解をお伺いします。
最後に,交通局のウィズユーカードのプレミアムについてお尋ねします。
このウィズユーカードは,発売以来順調な伸びを見せ,特にこの6月の地下鉄直接方式の開始により,6月・7月は昨年の同じ月に比べ,平均約2.6倍の売行きとなり,各月4億円を超えるほど好評であると聞いております。加えて,この10月からは,バス・電車もカード化となり,今後さらに販売額が伸びるものと考えております。
そこで,このウィズユーカードのプレミアムについてでありますが,問題となりました乗継割引との二重割引について,新聞報道等で交通局が市民や議会をだましたと報じられ,その後,一転して運輸局の記者発表により交通局の説明が裏づけられた形となり,この問題について解決したようであります。しかし,実態が理解しづらい面もありますので,本当のところはどうなのか,まず,その経緯などを明らかにしていただきたいと思います。
次に,ウィズユーカードにプレミアムをつけることについては市民の要望も強く,わが党も再三取り上げ,実施すべきとの立場で今日に至っておりますが,プレミアムをつけることにより利用者のメリットがふえ,需要は格段に増加し,減収分を超える効果が期待できると考えるものであります。この点について,市長の見解をお伺いいたします。
次に,豊成養護学校小学部の給食体制についてお伺いいたします。
学校給食は,学校教育の重要な一環として位置づけられており,本市においても1993年度においては,小・中学校における親子給食を含めた完全実施が達成されたのであります。このことは,自校調理の学校給食としてはきわめて全国的にまれなことであり,本市教育行政関係者のご努力に敬意を表するところでありますが,同時に,親子給食をできる限り単独給食になるよう,大いに期待するものであります。
さて,豊成養護学校小学部は,重度の障害ある児童のための独立校舎として1992年に新築開校した校舎であります。当初より,プールの設置と単独給食施設の要望が強かったのでありますが,プールは実現したものの,給食の施設については国の補助などもこれあり,結局は,校舎の増築時を目途に自校調理に切りかえの方針になったと聞いております。
したがって,現状は,いわゆる親子方式により,親学校の調理した障害のない児童と同じ給食を当校に配送し,調理職員が刻んだりすりつぶしたりして多様な2次調理をした上,職員,父母が協力しながら食べさせております。しかしながら,もともと親学校の普通食をもとにした献立であるために,2次調理に工夫を凝らしても食べさせることが困難な場合がままあり,父母からも素材に配慮した自校調理を望む声が強く上がっております。豊成養護学校における給食指導は,食べるという基本的な生活習慣を身につけさせる大事な教育指導でありますことから,一般の学校とは別の特別な配慮をする必要があると思うのであります。
本校開校3年を迎え,校舎の増築もかなり先にずれ込む見通しもあり,従来の方針を改めて,増築時と切り離して自校調理の施設を考えるべきと思いますが,ご見解をお伺いします。
次に,余熱利用施設園芸団地についてお尋ねします。
国が1992年6月に公表した新農政プランでは,国土資源の有効利用による食料の安定供給と国内自給力の確保を図っていくこと,農業を職業として魅力とやりがいのあるものにしていくことを政策の基本に据えながら,今後の日本の農業の姿として,他産業に就業する人に引けをとらない収入があり,休みもきちんととれる経営体を目標として掲げ,この具体化のために経営規模拡大を一層推進するとともに,これまでの家族経営から法人化経営への推進を目玉に掲げております。
これを受けて,道でも,環境に優しく高収益な農業の展開,ゆとりある農業経営の展開,活力と潤いのある農村の実現をテーマに,北海道農業の新しい指針として「北海道農業・農村のめざす姿」を作成したのは,ご承知のとおりであります。
しかしながら,高度経済成長期以降,すでに北海道では,他府県に比較にならないほどの土地面積規模の拡大,園芸施設の拡大といった形で経営が展開されており,いま逆に,農業を取り巻く環境の変化に伴い,規模拡大の弊害が顕在化し,規模拡大戦略だけでは解決できない諸問題が発生してきているのであります。
こうしたことは,札幌の農業にとっても決して例外でないのが実情でありまして,現在,本市としても,大都市近郊の優位性を生かした都市型農業の確立に向け,農業基本計画の見直しを行なっている最中だと聞き及んでおりますし,また,丘珠に建設中の
サッポロさとらんどは,失われつつある農業の魅力を取り戻そうと,新しい都市型農業支援の拠点とすべく進められている事業であると私も認識しておりますが,ぜひ市内農家の具体的な目標の設定,そして,その実現に当たって有意義な計画あるいは事業にしていただきたいものであります。
ところで,同じような趣旨で10数年前,新しい都市型農業として建設した余熱団地については,皮肉にも農家が営農断念に及んだと先般の経済公営企業委員会で報告があったということであります。余熱団地は,篠路清掃工場の余熱を利用して野菜類の周年栽培を行い,端境期にも市民に新鮮な野菜を安定して供給することを目的に,本市主導の目玉事業として,1981年・82年の両年にわたって建設されたものであります。
当時を振り返ってみますと,この事業の計画については,1977年ごろから検討が始められ,その目的に即してどんな作物を栽培するのがいいのか,当時としては,市場性の高いキュウリとトマトを団地に適した作型として決定されたと聞いております。
団地の開設に先立って行われた農家の募集では,農業後継者がいないとか,周年施設園芸に自信がないとかの理由で,市内からは約3戸しか集まらなかったために,市外にも募集範囲を広げ,札幌市近郊町村の希望者の中から9戸の農家が選定されて,計12戸の農家が入植することになったそうであります。
施設建設については,それまでごみの埋立地だった約19ヘクタールの用地に盛土をし,面積750平方メートルの鉄骨づくりの温室43棟のほか,熱を温室と清掃工場の間で循環させるためのポンプやパイプなどの施設が約10億円の建設費をもって設置されました。
このような経過があって,いよいよキュウリとトマトの栽培がスタートし,生産物が市場に出回るようになると,余熱団地に対する内外の反響は大きいものがあり,そのうち「札幌余熱野菜」のブランド名は,市場関係者だけではなく消費者も知るところとなり,徐々に人気も高まっていきました。ところが,このように周囲の関心を集めた割には経営状況が思わしくなく,いろいろ試行錯誤を繰り返しながらの営農だったようで,その中で栽培作物の変更も行われ,現在,高収益作物であるメロンとカーネーションを主体とした栽培が行われていると聞いております。
冒頭申し上げましたような厳しい農業情勢の影響は少なからずあったでしょうが,とりわけ施設園芸経営という特殊性から,その辺のところのやり方といいますか,戦略上に問題はなかったのでしょうか。
過日の新聞報道によると,余熱団地も含めて道内4ヵ所の温泉熱や地熱を利用した施設園芸団地を比較して良好な経営状況にある団地は,団地外での養豚や水稲,露地栽培との複合経営で不作や値崩れの危険分散をしていると報告しています。
また,余熱団地の生産物にしても,メロンやカーネーションは高級品で,その需要は冠婚葬祭,ホテルなどの催事・営業用や贈答用がほとんどだということであります。このような高収益作物を導入し,当時としては一時期成功したかに見えた経営も,結果的には,先ほどの複合経営の例のようにリスクを分散することができず,バブル経済崩壊の影響を受けて経営悪化に陥ったことは,いまさらながら,農業経営の難しさを痛感した次第であります。
しかしながら,このように農業経営が一層難しくなり,先ほど来,再三にわたり述べてまいりましたように,農業情勢が厳しさを増している中にあっても,大半の農家は苦しい思いをしながら何とか努力している人もいるわけで,余熱団地農家の方々も,ぎりぎりのところまで苦労と努力を続けてきたと思うのでありますが,その反面,営農断念の決定については,残念だと言わざるを得ないのであります。
そこで質問ですが,まず第1に,この余熱団地事業につきましては,本市農業の振興策の一つとして,当初の入植農家募集から栽培作物の選定,これに伴う技術指導等,本市がこれまでいろいろとかかわりを持ちながらこの事業を進めてきたにもかかわらず,結果的に,このような選択をとらざるを得なかったことについては,現在の経営状況が芳しくないとはいえ,経営改善を検討の上,将来の見通しを見込んでの判断だったと思います。その経過も踏まえて,市長は,この営農断念についてどのようにお考えなのかお伺いいたします。
第2の質問は,多額の資金を投じて市民の大きな期待を集めて始められた全国でもユニークな事業であったことからすると,短かったとはいえ,余熱団地の目的である生鮮野菜の安定供給という視点から,団地設置の効果,あるいはこの事業についての評価がここで求められてしかるべきだと思うのでありますが,これについての市長の見解をお伺いいたします。
質問の第3に,団地農業の営農断念が決定しているいま,当団地のあり方について,過日の経済公営企業委員会では,市が主導となってこの余熱団地事業を開始し,これまでも団地を側面的に支えてきた経過も踏まえ,団地の行政目的転換について検討を進めるということでありました。
そこでお尋ねしますが,本市としては,今後どのような方策で臨もうとしているのか,もし,その方針が具体化されているのであれば明らかにしていただきたいのであります。
最後に,工業団地についてお尋ねいたします。
本市は産業構造の高度化を目指し,札幌テクノパーク,札幌ハイテクヒル真栄の造成分譲を進めてまいりましたが,一方,在来の都市型軽工業振興のため新規工業団地の造成も必要に迫られてきたのであります。すなわち,在来型の工業団地については,1989年度をもってすべて分譲を終え,89年度に実施した企業集積動向調査によれば,98年度時点までに約100ヘクタールの工場用地を必要とする結果が出ているのであります。そのため,本市は,新規工業団地の造成が急がれるという判断から,新川地区工業団地を初め,米里北,東雁来地区の団地化計画を進めてきたところであります。
新川地区工業団地については,1991年第2回定例市議会において,91年度から95年度までの5ヵ年継続事業として予算化するとともに,用地交渉の進捗状況から,さらに93年第1回定例市議会において,97年度まで事業期間を延長し,総事業費159億4,700万円を補正予算に計上し,議決を得ているのであります。その後,現在まで用地交渉に全力を挙げてきた結果,最終的には地権者の大部分が譲渡承諾に応ずることになったものの,なお,譲渡条件面などで応諾していない地権者もおられると伺っています。そこで,本市としては,団地計画の総合的観点から,事業区域の変更などを含めて事業の見直しも検討されているようであります。
ここでお伺いしたいのですが,当該開発事業の今後の見通しについてはどのようになるのか,明らかにしていただきたいのであります。
同時に,現時点での事業収支上では,1坪当たりどの程度の分譲価格が見込まれるのか,ご提示していただきたいのであります。
また,新川地区工業団地と関連して,発寒木工団地にある協同組合札幌木工センターの移転についてお伺いしたいのであります。
本市は,協同組合と昭和62年から移転候補地について協議を行なってきていると伺っております。本市は,その協議の中で団地内企業の総意を十分尊重し,移転希望があれば工場適地に誘導するなどの適切な対応を行うこととし,その場合の移転先としては,現在開発を進めている新川地区工業団地を内々に提示し,現在に至っていると伺っております。
協同組合札幌木工センターの組合員数は30企業で組織し,従業員数約830名であります。いま協同組合の組合員が抱える問題点として,まず,経営面についてであります。発寒木工団地が建設され,すでに30年近く経過しています。そのために,施設の老朽化により建てかえ時期が到来しており,老朽化及びたび重なる増改築により構造が複雑になり,最新の設備が導入できないでいます。また,敷地が狭いために規模の拡大ができないことなどと同時に,これまでに住宅建設低迷の影響を受け,規模縮小など,守りの経営で推移してきた企業が多いと聞いております。
その結果,設備が他地域の同業者と比較して著しく劣ることに加え,施設の老朽化,設備の陳腐化などで従業員の確保が困難になり,しかも,平均年齢が40歳半ばと高齢化してきております。また,組合結成後,品質,技術などに高い評価を得ていましたが,最近では特徴がなくなってきており,景気の動向も加わり,経営が困難な状況になるおそれがあることなどが挙げられているのであります。
さらに,操業環境面での問題点もあります。周辺の急速な宅地化が進み,また,周辺の用途地域は住居地域でもあり,近隣住民から,乾燥場からばい煤煙が出ることや,工場や車両の出入りによる騒音がうるさい,削りくずが飛んでくるなどの苦情が出るようになってきています。したがって,工業団地であるものの,現状からは必ずしも工場適地とは言えない実態にあるのではないかと思うのであります。
協同組合では,経営の安定拡大のため,新規設備の導入による効率化や立地環境の解消を図ることは緊急の課題となっております。
そこで,現在地での改良やリストラは困難との判断から,新たな適地に移転し,顧客の多様化したニーズにこたえ得る生産設備を設置し,人材が集まる魅力ある企業へ再生したいと努力されています。経済の低成長下においても十分市場を広げ得る競争力を持ち,公害の発生しない環境をつくることができる等の条件を整備し,21世紀に対応した各企業の再構築が可能であることを求めているのであります。
そこで質問ですが,これら木工団地,協同組合札幌木工センターの移転計画に対する本市の考え方についてお伺いしたいのであります。
同時に,本市としても,地下鉄東西線の再延長に伴う需要喚起など,跡地の活用についても再開発事業などを含んだ課題として積極的に支援,協力すべきではないかと考えるのでありますが,市長の見解をお伺いしたいのであります。
以上,私の質問のすべてを終了いたしました。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(伊与部敏雄君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) まず,私からお答えをいたします。
第1点目の私の公約の達成状況及び次期5年計画についてでございます。
私は,市長に就任早々,平成4年度を初年度とする5年計画を策定いたしましたが,これは,昭和63年に策定をされました第3次の札幌市長期総合計画の第2次の5年計画であると同時に,私が公約いたしました個性的で活力と魅力に満ちた躍動都市さっぽろの実現を目指す実施計画として策定したものでございます。
その進捗状況につきましては,行政と市民が一体となって,この計画の達成に向けて全力を傾けてまいりました結果,近年の大変厳しい
財政運営の中でありますが,当初の予定を上回る進捗率となる見込みであります。したがいまして,市民の皆様方にお約束をいたしました躍動都市さっぽろ実現のための施策につきましては,調査に着手をした事業等を含めますと,そのほとんどについて現任期中に実現し,あるいはそのめどをつけることができるものと考えております。
また,次期5年計画についてでございますが,次の5年計画は,その計画期間が今世紀も残り数年間という大きな転換期に当たりますことから,私は,21世紀の本市の
まちづくりをも方向づけるきわめて重要な実施計画になるものと認識をいたしております。特に,高齢化や地球環境問題,そして交通問題など,きわめて重要な課題が山積しておりますし,また,今後新たに生ずるであろう社会経済情勢の変化にも積極的に対応し,21世紀にふさわしい質の高い
まちづくりを進めるため,さらに一層,行政と市民が一体となって努力してまいらなければならないものと考えているところであります。
次に,
次期市長選挙についてのご質問でございますが,まず,私といたしましては,その与えられた任期を最後まで全力で全うしたいというのが現在の偽らざる気持ちでございます。そして,平成6年度は,この任期の最後の年でございますし,非常に厳しい財政状況の中で,いろいろと知恵を出し合いながら作成した予算でありますので,まず,この予算の執行をなし遂げることが務めと思っております。
任期終了後のことにつきましては,これまで進めてまいりました市政の全般について,私なりにあらためて振り返って,また,将来に向かって,より質の高い一層魅力ある
まちづくりについて,市民の皆様の声や,私を支援してくださっている方々の意見などにも前向きに耳を傾けて,遠からず自分なりの決断をしたいという心境であります。
次に,財政問題であります。
第1点目の今後の
財政運営についてでございますが,ご指摘のように,かつてない厳しい財政環境のもとにあって,
市民ニーズに的確に対応していくためには,今後の
財政運営に当たって,思い切った事業の見直しによる行政の効率化や限られた財源の効果的な投入などを実施し,また,長い目で見れば,税源の涵養を図ることにより,自主財源の充実強化を図っていくことが必要であると考えております。そのためにも,まず,いままで以上に広く行政運営全体を視野に入れ,庁内一丸となって効率化等を推進するために,助役を委員長とする行政運営効率化委員会を設置して,現在,組織や事務事業の抜本的な見直しなどの取組みを行なっているところであります。
また,安定した
財政運営を確保していくための自主財源の確保につきましては,その中心となる
市税収入の確保に向けて,産業の振興あるいは経済の活性化などに努めるとともに,収納率の向上や
収入未済額の圧縮のための納税対策につきましても,最大限の努力を行なってまいりたいと考えております。
そこで,今後の
市税収納対策についてでございますが,市税の
収入未済額がご指摘のように急激に増加していることにつきまして,私も大変厳しく受けとめております。これまでも特別納税対策本部を設置するなどして,不動産の差押えなどの滞納処分を強化し,債権の保全に全力を挙げて取り組んでまいりました。しかしながら,
景気低迷による資金繰りの行き詰まりや土地取引の停滞などによりまして,差押えが直ちに収入に結びつくことは少ないのが現状であります。
今後の納税対策といたしましては,特に固定資産税の高額滞納者の優先整理のほか,収入に結びつきやすい公売,債権の差押えを重点的に実施するなど,従前にも増して収納対策を強化してまいりたいと考えております。
次に,第2点目の
地方消費税についてであります。
この問題につきましては,ご指摘にもございますように,地方分権の推進に即応した安定的な税財政を確立することが重要であると考えておりまして,私も,かねてから
地方財源の拡充強化について要望してまいりました。
地方消費税につきましては,さまざまな論議を経まして,地方の独立税として創設される方向が打ち出されたということは,このような観点から言えば一歩前進であると,このように受けとめているところであります。
また,
地方消費税創設後の具体的な
地方財源につきましては,現在,国において調整作業が続けられておりますが,私としては,道府県税の一部を市へ移譲するほか,
地方交付税の対象税目の拡充など,都市財源の充実強化がぜひとも必要であろうと考えているところであります。
次に,急速な
高齢化社会に向けての福祉の推進についてであります。
まず,第1点目の
高齢者保健福祉計画を達成するための国への要望についてでありますが,この計画を着実に推進していくためには,その
財源確保が最大の課題でありますことから,これまでも国に対し財源措置の拡充などを強く要望してまいったところであります。先月の22日には
税制改革大綱が決定をされ,一定の福祉財源の確保がなされたところでありますが,なお財源不足が見込まれておりまして,地方負担の引上げや事業の先送りなども懸念されますことから,従前にも増して,あらゆる機会をとらえ,国に対し必要な財政支援を働きかけてまいりたいと考えております。
2点目は,
財政運営と企業の福祉活動の推進についてであります。
まず,今後の
財政運営のあり方についてでございますが,単独事業も含めた公共事業は,これまで生活に密着した社会資本の整備や市内経済の活性化等に大きな役割を果たしてきたものと思います。しかしながら,これからの
市民ニーズに対応するためには,従来以上に福祉も含めたソフト面での施策を重視する必要があり,このような点に配慮しながらバランスのとれた
財政運営に努めていきたいと考えております。
次に,企業の福祉活動の推進についてであります。
企業が地域社会の一員として,地域福祉活動など社会貢献活動を行う機運は,近年,徐々にではありますが高まりを見せております。国では,このような企業等の社会貢献活動にかかわる税制上の措置について,参加の促進を図る方策の一つとして検討することとしておりますので,今後の国の動向を見てまいりたいと考えております。
第3点目の
高齢化社会を展望した総合的な住宅対策についてであります。
高齢者にとって生活の基盤となる住宅をめぐる問題は,ご指摘のとおり,本市の住宅行政におきましても重要な課題であると認識いたしておりまして,このたびの住宅基本計画の中の主要な柱と位置づけているところであります。今後とも,高齢者や障害者が安心して暮らせるよう,安全で快適な
まちづくり,住まいづくりを推進してまいる所存でございます。
次に,4点目のシルバータウン構想についてであります。
まず,シルバータウン構想の事業調査についてでございますが,これまでは急速に進む
高齢化社会に対応して,在宅福祉を中心とした
高齢者保健福祉計画の策定を最優先に取り組んできたところであります。今後は,この計画の着実な推進に全力を挙げますとともに,残された5年計画の期間内に事業調査に着手するよう努めてまいりたいと考えております。
次に,シルバータウン構想の事業化についてでございますが,私は,高齢者はもちろんでありますが,すべての市民が交流を通じて相互理解を深め,さらに健康づくりなども図られる総合的な機能を持ったゾーンの整備の必要性については,認識をいたしておるつもりです。しかし,事業化の時期につきましては,
高齢者保健福祉計画を初め,さまざまな課題が山積しておりますことから,事業調査の結果や本年度策定を予定しております地域福祉社会計画,それから障害者福祉計画,さらには,財政状況なども総合的に勘案して決定をしてまいりたいと考えております。
また,ご提案のございました民間活力の導入につきましても,幅広く検討させていただきます。
次に,交通事業のご質問のうち,二つの項目について私からお答えをいたします。
まず,地下鉄の整備構想についてであります。
第1点目の東豊線の福住から北野間の取組みについてであります。
ご承知のとおり,交通事業の当面する重要課題は,経営健全化の確実な推進でございます。そのために,現在,需要喚起について全庁挙げて取り組んでいるところでございまして,ことし免許を取得いたしました東西線の琴似一手稲東間の延長事業につきましても,必要な輸送需要を創出すべく,沿線の
まちづくり計画,バス路線の再編成等に全力を傾注しているところであります。したがいまして,残された当該計画区間につきましては,現行の50キロメートル構想を尊重しながら,今後の交通事業の経営状況,さらには,東豊線の豊水すすきの一福住間の開業後の輸送需要の見通し等を見きわめながら,慎重に対処してまいりたいと考えております。
第2点目の新たな地下鉄等の交通施設計画の検討についてでございますが,地下鉄等の大量輸送機関や道路網を含む総合的な交通体系の検討に当たりましては,交通状況や社会環境及び経済動向等を勘案し,本市の将来的な
まちづくりの展望を視野に入れて検討を行う必要があると考えております。このために,今年度から3ヵ年かけまして,都市圏レベルでの広範な将来交通需要を予測するためのパーソントリップ調査を実施しているところでありますので,新たな地下鉄等の交通施設計画につきましては,この調査結果や地域の開発動向,輸送需要の見込み等を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
次は,ウィズユーカードのプレミアムについてお答えをいたします。
ウィズユーカードのプレミアムにつきましては,市民及び議会からの強い要請もありますことから,運輸省とプレミアム導入の可能性について,たびたび協議を重ねてきたところであります。その際に,運輸省からは,乗継割引とプレミアムはそれぞれの割引の趣旨が異なるものの,一つには,利用者間に不公平感を有することとなるおそれはないのか,また,二つには,経営健全化の観点から,収支の悪化を招来するおそれはないのかといったような,二重割引制度に内在する課題について,なお検討を要することから二重割引の実施は認められないと,そういう指導を受けたのであります。こうした指導の事実につきましては,去る9月12日,北海道運輸局長の記者発表により明らかになったのであります。
この検討を要するとされました問題のうち,利用者間に不公平感を生じる可能性につきましては,当時からカードを利用できるのは地下鉄だけであり,プレミアムの利用が一部利用者に限られることに起因するものでありましたが,この10月14日からは市営交通機関のすべてでカードの利用が可能となり,不公平感の問題は解決されるところであります。したがって,早急に導入を図りたいと考えているところでありまして,プレミアムを付与することによってどのような利用状況となるのか,また,定期券とウィズユーカードの役割分担をどのようにするのかといったようなことについて検討を進めているところであります。
私のお答えの最後は,余熱利用施設園芸団地についてであります。
まず,第1点目の余熱団地が営農断念に至った経緯とその考え方についてでございますが,ただいまお話にありましたように,余熱団地は端境期における市民への生鮮野菜供給を目的として設置されたものであります。その経営は,栽培作物の変更を初め,さまざまな改善策を講じてきましたものの,近年の産地間競争の激化やバブル経済崩壊の影響を受けた生産物価格の低落,さらには連作障害の発生に伴う収量の減少といったようなことから,一部の農家を除き大変深刻な状況になっております。
このようなことから,経営の立て直しを図るために,本市と農家と農協で構成する経営改善検討会を設置して,経営診断や営農計画の見直しなどについて協議を重ねてきたところであります。
農家は,この検討経過を踏まえた上で,経営不振を打開する有効策が見当たらないということ,それから急速な市場価格の回復が望めないということなどから,将来経営に見通しが立たず,やむなく営農断念に至ったということであります。このことにつきましては,たび重なる協議検討の末の苦渋の結論であったというふうに伺っております。私としても,この決定はやむを得ないものと受けとめておりまして,十分に尊重したいと,このように考えております。
次に,第2点目の余熱団地事業の評価についてであります。
当時,市内の冬季間における生鮮野菜の需給につきましては,消費ニーズが高まる反面,本州方面の作柄や流通事情から供給量や価格に変動が大きく,これらの安定を図ることが重要な課題でありました。このような情勢を背景に団地が設置されまして,開設当初から数年間は,中央卸売市場におけるトマト,キュウリの占有率が,最高時でそれぞれ30%,18%というように,供給量と価格の安定化に大きく貢献したものと,このように考えております。
次に,第3点目の今後の対応についてでございますが,本市といたしましては,この団地が余熱を利用できる有利な場所にありますことから,
市民ニーズの高い雪対策施設でありますとか,スポーツ公園的な利用などを基本として進めてまいりたいと,このように考えているところであります。私からは以上であります。
○副議長(伊与部敏雄君) 田中助役。
◎助役(田中良明君) 交通事業にかかわるご質問のうち2点目と3点目,それから工業団地について私からお答えをいたします。
まず,交通事業に関しての2点目のご質問でございますけれども,東西線延長に伴う仮称発寒駅周辺開発についてお答えをいたします。
1点目の駅周辺の開発についてでございますが,ご質問にもありましたとおり,まず第1に,バスの乗継施設の整備を行うほか,西区体育館隣接市有地において,地下鉄需要に寄与できるような活用策を検討しているところでございます。
また,民間の未利用地につきましても,緩和型地区計画や再開発等により開発を誘導し,中高層住宅の供給や商業施設など,密度の高い市街地の形成を図り,地下鉄需要を促進させてまいりたいと考えております。
第2点目の乗継施設整備計画についてでございますが,地下鉄整備に伴い,バス,タクシー,自転車など,多様な交通手段による地下鉄への乗継利用が発生いたしますので,これらを円滑に処理する適切な乗継施設の整備が必要と考えております。そこで,仮称発寒駅につきましても乗継施設の検討を進めておりますが,特にバスに関しましては,現在琴似駅に接続している西野方面を主体に,1日約450便程度の短絡が見込まれていることから,利用者の利便性,快適性を確保し,地下鉄利用促進を図るためにもバス発着施設の整備が必要と考えており,現在,鋭意整備計画の策定及びその具体化に取り組んでいるところでございます。
次に,交通事業の3点目のご質問でございますが,終点駅でございます仮称手稲東駅周辺開発についてお答えをいたします。
1点目の現在までの用地取得状況についてでございますが,すでに交通局で所有しております約1ヘクタールに加えまして,その隣接地約0.5ヘクタールの取得を終えたところでございます。このほか,おおむねめどがついている用地が約1.5ヘクタールあるため,これらを合わせまして,およそ3ヘクタールについては見込みが立ってございます。そこで,残りの用地取得については,一部の区域において,すでにこの地域の開発の趣旨に沿った形での民間開発が先行して進められている状況などもありますので,それらについても十分勘案して用地取得計画を詰めてまいりたいと考えております。
第2点目のご質問は,開発プロジェクトについてでございます。
まず,民間活力の活用についてでございますが,商業施設等は,地下鉄とバスの乗継客に対して利便性を提供するとともに,周辺開発を誘導する上でも重要な役割を担っております。したがいまして,商業施設などを十分魅力のあるものにするために,豊富なノウハウを持つ民間の活力を最大限に活用する方向で現在検討を進めているところでございます。
また,施設計画の今後の方向につきましては,ホテル等の市場環境が非常に厳しい状況にもございますので,見直しも含めて慎重に取り組む必要があると考えております。
いずれにいたしましても,仮称手稲東駅周辺の
まちづくり等により,当初予定していた地下鉄需要を確保できるよう,今後とも引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
第3点目の交通アクセスについてでございますが,仮称手稲東駅は,手稲及び小樽方面などからのバスが集中する交通結節点になることに加え,複合施設の立地などにより新たな交通が生じることから,これらを円滑に処理することは重要な課題であると認識をいたしております。
そこで,地域内に新たな道路を設け,一般の通過交通と分離させるなどの方策について検討を行なっているところであり,今後,公安委員会など関係機関と協議を行い,周辺の道路も含め,開発により生じる交通の円滑な流れが確保できるように努めてまいりたいと考えております。
次は,工業団地についてでございます。
第1点目の新川地区工業団地の開発区域の見直し等についてのお尋ねでございますが,ご指摘のとおり,用地の取得に当たりまして,地権者の方々との交渉過程におきまして,譲渡価格あるいは代替地希望などの諸条件について,なかなか合意を得られなかったわけでございますが,このたび,工業団地としての機能が確保できる規模の地権者の方から承諾をいただいたところでございます。
そこで,早期事業化に向けましては,効率的な造成などの総合的観点から,応諾をいただけない地権者の方の土地と,あわせて関連公共事業用地を区域から除外するものとして造成計画の再検討を行い,開発区域の面積を21.5ヘクタールから14.3ヘクタールに変更しようとするものでございます。
また,事業期間につきましては,用地取得が本年にずれ込みましたことから,平成9年度までの事業期間をさらに1年間延長しまして,平成10年度までとさせていただきたいと考えております。
以上のように,当初の事業区域等を一部変更して実施いたしたく,今後,詳細な実施計画を策定した上で,平成7年第1回定例市議会には,補正予算案を提案させていただきたいと考えております。
また,事業収支上の分譲価格の見込みについてでございますが,ただいま申し上げましたように,現在,来年の第1回定例市議会に向けて事業収支を詰めていくことにいたしておりますので,現時点では明快にお答えができませんが,おおよそ坪二十四,五万円程度になろうかと見ております。
次に,発寒木工団地にあります協同組合札幌木工センターの新川地区工業団地への移転と跡地利用についてのお尋ねでございますが,木工団地につきましては,その現状や周辺の土地利用の状況から見まして,将来を展望した場合に,団地企業の発展のみならず,
まちづくりの観点からも,移転の意義は大きいものと認識をしております。移転が円滑に実現するためには,組合員の合意を初め,移転に要する資金の確保などの諸問題がございます。本市といたしましては,このことを重要な課題と考え,団地の移転と,最も望ましい跡地利用の実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
また,移転による跡地の再開発等が実現をすれば,地下鉄東西線延長部にとっても,相当な需要喚起につながるというふうに期待をしております。以上でございます。
○副議長(伊与部敏雄君) 藤島教育長。
◎教育長(藤島積君) 豊成養護学校小学部の給食体制について,私からお答えをいたします。
豊成養護学校小学部の自校調理の実施につきましては,これまで校舎の増築時を一応のめどと考えておりましたが,増築の時期はかなり先になるものと思われます。しかしながら,豊成養護学校における給食指導は,ご指摘のとおり,教育上重要な役割を果たすものであり,教育委員会といたしましては,これまで重度重複障害児の給食のあり方について,多角的に調査研究を進めてまいりました。
そこで,本校の場合,児童の実態から特別に配慮した給食が必要と思われますので,自校調理を実施できるよう鋭意努力してまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(伊与部敏雄君) ここで,およそ30分間休憩いたします。
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休 憩 午後2時29分
再 開 午後3時
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○議長(見延順章君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問の続行であります。三上洋右君。
(三上洋右君登壇・拍手)
◆三上洋右君 私は,自由民主党を代表して,当面する市政の諸問題について,生活者重視の立場から,市民生活の向上に向けて数点にわたり質問させていただきます。
質問に入ります前に,3年半の桂市政及び私の議員活動について,私の所感を述べさせていただきたいと存じます。
さて,桂市長におかれましては,就任以来粉骨砕身,市民生活向上のために日々ご努力をなされ,公約の実現に向けて着実な成果を上げていることを高く評価するものであります。当然,市民からは市長の2期目の立起への期待も強く,市民の各界各層からその声はほうはいと上がっているのであります。このことについては,これまでわが会派としても強く求めてきたところであります。市長は,先ほどの答弁で立起への意欲を強くにじませておりましたが,その際には,自民党会派としても全面的にご支援することをこの機会に明らかにしたいと存じます。
また,私も,市長と同時期に市民の皆さんのご支援のもと豊平区より議席を得ましたが,以来今日まで,後援者を初め,地域住民の方々,そして経験豊かな先輩議員のご指導並びに市理事者の方々のご理解とご協力を受けながら,市民生活向上のため真摯に,そして誠実にみずからのできる精いっぱいの努力を重ねてまいりました。
また,この3年半は,議員としての活動を通して,私自身かつて経験したことのない多くの市民の方々から,市政に対する率直な意見や要望を聞かせていただいたのであります。また,住民の方々にはそれぞれに多様な生活があり,そしてまた実に多様な悩みや問題,さらには市政に対するさまざまな意見や要望があることを再認識させられる毎日であったのであります。
その中で痛切に感じましたことは,議会も市も,この多様な生活の中から生まれるさまざまな要望や意見を,単に一市民,一住民という言葉でくくってはいけない,そのような認識では対応を誤るということも日々実感として教えられたのであります。そして,これからは人に優しい思いやりのある市政を目指して,市民一人一人の家庭生活を守り,それを高めていくための施策のあり方や支援の進め方については,これまでになく視野を広げて対応を考えなければならない時代になったことを痛感したのであります。
また,顧みますと,戦後のわが国政治史において,現任期中ほど歴史的な政治の激動的転換がなされたときはなかったのであります。昨年の55年体制の崩壊から,新たな体制の模索の中で,対立・対決の政治は終わりを告げ,協調・共生の現実対応の新たな時代を迎えようとしていることは実に喜ばしいことであります。そして,この大転換により,国際社会におけるわが国の進むべき方向,学校教育や産業振興の立案等々の面で,ともすると入り口論で行き詰まり混乱していた状況から,建設的な論議,そして現実的な提案のできる状況が生まれることとなったものと確信するのであります。
私は,これらのことは,国の政治のみならず,北海道,そして札幌市の行政においても大きく前進が見られるものと期待するものであります。
さて,この新しい変化について,武庫川女子大学の新堀教授が次のような指摘をしているのであります。「海底火山の爆発によって起きた津波が陸地を襲うまでには時間がかかるように,政治の変革にも時間差が出てくる。ソ連解体に始まる東西冷戦構造の終えんに発した世界的な津波が,日本の中央政界に波及するのに3年かかった。日本の中央政界の変革が地方に波及するには,さらに時間がかかる。時間差が生じる一つの原因に,変革を受け入れなくても身の安全,地位の安泰が制度的に保障されている人々は,既得権にしがみつき,変革をなかなか受け入れようとしない。たとえ表面上受け入れても,その意識まで変革するには時間がかかることになる。」と述べているのであります。そして,その代表として,職業では公務員,職場では学校を挙げるのであります。
新堀教授の指摘にはいろいろなご意見もありますが,今後の
市政執行に当たってはわれわれ議員はもちろんのこと,市長を初め,理事者の方におかれましては,ぜひとも過去の価値観にとらわれない新しい時代の到来を認識され,新しい時代に対応した
事業展開をダイナミックに推進していただきたいのであります。
同時に忘れてならないのは,時代がどう変わろうとも,市政の根幹は市民本位であり,本市の議会・行政ともどもに市民生活の向上を第一義として努力することを多くの市民から強く期待されているのであります。
わが会派といたしましても,このような時代の趨勢をしっかりと受けとめ,市民生活を最優先とし,新しい時代にマッチした建設的,そして創造的な提言ができるよう研さんに励み,与えられた使命を果たしてまいる所存であります。
ただいま申し上げましたような観点から,以下質問に入りたいと存じます。
まず初めに,本市の財政問題についてであります。
平成5年度決算は景気の影響を強く受け,市税を当初予算計上額から101億円もの大幅な減額補正をせざるを得なかったことから,補正後予算額は確保できたものの,対前年度伸び率が0.6%と現行地方制度になって以来最低のものとなり,財政調整基金も平成5年度末には109億円にまで落ち込むなど,かつてない厳しい内容となったところであります。
このような厳しい財政状況の中で,市長は,ただ単に手をこまねくことなく,年度途中に全庁に異例の通知を出し,予算の執行に当たり事業の実施方法の再度の見直し等を求めるなど,徹底した経費の縮減を実施し,さらには80億円の減収補てん債の発行などをして,結果としては,
一般会計の実質収支についてわずかながらでも黒字を確保するとともに,財政調整基金を当初40億円の予算計上に対して5億円の支消にとどめることができたことは,適切な対応であったと考えるのであります。
振り返ってみますと,桂市長が就任された平成3年以来,わが国経済はバブル経済の崩壊に見舞われ,景気の急速な落込みに見舞われました。もちろん,本市もその例外ではなく,さきに述べたように,本市経済は長引く景気の低迷によりきわめて厳しい状況にあり,ようやく最近になって一部の業種に薄日が差してはいるものの,依然として予断を許さない状況が続いているところであります。このような経済情勢が,まさに本市財政を直撃したのであります。
本市は,これまで人口や企業の集積により順調な発展を遂げてきました。まさに,行政も市民も右肩上がりの未来予測になれ切ってきたのであり,今回の財政危機は本市財政が初めて迎えた試練であると言えるのであります。このような試練に立ち向かった桂市長の対応は機敏であり,平成3年には就任間もないにもかかわらず,危機的状況に陥っていた地下鉄事業を再建するため,経営健全化計画を策定されたのであります。
その実施状況を見ますと,乗客数の落込みなどはあるものの,人員削減などの合理化は計画以上のスピードで進展しており,経営健全化計画の進捗はおおむね順調と言うことができるのであります。また,この計画では,総額705億円にも上る
一般会計からの財政支援が行われることとなりましたが,その一内容である
一般会計からの追加出資は,その後,国において必要な財源手当てが行われることとなったのであります。また,計画では見込んでいなかった地下鉄特例債制度の延長や,新たな特例債制度の創設など,本市の地下鉄の財政再建に対して,国の全面的な支援を取りつけることに成功した桂市長の手腕を高く評価するものであります。
また,地下鉄東西線の延長は,今年度から着手することとなりましたが,大方の見方では無理だと考えられていたこのプロジェクトを土壇場で国に認めさせたことは,市政にとり大きな朗報であったのであります。これも,地下鉄健全化への市長のリーダーシップがなければ,とうてい実施できなかったと考えるのであります。
また,本市財政にとりもう一つのアキレス腱であった国民健康保険会計についても,国に対し国保財政安定化対策の制度化を要求し,平成4年度には38億円,平成5年度には39億円のメリットを受けることに至ったことも記憶に新しいのであります。このような努力もあり,
国保会計の赤字が平成2年度末の191億円から,平成5年度末には104億円にまで縮小したことも特筆すべきであります。
また,景気浮揚に対する施策も的確に行われてまいったのであります。平成4年度は,他都市に先駆けて市単独事業の追加補正をしたことや,中小企業者のための新たな融資制度の創設など,4度にわたる追加補正を行い,平成5年度においても国の
景気対策に合わせて3度にわたる公共事業などの追加補正や中小企業振興資金融資枠の大幅な拡大など,本市の積雪寒冷地という特性や産業構造に対応した適切な措置がとられたものと思うのであります。
このように,桂市長が就任されてからの財政状況は,本市が初めて経験する厳しいものでありましたが,市政が後退したわけではありません。
高齢者保健福祉計画の策定,音楽専用ホールや里づくり事業,地下鉄東西線の延長など,新規の事業がメジロ押しに展開されております。これらの事業の推進に当たっては,できる限り有利な財源が巧みに活用されており,
財政運営の節度を守りながら,各般の事業を積極果敢に推し進めてきた桂市長の
財政運営をわが会派は高く評価するものであります。
しかしながら,個別に見ると幾つかの危惧や,また疑問点も見られますので,以下,意見を交えながら質問を行います。
まず1点目は,財政の硬直化に対する危惧であります。
平成5年度決算を見ると,市債は前年度より33.3%もふえ,777億円も発行しており,財政構造の弾力性を示す指標である
公債費比率も1.0ポイント上昇して13.0%と過去最高になっております。また,市税の伸悩みが主な原因と考えられますが,自由に充当できる一般財源の比率が58.6%となり,自主的に調達できる自主財源の比率についても54.9%となるなど,それぞれ割合を下げており,
財政運営の自主性が狭まっていることを物語っているのであります。
このような状況を見ると,本市の財政構造は今後急速に硬直化し,将来の
事業展開の選択の幅を著しく狭めることになるのではないかという危惧を持つものでありますが,この点についての市長の見解をお伺いいたします。
2点目は,今後の予算編成のあり方についての市長と財政当局の姿勢についてであります。
平成5年度及び6年度の予算編成を見ると,昨今の財政環境を反映して,きわめて厳しい内容の予算編成方針が示され,事務事業全般にわたる抜本的な見直しや,徹底した経費の節減などが各局に対して要請されており,特に,経常経費については両年を通じて厳しい予算査定となっているところであります。確かに,ここ数年の経済状況からすると,このような厳しい姿勢は避けられないと考えるものでありますが,経常経費といえども市民サービスに密接にかかわるものであるだけに,その予算査定に当たっては十分な配慮が必要であります。
たとえば,国を初め多くの
地方自治体が行なっている一律10%カットなどのようなシーリング措置は,各局の置かれている個々の事情を無視した機械的な歳出削減と言わざるを得す,たとえ,いかに財政状況が厳しいといえども,とるべき措置ではないと思うのであります。「角を矯めて牛を殺す」という例えがあるように,目先のことにこだわるばかりに全体をだめにする。結果として,市民サービスの低下を招くということであってはならないと考えるのであります。
本市の場合を見ると,扶助費や維持補修費などについては積上げ計算による要求を認めてはいるものの,いわゆる一般事務的経費については,平成5年度において,原則として前年度同額の範囲内で要求することとか,また,6年度においては,原則として10%削減した額の範囲内で要求することを求めているのであります。これらの措置は,先ほど述べた一律削減という機械的なシーリング措置とは異なるものではありますが,それにしても事業部局の予算要求に対して一定の枠をはめるものであり,その意味においてはシーリング措置と余り変わらないのではないかと疑問を持つものであります。予算編成の原点に立ち返って,各局は必要と考える予算を要求し,これに対し財政当局は,さまざまな角度から検討を加えて必要な予算を査定するという基本的な考え方に基づいて,今後の予算編成をすべきと考えるのであります。
わが会派は,従来から行政改革の必要性を指摘したところであり,行政からむだをなくし,スリムな行政の実現を求めてきましたが,それは各局の予算要求に枠をはめることによって実現し得るものではなく,各局の現在行なっている事業,新たに行おうとしている事業すべてに目を通し,事業部局と財政当局との真剣な議論の中で精査することこそ必要だと考えますが,市長のお考えをお伺いいたします。
次に,国際ゾーン構想についてお伺いいたします。
この構想は,札幌の街の骨格を形づくったときの原点である大通と創成川の交点の周辺に,21世紀に向けて新しい
まちづくりをしようという壮大な構想であり,本市のリーディングプロジェクトとして,いまや市民及び各界の期待も大変大きいものであり,私どもの会派でも,かねてより大越議員から強力にその推進を求めてきたところであります。
振り返ってみますと,国際ゾーン構想は本市の基本構想及び第3次長期総合計画に基づき,昭和63年から取組みを開始したわけでありますが,以来ほぼ6年を経たいま,私は,国際ゾーン構想の意義とその必要性をまず再認識する立場から,質問を始めたいと思います。
この構想の意義は,大きく二つあると思うのであります。
国際ゾーンの第1の意義は,都心部に札幌の顔となる新しい空間をつくることにあります。開拓が始まって1世紀余り,先人の努力のおかげで札幌の都心も大都市としての形がほぼできつつあり,特に道路,地下鉄などもかなりの整備が進んだのでありますが,これからは経済効率性だけでなく,後世に遺産として残るすぐれた都市空間づくりが求められていると思うのであります。このことは,国際ゾーンの各街区の中のつくり方においても,そして,それらを支える道路などの計画においてもぜひ必要なことであり,都心の
まちづくりの基本もこの点から始まると言っても過言ではない最も重要なことと考えるのであります。
第2は,国際化,情報化など,今後求められる高度な都市機能の集積した都心の一大拠点をつくり上げることであります。人や物のボーダーレスな動きに呼応して,国際コンベンション都市としての地位を得ること,情報ハイウエー構想に代表されるこれからの高度
情報化社会に備えておくことによって,
高齢化社会,低成長時代における内外の都市との競争にも加わることが可能となるでありましょう。
しかし,考えてみますと,このような都市機能は,国際ゾーンが新しい札幌の
まちづくりの中心・原点として形づくられるならば,それはおのずと備わってくると思うのであります。その意味でも,国際ゾーン構想は,21世紀に向かってこれからの都心づくりにおける新たな原点をつくり上げることでなければならないと確信するのであります。
これらの考え方に立って,以下4点ほど質問をいたしたいと思います。
まず第1点目は,国際ゾーンにおける
まちづくりの基本についてであります。
国際ゾーンは,本市が市民会館や北一条駐車場の土地を持っておりますことから,一地権者として隣接する民間地権者に対し,共同して計画的な開発を行うことを働きかけるという試みであり,民間による個々の建てかえが行われる場合や公共施設を単独で整備する場合に比べて,街区全体において,より良好な空間の形成が期待できると思うのであります。その意味で私は,民間を含めゾーンの建物の敷地内においても,大通空間,創成川の再生と相まったパブリックな広場空間を確保して,それらの広場の周辺は北方圏の都市,ひいては全世界のあらゆる文化の交差点となるようにデザインすべきではないかと考えるものでありますが,市長のお考えをお伺いいたします。
2点目は,創成川通及び創成川の整備計画についてであります。
創成川通の通過交通を地上から地下へ移すことによって,通過交通排除などの直接的な効果に加えて,北大通を東へ延ばすことが可能になるとともに,多くの市民が日常的に気軽に利用できるよう,創成川の周りに親水空間をつくり出すこともできるという方向で検討がされていると聞いております。この実現には,都心部における大規模かつ長期間にわたる工事が予想されるわけでありますから,工事期間の短縮や交通対策など,さまざまな課題も大きいと思うのであります。したがって,国際ゾーンに先行することを含めて,事業化を目指した具体的な整備計画に早期に取り組む必要があると考えるところでありますが,市長のご所見を伺いたいのであります。
3点目は,大通空間の東への延長についてであります。
このことにつきましては,平成5年の第3回定例市議会でわが会派の上瀬戸議員から,大通を東へ延長してはどうかという質問をしたところであり,市長は,ぜひその方向で取り組みたいという答弁をなさったのであります。大通空間が創成川を越えて東にも出現すれば,東側の
まちづくりの展望を開く期待は大きいと思うのであります。しかし,いかんせん大事業でもありますことから,段階的な取組みも必要になると思いますが,具体的にはどのような計画を持って取り組むおつもりなのか,ご所見をお伺いいたします。
4点目は,国際ゾーンにおける地下空間の利用についてであります。
私は,札幌の都心では冬の寒気を避け,自動車交通から逃れることのできる快適な空間を確保し,活気とにぎわいを生み出すために,歩行者のための地下ネットワークをつくることが欠かせないと思うのであります。この地下ネットワークについては,現在,札幌市地下利用基本計画策定の取組みが行われているということも聞いておりますが,私は,とりわけ国際ゾーンに関しても地下の歩行施設はぜひ整備しなければならないものと考えるのであります。市長は,これをどのように実現していくおつもりなのか,お考えをお伺いいたします。
次に,高齢者保健福祉問題について質問をいたします。
本市の高齢者福祉対策につきましては,本年2月に平成11年を目途とした札幌市
高齢者保健福祉計画が策定されたところであります。この計画は,ホームヘルパーの大幅増員やデイサービスセンターの増設など,在宅福祉サービスの積極的な展開を図るほか,老人保健施設や特別養護老人ホームの大幅な増設を行うことを目標としたものであり,本市の高齢者が安心して暮らしていける基礎が確立されたものと喜ばしく思っているところであります。
しかし,この計画が達成されたとしても,高齢者の方々がすべて満足するかというと,そうとは考えられないのであります。在宅支援施策のさらなる充実が望まれている現状にあり,特に,痴呆性老人対策においては不十分な部分も多いように思われるのであります。
痴呆性老人対策は,近年,逐次整備されてきていると承知はしておりますが,本年6月に発表された国の審議会の痴呆性老人対策に関する検討会報告書の中でも,痴呆に対する理解が国民一般,保健・医療・福祉関係者ともいまだ不十分であること,早期発見・早期対応の体制が整備されていないこと,痴呆性老人に対するサービスの受皿が不足していることなどが指摘され,できるところから対策の早急な着手が要望されております。
また,現に市立札幌病院静療院に併設された老人性痴呆疾患センターでは,本年4月のオープン以来相談者が集中し,しばらく待たなければならない状況であったことからも,在宅の痴呆症の方は思いのほか多く,行き届いていない面も多いというふうに思われます。
痴呆症という病気は,ご存じのとおりいまだ治療法が確立されておらず,この病気の進行をとめることは残念ながら簡単にはできないと言われておりますが,問題行動など,その症状を緩和し,進行をおくらせることは,痴呆症がどのような病気かを理解し,適切に対処することで可能になると言われております。
いま福祉先進国と言われるスウェーデンでは,グループホームという取組みがふえてきております。これは,一般の民家のような施設で少人数の痴呆性高齢者を預かり,家庭的な雰囲気の中で,個人個人のペースに合わせてごく普通の生活を送ることができるように介護スタッフが援助するものであり,痴呆症状の進行をおくらせ,心の安定を図ることで,今後の人生を精いっぱい過ごしてもらおうというものであります。
私は,このグループホームが,施設に入るまでもないと思われる痴呆症の高齢者にとって最も効果的なものではないかと考えるものであり,経済的に特段困っているわけでもない,現在のところ,重度の痴呆症や寝たきりの高齢者を抱えて疲れ果てているわけでもないが,近い将来に大きな不安を抱いている家族の方々の不安を取り除いてあげたいと思うのであります。
そこで,保健・福祉・医療の緊密な連携のもとに,これからさまざまな対応が試みられていくこととは思いますが,現在,民間の一部で実施しているグループホーム方式を施策の一つに位置づけていただきたいと思うのであります。幸い,最近,グループホームへの取組みが全国的にも少しずつふえてきている状況にもありますので,本市においてもどのような施設の形態や運営方法が望ましいのか,検討を開始してはいかがかと提案するものでありますが,市長のお考えをお伺いいたします。
次に,教育問題について2点質問をいたします。
まず1点目は,学校の文化活動への支援についてであります。
札幌市では,潤いのある文化の
まちづくりを重要な施策の一つとして取り組んでおり,市民文化祭やPMF音楽祭を初め,市内各所で開催されるオーケストラの演奏会や演劇,能楽などのさまざまな公演は大変多くの観客を集め,文化都市さっぽろの評価を高めているところであります。
しかしながら,本市では,文化都市と言われる世界の都市と比較いたしますと,残念ながら小さい子供からお年寄りまで,市民こぞって芸術を楽しむという機会や雰囲気が足りないように思うのであります。長い歴史と伝統の中ではぐくまれてきた芸術を楽しむ雰囲気は,一朝一夕に醸し出されるものではありません。長期的な見通しに立って,成人に対する文化振興策にとどまることなく,子供の段階からの息の長い文化活動への支援策が必要であると思うのであります。
幸い,本市の学校教育における音楽や演劇などの文化活動につきましては,小・中・高等学校ともに意欲的な取組みがなされておりますが,生涯にわたって芸術を楽しむ市民を育てるという視点から見ますと,さらにその活動のすそ野を広げていく必要があると思うのであります。しかしながら,現在,学校教育において子供たちの意識を高めながら着実に成果を上げている合唱やブラスバンド,演劇については,その活動のために高額の費用がかかり,市からの補助があるにしても,楽器の修理費や小道具の制作費の捻出に苦労している学校もあると聞いているところであります。
そうした中で,ここ数年,本市の財政事情から,これらの活動に対する助成も厳しい対応となっているようでありますが,真に潤いのある文化の薫り高い
まちづくりを目指すためには,文化施設を充実させることとあわせて,次代を担う子供たちに芸術を楽しむ豊かな心を育てていくことを欠かすことはできないと思うのであります。
世界の文化都市で培われた芸術を楽しむ雰囲気は,長い歴史と伝統のたまものであり,文化を根づかせるためには継続が何よりも大切なのであります。厳しい財政事情にあるとしても,こうした活動への助成が消極的になっては,文化的雰囲気や芸術を楽しむ豊かな心はいつまでたっても本物にはなりません。札幌市を真に潤いのある文化の薫り高い街にするために,ぜひとも子供たちの文化活動への物心両面の支援を積極的に継続していただきたいと思うのであります。
そこで質問でありますが,生徒の文化活動は現在どのような状況にあり,その振興のためにどのような取組みがなされているのでありましょうか。また,教育推進の目標に,豊かな情操の育成と薫り高い文化を創造する能力の育成を掲げる本市教育委員会として,潤いのある文化の薫り高い
まちづくりの実現のために,今後このような部活動の支援についてどのように考えておられるのか,教育長の見解をお伺いいたします。
質問の2点目は,学校教育における本市の人材の活用についてであります。
次代を担う子供たちには,単に知識を教え込む教育から脱却し,豊かな体験的活動を通して学ぶ楽しみや喜びを味わわせることが,何よりも肝要であります。教科書に書かれている内容ももちろん大切です。しかし,これからはもっと幅広く,人や事象に出会い,その体験を通して考え,判断し,表現できる,生きて働く学力を身につけていくことが大切になってくるものと考えるのであります。
新しく小学校に設置された生活科は,このような人や事象,社会や自然との出会いと体験を大切にする教科として,他の教科などの指導にも大きな影響を与えながらスタートしたと伺っております。生活科は,地域の自然や社会生活,地域の人々とのふれ合いなど,他とのかかわりの中で自分自身に気づかせ,自立への基礎を養っていく教科であります。生活科だけでなく,人や事象との出会いと体験を通して,みずから学ぶ力の基礎を培っていくためには,学校は地域に開かれた存在とならなければなりません。平成4年の9月から導入された学校週5日制もまた,家庭や地域との連携のあり方を見詰め直し,開かれた学校の実現を求めるものとなっております。
かつて,それぞれの地域に厳として存在した地域の教育力は,地域の環境やそこに生きる人々そのものの教育力でありました。いま,その復権を願うとともに,学校として果たすべき役割を見直そうとしているのであります。こうした地域の人や事象との出会いと体験を大切にした教育の一環として,地域の人材を活用し,体験を通してみずから考え,判断し,表現できる生きた学力を身につける教育を積極的に進めることが大切であると考えるのであります。
たとえば,性に関する教育なども,エイズ問題が緊急の課題として立ちふさがっているいま,これからの子供たちにはきわめて大切なことであります。幸い,本市では,医師会などにお願いして学校に産婦人科の医師を派遣し,父母,教師,生徒を対象に性に関する指導の支援をしていただいていると伺っております。
このような事業は,単なる知識ではなく,実際に活躍している人々の肉声を通して子供たちに生きた学習を実現するすばらしい取組みであり,今後とも継続していただきたいものと思うのであります。さらにこの取組みを発展させ,多様なジャンルの方々,たとえば芸術家による演奏活動や科学者による講義,実習など,さまざまな分野の専門家に,学校教育を豊かなものにするための支援をお願いするのも一つの方法であると考えるのであります。人権教育,消費者教育,環境教育等々の充実のためにも,この文化都市さっぽろの財産であるすばらしい人材を,あすの札幌を担う子供たちの教育のために活用してはいかがなものかと思うのであります。
そこで質問でありますが,学校教育を支援するための人材の活用について,札幌市の学校においてどのように取り組まれているのか,現状をお聞かせいただきたいと思うのであります。あわせて,これに対する教育長のご見解をお伺いいたします。
次に,雪対策についてお伺いいたします。
本市は,雪対策の先進都市として,快適な冬の都市環境づくりを目標に雪さっぽろ21計画を策定し,除雪水準の確立,雪対策施設の整備,除雪パートナーシップの確立,研究開発と国際ネットワークの形成の四つの施策を柱として,その推進を図っております。中でも,その中心に,これまでの除雪の概念とは大きく異なる雪対策施設整備を積極的に推進しており,昭和63年度に初めて藻岩下流雪溝が供用して以来,今年度早くも4ヵ所目に当たる発寒流雪溝の完成を間近に,また,新たに創成東流雪溝に着工するなど,広く
市民要望にこたえる素早い対応を高く評価するものであります。また,運搬排雪した雪の最終処理施設としての平成3年度の厚別融雪槽完成に引き続き,今年度は発寒融雪槽の完成が予定され,さらに創成川融雪管,都心北融雪槽の着工など,一昔前では考えられないほどの進捗を見るに至っております。
しかしながら,これらの施設整備には多額の費用を要するものであり,除雪費用も無限ではありません。
私は,雪国に生活する者にとっては,除雪の自助努力が基本であり,できないところを行政が行うべきと考えるのであります。そして,雪対策は市民の協力があって初めて成り立つものであり,市民の主体的かつ積極的な参加以外の何物でもないと,こう考えるのであります。また,念願の家庭用融雪槽の融資制度が今年度から始まり,予想を上回る反響があったとのこと。このような自助努力する市民がふえることは,市政全般にとって喜ばしいことであり,さらに一層制度の充実をお願いするとともに,雪に対する市民モラルの確立につきましても,同時並行して進めていく必要があると考えるのであります。
そこで,このような観点から伺いますが,雪対策の精神的な指針を検討すべきでないかということであります。
除雪事業の執行に当たっては,市は最小の経費で最大の効果を上げるように効率的に行わなければならないことは当然でありますが,これとは別の観点で市民に協力を求めたり,お互いの役割を理解し合うための考え方の柱となる施策あるいは目標といいましょうか,何かが必要ではないかと思うのであります。
市は,除雪
パートナーシップ制度や市民助成トラック制度など,市と市民が協力して行う施策を実施しており,また,パンフレットや広報誌などで市民の協力を呼びかけておりますが,これとは別にもっと根本的なもので何か精神的な支えとなる,たとえば雪憲章や雪宣言などのようなものを策定し,広く市民に対して意識の高揚を図ることが必要ではないかと思うのでありますが,市長のお考えをお伺いいたします。
次に,水道事業についてお伺いいたします。
札幌市の水道は,第2代目橋本市長の「将来,札幌市が発展すれば地下水は不足し,さらに汚染する。水道は防火上,衛生上からも必要であり,近代の都市には欠かせぬ施設である」とのかたい信念のもとに,再三市会に諮り,昭和9年認可を受け,起工から3年後の昭和12年4月に初めて給水が開始されたのであります。その後,本市においては,水源確保と安全・安定給水の確立を基本とした7期にわたる拡張事業並びに施設整備事業の積極的展開によって,給水の需要増に対応した水道施設の拡充整備を進めてきたところであります。
ことしの全国的な渇水による水道の減・断水は,26都道府県,301市町村,1,000万人に及ぶ国民に戦後最大の影響を与えており,西日本の多くの都市では1日に数時間しか水道を使えず,市民生活はもちろん,営業時間の短縮や長期体業をやむなくされるなど,都市活動に深刻な打撃を与えており,あらためて水の大切さを認識されるのであります。
このような状況の中で,本市の水道は昭和12年の通水以来,渇水による水不足を招くこともなく,長年市民の信頼にこたえてきており,異常気象のことしも市民にとっては減・断水の心配をすることなく水を使うことができたわけであります。この背景には,降雪という北国の大きな自然の恵みもさることながら,先を見通したダム建設による水源確保や,適切な水道施設の
計画的整備が行われて初めて達成されるものであり,市当局の努力を高く評価するものであります。
ところで,本市では,魅力あふれる躍動都市さっぽろを目指した
まちづくりに向けてさまざまな施策に取り組んでおりますが,高齢化や余暇時間の増大など,社会情勢の変化からスポーツ・レクリエーションスペースの確保,あるいは市民が気軽に集うことができる施設や空間整備の必要性がますます大きくなってきており,このような要望にこたえる環境づくりが強く求められております。これらの施策を土地利用が高度化した都市空間の中で効率的に進めるためには,各種の公共施設の開放が不可欠であると考えるわけであります。
水道の施設は,地下に埋設された膨大な配水管や配水池を初め,地上部に建設された浄水場や管理施設など,さまざまな形態の施設が数多くあるわけですが,飲料水の安全性を確保するという観点から,これまで市民と隔離した施設として建設し管理されております。しかし一方で,市民が身近に感じられる施設づくりも大切であり,配水池の上面などを貴重なオープン空間として市民に開放し,喜んでもらえるような施設づくりもぜひとも必要であると思うわけであります。
近年の西部配水池の建設は,大規模な配水池を公園内に建設し,その上面は従来どおり公園として使用するもので,まさにこの考えに沿った事例でありますが,このほかにも,たとえば広大な面積を有する白川浄水場や清田配水池の上面,さらには,水道発祥の地であり景観にすぐれた藻岩浄水場なども開放の対象とすべきではないでしょうか。
そこで,施設の開放という観点から,水道の施設づくりの考え方について2点ほどお伺いいたします。
まず1点目は,水道の施設づくりについては,地域の
まちづくりと一体となって進めるとともに,今後,都市における貴重なオープン空間として市民へ開放し,市民にとって身近に感じられる施設づくりを行なっていくべきと考えますが,市長の基本的な考えをお伺いいたします。
2点目として,藻岩浄水場の配水池などの水道施設については,50年以上も経過した老朽施設となっており,近々に大規模な改修を行うとお聞きしております。安定給水の確保上,これらの老朽化した施設の適切な改良・整備が必要であると考えるわけですが,このような歴史と景観に恵まれた施設こそ市民に開放し喜んでいただくとともに,水道事業を理解していただく大きな機会としていくべきであると思いますが,どのように考えておられるのかお伺いをいたしたいと思います。
次に,豊平区の諸問題について4点質問をいたします。
まず初めに,地下鉄東豊線駅周辺の再開発についてお伺いをいたします。
来たる10月14日,待ちに待った地下鉄東豊線がいよいよ福住まで走ってまいります。地域の方々は,喜びと今後の地域の発展に,大きな期待に胸を膨らませているところであります。
このたびの路線延長により,豊平区内に学園前駅など5駅が設置されるわけでありますが,福住駅ではバスターミナルと商業施設が,月寒中央駅ではバスベイ,商業施設及び業務施設が,また,それぞれの地下鉄駅周辺ではマンション建設や娯楽施設の建設が進められるなど,地下鉄の開業による地域構造の変化を身をもって感じる毎日であります。しかしながら,豊平,月寒の両地区では,古い歴史を持った街であるがゆえに道路が狭く,その形態が悪いなど,基幹施設を含む街並みの再構築が必要であると考えるものであります。
そこで,この両地区の再開発について2点質問をいたします。
まず1点目は,豊平地区でありますが,その一つの学園前駅周辺地域につきましては,生活道路が全く未整備の状態で,地下鉄駅へ至る道路も相当迂回しなければならないなど課題が指摘されており,老朽住宅も道路形態が悪いため,土地の高度利用はもちろん,個別の建てかえすら思うようにできない状況にあります。
私は,かねてより当地区の計画的再開発の必要性について提言してきたところ,市も計画策定に取り組み,地元もまたこれに呼応するように,平成5年度に住民組織として
まちづくり委員会を設置するなど,いよいよ具体的な動きが出てきたところであります。
しかしながら,駅の設置に伴い,必要となる道路,広場,緑地などの公共施設がかなりの量になるため,これらを地元による再開発事業のみで確保することは荷が重過ぎると言わざるを得ないのであります。したがって,地下鉄駅設置により必要となる公共施設を初め,地区の総合的整備のため,たとえば豊平橋南地区で行われたような市主導の住環境整備などの実施が必要であると考えるものであります。また,地下鉄の開業を間近に控えていることから,これらの整備は急を要すると考えるわけでありますが,市長は,この地区の
まちづくりにどのように取り組まれるおつもりかお伺いをいたします。
2点目は,地域中心核として位置づけられている月寒中央駅周辺についてであります。
当地区では,地下鉄開業に合わせて商業・業務ビルの建設が急ピッチで進められておりますが,その周辺には,古くからある商店街や老朽化した家屋などが目につくのであります。特に,月寒西地区においては,昔ながらの狭い道路で構成された宅地があるなど,住環境の整備が課題であり,また,この西地区は国道36号の混雑度が激しいことや,西岡方面から中心部に向かう水源池通は幅員が狭いことなどから,国道への迂回路としてこの西地区の狭い生活道路に通過車両が進入するため,交通安全上,防災上,冬季除雪上問題がある地域となっております。この上,地下鉄開業に合わせバス路線も駅に短絡,一般車両も当然駅方向へ集中するとなれば,さらに多くの車や人が西地区に入り込むこととなり,このままでは住環境上大きな問題を抱えることが懸念されるのであります。
また,地域の活性化のため商店街などへの動線の整備も必要であると考えるのであります。
しかし,現況からして道路単独の整備は困難と思われますので,ここでも市主導の総合的な街の再構築,たとえば土地区画整理事業や住環境整備事業などの面的開発を進め,あわせて地元の再開発の機運啓発を図っていただきたいと思うのでありますが,その点についてどのように考えておられるのかお伺いをいたします。
質問の2点目は,地下鉄東豊線延長部におけるパーク・アンド・ライド駐車場の整備についてであります。
これまで東豊線延長部沿線の住民や,特にその後背地の住民にとって,長い間主たる公共交通機関がバスであったことや,本市における急速なモータリゼーションの進展と相まって,マイカーを通勤などに利用している住民が比較的多い地域ではないかと思うのであります。中でも,福住駅から遠い里塚,美しが丘,真栄,清田などの地区の住民については,これらの地区を通る幹線道路として国道36号のほか市道羊ヶ丘通があり,他の地区に比べ都心部から遠い割には比較的短時間で都心部に行けるという事情もあり,地下鉄の開業後においてもマイカーから地下鉄への乗りかえが円滑に進まないのではないかと危惧しているところであります。
もとより,地下鉄などの公共交通機関は輸送効率が高く,環境への負荷も少ないすぐれた交通手段であり,マイカー利用者を公共交通機関へ誘導して都心部へのマイカーの流入を抑制することは,交通渋滞を解消し,排気ガス等の自動車公害を抑制するなどの効果を期待できるものであり,市長が提唱している人に優しい交通対策を推進する上で最も重要な課題であると私は考えるのであります。
そこで,マイカー利用者を地下鉄に誘導するためには,両者の交通結節点に当たる福住駅周辺にパーク・アンド・ライド駐車場を早急に整備することが何よりも必要でないかと考えているところであります。お聞きするところによれば,福住駅周辺にはパーク・アンド・ライド駐車場として活用できる公有地がなく,また,最近の地価の低迷や地下鉄開業後の地価の動向を見きわめたいとの土地所有者の思惑もあって,新たに用地を取得することが困難であるとのことでありますが,福住駅周辺でのパーク・アンド・ライド駐車場の整備について,市長はどのように進めようとしているのかお伺いをいたします。
質問の3点目は,西岡,福住地区の道路問題についてであります。
西岡,福住地区は,都心から直線距離にしておよそ7キロメートルの至近な位置にあり,東側に羊ヶ丘展望台を有する広大な北海道農業試験場が隣接し,また,南側は月寒川や望月寒川の源ともなっている緑豊かな駒岡,真駒内などの丘陵地が広がっていることから,市内でも特に水と緑に恵まれた住環境の良好な地区であります。
両地区は,西岡の丘陵地が昭和47年開催の冬季札幌オリンピック大会の距離及びバイアスロン競技会場として選ばれたことを契機に,当該地区の市街化が急速に拡大し,昭和49年には両地区合わせて約1万8,000人であった居住人口が,20年後の平成6年には2.3倍の約4万2,000人となっております。このような市街化の拡大に加え,近年のモータリゼーションの進展により,交通環境は著しい変貌を呈している状況であり,これが自動車交通量の増大を顕著にしているのではないかと考えるのであります。
両地区の幹線道路について見ますと,五輪通,水源地通,福住・桑園通が地区を貫き,澄川,川沿方面と豊平区月寒方面を結ぶことから通過車両が多く,冬季はもとより夏季においても,時間帯によっては交通混雑が見られるところであります。特に,福住・桑園通と水源池通の交差点付近では,右左折車両による慢性的な渋滞が見られるのであります。
この要因としては,すでに市街地が形成されているにもかかわらず,これを支える幹線道路が少ないことから,特定の路線に通過交通と地区内交通が混在すること,また,物流の幹線道路である国道36号,230号相互のバイパス的機能を持った道路ともなっているため,通過車両の中でも大型車の割合が多く,さらには都心や地下鉄に連絡するバスの利便性が悪いことから,マイカー使用による外出が多いことなどに起因していると考えております。
そこで伺いますが,このような道路混雑を改善するためには,福住・桑園通と水源池通の拡幅が望まれますが,沿線にはすでに住宅,商店などが連檐している状況を考えますと,道路拡幅は難しい面もあろうかと思います。したがいまして,現状及び将来,交通に対応した交通機能を確保するためには,たとえば五輪通を延伸し,羊ヶ丘展望台方向へ結ぶ道路など,新たな道路網の整備を図るべきと考えますが,市長のご所見をお伺いいたします。
最後に,豊平区の分区問題についてお伺いいたします。
豊平区の分区につきましては,かねてから市内部において検討を進めてきたところであり,本年7月28日には分区の時期,区割り線,新区役所の位置など,分区の基本的な考え方についての原案が示されたところであります。それによりますと,分区の時期は新区の人口が10万人を超える平成9年秋に行い,新区は北野,清田,平岡,真栄,美しが丘,里塚,有明の地域とし,新区役所は平岡1条1丁目に設置する予定となっております。
新区は,本州及び道内を結ぶ交通の要衝に位置しており,緑が多く,スポーツやレクリエーション施設にも恵まれた地域ではありますが,本市の中でも地域開発が遅く始まったため,公共公益施設整備においてはまだ不十分な状況となっているのであります。
これらの問題については,わが会派の長岡議員からも早期の整備を強く求めている問題でもありますが,私は,新区の
まちづくりとしてこのような地域特性を生かしながら,公平で均衡ある行政サービスの提供によって,地域連帯感のある新しい時代に対応した潤いのある生活拠点づくりを進めていく必要があると考えるのであります。そのためには,今後計画的な公共投資を積極的に行うとともに,行政施設並びに関連する利便施設の整備を早急に進めなければならないと思うのであります。
このような施策の推進は,バブルの崩壊という
景気低迷の影響もありましょうが,いまなお進まないハイテクヒル真栄における先端技術企業の立地促進に少なからぬ影響を与えるものと思うのであります。
以上のような観点から,分区に向けましての関連施設整備の考え方について3点お伺いをいたします。
まず1点目は,新区役所などの整備についてであります。
さきに発表されました分区原案によりますと,新区役所には,保健所,消防署,図書館の3施設を併設する予定となっておりますが,どのような理由により施設の併設を決められたのか。また,新しい時代に対応した施設づくりとしてどのようなところに意を用いて整備されようと考えておられるのか。さらに,新区に必要な土木事業所の建設時期をどのように考えておられるのかお伺いをいたします。
2点目は,その他行政施設の整備についてであります。
区民の生活に密接に関係する他官公庁の行政施設である郵便局,警察署などについてはどのような誘致運動をされているのかお伺いいたします。
最後は,区民の利便施設の整備についてであります。
区民センター,体育館,プールの建設場所及び建設時期についてどのように考えておられるのか,市長のご所見をお伺いいたします。
以上で,私のすべての質問を終わります。ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(見延順章君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) それでは,私から数点お答えいたします。
まず最初に,財政問題についてであります。
第1点目の財政の硬直化についてでございますけれども,お話がありましたように,平成5年度は国の
総合経済対策に関連をいたしまして,数次にわたる補正予算を編成し,その財源の多くが市債をもって充てられましたこと,それから市税等の減収に伴いまして減収補てん債の発行を余儀なくされたこと等から,市債の伸びが大きなものとなったところであります。
公債費比率も13%と過去最高ではありますが,元利償還金に
交付税措置のある市債を優先して発行しておりますことから,この部分を除いた指標である起債制限比率で見ますと9.6%と,政令指定都市の中では2番目に低い位置にあります。他の指定都市との比較においては,全体として健全性が保たれており,今後においても急激な財政の硬直化は生じないものと考えております。
しかし,そうはいいましても,本市は他の指定都市に比べて財政基盤が脆弱でありまして,その上,地下鉄や
国保会計に対する財政支援も引き続き実施をする必要があります。したがって,市債の活用に当たりましては,後の世代に過大な負担を残すことがないように,慎重な姿勢が求められていると思います。
次に,今後の予算編成のあり方についてでございます。
予算編成手法については,これが一番というものはないと思います。常に改善の努力が必要であると考えております。本市におきましても,各年度においてそれぞれ工夫を図りながら,新しい時代に対応した事務事業の再構築や効率的な行政運営を目指して予算編成を行なっているところであります。
その手法の中には,いわゆるシーリングと呼ばれるものも含まれておりますが,これは各部局でみずから創意工夫をめぐらし,事務事業の再構築を図ることも意図しているものであります。このような方法を取り入れることは意義があると考えております。しかし,一定のルールのもとに要求に枠を設けることによりまして,市民サービスの低下を来たしたり,ゆがみが生じたりすることがあってはならないと思います。したがって,平成7年度予算の編成に当たりましては,ご指摘の点も十分に踏まえて,限られた財源の中にあっても柔軟で機動的な予算編成を行うことにより,一層の市民サービスの向上を図ってまいりたいと考えております。
次は,国際ゾーンについてでございます。
第1点目の国際ゾーンにおける
まちづくりの基本についてでございますが,お話のとおり,国際ゾーンは札幌の顔として市民が憩い,誇りに思うことのできる空間をつくり出すことが何よりも重要であります。したがいまして,大通や水辺空間を含む創成川通等の公共空間整備と街区内の空間づくりが一体となった
まちづくりを目指し,関係地権者とも十分協議を行いながら,良好な空間づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
第2点目の創成川通及び創成川についてであります。
都心域の創成川通及び創成川の整備につきましては,かねて国際ゾーン計画と一体不可分のものとして検討を進めておりますが,具体化に向けては,計画上及び施行上さまざまな課題も予想されております。現在,関係機関との調整を行いながら,都市計画変更に向けた取組みを進めているところでありますが,大規模事業にもなりますことから,今後,先行して着手することも含めて,できるだけ早く整備スケジュール等,事業化のめどをつけてまいりたいと考えております。
第3点目の大通空間を延長する計画についてでありますが,このことにつきましては,将来的には創成川以東地域全体の
まちづくりとも密接にかかわるものでありますが,地域の土地利用の動向あるいは都市計画道路の配置状況などを勘案いたしまして,まず国際ゾーンの
まちづくりを契機に,東3丁目通までを目標に取り組んでまいりたいと考えております。
第4点目の地下利用についてでありますが,基本的には,札幌の都心においては人と車の流れを円滑にし,雪国の都心にふさわしい快適な歩行空間をつくり出すために積極的に推進してまいりたいと考えております。国際ゾーンに関しましても,街区整備の実施計画の進捗に合わせて,具体的に対応してまいりたいと思います。
次は,高齢者保健福祉問題についてでございます。
痴呆性の高齢者対策につきましては,治療面を受け持つ老人性痴呆疾患センターの整備を初めといたしまして,特別養護老人ホームや老人保健施設の建設を進めるとともに,痴呆性の高齢者を対象としたデイサービスセンターE型の増設を進めていくこととしております。
一方,国におきましても,検討会の提言を受けて総合的な痴呆性高齢者対策の研究を進めていく動きがありますので,この動向を見きわめるとともに,さまざまな実施例なども参考にしながら,本市の
高齢者保健福祉計画との整合性を図りつつ検討してまいりたいと考えております。
次に,雪対策についてお答えをいたします。
雪対策の精神的な指針についてということでありますが,大変貴重なご提言と受けとめております。ただいまお話にもありましたとおり,雪対策は市民の協力があって初めて成り立つものであって,市民の主体的かつ積極的な参加以外の何物でもないという考え方は,まさにそのとおりであろうと考えております。特に,これからの雪対策を進めていく上で最も重要な事項であると認識しておりますので,今後,市民の協力を得るためにはどのような形がいいのか,あらゆる角度から検討してまいりたいと,このように考えております。私からは以上であります。
○議長(見延順章君) 魚住助役。
◎助役(魚住昌也君) 豊平区の諸問題につきまして,私からお答えいたします。
最初に,1点目の地下鉄東豊線駅周辺の再開発についてでございますが,東豊線延長に伴う各駅周辺の整備につきましては,地下鉄を利用しやすい環境をつくること,駅周辺にふさわしい街並みをつくることが必要で,需要喚起という面からも土地の高度利用を推進する必要があると認識しております。
特に,ご指摘の学園前駅周辺につきましては,かねてより再開発の計画を進めてまいりましたところ,地域の方々の機運も盛り上がってまいりましたので,具体的に建設省所管の総合住環境整備事業や,地権者による再開発事業等の実施を図るべく調査に着手したところでございます。
また,月寒中央駅周辺の再開発についてでございますが,昨年度より再開発計画の策定に着手し,アンケート調査の実施や地元町内会,商店街などとの意見交換を行いながら地区の課題について整理したところであり,今年度は,この課題を受けて地区整備の方向性や具体的整備手法につきまして検討を行なっております。
ご指摘のありました月寒西地区につきましては,水源地通を初めとする骨格道路と生活道路,さらには住環境整備が課題となっております。この課題の解消に当たっては,地区の一体的整備の手法についての検討が必要でありますが,たとえば共同建てかえや再開発等の面的整備を誘導し,土地の高度利用を図りつつ現況の改善を図る手法などが有効と考えております。そのためには,地域の方々の理解と協力が不可欠でありますので,今後,さらに詳細にわたって地元と意見交換を重ね,面的整備の実現に努力してまいりたいと考えております。
次に,東豊線延長部の開業に伴う福住駅周辺におけるパーク・アンド・ライド駐車場の整備についてお答えいたします。
ご指摘のとおり,地下鉄起終点駅等にパーク・アンド・ライド駐車場を整備していくことは,都心部へのマイカーの流入抑制と公共交通機関の利用促進を図る上からも必要なことであると受けとめております。
そこで,お尋ねの福住駅周辺でありますが,そこには活用できる遊休公有地がないことから,初めての試みとしまして,暫定的な措置ではありますが,民有地を借り上げて交通事業と連携しながら駐車場の整備をすることといたしており,本年中にオープンできるよう現在整備を進めているところでございます。
次に,西岡,福住地区の道路問題についてでございますが,西岡,福住地区の交通渋滞問題につきましては,円滑な道路機能を確保することが地域の重要な課題であると受けとめておりますので,水源池通と福住・桑園通を補完する新たな都市計画道路の位置づけにつきまして,地形上の特性などを踏まえながら,今後具体的なルート,構造などを検討してまいりたいと考えております。
最後に,分区問題についてお答えをいたします。
第1点目の施設を併用した理由でございますが,新区役所建設予定地は清田地区の中心地に位置しており,交通機関の利便もよく,土地の高度利用を図る上からも,特に区民の方の利用度が高い保健所,図書館を併設することとしたものでございます。また,消防署につきましても区内の中心地に位置しており,幹線道路にも面していることから,どの地域にも迅速に対応することができるため,従来からこの場所にあります清田出張所を消防署として新区役所に併設する考えでおります。
次に,新区役所等の建設に当たっての基本的な考え方についてでありますが,当該地区は緑に囲まれ,自然環境に恵まれた地域でありますことから,その建設に当たっては,緑を生かし自然環境とマッチしたものとし,さらに施設を併設することによって利用者の利便性が確保され,あわせて施設相互の有機的な活用により相乗効果が図れるものにしたいと考えております。
なお,土木事業所についてでございますが,現在建設場所を選定中でありまして,用地が決定された時点で分区時までに建設したいと考えております。
第2点目の郵便局,警察署等の設置についてでありますが,これまでも関係機関に要請してきたところであり,今後も地域住民の要望も踏まえまして要請をしてまいりたいと考えております。
第3点目の区民の利便施設であります区民センター,体育館,プールについてでありますが,区民センターにつきましては,現在清田コミュニティセンターとして利用しております施設を一部増築しまして,この部分を平成9年の分区時までは豊平区の分庁舎として利用し,分区後に区民センターとして改装した後,引き続き地域の皆様にご利用いただく考えであります。
次に,体育館と温水プールにつきましては,住民の方が利用しやすい場所を確保するため,現在この用地を選定中でございます。特に,体育館につきましては地元の強い要請もあり,用地が決定され次第できるだけ早期に建設できるよう努力する考えでございます。以上でございます。
○議長(見延順章君) 石原助役。
◎助役(石原弘之君) 水道事業について,私からお答えいたします。
第1点目の水道の施設づくりについてでございますが,これまでも汚染防止という衛生上の観点から,安全性の確保など,条件整備の整った施設については開放をしてきているところでございます。今後新たにつくる施設につきましては,市民の要望も十分に反映させながら,地域と一体となった施設づくりを進めてまいりたいと考えております。
第2点目の藻岩浄水場配水池等の開放についてでございますが,飲料水並びに施設利用者の安全確保対策など,検討しなければならない課題がございますが,ご提言の趣旨を踏まえ,その利用方法について今後積極的に検討を進めてまいりたいと存じます。以上でございます。
○議長(見延順章君) 藤島教育長。
◎教育長(藤島積君) 教育問題について,私からお答えいたします。
1点目の学校の文化活動への支援についてでございますが,現在,文化系の部活動は,吹奏楽,合唱,演劇など,中学校では約40部門,高等学校では35部門において多数の生徒が参加し活発に行われております。とりわけ,中学校の吹奏楽,合唱,演劇,高等学校の放送,合唱,演劇につきましては,全国的にも高い評価を受けているところであります。
市教委といたしましては,これらの部活動の奨励を図るために,各学校に対する部活動経費の予算を計上するとともに,全市的な振興組織である札幌市中学校文化連盟に対する補助金の交付,全国大会出場に要する旅費等の補助,高等学校総合文化体育大会やスクールバンドを設置するための補助など,積極的に取り組んでいるところであります。
これら部活動は,生徒の芸術や文化活動への関心を高めるとともに,生徒の健全育成に大きな成果を上げておりますので,今後とも可能な限り物心両面の支援を積極的に行なってまいりたいと考えております。
2点目の学校教育における本市の人材の活用についてでございますが,現在,ご指摘の産婦人科医師による性に関する講演会のほか,生活科の授業で,地域のお年寄りに昔から伝わる遊びを教わったり,伝承文化にかかわるお話を聞くなどの取組みも行われております。また,社会科や特別活動では,たとえば地域の環境や歴史等について専門家から講話を聞くなどして授業に生かしております。さらに,地域に根差したさまざまな郷土芸能,たとえば丘珠の獅子舞であるとか,あるいは福移の太鼓であるとか,そういったことを取り入れた教育活動も行われております。
市教委といたしましても,地域の人材を活用し,体験を通してみずから考え,判断し,主体的に学ぶ力を培う教育を進めることはきわめて大切なことと認識いたしております。今後とも,各学校が地域との連携を深め,広く人材の活用がなされるよう,なお一層努力をしてまいりたいと,このように考えております。以上でございます。
─────────────────
○議長(見延順章君) ここで,各位にご紹介を申し上げます。
ただいま特別傍聴席においでの方々は,札幌ポートランド姉妹都市提携35周年記念ポートランド市親善訪問団の皆さんです。ご起立の上,歓迎の拍手をお願いいたします。
(起立・拍手)
○議長(見延順章君) なお,本日の会議終了後,同訪問団の歓迎式がございます。
─────────────────
○議長(見延順章君) お諮りをいたします。
本日の会議はこれをもって終了し,明10月4日午後1時に再開いたしたいと存じますが,ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(見延順章君) ご異議なしと認めます。
よって,さよう決定されました。
─────────────────
○議長(見延順章君) 本日は,これで散会いたします。
─────────────────
散 会 午後4時22分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 見 延 順 章
副 議 長 伊 与 部 敏 雄
署名議員 西 村 茂 樹
署名議員 越 智 健 一...