委 員 佐々木 肇 君 委 員 高 橋 重 人 君
委 員 荒 川 尚 次 君 委 員 生 駒 正 尚 君
委 員 武 藤 光 惠 君 委 員 中 嶋 和 子 君
委 員 福 士 勝 君
──────────────────────────────────
開 議 午後1時
○関口 委員長 ただいまから,第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でございますが,特にございません。
それでは,議事に入ります。
初めに,第8款 消防費及び第4条の第4表地方債のうち関係分を一括して質疑を行います。
◆藤原 委員 私は,
社会福祉施設,そして病院及び
大型店舗に対する
スプリンクラー設備の法改正に伴う基準強化,そしてまた
改修状況についてお伺いをしたいと思います。
昨年2月,
渡島管内上磯町の
精神障害者施設,または
知的障害者施設と申しましょうか,ここで起こった火災の模様が新聞やテレビなどでつぶさに報道され,死者3名を数える痛ましい事故となったことに,私も対岸の火事とは思えず憂慮するとともに,このような施設での防災のあり方の難しさを痛感したことを,いまだ鮮明に記憶しているところであります。
幸い本市においては,近年,このような施設からの大きな火災は発生しておりませんけれども,過去には昭和52年2月の朝方に白石区内の
産婦人科病院から火災が発生し,死者4名,その4名はいずれも新生児,また負傷者2名を数える惨事となったことは,いささか旧聞には属しますが,
消防当局としても脳裏に焼きついていることと思うわけであります。
また,過去,日本では大きな火災事故が数多く発生をしておりますが,私が記憶する中でも,昭和62年6月の東京都東村山市の
特別養護老人ホーム松寿園での火災の状況では,死者17名,負傷者25名を数えておりますし,また平成3年,兵庫県尼崎市の
大型店舗長崎屋尼崎店の火災では,死者15名,負傷者6名を数える大惨事となっております。
これらの火災事例からも,とりわけ火災弱者と言われるお年寄りや身体に障害のある方,あるいは病気の方が多数入所されたり入院されている
社会福祉施設や病院,または不特定多数の方が利用される
大型店舗などの施設は,一たん火災が発生しますと,消火,通報,
避難誘導が非常に難しい施設でありますから,防災面では特に配慮をしていかなければならないと考えるわけであります。このような災害実例をもとに,この間,消防法の改正が行われ,
初期消火に最も有効である
スプリンクラー設備の設置基準が強化をされてきたわけであります。
ご存じのように,
社会福祉施設については,
延べ面積6,000平方メートル以上のものから
延べ面積1,000平方メートル以上のものへ,病院や
大型店舗については,
延べ面積6,000平方メートル以上のものから
延べ面積3,000平方メートル以上のものへと基準の強化が図られ,
社会福祉施設及び病院においては昭和63年4月1日に施行され,平成8年3月31日までの約8年間の
猶予期間があります。また,
大型店舗については,平成2年12月1日からそれぞれ施行されているわけでありますが,ことしの平成6年11月30日までの4年間が
猶予期間となっているわけであります。この
改正基準は,ご存じのように,新築に限らず既存の建物にも遡及し適用されるというようになっておりますが,そういう状況の中で質問を申し上げたいと思います。
1点目としては,今回の基準が遡及をして適用されることにより,改修が必要となる
対象施設が本市にどのくらいあるのか。このうち,すでに
改修済みの施設はどの程度あるのか。また,現在まだ改修されていない施設の
改修計画はどのようになっているのか,お尋ねをしたいと思います。特に,ことしの11月30日に
改修期限が迫っている
大型店舗については,その
改修予定についても具体的にお伺いをしたいと思います。
2点目としては,これらに伴う
改修資金についてはかなりの高額になると思われますけれども,具体的な
融資制度や税制上の
優遇措置などがあるのか。あるとすれば,どのような
優遇措置が施されているのか,具体的にお伺いをしたいと思います。
◎近江
予防部長 お答えを申し上げます。
1点目の改修の進捗状況でありますが,まず,遡及により改修が必要となった施設数は,
社会福祉施設30件,病院96件,
大型店舗35件の合計161件でありますが,ことしの1月現在,
社会福祉施設は30件のうち28件が
改修済みであります。以下,病院は96件のうち33件,
大型店舗は35件のうち16件が改修を終えております。
なお,
改修期限は,
社会福祉施設,病院については平成8年3月31日,あと2年ほど余裕がありますけれども,
大型店舗につきましては,
改修期限がことしの11月30日と目前に迫っておりますので,特に積極的に指導を行なってまいりまして,未改修の19施設のうち,現在,
改修工事に着手しているものが6件,それから7月に2件,8月に1件,11月に10件の改修を予定しておりまして,すべての施設について改修のめどがついているものであります。また,
社会福祉施設,病院の未改修の施設についても,すべての施設から
改修計画が提出されておりまして,期限内で改修する旨の意思を確認しているところであります。
2点目の
融資制度でありますが,
大型店舗につきましては,
北海道東北開発公庫,
中小企業金融公庫などによる
特別融資制度がありますし,
社会福祉施設,病院につきましては,
社会福祉医療事業団による
融資制度のほかに,
社会福祉施設には
厚生省所管の
国庫指定都市補助制度もあります。
次に,税制上の
優遇特例措置としましては,
不動産取得税,所得税または法人税において控除あるいは
特別償却が認められており,
融資制度とあわせまして,このことをさらに周知をしてまいりたいと考えているものであります。以上であります。
◆藤原 委員 ただいま答弁がありましたように,本市で対象となる施設は合計で161施設,そのうち,未
改修部分がまだ84ヵ所残っているわけであります。その中で,
大型店舗については19ヵ所,それぞれすべてこの11月までの
改修計画が提出をされたいるようであります。さらに,
社会福祉施設や病院などについてはいろいろな問題点もあるわけでありますけれども,より一層の早期の取組みをお願いをしたいというふうに思うわけであります。
そこで,こうした火災でありますけれども,先ほども申し上げましたように,昭和57年2月8日の夜に発生したホテルニュージャパンの火災があるわけであります。当時の
宿泊者数は396名で,死者が32名,負傷者が34名と最も大きな火災となっているわけであります。それらに伴いまして,今日のこうした法改正が進められてきたわけでありますけれども,特に,今日景気の低迷が続く中で,
スプリンクラーなどの設備に大変な資金を要することは,いま答弁にもあったとおりであります。また,
社会福祉施設や病院においては,入院をされている患者の皆さんや外来患者の皆さんの肉体的,精神的な面で無理がかからない状態での
改修工事が求められているわけでありまして,大変なご苦労をされているわけであります。また,消防の皆さんにおいても,そうした取組みについて,日常活動の中でいろいろ報告を受けて相談に乗っているようでありますけれども,先ほど申し上げましたように,ぜひこれらの
改修工事が完全に行われますよう重ねて要請を申し上げたいというふうに思うわけであります。
これに関連をいたしまして,査察の状況についてお伺いをしたいというふうに思うわけであります。
消防当局が実施をしております査察については,いろいろなものがあるわけでありますが,査察と申しますと大変かた苦しい,重苦しい感じがするわけでありますが,その反面,消防の職員の方が直接建物に入り,防災上の不備があるもの,また火災の危険があるものを適正かつ厳しく指導し,改善を求めるものでありますから,私ども市民にとっても,日常生活を安心して営んでいく上で,また,大きな
都市づくりの安全を確保する意味でも欠かせない手段となっているものであり,その意義はまことに大きいものであると言えるわけであります。
言うまでもなく,査察を実施し,
火気設備や
消防用設備などに不備がある場合,基準をもとに是正され,火災の危険要因が直接排除されるわけでありますし,また,
消防局職員の皆さんによる質問や指導を通じて,相手先の従業員あるいは居住者全体に対する教育訓練や
防火意識の向上が図られること,さらには,経営者や
防火管理者といった責任者に,みずからの
防火管理の実践というものを,また,理念というものを意識づけることなどがその効果として挙げられているわけであります。
さて,本市の実態でありますが,都市化の進展に伴い,こうした取組みが具体的にされているわけでありますけれども,
消防用設備の設置あるいは適正な
防火管理を義務づけている建築物や危険物の施設は,現在約6万3,000件余りであります。年々増加の傾向にあり,近年では約1,500件前後増加している傾向となっているわけであります。このような中で,
消防当局としてどのような査察を実施しているのかいろいろ勉強をしましたところ,ホテルあるいは百貨店,病院など不特定多数の市民の方が利用される施設を
特定防火対象物と称し,昨年もこうした
特定防火対象物に対してはその
安全管理を徹底するために,
火気設備や
消防用設備を初めとするハード面と,
消防計画の作成状況や防火戸,避難階段などの
維持管理,
消防訓練の
実施状況などの
防火管理のソフト面,両面をチェックする
定期査察と呼ばれるものが実施をされております。また,旅館やホテル,百貨店,
飲食店ビルなどについては,
観光シーズンや歳末など多数の市民や観光客でにぎわう時期をとらえ,
避難管理を中心とした
特別査察を実施し,防火安全の徹底を図っているところであります。
また,これら以外の
官公庁施設や事務所の施設に対しても,前回の査察結果が良好で,
消防用設備の点検報告が提出され,不備のないもの,適切に
維持管理されていると認められるものについては,平成3年から
関係者自身の
防火管理意識を一層高揚するために,
自主防火管理報告制度を取り入れ,
査察業務の効率的な推進を図っているわけであります。こうした取組みというのは,いろいろな角度から見ても大変高く評価できるものでありますし,いろいろな面からの厳しいチェックも実施しているわけであります。しかし,そういう状況の中で,こうした査察がどのように実施をされているのかというようなことが問題になるわけであります。
そこで,質問の1点目として,
定期査察または
特別査察,そして
自主防火管理報告といった
査察状況について具体的にお伺いをしたいと思います。
2点目には,査察を実施した結果,改善を要する対象物はどれくらいあったのか,そして不備な内容はどのようなものがあったのか。そして,
改善指導後どの程度改善されたのか,2点目にお伺いをしたいと思います。
3点目,最後の質問でありますが,そうした関係者には,
消防設備を点検し,その結果を各
消防署長あてに報告することが義務づけられているわけでありますけれども,その
提出状況についてもお伺いをしたいと思います。
◎近江
予防部長 お答えを申し上げます。
1点目の
査察実施状況についてでありますが,市内の全対象物約6万3,000件のうち,昨年中に
定期査察を約4万8,000件実施いたしました。
特別査察は,約800件実施したところであります。
不備事項のない対象物から
自主防火管理報告が約1万3,000件提出されておりまして,全体の約97%の対象物に対しまして査察,指導を実施した状況でございます。
2点目の査察を実施した結果,何らかの不備があり改善を要する対象物は1万4,000件余りで,全対象物の23%ほどであります。次に,その主な不備,欠陥の内容について申し上げますと,
避難訓練の未実施,物品の放置などの
防火管理等に関すること,それから消火器の不足,
屋内消火栓などの表示灯の球切れ,
消防用設備に関すること,それから
消防用設備等の点検結果報告の未提出に関すること等でございます。
なお,これらの
改善状況でありますが,消防局といたしましては,査察の結果,何らかの不備がある場合には,施設の関係者に対しまして
改善通知書を交付し,
改善計画書の提出を求めているところであります。その結果,改善を要する対象物1万4,000件余りのうち約70%,件数にしまして1万件ぐらいでありますが,これは昨年中に改善が確認をされております。
不備事項を有する対象物に対しましては,今後とも早期是正に努めてまいる所存であります。
3点目の
消防用設備等の点検結果報告の
提出状況でありますが,本市には,点検結果報告の提出を必要とする対象物が現在約5万6,000件余りあります。このうち点検結果報告の提出されたものは約4万9,000件で,実施率にしますと88%程度であります。全国平均の63%に比べますと少し高くなっておりますが,未報告の関係者に対しましては,引き続き提出方を継続指導してまいりたいと思っております。以上であります。
◆藤原 委員 いま,報告がありましたけれども,昨年の火災総件数460件,前年度と比較して40件マイナスでありますし,これが
政令都市と比較してもわが市は2.7%,
政令都市は4.8%と,かなりの差があるわけであります。こうした数字にも明らかなように,本市のそうした取組みの成果が随所にあらわれているというふうに思うわけであります。
しかし,申されておりますように,本市も都市化が進み,高層ビル,マンションなど都市の過密化の中で予期もしない火災,または,救急患者の搬送などいろいろな面での活躍や業務があるわけであります。そんな意味では,より高度な
消防行政が求められているわけでありますし,昼夜の区別なく,かけがえのない市民の生命と財産,そして市民の財産でもある本市の
都市機能を守るために,きょうここにお見えになっている幹部の皆さん初め,第一線で頑張っている
消防職員の皆さんに心から敬意を表し,一層の取組みをお願い申し上げまして,質問を終わります。
◆森 委員 私は,(仮称)
財団法人札幌市
防災協会設立についてお尋ねをいたします。
ただいまも段々のお話がございまして,札幌市の火災の発生件数については,常日ごろの
消防局職員の皆さん方の大変なご努力と,また,市民の協力をいただいて減少傾向にあると。これは本当に喜ばしいことであり,皆さんの努力に敬意を表するものでございます。
他方,人口の増加とともに交通事故の増加,あるいは急病人に対する
救急出動回数の増加,あるいは建物の大型化・多様化に対して
消防業務も非常に煩雑化し,また,市民の新たな需要も多岐に及んでおります。
このような時代の要請にこたえるためにも,わが党としては,前々から
消防業務のより一層の効率化を図る上から,公益法人の設立を提案してまいりました。6年度の事業として,財団設立に取り組まれたことに敬意を表するものであり,また,今後の活躍に大いに期待をするものであります。
そこで,この資料によります財団の概要は,防災に関する知識,技術の普及を図り,市民の安全と福祉の増進に努めることを目的とするのだと。そして,
事業内容としては相当ありますけれども,二,三拾ってみますと,市民に対する
応急手当ての普及啓発に関するもの,二つは
防火管理資格講習会等の
各種講習会の開催,あるいは
消防車等の車検整備あるいは機材整備,それから,事業所に対する消火,通報,
避難訓練の指導などの業務を行うものであると。ほかにもございますけれども,この財団は
消防業務あるいは予防業務の効率化を図り,リストラを目指すものであると同時に,
行政権限にかかわる業務が非常に多いと聞いております。
そこで,数点についてお伺いいたします。
第1点目は,出捐金3,000万円をもって
協会設立とございますけれども,初年度の
委託事業費はどの程度を見込んでおるのか,また,将来にわたってどの程度の事業を目標としているのか,お示しをいただきたいと存じます。
第2点目は,協会の
職員構成の計画を見ますと38名でございます。そのうち,20名が
消防職員の派遣であるということを聞いております。
派遣職員が5割を超えるものでありますから,理由があると思いますけれども,どのような背景によるものか,お示しを願いたいと存じます。
3点目は,財団で行う業務によっては,
消防職員でなければ執行できない,いわゆる
行政権限を伴う部分があると聞いておりますが,この点についてどのように取り扱うのか,お示しを願いたい。以上,3点でございます。
◎笹森
管理部長 私から3点についてお答え申し上げます。
初年度の事業費は,いわゆる事業費だけで申し上げますと1億3,000万でございます。そのうち,いま先生がおっしゃられました市からの
受託事業は1億6,000万でございます。
将来的な事業についてはというご質問でございますが,それにつきましては,今後,いろんな形で事業を進めてまいりたいと思っています。この
受託事業の拡大もさることながら,特に
収益事業の拡大に鋭意努力してまいりたいというふうに思っております。
それから,2点目の
派遣職員に対する考え方についてでありますが,先生からいまお話ございましたように,財団の業務は主に消防局からの受託業務でございます。この業務を行うに当たりましては,消防局と財団との連携などが大変重要でございます。そういうことから,財団の運営が軌道に乗るまで,それに必要な人員を派遣しようとしているものでございまして,そうしたことから,
派遣職員の人数につきましては,発足後5年以内に,役職者を除き逐次減じてまいりたいというふうに考えております。
それから,3点目の
行政権限にかかわる消防局と財団との役割分担でございますが,例を挙げますと,
先ほどお話のございました市民に対する
応急手当ての
実技指導や
防火管理者の講習会,こういうものにつきまして,財団で行うのは講習会の受付とか案内とか
実技指導でございます。その
実技指導等が終わった受講者に対する
終了証書等につきましては,消防局が交付することにしてございます。
また,ホテルや病院等の
防火管理体制の研修につきましては,
自主消防隊が実施します
防火訓練で119番通報,
初期消火,
宿泊者等の
避難誘導といった一連の訓練が,所定のマニュアルどおり実施されているかどうかを確認する業務,この業務については財団が行い,その結果につきましては,消防局が
自主消防隊に対して,その対応が適切かどうかを判断して指導していく考えでございます。
したがいまして,これら業務の企画立案あるいは
行政権限に基づく
行政指導等につきましては,従来
どおり消防局が行なっていく考えでございます。以上でございます。
◆森 委員 どうか設立の実を上げるように,よろしくお願いを申し上げます。
そこで,提案と申しましょうか,要望でございますけれども,いま国におかれましても,あるいはこの委員会においても,札幌市の第三セクのあり方というものが非常に論議をされまして,特に第三セクの経営のあり方というものが非常に厳しいということで,経営をしっかりとやっていただきたい。
特に,事業の中でも
独自事業の拡大ですとか
自主事業の拡大を図って,大いに収益を上げながら,健全な札幌市の
防災協会の運営が行われるように,特段のご努力をお願いしたいということを申し上げまして,質問を終えます。
◆佐々木[肇] 委員 私は,高齢者の
防火安全対策についてお伺いをいたします。
日ごろより市民の生命,身体,財産を守るために,また,全道の72
消防本部のリーダーとして先駆的な,そして先進的なお取組みをされておられる消防職・団員の皆様方に感謝を申し上げますとともに,今後に大いに期待している一人であります。
ところで,間近に迫る本格的な
高齢化社会に備えまして,本市にありましては,21世紀に向けた長期的な
高齢化対策として,その方向を明らかにした札幌市
高齢化対策指針というものが平成3年7月に策定されまして,これをもとに,消防局でも平成5年には全署員に対する
指導マニュアルとも言うべき
高齢者等防火安全対策指針というものを策定いたしまして,
査察指導を中心に生かしているというようにお伺いしておりますが,このことは大変心強く思うと同時に,消防局の果たす役割には非常に大きなものがあるのではないかと,このように感じているところであります。
さらに,平成3年の
決算特別委員会では,わが党の伊藤議員が,110番通報の際,その通報場所が瞬時に
消防指令台の画面に表示される
発信表示システムの導入を要望いたしておりましたけれども,これも平成6年度の予算に盛り込まれるなど,
出動指令の迅速化という観点で,
消防施策としての
高齢化対策というものを一つずつ実現しようとしているところでありまして,大変心強く思っているところであります。
そこで,まず1点目に,
発信表示システムは
高齢者等への
防火安全対策,
救急対策などを含めまして,きわめて効果が期待されるものでありまして,一日も早くその導入が待ち望まれているものでありますが,いつごろこの運用が開始できる予定なのかをお伺いします。
続きまして,消防局におきましては,高齢者やお体の不自由な方々の
防火安全対策というものについて,予防の重点施策に取り上げ,いろいろな対策を講じられていると思うのですけれども,具体的にどのように取り組まれておられるのか,まずお聞きしたいと思うのであります。
◎野村 警防部長 私からは,1点目の
発信地表示システムの運用開始時期につきましてお答えをいたします。
現在のところ,このシステムの本格的な運用の開始時期は平成7年3月ころを予定してございますが,試験運用を含めまして,実質的な運用をできるだけ早くしようということで,現在,
作業工程等を調整しているところでございます。以上でございます。
◎近江
予防部長 2点目の
高齢者等に対する防火安全の取組みについてお答えをいたします。
消防局では,毎年の重点施策に掲げ取り組んでいるところでございます。特に,平成2年からは本市独自の取組みとして,毎年2月に高齢者及び身体障害者防火安全強化期間を設定しまして,その期間中に
特別査察を行い,
火気設備や暖房器具の点検,たばこの始末など,火災予防上のチェック,さらにパーソナルコンピューターを使用した住宅防火安全等の診断を行いまして,各世帯ごとに適切な防火指導を行なっているところであります。また,春,夏,秋の火災予防運動などを通じまして,各町内会や地域の防火団体等の方々とともに啓蒙行事を行なっているほかに,民生委員の方々,それから在宅老人巡回相談員の方々,老人家庭奉仕員の方々を対象とした防火研修会を開催し,協力をお願いしているところであります。さらに,火災発生時の対応といたしましては,
出動指令時に高齢者や身体障害者などの情報を瞬時に出動隊に周知できるように,迅速な救助・救出活肋等の体制の確立を図っているところであります。
なお,先ほど委員からお話のありました
発信地表示システムの運用後には,さらなる消防活動の早い対応ができるものと考えているところであります。以上であります。
◆佐々木[肇] 委員 ただいまお聞きしますと,
高齢者等の安全対策については,全局を挙げて非常に熱心に取り組んでおられるということがわかりました。
私は,今後の社会動向の中で,消防局がさまざまな努力をされているにもかかわらず,現実にはちょっとした不注意だとか油断で火災が発生し,しかも,過去10年間の火災による死者の統計を見ましても,全死傷者のうち,自殺者による死傷者を除いても,65歳以上の年齢層が20%以上を占めているという現状にあり,非常に高い割合でお年寄りがその犠牲になっているということも現実であります。
火災を予防するということはきわめて基本的なことでありまして,火災をいろいろな対策をもって防止しようとされることは非常なご努力と,また,その成果もいろんな形であらわれているのではないかと思いますが,私は,予防と,そして同時に火災や救急事態というものが発生したときに,いかに早く消防に通報,連絡ができるかということが大きなポイントではないかと思うのであります。とりわけお年寄りにとりましては,今後,高齢化が進む中で通報のシステム化というものが急がれるのではないか。
私の調べによりますと,現在,民生局でペンダント式の緊急通報システムというものが普及しつつあると伺っているのでありますが,これは非常に意義ある取組みだと私は思うのであります。加えて,導入するときは民生の予算,それを運用というか,ソフト面で活用しているのが消防局と。こういういう取組みは,とかく縦割り行政と言われる中でよくやっておられるなと,調べるに従いまして心から敬服した次第であります。
この緊急通報システムは,現在,24時間体制である消防局が第1通報先となって対応されているところでありますが,この緊急通報システムの設置状況は,現在どのようになっているのか。また,昨年の通報状況とそのときの対応がどうであったのか,まず第1点お聞きしたいのであります。
2点目といたしまして,これらペンダントの緊急通報システム以外に,
高齢者等からの通報システムとして取り入れられているものがありましたら,その具体例,そして運用状況についてもお伺いしたいのであります。
3点目は,このシステムが制度化したのは昭和63年と伺っておりますが,平成2年に消防局の配意で第1通報先が,最初は地域協力員というのでしょうか,そういったところが通報先だったそうでありますが,それが消防局のほうに変更されたと聞いております。一歩前進したのだと私は評価しているのでありますが,今後,このシステムをより多くの
高齢者等の世帯に普及していくことが最も望ましいと考えておりますが,これらの設置促進ということについて,消防局としては基本的にどのような考え方をお持ちなのかお伺いしたいのであります。以上です。
◎野村 警防部長 お答えをいたします。
1点目の緊急通報システムの設置状況と通報状況並びにその対応でございますけれども,まず,設置状況といたしましては,ことしの2月末現在で,ひとり暮らしのお年寄りの世帯に333台,それからお年寄りのご夫婦の世帯に17台,それからひとり暮らしで非常に重い障害を持つ方の世帯に35台,合計385台を設置してあるところでございます。また,それらからの通報状況でございますけれども,平成5年中には200件ございました。
そのうちの29件につきまして,29人の方を急病等で救急車で病院に搬送したところでございます。残りは過って機械を操作したと,そのような原因によるものでございました。
それから,2点目のペンダント方式によります通報システム以外の通報システムでございますけれども,電話で通報ができない聴覚の障害を持たれた方の災害あるいは救急に備えまして,昭和60年5月から,受信専用のファクシミリを消防局の窓口でございます指令情報センターに設置をしております。現在は602世帯の方々からの通報を受信できる体制をとっております。
なお,このシステムでは,昨年に限って申し上げますと,1件の救急出動の要請がございまして,これに対応しております。
それから,第3点目の緊急通報システムの普及促進に対する消防局の考え方ということでございますが,ただいま委員からご指摘いただきましたとおり,高齢者の世帯等で,火災や救急事象が発生した際には,きわめて有効な手段であるということを私どもは重々認識をしているところでございます。しかしながら,これは厚生省の補助事業でございますので,これを貸与する基準であるとか,あるいは補助金額にもいろいろと制約がございますことから,消防局といたしましては,国への働きかけも含めまして関係部局と十分検討をしながら仕事を進めていきたいと,このように考えているところでございます。
◆佐々木[肇] 委員 3点目の問題でありますが,緊急通報システムの普及ということについて,予算関係も含めて役所の厚生行政,
消防行政と,そのようにまたがるものですから,難しい点はたくさんあると思うのでありますが,新しい取組みとして検討しなければならないという気持ちはよくわかりました。
私は,今後の取り組むべき課題といたしまして,三つほどちょっと箇条的に考えているわけであります。
まず第1点目は,予算導入化に伴う新しい検討と,他部局との連携を密にして,先駆的な役割を消防が主体になって取り組んでもらいたいと,このように思うのであります。ゴールドプランを見ましても,民生は大変な取組みを今後しなければならないわけであります。それで,やはり消防局として取り組めるものがあるならば,積極的に取り組むべきであると私は思うのであります。
私ここに,資料を持ってきたのでありますが,民生局で調べました援護が必要な約8,000余の高齢者の方々の世帯を見ますと,実に1,202件が何らかのさらに踏み込んだ介助をしなければならない。在宅寝たきりでひとり暮らしの方がいる,それから在宅虚弱で障害者の方がいる。最小限に見積もっても,民生で調べた8,000のうち約1,000以上の方がさらに踏み込んだ救護,援護を必要としているという数字が出ております。そして,いま調べますと,300ちょっとしか緊急通報システムはなされておらない,これが実態であります。
さらに私は,災害弱者,単身高齢者の査察集計という資料を調べてみましたら,災害弱者は約1万3,000人以上いるのであります。そのうち80歳以上の災害弱者は2,479人いるのであります。
私は,
高齢化社会が進み,このような数字が示されている中で,300や400ぐらいの緊急通報システムではやはり対応できないと思うのであります。
予算も調べてみました。実際に約10万以上かかっているのですね。ところが,厚生省はこの事業を6万円の補助対象事業として,その3分の1,2万円ぐらいしか補助をしていないのであります。したがいまして,消防庁は自治省と一体となって取り組んでいるところでありますから,消防のほうで積極的に自治省消防庁に働きかけまして,これを有利な起債にいたしますと,交付税還元が50%といたしましても,かなりこちらのほうが有利なわけであります。こういう実態を踏まえて,民生局並びに消防局が一体となりまして,国に積極的な働きを示して,そしてこれが全道・全国的に広がっていくこと。私は,
高齢化社会でどうにもならなくなってからやるのではなくて,やはり先駆的に取り組むべきであると,このように思うのでありますが,第1点,これについてのご見解。今後の取組みの方向づけについて,民生局とどのように具体的な連携化を図るのか。それから,国との予算折衝について,どのように政治的に取り組もうとしているのか,お伺いしたいと思うのであります。
第2点目は,対象枠の拡大であります。
先ほどお話しいたしましたように,消防の調べだけでも80歳以上のお年寄りが2,500人近くいる。民生局でも,お年寄りを8,000人ほど調べて,危ないという人が1,200人以上いる。こういった中で無償貸与が多いようでありますから,非課税対象者であるとかいろいろあると思います。ですから,こういった対象枠拡大について,当面とりあえずシステム化を導入すべき対象枠が10%。民生サイドの調べでいうと,いま急がなきゃならぬのが10%であれば800近い,消防で調べている1万3,000人に対して80歳以上の方が2,500人もいるとするならば,これに対してまず10%を目標にする。そういうガイドラインというものを設定して,それに向かって具体的努力をするという取組みをしてはいかがかと思うのでありますが,消防担当者のご意見はいかがでありましょうか。
さらに,これを積極的に国に働きかけると同時に,本市の
独自事業として推進できないものか。これは,先ほどの財源問題もあります。財源がついたときにこうするでは遅いのであります。財源を何とか導入するのだという決意のもとに,たとえば,いま300人や400人のシステム化の中で,消防のキャパシティー,受入れ,表示板だとかこういったものが対応できなくなると思うのですよ。800から1,000,2,000とふえていったときに,いまから受入れの対応というものも準備しておかなければならないと。また,その予算も必要だと思うのですよ。
ですから,そういったことについて
独自事業化を図るために,その執行体制も含めて,先ほどの
防災協会の活用もありますし,そういったことも含めまして,今後どのように具体的に推進していくのか。内部協議も今後進めると思います。他の部局との連携も深めなければならないと思います。私は,これは非常に大きな意味があると思うのです。役所で言われている,いわゆる縦割り行政の枠を超えて,民生と消防とが一体となって進めていく。
消防行政として日ごろ査察で一軒一軒歩いて,ひとり暮らしのお年寄りのうちの中まで入ってお年寄りに接しているのですよ。こういう消防の生きた情報を市政によりよく生かしていくためには,他局との連携をもっと深めていくべきだ。そして,とかく縦割り行政云々と言われるものを超えていくのだという,そういう取組みがこの
消防行政の中に潜んでいるのですよ。それをぜひ進めていただくことを私は強く要望し,先ほどの各条の3点について決意のほどを伺えればと,こういうことでご質問させていただきます。
◎中谷 消防局長 私からお答え申し上げます。
いまご指摘のとおり,これから
高齢化社会の中で,本市の高齢者の人口がだんだんふえてくる。そういう方々の生命・財産を守っていくということで,消防の果たす役割はこれから非常に大きくなると思っておりますし,また,火災は減少したものの,平成5年の実績は,火災死者が22名で前年より9名多かったということで,私ども消防としては,特に火災弱者と言われている方々を,いかに救済していくかということを今年度以降の重大課題として,各部局でさらなる検討を,いま詰めさせているところでございますけれども,ただいま委員のご提案ありました3点についてお答え申し上げたいと思います。
一番最初は,端的に言って,ペンダントを含めた緊急通報システムについて,消防局に所管がえはできないかというお話でございました。いろいろ実例を出されましたけれども,ただいま札幌市は,厚生省のいわゆる福祉行政の一環として,先生のお話のとおり,民生局が2万少しの国の助成を受けて,全体で20個弱の補助を受けながら,さらに単独の枠をふやしてやっている。しかし,それも非常に数が少ないと。一方,そういう実態の中で,自治省消防庁でもこれを普及させるための政策を持っております。それは,ご指摘のとおり,起債を対象にして,その起債償還に対する交付税措置ということであるわけですが,道内にも自治省所管のほうで進めている都市もございます。
ただ,国の指導といたしましては,札幌市が先に厚生省の制度にのっとって,そして福祉行政の一環として進めてきた経緯がありまして,両方を受けるということは国としてはまかりならぬと。いわゆるダブルで受けることもできませんので,市としては一応厚生省の福祉行政の中で,今後,展開せざるを得ない。ただしかし,私どもとすれば非常に不満なことでございますので,これはやはり全国の消防長会とかいろんな会議の中で,厚生省の枠は枠で,福祉も結構だけれども,
消防行政としてもそういう道を開いてくれるように,今後要望していきたい,
厚生省所管の分を全部消防が引き受けるということではなくて,そういう道を切り開いていく努力をしていきたいと,このように思います。
それから,枠の拡大をもう少し真剣に考えられないかというお話でございます。
以上をもちまして,本委員会に付託されました全案件に対する質疑をすべて終了いたします。
次回の委員会は,3月28日午後1時から,付託されました全案件に対する討論及び採決を行いますので,定刻までにご参集ください。
本日は,これをもちまして散会いたします。
ご苦労さまでございました。
──────────────
散 会 午後3時41分...