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平成 6年第一部予算特別委員会−03月15日-04号
平成 6年第二部予算特別委員会−03月15日-04号

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  1. 札幌市議会 1994-03-15
    平成 6年第二部予算特別委員会−03月15日-04号


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    平成 6年第二部予算特別委員会−03月15日-04号平成 6年第二部予算特別委員会             札幌市議会第二部予算特別委員会記録(第4号)                 平成6年3月15日(火曜日)       ────────────────────────────────── ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 34人(欠は欠席者)     委 員 長  富 田 新 一 君        副委員長  飯 坂 宗 子 君     委  員  山 崎 七 郎 君        委  員  滝 沢   隆 君     委  員  湊 谷   隆 君        委  員  赤 田   司 君     委  員  水 由 正 美 君        委  員  伊与部 敏 雄 君     委  員  西 村 茂 樹 君        委  員  畑 瀬 幸 二 君     委  員  吉 野 晃 司 君        委  員  加 藤 隆 司 君     委  員  柴 田 薫 心 君        委  員  高 橋 忠 明 君     委  員  大 越 誠 幸 君        委  員  村 山 優 治 君     委  員  上瀬戸 正 則 君        委  員  三 上 洋 右 君     委  員  田 畔   満 君        委  員  唯   博 幸 君     委  員  丹 野   勝 君        委  員  春 原 良 雄 君     委  員  柿 崎   勲 君        委  員  義 卜 雄 一 君     委  員  田 畑 光 雄 君        委  員  青 木   護 君     委  員  室 橋 一 郎 君        委  員  道 見 重 信 君
        委  員  菊 田 勝 雄 君        委  員  小 川 勝 美 君     委  員  横 山 博 子 君        委  員  井 上 ひさ子 君     委  員  佐々木 周 子 君        委  員  山 口 た か 君   欠 委  員  菅 井   盈 君       ──────────────────────────────────       開 議 午後1時 ○富田 委員長  ただいまから,第二部予算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが,菅井委員からは欠席する旨,届け出がございました。  それでは,議事に入ります。  議案第13号 平成6年度札幌市病院事業会計予算及び議案第26号 札幌市病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案について,一括して質疑を行います。 ◆三上 委員  市立病院での医薬分業の推進についてお伺いをいたします。  医薬分業とは,患者の診療行為と,処方せんに基づく調剤,服薬指導などを,医師と薬剤師のそれぞれが分担し,医薬品の服用にかかわる安全性や有効性の確保を図る医療上の社会システムでありますが,医薬分業の欧米におけるこれまでの潮流,わが国のこれまでの経過についてたどり,質問に入りたいと存じます。  その起源は,1231年にフリードリッヒ2世という人がシシリー島で,医師と薬剤師相互監視責任分担のために5ヵ条の法令を制定したことに始まると言われており,その後100年の間にヨーロッパ各国で法制化され,現在,欧米諸国では大半が医薬分業となり,医薬分業という言葉さえないくらい当たり前のことになっているようであります。  しかし,日本においては,医師が薬師と言われた時代があるように,医師が処方し投薬しておりこのため西洋医学の移入と定着を進めていた明治政府は,投薬についても欧米式の医薬分業を志向し,明治8年に交付した医制において,医師たる者はみずから薬をひさぐことを禁ずと規定しましたが,この時点では,受け皿となる薬剤師または薬局の体制が全く整っていなかったことから実効性はなく,一方でまた,願いにより薬舗開業の仮免除を授け,調薬を許すという条項を入れて,従来どおり医師の投薬を認めたのであります。  その後もさまざまな改革が試みられましたが,実質的な進展がないままに推移し,昭和31年にいわゆる医薬分業法,薬事法,医師法,歯科医師法などの改正が施行されたことによってようやく土俵ができ上がったと,こう言えると思うのであります。それでも,医師が処方せんを発行しなくてもよい場合の例外規定が設けられていたために,目に見える形での進展は見られなかったわけであります。  しかし,その過程においては,処方せん料の引上げもあり,昭和49年ごろから医薬分業のムードが一気に盛り上がってまいったのであります。  しかし,この時点における院外薬局は,医療機関もしくは関係するいわゆる第二薬局が多く,処方せん料と薬局における調剤料の二重取り,あるいは脱税行為として問題となり,一時の分業熱も冷め,処方せん発行枚数の伸びも鈍化したのであります。  こうした経緯があるにもかかわらず,ここに来ていま再び医薬分業が注目されるようになったのであります。それはなぜでありましょうか。医薬分業を推進しようとする背景の一つには,服薬指導の徹底や薬歴管理重要性の増大であります。  高齢者人口の増大に伴って,急性期疾患中心から慢性期疾患中心へと疾病構造が変化しており,多病息災あるいは病気との共存が言われるようになっております。このため,特に多くの病気を抱える高齢者の中には,幾種類もの薬を服用しており,あるいは複数の医療機関に通院するといった人が増加して,重複投与や,先日14人の死者を出した抗ウイルス剤ソリブジンによる相互作用の例などから,服薬指導薬歴管理重要性があらためて認識されたからであります。  しかし,さらに重要なことは,現行の出来高払い医療制度のもとでは,院外処方医療費をますます増大することになって,医薬品の効率的かつ適正な使用の確保を図りながらこれを抑制していくためには,医薬分業をより一層推進していくことが必要と考えるのであります。  したがって,医薬分業に対しては厚生省も並み並みならぬ取組みを示しておりますし,さらにまた,日米構造協議において市場開放の観点からも医薬分業が要請されていることも,推進の大きな要因の一つであります。ちなみに現在,北大では75%,医大では43%が院外処方を行なっております。  そこでお尋ねしますが,このような状況を踏まえて,市立病院としてはどのように今後医薬分業に対応しようとしているのか。  2点目でありますが,一般の病院もすでにかなりの院外処方を実施しているところがありますが,自治体の他都市,指定都市も含めて状況をお伺いしたいと思います。まず,以上2点でございます。 ◎手戸 病院長  お答え申し上げます。  まず,第1点の医薬分業の対応についてでございます。  医薬分業は当然の流れと考えております。私も早い時期に外国におりまして,その流れをこの身で体験しております。  市立札幌病院といたしましても,処方せんの様式あるいは手続の整備など,希望する患者さんにはすでに院外処方を発行しております。現在,月60枚から70枚で推移しております。  しかしながら,これを推進するに当たりましては,いろいろな問題がございます。市立病院はご存じのように,財政経営上は公営企業法の適用を受けておりまして,法的には独立採算の原則に縛られ,北大や医大とはやや異にしております。現時点では仮に10%の院外処方を実施したといたしますれば,約4,000万円の赤字になり,現在新病院を建設中であり,これ以上財政計画を悪化させることは避けたいというふうに考えております。  さらに,薬歴管理重要性医薬分業の柱の一つではありますが,これを実現するためには,病院と地域薬局とのより広くより高度な情報ネットワークの整備が必要と考えます。  一方,患者さん側に立ちますと,複数の診療科を受診する患者さんが多いことなどから,現状では経済的負担増と二重手間を強いることになり,結果としては患者サービスをそぐことにもなり,希望者のみの現状でもいろいろの苦情が寄せられているところであります。  それで,全国的な院外処方発行状況でございますが,全国都市市立病院薬局長会議の調査では,平成5年3月の時点におきましては,107病院のうち,発行率ゼロが71医療機関66%,1%未満が17病院16%であり,ゼロから1%の両方合わせますと82%となっております。この中で10%を超えておりますのは,名古屋市立病院東京都立病院であります。  107病院のうち,政令都市市立札幌病院とほぼ同規模の川崎市立病院におきましては0.3%,京都市立病院におきましては1%と,名古屋,東京都立とはかなり異にしておるわけでございます。 ◆三上 委員  それでは後半に入りたいと思いますが,この問題については,わが自民党会派の政審会の医療担当メンバー,私もその一人でありますが,過日,医大病院を視察し,さまざまな角度から担当責任者の説明を受け,院外処方に至るまでの経緯について学んでまいりました。  それによりますと,医師,薬剤師看護婦,事務局の間で幾度となく周到な準備を重ね,カルテの統一などを含め問題点を整理し,また薬剤師会との協力など,綿密な協議のもとに実施に踏み切ったと,そのようなことでございます。その結果,院外処方のスタート時には,なれないため苦情も多少あったが,いまでは全くないと,こういうことであります。また,当初は10%台,正確には平成2年18%で始まったのですが,4年間で現在の43%に至ったと,こういう数字になっております。  先ほどの答弁で,希望者だけにしても,これらの準備とかスタッフの連携,あるいはまたふなれによるもの,そしてまた患者側にも同じようにふなれなことから相当の苦情があるのでしょうけれども,まだ本格的に踏み切っていないわけですから,病院側の体制が整ったとしたらこれは当然解消されると,そういうぐあいに私は思うのであります。  答弁にありました病院と地域薬局,あるいは高度な情報ネットワークというのは,当然それらの準備の中に組み込まれておりまして,これをクリアした実績が43%と,こういうことになっているわけでございます。また,私どもは薬剤師会にもお聞きしましたが,十分受入れはできると,こういうようなお話も伺っております。  それから,院外処方を実施すれば4,000万円の赤字になると。もしそうだとすれば,これはいまご答弁の中にありましたように,病院建設ということもありますから大変なことだと思うのであります。この計算方式を私なりに考えてみたのですが,単に,市立病院におけるいま薬価差益が8億円,こうなっております。この半分が外来の4億円で,それの10%が4,000万円であると,多分こんな試算をしたものと,こう思うのですが,私の計算ではそうはならないのであります。それは薬価差益減少傾向であります。平成6年4月,間もなくでありますが,薬価基準は6.6%引き下げられます。したがって,4月以降の薬価差益は減少するわけでございまして,6.6%といいますと約1,000万円ぐらい,これによって変わるであろうと,こう思うのであります。  二つ目には,薬品代が比較的低い診療科,たとえば眼科,耳鼻科,皮膚科,整形外科,小児科などは,薬品による利益よりも処方せん発行料,これ現在740円だと思うのですが,この4月から20円アップして処方せん1枚書くことによって760円入る,こういうことでございます。  私どもの大越議員,近くの眼科に参ったそうであります。暗に院外処方でいいですかと言われたので,こちらのこともありますから,はいということでお支払いして,薬局へ行ったところ,薬1個くれて120円払ったと。しかしこれは処方せんを書くことのほうが,いま言ったように760円入るわけですから,こっちのほうがプラスだと,こういうことになるわけでございます。  三つ目でありますが,院外処方せん発行により生じた薬剤師マンパワー病棟業務,これに向けることができる。これはまた400点業務が,400点と言うと4,000円なのだそうですが,今度これが4月から600点になって6,000円になると,こういう収入も入ってくるわけでございます。  また,薬剤師病棟業務を行うことによって病棟の薬品管理がきちっと整備される,在庫,そういうものが管理されるというプラス効果があるわけでございます。  それから薬品購入,これ当然減るわけでございまして,それに伴う金利負担の減少と,こういうことも考えられる。  さらにまた6番目には,院外処方せん収入,先ほど申し上げましたけれども,この760円が,市立病院ではおよそ30万枚1年分に処方せんを書くであろうと。そうすると2億2,800万円になるわけであります。これの10%ですから,ここで2,880万円浮く。先ほどの1,000万円,そのほかもろもろのことから計算すると,これはプラスになるであろうと,こう思うわけでございます。また,医大でも実際に800万円から900万円のプラスになると,このようなことを言っております。  また,他都市の状況でありますが,私の手元の資料によりますと,これは議会事務局の調査係に調査を依頼したわけなのですけれども,秋田県の大館市立総合病院は16.5%。そしてこれは平成5年2月に開始しておりますが,微増であります。青森県の八戸市立病院も微増。そのほかたくさん微増のところがありますし,先ほど名古屋市立病院が15%になっておりますが,議会事務局を通じて調べていただいたのでは16.9%,それから城西病院が17.9%,このように非常に自治体病院はかなりの数に上って効果をあらわしている,こういうことであります。  このように医薬分業が再び急速に進展しつつある理由は,先ほど述べましたけれども,医療機関における経営環境の変化,それから薬価算定方式の変更,薬品流通適正化策の実施による薬品差益圧縮傾向,いま言ったことでありますが。あるいはまた医療の質の向上や人材難に伴う院内業務合理化,効率化などの要請などにより院外処方を考えざるを得ない,こういう方向に来ていると私は判断しているわけであります。  とりわけ薬価差がいま申し上げましたように基準の改正で15%になると。そして,これ以降も薬価基準改定ごとに13%,あるいは11%,最終的には10%になる。厚生省からそうするとの方針が明示されているわけでございまして,このことは医療機関における院内処方メリットが大きく薄れることを意味しております。  さらにいま,これも先ほど申し上げましたが,薬剤師の400点業務を600点に上げる。これは薬剤師入院患者服薬指導やケアを行なった場合,6,000円入るということでございます。  そしてまた,点から面への拡大を目指して厚生省では,医薬分業推進支援センター整備事業というものをスタートされていると。国もいろいろな施策を講じているわけでございます。  また,過去のわが国の医薬分業論は,どちらかというと主としていま言ったようなお金の計算,経済面からやっぱり展開されてきたわけでありますけれども,しかし,今日ではインフォームド・コンセントや医薬品の安全性の確保の視点からその重要性が論じられるようになっているのでありまして,これは必要に迫られた一つの時代の潮流であると私は認識しているのであります。  そこで,あえて企業会計としての経済的視点からお尋ねしますが,薬価差益が15%を切ったら院外処方に取り組むべきと,いま言ったようなことから言われているのですが,どうして市立病院の場合そのようにならないのか。まず,これが1点であります。  2点目には,今後の方向として新病院移転後はどのように医薬分業を考えているのか,進展させようとしているのか,この2点をお伺いしたいと思います。 ◎手戸 病院長  お答え申し上げます。  まず,経済的視点から見ての検討ということでお答え申し上げますが,薬価差益が15%を切ったら,一般的には経済面で分業のメリットがあるというご指摘でございますが,この場合は薬剤師の削減を前提にしたものであります。薬剤師の定員は,ご存じのように80調剤に関して一人ということが定員化されておりますが,この薬剤師の削減を前提にしたものであり,市立病院は地域の中核病院としての高度医療を実践していくためには,医師,看護婦薬剤師などが一体となったチーム医療の実現を不可欠としており,これを目指しております。この場合,薬剤師の役割もまた重要でありまして,現在,短絡的にその数を削減することはできないことから,単に薬価差益15%を切ったから分業のメリットが出ると,簡単にはそう分析はできない面があると思います。  次に,調剤技術基本科いわゆる400点業務でありますが,市立札幌病院におきましても,試行は部分的ではございますがすでに実施しております。現状では月に40万円程度の収入が見込める程度にありますが,これが600点に上がったとしても,採算的にはまだまだの実情にございます。  さらに,先に申し上げましたチーム医療の実現という観点から考えますと,院内医療スタッフの調整,連携のあり方に関しましても,新病院開設時をめどに検討を深めていくつもりでございます。  それから,移転後の対応はいかがかというお尋ねでございます。移転後は,患者本位の医療が当然主眼となるべきでありますが,院外処方メリットであります面分業つまり面分業と申しますと,処方せんを発行する複数の医療機関から複数の調剤薬局でその対応がなされるというのを面分業,これに対して点分業は,1個の医療機関からの処方を1個の薬局が担当すると,こういった面・点という分け方がございますが,私どもの市立札幌病院は,当然,面の状態に置かれるわけで,つまりこの受け皿であるべき保険,薬局の整備状態を見きわめる必要がございます。  これらの諸条件が整備されることを目指し,市立札幌病院としても医師会薬剤師会ともども関連機関と連携をとりながら,適切な医薬分業の実現に向けて今後とも努力してまいりたいと思っております。以上,お答え申し上げます。 ◆三上 委員  大分前向きの,というよりも,本当に真剣に考えているというご答弁をいただいたわけでありますが,最後に私,要望しておきたいと,こう思います。  ただいまのお答えによりますと,薬価差が15%を切っても,薬剤師等のいろいろな処遇の問題,それらのことがあるので分業のメリットがそれで出たということは言えないのではないかと,こういうことでありますけれども,なるほどそういう難しい面もあると思います。  ただ,分業によって余剰となった薬剤師をやめさせるとか,そういうことではなくて,私がさっきから申し上げているように,これらの薬剤師の方々に本来の薬剤師の任務についてもらうといいますか,いま現在では薬局で調剤をしているだけが任務のようで,ほかのいろんな事務的なものは当然あると思うのですけれども,それだけでなく,病棟業務に向けること,これでほかの問題も解決できると私は思うわけなのです。  それは,現在,看護婦過重労働,あるいはまたその不足,いろいろ取りざたされ深刻化しているわけでございますけれども,現在,ほかの病院でも大抵そうでございますけれども,ナースステーション看護婦いろいろ薬の仕分けしたり詰めたりやっております。また点滴も調剤しております。それらのことは本来薬剤師の仕事である。それらをやることによって,あるいはまた患者のケアをすることによって,600点業務といいますか,この収入があるわけでございまして,それによって,看護婦過重労働というものをある程度は解決できるのではないかと,そういうことで少しでも役立つと,このように私は考えるわけでございます。そういうことこそ本当の合理化で,やめさせるのが合理化ではなく,適正な配置をさせていくと。そして,薬剤師薬剤師の任務を,さらにより以上責任と自覚を持って業務に当たってもらう。看護婦さんにもそういう立場で働いてもらうと。もちろんドクタードクターの立場でやる,そういうことが大事なのではないかと考えているわけでございます。  ただいま院長から,新病院移行時を目途として医薬分業を図ると,しかも点から面へと,まことにもって理想的なことであると私は思うわけであります。ぜひともこれは時代の要請でありますので努力をしていただきたい。  特に市立病院は125年の歴史を持っていると。お聞きしたところ,北大医学部より20年も早く開設し,さらにはまた北海道の医師国家試験市立病院が行なったときがあったのだと。そしてまた北大教授,医学部のほうにも市立病院出身者が大勢就任しているのだと。きのうの衛生局の理事者の答弁ではないですけれども,まさに栄光の歴史を歩んでいる名門であるわけでございまして,医療の先駆的役割を担った病院として位置づけられていると,それだけ皆さんは期待していると,こう思うわけでございますが,ぜひこの立場を発展させるためにも医薬分業の推進にご努力をいただきたい。強く要望して終わります。 ◆義卜 委員  それでは私のほうから,医療費未収対策と,新しい病院におきます相談窓口の一元化,そして手話通訳者の配置についてお伺いをいたしたいと思います。  まず,1点目の医療費未収対策でございます。  これは私,ちょうど1年前の当委員会におきまして,医療費未収対策というのは,世の中の公平を期すという観点からきわめて大事な問題であると。時効が5年間ということでございますけれども,徴収は時間がたてばたつほどだんだん困難になるということで,直接未収の方々を訪問してはどうかということも含めまして,改善策を申し上げたところでございます。  医療費の未収金の発生件数,それから不納欠損状況,そして他都市の徴収体制徴収方法などをお聞きしましてその改善策を伺ったところでございます。ちょうど1年経過してございますので,その後の推移を踏まえまして,2点についてお伺いをしたいと思います。  まず,1点目でございますけれども,市立病院におきます最近の医療費自己負担分未納状況,それから過去5年間での年度別件数及び金額についてお示しを願いたいと思います。  それから,質問の2点目でございますが,先ほど申し上げましたように,徴収方法の改善ということで,直接訪問を提案させていただいたわけでございますけれども,これに対しまして佐々木理事のほうからは,時間がたてばたつほど未収分の徴収というのは難しくなっていると。したがいまして,早急に手を打つことが必要であると。直接面談をしてしかるべき方法を相談し合うということを検討して,今後,現行の体制を強化してまいりたいと,このような旨のご答弁があったと思います。  そこで,先ほど申し上げましたように,1年たって,その間,直接家庭を伺って徴収をされたということを仄聞しておるわけでございますけれども,その訪問徴収の内容と,そして状況,結果についてお伺いをいたしたいと思います。  特に,この直接訪問によりまして受領した金額はどれほどあったのか。  そしてまた,期間中,督促効果によって受領した額についてもあわせてお示しを願いたいと思います。  それから,二つ目相談窓口の一元化と手話通訳者の配置についてでございます。  新病院いま建設中でございまして,いよいよ来年の10月には完成をするというところまできておりまして,今後いよいよハード面から,いわゆる運営面に携わるソフト部門の整備がきわめて重要になってくるのではないかと思っております。  そこで,これまで市立病院というのは,狭隘ということもあるのでしょうけれども,相談の業務が各個ばらばらになっておって,市民の側からしますと非常にわかりづらいということがございました。一つの病気で病院に伺うのでしょうけれども,そのほかにいろんな問題を抱えてその病院を訪問するというケースもございまして,あっちへ行ったりこっちへ行ったりということが間々あったわけでございます。  そこで,新病院においてこのような問題に対してどのように対応されようとしているのか。相談窓口というものをこの際一元化してはどうかというふうに思うわけでございますけれども,この点についてのご見解を伺いたいと思います。  それから,もう1点でございますけれども,先般,私ども公明党市議団としまして,聴覚の障害を持つ方々との懇談をする機会がございました。いろんな要望があったわけでございますけれども,その中の一つに,市立病院の中にぜひ手話通訳者を配置してほしいという強い要望があったわけでございます。これまでも病院のほうにもそういう要望はあったかと思いますけれども,この際,聴覚の障害を持つ方々が安心して病院訪問できると,このようなシステムをつくってもらいたいと思うわけでございますので,今後の手話通訳者の配置計画についてお伺いをいたしたいと思います。以上でございます。 ◎佐々木 理事  1点目の未収金の状況についてお答えいたします。  過去5年間の件数及び金額でございますが,平成元年度未収金の件数は212件,817万2,668円でございます。平成2年は215件,407万6,134円。平成3年度は391件,523万563円。平成4年度は229件の727万1,757円。平成5年度は318件の1,481万7,682円でございますが,平成5年度につきましては1,400万円という形で倍にふえていますが,これは今年度中に入る予定の金額も現時点ではまだ未収になっているということで,額全体としては微増といいますか,多少ふえつつありますが,例年並みの金額になるものと思っております。  それから,前回の委員会でご指摘がございましたように,市立病院では,体制強化ということで訪問徴収を実施させていただきました。実施の時期は平成6年1月17日から1月30日までの,休日2日間を含む11日間を当てました。これは,ボーナスをもらった後ということも考えたものでございます。  それから,徴収体制でございますが,昼間は午前9時から5時まで,夜間は5時から午後8時まで,人数といたしましては23班編成いたしまして,延べ46人で実施いたしました。  その結果,訪問徴収をして直接その場でいただけた金額と件数ということでございますが,その場でいただけましたのは,16件の17万5,925円でございます。  ただし,この結果,後日,電話やあるいは郵送によって払い込んでいただけることになりましたのが,合計いたしまして88件の64万2,555円がその成果となってございます。  全体といたしまして1,900万円ほどの金額を対象に徴収に歩いたわけでございますが,徴収できたそのものの額は,64万2,000円程度でございましたが,これは今後につなげて,訪問徴収の成果といいますか,未納の回収に期待していくように頑張っていきたいと思っております。以上でございます。 ◎重松 看護部長  相談窓口の一元化についてでございますが,現病院におきましては,一般医療相談を初め,看護,服薬,栄養,交通事故などの相談について,老朽かつ手狭なためにおのおのの場所において相談を受けており,ご指摘のようなご不便をかけております。  そこで,当院といたしましては,新病院のオープンにあわせまして,より一層市民のニーズにこたえるために,相談窓口の一元化を図りたいと考えております。このことにより,複数の問題が一度に解決し,かつ迅速に終えることができますことから,相談される方々のご期待にそえるものと確信しております。  次に,手話通訳者の配置についてでございますが,新病院では相談窓口の一元化を計画しており,手話通訳者の配置についても,不便をおかけしないようにと考えております。  なお,具体的な配置計画の検討は,今後進めてまいる予定でございます。 ◆義卜 委員  後段のほうの手話通訳者の件でございますけれども,具体的な配置計画はこれからということでございます。どういう形で手話通訳者を配置されるかわかりませんけれども,ひとつ市民の方々,聴覚障害の方々にとって,使いやすいような配置計画をぜひお願いをしたいと思います。  そこで,未収対策の件でございますけれども,大変な苦労をされて直接訪問されたと思います。この中の何人かの方は直接訪問に出歩かれたかと思いますけれども,この場をおかりしまして感謝を申し上げたいと思います。  いまのご答弁は,勤務時間内も含めて,勤務時間外とか,あるいはお休みとか,いろいろやりくりをしまして出歩いてもらったわけでございますけれども,いまご答弁ありましたように,市外で153件,市内が17件と,合わせまして延べ170件ということでございます。直接徴収できたのがそのうち16件であったと。徴収率で見ますと,件数がわずか9.4%であったと,1割弱であったということですね。金額で見ますと,訪問徴収対象額総体として1,905万6,536円あったわけでございますけれども,直接徴収できた額は,期間中の口座振込,あるいは窓口での受領を含めても64万2,555円ということでございました。したがいまして,徴収率はこれまた3.4%ということでございまして,ご苦労はあったわけでございますけれども,必ずしも十分な成果を得ることができなかったのではないかと考えます。このことを逆に裏を返して言いますと,未収金というのはいかに回収が困難であるかということだとは思います。  そこで,今回のこういう直接訪問のことを通しまして,評価と申しましょうか,健全経営を目指す病院でございますので,今回の直接訪問,徴収に対しましてどのような評価を持っておられるのか,まず1点お伺いしたいと思います。  それから,2点目でございますけれども,今回初めて実施されたわけでございますけれども,今後,この未収対策に向けて,未収金の回収に向けて,どのような徴収対策を考えておられるのか,この点についてもお伺いをいたしたいと思います。 ◎佐々木 理事  訪問徴収の評価と今後どのような対応を考えていくのかというお尋ねでございますが,先ほどもちょっと申し上げましたが,今回初めての実施ということで,年末のボーナス時期を一つのめどに1月に実施したということでやりましたが,やってみましたら,実はなかなか1月というのは,交通,積雪の条件とか,職員が徴収に歩くのに非常に動きがとりにくいということもございますし,それから思ったほどボーナスの効果というのが期待できなくて,必ずしもいい時期ではなかったという結果に終わったのでないかと反省いたしております。  そこで今後は,より一層成果を上げるためには,こういうことを繰り返し実施していかなければならないわけでございますが,何分,条件のいい時期といいますか,一つは,たとえば具体的に申し上げますと,夏から秋にかけてやってみたらどうかというようなことも思っておりますし,それから,経済的な条件も含めまして,もっといい時期を検討したいと思っております。  ただ,近々病院は移転を控えているものですから,何分にも移転という問題の中で,最も適切な時期を選んで実施しなきゃならぬということもございます。それからご承知のとおり,病院の事務職員というのは全員で33人しかいない本当に小さな組織でございますから,平常業務をやりながら,33人の中から毎晩夜出かけていくということは,実は職員にとっても大変な負担になるわけでございます。その辺のところも重々考えながら成果の上がることをやっていきたいというふうに考えております。  それから,訪問徴収の評価については,ご指摘のとおり率が低うございますので,余り自慢できないわけでございますが,ただ,やはりもう一面の効果があったと,私は思っております。職員が日常意識している病院の赤字問題を,みずから訪問徴収という形で夜,外に出て行くことによって,やはり厳しさを再認識したといいますか,そういうことの効果というのもやはり見逃すことはできない効果であろうというふうに考えておりますので,これまで以上に,より積極的に訪問徴収についても取り組んでまいりたいというふうに考えております。以上でございます。 ○飯坂 副委員長  このような席からですが,ただいまの質疑の中で,新病院の総合相談窓口の一本化に合わせまして手話通訳者を配置したいと,そのような考え方が示されましたので,この際,聴力障害者の患者さんの受入態勢について,提言も含めて質問させていただきたいと思います。  病気になったときというのは,健常者であっても大変不安なものです。ましてやコミュニケーションの十分とれない聴覚障害者にとりましては,なお一層不安が大きい,こう言わざるを得ないと思います。何が原因で具合が悪くなっているのか,また,何科にかかればいいのか,そのようなことを直接,看護婦さんやお医者さん,そして病院の職員,その方たちに自分の口で聞くということができません。  そこで,こうした障害者がいつでも安心して病院にかかれる,そういう体制がどうしても必要であると考えますので,以下,4点質問いたします。
     まず,1点目ですが,手話通訳者の身分保障についてです。  昨年の予算委員会で,私は民生局の質疑の中で,本市の障害福祉部所管の専任手話通訳者の身分保障について取り上げました。現在,本市の専任通訳者の身分は,ご承知のように第2種非常勤嘱託職員であります。1年ごとの更新,そして10年たっても20年たっても昇給はなし,初任者と同じ扱いになっております。もし,このような条件で新病院に手話通訳者を置こうと考えているとすれば,これでは市立病院にふさわしい人材はとても確保できないと思います。  採用に当たって公募をしたとしても,だれでもかれでもできるというわけにはまいりません。一定手話通訳ができる方,その中から当然採用する,こう考えますと,本市の登録通訳者,専通も含めて約80人おりますが,この中から適切な人にお願いするということになると思います。そのときに,いまの仕事をやめてでも,生きがいを持って市立病院の通訳者になって来てもらう。そのためにはそれなりの身分保障がなければ,人材を確保するのはとても不可能だと考えられます。それは,本市の専任通訳者に欠員が生じたとき,なかなか補充されない,1年もかかった,こういう経過を見てもよく証明されていると思います。  ですから,新病院での手話通訳者採用に当たっては,きちんと正職員としての身分保障を行い,医療スタッフの一員として働くことができる,こういう体制をぜひとる必要があると考えますが,この点についてどう考えておられるのか,お尋ねをいたします。  2点目は,通訳者の配置に当たっては最初から複数配置が必要だということです。  手話通訳というのは,言語と手話という異なった言葉を同時に通訳することにより,著しく脳疲労を生じるものです。手話通訳者に頸肩腕症が多いのは,この脳疲労が原因だと言われております,1人体制のために重度の頸肩腕症になった,このような実例は,本市の専任通訳者の場合も,そしてまた全国的な例でも幾つか生じております。ですから,せっかく配置される通訳者が長く元気に働くことができるように,少なくとも3人体制からスタートし,十分な休みがとれる,そういった保障をする必要があると考えますが,通訳者の複数配置について計画がおありかどうか,お尋ねいたします。  あわせて,さまざまな病状の患者さんが病院に来るわけです。そうしますと,当然,男女両性の複数の通訳者が望ましいと考えられますが,この点についてもお尋ねをいたします。  3点目は,公衆ファクスの設置についてです。  市立病院手話通訳者が配置される,このようになりますと,当然のことながら聴覚障害者の患者さんが通院,入院を問わずふえるということが予想されます。その際に,公衆ファクスをぜひ設置してほしいという声が私のところにも寄せられております。  聴覚障害者というのは,コミュニケーションの機能に障害があるだけで,自分の足で歩き,自分の目で見て,1人で病院に通うことが可能なのです。そして病院に通訳者がいれば,病状もわかり,何をすればいいかもわかります。そこで,診断の結果をすぐに家族に知らせたり,あるいは入院中にさまざまな連絡を外部ととる際にも,健常者が公衆電話を使うと同じように,公衆ファクスがあれば自分で連絡をとることが可能になります。本市の障害者のための中長期計画の柱は,自立と社会参加と言われていますが,そうした観点からも,新病院には公衆ファクスをぜひ設置すべきと考えますがいかがかお尋ねします。  4点目に,病院内の電光案内についてです。  現在,薬局では,電光番号案内が行われております。また,銀行などでも番号札をもらい,電光板と音声の両方で呼出しを行なっております。こうした装置が受付や受診の際にもあれば,待合室で待っていて呼ばれていてもわからない,このような状況はなくなると思います。通訳体制がとられたとしても,1人の患者さんにつきっきりになれない,こういうときでも待っている間の不安解消になると思いますし,またこうした装置は,耳の遠くなったお年寄りや健常者にも喜ばれるものだと思いますので,ぜひ建築の段階で工夫をしていただきたいと思いますが,いかがでありましょうか,以上4点お尋ねいたします。 ◎佐々木 理事  聾唖者,手話通訳者の配置についてお答えいたします。  1点目の身分保障の件,それから2点目にございました複数配置,あるいは男女の配置の問題がございますが,これらにつきましては,お話のとおり,病院というほかとはちょっと事情が違ういろいろな特性があると思いますので,それらの点についても十分配慮しなきゃならないというふうには思っております。  それから一方では,何と言っても病院の財政計画全体の中でこれらのことに取り組んでいくわけですから,全体のバランスということも考えていかなきゃならぬ。いずれにいたしましても,7年10月の新病院開業に向けてこれらのことを実施してまいりたい,つくり上げてまいりたいというふうに考えてございますので,いま現時点ではこれからそういうことを検討させていただくということでございます。  それから,3点目のファクスの利用,4点目の電光案内でございますが,ファクスの利用等につきましては,これは現にファクスがこういう形で病院でも利用されておりますから,これから何らかの形でそういう方々が利用できるようにしたいというふうに考えてございます。それから電光案内等につきましても,患者に対する利便といいますか,そういう意味でもっと簡便なうまい具体的な方法があれば,それについても積極的に取り組みたいとは思っております。  ただ,ご承知のとおり非常に厳しい中でやっておりますので,大がかりな仕掛けとか,大がかりな装置ということになるといろいろ問題あると思いますので,何か簡便にして即実行できるようなものがあれば検討いたしたいというふうに思っています。以上でございます。 ○飯坂 副委員長  佐々木理事のほうから,市立病院の大変限られた財政の中でも精いっぱい努力したい旨の,そういう姿勢のご答弁いただきました。  そこで,きょうは市長に出席要請お願いしているのですが,これらのことを市立病院会計の中で独立採算的な考え方でやろうとすると,やはり困難だというふうに思うのですよね。そういう点で,市長は常日ごろから,障害者に優しい社会はみんなに優しい社会だということを口にされておりますし,また,障害者福祉の強化を選挙公約の一つとして当選されておりますので,当然力を入れている分野だというふうに思います。  そこで,市立病院手話通訳者を配置するに当たっても,いま言ったさまざまな設備を充実させるに当たっても,ぜひ病院会計のサイドからでなくて,いわゆる福祉のサイドからも視点を当てていただいて,一般会計で費用を組むなど特段の配慮を行なっていただいて,聴覚障害者の長い間の夢でありました市立病院での手話通訳者,これが本当に生きてくるようにしていただきたいというふうに思います。それで,ぜひ市長の前向きのご答弁を期待して,質問をいたします。 ◎桂 市長  病院事業会計が非常に厳しい環境に置かれているということはよくわかっておりますが,それと同様か,あるいはそれ以上に一般会計も大変厳しい状況であります。したがって,一般会計と他の会計との間にはそれぞれ基本的なルールを決めて,それによって繰出し,繰入れの措置を講じているわけであります。いまお話があった,手話通訳者にかかわるものについては,すべて一般会計負担が望ましいという,そのご意見はご意見として承りますけれども,しかしこれについては,ルールの中で考えていきたいというふうに思っております。 ○飯坂 副委員長  ぜひご検討をお願いしたいと思います。  丸々福祉部で持つとか,そういう持ち方でなくても,いろんな持ち方があろうかと思いますので,そこは行政のベテランの皆さんたちですから,ぜひ関係者の期待にこたえて前進させていただきたいということを申し述べまして,質問を終わらせていただきます。 ◆佐々木[周] 委員  私は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌,略してMRSAの予防対策についてお伺いいたします。  最近,MRSAの感染症が社会問題となっておりまして,感染者の入院拒否,それから福祉施設への入所もままならないというような状況に発展しているというふうに聞いております。一度感染すると,その治療は,毒性が強いことから大変難しいということもありまして,社会問題となっているということです。  また,最近高度医療が発達いたしまして,超未熟児の治療,また高齢者の手術,臓器の移植,それから救急医療,その他いろいろなことがありまして,医療の現場はいつMRSAが感染してもおかしくないという状況に置かれているのではないかというふうに思います。その中で,予防のためにも慎重な対応をしていく必要があると私は考えております。  市立病院におきましても,91年にはMRSAの感染防止のためのガイドラインを作成なさいまして予防の対策に努めてきたというふうに伺っておりますけれども,質問の最初に,この3年ぐらいの間に,MRSAの感染者及び発症の人数,どのぐらいになっているのかということをお知らせいただきたい。  また,医療に直接携っている方のみならず,事務職の方などもその対応策についてはやはり知っておかなくてはいけないというふうに思っているのですけれども,そのガイドラインの周知徹底の仕方,どのようになさってきたのか,そのことについてもあわせて伺いたいと思います。 ◎手戸 病院長  お答え申し上げます。  市立札幌病院は,院内感染防止につきましては最も重要な課題だといたしまして,昭和52年から組織的に取り組み,一定の成果を上げて今日に至っております。医療の変遷とともに取り組む問題も変化し,ただいまご質問のMRSAもまたその一つであります。  ご承知のようにMRSAは,常在菌,常にわれわれの体にある菌と。健康な大または十分な抵抗力を持っている患者さんにとっては,恐るに足らないということは申し上げられますが,白血病とか,重症糖尿病,あるいはがんの終末状態など,抵抗力が著しく低下している場合,いわゆる免疫低下の状態にあります患者さんにとっては,有効な薬剤が少ないだけに治療が非常に難しく,大きな社会問題になっているところでございます。  そこで,ご質問の第1点でございますが,市立病院の現状について,数字をはっきりつかんでおりますので,平成5年2月のデータについてお答え申し上げますと,入院患者総数728人のうちMRSAの検出者,これは検体,たとえばたんとか尿とか手術の後の創部,あるいは床ずれ,そういったところからMRSAが検出されますが,その検体から検出されたものが728人のうち38人,入院患者さんの5.2%となっておりまして,さかのぼっての過去3年間もほぼこの5%から7%を推移しております。  このうち,問題は検出されたということではなくて,MRSAそのものが患者さんの病状を大きく左右する,それをMRSA患者というふうに呼んでおります。治療の対象にしなければならないのは,このMRSA患者で,そのほうを重視すべきでありまして,検体からMRSAが検出された,そのことが問題ではないわけであります。ここで,この検体38人のうち,MRSAがその患者さんの症状を大きく左右している患者さんは5人でありまして,これが治療の対象になるわけであります。  私どもの鼻とか咽頭からブドウ球菌というのが出ますが,このうちMRSA,要するに薬剤耐性を持っている菌の検出率というのは,全国的,これは日本医師会のサーベイランスですが,大体70%。私どもの病院では大体ほぼ同じの70から七十四,五,この辺を上下しております。平成5年2月1日現在で実際の治療の対象になる患者さんは,申し上げましたように38人のうち5人ということになっております。この状態が最近3年の間推移するほぼ平均的な数値であります。  第2の院内感染の防止対策でございますが,院内には感染対策委員会というものをつくりまして,毎月MRSAの検出状況を院内に報告しており,その現状の把握に注意を喚起しております。MRSA防止のためのガイドラインを平成3年につくっておりまして,これからこのマニュアルに従って院内の注意,あるいは職員に徹底を図っております。また,患者さんに対する周知徹底に関しては,こういったものではなくて,もっとわかりやすいパンフレットをもって,無用な心配をしていただかないように,しかし注意を喚起すると,そういったもので努力を重ねております。以上でございます。 ◆佐々木[周] 委員  いまお聞きいたしまして,平均的な数字で推移しているというふうなお答えでした。できましたら,それが少なくなっていくように,さらに努力していただければいいなというふうに思います。  それで,このMRSAの予防策というのは,先ほどおっしゃったようにガイドライン,それからもっと事細かく感染者の方たちに対する対応策だとか,そういうこともいろいろ用いまして日常のチェックをなさっているかと思うのですけれども,私が知りましたところでは,対策チームが病棟の巡回チェックを毎週することで,感染者が半年の間に3分の1以下に減ったという例もあるというふうに伺っております。そのような状況もありますので,ぜひ再度感染対策チームの役割を確認いたしまして,そのチェック体制を十分発揮していただきたいというふうに思うのです。  もう一つお聞きしたいのは,いろいろそのガイドラインを見せていただきましたら,割と使捨てのものが多くなっています。ウエルパスだとか,ヒビテンのアルコール液だとか,ガーゼ,それからマスク,そういうことで,MRSAだけではなくて,そのほかエイズ対策だとか,肝炎の対策だとか,いろいろの予防策に大変なお金がかかっているのじゃないかなというふうに思いました。これは年間どのくらいかかっていらっしゃるのか,ちょっとお聞きしたいと思います。 ◎手戸 病院長  金額のこと,ちょっといま調査中でございますが,大変頭の痛い問題でございます。  これは,MRSA対策,あるいはB型肝炎予防策,あるいはエイズ対策と,次々打ち出されるものに対しまして,診療報酬の中に盛り込まれていないというのが非常に大きな問題でございます。こういったただいまお話にございましたような使捨ての物を処理するためには,当然,感染性廃棄物的な処理が義務づけられておりますが,残念ながら,これが診療報酬の中に盛り込まれていないということが,いま非常に実際の診療側にとって大きな問題になっております。  これは,繰り返し国にPRしているわけですが,今回4月1日から新しい診療報酬の改定がございますが,残念ながら,その中にも盛り込まれておりません。ですから,これは丸々各医療機関の持出しということになっておりまして,これはもう相当な金額になりまして非常に頭が痛い問題ですが。しかし,いずれは何らかの診療報酬の中へ盛り込まれるべきものとして医療側が主張し続けていきたいというふうに思っております。 ◎佐々木 理事  金額について私からお答えいたします。約3,600万ほどになろうかと思います。 ◆佐々木[周] 委員  わかりました。私もほかの病院の方にもお聞きしましたら,やはり1,000万単位で毎年かかっているということで,大変だなというふうに思いました。  それで,感染性医療廃棄物につきましては,民間の病院なども苦慮していると思います。ごみ問題のところでも取り上げたことがあるのですけれども,最後まで感染者を出さないようにということで,国のほうに対してもずっと要望を続けられているということです。その辺でいろんな状況が生まれているけれども,経済的なところの解決策というのを,国のほうでは余り結果を出したがらない状況だと思うのですね。でも,患者本人からすれば,その点をはっきりさせていただかないと,余裕のある病院では手を尽くすけれども,そうじゃないところでは手が抜かれるとか,そういうことになりかねません。  これは要望ですけれども,今後とも国のほうに対してそういうことをおっしゃっていただきたいということと,それから医療の現場の方たちは,本当にお忙しい中でいろいろなことに気を配るということで,大変だなと思います。その中でも,感染している方の精神的な負担にならないような対応をぜひ続けていただきたいというふうに思っておりますので,その点もよろしくお願いいたします。 ◆赤田 委員  現状では,幾ら努力をしても赤字にしかつながらないのが病院経営の実態となっておりますけれども,新病院さえできれば黒字に転化できる,いま以上に市民サービスも向上させることができるという,そういう期待が持たれているわけですけれども,より一層期待される病院になってほしいという視点で幾つかお尋ねをしたいのであります。  新しい病院をつくるための当初計画につきましては,用地買収のつまずきで規模を縮小せざるを得なくなりました。どこが縮小されたかということですけれども,退院間近の患者さんのために,リハビリを兼ねて散歩をする芝生があって,花壇があって,ベンチがあってという,そういうスペースが削りとられてしまいました。これは関係者にしてみれば非常に残念なことでないかと思っているわけでありますが,そのスペースをどのようにして補おうとしているのか。あるいは将来そのスペースを復元させるために取り組んでいきたいとお考えなのかどうなのか,お尋ねをいたしたいのであります。  それからもう一つですけれども,病院の給食についてお尋ねしたいと思うのですけれども,いま米不足が深刻な社会問題となっているわけでありますけれども,そういった中で,学校や病院の給食は依然として残食,残飯ができて,ごみとして処理されているのでないかと思っております。  これをなくする手だてがないのかということなのですけれども,日本では現状のところ,給食の残食はもうつきものというふうになっておりますけれども,北欧では残食ゼロのシステムがとられているわけですね。どういうふうになっているのかということですけれども,システムが違いまして,寝たきりの人以外は,自分の食べる物を給食の係のところへもらいに行く。そして自己申請というか,たくさん食べたい人はたくさんくださいと言うし,きょうは少なくていい人は少量にしてくださいということで受け取っていく。ですから残食が出ない。特に北欧では,食べる物は大切だから,自分の皿に盛り分けた物は絶対残さないという価値観が育っている,そういったことがそういうシステムをつくらせているのでないかと思うわけでありますけれども,そういったことを日本の病院でも取り入れるような取組みができないものかどうか,お尋ねしたいのであります。  それから,北欧では障害を持った人たちでも食事がしやすいように,一人一人の病状,症状にあわせて食器がつくられたりしておりますけれども,日本でもそういう方法を考えたら,あるいはそうなっているのかどうなのか,お尋ねをいたしたいなと思うのであります。 ◎佐々木 理事  まず,1点目の庭園の件についてお答えいたします。  ご質問のとおり新病院の当初設計には,北側にリハビリ庭園を計画いたしておりました。その後,計画が変更になりまして,いろいろな検討を重ねる中でも,特に駐車場が300台以上の規模の駐車場を確保することがどうしても必要であろうというふうに考えまして,その結果,駐車場スペースのために当初計画しておりました庭園を取りやめたわけでございます。  ただ,この庭園については,現病院の西側に散策路を設置するなどして,現在の敷地の中でさらに工夫を凝らして対応いたしたいというふうに考えております。  それから,将来等の点についてもお話がございましたが,将来,たとえば駐車場の立体化等が可能になりましてそのスペースが確保できた場合には,それなりの対応ができることになろうというふうに考えております。  それから,2点目にございました給食の残食がないような食事の工夫ができないかというお尋ねでございますが,現在,給食には一般治療食,特別治療食,検査食,大別いたしますと以上の三つに分かれます。それで,おっしゃる残食のないような食事と,食事の工夫という点では,この一般治療食の部分をご指摘なさっておられるのではないかと思います。  この一般治療食でございますが,例にもございましたように,具体的,個別にマンパワーで対応するという方法もございましょうが,現状では私どもの病院では,量的な面等からそのようなマンパワーの対応というのはちょっと難しゅうございます。現在私どもの病院でやっておりますのは,大体その生活活動強度,普通でほとんど動かないといいますか,そういう状態よりやや低目の人を想定いたしております。生活活動強度1度よりやや下と,そういう言い方になるのですが,これは余り活動しない状態の人よりさらに少な目の量を基準にして,その食事を設定しているということでございまして,ある意味では,多少の残食はやむを得ないことだというふうに考えておりますが,なお一層その辺のところの工夫は重ねてまいる必要があろうかと考えております。  それから,食器の改善でございますが,ご指摘のように障害者等に対するより使いやすい食器ということでございますが,私どもの病院では,去年の5月1日から食器を保温食器,冷めない食器にかえて少しでも温かい食事ができるようにということでやっております。  ただ問題は,この保温食器,温度を下げないための食器の場合,厚みがあるものですから,なかなか使いにくいところがあります。そこで,それらを改良した,特に障害者等に配慮された食器が,現在のところ実はメーカーでもつくられてございませんで,市販されていないわけでございます。  そこで私どもとしては,これで満足しているのではなくて,おっしゃるようにそういう改善は必要でございますので,特に現場の私どもの声をメーカーに反映させて,そのような食器の開発を少しでも進めていただくよう開発要請を強めてまいりたいというふうに考えてございます。以上でございます。 ◆赤田 委員  リハビリ庭園の件ですけれども,駐車場スペースを確保するために削らざるを得なかったと。縮まった敷地内で確保しようと思ったのでそうならざるを得なかったわけでありますが,私,一つのものを犠牲にして別のものをとは訴えておりませんので,そのことにつきましては,将来駐車場を立体化したときには確保できるということでしたので,ひとまずは安心しました。その場合も,当初計画にある3,000平米のリハビリ庭園になるのかどうなのか,敷地内で可能なのか,敷地外に求めなければならないのか,ちょっとお尋ねをしたいなと思っております。  それからもう一つですけれども,給食のことなのですが,給食をつくる側の論理に立ってこれを食べなさいと,体にいいし,全部食べれば元気になりますということで,非常に緻密に計算された栄養ある物を給食してくださっているということはわかったわけですけれども,給食を受ける側の論理もあると思うわけであります。たとえばそのときそのときによって食べたいときと食べたくないときというか,たとえばお見舞いの人が来て,栄養価のある物を食べた後ですと食欲も少なくなるわけですから,きょうは少なくていいという,そういうことが受けられるように日本の場合はなっていない。そのことが残食につながっているのでないかと思っているわけであります。  やはりどんなすばらしい食べ物でも,食べ残してしまえばごみとしてしか処理できないということになってしまうわけでありますから,そういった点で,そうしていない海外のシステムなんかも十分取り入れる取組みが必要でないかと。たとえば毎年15人以上の市の職員が,いろんなテーマを求めて海外の視察,研修に行っているわけです。ですから,北欧のそういったようなシステム,専門家の立場で見聞をしてきて,そして,金のかからない方法で取り上げられるものなら取り上げていくという,そういう姿勢が必要でないかと思っているわけですが,いかがなものか。 ◎佐々木 理事  まず,リハビリ庭園についてお答えいたします。  リハビリ庭園を当初計画いたしまして,3,000平米規模のものをつくりたいというふうに考えた理念は,現在でも変わってございません。したがいまして,将来いろんな工夫ができるようになれば,この程度の規模のものは確保できると思っておりますし,確保したいというふうに考えております。  それから,給食でございますが,給食につきましては,確かにお話のようないろいろな点はわれわれもお聞きいたしておりますが,さらに加えて,今度診療報酬の改定等でも給食の問題が焦点になってございますので,さらに,われわれとしてはいろいろな工夫をやっていかなければならないというふうに考えております。以上でございます。 ○富田 委員長  以上で,議案第13号及び議案第26号の質疑を終了いたします。  本日はこれをもって終了し,次回は,明後日17日午後1時から,建設局関係の審査を行いますので,定刻までにご参集ください。  それでは,散会いたします。     ──────────────       散 会 午後2時16分...