委 員 高 橋 重 人 君 委 員 荒 川 尚 次 君
委 員 生 駒 正 尚 君 委 員 飯 坂 宗 子 君
委 員 武 藤 光 惠 君 委 員 中 嶋 和 子 君
委 員 福 士 勝 君
──────────────
開 議 午後1時
○加藤[斉] 委員長 ただいまから,第一部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項ですが,森委員からは遅参する旨の届け出がございました。
それでは,議事に入ります。
最初に,第8款 消防費の質疑を行います。
◆大西 委員 私は,
救急救命士の活用と
応急手当ての
普及啓発活動についてお伺いをいたします。
まず私は,
救急救命士の活用についてお伺いをいたします。
国は,平成3年4月,
救急救命士法を策定し,同年8月から施行されました。この法律は,
救急隊員の行う
応急処置範囲が拡大され,従来の搬送中心の業務から医療技術も含めたものに改められたのであります。これを受けて,本市では現在192名の隊員が
救急活動を行なっており,さらに,この中から
救急救命士の
資格取得研修をさせ,平成4年7月には,最初の救命士の運用が開始されたと承知をいたしております。さらに,本年6月には,2名の救命士が国家資格を取得するなど,短期間に,より高度化が進められているのであります。
一方,
救命士発掘の
養成計画の事前調査によれば,今後5年間で
中央研修所に毎年1名,
本市消防研修所では20名を研修させ,平成9年度までに108名の救命士を養成されることになっているのであります。教育の内容は,基礎医学や
救急医療科目,病院の実習やシミュレーションの実施などを,6ヵ月の長い期間教育するようになっているのであります。
そこで質問でありますが,第1点目に,救命士の行う
救命処置の範囲は従来とどのように変わり,医師の
具体的指示を必要とする処置の範囲はどのような内容になっているのか,お伺いをいたします。
2点目に,平成4年7月から運用が始まっているわけでありますが,現在までの救命士の
出動回数と実際に処置したものの件数,また,その効果,救命率はどのような結果になっているのかお伺いをいたします。
3点目に,
救急救命士法の施行に伴って,人的な養成だけではなくて,救急車など機動力の面においても,医療器具などの装備を配置した高規格的なものが要求されてきているようであります。
そこで質問でありますが,高
規格救急車は,従前の救急車と比較してどの点が大きく違うのか。
また,現在すでに何台あって,今後の
配備計画はどのようになっているのかお伺いをいたします。また,高規格車は1台どれくらいの価格で用意できるのか,あわせてお伺いをいたします。
◎野村
警防部長 お答えをいたします。
第1点目の
救急救命士の行う
処置範囲等でございますけれども,従前の
処置内容は,器具を用いない簡易な処置で,たとえば,後頭部をぐっと後ろへ反らしての
気道確保等,あるいはマウス対マウスの人工呼吸,あるいは手による
心臓マッサージ,包帯・
三角巾等による止血,固定,このようなものでございました。これに対しまして,
救急救命士の
救命処置は,心室細動を取り除くための
電気ショック,静脈確保をするための輸液,
特殊チューブなどを使いましての気道確保の3項目でありまして,これらにつきましては,いずれも医師の具体的な指示を必要とする処置であります。
2点目の
救急出動の件数でございますが,きょうまでという先ほどのお話でございましたが,手元に4年中の資料しかございませんので,それによりましてご説明をさせていただきたいと存じます。
平成4年中の
救急出動件数でございますが,総数3万9,786件,このうち
救急救命士の
出動件数は508件でございます。この年におきましての
救急救命士は,7月4日以降の1名でございますのでこのような数字になっております。そのうち,
心肺停止等の傷病者5名に対しまして
救命処置を行い,医師に引き継いでおります。これが内容でございます。
3点目の高
規格救急車の特徴,従前の車に比べての差異等でございますけれども,まず,
救急救命士が行う処置に必要な
電気ショック等の装置,それから
輸液ポンプなどの資器材が積載されていることが第1点でございます。それから,これらの器具を有効に使うだけの広いスペースがあると,これが二つ目。それから,走行中の振動が少ない,患者,傷病者に与える影響が非常に少ないというのが特徴であります。
それから次に,高規格車の現有数でございますが,ただいまのところ4台でございます。本年度中に9台,そして,平成9年までに全車24台を高規格車にする計画でございます。また,1台の価格でございますが,おおよそ3,200万円でございます。以上でございます。
◆大西 委員 よくわかりました。
そこで,さらに質問を申し上げますが,第1点目に,平成9年度までに108名の有資格者を確保するということでありますが,この救命士の全市的な
配置計画があるとすればお示しをいただきたいと思います。また,大量の有資格者を確保するには,現在の
人員体制で無理はないのかどうか,そのことについてもお伺いをいたします。
第2点目に,高規格車の
配備計画についてお聞きをいたしました。平成9年度までに合計24台ということであります。高規格車は,今日的時代の要請でありまして,その配備は急がなければならない,こう私は思うのであります。計画によりますと,平成6年から9年まで4年間で15台となっておりまして,年次別に見てみますと,平成8年には1台更新と,こういう年次もあるわけであります。これが時代の要請であるとすれば,もう少し計画を早めて,たとえば平成8年度の1台は平成7年度に組み込むなど,再検討されてはどうかと思うのですが,お考えをお伺いしたいと思います。
また,この場合,お聞きいたしますと,旧救急車の耐用年数などとの整合性の問題があるようであります。たとえば,私は,他地方自治体への転売や,各区役所や,引き続き各消防署に置いて,一般車に利用するなどの有効活用が可能ではないかと,こう思うのでありますが,見解をお尋ねしたいと思います。
◎野村
警防部長 1点目の
救急救命士の
配置計画についてでございますけれども,全救急隊に常時1名の
救急救命士を乗務させるには,約100名を養成する必要がございます。
救急救命士の
養成計画に合わせまして,
救急出動件数並びに搬送の所要時間,これは長ければ長いほど,
救急救命士の必要性が増すという判断でございますけれども,そのようなことを十分考慮いたしまして,必要性の高い地域から順次配置をしていきたいと考えております。それから,
救急救命士の養成に伴う要員につきましては,すでに措置がされているところでございます。
それから,2点目の高
規格救急車の
整備計画を急げというご質問と理解いたしますけれども,ご指摘のとおり,できる限り早い時期に整備することが望ましいわけでございますけれども,この点につきましても,委員からただいまご発言ありましたのですが,車両の更新時期等も考慮しながら,
救急救命士の
養成計画にあわせて,順次,高規格車を配備してまいりたいと考えておる次第でございます。
◆大西 委員 おおよその考え方がわかりましたけれども,いま住民が病気になったときに,救急車の活用というのはかなりふえてきているわけでありまして,いまありましたように,
医療資器材も設備をされた高規格車の配備というのは,住民にとってこれまた大変心強い味方でありますから,ぜひその辺についてもご検討いただきたいと思います。
次に私は,最近急速に拡大推進されてきております
市民応急手当ての
普及活動についてお伺いをいたしたいと思います。
私は,つい最近ある会議で,アメリカの
ドリンカー博士による心肺停止からの蘇生率の研究の結果について聞く機会がございました。それは,救急隊が現場に到着する前に,現場に居合わせた
一般市民などによる
応急手当てが適切に実施されれば,停止から蘇生までの確率は,1分後で97%,2分後で90%,3分後で75%,4分後で50%,5分後で25%,10分後では0%になるというのであります。こうした研究の背景もありまして,アメリカでは住民による
救急救命普及活動がかなり進んでいると,こう私はお聞きをいたしている次第であります。今日,傷病者の救命は,住民による協力が大変大切でありまして,特に
応急手当ての普及は,
救急隊員による処置と搬送,加えて
医療機関での適切な処置などと同様に,救命率を上げる一つの大きな柱になるのではないか,こう私は考えるわけです。
さて,わが国は,本年3月に消防庁において,傷病者の救命のための「
応急手当普及啓発活動の推進に関する
実施要綱」が制定され,この10月1日から実施に移されたと,こうお聞きをいたしております。すでに神戸市では,市民に対する
応急処置の講習会を実施し,
指導体制については,専従員として
消防OBなどを活用し,
普及啓発活動に積極的に取り組んでいると聞いておりますし,本市においても,新聞などの報道によりますと,これらに対する一定の取組みを強めてきていると,こうお聞きをしているところであります。
そこで質問でありますが,第1点目に,
普及啓発の全国的な
活動基準を示した
実施要綱とは,概略どのようなものか。その内容と,また,そのねらいは何か,少しわかりやすく,しかも簡潔に説明をしてほしいと思います。
2点目に,この要綱は,
各区消防団や関係団体,企業,
一般市民などとどのようなかかわりを持つことになるのか,お伺いをいたします。
◎野村
警防部長 1点目の国から新たに示された
実施要綱の概要とねらいについてでございますけれども,この要綱は,指導する側の者の位置づけと,受講者が実際に
心肺蘇生法が行える一定のレベルに達するものでなければならないと,こういうことがねらいでございまして,その内容といたしましては,一つは,指導する者の資格を認定する制度,2番目に,市民に対する
標準的講習会のカリキュラムの制定,三つ目には,講習を修了した者に対して修了証を交付する制度で,この三つが主なものでございます。
それから,2点目の消防団,
事業所等とのかかわりについてでございますが,消防団の方々には,指導者として,地域の住民に対しての
普及啓発活動をお願いすることになろうと思います。また,地区の住民,あるいは
事業所等の従業員は,
標準的講習会の受講対象,このような方を対象に講習会を進めていくと,こういう関係になろうかと存じます。以上です。
◆大西 委員 再び質問しますが,第1点目に,国は,
普通救命講習受講者を,各
自治体人口の約20%をめどにしているようでありますが,本市の場合は,当面どれくらいをめどに進めようとしているのか,また,この場合の具体的な方策についてもお伺いをしたいと思います。
2点目に,
応急手当ての
普及啓発活動の
体制づくりは,お聞きいたしますと,広く病院や,当市でいきますと衛生局,市民局などと関連をいたしまして,
消防行政だけでは対応できない分野があるのではないかと,こう思います。そこで,この場合,横断的な推進組織が必要ではないかと,こう思うのでありますが,その点についてお伺いをいたします。
3点目に,実際に指導に当たっている消防署では,現場の
第一線部隊が指導に当たっていることが多いと聞いております。指導中に火災や救急の指令が入ると,指導を中断して出動してしまうこともあり,せっかくの教育指導が中途半端にならないかと,こういう危惧があるわけでありまして,したがって,専任の指導員をもって取り組むことが必要ではないかと,こう考えるのでありますが,本市の考え方をお伺いしたいと思います。
◎野村
警防部長 1点目の
救命講習の受講者の目標数でございますけれども,消防庁では,
地域住民の20%ぐらいが
心肺蘇生の実技を身につけていれば,救命率の向上に効果があるという前提でこの制度を打ち出したわけでございますけれども,この数値につきましては,あくまでも
消防機関を初めとするいろんな機関,団体が行う
普及啓発の総体的な目標値でございます。したがいまして,札幌市消防局といたしましては,
地域住民と密接な関係のある町内会をまず最初に主体と考えまして,
普及啓発を実施してまいりたい。具体的な数字につきましては,まだちょっと不明確でございます。
それから,2点目の横断的な組織の必要性でございますけれども,1点目でもお答えしましたとおり,消防庁の考えの中には,いろんな機関,団体が連携を保って行うと,それを前提としてございます。したがいまして,これらの機関,団体等に対しましては,いずれ,しかるべき国の省庁等から,この問題につきまして指示,指導がなされ,その気運が盛り上がってくるものと考えられます。その機会をとらえまして,消防局といたしましては,その情勢に対処をしていきたいと,かように考えておるところでございます。
それからまた,3点目の
指導体制でございますけれども,やはり現在の組織の中では,出向いて指導をするという体制に,若干問題がないわけではございませんので,公益法人の設立等も含めて,体制の確立について今後検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
◆大西 委員 最後になりますが,いま,いろいろお伺いをいたしました。10月1日からの施行でございますから,まだまだ緒についたばかりでありまして,具体的にこれをどう実行に結びつけ,効果を生んでいくかということは,これから先のことになると思いますが,いずれにいたしましても,この問題については市民が大変関心を持っている内容でございますので,ぜひ積極的な取組みをお願いしたいと思います。
最後に,私から要望を申し上げたいと思うのですが,今日の
消防行政は,従来の火を消す
消火活動中心から,予防や,特に
救急救命の分野に変わってきているように私は思ってございます。特に,
救急救命活動は,年々増大の傾向にあるわけであります。さらに,今回の
普及啓発制度の充実強化を考えれば,いま若干の懸念も示されましたけれども,現在の
人員体制で,本市の
消防行政に支障はないのか,こういう心配が私にはあるわけでありまして,加えて,お聞きいたしますと,完全週休2日制もいまだできていない,こういうことになっているようであります。最小の人員で最大の効果を上げるということは,鉄則ではありますけれども,しかし,
消防行政は,われわれ市民の命と財産を守ることを主たる業務としている大変大事な分野だと,こう私は理解をいたしておりまして,市の理事者はこのことを十分認識して,特に
消防行政については,今日的な状況を踏まえて,積極的な対応をしていただくことを強く要望して終わります。
◆小谷 委員 それでは私から,札幌市の消防局における
ヘリコプターの
活動状況等について質問をさせていただきます。
本市の
ヘリコプターにつきましては,昭和年代後半から,全国的な
ヘリコプターによる
防災体制の確立が進められている中で,とりわけ,札幌市において
ヘリコプターの導入というものが強く期待をされ,叫ばれてまいりました。そうした結果を踏まえて,平成3年3月に運航を開始したところでありますが,それからすでに2年半経過をいたしております。
これまでの
活動状況を伺いますと,林野火災における空中消火を初めとして,交通事故や水難事故など,重傷を負った市民の搬送等を行い,とうとい命を取りとめるという事例もありますし,そのすぐれた機動性を遺憾なく発揮していることは高く評価し,また敬意を表するところでございます。特に,本年7月12日に発生をいたしました
北海道南西沖地震においては,
北海道広域消防相互応援協定に基づき出動をし,救助隊員や物資の搬送を初めとして,
海上捜索活動,
災害情報収集などを行なったことは記憶に新しいところでございまして,あらためて
ヘリコプターの果たす役割の重要性を痛感をいたしているところでございます。
しかしながら,
ヘリコプターは,一定時間ごとに
定期整備が義務づけられているということでございまして,
臨時整備を含めますと,年間約90日間飛行できない日があると,こういうことでございまして,すなわち,365日のうち90日間ですと,平均して4日に1日は
フライトできない,こういう状況にあるわけでございます。たまたま
北海道南西沖地震のときにも,
整備期間中であると,こういったことで,即刻その要請にこたえることができず,結果として3日間出動がおくれたと,こういうことも聞いていたところでございます。
さらにまた,4年目には3ヵ月間,8年目には5ヵ月間という長期にわたる整備が必要になると,このように聞いているわけでございまして,ということは,90日プラス4年目には90日で180日間,まさに,1年のうちの半分は
フライトができない。さらに,8年目には約5ヵ月間ということでございますから,このときはまた,これ以上
フライトの日数が大きく下回らざるを得ない,こういう実態であるというふうに伺っておりまして,この間の
災害対応を考えますと,市民の一人といたしましては,非常に気になるところでもあるわけでございます。
本市ヘリコプターの昨年の
フライト実績を見ましても年間297回に及んでおり,特に今日の
救急需要の伸びに伴いまして,あるいはまた,新しい
札幌市立病院にもヘリポートが建設されるということになっておりまして,こういったことから,
ヘリコプターの
活動要請は,
札幌市内外を問わず,ますます増大をしてくるものと予測されるのでございます。こうしたことからも,やはり
ヘリコプターは,常に
フライトができる態勢がまず必要であると,こういうふうに強く認識をいたしております。
そこで,お尋ねをいたしますが,すでに
消防ヘリコプターを導入している
東京消防庁を初めとする大都市においては,
複数体制を整備し,常に
フライトできる態勢をとっておりますが,特に,こういった中で仙台市,千葉市,広島市及び北九州市においては,本市と同様に1機体制であることから,これらの都市では,こうした
整備期間中はどのような
補完体制をとっているのか,この点についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
◎笹森
管理部長 私から,他市における
補完体制についてお答え申し上げます。
仙台市におきましては宮城県と,千葉市においては
東京消防庁と,それぞれ
協力体制がとられてございます。また,広島,北九州におきましては,福岡市と3都市におきまして
応援体制を確立しているというふうに伺っております。
◆小谷 委員 ただいまの答弁によりまして,他都市の対応というものがわかったわけでございますが,道内には
消防用ヘリコプターとして1機しか整備されていないわけですから,現在北海道が保有している
防災ヘリコプターとの連携では,機能的な違いを含め十分な
災害対応が図れないと思うのでございます。すなわち,北海道が保有しておりますのは道警に委託をし,そして,警察業務を中心とする中での活用というふうに私どもは仄聞をいたしているわけでございます。
先ほども申し上げましたように,
ヘリコプターは常に
フライトできる態勢が不可欠であり,そのためには将来に向け,
複数体制がどうしても必要と思われるのでございます。もちろん,
ヘリコプターの整備に当たっては,本市のみならず広範囲な区域での活動が求められていることを考えますと,本市独自で
複数体制を整備するのが望ましいのか,あるいはまた,北海道と連携を図って取り組むのが適切なのか,この点については,今後さらに論議を深める必要性があると思いますが,現在消防局では,
複数体制についてはどのようにお考えになっているのか伺いたいところでございます。
前段で伺いましたけれども,札幌市以外で1機しか保有をしていないところにつきましては,他の所轄の県,あるいはまた,3市がお互いに
応援体制を確立して,まさに実質的には
複数体制になっていると,こういうふうに私は認識をいたしたのでございます。そういったことから考えますと,北海道の中における札幌というものは,まさに孤立をした,ほかの大都市との
応援体制の確立は不可能であると,こういう立地条件を考えるときに,いま申し上げましたように,札幌市独自の
複数体制,あるいは道との連携による
複数体制,こういうものの確立が絶対に必要不可欠なものであると,このように認識をいたしておりますのでお伺いをいたします。
また,この機会に,操縦士にかかわる件につきまして触れさせていただきたいと思います。
平成3年3月からの
ヘリコプター活動に当たりましては,熟練をした
パイロットが必要であるということで,防衛庁を初めとするところから,
フライト経験の豊かな人材を誘導をしたのでございまして,あるいはまた整備士につきましても,そういうことがあったと思います。しかし,
本市消防局内におきましても,かなり以前から,
パイロットとしての
資格保持者がいるということを私どもは仄聞をいたしており,こうした方々が一日も早く実動体制の中に組み込まれて活動していくことをこいねがっていたわけでございますが,この辺の動向は,現在においてはどのようになっているのか,お示しをいただければありがたいと思います。
◎笹森
管理部長 2機体制についてお答えいたします。
ご指摘のとおり,
ヘリコプターをフルに活用するに当たりましては,2機体制が必要不可欠かと存じます。現在,
自治省消防庁におきまして,
航空消防体制の強化を図るために,各都道府県に対しまして,消防・
防災ヘリコプターの整備を積極的に進めているところでございます。このようなことから,本市におきましても,国及び道の
整備計画等の動向を見きわめながら,積極的に検討してまいりたいというふうに思っております。
それから,後段ございました
パイロット等の養成についてでございますが,このたびヘリを購入した際に,2名の
パイロットに来ていただきました。そのほか,いま先生のほうからお話ありましたように,従前の
消防職員の中から1名養成をしておりまして,このたび国家試験に通って,すでに3名で
フライトをしております。以上でございます。
◆小谷 委員 わかりました。それでは,最後に要望を申し上げておきたいと思います。
本市ヘリコプターの
複数体制については,国及び道の
整備計画等を見きわめながら,積極的に検討していきたい,こういう答弁をちょうだいいたしました。都市化の進展や都市構造の変化,あるいはまた高速道路の整備等の中で,災害も年々複雑多様化する傾向にあるわけでございますが,大地震,高層ビル火災等,一たび災害が発生をいたしますと,その災害が甚大となる潜在的危険性も増大をしてきている昨今であります。また,
ヘリコプターを活用して,病院収容までの時間を飛躍的に短縮し,救命率の向上を図っていくこともますます求められているところであります。
さきの南西沖地震を大きな教訓として,いかなる場合にも即刻要請にこたえていくためには,
複数体制の実現以外に方策はないと,このように確信をいたしているわけでございまして,複数化というのは非常に経費もかかることは十分承知をいたしておりますが,できるだけ早い時期に整備されることを強く要望いたしまして,私の質問を終わらせていただきます。以上です。
◆伊藤 委員 それでは,私からも
救急救命士法に関連をして,少し突っ込んだ質問をさせていただく予定でおりまして,先ほど大西委員から,かなりそうしたことを突っ込んで質疑がございましたので,重複を避けて二,三点,簡潔にまとめてお伺いをいたしたいと思います。
近年の
救急出動件数は増加の一途をたどっているわけでありまして,平成4年度では約4万件に届かんとするほど
救急需要が増大をしている状況であり,また,消防局では,平成3年度から高
規格救急車の整備に着手をしております。また,本年9月からは,
救急救命士の独自養成を開始したところでありまして,救命率の向上を目指して,救急業務の高度化を積極的に推進をしているところであります。こうしたことから,平成9年までに,札幌市内のすべての救急車が高
規格救急車となるようでありますし,さらに約100名の
救急救命士が養成されることになります。まさに,新たな高度救急体制が構築をされるわけでございまして,まことに心強く感じているところでございます。
そこで,まず
救急救命士の活動に関して2点ほどお伺いをいたします。
第1点目としては,
救急救命士と医師の連携方法についてであります。
救急救命士の業務の中で,
電気ショックなどの高度な
救命処置を行う場合は,医師の具体的な指示が必要であると
救急救命士法に定められているわけであります。迅速な処置をしなければならない救急現場において,具体的にどのような方法で医師の指示を得る体制をとっているのか,1点目であります。
次に,
救急救命士と連携する
医療機関,現在は市立札幌病院と札幌医科大学医学部附属病院の2病院というふうにお聞きをしております。今後,独自養成による多数の
救急救命士が活動をすることになる一方,
救急出動件数の増加に伴って,
救急救命士の
救命処置を必要とする傷病者も増加をしていくことが予想されるわけであります。そこで第2点目は,果たして現行の2病院のみで,将来的に十分対応していけるのかということであります。
次に,3点目もまとめてお伺いをいたしたいと思いますが,ただいまの
救急救命士に関連して,
救急救命士の業務は,医師の指示のもとに,心肺機能が停止状態になった患者に対していち早く心臓への
電気ショックなどを行い,救命に結びつけることであります。しかし,肝心な救急車の到着が遅くては,せっかくの救急体制が十分に生かされないという結果にもなりかねないわけであります。すなわち,通報を受けてから迅速な出動指令により,救急車をいち早く現場に到着させてこそ,
救急救命士による高度な
救命処置が生かされ,救命率のより一層の向上につながると私は考えているところであります。
そこで,一昨年の特別委員会であったと思いますけれども,私のほうから取り上げさせていただきまして,その後何度か質疑の対象になってまいりましたが,119番通報の受付けと同時に,通報電話の設置場所,所有者の氏名,電話番号などが判明し,救急や火災などの迅速な出動指令に大きな威力を発揮するという発信地表示システムについて,これは非常に重要なことでありますだけに,再度お伺いをいたしたいと思います。
さきの委員会では,7都市がすでに導入済みというふうに伺っているのでありますけれども,他都市におけるその後の導入状況について,これもあわせて3点,まずお伺いをいたします。
◎野村
警防部長 私から,ただいまの3点につきましてお答えを申し上げます。
1点目の
救急救命士と医師との具体的な連携方法についてでございます。
救急救命士の乗車する救急車は高
規格救急車でございますけれども,これには自動車電話,それから心電図伝送装置というものが搭載されておりまして,これらを利用いたしまして,医師と直接会話をしながら,同時に心電図とか血圧値,このようなものを
医療機関のほうへ,お医者さんの待っているところへリアルタイムで伝送いたしまして,必要に応じまして医師の指示を得ると,こういうことでございます。
それから,2点目の将来的な連携体制についてでございますけれども,確かに,この後,
救急救命士の数や
出動件数が増加してまいりますと,現行の2病院のみでは対応し切れなくなるということが十分考えられるところでございます。そこで,本市の救急業務のあり方につきまして,専門的な立場から多角的に検討を行い,それを救急業務に反映していくと,こういうことを目的といたしまして,平成4年の4月に発足いたしました札幌市医師会,それから国公立病院において救急医療に携わる医師などを構成員といたしました札幌市救急業務検討委員会,これにおきまして,現在鋭意検討を行なっているところでございます。
それから,3点目の発信地表示システムの前回質問以降の普及状況についてでございますけれども,前回お答えいたしましたが,すでに導入しているのは,京都,大阪,東京,横浜,神戸,仙台及び豊中の7市でございました。それ以降,尼崎,福岡,船橋,高岡,松山,それから,鳥取県西部広域行政管理組合及び滋賀中部地域行政事務組合の五つの都市,二つの団体が,平成4年度末までに導入済みでございます。さらに,市原,新潟及び富山の3都市が,平成5年度に導入を決定しているという情報を得ております。以上でございます。
◆伊藤 委員 ただいまのご回答の中で,1点目,2点目については理解をしたところであります。
3点目の発信地表示システムの導入が,大都市のみならず中小都市にも広がりつつある状態であるとのことであります。前回も申し上げましたとおり,このシステムは,災害弱者はもとより,すべての市民にとりまして,万一の際にはきわめて心強く,また,救急業務の高度化を支える大きな要素の一つにもなる,きわめて効果の大きいシステムでありますだけに,これらはぜひとも早く導入すべきであるというふうに私も考えているところであります。このシステムの導入につきましては,さきの委員会等で前向きな姿勢が示されておりますが,いつ導入をされるのか,最後に局長さんにお伺いをしたいと思います。
◎中谷 消防局長 この発信地表示システムにつきましては,先生のお話のとおり,かねてから議会側からも,ぜひ早急につけるようにというご要望がございました。まさに,われわれが119番を受け付けまして,その時点で情報を判断するわけでございますから,一刻を争う状況の中で速やかな行動をとるため,このシステムは非常に有効であるわけでございますけれども,残念ながら,ちょっとランニングコストが高いということで,非常にわれわれ慎重にならざるを得なかったのでございます。しかし,大都市にも中小都市にもどんどん広がりつつある今日の情勢にかんがみ,できれば来年度にも,ぜひこの実現に向けて,市民のためにお役に立ちたいと,こういう姿勢で頑張っていきたいと,このように考えております。
◆伊藤 委員 いま局長さんのご答弁で,何とか来年度には導入をしたいという力強いお言葉もちょうだいをいたしました。最近は,やはり高齢化の中で,お年寄りだけのご家庭,あるいはまたお一人の住まいということが非常に多くなってきております。したがって,このシステムは,そういう方々にとっても非常に強力なシステムでありますだけに,一日も早くご導入をいただくように要望をして終わります。
◆武藤 委員 私からは,救急車による特殊搬送についてのみお尋ねいたします。
本市の計画では,高
規格救急車への切りかえは,平成9年度までに全車やるということが先ほどのお話にもありました。ところで,この高
規格救急車の問題なのですが,この高規格車は,ストレッチャーやすべての機器が固定化されているため,ストレッチャーに乗せられないものは搬送できないという,こういう問題が実際に起こっています。とりわけ問題なのは,新生児を搬送する際に使われている搬送用保育器の問題です。既存の救急車は,もろもろの機器が固定されていないため,これまでも問題なく乗せることができました。ところが,高
規格救急車が現在4台導入されており,その高規格車では,この搬送用保育器を搬送できないと。病院の産婦人科で救急車を呼んだときに,高規格車が来てしまって搬送できなかったと。いままで使われている既存の救急車をそのかわりに持ってきてもらって,やっと命からがら赤ん坊を搬送できたという,このような事実もあるわけなのですけれども,実際に,このように高
規格救急車に乗せられないものというのは,この搬送用保育器のほかにあるのかどうなのか。
それから,その導入に当たっては,このような問題が起こることを,事前に消防局として押さえていたのかどうなのか,まず,この2点についてお尋ねしたいと思います。
◎野村
警防部長 ただいまのご質問の中で,高規格の救急車をつくる当初におきまして,大型の保育器が積載可能かということを検討したのかどうかということが1点と,それから,大型保育器のように傷病者が乗っている大型の固定されたもので,高
規格救急車に積めないものがほかにもないかと,このようなご質問でよろしゅうございますね。
1点目の大型の保育器を積めないことにつきましては,事前の高規格車の開発研究の際に,若干情報が不足した,配慮がやや欠けていた面があるというふうに,現在の状況では思っております。
それからもう1点,大型保育器のように大型のもので,なおそれ以外にも積めないものがあるのではないかというご指摘でございますが,現時点ではちょっと思いつかないわけでございます。以上です。
◆武藤 委員 高規格車そのものは,私も何度も中を見せていただいていますけれども,人命救助の立場から考えてもすばらしい性能の車だと思っているところです。しかし,実際に先ほどお話ししたような事例も含めてあるわけでして,規格車を導入するなという問題ではなくて,こういう搬送をする場合に,どうしなければならないのかというのが今後の課題ではないかとも思うわけなのです。
そこで,皆さんのところから資料をいただいていますけれども,実際に,平成4年度中における新生児の搬送状況ということで,これを見てみますと,397人の新生児が救急車を使って搬送されているわけなのですね。この397名のうち,大型保育器・小型保育器,合わせて176人と,こういう数も実際に出ているわけなのです。ですから,決して無視できない数であるということもさることながら,今後,平成9年度までに,その更新時ごとにすべて切りかえていくわけなのですが,いわゆる搬送用保育器で搬送する際,すべてが高規格車になってしまったら,これらのものは搬送できないということにもなりかねないわけなのです。そこで,消防局として,いま皆さんにお示ししたその数から見ても,この保育器を搬送する場合,また,これに類似したものを搬送する場合,すべて高規格車にしてしまっていいのかどうなのか,その点についてちょっとお答えいただきたいと思います。
◎野村
警防部長 この件につきましては,ただいま委員のご指摘のとおりでございます。今後とも,大型保育器等の搬送が可能な救急車を確保してまいりたいと,このように考えております。
◆武藤 委員 確保したいということなのですが,それは,高規格車だけにするのではなくて,搬送できるような救急車もきちんと確保して置いてくださると,こういうことなのでしょうか。
◎野村
警防部長 そうでございます。
◆中嶋 委員 私は,ラジオアイソトープ,放射性同位元素についてお伺いいたします。
同じ元素を持つ物質,同位元素のうち,陽子と中性子の数が違うため放射線を出しながら安定した物質に変化する性質のものを放射性同位元素,RIと言います。これを利用した施設は,私たちの身近に意外にたくさんあり,医療,工業用などに広く利用されております。
放射線は,微量でも人体に悪い影響を及ぼします。また,一たび事故が起きますと,その影響は相当なものと思われます。私たちの身近なところでも,1989年には,東京大学附属病院敷地内にRIが放置されていた事件がありました。また,92年には,金沢大学医学部・薬学部のごみ置き場から,通常の100倍もの放射能が検出されました。また,92年には,東京都アイソトープ総合研究所でも被曝事故がありました。先日の朝日新聞によりますと,87年から91年にかけて行われました科学技術庁の調査では,全国104ヵ所の水道水から,ストロンチウム90など,3種類の放射性同位元素を見つけたということが報じられていました。これは,放射線治療を受けた患者の汗や尿が,病院の下水から川に流れ出たためと思われます。
◎中平 青少年女性部長 1点目の新計画の特徴でございますけれども,これにつきましては,長い歴史の中で築き上げられました「男は仕事,女は家庭」などの,男女の固定的な役割分担意識が,いまもなお慣習や慣行として社会に存在しておりますことから,これらの解消と,それに伴う,いまお話にありました男性の意識改革と自立,これを目指すことが特徴と考えております。
2点目以降でご質問ありました,提言や市民意識調査の結果を踏まえた柱立て等というようなことでございますが,基本的には,(1)といたしまして,あらゆる分野への男女共同参画の促進,(2)といたしまして,男女平等観に立つ教育と啓発の推進,(3)といたしまして,女性が働くための条件整備,(4)といたしまして,高齢化社会への対応と女性の福祉の充実,(5)といたしまして,健康の保持・増進と母性保護の推進と,これらの5本を柱として考えているところでございます。これらは,いま述べました計画の特徴とするところや,あるいは意識調査でランキングが上でございました保育,介護問題についても,体系的に位置づけをしており,男女の共同参画型社会の形成に向けての課題や,具体的な施策の展開をしてまいりたいと,こんなふうに考えております。
◆飯坂 委員 ただいまのご答弁で,次期計画の特徴と五つの柱立てについてはわかりました。具体的な施策についての詳細につきましては,今後の原案策定を待たなければなりませんけれども,来年度から新10年計画がスタートするということで,この10年計画策定とあわせて,当面,初年度に当たる来年度,何から手をつけるのかと。これも同時進行で,いまの段階で進めていかなければ間に合わないというふうに思うのですよね。そこで,来年度の計画,何から手をつけていくのかと,このことについて,現段階で具体的に考えていることがあればお示し願いたいと思います。
◎中平 青少年女性部長 初年度でどんなことをやるのかと,どういうことを目標とするのかと,こういうご質問でございます。
ただいまお答えを申し上げましたように,第2次女性計画の目指すところは,あらゆる分野における男女の固定的役割分担意識の解消と,くどいようでございますが,男性の意識改革と自立でありますので,男性向けを主体に,企業や家庭等を対象にした意識啓発が重要であると,こんなふうに考えております。
そんなことから,新計画のスタートの初年度といたしましては,男性意識啓発に関するパネルディスカッションの開催や,啓発誌の発行を検討してまいりたいと,こんなふうに考えております。
◆飯坂 委員 男性の意識改革に重点を置いて,男性向け啓発誌などから手をつけていきたいと,こういうご答弁でしたけれども,男女共同参画型社会というのは,やはり具体的な実践の中で意識改革も進むのだろうと,こんなふうに私は考えているのです。それで,今後新計画案が策定された段階で,その具体的な施策も形となってというか,項目として的に出されてくるだろうというふうに思いますので,きょうの段階では,まだそこまで行っておりませんので,出た段階で,このことについてはまた議論を深めていきたいと,このように考えております。
次に,仲よし子ども館についてですが,先ほどの猪熊委員の質疑の中でも見直しなどという話があったわけですけれども,そこで,あらためて私からもお尋ねしたいと思いますが,1960年に発足した仲よし子ども館,ことしで34年目を迎えているわけですが,当初,開設したときの役割と,それからまた今日果たしている役割というのは,時代の流れに沿って,やはり若干変わってきているのかなというふうに,私自身も感じておりますので,まず,今日仲よし子ども館が果たしている役割についてどう踏まえているのか,これを明らかにしていただきたい。
それから二つ目は,現況についてですが,1クラスの幼児定数及び通館距離はどうなっているのか明らかにしていただきたい。
それから3点目は,先ほどの見直しの話ですが,現在120会場,これを来年度から20会場削減の100会場にする計画があるやに聞いておりますけれども,その理由は何か。また,そのことによって節減できる経費はどのくらいと見込んでいるのか,明らかにしていただきたいと思います。
◎中平 青少年女性部長 第1点目の現段階におきます子ども館の役割ということでございますけれども,仲よし子ども館は,一般家庭機能では果たし得ない集団の場を母と子に提供するという性格に加えまして,都市における家庭教育の補完機能を果たすという役割を持っているというふうに認識をしております。また,参加しております3歳児の母親といたしましては,幼稚園就園前の集団活動の体験の場としてとらえておりますので,子供を集団にならさせたいという意識が強いという現状にもございます。
2点目の1クラスの幼児数,通館距離等についてでございますが,指導員の幼児を受け持つ定数は,3歳児については23名,4・5歳児については30名でございます。また,子ども館への通館距離でございますが,歩いて通える範囲を基本としておりますが,一部においては,地形的,あるいは子供の数が極端に少ないなど,地域特性により,例外的に会場間の距離が最大で約3キロ離れている場合もございます。
3点目の統廃合の理由と経費の問題でございますが,子ども館への参加幼児数は,幼児教育機関の整備充実,あるいは幼稚園における2年保育の定着によりまして,4・5歳児は大幅に減少してきております。加えて,3歳児におきましても,3歳児総数が減少しているにもかかわらず,幼稚園入園者が増加している傾向にあり,子ども館への参加幼児数は減少してきております。さらに,今後におきましても,幼稚園教育の振興策などを考えますと,参加幼児数は一層減少していくものと予想されているところでございます。
このような減少傾向に対しまして,集団指導効果,あるいは行政効率の面から,当面の対応といたしまして,会場の統廃合をすることといたしまして,参加幼児数60から80名程度を標準規模として,極端な少数会場は統廃合の対象としたいと考えているところでございます。また,統廃合によりまして節減できる経費は,約1億2,000万円,人件費19名分で1億450万,運営費1,600万円と考えております。以上でございます。
◆飯坂 委員 ただいまのご答弁で,子ども館が果たしている役割ということでご説明ありましたが,先ほど来お話が出ていましたように,核家族化,そして少子化,これが進行する中で,子育て中の母子対策としても,今日この仲よし子ども館の果たす役割は,一方では大変重要になってきているのでないかなというふうに思うわけです。子ども館を通じて,初めて同年齢の子育てをしている母親との交流が始まり,そして,日常生活においても孤立した子育てではなくて,やはり子育ての輪が広がる,母親の輪が広がるということが一つの魅力になっているわけです。会場削減ということになりますと,こうした母子交流の場が事実上失われていくのではないか,こういうふうに思うわけですけれども,このことは,仲よし子ども館の目的に照らして,逆行するというふうにお考えにならないのかどうか,これが1点目です。
それから2点目は,確かに,幼稚園の就園率というのは高まっていると思うのです。しかし,これ資料をいただきましたので見ましたけれども,5年度の幼稚園の就園率は3歳児で19.6%,子ども館は44.4%ということですから,2倍以上子ども館に通ってきているわけですよね。このことは,先ほど申し上げました母子同時参加という特徴とともに,父母負担の格差,これも大きな要因になっているのではないかなというふうに考えますので,現在,幼稚園と子ども館の父母負担,それぞれどの程度になっているのか明らかにしていただきたいと思います。
それから3点目は,先ほどのご答弁では,3歳児が23人,4・5歳児が30人と,こういう定数だということでしたが,ご存じのように,夏は野外の公園,そして冬は会館等のホールで行なっている子ども館としましては,母子参加といっても,1クラスの人数が多いのではないかと。幼児減少のこの時期こそ,1クラスの定員を減らしたクラス編成をすべきではないか,このように考えます。このことにつきましては,一昨年の委員会でもわが党の井上議員が,せめて20人以下のクラスにしてはどうかと,こういうことも申し上げているわけなのですが,今後の定数についてはどのように考えているのか,お示し願いたいと思います。
それから4点目に,通館距離ですけれども,歩いて通える範囲を目安にするということでした。しかし,この削減計画によって,歩いて通える距離が確保されるのだろうかと。削減計画によって,1キロ以上離れてしまう会場というのはどれぐらい生じるのか。また,最も遠くなる会場はどこで,何キロ離れることになるのか,明らかにしていただきたいと思います。
◎中平 青少年女性部長 1点目の会場の統廃合によって役割が逆行するのではないかという点でございますけれども,会場の統廃合につきましては,先ほど申し上げましたように,集団指導効果あるいは行政効率の面から行うものでございまして,子ども館の役割については十分生かされるものと考えております。
それから,2点目の費用負担でございますが,子ども館では,母親学習受講料として年1,800円,それから幼稚園につきましては,市立で月額8,000円,私立につきましては格差がありますが,標準的には約1万6,000円というふうにとらえております。
それから,3点目のクラスの受持ち定数でございますが,3歳児1クラスの受持ちにつきましては,従前から検討してまいりましたが,保育所等,他の幼児教育機関を参考に,現在23名を平成6年から20名にしたいと,こんなふうに考えております。
それから,4点目の会場の統廃合に当たって,全市的な視点から,通館距離及び交通の利便等を総合的に勘案し,最も効率的な会場配置を行うことにしておりますけれども,お尋ねのありました1キロ以上になる会場は9会場というふうに考えております。
それから,一番遠い会場につきましては,丘珠ひばりの3キロメートルというところでございます。以上でございます。
◆飯坂 委員 削減計画の目安にしている1会場60人から80人ということなのですが,これも余り根拠ないと思うのですよね。仮に,この仲よし子ども館の1会場が40人・50人なら意味がないということにはならないというふうに思うのですよ。要するに,削減するために,60ないし80という基準を設けて,それに合わせて統廃合するというふうに受け取られても仕方がないのではないかなというふうに考えます。しかも,いまお話ありましたように,削減によって1キロ以上離れる会場が9会場も生じる,あるいは最も遠いのは丘珠ひぼり,これは東区ですよね,これが日の丸公園に行かざるを得ないとなりますと3キロ,当然これ,歩いて行けませんからバスを使うと,こういうふうになろうかと思います。しかも,冬の場合は日の丸会館に通うにしても,吹雪などで大変積雪量も多い丘珠の地域で,3キロ通えというのは,これは統合ではなくて,結局廃館を意味することになるというふうに思うのですよね。ですから,人数だけで機械的に統廃合するというのではなくて,利用者の立場に立って,やはり必要なところは存続させるということが必要だというふうに思いますが,この点についてはいかがでしょうか。
◎中平 青少年女性部長 先ほど来ご答弁申し上げていますように,会場の統廃合につきましては,やはり参加幼児数が60から80名程度を基準規模というような考え方で,繰返しで申しわけございませんが,集団指導効果,行政効率の観点に立ってやっていきたいと,こんなふうに考えております。
◆飯坂 委員 行政効率という言葉がここで出てくるというのは非常に残念だというふうに思うのですが,いずれにしましても,この削減計画で節減できる経費は1億2,000万でしたか,これは最大減らした場合の試算だというふうに思いますけれども,この1億2,000万がなければ,札幌市政が成り立っていかないというような額ではないと思うのですよね。そういう点では,今日の子育て環境のもとで仲よし子ども館が果たしている役割,このことについてもう一度見直しをして,市民ニーズがある限り,削減の方向というのではなくて,むしろ内容の充実改善,こういう方向で努力していただきたいと思います。先ほど来,父母負担も,子ども館は年1,800円,幼稚園については,月額で8,000円とか1万6,000円ですから,年にしますと,奨励金があるとしても,公立で,年額にしますと9万6,000円,私立ですと19万2,000円と,こういうことですから,3歳から3年保育をさせたいと思っても,なかなかかなわないと。経済的にもそういう負担はできないという世帯もやはりあると思うのですね。そういった意味では,ぜひその点も考慮して,子ども館の存続ということで,再検討をしていただきたい,そのことを申し述べて終わります。
◆荒川 委員 私は,端的に,舟券売り場の問題でお尋ねをします。
舟券売り場の問題については,いまから5年前に清田地区に設置の動きが出て,地域では大問題になって,当時の板垣市長も地元の反対の声に積極的にこたえる形で,関係行政機関などへも申入れをしたという経緯があります。そして,それが4年前に,今度は薄野地区に進出の動きが出てきて,町内会などに一応の説明がされたという段階で,薄野の環境問題としても,道営競馬の馬券売り場とあわせて,この舟券売り場については反対だと,こういう声が強く出されて,これが立消えになったという経緯がありますが,最近,9月の末,各新聞が一斉に,中央区の南4条西11丁目,以前4条市場という古い歴史のある市場があった場所を8階建てのビルディングにして,その1階はパチンコ屋,スーパー,2階・3階を競艇の券売所にするというような地元に対する説明があったと。市に対しても,そういう申入れがあったという報道がなされました。私も,事前に市のほうから,どういうことなのかお聞きをしております。ことしの6月に,大阪の瑞穂グループという企業,それから,この建物敷地を確保している地元の内山建物,そして,地元商店街の一部の役員,こういった方々が市に説明に来ている。そのときに,市民局の地域振興部ですけれども,過去の事例などについても説明をし,札幌市の基本姿勢というものも話したということで,その後,市に対しての動きはないのだと,こういう話なのですが,新聞報道などによっても,地元には一定の説明がされて,しかも,それに対して地域環境の悪化を懸念する住民が反対の運動に立ち上がると,こういう状況にもなってきているということでもありますので,これはやはり,きわめて重要な問題だというふうに思うのです。
そこでお尋ねしたいのは,この競艇の舟券売り場を設置しようというこの動きをどうとらえているのか,施行者となる自治体は一体どこになるのか,そこら辺の状況についてお示しいただきたいし,地元の反応についてどのように掌握しているのか。また,本市の対応の基本について,あらためてこの場でも明らかにしていただきたい。以上です。
◎高橋 地域振興部長 いま荒川委員から,これまでの経緯についてお話がございましたけれども,全くそのとおりでございます。その中で,どこの自治体がおやりになるのかとか,あるいは開設予定年月日でございますとか,こういうものは私どもには明らかにされておりません。これは,民間企業が行えるものではなく,自治体である競技施行者のみが行え得ることでございますけれども,ここからは何ら連絡がございません。したがいまして,私どもでは,公式にお話を伺ったという状況にはないわけでございます。
それから,本市の基本姿勢でございますけれども,これは何度も前市長の時代からお答えをしておりますし,現市長も一昨年本会議でお答えをしておるとおりでございますけれども,公営競技についての競技場,あるいは場外発売場,こういうものの設置については,あくまでも地元住民の意向というものを尊重しながらでございますけれども,抑制するという立場で対処してまいりたいということは,繰返し申し上げているところでございます。
それから,地元の反応ということでございますけれども,私どものところへお話に来られたのは6月の半ばと先ほど委員からもお話がございましたけれども,9月の半ばごろから,この地元への説明が持たれたようでございます。現在,私どもの知り得る範囲では,地元の連合町内会を中心として,これには反対の意思を表明しております。
◆荒川 委員 こういう動きは,いつの場合も大体同じような動きになってくるのですよね。私,4年前の薄野地区での動きについてお話ししましたけれども,いまから4年前の8月29日の新聞のコピーを私ここへ持って来ましたけれども,市にはきちんとした形で説明がないけれども,地元にはこういうことをやるといって説明に入ったと。それで,地元では,地域の振興にとってそれもいいのではないか,いや,環境悪化につながるという両論が出ているというような,新聞記事のほうが先行してくるのですよね。
今回の場合も,やはり市に対しては公式の申入れというか,要請というか,それではないのだと。大体にして,公式のそういう話というのは,施行者である自治体がやるものなのだと,こういう部長のお話ですが,行って地元で説明をし,様子を見て大体いけるなという段階になって初めて,その施行者である自治体が顔を出してくるということになるのじゃないのかなと。これは清田の場合も,それから薄野の場合も,どこが施行者であるか,どこの自治体が開催者であるのかというのはわかりませんでしたよね。だから,そういう意味では,私は,いまのこの動きというものを軽視するわけにはいかないなと思っているのですよ。
それで,今後どういうふうな形で具体的になってくるか,地元の連合町内会もこれに反対の意思表示を行なっているという状況ですから,この問題についての対処方針というのは,明らかだと思うのです。部長から,札幌市の基本姿勢は変わらないと。地元の意向を尊重しながら,ギャンブル施設については,新たなものについてはこれを抑制すると,それが札幌市の基本姿勢だと,こういう話があったのですが,そういうことであれば,やはりいままでもやってきたように,もっと踏み込んだ市の対応が,もうあってもいいのじゃないかなと,私は思うのですよ。
この点について決められているのは,地元の同意,それから警察の同意というものを証明する書類を付して運輸局のほうに申請すると,こういうことになっていますよね。その地元の意向とのかかわりで札幌市の対応があるということなのですが,亡くなった板垣市長は,そこのところについては,これはいまから5年前の第2回定例会で非常に明快に答えています。地元ということについての定義づけもこう言っていますよ。これは清田のときの問題ですけれども,「本市といたしましては,単に清田地区を中心とした生活圏の問題としてではなく,安全快適な都市の全体イメージと健全な市民生活を保持する上から,世論の動向や議会の意見等を尊重し,対応していきたい」と言って,具体的に市としても反対だと,だめだという申入れを関係行政機関には行なっているのですよ。地元というのは,単に町内会だけでないよと,札幌市の都市のイメージということも含めて,市全体で,この問題については受けとめるのだと,こういう対応をかつてしてきているわけですし,あの道営競馬の馬券売り場の決着がついた2年前の本市議会の総務委員会でも,ギャンブル施設に対する札幌市の対応は,いささかも変わらないと,基本姿勢は同じだということを当時の市民局長が述べて,けりをつけているという経緯もありますので,もう一歩踏み込んだ,この問題に対する市の対応についてもお示しいただけませんか。
◎高橋 地域振興部長 競艇に関しましては,競馬あるいは競輪と違いまして,地元市長の同意というものが前提となっていないものであるのはご承知だと思います。これは,運輸局長の行政指導に属する範囲のことというふうに私どもはとらえております。そういう中で運輸大臣の確認を受けるには,地元と管轄警察との調整がとれていることを証明する書類,こういうことを言っているわけであります。その場合の地元と申しますのは,板垣前市長がお話し申し上げたのは,これは札幌市役所としての,札幌市長としての姿勢でありますけれども,運輸局長あるいは運輸省の言っている地元というのは,いささか意を異にしているのかと思っています。これは,あくまでも影響を及ぼす範囲と,こういうような言い方をし,それは運輸局長の判断にゆだねることとなっているわけでありますけれども,そういう中で,最低限,地元の連合町内会単位というのは,私どもとしては,最も小さい単位だろうというふうにとらえているところであります。
今後は,そういった中で,どのように行なっていくかということでありますけれども,これは,運輸局にも確かめておりますけれども,まだ運輸局でも話を聞いておりません。したがいまして,これが今後どういう展開をするかということになるとすれば,地元がすでに反対の意思を表明している以上,これ以上進まないのではないかというふうに私ども判断しているところでありますけれども,なお,さらにいろいろなことが起きるとすれば,それぞれの時点で適切な対処をしてまいりたいというふうに考えております。
◆生駒 委員 2点ありますが,文化の問題と地震災害対策に関してです。
それで,先に文化の問題をやらせてもらいたいと思います。
4・5年度の埋蔵文化財の発掘調査についてですけれども,北海道,特に札幌は,開拓の歴史からが歴史であるかのようなということで,北海道の歴史,札幌の歴史の空白の部分をはっきりさせていくという点で,地味ではありますけれどもきわめて重要な仕事だという点でお尋ねしたいのです。4・5年度の埋蔵文化財の発掘調査ですけれども,学術的な整理という点では時間がかかりますので,いまはっきり言える点でお尋ねしたいと思うのですが,一つは,4年度に手稲富丘地区に遺跡が出ておりますが,その特徴は何か,これは簡単でいいです。
二つ目には,札幌里づくり事業内で遺跡が出ておりますですけれども,その特徴は何かと。特に,札幌の北部低地では,いまから1,000年ほど前の擦文時代のものが出るということでありましたけれども,今回は約2,000年前のものが出ているということですが,特にこの遺跡の発見の意義についてお尋ねしたい。
3点目は,平岸の児童会館建設用地から,狭い地域に密集したお墓や住居址が出たと。4,000年ほど前のものというのが定説でありましたが,これももっとさかのぼるという点で,どういう特徴を持つものか。また,天神山遺跡というのはすでに有名でありますけれども,山の上にある遺跡とのかかわりはどうか。
それから四つ目には,これらの調査のまとめ,そして報告書はいつごろになるか。
5番目には,発掘調査出土品については,やはり現地に置くというのが非常に重要,その前には,本当は現地での保存ということが一番大事なのですが,発掘された以上,これがどこか1ヵ所に集められると。現地から離れてしまうということでなくて,やはり現地で見れる,そこで勉強できるというふうにすることの重要性を私は言ってきましたけれども,これはできる限り地元での展示というふうにしてほしいと思うのですけれども,この問題ではどのように取り組まれてきたか。平岸のやつは,現地,新しい児童会館に展示をしてほしいと思いますが,どうなるのかという点です。
◎長嶋 文化部長 平成4年・5年度の埋蔵文化財の発掘調査につきまして,お答えを申し上げます。
まず,手稲富丘地区では,縄文時代中期約4,000年前,後期約3,000年前,続縄文時代中ごろ約1,500年前の土器や石器とともに墓跡を36個発掘いたしております。
次に,東区丘珠地区では,昔の豊平川左岸の自然堤防上の遺跡を発掘いたしました。上層からは,札幌の北部低地に一般的な擦文時代約1,000年前の竪穴住居跡11件を発掘し,その50センチから1メートルほどの下層からは,続縄文時代初頭約2,000年前のたき火跡
150ヵ所以上と,多数の土器・石器を発掘いたしております。従来は,札幌の北部低地に人が住み始めたのは約1,000年前からと考えられておりましたが,今回の発見で,さらに1,000年以上も古くなることが明らかとなり,札幌の地形の形成を明らかにする上で貴重な発見と言えます。たき火跡からは,多数のサケの骨が発見され,この地が,サケ・マスの,いわゆる漁業基地として使われていたのではないかと推測いたしております。
また,平岸地区は,昔から生活に快適な環境であったと思われ,約8,000年前の縄文時代の初めから続縄文時代までの各時期の土器・石器とともに墓跡165個,住居跡11件を発見いたしております。今後の整理作業を通して,遺跡の性格づけを行う予定でおります。
これらの報告書につきましては,手稲富丘地区は今年度,その他の地区は平成6年度に作成する予定でおります。
発掘出土品は,従来から発掘地や,その近隣の児童会館や小・中学校などで展示活用をいたしております。今後も平岸地区の新設の天神山児童会館を初め,多くの施設に展示し,活用を図る方針でおります。以上であります。
◆生駒 委員 いまのはそういうことで,ぜひ平岸児童会館にも展示ができるようにしていただきたいと思います。
次に,地震災害対策に関してですけれども,個々,どういう対策をとるかという計画の問題ですが,これはいろいろ感じた点で言うと,計画の見直しが必要ではないかというふうに思った点がありましたので,その点をお尋ねしたいと思うのです。
現在の地域防災計画の中に地震対策というのが入っております。その内容は,昭和56年に発行された調査報告書というのが前提になっているようですけれども,この地域防災計画の中では,想定地震が十勝沖地震と石狩湾地震(直下型),これを想定してつくられているということです。
そこで,お聞きしたいのは,石狩湾地震は,市の計画ではマグニチュード7,道の計画では6.75になっています。この違いは一体どういうことかということをお尋ねしたいのです。
2点目は,本市の計画では,地震の強さがマグニチュード7でありますけれども,震度は5となっております。道の計画では,マグニチュードが下がって6.75であるのに,震度は6となっております。この震度の違いの理由,どういうふうに考えたらよいのかお尋ねしたい。
それから三つ目には,震度1の違いは,6,7を直下型で受けたことは,われわれありませんから,実際どうなるのかということですが,この震度1が6と5の違いで乖離して,それを想定してやっていた場合,被害想定が違ってくるのではないかと思います。その点で,本市が低く見ているのはなぜなのか。それから,震度1の違いでは,やはり想定の違いについて変えなきゃ,想定被害に相当の狂いが出てくるので,対応が違うのじゃないかと思うものですから,この点,どういうふうに考えているか。
それから四つ目には,道と市との計画の整合性という点で,これは一体どう考えたらいいのか,見直し,あるいは調整ということが必要ではないかというふうに思っているものですから,お尋ねをしたいと思います。
◎新見 交通安全防災対策室長 ただいま,北海道と札幌市の想定地震のマグニチュードなり震度なりの違いについて,どうなのかというご質問でございますが,札幌市の地域防災計画の地震災害対策につきましては,その策定に当たりましては,昭和33年・34年の,2年度にわたって,札幌市地震対策基礎調査を専門家に委託して行いまして,その結果を昭和56年3月に作成され,報告書という形で出てまいりましたので,それを基本にしたところでありますが,その中で,日本海側の想定地震は,天保5年,西暦で言いますと1834年でございますけれども,天保5年の石狩地震をモデルとして,札幌市及びその周辺の地震活動の研究成果に基づきまして,札幌市と地震の震央との距離を70キロメートルとした石狩湾地震を想定して,そのマグニチュードが7クラスと想定したものでございます。
一方,北海道におきましては,札幌市よりもおくれて昭和63年3月に,北海道における地震災害の地域特性に関する調査研究というものを,これも専門家に委託して行いまして,当市と同様に,天保5年の石狩地震をモデルといたしまして,それをそのまま想定地震として設定しまして,マグニチュード6.75というふうにしたものでございます。
いずれも,そのモデルとなりますのは天保5年の石狩地震を基準として想定されたものでございますが,結果として違いがあるということは,調査の手法,またはまとめの手法,また,調査機関等の相違のためではないかと思われます。なお,札幌市の表現につきましては,そういう面で若干幅を持たせたマグニチュード7クラスというふうにしたものと理解しているところでございます。
次に,想定地震の違いと被害の関係のご質問でございますが,いまも申し上げましたとおり,札幌市も北海道も想定モデルは天保5年の石狩湾地震ということで,いろいろな古文書などの記述から,諸現象を調べた結果,マグニチュードが6.7程度と。その震度は,札幌では震度5程度であったろうと推定されておりまして,これは道も札幌市も同じ立場に立っております。そのモデル地震をもとに,想定地震を算出したわけですが,本市の場合は,市内の地盤を172ヵ所の統計区ごとに調査し,その地表面の最大加速度を求めて,出た結果が,気象庁の震度階では震度5に相当するということで,震度5の想定をしているところでございます。
一方,北海道の場合は,想定される震度分布を札幌市,小樽市,石狩町,厚田村等々,石狩湾を取り囲む広い区域としてとらえまして,札幌市内では,北大構内1ヵ所のみでしたけれども,この広い区域11ヵ所の地下構造調査を実施した上で,震度分布を最大震度6というふうに想定したということでございます。
したがいまして,札幌市も,北海道が行なった調査も,いずれも震源が石狩湾という想定をし,また,地震の規模も同様の地震を想定しているものでございますが,震度の相違につきましては,その調査の手法なり,算出する手法の相違というものであると考えております。また,一般的には,震度5よりも震度6のほうが被害が大きくなるということは,私も十分認識しているところでございます。
そこで,北海道と札幌市との想定地震の整合性の問題になってくるわけでございますが,北海道では,「北海道の想定地震との整合性を図る必要があると考えるが,現時点では,調査の時期や想定のための手法の違いから,専門家などの意見をまたざるを得ない」というような見解を示しておりますし,また,釧路沖地震や今回の南西沖地震の教訓をもとにしまして,地震対策に関する調査研究を行なって,北海道の地域防災計画に反映するよう検討したいということも聞いております。
いずれにいたしましても,本市といたしましても,北海道の地震に関する調査研究の結果を参考にいたしまして,この想定地震の整合性も含めて北海道とも十分協議し,また,連携をとりながら,札幌市の地震対策を推進していきたいと,このように考えているところでございます。以上でございます。
◆生駒 委員 要するに,地震の予知ということが大変難しいということです。しかし,われわれ素人からいうと,いまの説明では,わかったような気もするけれども,やっぱり違いがありますからよくわからない。それから,7にしたのもおおむねにしたりということで,かなりいい加減と言ったら専門家に怒られますけれども,そういう要素がかなり強いというのはわかります。
それで,特に,この被害想定が出ている中で大きい問題は,液状化なのですね。つまり,水と砂の層で,そこの地盤が崩れると。場合によっては,砂の層が水と一緒に地表に飛び出すと,つまり,緩くなって建物が倒れたり,片方だけ行くとそっちがつぶれるとか,これのことで,想定被害の数字も載っておりますけれども,これまた難しい問題で,東京方式だとか愛知県方式とかいうものがあり,特に液状化現象によるものが圧倒的にそれを占めていますが,人的被害は東京方式では負傷者153,死者80,これは札幌のことですけれども,愛知県方式では負傷者1,906人,死者140と,こういうふうに違ってきます。
それで,いま言ったこの震度によっての違いが生じてくるという問題と,それから,液状化危険地域というものが,この調査では図面で示されております。それで,先ほども出ていた天保5年の,いまから149年前ですけれども,石狩湾の地震ということですが,実は,この調査報告の中に出てくる液状化現象の想定地域は,茨戸の一部,篠路の一部,手稲前田の一部というふうにして,北方地域ですね,札幌の北の部分。そこで,いわゆる液状化の状態が北大遺跡の中から出てきたという発表があります。こうしますと,いわゆる液状化が,いま地震考古学というものが正式にあるのかどうかわかりませんけれども,あって,たとえば応神陵なんかが断層で一部崩壊が起きて,定型の前方後円墳でなくなっているとか。つまり,年代と合って,そういう地震があったというのは遺跡の中に出てくると。これは北大遺跡の中に出てきた。液状化が遺跡の中にはっきり出ていると,こういう研究が発表されました。
そうすると,現在の計画で,札幌北部のほうにしてもあくまでも想定なのですよね。ですから,そう見ますと,北大というふうになってきますと,北区の密集市街地等にまで,過去はこういう状態があったと。そうしますと,液状化危険地域が広がらないかと。いまの示したままでよいのかどうかという点が心配になってくるわけですけれども,この点どうお考えになるか。
それから2点目は,被害想定の中に出てくる目安というか項目は,先ほど言った人的被害,それから火災等も出てきます。あと,建物でいうと木造建築物しか出てこないのですね,この被害想定の数字の中に。これでいいのかなというふうに思うのです。というのは,特にこれも液状化との関係ですから,新潟地震で,5階ですか4階ですか,コンクリートの棟が見事にひっくり返っていますね。建物が壊れもしないでころんとひっくり返ってしまうというのが出ています。そうすると,木造建築物の被害想定だけでいいのかどうか。対象に入っていない理由は何なのか,この辺をお尋ねをしたいなと思うのですけれども。
◎新見 交通安全防災対策室長 液状化の危険地域の問題についてのご質問でございますけれども,先ほどお話ししました,本市が委託をして実施しました札幌市の地震対策の基礎調査では,札幌市の全市域の地盤を36のモデルに分類しまして,また,先ほども言いました172の統計区ごとに,そのモデル地盤における液状化の危険度を調査し,その結果として,北部の一部の地域において液状化の危険性があるというふうに判定しているものでございます。
ご質問にもありましたように,北大農場の敷地の埋蔵文化財の発掘現場から,150年前の地震の液状化の跡が見つかったということは,われわれも承知しておりますけれども,その天保の地震から150年と現在とでは,液状化の発生要件であります地盤ですとか地下水位などの諸条件も変化してきているとも考えられますし,また,建物などの基礎構造等も改善されていると思われますので,一概に危険であるとは言えないのではないかと。本市といたしましては,専門的な立場に立って判定されました調査結果を尊重してまいりたいと,このように思っているところでございます。
また,液状化に関しての,高層ビルを含めた危険地域に関する見直しの点でございますけれども,本市の基礎調査の結果では,鉄筋・鉄骨のコンクリートの耐火構造物の危険度につきましては,「液状化危険地域と粗悪な宅造地を除いて,その構造自体の損壊は,ほとんど想定されない」というふうに,地域防災計画ではそういうふうな被害想定をしております。ただ,液状化などの軟弱な地盤への中高層建築物の建設に当たりましては,建築士が事前の,地盤調査などに基づきまして,建築基準法なり建築構造基礎設計指針等によりまして,構造計算を行なって安全を確認して設計しているということで,被害の防止を図っているところでございます。
しかしながら,本市の被害想定も約10数年前に想定したものでございますし,その後の都市基盤の整備などが進みまして,また,都市環境も変化しておりますので,先ほども申し上げましたように,北海道の地震対策に対する研究の結果なども踏まえながら,液状化の問題も含めた本市の被害想定についても,なおまた研究してまいりたいと,このように思っております。
◆生駒 委員 いまそういうふうにお答えになりましたけれども,150年たって大分変わっているということです。それはそうだと思います。
それで,札幌扇状地というのは函館本線までで,あれを過ぎると,ずっと湿地帯だったのですね。したがって,旧琴似川というのが北大の中を通って,それに対する支流がケネウシ川とか,それからサクシュコトニ川とか,無数の名のない川もあるし,名前がつくだけでもこれだけありますし,そういう地帯なのですよね。だから,液状化の問題で危険だと言われるのは,2メーター程度のところに地下水がたまって,俗な言葉で言いますと砂を溶かすということで警戒するということですけれども,10メーター下の地盤が実際どうなっていて,地下水脈が実際どうなっているかという問題は,150年たって大分水は引いただろうというのですが,地下10メーターまで引いたのか,そういったものの調査は実際やられたのかどうかということにもなりますけれども,やっぱり不安はあるわけです。そうなりますと,特にそういう地下水脈が二,三メーターのところにはないけれども,10メーターのところに出てくるということになると,それが今度コンクリートの土台部分になってくるわけです。そういう関係で,そこは大丈夫かという問題が実際出てくるわけですね。
ですから,これはいまの答弁では,専門的にもう少し深めていくというか,そういう必要性も言われましたので,いずれにしても,整合していない問題やこういう問題は,もっと煮詰めていく必要があるだろうというのが僕の感想です。
それで,地震計の設置,地震予知の観測体制をやっぱり国,道に要望して,特に日本海側,北海道関係の奥尻のああいう地震もありましたけれども,結局ないのですね,こっちに一つも。お金が相当かかるという話も聞いていますが,この辺,言ってみれば,日本海側というのは地震が少なかったので大したことはないという意識が強いのですが,しかし,実際に地震を起こすのは活断層で,これがかなりの数で海底にあるということが映像で出されましたね。そういう発表をされる機会が余りなかったのです,地震が少ないということで。
したがって,そういう状況もありますから,ぜひ観測体制を強化する,これを国や道に働きかける。予知というのは非常に大事なのです。その点で,ぜひ働きかけていっていただきたいと思うのですが,この点でのご答弁をいただきたいと思うのです。
◎新見 交通安全防災対策室長 日本における地震予知に関しましては,地震予知連というところがございまして,そこで中長期的な見通しを立ててやっているわけでございまして,その中では,全国に8ヵ所の特定観測地域と2ヵ所の観測強化地域というのを指定しております。北海道におきましては,釧路や根室地域の北海道東部が特定観測地域と予知連に指定されております。そういう形で,国が責任を持った体制で,各関係省庁とも連携をとりながら,国が観測の強化に取り組んでいるところでございます。
また,そういう中で,ことしの7月に地震予知連絡会の特定観測地域部会で,いまのそういう特定観測地域について見直しを検討したいというふうな動きになっております。そういう新聞報道もされておりまして,今回の北海道の南西沖地震なども基礎データとして参考にしながら,本道の日本海側を含めた検討がなされるだろうというふうに言われておりますので,それらの動きなり,北海道の防災会議地震専門部会において,最近の地震活動などの報告等を受け,いろいろ打ち合せしている経緯もありますので,それらの推移を見守りながら,札幌市といたしましても,北海道に対して機会をとらえながら伝えてまいりたいと,このように思っているところでございます。
○加藤[斉] 委員長 以上で,第3項 市民生活費等の質疑を終了いたします。
次に,第5款 労働費 第1項 労働費中関係分の質疑を行いますが,通告がありませんので,質疑を終了いたします。
以上で,本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが,10月15日午後1時から,教育委員会のうち総務部,学校教育部,教育研究所及び高等専門学校事務局関係の質疑を行いますので,定刻までにご参集ください。
本日は,これをもって終了いたします。
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散 会 午後5時41分...