助役 田 中 良 明 君
収入役 長 部 幸 一 君
交通事業管理者交通局長土 榮 勝 司 君
水道事業管理者水道局長石 原 弘 之 君
総務局長 伊 藤 忠 男 君
企画調整局長 井 原 貴 男 君
財政局長 久 元 喜 造 君
市民局長 大 野 雅 弘 君
民生局長 大 長 記 興 君
衛生局長 高 杉 信 男 君
環境局長 前 田 悦 雄 君
経済局長 鈴 木 俊 雄 君
建設局長 平 賀 岑 吾 君
都市整備局長 広 畑 民 雄 君
下水道局長 松 見 紀 忠 君
建築局長 関 谷 幸 正 君
市立札幌病院長 竹 田 保 君
消防局長 中 谷 多 宏 君
教育委員会委員 松 村 郁 夫 君
教育委員会教育長 藤 島 積 君
選挙管理委員会委員長 宮 川 新 市 君
選挙管理委員会委員 須 合 一 雄 君
選挙管理委員会委員 向 川 武 夫 君
人事委員会委員長 山 岡 暸 君
人事委員会事務局長 水 島 典 弘 君
監査委員 野 島 廣 紀 君
監査事務局長 東 山 誠 君
――――――――――――――――
〇
事務局出席職員
事務局長 鍛冶沢 徹 君
事務局次長 植 田 英 次 君
総務課長 佐 藤 正 明 君
議事課長記録係長事務取扱
土 屋 逞 君
調査係長 木 村 正 実 君
資料係長 沼 田 光 弘 君
議事係長 高 森 政 行 君
委員会一係長 山 内 馨 君
委員会二係長 山 本 祥 一 君
書記 佐 藤 比登利 君
書記 高 佐 三緒子 君
書記 鈴 木 和 弥 君
書記 尾 形 英 樹 君
書記 今 井 一 行 君
書記 山 本 扶 美 君
――――――――――――――――
〔午後1時開議〕
○議長(見延順章君) これより本日の会議を開きます。
出席議員数は,64人であります。
――――――――――――――――
○議長(見延順章君) 本日の
会議録署名議員として関口英一君,田畑光雄君を指名します。
――――――――――――――――
○議長(見延順章君) ここで,事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(鍛冶沢徹君) 報告いたします。
岡本修造議員は,所用のため本日の会議を欠席する旨,田畔 満議員は,所用のため遅参する旨,それぞれ届け出がございました。
本日の議事日程及び質問順序表は,お手元に配付いたしております。以上でございます。
――――――――――――――――
○議長(見延順章君) これより議事に入ります。
日程第1,議案第1号から第20号まで及び議案第29号から第33号までの25件を一括議題といたします。
昨日に引き続きまして,代表質問を行います。
通告がありますので,順次発言を許します。常見寿夫君。
(常見寿夫君登壇・拍手)
◆常見寿夫君 私は,ただいまから公明党議員団を代表しまして,今決算議会に提案されました案件並びに当面する諸問題につきまして質問をいたします。
まず最初に,財政問題についてであります。
平成4年度は,21世紀へ向けて躍動都市さっぽろの実現を図る第2次5年計画のスタートの年であり,将来につながる事業も多く,また,市営交通,国民健康保険の健全化に向けての取組みがなされたところであります。その決算内容を見ますと,厳しい財政状況にもかかわらず,5年計画が着実に推進するとともに,
市営交通事業につきましても好転の兆しが見られ,労苦の跡が感じられるのであります。
当面の課題を克服し,躍動都市さっぽろを実現していくためには,その施策に要する費用を賄う財源が必要であり,その確保が重要であります。
そこで,平成4年度の一般会計の歳入について見ますと,総額は7,001億円と,平成3年度に比べ7.5%,490億円の増となっておりますが,これは地方交付税の伸びに支えられているものであります。そのうち,市税について見ますと,景気の低迷により法人市民税が落ち込んだことなどから,対前年度伸び率3.3%,税額では88億円の増にとどまり,その伸びは低いものとなっているのであります。このことなどから,平成4年度では財政調整基金80億円,
まちづくり推進基金20億円,合わせて100億円を当初の計上どおり取り崩すとともに,法人市民税の減収などを補うため,減収補てん債を10年ぶりに20億円起債するなど,厳しさがうかがえるところであります。
今年度は,さらに厳しい財政状況にあると思われ,市民要望にこたえ得る施策を行う上では,歳出の見直しは無論,一層の努力と創意工夫による財源の確保が必要であり,歳入の大宗を占める市税収入の確保は重要であると認識をしております。
一方,経済情勢を見ますと,昭和61年12月に始まった大型景気は平成3年の春から下降に向かい,住宅建設の減少や民間設備投資の増勢の鈍化を背景に後退し,平成4年には,住宅建設の回復の動きや公共投資の伸びはありましたが,個人消費が低調で鉱工業生産が停滞するなど,引き続き低迷し,平成5年4月には,国は13兆円を上回る規模の景気対策を実施したところであります。
本市でも,これを受けて6月には353億円の補正を行い,景気回復のための施策を実施しているところであります。
また,今月初旬の政府の月例経済報告では,回復に向けた動きに足踏みが見られるとされておりますが,急速に進んだ円高や冷夏の影響もあり,景気の回復は予断を許さない状況にあると言われております。
このことは,国の税収にも大きく影を落としておりまして,平成4年度の国税の決算額は54兆4,453億円と,対前年度比マイナス9%となり,2年連続前年割れという内容となっております。その主な原因は,土地譲渡所得の激減による申告所得税と企業収益の悪化による法人税の大幅な落込みによるものであります。この結果,国の税収は,当初予算に対して8兆587億円,補正後予算に対しても3兆1,857億円下回り,歳入欠陥の1兆5,447億円は,
決算調整資金から組み入れ,何とか帳じりを合わせているところであります。
一方,国税の平成5年7月現在の収入状況を見ますと,前年度比1.8%の低い伸びとなっており,今後の税収動向や経済情勢等にもよりましょうが,平成5年度の国の補正後予算の収入額は,平成4年度決算に対して12.3%という高い伸び率を計上しておりますが,その確保はきわめて困難ではないかと思われるのであります。
国と同様に,指定都市におきましても税収は思わしくなく,平成4年度決算を見ますと,対前年度比で伸び率の最も高い都市は7.7%,低い都市ではマイナス1%,本市は3.3%と,その中ほどに位置しております。いずれの指定都市も,景気低迷の影響を受けて厳しい財政運営を強いられているものと考えております。
また,全国主要都市の6月末の平成5年度税収実績が新聞報道されておりますが,それによりますと,総額では前年同期比1.8%増と,わずかな伸びしか見られないのであります。
そこで,本市の平成4年度の市税決算について見ますと,当初2,770億円の計上に対して,本年の第1回定例市議会において45億円の減額補正を行い2,725億円となっておりますが,これに対しては辛うじて1億5,000万上回る決算となったところであります。しかしながら,収入未済額は前年度より36億5,000万円増加し,128億円もの大きな額となっておりますし,収入率も前年より1ポイント減の95.3%となったところであります。
これは,バブル経済で膨らんだ景気が後退期に入ったことが大きく影響しているものと思われますが,収入未済額が増加することは,税の基本である公平・公正な課税の観点からいっても見過ごすことのできないものであります。もちろん,税務に携わる職員の皆様方は,日々努力されていることは十分承知しているところでありますが,さらに一丸となって財源確保に当たられることをお願いするものであります。
そこで質問でありますが,その第1は,平成4年度の市税の決算に対する評価と平成5年度の市税の見通しについて市長の見解をお伺いしたいのであります。
質問の第2は,納税対策についてであります。
昨年10月から今年5月まで,収入未済額の圧縮と市税の確保のため
緊急納税対策が実施されまして,さらに,今年8月からは
特別納税対策を行うなど,市税増収の確保に鋭意努力されていると聞いておるところであります。
そこでお伺いしたいことは,昨年の
緊急納税対策の結果は,どのような効果があったのか。また,今年度の
特別納税対策をどう推進されようとしているのかをお聞かせ願いたいのであります。
次に,
公園緑化行政についてお伺いをいたします。
私は,常日ごろ,都市の魅力の一つは緑の存在であると考えております。札幌の街の魅力と申しますと,私
ども札幌市民にとっては無論でありますけれども,訪れる人がどのような印象を持つかということが大変重要な要素であると思います。
先日,観光客にとっての札幌のイメージ調査の結果というものが報道されておりましたが,観光客の抱いている札幌のイメージは,雄大で緑が多くさわやかな街というのがトップでありました。このイメージは,10年前より18%も増加しているとのことであります。そして,実際に訪れた印象が期待どおりという人の割合が6割にも達し,前回の調査結果を大きく上回っており,約9割近い人が札幌をもう一度訪れたいと回答していると報告されています。まさに,今日まで精力的に緑化行政に取り組んできた成果が,このような方面にも大きな成果を発揮しているものと見ることができるかと思います。
本市の公園緑地の現況は,設置数で2,160ヵ所,総面積にしますと1,385ヘクタールに達し,全国的にもきわめて高い水準となっており,街を取り巻く周辺の森林を加えますと,大都市には珍しい緑あふれる都市ということができます。このことは,緑を大切にする市民の心に支えられ,市当局が緑化行政を強力に推進されたたまものと評価するところであります。
ところで,この公園緑化という事業は,きわめて長期的に取り組むべきものであり,かつ市民生活に密接にかかわることから,将来の社会情勢の変化に的確に対応する姿勢を保ちつつ進めていく必要があると思います。高齢化の進展に伴う健康に関する関心の高まり,労働時間の短縮に伴う余暇時間の増大あるいは余暇ニーズの多様化など,公園緑化に対する市民要望はますます拡大していくことが予想されます。
昨年の地球サミットや本年釧路で開催された
ラムサール会議の結果を見るまでもなく,地球環境の悪化にいかに対処していくかということも自治体レベルにおける重要な政策課題となり,自然環境の保全と賢明な利用を進めていくことが大切になってまいります。
また,公園緑地のデザインや利用形態を見ますと,他の都市施設と比較しましても,地域の気候風土や自然的諸条件に左右されることが大きく,1年の半分近くが雪で覆われるという本市の気象条件を踏まえた雪国の公園という視点が大切になってまいります。
さらにまた,今年は,本道の南西沖を襲った大地震以来,記録的な雨や台風の被害が多発し,まさに日本全体が災害列島と化したとの感を深めたのでありますが,これらの災害に強い都市づくり,安全な都市構造の構築ということを考えてまいりますとき,
公園緑化行政の役割はさらに重要性を増してくるものと思います。
こうした要請や期待にこたえるため,本年6月30日には,都市公園法の施行令が改正されました。昭和31年法制定以来の最も大きな改正であるとのことであります。改正以前は,法令上の公園施設の名称なども当時の世相を色濃く反映しておりました。
ゲートボール場など,昨今の公園では最もポピュラーな施設が位置づけられていないなど,時代の流れの中で相当に現実の公園事業と乖離をしている実態になっております。これを,今後公園行政を進めるにふさわしく改正したものであります。
われわれに最もなじみ深い児童公園という名称が変更されて街区公園となり,身近な小公園については利用を児童に制限することなく,広くさまざまな年齢層の人々の集う場所にすること,さらには,公園の三種の神器と言われるプランコ,滑り台,砂場といった遊具の設置の義務づけを廃止することにより,自由度の高い公園の設計を可能にしたこと,あるいは都市林を公園に加えるなど,都市における自然環境の保全に随所で配慮していることなどが目につく改正点であろうと思います。まさに,新しい時代の到来を意識した内容と言えるのではないでしょうか。
これらの改正によって,今後の本市の公園行政を進めていく上で,一層主体性と自立性を持つことが要求されますし,市民の多様化するニーズに的確にこたえていくことが可能な環境が整えられたと言えるかと思います。
先般,
街づくりサッポロ会議の提言を拝見しましたが,私は,公園緑化のテーマの提言内容に大変興味を引かれたわけであります。そこに盛り込まれている提言は,一言で申せば,いままでの既成概念にとらわれることなく,市民とともに公園を計画し,利用を進める柔軟な緑化行政が求められておりました。その熱心な討論,検討の経過を見ますと,市民各層の期待を読み取ることができ,都市公園の制度改正といった全国的な機運の高まりと軌を一にするものと解されるものであります。
国の動きを待つまでもなく,市当局におかれましては,今年度より個性あふれる
公園整備事業に着手され,古くなった公園を従来の枠にとらわれることなく,一つ一つ住民の方々と意見を交わしながらリフレッシュを図っていくとし,各方面から高く評価され,期待もされる事業に取り組んでおられます。まさに,時代の要請を的確にとらえた先見性を持った事業ということができるでありましょう。
そこで,これらのことを念頭に置きつつ,数点お伺いをしたいと思います。
その第1点は,今回の政令改正の目指す方向について基本的にどのように理解をされているのかをお示しを願いたいのであります。
第2点目としましては,これらの国における制度上の改正を受けて,本市の公園行政としてどのように受けとめ,どのような方向へ持っていこうとしているのか,その基本的な視点をお伺いしたいのであります。
3点目は,本市の気候風土というものを考えます場合,雪の問題を抜きにまちづくりや市民生活について語ることは不可能であります。現在,多数の公園が市街地の隅々に配置されているわけでありますが,市長が力を入れて進められている雪対策へ,これらの活用を検討してみてはいかがかと思うのであります。
先ほどの
街づくりサッポロ会議の提言にも,冬の公園の利用を活性化するために,公園に融雪槽を設置するアイデアが盛り込まれておりました。本市がこれまで雪対策の種々の施策に先駆的な取組みをしてきた実績を生かし,雪国の公園の活用策として融雪槽について検討すべき時期にあると思いますけれども,市長のご見解を伺いたいと存じます。
次に,教育問題についてお尋ねをいたします。
国際都市さっぽろという観点から,
国際理解教育についてであります。
いま私たちを取り巻く社会は,衛星中継によるコミュニケーションの発達により,家庭にいながらにして世界の生々しい情報がすぐさまわかるといったように,情報の国際化が急速に進んでいる状況にあります。また,交通機関の発達により,世界の人々が気軽に行き来することが可能になるなど,まさに今日の国際社会では,それぞれの国々やそこに暮らしている人々の間に相互依存の関係が急速にその度合いを高め,さまざまな問題の解決に当たって相互理解と協力が求められております。
ご承知のとおり,札幌は,開拓の当初からまちづくりに当たり多くの外国人の力を借りてまいりました。札幌農学校に赴任したクラーク博士の「ボーイズ・ビー・アンビシャス」の言葉は,いまも札幌の人々の心に息づいており,さらには道庁の赤レンガ庁舎,そして時計台など,外国人の影響がいまも色濃く残っております。したがって,札幌は,国際性豊かな背景のもとに育ってきた街であり,それゆえ外国の人々からも高く評価をされているところであります。こうした背景が,
冬季オリンピックや
北方都市会議を成功させ,また,音楽界で世界的に注目をされているパシフィック・ミュージック・フェスティバルをはぐくんできたものと考えるのであります。
しかしながら,一方,大阪,横浜,福岡などに比べ,本市の国際化の進展は,まだまだ鈍い状況にあります。
こうした状況を考えるとき,今後,国際都市として札幌がさらに発展し,ひいては,わが国の国際化を促進するためのかぎとなるのは,やはりこれからの21世紀を担って活躍する子供たちの
国際理解教育にあると思うわけであります。もちろん,
国際理解教育といった場合,自分の国の文化や伝統について正しく理解することや,諸外国の生活や文化を理解し尊重することなど,その内容は多岐にわたっております。私は,その中でも特に英語教育にかかわって日ごろ感じていることの一端を述べ,教育長の所見をお伺いしたいと思います。
わが国の英語教育は,最近まで,入試制度とも関連があると思いますけれども,特に文法に重点が置かれ,中学,高校,そして大学と合わせれば相当期間英語を習っているにもかかわらず,大部分の人々が話すこともできないという状況にあったことはご承知のとおりであります。よく外国旅行の日本人が,言葉を話すことが不得意なため,自由なコミュニケーションができず,集団で行動してしまうと言われることがあります。
私は,次の時代を担って立つことになるこれらの生徒たちが,もっと自由に繰れる英語を身につけ,外国の人々と進んでつき合えるようになることが必要であると考えるのであります。
幸い,文部省においては,このような国際化が急速に進む中にあって,語学教育の充実を図るため,昭和61年度からこれまで毎年行なってきた外国人の招聘事業を充実させるための新たな計画に基づき,その数をおよそ3,500人にまでふやし,全国の中学校,高等学校に英語指導助手として配置する計画を進めていると聞いております。また,このたびの学習指導要領の改訂に当たり,「国際化が進む中にあって,次代に生きる日本人を育成するためには,これからの学校教育において,諸外国の人々の生活や文化を理解し尊重するとともに,我が国の文化と伝統を大切にする態度の育成を重視していく必要がある。」と,
国際理解教育の重要性が特に強調をされております。
さらに,文部大臣の諮問機関である生涯学習審議会が平成4年7月に答申した「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」の中でも,今後,人々が学習すべき課題の一つとして,国際理解,国際貢献,開発援助等が挙げられております。
本市におきましても,英語教育について積極的にコミュニケーションを図る能力を育成することが大事であるとの認識から,4人の英語指導助手の招致事業,また,中学校,高等学校の英語科教員を海外に派遣しての研修事業,さらに,国際化時代にあって,札幌市の教員がとにかく外国の空気に触れるという体験をすることが大切であるという考えから,外国へ行く時期,場所,方法等については本人に任せ,1人45万円の経費,毎年15人の枠で海外派遣の事業も行なっている実情であります。私は,今後とも,こうした事業についてはぜひ続けてほしいと考えております。
一方,札幌市の青年会議所などが中心となって,国際感覚と語学力を身につけていくための事業として,本年度はアメリカ・アーカンソー州のリトルロック市へ22名の教員を派遣して,現地の教員とともに研修を行なっているところであり,これも大変すばらしいことであると感じております。
しかしながら,英語指導助手について申し上げれば,他の政令指定都市のほとんどが本市の数を上回っている状況にあります。札幌市の中学校,高等学校の全校に派遣するとすれば,1人で25校以上を担当することになります。これでは,一つの学校に行くことができる日数も当然限られてしまうのではないかと危惧するところであります。
そこで,質問の第1点目でありますけれども,私は,英語におけるコミュニケーションの能力を高めていくためには,「習うよりなれろ」の例えにもあるように,生徒たちが本物の生きた英語にできるだけ多く触れる機会を与えることが必要だと思うのであります。したがいまして,私は,札幌市として英語指導助手の数の増員が必至の課題であると考えておりますが,現在,札幌市の中学校,高等学校における派遣状況はどのようになっておるのか。また,学校からの要請にすべて応じられるようになっているのかをお尋ねをしたいと思います。
二つ目の質問としまして,これまで申し上げてきたとおり,今後,国際化社会に向けてこれまで以上に積極的に対応するためには,英語指導助手の数を少なくとも各市立高等学校にそれぞれ配置できるぐらいの増員が必要であると考えておりますが,これらの増員計画がどのようになっているのかをお尋ねしたいと思います。
質問の第3番目としまして,教員の海外派遣についてであります。
先ほど触れました本市が独自で行なっている教員の海外派遣事業について,札幌市の小学校,中学校,高等学校の教員の数が8,000人を超える状況にあることを考えますと,毎年15人という数は,いかにも少な過ぎると感ずるのであります。私は,今後,市教委が海外派遣の事業をさらに充実させるためにも,まず何よりも人数枠について拡大していくことが,国際的な広い視野を持って教育に当たることにつながると考えるのであります。
そこで,この事業の成果についてどのように認識をされておるのか。また,今後,この事業をどのように充実していくお考えなのかをお尋ねをしたいと思います。
教育問題の二つ目としまして,障害児の通級指導教室についてであります。
心身障害児の教育は,専門性を備えた教員により,障害の種類や程度に十分配慮しながら行われております。つまり,よい環境のもとで手厚い教育が行われる必要があり,盲学校,聾学校,養護学校,そして小・中学校には特殊学級が設置されているのであります。
本市におきましても,市立の養護学校として,病気で入院している子供たちのための山の手養護学校,重度肢体不自由児のための豊成養護学校,そして,精神遅滞の生徒のための豊明高等養護学校が設置されております。また,小・中学校には,精神遅滞,情緒障害,病弱・身体虚弱,言語障害,難聴,弱視の6障害にわたる特殊学級が,およそ4校に1校の割合で設置されております。
私は,この春,関係者の長年の念願でありました豊明高等養護学校の新校舎を訪ね,クリーニングですとか,コンクリートの作業学習に先生方と一緒になって汗を流し,真剣に取り組む生徒の姿に大きな感銘を受けたものであります。また,かつて私の知合いの方にも口蓋裂の子供がおりましたが,病院で手術を受けた後,小学校の言語障害特殊学級に言葉の指導を受けに通い,やがて驚くほどきれいに発音できるようになったのであります。そのとき,子供本人はもとより,親の喜びは筆舌に尽くせないものがあり,私は感動すら覚えたものでありました。障害の程度や種類は一人一人異なりますが,それらに応じて適切な指導が行われることにより,本市の特殊教育は大きな成果を上げていると評価できるのであります。
しかし,一方では,障害児の教育の場が養護学校や特殊学級などに限定され,多様な教育を希望する父母の願いとは必ずしも一致しない場合があるのも事実でありましょう。
わが国の特殊教育は,明治時代の初期に開始されて以来,次第に普及し,制度的な確立と相まって,今日のような拡充・発展を見ているのでありますが,近年は,障害の実態も複雑多岐にわたっており,これに即応できるようなよりきめの細かい適切な教育体制が必要になってきていると言われております。
これまでも国の特殊教育研究調査協力者会議などが,数回にわたって心身障害児の能力,特性等に応じて柔軟な教育的取扱いを求める報告をしており,その一つとして,平成4年3月30日には,通級による指導についての審議のまとめを発表しているところであります。そして,これに基づき,これまで養護学校や特殊学級などといったやや固定的な特殊教育の形態に比べ,普通学級に在籍したままで障害に応じた特別の指導が受けられるというような柔軟な特殊教育の形態である通級による指導が,今年度から制度化されたわけであります。この制度化によって新たに通級指導教室が設置されるとのことでありますが,これは長年父母や先生方が望んでいたものであり,今後はこれまで以上に多様な教育の場が用意され,一人一人の子供の実態に応じて,柔軟で弾力的な特殊教育が行われるものと期待しているところであります。
そこで,この通級による指導の制度化について,以下2点お伺いをしたいと思います。
第1点目は,今回の制度化による具体的な内容についてであります。
このたびの制度化による通級指導教室は,従来の特殊学級と具体的にどこが異なり,障害児の教育の場がどのように変わったのか。また,対象としている障害は何なのか。精神遅滞や,いわゆる学習障害の子供は対象になるのかをお伺いをしたいと思います。
2点目は,本市における取組みの状況と今後の見通しについてであります。
本市は,この制度化に向け,いち早く対応したと聞いておりますが,およそ6ヵ月を経過した現在,どのような状況になっているのかをお尋ねをいたします。また,今後どのように取り組んでいくのか,見通しについてもあわせてお伺いをいたします。
次に,福祉対策についてお伺いします。
第2次世界大戦後しばらく,わが国では人生50年と言われてきましたが,それがわずか40年ほどの間に世界一の長寿国となり,いまや人生80年時代を迎えているわけであります。国の調査によれば,100歳以上の高齢者は,老人福祉法が制定された昭和38年には全国で153人であったのが,本年は4,802人となっており,人口の高齢化がいかに進んでいるかがわかります。このような高齢化の進展の中にあって高齢者対策は,弱者として高齢者を保護するという観点から,高齢者がより豊かで自立した生活を送るための福祉施策というように,より積極的な視点へとその方向を変えつつあります。すなわち,長くなった高齢期を健康で生きがいを持って豊かな生活を送っていくために,子供から高齢者までの人々が共通の認識と理解を深め,高齢者自身が地域社会の中で重要な構成員としてその知識や経験を存分に発揮することができるとともに,若い世代もまた高齢者の多様な生き方に思いやりの心を持って応援することができるようなまちづくりを進めていく必要があると思うのであります。
しかし,一方では,世帯規模の縮小や女性の雇用機会の拡大,さらには扶養意識の変化などによる家庭の介護力の低下による寝たきりや痴呆症などの,いわゆる介護を必要とする高齢者が大幅にふえることになり,今後は,このような介護需要に対応する対策を進めていくこともきわめて重要になるわけであります。
昭和56年の国際障害者年を契機として,障害を持つ人々や身体機能の衰えた高齢者など,社会的に不利を負う人々も地域社会で生活するのが望ましく,そのような社会が本来の社会であるというノーマライゼーションの考え方が広まり,だれもが可能な限り在宅で暮らせるような在宅福祉対策の充実が求められておりますが,こうした考えのもと,国は消費税導入の趣旨を踏まえ,平成元年12月に高齢者保健福祉推進十か年戦略,いわゆるゴールドプランを策定し,高齢者の保健・福祉の分野で今世紀中に推進すべき目標を掲げました。さらに,このゴールドプランの実現を図るために,平成2年6月には老人福祉法と老人保健法を改正し,すべての都道府県と市町村に高齢者保健福祉計画の策定が義務づけられたところであり,本市もこれを受け,今年度中にはこの計画を策定することになっておるわけであります。
この計画は,高齢者がいつでも,どこでも,だれでも,必要とする保健・福祉サービスを利用できるようにすることを目指して策定するものであり,計画の基本方針を見てみますと,地域における総合的なケアシステムの確立や在宅ケアの推進,利用しやすい保健・福祉サービスと医療の連携,寝たきりや痴呆性の高齢者とその家族への対策の推進,さらには地域性を踏まえた内容とすることなどが述べられております。
ところで,最近,ある新聞に,今後における高齢者対策のキーワードは「医・職・住」であるとの社説がありました。従来,「イショクジュウ」というと,イは衣であり,ショクは食べるほうの食であり,ジュウは住まいであるということでありますが,この社説によりますと,イというのは医療の医であり,ショクは職業の職であり,ジュウはもちろん住宅の住でありますが,大変興味深く読みましたので,ここで要旨を若干紹介をさせていただきます。
私たちは,世界に向かって誇れる人生80年の長寿を築き上げましたが,これは生活環境,医療・保健,栄養などの発展・充実の成果である。しかし,衰えていく肉体と精神をだれに支えてもらうのか。晩年をどこで過ごせばいいのか。医学と医療を超える広い意味での「医」を探す旅が始まっている。厚生省が推進しているゴールドプランとその市町村版の高齢者保健福祉計画は,特に在宅福祉の充実を目指しており,ホームヘルパーは目標の10万人を確保しても,週2回から3回来てくれる程度である。日帰りで介護を受けられるデイサービスは目標の1万ヵ所を達成することができ,毎日でも通える施設になるのか。特別養護老人ホームは急ピッチでふえてはいるが,なお入所待ちの長い列が続いている。このような代表的な施設福祉の支えなしに在宅福祉は成り立たないであろう。2番目は,「職」の問題である。生活の安定と生きがいを求める高齢者への雇用の場を提供できる社会を築けるかどうか。最後の「住」の問題は,私たちが,産業とその基盤づくりを最優先に走り続けた末に残した重い宿題である。このようなさまざまな疑問や不安はあるが,このプランが真に21世紀のステップになるためにも,高齢者保健福祉計画への関心を地域で高める必要がある。将来,自分たちの街で本当に安心して暮らせるかどうか,この計画は重要な判断材料になっていくものだ。行政への働きかけを続けようというような内容であります。
私がここで言うまでもなく,急速に進行する高齢化社会の中で,高齢者が住みなれた地域で健やかに安心して暮らしていくためには,介護や健康に不安がなく,生きがいを持って過ごせるまちづくりを進めることが重要でありますが,そのことはとりもなおさず,いま申し上げました「医・職・住」の問題がそれぞれバランスよく解決されることにほかならないと思うわけでありますが,特に,保健・福祉サービスの提供体制の整備に当たっては,できる限り高齢者が寝たきりにならないようにするとともに,仮に寝たきりになったとしても,住みなれた地域や家庭で生活できるように住宅介護サービスを最重点課題とすべきであると考えております。
そこで,本市が策定する札幌市高齢者保健福祉計画について質問をいたします。
今後は,75歳以上の後期高齢者の増加や世帯規模の縮小,女性の社会進出,さらには扶養意識の変化などによる家庭の介護力の低下により,寝たきりや痴呆症などの,いわゆる介護を必要とする高齢者が大幅にふえることになります。このため,家族の介護負担を少しでも軽減し,家庭が崩壊することのないような在宅援護事業を充実強化していく必要があると思いますが,わが党が従来から主張している住宅3本柱のホームヘルパー,デイサービス,ショートステイの充実について,現在策定している高齢者保健福祉計画の中でどのように取り組んでいくのかをお伺いをします。
さらに,昨年で国連障害者の十年が終了しましたが,この10年間,わが国の社会は着実な変化を見せ,障害を持つ子供たちはすべて教育を受けることができ,車いすや白杖の人々が気軽に街へ出かけるようになってきております。
本市においても,この10年間,障害者福祉の充実に向け,さまざまな施設の建設を初め,在宅福祉サービスを中心とする地域福祉の展開がされてきております。しかし,完全参加と平等,いわゆるノーマライゼーションの考え方の実現は緒についたばかりであり,すべての人々にとって本当に住みよい豊かな社会をつくり上げていくためには,次のステップへさらに努力をしていかなければなりません。
国においては,本年1月に,中央心身障害者対策協議会から,国連障害者の十年以降の障害者対策のあり方について意見具申が出され,それを受けて平成5年度から10年間を想定した新たな障害者対策に関する長期計画が策定されたようであります。また,国連において,本年からアジア太平洋障害者の十年がスタートしております。このような状況を踏まえ,私は,本市においても今後障害者福祉の推進を図るため,地域の実情を考慮した計画を策定する必要があると考えますが,全国各自治体においても独自の障害者福祉計画を策定する動きがあると伺っております。
そこで質問でありますけれども,本市として,本年度,障害者の実態調査を実施するとともに,これらの結果と分析を踏まえて中長期計画を策定すると伺っておりますが,計画策定に当たって,障害者のニーズはもちろんのこと,福祉関係者や市民の声を聞いて策定することが必要と考えますが,市長はどのように取り組んでいくおつもりなのか,そのスケジュールも踏まえて考え方を明らかにしていただきたいと思います。
次に,芸術文化行政についてお伺いします。
この2年間における桂市長のまちづくりの特徴を私なりに分析をしてみると,市内を縦の軸と横の軸,円周軸という形で特色づけをした,軸のしっかりしたまちづくりを目指しているのではないかと考えるわけであります。すなわち,札幌市の南北を結ぶ縦の軸とは,札幌サンプラザ,JRシアター,中島公園の芸術文化ゾーン,芸術の森等の芸術文化軸として,東西を結ぶ横の軸としましては,宮の沢の屋内競技場,円山総合運動場など,豊平・月寒の施設,そして,厚別競技場にまでまたがるスポーツの軸を想定し,また,円周の軸としましては,夢のグリーンベルトに代表される森林浴や家族での散策を楽しむファミリーレクリエーション軸とするなど,それぞれの地域の持つ歴史的発展の特色と恵まれた自然環境を生かしたまちづくりがイメージされ,それに基づき施設の計画等が検討されているのではないかと考えるところであります。
このような観点から,建設途上にある芸術文化軸のうち,とりわけ芸術の森ゾーンについてお伺いするものであります。
わが党は,多様な市民ニーズや余暇時代の増大など,人々の精神的な充足と潤いを求める時代背景の変化に対応するためには芸術文化環境の整備が大切であると従来から主張を続けてきております。また,札幌市が国内外の諸都市に向けて,札幌生まれで都市の顔ともなる個性ある文化を発信するためには,総合的な施策の立案に基づき,そのことを実現する果敢な行動力が必要であると考えております。そして,そのためには,芸術文化に携われる人々を育てること,多くの市民が芸術文化への関心を高められること,芸術文化をサポートする企業等の理解や支援を得られること,芸術文化企業が育つこと等が求められているわけであります。
このような観点から,近年の本市における芸術文化の状況を見ると,芸術の森ゾーンに設置されたデザイン系市立高等専門学校,多くの企業メセナで芸術の森を拠点に全国的に活動を展開しているPMF,中島公園に立地が決まった音楽専用ホール,JR札幌駅の南口構内に地元企業が中心になり,総工費約7億円をかけて無期限ロングランを9月1日からスタートさせたJRシアターなど,南北の軸が整備され,札幌の芸術環境は,21世紀へ向けて大きな変化を見せ始めていると言えるのではないでしょうか。
また,芸術の森ゾーンの中へのアートヴィレッジの設置など,他都市に例を見ない展開が始まっているのであります。芸術系先端企業の誘致を図り,本市の産業文化の振興にインパクトを与え,新しい芸術文化の創造と経済の活性化を促すことを目的として計画を進めているアートヴィレッジは,コンピューターグラフィックス等の研究を行うハドソンが昨年から事業を開始したほか,レコード会社ファンハウスの建設した,良好な自然環境の中で創造的に新曲を作成しながら録音していくリゾート型レコーディングスタジオが,この10月から本格稼働を開始することになっております。
このリゾート型レコーディングスタジオについては,日本では最高のレベル,世界的に見ても屈指のスタジオであり,当然のことながらスタジオで用いられている機器は,現代技術の最高レベルの機器で構成されることになります。さまざまな機器の中で,特に音質等を加工,調整する機器であるコンソールについては,ビートルズのプロデューサーであるジョージ・マーチンがバハマ諸島に持っていたリゾート型スタジオで使用していたものを好意で譲り受けたものであり,イギリスにおいて手づくりで特別に製作された世界に3台しかない貴重な世界最高のコンソールであると聞いておりますので,専門家の注目を浴びることは間違いないと思います。このように考えてまいりますと,アートヴィレッジに世界有数の魅力あるスタジオが完成したことにより,日本のアーチストはもとより世界の有名なアーチストがこのスタジオを利用して,その音楽が全世界に発信されることもそう遠いことではないと考えるのは,私だけではないと思っております。
以上のようなことを考えますと,わが党が昭和53年に提言した芸術系専門大学の誘致や,芸術の森の前身である芸術の村が具体化され,その波及効果がアートヴィレッジの呼び水となり,いまは市立高等専門学校,芸術の森,アートヴィレッジの3者をもって一大芸術文化ゾーンを形成することになり,全国的にも注目を浴びるに至っているのであります。
そこで市長にお伺いしたいのは,この全国的にも例のない芸術の森のゾーンについては,ゾーンの整備が進んできたことにより,ゾーンの中にある三つの機能をさらに高め,相乗的効果を発揮することが必要であります。また,このためには,各施設の有機的連携の仕組みをより具体的に検討していくことが重要であると考えておりますが,この点について市長のご所見をお聞かせ願いたいと思います。
また,2点目としましては,この芸術ゾーン全体の状況を見るとき,高等専門学校にあっては,学校教育法の改正に伴い専攻科設置の道が開かれたこと,芸術の森が第3期計画に入り,アートホールの2期工事に着工されるなど,さらに発展が期待されること,また,経済環境がきわめて厳しい状況下で芸術産業の立地が決まり,事業を開始するなどの成果を上げておりますが,まだまだ多くの発展の可能性を持っていると考えております。
そこで,芸術の森ゾーンについては,当初のコンセプトを大切にし,社会経済状況を見きわめつつ,息長い継続的な整備が今後ますます必要であると思いますが,この点についての市長のご所見をお伺いしたいと思います。
最後に,白石区のサイクリングロードのリフレッシュについて質問します。
1972年の5月に,カリフォルニア州のサンタバーバラに住む一青年のケン・コルスバンがバイコロジー運動を提唱し,その新鮮な響きと意欲的な取組みは,瞬く間に世界に普及したのであります。翌73年秋には,突如としてオイルショックが起こり,わが国においては高度経済成長の終えんを迎え,社会経済システムの見直しが叫ばれることになったわけであります。こうした中で,自然破壊を伴う現代文明の進展に対して,無公害,省エネの自転車によって社会の再構築を試みるバイコロジー運動の輝きは,いまなお色あせるものではありません。自動車優先の交通システム,まちづくりがほとんどでき上がった現在,自転車を交通手段やスポーツの一環として復活させることは,決して前時代的とは思えません。地方自治体の仕事量は年々増加を続け,しかも,多種多様な行政需要への対応が要求されております。道路の渋滞は年々激しくなる一方で,道路行政のエネルギーの大部分は交通渋滞の解消のために使い尽くされているというのが現状であります。しかし,現在,日本国内には約6,600万台の自転車があり,国民1.8人に1台の割で普及しております。6,400万台と言われる自動車の保有台数を上回っております。自転車行政という観点から言えば,もはや一地方自治体の工夫や方策ではその限界を超えており,国レベルで交通システムを見直し,抜本的な解決策を講ずるべき段階に至っているのではないでしょうか。こうした発想こそが,やがて生活者重視の真の生活大国へとつながっていくものであると私は思うのであります。
一方,本市においては,国に先んじて積極的な自転車行政を展開しております。とりわけサイクリングロードの整備については,環状夢のグリーンベルト地帯を利用し,市の外周を回遊するというルートをつくる計画を持っております。サイクリングロードは,その利用形態から見ても,決して自転車のみに限定されるものではなく,ジョギングや散策路として,また,あるときは公園として,実にさまざまな利用をされており,市民の健康やレクリエーションに欠かせぬ多機能な空間であります。われわれは,この貴重な財産を大切に守り育て,次の世代に引き継いでいかなければなりません。
自動車と同様,自転車を取り巻く状況も年々厳しくなる中で,幸い白石区には自転車復権のシンボルとしましてサイクリングロードがあり,昨年実施した市政モニター調査では,白石区を代表するものとして約7割の区民がサイクリングロードを挙げるなど,区民の絶大な支持を得ているものでもあります。
ご承知のとおり,厚別区を含めた旧国鉄千歳線の廃線10.2キロメートルを利用し,昭和49年に整備されたものであり,来年には20年の節目を迎えます。この間,豊平川サイクリングロードとともに,多くの市民に愛されてきた白石サイクリングロードも,いまや再整備の時期を迎えているものと考えるのであります。将来,本市が環境に優しいエコ・シティーを目指していく起点として,自転車道の整備は不可欠なものであると認識をいたしていますし,さらにその中で,市内全域をめぐる自転車道のシンボルとして白石サイクリングロードを再整備すべきものと考え,以下2点についてお伺いをします。
第1点目は,白石サイクリングロードの延長についてであります。
白石サイクリングロードは,現在,東札幌1条3丁目が終点となっており,ほかへの連絡もないまま単独で存在する形になっております。将来的なあり方を考えた場合,たとえば豊平川の滝野上野幌自転車道まで延長することにより,全市的な大規模自転車道のネットワークの充実を図り,さらに白石区に限定して言えば,北白石サイクリングロードと接続することにより,区内に環状の自転車道を形成していくことが望ましいのではないかと考えております。
そこでお伺いしますが,全市的な自転車道のネットワークの充実を図るために,白石サイクリングロードを周辺の自転車道まで延長すべきではないかと考えるのでありますが,いかがでありましょうか。
第2点目は,既存の白石サイクリングロードの再整備についてお尋ねをします。
既存部分の現状は,桜やシラカンバが主体の単調な植栽となっており,花木が乏しい状況であります。たとえば,四季折々に花の咲く低灌木の花壇や,途中数箇所ある休憩施設周辺にも大きな花壇を造成し,ここを利用する多くの市民・区民に目標地点を知らせ,休むことのできるアクセントのある演出ができないものかどうか。また,そうすることで全市的な健康施設の名所として再生を図ることができないものかどうか。ぜひとも白石サイクリングロードの魅力あふれる施設整備を行い,環境に優しいまちづくりの模範とすべきと思いますが,いかがお考えでありますか,ご所見をお伺いしたいと思います。
以上で,私の質問はすべて終了いたしました。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(見延順章君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) まず私から,数点についてお答えをいたします。
最初に,財政問題についてでございます。
第1点目の市税の4年度決算と5年度の見通しについてでございますが,平成4年度の決算額は,前年度と比較して史上最低となりました3.3%の伸び率でありまして,きわめ
て厳しい税収環境であったと痛感いたしております。その要因といたしましては,景気低迷の影響を受けて法人所得が減少し,法人市民税が前年度よりも大きく落ち込んだこと
や,昨年に引き続き納税環境が悪化したことなどによるものであります。
また,平成5年度の市税見通しについてでございますが,個人市民税につきましては,譲渡所得が土地取引の停滞などによって見込みを大幅に下回っておりまして,前年度よりも減収となる異例の状態になることが予測されますほかに,法人市民税においても,景気後退の影響で,なお減収傾向にありますことから,当初予算額を確保することは困難であろうというふうに考えております。
次に,第2点目の納税対策についてでございます。
収入未済額が大幅な増加傾向にございますことは,大変憂慮すべき事態であり,昨年度においても
緊急納税対策本部を設置しまして,高額及び累積滞納事案の優先整理を重点として取り組んでまいりました。その結果,差押え等の滞納処分額は前年度に比べて約1.7倍の措置を行うなど,厳しい税収環境の中にあって,できる限りの対策を講じ,収入率の面におきましても,その低下を最小限にとどめることができたものと考えております。
しかしながら,経済情勢がなお先行き不透明でありますことから,8月から,さらに
特別納税対策を実施いたしておりまして,高額及び累積滞納事案の優先整理のほか,納税広報の充実や差押え処分後事案の整理を促進し,滞納者の実態に即応した効果的な滞納整理を進めてまいりたいと考えているところであります。
次に,
公園緑化行政についてお答えをいたします。
第1点目の政令改正の趣旨についてでございますが,一つには,地域独自の発想や創意工夫を図るため,地方への権限委譲をより一層進めていこうとするものであります。二つには,高齢化の進展や余暇ニーズの多様化など,新しい時代に対応した公園の設置及び管理を行なっていくべきことを目指したものと理解しております。
第2点目の制度改正に対する本市の取組姿勢についてでございますが,都市環境や身近な生活環境の向上に主眼を置きながら,公園施設の範囲の拡大や制限の緩和を図るなど,地域の特性を生かした個性的で新しいタイプの公園づくりに努力してまいりたいと考えております。
第3点目の公園の活用策についてでございますが,融雪のための熱源確保や公園本来の利用目的との整合性,さらには安全対策等に十分配慮した上で,ご提案のありました融雪槽の設置について検討してまいりたいと,このように考えております。
次に,福祉対策についてでございます。
第1点目の札幌市高齢者保健福祉計画についてでございますが,私といたしましては,高齢者ができる限り住みなれた地域や家庭で生活を続けられるような在宅福祉の充実を図り,施設福祉との連携的なサービスを提供できる体制づくりを進めたいと考えておりま
す。お話にありました在宅福祉3本柱につきましては,計画の中でもきわめて重要な施策と認識いたしておりますので,ホームヘルパーの大幅な増員を初め,デイサービス,ショートステイの拡充に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に,第2点目の障害者福祉計画についてでございますが,現在,計画策定の基礎資料を得るために障害者の実態調査を実施いたしておりまして,本年度末には,その集計分析結果が得られると思っております。したがいまして,明年度には計画づくりに入れると考えておりますが,その際には,高齢者保健福祉計画策定の手順を参考としながら,障害者の方々はもちろんのこと,福祉関係者など,いろいろな分野の方々から幅広くご意見をいただきながら,できるだけ早く策定をしてまいりたいと考えております。
次に,芸術文化行政についてお答えをいたします。
第1点目の芸術の森ゾーン内の各施設の有機的連携についてでございますが,私も,今後は,高等専門学校の持つ人材育成機能,芸術の森の持つ制作,交流,鑑賞・発表の機能,アートヴィレッジの持つ高度の研究・開発の機能が互いに連携を図り,相乗効果の得られる体制をつくっていくことが大切であると認識をいたしております。
一例を挙げますと,アートヴィレッジのコンピューターグラフィックスの技術などにつきましては,高等専門学校と連携して共同研究を行うことや,レコーディングスタジオを利用してPMFや札幌交響楽団がレコーディングをするなど,さまざまな連携が可能と思われますので,さらに検討を深め具体化してまいりたいと思います。
2点目の芸術ゾーンの継続的整備についてでございますが,このプロジェクトにつきましては,本市が全国的に見ても例がない先駆的な事業として実施をし,札幌市の芸術文化活動の核施設として市民の方々の間に定着するとともに,着実に発展を見ており,国の内外にも高い評価をいただいているものであります。ご指摘のありましたように,芸術の森ゾーンにはまだまだ発展の可能性があるものと考えておりますので,今後,さらにその充実強化を図ってまいる所存であります。私からは以上であります。
○議長(見延順章君) 田中助役。
◎助役(田中良明君) 白石サイクリングロードについて,私からお答えを申し上げます。
まず,第1点目のサイクリングロードの延長についてでございますが,白石サイクリングロードは,札幌市自転車安全利用計画に基づく大規模幹線自転車道の一部として旧千歳線跡地を活用し,昭和49年度より整備に着手し,現在,東札幌1条3丁目まで整備を終えたところでございます。
そこでお話にもございました,この先,滝野上野幌自転車道や北白石サイクリングロードまでの延長につきましては,この予定線上に東札幌駅跡地がございます。あるいはまた,この道路が自転車専用道であるということを勘案しますと,沿道の土地利用計画と整合を図る必要がございます。したがいまして,現在,駅跡地を含む周辺地区の土地利用のあり方について調査をしておりますので,今後,具体的なルート,構造等について十分に検討をしてまいりたいと考えております。
第2点目のサイクリングロードの再整備についてでございますが,ご指摘のありましたように,白石区のシンボルというような魅力あふれる憩いの場として,いままで以上に潤いの感じられるような施設に整備を進めていくという方向で,今後検討してまいりたいと考えております。
○議長(見延順章君) 藤島教育長。
◎教育長(藤島積君) 教育問題について,私からお答えを申し上げます。
まず,
国際理解教育についての1点目,英語指導助手の派遣状況でありますが,この1年間,4名の英語指導助手が学校を訪問した日数を合計いたしますと650日と相なっており,1人当たり平均162.5日となっております。これは,長期休業や学校行事等の期間を除くと1年間のほとんどを学校訪問している勘定になります。今年度から中学校の学習指導要領が全面実施され,英語科においてコミュニケーション能力を一層伸ばすことが強調されているため,各学校からの派遣要請が多くなってきておりますが,その希望にすべてこたえられていないのも事実でございます。
2点目の英語指導助手の増員計画についてであります。
中学校からの派遣要請の増加に加え,来年度から高等学校の新学習指導要領が実施となり,英会話を重視した科目が導入されますので,高校からの派遣要請がさらに増加することが予想されます。これらのことから,英語指導助手の増員は必要なことと考えており,ご提言の内容を踏まえ鋭意努力してまいりたいと考えております。
3点目の教員の海外派遣についてでございますが,この事業は,平成元年度から
国際理解教育に関する研究委託として実施しております。昨年度までに,合わせて50名をヨーロッパ諸国やアメリカなど30ヵ国余りに派遣をしております。その成果は,貴重な体験として報告書にまとめられ,研修会等で大いに活用されております。
したがいまして,市教委といたしましては,今後とも,この事業の充実に向けて努力してまいりたいと考えております。
次に,障害児の通級指導教室についてお答えを申し上げます。
1点目の今回の制度化の具体的内容についてでありますが,通級指導教室は,通常の学級に在籍したまま障害の状況等に応じて特別の指導が受けられるものであり,この点が従来の制度と最も大きく異なっている点でございます。対象は,言語障害,情緒障害,難聴,弱視及び肢体不自由,病弱・身体虚弱となっております。
なお,精神遅滞につきましては,小集団で特別の教育課程により指導することが効果的であることから,通級の対象とはなってございません。また,いわゆる学習障害につきましては,現在,文部省で定義や判断の基準等に関して調査研究を行なっているところでございまして,具体的な指導方法等につきましては,その結果を踏まえて検討されるものと考えております。
2点目の本市における取組みの状況と今後の見通しについてでございますが,本市におきましては,ことしの4月から新たに19人の教員を配置し,言語障害,難聴,弱視の通級指導教室を合わせて七つの小学校に設置をいたしました。現在,ここで指導を受けている児童は187名を数え,学籍異動の煩わしさもないことから,児童はもとより,父母,担当教員から大変喜ばれております。
この制度化に伴う諸条件の整備は,平成10年度までの6年間で行うこととされておりますので,各学校の状況等を踏まえながら,今後とも国や道との連携を図り,一層整備充実に努めてまいりたいと,このように考えております。以上でございます。
○議長(見延順章君) ここで,およそ30分間休憩いたします。
――――――――――――――――
休 憩 午後2時6分
再 開 午後2時40分
――――――――――――――――
○議長(見延順章君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問の続行であります。佐藤寿雄君。
(佐藤寿雄君登壇・拍手)
◆佐藤寿雄君 私は,ただいまから自民党市民の会を代表いたしまして,当面する市政の諸問題について順次質問をしてまいりますが,質問の本論に入ります前に一言申し述べさせていただきます。
わが自民党市民の会会派は,去る9月9日,新たなる志に燃え,有志11名により新会派を結成いたしました。諸会派の議員各位並びに市理事者におかれましては,温かいご理解を賜わりましたことを,まずもって衷心より厚く御礼を申し上げる次第であります。
さて,いまやわが国を取り巻く政治経済情勢は,ご承知のとおり大きく変動しており,国政レベルにおいても細川連合が誕生いたしました。多くの国民が望んでいる政治改革を初めとして,急務となっている景気対策や生活者重視政策など,複雑な動きが活発になってきております。
私どもは,これまで多くの市民の熱い支援を受けて,その期待にこたえるべく努力を重ねてまいりましたが,国と同様に地方自治体においても政治改革に取り組む必要性を痛感し,地方から中央を変えていく政治改革の旗手として,志を同じくする者が集まり,より開かれた市政,わかりやすい市政を目指して活動することを決意したところであります。もちろん札幌市議会の議員の皆さんも,私ども同様,いやそれ以上にその必要性を感じられていると存じる次第であります。それぞれの立場で切磋琢磨し,信頼される政治をつくり上げなければなりません。
私どもは,今後とも,これまでにも増して市議会議員としての責任の重大さを認識し,各会派との連帯を尊重して,よりよい政治の実現のためにできる限りの努力をするとともに,桂市政を全面的に支援してまいる所存であります。よろしくご理解をいただきますようお願いを申し上げる次第であります。
そこで,まず当面する政治・行政改革について,以下3点について市長の所見をお伺いいたします。
第1点目は,政治家の資産公開条例についてであります。
いまや政治不信は,中央政界から端を発して地方レベルまで到達しようとしております。茨城県,仙台市,横浜市,東京都の区に至るまで,つい先日は宮城県と,種々話題が絶えないのであります。政治改革のかなめは,国民,市民にわかりやすく目に見える透明な政治の実現であります。政治家の公私峻別や,政治の自己規律と自浄力の発揮が必要であります。
そのような観点に立ち,地方の政治家の資産,所得の公開についてご質問いたしますが,もうすでに川崎市は実施されており,法律によって,平成7年12月までには,地方自治体においても条例化が義務づけされているところであります。他都市に先駆けて当市においても資産公開条例を定めてはいかがか,市長の所見をお伺いしたいと存じます。
次に,第2点目は議員定数の問題であります。
私は,4年前,1989年3月にアメリカ都市視察をいたしました。その目的は,アメリカにおける地方自治体のあり方でした。その中で,特に印象に残ったのは,議会の議員の定数であります。ホノルルでは人口70万に対し議員が9名,ロサンゼルスでは300万人に対して15名,そして,サンフランシスコは70万に対して11名であり,当市と比較して,機構の違いはありますけれども,余りにも少ない議員定数に驚いたのでありました。議員数が少ないがゆえに,市民サイドに問題が生じてはいないかをも調査いたしましたが,議会は当市でいう町内会的組織と密着しており,連携が制度化されており,きわめて民主化された市民によるまちづくりがなされていたのであります。
そこで,政治改革を叫ばれるいま,地方からみずからの政治改革,最小のコストで最大の効果を求められる政治,小さな議会で大きく市民の声を反映させることは当然の流れであります。
当市は,現在71名の定数で,昭和56年に減数条例を制定し,法定数より5名少ないのはご承知のとおりでありますが,私どもが考えるには不十分であり,思い切った議員数の削減を必要と思ったのであります。たとえば定数を60名にし,11名減らすことができれば,概算でありますが,年間2億4,000万,任期4年で9億6,000万円の議会費のコスト低減を図ることができるのであります。
議員減数については,議会がみずから対応すべきことと十分承知の上であり,お答えづらい問題と存じますけれども,市長のご所見についてお伺いいたしたいと存じます。
第3点目は,行政の効率化・減量化についてであります。
行政改革が叫ばれる今日,これまた小さな政府で大きな行政効果を上げることは当然であります。
また,今後なお一層の歳入不足が予想されるため,財政力指数の低い当市としては,より自主財源の確保と活用を求められ,いま以上に経費に対しては慎重に対応せざるを得ない状況であります。
行政の最大のコストは,申し上げるまでもなく人件費であります。1人当たりの人件費を下げるのではなく,少数精鋭主義という言葉がありますが,すぐれた人材を育てて高い賃金を支払うという姿勢が必要であります。
そこで,当市における職員数の問題であります。
当市の職員数は,一般会計分野で1万2,244人であり,市民1,000人に対し職員は7.1人であり,政令都市平均で1,000人に対し8.7人,政令市の中でも少ないほうから3番目であります。また,給与水準を示すラスパイレス指数で103.5であり,もっとも低い状況にあります。これは,札幌市はよく行政が運営されている一例だと,感謝を申し上げるところであります。
先ほど申し上げたとおり,他都市と比較してよいと判断するのは,現況においては甘い状況下にあると存じます。
先般,交通事業においてきわめて最悪な財政状況が判明し,財政再建に全庁ぐるみで対応され,特に再建の目玉は人員の削減でありました。3,134人の総職員を2,254人に減らし,880人の削減目標を立てたのであります。平成4年度の決算を見ると,4年度だけでその目標の7割,622人を減らしたと伺っております。まことに立派な結果で,勇断ある行政と高く評価をいたします。
交通事業での再建策が進行する中で,「やればできる」が立証されつつあり,一般部局においても最悪の事態を予測し,適正な人員配置,事務合理化,機構の見直し等,他都市に先駆け,見本となるような対策を講ずべきと考えます。このことは,第2回定例市議会で道見議員が,行政の効率化・減量化の観点から,民間活力の導入を一層進めるべき旨の質問を行なったところでもあります。このように,わが自民党市民の会は,行財政改革の強力な推進を大いに主張するものであり,最小のコストで最大の効果を上げるべく,市長を先頭に一丸となって取り組むべきであると考えております。
そこで私は,職員数の削減を初めとする行政の効率化・減量化について,まだ取り組むべき課題は大いにあり,積極的に見直すべきと考えておりますが,市長のご所見をお伺いいたします。
次に,本市の将来展望と市政推進の基本的な考え方について,以下4点お尋ねをいたしたいと存じます。
札幌市は,わずか100年余にして,未開の原野から全国でも有数の大都市へと発展をいたしました。単に,人口都市規模が大きいだけではなく,豊かな自然と都会性を備え,しかも市民に愛される都市であります。これは,札幌の発展に寄与された多くの先人の知恵と情熱の結晶であり,先人の大いなる遺産とも言えるものであります。
札幌市は,幾多の厳しい時代を乗り切って成長してきました。これは,社会の趨勢や市民のニーズを踏まえ,長期総合計画や5年計画に基づき,計画的,かつ着実にまちづくりを進めてきたことによるものと言えましょう。しかしながら,ここ数年の間に,世界的な枠組みや社会基盤を揺るがす大きな変革の波が押し寄せ,将来への不透明感も一層増しており,国の内外において新たな秩序の構築に向け,模索を続けている状況にあります。
折しも,国内の政治情勢は,細川連立政権の樹立という大きな変革期を迎えました。先ほど申し上げましたように,新内閣は,政治改革の断行に向けて強い決意を示すとともに,生活者の利益優先や,質の高い実のある生活様式を表明しているところであり,今後,地方分権や規制緩和の推進が大きく取り上げられ,地方の自立が期待されているところであります。
このような時代の節目に当たって,本市の市政推進のあり方についても,いま一度原点に立ち返ってみるべき時期にあるのではないかと思うのであります。
本市は,人間に例えるなら,伸び盛りの青年期から成熟期に差しかかっている街と言えましょう。このように,成長拡大を前提にしてきた社会から,持続的,安定的な発展を継続していく社会,いわゆる成熟化社会へいかにスムーズに移行していくか,また,成熟化社会の中で,いかに都市の風格や個性的な魅力を高め,市民の幸せに直結するような街の発展を見出していくか,このことがまさにいま本市に求められているのであります。
そこで第1点目は,急激な社会変化の中で,市政を推進するに当たり,特に考慮すべき点を踏まえながら,市政推進の課題3点を指摘し,市長のご所見を伺いたいと存じます。
まず初めに,高齢化や人口の動向の変化に対応したまちづくりについてであります。
厚生省人口問題研究所の推計によれば,今後の人口動向は,近年の出生率の低下などを反映して,従来の予想よりも早く2010年ごろにはピークに達し,その後,人口減少に転じると予測されております。また,高齢化も,これまで想定されたよりスピードを増し,2010年までには,わが国の65歳以上のお年寄りの総人口に占める割合は21%にも達すると見込まれております。
以上の傾向は,本市においても見られ,合計特殊出生率は昭和58年以降年々低下を続け,平成3年度においては1.30と,全国の1.53を下回っており,人口増加数も平成4年までは年2万人以上の増加が見られましたが,本年9月の対前年同月は1万6,000人と,人口増加が鈍化しております。また,本年4月における本市の65歳以上の高齢者の数は17万1,000人,総人口に対する割合は10.1%でありますが,ここ1年間の人口の増加率が1%であるのに対し高齢者の増加率は5.8%と,高齢化の進行が顕著にあらわれており,2005年には,高齢者人口の割合は15.7%にまで高まるものと予想されているところであります。
このような人口動態の変化に伴って生ずる大きな社会問題の一つは,社会保障給付の増大,寝たきり老人の介護のあり方,福祉のマンパワーの確保といった社会保障や福祉の問題であり,もう一つは,労働力人口,とりわけ若年労働者の減少の問題であります。
まず,前者の問題について言えば,本市においては,高齢化の進展とあわせて世帯規模も年々縮小し,平成2年の国勢調査時点における65歳以上の高齢者単身世帯と高齢者夫婦世帯を合わせると約5万3,000世帯にも上り,昭和60年に比べ,51%の増加となっております。このような高齢化や世帯構造の変化が今後一段と進むならば,老後に対する不安が増大するのみならず,女性の負担増加,財政状況の悪化,都市の活力低下など,広範囲にわたって多大な影響を及ぼすことが懸念されるのであります。
市長は,これまで福祉を重視する姿勢を明確にされ,高齢化問題に対し市としての対応指針を示し,市及び区の社会福祉協議会の充実による福祉のネットワークづくりに意を用いられるなど,積極的に取り組んでおられますが,単に福祉の問題ではなく,市政の各部門が総力を挙げて取り組むべきソフト・ハードを通じたまちづくり全体の問題であると思うのであります。
もう一つの問題である労働力人口,とりわけ若年労働者の減少についてでありますが,本市は第3次産業の割合が高く,今後も,サービス産業など労働集約型産業や頭脳産業が中心になっていくものと予測されることから,労働力の減少が産業構造に与える影響はまことに深刻なものがあります。労働力をめぐる都市間の激烈な競争の時代に対応し,生き抜いていくためには,労働力の量的な面のみならず,女性,高齢者,外国人の就業割合の増加などに伴う質的な変化も十分念頭に置き,特性を生かした人材の定着や育成を図っていくことが,本市の発展にとって重要課題であります。そのためには,札幌らしい感性にあふれた快適で魅力ある生活環境の整備を進め,定住促進を図ることが不可欠と考えます。
しかし,今後の社会資本の整備を考えますと,ただいま述べました人口構造の変化,とりわけ都市の活力を支える労働力人口の低下に伴う財政基盤の脆弱化等から,21世紀には十分な社会資本の投資ができるか疑問であり,一方では,
冬季オリンピック前後に蓄積された本市の多くの都市基盤施設が20年以上を経過し,大量の社会資本がここ数年で更新時期を迎えるという,きわめて厳しい状況にあります。このような状況のもとでまちづくりを進めていくためには,さまざまな分野で,地域の知恵や民間の活力を生かした効率的な社会資本の整備を進める必要があると考えます。
以上のように,高齢化や人口動向の変化は,社会資本の整備など,まちづくりの進め方にも大きな影響を及ぼすものと考えますが,これに対する市長のご所見をお伺いいたしたいと存じます。
次に,市民ニーズの多様化や地域の個性化についてご指摘いたしたいと存じます。
成熟化社会の進行に伴い,市民の視点は,次第に物の豊かさから心の豊かさへ移行しており,余暇時間を重視し,家庭,地域社会への関心が高まる傾向にあります。今後の市政は,市民が家庭生活や地域活動を通じて,心の充足を得,ゆとりを実感できるようなコミュニティーの形成に意を用いなければならないと思うのであります。
したがって,これまでのように,町内会・自治会といった地域の単一住民組織への参加を重視するだけではなく,さまざまな自発的な市民活動への参加を促進し,文化・スポーツ活動,ボランティア活動,リサイクル活動といったさまざまな分野において,気軽で自由な活動が盛んになるよう配慮すべきであり,そのための場づくり,支援を進めていくことが大切です。
たとえば,公共施設についても,学校の空き室を地域住民のために活用するなど,地域の種々の施設がいかに多くの市民に喜んで利用してもらえるかといった視点に立って管理運営するなど,地域の公共施設等の社会資本をそうした諸活動に柔軟かつ効果的に機能させていかなければならないと考えます。
一方,生活基盤の質的な重視の傾向は,地域レベルにおいても顕著であり,地域の特性を生かした個性的なまちづくりが求められております。
市長は,新しい時代に対応した生活都市という基本構想に定めた都市像を目標に,北国の風土や恵まれた自然環境を生かしながら,札幌の魅力を引き出すような施策を展開しております。このような街の個性化に向けた取組みは評価するものではありますが,従来の国主導の画一的な都市整備から脱却し,みずからの創意工夫によった個性的なまちづくりを今後一層強力に推進する必要があると考えますが,市長のご所見をお伺いいたします。
次に指摘したいのは,グローバル化に対する対応についてでございます。
わが国の国際社会における地位の向上や地球規模の問題の顕在化に伴い,国際交流や国際協力の新たな舞台として,中枢都市の果たす役割も一層重要なものとなってまいりました。もともと札幌市は,開拓の当初から多くの外国人の力を受け入れ,諸外国から多くの知識を吸収し,発展してきた都市でありますが,これからは,これまで蓄積した知識や情報を世界に発信し,貢献すべきときにあります。本市は,その先鞭として,本年,JICA国際研修センターを誘致することに成功いたしましたが,今後とも国際社会の一員として世界に開かれたまちづくりを進め,研修や教育などを通じて地域レベルでの国際貢献に努めていくべきものと考えます。
また,発展途上国の急速な人口増加などに伴い,将来にわたって地球レベルでの食糧,環境,エネルギーといった面での深刻な状況悪化が問題となっております。これからの本市の発展を考えた場合,行政,企業,そして市民がこのような地球規模の課題を念頭に置き,常に地球社会と共存していくというグローバルな視点に立って行動することが大切であります。
さらに,今後,多方面にわたる国際交流の活発化など,グローバル化の一層の進展に対応していくためには,市民一人一人が異質なものを認め合う抱擁力,理解力を持つとともに,札幌と近隣の関係自治体が協力して,国際社会に通用するよう広域レベルでの社会基盤の整備を進めていくことが重要であると考えます。この点についての市長のお考えをお聞かせ願いたいと存じます。
以上,今後の市政に大きく影響するであろう社会変化と課題を踏まえてご質問いたしましたが,札幌市政は,高齢化と労働力の減少,地域の個性化,国際化といった社会的変化を見きわめながら,21世紀の札幌へ続く道筋を見出していかなければならないのであります。
私は,市長が従来にも増して社会動向を的確に把握し,確固たる信念に基づき市政を推進されるよう期待するものであります。
次に,2点目は産業振興のあり方について,以下2点お伺いをいたします。
初めに,景気の動向とその対策についてお伺いをいたします。
いまさら申し上げるまでもなく,現下の市内経済情勢はきわめて厳しい状況が続いております。
主要経済指標の動向を見てみますと,公共工事請負額や新設住宅着工戸数など,一部の指標に明るい兆しが見受けられておりますものの,大型小売店販売額や新車登録台数など,市民総支出のおよそ6割を占める個人消費が依然として冷え込んでおります。また,春以降の急激な円高や冷夏による影響から,景気回復に向けた動きに足踏みが見られ,予断を許さない厳しい状況に直面していると言わざるを得ません。
市内企業の倒産件数に目を転じましても,好景気にあった平成2年が199件で前年並み,ところが,平成3年には293件で前年対比ほぼ5割の増加,平成4年はさらにこれを上回り345件に上ったところであります。ことしに入っても,1月から8月までの累計で260件,これは,前年同期との対比で3割の増加となっております。
また,最近のマスコミ報道で明らかなとおり,地元企業として驚異的な成長を見せ,注目の的であった某建設会社と地元金融機関とのあつれきは,今日の札幌経済の縮図をかいま見る思いをいたすのであります。バブルの清算という,ただ一言では割り切れぬ気持ちでいっぱいでありますのは,私一人ではなかろうと思うのであります。
このような厳しい状況の中にあって,市内の各企業は,それぞれあらん限り懸命な努力を積み重ねているところでありますが,申すまでもなく,市内企業の大半は中小零細であり,自助努力にもおのずと限界があります。そこで,市当局としても,かねてから中小企業融資制度を設け,金融の円滑化に意を用いてまいったところであり,平成4年度決算では937億円余の融資あっせんを行なっております。また,中小企業ドック診断や経営,法律,税務等の各種相談に対応,あるいは中小企業共済制度の運用等,多岐にわたる支援策を実施しており,私は,これらの地道な努力を高く評価するものであります。
また,景気対策の面でも,昨年度は総額348億円余の補正予算を編成し,今年度は6月の臨時会において昨年度を上回る352億円余の補正を行なったところであります。
そこで伺いますが,国の経済対策と相まって,これらの効果が一日も早くあらわれ,不況にあえぐ市内企業の窮状が早急に打開されることを切に期待するものでありますが,市長は,景気の動向とその対応策についてどのようにお考えをお持ちであるのか,まずもってお伺いをいたします。
次に,当面する経済情勢もさることながら,将来展望に立脚した中期的な視点から,本市産業の振興について私見を交え,市長の基本的な考え方についてお伺いしたいと存じます。
本市の産業構造は,卸・小売業やサービス業などの第3次産業に特化していることに加え,もともと集積の乏しい第2次産業の製造業にしても,食料品や出版・印刷あるいは家具等の軽工業が中心で,典型的な個人消費対応型の構造となっております。このような産業構造にありながらも,これまでの本市は著しい人口の増加に恵まれ,これに伴う消費需要の拡大が本市の経済成長を支えてきたという実態にあったであろうと存じる次第であります。
しかし,先ほども申し上げましたとおり,成熟化社会に移行しつつある昨今においては,人口の増加も鈍化傾向にあり,経済活力の源泉を人口の増加に依存できる時代は,すでに終わりを迎えたと言わざるを得ません。したがって,今後は,人口の増加に頼らない産業の振興,たとえば,札幌を訪れる人をいかにふやすかといった視点を常に念頭に置いた施策の展開がきわめて重要になってくるであろうと考えるのであります。
また,これも先ほど申し上げましたが,成熟化社会の進行に伴い,市民の視点は次第に物の豊かさから心の豊かさへと移行しており,消費需要も高級化から多様化いたしております。このため,これに対応する産業界としても,生産する財・サービスの高付加価値化や多様化を余儀なくされつつあるところでありますが,このいわば産業の高度化なるものを担い支えるのは,まさに人であります。したがって,いかに優秀な人材を育成し確保し得るか,そして,そのための施策をどう展開していくかが,これからの本市の産業の振興にとってますます重要な課題になるであろうと考えるのであります。
以上,申し上げたとおり,産業振興の面でも新しい時代を迎えつつある今日,市長は,基本的にどのようなお考えをお持ちであるのか,お伺いをいたします。
次に,3点目は,地方分権についてお尋ねをいたします。
昨今,地方分権についての論議が盛んになってきておりますが,地方に権限がないことが,市民の身近な要望に即座に対応できない事例につながる場合といたしまして,たとえば,市民の重要な足でありますバスの停留所の増設がございます。位置の変更であれば,届け出で済みますが,バス停をふやすには,運輸大臣の認可が必要になるのであります。また,道路の幅を広げようといたしましても,幅員22メーター以上の道路の都市計画の決定権限は知事にありますし,建設大臣の認可も必要となってまいります。こうした問題を,市民により身近な行政機関である地方自治体が自主的に判断し,市民のニーズに的確にこたえていくことができるようにしようというのが,地方分権の目指すところであると思うのであります。
そこで,この地方分権をめぐる動きを見てみますと,さきの通常国会では,国政史上初めて地方分権の推進に関する決議が全会一致で採択され,また,本市にあっても昨年の12月の第4回定例市議会において,地方自治権の拡充に関する意見書が採択されたほか,本年6月までにすべての指定都市の議会において同様の意見書の採択等がなされており,また,全国市長会,全国市議会議長会などの地方6団体も地方分権の推進等について,折に触れ要望活動を行なっているやに聞いているところであります。
また,首相の諮問機関である第3次臨時行政改革推進審議会や第23次地方制度調査会は,地方分権特例制度,いわゆるパイロット自治体制度や広域連合制度,中核市制度の創設を答申したところであります。さらに,ごく最近では,行革審の答申素案として地方分権推進法の制定や,新たな首相の諮問機関としての地方分権臨時調査会の設置などが検討されているとの報道もあるわけであります。
政府は,去る9月14日,低迷が続く景気回復のための緊急対策として規制緩和策を打ち出し,各省庁から提出された金融の自由化,輸入手続の簡素化など,94に及ぶ規制緩和項目の検討に入ったところであります。
私は,こうした国と地方との権限配分の見直しの問題や,さまざまな分野での規制緩和といった地方制度を取り巻く大きなうねりの中にあるいまこそ,このうねりをとらえ,地方がみずからの意思と責任において,自由な発想を生かし,市民生活に密着した個性あるまちづくりを進めることができる絶好の機会であると考えているところであります。
そこで,市長にお尋ねをいたしますが,私がるるお話をいたしました地方分権についての論議を踏まえ,本市が自主性・自立性を発揮したまちづくりを進めるに当たり,地方分権について何を期待されるのか,お尋ねをいたします。
次に,第4点目として,長期的な今後の財政運営と財源確保についてお伺いをいたします。
これまで述べたように,都市環境を整備し,市民の立場に立ったまちづくりを進めていくためには,それを支える財政基盤が確立されていなければなりません。本市の財政状況を見てみますと,政令指定都市移行時の昭和47年に,全会計で1,219億円であった予算規模が,平成5年度では一般会計7,098億円,特別会計2,616億円,企業会計で3,368億円,総額で1兆3,082億円と10倍以上に膨らんでおり,本市の都市としての急成長を物語るものであります。この間,本市の都市基盤も順調に整備され,高い水準に達していることについては,前段で申し上げたところであります。
しかし,本市の財政構造について見ますと,その財政基盤はきわめて脆弱であると言わざるを得ません。1に近いほど財政基盤が強いとされる財政力指数は,平成4年度で0.682と,指定都市中,下から2番目であり,昭和47年当時の0.607と比べても余り大きく伸びていない状況であります。
財政構造の弾力性を示し,低いほうがよいとされる経常収支比率は,平成4年度で72.9%と,前年度に比べて0.6ポイント低下したものの,ここ数年では総体的に上昇してきております。
また,公債費の財政負担状況をあらわす公債費比率につきましては,平成4年度で12.0となっており,指定都市平均の13.6%と比較してまだ低いものの,ここ数年徐々に上昇しているところであります。
さらに,自主財源である市税収入については,歳入総額に占める割合が他の指定都市と比較して下位にあり,地方交付税に依存せざるを得ない財政構造となっております。従来,常に2けたを確保していた市税収入の伸び率は,昭和58年以降1けたの伸びとなり,平成4年度決算では,対前年度比3.3%という過去最低の伸びとなっており,最近の経済情勢から見ても,今後,高い伸び率を確保することは難しい状況が予想されるのであります。
また,いわば本市の貯金とも言える財政調整基金は,昭和57年の350億円をピークに徐々に減少し,平成4年度末では110億円となり,今後,まちづくりのために活用できる幅は狭まってきていると言えるのであります。
このほかにも多額の繰出しを余儀なくされている国保会計や,健全化を着実に進める必要のある地下鉄・交通事業など,本市に特有な財政状況もあり,今後の財政運営はきわめて厳しいものになることが予想されます。
このような状況のもとにあっても,市政に対する市民のニーズは,高齢者対策の充実,深刻化しつつあるごみ問題の解決,快適な生活環境の確保等,ますます多様化してきております。すなわち,21世紀を展望すると,1点目で申し上げたように,急速な高齢化社会の進展,地球規模の環境問題,国際化・情報化への対応など,今後,真正面から取り組んでいかなければならない課題が山積しているのであります。市民一人・一人が未来への夢を持ち,豊かさとゆとりを真に実感できる市民本位のまちづくりを推進していくために,市民ニーズの変化に対応したよりよい質の高い社会資本の整備,地域環境の保全,地域福祉の充実などの施策を積極的に展開しなければならないのであります。そのためにも,従来のようなハードを重視した基盤整備のみならず,市民生活の質の向上につながる生活環境・文化環境など,新たな社会資本の整備を重視する方向へ変換していく必要があると考えます。こうした新たな行政需要に的確に対応していくためにも,引き続き行政の簡素化,合理化,経費の節減等に努め,思い切った事業の見直しによるスクラップ・アンド・ビルドを図ることにより,財政の健全化,効率化を推進するとともに,財源の重点的かつ効率的な配分に徹し,新しい時代に対応した財政運営をしていくことが重要であると考えるのであります。
以上のような観点から,私は,以下の2点についてご質問をいたします。
初めに,21世紀に向けた札幌市のまちづくりのため,長期的な観点からの今後の財政運営についてどのようになされようとしているのか,市長の考えをお伺いいたします。
次に,今後の財政環境が厳しい中,市民の行政需要に対応していくためには,地方債の積極的な活用を図る等,幅広い手法により財源を確保していくことが必要と考えますが,将来にわたりどのように財源を確保していくのか,お考えをお伺いいたしたいと存じま
す。
以上で,私の質問のすべてを終了いたしました。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(見延順章君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) まず,私からお答えをいたします。
最初は,当面する政治・行政改革についてであります。
1点目の資産公開条例の制定についてでございますが,昨年末の臨時国会において制定をされました国会議員等の資産公開法によりますと,指定都市の長及び議会議員の資産等につきましても,条例によって国会議員の資産公開に準じた必要な措置を講ずるものとされております。
政治倫理の確立は,国民の今日的な関心事となっておりまして,資産公開制度がそのための有力な手段であるとされておりますことは,私も十分認識をしているところであります。
行政をあずかる者としては,その置かれた立場からも,高い倫理性をもってみずからを律し,平素から信頼される行政の実現に努め,市民の負託にこたえることが大切なことであると存じますので,本市におきましても,早期に資産公開の制度化を図ることが適当であると考えております。
この条例を制定するに当たりましては,市長にかかわるものと議員にかかわるものの2本になりますので,今後,制度内容について十分に調査研究を進めるとともに,議会の皆さんとも十分な連携をとりながら前向きに取り組んでいきたいと,このように考えております。
第2点目の議員定数についてでございますが,これにつきましてはお話のありましたとおり,本来,議決機関みずからのご意思で決定されるものでありまして,執行機関の立場の私としてお答えを出すというものではありませんが,あえて申し上げますならば,住民福祉の増進を目的とするということでは,議決機関も,私ども執行機関も同じ立場にあるわけでありますし,その場合,議会と私どもがともに,それぞれの立場で最小の経費で最大の効果を上げることが市民の負託にこたえる第一歩であると考えているところでございます。
次に,第3点目の行政の効率化・減量化についてでございます。
本市を取り巻く行財政環境は,ますます厳しい状況となっており,ご提言のありました行財政改革の推進についても,従前にも増して必要なものと認識をいたしております。
職員数につきましても,民間活力の導入などによりまして,効率的な配置に努めてきておりますが,今後につきましても鋭意努力をする所存でございます。
さらに,その他の行政改革につきましては,現在設置しております事務能率推進委員会を,将来を見据えた行政の効率化の検討を行う委員会へと発展的に改組すべく準備を進めているところであります。
次に,本市の将来展望と市政推進の基本的な考え方についてお答えいたします。
まず,ご質問のありました成熟化社会に向けたまちづくりについての第1点目,高齢化や人口動向の変化を踏まえたまちづくりについてであります。
ご指摘がありましたように,急速な高齢化の進行や若年労働力人口の相対的な減少といった,われわれがいまだかつて経験したことのない社会の到来を目前に控えているのであります。このような時代の変わり目にあって,私は,成熟化社会の中で市民一人一人が希望と生きがいを持ち,札幌市民であることに喜びを感ずることのできる地域社会を創造していきたいと考えております。
現在,そのような視点に立って,高齢者保健福祉計画の策定にも取り組んでいるところであり,今後もすべての市民が互いに助け合い,支え合う,生き生きとぬくもりのある地域社会をつくっていくことに一層意を用いてまいりたいと思っております。
また,女性や高齢者の社会参加を促進するような環境整備に努めるとともに,ライフスタイルの変化に対応した余暇施設を充実するなど,若者にとってもより一層魅力あるまちづくりを進める所存であります。
さらに,社会資本の整備につきましては,残された20世紀の間に社会の趨勢を先取りし,新しい時代に備えた社会資本の整備を積極的に進めなければならないと考えております。
第2点目の市民ニーズの多様化や地域の個性化に向けたまちづくりについてでございます。
成熟化社会の進行による市民の価値観の多様化や,それに伴う地域の諸活動に対応するため,これまでにも増してきめ細やかな市政の推進が求められております。
私は,市民みずからが考え,行動するという視点に立って,市民にとってよりわかりやすく開かれた市政を目指し,福祉,緑化,環境,雪対策,交通といったような,地域の市民生活に密着した各分野において自発的な市民参加が生まれるよう,そのための場づくりや支援に力を入れていきたいと考えております。
さらに,民間のスポーツ施設や文化施設などを含めた地域の種々の資産を複合的・効率的に活用するとともに,自然や歴史などの地域の特性に合ったより質の高いものへとつくりかえ,次の世代へと引き継ぐことが必要であると考えております。
このような施策を推進することにより,地域に根差した個性あるまちづくりにつなげていきたいものと考えているところであります。
第3点目のグローバル化に対応したまちづくりについてでありますが,国際社会と共存し,活力ある国際都市さっぽろの発展基盤を構築していくとの基本的な視点に立ち,PMFの拡充など,文化,スポーツ,教育,経済といったさまざまな分野で特色のある国際交流の機会を創出するとともに,国際社会にふさわしい人材を育成し,市民の国際人としての感性をはぐくむため,教育・研究機関の機能の充実を図ることに意を用いていきたいと考えております。
また,広域的な視点に立ちまして,流通,生産,文化,情報等々の社会基盤の連携を進め,圏域として新しい時代に対応できるよう,国際ゾーンの推進など高次都市機能の整備を図り,世界に開かれた地域社会の創造と国際社会の発展に積極的に貢献できるまちづくりを進めていきたいと考えております。
次は,地方分権についてでございますが,段々のお話にございましたとおり,いまほど地方制度が国,地方,民間を問わず活発に論議されている時期はないと,このように思います。
本市といたしましても,市民生活に密着し,そのニーズに的確に対応できる行政運営を目指すために,これまでも機会あるごとに国等に対し,地方分権の推進について強く要望してまいったところでありますが,これからの地方分権の推進に当たりましては,たとえば,懸案となっているまちづくり事業の早期実現に結びつくような権限等や,地域の個性を十分発揮したまちづくりが可能となるような権限等につきまして,財源的な裏づけとともに,地方の意見を十分に尊重して検討がなされるように,今後とも関係自治体とともに国等に対し積極的に働きかけを行なってまいりたいと考えております。
最後に,長期的な今後の財政運営と財源の確保についてであります。
第1点目の長期的な観点からの今後の財政運営についてでありますが,高齢化,市民
ニーズの多様化,国際化といったような社会変化の中で,来たるべき21世紀に向けて,個性と活力に満ちた躍動都市さっぽろをつくり上げていくためには,何といっても財政基盤が確立されていなければならないのは申すまでもありません。
このための中長期的な課題としては,ご指摘がありましたように,指定都市中,下から2番目という本市の財政力をいかに引き上げていくかということであります。もちろん,標準的な行政を行なっていく上で必要な財源のうち,市税で賄い切れない部分は,地方交付税で補てんをされ,現実に本市は,全市町村中最高額の交付を受けているところでありますが,財政力が低いことは,ほかの都市に比べ,総体的に自由になる一般財源が少ないことを意味するわけでありまして,個性的でユニークな都市づくりを行なっていくためにも,市税のウエートを高めていくということが重要な課題であると認識しております。
このため,税源の涵養を図る上からも,工業団地の造成を進め,優良企業の立地を図る一方で,国,道の協力を得ながら本市産業の積極的な振興を図っていく所存であります。
また,中長期的な財政構造の改善を図っていくためにも,国民健康保険及び交通・高速電車事業の健全化を着実に進めていくことが重要でありまして,このための努力は,この昨今の厳しい財政状況下にあっても,いささかなりとも緩めることがあってはならないと考えております。
第2点目の財源確保についての手法についてでありますが,ご指摘のとおり,多様化する行政需要に対応するためには,収入率の向上,あるいは国庫支出金の確保など,地道な努力を続けるとともに,それ以外の財源のあり方についても十分工夫をしていく必要があると思います。
とりわけ,市債の活用に当たりましては,元利償還金に交付税措置のある市債の積極的な活用を図っているところであり,たとえば平成5年度当初予算におきましては,交付税措置のある市債を43%伸ばす一方で,交付税措置のない市債を7%減らしているところであります。私からは以上でございます。
○議長(見延順章君) 木戸助役。
◎助役(木戸喜一郎君) 産業振興のあり方について,私からお答えいたします。
第1点目の景気の動向とその対応策についてでありますが,昨今の非常に厳しい現状を踏まえ,6月の臨時市議会においてお認めいただきました景気対策にかかわる補正予算の執行に,現在,鋭意努めているところでございます。
また,国においても,先般,緊急経済対策を決定いたしましたし,日銀も第7次の公定歩合引下げを実施したばかりでございます。明10月1日からは,長期プライムレートも引き下げられますので,本市の中小企業金融対策資金につきましても,これに即日連動させ,市場最低の金利でご利用いただくことといたしております。
したがいまして,これらの措置が功を奏し,景気回復の足取りが確かなものとなるよう期待しつつ,今後の動向を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
第2点目の産業振興のあり方に関する基本的な考え方についてでありますが,お話にもございましたとおり,人口の増加に依存する産業の発展という考え方を改めるという視点は大切なことであると認識いたしております。
したがいまして,在来の産業の高度化を図るとともに,たとえば観光・コンベンションの振興等,札幌を訪れる人をふやすための方策,あるいは国際的な物流拠点としての機能強化等,札幌経済圏に集まり,配送される物をふやすための方策,さらには情報の集積・発信機能を強化するための方策等,人,物,情報の流れを活発にすることによって,本市の経済活力を強めていくような産業振興方策に,より一層力を入れてまいりたいと,このように考えております。
また,優秀な人材の育成・確保というお話もございましたが,幸い本市は,評価の高い都市イメージと豊かな自然,加えて利便性にすぐれた都市機能を有し,優秀な人材が集まり,定着し得る素地を持っております。したがいまして,この利点を最大限に発揮しまして,今後とも人材の育成・確保に努力してまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(見延順章君) お諮りをいたします。
本日の会議はこれをもって終了し,明10月1日午後1時に再開いたしたいと存じますが,ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(見延順章君) ご異議なしと認めます。よって,さよう決定されました。
――――――――――――――――
○議長(見延順章君) 本日は,これで散会いたします。
――――――――――――――――
散 会 午後3時31分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 見 延 順 章
署名議員 関 口 英 一
署名議員 田 畑 光 雄...