助役 田 中 良 明 君
収入役 長 部 幸 一 君
交通事業管理者交通局長土 榮 勝 司 君
水道事業管理者水道局長石 原 弘 之 君
総務局長 伊 藤 忠 男 君
企画調整局長 井 原 貴 男 君
財政局長 久 元 喜 造 君
市民局長 大 野 雅 弘 君
民生局長 大 長 記 興 君
衛生局長 高 杉 信 男 君
環境局長 前 田 悦 雄 君
経済局長 鈴 木 俊 雄 君
建設局長 平 賀 岑 吾 君
都市整備局長 広 畑 民 雄 君
下水道局長 松 見 紀 忠 君
建築局長 関 谷 幸 正 君
市立札幌病院長 竹 田 保 君
消防局長 中 谷 多 宏 君
教育委員会委員長 牧 口 準 市 君
教育委員会教育長 藤 島 積 君
選挙管理委員会委員長 宮 川 新 市 君
選挙管理委員会委員 向 川 武 夫 君
人事委員会委員長 山 岡 暸 君
人事委員会事務局長 水 島 典 弘 君
監査委員 野 島 廣 紀 君
監査事務局長 東 山 誠 君
――――――――――――――――
〇
事務局出席職員
事務局長 鍛冶沢 徹 君
事務局次長 植 田 英 次 君
総務課長 佐 藤 正 明 君
議事課長記録係長事務取扱
土 屋 逞 君
調査係長 木 村 正 実 君
資料係長 沼 田 光 弘 君
議事係長 高 森 政 行 君
委員会一係長 山 内 馨 君
委員会二係長 山 本 祥 一 君
書記 佐 藤 比登利 君
書記 高 佐 三緒子 君
書記 鈴 木 和 弥 君
書記 尾 形 英 樹 君
書記 今 井 一 行 君
書記 山 本 扶 美 君
――――――――――――――――
〔午後1時開議〕
○副議長(伊与部敏雄君) ただいまから,休会前に引き続き会議を開きます。
出席議員数は,67人であります。
――――――――――――――――
○副議長(伊与部敏雄君) 本日の
会議録署名議員として柴田薫心君,柿崎 勲君を指名いたします。
――――――――――――――――
○副議長(伊与部敏雄君) ここで,事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(鍛冶沢徹君) 報告いたします。
室橋一郎議員及び菅井 盈議員は,所用のため本日の会議を欠席する旨,
見延順章議長及び田畔 満議員は,所用のため遅参する旨,それぞれ届け出がございました。
また,長部収入役は,公務のため遅参する旨,届け出がございました。
本日の議事日程及び質問順序表は,お手元に配付いたしております。以上でございます。
――――――――――――――――
○副議長(伊与部敏雄君) これより議事に入ります。
日程第1,議案第1号から第20号まで及び議案第29号から第33号までの25件を一括議題といたします。
ただいまから代表質問に入ります。
通告がございますので,順次発言を許します。富田新一君。
(富田新一君登壇・拍手)
◆富田新一君 私は,ただいまより
社会党議員会を代表いたしまして,今定例会に提案されました議案並びに当面する市政の諸問題につきまして,提言を交えながら質問をいたしたいと思います。
まず最初に,本札幌市議会にあっては,2年前の
統一自治体選挙以降,社会党は,桂市政の与党として市政への責任を担ってきたのでありますが,今日,社会党は,本市議会史上初めて一番手の質問に立つという責任の重大さを認識をしながら,なおかつ,国の内外を問わず歴史的な1993年であろうかと存じますし,国際的にわが国の置かれた立場を心しながら,情勢の一端を述べ,質問に入りたいと思います。
東西の冷戦構造が崩れ,新たな国際秩序の形成過程にある国際社会は,民族紛争やそれに伴う内戦が拡大するという不幸が続いております。この状況を脱するためには,アメリカを初めとする先進諸国は,武力闘争につながる愚かな武器製造や輸出を継続するのではなく,諸国の政治が民主主義と平和を推進できるよう,民生の安定に資する援助体制を確立することこそが,何にも優先して取り組まなければならないものと考えるのであります。
わが国の政権は,ご承知のとおり,38年間続いた
自民党単独政権は,権力に安住し,相次ぐ
金権腐敗政治を断ち切ることもなく,政治改革もなし得ず分裂し,総選挙を機に,社会党を与党第1党とする連立政権が誕生いたしました。新政権は,政治改革の実施を最優先としながら,景気回復や
自然災害対策にも早急に手だてを講ずるための施策の実現に全力を挙げているところでありますが,発足間もないこの連立政権に対する国民の支持は70%以上で,国民の大きな期待の中で政権運営に当たっていると考えているのであります。
そこでまず,桂市長は,この連立政権についてどのような考えと評価をお持ちなのか,所見をお聞かせいただきたいと思います。
次に,財政問題についてであります。
細川首相は,就任後初の
所信表明演説の中で,政治改革を最優先の課題とするとともに,経済・財政運営では,
経済発展至上主義から
生活者優先への転換の必要性を強調し,来年度の予算編成に際しては,特に公共事業のシェアの抜本的な変更に取り組み,国民生活の質の向上に資する分野に思い切って重点投資すると述べるとともに,生活者・消費者の視点や環境の保全などといった視点に立って,従来の制度や政策について徹底的に見直しを行なっていくことが必要であると述べ,財政改革の推進と
生活者利益最優先への転換を強く訴えたのであります。
国の来年度の予算編成に当たっては,歳出の削減と並んで,硬直化した予算配分,とりわけ公共事業の
予算配分比率の見直しが最大の焦点となるわけでありますが,8月末に大蔵省に提出された各省庁の来年度概算要求では,公共事業の
事業別シェアは従来とほとんど変更がなく,予算配分のシェアの見直し,
生活者重視などについては,今後の予算編成の課題とされたところであります。
したがって,細川政権の掲げる
生活者重視の具体的内容については,これからの予算編成を通じて,より明らかになってくるものと思われますが,私は,この
生活者重視という考え方に基本的に同調するものであります。なぜならば,わが国は,いまや平均寿命が80年という世界最長寿国となり,来たるべき21世紀には,国民の4人に1人が65歳以上という本格的な高齢化社会を迎えるのであります。また,環境問題や情報化,国際化がますます進展することにより,
社会経済情勢は大きく変容することが予想されております。
こうした状況の変化に対応しながら,地域の活性化を図り,地域福祉や
環境保全施策を推進することにより,個性的で活力に満ちた都市づくりをさらに進めていくためにも,従来の予算配分にとらわれることなく,財源の重点的,効率的な配分による社会資本の着実な整備が必要であると考えるからであります。
本市においても,生活者の足元を見詰め,市民一人一人の生活の向上や,心の豊かさに重点を置いた施策の実施に対応した財政運営が必要なのではないかと思うのであります。
一方,このような財政運営を行なっていく上で,その裏打ちとなる財源を確保していくということも,また肝要であります。
本市の財政基盤について見てみますと,他都市に比較して歳入に占める市税の割合が低く,財政力指数は
政令指定都市中,下から2番目であり,地方交付税に依存するウエートが高い脆弱な財政構造となっているのであります。
本市の平成4年度決算を見ても,バブル経済の崩壊による深刻な景気低迷により,市税が3.3%という低い伸び率になるなど,本市を取り巻く財政環境がますます厳しいものとなっている中,当初予算に計上しておりました
財政調整基金及び
まちづくり推進基金,合わせて100億円を全額支消することにより,予定されていた事業をほぼ完全に執行したのであります。このことは,脆弱な財政基盤の中での本市の財政運営の難しさを示すものであり,市長の並み並みならぬご苦労のたまものであると理解するものでありますが,これらの基金にも限りがあることから,今後,取り崩す場合は,本市の財政状況を見きわめ,計画的な活用を図っていくことが重要であると考えるのであります。
現在の財政状況を見てみますと,景気の低迷が依然として大きな影を落としており,今後も急激な好転が望めない状況にあります。しかしながら,このような状況の中にあって,交通事業や
国民健康保険事業の財政再建などの課題に的確に対応しつつ,さらに急速に進展する高齢化やごみ問題への対応,雪対策など,市民生活を重視した施策に積極的に取り組んでいくことが強く求められていると考えるのであります。
そこで質問いたしますが,本市においても,今後の財政運営に当たっては,このような時代の大きな流れを踏まえつつ,より市民生活に密着した事業を推進するため,
生活者重視の視点を優先した施策に積極的に取り組むべきであると考えますが,いかがでありましょうか。
また,本市を取り巻く財政環境は大変厳しいものがありますが,これらの施策の実現に当たっては,財政基盤の確立を図りつつ,
財政調整基金等についてもこれを有効に活用していくべきと考えますが,市長のご所見をお伺いいたします。
次に,
高齢者保健福祉計画についてお尋ねいたします。
人口の高齢化は,情報化や国際化の進展と相まって,経済や社会に大きな影響をもたらすことが予測されていますが,そのときに,住みなれた地域と家族の中で,健康で安心な老後を過ごすことができる福祉のまちづくりが行われているかどうかは,今日,国民全体の大きな関心事となっているのであります。
さて,本市は,比較的歴史の浅い街であるため封建的因習が少なく,地縁や血縁的なしがらみに縛られることがなく,自由な生活を楽しめる街と言われてきましたが,これまでの急速な人口の増加が,地方からの若い勤労者の転入が主であったため,最近,その傾向はますます強くなってきております。また,高齢者が家族と同居をする比率は少なく,子供が老いた親を援助しなければならないという社会的・
心理的義務感は希薄になってきております。地域においても,隣近所に無関心で暮らせるという気軽さの反面,若い世代と高齢者の交流の機会が少ない実情にあると言えます。
このような背景のもとに,本市の場合,老人病院を初めとする医療機関の整備率が高いことなどを反映して,従来から,寝たきりや痴呆性の高齢者の介護が,ともすれば病院や老人ホームなどの施設内処遇に依存している傾向が強いと言われてきたところであります。
しかし,昨年実施された札幌市
高齢者生活実態調査によると,介護のあり方としては,比較的健康な高齢者が,施設などへの入所希望が多いのに対して,寝たきりの高齢者やその家族は,在宅介護を希望する割合が8割を超えており,
高齢者施設全般に対する要望でも,
在宅福祉サービス,
在宅保健サービス,往診体制の充実が上位を占めております。このように,介護を必要とする高齢者の多くは,家族や知人などとの人間関係を保ちながら,住みなれた地域で生活することを望んでいるのであります。
ちなみに,介護者の年齢は,6割近くが60歳代以上で,80歳以上も6.7%を占めており,介護者の半数以上が病気療養中や病弱と答えております。このほか,介護者は,心身の負担や自分の時間がない,介護協力者がいないという悩みを抱えており,介護を行う家族にとって,高齢者の介護が精神的,身体的に大きな負担を及ぼしている現状にあります。
本市では,21世紀に向けた高齢化対策の方向性を示すために,1991年7月に札幌市
高齢化対策指針を策定し,現在,この指針の中の保健・福祉分野の具体的な目標量を明らかにする札幌市
高齢者保健福祉計画を策定することにしておりますが,わが党は,この計画に大いに期待しているものであり,本年8月2日には,札幌市の
高齢者保健福祉計画への提言書を桂市長に提出したところでもあります。
わが党の提言は,これまでの本市の
在宅サービス全国ワーストランクの汚名を返上するべく,
ホームヘルパーの大幅な増員を初め,
デイサービスやショートステイなどの充実を強く求めてきておりますが,ここで,若干その内容を紹介させていただきたいと思います。
まず,今後は,必要なときに必要なサービスを必要な人に提供するために,たとえば
ホームヘルプサービスについては,曜日と時間の制約をなくすことや,現在のように利用者からの申請を待つばかりではなく,積極的に地域を巡回するなど,ニーズの掘起こしのあり方を工夫するよう要望しております。
また,現在の
在宅サービスは,区を単位として実施されておりますことから,利用者の生活圏は遠いため利用しにくく,行政の側からも利用者のニーズが見えにくいことが指摘されております。そこで,高齢者の生活圏を基盤とした1次
地域福祉圏,連絡所管内を単位とする2次
地域福祉圏,区を単位とする3次
地域福祉圏を設定し,
各種サービス,関係機関,地域資源を有効に運用すべきと考えております。
札幌市の在宅福祉が立ちおくれている原因の一つとして,市民がこれらの
サービスそのものを知らないことや,市役所のどこの窓口に相談し,どのように手続を行えばいいのか,よく知られていないことが挙げられております。この問題を解決するためには,医療を初めとする保健・福祉に関する
各種サービスについて,関係機関との連絡調整や,市民からの相談に応ずることができる
総合相談窓口の機構が行政内部に必要となりますが,この窓口では,相談に来た市民に適切なサービスの組み合わせを調整し,適正な申請方法を助言するといった機能も望まれます。
さらに,今後は,
ホームヘルプサービスや
デイサービスなどについて,
在宅介護支援センターや札幌市
在宅福祉サービス協会などへの委託が広範に行われることと思われるのでありますが,このことにより,公的責任としてサービスの内容を決定し,
各種サービスの連携・調整を図る業務は,複雑かつ膨大になることが予想されます。これらに迅速に対応するためには,従来の行政内部の組織,とりわけ高齢者の
保健福祉サービスの核となる区福祉部と保健所が一体となって在宅福祉を推進すべきと考えております。
そこで私は,札幌市
高齢者保健福祉計画について,次の3点を質問いたします。
第1点目は,わが党が提言した内容の計画への反映についてであります。
わが党の札幌市
高齢者保健福祉計画への提言は,従来の発想を転換し,高齢者の生活圏を中心にした地域に着目して,地域の求心力を再生させようとするものですが,この提言をどのように計画に反映させていくのかお尋ねいたします。
第2点目は,人材の確保についてでありますが,
高齢者保健福祉計画を効果的に推進していくためには,保健婦や
ホームヘルパー,理学療法士など,
保健福祉サービスに携わる人材の確保・育成が,国はもとより,地方レベルの緊急かつ最重要課題であると言われておりますが,本市では,今後どのようにこれらの人材を確保していくのかお伺いいたします。
第3点目は,保健と医療と福祉の連携についてであります。
去る7月9日,厚生省の諮問機関である
公衆衛生審議会総合部会から
厚生大臣あてに,
地域保健対策の基本的なあり方についてと題して意見具申がなされました。この中で,今後の
地域保健対策の基本的な視点として,生活者主体のサービス,住民の多様なニーズに対応したきめ細かなサービス,地域の個性を生かした保健と福祉のまちづくりの三つが掲げられております。厚生省では,この意見具申を受けて,来年度,保健所法を含めた地域保健にかかわる関係法律の改正を予定しているところでありますが,これにより,従来,社会防衛的な視点に重点が置かれてきた
保健衛生行政は,今後,
在宅寝たきり高齢者の訪問指導,訪問看護と地域住民の健康に深くかかわっていくことになるなど,生活者個々の視点に重点が置かれていくものと考えます。
このような国の動向,地域保健を取り巻く環境の変化などを考えますと,保健所の地域に果たす役割は,従前にも増してますます重要になってまいりますし,特に,保健所の保健婦は,地域福祉のコーディネーター的重要な役割を求められることになるものであります。このように,保健所においても生活者のきめ細かなサービスの提供が求められ,福祉・医療の分野においても同様に,今後,サービスが質量ともに拡充していくことを考えますと,たとえば一つの窓口で相談できる総合窓口の設置など,保健・医療・福祉の連携はきわめて重要になってくるものと考えるのであります。
そこでお伺いいたしますが,市長は,
高齢者保健福祉計画を策定するに当たって,保健・医療・福祉の連携をどう進めようとしておられるのかお伺いいたします。
次に,交通対策についてお伺いいたします。
交通問題は,市政の重要な課題として,これまでも市民要望,議会の場などで取り上げられてきており,私も何度か代表質問において取り上げてきたところであります。
都市内を網の目のように張りめぐらした交通網は,われわれの日常生活に密接にかかわっており,うまく機能しなければさまざまな障害,損失が発生して,都市活動に重大な影響を及ぼすのであります。この点から交通の現状を見てみますと,幹線道路のあちこちで交通渋滞や混雑が発生し,地域の市民生活にさまざまな支障を来たしているのは,皆さんもよくご存じのとおりであります。さらに,近年は,大型プロジェクトや開発行為が進行中でありますし,郊外型大型店の進出等により自動車交通の増加が懸念され,いまよりもさらにひどい交通環境になるのではないかという危惧を市民の多くが抱いているのであります。
このため,地下鉄を中心とした公共交通のネットワークづくりと道路網の充実が急がれているのであります。本市における地下鉄整備の重要性は,積雪寒冷の地にあって,安全確実な大量輸送が可能であるという点であることは言うまでもありません。
また,見逃してならないことは,地下鉄建設に合わせ,道路やバス路線,乗継施設の整備を行い,総合的な交通体系の充実を図ることではないかと考えるのであります。
このようなことから,本市の交通計画の基本は,地下鉄整備を牽引力にして公共交通網の充実を図ることとしております。
そこで,質問の第1点目は,地下鉄東西線の延長についてであります。
地下鉄東西線琴似から手稲東間2.8キロの延長は,板垣前市長からの公約であると同時に,地域住民の長年の悲願となっているものであり,早急な実現が期待されているところであります。
ところが,東西線延長については,本年8月,国の94年度概算要求において予算が盛り込まれず,98年度末の開業は困難になったと報道されているところであります。そして,この理由は,札幌市が地下鉄需要喚起策の一環として進めようとしている手稲東駅周辺の大規模な再開発事業やバス路線の再編の実現性などについて,運輸省側から危惧の発言があり,条件が満たされたとは言えないと判断しているとの報道がなされているのであります。
わが党は,従来から,地下鉄延長については,東豊線の苦い経験もあり,需要喚起策については,国も納得する具体的な計画を立てるよう委員会等でたびたび申し上げてきたところであります。その意味で,いままさに手稲東のまちづくり計画の実現性が問われているところであり,12月の大蔵内示までの限られた期間内で,札幌市のまちづくり計画実現へのかたい意思をあらためて強く訴えていく必要があると存じます。
そこで,手稲東のまちづくり計画については,まずもって着実に実行していくこと,あわせて,こうした札幌市挙げての取組みにより,ぜひとも国の理解を得,市民が待ち望む98年度開業の方針を実現されるよう,市長の強い決意をお伺いいたします。
質問の第2点目は,地下鉄計画等の将来的なあり方と見直しについてであります。
ご存じのように,現在の札幌の地下鉄計画であるいわゆる50キロ計画は,1979年に出された札幌市総合交通対策調査審議会の答申によるものであります。この計画は,当時のパーソントリップ調査のデータをもとに,1995年を目標年次として地下鉄需要の見込みなどの検討を行い,策定されたものとして,議会の承認を求めてきたものであります。
その後,交通事情の変化を伴いながら10数年も経過し,JR中間駅の設置,東豊線北方面の開通,鉄道高架の完成,周辺市街地開発の進展などがあったことを考え合わせると,人と車の流れは,当時と比べ大きく変貌しているものと言わざるを得ません。
また,1995年を目標に地下鉄50キロ構想の建設が続けられてきたわけですが,現在工事中の東豊線豊水すすきの駅から福住間が完成すれば,50キロ計画のうち約45キロ,すなわち全体の約9割が達成されたことになり,計画はまさに仕上げの時期に来ているものと考えられます。
そこでお伺いしますが,本市では,これまで大半の5年計画が4年で終結し,1年繰上げ,新しい計画に入ったように,現在の地下鉄50キロ計画の目標年次である1995年が迫ったいま,桂市長の手による新しい計画に着手すべきと思いますが,いかがでありましょうか。
また,1979年の段階では,南北線真駒内駅から石山方面への延長は,将来必要があるとして,議会に提出をされました請願が趣旨採択をされてきておりますが,地下鉄を建設する場合の国の補助制度が,これからの新免許認可事業から,従来の運営費補助から建設費補助に改められ,キロ当たり建設費の借入れが少なくて済むこと,そのことにより,当然支払利息が小さくて済むことなどから,大幅に改善されたと言えます。
そこで,東西線延長計画においても,従来のキロ当たり2万人を必要とした需要客が,1万3,800人の需要客を見込むことでよくなったように,この石山方面への延長を望む市民の立場に立って,新しい制度に適合させて利用人員を割り返した場合,十分実現性が出てくると同時に,必要な土地は,以前の地下鉄延長計画がオイルショックで白紙撤回となったとはいえ,20年も前に取得していることから,延長は高架の継続でもあり,いまでも十分実現の可能性があると思うのですが,いかがでありましょうか。
質問の3点目は,国道230号の渋滞解消問題についてであります。
南区は周辺の緑に囲まれ,市民生活に欠かすことのできない命の水を豊平峡ダム,定山渓ダムいっぱいにたたえ,自然環境に恵まれているという半面,やや起伏に富んだ地形のため,1本の幹線道路に沿って市街地が帯状に連檐しているという形態になっております。そのため,従前より,バイパスや補助幹線道路の必要性が叫ばれておりますが,自然環境の保全・調和といった問題,あるいは道路の構造的な問題等から,新たな道路網整備の具体的作業がなかなか進んでいないのが現状であります。
国道230号線は,本市と道南を結ぶ大動脈路線として機能しておりますが,近年は週休2日制の普及や余暇時間の増大により,レジャー交通は年々増加しており,観光シーズンには,定山渓を初め,中山峠,洞爺湖などへ,さらに冬には,国際スキー場,ルスツ,ニセコなどのスキー場へ向かう車で,休日は常時交通渋滞を来たしている状態であります。
また,札幌市民の憩いの場となっている定山渓温泉地域のこれからの振興・発展を考えた場合,この渋滞問題を解消することが緊急の課題であると言えます。
これに対し,行政サイドでは,国道の4車線化や,沿線地域の補助幹線道路である藤野通の一部整備などを実施してきており,一定の成果が上がっていると評価しつつも,その先につながる抜本的な混雑解消とならないところに,多くの市民のいら立ちを感じるのであります。
したがって,地区内交通と通過交通の混在を解消するためには,沿線地区の補助幹線道路の整備を急ぐ必要があり,この位置づけにある藤野通については,藤野地区内において整備が進められておりますが,いまの都市計画道路の決定のままでは,相変わらず国道230号線にぶら下がってしまう状態にあり,地区外に行くには必ず一たん国道に出なければならず,国道の渋滞は緩和されないのであります。その解消を図るためには,藤野から石山東地区の旧支勿湖線である国道453号までの延長が近い将来必要であると考えております。そこで,沿線地区の補助幹線道路として機能させるためには,可及的速やかに全線開通を目指す必要があり,その前段である都市計画決定が何においても急がれるものと考えております。
そこでお伺いいたしますが,藤野通の今後の延長計画はどのようになっているのか,お示し願いたいのであります。
次に,抜本的な国道の混雑解消策として考えられるのがバイパスの整備であります。
本市の道路網を見た場合,道南方面へのルートは,ほとんど国道230号線を経由する道路となっており,ほかに代替となる道路がないことが混雑の主要な原因となっております。このため,南環状道路や国道230号のバイパスの整備が急がれるところでありますが,これは大規模なプロジェクトになると考えられ,自然環境との調和など解決すべき課題も多く,これらの実現に当たっては時間を要するものと思われます。
そこで,当面の対策として有効であると考えられるのが,定山渓にほど近い国道230号線の百松沢から,一部はトンネルで連絡する西区砥石沢への道路の新設であります。このことにより,本市の西部地区と国道230号線が短絡されて交通の分散が図られ,国道の混雑緩和に大きく寄与するものと思うのであります。
そこで市長は,早期にこの道路計画の検討に着手すべきと考えますが,考えをお聞きしたいのであります。
次に,本市の工業振興施策について,工業団地の関係を中心にお伺いいたします。
本市の産業構造を1991年事業所統計調査から見てみますと,従業者数約86万人のうち,第3次産業,つまり卸売・小売業,サービス業などに従事する者は81%に上るのに対し,第2次産業,建設業,製造業などに従事する者は18.8%にすぎず,本市は,第2次産業の比率が低い産業構造を持った都市であると言えます。しかし,私は,本市経済の振興のためには,第2次産業,中でも製造業の育成・振興が必要不可欠であり,工業生産力の強化が大きな課題であると考えるものであります。
本市においては,従来から工業団地の造成,分譲を進めてきたところであり,本市工業における事業規模の拡大,施設設備の合理化・近代化など,また,公害防止や不適正立地工場の適正配置のための受け皿として大きな役割を果たしてきたところであります。しかしながら,本市の既存工業系の工業団地は1989年をもって完売し,その後,工業用地の需要に対応できない期間が5年も数えるに至っております。この間において,市内で工場用地の手当てができないため,近隣市町村に用地取得を余儀なくされた例も相当数に上っていると聞いております。
ところで,現在のわが国の景気情勢は混迷の度を深め,国民総生産の実質成長率は,ことしの4月から6月期で年率換算マイナス2%に落ち込んでいると経済企画庁が先日発表したところであります。これは,個人消費と設備投資を中心とする民間需要の落込みに加え,円高や世界景気全体の停滞の影響ということでありますが,本市経済においても景気低迷の影響は深刻になってきております。
しかしながら,このような状況にあってこそ,企業の設備投資意欲を誘発する工業団地を提供できるようにしておくことが大切であると考えるものであります。また,まちづくりの観点からも,都市化の進展の中にあって,工業団地は地域の活性化を図っていく大きな役割を果たしていくものと,私は期待しているものであります。
そこで,以下,工業団地の開発についてお伺いいたします。
まず第1点目は,今後予定している新規工業団地の開発計画と,現在具体的に事業を進めている工業団地の進捗状況について,現段階でどのようになっているのかお尋ねします。
すでに事業化をした工業団地においては,買収価格や代替地の提供など,地権者との用地交渉に大変ご苦労されているように聞いておりますが,今後の見通しをお尋ねいたします。
次に,工業団地の開発面積と配置についてお伺いしたいと思いますが,先ほど私は,工業団地はまちづくりの観点から地域の活性化に大きな役割を担っていくものと申し上げましたが,工業団地開発を進めることによって,交通体系や公共施設の整備がなされ,また,職住接近の雇用環境が創出されるなど,工業団地はまちづくりに大きな役割を果たすものであります。
しかし,現在,市内には既存工業系の工業団地,先端産業系の研究開発団地が合わせて15ありますが,この団地配置を見ますと,地域的に偏在しているのではないかと思われます。
今後,企業への分譲面積で見て,20ヘクタール程度の工業団地開発を必要とすると聞いておりますが,本市においては,一定のまとまった面積の土地を限られた期間内に取得することは,用地交渉の点からますます困難になると思います。
そこで第2点目として,工業団地開発に当たっては,必ずしも大規模なものではなく,数ヘクタール程度の中小規模の工業団地を各地域にバランスよく配置することが,各区の均衡ある発展のためにもよいことではないかと考えますが,ご所見をお伺いいたします。
次に,先端産業系の研究開発団地に関してお伺いしたいと思います。
本市の工業は,これまで地域の需要に対応した都市型の軽工業が主力でありましたが,近年,本市においては,エレクトロニクス関連産業が著しい集積を遂げております。しかし,決算を見ますと,先端産業立地促進助成制度の予算に対する執行率がきわめて低い状況にあります。補助金においては,1億600万円の予算に対して約7,200万円の執行,率にして68%,融資のあっせんにおいては,金融機関に対しての預託額において,31億円の予算に対して5億円の執行,率にして16%にとどまっています。
そこで,第3点目としてお尋ねしますが,札幌ハイテクヒル真栄における企業立地の見通しについて,本市におけるエレクトロニクス関連産業振興の観点からどのように考えているのか,ご所見をお伺いいたします。
次に,教育問題についてお伺いいたします。
まず,学校教育における外国人講師の登用拡大についてでありますが,2005年を目標年次とする本市の第3次長期総合計画の五つの基本課題の大きな柱の中に,国際性を高めるとして「新しい時代に向けての札幌市は,21世紀の国際社会で重要な役割を演じる国際都市づくりをめざすことが肝要である。したがって,都市基盤整備や産業振興など,あらゆる面で地球的な視野に立ち,国際都市にふさわしい質の高い都市環境づくりを進めるとともに,国際交流の舞台となる札幌独自の芸術文化の創造などに努めていかなければならない。」と設定し,今日の行政上も大きな主体となっているのであります。
私が考えるに,これらの目標を達成するためには,未来ある子供たちを含め,広く札幌市民がみずからの街の歴史や文化を認識し,一方では,交流する諸外国の文化や歴史をよりよく認識し合うことがなければ,相互に信頼を高める交流は困難だと思うのであります。
そこで,それぞれの国や民族が使用している言語には,それぞれの文化の源流があると言われることを思うとき,国際都市を標榜する本市にあっては,未来を担う子供たちにいかに外国語に触れさせていくのかということが問われているのであります。
そこで,本市の教育環境を見てみると,第3次長総における学校教育の基本方針の第3に「国際化,情報化などの時代の変化に対応した教育を進める」として,その施策で,義務教育の中では,「外国との相互理解を深め,国際社会に参加・寄与できる能力・態度を養うことができるよう,外国人教師の登用などによる外国語教育の充実,姉妹校との交流などを推進する」また,高等学校教育では,「生徒・教師の海外派遣,外人教師の登用,海外姉妹校との交流促進などにより,国際理解教育を進める」と位置づけ,加えて5年計画には,海外帰国子女のための適応学校の設置を盛り込んでおります。
以上のような指針に基づいて,本市教育の具体的な状況を見ると,姉妹校の提携・交流は,小・中・高全体で45校で取り組まれ,外人教師の登用は,英語科において文部省枠に基づいて4人の講師派遣が実施されているのであります。今日の文部省がこの事業を行うに当たっては,いわゆる外国人講師を活用し,共同事業を行うとの意義について,英語教育の国際化を進めるという偏向性を感じないわけではありませんが,子供の成長過程にあって,外国人に接すること,あるいは外国語を生で認識する,外国人の生活や文化,風習を感じることができるなど,将来の国際交流の中心的な役割を担う子供たちが早いうちに異文化を認識し,そのことのために自国の歴史や文化,平和の大切さを実感し,諸国の言語に関心を高める糸口を与えることにより,世界に通じる人間形成を図ることはきわめて重要なことだと思うのであります。
そこで私は,国際交流教育の先進的な事業に取り組んでいる浦添市の実情を調査する機会を得たのでありますが,浦添市は,第2次浦添市基本構想に基づいて,教育長による諮問機関として国際交流教育推進委員会を設置し,15ヵ月に及ぶ討議の結果,具体的な事業化を図っているのであります。この国際交流推進委員会設置における討議の内容とテーマは非常に広く,以下,項目を挙げてみますと,まず,国際交流教育の意義に始まり,二つには国際交流教育事業の中で,一つは国際センター研修生との交流として,授業を通じての交流,研修生への学校行事への招待,クラブ及び部活動を通じての交流,地域PTA活動を通じての交流。二つに,隣接する米人学校との交流として,教職員の交換研修,児童・生徒の交換留学,米人家庭へのホームステイ。さらに外国人英語教師の雇用,国際理解教育推進研究校の指定,国際理解教育のための教職員の意識の高揚,歴史・文化理解のための副読本の刊行,専任指導主事の配置,姉妹都市との交流,情報センターの設置などの検討が加えられ,結果として,現在は約10万人の都市でありますが,五つの全中学校で,市独自の予算も組みながら1校で年間38時間の外国人講師との共同授業が進められていることがわかりました。
この際,本市教育委員会としても,このような国際交流教育の抜本的な検討を加えるための機関を設け,外国人講師を全校配置するようにすべきと思うのですがいかがなものか,お伺いいたします。
さらに,各学校が独自に取り組んでいる姉妹校の交流のあり方についても,交流を促進する予算的な措置はごく少額であることから,具体的な交流となると,はかばかしく進んでないように思われるのであります。せっかく子供たちのことを考え,姉妹校を結んでいるのでありますから,各学校がもっと姉妹校との交流ができるような予算措置がなされるべきと思うのであります。いかがでありましょうか。
次に,学童保育にかかわる問題についてお伺いいたします。
児童の健全育成事業,特に留守家庭児童の学童保育については,これまでもたびたび論議が深められ,今日では,本市が直営で実施している児童会館の児童クラブや一部学校の空き教室と,本市の補助金を受けながら実施している民間施設の児童育成会等があるわけですが,その総数は,現在の小学校区に対し約65%という状況であります。
この問題について,第1回定例市議会において,わが党の澤木議員が行なった質問の答弁で,桂市長は,「留守家庭児童対策事業の対象が小学校の低学年児童であることから,小学校区単位で学童の保育ができる施設があることが望ましい」とし,澤木議員が提起しているように,空き教室や集会施設などを含め,活用可能な施設実態を調査することを表明いたしました。このことは,小学校区単位の必要性について,行政と議会,市民との間において共通の認識に立つということで,その検討結果が待たれているところであります。
そこで私は,これらの事業がより充実するために欠かすことのできない財源問題について触れたいと思います。
これまで本市は,国が推進してきた児童の福祉と健全育成事業のための児童館や児童センター建設の補助金制度を利用せず,社会教育施設として独自の児童会館を建設してきましたが,現在,厚生省児童家庭局では,この児童健全育成事業について,財政上からもさらに一歩進め,児童クラブの運営費補助制度を導入し,社会の変化に対応する児童の安全と育成に意を用いているのであります。
以上,申し上げました観点からも,当面必要とされる小学校区単位,しかも,将来は全面的に直営での学童保育を早期に実現可能とするためにも,国の補助制度を活用すべきと思うのですが,いかがでありましょうか。
次に,環境公害対策についてお伺いします。
いまや地球環境の保全は,世界中でとても重要な問題として取り上げられています。
たとえば国連では,地球環境問題の解決に向けた今後の世界的な戦略を策定するために,環境と開発に関する世界委員会を設置し,この委員会がまとめた報告書は,持続可能な開発という考え方を打ち出し,世界各国の評価を受けました。この考え方は,開発と環境保全とを対立したものと考えず,むしろ環境保全の上に立ってこそ,将来にわたって継続的な開発ができるというものであります。
たとえば開発途上国において,やせた土地での無理な増産や森林を次々に伐採して農地にしていくといった,土地や森林という環境資源を破壊した開発が行われると,短期的には増産につながっても,長期的には経済発展を阻害することになることが少なくないのであります。それよりも,環境資源を保全し,それを活用する形の開発を行うことこそが,長期的・継続的な発展を実現できる道であるという考え方であります。
昨年6月,ブラジルのリオデジャネイロで環境と開発に関する国際会議,いわゆる地球サミットが開催され,世界の180ヵ国が参加し,100ヵ国の元首・首脳がみずから出席するなど,史上かってないハイレベルで大規模な会議が行われました。この地球サミットの成果の一つでありますリオ宣言は,各国は自国の資源を開発する権利を有しているが,同時にそれが他国の環境に損害を与えないようにする責任がある旨うたっております。しかも,それは,将来の世代に開発と環境保全を充足できるものでなければならないとされております。
また,持続可能な開発の実現のために,あらゆる主体がそれぞれの立場で取り組まなければならず,平和と開発及び環境保護は,相互依存的かつ不可分であり,各国とその国民は誠実にパートナーシップの精神で協力しなくてはならないとされております。
今日に至る人間活動の拡大は,経済社会的な意味でも,環境の面でも,地球を小さなものとしてまいりました。われわれ人類は,いや応なく地球人として,宇宙船「地球号」の乗組員であることを自覚せざるを得ない状況に生きているのであります。
このような認識に立ったとき,われわれは一体何をなすべきでありましょうか。現在の大量生産,大量消費,大量廃棄といった社会経済活動を見直し,環境へのマイナス影響となることから,負荷の少ない持続可能な社会を実現しなければならないことは,いまさら申すまでもありません。
わが国における大量消費と環境負荷で最大のものの一つは,モータリゼーションではないでしょうか。環境に優しい公共交通機関が整備されても,必ずしもその利用が十分ではなく,便利というだけで安易にマイカーに頼るなど,自動車交通に偏重した経済社会ができ上がってしまっています。その結果,自動車の排気ガスによる大気汚染は,全国的にも大都市共通の問題となってきておりますが,札幌市においても,1984年から都心部の幹線道路でしばしば環境基準を超える状況が続いており,このまま放置すれば市民への健康影響も心配されるところであります。また,この大気汚染の原因物質である二酸化窒素は,酸性雨や地球温暖化の原因物質でもあり,地球に優しい社会の実現のためにもぜひ取り組まなければならない問題であります。
本市で二酸化窒素が増加している原因は,年々,排出ガス規制の強化にもかかわらず自動車台数が増加していること,とりわけガソリン車に比べて2倍もの二酸化窒素を排出するディーゼル車が急増していることが考えられるのであります。本市の車の保有台数は1982年には48万台であったものが,1992年には79万台に達し,この10年間で約1.6倍にもなっています。そのうちディーゼル車は,7万台から25万台へと3.6倍にも増加し,すでに車全体の30%を超えております。
私は,このようなディーゼル車の急増を黙って見過ごすべきではないと思います。運転中に,前や横を走るディーゼル車からの黒煙まじりの排気ガスのために窓をあけることもできず不快な思いをしているドライバーや,顔を背けながら歩道を歩く歩行者の経験は,だれしもが一度ならず持っていることと思います。
そこで,質問の第1点として,本市のディーゼル車対策についてお伺いいたします。
本市の場合,トラック,バス等の大型ディーゼル車については,関係業界団体や関係行政機関などで構成する札幌市自動車公害対策推進会議を設けて,1996年までに,より排気ガス量の少ない最新規制適合車へ更新を図ることを目標に融資制度を設けるなど,関係団体と連携を図りながら,代替促進に向け鋭意努力をしていると評価するものであります。しかしながら,小型車で見ると,本市を含めて道内は,道外各都市に比べてガソリン車よりもディーゼル車の普及割合が異常に高い状況にあり,しかも,年々この割合がふえ続けています。
ディーゼル車は,環境に対して負荷が大きいと言われながら,なぜこのようにふえているのでしょうか。長距離走行の多い道内では,燃費がガソリン車に比べて安いということが,ディーゼル車が普及する原因の第1と思われるのであります。したがいまして,私は,この問題に対しては,ディーゼル車の販売規制も辞さないぐらいの思い切った対策が必要と考えますが,市長はディーゼル車の使用を抑制するために,具体的にどのように取り組もうとしておられるのかお伺いいたします。
また,私は,これまでの議会審議を通じ,低公害自動車として開発されている電気自動車の普及と性能向上のために,自動車業界や電力会社等に対し積極的な研究を進め,雪国にあっても実用化ができるよう求めてきたところでもあります。
先般,私は,電気自動車を先進的に導入している大阪市を訪問,調査をいたしてまいりました。大阪市では,25台の公害パトロール車をすべて電気自動車にしており,本年4月には急速充電施設10ヵ所目がオープンしたところでもありましたが,さらに,この電気自動車を1万台に普及させようという計画を立てているとのことでありました。
私は,なぜそのような計画が可能になるのかを尋ねてみたところ,アメリカのカリフォルニア州において,1998年から自動車の販売台数のうち2%が電気自動車でなければならないという規制が実施されるため,わが国のメーカーも電気自動車を開発せざるを得ない状況になったからであるというのであります。
そこで,質問の第2点目でありますが,本市は大阪市と異なり,積雪寒冷地にあるため,実用車として普及させるためには,バッテリー性能のより一層の改良が必要であり,いますぐ大阪市のような取組みを行うのは難しいことと思われます。私は,積雪寒冷地において低公害車を普及させるためには,地方自治体の取組みとあわせて,国の強力なてこ入れが必要と考えるのであり,たとえばわが国でも新車の生産台数や販売台数のうち,一定の割合を低公害車にするよう義務づけるなどの対策が考えられるのであります。したがいまして,国に対し,このような観点から抜本的な規制を講ずるよう強力に働きかけるべきであると思いますが,いかがでありましょうか。
また,私は,かねてから地球環境問題は自動車交通問題とも深く結びついているとの認識を強く持っているものであります。車は便利な足として,いまやわれわれの日常生活になくてはならないものであるというライフスタイルができ上がっております。しかし,地球環境問題の克服のためには,たとえ多少の痛みが伴うものであっても,当たり前と思われているライフスタイルを見直し,地球に優しい社会の実現のために立ち向かう勇気が必要であると考えるのであります。
そこで,質問の第3点目として,都心部の排気ガス対策としてのマイカーの抑制策についてお伺いいたします。
商業・業務機能が集まっている都心部に車が集中し,加えて路上駐車などにより交通渋滞を起こしています。特に,雪の降った朝などは,都心部の幹線道路は通勤のマイカーなどの車でいっぱいになり,その排出ガスで大気汚染がより一層高まっているのであります。
このため本市では,これまで都心部での大気汚染の改善という目的のほか,交通渋滞の解消,そして公共交通機関の利用促進という目的も含めて,不定期にその都度,マイカー自粛の呼びかけが行われてきたのではないかと思いますが,それぞれのねらいとするところも究極には環境に優しいまちづくりにつながっていると思うのであります。
たとえば,せっかく公共交通機関の整備を図っても,市民の利便が進まず,赤字を招いて路線網の整備がおくれるようでは,環境に優しいまちづくりも色あせたものとなってしまいます。大気汚染による健康影響にしても,交通渋滞にしても,公共交通事業の悪化にしても,放置されれば,社会的損失の大きさにははかり知れないものがあり,何よりも環境に優しいまちづくりに逆行するものであります。
したがいまして,今後は,以上述べましたような観点から,全市を挙げたマイカー抑制のための一大キャンペーンを実施するときではないかと思うのでありますが,市長のお考えをお尋ねいたします。
また,この場合,単なるかけ声だけではなく,何か実効のある誘導策もあわせて実施すべきと考えますが,いかがでありましょうか。
以上で,私の質問を全部終了いたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(伊与部敏雄君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) それでは,私から4点についてお答えをしたいと思います。
まず最初に,財政問題についてでございます。
第1点目の細川連立内閣についてでございますが,国の内外ともに厳しい経済社会情勢の中にあって,この8月に国民の負託を受けて発足をした新政権は,責任ある改革を旗印として多くの困難な課題に取り組もうとしておりますが,こうした姿勢につきまして,私は期待をしているところであります。
また,私ども地方行政に携わる者といたしましては,新政権が掲げている幾つかの重点政策目標の中でも,特に地方分権の推進等に注目をしているものであります。
いずれにいたしましても,いま国民が挙げて切望しているものは,早期の景気回復と将来に向けての国民生活の安定であります。その実現のために,この新政権が効果的な手だてを講ずることを強く念願するものであります。
次に,第2点目の
生活者重視の財政運営についてでございますが,本市におきましては,従来から市民本位の施策を積極的に行なってきたところでありますし,今年度の当初予算におきましても,生活に密着した分野を重視した編成を行なったところであります。新政権の
生活者重視の視点に立つ考え方につきましては,私も認識を同じくするものであります。
したがいまして,今後の財政運営に当たりましては,従前にも増して高齢者対策,環境保全対策,雪対策など,市民生活の安定向上のための施策を推進してまいりたいと考えております。
第3点目の基金の有効活用についてでありますが,基金残高も年々減少してまいっておりますが,その活用に当たっては,財政状況を見きわめながらその取崩しを必要最小限に抑え,景気の好転時にはこれを回復するなど,有効かつ計画的に行なってまいりたいと,このように考えております。
次に,
高齢者保健福祉計画についてでございます。
第1点目の,さきに社会党からございました
高齢者保健福祉計画に対する提言の計画への反映についてでございますが,私といたしましては,いただきました提言は貴重な内容であると受けとめております。お話にありました
在宅サービスの充実強化といったようなことを念頭に置きながら,このことを十分踏まえた計画を作成してまいりたいと考えております。
第2点目は,人材の確保についてであります。
計画の実施に当たっては,人材の確保がその成否を左右する大きな課題であると考えております。したがいまして,昨年の10月に札幌市福祉マンパワー対策検討委員会を設置し,人材の確保について検討をお願いをしているところでありますが,10月中には介護福祉士等介護要員の養成を初め,施設従事者の処遇改善及び研修体制の確立,さらには市民・企業ボランティア活動の醸成策等について貴重な提言がなされる予定となっております。私といたしましては,これを十分尊重し,人材の確保に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
第3点目の保健・医療・福祉の連携についてであります。
高齢者に提供するサービスは,ますます複雑・多様化してきております。これらのサービスをより効果的に進めるためには,保健・医療・福祉の連携が重要であると,私も考えております。
したがいまして,各区におきましては,医師会等関係団体及び市の関係部局で組織する高齢者等サービス調整委員会を設置いたしておりまして,高齢者に適切なサービスを提供するための調整を図っているところでありますが,この計画の中では,相談窓口機能の強化や
各種サービスの調整機能を担う保健婦などのマンパワーの充実に取り組み,より一層,保健・医療・福祉の連携に努めてまいりたいと考えているところであります。
次に,交通対策についてのご質問にお答えいたします。
第1点目の地下鉄東西線の延長計画実現についてでございますが,率直に申し上げまして,きわめて厳しい状況にあることはすでにご承知のとおりであります。
このために,手稲東のまちづくりを着実に進める前提となる用地確保に全力を注ぐなど,全庁が一丸となって需要創出に取り組んでいるところでございます。この後,残された時間は決して多くはありませんけれども,平成10年度開業を実現させるために,本市のこれらの取組み姿勢等を重ねて国に強く訴えて,ぜひ理解をいただくべく最大の努力を傾注してまいる決意でございます。
第2点目の地下鉄計画等の見直しについてでございますが,まず,新たな地下鉄等の大量輸送機関の計画策定につきましては,現在の計画策定時の交通状況,社会環境,その後の変化を考えますと,都市圏レベルでの人や車の流れを把握する必要がありますので,平成6年度から3ヵ年をかけて,国や道など関係機関と共同で第3回目の道央都市圏パーソントリップ調査を実施する予定であります。
したがいまして,これらの調査結果や地下鉄50キロ計画の達成の見込み,さらには地域の交通動向,輸送需要の見込み等を踏まえ,新たな計画の必要性について検討してまいりたいと考えております。
また,地下鉄南北線の石山方面への延長につきましても,ただいま申し上げましたとおりの状況でございますので,全市的な視点で検討してまいりたいと考えております。
次に,第3点目の国道230号の渋滞問題でございます。
まず,藤野通につきましては,地区の生活幹線機能を確保する道路として,昭和63年までに藤野1号通から藤野西通の間,約2,900メーターについて都市計画決定を行なったところであります。このうち,市道藤野野の沢線から藤野1号通間の約720メートルにつきましては,平成8年度の完成を目指して鋭意事業を進めているところであります。
この先,石山方面への延長につきましては,生活幹線道路の充実並びに良好な市街地形成を図る上で必要であると考えておりますが,この延長線上には,鳥獣保護区や環境緑地保護地区などの指定を受けている地区がありますことから,自然環境と整合のとれたルート選定や構造につきまして,今後検討を進めてまいりたいと考えております。
次に,国道230号の百松沢から西区の砥石山へ連絡する道路の計画についてでございますが,これらの地域はほとんどが急峻な地形であります。さらに,支勿洞爺国立公園並びに鳥獣保護区等の指定を受けている良好な森林地帯でありますことから,自然環境の保全に十分な配慮をする必要があると思います。そのために,長期的な観点から,今後検討を進めて研究をしていきたいと,このように考えております。
次は,環境公害対策についてでございます。
第1点目のディーゼル車対策につきましては,従前から本市の公用車につきましてはガソリン車を優先的に採用しておりますが,他の行政機関あるいは民間の事業所に対しましても,ことしの12月の軽油引取税の引上げ時に合わせまして,小型ディーゼル車の採用を自粛するよう強く要請してまいりたいと,このように考えております。
第2点目の低公害車の普及促進策についてでございますが,本市のような積雪寒冷地において低公害車の普及を図るためには,国の施策に負うところが非常に大きいと思いますことから,低公害車販売の義務づけや,より一層の技術開発の指導などについて国に強く要請してまいりたいと考えております。
また一方,本市といたしましても,学識経験者や関係行政機関などで構成をする札幌市低公害車普及懇談会を設置いたしまして,地域としての受け皿づくりを進めていきたいと,このように考えております。
第3点目のマイカー抑制のためのキャンペーンについてでございます。
これまでにも,本市ではさわやかさっぽろキャンペーンと名づけまして,全市的な運動を展開してまいったところでありますが,今後も関係行政機関,関係団体等と一層の連携を図りながら,この運動を定期的かつ継続的に実施するよう強化をしてまいりたいと思います。
また,この取組みの実効性をさらに高めるために,マイカーから公共交通機関への乗客の誘導策についても検討し実行してまいりたいと,このように考えております。以上であります。
○副議長(伊与部敏雄君) 木戸助役。
◎助役(木戸喜一郎君) 工業振興施策における工業団地について,私からお答えいたします。
第1点目の新規工業団地の開発計画と進捗状況についてでございますが,現在,すでに事業化をしております北区新川地区のほか,白石区米里北地区,東区東雁来地区,西区発寒地区の3地区において開発を計画しております。このうち,白石区米里北地区につきましては,区画整理事業区域内の工業系保留地を取得して開発するもので,平成6年秋には分譲を開始できる見込みでございます。
また,他の3地区につきましては,地権者交渉等,開発に向けての関連事業を進めており,できるだけ早期に企業の用地需要にこたえられるように努力してまいる考えでございます。
第2点目の中小規模の工業団地を各地域にバランスよく配置してはどうかとのご質問でございますが,これについては,各区にはそれぞれ地域の持つ特性があり,それにふさわしい土地利用を図る必要がありますことから,中小規模ではあっても,工業団地として開発可能な適地をバランスよく選定することはかなり難しいものと思います。また,工業団地としての性格上,投資効率を図ることも重要となることから,ある程度まとまった規模の団地であることも必要でございます。
いずれにいたしましても,今後新たに開発する工業団地につきましては,これから策定することとしております工業振興計画の中で十分に研究してまいりたいと考えております。
第3点目の札幌ハイテクヒル真栄における企業立地の見通しについてでございますが,景気低迷の状況下にはありますものの,分譲企業からは,現在のところ特に事業計画の延期等の要請はなく,今後景気動向をにらみながら,社屋建築等,設備投資計画が具体化してくるものと考えております。
札幌ハイテクヒル真栄の分譲企業は,エレクトロニクス関連産業における大手の企業であり,今後,本市においてこれまで集積してきたエレクトロニクス関連産業,また,既存工業との連携によって地場企業の高度化が図られていくものと期待をいたしております。以上でございます。
○副議長(伊与部敏雄君) 藤島教育長。
◎教育長(藤島積君) 教育問題について,私からお答えを申し上げます。
まず,国際理解教育についての1点目,国際交流教育を推進するための事業策定機関の設置及び外国人講師の登用についてであります。
学校における国際理解教育は,教科,道徳,特別活動の全教育活動の中で推進してまいっているところでございます。
また,市教委といたしましては,今年度の札幌市教育目標の重点として国際理解教育を掲げており,ご指摘のとおり,これまでも英語指導助手を登用したり,姉妹校提携や教員の海外派遣等の事業を行なってきたところであります。これらのことをベースにしながら,今後とも国際理解教育の充実にさらに努めてまいります。
ご提言のありました国際交流のための事業策定に関する新たな機関の設置についてでございますが,これまでも教育関係者を中心とした国際理解教育研究会や姉妹校連絡会等の組織がございまして,それらとの関連も考慮しながら,今後検討してまいりたいと,このように考えております。
また,外国人講師の登用につきましては,これまで市教委として行なってきた英語指導助手の招聘事業を充実させてまいりたいと考えておりますが,外国人講師を中学校,高等学校の全校に設置することにつきましては,本市の学校数を考えますと,きわめて難しい状況であると,このように申し上げたいと思います。
2点目の姉妹校交流活動の予算措置についてでありますが,本市には,国際部に事務局を持つ札幌市姉妹都市協会があり,そこから姉妹校交流活動への助成を行なっております。
本市の姉妹校を持つ学校で構成する姉妹校連絡会及びそれぞれの姉妹校,団体に対して,今年度は合計150万円の予算を計上しております。
さらに,姉妹都市との周年記念行事への派遣事業のある年度には,特別予算を組み,昨年度の場合,ミュンヘン市との20周年記念派遣事業には266万円を支出し,姉妹校を持つ小・中学校4校の児童・生徒を派遣したところでございます。
また,市教委といたしましても,学校配当予算の中で,作品等の交流活動費として,45校に対し,年額およそ204万円を措置しているところでございます。
ご指摘の姉妹校交流活動費の増額につきましては,今後,姉妹校間の交流活動の内容等を十分吟味しながら検討してまいりたいと,このように考えております。
○副議長(伊与部敏雄君) ここで,およそ30分間休憩いたします。
――――――――――――――――
休 憩 午後2時21分
再 開 午後2時55分
――――――――――――――――
○議長(見延順章君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。
ここで,先ほどの富田新一君の代表質問に対し,答弁漏れがありましたので,この答弁を求めます。藤島教育長。
◎教育長(藤島積君) 先ほど答弁漏れをいたしました。深くおわびを申し上げます。あらためて答弁をさせていただきたいと存じます。
放課後児童対策補助事業の活用についてでございます。
放課後児童対策補助事業の活用についてでございますが,この補助制度は,児童館のほか,保育所や学校の空き教室,団地の集会室など,身近な社会資源を活用することとし,指導員(非常勤職員)1名でございますが,この1名分の人件費及び事業費の一部が補助内容として盛り込まれているものであります。補助率は3分の1となってございます。
この補助を受けることができるかどうかについてでございますが,まず,民間方式育成会につきましては,本市の直営事業ではなく,札幌市児童育成会運営委員会に助成をする形態をとっていることから,不可能と判断されます。
一方,児童会館での児童クラブについてでございますが,厚生省の「放課後児童対策事業実施要綱」によりますと,一つには,指導員の選任は,児童厚生員の資格を有する者が望ましいこと,二つには,登録児童が20人以上であること,三つには,一部特例として高学年児童も対象とするなどの補助基準や国庫補助枠の問題もございまして,これまで本市が社会教育施設として位置づけて運営してまいりました児童会館児童クラブの運営と異なる点が多くございます。したがいまして,今5年計画における児童会館整備後の施設整備のあり方,管理運営のあり方等を総合的に検討していく中で判断すべき問題である,このように考えております。
○議長(見延順章君) それでは,代表質問を続行します。上瀬戸正則君。
(上瀬戸正則君登壇・拍手)
◆上瀬戸正則君 私は,ただいまから自由民主党議員会を代表いたしまして,平成4年度の決算を初め,当面する市政の諸問題について質問をしてまいりたいと存じます。
最初に,財政問題についてお伺いをいたします。
平成4年度は,
政令指定都市移行20年という節目の年に当たりまして,また,桂市長が選挙公約で掲げました個性的で活力に満ちた躍動都市さっぽろの実現を目指して,市長就任後,いち早く策定に取り組まれました第2次5年計画のスタートの重要な年であったわけでありますが,この1年を振り返ってみますと,本市を取り巻く財政環境は,従前にも増して非常に厳しいものがあったところでございます。
国家財政を見ますと,平成4年度の国家予算は,今後の
社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくために公債発行額を可能な限り抑制し,歳出の徹底した見直しに取り組むなどを基本方針として編成をされたところでございます。
その結果,国の一般会計予算の規模は72兆2,180億円で,前年比2.7%の増となりましたが,歳入面では,非常に厳しい税収動向を反映しまして,租税,印紙収入が前年比で1.2%の増にとどまり,また,歳出面では,地方交付税交付金が法定分から8,500億もの減額がされたことによりまして前年比1.3%の減となるなど,国家財政の厳しい状況を反映したものとなったのでございます。
一方,地方財政を見ますと,国同様,累増する多額の借入金残高を抱えており,依然として楽観を許さない状況の中で,平成4年度地方財政計画は,おおむね国と同一の基調に立ちまして策定がなされたところでございます。
すなわち,歳入面については地方債の抑制に努めるとともに,地方交付税の所要額の確保を図り,歳出面におきましては住民生活の質の向上のための社会資本の整備,また,住民の福祉の充実などを積極的に推進するための事業費の確保に配慮するなどした結果,その規模は74兆3,651億円で,前年比4.9%の増になったところでもございます。
このような国・地方の財政状況のもとで,本市の平成4年度予算は,第2次5年計画がスタートする重要な年でありますこと,さらには膨大な累積赤字を抱える交通事業,また地下鉄事業,そして国保会計等の財政健全化など,本市が抱える課題の解決への見通しをつけることなどを踏まえまして,景気低迷により市税収入が伸び悩む中にありまして,
財政調整基金などを積極的に活用する予算編成がなされたところでございます。
また,わが党の思い切った景気対策を講じるべきであるとの主張を迅速に取り入れられまして,国の総合経済対策に関連をした過去最大規模の景気対策のための補正予算を組むなど,年度途中での事業費の追加を行なった結果,最終予算では,一般会計で7,114億円の規模となり,7.4%の伸びを確保したのであります。
これは,桂市長の公約の早期実現や,地元中小企業の経営安定に配慮した経済の活性化などに寄せる並み並みならぬ意欲をあらわすものでございまして,わが自民党といたしましても,高く評価をしているところでございます。
そこで,予算の執行結果である平成4年度決算を見てみますと,一般会計の予算に対する執行率は,歳入で98.4%,歳出で98.2%と,いずれも前年度を若干ではありますが0.1ポイント上回っており,予算に計上された事業については,ほぼ完全に執行されたことを評価をするものでございます。
この主な事業について申し上げますと,障害者や高齢者が安心して快適な生活が送れるよう,地下鉄駅などの身体障害者用のエレベーターなど,環境整備の充実を図ったのを初め,児童福祉総合センターや市立病院の移転新築工事にも本格的に着手するなど,すべての市民が安心して暮らせる市民福祉のまちづくりを推進したところでございます。
また,景気の低迷を考慮して,中小企業対策として経営安定特別資金というものを創設いたしたのを初め,公共事業の追加補正を行うなど,産業や経済の活性化にも意を注がれたところでございます。
また,将来を見据えたスケールの大きな事業となる札幌里づくり事業に本格的に着手をいたしますとともに,かねてからの市民の念願でもございました音楽専用ホールの整備や屋内広場の建設工事に着手するなど,余暇活動や心の豊かさをより重視する市民の多様なニーズに対応するための施設整備にも十分配慮をされました。
また,家庭用のコンポスト化容器設置に対する補助制度の創設,また,路盤材再生処理施設の稼働など,市民・事業者・行政が一体となったごみの減量化・資源化を推進したところでございます。
さらに,流雪溝であるとか融雪槽の建設,また坂道ヒーティングの増設など,冬季間における都市の快適性を高めるための雪対策を推進されたのであります。
このように,厳しい財政環境のもとにありまして,本市が抱える課題に対応すべく,一般会計に予算計上しておりました
財政調整基金と
まちづくり推進基金について,合わせて100億円全額の取崩しを行い,各分野にわたって可能な限りの事業を積極的に実施をいたしたわけでありますが,私は,厳しいときこそ貯金を機動的かつ効果的に活用すべきであると考えているところでありまして,景気の回復を待って,その復元に努められるよう期待をするものであります。
そこでお尋ねをいたしますが,市長として初めて本格的な編成を行なった平成4年度の決算についてどのように評価をされているのか,まずお伺いをしたいのであります。
質問の第2点目は,今後の財政運営についてであります。
国の平成4年度決算におきましては,税収が戦後初めて2年連続して減少し,約1兆5,000億円もの歳入欠陥が生じるという非常に深刻な状況が伝えられておりますが,本市においても,平成4年度決算では,市税が3.3%という非常に低い伸び率でございますし,また,10年ぶりに減収補てん債の発行を余儀なくされました。平成5年度に入りましても同様の状況が続いておりまして,市税につきましては,過去最低の伸び率を見込んだ当初予算をさらに下回る見通しでありまして,地方交付税につきましても,前年度を65億円下回るなど,まことに厳しい状況でございます。
こうした歳入不足に対する補てんを含めまして,今後の財政運営をどのようにされるのか,お伺いをいたします。
質問の第3点目といたしまして,こうした非常に厳しい財政状況の中で,私は,今後より一層の経費の節減に努める必要があると考えるのでありますが,具体的にどのように進めていこうとされているのか,市長のお考えをお聞きしたいと存じます。
次に,国際ゾーン構想にかかわります大通空間の延長についてお伺いをいたします。
国際ゾーン構想は,札幌創建の原点であります大通と創成川のクロスポイント周辺に,21世紀における新たな都市拠点として,官民の協力により,都心にふさわしい高次都市機能を複合的に導入・整備しようとするものでありまして,都心の再整備計画としては,まさに壮大な構想であると思うところでございます。
しかしながら,この国際ゾーン構想を具体化していくためには,今後,解決をしていかなければならないさまざまな課題があるのでございます。「札幌国際ゾーン事業推進調査」の中でも,幾つかの大きな課題が提起をされておりますが,私は,その中でも最大の課題は,大通空間の創成川以東への延長ではないかと考えるのであります。
国際ゾーン構想の中でも大通空間の東伸は大きなテーマの一つになっており,その実現は,大通拡大の入り口としてとりわけ重要でありますが,しからば,その先のところをどのように考えるのかが,これからの都心づくりを進めていく上できわめて重要な課題ではないかと思うのであります。
そもそも大通は,明治2年に島判官が,現在の創成橋のあたりに札幌創建の基点を定めて,その北側の官地と南側の民地の間に,札幌の都市の骨格となる太い軸線を計画したことに始まるのでございます。しかし,大通は当初から公園として計画されたものではなく,最初は道路,また,火防線としての機能を担っておりましたが,明治時代後半になって,ようやく植樹などが行われるようになり,大正12年になって逍遥地として整備をされてきた経過があります。
その後,戦時中の芋畑の時代を経まして,戦後はご承知のとおり,昭和25年の第1回の雪まつりを初めとして,祭りやイベントの会場として,あるいは市民の憩いの場として愛されてまいりまして,いまや本市で最も市民に親しまれる場所になっているのであります。
このような歴史を踏まえて,あらためて現在の大通を見ますと,それは幹線交通の役割と同時に,市民や札幌を訪れる多くの人にとってのアメニティ空間,すなわち,水と緑に親しむことができる憩いと安らぎの空間としての役割を果たしておりますし,この大通空間は,都心における東西の基軸として札幌の街を強烈に特徴づけ,国内はもちろんでありますが,世界じゅうの人々が札幌をイメージするときのシンボルになっていると言っても過言ではないと思うのであります。
しかしながら,現在,大通が東に向かっては創成川との交点で行きどまっておりますことは,残念ながら,交通機能につきましても,その阻害要因の一つとなっておりますし,また,大通と駅前通との交点周辺を現在の都心中心と考えた場合には,大通は西への伸びに比べまして東への延長が短く,その結果,都心空間の構成も均衡を欠いていると言わざるを得ないのであります。
特に,創成川の東地域の現状を見てまいりますと,長期総合計画において,都心圏及びその周辺地域と位置づけがなされているにもかかわらず,現時点では都市機能も,また都市基盤施設も十分ではなく,土地が有効に活用されているとは言えない状況にありますし,更新期を迎えました建物が多いことも考え合わせますと,今後,積極的な再開発が求められている地域だと思うのでございます。
この創成川以東地域のまちづくりにつきましては,これまでも苗穂中央地区,また旧永山邸の周辺,ビール工場の跡地地区等,部分的には再開発事業に取り組まれておりますが,都市機能の充実した,風格ある都心形成を図るため,いま一度新たな視点で包括的なまちづくり計画に取り組む必要があるのではないか,このように考えます。
私は,このような計画を考えますとき,大通を現状のままとしていては,空間構成と基盤整備のアンバランスの感は否めず,将来とも都心及びその周辺との位置づけにふさわしい魅力を持ったまちづくりは難しいと思うのであります。
幸いに,国際ゾーン計画を進める中で東1丁目部分の取組みがあるわけですから,それをさらに発展させることによって,創成川の東側に大通の空間としての機能が及び,にぎわいや活気を生むまちづくりが展開できるでしょうし,都心の交通対策にも大きく寄与し,創成川から東の地域のまちづくりに強力なインパクトを与えることができると思うのであります。
大通を東へ延ばすことは,わが党といたしましても,政策課題としてかねて主張しているところであります。また,これまで経済団体,市民団体,最近では桂市長が設置をいたしました街づくりサッポロ会議など,札幌のまちづくりにかかわる多くの人々・団体が,大通を西は円山公園まで,東は豊平川まで延長をすることを熱望しているところでもございます。
ただ私は,大通の西側の延長につきましては,近年,建物の更新等がどんどん進んでおる現状を見ますと,残念ながら,次の更新時期の課題ではないかと思わざるを得ません。しかし,東側につきましては,まさにこれから更新時期を迎える建物も数多くあるわけでございますし,先ほど申し上げました国際ゾーンの取組みを契機に,まちづくりの大きな課題として,50年,いや百年の大計を持って,その計画づくりに着手すべき時期ではないかと,このように考えるところでございます。市長のご所見をお伺いしたいのでございます。
次に,交通事業の経営健全化計画についてお伺いをいたします。
交通事業の経営健全化計画の初年度に当たります平成4年度の決算の状況を見ますと,電車・バスを内容とする交通事業会計は,健全化計画では5,300万円の利益としていたのに対しまして,決算では16億8,500万円の利益となり,16億3,200万円の好転となっております。
また,高速電車事業会計でも,健全化計画では経常収支の差引不足額が309億5,100万円と見込んでおったところでございますが,決算では285億5,700万円となって,23億9,400万円好転をしているところでございます。
この結果,交通事業の累積欠損金は,3・4年度合わせまして38億5,100万円好転をし,また,高速電車事業会計の累積欠損金も,3・4年度合わせますと41億9,800万円の好転となっているところであり,健全化計画は,非常に順調なスタートを切ったと言えると思うのであります。
しかし,その一方,交通事業経営の基盤とも言えます乗客数はかなりの割合で減少しておりまして,その状況にはきわめて深刻なものがあります。3年度末と4年度末の1日乗車人員を比較いたしますと,電車で1.9%,自動車は2.4%,地下鉄では1.6%それぞれ減少しているわけでありますし,これに伴う料金収入の減収額も,予算比較で,交通事業会計では約6,900万円,高速電車事業会計では約3億8,800万円となっているところでございます。
したがって,平成4年度の経営健全化計画は,料金収入の減少の続く中にありまして,事業を維持すべく,懸命な内部効率化による経費節減によって支えられたものであり,その努力については,並み並みならぬものがあったろうと思っているところでございまして,関係者のご努力に対して敬意を表するところでございます。
しかしながら,乗客の減少傾向は,今年度に入りましても変わらず続いておりますし,好転の兆しが全く見えないのが実情であります。乗客の減少に対し,今後,平成4年度以上の経費節減の努力を続けていったとしても,その効果は,やがて限界にくることは明白であります。需要確保のために,現在全庁挙げて取り組んでおり,この健全化計画におきましても,需要喚起2万人プロジェクトとしてまちづくりを進めていることは,ご承知のとおりでありますし,また,乗客が減少しております大きな要因は,景気の低迷,また,週休2日制の拡大,あるいはマイカー増加のように全国的な流れによるものが大きく,本市として特効薬的な効果を発揮するものを見つけることがきわめて難しいことであることも理解をしているところでございます。
しかし,こうした需要の減少に早急に歯どめをかけていきませんと,今後,健全化計画は十分にその目的を達成できないのではないか,このように危惧をするところであります。
また,念願となっております地下鉄東西線の延長に当たっても,健全化計画における需要喚起の達成度が免許の重要な判断要素となっているものでございますし,加えて,延長部分のまちづくりによる需要確保の確実性も明らかにしていかなければならないということでございます。
東西線の延長につきましては,さきの経済公営企業委員会におきましても,年末の国家予算内示に向けまして,国の補助財源確保を強く要望していくという決意が示されたところでございますし,先ほどの質問にもございましたが,なお一層早期実現に向けて努力を傾けていただきたいのであります。
そこで,質問の第1点目でありますが,東西線延長を念頭に置いた既設線の需要喚起策,これについても非常に重要なことでないかと思うところでございまして,具体的にどのように進めていくお考えなのか,お聞かせをいただきたいのであります。
次に,2点目でありますが,経営健全化計画は,電車・バスが10年,地下鉄は30年という長いスパンで再建を図るものでありまして,毎年事業の実施状況の検証を行い,健全化計画との乖離があれば,その都度,回復措置を講じて健全化計画に近づけていくということが原則でもありますし,各年の状況の変化によって,直ちに健全化計画を見直すべきでないということは承知をしているわけでございます。
しかし,刻一刻と変化をする厳しい状況を切り抜け,事業経営の安定を図るためには,一般企業と同様に経営管理の強化が必要でもありますし,それに対する組織の対応能力が必要であります。
90年代は,創造的経営管理の時代と言われておりますが,特に交通事業にありましては,過去に例を見ない経営健全化を実施をしているところでもありますし,将来を見越した過去の先例にとらわれない事業運営こそが経営の基本であることはもちろんであります。
交通事業は,民間企業と同じ土俵で競争をしているわけでありますから,これはむしろ当然のことであり,民間企業と同様の経済合理性に従った運営がなされるべきでありますし,地方公営企業法もそうした運営を期待をして,他の一般部局に比べ,はるかに能率的な処理を可能としているところでもございます。
また,こうした創造的な経営努力と同時に,交通事業の基本として求められているのは,市民からの期待にこたえ得る安全性であります。これは,時代を超えて,過去から将来にわたって永遠に求められるものでもございますし,この安全性なくしては事業は存在し得ないと言っても過言ではないのであります。
平成4年度の経営健全化計画の達成は,計画以上の職員の削減による経費抑制によってなし得たとも言えるわけでございます。サービスを低下させることなく,30以上の機構と600人を超える職員の削減を伴ったこうした事業軽量化への努力は,高く評価をするものではございますが,計画以上の職員の削減によって運行の安全性への影響が出てきてはいないのか,こういう心配があるわけでございます。
そこで,お伺いをいたしたいのでありますが,経営健全化の中でどのような経営上の新たな試みをしているのか。また,安全性に対する信頼をどのように確保しようとしているのか,お尋ねをいたしたいのであります。
次に,福祉対策について質問をしてまいりたいと存じます。
わが国の社会福祉施設の整備につきましては,戦前の施設福祉体系が整備されていなかった時代から,熱意ある民間の篤志家によって施設づくりがなされてまいりました。戦後においてもさまざまな福祉関係法の制定が行われ,施設福祉が体系的に進められる時代となって,飛躍的に施設整備が進められるようになってからも,その大半の施設が民間の篤志家によって進められてきたと言っても過言ではない状況にあるわけであります。
その結果,本市といたしましても,平成4年度末現在で,老人福祉施設25ヵ所,障害福祉施設28ヵ所,児童福祉施設136ヵ所など,計192ヵ所となり,公立施設を含めました全施設268ヵ所のうち,実に70%以上を占められているのであります。
私は,このように,今日まで本市の施設福祉に大きく貢献をしてまいりました民間の施設経営者が,共通に悩み,施設経営の安定を図る上で最大の問題としておりますことは,施設整備における自己財源の確保であると,このように指摘をしたいと思うのであります。
何十年も一生懸命に施設経営を行なってきた篤志家たちが,施設の改築時を迎えたときに,現状の施設運営経費であります,いわゆる措置費の中には,施設の再建築のための資金を積み立てるシステムが組み込まれていないと,このために改築整備に必要な自己資金の確保ができず,やむを得ず老朽化した施設で入所者の処遇を行なっている,このような状況にございます。
一方,新たに社会福祉施設の建設を希望する篤志家にとって,建設用地の確保難に加えまして,国庫補助基準と実際の建築費との乖離が非常に大きくなっている中で,多額の自己資金を必要とし,篤志家による施設整備が年々困難となってきていることも,これまた事実でございます。
私は,こうした現実は,今後,本市の福祉施設の整備計画に大きな支障となるのではないかと,強く懸念をいたしているものでございます。
国におきましても,このような状況にかんがみて,毎年補助基準の見直し等を行なって,実勢価格に近づけるような努力もし,また,社会福祉施設における運営費の運用等につきましても弾力的にするなど,施設整備にかかわる自己負担軽減を図ってはきておりますけれども,民間の施設整備を行う方々にとっては,なお大きな負担となっている状況にあります。
平成4年度における民間社会福祉施設の運営状況を見ますと,さきに述べましたが,本市の民間社会福祉施設192施設に公立民営の施設を加えました212施設において,その従業員数は5,000人にも達しておりますし,これらの施設運営費も200億円にも達する規模になっております。したがって,いまやこれほど多くの雇用の場にもなっているわけでございますし,また,この予算規模の大きさから見ましても,社会福祉施設の果たす役割は,単に福祉の担い手といった一面にとどまらず,本市の経済にも大きな影響を与えるものとして考えざるを得ません。
聞くところによりますと,他の自治体におきましても同様の問題を抱えておりますし,また,民間の社会福祉施設の整備に当たっては,以前からさまざまな形で国の補助基準に上乗せをした,いわゆる単独補助を行なっているとのことであります。
私は,今後,本市の福祉施設の整備を計画的に推進してまいるためにも,また,社会福祉施設が本市経済の一部を形成していると,こういった観点からも,民間の社会福祉施設の整備に対しまして,行政が何らかの手を打たなければならない時期に来ているのではないかと思う一人でございます。
そこで,次の2点について質問をいたします。
第1点目でありますが,民間の社会福祉法人が施設整備を行う場合,国庫補助制度では基準額の75%を補助するとされておりまして,残りの25%は民間社会福祉法人の負担となると,こうなっておりますけれども,現在,何億円もの建築費を要する施設整備の中では大変大きな額となるのでありますが,現実には,この施設整備に対します国庫補助基準額と実勢の建築価格との間に大きな乖離がありまして,法人の自己負担の割合は実際には建築費の50%を超えると,このように言われております。
このように多額の自己負担を民間法人の浄財に頼っている状況では,今後,民間の施設整備を希望する方々の意欲を失わせ,ひいては,本市の施設福祉の遂行に重大な支障が生ずるのではないか,このように考えられます。
そこで,この自己負担の軽減について国に働きかけることはもちろんでございますが,本市でも民間が社会福祉施設整備を行う場合には,本市独自の助成制度を検討すべきと考えますが,市長はいかがお考えでしょうか,お伺いをいたします。
質問の第2点目でありますが,今後,本市が整備する社会福祉施設は,地域交流や世代間交流を図っていくための役割をも果たすことが期待されておりますし,また,
在宅福祉サービスの機能をあわせ持った地域福祉の中核となるべき期待を担っておるところであります。
しかしながら,従来の民間の社会福祉施設は,このような状況を考慮して建設されたものではないために,どちらかといいますと,市の周辺部に偏在をしておりますし,高額な用地費を必要とする都心部や,また,既成市街地での施設整備を民間にゆだねていくことは今後ますます難しくなると,このように思われるのであります。
これまで本市においては,市有地の無償貸与の例も一部にはございますが,すべての施設に系統立てて実施されているものではないのであります。
そこで,今後,市内に適正に配置することが必要な地域福祉の核としての社会福祉施設を民間活力によって整備をする場合には,特に本市が必要とする場所での建設計画については,市有地の無償貸与等についても,より積極的に進める必要があると思うのでありますが,市長のお考えをお聞かせいただきたいのであります。
次に,国民健康保険についてお伺いをいたします。
地域保険として,わが国の国民皆保険制度を支えております国民健康保険は,それぞれ関係者の懸命なる努力にもかかわらず,常にきわめて厳しい状況にあると言っても過言ではありません。私は,その大きな理由は,この制度が高齢者,あるいは低所得者などを多く抱えざるを得ないがために,財政基盤が他の保険制度に比べてきわめて脆弱でありますし,本制度そのものに大きな問題があると思うところであります。
このような状況において,本市の国民健康保険会計は,平成4年度において,これまでの累積赤字を相当減少させることができたにもかかわらず,依然として約139億円の累積赤字を抱え,また,さらには一般会計から多額の繰入れを必要とするなど,この事業の健全化には相当の年月と努力が必要であり,このための抜本的対応が大きな課題と考えるのであります。
私は,ただいま申し上げたような本市の
国民健康保険事業の実態を踏まえた上で,当面,この累積赤字について考えてみたいのであります。
本市の累積赤字の要因を大きく分けてみますと,第1に医療費の急激な増加に伴う財政負担の増,第2に制度改正による影響,また,第3に保険料の未収分と,この三つに分類することができると思うのであります。これら3点のうち,第1,第2の点につきましては,これはもう全国的な問題でもありますし,国においても種々検討されていると聞いておりますが,この第3点目の保険料の未収分につきましては,本市独自の問題なのであります。
私がここであらためて申し上げるまでもなく,本市の場合,何といっても,他の都市と比べまして著しく低い保険料収納率が,膨大な累積赤字の最大の原因であると言わざるを得ないのであります。平成4年度の保険料収納率について東京都の特別区,
政令指定都市等の状況を見てみますと,本市の収納率は依然として低いランクとなっております。しかし,本市にも明るい兆しがないわけではございません。平成4年度の収納率を前年度と比較をしてみますと,前年よりも低下している都市が全体の3分の2を占めている,こういった状況の中で,本市の収納率は引き続き向上しておりますし,これらの都市の中でも第3位の伸び率を確保しているのであります。
このように,本市が平成4年度において収納率の向上を図ることができたのは,収納体制の強化によるものであると考えられますし,本市では,この保険料の収納体制を根本から見直すために平成3年度に特別収納対策室を設け,さらに平成4年度には50人という大幅な収納対策職員の増員をして収納率向上に最大限の努力をしてきた結果,その向上が図られたのであります。収納率の向上を図るためには,このような努力の積重ねこそが重要だと私は思うのであります。
しかし,バブル崩壊後,わが国の経済状況は低迷しておりますし,景気の早期回復もなかなか見込めないという現状にあります。このようなもとで,さらに保険料の収納率を上げることは一層困難性を伴うわけでありますが,このようなときにこそ,収納対策の強化継続が必要であると思うのであります。
そこで,私は2点ほどお聞きしたいのでありますが,その第1点目は,今後の収納体制についてであります。
現在設置をされております特別収納対策室は,本年度限りの時限的措置,こんなことになっておりますけれども,わが党といたしましては,他の
政令指定都市と同程度の保険料収入を確保し,いわゆる交付金が減額されないレベルまで,今後も引き続いて収納対策を強化していくことが必要であると考えているところでございます。
特に,平成6年4月からの事務のオンライン化によります被保険者の実態把握の迅速化とサービス向上が図られる予定でありますので,時限的対策ではなく,継続的に収納対策を実施をして収納率を向上させていくためには,その最前線でもあります各区の収納機能をこれまで以上に強化をしていくことが不可欠と考えるところであります。
そこで,平成6年度以降の収納体制についてどのような考えをお持ちなのか,市長のご見解を賜りたいのであります。
第2点目は,口座振替制度の推進についてであります。
一般的に,収納率の高い都市は口座振替率が高いと,こういう特徴があると思われるところであります。私の調査によりますと,たとえば平成4年度で横浜,名古屋市では55%を超える振替率となっておりますし,
政令指定都市の平均でも約43%となっております。これに対しまして,本市の場合は,平成4年度末で29.95%と,若干向上してはおりますが,政令都市の平均を大きく下回っている状況にあります。
口座振替制度は,安定収入を確保するためには欠くことのできない方策でもありますし,収納対策の効率化,収納率向上のためにも,この口座振替をこれまで以上に強力に推進をしていくべきではないかと考えるわけでございますが,市長はどのようなお考えでおられるのかお聞きをしたいのでございます。
次に,除雪対策についてお伺いをいたします。
市長は一昨年,21世紀に至るまでの札幌市における雪対策の展望を示す10ヵ年計画としまして,雪さっぽろ21計画を策定され,高齢化社会に対応した雪対策の推進,冬季都市活動の活性化と除排雪のレベルアップ,また,冬季生活環境の向上としてパートナーシップ制度の確立,さらには雪対策の効率化と技術開発などを目標に,今後の社会資本となるべく流雪溝・融雪槽の整備,また,降雪予測システムなどの情報設備の整備,スタッドレスタイヤ時代を意識した坂道ロードヒーティングの画期的な整備など,着実にその成果を上げられていることには敬意を表するところであります。
また,市民から最も要望の高い除雪問題に関し,とりわけ生活道路にかかわる除排雪は,一番身近な深刻な問題として根強いものがあるわけでございますし,市長は,この生活道路の除排雪に関しまして,昨年度から本格的な除排雪のパートナーシップ制度を実施されましたが,この制度を利用した町内会等は,試行2年間から比較いたしますとふえてはいるものの,約90件程度でございます。
私は,この制度の本格実施初年度ということもありますが,決して多いとは言えない利用件数の背景といたしまして,町内会組織への加入率の低下など,その組織の弱体化もありますが,町内会が負担をする金額に関して,その負担額の軽減,あるいは不平等感の改善を図ることが必要であると思うのであります。このことについては,さきの第1回定例会におきまして,より市民が利用しやすい制度に改善する旨答弁があったところでございまして,この趣旨に沿った改善がなされるものと大いに期待をいたしているところでございます。
さて,いままで申し上げてまいりましたが,雪対策に関する問題は非常に幅広く,問題は山積をしておりますが,私は,事除雪事業については市民のかかわりが非常に強く,また,その影響も大きいことから,今後の除雪事業を進める上で市と市民との連携,対話を基本として,行政の責務,また市民の役割をより明確に,しかも地域性を考慮した除雪体制が必要と常々考えておるところでございます。
市長は,これらのことをいち早く察知をされまして,雪さっぽろ21計画を主軸とする雪対策を合理的に推進し,市民参加による地域に密着した除雪形態を構築する。また,除雪企業間の連携を図って,相互の補完体制を整えた効率的な除排雪を行う,いわゆる市・市民・企業が一体となって推進する除雪体制を目的に,マルチゾーン除雪というものを昨年度試行的に実施をされたところであります。
このマルチゾーン除雪は,各区内の連合町内会をベースに幾つかの地区を設定して,市・市民・企業がその地区の除雪について協議をする地区除雪連絡協議会を設けて,その協議内容を基本としてその地区の除雪を行う。また,地区内に除雪センターを設置いたしまして,除雪に関する相談窓口,あるいは除雪作業の指令など,総合的な除雪基地として運営をする。また,直接の除雪作業につきましては,除雪企業による共同企業体によって全工種にわたった総合的な除雪作業を行うなど,今後における除雪事業を見据えた非常にタイムリーな除雪体制でもありますし,私も大いに賛同をいたすところであります。
オリンピックを契機に継承されてきました従来の除雪体制を抜本的に見直し,都市規模の拡大,市民要望の質的な変化の中でさらに高度な除雪が求められ,また,除雪業務に携わる企業間の連携,とりわけ除雪機械のオペレーターであるとか,作業員の確保がなかなか困難になってきている現在,企業間の機械と人の相互補完体制と総合除雪によります技術の向上が期待でき,除雪のレベルアップが図られると思いますし,市民が求めております地域に密着した除雪体制を目指していただきたいと念願するものであります。
このマルチゾーン除雪の試行については,全市で14の地域で実施をされてきたところでありますが,初めての試みでもございますし,さまざまな問題点,あるいは検討事項等があるのではないかと,このように思うところでございます。
そこで,市長にお伺いをいたしますが,第1点目は,平成4年度の試行結果についてであります。
この除雪体制の目的であります地域に密着した体制ということに関しましては,地区除雪連絡協議会の運営も含めまして,市民からどのような評価を得られたのか。また,効率のよい体制ということに関して,共同企業体方式の業務の発注方法がどのように機能してきたのか,その結果についてお伺いをいたします。
2点目は,今後の計画についてであります。
昨年度の試行結果を踏まえまして,本年度は実施する地域を拡大していくものと承知をしているところでありますが,本年度の計画と,将来的にどの時点で全市域に拡大し本格的な実施を行なっていこうとしているのか,具体的な計画についてお伺いをいたします。
次に,リサイクル工業団地の建設計画についてお伺いをいたします。
ご案内のように,リサイクル団地につきましては,本年4月の環境消防委員会におきまして,東区中沼のし尿処理場用地とその隣接地に建設することを明らかにされておりますし,明年度着工に向けまして具体的な作業が進められていると聞いております。
さて,本市においては,この事業系廃棄物のリサイクルについて,札幌市リサイクルシステム制定委員会にその具体的方策を諮問し,本年1月に「リサイクル社会構築のための方策について」と題する答申がなされ,リサイクル団地のあり方についても考え方が示されているのでございます。
この答申によりますと,第1に,事業系廃棄物は,発生する圏域内で処理されるよう図るべきこと,第2に,事業系廃棄物の処理は,排出事業者の責任において,処理されるべきこと,第3に,事業系廃棄物のリサイクルシステムは,経済原則に基づいて進められるよう努めること,この3原則を基本にリサイクル処理を推進すべきものとしておりますが,あわせて,市の積極的な指導,支援,また,地球環境保全に対します市民の理解と協力が不可欠であるとうたわれているのであります。
本市が,この答申に基づく資源環境型社会を構築するに当たりまして,リサイクル団地を建設することは,他の都市と比較をしても先進的な取組みでもありますし,事業系廃棄物を総合的にリサイクル処理をする新しい形の静脈産業を育成する点でも,大いに評価をすべきものと理解をしております。
一方,本市がリサイクル団地を建設することにより,従来の焼却や埋立て中心の処理システムから,廃棄物を資源やエネルギーとして再利用するというシステムに変えていくこと,すなわち,廃棄物の流れを変えることになるわけであります。均一かつ大量に排出される事業系廃棄物の流れを変え,資源として有効利用を図ってまいりますことは,地球環境保全の観点からもまことに有益であると考えるところでありますが,同時に,処理施設を整備し,安定的に廃棄物を受け入れ,適正処理リサイクルを進めることは,多くの課題を解決することにもなるのであります。
本市におきましては,首都圏と違いまして産業廃棄物を安い処理料金で受け入れてきたにもかかわらず,本市域内で発生した建設系の廃棄物が多量に周辺の自治体に流出して不適正処理され,社会問題になったことは記憶に新しいところでございます。また,市の処理量のおおむね6割がこの事業系の廃棄物で占められております。今後とも排出量が増加をし続ける場合には,埋立地の用地確保難など,本市としても廃棄物処理が困難となり,さらには施設整備にかかわる財政負担も増大することになってまいるわけであります。これらの状況が,このリサイクル団地の建設によって緩和されることになると思うわけでございます。
私は,このリサイクル団地が安定的に経営されるためには,排出者が排出者処理責任の原則を十分に理解をし,相応の処理料金を負担すべきことを認識した上で,廃棄物が量質ともに十分供給されることがまず必要であり,それにも増して重要なことは,再生製品が原材料として十分活用されなければならないと思うのであります。そのためには,市も公共事業に活用の範囲を広めていくとともに,民間事業者においてもその事業活動に伴う副産物を再生資源として利用すべきでありましょう。計画策定に当たりましては,このようなことも含めて総合的に検討されているとは思いますが,私は,以下3点について市長にお伺いをしたいのであります。
まず第1点目は,リサイクルシステム制定委員会の答申を受けて,市長は,リサイクル団地に対する基本的姿勢についてどのように考えておられるのか。さらには,現在のリサイクル団地計画の進捗状況についてもお聞かせをいただきたいのであります。
第2点目は,団地の管理運営主体についてでございます。
リサイクル団地において処理する廃棄物
は,建設系の廃棄物が中心となると伺っておりますが,従来から,市はその一部分を受け入れてきたところでもございますし,リサイクル団地の今後の運営に当たって,市もかかわりがあると考えられるわけでありますが,現在,リサイクル団地の管理運営主体についてどのように考えておられるのか,お伺いをいたします。
3点目は,民間企業の立地意向についてであります。
本年3月にリサイクル団地への参入希望意向調査を行なったと聞いておりますが,現段階におきまして,企業のリサイクル団地への参入希望はどのような状況になっているのか,お伺いをしたいのであります。
最後に,白石区の諸問題について2点ほどお伺いをいたしたいと思います。
まず第1点目は,旧国鉄東札幌駅跡地を含む周辺地域の開発整備についてであります。
私は,昨年の第2回定例会の代表質問において,この跡地問題に絞った形でお尋ねをいたしまして,市長の見解をお聞きをいたしたところでございます。しかし,都市規模の拡大や土地の高度利用が急速に進む中にありまして,都心から地下鉄で数分,かつ幹線道路に近接をし,高速道路のインターチェンジとの連絡もよいこの大規模跡地は,さまざまな市民活動の拠点やビジネスの拠点として,ますます開発の重要性を高めつつあるわけでありまして,この現状にかんがみれば,これは単に跡地のみの問題として見るのではなく,より広くより大きなとらえ方をすることが必要でないかと考えるのであります。
そこで,地区レベルの問題といたしましては,この跡地が隣接をいたします菊水地区,東札幌地区,白石中央地区が,この跡地や国道12号線の陸橋により分断され,交通に不便を来たしておりますし,また,この東札幌駅が貨物ヤードであったと,こういったことから,この地区内には倉庫や工場等が数多く存在をするなど,居住環境の面でも住商工混在という問題を抱えているということが挙げられるわけでございます。
また,全市的な観点から見ますと,この跡地の開発は,単に未利用空閑地の有効利用ということだけにとどまらず,先ほど申し上げました東札幌,菊水,白石中央,豊平といった周辺地域にとっても,環境整備や民間開発を促すための積極的な誘因にもなるわけでございまして,さらには,このような整備や再開発が図られるのであれば,豊平川右岸のこの一帯が札幌の新しい拠点として生まれ変わる可能性さえ生ずるものと,私は信ずるのであります。
このように考えますとき,跡地の問題は,この跡地を含む周辺地域の開発整備はどうあるべきかという問題に発展することとなります。それは,白石区の新たな顔となる拠点づくりという一つの区の問題を超えて,札幌市全体のまちづくりにも将来にわたって大きな影響を有するような,まさに21世紀に向けた札幌の発展のかぎどなる重要な課題としてとらえ直されるのであります。
そこで,市長にお伺いをいたしますが,この問題について市長は現在どのように考え,取り組まれているのか,その状況についてお答えをいただきたいのであります。
質問の第2点目は,白石区の花でありますバラを活用した住民参加によるバラのまちづくりについてであります。
ご承知のように,白石区の花でありますバラは,いまから約20年前の昭和48年に,当時緑豊かな住みよい街を目指して発足いたしました「白石区みどりの会」が,多数の区民の応募の中から決定をした白石区のシンボルでもございます。その後,みどりの会は「白石区ふるさと会みどりの委員会」として現在も活発な活動を続けております。こうした地域住民の盛り上がりを受けまして,昭和51年以降,東西線の開通を記念いたしまして,環状線の約3キロメートルに及ぶ中央分離帯に約3,200株のバラが植えられまして,名実ともに白石区のシンボルとしてのローズ・アベニューが整備されたのであります。
今次5年計画の中には,南郷通のフラワーロード整備事業が盛り込まれておりますが,この環状線ローズ・アベニューと交差をする形で南郷通の中央分離帯の緑地にバラの花などを植栽して,バラの十字街を整備するなど,各種公共事業の中でもいままで以上にバラに配慮をした,これを取り込んだ事業展開を進めることも,今後必要なことではないかと考えているところでございます。
白石区は,その発足以来,人情味が厚く,ふれ合いあふれる街を目標に,そのまちづくりを進めてきております。区の花でありますバラの制定20周年を契機に,住民相互のふれ合いと住民がみずから進んでこのまちづくりに参加する求心力として,バラを取り入れたまちづくりを一層進めるべきであると考えるのであります。
そこで質問でありますが,バラで演出をした個性的な街並みを形成するためには,ひとり公共の力のみでは不十分でありましょうし,多くの区民がみずから進んでバラの苗木を植える気持ちを育てることが必要であります。バラの苗木の配布あっせんや,バラの育て方の教室などを初めとしたバラに関連をいたしますイベントを開催して,多くの区民にバラに親しんでもらうような機会を提供することが必要であると考えます。バラを愛して,このバラの香り豊かな白石区を目指して,積極的に取り組んでいくべきと考えますがいかがでありましょうか,市長のご所見をお伺いをいたします。
以上で,私のすべての質問を終わりますが,市長の前向きな答弁を期待をいたすところでございます。ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(見延順章君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) それでは,私から数点についてお答えをいたします。
まず最初に,財政問題についてでございます。
第1点目の平成4年度決算についてでございますが,平成4年度は,景気の低迷から市税の伸びが3.3%と過去最低となり,当初予算に計上しておりました
財政調整基金など100億円を全額取り崩さざるを得なかったほかに,減収補てん債を発行するなど,非常に厳しい状況にあったと考えております。
しかしながら,このような状況の中にありましても,21世紀を間近に控えて将来を見据えたまちづくりを着実に進めていく必要があり,また,景気回復のための施策や市民の方々が安心して暮らしていくための福祉施策など,本市が抱える課題の克服に向けて積極的に事業の展開に取り組んだところであります。その結果,予定をしておりました事業につきましては,ほぼ完全に執行することができましたので,所期の目的は十分達成し得たものと考えているところであります。
第2点目の今後の財政運営についてでありますが,現在の本市を取り巻く財政環境は,景気の回復にまだ明るい兆しが見られず,不況が長引くことも考えられますことから,これまでになく厳しいものであると認識しております。
したがいまして,今後の財政運営につきましては,歳入面では職員一丸となって収入率の向上を図るとともに,国・道支出金や市債など,財源の確保に最大限の努力を傾注することとし,歳出面では思い切ったスクラップ・アンド・ビルドを行うなど,徹底した経費の節減に努めてまいりたいと考えております。
第3点目の具体的な経費の節減策についてでございますが,こうした厳しい財政状況から,去る8月30日付で全庁に向けて今後の予算執行方針を通知したところであります。
その内容は,予算に計上されているものであっても実施方法等を再度見直すとともに,不急なものの支出を見合わせることによる節減や,予算配当に当たって節約のため保留した経費の確実な留保のほか,時間外勤務の抑制,通信運搬費や光熱水費の節約などであり,今後より一層の創意工夫により,徹底した経費の節減に全庁一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
次に,国際ゾーン構想にかかわる大通の東への延長問題についてでございます。
現在の大通を延長するということは,都心整備のテーマといたしましては1世紀に一度と申し上げてもよいぐらいの大規模な事業でございます。それだけに,地権者の協力あるいは市の財政負担等を考えますと,困難さもまた大きいものと思われます。しかしながら,延長が実現できるとすれば,創成川の再整備計画とも相まって,将来の都心,さらには札幌にとってもすばらしいまちづくりにつながる期待もきわめて大きなものがあると思います。
したがいまして,大通空間の延長につきましては,現在取組み中の国際ゾーン構想において,その拡大を関係地権者ともども検討いたしているところでもありますので,これを契機に,今後,創成川以東地域のまちづくり計画の検討とあわせ,沿道街区の建物更新の動向,さらには広く市民の意向などをも十分見きわめながら取り組んでまいりたいと考えております。
次に,交通事業についてでございますが,まず需要喚起策についてお答えをいたします。
輸送人員につきましては,ただいまご指摘のとおり,きわめて厳しい事業環境が続いているところでございますが,その確保は,健全化計画を推進するための基本であると認識いたしております。したがいまして,既設線の需要喚起につきましては,公共施設の地下鉄沿線への優先配置,民間施設の誘導等を中心とした第1次2万人プロジェクトの推進はもとより,現在,さらなる需要創出に向けて,遊休資産を活用した暫定的なパーク・アンド・ライド駐車場の設置や,リサイクル市等イベントの開催,プリペイドカードの直接方式の導入による乗客サービスの向上など,全庁挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
次に,経営上の新たな試みについてでございますが,市営交通事業は民間事業者とのサービス競争の面が強くて,一方また,公共性を重視しながらも常に時代に合ったサービスを提供し続ける使命を持っております。
こうしたことから,現在,経営理念の策定,民間派遣研修,さらには地下鉄等の車両デザインの一新など,特に職員の意識改革を中心とした交通事業のイメージアップ計画を進めているところであります。今後,なお一層のサービス向上に努力をしてまいりたいと考えております。
次に,安全性の確保につきましては,交通事業の基本は安全性にあるということを深く認識しているところであります。経営健全化計画も安全性を十分配慮の上,策定したものであります。したがいまして,今後とも市民の信頼を損なうことのないよう安全性を最優先に事業を運営してまいりたいと考えております。
次は,施設福祉対策についてでございます。
第1点目の民間社会福祉施設の整備に対する助成制度でございますが,本市の社会福祉施設の整備につきましては,数多くの篤志家の方々から多大なお力添えをいただき,常に上位の整備率を維持するなど,これまで全国的に遜色のない整備を進めてきたところであります。また,現在策定中の
高齢者保健福祉計画や,今後予定しております障害者の福祉計画の策定に伴いまして,施設整備をさらに促進する必要が見込まれますので,今後,一層民間の方々の協力に期待するところが多くなるであろうと予測されます。
一方,民間が行う社会福祉施設の建設,あるいは老朽施設の改築につきましては,自己負担額が年々増加をしておりますことから,今後,社会福祉施設を積極的に整備をしていくためには,行政と民間の適正な費用負担について十分検討してまいらなければならないと,このように考えております。
2点目の民間社会福祉施設建設用地の無償貸与等についてであります。