教育委員会教育長 藤 島 積 君
選挙管理委員会委員長 宮 川 新 市 君
選挙管理委員会委員 向 川 武 夫 君
人事委員会委員長 山 岡 暸 君
人事委員会事務局長 水 島 典 弘 君
監査委員 野 島 廣 紀 君
監査事務局長 東 山 誠 君
――――――─――――――――─
〇
事務局出席職員
事務局長 鍛冶沢 徹 君
事務局次長 植 田 英 次 君
総務課長 佐 藤 正 明 君
議事課長 土 屋 逞 君
記録主幹記録係長事務取扱
谷 川 輝 雄 君
調査係長 木 村 正 実 君
資料係長 沼 田 光 弘 君
議事係長 高 森 政 行 君
委員会一係長 山 内 馨 君
委員会二係長 山 本 祥 一 君
書記 佐 藤 比登利 君
書記 高 佐 三緒子 君
書記 鈴 木 和 弥 君
書記 尾 形 英 樹 君
書記 今 井 一 行 君
書記 山 本 扶 美 君
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〔午後1時開議〕
○議長(
見延順章君) これより本日の会議を開きます。
出席議員数は,67人であります。
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○議長(
見延順章君) 本日の
会議録署名議員として柿崎 勲君,福士 勝君を指名します。
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○議長(
見延順章君) ここで,
事務局長に諸般の報告をさせます。
◎
事務局長(
鍛冶沢徹君) 報告いたします。
八田信之議員及び
西村茂樹議員は,所用のため遅参する旨,それぞれ届け出がございました。
また,
長部収入役は,
公務出張のため本日の会議を欠席する旨,届け出がございました。
本日の
議事日程及び
質問順序表は,お手元に配付いたしております。以上でございます。
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○議長(
見延順章君) これより議事に入ります。
日程第1,議案第3号から第7号まで及び議案第12号から第15号までの9件を
一括議題といたします。
昨日に引き続きまして,
代表質問を行います。
通告がありますので,順次発言を許します。丹野 勝君。
(丹野 勝君登壇・拍手)
◆丹野勝君 私は,ただいまから
公明党議員団を代表して,当面する市政の諸問題について質問いたします。
最初に,これからの社会を担う
子供たちの問題に関し,質問いたしたいと思います。
総務庁では,毎年5月5日のこどもの日に,15歳未満の子供の数,いわゆる
子供人口を発表しております。それによりますと,
子供人口は,この4月1日で2,110万人で,総人口に占める割合は16.9%となっており,依然として
低下傾向にあります。これを主要国と比較いたしますと,ドイツやイタリアに次いで低い比率となっております。
振り返ってみますと,
平成元年の
合計特殊出生率が1.57と発表され,1.57ショックという言葉がマスコミをにぎわしてから,出生率や子供の問題が
社会的関心を呼ぶようになり,少子化に関する議論が高まってきたと認識しているところであります。
合計特殊出生率は,女性が一生のうちに産む子供の数であり,いわば将来の
人口構造のバロメーターとも言うことができるものです。この出生率は,その後も漸次低下しており,平成3年には1.53にまで低下しております。わが国の死亡率の状況などを考慮しますと,現在の人口を維持するためには,この出生率が2.1程度であることが必要とされておりますが,厚生省の
人口推計によりますと,2011年に日本の人口はピークに達し,いまから100年後の2090年には9,500万人にまで減少すると推計されております。
また,本市の
合計特殊出生率は,平成3年には1.31と
全国ベースをさらに下回っている状況にあります。
このような少子化の進行は,将来の日本の社会に,さまざまな影響を及ぼすことが憂慮されるわけであります。
まず第1に,子供は自然とのふれ合い,仲間との遊びを通して,思いやりや我慢する心を学ぶものでありますが,都市化の進行と相まって,そういう機会が減少していく中で,子供の社会性が育ちにくくなるなど,健やかでたくましい成長への影響が懸念されております。
第2に,
社会保障への影響でありますが,少子化の進行は高齢化を加速させることになり,
社会保障の負担が一層増大することが考えられるのであります。
さらに,若年層を中心とした
生産年齢人口の減少から労働力不足が見込まれ,
産業構造や
消費市場などにも影響を与え,
経済社会全般の活力が低下するおそれがあると予想されております。
少子化の広範な影響を考慮しますと,長期的には住環境の改善や労働時間の短縮,ゆとりある教育の実現など,多角的な取組みが必要でありますが,私は,当面の対策としては,家庭で
子供たちが健やかに育っていくための条件の整備,いわゆる
家族政策がとりわけ重要であると指摘したいのであります。
子供は,両親にはぐくまれて成長していくものであります。また,今日のように女性の
社会進出が進み,
夫婦共稼ぎがふえていることを考慮いたしますと,
育児休業や
保育制度など,働きながら子供を育てる環境の整備と,
家族手当,
児童手当などによる
経済的負担の軽減を大きな柱としなければならないと考えるのであります。このことは,わが国と同様に,長期的に出生率が低下しているヨーロッパの
先進諸国における取組みと経験を参考にしても指摘できることであります。たとえばスウェーデンでは,このような
家族政策などに取り組んできた結果,1978年に1.60だった出生率が1990年には2.14にまで上昇しております。
そこで,私は,このようなことを踏まえて,現に
お子さんのいらっしゃる方,また,これから家庭を持つ若い世代が,安心して子供を産み,育てていけるような
子育て環境をいかに整備すべきかという観点から,大きく3点ほどお伺いしたいと思います。
まず1点目は,保育所の役割についてであります。
働きながら子育てしている
お母さんがふえている中で,仕事と家事の両立を支援するものとして,保育所の役割はますます大きく,また,その機能もときどきのニーズに合わせて変化させていくべきであり,
共働き家庭の子育てには,なお一層の支援が不可欠であります。
また,今日,
核家族化の進行という状況の中で,若い
お母さん方は,戸惑いと不安を抱きながら子育てに奮闘されているわけであります。家庭にあって子育てをしている
お母さん方のこのような心理的不安を解消し,子育てを支援するような方策が,保育所の新たな役割として,いまこそ必要であると考えるのでありますが,市長のご所見をお伺いいたします。
2点目は,
主任児童委員についてであります。
児童委員は,地域で子供に関するさまざまな相談に応じ,助言や指導などの活動を行う方々で,
民生委員を兼ねていると承知しております。しかし,高齢化の進行などに伴い,その活動は,
民生委員としての比重が高くなってきていることは否めないことだと考えております。
このような状況の中,厚生省では,昨今の
少子化傾向の強まる中で,児童の
健全育成を図る方策の一つとして,
主任児童委員制度を創設する予定と伺っております。子供の虐待やいじめ,青少年の非行などの憂うべき状況を考慮すると,身近な場所で
子供たちを見守り,必要な援助の手を差し伸べていく手だてを充実しなければならないと考えております。
わが党では,このような認識のもと,本議会で子供問題を取り上げ,これまでも
種々提案なども行なってきたところであります。わが党といたしましても,
主任児童委員は,
子供たちの
健全育成のために重要な役割の一翼を担っていただけるものと大いに期待するとともに,時宜を得たものであると評価しておりますが,本市において,これらの方々に今後どのように位置づけをし,どのような活動を展開していくことになるのかお伺いいたします。
3点目は,
児童手当についてであります。
昭和47年に創設されたこの制度は,わが党も国会で
制度実現に力を尽くしてきたものでありますが,子育てに伴う
経済的負担の軽減に大きな役割を果たしていると認識しております。
制度創設後20年余りを経過した昨年1月には,少子化の進行などを踏まえて制度の改正がなされたところであり,その内容については,一定の評価をしているところであります。しかしながら,ご家庭で
お子さんを育てるそのご苦労,教育費などの
経済的負担は,
高学歴社会などを反映して増大しているわけでありますから,そのような負担の実態を考慮すると,改善が図られたとはいえ,
少子化傾向に対する歯どめの重要な方策の一つとしては,手当額,
支給期間などの
支給内容は,まだまだ不十分だと指摘せざるを得ないのでありますが,市長の見解をお伺いいたします。
次に,
余裕教室の活用の問題についてであります。
今日,わが国は世界の長寿国となり,いわゆる少産少死という
社会形態の中で,教育はもとより,民生,衛生など,あらゆる分野に質的な変革がもたらされております。
人口構造の変化は,単に量的な変化にとどまらず,
社会活動の諸分野に多様な変化を招来し,政治・行政も,また,この大きな転換期の中で,市民の質的豊かさを求める時代の声にこたえていかなければならないものと思うわけであります。
日本の国際的な地位や責任の増大に伴い,国家のみならず,われわれ自治体におきましても,国際的な文化・
教育水準といったようなことを常に念頭に置いた質的に高い施策の展開,いわば行政分野における外延の拡大と内包の充実に,ますます心いたさなければならないと考えるのであります。
さて,
国づくりは
人づくりと言われるように,教育のあり方は,その国の根幹にかかわる問題でありますので,百年の大計をもってじっくりと腰を据えて取り組むと同時に,機を逸しない的確な判断と決断,実行がとりわけ必要なものと,私は思っております。
近年の
教育環境を見ますと,前段で申し上げました児童数の減少ということが,これからの教育を考える上で重要なファクターの一つであると,私は考えております。
さきの質問でも述べました少子化の進行は,児童数の減少に伴って各学校に
空き教室を生じており,これは全国的な傾向となっております。確かに,過疎地と言われる地域にあっては,産業の衰退などの
社会的要因によって引き起こされたものもあるでしょうし,都市部のように,出生率の低下や
ドーナツ化現象など,
自然的要因や
社会的要因が複合的に絡み合って起こった場合もあるでしょうが,いずれにしましても,ここ数年の
社会的現象に伴う教育へのリアクションであり,文部省においてもさまざまな形で検討いたしていると伺っております。
この問題については,昨年の
決算特別委員会やことしの
予算特別委員会でも話題になったことでありますが,文部省は,最近,
余裕教室活用指針を出したと伺っておりますが,これは,つまるところ,あいている教室を有効に活用する方策を各自治体で立てる場合の指針であろうと理解しております。
私としましては,
学校施設の機能としての活用はもちろんのことでありますが,
学校施設も一つの
社会資本でありますので,生涯
学習社会の要請にもこたえる意味で,広く市民のために活用されるということは,まことに結構なことであると考えております。
本市におきましても,この根底にある考え方に立って,
学校開放事業という形ですでに
学校施設を活用しております。たとえば
創成小学校における
成人学校では,年に2期,書道,
社交ダンス,
話し方教室,
中国語会話や英会話など,多様な講座を開設しておりますし,
文化活動学校開放校として,
中央小学校,
琴似小学校,
白楊小学校では,音楽室や多目的室をコーラスや
吹奏楽等の練習のために開放しております。このほか,体育館,グラウンド,プールなどを,夜間あるいは日曜・祝日にスポーツ開放しており,また,現在46校と伺っております
学校開放図書館などもこれに当たるものと言えると思います。
さらには,この5月に
白楊小学校に移転いたしました
学校図書館情報センターを中心とする
寄託図書制度は,小・中学校合わせて39校の寄託校を有し,蔵書数は38万冊にも上るものであります。
また,
東園小学校に設置されております
コンピューター研修室などは,時代に即応する
学校施設の
有効活用の例でありますし,さらにまた今年度新規に予算計上されました
心身障害児作業学習実技研修センターもこの延長上にある大変結構な事業であると思うわけであります。
以上,すでに行なっている幾つかの事業は,
学校制度内の活用であれ,
地域開放のような
一般市民のための活用であれ,いわゆる
余裕教室の活用の考え方に基づいていると思うわけであります。
そこで,今般の文部省から出されました
余裕教室活用指針をめぐりまして,本市の対応について,以下,数点にわたりご質問したいと思います。
まず1点目は,文部省の
余裕教室活用指針は,従来の
空き教室対策と異なり,
社会教育施設などへの転用をも含んでいると聞いておりますが,仮にこの転用を行うとすれば,どのような問題点があるのかご説明願いたいのであります。
2点目は,本市の場合,この
余裕教室は,一体どのくらいあるのかということであります。できれば,
学校種別ごとにお示しいただき,また,将来推計もあわせてお聞かせいただきたいのであります。
3点目は,本市の
余裕教室をこの
活用指針に沿って具体的にどう事業化できるのか,
事業内容と
事業開始の時期など,今後の見通しをお聞かせ願いたいのであります。
4点目に,特にこのたびの
活用指針を受けて,国において,平成5年度に新規に創設した
コミュニティー余裕教室活用型施設整備事業については,自治省の
まちづくり特別対策事業の特例債が認められると聞いておりますが,起債の要件はどうなっているのか,また,本市の
財政負担などをご説明いただきたいのであります。
次に,
精神障害者の
社会復帰対策についてお伺いいたします。
先日の障害者に関する新聞記事の中に,こういう記述がありました。「障害者を施設に隔離するのではなく,健常者と一体となった福祉のあり方が指摘される中,
知的障害の
子供たちの
社会的進出が新しいテーマとなっている」というものです。
さまざまな障害がある中で,私がここで取り上げようとするのは,
知的障害者ではなく
精神障害者についてでありますが,
社会復帰というテーマについては,同じような問題を含んでいるのではないでしょうか。
昨年までの10年間,
国際障害者年として,本市でも多数の施策が実現されており,心の問題,心を病む人についての一般の関心や行政の対応も少しずつ改善されてきていると思うのであります。また,この期間に提唱された
完全参加と平等の精神を受け継ぎながら,新たな時代のニーズにも対応し得るような
法律改正などの動きも聞こえてまいります。
けれども,
精神障害者については,ほかの障害者に比べ,
社会的偏見の存在など,
社会復帰,
社会参加を取り巻く環境には,いまなお多くの課題があるのであります。
10年前に厚生省が行なった
精神衛生実態調査の概要によりますと,
入院患者で退院可能な者のうち,家族の受入れや職場の協力が得られるならば約半数が,また,
デイ・ケアや
社会復帰施設などの受入れが行われるならば,約4分の1の患者の退院が促進されると言われているのであります。
さらに,
通院患者についても,主治医から見た利用させたい
社会復帰機能として,約21%の患者に対し
精神科デイ・ケアを,約11%の患者に対し
社会復帰施設を挙げているのであります。その後,医学的・
社会的状況の変化があるとはいえ,
精神障害者の方々にとっては,病状の軽快により,医療と並行して
社会復帰訓練を受けることが非常に大切であると思うのであります。
昭和63年に旧
精神衛生法の改正により施行された
精神保健法が旧
精神衛生法と大きく異なる点は,初めて
精神障害者の
社会復帰の概念が取り入れられ,
社会復帰施設が法定化されたことにより,
精神病院から
社会復帰施設へという一つの流れが形成されたことであります。
また,本年3月,厚生大臣の諮問機関であります
公衆衛生審議会から「今後における
精神保健対策について」と題する意見書が発表されました。それによりますと,今後の
社会復帰対策の方向としましては,
社会復帰施設から
地域社会へという流れを形成していくことが重要であると指摘しております。
本市5年計画の
障害福祉計画でも,
ノーマライゼーション思想の一層の普及を図ることが述べられておりますが,行政を中心に住民,企業,団体等,社会のすべての構成員がこの理念のもとに
精神障害者を取り巻く諸問題を理解し,主体的に取り組むことが求められていると,私は思うのであります。
そこで,本市の
精神障害者の実態を見てみますと,平成4年末において
入院治療を受けている人は約3,000人,
通院治療を受けている人は約1万2,000人であり,これに対応するための
社会復帰施設は,さらに充実させる必要があると考えるのであります。
聞くところによりますと,国は,より一層の
社会復帰の促進とともに,現在,都道府県の事務とされているものの大部分を
指定都市に委譲することを内容とする
大都市特例を盛り込んだ
精神保健法の
改正法案を今国会に提出し,平成8年ごろからの施行を目指しているということであります。この法改正が行われたならば,
指定都市である本市の
精神障害者に対する
社会復帰対策の役割,責務は,ますます重要になってくるものと考えるのであります。
そこでお伺いしたいのでありますが,本市における
精神障害者復帰対策の現状及び今後の取組みについて,具体的な計画も含めお示し願いたいのであります。
次に,現在,経営の健全化を進めている交通事業についてお尋ねいたします。
まず,現在工事中であります地下鉄東豊線延長部の新駅についてであります。
私は,交通事業の経営健全化の基本となるのは,市民のニーズを確実に把握して,それに的確に対応することであると考えるのであります。そして,市民ニーズは,時代とともに変化していきますが,そうした変化に柔軟に対応する経営姿勢が求められるのであります。つまりは,利用者の立場に立って,便利なサービスをいかに提供するかということが大切であり,そうしたサービスに努めてこそ,市民の足として利用が促進され,将来にわたって事業を続けることができるのであります。サービスの基本は,市民が連続的に,かつできるだけ安い料金で移動できる方法を提供することであります。
そうした観点から見ますと,安全性も快適性も,便利な運賃制度も交通情報の提供も,そうした連続性の質にかかわる問題でありますが,そこで重要なのは,交通手段が変わるときの接点がどのように用意されているかということであります。すなわち,交通需要の確保のためには,他の交通手段からの転換を促すため,できるだけ連続性を確保し,公共交通機関への誘導を強める必要があります。
本市の基幹交通システムは地下鉄であり,地下鉄駅と他の交通手段との連続性を確保するためには,駅における他の交通手段からの誘導策を考える必要があります。つまりは,駅の利便性が,本市の交通システムにとって大きな意味を持つものと考えるのであります。
さらにまた,地下鉄の駅は,都市づくりの上からも重要であることはもちろんであります。多くの市民が通勤や通学に毎日乗りおりする地下鉄駅は,まさに地域の拠点であり,人々の交流の場としてきわめて重要な位置を占めるものであり,また,街のイメージを形づくるものであります。駅は,市民の日常生活と深く結びつき,その快適性が市民の精神面に与える影響も少なくないと考えるのであります。
交通局では,現在,新生交通局を目指してイメージアップ策を展開しておりますが,市民が頻繁に利用する地下鉄駅のイメージアップにこそ力を入れるべきと考えるのであります。
そこで質問でありますが,現在建設中の地下鉄東豊線延長部の駅は,他の交通手段との連続性をどのように確保しようとされているのか。また,駅舎の建設に当たり,どのようなイメージをつくろうとしているのかについてお伺いいたします。
次に,地下鉄東豊線延長に伴う中央バスの路線再編成についてお伺いいたします。
平成4年度における交通事業の乗車人員は,景気の後退,週休二日制の拡大などの影響により,前年度より落ち込み,今後の経営健全化の推進は楽観できない状況にあり,なお一層の努力が求められているのであります。
ところで,交通事業の経営健全化の基本は,需要をいかに伸ばすかということであります。そうした意味においては,長期的な需要喚起策の取組みが必要であることはもちろんのことでありますが,私は,今後の経営健全化計画にあって一番重要なことは,現在,福住までの工事を進めている地下鉄東豊線延長部の需要確保にあると考えるのであります。
幸い東豊線延長部の工事は順調に進み,開業も予定より早まるものと聞いておりますが,東豊線延長部の需要確保のキーポイントは,バスと地下鉄との連携をどのように講じるのかということにあると思うのであります。
地下鉄とバスとの有機的な連携は,単に地下鉄の需要を確保するという観点からだけではなく,将来の札幌市の都市形成や都心の交通渋滞が引き起こす都市環境問題など,マクロ的にとらえていかなければならない課題でもあります。
こうした中にあって,現在,国道36号を主要路線として,1日当たり1,600便以上の中央バスが福住方向から都心に乗り入れている状況にあります。このように,豊平方向の重要なバス輸送を担っている中央バスの路線再編成を行うことは,地域住民,バス利用者にとっても,日常の生活に密接に影響するものであります。
したがって,中央バスの地下鉄駅への短絡,あるいは地下鉄路線と重複するバス路線の廃止を行うことにより,現在より著しく不便を強いることがあってはならないものであります。中央バスの路線再編成は,今後の中央バスとの補償協議とも微妙に絡んでいることから,現時点で明確にすることは困難であると思いますが,この再編成計画の策定に当たっては,地域住民及びバス利用者の意向なども十分に踏まえ,そのサービス低下を招かないような配慮も必要であると考えるところであります。こうしたことから,東豊線延長部のバス路線の再編成に当たっての本市の基本的な考え方について,市長にお伺いいたします。
次に,円山動物園における希少動物の保存と今後の環境整備等について質問いたします。
近年,新聞紙上をにぎわしております熱帯雨林の伐採や地球の温暖化,酸性雨の問題など,悪化する一方の地球環境については,人類の生存にとって重要な課題となっております。
このため,昨年6月には,先進国と発展途上国が手に手を携えて地球を救おうという目的で,国連加盟の首相が集う,いわゆる地球サミット,環境と開発に関する国連会議がブラジルで開催されました。
また,昨年3月には,京都市において,希少動物の国際取引に関するワシントン条約締結国会議が開催され,クロマグロが大きな問題となったところであります。
さらに,本年6月9日からは,釧路市において,アジアで初めてのラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)締結国会議が開催されることになっております。
わが国もそれなりの役割を果たさなければならず,おくればせなから「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」がこの4月1日から施行されているところであります。この法律の趣旨,目的は,野生の動植物が生態系の重要な構成要素であるだけでなく,自然環境の重要な一部として,人類の豊かな生活に欠かすことのできないものであることにかんがみ,絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることにより,良好な自然環境を保全し,もって,現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的としております。
一方,動物園についても,従来の単に珍しい動物を飼育,展示するというだけでなく,近ごろは,教育的な配慮や希少動物の繁殖の研究にも力を入れるなど,その内容も幅広くなってきているように感じております。
たとえば東京都では,1982年から,21世紀に向けて,都の動物園のあり方を検討し,ズー2001構想を策定しております。これは,種の保存と環境学習の2本の柱から成っており,種の保存のための具体的な施策をズーストック計画と名づけて,都内の五つの動物園で,それぞれストック種を選定し,希少動物を分担して保存しようとするものであります。
上野動物園においては,現在,数十億円をかけてゴリラの森を建設し,全国の動物園からゴリラを集めて繁殖を行う計画であり,その成功が期待されております。
さて,円山動物園は,昭和26年に開園して以来42年にわたって,多くの市民はもとより広く道民に親しまれてきております。この間,動物の増加は著しく,施設も北国にふさわしい工夫がなされてきており,現在では種類にして200ほど,数は1,200頭余りが展示されているところであります。
このうち,タスマニアデビルやペルシャヒョウなどは,わが国では円山動物園にしかいない珍しい動物と聞いております。また,本年3月には,飼育中のオオワシが,世界の動物園では初めて繁殖に成功し,現在,元気に育っていることは,市民の一人として大変誇りに思うところであります。これは,飼育に携わった動物園の全職員の努力と研究のたまものと高く評価するものであります。
オオワシは,世界じゅうで多く見積もっても,アリューシャン列島を中心に8,000羽程度が生息しているにすぎないと言われており,例年,流氷とともに,オホーツク沿岸や羅臼方面にオジロワシと一緒にやってくる大変貴重な鳥であります。
このように多くの野生動物が飼育,展示され,希少動物を多く抱えている円山動物園について3点ほどお伺いいたします。
まず1点目といたしましては,これらの流れを踏まえ,円山動物園における希少動物の種の保存についての基本的な考え方をお伺いいたします。
2点目といたしましては,今後の動物舎等の環境整備について,どのように考えておられるのかお伺いいたします。
3点目は,動物園におけるボランティアの育成,活用についてであります。
東京都や名古屋市の動物園では,ボランティアの方々が,お客さんに対して動物の説明を行うなど活躍していると聞いております。このようなボランティアによる説明は,掲示板による説明よりも見学者の動物に対する興味や理解を深める上で非常に有効であり,また,これからの余暇時間の増大や高齢化社会の到来を考えますと,市民により親しまれる動物園づくりを進める上からも,ぜひ実現していただきたいと思いますが,市長のお考えをお伺いいたします。
次に,河川愛護活動の活性化について質問いたします。
わが国の生活水準は,近年著しく向上しているわけでありますが,これに伴いまして,量から質へといったように,市民の価値観も大きく変化してきております。このような流れの中で,河川の整備に当たりましても,ただ洪水を処理するだけではなく,平常時には人々が川に親しめるような工夫がなされるようになってきております。また,最近では,河川に生息している動植物を保護し,これを保全しようとする考え方に立った,いわゆる多自然型の河川整備も進めていると聞いております。昔,ふるさとにあったような川を知る者の一人として,まことに結構なことと感じている次第であります。
さて,私は,このような親水性を持たせた河川とか,多自然型河川といったものは,市民が日常生活の中で,ごく自然に愛着感を持ち,維持管理に参加していくことができるよう,行政側が支援策を講じていくべきだと考えております。
このような観点から,国においては昭和50年に河川愛護モニター制度を導入し,河川愛護について広く国民の意見を聞いております。
また,現在推進されているラブリバー制度は,ボランティア活動として堤防の草刈りなどを行う住民に対して,河川敷地を住民の植栽や花壇として開放することにより,住民の河川への親しみを醸成し,住民とともに河川の良好な維持と潤いある水辺空間の形成を図ることを目的に,
平成元年に創設されたものであると聞いております。
また,このような国の愛護施策だけにとどまらず,横浜市の鶴見川や東京の神田川などでは,市民団体の活動の一環として動植物の調査研究やイベント,また,河川愛護のボランティア活動が活発に行われております。
特に,神奈川県には鶴見川という比較的大きな川が流れておりますが,この川の流域では,横浜市,川崎市,町田市の市民各層から成る15の団体や学校などがネットワークして,都市河川フォーラム,川と緑を考える子供会議,川辺のコンサート,カヌーフェスティバルなどのさまざまな市民主体のイベントが開催され,大勢の人が参加しており,河川愛護は,いまや川の文化活動へと発展し,全国会議を開くまでに成長しております。
さらには,横浜市の水辺さわやか運動や川に花いっぱい運動には,関係町内会に相当額の資金援助もしております。これらのことは,市民の河川環境に対する危機意識もあったかと思いますが,河川をつくる側も市民と一緒に河川の環境づくりを考えて,官民一体で取り組むという姿勢が,こうした運動としてあらわれてきていると思うのであります。
さて,札幌市におきましても,市民の憩いの場となっている豊平川では,毎年恒例のさっぽろ川まつりやいかだ下りが実施されており,聞くところによりますと,参加者は例年三,四万人も数え,年々盛んになってきております。
また,厚別川を初めとする各地域の河川では,清掃などの愛護活動が行われているのであります。
私は,このように清掃など河川維持の一端を市民みずからが担うことは,ごみを捨てない心を養うなど,川に対するモラルの向上につながり,さらには,快適な水辺空間の創造へと発展していくものであり,また,このように活発な市民活動を通して得られる市民の声を改修計画に反映させていくことは,今後の河川整備にとっても大切なことと考えるものであります。
そこで1点目として,本市における河川愛護活動のうち河川敷の草刈りや清掃等の河川美化に関するものは,昨年度の場合,創成川,精進川など17河川について,延べ9,000人の参加を得て実施していることは承知しておりますが,これは,おおむね町内会単位の個々の団体の活動であり,もっと河川数をふやして全市的な活動とする必要があると私は思うのでありますが,この点について,市長のお考えをお伺いいたします。
2点目としまして,前段で,国の施策や横浜市など河川愛護活動の例を紹介しましたが,こうした河川愛護に対して,本市の支援が十分に行き届いているとは言いがたいと思うのでありますが,現在,市の支援体制はどのようになっているのか。また,河川愛護活動がさらに活発なものとなるような,いわゆる河川愛護活動の活性化のための支援計画があるのかどうかについてお伺いいたします。
次に,林野火災対策についてお伺いいたします。
札幌市は,市域面積1,121平方キロメートルのうち約64%の714平方キロメートルを森林が占めている緑あふれる都市として,市民及び来訪者から高い評価を受けているところであります。
これらの森林の保全は,さきにも触れましたように地球環境の温暖化防止上,重要な今日的課題となっております。
また,市街地に接した身近な場所に緑に親しむ空間があるということは,区民のみならず市民にとっても,レクリエーションなどを通じて,心に潤いと安らぎを与えるものであります。
そういった緑は,われわれ市民の生存にとってかけがえのない存在であり,市においても,これまで第3次札幌市長期総合計画の一環として札幌市緑の基本計画を基本とし,自然と調和した都市環境を築き,次代に継承することを目標に総合的な緑化行政を展開してきたことなど,積極的な施策を展開していることは評価に値するものであります。この貴重な森林を守り,育て,次代に引き継ぐことが,われわれの責務でもあります。
森林の伐採あるいはゴルフ場の造成などといった,いわゆる開発行為に対しては,本市は厳しい姿勢で臨んでおりますが,森林の被害として最大のものは,林野火災による焼失ではないかと考えます。
一たん火災が発生し,万が一消火活動が後手に回ると,その被害は想像を絶し,貴重な人命も失いかねません。本市においては毎年のように林野火災が発生しており,特に,昭和61年6月15日に発生した羊ヶ丘の国有林火災では,実に92ヘクタールもの山林を焼失しております。また,昨年5月17日に発生した清田の私有林火災では,立ち木,ササなど6ヘクタールと乗用車1台を全焼しております。
このように,毎年のように発生する林野火災に対し,市としても予防等の啓蒙活動などに取り組んできていることは承知しております。豊平区においては,本年5月10日に消防署,区役所,緑化推進部が主体となり,山林のオーナーや森林愛護組合,連合町内会など,関係機関と協調し,林野火災予消防対策推進会議を設置し,林野火災に対策を講じる体制がとられたと聞いております。
そこで,3点についてお伺いいたします。
まず1点目は,林野火災予消防対策推進会議に期待される効果などをどのように考えておられるのでしょうか。
2点目は,市内には山林を多く抱える区がほかにもありますが,今後,豊平区と同様な組織を設置していくお考えがあるのかどうかお伺いいたします。
3点目は,さらに全市的な観点で,林野火災対策として,どのような方策を考えておられるのかお伺いいたします。
以上で,私のすべての質問を終わります。ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(
見延順章君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) それでは,私から4点についてお答えをさせていただきます。
まず最初に,
子供たちの問題についてお答えをいたします。
1点目の保育所の役割についてでございますが,本来,保育所は,保育に欠ける子供の保育を通じて,就労と子育ての両立を支援する役割を担っているところでありますが,最近は,特に保育所が有している子育て支援能力に大きな期待が寄せられるようになってきております。
このため,保育所では,これまでも子育ての支援策として,本来の機能のほかに育児相談などを実施しておりますが,今後は,一般家庭において不安や悩みを持ちながら育児をされている
お母さん方のために,保母の知識や経験,あるいは保育所の機能をさらに活用していく方策を検討してまいりたいと考えております。
次に,2点目の
主任児童委員についてでありますが,これらの方々は,児童福祉に関する事項を専門的に担当し,従来の区域を担当する
児童委員の活動に対して指導援助・協力を行う立場と位置づけをしております。
活動内容といたしましては,主に関係行政機関及び
児童委員との連絡調整の業務でありますが,特に,児童を取り巻く社会・家庭環境についての情報収集,
健全育成のための地域啓発,また,児童の権利侵害の場合の関係行政機関への通報,意見具申など,
児童委員と一体となった活動をお願いすることのほかに,広く児童の
健全育成のために,青少年育成委員や家庭児童相談員,さらには子ども会の指導者の方々とも連携を図りながら活動することになりますので,本市といたしましては,その条件整備に積極的に努めてまいりたいと考えております。
次に,3点目の
児童手当制度についてでございますが,今回の制度改正は,経済的な側面から,児童養育世帯に対する育児支援を強化する趣旨で行われたものであると思います。
その内容は,支給範囲が,従来第2子以降であったものを第1子からに拡大するとともに,手当額が2倍になりました。その一方で,
支給期間は,従来の小学校入学前までから,
経済的負担が相対的に高いと考えられる3歳未満に短縮されております。
ご指摘のとおり,昨今の子育てに伴う経済的な負担は大きく,
児童手当の果たす役割もまた大きなものがあると考えられますので,育児支援という制度の趣旨も踏まえて,本市でもいろいろな機会をとらえて,国に対して制度の一層の充実に向けて働きかけてまいりたいと考えております。
次に,
精神障害者の
社会復帰対策についてでございます。
まず,本市の現状といたしましては,
平成元年に札幌
デイ・ケアセンターを設置いたしまして,適切な医学的管理のもとに,社会的自立のための訓練を行い,成果を上げているところであります。
また,民間における小規模共同作業所及び共同住居に対する運営費等の補助を行い,逐次その充実に努めているところであります。
今後の取組みといたしましては,就労を希望する精神障害回復者に対して総合的な訓練・指導を行うとともに,地域における
社会復帰活動の中核的役割を担う通所の授産施設を設置することといたしまして,今年度そのための調査・設計を行う予定でおります。
さらに,市立札幌病院静療院の再編計画の中で,生活訓練を主体とした中間施設である援護寮及び
精神科デイ・ケア部門の新設などの計画を進めております。
なお,関係機関,施設等との連携の強化,
精神障害者の地域生活援助の促進等の
社会復帰対策の強化を柱として,近く
精神保健法の改正が予定されておりますので,本市といたしましても,よりきめ細かな対策の一層の推進に努めてまいる所存であります。
次に,交通事業についてでございます。
東豊線延長部の新駅と他の交通手段との連続性につきましては,新駅には,バスやタクシー,あるいは自転車からの乗継ぎを容易にするために,一部の駅につきましては,エスカレーターで地上からホームまで乗入れができるようにします。また,各出入り口に地上までの上りのエスカレーターを設置するなどの工夫をいたしました。
このほか,タクシーベイや駐輪場を設けるなど,乗継ぎの連続性を確保し,スムーズなアクセスが図られるよう努めてまいりたいと考えております。
また,駅舎のイメージにつきましては,地下空間を感じさせない温かさを基本としながら,地下鉄駅では初めての試みとして,延長部の駅ごとにイメージカラーを設定するなど,地域の特性を考慮して,親しめる地下鉄駅として整備してまいりたいと考えております。
次に,地下鉄東豊線延長に伴いますバスの再編成についてでございますが,地下鉄とバスとの有機的な連携は,地下鉄の需要確保の面だけではなく,将来にわたって市民の利便性を拡大することを目的に,本市が計画をしております総合交通体系整備の上から,きわめて重要なことであります。
東豊線延長部のバス輸送の主要部分を担う中央バスの路線再編成につきましても,地下鉄との短絡により利便性の向上が図れるよう,中央バスと協議を進めているところであります。
また,市営バスの路線再編成につきましても,できる限り利便性の向上が図られるよう進めてまいりたいと考えております。
次に,円山動物園における希少動物の種の保存と今後の環境整備等についてお答えをいたします。
第1点目の希少動物の繁殖・保護に関する基本的な考え方についてでありますが,現在は約200種類の動物を飼育し,市民の皆様に見ていただいているところであります。しかし,ゴリラやバクのように,購入がきわめて困難な動物の確保については,どこの動物園でもそのために頭を悩ませているのが実情であります。
したがいまして,希少動物については,日本動物園水族館協会の種保存委員会が中心となりまして,国内外の動物園間で協力をし,繁殖を行なっているところでありますが,今後とも関係機関と連携を密にしながら,これら希少動物の確保には積極的に努力をしてまいりたいと考えております。
第2点目の動物舎等の環境整備についてでありますが,現在の動物舎のほとんどは,管理しやすいコンクリートと鉄棒でできております。しかし,最近は世界的な傾向として,より自然の環境に近い状態の中で動物を飼育・展示する考えが強くなってきております。そこで,本市としてもその考え方を取り入れて,年じゅう鳥が飛び交う夢のある熱帯鳥類館を建設するために,今年度中にその設計を完了したいと考えております。
第3点目のボランティアの育成・活用についてでありますが,導入都市の実態を十分調査をさせていただき,今後,検討してまいりたいと考えております。私からは以上でございます。
○議長(
見延順章君) 魚住助役。
◎助役(魚住昌也君) 河川愛護活動の活性化と林野火災対策につきまして,私からお答えいたします。
まず,河川愛護活動の活性化についてでありますが,第1点目の河川清掃の全市的取組みについてでございますが,今年度は新たに3河川をふやしまして20河川を予定しているところであり,今後も河川数をふやすとともに,連合町内会,さらには連絡協議会にまで範囲を広げるなど,積極的に努力してまいりたいと考えております。
第2点目の河川愛護に対する本市の支援についてでございますが,これまでは各区を窓口として,この活動に必要な道具や用品の配布などの支援をしてきたところでございます。今後は,行政側としても積極的に参画する必要があると考えており,今年度は新たな試みとして,河川愛護についての意見交換の場を,手稲土功川,篠路川,吉田川等で計画しているところでございます。
さらに,これらの活動に対する支援体制の一層の充実のため,後援会等の啓蒙行事や河川に関するモニターの委嘱等についても実現化を図ってまいりたいと考えております。
次に,林野火災対策についてお答えいたします。
本市におきましては,昭和45年に,札幌市域林野火災予消防対策協議会を設置し,林野火災の発生防止はもとより,被害を最小限に食いとめるための対策を講じているところでございます。
お話のとおり,豊平区におきましては,近年,毎年のように林野火災が発生していることから,このたび林野火災の防火・消火活動等が効率的に行えるように,豊平地区林野火災予消防対策推進会議を設置し,各関係機関の役割分担などを定めたところでございます。
ご質問の推進会議の効果についてでございますが,防火活動に大切な各関係機関との情報伝達や諸活動の連携体制が整いましたので,これまで以上に迅速かつ効率的な防火活動が期待されるものと考えております。
次に,山林を抱える他の区への設置についてでございますが,各区におきましても,それぞれの実情に応じた活動を行なっているところでございますが,豊平区における活動状況を見ながら,今後,設置について検討してまいりたいと考えております。
また,全市的な林野火災対策の具体的な方策についてでありますが,山火事防止の啓発行事,森林愛護組合等による巡視や入山者に対する指導のほか,消火訓練等を実施しております。今後,さらに関係機関と綿密な連携をとりながら,林野火災の防止に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(
見延順章君) 藤島教育長。
◎教育長(藤島積君)
余裕教室の活用について,私からお答えをいたします。
第1点目の
社会教育施設等への転用の問題点についてでありますが,ご案内のとおり,従来の通知は,あくまで教育財産としての
学校施設を,教育機能を高めるためにどう活用すべきかと,こういう観点からの対策あるいは事業でございました。
これに対しまして,このたびの指針は,
学校施設としての
有効活用は当然のことながら,さらにそれを拡大して
社会教育施設等へ転用しようとするものであり,
学校施設を一部教育財産から切り離して,地域住民にこれを開放していくことをも含んだ思い切った内容となっております。
したがいまして,この転用を行うに当たりましては,その
余裕教室が国庫補助を受けている場合,補助金等にかかわる予算の執行の適正化に関する法律の適用を受けることになりますので,文部大臣の承認あるいは報告が必要になってまいります。
また,その施設の管理・運営につきましては,学校教育活動に支障がないよう配慮することが前提になると考えております。
2点目の本市の
余裕教室の実態等についてでありますが,本年度当初で22校,96教室と承知いたしております。
学校種別で申し上げますと,小学校が20校で94教室,中学校が2校で2教室となっております。
議員ご指摘のとおり,児童数の減少は一つの社会的な傾向であり,私どももこの傾向は今後とも続くものと予測しておりまして,おおむね5年後には,学級数がさらに5%程度減少するものと考えております。
3点目に,事業化の見通しについてでありますが,事業化に当たりましては,まず,
学校施設としての活用をしっかり見定める必要があります。その上で,社会教育,社会体育,地域文化などのコミュニティ施設としての活用計画を策定することとなりますので,そのためには,関連部局との連携が必要でございます。
今後,できるだけ早期に庁内でのプロジェクトチームをつくるなど,具体的に検討してまいりたいと考えております。
4点目に,起債の要件と
財政負担についてでありますが,これは,自治省が行なっております
まちづくり特別対策事業として適用される市の単独事業でございます。
起債要件は,文部省が定めたガイドラインに基づく3,000万円以上のコミュニティ施設等の整備事業となっており,地域総合整備事業債が充当されるもので,充当率はおおむね75%となっております。
なお,起債の元利償還金の約50%が地方交付税で措置される見込みであります。以上です。
○議長(
見延順章君) ここで,およそ30分間休憩いたします。
――――――─――――――――─
休 憩 午後2時2分
再 開 午後2時30分
――――――─――――――――─
○副議長(伊与部敏雄君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問の続行でございます。井上ひさ子君。
(井上ひさ子君登壇・拍手)
◆井上ひさ子君 私は,ただいまから日本共産党を代表し,当面の市政の重要問題について質問いたします。
まず,私は,いま国会で議論され,市民の大きな関心を呼んでいる小選挙区制の導入,そしてカンボジア派兵の問題について一言触れさせていただきます。
竹下内閣の誕生にまつわる暴力団や右翼との癒着,金丸 信前自民党副総裁の佐川疑惑にかかわるやみ献金と巨額なため込み,そして脱税行為,さらに公共事業にかかわって政治家が大手ゼネコンなどから受注額の1%ないし3%の口きき料を取り立てていたなど,政・財・官を結ぶ金権腐敗の構造が明るみに出て,国民の自民党政治に対する不信と怒りはかつてなく大きくなっています。
しかし,政府自民党は,金権腐敗政治の大もとである企業献金や団体献金の禁止については何ら取り組もうとせず,これを選挙制度にすりかえ,小選挙区制の導入を図ろうとしています。自民党が,支持率が下がってでも政権を手放さないで済むよう党利党略的な小選挙区制への改悪を推し進め,また,野党の中からも,比例代表を加味すれば小選挙区制を認めるという自民党にすり寄る姿勢があらわになって,国民の政治不信を一層広げているのであります。
いかなる形態をとろうとも,小選挙区制の導入は民意の反映をゆがめ,議会制民主主義を崩壊させるものであります。わが党は,国民が求めている金権腐敗政治一掃のため,企業・団体献金を禁止するとともに,国会決議に基づいて1票の格差を埋める定数の抜本是正を強く主張し,その実現のため全力を尽くすものであります。
次に,今日,国民にとって重大関心事であるカンボジア問題です。
現地に派遣された文民警察官やボランティアのうち2人がすでに殺害され,現地を訪問した村田自治大臣に「あと何人殺されたらわれわれは帰れるのか」と,悲痛な訴えをせざるを得ない状況が,いまなお続いているのであります。停戦後の平和な
国づくりへの協力のためと,安全を強調してきた政府と,これに同調してきた政党の責任は重大であります。
憲法はもとより,PKO法の5原則にさえ違反し,あえて自衛隊の海外派兵を強行し,血を流すことが国際貢献などと主張する態度は,絶対に容認し得ないものであります。自衛隊のカンボジア派兵の前提となる5原則の崩壊が,だれの目にも明らかになった以上,政府は自衛隊を直ちに引き揚げるべきであります。カンボジアの本当の和平を実現するためには,口先ではパリ協定を守ると言いながら,武装解除を拒否し,武力攻撃を行なっているポル・ポト派に対し国際的な批判を集中し,国際的な世論の力で彼らを孤立させることであります。
政府は,これまでのポル・ポト派擁護の姿勢を根本的に改めるべきであります。そして,憲法の理念に基づき,平和的協力を大いに進めるべきであります。経済力や科学技術を生かし,経済や民生の安定・向上,環境の保護,教育・医療の充実など,発展途上国などの国民が切実に求めている分野で積極的にこたえるべきであります。
市長が,民主主義と国の進路が問われている現下の政治状況の中で,憲法と地方自治を守り,市民の命と暮らしを守る立場から,これらの問題に対処されるよう申し上げ,以下,具体的な質問に入らせていただきます。
私の最初の質問は,ごみ処理とリサイクルの促進についてであります。
その第1は,ごみの有料化に対する市長の見解についてであります。
桂市長は,5月上旬に「いつまでも家庭だけが無料というわけにはいかない。市に頼り過ぎる」と,ごみ有料化を示唆する発言をしたと新聞報道されていますが,これは重大であります。本市の家庭ごみ手数料の無料化は,全国的なごみ無料化の大きなうねりのもと,粘り強い市民運動を背景に,1971年の市長・市議会議員選挙の大きな争点になる中,初当選を目指した当時の板垣市長候補が,選挙戦の最終盤にごみの無料化を追加公約したことから,72年4月から実施され,今日に至っているのであります。
この20年間で市民1人当たりの排出ごみの量は,1日500グラムから800グラムへと300グラムふえていますが,私は,今日のようにごみ問題が大きな社会問題となった原因は,使捨て商品や使捨て容器など,大量生産,大量消費という浪費の構造が日本経済のメカニズムに組み込まれ,それがごみの増加となっていると思います。また,この間,ごみの性質も大きく変化し,単純に焼却できないプラスチックなどが急増し,個人で処分できる生活条件を持ち得ない状況を考えるならば,市民の個人的努力による減量化はおのずと限界があると考えます。
本市のごみの9割は産業廃棄物で,一般家庭ごみは1割であります。しかも,ここ数年間の傾向は,事業系ごみが急増しているのであります。ところが,市長は,一般家庭のごみの手数料までも有料化し,ごみ行政の市の責任を市民に転嫁し,新たな市民負担を押しつけようとしています。ごみの有料化は,不法投棄を引き起こしたり,家庭での焼却を招き,環境美化に逆行する現象をつくり出す危険があります。ごみ問題の責任が市民にあるかのような市長の態度にこそ,ごみの減量・リサイクル社会の確立に逆行し,大企業などのもうけ本位の大量消費,使捨て経済を免罪するものではないでしょうか。
いま,地球環境への深い関心と結びついて,札幌でも市民の手で古紙・瓶・缶などの集団回収が行われるなど,ごみの減量・リサイクルの運動が広がっています。2年前の市政世論調査によりましても,83%の市民が環境問題への関心があると回答し,62%の人が資源回収に加わり,ごみ減量に努力していると答えており,市民の積極的姿勢が明らかですが,市に頼り過ぎるとの市長の発言こそ,市民のごみの減量・リサイクルに対する熱意に水を差すものとお思いにならないのかお尋ねいたします。
また,財政面から清掃行政を見た場合,91年度の決算では,本市の清掃行政にこれくらいの費用がかかるだろうと国が算定する基準財政需要額が234億円であるのに対して,本市が実際にかけている清掃費の決算額は197億円であり,37億円も少ない額となっております。財政的にも家庭ごみの有料化などは問題外であり,家庭ごみの無料制度は堅持されるべきと考えますが,市長のお考えをあらためて市民の前に明らかにしていただきたいのであります。
質問の第2は,市長が提唱しているダイエット作戦に関してであります。
市長は,新年の集いを初め,あいさつのたびごとに,市民1人1日100グラムの減量化を訴えています。多くの市民は,今日,地球環境の保全とも結びついて,ごみ問題に大きな関心を寄せるとともに,生協やスーパーなどでトレーの回収に積極的に参加するなど,早い段階から自発的にごみの減量に努力しているのであります。これら市民の自主的,自発的なリサイクル運動などを積極的に激励,支援するとともに,本市としても具体的にごみの減量や資源回収,リサイクルシステムを確立することが本当のダイエット作戦ではないでしょうか。
そこでお尋ねいたします。
まぜればごみ,分ければ資源と言われるように,ごみの多くは資源として役に立つものです。しかし,行政の側が立ちおくれているために,市民参加のごみ減量が大きな効果を上げ切れていないのであります。
私は,一昨年,分別収集の強化で積極的に資源ごみの回収を行なっている大阪の吹田市に視察に行きましたが,瓶・缶,そして紙などを入れる袋などを各世帯に渡し,収集日にごみステーションの回収ケースに入れるよう市民に協力を求めていました。本市においても,瓶・缶・紙などをそれぞれ分けて入れることのできる袋などを各世帯に渡すなどして,家庭内での分別の徹底を図り,市民の協力を得て積極的に分別収集制度の確立を図るべきであります。
昨年10月から,東区一部地域で分別モデル事業を実施した結果でも,6ヵ月間で瓶や缶などの分別収集で資源ゴミ37トンが回収され,リサイクル化されています。この間,このモデル事業を市民に理解し,協力していただくために,収集曜日周知用カレンダー,チラシをつくって啓蒙してきていますが,このモデル事業の結果,確実に資源ごみがリサイクルされることが明らかになったわけでありますから,瓶・缶などの選別事業を東区に続き,来年度からすべての行政区で実施すべきと考えますが,いかがでしょうか。
また,集団回収団体が安心して資源回収に取り組むためにも,リサイクルセンターを各区に設置し,トレーや牛乳パック,古紙,空き缶・瓶などを一時的に保管できるストックヤードなど,市民が資源化に協力できる受け皿を行政の責任で整備してこそ,ダイエット作戦も生きるのではないでしょうか,市長の対処方針をお示しください。
あわせて,回収された資源ごみが,せっかく回収されながらも回収業者のところで滞留し,製造メーカーが引取りを拒否したりしている事例が多くなってきています。これは,円高の影響もあって,輸入原材料のほうがコスト安につながるなどの現状も大きな影響を与えています。したがって,ドイツで実施しているように,国に対して,メーカーに回収された資源ごみを優先使用するよう法整備などを求めるべきでありますがいかがでありましょうか,お尋ねいたします。
次に,保育行政について質問します。
ことしの4月,厚生省児童家庭局長の私的諮問機関である「これからの保育所懇談会」がまとめた提言を受けた厚生省の保育所問題検討会は,関係機関から意見聴取を行い,
保育制度の根幹にかかわる見直し作業を進めています。厚生省は来年度にも予算措置をし,関連法案を提出する意向であると伝えられています。
こうした国の動きをめぐって全国保育団体連絡会は,公的責任を示す
保育制度そのものを変質させるものとして断固反対の声明を発表し,全国私立保育園連盟や多くの保育関係者が,公的責任の後退につながるものとの懸念を表明しています。札幌でも,保育連絡会などが憲法・児童福祉法を守り,国と自治体の責任による
保育制度の拡充を求める署名運動などに取り組み,
子供たちの健やかな成長を願う父母や保母の願いに逆行するものであると訴えています。
「これからの保育所懇談会」がまとめた,今後の保育所のあり方についてと題するこの提言は,保育に欠ける子供に対しての国と自治体の公的責任,義務をうたった現行の措置制度を批判し,攻撃しているものであります。全国民生主管部局長会議のあいさつで,厚生省の児童家庭局長が,児童福祉法について「今日では制度を見直す時期に来ている,制度疲労を起こしている」などと述べていることとあわせてみると,臨調行革路線による
社会保障制度破壊の波が,いま
保育制度の根幹を突き崩そうとする重大な動きを示しつつあると言えます。
わが党は,いま保育行政に求められているのは,現行児童福祉法に定められている国の責任と自治体の長の措置義務を柱とする
保育制度を堅持するとともに,長い間の懸案であり,いまや緊急の課題ともなってきている公私間の格差是正を初め,社会の変化や父母の労働の実態を踏まえた延長保育などの保育充実であると考えるものであります。
以上の観点から,4点のお尋ねをいたします。
質問の第1は,本市の保育行政の基本に関してですが,「これからの保育所懇談会」の提言が現行の措置制度を「弊害」などと批判,攻撃し,厚生省の児童家庭局長が,児童福祉法について制度の見直しを言明していることについて,市長はどのようにお考えでしょうか。現行の
保育制度の根幹である措置制度を変えることによって,国と自治体の責任を放棄するものとはお考えにならないのかどうか。また,今後とも保育所における措置制度は堅持すべきものと考えますがいかがか,市長の保育行政についての基本的な考え方とあわせて見解を伺います。
質問の第2は,民間と公立保育園との公私間格差是正についてであります。
特に,予備保母の正職化についてでありますが,公立保育園では4人の予備保母のうち3人が正職化されていますが,私立の場合は4人のうち1人が正職化されただけです。しかも,この1人が正職化されてすでに2年半も経過していますから,関係者の要望も切実です。予備保母の正職化についてどのような検討がなされてきたのでありましょうか。今後,どのように取り組んでいくのか,対処方針をお示し願います。
質問の第3は,延長保育の拡大についてであります。
社会の変化,父母の労働実態に対応した延長保育の充実が求められておりますが,本市の延長保育の現状は,昨年まで10園,今年度新たに2園が加わって12園ということであります。現状ではニーズに十分こたえられていないし,不足していると思うのでありますが,現状についての認識と延長保育拡大の今後の方針についてお尋ねいたします。
質問の第4は,無認可保育園に関してであります。
ご承知のように,指定無認可保育所には本市の助成がありますが,それでも父母が拠出する負担は大きく,経営的にも大きな困難を抱えており,本市の助成増額が切実に訴えられてきました。この間,乳児加算制度が実施されて,関係者からは喜びを持って迎えられましたが,さらに助成を充実することが求められる現状にあります。すでに無認可保育所では,父母の労働実態に合わせた保育が行われておりますが,この面での本市からの援助がありません。無認可保育所の延長保育に対する助成を初め,無認可助成の拡大を検討すべきと考えますがいかがでしょうか,お尋ねいたします。
次に,第2次札幌市女性計画について質問します。
本市が1984年から取り組んできた「札幌市女性のための計画」が終了するに当たって,今年度は第2次札幌市女性計画,すなわち仮称「男女の共同参画を目指すさっぽろ計画」を策定することになっています。本年3月にまとめられた第2次札幌市女性計画への提言の特色は,現計画の目標が女性の自立と地位向上であるのに対して,新計画の目標は,男女の共同参画によって築き上げる社会の形成となっていることであります。そのために「男は仕事,女は家庭」という,いわゆる男女の固定的な役割分担意識の解消を目指し,とりわけ男性の意識改革を求める提言がなされています。
1990年の総理府調査によると「男は仕事,女は家庭」という考え方に同感しないと答えた女性は43.2%,男性は34%なのに対し,同年の本市の市民意識調査の結果は,女性が27.7%,男性は18%で,全国的に見ると本市は男女の固定的役割分担意識が強い現状にあります。今日なお,市民の中にある固定的役割分担意識が根強い現状を踏まえ,次期計画では積極的な解消を図らなければならないと考えます。
わが党は,女性の地位向上,母性保護を前提とした真の男女平等を求め,これまでも議会でたびたび取り上げてきたところでありますが,次期計画が,時代の流れ,市民のニーズにこたえた充実した内容になることを願って,以下3点の質問をいたします。
質問の第1は,次期計画を推進する機構と組織名についてであります。
現女性計画の直接の担当部局は,市民局青少年女性部女性企画課となっておりますが,男女の共同参画を促進し,男女平等を名実ともに実現することを目指す次期計画を推進するに当たっては,女性部として独立させ,課の名称も,たとえば男女平等推進課などと変えるなどした上で,体制を強化すべきと考えますが,いかがでありましょうか。
質問の第2は,今回の提言が触れている課題に関連してです。
まず,国際交流,国際社会への女性の参加に関連して,平和事業の推進についてであります。
この項の現状と課題のところでは,平和都市宣言に基づいた事業を行うなどと記述されております。しかしながら,具体的には展開はされておりません。平和は,1975年の国際婦人年以来の重要な柱でありますから,次期計画の施策の中に平和の課題をしっかりと盛り込むべきと考えますがいかがでありましょうか,お尋ねいたします。
次に,母性保護についてであります。
命を生み出すという母性が保護されてこそ,真の男女平等が実現するのであり,保護抜き平等は女性の就労継続を困難にするだけでは,なく男性も含めた長時間労働の弊害を助長することにほかなりません。女性の就労と男性の家事・育児への参加を保障するためにも,労働時間の短縮と同時に生理休暇,産前産後の休暇や育児休暇の有給保障などは,本市が直接指導・監督する立場にないとしても,実態調査や啓発活動は可能でありますから,ぜひとも母性保護の視点を次期計画に反映すべきと考えますがいかがでありましょうか,お尋ねいたします。
質問の第3は,男女平等教育についてであります。
家庭,学校,社会のあらゆる分野で,男女平等を実現するためには,親,教師,社会的通念から,男女の固定的役割分担意識を解消しなければなりません。そのためには,本市が発行している各種の広報誌や資料の内容の見直しが必要であると考えます。
たとえば,本市教育委員会が発行している家庭教育シリーズNo.1の幼児編では,「こんなお父さん,
お母さんに」の項で,母親に対しては,過保護でない,子供の言いなりにならない母親像を,そして父親に対しては,世の中の厳しさを教え,認め,励ましてくれる父親像を描いています。また,同じくシリーズNo.3の中学生編では,「大切な父親の役割」の項で,「子供にとって母親のしつけは家庭を意味し,父親のしつけは社会を意味すると言われているように,父親は社会の窓口であるとともに・・・・,男らしさなどを教えてきたのです」と記述されております。これでは「男は仕事,女は家庭」の固定的役割分担を解消することにはなりません。両親がともに社会に目を向け,子供の人格を尊重しながら,双方が子育てに責任を負う視点が大切ではないでしょうか。
また,教師用男女平等教育指導資料や中学生向け副読本についても,次期計画のねらいに沿った見直しと普及啓発が必要と考えます。まず,教師用指導資料についてですが,今年度から中学校では男女の区分なく技術家庭を学ぶことになり,来年度からは高校における家庭科も男女必修になりますことから,当然,それに合わせた改善が求められますし,あらゆる場面で男女の固定的な役割分担意識の解消を図り,男女平等観に立った教育を進める上でかなめをなす全教職員に対する普及啓発をより一層図るべきと考えますが,内容の改善及び普及啓発を今後どのように図るお考えか,お尋ねいたします。
次に,中学生向け副読本「むすぶ心ひろがる未来」についてですが,最終ページに掲載されている世論調査の数字は5年前のものであり,古くなっておりますことから,最新の男女の意識調査が反映されたものを採用すべきと考えますが,いかがでありましょうか。また,「家庭と私たち」の項での家事の分担についての記述についても,母親の仕事を父親と子供が手伝うという視点で書かれていますが,そうではなくて,男女がともに生活者として自立していく上で,家庭での仕事の分担が大切なのだという視点での内容の改善を求めるものであります。
さらに,こうした副読本は,中学生のみならず小学生や高校生をも対象として作成すべきと考えますが,市長は次期計画を策定するに当たって,これらの啓発資料について,どのように充実改善を図ろうと考えておられるのかお尋ねいたします。
次に,障害児教育について質問いたします。
質問の第1は,養護学校高等部への進学率に関してであります。
養護学校高等部への進学の問題は,障害児が人間として後期中等教育を受けることができるかどうかの教育権保障の問題であります。
文部省が発表した1992年の学校基本調査報告書によれば,養護学校中等部卒業生の高等部への進学率は,100%になった奈良,和歌山を先頭に,全国平均が75.3%であるのに対して,北海道の場合は41.7%と全国最下位グループを続け,低迷しているのが現状です。こうした中で,本市でも高等部に進学したいが,
学校施設が足りないために進学をあきらめている
子供たちが多数いるのでありますが,こうしたおくれの原因は一体どこにあるのでありましょうか。
直接的には必要とされている高等養護学校,あるいは高等部の整備が立ちおくれていることが指摘できますが,この背景には,高等部で受け入れる障害児の障害の程度についての考え方の違いがあるのではないでしょうか。道外では,高等部に受け入れている障害重度の子供を,道教委及び本市教育委員会では受け入れることになじまないとして,受入れ対象を中軽度に制限しているところに大きな問題があると考えますが,いかがでありましょうか。高等部への進学率が低い原因と,高等部に受け入れる障害程度についてどのようにお考えか,お尋ねいたします。
質問の第2は,高等養護学校の増設についてであります。
高等部進学を切望している子供や家族の願いから見ても,また,他都市に比べて低い本市の進学率を引き上げる上でも,当面,特に発達遅滞の子供のための高等部の整備が,最低2校は必要となっているのが現状です。ところが,だれが整備をするのかをめぐって道と本市の間で,道がつくるべき,札幌市内のものは札幌市がつくるべきなどと,お互いにキャッチボールをやっている現状は問題であります。いずれがやるにしても,市民の願いにこたえて速やかな整備が必要と思うのでありますが,発達遅滞の子供のための高等部の整備を今後どのように進めようとされているのでありましょうか。
発達遅滞の子供の市立の養護高等部は,本市には豊明高等養護1校でありますが,たとえば大阪市,北九州市,福岡市はそれぞれ4校,京都市には3校があります。このことを見ますと,養護学校は道がやる仕事として済まされない,本市の努力不足が明瞭にあらわれているのではないでしょうか。京都市の場合には,養護学校整備に当たって,歴史的にも,現在においても,市民のものは自分たちで整備するとの明確な考え方に立っていますが,本市の考え方は違っております。
本市は,これまで道に整備を要請しているとの態度をとってきましたが,それでは,道は札幌市にいつ養護高等部を整備するのか見通しが立ってきているのでありましょうか。これまで,道に対してどのように働きかけてきたのか,整備の見通しはどうなのか,明らかにしていただきたいのであります。
また,切実な進学の願いにこたえるためには,発達遅滞の子供のための養護高等部を本市独自でも整備すべきと考えますが,今後の整備方針についてお尋ねいたします。
質問の第3は,小・中学校の特殊学級の増設に関してであります。
小・中学校における養護学級の設置率が低いために,通常の通学区では考えられない遠距離通学が行われているのが本市の現状であり,障害を持つ
子供たちの大きな負担を解消するためには,養護学級の増設を図ることが緊急の課題となっていることが指摘されてまいりました。
政令市における小・中学校の養護学級設置の状況は,障害の種別ごとの設置校数を合算した延べ校数の割合で見た場合,昨年5月1日現在の数字で,小学校では川崎180%,大阪市130%,神戸市99%など高率ですが,本市は39%となっています。中学校でも,川崎市139%,広島市115%,横浜市93%となっているのに比べ,本市は40%と,他都市に比べ大きく立ちおくれているのであります。
わが党は,こうした本市の養護学級整備の立ちおくれの問題で,ネックの一つと言われてきた養護学級の設置定数について,道教委との交渉や本市議会での質問などで問題の究明に取り組んできましたが,開設に当たっての設置定数4名に満たない児童・生徒数であっても開設できると,わが党は判断しております。
そこでお尋ねいたしますが,道教委との関係で,設置定数の弾力的な運用に関してどのように取り扱うことになっているのか。また,養護学級の設置率を高め,遠距離通学を解消するために積極的に取り組むべきと考えますが,今後の整備方針について伺います。
質問の第4は,特殊学級の用語に関してでありますが,現行の学校教育法では障害児教育について特殊教育という用語を使用しておりますが,この用語が障害児教育をことさら特殊視し,差別・偏見を固定化する,あるいは違和感があるなどの批判,指摘があることはご承知のとおりであります。
こうした社会的背景のもとで,たとえば川崎市では障害児教育,養護学級,大阪市,北九州市では養護教育,養護学級,京都市では養護育成教育,養護育成学級などの用語を使うなど,現行法の規定があっても,社会的趨勢を考慮して用語を変える動きとなってきています。
もちろん,障害児教育は呼び方以上に内容が問題でありますが,この用語の問題は,障害児教育にかかわる基本的な物の見方の問題,基本的な姿勢の問題にかかわることでもありますから,必要な見直しを行うべきと考えます。本市でも用語を変えるべきと考えますが,そのお考えがおありかどうかお尋ねいたします。
質問の第5は,平岸静療院内ののぞみ学級の分校化に伴う校舎の整備に関してでありますが,待望のプレハブ解消,新校舎建築が今年度進められることが,
子供たちや父母から喜びを持って迎えられております。ところが,障害児の教育,発達にとって欠かせない重要な役割を持つ体育館の整備は,分離されて先送りされているのであります。一体何ゆえに体育館は先送りされたのだろうとの父母の声も聞かれます。市長は,この点どのように説明なさるのか。また,体育館整備は補正予算を組んででも速やかに行うべきと考えますが,そのお考えがおありかどうか伺います。
次に,私は,この6月28日で5年間の買戻し特約が切れる旧エイトビル,現在のアルシュビルの問題について質問いたします。
1988年の5月,当時の板垣市長が,テナントの協同組合が市議会に反対陳情を提出していたにもかかわらず,強引に市街地改造ビル,旧エイトの筆頭オーナーとしての本市持ち分の土地・建物を43億円で株式会社河村ビル開発に売却する旨,議会に提案してきたとき,わが党は,札幌市が売却5条件としてきた,投機対象にはさせない,キーテナントの確保など明確な活性化プランを持っている,テナントが了解する,これら柱とも言うべき項目で重大な疑義があると,具体的にそれを明らかにしながら反対しました。
委員会の論議の中でも,5年という転売禁止期間が過ぎれば,河村ビル開発がこのビルを手放すようなことになるのではないか。そうなれば,まさしくこれは投機対象ということにならないのか。あるいは,当時キーテナントとして決まったと市が説明した丸八,あるいはその他の有力テナントについても,果たしてキーテナント足り得るのか。さらに,テナントによって組織されている協同組合が反対している中での売却ということで,5条件を守るということになるのかと,厳しく追及したところです。
最近,道内雑誌などで,旧エイトビルを札幌市が河村ビルに売却したこと自体間違いであったという主張も見られるほか,いま転売禁止特約が切れるというこの時期に,各誌が一斉に旧エイトビル問題での特集を組む動きも伝わってきておりますが,わが党としても,区切りとなるこの時期に今日のアルシュビルの現状を見据えつつ,あらためてエイト問題で姿勢を正す必要があると考え,以下2点の質問をいたします。
質問の第1は,アルシュビルの現状をどう見るかでございます。
まず,5年前の臨時市議会で,当時,桂市長は本市の筆頭助役でありましたが,市が議会に説明した,河村ビル開発に,市のエイトビル持ち分,土地・建物とも全体の半分強を所有していたわけでありますが,これを43億円で処分するとした大きな理由は,丸八などキーテナントも確保したということでありましたが,間もなくその話は消えてしまいました。市有財産処分に当たって,その根拠として議会に公式に説明した話が,結果的にはうそであったということについて,市長はどのように考えておりますか,まず明らかにしてください。
次に,河村ビル開発は,キーテナント構想を放棄し,独自にテナントを集めて商業ビル経営を進めるとの方針変更を行い,リフレッシュ工事などを理由とした2年間の空白期間の後,3年前ファッションビルアルシュをオープンしましたが,3年を経過したアルシュの現状は,店舗可能面積に対する入店率が77%と,実に4分の1近い空床を抱えております。また,3年前のオープンの際,新規開店した36店中,現在も残っているテナントがわずか8店というように,異常な定着率の低さも問題となっております。
かつて,勝田前助役は,委員会でのわが党議員の質問に答えて「残っている空床を埋めるために100%開店に向けての市の組織の総力を挙げる,指導・監督を強める,放置は許されない」と答弁していますが,桂市長は,今日のアルシュビルの現状は,売買契約にあえて加えた和解調書どおり5条件が守られ,活性化されているとお考えでありましょうか,お尋ねいたします。
市が河村ビルに対して,この間どんな指導を行なってきたのか。現状は,市が総力を挙げた結果なのか。また,今日,本市議会に対してテナントの有志から,5条件が守られていないので買い戻してほしいとの陳情が出されていることをどう受けとめているのかもあわせて明らかにしていただきたいのであります。
質問の第2は,今後の旧エイトビルの行く末についてであります。