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平成 5年第二部予算特別委員会−03月23日-09号
平成 5年第一部予算特別委員会−03月23日-09号

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  1. 札幌市議会 1993-03-23
    平成 5年第二部予算特別委員会−03月23日-09号


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    平成 5年第二部予算特別委員会−03月23日-09号平成 5年第二部予算特別委員会          札幌市議会第二部予算特別委員会会議録(第9号)               平成5年3月23日(火曜日)              ──────────────                 〔聴  聞  会〕 ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 34人    委 員 長  丹 野   勝 君      副委員長  大 越 誠 幸 君    委  員  越 智 健 一 君      委  員  青 木   護 君    委  員  柴 田 薫 心 君      委  員  常 本 省 三 君    委  員  宮 本 吉 人 君      委  員  伊 藤 知 光 君    委  員  藤 田 雅 弘 君      委  員  滝 沢   隆 君    委  員  湊 谷   隆 君      委  員  水 由 正 美 君    委  員  伊与部 敏 雄 君      委  員  富 田 新 一 君    委  員  加 藤   斉 君      委  員  猪 熊 輝 夫 君    委  員  大 西 利 夫 君      委  員  常 見 寿 夫 君    委  員  本 舘 嘉 三 君      委  員  関 口 英 一 君    委  員  長 内 順 一 君      委  員  義 卜 雄 一 君    委  員  長 岡 武 夫 君      委  員  八 田 信 之 君    委  員  原 口 伸 一 君      委  員  上瀬戸 正 則 君
       委  員  三 上 洋 右 君      委  員  荒 川 尚 次 君    委  員  小 川 勝 美 君      委  員  飯 坂 宗 子 君    委  員  横 山 博 子 君      委  員  武 藤 光 惠 君    委  員  山 口 た か 君      委  員  福 士   勝 君              ────────────── ●参考人    井 上   昭 君    土 井 勝 久 君    寺 崎 ひとみ 君    吉 田 裕 子 君              ──────────────                開 議 午後1時 ○丹野 委員長  ただいまから,第二部予算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが,欠席,遅参はございません。  それでは,議事に入ります。  議案第17号 平成5年度札幌市水道事業会計予算及び議案第26号 札幌市水道事業給水条例の一部を改正する条例案一括議題とし,水道料金改定に関する聴聞会を行います。  初めに,開会に当たり,市議会を代表いたしまして,議長より一言ごあいさつを申し上げます。 ◎見延 議長  本市の議長をいたしております見延でございます。  本日,陳述を賜ります皆様におかれましては,時節柄何かとご多用のところ,私どもの依頼に快くご承諾をくださり,ここにご出席をいただきましたことを心より御礼を申し上げる次第でございます。  申し上げるまでもなく,水道事業につきましては,安全で安定した給水を行うことにより,健康で文化的な市民生活や,活力のある都市活動を支える,文字どおりの市民のライフラインとして欠かすことのできないものであります。とりわけ,本市の水道は給水普及率が98%を超え,給水人口も165万人を超える大規模水道に発展しており,また,市勢の伸展に伴い,今後も予想される給水需要の増加に対応するため,長期的な見通しに立った水源の確保や施設設備が必要となっております。  さらには,給水サービスの向上が今後の大きな課題であることから,より信頼性の高い水道システムを確立し,施設整備質的充実を図ることが要請されております。それだけに,水道料金の改定につきましては,市民生活に直接影響を及ぼす重要な問題であり,市民の関心もきわめて高いものがあることと思います。私ども市議会といたしましても,この問題を審議するに当たり,慎重を期すべきであると考え,皆様のご協力をいただきまして本日の聴聞会を開催いたした次第であります。  本日,陳述を賜ります皆様におかれましては,いずれの方も本市の水道事業にご造詣の深い方々でございますので,忌憚のないご意見を承りまして,今後の審査の参考とし,十分な審議を重ねてまいりたいと存じております。  以上,簡単でありますが,開会に当たりまして御礼とごあいさつにかえさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。 ○丹野 委員長  続きまして,私は,第二部予算特別委員長の丹野でございます。  本日の聴聞会の司会を務めさせていただきますので,よろしくお願いいたします。  早速ではございますが,聴聞会を進めるに当たりまして,陳述をされる参考人皆様方お願いの事項がございます。  まず,発言時間についてでございますが,かねてお願いをいたしておりましたとおり,お一人おおむね20分程度を予定いたしております。  なお,発言順序につきましては,お手元に配付の参考人氏名及び発言順序表の順に従いまして,私のほうからご指名をさせていただきたいと存じます。  最後に,皆様方からご意見を伺いました後,委員各位から多少ご質問をさせていただく場合があろうかと存じますが,この点お含みおきの上,よろしくお願い申し上げます。  それでは,参考人の方からご意見を賜りたいと存じます。  最初に,井上 昭さん,お願いいたします。 ◎井上 参考人  お許しをいただきまして,座ったままでお話申し上げたいと思います。ご紹介いただきました井上でございます。  このたび,参考人としてご依頼を受けまして,意見陳述を申し上げることになりましたが,市議会ご当局から大変膨大な資料をいただきました。議員各位には数多くの審議事項があります中で,このように大変な資料に基づいて審議いただいていること,あらためて各位のご精励に敬意と感謝を申し上げたいと思います。  すでに,よくご承知いただいておりますように,水道料金の改定に関しましては,大きく言って費用の問題,それから負担区分の問題,次に分配の問題と,こういうことが柱になろうかと思います。この2番目の負担区分の問題は,これは国,あるいは一般会計の関係だと存じますが,なかなかご意見の多く,また,従来の経過もありまして,ドラスチックにかじを曲げるということのなかなか難しい問題であろうと,そう考えております。また,この分配の問題。大口とか小口,あるいは家事用と企業といったような分け方があるかと思いますが,これも従来から議会で議論を重ねてこられた末の現在のおおむねの形というものがほぼ決まっているというふうに存じておりまして,これもそう大きな変更を直ちに行うということも難しいのであろうと私は考えます。  したがいまして,大きなウエートは,費用の問題,これからどういうことにどういうお金をかけようとするのかということが非常にウエートが高いかなと,そういうふうに思います。  そういう観点で,私は主としてこの費用の問題につきまして,水道事業のあり方,あるいは今後の進め方についてどう考えるかということにつながると思いますので,そういった観点から申し上げたいと思います。  大きく分けまして,三つの視点から申し上げたいと思いますけれども,一つは,若い若いと言われている札幌市の水道事業自体も,そろそろ高齢化を迎えている部分があると。高齢化社会の問題,大変大きな課題でございますが,同様に札幌市水道事業にも,高齢化に対する対応の問題があるのではないか。二つ目に,サービス事業としての体質改善といいましょうか,そういった問題があろうと。三つ目に,やはり先ほどごあいさつにもございましたが,長期展望の上での次の世代に引き継ぐ形,次の世代にどういうものを引き継ごうとするのかという問題。実は,この三つの視点からご意見を申し上げたいと思います。  1番目の高齢化対策といいましょうか,実は,大変唐突で,内容も全く違いますし,条件が違いますが,先般ちょっとした雑誌で見ましたときに,原子力発電所に定年があるということを読んでおります。あれは,もちろんいつまでも古くなったものがあっては困るものでございますから,当然でございますけれども,しかし同じように,コンクリートと鉄でできた大きな施設がございます。建築物もそうでございますけれども,特に水道施設基幹施設,これはやはり一つの定年があるのであろう。  しかし,これは電力設備のように代替施設を設けて次のものを準備してつくり直すと,これはもうとうていかなわぬことでございますから,やはり計画的といいましょうか,常に若返りを図りながらやっていかなければならない。  市の水道が始まって55年と言いますけれども,もう若いとは言えない世代に入ってきている。この間に,水量にして約20倍の拡張があった。人口は8倍の膨張があったということで,比較的若い施設が多いわけですけれども,そうは言いながら40年過ぎますといろいろな問題が起きてくるのではなかろうかと。機能低下の進行ということが心配されるわけであります。そういった意味で,過去の非常にダイナミックな拡張時代,文字どおり言われて久しいですけれども,維持管理時代に完全に入っている。今後,ますますそういう運営管理の真価が問われるときになっていっている,そういうふうに考えるわけであります。  ちょうど2年ほど前,厚生省の生活環境審議会答申におきましても,フレッシュ水道といいましょうか,あるいは水準の高い水道といいましょうか,そういったものが期待されるという答申が出ております。そういった面から事業計画を拝見いたしましたけれども,パイプ更新等については,従来からおやりいただいている。これは,当然もっとさらに進めねばならないだろうと思いますし,一方,基幹施設については,たとえば浄水場配水池ポンプ場といったものにつきましては,まだ余り進んでいないのではないかと思います。これがある日,用をなさなくなるというようなことになりますと,これは大変に影響が大きいということだと思います。これは,やはり将来のために,いま申し上げましたような理由で,事業計画の中にそれなりに盛られているのではないかと拝見しました。  また,市の水道の保険といいましょうか,信頼性を保つといいましょうか,そういった意味で災害対策,近くは釧路,浦河,十勝,本州では宮城沖,新潟という幾つかの災害がございますが,地震国の宿命でございまして,いつ起きるかわからない災害に対して一種の保険をかけておく必要がある。これは,体が老化しているからなおさら非常に有効になるのではないかというふうに思います。  こういった点,ご当局,前からそれぞれ進めておられますけれども,まだまた不十分な点があって,緊急貯水槽を設ける,あるいは管網を管理しゃすいようにブロック化するといったような,いろいろな問題が盛られておりますが,やはり水のストックを大きくするということも大変大事であります。それから,実際の地震が起きますとほんの何ミリ,あるいはO.何センチのずれが非常に大きな影響を及ぼすということもございます。そういうことで,いわゆる施設,パイプ耐震化,何ミリでも何センチでも丈夫なようにする。そういうことが非常に将来のために必要なことであろうと考えます。  また,この50年の間に非常にドラスチックに変わってきておりますのが環境問題。  環境に対応して水道は非常に受け身ではございますけれども,札幌市の場合,地理的に恵まれていたとは言いますけれども,この対応もおろそかにはできない。ご承知のように,微量化学物質,農薬,あるいは塩素関係の副生物,さまざまな新しい物質,舌をかみそうな薬品が次から次と出てまいりまして,大変驚かされるわけでございますけれども,そういうニュースといいましょうか,そういう情報は,非常に市民の信頼感を揺らぐ問題になっている。市民あっての水道,市民の同意のもとに運営していく水道ですから,やはり信頼感を保ち得る体制,これはどうしても必要である。  ちょうど,もう1年ほどになりましょうか,大綱が示されまして,30年前からありました水道の水質基準も大きな改定がされまして,間もなく施行になるというふうに聞いております。この中で,いわゆる安全性の問題,これがさらに市民にわかりやすいように議論されていくと思いますけれども,市ご当局の体制そのものの中にこれにたえ得るような体制,あるいは機器の導入,技術者の確保,設備の整備といったようなことがどうしても必要であろう,そう考えます。  それから,これも高齢化と言っては失礼かとは思いますけれども,財政の問題。  これは非常に大きな問題で,この中で扱うのはいかがかとは思いますけれども,一種の心臓病,あるいは動脈硬化の心配ということになろうかなと私は思うわけでございますが,これの克服が必要であろうと。いろいろ伺っておりますと,要するに老後の蓄えがないといいましょうか,いままで申し上げてきましたように,いろんなリフレッシュのためにも,もちろんお金がかかりますし,保険をかけるためにもお金はかかりますが,一生懸命いままで拡張,拡張と働いてきて,市民からいただいた料金を全部そこへつぎ込んで,気がついたら実は蓄えがなかったと。まだ蓄える余裕がないという状態であるようにお見受けします。たとえば起債償還費が収入の50%を超えるという状態。この状態そのものは,決して悪いとは思いませんけれども,だんだん財政の硬直化が心配される。これは,いま料金を改定して,市民の同意を得て財政に注入しようと。効かない注射,役に立たない注射を打つのでは何もなりませんので,せっかく注射を打つのであれば薬として有効な効く注射を打っていただきたい,私はそんなふうに思います。  専門的にはいろいろなご説明やら内容があって,議員各位ももちろんお勉強していただいていると思いますが,基本的にそんなふうに私は考えております。  2番目に,サービス業の本旨に戻るといいましょうか,水道は物をつくって売るという2次産業の側面が確かにございますけれども,本質的にサービス業であると私は考えています。  たまたま,けさの道新で市の交通局が新しいロゴマークといいましょうか,STというイメージアップ作戦に取り組んだという報道を私も見ました。前々から交通局さんがいろいろご努力されていることは知っているわけですが,正直言って水道の場合,市民の関心が薄いというのは,一面は大変幸せなことではあるわけです。4年に1回料金改定のときに,ああ,水道というのはお金を払う,そう言ったら言い過ぎかもしれませんが,何かそういう感じがしないでもありません。ふだん,これほど密接に毎日蛇口にさわっており,その水を飲んでいながら,ほとんど空気か胃袋のように,それが健康であればほとんど意に介さない。これは大変幸せな状態ではございますけれども,しかし,いま一歩,官営企業と言ったらおかしいですが,お役所企業といいましょうか,そういった体質はどうしてもこの水道企業に残っているのでないか。そういった面が市民とのコミュニケーションとか,市民との情報交換,情報の提供,市民からのいろんな意見の吸収,これは料金改定の問題だけじゃなくて,もっとわれわれの水がどうなっていて今後どうなるのか,あるいは水質の問題はどう確保されているのかといったようなことについて,積極的にその情報提供をし,また,積極的に市民の意見を吸い上げる,そういうことがサービス業としての本旨にマッチすることではなかろうかなと,そんなふうに思います。  いろいろと大変難しい中でご苦労をいただいていると承知しておりますけれども,たとえば今回,全国でも早いほうだと聞きましたが,マンションの4階以上にも直接給水されるという計画がおありのようでございます。これは,大変エネルギーの節減,また建て主の方の経費の軽減にもなります。また,これは私の仕事にも関係があるのでございますけれども,一番問題になっております受水槽での水質悪化の問題,これはもう非常に市民にとっては喜ばしいことで,大歓迎であります。水道局としても,そうお金のかかることではないと思います。なぜいままでこういうことが全国的に余り積極的に考えられなかったのか,ちょっと不思議な気もいたしますが,建築側といいますか,住民側も,ああ,ちょっと建物が大きくなれば受水槽がつくんだよと,そういうものだよというふうに思い込んでいた節もございますが,これなど大変結構なお話かなと思いました。  いずれにいたしましても,メーターの改善というようなことも研究されると伺っていますが,これは北海道でいま5都市しかいまのような地下式メーターが使われていない。これが電気やガスのメーターのように,直接市民の目に触れるようになるということは,客観的に見て大変いいことだとは思います。ただ,非常にお金もかかる。それで,その投資の効果といいましょうか,それがどこへ返っていくのかというような問題,よく検討されると伺っていますので,これはぜひ前向きに検討していただきたいと思っておりますが,そういったことも市民とのコミュニケーションを保つ上で非常に有効であろうとは考えるわけであります。  いずれにいたしましても,ひとつ市民と水道局とが,等身大の対話ができるようなことを,ぜひ今後とも積極的に工夫して進めていただきたいものだというふうに考えます。  3番目に,次の世代に引き継ぐということになるのですけれども,余り時間がございませんので,簡単に申し上げたいと思いますが,ちょっと年とってきたなとは言いながら,なお札幌は膨張し,給水需要も増加し,それに対する施設整備もしていかねばなりませんし,将来水源として当別ダムがようやくはっきり明確な形であらわれたということは,その点で喜ばしいことだと私は思っております。  しかし,聞くところによりますと,それにしても二千何年ごろでしょうか,平成20年というと21世紀に入って間もなく,飲み尽くしてしまうのではないかと思われているわけですけれども,札幌が今後ますます発展していくとすれば,これは大変大きな問題を抱えている。これは問題提起になってしまって大変恐縮ですけれども,一般的に,たとえば当別川の次は石狩川かなんていう話もございますが,石狩川は大変な難物でございまして,非常に大きな選択を迫られるときがやがて来るのではないか。そういった長期的な中で,やはり現在一番大事なことは,水道事業として体力をつけていくこと。若返りを図りながら,さらに力をつけて,将来のまた次のステップに踏み出す力を養っていくことが必要であろう,そんなふうに考えまして,現在提案されております料金改定,この中長期的な視野の中で4年間の事業計画を区切って見てみますと,提案されたものは,おおむね妥当だと考えました。当面の料金改定はどうしても必要であり,かつ適切なものだというのが私の意見の集約でございます。  意を尽くさぬところがいろいろありますが,これで終わります。 ○丹野 委員長  どうもありがとうございました。  次に,土井勝久さん,お願いいたします。 ◎土井 参考人  ただいまご紹介をいただきました土井勝久でございます。  現在,札幌大学法学部で商法,会社法企業法等の科目を担当いたしております。  このたび,自民クラブさんと公明党さんの推薦によりまして,聴聞会での意見陳述の機会を与えられましたことに対し,関係者の皆様にお礼申し上げます。  まず,私の結論から先に申し上げますと,今回の水道料改定は必要やむを得ざる額であるという考えを持っております。  料金を支払う場合,一般的にはだれが考えても,安い金額を支払うほうがよいというふうに思うと思います。これは,私だけでなく,すべての市民の皆様の共通の気持ちだと思いますが,その反面において,賢明なる市民の皆様方は,水道事業受益者負担を原則とした独立採算制により経営されているということも十分ご承知だと思います。  そこで,今回の料金改定合理的妥当性の範囲内の金額であるという結論に至った論拠を五つばかりまとめておりますので,それをこれからご説明申し上げたいと思います。  まず1点は,従来の料金改定と今後の事業展開との関係をちょっと見ていきますと,札幌市は昭和12年に水道事業を開始しておりますが,その各種の充実発展計画をずっと実行してきた中で,平成3年度末での統計を見てみますと,給水普及率が98.6%,給水人口が165万人と報告されております。このような大都市で大きな断水,その他水道事故が一度もないというのは札幌市だけであり,驚嘆に値すると言っても過言ではないと思います。これは,各種の事業計画に基づく従来の事業が非常に適切であり,また,その根底となった料金算定に誤りがなかったというふうに考えると同時に,水道事業者の努力のたまものであろうと考えます。  そこで,最近の過去2回の料金改定率を見てみますと,昭和59年度が平均24.7%のアップとなっております。また,平成元年度の改定率が18.2%のアップというふうになっております。つまり,今回の改定を前回と前々回との改定との関係で単純に見てみますと,今回が改定率20.6%ということになっておりますので,以下に見る諸事業との関係から,一応合理的な改定幅の中にあると言わざるを得ないのではないかと思います。  次に,水道長期計画との関係に触れてみますと,第3次札幌市長期総合計画に基づき,水道事業においても平成17年を目標としまして,市民200万人,水道普及率99.9%ということを想定し,水源の確保,施設の拡充整備,災害や事故に強い水道システムの構築,それから安全で安定した給水サービスというような大項目を掲げまして,これらのもとに細目を計画しております。これは従来の長期総合計画との関係から見ましても,整合性を欠くというものではなく,むしろ水道事業における当然の計画であると解されます。したがって,過去から現在までの水道事業の成功を将来に残すと,そういうためにも,いままで同様,またはそれ以上の強い財政基盤の保証が要求されると私は考えます。  3番目に,平成8年度までの当面の具体的計画との関係を見ていきますと,まず1番目に第2次施設整備事業,これは昨年からスタートしている部分もあるようですが,白川浄水場浄水能力の増強,あるいは浄水池の増設,あるいは配水施設緊急貯水槽の新増設,配水管412キロメートルの新設と更新,こういったものがメーンになっているようですが,これらは将来の利用者増のためばかりでなく,厚生省令の改正により,ことしの12月1日から施行が決まっております水質検査項目大幅増に対応するためだそうです。そのほか,給配水管の整備,あるいは遠隔指示メーターの設置,それから直結給水の拡大,あるいは石狩西部広域水道企業団への参加,こういった6計画案を実施するためには,料金を改定せざるを得ない状況にあるというふうに考えます。  ちなみに,料金改定をしない場合,平成8年度末では損益ベースで253億円の赤字,資金ベースで247億円の赤字となりますが,料金改定をしますと当面は損益ベースでゼロ,資金ベースで約8億円の黒字とのことです。  次に,これらの事業計画を実施するために,料金値上げ以外に他に方法があるのかないのかという点で,財政計画との関係を見ていきますと,まず,起債ということで,企業債への期待があるのかないのかという点を見ましたら,市の原案によりますと,計画案どおりですと毎年90億円の借入れを継続して行うと。4年後の平成8年度末の企業債の未償還残高はそれでも1,984億6,000万円というふうに報告されております。この企業債に対する支払利息額が単年度平均で121億円,すなわち90億円の借入れよりも利息返還のほうが多いというふうになっております。しかも,平成13年度まででは年々この利息が増加するという資料が提出されております。このことは,独立採算制をとる企業会計から見まして,これ以上もう企業債には依存すべきではないと。むしろ企業債は減少していくべきではないかというふうに考えます。  ついでながら,水道事業に対する国の財政措置は6件ほどあるようですが,条件に合うものはすべて現在は申請しているとのことです。そのほか,一般会計の繰入れはどうかということで見てみますと,現在,消火栓の関係,あるいは豊平峡と定山渓ダムの先行投資との関係,それから定山渓ダムの国庫補助の1割と,当別ダムの国庫補助の3割,あるいは緊急貯水槽の建設費補助,調整区域の配水管布設費,あるいは定山渓ダム建設中の企業債の元利償還金とその利息相当額等,定率の金額を一般会計から繰り入れております。一般会計の税収が期待できる時期ならともかく,経済の低成長が予想される将来に,税収の伸びは余り期待できないのではないかというふうに考えます。したがって,これ以上の繰入れは一般会計からでもやはり無理なのじゃないかというふうな感じがいたしております。  その他,補助金への期待,あるのかないのか,これを見てみましたところ,水道事業に対する国の補助制度は現在4件ほどあるようですが,札幌市の水道の場合には,この条件に合うものがないということだそうです。つまり,起債,一般会計,補助金と,すべてに対して現在以上の財政的期待は余り持てないという状況になっているようです。  その次に,料金算出について検討してみますと,今回資金ベースから損益ベースへ変更したということですので,ちょっとこれに触れていきます。  これまでは,収益的収入から収益的支出を引いて,さらに資本的収入から資本的支出を引き,プラス・マイナス・ゼロになるような料金負担,あるいは料金算出方法をとっていたようですが,これからは収益的収入から収益的支出を引いたプラスマイナス,この段階でゼロになるような料金負担にするということだそうです。昭和40年以後,札幌市の急激な膨張に対するため,これまでは仕方のなかったことであったかもわかりませんが,一般企業における減価償却引当金相当額,これを内部に留保せずに,いままでは水道料金を値下げするためにこれらをすべて使ってきたということだそうです。したがって,現在約2,000億円の累積債務を抱えるという状況から考えますと,この累積債務を償却するために損益ベースへの変更をせざるを得ないという会計上の制度変更もやむを得ないのではないかというふうに考えます。  なお,すでに名古屋,京都,大阪,神戸,福岡,こういった政令指定都市は,すでに損益ベースを採用しているようです。  そのほか,他の都市との料金比較について考えてみますと,単純に料金の数字だけを比較してみますと,政令指定都市の中では札幌市の水道料金が一番高いというふうに報告されております。ところが,札幌市の近郊都市や道内の主要都市の料金を比較した場合には,札幌市の水道料金が必ずしも高いという状況にはありません。この原因は何かというふうに考えてみますと,本州の大都市と札幌市とを比較した場合,周知のこととは思いますが,気温であるとか,地質,水源確保,施設設置の時期,都市の性格等が余りにも違い過ぎるというふうに考えます。このことは,道内の他都市との比較においても,料金に余り差がないということから,私の考え方も間違っていないのではないかというふうに考えます。  つまり,本州の都市に比較して札幌市の水道は,昭和40年以後急激に膨張した結果,減価償却がまだ終了していない。あるいは,水源確保にダムが必要で,金銭的にかなりの投資が必要であったということ。そのほか,寒冷地ですべての設備に特別な負担がかかるということです。さらに,札幌市の多くの地質が泥炭であり,しかも函館本線から以北というのは,硫化性粘土質で水道管の傷みが外からの傷みということで,かなり激しいということです。そのほか,札幌市が消費都市であって,工場等の水道の大口利用者が少ないというような,本州にない特殊な事情があって料金が高くならざるを得ないのではないかというふうに考えます。  最後に,まとめになりますが,以上,いままでになく多くの資料と水道事業に関する答申書及び第11次札幌市営企業調査審議会会議録等,ほとんどのものに目を通してみました。いままでになく目を通させていただきました。その結果,今回の料金改定は必要やむを得ないものというふうに判断せざるを得ないのではないかと考えると同時に,審議会の議事録によりますと,この審議会はかなり活発な議論をしていたのだという印象を受けました。特に,事業計画における老朽水道管の更新や水質管理向上のための施設充実と,こういったものについては利用者としての当然の要求ということもありますが,さらに料金算出における累積債務解消策,このための損益ベースの採用というのは,子孫に美田を残すというよりも,むしろわれわれが20年後,30年後に至ったときに,自己の料金負担を少しでも軽くするためにやむを得ないというふうに考えます。  さらに,これが最後ですが,寒冷地における水道材の材質の研究開発については審議会も触れておりませんけれども,こういったものについても,将来水道局が積極的にやっていいのではないかという気がいたします。  そのほか,水質管理のさらなる徹底であるとか,緊急貯水槽の増加,分散,あるいは水道事業の啓蒙活動,こういったものは,今後の水道充実計画案にぜひ採用していただきたいと,こういうふうに考えております。  ご清聴ありがとうございました。以上です。 ○丹野 委員長  どうもありがとうございました。  次に,寺崎ひとみさん,お願いいたします。 ◎寺崎 参考人  新日本婦人の会の寺崎です。  私は,家計を預かる主婦の立場から,今議会に提案され,審議されております水道料金値上げ案に反対する立場で意見陳述をいたします。  小学生が2人,中学生が1人の5人家族のAさんの家庭では,1ヵ月23トンの水道量使用で,現行料金は2,950円です。これが値上げになると3,584円になり,21.5%ものアップで,年間では7,608円の負担増となります。また,4人の子供と寝たり起きたりのおばあちゃん,おじいちゃんを含め,8人家族のCさんの家庭では,1ヵ月44トンを使用しています。現行6,664円が8,126円となり,22%の値上げで,1年間では1万7,544円の負担増となってしまいます。年間30万円もかかる塾に行かないと希望する高校へ入学できない状況です。また,入学できたら,今度は入学金や授業料,交通費などで頭を悩ませています。老齢期を迎えた親のことでは,医療の問題や介護の問題でも悩みを抱えながら家計のやりくりをしている主婦としては,この水道料金については大変大きな関心を持っているところです。公共料金であり,生活用水である水道代の20%を上回る値上げは,私たち市民の暮らしを直撃いたします。その他の物価への影響も大変大きく,諸物価のつり上げの引き金となりかねません。家計簿からの悲鳴が聞こえてくるように思っております。  毎年のように公共料金が20%台,30%台で値上げされています。一般家庭の収入が20%も30%もふえていると思われているのでしょうか。それどころか,毎日のように企業の倒産や赤字決算が報道される深刻な不況の中で残業時間が減らされたり,パートの主婦の失業などで,実質収入が減っているのが現状です。毎年繰り返される公共料金の値上げは,私たちの暮らしを大きく圧迫します。我慢も限界にきたというのが本音というところではないでしょうか。  私の家では,昨年末から両親と同居を始め,中学生の息子1人を含め5人家族となりました。両親とも70歳を超え,体も大変弱ってきました。病気がちにもなってきております。40年来の持病のある母は,多いときには1日20回以上トイレに行きます。30分から40分間隔で行くこともあります。また,軽い脳血栓の後遺症のある父は,自分の意思どおりに体を動かしにくくなり,トイレにも間に合わなくなっています。失敗することが大変多くなりました。毎日の洗濯は,多いときで洗濯機を3度も使用するほどです。入浴も毎日欠かすことはできません。先日は,節水のためにと,トイレ使用後の水の量を加減して流していたために,紙が途中で詰まり,水があふれそうになるという一大事が起き,大変に慌てたという場面もあります。そのうちに1人で入浴するのが大変になる時期が来ることも考えて,浴槽を大きくしたことも影響して,12月,1月の2ヵ月で水道の使用量は86トン,上下水道料金は2万173円となりました。  上水道の1ヵ月の使用量は43トンです。現行料金で上水道だけでは6,478円。これが値上げになると7,900円になります。22%もの値上げ率です。年間にすると1万7,064円もの負担増。安らかな老後を送るのも,親孝行をするのも,大変難しいということになっております。  水は,私たちの暮らしに大変重要な役割を果たしております。水なしには一日も暮らせません。それゆえに,節水には限界があります。生きていくために必要な生活用水の値上げはやめていただきたい。  次に,議会事務局からいただきました水道料金改定案説明資料を見てみますと,一般家庭に対しては20%を上回る値上げとなっているのに,札幌に200件以上ある年間の使用量が3万トン以上,月にすると2,500トン以上使用している大口利用者の値上げは50ミリ口径使用の場合で18.8%,70ミリ口径使用の場合19.1%,100ミリ口径使用の場合は19.7%と,いずれも生活に必要で節水も限界という一般家庭より低い値上げ率になっております。水を使用することによって利潤を生み出す大口利用者に対する逓増制料金の設定について,ほかの政令指定都市や東京都と比べてみますと,札幌は仙台に次いで低く2.8倍と抑えられております。広島市,北九州市,神戸市,東京都は5倍以上です。大阪市は6倍に設定されております。大企業や大口利用者からはしっかりと応分の料金を徴収していることがわかります。  このように,一般家庭の料金より,使用することによって利潤を生み出す大口利用者に高い料金とする逓増度をほかの大都市並みにすれば,家事用料金の負担を軽くすることができると考えます。適正な逓増度としていただきたい。  さらに,いただいた資料をもとに,大都市の家事用料金を比較してみました。札幌の10トン使用の基本料金は現行で1,000円です。これは,11の政令指定都市及び東京都と比較すると,一番高い料金となっています。改定されますと,これが1,160円となり,さらに,その差は大きく広がります。大阪市の2.32倍,名古屋市の2.09倍,川崎市,横浜市の2.03倍となります。標準使用量の16トンで比較すると,札幌の2,210円は,名古屋市の1.72倍,川崎市の1.77倍,広島市の1.90倍,大阪市の何と2.66倍にもなっております。  昨年の夏に大阪から転居してきた幼児2人の4人家族のMさんの家庭では,札幌の水道料金の余りの高さに驚いたそうです。マンションに住んでいるために明細がわからず,管理人から請求される金額を聞いて,メーターが壊れているのか,または漏水をしているのか,どちらかだと思ったそうです。調べてみると,そのどちらでもなく,ただただ札幌市の料金が高いのだということがわかって,もう一度驚いたそうです。1年前,大阪に住んでいたときと比べて,洗濯の量も入浴の回数も変わらない,同じような生活をしているのに,昨年の2月には3,618円,ことしの2月には6,730円を支払ったそうです。1.86倍の金額となっています。保育料も,交通費も,国保料も,下水道料金も,ずっと高くなって,札幌は本当に暮らしにくいところというのが実感だそうです。  43トンを使用している私の家庭の場合には,現行6,478円が値上がりで7,900円になり,大阪の1.78倍の料金となり,その差額は月額で3,480円,1年間では4万1,760円も大阪に住んでいる人より多額の水道料を支払うことになります。  しかも,今回の値上げから料金算定方式が,いままでの資金収支方式から損益収支方式に変更し,累積欠損金56億円もこの4年間で一挙に解消し,資金的にも8億円もの黒字をつくり出すなど,より値上げ幅を引き上げる方式であり,納得できないものであります。  北海道の首都であり,172万人の人口を抱える政令指定都市札幌の水道料金は,やはり全国レベルで比較されて当然と思います。本州の大都市と比べると札幌市の所得は大変低く,最低ランクであるのに,全国で一番高い水道料金を払っているのです。1年のうちに半分近くも雪に覆われ,豊かな水資源があるにもかかわらず,なぜこんなに高い料金を払っているのか。そして今回の値上げでさらに重い負担を背負わされるのか。家計を預かる者としては,納得のできないことであります。大企業優遇のツケを市民に回さないでいただきたい。  さらに納得できないのが,地下水のくみ上げについてです。地盤沈下など,市民生活への弊害も懸念される現状を無視して,毎日大量にくみ上げて無料で使用しているビル,デパート,ホテル,工場などの大口利用者に対して,地下水くみ上げ規制を厳正に実施していただきたい。使用量に見合う負担を課すべきと考えます。一般家庭には,いや応なしに高料金負担を押しつけ,大企業にはただで使える地下水への逃げ道を残しておくなどは,認められることではないと考えます。  次に,今回ぜひとも検討していただきたいのが,老人,障害者,母子,生活保護世帯,また,社会福祉施設などに配慮された水道料金の減免措置の実施についてであります。これは,12の大都市中,東京都,川崎市,横浜市,名古屋市,大阪市,神戸市の6都市ですでに実施されていることです。この内容は,川崎市,横浜市では,生活保護世帯,身体障害者,精神薄弱者,重複障害者,寝たきり老人のおられる世帯には基本料金相当額を免除,また,名古屋市,大阪市などでは,重度痴呆性老人のおられる世帯,母子世帯,準母子世帯,老人世帯,これは67歳以上の老人のみの世帯及び,いずれか一方が67歳以上の夫婦のみの世帯,この老人世帯も基本料金免除の対象となっています。大阪市や神戸市では,生活保護法に定める保護施設,児童福祉法に定める児童福祉施設,老人福祉法に定める老人福祉施設などが20%から40%の水道料金減免になっております。12の大都市中,6都市で実現できて,札幌では実現できないというのは納得のできないことであります。市営企業調査審議会の答申書でも,生活困窮世帯等に対する料金の減免措置は,本来利用者の料金負担のもとで行うべきではないと考えると明記されているのに,なぜこの件に関しては一言も触れないのか。納得のできないところです。  さらに言えば,下水道料金は昭和34年からすでにこの札幌市でも減免が実施されていることを考えると,大変に不可解なことであります。札幌でも,他の大都市同様,生活保護世帯,老人世帯,母子世帯,障害者の世帯など,大勢の方が暮らしていらっしゃいます。年金の増加はほんのわずかで,物価の上昇には追いつきません。公共料金が20%以上も値上げされていては,生活していけなくなるのは明らかです。一般会計からの繰入れによって水道料金の減免措置を実施していただきたい。他都市で実施できて札幌でできないはずはないと考えています。下水道でできて上水道でできないはずはないとも考えています。水道事業の公共性の使命として,ぜひ実施していただきたいと考えています。  大企業に優しく,市民に冷たいいまの料金体系では,一層市民負担に拍車をかけるものとして,将来とも受け入れがたいものであること,発想を大転換させない限り根本的解決にはならないことを発言して,私の意見陳述を終わります。
    ○丹野 委員長  どうもありがとうございました。  最後に,吉田裕子さん,お願いいたします。 ◎吉田 参考人  市民ネットワーク北海道からの推薦を受けました吉田裕子と申します。  暮らしの中で感じている水への思いをこのような場で述べる機会をいただき,大変うれしく思っております。水の恩恵にあずかりながら,蛇口をひねれば瞬時に水が出てくることをつい当たり前に思い,ともすれば湯水のように使い果たしてしまいがちです。水は,流してもいずれまたわが家の蛇口へ舞い戻るという水の循環を意識しながら,水の使い方,暮らし方を考えていくべきではないかと常々考えております。  今回の水道料金改定については,生活者として,蛇口のこちら側から考えたことをまとめ,反対という立場で意見を述べさせていただきます。  一つは,大きな累積欠損金を抱え,その償還に当たって受益者の負担が大きいことです。札幌市の水道行政は,先行投資の時代から安定経営の時代へという変わり目にいると理解いたしました。実は,これまで水道の恩恵にあずかりながら,水道事業が財政的にこんなに厳しい状態だとは知らなかったと驚いております。一般的には,より便利で,より快適なサービスを受ける部分しか見ない,見えないというのが現実です。しかし,水道の受益者としては,応分の負担を惜しむものではありませんが,今回出された改定案では値上げ幅が平均で20.67%と,大きく家計に響きます。家計費が実質的には伸びていない社会的な状況の中で,この値上げは厳しいというのが実感でしょう。  そこで,もう少し値上げ幅を抑えることができるのではないかと考え,資料を拝見し,気づいた点を述べたいと思います。  一つ目は,累積欠損金は4年間と限定せずゆっくり返してもよいのではないかということです。ダムや浄水場の整備,配水管の布設など,大きな設備への先行投資を行い,負担金を大きくしてきたわけですが,これらの設備は今後長い期間にわたって使うものですから,恩恵に浴する受益者も長い期間にわたっているということです。審議会の中では,8年で返すことにすると0.5%ほどの減少にしかならないという試算も出されていますが,幅はわずかでもゆっくり着実に返すのがよいと思います。  また,言うならば大きな借金のあるいまは,不要不急の事業は控えて,まず赤字体質を改める努力をするときだと思います。今後4年間の間に,急いで着手しなくてもよいと思われる事業が予定に含まれていると思われます。料金改定の大きな理由は,財政の健全化,これが最優先課題だと考えます。そのためには,新たな事業を興して投資することは控えるべきでありましょうし,減価償却をきちんと終えた上で次の投資を計画しているかをしっかり検討しなければならないと思います。  たとえば配水管は,98.6%の普及率を誇るほどですから,ほとんど布設を終えて,今後は維持管理の時代に入ったと伺いました。修繕費を見てみますと,1993年度から1996年度は23.9%から27.7%へと推移しています。老朽化を理由に配水管を取りかえる作業をしていくそうですが,埋められたところの地質や周囲の状況で,傷み方にも相当差があると想像されます。まだまだ使える管まで次々と取りかえる計画なのではないでしょうか。地下鉄の券売機が耐用年数に達していないし,まだまだ使用に耐えられるにもかかわらず,新しい機械に次々と取りかえられているのだと聞いたことがありますが,水道局も同じで,そういうもったいない交換が行われるのだとすれば,今回の値上げにはますます賛成しかねます。  資料「水 4 経費の構成の推移」というグラフを見ますと,年々水道事業の規模というのは拡大しているものだということがよくわかります。非経常的な経費というのが今期新たに起債して行おうとする事業だと思いますが,計画は1992年度14.1%に対して,1993年度は17.6%と,金額的に大きく膨らんでいます。この部分を極力抑えて,負債をふやさないのが肝要だと考えます。たとえば遠隔指示メーターです。将来的には,自動検針システムを導入したいと考えておられるようですが,その場合には遠隔指示メーターはそのままでは利用できないと聞きました。先々,利用に不便になるとわかっているのであれば,あえていま設置して二重の負担を負うのもどうかと思われます。自動検針システムの導入まで待ってもよいのではないでしょうか。  同様に,給配水管管理システムの導入や西営業所の建設計画など,いましなければ後々管理上大きな損失を招くものでない以上,少し先送りするよう考えてもよいと思われます。  本州の大都市と水道料金の比較をすると,他都市はずいぶん安いのにびっくりします。大阪や横浜などは水道事業も古くから行われ,すでに減価償却も終えていると聞きます。おくれで水道が普及した札幌も,これから他都市のように安い水道水が供給されるだろう。いまは過渡期と考えたいのですが,そのような安定した時代を迎えるためにも,ぜひ水道事業はシンプルにとお願いしたいものです。  ところで,水道料金は必要以上には払いたくありませんから,水は大切に使うものと思っております。この聴聞会に当たって,仲間と話し合ったときにも,洗濯の仕方や水の使回しの工夫を自慢し合い,いかに節約できるかと話に花が咲いたりしました。また,私は西区に住んでいますが,家の近くを琴似発寒川が流れております。この川の水は,西野,平和,福井などの地区の飲料水としても使われており,夏に川の水量が減ると水道水は足りるだろうかと心配したり,泡が浮いていると水質は大丈夫だろうかと心配したりします。川の上流の手稲山や盤渓の林が天然のダムとして水をしっかり蓄えてくれるのも知りました。ですから,川や上流の山や緑地といった自然とともに,水は貴重な資源としてやっぱり大切に使おうと思っています。  ところが,浄水場に見学に行くと,たっぷりどんどん使ってくださいとおっしゃいます。私たちは,ここで不思議なことを言われるものだとわけがわからなくなります。しかし,このたびこのなぞが解けました。たくさん使ってたくさん料金を納めるのがよいわけですね。先行投資してつくった施設は,効率よく,目いっぱい使わないと,水の生産コストが大変高いものについてしまいますから,水をじゃんじゃん使う人がふえたほうが施設利用率や配水管使用効率などが高くなって,大変よい経営をしているということになるわけです。この辺が相変わらず釈然としないまま残ります。節水がよくないなんて,おかしいということです。  1日1人平均有収水量というのを見ると,4年の間に269リットルから278リットルに伸びています。4年前に比べて1人1日9リットルも多く使うようになったということですが,水の個人需要を押し上げ,新たな設備の拡大,投資の拡大を招く,そういう懸念も生まれます。また,水はどんどん使ったほうがよいというのを,別の見方をすれば,必要以上に大きい設備をつくってしまったということではないでしょうか。石油などのエネルギーと同様に,水も限りある資源として大切に使っていかなければならないと考えます。利用量の拡大で供給コストをカバーするのではなく,節水や水の再利用の徹底を図る中で後年に大きな負担を残すような,新たな設備投資を避ける努力が中心となるべきです。  現在の水道事業の財政状況を踏まえるならば,こうした発想の転換こそが必要とされているのではないでしょうか。札幌は短い間に人口が大きくふえました。これは,都市の成長などという生易しいものではなく,異様な膨張だと私には思えます。新しい定山渓ダムが170万人の人口を想定してのものだと聞いたのが3年前です。もっと人口はふえるだろうけれども,そうなったらどうするのかしらと思っていたら,200万人のために当別ダムが計画されていました。市民の水がめの用意は,都市計画と密接にかかわっていることを知りました。審議会の記録に250万人を超えたら大変なことになるという意見がありましたが,そろそろ札幌市も器と水がめという発想から,その器と周辺の産業や人口バランスをも見据えた展望が必要かと思われます。  私が入っている生活協同組合の卵を供給している生産者が当別にいます。彼の農地は,70戸ほどの農家とともにダムに水没します。後継者がいないなどの理由で,他の土地を得てまで農業を続けようとする人はほんの数人と聞きました。農業を続けることが希望の持てる状態でないこと,誇りを持って生き生きと続けていくのが難しい状況であることを感じました。ますます都市に人口が吸収され,農村は寂しくなります。都市があり,近郊には都市の胃袋を満たす農業が大切にされ,互いに手を結び合って豊かな景観をつくっている,そういう都市づくりができないものかと思っている私にとっては,何とかならないかと思うことしきりです。  遠回りのようですが,過疎に対する対策を立てることも,都市部への人口流入を防ぎ,水道の需要を押し上げて,また施設を膨らませるというイタチごっこをとめる有効な方法であると考える次第です。  今回,いろいろ調べて驚いたことはたくさんありますが,その一つに,水道を使っているのは件数で92%強ほどが家事用であり,多くの大口利用者は地下水をくみ上げて使っていると知り,地下水についても考えてみました。  札幌は,豊平川のつくった扇状地の上にあり,伏流水が地下に蓄えられています。私たちは,ダムに劣らぬ水源を足元に抱えているという格好になります。この豊かな資源も使う一方では枯渇するのは目に見えています。北大の池や植物園など,わき出ていた伏流水は枯れてしまいましたし,地盤沈下の心配も起きています。地下水を使う人,事業所,工場,ビルなどは,枯渇させないために何らかの方法で地下に水を返すことを義務づけるというのはどうでしょうか。また,トイレの水などは飲めるほどきれいにしなくてよいわけですから,雨水をためるとか,一たん使った水を処理して使うという,中水道の設備を設けるなどというのもどうでしょうか。水源は何も遠くのダムにあるだけではないのですから。下水道局では,浸透性の雨水ますを設置したり,緑地を見直すことを始めましたが,大きく評価できる取組みだと思います。ただ一方で,地下水を涵養する事業をしながら,他方では,流雪溝や融雪槽をつくって解かした雪をさっさと川に流してしまうという,矛盾した仕事をしているのではないでしょうか。  水一つをめぐっても,蓄える,浄化する,配る,処理して再利用する,捨てる,さらには人口の動態そのものをコントロールする対策まで含めて,いろいろな仕事がありますが,ばらばらに,それぞれの仕事をするのではなく,連帯して総合的に札幌市の水行政を企画し,行えるような仕組みをぜひつくっていただきたいものです。そのことが,恒久的に安定した水を確保し,必要以上の負担を抑えることにつながっていくと考えます。これまでは,札幌の急激な変化に対応するための水道行政であったろうと思われますが,維持管理,さらには子供たちに豊かな水資源を残すまちづくりへと,行政の成熟が望まれます。自然と調和した形での水を保つために,市民の参加も解決の方法としてぜひ取り入れていただきたいと考え,意見を述べさせていただきました。  最後までお聞きいただき,どうもありがとうございました。 ○丹野 委員長  どうもありがとうございました。  それでは,各委員から参考人の方に対して質疑があればお受けしたいと存じます。  なお,この場合,どなたへの質疑なのかわかるよう,初めに参考人のお名前をおっしゃってからお願いいたします。  質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○丹野 委員長  特になければ,参考人の方に対する質疑を終了したいと思いますが,よろしいですか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○丹野 委員長  参考人に対する質疑を終了いたします。  最後になりましたが,私のほうからも参考人の皆様に一言御礼を申し上げたいと存じます。  皆様方におかれましては,大変お忙しいところ,当委員会のためにお時間を割いていただき,まことにありがとうございました。本日賜りました貴重なご意見につきましては,今後の審査の上で十分参考にさせていただき,慎重な審議を行なって,市民の皆様の負託にこたえてまいりたいと存じます。本日は,本当にありがとうございました。  以上で水道料金改定に関する聴聞会を終了いたします。  なお,次回の委員会は,明25日午後1時から水道局関係の審査を行いますので,定刻までにご参集ください。  それでは,散会いたします。              ──────────────                散 会 午後2時12分...