以上の見地から,
札幌市
在宅老人介護手当支給条例案及び同趣旨の陳情・請願について反対をし,討論を終わります。
○議長(
見延順章君) 次に,
荒川尚次君。
(
荒川尚次君登壇)
◆
荒川尚次君 私は,ただいまから,
日本共産党を代表して,
議案第14号
札幌市
在宅老人介護手当支給条例案に賛成し,本市独自の
介護手当を求める請願第141号及び陳情第3号の採択を主張する立場で,簡潔に討論を行います。
今議会に9人の
共産党所属議員が提出した
介護手当条例は,
札幌市内で65歳以上の
寝たきりのお
年寄りや
痴呆性のお
年寄りを
在宅介護している世帯に対し,
所得制限なしで月額2万円の
介護手当を
支給しようとするものでありますが,
条例提案がマスコミなどで市民に知らされるや否や,わが
党議員団に対して,
制度実現を望む立場から多数の要望や意見が寄せられたことからも,
関係市民が待ち望んでいた制度であることは明らかであります。
低所得の
老人世帯で,
病気持ちのお
年寄りがお
年寄りを
介護している状況は,本市の5年ごとの
実態調査や国や道の調査によっても,また,昨年11月に
北海道民生委員児童委員連盟が
モニター調査報告をもとに発行した「
寝たきり・
痴呆性老人介護者実態白書」によっても明らかにされていますが,病院や施設ではなく,住みなれた家で身内の
介護を受けながら暮らし続けたいというお
年寄りの願いにこたえるためには,
在宅介護への
公的援助の強化が必要なことは言うまでもありません。
白書によれば,
在宅介護を続ける世帯における
福祉制度の
利用状況は,道が行なっている月額4,500円の
介護手当が高い比率を占めており,今後利用したい
サービスとしても,
入浴サービス,
ショートステイに次いで
介護手当が挙げられ,次にホーム
ヘルパーや
保健婦の派遣と続いているのであります。
その道の
介護手当について,
おむつ代にもほど遠いと指摘しているのであります。
本市が行なっている
おむつサービス事業は,平均すれば月額8,000円弱でありますから,それを白書が指摘する月に3万円は必要という実態に合わせて改善した場合でも,その
追加額は,わが党が
条例提案した
介護手当の月額2万円は優に超えるものであります。
また,
特別養護老人ホームで行なっているお
年寄りの一時
保護制度,いわゆる
ショートステイは1日2,020円,
介護者の
病気治療や
休養,旅行や
社会参加の活動などを保障するため月に10日これを利用してもらうとしたら,送り迎えの
タクシー代などを含めて月額3万円ほどかかります。
さらに,
寝たきりのお
年寄りを抱える世帯から強い希望が上がっている
ヘルパーの活用についても,
介護者のいる世帯に対する
本市ヘルパーの派遣はきわめて例外的な措置となっておりますから,
有料ヘルパーを頼むことにならざるを得ません。民間の
家政婦さんを依頼すれば,1日5,000円ほどは最低でもかかります。
仮に,本市の
在宅福祉サービス協会の
ヘルパーを活用できたとしても,1時間530円で3時間として1,590円,これに車代が加算されますから,
家政婦さんや
有料ヘルパーに3日に1度ほど一定時間
介護をお願いしたとしても,やはり2万円から5万円もの負担になるわけであります。
一方で,
老人専門病院や
特別養護老人ホームなどに入院・入所している
寝たきりや痴呆のお
年寄りの場合は,一部
本人負担はあるものの,月額30万円前後の
医療費や
措置費が公費で賄われていることを考えると,在宅のお
年寄りを
介護するご家族にそのご労苦をねぎらう月2万円の
介護手当は当然と考えるものであります。
在宅介護への援助は,
ホームヘルプ,
ショートステイ,そして
デイ・サービスといういわゆる3本柱の施策で事足りないことは,これらの
サービスを受けるにも
費用負担が伴う現状や,これらの事業にも取り組んでいる他
政令指定都市において,12市中9市までが独自の
介護手当制度をもって対応していることでも明らかであり,
介護手当が
寝たきり老人をつくり出すかのような議論は,
実態無視のすりかえと言わなければなりません。本
市議会が,本日,
全会一致で市長に対して
在宅福祉サービスの充実を求める決議を突きつけ,よりきめ細かな質の高い
サービスの提供を要望するのも,今日の
在宅介護の
市民生活の実態を看過できないからであり,新たな援護が緊急の課題となっているからであります。
老人医療無料制度,そして最近では,
眼内レンズへの
保険適用が,地方自治体でまず独自の
助成制度を実施しながら国に
制度化を迫って実現してきたように,他
政令都市の動向を見るまでもなく,本市においても市民の願いにこたえ,独自の
介護手当に踏み出しつつ,国に
制度要求を強めるべきが当然と考えるのであります。
独自の
介護手当を実施している他
政令都市と本市では何が違うのか。それは,必死でお
年寄りを
在宅介護する世帯への思いやりの問題ではないでしょうか。
3年前,初めて本
市議会に陳情として持ち込まれた独自の
介護手当を要求する市民の声は,今日「
札幌の
在宅福祉をよくする
連絡会」の結成とあわせて,あらためて
請願運動となって本
市議会の扉をたたいているのであります。
高齢者福祉の充実を選挙の
重点政策としながら,他都市が
制度化している
介護手当に背を向け,国や道において検討されるべきものなどと言い逃れる
桂市長のもとで,本
市議会の動向に市民の注目が集まっております。
関係市民の切なる願いにこたえ,本
市議会が
市民団体から提出された請願・陳情を採択するとともに,わが
党所属の9名の議員が
提案権を行使して共同提出した
介護手当条例を可決して市民の要求にこたえるべきことを再度強調して討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
見延順章君) ほかに発言がなければ,討論を終結し,採決に入ります。
この場合,分割して採決を行います。
まず,
議案第14
号並びに請願第141号及び陳情第3号の3件を一括問題といたします。
議案1件を可決することに,請願1件及び陳情1件の2件を採択することに賛成の諸君のご起立を求めます。
(賛成者起立)
○議長(
見延順章君) 起立少数であります。よって,
議案第14号は否決することに,請願第141号及び陳情第3号の2件は不採択とすることに決定されました。
次に,
議案第1号から第8号まで及び
議案第10号から第13号まで並びに
意見書案第2号,
意見書案第3号及び
決議案第1号の15件を一括問題といたします。
議案第1号から第3号まで,
議案第7号,
議案第8号及び
議案第10号から第13号まで並びに
意見書案第2号,
意見書案第3号及び
決議案第1号の12件を可決することに,
議案第4号から第6号までの3件を承認することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
見延順章君) ご異議なしと認めます。よって,
議案第1号から第3号まで,
議案第7号,
議案第8号及び
議案第10号から第13号まで並びに
意見書案第2号,
意見書案第3号及び
決議案第1号の12件は可決することに,
議案第4号から第6号までの3件は承認することに決定されました。
――――――――――――――――
○議長(
見延順章君) ここで,日程に追加いたしまして,
意見書案第4号
製造物責任法の
早期制定に関する
意見書及び
意見書案第5号 従軍慰安婦問題に対する公正な施策を求める
意見書の2件を
一括議題といたします。
いずれも全議員の提出によるものでありますので,直ちに採決に入ります。
意見書案2件を可決することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
見延順章君) ご異議なしと認めます。よって,
意見書案第4号及び
意見書案第5号の2件は可決されました。
――――――――――――――――
○議長(
見延順章君) 次に,日程第2,
議案第15号及び諮問第1号の2件を
一括議題といたします。
いずれも市長の提出によるものであります。
提案説明を求めます。
桂市長。
(市長桂 信雄君登壇)
◎市長(桂信雄君) ただいま上程をされました
議案1件及び諮問1件につきまして,ご説明申し上げます。
まず,
議案第15号は,
北海道公安委員会委員推薦に関する件であります。
本
委員会委員のうち,
札幌市長の推薦にかかわる委員であります伊藤太郎氏は,来たる7月22日をもって任期満了となりますので,その後任者といたしまして山根 喬氏を推薦することを適当と認め,議会の同意を得るため本案を提出したものであります。
山根 喬氏は,昭和33年4月に弁護士の登録をされ,日本弁護士連合会副会長,
北海道弁護士会連合会理事長等を歴任され,現在は,
北海道公文書開示審査会会長等をされている方であります。
次に,諮問第1号は,
人権擁護委員候補者推薦に関する件であります。
本市を職務区域とする人権擁護委員であります小野喜一,杉山喜一郎,高川庄平,土肥守一郎の4氏は,いずれも,来たる8月31日をもって任期満了となりますので,小野喜一氏の後任者といたしまして吉田英嗣氏を,杉山喜一郎氏の後任者といたしまして伊藤弘毅氏をそれぞれ推薦することを適当と認め,また,高川庄平,土肥守一郎の両氏につきましては,引き続き推薦することを適当と認め,議会の意見を求めるため本案を提出したものであります。
伊藤弘毅氏は,昭和41年4月に株式会社北海タイムス社に入社され,同社
札幌本社報道部長等を歴任後,現在は,同社論説委員長をされている方であります。
高川庄平氏は,昭和24年8月から株式会社平和堂代表取締役をされており,平成元年9月から人権擁護委員に就任されている方であります。
土肥守一郎氏は,現在,株式会社中央ターミナルデパート代表取締役社長等をされており,平成元年9月から人権擁護委員に就任されている方であります。
吉田英嗣氏は,昭和33年4月に株式会社
北海道新聞社に入社され,同社論説委員等を歴任後,現在は,同社論説主幹をされている方であります。
以上で,ただいま上程をされました各案件についての説明を終わりますが,何とぞ原案のとおりご同意くださいますようにお願いを申し上げます。
○議長(
見延順章君) ただいまの市長の
提案説明に対し,質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
見延順章君) 質疑がなければ,討論の通告がありませんので採決に入ります。
この場合,分割して採決を行います。
まず,
議案第15号を問題といたします。
本件に同意することに賛成の諸君のご起立を求めます。
(賛成者起立)
○議長(
見延順章君) 起立多数であります。よって,
議案第15号は同意されました。
次に,諮問第1号を問題といたします。
本件については,推薦することを適当と認めることにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
見延順章君) ご異議なしと認めます。よって,諮問第1号については,推薦することを適当と認めることに決定されました。
――――――――――――――――
○議長(
見延順章君) 最後にお諮りをいたします。
各位のお手元に配付の閉会中継続審査申出一覧表記載の請願・陳情につきましては,各委員長から閉会中継続審査といたしたい旨の申し出がありますので,その申し出のとおり決定することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
見延順章君) ご異議なしと認めます。よって,さよう決定されました。
〔一覧表は巻末資料に掲載〕
――――――――――――――――
○議長(
見延順章君) 以上で,本
定例会に付議の案件はすべて議了いたしました。
これをもって,平成4年第2回
札幌市議会定例会を閉会いたします。
――――――――――――――――
閉 会 午後1時32分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 見 延 順 章
署名議員 道 見 重 信
署名議員 加 藤 隆 司...