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平成 4年第二部予算特別委員会−03月24日-09号
平成 4年第一部予算特別委員会−03月24日-09号

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  1. 札幌市議会 1992-03-24
    平成 4年第一部予算特別委員会−03月24日-09号


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    平成 4年第一部予算特別委員会−03月24日-09号平成 4年第一部予算特別委員会            札幌市議会第一部予算特別委員会会議録(第9号)                 平成4年3月24日(火曜日)       ──────────────────────────────────                 〔聴 聞 会〕 〇議題 付託案件の審査 〇出席委員  34人    委員長   柴 田 薫 心 君       副委員長  関 口 英 一 君    委  員  越 智 健 一 君       委  員  青 木   護 君    委  員  常 本 省 三 君       委  員  大 越 誠 幸 君    委  員  宮 本 吉 人 君       委  員  伊 藤 知 光 君    委  員  山 崎 七 郎 君       委  員  岡 本 修 造 君    委  員  工 藤   勲 君       委  員  赤 田   司 君    委  員  水 由 正 美 君       委  員  加 藤   斉 君    委  員  川口谷   正 君       委  員  西 村 茂 樹 君    委  員  畑 瀬 幸 二 君       委  員  常 見 寿 夫 君    委  員  本 舘 嘉 三 君       委  員  森   健 次 君    委  員  長 内 順 一 君       委  員  義 卜 雄 一 君    委  員  吉 野 晃 司 君       委  員  加 藤 隆 司 君    委  員  八 田 信 之 君       委  員  上瀬戸 正 則 君
       委  員  三 上 洋 右 君       委  員  菊 田 勝 雄 君    委  員  荒 川 尚 次 君       委  員  飯 坂 宗 子 君    委  員  井 上 ひさ子 君       委  員  佐々木 周 子 君    委  員  中 嶋 和 子 君       委  員  菅 井   盈 君       ────────────────────────────────── 〇参考人    筒 浦   明 君   金 安 公 造 君   田 畑 夏 子 君    大 沢 陽 子 君     ──────────────       開 議 午後1時 ○柴田 委員長  ただいまから,第一部予算特別委員会を開会いたします。  それでは,早速議事に入ります。  議案第18号 平成4年度札幌下水道事業会計予算及び議案第42号 札幌下水道条例の一部を改正する条例案一括議題とし,下水道料金改定に関する聴聞会を行います。  初めに,開会に当たり市議会を代表いたしまして議長よりごあいさつを申し上げます。 ○見延 議長  議長の見延でございます。  本日,陳述を賜ります皆様におかれましては,時節柄何かとご多忙中にもかかわりませず,私どもの依頼を快くお受けくださり,ここにご出席をいただきましたことを心より御礼を申し上げる次第でございます。  皆様にはご承知のとおり,下水道は市民が良好な環境で健康的な生活を送るための重要な都市基盤施設であり,環境保護が大きな課題となっております今日においては,その果たす役割は一層重要性を増しているものでございます。この下水道事業を支えます下水道料金改定につきましては170万市民の生活に影響を及ぼす問題であることから,市議会といたしましても,この問題を審査するに当たり慎重を期すべきであるとの考えに立ち,皆様のご協力をいただき,本日の聴聞会を開催いたした次第でございます。  本日,ご出席をいただきました陳述人皆さんにおかれましては,いずれも本市の下水道事業について日ごろからご造詣の深い方々でございますので,忌憚のないご意見を賜りまして,今後の委員会審査の参考とさせていただきたいと存じます。  以上,簡単でございますが,開会に当たりましての御礼とごあいさつにかえる次第でございます。ありがとうございます。 ○柴田 委員長  続きまして,私は第一部予算特別委員長柴田でございます。  本日の聴聞会の司会を務めさせていただきますので,よろしくお願いをいたします。  早速でございますが,聴聞会を進めるに当たりまして,陳述をされる参考人皆様方お願いの事項がございます。  まず,発言時間についてでありますが,かねてお願いをいたしましたとおり,お一人おおむね20分程度を予定いたしております。  なお,発言順序につきましては,お手元に配付の参考人氏名及び発言順序の順に従いまして,私のほうからご指名させていただきたいと存じます。  次に,皆様方からご意見を伺いました後,委員各位から多少ご質問をさせていただく場合があろうかと存じますが,この点をお含みの上よろしくお願いを申し上げます。  それでは,参考人の方からご意見を賜りたいと存じます。  最初に,筒浦 明さんお願いいたします。 ○筒浦 参考人  座ってしゃべれということでございますが,自己紹介をいたします。北海学園大学経済学部教授で,北海学園大学名誉教授でございます。ちょっと変な肩書きですが,日本に私ぐらいしかいないんじゃないかと思いますが。  まず,皆さんお久しぶりでございます。「好きですサッポロ」という歌がありますが,私も札幌が大好きでありまして,私は東京生まれでありまして,昭和19年から札幌におりますから,札幌のほうがずっと長くなりました。住みよい街でありまして,自然もあるし,人口もほどほどであると。東京ぐらいになっちゃいますと,通勤だけで,私の次男などは都心部に通勤しておりますが,ついに腰を痛めてしまいました。電車1時間45分立ちっ放しだそうであります。そういうところから見ますと,実に札幌は住みいいところであります。  昔は,空気と水はただであるということで,大いに使って大いに捨てるということでこざいましたが,なかなかこのごろは飲む水にも金がかかるし,空気にもおそらく将来は金がかかるようになるだろうと。だんだんに汚れてくると。何とかしなければならないわけでありますが,こういう時期に来ているわけであります。  私は,専攻が地理学でありますので,私の発言地理学的になると思いますが,まず,上水道の歴史を振り返ってみますと,カナートというのが南米のチリの北部と,それから中近東にございます。これは乾燥地帯でありますので,水道をつくって,使った後はまた返すと。もちろん,汚い水を返すんじゃないんですけれども,むだに使わないというやり方であります。日本では,上水道ができましたのは,一番早いのは,おそらく皆さん意外に思われると思うんですが,神奈川県の秦野であります。これを知っている人は余りいないですね。水道専門家ぐらいしかいないんでありますが,これは扇状地でありまして水がありませんでして,それで扇状地の上のほうに,上といっても扇央というところですが,そこに逆断層がありまして,そこから水が出ていたのを水路で使っていたんですが,上流で流行病が発生しましたら下流まで全部なっちゃったというので,あわてて水道にいたしました。それが日本での水道最初で,これは何をモデルにしてつくったかと聞きましたら,盲腸だそうであります。盲腸考えたというんで,変な盲腸らしきものがくっついていまして,何も役に立たないものなんですが,それがくっついていまして,土管で引いたというのが日本最初でございます。  河川というのを考えてみますと,河川は上流のほうでは浸食が行われ,下流に来ますと比重分析されて,重いものといいますか,そういうものからたまっていって,そして泥がたまると。さらに,そこには活性バクテリアが繁殖しまして,そして汚泥のようなものをきれいにしてくれる。そして,海に入ります。海に入るところでは,汽水性といいまして,10から30‰のNaClを持っている水でありまして,これは皆さんよくお召し上がりになっている浅草ノリ,カキなどがその汽水性のところに養殖されたものであります。そして,海水になると。ですから,汽水性というところは非常に不安定地域でありまして,雨がたくさん降りますと淡水が広くなり,ひでりが続くと今度は海岸のほうにくっついてくるというようなところであります。海の中ではイオン分解が行われまして,NaClはご承知のように,Naはプラスイオンで,Clがマイナスイオンでありますし,Caなどが入りますと2荷のプラスイオンになります。泥とか植物のようなものはマイナスイオンに帯電しまして,そこで一緒になって中和現象が行われて沈殿が行われると,こういう仕組みになっているわけであります。  ですから,東南アジアや,あるいは暑いところなどでは,水上生活やら,あるいは高倉式生活をしまして,下に落っことして流しちゃうといいますか,流れて,それをお魚が食べていると。人口の少ないときはそれでいいんですけれども,多くなるとそうはいかないわけでありまして,私は世界54ヵ国をひとり歩きをしておりますが,見たところでは,一番古い下水クレタであります。クレタ文化クレタですね。クレタ島にありまして,ここの王様とお后のトイレがあります。これが水洗でございます。その文化はやがてギリシャに移り,トルコに移っていくわけでありますが,ヨーロッパ水洗発達をいたしましたのは,実は十字軍のときなんですね。あのときに,ヨーロッパの連中がトルコに侵入しまして,そのときにトルコの進んでいる水洗を見て,これはいいということになったわけです。特に,フランスなどは新第三紀層でありまして,水が浸透していかないわけです。北海道でも石油の地帯,石炭の地帯,特にかっ炭の地帯ですね。これらが新第三紀層でありますが,浸透していかないわけです。乾燥地域ですと放ったらかしておいても蒸発してしまうわけですが,湿潤地域はそうはいかないわけで,どうしても下水道が必要であるということになってくるわけであります。  さて,雨の根源というのはどこかといいますと,実はこれは大洋なんです。海なんであります。海から蒸発したものが断熱膨張で陸地に降るわけでありますが,特にわれわれの住んでいる宅地,あるいは河川といったようなところに流れ込んでくるわけであります。都市の中で言いますと,道路の側溝,あるいは雨といったものはご承知のように,公費で排水その他が賄われているわけでありますが,個人の家の使用料はどうかということになりますと,ご承知のような,これは自分で使った水でありますから,受益者負担の原則によりまして処理をしているということになるわけでありまして,上水道水道メーターがその基準になっているそうでありますが,実際,下水に出てくるのは上水道で使いました水,それにプラス飲料,ビールだとか,飲み物だとか,食べ物だとか,さらに蒸発量がそこから減るわけでありますが,大まかに言って大同小異上水道使用量にとられるであろうというふうに考えられているようであります。そして,最後終末処理場に行くわけでありますが,札幌の場合には雨水都市下水が,つまり公共下水都市下水が分離している管ではなくて,一緒になっているんでしょうか,分離しているんでしょうか。それで本管とか,処理施設その他は公費で賄われていまして,処理人件費とか,薬品その他の消費的なものとかというのは各消費者が賄うということを考えられているようであります。  改定のことを見ますと,汚水既存分が70%,値上げ分が30%のようでありまして,受益者負担でいいますと一般が3ですか,それから特定排水が1ということになっております。  札幌人口はご承知のように160万を超えてまいりました。年間2万5,000から3万人ほどの増がありまして,このごろ少し増が緩和されたようでありますが,いずれにしても全道の4分の1の人口を持ちます一極集中であります。日本都市人口をちょっと振り返ってみますと,第2次大戦の終わりましたときに37%でございまして,現在は65%以上にもなり,最近では70%を超したんじゃないかという話もあります。ヨーロッパ人口を見ますと,第2次世界大戦の終わりころに67%ぐらいでありまして,現在72%であります。ですから,都市人口に対する増加率日本ほど激しいところはなく,特に札幌などは私の来ました昭和19年はわずかに22万人でございました。北大に私も学生で通っておりまして,ほとんど市内を電車に乗ったことはまずないと。たまに外に出たら電車が来たから,じゃ乗るかという程度で,電車に乗ることを目的としていなかったというような時代もございますが,いまでは乗り物が非常に重要になってまいりました。  さて,このような急増の都市現象が見られるわけですが,都市快適性というものはどういうことかというと,これはいろいろな人がいろいろなことを言っておりますが,まず,札幌などを見ますと,道路発達がありましたし,次に上水道発達があり,交通機関発達があり,そして最後下水道,これが実は最後じゃなくて,その次には文化とか社会福祉の問題が出てくると思いますが,そういうことに皆さんも取り組んでいらっしゃると思います。下水道が普及し,どのくらい衛生的であるかというのは,近代都市のバロメーターになっておりますから,そういう点でも非常に注意を払いたいわけであります。このごろ,街の中を歩きますと,マンホールからの臭気が異様なことがございまして,これは市当局におかれましても,もう少し衛生的にしていただきたいというお願いをするわけでありますが,いずれにしましても,下水道の完備こそ近代都市でありますから,まずそれをやっていただきたい。景観その他,やるべきことはたくさんございますが,今度の改定の問題もその辺に中心があろうかと思います。議員諸氏の今後の札幌市民への貢献をお願いし,ご清聴を感謝いたします。失礼しました。 ○柴田 委員長  どうもありがとうございました。  次に,金安公造さんお願いいたします。 ○金安 参考人  ただいまご紹介いただきました金安でございます。  私は,いま北大の工学部の衛生工学科都市環境工学といったものを担当しております。先生方承知かと思いますが,衛生工学科と申しますのは,本日ご議論といいますか,ご検討いただいております下水道,それから非常に関係のあります上水道,あるいは水質,そういった関係講座を含みまして八つの講座からできております。卒業生大分市役所お世話になっておりまして,私の後ろにもおるようでございますが,ことしもうち講座から一人市役所のほうにお世話になることになっています。ただ,私の専門は都市環境という観点から,都市計画でいいます都市施設という観点下水関係があるということで,専門そのもの下水ではございません。しかし,門前の小僧といいますか,同じ学科の中でいろいろ議論されていることで,技術的な側面からお話ししたいと思います。  それから,私,自己宣伝ではございませんけれども,北大に来てちょうど10年目でございます。それまでは建設省という役所でもっぱら道路づくりをやっておりました。これは,建設省でいいますと道路局ということです。建設省にはご承知のように,都市局下水道部というのがありまして,日本全国下水道行政を所管しております。同じ土木屋仕事でございましたが,建設省時代も余り下水のことは関係がございませんで,これもまた門前の小僧というような形でございます。  私なりに下水道の役割というのを考えますと,一つは天から降ってくる雨水,それをできるだけ早く,街の中でいいますと住宅地から,あるいは街の中から排除して,内部浸水というんですか,そういったものをなるべくなくするという機能が一つ。それからもう一つは,ただいま筒浦先生も言われましたですけれども,家庭,あるいは事業場から出る汚水雑排水などと言っているようでございますけれども,それを集めてきれいにして,自然河川と申しますか,環境に戻してやると。大きく分けますと,その二つの機能があるかと思います。  下水道事業というのは,社会資本一つということで,公共事業的な位置づけがあるわけでございます。その中で,今回の料金改定に関連して考えますと,雨水にかかわる分というのは,これは天然現象自然現象でございますので,一般税金と申しますか,一般会計,そういったほうの金で賄うべきであろうと。それから,汚水につきましては,これは言うなれば垂流しを始末するわけですから,その汚れた分をきれいにする費用については原因者が特定できるわけでございますから,そこからしかるべく料金をいただくというような考え方になろうかと思います。これは,いただいた資料を読ませていただきますと, 昭和60年の7月,第5次下水道財政研究委員会報告というようなことで,雨水公費,それから汚水は私費というような,下水道事業にかかるお金負担考え方としては全国的に確立されている考え方でないかと思います。  私は道路仕事をずいぶんやってきましたが,道路もインフラストラクチュアといいますか,大きな公共施設でございますが,これはみんな税金でやっているんでないか,料金なんか取っていないんでないかとお考えになるかもしれませんが,実は,いわゆるガソリン税を主体にしまして,これは原因者負担にほとんど近い形になってつくられています。もちろん,有料道路料金を取っていますのでわかりやすいと思いますが,一般の国道その他も車を使う方が使うガソリンの量に応じて税金ガソリン税として国が一括集めて,それを道路建設,あるいは維持に使っているというようなことでございます。  このたびの料金改定に関連いたしまして,今後5ヵ年にやる事業費が1,700億でございますか,その間に,現在の料金体系でいきますと,維持管理等に要する費用が約200億ぐらい赤字になるというようなことのようでございます。そういった赤字分現行料金収入で割りますと35%の値上げという数字が出て,それが一つ値上げの数字になっておるようでございます。その35%のうちの20%ぐらいが諸物価の値上げに伴うもので,あとは料金負担お願いすべき分だというようなことでございます。  私,今回参考人ということで,これはうち下水料金をどれぐらい払っているかなということで,これは水道のほうの請求になっているんですが,見ますと,二月で40トンですかね,一月20トン。何か,平均的な札幌下水使用量というのは18トンのようでございますので,うちは大体平均だなということで,この35.5%の値上げを見ますと,月約300円ですね。1日10円。うちは4人家族なものですから,一人当たり1日2円50銭。高いのかな,安いのかな,うちのかみさんに言わすとやっぱり高いと言うし,僕はしかし,これぐらいはというような感じがいたしました。  今回の料金改定につきましては,前回と違うのは,いわゆる一般排水というんですか,月200立米以下の家庭は,これまでは資本費の半分は公費を入れていたわけですが,今回はその分100%料金のほうに賦課するというようなことが,これまでの料金考え方と違う唯一の点でないかと思います。この点につきましては,いろんな資料を拝見しますと,たとえば東京とか,名古屋,大阪,そういったところの下水道普及率がほとんど90%を超えていて,札幌も今回の計画が完了しますと99%ぐらいの普及率になるということで,それまでまだ普及率が80%台のころは,使用料としてお金を取るとき,使われる金の行く末を見ますと,これから利益を受ける人のために使われる部分もあったと,かつてはですね。ですから,現在の方が料金ですべて賄うというよりも,半分は先ほど言いました一般排水の半分は,これは公費で持ってもという考えがあったかと思いますけれども,かなり普及率が高くなりますと,現在の下水道施設を使うのは現在の人ではないかというようなことで,もう公費を入れなくて料金でいただくというような考え方になったのもやむを得ないのではないかという気がいたします。  いろいろございますが,これは企業会計のようでございますが,財政が破綻して借金ばかり多くなりますと,その利子の返済その他でますます後年度その負担が大きくなるということで,無理のない形で5ヵ年なら5ヵ年でとんとんにしようというのは,これは企業を預かっている方の一つのポリシーだと思いますので,そういうことで,200何億かの赤字をなるべく少なくするというようなことはやむを得ないのではないかという気がいたします。  それから,ほかの都市もそのようでございますけれども,札幌の場合,非常にたくさん使う人と,それから余り使わない家庭とでは,1リットル当たりの値段を変えていると。つまり,たくさん使うところには累進制をやっているということのようで,その趣旨は,たくさん使うところは高いですから,そういう累進制をとれば,そういうところはなるべく汚水を少なくして負担を少なくしようという努力が働くんでないかというような形で累進制がとられているようでございますが,聞くところによりますと,札幌の場合は,大量に水を使う,月5,000トン以上ですかね,そういうところは企業というのは少なくて,たとえば私のおります北海道大学とか,あるいは市立病院,そういうところのようでございまして,本来ですと企業努力をすべきかもしれませんけれども,余り期待ができないというようなことで,累進制そのものも高めないで現行どおりというようなことでございます。それでも,北大の場合,昔の料金,35%アップしないときの料金ですと,月1,800万円払っているそうです。これは,35%上がりますと月2,500万円,結局は今回の値上げで600万何がし負担せざるを得ないようでございます。ということで,現行累進制でもこの料金が上がることによって600万ぐらいふえると。累進制を高めるというようなことになりますと,それが1,000万とかなんとか,これは月でございますから,なると。文部省はすんなり予算措置を認めてくれればよろしいんでしょうけれども,一般的にはどこかがふえればどこかが減るということで,ささやかな研究費がさらに減らされてはかなわないということで,せめて現行累進制を維持していただきたいというのが,これはかなり個人的な希望でございます。  余り時間もございませんが,この5ヵ年でやる事業の中身についてちょっと感じたことを申し上げたいと思います。  1,700億という大きなお金を使っていろいろなことをやるわけですが,通常の維持的な業務,これはもうしようがないんですが,目玉として,10年確率の雨水に対するアクアレインボー計画という大変格好のいい計画がありまして,それに使われる金がかなり大きな部分を占めております。これは,かつて四,五年前市内で浸水があったとき,下水道をよく整備することによって浸水をなくそうということでございますが,その中身は,一つは,地下にしみ通りやすい下水構造をつくると。あるいは,道路の舗装でもいいんですけれども。それからもう一つは,しみ通りにくいところ,つまり地下水の高いようなところは大きな貯留管を入れまして,何か直径5メーターぐらいのようでございますけれども,そこに一時的に雨水をためて,しばらくして河川に出してやるというような計画のようでごさいます。  これは,私ちょっとよくわからないのは,これだけのいろんな事業をやるというんですけれども,具体的に,どこにどういう規模でどの程度やれば,その結果最初の出水がどうなるかとか,どの地域の浸水が防げるかという全体の設計図と申しますか,計画図が余り読み取れないという気がいたします。それで,この1,700億で5ヵ年間の仕事をされるわけですが,できるだけ公費,あるいは料金もそうですけれども,経済的な負担を少なくするという観点から,もう少し民間の活力,民活といいますけれども,民間の力を使ったらどうかという気がいたします。処理場のコンポスト等については,かなり民間に委託しているようでございますけれども,私がいま例として挙げましたアクアレインボー計画なんかの全体の計画といったものは,下水道局のしかるべき方が考えておられると思いますけれども,私も経験がありますけれども,机の上で事務をとりながら,陳情というのがあるかどうかわかりませんけれども,あるいは議会対策に追われていますと,ろくな知恵が出てこないんですね。ということで,そういった計画のソフト面は少しシンクタンクを使ったらどうかと。そして,一生懸命そういった事務をやれば,少しは人員も減るんでないかというような気がいたします。後ろにうちの卒業生がいますけれども,下水道事業というのは札幌市で30年か40年やっていると思いますが,大変皆さん自分はエキスパートだと,専門家だと,この分野はだれもわからないんだ,と思います。実際そうだと思いますけれども,その意識が少し強過ぎるんじゃないかという気がいたします。来年卒業生とってもらえないかもしれませんけれども,あえて申し上げますと,設計とかなんとかはかなりコンサルトをやっているようですけれども,もう少しビジョンを書くようなことを,そうですね,シンクタンクに5,000万ぐらい金を預けりゃすばらしい仕事をすると思うんですけれども,その辺のことをちょっとお願いしておきます。  ということで,余り時間がございませんが,言い足りないこともずいぶんございますが,この辺で終わりたいと思います。どうも失礼しました。 ○柴田 委員長  どうもありがとうございました。  次に,田畑夏子さんお願いいたします。 ○田畑 参考人  私は,札幌市に住む主婦の一人として,今回の下水道料金値上げに反対する立場からの意見陳述を行います。  下水道は,毎日の生活の中で1日たりとも欠かすことのできない身近な公共サービスです。現在,札幌市においては下水道普及率95%,水洗普及率約99%,ほぼ100%近くを整備され,安全で快適な市民生活を営む上で将来にわたり必要不可欠なものです。しかし,今回消費税を含めて37.5%もの下水道料金値上げは,6年前の平均33.4%の値上げに続くものですが,3年前に水道料金20%の値上げも行われ,ことし1月からこれには消費税も上乗せされたこととあわせて,市民生活に上下水道料金負担が重くのしかかっています。消費税の導入以降,食料品を初めとして日用品,教育関係費,交通料金,家賃など,基本的な生活必要経費はふえる一方です。さらに追打ちをかけるように,下水道料金を含む公共料金値上げは,1円,2円を節約して家計を切り回す主婦として何としてもやめてほしい。これは主婦の切実で共通な願いです。また,水を使う理容院,美容院,クリーニング店,食堂などでは,下水道料金改定に関連させて値上げも予想されます。まさに,下水道料金値上げ一般市民生活の全般にわたり暮らしを脅かすものです。  今回の料金値上げでは,10トンまでの基本料金が現在440円を29.5%アップの570円と,ほかの大都市と比較しましても,最低の大阪の295円とでは275円の差と,2倍近くになり,最高の仙台,神戸の470円と比べても100円高くなり,12政令都市中最高額となります。一般家庭の平均下水道排出量月18トンで計算しますと,現在816円が31.6%アップの1,074円になり,1年間では3,096円もの負担となります。しかし,1ヵ月平均18トンの排出量というのは独身世帯も含めた排出量です。夫婦2人,子供2人の一般的な家族構成では,平均20トンから30トンを排出しています。30トンを排出する家庭では,消費税を含めて上下水道料金が月にすると5,665円,2ヵ月ごとの支払いなので1万1,330円,年にすると6,300円の負担増になります。たび重なる水道料金値上げ,今回の下水道料金値上げ攻勢に,私の周りのごく一般的な家庭では,さまざまな節水の工夫を凝らし,生活の防衛を図っています。しかし,その内容も,入浴回数を減らすとか,洗濯はふろの残り湯で行うなど,節水もささやかなものです。  このように,乳幼児のいる家庭,大家族,お年寄りの介護が必要な家庭などは,節水したくても節水ができなく,40トン,50トンの排出量はやむを得ない状況です。全国的に見ても平均賃金の低い北海道では,昨年の賃金上昇率が5%と伺いました。わが家の夫も中小企業に勤める会社員ですが,昨年の賃金上昇率は3.9%,金額では6,900円にしかなりません。私には,4歳の長女,1歳の長男,汚し盛りの2人の子供がいます。洗濯は夏になれば朝と夜に2回行わなければならず,節水しようにも限度があります。年間6,000円もの出費増は頭の痛い問題です。また,年金生活者の方々など,生活費全般を切り詰めなければいけない家庭へのしわ寄せも大きいものがあります。このように市民生活を脅かす今回の下水道料金37.5%の値上げは,やめていただきたいのであります。  次に,値上げの理由によれば,汚水分費用負担分にかかわる資本費負担区分のルールの変更が挙げられています。これまでのルールによれば,152億円を一般会計から繰り入れなければなりません。それを今回の改定の中では,市民から料金として徴収する内容になっています。私は,下水道専門家ではありませんので,今回大変勉強させていただきました。札幌市は,下水道事業を推し進めていく上で,中央の下水道財政研究委員会が発表した第4次・第5次提言をよりどころにされていますが,私は第3次提言も勉強させていただきました。その第3次提言では,下水道サービスはナショナルミニマムと認識すべきものであり,下水道サービスは公共財であるから,公的主体が責任を持って供給すべきものであり,汚染者負担部分を除き,原則として公費負担とすべきであるとする。そして,維持管理費は,雨水公費汚水私費とするが,資本費事業場などから排出される特定排水を除き,雨水汚水ともすべて公費負担とすべきであると言っております。この提言に基づけば,下水道は公共財なのだから札幌市が責任を持つべきであり,維持管理費は汚水については使用者が負担し,資本費については事業場などの特定排水を除き公費負担,つまり札幌市で負担するということになります。  現在の負担区分を見てみますと,実際には資本費うち一般排水汚水分50%はすでに使用者負担になっています。これは,6年前昭和60年の値上げの際に,資本費うち企業債元金償還費のみが50%使用者負担であったのを,さらに支払い利息まで50%上乗せを行い,市民に大きな負担を求めてきました。しかし,その後の財政収支を見ますと,4年間で126億円の資金不足になるとしていたにもかかわらず,63年度末には32億円もの資金を残しています。4年間の間に,金利の引下げ,電気料金の引下げなどで好転したとはいえ,私たち一般市民の下水道料金の引下げになったわけではありません。60年度の料金値上げは,取り過ぎたわけではないのでしょうか。また,その後も毎年資金は残っており,平成3年度末にはまだ12億円も資金が残る予定になっています。それでもまだ負担区分を改悪して使用料にかぶせる形で変更する今回の料金値上げは,余りにも市民を無視していると思います。ほかの大都市の中には,資本費公費負担が横浜70%,神戸60%,福岡62%と札幌市より高く,広島,仙台50%と,札幌市と同等のところもあります。資本費公費負担原則を貫き,札幌市においても現在の50%負担を変更せずに財政計画を立てていただきたいと思います。下水道の拡張事業がピークを越えたことをもルール改悪の理由にしているようですが,長期の建設事業費の元利償還は今後も多額で推移する見込みであり,新たな市民負担への押しつけは許されないものと思います。  さて,平成4年度からの下水道整備5ヵ年計画には,都市化の発展に伴う多様な計画が盛り込まれています。都市化が進むにつれて,汚水量の増加,河川水質の悪化,処理の強化などの必要がふえると予想されますので,維持管理も大変重要であると思われます。これは,札幌市の公営企業を調査審議する市営企業調査審議会の答申でも,都市化の進展により今後も汚水の増加が継続すると考えられるので,下流の汚濁負荷を軽減し,河川の水質をよりよく維持するための処理の強化も重要であるとの指摘どおりです。  しかし,都市化の進む要因の一つである企業排出量の増加に対しては,ほかの都市と比べて料金が低く抑えられています。政令都市料金表を比較しても,大口排水者の単位料金を低く抑えています。改定後の料金で比較しますと,月1万トン以上の単位料金札幌市223円で12都市中,京都,大阪,名古屋に次いで下から4番目です。最高の福岡では355円と,札幌市はその3分の2の料金でしかありません。1,000トンから5,000トンまでの単位料金で比較しても,札幌市186円は下から3番目,最高295円の横浜のやはり3分の2にしかなりません。また,単位料金の最高額と最低額との累進度を比較しても,12都市中下から2番目と,やはり低く抑えられています。一般家庭への負担を軽減し,大企業はそれに応じた負担を求めて,累進度は最高川崎,福岡7.6倍,次の横浜7.4倍と,大口排水者に高くなっておりますが,札幌市は3.9倍にとどめています。このことからも,現在の料金体系を見直せば,37.5%もの異常な料金値上げは抑えられないのでしょうか。  家庭での下水道利用は企業とは異なり,それ自体利益を得るものではなくて,空気と同じように生きていく上で必要,当たり前のものです。快適な都市づくりを目指す札幌市において,実際利用している多くの市民の理解を得る上でも,まず,この料金体系を含む,企業には寛容な対応については是正するべきだと思います。札幌市の下水道が供用開始から25年で95%の普及率は目覚ましいものです。ほかの政令都市では,広島63%,川崎67%と,十分とは言えない都市もあります。それだけに,都市化への進展も急速だったとは思われますが,普及率の向上とともに使用料金の上昇も急速であるという現状は,生活実態を無視したものと言わざるを得ません。  以上が,私の今回の下水道料金値上げ反対の意見です。市議会で十分検討され,一般市民に大きな負担を強いる今回の値上げ案が撤回されるようお願いいたします。  最後になりましたが,今回こうして意見表明の場を与えていただきましたことにお礼申し上げます。ありがとうございました。 ○柴田 委員長  どうもありがとうございました。  最後に,大沢陽子さんお願いいたします。 ○大沢 参考人  市民ネットワーク北海道より参考人として推薦を受けました大沢陽子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は,札幌市の聴聞会において,市民の方々のご意見をお伺いできると同時に,市民としての率直な意見を述べる機会が与えられたことを大変うれしく思い,提案に対して反対の立場から意見を述べさせていただきます。  さて,すでに前述の参考人の方が述べられましたように,臨時市議会での地下鉄料金値上げ提案採択に始まり,今回の定例会では桂市長より下水道,保育,使用料・手数料など,公共料金値上げ提案が相次いでなされています。地方自治体の事業は,私たち市民の基本的生活に深くかかわっており,利用する側にとっては非常に選択肢の少ないものです。値上げに反対だから下水道は使わないでおこう,排水は来年まで待とうかなどというわけにはいきません。現在の札幌市の運営状態と将来の展望を踏まえ,慎重なご議論の末に提案されたものと思いますが,相次ぐ値上げは市民にとってはもろ手を挙げて賛成とは言いかねるものでございます。加えて,昨年12月の第4回定例本会議において,公共料金の消費税転嫁による条例改定が採択されましたが,今回の値上げラッシュにより,生活保護,障害者,寝たきり高齢者世帯などの家計がダブルパンチを受けることは目に見えております。札幌市が好きだと思っている市民が大変多いと,新聞報道や広報などで伝え聞いておりますけれども,暮らしやすくて好きだと思う市民がふえるよう,努力を惜しまないでいただきたいと思います。  今回の聴聞会に際して,私のような一般市民にとっては膨大な資料や会議録を送っていただきました。四苦八苦しながら目を通して,あわせて昭和60年度に行われた下水道料金改定についての聴聞会議事録も,ざっとではありますが目を通させていただきました。行政のおやりになったこと,お考えになっていることを縦糸とすれば,私が一市民として思うことを横糸にからめて,札幌市の未来像が描かれてくればうれしいことと思い,意見を述べます。  第6次下水道整備5ヵ年計画の中で,ボリュームが大きく事業費として計上予算額が大きいのは,普及促進と浸水対策が群を抜いています。170万人を超え,これからも年間2万人以上の増が見込まれる大都市札幌下水道考えるとき,市民生活の安全面,衛生面を優先する必要があり,普及率をより高めること,そして近年とみに市民の要望も強く転換期を迎えていると見られる,除排雪に貢献できる下水道事業を行なっていくという二つの姿勢があるように思いました。  札幌市の進めておられる雪さっぽろ21が市民の間で論議を呼び,関心が持たれるのはこれからのように思いますが,雪対策関連事業費として194億円が計上されており,5年計画で1,700億円のうち約1割を占めております。今回の提案資料や前回聴聞会の議事録を読んだ中で,私が最もうれしかったのは,事業費のほんのわずかなところではありますけれども,地下水涵養を目的とした浸水下水道の実施という項目です。項目も予算の額も余り目立たないものですが,総合的都市づくりを考える際に,私はここに注目したいと考え,幾つか問題点を述べたいと思います。  前回の聴聞会参考人のお一人が,雨水の有効利用について東京の国技館の例を挙げて述べておられたようです。これは,雨水をすぐに排出して下水に流すのではなく,飲み水以外のところで再利用し,節水を図ろうというものです。再利用という点では,古来より,最も自然な雨水の再利用は,雨を土に戻し,地下水として利用することでした。これは,いままでは当たり前のことでしたが,現在の都市生活ではこの当たり前のことができなくなってきています。お送りいただいた札幌市営企業調査審議会の議事録に,この点に触れた箇所があり,たとえば何千平米以上というスーパーとか,パチンコ屋とかが,全部舗装をして駐車場ばかりにしてしまうと,降った雨がそのまま下水管に流れ,処理流量としても大変な量になります。  このような開発の際に,札幌市の企画調整局の中に指導するところがあり,雨水を地下に逃すための浸透升や浸透管を設けるよう助言があるそうです。教育大学の跡地に高層アパートの開発行為があった際に,実際そういう指導がなされたと記されてありますし,日本開発銀行と中小企業金融公庫が雨水対策をとる人に対する融資事業を行なっていると書かれています。大きな面積ではなく,一般の住宅でも,土地面積いっぱいに家を建て,残りの土地も舗装をして車を置く家庭がふえています。無落雪建築の屋根から解けた水が下水となり,地面に降った雨もアスファルトに吸収されず,また下水となり処理されるなら,雨や雪が土に戻る暇がありません。雨水を土に戻すことに少々こだわり過ぎなのではないか。それは下水道料金関係があるのかと思われる方もいらっしゃると思いますが,上水道下水道,そして札幌市の将来像を長期的視野で考えるとき,この水のリサイクルという視点は非常に重要な要素を持ってくると確信します。  と申しますのは,私が西区に住んでおり,地域を流れる琴似発寒川の流れに深い関心を寄せていることと結びついております。特に,何年か前に,西野に浄水場があり,この川のあの取水口から水を引いて私はその水を飲んでいるということを知ったとき,川の表情を注意深く読む習慣が身につきました。川の表情と申しましたが,川はその水の色,におい,量などでいろいろなサインを発信していますが,西区の琴似発寒川も実に多くを語っています。取水口付近で,同じ西区に住む川に関心を持つ市民と,2年間簡単な水質調査を毎月行なっておりますが,昨年上流に札幌市の雪捨て場が設けられて,4月の融雪時には水も濁り,水質も悪くなることがわかりました。また,1年じゅうを通して水量が少なく,特に夏場にはそれがひどくなり,水温の高くなった川には珪藻類という藻が発生し,飲み水の味にも影響することがわかりました。札幌市民170万のうち,琴似発寒川の水を飲んでいるのはごくごく少数と思われますが,私は目の前のこの川の水を飲んでいるということで,水や川,そして都市とそれをめぐる環境について考え始めました。  昔は,自分の住む近くの川の水や,井戸の水を飲むのが当たり前のことでしたので,人々は水を汚さないように排水にも気を使いましたが,現代社会では,飲む水と出す水のラインは市民の頭の中ではきちんと結びついておりません。水は水道の蛇口から来て,下水に流れ去り,水道の源である雪や雨,川や地下水のことを身近にとらえられなくなってきています。これは笑い話のようですが,田んぼの見学に行くまで米は水田でつくられるのではなく,工場でつくるものだと思っていた小学生がいると聞きました。雨や雪は土にしみ込み,豊かな地下水やわき水となり,川の流れを支えているという当たり前のことも,現在の上下水道の整備された札幌市ではわかりにくくなってきています。雨水や融雪水を地下に戻してやり,処理場に流れ込む量を軽減することもでき,加えて,地下水や川の保全に役立つとすれば,今回提案されている地下水涵養を目的とした浸透式下水道の実施は今後も積極的に進めていただきたいと思います。  上水道の水量確保のために札幌市では新しいダムの設備が始まりますが,他の自治体に依存する水行政ではなく,水環境という点で,上水道下水道をトータルに考えた発想ができないものかと考えます。森や水田は,それ自体が巨大なダムであります。かつて,西区にも西野米として有名な水田農家があり,私の住む近くには用水路の完成を祝う立派な記念碑が建立されており,水を大切にしていた昔の人々をしのばせます。宅地化が進み,治水のため川は護岸で固められ,川の水は乏しくなりました。生態系を変えてしまうダムという発想ではなく,当たり前の水のリサイクルによって地下水位や川の流量が豊かになれば,札幌市内に数ある2級,3級河川の水辺環境も改善され,市で進めておられる親水事業の効果も上がるものと思われます。環境考え,ごみの資源化,リサイクルという視点が注目されていますが,水のリサイクルという発想も札幌市の行政の中にぜひ反映させていただきたいと思います。  私たち市民は,水道料金を払い,飲み水を買っています。下水道料金を払い,汚水処理してもらっておりますが,生活を保障する範囲内でどちらの使用料も少ないにこしたことはありません。今回の審議会の討論を読んで少々気がかりな点は,上水,下水とも節水, つまり水の消費量を抑制しようとする動きがないことです。節水を奨励すると使用量が低下し,予定の使用料収入が減ってしまうという行政のお考えが示されているように思いました。札幌下水道局が,これまでの蓄積とご努力で市民の生活向上に貢献されたことは高く評価いたしますが,ことしの6月ブラジルで世界各国が一望に会し,環境問題を考える世界環境サミットを開催する必要があるほどの地球規模での環境破壊が進む今日,もし水の使い捨てを見直すという視点を下水道事業にかかわる方々がお持ちでないとすれば,これは重大な問題です。処理設備も整い,処理技術も向上された現在,汚濁負担の問題もなく,出された水はどんどん処理できますよという姿勢は改めるときに来ていると思います。  確かに,朝シャンに始まった現代日本人の清潔好きはもはやブームとなり,一般家庭での水の使用量がその国の文化をはかるバロメーターだと言われましたが,果たしてそれはいまも当てはまるでしょうか。ごみに関して申せば,現在ではごみの量がその人の知性度のバロメーターだと言われています。つまり,何でもかんでもごみとして捨ててしまうのではなく,資源として再生できるものとそうでないものに分け,行政に処理お願いするものだけをごみとして出す人のごみの量は当然少なくなり,知性のあらわれとなってくると言われるそうです。  と申した後で申すのはちょっと恥ずかしいんですが,私も昨年,土の中に埋め込んで使うコンポストを購入して以来,台所のごみが夏,冬を通してぐんと減りました。紙や瓶・缶などは資源回収していますので,週1回のごみ提出となり,知性派の仲間入りをさせていただいたのではないかと思っています。家庭企業でごみ軽減の努力をすれば全体のごみの量が減り,当然,処理費用も削減されてくるのと同様,全体の汚水量が減少すれば処理費用も少なくなると考えるのは余りにも素人の発想なのでしょうか。大量に排出したほうが資本費は安くなるという考え方があるようですが,ごみも下水も量がふえれば,どんなに処理能力に自信があっても,処理による環境汚染は避けられません。何事も簡単便利をたっとぶ風潮の中で,行政が政策と実践において世論を正しくリードしていけたら,札幌市の環境は必ずや守られていくであろうと期待します。  話は変わりますが,子育て中の母親にとって,地域の公園で子供が安全で伸び伸びと遊ぶことは何よりのことです。でも,見渡してみると,狭い敷地内に遊具がいっぱいあって人けのない公園もあるようで,どんな公園がどんな使われ方をしているか調べてみようということになり,昨年8月西区内18ヵ所の公園を1週間にわたり利用実態調査をいたしました。興味深い結果もあり,引き続き同じ公園でことしの2月に冬の調査もいたしました。夏も冬も全くと言ってよいほど利用されない寂しい公園もありましたが,冬のほうが子供たちに愛されている公園もありました。安全で適当な広さの空き地があり,そこに何げない雪山があれば,子供たちは家に閉じこもっていないで何時間でも楽しそうにミニスキーやそりをして遊んでおります。町内の人が捨てた雪が山となったものでも,築山としてあったものに雪が積もり雪山となったものでも,何であれ,雪の山があれば子供は天国です。そうして遊んだ雪の山は,春になり緩んできて,南側の暖かいほうから地面が出始め,ちょろちょろとさながら小川のように流れ地面に吸い込まれていく。そんな当たり前のことに気づかない子供たちがふえている現在,環境教育は重要な役割を担ってくるでしょう。札幌市では,小学校4年生の社会科の授業で,下水処理場やごみ焼却場の見学が取り入れられているようですが,今回の5ヵ年計画にある下水道科学館の建設などの利用で,学校教育の中に環境問題をもっと積極的に組み込んでいく必要があると思われます。  アメリカというと連想されるハンバーガーの容器に使い捨てのトレーが使用されていましたが,アメリカの高校生たちはこれに疑問を抱き,不買運動を展開,容器の改善を実現させたという記事を新聞で読みました。環境問題を考えていく若い世代を育てる必要を強く感ずるいま,札幌市ではどうでしょうか。  ことし2月,西区内の小・中学校において生理用ナプキン処理方法について調査をいたしました。小学校18校,中学校8校で,聞取りによる調査回答が得られ,西区内小・中学校の8割以上の実態が浮かび上がりました。ナプキンの処理については,札幌市の指導もあり,大半の学校でごみとして処理をしていますが,回答のあった小学校のうち6校で,トイレにそのまま流している現状がわかりました。また,いまは容器に入れて捨てるようにしているが,だれが片づけるかで毎年頭を痛めるので,できれば水に流したいと考えている学校も複数ありました。汚水処理考えると,目の前が暗くなるような現状ですが,中には児童が捨て方を考え,容器などの置き場所を話し合っている学校もありますので,この点では学校教育の中に環境問題をきちんと位置づけ,考えていく機会をふやすことにぜひ期待したいと思います。  さらに,下水道汚水処理考えるとき,環境を守る石けんの利用促進を大事に考えたいと思います。札幌市では,すべての小・中学校における学校給食の食器洗いに石けんが使われるようになったことは,大変評価すべきことです。その上,昨年からは公共施設での石けん使用についても,各区の区長さん方から理解をいただけるようになってきており,環境保全に対する札幌市の姿勢がうかがえます。  具体的な例に,静岡県三島市の下水処理場の実験結果がございます。その処理場にかかわる全戸約1,000軒に石けんを配布し,それ以前と配布後,半年ずつの処理場について比較調査をいたしました。合成洗剤使用時の下水処理能力は悪く,水の透明度は低く,微生物は死に,その死骸や界面活性剤そのものが汚泥の中に詰まった状態になっていました。ところが,石けん配布後は,BODやCOD,その他の水質検査すべてにわたって改善が顕著で,石けんは微生物を一層増加させ,それによって処理能力は高まっていました。今後とも,石けんが環境保全に果たす役割を考えますと,環境教育の中に積極的に石けんを位置づけていくことを切望いたします。  日本全国が平均化し,四季の変化の美しい札幌でも,冬も夏と同じ経済活動や生活様式が望まれるようになってきています。昨年の冬は記録的な大雪で,冬は除雪に泣きましたが,夏は山に積もった雪のおかげで,例年よりは西区の琴似発寒川の水量も維持され,一安心したものです。自然のサイクルを無視して簡単,便利を追求すると,そのための設備にかかる費用,維持する費用,処理する費用として事業費が必要となり,結局,税金使用料として市民にはね返ってきます。  最近,北海道の幌延町が核のごみに次いで首都圏の産業廃棄物の処理も引き受ける決定をしたと聞いて大変驚いております。東京から幌延まで廃棄物を運ぶ経費はどこが負担するのでしょう。税金を払う東京都民も,ごみを埋められるかもしれない幌延町民も,それが自分たちの望んだ方法なのでしょうか。今回の議案提案説明によりますと,時代の潮流に的確に対応する市政を考えておられるようですが,時代の流れが長期的視野の中で正しいものかどうか判断する使命が行政にはあるように思われてなりません。特に,下水道が深くかかわる環境問題は,効果や結果がわかるのに長い時間や年数が必要ですから,あのとき札幌市では市民のニーズにこたえてくれていないと思っていたけれども,何年か経たいまは,そのときの判断が正しいとわかるような政策判断が問われていると思います。現代の代表的な風潮,簡単,便利,使い捨て主義に流されることなく,的確な判断により,環境を守るのみではなく,札幌市は市民が,そして行政がよりよい環境をつくっていると評価されるような市政執行を期待いたします。やがて近い将来,自治体の水道料金の低さが,環境の豊かさや文化度をはかるバロメーターとなる日も来るように思います。  以上のような点から,今回の下水道料金改定について,値上げ率などに一考の余地があると思い,反対の意見を述べさせていただきました。散漫な意見最後までお聞きくださいまして,どうもありがとうございました。 ○柴田 委員長  どうもありがとうございました。  それでは,委員から参考人の方に質疑があればお受けいたします。  なお,この場合どなたへの質疑なのか,あらかじめ参考人のお名前をおっしゃってからお願いいたします。  質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○柴田 委員長  なければ,参考人の方に対する質疑を終了いたします。  私からも,参考人皆様に一言お礼を申し上げます。
     皆様方におかれましては,大変お忙しいところ当委員会のためにお時間を割いていただき,まことにありがとうございました。本日賜りました貴重なご意見につきましては,今後の審査の上で十分参考にさせていただき,慎重な審議を行なって市民の皆様の負託にこたえてまいりたいと存じます。本日は,どうもありがとうございました。  以上で下水道料金改定に関する聴聞会を終了いたします。  次回の委員会は,3月26日午後1時から下水道関係の質疑を行いますので,定刻までにご参集ください。  本日は,これをもちまして散会いたします。     ──────────────       散 会 午後2時10分...