委 員 三 上 洋 右 君 委 員 菊 田 勝 雄 君
委 員 荒 川 尚 次 君 委 員 飯 坂 宗 子 君
委 員 井 上 ひさ子 君 委 員 佐々木 周 子 君
委 員 中 嶋 和 子 君 委 員 菅 井 盈 君
──────────────────────────────────
〇
参考人
筒 浦 明 君 金 安 公 造 君 田 畑 夏 子 君
大 沢 陽 子 君
──────────────
開 議 午後1時
○
柴田 委員長 ただいまから,第一部
予算特別委員会を開会いたします。
それでは,早速議事に入ります。
議案第18号
平成4年度
札幌市
下水道事業会計予算及び議案第42号
札幌市
下水道条例の一部を改正する
条例案を
一括議題とし,
下水道料金改定に関する
聴聞会を行います。
初めに,開会に
当たり,
市議会を代表いたしまして
議長よりご
あいさつを申し上げます。
○見延
議長 議長の見延でございます。
本日,陳述を賜ります
皆様におかれましては,時節柄何かとご多忙中にもかかわりませず,私どもの依頼を快くお受けくださり,ここにご出席をいただきましたことを心より御礼を申し上げる次第でございます。
皆様にはご
承知のとおり,
下水道は市民が良好な
環境で健康的な
生活を送るための重要な
都市基盤施設であり,
環境保護が大きな課題となっております今日においては,その果たす役割は一層
重要性を増しているものでございます。この
下水道事業を支えます
下水道料金の
改定につきましては170万市民の
生活に影響を及ぼす問題であることから,
市議会といたしましても,この問題を審査するに
当たり慎重を期すべきであるとの
考えに立ち,
皆様のご協力をいただき,本日の
聴聞会を開催いたした次第でございます。
本日,ご出席をいただきました
陳述人の
皆さんにおかれましては,いずれも本市の
下水道事業について日ごろからご造詣の深い方々でございますので,忌憚のないご
意見を賜りまして,今後の
委員会審査の参考とさせていただきたいと存じます。
以上,簡単でございますが,開会に
当たりましての御礼とご
あいさつにかえる次第でございます。ありがとうございます。
○
柴田 委員長 続きまして,私は第一部
予算特別委員長の
柴田でございます。
本日の
聴聞会の司会を務めさせていただきますので,よろしく
お願いをいたします。
早速でございますが,
聴聞会を進めるに
当たりまして,陳述をされる
参考人の
皆様方に
お願いの事項がございます。
まず,
発言時間についてでありますが,かねて
お願いをいたしましたとおり,お一人おおむね20分程度を予定いたしております。
なお,
発言順序につきましては,お手元に配付の
参考人氏名及び
発言順序の順に従いまして,私のほうからご指名させていただきたいと存じます。
次に,
皆様方からご
意見を伺いました後,
委員各位から多少ご質問をさせていただく場合があろうかと存じますが,この点をお含みの上よろしく
お願いを申し上げます。
それでは,
参考人の方からご
意見を賜りたいと存じます。
最初に,
筒浦 明さん
お願いいたします。
○
筒浦 参考人 座ってしゃべれということでございますが,
自己紹介をいたします。
北海学園大学経済学部教授で,
北海学園大学名誉教授でございます。ちょっと変な肩書きですが,
日本に私ぐらいしかいないんじゃないかと思いますが。
まず,
皆さんお久しぶりでございます。「好きですサッポロ」という歌がありますが,私も
札幌が大好きでありまして,私は
東京生まれでありまして,
昭和19年から
札幌におりますから,
札幌のほうがずっと長くなりました。住みよい街でありまして,自然もあるし,
人口もほどほどであると。東京ぐらいになっちゃいますと,通勤だけで,私の次男などは
都心部に通勤しておりますが,ついに腰を痛めてしまいました。
電車1時間45分
立ちっ放しだそうであります。そういうところから見ますと,実に
札幌は住みいいところであります。
昔は,空気と水はただであるということで,大いに使って大いに捨てるということでこざいましたが,なかなかこのごろは飲む水にも金がかかるし,空気にもおそらく将来は金がかかるようになるだろうと。だんだんに汚れてくると。何とかしなければならないわけでありますが,こういう時期に来ているわけであります。
私は,専攻が
地理学でありますので,私の
発言は
地理学的になると思いますが,まず,
上水道の歴史を振り返ってみますと,カナートというのが南米のチリの北部と,それから中近東にございます。これは
乾燥地帯でありますので,
水道をつくって,使った後はまた返すと。もちろん,汚い水を返すんじゃないんですけれども,むだに使わないというやり方であります。
日本では,
上水道ができましたのは,一番早いのは,おそらく
皆さん意外に思われると思うんですが,神奈川県の秦野であります。これを知っている人は余りいないですね。
水道の
専門家ぐらいしかいないんでありますが,これは
扇状地でありまして水がありませんでして,それで
扇状地の上のほうに,上といっても扇央というところですが,そこに逆断層がありまして,そこから水が出ていたのを水路で使っていたんですが,上流で
流行病が発生しましたら下流まで全部なっちゃったというので,あわてて
水道にいたしました。それが
日本での
水道の
最初で,これは何をモデルにしてつくったかと聞きましたら,
盲腸だそうであります。
盲腸と
考えたというんで,変な
盲腸らしきものがくっついていまして,何も役に立たないものなんですが,それがくっついていまして,土管で引いたというのが
日本の
最初でございます。
河川というのを
考えてみますと,
河川は上流のほうでは浸食が行われ,下流に来ますと比重分析されて,重いものといいますか,そういうものからたまっていって,そして泥がたまると。さらに,そこには
活性バクテリアが繁殖しまして,そして汚泥のようなものをきれいにしてくれる。そして,海に入ります。海に入るところでは,
汽水性といいまして,10から30‰の
NaClを持っている水でありまして,これは
皆さんよくお召し上がりになっている
浅草ノリ,カキなどがその
汽水性のところに養殖されたものであります。そして,海水になると。ですから,
汽水性というところは非常に
不安定地域でありまして,雨がたくさん降りますと淡水が広くなり,ひでりが続くと今度は海岸のほうにくっついてくるというようなところであります。海の中では
イオン分解が行われまして,
NaClはご
承知のように,Naは
プラスイオンで,Clが
マイナスイオンでありますし,Caなどが入りますと2荷の
プラスイオンになります。泥とか植物のようなものは
マイナスイオンに帯電しまして,そこで一緒になって
中和現象が行われて沈殿が行われると,こういう仕組みになっているわけであります。
ですから,東南アジアや,あるいは暑いところなどでは,
水上生活やら,あるいは
高倉式の
生活をしまして,下に落っことして流しちゃうといいますか,流れて,それをお魚が食べていると。
人口の少ないときはそれでいいんですけれども,多くなるとそうはいかないわけでありまして,私は世界54ヵ国をひとり歩きをしておりますが,見たところでは,一番古い
下水は
クレタであります。
クレタ文化の
クレタですね。
クレタ島にありまして,ここの王様とお后のトイレがあります。これが
水洗でございます。その文化はやがてギリシャに移り,
トルコに移っていくわけでありますが,
ヨーロッパで
水洗が
発達をいたしましたのは,実は十字軍のときなんですね。あのときに,
ヨーロッパの連中が
トルコに侵入しまして,そのときに
トルコの進んでいる
水洗を見て,これはいいということになったわけです。特に,フランスなどは新第
三紀層でありまして,水が浸透していかないわけです。北海道でも石油の
地帯,石炭の
地帯,特にかっ炭の
地帯ですね。これらが新第
三紀層でありますが,浸透していかないわけです。
乾燥地域ですと放ったらかしておいても蒸発してしまうわけですが,
湿潤地域はそうはいかないわけで,どうしても
下水道が必要であるということになってくるわけであります。
さて,雨の根源というのはどこかといいますと,実はこれは大洋なんです。海なんであります。海から蒸発したものが
断熱膨張で陸地に降るわけでありますが,特にわれわれの住んでいる宅地,あるいは
河川といったようなところに流れ込んでくるわけであります。
都市の中で言いますと,
道路の側溝,あるいは雨といったものはご
承知のように,
公費で排水その他が賄われているわけでありますが,個人の家の
使用料はどうかということになりますと,ご
承知のような,これは自分で使った水でありますから,
受益者負担の原則によりまして
処理をしているということになるわけでありまして,
上水道の
水道の
メーターがその基準になっているそうでありますが,実際,
下水に出てくるのは
上水道で使いました水,それに
プラス飲料,ビールだとか,飲み物だとか,食べ物だとか,さらに
蒸発量がそこから減るわけでありますが,大まかに言って
大同小異上水道の
使用量にとられるであろうというふうに
考えられているようであります。そして,
最後は
終末処理場に行くわけでありますが,
札幌の場合には
雨水と
都市下水が,つまり
公共下水と
都市下水が分離している管ではなくて,一緒になっているんでしょうか,分離しているんでしょうか。それで本管とか,
処理施設その他は
公費で賄われていまして,
処理の
人件費とか,薬品その他の消費的なものとかというのは各
消費者が賄うということを
考えられているようであります。
改定のことを見ますと,
汚水の
既存分が70%,
値上げ分が30%のようでありまして,
受益者負担でいいますと
一般が3ですか,それから
特定排水が1ということになっております。
札幌の
人口はご
承知のように160万を超えてまいりました。年間2万5,000から3万人ほどの増がありまして,このごろ少し増が緩和されたようでありますが,いずれにしても全道の4分の1の
人口を持ちます一極集中であります。
日本の
都市人口をちょっと振り返ってみますと,第2次大戦の終わりましたときに37%でございまして,現在は65%以上にもなり,最近では70%を超したんじゃないかという話もあります。
ヨーロッパの
人口を見ますと,第2次
世界大戦の終わりころに67%ぐらいでありまして,現在72%であります。ですから,
都市人口に対する
増加率も
日本ほど激しいところはなく,特に
札幌などは私の来ました
昭和19年はわずかに22万人でございました。
北大に私も学生で通っておりまして,ほとんど市内を
電車に乗ったことはまずないと。たまに外に出たら
電車が来たから,じゃ乗るかという程度で,
電車に乗ることを目的としていなかったというような時代もございますが,いまでは乗り物が非常に重要になってまいりました。
さて,このような急増の
都市現象が見られるわけですが,
都市の
快適性というものはどういうことかというと,これはいろいろな人がいろいろなことを言っておりますが,まず,
札幌などを見ますと,
道路の
発達がありましたし,次に
上水道の
発達があり,
交通機関の
発達があり,そして
最後が
下水道,これが実は
最後じゃなくて,その次には文化とか
社会福祉の問題が出てくると思いますが,そういうことに
皆さんも取り組んでいらっしゃると思います。
下水道が普及し,どのくらい衛生的であるかというのは,
近代都市のバロ
メーターになっておりますから,そういう点でも非常に注意を払いたいわけであります。このごろ,街の中を歩きますと,マンホールからの臭気が異様なことがございまして,これは
市当局におかれましても,もう少し衛生的にしていただきたいという
お願いをするわけでありますが,いずれにしましても,
下水道の完備こそ
近代都市でありますから,まずそれをやっていただきたい。景観その他,やるべきことはたくさんございますが,今度の
改定の問題もその辺に中心があろうかと思います。
議員諸氏の今後の
札幌市民への貢献を
お願いし,ご清聴を感謝いたします。失礼しました。
○
柴田 委員長 どうもありがとうございました。
次に,
金安公造さん
お願いいたします。
○金安
参考人 ただいまご紹介いただきました金安でございます。
私は,いま
北大の工学部の
衛生工学科で
都市環境工学といったものを担当しております。
先生方ご
承知かと思いますが,
衛生工学科と申しますのは,本日ご議論といいますか,ご検討いただいております
下水道,それから非常に
関係のあります
上水道,あるいは水質,そういった
関係の
講座を含みまして八つの
講座からできております。
卒業生大分,
市役所に
お世話になっておりまして,私の後ろにもおるようでございますが,ことしも
うちの
講座から一人
市役所のほうに
お世話になることになっています。ただ,私の専門は
都市環境という
観点から,
都市計画でいいます
都市施設という
観点で
下水に
関係があるということで,
専門そのものは
下水ではございません。しかし,門前の小僧といいますか,同じ学科の中でいろいろ議論されていることで,技術的な側面からお話ししたいと思います。
それから,私,
自己宣伝ではございませんけれども,
北大に来てちょうど10年目でございます。それまでは
建設省という役所でもっぱら
道路づくりをやっておりました。これは,
建設省でいいますと
道路局ということです。
建設省にはご
承知のように,
都市局下水道部というのがありまして,
日本全国の
下水道行政を所管しております。同じ
土木屋の
仕事でございましたが,
建設省時代も余り
下水のことは
関係がございませんで,これもまた門前の小僧というような形でございます。
私なりに
下水道の役割というのを
考えますと,
一つは天から降ってくる
雨水,それをできるだけ早く,街の中でいいますと
住宅地から,あるいは街の中から排除して,
内部浸水というんですか,そういったものをなるべくなくするという機能が
一つ。それからもう
一つは,ただいま
筒浦先生も言われましたですけれども,
家庭,あるいは
事業場から出る
汚水,
雑排水などと言っているようでございますけれども,それを集めてきれいにして,
自然河川と申しますか,
環境に戻してやると。大きく分けますと,その二つの機能があるかと思います。
下水道事業というのは,
社会資本の
一つということで,公共
事業的な位置づけがあるわけでございます。その中で,今回の
料金改定に関連して
考えますと,
雨水にかかわる分というのは,これは
天然現象,
自然現象でございますので,
一般に
税金と申しますか,
一般会計,そういったほうの金で賄うべきであろうと。それから,
汚水につきましては,これは言うなれば
垂流しを始末するわけですから,その汚れた分をきれいにする費用については
原因者が特定できるわけでございますから,そこからしかるべく
料金をいただくというような
考え方になろうかと思います。これは,いただいた資料を読ませていただきますと,
昭和60年の7月,第5次
下水道財政研究委員会報告というようなことで,
雨水は
公費,それから
汚水は私費というような,
下水道事業にかかる
お金の
負担の
考え方としては全国的に確立されている
考え方でないかと思います。
私は
道路の
仕事をずいぶんやってきましたが,
道路もインフラストラクチュアといいますか,大きな
公共施設でございますが,これはみんな
税金でやっているんでないか,
料金なんか取っていないんでないかとお
考えになるかもしれませんが,実は,いわゆる
ガソリン税を主体にしまして,これは
原因者負担にほとんど近い形になってつくられています。もちろん,
有料道路は
料金を取っていますのでわかりやすいと思いますが,
一般の国道その他も車を使う方が使う
ガソリンの量に応じて
税金,
ガソリン税として国が一括集めて,それを
道路建設,あるいは維持に使っているというようなことでございます。
このたびの
料金改定に関連いたしまして,今後5ヵ年にやる
事業費が1,700億でございますか,その間に,現在の
料金体系でいきますと,
維持管理等に要する費用が約200億ぐらい赤字になるというようなことのようでございます。そういった
赤字分を
現行の
料金収入で割りますと35%の
値上げという数字が出て,それが
一つの
値上げの数字になっておるようでございます。その35%の
うちの20%ぐらいが諸物価の
値上げに伴うもので,あとは
料金負担で
お願いすべき分だというようなことでございます。
私,今回
参考人ということで,これは
うちで
下水料金をどれぐらい払っているかなということで,これは
水道のほうの請求になっているんですが,見ますと,二月で40トンですかね,一月20トン。何か,平均的な
札幌の
下水の
使用量というのは18トンのようでございますので,
うちは大体平均だなということで,この35.5%の
値上げを見ますと,月約300円ですね。1日10円。
うちは4人家族なものですから,一人
当たり1日2円50銭。高いのかな,安いのかな,
うちのかみさんに言わすとやっぱり高いと言うし,僕はしかし,これぐらいはというような感じがいたしました。
今回の
料金改定につきましては,前回と違うのは,いわゆる
一般排水というんですか,月200立米以下の
家庭は,これまでは
資本費の半分は
公費を入れていたわけですが,今回はその分100%
料金のほうに賦課するというようなことが,これまでの
料金の
考え方と違う唯一の点でないかと思います。この点につきましては,いろんな資料を拝見しますと,たとえば東京とか,名古屋,大阪,そういったところの
下水道の
普及率がほとんど90%を超えていて,
札幌も今回の
計画が完了しますと99%ぐらいの
普及率になるということで,それまでまだ
普及率が80%台のころは,
使用料として
お金を取るとき,使われる金の行く末を見ますと,これから利益を受ける人のために使われる部分もあったと,かつてはですね。ですから,現在の方が
料金ですべて賄うというよりも,半分は先ほど言いました
一般排水の半分は,これは
公費で持ってもという
考えがあったかと思いますけれども,かなり
普及率が高くなりますと,現在の
下水道施設を使うのは現在の人ではないかというようなことで,もう
公費を入れなくて
料金でいただくというような
考え方になったのもやむを得ないのではないかという気がいたします。
いろいろございますが,これは
企業会計のようでございますが,財政が破綻して借金ばかり多くなりますと,その利子の返済その他でますます後年度その
負担が大きくなるということで,無理のない形で5ヵ年なら5ヵ年でとんとんにしようというのは,これは
企業を預かっている方の
一つのポリシーだと思いますので,そういうことで,200何億かの赤字をなるべく少なくするというようなことはやむを得ないのではないかという気がいたします。
それから,ほかの
都市もそのようでございますけれども,
札幌の場合,非常にたくさん使う人と,それから余り使わない
家庭とでは,1リットル
当たりの値段を変えていると。つまり,たくさん使うところには
累進制をやっているということのようで,その趣旨は,たくさん使うところは高いですから,そういう
累進制をとれば,そういうところはなるべく
汚水を少なくして
負担を少なくしようという努力が働くんでないかというような形で
累進制がとられているようでございますが,聞くところによりますと,
札幌の場合は,大量に水を使う,月5,000トン以上ですかね,そういうところは
企業というのは少なくて,たとえば私のおります北海道大学とか,あるいは
市立病院,そういうところのようでございまして,本来ですと
企業努力をすべきかもしれませんけれども,
余り期待ができないというようなことで,
累進制そのものも高めないで
現行どおりというようなことでございます。それでも,
北大の場合,昔の
料金,35%アップしないときの
料金ですと,月1,800万円払っているそうです。これは,35%上がりますと月2,500万円,結局は今回の
値上げで600万何がし
負担せざるを得ないようでございます。ということで,
現行の
累進制でもこの
料金が上がることによって600万ぐらいふえると。
累進制を高めるというようなことになりますと,それが1,000万とかなんとか,これは月でございますから,なると。文部省はすんなり
予算措置を認めてくれればよろしいんでしょうけれども,
一般的にはどこかがふえればどこかが減るということで,ささやかな
研究費がさらに減らされてはかなわないということで,せめて
現行の
累進制を維持していただきたいというのが,これはかなり個人的な希望でございます。
余り時間もございませんが,この5ヵ年でやる
事業の中身についてちょっと感じたことを申し上げたいと思います。
1,700億という大きな
お金を使っていろいろなことをやるわけですが,通常の維持的な業務,これはもうしようがないんですが,目玉として,10年確率の
雨水に対する
アクアレインボー計画という
大変格好のいい
計画がありまして,それに使われる金がかなり大きな部分を占めております。これは,かつて四,五年前市内で
浸水があったとき,
下水道をよく整備することによって
浸水をなくそうということでございますが,その中身は,
一つは,地下に
しみ通りやすい
下水構造をつくると。あるいは,
道路の舗装でもいいんですけれども。それからもう
一つは,
しみ通りにくいところ,
つまり地下水の高いようなところは大きな
貯留管を入れまして,何か直径5
メーターぐらいのようでございますけれども,そこに一時的に
雨水をためて,しばらくして
河川に出してやるというような
計画のようでごさいます。
これは,私ちょっとよくわからないのは,これだけのいろんな
事業をやるというんですけれども,具体的に,どこにどういう規模でどの程度やれば,その結果
最初の出水がどうなるかとか,どの地域の
浸水が防げるかという全体の
設計図と申しますか,
計画図が余り読み取れないという気がいたします。それで,この1,700億で5ヵ年間の
仕事をされるわけですが,できるだけ
公費,あるいは
料金もそうですけれども,経済的な
負担を少なくするという
観点から,もう少し民間の活力,民活といいますけれども,民間の力を使ったらどうかという気がいたします。
処理場のコンポスト等については,かなり民間に委託しているようでございますけれども,私がいま例として挙げました
アクアレインボー計画なんかの全体の
計画といったものは,
下水道局のしかるべき方が
考えておられると思いますけれども,私も経験がありますけれども,机の上で事務をとりながら,陳情というのがあるかどうかわかりませんけれども,あるいは議会対策に追われていますと,ろくな知恵が出てこないんですね。ということで,そういった
計画のソフト面は少しシンクタンクを使ったらどうかと。そして,一生懸命そういった事務をやれば,少しは人員も減るんでないかというような気がいたします。後ろに
うちの卒業生がいますけれども,
下水道事業というのは
札幌市で30年か40年やっていると思いますが,大変
皆さん自分はエキスパートだと,
専門家だと,この分野はだれもわからないんだ,と思います。実際そうだと思いますけれども,その意識が少し強過ぎるんじゃないかという気がいたします。来年卒業生とってもらえないかもしれませんけれども,あえて申し上げますと,設計とかなんとかはかなりコンサルトをやっているようですけれども,もう少しビジョンを書くようなことを,そうですね,シンクタンクに5,000万ぐらい金を預けりゃすばらしい
仕事をすると思うんですけれども,その辺のことをちょっと
お願いしておきます。
ということで,余り時間がございませんが,言い足りないこともずいぶんございますが,この辺で終わりたいと思います。どうも失礼しました。
○
柴田 委員長 どうもありがとうございました。
次に,田畑夏子さん
お願いいたします。
○田畑
参考人 私は,
札幌市に住む主婦の一人として,今回の
下水道料金値上げに反対する立場からの
意見陳述を行います。
下水道は,毎日の
生活の中で1日たりとも欠かすことのできない身近な公共サービスです。現在,
札幌市においては
下水道普及率95%,
水洗化
普及率約99%,ほぼ100%近くを整備され,安全で快適な市民
生活を営む上で将来にわたり必要不可欠なものです。しかし,今回消費税を含めて37.5%もの
下水道料金の
値上げは,6年前の平均33.4%の
値上げに続くものですが,3年前に
水道料金20%の
値上げも行われ,ことし1月からこれには消費税も上乗せされたこととあわせて,市民
生活に上
下水道料金の
負担が重くのしかかっています。消費税の導入以降,食料品を初めとして日用品,教育
関係費,交通
料金,家賃など,基本的な
生活必要経費はふえる一方です。さらに追打ちをかけるように,
下水道料金を含む公共
料金の
値上げは,1円,2円を節約して家計を切り回す主婦として何としてもやめてほしい。これは主婦の切実で共通な願いです。また,水を使う理容院,美容院,クリーニング店,食堂などでは,
下水道料金の
改定に関連させて
値上げも予想されます。まさに,
下水道料金の
値上げは
一般市民
生活の全般にわたり暮らしを脅かすものです。
今回の
料金値上げでは,10トンまでの基本
料金が現在440円を29.5%アップの570円と,ほかの大
都市と比較しましても,最低の大阪の295円とでは275円の差と,2倍近くになり,最高の仙台,神戸の470円と比べても100円高くなり,12政令
都市中最高額となります。
一般家庭の平均
下水道排出量月18トンで計算しますと,現在816円が31.6%アップの1,074円になり,1年間では3,096円もの
負担となります。しかし,1ヵ月平均18トンの排出量というのは独身世帯も含めた排出量です。夫婦2人,子供2人の
一般的な家族構成では,平均20トンから30トンを排出しています。30トンを排出する
家庭では,消費税を含めて上
下水道料金が月にすると5,665円,2ヵ月ごとの支払いなので1万1,330円,年にすると6,300円の
負担増になります。たび重なる
水道料金の
値上げ,今回の
下水道料金の
値上げ攻勢に,私の周りのごく
一般的な
家庭では,さまざまな節水の工夫を凝らし,
生活の防衛を図っています。しかし,その内容も,入浴回数を減らすとか,洗濯はふろの残り湯で行うなど,節水もささやかなものです。
このように,乳幼児のいる
家庭,大家族,お年寄りの介護が必要な
家庭などは,節水したくても節水ができなく,40トン,50トンの排出量はやむを得ない状況です。全国的に見ても平均賃金の低い北海道では,昨年の賃金上昇率が5%と伺いました。わが家の夫も中小
企業に勤める会社員ですが,昨年の賃金上昇率は3.9%,金額では6,900円にしかなりません。私には,4歳の長女,1歳の長男,汚し盛りの2人の子供がいます。洗濯は夏になれば朝と夜に2回行わなければならず,節水しようにも限度があります。年間6,000円もの出費増は頭の痛い問題です。また,年金
生活者の方々など,
生活費全般を切り詰めなければいけない
家庭へのしわ寄せも大きいものがあります。このように市民
生活を脅かす今回の
下水道料金37.5%の
値上げは,やめていただきたいのであります。
次に,
値上げの理由によれば,
汚水分費用
負担分にかかわる
資本費の
負担区分のルールの変更が挙げられています。これまでのルールによれば,152億円を
一般会計から繰り入れなければなりません。それを今回の
改定の中では,市民から
料金として徴収する内容になっています。私は,
下水道の
専門家ではありませんので,今回大変勉強させていただきました。
札幌市は,
下水道事業を推し進めていく上で,中央の
下水道財政研究委員会が発表した第4次・第5次提言をよりどころにされていますが,私は第3次提言も勉強させていただきました。その第3次提言では,
下水道サービスはナショナルミニマムと認識すべきものであり,
下水道サービスは公共財であるから,公的主体が責任を持って供給すべきものであり,汚染者
負担部分を除き,原則として
公費負担とすべきであるとする。そして,維持管理費は,
雨水公費・
汚水私費とするが,
資本費は
事業場などから排出される
特定排水を除き,
雨水,
汚水ともすべて
公費負担とすべきであると言っております。この提言に基づけば,
下水道は公共財なのだから
札幌市が責任を持つべきであり,維持管理費は
汚水については使用者が
負担し,
資本費については
事業場などの
特定排水を除き
公費負担,つまり
札幌市で
負担するということになります。
現在の
負担区分を見てみますと,実際には
資本費の
うち一般排水の
汚水分50%はすでに使用者
負担になっています。これは,6年前
昭和60年の
値上げの際に,
資本費の
うち企業債元金償還費のみが50%使用者
負担であったのを,さらに支払い利息まで50%上乗せを行い,市民に大きな
負担を求めてきました。しかし,その後の財政収支を見ますと,4年間で126億円の資金不足になるとしていたにもかかわらず,63年度末には32億円もの資金を残しています。4年間の間に,金利の引下げ,電気
料金の引下げなどで好転したとはいえ,私たち
一般市民の
下水道料金の引下げになったわけではありません。60年度の
料金値上げは,取り過ぎたわけではないのでしょうか。また,その後も毎年資金は残っており,
平成3年度末にはまだ12億円も資金が残る予定になっています。それでもまだ
負担区分を改悪して
使用料にかぶせる形で変更する今回の
料金値上げは,余りにも市民を無視していると思います。ほかの大
都市の中には,
資本費の
公費負担が横浜70%,神戸60%,福岡62%と
札幌市より高く,広島,仙台50%と,
札幌市と同等のところもあります。
資本費公費負担原則を貫き,
札幌市においても現在の50%
負担を変更せずに財政
計画を立てていただきたいと思います。
下水道の拡張
事業がピークを越えたことをもルール改悪の理由にしているようですが,長期の建設
事業費の元利償還は今後も多額で推移する見込みであり,新たな市民
負担への押しつけは許されないものと思います。
さて,
平成4年度からの
下水道整備5ヵ年
計画には,
都市化の発展に伴う多様な
計画が盛り込まれています。
都市化が進むにつれて,
汚水量の増加,
河川水質の悪化,
処理の強化などの必要がふえると予想されますので,維持管理も大変重要であると思われます。これは,
札幌市の公営
企業を調査審議する市営
企業調査審議会の答申でも,
都市化の進展により今後も
汚水の増加が継続すると
考えられるので,下流の汚濁負荷を軽減し,
河川の水質をよりよく維持するための
処理の強化も重要であるとの指摘どおりです。
しかし,
都市化の進む要因の
一つである
企業排出量の増加に対しては,ほかの
都市と比べて
料金が低く抑えられています。政令
都市の
料金表を比較しても,大口排水者の単位
料金を低く抑えています。
改定後の
料金で比較しますと,月1万トン以上の単位
料金が
札幌市223円で12
都市中,京都,大阪,名古屋に次いで下から4番目です。最高の福岡では355円と,
札幌市はその3分の2の
料金でしかありません。1,000トンから5,000トンまでの単位
料金で比較しても,
札幌市186円は下から3番目,最高295円の横浜のやはり3分の2にしかなりません。また,単位
料金の最高額と最低額との累進度を比較しても,12
都市中下から2番目と,やはり低く抑えられています。
一般家庭への
負担を軽減し,大
企業はそれに応じた
負担を求めて,累進度は最高川崎,福岡7.6倍,次の横浜7.4倍と,大口排水者に高くなっておりますが,
札幌市は3.9倍にとどめています。このことからも,現在の
料金体系を見直せば,37.5%もの異常な
料金値上げは抑えられないのでしょうか。
家庭での
下水道利用は
企業とは異なり,それ自体利益を得るものではなくて,空気と同じように生きていく上で必要,
当たり前のものです。快適な
都市づくりを目指す
札幌市において,実際利用している多くの市民の理解を得る上でも,まず,この
料金体系を含む,
企業には寛容な対応については是正するべきだと思います。
札幌市の
下水道が供用開始から25年で95%の
普及率は目覚ましいものです。ほかの政令
都市では,広島63%,川崎67%と,十分とは言えない
都市もあります。それだけに,
都市化への進展も急速だったとは思われますが,
普及率の向上とともに
使用料金の上昇も急速であるという現状は,
生活実態を無視したものと言わざるを得ません。
以上が,私の今回の
下水道料金値上げ反対の
意見です。
市議会で十分検討され,
一般市民に大きな
負担を強いる今回の
値上げ案が撤回されるよう
お願いいたします。
最後になりましたが,今回こうして
意見表明の場を与えていただきましたことにお礼申し上げます。ありがとうございました。
○
柴田 委員長 どうもありがとうございました。
最後に,大沢陽子さん
お願いいたします。
○大沢
参考人 市民ネットワーク北海道より
参考人として推薦を受けました大沢陽子と申します。どうぞよろしく
お願いいたします。
本日は,
札幌市の
聴聞会において,市民の方々のご
意見をお伺いできると同時に,市民としての率直な
意見を述べる機会が与えられたことを大変うれしく思い,提案に対して反対の立場から
意見を述べさせていただきます。
さて,すでに前述の
参考人の方が述べられましたように,臨時
市議会での地下鉄
料金の
値上げ提案採択に始まり,今回の定例会では桂市長より
下水道,保育,
使用料・手数料など,公共
料金の
値上げ提案が相次いでなされています。地方自治体の
事業は,私たち市民の基本的
生活に深くかかわっており,利用する側にとっては非常に選択肢の少ないものです。
値上げに反対だから
下水道は使わないでおこう,排水は来年まで待とうかなどというわけにはいきません。現在の
札幌市の運営状態と将来の展望を踏まえ,慎重なご議論の末に提案されたものと思いますが,相次ぐ
値上げは市民にとってはもろ手を挙げて賛成とは言いかねるものでございます。加えて,昨年12月の第4回定例本会議において,公共
料金の消費税転嫁による条例
改定が採択されましたが,今回の
値上げラッシュにより,
生活保護,障害者,寝たきり高齢者世帯などの家計がダブルパンチを受けることは目に見えております。
札幌市が好きだと思っている市民が大変多いと,新聞報道や広報などで伝え聞いておりますけれども,暮らしやすくて好きだと思う市民がふえるよう,努力を惜しまないでいただきたいと思います。
今回の
聴聞会に際して,私のような
一般市民にとっては膨大な資料や会議録を送っていただきました。四苦八苦しながら目を通して,あわせて
昭和60年度に行われた
下水道料金改定についての
聴聞会議事録も,ざっとではありますが目を通させていただきました。行政のおやりになったこと,お
考えになっていることを縦糸とすれば,私が一市民として思うことを横糸にからめて,
札幌市の未来像が描かれてくればうれしいことと思い,
意見を述べます。
第6次
下水道整備5ヵ年
計画の中で,ボリュームが大きく
事業費として計上予算額が大きいのは,普及促進と
浸水対策が群を抜いています。170万人を超え,これからも年間2万人以上の増が見込まれる大
都市札幌の
下水道を
考えるとき,市民
生活の安全面,衛生面を優先する必要があり,
普及率をより高めること,そして近年とみに市民の要望も強く転換期を迎えていると見られる,除排雪に貢献できる
下水道事業を行なっていくという二つの姿勢があるように思いました。
札幌市の進めておられる雪さっぽろ21が市民の間で論議を呼び,関心が持たれるのはこれからのように思いますが,雪対策関連
事業費として194億円が計上されており,5年
計画で1,700億円の
うち約1割を占めております。今回の提案資料や前回
聴聞会の議事録を読んだ中で,私が最もうれしかったのは,
事業費のほんのわずかなところではありますけれども,地
下水涵養を目的とした
浸水式
下水道の実施という項目です。項目も予算の額も余り目立たないものですが,総合的
都市づくりを
考える際に,私はここに注目したいと
考え,幾つか問題点を述べたいと思います。
前回の
聴聞会で
参考人のお一人が,
雨水の有効利用について東京の国技館の例を挙げて述べておられたようです。これは,
雨水をすぐに排出して
下水に流すのではなく,飲み水以外のところで再利用し,節水を図ろうというものです。再利用という点では,古来より,最も自然な
雨水の再利用は,雨を土に戻し,地
下水として利用することでした。これは,いままでは
当たり前のことでしたが,現在の
都市生活ではこの
当たり前のことができなくなってきています。お送りいただいた
札幌市営
企業調査審議会の議事録に,この点に触れた箇所があり,たとえば何千平米以上というスーパーとか,パチンコ屋とかが,全部舗装をして駐車場ばかりにしてしまうと,降った雨がそのまま
下水管に流れ,
処理流量としても大変な量になります。
このような開発の際に,
札幌市の企画調整局の中に指導するところがあり,
雨水を地下に逃すための浸透升や浸透管を設けるよう助言があるそうです。教育大学の跡地に高層アパートの開発行為があった際に,実際そういう指導がなされたと記されてありますし,
日本開発銀行と中小
企業金融公庫が
雨水対策をとる人に対する融資
事業を行なっていると書かれています。大きな面積ではなく,
一般の住宅でも,土地面積いっぱいに家を建て,残りの土地も舗装をして車を置く
家庭がふえています。無落雪建築の屋根から解けた水が
下水となり,地面に降った雨もアスファルトに吸収されず,また
下水となり
処理されるなら,雨や雪が土に戻る暇がありません。
雨水を土に戻すことに少々こだわり過ぎなのではないか。それは
下水道料金と
関係があるのかと思われる方もいらっしゃると思いますが,
上水道,
下水道,そして
札幌市の将来像を長期的視野で
考えるとき,この水のリサイクルという視点は非常に重要な要素を持ってくると確信します。
と申しますのは,私が西区に住んでおり,地域を流れる琴似発寒川の流れに深い関心を寄せていることと結びついております。特に,何年か前に,西野に浄水場があり,この川のあの取水口から水を引いて私はその水を飲んでいるということを知ったとき,川の表情を注意深く読む習慣が身につきました。川の表情と申しましたが,川はその水の色,におい,量などでいろいろなサインを発信していますが,西区の琴似発寒川も実に多くを語っています。取水口付近で,同じ西区に住む川に関心を持つ市民と,2年間簡単な水質調査を毎月行なっておりますが,昨年上流に
札幌市の雪捨て場が設けられて,4月の融雪時には水も濁り,水質も悪くなることがわかりました。また,1年じゅうを通して水量が少なく,特に夏場にはそれがひどくなり,水温の高くなった川には珪藻類という藻が発生し,飲み水の味にも影響することがわかりました。
札幌市民170万の
うち,琴似発寒川の水を飲んでいるのはごくごく少数と思われますが,私は目の前のこの川の水を飲んでいるということで,水や川,そして
都市とそれをめぐる
環境について
考え始めました。
昔は,自分の住む近くの川の水や,井戸の水を飲むのが
当たり前のことでしたので,人々は水を汚さないように排水にも気を使いましたが,現代社会では,飲む水と出す水のラインは市民の頭の中ではきちんと結びついておりません。水は
水道の蛇口から来て,
下水に流れ去り,
水道の源である雪や雨,川や地
下水のことを身近にとらえられなくなってきています。これは笑い話のようですが,田んぼの見学に行くまで米は水田でつくられるのではなく,工場でつくるものだと思っていた小学生がいると聞きました。雨や雪は土にしみ込み,豊かな地
下水やわき水となり,川の流れを支えているという
当たり前のことも,現在の上
下水道の整備された
札幌市ではわかりにくくなってきています。
雨水や融雪水を地下に戻してやり,
処理場に流れ込む量を軽減することもでき,加えて,地
下水や川の保全に役立つとすれば,今回提案されている地
下水涵養を目的とした浸透式
下水道の実施は今後も積極的に進めていただきたいと思います。
上水道の水量確保のために
札幌市では新しいダムの設備が始まりますが,他の自治体に依存する水行政ではなく,水
環境という点で,
上水道,
下水道をトータルに
考えた発想ができないものかと
考えます。森や水田は,それ自体が巨大なダムであります。かつて,西区にも西野米として有名な水田農家があり,私の住む近くには用水路の完成を祝う立派な記念碑が建立されており,水を大切にしていた昔の人々をしのばせます。宅地化が進み,治水のため川は護岸で固められ,川の水は乏しくなりました。生態系を変えてしまうダムという発想ではなく,
当たり前の水のリサイクルによって地
下水位や川の流量が豊かになれば,
札幌市内に数ある2級,3級
河川の水辺
環境も改善され,市で進めておられる親水
事業の効果も上がるものと思われます。
環境を
考え,ごみの資源化,リサイクルという視点が注目されていますが,水のリサイクルという発想も
札幌市の行政の中にぜひ反映させていただきたいと思います。
私たち市民は,
水道料金を払い,飲み水を買っています。
下水道料金を払い,
汚水を
処理してもらっておりますが,
生活を保障する範囲内でどちらの
使用料も少ないにこしたことはありません。今回の審議会の討論を読んで少々気がかりな点は,上水,
下水とも節水,
つまり水の消費量を抑制しようとする動きがないことです。節水を奨励すると
使用量が低下し,予定の
使用料収入が減ってしまうという行政のお
考えが示されているように思いました。
札幌市
下水道局が,これまでの蓄積とご努力で市民の
生活向上に貢献されたことは高く評価いたしますが,ことしの6月ブラジルで世界各国が一望に会し,
環境問題を
考える世界
環境サミットを開催する必要があるほどの地球規模での
環境破壊が進む今日,もし水の使い捨てを見直すという視点を
下水道事業にかかわる方々がお持ちでないとすれば,これは重大な問題です。
処理設備も整い,
処理技術も向上された現在,汚濁
負担の問題もなく,出された水はどんどん
処理できますよという姿勢は改めるときに来ていると思います。
確かに,朝シャンに始まった現代
日本人の清潔好きはもはやブームとなり,
一般家庭での水の
使用量がその国の文化をはかるバロ
メーターだと言われましたが,果たしてそれはいまも当てはまるでしょうか。ごみに関して申せば,現在ではごみの量がその人の知性度のバロ
メーターだと言われています。つまり,何でもかんでもごみとして捨ててしまうのではなく,資源として再生できるものとそうでないものに分け,行政に
処理を
お願いするものだけをごみとして出す人のごみの量は当然少なくなり,知性のあらわれとなってくると言われるそうです。
と申した後で申すのはちょっと恥ずかしいんですが,私も昨年,土の中に埋め込んで使うコンポストを購入して以来,台所のごみが夏,冬を通してぐんと減りました。紙や瓶・缶などは資源回収していますので,週1回のごみ提出となり,知性派の仲間入りをさせていただいたのではないかと思っています。
家庭や
企業でごみ軽減の努力をすれば全体のごみの量が減り,当然,
処理費用も削減されてくるのと同様,全体の
汚水量が減少すれば
処理費用も少なくなると
考えるのは余りにも素人の発想なのでしょうか。大量に排出したほうが
資本費は安くなるという
考え方があるようですが,ごみも
下水も量がふえれば,どんなに
処理能力に自信があっても,
処理による
環境汚染は避けられません。何事も簡単便利をたっとぶ風潮の中で,行政が政策と実践において世論を正しくリードしていけたら,
札幌市の
環境は必ずや守られていくであろうと期待します。
話は変わりますが,子育て中の母親にとって,地域の公園で子供が安全で伸び伸びと遊ぶことは何よりのことです。でも,見渡してみると,狭い敷地内に遊具がいっぱいあって人けのない公園もあるようで,どんな公園がどんな使われ方をしているか調べてみようということになり,昨年8月西区内18ヵ所の公園を1週間にわたり利用実態調査をいたしました。興味深い結果もあり,引き続き同じ公園でことしの2月に冬の調査もいたしました。夏も冬も全くと言ってよいほど利用されない寂しい公園もありましたが,冬のほうが子供たちに愛されている公園もありました。安全で適当な広さの空き地があり,そこに何げない雪山があれば,子供たちは家に閉じこもっていないで何時間でも楽しそうにミニスキーやそりをして遊んでおります。町内の人が捨てた雪が山となったものでも,築山としてあったものに雪が積もり雪山となったものでも,何であれ,雪の山があれば子供は天国です。そうして遊んだ雪の山は,春になり緩んできて,南側の暖かいほうから地面が出始め,ちょろちょろとさながら小川のように流れ地面に吸い込まれていく。そんな
当たり前のことに気づかない子供たちがふえている現在,
環境教育は重要な役割を担ってくるでしょう。
札幌市では,小学校4年生の社会科の授業で,
下水処理場やごみ焼却場の見学が取り入れられているようですが,今回の5ヵ年
計画にある
下水道科学館の建設などの利用で,学校教育の中に
環境問題をもっと積極的に組み込んでいく必要があると思われます。
アメリカというと連想されるハンバーガーの容器に使い捨てのトレーが使用されていましたが,アメリカの高校生たちはこれに疑問を抱き,不買運動を展開,容器の改善を実現させたという記事を新聞で読みました。
環境問題を
考えていく若い世代を育てる必要を強く感ずるいま,
札幌市ではどうでしょうか。
ことし2月,西区内の小・中学校において生理用ナプキン
処理方法について調査をいたしました。小学校18校,中学校8校で,聞取りによる調査回答が得られ,西区内小・中学校の8割以上の実態が浮かび上がりました。ナプキンの
処理については,
札幌市の指導もあり,大半の学校でごみとして
処理をしていますが,回答のあった小学校の
うち6校で,トイレにそのまま流している現状がわかりました。また,いまは容器に入れて捨てるようにしているが,だれが片づけるかで毎年頭を痛めるので,できれば水に流したいと
考えている学校も複数ありました。
汚水処理を
考えると,目の前が暗くなるような現状ですが,中には児童が捨て方を
考え,容器などの置き場所を話し合っている学校もありますので,この点では学校教育の中に
環境問題をきちんと位置づけ,
考えていく機会をふやすことにぜひ期待したいと思います。
さらに,
下水道の
汚水処理を
考えるとき,
環境を守る石けんの利用促進を大事に
考えたいと思います。
札幌市では,すべての小・中学校における学校給食の食器洗いに石けんが使われるようになったことは,大変評価すべきことです。その上,昨年からは
公共施設での石けん使用についても,各区の区長さん方から理解をいただけるようになってきており,
環境保全に対する
札幌市の姿勢がうかがえます。
具体的な例に,静岡県三島市の
下水処理場の実験結果がございます。その
処理場にかかわる全戸約1,000軒に石けんを配布し,それ以前と配布後,半年ずつの
処理場について比較調査をいたしました。合成洗剤使用時の
下水処理能力は悪く,水の透明度は低く,微生物は死に,その死骸や界面活性剤そのものが汚泥の中に詰まった状態になっていました。ところが,石けん配布後は,BODやCOD,その他の水質検査すべてにわたって改善が顕著で,石けんは微生物を一層増加させ,それによって
処理能力は高まっていました。今後とも,石けんが
環境保全に果たす役割を
考えますと,
環境教育の中に積極的に石けんを位置づけていくことを切望いたします。
日本全国が平均化し,四季の変化の美しい
札幌でも,冬も夏と同じ経済活動や
生活様式が望まれるようになってきています。昨年の冬は記録的な大雪で,冬は除雪に泣きましたが,夏は山に積もった雪のおかげで,例年よりは西区の琴似発寒川の水量も維持され,一安心したものです。自然のサイクルを無視して簡単,便利を追求すると,そのための設備にかかる費用,維持する費用,
処理する費用として
事業費が必要となり,結局,
税金や
使用料として市民にはね返ってきます。
最近,北海道の幌延町が核のごみに次いで首都圏の産業廃棄物の
処理も引き受ける決定をしたと聞いて大変驚いております。東京から幌延まで廃棄物を運ぶ経費はどこが
負担するのでしょう。
税金を払う東京都民も,ごみを埋められるかもしれない幌延町民も,それが自分たちの望んだ方法なのでしょうか。今回の議案提案説明によりますと,時代の潮流に的確に対応する市政を
考えておられるようですが,時代の流れが長期的視野の中で正しいものかどうか判断する使命が行政にはあるように思われてなりません。特に,
下水道が深くかかわる
環境問題は,効果や結果がわかるのに長い時間や年数が必要ですから,あのとき
札幌市では市民のニーズにこたえてくれていないと思っていたけれども,何年か経たいまは,そのときの判断が正しいとわかるような政策判断が問われていると思います。現代の代表的な風潮,簡単,便利,使い捨て主義に流されることなく,的確な判断により,
環境を守るのみではなく,
札幌市は市民が,そして行政がよりよい
環境をつくっていると評価されるような市政執行を期待いたします。やがて近い将来,自治体の
水道料金の低さが,
環境の豊かさや文化度をはかるバロ
メーターとなる日も来るように思います。
以上のような点から,今回の
下水道料金改定について,
値上げ率などに一考の余地があると思い,反対の
意見を述べさせていただきました。散漫な
意見を
最後までお聞きくださいまして,どうもありがとうございました。
○
柴田 委員長 どうもありがとうございました。
それでは,委員から
参考人の方に質疑があればお受けいたします。
なお,この場合どなたへの質疑なのか,あらかじめ
参考人のお名前をおっしゃってから
お願いいたします。
質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
柴田 委員長 なければ,
参考人の方に対する質疑を終了いたします。
私からも,
参考人の
皆様に一言お礼を申し上げます。