札幌市議会 1991-06-12
平成 3年第 2回定例会−06月12日-04号
議案第8号
専決処分承認の件(
砂防用地先行取得会計予算の補正)
議案第9号
専決処分承認の件(
一般会計予算の補正)
議案第10号 札幌市
職員定数条例の一部を改正する条例案
議案第11号 札幌市
基金条例の一部を改正する条例案
議案第12号 札幌市
事務分掌条例等の一部を改正する条例案
議案第13号 札幌市
職員退職手当支給条例の一部を改正する条例案
議案第14号 札幌市税条例の一部を改正する条例案
議案第15号 札幌市
下水道条例の一部を改正する条例案
議案第16号
地方自治法の一部改正に伴う
関係条例の整理に関する条例案
議案第20号 町の区域を新たに画し,変更し,及び廃止する件
議案第21号 町の区域を新たに画し,変更し,及び廃止することに伴う
関係条例の整理に関する条例案
議案第22号 市道の認定及び変更の件
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〇
出席議員(71人)
議 長 見 延 順 章 君
副 議 長 湊 谷 隆 君
議 員 道 見 重 信 君
議 員 伊 藤 知 光 君
議 員 宮 本 吉 人 君
議 員 畑 瀬 幸 二 君
議 員 大 西 利 夫 君
議 員 義 卜 雄 一 君
議 員 長 内 順 一 君
議 員 柿 崎 勲 君
議 員 三 上 洋 右 君
議 員 上瀬戸 正 則 君
議 員 武 藤 光 惠 君
議 員 井 上 ひさ子 君
議 員 山 口 た か 君
議 員 福 士 勝 君
議 員 森 和 雄 君
議 員 武 市 憲 一 君
議 員 大 越 誠 幸 君
議 員 猪 熊 輝 夫 君
議 員 西 村 茂 樹 君
議 員 川口谷 正 君
議 員 加 藤 斉 君
議 員 春 原 良 雄 君
議 員 関 口 英 一 君
議 員 原 口 伸 一 君
議 員 千 葉 英 守 君
議 員 横 山 博 子 君
議 員 中 嶋 和 子 君
議 員 佐々木 周 子 君
議 員 高 橋 忠 明 君
議 員 常 本 省 三 君
議 員 佐 藤 美智夫 君
議 員 佐 藤 寿 雄 君
議 員 富 田 新 一 君
議 員 澤 木 繁 成 君
議 員 伊与部 敏 雄 君
議 員 丹 野 勝 君
議 員 森 健 次 君
議 員 村 山 優 治 君
議 員 八 田 信 之 君
議 員 飯 坂 宗 子 君
議 員 生 駒 正 尚 君
議 員 小 川 勝 美 君
議 員 室 橋 一 郎 君
議 員 柴 田 薫 心 君
議 員 山 田 信市郎 君
議 員 青 木 護 君
議 員 水 由 正 美 君
議 員 赤 田 司 君
議 員 唯 博 幸 君
議 員 政 氏 雅 君
議 員 本 舘 嘉 三 君
議 員 小 谷 俵 藏 君
議 員 長 岡 武 夫 君
議 員 加 藤 隆 司 君
議 員 荒 川 尚 次 君
議 員 田 畑 光 雄 君
議 員 野 間 義 男 君
議 員 越 智 健 一 君
議 員 工 藤 勲 君
議 員 岡 本 修 造 君
議 員 滝 沢 隆 君
議 員 山 崎 七 郎 君
議 員 藤 田 雅 弘 君
議 員 田 畔 満 君
議 員 常 見 寿 夫 君
議 員 吉 野 晃 司 君
議 員 高 橋 重 人 君
議 員 菊 田 勝 雄 君
議 員 菅 井 盈 君
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〇
欠席議員(なし)
――――――――――――――――
〇説明員
市長 桂 信 雄 君
助役 杉 本 拓 君
助役 木 戸 喜一郎 君
助役建設局長事務取扱 魚 住 昌 也 君
収入役 長 部 幸 一 君
交通事業管理者職務代理者交通局次長
三 海 弘 君
水道事業管理者水道局長出木岡 謙 三 君
総務局長 伊 東 義 昭 君
企画調整局長 藤 田 幸 宏 君
財政局長 高 田 恒 君
市民局長 本 間 雄 君
民生局長 石 原 弘 之 君
衛生局長 河 崎 快 二 君
環境局長 柴 田 浩 英 君
経済局長 田 中 良 明 君
下水道局長 渡 辺 信 仁 君
建築局長 関 谷 幸 正 君
市立札幌病院長 竹 田 保 君
消防局長 谷 裕 之 君
教育委員会委員 冨士元 明 君
教育委員会教育長 荒 井 徹 君
選挙管理委員会委員長 大 橋 八 郎 君
人事委員会委員長 山 岡 暸 君
人事委員会事務局長 水 島 典 弘 君
監査委員 野 島 廣 紀 君
監査委員 山 本 穫 君
監査事務局長 谷 口 政 範 君
――――――――――――――――
〇
事務局出席職員
事務局長 鍛冶沢 徹 君
事務局次長 櫻 田 直 己 君
総務課長 植 田 英 次 君
議事課長 坂 野 嵩 君
調査係長 深 村 康 雄 君
資料係長 沼 田 光 弘 君
議事係長 高 森 政 行 君
記録係長 谷 川 輝 雄 君
委員会一係長 土 屋 逞 君
委員会二係長 野辺地 正 君
書記 佐 藤 比登利 君
書記 木 内 二 朗 君
書記 吉 田 雅 博 君
書記 高 佐 三緒子 君
書記 鈴 木 和 弥 君
書記 山 本 扶 美 君
――――――――――――――――
○議長(
見延順章君) これより,本日の会議を開きます。
出席議員数は,66人であります。
――――――――――――――――
○議長(
見延順章君) 本日の
会議録署名議員として
柴田薫心君,政氏 雅君を指名します。
――――――――――――――――
○議長(
見延順章君) ここで,
事務局長に諸般の報告をさせます。
◎
事務局長(
鍛冶沢徹君) 報告いたします。
大越誠幸議員及び
加藤隆司議員は,所用のため遅参する旨届け出がございました。
本日の
議事日程,請願・
陳情受理付託一覧表及び
質問順序表はお手元に配付いたしております。以上でございます。
〔一覧表は
巻末資料に掲載〕
――――――――――――――――
○議長(
見延順章君) これより議事に入ります。
日程第1,議案第1号から第16号まで,及び議案第20号から第22号までの19件を
一括議題といたします。
昨日に引き続きまして,
代表質問を行います。
通告がありますので,順次発言を許します。柿崎 勲君。
(柿崎 勲君登壇・拍手)
◆柿崎勲君 私は,ただいまから,
公明党議員団を代表して質問いたしますが,その前に,市長,議員にとりまして,ともに改選後初めての定例会という意義深い議会で質問の機会を得ましたことに感謝申し上げたいと存じます。
このたびの選挙に当たり,わが党は,
生活者優先の政治の実現を掲げ,市民に訴えてまいったところでありますが,これは先日の市長の
提案説明の中で,市政の主人公は,言うまでもなく市民でありますと述べられたことと相通じるものであり,わが党もまた与党としての責務を果たし,市政の発展と
市民福祉の向上のため,全力で取り組む決意を新たにしたところであります。
さて,本市を取り巻く
社会経済情勢は,急速な高齢化,
高度情報化,あるいはボーダレスという言葉で表現される国際化など,その変化が著しく,また急激な成長,発展を遂げたがゆえの
一極集中などに伴う本市独自の問題も山積しており,市長が直面する課題もまた少なからぬものがあると思うのであります。
そこで,桂市長がまず着手したいものの一つに取り上げられた新しい5年計画の策定について,今後わが党の政策も十分取り入れてもらうことを期待して,以下,質問に入ります。
本市は,昭和46年に策定した札幌市
長期総合計画以来,3次にわたる
長期総合計画と,その
実施計画である数次の5年計画の実施などにより,道路,公園,地下鉄,上下水道など,
市民生活に不可欠な
都市基盤施設の整備が急速に進み,いまや他の大都市との比較においても上位の水準にランクされる都市に成長したのであります。
また,
冬季オリンピック,ユニバーシアードなどの国際的なビッグイベントや
北方都市会議,パシフィック・ミュージック・フェスティバルの開催などにより,世界的にも高い知名度を得ることになりましたし,テクノパーク,芸術の森など,全国的にも注目される先進的な事業に果敢に取り組む一方,
地区センター,
地区図書館などの
地域コミュニティー施設や
福祉施設の整備など,心触れ合う
街づくりを着実に進めてきたことなどにより,わが国における北の
拠点都市としての本市の地位を一層確固たるものにしたのであります。このことは,市民一人一人の協力を初めとして,これまで市政を担ってきた方々,諸先輩の努力のたまものであるとともに,本市が常に
長期的展望のもとに計画的な事業の執行を図ってきた結果であり,21世紀を間近に控えたいま,今後とも一層明確な展望と適切な計画を持って各種の施策を展開していくことが求められていると考えるのであります。
市長は,今回の
市長選挙における公約の中で,躍動都市さっぽろを掲げ,北方圏の
拠点都市としての成長を続けるこの札幌を,21世紀にふさわしい風格と個性を備え,快適で活力と魅力あふれた街に大きく飛躍させていくということを明らかにされました。また,その政策面では六つの柱を掲げております。これは今日の社会や
市民生活などの大きな
構造変化の流れを十分踏まえ,わが街札幌をすべての市民が安心して暮らし,学び,働き,そして楽しむことのできる,より魅力ある街にしていこうという市長の積極的な姿勢のあらわれとして,わが党も評価するものであります。
具体的な政策としては,
福祉工場,
児童福祉総合センターの建設など,すでに
補正予算に提案されているものもありますが,これら政策の
早期実現のためにも,財政面からの検討を加えた新しい5年計画を早い時期にまとめ,計画的に移していく必要があると思います。
そこで,次期5年計画の策定に当たり,私なりに意見を申し上げたいと思います。
現在の
社会状況や
国際情勢などから21世紀を展望したとき,主要な課題として取り組むべきことは,第1にやはり
高齢化社会への対応であります。
これは後ほどの質問でも再度取り上げますが,21世紀まで10年足らずとなった現在,
高齢化社会は確実に私たちの視野に入りつつあります。高齢化への対応は,単に
高齢者対策であってはなりません。
高齢者福祉対策,
雇用対策,
健康づくり対策や
生きがいづくり対策の充実のほか,市民一人一人に対して
高齢化社会への意識を啓発し,
まちづくりや
市民生活全般にわたっての新しい
社会システムの構築,すなわち市民,地域,企業などが互いに協力し合う
環境づくりがいま望まれているのであります。こうした視点に基づいた施策が重要であると考えるのであります。
第2は,国際的な視野に立った施策の展開であります。
わが国は,経済の急速な成長により,いまや
世界経済の約1割を占めるに至っており,
経済大国として
世界各国から,わが国に対する期待が広がっております。国際化の進展は,かつての経済面を中心としたものから,文化,学術,
スポーツなど多様な分野に及んでおり,
生活必需品の
輸入増大など,暮らしの中での国際化も進行しております。これらの
交流内容の変化や広がりを背景に,国や企業だけではなく,さまざまな市民が活動する都市がそれぞれ交流の担い手となることが重要であり,本市としても,いままで以上に,北方圏の
拠点都市,
中枢機能の集積した大都市として牽引車的な役割を果たしていく必要があると思うのであります。
また,
国際社会の中で人類の
生存基盤にかかわる深刻な問題となっている地球環境問題や
発展途上国への技術援助問題などについても,先進国の一員として積極的な貢献が求められており,都市や地方としても,
国際社会におけるわが国の置かれた立場を十分認識し,
国際的視野に立ったグローバルな思考に基づく施策の展開が必要になってきているのであります。
第3は,豊かさが実感できる
まちづくりであります。
近年,労働時間の短縮に伴う自由時間の増大や
所得水準の増加などによって,市民の
生活様式や価値観かますます多様化し,物の豊かさから心の豊かさ,
生きがいづくりや
余暇活動への志向といった生活の
質的高度化が深まりを見せてきているのであります。
また,情報,
交通基盤の整備に伴い,市民の
生活行動様式は拡大しており,市民一人一人が多様で質の高い
サービスを受けられる
条件整備が求められております。したがって,行政としてもこのような市民の意識の変化に,先行的かつ的確に対応し,市民の文化,芸術,学習,
スポーツ活動や
ボランティア活動の高まりを支援する施策の展開や,快適な
生活環境,ゆとりと潤いに満ちた
まちづくりを推進し,いわゆる豊かさが実感できる多様な
市民生活の実現を目指した
まちづくりを進める必要があると思うのであります。
以上,私の考えを述べてまいりましたが,これを踏まえ3点ほどお伺いをしたいと思います。
質問の第1点目は,次期5年計画の策定に当たっての基本的な考え方についてであります。
市長は,さきの本会議において新しい5年計画を策定したいと述べられたところでありますが,この5年計画は,これからの市政を執行していくための
政策的裏づけとなるものであり,また
行財政運営の大きな指針となるものであります。その意味からも,第3次
長期総合計画の
早期実現,
市長公約の具体化,来たるべき21世紀への準備,さらには先ほど私が申し上げたような,これからの本市における課題への対応など,その取り組むべきことは多々あると思うのであります。
そこで市長は,この5年計画の策定に当たり,どのような
基本的姿勢で臨まれるのか,またどのようなところに重点を置いて策定に当たろうとしているのかお伺いをいたします。
質問の第2点目は,次期5年計画における区の
街づくりについてであります。
現代は,地方の時代とも,
都市間競争の時代とも言われており,それぞれの地方がそれぞれの特性を生かした
街づくりが求められているのであります。本市においても,その風土,特性を生かした
街づくりを進めてきたわけでありますが,今後従来にも増して各区が,それぞれの区や地域の特性を生かした独自の
地域づくりを住民の方々とともに進めていくという発想が大事であると思うのであります。
それと同時に,基本的な
都市施設については,各区の市民が等しく
行政サービスを受けられるよう,各区のバランスのとれていることが前提となることは言うまでもありません。
そこで市長は,今後の区の
街づくりに関して,どのように5年計画に反映していくお考えなのかお伺いをいたします。
質問の第3点目は,
街づくり市民アイデア会議についてであります。
5年計画の策定に当たっては,いままでも市民の要望を幅広く取り入れてきたと理解しているところでありますが,今回
街づくり市民アイデア会議を
補正予算に計上されたことは,その成果をも積極的に5年計画に反映させようとする市長の姿勢と受け取れるのであります。
そこで伺いますが,市長は
街づくり市民アイデア会議をどのように考えておられるのか,
具体的方策を含め,ご所見をお聞かせ願いたいと存じます。
次に,高齢者福祉問題についてお尋ねをいたします。
わが国は,昭和22年に男子50.1歳,女子54歳であった
平均寿命が,戦後の
国民生活と
公衆衛生水準の向上,
医療技術の進歩等により大幅に伸長し,いまや男子75.91歳,女子81.77歳と世界の最長寿国となりました。そしてさらに,21世紀には4人に1人が65歳以上という世界で最も高齢化の進んだ国になると予測されています。古来,人間は
不老長寿の実現に向けて飽くなき追求をしてきたところであり,世界の最長寿国まで登り詰めたということは大いに喜ばなければなりませんが,私は,長い生涯を健康で
生きがいと喜びを持って過ごすことができて初めて,長寿をことほぎ,
高齢化社会を明るい活力に満ちたものにすることができると思います。しかし,現実には多くの不幸を生み出していることもまた事実であります。たとえば子供の独立,配偶者との死別などによって孤独や無為に陥ったお年寄りがいたり,あるいは寝たきりや痴呆にかかり,介護に当たる家族の負担がきわめて大きくなり,本人や介護者を自殺に追い込んだり,また
家庭崩壊など不幸につながった例もないわけではありません。
一般に,高齢者は加齢とともに病気にかかりやすく,また幾つかの病気をあわせ持つことが多く,
療養期間も長くなるといった特性があります。厚生省の
国民生活基礎調査によりますと,
年齢階層別の有病者の割合は,入院者,通院者とも高齢になるに従って高くなり,65歳以上では入院者が1,000人当たり36.1人,通院者が534.7人と高い割合を示し,有病者率は,644.4人にもなっています。これは75歳以上の
後期高齢者においては一層顕著であります。
本市においても,
平成元年の老人台帳に基づく
実態調査によりますと,健康な高齢者が70%となっていますけれども,加齢に伴いその割合は低くなっていますし,入院率も8.51%と,全国3.61%に比較して高くなっております。一方,お年寄りの状況は,全市65歳以上のお年寄りのうち,
ひとり暮らしは1割弱の9.65%,夫婦のみで暮らしている方は24.22%,65歳以上のお年寄りのみで暮らしている方は1.93%で,35.8%の方々がお年寄りのみで暮らしている世帯となっております。
このような実情を踏まえますと,これからの
高齢化時代において市民一人一人が健やかに安心して豊かに暮らしていくためには,生涯を通じた
健康づくりを進めること,そして高齢者が保護や援助の対象としてだけではなく,高齢者みずからがその豊富な人生経験や知識,技術を生かし,社会に貢献できる一員であるという自覚を持つとともに,行政としても,そうした活動ができる機会の提供や
環境づくりを進めることが必要であると思うのであります。
さらに,援助や保護の必要なお年寄りについては,行き届いた保健,医療,
福祉サービスを提供することによって,少しでも多くの高齢者が住みなれた地域で暮らすことができるようにしていくこと,そして在宅で介護が困難な状態になったときは,安心して介護をゆだねることのできる体制が整備されていることが基本であると考えるのであります。
そこで3点ほど質問をいたします。
第1点目は,長い人生を充実したものにするためには,健康がまず基本であり,最も大切な要件であります。さきにも述べましたが,
平均寿命の伸びに見られるように
健康水準は著しく向上していますが,高齢者は病気にかかりやすく,成人病などの慢性疾患も増加しています。そのため,市民一人一人が若いうちから,自分の健康は自分で守るという考えのもとに積極的な
健康づくりが望まれます。その意味では,保健所を中心とした
地域保健の拡充が急務と考えますが,従前の保健所に対して持っている市民の
イメージは,乳幼児健診とか,結核検診という
イメージが色濃く残っています。そこで,広く市民に親しまれ,また
健康づくりを進めるための機能を果たすには,保健所を地域の
健康づくりの核として充実を図っていくことが重要であると私は思いますが,あらためて市長の考えをお伺いいたします。
2点目は,かねてから本市の
高齢者福祉対策は,
在宅福祉の充実と
施設福祉の充実は車の両輪であるという考えのもとに進めてこられたと認識しておりますが,特に
在宅福祉対策については,国はホームヘルパー,デイ・
サービス,短期入所の,いわゆる3本柱を中心に,その
積極的推進を図るよう各自治体を指導していると聞いております。しかし,今後
在宅福祉を進めるに当たって一番懸念されることは,福祉にかかわる人材が将来ともに確実に確保される見込みがあるのかといったことであろうと思うわけであります。この解決策としては,国において立法化の動きもあるやに聞いておりますが,この法制化とは別に,本市としての
積極的対応が求められているのではないかと思うのであります。
そうした意味で,たとえば
福祉入門日曜教室などを開き,福祉を身近なものとして
地域福祉サービスへの理解と関心を高めるとか,
福祉事業に従事したことのある方々の再就労や,新たに就労を希望される方々について,
講習会等を通じて登録をしていただく
福祉人材バンクの設置を考えるなど,当面身近なところから対策を講じていくことも必要ではないかと考えるのであります。
そこで,
在宅福祉対策を推進するに当たって,本市としての
基本的考え方と,これに伴う
マンパワーの育成確保についてどのように考えておられるのか,お伺いをいたします。
3点目は,
施設福祉対策についてであります。
国では,ゴールドプランの中で,在宅の介護が困難な方については,待つことなくいつでも
施設サービスが利用できるよう施設の大幅拡充をうたっておりますが,特に
平成元年から積極的に整備を図ることとしている
ケアハウスは,従前の
福祉施設とは異なり,より住まいの機能を重視し,しかも入居者の自立性を尊重した画期的な施設と伺っておりますが,残念ながら全国で6ヵ所しかございません。そこで,この新しい施設についての市長のご所見と,本市における
ケアハウスの整備についてどのように考えておられるのかお伺いをいたします。
また,地域住民からの設置要望が強い老人福祉センターは,厚別区をもって民間施設を含め各区1館の整備を完了することになりますが,お年寄りの願いをくみ取り,各区複数配置,すなわち2館目の構想をお持ちにならないのか,あわせてお尋ねをいたします。
次に,高齢者の住宅問題についてお尋ねをいたします。
昨年6月に出されました全国の住宅宅地審議会からの答申において,特に民営借家に居住する高齢者世帯については,最近5年間で移転を行なった世帯が3割を超え,この理由も,立ち退き要求や契約期限切れを理由に移転せざるを得なかったものが多く,これらの世帯の居住の安定を図ることが大きな課題であると言われております。このためには,高齢者が可能な限り住みなれた地域社会で
生きがいを持って生活できるよう,住宅及び住環境の整備を的確に進めて高齢者の住宅に対する不安を取り去ることが,安心な老後のための条件であると私は考えるのであります。
そのため,この答申を受けて策定した国の第六期住宅建設五箇年計画の中にも,高齢者の住宅対策として,親族との同居,近居等の多様な住まい方に応じた住宅供給の促進や,医療・福祉施策との連携を図った高齢者向け住宅の供給等が提案されているのであります。
本山の現状を見ましても,全国平均や他の大都市に比べて高齢者の割合が低いほうであるとはいえ,平成2年で9%となっており,高齢化は着実に進展しているのであります。そのようなことから,本市におきましても,札幌市高齢化対策推進本部を設け,全庁的にしかも横断的な組織として検討を行い,昨年8月に高齢化対策指針を発表したところであり,現在,その肉づけ部分の各論についての検討調整作業を進めており,間もなく発表される運びであると伺っているところであります。
私は,お年寄りにかかわるさまざまな問題を考えますとき,本市の場合は,積雪寒冷地であるため,冬季間の住宅内での生活時間が長いことや,除排雪の負担が大きいことなどの住宅にかかわる部分で,見過ごすことのできない多くの課題を抱えているのではないかと考えるところであります。ことに借家住まいのお年寄りの中には,借家の建てかえや家賃の値上げにより住むところを奪われ,より不便で居住水準の低い住宅への転居を余儀なくされ,生活が孤立沈滞して
生きがいを失っているのを仄聞するにつけ,何らかの援助の手を差し伸べられないものかと痛感する次第であります。
このような高齢者の住宅問題については,本市では昨年2月に札幌市住宅対策協議会に対し,札幌市における今後の住宅対策の基本的方向について諮問し,そのうちの高齢者に対する住宅施策についての中問答申が本年3月に出されたところであります。また,今回の
市長選挙におきましても,市長は,先ほども申し上げましたが,公約の大項目の一つに,すべての市民が平和で安らぎを感じ,安心して暮らせる
市民福祉の
まちづくりを挙げられ,その中で,ケア付住宅や,保健,医療が連携する総合的な高齢化対策を強力に推進する旨,述べられております。私は,これらの公約を実現していくために,中問答申の中で述べられている諸施策が具体化され,実施されることに大きな期待を寄せるものであります。
そのようなことから,私は高齢者の住宅対策を強力に推進していくべきとの立場から,3点ほど市長のお考えをお伺いいたします。
質問の第1は,この中問答申の中で課題に取り組むべき
基本的考え方として,「他世代の人と交流できる長年住みなれた地域への愛着をできる限り尊重した施策を推進すべきである」とうたわれておりますが,具体的には,立ち退きを迫られている高齢の民間借家居住者にどのような対策を考えておられるのかお伺いをいたします。
質問の第2は,お年寄りは,高齢化するに従って身体的機能の低下が見られますが,足腰が弱まってきますと,住宅内外の階段や内部のわずかな段差が大きな障害になり,転倒などの危険を生じたりいたします。特に,
ひとり暮らしのお年寄りにとって,このような問題は深刻であり,万一の場合,取り返しのつかない事態も考えられます。このように体の不自由なお年寄りが安心して住み続けられる住宅のニーズは非常に高いと考えられますが,高齢者に配慮した住宅の普及のための具体策をどのように考えておられるのかお伺いをいたします。
第3点目の質問は,優良な民間借家の活用についてであります。
今後必要と見込まれる高齢の住宅困窮者に対する住宅は,相当な戸数になると思われますが,これに対しすべてを公営住宅により供給することは,用地確保や財政負担の面で困難を伴うことであり,かつ公営住宅としても,そのような住戸規模の小さい住宅を多数保有することは,次世代のニーズを考えると問題を残すことにもなります。そこで,市がみずから公営住宅を建設供給する方策に加え,優良な民間借家を借り上げて公共借家として供給して,居住者の家賃負担を軽減する方策が中問答申の中でも提案されておりますし,また,国においても,この借り上げ住宅制度の拡充を図り,積極的に推進しているところであります。私は,この民間借家の借り上げ方式が緊急対策としてきわめて有効な方策であり,積極的な活用を図るべきと考えますが,どのように取り組もうとされているのかお伺いをいたします。
次に,地元中小企業における人材の確保及び人材の育成についてお伺いをいたします。
近年のわが国経済は,旺盛な民間設備投資による国内需要及び個人消費の伸びに支えられ,好況期間はすでに昭和61年12月以来53ヵ月にも及んでおり,昨年の秋ごろからその拡大テンポはやや緩やかになってきているものの,戦後最大であったイザナギ景気に迫る勢いであることはご承知のとおりであります。このような内需主導の好景気の中で,全産業を通して人材不足が進み,企業の経営上の新たな課題としてクローズアップされてきております。
昨年11月に労働省から発表された労働経済動向調査の結果を見ますと,常用労働者が不足する事業所は,製造業で60%,卸売・小売業で49%,
サービス業においては69%と,昭和59年に調査を開始して以来最高の水準となっていますし,パートタイム労働者が不足していると回答した企業は,製造業では47%に達し,これも過去最高となっております。
さらに,先月日本銀行が発表いたしました「最近におけるわが国労働市場の変化とその影響について」というレポートによりますと,「今後本格的な人手不足経済の到来が避けられず,経済成長が労働供給面からの制約を受けるようになる。」と報告しております。これらの統計的な数値及びレポートなどを総合的に考え合わせますと,人手不足の状況は長期的に継続し,さらに一層深刻化することが予想され,このことが企業の経営にとって重大な影響を及ぼし,ひいては日本経済の根幹的な問題になることが指摘をされております。
一方,本市における人手不足の現状に目を転じてみますと,昨年に本市経済局商工部が行なった企業調査報告では,人手が不足していると回答した企業は全体の71.9%を占め,業種別に見ますと,建設業が約87%,運輸業,小売業がそれぞれ77%,製造業が約62%の順となっており,本市においても人手不足の状況が進行していることは明らかであり,特に若年労働者や専門的な技術者及び技能者といった人材が不足している現状にあると考えられます。
私は,今後において若年層人口の減少といった社会的な側面,労働時間短縮による労働需要の拡大,さらには本市及び本市近郊における旺盛な企業立地といった地域環境の変化等により,本市においても労働力の不足がさらに進み,地元企業,中小企業の経営を圧迫する要素になるのではないかと危惧をいたしているところであります。
企業が労働力不足を緩和,解消する手段としては,申すまでもなく人材の確保と生産の効率化を図ることでありますが,人材の確保を図るためには,労働条件の改善はもとより,福利厚生施設等の充実を図り,魅力ある労働環境を整備する必要があり,また生産の効率を図るためには,多大な資金を要することは論をまたないところであります。しかしながら,中小企業の個々の力には限界があり,人材の確保や生産の効率化を図ることに対して,今後ますます行政的な支援が各方面から求められているのではないかと考えるのであります。
市長は,地場産業の一層の振興と北の特性を生かした世界に通じる産業を積極的に支援し,活力ある
まちづくりをするために,中小企業対策を大きく前進させることを公約されております。活力ある
まちづくりを進めていくためには,地元中小企業の経営基盤の強化に向けて,これまで以上に総合的な支援が不可欠でありますが,私といたしましては,とりわけ人材不足を緩和,解消する対策として,人材の確保に対する支援が今後最も重要になってくるのではないかと考えるものであります。
そこで,人材の確保に対する具体的な方策として申し上げますと,一つはUターン人材の確保であります。これは,Uターン志望者に向けての本市の生活情報あるいは企業情報の積極的なPRを行い,特に首都圏において求人活動を展開していくことによって,本市企業が望んでいる人材を確保することが可能になるのではないかと考えるものであります。ご承知のとおり,首都圏において,近年の地価高騰が住宅事情の悪化に拍車をかけるとともに,通勤地獄といった状況がいまだ改善を見ないといった
生活環境の中にあって,近年特にUターンを志望している人たちが急増していると聞いております。
昨年から本市は,札幌商工会議所と協力をして札幌人材確保対策協議会を発足させ,これらUターン人材の確保に向けて事業を進めてこられているわけでありますが,今後,このような協議会に寄せられる業界や企業の期待は,ますます大きくなるものと考えておりまして,これに伴い,この協議会の事業も一層拡充していかなければならないと思うのであります。
もう一つの方策といたしましては,人材の地元定着にかかわるものでございます。近年においては,道内の大学を卒業した人材の大半が道外に職を求めており,特に,理工系の学卒者においては,約72%が首都圏に就職しているのが実情であります。市長が目指される活力ある
まちづくりを進めていくためには,こういった若々しい人材が地元に定着できるようにすることが必要であります。このためには,地元企業が魅力ある企業に成長していくことに対する支援や,高度な技術力を持つ企業の誘致を積極的に図っていかなければならないと考えるものであります。
このような観点から,Uターン人材の確保と人材の地元定着によって,本市中小企業における人材不足の現状が好転していく方向に向かっていくものと確信をいたしておりますが,さらに踏み込んでこの問題を考えた場合,企業が採用した人材の育成に努め,一層の人材活用の効率化を図ることが,将来の企業発展のかぎを握っていると言っても過言ではないと思っております。本市が企業の人材育成に対しても,さまざまな角度から支援を行うことが,不断の企業努力に報いる真の効果的な対策と言えるのではないでしょうか。
以上,私の考えを述べさせていただきましたが,以下3点につきまして市長のご所見をお伺いいたしたいと存じます。
第1点目は,人材の確保のためには,各種の
生活環境の整備が不可欠であり,このことは本市の
まちづくりとも大いに関連があると思われますが,このことについて本市としてどのような基本姿勢を持って対応されていくのか,お考えをお伺いいたします。
第2点目は,昨年本市と札幌商工会議所が中心となって発足いたしました札幌人材確保対策協議会では,Uターン人材の確保に向けての事業を展開されているとお伺いしておりますが,この協議会の事業及び実績がどのようなものになっているのかお伺いいたします。
また,Uターン人材の確保の今後の展開についてどのように考えておられるのか,お伺いをいたします。
第3点目は,人材の育成についてでございます。この問題に対して,これまで本市として,どのような支援策を講ぜられてきたのか,さらに今後どのような展開を図っていかれるのか。以上3点につきまして質問をいたします。
次に,
健康づくりセンターとICカードの導入についてお尋ねいたします。
わが国は,
公衆衛生水準の向上や
医療技術の進歩などにより,乳児の死亡率や結核などの感染症死亡率が低下して,国民の
健康水準は,
平均寿命の伸長や青少年の体位向上などに著しい改善が見られております。しかしながら,その反面では,人口構造の高齢化,経済や社会環境の変化などに伴って,がん,高血圧,心臓病,糖尿病などの,いわゆる成人病の増加が問題となってきております。特に,近年関心を集めております壮年期の突然死についてでありますが,最近厚生省がまとめた人口動態社会経済調査によりますと,大変驚くべき調査結果となっております。
この報告によりますと,社会及び家庭での柱となる壮年期を焦点として,病気発症前の健康状態とその健康管理について着目したものでありまして,急病死した人の1週間前の健康状態を見ますと,6割が健康な状態にあったこと,特に脳血管疾患,心不全が原因での死者は過半数以上が健康であったこと,さらに脳血管疾患あるいは心不全死した者のほぼ半数近くが,病院,診療所にかかっていなかったという内容であります。しかし,一方では,7割近くの方が,頭痛,疲労感,胸の痛みなどを訴えていたという事実もあります。
この報告の示唆するところは,まずは,自分の健康は自分で守るという意識を高めていくこと,さらに行政としては,このための
環境づくりを積極的に推進していく必要があるということであります。危険信号が出た場合は,必ず病院に行くことが必要でありましょうし,ふだんから血圧測定,心電図検査等の検診を受けて,みずから健康管理をするという環境をつくり上げていくことが重要であります。
一方,近年は,運動不足の深刻化による体力の低下,エネルギーの摂取過剰,国民の
健康づくりの意識の高まり,労働時間の短縮による余暇の活動など,国民の生活は,さらに大きく変化してきており,行政面においても,従来の各種施設の充実,強化に加え,
健康づくりの中に包含される健康増進の考え方を,より一層重視した施策の展開が求められているところであります。
私は,高齢期に向かって体に支障が生じてくることは,加齢による自然な現象であり,従来のように,これを健康ではないと考えるのではなく,前向きに日常生活を送ることができて,さらに周囲への協力もできるならば,病気とつき合いながら生きていくという考えも必要ではないかと思っております。
このような健康観が高齢者の積極的な社会参加を促すことにつながるのではないかと考えるのであります。こうした視点に立った健康観のもとでは,市民一人一人が健康管理や
健康づくりに取り組む上で,一つには,自分の健康は自分でつくるという自覚と認識を深め,定期的な健康審査を受けていくとか,健康管理,
健康づくりに生かしていくべきであります。
また,二つには,正確で科学的な裏づけのある情報を提供することが必要であります。
三つには,
健康づくりを楽しく有益なものとするためには,家庭や地域ぐるみで展開することが必要であると考えます。
さらに新たな情報伝達システムを活用することにより,より市民のニーズに迅速かつ正確に対応できる健康管理,健康情報システムの開発,導入を進めることも重要であると考えるものであります。
私は思うのでありますが,
健康づくりは,あくまでも個人の取り組みが基本であると考えますが,それを支援していくための,市民が身近で手軽に利用できる
健康づくりの場や施設の提供を行政が積極的に行なっていく必要があると思うのであります。札幌市はこれまでも健康都市さっぽろを標榜しつつ,市民の健康を願い,体育館など体力に重点を置いた施設を整備してまいりましたが,昭和62年に初めて
健康づくりのための施設として札幌市
健康づくりセンターを東保健所の3階に設置したところであります。ここでは自転車エルゴメーターなどを使用した自主的な運動や体力測定,さらには専任の運動指導員による定期的なストレッチング,シェイプアップ教室や栄養相談教室等を実施するなどして,地域住民に親しまれ,利用者も相当数あって,非常に盛況であると伺っております。
そこでお尋ねいたしますが,このたび札幌市では,2番目の
健康づくりセンターとして中央区の旧消防庁舎跡地に建設を予定されておりますこのセンターは,東区にある
健康づくりセンターと比較して施設の規模としては大きいようでありますが,事業内容の面ではどのような違いがあるのか,まずお伺いをいたします。
2点目といたしましては,私は,地域住民のためには,身近で気軽に利用できる健康増進施設として,今後もこの
健康づくりセンターを整備していくべきと考えますが,その整備計画があるのかどうかお伺いをいたしたいと思います。
次に第3点目の質問は,先ほど述べましたように,健診に関する個人の情報についてであります。
申すまでもなく,健やかに老いたいと思うのは,だれもが願っていることであります。このためにも,若いときからの健康管理,すなわち生涯にわたっての健康管理が必要であると考えます。たとえばICカードの活用についてでありますが,個人別に健診記録や健康に関するデータを入力して,このICカードを本人が持ち歩くという管理システムがこれからは必要であると考えます。当然,保健,福祉,医療及びその他の関係機関との連携が必要でありましょう。いずれにいたしましても,このICカードを活用することにより,治療や健康相談,健康教室,生活指導などをより適切に行うことができる,生涯にわたる健康管理が可能になるのではないかと考えております。市民の健康管理の上からも,ぜひともICカードを導入すべきと考えますが,いかがでありましょうか,お伺いをいたします。
次に,コミュニティー施設の充実についてお尋ねをいたします。
本市のコミュニティー施策は,昭和47年4月の政令指定都市制施行を機に,コミュニティー施設の建設促進,町内会,自治会に対する助成制度の新設及び強化などが図られたのであります。
特に,市民の利便施設について申し上げますと,昭和47年以前は,地区の集会施設として市民が利用できるのはわずかに,当時の出張所に併設されていた地区集会所のほかは,いわゆる町内会館が点在している程度であり,少し郊外に行くとそれすらも満足にないという状態であったのであります。しかしながら,区制施行によって,より地域に密着した市政の推進が実現し,コミュニティー施策も体系づけられて,計画的な執行のもとに大きく飛躍したのであります。
その一つは,区ごとの区民センター,区体育館,
地区図書館の設置や児童会館の増設など,市民利便施設の充実,設置促進であり,二つには,町内会,自治会など住民の自主活動に対する助成制度の新設であり,さらには町内会館建設に対する助成制度の充実,強化であります。とりわけ昭和50年の市民局発足以降は,一層の推進が図られるとともに,新たな施策としてコミュニティセンターや
地区センターの建設が始まるとともに,地区のコミュニティー活動の拠点とも言うべき地区会館,連絡所の増設など,施設面の充実はもとより,コミュニティフェアの振興事業助成の拡充など,今日に至るまでまことに多彩な事業展開が図られ,多くの市民の共感を得ておりますことは,高く評価するものであります。
しかしながら,これから迎えようとしております
高齢化社会に適切に対応し,地域福祉をより充実させ,実のあるものとしていくためには,地域コミュニティーの果たす役割はきわめて大きいものであります。
幸いにして,本市は,申し述べましたようなコミュニティー施策の積み重ねによって,市民のコミュニティー意識はきわめて高いものがあり,こうした時代への対応については大いに期待しているものであります。
このような背景を踏まえて,私は一層のコミュニティーを醸成していくために,市民の集いの場であり,地域の交流の場でありますコミュニティー施設の充実について,以下3点についてお尋ねをいたします。
まず第1点目は,町内会館の建設についてであります。
住民の皆さんが力を合わせて建設をする町内会館は,いわば地区の城であり,コミュニティーの輪を広げる柱としてきわめて重要な役割を担っているものであり,その建設意欲はきわめて高いものであります。本市では,この建設促進の一助として,30年前から助成金制度を設け,後押しをしているのでありますが,年を追って制度の充実を図ってきているといたしましても,現在の補助基準は,建設費の3分の1以内で,限度額は900万円で頭打ちというのが実態であります。近年は住民の多様な要望にこたえるため,施設の大型化が進むとともに,設備面でも水準の高いものが多く見られ,それに伴い,住民の建設費負担も高額になっているのが現状であります。また最近の傾向を見ますと,新築ばかりでなく,老朽化に伴い全面改築を望む声も多々聞かれるのでありますが,これら建てかえ時期を迎えている町内会の一番の悩みは,資金の用立て,つまり寄附集めに相当の苦労をしているというのが実態であり,地区の熱意だけでは計画が実現しないというケースも見受けられるのであります。
そこでお尋ねいたしますが,現在の補助基準を抜本的に見直し,補助率,限度額ともに引き上げる考えはないのかお聞かせいただきたいのであります。
2点目は,
地区センターの建設についてであります。
現5年計画終了年までには,中央区と厚別区を除く7区にそれぞれ設置され,一応の計画は終了するのでありますが,この後はどのように展開されていくつもりなのか。
地区センターは,住民に身近な大型施設として,設置に対する住民の要望はきわめて高く,既存の
地区センターの利用状況を見てみますと,希望する日にはなかなか利用できない場合もあるほど活用されているのであります。
区民ホールは主に
スポーツに利用されておりますが,身近なところで文化活動もできるような設備の設置を望む声もまた強いのであります。こうした現実を踏まえた場合,
地区センターをこれまでのように1年1館というペースではなく,もう少しきめ細かく対応するためにも建設のスピードを上げるべきと考えますが,いかがでありましょうか。
あわせて,文化事業にも対応できるようなホール構造が望ましいと考えますが,ご所見をお伺いいたします。
質問の第3点目は,地区会館についてであります。
連絡所に併設されております地区会館は,原則として連合町内会ごとに整備され,活用が図られているのであります。この設置に当たっては,市において一定規模の連絡所,地区会館を建設するのでありますが,地元住民がさらに大規模な施設を希望する場合,その超過する部分の建設費は,地区住民が負担すること自体は,他の町内会館建設との均衡上妥当なものと考えます。このような形で建設された地区会館は,かなりの数に及んでおりますが,他の施設,たとえば児童会館などとの複合により建設した場合には,鉄筋コンクリートづくりとしている例はあるとはいえ,地区会館が単体の場合は木造であり,一番大きな地区会館であっても500平米程度というのが現状であります。
先ほどの町内会館についての質問の中でも申し上げましたように,地区の多様な活動に対応する上から,より大型の施設を希望する傾向にあり,こうした声に適切にこたえることもまた行政の使命と考えるものであります。
そこでお尋ねいたしますが,地区会館の建設に当たり,地区住民が大型の施設を希望し,かつ,それに見合う負担を申し出た場合,そうした住民の熱意や地域の特性を十分に取り入れてこたえるべきと考えますが,いかがでありましょうか,お伺いをいたします。
以上で,私のすべての質問を終わりました。長時間にわたりありがとうございました。(拍手)
○議長(
見延順章君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) お答えをいたします。
まず,新5年計画の策定についてでございますけれども,第1点目は,次期5年計画の策定に当たっての基本的な考え方についてでございます。
この5年計画は,本市が目指す都市づくりのまさに21世紀へのかけ橋となる,きわめて重要な市政執行の指針となるものでございます。
したがいまして,その策定に当たりましては,本市を取り巻く経済社会の流れと,今日的な都市問題や市民ニーズを的確にとらえ,この札幌がより快適で,より楽しく,活力と魅力にあふれた都市へと発展させるために,従来にも増して
長期的展望に立った計画的,効率的な市政運営を図ることを基本として取り組んでまいりたいと考えております。
また,その重点施策といたしましては,特に市民の方々にとって日常的な問題であります各種の福祉施策を初めとして,高齢化対策,雪対策,交通対策,廃棄物処理対策などについて積極的に対応してまいりたいと考えておりますし,また,これらの
市民生活に密着した社会資本の整備に加えて,ゆとりや潤いを備えた高次な都市機能の創出にも取り組む考えでございます。
第2点目の区の
街づくりについてでございますが,地域の特性を生かした住民参加の
街づくりにつきましては,私も全く同感でございます。そうした観点に立って平成2年度から区の個性ある
まちづくり事業を進めているところでございますが,ことしは各区にも企画調整担当の配置を予定いたしており,新しい5年計画におきましても,地域に根差した事業につきましては,できるだけ計画に反映できるよう配慮してまいりたいと考えております。
また,各区における
市民生活の基本となる施設につきましては,従来から,地域における均衡を考慮し,段階的に整備に努めてきたところでございますが,今後におきましても,その整備促進に一層の努力を払ってまいりたいと考えております。
第3点目は,
街づくり市民アイデア会議についてでございます。
街づくり市民アイデア会議につきましては,市民のアイデアはもとより,
街づくりに対するいろいろな事柄を市民が学び合い,そして討議する会議として,その中から市民の創意や建設的な意見を私どもにも提言していただくことを趣旨として設置するものでありまして,名称も「
街づくり札幌会議」といたしたいと思っております。
この会議の参加者は,1年交代で,定数を50名以内とし,年代,性別,職業などを考慮して,広報さっぽろ7月号で,市民各層から幅広く募集することにしております。また会議から出された提言は,市民に公表するとともに,5年計画を含め,今後の市政に反映させてまいりたいと考えております。
次に,高齢者福祉問題についてでございます。
第1点目の保健所を地域の
健康づくりの核として充実させることについてでございますが,
高齢化社会の進展など,
地域保健を取り巻く環境が変化していく中で,地域に密着した
健康づくり対策は,これからの保健所行政の重要な課題の一つであると認識いたしております。このためにも,保健所は,健康相談,健康教育等を通して,地域における自主的な
健康づくりを支援するための拠点となることが必要であると考えています。
したがいまして,保健所が住民組織,地域医療機関等の関係団体とより一層緊密な連携を保ちながら事業の推進を図りますとともに,保健所の区役所への移管についても,その
早期実現を図ってまいりたいと考えております。
次に,第2点目の
在宅福祉対策推進の基本的な考え方と
マンパワーの育成,確保についてでございます。
高齢者の多くの方々は,住みなれた地域で暮らしていくことを望んでおり,これを支援する在宅
福祉サービスの充実が全国的な課題となっております。
そこで,本市といたしましても,高齢者や介護に当たる家族の方々が安心して生活することができる体制の整備を計画的に推進してきているところでございます。本年度は,ホームヘルパーにつきまして,新たに,介護制に重点を置いたヘルパー制の導入について検討を進めており,また24時間体制で相談に応じる在宅介護支援センターも南区と白石区に増設する予定であります。今後とも
在宅福祉事業の推進に当たっては,特別養護老人ホームや
ケアハウスなど
施設福祉の充実を図りつつ,ホームヘルパー,デイ・
サービス,ショートステイの,いわゆる
在宅福祉の3本柱の充実を中心に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
また,これら事業の円滑な推進には,その人材の確保が重要でありますので,近く
マンパワー対策検討委員会を設置し,ご指摘のありました点も含めて,その方策についてご審議いただきたいと考えております。
第3点目は,
施設福祉対策についてでございます。
まず,
ケアハウスにつきましては,
平成元年度に国が整備方針を示し,今後10ヵ年で10万床を整備することとしております。本市といたしましても,
ケアハウスは今後の老人
福祉施設の方向を示すものと考えており,その整備に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
また,老人福祉センターにつきましては,本年度の厚別区の設置をもって,民間の機能も含め各区1館の整備が完了いたしますが,その利用者数も年々増加の一途をたどっております。
ご質問の各区複数配置につきましては,これまで設置してまいりましたセンターの利用の実態や配置の状況を十分分析しながら,あらためて検討してまいりたいと思っております。
次に,高齢者の住宅問題でございます。
まず,ご指摘の高齢者に対する住宅施策についての中問答申において提言のありました対策につきましては,今後の住宅政策を進めていく中で,その具体化に向けて努力してまいりたいと考えております。
そこで,第1点目の高齢の民間借家住居者に対する対策についてでございますが,現在住宅に困窮している高齢者世帯等につきましては,公営住宅への入居について,一定の抽せん優遇措置を講じているところでございます。また,立ち退きを迫られている高齢者世帯の優先的入居等の方策については,今後国とも協議をし,十分検討してまいりたいと考えております。
次に,第2点目の高齢者に配慮した住宅の普及についてでございますが,今年度から建設いたします公営住宅につきましては,段差解消や手すり等の高齢化に対応した住宅仕様を全面的に採用することとしております。
また,一般の民間住宅におきましても,高齢化に対応した住宅仕様が広く普及できるように,設計指針の文書を市民に配布するほか,民間活力を利用した高齢者向けモデル住宅の建設についても研究してまいりたいと考えております。
第3点目の民間借家の活用についてでありますが,ご指摘の民間借家借り上げの国の制度は,本年度発足したばかりでありますから,家賃負担の軽減策等,財政負担を伴う問題もございますことから,今回
補正予算として計上しております地域特別賃貸住宅供給計画調査において,借り上げ住宅等の利用や問題点の把握を十分行い,検討してまいりたいと考えているところでございます。
次に,人材の確保及び育成でございますが,第1点目の本市の基本姿勢につきましては,お話にもございますとおり,優秀な人材を確保し定着させるためには,快適で安心できる
生活環境を整備することが何よりも大切であります。すなわち住宅の確保,交通機関の整備,文化・教育面での施策の充実,治安の確保,自然環境の保全と防災対策への配慮等,多くの要請を満たす必要がございます。幸いにして本市の場合,豊かな自然の中で,都市機能も比較的充実しているという評価を得ており,近年,優良な企業や人材の進出が盛んでありますが,今後とも,よい
街づくりが人材の確保・定着につながるとの基本理念に立って各種の施策を進めてまいりたいと考えております。
第2点目の札幌人材確保対策協議会は,本市と札幌商工会議所が中心となって,Uターン人材を求める地元企業126社を募り,昨年の9月に発足したもので,Uターン情報を掲載いたしましたガイドブックの作成・配布等の広報活動,さらに東京におけるUターン札幌フェアの開催を主な事業内容としております。
これらの事業展開により,これまで26社に45名の採用が決定し,現在においても約100名のUターン希望者が企業と継続して交渉を行なっていると聞いております。予想以上に,首都圏での本市に対するUターン志向の強さを裏づける結果となっております。先日,札幌商工会議所内に,企業と人材の情報交換の拠点となるべき同協議会Uターンコーナーを設置したところでもあり,今後とも同協議会の事業を積極的に推進してまいる所存でございます。
第3点目の人材育成の支援についてでございますが,これまで本市では,札幌市技能訓練会館及び札幌市エレクトロニクスセンターにおいての技能士や技術者の育成事業,及び中小企業指導センターにおける経営者・従業員研修事業の実施,また個々の企業における事業内職業訓練に対する訓練費用の一部助成,さらに,高度なソフトウェア技術者の育成のために本年4月に設立されました株式会社北海道ソフトウェア技術開発機構に対し出資を行うなど,多面的な人材育成に対する支援事業を実施してきたところでございます。
今後におきましても,これらの支援事業をより積極的に展開してまいりたいと考えております。
次に,
健康づくりセンターとICカードの導入についてでございます。
第1点目の,東区の
健康づくりセンターとの事業の相違についてであります。
東区のセンターでは,主として健康な方を対象に運動指導を行なっておりますが,新設のセンターでは,このほか,健康にやや不安の持たれる方を対象として健康回復事業を行うこととしております。この事業は,健康診断の結果,健康に不安な方でも実践可能な運動量を測定する運動負荷試験を実施し,それぞれの健康状態に応じた運動指導や栄養指導を行いながら,きめ細かな
健康づくりを進めていこうとするものでございます。
第2点目の
健康づくりセンターの今後の整備計画についてでございますが,この施設は,
健康づくりを実践する場として,地域の住民にとって有用な施設であると考えられますことから,センターで現在実施しております各種事業の成果を十分見きわめながら,今後の整備について検討してまいりたいと考えております。
次に,第3点目のICカードの導入についてでございます。
市民一人一人がICカードを所有することは,みずからの健康を管理する上で最も望ましい方法であると認識をしておりますが,ICカードを導入するに当たっては,全医療機関に機器を整備しなければならないこと,さらにはプライバシーの保護等,解決しなければならない多くの問題を抱えております。
そこで,当面は,個人別の健診結果を経年的に管理する健康管理情報システムについて,その開発を進めてまいりますが,ICカードの導入についても,他都市の例を参考にしながら,今後の課題として研究してまいりたいと思います。
次に,コミュニティー施設の充実についてお答えをいたします。
ご質問の第1点目,市民集会施設建設費助成制度の改正についてでございます。
制度が発足いたしました昭和37年以来,これまで延べ495件の補助実績を積み重ねてきており,地域の皆様に有効に活用されている制度と考えております。この建設費の補助制度につきましては,逐次改善を行い,その充実に努めてきておりますが,ただいまご指摘のありましたように,大型の施設については,限度いっぱいの補助を適用しても,なお住民の負担が相当程度になるということは認識いたしております。したがいまして,この制度を一層活用していただくため,地域の実情や建築費の動向を十分踏まえながら,補助限度額及び平方メートル当たりの補助基準単価の見直しを図って,将来的には3分の1の補助率についても見直しを検討してまいりたいと考えております。
2点目の
地区センターの建設についてでございます。
地区センターは,予想以上に活用されており,こうした施設に対する市民の期待は多大でありまして,区民センターの役割を補完し,地区の核となるこのような施設の役割は非常に大きいものと実感しております。したがいまして,今後は
地区センターに力点を置き,これまで以上に建設の促進に努めますとともに,現在は,主に
スポーツ活動に利用されているホールにつきましては,ご提言のありました文化事業などにも利用できるよう,十分に検討させていただきたいと思います。
ご質問の3点目であります,地区会館についてでございます。
地区会館は,これもまた地区コミュニティーの拠点として,連合町内会単位での公共的な会合や行事に対応するために,地区の皆様とお互いに協力し合いながら整備をしてきたところでございます。
この場合,財政面を初めいろいろな制約や他との均衡,あるいは地元負担の兼ね合いなどから,木造を基本とし,規模も500平方メートルを上限としておりますが,近年,これをさらに上回る規模の要望がありますことはお話のとおりでございますので,ご質問の趣旨を踏まえて,十分に研究してまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(
見延順章君) ここで,およそ30分間休憩をいたします。
――――――――――――――――
休 憩 午後2時11分
再 開 午後2時45分
――――――――――――――――
○議長(
見延順章君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問の続行であります。八田信之君。
(八田信之君登壇・拍手)
◆八田信之君 私は,ただいまから,自民クラブ議員会を代表して,札幌市政の諸課題について質問をしてまいります。
まず,雪対策についてお伺いをいたします。
今日までの雪対策の主流は除雪や排雪なとであり,春の訪れとともに解けて流れて何も残らないものでありました。
いま本市が取り組みを始めたロードヒーティングや流雪溝の布設,融雪槽の建設は,北国の都市機能として財産として残る,すなわち
まちづくりであります。したがって,計画的に総合的に取り組んでいかなければならないと考えるところであります。
さて,ここ数年における本市の降雪量は,昭和63年が311センチメーター,
平成元年度が419センチメーターと,過去の平均値の478センチメーターを大きく下回り,暖冬少雪の傾向を見せましたが,一転して平成2年度は,何と637センチメーターと,気象台史上最大の降雪に見舞われ,いまさらながら雪に強い
まちづくりの必要性を痛感させられた1年でありました。
確かに,自然の摂理として,毎年訪れる雪は昔もいまも変わらないと思うのでありますが,降雪や積雪がもたらす影響については,私たち
市民生活とのかかわりにおいて多様に変化をしてまいります。
北国に住む私たちが雪の問題に取り組んでいくときに受け身の姿勢でいては,雪はさらに厳しい姿を見せるでしょうし,逆に雪に対して積極的な取り組みを進めるならば,雪と調和し,雪とともに共存し,雪を楽しむ北国ならではの活力のある地域社会の建設が可能になると思うのであります。
本市ではこれまで,計画的な
まちづくりをすることで,ほかの大都市が経験してきたさまざまな都市問題については,そのときどきに適切に対応し,大きく発展をしてまいりました。
都市の生命線と言われる水道水の確保や生活の快適化をもたらす下水道の整備などは,国内のどの大都市と比較しても,普及率など抜群であり,万全の感すらするところでございます。
また,交通対策としての地下鉄の整備やJRの高架化,さらには道路網の整備にしましても,まだまだ完成の域に達しませんが,一定の水準を確保しているように思われますし,河川,緑地,公園にしても同様なことがうかがわれると思うのであります。
このように,都市を形成する社会資本の整備は本市発展の原動力となり,人口の増大にもかかわらず,札幌市民をして今後も住み続けたいという意向を90%の高率にならしめております。しかし,ここに来て,本市においても都市化に伴う諸問題が芽生えてきていると私は感ずるのであります。
その一つは,雪問題であります。
確かに本市では,蛇口をひねればおいしい水が出るし,水洗化の普及で衛生的になり,1時間もあれば都心に出て快適なショッピングや文化施設の体験ができるようになりました。全国のどこの都市と比較しても,雪のない8ヵ月はまさに快適になったと言えるのであります。しかし,初冬を迎え,天からの白い使者が本市を訪れるころから街の様相は一変し,幹線道路では慢性的な交通渋滞が発生し,生活道路では,車同士がすれ違うことができなくなり,各家庭では雪が降るたびに間口の雪処理に悩む毎日が続くのであります。このように,雪のない季節が快適になればなるほど,雪の季節が痛みを伴った季節として忌まわしくさえ思われるのであります。
本市でも,これまで雪の問題に手をこまねいていたわけではありませんが,冬の道路交通を確保するため,除雪予算についても年々増額を行い,また将来に備えての雪対策の計画づくりに着手するなど,その取り組みについては十分評価に値するところであります。それにいたしましても,この雪の問題は簡単に解決できる問題ではないと私は考えております。
本市にとりまして,雪問題はいまや都市問題であります。単に除雪費の増加や除雪体制の強化でこの問題の解決を図ることは,余りにも無用なコストを将来にかける心配が生じてまいります。私は,道路除雪側の対策だけでなく,都市計画を含む総合的な対策を検討する必要があると思います。
本市創建の120年前にも,ここ札幌に深々と雪が降っていたことでありましょうし,そして未来の120年後にもきっと雪は降っているのであります。このことは,私たちに雪が降ることを前提とした
まちづくりの必要性を示しているのではないでしょうか。
雪が降っても困らない道路,雪を流しても困らない下水道,そして雪が降っても困らない都市計画が雪の降る街札幌に求められていると思うのであります。雪のない8ヵ月間が快適な
まちづくりではなく,1年間を通して快適性が維持できる
まちづくり,これこそが21世紀の札幌市民のために,いま私たちが取り組むべき課題であると私は考えるのであります。
市長は,みずからの政策の中に,雪対策を重点項目として取り上げております。市民もまたそれを強く望んでおります。市長におかれましては,今後の市政の中で,雪対策を優先的課題として積極的に取り組んでいただきたいと考える次第であります。
私は,これまで述べました所感の趣旨を踏まえまして,具体的な以下の3点につきまして市長にお尋ねをしたいと思います。
第1点は,流雪溝の整備促進についてであります。
市長は,初めての政策予算となる平成3年度の肉づけ予算で,西区の琴似地区と発寒地区の2ヵ所に新規の流雪溝調査費を計上しております。本市における流雪溝モデル地区としての南区藻岩下,本格的な流雪溝としての北区新琴似に引き続き,市内で3番目の流雪溝を,とりわけ雪の多い西区で展開できますことは,私同様に西区住民すべての喜びであると同時に,一刻も早い流雪溝事業の着手と早期の完成を願うものであります。しかし,流雪溝は,計画の開始から地域住民が利用できるまでには相当の年月を要するのが現状であります。これは水源や流末の条件処理に加え,地下埋設物などの調査などに時間がかかることが要因となっておりますが,最も主要な要因は,事業費の確保ではなかろうかと思うのであります。
藻岩下流雪溝は,建設に3年の年月と4億円の事業費を要し,新琴似流雪溝も3年の年月と12億円の事業費を要しております。両地区の流雪溝事業は,ともに国の補助事業として行なっておりますが,このような進捗状況では,とても市民の熱い期待にこたえることはできないと思うのであります。
私は,常々,本市において流雪溝事業を多面的に展開し,より多くの市民が流雪溝を早期に利用できるようにするには,これまでのように国の補助事業のみに頼るのではなく,市の単独事業を大幅に組み込む必要があると考えております。たとえば本市において最大の課題でありましたスパイク対策では,国の法制化を実現し,市民とともに推進してきた脱スパイク社会が現実のものになろうとしております。この間,本市では低コストヒーティングの研究開発を行うとともに,市の単独費を主体に,坂道ヒーティングの整備に力を入れてきました。
特に市長は,このたび発表されました肉づけ予算で,過去3ヵ年を大きく上回る72カ所で22億6,000万円の予算を計上し,スパイク問題に終止符を打つ決意を明らかにしております。私は,このような市長の英断を今度は雪対策に向けることを強く期待するものであります。
本市の雪対策を行う上で,流雪溝は欠かすことのできない都市基盤の施設であります。国からの補助はもちろんのこと,市の単独費を大幅に投入することにより,流雪溝整備の展望を市民に示していただきたいと考えるのであります。このような方法こそが,積雪寒冷地である本市において流雪溝の整備促進を果たす最大の近道であると考えますが,市長のお考えをお示しいただきたいのであります。
質問の第2点は,小型融雪槽の普及促進についてであります。
私といたしましては,第1点目で質問しました流言溝の整備で全市の雪対策が完結できるものとはもとより考えてはおりません。確かに流雪溝は,将来の雪対策を行う観点から,本市における
都市基盤施設として可能な限り整備することが必要であります。しかし,生活道路も含めた全市の道路に流雪溝を設置することは,水源や流末などの自然条件や財政的な制約から困難なことは明らかであります。
また,総合的な雪対策を行うに当たっては,流雪溝以外のロードヒーティングや融雪槽など,ほかの雪処理施設の整備とあわせて,昨年来行なっております除雪パートナーシップ制度など,あらゆる方策を有機的に組み合わせていくことが肝要であります。
こうした意味から,私は現在市販されている小型融雪槽の普及策をいま講じることが,もう一方で大変価値があることと考えるのであります。流雪溝の恩恵を受けない多くの市民が雪処理の労苦から解放されるためには,設置場所の制約を受けない小型融雪槽の普及促進を図ることが現実的な解決策であろうと思うのであります。
これには,融雪された排水を下水処理場で受け入れるという新たな方針の転換を必要としますが,よく言われております水温降下による下水処理機能の低下は,処理場で熱を付加するなど,技術的に解決をしてでも,生活道路などの雪処理に難儀している多くの市民の利便性を優先させる必要があると考えるところであります。すでに相当の整備率に達した約6,000キロに及ぶ下水道管路施設を市民の雪対策施設として新たに複合利用させることは,積雪寒冷地に位置する本市のとるべき道であると私は確信をしております。
さらに,小型融雪槽の普及を図るには,このような問題の解決とあわせて市民への助成策を講じる必要があると思います。このような小型融雪槽について,個人の敷地の雪だけでなく,前面道路の雪処理を条件に市が補助金を出すなどのソフトな対策が必要ではないでしょうか。快適な冬の都市環境を市民協力のもとに築くためにも,小型融雪槽の普及拡大を目指す必要があり,そのためには,下水の水洗化の際に設けている貸付金や助成制度のような方策を採用することで一層の促進が図られるものと思いますし,これらの多くを手がけている地場産業の育成を促すものと思うのであります。より多くの市民が手近に雪問題を解決する手段として大変効果的な方策と考えられるので,助成する機器の認定など問題もあろうかと思いますが,市長のご見解をお伺いしたいのであります。
第3点目は,流雪溝には水源が必要であります。
いままでの藻岩下流雪溝は,北電藻岩発電所の水が使われ,また新琴似流雪溝は創成川下水処理場の処理水が使われております。
今回,調査費のついた琴似発寒地区の流雪溝は,ともに新川下水処理場の水を使う予定になっております。将来にわたって流雪溝を整備しようとすれば大きな水源が必要となるのであります。
北海道でも検討したことがあると聞き及んでおります琴似発寒ダム構想はその後どうなったのか。生活用水として建設がされると,大きな水源として流雪溝に大いに役立つのであります。市内の河川でダムが建設されるならば,流雪溝をかなりの地域に整備することが可能となろうと思います。
桂市長におかれましては,あらゆる水源を確保するために努力をしていただきたいと思います。特に琴似発寒川に生活用水ダムという名目で雪対策を推進するために,横路知事に対して水源確保のダム建設の促進についてお願いをしていただきたいと思いますが,市長のご所見をお伺いしたいのであります。
次に,2000年夏季札幌オリンピックの招致・開催につきまして,市長のお考えをお伺いいたします。
このことに関しましては,私は平成2年第3回定例市議会で,当時の板垣市長に対して夏季
スポーツイベントについてということで質問をした経緯があります。また,桂市長におかれましても,昨年夏に札幌市民連合との政策協定の中で,21世紀夢オリンピックとして,21世紀の早い時期に夏季オリンピックを札幌で開催したいと言われたのを記憶しているところであります。
私は,年限を切り,2000年の夏季オリンピックを札幌で招致・開催する意思表示を,桂市長において早く決断して準備に入るべきと考え,ここに提言をするものであります。
オリンピックは,開催年の7年前に決定をされることになっており,2000年オリンピックは,2年後の1993年の夏にモナコ市で開催されるIOC総会で決定する運びとなっております。札幌市に女神がほほ笑めば,2年足らずの招致運動で2000年大会の開催が可能となるわけであります。立候補するとすれば,1988年大会に名古屋市が立候補し,絶対優位と伝えられていたにもかかわらず,ソウル市に惜敗したことの理由を私なりに調査をいたしました。
オリンピック大会は,都市に開催の栄誉が与えられるものでありますが,名古屋市の場合は,愛知県が先行して運動を始め,開催市であり,招致運動をリードすべき名古屋市の意思表示がきわめて遅くなった経緯があります。この乱れ,すなわち招致運動が一枚岩になっていなかったことが,よもやの惜敗につながった最大の原因であったと考えられます。
札幌市が2000年オリンピック大会に立候補する場合は,その教訓を生かして,札幌市,北海道,日本,そして関係機関が一枚岩となって運動に取り組めば勝てるチャンスが十分にあると私は判断をしております。なぜなら,私は札幌市にはオリンピック夏季大会の開催の可能性が大いにあると考えるからであります。
その理由の第1に,本市は冬季大会の実績があり,国際オリンピック委員会から最も権威のあるオリンピックカップが授与されるほど,国際的にも信頼が置かれていることが挙げられます。
第2に,昨年夏,国際卓球連盟の荻村伊智郎会長は,この先夏季オリンピック大会に日本から立候補するなら,人口200万人,選手村から10キロメーター以内にすべての施設がそろう札幌市のようなところに可能性がある,と板垣市長に語ったと,このことが新聞報道でなされました。これは一つの例でありますが,
スポーツ関係者のほぼ一致した意見として札幌市への高い評価があるからです。
第3に,世界に目を転じますと,各種目の世界選手権大会をぜひ札幌で開催してほしいとの要請なり,希望が非常に多いように聞き及んでおります。こうしたことから,札幌市が展開する対外PR活動あるいは招致活動が優位に進むものと考えるからであります。
第4に,本市においては,夏季においても大規模な国内
スポーツイベントの開催の実績を有しており,一昨年成功裏に終わった国民体育大会は,参加選手,役員の数など,オリンピック大会に匹敵するほどの規模でありました。その意味で,本市にはオリンピック大会開催運営の素地がすでにでき上がっており,実力もあるものと考えます。本市の夏は梅雨がなく,さわやかであり,実に
スポーツに適した自然環境であります。札幌市としては,こういった優位性を存分に生かすべきであり,本市
長期総合計画にもあるノーザンクロス構想を実行していくよい機会であるとも考えるのであります。
一方,オリンピックの招致・開催をめぐる昨今の新聞報道などを見ますと,現段階においてベルリン市,北京市,マンチェスター市,ブラジリア市,イスタンブール市がそれぞれ2000年に夏季オリンピック大会招致の意思を表明しております。
私は,オリンピック夏季大会の札幌開催を熱望してやまないのでありますが,その中で私が申し上げたいのは,夏季オリンピックの開催を最大の目標として取り組みを行いながら,これと並行して計画的に,オリンピック種目を網羅していくような世界選手権大会を開催していくとともに,国際レベルの競技施設の整備を進めながら,世界の各種
スポーツ団体に札幌の実力と魅力を広く浸透させる取り組みが必要であると考えます。
そして,市長が提唱する21世紀夢オリンピックを実現するためには,機会あるごとに立候補することであります。オリンピックの開催は,青少年に夢と希望を与えることができることはもとより,
まちづくりを大きく飛躍させることができます。
1972年札幌大会の効果を振り返ってみますと,まず第1に,
まちづくりに多額の国費が導入され,飛躍的に
まちづくりをすることができた。競技施設や関連都市基盤整備に約350億円の国費が一気に投入され,現在の都市環境の根幹が形成された。これらの民間投資を含めた建設投資総額の2,100億円は,現在価格の約5,600億円に相当し,その経済的波及効果は,札幌市,本道の経済の活性化に大きく寄与したものと推察するところであります。
第2は,冬季間の
市民生活の充実,
市民福祉の増進,また健康都市づくりの契機となったことであります。建設された各種施設は市民体育施設として,オリンピック村は一般市民に供給されました。また,札幌国際スキーマラソン大会が創設されるなど,その後の冬の
スポーツ振興には目をみはるものがありました。
第3には,オリンピックを開催したことによって,本市の国際的知名度が一挙に高まり,本市が国際都市として飛躍する大いなる契機となったものと私は理解をしております。
そこで,桂市長に申し上げます。
いま市長の前には,進み行く
高齢化社会への備えや雪対策,交通対策,土地対策など,大きな問題が山積していると考えます。しかし,オリンピックを開催できれば,その大規模な公共投資などにより,
まちづくりは10年以上先取りができ,21世紀にふさわしい街がここ札幌に一挙に出現するのであります。
2000年夏季オリンピック開催のための条件は,わが札幌市において,すでに満たされているのであります。21世紀オリンピックを単なる夢に終わらせるのではなく,現実のものとするためには機会あるごとに立候補することであります。あとは決断だけであると私は考えます。
市長の2000年夏季札幌オリンピック開催についてのお考えをお伺いしたいのであります。
次に,
スポーツ振興基金の創設についてお尋ねをいたします。
このことにつきましては,早くから創設の必要性を私はあらゆる場をとらえて言い続けてきたところでありますが,その機が熟せず,今日まで来たのであります。
さて,国においては,平成2年12月に国会において,
補正予算をもって政府が250億円を出資し,関連法が改正され,その実現を見たところであります。この基金の構想は,昭和63年3月に首相の私的諮問機関である
スポーツの振興に関する懇談会報告で提言され,これを受けて文部省が調査に着手し,設立に至ったものであります。
また,この基金が設立された背景には,昨年のアジア大会を初めとする一連の国際大会における日本選手の成績不振に対して,
スポーツ界などから基金の早期設立の声が高まり,政府内部でも
補正予算での設立が急浮上したものであります。この基金は日本体育・学校健康センターに置き,その運用益で優秀な選手の海外留学や外国人コーチの招聘,
スポーツ団体の行う全国的,国際的な活動への援助を実施することとしています。
国はこれまでも,選手育成に向けた財政援助として日本体育協会に対し補助金を出しておりますが,基金設立により,国の援助額は大幅に拡充されることになったのであります。
また,この基金には民間からも100億円以上の寄附を予定し,最終的には350億円以上とする計画になっているのであります。この基金設立の直接動機が,競技力の低下を阻止しようとの目的でありますが,日本の頂点の競技者の力が落ちてきたということは,必然的に地方もレベルが下がっていると言わなければなりません。今回,国が基金設立によって
スポーツの競技力向上に取り組むことになったことは,遅きに失した感がありますが,大いに歓迎すべきことであり,今後の成果を期待しているところであります。
そこで,本市においても
スポーツ振興基金を設立して,本市における
スポーツの振興に資するべきであると考えるものであります。国の250億円は,人口比で本市に当てはめると3億4,000万円に相当しますし,民間資金を入れた350億円であれば,4億7,600万円となります。私は,本市の場合,5億円くらいを基金として設立をすべきであると考えます。また,本市におけるこの基金との関係ある部分は,昭和53年に,3,000万円の原資でスタートした文化交流振興基金であります。この基金は,昭和59年から,青少年の
スポーツ交流にも助成することが可能となり,その状況を見ると,7年間で172件の支給のうち,
スポーツ交流に関するものが28件と,約16%を占めている実情であります。
この状況からしても,文化交流振興基金の枠の中でなく,そろそろ
スポーツ部門は独立した基金とすべきであると思うのであります。さらにまた,基金を将来にわたって大きくするため,特定寄附を募り,これと同額の一般財源を合わせて市費積み立てていくようにすれば,また大きくこの基金が有意義なものとなりましょう。この基金設置について,市長の考え方をお聞かせいただきたいのであります。
次に,農業振興についてお尋ねをいたします。
私は,過去2回,自然農法,健康な土づくり,自然食品の販売ルートの確立,そして消費者保護の立場で,自然食品などのシール制度を設けてはどうかなどなど農業問題に関して質問をしてまいりました。今回は,産業振興の中の一つとして農業振興にかかわる質問をいたします。
現在の国内における農業を取り巻く経済情勢を見ますと,およそ昭和62年以降の産業構造は,外需主導型から内需主導型へ大きく転換したことによる個人消費と設備投資の増加や輸入品価格の下降による物価の安定などから,昭和30年代の岩戸景気,40年代のイザナギ景気に匹敵する大型景気が実現したところであります。
このような景気拡大を背景として米国を初めとする諸外国からの対外不均衡是正の要請が高まる中で農産物輸入自由化の要求が急速に強まり,昭和63年6月には,平成3年度から牛肉などの輸入自由化の実施が決まり,また7月には,農産物12品目中7品目の輸入自由化や輸入枠の拡大などが決定しております。さらに米についても,わが国が主張する完全自給について,主要国の合意が得られないままに,予断を許さない厳しい状況にあることは,先刻ご承知のとおりであります。
一方,国内の農産物の自給は,総体的な緩和基調が続いている中で,米の消費減少傾向による水田転作の強化が畑作物の供給過剰に拍車をかけており,外国産農産物との競合のもとで厳しい計画生産を余儀なくされるなど,農業の生産構造にひずみが生じております。こうした問題を抱えながらも,農産物価格の品質問格差の拡大,または輸入農産物が急増する中でコストの一層の低減が求められるとともに,消費者が求めるよいものをつくらなければ売れない時代を迎えているのであり,いま各産地では,生き残りをかけた産地間競争や特産品の開発など,農業の活路を見い出すべく激しい戦いが繰り広げられているのであります。
これらの状況を踏まえた中で本市の農業に目を転じますと,明治の初頭からいち早く農地の開拓が始まり,多くの人々によって北方農業の研究がなされ,幾多の新技術の開発による技術供給の拠点として北海道農業の牽引車的役割を果たしてきました。しかし,戦後の急速な都市化の中で,増大する土地需要を背景として農地の転用が進むとともに,他産業への就業の機会がふえるにつれ,農家数,農地面積は減少の一途をたどり,近年では,都市開発に伴って生産基盤である農地の分断や営農環境の悪化など,さまざまな生産状況への影響が見られております。
しかしながら,私は,本市が道都として世界に結ぶ国際都市として限りなく発展していく要件の一つに,都市と調和した潤い,心の安らぎは欠かせないものであり,まさに命をはぐくむ農業の営みは,新鮮な農畜産物の供給や緑地保全機能のみにとどまらず,市民への情操教育の面から見ましても,本市にとって重要な存在となっていると受けとめております。
そこで,農業振興についてでありますが,最近の道内他産地の例を見ますと,現下の消費者ニーズである健康,本物志向,さらには余暇時間の増大に伴って,精神的ゆとりを求める自然との触れ合い志向が高まりを見せる中で,各地域で農業と消費者との直接交流によってニーズにこたえようとする,ふるさと小包便や入園直販など,工夫を凝らした各種の意欲的な取り組みが芽生えており,本市の農業者の意識の中にも,都市住民と直結した農業を展開したいという意向が強いとも伺っております。それらのことを踏まえると,こうした取り組みは,今後の農業政策を進めていく上で,一つの大きな可能性を持つものと考えるのであります。
先般の市長の平成3年度
補正予算の記者発表の中で触れていますが,本市においてもそうした流れを的確にとらえ,新市長の公約の一つ,「いきいきサッポロ」の大きな目玉事業として,札幌里づくり事業をお考えのことと伺っております。
そこで,質問の第1点でありますが,先ほど申し上げた農業を取り巻く厳しい情勢の中で,札幌市に何とか農業を残したい。さらには,本市農業が活力あるものとして存続し,若い農業後継者に夢を持たせていくためには,農業が市民ニーズに直接対応し,都市と共存できる農業を育成していくことも重要な課題と考えるのでありますが,今後の本市農業の振興策について,市長はどのように考えておられるのか,ご見解をお伺いしたいのであります。
次に,第2点目でありますが,この札幌里づくり事業は,都市農業の拠点として,21世紀を見据えた新たな視点に立った事業であると大いに期待を寄せているところであります。この事業は,都市住民にとっても疎遠になりがちな自然と接することのできる場と機会を提供するとともに,農業地帯における個性豊かな地域形成を図るための核となり得るといった,都市整備事業の一つとしても位置づけられていると思うのでありますが,この札幌里づくり事業の概要と今後の見通しについて,市長にぜひお伺いしたいのであります。
最後に,本市の街路灯行政について,3点ほど質問をしたいと思います。
本市の
まちづくりは,大通公園に代表されるように,創建以来計画的な
まちづくりを進めた結果,いまや約170万人の人口を擁する北方圏の拠点大都市としての発展をしているわけであります。しかし,今日の社会経済は,国際化,情報化,高齢化などの進展により急激に変容しており,まさに変化の時代そのものであります。こうした時代にあって,変化をいち早く把握するとともに,将来を見通し,効率的な
まちづくりの進展が求められています。
これらを踏まえ,本市を見ますと,現行5年計画はすでに4年目に入っており,本年度中に次の5年計画が策定されることになるでしょう。とりわけ道路整備を初めとした社会資本の整備は,市民の暮らしの豊かさに直結するものであります。
一方,真に本市が国際的な都市として一層の発展を図るためには,常に時代を先取りした感覚のもとに,従来の建設面重視の整備にとどまらず,
市民生活の高品質化,価値観の多様化などに対応した質の高い整備が必要であります。
このような社会情勢の中で,どのような整備計画を策定し,ゆとりある真に豊かな社会を構築するかは焦眉の課題であり,特に人命尊重及び犯罪のない明るい
街づくりの観点から,夜間における交通事故防止策及び防犯上必要な街路灯の整備は緊要な課題であると言っても過言ではありません。
このような背景には,社会経済活動の急速な発展と,これを支える車両交通量の飛躍的な増大,とりわけ労働界の再編成,フレックスタイムの導入などに見られる労働時間のコーディネートなど,
市民生活の24時間化といった
生活様式の変化による夜間活動の活発化と,それに伴う夜間交通量の増大など,いわゆる今日の車社会の現出に,予想をはるかに上回る,目まぐるしい進展があります。
このモータリゼーションの進展の中で,だれもが車を運転する国民皆ドライバー時代にあっては,運転しやすい道路環境はまさに時代の要請であり,さらに急速な
高齢化社会に向けて,より安全,快適な道路環境の確保は,行政の必要不可欠な責務であります。
以上のことから,本市としては今後,街路灯整備になお一層積極的に取り組む必要があると考えます。そこで,私の意見を述べさせていただくとともに,ご所見をお伺いいたします。
まず第1点目は,街路灯の整備促進についてであります。
街路灯の整備は,従来,幹線道路は市が設置し,いわゆる生活道路は町内会などにゆだねるといった,市と町内会などによる2本立てによる整備を行なってきた結果,現在市の管理する街路灯は3万8,000基であります。町内会などが管理するものが約8万基となっており,実に全体の約7割を町内会に依存している状況にあります。それでもなおかつ,根強い市民要望があり,全市の整備状況はまだ十分とは言えないのが現状であります。
確かに,従前の車両交通量も少なく,また道路舗装率の低い時代にあっては,生活道路の街路灯は住民負担でという考え方もやむを得なかったと思われますが,さきに述べました今日の社会的背景に照らして見ますと,いかがなものでありましょうか。
したがいまして,早急に街路灯の設置基数をふやし,明るい
まちづくりに努めるとともに,一歩踏み込んだ住民負担の軽減対策に取り組むべき時期に来ていると思うのでありますが,市長のご所見をお伺いをいたします。
第2点目は,地域の環境に合った街路灯の整備についてであります。
街路灯の設置は,単純に設置間隔ばかりでなく,個々の道路状況,車両交通量,都市景観などを考慮して設置していくべきと考えます。たとえば大通や駅前通を初めとして,道立近代美術館周辺などには,道路のグレードアップに合わせて,これに調和した街路灯を設置しているようでありますが,このような本市の顔とも言うべきシンボルロードに対して,その街並みや景観整備を図ることは非常に重要なことだと思います。
そこで私は,地域新時代と言われる昨今,このような特色ある街路灯行政は全区に広げていくべきと思います。このためには,何も特別に高価なものを設置するというのではなく,道路の性格や地域の実情に即した個性豊かなものを工夫し設置していってはどうかということであります。この点,市長のご所見をお伺いしたいと思います。
第3点目は,新型街路灯についてであります。
本市の道路管理延長の大半を占め,街路灯設置についての住民要望も高い生活道路では,いわゆる防犯灯の観点で,町内会などが主体となって整備を進めておりますが,昨今の増大する車両交通量などを考えますときに,町内会だけでは経済的にもすでに対応し切れなくなってきていると聞き及んでおります。その上,維持管理が小まめに行き届かないために,美観上も余り好ましくないものが多く見受けられるのであります。
また,中央区の電車通りのように,電車利用者による道路横断が頻繁なところは,100メーターに三,四基といった概数的な整備でなく,もっと設置基数の多い配慮が必要ではないでしょうか。これらの地域事情,明るさ及び設置基数の不足並びに適切な維持管理など,多様な住民ニーズに対応するために,本市では先ごろ新しいタイプの街路灯を開発したと聞いております。
活力ある
まちづくりには,常に新たな発想と効率的な経営感覚を養っていかなければなりません。そういう意味では,本市が研究開発した,この新型タイプの街路灯は,シンプルなデザインで雪国札幌の街並みにマッチし,かつ設置コストもきわめて低廉であるとのことでありますから,おそらく街路灯設置要望の高い生活道路などの明るい
街づくりに大いに役立つものと思うのであります。そこで,今後この新型街路灯の普及をどのように進められるのか,お伺いしたいのであります。
以上をもちまして,私に与えられた
代表質問はすべて終了いたしました。長い間ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
見延順章君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) それでは,お答えをいたします。
まず初めに,雪対策についてであります。
第1点目の,流雪溝の整備促進についてでございますが,ご承知のとおり,流雪溝は,具体的に市民協力を得られる雪処理施設として国からも高い評価をいただいております。本市におきましては,国の補助事業として整備を行なってまいりました。
また,近年では,これまでの道路事業以外にも補助の道が設けられており,特に下水処理水を利用する流雪溝の導水施設に下水道補助を創設するなど,国においても流雪溝の整備を促進するため,施策の拡大を図っているところであります。
したがいまして,流雪溝の整備に対する市民の皆様の高い期待にこたえるため,今後もあらゆる国の補助制度を活用するとともに,ご指摘のございましたように,単独事業の導入につきましても,本市の財政事情を勘案しながら,本年度に策定を予定しております新5年計画の中で検討を行い,流雪溝整備の促進を図ってまいりたいと考えております。
第2点目の小型融雪槽の普及促進についてでありますが,市販されている小型融雪槽につきましては,確かに市民の皆様が手近に雪処理が行える有効な施設であり,ご質問にもございましたように,市民協力を得ながら冬の都市環境を改善する大きな手だてと考えられますので,下水道施設の使用等を含めて,ご提案につきましては今後の研究課題とさせていただきたいと思います。
次に,第3点目の琴似発寒川のダム建設にかかわる促進要望についてでございますが,現在,北海道におきまして,その可能性について検討中と聞いておりますので,知事に促進要望を行うことにつきましては,もう少し推移を見た上で判断してまいりたいと,このように思います。
2点目の2000年夏季札幌五輪の招致・開催にかかわるご提言についてであります。
冬季札幌五輪がもたらした大きな成果につきましては,私も同様に考えております。しかし,夏季五輪は冬季とは比較にならないほどの大規模であり,観客収容力の大きな各種の競技施設や選手村,プレスセンター等の建設,さらには交通アクセスなど,諸条件の整備が必要になってまいります。したがいまして,当面はそうした基本的な条件の整備についての十分な調査研究と本市の都市づくりにおけるそれら大規模施設の有用性等について慎重に検討,議論を進めていくことが必要であろうと考えております。
また,招致表明に当たっては,世界各都市の動向を踏まえ,国を挙げてのバックアップを要請していかなければなりません。それには何よりも,札幌市民の皆様や経済界,各種
スポーツ団体など,全市民的な盛り上がりが不可欠であろうと存じます。
これらのことから,2000年の夏季札幌五輪の招致表明については,現段階ではきわめて難しく,まだその機には至っていないと考えております。
しかし,夏季オリンピックの開催は,都市にとっての大きな夢でもございますので,ご提言の趣旨を踏まえて,夏季の国際的
スポーツ大会の誘致開催を着実に進め,札幌の知名度を世界に浸透させながら,将来の本市開催の可能性について研究してまいりたいと思います。
次に,3点目の
スポーツ振興基金の創設についてであります。
お話にもありましたように,国では,
スポーツに関する競技水準の向上等のために必要な援助を行うことを目的とした
スポーツ振興基金を,日本体育・学校健康センターに創設したところであります。
本市におきましても,
スポーツの振興のため,従来より札幌市体育連盟に対する助成を行うほか,文化交流振興基金の果実により,青少年の
スポーツ交流の助成を行なってきたところでありますが,ご提言のような基金を創設することも意義あることと考えますので,既設の基金との関連ともあわせて今後検討してまいりたいと思います。
それから次は,農業振興についてでございます。
第1点目の,農業振興策についてでございますが,農業は,生鮮食料品の供給はもとより,貴重な自然,緑地空間を創出するもので,
まちづくりにも重要な役割を担っておりますことから,本市といたしましては,今後とも優良農地の保全を図りながら,農業施設の近代化,農業生産組織の集団化などを進め,生産性の向上,経営体質の改善を目指すとともに,札幌産ブランドの育成などに努めてまいりたいと考えております。
ご指摘の,都市化に伴う生産基盤の縮小を初めとしたさまざまな実情を考慮いたしますと,本市農業は都市近郊に立地する有利性を生かした新たな施策を講ずる必要もありますので,今後は農産物に対する新鮮さ,安全性などの市民ニーズの高まりに対応し,また心のゆとり,自然との触れ合いなどにも十分に配慮した本市独自の都市型農業の展開に向けて努力してまいりたいと考えております。
次に,札幌里づくり事業の概要でございますが,ただいま申し上げましたように,都市における緑地空間は自然との触れ合いを提供する貴重な場でもあり,お話にありましたとおり,本市農業の新たな可能性を開くとともに,市民の心の豊かさを求めるニーズにこたえるため,この事業に取り組もうとするものでございます。
この事業を進めるに当たりましては,創造,交流,自然の三つの基本理念を柱に事業展開を考えております。
まず,創造につきましては,高品質,高能率生産を目指した都市型農業を確立するための技術開発事業,乳製品加工事業及び情報活用事業などを考えております。また,交流につきましては,生産者と消費者の相互理解による都市と農業の共存を図るため,多くの市民の参加を得て,手づくり体験事業などを実施いたすこととし,さらに自然につきましては,緑豊かな景観のもとで,自然との触れ合いを図りながら,市民が憩えるような場の提供などを想定しております。
次は,街路灯の整備についてでございます。
第1点目の街路灯の整備促進についてでありますが,交通事故の多発している昨今の情勢から見て,街路灯の整備は私も緊要な課題であると認識しています。したがいまして,住民要望がきわめて強い街路灯の設置については,その増設に努めてまいりたいと考えております。
また,住民負担の軽減については従来から実施しておりますが,次期5年計画策定の中でさらに検討を進めてまいる所存であります。
第2点目の地域の環境に合った街路灯の整備についてでありますが,国際都市さっぽろにふさわしい風格のある道路整備を進める中で,都心部においては景観に配慮した街路灯を設置しておりますが,今後は各区のメーンストリート等にも,ご提案のように,個性豊かな街路灯整備を進めていく考えであります。
第3点目の,本市が民間と共同で研究開発をした新型街路灯についてでありますが,これはデザインも斬新で,積雪寒冷地に適し,かつ従来の街路灯に比較しますと半額近い価格で設置が可能でありますことから,今年度から積極的に採用していく考えであります。
また,設置・維持管理の両面で経済性にもすぐれておりますことから,デベロッパーや街路灯組合連合会等にも働きかけて新型街路灯の普及促進を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(
見延順章君) お諮りをいたします。
本日の会議は,これをもって終了し,明6月13日午後1時に再開いたしたいと存じますが,ご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
見延順章君) ご異議なしと認めます。よって,さよう決定されました。
――――――――――――――――
○議長(
見延順章君) 本日は,これにて散会いたします。
――――――――――――――――
散 会 午後3時39分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 見 延 順 章
署名議員 柴 田 薫 心
署名議員 政 氏 雅...