札幌市議会 1990-02-20
平成 2年第 1回定例会−02月20日-02号
議 員 越 智 健 一 君
議 員 宮 川 新 市 君
議 員 岡 本 修 造 君
議 員 滝 沢 隆 君
議 員 山 崎 七 郎 君
議 員 藤 田 雅 弘 君
議 員 山 本 長 和 君
議 員 田 畔 満 君
議 員 吉 田 一 郎 君
議 員 高 橋 重 人 君
議 員 菊 田 勝 雄 君
議 員 菅 井 盈 君
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〇欠席議員(1人)
議 員 福 士 勝 君
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〇説明員
市長 板 垣 武 四 君
助役 桂 信 雄 君
助役 勝 田 義 孝 君
助役 杉 本 拓 君
収入役 藤 井 憲 次 君
交通事業管理者交通局長長 部 幸 一 君
水道事業管理者水道局長出木岡 謙 三 君
総務局長 木 戸 喜一郎 君
企画調整局長 藤 田 幸 宏 君
財政局長 田 中 良 明 君
市民局長 本 間 雄 君
民生局長 石 原 弘 之 君
衛生局長 島 中 貞 夫 君
環境局長 柴 田 浩 英 君
経済局長 伊 東 義 昭 君
建設局長 魚 住 昌 也 君
下水道局長 渡 辺 信 仁 君
建築局長 柳 町 菊 造 君
市立札幌病院長 竹 田 保 君
消防局長 谷 裕 之 君
教育委員会委員 冨士元 明 君
教育委員会教育長 荒 井 徹 君
選挙管理委員会委員長 大 橋 八 郎 君
選挙管理委員会委員 高 橋 光 義 君
選挙管理委員会委員 越 智 喜代秋 君
人事委員会委員長 山 岡 暸 君
人事委員会事務局長 水 島 典 弘 君
監査委員 中 目 啓 市 君
監査事務局長 谷 口 政 範 君
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〇
事務局出席職員
事務局長 鍛冶沢 徹 君
事務局次長 船 木 宏 通 君
総務課長 植 田 英 次 君
議事課長 坂 野 嵩 君
調査係長 大久保 裕 君
資料係長 沼 田 光 弘 君
議事係長 高 森 政 行 君
委員会一係長 土 屋 逞 君
委員会二係長 野辺地 正 君
書記 谷 葛 磨 君
書記 獅々堀 秀 利 君
書記 佐 藤 比登利 君
書記 木 内 二 朗 君
書記 吉 田 雅 博 君
書記 高 佐 三緒子 君
書記 鈴 木 和 弥 君
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○議長(吉野晃司君) ただいまから,休会前に引き続き会議を開きます。
出席議員数は,67人であります。
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○議長(吉野晃司君) 本日の
会議録署名議員として岡本修造君,八田信之君を指名します。
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○議長(吉野晃司君) ここで,事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(鍛冶沢徹君) 報告いたします。
福士 勝議員は,所用のため本日の会議を欠席する旨,届け出がございました。
去る2月16日,
人事委員会委員長から,議案第20号 札幌市
職員給与条例等の一部を改正する条例案に対する意見書が提出されましたので,その写しを各議員控室に配付いたしました。
本日の議事日程,
陳情受理付託一覧表及び
質問順序表は,お手元に配付いたしております。以上でございます。
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陳 情 受 理 付 託 一 覧 表
(平成2.定1) (平成 2. 2.20)
┌────┬────────────────────────┬────┬────┬────┐
│番
号│ 件 名
│受 理│付 託│付 託│
│ │ │年 月 日│年 月 日│委 員 会│
├────┼────────────────────────┼────┼────┼────┤
│陳 情│来年度の保育料の値上げに反対する陳情 │ 2. 2.15│ │ │
│第236
号│ │ │ │ │
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○議長(吉野晃司君) これより議事に入ります。
日程第1,議案第1号から第49号までの49件を一括議題といたします。
ただいまから代表質問に入ります。
通告がありますので,順次発言を許します。室橋一郎君。
(室橋一郎君登壇・拍手)
◆室橋一郎君 私は,ただいまから,
自由民主党議員会を代表し,当面する市政の諸問題について,順次質問をしてまいります。
まず,財政問題についてお伺いいたします。
この数年来,財政再建が国・地方を通じての大きな課題となっていることは周知のとおりでありますが,ここで若干,本市予算に大きく影響する国の予算及び
地方財政計画について見てみたいと存じます。
わが国は,人口の高齢化や国際社会における責任の増大など,今後の
社会経済情勢に対して,財政が弾力的に対応していくことが必要なことから,財政改革を積極的に推進して,財政の対応力を一日も早く回復することが緊要な課題となっております。
そこで,平成2年度の国の予算は,財政改革の第一段階である
赤字国債依存体質からの脱却を実現するとともに,
公債依存度の引き下げを図るため,歳出の一層の徹底した見直しに取り組み,
公債発行額を可能な限り縮減することとして編成されたのであります。
このような方針に基づく平成2年度の国の
一般会計予算は,その規模が66兆2,736億円で,前年度に比し9.7%増,また,国債費や
地方交付税交付金などを省いた一般歳出は35兆4,092億円で,前年比3.9%増であり,それぞれ昭和56年度以来の9年ぶりの高い伸びとなったのであります。そして,象徴的なことは,景気の
持続的拡大を反映して,対前年度比13.7%という大幅な税収増もあって,15年ぶりに赤字国債の新規発行をゼロとし,建設国債の発行額も前年度より1,500億円縮減して,
国債依存度も8.5%と15年ぶりに一けた台に引き下げたことであります。いまだ国債残高が164兆円あるとはいえ,
国債整理基金会計へ
定率繰り入れも再開し,先行き明るいものとなっているのであります。
一方,平成2年度の
地方財政計画も,おおむね国と同一基調で策定されており,
歳入歳出規模で67兆1,700億円で,前年度に比し7.0%の伸びとなっております。このことは,景気の拡大に支えられ,地方税収で7.5%の伸びが見込まれていること,また,
地方交付税につきましても,元年度から,新たに消費税の19.2%及び
国たばこ税の25%が
交付税原資に加えられ,国税3税の32%と合わせて国税5税が対象科目となり,これらの順調な増加もあって,
地方交付税で10.3%の伸びが見込まれていることなどによるものであります。
このようなことから,歳入に占める
一般財源比率,すなわち地方税,
地方交付税,
地方譲与税の比率は約69%となり,平成元年度の67.8%を上回る見込みであり,地方財政も,わずかではありますが,好転の見通しとなっているのであります。
このような国及び地方の財政状況の中にあって編成され提案されております本市の予算を見ますと,平成2年度予算は,5期20年の板垣市政の締めくくりとして提案する最後の本格予算であり,市長としても格別の感慨をお持ちのことと推察しております。
先日の提案説明の中でも,昭和46年5月の市長就任以来,20年間にわたる市政の歩みとその成果の一端を述べており,市長の謙虚な気持ちのあらわれと存じますが,きわめて控え目な述懐ではなかったかと思うのであります。
昨年11月に,日本経済新聞社から発行されました
日本都市シリーズ(札幌)を読まれた方も多いと存じますが,その本には,私どものふるさとであるこの札幌が詳しく紹介されており,その中で私の印象に残った部分がありますので,少々引用してみたいと思います。
札幌は,その名前の中に自分の魅力を表現しているということで,
アルファベットのSAPPOROにちなんで,象徴的に札幌の特性をあらわしているものであります。すなわち,Sは
ソフト型産業のSであり,
ハイテク企業やニュービジネスが育ち,ひと味違った北の産業都市を目指していること。Aは,アメニティー,すなわち快適さ,住みよさであって,大多数の市民から,札幌に一生住みたいと高く評価されていること。二つのPは,
パイオニア精神と,そこから生まれる斬新な
プロジェクトを意味し,
開拓者精神にあふれ,野心的な
プロジェクトに挑戦する進取の気概があること。Oは,オープン,
オープンマインド,すなわち開放的な性格であり,だれをも温かく受け入れてくれること。Rは,リゾートであり,
都市観光都市として世界的にも有名になっていること。最後にOは,オポチュニティー,すなわち,いろいろな機会にあふれ,北方圏の拠点都市として,さらに国際都市として発展していること。これが札幌の特性であり,魅力であるということであります。
少々引用が長くなりましたが,札幌の
アルファベットに象徴されて述べているこのことは,まさしく,市長が初当選以来,市政執行の目標として掲げてこられた「住みよいまち札幌」,「活力と個性と安らぎに満ちた札幌」が定着しつつあり,その実績がきわめて高く評価された証左以外の何物でもないと考えるのであります。
昭和40年代以降の
社会経済情勢の激変,特に人口の急増や
オイルショックなどの中で,そして財政力が政令市で
最下位グループという悪条件下にあって,短期間のうちに地下鉄や鉄道高架,道路や公園,区民施設や
文化教育施設等々,広範多岐にわたる
都市基盤施設を,他都市が目をみはるほどのスピードで整備し,本市を発展させてきた実績は,市長の並み並みならぬ手腕によるものと,深い敬意と大いなる評価を惜しまないものであります。
このような5期20年の実績を踏まえながら,市長として提案する最後の本格予算である平成2年度予算を見てみますと,一般会計においては対前年度伸び率7.2%で,昭和50年度以来8年ぶりの高い伸びとなっており,国の一般歳出や
地方財政計画の伸びを上回るものとなっているのであります。内容的には,義務的な経常経費をできるだけ圧縮して,政策的な
投資的経費を9.0%と大きく伸ばしているとこであり,国の公共事業の伸び0.3%に対し,本市の単独事業を大きく上積みしたものとなっているのであります。
また,将来に備えて積み立てを行うべき基金は,それぞれ造成しつつも,
財政調整基金等の使用も昨年の倍近い119億円を計上して,多様な市民の要望に少しでも対応しようとする市長の積極的な姿勢がおうかがいできるのであります。以上,私なりの分析や評価を申し上げてまいりましたが,これらを踏まえましてお伺いしたいと存じます。
市長みずからの責務において執行を見守ることのできる最後の予算であります平成2年度予算につきまして,市長はどのような基本的な考え方によって編成されたのかお伺いいたします。また,特に意を用いた点がありますれば,お聞かせいただきたいと存じます。
次に,
大型小売店の出店規制の緩和と,これに対する
地元商店街の振興策についてお伺いいたします。
わが国の商業経営の歴史を振り返ってみますと,これは戦前戦後を通じてどの時代においても,大型店と
中小小売店の対立をその基調として展開してきたようであります。戦前の大型店としては,現在もその地位を確固として堅持している百貨店がありますが,百貨店は,しにせと言われる明治以前からの長い歴史を有するものと,大正末期から昭和初期に東京,大阪,名古屋で,
電気鉄道系列の
ターミナルデパートとして成立したものがあります。これらの百貨店に対しては,すでに昭和の初期に,
中小小売店による反
百貨店運動が発生し,昭和12年の第1次
百貨店法が成立したことになったものであります。これにより,百貨店の出店には許可が必要となり,
中小小売店の営業を保護することになったのであります。
その後,この第1次
百貨店法は,戦後の昭和22年にGHQの命令で廃止となりましたが,昭和25年には生産流通の自由化が行われ,昭和27年には経済水準が戦前まで戻り,昭和29年には,百貨店の
売り場面積も戦前の水準に戻るなど,ようやく経済活動も活発に行われるようになったのであります。この時点で,また
百貨店運動が発生し,昭和31年には再び
百貨店法の成立を見るところとなったのであります。
この
百貨店法は,現在の大店法の前身となったもので,店舗面積が6大都市においては3,000平米以上のものを,他の都市では1,500平米以上のものをそれぞれ規制の対象とし,
商業活動調整協議会,いわゆる商調協,さらに
百貨店審議会を経て,
通商産業大臣の許可により出店ができる制度でありました。これにより,百貨店の出店は大いに規制されたのでありますが,
高度成長期に差しかかり,新しい業態として
スーパーマーケットが出現したのであります。
スーパーマーケットは,一時は,すっとあらわれてぱっと消えていくなどと皮肉られるほどの浮き沈みの著しい業態でありました。しかし,
セルフサービス方式による人件費の節減など,当時としては効率的な商業のあり方を目指した経営方式が採用され,同時に,
高度成長期の大都市圏への人口の集中と景気の高揚,冷蔵庫の普及による消費生活の変化に伴い,
食料雑貨中心から
総合スーパーへと脱皮したのであります。さらに,
チェーンストア理論の採用により,他の資本との提携・合併を繰り返し,急速に店舗数をふやし,また,大型店へと飛躍していったのであります。
このほか,住宅地の郊外への膨張に着目した電鉄各社は,
ターミナルデパートをさらに広範囲に展開し,また,
戦災復興期に資本力をつけた地方の資本は,
地方百貨店を設立したのであります。これに対して,戦前からあった
伝統的百貨店も地方都市へ出店するようになり,躍進するスーパーと
新興百貨店との三つどもえの商戦となり,このような激しい競争の中で,
中小小売業者は,そのシェアを狭められ,苦境にあえぐ状況になったのであります。このような中でとられた処置が,従来の
百貨店法の全面改正による大店法,すなわち,大
規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律の制定であります。
この大店法は,業態にとらわれず,スーパーなどもその対象に含めることとしたものであり,
百貨店法に比べ,許可制ではなくなりましたが,その対象範囲は大きく広がったのであります。
大店法は昭和48年10月に制定され,翌49年3月に施行されましたが,依然として紛争はおさまらず,昭和53年の法改正において
規制対象枠を大きく広げたことにより,当時の景気の低迷などもあり,しばらく
出店ペースが落ちついたのであります。しかし,
オイルショック後の2度にわたる経済の低成長のもとでは,依然として
中小小売業との摩擦は尾を引き,昭和57年2月には,通産省から事前説明の徹底や,大型店の出店水準を考慮すべきである旨の,出店を抑制する通達が出されました。
本市議会においても,
中小商業者が経営の近代化や振興策をとること,
消費者サービスの向上に努力することなどを条件として,大型店の出店凍結を宣言し,現在に至っているところであります。
このような大型店と
中小小売店の歴史的な経緯を見てまいりますと,この構図というものは,どのような世の中にあっても変わりようのない,持てる者と持たざる者との確執のようにも見受けられるわけですが,最近,商店街の方に伺ったところによりますと,どうも必ずしもそうではない局面も生じているということを知らされました。
それによりますと,ある商店街では,大型店を商店街の核的存在としながら,経営の質的転換や商店街のイメージアップを図る共存の方向に向かったり,また,
大型店対策だけではなく,街づくりの観点から,消費者に親しまれる個性的な商店街を目指して,道路舗装や街路灯等の改良,緑化の推進,地域の住民との協力による行事の催し物の実施など,商店街を暮らしの場,
コミュニティゾーンへ変えていこうとする試みも進められているとのことでございます。
また,最近の消費動向というものは,このところの景気の拡大や余暇の増加,価値観の多様化などから,従来と相当変わってきていることもうかがえました。かってのような価格の高低のみではなく,デザインやグレード,さらには売買の際の商品知識やその後のアフターサービス等も,消費の際の選択肢になる時代であるとのことであります。
このような新たな流れの時代には,新たなビジネスチャンスも潜んでおり,商店街が新たな展開をする好機ではないかとのことであります。
しかし,昭和62年6月に大
規模小売店舗審議会が,会長談話の形で緩和の方向を示唆し,翌63年12月には,臨時行革審が「公的規制緩和等に関する答申」を提出し,これを受けて,閣議は「規制緩和推進要綱」を決定しております。さらに,昨年6月には,90年代における流通の基本方針について,いわゆる「90年代流通ビジョン」が打ち出され,大店法の適正かつ円滑な運用を目指しているわけであります。
この中で,規制緩和策として,事前説明についてはあくまでも地元への説明であり,必ずしも「合意」を必要としない。また,事前説明や商調協の「審議期間等に制限を設ける」,「閉店時刻や休業日数の届け出不要基準を拡大する」などのことが取りざたされており,これらはいずれも,大店法の従来の運用を改め,結果としては規制が大幅に緩和される内容となっているわけであります。
このような中で,私といたしましては,大型店の出店が緩和されることにより,商店街への影響について非常に心配をしているのであります。
商店街の皆さんは,先ほど申し上げたような価値観の多様化等の状況のもとで,これを一つの好機として,みずからの営業の近代化を含め,商店街ぐるみで新たな展開に向けて努力を払っているのであります。この時期に,大型店が地元の状況等に配慮することなく出店することとなれば,商店街の近代化等の動きに少なからぬ影響を与えることが予想されるところであり,当然,市としてもしかるべき対応というものが必要と考えるわけであります。
また,このような対応と同時に,一方では,商店街の近代化や環境の改善に対する支援と申しますか,商店街の振興策というものが,より適切に行われる必要があるとも考えられるわけであります。
そこでお伺いいたしますが,第1点目は,規制緩和後における大型店の出店に対して,市長としてはどのような対応を行うつもりでいるのかお伺いいたします。
第2点目は,このような大型店の出店攻勢の中で,魅力ある商店街づくりに意欲的に取り組もうとする動きもありますので,これらの商店街に対しては,積極的な支援が必要と考えられるのですが,市長はどのようにこれを行おうとされているのか,お伺いをいたします。
次に,雪対策についてお伺いいたします。
厳しい雪と寒さも中盤を過ぎ,除雪作業も最盛期を迎えておりますが,この冬は昨年の異常とも言える暖冬少雪に打って変わり,降雪量も平年並みもしくは,今後の降雪いかんでは,それ以上になるものと予想されております。半年にもわたる雪に覆われている本市にとりまして,雪との闘いは創建以来続けられてきたわけでありますが,ともすると,大雪は天災であるとか,また,春になれば解けて消え去るものということから,後手の対応を強いられてまいりました。
しかしながら,昨今の急激なモータリゼーションの発展とともに,冬季においても都市活動の停滞が許されなくなっており,また一方で,冬においても快適性を求める市民のニーズが高まっております。
これに加え,本市が北方圏の拠点都市として一層の発展を目指してまいりますには,雪に代表される厳しい自然環境を克服するための,より高度な対応が求められていると考えるのであります。市長におかれましても,これらのことを踏まえまして,いち早く産・学・官から成る雪対策推進研究会を組織し,長期的な視点に立った総合的な雪対策の検討を進め,研究会からのさまざまな提案を受けて,総合的な雪対策の施策を雪さっぽろ21計画としてまとめられているとのことを伺っております。
この雪さっぽろ21計画は,冬季における交通の確保に焦点を当て,除雪水準の確立,施設型除雪の推進,役割分担の明確化と三つの柱から成る計画と伺っており,一日も早くこの計画を策定し,具体的に事業化されることを期待しております。
このうち,施設型除雪につきましては,昭和63年第3回定例会におけるわが党の議員の代表質問に対し,市長は,全体計画の策定を待たずとも,技術的に可能なものから着手するとのご答弁をされており,すでに昨年から供用された南区の藻岩下流雪溝,また,ことしから供用されている北区の安春川融雪溝は,住民参加型の雪対策施設として,今冬のかなりの雪に対しましても,除雪作業が大幅に軽減され,快適になったと地域の方々に大変喜ばれていると聞いております。
また,これに引き続き,昨年から北区の新琴似流雪溝に着手しており,平成2年度には,雪捨て場対策の目玉事業とも言える厚別融雪槽の着工や,スタッドレスタイヤの普及促進を図るための坂道ヒーティング設置箇所の大幅な増加等が予算案に計上されており,市長の雪対策に対する姿勢を高く評価するものであります。
一方,市長のこのような努力にもかかわらず,冬期間の交通の状況を見ますと,慢性的な交通渋滞が発生しております。これは,道路全般にわたって積雪による交通容量が低下していることに加え,夏の間は国道のバイパスとして利用される市道が,冬季の間は除雪水準が低いため,利用率が低下し,除雪水準の高い道路に車両が集中することが原因として考えられます。
本市の産業経済に与える影響を考えますと,特に骨格をなす主要幹線道路につきましては,これまで以上に優先的に除雪水準のレベルアップを推進していただきたいと考えますが,生活道路を含めた市道全般の除雪水準を向上させることも必要と考えるのであります。
除雪は,昭和53年度から平成元年度まで,市政世論調査における市民要望で,12年間連続1位を続けておりますが,この除雪要望の中でも最大の要望は,生活道路の除排雪となっているのであります。本市の道路延長の80%を占める生活道路は,市民生活に最も密着した道路として位置づけられ,現状におきましても,機械除雪の可能な路線は,ほとんど拡幅除雪がなされており,市民が生活を営む上では支障のないように道路機能は確保されております。
しかしながら,除雪幅員が狭い上,排雪が全市的に行われていないことから,雪捨て場の問題,家の間口に置かれていく雪の問題,交差点の見通しが悪く危険がある等の問題が生じており,これらの諸問題を解決しないことには,除雪に対して市民のイメージはよくならないと考えるのであります。これらのことは,問題解決に向けて雪対策推進研究会では,市と市民との役割分担を含めた検討を行い,昨年の12月に役割分担に関する報告書が市長に提出されたところであります。
この報告書を拝見いたしますと,生活道路除排雪に関する役割分担のあり方について,今後,市と市民が進むべき方向を具体的に提言しており,その骨子は,「市は,市が行う生活道路の除排雪の水準を明確にすべきである。その上で,住民は,市が示した水準より高い水準の除排雪を選択できる。その場合,その費用は地域住民の負担を原則とする。しかし,市は,指導助言などを含め,できる限り協力すること。」となっております。
いまや札幌市民にとって,最も関心の高い生活道路の除排雪問題に対し,今後の高齢化社会に対応した快適な冬の暮らしを築くためにも,新たな制度づくりが必要であると考える次第であります。
そこで,私はこの雪対策推進研究会からの提案を受け,生活道路除排雪の対策として,本市が来年度試行的に実施すると伺っております除雪パートナーシップ制度につきまして,次の2点について市長のご所見をお伺いいたします。
第1点目は,除雪パートナーシップ制度の内容についてでございます。
先ほど申しましたとおり,市では生活道路の排雪を行なっていないわけでありますが,現状では,市民の強い排雪要望を受けて,生活道路排雪の支援制度としての市民助成トラック制度を設けております。これは,積み込みについて,市民が積み込み労力や積み込み費を負担し,市は運搬排雪トラックを無料で貸し出す制度であります。そこで,平成2年度に試行される除雪パートナーシップ制度は,どのような内容となっているのか。また,従来の制度に比べどのような違いがあるのかお伺いをいたします。
2点目は,平成2年度から除雪パートナーシップ制度が試行されるわけでございますが,具体的に,この試行はどのような形で実施し,また今後,どのように展開していかれるのか,あわせてお伺いをいたします。
次に,9区体制で展開をされますこれからの区行政についてお伺いいたします。
札幌市は,昨年の11月に,長年の懸案でありました行政区の再編成を実施し,厚別区と手稲区が誕生して,九つの区による市政の推進が実現したのであります。昭和47年4月の指定都市制施行以来18年目の分区であり,新しく誕生いたしました両区の住民はもちろんですが,165万市民のすべてが9区体制の新しい区行政に注目し,地域新時代の到来に大きな期待と希望を抱いているのであります。市民は,これまでの区制によって,よりきめの細かい行政サービスが受けられることをすべて体験済みだからであります。市政世論調査にも,そうした市民の気持ちが反映されていると感じるのであります。
昨年の調査結果でも,「札幌の街が好きだ」とする市民は約84%,これに,「どちらかと言えば好き」とする市民を加えますと,実に99%にも達しているのであります。
この数値を過去にさかのぼってみますと,区制1年後であります昭和48年の78%から年を追うごとに上昇を続けまして,昭和55年以降は,90%以上という高率で推移をしているのであります。このことは,18年間にわたって展開してきた区制が着実に,しかも,確かな成果を広く市民にもたらしている一つの証左であると感じるものであります。
さて,市長は,この行政区再編成による9区体制による市政の推進を,地域新時代の幕明けと位置づけをし,区行政,さらに,その大もとであります市行政の新たな展開に着目されたのであります。私は,これに大いに期待をし,注目をしているところでございますが,これをかけ声だけに終わらせることなく,21世紀に向けたまちづくりへのステップとして施策の組み立てを行うべきであると考えるものであります。
そこで,この地域新時代の幕明けに当たり,新しい区行政推進の理念や施策などにつきまして,私の見解を述べながら,以下3点についてお伺いをいたします。
質問の第1点は,この9区体制を地域新時代の幕明けとして展開される区制の基本理念についてであります。
前段で申し述べましたように,本市は,指定都市制の施行を機会に,他都市の例にとらわれず,区役所への大きな権限の委譲とともに,積極的な市民の参加とが相まって数々の成果を上げ,本市の区制は,区民に深く定着しているのであります。このたびの区制というまちづくりの転換点をとらえて新たな展開を図ろうとする姿勢を高く評価するものでありますが,いま,9区体制を地域新時代の幕明けと位置づけて新たな出発をされようとしている区行政の基本理念は何なのか,お聞かせいただきたいのであります。
次は,区の個性ある街づくりについてであります。
先ほど,この18年間にわたる区行政の積み重ねによって,行政水準,市民サービスとも飛躍的に向上し,どこの区においても,均一で質の高いサービスが享受できるようになりましたことは,他都市に誇れるものであり,高く評価をするものであります。このような水準に達したいま,これまでの施策を一層発展させ,9区均質な街づくりに加え,区の個性を見詰めた街づくりが求められているのであります。
本市の成り立ちは,この100年余りの間に,町村の合併や新しい住民の流入によって現在の地域が形成されてきたのであり,個々の区や地区ごとに,自然条件や歴史,地域性など,いろいろな点での違いが存在するのであります。これからは,このような地域の個性というものを重視した施策こそが市民のニーズにこたえ得るものであると考えるのであります。
そこで,本市の平成2年度予算を見てみますと,あすの札幌のためにとして重点施策を三つの項目に分類・整理しておりますが,その第1であります「活力あるさっぽろの推進」の項に,「地域新時代の構築」として五つの事業,すなわち札幌国際デザイン賞基金の創設,大通公園リフレッシュ事業,区の個性ある街づくり,地区センターの建設,都心の顔づくり事業が挙げられており,いずれの事業も,まさに本市の活力を推進する事業として評価をするものであります。とりわけ区にかかわる新規の事業であります区の個性ある街づくりは,市長が常々唱えておられます,より住民に密着した区制の推進,地区に着目した街づくりを具体化したものであり,身の回りから住みよさや快適さを実感できる施策の一環として期待をするものであります。
そこで,お尋ねをいたしますが,この区の個性ある街づくりは,具体的にはどのような事業を考えておられるのか。また,区や地区の個性を生かし,それを根づかせるためには,単年度限りではなく,この事業を継続させ,さらには,多くの市民の参加を得ながら実施するということが肝要と考えますが,ご見解をお伺いしたいのであります。
質問の第3点は,地域新時代に対応した区役所の体制についてでであります。
地域新時代にふさわしい区の個性ある街づくりを進めるためには,これまで以上に,市政の第一線である区役所の機構や体制の充実とともに,権限を強化する必要があると考えます。同時に,わが国は,これから急速な高齢化時代を迎えようとしておりますし,また,福祉充実という時代の要請にこたえるためにも,住民の健康と地域福祉の充実,住民に身近な環境の整備などに対しましても,区が,迅速かつ総合的に対応できる体制づくりが必要であると考えるものでありますが,市長のご見解をお伺いしたいのであります。
次に,本市の防火対策についてお伺いいたします。
都市化の進展は,その機能性,利便性の高まりとともに,都市構造や建築構造を変化させ,また,石油化学製品等の危険物を増加し,あるいは市民の生活様式そのものの変化もあって,火災や災害の潜在的な危険は高まる傾向にあります。こうした都市型火災や災害に対応するため,本市においては,コンピューターを導入した通信指令システムを取り入れ,消防部隊の出動等を迅速化されて,大規模な危険物貯蔵施設や木造建築物の密集地域などにも即応できるように,消防力の強化がされたところであります。
さらに,高層ビル火災や緊急時の患者搬送体制の充実を図るべく,われわれが要請したヘリコプターの導入についても,いち早く対応されて,平成2年度の予算に計上されたことは,本市の安全性を飛躍的に高めることになると思うわけであります。まさに,都市型火災を未然に防ぎ,万一発生の際にも,敏速に対応できる近代消防体制が確立されつつあると思うのであります。
市長は,日ごろから,市政の基本は市民の安全な生活の確保であると申しており,それを着実に実行に移される姿勢には,まことに敬意を表するところであります。このような消防行政は,時代に対応できる防火対策に取り組んでいるわけでありますが,ここで,いま一つ考えなければならないのは,自分たちの安全は,まず自分たちが守るという,いわば市民の自立自助の気持ちを高めていくということであります。地域連帯の精神により,自主防災活動の拡充を忘れてはいけないということであります。
特に,旅館,ホテル,雑居ビルなど不特定多数の人が出入りする事業所等が多い本市においては,これらの自主防災組織の強化がまず必要であると思うのであります。火災を予防し,万一火災が発生した場合の初期消火や避難誘導など,素早く確実に対応できる体制づくりは当然でありますが,こうした事業所が,常に防火防災という意識を持ち,安全に対する使命感を高めていくことが強く求められるのであります。
このことは,消防法において,学校,病院,工場など多数の者が出入りし,勤務する建物についての管理者は,法令に定める資格を有する防火管理者を定めて,さらに火災の予防,消火,通報,避難訓練の実施など,自衛消防隊の組織を含めた消防計画を定めなければならないと明確に規定されているところであります。
昨年の本市の火災621件のうち,429件,69%は建物火災でありますが,用途から見ますと,専用住宅の建物火災はおよそ30%であり,他の70%は,先ほど申し上げましたような集合住宅,雑居ビル,工場など,法令に規制されている建物からの火災であります。つまり,これらの建物からの火災は,戸建ての住宅とは違い,火災の状況によっては,人命あるいは物的被害ははかり知れないものがあると思われるわけであります。
ところで,私の知るところでは,消防法では,建物の規模により,防火管理者を定め,消防計画による自衛消防隊の組織化など,自主防災体制の確立が求められております。この対象の事業所のうち85%は,所定の届け出などにより,一応法令を遵守しているようでありますが,手続上は法令を遵守している事業所であっても,自衛消防組織などが,有事の際に計画どおり機能しない,すなわち形式のみといった事業所が少なくないのではないかと懸念されるわけであります。
また,近年の本市においては,都市の再開発などにより,古くからの地域については,木造家屋から不燃構造のビル等に移りつつあるところでありますが,いわゆる歓楽街と称する地区などでは,いまだ半数が木造家屋で,かつ密集している地区がまだかなりあることは申し上げるまでもないところであります。このような地区は,火災という観点から考えますと,被害の拡大が恐れられるわけであります。
ところが,私の知るところでは,たとえば高層建築物などが集中している都心部で,飲食店ビル等約700棟のうち,その半数が木造建物となっております。さらに,この700棟の約半分が深夜から翌日の夕刻過ぎにかけて無人となるということであります。
このことは,自分の事業所は自分で守るという消防法令の趣旨に反するという見方もできるわけでありますが,常に建物に人を置き管理させることは,経済的にも問題があることは認識できるのでありますが,昨年7月狸小路6丁目での火災は,まさにこのことを裏づけているわけで,火災の発生は,相当燃え広がった後,道路を挟んだ向かい側のマンションの居住者が発見したことにより消防隊が出動したという経緯もございます。
このことは,仮に,火災報知器が作動し,ベルが鳴ったとしても,無人であるがため,幾ら消防当局が即時通報体制を叫んでみても,設備そのものが役に立たないことになるわけであり,この被害の大きさを考えますと,背筋が寒い思いがするのであります。さらに,このことは,消防局新庁舎建設の中で導入された指令システムが全国的にもすぐれたものと評価されていても,その機能を十分に発揮できないことにもなります。これらのことを踏まえて,3点についてお伺いいたします。
まず第1点目は,本市の消防法による防火管理者の選任,自衛消防隊の組織化などが求められているホテル・雑居ビル等の事業所の数及び法令に基づく体制づくりなどの実態はどのようになっているのか,お伺いをいたします。さらに,法令により措置すべき事項について,これが守られていない事業所に対しては,どのような指導を行なっているのかお伺いをいたします。
第2点目は,消防局では,深夜無人となる建物が少なくないという状況を重視し,火災の早期通報体制の確立を図るべく,危険地域を対象にして重点的に取り組んでいると聞いておりますが,その指導内容についてお伺いをいたします。
3点目は,消防の現実的かつ即効的な火災予防対策についてお伺いいたしたいと存じます。
消防体制の整備に取り組み,前に触れました各事業所ごとの責任体制または地域ごとの自主防災体制を拡充したとしても,人間が生活する以上,不注意による火災は当然発生すると考えなければなりません。しかも,無人化等の実態並びに昨年に多発した野火のような気象条件に左右される火災等を考えれば,日常における消防当局の現実的かつ即効的対応策として,いかなる対策を持って市民を守ろうとしているのかお伺いいたします。
次に,幼児教育にかかわる教育問題についてお伺いをいたします。
近年,幼児教育の重要性が認識され,幼児期が将来の人間形成の土台づくりの時期であることが理解されていることは,喜ばしいことであります。青少年の問題行動として,いじめや登校拒否,また,非行などが取り上げられているとき,幼児期におけるしつけや教育の問題がそこに深くかかわっていることが指摘されております。子供の望ましい成長にとって,学校教育が重要な役割を果たすことは言うまでもありませんが,私は,幼児期において,幼児の発達にとって必要な援助を行うことがいかに緊急の課題であるかを強く主張したいのであります。
現在,わが国は,物質的に豊かなときにありますが,幼児を取り巻く環境は,必ずしも満足できるものではありません。家族形態の変化,幼児の遊び場や遊びの種類の変化,また,都市化の進む中での人間関係や,育児と職業の両立などの問題を考えると,幼児教育の充実への努力が強く望まれるのは当然であります。21世紀のための教育の目標の実現に向けて,教育改革の必要性を訴えた臨教審の答申は,まだ記憶に新しいところでありますが,幼児教育の重要性について貴重な提言を行なっているのであります。
臨教審は,その第2次答申におきまして,家庭の教育力の回復を取り上げております。私は,その提言の中で,子供の健康な心と体の発育を阻害する環境を改善するための教育環境の人間化が課題としてとらえられていることに,特に注目したいのであります。すなわち,教育環境としては,学校や幼稚園などがあり,家庭があり,地域社会がありますが,それぞれ生涯にわたる学習の場としてつながっているだけでなく,心豊かで思いやりのある場であってほしいと思うのであります。この考え方は,幼児教育において,特に強調する必要があると言えないでしょうか。
私たち一人一人は,本来,自分が子供のときから,子育ての技術や文化の伝承にかかわっていく環境に生きているはずなのであります。しかし,現実には,自分が親になって初めて赤ん坊にじかに接するとか,子供の教育に際し,親としてやや無策のまま子供に相対したり,あるいは,自分自身の思い込みから知育偏重に走ったりする例を見るのであります。
私は,ここで,教育環境の人間化を徹底させるために,家庭の教育力の回復と幼稚園教育の一層の充実及びそれに加えて,行政のリーダーシップが欠かせないものと痛感するものであります。
さて,臨教審は,第3次答申におきまして,就学前の教育の振興を今後の重要な方向であると提言いたしております。幼稚園・保育所の整備・充実がその中に取り上げられているのであります。私は,その改善の方向,ハード面とソフト面の両方からとらえてみたいと思うのであります。
まずソフト面,つまり教育内容から見てまいりますと,さきに文部省から告示され,本年4月から施行される幼稚園教育要領の示すところを関連づけて考えたいのであります。今回の幼稚園教育要領の改定については,幼稚園教育の基本が,環境を通じて行う教育と位置づけられているのであります。このことは,幼児が体験を通して,人や自然や身近な社会環境とのかかわり合いを深めることを重視するものでありますが,幼児にとってのよき環境としての家庭のあることは大切なことであり,また,人間形成の基礎づくりとしての心情あふれる環境である幼稚園が同一線上であることは,私がさきに触れました教育環境の人間化と相通じていると考えるのであります。
幼児教育の充実をソフト面から考察してまいりましたが,それは,そのままハード面の充実の重要性,必要性につながってくるのであります。つまり,幼児教育機関の人間化をより一層進めるには,制度的にも施設の面からも,幼児が大切にされる環境を広げなければなりません。特に,今後の社会の変化や幼児人口の推移を考慮に入れて,幼児教育の重要な位置を占める私立幼稚園の振興に対する行政の積極的な姿勢が求められるのであります。また,幼児を持つ親の年齢の若いことが所得の低い状況につながっていることに注目する必要があります。この点にも行政の温かい配慮のあることを,あわせて望むものであります。
さて私は,さきに幼児教育の改善・充実が緊急の課題であると主張してまいりましたが,幼児教育の真のあり方についての私の考えを,幼児に対する二つの観点を通して述べることにより,問題の核心に迫っていきたいと考えます。
まず,幼児を見る第1の観点は,幼児がその純真で感受性の豊かな時期に,たとえ明確な型をとられないけれども,人間性の根幹となるもの,人のやさしさ,粘り強さ,協力の精神といったものを身につけ始めることであります。幼児の言葉や動作,また,その背後にある心を問題にせず無視するならば,後になって取り返しのつかない状態になるのであります。
次の第2の観点は,そのように可能性にあふれた幼児が,まだ未熟であり,弱々しい存在であることであります。大人の目で幼児を見て,大人の判断で幼児を育てているとき,幼児の心の内や感情のひだに入り込むことを怠ることがよく起きるのであります。幼児の心には,経験によって積み上げられたものが少ないことから,周囲の大人や環境からの影響に耐えられずに,長く続くひずみに受けてしまうことがよく見られるのであります。
こうした二つの観点を踏まえて幼児教育の改善を進めるならば,教育環境の人間化が実現することに必ずやつながると信じるものであります。本市としても,生涯学習という長期的な見通しに立った上での幼児教育の確固たる取り組みを行う時期に来ていることを,はっきりと認識すべきであると考えるのであります。
本市の幼児教育機関の充実のために,これまで公立・私立の幼稚園が重要な役割を果たしてきたことは周知のことでありますが,私立幼稚園の振興に対しての本市の教育委員会のこれまでの理解と努力を評価するとともに,さらにそれを深めるための施策を期待するものであります。
さて,平成2年度において,本市は,幼児教育センターの新設を計画しております。私は,昭和60年の3定本会議において,幼児教育センターの設置が,本市においてぜひ必要であると要望していたところであります。したがって,このたびの事業計画に賛意を表するとともに,幼児教育センターが幼稚園の先生などの幼児教育関係者や,広く幼児を持つ親にとって活用のしやすい,幼児教育充実のための有効な機関となってほしいと思うのであります。
そこで,幼児教育センターの概要につきまして,ハード面とソフトの面に,2点についてご質問をいたします。
質問の第1点は,幼児教育センターの施設についてであります。計画では,教育研究所に併設して設置することになっていますが,どのような施設とする計画かをお尋ねいたします。
質問の第2は,幼児教育センターのソフト面,つまり事業内容についてであります。センターの事業として,公立・私立の幼稚園に対して,また幼児を持つ親を対象に,どのようなサービスを行うことを考えておられるのか,センター運営の基本的な構想についてお伺いをいたします。
以上で,私の質問のすべてを終わらせていただきました。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(吉野晃司君) 答弁を求めます。板垣市長。
◎市長(板垣武四君) まず,財政問題についてでございます。
平成2年度の予算編成の基本的な考え方と特に意を用いた点について,お答えを申し上げます。
平成2年度予算は,私が市長として提案いたします最後の本格予算であり,いろいろと思いをめぐらせてみますと,ひとしお感慨深いものがございます。私は,予算編成に当たりまして,市民とともに歩んできた20年間の総仕上げとして,懸案の事項につきましては,一つでも多く解決を図りますとともに,本市の将来に向けて,いまから準備をしておく必要のある事業などにつきましても,積極的にこれに取り組み,やり残しのないよう,また,悔いが残らないよう,十分に配慮を加えたつもりでございます。
特に,平成2年度は,本市5年計画の折り返しの年でもありますので,この確実な進捗を図ることはもちろんでございますが,将来展望に立って,新しい時代の要請に適切に対応していくため,各地域の特色を生かしながら,より市民に密着したまちづくりを推し進めていくことに意を用いたところでございます。
すなわち,活力に満ち,魅力ある住みよい札幌の推進に向けまして,都市基盤やスポーツ・レクリエーション施設などハード面はもちろん,社会福祉や芸術,文化などソフト面におきましても,より一層きめ細かなサービスを市民の皆様に提供できるように配慮したものでございまして,間近に迫ってきた21世紀に向け,札幌のさらなる飛躍が求められる90年代スタートの年にふさわしい予算になるようにと努力をいたしたつもりでございます。
次に,第2点目の商業問題についてでございます。
まず,大型店の出店規制が緩和されることになった場合の本市の対応についてでございます。
中小企業が圧倒的な割合を占める本市におきましては,地元
中小商業者が地域経済の重要な担い手であると考えております。したがいまして,本市といたしましては,規制緩和後におきましても,大型店と
中小商業者がそれぞれの経営の特徴を生かして,地域経済の活性化と消費者利便に寄与するとともに,相互の経営の安定をも図れるよう,これまでと同じように,大型店と地元商店・商業者が誠意を持って話し合いを行い,極力合意に至るように指導してまいりたいと考えております。
第2点目は,商店街に対する支援策についてでございますが,従来から,
中小商業者が商業環境の変化などに対応できる近代的な経営体質をつくれるよう,各種の診断事業や商店街整備計画策定事業,商店街コミュニティー化を図るふれあい促進事業及び融資あっせんなど,きめ細かな支援策を行なってきたところでございまして,これらは着実に成果を上げているものと存じております。
平成2年度におきましては,大型店の規制緩和の動きもあり,また,商業環境も変化をしてきておりますことから,特に,商店街診断や整備計画策定事業の拡大・強化及びふれあい促進事業の拡充を図ることにいたしております。また,これらの事業展開に必要な資金につきましても,融資の限度額や期間の延長など,条件の緩和を行い,積極的な支援を行なってまいりたいと存じます。
第3番目の雪対策についてお答えを申し上げます。
まず,第1点目の除雪パートナーシップ制度についてでございますが,ご承知のとおり,生活道路の排雪は,現行ではトラックの貸出制度を採用いたしております。この制度は,雪の積み込み等にかかわる一切の作業を地域が行うことになっておりますので,利用する方々にとりましては,労力の負担ばかりではなく,作業に付随するさまざまな問題が生じており,また,作業が土曜・日曜に集中するため,必ずしも高率とは言えない状況にございます。そこで,この市民助成トラック制度の欠陥を補い,より高い除排雪を行うため,除雪パートナーシップ制度を設けるものでございます。
この制度は,町内会等の団体から申し込みのありました地域に対しまして,市が雪の積み込みからダンプトラックによる運搬まで一貫して作業を行い,これらにかかる経費につきましては,地域の皆様に応分の負担をしていただく制度でございます。
したがいまして,この制度を利用することにより,生活道路の除排雪にかかわる一連の作業を市が行うことになりますので,本市の除雪作業全体の効率化も図られるものと考えております。
2点目の制度の試行方法につきましては,現在,市内部に設けております雪さっぽろ21計画策定委員会で検討を行なっているところでございますが,早急に具体化をしてまいる考えでおります。
なお,実施に当たりましては,従来の市民助成トラック制度を存続させながら,パイロット地区を設け,その中で運用面や効果につきまして十分に検証を行い,より実効の上がる制度に改善をし,市民の皆様のコンセンサスを得ながら,段階的に拡大を図っていく考えでございます。
第4番目の新しい区行政についてでございます。
第1点の地域新時代における区制推進の基本理念についてでございますが,区役所は,中小都市に見られます人情味豊かな街づくりを進め,大都市に起こりがちないろいろな弊害を未然に防ぐとともに,密度の高い行政サービスを市の隅々にまで行き渡らせるという役割を担っております。
したがいまして,私は昨年11月に9区体制を発足させて,きめの細かい区制を推進し,市民の幅広い参加と住民活動の活発化により,人情と連帯の街づくり,さらにはそれぞれの区の個性を重視した特色ある街づくりを進めますとともに,こうした街づくりに的確に対応できるよう,行政サービスの一層の高度化・効率化を図るということを,新しい区制推進の基本的な理念といたしているところでございます。
第2点目の区の個性ある街づくりは,申し上げましたような理念を具体化した事業の一つでございます。具体的なものは,これから市民の参加をいただきながらということになりますし,その中身も,区全体のイメージを表現するもの,各地区ごとに展開するものなど,さまざまなものがございましょうけれども,想定されますものは,たとえば花いっぱい運動のように,区民運動として大の輪を広げる事業,さらには,桜並木や親水広場の造成など,地域に特色を持たせる事業などが考えられます。
したがいまして,お話の継続性につきましては,具体的な事業内容や進展の状況を見ながら検討してまいりたいと考えておりますが,いずれにいたしましても,これは市民がみずから考え,実践する街づくりという,国のふるさと創生事業の区版ともいうべきものであり,これによって,市民参加や住民活動のより一層の活発化と,9区それぞれの歴史や自然条件,地域性などに応じた個性ある地域づくりがさらに進むものと期待をしているところでございます。
3点目の地域新時代に対応した区役所の体制についてでございますが,私は,区役所には土木部や福祉事務所を置くなど,他の政令指定都市には余り例のないほどの権限を付与いたしますとともに,逐次その機構や権限の強化・充実に努めてまいりましたが,今後さらに,地域の特性を重視した事業を推進し,長寿社会の到来など時代の要請にもきめ細かく対応してまいりますためには,これまで以上に地域に密着した区役所づくりが必要であると考えております。
したがいまして,お話の個性のある地域づくりを初め,身近な環境のことや,現在各保健所が区役所と連携をとって行なっております健康づくりなど,住民の福祉や健康の増進につきましても,区役所が総合的に対応できますよう,体制整備や区長権限の拡大強化につきまして,議会のご意見もちょうだいしながら,積極的に取り組んでまいりたいと,このように考えております。私から以上でございます。
○議長(吉野晃司君) 勝田助役。
◎助役(勝田義孝君) 私のほうから,防火対策についてお答えいたします。
第1点目の防火管理者の選任及び自衛消防隊の組織を必要とする事業所の数は,約1万2,000棟となっておりまして,年間約500棟のペースで増加をしております。このうちに,85%の事業所は,これらの体制がつくられているところでありますが,しかし,ご指摘のように,各事業所で樹立した消防計画の中で,自衛消防隊の組織が有事の際に実質的に機能するかという点で見ますと,ご質問にもありましたように,必ずしも十分とは言えないものもございます。
このようなことから,平成2年度におきましては,有事の際,的確に機能する自衛消防隊組織の確立を指導の重点目標として取り組んでまいりたいと考えております。
また,消防計画が不備と認められる事業所の指導につきましては,改善計画の提出を求め,特に人命危険の高い違反につきましては措置命令を発するなど,強い姿勢で臨んでまいりたいと考えております。
第2点目の通報体制についてでございますが,夜間無人となる建物の状況は,ご質問にもありましたように,狸小路,薄野地区を例に挙げますと,飲食店,商店など,その半数が無人となっており,このうち,警備会社を通じて通報する体制をとっておりますものは110カ所であり,きわめて低い状況であります。
このようなことから,当面進めるべき対策として,未措置の事業所を対象に,火災報知設備でとらえた火災の発生を警備会社などを経由し通報するシステムの導入について,狸小路,薄野両地区の関係者を対象に指導しているところでありますが,さらに本年は,この種システムの導入について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に,3点目の現実的かつ即効的な火災予防対策でありますが,火災の原因は,そのほとんどが火を取り扱う者の不注意,不始末によるものでございます。特に,昨年は,春先には野火火災,また,薄野地区などに連続的に火災が発生いたしました。
そこで,即効的対策として実施しましたのは,野火火災の多発地域あるいは木造密集地区などを重点に,延べ9,000台余の消防車を投入し,車両による広報パトロールを実施したところでございます。このことは,火災の通報を待って出動する体制から,積極的に防止を図るための体制強化へと転換を図ったものでございます。
結果としては,市民に対する啓蒙活動が飛躍的にふえたことにもなり,さらに,パトロール中に火災を発見,消火したなどの事例を含めまして,野火火災の防止のみならず,建物火災の減少に大きな効果があったものと認識しております。本年も,この体制をより一層強化してまいりたいと考えているところであります。以上です。
○議長(吉野晃司君) 荒井教育長。
◎教育長(荒井徹君) 教育問題について私からお答えいたします。
1点目の幼児教育センターの施設についてでございますが,鉄筋コンクリート造り,2階建て,延べ836平方メートルの建物として,現在の教育研究所に接続させて建設する予定であります。
その内容としましては,幼児の相談のための面接室,プレイルーム,また,幼児教育の中核となる音楽・リズム及び造形,絵画教育のための研修室などを設置する考えであります。
次に,2点目の事業内容についてでございますが,現在の教育研究所の幼児教育部門の事業を拡充して,幼児の教育や発達の相談及び幼稚園教諭等を対象とする各種の研修を行なってまいります。さらに,幼児教育,学校教育,家庭教育,それぞれの連携を深めるための調査研究と普及活動を進めていく計画であります。
いずれにいたしましても,教育研究所の一つの機能として,その有機的,効率的な活用が図られるよう努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(吉野晃司君) ここで,おおよそ30分間休憩いたします。
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休 憩 午後2時12分
再 開 午後2時46分
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○副議長(工藤勲君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問の続行であります。加藤 斉君。
(加藤 斉君登壇・拍手)
◆加藤斉君 私は,ただいまから,社会党議員会を代表いたしまして,通告に従って順次質問を申し上げたいと思います。
最初に,財政問題についてお伺いをいたしたいと思います。
平成2年度の政府予算案を見ますと,一般会計規模は66兆2,736億円で,対前年度比9.7%の増,昭和56年度予算以来の9年ぶりの高い伸びとなっておりますが,その中身はと申しますと,福祉対策に少々の配慮が見受けられるものの,総選挙を意識したばらまき予算の印象が強く,今回も,防衛費を大幅に伸ばした国民生活切り捨ての本質は,いささかも変わっていないのであります。
市税は,好景気を反映して対前年度比13.7%増の58兆40億円となり,全体の87.5%を占め,9年ぶりに高い水準となっております。この結果,15年ぶりに赤字国債の発行がゼロとなり,
国債依存度が8.5%と昭和50年度以来の一けた台となり,財政の健全化に一歩前進したと一応の評価はできますが,これも景気の拡大に汗を流した国民一人一人の努力であると認識をしなければなりません。このうち一般歳出が35兆4,092億円,対前年度比3.9%と9年ぶりの高い伸びとなっております。
その内容を見ますと,「ホームヘルパーを10年で10万人ヘ」などという高齢者保健福祉推進10カ年戦略などを盛り込んだ社会保障費が6.6%増の11兆6,148億円となり,一般歳出に占める割合が32.8%と過去最高となったのを初め,防衛費,ODAの伸びが高い水準となっているのであり,景気に気を配らなければならない公共事業は0.3%増の伸びにとどまっております。今後の景気の維持拡大を目指し,国民の生活安定を図る予算としては,はなはだ疑問を感ずるものであります。
一方,
地方財政計画では,総額67兆1,700億円で,対前年度比7%増となっており,歳入のうち地方税,
地方譲与税,
地方交付税を合わせた一般財源の総額は46兆3,910億円となり,その比率は約69%と過去最高の水準となっております。
また,地方債計画では発行総額を8兆8,044億円,対前年度比マイナスのゼロパーセントと全体に抑える一方,ふるさと創生を柱に,地域の特色を生かした自主的,主体的な地域づくりのための単独事業に力を入れているのが特徴であります。
このような国及び地方の財政状況のもとで編成され提案された札幌市の平成2年度の予算案を見ますと,一般会計は6,169億円と対前年度比7.2%増となり,昭和57年度以来の高い伸びとなっております。特別,企業会計を含めた総額も対前年度比6%増の1兆1,117億円と,3年連続で1兆円台を超える大型予算となっているところであります。
しかしながら,本市の予算案は,景気の恩恵を受けて,かねてから市長が公約をしていた事業を総花的に網羅した感じがあり,その内容を精査してまいりますと,随所に不安材料が見え隠れしているのであります。
たとえば,一般会計では,歳入面で市税が対前年度比10.1%の2,503億円を見込んでおり,歳入に占める割合は40.6%と21年ぶりに4割合に復帰し,財政基盤が改善したかのように見受けられますが,これは近年の好景気に支えられているものであり,札幌市の財政力指数が政令指定都市中で
最下位グループに属していることをとってみても,まだまだその財源基盤は脆弱なものと言わざるを得ません。
また,芸術文化施設の調査や芸術系高等専門学校の建設を初めとする新事業への着手についても,市民受けはいたすものの,今後にツケが回る懸念があり,札幌市の将来の財政に禍根を残すことにはなりはしないかと憂慮しているのであります。
大型予算とはいいましても,一般会計から国保会計へ145億円,高速電車事業会計へ152億円もの繰り出しを行っているのを見てもわかるとおり,本市の財政運営上大きな問題が残っており,財政状況は依然として厳しい状況にあると言わなければなりません。
そこで,これらの観点を踏まえて数点お伺いをいたしたいのでありますが,質問の第1点は,市長は板垣市政の総決算を意識してか市民の要望が強い福祉,教育あるいは都市基盤整備のために,新規事業費と調査費を計上しておられますが,行き先きの財源の確保に自信がおありなのかどうか。今後の平成3年度以降の予算編成に重荷とならないのか,市長のご所見をお伺いをいたしたいのであります。
質問の第2点は,市税の見積もりについてであります。
財政基盤の安定化には,歳入予算の大宗をなす市税収入の充実強化が必要でありますが,現在の好景気やここ数年間の決算状況などから見ますと,過小見積もりではないかと考えているのであります。
過去の当初予算額と決算額とを対比した場合,昭和62年度は103億円,昭和63年度は74億円,さらに,平成元年度も40億円近い増収が見込まれており,平成2年度の市税予算についても同様の傾向になるのではないかと思うのでありますが,市長のご所見をお伺いをいたしたいのであります。
質問の第3点は,財源対策債償還基金についてであります。
平成2年度の予算原案内示と同時に発表された平成元年度の補正予算は,昭和63年度の剰余金2兆3,300億円と,3兆5,700億円にも及ぶ平成元年度の収入増などを財源として,合計5兆9,000億円もの額となっております。この補正予算の主な項目の中には,地下鉄に対する補助金約1,033億円,平成元年度に引き続いての財源対策債償還基金費3,964億円など,本市の予算に密接にかかわりのある事業費の追加が予定されているところであります。
地下鉄に対する補助金については,補助制度を,開業年度の翌年度補助を建設年度補助とすること,及び繰り延べ措置を受けていた補助金を削減することについては,議会及び理事者が一体となって国に要望していたことが今回の補正予算案で認められたことでもあり,一定の評価をするものであります。
そこでお伺いをいたしますが,財源対策債償還基金については,平成元年度予算でも全国枠で9,605億円,また,今回の補正予算では3,964億円,さらには平成2年度当初予算案でも2兆753億円,合計で3兆4,322億円もの予算措置がされておりますが,本市はこれをどのように対応し,その活用を図るのか,お伺いをしたいのであります。
質問の第4点は,本市の公債費比率についてであります。
市債,つまり借金返済の重さのほどを示す公債費比率は,10年前の昭和55年度には7.9%であったものが,5年前の60年度には10.5%と二けた台になり,平成2年度は12.1%と見込まれており,年々その重みを増してきているのであります。昭和50年代の地方財源不足を補うための地方財政対策債や地方財源対策債のツケがこのような事態になっているわけでありますが,先ほどの財源対策債償還基金の積み立てと公債費比率はどのような関係になるのか。また,今後の事業展開などにより,公債費の増高はある程度避けれないものがあると思いますが,これに係るガイドラインについては,どの程度と考えておられるのか,お伺いをいたしたいのであります。
次に,地域におけるコミュニティ施設の整備にかかわる諸問題について,2点お伺いをいたしたいと思います。
まず,質問の第1点目は,新興住宅地におけるコミュニティ施設の整備についてであります。
札幌市の人口増加の状況を見ますと,昨年は2万7,000人もの人口が増加をし,これは実に全国一の増加数であり,道内では人口が減少している都市もある中で,ひとり札幌のみが急増を続け,本市に一極集中している傾向が見られるのであります。最近10年間の人口増加数について言えば,全市で約28万3,000人もの増加であり,これを区別に見ますと,特に白石区は7万2,000人,豊平区は約6万3,000人,西区においては約7万人もふえているのであります。
こうした人口の増加により,本市の経済などが活性化する一方で,基盤整備や公共施設の整備が人口増加に追いつかないなどの弊害が生じ,行政サービスの低下を招くことが危惧されるのであります。本市においては,こうしたことを予測しながら,長期総合計画あるいは5年計画に基づいて各種の施策を展開し,まちづくりを進めてまいりました。その一環として,昨年11月には白石区から厚別区,西区から手稲区が分区され,住民は一層きめ細かな行政サービスを受けられるようになったのであります。さらに,将来的には,人口増加の著しいわが豊平区も分区されるものと考えております。
ところで,本市の人口急増に伴って,市内では大規模団地,宅地の造成が盛んに行われ,住宅地は市の周辺部へと拡大をし,住宅あるいはマンションが急激に増加をしている実情にあります。こういう,いわゆる新興住宅地域には,道路,上・下水道,公園などの生活環境整備はもちろんのこと,学校,幼稚園,郵便局,交番,消防署など,基幹とするさまざまな公共施設が必要となることは言うまでもありません。加えて,こういった公共施設以外にも,地域の出会いの場,触れ合いの場として活用をされるコミュニティ施設は,地域の住民活動を育て,人情豊かな温かい交流を推し進める上で,住民にとっては必要不可欠のものと言えるのであります。
本市の状況を見ますと,この段階におけるコミュニティ施設としては,区民センター,図書館,体育館など1区に1館が計画的に配置され,地域の触れ合いや教養を深める役割を担い,さらには地域住民の福祉向上に寄与しており,中でも区民センターの利用数は全市で年間約150万人と,本市の人口に匹敵するほどの利用であることは一応評価されるところであります。
一方,区民センターの補完的な役割を果たしている地区センターは,子供からお年寄りまで,住民各層の交流の場,地区の文化をはぐくむ場として活用されており,また,地区会館は,町内会など住民活動の拠点として大いに利用されているところであり,いずれも地区の住民にとってはきわめて重要な施設となっているものであります。
しかしながら,全市的に見ても,特に地区センターについてはオープンを間近に控えている伏古地区センター,さらには平成2年度予算に計上されている新発寒地区及び西野地区を含めましても,札幌市全体で7館と数が少なく,今後積極的に配置をしていくことが必要であると考えております。
ところが,これを他市と比較してみますと,市域,都市形態及び都市機能などにおいても差異はありますが,たとえば,人口約16万7,000人の帯広市の場合は,本市の地区センターと同様規模の施設であるコミュニティセンターが9館,地区会館と同規模の施設である地域福祉センターが21館,さらにこのほかにも,小規模ではありますが,帯広市の産業の特色を生かすために農業センターと称する施設が20館もあり,いずれも市が設置しているものであります。
一方,これを帯広市と人口規模で同程度の本市の区に当てはめてみますと,たとえば分区後の西区は,人口19万1,000人と帯広市より多少多目でありますが,西区には大規模な施設として区民センターが1館はあるものの,地区の会館は5館しか設置されておりません。かって長さにわたり吉村革新市政下にあった帯広市に比べ,本市の地区レベルでのコミュニティ施設の整備はおくれているのが現状であります。
こういったことからも,本市では,コミュニティ施設の整備を重点に,地区を重視したきめ細かな行政を一層推進する必要があります。特に新興住宅地においては,コミュニティ施設の建設はどうしても後追いになりがちで,いよいよ施設建設計画に入るという段階では,住民が利用しやすいような用地がなかなか見つからないという事態も考えられるのであります。
そこで,質問の第1点目でありますが,既成市街地におけるコミュニティ施設の整備はもちろんのこと,特に,新興住宅地においては,新たに住民となる人たちが,相互の連帯感あるいは新しいふるさと意識を醸成する場として,その核となるコミュニティ施設の配置がきわめて重要であり,急務と思われますが,市長のご所見をお伺いをいたしたいのであります。また,直ちにコミュニティ施設の建設ができない場合でも,少なくとも先行的に用地だけは確保しておき,その後,地区の実情に応じて施設を配置することが,地区の街づくりを進めるに当たり必要条件であると考えますが,新興住宅地における地区センター的コミュニティ施設の整備についても,あわせてお伺いをいたしたいのであります。
次に,質問の第2点目でありますが,地区におけるコミュニティ施設の建設費及び用地確保についてお伺いをいたします。
地区における住民活動の拠点である集会施設は,現在市内に地区会館が53館,市民集会施設,いわゆる町内会館が245館ほどあると聞いております。まず,地区会館は連絡所に併設されている施設であり,その用地は市が確保しております。しかしながら,地区会館の建築費については,250平米分までは市が負担をしていますが,地元住民の要望により,これ以上規模を大きくする場合には,その超える部分は地元住民の寄附を求めて賄われるのであります。
一方,町内会館の場合は,用地については地元住民が全額負担により確保しており,建築費については,市からの補助金がこのうちの3分の1以内,限度額は順次引き上げられておりますが,900万円が限度となっており,残りはやはり地元の住民が負担をしているのであります。
これらの地区会館あるいは町内会館は,地区のコミュニティー成熟度に応じて建設されたものが多く,特に,既成市街地においては,すでに建てかえの時期に来ているものがあり,これらの会館の中には,利用者が年々増加して施設が手狭のものとなり,現在より広い土地へ移転し大規模な会館にしたいという要望が市内各地に出てきているのであります。
ところで,地区会館は,原則として1連合町内会に1カ所設置されている連絡所に併設されることになっておりますが,連合町内会の分割に伴って連絡所を新設する場合には,全市的に地価の高騰が続いており,たとえば中央区においては,昨年1年間の地価上昇率が30%を超えるなど,異常とも言える状況下にあります。行政側でさえも適地を確保することがままならないというのが実態ではないかと思うのであります。
また,土地の問題が確保されても,地区会館は地元に密着した身近な施設であり,各種の催し物や葬儀などに利用するために,最近では大型化する傾向にあります。先ほども申し上げましたが,地区会館については250平米を超える部分を地元負担で建築することとなりますが,この大型化に伴い,地元住民の寄附も多額なものとなっており,町内会では資金調達の面で大変苦労しているとのことであります。
一方,同じ会館でも,住民組織がつくる町内会館の用地については,その町内会などが確保することになっております。ただ,郊外の大規模な宅地開発の場合には,本市の空地開発要綱に基づき,宅地開発の時点で用地が確保されているところであります。しかしながら,都心部などの既成市街地においては,市が監視区域を設け,一定規模以上の土地の取引について届け出義務をつけるなど,地価の高騰を抑制しようと努力をいたしております。しかし,それでもなお,土地の価格が異常とも言える状況にあり,用地の確保は,町内会などの資金力を考えると,非常に難しいというのが実態であります。
さらに,町内会館の建築費は市からの補助金が一部あるものの,残りの大半は地元住民の寄附によって賄われており,地元住民の負担を考えますとき,ますます厳しいものとなり,資金面の問題から,建築計画が中途で挫折するという例も聞き及んでいるところであります。
そこで,お伺いをいたしますが,こうした地区の厳しい状況を解決していくために,地区会館については,市が負担する分の建築費をできるだけふやすこと。また,町内会館については,補助限度額を引き上げ,さらに補助率を引き上げることが適当であると考えます。さらに,将来的には,地区会館と町内会館はいずれも地区にとって必要不可欠なコミュニティ施設でありますので,市が建築費を全額負担するとともに,町内会館の用地確保についても努力すべきではないかと考えておりますが,市長の見解をお伺いをいたしたいと思います。
次に,国民健康保険事業についてであります。元号が昭和から平成になったのもつかの間,平成2年を迎え,あと10年余りで21世紀を迎えようとしている今日,わが国の最大の課題は,高齢化時代にどう対処するかという問題であると思います。
人間にとって,長寿はまことに望ましいことであり,だれもが願うことでありますが,それに伴って,好ましいことばかりではなく,社会的な活力の低下や社会保障負担の増大という問題,あるいは高齢者の社会参加や生きがいの問題など,克服しなければならない課題が多数あります。このような課題を解決し,真に国民全体が長寿を喜べる社会にすることは決して容易なことではありません。
昭和63年度の厚生白書によりますと,高齢化の急速な進展により,老年人口比率,すなわち総人口に占める65歳以上の割合は,昭和10年に4.7%であったものが,60年には10.3%となり,平成22年には20%になるものと推計されております。人口の高齢化が今後25年間において,いままでの半世紀の2倍の速さで進展することを示しているのであります。
一方,国民医療費は,昭和61年度には17兆円,それ以降毎年1兆円ずつ増加をし続け,平成元年度の国民医療費の推計値は,19兆9,700億円,実に約20兆円という厚生省の推計であります。
さて,本市の医療費の推移を見てみますと,医療費の増高はとどまるところを知らず,近年は対前年度比10%前後の伸び率となっており,わが党といたしましても,国保の事業運営に大きな危惧を抱いているところであります。このような状況の中で,本市は昭和63年度に高医療費市町村の指定を受け,平成元年度も引き続き指定を受け,安定化計画を策定の上,医療費適正化対策等の諸事業を実施しているところでありますが,国保関係者はその成果に少なからず期待を抱いているところであります。
本市が策定した安定化計画の具体的な対策としては,「レセプト点検の充実強化」,「医療費通知の充実」,「保健事業の推進」,「在宅ケア等の推進」,「医療機関,老人保健施設,社会福祉施設等の地域における適正配置」,「保険料収納対策の強化」,「広報活動の充実強化」などが挙げられておりますが,その中で,特に収納対策についてお伺いしたいのであります。
国保は高齢者や低所得者を多く抱え,構造的な宿命を背負って事業を運営しているところであります。とりわけ,昨今における景気の好況により雇用が拡大したことに伴って,若年層や中年層の健康な被保険者が国保から社会保険に移行する例がふえており,高齢者,低所得者を中心とした構造的な問題はますます大きくなっております。現行の制度では,医療費の伸びに連動して当然に保険料が引き上げられ,保険料の負担が厳しいために滞納がふえるという図式を余儀なくされているところであります。
国保事業の健全化を図るためには,制度の抜本改正とともに,重要な財源である保険料の確保がきわめて大切であり,また,保険料の収納額の向上は,財政基盤の強化と被保険者の負担の公平を図る上で重要な課題となっております。現在,被保険者にとっては,保険料の負担が大きな問題であり,もはや限界に近づいたとの声が多く寄せられているのが現状であります。
本市の保険料は,指定都市の中で京都市と並んで高額となっておりますが,その基本となる医療費が高い以上,保険料も高くなるのは当然といえばそれまででありますが,保険料が高過ぎて払うことができないという市民の声があることも事実であります。
今回,来年度の保険料のアップ率を据え置いたことは,一応評価できるものでありますが,保険料を据え置いたとしても,これまで以上に収納対策を強化しなければ滞納がふえ,累積赤字をさらにふやす結果になるのではないかと危惧をいたしているところであります。
そこでお伺いいたしますが,今後の収納対策について,文書や電話による督促もよろしいのでありますが,より積極的に,たとえば管理職の職員が率先をして滞納世帯を訪問し,納付督励を行うなどの特別の対策を講ずる考えがあるかどうか,お示しをいただきたいのであります。
次に第2点目は,居所不明者対策についてであります。
国民健康保険の被保険者の資格の異動については,本人の届け出により処理されているとのことでありますが,往々にして無届けの場合が多いようであり,さらに本市の国民健康保険は,異動率が非常に高いこともあって,被保険者の実態把握には大変ご苦労されているのではないかと思うのであります。
本市の場合,納付義務者の中には,長期にわたり保険料が未納になっており,職員による再三にわたる催告書や来庁を促す各種文書の送付に対しても何ら応答がなく,また電話連絡,徴収嘱託員などの現地調査に際しても,常時不在の状態が続いており,その実態把握がきわめて困難で,国保の資格についても疑義が持たれる者が数多くいると聞いているのであります。
しかしながら,このような状況のままであると,保険料の収納状況が悪化するばかりでなく,医療費を賄う貴重な財源が確保されないこととなるのであります。私は,被保険者の負担の公平を図る上からも,何らかの方策をとらなければないと考えておりますが,これらの者に対する居所不明対策をどのように実施しようとしているのか,お示しをいただきたいのであります。
次に第3点目は,平成2年度における国民健康保険料についてであります。
国民健康保険料は,医療費に連動して決まる仕組みになっておりますが,その負担はすでに限界に来ており,年金所得者を中心にした老年低所得者や単身者にとっては,きわめて厳しい負担となっております。
現行の国民健康保険法では,一口に言えば,総医療費から一部負担金を除いた残りは,保険料と国の補助などで半分づつ補うことになっておりますが,これでは,総医療費が下がらない限り,保険料も下がることがないというのであります。
わが党といたしましても,保険料が余り高額で支払うことができないという市民の声が高まる中で,平成2年度予算編成に向けて,保険料の値上げはしないよう要望したところでありますが,これに対して,一般会計からの繰入金の総額を増額するなどによって保険料を据え置いたことは,一定の評価ができるものであります。
そこで,保険料に関連してお伺いしたいのでありますが,保険料の限度額の引き上げについてであります。
これまで本市は,税法上の規定から1年おくれで限度額を改正しておりますので,2年度は42万円との考えもありますが,税法上2年度の限度額は据え置かれるという状況の中で,本市の限度額を1万円の値上げにしたのはなぜか。限度額の改正の基本的な考え方についてお示しをいただきたいのであります。
また,賦課割合についても,応能割と応益割の比率を50対50にすべく,近年は毎年2ポイントずつ変更しておりますが,2年度の賦課割合は1ポイントの変更になっておりますが,どのような考え方で変更するのか,あわせてお示しをいただきたいのであります。
質問の第4点は,平成2年度の制度改正についてであります。
国民健康保険の安定的運営は,医療費の増高が続いている近年においては,すでに保険者だけでは解決できる問題でなくなっており,国の抜本的な制度改正なくしては実現できないものとなっております。
このような状況の中で,平成2年度に予定されていた国の制度改正に期待をしていたところでありますが,改正の内容は,従来の暫定措置の制度化などであり,抜本改正とはほど遠いものではないかと思うのであります。
特に,老人保健法については,一部負担金,公費負担割合の見直しなどが検討されておりましたが,全面的に改正が見送られ,国民健康保険法については,保険基盤安定制度の拡充があったものの,老人拠出金国庫負担率は引き下げられるなどの措置が講じられているのであります。地方制度調査会の答申にも,国保制度の運営の安定化は国の責任としておりますが,この基本を崩さないような改正は理解しがたいものであります。さらに,保険制度の一元化や医療費適正化対策の実施などについて何ら明示されておらず,地方負担を導入しているなど,きわめて不十分と言わざるを得ません。
そこでお伺いをいたしたいのでありますが,法の改正案ではまだ示されていないと思いますが,現時点での本市の影響額が出ていればお示しをいただきたいのであります。また,今後の見通しについても,あわせてお示しをいただきたいと思います。
次に,保育料滞納問題とその収納対策についてお伺いをいたします。
保育にかかる費用は,国,市,保護者がそれぞれ負担をすることとなっております。しかし,保育料が保育にかかわる経費の貴重な財源となっているにもかかわらず,実際には保育料の未払者が多く,その滞納額の増加が問題となっております。滞納形態も複雑化しており,長期にわたって滞納する人がふえるなど,滞納額が増加している現状は,保育所の円滑な運営に重大な支障を来たすおそれがあります。
本市の滞納状況について言えば,保育料の未収金は増加しており,保育料の収納率は年々低下をし続け,63年度には90%を割る89%まで低下をし,未収入も約2億円近くとなっております。指定都市でも,収納率が90%を割ったところはなく,本市の収納率の89%は,これは指定都市の中でも最下位の低い率となっているのであります。
保護者にとって,毎年値上げされている高い保育料を我慢しながら生活を切り詰め,毎月きちっと保育料を負担している多くの方々のことを考慮いたしますと,収納率の向上を図ることは,保護者の方々の負担の公平を図る意味からも重要なことであります。
特に,支払い能力がありながら100万円を超える滞納者がいるということからも,もはや放置することはできないと考えております。早急に滞納整理の具体策を講じ,正直者がばかを見ることのないような収納対策を強化すべきであると思います。
また,収納率が89%にまで低下をしてきた要因に,現在の徴収方法にも問題があると思うのであります。現行の納付書を送付し振り込む方法では,共働き世帯などは,日中仕事から離れなくてはならないという困難性が伴うと思うのであります。
そこでお伺いいたしますが,私の質問の前に新聞社に発表したようでありますが,収納率低下の原因と滞納整理を含めた今後の対策について,どのようにされるのか明らかにされたいのであります。
次に,交通問題についてお伺いをいたします。
本市の地下鉄建設は,昭和47年の札幌冬季オリンピックに向けて46年12月に南北線12.1キロが開通したことを皮切りに,その後,東西線,南北・東西両線の延長部が開通するなど,他都市に劣ることなく順調に進められてまいりました。
そして,一昨年12月には,待望の第3線である東豊線が開通し,総延長約40キロの地下鉄網ができ上がり,地下鉄利用人員も1日60万人を超え,さらに市民の足として定着をしてまいりました。引き続いて,この東豊線の豊平方面への延長工事に着手し,残る区間を含めて,平成7年度には約50キロの計画路線を完成させる予定になっております。札幌が200万都市として発展をしていくために,これを支える都市基盤としての地下鉄網がなくてはならないものでありますので,ぜひとも全計画を完遂させていただきたいと思うのであります。
ところで本市の地下鉄の建設については,計画段階で紆余曲折があったことは周知のところであります。そもそものスタートは,昭和42年当時の高速軌道等調査専門委員会が報告した東西線・南北線合わせて延長45キロの構想でありました。これがその後,市の長期計画において,延長距離が60キロに延びたり,30キロに縮んだり,市民の混乱を招いたわけでありますが,昭和54年12月の札幌市総合交通対策調査審議会の答申により,現在の路線計画が確定されたものであります。
私は,このように計画が目まぐるしく変わった原因の一つには,地下鉄計画が交通需要への対応という線に重きを置いて策定されたからではないかと推測をいたしております。したがって,たとえば,輸送需要の予測手法が変われば利用人員も大きく変わり,その都度計画が変更されてきたのではないかと思うのであります。すなわち,本来,地下鉄計画は都市づくりの観点から進めるべきであるのに,路線をどのようにするか,人のいるところ,道路のあるところにいかにして安上がりに地下鉄を建設していくかといったことだけにとらわれて計画が進められてきたのではないかと思うのであります。
私は,現在の経済社会の目まぐるしい情勢変化あるいは社会要請の多様化の中で,確実な地下鉄計画目標をつくり上げていくことは,確かに非常に困難な課題ではないかと考えております。たとえば,地下鉄を建設することで,通常,沿線の土地利用は大きく変貌し,地価も高騰いたします。果たして,計画段階に予想したとおりの都市計画づくりがなされているか,確信の持てない面が多々あろうかと思います。
一方で,地下鉄を取り巻く経営環境は,企業としての独立採算制をとる限り,悪化の一途をたどるばかりであり,当然のごとく,建設計画にも何らかの形のブレーキがかかることは予想されます。加えて,利用者に対しては,より高度なあるいは多角的なサービスを提供していかなければなりません。
このように厳しい社会環境の中で,着実に地下鉄の建設計画を進めていくためには,これまでの「将来交通需要の充足」に絞られた計画から脱却して,都市づくり都市計画としての地下鉄計画を立案していかなければならないものと考えております。
このためには,まず,本市の交通政策,都市計画,都市開発構想などの基本方針を確立させた上で,交通体系のあり方として,地下鉄,JR,バスなどの公共交通機関とそれぞれの役割分担,相互の連携,あるいは道路交通と公共交通の整備の見合いなどを明確にし,その中で地下鉄計画を具体化していくことであると思うのであります。
同時に,地下鉄計画と整合を図りながら,市街地の発展,地域開発,
プロジェクトの育成を見据えた上で土地利用計画を策定し,その上で,たとえば,公共施設,集客施設の配置といった輸送需要の確実な見込みが得られる施策を都市政策として実行していくべきではないかと考えております。さらにつけ加えれば,地下鉄建設費の軽減,地下鉄事業に対する公的負担の拡大も,これからの建設計画を進めていく上で大きな課題であろうと考えています。
開業した東豊線は,計画利用人員の13万人に対して,実際の利用者は6万人と予測値の半分以下にとどまっております。この原因は,いま市のほうでいろいろと分析をされていると思いますが,私が推察しますには,一つには,道路形態が土地利用とうまく整合性がとられていないのではないかということであります。これは,路線の後背圏には丘珠空港があり,また,多くが市街化調整区域でありますが,これらの地域からの輸送需要がそもそも発生しないということであります。
そしてもう一つはバス路線との連携であります。これは道路整備のおくれによるところも大きいのでありますが,たとえば,篠路・太平地区からは依然として南北線には接続するバス路線が多いこと,あるいは,都心に直行する路線が残されたままであることなどが原因ではないでしょうか。すなわち,私が前段で述べました,市としての地下鉄建設への取り組み姿勢の誤りが,この東豊線の建設に現実問題としてこのような結果をもたらしたのではないかと考えるわけであります。
計画時点における都市計画としての詰めの甘さもあろうかと思いますが,建設に移行する段階でも,より多角的な面からの路線計画の検討,あるいは,地下鉄経営をバックアップする施策などについて,十分協議がなされていたのか疑問な面が感じられるのであります。
いずれにいたしましても,でき上がった地下鉄路線は,21世紀に向けて,この札幌を支える大きな都市基盤でありますし,市民の財産としてこれを有効に活用していかなければなりません。早急に原因分析を行い,利用促進の手だてを実行していかなければならないと思います。
一方,この東豊線の延長区間である豊水すすきの・福住間については,路線のすべてが成熟した市街地を走りますし,さらには,現在,地域の輸送を担っている国道36号線のバス輸送が1日1,200便以上もあり,飽和状態にあることなどから,地下鉄の利用者は十分に見込めますし,この延長区間が開通することで東豊線全体の利用効率も高まるものと考えられますので,一日も早い開通を期待いたしているところであります。
問題となりますのは,その先,北野地区までの延長計画であります。この区間につきましては,路線免許を取得するには,利用人員が基準に達してないということで,輸送需要の見込みが得られるまで免許申請を先送りにした経過があります。その後,市内部で検討が進められ,需要を喚起する施策を実施することで基準の利用人員が確保されるとの結論に達したとのことでありますが,私は,これらの施策の中身が具体的にどのようなものがあるかは知りませんが,やはりこの延長計画についても,単に地下鉄路線をあと何キロ延ばすのだという発想は切り捨てて,市が主導的な立場に立ち,都市づくりの一環として地下鉄建設に取り組むべきであると考えております。
そこでお伺いをいたしますが,質問の第1点は,東豊線北野地区までの延長についてであります。
平成7年度までに開通されるとのことでありますが,輸送需要を確保していくために,具体的にどのような施策を実施していくのか。また,その実施体制はどのように進めていくのか,お示しを願いたいと思います。
質問の2点目は,この延長区間の終点についてであります。
延長計画では,北野通と清田通の交差点付近が路線の終点になりますが,私は,将来的な地域の発展を考えますと,この位置では不適切ではないかと思います。やはり,人口増が著しく,商業施設の立地も進み,地域核が形成されつつある清田・真栄地区まで地下鉄を延ばすべきではないかと考えております。
市の長期計画においても,この地区に地域中心核が位置づけられておりますし,次の分区でも,当然新しい清田区ということが予想されておりますので,その辺の都市計画との整合を図る意味からも,地下鉄の延長が必要ではないかと考えるわけであります。
北野までの延長計画は,先ほど述べましたとおり,いまから10年も前に策定されたものであります。その後,
社会経済情勢も変化しておりますし,改めて都市づくりという観点から,地下鉄建設に当たり,路線計画を見直すべきであろうと思いますが,市長のご所見をお伺いをいたします。
質問の第3点は,地下鉄への利用客誘導の方策についてであります。
地下鉄により多くの利用客を誘導するためには,まず第1に,バスを含めて公共交通全体の利便性,快適性を高めていく必要がありますが,同時に,市民の財産として地下鉄を有効に活用していかなければならないことを強くアピールする必要があると思います。特に,マイカー通勤からの転換は,道路交通の円滑化,排気ガス公害の防止,あるいは交通事故の防止を図る意味からも,積極的に取り組むべき課題であると思います。
そこで,このマイカー通勤の抑制運動については,地下鉄などにポスターを掲示をしているのを見かけますけれども,この方法では効果は余り期待できないと思います。テレビ,ラジオ,新聞などマスコミを用いて大々的な広告をし,市民運動として盛り上げていくべきではないでしょうか。また,現在,この種のキャンペーンは,市の各部局が別々にしているようでありますが,統一して行うほうがより効果的であると考えますが,いかがでしょうか,市長の考え方をお伺いをいたします。
次に,地下鉄東豊線豊水すすきの・福住間の延長に関しては,中央バスとの補償問題についてお伺いをいたします。
地下鉄東豊線の延長工事は,昭和63年度から平成6年度まで7年間の予定で,総額1,086億4,000万円の事業費を投じて,すでに事業が着手されております。予定どおり平成6年秋に開業いたしますと,福住駅から大通駅までわずか12分で到達する上,域内幹線道路の交通混雑の緩和や,冬期間の交通障害の解消に大きな効果を発揮し,地下鉄沿線はもとより,後背地域の開発に強いインパクトを与え,開発が促進され,札幌市の均衡ある発展に大きく寄与するものであります。
しかし,一方では,この地下鉄の建設に伴い,中央バスへの補償という大きな問題を抱えているのであります。
この地域における公共交通の輸送分担は中央バスが主役であり,その事業規模は昭和62年度において22路線45系統で,年間輸送人員は約2,300万人,1日当たり約6万3,000人,料金収入は年間35億円となっているのであります。
この中央バスが主体の輸送圏域に地下鉄建設を行うことは,多数の中央バスの利用者が地下鉄へ移行することは明らかであり,事業の縮小は免れないことから,昭和56年の「地下鉄東西線の延長及び東豊線に関する覚書」に基づいて東豊線延長部分の建設計画が具体化した昭和60年以来,札幌市と中央バスは,その補償問題について協議を重ねてきたのであります。
市民が強い期待を持っている東豊線延長工事について,その着工までに基本的事項で合意したいとする関係者の努力の結果,昨年12月に入り,5カ条から成る「地下鉄東豊線の延長に関する覚書」を交換するに至り,予定どおり着手の運びとなったことから,一定の評価をいたすものであります。しかし,その内容について問題がないわけではありません。
今回の補償交渉で交換した覚書の第1条の補償方法については,「バス路線の移譲及び附帯事業その他便宜供与」となっておりますが,この中で「バス路線の移譲」は,本市交通事業の根幹にかかわる大きな問題であります。
本市のバス事業の現状について見ますと,地下鉄建設に伴う路線再編成や中央バスへの路線移譲などにより,その事業規模は縮小の一途をたどっているのであります。特に路線バスについては,1日当たりの乗車人員は,昭和60年度の27万1,696人が元年度の決算見込みでは22万8,100人と,この5年間に16.1%も減少しており,料金収入についても,元年度の料金改定を見込んでいるにもかかわらず,昭和60年度の103億6,900万円から元年度は93億2,500万円,10%も減少する見込みなのであります。
さらに,累積欠損額は60年度でゼロだったものが,元年度決算見込みでは,バス事業全体として36億6,500万円が見込まれるほど悪化しているのであります。また,63年度の路線別収入では,全市で73路線のうち,黒字路線が21路線で,残りの52路線は赤字路線であります。
しかしながら,それら赤字路線のうち11路線が市街化調整区域に乗り入れている路線で,市民の日常生活を支えるために必要な最低限度の足の確保となっている,いわば福祉的な路線であります。このほかにも,行政上の歴史的な経過による事情や,公共施設の利用に欠かせない路線,あるいは将来の地域の発展を促すために,先行投資的な観点から運行せざるを得ない路線もあります。
このように,公営交通は,民営交通に比べて,いわゆる公共的なサービスの提供になじみやすく,市民もその点で,公営交通の果たす役割を高く評価しようとする気持ちがきわめて強いのであります。したがって,安易なバス路線の移譲は絶対に避けるべきであり,将来とも地下鉄と市営バスの一体的な連絡輸送を本市交通事業の基本とすべきであります。そこでお伺いをいたします。
本市バス事業については,今後,公営交通としてのあり方をどのように考えているのか。また,中央バスとの補償方法については,バス路線の移譲をやめる考えはないのか,市長の見解をお伺いをいたしたいのであります。
次に料金改正についてお伺いいたします。
本市の交通事業の財政状況は,輸送人員の減少から非常に厳しいものとなっており,63年度の累積欠損額が,交通事業会計で21億9,300万,高速電車事業会計で1,032億5,300万円,両事業合わせて1,054億4,600万円となっています。このことから,交通事業の経営健全化を図るために,昨年9月行われました臨時議会において,地下鉄,バス,電車の乗車料金の改正案が議決されております。
その際,議会からの要望として,実施時期については,利用者の負担をできるだけ軽減するために,平成2年2月1日以降とされております。その後,国との事前折衝を進め,バスについては11月27日,地下鉄,電車については12月20日に申請をしておりましたが,先般1月16日に行われました経済公営企業委員会におきまして,交通事業管理者から,2月1日からの料金改正の実施は不可能となり,実施時期が3月になる見通しである旨の報告がされたのであります。
料金改正については,市民生活に及ぼす影響が大きいことから,その実施時期は市民の大きな関心事となっております。
そこでお尋ねいたしますが,料金改正の実施については,いま現在,どのような見通しをお持ちか,お聞かせをいただきたいのであります。また,私は,料金改正の実施のおくれが交通事業の財政収支に与える影響が大きいものがあると考えますが,この点について市長の見解をお伺いをいたします。
最後に,環境問題についてお伺いをいたします。
私たちが生きている地球は,豊かな緑に恵まれ,満々と水をたたえ,生命の誕生以来,われわれ人類をはぐくみ,その発展を支えてまいりました。そうした生命共通のふるさとである地球環境を,いま,われわれが破壊しようとしているのであります。
先進国では,豊かな社会生活を維持するために,膨大な資源やエネルギーを消費したあげく,空気や水などを汚染しているのであります。また,開発途上国では,経済的貧困や人口の急増の中で,大規模な森林伐採や放牧などが行われており,土地の荒廃が進んでおるのであります。
これらのことは,将来において,私たちの子供や孫が,汚れた空気や水の中で,また厳しい気象条件の中で,緑もなく荒れ果てた大地の中で生きていかなければならないという大きな負担を強いることになると思うのであります。そして,その兆候はすでにいろいろな形であらわれております。
たとえば,南極ではオゾンホールと呼ばれる現象が報告されております。本来,オゾン層は,有害な紫外線を吸収する役割を果たしておりますが,これらは,ヘアスプレーや冷蔵庫などで使われているフロンガスにより破壊されることが,オゾンホールの原因とされているのであります。オゾンの減少は,地上の有害な紫外線の増加を招くことになり,その結果,皮膚がんなどの発生をもたらすこととなるのであります。
また最近の石油・石炭などの化石燃料の大量消費に伴って,二酸化炭素やメタンなどのいわゆる温室効果ガスや,さらには酸性雨の原因となる硫黄酸化物や窒素酸化物などの大気汚染物質も大量に放出されているのであります。
二酸化炭素濃度の上昇は,地球を温暖化し,このまま推移すれば,西暦2030年には地球全体の平均気温が1.5度から3.5度程度上昇し,その結果,海面は20センチから110センチほど上昇すると予測されております。このため,東京やニューヨークなど世界の主要都市は水没し,世界各地に異常気象をもたらすなど取り返しのつかない深刻な事態となることが懸念をされているのであります。
また,主にヨーロッパや北アメリカなどで問題となっている酸性雨は,国境を越えて森林や農作物に被害を与えたり,湖や沼に生息する魚などを減少させております。
このほかにも,焼き畑や森林の伐採などによる熱帯雨林の減少,過剰な放牧などによる砂漠化の進行など,世界各地から報告されているのであります。これらの問題は,私たちが生きていく上で深刻な脅威となって立ちはだかっているのであります。
このような状況から,地球規模の環境問題については,先進国を中心に関心が高くなっており,その解決に向けた各種の国際会議が開かれていることはご承知のとおりであります。すでにフロンガスについては,西暦2000年までに全廃することを目標として,現在具体的な削減計画の策定が進められており,また,地球の温暖化の原因である二酸化炭素も,同様に西暦2000年までに排出量の増加を抑えることで基本的な合意がなされているのであります。
わが国においても,このような世界的な動向を踏まえて,オゾン層の保護のための法制化を実施したのを初め,環境保全に関する政府開発援助の増額など,今後,積極的に国際協力を推進することといたしております。
私は,地球環境問題は,国が対応すべきことであり,地方公共団体で扱うべきものでないという考え方であってはならないと思うのであります。いま投げかけられている問題は,たとえそれが地球規模であっても,その解決には,石油,森林,水,空気など,地球の資源を大量に消費することで成り立っている私たちのライフサイクルを今後見直すなど,身近な対応が求められているのではないかと思うのであります。
言いかえれば,地球環境保全への取り組みも,具体的には身近な環境保全に向けた取り組みから実施すべきものであり,地方公共団体による地域環境対策の充実こそが,地球環境全体への出発点であると言えるのであります。したがって,この問題に対する地方公共団体の役割は,決して小さくないのであり,国や民間とともに,それぞれの役割を十分に認識をし,これまでの地方公共団体が日本の深刻な公害問題との闘いで示した実践を,国際社会の舞台でもさらに発揮させることが,世界に貢献する日本のために必要であると考えるのであります。
そこで,今回提案されております環境保全推進基金についてでありますが,これは昨年暮れ,環境庁が環境保全対策の一環として打ち出した事業であると考えますが,市長はどのように地球環境問題との取り組みと結びつけていこうといたしているのか,お伺いいたしたいのであります。
以上で,私の質問をすべて終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(工藤勲君) 答弁を求めます。板垣市長。
◎市長(板垣武四君) まず,財政問題についてでございます。
第1点目の,将来の財政負担への対応についてでございますが,今後の本市の財政状況につきましては,お話にもございましたとおり,決して楽観は許されないものと考えておりますが,今回,予算に計上をいたしておりますご指摘のありました各事業につきましては,現在及び将来の札幌市のために,ぜひとも必要な事業であると確信をいたしております。したがいまして,これらの事業を遂行するためには,経費の節減,国庫補助金等特定財源の確保,産業基盤の充実による税収の増大等,あらゆる努力を傾注し,財源の措置を講ずるとともに,各種基金の活用も図りながら,従前にも増して計画的な財政運営を行う必要があると,このように覚悟をいたしております。
第2点目の,平成2年度の市税予算見積もりについてでございますが,今回計上をしております市税2,503億円は,前年度の当初予算比で10.1%増,決算見込み比でも8.4%増と,大幅な伸びを見込んでいるところでございます。これは,最近の景気の動向及び本市の各種企業の実績等を勘案して算定したものでございますが,
地方財政計画の伸び率5.0%,また他の地方公共団体の状況等と比較いたしましても,高い伸びになっておりまして,現時点では,見込み得る最大限の予算計上であると,このように考えているところでございます。
次に,第3点目の財源対策債償還基金についてでございます。
昭和50年代における地方の財源不足は,その相当部分が財源対策債の発行により措置されたところでございますが,これの昭和59年度以前分の未償還額が,このたび
地方交付税で措置をされる見込みでございます。本市におきましては,平成元年度は減債基金の現在高等を勘案して,今回の補正を含めまして110億円,平成2年度は123億円,合わせて233億円を減債基金に積み立て,これを償還の際に計画的に支消することにいたしまして,平成2年度は,当初予算におきまして20億円の減債基金の支消を計上しているところでございます。
次に,第4点目の公債費比率についてでございます。
まず,財源対策債償還基金の積み立てとの関係についてご説明いたしますと,平成2年度の公債費比率は12.1%となる見込みでございますが,減債基金から公債費に充当する20億円を考慮いたしますと,実質的には11.5%となり,元年度当初予算と同程度になるものでございます。
次に,市債のガイドラインについてでございますが,この場合,公債費比率から
地方交付税での財源措置分を控除した起債制限比率によって判断をすることが適当と考えておりまして,これによりますと,本市の平成2年度の起債制限比率は8.9%の見込みでありまして,特に問題はなかろうかと,このように思っております。
なお,この比率が20%以上になりますと,一部の起債について発行が制限をされますけれども,公債費負担の適正化の観点から,16%以下に抑えるよう国の指導がありますので,このあたりがガイドラインであろうかと考えております。
2番目の問題は助役に譲りまして,私から,3番目の国保,保育料について申し上げます。
まず,国民健康保険事業についてお答えを申し上げます。
その第1点目は,今後の収納対策についてでございます。
収納対策につきましては,これまでも種々の方策を講じてきたところでございますが,ご指摘のありましたように,従前にも増してより積極的な納付督励を行う等,特別の対策を講ずる必要があると,このように考えております。
そこで,本年1月に収納率向上特別対策事業実施方針というのを策定をいたしまして,現在これに基づいて,各区でそれぞれ収納率の向上に積極的に取り組んでいるところでございます。この実施方針では,滞納世帯との接触の機会をより多く持つことを基本といたしており,現在,常時不在世帯の勤務先調査や,滞納世帯の給付状況,家族状況などの把握に努めております。
今後,これらの情報を活用し,管理職職員も率先して訪問納付督励を実施するなど,これまでにも増して,保険料収納額の増加に努めてまいりたいと考えております。
第2点目は,居所不明者の対策についてでございます。
本市の国民健康保険は,他の政令市と比較しても,異動率が非常に高く,電話や文書を初め,訪問による実態調査を行なっても,常時不在の状況が多いために,被保険者の資格の有無,生活実態などの把握がきわめて難しい状態にございます。これらの世帯の多くが保険料を滞納しており,国保事業の適正な財政運営を阻害している大きな要因になっております。
そこで,その対策についてでありますが,これまでは,徴収嘱託員による実態調査をしてまいりましたが,今後は,職員との連携をより一層密にするとともに,昨年10月から新たに実施いたしました資格調査員による資格の適正化事務についても,さらに効果的な運用に努めてまいりたいと考えております。
第3点目は,賦課限度額の改定及び賦課割合の変更についてでございます。
まず,賦課限度額につきましては,昭和59年度以降,税法上の規定から1年おくれで改定することを基本的な考え方にしており,平成2年度は42万円とすべきところでございますが,市民負担の軽減に最大限の努力をし,平均保険料を据え置いたことなどを考慮いたしまして1万円の引き上げにとどめ,41万円としたものでございます。
また,賦課割合につきましても,同様に考えまして,応能割と応役割の比率を50・50とすべきところを1%の変更にとどめ,応能割を51%,応役割を49%に変更しようとするものでございます。
第4点目は,平成2年度の制度改正についてでございます。
まず,現時点における本市の影響額でございますが,63年度から実施されております保険基盤安定制度の充実により,7億7,000万円の歳入増があります反面,老人拠出金に対する国庫負担率の引き下げにより,5億6,000万円の歳入減を見込んでおり,その結果,2億円ほど国保財政が好転をいたします。さらに,老人拠出金の算定において,平成2年度から加入者案分率が100%となることにより,10億円の負担減が見込まれ,2年度の制度改正全体では,合わせて12億円程度の効果があるものと考えております。
また,今後の見通しについてでございますが,抜本的改正は平成3年度以降に持ち越されましたので,その実現に向けて,議会の協力もいただき,全国市長会,指定都市などと提携をとりながら,国に対しまして強く要望を続けてまいりたいと考えております。
次に,保育料問題でございます。
ご指摘のように,収納率は63年度末で89.5%でございますが,その内訳といたしましては,現年度分が97.3%,過年度分で7.5%になっております。したがいまして,過年度の滞納繰越分の影響が大きく収納率を低下させていることになります。
その原因といたしましては,これまでの督促の方法がやや形式的に過ぎるのではないかという反省に加えて,口座振替制度を実施していないなどの点が挙げられようかと考えております。
一方,滞納者の側にありましては,滞納理由のうち,疾病,失業,離婚など真にやむを得ないと考えられる場合は2割程度でございまして,そのほとんどは,納付に時間的余裕がないなどの理由によるものと判断をいたしております。
また,本市においては,保育料を約40%近くも軽減をし,保護者の負担の緩和に努力をしてまいりましたが,お話にもございましたように,収納率の向上を図るということは,保護者負担の公平を図る意味からもきわめて重要であるとの考えは,私も全く同感でございます。
そこで,今後の収納対策についてでございますが,口座振替制度の導入や保育園長による納付督励など,徴収体制の強化を図ってまいりたいと考えております。なお,昨年来,滞納整理に積極的に取り組んでおり,現在の状況では,元年度末の収納率は92%程度に回復するものと見込んでおりますが,当面,早急に納付事務の電算化を促進するとともに,滞納者との面接,電話による督促,高額滞納者に対する差し押さえなど,収納率の向上に全力を傾けてまいりたいと考えております。
次に交通問題についてお答えを申し上げます。
まず,地下鉄問題についてのご質問でございますが,本市の基幹交通としての地下鉄のあり方につきましては,都市の発展,成長にかかわる重要な課題でありますことから,これまでも,都市づくり,産業活動,市民生活など多角的な分野にわたり,都市の将来計画との整合性を図りながら計画を推進してきたところでございます。
そこで,ご質問の第1点目は,東豊線北野までの延長にかかわる輸送需要の確保についてでございますが,種々の検討を重ねました結果,地下鉄周辺の土地利用の高度化や,東部地域及び未利用地の開発促進,さらにはバス優先対策及び都市間バスをも含めたバス路線の再編成などの施策を確実に実施することを前提として,免許基準に近い輸送需要をほぼ確保できる可能性を得たところでございます。しかしながら,これらの施策実現に向けては,民間活力に負う部分が大きく,また困難な要素も多分に予想されますことから,実施方法の検討,関係機関への働きかけなどにつきまして,全庁を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
第2点目は,北野延長計画の終点についてでございます。
この路線計画につきましては,札幌市総合交通対策調査審議会の答申を踏まえて,昭和60年8月に都市高速鉄道調査専門委員の方々に検討をいただいたものでございます。この中で,路線及び駅位置につきましては,地域開発計画,土地利用計画との整合性,バス交通との機能分担,さらには建設技術面,経営面など,総合的な見地から分析・評価をして選定をいたしたものでございます。
そこで,提案の路線終点を清田・真栄地区とすることにつきましては,地域の開発動向,財政事情等を十分に見きわめる必要がありますことから,将来的な課題として考えてまいりたいと存じます。
次に,3点目のマイカー通勤の抑制運動についてでございます。
公共交通への利用促進はもとより,都市交通全体の円滑化を図るためにも,不要不急の自動車交通の抑制に努める必要があるものと考えております。そこで,これまでもマイカー通勤抑制キャンペーンなどを実施してきたところでございますが,今後ともご提案の趣旨も踏まえながら,全庁的な取り組み体制のもとで,より効果的で実効が上がる運動を展開してまいりたいと考えております。
次に,中央バスとの補償問題にかかわります市営バス事業の公営交通としてのあり方についてのご質問でございますが,バス事業は,路面電車とともに,本市の中心的な公共輸送機関としての役割を担ってまいりましたが,都市化の進展に伴う交通需要の増大に対応するため建設された地下鉄南北線の開業を契機に,地下鉄との有機的な連携を主とする面的な輸送へと,その役割が変わってきたところでございます。
今後につきましても,基本的には,地下鉄の建設などそのときどきの実情に即応した再編成を行い,地下鉄,路面電車との一体的な連携を図りながら,他の事業者とも協力をし,より利便性の高い総合交通体系の確立への役割を果たしていく必要があると,このように考えております。
また,北海道中央バスへの補償方法として,バス路線の移譲をやめる考えはないかとのお尋ねでございますが,地下鉄の建設を計画どおり進めていくためには,バス路線の再編成が不可欠でございます。その補償方法について,北海道中央バスと鋭意交渉を重ねてまいりましたが,これまでの交渉経過から,市営バス路線の一部移譲も避けられないという判断に立ち,お話のございました地下鉄東豊線の延長に関する覚書を,昨年12月11日に交換をしたところでございますので,何とぞご理解をいただきたいと存じます。
最後に,料金改定の見通しについてでございますが,現段階で確たる実施予定日を申し上げることはできませんが,今後,国での一連の手続が順調に進みますと,今月中には認可が得られるとの見通しを立てているところでございまして,3月の早い時期に実施ができようかと考えております。
そこで,財政収支に与える影響でございますが,約1カ月のおくれといたしますと,両事業会計合わせて約4億3,000万円の減収となり,多額の累積欠損金を抱える交通事業にとりましては,大きな痛手でございます。しかしながら,今後とも内部努力等,経営の健全化を進める中で,それらも含めて赤字の解消に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
私から最後に,環境問題の取り組みについてでございます。
地球環境問題につきましては,現在,わが国を初めとして国際的な取り組みがなされているところでございますが,ご指摘のとおり,この問題は,私ども人類が,膨大な資源やエネルギーを消費して豊かな社会生活を求めた結果生じたものでございます。したがいまして,この解決に当たりましては,私ども一人一人が環境に配慮して日常生活を営むことが大切なのであります。
このため,本市におきましては,従来から関係業界に対して,フロン使用製品の自粛要請や低公害商品の普及などを行い,市民意識の啓発に努めてまいりましたが,さらに,これらの事業を総合的かつ継続的に実施するため,環境保全推進基金を創設をいたしまして,低公害車の普及や省エネルギー,省資源化の推進,さらには地球環境問題などをテーマにした環境フェアの開催など,市民生活に根差したPR事業を積極的に推進してまいりたいと,このように考えております。以上であります。
○副議長(工藤勲君) 桂助役。
◎助役(桂信雄君) コミュニティ施設の整備について,私からお答えをいたします。
本市では,これまでも,この札幌を心の触れ合う住みよい街にするために,長期的な展望に立って,時代に即応した各種の施策を進めてまいったところであります。特に,市民の自主的な活動を通して市民相互の結びつきを深めるために,区民センター,地区センター,地区会館など,地域社会の段階構成に応じたコミュニティ施設の整備を進めてきたところでございます。
そこで,第1点目の新興住宅地における地区センターの整備についてでございますが,地区センターは,区民センターを補完するものとして,1区1館を目指して,現在整備を進めているところでございます。
その後の建設につきましては,地区の実情などを十分見きわめた上で検討してまいりたいと考えております。また,その用地確保につきましては,従来から,施設の建設に先立って,適当な用地を確保すべく心がけているところでございます。
第2点目の地区会館建築費の一部地元負担につきましては,地元の方々の要望により,基準面積を超える部分を寄附により負担をいただいておりまして,できるだけ地元負担の軽減を図るため,昭和59年度には基準面積を引き上げ,市の負担分をふやすなどの措置をとり,現在に至っておりますが,今後の建築規模なども勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
次に,市民集会施設の補助制度でございますが,まず補助金につきましては,昭和37年度の創設以来,222の施設に対して482件の補助をし,また,その限度額は,発足当時75万円であったものから,逐次増額を図ってまいりまして,平成元年度からは900万円に引き上げて,地元負担の軽減と整備促進に効果が上がったものと判断しておりますが,今後の建築費の増高などを見ながら努力をしてまいりたいと考えております。
また,補助率の引き上げ,あるいは地区会館も含めて,全額市費負担ということでありますが,これらの施設は,それぞれの地区における身近なコミュニティ施設として,地域住民が一体となり,お互いに協力し合い建設に努力することも,地域連帯意識の醸成に役立ち,住民意識の望ましい姿であると考えるところでございまして,地域住民の皆様方がご苦労されておられることは十分承知いたしておりますが,それぞれの立場で応分のご負担をしていただくことも,また肝要ではないかと,このように考えているところでございます。以上でございます。
○副議長(工藤勲君) お諮りします。
本日の会議はこれをもって終了し,明2月21日午後1時に再開いたしたいと存じますが,ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(工藤勲君) ご異議なしと認めます。よって,さよう決定されました。
――――――――─―――――――
○副議長(工藤勲君) 本日はこれで散会いたします。
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散 会 午後4時8分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 吉 野 晃 司
副 議 長 工 藤 勲
署名議員 岡 本 修 造
署名議員 八 田 信 之...