札幌市議会 1988-09-20
昭和63年第 3回定例会−09月20日-03号
議案第8号 昭和63年度札幌市
一般会計補正予算(第2号)
議案第9号 昭和63年度札幌市
公債会計補正予算(第2号)
議案第10号 札幌市区の設置等に関する条例の一部を改正する条例案
議案第11号 札幌市
情報公開条例案
議案第12号 札幌市
恩給条例等の一部を改正する条例案
議案第13号 札幌市
区民センター条例の一部を改正する条例案
議案第14号
札幌市立高等学校授業料等に関する条例の一部を改正する条例案
議案第15号 札幌市
児童会館条例の一部を改正する条例案
議案第21号 財産の取得の件(公園用地)
議案第22号 財産の取得の件(芸術系新大学用地)
議案第23号 財産の取得の件(札幌芸術の森用地)
議案第24号 財産の処分の件(
工業団地用地)
議案第25号 市道の認定及び変更の件
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〇出席議員(69人)
議 長 吉 野 晃 司 君
副 議 長 滝 沢 隆 君
議 員 宮 本 吉 人 君
議 員 武 市 憲 一 君
議 員 大 越 誠 幸 君
議 員 高 橋 忠 明 君
議 員 猪 熊 輝 夫 君
議 員 西 村 茂 樹 君
議 員 松 浦 忠 君
議 員 長 内 順 一 君
議 員 柿 崎 勲 君
議 員 春 原 良 雄 君
議 員 関 ロ 英 一 君
議 員 千 葉 英 守 君
議 員 飯 坂 宗 子 君
議 員 福 士 勝 君
議 員 常 本 省 三 君
議 員 佐 藤 美智夫 君
議 員 佐 藤 寿 雄 君
議 員 室 橋 一 郎 君
議 員 川口谷 正 君
議 員 加 藤 斉 君
議 員 南 二 郎 君
議 員 吉 田 哲 男 君
議 員 小 田 信 孝 君
議 員 丹 野 勝 君
議 員 森 健 次 君
議 員 村 山 優 治 君
議 員 生 駒 正 尚 君
議 員 田 中 昭 男 君
議 員 柴 田 薫 心 君
議 員 山 田 信市郎 君
議 員 青 木 護 君
議 員 須 合 一 雄 君
議 員 富 田 新 一 君
議 員 澤 木 繁 成 君
議 員 伊与部 敏 雄 君
議 員 水 由 正 美 君
議 員 赤 田 司 君
議 員 本 舘 嘉 三 君
議 員 唯 博 幸 君
議 員 小 谷 俵 藏 君
議 員 八 田 信 之 君
議 員 小 川 勝 美 君
議 員 見 延 順 章 君
議 員 加 藤 隆 司 君
議 員 田 畑 光 雄 君
議 員 朝 川 利 雄 君
議 員 野 間 義 男 君
議 員 湊 谷 隆 君
議 員 工 藤 勲 君
議 員 宮 口 健太郎 君
議 員 政 氏 雅 君
議 員 常 見 寿 夫 君
議 員 磯 野 開 丈 君
議 員 長 岡 武 夫 君
議 員 斎 藤 忠 治 君
議 員 荒 川 尚 次 君
議 員 越 智 健 一 君
議 員 宮 川 新 市 君
議 員 岡 本 修 造 君
議 員 山 崎 七 郎 君
議 員 藤 田 雅 弘 君
議 員 山 本 長 和 君
議 員 田 畔 満 君
議 員 吉 田 一 郎 君
議 員 高 橋 重 人 君
議 員 菊 田 勝 雄 君
議 員 菅 井 盈 君
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〇欠席議員(1人)
議 員 山 田 長 吉 君
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〇説明員
市 長 板 垣 武 四 君
助 役 桂 信 雄 君
助 役 蒲 谷 亮 一 君
助 役 勝 田 義 孝 君
収 入 役 朝 倉 賢 君
交通事業管理者
交 通 局 長 秋 山 忠 禧 岩
水道事業管理者
水 道 局 長 藤 井 憲 次 君
総務局長 杉 本 拓 君
企画調整局長 伊 東 義 昭 君
財政局長 長 部 幸 一 君
市民局長 森 清 君
民生局長 石 原 弘 之 君
衛生局長 柴 田 浩 英 君
環境局長 本 間 雄 君
経済局長 木 戸 喜一郎 君
建設局長 魚 住 昌 也 君
下水道局長 出来岡 謙 三 君
建築局長 西 本 弘 君
国民体育大会事務局長 河 崎 快 二 君
市立札幌病院長 竹 田 保 君
消防局長 谷 裕 之 君
教育委員会委員 小野寺 彰 君
教育委員会委員 村 田 忠 良 君
教育委員会教育長 荒 井 徹 君
選挙管理委員会委員長 大 橋 八 郎 君
選挙管理委員会委員 高 橋 光 義 君
選挙管理委員会委員 越 智 喜代秋 君
人事委員会委員長 山 岡 暸 君
人事委員会事務局長 貴 志 功 君
監査委員 中 目 啓 市 君
監査委員 山 本 長 和 君
監査委員 吉 田 一 郎 君
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〇
事務局出席職員
事務局長 鍛冶沢 徹 君
事務局次長 船 木 宏 通 君
総務課長 丸 岩 公 充 君
議事課長 坂 野 嵩 君
調査係長 大久保 裕 君
資料係長 沼 田 光 弘 君
議事係長 英 俊 彦 君
記録係長 谷 川 輝 雄 君
委員会一係長 田 中 博 之 君
委員会二係長 土 屋 逞 君
書 記 谷 葛 磨 君
書 記 佐 藤 比登利 君
書 記 長 瀬 宏 君
書 記 木 内 二 朗 君
書 記 吉 田 雅 博 君
書 記 高 佐 三緒子 君
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○議長(
吉野晃司君) ただいまから,休会前に引き続き会議を開きます。
出席議員数は,64人であります。
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○議長(
吉野晃司君) 本日の
会議録署名議員として高橋忠明君,関口英一君を指名します。
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○議長(
吉野晃司君) ここで,
事務局長に諸般の報告をさせます。
◎
事務局長(鍛冶沢徹君) 報告いたします。
田畑光雄議員,
柴田薫心議員及び
大越誠幸議員は,所用のため遅参する旨,それぞれ届け出がございました。
本日の議事日程及び
質問順序表はお手元に配付いたしております。以上でございます。
――
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○議長(
吉野晃司君) これより議事に入ります。
日程第1,議案第1号から第15号まで及び議案第21号から第25号までの20件を一括議題といたします。
ただいまから代表質問に入ります。
通告がありますので,順次発言を許します。
山田信市郎君。
(
山田信市郎君登壇・拍手)
◆
山田信市郎君 私は,ただいまから,
自由民主党議員会を代表いたしまして,当面する市政の諸問題につきまして順次質問をいたします。
まず最初に,財政問題についてお伺いいたします。
財政問題の第1は,昭和62年度決算についてであります。
昭和62年度の
予算編成時における国及び地方の財政状況を振り返ってみますと,62年度の国の予算は,昭和65年で
赤字国債脱却のため,
財政再建路線堅持を主眼に据え,5年連続して一般歳出を前年度以下に抑制するという方針のもとに編成され,
一般会計予算総額は54兆1,010億円と,前年度当初の額54兆886億円と比較し,伸び率ゼロパーセントの超
緊縮型予算でありました。
また,国と地方との
財政負担をめぐっては,国の
財政再建路線の堅持という厳しい国家財政の事情と,
経済対策としての
内需拡大のための
公共事業の増大要請との二つの課題に対応するためのやむを得ざる
緊急避難措置とはいえ,60,61年度に引き続き
国庫補助負担率の再引き下げの措置がとられ,地方全体で1兆5,000億円の影響が出たのであります。
一方,これを受けた62年度の
地方財政計画を見ますと,
内需拡大の見地から,
国庫補助負担率の引き下げによる事業費の拡大や
投資的経費にかかる
地方単独事業費について,対前年度5%の伸びを確保することとした結果,歳出規模は54兆3,800億円に対し,前年度2.9%の増となったわけですが,歳入につきましては,景気の動向を反映して停滞が予想され,通常の収支で8,800億円の
財源不足を生じ,さらに,先ほど述べました
補助負担率引き下げによる影響分1兆5,000億円が加わって,総額2兆3,800億円の大幅な不足が見込まれたのであります。
幸いにして,この
財源不足につきましては,
たばこ消費税の特例税率の継続や
地方交付税の特例措置,
建設地方債の増発などにより手当てがなされたわけであります。
このような国・地方を通じてのきわめて厳しい財政環境の中にありまして編成されました本市の昭和62年度予算は,ご承知のとおり,当初骨格予算として編成され,改選後の6月に肉づけ予算として追加がなされ,本来的な全体予算となったわけであります。
国の予算が前年度と横ばい,
地方財政計画も対前年度比2.9%の増に対し,本市予算は前年度比4.2%増と見込み,なすべき事業を積極的に推進すべく,
財政調整基金などを115億円取り崩して有効活用を図ることとしたのであります。
さらに,8月には,国の
緊急経済対策関連大型補正を初め,数度の追加補正により,市民生活に密着した
公共事業等の増額実施による景気対策にも積極的に取り組んできたものと理解し,高く評価するものであります。
以上のような状況下で執行されてきた62年度の決算につきまして,まずご質問いたします。
昭和62年度における
国庫補助率の引き下げなどに対する
地方財政補てん策にかかわる本市の影響額は約185億円となっており,当面の措置がなされているものの,そのうち将来返還義務を負うものが77億円余りあり,今後の
財政運営も決して平たんな道とは思えないのでありますが,市長はこの昭和62年度決算をどのように評価しておられるのかお伺いいたします。次に,収入の大宗をなす市税及び
地方交付税の昭和63年度の見通しと,今後の
財政運営についてであります。
昭和62年度の
市税決算額は,前年度決算額に対し9.7%増の2,018億円となり,当初
予算計上額から103億円,補正後
予算計上額からは83億円の増収となったところであります。
市税伸び率は,59年度に5.2%,過去最低の伸び率となって以来,昭和60年度には7.6%,昭和61年度には8.3%,そして昭和62年度には9.7%と,徐々ではありますが回復の傾向か見受けられるところでありまして,自主財源の充実・強化の観点から,喜ばしいことと考えているものであります。
また,国税収入に目を転じてみますと,大蔵省の昭和62年度
一般会計の決算概要によりますと,税収で前年度決算額に対し11.7%増の46兆8,000億円となり,当初
予算計上額から5兆6,000億円,補正後予算額からは3兆7,000億円という過去最大の増収となったところであります。これは,景気の急激な回復や
財テクブームなどに支えられた法人税収が大きく伸びたほか,
有価証券取引税も株式市場の活況で増収となり,相続税,所得税などもそれぞれ増収となったことによるものでありますが,
国税収入全般にわたって見る限りにおきましては,景気は確実に回復し,
拡大基調にあると見受けられるところであります。
一方,昭和63年度について見ますと,政府は
予算編成の前提となった昭和63年度の
経済見通しと
経済運営の
基本的態度の中で,原油価格の安定,物価の落ちつき,低水準の金利等を背景として,
わが国経済は回復から拡大局面へ移行するとの基本認識のもとに,内需を中心とした景気の
持続的拡大を図るとともに,雇用の安定及び地域経済の活性化を図ることとしているのであります。
また,北海道における最近の
経済動向について見ますと,
民間調査機関等の発表によれば,
公共投資拡大の波及効果が浸透する中で,
個人消費が好調を持続し,
民間設備投資も順調に推移するなど,道内景気は緩やかに拡大している状況にあります。
このように,税を取り巻く経済環境は依然として好調を保っていると考えられます中で,昭和63年度の
市税予算額は,今議会で提案されております43億1,100万円の増額補正を含め,2,128億1,100万円が計上されております。この
予算計上額は,昭和62年度の決算額2,018億円に対しまして5.5%の伸び率にとどまる計上額になるのであります。
一方,
地方交付税について見ますと,本市の昭和62年度の
普通交付税が770億円であったのに対し,昭和63年度は720億円と決定され,前年に比べて50億円もの減額であり,また,昭和63年度の当初見積額793億円に比べ73億円の減額となっております。前年度に対する
普通交付税の減額は,昭和58年度の38億円,昭和59年度の30億円という例はあったものの,本年度の50億円はそれらを上回る額となっており,今後の
財政運営に危惧を感ずるものであります。
もちろん,
地方交付税制度が財政力に応じて
地方公共団体等の財源調整を行い,必要な一般財源を保障することを目的として運営されていることを考えますと,本市の市税収入が好調に推移し,交付税に頼らず,自賄いできる割合が高くなっていくことは望ましいことであると考えますが,現実の問題として,本市の市税の
増収見込みと
地方交付税の減収が見合うかどうか,これが今後の
財政運営の大きなポイントになるのではないかと考えるものであります。
そこで市長にお伺いいたしますが,昭和63年度の
市税見通しはどうなっているのか。最近の
経済動向から見ても,相当の増収が見込まれるものと考えられますが,現時点におきます見通しについてお示しをいただきたいのであります。
さらに,
地方交付税の減収を考え合わせたとき,今後の
財政運営についてどのような認識をされているのかお伺いいたします。
次に,
地下空間の利用による
歩行者ネットワークプランの策定についてお伺いいたします。
近年におけるわが国の
社会経済情勢は,国際化,情報化及び技術革新の進展など,大きく変貌しつつあります。このため,大都市の中心部におきましては,より大規模な施設ヘ高度に発展し得る土地利用へと変化を示しており,これに伴って
中枢管理機能や
商業業務機能の集積,人口の集中などによる環境の悪化,地価の高騰を招くなど,社会問題となっております。
このような状況の中で,都心部の適正な土地の合理的かつ健全な高度利用を図るためには,私は,都市の機能や環境を改善し,その維持・向上を目指すべきであり,そのためには,地下をも含めた
都市空間の立体化による調和のとれた新しい
都市空間の形成を図っていくことが必要であると考えるのであります。
このことにつきましては,現在の
社会経済情勢からの変化に対応した国の施策としても取り上げられており,
臨時行政改革推進審議会の
土地対策検討委員会,いわゆる土地臨調の答申を受け,
地価高騰等を背景とした
都市問題解決の一方策として,地下の計画的な利用を図るため,地下の利用調整のルール化,
地下利用計画の策定等を,本年6月28日,「
総合土地対策要綱」として閣議決定をいたしましたことはご承知のとおりであります。
また,国においてはこれを受け,地下鉄等における大深度の
地下利用及び
地下都市ネットワーク等について,法制化も含め検討中とのことであります。
一方,この地下の
計画的利用について海外の事例を見てみますと,カナダの
モントリオール市では,地下の
歩行者ネットワークづくりを早くから取り組んでおり,これを
地域活性化や再開発のインパクトとして位置づけ,地下鉄の駅と民間ビルや文化施設との接続,
開発予定地への延長を指導しております。
同市では,道路下の通路は,安い占用料で許可するかわりに,建設費及び管理費は民間が負担することとしており,さらに,
ネットワーク計画に沿って民間開発を行う場合,市は,ビルの地下部分に公開の通路を確保させ,一般市民に開放することを条件づけるかわりに,ビルの容積率を割り増しするなど,官・民の協力体制がスムーズに行われているとのことであります。
また,トロント市の
地下ネットワークは,主に民地間を地下通路で結ぶものでありますが,
モントリオール市と同様,通路,広場は市民に開放されており,
運営管理についても民間側が行っております。同市の
イートンセンターは,地下鉄の駅等と商業施設とを
ネットワークで接続させることによる快適な
歩行者空間の実現とあわせ,商業施設の活性化に官・民の協力により大成功をおさめた一例とし,世界的にも有名であります。
現在,本市における地下の
空間利用といたしましては,昭和33年,札幌駅南口広場の下に,
ステーションデパートの建設に合わせて
公共地下歩道が整備されて以来,地下街としては札幌駅名店街,エスタ二番街,
オーロラタウン及び
ポールタウンに
公共地下歩道が整備されており,さらに,
地下鉄各線のコンコースも含め,広く市民に利用されております。
しかしながら,本市における地下の
歩行者空間につきましては,
地下鉄建設等に伴って整備が行われてきたため,
ネットワーク形成が図られておらず,北国の
歩行者空間としては,必ずしも十分とは申せないのであります。
いま,本市で鉄道の高架事業や
地下鉄東豊線の建設工事が進められており,これらはいずれも,間もなく開業する予定となっておりますが,このことは本市の
都市構造に大きな変化をもたらすものであり,特にJR札幌駅,大通,薄野の周辺を拠点とするエリアに発生・集中する歩行者の交通量はさらに増加するものと考えるのであります。したがいまして,私は,このような
都市構造の変革と
都心機能の拡充に伴って都心に集中する
歩行者交通の増大に対応するために,歩行者と
自動車交通の分離による
自動車交通の円滑化と歩行者の安全性の確保を図ることが必要であり,本市が目指す北方圈の拠点都市としての魅力ある
まちづくりを進めるためにも,都心地域に天候に左右されない,快適な
歩行者空間の
ネットワーク形成を図ることが必要であると思うのであります。
このことから,私は,たとえば
公共地下歩道として市民の要望が特に強い
札幌駅前通の北3条から大通間,及び西2丁目線の北3条から再開発が予定されている北1西1街区に至る北1条間を連結することは,
都心機能の
維持増進上,並びに魅力ある都心空間の創出上,ぜひとも必要なことであり,これらの整備は今後の大きな課題であると思うのであります。
そこで,お伺いいたしたいのでありますが,私は,今後
都心機能の拡充及び再開発の促進など,都心部の活性化並びに
歩行者交通の円滑化,さらには地下鉄の利用増進を図るため,いまのうちから都心部の限られた
地下空間の
計画的利用として,地下による歩行者の
ネットワークプランを策定し,来たる21世紀に備えるべきと思うのでありますが,市長のご所見をお伺いいたします。
次に,本市産業の活性化,特に工業部門の活性化についてお伺いいたします。
ご承知のとおり,わが国の景気動向は,
個人消費及び
住宅関連投資の活発化,さらには
大型補正予算による
公共投資の大幅な伸張により,回復から拡大へと進んでおります。このような情勢にあって,本市の景気状態も,物価の安定,
個人消費の堅調な伸び,活発な
公共投資による
住宅建設等の伸びを反映し,全国,全道同様,
拡大基調にあるものと思われます。
このように,
景気上昇傾向の中にあっても,本市の今後の産業動向を考えますとき,第3次産業に特化した本市の
産業構造を考慮しないわけにはいきません。申し上げるまでもなく,本市の
産業構造は,第3次産業,とりわけ卸・小売業,不動産業,
サービス業等に特化しており,第3次産業の全産業に占める比率も事業所数で見ると80%を超え,第2次産業の20%弱を大きく上回っており,必ずしも均衡のとれた
産業構造とは申し上げられない状況にありますが,特に,
製造業部門は,他都市に比べまことに低い水準にあるものと考えます。
先般,策定されました第3次札幌市
長期総合計画におきましても,この点を考慮され,市長が日ごろおっしゃっておられる足腰の強い
産業づくりを念頭に置いた,積極的な
産業振興計画が盛り込まれております。若干引用させていただきますと,「札幌市が有する特性を生かして,国際化,情報化,技術革新などの潮流に積極的に対応し,
サービス業を初めとする
都市型産業を振興していく必要がある。」と基本姿勢が述べられており,施策内容として,
研究開発型企業の育成,広域的な産業展開,
技術交流等による中小企業の高度化などであります。
私は,札幌市の工業が今日の進展を見たのは,工場等の適正配置をスローガンに,昭和30年代の後半から進められてきました工業団地の造成・分譲にあると考えております。もちろん,工場などの適正配置は,都市化の進展が著しい本市にあって,住工混在を解消し,市長が日ごろから唱えておられます市民生活の快適性を大いに高められたことは,私も全く同感であります。と同時に,工業団地の造成は,企業の協業化,共同化を促進し,経営基盤の強化をもたらすとともに,工場の近代化,合理化を進め,企業の活性化に大きな役割を果たしてきたものと考えております。
近年,エレクトロニクスを中心とする先端技術,技術改革,情報化の進展に伴う新たな
都市型産業が注目され,高い成長性が見込まれておりますが,本市もこれにいち早く着目し,研究開発団地として札幌テクノパークを開いたところであります。
本市の産業の長期的な発展を考えるとき,これら先端産業の立地を強力に進めるとともに,既存の地場産業の振興を図っていく必要があると痛感いたしております。
以上を踏まえまして,本市の産業・経済,とりわけ工業の活性化について,私から次の3点についてご質問いたします。
第1点目は,いままで申し上げてきましたように,先端産業の育成,集積を図るとともに,地場企業の近代化,合理化のため,工業団地の分譲を行うなど多面的な工業振興を展開してきておりますが,今後先端産業が集積することにより,それを支える関連企業の立地が促進され,それによって地元製造業への波及効果も期待できるものと考えております。したがって,これら企業の技術の高度化を図り,事業規模を拡大するなど,本市第2次産業の体質強化と近代化への対応が強く求められております。
以上のことから,工場施設を近代化し,より高度の技術への素早い対応を行うためには,何と申しましても,工場用地の確保と,それへの立地促進であると考えられ,現在分譲しております工業団地が残りわずか3ヘクタールと聞いておりますが,今後,この用地確保についてどのように対処されようとお考えなのか,ご所見をお伺いいたします。
第2点目は,第1点目に関連して,工業団地開発の具体的候補地についてであります。
市長もご存じのことと思いますが,東区東雁来地区の札幌新道と国道275号線,さらに豊平川左岸に囲まれた約60ヘクタールの用地が,いまだ市街化調整区域のままで残っております。当該地域は,交通アクセスにもきわめて恵まれ,また,まとまり地としても,比較的規模の大きい用地であり,さらに第3次
長期総合計画におきましても,工業系の土地利用を図ることとなっております。このように開発条件の整った地区を本市都市型工業と流通系を含めた立地促進の場として,私は積極的に開発すべきと考えますが,どのようにお考えなのかお伺いいたします。
第3点目には,いままで述べてまいりました工業振興のためには,企業の立地と活発な経済活動が重要なことであり,そのためには工場の合理化,近代化,規模の拡大等が図られなければならず,これらの今後の対策については,従来どおり,積極的に対応してもらいたいと考えておりますが,それと同時に,企業の誘致を図り,地元企業と相まった工業振興策も必要と考えるものであります。そこで,今後の立地促進のため,企業誘致についでどのようにお考えなのか,ご所見をお伺いいたしたいのであります。
次に,国民健康保険についてお伺いいたします。
本市の国民健康保険事業は,昭和34年に事業を開始して以来,医療保険の中核として,市民生活の安定に重要な役割を果たしてきており,四半世紀を超える国民の健康を守る歴史を刻んできております。この間,保険給付割合の引き上げなど国に先駆けて実施するとともに,本市独自の施策として,あんま・はり・きゅう等の費用に対する助成,精神衛生法,結核予防法適用の医療給付の10割給付,低所得者に対する保険料の軽減・減免措置など,あらゆる角度から制度充実のための改善努力を図ってきているところであります。にもかかわりませず,地域保険とし,わが国の国民皆保険制度を支える国民健康保険は,各保険者の懸命の努力にもかかわらず,常に運営上の危機にさらされていると言っても過言ではありません。
その理由は,制度的には高齢者や低所得者を多く抱えざるを得ないために,財政基盤がきわめて脆弱であり,加えて,医療体制を取り巻く社会経済の激変と,高齢化社会の到来にあると私は思うのであります。
62年1月老人保健法の改正は,被用者保険との財政調整機能を強化し,制度間の負担の公平を図るとともに,国保財政の安定化に寄与する待望の措置であったところですが,法改正後も依然として,国保制度は不安定な構造的問題を抱え,厳しい
財政運営を余儀なくされているのであります。
また,国保の医療費は,老人医療費を中心に引き続き増加の傾向をたどっており,それに見合った保険料の引き上げもきわめて厳しい状況になってきております。本市の昭和62年度における国保の医療費について見ますと,総医療費は1,026億円とついに1,000億円を超え,前年度比11.8%の増加となっております。1人当たり医療費は約27万5,000円で,前年度比9.6%の増加となっており,1人当たり医療費は,依然として政令市の中では最も高い額になっているところであります。
次に,本市の調査資料によると,8ヵ月間入院し死亡した人の例を見ますと,実に,2,326万円が保険から支払われており,1ヵ月にすると約300万円になるのであります。現在,末期治療のあり方について,専門家の間で論議されているようでありますが,どんな治療が行われているのか,いわゆる過剰診療と言われている治療の事実はないのか,いま一つ割り切れないものが残るのであります。
また,1ヵ月当たり100万円以上の治療費を要している者は,総件数18万8,000件の約40分の1の5,000件となっており,この割合は年々増加しております。この1ヵ月当たりの最も医療費が高い事例としては,899万円の医療費が使われているのでありますが,この医療費の額は,国保加入者の約2,100人分の保険料に相当するものとなっているのであります。
沖縄の医療費は全国で最も低いにもかかわらず,一番長寿の県でもあり,高医療費が必ずしも長寿と結びつかない一例と言えるのでありますが,真に効果的な医療のあり方について,真剣に考えなければならない時期にあるのではないかと思うのであります。
一方,本市の医療費適正化のため,主な対応といたしまして,昭和60年5月,医師会等の協力のもとにレセプトセンターを開設し,レセプトの抽出点検を行い,効果を上げているところであり,また,医療費通知の実施や,62年8月からは,多受診者や高額な医療費を要している被保険者に対して,適正な保健指導を実施するため,保健婦による実態調査を行っているところであります。その他,被保険者への国保事業について意識の高揚を図るため,新聞,ラジオ,テレビによる報道,広報さっぽろ,各種の小冊子・パンフレット,ポスター等によるPRを行っており,保険者の努力がうかがわれるところであります。
特に,今年8月に作成したポスターは,ずばり国保の現状を訴えた,「コクホは困っています。」というものでありますが,従来と変わったこのポスターは,広くマスコミ等でも取り上げられたところでありますが,私は,国保の現況を率直に訴えたものとして評価しているところであります。今後とも,国保の実情を理解していただくためのPRに力を注いでいただきたいと思うのであります。
しかしながら,私は,何といっても,長期的に考えた場合は,被保険者の保健指導などの保健事業の充実強化が最も重要な施策であると思うのであります。
さて,このような保険者の懸命な努力にもかかわらず,医療費が著しく高い保険者に対し,国民健康保険事業の安定化事業の作成を義務づける厚生大臣指定が4月30日付で行われ,不本意ながら,本市もその指定を受けたところであります。道内では,全国146市町村の約6割に当たる86市町村がその対象となっており,高額医療費が増高し,国保財政の維持に四苦八苦する本道にとりましては,きわめて深刻な実態となっております。
厚生省では61年度の国保財政の実績をもとに,1人当たりの基準医療費と比べる地域差指数を算出し,全国平均の1.17倍を超えた自治体を高医療費市町村に指定したものであります。今回指定された自治体は,みずからの国保事業の問題点や,高額医療の要因分析などを盛り込んだ計画を作成し,今後,地方負担を含めた自助努力を強いられることになるわけであります。
したがって,本市としては,中長期展望に立った安定化計画を作成し,レセプトの点検強化,国保料の徴収強化,長期入院老人の家庭復帰促進など,厚生省の指針に沿った具体策を実施することになるのであります。それでもなお,高医療費が是正されない場合は,全国平均の1.20倍を超えた分の医療費について,65年度から半分を保険料で賄い,残りの半分を国,都道府県,市町村3分の1ずつ負担する仕組みになっているのであります。
国保は高齢者と低所得者層を多く抱えているため,構造的に赤字体質を持っており,今回の指定で,各市町村は高医療費の要因の徹底分析と,医療費の適正化をさらに迫られることになるのでありますが,その実施については,老人を半強制的に病院から退院させるようなことのないよう,十分配慮した実施計画を作成するよう要望しておきたいのであります。
そこで,安定化計画に関連し,次の4点についてお伺いいたします。
第1点は,安定化計画はいつまで作成し,内容はどのようなものになるのか,その概要についてお聞かせ願いたいのであります。
第2点目は,計画の内容は恐らく保健,医療,福祉全般にわたることになると思われますが,その実施体制をどのように考えておられるのか,お伺いいたします。
第3点目は,安定化計画に基づく諸施策を実施した場合,医療費適正化にどの程度の実効が上がると考えておられるのか,お伺いいたします。
最後に,もし安定化計画を実施しても,なお医療費の抑制ができなかった場合の本市の負担すべき影響額はどのくらいになるのかお示し願いたいのであります。
次に,農業に関する問題についてお伺いいたします。
ご存じのように,国際的には農畜産物の輸入自由化攻勢により,牛肉・オレンジを初めとする12品目について,自由化スケジュールがおおむね決定され,現在,これに対する国内対策が論議されているところであります。本市農業にとって,直接影響を受ける品目はほとんどないとはいえ,間接的には,相当なものがあろうかと推察をいたしております。全国的にも,一村一品運動を初めとして,村おこし運動などによる農村地域の活性化の努力が官・民一体となってなされております。
そこで,本市における農業振興についても,従来からの路線を充実するとともに,新たな視点に立ち,農業地域の活性化が見込まれる方策を考えていくことが大切ではないかと思料するものであります。札幌市の農業も依然として,生産額100億円台を維持して健闘されていることに敬意を表するものでありますが,農家戸数・農地面積などの減少,後継者のいない農家の増大など,都市化の進展上,やむを得ない状況にありますが,農業経営の厳しい現況もまた事実であることを思うのであります。
市長は,昭和63年度を初年度とする第3次
長期総合計画を発表されました。この中で,農業につきましては,一つには,都市環境緑地の保全活用という立場から,市街化調整区域の農業振興に積極的に努め,農地保全を図り,また一つには,産業振興という立場から,都市農業として,より一層の効率的な生産システムの確立,バイオテクノロジー等の研究開発機能の強化,農業基盤整備の充実,さらに農業公園の整備を行い,加えて,北の都札幌にふさわしい花卉の振興,札幌産農畜産物のブランドの強化などをうたっておられます。
また,これに引き続き,部門別施策として5年計画を打ち出されました。その中でも,同じく生産基盤の強化,農業機械の共同利用の推進などによる経営の合理化,そして,都市型農業振興の拠点とし,農業技術の研究開発・指導等の複合機能を持った農業公園の建設調査,加えて,札幌ブランドの育成,バイオテクノロジーなど先端技術の導入などをうたわれております。
札幌市の農業は,都市化による農地の宅地転用が今後とも進行するものと存じます。農地の集積が難しく,都市と農業の調和は決してやさしいことではないではありましょうが,農業生産者の皆さんとともにこの試練の時期を乗り越え,さらにまた,21世紀へ向けて躍進する産業へと再生を図るため,新たな挑戦をしていただきたいのであります。
それで,私は,札幌市
長期総合計画及び5年計画の中から,重大なる関心を持っている幾つかの事項について,若干の提言を含めながら,市長にお尋ねをいたしたいと存じます。
第1点は,第3次
長期総合計画にあわせ,今後,本市農業の進むべき方向を明らかにするため,現在,農業基本計画の策定に取りかかられているということでございますので,ここで,まず本市農業の振興をどのように考えておられるのか,その基本的な方向についてお伺いいたしたいと存じます。
第2点目は,農業公園についてであります。農業公園は,今後の本市農業について,21世紀を見据えた新たな視点に立った農業振興の拠点施設を考えられているということでございますが,私はまさに時宜を得た施策であり,大きな期待を寄せているところでございます。今後策定される農業公園構想においては,名実ともに農家から頼りにされながら,十分活用される施設であり,さらにこれからますます増大する市民の余暇活用などや,レクリエーション等の場としても対応できるような施設であってほしいと考えるものであります。
そこで,農業公園の適地として最もふさわしいのは,まず農地が集積する市街化調整区域であります。中でも,市内で農地の集積が最も高く,かつまた,研究熱心で意欲のある農家の集落形成が見られる丘珠地区に,ぜひとも設置していただきたいと考えるものでありますが,農業公園のおおむねの構想を含め,市長のお考えをお示し願います。
第3点目に,ブランド農産品の育成についてでありますが,私は,先般新聞紙上で,最近農業センターから「サトホロ」という品種のジャンボイチゴが,15年間の歳月をかけて,組織培養の手法により育種を試みられ,この3月,農林水産省へ品種登録出願を申請し,このたび,8月18目付で見事,登録認可されたことを聞き及びました。これを農家の生産体制に乗せて札幌中央卸売市場に出荷した結果,非常に好評を博し,高値で取引きされたことを知りました。これまで温められてこられた市長の地道な努力について,認識を新たにした者の一人でございます。
札幌市には,近代的な農産物として100年の歴史を持つ「丘珠の玉ネギ」,近年雨よけ化が進み,本州市場へも空輸されている「さっぽろグリーンネギ」の銘柄である葉ねぎ,豊平東部のホウレンソウの「ポーラスター」,さらに,市民にも人気の高い手稲産「大浜みやこカボチャ」,気候・風土を生かし,品質絶品の折り紙つきの「札幌の花」としてのカスミソウを初めとする切り花など,札幌ブランドとしての特産品も幾つかありますが,サトホロのような手法によって,今後新しい特産品をどんどんつくり出し,育成していただきたいと思うのであります。
そこで,お尋ねいたしますが,このようなブランド産品育成のため,バイオテクノロジーなどの先端技術への積極的な取り組みのための研究施設の増強,及びその生産体制と販売ルートの確立について,これからどんな取り組みをしていこうとしているのか,お伺いいたします。
次に,雪さっぽろ21計画についてお伺いいたします。
21世紀に向けた個性的で活力に満ちた札幌を創造するため,昭和80年を目標年次とする第3次
長期総合計画が今年の3月に策定され,その具体的な事業施策の展開を図る新5年計画が本年度からスタートをいたしたところであります。多雪寒冷の気候風土にあって,160万人の人口を擁し,わが国の北の中枢都市として,また北方圈交流の拠点としての経験と実績を背景に,恵まれた緑豊かな自然環境を生かしつつ,市民とともに国際都市さっぽろとしての飛躍を目指す板垣市長の意気込みがこの
長期総合計画から拝察され,市政に携わる議員の一人として,私も意を強くする次第であります。
さて,その
長期総合計画に当たって,基本的課題を実現する方策として,三つの柱から成るさっぽろ21世紀プログラムが組み込まれており,雪さっぽろ21計画が主要プロジェクトとして位置づけられているところであります。言うまでもなく,雪は札幌を特徴づける代表の一つであり,札幌の発展は,雪と闘い,雪を克服することによってなし遂げられてきたと言っても過言ではありません。機械除排雪の拡充により,冬期交通機能の確保が図られ,冬の都市活動が保障される今日にあっても,なお,除雪に対する要望が10年間も市政世論調査の1位であるという現実は,冬においても快適性を志向する市民ニーズのあらわれであると私は考えるのであります。
このように,高度化・多様化する市民ニーズに対応するため,新しい雪対策としての雪さっぽろ21計画の策定が待たれるところであり,一日も早く事業の推進が望まれるところであります。そこで私は,現在策定作業が進められている雪さっぽろ21計画について,2点ほど質問をいたしたいと思います。
第1点目は,社会資本として後世に残る雪対策施設の整備方針についてであります。
従来より,市長は,この雪対策施設の整備については,実現可能なものから逐次導入を図る旨のご答弁をされており,すでに,藻岩下流雪溝については,昭和62年から事業を着手し,今冬の供用が開始されると伺っております。本市で初めての住民参加型の除排雪施設であり,藻岩下地区住民の対応が注目されるところであります。そこで,私は,このような雪対策施設を積雪寒冷地である本市の基本的な都市基盤施設として位置づけるとともに,その整備を重点的に図る必要があると考えますが,市長のご所見をお伺いいたします。
質問の第2点は,雪さっぽろ21計画の実施に伴う財源確保についてであります。
雪対策施設の恩恵を受けられない地域については,施設整備が一定程度の進捗を見た段階には,行政の公平性の観点からも,施設整備地区と同程度の行政サービスを享受することが必要と思料されるため,これらに要する事業費の増加と施設整備にかかわる事業費の確保は,本計画の根幹にかかわる問題と思われます。高度成長経済が展望できない今日において,道路除排雪経費にかかわる財源措置の拡充について,国の助成を仰ぐほか,市,民,企業,行政が応分の負担するなど,雪に強い
まちづくりに向かっての創意工夫が必要と考えますが,市長のご所見をお伺いいたします。
次に,私は,鉄道高架事業や
地下鉄東豊線等の開通・完成を契機とし,東区内における街づくりについてお尋ねいたします。
本市におきましては,かねてより将来展望に立った計画的な街づくりを推進してきており,その骨格となる都市交通網の整備につきましても,積極的な取り組みを行い,鉄道高架事業につきましては,本年11月3日に第1次開通の運びとなり,
地下鉄東豊線についても,栄町・すすきの間が本年12月に開業の予定となっており,さらに,あかずの踏切といわれた苗穂踏切の単独立体交差化につきましても,10月に完成,開通が迫っております。
このように,長年の東区はもとより,本市の懸案事業であった3大プロジェクトが年内に一挙に完成し開通することは,本市にとっても画期的なことであり,まことに喜ばしいことであります。これらの大プロジェクトを鋭意推進してこられた市長の先見性に心から敬意を表するものであります。
特に地下鉄につきましては,いままで7区の中で,東区だけが取り残されておりましたが,東豊線の開通により,これでやっと仲間入りできると感じているところであります。このことによって,東区もいよいよ新時代を迎えたと言っても過言ではないのであります。
ご承知のとおり,東区におきましては,JR線によって南北交通並びに市街地形成が分断され,どちらかといえば閑静な住宅街として発展してきたところでありますが,裏を返せば,都心へのアクセスの問題,未利用地の問題,商店街の活性化の問題が山積していることでもあり,これらのプロジェクトによって,東区の活性化に拍車がかかるものと大いに期待しているところであります。私は,これら大プロジェクトの完成・開通によって,将来に向けた新しい街づくりを推進する上で,またとない絶好の機会が到来したものと受けとめているところであります。しかしながら,私は,これらの大プロジェクトの成果を最大限に東区の発展に結びつけていくためには,まだ留意すべきことがあると思うのであります。
最初に私が申し上げたいのは,今後予想されます地下鉄沿線などの開発についてであります。
沿線の鉄東地区のほか,北光地区などにつきましても,光星地区の住宅地区改造事業が完成されているとはいえ,いまだ木造老朽家屋が密集した地域であり,これまで,地権者等により散発的に中高層マンションなどに建てかえが行われてきており,大型都市計画事業の施行によって,それがさらに活発化してくることは想像にかたくないものと考えられます。しかし,このまま放置してまいりますと,狭小宅地,木造低層建物との日照,環境権問題,その他近隣関係においても弊害が発生する懸念があります。
また,街づくりには,街並みの整備のほかに,地域の活性化の問題があります。
地下鉄の開通,高架事業の完成などによって,都心との時間的・心理的な距離が大幅に短縮されることが,かえって都心部へ購買力が流出する可能性を高めるという問題を見逃すわけにはまいりません。購買力の流出が起これば,地域の商店街は大変な打撃をこうむることになります。商店街はそれぞれの地域の顔であり核でありますので,せっかくの大規模な都市事業によって,逆に地域が沈滞するようなことがあってはいけないのであります。そのために,いまこそ地域の商店街を,市民に愛される魅力のあるものとしなければならないのであります。
そこで私は,このような観点から3点について質問をいたします。
まず第1に,私は,今後開発が予想される地域に対しては,本市が既成市街地における再開発のマスタープランとして策定した都市再開発方針に基づき,積極的かつ秩序ある市街地の整備を誘導し,住環境の整備改善に努める必要があると考えるところであります。しかしながら,東区内においては,この再開発方針という1号市街地,すなわち,計画的に再開発が必要な市街地として位置づけられているのは札幌駅の東側周辺地区のみであり,これでは市が主体となった街づくり推進にそごを来たすことになりかねないと懸念されるのであります。このため,私は,早急に再開発方針を見直し,これら地域を含む線路北側の地域についても,再開発の目標と街づくりの方針を打ち出すことが大切ではないかと考えるのでありますが,市長のご所見をお伺いいたします。
第2に,商店街の活性化についてお尋ねいたします。
私は,これまで述べてきた東区の大型プロジェクトの効果を,商店街の活性化を促すものとなるように誘導することが,東区の街づくりを進めていくのに欠くことのできない重要な課題であると考えるのであります。特に,街に活気があるかどうかは,その街の商店街を見ればわかるというように,街づくりの中心を占めるのは商店街であります。そこで,購買力の都心部への流出を避け,地元の住民が安心して利用できる,魅力のある,そして活気のある商店街をつくるためには,商業者の街づくりに対して,本市としても積極的に支援し,指導を徹底していく必要があると思うのでありますが,いかがでありましょうかお伺いいたします。
第3に,東区内に所在する丘珠空港のターミナルビルについてでありますが,高速大量輸送時代を迎えた今日,航空輸送はきわめて重要な交通手段として,私どもの生活に欠かせぬものとなってきておりますが,丘珠空港は,函館・稚内・中標津などの各地方空港と道内の航空交通
ネットワークを形成し,道民の足の確保に努めるとともに,地域の振興に寄与してきておりますことはご承知のとおりであります。
また,丘珠空港の利用状況を見ましても,乗降客数は年々増加してきており,昨年実績では,20万人余りの方々が丘珠を利用されております。そのように,丘珠空港はいわば本市の空の玄関とも言うべきものであり,また近い将来,本市消防局が空からの防災に備え,ヘリコプターの大いに活動する基地の侯補地でもあり,そのターミナルビルは,来客を出迎える本市の最初の顔とも言えますが,その顔が160万都市札幌のものとしては,いかにもみすぼらしいのであります。
このビルは,建設されてからも相当の年数を経過しているようでありますが,古いばかりでなく,スペース的にも余り余裕がないように見受けられます。特に近年,道内他空港のターミナルビルの改築も進んでいるようでありますので,利用者は,これらと比較すると一層丘珠空港ターミナルビルの整備水準の低さを感じているのであります。東豊線の開通により,丘珠空港の利用性は一層向上することとなり,今後,同空港の利用者がますます増加することは必至であります。
現在のターミナルビルの所有者は本市となっているわけでありますが,一般市民,送迎者あるいは見学者等からも,ターミナルビルの改築を望む声が叫ばれてきております。今日,そろそろ改築すべき時期が来ていると考えますが,市長のご所見はいかがでありましょうか,お伺いをいたしまして,私のすべての質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
吉野晃司君) 答弁を求めます。板垣市長。
◎市長(板垣武四君) まず,財政問題についてでございます。
ご質問の第1点目は,昭和62年度決算の評価についてでございますが,お話にもございましたように,昭和62年度におきましても,
国庫補助負担率の削減が引き続き行われ,さらには,公債費を初めとする義務的経費が年々増加の傾向にあることなどもあわせ考えますと,本市を取り巻く財政環境は,依然としてきわめて厳しいものがございました。
このような財政環境のもとで,可能な限りの財源確保に努めますとともに,経費の節減など執行上の努力を重ねることによりまして,一層の市民生活の安定向上や景気の浮揚等を図るよう,各種事業を積極的に推進いたしたところでございます。
また,懸念をいたしておりました補助金カットの影響額150億円につきましても,当面の
財政運営に支障を生じないよう措置をされたところでございまして,今後に残された問題はあるものの,結果として,基金の支消を20億円にとどめた上で,予算化した事業をほぼ完全に執行したことを考えますと,62年度決算は,まずは所期の目的を達成したものと満足いたしているところでございます。
質問の第2点目は,本年度の市税の見通しと今後の
財政運営についてでございますが,まず,昭和63年度の市税の見通しにつきましては,昨年度からの景気の堅調さなどに支えられ,現時点で予算額を60億円程度上回る見込みでございます。これは,特に市民税において,62年後半からの個人所得及び企業収益が予想以上の伸びとなったことから約45億円の増収が見込まれ,また,固定資産税その他の税目でも約15億円の増収が見込まれているものでございます。
次に,今後の
財政運営についてでございますが,市税収入の増加は,財政基盤の弱い本市にとりましては,大変喜ばしいことであると受けとめているところでございます。一方,
地方交付税は,地方団体間の財源調整を目的とすることから,市税を中心とする財政収入額の伸びが大きくなれば,その額が減少するということを考えるわけでございまして,63年度における本市の減収は,このような状況から生じたものでございます。
このように考えてまいりますと,市税収入の好調な伸びそのものは喜ばしいことではございますが,
地方交付税を含めて総体的に考えますと,必ずしも楽観できる状況ではなく,むしろ,最近における公債費の増高などを勘案いたしますと,依然として厳しい財政状態が続いていると,こう認識いたしているところでございます。今後とも財政の健全性を維持しながら,市民生活の一層の向上につながる行政を推進をしてまいる所存でございます。
次に,第2番目の
地下空間の利用による歩行者の
ネットワークプランの策定についてでございます。
地下の利用につきましては,国の方針といたしまして,昭和47年5月に発生をした大阪の千日前デパートビル火災を契機に,防災上などの理由から,地下の利用を厳しく抑制をされてきたところであります。しかしながら,昨今の
社会経済情勢の変化や土地臨調の答申もありまして,国においては,地下の計画的有効利用について,現在,都市計画中央審議会に諮問を行い,検討をいたしているところでございます。
したがいまして,国の情勢変化のこともあり,また,時代の要請として,幅広く地下の有効利用を検討するということは,過密な東京中心ばかりの問題ではなく,積雪寒冷な本市にとっても,将来に対応した
まちづくりを進める上で重要な課題であると考えております。しかし,地上の既存のものとのかかわり合いもまた重要でありますので,目下,
地下空間利用のあり方を検討をしております建設省の動向を見ながら,今後十分検討してまいりたい,このように考えております。
次に,本市産業の振興についてでございます。
第1点目の工業団地の開発についてでございますが,昭和62年当初から上昇基調をたどり,緩やかながら,現在なお拡大傾向にある景気動向を反映した企業の積極的な設備投資によりまして,本市の工業団地の分譲は順調に推移をいたしております。すなわち,鉄工・木工・食品等の都市型地場中小製造業の立地を対象としている工業団地は,ご指摘にもございましたが,現在残地はわずか3ヘクタールに減少し,このままでは,64年度中に完売となる見通しも出てまいりました。
また,研究開発型の先端産業の立地を対象としているテクノパークは,すでに62年度で全区画が完売となり,引き続き造成をしております第ニテクノパークも,本州系の企業を中心に活発な引き合いがございます。
このように,工業団地の需要はいまだ根強いものがあり,特に都市型工業にとりましては,施設の近代化・合理化・高度技術化への対応のためには,工場用地の確保が今後とも必要であると考えておりますので,新たな工業団地開発を進めてまいりたいと存じておりますし,先端型につきましては,真栄地区の用地取得に見通しがついておりますことから,こちらにつきましてもさらに開発を進めてまいりたい,このように考えております。
第2点目の開発候補地の選定でございますが,本市の土地利用計画に沿って,かねてから市内の各地域における候補地を選定をし,調査を行ってまいりましたが,ご質問にありました東区の東雁来地区につきましては,ご意見のように交通アクセスに恵まれておりますことから,流通系を取り込んだ軽工業団地等として開発をいたしたいと考えている地域の一つでございます。
第3点目の,立地促進のための企業誘致についてでございますが,昨年6月から東京事務所に企業誘致主幹を配置をするなど,体制の強化を図り,主として,テクノパーク,真栄工業団地の分譲対象企業に焦点を当てて誘致活動を展開をしてまいりました。工業振興のためには,本市の都市機能に適応した企業の立地が必要と考えますので,以後,今後開発いたします工業団地への誘致もあわせて,広い範囲での企業誘致を図ってまいる所存でございます。
次に,国民健康保険問題についてでございます。
第1点目の安定化計画の作成時期と概要についてでございますが,このたびの安定化計画は,医療費が著しく高額になっている市町村において作成が義務づけられたものであり,国・都道府県及び市町村がそれぞれ,計画の達成に必要な措置を講ずることによって,国保事業の運営の安定化及び地域住民の健康保持の増進に役立たせようというものでございます。今年度の場合,9月中に計画を策定をして,10月から実施することになっております。
また,その計画書の概要につきましては,まず第1番目に,医療費の適正化,2番目に保健施設事業の推進,3番目に保険料の適正な賦課徴収の充実強化,4番目に資格の適正化,5番目に広報活動の充実強化,及び6番目に実施体系の関係機関との連携協力,等を柱にしだ内容になるものと考えております。
第2点目は,実施体制についてでございますが,安定化計画の内容から考えまして,関係部局との連携が最も重要なものになってまいりますので,現在設置されております助役を長とする国民健康保険対策委員会を軸に,高齢化対策連絡協議会を含めた全庁的な体制で取り組み,さらには,全市的な組織である高齢者等サービス総合調整会議などの支援と協力をいただきながら取り組んでまいりたいと考えております。
第3点目は,医療費適正化の実効についてでございますが,このたびの安定化計画の内容が,これまでも本市で実施してきたものがほとんどでございまして,即効的なものはございませんが,内容の充実強化を図り,長期的な展望に立って粘り強く対応していくことが重要であると考えております。
最後に,医療費の抑制ができなかったとした場合の本市の負担すべき影響額についてでございますが,61年度の医療費ベースで試算いたしますと,平年度ベースで本市の負担すべき影響額は,保険料で6億円,
一般会計で2億円の8億円程度と見込まれます。
次に,農業問題についてお答えを申し上げます。
都市における農業は,市民への新鮮で良質な農畜産物の安定供給という役割のほか,市民生活環境の保全の上からも意義を持っているものであり,また都市計画上からも,きわめて重要な役割を担っているものでございます。農業に課せられたこれらの役割を踏まえて,ご質問にお答えをしたいと思います。
第1点の農業基本計画についてでありますが,今後,おおむね10年間の本市農業のあるべき姿を念頭に置いて,ただいま鋭意検討をしているところでございます。
その基本的な考え方といたしましては,まず,それぞれの地域の特性を生かした農畜産物の産地化を図り,効率的な生産システムの確立のために農業を支援していく,こういうことでございます。
次に,農畜産物につきましては,付加価値を高めて販売できるように,他産業との複合化についてさまざまな工夫をし,農家の所得形成力を高めてまいりたいと考えます。そしてさらに,農業にも先端技術,特にバイオテクノロジーなどを積極的に導入することによって,新しい農業素材の開発を実施してまいりたいと考えております。
第2点目の農業公園についてでありますが,現5年計画内にその建設についての調査をいたしたいと考えております。農業公園の機能といたしましては,農家に対する本市の指導部門の一元化,農業関連施設の集約化,農畜産物の加工の高度化,農業と市民とのふれ合いの場の創設,加えて,先端技術の導入による本市農業の活性化をねらいといたしております。
ご質問の建設の位置でありますが,今後の調査を進める中で最適地を選定していくべきものと考えておりますけれども,ご提言にありました丘珠地区は,候補地の一つとして検討してまいりたいと存じます。
第3点目の,ブランド産品の育成に関するバイオテクノロジーなどの研究施設につきましては,前段の農業公園構想の中で,ご提言の趣旨に沿って十分検討してまいりたいと存じます。
また,ブランド産品の販売ルートの確立につきましては,まず食品原料としての農産物には,従来どおり札幌市中央卸売市場での評価を高めるように努め,1次加工産品などにつきましては,それぞれにふさわしい販売ルートの開発を,農業団体との連携によって研究をしてまいりたいと考えております。
次に,雪さっぽろ21計画についてでございます。
まず第1点目の,雪対策施設の整備方針についてでございますが,雪対策施設は,私も,本市のような積雪寒冷地におきましては,根幹的な都市基盤整備の一つであると考えております。このため,ご質問にもございました藻岩下流雪溝やあるいは坂道におけるロードヒーティングの整備など,実現可能なものについては積極的に事業展開を図っているところでございます。
また,本年4月の雪対策推進研究会からの提言を受けまして,庁内に雪さっぽろ21計画策定委員会を設けておりまして,現在計画の策定に当たっておりますので,今後は,雪さっぽろ21計画に基づきまして,雪対策施設の整備を重点的に図ってまいる所存でございます。
第2点目の雪さっぽろ21計画の財源確保の問題でございますが,積寒事業費補助の拡充や
普通交付税の導入率のアップなど,道路除排雪にかかる財源の確保につきまして,常々国に対して働きかけをしておりますが,今日のような経済情勢におきましては,その拡大は大変厳しいものがあろうと存じます。雪さっぽろ21計画の実施に伴います除排雪経費の増高を考えますと,行政だけで対応することが困難になることも考えられますので,お話にもございました市民・企業・行政の負担のあり方などを,雪対策推進研究会にご検討をいただいているところでございます。効率的な除排雪体制の確立に努めることはもちろんでございますが,道路除排雪にかかる財源措置の拡充を今後とも国に求めるなどをいたしまして,所要財源の確保について努力をしてまいりたいと存じます。
最後に,鉄道高架事業や
地下鉄東豊線の開通・完成を契機とした東区の街づくりについてお答えを申し上げます。
まず第1点目の都市再開発方針の見直しについてでございますが,ご指摘のとおり,本年11月及び12月に鉄道高架事業及び
地下鉄東豊線がそれぞれ開通または開業を予定しておりますが,これにより,鉄道北側や地下鉄周辺での開発が活発化してくることは,従来の例からも十分考えられるところでございます。東区におきましては,住宅地区改良事業を適用した光星地区のように,すでに計画的に再整備し,高層化等を図った地区もございますが,今後,鉄道北側や地下鉄駅局辺では,建てかえ,高層化が急速に進むと考えられますので,65年度に予定しております再開発方針の見直しの中で十分検討を加えるつもりでございます。
次に,ご質問の第2点目の,商店街活性化対策についてでございますが,昨年度は,東区の商業を
地下鉄東豊線の開業等に伴う環境変化に対応させるための指針として,関係機関の協力を得て,「東区商業基本計画」を策定をいたしました。この基本計画に基づき,62年度は元町商店街,63年度は栄町中央商店街において,商店街整備計画策定事業を実施しておりますけれども,今後も必要に応じて,商店街診断,商店街ふれあい促進事業助成制度を実施するなど,住民に愛される,魅力あふれる商店街を目指した商業者の街づくり活動に対して,積極的に支援をしてまいる所存でございます。
3点目の丘珠空港ターミナルビルの改築についてでございますが,ご指摘のございましたように,丘珠空港の旅客輸送状況につきましては,これは年々増加の傾向にございまして,東亜国内航空が千歳に移転いたしました直後の昭和50年の輸送実績は約2万6,000でございましたが,それに対して,62年では7.9倍の20万4,000人と著しく増加をいたしております。こうした傾向は,昨今の航空需要の高まりを見ましても,今後ともさらに続いていくものと考えられます。
お話のありましたターミナルビルにつきましては,本市が昭和39年に建設をいたしました平家建ての建物でございますが,建設後24年を経過し,老朽化しておりますことと,道内の他の空港ターミナルビルが新しく立派なものができましたので,それらと比較をいたしますと,現在の利用実態からいたしまして,大変手狭で,設備などにおきましても見劣りをしているのは事実でございます。そのため,けさも商工会議所から正式な要請を受けたところでございますが,そのように,経済界や地域の方々から,改築を強く望む声が多々あるごとも承知をしているところでございます。
最近の空港ターミナルピルの全国的な建設状況を見ますと,かつて本市が丘珠のターミナルビルを建設した当時の背景とは異なって,その事業主体は,航空会社等の各ユーザーを初めとする民間企業と公的機関が協力をして行っている,いわゆる第三セクター方式がほとんどでございます。したがいまして,丘珠の改築につきましては,他の空港ターミナルビルの例なども参考に,今後,経済界を初め,関係機関とも十分協議をしながら検討してまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(
吉野晃司君) ここで,およそ30分間休憩いたします。
――
――――――――――――――――
休 憩 午後2時18分
再 開 午後2時50分
――
――――――――――――――――
○副議長(滝沢隆君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問の続行であります。南 二郎君。
(南 二郎君登壇・拍手)
◆南二郎君 ただいまから,私は,社会党議員会を代表いたしまして,第3回定例議会に提出をされております案件,そして,当面する諸課題について,順次ご質問をいたしたいと存じます。
最初に,財政問題についてお伺いいたします。
国の62年度
予算編成においては,いまさら申し上げるまでもなく,防衛費の対GNP1%粋が突破されるという一大暴挙が断行されたのであります。防衛費の対GNP1%の粋を厳守するという基本政策は,三木内閣以来,わが国が軍事大国にならないあかしとして内外に宣言されたものであって,この歯どめを撤廃することは,平和憲法の理念を大きく逸脱するものと言わなければなりません。
また,売上税を初め,マル優廃止,最高税率の引き上げの税制改悪を強行しようとしたことであります。さらには,財政再建のあかしとしている一般歳出伸び率ゼロ,その常套手段としてきた厚生年金国庫負担や住宅金融公庫利子補給金などの先送りが繰り返されております。
本市の場合でも,地下鉄事業の財政問題が挙げられます。すなわち,建設費補助金の繰り延べ措置であります。これまでは,建設の翌年度から交付されていた補助金が開業の翌年度以降に交付することによって,本市地下鉄事業の財政上に与える影響額は,61年度から63年度に限ってみても,325億円が64年度以降に繰り延べられ,内部保留資金の減少を助長し,資金不足の発生年度を早めるなど,経営上に大きな課題となっています。ことに,地方自治体との公約,覚書を再度無視し,国庫補助負担金カットは,何ら財政再建に寄与するものでなく,将来に先送りした分だけ利子を伴ってはね返ってくることになり,隠れた財政赤字とも言うべきであります。
本市における62年度予算は,地方統一選挙が行われたことから,当初は骨格予算とし,第2回定例議会における肉づけ予算が編成され,その後,国の緊急
経済対策に伴う補正等を行った結果,
一般会計では5,256億4,125万3,000円で,対前年度比6.2%の伸び率となり,予算執行では不用額70億余りを出したものの,翌年度繰越額を除いた執行率では98%台を超える率に達しており,肉づけ
予算編成時点で取り崩しを予定していた
財政調整基金等115億円については,幸いにして20億円の支消におさめたことは,ここ数年以来に見られない努力と言えると思います。
しかしながら,国庫補助負担金カットは,地方自治体である札幌市の行政,とりわけ財政,教育,福祉,
公共事業の諸点に多くの負担を求める施策となってあらわれてまいりました。昭和60年度限りという当初の確認を全くほごにし,引き続き,61年度からは,向こう3年間の暫定措置として実施されるに至ったのであります。この間,国は,
たばこ消費税の増収還元,その他,
地方交付税への特別措置及び,地方債措置によって当面の補てん措置はなされたとしつつも,本市財政に大きな影響を及ぼしました。
ちなみに62年度決算を見ると,
国庫補助率引き下げに伴う影響額は150億円となり,その補てんとしては,地方債にかかる約60億円,
たばこ消費税の増収による約13億円,残余の約77億円については,
地方交付税で措置されたわけであります。しかし,このうちの約60億円の地方債は,将来返還義務を負うものであります。しかも,この3年間の暫定措置が,一応63年度限りという時限立法であるものの,従来の経緯から判断すると,必ずしも前途は不透明と言わざるを得ないのであります。また,
地方交付税に算入が期待できるとはいえ,
投資的経費はかかる事業費拡大分の地方債,いわゆる調整債は,国の補てん措置もなく,きわめて疑問の生ずるものであります。
このような視点から,補助金カットに対応する国の措置は,当面,補てんされてはいるものの,将来的には楽観は許されるものではありません。もとより,本市の財政力はきわめて脆弱であり,62年度決算でも,財政力指数は指定都市中下から2番目という状況であり,それだけ
地方交付税に頼るウエートが高いことになっています。
一方,国における財政状況では,すでに62年度の大蔵省の発表では,3兆7,000億円の税増収が見込まれたと報道されました。この3兆7,000億円は,史上空前の記録であり,しかも,63年度も引き続き税増収が予想されています。円高差益によるものを初め,
内需拡大に伴う景気回復の兆しが,依然増収となっており,本市もその傾向の兆しが芽生えてきたと言えましょう。
そこで,市長にお伺いしますが,まず,第1に,補助金一律削減は,63年度までの時限立法であって,その延長は断じて許されないのであります。したがって,市民生活関連の補助率の原状回復と国庫補助負担の引き下げによって生じた地方財政への影響額を完全に補てんすべきと考えますが,その見通しと見解をお聞かせ願います。
さらに,地方自治分権を推進する観点から,国と地方との役割,事務分担の見直しをすべきであるとともに,税財政のあり方,補助金行政の抜本的転換を図り,地方自治体の存在価値を高めなければならないと考えますが,市長の所見がお伺いいたします。
2点目は,市税の決算状況についてでありますが,62年度では,前年度に比較して約177億円の増収で,伸び率は97%であって,この伸び率は59年度の5.2%を最低として逐年上昇傾向になっています。特に,62年度の97%台の収入率は,50年度の97.1%以来であります。この傾向は,当分の間持続されるものと予想しますが,歳入の大宗をなす市税の見積もりは,本市の
予算編成に当たっての重要な役割を果たすわけであり,ここ数年の当初予算策定では,きわめて過少見込みの嫌いがあります。この過少見込み判断の主たる要因をお聞かせ願いたいと存じます。
次に,63年度の
地方交付税でございます。
市長の提案説明及び先ほどの
山田信市郎議員の質問にもございましたが,63年度の
普通交付税は720億円となり,今後見込まれる特別交付税を合わせても,本年度の交付税は734億円程度であり,40億円の減額補正を余儀なくされたところであります。
地方交付税は,市税とともに収入の大宗をなすものであり,その帰趨によっては財政状況が大きく左右されるものであり,見積もりに当たっては,慎重かつ十分な見通しを得た上でなければばならないわけであります。そこで,今年度の
地方交付税の見込み違いの主たる要因は何なのか,それを明らかにしていただきたいと存じます。
3点目は,消費税についてお伺いします。
この問題を議論する場合,まず忘れてはならないことは,86年6月の衆・参同日選挙で,自民党員や国民の反対する大型間接税は導入しないと言明した政府・自民党の選挙公約であります。当時の中曽根首相は,この約束を詭弁を弄して破ろうとしたため,国民の総批判にさらされ,売上税導入は断念を余儀なくされた経緯があります。しかしながら,政府税制調査会は,こうした経緯を全く無視し,名称を変えて,このたび大型間接税,いわゆる消費税の導入を中心とする抜本的改革作業を拙速に進めることは,国会と国民を愚弄する以外何物でもありません。仮に,竹下内閣が,あくまでも消費税導入に固執するのであれば,議会制民主主義の原点に立って,国民にその信を問うべきであると考えるのであります。
今回の竹下内閣の言う抜本的税制改革の内容を見ますと,一方においては,大幅減税を唱えながら大型間接税創設を図るという,きわめて意図的なものであります。すなわち,「まず大型間接税ありき」であり,大増税だけが浮上していると言っても過言ではありません。確かに,今日では,各種の世論調査でも明らかなように,税制の抜本的改革は,国民大多数の関心事となっていることに間違いはありません。しかし,その期待の中心的内容は,あくまでも不公平税制の是正が目的であります。残念ながら,政府税制調査会の基本方針の中には,不公平税制が欠落しているのを指摘せざるを得ません。
そこで,私は,消費税導入について幾つかの課題を提起しながら,市長の基本的な見解を伺いたいと思います。
まず,何といっても逆進性と不公平が挙げられます。わが党が試算したものでありますが,それによりますと,子供2人で4人家族の場合,働き手が1人なら年収500万円以下で増税,共働きなら年収800万円以下は増税となるのであります。具体的には,4人家族で年収500万円の共働きの場合,所得・住民税の減税額は3万4,000円に対し,消費税による増額は4万9,000円,差っ引き1万5,000円近くに増税となるのであります。
全国の世帯の中においては,年収500万円以下の世帯は約60%と言われておりますから,ほとんどの世帯が増税になることは明らかであります。これに比べて差し引き減税になるのは高額世帯だけであります。また,消費税は,すべての商品等に広く課税されるため,年金生活者や生活保護世帯に至るまで,多額の税負担が余儀なくされるのであります。しかし,所得の低い人ほど負担率が高くなるという逆進性を持っております。
その逆進性一つとっても,たとえば非課税所得者の税負担率が3%に対し,年収1,200万以上の高額所得者の負担率が約1.5%という矛盾は,不公平税制の是正が何ら解消されていないばかりか,新たな不公平を生み出すものであります。また,企業についても同様,減税となるのは一部の大企業であり,中小商工業者には,むしろ新たな負担増となるのであります。
二つ目は,消費税の導入は,物価上昇の起爆剤になりやすい性格を有しており,国民生活を脅かす要素を多分に含んでいるという点であります。消費税は,ほとんどすべての商品とサービスの取引にかけられます。その結果,経済が活発であり,国民の消費が旺盛であればひとりでに税収はふえていくものの,反面,経済環境が不安定で消費が伸びない場合,簡単に税率の引き上げが自由にできるという側面を持っております。したがって,物価上昇によって国民の家計を直撃することは明らかであります。
このように,今回の消費税導入に当たっては,肝心な所得税格差の是正はもちろん,まだまだ多くの課題が残っております。何よりも税制改革の全体像がきわめて不明確となっており,大型間接税導入の条件づくりのみが目立つ内容に終始しております。したがって,「初めに消費税ありき」ではなく,わが党の言う税制基本法,いわゆる税制改革の理念,目標,手順などを明確にしながら,総合所得課税方式を基本に,まず不公平税制を徹底的に洗い直し,その上,時間をかけて抜本的改革の論議を深めていくことが必要であると考えます。
以下,こうした背景をもとに市長にお伺いしたいと思います。
第1点目は,消費税に対する基本的な姿勢であります。
消費税は,一昨年の売上税と名称は異なるものの,本質は大型間接税であります。その売上税問題が紛糾した昨年は,本市議会でも種々議論のあったことは周知のとおりであります。特に,昨年の第1回定例議会の代表質問では,各会派からこぞって市長の見解を求めておりますが,市長答弁を引用させていただきますと,「疑問や不安の声が上がっている状況のもとで新税の導入を進めることは,私も決して望ましいこととは思っておりません。」と述べております。売上税に対する市長の姿勢は,きわめて明快であります。その上,売上税導入に反対する陳情・請願はすべて採択され,全議員の賛成による意見書も国に提出されたところであります。同様に,消費税についても,総務委員会を初め,9月16日の本会議で消費税導入に反対する意見書も可決されたところでありますが,この際,消費税に対する市長の姿勢について,前回の売上税答弁と見解が異なるのかどうか明らかにしていただきたいと思います。
2点目でありますが,さきの本会議で採択された消費税導入に反対する意見書により,当市議会としては明確な態度が打ち出されたわけであります。今後,全国市長会などを通じて,消費税導入反対を直接国に働きかける方針をお持ちになっているかどうかお伺いしたいのであります。
3点目は,仮に,今回の税制改革が成立した場合,これによる地方財政の影響は,減収が地方税2兆292億円,
地方交付税8,922億円であり,その補てんは,消費譲与税1兆885億円,消費税の交付税対象税目への追加1兆450億円であり,差っ引き減収超過額は7,879億円となっております。自治省は,当初減収額の完全補てんを求めていましたが,最近では,地方税の自然増収でカバーされると見込んでおりますが,消費税に伴う歳出増の処理も含めて,最終的決着は64年度の地方財政対策に持ち越されております。そこで,税制改革に伴う減収分約7,900億円に相当する本市の影響額はどの程度になろうとするのか。また,影響額に対する対応策について,市長の見解をお聞かせ願いたいと思います。
次に,留守家庭児童対策問題についてお伺いいたします。
古くて新しい課題であります留守家庭児童対策の問題は,すでにご存じのように,高度経済成長期に見合った昭和30年代,いわゆる著しい社会経済環境の変化に伴い,働く母親の増加や核家族化の進行が緒についた時代でありました。そのために,児童が放課後帰宅しても,両親など保護者が不在なために適切な保護指導が受けられない,いわゆるかぎっ子がふえてきたため,民間有志や保護者相互の協力によって,留守家庭児童に対しての対応がなされてきたところであります。特に,母親の就労や長期の病気,その他の理由によって子供の保育ができない場合,乳幼児であれば,児童福祉法に基づき保育所に入所させ,保育を受けることができるのでありますが,就学後の児童の留守家庭の場合は,法的,行政的な明確な位置づけがなされておらないために,その対策のあり方について,議会でも議論がなされてきたところであります。
本市の本格的取り組みは,国の施策に先立つこと7年前の昭和34年に,民生部の補助事業として,留守家庭モデル育成事業を実施し小学校や地区会館に設置された民営の育成施設7ヵ所に運営費補助金を交付したのが初めてであります。
以来,昭和35年から40年まで,民生部の補助事業として,1ヵ所当たり9万円の補助金が交付されましたが,昭和41年になって,文部省が,青少年の健全育成を狙いとした学校開放事業の推進策を含めた補助方策を創設したことに伴い,本市も担当部局を民生部から教育委員会に移管し,対象児童も小学生から小学校低学年へと変更したのであります。また,その形態も,民営への助成方式から市直営方式とし,名称も札幌市留守家庭児童会ヘと改め,小学校の空き教室など13ヵ所に開設されました。
しかしながら,昭和46年に文部省は,新たに校庭開放事業の中に留守家庭児童会育成事業を吸収し,同事業の補助も打ち切ることになり,国の補助は,わずかに5ヵ年間で終えたわけであります。
しかし,本市にあっては,国の補助打ち切り後も直営の単費事業として継続し,その後も年々増設を行い,昭和51年27ヵ所も充実されましたが,反面,この事業は,留守家庭児童という特定の児童の交流の場となってしまい,児童は地域の中で多くの友達と交流し合いながら健全に成長していくという児童の本来的な特性とのギャッブから,今後の施策のあり方について見直す必要が生じてまいりました。
また一方,本市の急激な都市化に伴い,遊べない子,もやしっ子の増加など,いわゆる都市型児童に共通する新たな問題が惹起され,留守家庭児童問題と並び,この問題の解決が緊急課題となってきたのであります。こうしたことから,本市では,留守家庭児童を包含した全児童を対象とした新たな事業を実施すべきであるとの方針から,昭和51年には,児童の健やかな育成は,ひとり行政のみならず,保護者自身が有する育成責任と地域社会が持つ育成能力の有機的な連携の中で初めて達成されるとの認識のもとに,札幌,みずほ,東札幌の3小学校で「地域ぐるみ子供の健全育成促進事業」が新たに実施になったわけであります。
この事業は,現代っ子に共通するさまざまな生活体験の欠陥を補い,地域社会における児童育成のための実践活動を活発にすることを目的とするものであって,今後も実施校を拡大して,この事業が全市的な広がりを持った段階で留守家庭児童会を吸収するというものでありました。その後,昭和53年度に学校図書館開放事業,昭和55年度にプレーセンター設置事業など,地域社会における児童の健全育成のための施策を実施し,その充実を図ってぎたのであります。
こうした市の施策とは別に,保育に欠ける父母が設置する民間方式,いわゆる「共同学童保育所」においても留守家庭児童対策が行われていましたが,本市が留守家庭児童会縮小方針を決定した昭和51年以降は,この施設が急増傾向を示し,昭和54年には10ヵ所の共同学童保育所が対応するまでになったのであります。
このように,本市における直営の留守家庭児童会と民間で経営する共同学童保育所が留守家庭児童に対応してきましたが,共同学童保育所については,市からの金銭的助成は全くないことから,父母負担のあり方,すなわち公私格差の是正を求める請願や,直営の留守家庭児童会の増設を求める市民の声が日増しに高まり,昭和55年以来,およそ2ヵ年にわたり,文教委員会,本会議の中でも論議を重ねてきたところであります。その結果,留守家庭児童の父母や地域における児童育成関係者,学校,教育関係機関の積極的な参加によって推進されるべき新たな事業として,「児童健全育成事業」について議会においても審議がなされ,昭和57年度からスタートしたところであります。
この事業のねらいは,留守家庭児童の保護については,保護者と行政がともにその責任を分かち合うという児童の健全育成の視点から,56年度まで無料であった留守家庭児童会と,これまで多額の保護者負担のもとで児童育成に当たっていた民間共同学童保育所を一元化して,保護者負担の格差是正,不公平是正を図ることになったのであります。
この事業において,従来,学校の空き教室を利用していた留守家庭児童会を学校施設方式の児童育成会とし,民間共同学童保育所を民間施設方式の児童育成会としたのであります。また,児童育成会を統括する児童育成会運営委員会を設け,学校施設方式の運営や会費の徴収を行う一方,民間施設方式に対しては,その活動を助成する意味で,一定程度の助成を行ってきたところであります。
このように,留守家庭児童対策をめぐって幾多の変遷を見てきたところでありますが,昭和61年度及び62年度にわたって,民間育成会関係者から39件に及ぶ請願・陳情が議会に提出されました。
ご承知のように,その主たる内容は,父母負担軽減のための助成の拡大であり,施設確保の困難から公的施設の提供が主たるものでありました。そのほか指導員の身分保障,助成対象学年の引き上げや指導員の配置基準の緩和等であります。このように多くの願意にこたえるためには,本市が地域に進めている児童会館は,すでに50館設置されていることから,児童会館の中に留守家庭児童の対応をすべきであることを明確にし,本年2月の文教委員会や児童クラブ委員会で児童クラブ方式案を大筋合意をみるに至りました。
この児童クラブ方式が新聞紙上等で一般市民に周知されるに伴い,早期開設を求める声が教育委員会に寄せられるとともに,議会に対しても,同様の趣旨の2件の陳情が提出され,7月29日には,児童会館における児童クラブ方式を促進すべきとの議会文教委員会での意思決定をみたのであります。
そこで市長に,基本的な留守家庭児童対策のあり方を含めてお伺いいたします。
第1点目は,児童会館で実施する児童クラブ方式は,当面既設の50館でありますが,将来,計画が達成されると78館になり,中学校区に1館の児童会館しか整備されないわけですから,当分の間,現行の学校施設方式と民間施設方式に依存していくことになると思います。したがって,児童クラブ方式の開設に当たっての年次計画をお示し願いたいと思います。また,市民向けのPR方法並びに児童クラブ方式の特性などをお聞かせ願いたいと考えます。
2点目は,保護者負担のあり方でありますが,児童クラブ方式は公的施設を使用することから,保護者負担はかからないわけですが,同じ公的施設の学校施設方式は,基本的に月額5,500円の負担になっております。また,民間施設方式は,市の助成が行われていても,大変保護者負担が重いのが現状であります。しかしながら,公私格差の負担はそれなりの理由はあるにしても,公的施設である学校施設と児童会館施設利用での保護者負担の格差是正については,改めて見直すべきと考えますが,いかがなものでしょうか。
3点目は,民間施設における今後のあり方ですが,児童クラブ方式が拡大していくに伴い,当分の間共存を余儀なくされていきます。そのために,本市の助成のあり方や存在価値を高めるために,本市の育成事業の方針に沿った指導もなされなければならないと思いますが,その方針があればお示し願いたいと考えます。
4点目は,留守家庭児童に対する指導員の採用についてでありますが,児童クラブ方式が拡大するにつれ,指導員の雇用方法,身分保障のあり方などについてお示し願いたいと考えます。
最後に,これら留守家庭児童対策は,わが国の教育政策上ゆるがせにでき得ない情勢にあります。今後,わが国の経済社会的環境の中で対応すべき児童は,増加こそすれ,減ることはあり得ないと推察される以上,国の責任において何らかの措置をすべきであり,地方自治体の努力にのみ依存すべきでなく,教育行政として,義務教育のあり方として対応されなければならない問題と考えますが,市長はいかにお考えかをお聞かせ願いたいと思います。
次に,文化財保護対策問題についてであります。
本市が,ことしで創建120年という記念すべき年に当たり,私は改めて本市の足跡を振り返ってみる時期に来ておるのではないかと思います。
すなわち,本市は北方の自然風土と開拓の労苦の歴史の中で,独自の地域文化を形成してきております。これらを市民が掘り起こし,再発見していくことは,来たるべき21世紀に向けて,個性豊かな市民文化の創造に寄与するものと確信いたすものであります。また今日,市民による文化活動や文化的な街づくりへの関心が高まってきている一方で,急速な都市化の波を受けて長年にわたって培われてきた貴重な文化遺産が消滅されていく事態が懸念されます。
文化財は,自国や地域の歴史や文化を理解する上で欠かすことのできないものであるとともに,新しい文化を創造する基盤となるものであります。
そこで,わが国の文化財の保護について,文化財保護法第1条には,「この法律は,文化財を保存し,かつ,その活用を図り,もって国民の文化的向上に資するとともに,世界文化の進歩に貢献することを目的とする」と規定しております。また,同法2条において,文化財の定義として,有形文化財,無形文化財,民俗文化財,記念物,伝統的建造物部を挙げています。
文化財保護行政は,古くは明治4年,太政官布告,古器旧物保存方を初めとして,明治30年には古社寺保存法,大正8年史蹟名勝天然記念物保存法,昭和4年には国宝保存法,等々が制定されるなどして,文化財行政の推進が図られてきたのであります。
この中で,本市にあっては,大正10年に円山原始林,藻岩原始林が天然記念物に指定され,昭和11年には八窓庵が国宝に指定されてきたのであります。その後,戦中戦後の社会的,経済的混乱から,多くの文化財が荒廃するなどして,特に昭和24年の法隆寺金堂の失火を契機として,翌25年5月に文化財保護法が制定され,文化財全般にわたる指定,管理,保存,活用,調査等についての法体系が整備されたのであります。
また,埋蔵文化財については,明治7年の太政官通達,古墳発見の届出方に始まり種々の内務省の訓令等が発布されていましたが,包蔵地の発掘調査等に関する法体系は文化財保護法によって定められました。
この保護法は,その後第3次までの改正をみて現在に至っていますが,特に昭和50年の第3次においては,高度成長に伴う社会情勢の変化に対応した法の抜本的改正が行われ,重要民俗文化財の指定制度や埋蔵文化財の保護制度の強化等々の制度の充実が図られたところであります。
本市の文化財保護条例は,昭和34年10月に,現10大都市中川崎に次いで2番目に設置されました。それは,戦後本市が飛躍的に発展し,近代的な建物が激増する中で,札幌市の歴史的遺産を守ろうとする市民意識のあらわれでもあったと思います。
現在,札幌市内の文化財は,国指定10件のうち本市所有が4件,道指定3件のうち本市所有2件,市指定7件の合計20件が存在しています。
具体的には,昭和36年には時計台,豊平館,清華亭を本市の有形文化財に指定しましたが,後に豊平館と時計台は国指定の重要文化財となったわけであります。
また,昭和45年度には,琴似屯田兵村跡を国庫補助事業により買収し,修復工事を行って国指定史跡とし,昭和46年には国指定重要文化財「八窓庵」が本市に寄附されたのであります。その後も,史跡,無形文化財等について市指定を行うとともに,修復工事,展示整備を行って文化保護の充実を図り,かつ昭和57年からは時計台まつりを実施するなどして,文化財愛護の啓蒙普及に努めてきたところであります。
最近では,昭和57年度から国庫補助事業として,豊平館の修復工事を5年間の歳月と約7億円の費用をかけて実施し,昭和61年8月に開館するとともに,旧黒岩家住宅も昭和59年に全解体調査及び修復工事を行って開館し,昭和62年2月には,札幌村にかかわる歴史資料館,史跡を市指定文化財とし,また同年11月には旧永山武四郎邸が道有形文化財に指定され,現在修復整備を行っているのであります。
さらに獅子舞あるいはアイヌの民俗行事などの伝統文化行事や郷土資料館設置に補助金を交付して,その育成を図っていることに共感を覚えるのであります。
私は,本年4月に,シルクロードで名高い中国を視察してまいりました。主に,東北地方ではありますが,中国歴史の足跡はあらゆる地域に保存され,その上,これらの文化財は,国内外を問わず,いまや観光の目玉としての脚光をみるに至っているのであります。
そこでお伺いしますが,本市が急速に都市化が進行していく現状の中で,いわゆる文化遺産に値すると思われる物件が失われていくという状態の中で,タイミングよく本市創建120年記念を節目として,さっぽろ・ふるさと文化百選を計画し実行しておられますが,文化百選が選定された場合,どのように取り扱っていこうとするのか,所見をお聞かせ願います。
また,本市所有にかかわる物件は,それなりに保存できるにしても,選定された対象物件が企業や団体に属しているものやあるいは個人所有などの物件の場合,どのように保存管理をしようとお考えになっているのかお示し願いたいと思います。
さらに,現行の文化財保護審議会が設置されておりますが,さっぽろ・ふるさと文化百選の選定委員会とのかかわりと果たす機能について,その整合性をお伺いいたします。
次に,老人医療対策問題についてお伺いします。
戦後の高度経済成長と表裏一体ともいうべきわが国は,いまや世界に冠たる長寿国となり,他国に見られない速度で進行してまいりました。ちなみに,その平均寿命は,男性75.61歳,女性81.39歳であります。わが国が世界の長寿国になった背景には幾つか挙げられますが,何といってもその第1は,昭和36年に制度化された国民皆保険制度の実現であります。原則として,すべての国民が何らかの医療保険に加入することになったわけであります。一口で申し上げますと,医療保険の目的は,お金がないために医療を受けられないというような状態をなくすることであり,そのために国民,企業,団体がお金を拠出し合い,病気になったときの医療費に充てようというものであって,いわば医療の社会化であります。
したがって,すべての国民を医療保険に加入させることによって,医療費の不安を解消しようとしたこの皆保険制度は,ことしで27年目を迎え,すでに国民の間に定着してきたものと思います。もちろん,現行制度にはさまざまな欠陥,矛盾を含んでおりますことはご存じのとおりであります。
たとえば差額負担や保険でカバーできない差額ベッド料,付添看護料など,患者側が大きな負担をしなければならないのが現実であります。このほか薬をめぐる問題,検査をめぐる問題,給与水準,保険間格差などの諸問題も挙げられます。
しかし,トータルとして見れば,国民皆保険制度は,国民への医療の普及に大きな役割を果たしたものと言えます。その結果として,日本を世界の健康長寿国に仕立て上げる大きな力になったことは間違いないと言えましょう。もとより,この長寿は医療だけの力ではありません。その裏には食生活,栄養状態の改善,公衆衛生の普及向上など各要素が存在しているけれども,医療の果たしてきた役割は,やはり大きいと言わなければなりません。
近年,国民の受診率は高まり,国民医療費は年々増大の一途をたどっています。本市もその例外ではありません。かつて本市は,昭和46年8月から老人医療の無料化を初めて採用して以来,老人福祉に対する市民の関心も急激な高まりを見せたのであります。
その後,国の無料化制度と比べ,対象範囲拡大に努力してきた経緯もあります。この間,本市におきましては,高齢化社会に向けての施策に取り組むとともに,施設面でも大きく前進をみてきたのであります。
しかしながら,昭和58年2月の老人保健法の制度化に伴い,国の無料化制度が廃止されると同時に,道及び市の制度も改定を余儀なくされ,一部負担制度が導入されるなど,これまでの老人医療助成制度に大きな転換が図られ,その後も自己負担の増加が見られたのであります。
また,老人保健法においては,地方自治体,すなわち道及び市が医療費の各5%の負担をすることになっているのであります。ちなみに,58年度では24億6,000万,59年度27億7,000万,60年度32億円,61年度34億9,000万,62年度38億1,000万,合計この5年間で157億3,000万の本市負担になっているのが現状であります。
この傾向は,今後とも増高推移をみるものと推測できると思います。そこで市長にお伺いします。
老人保健制度化が実施されて5ヵ年を過ぎた現在,ただいま申し上げたとおり自己負担や市負担がますます増加してまいりますが,将来の望ましい高齢化社会を考えた場合,本来的には老人医療の無料化が望ましいものであり,したがって,現行の老人保健制度の見直しを求めるべきと考えますが,市長の見解をお聞かせ願いたいと存じます。
2点目は,老人医療費の助成についてお伺いします。
特に,入院患者の付添看護料の負担の実態でありますが,厚生省の基準によりますと,基準看護以外の病院等に入院した患者が,療養のために特に必要があると医師の判断によって看護人をつけた場合に限り,看護料が支払われることになっており,本市の場合も,厚生省基準によって老人保健制度で支給しているのが現状であります。
ちなみに,62年度の看護料支出総額は47億2,000万円であり,老人医療費に占める看護料支出の割合は約6.2%になり,全国平均1.6%に比べると,抜群の高さになっております。その要因の一例では,老人病院と呼ばれる医療機関の多いことが挙げられるとともに,適正な付添い看護が行われているのかどうかという課題も背景に存在しているのではないかと推測されるのであります。
いずれにしても,社会の発展に寄与された高齢者が,付添い看護を必要とする医師の判断によっても,現行制度では一部負担が余儀なくされております。
現行制度の一般例で申し上げますと,2人づき看護での泊まり込みの場合,慣行料金,すなわち看護料は5,390円と定められております。これに対して厚生省基準額によると,4,260円しか看護料が支払われておらないために,その差額の1,130円,1日当たり自己負担になっているのが現行制度であります。つまり,慣行料金と基準額の差が自己負担になり,看護の形態によって自己負担の差額も変わってくるのであります。
そこでお伺いしますが,政令都市の中で付添看護料の差額の助成を実施しているところは,私の調査では4ヵ所ございます。
すなわち,川崎市,横浜市,名古屋市,広島市であります。名称は,老人保健看護料給付と差額助成制度でありまして,それぞれ助成の形態は異なっておりますが,本市の場合,私の試算では,100%差額補てんをすれば,およそ15億円必要となります。
私は,すでに実施をしている4大都市でも市費持ち出しの努力を続けられ,本市も遅まきながらも,この際看護料の差額助成に踏み切るべきと考えますが,市長の決意をお示し願いたいと思います。
また,付添看護人の問題でありますが,本市には労働省許可を持つ家政婦紹介所が14ヵ所ございます。正規に認められております家政婦紹介所は,当然各医療機関との提携,紹介などを行っていますが,一部の医療機関では,自前の付添い看護の雇用を行っているところもあり,この機会に私は,労働省の正式許可を受けた家政婦紹介所から看護人を派遣することは最も望ましい姿であると思うので,このことについて関係機関と協議の上,適正な指導をすべきであると考えますが,いかがでありましょうか,ご所見を賜りたいと存じます。
次に,最近非常に増加しております交通事故の問題についてお伺いします。
市長は,本年7月以降本市における交通事故が続発してきたことを憂慮して,8月30日に交通事故死多発非常事態宣言をいたしました。加えて,組織の総力を挙げて交通事故を抑止するための緊急対策に取り組む旨,決意を表明されたのであります。非常事態宣言を発した後,直ちに市民に訴えるため,企業や団体の代表者を初め,ボランティアの交通指導員あるいは母の会のお母さん方多数が街頭キャンペーンを実施したところであります。各区においても,総決起大会を開催するなど,全市的に交通安全運動が展開されております。
また,市営バスなどの公共交通機関,公用車,タクシーなどにもステッカーが張られ,新聞やラジオ,テレビなどでも連日のように事故防止が訴え続けられておりますことは私も承知しております。
本市のみならず,全道的規模でも交通事故死が全国の上位にランクされているごとく,きわめて憂慮すべき事態と言わなければなりません。
しかし,にもかかわらずであります。非常事態宣言を発し,各種の緊急対策を実施してきたにもかかわらず,事故がぴたりとおさまったかと言えば,必ずしもそうではありません。8月30日以降も,ほとんど連日のように事故が起きております。そして,これらの事故報道を見ますと,大部分は若年者によるものでありまして,端的に申し上げれば,深夜の暴走が引き起こしたものと言えます。時速100キロの暴走であり,信号無視であります。非常に残念でなりません。将来の夢を抱いているであろう若年者が,一瞬の事故で若い命を失っているのであります。つい先日も私の住むすぐ近くで事故がありました。
私,思いますに,確かに深夜に騒音を上げて暴走を繰り返す若年者は,神出鬼没のいわばゲリラのようなものでありますから,彼らをまとまった集団としてとらえ,諭すような注意喚起をするのは非常に難しいという事情は十分理解いたします。
これは,交通安全という一視点ではなく,社会的にもっと広がりや深みのある問題であろうと思います。彼らを暴走に駆り立たせているものの根源は何なのか。家庭環境なのか,社会環境なのか,いずれにせよ特効薬はないかもしれませんが,たとえば若年者が働く職場の経営者とか,あるいは通学している学校など,つまり若年者を取り巻く環境にある人々は,もっと真摯な関心とかかわりを深めなければ,この不幸な状況はとうてい解決できないと思うのであります。
さらに,事故の犠牲者の2割以上が,いわゆる60歳以上の高齢者だという点であります。本市においても,高齢化社会の到来が間近に迫っているわけでありますから,特に念頭に置いた高齢者の安全確保という問題に取り組むべきと考えます。
そこでお伺いしますが,交通事故に対して非常事態宣言を訴えられた市長の決意と防止対策の所見をお聞かせ願いたいと存じます。
2点目は,本市で実施しています交通災害共済の問題であります。
発足して久しい相互扶助制度は,市民の中に定着しております。現行年額600円の掛金で120万円の見舞金であります。加入者数は約27万人であり,ほぼ加入者は横ばい傾向になっております。
そこで,私は今日的な交通事故多発の現状を見るとき,事故防止に万全を傾注することは当然でありますが,一方においては,万一に備え,交通災害共済加入の促進を図る必要があります。加入促進に当たっての所見をお伺いいたしまして,私のすべてり質問を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(滝沢隆君) 答弁を求めます。板垣市長。
◎市長(板垣武四君) まず,財政問題についてでございます。
第1点目の
国庫補助負担率の引き下げについてでございますが,この問題につきましては,従前からも申し上げてまいりましたように,補助負担率の決定に当たりましては,国と地方の機能分担と財源配分のあり方を十分に検討した上で決められるべきであって,単に国の歳出削減のみを先行させた引き下げには強く反対をしてまいったところでございます。
8月末に締め切られました国の概算要求の状況を見ますと,補助負担率につきましては,引き下げ前と引き下げ後の2本立ての要求がなされ,その取り扱いについては,これから年末にかけて決定される模様でございまして,決着には,なお予断を許さない状況にあると考えているところでございます。
したがいまして,64年度以降もそのまま継続されることなく,地方にとって納得のいく結論が得られるように,議会のご協力もいただきながら,国に対して強く働きかけていかなければならぬ,このように考えております。
また,引下げ措置による地方への影響の補てんについてでございますが,地方債のうちいわゆる,お話にもございましたが,拡大分は事業費確保のための特例でございますので,それ以外の地方債にかかる元利償還額は,
地方交付税において補てんされているものと考えております。
次に,国と地方の役割分担と地方自治の確立についてでございますが,お話にございましたとおりであって,これまでも,指定都市で申し上げますと,「青本」の要望や,あるいは全国市長会要望などを初めとして,機会あるごとに働きかけを行ってきたところでありますし,今後におきましても,同様の姿勢で臨む所存でございます。
第2点目の市税と
地方交付税についてでございます。
まず,昭和62年度の市税の決算額と予算額との乖離についてでございますが,市税の予算計上に当たりましては,前年の,すなわち61年度の税収見通しを基礎に,過去の課税実績及び
経済動向等を勘案いたしまして,当初予算におきましては,
地方財政計画における見通しを上回る,前年度予算対比5.8%増を見込んだところでございますが,62年度の経済環境が予想以上に好転したこと,及び
財テクブーム,金利負担の軽減等から,企業収益が好調であったことなどによりまして,当初予算に比べて103億円の増収になったものでございます。
市税収入に影響を及ぼす
経済動向等を正確に見通すということは,これはまことに困難ではございますけれども,今後できる限りの情報収集をするとともに,課税実績や税収状況を基礎として,より的確な見通しに立った予算計上に努力をしてまいりたいと,このように考えております。
次に,昭和63年度の
地方交付税についてでございますが,お話にもございましたように,
予算計上額から約40億円,当初見積額から約60億円のそれぞれ減収となる見込みであります。交付税の見積もりに当たりましては,本市の税収の予算計上の状況や,これまでの全国に対する本市の交付税のシェアなどの状況を勘案して積算したものでございますが,今回の減収は,交付税算定の基礎に用いられます基準財政収入額におきまして,前年度比100億円程度の増と見込んだものが,決定におきましては145億円の増加ということになりまして,45億円の乖離を生じたことが主な原因でございます。
経済動向によって大きく変動する税収と表裏一体をなす交付税の正確な捕捉はなかなか,これまた難しいものがございますけれども,今後,さらに的確な推計に十分意を用いてまいりたいと,このように考えております。
第3点目の消費税問題と税制改革に伴う影響についてでございます。
まず,消費税問題についてでございますが,これはかねてから申し上げておりますように,この種の問題につきましては,国政の場で十分な審議を尽くし,国民の納得できる結論が得られるように強く望んでいるところでございます。ご指摘にもございましたとおり,私もまた,不公平税制の是正が先決であると考えているところでございまして,その他,直間比率の問題,あるいは所得,消費,資産等の間で均衡のとれた税体系のあり方など,いろいろな問題を含めまして検討さるべきものと考えているところであります。
したがいまして,これらの問題につきましては,現在,国会において,どうやら議論されようとしているところでもございますので,その審議動向を十分に見きわめた上,対応することが適当であると,このように考えております。
次に,今回の税制改正案に伴う本市への影響額ということでございますが,現段階における平年度ベースを試算いたしますと,市税で120億円程度の減収,そして譲与税及び交付税で80億円程度の増収となり,差し引き40億円程度の減収の影響が生ずるものと見込まれております。
そこで,この影響額への対応策でございますが,今回の税制改正に伴う全体の影響額2兆4,200億円は,国が1兆6,300億円,地方が7,900億円それぞれ分担することとされておりますが,苦しい財政状況が続いております地方にとりまして,これは厳しいものであると受けとめているところでございます。したがいまして,この影響額につきましては,地方財政の円滑な運営に支障を来たすことのないような,地方財政対策上の適切な措置がなされるように,関係団体ともども国に対して働きかけてまいりたいと,このように考えております。
2番目の問題は教育長からご答弁申し上げまして,次に,文化財保護対策問題についてでございます。第1点目のふるさと文化百選で選定をされた物件の取り扱いについてでございますが,貴重なこれらの遺産を市民の共有の財産として残していくためには,まず多くの市民の方々に知っていただき,保存への意識を高めていただくということが大切でございます。
そこで,物件の所在地,由緒,由来,特徴などの内容を盛り込んだ案内板の設置やパンフレットの発行をいたすべきだと考えております。
第2点目の選定された物件の保存管理の方法でありますが,ご指摘のとおり,選定された貴重な遺産は,保存・活用され,後世に引き継いでいくことが大切でございます。そこで,所有者を初め,市民の保存意識の醸成を図っていくとともに,これら遺産の保存・管理の主体はあくまでも所有者でございますので,まず,より適切な保存・管理のあり方について,可能な範囲でのアドバイスを行ってまいる所存でございます。
第3点目の文化財保護審議会との整合性についてでございますが,ふるさと文化百選選定委員会というのは,市民の生活に根差した建造物や遺跡,祭り,言い伝えなど,幅広い文化遺産を選定するために設置をした臨時的な委員会であります。いずれの委員の方々も,文化遺産について造詣の深い方々ばかりでございますので,今後も文化財保護審議会と十分に連携を図りながら,貴重な文化遺産を選定していただけるものと期待をいたしているところでございます。
次に,老人医療対策問題についてでございます。
第1点目の老人保健制度の見直しについてでございますが,ご承知のように,老人保健法は,わが国における高齢化社会の急速な到来と
社会経済情勢の変化に対応して,国民が自助と連帯の精神をもって,みずからの健康の保持増進に努めるとともに,国民が老人に要する医療費を公平に負担するという理念に基づいているものでございます。したがいまして,今日のような
社会経済情勢,とりわけ老人医療を取り巻く環境の変化,さらには,老人保健制度の長期的な安定を図り,将来の望ましい高齢化社会を実現するために,これはある程度の一部自己負担はやむを得ないものだと考えております。
ご質問の第2点目の差額助成についてでございますが,本市の看護料は年々増加をいたしておりまして,62年度で医療費の6.2%を占め,全国平均が1.6%でございますから,異常に高い。そして,先日札幌市で開催されました老人保健審議会でも,この点についていろいろと意見が出たところでございます。このような状況の中で差額助成を実施いたしました場合,さらに看護料の増大を助長するということが懸念され,むしろその適正化を図ることが先決であり,また現段階で助成を行うということは適当ではないと,このように考えております。
また,付添い看護につきましては,患者個人の契約で行われるものでありますが,ご指摘のように,家政婦紹介所からの派遣も含めて,適切な看護契約が行われるように関係機関と協議をしてまいりたいと考えております。
次に,交通事故についてのご質問であります。
弱者による事故が,弱者,若者,前言を若者と表現を変えます。
若者による事故が発生し続けておりますけれども,あたら若い命を暴走の果てに失っているこの現象を見るにつけて,私もまた大変憂慮をいたしているところでございます。また,お年寄りがほんのわずかな注意を欠いたばかりで亡くなっているという報道に触れるたびにも,また,私は大変深い悲しみを覚えるものでございます。
交通事故によります死者数が1年間で最も多かったのは,昭和58年でございました。この年に98名の市民が亡くなったのでありますが,ことしはそれを上回るペースで死亡事故が発生をしております。
この厳しい事態を市民の皆さんに訴えるために,私は先日,非常事態宣言を行いましたが,その後,直ちに広報,啓発活動を中心とした20項目にわたる緊急対策を実施したのであります。今後につきましては,交通安全に対して市民意識を深めるため,交通安全教育の充実に力を入れてまいりたいと考えております。これは幼児からお年寄りまでの各年齢層別に,また,家庭・学校・地域・職場等の領域別に,交通安全意識と交通マナーを身につけてもらおうとするものでございます。
具体的には,若年層を対象にして大学,各種専門学校等のほか,勤労青少年が働く企業と連携協力を保ちながら,啓発運動を推進するとともに,お年寄りにつきましては,昨年市内の全老人クラブから交通安全の実践リーダーを選んでいただいて,それぞれのクラブでご活躍をいただいておりますが,こうしたお年寄りみずからの運動や,あるいはまた母の会,町内会などの活動を通じて,交通安全確保の輪をより一層広げてまいりたい,このように考えております。
いずれにいたしましても,交通安全は市民一人一人の自覚の深まりがなければ成果は上がらないものでございます。私といたしましては,生命の尊重を基本理念に据えて,これを市民に浸透させていくことが重要でありますことから,今後も交通安全の市民運動に力を注いでまいりたいと考えております。
次に,交通災害共済についてでございますが,ご承知のとおり,これは,交通事故により災害を受けた方,または,その遺族の方を経済的な面で援助するために設けた制度でございまして,交通事故が多発している現在,この制度をより普及させ,あわせて,交通安全意識を高めるために,町内会や企業等に対しての働きかけを,なお一層強化し,加入促進を図っていきたい。こういうことで,ついせんだっても局長会議で私から皆さんに強く要望をいたしたところでございます。以上でございます。
○副議長(滝沢隆君) 荒井教育長。
◎教育長(荒井徹君) 私から留守家庭児童対策についてお答えいたします。
まず第1点目の児童クラブの開設についてでございますが,昨年来の文教委員会での審議の経過を踏まえまして,8月1日教育委員会として開設に踏み切ったものであります。
今後のクラブの開設につきましては,現在の段階としては,民間の育成会と小学校区が重ならないところで,また,新設の児童会館は,原則として開館当初から,さらに既設の児童会館は,施設面での必要な条件整備を行い,可能な館から順次開設していきたいと考えております。
次に,児童クラブの特性及びPRに関してでございますが,このクラブは留守家庭児童に一定の配慮をしつつも,他の多くの一般児童とともに活動させることにより,家庭や学校では得られない多様な体験を通して,自主性や社会性を備えた情操豊かな児童の育成を図ろうとするものであります。私どもは,こうした児童クラブが留守家庭児童対策としての機能を十分果たすことができると考えており,この特性を広報誌,学校などを通じて積極的に周知してまいりたいと考えております。
次に,第2点目の保護者負担のあり方についてでありますが,ご指摘のありましたように,本事業発足時に,種々の論議を経て,保護者と行政がともにその責任を分かち合う,また,費用負担は折半とするとの整理がなされたところであります。
一方,今回開設しました児童クラブの費用負担の問題でありますが,児童会館では,留守家庭の子供も他の子供も,そこで区別なく指導が受けられることが本来の姿でありますので,特定の児童の保護者に負担を求める考えはありません。基本的には,将来,全面的に児童会館での児童クラブの開設をしていくことにより,この問題の解決を図りたいと考えております。
しかしながら,現実に留守家庭児童対策として,当分の間は三つの方式で進むことになりますので,ご指摘の点につきましては,諸般の状況を勘案しながら,慎重に検討してまいりたいと存じます。
次に,第3点目の民間育成会に対する指導等についてでございますが,現行の児童健全育成事業実施要綱では,父母の方々が自主的に事業を興し,地域の理解と協力を得ながら運営される育成会に対して助成するものであります。
事業の具体的内容などは,民間の方々の種々の創意工夫が含まれておりますので,現時点ではそれを尊重してまいりたいと考えております。しかし,この事業実施要綱が発足してから6年余を経過し,一部,実態にそぐわない面も生じてきていることなどから,現在この見直し作業を予定しておりますので,その中で検討していきたいと存じます。
次に,第4点目の児童クラブの指導員の雇用についてでございますが,児童会館指導員と同様の第二種非常勤職員として,児童の指導に熱意のある多数の希望者の中から,書類審査と面接により選考し,1年を単位として任用しているものであります。現在,継続雇用の年限等について全庁的な見直し作業が進められておりますので,この中で,教育委員会といたしましても,この事業にふさわしい指導員が得られるよう担当部局に要請してまいりたいと存じます。
最後に,この留守家庭児童対策については,さまざまな観点からその対応が考えられますが,いずれにしても,国の責任において措置されるべきとの考えから,私どもとしては,従来から全国市長会などを通じ,国に対し制度化について要望を続けてきております。今後とも各都市とともにその実現に向けて,積極的に努力してまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(滝沢隆君) お諮りします。
本日の会議はこれをもって終了し,明9月21日午後1時に再開いたしたいと存じますが,ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(滝沢隆君) ご異議なしと認めます。よって,さよう決定されました。
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○副議長(滝沢隆君) 本日はこれで散会いたします。
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散 会 午後4時9分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 吉 野 晃 司
副議長 滝 沢 隆
署名議員 高 橋 忠 明
署名議員 関 口 英 一...