札幌市議会 1988-06-09
昭和63年第 2回定例会−06月09日-05号
議案第12号 札幌市
体育施設条例の一部を改正する条例案
議案第19号 財産の取得の件(
廃棄物埋立用地)
議案第20号 財産の取得の件(公園用地)
議案第21号 財産の取得の件(学校用地)
議案第22号 財産の取得の件(
バスターミナル施設等建物)
議案第23号 財産の取得の件(遊戯施設)
議案第24号 町の区域を新たに画し,及び変更する件
議案第25号 町の区域を新たに画し,及び変更することに伴う関係条例の整理に関する条例案
議案第26号 市道の認定及び変更の件
諮問第1号
鉄道事業法第61条第1項ただし書の規定による鉄道線路の敷設許可についての意見に関する件
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〇出席議員(70人)
議 長 吉 野 晃 司 君
副 議 長 滝 沢 隆 君
議 員 宮 本 吉 人 君
議 員 武 市 憲 一 君
議 員 大 越 誠 幸 君
議 員 高 橋 忠 明 君
議 員 猪 熊 輝 夫 君
議 員 西 村 茂 樹 君
議 員 松 浦 忠 君
議 員 長 内 順 一 君
議 員 柿 崎 勲 君
議 員 春 原 良 雄 君
議 員 関 口 英 一 君
議 員 千 葉 英 守 君
議 員 飯 坂 宗 子 君
議 員 福 士 勝 君
議 員 常 本 省 三 君
議 員 佐 藤 美智夫 君
議 員 佐 藤 寿 雄 君
議 員 室 橋 一 郎 君
議 員 川口谷 正 君
議 員 加 藤 斉 君
議 員 南 二 郎 君
議 員 吉 田 哲 男 君
議 員 小 田 信 孝 君
議 員 丹 野 勝 君
議 員 森 健 次 君
議 員 村 山 優 治 君
議 員 生 駒 正 尚 君
議 員 田 中 昭 男 君
議 員 柴 田 薫 心 君
議 員 山 田 信市郎 君
議 員 青 木 護 君
議 員 須 合 一 雄 君
議 員 富 田 新 一 君
議 員 澤 木 繁 成 君
議 員 伊与部 敏 雄 君
議 員 水 由 正 美 君
議 員 赤 田 司 君
議 員 本 舘 嘉 三 君
議 員 唯 博 幸 君
議 員 小 谷 俵 藏 君
議 員 八 田 信 之 君
議 員 小 川 勝 美 君
議 員 見 延 順 章 君
議 員 加 藤 隆 司 君
議 員 田 畑 光 雄 君
議 員 朝 川 利 雄 君
議 員 野 間 義 男 君
議 員 湊 谷 隆 君
議 員 工 藤 勲 君
議 員 宮 口 健太郎 君
議 員 政 氏 雅 君
議 員 常 見 寿 夫 君
議 員 磯 野 開 丈 君
議 員 長 岡 武 夫 君
議 員 斎 藤 忠 治 君
議 員 荒 川 尚 次 君
議 員 越 智 健 一 君
議 員 宮 川 新 市 君
議 員 山 田 長 吉 君
議 員 岡 本 修 造 君
議 員 山 崎 七 郎 君
議 員 藤 田 雅 弘 君
議 員 山 本 長 和 君
議 員 田 畔 満 君
議 員 吉 田 一 郎 君
議 員 高 橋 重 人 君
議 員 菊 田 勝 雄 君
議 員 菅 井 盈 君
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〇欠席議員(なし)
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〇説明員
市 長 板 垣 武 四 君
助 役 桂 信 雄 君
助 役 蒲 谷 亮 一 君
助 役 勝 田 義 孝 君
交通事業管理者
交 通 局 長 秋 山 忠 禧 君
水道事業管理者
水 道 局 長 藤 井 憲 次 君
総務局長 杉 本 拓 君
企画調整局長 伊 東 義 昭 君
財政局長 長 部 幸 一 君
市民局長 森 清 君
民生局長 石 原 弘 之 君
衛生局長 柴 田 浩 英 君
環境局長 本 間 雄 君
経済局長 木 戸 喜一郎 君
建設局長 魚 住 昌 也 君
下水道局長 岡 貞 夫 君
建築局長 西 本 弘 君
国民体育大会事務局長 河 崎 快 二 君
市立札幌病院長 斯 波 光 生 君
消防局長 谷 裕 之 君
教育委員会委員 小野寺 彰 君
教育委員会教育長 荒 井 徹 君
選挙管理委員会委員長 大 橋 八 郎 君
人事委員会委員長 山 岡 暸 君
人事委員会事務局長 貴 志 功 君
監査委員 中 目 啓 市 君
監査委員 山 本 長 和 君
監査委員 吉 田 一 郎 君
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〇
事務局出席職員
事務局長 山 本 浩 介 君
事務局次長 鍛冶沢 徹 君
総務課長 丸 岩 公 充 君
議事課長 坂 野 嵩 君
調査係長 大久保 裕 君
資料係長 沼 田 光 弘 君
議事係長 英 俊 彦 君
記録係長 谷 川 輝 雄 君
委員会一係長 田 中 博 之 君
委員会二係長 土 屋 逞 君
書 記 獅々堀 秀 利 君
書 記 佐 藤 比登利 君
書 記 長 瀬 宏 君
書 記 木 内 二 朗 君
書 記 吉 田 雅 博 君
書 記 高 佐 三緒子 君
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○議長(吉野晃司君) これより本日の会議を開きます。
出席議員数は69人であります。
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○議長(吉野晃司君) 本日の
会議録署名議員として越智健一君,山崎七郎君を指名します。
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○議長(吉野晃司君) ここで,事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(山本浩介君) 報告いたします。
田畔 満議員は,所用のため遅参する旨,届け出がございました。
昨日,市長から,
飯坂宗子議員の文書質問に対する答弁書が提出されましたので,その写を各議員控室に配付いたしました。
本日の議事日程,
質問順序表及び請願・陳情の
受理付託一覧表は,お手元に配付いたしております。以上でございます。
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○議長(吉野晃司君) これより議事に入ります。
日程第1,議案第1号,議案第6号から第12号まで,議案第19号から第26号まで及び諮問第1号の17件を一括議題といたします。
昨日に引き続きまして代表質問を行います。
通告がありますので,順次発言を許します。飯坂宗子君。
(飯坂宗子君登壇・拍手)
◆飯坂宗子君 私は,ただいまから,
日本共産党を代表しまして,当面する市政の重要課題について質問をいたします。
なお,質問に先立ちまして,私が提出しました文書質問に対し,短期間に答弁書を作成していただきました関係職員の皆さんに改めて感謝申し上げる次第でございます。
私はまず,市長の政治姿勢に関して3点の質問をいたします。
その第1は,平和に関する市長の認識及びその施策の展開についてであります。
わが党は,平和の問題を市政の重要な柱として位置づけ,市政執行に反映させる努力を続けてまいりました。私も一人の母親として,子供たちに平和な青い地球を残したいと心から強く願っております。
過日聞かれました
米ソ首脳会談は,
核兵器廃絶の方向にどれだけ進展するのか注目されていたのでありますが,
INF全廃条約に続く
戦略核兵器50%削減条約については,本質的な前進は見られず,海洋発射巡航ミサイル問題も今後に残されました。こうした状況を見るとき,
核兵器廃絶の世論と運動がかぎとなっており,唯一の被爆国である日本の役割がますます重要になっていると考えるものであります。
ところが,現在開かれております第3回
国連軍縮特別総会に向けての国会決議は,わが党の要求にもかかわらず,核兵器の廃絶が緊急な課題であることを明記せず,究極のかなたの課題に押しやったものであり,被爆国である日本国民の願いと要求に背を向けているのであります。竹下首相もまた,国連において,
核兵器廃絶は人類の究極目標と,核兵器を含む現状の
軍事バランスを是認する演説を行い,それでも被爆国の首相かという批判が内外から出ているのであります。
そこで伺いますが,今日の平和問題の中心的課題である核兵器の廃絶について,市長は理想としての究極的な課題と考えるのか,それとも,人類の死活にかかわる今日緊急の課題と考えるのか,市長の認識についてまずお示し願いたいのであります。
また,本年2月,基本構想に関するわが党の質問に対し,市長は,「国際社会の発展と平和に貢献し得る
都市づくりを展開をする」と答弁されました。市長が平和を口にするのであれば,核戦争という人類的課題に直面している今日,具体的施策としての非核・
平和都市宣言を行うべきではありませんか。今日1,100を超える日本の各都市のみならず,欧米においても,数多くの都市が平和宣言を発し,非核・平和を求める世論が世界的に高まっている中で,改めて市長のご見解を伺うものであります。
第2に,
大型間接税についてであります。
市長はさきの第1回定例会において,わが党の質問に対し,税金は取りやすい間接税のほうがよいと答弁し,
大型間接税導入をむしろ歓迎する態度を表明されたのでありますが,これに対し市民から,昨年の
売上税廃案のときよりも大きく後退している,と厳しい批判の声が寄せられております。内容の細部が公表されていないとはいえ,竹下流新
大型間接税は,国民の反対で廃案になった昨年の売上税以上にひどい中身になっているのが特徴であります。
たとえば
非課税品目については,売上税では51品目設けていたものが,今回は,原則として非課税なしと,あらゆるものに課税の網がかぶせられ,子供やお年寄り,障害者や
生活保護世帯など,負担能力に関係なく,だれにでも容赦なくかかり,低所得者ほど負担率が高くなる逆進性の最悪の大衆課税となっているのであります。
また,地方財政にとっても見過ごすことのできない問題であることは,
津田自治省財政局長が去る3日,名古屋市で開かれました
地方行財政調査会での講演でも示したように,3兆数千億円の財源不足及び約1兆円の歳出増が予想され,地方財政も大打撃を受けることが明らかにされているのであります。
市長はいまこそ,160万市民の暮らしを守り,加えて本市の財政を守る立場からも,
竹下流大型間接税に反対を表明し,反対運動の先頭に立つべきであると考えます。この7月にも臨時国会を開いて法案を審議し,この秋にも成立させようとする動きがある中で,市長のご見解を改めて伺うものであります。
第3は,160万札幌市民の安全にかかわる泊原発の問題についてであります。
この問題は,すでに
チェルノブイリ発電所での大事故があった一昨年,すなわち昭和61年4月26日の事故直後に聞かれました第2回
定例市議会において,わが党が代表質問で取り上げ,市長の見解をお聞きしている問題でもありますが,核燃料を搬入し,この秋にも試運転という切迫した状況となっておりますので,改めてお尋ねしたいと思います。
市長は一昨日の本会議の答弁で,国や道の対応に信頼を寄せ,十分な配慮をもって進められているものとの認識を示しましたが,これは,とんでもない認識不足と言わなければなりません。
スリーマイル島や
チェルノブイリの大事故は,原発の危険性を改めて浮き彫りにしたものでありますが,このような事故が泊原発で起こったときには,取り返しのつかないことになるのであります。しかも,国内においても,事故が万が一起こるなどという状況ではなく,すでに放射能漏れを初め,さまざまな原発事故が発生しているのが現実であります。
したがいまして,こうした状況に不安を持つ多くの市民が,原発反対の運動を展開しているのであります。わが党は,原子力の平和利用を否定するものではありませんが,安全性に問題がある現状で,原発の新増設に反対するとともに,市民の不安にこたえるためにも,安全規制の強化,
防災避難対策の確立を緊急に要求しているのであります。
そこでお尋ねしますが,安全性が確認できず,しかも,しっかりした防災計画もないまま強行されようとしている無謀な泊原発の試運転に反対の立場から,北電並びに国や道に対し,きっぱりと運転中止を強く申し入れるべきと考えますが,いかがでありましょうかお尋ねをいたします。
また,道が国と協議してつくった防災計画についてでありますが,この計画の最大の問題点は,防災計画の範囲を10キロ圏内に限っていることであります。しかも,10キロ圏内の住民がその圏外に避難する計画は全くなく,ただ,コンクリートの建物に避難することしかこの防災計画には盛り込まれていないのであります。
チェルノブイリ事故では,30キロの範囲の住民が避難したのでありますが,この教訓は全く生かされておりません。
チェルノブイリの影響は,住民が避難した30キロ圏に限られてはおりません。ポーランドでは,子供にヨウ素剤が配布され,戸外の牧草で飼育されている牛の牛乳は販売禁止となり,オーストリアでも,大気汚染が落ち着いたという時期に,雨水汚染により露地栽培の野菜が販売禁止になるなど,その被害はきわめて広範囲に及んでいるのであります。
このような現状を見るなら,泊・札幌間の60キロメートルという距離は,まるで隣り合わせと言えるぼど近いのでありますから,泊原発に事故が起きた場合に影響を受け,しかも,160万という多数の市民の命と安全を脅かされる札幌市の市長として,
緊急医療対策,避難対策,防災対策を具体的に盛り込んだ防災計画,しかも,本市をも含めた防災計画の確立を国や道に要求すべきと考えますが,いかがでありましょうかお尋ねいたします。
次に市営住宅の家賃の値上げについて質問いたします。
板垣市長は昨年11月14日,
市営住宅管理問題協議会設置要綱を決定し,委員10名から成る協議会を12月12日発足させました。この協議会の委員には,当事者である2万1,000戸市営住宅に入居の代表が1人も入らず,逆に大家の側の札幌市
アパート業協同組合の専務理事,
北海道住宅供給公社の専務理事が委嘱されているのであります。
この協議会は,市長から「家賃の適正化についての諮問を受けて,11回にわたる会議や視察を行ってきましたが,入居者から家賃の値上げについて事情聴取することは全く行わず,54年度建設以前の市営住宅を対象にして,1種6,000円,2種5,000円を限度に値上げする,今後も定期的に見直すこと,すなわち,他の使用料・手数料などと同じように4年サイクルでの値上げを迫る内容にするとの答申を出しております。
その答申を受けた建築局は,
計画修善等維持管理費に充てることを目的に,
具体的家賃の値上げを準備を進め,
値上げ上限額を答申よりもそれぞれ1,000円ずつ引き下げたとはいえ,1種で5,000円,2種で4,000円の値上げを内容とする
補正予算案を今議会に提案しているのであります。平均で1種は15.56%,2種18.94%と,より所得の少ない層を対象とする2種住宅の値上げ幅を高くしております。わが党は,このような市営住宅の家賃の値上げは断じて容認できないところであります。
市営住宅は,
公営住宅法の第1条で言う「健康で文化的な生活を営む」に足りる住宅を建設し,住宅に困窮する低所得者に対して,低廉な家賃で公営住宅を提供することにより,国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的としているのでありますが,このことは,憲法第25条の生存権を
住宅サイドから保障したものであります。また,月額家賃の決定方法についても,公住法第12条で原価主義が定められ,さらに,家賃の値上げについても,公住法第13条の項で厳密に定められております。
その一つは,物価の変動に伴い家賃を変更する場合であります。
前回の
家賃値上げの規則改定は50年12月でありましたが,空き住宅の入居者から適用され,以前からの入居者には,
空き住宅入居者が5割を超えた時点の59年1月からであります。すなわち,値上げは59年1月であります。
前回値上げからわずか4年しかたっておらず,しかも,この間の本市の
消費者物価指数を見ると,市の
消費者センターの発表で,59年を100として61年は102.3%でありましたが,62年は円高・原油安を受けて102.0%に低下してきており,家賃を値上げしなければならないような物価変動は生じておりません。
第2項の「
市営住宅相互間の家賃に均衡上必要があるとき」の項について見れば,現在建集中の
麻生団地募集内容によると,第1種3LDK5万2,900円,3DK5万2,400円と,
公営住宅法の「低廉な家賃」からほど遠い値段となっております。もみじ台の
ダブル団地や光星の新築団地など,近年の高家賃の住宅は募集しても応募者がなく,空き住宅になっているのが実態であります。
入居上限の4人世帯で年収336万円程度の人にはとうてい入居できない家賃となっているのでありますから,家賃の適正化というのであれば,川崎市や横浜・名古屋・京都・広島・福岡市などがとっているように,
政策家賃制度を導入し,高家賃化している近年の
市営住宅家賃を引き下げるべきであります。
第3号の「公営住宅に改良を施したとき」というのであれば,いままでも,団地内の通路が舗装された,木製の窓枠がアルミサッシ化された,あるいは水洗トイレに改良されたなど,その都度相応の家賃が引き上げられてきているのであります。
また,修繕について言うならば,
公営住宅法第15条で,「遅滞なく修繕しなければならない」と定められております。ところが,真っ赤にさびた郵便受,外壁も部分塗りで薄汚く,しかも4色にもなっている住宅が放置され,便器も留め金が腐食し,移動して歩くような状況になっているのが現実であります。
次に,空き住宅による
家賃減収分,建てかえ等による減収分などは,他の入居者の責任に転嫁できるものではありません。これは市長が行政的に措置するべきものであります。
さらに,市営住宅の新設戸数も47・48年をピークに年々低下し,修繕費がかからない新設分が少なく,修繕費がかさむ古い住宅の比率が相対的に高まってきているのであります。
また,
市営住宅家賃の中に,原価主義で積算されている土地を使って,
住宅管理公社の収益事業である
駐車場事業が行われておりますが,土地代を入居者の家賃で負担させながら,そこで事業を行って,57年度から61年度までの5ヵ年間だけでも,
駐車場事業での内部留保は3億8,000万円にも上っております。これなどは,市営住宅の修繕など
住宅管理費に使用すべきでありますし,
市営住宅整備基金もすでに19億2,700万円となっており,これを取り崩して,法15条に基づく修繕を速やかに実施すべきであります。
以上,るる述べてきたとおり,家賃の値上げなどはせずに,速やかに修繕を行うことを強く求めて,以下3点の質問を行います。
質問の第1は,
住宅管理問題協議会についてであります。
まず,この協議会に
市営住宅入居者の代表をなぜ参加させなかったのか,明快な答弁を求めます。また,協議会が
家賃値上げ問題にかかわって,入居者から意見・意向をどのように把握されたのかお示しを願います。
さらに,建築局としても,
値上げ原案を発表したとき,入居者の意向をどのように把握されたのかお示し願います。
質問の第2は,家賃の値上げについてであります。
私は,
公営住宅法第13条の1項で家賃の変更について厳密に規定していることを前段で明らかにしながら,今回の
値上げ理由がどの項にも当てはまらず,不当であることを述べてきたところであります。根拠が明確でない家賃の値上げ案は撤回すべきであると考えますが,市長のご見解をお示し願います。
さらに,市営住宅の入居者の収入や所得状況など,家計の実態をどのように把握されたのか,市長のご所見をお伺いいたします。
質問の第3は,市営住宅の修繕についてであります。
いま入居者から,「畳の取りかえが14年から20年,室内塗装が18年以上となっている。計画修繕をもっと早めてほしい。」という強い要望が出されております。空き住宅による
家賃減収分を行政的に措置することや,
駐車場事業で生まれている5年間の内部留保3億8,000万円,さらに
市営住宅整備基金19億円を年次計画で取り崩し,修繕費に充てるならば,入居者の要望に沿った計画修繕も速やかにできるのであります。入居者の負担をふやさずに速やかに修繕すべきであると考えますが,いかがでありましょうか,市長のご所見をお伺いいたします。
次に,婦人問題について質問いたします。
昭和59年3月に策定されました本市の「女性のための計画」の冒頭でも,市長は,「婦人問題は,長い歴史の中で培われた日常的な慣習,規範,諸制度の中に深く内在するものが多く,社会には,いまもなお性によって男女の役割を固定的に考える風潮や,女性の能力・適性に対する誤った認識が残っているため,女性が一人の人間としてその能力を発揮できる条件は必ずしも十分整っているとは言えない状況が見られます。」と指摘しておりますし,「62年度婦人施策の概要」の冒頭でも,「国連婦人の10年を経て,これから21世紀に向けては,制度上のみならず,実質的な女性の地位向上を回り,女性がその能力を十分に発揮し,男性と平等な立場で社会に貢献でき得る状況をつくっていくことが必要です。」と強調されております。
そこで,本市の「女性のための10年計画」の中間年に差しかかった今日。この計画の遂行状況をどのように認識し,今後どのように推進しようとしているのか,以下3点の質問をいたします。
質問の第1は,男女平等教育の推進についてであります。
「男は仕事,女は家庭」という男女の固定的役割分担を取り払い,憲法で保障されている基本的人権の尊重と両性の本質的平等を保障していく上で,学校教育における男女平等教育の果たす役割は大変大きいものがあると考えます。
本市におきましても,62年3月に教師用の「男女平等教育指導資料」が小・中・高校向けに作成され,また,63年3月には,中学生用副読本「むすぶ心,ひろがる未来」が全中学校に各50冊分ほど配布されておりますが,大変少ないと言わざるを得ません。これらの資料が学校現場においてどのように活用されているのか,また,教師や生徒の意識の変革がどのように図られているのかお尋ねをいたします。
さらに,今日,中学生を持つ母親は,パートなども含め,働く婦人が過半数を占めているにもかかわらず,副読本の中の母親の家事労働のパターンとして,専業主婦を例に挙げているのは実態に合わないし,また,家族の家事役割分担の趣旨からも外れると考えますが,この点について,市長並びに教育長はどのように認識されているのかお尋ねをいたします。
次に,中学・高校における家庭科の男女が共に学ぶ,いわゆる共修についてであります。
男女が協力して家庭生活を築いていくためにも,家事,育児など家庭生活にかかわる基本的な知識や技術は,一人の生活者として男女ともに必要であり,女性の社会参加が進む中で,従来とは違った新しい家庭像や家族関係が生まれてくるのは当然であり,共働き家庭では,すでに新しい男女の関係,すなわち男女がともに社会に参加し,ともに家事・育児の役割分担をする傾向が強まってきております。
昨年5月に策定された,政府の「西暦2000年に向けての新国内行動計画」の中でも強調されておりますように,高等学校における「家庭一般」を男女とも必修とするとともに,中学校における「技術・家庭科」の相互履修の促進を図るべきであると考えます。
本市の中学校における技術・家庭科の男女相互履修の実態は,男子が食物,住居,保育について学び,女子が木材加工,電気,機械などについて学んでおりますが,男子の85%,女子の67%が1領域のみの履修となっております。
本市においても,男子が4領域の家庭科を学んでいる学校が2校,女子が5領域の技術を学んでいる学校が1校ありますので,これらの経験を広げ,全市的にも相互履修の促進を図るべきと考えますが,いかがでありましょうかお尋ねをいたします。
質問の第2は,男女平等意識の啓発についてであります。
男女平等教育指導資料高等学枚編の指導上の配慮事項の中で,「男子にあっては,ともすれば女性の地位向上は女の問題であり,男子には関係ないとして無関心を装い,沈黙を守り,傍観を決め込むケースが見られる。従来家庭生活中心であった女性の社会参加が進行すれば,自然的に男性の家庭参加の度合いも増し,家事,育児の平等分担に向けて役割分担の流動化が起こる。そこでは,妻子のために働くという伝統的な男の生きがい,価値観もその見直しが迫られるようになる。その意味で,男女平等教育は,女子だけではなく,男子にも深くかかわってくることを認識させ男子自身も主体的に取り組んでいかなければならないことを理解させる必要がある。」と強調されておりますが,学校教育はもちろんのこと,一般社会においても,女性の意識啓発にのみならず,男性も含めた意識啓発が必要であると考えます。
52年度以降取り組んできた「女性のための講演会」は,近年,会場の市民会館があふれるほどの参加と聞いておりますし,61年度から取り組んでいる「計画推進懇談会」にも,男性の参加を試みるなど,一定の前進は見られますが,今後一層の男女平等の意識啓発を図るためには,「女性のための講演会」に男性の参加も呼びかけ,ともに考える機会を設けるとか,61年から年1回発行している啓発誌「さっぽろの女性」は,年3,000部発行では少な過ぎますので,せめて1万部以上の発行を目指すとか,「広報さっぽろ」に啓発記事を掲載するなど,広く市民を対象にした対策も必要と考えますが,いかがでありましょうかお尋ねをいたします。
質問の第3は,女性の登用についてであります。
女子差別撤廃条約は,あらゆる分野への女性の参加が社会の発展と平和の確保にとって必要であること,中でも,政策決定の場への女性の参加を強調しております。
本市の各種審議会等への女性登用は,59年11.8%に比べ,4年間連続後退し,62年度は9.5%まで下がり,10年計画の方針とは逆行した傾向になっていたのはなぜなのか。また,63年度はやっと10.2%と上向き傾向にはなってはきていますが,10年計画終了時の到達目標をどこに置いているのか。それに至る具体的方策についてお尋ねをいたします。
次に,市職員の女性役職者は,63年度から初めて女性局長が誕生するなどの前進は見られますが,過去5年間で係長以上の役職者は,延べ人数で12名の増,割合にして0.1%の伸びにしかすぎません。現在130名の女性幹部のうち,独身者は36.2%おり,生き方の選択として,「仕事か家庭か」の選択を余儀なくされた傾向も見られます。
また,一般職における係長試験の受験率は,有資格者のうち,男性64.6%に対し,女性8.9%と7分の1以下の割合であります。係長試験を受けなければ当然役職者への道は閉ざされ,したがって,女性幹部の積極的登用へもつながっていきません。係長試験の受験資格年齢はおおむね30歳前後でありますから,既婚女性であれば,ちょうど子育て真っ最中であり,仕事と家庭の両立,さらには学習の時間の確保が必要であります。女性幹部登用に当たっては,家庭や子供,両親の世話など,女性が抱える諸問題を個人の責任にのみ負わせることなく,条件整備が必要であると考えます。
市長は従前から,男女の区別なく,能力や適性に応じて登用してきているとの考え方を示しておられますが,女性が能力や適性を発揮するための条件整備をどのように図られようとしておられるのか。また,積極的登用をどのように図ろうとしておられるのかお聞かせ願います。
次に,教育問題について質問いたします。
どの子もしっかりと必要な基礎学力を身につけさせてほしい,せめて高校教育までは,希望する子がすべて入学できるようにしてほしい,年々多くなる父母負担を軽減してほしいなどは,父母の共通した願いであります。
小学校3・4年くらいになりますと,わが子が学校の授業についていけるかどうか不安になり,高学年になりますと,英語や算数などの塾通いが始まり,中学に入学すると一層ふえております。
本市の62年度の調査では,小学校で21.3%,中学校で38.9%となっており,さらに家庭教師などを含めると,中学校では,約半数の生徒が高い月謝を払って学習している実態があります。さらに,小学生のうちから高校入学のことが話題になり,中学校では,進学をめぐる深刻な悩みが顕在化しているのであります。
高校教育における見事なまでのランク差,公私間の格差など,いわゆる輪切りの教育の体制の中で,子供たちは早くから,「できる子・できない子」のレッテルを張られ,学習への意欲や友情を育てる機会を奪われております。とりわけ,高校への進学率が94%を超えた現在,進学を希望しながら,どこの高校にも入学できなかった子供と父母の精神的苦痛は深刻であります。子供たちが一日の大半を過ごす学校が,楽しく生き生きとしたものであり,何よりも小・中・高一貫して必要な学力,体力,市民道徳などをしっかり身につけさせる場であってほしいと多くの市民が願っております。教師もまた,学校現場で,子供の健やかな成長をはぐくむため努力しておりますが,憲法と教育基本法の精神を歪曲してきた歴代自民党政府の文教政策のもとで,大変な苦労を余儀なくされており,その改善を要求しているのであります。
以上の観点から,以下6点の質問をいたします。
質問の第1は,父母や児童の学力についての切実な願いと当面の文教政策とのかかわりについてであります。
わが党の反対を押し切って国会で一部可決された臨教審関連6法案は,子供と教師を切り離し,教師のランクづけで教師集団を分断するなど,これらの悩みや苦しみを一層助長こそすれ,どこから見ても解決策にはなっていないのでありますが,教育の現場におけるこのような子供の悩み,父母・教師の苦しみをどのように受けとめておられるのか。これら6法案によって一層悪化させられるとお考えにならないのかどうかお尋ねをいたします。
さらに東郷平八郎を改めて教科書に登場させる文部省の動きや,奥野前国土庁長官の侵略戦争を美化する発言など,憲法と教育基本法が明確に否定した戦前の軍国主義教育の復活の動きが懸念され,国民的批判が出ているのであります。この一連の動きを市長並びに教育長はどのように考えておられるのか,ご見解を伺うものであります。
質問の第2は,すし詰め学級の解消についてであります。
今年度から,年度途中での学級編制替えの弊害を取り除くために,5月1日学級編制をやめ,4月編制が実施されております。しかし,現在,40人学級になっている小学1年から3年について言えば,4月1日調査と4月10日調査において,1学級当たり2名までの増減は基準内として認めるということで,たとえば5学級の学年であれば,10名増までは学級をふやさないという措置をとっており,これは40人学級の完全実施に逆行するものであり,問題であります。
また,4月学級編制に伴い,今年度は5月1日調査で,すでに小学校で12校18学級,中学校では2校3学級が基準を超えております。わが党がかねてから指摘してきましたように,人口急増地域においては,予測される児童・生徒数の増加に合わせて,年度当初から教員を配置するよう道へ要求するとともに,札幌市独自の施策を講じて,すし詰め学級の是正を図るべきであると考えますがいかがでありましょうか,改めてお尋ねをいたします。
質問の第3は,高校問題についてであります。
63年度の高校入学対策として,道教委は石狩第2学区に1校建設しただけで学級間口と定数増で対応し,本市においても旭丘高校に2間口をふやしたのであります。いま1学年10クラスに間口がふやされた旭丘高校では,職員室を半分にしたり,社会科教室を転用して2教室をつくって対応しておりますが,従来,3年生の担任は全員職員室に机を置き,日常的に打ち合わせをしてきましたが,それもできなくなっているのであります。
また,当校では英語,数学,社会,理科などの授業は,3年になると進路に合わせて4クラスを5コースに分けて行ってきておりますが,10学級の新1年生が3年になったときには,従来どおりの授業の展開が難しいなどの不安が生じております。このように旭丘高校では,わが党が昨年来指摘してきたように,間ロ増による新たな問題が発生し,勉学に励む生徒にとっても教師にとっても,教育現場にふさわしくない状況が拡大しているのであります。65年度がピークと言われている札幌市での中卒者の状況から見て,来年度は今年度以上に矛盾を激化させることは疑いありません。
昨年の第4回定例会でのわが党の生駒議員の,間口増や学級定数増という小手先の対策では教育現場に矛盾が深まるばかりであるので,道立高校を増設すること,あわせて市立高校を建設してでも対応すべきとの指摘に対し,当時の松村教育長は,「間ロ増という措置はあくまでも63年度に限る応急措置であり,次年度以降は,道の責任において新設校等を含む収容対策を講ずるよう,強く強く要請する」との答弁を行ったところであります。
そこで伺いますが,旭丘高校の実態からも,教育長答弁のあくまでも63年度限りとの趣旨からも,応急措置はあり得ないわけですが,道教委に対してどのような要請をしてきたのか,その内容も含めて明らかにしていただきたいのであります。あわせて,その結果,来年度以降の中卒者急増対策はどのような見通しとなっているのか,明らかにしていただきたいのであります。
質問の第4は,学校プール建設についてであります。
本市のプール設置率は,小学校49.7%,中学校31.8%であり,5年計画でも,毎年10基のプールを建設し,当面3校利用を解消すると聞いておりますが,小学校では,プールの有無にかかわらず授業を行っており,学校間格差の是正が急がれております。すなわち,プール保有校では,最高1年に10ないし15回の授業が行われているのに比べ,未保有校では最低1ないし2回と大変少なく,大きな格差が生じております。
学校に上がってわが子が初めてプール授業を受けて帰ってきたときの生き生きと楽しい報告を聞くにつけ,自分の学校にもプールがあったなら,もっと多くの授業が受けることができるのにと語った父母の声にも代表されるように,子供たちの多くはプールが大好きであります。また,体力づくりの面からも,水泳授業の充実を強く求めるものであります。
すなわち,授業に組み込まれております小学校において,いつごろまでに100%設置を目指すのか,そのために未設置校の調査・分析を行い,土地の取得など具体的な方策を持ち,年次計画の促進を図るべきであると考えますが,ご所見をお伺いいたします。
また,中学校においては,未保有校では全く水泳授業が行われておらず,学校間格差は,小学校に比べ一層著しいものがあります。公教育の機会均等の観点から大きく外れているこの現状を,市長並びに教育長はどのように認識されているのか,今後どのように改善を図ろうとしているのかお尋ねいたします。
質問の第5は,中学校の完全給食についてであります。
本市の学校給食事業は,学校における教育活動の一環として位置づけられ,小学校では100%実施,中学校でも77.6%実施され,あと残りは19校のみとなりました。わが党はかねてから,中学校における完全給食実施を強く求めてきたところでありますが,さきの第1定例会でも,現行の方針,すなわち,増改築計画あるいは新設分離に伴う校舎の改修計画に合わせて実施するというだけでなく,新たな方策を施し,5年計画で100%実施すべきであることを指摘したところであります。残りが少なくなればなるほど,未実施校の不公平感は大きくなり,昨年に引き続き,完全給食を求める請願・陳情が議会に提出され,過日の文教常任委員会でも4件の初審査が行われたところであります。
この審査の中でも明らかになりましたように,5年計画の終了時においてもなお残りそうだと言われる数校につきましては,東区の北栄中,西区の稲陵中など,具体的にわかるわけですから,これらの学校についても早急に対応策を立て,5年計画の中で100%実施を実現し,市民の期待にこたえるべきであると考えますが,市長並びに教育長の明快なる答弁を求めるものであります。
質問の第6は,父母負担の軽減についてであります。
義務教育は無償とする教育基本法の精神とは裏腹に,年々父母負担が大きくなる傾向にあります。
62年度の本市の調べでも,副読本,ワークブック代など,教材費だけでも小学校1年で6,732円,中学校1年で1万8,413円になっておりますが,実際にはこれ以上にかかっており,とりわけ新入学の場合には,制服,机,ランドセルなど10万以上の経費が新たにかかり,子供が3ないし4人いる家庭では,4月だけでも小中学校に20万,30万の支出を余儀なくされ,家計に大きな影響を与えております。
また,中学校における部活動の父母負担についてでありますが,本市におきましては,中学校85校すべてで部活動が行われておりますが,多くの中学校で,体育文化振興会の名のもとに,平均で年2,000円から2,500円,高いところでは年3,500円の会費を父母から集め,部活動の経費に充てております。私の調べたところによりますと,これら振興会の会費は,部活の備品代,消耗品代,顧問の先生への日祭日手当や交通費等に使われております。
本市の中学校における部活動加入率は,平均で53から56%,過半数を超え,多いところでは9割近くが加入している学校もあります。義務教育は無償という基本的立場に立つならば,小中学校教育における必要な教材,副読本,ワーク代などや部活動に必要な経費は,公費で負担すべきものであると考えますが,いかかでありましょうかお尋ねいたします。
さらに,就学援助制度は61年度から改悪され,認定基準が生保世帯の1.1倍,マイホーム・マイカー保有世帯は1.05倍に引き下げられ,大変低く抑えられているのであります。わが党は,これまでも基準引き下げには反対してきたところでありますが,父母負担の軽減を図るために,特別基準の廃止や認定基準の引き上げを求めるものであります。
また,中学校における給食扶助費は,完全給食校月3,350円に対し,ミルク校は月500円となっており,行政の都合で給食を実施していないミルク校の生徒が不利益をこうむっているのであります。
こうした不公平を是正するためにも,完全給食の100%実施を強く求めるとともに,当面格差の是正を求めるものでありますが,市長並びに教育長のご見解をお伺いいたします。
最後に,環境問題について質問いたします。
まず,スパイクタイヤの規制についてであります。
車粉問題が大きな社会問題となってきた中で,粘り強い市民運動を背景に,スパイクタイヤ規制が強化され,62年4月1日からは本市の条例による対策がとられてきたことはご承知のとおりであります。こうした中で6月2日,国の公害等調整委員会で,65年度末までにスパイクタイヤの製造販売を中止するとの調停が成立したことは,脱スパイク,車粉公害追放を願う市民にとって画期的な意義を持つものであり,その内容は,本市に条例制定を求めた市民の直接請求の内容と全く合致するものであります。
調停の成立を歓迎する談話を発表している市長が,皮肉なことに実は昨年2月にこの直接請求を拒否していたことに,社会の変化,時代の進歩の速さを痛感するものでありますが,とにもかくにも,来年4月以降の条例見直しを間近に控えている本市としては,こうした製造販売中止の調停成立を踏まえて,スパイクタイヤの全面禁止に向けた本格的対策が求められているのであります。
そこでお尋ねいたしますが,64年4月以降の条例規制の内容の見直し,規制強化は1シーズン後であり,製造販売中止も2シーズン後に追っておりますから,除排雪の強化,坂道のロードヒーティングの増設など,全面禁止に向けた条件整備を具体的,抜本的に,しかも財源的な裏づけを持って急いで推進しなければならないと考えるものでありますが,どのように取り組んでいくのか,市長の具体的な方針をお示し願いたいのであります。
また,スパイクタイヤをスタッドレスタイヤに全面的に切りかえるためには,現在普及率27%のスタッドレスタイヤの普及を飛躍的に高めなければならないのでありますが,現在の4万人モニター作戦の規模をどう拡大するのかを含めた具体的な方策についてお尋ねをいたします。
64年4月以降の条例規制の内容の見直し,規制強化の内容は,当然65年度までの製造・販売中止の動きを前提とし,しかも,罰則も含む強い規制内容とすべきと考えますが,いかがでありましょうか。また,他市町村からの流入車対策のためには,全道的・広域的な対策が必要となっていますが,道条例の規定では,来年の冬に向けた取り組みになっているやに聞いております。それでは遅過ぎます。ことしの冬には間に合うように道に働きかけるべきと考えますが,いかがでありましょうか。
あわせて韓国産スパイクタイヤなど輸入タイヤ対策を,財政措置も含めて,国に法制化など新たな対策を求めるべきと考えますが,いかがでありましょうか。市長の見解並びに対処方針をお示し願います。
次に,いま問題となっているギャソブル施設,すなわち,清田地区に進出しようとしている場外舟券売り場の問題についてであります。
この問題で地元住民から強い反対の声が上がり,地元町内会が住民投票を行い,圧倒的多数で反対の態度を固め,また,地区青少年育成委員会及び豊平区青少年育成委員会連絡協議会も反対決議を上げていることは,ギャンブル施設の進出によって,教育環境が侵され,生活環境が破壊されることを心配する地域住民の当然の対応と考えるものであります。
こうした住民の願いにこたえるために,いま重要なことは,市長があらゆる手だてをとって,場外舟券売り場の設置申請の手続がとられないうちに計画の中止,断念に追い込むことであります。そのために,施行者としての資格もないのに,郊外の住宅地域にいらぬ混乱を引き起こしている富士観光株式会社に警告を行うとともに,本市の強い反対の意志を伝え,市長が行政指導によってギャンブル施設の建設にストップをかけ,地域住民,ひいては札幌市民の願いにこたえるべきであると考えますが,いかがでありましょうか。
また,舟券売り場の設置を決めないまま,まずレジャー施設を建設し,その後,時を見計らって売り場を潜り込ませてくることについても警戒しなければならないと考えますが,このようなこそくな手段を許さないためにも,市長は,未然に計画の中止,断念に追い込むための行動をとるべきと考えますが,いかがでありましょうかお尋ねをいたします。
以上で,私のすべての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(吉野晃司君) 答弁を求めます。板垣市長。
◎市長(板垣武四君) まず,第1点目の平和問題についてでございますが,私の基本的な考え方につきましては,これまで再三,議会で申し上げているところでございます。
核兵器の早期廃絶を含めました平和を求める強い気持ちは,札幌市民はもとより,全国民の一致した気持ちであろうと考えておりますし,私もまた,多くの市民と同様に,平和に対する願いを強く持っているものでございます。
また,核兵器の廃絶を含めました市民の平和への願いや,あるいは国際平和への貢献という事柄は,宣言という形式を踏むか否かによっていささかも変わるものではないと考えております。
次に,第2点目の新型間接税についてでございますが,税制改革につきましては,直間比率の問題,不公平税制の問題,さらには国と地方の財源配分の問題等いろいろございまして,何らかの見直しが必要であると考えているところであります。
ところで,この問題につきましては,現在,国政の場で論議されているところでございまして,各業界,団体などからもさまざまな考え方が表明されていることは承知をいたしております。また,地方財政にとりましても,大幅な減税により少なからぬ影響も考えられますので,その財源補てんにつきまして,
地方公共団体としての要望も行っているところでございます。
いずれにいたしましても,私は,この種の税の導入につきましては,さきの議会でもご答弁申し上げておりますとおり,国民の理解と協力が何よりも大切であると考えております。したがいまして,今後,各界各層の意見に十分配慮した上で,国民が納得できる結論が得られるように強く望んでいるところでございます。
第3点目の泊原発の問題についてでございますが,一昨日,伊与部議員の質問に対しましてお答えを申し上げたとおりでございまして,原子力行政につきましては,国及び道がこの施策を進めるに当たって,十分な配慮を持って進めているものと考えております。したがいまして,特に運転中止及び防災計画についての申し入れにつきましては考えておりませんけれども,私としても,大きな関心を持って,国及び道の今後の対応を十分注目をしてまいりたいと考えております。
次に,市営佳宅の問題についてでございます。
第1点目の札幌市営
住宅管理問題協議会に関するご質問につきまして,まとめてお答えを申し上げます。
市営
住宅管理問題協議会は,市営住宅管理のあり方について,公平な立場で大所高所からご審議をいただくために,学識経験者,消費者団体,婦人団体等,市民各層の代表の方々にその構成員となっていただいたものでございまして,むしろ利害関係者を除いたほうが,より公正な判断を下せるものと考えたものでございます。
同協議会には,入居代表者という資格で委員になっていただいた方はおりませんけれども,自治会長から意見を聴取し,さらに現地において,自治会役員及び入居者の方々から住宅管理等についてご意見を伺うなど,入居者の実態の把握に努め,今回の答申がなされたものと考えております。
また,本市といたしましても,今回の家賃の改定に当たりましては,入居者の負担,生活実態等を考慮したことで,入居者の意向を反映できるものと考え,可能な限りの緩和措置を講じたものでございます。
第2点目の家賃の改定についてでありますが,今回の家賃適正化は,昭和50年以来の改定となるものでございまして,この間の物価上昇率は55%に達していること等によって,修繕費の確保が困難な状態にありますこと,
市営住宅相互間の家賃の不均衡が生じておりますこと,まさに
公営住宅法第13条第1項の第1号及び第2号の要件に該当するものだと解釈をいたしております。
また,入居者の所得等の実態の把握についてでございますが,入居後3年を経過いたしますと,その入居者について毎年所得調査を実施をして,その把握に努めております。
第3点目の修繕の問題についてでございますが,現時点では,修繕に要する物価等の上昇から,改定対象となる住宅について,その維持管理に著しく支障を来たしております。したがいまして,その家賃につきましては,入居者の受益に応じて,必要最小限の負担をお願いしようとするものでございます。
また,入居者と入居したくても入居できない人との負担の公平を図るという見地からも,受益をする範囲内での最小限の改定は必要なものであると考えるものでございます。
そこで,今回の増収分につきましては,修繕費としてこれらの入居者に優先的に還元するものであり,空き家住宅による減収補てんに増収分を充てるものではございません。
また,財団法人札幌市
住宅管理公社が自主事業として行っております駐車場の減価償却費の内部保留資金を修繕に充ててはとのご意見でございますが,今後の駐車場整備引き当てという使用目的がありまして,これを修繕に運用するということは好ましいことではないと考えております。
さらに,市営住宅の整備基金の運用について,議会からの要請もあり,利息の一部を取り崩し,断熱改修に充てております。
次に,婦人問題についてのご質問でありますが,その第1点目は後で教育長からご答弁を申し上げることになりますが,私は,その第2点目の男女平等意識の啓発についてご答弁を申し上げます。
本市といたしましては,「札幌市女性のための計画」の中でも,固定的な役割分担意識の是正を図るための啓発活動を重要な施策の一つとして位置づけているところでございます。
その活動の一環として,第1に,女性のための講演会やフォーラムにつきましては,これまで少ないながら男性の参加もございましたが,ご指摘のとおり,より多くの男性の参加が図られるよう,PRなどに工夫を凝らしてまいりたいと考えております。
第2に,婦人問題をテーマにしたグラフ誌「さっぽろの女性」につきましては,今年度の第4号は,これまでの発行部数の3倍強の1万部を発行して,その内容には,男性の視点も盛り込んだ誌面づくりを考えております。
第3に,広報さっぽろにつきましては,本年5月号から,「井戸端会議リレー訪問」欄で女性のサークル活動を紹介し,それを通じて啓発に努めているところでございます。
次に,3点目の女性の登用についてでございますが,第1に,審議会等における女性の登用率が,ご指摘のとおり,一時的に減少した理由につきましては,女性委員が比較的多く含まれていた各種審議会等が,その間に統廃合されたためでございます。今後,女性の登用を進めるに当たり,審議会等の改選期には,女性の意見を反映できるよう積極的に登用を進め,「札幌市女性のための計画」の最終年度に当たります昭和68年度までに,その登用率をおおむね15%まで引き上げて,より広い分野で女性が活動,活躍できるように配慮をしてまいりたいと考えております。
第2に,役職への登用につきましては,従来から男女の区別なく,能力や適性に応じて行っているところでございます。指定都市の管理職に占める女子職員の割合を見ますと,札幌市は多いほうでございまして,大阪市,名古屋市に続いて第3位になっております。また,女性部長職につきましては,5年前に比べて倍増をしているところでございます。今後とも,女子職員の意識の高揚を図るとともに,研修への参加等,職場環境づくりを行うなどして,積極的に登用を図ってまいりたいと考えております。
次に,環境問題についてでございます。
まず,1点目のスパイクタイヤの規制についてでございますが,このたびのスパイクタイヤの製造及び販売を中止するとの調停結果につきましては,市条例の制定を初め,市民とともに対策を進めてきたことが実を結んだものと大いに歓迎し,今後の対策に反映してまいる考えでございます。
本市といたしましては,冬道の路面整備,安全運転対策などをより充実していく一方,雪対策推進研究会からのご提案を受けて,総合的な雪対策のあり方についても計画を進めてまいる考えでございます。
スタッドレスタイヤの普及につきましては,今年度はモニターの応募が相当程度に達することも予想され,本市といたしましても一層努力しながら,波及効果も合わせ,より普及を高めていく考えでございます。
また,明年度の条例見直しについてでございますが,本市の従来からの考え方であります反則金制度の導入を,その所管いたします北海道公安委員会に要請をしてまいりますとともに,道,道警等の関係機関とも十分に協議をし,また,市民の方々の意向も酌みながら,規制内容の強化を図ってまいりたいと考えております。
ご指摘のとおり,対策の推進には広域的な取り組みがぜひ必要であり,これまでも,輸入スパイクタイヤ対策を含めた法制化及び財政措置,道条例の早期制定等について,国及び道に対し要望してきたところでございますが,このたびの調停を生かすためにも,一層強く働きかけてまいりたいと考えております。
第2点目の清田地区の場外舟券売り場の問題についてでございます。
本市の考え方につきましては,一昨日,伊与部議員の質問にお答えを申し上げたとおりでございます。法的には,ご指摘のような,富士観光株式会社を直接指導するという立場にはございませんけれども,地元住民の意向及び議会での請願・陳情の審議経過を踏まえ,必要な対応をしてまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(吉野晃司君) 荒井教育長。
◎教育長(荒井徹君) 私から,初めに教育行政についてお答えをいたします。
第1点目の文教政策のうち,まず臨教審関連6法案については,すでに可決または継続審議となっておりますが,これらは,教育の現状を踏まえ,時代の進展に対応し得る教育の改革を推進するため,国民各界各層の意見を反映し,教育基本法の精神を踏まえて審議された臨時教育審議会の答申を受けて国会に提出されたものと考えております。したがって,国会の審議を経て成案に至ったものについては,当然遵守されるべきものと考えております。
次に,軍国主義教育復活の懸念についてでありますが,わが国の教育は,教育基本法に定められているとおり,人格の完成を目指し,平和的な国家社会の形成者を育成することを期してこれまでも行われてきており,今後もそのように努めていかなければならないと考えております。
第2点目の,学級編制についてでありますが,昨年までの学級編制基準日は,国の学校基本調査日の5月1日に合わせて行っておりましたが,年度の途中で編制替えをしなければならないこともあり,本年度からは,4月1目に基準日が改善され,学校や父母から高く評価されているところでございます。しかし,本市のように4月上旬に人口の変動が大きい地域では,入学日,始業日に基準を超える状況が生ずることもあり,道教委においてこれを考慮し,補正する意味で,40人学級については,4月10日を調整日としたわけでございます。
補正は,編制替えによる教育上の種々の問題を最小限にとどめるため,1クラス当たり2名以内の増減の調整幅を設けたものであり,本市のような場合には,やむを得ないものと考えております。
いずれにいたしましても,これらの措置は,都道府県単位で定めるものであり,さらに改善に向けて道教委と協議してまいりたいと考えております。
また,増加があらかじめ予測される場合の教員配置につきましては,これも道教委に強く要望をしてまいりたいと思います。
第3点目の高校問題についてでありますが,ご指摘のとおり,63年度の中卒者の急増対策として,旭丘高校にやむを得ず2間口を増設したとどろでございます。この措置は,あくまで63年度に限る臨時的応急措置として受け入れたものであります。
ご承知のとおり,公立高等学校の設置は,都道府県の責任において措置すべきことであり,本市といたしましては,これ以上の学級増の受け入れは,教育条件の著しい低下につながり,また,義務教育施設である小中学校を毎年新設しなければならない本市の現状から,64年度以降は道の責任において,新設校等を含む収容対策を講ぜられるよう,昨年末以来,文書等により強く要請してきたところでございます。
64年度以降の見通しにつきましては,いまのところ,道の配置計画が明らかにされておりませんが,いずれにいたしましても,以上のような本市の実情を十分説明し,今後とも強く要請してまいりたいと考えております。
第4点目の学校プールについてでありますが,従来から,共同利用や遠距離利用の緩和を目指しながら,毎年10基程度の新設計画を立て,整備を進めてきたところであります。63年度は,昨年と同様に10基の新設をすることにより,本年夏現在の設置率は,小中学校全体で44.3%となり,さらに,新5年計画では,全体で50基の新設を計画しておりますので,5年計画終了時の設置率は約55%となる予定であります。
学校プールは,1基当たりおよそ7,000万円ほどの建設費がかかりますので,今後に向けても大幅な増設を行っていくことは,財政的に非常に難しい状況にあります。しかしながら,学校プールが児童生徒の体力向上と水に対する安全教育の上で大切な教育施設であることから,今後とも学校プールの増設について,なお一層の努力をしていきたいと考えております。
第5点目の中学校の完全給食についてでありますが,さきの第1回
定例市議会においてお答えしたとおり,本市の小中学校には,今後,分離新設する必要のある学校がまだ多くございます。したがいまして,当分の間,増改築計画あるいは新設分離に伴う校舎の改修計画に合わせて,ミルク給食校の完全給食化を図ってまいりたいと考えており,5年計画の中で相当数の解消が図られるものと考えております。しかしながら,5年計画の期間の中で分離新設等が見込めず,解消されない学校が若干出ると考えられますので,これらの学校につきましては,次期5年計画の中で解消すべく,早期に検討を始めてまいりたいと考えております。
第6点目の父母負担の軽減についてであります。
まず,材料費や部活動にかかる経費についてでございますが,お話のありました副読本,ワーク代など個人の所有にかかわるものや,部活動のための経費で個人に還元されるものについては,父母の理解を得ながら,利益を受ける個人が負担すべきものと考えております。
次に,就学援助の認定基準についてでございますが,この制度は,経済的理由により就学が困難な場合に援助を行うもので,その対象者は,第1に,生活保護法に規定する要保護者。第2に,この要保護者に準ずる程度に困窮している世帯,に限定することが基本的な考え方であります。
また,特別限度額につきましては,住宅や自家用車の所有者は,家賃の負担がないことや維持費の負担能力があることから格差を設けているものであり,これらの基準につきましては,61年に就学援助審議会の議論を経て実施しているものであり,基準額の引き上げ及び特別限度額の廃止は考えておりません。次に,ミルク給食校における給食援助費についてでございますが,就学援助の基本は,当該学校に対して保護者が負担する実費を対象としたものでございます。したがいまして,ミルク給食実施校の生徒に対し完全給食相当の金額を援助することは,就学援助の基本に外れますので,困難であると考えております。
最後に,婦人問題についてのご質問のうち,第1点目についてお答えいたします。
男女平等教育にかかわる教師用指導資料及び副読本の活用についてでありますが,教師用資料につきましては,小・中・高等学校編を作成し,全教員に配布するとともに,各教科での指導はもとより,学校教育のすべての場で活用されるよう,機会をとらえて指導しております。また,生徒用副読本につきましても,3年間の学級指導の中で活用を進めるとともに,教員に対しては,市教委が主催する研修会の中で取り上げ,意識化を図っております。
また,家族の家事役割分担については,変わりつつある家庭生活の項で,3ページにわたり,共働き主婦の例を具体的に示し教材化しておりますので,ご指摘のようなことはないと考えております。
次に,家庭科の男女共修についてでありますが,現在,高等学校の家庭科は,「家庭一般」を女子のみ必修にしており,中学校の「技術・家庭科」における,いわゆる男女相互乗り入れは,3年間で1領域以上履修することになっておりまして,本市中学校の履修状況は,基準に沿ったものと考えております。
このたびの教育課程審議会の答申によれば,高等学校の家庭科については,「家庭一般」「生活技術」「生活一般」の3科目から1科目を男女すべての生徒に選択履修させることとされております。また,中学校の「技術・家庭科」については,木材加工,電気,家庭生活,食物の4領域を男女すべての生徒に履修させることになっております。この申答をもとに,現在,指導要領の改定が進められており,新しい教育課程のもとでは,男女相互履修の促進が一層図られることになると考えております。以上でございます。
○議長(吉野晃司君) ここで,およそ30分間休憩いたします。
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――――――――――――――――
休 憩 午後2時11分
再 開 午後2時41分
――
――――――――――――――――
○副議長(滝沢隆君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問の続行であります。田中昭男君。
(田中昭男君登壇・拍手)
◆田中昭男君 私は,ただいまから,民社クラブを代表し,当面する市政の問題の幾つかについて,提言を交え,質問をさせていただきます。
まず最初に,本市の将来の都市基盤整備施策の方向性と,その中における積雪寒冷対策の進め方についてお伺いをしたいと思います。
本市は,本年2月,目標年次を昭和80年とする札幌市基本構想の改定を行い,同時に,市長は,審議会の答申を得て第3次札幌市長期総合計画を策定されたところであります。この計画を力強く推し進められ,市長の言われる21世紀都市さっぽろの実現が図られるよう,私もまた,大きく期待をしているものであります。
さて,この計画の中でも述べておられますが,将来の都市基盤整備に当たっても,国際性を高める意味からも,あらゆる面で地球的な視野に立つ,国際都市にふさわしい質の高い都市環境づくりを目指しておられるわけであります。その意味で,私なりに,将来の都市基盤整備における積雪寒冷対策の位置づけを改めて考えてみたいわけであります。
本市の都市基盤整備について振り返ってみますと,過去10数年間,市長の卓越した行政手腕により,着実な進歩を見てまいりました。たとえば,市民生活に最も身近な道路,上下水道などの整備は,それぞれ大きな進展が見られますし,10数年来の懸案としての鉄道高架事業は,本年待望の完成を見るところであり,地下鉄においても,本年の東豊線開通により,現在の計画路線50キロメートルに対し,営業キロ数は39.7キロメートルと80%の達成率を見るのであります。
ここまで見事な実績を残されるに至った市長を初め関係各局の皆さんの努力に敬意を惜しむものではありませんし,今後はまた,第3次長期総合計画の中で示されているごとく,昭和80年に向けて札幌市の人口が200万人になる。今後17年間に40万人の人口増加が予想をされる。そのまちづくりに向け,そのための道路の舗装や上水道,下水道の普及といった,これまで努力されてまいりました都市基盤整備のご努力を,今後ともいただかなければならないところではあります。
しかし,私は,もちろん,こうした都市基盤整備に意を用いてこられたそのご努力に敬意を表しつつも,これまで進めてこられたこうした都市基盤整備のそれぞれの事業は,傾向として,利便性の向上に重点が置かれ,それも相当の水準に達しているものもあると考えるのであります。確かに,それぞれの事業には,今後とも予想される人口増に対して,量的な拡大を図っていかなければならない面もありますし,また,災害に強い,あるいは多様化,高度化する市民のニーズに合わせた,質の高い都市基盤施設へという方向はあろうかとは思いますが,人口の伸びにいたしましても,昭和40年代の急激な増加という先行きの見込みではないことを考えますときに,本市は,21世紀に向けて新しい都市基盤整備の展開を考えなければならない時期に来ているのではないかと思うのであります。
そうした意味で,本市が21世紀へ向けて展開すべき新しい都市基盤整備事業として,市民生活の快適性の向上に焦点を当て,特に,積雪寒冷対策を中心に据えるべきではないかと考えるのであります。その理由を,三つの側面から申し上げてみたいと思います。
その第1点は,何といいましても市民ニーズであります。
申し上げるまでもなく,積雪寒冷,特に雪対策につきましては,本市市民が行政に対する要望の中で,常に第1であることはご存じのとおりであります。しかし,この市民ニーズ一つとりましても,開闢以来120年間,行政との関係においては,大きな変化をしてきていると思うのであります。本市開闢の当時,積雪と寒冷は,市民にのしかかった運命であり,耐え忍ばざるを得ない課題であったことでしょう。ましてや,行政の場で行政の対処すべき,対処し得る課題として現実化された論議が大きく存在していたとは考えにくいところであります。これらの時代には,市民のニーズとしてあらわれようがなかったと推測するのであります。しかし,今日では,社会の発展と技術の進歩から,積雪と寒冷は,本市市民にとって,現実的に対処し得る課題であり,行政で対処すべき,対処し得る課題であると認識されるようになったればこそ,市民ニーズの第1に来ているのではないでしょうか。
2点目は,本市経済的側面から見てみたいのであります。
本市の会計規模は,本年度総額で1兆円を超えるに至りました。改めて,本市会計規模の大なるを認識せざるを得ないところであります。
さて この本市会計規模が,本市の経済活動全体の中でいかなる位置にあるかを端的に見てみますと,市内総生産の約4分の1,純生産の3分の1ぐらいに相当するものと考えております。したがって,本市の行政執行に当たっては,この本市自体の持つ経済的影響力を十分に認識し,適正に執行されることが必要であります。
このことを念頭に置いた場合,本市の都市基盤整備の方向性も,この点を認識されたものである必要があります。この意味で,積雪寒冷対策を本市都市基盤整備の中に大きく位置づけることは,それ自体が持つ新しい経済波及効果を期待し得るものでありますし,また一方,本市の産業構造が流通サービス部門に特化しておりますことを考え合わせますと,より大きな意味を持ってくるのではないかと考えるのであります。
第3点目は,技術的側面であります。
市民ニーズの側面で触れましたように,市民は,現在,積雪寒冷は現実的に対処し得ると考えているわけであります。事実,最近の各種の除雪機械やら,あるいは本市の制度を含めて,かっては考えられない技術的進歩が見られてきているのは申し上げるまでもありません。寒冷化対策も,またしかりであります。
こうしたことを考えますと,もちろん,都市基盤整備施策として考える場合,今後開発されなければならない技術的側面は大きなものがあるとは思いますが,情報産業に見られるごとく,あるいは瀬戸内大橋や青函トンネルに見られるがごとく,必要を母として生まれてきている技術のテンポは驚くべきものがあります。本市においても,ロードヒーティングや気象予測システムの研究開発に鋭意取り組んでおられるところであります。こうしたことを考えるとき,積雪寒冷対策としてのこれまでの技術的な隘路を打開できる可能性を信じてよい時代に来ているのではないかと考えます。
以上,私は,本市のこれまでの除雪等に見られる,北国大都市としての独自の課題である積雪条件及び寒冷地としての特性に関する施策への評価を行い,かつ,今後の課題について考え方を申し述べてきたところであります。そして,その解決に向けて本市が将来に向けて取り組まれる場合,積雪条件の克服,寒冷地としての新たな施策は,これまでの発想を転換し,総合的かつ多面的な積雪寒冷対策を講ずるべきであると痛感するのであります。
このような所感のもとで,本市が21世紀に向けて積雪寒冷対策という課題にいかに取り組まれようとされるか,以下ご質問をいたします。
さて,積雪寒冷という表現は,積雪と寒冷という表現にあるごとく,2種類の問題であります。国際的にも,積雪と寒冷という2種類の課題を背負っている札幌市のような例は珍しいわけでありますが,問題の性格上,以下は,積雪への対策と寒冷への対策という点に分けて,それぞれ質問させていただきます。 まず,積雪への対策についてであります。
この問題につきましては,私も,昨年の第3回定例会でも触れさせていただきましたが,雪対策研究会の検討結果を今後どう生かしていくかに尽きるかと思います。昨年の中間報告に続き,先日,雪対策研究会から最終報告書が出されました。この最終報告書が出された現在,これを今後どう行政施策に取り込んでいかれるかという点であります。
この雪対策研究会は,61年4月設置されて以来,14回に及ぶ小委員会論議を初め,アンケート調査も行われ,市民ニーズを把握しながら,21世紀を展望する長期的な視点に立った,快適な冬の都市環境づくりの一環としての雪対策事業をいかに推進するかについてご検討いただいてまいりました。現時点における本市の,将来目指すべき雪対策として,ここまで体系的・網羅的にまとめられたご努力に敬意を表する次第であります。
この報告書の今後の取り扱いについては,この報告書を参考とされて,行政上,雪さっぽろ21計画として策定をされていくと理解をいたしておりますが,流雪溝雪設備,融雪設備,雪処理設備から成る雪対策設備費のみをとっても4,500億という試算があるだけに,その取り扱いは,慎重な対応を必要とされるであろうと思われます。しかし,私としては,前段に申し述べましたように,将来の基本的都市基盤整備事業として位置づけるべきであるという観点からさらにつけ加えるならば,最近の脱スパイクという流れからも,この本報告書を「雪さっぽろ21計画」へ勇断をもって採用されるべきと考えます。
報告されました最終報告書から,「雪さっぽろ21計画」の策定に向け,どんなスタンスで臨まれようとしているのか。「雪さっぽろ21計画」の策定に向け,これからどのような内部的な取り組みをされるのか。「雪さっぽろ21計画」の策定の時期は,いつごろをめどに置いておられるのか,市長のお考えをお伺いしたいと思います。
次に,寒冷対策でございますが,これについては,エネルギー問題に関連してお伺いをいたします。
寒冷対策につきましては,私たちは,寒さに対する暖房,すなわちエネルギーを消費することによって対応する考え方が中心となっておりますが,住宅の断熱材や防寒衣料の生産などにおきましても,多量の間接エネルギーを消費することもあり,寒冷対策は,まさにエネルギー問題としてとらえるべきであります。
また,こうした寒冷対策は,単にエネルギーの大量消費によって対応するということではなく,いかに効率的・効果的にエネルギーの消費を行うか,言いかえますと,省資源の視点の対策がいかにあるべきか,あるいは,省エネルギー
都市づくりをどのように進めるかが重要な課題であることは,論をまたないところであります。
エネルギー問題につきましては,申し上げるまでもなく,過去2度にわたる石油危機に際し,わが国では,官民を挙げてエネルギー対策に取り組んだ結果,エネルギー消費効率の改善,石油代替エネルギーの開発導入など,目覚ましい進展を遂げ,本市におきましても,市民生活の安定を図るため,いち早く石油対策本部を設置するとともに,庁内の省エネルギー運動の推進や市民に対する省エネルギーの啓発など,着実に成果を上げてきております。
しかしながら,昨今の状況を見てみますと,円高傾向や原油価格の低落などにより,石油需給状況が緩和基調で推移をしていることなどから,エネルギー問題はすでに克服されたといった意見も一部に聞かれる状態ではあります。しかし,わが国のエネルギー資源は,その多くを海外に依存しており,特に,石油におきましては,その99%を輸入に頼っているという脆弱性は,そのまま継続されておりますし,それだけに,エネルギー問題は,今後とも本市にとっても,あらゆる面で大きな影響を持つ課題として注意を払っていかなければならない課題であります。
その意味で,本市が21世紀へ向けて理想的な
都市づくりを志向しなければならない中で,石油事情の緩和基調の現状にあるいまこそ,エネルギー問題に本格的に取り組むべき時期であると考えます。
国際的にこの寒冷エネルギー対策を見てみますと,たとえば,市長が提唱され,大きな成果を上げている北方都市会議がございますが,この北方都市会議におきましても,寒冷エネルギー対策が,過去3回,継続的に取り上げられていることを見ましても,北方圏都市にとりまして,この問題がいかに重要であるかを物語っていると考えます。
この北方都市会議での各都市の取り組み状況の中で報告された事例を見ますと,瀋陽市では,天皇に埋蔵されている低カロリーで高灰分の未利用褐炭を,高効率の集約化されたエネルギープラントと全市規模の熱供給システムを建設することにより,有効的に活用し,エネルギー資源の確保と省エネルギー化を達成すると同時に,環境対策にも成功している事例が報告されております。
また,ヘルシンキ市では,地域暖房の普及と燃料の多様化によって,大幅な省エネルギー化と海外依存度の改善に成功した事例が報告されております。
さらに,ポートランド市においては,総合的エネルギー政策の実施により,1995年までにエネルギー使用量を34%削減し,約10億ドルのエネルギー関連費用を節約しようとしている事例なども報告されております。
本市におきましても,各分野でエネルギー対策に積極的に取り組んできておりますが,北方圏都市のこの問題に対する取り組みにつきましては目をみはるものがあり,本市といたしましても,大きく参考とすべき点が多々あると思われます。
また一方,本市には,現在エネルギーに関連する第三セクターとして,北海道熱供給公社,北海道地域暖房,札幌エネルギー公社があり,それぞれ市の所管部局が異なっておりますが,これら事業の経営課題への対応の上からも,一元的に調整統括する組織の設置など,内部組織の強化も含め,エネルギー問題に対する総合的・抜本的な取り組みを図ることも,重要な政策課題であると考えるものであります。
こうした本市が取り組むべき寒冷エネルギー対策につきましては,すでに第3次5年計画の中で,「省エネルギー
都市づくり基本計画策定調査」を実施され,この報告書によりますと,本市のエネルギー消費構造とその将来予測,省エネ技術の開発状況と将来動向などの基礎調査に基づき,体系的施策を講ずることにより,大きな省エネルギー効果が期待されることが示されております。
また,重要施策として,廃熱利用や地域暖房の普及,各種熱利用による道路融雪,さらには,雪対策研究会の報告書でも取り上げられた都市のコンパクト化やアトリウム,スカイウェーなど,まちづくりの面における施策なども挙げられており,さらには,こうした施策は,エネルギー節減という直接的効果ばかりではなく,経済波及効果も大きく,大型プロジェクトとして本市が取り組むにふさわしい内容であることが示されております。
このような調査研究がすでに実施されていることにつきましては,本市のエネルギー問題に対する先見性を示すものとして高く評価するものでございますが,大切なことは,こうした調査研究の成果を行政にどのように反映するかということでございます。
そこで,市長にお伺いいたしますが,本市として,今後,寒冷対策としてのエネルギー問題などを通じて,省エネルギー
都市づくりについてどのように取り組んでいかれるか,市長のご所見をお伺いいたします。
次に,高齢化対策についてお伺いをいたします。
わが国の平均寿命は,近年大幅に伸び,いまや人生80年という新たな時代を迎えました。また,高齢化の状況も,世界に類例を見ないテンポで進行し,全国ベースで見ても,昭和62年段階での65歳以上の老人人口比率10.9%に対して,昭和96年,いわゆる21世紀初頭には23.6%に達すると言われ,実に,4人に1人が65歳以上という,これまでどの国も経験もしたこともない超高齢化社会へ突入するとされているのであります。
本市におきましても,昭和45年ごろより65歳以上の人口比率の上昇が始まり,全国平均値より低目に推移してきているとは申しながら,昭和75年には10.7%,昭和95年には15.5%と急速な上昇が予想されているところであります。
こうした人口の高齢化の進展は,わが国の社会経済を大きく変容させる要素として,国際化や情報化,技術革新と並んで取り上げられ,その対策が急がれているところであります。幸い,本市の場合は,市長を始め関係各局の皆さんの努力により,本市の高齢化対策に鋭意取り組んでこられた結果,たとえば特養老人ホーム,軽費老人ホームの建設あるいは各種在宅サービス事業の実施など,全国的に見ても評価を得られ得る水準と認識しております。
また,本議会においても,過去幾度も熱心な論議が展開されてきているところではありますが,私なりに,本市の高齢化対策について,数点について市長のご見解をお伺いしたいのであります。
その第1点は,非常にマクロ的で抽象的な表現になるわけですが,行政各般またはまちづくり全体の中に高齢化対策を位置づけていく必要があるわけですが,このことを行政実務ベースとしてどのように対応していくかという点であります。
イメージとして表現しづらいところがありますので,引用させていただきますが,昭和59年に本市の社会福祉審議会から,「高齢化社会に向けての札幌市高齢者対策とそのあり方について」という答申をいただいておりますが,その答申書の中に,こうあります。
「高齢化社会に対応するためには,今日の社会構造,経済組織をつくり上げている既存の制度的枠組みを超えて,すべての仕組みをその長期的展望のもとに基本的,総合的に見直していく発想のもとに,積極的に取り組んでいかなければならず,そのような施策全体の中に位置づけられた高齢化対策でなければならない。そのため,福祉,医療,住宅,教育,就労,文化,生活環境その他の生活関連サービスのみならず,産業構造,行政機構,地域社会づくり等,あらゆる分野を含め,総体的に再設計することが必要である」と表現されております。
あらゆる政策に対して,高齢者対策を位置づけることが必要である。老人福祉に関する各種の生活関連サービスのみならず,あらゆる分野を含め,再設計することが必要であるということを言っているわけであります。このことを行政として現実的にどう対応していくかということであります。お答えにくい質問かとは思いますが,市長のご所見をお伺いをいたします。
これに関連して,2点ほどに触れさせていただきます。
その第1点は,申し上げましたような趣旨を生かすべきものとして,庁内には高齢化対策連絡協議会が設置されているものと考えます。五つの分科会を設けられ,この協議の場を通じて,住宅部と福祉部とが協議をされ,麻生のケア付住宅の発想が生まれ,実現してきているわけであり,この点につきましては評価を惜しむものではありませんが,この協議会が対象とし,また期待されるものは,もっと幅広いものであろうかと考えます。活動状況がいまひとつという声もあるようですが,同協議会の今後の運営の方向性についてどのようにお考えか,お伺いをいたします。
同時に,施策の各般にわたり高齢化対策を位置づける,あるいはそれへ向けて再検討するということになりますと,全庁的あるいは全市的に,あらゆる機会に,高齢化対策,高齢化問題を想起させるような手段,方策を生み出すということも必要かと思います。
たとえば,そうした趣旨の標語を考え出すこともあるでしょうし,行政のすべてを文化の視点から見通すという,いわゆる行政の文化化に関して1%システムが論議されたことがありましたが,こうした発想の高齢化対策への転用や,あるいは,ここ数年,特に民間企業においては,いわゆるQCサークル運動が活発に展開をされております。製品の品質管理からスタートしたこの運動は,やがて,品質管埋のみならず,仕事の質の向上へ波及拡大されるところとなり,広範な職場で展開されるところとなっているわけですが,この発想を高齢化対策に生かしてみるなど,検討されるべき課題は多いのではないかと思います。ぜひ,ご検討いただきたいと思います。
その二つ目は,組織機構の問題であります。
もとより,本市においても取り組まれている高齢者対策は,広範多岐にわたっており,入所施設,利用施設から成る施設福祉対策を初め,要援護老人対策や,さらには社会参加促進対策を行う在宅福祉対策などがあるわけであります。
関係部局も民生局,衛生局を初め,各局にわたっているところですが,特に民生局内の社会部,高齢者対策部門については,本年主査1名の配置がなされたところでありますが,事務分掌にあるごとく,高齢化社会にかかわる調査研究及び総合調整に関すること,高齢化対策にかかわる関係団体等との連絡調整に関することが,どこまできめ細かくなし得るのか。
たとえば,福祉部老人福祉課との統合による総合戦力の強化を図ることはどうなのかといったことも含め,高齢化対策組織の充実についてのお考えを伺いたいと思います。
高齢化対策の大きな2点目は,在宅福祉対策の中における寝たきり老人,ひとり暮らし老人などに対する接点の充実,拡充についてであります。
本市の在宅福祉対策は,それぞれ早期より取り組まれ,20数種にもわたる各種事業,制度が展開されており,充実に向け努力がされていることは喜ばしい限りであります。
特に,現在,高齢者サービス総合調整推進会議の設置に取り組まれているとお聞きいたしております。高齢者に関する保健,福祉,医療等の各種サービスの総合的推進のため,関係部局,関係団体等との意思統一,協調関係を樹立するためとする厚生省の通達に対し,いち早く取り組まれている姿勢には敬意を表します。
現在,各区における調整委員会の設立準備中とお聞きしておりますが,早期に現場段階のモデル地区チームの設立にこぎつけられるよう期待したいと思いますが,この構想にいたしましても,寝たきり老人,ひとり暮らし老人,あるいは痴呆性老人に対する接触の充実を図ることなしには,その実効を期しがたいはずであります。
施設福祉から在宅福祉へという流れの中で,在宅における要介護者の実数と状況を,時々刻々,可能な限り正確に把握し,不断の接触のもとに,適正なサービスを提供する体制の充実こそが,在宅福祉の原点として押さえておかなければならないところと考えます。ましてや本市の場合の将来的な人口増加や高齢化の進展度合いを考慮に入れるとき,その必要性はより大きなウェートを持ってくると考えるのであります。
その意味で,日常,在宅福祉の最前戦で要介護対象者と接しておられる方々のうちで,まず家庭奉仕員と巡回相談員についてでありますが,国の補助制度としての寝たきり老人を対象とする家庭奉仕員の方々は,障害者福祉分も含め全市で74名,本市単独事業としてのひとり暮らし老人を対象とする巡回相談員の方々が全市で113名おられるわけですが,家庭奉仕員については,国の施策とも関連しながら,将来の対象者増加とあわせてどのようにお考えか。また,巡回相談員については,ボランティア的な処遇になっているわけですが,こうした処遇で今後とも所要人員を確保していけるのかどうか,お伺いをしたいと思います。
同時に,一方で,今回の高齢者等サービス総合調整推進会議の実施案の中でも,対象とする要介護老人の地区情報の整理,把握については,巡回相談員とあわせて,民生委員の方々の協力を得たいという案になっているわけであります。もちろん,民生委員法に示されている職務にも該当する部分があるわけでありますが,全市約1,900名の民生委員の方々は,約1万9,000戸の
生活保護世帯も受け持たれており,児童福祉法により児童委員もお願いをしているところであります。さらに,民生委員の方々の中には,本来の仕事を持たれている方も多いわけですし,また一方,ほかならぬ民生委員の方々自体の高齢化も言われているところであります。
現在の民生委員の方々の日常のご努力に敬意を表しつつ,そうであるだけに,少々乱暴に言わせていただければ,地域の福祉に関することだから,民生委員の方々のご協力をというストレートな発想だけで,本当に要介護対象者に対する接点の充実の拡大が図れるのかどうか,お考えを伺いたいと思います。
さらに申し上げるならば,民生委員と並び協力を期待される方々には,ボランティアの皆さん,あるいは地域住民という表現が出てきているところであります。これは,在宅福祉に対する社会のマンパワーの活用として言われております「地域福祉」の概念を導入されたものと考えますし,地域福祉という概念自体は,今後の方向性としてあるべき姿であろうと考えております。しかし,概念としての地域福祉をどう具体化していくかということになりますと,現状のところ,本市においても模索の段階だと思っております。
要介護対象者を含めて,対象高齢者に対して近隣住民の力をどうかしていただくように持っていくのか,町内会の力をどうかりていくのか。地域福祉の具体化へ向けての市長のご見解をお伺いしたいと思います。
高齢化対策の第3点目は,高齢者の健康づくりについてであります。
高齢化社会に対しては,ただいま申し上げました要援護老人に対する施策も重要でありますが,人生80年時代の今日,健康な老人に対する病気の予防あるいは健康の維持増進という点に対しても注目しなければならないものと考えるのであります。
本市においても,高齢者の生きがい,健康増進を目指す施策として,老人クラブに対する助成を通しての社会参加を促進する事業や,老人福祉センターにおける各種講座,またシルバー人材センターにおける就労機会の確保など,幅広い取り組みを行っていることも事実であります。しかし,より高齢者の健康づくりということからしますと,専門的スタッフによる対応というのが必要かと考えます。
幸いに,昨年,東保険所の新築に際し,あわせて健康づくりセンターがオープンし,本年4月には各保健所に,地域健康づくり主査を配置してきていることから,これらの対策をどう高齢者対策に活用していくかが大きな課題になろうかと思うのであります。
このことは,札幌市の抱えている大きな課題に医療費の増高がありますが,この点からも大いに充実していくべきものと考えます。今後の取り組みの方向性についてお伺いをいたします。
次に,本市の公営住宅行政に関し,家賃の適正化についてお伺いをいたします。
本市の公営住宅は,現在,管理戸数2万1,813戸となっており,また,入居者総数は約6万1,700人を数え,本市総人ロのおよそ3.9%を占めております。これは,過去おのおのの長期総合計画あるいは5年計画の中でも,いずれも市営住宅建設事業が重点施策と位置づけられ,これにより市営住宅の建設が強力に推進されてきたことによるものと推察をいたします。
その建設状況を見ましても,昭和40年までは毎年300戸から400戸のペースで建設され,40年代に入ると,人口の急増と相まって急激な建設戸数の増加が見られ,年間平均でおよそ1,000戸の建設が行われております。また,このことは,本市を取り巻く急激な人口流人等による住宅需要に対し,市営住宅の供給が果たした役割と貢献が多大であったと敬意を表するものであります。
そして,今後は,
公営住宅法の趣旨を体していくことはもちろんとして,適切な居住水準への誘導,高齢化への対応,コミュニティーなど,まちづくりの観点から,公営住宅の果たす役割は一層大きくなるものと思うのであります。
そうした中で,今後の本市市営住宅については,市民全体の責重な財産であり,現在及び将来の入居者のため,これを長期にわたり適切に維持,保全することは,本市としての大切な責務でありますし,また近年,住宅の質の向上及び住環境の整備が強く要望されていることから,市営住宅の供給と管理に当たっても,これらの要望に適切に対応することが必要と考えるところであります。
さらに,市営住宅に入居を望んでも入れない方があるという現状を見ますと,今後とも継続的,安定的に市営住宅は供給されなければならないものと思うのであります。
これら,今後の本市市営住宅の抱える課題に対して,財政の健全化を図ることは,公営住宅制度を支える上での基本的事項と言えるものであります。
そこで,市長は昨年12月に,私的諮問機関である札幌市営
住宅管理問題協議会に,「
市営住宅家賃の適正化」について諮問をいたしました。その諮問の趣旨は,本市市営住宅の家賃改定は,昭和50年12月に実施して以来,その後期間も相当経過しており,建築費の高騰等,社会経済情勢の変化等により,
市営住宅家賃の適正化を図る必要があるということですが,この諮問に対し,本年4月15日,同協議会から,家賃改定が必要である旨の答申がなされたところであります。
公営住宅事業は,市民全体の負担を考えると,経済性を否定できるものではなく,またこれと相反する公共・福祉性という二つの側面から成り立つ難しい事業と言えるものであります。
すなわち,住宅の使用という用役の対価に応じた利用者の負担を図ろうとすれば,入居者の負担増を招来し,従来どおりの行政的,福祉的配慮を行おうとすれば,健全な財政を維持していくことが困難となり,市営住宅の安定的,継続的な供給に支障を来たすものと危惧するところであります。
そこで質問の第1点でありますが,市営住宅は,国と市が協力し,住宅に困窮する低額所得者に対し,低廉な家賃で賃貸することを目的としたものでありますから,その家賃は可能な限り低廉な額にとどめるべきものでありますが,その中において,市長はこのたび,
市営住宅家賃の改定を図ろうとしておりますが,改定における基本的な考え方をお伺いしたいのであります。
次に,第2点目でありますが,今回の答申に当たり,市営住宅について,長期的展望に立った住宅政策の確立が必要であるという観点から,将来の市営住宅のあり方や施策を総合的に検討し,審議するための機関を設置することが望ましく,また,
市営住宅家賃の適正化についても,今後定期的に見直すことが適当であると提言されているのでありますが,これについて市長のお考えをお示し願いたいと思います。
次に,下水道事業についてお伺いをいたします。
本市の下水道事業の整備は,全国の下水道普及率が37%程度である現状と比較しましても,目をみはるものがあります。
このことは,本市の急激な市街地の拡大,都市の過密化にいち早く市政の最重点施策の一つとして掲げられ,下水道整備の対応,推進を図られた結果であり,現在,市街地ではすでに100%の下水道普及率となっており,また総人口に対する普及率でも93.4%となっております。
このように,きわめて短期間で全国有数の下水道普及率を達成されたことに対しましては,大いにその努力を評価するとともに,市民にとりましても喜ばしいことであると考えております。
ところで,下水道事業の現況を考えますと,下水道の最終目標というべき生活環境の整備などについては,いまや第1段階をほぼ越えたところと考えますし,今後は第2段階を目指した新たな下水道づくりが大いに期待されているところであります。
さて,この新しい下水道づくりに,市民が何を期待しているであろうかを考えますと,当然のことながら,まだ下水道を利用できない地域の整備促進であり,また,雨に強い下水道づくりへの一層の努力であると考えます。
さらに,せせらぎの回復など,下水道によるゆとりのある生活環境の整備や,下水道施設に多目的機能を持たせた有効利用の推進,そして下水処理水や下水汚泥を有効に活用するなど,いわゆる下水道総合活用策が今後志向されるべき方向かと考えます。
とりわけ下水汚泥につきましては,本市ではすでに,一部をコンポスト化する施設を持ち,札幌コンポストとして全道的にも定着しつつある状況であります。
そこで,この下水汚泥に関して2点ほどご質問をいたします。
第1点は,下水汚泥の活用に対する将来的取り組みであります。
現在発生する下水汚泥は,1日当たり500トンにも上る量に達しているわけですが,前段に述べましたように,下水道普及率の向上や雨水排除の強化等による下水量の増加,及び,せせらぎの回復や公共用水域の水質向上へ向けての高度処理の導入などに伴い,汚泥量は将来ますます増大するものと考えます。
この下水汚泥の適切な処理や処分ができないと,下水道事業自体がその機能を失いかねないという大きな問題を抱えているものと考えます。下水汚泥をどのような形態で処理,処分するかは,全国他都市の例を見ましても,おのおのの都市の地域特性などによって異なった対応が図られているのが実態でありますが,ますます増大する下水汚泥に対して,本市としては将来どのような方向づけの中で処理,処分対策を目指していくのか,その基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
第2点目は,コンポストの将来性についてであります。
先日の各新聞報道によりますと,コンポストの利用が順調に伸びていることから,さらに取扱い性を改善することにより,より多くのユーザーの要望に対応すべく,本年度より3ヵ年計画で造粒化する施設の建設に着手することが取り上げられておりますが,今後ともコンポスト製品の技術開発について,どのように考えておられるかお伺いをいたします。
最後に,学校の校則についてお伺いをいたします。
ここ最近の新聞紙上では,学校の校則についての論議,報道が息長く行われております。各新聞の投書欄を初め,各社の社説に至るまで取り上げられており,その書かれている内容は,まさに現在の教育の抱えている断面を,目をそらすことができない現実として,私どもに突きつけられているのであります。
とりわけ,校則に関する疑問や体罰にかかわる訴えの中には,耳をふさぎたくなる例が報告をされております。いずれも本市の例ではないことに胸をなでおろしながらも,依然として続く児童生徒の自殺などもあわせて考えるとき,教育界はどう考えても歯車が狂っているのではないかと心配になってくるのであります。瑣末なものにまで校則で縛る傾向と,それを守らせようとする余りの体罰が目立ってきていると言われております。
学校は集団で生活するところであり,一定の決まり,ルールがないと機能しないことも事実ではありますが,しかし,そのルールや決まりが世間の常識とかけ離れていたり,「取り締まり主義」で運用されたりすると,子供を鋳型にはめ込んでしまったり,自発性,自立性の発達の芽を摘むことになってしまう危険が指摘されているところであります。
しかし,一方,教師の側から校則を見る目は,こうした認識とは違うようであります。
あるアンケート調査によりますと,中学校教師の大多数は,「校則への批判は教育現場を知らない人の意見」であり,「世間の人は教師の苦労を理解していない」とも感じているようでもあります。そして,こうした回答を寄せた先生方が,実に95%もの高さを示したということであります。
また,一方,たとえば,「服装の乱れは心の乱れである」と考えている教師は95%にも達すること。「髪型と非行は関係がある」と考えている教師が65%を占めているとも報じられているのであります。
この調査については,生徒指導で校則に頼りがちな教師の本音があらわれたと解釈する人や,よくても悪くても先生たちのまじめさがあらわれた,まじめさの余り非常識な部門に気がつかない面があるという印象を受けた,との評価もありますが,いずれにせよ,教師の側もまた,立場こそ違え,悩みを持っているということであります。
さらにまた,自分の子供の教育を学校に任せっきりの親の問題も指摘されているところであります。
数多くの行き過ぎた事例の中に本市の場合が登場していないのは幸いであり,本市の中学校に関して,校則からくる問題が顕在化しているとは思いませんが,一つの例を申し上げますと,経年的に校則が進化していると言いますか,硬直化という表現を使いたくはありませんけれども,そういう傾向があるということは指摘しておきたいと思います。
と申しますのは,私自身,多くの中学校の校則を見ているわけではありませんけれども,同一項目で,数年前の新設校の校則の中では,「原則として」とか,「原則とする」とかの表現であったものが,最近の新設校の校則では,断定的に規定されているものがあるからであります。
新設校の校則をつくる場合,先生方は,それまでの校則を参考とされ,つくられるのでありましょうから,そうした過程の中で,文章表現上の問題とはいいながら,原則が断定となっていく,そうした発想の延長が今日の校則の問題に結びつきかねないということは危惧しておいてよいことかと思います。
こうした校則の問題について,文部省の局長の都道府県教育委員会等中等教育担当課長会議における発言をきっかけとして,全国的に校則見直しの流れになってきているところであります。校則をどうするかは,もともと各学校の責任で決められることであり,本市の場合もそのような取り扱いになっているわけでありますが,その意味でも,文部省が乗り出して初めて動き出すというのは,ある意味で残念だというふうにも考えます。
しかしながら,せっかくの機会でもあり,本市の場合も,こうした流れの中で,いま一度本市における校則を見直し,その中から,教師と子供がまず人間的なつながりを持つ,気持ちが通じ合ってこその教育という原点に戻ってみることも必要かと思います。
文部省の今回の動きに対して,本市としてどのように校則問題に対処されるか,お伺いをしたいと思います。
あわせて,校則改正の方向の中では,生徒が参加をする校則づくりという方向が示唆されておりますが,これについてもどのような指導をされようとしているのか,お伺いをしたいと思います。
以上で,民社クラブを代表しての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(滝沢隆君) 答弁を求めます。板垣市長。
◎市長(板垣武四君) 初めに,積雪寒冷対策についてお答えを申し上げます。
まず,第1点目の雪さっぽろ21計画の策定についてでございます。
冬季間の円滑な産業活動や快適な市民生活の実現を図るためには,高度情報化時代に対応した総合的な雪対策が必要であると考えております。本年の3月には,広域的な雪対策を進めるため,札幌総合情報センターというのを設立をし,降雪予測システムの研究開発を行うこととしたところでございます。また,昨年の雪対策推進研究会からの中間提案を受けまして,長期的には経費の節減が図れる施設型除雪の一環として,藻岩下流雪溝の事業に着手しているところであります。
このたびの雪対策推進研究会からの報告書は,除雪水準の確立,施設型除雪の推進,役割分担の確立など幅広く提言をされており,今後の計画を策定するに当たりましては,その趣旨を十分踏まえながら,将来の財政負担をも考慮して,総合的な雪対策のあり方について,今年度末をめどにして進めてまいりたいと考えております。
次に,第2点目の省エネルギー対策についてでございますが,お話にもございましたとおり,本市におきましても,エネルギー問題は大きな政策課題の一つと考えております。
ご承知のとおり,省エネルギー
都市づくりにつきましては,エネルギーの効率的利用,ローカルエネルギーの利用といった視点を基本として,断熱性の高い住宅の整備でありますとか,地域熱供給事業やあるいは清掃工場の余熱利用による事業など,多くの面で従来から推進をしてまいりました。
また,関係機関の協力を得て,現在,地下鉄の廃熱利用による地域熱供給事業の実施を目指しておりまして,さらに融雪対策につきましても,前段で申し上げました流雪溝など,積極的に取り組んでいるところでございます。
エネルギー問題につきましては,国や道の施策はもちろんでございますが,関連する産業界など,いろいろな分野での研究開発と一体的な形の中で検討を進めることが特に必要でございます。
したがいまして,本市といたしましては,昭和61年3月に報告を受けました「省エネルギー
都市づくり基本計画策定調査」に基づき,本市が実施し得る施策などにつきましてさらに研究を深め,北方都市会議における他都市の事例等も十分参考としながら,今後とも省エネルギー
都市づくりを目指して,鋭意検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
次に,高齢化対策についてでございます。
第1点目の,高齢化社会に向けての再設計等,行政の対応についてでございますが,お話にもございましたように,私も,あらゆる政策,あらゆる分野において高齢者対策を位置づけていくことが大切であると考えております。したがいまして,私ども,長期的な計画から具体的な施策に至るまで,本格的な高齢化社会に備えた市政の執行を心がけてまいりたいと存じます。
第2点目の,高齢化対策連絡協議会の今後の対応等についてでございます。
昭和61年に設置いたしました高齢化対策連絡協議会は,ただいま申し上げました考え方に基づいて,全庁的に施策を推進するために設置をしたものでございまして,今後もその機能を十分発揮するように努めてまいりたいと思います。
また,QCサークル運動や1%システムの考え方の応用につきましても,貴重なご提言といたしまして,その発想を生かしてまいりたいと存じます。
第3点目の,高齢化対策の組織機構の充実についてでありますが,高齢化対策を単に福祉の一部門として位置づけるのではなくて,全庁的な視点でとらえたいということで,昨年,民生局社会部に高齢化対策主幹を設置したところでございます。今後とも高齢化社会に即応した組織の充実に努めてまいる所存でございます。
次に,在宅福祉についてでございます。
まず,家庭奉仕員,在宅老人巡回相談員の確保についてでございますが,家庭奉仕員につきましては,将来の需要に対応するため,現在の家庭奉仕員制度に加え,登録制の家庭奉仕員の養成を初め,各種のサービス方法を検討しているところでございます。
また,在宅老人巡回相談員につきましても,その処遇に配慮をしながら,地域の方々の理解を得ながら,今後とも相談員の確保に努めてまいりたいと考えております。
また,民生委員のご協力につきましては,これまでも福祉の向上に多大なご尽力をいただき,とりわけ,地域の実情をよく把握されておりますことから,在宅福祉の充実にはぜひ必要なものと考えております。
これからも,ご意見を十分拝聴しながら,一層のご協力をお願いしてまいりたいと存じます。
さらに,近隣住民,町内会のご協力につきましても,在宅福祉を推進する上で欠くことができないものだと,このように考えております。したがいまして,今年度から区に設置をすることになります社会福祉協議会とも緊密に連携をしながら,十分対応してまいりたいと存じます。
次に,高齢者の健康づくりについてでございますが,今後本格的な高齢化社会を迎えて,市民の健康の維持増進を図ることは,活力あふれるまちづくりを進めていく上で重要な課題であると認識をいたしております。そのために,地域ぐるみによる健康づくり活動が今後一層重要になると,こう考えまして,本年4月,各保健所に地域健康づくり担当の主査を配置をいたしたところでございます。
今後とも,地域における健康づくりを積極的に進めていくため,保健所及び関係部局と町内会等が密接な連携を図りながら,健康づくり運動の推進,健康教育の充実や,従前にも増して健診制度の啓発を行うとともに,健康づくりセンター事業を逐次拡充をしていくなど,市民の自発的な健康づくり活動を積極的に支援をし,老齢期になっても健康の維持が図られるよう,多様な施策を推進していきたいと考えております。
次に,
市営住宅家賃の適正化等に関連する質問でございます。
第1点目の,
市営住宅家賃の適正化に関する基本的な考え方についてでございますが,前回の家賃の改定は昭和50年の12月に実施をして,それ以来実質12年以上据え置かれております。建設当時の工事費を基礎に算出をした家賃は,その後の時の経過に伴う物価上昇等によりまして,その収支のバランスが崩れてきておりますことと,
市営住宅相互間における家賃の不均衡が著しくなりつつある状況から,昨年12月,札幌市営
住宅管理問題協議会に「
市営住宅家賃の適正化」について諮問をし,本年4月にその答申をいただいたところでございます。
改定につきましては,この答申の趣旨を十分尊重いたしますとともに,最近の経済情勢のもとで,
市営住宅入居者の生活に与える影響を考慮いたしまして,必要最小限の改定をお願いするものでございます。市営住宅は,市民の共有する貴重な財産であることにかんがみ,これを将来にわたって適切に維持し管理していく必要がありますことと,今後とも市営住宅を建設をして,安定・継続的な供給を行っていくためには,ある程度の負担増をお願いすることはやむを得ないものだと,このように判断をしたものでございます。
第2点目は,市営住宅の将来のあり方や施策等に関して総合的に審議する機関についてでございますが,市営住宅のあり方等,長期的展望に立った住宅政策の目標を設定をし,高齢化社会やライフスタイルの変化及び積雪寒冷地特有の問題に対応するとともに,市民と一体となった,札幌にふさわしい住宅行政の展開を図るため,市営住宅を含めた総合的な住宅の施策を審議していただく必要があろうと,このように考えております。
次に,
市営住宅家賃の定期的な見直しについてでございます。
この問題につきましては,今後定期的な見直しを行うとともに,社会経済情勢を十分に考慮いたしまして,
市営住宅家賃の改定の必要性を総合的に判断をしてまいりたいと考えております。そこで,他都市におきましては4年ないし5年程度の間隔で見直しを行っておりますことから,本市もまた,この程度の周期が適当でないかなあと,このように考えているところでございます。
私からの最後に下水道に関する問題についてお答えを申し上げます。
その第1点目の,下水汚泥の処理処分に対する将来の基本的な考え方についてでございます。
下水処理場から発生する汚泥の量は,10年前に比較いたしますと約1.7倍にもなっております。将来,ますますこれが増大することが予想されますので,汚泥の処分につきましては,今後の重要課題と考えているところでございます。したがいまして,汚泥の処分の基本的考え方としては,埋め立て等の一過性の処分ではなくて,省資源,省エネルギーを念頭に置いた,焼却などによる減量化と有効利用を目指したリサイクル型の二本立ての処分体系に向こうべきであると考えております。
汚泥の有効利用につきましては,現在,緑農地還元としてのコンポスト事業を実施しておりますが,将来ともこれを推進していくとともに,また,埋立地の覆土材として利用されております焼却灰についても,今後さらに,タイルあるいはインターロッキングブロックなどの建設資材化の研究開発を進めて,その有効利用について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
第2点目の,コンポストの技術開発についてでございますが,現在,本市のコンポストは,一般家庭菜園を初め,近郊の農家,ゴルフ場に広く利用されております。しかし,これは粉末状であるために,利用者から,取り扱いについて改良の要望が強うございます。また,将来にわたる安定した販売促進を図るために,新たに造粒技術の開発を行いまして,先月,全国では初めて造粒施設の建設に着手をしたところでございます。
将来のコンポスト製品の技術開発につきましては,現在,雪国札幌発信の技術として,道立の工業試験場とタイアップして開発をした,融雪効果と路上改良効果とを合わせ持った複合融雪剤の実用化を進めるべく,いま調査・研究を行っております。今後さらに研究開発を進め,札幌コンポストの付加価値を高めるように一層努力をしてまいりたい,このように考えております。以上でございます。
○副議長(滝沢隆君) 荒井教育長。
◎教育長(荒井徹君) 校則について私からお答えをいたします。
第1点目の校則問題の対処についてでありますが,ご質問にもありましたとおり,過日文部省から,校則についてのご指導がありました。
この問題は,市教委としてもかねてから,教育行政執行説明会や校長会等の機会を通し,「望ましい生徒指導のあり方」を指導する中で取り上げてきているところであります。申すまでもなく,学校は,児童生徒が集団生活を通して,人間として調和のとれた発達を図る場であり,このため,学校が一定の決まりを定めて指導を行うことは必要なことであります。
その場合,生徒への指導に当たっては,画一的・形式的な指導に陥ることなく,あくまでも一人一人の生徒に応じた教育,指導の一環として行われるべきであり,また,必要に応じて内容の見直しを図ることが大切であると考えております。今後とも,これを契機として,望ましい生徒指導のあり方に向け,一層の努力をしてまいる所存であります。
第2点目の,生徒が参加する校則づくりについてでありますが,校則に関する指導の効果を高めるためには,生徒自身が決まりを自分のものとしてとらえ,自主的・自立的に学校生活を送ることが大切であり,その意味で,生徒参加の校則づくりは望ましいことであると考えております。
本市の中学校においては,多くの学校が何らかの形で生徒あるいは父母の意見を聞いて校則を定めておりますが,中には,生徒の手による校則の見直しを行っている学校もございます。
市教委では,毎年,さまざまな教育上の今日的課題について学校に研究を委託することにより解決への取り組みを図ってきておりますが,生徒参加の校則づくりについても,すでに課題として取り上げ,より積極的な対応を進めているところであります。これらの研究成果も生かしながら,今後さらに,望ましい校則のあり方を求めて努力してまいる所存でございます。以上でございます。
○副議長(滝沢隆君) 以上で,代表質問は全部終了いたしました。
(見延順章君「議長」と呼び,発言の許可を求む)
○副議長(滝沢隆君) 見延順章君。
◆見延順章君 委員会付託の動議を提出いたします。
すなわち,ただいま議題とされております議案等17件を,各位のお手元に配付の議案付託表(第2号)のとおり,関係の常任委員会にそれぞれ付託することを求める動議であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○副議長(滝沢隆君) ただいまの見延議会運営委員長の動議に対し,所定の賛成者がありますので,本動議を直ちに問題とし,採決を行います。
動議のとおり決することにご異議ありませんか。
(異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(滝沢隆君) ご異議なしと認めます。よって,議案第1号,議案第6号から第12号まで 議案第19号から第26号まで及び諮問第1号の17件は,各位のお手元に配付の議案付託表(第2号)のとおり,関係の常任委員会にそれぞれ付託されました。
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○副議長(滝沢隆君) お諮りいたします。
本日の会議はこれをもって終了し,明6月10日から6月12日までは委員会審査等のため休会とし,6月13日午後1時に再開いたしたいと存じますが,ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(滝沢隆君) ご異議なしと認めます。よって,さよう決定されました。
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○副議長(滝沢隆君) 本日はこれで散会いたします。
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散 会 午後3時45分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 吉 野 晃 司
副議長 滝 沢 隆
署名議員 越 智 健 一
署名議員 山 崎 七 郎...