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平成29年第 3回定例会-09月08日-03号

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  1. 鴨川市議会 2017-09-08
    平成29年第 3回定例会-09月08日-03号


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    平成29年第 3回定例会-09月08日-03号平成29年第 3回定例会                  平成29年第3回              鴨川市議会定例会会議録(第3号) 1.招集年月日 平成29年9月8日(金曜日) 1.招集の場所 鴨川市議会議場 1.出席議員  19名   1番 佐 藤 和 幸 君   2番 空       席   3番 佐々木 久 之 君   4番 川 股 盛 二 君   5番 川 崎 浩 之 君   6番 佐久間   章 君   7番 福 原 三枝子 君   8番 渡 邉   仁 君   9番 刈 込 信 道 君   10番 久 保 忠 一 君   11番 脇 坂 保 雄 君   12番 庄 司 朋 代 君   13番 佐 藤 拓 郎 君   14番 平 松 健 治 君   15番 鈴 木 美 一 君   16番 野 村 靜 雄 君   17番 滝 口 久 夫 君   18番 渡 辺 訓 秀 君   19番 辰 野 利 文 君   20番 大和田 悟 史 君 1.欠席議員  なし 1.地方自治法第121条の規定により出席した者の職氏名   市長        亀 田 郁 夫 君    副市長       小 柴 祥 司 君   参事        岩 田 知 也 君    企画政策課長    平 川   潔 君   財政課長      増 田 勝 己 君    総務課長      松 本 憲 好 君
      消防防災課長    中 村 一 浩 君    環境課長      豊 島 秀 樹 君   清掃センター所長  栗 原 喜 行 君    健康推進課長    牛 村 隆 一 君   スポーツ振興課長  鈴 木 克 己 君    農水商工課長    石 井 利 彦 君   観光課長      山 口 昌 宏 君    都市建設課長    野 村 敏 弘 君   水道局長      岩 瀬 英 彦 君    国保病院事務長   山 口 幸 宏 君   代表監査委員    伊 藤 正 人 君    教育長       月 岡 正 美 君   生涯学習課長    黒 野 雅 典 君 1.職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名   事務局長      佐久間 達 也      次長        渡 邉   洋   主査        小 滝 卓 也           ──────────────────────── △開議  平成29年9月8日 午前10時00分 開議 ○議長(大和田悟史君) 皆さん、おはようございます。刈込信道君から遅刻の届け出がありましたので、報告いたします。ただいまの出席議員は18名で定足数に達しております。よって、議会はここに成立いたしました。  これより本日の会議を開きます。           ──────────────────────── △議事日程 ○議長(大和田悟史君) 本日の日程は、あらかじめお手元に配付いたしました印刷物のとおりでありますので、これによりご了承を願います。 1.議 事 日 程 日程第1 行政一般質問                   行政一般質問一覧表 ┌──┬──────────┬─────────────────────────────┐ │番号│ 質   問   者 │      質    問    事    項       │ ├──┼──────────┼─────────────────────────────┤ │ 1 │平 松 健 治 議員│1.市民会館事業鴨川リセットについて          │ ├──┼──────────┼─────────────────────────────┤ │ 2 │福 原 三枝子 議員│1.「嶺岡牧」の日本遺産登録申請について         │ │  │          │2.「嶺岡牧」の観光資源としての活用並びに地域活性化につい│ │  │          │  て                          │ │  │          │3.多目的施設建設の是非の報告について          │ ├──┼──────────┼─────────────────────────────┤ │ 3 │庄 司 朋 代 議員│1.「嶺岡の牧」を日本遺産として地域活性化を       │ │  │          │2.文化財保護・活用計画策定の着手を           │ │  │          │3.合併特例債の使い方                  │ ├──┼──────────┼─────────────────────────────┤ │ 4 │川 股 盛 二 議員│1.豪雨による防災対策について              │ │  │          │2.ふるさと納税について                 │ └──┴──────────┴─────────────────────────────┘           ──────────────────────── △行政一般質問 ○議長(大和田悟史君) 日程第1、行政一般質問を行います。  この際、申し上げます。申し合わせのとおり、1人の質問時間は、答弁を含んで60分以内といたします。1回目は登壇で、2回目以降は質問席にて発言を願います。  平松健治君から一般質問に際し、資料配付の申し出があり、これを許可いたしましたので、報告いたします。資料を配付いたします。                   〔資料配付〕 ○議長(大和田悟史君) 配付漏れはありませんか。               〔「ありません」と呼ぶ者あり〕 ○議長(大和田悟史君) 配付漏れなしと認めます。  これより発言を許します。平松健治君。                〔14番 平松健治君登壇〕 ◆14番(平松健治君) 皆さん、おはようございます。議長より発言の機会をいただきましたので、しっかりと亀田市長にただしてまいりたいと存じます。  さて、亀田市長が就任直後に公約にもなかった、選挙の争点でもなかった多目的施設建設整備の工事入札をとめました。このことの驚きが市内全域に行き渡ったのは、6カ月前のことであります。これについてしっかりとした説明をしていただきたいと、定例会を初め、機会あるごとに求めてまいりました。しかし、6カ月もの間、市長から返ってくる答えは、やめるとは言っていない、待ってくれの一辺倒でありました。  このような経過の中、先月8月25日に議員全員協議会が招集されました。その場で亀田市長から、多目的施設の建設を見送りたいとの考えが示されました。翌日の新聞紙上でその内容が報じられたことは、皆様ご高覧のとおりであります。この報道以後に多くの市民の皆さんからお声をいただきました。そんな中で昨日も同僚議員が一般質問として取り上げられておられます。今回はこれらについて、私なりにただしてまいりたいと存じます。  まず1点目は、市民会館整備事業の経緯について、そして2点目は合併特例債の活用とその事業検証について、以上2点を登壇にてお伺いをいたします。よろしくお願いいたします。 ○議長(大和田悟史君) 平松健治君の質問に対する当局の答弁を求めます。市長、亀田郁夫君。               〔市長 亀田郁夫君登壇〕 ◎市長(亀田郁夫君) 皆さん、おはようございます。平松健治議員からは、大きく2点のご質問をいただきました。  初めに、ご質問の1点目、市民会館整備事業の経緯についてお答えいたします。  新たな市民会館については、当初、現市民会館の位置に整備することで進めておりました。  平成23年3月11日に、東日本大震災が発生し、津波等により、大きな被害がもたらされましたが、震災後においても、その方針を変更することなく、平成24年3月には、(仮称)鴨川市市民会館建設基本構想・基本計画を策定しております。  その内容ですが、事業用地を、現市民会館敷地とプール用地、公園用地に加えて、現在、市営駐車場となっている芝浜駐車場を合わせた1万1,900平方メートルとし、ホールは、700人を収容できる客席を確保し、延べ床面積は、3,600平方メートルとしておりました。  事業費は、建築費25億6,000万円のほか、基本設計、実施設計、施工監理費、備品購入費を合わせて総額28億5,000万円の計画で、合併特例債を活用して、当時の適用期限である平成26年度までの完成を見込んでおりました。  しかしながら、平成24年3月以降に、地震や津波の新たな情報が発表されたこと、合併特例債の適用期限が5年間延長されたこと、国有地の取得費が予定額をはるかに上回ること、さらには、近隣のマンション等津波避難ビルに指定し、地区住民の避難先がおおむね確保されたこと等により、新たな建設場所を市役所周辺敷地として再検討することとなりました。  その後の検討においては、社会体育センターの体育館を取り壊したことから、市民利用向けの体育館が不足していること、かねてから、体育関係、観光関係の皆様から、総合運動施設内にバスケットボールやバレーボールの競技ができる床張りの体育館の建設の要望が寄せられていたこと、また、当時の市民会館のホール部分の稼働日数が、年間50日余りと、稼働率が低いことから、高い稼働率が見込める体育館機能をメーンとして、ホール機能をあわせ持つ多目的施設を建設するという方向で検討することを、平成25年9月に決定いたしました。  そして、施設の基本構想・基本計画・基本設計の策定を経て、実施設計業務に取りかかり、平成28年第4回定例会において、平成29年度及び平成30年度の2カ年の債務負担行為の限度額を総額29億9,052万円とする旨を含んだ補正予算のご可決をいただき、本年2月には、施設建設工事制限付き一般競争入札の公告を実施し、本年4月の入札の執行を目指したものでございました。  そして、本年3月に実施された市長選挙により、私が市長に就任したわけですが、その後の経過については、議員ご承知のとおり、入札の執行を一時中止し、現在に至っております。  次に、ご質問の2点目、合併特例債適用事業の検証についてお答えいたしますが、これまでにも同様の質問がありましたことから、答弁内容が重複することをご了承いただきたいと思います。  私が市長に就任後、市政のスタートに当たっては、「経済再生」、「生活充実」、「インフラ整備」、「行財政改革」の4点を政策として掲げ、その実現に向け、多目的施設整備も含めた、今後、市が実施を予定している主な事業について、厳しい財政状況を踏まえ、優先順位の再検証を行ってきました。  検証に当たっては、まずは、住民生活の充実に直結するものであること、限られた予算の中で、より有利な財源確保に結びつくものであること、そして、将来にわたる財政負担の軽減につながるものであることを念頭に実施し、その中で、合併特例債の活用についても具体的な検討を行いました。  その結果、5つの事業について、最優先に実施する必要があると判断をさせていただきました。  1つ目の事業が、道路整備事業です。  市内の交通体系網の整備は、「住民生活の充実」、経済活動の推進の観点から必要不可欠なものであり、現在推進している貝渚大里線など、市内の幹線道路の整備を実施していくというものです。  2つ目の事業が、都市公園整備です。  多目的施設建設予定地について、確保した土地を有効活用するため、同地を芝生公園として整備し、同時に公園内の園路を整備していきたいと考えております。  3つ目の事業が、現在の清掃センターにおけるごみ処理施設更新です。  議員ご承知のとおり、現在、広域のごみ処理施設整備の検討を進めておりますが、広域施設の供用開始に至るまで、施設を稼動させるため、施設更新事業を実施するものです。  4つ目の事業は、水道事業です。  現在、「県内水道の統合・広域化の進め方・取組方針」により、事業体の統合の検討を進めておりますが、市内には、約380キロメートルにも及ぶ水道管が布設され、現在、老朽化により頻発する漏水事故等の対応に追われており、老朽管の更新は喫緊の課題となっております。  また、浄水場等の監視制御装置などの設備も、老朽化が進んでいることから、今後、施設を更新していくことが安定的な給水を行っていく上では不可欠となっております。  これらのことから、施設の更新事業を実施するものでございます。  最後の5つ目の事業は、病院事業です。  現在の国保病院は、施設の老朽化が進み、耐震面において問題があることに加え、更衣室や霊安室が院外にあり、3階にナースステーションがないなど、施設の構造上の課題があります。  そのような中、国保病院では、「新鴨川市立国保病院改革プラン」を策定し、経営改善等に取り組むこととしていますが、高齢化が進む本市にあって、地域の高齢者の生活充実、支援に向けては、医療や介護、予防、生活支援等が一体的に提供される地域包括ケア機能のさらなる拡充が求められております。  その中核施設の一つとして、市立国保病院の充実、機能強化は必要不可欠であり、現在取り組んでいる鴨川版CCRC構想の推進や、大規模災害時の災害拠点としても重要な位置を占めるものであることから、施設の更新を図るものでございます。  以上、私が最優先に実施する必要があると判断し、合併特例債の活用が可能であろうと見込まれる5つの事業について申し上げました。今後、実際に合併に伴う事業であるとして、県の同意を得ることが必要となりますが、これらの事業全てに合併特例債が活用できるとすると、一般会計と公営企業会計における一般財源の負担軽減の総額は、昨日も申し上げましたが、約9億円と見込んでおります。  これらの事業については、将来、どのような事情があろうとも、確実に実施しなければならない事業であることから、その負担軽減は、財政運営上、大きな効果をもたらすものと考えます。  以上のことから、私としては、今後、市が実施を予定している主な事業について、現在の厳しい財政状況を踏まえ、優先順位の再検証を行ってきた結果、これらの事業を最優先に、合併特例債を活用するという判断をさせていただきました。  平成30年度をもって、総額約75億円に及ぶ太海多目的公益用地の取得が完了し、平成31年度から年間約3億5,000万円の支出が減少することとなりますが、普通交付税の合併算定替えによる上乗せ交付額が、今後さらに削減されていくことが見込まれるなど、依然として厳しい財政状況は続いていくと考えていますので、ご理解をいただきたいと思います。  以上、登壇での答弁とさせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(大和田悟史君) 平松健治君。 ◆14番(平松健治君) ありがとうございました。お答えいただきました市民会館整備の件につきまして、引き続きお伺いをしていきます。いただきましたご答弁に、この事業を始める、進めた根っこはどこにあったのかについてご答弁をいただきませんでしたので、これについて触れさせていただきます。  ご承知のとおり、旧鴨川市にとっては、この市民会館整備事業は、懸案事項でありながらも、なかなか事業化できないでおりました。その理由は、多くの事業費を要すること、また、その事業費のほとんどを自前の資金、一般財源でやることが求められていたことからであります。この懸案事業の推進をもたらしたのは、さきの平成17年の両市町の合併でした。亀田市長も市議として合併前1年、新市1年の2年市政に携わっておられましたので十分ご承知かと思いますが、よろしいでしょうか。
     さて、この合併では何が行われ、推進側の国などに何が求められ、また、何を得たのかについてお伺いをしてまいります。この内容、議論については、同僚議員から、耳にたこができるからもういいよと言われるほど議論をしてまいったつもりですが、亀田市長にあっては、認識が大変薄いようです。再度議論が必要のようですので、お許しをいただき、お伺いをしてまいります。  さきに行われた本市の合併では、法により、両市町の住民代表や議会代表、首長等が合併に当たっての協議をすること、また、その協議の中では、合併方式を初めとし、各事務の取り扱い、事業の取り扱い等について、そして新市建設計画まちづくりの基本方針を決定することが求められました。そこで、本市は、まちづくりについて、6の施策の柱、6分野の基本方針を定めております。これについては、両市町の多くの住民とその代表者が、相当の回数と時間をかけ、かかわりを持ち、議論を重ねました。そして、綿密なまちづくり計画として仕上げ、平成16年7月に県、国に提出をしております。いわゆる合併協議としてまとめ、その事業の履行を県、国に対して、もちろん新市鴨川市民に対しても約束をしていることは言うまでもありません。このように、計画どおりの履行を約束し、その結果として旧天津小湊町と旧鴨川市は、まちづくりのための国の財政支援を手にしたことを忘れてはなりません。決して、亀田市長が合併特例債の財源を確保したわけではありません。平川企画政策課長に伺います。これまでで、間違いありませんか。 ○議長(大和田悟史君) 企画政策課長、平川潔君。 ◎企画政策課長(平川潔君) お答えを申し上げます。鴨川市の合併に至る経緯あるいはその手続等については、ご質問をいただいたとおりだと思います。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 平松健治君。 ◆14番(平松健治君) これより、その合併の果実、支援について触れさせていただきます。国は、合併支援のため、3つの特例を設け、事業対象団体に財源支援の約束をしております。1つは、交付金を15年間割増交付します。2つは、まちづくりのための合併特例債を起こすことを認めております。3つ目は、基金を設けることを認めています。  1についてですが、31年度までにおおむね61億円が鴨川市には追加交付されますが、先ほど市長も言いました太海多目的用地の取得費の返済及び取得費に消えている計算が現在成り立っております。  2については、対象となる合併両市町による新市まちづくり計画に予定されている事業であることとされています。これが今回の私の議論であり、また市長が、かじを取りかえた部分の話でございます。後ほどお伺いをしてまいります。  3についてですが、国が基金を積み立てる財源を7割交付し、対象団体は、その基金の運用益を地域の活力維持のために使うことを求めています。私から、平成23年の議会の一般質問の中で、南房総市の先行事例を挙げ、この基金造成活用と、その必要性について提案をさせていただきました。皆さんの賛同を得まして、翌年度平成24年に、おおむね金額で13億円の造成を実現しております。増田財政課長に伺います。ただいまの件、大筋で間違いありませんか。 ○議長(大和田悟史君) 財政課長、増田勝己君。 ◎財政課長(増田勝己君) お答えをさせていただきます。ただいま平松議員が言われた内容、合併特例債の関係、交付税の合併算定替えによる上乗せ交付の関係、それから基金造成の関係、それについては議員の言われるとおりであると考えております。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 平松健治君。 ◆14番(平松健治君) これより2問目の合併特例債の適用事業の検証の再質問に入らせていただきます。さて、法では、地方公共団体の予算編成について定めています。地方財政法3条1項で「地方公共団体は、法の定めるところに従い、かつ、合理的な基準によりその経費を算定し、これを予算計上しなければならない」。2項では「地方公共団体は、あらゆる資料に基づいて、正確にその財源を捕捉し、かつ、経済の現実に即応してその収入を算定し、これを予算計上しなければならない」としています。この法に従う形で、鴨川市議会は、平成29年2月に、29年度の当初予算として、多目的建設整備を含めた経費提案を承認しております。その議案には、多くの市民のかかわりと、3代の歴代首長のかかわり、または議会のかかわり等を示す、分厚い、中身の詰まった資料が添付をされました。  さて、この法令に準拠し、例年ですと、2回以降の定例会では、施策に沿った、追加補正や不用費、マイナス補正が丁重な額で予算案として提出されるのが通例だと思うのですが、ここでまた伺います。増田課長、この議論、これでよろしいでしょうか。いかがでしょうか。 ○議長(大和田悟史君) 財政課長、増田勝己君。 ◎財政課長(増田勝己君) お答えをさせていただきます。今回の補正予算のご質問、確認かと思いますけれども、今回、多目的施設の建設の事業費を減額させていただいたということについては、議員のおっしゃるとおりでございます。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 平松健治君。 ◆14番(平松健治君) さて、先ほど市長から、市長選の選挙の争点にもしていなかったが、予算化された合併特例債の使い道を変更したいとのご提言をいただきました。このように、当初予算の目玉事業であった確定事業が、皆減、ゼロとなるのは異例であります。議員の皆様には、このような状況から、この質問で議案第12号に若干触れてしまいますことをご了承いただきたいと思います。  配付資料4に詳細が記載されていますが、亀田市長から示された合併特例債の活用、差しかえ事業規模は、一般会計で14億2,000万円、公営企業部分で31億円、合計でおおむね43億3,000万円です。ここで、一般会計と公営企業の関係、つまり立ち位置ですね、それについて増田課長にまたお伺いしていきたいと思いますが、公営企業である長狭の国保病院の整備事業として25億円を上げられています。同じく公営企業の水道事業に6億円の計画をされているようですが、それについてお伺いをしてまいります。  公営企業についてですが、公営企業は、あくまでも独立採算制に徹し、利用者負担、つまり利用料や手数料等によって賄うことを建前としています。これは、公営企業の赤字を安易に一般会計から補填すればよいという甘い考えをとりますと、結果的に住民福祉の向上に当たる一般行政全般に及ぼす影響が極めて大きいからであります。公営企業はこういう理念で運営されているということでよろしいでしょうか。とはいえ、銚子市立病院にありますように、公営ですから、企業の赤字は、最終的には、その設置者、出資者である市町村が税金の一般財源をもって補填することになると思います。これでよろしいでしょうか。たびたびで済みませんが、増田課長、お答え願います。 ○議長(大和田悟史君) 財政課長、増田勝己君。 ◎財政課長(増田勝己君) お答えをさせていただきます。公営企業法によりますと、当然、一般会計のほうから負担すべきものはあるとは思いますが、それらを除けば、地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てなければならない、そういった大原則があることは確かでございます。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 平松健治君。 ◆14番(平松健治君) 引き続き配付資料4を見ていただきたいんですが、市長以下、両腕の副市長や教育長に、なかなか声を聞く機会がない。市民の方から、たまには引っ張り出して声を聞かせてくれというようなお声もありますので、後ほどお考えを聞く機会を与えますので、よく耳を開いて、これからの議論を聞いていただければと思います。よろしくお願いいたします。  今、吉尾地区にあります国保病院の建て替えには、特例債を使わないときは18億5,000万円、充てたとしても16億円もの自主財源が必要であると、資料4に示されています。  また、資料2で、病院事業の決算状況を見ることができます。ここ3年間の実質赤字が2億3,780万円と、ここに来て悪化をしています。合併以降の平成17年から、毎年切らさずに一般会計から繰り出しを行っています。その額の累計は、平成28年度までに1億8,600万円となっています。累積赤字についてですが、合併前にも国保病院はございました。だけど、合併に当たって、先ほど言いましたように、一般会計から繰り入れ、一応、合併では累積赤字ゼロで再スタートしています。銚子みたいな形がここで演じられたわけですが、しかし、この報告書を見ると、28年度末、これから文教でも議論されます。決算委員会でも議論されます。平成28年度までにこれだけ繰り出しをしても、まだ8,248万円が累積赤字となっています。  ところで、この市立国保病院については、総務省から、平成27年度までに、新改革プランの策定と提出が求められました。求められた内容は、地域医療構想と整合的であること、また、その対象期間を平成32年度までを見越したものとすることという条件がつけられていました。この求めにより作成されたのが、平成28年3月16日付で作成された鴨川市立国保病院の今後のあり方についての答申です。ところで、この答申では、早急に病院施設を更新する必要は認識するところではあるが、更新の前提として、経営改善の取り組みを実施した上で、今後数年間、おおむね3年程度の収支均衡が見込めた経営実績をもって改めて検討し決定することが望ましいと、このように総務省に報告しております。その中で、またつけ加えられていますのが、建物の更新の際には、徹底したローコストでコンパクトな病院を新設することを検討すべきであるとも、ここで提言をいただいております。  今は病院でしたが、もう一つの公営企業、水道事業について、資料3を見ていただければと存じます。先ほどの市長の答弁にも、水道事業の統合の話が出ておりました。これについて触れておきますが、水道事業は、安房地域を枠とした統合を、平成34年か平成35年ごろに実施するとの答えが見えてきました。この6月議会でも、市長がもといらっしゃった6月の県議会でも、この方向づけについて議論がされております。この安房地域の水平統合、総務省でやはり推進をしております。水道事業は、先ほどの病院と違って、公営企業ですが、民間が手を出している公営企業ではありません。官がしっかりとやっています。だけど、やはり統合の必要性があるということで、この安房地域が日本全国の統合の先進事例として、総務省のホームページに載っております。つまり、具体化する一番最初の事例として、総務省がこの安房地域を載せております。そういうことで、この確定は確実です。  この支援というのは、平成35年から平成41年度までに、五、六年かけて、特例債のように、この統合に向けて国が支援に動く、そういう施策の形で先行事例としてやっているわけですが、その表に戻りますが、こういうことで、合併はもう具体化しております。そういう合併地域の安房の中で、当初は夷隅地区の合併等の話もあったんですが、今言ったように、もう県も、県議会でも、あるいは全国的にも、安房だけでということで話になっていますので、安房の中を見てみますと、この表にありますように、平成26年度の、これは公表されている最新のものなので、有水率は1位。全国的には低いですよ。だけど、合併する仲間の中で見ています。そういうことでございます。  それと、今まで緊急に市議会議員が集められて、二、三年前、水道局の運営について、いろいろ議論したことがあります。私も水道委員で、その辺の議論の種をまいた一人でございますが、昨年度より本会計から1億7,000万円の拠出をいただき、それによって県の補助金1億7,000万円を導きました。これは合併する仲間、既に安房地域では鴨川市がやっておりましたので、私、水道委員としても、鴨川市、合併する仲間でやっている施策、やって仲間入りしないと合併できないよと、そんな議論で、この本会計の拠出を誘導し、平成28年度、この決算で初めてその結果を迎えるわけですが、おかげさまで、当時8億円程度、鴨川市は12億円ぐらいを引き当てとして、積立金として求められているのが現状なんですが、当時、8億円で会議を開きました。このままだと大変だぞと。今回の3億5,000万円近い県と本会計からの繰り上げ、それが生かされて、積立金として、おおむね3億円以上が基金として積み上げられ、11億円台の中盤ぐらいがされているのかなと。先日の滝口議員の中でございましたように、大きな償還も控えていますので、引き続きやらなきゃいけないことですが、とりあえず、安房の中では、一般水準も多いです。統合も決まっております。先ほど言った一般会計の概念から言っても、特例債まで使って、この公営企業にてこ入れする必要性がどこにありましょうか、私は疑問に思っております。  ちょっと熱くなりましたので、また元に戻りますが、今の結論は、両公営企業の支援については、静観すべきじゃないかと。市長、リセット、リセットで何かいじりたいんでしょうけど、もう選挙の話はよして、選挙を語っているのは市長だけですよ。今回も市長選がどうのこうのとおっしゃいましたけれども、市長選が終われば、みんな一体的に市民が鴨川市を考えてくれと市長に望んでいるわけですが、市長だけがこだわっている。市民からそういう声をいっぱいいただいたんです。中間ですが、一息あれするので、それを披露しておきましょうか。  市長に対して、こういう考え方が結構私に届けられます。資料1にありますように、合併して、天津小湊町に何をもたらしたのか、あるいは、先ほど言った合併協議の中で約束したことがどれだけ実行されているのか、それら、昨年でしたか、一昨年でしたか、太海の公園用地、特例債20億円を使って、償還が終わったからと、半分を城西大学にプレゼントした。私は、その段階でも、今残された、資料1の表で言う、25億円の特例債残高があるけれども、この支援を受けながら、つくった20億円の公園の半分を、償還が終わったからとプレゼントしちゃう。そんな倫理では困るなということを議論しましたが、やはりなかなかしみ渡らず、結果的に譲渡されておりますが、天津小湊町の人、ひどいよね、ひどいよねという声が多いです。今回の市民会館、多目的施設、当初は、先ほど言ったように、やはり維持費はかかる。年間50日ぐらいしか使わない。これについて、先ほど言ったように、この市民会館、市長、今回の病院計画は、かなり薄っぺらな計画の中で、もう3,000万円の予算を今回つけてきた。やると同時につけてきた。多目的施設、市長、知っていますか。歴代市長3代にわたって、この具体化直前に、協議も4年間にわたって、いろいろな団体からの要望を入れて、それぞれみんな腹八分でしょう、だけどやはり予算が限られています。それでできたものですよ、市長。  ここを見ると、1表戻ると、天津小湊町でやっていただいたのは、6,000万円の天津小学校耐震工事、コミュニティバスも、3,000万円のうち少しは絡みますかね。防災無線も4億5,000万円で、こういう事業はいいですね。防災事業4億4,000万円、これはいいです。そこに天津小湊町の姿があるだけで、この25億円を使う多目的施設に対しては、すごく期待を持っていたんですよ。国保病院の整備は、市長、あなたが県議のときにやる仕事ですよ。そのやり残しを、ここまで言うとあれですけど、あそこを壊そうとは言っていないんです。この資料の中に、鴨川市の概要ということで、医療部分のデータをやっています。これは、人口10万人当たりの比較ということで数字が載っていますが、37市中、1位。病院数、病床数、医療数、全て1位です。これは全国に当ててもトップクラスだと思います。  今、総務省は、公営病院の役割を検討して、民間委託とか、そういうものを促しています。ここの地図を見れば、長狭地区には国保病院しかありません。昔は、大山、主基に診療所なるものがあったと伺っております。国保病院が充実したことによって、あるいは個々の後継者の問題等でなくなったのか、事情はわかりませんが、現在はここに国保病院しかありません。おかげさまで、亀田病院を中心に、海岸沿い、天津小湊、江見に至るまで、それなりの診療所、急病が出たとき厄介になるそれぞれの病院はあります。長狭地区には国保病院しかありません。ここで取り壊しの議論をしているんじゃないです。先ほど言ったように、総務省のあり方研究会で、あるいは答申で出しているように、ここでは必要だろうけど、コンパクトな、あるいは今後の医療制度、あるいは今後求められる医療の機能、この鴨川地区で、安房全体で医療についての分析をしております。この地区は、平成15年から平成37年までだったですか、病院へ実際入院する方が3分の1減るだろうという統計を出しています。この間が一番減るんですけど。そんなところで、今の実態、国保病院の赤字を先ほど言いました。どんどん出ています。今、患者数がどんどん減っています。その中で、市長、市民から言われるんです。この間、発表して、中身はどうなの、私は答えました。3,500平米を5,000平米にするんですよ。えーっ、平気ですか。また人格を傷つけてはいけないけど、どこの部位かわかりませんけど、市長、平気ですかと言っていました。  それについて、いろいろ並べたんですが、市長、どうか、このかじ取り、これから、市長が言ったからといって、この方向づけは変えられるものではないです。先ほど言ったように、歴代3代の市長、議長、副議長と、多くの市民がかかわっています。時間のあれがありますので、後でまとめてご答弁ください。私は、いただいた時間を、できるだけ多く使いたいと思いますので。  昨日のスポーツ振興課長の佐々木議員への答弁で、財政にゆとりがあったら、機能を、たしか、縮小してという表現でしたか、とにかく、やる機会があったらやりたいというようなご答弁がありました。そこで、資料の4を見ていただきます。議員の皆さん、議員全員協議会で配付されたものに、ここに追加がされています。それは、下の10段目ぐらいに米印がついている、合併特例債を使わずに通常事業債を活用した場合ということで、これは配付資料に、私は今回の議論で数字を求めて、当局、財政課で作成をいただいているものでございます。市長、今回ほかの、私にすれば手を出さないでいい、公営企業に手を出しても、財政投下9億円、それで、水道事業6億円突っ込みますよ、それ、今後も毎年3億5,000万円も突っ込んでいって、あと四、五年、十何億円を整備費あるいは積立金に与えられる。それを先回りして、市民会館をやめて、6億円の財源を、もとは9億円です、市長は9億円と言いますけど、6億円の財源が水道に行く、プラスマイナス3億円です。それと、公営企業、病院、赤字の中で規模を大きくして、今後、自主財源で10億円から15億円起債をして返済をしていって、赤字企業がそれで耐えられますか。  千葉県下には、全国に悪い事例となった、ただ、銚子市立病院は財政面では悪いけど、鴨川の国保とは立ち位置は違います。あそこは鴨川市のような医療充実のまちとは違いますけれども、あの財政規模は鴨川市の3倍、人口は2倍の7万人、財政規模は480億円ぐらい。その市が、一病院のために、平成19年度ぐらいに財調が600万円までなったんです。それで一旦、病院を閉鎖しました。22年に再スタートしました。その後も5年間で、なくてはならない病院なので、鴨川とは違います、一般財政から30億円突っ込んでいます。もうそれではいけないということで、今度は県営の議論がされています。  何で多目的体育館、施設を切りかえて、鴨川市はこれだけ医療が充実して、昔は国保病院があった時代の、交通事情も変わっています。距離はどのくらいありますか、我々が視察に行くと、合併で、端から端まで100キロ、120キロ、60キロぐらいの合併は当たり前になっています。  そこで、あそこをなくせじゃないですけども、あそこには、適正な規模、先ほど言ったコンパクト、あるいは機能を備えたものをつくることが必要だと思います。地元の議員を含めてその議論を加速してもらえばと思いますが、私は言いたいのは、合併特例債を、確たる使い道をしっかり。  それと、もう一つ、言った途中であれですけど、この特例債については、先ほど市長が言うように、5年延長されました。この残された27億円の合併特例債を使うには、総務省から、議会でしっかり議論をしておけと、まちづくり計画を変更しなさいということで、平成27年に議会で提案されています。その中の財政計画では、地方債規制についてきっちり、地方債についてということで、厳格に、今もインターネットで載っています。地方債、残された合併特例債は、可能額全額を、平成28年、平成29年の多目的建設計画に使うことを推計します。当初の合併協議の追加変更ということで、それを議会できっちりやっています。先ほど、今回の議案提案、市長、薄っぺらで、紙1枚か2枚で、国保病院に25億円をやろうとしているということで言いましたけれども、こういう法的なクリア、手順を市長は省いているんです。文教の委員にもしっかり3,000万円の議論をしていただきたいんですが、また、幹部の職員、先ほど言った、副市長、教育長、外から見てということで、市長はそういう要請でお二人に着任いただいているんです。市長の判断に対して、あなたたちは外部の、あるいは県のスタンス、きちっと見て、法的な適合だとか、そういうものをしっかりやっていただきたい。市長が求めた外部から見てという要請にしっかり応えていただきたい。  弁論大会になっちゃいましたので、議員にも、いつも、あなたは演説会が多いと指摘を受けていますので、この程度でとめますので、残り5分で、市長なり、副市長なり、この多目的施設のとりやめについて、自主的に、平松の議論にも一理あり、本当ですよ、先ほど言った基金造成なんか、私が言ったら、ああ、いいことだ、すぐやってくれました。市長、かじを切るのも勇断ですよ。これだけ、禁句ですよ。本会計が、ほかからの要請もないのに、公営企業に口をつけて、だから口をつけちゃいけないといって、国保なんか、市長は二十何億を、特例債で使うものが、ざま見ろじゃないですけど、5億円しか使えない。それは口をつけちゃいけない。要請されても、本会計は市民の福祉向上を目指すものだから余り口をつけちゃいけないよということで、財政法上、最大限の設備投資をするにしても、4分の1までという規制を法でかけているんです。そこには精神があるんです。市長、ぜひ、あと残された議論で、大きくかじを切ってください。昔、ヨットに乗っていたじゃないですか。荒波を越えたじゃないですか。市民が待っています。もう決まっているものを、あなたがちょっとちょっかいつけただけ。ちょっかい、もう少し訂正して、やりたいと思う、そういうことを言えば、これから議論される予算委員会、本会議、活気がつきます。よろしくお願いいたします。亀田市長に答弁を求めます。 ○議長(大和田悟史君) 市長、亀田郁夫君。 ◎市長(亀田郁夫君) 3分しかございませんので、今たくさんのものをいただきましたので、まず、体育館については、ただ要らないというわけではなくて、必要なものだけれども、少し順番を変えさせていただいたということであります。  そしてまた、特例債にしても、ほかの交付金にしても、あるいは補助金にしても、何をやるからその補助金が欲しい、何をやるから少しでも国とか県に言って、その補助金でやっていくんだ。別に特例債があるからそれをやる、何でもいいからお金をとったら、それでどんどんやっていってしまったら、無駄なものをやって借金が増えてしまう、これだけは避けたいと思っています。今、確かに病院の場合には4分の1しか使えません。その中でも、少しでも、そうやって経営を安定化させたいというふうに思っております。  そして、国保病院の話が多かったんですけれども、あの地域に1つないと、これから、南房総とか鋸南とか、上のほうもたくさんあります。1つはどうしても病院がないと、これからの災害拠点病院とか、地域包括ケアをやっていく上でも、確実に必要だということで、今、病院の話をさせていただいています。  そして、先ほど病院については、経営が大変というのは、これは私たちも十分に思っています。これからやる以上は、どうしたら黒字になるか、それしか考えていません。そして、今この金額で出しているものは、これは後でまた議員の皆さんには、別途にお話しする機会が今日はありますけれども、その中で一つだけ申し上げておきますと、今もこの中で研究しています。国の動向、あるいは県、そして専門家を入れる、あるいは地域全体の中で、国保病院の位置づけというのは何なのかということを今考えています。収益的にも一番いいもの、お金をどんどん出してやっていくのは絶対避ける、その意味で今やっています。そして、こちらに提出してあるのは、今の国の基準、国が進もうとしている、その最低限のものをまずそこに入れながらやっているのが、この基準だというふうにお考えいただければいいかなと。いずれにしましても、今、健康福祉のほうとも、確実にプラスになって、そして、今のあそこの高齢にも耐えられる、そういうものをこれからつくっていくということでやっていっております。  あと、いろいろあったんですけれども、いずれにしましても、これから市民の皆様、そして議員の皆様にも、一つずつを丁寧に説明をさせていただきながら、ご理解をいただきながら、我々は責任を持った形で進んでまいります。それだけはご理解をいただいておきたい。そして、その全責任があるのが私だということも、ここではっきりと申し上げておきます。どうもありがとうございました。 ○議長(大和田悟史君) 平松健治君。 ◆14番(平松健治君) 先ほど言い忘れました。多目的体育館、自主財源でやったら、自主財源を30億円も使います。いつやりますか。消費税も10%上がります。市長が言う、オリンピックが終わったら物価が少し下がるでしょう。全部吸収されます。しっかり考えてください。 ○議長(大和田悟史君) 11時15分まで休憩いたします。                 午前11時03分 休憩           ────────────────────────                 午前11時15分 再開 ○議長(大和田悟史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  傍聴人より写真撮影の届け出がありましたので、鴨川市議会傍聴規則第10条の規定により、議長において、これを許可いたしましたので、ご報告いたします。  福原三枝子君から、一般質問に際し、資料パネルの使用の申し出があり、これを許可しましたので、報告いたします。なお、資料パネルと同等の資料等を配付いたします。                   〔資料配付〕 ○議長(大和田悟史君) 配付漏れはありませんか。               〔「ありません」と呼ぶ者あり〕 ○議長(大和田悟史君) 配付漏れはなしと認めます。  これより発言を許します。福原三枝子君。                〔7番 福原三枝子君登壇〕 ◆7番(福原三枝子君) 皆様、こんにちは。公明党の福原三枝子です。本日は、お忙しい中、傍聴に来てくださった皆様、インターネットをごらんの皆様、大変にありがとうございます。議長の許可をいただきましたので、通告に基づき一般質問をさせていただきます。  まず初めに、我が市の歴史遺産「嶺岡牧」について伺います。  私が、嶺岡牧のことをしっかり学ぼうと決めたのは、市外の友人から何回も「嶺岡牧は、歴史遺産としてすごいと思う。勉強してみるといい」と言われたことがきっかけでした。その後、折あるごとに講演会やセミナーへの参加、仲間との勉強会、まだ一部分ではありますが、何よりも現場を、研究者である日暮晃一氏に案内をしていただいたことで、より現実にわかってまいりました。  嶺岡牧の範囲は、この長狭平野の南側にあり、この一戦場から南房総市まで続いております。そして、ここにある柱木牧まで続いてありまして、ここは、鴨川市と南房総市にまたがっておりますが、一連となっている牧です。これらの牧は平安時代から始まり、外周約75キロメートル、全貌が望める唯一の江戸幕府直轄牧、延々と続く野馬土手、多くの古文書、民俗資料が保存されていること、八代将軍徳川吉宗が白牛を飼い、牛の乳でつくった「醍醐」を国民に広め、これが起点となって牛乳・乳製品食の源流となり、日本酪農発祥の地となった歴史などです。  鴨川市教育委員会は、嶺岡牧について、鴨川市の歴史遺産として把握され、平成21年度には「尾根の上の牧場 嶺岡牧探訪展」を開催するなど利括用等の試みをされ、2014年3月には当時は企画政策課が「嶺岡牧読本」を作成し、市内外に発信等するなどの取り組みを進めてこられました。また、民間の研究者の方では、1961年に金木氏、1969年に渡辺氏、1993年に大谷氏によって調査・研究がされましたが、全容解明には至りませんでした。  そこで、嶺岡牧の実態をつかむために、2009年から現在まで、元東京大学大学院農学生命科学研究科教授の日暮晃一氏ほか牛村展子氏、佐藤奨平氏、酪農の里等々の方々が調査研究を続けてこられ、嶺岡地域のイノベーション、いわゆる資源開発を実現するために、地元の方や市外の方に、現地案内や作業等をして知ってもらうことなども進めながら、嶺岡牧の全容を明らかにされました。それは、嶺岡牧が「国指定史跡に匹敵する歴史文化遣産」の価値があり、日本遺産登録申請も可能な歴史遺産であるとわかったのです。これはもうすごいことだと思います。先生方に心からの敬意と感謝の思いでいっぱいでございます。  今、文化庁では、3年後に控えたオリンピック・パラリンピックを前に、日本遺産100カ所の認定を進めております。千葉県でも、さきに日本遺産登録となった「北総4都市江戸紀行」に続いて、県内の地域遺産の2番目を摸索しているやに伺っています。今こそ、この嶺岡牧にふさわしい利活用を考えるときであります。  ここで、1、歴史遺産「嶺岡牧」の魅力。2、歴史遺産「嶺岡牧」の価値。3、南房総市の「柱木牧」は一連のものであるが、共同調査等を実施しているか。4、研究者による調査、研究の結果、「嶺岡牧読本」の記載事項の修正が必要であるとの見解が出ております。「嶺岡読本」の修正版の作成と配布について。5、日本遺産登録の申請について。以上、5点伺います。  次に、嶺岡牧の観光資源としての活用並びに地域活性化について伺います。  本題の前に、観光で最も書き入れ時の夏季シーズンを終え、関係者の皆様、大変にお疲れさまでした。今年は、8月11日から8月20日ごろまでが天候不順となってしまい、心配もいたしました。この夏の観光客の入込数や、海水浴条例が発令され、2年目の実施状況、事故など、総括を伺います。  次に、去る7月10日に資料として配付されました「プラットフォーム」については、この秋までに方針を出されるとのことでしたので、今後の方針とプラットフォームの今までの取り組み、成果について伺います。  本題に入りますが、嶺岡牧は、「国指定史跡に匹敵する歴史文化遺産」並びに「日本遺産」に値する歴史遺産でありますが、まだ市内外に周知されてはいない現状です。このような価値ある歴史遺産であれば、今後、主要な観光資源に活用していくべきではないでしょうか。嶺岡牧の活用を考える中で、酪農は必然だと思います。なぜなら、日本酪農発祥の地を活かさない手はありません。ここ鴨川市の酪農の現状を把握したいので、1つ、鴨川市の酪農業の現状と歴史、2つ、市の酪農業の今後の施策と、馬を飼育している農家が現在あるのか伺います。  また、嶺岡地域は、江戸時代の白牛酪に始まり、牛乳・乳製品食の源流であり、日本食生活近代化遺産です。暮らしの中で、酪農家の皆さんが、売り物にはならない初乳を食してきたものを「チッコカタメターノ」と呼んでいるそうですが、これを料理としてプロジェクト鴨川味の方舟の皆さんが「鴨川味の方舟品目」として普及を進めておられると聞いております。品目は200種類もあるそうです。現在定着しつつある地域の食文化おらが丼に続いて、日本酪農の里発祥の地、鴨川市の観光での食べる楽しみにつなげていくことも考えられます。さらに、2020年に東京で開催されるオリンピック・パラリンピックを視野に、嶺岡牧を歴史遺産としての活用と、食文化の活用もあわせて、インバウンド観光の大きな観光資源にしていける可能性も考えられるのではないでしょうか。まさに、今このとき、日本遺産登録申請を視野に入れた嶺岡牧の観光資源としての活用を考えていくことが重要です。市は、これらの活用を考えていく中で、地域活性化に向けた取り組みについて伺います。  続いて、私は、6月議会で、多目的施設建設の方向性について、4点を質問いたしました。9月までに是非を報告するとの市長の答弁があり、結果、多目的施設建設は見送るとのこと。この結論を出すに至った理由は、質問1の4カ月間の検証によって出されたものですが、同僚議員への答弁と重なりましたので、質問2、今後の文化施設市民会館とスポーツ施設などを、どのように利用し、いつまで使用する考えなのか伺います。  以上、登壇での質問といたします。 ○議長(大和田悟史君) 福原三枝子君の質問に対する当局の答弁を求めます。市長、亀田郁夫君。               〔市長 亀田郁夫君登壇〕 ◎市長(亀田郁夫君) 福原三枝子議員からは、大きく3点の質問をいただきました。このうち、1点目の質問及び2点目の質問のうちの嶺岡牧の歴史については教育長が答弁いたしますので、それ以外の質問についてお答えいたします。  まず、ご質問のありました、この夏の観光客の入込数ですが、海水浴場への入込状況をお答えいたします。本年度の海水浴場は、7月15日の土曜日から8月20日の日曜日までの37日間、6カ所で開設しました。結果として、本年度の海水浴場全体の入込数は8万2,271人となり、昨年度と比較しますと、人数では2万3,050人、率にして21.9%の大幅な減少となりました。総体的な入込数は、現在調査中のため数値をお示しすることはできませんが、調査終了後に発表をさせていただきます。  また、「鴨川市安全で安心な海水浴場の確保に関する条例」の実施状況ですが、条例に基づく禁止行為等については、警察OBの方々を監視監として雇用し、巡視をしてまいりました。条例の違反で最も多かったものは、入れ墨を公衆の目に触れさせること、入れ墨の露出で、期間中、213名の方に、入れ墨を隠すためのシールやTシャツの着用をするよう、監視監から指導を行いました。なお、入れ墨以外の条例違反も若干ありましたが、いずれも監視監による指導により、違反行為を中止することができました。また、事故等の状況ですが、小さなけが等は多少ありましたが、ライフセーバーによる的確な監視活動によりまして、本年度も海水浴場での死亡事故はございませんでした。  次に、プラットフォームの関連についてですが、まずは、今までの取り組みと成果についてお答えいたします。  平成22年度ごろから、観光を取り巻く環境に変化が見られ、地域の多様な関係者が横断的に連携しながら、地域資源を活用し、その地域ならではの旅行商品を提供する着地型観光の展開が求められていたため、情報を一元化した観光のワンストップ窓口として、平成23年度に「鴨川市観光プラットフォーム推進協議会」を立ち上げました。  平成28年度の主な取り組みとしては、来訪客の動向やニーズを把握するための市場調査を初め、各種パンフレットなどの作成、ポータルサイト「かもがわナビ」及び予約サイト「カモ旅」の運営並びにシステム強化、さらにはモニタープラン・実証プランの企画、インスタグラムによるフォトコンテスト、国内及び海外の教育旅行の受け入れ事業などを実施しました。  また、「合同会社鴨川市観光プラットフォーム」は、収益部分に関する事業を実施していくために、協議会とは別の組織として、平成26年度に設立されました。この合同会社は、協議会と深く連携を図りながら、地域の資源を活用した旅行商品づくり及び販売、観光プロモーション、情報発信など、観光振興に向けて取り組んでおり、情報発信力が強化されるなど、来訪者の利便性の向上が図られたものと思っております。  続きまして、プラットフォームの今後の方針です。「鴨川市観光プラットフォーム推進協議会」及び「合同会社鴨川市観光プラットフォーム」の2つの組織については、経営人材、リーダー人材の不足、収益事業または広報力の不足などの課題があることから、新たな実効的な組織体制づくりを検討しており、できるだけ早い時期に、立ち上げられるよう取り組んでおります。  改革の目的としては、みずからが稼ぎながら、各種収益事業が実施可能な組織体系として構築し、強化しようとするものです。具体的な組織体制は、現在の「合同会社」を「(仮称)株式会社観光局」に、そして、「協議会」を「(仮称)観光局評議委員会」に変更していくことを考えております。  「(仮称)株式会社観光局」の実施事業については、現在、合同会社が行っている事業やイベント等の実施・補助、団体運営支援などを予定しており、市からの補助等も有効に活用しながら、みずからが稼ぎ、そして、みずからが事業を総合的に実施していこうという新たな体制整備が不可欠だと考えております。  一方、「(仮称)観光局評議委員会」ですが、さまざまな事業や機能を「(仮称)株式会社観光局」に集中させていくことから、出資者以外の関係者にも参画をいただき、ご意見を反映させながら、市全体の観光施策との連絡調整を図る役割を担っていくものといたします。  今後の進捗状況ですが、先月17日に、鴨川市観光プラットフォーム推進協議会の全体会において、各構成団体の皆様に説明をし、方向性について、おおむね了解をいただきました。現在、新組織が担うべき事業範囲についての検討を始めており、今後は、新組織でのビジネスモデル、事業計画、定款の作成などの業務を進めてまいります。事業の実施においては、プラットフォームの構成団体や関係者皆様のご支援、ご協力が必要不可欠ですので、十分な協議を重ねながら、進めてまいります。  次に、嶺岡牧の観光資源としての活用方法ですが、議員ご指摘の「嶺岡牧」は、かけがえのない歴史的な資源であると認識しており、新たな観光資源として、既存の資源との組み合わせなどによる観光ルートの検討を、また、PR等の周知を図り、外国人誘客にも積極的に取り組んでまいります。  加えて、嶺岡牧は南房総市にもまたがっていることから、市域を越えた広域的な取り組みも検討していきたいと考えております。こうした取り組みにより、新たな観光客の増加を図り、来訪客の滞在による経済への波及効果を通して、地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。  次に、酪農業の現状と今後の施策についてお答えさせていただきます。  酪農業をめぐる状況は、高齢化と後継者不足、乳用牛の飼養頭数の減少、及び飼料価格の高騰等により、生乳生産基盤の弱体化が懸念され、この厳しい状況は、本市酪農業にとっても例外ではございません。  酪農家戸数及び乳牛の飼養頭数の推移ですが、市の統計書によりますと、平成元年当時は、旧鴨川市及び旧天津小湊町の酪農家戸数387戸、乳牛の飼養頭数4,875頭、平成17年当時は、酪農家戸数52戸、乳牛の飼養頭数1,623頭、平成27年は、酪農家戸数29戸、乳牛の飼養頭数1,211頭と、この26年間で酪農家戸数が約10分の1以下、乳牛の飼養頭数も約4分の1にまで減少しており、この状況を見ましても、本市の酪農業の状況の厳しさがわかるところでございます。  次に、本市の酪農業の今後の施策についてお答えいたします。本市の酪農業については、酪農家の皆様方による「鴨川市酪農会」が組織され、牛の伝染病予防のためのワクチン接種や、休日が取りづらい酪農家への定休型休日取得の定着を促進するための酪農ヘルパー制度の運用、「鴨川地区ホルスタイン共進会」、「鴨川市乳用牛改良推進事業」による「輸入受精卵」の導入など、さまざまな取り組みがなされております。本市といたしましても、水稲と並ぶ基幹農業の一つである酪農の振興のため、その取り組みについて、各種補助を実施しております。  酪農会の取り組みの中でも、「鴨川地区ホルスタイン共進会」については、県内で唯一、市単位で行われている共進会で、乳牛の資質の改良と、個体能力の向上による生乳の生産性及び品質の向上を目的としており、今年度で46回目を迎える歴史と伝統のある事業でございます。この共進会において優秀な成績をおさめた乳牛については、その後に行われる安房郡市の大会でも優秀な成績をおさめ、千葉県大会、そして関東大会へと勝ち進むことが多く見受けられております。  昨年度は、安房郡市共進会において、本市からの出品牛が上位を独占し、千葉県大会へ出場する安房郡市代表の半分が本市の乳牛でした。そして、千葉県大会においても、未経産牛の部、経産牛の部、ともに名誉賞を受賞する快挙をなし遂げました。  また、平成27年度に開催された「全日本ホルスタイン共進会北海道大会」に千葉県代表として出場した本市の乳牛についても、酪農会が行う乳用牛改良推進事業により誕生した乳牛を母牛とする出品牛であり、まさに事業の成果と本市酪農家の技術力の高さが証明されたものでございます。
     本市の乳用牛は、経営者の努力により、各種ホルスタイン共進会においてすばらしい成績をおさめてきた歴史があり、また、本市基幹産業の一つでもありますことから、引き続き酪農業の継続的で安定的な経営の維持を図るため、酪農業の振興発展へ、できる限りの支援を続けてまいります。  次に、馬を飼育している農家が現在あるかとの質問についてですが、千葉県南部家畜保健衛生所に確認しましたところ、市内では2頭飼育されているとのことでありました。  次に、大きな3点目、多目的施設についてのご質問にお答えをいたします。これまでも同様の質問がありましたので、答弁内容が重複する部分があると思いますが、ご了解を願います。  議員ご承知のとおり、多目的施設は、バスケットボールやバレーボール等の室内球技等に使用が可能な床張り体育館と、市民の文化活動に活用が可能なホール機能をあわせ持つ施設として計画しておりました。これまでの答弁においてもお答えしていますように、多目的施設整備については、見送りという判断をさせていただいたことから、多目的施設を整備することにより見込まれていた、文化施設としての機能、スポーツ施設としての機能をある程度確保する対策をとっていかなければならないと考えております。  市民会館については、引き続き維持管理に努め、必要な修繕で対応しながら、可能な限り、使用してまいります。また、市民会館の利用と並行して、市内に立地する長狭高等学校、城西国際大学、亀田医療大学のホールなどの既存施設の活用について、関係各位のご理解とご協力をいただくよう努力してまいります。  次に、多目的施設整備で予定していたスポーツ施設としての機能については、バスケットボールやバレーボールなどの室内競技、特に大規模な大会については誘致することはかないませんが、合宿等での練習、キャンプについては、小中学校の体育館や廃校施設の体育館を初め、長狭高等学校や、現在使用している亀田医療大学の体育館など、関係者の皆様にご了承、ご協力をいただきながら、幅広く確保し、対応してまいりたいと考えております。  以上で、私の登壇での答弁とさせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(大和田悟史君) 次に、教育長、月岡正美君。                〔教育長 月岡正美君登壇〕 ◎教育長(月岡正美君) 私からは、大きな質問項目の1点目、本市の貴重な歴史遺産である「嶺岡牧」の日本遺産登録申請について、5点のご質問にお答えいたします。  まず、1点目の「嶺岡牧」の魅力及び2点目のその価値については、一括してお答えします。  「嶺岡牧」は、戦国時代、嶺岡山系周辺に牧を整備した里見氏が江戸時代初期に滅んだ後、八代将軍吉宗の時代に、江戸幕府直轄の牧として再び取り立てられ、以後、明治維新の時代まで、江戸幕府が直接治める牧として管理運営されていたものです。江戸幕府直轄の牧としては、北総の「小金牧」「佐倉牧」、安房の「嶺岡牧」、駿河の「愛鷹牧」の4つの牧が存在し、そのうちの3つが千葉県内に集中しています。  嶺岡山系の複雑な地形を活かした嶺岡牧は、北総の広大な台地や平地に開かれた2つの牧とは異なるものであり、また、北総の2つの牧が明治初めに廃止されたのに対し、「嶺岡牧」は、明治以降も引き続き民間の会社組織によって牧の経営が継続され、明治44年まで存続しました。  「嶺岡牧」の文化財的な価値としては、江戸幕府直轄の牧として活用されていた当時の姿が、ほぼそのまま残されている点、また、埋蔵文化財・包蔵地である「野馬土手」を初め、「陣屋跡」、「馬捕り場跡」、「水飲み場跡」などのさまざまな遺跡が良好な状態で残されている点、さらに資料類や古文書類が数多く保存されている点が、非常に高く評価できます。また、江戸時代、白牛の乳から作られた「白牛酪」は薬としての効果が高いとされ、高価で販売されていたと記録されており、この「白牛酪」の製造が嶺岡で行われたことから、日本における酪農の発祥とされている点に、歴史的な価値を見出すことができます。  このような文化財的、歴史的な価値を有する「嶺岡牧」の魅力は、海を間近に望み、田畑や林が続く日本の原風景の中に牧の景観が自然美を伴って広がっている点、牧の中の桜並木やウオーキングコースを散策しながら牧の遺構をめぐることが可能である点、さらに、やぶさめに代表される嶺岡牧と馬にかかわる伝統行事・民俗・文化に現在でも親しむことができる点が挙げられます。また、観光面で活用される可能性があること、子どもたちが、地域の歴史を学ぶなど、教育面で活用ができることなどが、その魅力であると認識しております。  次に、ご質問の3点目、南房総市の「柱木牧」は一連のものであるが、共同調査等を実施しているかとのご質問ですが、「嶺岡牧」は、鴨川市と南房総市にまたがる嶺岡山系の一帯に沿って5つの牧が広がり、その全体の普及や活用を推進するためには、当然、南房総市と本市の連携・協力が必要となりますが、これまで、遺構・野馬土手などの調査を、南房総市と共同で実施したことはありません。本市は、平成22年度から24年度の3カ年をかけて「嶺岡牧」の再生と活用を期して基礎調査を実施したところですが、この調査は、牧の範囲内の遺構の状況を把握することを目的として、各地のまちづくり事業に参画した経験をお持ちの日暮晃一氏に、鴨川市域内に所在する牧の遺構を対象として実地調査を依頼したものであり、南房総市の遺構については、調査の対象外でありました。「嶺岡牧」の一部である「柱木牧」は南房総市域に所在しており、今後、連携した調査が必要となった場合には、南房総市と協議したいと考えております。  次に、4点目の「嶺岡牧読本」の改訂ですが、「嶺岡牧読本」は、ただいま申し上げた基礎調査によって得られた成果を広く周知することを目的として、平成26年3月に刊行した冊子です。この調査では、「嶺岡牧」と隣接する村々との境界や牧の範囲内を仕切るために築造された「野馬土手」の残存状況や、牧内の馬の水飲み場や牧周辺の「馬頭観音」の分布状況などが確認されました。この結果、それまで明らかにされていなかった「嶺岡牧」の全体像が、具体的な輪郭線を伴って把握されるなど、大きな成果が得られました。  この読本は、調査によって得られた知見を基に、本市の子どもたちや市民の皆様が興味、関心を抱き、理解していただけるようなわかりやすい内容の、いわば入門編とも言うべき冊子であり、これまで合計1,700部を印刷し、この3年間で多くの市民の皆様や小中学校へ配布しました。そこで、この読本の改訂については、現在、在庫がないことから、新たに発刊を計画する際には、これまでの調査研究によって得られた発見や知見の内容を参考にしたいと考えております。  最後に、5点目の日本遺産の申請についてですが、まず、日本遺産の制度について申し上げます。この制度は、文化庁が、文化財や伝統文化を通じた地域の活性化を目指して、地域の歴史、伝承、慣習に基づく、指定・未指定のさまざまな文化財から構成される、魅力あるストーリーを日本遺産として認定し、人材の育成、環境整備、情報発信などを支援していこうというものであります。ストーリーについては、地域型とネットワーク型があり、地域型は、単独の市町村内でストーリーが完結するもの、ネットワーク型は、複数の市町村にまたがってストーリーが展開するものです。平成27年度から現在まで54件が日本遺産に認定され、このうち、地域型は18件、ネットワーク型は36件となっております。  国は、平成32年度までに全国約100件の日本遺産の認定を行うこととしておりますが、平成27年度は申請83件に対して、認定は18件、平成28年度は申請67件に対し、認定は19件、平成29年度は申請78件に対し、認定は17件と非常に狭き門となっております。千葉県内では、佐倉、成田、香取及び銚子の4市によるネットワーク型の「北総四都市江戸紀行・江戸を感じる北総の町並み」というストーリーが1件認定されております。平成28年度には、千葉県が県内31市町村との連携により申請しましたが、認定には至りませんでした。認定されない理由は公表されておりませんが、地域の魅力を最大限に表現するにはまだ研究不足であるとか、ストーリーが練られていない、あるいは組織や態勢づくりが不十分、計画の実現性が低いなどの理由が想定されるところです。  そこで、「嶺岡牧」を活用した日本遺産の申請には、先ほど申し上げたとおり、2つの手法があり、市が単独で申請する「地域型」では、「歴史文化基本構想」あるいは「歴史的風致維持向上計画」を策定済みであることが条件となりますが、本市ではともに策定をしていないため、申請は難しいものがあります。「ネットワーク型」では、複数の市町村によるストーリーが形成されれば申請は可能となりますが、「小金牧」、「佐倉牧」及び「嶺岡牧」に関係する市や町においては、今のところ申請に向けた具体的な動きがないことから、直ちにこのストーリー型での申請も難しいものと考えております。  今後は、牧に関係する自治体との足並みがそろえば、連携による日本遺産申請に向けた取り組みについて、検討してまいりたいと考えております。  以上で、登壇での答弁といたします。 ○議長(大和田悟史君) 福原三枝子君。 ◆7番(福原三枝子君) 丁寧なる答弁、ありがとうございました。生涯学習課に再質問をさせていただきます。「嶺岡読本」については、答弁していただいたとおり、お願いしたいと思います。なお、嶺岡読本のほかに、学校教育用の冊子などについても、その後の調査研究に沿った現在の嶺岡牧に、修正を早急にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○議長(大和田悟史君) 生涯学習課長、黒野雅典君。 ◎生涯学習課長(黒野雅典君) それでは、学校教育用の冊子の改訂につきましてお答えをさせていただきます。議員ご質問の冊子でございますけれども、本の表題が「わたしたちの鴨川市・歴史編」というものでございまして、これは平成26年3月に、教育委員会が、本市の縄文時代から現代までの歴史を、子どもたちに理解できる内容に編集しまして発行したものです。現在、学校の副読本として活用されております。この冊子は、嶺岡牧に関する内容につきましては、当時の基礎調査をもとに作成をしたものであり、平成25年度以降に行われた専門家の方々によります調査内容なども今後は参考にさせていただき、必要があれば改訂を検討してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 福原三枝子君。 ◆7番(福原三枝子君) 次に、牧に関する自治体との足並みがそろえば、連携による日本遺産登録申請に向けた取り組みについて検討するとありました。これは鴨川市が手を挙げて足並みをそろえていただけると理解してよろしいでしょうか。 ○議長(大和田悟史君) 生涯学習課長、黒野雅典君。 ◎生涯学習課長(黒野雅典君) それでは、日本遺産の申請に関する他の関係自治体との連携についてお答えをさせていただきます。本市が、仮に牧を核とした日本遺産の申請を考える場合、認定要件を踏まえれば、県内の牧が所在する関係自治体との連携によるネットワーク型が現時点ではふさわしいものと思慮しております。ただし、反面、この方式では、温度差や方向性の違いなどから、合意形成に時間がかかる課題がございます。本件につきましては、今のところ、関係自治体において具体的な動きは確認できておりません。しかしながら、引き続き、この日本遺産の関係につきましては積極的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 福原三枝子君。 ◆7番(福原三枝子君) それでは、今までに市民の皆様へ嶺岡読本などを通して周知してこられたわけですが、その周知内容を修正や加筆するわけですので、特に嶺岡牧が日本遺産登録申請ができるほどの歴史遺産であることは、市民の皆様や市外の方々に周知はまだできておりませんので、今後早急に、南房総市とともに、シンポジウムや展示会、講演会などを開催していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 ○議長(大和田悟史君) 生涯学習課長、黒野雅典君。 ◎生涯学習課長(黒野雅典君) 嶺岡牧の周知につきましてお答えさせていただきます。嶺岡牧の周知啓発の取り組みにつきましては、これまで企画展や解説講座を初め、現地見学会、シンポジウムなどを開催し、認知度の向上に努めてまいりました。こうした取り組みによりまして、平成20年以前の状況と比較すれば、効果はあったものと存じております。議員ご指摘の今後の周知方法につきましては、南房総市と連携した企画行事や、新たな展示会や講演会などを検討いたします。また、嶺岡牧の300年前の姿を記録した絵図2点を市の文化財に指定し、公開することを計画しております。ご承知のとおり、嶺岡牧はちば遺産100選にも選定され、県内でもその価値は広く認められております。そうした価値をより一層広く市民の方々に周知するよう取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いします。 ○議長(大和田悟史君) 福原三枝子君。 ◆7番(福原三枝子君) ありがとうございました。続いて、観光課に再質問をさせていただきます。この夏の観光の総括は後日になるとのことですが、海水浴場での重大な事故もなかったと伺い、安心いたしました。現在進めていただいている鴨川市観光プラットフォームの改革ですが、目的は、市からの補助に頼ることなく、みずからが稼ぎ、みずからが事業を実施していこうという新たな体制整備の構築です。ぜひ答弁のとおり発展できる組織づくりをお願いいたします。  嶺岡牧の観光資源としての活用方法ですが、新たな観光資源として、広域的な取り組みの検討や、新たな観光客の増加など、地域活性化につなげていきたいとの答弁をいただきましたので、今後の企画あるいは計画への取り組みなどを伺います。 ○議長(大和田悟史君) 観光課長、山口昌宏君。 ◎観光課長(山口昌宏君) それでは、お答えを申し上げます。嶺岡牧を活用した企画等の今後の取り組みについてでございますが、本市の活性化を図っていく方策の一つとして、お越しいただく観光客の方々を増加させていくことが重要であると認識をいたしております。このためには、既存観光資源の効果的なPRの実施や、観光客の方々のニーズに対応したメニューづくりなどが必要であると存じております。嶺岡牧につきましては、かけがえのない歴史的資源であり、新たな観光資源となる可能性がございますことから、既存の観光資源との組み合わせによる新たな観光ルートの検討に加えまして、ツアー商品としての造成なども検討してまいりたいと思っております。また、知名度を向上させていくためにも、広報宣伝活動の実施による周知を図りながら、観光誘客へとつなげてまいりたいと存じております。  なお、新たな観光ルートの検討に当たりましては、市域を越えた広域的な取り組みや、南房総地域全体での回遊性も考慮いたしまして、安房地域3市1町で構成しております南房総観光連盟等の広域連盟等での取り組みも考慮していきたいと考えております。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 福原三枝子君。 ◆7番(福原三枝子君) ありがとうございました。続きまして、スポーツ振興課に再質問をさせていただきます。市民会館は、ご存じのとおり、既存の建物を改築し市民会館として使用してから40年経過し、当然、建物から、設備から、疲弊しております。そのような状況のもと、平成23年から建て替え協議が始まり、途中、東日本大震災、オリンピック・パラリンピックの影響により、スポーツ施設と併設の多目的施設となってしまいましたが、平成31年には新しい文化ホールの完成を待っていたわけです。市民会館建て替えのために寄附をしてくださった多くの市民の方々もおります。先ほどの答弁で、多目的施設建設は見送ったので、文化活動は、今後は現在の市民会館を小規模な修繕で対応しながら、可能な限り使用する。練習やキャンプは小中学校の体育館、廃校施設の体育館、そのほか、両施設とも長狭高、城西大学などを借りていくとのことでしたが、その先の文化・スポーツ施設の企画あるいは計画などを伺います。 ○議長(大和田悟史君) スポーツ振興課長、鈴木克己君。 ◎スポーツ振興課長(鈴木克己君) それでは、私からは、今後のスポーツ施設の整備計画等につきましてお答え申し上げます。多目的施設建設予定地につきましては、今までの市長の答弁と重複いたしますが、確保させていただいた土地を有効に活用していくため、市民の憩い、軽スポーツや各種レクリエーション等に幅広く活用できるような芝生広場として整備し、同時に、利用者が安全に活用できるよう、施設内の園路を整備してまいりたいと存じております。また、キャンプ等に向け、野球場あるいはソフトボール場のグラウンド整備工事等を実施してまいりますほか、既存の社会体育施設につきましても、適宜修繕等を行って、利用者の利便性の向上を図ってまいりたいと存じておりますので、ご理解を頂戴したいと存じます。 ○議長(大和田悟史君) 財政課長、増田勝己君。 ◎財政課長(増田勝己君) それでは、私のほうからは、文化面のほうからお答えをさせていただきたいと思います。議員からは、市民会館の後の、次の施設の計画はというご質問かと思います。現在のところ、市民会館につきましては、必要な修繕を加えながら、できるだけ長く使っていきたいと考えております。その後の、市民会館にかわる新しい施設の具体的な計画につきましては、今現在はないという状況でございます。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 福原三枝子君。 ◆7番(福原三枝子君) 多目的施設関係の再々質問をさせていただきます。ただいま今後の文化・スポーツ施設の整備計画を伺い、亀田市長のお考えを1点に絞りお伺いいたします。多目的施設建設は、市の事業の優先順位を検証した結果、見送ることになったとの答弁をされました。市民の皆様は、平成31年4月から、多目的施設を利用して文化やスポーツを楽しむことができると思われております。市では、そのことを市民の皆様に周知しているからです。見送るということは約束違反です。この約束違反に対しての整備計画としては余りにもお粗末な内容で、私は、市民の皆様は本当にがっかりされると思います。今後、市民の皆様へ理解を求められるのは承知しておりますが、多目的施設建設にストップをかけて6カ月間、多くの市民の皆様にご心配等をおかけしたのは事実でございます。今この議場で、市民の皆様へ、亀田市長からご挨拶があってしかりと考えますが、いかがでしょうか。 ○議長(大和田悟史君) 市長、亀田郁夫君。 ◎市長(亀田郁夫君) それでは、お答え申し上げます。まず初めに申し上げたいのは、これまでの答弁でも何回も申し上げてまいりましたとおり、私といたしましても、多目的施設整備に向けたこれまでの取り組み、市民皆様の声、そして重要性についても十分に理解をしているつもりでございます。また、可能であるならば実現をしたいとも考えております。こうした中で、何度も、何度も申し上げましたけれども、私が市長に就任して以来、財政状況の把握や、今後実施すべき事業等の検証を行ってまいりましたが、その際には、住民生活の充実に直結するものであること、限られた予算の中で、より有利な財源確保に結びつくものであること、そして将来にわたり財政負担の軽減につながるものであること等を判断基準とし、この事業の優先順位をつけてまいりました。これに対して、約束違反である整備計画、そして、お粗末な内容であるとのご指摘を今いただきました。  いま一度、内容を簡単に申し上げます。インフラ整備として、幹線市道の更新や、水道事業における老朽管対策、公園整備などがございます。加えて、広域ごみ処理事業が停滞する中での、既存のごみ処理施設の更新は喫緊の課題と判断をさせていただきました。  また、高齢化が進む中で、医療や介護、生活支援等が一体に提供される地域包括ケア機能のさらなる拡充が求められており、その中核施設の一つとして市立国保病院の充実・機能強化は必要不可欠でございます。これは現在取り組んでいる鴨川版CCRC構想の推進や、大規模災害時の災害拠点としても重要な位置を占めるものであることに加え、将来に向けた持続可能な病院経営の確保という面からも、新たな施設整備は必要不可欠であるとの判断をいたし、現在、研究中でございます。  福原議員からは、お粗末な計画であるとのご指摘をいただきましたが、地域の皆様、市民の命を守るための病院を初め、どれもが市民生活に直結する非常に大事な事業であり、どれ一つおろそかにできるものではないと考えております。  また、この場で市民の皆様へのメッセージをとのことでございます。市民の皆様に申し上げます。3月の就任以来、さまざまな検討を行い、このたび一つの結論として、多目的施設建設の見送りをお示しさせていただきました。ご指摘のように、この間、市民の皆様にはご心配をおかけいたしました。また、混乱をされた部分もあろうかと思います。このことについてはおわびを申し上げます。ただ、市長就任から6カ月が経過をいたしました。現在、早急に解決し前に進まなければならない案件がまだ幾つかございます。市民の皆様には、今後も広報でのお知らせ、あわせて市民懇談会等の機会を設け、お互いに顔の見える形で丁寧に説明をさせていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○議長(大和田悟史君) 福原三枝子君。 ◆7番(福原三枝子君) 亀田市長、誠実なるご答弁、ありがとうございました。1点だけ確認いたしますが、私がお粗末な計画と言うのは、これから市民会館を修繕していきながら使ったり、ほかの長狭高や医療大学の施設を借りながらやっていく、そのことに対してのお粗末な計画ということですので、この点確認させていただきます。  また、市長は、今後、懇談会を通されながら丁寧な説明をされていくと存じますが、その際に、市民の皆様に喜んでいただける計画を早急に示していただきたいことを要望いたします。  それと、まとめでございますが、日本遺産登録は、遺跡保存、地域活性化、観光開発が要件です。まずは、魅力的な嶺岡牧のパンフレットをつくり、南房総市との連携、協議、地元シンポジウムなどの開催です。観光課の広域な観光開発等により地域活性化につなげていく、酪農発祥の地である鴨川市は、嶺岡牧の活用で、酪農振興、農業振興などにつなげていく、これらを実現するためには、教育委員会、観光課、農水商工課、企画政策課など、市を挙げての取り組みが必須でございます。予算も必要です。もし日本遺産登録申請がかなえばですが、国からの年間調査費2,900万円、整備費7,900万円、1年間で計9,900万円、それが10年間です。我が市にとって、とてつもない大きな宝、嶺岡牧が、今私たちの手の届くところにあるのです。鴨川市から大きな声を上げ、日本遺産登録申請の準備にとりかかっていただけるよう要望いたします。  これで一般質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(大和田悟史君) 午後1時15分まで休憩いたします。                 午後0時14分 休憩           ────────────────────────                 午後1時15分 再開                〔9番 刈込信道君入場〕 ○議長(大和田悟史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  傍聴人より写真撮影の届け出があり、鴨川市議会傍聴規則第10条の規定により、議長において、これを許可いたしましたので、ご報告いたします。  庄司朋代君から、一般質問に際し、資料パネルの使用の申し出があり、これを許可いたしましたので、報告いたします。なお、資料パネルと同等の資料等を配付いたします。                   〔資料配付〕 ○議長(大和田悟史君) 配付漏れはありませんか。               〔「ありません」と呼ぶ者あり〕 ○議長(大和田悟史君) 配付漏れなしと認めます。  これより発言を許します。庄司朋代君。                〔12番 庄司朋代君登壇〕 ◆12番(庄司朋代君) 皆様、こんにちは。12番、庄司朋代です。議長のお許しをいただきましたので、鴨川市の地域活性化について、市長のお考えを伺う質問をさせていただきます。  なお、冒頭に議場配付をさせていただきました資料ですが、順序が異なりますので、変更させていただく旨、中身は変わりません、ご容赦をいただければと思います。  私の質問は、大きくは3点、1、「嶺岡牧」を日本遺産として地域活性化を、2、文化財保護活用計画策定の着手を、3、合併特例債の使い方、を伺います。  まず、初めの質問ですが、午前中、福原議員が、嶺岡牧の価値について、鴨川市の認識を伺いました。質問の重複は避けますので、念のための確認といたしますが、嶺岡牧について、鴨川市は、その文化的価値を認め、市内外へ広める、パンフレットを次につくるときには、最新の研究成果や知見をもとに内容を検討する、日本遺産申請は難しいと思われる、江戸幕府直轄の牧を有するほかの市と積極的な情報交換に努めたい、以上のような答弁でした。これらを踏まえて質問をさせていただきます。  まず、嶺岡牧の概要の確認です。先ほどの質問でご承知の方も多いとは思いますが、午後から傍聴に見えた方もありますので、確認をさせていただきます。  嶺岡牧は、現在、雑木の生い茂る丘陵地帯ですが、かつてはこれほどの樹木はありませんでした。中世は馬の牧であり、江戸時代には幕府直轄の牧場として、牛、馬が飼われていました。大きくは、西の牧、そして東の牧、さらに柱木牧、さらに細かく区割りがなされており、区割りには石や土などで築いた土手、野馬土手によってなされておりました。牧の最も東は現在の一戦場公園ですが、そこには大浦木戸と呼ばれる野馬土手の名残があります。現在も、多くの野馬土手や、馬を捕まえる場所、捕り込めの跡が確認できます。牧に関連した地名「馬場」や「八丁陣屋」などの字名は現在も使われています。牧の中には石切り場の跡もあり、蛇紋岩の生産地でもありました。牧の管理には周辺地域の住民が当たり、区割りごとに担当する村が決められていたことが古地図に示されています。また、地元の牧の役人は牧士と呼ばれ、帯刀が許されていました。かつての牧士の家には、現在も馬具や古文書など、当時のものを所有している家があります。牧からは、多くの馬や牛が周辺地域に払い下げられ、当時の農耕作業の動力として田畑を耕したり、交通輸送手段として活用されたりしました。トラクターや車のない時代の牛や馬、大事にされたのではないでしょうか。牧の周辺には多くの馬頭観音が祭られています。  明治時代になると牛乳の生産が行われます。日本酪農の発祥、森永、明治という日本を代表する乳製品の企業が、この地から誕生しました。牛乳を集める場所、集乳所の数も増えました。この地図の赤い点は集乳所の印です。天津小湊地域にも集乳所があり、111カ所を数えます。このように嶺岡牧は、歴史、産業史上、食文化史上、唯一無二の牧です。参考までに、江戸幕府直轄の牧は全部で4つ、嶺岡牧以外、いずれも土地開発が進み、ほとんど残っていません。鎌ケ谷市に残る野馬土手は、わずか120メートル、これが国指定の文化財となっています。嶺岡牧は外周約75キロメートル、その半分以上が確認をされている現況です。  それでは質問に入ります。  嶺岡牧を日本遺産として地域活性化を。詳しくは3点です。①日本遺産認定要件の確認と可能性、②認定された場合の将来像、③申請に向けた取り組みについて、伺います。  まず、①日本遺産については、福原議員の説明の折、説明があり、資料として、文化庁発行のパンフレットの抜粋を配付いたしました。私の質問の中の認定要件は、配付した資料の2枚目となります。ページ番号で05のところに記載をされておりますので、省略をします。認定の可能性についてお伺いしたいと思います。  続いて、②認定された場合の将来像について、本市はどのように考えておられるかを伺います。  さらに、③申請に向けた取り組みについてもお伺いをいたします。  続いて、大きな質問の2、文化財保護活用計画策定の着手を。具体的には、文化庁の方向性を視野に入れて。私は、平成27年度9月の一般質問で、この事業についてご提案を申し上げたところ、鴨川市総合計画に、この計画策定を取り上げていただきました。ただ、市長、教育長が変わられましたので、確認の思いを含めて、いつ着手するのかを伺います。2年前にご報告申し上げたとおり、国の文化行政は転換期を迎えているようです。8月24日付の読売新聞でも、「文化財保護法改正へ」という記事が出ました。その内容は、「地域の文化財群を未指定のものも含めて幅広く捉え、一体的に保存、活用していく」ということです。これを視野に入れ、早急に着手すべきと考えますが、いかがでしょうか。  続いて、大きな質問の3、合併特例債の使い方。  合併特例債のこれまでの大きな活用は、太海望洋の丘の合併記念公園約22億円と、統合した鴨川中学校の建設約28億円でした。90億円近くあった発行可能残高は、あと25億円余りとなりました。特例債活用の最後の大事業として多目的施設を計画していましたが、市長から見直しの提案があり、本定例会ではこれに関連する一般質問が複数の議員からなされたところです。私は、詳しくは3つの質問を予定しておりました。  ①これまでの経過。市長が入札をやめ再検討されたことや、市民生活向上のために優先度が高いとされた5つの事業の内容につきましては、これまでの同僚議員の質問と重複しますので、質問を省きます。  ②今後の手続。合併特例債の使い道は新市まちづくり計画に掲載されている事業に限られ、変更には県との協議が必要かと思います。5つの事業に合併特例債の活用が可能なのか、また、可能な場合でも県との協議などはどうなるのか、新市まちづくり計画の変更をも伴うのではないか、お伺いします。  ③市民にとって有効な使い方。合併特例債は旧鴨川市民にとっても、旧天津小湊町民にとっても、合併することで何かいいことがある、いわば夢を描いた財源でもあります。ですが、現実には、合併して10年以上がたち、人口減少や少子高齢化が深刻さを増しています。大きな遠い夢よりも、今すぐ手当てしなければならない事業が見えてきたということかもしれません。そこで、財源の視点から、合併特例債を5つの事業に充てることが市民にとって有効な使い方であるのかをお伺いします。  以上、登壇での質問といたします。 ○議長(大和田悟史君) 庄司朋代君の質問に対する当局の答弁を求めます。市長、亀田郁夫君。               〔市長 亀田郁夫君登壇〕 ◎市長(亀田郁夫君) 庄司朋代議員からは、3点のご質問をいただきました。このうち1点目、2点目のご質問につきましては教育長が答弁いたしますので、私からは、3点目の合併特例債の今後の手続、あるいはその使い方についてお答えさせていただきます。  まずは、合併特例債の活用が可能な使途について申し上げます。  1つ目に、市町村建設計画、いわゆる新市まちづくり計画に基づく特に必要な事業、2つ目に、上水道、下水道及び病院事業における合併に伴う増嵩経費のうち、特に必要と認められる経費に対する一般会計からの出資及び補助、そして3つ目が、市町村振興のための基金造成、以上が、合併特例債の対象事業とされているものです。  私が最優先に合併特例債を活用していくと申し上げた5つの事業は、いずれも新市まちづくり計画に位置づけられております。  1つ目の「道路整備」は、新市の施策「新時代における交流拠点の都市」の中の「道路網の整備」において、2つ目の「都市公園整備」は、新市の施策「環境と共生する快適で安全な都市」の中の「公園・緑地の整備」において、3つ目の「ごみ処理施設更新」は、同じく、新市の施策「環境と共生する快適で安全な都市」の中の「環境衛生対策の充実」において、4つ目の「水道事業」は、同じく、新市の施策「環境と共生する快適で安全な都市」の中の「上水道の整備」において、そして5つ目の「病院事業」は、新市の施策「うるおいのある健康福祉の都市」の中の「保健・医療の充実」において、それぞれ記載をされています。
     議員からは、合併特例債の充当事業を、多目的施設整備から変更することにより、新市まちづくり計画の変更の手続は必要ないのかとのご質問でございますが、これらの事業は、現在の計画の中に網羅されていることから、改めて計画を変更する必要はないと考えております。  また、これらの事業が、市民にとって有効な使い方となるのかということに関してですが、「道路整備」、「都市公園整備」、「ごみ処理施設更新」、「水道事業」、「病院事業」、いずれの事業も、住民生活に密着した、合併特例債を活用しなくとも、実施をしなければならない事業です。現在の厳しい財政状況を踏まえ、これらの事業について合併特例債を活用して実施することにより、財政負担の大きな軽減にもつながると考えますので、ご理解をいただきたいと思います。  以上で、登壇での答弁とさせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(大和田悟史君) 次に、教育長、月岡正美君。                〔教育長 月岡正美君登壇〕 ◎教育長(月岡正美君) それでは、私からは、1点目と2点目の教育に関するご質問にお答えします。  大きな質問項目の1点目、「嶺岡の牧」を日本遺産として地域活性化を、に関する3点のご質問について、順次お答えをいたします。  初めに、日本遺産認定要件の確認と可能性についてのご質問ですが、日本遺産の趣旨については、さきの答弁内容と一部重複する点もございますが、日本遺産に認定されますと、その自治体が行う地域活性化に資する事業に国からの財政的な支援が受けられ、また、文化財群の知名度が向上するなどの効果が期待されます。  この日本遺産の目的は、文化財の保護を基本とした、これまでの指定文化財の考え方とは大きく異なるものであります。国指定文化財は、貴重な価値を有する文化財を国が指定するもので、その指定に際しては文化財そのものに非常に高い学術的な価値が必要となり、その高い価値を保持するために、現状を維持することが求められます。一方、日本遺産は、個々の文化財の価値の高さよりも、さまざまな文化財を地域活性化のために活用することを重視した、新しい制度であります。  日本遺産の認定の要件は、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーが求められ、そのストーリーには、単独の市町村内でストーリーが完結する「地域型」と、複数の市町村にまたがってストーリーが展開する「ネットワーク型」があります。地域型で申請する場合は、「歴史文化基本構想」または「歴史的風致維持向上計画」が策定済みであることが条件となります。認定の審査基準は、ストーリーの内容が、当該地域の際立った歴史的特徴・特色を示すものであり、我が国の魅力を十分に伝えるものとなっております。具体的には、興味深さ、斬新さ、希少性以外に、日本遺産を活かした地域づくりについての明確な将来像や地域活性化の推進が可能となる体制が整備されていることなどが判断基準となります。  ちなみに、認定の実績は、平成27年度から現在まで、合計228件の申請に対し、認定は54件、率にして23%となっております。認定の可否については、文化庁に設置する外部有識者で構成される「日本遺産審査委員会」の審査結果を踏まえて、文化庁が決定することとなり、実績から、採択される可能性・条件は、非常に厳しいものと推察をしております。  次に、日本遺産に認定された場合の将来像についてですが、日本遺産に認定されますと、地域が自立的に活性化に向け取り組んでいけるよう、「日本遺産魅力発信推進事業」として「文化芸術振興費補助金」が市町村へ交付され、原則3年間、支援を受けることとなります。対象となる事業は、情報発信事業や人材育成事業を初め、調査研究事業、整備事業などが対象であり、一般的には、観光の観点からの誘客や経済効果と、文化財の観点から保全と活用が図られる効果が期待されます。こうした事業が可能になれば、本市においても知名度アップや来訪者数の増加が見込まれるなど、地域の活性化に結びつくものと考えております。また、「嶺岡牧」への関心が高まり、遺構をめぐりながら当時の歴史を振り返る場として活用され、市内外の皆様に親しまれる「嶺岡牧」の姿を将来像としてイメージすることができます。  次に、日本遺産認定申請に向けた取り組みについてですが、日本遺産認定申請要件と本市の現状を考慮すると、現時点での「嶺岡牧」を活かした日本遺産認定申請については、鴨川市単独での地域型、あるいは他市町村との連携によるネットワーク型ともに厳しい状況ではありますが、今後、牧の遺構が所在する他の自治体との連携を図り、日本遺産認定申請に向けた取り組みの可能性について検討してまいりたいと考えております。  次に、大きな質問項目の2点目、「文化財保護活用計画」の策定についてお答えをいたします。  議員からは、平成27年第3回定例会において、本市の大切な文化財に着目され、先人たちが築いてきた鴨川の文化財が、今のままでは将来に伝えていくことが難しくなっていることや、活用によっては本市の観光振興の推進に大いに役立つとの観点から、「(仮称)鴨川市文化財保護活用計画」策定のご提案をいただきましたが、改めて本計画策定に関するご質問にお答えいたします。  初めに、鴨川市には、古代から近代に至るまでの長い歴史や伝統、特色ある風土に育まれた歴史的文化遺産として、「鯛の浦タイ生息地」、「大山千枚田」、「仁右衛門島」等の景勝地、また「誕生寺仁王門」、「清澄寺中門」、「大山寺不動堂」等の寺社の建造物などの指定文化財が84件存在しています。この文化財は、郷土に対する誇りや愛着を生み出すだけでなく、独自性を持った魅力ある地域づくりを進める上で欠かすことのできないものであります。これを適切に保存し、次世代に継承していくことは、言うまでもなく大きな意義があり、これからは、これらの固有の文化遺産の価値を高め、利活用を図ることが求められています。  近年、歴史的文化遺産について、観光やまちづくりの重要なコンテンツの一つとして活用する傾向も見られます。こうしたことから、地域を代表する歴史的文化遺産の保存・活用を確実に進めていくためにも、本計画を策定する時期にあるものと認識をしております。  文化庁においては、近年、地域活性化や観光振興に結びつく形で、文化財の積極的な活用を推進する方策として、文化遺産を活かした地域活性化事業や、日本遺産など、新たな制度を創設し、積極的な運用を図っています。また、これまでの保存に重点を置いていた文化財保護のあり方を見直し、より積極的に活用を図ることを推進するため、国においては、文化財保護法の改正が検討されているところであります。  このような中、「(仮称)鴨川市文化財保護活用計画」の策定につきましては、第3次5カ年計画に位置づけ、平成32年度に計画の素案を作成する予定であり、現在、他市町村の事例などの情報を収集しながら、計画策定の準備を整えている状況でございます。計画を策定する上では、文化財保護法を踏まえ、歴史・文化を活かしたまちづくりにかかわる方々と連携した効果的な施策とすること、また、本市の文化財の魅力を、より一層高めるとともに、関係部局と一緒になって、産業や観光の振興による地域活性化も取り入れた計画策定に取り組んでまいります。  これまで、本市は、「文化財保護法」、「鴨川市文化財の保護に関する条例」に基づき、文化財の現状を維持することを重視した保全と継承に努めてきたところです。具体的には、文化財保全として「大山寺不動堂」の屋根や、粟斗の「薬王院薬師堂」などの改修、また「吉保八幡神社のやぶさめ」、「北風原の羯鼓舞」などの催行継承に対する助成に加え、指定文化財の説明板の設置を計画的に進めてきたところです。  なお、市内には、「嶺岡牧」を初め、未指定ながらも高い価値を有する文化財も多く存在しており、引き続き、このような文化財についても掘り起こしを行ってまいります。  今後は、来年改正が見込まれる文化財保護法の改正の趣旨である保存と活用の両立の視点を踏まえ、本市の未指定を含めた貴重な文化財の保存に加え、現代にふさわしい形で文化財を活用し、鴨川市の地域活性化や観光に貢献できるよう文化財行政に取り組んでまいります。  以上、登壇での答弁といたします。 ○議長(大和田悟史君) 庄司朋代君。 ◆12番(庄司朋代君) それぞれにご答弁いただき、ありがとうございました。それでは再質問をさせていただきます。教育長着任後に嶺岡の牧のことをいろいろお調べいただきましたようで、認識の確認ができたことをありがたく思います。その嶺岡の牧ですが、日本遺産認定は難しいのではないかという見解でした。一方、認定された場合の将来像についてのご答弁は、「地域の活性化に結びつくものと考え、市内外の皆様に親しまれる嶺岡牧の姿を将来像としてイメージすることができます」とおっしゃいました。認定されればいいけど、難しい。ならば、なぜできないかより、どうしたらできるのかを考えたいと思います。  さきに配付いたしました資料の、日本遺産の資料の2枚目をもう一度ごらんいただきたいと思います。「4、認定審査の条件」とあります。①申請者は市町村とします。これは問題ないですね。地域型は単独市町村で、その場合には、その下に書かれている要件③の歴史文化基本構想などが策定されていることが条件です。鴨川市は策定をしていません。でも、シリアル型、ご答弁ではネットワーク型とおっしゃっておりましたが、この資料ではシリアル型とされています。複数の市町村にまたがっていれば要件が異なります。嶺岡牧は本市と南房総市にまたがる、まさしくシリアル型、2市が一体としての申請ではどうでしょうか。  先ほどの福原議員へのご答弁で、他市との文化財における温度差というのを心配されていたかと思いますが、県北の牧と嶺岡の牧は特徴が違います。情報交換はしても、日本遺産申請を一緒に行うべきではないと私は考えます。つまり、相談、協力していく相手は南房総市1市です。南房総市がどう考えておられるのかはわかりませんが、場合によっては、牧の面積の広い本市が主体となって申請作業を進めるという方法もあるかもしれませんが、いかがでしょうか。  続けて、同じ日本遺産の資料の申請の要件②を読みます。「ストーリーを構成する文化財群は」、途中省略しますが、「国指定策定のものを必ず一つは含める必要があります」となっています。むしろ、ここがハードルかと思っておりました。鴨川市内で国指定の文化財は、清澄の千年杉と鯛の浦のタイです。現在、牧の中に国指定の文化財はありません。ですが、嶺岡牧もまた国指定を受けてもおかしくない、むしろ受けるべきであるということが近年の研究成果として見えてきたと思います。もし、日本遺産申請のハードルが国指定がないことなのであれば、これもまた同時に申請準備をすべきではないかと考えます。改めて、日本遺産申請に当たり、ハードルとなるものが何かあるのかをお伺いします。 ○議長(大和田悟史君) 生涯学習課長、黒野雅典君。 ◎生涯学習課長(黒野雅典君) 今、幾つかのご質問をいただきました。若干、順位不同、また答弁漏れがあるかと思います。その際はご指摘をいただければと思います。  まず、日本遺産の申請についてでございます。これは、議員おっしゃるとおり、市町村ということになります。シリアル型の場合は、原則、市町村の連名となります。ただし、当該市町村が同一圏内に所在する場合は、県が申請者になることも可能です。よって、仮に南房総市と本市がシリアル型による申請の場合は、連名による申請が可能ということになります。  次に、南房総市との連携による申請についてでございます。嶺岡牧を核といたしましたシリアル型による申請につきましては、合意形成を得ることが大前提となります。南房総市においては、現在、日本遺産よりも、他の文化財事業を優先し、取り組んでいると伺っております。このため、現時点では連携した取り組みは難しいものと思慮しておりますけれども、本件について、今後も牧の遺構が存在する南房総市に連携を働きかけるなど、日本遺産申請に向けた取り組みの可能性につきまして、検討してまいりたいと考えております。  次に、嶺岡牧の国指定の考え方についてでございます。嶺岡牧を国指定文化財に指定する場合、最も大きな課題は、土地所有者の同意を得る必要がございます。この点が課題となります。具体的には、嶺岡牧一帯は、総面積が1,747ヘクタール、また、筆数約4,300と、広大かつ多くの地権者が存在します。このため、同意を得ることは課題であると推測をしております。また、土地の境界確認や測量などを厳密に実施することが求められます。これらについても、現況の地形等を考えると非常に難しい作業と思われます。加えて、広範囲にわたって私権を制限する史跡指定となりますので、文化財指定については慎重な対応が必要と考えております。  次に、日本遺産申請に当たってのハードルについてのご質問でございます。日本遺産の申請につきましては、国指定文化財を必ず含めたストーリー作成が必須となることや、シリアル型においては、関係する各自治体との意見集約や、予算面など、その調整等に相当の時間を要する問題がございます。また、審査基準としては、地域づくりについての将来像と実現に向けた具体的な方策が適切に示されていることや、日本遺産を通じた地域活性化の推進が可能となる体制整備がなされていることなど、これらの点が挙げられます。このように、申請に向けてのハードルは高いと存じております。このあらわれが認定率23%という状況になっているものと存じております。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 庄司朋代君。 ◆12番(庄司朋代君) ご答弁ありがとうございました。認定率23%と伺う、その理由の分析については私も疑問があるところではございますが、まずは準備に沿っての質問をさせていただきます。  ハードルを幾つか挙げ直していただきました。土地所有者の同意が要るという点です。私は、この1,747ヘクタール全てを文化財にと言っているわけではありません。お話ししたように、鎌ケ谷市の史跡は120メートルです。認定の場合、嶺岡牧も、一部、一部、それを複数文化財化していけばいいというふうに考えております。それで大浦木戸を挙げさせていただいたわけですが、一戦場公園を指定していくことに、私は何ら不都合があるとは考えておりません。  また、調査費用の件ですが、今お話ししたような、市が既に介在しているもの、あるいは同意していただけるところなどから手をつけていけばいいと、そのように考えております。  また、もう一つのハードルとして挙げていただいた、具体的な方策の部分かと思います。お配りしております日本遺産の資料3枚目、ページナンバーで言うと06になります。6、審査基準の②のところが、ただいまの課長のお話かと思います。日本遺産という資源を活かした地域づくりについての将来像、ビジョンと、実現に向けた具体的な方策が適切に示されていること、これが必要である審査の基準の一つになっております。私が日本遺産認定を提案させていただいているのは、実は、まさにここがポイントです。私の質問のタイトルは「嶺岡牧を日本遺産として地域活性化を」です。日本遺産登録が目的ではありません。そこは手段です。地域活性化が目的なんです。ですから教育長部局だけの仕事ではありません。この質問に際しましては、企画振興課、観光課ともお話をさせていただきました。本来は農水商工課や都市建設課も関連してくる話です。  今年になって、野馬土手の一部が土木工事で破壊されるという事件がありました。嶺岡牧野馬土手群は、5年前から千葉県の周知の埋蔵文化財包蔵地となっています。これは既に「広報かもがわ」でもお知らせがあったところですが、これは埋蔵文化財として取り扱うということなので、工事前には届け出が必要です。今回は、たまたま見かけた市民から通報があり、市としてもすぐにご対応いただいたと伺いました。このように、嶺岡牧を周知する先は、子どもとか歴史に興味のある人だけではもう済まない状況になっています。既に生涯学習課の範疇ではないんです。日本遺産申請の準備も、地域づくりの将来像や具体的な方策を示すためには、各課の横断的な組織づくりから始めなければならないと思いますが、いかがでしょうか。  この考え方は、私の大きな質問の2、文化財保護・活用計画策定の着手を、とも関連してきます。本市では、文化庁の予算で、観光拠点の整備、説明看板の設置などを既に行ってきています。もちろん嶺岡牧を国指定の文化財として申請していくには、学芸員を初めとする専門家のチームが必ず必要です。通常の業務以外にこのような大きな仕事をこなしていくのは大変なことであろうと推察いたします。また、ただいまのご答弁にありましたように、他市との調整には時間のかかることとも思います。  そこで提案です。この際、人員を増やす、外部の応援を頼むということも検討していただければと思います。かつて東条和泉区の圃場整備で埋蔵文化財が出たときには、随分臨時の人手をお願いしたことと思います。今回はこれとは状況が異なりますが、急いで大きな仕事をする必要があるときは、常勤職員の負担を増やすだけではなく、別の方法も検討すべきと考えます。  以上2点、申請に向けた庁内横断組織をつくってはどうかということと、人員の補強について、どうお考えか伺います。 ○議長(大和田悟史君) 総務課長、松本憲好君。 ◎総務課長(松本憲好君) それでは、庁内横断組織、あるいはこれに伴う人員の補強についてというご質問でございますので、私のほうからお答えをさせていただきます。本市においては、これまでも複数の所管にまたがるような事業の実施につきましては、いわゆるプロジェクトチームの設置等をいたしまして、事業推進に向けた体制を整え取り組んできておるというふうな経緯もございます。先ほど教育長の登壇での答弁にもございましたが、この案件、日本遺産への登録申請に向けては、さまざまなクリアしなければならない事業もございます。こうした中で、本市としては、まず、これに取り組むことについてのさらなる検討を進めるとともに、議員ご指摘の点、外部人材の活用も視野に入れて、体制整備を図っていく必要があると考えておりますので、ご理解をいただければと思います。 ○議長(大和田悟史君) 庄司朋代君。 ◆12番(庄司朋代君) ありがとうございます。体制整備を図っていく必要があるというご答弁を非常にありがたく受けとめさせていただきました。  それでは、続きまして、大きな質問の2、「文化財保護・活用計画策定の着手を」の再質問になりますが、私は文化庁の方向性を視野に入れてとお尋ねをいたしました。法改正を視野に入れて、今がチャンスと考えたわけですが、ご答弁では、平成32年度に素案を作成とのことでした。平成32年度は、西暦2020年、オリンピックイヤーです。国は、この年までにさまざまな事業展開をしていきます。2020年までに日本遺産は100件程度、2020年までに観光拠点整備をというぐあいです。  私の手元に、文化庁の平成29年度予算と平成30年度の概算要求の資料があります。ネットからとったものです。文化遺産総合活用推進事業のページを比較してみます。平成29年度では、歴史文化基本構想策定支援に予算がついています。鴨川市がつくってないやつですね。そして平成30年度の概算要求では、この策定内容の枠が広がり、「地域の文化財の総合的な保存活用に関する基本計画等策定支援」となりました。ちょっと事業名が長いですが、これはまさしく鴨川市がこれから策定を予定している計画のことではありませんか。計画策定に向けた文化財についての調査や、有識者会議、シンポジウムの取り組みが支援の対象となっています。平成30年度の予算の数字がどうなるかはまだわかりませんが、計画策定を含めて2020年までにという記述が散見される中では、一刻も早い着手が待たれます。  そこで、まず手始めに、シンポジウムの開催を提案させていただきます。この計画策定には、よく言われるように、産・官・学・金・労・言など、さまざまなかかわりが必要となってきます。嶺岡牧の周知活動もあわせて、文化財シンポジウムを開催されてはいかがでしょうか。 ○議長(大和田悟史君) 生涯学習課長、黒野雅典君。 ◎生涯学習課長(黒野雅典君) 議員ご案内のとおり、現在、文化庁では、文化遺産総合活用推進事業において、文化財の活用を目的とした支援制度を計画中でありまして、30年度の文化庁概算要求に記載されています。しかしながら、その内容につきましては、現時点では明らかにされておりません。今後、その詳細が決定すれば、積極的に支援制度の活用を検討し、早期に文化財保護活用計画の策定に着手できるよう努めてまいります。  また、議員ご提案のシンポジウムの開催につきましては、嶺岡牧の最新の調査成果を広く知っていただけるよう、そのようなイベントを今後計画してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 庄司朋代君。 ◆12番(庄司朋代君) 前向きなお答え、本当にありがたく思います。それでは、ただいまの文化財シンポジウムを開催する際の話ですが、嶺岡の資料につきまして、さきの福原議員のご答弁の中で、最新の研究成果を含めたパンフレットの作成を検討するということでした。ぜひ新たなものを、シンポジウムに間に合う形におつくりをいただきたいと思います。  近ごろは、歴史の教科書も修正されると聞いています。私が子どものころ見ていた聖徳太子の肖像画は、現在では「聖徳太子と思われる肖像画」と訂正され、「イイクニつくろう鎌倉幕府」の成立年は、1192年とは限らないそうです。嶺岡牧もまた、調査が進めば、さらなる新たなことがわかってくるかもしれません。本市が発行するものも、必要に応じて修正しなくてはなりません。  これは、今年2月に酒々井町で行われたフォーラム「房総の牧を考える-その魅力の発信と日本遺産申請をめざして-」で配布をされた資料のコピーです。この中にある参考資料、出典は、千葉県が10年ほど前に発行いたしました「房総の近世牧跡」という本です。この中には、牧の比較表が掲載されています。皆様に既にお配りをいたしました、牧の1枚の資料、一番下のところに、牧の面積の数字だけを転記いたしました。数字だけ読みます。小金牧は約70平方キロメートル、佐倉牧は約180平方キロメートル、嶺岡牧は約17平方キロメートルにクエスションマーク、このクエスションマークは出典のとおりです。もとの資料には面積のほかに野馬土手の長さが記載されていますが、嶺岡の牧については「報告なし」となっています。面積、土手の長さともに、10年前はこうだったんです。でも、それが、今年のフォーラムの資料にそのまま載ってしまう。ちょっと悔しい思いでおります。このような資料は主催者がつくりますので、事前にチェックを行うということは難しいと思いますが、幸いだったのは、このフォーラムには本市の石川学芸員も参加されており、嶺岡牧について発表していたということです。最新情報をその場で伝えることができました。これからもこのような機会を捉えて、牧に関連するほかの市町村と連絡を密にして情報交換をする中で、嶺岡牧を積極的に、的確にアピールをしていただきたいと思います。嶺岡牧周知のために用いるツールは、これまでの子ども向けのページ数の多いものではなく、もっと軽く、簡易なパンフレットで、大人にも広く配布できるものを新たに作成してはいかがかと思います。 ○議長(大和田悟史君) 生涯学習課長、黒野雅典君。 ◎生涯学習課長(黒野雅典君) それでは、嶺岡牧に関します新たなパンフレットの作成についてのお尋ねでございます。先ほどシンポジウムを開催するということを申し上げました。今後、開催する際には、議員ご提言のありました、最新の研究成果などを取り入れました牧の簡易なパンフレットを作成し、多くの方々に広く周知できるよう取り組んでまいります。  それと、あわせまして、先ほど、国文化財指定の中で、議員から、嶺岡全域ということではなく、一部を考えて指定もできるんじゃないかというご指摘がございました。これについてお答えさせていただきます。私どもも、嶺岡牧の広範囲ではなく、例えば、先ほど議員がおっしゃったように、東牧の最も東に位置する大浦木戸の跡地、今、一戦場公園のところです。そういうところの指定ですとか、あと、馬捕り場の周辺の指定ですとか、こういうものも教育委員会として今後検討していければと思っております。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 庄司朋代君。 ◆12番(庄司朋代君) ありがとうございました。続きまして、合併特例債の使い方についての再質問をさせていただきます。過疎債に次いで有利なこの合併特例債、いかに有効に活用するかは、鴨川市にとって大きな課題です。活用事業を提案する為政者、市長にとっても、まさしくその手腕の見せどころでもあるかと思います。トップが変われば政策も見直される。例えば、東京都が小池知事のもと、オリンピックの会場整備について見直しを図り、大きな予算の削減となったことは記憶に新しいことと思います。鴨川市もまた、合併後に東日本大震災が起きたことにより、本庁舎を初め、学校施設などの耐震工事が急務となりました。電源の移動や津波避難タワーなど、合併時には想定されていない事業を実施いたしました。合併特例債に限らず、長期にわたる予算組みの変更をも余儀なくされましたが、私は議員の一人として、その都度必要な事業を採択してきたという自負があります。  では、多目的施設はどうか。大きな施設を建設するということは、その先、長きにわたって維持管理する費用がかかるということでもあります。多目的施設に毎年かかる運営費用は約8,000万円と見ています。これ以外に、10年、20年たてば改修費用も必要になることでしょう。それでも、スポーツの大会や合宿を誘致することで市民経済が潤う、または市民の健康のために活用できるということで議会も判断をし、議決をしてきました。  状況が変わったのは今年になってからです。本年2月、鴨川市議会は、多目的施設の建設についての議決をいたしました。そして、その後、議員全員協議会で、館山市が広域ごみ処理施設の建設から離脱することを容認しております。予定していた広域ごみ処理施設が、いまだに場所も決まっていないことに加え、館山市の離脱により、さらなる負担が増すこととなりました。現在の清掃センターを延命する本格的な修繕が必要になったわけです。市長が早速ここに着目し、新たに提案された5事業の一つにごみ処理施設を挙げられたのは、至極当然のことであろうと思います。将来が予測しにくい昨今、長期にわたる予算組みは、現在の為政者に課せられたとても大きな課題です。今までの計画どおり多目的施設を建設した場合、新たなご提案の5事業も、合併特例債を使わずに実施はなされる。その上での新施設の毎年の運営費は8,000万円。鴨川市の財政体力はいかがなものでしょうか。  振り返れば、市民会館ではなく、多目的施設と決めたときのことを思い出します。私はスポーツ施設に反対するものではありません。スポーツにしろ、文化にしろ、専門性の高いもの、本格的なものが欲しい、その思いがありながら、どちらとも言うことが言いがたい多目的施設ということになりました。この2つの施設を建設して、2つの施設を維持していく財政力は鴨川市になかったからです。そうです。無理のないことをやらなければならない。やりたいけれどもやれない、そういうときがあるという思いで、私はこのときのことを思い出しました。議会としての責任ももちろんあります。ただ、状況が変わったということも認めなくてはなりません。そんな中での市長の今回のご提案でございました。  市長が見直しをされる理由は、将来にわたる財政の状況を心配してということであるというのも理由の一つとして間違いがないか、お伺いいたします。 ○議長(大和田悟史君) 市長、亀田郁夫君。 ◎市長(亀田郁夫君) 庄司議員の質問にお答えします。その前に、ただいま庄司議員の質問の中で、問題解決においては、なぜできないかを考えるより、どうしたらできるか、それを考えなければいけないというようにおっしゃいました。私たち行政も、その考え方で市民サービスに改めて努めてまいりたいというふうに思いました。ありがとうございます。  ただいまの質問、私が市長に就任後、今後市が実施を予定している主な事業について、厳しい財政状況を踏まえ、優先順位の再検証を行い、合併特例債の活用についても具体的な検討を行ってまいりました。その過程において、平成28年度の決算状況が明らかになりました。  昨日の滝口議員の一般質問でもお答えしたとおり、財政調整基金の年度末残高が、平成27年度末の約24億4,000万円から、平成28年度末では約20億4,000万円と、約4億円が減少いたしました。また、財政構造力の弾力性を測定する経常収支比率は、平成27年度の90.2%から、平成28年度は93.7%と、3.5%上昇し、財政構造の硬直化が進んでいるという状況にございます。加えて、今定例会に議案として提出している平成29年度一般会計補正予算(第3号)では、普通交付税で約6,000万円、臨時財政対策債で約8,000万円、いずれも当初予算で見込んだ額を下回ることとなり、合計で約1億4,000万円の減額補正となるなど、本年度の財政運営も厳しい状況となっております。  このように、私の市長就任後において、幾つかの状況の変化がございました。このようなことも勘案させていただきながら検討を加えた結果、先ほどから申し上げております5つの事業に合併特例債を最優先に活用し、財政負担の軽減を図るということを判断をさせていただきました。先ほども申し上げましたけれども、いずれの事業も住民生活に密着した、合併特例債を活用しなくとも実施しなければならない事業であると考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○議長(大和田悟史君) 庄司朋代君。 ◆12番(庄司朋代君) 合併特例債の有益性を考えたときに、市民にとってまず必要なものからという市長の考えをお伺いできたかと思います。今回のこの本会議における皆様のたくさんの一般質問、まだもうお一人いらっしゃいますけれども、鴨川の未来のためにつながっていくんだと信じて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(大和田悟史君) 午後2時30分まで休憩いたします。                 午後2時15分 休憩           ────────────────────────                 午後2時30分 再開 ○議長(大和田悟史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、川股盛二君に発言を許します。川股盛二君。                〔4番 川股盛二君登壇〕 ◆4番(川股盛二君) 改めまして、皆さん、こんにちは。誠和会の川股盛二です。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、大きく2点、小項目4点についてお伺いしてまいりたいと存じます。  大きな1点目は、豪雨による防災対策についてです。  本年7月5日から6日にかけて、福岡県と大分県を中心とする九州北部で発達した雨雲が帯状に連なる線状降水帯が発生し、記録的な降水となり、死者36名、行方不明5名と甚大な被害をもたらした豪雨から2カ月余りがたちました。7月は、1日の新潟県糸魚川市から始まり、5日の島根県、九州北部、愛知、山形、福島、北海道、岩手、秋田、そして新潟県佐渡市と、全国各地で記録的な集中豪雨に見舞われ、河川の氾濫や土砂災害が多く発生いたしました。  九州北部豪雨では、福岡県朝倉市と大分県日田市では、複数の川が氾濫し、多くの被害が生じました。被災地には大量の流木が見られ、今回の河川の氾濫は、上流部での土砂崩れによる大量の流木が川の流れをせきとめてしまったり、橋梁部などで密集し、堰の役目を果たして氾濫し、そこから越水したものとみられ、堤防を整備してあったとしても、意味をなさなかったのではとの検証結果も出ております。また、流木自体による直接的な破壊のほか、流木により水圧が増すことによる間接的被害も発生しております。皆さんも報道で目にしたと思いますが、JRの橋が流された被害は、流木が橋にひっかかり、水がせきとめられたことで水量が増し、橋に大きな力がかかったことが原因と見られています。  流木被害の専門家は森の管理不足を指摘しており、森林の整備を怠り間伐をしないと、杉・ヒノキなどの植林地は樹木の枝や葉の茂っている部分が重なって、太陽の光が入らなくなり、下草が生えず、その結果、栄養を含んだ土が雨に流され、しっかりと地面に根を張ることができないため幹が太らない線香林が増え、強風や大雨などの際に倒れやすくなります。本来、樹木は保水し地盤を支える力がありますが、放置された山林ではその効果はなく、逆に、あたり一帯の地盤が弱くなり、大規模崩落を起こすことがわかっています。特に針葉樹は根の張り方が広葉樹より浅く、保水力が低いとされ、大雨が降ると山の表層ごと崩落するとしています。  県内の森林の状況は、森林面積は約16万ヘクタールで、県全体の面積の約30%を占めており、このうち約60%が県南部の夷隅、君津、安房地域で、残りの40%が県中央部から北部に分布しています。また、当市の森林比率は市全体面積の62.4%、約1万2,000ヘクタールとなっており、県南部市町村9市3町の中で4番目に広大な森林面積を有しています。  国の間伐を主体とした森林整備計画は地球温暖化対策から計画されたもので、防災対策を考えたものでありませんので趣旨が違いますが、自主的な温室効果ガス削減目標の森林吸収量目標を前提としたものであり、この目標を達成するため、「間伐等特措法」に基づき農林水産大臣が定める「特定間伐等及び特定母樹の増殖の実施の促進に関する基本指針」では、京都議定書第2約束期間の平成25年度から平成32年度までの8年間で、全国で416万ヘクタール、年間において年平均52万ヘクタールの間伐を実施する計画となっており、これは日本全体の人工林面積1,000万ヘクタールの国土森林の4割に当たります。ただし林野庁によると、森林の管理不足は全国各地で見られるということで、今回のような記録的豪雨が発生した場合、全国各地で同様の被害が起こる可能性があると警鐘を鳴らしています。  我が国は国土の67%が森林、うち約40%は人工林で、温暖化の進行で今後、豪雨は急増すると言われています。人工林の手入れが行き届かない現状では、特殊な地盤でなくとも、九州北部豪雨と同様の災害は避けられないと考えられ、森林機能を復活させる整備が改めて急務となっています。  そこで、質問の1点目は、鴨川市の森林整備状況についてお伺いいたします。  九州北部豪雨では、河川の氾濫とともに、農業用ため池の決壊が相次ぎ、大きな被害を出しました。朝倉市山田地区では、上流域にあったため池が決壊し、下流の集落や農地に大きな被害をもたらし、3名の方が犠牲になりました。近年の豪雨や、東日本大震災で多くのため池が被災した中で、福島県のため池被害が多く記録され、農林水産省の管理するため池台帳に記載されたため池のうち24.3%が被災し、福島県内の3カ所で決壊被害が発生、須賀川市では8名の死者・行方不明者を出したのを契機に、農林水産省では、都道府県や市町村が主体となって、平成25年度から平成27年度の3年間で、全国のため池の一斉点検調査を実施いたしました。今回の豪雨被害では、福岡県朝倉市で、国のそのときの調査で老朽化などの問題がないとされたため池でも、斜面の表層崩壊や流木土石流によって、11カ所が決壊する事態となりました。農業用水の確保に欠かせない、ため池の再点検、再整備を急ぎ、防災機能と安全性を高める必要があります。  質問の2点目は、ため池の点検、整備の状況についてお聞きいたします。  3点目は、市内河川への水位計設置状況についてです。今回の九州北部豪雨の被害には、もう一つの特徴があります。それは、山間部の中小河川が氾濫し、大規模な被害を出しました。原因は、被災地を流れる18の河川のうち、水位計が設置されていたのは2河川しかなかったため、避難勧告を出す自治体の担当者は、住民からの通報で初めて川の越水を確認したそうです。  新聞報道によると、全国の都道府県管理の2万1,004河川のうち、約75%に水位計が設置されていないことが、都道府県への調査で判明し、逆に、国管理の109水系の本流には全て設置されているのに対し、都道府県管理の中小河川で設置が進んでいないとの調査結果が掲載されていました。河川の水位状況を把握できなかったことにより、大雨特別警報を発令した時には既に川が氾濫していた可能性があることが被害を拡大させたと気象庁の担当者が言っています。中小河川の水位上昇は急激で、状況をリアルタイムで把握することが防災や減災につながります。そこで、市内河川への水位計設置状況についてお伺いいたします。  本年7月に千葉市美浜区にある民間気象情報会社が、7月から9月の「ゲリラ豪雨傾向」を発表いたしました。全国で7,043回発生するとの予想で、過去3年間の平均と比べると30%の増加傾向にあり、千葉県でも期間中に200回以上の発生を予想していました。本市でもこの7月、8月は、地域により突発的かつ局地的に激しい雨や落雷を観測しており、短時間にバケツをひっくり返したような豪雨により、道路の冠水、路肩や傾斜地での土砂崩落がありました。以前は浸水被害が余りなかった鴨川でも、近年は局地的大雨や短時間強雨、集中豪雨により、市内の数カ所(国道128号線横渚交差点付近や、中央通り、六軒町)で被害が出るようになり、特に前原地区では道路の冠水や住居への浸水が発生しています。現在、市内の都市下水路は老朽化が激しく、また地球温暖化等による異常気象で、短時間降水量が増え、今までの下水能力では処理しきれなくなってきています。対策として下水路の整備が急務となっています。4点目の質問は、都市下水路の整備状況についてお聞きいたします。  大きな2点目は、ふるさと納税に係わる経費についてです。7月4日に総務省自治税務局市町村税課から、2016年度のふるさと納税に関する現況調査の結果が発表されました。そのデータをもとに新聞社が寄附額や経費の詳細を自治体に対し改めて聞き取るなどした結果によると、経費の全国平均は約52%で、65自治体で70%を超えており、中には、単年度ベースで見ますと、費用のほうが寄附額を上回った自治体が4市町村ありました。近隣市の大多喜町では、経費が寄附額の2.4倍になったとのデータが出ています。返礼品を紹介するサイト運営者への業務委託料やサイト使用料もかさんでおり、調査した市町村の中には、包括的な支援業務の委託料として、寄附額の13%と、消費税相当額を支払っているところもあったと報告されています。  本市のふるさと納税に係る経費の状況についてお聞きいたしまして、登壇での質問とさせていただきます。 ○議長(大和田悟史君) 川股盛二君の質問に対する当局の答弁を求めます。市長、亀田郁夫君。               〔市長 亀田郁夫君登壇〕 ◎市長(亀田郁夫君) 川股盛二議員からは、大きく2点のご質問をいただきました。  まずは、豪雨による防災対策についてお答えいたします。
     1点目、本市における森林整備の状況ですが、本市について申し上げますと、北側に清澄山系、南側には嶺岡山系と、丘陵に囲まれている典型的な中山間地域であり、市内約1万2,000ヘクタールの「地域森林計画」対象民有林の林種については、天然林が49%、人工林が44%、竹林その他が7%となっており、そのうち、人工林の樹種構成については、杉が84%、ヒノキが15%、松その他が1%となっており、従来は、個々の森林所有者がみずから、あるいは他者に請負を依頼して森林施業を行っておりました。  また、議員ご指摘のとおり、間伐、下刈り等が行き届いた山林は、森林の持つ機能として、山地災害防止機能や土壌保全機能も担っております。しかしながら、木材価格の低迷、林業経営者の高齢化と後継者不足等、林業を取り巻く環境が非常に厳しくなってきたことから、間伐や保育等が適切に実施されていない森林が多く存在しており、森林の管理不足は、本市においても問題となっております。そのような中、森林組合等が複数の森林所有者から森林経営の委託を受け、森林を団地化して実施する集約化施業と、それに伴い取り組まれる路網の整備や、境界の管理を推進し、森林施業の合理化を図りながら森林整備を行っているところでございます。  そこで、具体的な市内における森林整備の実績ですが、平成24年度から平成28年度までの5年間で、間伐10カ所、61.87ヘクタール、伐倒・除伐9カ所、6.44ヘクタール、造林・植栽12カ所、14.50ヘクタール、下刈り・枝打ち・伐竹41カ所、89.32ヘクタール、搬出した木材については12カ所、3,189.55立方メートルとなっております。  本市は、県南部地域においても広大な森林面積を有する市の一つであるため、今後も引き続き、国・県の補助事業を積極的に活用し、森林組合等とも連携を図りながら、水源涵養機能や、山地災害防止・土壌保全機能等に代表される、森林の多面的機能の増進に努めるべく、森林整備を続けてまいります。  また、一方で、東条海岸を中心に広がる保安林につきましては、白砂青松の言葉どおり、観光地鴨川のイメージの一つとして、県内でも有数の松林となっております。しかし、この保安林も、松くい虫被害により疎林化している中、被害木の調査及び伐倒処分、また健全木への薬剤樹幹注入を行い、その松林の保護管理に努めており、特に、夏季の観光シーズン前には、松林内の草刈り、ごみ処理を入念に行い、今後とも保護管理を徹底し、鴨川のイメージアップを図ってまいります。  次に、ご質問の2点目、ため池の整備についてお答えいたします。現在、鴨川市内にあるため池の数ですが、本市備えつけのため池台帳に記載されている農業用のため池は48カ所で、その管理形態は、水利組合や集落などの受益者を主体とした組織により維持管理を行っております。しかしながら、農業経営者の高齢化や担い手不足等により農家戸数が減少し、管理が行き届いていない地区もあり、ため池の課題として指摘をされております。  議員のご指摘のとおり、近年、大規模地震や記録的な豪雨等により、多くのため池が被災している状況を踏まえ、国の通知により、平成25年度から平成27年度の3カ年で、全国のため池の一斉点検が実施されました。この調査により、ため池の堤高が15メートル以上、かつ、貯水量が10万立方メートル以上で、耐震調査が未実施で安全性が確認されておらず、決壊により甚大な被害を引き起こすおそれのある大規模なため池は、「防災重点ため池」に位置づけられることとなりました。  この「防災重点ため池」は、地方公共団体において災害対策基本法に基づく地域防災計画、及び水防法に基づく水防計画に位置づけ、地域住民等関係者に必要な情報の提供を図ること、平成32年度までに必要な調査を完了させ、調査の結果、対策工事が必要となった場合には速やかに実施をすること、また、ハザードマップを作成し、地域住民、関係者へ周知させることが求められております。  千葉県においては、平成25年度に鴨川市分も含めて、県内各市町村に点在する1,010カ所のため池の点検を実施しております。この調査の結果、鴨川市内には、「防災重点ため池」に位置づけられるため池はなく、緊急的な対策工事を必要とするため池もないとの調査報告を受けております。しかし、市といたしましても、近年の異常気象による災害はすさまじいものであるため、ため池を含む農業用施設の維持管理の重要性は十分認識しており、利用者にも、日ごろから草刈り等の環境整備時に目視による点検をお願いし、危険箇所の早期発見に努めていただいております。  次に、農業用ため池の整備状況についてご説明します。近年の整備状況を申しますと、平成20年度に、里地棚田保全整備事業で堰場堰整備。平成21年度に、市単独事業で花房堰の護岸工事、八丁堰の堤体工事。平成22年度に、土地改良施設維持管理適正化事業で滑谷堰のブロックマット、取水施設、余水吐整備工事。平成24年度に、市単独事業で南堰の洪水吐整備工事。平成25年度に、県営ため池等整備事業で川谷堰の堤体、洪水吐、取水施設整備を行い、現在、来秀地区において、県営ため池等整備事業を活用して、老朽化した根方堰の堤体改修工事を行っている状況でございます。  また、軽微な維持補修等については、国の交付金事業であります多面的機能支払交付金事業を活用し、地元の農業者の方々とともに、地域住民が一体となり、農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮を図るため、農用地、水路、農道等の保全活動や堤体の補修、泥上げ、ため池等の農業施設の維持管理を行っている状況でございます。今後も、国や県の補助事業を積極的に活用し、農業用施設の適切な維持管理に努めてまいります。  続きまして、ご質問の3点目、市内河川の水位計設置状況についてお答えいたします。河川の水位計は、市内に4カ所設置をされております。設置場所は、いずれも二級河川で、加茂川の貝渚と横尾にそれぞれ1カ所、曽呂川の代と、洲貝川の東江見にそれぞれ1カ所となっております。これらは、河川管理者である千葉県が河川の水位監視を目的として設置し、管理を行っているものです。  なお、各河川の水位につきましては、国土交通省のホームページにあります「川の防災情報」で、常時閲覧をすることができます。  また、市内河川の氾濫対策につきましては、その危険度も含めて、引き続き千葉県と協議、検討を重ねてまいります。  続きまして、市内で住宅への浸水被害が発生している地域における、都市下水路の整備状況についてお答えをいたします。市内には5路線の都市下水路が整備されておりますが、このうち、昭和39年、41年に整備された前原下都市下水路の集水区域となっている中央通りや六軒町では、地盤の高さが周辺より低いことから、集中豪雨による浸水被害が発生をいたしております。  この浸水被害対策として、平成26年度に、集水区域とその周辺の地形の状況を調査し、平成27年度に、浸水対策工法の検討を行いました。その結果、前原下都市下水路に並行する新町通りへ新たにボックスカルバートをバイパス管として設置し、現在の都市下水路の流量を軽減させる工法を検討したところ、その概算事業費は3億円を超える結果となりました。この概算事業費が高額であったため、昨年度は、既存の排水機場を活用した事業費を抑える工法として、前原下都市下水路から、亀田医療大学の敷地内にある横手排水機場へポンプ圧送し、都市下水路の流量を軽減させる工法を検討し、その概算事業費は約7,000万円となりました。この工法は、横手排水機場の能力の関係から、あくまでも浸水被害の軽減対策となりますが、今後も、前原、横渚地区の浸水被害対策については、さまざまな角度から検討し、事業の実施に向けて努めてまいります。  次に、大きな2点目、本市のふるさと納税に係わる経費の状況についてお答えいたします。  ご質問の、平成28年度のふるさと納税の件数及び寄附額は2,120件、1億6,802万3,000円でした。これに対する経費は、まず謝礼品の調達に係る費用として4,973万1,941円、謝礼品の送付に係る費用として226万5,472円、これらを合わせた額が5,199万7,413円となっております。  このほか、事務に係る経費として、非常勤職員2名分の賃金等が210万3,130円、事務用消耗品が7万4,250円、また、寄附金の収納に係る費用として、平成28年度から開始しましたクレジット収納等の手数料、これは寄附金額の1%と消費税となりますが、これと、振り込みに係る郵便振替手数料などを合わせて143万6,491円、広報用の写真撮影等の経費が9万1,400円、合計370万5,271円、経費総額では5,570万2,684円となっております。  なお、経費のうち、謝礼品にかかわる部分については、平成27年度の寄附に対する費用も含まれております。年度末の3月末にご寄附をされた方への謝礼品の発送は、次年度の4月以降に行うことになりますので、会計の処理上、どうしても翌年度の支払いとなることもあり、毎年、こうした状況が発生をいたしますことをご理解いただきたいと思います。  以上、登壇での答弁とさせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(大和田悟史君) 川股盛二君。 ◆4番(川股盛二君) ご丁寧なご答弁をいただきまして、ありがとうございました。水位計の設置について、従来の水深機能がある水位計は、設置に1台当たり1,000万円以上かかることや、管理コストなどがかかることで、中小河川への設置が進まない要因となっていましたが、今回の震災を受け、簡易型水位計が被災河川に試験的に導入され、半分ほどの費用で設置でき、維持管理費も抑えることができるということです。近年の災害は、今までのデータを上回る想定外のことが起きて、大規模な被害が出ております。今後も発生する可能性が高い異常気象や災害等に柔軟に対応していただき、防災・減災に努めていただきたいと思います。  また、都市下水路の整備には多額の費用がかかることが理解できました。財政が苦しい当市では、すぐに新たな水路の整備をするのは厳しいと思います。ですが、今回のようにお金がなくても、知恵で解決することができます。職員の方々の人的資源が、今後お金にかわるものとなり、問題の解決につながると思いますので、事業の実施実現に向け、引き続き鋭意取り組みをお願いしたいと思います。  また、ふるさと納税について、事業構想大学院大学が、7月に全国の知事・市区町村長に行ったアンケートでは、88%の知事・市区町村長が返礼品より使途を重視するとの結果が出ております。使い道を重視する考えが広がっているようです。本年4月に総務省から、返礼品を寄付金の3割以下にする等の通知要請があり、現在、当市を含めた多くの自治体で見直しが進んでいますが、野田総務大臣は、5日の閣議後の会見で、「総務省からの要請は自治体に届けてある。地方分権の時代、首長は選挙で選ばれた方たちだから見識を持っているので、いい形で競い合うことを願っている」とコメントいたしました。最終的な判断は自治体に委ねる考えを示しました。今後、最良な方策での運用をお願いしたいと思います。  それでは、2点、再質問をさせていただきます。  1点目は、市長は、県議在任中に県議会の一般質問で、森林整備に係る市町村の役割の強化について質問し、当時の県農林水産部長が、平成23年及び平成28年の森林法の改正により、市町村は地域の実情に即した森林整備に主体的に取り組むこととなりました。市町村が作成することとなった市町村森林整備計画と林地台帳が適正に活用できるように支援を行うと答弁していました。その後の当市の市町村森林整備計画と林地台帳の作成状況についてお聞きいたします。 ○議長(大和田悟史君) 農水商工課長、石井利彦君。 ◎農水商工課長(石井利彦君) それでは、本市の市町村森林整備計画と林地台帳の作成状況につきまして、お答えをいたします。  初めに、市町村森林整備計画についてご説明いたします。これは、千葉県作成の地域森林計画の対象となる民有林が所在する市町村が5年ごとに作成する10年を1期とする計画で、森林整備の基本的な考え方や、これを踏まえたゾーニング、森林整備を推進するための森林施業の標準的な方法及び森林の保護等の規範、路網整備等の考え方等を定める、長期的な視点に立った森林づくりの基準を定めるものでございます。  本市における森林整備計画の作成状況でございますが、平成10年の森林法改正により作成が義務づけられており、直近では、計画期間を平成27年4月1日から平成37年3月31日までの10年間とし、平成27年3月に作成し、更新しております。  本市の森林整備計画では、森林が本来持つ各機能の発揮のため、目指すべき森林資源の姿を森林整備の基本方針とし、森林の整備に関する事項、森林の保護に関する事項、そして森林の保健機能の増進に関する事項等をそれぞれ定めてございます。また、特に、森林の整備に関する事項の中におきまして、森林の多面的機能の発揮に資するため、公益的機能別施業森林としてそれぞれ区域を定め、機能の維持増進を図るための施業方法を具体的に定めておるところでございます。本市が国・県の補助事業を活用して実施している森林整備事業も、この森林整備計画に基づき実施しているところでございます。今後も、関係機関等とも連携を図りながら森林整備を進めてまいりたいと考えております。  次に、林地台帳の作成状況でございますが、初めに林地台帳制度につきましてご説明を申し上げます。林地台帳制度は、平成28年5月の森林法の一部改正において新たに創設され、市町村が統一的な基準に基づき、森林の土地の所有者や林地の境界に関する情報などを整備・公表する制度でございまして、平成31年3月末までに林地台帳の整備を行うこととなっております。  千葉県から示された林地台帳の整備に関するスケジュールによりますと、平成30年1月までに林地台帳の原案作成と森林の土地に関する地図の作成を完了し、その後、本市へのシステムの提供とテスト期間を経て、平成31年4月には本市による本格的な運用がスタートすることとなっております。  現在の進捗状況でございますが、従来、森林情報は主に都道府県が「森林簿」として把握していることから、林地台帳の整備に係る登記情報の取得や、森林計画図への地番の付与等の事務については、都道府県が主体となって行うこととされており、現在、千葉県においても林地台帳の原案の作成が行われているところでございます。今後は、平成31年4月からの運用に向けて、スムーズに移行できるよう千葉県と詳細内容について協議してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 川股盛二君。 ◆4番(川股盛二君) 再質問の2点目は、ため池についてお聞きしたいと思います。農林水産省のデータによると、ため池は全国に約20万カ所あり、受益面積が2ヘクタール以上のものが約6万カ所、うち7割が江戸時代以前の築造で、老朽化が進行している状況で、農水省農村振興局防災課は、ため池が決壊するおそれのある場合または決壊した場合に迅速かつ安全に避難するための「ため池ハザードマップ」を作成して、適正な水位管理などの減災対策を推進しております。また、ため池の防災・減災対策は防災基本計画、国土強靭化基本計画、食料・農業・農村基本計画の各計画に位置づけられており、平成28年8月24日に閣議決定されました新たな土地改良長期計画に目標設定され、対策を推進しております。先ほどお話があったとおり、当市のため池は「防災重点ため池」に指定されておらず、今まではハザードマップや防災・減災対策等の対象にはなっておりませんが、今回の九州北部豪雨で決壊した11カ所のため池の中にも、「防災重点ため池」に指定されていないものも含まれております。今後の取り組みについて、どのように考えているか、お答えをお聞きします。 ○議長(大和田悟史君) 農水商工課長、石井利彦君。 ◎農水商工課長(石井利彦君) それでは、ため池のハザードマップや防災・減災対策の今後の取り組みにつきまして、お答えいたします。  初めに、ハザードマップにつきましてお答えいたします。市長答弁でもございましたとおり、平成25年度から平成27年度において、全国のため池の一斉点検が実施されたところでございます。その点検の結果、国からの通知では、「防災重点ため池」に位置づけられたため池が存在する地方公共団体は、全ての「防災重点ため池」において、平成32年度までにハザードマップを作成し、周知することが求められておりますが、平成25年度に千葉県が実施した点検結果では、本市において「防災重点ため池」はないとの調査報告を受けております。そのため、現時点では、ハザードマップを作成する予定はございません。  しかしながら、本年7月の九州豪雨で「防災重点ため池」以外のため池においても、決壊した事例もございます。現在、「防災重点ため池」以外のため池についてのハザードマップの作成は求められておりませんが、減災対策の一つとして、ため池ハザードマップの作成は有効なものでもありますことから、今後、国や県の通知や指示等に基づき対応をしてまいりたいと考えております。  近年の大規模地震や記録的な豪雨によるため池の決壊事例を鑑みますと、ため池の適正な維持管理の重要性は高まってきております。ため池の維持管理は、受益者が主体となり行っておりますことから、引き続き、ため池を初めとする用排水路等の見回り・点検等により、異常箇所の早期発見・報告をお願いしてまいりたいと存じます。また、異常箇所が確認されたならば、災害の未然防止に向け、関係機関と連携のもと、必要に応じ適切に対応してまいりたいと考えております。  防災対策は、これで完全というものはなかろうと認識はしております。しかしながら、その対策にも限界があることは事実でございます。自然災害が発生した場合は、早目に安全な場所へ避難をすることが、減災対策という観点から重要なことであろうと考えております。洪水による備えや地震の発生などの対応を迅速に行うため、情報連絡体制の再確認や気象予測などの防災情報の提供など、関係機関等と連携を図りながら対応をしてまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りますようお願いいたします。以上でございます。 ○議長(大和田悟史君) 川股盛二君。 ◆4番(川股盛二君) ありがとうございました。今議会で同僚議員が大規模太陽光発電事業に伴う森林伐採について質問いたしました。林野庁によると、森林のある山の年間流出土砂量は1ヘクタール当たり2トンですが、森林のない荒廃した山では307トンにものぼり、地表水分の吸収力、浸透能を比べると、森林は1時間当たり258ミリですが、裸地は79ミリと圧倒的に少なくなっており、森林がなければ国土保全機能も水源涵養機能も著しく低下することがわかっております。ただ、伐採などの手入れをしない荒廃した森林は、裸地同様、集中豪雨に見舞われれば大災害をもたらす原因になります。あくまでも仮定ですが、県単森林整備事業標準単価表から、一般的に行われる搬出間伐、間伐率30%以上の単価は1ヘクタール当たり51万3,000円で、本市の森林1万2,000ヘクタールを間伐すると、61億5,600万円の整備費がかかります。これは整備に絶対必要である林内路網整備等は入っておりません。あくまでも仮定です。  森林は、間伐だけではなく、さまざまな整備を必要としております。当然膨大な費用もかかるため、国は税制改正大綱で森林環境税の検討が進められており、今年度大綱では、「(仮称)森林環境税の設置に向け具体的な仕組み等について総合的に検討し、18年度税制改正において結論を得る」と明記し、千葉県議会でも議論され始めております。森林整備は、本来、補助事業で、国と都道府県が主体となっておりますが、林野庁は、荒廃した山や、その所有者により近い市町村の役割を強化したい考えで、放置する所有者にかわって市町村が間伐を実施できるようにしたり、手放したい所有者から寄附を受け、市町村が共有林として適正管理する仕組みなどを検討しており、近い将来、森林整備は市町村で行うことが予想されています。  どういう形であれ、繰り返される土砂災害を見れば、強固な森林形成は待ったなしと言え、荒れた山の早急な森林整備が求められております。何にしても、一番重要なのは、人命にかかわることだということでございます。本市におきましても、今後さらなる取り組みの強化推進をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。           ──────────────────────── △休会の件 ○議長(大和田悟史君) 日程第2、休会の件を議題といたします。  お諮りいたします。9月9日は土曜日、10日は日曜日のため休会したいと思いますが、これにご異議ありませんか。                〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(大和田悟史君) ご異議なしと認め、9月9日及び10日は休会することに決しました。  なお、次の本会議は、来る9月11日、月曜日、午前10時から開きます。           ──────────────────────── △散会 ○議長(大和田悟史君) 以上をもって本日の日程は終了いたしました。  お諮りいたします。本日はこれをもって散会いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。                〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(大和田悟史君) 異議なしと認め、本日はこれをもって散会いたします。どうもご苦労さまでした。                 午後3時16分 散会           ────────────────────────                 本日の会議に付した事件 1.開  議 1.議事日程 1.行政一般質問 1.休会の件 1.散  会...