令和 6年 3月 定例会(第1回) 令和6年
田原市議会第1回定例会(第2日) 会議録1 開議 令和6年3月4日1 応招(出席)議員は、次のとおりである。 1番 小川金一 2番 内藤 浩 3番 村上 誠 4番 辻 史子 5番 柳元浩幸 6番 山上勝由 7番 真野尚功 8番 古川美栄 9番 岡本禎稔 10番 鈴木和基 11番 小川貴夫 12番 中村健太郎 13番 岡本重明 14番 古川幸宏 15番 中野哲伸 16番 平松昭徳 17番 内藤喜久枝 18番 中神靖典1 不応招(欠席)議員は、次のとおりである。 なし1 本会議に職務のため出席した者は、次のとおりである。
議会事務局長 稲垣守泰 議事課長 荒木真智 課長補佐兼係長 朽名武彦 書記 近藤絵衣巳 書記 太田健介1 地方自治法第121条の規定により説明のため会議に出席した者は、次のとおりである。 市長 山下政良 副市長 鈴木正直 教育長 鈴木欽也 防災局長 石原恭次 企画部長 河邉俊和
企画部企画調整監 志賀勝宏 総務部長 鈴木 亨
市民環境部長 柴田高宏 福祉部長兼
福祉事務所長 こども健康部長 木村由紀子 小久保智宏
農林水産部長 千賀達郎
農林水産部技監 柿崎新之助
商工観光部長 鈴木隆広
都市建設部長 鈴木洋充
上下水道部長 川口容央 教育部長 増田直道 消防長 浪崎智彰
企画部次長 小林哲三 企画課長 仲谷和也 総務課長 伊藤英洋 財政課長 松井茂明
子育て支援課長 河合義弘 健康課長 水口雅彦 農政課長 山田正勝
学校教育課長 峠 尚良1 議事日程は次のとおりである。 日程第1
会議録署名議員の指名 日程第2 一般質問 代表質問
自由民主党田原市議団 村上 誠 令和6年度施政方針について
市民クラブ 平松昭徳 令和6年度施政方針について 個人質問 7番 真野尚功 持続可能な行財政運営について 4番 辻 史子 1 児童生徒のプライバシーや心情に配慮した健康診断の実施について 2
こども施策の推進について 6番 山上勝由 優良農地の維持に向けた取組について1 本会議に付議した事件は次のとおりである。 議事日程に同じ。1 議事
△午前10時00分開議
○議長(中神靖典) 皆さん、おはようございます。 ただいまの出席議員は18名であります。定足数に達しておりますので、本会議は成立いたしました。 直ちに本日の会議を開きます。 これより日程に入ります。 本日の議事日程につきましては、お手元に配付のとおりでありますので、よろしくお願いいたします。
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○議長(中神靖典) 日程第1
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員は、会議規則第82条の規定により、9番
岡本禎稔議員、10番
鈴木和基議員、以上の御両名を指名いたします。
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○議長(中神靖典) 次に、日程第2 一般質問を行います。 初めに、代表質問を行います。 最初に、
自由民主党田原市議団 村上 誠議員。
◆3番(村上誠)
自由民主党田原市議団 村上 誠でございます。議長のお許しを得ましたので、代表質問を
一括質問一括答弁方式で質問させていただきます。 質問に入ります前に、
自由民主党田原市議団を代表して、年明け早々に発生しました
能登半島地震で亡くなられた方々の心からお悔やみを申し上げるとともに、一日でも早く被災された方が復興されることをお祈りを申し上げます。 さて、質問に入りますけれど、先日1月7日に田原市の二十歳の集いが開催され、714名の方が成人を迎えられました。会場内では、久しぶりの顔合わせであったり、お互いの服装を語り合ったりと、とてもにぎやかで、見ている私たちも顔が思わずほころびました。この若者の皆さん方が、このまま田原市に暮らしていただければ活性化の一助になると思ったのは私だけでしょうか。 こうした若い世代が、田原市にそのまま住み続けるために必要なことは何か。生活のために働く職場があること、確かにそれは必要なことだと理解できます。私はそれだけではなく、中学校まではほとんどの子供たちが田原市で学び、生活をしています。その十数年の間に市として何かできることはないか。小中学校の教育の中で、何か子供たちに、この田原市に居続けることの大事さ、大切さを感じてもらうことはできないかと考えております。 さて、話は変わりますけれど、令和6年度当初予算についてでありますが、歳入では、市民税を中心に市税収入は回復傾向にあり、一般会計の予算額は昨年度に比べ大幅に増加し、数年ぶりに320億円に迫る大型予算が計上されています。市税をはじめとする自主財源の割合は60%から70%で推移し、安定していますが、一方で、当面は
普通交付税が不交付団体になることが想定されるとともに、大型事業の実施等に伴い、依存財源である市債等で財源を確保していくこととされています。 我が国の経済に目を向ければ、足元の物価高騰や世界経済の減速等による景気リスクもあり、引き続き、先行きは不透明な状況にあります。本市においても、近年は半導体の供給不足による製造業の生産調整や資材、飼料、肥料等の価格高騰による農業の生産性の低下などが大きな問題となっております。 さらに食料品や
エネルギー資源の高騰は、産業分野のみならず、市民生活にも大きな影響を与えています。本市においても、国や県と連携しながら
緊急経済対策にしっかりと取り組んでいただいているところですが、国際情勢の安定なくして抜本的な改善は難しい状況です。このほか、
デジタル化に向けた
情報関係経費、老朽化した公共施設の長寿命化やインフラの
強靱化関係の経費に加え、物価高騰や賃金上昇に伴い事業費が増大しており、効果的かつ効率的な財政運営が求められているところです。 また、先ほど申し上げましたとおり、1月1日には最大震度7の
能登半島地震が発生しました。近年、毎年のように全国各地で自然災害が頻発しており、
南海トラフ地震発生による被害が危ぶまれる本市においても、決して災害を他人事にはしてはいけません。 こうした中、本年度、「うるおいと活力あふれる
ガーデンシティ~みんなが幸せを実現できるまち~」を将来都市像とする第2次田原市総合計画の策定が進められています。全国的な人口減少、
少子高齢化を背景に、今後の
人口減少社会への対応を重点課題として捉えております。特に本市の生産活動を中心となって支えている
生産年齢人口、未来の田原市を支える年少人口は急激な減少傾向にあり、今後、高齢化率の一層の高まりが予測される中で、現在、
歳出予算額の約30%を占めている民生費など、
社会保障関係経費の増加が懸念されているところであります。今回こうしたことを踏まえて質問をさせていただきます。 それでは大項目として、令和6年度施政方針についてであります。 小項目1点目として、第2次田原市総合計画と重点施策についてを質問させていただきます。新年度は、第2次田原市総合計画がスタートする年度に当たりますが、第2次田原市総合計画を踏まえ、どのように重点施策を設定したのかを伺います。 小項目の2点目として、財政の見通しについてです。中長期にわたる財政計画、投資計画の必要性、そして歳入確保への取組が予算編成にどのように生かされているのかを伺います。 小項目の3点目として、令和6年度予算を、子育てを応援し、田原の未来を彩る予算についてです。この考え方について、三つの重点施策に沿って、6点ほどお伺いします。 1点目として、「住み続けたい
まちづくり」のうち、
子育て支援についてであります。将来を担う子供たちが健やかに育つことができるよう、今年度設置をした、
こども基金を活用して
子育て支援に力を入れるとしています。そこで、子供の成長に合わせた切れ目のない支援をどのように考えているのか伺います。 2点目として、「
重層的支援」です。先ほども述べましたとおり、本市は
少子高齢化が進行しています。
生産年齢人口の減少にどう対応していくのかも重要な課題です。高齢化率が約30%という状況をどう捉えているかも重要であります。高齢者だけでなく、障害者、子供、
生活困窮者など、多種多様な課題に対し、重層的な支援が必要になってきています。こうした重層的な支援をどのように考えているのかをお伺いします。 3点目として、「住んでみたい・訪ねてみたい
まちづくり」のうち、農業振興についてであります。本市の農業は、
全国トップクラスの産出額を誇っておりますが、
後継者不足や物価高騰など、農業者を取り巻く問題も数多くあります。そこで、本市の農業の安定的な経営や、今後の発展についてどのように考えているかを伺います。 4点目として、「世界に誇れる花のまち」についてであります。本市は日本一の花の生産者として「世界に誇れる花のまち」を掲げ、市内外へ広く発信していますが、具体的にどのように考えているかを伺います。 5点目として、「未来につながる
まちづくり」のうち、大
規模地震発生時の
緊急輸送道路についてであります。災害時の
緊急輸送道路となる田原を通る大動脈の2本の国道は大丈夫かと心配をしております。毎日のようにテレビや新聞等で報じられていますが、被災者が苦悩している様子は、とてもつらいものがあります。この
能登半島地震を教訓として、本市の災害への備えにどう生かしていくのかが重要です。そこで、
能登半島地震を踏まえ、大
規模地震発生時の
緊急輸送道路についてどのように考えているのかお伺いします。 最後に6点目として、「
風水害対策について」であります。ここ数年、線状降水帯による浸水被害が市内でも発生しており、特に河川の越水による被害が数多く発生しております。この原因は、想定を上回る水量によるものと推測されますが、河川や水路への土砂の堆積、堤防の雑草、川幅の狭隘等も要因にあると思われます。地震だけでなく激甚化する風水害への対策も重要となってくる中で、河川をはじめとする風水害への対策をどのように考えてるのかお伺いします。 以上、当初質問とさせていただきます。よろしく御答弁をお願いします。
○議長(中神靖典) 市長。
◎市長(山下政良) 代表質問として村上 誠議員から、令和6年度の施政方針について、大きく3点の御質問を頂きましたので、お答えをしたいと思います。 初めに、小項目の1点目、第2次田原市総合計画と重点施策についてでございます。 現在策定中の第2次田原市総合計画の基本計画では、「分野横断的に取り組む
重点テーマ」として、「住み続けたい
まちづくり」、「住んでみたい・訪ねてみたい
まちづくり」、「未来につながる
まちづくり」の三つを掲げております。これは、実施計画における重点施策として従来から掲げてきた三つの柱を引き継ぐものでございまして、「住みやすいまちを目指すこと」、「まちの魅力を高めること」、「将来にわたって持続可能なまちを目指すこと」を分かりやすく表現をいたしております。この三つの柱は、人口減少が進行する状況においても、
まちづくりを進めるために普遍的で重要な視点であると考えておりまして、総合計画の
重点テーマとして位置づけ、引き続き、予算編成の重点施策として策定しております。 続きまして、小項目2点目の、財政見通しについてお答えをしたいと思います。 将来にわたり健全な財政運営を維持する上で、長期的な展望に立った財政方針である財政計画は、重要で必要性が高いものと認識しており、令和6年度からスタートする第2次田原市総合計画の中でも策定しております。 また、総合計画の実施計画において、向こう3か年に取り組むべき投資計画を毎年度作成しております。これらの計画に基づき予算を編成することで健全な財政運営につながり、投資的経費など必要な予算規模を確保することができるものと考えております。 歳入確保の取組としましては、引き続き、企業誘致や地域産業の育成につながる取組を推進をいたしまして、将来に向けた安定的な税収の確保に努めるとともに、積極的に
シティセールスに取り組み、
ふるさと納税の拡大を図っております。 こうした中、本年度、子ども・
子育て施策の財源を確保するため、
こども基金を創設したところでございます。国・県の補助制度の活用や、市債の借入れだけでなく、税収確保の取組や各種基金のバランスのよい活用が財源の確保につながり、安定的な予算編成に生かされるものと考えております。 最後に、小項目3点目の、子育てを応援し、たはらの未来を彩る予算について、6点の御質問を頂きましたので、順次お答えをしたいと思います。 まず1点目の、子供の成長に合わせた切れ目のない支援についてでございます。 安心して子供を産み、育てられる支援体制の整備、そして、子供たちが健やかに育つことができる
環境づくりを進めていくことが重要であると考えております。
母子健康手帳交付時から産後早期の
伴走型支援を重点的に行うとともに、子供の
ライフステージに応じた相談体制を整え、子育てに悩む方への支援を継続して行ってまいります。 また、これまでの取組に加え、
こども基金を活用した妊産婦への
タクシー料金の助成、保育園等の保育料・給食費の無償化、小学校・中学校の入学時の入学応援金の支給、18歳までの医療費の無償化など、子供の成長に合わせた切れ目のない支援に取り組んでまいります。 次に、2点目の、多種多様な課題に対する
重層的支援でございます。
少子高齢化の状況は、本市だけでなく、国全体が抱える課題となっております。国は
地方共生社会の実現に向け、高齢者、障害者、子供、
生活困窮者などの属性を問わない相談支援や、
地域づくりに向けた支援を一体的に行う新たな事業である
重層的支援体制整備事業を推進しています。本市も令和6年度からこの事業を開始をいたしまして、関係部署や関係機関が連携して多種多様な課題に対応する体制を構築をし、支援してまいります。 次に、3点目の、農業の安定的な経営や今後の展開でございます。 本市では、たはら農業プランで掲げた将来像「日本一元気で魅力的な農業の実現」に向けて、次世代を担う多様な担い手が活躍する「日本一の農業産地」を目指しております。そのため、
後継者不足や物価高騰への対策として、低コスト・省力化に取り組むために必要な施設整備や
スマート機器の導入等を支援するとともに、自然災害への対策として、農業施設や
農業インフラの強靱化などの生産基盤の強化や
セーフティネットへの加入を促進するなど、農業の安定経営やさらなる発展のため、多方面からの支援を継続してまいります。 次に、4点目の、世界に誇れる花のまちを具体的にどのように考えているかでございます。
花き産出額日本一の強みを生かして、「みんなでつくろう!世界に誇れる花のまち」を合い言葉に、行政だけでなく市民、団体、事業者等が一緒になって花壇や街路樹の整備、花木の
名所づくり等による
景観づくりの推進や、花を活用した各種施策を実施してまいります。これにより「花のまち田原市」として広く市内外に情報を発信し、まちに対する誇りの醸成につなげるとともに、認知度の向上による交流人口の拡大につなげてまいりたいと考えております。 次に、5点目の、大
規模地震発生時の
緊急輸送道路でございます。
緊急輸送道路につきましては、
災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため、
復旧作業等を他の道路に優先して実施をいたしまして、
緊急通行車両の通行ルートを確保することとしております。現在、本市の
緊急輸送道路である国道259号、国道42号は、管理者である愛知県が橋りょうの耐震化など、災害対策を優先的に進めているところでございます。また、海岸堤防の耐震補強や防潮堤の整備も進められておりまして、津波による道路の寸断防止が期待されております。 しかし、
能登半島地震の被害を見ますと、本市においても土砂の崩落や地盤の液状化等による道路の寸断が危惧されることから、高規格道路での
ダブルネットワーク化としての
渥美半島道路の早期実現に向けてしっかりと要望をしてまいります。 最後に6点目の、河川をはじめとする
風水害対策についてでございます。 河川・水路につきましては、洪水、高潮等による災害を防止するため、維持管理の強化や維持修繕・改良等を推進するとともに、市民への分かりやすい情報提供に努めることとしております。そのため、日常的な管理である堤防等の草刈りや堆積の著しい河川等のしゅんせつに加え、出水期前にパトロールを実施することで風水害に対する備えの充実を図るとともに、水害等の発生事例がある河川等の調査及び対策検討などに努めてまいります。 また、
ハザードマップなどによる危険箇所の周知や、
防災行政無線の
デジタル化をはじめとする情報伝達の多重化などにより、適時・的確な情報発信に努めてまいります。 以上でお答えといたしたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
○議長(中神靖典) 村上 誠議員。
◆3番(村上誠) これをもちまして、質問を終わらせていただきます。
○議長(中神靖典) 以上で、
自由民主党田原市議団 村上 誠議員の質問を終わります。 次に、
市民クラブ 平松昭徳議員。
◆16番(平松昭徳) こんにちは。
市民クラブ 平松昭徳です。議長の許可を得ましたので、通告に従い、
市民クラブを代表し、令和6年度施政方針について
一括質問一括答弁方式にて質問をいたします。 国内においては、コロナ禍からの
経済活動再開に伴う需要回復が進む一方で、ロシアによる
ウクライナ侵攻の長期化、中東情勢の不安定化などによる経済の減速リスクは懸念されています。また、日本における構造的な人手不足や就労意識の多様化による人材不足、そして継続的な物価上昇などにより、依然として先行き不透明な状況であり、景気後退への懸念など、本市への様々な影響が心配されるところであります。 そのような中、本市においては、昨年、市制施行20周年を迎え、令和6年度からは第2次総合計画に基づく新しい
まちづくりのスタートとなります。その一歩として、先日、山下市長より、令和6年度の施政方針にて、新年度における市政運営の基本方針と予算の大綱が示されました。その中で、振り返りにおいては、将来を見据えて実現できた事業や、現在進められている事業について、そして、令和6年度に取り組む重点施策では、様々な課題に対処していくための新たに取り組む事業や、より取組を強化するために拡充を図る事業などが公表されました。 私
たち市民クラブは、広く勤労者や市民全体の生活の安定と向上、そして地域の発展を常に念頭に置きながら、理想とします「将来に希望が持てる持続可能な安心して暮らせるまち」を目指しております。また、市民の働く場の確保や生活にも大きな影響を与える本市でも着々と進められているデジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションなど、将来の成長につながる取組についても社会の流れに乗り遅れることなく、重点的に進めていくことが重要だと捉えています。そこで、この新年度における施政方針に対する質問において、取り組んでいくべきと考える内容や、取り組む内容等の考え方や方向性について、順次伺っていきます。 初めに、小項目1、予算編成の基本的な考え方についてです。 本市においては、少子化やそれに伴う人口減少、そして高齢化の進展、さらには世帯構成の変化などによって生じる社会的課題に加え、財政の健全化はもとより、行政の
デジタル化や
子育て支援、老朽化が進む公共施設への対策、
都市基盤整備などに関する多様な行政課題に対して適切かつ迅速に対処していかなければならないと考えています。そして、国や県の動向や、本市の経済状況を踏まえ、将来に向けた安心できる環境を確保するために、財源確保や将来負担への抑制、効率的・効果的な
事務事業等を目指した予算の編成が大変重要だと認識しております。 そこで、小項目1として、
社会経済動向や本市の財政状況と今後の見通しをどのように捉えて予算編成をしたのか伺います。また、予算編成において重要視した点についても伺います。 次に、小項目2、
デジタル田園都市国家構想田原市総合戦略の反映についてです。 国は、テレワークの普及や地方移住への関心の高まりなど、社会情勢が大きく変化している中、デジタルの力を活用して地方創生を加速化・進化し、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指して、まち・ひと・し
ごと創生総合戦略を抜本的に改訂し、
デジタル田園都市国家構想総合戦略を策定しました。 本市においても、
パブリックコメントにて
デジタル田園都市国家構想田原市
総合戦略案を公表し、本年2月1日より3月1日までの募集期間を設け、市民の意見等を募集していました。この田原市
総合戦略案には、項目ごとの具体的な戦略として、戦略の重点や方向性、基本目標、そして具体的施策が掲げられており、
重要業績評価指数(KPI)を設置し、取組効果の検証と改善を行う仕組み(
PDCAサイクル)を構築し、推進していくとあります。そこで、小項目2として、現在策定中の
デジタル田園都市国家構想田原市総合戦略を重点施策にどのように反映させたのか伺います。 次に、小項目3、予算編成における重点施策についてです。 ここでは、重点施策として掲げられています三つの柱、「住み続けたい
まちづくり」、「住んでみたい・訪ねてみたい
まちづくり」、「未来につながる
まちづくり」の取組の方向性と考えについて、7点伺っていきます。 初めに、住み続けたい
まちづくりについてです。 妊娠、出産、子育て、教育環境や福祉、医療の充実に向けて、様々な新たな事業を進めていくと言われました。その中で特に、
子育て支援での保育園、こども園の保育料や給食費の無償化、また、小中学校への入学時の応援金支給、そして18歳までの
医療費無償化など、新たな取組は待ち望まれていたものや、支援として的確な取組であり、金銭的な負担が大きく軽減され、大変喜ばれるものであり、確実に子育て世代への支援につながるものと考えます。 そして、ここでは子供たちの学校生活に関する教育環境について、1点伺います。過去、小中学校の環境整備においては、暑さ対策や寒さ対策として、教室に扇風機の設置やエアコンなどの空調設備の設置が行われ、子供たちが安心して学ぶことができるように学習環境の改善が図られました。県内の高等学校においては、本年2月、
県立高等学校の体育館等への空調設備の整備についての発表があり、近年の猛暑を踏まえた
熱中症対策を進め、2024年度から2027年度までの4年間で全ての
県立高等学校の体育館、武道場145校、292棟に空調設備を順次、整備するそうです。 そして、県内の小学校の状況は、文部科学省「
公立学校施設の空調設備の設置状況について」によりますと、令和4年9月1日時点、愛知県の
公立小中学校の普通教室の
空調機設置率は100%であり、本市においても100%となっていますが、体育館等については愛知県全体では7.8%の設置率と大変低く、本市及び近隣市の豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市においても、いずれも設置率ゼロ%となっていました。そこで、小項目3の1点目として、今回の主要施策にある小中学校の整備において、二つの小学校において、屋内運動場の
空調設備等の環境整備が予定されていますが、他の小学校を含めた今後の方向性について伺います。 次に、住んでみたい・訪ねてみたい
まちづくりについてです。 ここでは、地域全体の持続的な発展につなげるため、農業や水産業、商工業など地域産業の振興に積極的に取り組む。また、定住・移住につながる新たな事業や、特産品を通した
シティセールスを推進するとともに、観光資源の魅力を広く発信し、関係・交流人口の拡大につなげていくと言われました。そこで、地域の特色を生かした産業の振興と関係・交流人口の拡大に関係した内容について伺います。 初めに、企業誘致の方向性についてです。臨海部に集積しています自動車産業を中心とした企業は、本市の産業振興の発展につながるとともに、法人市民税や雇用の創出に大きく影響を及ぼしています。この臨海部の工業地域には、現在、木質ペレットを燃料として発電を行うバイオマス発電所の建設工事が4か所で着々と進められています。 また、この臨海部の工業地域等には、現在造成中の用地や分譲予定地、そして交渉中の用地があり、今後も多くの進出企業が見込まれていると聞いています。企業誘致の推進は、産業の活性化はもとより、雇用の創出や設備投資による市税収入の増加が図られ、本市の財政基盤の確立にもつながると考えます。そこで2点目として、本市における臨海部等へどのような企業誘致を目指しているのか、企業誘致の方向性について伺います。 次に、中小企業の振興についてです。 中小企業や小規模事業者の方は地域経済発展の担い手であり、就業機会創出を含め、地域の生活、コミュニティを下支えしており、持続的な発展が地域の活性化につながっていると考えます。そこで3点目として、中小企業の振興に向けた取組を総合的に推進するため、どのような方向性の下、進めていくのか伺います。 次に、関係・交流人口の拡大についてです。コロナ禍を契機として価値観やライフスタイルの多様化が進み、観光において自然の中で癒される旅のニーズなどが高まるほか、その地域ならではの本物の体験や、人と人の交流を通した感動など、達成感を得られる体験型の観光などが求められていると言われています。 地元以外の地域から人の行き来を促す観光産業は、本市の経済の活性化を進める上では大変重要と考えます。観光振興が進み、観光収益で地域が潤い、そこで新たな雇用が生まれる。その一方で、地域の脆弱性が明らかになります。また、多くの観光客の方が訪れることにより、市民の方が地元のよさを再発見し、地元に対する愛着の醸成にもつながると考えられます。そこで4点目として、観光振興の方向性について、どのように渥美半島田原市の魅力を高め、関係・交流人口の拡大を図り、地域振興につなげていくのか伺います。 次に、未来につながる
まちづくりについてです。 初めに、安心・安全で快適な
まちづくりで幹線道路整備についてです。
渥美半島道路については、令和3年3月策定の新広域道路交通計画において構想路線に位置づけられています。また、三河港周辺地域の幹線道路である浜松湖西豊橋道路については、国及び県において都市計画決定に向けた調査が実施されていると認識しております。そして、これらの道路については、本市の産業振興だけでなく、観光振興や防災対策にとっても大変重要であると捉えています。そこで5点目として、
渥美半島道路や浜松湖西豊橋道路に対する市の取組について伺います。 次に、防災・減災対策についてです。 近年、激甚化・頻発化する自然災害や、今後高い確率で発生が予測されている南海トラフ巨大地震などによる被害想定の規模は、大きく増しているといわれており、インフラなどのハード面の対策はもちろんのこと、人的なソフト面での対策が重要であり、一体となって対策を進め、災害に強い
地域づくりをしていくことが求められています。 本年1月に発生しました
能登半島地震による被災地での自治体、避難所、集落などの状況、また、避難生活の困難な原因となっている避難形態の多様化や広域化の状況、そして支援の在り方や、孤立した集落や避難所の運営など、想定や想像をはるかに超える様々な課題が明らかになりました。そこで6点目として、
能登半島地震を教訓とした本市の防災・減災対策をどのような方向性で進めていくのか伺います。 最後に、未来につながる
まちづくりでの持続可能な
まちづくりで、カーボンニュートラルの推進についてです。 愛知県においてカーボンニュートラルに関する課題として、温室効果ガス排出量が全国最多レベルとなっています。これは世界的なカーボンニュートラルの潮流の中で、産業競争力を維持向上させるという観点において、喫緊の課題であるといわれています。愛知県では、2030年度CO2排出量46%削減を達成するとともに、2050年カーボンニュートラルを実現するために、あいちカーボンニュートラル戦略会議を設置し、全庁を挙げて取組を推進しているそうです。 そのような中、本市においても「たはらエコ・ガーデンシティ推進計画 田原市地球環境温暖化対策実行計画(区域施策編)」が策定され、約1年が経過し、様々な施策が進められています。そこで、最後7点目として、本市におけるカーボンニュートラル推進について、取組の状況等を含めた今後の展開等方向性について伺います。 以上、令和6年度施政方針についての質問とさせていただきます。
○議長(中神靖典) 市長。
◎市長(山下政良) 2人目の代表質問として
平松昭徳議員から、令和6年度施政方針について、大きく3点の御質問を頂きましたので、順次お答えをしたいと思います。 初めに、小項目の1点目、予算編成の基本的な考え方についてのうち、
社会経済動向や本市の財政状況と今後の見通しについてでございます。 まず、
社会経済動向といたしましては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類へ移行して10か月が経過をし、安心・安全な日常生活が戻りつつある中、食料品や
エネルギー資源等の物価高騰リスクなど、引き続き、経済の先行きが不透明な状況が続くことが想定されます。国や県の動きをしっかりと捉え、地域産業や市民生活に与える影響を最小限に抑えることが重要であると考えております。 次に、本市の財政状況と今後の見通しといたしましては、令和6年度は堅調な企業業績に伴う法人市民税の影響によりまして市税の増加を見込む一方で、引き続き
普通交付税が不交付となることを想定をいたしております。 また、第1期実施計画に掲げる大規模事業を着実に実施するため、国・県の施策に基づく補助制度、基金からの繰入れや市債の活用により、319億7,000万円の予算規模を確保しております。令和7年度以降も令和6年度と同程度の310億円台の予算規模で推移するものと見込んでおります。 次に、予算編成において、重要視した点についてお答えをしたいと思います。毎年度、市が重要視する視点を基本方針として定めておりまして、令和6年度は五つの項目を掲げて予算編成を行っております。 基本方針の一つ目は、新たな総合計画の将来都市像である「うるおいと活力あふれる
ガーデンシティ~みんなが幸せを実現できるまち~」の実現に向け、長期的な展望に基づく行政運営を行うため、第2次田原市総合計画のスタートを念頭に置いた取組。二つ目は、喫緊の課題である人口減少対策・人口増加対策を推進するための
デジタル田園都市国家構想田原市総合戦略の着実な実施。三つ目は、アフターコロナ、
デジタル化やグリーン化などの新たな行政課題への取組を加速するための社会情勢の変化に対応するための取組。四つ目は、公共施設の再編や長寿命化、インフラ施設の強靱化を図るための公共施設、インフラにおける適正管理の推進。五つ目は、行政改革や民間の活力を導入するなどを推進するための持続可能な行財政基盤の確立としており、これらの基本方針の下で令和6年度予算を編成したところでございます。 次に、小項目の2点目、デジタル田園都市国家構想の田原市総合戦略の反映についてお答えをいたします。 現在策定を進めております
デジタル田園都市国家構想田原市総合戦略では、「まち・ひと・し
ごと創生総合戦略」の四つの基本方針である「雇用の創出・就労促進」、「定住・移住促進」、「若い世代の結婚・妊娠・出産・子育ての希望実現」、「地域の魅力・住み良さの向上」を継続して掲げ、これにデジタルの視点を取り入れることで取組を加速させていくとしております。これを踏まえ、人口が減少する中にあっても、まちの活力を維持し、誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指して
デジタル化の視点を重点施策の取組に反映しております。 最後に、小項目の3点目、予算編成における重点施策について、7点の御質問を頂きましたので、順次お答えをしたいと思います。 まず1点目の、小中学校の屋内運動場への空調等の整備についてでございます。 小中学校の屋内運動場の空調設備につきましては、児童生徒の
熱中症対策としてだけでなく、災害発生時に地域の避難所として利用される施設の環境整備としても重要であるため、他の小中学校についても早期に完了できるよう計画的に整備を進めてまいります。 次に、2点目の、臨海部への企業誘致についてでございます。 現在、本市の臨海部は、風力や太陽光、バイオマス発電等の再生可能エネルギー企業が集積する国内最大の拠点に成長しております。そのため、今後も次世代エネルギーの動向を踏まえ、企業の集積を図りたいと考えております。加えて、資源を循環させて廃棄物の発生抑制などを目指す「サーキュラーエコノミー」に貢献する企業の誘致も検討していきたいと考えております。 次に、3点目の、中小企業の振興でございます。 中小企業の振興に向けた取組は、国・県・商工会などの支援機関・金融機関などと連携しながら、中小企業の自主的な経営努力を支援することが肝要であると考えております。そのため、創業を検討している段階から後継者への事業承継を行う段階まで、全ての事業者を対象に資金融資の円滑化や補助金の交付等の経済的な支援、専門家活用等の人的支援、必要な情報の提供、情報発信への協力など、幅広い分野の支援を実施してまいります。 次に、4点目の、観光推進の方向性についてでございます。 選ばれる観光地となるためには、地域が一体となり魅力を高めていくことが重要であると考えております。そのため、渥美半島観光ビューローなどがリーダーとなって観光事業者と連携しながら官民協働で一体となり、誘客戦略を持続的に行っていくことが必要となります。その体制化の下、伊良湖温泉をはじめとする本市の豊富な地域資源を活用した滞在型コンテンツの充実化・高付加価値化により魅力を高め、交流人口と関係人口の拡大を図り、地域振興につなげてまいります。 次に、5点目の、
渥美半島道路や浜松湖西豊橋道路に対する市の取組についてでございます。
渥美半島道路については、早期実現に向けた要望を行っており、県と市において渥美半島の将来像を見据え、
渥美半島道路を含む道路ネットワークの在り方について検討を進めております。また、浜松湖西豊橋道路につきましては、国や県に対して都市計画や環境アセスメントの手続を進めて早期事業化を図るよう要望しております。さらに県に対しては、県道豊橋渥美線における浜松湖西豊橋道路の接続先から三河港大橋までの立体化等による機能強化を働きかけているところでございます。今後も引き続き、
渥美半島道路の早期実現、三河港周辺地域の幹線道路の早期整備に向け、関係者と連携して要望してまいります。 次に、6点目の、
能登半島地震を教訓とした防災・減災対策の方向性についてでございます。 同じ半島という地理的特性を考えると、半島特有の対策は不可欠でございます。そこで、
能登半島地震で顕在化した物資輸送や孤立地域などの課題を参考に訓練の実施や備蓄資材の確保に加え、住宅の耐震改修支援の拡充、被害状況を早期に把握するための体制整備、発災後の避難所の環境整備などに取り組んでまいります。また、災害対策の基本である自助・共助の意識を高め、地域防災力のさらなる強化を図ってまいります。 最後に、7点目の、カーボンニュートラルの実現に向けた方向性についてでございます。 本市は、2050年までに本市の二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「たはらゼロ・カーボンシティ」を目指すことを表明をいたしておりまして、「たはらエコ・ガーデンシティ推進計画」に基づき、カーボンニュートラルの実現に向けた施策を進めております。引き続き、2030年度の二酸化炭素排出量削減の中間目標達成に向けて徹底した省エネに取組とともに、再生可能エネルギーの利用拡大や水素など、次世代エネルギーへの転換をはじめとする新たな技術導入の検討など、行政が率先して脱炭素に取り組み、本市のカーボンニュートラルの実現に向けて、市民や事業者と共に地域が一丸となって取組を進めてまいりたいと思います。 以上でお答えとさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○議長(中神靖典)
平松昭徳議員。
◆16番(平松昭徳) 以上で、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(中神靖典) 以上で、
市民クラブ 平松昭徳議員の質問を終わります。 以上で、代表質問を終わります。 次に、個人質問を行います。 初めに、7番 真野尚功議員。
◆7番(真野尚功)
自由民主党田原市議団 真野尚功でございます。議長のお許しを頂戴いたしましたので、個人質問、通告に従いまして、
一括質問一括答弁方式にて行わせていただきます。 今回、質問項目としまして、大項目、持続可能な行財政運営についてとさせていただきまして、小項目1点目、公共施設の複合化、統廃合について、そして2点目、田原市
ふるさと納税についてを質問のテーマにさせていただきました。 2008年9月、アメリカ合衆国で、住宅市場の悪化によるサブプライム住宅ローン危機がきっかけとなりまして、大手投資銀行でありますリーマンブラザーズホールディングスという会社が経営破綻をいたしました。そこから連鎖的に発生をしました世界的な金融危機は、1929年に起こりました世界恐慌以来となる世界的な不況となりまして、このことを日本ではリーマンショックというふうに呼ばれております。 さて、企業城下町という言葉がございます。インターネットで検索をしますと、田原市もトヨタ自動車田原工場の企業城下町として掲載をされておりました。企業城下町と言いますのは、近代工業の発展過程において、特定の企業の発展とともに都市が形成をされていき、その企業が地域社会に対し、政治、経済、社会的に多大な影響を持つようになった都市を指しております。 このような企業城下町を地域の立場から見てみますと、そのメリットとしましては、企業城下町を構成する多くの企業から税収や雇用が期待をされるということなどがありまして、一方、デメリットとしては、特定の企業及び産業に対する依存度が高くなることによって、地域の先行きがその企業や産業の業績次第となるリスクがありまして、税収や雇用、人口問題など地域の多くの問題が、一企業に左右されるということが起こります。 冒頭に述べましたリーマンショックと言いますのは、本市の財政運営に大きな影響を与えたものであります。総務省のホームページに掲載をされております本市の令和3年度財政状況資料集の基金残高に係る経年分析のページ、この中の財政調整基金欄の今後の方針の中には、リーマンショック時の平成21年、平成22年度には本市の歳入に大きな影響のある法人市民税の大幅な減収により、財政調整基金を計40億円取り崩して市政運営を行った経緯があるため、景気対策として最低限40億円は確保し、法人税率改正による税収減等による急激な予算規模縮小を緩和するための財源として計画的に活用していくとあり、実際にリーマンショック時の予算編成には大変苦労したという話を聞いたこともあります。 ちなみに財政調整基金と言いますのは、自治体の預貯金のようなものでありまして、これはないと不安定になるわけですが、たくさんあればいいというものではなく、いわば市民へのサービスをストックするというような意味を持ちますので、この適正規模がどれくらいであるのかというのを調べたときに、先ほどのような40億円という数字が出てきたものでございます。 そのようなことを踏まえながら会計を見てみますと、令和5年度の一般会計の当初予算規模、これが295億4,000万円でありましたが、令和6年1月に開催されました臨時議会において第9号補正予算が提出をされまして、承認。歳入歳出額が347億6,000万円の予算規模となっておるわけでございます。 令和6年度一般会計の当初予算案における予算規模は319億7,000万円と、これは令和5年度の数字を上回っておりまして、その歳入におきましては44.7%を占める市税、これは142億8,000万円なんですが、このうち企業業績の影響に伴う法人市民税の増加により、市民税が66億1,000万円と大きく増加をしておりました。 2023年7月28日の報道によりますと、国から地方自治体に交付される
普通交付税を受けずに財政運営できると言われる、いわゆる不交付団体が77自治体となっておりまして、昨年度から3減7増と4自治体増えております。ここに本市も不交付団体に加わったと記載がございました。ちなみに、地方交付税制度と言いますのは、地方自治体の財源の不均衡を調整し、全ての自治体が一定のサービスを提供できるよう財源を保障するための制度でございます。 さて、この不交付団体のメリットとしましては、自治体を運営するために必要な費用、これは基準財政需要額というふうに呼ぶんですけども、これを超えた税収は、その自治体独自の施策に使う余裕が生まれます。さらに税収が増加した場合は、増加分の全てが自由に使える財源となるということとなっております。また、デメリットとしましては、景気の悪化などで税収が減少した場合には、その減収分に見合うだけの歳出を減らさなければなりません。つまり、よくも悪くも税収の増減がそのまま財政に影響を与えるということになるわけです。さらに付け加えますと、不交付団体になった場合には、交付税がないだけでなく、国や県から補助金の対象となる学校耐震化工事などの事業におきましても、交付団体に比べると補助率が低くなるという場合もあるということを伺っております。 基準となります財政力指数、この値が1を大きく超える場合には問題がないわけですが、1ぎりぎりの場合には、対象の補助事業がどの程度にあるかによっても異なると思いますが、補助事業の補助金が少なくなったり、場合によっては交付団体のほうが有利に運営できるような可能性も考えられるということです。 この財政力指数、田原市の場合を見てみますと、令和2年度0.98、令和3年度0.92、令和4年度0.83と1を下回っておるわけでありますが、令和5年度は1を超えまして不交付団体となる見込みのようです。このようなことを踏まえまして、財政の歳入、歳出面での均衡化を図り、持続可能な行政運営、財政運営を行うことに注視をしていきたいと考えましたので、今回、歳入歳出の両面から一つずつ質問を行うものでございます。 まずは歳出面についてです。令和5年3月に改定をされました田原市公共施設等総合管理計画の中の計画の背景・目的には、県内7位となる191.11平方キロメートルに及ぶ本市の区域内には、合併前の旧町ごとに使用していた庁舎や文化ホール等の施設があります。その中には目的が重複しているもの、市民ニーズの多様化や社会環境の変化によって利用率が低下しているものもあり、また、本市が保有する施設は昭和50年代に整備されたものが多く、今後、一定期間に大規模改修や建て替えが集中することが予想されるとあります。 また、本市が所有する全ての公共施設等を更新する場合、今後50年間に必要となる費用は約4,200億円、年平均約85億円の費用が必要になると推計され、この費用は過去5年間に投資した平均費用の約1.5倍となっていると記載をされております。なお、ここにある全ての公共施設等というのは、道路など全てのインフラ整備を含む金額と理解をしております。 そして、この計画の目標は、計画期間20年で施設保有総量を圧縮しながら施設区分ごとにかかる費用を初めの10年間で20%、次の10年間で10%削減しますとありまして、20年間で合計30%の費用削減が示されておるものでございます。 これを踏まえ、これまでの状況を見てみますと、平成27年度末、これは計画の前なんですけども、施設数が315施設、38万1,561平方メートルだった本市が所有する建築物としての公共施設でありますが、令和3年度末現在、これはホームページに掲載されているものですが、この時点で306施設、延べ床面積で約36万9,654平方メートルとなっておりますので、計画から6年が経過した時点では、建物数と面積でそれぞれおおむね3%ずつの減少となっております。 また、現在要している維持管理経費の推移といたしましては、計画策定前の平成27年度の42億5,000万円がその後は減少傾向にあったわけですが、PFI事業が終了した田原リサイクルセンター炭生館の施設が市の所有となりましたので、令和3年度には46億3,000万円と、計画当初に比べ1.09%増加となっております。なお、この炭生館を除く令和3年度の数値としましては39億9,000万円となっておりまして、6%の減少ということが示されております。 そして、この計画の中で示されております本市の抱える問題点としましては、一つ目、人口減少、及び
少子高齢化社会の到来。二つ目、縮小する市の財政。これは法人市民税の変化に大きく影響を受ける歳入構造となっておることが理由になりまして、法人市民税率の引下げ等により、以前と比べ大幅に減少してしまっていること。また、
生産年齢人口の減少等により、大幅な歳入の回復を見込むことが難しいと考えられていることから問題とされております。三つ目、目的が重複する公共施設の保有及び老朽化する施設の更新。四つ目、公共施設等の維持管理、更新等の費用というものが挙げられております。このようなこれまでの説明によりまして、公共施設等の総合的かつ計画的な管理が必要であると考えます。しかしながら、このような計画に対しては、総論賛成であっても地元の施設などが対象になった場合に、各論反対になりがちであるとも言えます。 平成28年12月議会において、古川美栄議員からの御質問の中で、「ぜひ積極的に進めてほしいが、その際には市民や利用者から不満の声が出ると思われること。地域や利用者の理解を得ながらと答えられましたが、具体的にはどのようにして理解を進めていくつもりなのか。市の財政状況などをしっかり理解してもらうためにはキャラバン隊などを編成し、地域に出向いて根気強く説明をすることが求められると思うが、いかがであるか」などとありました。 また、令和3年12月議会において、村上 誠議員の発言には、「今後、市民が身近に利用する施設の統廃合などを検討する際には、コスト削減や利便性への配慮だけでなく、地域の活性化につながる施設の検討をぜひお願いしたい。また、地域住民や議会への説明をしっかりと行い、納得を得た上で進めていただくことをお願いしたい」とありまして、これらのことから、住民への配慮を強く求めていることがうかがえます。 先ほど申し上げたように総論賛成、各論反対となりがちなこのような計画の推進に当たりましては、地元住民への丁寧な説明と十分な理解が不可欠だというふうに考えております。そこで、本市における公共施設の複合化や、統廃合の進め方について伺うものでございます。 次に、歳入面について伺います。第2期田原市まち・ひと・し
ごと創生総合戦略は、戦略的な
シティセールスの中で、魅力を発信するツールとして
ふるさと納税制度などを活用し、田原市の認知度やイメージの向上を図るとされております。
ふるさと納税制度による田原市の寄附金の名称を「渥美半島田原市応援寄附金」と言いますが、以下、
ふるさと納税と称します。
ふるさと納税とは、自分の故郷や応援したい自治体など、好きな自治体を選んで寄附ができる制度であります。本来は自分の住まいがある自治体に納税する税金を、任意で選択した自治体に寄附することで税金の還付控除が受けられる仕組みとなっております。 このメリットとしましては、一つ目、自身の出身地に限らず様々な自治体に寄附ができること。二つ目、寄附の使い道が選べるということ。三つ目、応援した地域の特産品などがお礼品としてもらえるということ。四つ目、控除上限内であれば、実質自己負担は2,000円のみである等が挙げられております。 デメリットとしましては、居住地の市民から納税されるべき税金が他市町への寄附となり、当該自治体の減収と税収減となる場合があります。令和4年度本市への寄附額はおよそ1億1,200万円でありまして、このうち、およそ50%が返礼品や送料、事務手数料に充てられる経費であります。よって、本市に残る寄附額というのは、およそ5,600万円となっております。このとき田原市民から他の自治体に行った寄附額というのが、およそ9,900万円でありましたので、実質収支はおよそ4,300万円のマイナスとなっておりました。 令和5年度、本市への寄附額というのは、現在見込みの段階でありますが5億円を超え、およそ5倍に伸長しております。経費を差し引いた金額が、およそ2億5,000万円でありまして、田原市から他の自治体への寄附額が仮に令和4年度と同程度の9,900万円とすれば実質収支は1億5,100万円のプラスとなります。
ふるさと納税業務の委託先であります渥美半島観光ビューローへ聞き取りを行いましたところ、令和6年度12億円、令和7年度は20億円の目標に向かって取り組んでいるということを伺っております。この取組を軌道に乗せ、本市の自主財源の一つとして増加させることを期待するものでございます。 ちなみに、令和4年度の受入金額の全国1位は宮崎県都城市でございまして、およそ196億円となっております。100億円を超える自治体も複数あるため、本市も、さらなる高みを目指してほしいと期待をするものでございます。そこで、本市の
ふるさと納税の現状の評価と、今後の取組方針について伺うものでございます。 以上、当初質問とさせていただきます。御答弁のほど、よろしくお願いいたします。
○議長(中神靖典) 企画部長。
◎企画部長(河邉俊和) 持続可能な行財政運営について、2点の御質問を頂きましたので、順次お答えいたします。 初めに、小項目の1点目、公共施設の複合化、統廃合についてお答えいたします。 本市は、2度の合併を経たことから、市域内には旧町ごとに保有していた多種多様な施設があり、市民1人当たりの公共施設の延べ床面積は全国の自治体と比較しても高い水準となっています。これらの施設の中には目的が重複しているものや、市民ニーズの変化に伴い、利用率が低くなったものもあります。また、施設の多くが建設後30年以上を経過しており、老朽化が着実に進行しています。 限られた財源の中、新たな市民ニーズに見合ったサービスを提供するためには、設置目的やこれまでの経緯などにとらわれることなく、時代に合った行政サービスへの転換を図っていく必要があります。そのため、田原市公共施設等総合管理計画では、将来人口や財政規模に見合った公共サービスの在り方、施設数、規模にしていくための基本的な考え方の一つとして、統合や廃止の推進方針を掲げております。 また、総合管理計画に基づいて策定している施設種別ごとの個別施設計画では、個々の施設の今後の方向性として、利用率の低い施設については、他の公共施設との複合化や統廃合を検討する施設として位置づけています。この中でも老朽化が著しく大規模改修が避けられなくなったものや施設の安全性が保てないものは、早急に検討を進めていく必要があると考えております。その上で、地域への対応ですが、施設への種別によって進め方は異なりますが、複合化や統廃合への理解を深めるため、基本的には対象地域のコミュニティ協議会長、自治会長及び役員、地域住民や利用者の皆さんとの意見交換の場を順次設け、丁寧に対応してまいります。 次に、小項目の2点目、田原市
ふるさと納税についてお答えいたします。 初めに、現状の評価ですが、今年度、寄附金額が大きく伸びた要因は二つあると考えております。一つ目として、寄附用ポータルサイトを拡充したこと。二つ目として、
ふるさと納税の運営業務を地元事業者である一般社団法人渥美半島観光ビューローに委託したことです。特に二つ目に関しましては、地元事業者であるメリットを生かして新たな返礼品事業者の掘り起こしや個別説明会を開催することで、返礼品の数を大きく増加させることができたと考えております。 加えて、返礼品の写真や説明を工夫し、商品のブラッシュアップを行い、返礼品の魅力度を向上させたことで、全国で増加する
ふるさと納税の利用者や、令和5年10月の総務省による制度改正に起因する駆け込み需要にしっかりと対応できたため、寄附額の増加につながったと考えております。 また、食材の宝庫である本市だからこそできる様々な特産品を組み合わせた定期便など魅力ある誘引力の高い返礼品を開発しており、さらなる寄附額の増加が見込まれるとともに、販路拡大などに伴う市内事業者の活性化も図られており、
シティセールスの推進及び財源確保につながっていると評価しております。 次に、今後の取組方針でございますが、本市を訪れ魅力を感じていただくことが、関係人口の増加につながると考えるため、地域資源を生かした体験型の返礼品の拡充や、現地での宿泊や飲食等の消費喚起が期待できる現地決済型
ふるさと納税を実施したいと考えております。 また、新たな自主財源の確保策として、自治体の事業へ直接寄附することができるクラウドファンディング型
ふるさと納税の導入を図るなど、さらなる認知度の向上、寄附の拡大に努めてまいりたいと考えております。 以上、お答えとさせていただきます。
○議長(中神靖典) 真野尚功議員。
◆7番(真野尚功) それでは、答弁頂きました内容につきまして、再質問させていただきたいと思います。 まず1点目、公共施設の適正化についてでありますが、先ほど冒頭で申し上げたように、平成28年12月議会の一般質問の中で、その回答としまして、「施設ごとの縮減計画を策定する際や施設を実際に合理化するときには、地域や利用者等の理解を得ながら適正な方法により進めていく。今後、莫大な建て替え費用がかかることや、子や孫の世代に大きな負担がかかることなどについてしっかりと説明し、必要に応じて市民を交えた検討会や意見交換会などを開催して理解を深めていく。そして、広報やホームページの活用と併せて、市政ほーもん講座による市民への周知も進めていく」と答弁をされております。 しかしながら、複合化や統廃合を進めていくような場合に、多くの市民が適正化の趣旨は理解するが、身近な施設になると理解が得られないなど、適正化がスムーズに進んでいない事例を見聞きすることもございます。そこで改めて、市民への周知方法について市の考えをお伺いいたします。 それから2点目、
ふるさと納税についてでありますが、現在の仕組みは、当該年度の寄附金をふるさと応援基金へ積み立てて翌年度以降の事業に活用されていると伺っております。今後は寄附金の増加に伴い積立ての増加が見込まれるわけですが、一方で、寄附者が納得できる使途が重要であると考えております。そこで、今後の寄附の使い道について、市の考えをお伺いするものでございます。 もう1点、先ほどの御答弁の中に、「クラウドファンディング型
ふるさと納税の導入を図る」とありましたが、ここで実施する市の事業の選定について、どのようにお考えであるのかお伺いをします。 以上、再質問とさせていただきます。よろしくお願いします。
○議長(中神靖典) 企画部長。
◎企画部長(河邉俊和) 初めに、小項目1、公共施設の複合化・統廃合についての再質問、市民への周知方法についてお答えいたします。 現在、広報たはらでは、毎年1回、市が保有する公共施設の現状や公共施設適正化の考え方を掲載しております。また、ホームページでは、総合管理計画や個別施設計画のほか、個別の施設の情報をまとめた施設カルテを公表しています。市政ほーもん講座につきましては、公共施設適正化の基本的な考え方を伝える機会としてメニューを用意しておりますが、これまで申込みはございません。 なお、個別施設計画では、複合化や統廃合の検討を位置づけている施設は、早い段階から地域や利用者の皆さんに情報を提供して検討を進めていくとともに、公共施設適正化の基本的な考え方についても、より効果的な方法で引き続き、周知に努めていく必要があると考えております。 次に、小項目2、田原市
ふるさと納税についての再質問についてお答えいたします。 1点目の、寄附の使い道の考え方についてですが、現在は寄附の使い道として本市の特徴を生かした12項目の寄附の目的を設け、寄附者の意向に沿った目的に寄附していただく仕組みとなっております。本市の寄附の使い道については、本市の抱える課題解決に活用されるとともに、
ふるさと納税制度を通じた
シティセールスの推進を図ることを目的に設定されているため、今後は、より一層寄附者の共感を得ることができ、意向を明確に反映できるような寄附の目的を検討してまいります。 2点目の、クラウドファンディング型
ふるさと納税の事業選定についてですが、事業を実施することで市のPRや魅力の発信ができ、関係人口の創出が図られる効果があるものや、子供への支援や動植物愛護、伝統文化保護などの多くの人々から共感、賛同を得られる事業を選定することを考えております。 以上、お答えとさせていただきます。
○議長(中神靖典) 真野尚功議員。
◆7番(真野尚功) 最後の発言機会となりましたので、今回の一般質問について、まとめと所感を申し述べたいと思います。 まず一つ目に質問しました公共施設の複合化、統廃合についてですが、これやはりどの市町でも抱えている問題でありまして、かつ進めなければならない問題として認識をされているものであると思います。これからも困難が予想されるわけですが、やらざるを得ないというふうに考えますと、やはり柔軟な姿勢でもって、先ほど答弁にあったように、設置目的やこれまでの経緯などにとらわれることなく、時代に合った行政サービスの転換を図ることも多分に視野に入れ、この施設の活用や統廃合を進めていっていただきたいなと思います。 なお、本日手に取りました、この「Voters」という冊子、これは公益社団法人明るい選挙推進委員会というところが作っております議員に配られる冊子なんですけども、この中で熊本学園大学の大塚
教授が、公共施設等の統廃合に当たっての取捨選択は主権者である市民の視点から行わなければならないというふうな記載もされております。このような点も十分に鑑みていただいて、この計画の推進を願うものでございます。 それから2点目、
ふるさと納税についてでありますが、これは市の自主財源として本当に期待をするものでございます。
ふるさと納税というのは、市の財源が潤うだけでなく、
ふるさと納税返礼品の提供事業者が非常に活性化するというような例も各地で見受けられますので、ぜひとも高い目標に向かって渥美半島観光ビューローなどと連携をしながら進めていただきたいなと思います。 また、クラウドファンディング型
ふるさと納税というもので、市の事業に直接的な寄附を行うようなこともできる仕組みを考えていらっしゃるということですので、こちらも、ぜひ共感の得られる他の市町からの人々からの共感も得られ、かつ田原市において、住民が納得できるような事業に寄附していただけるような設定を望みます。 ということで、以上、私の一般質問を終わりにしたいと思います。
○議長(中神靖典) 以上で、真野尚功議員の質問を終わります。 この際、13時まで休憩します。
△午前11時33分休憩
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△午後1時00分再開
○議長(中神靖典) 休憩前に引き続き、本会議を再開いたします。 ただいまの出席議員は18名であります。定足数に達しておりますので、休憩前に引き続き一般質問を再開いたします。 次に、4番 辻 史子議員。
◆4番(辻史子) 公明党田原市議団の辻 史子でございます。通告に従いまして、一問一答方式にて一般質問をさせていただきます。 大きな質問として、2点についてお伺いいたします。 大きな質問1点目として、児童生徒のプライバシーや心情に配慮した学校における健康診断の実施についてお伺いいたします。 学校においては、児童生徒が学校生活を送るのに支障がないか疾病をスクリーニングし、健康状態を把握するため、学校健康安全法第13条により義務づけられている健康診断を実施しています。学校の健康診断は、原則着衣のままでオーケー。文部科学省は学校の健康診断について、児童生徒のプライバシーや心情に配慮して実施するよう、健診時の服装や学校側の運用などに関する具体的な考え方を示した通知を令和6年1月22日付で発出しました。 この通知には、円滑な健康診断実施のための環境整備の考え方として、検査・診察における対応について、検査・診察時の服装について、その他の配慮について、関係者の連携、児童生徒等や保護者の理解についての大きく四つが示されています。健康診断をめぐっては服装などに特に定めがなく、地域や学校によって運用が異なっているようです。 近年、児童生徒や保護者らから、上半身裸での受診を不安に思う声が上がっており、通知ではプライバシーや心情に配慮し、正確な検査、診察に支障のない範囲で、原則、体操服や下着、タオルで体を覆うよう求めています。 一方、成長期に多い背骨の病気や心臓の異常など、正確な検査・診断には視触診の実施が不可欠な場合があると指摘しています。児童生徒や保護者に対し、医師が必要に応じて体操服をめくったり聴診器を入れたりすることがあると事前に説明し、理解を求めることも促しています。 学校の健康診断については、2022年、有志でつくる「安心できる学校健診を考える会」高田愛子氏代表らが文部科学省に、署名4万2,400筆を集め、要望活動を行っています。性的マイノリティの点からも、女子だけでなく男子への配慮も必要です。子供たちの命と健康を守るために大切な健康診断は、子供たちの人権を守る観点からも、各学校でプライバシーや心情に配慮した学校健診が実施されることが必要であると考えます。そこで、児童生徒のプライバシーや心情に配慮した健康診断について、本市の実施状況をお伺いいたします。 質問の大きな2番として、子ども施策の推進についてお伺いいたします。 静かなる有事と言われる日本の少子化はコロナ禍で急速に進展し、今までにない抜本的な対策が必要となっています。2022年に子供の権利を位置づけた「こども基本法」が成立しました。政府は、2023年4月にこども家庭庁を発足し、2023年6月にこども未来戦略方針に基づき、2023年12月こども未来戦略が取りまとめられ、その中で今後3年間を集中して実施するこども・
子育て支援加速化プランを決定しました。こども・
子育て支援加速化プランで実施する主な施策は、全ての子ども・子育て世帯への支援の拡充の中で、こども誰でも通園制度、障害児や医療的ケア児、日常的に家族の世話や介護を担うヤングケアラー等に対する支援、児童虐待防止などが示されています。 子供を持ちたいと望む人が、安心して産み育てられる社会全体で後押ししていく必要があります。とりわけ子供を持つことを望む人にとって不可欠なのは、切れ目のない支援策です。我が国は、出生数が過去最低を更新し続けるなど、急速な少子化に直面しています。このままでは労働人口の減少や高齢化比率の上昇が一段と進み、経済社会の規模が縮小し、社会保障制度の持続可能性を揺るがしかねません。少子化対策は国政の最重要課題です。本市においても、こども真ん中の田原市の実現を目指して、
こども施策の推進を一層加速していただくことを期待しております。そこで、子ども施策の推進について、具体的に以下の点についてお伺いいたします。 小項目1として、1か月児健康診査についてお伺いいたします。 こども家庭庁では、出産後から就学前までの切れ目のない健康診査の実施体制を整備することを目的に、令和5年度補正予算にて、1か月児に対する健康診査費用を助成することにしました。しかし、本市ではこれまでも乳児健康診査として、1か月児に対する健康診査が行われています。そこで、国の示している1か月児健康診査と、本市における従来の健康診査との違いについてお伺いいたします。 小項目2として、5歳児健康診査についてお伺いいたします。 発達障害などを早く発見し、安心の就学、小学校入学につなげることを目指す5歳児健診、その全国的な実施に向け、国は今年から市区町村の健診費用の助成を開始しました。5歳児健診で助成対象となるのは、原則自治体が実施する集団健診で、1人当たり3,000円を上限に国が費用の2分の1を補助するものです。 国立成育医療研究センターの小枝達也副院長によれば、落ち着きがない、周囲とうまく関われないなどの発達の特性を持つ子供たちは、小学校への就学後に環境に適応できず、不登校になったり問題行動を起こしてしまったりすることが少なくない。5歳児健診によってそうした特性に気づき、適切な支援や療育につなげることができれば、多くの子供たちが通常学級でも問題なく学べるようになる。実際に、5歳児健診を導入した自治体では不登校が減ったという研究もあります。小学校入学前の就学時健診もありますが、就学までの期間が短く、支援が難しいと話をされています。 そこでお伺いいたします。本市では、これまで5歳児健診は実施していません。5歳児健康診査についても1か月児健康診査と同様に費用が助成されることになりました。そこで、本市における5歳児健康診査の必要性と課題についてお伺いいたします。 小項目3として、こども誰でも通園制度についてお伺いいたします。 こども誰でも通園制度は仮の事業名です。こども誰でも通園制度については、現在、国において本格実施を見据えた試行事業が行われ、令和8年度から全自治体において実施する新たな給付制度として事業検証が行われています。試行的事業の内容としては、利用対象者を保育所等に通っていないゼロ歳6か月以上3歳未満の子供とし、保護者が働いてなくても月10時間を上限とした通園利用が可能とされております。 この制度については、単に子供の預かりとするものではなく、家庭にいるだけで得られない様々な経験を通じて成長するなど、子供の成長の観点からの意義や、子育てにおける孤立感・不安感の解消など、保護者にとっての意義、また、保育士としての専門性を発揮することで、育児負担や孤立感、不安の解消につなげていくなどの保育者にとっての意義など、制度の必要性が定義されております。 近年の少子化や核家族化、保護者の長時間勤務による保育の低年齢化など、保育ニーズも多様化しており、これらに対応する保育園等の多機能化も求められております。そこで、本市においても、こども誰でも通園制度の実施に向けた準備を順次進めていくことになりますが、どのような考え方で進めていくのかをお伺いいたします。 小項目4として、ヤングケアラーに対する取組についてお伺いいたします。 ヤングケアラーは、本来大人が担うとされている家事や家族の世話などを日常的に行う18歳未満の子供のことで、平成27年頃から社会問題として取り上げられるようになりました。核家族化が進み共働き世帯が増加するなど、家族の構成が大きく変わった現在においては、ケアを担う子供の存在が注目されております。年齢や成長度合いに見合わない重い責任や負担を子供が受け、育ちに影響が出るおそれがあると言われています。 令和2年度以降、国や愛知県で実態調査が行われ、令和3年度の愛知県の調査では、「世話をしている家族がいる」と回答したのが、小学校5年生では6人に1人、中学2年生では9人に1人、高校2年生では14人に1人であり、家族の世話をする子供の2割以上が、自分の時間が取れない、勉強の時間が取れないなど、生活に支障が生じているなどの実態が明らかになりました。 また、同じ調査でヤングケアラーのいる家庭への支援の難しさについて、多くの関係機関から意見が出ています。ヤングケアラーは家庭内のデリケートな問題であるために、支援が必要であっても表面化しにくい構造となっています。ヤングケアラーを把握し、支援につなげるためには、福祉、介護、医療、教育等の様々な分野が連携し、対応することが重要です。そこで、本市のヤングケアラーに対する取組についてお伺いいたします。 以上が私の当初の質問です。
○議長(中神靖典) 教育部長。
◎教育部長(増田直道) それでは、大きな御質問の1点目、児童生徒のプライバシーや心情に配慮した健康診断の実施についてお答えいたします。 令和6年1月22日に文部科学省から発出された「児童生徒等のプライバシーや心情に配慮した健康診断実施のための環境整備について」の通知の中で、円滑な健康診断実施のための環境整備の考え方として示された4項目について、本市においては、これまでも積極的に取り組んできたところでございます。 初めに1点目の、検査・診察における対応についてでございますが、通知に例示されております「男女別に検査・診察を行う」、「検査・診察時には、児童生徒等の身体が周囲から見えないよう、囲いやカーテン等により個別の検査・診察スペースを用意する」、「教職員の役割分担を調整する」等につきまして、全ての学校で実施されております。 次に、2点目の、検査・診察時の服装についてにつきましても、各学校において正確な検査・診察に支障のない範囲で、体操服等を着たまま実施するなど、児童生徒のプライバシーや心情への配慮が行われております。 次に、3点目の、その他の配慮についてでございますが、特に配慮が必要な児童生徒等に対しましては、検査・診察の時間や場所を工夫するなどの個別の対応が行われております。また、当日個別の事情により健康診断を受けられなかった場合の対応につきましては、学級担任や養護教諭が保護者と相談の上、個別の対応が行われております。 最後に4点目の、関係者間の連携、児童生徒等や保護者の理解についてでございます。関係者間の連携につきましては、養護教諭が学校医と事前に相談し、児童生徒のプライバシーや心情に配慮した対応がされております。児童生徒等や保護者の理解につきましては、保護者だより等で事前に検査・診察の内容や方法、服装等につきまして保護者に周知がなされております。 以上でお答えとさせていただきます。
○議長(中神靖典)
こども健康部長。
◎
こども健康部長(木村由紀子) 大きな御質問の2点目、
こども施策の推進について、4点の御質問を頂きましたので、順次お答えさせていただきます。 初めに、小項目1点目、1か月児健康診査についてお答えいたします。 国の示す1か月児健康診査は、健康診査を実施する医療機関に委託し、個別健康診査で行うこととされております。現在、本市で実施されている乳児健康診査も県内の委託医療機関において個別健診として実施しており、健康診査を受診される方にとっての違いはございません。 一方で、国の補助対象事業の要件として、健康診査の問診票や医師が記入する健診結果報告書で実施状況が確認できることが必要となりますが、本市では健診は行っているものの、健診結果報告書の記載等が委託業務に含まれていないなどの違いがございます。 次に、小項目の2点目、5歳児健康診査についてお答えいたします。 本市では現在、5歳児健康診査は実施しておりませんが、1歳6か月児健診、3歳6か月児健診において、発達や行動面の確認を行い、保護者の悩みなどから療育教室や児童発達支援センターなどにできるだけ早期につなげ、保護者に寄り添いながら子供の発達や特性に合わせた支援を行っております。 また、3歳6か月児健診以降でもお子さんの発達等に不安を抱える保護者の相談窓口として、心理士等の専門職による発達相談を行い、必要であれば療育教室や医療機関への受診勧奨などの支援を行っております。そのほかにも保育園、こども園において、発達の遅れや行動面で気になるお子さんについては、心理士による園への巡回相談を実施しております。こうした支援を就学まで切れ目なく継続していくために、保健・福祉・教育などと連携し、取り組んでおります。 本市における5歳児健康診査の必要性については、厚生労働省が作成した「軽度発達障害に対する気づきと支援マニュアル」において、発達障害児の発見における5歳児健康診査の有用性等について記載されており、有効であることは認識しております。 一方、発達の特性などを診る健診体制に必要な小児科医について、医師会との協議や子供の発達を理解している保育士、教員、心理士などの専門スタッフの確保など、多くの課題があると考えております。 次に、小項目の3点目、こども誰でも通園制度の実施に向けた考え方についてお答えいたします。 こども誰でも通園制度は、保育園に通っていない子供を対象とした制度とされており、このような子供を対象とした事業として、本市においては短時間の就労のための預かりやリフレッシュのための預かりなど、月14日の利用を上限とした一時預かり事業を行っています。その上で、こども誰でも通園制度の実施に当たっては、国が行っている本格実施を見据えた試行的事業の検証結果と一時預かり事業の実施状況を踏まえ、具体的な検討を進めてまいります。 また、これまでに国が示している制度案を踏まえると、保育環境の安全性を確保する上での十分な保育スペースと保育士の確保等が必要となりますが、令和8年度の実施に向けて準備を進めてまいります。 次に、小項目の4点目、ヤングケアラーに対する取組についてお答えいたします。 ヤングケアラーの支援に当たっては、まず早期に発見し、対応することが重要となります。ヤングケアラーと思われる子供とその家庭への支援については、福祉・保健・教育等の関係機関によるケース検討会議を随時実施し、情報の共有と役割を分担して対応しております。 しかし、ヤングケアラーである子供は声を上げづらく、また、その家族も支援者の関わりを敬遠するケースもあります。そのような場合、その家庭と接点を持っているケアマネージャー、学校教員、スクールソーシャルワーカー等の専門職が継続的に家庭の状況を把握し、多様な機関や職種が連携することで適切な支援につなげることができるよう取り組んでいるところです。 以上、お答えとさせていただきます。
○議長(中神靖典) 辻 史子議員。
◆4番(辻史子) 質問の大きな1番、児童生徒のプライバシーや心情に配慮した健康診断の実施について再質問をいたします。 令和6年1月22日に文部科学省が発出した通知内容について、本市における取組の現状については理解いたしました。特に配慮が必要な児童生徒等に対して個別の対応が行われているということでしたが、個別の対応を必要とする児童生徒の把握はどのように行っているのかをお伺いいたします。
○議長(中神靖典) 教育部長。
◎教育部長(増田直道) 先ほどの答弁の中で、1点訂正をお願いいたします。最後の4点目の、関係者の連携、児童生徒等や保護者の理解についての答弁の中で、本来、保健だよりというところを保護者だよりと間違えてお答えしましたので、訂正をお願いいたします。 それでは、再質問の答えに移らせていただきます。 全ての児童生徒につきまして、事前の問診やアンケート等で保護者から配慮事項等についてお知らせいただいております。具体的な対応等の内容について保護者と相談したり、学校の対応をお伝えすることも行っております。また、事前の問診やアンケート等につきましては、他の児童生徒に分からないように封筒に入れて提出していただくようにしております。
○議長(中神靖典) 辻 史子議員。
◆4番(辻史子) それでは、特に配慮が必要な児童生徒等に対しては、具体的にはどのような対応を行っているのかをお伺いいたします。
○議長(中神靖典) 教育部長。
◎教育部長(増田直道) 特に配慮が必要な児童生徒等につきましては、事前の問診やアンケート等を基に、学級担任や養護教諭等が保護者や児童生徒等に対応内容等を確認した上で検査・診察を行う場所や時間を変更するなど、各学校において柔軟に対応しております。
○議長(中神靖典) 辻 史子議員。
◆4番(辻史子) 文部科学省は自治体に対して地域の医師会と健康診断の際の実施方法を協議し、周知するよう求め、日本医師会にも今回の通知内容の周知を依頼しました。 通知の4点目、関係者間の連携、児童生徒等や保護者の理解についてとも関連すると思いますが、学校での対応とともに学校医との連携が重要であると考えます。そこで、学校医と具体的にはどのように連携を行っているのかをお伺いいたします。
○議長(中神靖典) 教育部長。
◎教育部長(増田直道) 各学校におきましては、学校医と事前に日時や実施場所、必要な物品等を学校における準備とともに、個別の対応を必要とする児童生徒についても情報を共有し、対応を相談しております。 健康診断当日にも養護教諭とともに一人一人の事前の問診やアンケート等を確認しながら、検査・診察を行っていただいており、必要な場合には場所や時間、実施方法等を児童生徒の特性に合わせて行っていただくこともあります。健康診断終了後には、学校医と養護教諭等で振り返りを行い、次回の健康診断に生かすようにしております。
○議長(中神靖典) 辻 史子議員。
◆4番(辻史子) 児童生徒の心と体は成長していくものです。そこで、児童生徒の成長に合わせた児童生徒、保護者にとって安心できる健康診断に一層取り組んでいただきたいと思いますが、今後の取組についてお伺いいたします。
○議長(中神靖典) 教育部長。
◎教育部長(増田直道) 児童生徒の心と体は成長していくものでございますので、毎回実施する問診やアンケート等を生かすとともに、児童生徒の心情の変化について、日常の様子からでも捉えられるように各学校において努めております。また、児童生徒、保護者にとって安心できる健康診断となるよう、健康診断の意義や重要性、検査、診察の内容や方法を児童生徒のプライバシーや心情に配慮した対応などについて、保護者や児童生徒の理解が得られるよう、各学校において努めております。 教育委員会といたしましても、毎年の健康診断後に市内全小中学校の養護教諭と振り返りを行い、有効な実施方法や課題等を共有するとともに、学校医や医師会、業者にも伝え、改善等を行っております。こうした取組を継続し、児童生徒のプライバシーや心情に配慮しながら正確な健康診断が円滑に実施されるよう、引き続き取り組んでまいります。
○議長(中神靖典) 辻 史子議員。
◆4番(辻史子) 質問の大きな1番についての質問は終わります。 次に、質問の大きな2番、
こども施策の推進について再質問をいたします。 まず、小項目1、1か月児健康診査についてお伺いいたします。当初答弁で、国が示している健康診査と市が実施している乳児健康診査とは実施内容は同じであるが、検査の実施状況の記載等に相違があることは分かりました。せっかく検査を実施しているのであれば、委託内容を変更すればよいのではないかと考えますが、そこで、国の示している形で健康診査を実施して補助事業にしていくためにはどのようなことが必要かお伺いいたします。
○議長(中神靖典)
こども健康部長。
◎
こども健康部長(木村由紀子) 現在、乳児健康診査は愛知県内広域で実施しているため、愛知県医師会との協議が必要となります。今後、補助事業にしていくためには、令和6年度の協議の中で健診結果報告書等への医師による記載業務の追加や様式の見直しが必要となります。
○議長(中神靖典) 辻 史子議員。
◆4番(辻史子) 次に、小項目2、5歳児健康診査についてお伺いいたします。 発達障害の早期発見や、その後の相談支援体制も丁寧に行っていることがよく分かりました。しかし、必ず受診してくださいという健診と、自ら戸惑いながら重たい足を運んでの相談とでは発見率も大きく変わってくると考えます。 昨今、子供たちが抱える発達の課題は、教育現場に大きな影響を与えています。スムーズな就学への移行支援体制の構築に5歳児健診は必要だと考えます。そこで、フォローアップ体制を含めた5歳児健康診査の実施に向けて、市の考え方をお伺いいたします。
○議長(中神靖典)
こども健康部長。
◎
こども健康部長(木村由紀子) さきにお答えしましたように、実施に向けては多くの課題がありますが、まずは現状の健診等で発達に課題を抱える子供の早期把握と、その後の切れ目のない支援に向けて各関係機関と協議・連携し、本市の支援体制の充実に取り組んでいきたいと考えております。 フォローアップ体制を含めた5歳児健康診査の実施につきましては、医師会との協議や専門スタッフの確保を模索しながら、先進自治体の情報収集や近隣自治体の動向を注視してまいります。
○議長(中神靖典) 辻 史子議員。
◆4番(辻史子) 小項目3の、こども誰でも通園制度についてですが、制度の本格実施に向けては、保育現場の人員配置の在り方や利用可能枠の定め方、障害のある子供を受け入れる体制の整備など、必要な課題もあります。しかし、
子育て支援の目的で、母親、子供双方に大きなメリットがある取組です。親以外の大人や同世代の子供との関わりは子供の発達に好影響を与えます。受け皿を十分に確保していくことも重要です。 当初でお答えいただいたように、本市は一時預かり事業で対応いただいておりますが、国が示す、こども誰でも通園制度の本格的実施に当たっては、各自治体でその実情に合わせて一時預かり事業等を組み合わせて実施することを可能とする必要があるとも言われております。令和8年度実施に向けた課題の克服、準備、検討を進めていくとのお答えでしたので、利用を希望する家庭に広く応えていただくよう期待いたしまして、この件に関しては質問はとどめます。 小項目4の、ヤングケアラーに対する取組についてお伺いいたします。 以前の私の一般質問で令和3年第1回定例会では、「ヤングケアラーについての認知度がまだまだ低く、早期発見、早期対応のために認知度を高める取組を実施していく」との答弁がありました。子供や周りの大人がヤングケアラーについて理解し、関心を持つようにするために、どのようなことを行っているのかお伺いいたします。
○議長(中神靖典)
こども健康部長。
◎
こども健康部長(木村由紀子) ヤングケアラーに対する理解促進のため、田原市ホームページ及び広報たはらへ啓発記事を掲載し、小中学生、高校生には愛知県作成のヤングケアラーに関するパンフレットを配布しております。また、福祉、介護、教育等の関係者を対象に研修会を、民生児童委員に対しては説明会を実施しております。
○議長(中神靖典) 辻 史子議員。
◆4番(辻史子) これまでも一般質問や予算決算委員会等でヤングケアラーの早期発見に関わる取組状況は伺ってまいりましたが、日頃から子供と接触している方の気づきが早期発見には有効であると考えます。 当初の答弁にあったように、ヤングケアラーの早期発見には多くの機関や様々な職種の関わりが必要です。その中でも小中学校の関わりは大変重要で、特にスクールソーシャルワーカーが大きな役割を果たしているものと思います。本市では、平成28年度からスクールソーシャルワーカーが小中学校に配置されています。そこで、ヤングケアラーに関わるスクールソーシャルワーカーの役割について、改めてお伺いいたします。
○議長(中神靖典) 教育部長。
◎教育部長(増田直道) それでは、スクールソーシャルワーカーの役割についてお答えいたします。 スクールソーシャルワーカーが対応している事案の中で、ヤングケアラーである可能性についても情報収集をしております。ヤングケアラーの可能性がある場合には、教員と情報共有するとともに、市の関係課、社会福祉協議会、障害者総合センター等へつなげる役割を担っております。
○議長(中神靖典) 辻 史子議員。
◆4番(辻史子) ヤングケアラーは日頃から子供と接している各学校において発見されることがあると思いますが、ヤングケアラーの可能性がある児童生徒を見つけた場合、各小中学校では具体的にどういった対応を取っていくのかお伺いいたします。
○議長(中神靖典) 教育部長。
◎教育部長(増田直道) 先ほどの答弁で訂正1点お願いいたします。本来は障害者総合相談センターというところを障害者総合センターと申しましたので、訂正をまたお願いいたします。 それではお答えいたします。ヤングケアラーの可能性がある児童生徒を見つけた場合ですけれども、教員またはスクールソーシャルワーカーが丁寧に聞き取りを行います。そして、聞き取った内容と家庭の状況等から支援が必要な場合には、福祉、保健等の関係機関へ連絡し情報共有を行うとともに、連携して支援を行ってまいります。その後も児童生徒の観察や家庭状況の把握を継続し、必要な支援が継続されるよう、関係機関と連携してまいります。
○議長(中神靖典) 辻 史子議員。
◆4番(辻史子) ヤングケアラー支援として支援体制の拡充が必要であると考えます。今後さらにヤングケアラーに対して効果的な支援が届けられるよう、実効性のある仕組みの構築を期待いたします。最後に、市の考えをお伺いいたします。
○議長(中神靖典)
こども健康部長。
◎
こども健康部長(木村由紀子) これまでお答えしてきました多様な機関や職種が連携した体制に加え、来年度、こども健康部にこども家庭センターを設置し、母子保健と児童福祉がこれまで以上に連携を深めてまいります。支援の必要な子供や子育て世帯の現状把握や相談支援等を行い、関係機関が連携した効果的な支援を行ってまいります。
○議長(中神靖典) 辻 史子議員。
◆4番(辻史子) 以上で、私の全ての一般質問を終わります。
○議長(中神靖典) 以上で、辻 史子議員の質問を終わります。 次に、6番 山上勝由議員。
◆6番(山上勝由) こんにちは。
自由民主党田原市議団の山上勝由です。議長の許可を頂きましたので、通告に従いまして、大項目、優良農地の維持に向けた取組について、一問一答方式にて一般質問させていただきます。本日最後の一般質問ですので、傍聴の方もたくさんおられますので、頑張って質問したいと思います。 さて、日本の農業は、高齢化や担い手不足、
後継者不足、農地の減少など大きな課題に直面しています。農業の動向に関する年次報告である「2021年食料・農業・農村白書」によれば、国内農地面積は60年間減り続けており、435万ヘクタールとなっています。減少傾向にある農地面積は、日本の農業が厳しい状況にあることを感じさせられていますが、高齢化も同じく厳しい現状を映し出しています。 農村における高齢化、人口減少は都市部より進んでおり、農村の高齢化率は2020年時点で35%となっており、推定される都市部の高齢化率から20年程度先行しているのが現状のようです。私が生まれた1970年頃には農村の高齢化率は8.7%だったそうですが、1980年には10%、2000年には20%、2015年には30%を突破し、このままいくと2045年には45%に接近すると見込まれています。 その中でも愛知県においては高齢化率が29.8%と、まだまだ農業が盛んに行われていると感じています。しかしながら、今回のこの一般質問するということで、私の地域を改めて見直したときに、20代、30代の農業後継者は数人しかいません。この先10年後には農業人口、農地がどのようになっているか大変危惧されます。 昨今、農業に従事する人々は、生業とする人から趣味にする人まで多様化が進んでいます。農業は農家の後継者が担うという考えから、最近では、非農家でも農業を志向する人が増えており、半農半Xという新しいライフスタイルが注目されつつあります。半農半Ⅹとは、農業を営み、残りの半分のライフワークや使命を見つけて全うしていくという考えであり、Xには人それぞれが何を挿入してもいいということであります。 農村地域がこうした多様な人々を受け入れ、その経験を生かすということは、
少子高齢化への対策となるだけではなく、農村地域の活性化につながる可能性を持っていると考えます。そのような中で、国は人と農地の問題を解決するため、人農地プランを法制化し、地域計画として地域の話合い等により、計画と合わせて目標地図を作成することで、目指すべき将来の農地を明確化することにより、強力に推し進めることとしました。 目標地図は、現在の担い手や、その耕作者が10年後どの農地を耕作するか地図に落とした未来地図です。個々では解決が困難な課題を地域ぐるみで解決できるよう意見の一致を図り、地域計画で明文化し、地域ぐるみで取り組んでいく必要があるということです。今回、私も地域計画の座談会に参加させていただき、それぞれの年代の農家から様々な貴重な意見を伺いました。そこで、小項目の1点目として、農業者の減少による遊休農地増加への対策について伺います。 高齢化や人口減少による農家の減少が懸念される中、令和5年4月に農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律が施行され、地域の農地を次の世代に着実に引き継いでいくための地域計画を策定することになりました。本市においても、今後、利用されなくなる農地や園芸施設の増加が危惧されています。そこで、農業者が減少する中で、遊休農地を増加させないための対策について、市の取組を伺います。 小項目の2点目として、環境に配慮した土づくりについて伺います。 環境に配慮した土づくりのため、土壌の状態を把握し適切な施肥を行うということで化学肥料の使用量を削減することは、肥料価格高騰に苦慮する農業者にとって経済的なメリットでもあると考えます。そこで、環境に配慮した土づくりについて、市が進める取組を伺います。 以上、当初質問とさせていただきます。御答弁よろしくお願いします。
○議長(中神靖典)
農林水産部長。
◎
農林水産部長(千賀達郎) 優良農地の維持に向けた取組について、二つの御質問を頂きましたので、順次お答えをいたします。 初めに、小項目の1点目、農業者の減少による遊休農地増加への対策についてお答えをいたします。 高齢化や人口減少に伴う農業者の減少は、本市においても課題であり、遊休農地の増加を防ぐための対策を継続して取り組んでいくことが重要であると認識しております。本市においては、これまでも国・県の補助事業や市のスマート農業推進補助金による農業者への先端技術の導入を支援することで生産性の向上と栽培面積の維持・拡大を図っているほか、基盤整備事業による農地の大区画化など、農地を効率的に利用するための取組を行っております。 また、市内各地域の農業者の御意見を伺いながら地域の農地を次の世代に引き継いでいくための指針となる地域計画を策定しているところであり、地域の農地が将来にわたって利用されやすくなるよう、農地の集約化に向けた取組を進めております。そのほか、後継者がなく耕作者がいなくなった農地や園芸施設については、農地・園芸施設バンクなどの制度を活用し、新たな耕作者をマッチングする取組を進めてまいります。 続きまして、小項目の2点目、環境に配慮した農地の土づくりについてお答えをいたします。 本市では、市、県、JA及び生産者等で構成される田原市環境保全型農業推進協議会が中心となり、環境に配慮した農地の土づくりに取り組んでおります。具体的な取組といたしましては、土壌の環境改善や化学肥料の削減に効果のある緑肥作物の導入支援、畜産農家から排出される家畜排せつ物を堆肥化する地域資源の活用、耕種農家と畜産農家による耕畜連携の取組支援、さらには土づくりの必要性を生産者に啓発するための「土づくり講演会」なども定期的に開催をしております。 以上、お答えとさせていただきます。
○議長(中神靖典) 山上勝由議員。
◆6番(山上勝由) ここで、1点訂正させていただきたいと思います。小項目2点目の、環境に配慮した土づくりの質問要旨の中で、環境に配慮した農地の土づくりについて、農地が抜けておりましたので訂正させていただきます。 それでは、小項目の1点目、優良農地に向けた取組について再質問させていただきます。 地域計画の策定により、地域の農地が将来にわたって利用されやすくなるよう、農地の集約化に向けた取組を進めているとのことですが、8月に実施した農業者や農地所有者のアンケートの回収率は、令和6年1月末の時点で5割程度だと聞いております。真に実効性のある計画とするためには、より多くの意見や現状把握が必要と考えますが、今後どのように取組を進めていくのか方針を伺います。
○議長(中神靖典)
農林水産部長。
◎
農林水産部長(千賀達郎) 地域計画の策定に当たりましては、アンケートのほか、市内を7地区に分けて話合いの場を設け、農業者や関係機関の皆さんの御意見を多数頂いております。今後は、こういった御意見を基に、地域計画、そして目標地図の素案を作成する予定となっております。 来年度この素案について改めて地域の農業者の方々や、農業分野に携わる各機関の御意見を伺う場を設けることで、アンケートで把握できなかった意向についても計画に反映させることができるよう、実効性の高い計画を目指した取組を進めてまいります。
○議長(中神靖典) 山上勝由議員。
◆6番(山上勝由) それでは、担い手が減少する中で遊休農地の増加を防ぎ優良農地を維持していくためには、農地の集積・集約化を進め、農業者の作業効率を向上させることが不可欠だと考えております。 一方で、農業整備事業など大規模な公共事業による農地の集積・集約化は、時間がかかることは課題であると考えております。地域計画の策定が今後の農地の集約・集積にどのように役立つのか市のお考えを伺います。
○議長(中神靖典)
農林水産部長。
◎
農林水産部長(千賀達郎) 地域計画を策定する際に、農業者の皆さんそれぞれが将来の地域の農地の在り方を考え、地域農業をよりよくするための方策を話合い、合意形成を図りながら本計画の策定を進めていくことで、地域の農業者が主体性を持った農地の集積・集約化の推進が図られるものと考えております。
○議長(中神靖典) 山上勝由議員。
◆6番(山上勝由) それでは、地域計画はしっかりやっていっていただきたいと思います。 今後、地域農業の中心となる担い手だけでは全ての農地を維持することが困難になることも懸念されますが、市はどういった対策を考えているのか伺います。
○議長(中神靖典)
農林水産部長。
◎
農林水産部長(千賀達郎) 農地の維持のためには、認定農業者といった中心的な担い手の確保が不可欠でございます。ただ、今後の農地の維持・保全には、農業を副業的に営む方など多様な農業人材が重要な役割を担っていくものと認識しております。例えば、定年退職後の就農支援でありますとか移住者の新規就農への支援など、多様な人材への支援を充実させることで、農地の維持が図られるものと考えております。
○議長(中神靖典) 山上勝由議員。
◆6番(山上勝由) それでは、小項目の2点目、優良農地の維持に向けた取組についてお伺いいたします。当初答弁で、市は緑肥作物の導入支援を行っているということですが、具体的にどのような支援を行っているのか伺います。
○議長(中神靖典)
農林水産部長。
◎
農林水産部長(千賀達郎) 本市では、これまで市独自の補助事業といたしまして、農地の過剰な肥料成分を吸収するとともに、連作障害を防ぎ、緑肥としての効果も高いソルゴーという作物の種子代の購入に対しまして、その一部を助成しております。
○議長(中神靖典) 山上勝由議員。
◆6番(山上勝由) 先ほど当初答弁の中で、耕畜連携の取組を行っているとのことでしたが、具体的にどのような内容か伺います。
○議長(中神靖典)
農林水産部長。
◎
農林水産部長(千賀達郎) 耕種農家の休耕期となります春夏の時期に畜産農家が耕種農家から大規模に農地を借り受けて、デントコーンなどの飼料作物を作付けし、家畜の餌として利用するとともに、その農地に畜産堆肥を散布いたしまして耕種農家へ戻す仕組みでございます。市は、畜産農家が購入いたします飼料作物の刈取り機及び飼料作物を密閉包装する機器の購入費について支援しております。
○議長(中神靖典) 山上勝由議員。
◆6番(山上勝由) それでは、化学肥料の高騰を受けて国内資源の活用が見直されております。国内各地で海外に依存する肥料の国産化に向けた取組が行われていると聞いています。本市においても、こうした取組への積極的な支援が必要であると考えます。そこで、本市が支援する地域内の資源を活用した新たな取組について伺います。
○議長(中神靖典)
農林水産部長。
◎
農林水産部長(千賀達郎) 地域内の資源を活用した新たな取組といたしましては、本年度、畜産農家のバイオマス発電設備から排出される消化液を、牧草や露地野菜の肥料として利用するという実証実験に対してアイデア支援事業で支援をしております。この実証実験によりまして、消化液を効果的に肥料として利用する方法が確立されれば、化学肥料の低減や生産コストの削減が期待できるものでございます。
○議長(中神靖典) 山上勝由議員。
◆6番(山上勝由) 国が行った肥料価格高騰対策事業で、農業者を支援する要件の中に土壌診断を設けたことで、全国的に土壌診断の件数が増加しているという報道がありました。 農業者は施肥をする際に、どうしてもこれまでの経験や感覚に頼ってしまうところがあります。農地はそれぞれ特徴が異なり、不足する肥料の成分も異なることから、化学肥料や堆肥の過剰投入を回避する上で、土壌診断は必要不可欠なものと考えます。そこで、土壌診断について市内で行われている取組について伺います。
○議長(中神靖典)
農林水産部長。
◎
農林水産部長(千賀達郎) 市内で行われている取組といたしまして、JAをはじめ市内の肥料販売店が、肥料の購入者に対して無料の土壌診断を行っております。また、愛知県が現在、地域の土壌の状態を把握する「農地の土壌診断」に取り組んでおりまして、東三河管内の約300地点、そのうち田原市では約220地点と聞いておりますが、この土壌を採取いたしまして分析を行っております。この取組によりまして、地域の土壌の基礎データが整備されることになりますので、栽培に適した健康な土づくりに向けて、より一層の進展が期待できます。
○議長(中神靖典) 山上勝由議員。
◆6番(山上勝由) それでは、愛知県が進める農地の土壌診断により、土壌の基礎データが整備されることで、栽培に適した健康な土づくりに向けて、一層の進展が期待できるということでありますが、市はこの結果を今後の農地の土づくりにどう生かしていくのか伺います。
○議長(中神靖典)
農林水産部長。
◎
農林水産部長(千賀達郎) 地域ごと、あるいは農地ごとの土壌の特性や、農地にとって過剰な成分、あるいは不足する成分などの把握が可能となりますので、土壌の情報や取り組むべき対策を生産者や農業関係機関と共有いたしまして、今後の土づくりの取組に生かしてまいりたいと考えています。
○議長(中神靖典) 山上勝由議員。
◆6番(山上勝由) この優良な本市の農地は、これからもしっかりと守っていかなければなりません。この先も安心して農業に従事していくことが一番だと考えております。 「世界に誇れる花のまち」を目指す田原市であります。野菜も世界に誇れるものだと私は確信しておりますので、今後も十分な支援、PRをしていただけることを期待して質問を終わります。
○議長(中神靖典) 以上で、山上勝由議員の質問を終わります。
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○議長(中神靖典) お諮りいたします。 本日の会議はこの程度にとどめ、散会いたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中神靖典) 御異議なしと認めます。よって、本日はこれにて散会いたします。 なお、次の本会議は明日3月5日火曜日午前10時から開催いたしますので、よろしくお願いいたします。 本日は長時間にわたり、大変御苦労さまでした。
△午後2時05分散会...