豊橋市議会 > 2023-03-06 >
03月06日-02号

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  1. 豊橋市議会 2023-03-06
    03月06日-02号


    取得元: 豊橋市議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    令和 5年  3月 定例会議事日程(第2号)                      令和5年3月6日 午前10時開議第1 一般質問 〔伊藤篤哉議員〕…………………………………………………………55ページ  1 令和5年度予算大綱の取り組みと財源の見通しについて  2 本市の目指す『選ばれるまちづくり』について 〔尾林伸治議員〕…………………………………………………………65ページ  1 本市の財政の見通しについて  2 本市の障がい者施策について  3 共働き子育てしやすい街の認識について  4 本市における都市づくりについて 〔芳賀裕崇議員〕…………………………………………………………72ページ  1 新年度予算編成の基本的な考え方について  2 持続可能なまちづくりの推進について 〔斎藤 啓議員〕…………………………………………………………81ページ  1 新年度の予算と諸事業について  2 市の多目的屋内施設(新アリーナ)について本日の会議に付した事件議事日程のとおり出席議員 34人     本多洋之             伊藤哲朗     石河貫治             宍戸秀樹     梅田早苗             及部克博     古池もも             山本賢太郎     二村真一             近藤修司     川原元則             中西光江     鈴木みさ子            長坂尚登     尾崎雅輝             近藤喜典     松崎正尚             市原享吾     小原昌子             山田静雄     向坂秀之             尾林伸治     星野隆輝             斎藤 啓     堀田伸一             伊藤篤哉     豊田一雄             坂柳泰光     古関充宏             田中敏一     近田明久             沢田都史子     鈴木 博             芳賀裕崇欠席議員 寺本泰之説明のため出席した者     市長        浅井由崇   副市長       杉浦康夫     副市長       森田康夫   総務部長      加藤智久     財務部長      朽名栄治   企画部長      広地 学     文化・スポーツ部長 田中久雄   福祉部長      川島加恵     こども未来部長   角野洋子   環境部長      山本誠二     産業部長      河合博文   建設部長      前田幸弘     都市計画部長    金子知永   教育長       山西正泰職務のため出席した者     事務局長      鈴木教仁   議事課長      前澤完一     庶務課長      鈴木一弘   議事課長補佐    権田 功     議事課主査     石川さおり  議事課主査     高岸修司     書記        鈴木達也   書記        杉浦文香     書記        飛田珠妃     行政課長      小林康之     午前10時開議 ○堀田伸一議長 ただいまから本日の会議を開きます。----------------------------------- 直ちに日程に入ります。 日程第1.一般質問を行います。 本日は代表質問を行います。順次質問を許します。初めに、伊藤篤哉議員。     〔伊藤篤哉議員登壇〕 ◆伊藤篤哉議員 皆さん、おはようございます。自由民主党豊橋市議団を代表して質問をさせていただきます。テーマは大きく2点であります。 初めに、令和5年度予算大綱の取り組みと財源の見通しについてであります。 政府は、5月8日より新型コロナウイルス感染症の位置づけを現在の2類相当から5類に移行する方針を発表いたしました。新しい生活様式とともに、元の暮らしに戻る日は間近であります。自由民主党豊橋市議団を代表して、新型コロナウイルス感染症対策の防止や治療、官民問わず市民生活に不可欠な業務を困難な中でもしっかりと提供していただいた皆様方へ、改めて敬意を表しますとともに、心から感謝を申し上げます。今後は、新たな変異ウイルスの監視をしっかり行い、感染予防の対策を続けながら、どのように緩和できるのか、かかりつけ医や診断した医師、保健所や自治体の相談窓口に相談するよう呼びかけていることから、自治体としてのきめ細やかな対応が求められることと思います。この点は引き続き注視してまいりたいと思います。 一方で、喫緊の課題はロシアによるウクライナ侵略、エネルギーや食料を含めた物価の高騰であり、その出口戦略であります。 国は令和5年度における重要政策を新型コロナウイルス感染症対策、原油価格・物価高騰対策とし、新型コロナウイルス感染症対策等により受けたダメージからの回復を図るばかりではなく、産業構造の大変革期に向けた新しい資本主義の主役は地方としております。具体的に、科学技術・イノベーション、「デジタル田園都市国家構想」などによる地方活性化、カーボンニュートラルの実現・GXの実行、経済安全保障を掲げております。これらを含め、自由民主党豊橋市議団は令和5年度の市政運営について、浅井豊橋市長へ要望書を提出いたしました。 その回答といたしまして、2月27日の本会議初日に浅井市長3回目となる令和5年度予算の大綱が示されました。我が会派より要望した重点事項は全て網羅されてはおりますが、新たな視点や政策ごとの強弱につきましては、隔たりも感じるところであります。 また、重点事項には市民生活の安定を掲げているものの、市井の情勢は日々厳しさを増している状況であります。例えばこの冬、電気、ガスをはじめとしたエネルギー価格食料品等生活必需品の高騰は、低所得者や子育て世代のみならず、本来は安心して老後を暮らせる予定であった年金生活者をはじめ、あらゆる世代から悲鳴として聞くところであります。 (1)市民生活の安定に向けた物価高騰対策新型コロナウイルス感染症対策及びその財源について伺います。 コロナ禍における行動制限など、コロナの影響が顕著な市内業者において、雇用調整、事業縮小、休業などで対応しました。その結果、アルバイト、パートタイマーのみならず、多くの社員が休職、転職、離職するといった、コロナ禍が長期化する中での働き方改革、働き手が余っている業種から働き手が足りない業種への労働の移動がありました。 また、労働移動は、ニーズは高まりを見せているものの、求人側と求職側の条件などのミスマッチによる産業構造は、失業が増加しているのではないかと言われております。さらに、近時におけるサービス業再稼働においては、従業員の確保さえ難しい、労働者のスキルの低下などを耳目にするところであり、市内業者からは市外に開業するイオンモール豊川の影響も聞くところであります。 特定の産業にとどまらず、幅広い産業を直撃する先の見えないエネルギーの高騰は、特に価格展開できない事業者、中小企業にとっては極めて深刻な状況であり、産業構造の転換と相まって、今後の転廃業も頻繁に聞くところであります。 (2)市内事業者の物価高騰・コロナ禍による影響調査とその結果に基づく支援方策について伺います。 次に、大きな2問目、本市の目指す『選ばれるまちづくり』についてであります。 新年度予算は、未来へ投資!!『みんなで創るまち』を掲げ、重点化事項をまちづくり戦略の推進とし、四つの部局横断プロジェクトを活用して、目指すまちの姿の実現へ向け着実に推進すると示しております。 そこで、まちづくり戦略の四つの視点に照らし、共通認識である多様な人材の活躍を推進する、新しい時代の流れを力にする、新しい生活様式に適応するを念頭に、会派予算要望も含めて質問いたします。 初めに、活力みなぎる「しごとづくり」についてであります。 次年度事業としては、地域産業における新技術や新事業の創出等を図るための助成を行うほか、産業人材を育成するため、産学官のプラットフォームの形成を進め、リスキリングを中心とした学び直しの環境をつくるとのことであります。 第6次豊橋市総合計画における個別戦略では、豊橋で“若者”や“女性”が働きたくなる仕事の創出、豊橋が誇る技術の伝承と新しい技術の導入であり、施策の基本方針は、人材力の強化と事業承継への支援、新ビジネスの創出と経営革新、産業の魅力発信と誘致としておりました。 そこで、令和4年度までの実績を踏まえ、(1)活力みなぎる「しごとづくり」について伺います。 次に、選ばれ集う「ひとの流れづくり」です。 第6次豊橋市総合計画における個別戦略では、若い世代を惹きつけるまちの魅力創造、まちなかエリアへの人の呼び込みであり、施策の基本方針は、定住都市の推進、交流・関係人口の拡大、移住の促進でありました。 令和4年度までの実績を踏まえ、(2)として、選ばれ集う「ひとの流れづくり」を伺います。 次に、笑顔あふれる「子育て・教育環境づくり」です。 第6次豊橋市総合計画における個別戦略では、子育てと仕事を両立できる環境づくり、子どもたちの「学びたい」をかなえるための環境づくりであり、施策の基本方針は、結婚から出産、子育てまでの包括的支援、働きながら子育てできる環境づくり、質の高い教育としておりました。 令和4年度までの実績を踏まえ、(3)として、笑顔あふれる「子育て・教育環境づくり」について伺います。 最後に、持続可能で暮らしやすい「都市空間づくり」です。 第6次豊橋市総合計画における個別戦略では、利便性の高い移動環境の創出、再生可能エネルギー利用100%のまちづくりであり、施策の基本方針は、便利で快適に暮らせるまちの形成、既存ストックの有効活用、暮らしの安全・安心の確保、自立循環型社会の形成でありました。 そこで、令和4年度までの実績を踏まえ、(4)として、持続可能で暮らしやすい「都市空間づくり」について伺います。 以上で1回目の質問とさせていただきます。 ◎浅井由崇市長 自由民主党豊橋市議団伊藤篤哉議員の御質問に順次お答えをさせていただきます。 まず、大きな1の(1)市民生活の安定に向けた物価高騰対策新型コロナウイルス感染症対策及びその財源についてでございます。 新型コロナウイルス感染症は、幾度となく感染の波を繰り返し3年が経過をしておりますが、このほど国におきまして5類感染症への移行が決定され、新たな日常の到来を迎えようとしています。しかしながら、議員も御指摘をされましたが、ウクライナ情勢の影響を受けた資源価格の高騰や円安進行による輸入コストの増加等により、継続的に物価が高騰し、今もなお、その影響は続いているという状況であります。 こうした状況の中、新年度予算におきましては、市民生活や地域経済を守るため、市民生活の安定に資する物価高騰対策新型コロナウイルス感染症対策を重点的に推進する取組の一つに掲げています。 物価高騰対策では、物価高騰に直面する子育て世帯への支援として、保育施設、小中学校等の給食に係る食材価格高騰分を公費負担とし、質を確保した給食を提供するほか、小中学校等の給食を無償提供するとともに、就学援助を受けている世帯や食物アレルギー等により学校給食を喫食していない児童生徒の保護者などに対して、給食費相当額を臨時給付金として給付いたします。 また、事業者への支援では、飼料価格高騰の影響を緩和するため、畜産農家が負担する配合飼料価格安定制度積立金の一部を助成するほか、中小事業者に対しては様々な融資制度を設けるとともに、信用保証料相当額を助成いたします。 新型コロナウイルス感染症対策では、5類感染症への移行は決まっているものの、移行後の対応方針等については国から示されていない状況にあります。こうしたことから、感染患者等への支援、医療提供体制ワクチン接種体制の確保、公共施設等における感染拡大防止など、今年度と同等の対策を実施できるよう予算措置をしておりますが、引き続き国の動向はじめ情報収集を行いながら、適切に対応してまいります。 これら対策の財源については新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を最大限活用することとしておりますが、新年度予算においては、国から具体的な交付限度額等は示されておりません。そのため、国の予算措置状況や今年度の交付実績等を勘案し、本市の新年度における交付見込額を試算しており、コロナ臨時交付金を充当した上で、不足する財源につきましては、一般財源で対応することとしております。新年度においても、市民や事業者の皆様の声にしっかりと耳を傾け、市民生活の安定に向けて必要となる施策を実行することとしたものであります。 続きまして、大きな1の(2)市内事業者の物価高騰・コロナ禍による影響調査とその結果に基づく支援方策についてでございます。 物価高騰・コロナ禍における市内事業者への有効な支援策を講じるためには、これまでも申し上げてきましたとおり、徹底的な現場主義に基づき、事業者の的確な状況把握と社会情勢の動向把握に努めることが重要であると認識をしております。そのため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が始まった令和2年から継続して市内事業者の現状把握に努めるとともに、国、県の動向にも注視してきたところであります。 特に市内の現状につきましては、これまで多くの事業者から相談を受ける商工会議所や金融機関との定期的な情報交換のほか、コロナに関する融資や補助金などの申請に来庁された延べ約8,000の事業者の売上減少幅など個別の経営状況を確認し、そして特に影響のある業種につきましては、市職員が出向き、聞き取り調査を行ってきております。こうした状況把握を基に、これまで事業者に対して国、県の支援策等の活用を促すとともに、市といたしましても、本地域にとって必要な時期に必要な施策を講じてきたところであります。 現時点での本市の支援方策といたしましては、まずは事業継続を最優先課題と考え、円滑な資金繰り支援により経営基盤をしっかりと支え、その上で、コロナ禍において多くの事業者が利用したゼロゼロ融資の本格的な返済開始に向け、売上げ向上に向けた様々な支援を講じていく必要があると考えております。さらに、コロナ以前からの慢性的な課題であった労働力不足に関しても、コロナを契機に働き方や産業構造などの変化に対応する必要性が新たに加わったことから、人材の確保と生産性の向上につながる支援についてもしっかりと拡充を図ってまいります。 大きな2についての御質問でございます。これは、本市の目指す『選ばれるまちづくり』についての御質問でございます。本市が人口減少対策に分野横断で取り組むまちづくり戦略に関連するもので、(1)から(4)はその個別戦略となっているため、まとめて(1)から(4)についてお答えをさせていただきます。 日本の総人口は2008年をピークに減少傾向に入り、本市におきましても2009年から人口減少が続いております。その一方で人口が増加している自治体もあり、効果的な施策を実施することで、市民の皆様はもちろんのこと、市外の方からも選ばれるまちになることが可能であると考えています。 私は、豊橋市が選ばれるまちになるためには、人づくり、そして産業の振興、インフラ整備、広域連携がとりわけ重要と考えております。そして、まちづくりを進めていくのに当たっては、部局の壁や市町村の壁、官民の壁など様々な壁を乗り越えて、多様なパートナーと連携することが必須であると考えております。このような考えを持って市政運営を進めてまいりましたが、これまでの成果について、まちづくり戦略の四つの柱に沿ってお答えをさせていただきます。 まず最初に、活力みなぎる「しごとづくり」でございます。 この戦略は、地域産業の活性化に向け、魅力的な働く場の創出や新たな投資を生み出す好循環を確立するためにまとめたものであります。昨年7月に分譲を開始した豊橋東インターチェンジ工業用地は、全ての区画の立地予定企業が決定をいたしました。また、本市初の東名高速道路インターチェンジとなる豊橋新城スマートインターチェンジ、これは仮称でございますが、この早期開通を見据え、部局横断の北部地域活性化プロジェクトを立ち上げ、地域とともに本市北部地域の活性化に向けて検討を進めております。 また、地域経済を支える中小企業を支援するため、事業承継促進事業や、業態転換など新たな取組を応援する補助金、事業用資金の融資制度など、本市独自の取組を進めております。 さらにスタートアップと地域事業者の共創を促進し、新たなビジネスを創出するスタートアップ支援事業を今年度から新たに始めました。地域の農業者が抱える課題解決に資するアグリテックコンテストなどの諸施策を推進することで、新事業創出にチャレンジする人を後押しできるような環境づくりを進めています。 次に、選ばれる集う「ひとの流れづくり」でございます。 この戦略は、仕事や暮らしの魅力をまち全体で育み、広く発信することで、多様な人たちが選び集うまちを形成するものです。まちなかでは、豊橋駅前大通二丁目地区の再開発により大型複合施設emCAMPUSがオープンし、個性的な魅力にあふれる水上ビルとともに、にぎわいの新たな拠点となっております。emCAMPUS周辺では、公共空間も生かした様々なイベントが官民連携で開催され、新たな人の流れも生まれており、まちなか図書館は、開館から10か月で来館者数50万人を達成いたしました。 また、豊橋総合動植物公園のんほいパークでは、令和4年度の年間入場者数が、2月11日に開園以来初となる100万人を達成しました。 多くの観光客が訪れる道の駅「とよはし」においては、コロナ禍でも令和3年、令和4年ともに年間220万人を超える方々が来場され、愛知県内の道の駅ではトップの利用者数となっています。 次に、笑顔あふれる「子育て・教育環境づくり」についてです。 この戦略は、結婚、出産、子育てへの希望を社会全体でかなえるとともに、一人一人に合わせた質の高い教育を充実するものです。第2子以降の保育料の無償化や副食費の助成を全国の中核市の中でもいち早く所得制限なく実施したり、物価高騰対策の一環として、期間限定で小中学校等の給食を無償提供したほか、公立保育所等でのおむつのサブスクにより保護者の負担を軽減いたしました。 さらに小学校放課後の新たな学びの場、のびるんdeスクールを市内全52校で実施し、子どもたちが様々なことにチャレンジするきっかけをつくるなど、子どもを産み育てるなら豊橋でと思っていただけるような取組を進めてまいりました。既に報道等で御存じのことと思いますが、日本経済新聞社と日経クロスウーマンが共同で行った共働き子育てしやすい街ランキング2022において、本市は昨年の14位から大幅に躍進し、全国3位に選ばれるなど、高い評価をいただいたことは大変喜ばしいことと感じております。 最後に、持続可能で暮らしやすい「都市空間づくり」であります。 この戦略は、暮らし続けたくなる安心で住みよいまちを形成するものです。豊橋初の東名高速道路インターチェンジである豊橋新城スマートインターチェンジ(仮称)が令和3年8月に新規事業化されるとともに、浜松湖西豊橋道路においても令和3年度にルート帯などの対応方針が決定され、計画段階評価を終了し次のステップに進むなど、大きく前進をいたしました。 また、本市では、令和3年11月にゼロカーボンシティ宣言を行い、脱炭素社会の実現に向けて全力で取り組んでいるところであり、その一例として、公共施設への自家消費型太陽光発電設備等導入事業の実施により、エネルギーの地産地消を推進しているところであります。それに加えて、交通結節点である新所原駅等への移動の利便性向上を図るため、企業及び湖西市と連携し、県境をまたぐ移動手段として企業シャトルバスを活用する社会実験を実施しました。 このように、従来の枠組みにとらわれず様々な視点から施策を検討し、スピード感を持って取り組んできたことが、着実な成果につながっていると認識をしております。 以上でございます。 ◆伊藤篤哉議員 御答弁をいただきましたので、ここからは一問一答にて進めたいと思います。 大きな1、令和5年度予算大綱の取り組みと財源の見通しについて、(1)市民生活の安定に向けた物価高騰対策新型コロナウイルス感染症対策及びその財源についてであります。 本市の畜産飼料価格高騰対策特別支援事業は、私どもの希望でもあり、高く評価しているところでもありますが、私は、子ども・子育て世代に絞った予算が御答弁にあった、この点から聞きたいと思います。 そこで、(1)2回目としまして、新型コロナウイルス感染症対策物価高騰対策があらゆる世代に対し幅広く対応する予算になっているかについて、まず最初に確認させていただきます。 ◎浅井由崇市長 大きな1の(1)の2回目ということでございます。 新型コロナウイルス感染症対策につきましては、昨年の感染状況を踏まえ、市民全体を対象として医療検査体制の確保、公共施設等の感染症対策、新しい生活様式への対応、地域経済の活性化に幅広く予算を配分しております。また、喫緊の課題であります物価高騰対策では、今年度より補正予算を計上し、子育て世帯、生活困窮者、中小事業者、公共交通事業者、農業従事者などへ幅広く支援を行ってまいりました。新年度におきましても、事業効果等を勘案し、小中学校等における給食の無償提供などの子育て世帯への支援、中小事業者においては様々な融資制度を設け、信用保証料相当額を助成するなど金融面での支援、そして、畜産農家に対し配合飼料価格安定制度積立金への助成による営農継続支援、加えて、消費を下支えし事業者支援にもつながるプレミアム付電子商品券の発行など、きめ細かく対応することとしております。 このように、新年度において必要となる対策は盛り込んでおりますが、依然として世界情勢は不安定でありますので、引き続き市民生活や地域経済の状況を見極め、その時々の状況に応じて必要な施策については時期を逸することなく実施してまいります。 以上でございます。 ◆伊藤篤哉議員 ただいまの御答弁では、市民生活の状況を見極め、必要な施策を行うとのことでありました。 本質問の冒頭でも申し上げましたが、電気をはじめとしたエネルギーや食料品等、生活必需品、そして物価の高騰は、本来は安心して老後を暮らせるはずであった年金生活者、高齢者はじめ、現役世代からも悲鳴として聞こえてくるところであります。電気、都市ガスを利用する家庭や企業に対する経済産業省資源エネルギー庁の取組があっても、市民が気になるところというのは、やはり支払金額が増えた、この1点であります。プレミアム付電子商品券は、例えば高齢者の支援とも言えますが、ほかに見当たらないというのも実感するところです。 そこで、3回目といたしまして、年金のマイナス改定が続いてきた中、年金生活者、高齢者に対する物価高騰対策へ対応する予算について、本市はどのように取り組む予定なのか、お考えを伺います。 ◎川島加恵福祉部長 本市はこれまで、国の予算措置状況に合わせ高齢者世帯を含む生活困窮世帯等に対して臨時特別給付金を支給してきたところです。また、本年度は愛知県が光熱費高騰の影響を受ける社会福祉施設に対して支援を実施していますが、本市としても愛知県の支援の対象とならない高齢者施設等に対して独自に支援を実施してまいりました。 新年度においても、国・県の動向を注視し、適時適切に必要な支援を実施してまいります。 以上でございます。 ◆伊藤篤哉議員 御答弁いただきました。 ある意味で、全ての年金生活者、高齢者に対する物価高騰対策に関しましては、不十分であろうかと感じるところがあります。 先ほどの答弁の中に、物価高騰対策公共交通事業者を支援したというものもありました。私は、アフターコロナ時代の到来を考えれば、全ての年金生活者、高齢者と公共交通事業者共に支援することを目的として、例えば前市長が廃止したタクシーチケットの復活ですとか、病院、買物、レジャーなど、高齢者の外出を後押しするタクシー利用助成券、公共交通の助成券事業、こういったものを拡大する時期が来たのではないかと感じるところであります。この辺り、御一考いただきたいと思います。 また、世界情勢は不安定、引き続き市民生活や地域経済の状況を見極め、その時々の状況に応じて必要な施策については時期を逸することなく実施するというお考えが先ほどの御答弁にありました。 そこで、本質問4回目として、新型コロナウイルス感染症対策物価高騰対策を実施するための財源の見積りについて、確認させていただきます。 ◎朽名栄治財務部長 事業実施の裏づけとなる財源につきましては、1回目の御答弁で申し上げましたとおり、国の予算措置状況や今年度の交付実績等から試算した新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を最大限活用することとしております。 具体的には、今年度の交付実績に基づき、新年度において国の予備費計上額から見込む額が約10.4億円、令和4年度に交付限度額が示され新年度に繰り越して活用することができる額が約3.8億円、今年度と同様の制度に基づき新年度予算における国庫補助の地方負担分として見込む額が約1.8億円、合わせて約16億円と試算をしております。 なお、物価高騰対策につきましては、こうして試算したコロナ臨時交付金を全て活用してもなお不足する額が約7.7億円ございますので、一般財源を活用することとしております。 以上でございます。 ◆伊藤篤哉議員 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の中で新年度の繰越額である約3.8億円、これは間違いのない数字でありますが、新年度予算における国庫補助の地方負担分約1.8億円と国の予備費計上額から見込む約10.4億円、これはあくまでも見込みであります。この件は(2)の後で大きな1としてまとめたいと思います。 続いて、(2)市内事業者の物価高騰・コロナ禍による影響調査とその結果に基づく支援方策についてであります。 コロナ以前からの慢性的な課題であった労働力不足に関しても、コロナを契機に働き方や産業構造などの変化に対応する必要性が加わったことから、労働力不足に関して、人材の確保、生産性の向上につながる支援をしっかり活用していくという御答弁がありました。 そこで、本件2回目として、市内事業者の人材の確保と生産性の向上につながる次年度の具体的な支援の考え方について伺います。 ◎浅井由崇市長 大きな1の(2)2回目、お答えをさせていただきます。 人材の確保につきましては、企業の採用広報への支援の充実を図ってまいります。市内の高校、大学を対象に実施をいたしました調査では、インターネットの普及とコロナを契機に、学生が就職活動を行う際に企業情報を得る手段として、特に就職サイトや企業ホームページの活用が増えている状況にあります。そのため、就職サイト掲載に加え、採用に効果的な企業ホームページ作成に係る経費を助成対象としてまいります。さらに、その企業で働きたいと思う人を増やすとともに、定着を促すことを目的といたしまして、企業が取り組む働きやすい職場環境づくりに対する助成制度を拡充し、誰もが安心して働ける職場環境の整備をハード、ソフトの両面において支援をしてまいります。そして、その働きやすい職場をしっかりと企業のホームページで発信していくことでさらなる相乗効果を期待するものであります。 生産性の向上につきましては、設備投資と人材育成の二つの側面で支援をしてまいります。設備投資への支援につきましては、これまで同様に、様々な融資制度や信用保証料の助成などによる円滑な資金繰り支援、中小企業振興助成金等により企業の生産性向上に欠かせない設備投資を後押ししてまいります。また、デジタル化の進展等により産業構造の変化が急速に進んでいることから、新たな業務や職種に順応できる人材の育成を強化していく必要があります。そこで、企業や大学と協働で働き手のリスキリングを中心とした学び直しの環境を整備してまいります。こうした取組が、労働人口が減少する中においても企業の生産性向上につながるものと考えております。 以上でございます。 ◆伊藤篤哉議員 御答弁いただきました。 いずれも欠かすことのできない事業であると思うところです。また、希望者が多い場合には予算が必要になるかと思われます。 大きな1をまとめたいと思います。先ほど新型コロナウイルス感染症対策物価高騰対策を実施するための財源の見積りについて伺ったところ、実施するための財源は最大限コロナ臨時交付金を活用するとのことでありました。また、新年度への繰越額約3.8億円、裏負担分約1.8億円の約5.6億円に、国の予備費計上額から見込まれる約10.4億円を加えても、物価高騰対策としては不足する額が約7.7億円とのことでありました。 ここで着目すべきは、国の国家予算編成に先立つ11月29日、財政制度等審議会は令和5年度予算の編成及び今後の財政運営に関する基本的な考え方、これを建議として取りまとめており、政府に対し、建議の趣旨に沿って今後の財政運営に当たるよう強く要請する中で、地方財政の予算編成の課題では、世界は今、コロナ禍の時代とはフェーズが変わり、インフレ対策との整合性や、財政の持続可能性確保を意識した財政運営に転じていると言える。ウィズコロナへ移行する中、臨時交付金については縮減、廃止していく必要がある。また、今後の感染症対策においては、地方債による財源調達を含め、国と地方の負担の在り方を見直すべきである。市民一人一人の財政の在り方を自分ごととして考えられるようにすること、チェック機能と財政比率を働かせることが重要である、このように認識しております。 今後の感染症対策は地方に負担が求められることと思います。コロナ臨時交付金の主な充当事業の一つに小中学校の給食費無償提供がありますが、財源については、我が会派はあくまでも臨時交付金の範囲内でという考え方に揺らぎはなく、将来の見通しを考えればなおさらであります。この続きは予算特別委員会で議論してまいりたいと思います。 続きまして、大きな2、本市の目指す『選ばれるまちづくり』について、(1)から(4)をまとめた形で御答弁をいただきました。 2回目として、魅力的なまちづくりについて、これまでの成果を踏まえた今後の方向性について伺います。 ◎浅井由崇市長 大きな2の(1)から(4)をまとめてお答えをさせていただきます。 コロナ禍を契機に急速に進展をしたデジタル化や社会構造の転換など、ここ数年で私たちの暮らす環境は大きく変わってまいりました。当然ながら、我々自治体も常に世の中の時流を捉え、これまでの経験や教訓を生かしながら変化に対応できる力が求められています。そのような状況の中、まちづくり戦略に定める四つの柱に沿って今後の方向性をお答えいたします。 まず、活力みなぎる「しごとづくり」についてでございます。 国は、働き手のリスキリングを今後の重要な政策の柱としており、中小企業が大部分を占める本市におきましても、DXなど産業構造の変化に対応できる人材の育成が不可欠と考えております。そこで、本市では、学び直しといえば豊橋と呼ばれるよう、人や企業が常に成長し続けられる環境を企業や大学と協働でいち早く整備し、働き手のリスキリングを中心とした学び直しにより本市産業の持続的な発展につなげてまいりたいと考えております。 次に、選ばれ集う「ひとの流れづくり」についてでございます。 まちなかにおいては、本市の駅前大通の魅力向上や新たな再開発事業を推進してまいります。また、本市南部の太平洋岸にナショナルサイクルルートが指定されたことや、NHKの大河ドラマ「どうする家康」の放送開始など、本市が誇る観光資源、歴史資源が全国から注目され始めています。また、各種ビジネスイベントの誘致も国内各地域において活発化してきました。これらの好機を確実に捉え、地域資源を活用した体験型観光の強化に加え、吉本興業グループと連携した本市のまちの魅力の情報発信や、移住や定住を希望される方を支援するアドバイザーの設置などにより、本市の魅力を戦略的に発信し、様々な世代を引きつけることで多くの人々を呼び込み、にぎわいの創出につなげてまいります。 次に、笑顔あふれる「子育て・教育環境づくり」についてでございます。 少子化が加速する中、国は令和5年4月よりこども家庭庁を発足させ、全国各地の自治体も子ども・子育て施策に力を入れています。本市が選ばれるまちとなるためには、切れ目のない、より一層の子ども・子育て施策への重点化が求められます。今後も子育て、幼児教育、保育や学校教育など、それぞれのステージにおいて多様化するニーズを的確に捉え、保育料や子ども医療費、小中学校の給食費といった保護者の経済的負担の軽減に加え、家事負担の軽減や子育て世代が交流できる場の整備など、必要な施策をスピーディーに展開し、豊橋の未来を形づくっていく子どもや若者、子育てを行う人々に焦点を当て、まちづくりを進めてまいります。 最後に、持続可能で暮らしやすい「都市空間づくり」についてでございます。 魅力的なまちづくりを進めるためには、便利で快適に暮らせることとともに、地球環境に優しい持続可能な自立循環型の社会を形成していかなければなりません。新たに整備を進めている豊橋田原ごみ処理施設では、温室効果ガスの排出抑制など環境負荷の低減を目指しています。今後も2050年ゼロカーボンシティの実現に向け、次世代自動車購入や太陽光発電設備等導入に関する費用の助成などを行い、まち全体で脱炭素化に向けた取組を進めてまいります。 また、インフラなどのハード面の整備は、安全・安心な暮らしを実現する重要な基盤となるだけでなく、観光などの交流人口の拡大や産業誘致の際にも重要なセールスポイントとなり得ます。引き続き、本市の発展に欠かせない浜松湖西豊橋道路や国道23号名豊道路といったインフラの整備・充実について国や県に強く働きかけていくとともに、以上四つの戦略を進めていくことで、これまで以上に魅力的で暮らし続けたくなる、安心で住みよいまちとなると考えております。 市民の皆様はもちろんのこと、市外の方からも様々な場面で選ばれるまちとなるため、未来を見据えて、人口減少などをはじめとする重要な課題に戦略的に対応をしていくことはもちろん、常に変わり続ける社会の動きに素早く対応し、新たな道を切り開き続けることのできる自治体を目指してまいります。 以上でございます。 ◆伊藤篤哉議員 御答弁いただきました。 時間が限られてまいりましたので、大きな2について、ポイントを絞って質問を続けたいと思います。 活力みなぎる「しごとづくり」の中で、国は働き手のリスキリングを今後の重要な政策の柱としている。中小企業が大部分を占める本市は、DXなど産業構造の変化に対応できる人材の育成が不可欠と考えているとのことでありました。背景には、世界一の自動車産業の集積がある愛知県のEV化をはじめとするイノベーション、これもありますし、湖西にできるバッテリーパーク、これも着目するところです。また、アジアナンバーワンの航空宇宙産業、これを掲げておりましたが、三菱スペースジェットの開発が一部中断することとなった喫緊の課題、こちらも新たに加わりました。 社会人の学び直しにはリスキリングとリカレント教育、これがあるわけであります。リスキリングは、企業が戦略的に人材育成を行うこと、経済産業省が中心となって進めておりますが、SDGsの8番、働きがいも経済成長もを施策に掲げていることから、リカレント教育の社員が自主的にスキルアップを行うことという厚生労働省の考え方、この要素もあり、人生100年時代の生涯現役、転職、創業とも受け取れるところであります。産学官の協働でいち早く整備し、本市産業の持続的な発展につなげるため、本市は学び直しの支援をしていくとのことであります。 次に、選ばれ集う「ひとの流れづくり」についてであります。 本市の魅力を戦略的に発信し、様々な世代を引きつけることで多くの人々を呼び込み、にぎわいの創出につなげたいとの御答弁がありました。さきの愛知県知事選挙で再選した大村知事は、観光あいち・魅力発信、文化・芸術都市あいち、スポーツ王国あいちを公約に掲げ、新たなあいち観光戦略を策定、愛知国際アリーナ開館を2025年、アジアパラ競技大会を2026年、リニア中央新幹線2027年開業等をターゲットとした誘客、さらに、産業観光、歴史観光の推進をマニフェストに掲げていたわけでありますが、どうする家康で、先ほどの御答弁にあったように、いよいよ観光に弾みがついてきた、こういった状況にあります。 御答弁では、好機を確実に捉え、地域資源を活用した体験型観光の強化に加え、まちの魅力の情報発信や、移住や定住につながる本市の魅力を戦略的に発信し、様々な世代を引きつけることで多くの人々を呼び込み、にぎわいを創出するということでありました。まさしく知ってもらい、来てもらい、住んでもらうというアフターコロナのシティプロモーションが胎動している今、次年度は広報戦略室を設置するとのことであります。 続いて、笑顔あふれる「子育て・教育環境づくり」であります。 学校教育など、それぞれのステージにおいて多様化するニーズを的確に捉えとの御答弁がありました。本年2月、愛知県知事に再選された大村知事のマニフェストに「すべての人が輝くあいち」とあり、教育立県あいち、中高一貫校の設置、これを政策に掲げております。2015年に高等学校将来ビジョンを策定以来、しばらく進展はなかったわけですが、2016年からの県立高校などの欠員増加を受け、2035年には中学校卒業者数が現在の7万人から5万7,000人に約2割減少する見込みを踏まえて、2021年に県立高等学校再編将来構想を策定。そのとき、かねてより提案のあった併設型の中高一貫校の設置、これを2022年4月、明和、津島、半田、刈谷高校の4校を第一次導入候補校として決定し、その後、第二次導入候補校として、地域バランスを考慮して三河地域に豊田西、時習館、西尾高校、この3校を追加設置しております。 この中には、チェンジ・メーカーを育てるといった狙いや、ゆとりある計画的・継続的な教育や、地域の方々との活動を通して、一人一人異なる個性を持つ子どもたちの可能性を最大限に引き出し、伸ばす学びを進めていく。子どもたちが将来、困難に遭遇した時、この学校で、この仲間たちと、この先生たちと、この地域の人たちと、一緒に学んで良かったと思えるような学校づくりを進めていく、これを趣旨に掲げているわけであります。 以上を踏まえ、先ほども御答弁をいただきましたが、改めて、学び直しといえば豊橋と呼ばれるため、働き手へのリスキリングを中心とした学び直しに対する本市の考え方について、また、選ばれ集う「ひとの流れづくり」の中で、令和5年度に新設される広報戦略室の果たすべき役割について、まず伺います。 ◎浅井由崇市長 まず、学び直しに対する本市としての考え方について、お答えをいたします。 本市ではこれまでも、中小企業人材育成研修や社会人キャリアアップ連携協議会の取組支援など、個別の施策により産業人材の育成に取り組んでまいりました。しかし、デジタル化や技術の進展などにより、産業構造が大きな転換期を迎えているというように思っております。例えば、自動車産業ではEV化へのシフトが急加速をしておりまして、今後既存の製品が不要となるということなど、それに代わる新製品の開発ですとか業態転換、新事業の創出など、様々な対応が求められております。事業者といたしましては、こうした状況に対応していくことのできる人材の確保がまさに喫緊の課題となっております。この課題解決に向けては、DXなど新たな知識やスキルを従業員に獲得させていくリスキリングが重要であると認識をしております。 一方、中小企業が多い本市では、事業者だけでリスキリングを進めるための余力がないのも実情としてございますので、地域として産業人材のリスキリングに対する機運を醸成しつつ、本市としては企業や大学と協働し、地域が一丸となって人材育成を行うことのできるプラットフォームを速やかに構築してまいりたいと考えております。これによりリスキリングを中心とした学び直しを推進し充実をさせていくことで、学び直しといえば豊橋というイメージを確立しながら、しっかりと人材の確保、育成を行い、市内企業の持続的発展につなげてまいります。 続きまして、広報戦略室の果たすべき役割についてでございます。 本市には豊かな自然や観光資源、そして、農業や工業などの多様な産業集積、また、交通の利便性、子育てのしやすさや質の高い教育など多彩なまちの魅力がそろっています。こうした本市の持つ様々な魅力を市内外に向けて戦略的に発信し、多くの方々に興味を持っていただく必要があると考えております。 例えば、移住・定住促進に関しては、情報を発信するターゲットを定めた上で、実際のまちでの暮らしがイメージできるよう、必要な情報を組み合わせ発信することが大切です。しかしながら、そうした情報発信を専門的かつ戦略的に行う体制が十分ではなかったため、来年度から広報戦略室を設置し、情報発信アドバイザーとも連携しながら情報発信を行ってまいります。あわせて、各課がそれぞれ実施する情報発信についても、広報戦略室が伴走支援を行うことで情報発信の重要性を各部署に認識してもらうとともに、全庁的な情報発信力の強化を図ってまいります。 これらを総合的に実施することで、選ばれ集う「ひとの流れづくり」につなげることが果たすべき役割だろうというように認識をしております。 以上です。 ◆伊藤篤哉議員 御答弁いただきました。 2022年10月3日、岸田総理はリスキリングの公的支援として、5年間で1兆円を投資すると国会で所信表明をしております。国もリスキリングを重点施策に置き、人材育成の取組について議論を重ねているところであります。本市はこの好機を積極的に生かすべきだと思うところであります。 今後の視点としては、豊橋には学び直しの場づくりが整っていることを市内外への個人へ周知していただきたい。その際にはぜひとも定住人口、流入人口増を視野に入れていただきたいと感じるところです。 少子高齢化が進む日本では、働く期間の長期化、これが想定されております。一方で、どの時代でも活躍できる人材であり続けるには、社会人になってからも新しいスキルを習得する学び直し、これが必要となります。言い換えれば、労働人口の減少による人出不足に悩む地元企業への対応、社員がリカレント教育で自主的にスキルアップを行う。これは年齢を重ねても活躍できる人材として継続雇用しやすくなるという好循環を生むわけであります。 また、リスキリングには目標設定が重要であり、企業が整理・発信すべき情報と行政が整理・発信すべき情報の整理が必要とされております。この点に十分注意していただき、産学官がしっかりタッグを組み、働き手のリスキリングで人づくりナンバーワンのまちにしっかり取り組んでいただきたい。 広報戦略室についてですが、庁内のみならず、国、県、産学官金に対してもしっかりと横串を入れていただきたいと考えております。 最後に、愛知県が進める中高一貫教育導入に向けて、教育委員会の認識と果たすべき役割について伺います。 ◎山西正泰教育長 教育委員会についての御質問ですので、私のほうからお答えいたします。 愛知県教育委員会から、自分らしさの探究と創造・チャレンジ、一人一人異なる個性をもつ子どもたちの可能性を最大限引き出す学びの実現、誰もが社会の変革者となる学びの推進を狙いとして、探究学習重視型の中高一貫校を時習館高等学校に開校するとの発表がございました。 導入のイメージとしまして、これまで時習館高等学校が取り組んできたスーパーサイエンスハイスクール及びあいちグローバルハイスクールとしての取組をベースに、中学校段階から教科横断的、文理融合の探究的学習に取り組むことと、中学校、高等学校への国際バカロレアの導入を目指すことだと理解をしております。2026年春の開校を目指し、ワーキンググループによる具体的な検討や児童、保護者への説明が行われることなど、大まかなスケジュールも示されております。 市教育委員会としましては、本市の児童にとって選択の幅が増えることや目標を持って学べる環境が整うことは大変喜ばしいことだと考えております。今後、県教育委員会ともしっかりと連携し、開校に向けて必要な協力は積極的に行ってまいりたいと考えております。 以上であります。 ◆伊藤篤哉議員 御答弁いただきました。 中高一貫教育についてですが、教育長よりは、大変喜ばしいことである。県教育委員会ともしっかり連携し、開校に向けて必要な協力は積極的に行っていくということでありました。 愛知県は、愛知らしい中高一貫校の検討を経て、愛知県中高一貫教育導入方針、これを定めております。2026年4月開校を目指す時習館高校では、中学校は普通コース2学級80人ということであります。先ほどお話もありましたが、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)とグローバルリーダーの育成を目指したあいちグローバルハイスクール(AGH)の両方にして、現在の時習館高校における取組、特色であるSSHとAGHをベースに、中学校段階から教科横断的な、文理融合の探究的な学びに取り組むとのことであります。 将来イメージについては、中学校、高校への国際バカロレアの導入を目指すと聞いております。時習館高校の姉妹校交流事業を見ますと、2009年度に卒業生の支援を中心に、英国のセント・ポールズ校との交流を実施して以降、英国セント・ポールズ女子校、ドイツのオットー・フォン・タウベ・ギムナジウム、マレーシアのジッ・シン校との姉妹校提携を結びながら、その規模を拡大してきたことを確認しております。 これらの学校とともに築かれたこのような日・英・独・マレーシア4か国による姉妹校関係というのは、全国の公立普通科高校にも例がないというところであります。この関係を生かし、教育目標にある国際人としての資質を持った人間の育成を推進していくと聞いております。 一方で文部科学省は、国際バカロレアの趣旨を踏まえた教育の推進について、国際バカロレアの趣旨のカリキュラムは、思考力・判断力・表現力等の育成をはじめ学習指導要領が目指す生きる力の育成や、日本再生戦略が掲げる課題発見・解決能力や論理的思考力、コミュニケーション能力等重要能力・スキルの確実な習得に資するものであるとしております。国際バカロレアの趣旨を踏まえたカリキュラムや指導方法、評価方法等に関する調査研究を行い、我が国の教育の改善に生かすこととしております。 最後に申し添えますが、豊橋市は、早速取り組むところが3点あろうかと思います。国際バカロレア(IB)についての正しい知識を市民に伝えること、そして、このIBに積極的に取り組ませるべき生徒に対しては、IBを選択肢の一つとして提示すべきだと思うが、誰にも当てはめるべきではないということ、3点目に、例えばハーバードなどのハイランクの大学を目指すためにIBを取るという目的もなしではないものと思うが、そのポテンシャルが何人いるかというところがあります。そんな言葉に立ち向かえる豊橋っ子を育む、まさしくこれからこの地方において教育の場は広がる、そんなところにあります。 教育の場は、すなわち地域の文化を育む場であります。多様な場づくりは極めて重要です。本市に期待して、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。----------------------------------- ○堀田伸一議長 次に、尾林伸治議員。     〔尾林伸治議員登壇〕
    尾林伸治議員 それでは、議長のお許しをいただき、通告に従い、公明党豊橋市議団を代表して大きく4点、一括方式にて質問をさせていただきます。 初めに、大きな1番、本市の財政の見通しについてであります。 令和4年度は新型コロナウイルス感染症が発生してから3年が経過をし、現在、第8波がようやく収まりつつあるようであります。ウィズコロナ、アフターコロナへと対策の方向性も変化してまいりました。 また、ウクライナ戦争の影響による世界的な物価高騰や円安の急激な進行など、景気後退の不安材料に見舞われた1年と言っても過言ではないと思います。 そのほか、北朝鮮によるミサイルの発射や台湾問題をめぐる米中間の緊張といった国際情勢の緊迫度の高まり、さらには温暖化による気候変動危機など、世界的な景気後退懸念が高まっており、経済の先行きに対する見通しは不透明と言わざるを得ないのではないでしょうか。 昨今、遠い国での様々な出来事が直接日常生活に影響を及ぼすといったことが、ある種当たり前の世の中となっております。新年度は行財政改革プランのちょうど中間の年にも当たることから、こうした背景を受け、本市の今後の見通しも気になるところであります。 そこで、大きな1番、本市の財政の見通しについて、以下2点お伺いいたします。 (1)新年度の歳入の見通しについて (2)今後の財政の見通しについて、お伺いいたします。 次に、大きな2番、本市の障がい者施策についてであります。 先回の12月定例会において、障害者差別解消法に基づく障がい者への施策についてとの項目で、障害者差別解消法において、民間事業者が雇用分野以外でも合理的配慮の提供が義務化されることへの本市の取組について質問をいたしました。そのまとめの中で、一人一人の心のバリアフリーが当たり前に行動に結びつくような世の中にと言えば理想が高いのかもしれません、このような発言をさせていただきました。 今まで障害者施策について一般質問や委員会質疑等で様々伺う際に、幾度となく心のバリアフリーがと言っていたことを思い出しました。合理的配慮と言いますと大変堅苦しいイメージがあるのですが、そうした配慮を提供するためにも、一人一人の心のバリアフリーが必要になってくるのではないかと思います。 そこで、大きな2番、本市の障がい者施策について、以下1点お伺いいたします。 (1)「心のバリアフリー」の認識について、お伺いいたします。 次に、大きな3番、共働き子育てしやすい街の認識についてであります。 先日の予算大綱説明の中にもありましたが、昨年末に日本経済新聞社などが行っている共働き子育てしやすい街ランキング2022において、本市の取組が全国3位に選ばれております。2019年の47位から2020年に28位、2021年に14位と着実にランクアップをしてきて、2022年に3位となったわけであります。 そこで、大きな3番、共働き子育てしやすい街の認識について、以下1点お伺いいたします。 (1)全国評価3位の認識について、お伺いいたします。 次に、大きな4番、本市における都市づくりについてであります。 現在、市内3か所で進められております区画整理事業も令和3年度末で牟呂坂津地区が96.3%、牛川西部地区が81.4%、柳生川南部地区が81.6%の進捗率ということが、市のホームページで確認することができます。そして今後は次の段階に進むことになるのかと思います。そうしたことから、大きな視点からの都市づくりの考え方と実際の具体的な取組についてお聞きしてまいりたいと思います。 そこで、大きな4番、本市における都市づくりについて、以下2点お伺いいたします。 (1)本市における都市づくりの考え方について (2)市街化区域における基盤整備の取り組みや課題について、お伺いいたします。 以上、1回目の質問とさせていただきます。 ◎浅井由崇市長 公明党豊橋市議団の尾林議員の御質問にお答えをいたします。 まず、大きな1の(1)新年度の歳入の見通しについてでございます。 まずは市税収入等に影響を与える景気の動向について申し上げますと、ウクライナ情勢の影響などによる世界的なエネルギー・食料価格の高騰や、円安基調による輸入価格の上昇などにより、景気の下振れリスクはあるものの、緩やかな回復基調を続けております。そのような状況を踏まえ、個人市民税では給与所得の増加、法人市民税では企業の業績見通しを勘案し、市税予算としては過去最大の660億円を見込んでおります。また、地方消費税交付金など県からの交付金も、おおむね今年度に比べ増加する見込みでございます。 次に、地方財政対策である普通交付税及び臨時財政対策債でございます。国が令和5年度の地方財政計画で示しております地方の歳入歳出額の見込みをベースに、今申し上げました本市における市税収入等の増加見込みを勘案して試算した結果、新年度は令和2年度以来、3年ぶりに普通交付税が不交付となる見込みであり、あわせて臨時財政対策債の計上も見送っております。 国の補助金のうち、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、新型コロナウイルス感染症対策物価高騰対策の財源として見込んでおり、国の予算措置状況や今年度の交付実績などを参考に、新年度における交付見込額を試算し、計上しております。 最後に、財政調整基金繰入金でございますが、建設事業の財源などとして、新年度は34億円を繰り入れることとしており、今年度の当初予算と比較し9億2,000万円増加しております。これは、公共施設の光熱費の高騰に対応するなど急激な経済状況の変化に対し、市民や事業者に対する行政サービスや第6次豊橋市総合計画に掲げる各施策の遂行に支障がないよう努めたためでございます。 続きまして、大きな1の(2)今後の財政の見通しについてでございます。 まず、歳入でございますが、市税収入や国・県からの譲与税・交付金につきましては、固定資産税の評価替えなど個別の要因を除けば、今後も経済成長などに伴い、緩やかに増加するものと見込んでおります。 一方、普通交付税につきましては、市税等の増加に伴い、不交付の状況が続いていくものと考えております。 財政調整基金繰入金につきましては、各年度の大型事業の実施状況により増減いたしますが、行財政改革プランに掲げる基金残高75億円の目標達成に向け、計画的に活用することとしております。 次に、歳出の見通しでございます。人件費につきましては、今後10年間、職員の定年延長に伴い、毎年退職手当が増減を繰り返す見込みですが、今回、職員退職手当基金を創設することで資金確保の安定化を図りたいと考えております。 扶助費につきましては、社会保障経費の伸びにより、今後も増加することが見込まれています。これにより、義務的経費は公債費が減少するものの、全体としては増加していくものと見込んでおります。 投資的経費につきましては、大型事業として豊橋田原ごみ処理施設や動物愛護センター(仮称)の整備を進めているところであり、今後、事業が本格化するにつれ、工事費が増大してまいります。そのほか、公共施設の老朽化対策として、中消防署や市民文化会館、市立豊橋高等学校といった比較的大規模なものが予定されていることや、公立保育所の移転整備、総合体育館のアジア大会対応への改修などもあり、今後、投資的経費は増加していく見込みでございます。 このように多くの事業を予定しておりますが、普通交付税の不交付団体として自立した財政運営を迫られることとなるため、今後も様々な財源を積極的に確保するとともに、事業の棚卸し、選択と重点化などに取り組むことで財政基盤を強化し、持続可能で安定した財政運営に努めてまいりたいと考えております。 続きまして、大きな2の(1)「心のバリアフリー」の認識についてでございます。 心のバリアとは、障害のある人への無関心や理解不足、さらには偏見などにより、その人を受け入れない状況であると理解をしております。多様性への理解が進みつつある現在においても、社会の中にはまだ様々なバリアが存在し、その結果、障害のある人が必要な情報を得られなかったり、御自身で対応できる範囲が狭まってしまったりすることなどが発生をしています。 そうしたバリアをなくし、様々な心身の特性を持つ市民が参加しやすく、障害のある人もない人も互いに尊重し合えるまちづくりを進めるためには、バリアを感じている人の身になって考え、行動を起こす心のバリアフリーが必要不可欠であると認識をしております。 大きな3の(1)共働き子育てしやすい街ランキングでの全国評価3位の認識についてであります。 私は、市長として、子育て世帯に手厚いまちづくりこそがまちの発展には欠かせないとの思いの下、人づくりNo.1をめざすまちプロジェクトを立ち上げ、子育てや教育の分野に重点を置いた取組を全力で進めてまいりました。特に子育ての分野においては、多様化するライフスタイルに応じた様々なニーズへ対応していくことはもちろんのこと、希望どおりに子どもを産み育てるためには、その家庭の所得にかかわらず、経済的な負担を軽減することも大変重要な視点であると捉えております。 こうした考えの下、今年度は、経済的支援として全国の中核市でもいち早く第2子の保育料や副食費への所得制限のない助成に取り組んだほか、日々忙しい子育て世帯を応援するため、県内の自治体では初となるおむつのサブスクも積極的に導入してまいりました。このほか、放課後の子どもの体験の場としてのびるんdeスクールを全小学校区に拡大して実施するとともに、子どもを持つことを希望される方に対し、特定不妊治療費への市独自の助成を継続するなど、子育て世帯の思いを受け止めたきめ細やかな取組をスピード感を持って着実に進めてまいりました。 こうしたことが、様々な子育て施策の取組を基に評価している共働き子育てしやすい街ランキングで全国3位という高い評価につながったものと考えておりまして、本市を全国的にPRできる絶好の機会であったというように捉えております。 続きまして、大きな4の(1)本市における都市づくりの考え方について、お答えをいたします。 本市は、豊かで美しい自然環境に恵まれるとともに、路面電車をはじめとする公共交通が整備されるなど生活利便性の高いまちであり、世界に誇る三河港や全国有数の農業産地を有するなど、力強い産業が本市の発展を支え、住みやすいまちを形成していると考えております。 都市づくりは、こうした住みよさの根幹となるべく、これまで築いてきた基盤を継承するとともに、さらなるまちのにぎわいや産業の発展により活力のあるまちになるよう、また、SDGsの目標を踏まえ、市民一人一人が安心して暮らし続けることができる都市を目指し、長期的な視点で進めていく必要があると考えております。 現在は、都市機能の集積や居住誘導を促進し、持続可能な公共交通ネットワークの形成の下、まとまりのある都市づくりを進めているところでございます。こうした集約型都市構造への転換を図ることは、自然と調和する美しい都市づくりや人と環境に優しい都市づくりにもつながるものと考えております。 また、豊橋駅周辺では、にぎわいと活気に満ちた東三河の中心にふさわしい拠点の形成を図るとともに、道の駅を中心に広域的なにぎわいが生まれ、多様な世代の交流が促進されるよう、周辺施設との連携強化を図り、にぎわいと交流拠点づくりを進めているところであります。 一方で、近年、自然災害が頻発化・激甚化しておりますが、こうした災害に備えるためには安全・安心な都市づくりが必要であると考えており、大規模な自然災害に備えた都市基盤の強化や総合的な治水対策などを計画的に進めるとともに、災害時の道路ネットワークの強化と防災拠点の充実を図っているところでございます。 大きな4の(2)市街化区域における基盤整備の取り組みや課題について、お答えをいたします。 道路や公園などの基盤整備は、都市の形成において経済活動を支え、市民の生活環境の向上に欠かせないものであります。 取組でございますけれども、近年では都市計画道路弥生町線や都市計画公園三ツ山公園の整備、牟呂坂津地区をはじめとする3地区の都市区画整理事業を進めているところでございます。また、愛知県におきましても、都市計画道路小松原街道線の整備や浸水被害の軽減を図るための柳生川地下河川整備事業などが進められているところであります。 一方、課題でございますが、社会情勢の変化に加え、都市計画決定当時と比べ市街化が進み、地域の合意形成が難しいことや多大な費用と時間を要することが課題であると認識をしております。これらのことから、都市計画道路や都市計画公園の一部が長期未整備となっているほか、長期未着手の区画整理区域においては街路や下水道が未整備となっております。 こうした課題を解消するために、都市計画道路については、令和2年度に、長い間未整備となっている都市計画道路下地牛川線など複数の路線において、愛知県と共に都市計画の変更や廃止を行っております。 令和5年度の予算編成におきましては、長期未整備の都市計画公園の見直し検討や、長期未着手の区画整理区域におけるまちづくりの推進を新規に提案しています。それぞれの整備の必要性や方向性などを検討することにより、住民の土地利用や地域の生活環境の向上を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆尾林伸治議員 それぞれ御答弁をいただきましたので、2回目の質問に入らせていただきます。 大きな1番の(1)新年度の歳入の見通しについてであります。 景気の緩やかな回復基調を踏まえ、市税としては過去最高の660億円を見込んでいるとのこと、また、財政調整基金は今年度と比較し9億2,000万円増加とのことでありました。 そして次に、(2)今後の財政の見通しについてであります。 歳入については緩やかな増加が見込まれ、普通交付税の不交付が続くとの認識でありました。歳出については社会保障費の増加や大型事業の工事などで義務的経費、投資的経費共に増加していく見込みとのことでありました。また、御答弁の中で、行財政改革プランに掲げる財政調整基金残高の75億円について目標達成に向け、とありました。 そこで、大きな1番、本市の財政の見通しについての(1)(2)を合わせた形で2回目として、財政調整基金残高の推移についてお伺いいたします。 続いて、大きな2番の(1)「心のバリアフリー」の認識についてであります。 障害をお持ちの方もそうでない方も、互いに尊重し合えるまちづくりを進めるために、心のバリアフリーが必要不可欠との御認識でありました。国は一昨年の2020東京パラリンピックを契機として、共生社会の実現に向けて、ユニバーサルデザイン2020行動計画を取りまとめました。その中の大きな二つの柱のうちの一つが、個人の行動に向けて働きかける取組である心のバリアフリーでありました。実施する取組や内容が多岐にわたるため、市として関係すると思われる部局にそれぞれの取組について伺いたいと思います。 そこで、大きな2番の(1)「心のバリアフリー」の認識についての2回目として、以下3点お伺いいたします。 (1)として、障害者施策の中での取組について、次に、(2)として、保育所、認定こども園等での取り組みについて、そして、(3)として、学校現場での取組について、それぞれお伺いいたします。 次に、大きな3番の(1)全国評価3位の認識についてであります。 おむつのサブスクやのびるんdeスクールなど、今年度の本市独自の子育て施策が好評価につながったのではないかとの御認識でありました。議会といたしましても、人づくりNo.1をめざすまちプロジェクトに関する調査特別委員会にて、長時間にわたり様々議論を重ねた結果でもあるのかもしれないと思うと、無駄ではなかったなということと、また、喜ばしいことでもあります。このプロジェクトは設置期間が令和3年度から令和5年度で、令和6年度は総括ということで、新年度が実質の最終年度になるのかと思います。 そこで、大きな3番、共働き子育てしやすい街の認識についての(1)の2回目として、今後の取組の方向性についてお伺いいたします。 次に、大きな4番の(1)本市における都市づくりの考え方についてであります。 集約型都市構造への転換や駅周辺でのにぎわいと交流拠点づくり、災害への備えなどお答えいただきました。都市計画マスタープランでうたう都市づくりの基本理念、私たちが未来へつなぐ 住みよく活力あるまち豊橋を、この理念の下、快適に暮らせるやさしいまち、活気あふれる元気なまち、自然豊かな美しいまち、安全・安心がつづくまちの四つの目標像とその基本方針にのっとって着実に進められていることを理解いたしまして、この件は終わります。 次に、(2)市街化区域における基盤整備の取り組みや課題についてでありますが、具体的にお答えいただきました。 課題のところで、一部の長期未整備の都市計画道路や都市計画公園、そして、長期未着手の区画整理区域が存在し、新年度予算においてまちづくりの推進を提案とのことでありました。また、地域の合意形成が難しいとの認識は、私も全く同感であります。そうした中、どのように進めていくのか大変気になるところであります。 そこで、大きな4番の(2)の2回目として、長期未整備の都市計画公園の見直し検討や長期未着手の区画整理区域のまちづくりの推進における地域や住民との関わりについてお伺いいたします。 以上、2回目の質問とさせていただきます。 ◎朽名栄治財務部長 大きい1の(1)(2)の2回目、財政調整基金残高の推移についてでございます。 財政調整基金の残高につきましては、令和3年度末で約77億円でございました。今年度は令和3年度の決算剰余金処分により約26億円を積み立てており、また、取崩しにつきましては、当初予算で24.8億円を予定しておりましたが、繰越金やこれまでの補正予算の状況により、取崩しの一部を留保することとし、現状約12億円を取り崩す予定であり、令和4年度末残高は約91億円となる見込みでございます。 令和5年度につきましては、当初予算として34億円の取崩しを予定しておりますが、令和4年度決算の剰余金処分や令和5年度中の取崩しの留保を考慮いたしますと、令和5年度末残高は約88億円の見通しでございます。 令和6年度以降につきましては、予定している投資的事業の増加等により財政調整基金残高の減少を見込んでおりますが、令和7年度末残高の見通しは約78億円であり、行財政改革プランで掲げる令和7年度末残高の目標値である75億円は達成可能と考えております。 以上でございます。 ◎川島加恵福祉部長 続きまして、大きな2(1)の障害者施策の中での取組についてでございます。 心のバリアフリーについては、障害者差別解消法、そして、豊橋市障害者のコミュニケーション手段の利用促進に関する条例に基づき様々な取組を行っております。 まず、市民向けの啓発活動として、毎年12月の障害者週間に合わせ、市内3か所で障害者の絵画展を開催しています。また、年齢を問わず心のバリアフリーに触れる機会をつくるため、一般向け、子ども向けと内容を分けたリーフレットを作成しイベント等で配布しているほか、市民、学校、企業向けの出前講座で活用しています。 次に、事業者向けの取組として、合理的配慮の提供が義務化されることについて、豊橋商工会議所の会報誌等に掲載するとともに、事業者意識に関するアンケート調査を現在実施しています。 そして、庁内向けの取組として、窓口対応が多い課への筆談ボードの配付、タブレット端末で使用できる音声認識アプリの導入、職員研修の実施など、来庁された市民が安心して手続ができるよう、また、平等に情報が届くよう取り組んでおります。 新たな取組といたしましては、コロナワクチンクーポンを送付する際、ワクチンに関するお知らせであることと問合せ先電話番号を点字にしたシールの貼付や、子どもの頃から手話に触れる機会をつくるために、中央図書館、まちなか図書館で手話で絵本の読み聞かせを行いました。そのほか、ヘルプマーク、ヘルプカードを作成・配布し、周囲への理解・啓発を図ることで、障害のある人も暮らしやすい豊橋市を目指した取組を行っております。 以上でございます。 ◎角野洋子こども未来部長 同じく大きな2(1)保育所や認定こども園等での取組についてでございます。 発達や特性がそれぞれ異なる子どもたちが一緒に過ごすことのできる環境を整えることで、幼児期から心のバリアをつくらないことが重要と考えております。そのため、各園で一人一人の発達や特性に応じたきめ細やかな保育が行えるよう、通常の配置基準による保育士の配置に加え、手厚い保育を必要とする子どもおおむね4人に1人、加配保育士を配置するよう取り組んでおります。 また、保育士が心のバリアフリーについての理解を深め、一人一人の発達に応じた保育が行えるよう研修や助言等を実施し、保育の質を高める取組を進めております。 以上です。 ◎山西正泰教育長 続きまして、大きな2の(3)学校現場での取組についてでございます。 各学校では、障害の有無にかかわらず、誰もが楽しく学校生活を送ることができるようにインクルーシブ教育への理解を深め、垣根のない教育に努めております。 また、特別支援学級と通常学級、特別支援学校と小中学校での交流及び共同学習を積極的に進め、互いの理解を深める教育に力を入れております。 交流及び共同学習については、相互の触れ合いを通じて社会性や人間性を育むことを目的とし、一緒に活動する中で互いのよさや得意なことに気づき、理解が深まると考えております。時にはトラブルが起きることもありますが、教師がその場面を取り上げ、子ども同士で考える場をつくるようにしております。 しかし、場当たり的な指導ではいけないと考えます。特別な配慮が必要な子どもには、個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成し、家庭や関係機関と連携をし、その子の将来を見据えて継続的な支援ができるように努めております。 さらに、インクルーシブ教育に対する教師の意識を高めるために研修会を実施しております。今後、研修内容をさらに工夫し、心のバリアフリーに関する視点を取り入れるなど、充実を図ってまいりたいと考えております。 以上であります。 ◎浅井由崇市長 今後の方向性についてということでございます。 今後の方向性についてでございますが、今後も引き続いて幅広い子育て世帯の経済的な負担の軽減を進めていきますとともに、特に保育園等に就園する前の子育て世帯の負担感や孤立感を解消する取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。 このような考えから、新年度におきましては保育料の無償化を低所得世帯の第1子にまで拡充するほか、小中学校の給食を継続して無償提供してまいります。また、児童手当の対象外となる高校生世代に対して、令和6年1月から医療費を完全に無償化し、経済的な負担の軽減を図ってまいります。さらに、育児への負担感が大きい1歳未満の子どもを育てる世帯に対し、家事支援サービスを利用できるクーポン券を配布するとともに、未就園の子どもを持つ親子の交流と学びの場づくりを新たに地区市民館で行い、心身ともにゆとりを持って子育てできる環境を整えてまいります。 このほかにも、学校や教室へ通いづらさ、行きづらさを感じる児童生徒のために、安心できる居場所を新設するなど、子ども一人一人の思いに寄り添った環境づくりを進めてまいります。 こうして安心して子育てできる環境を整えることで、何よりも市民の方に、豊橋は子育てがしやすい、魅力あるまちだと実感をしていただき、その魅力がさらには人を呼び込むまちづくりにつながるよう取り組んでまいりたいと存じます。 以上です。 ◎金子知永都市計画部長 大きな4の(2)長期未整備都市計画公園の見直し検討や長期未着手区画整理区域のまちづくりの推進における地域や住民との関わりについてでございます。 長期未整備の都市計画公園や長期未着手の区画整理区域につきましては、ともに都市計画決定されてから長い期間が経過していることから、現状の把握や分析を行うとともに、自治会やその地域にお住まいの方に御意見をいただくことが大切であると認識しております。そのため、地域や住民の方から御意見をいただきながら、本市としての考えを整理し、地域や住民の方と一緒になって進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆尾林伸治議員 それぞれ御答弁をいただきました。 大きな1番、本市の財政の見通しについての(1)(2)を合わせた形の2回目、財政調整基金残高の見通しについて御答弁をいただきました。 行財政改革プランでの令和7年度末の財政調整基金残高は約78億円の見通しとのことでありました。実際に決算を経なければ確定した数字が分かりませんが、今後注視してまいりたいと思います。 次に、大きな2番の(1)「心のバリアフリー」の認識についての2回目の(1)障害者施策の中での取組についてであります。 市民向けにリーフレットや出前講座、事業所向けに合理的配慮に関する取組、庁内向けには窓口対応の多い課への取組や職員研修、そして、新たな取組としてコロナワクチンクーポンを送付の際の点字シールなど、様々な取組に頭が下がる思いでいっぱいであります。 次に、(2)保育所、認定こども園等での取組についてであります。 幼児期から心のバリアをつくらないことが重要との御答弁には強く共感をするものであります。また、加配保育士の配置や研修、助言等を実施しているとのことでありました。 そして、(3)学校現場での取組についてであります。 インクルーシブ教育への理解を深め、垣根のない教育に努めており、実施している研修会に、今後、心のバリアフリーに関する視点を取り入れるなど、充実を図りたいとのことでありました。また、トラブルが起きた際に子ども同士で考える場をつくっているということは大変重要であり、有意義であると考えます。 三つの部局から御答弁をいただき、大変心強く感じました。また、子どもの頃から手話に触れる機会として、中央図書館、まちなか図書館での手話で絵本の読み聞かせという御答弁がございました。大人用というのもなんですが、芸術として演劇に手話通訳者が演者として数名参加し、言葉を発するのではなく手話で表現し演じるという、こういった劇を鑑賞する機会が2年前にプラットでございました。劇の内容自体がとても難解でありましたので、手話での表現はかなり御苦労があったようであります。しかも普通に体や顔の演技も求められ、手話をしながら劇中に溶け込むというか、それはそれでまた御苦労もあり、うまく説明できないのがもどかしいのでありますが、一観客として大変感動したことを覚えております。昨年9月も開催されたのですが、コロナの後遺症のせきがひどくて、残念ながら鑑賞は断念いたしました。しかし、こうした機会も大変重要であると考えます。 いずれにいたしましても今後に期待をいたしまして、この件は終わります。 次に、大きな3番、共働き子育てしやすい街の認識についての(1)の2回目の今後の取組の方向性についてであります。 新年度の取組として、保育料無償化の拡充や小中学校の給食の無償提供の継続、高校生世代の医療費の完全無償化、家事支援サービスや学校での居場所エールームなどお答えをいただきました。今後恒久的に実施可能な取組と現状の物価高騰に対応するための取組があるのかなと思います。 先ほどの大きな1番の新年度の歳入の見通しの中で、新型コロナウイルス対策や物価高騰対策で地方創生臨時交付金を見込んでいるが、交付額は試算して計上とありました。子育て支援の施策につきましては、昨年11月に公明党として子育て応援トータルプランを発表し、政策実現に向け取り組むとともに、国においても新年度においては重要課題の一つとしております。 いずれにいたしましても、具体的には今定例会中の予算特別委員会での議論になろうかと思いますので、この件はこれで終わりにしておきます。 次に、大きな4番、本市における都市づくりについての(2)の2回目、長期未整備の都市計画公園の見直し検討や長期未着手の区画整理区域のまちづくりの推進における地域や住民との関わりについてであります。 現状分析とともに自治会や地域にお住まいの方から意見をいただくことが大切とのことでありました。今後、本市においては浜松湖西豊橋道路や東三河環状線の開通、豊橋新城スマートインターチェンジ(仮称)の周辺の土地利用、そして、年明けの建設消防委員会で調査研究のあった市営住宅等長寿命化計画案の中での建て替えや廃止など、まだまだ挙げれば切りがないのかもしれませんが、まちのありようも変わっていくことと思われます。ある意味、そうした機会にようやく整備や着手に取りかかれるのかもしれません。いずれにいたしましても、新年度以降の取組は困難を極めるのではないかと思われます。 地域住民には様々な考えをお持ちの方がお見えになります。単純に賛成か反対といったような二択になりがちですが、そうではなく、行政側から様々な手法を提案し、御答弁にありましたように、地域や住民の方と一緒になって進めていただくことに期待をいたしまして、私の全ての質問を終わらせていただきます。----------------------------------- ○堀田伸一議長 この際、休憩いたします。     午前11時45分休憩-----------------------------------     午後1時再開 ○堀田伸一議長 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。----------------------------------- 次に、芳賀裕崇議員。     〔芳賀裕崇議員登壇〕 ◆芳賀裕崇議員 通告に従い、まちフォーラムを代表し、大きく2点、一括方式で質問をさせていただきます。 まず初めに大きい1、新年度予算編成の基本的な考え方についてであります。 国における新年度予算は、歴史の転換期を前に、我が国が直面する内外の重要課題に対して道筋をつけ、未来を切り拓くための予算として編成され、重要課題として安全保障・外交、こども政策、地方・デジタル田園都市国家構想、GX(グリーントランスフォーメーション)などへ対応するために一般会計総額は114兆3,812億円で、初めて110兆円を超えて過去最大を更新し、現在、参議院で審議されています。 豊橋市における令和5年度予算については、第6次豊橋市総合計画前期基本計画の中間年度であり、目指すまちの姿の実現に向けて各分野の取組を加速させるために、未来へ投資!!『みんなで創るまち』予算として編成が行われており、喫緊の課題である原油価格・物価高騰への対応や新型コロナウイルス感染症への対策、さらには本市の未来を担う人への投資を子育て・教育・産業などの分野で幅広く行うこととし、予算規模としては、一般会計では1,376億7,000万円を計上し、令和3年度以来2年ぶりに過去最大規模の予算となっています。 一方、新年度予算の市税収入は、コロナ禍における物価高騰の影響を受けながらも、給与所得の増加に伴う個人市民税の増や、ウィズコロナの状況下で経済が緩やかに回復の兆しが見られることによる法人市民税の増、家屋の新増築件数の増に伴う固定資産税の増などを見込み、前年度比2.6%増の660億円を見込んでいますが、普通交付税は不交付団体となる見込みで、令和2年度以来3年ぶりに計上を見送り、歳入環境は不透明な状況であるということです。 そこで、大きい1として、新年度予算編成の基本的な考え方について、お伺いをします。 次に、大きい2、持続可能なまちづくりの推進についての(1)アフターコロナを見据えたまちづくりについてであります。 新型コロナウイルス感染症も発症から3年が経過し、現在では第8波も収束しつつあり、今年の5月8日には季節性インフルエンザと同等の5類感染症へ移行することも決定しています。 また、昨年の国における出生数は、統計開始以来初めて80万人を割り込み、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計では、出生数が80万人を割るのは2033年の見通しであったことから、10年以上早まる形となりました。また、本市においても昨年は出生数が2,500人を切るなど、人口減少に歯止めがかかっていません。 一方で、コロナ禍におけるこの3年間、これまでにはなかったことも見えてきました。内閣府の調査によると、就業者の34.6%がテレワークを経験し、地方移住に関する関心は若年層を中心に高くなっています。東京都23区の20代では35.4%、大阪・名古屋圏では15.2%の若者が地方移住への関心が高まったと回答しており、大都市圏への一極集中を是正する動きを生み出し、実際にテレワークやオンライン会議が浸透し、東京都心に居住しなくても仕事ができる機会にもなっています。地方ならではの自然や環境の価値の再創造、地元の企業や地方自治体が中心的担い手となる地域経済の構築、ICTの活用による生活の支援や産業の育成は、人々や企業を地域へと引きつける政策として活用でき、地方自治体における少子高齢化や人口減少の問題解決につながるよい機会ともなっています。 そこで、持続可能なまちづくりの推進をするためのアフターコロナを見据えたまちづくりについて、どのように考えられているのかお伺いをしたいと思います。 次に、(2)産業振興の取り組みについてであります。 コロナ禍による地域経済への打撃は大きく、感染防止対策が求められる中、経済活動が停滞しました。観光客が集まるようなイベントは相次いで開催中止となり、鉄道、バス、観光業、飲食、小売業中心に、事業者は大幅な減収を余儀なくされました。そして、そこに食材やお酒を卸す事業者や農家にまでもコロナ禍の経過とともに影響が及び、現在では様々な支援を行っています。 さらには、海外でのコロナ対策の影響により、半導体不足や工場の稼働停止などにより製造業や建設業など、幅広い業種においても部品の調達や納入遅延により企業活動に影響を及ぼし、経済情勢の悪化は地方自治体の運営にも大きな影響を与えています。また、ここへきてロシアのウクライナ侵攻による影響により、エネルギー価格の高騰や物価の高騰など、市民生活にも大きな影響を及ぼしています。 本市においては、コロナの影響により策定が遅れましたが、本市のあらゆる産業を発展させるため、本市の産業政策の基本的な考え方と戦略を明らかにするために、第3次豊橋市産業戦略プランが策定され、令和4年度からスタートしています。地域に価値を生むしごとづくりを基本理念に、人材力の強化と事業承継への支援、新ビジネスの創出と経営革新、産業の魅力発信と誘致・誘客を基本方針に、戦略的な取組が行われています。新型コロナウイルス感染症への対応としては、新型コロナウイルス感染症で受けた影響からの立ち直りを支援し、アフターコロナを見据えた事業の強靭化を支援するなどの考え方も示されています。 そこで、持続可能なまちづくりの推進をするための産業振興の取り組みについて、お伺いをします。 次に、(3)ゼロカーボンシティの取り組みについてであります。 令和3年11月6日に本市はゼロカーボンシティ宣言を行いました。2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするゼロカーボンシティを実現するためには、これまで以上に省エネルギーや再生可能エネルギーの導入が必要であり、市民、事業者等の皆様と共に協力・連携しながら、市域全体で地球温暖化対策の取組を進めていかなければなりません。 本市においては、2009年度に豊橋市地球温暖化対策地域推進計画(2010年から2020年)を策定しましたが、2020年で計画が終了したことから、第2次豊橋市地球温暖化対策地域推進計画(2021年から2030年)を2021年3月に策定して温暖化対策を推進しています。 第2次の計画では、温室効果ガス排出量を2030年度に2015年度比26%削減することを目標としましたが、国が2020年10月にカーボンニュートラルを宣言し、2021年4月に2030年度の温室効果ガス削減目標を26%削減から46%削減へ引き上げたため、本市においても2030年度46%の削減を目指し取り組むために、2022年3月に計画を改訂しました。目標が引き上げられたことにより、さらなるゼロカーボンに向けた取組が必要となっています。 温室効果ガスの排出はエネルギーを起源とするものが80%であり、エネルギー産業に身を置く者として、現実を直視し対策をしなければならないと思っています。これまで再生可能エネルギーの導入促進や省エネに向けての節電対策などを行ってきましたが、現状と課題認識をしていかなければ対応はできないと思っています。 そこで、これらを踏まえ、持続可能なまちづくりを推進するためのゼロカーボンシティの取り組みについて、お伺いをします。 次に、(4)組織・人事の在り方についてであります。 持続的なまちづくりを推進するためには、市役所の行政運営についても時代の変化に対応しなければなりません。少子高齢化・人口減少といった大きな課題やコロナ禍において明らかになった課題に対しても、解決するためには、組織や、それを担う人材なども確保・育成していかなければなりません。 人材育成基本方針でも、環境の変化に対応し、未来を見据えたまちづくりを実現できる職員が、今後の自治体運営に欠かせない人材であり、そのような人材をより多く育成していくことが、本市の喫緊の課題でもあると言われています。 人材育成を推進し、それを組織での人材マネジメントにつなげていくためには、個人の能力形成だけではなく、組織の側からもその形成された能力を発揮する場を提供し続けなければ、長期的かつ組織的な能力形成は望めません。仮に突出した能力を有する職員を数名育成できたとしても、その一部の優秀な職員が空回りすることがないように、組織としてのその人材を生かし、さらにそうした人材が継続的に輩出され、活躍する場が提供されるような組織としての持続性が必要です。 組織と個人の理想的な関係性としては、組織も職員も共に成長していくことが考えられますが、あくまでも出発点は個々の職員の自己実現や幸福感だと思われます。職員の成長が組織への貢献を生み、それがさらに組織の成長につながるよう、職員の成長実感を人材マネジメントの中核として捉える必要があると思います。 そこで、持続的なまちづくりを推進するための組織・人事の在り方について、お伺いをします。 以上、1回目の質問といたします。 ◎浅井由崇市長 まちフォーラム、芳賀裕崇議員の御質問に順次お答えをいたします。 まず大きな1、新年度予算編成の基本的な考え方についてでございます。 新年度は、第6次豊橋市総合計画前期基本計画の中間年度であり、「未来を担う人を育むまち・豊橋」の実現に向け、これまでの取組を評価・分析した上で、計画期間後半に予定する諸施策へ着実に結びつけるための大切な年となります。 このことから、第6次豊橋市総合計画の四つのまちづくり戦略を重点化事項として位置づけるとともに、政策推進のツールとして、部局横断で本市の重点課題に取り組む四つのプロジェクト、そして、市民生活の安定に資する物価高騰対策新型コロナウイルス感染症対策を重点的に推進する取組とするなど、諸施策を盛り込み、予算を編成いたしました。 予算編成に当たっては、各部局が創意工夫を十分発揮できるよう、前年度予算要求水準を維持し、サマーレビューにおいて優先度が高いと判断した重点課題や物価高騰対策新型コロナウイルス感染症対策等については別に予算枠を設け、予算編成過程において十分な議論を行っております。加えて、徹底した現場主義に立脚し、市民や事業者の声をしっかりと把握した上で、政策効果を見極め、事業の選択と重点化を図ることといたしました。 こうした過程を経て、新年度予算は本市の未来を担う人への投資を子育て、教育、産業などの分野で幅広く行うなど、第6次豊橋市総合計画の目指すまちの姿の実現に向け、必要となる予算を編成できたものと考えております。 続きまして、大きな2の(1)持続可能なまちづくりの推進について、アフターコロナを見据えたまちづくりについてでございます。 都市の持続可能性を脅かす重要課題として人口減少の問題があり、本市のまちづくり戦略においても、将来に向かって人口減少に歯止めをかけることを掲げているところであります。 コロナ禍において、本市においても出生率の低下が進むとともに、外国人の転入も一時的に減少したため、人口動態は減少傾向が続いています。一方で、生活様式の変化等により、国内の移動が抑制された結果、首都圏への転出者数の減少が見られ、転出超過が若干緩和されている状況です。 また、コロナをきっかけとして、テレワークやオンライン授業など新しい生活様式が生まれ、急速なデジタル化が進んでおります。アフターコロナにおいては、そういった新しい価値観に基づき、住む場所を選択する人がさらに増加することが見込まれます。 そうしたことから、本市が持つポテンシャルに加え、子育てのしやすさや働きやすさなどに力を入れ、より魅力的な地域とすることで人の流れが変わっていくと考えております。このような社会の動きに柔軟に対応しながら、まちづくりを進めていきたいと考えています。 大きな2の(2)産業振興の取り組みについてであります。 まちづくりの柱として重要となるのが、地域の産業振興であります。そのため本市では、これまでも新たな雇用を生み出すため、産業用地の確保や各種補助制度の充実による積極的な企業誘致活動を行ってまいりました。その結果、例えば、今年度分譲を開始した豊橋東インターチェンジ工業用地は早々に完売するなど、企業立地件数は順調に推移しており、多種多様な業種が集積する産業拠点を形成しております。引き続き産業拠点形成を推進していくため、豊橋新城スマートインターチェンジ周辺での新たな産業用地の開発を検討していく必要があると認識しております。 また、本市産業の特徴を生かした新ビジネスを生み出していくため、これまでのイノベーション創出を支援する取組に加え、昨年度より新たにスタートアップ支援を開始しております。こうした支援により、アグリテック分野では複数のプロジェクトが始動するなど、産業分野における新たな価値の創出に向けた取組が端緒に就いたところであります。さらに大きな価値を創出していくため、スタートアップ支援を継続・拡充していくことが重要であると認識しております。 さらに、産業人材の育成については、これまでもとよはし産業人材育成センターの活用や社会人キャリアアップ連携協議会などで産学官金が連携してまいりました。しかしながら、産業を取り巻く環境は大きな変革期を迎えており、急速に進展するデジタル化などに対応するためには、これまで以上に地域が一丸となった人材育成が必要であると認識をしています。 それに加えて、当地域でも少子高齢化により担い手不足が深刻化する中、外部から産業人材を確保することも喫緊の課題であると考えます。 大きな2の(3)ゼロカーボンシティの取り組みについてでございます。 2050年ゼロカーボンシティの実現に向けましては、市民、事業者、行政が一丸となって再生可能エネルギーの地産地消や、省エネルギー活動などの地球温暖化対策を着実に実行し、まち全体で脱炭素化に向けた取組を進める必要がございます。 そこで本市では、これまで公共施設への積極的な再生可能エネルギーの導入のほか、市民や事業者の皆様に対しましては、太陽光発電など脱炭素化に資する設備の導入促進に向けた支援策を充実させてまいりました。 また、あわせてイベントなどの啓発活動を通じて、日常生活や事業活動において節電・省エネルギー行動が自然と実践されるような、地球に優しいライフスタイルの定着を促してまいりました。 しかしながら、ゼロカーボンシティへのハードルは非常に高く、その実現に向けましては、国をはじめとする社会全体の脱炭素化への動向にも期待する中で、これまで以上に啓発活動を充実させ、市民や事業者の皆様の意識改革や行動変容を促していく必要がございます。また同時に、行動の障壁となっているものが何かを把握し、それらを取り除くことも大変重要と考えており、他都市の先行事例も参考にしながら、一人一人が主体的に脱炭素化に取り組むことができる環境づくりを、スピード感を持って進めていく必要があると認識しております。 大きな2の(4)組織・人事の在り方についてでございます。 持続可能なまちづくりを推進する上で、豊橋市役所という組織には複雑、そして高度化する市民のニーズを的確に捉え、必要となる施策に迅速な対応をするとともに、行政サービスを安定的に提供し続けることが求められます。そのため、人口減少、少子高齢化が進み、目まぐるしく社会情勢が変わる中、生産性と効率性を高め柔軟な組織運営を行うこと、加えて、技術職などの採用困難職種も含め、優秀な人材をしっかりと確保し、育成していくことが重要です。 また、人手不足が社会的な問題となる中、組織には正規職員や任期付職員、再任用職員、会計年度任用職員などといった多様な任用形態や、事務職や技術職、医療職、消防職、労務職など、多様な職種の職員が存在します。 さらに、育児や介護など多様な事情を抱える職員や、今後の市政を担う若手から定年延長を見据える経験抱負な職員などもおり、このような様々な立場や経験、専門性からの意見を生かし、うまく組織マネジメントを行うことが求められています。 職員自身が自らのキャリアを自律的に捉え、成長し続けることができるよう促すとともに、安心して働くことができる風通しのよい職場環境の整備を行い、持続可能なまちづくりの推進に資する組織・人事体制を構築してまいります。 以上でございます。 ◆芳賀裕崇議員 それぞれ1回目の質問に市長よりお答えいただきましたので、2回目の質問に入らせていただきます。 大きい1、新年度予算編成の基本的な考え方についてであります。 令和5年度予算は、第6次豊橋市総合計画の目指すまちの姿の実現に向けて、徹底した現場主義に立脚し、市民や事業者の声をしっかりと把握した上で、政策効果を見極め、事業の選択と重点化を図り、子育て、教育、産業など、未来を担う人への投資を行うための編成をされたとのことであります。 新年度、国における予算で地方に関連する予算として、こども政策としては、子ども・子育て世代への支援を強化するため、こども家庭庁を創設し、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と、妊婦・子育て家庭に対する経済的支援を継続実施し、出産育児一時金については50万円に引き上げられること、地方・デジタル田園都市国家構想では、地方が直面する人口減少、少子高齢化、過疎化、東京圏への一極集中、地域産業の空洞化などの課題を解決するために、デジタル技術の活用によって自治体のデジタル実装の加速化やデジタルの活用による観光・農林水産業の振興等の地方創生に資する取組などが支援されるようになっていること、GX(グリーントランスフォーメーション)では、2050年カーボンニュートラルを掲げ、脱炭素社会の実現に向けた取組を進めていくため、カーボンプライシングで得られる将来の財源を裏づけとしたGX経済移行債を発行し、民間のGX投資を支援する仕組みが創設されることなどであります。 これら国の予算にもアンテナを高くし、財源の確保に努めていただきたいと思います。また、行財政改革プランで掲げた、限られた経営資源を的確に配分するとともに、さらなる収入の増加を図り、市民満足度の高い行政運営に努められることに期待します。 新年度予算編成の基本的な考え方については、終わります。 次に、大きい2の持続可能なまちづくりの推進についての(1)アフターコロナを見据えたまちづくりについてであります。 新しい価値観に基づき、住む場所を選択する人がさらに増加することが見込まれることから、本市が持つポテンシャルに加えて、子育てのしやすさや働きやすさなどに力を入れ、より魅力的な地域とすることで人の流れが変わっていくことから、社会の動きに柔軟に対応しながらまちづくりを進めていきたいとのことであります。 コロナ禍における東京の人の流れを見ますと、2021年は、コロナ禍におけるリモートワークの普及などを背景に、都市部から転出する人の動きが目立ち、特に東京都は転出者数が増加傾向にあり、総務省が2022年1月に発表した2021年の住民基本台帳の人口移動報告によりますと、2021年5月以降、8か月連続で転出超過が続き、年間の転出者数は全国最多の41万4,734人を記録し、東京都に転入した人から転出した人を差し引いた転入超過は5,433人で、比較可能な2014年以降、最少を更新しています。 しかし、最近の新型コロナウイルス感染症の行動制限が緩和されて、社会経済活動が正常化してきたことで再び東京が吸引力を取り戻しつつあり、東京23区の2021年には1万4,828人の転出超過であったものが、2万1,420人の転入超過に戻っています。 そこで、愛知県が2014年度より実施している東三河人口問題連絡会議が2022年に行った東京圏在住者の地方都市への移住・定住に関するアンケートによりますと、希望する地方でのライフスタイルとして、第1位が海の近くでの暮らしで41.5%、第2位が趣味・特技などを生かした暮らしで37.2%、第3位が山の近くでの暮らしで36.6%となっており、その中でも東三河地域が移住候補に入る可能性はあると回答した人は、海の近くでの暮らしが58.9%、山の近くでの暮らしが45.7%となっており、海や山などの自然環境を望む志向が一層強くなっています。 また、地方での暮らしの魅力点では、山・川・海などの自然にあふれた環境と、空間的・時間的に余裕のある生活が同率の1位で61.6%、その中でも東三河が移住候補に入る可能性はあると回答した人では、その数字が72.6%であり、特に高くなっています。 これらアンケート結果などからも、コロナ禍を体験し、求める生活スタイルにも変化が現れています。人口減少対策の一つとして、移住・定住施策も必要であると思いますが、そこでアフターコロナでのチャンスを生かしたまちづくりの具体策について、どのように考えられているのか、お伺いをしたいと思います。 次に、(2)産業振興の取り組みについてであります。 新たな雇用を生み出すための産業用地の確保や各種補助制度の充実による積極的な企業誘致活動を行い、企業の立地件数は順調に推移しているとのことでございました。また、本市の産業を生かした新ビジネスを生み出すスタートアップ支援や、産業人材の育成にも取り組んでこられたとのことであります。 企業誘致については幹線道路や港湾などのインフラ整備が必要不可欠で、いまだに十分とは言えませんし、本市の多くを占める中小企業では、人材の育成や設備投資、雇用環境の向上、経営資源を維持するための事業の継続性向上など、様々な課題にも取り組まなければなりません。もちろん農業や商業、観光業においても同じような課題があります。 そこで、産業振興における課題に対する今後の方向性についてお伺いをしたいと思います。 次に、(3)ゼロカーボンシティへの取り組みについてであります。 これまでは公共施設への積極的な再生可能エネルギーの導入のほか、市民や事業者の皆様に対しては、太陽光発電などの導入促進に向けた支援策を充実されてきたとのことであります。しかし、ゼロカーボンシティへのハードルは非常に高く、市民や事業者の皆様に意識改革や行動変容をしてもらわなければならず、一人一人が主体的に脱炭素化に取り組む環境づくりを、スピード感を持って進める必要があるとの認識でした。 第2次豊橋市地球温暖化対策地域推進計画では、再生可能エネルギーの一つである太陽光発電の設備の容量を、2019年に24万3,153キロワットであるものを2030年には65万7,900キロワットと、2.7倍に増やさなければ目標の達成ができないことが明らかになっています。太陽光発電の普及については、国において固定価格買取制度、いわゆるFITが、再生可能エネルギーからつくられた電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が保障する制度として確立してきました。FIT制度の対象となる再生可能エネルギーは、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電の五つがあり、太陽光発電の占める割合がほとんどです。 しかし、ここへ来てFIT制度の課題も明らかになってきました。例えば、一般家庭に設置されることが多い容量10キロワット未満の太陽光発電の場合、買取り期間は10年間となっており、2009年の買取り価格は48円であったものが、10年が過ぎ卒FITになると、買取りする事業者にもよりますが、7円から9円程度であるケースが多く、約6分の1程度になってしまいます。 参考に、2023年度の買取りでは、10キロワット未満の家庭では16円となっており、3分の1になっています。設備の設置費用が安くなるのと同時に、買取り価格も安くなっているということでございます。そして、10年を過ぎたあたりからパワーコンディショナーが故障することも見受けられ、修理のために一定の金額もかかるため、発電設備として稼働しなくなる可能性もあります。 また、FITでは、電力会社は供給するよりも高い金額で発電された電力を買わなければならないため、法令で定められた価格で買い取るようになっており、この価格に要する費用は再生可能エネルギー発電促進賦課金によって賄われています。FIT認定を受けた発電所の数が増えるほど、電気料金への反映という形で負担増加につながるということでございます。 毎月の電気の使用料のお知らせ等を見てもらうと分かりますが、1キロワット当たりの単価は毎年決められ、全国一律となっています。ちなみに2012年は22銭であったものが、2021年では3円36銭となっており、約15倍の金額になっています。電力中央研究所によると、2032年には最大4円72銭にまでなる可能性まであると想定をされています。 再生可能エネルギー発電促進賦課金の負担は電気の使用料に比例して増加するため、一般家庭と比べて非常に多量の電気を使う事業者の場合、その負担額はとても大きなものになっているため、エネルギー価格の高騰に拍車をかける形ともなっています。 また、大規模な太陽光発電施設を設置する場所としての適地も少なくなっています。そして、気象条件などにより太陽光が発電しない場合のバックアップ電源も確保しなければならず、太陽光発電設備の増加に合わせた電源の確保も課題となっております。 これらのことから、太陽光発電の設置に関しては、今後、これまでのような設置容量の増加を見込むことはできないということであります。 そこで、ゼロカーボンシティの取り組みについて、現状と課題を踏まえた今後の取組について、お伺いをしたいと思います。 次に、(4)組織・人事の在り方についてであります。 豊橋市役所には、複雑・高度化する市民のニーズを的確に捉え、必要となる施策に迅速な対応をし、行政サービスを安定的に提供し続けることが求められており、生産性と効率性を高め、柔軟な組織運営と優秀な人材を確保・育成することが重要であるとのことでございました。また、多様な職種や事情を抱える職員が存在することから、それらを考慮した組織マネジメントを行わなければならないということです。 本市には3,700人を超える職員が在籍し、その職種も、お答えいただいたとおり、様々です。ここ近年、職員の採用について気になるのが、技術系職員を年間通じて募集をされているということでございます。その状況を調べてみますと、事務職には200人を超える多くの申込みがあるのに対して、土木、建築、電気、機械といった職種には申込者がゼロといったことも見受けられます。その中でも、社会人を経験した経験者の採用は、令和2年度、令和3年度、令和4年度ともにゼロとなっている職種が多く見受けられます。特に技術職は、社会人として経験している場合は即戦力としての活躍が期待できることから、大変重要であると思います。 そこで、採用困難職種である技術職の確保に向けた取組について、お伺いをしたいと思います。 以上、2回目の質問とさせていただきます。 ◎浅井由崇市長 大きな2の(1)の2回目でございます。 アフターコロナでのチャンスを生かしたまちづくりの具体策についてでございます。 コロナをきっかけとして、人々の働き方や暮らし方に対する意識は変わりつつあります。例えば、若者を中心に地方移住や二地域居住への関心が高まっている中、こうした傾向をチャンスと捉え、まちづくりの具体策として、移住・定住施策に積極的に取り組んでまいります。 移住・定住促進に関する施策は総合的なものであり、多くの方から選ばれるまちとなるためには、豊かな自然環境や交通の利便性、子育てのしやすさや質の高い教育といった暮らしやすさに加え、若い世代が希望する仕事があることも極めて重要です。こうした魅力あるまちづくりを着実に進めるとともに、そういったまちの魅力を、首都圏をはじめとした大都市圏にしっかりと情報発信していくことが重要だと考えております。 そこで、令和5年度は組織機構改革により広報戦略室を設置し、本市の持つ子育て・教育などの様々な魅力を組み合わせ、戦略的に発信してまいります。本市の魅力や施策についての情報をターゲットに的確に届け、本市に関心を持ってもらうことで、アフターコロナにおける人の流れづくりにつなげていきたいと考えております。 大きな2の(2)の2回目、産業振興の課題に対する今後の方向性についてであります。 まず、新たな雇用を生み出すための取組としまして、引き続き、豊橋新城スマートインターチェンジ周辺での産業用地確保に向けた検討を県企業庁に相談をしながら着実に進めていくとともに、選ばれる産業拠点としていくためにも、道路や港湾機能強化など、インフラの整備についても、国や県など関係機関に強く働きかけてまいります。 また、イノベーション創出やスタートアップ支援においては、着実な事業化と社会実装を目指し、きめ細かな支援を継続的に行っていくことで、地域産業に変革をもたらす新技術や新事業を生み出してまいりたいと考えております。 さらに、産業人材の育成についてですが、これまでの取組に加え、企業と大学と協働しながら、この地域のニーズを捉えたリスキリングを中心とした学び直しの環境をつくってまいります。 最後に、産業人材の確保についてでありますが、設備投資や就労環境整備支援などを充実していくことで、働きやすい職場環境づくりを促していくとともに、若者などターゲットに応じた戦略的な情報発信に努め、本市産業の魅力を伝えてまいります。 大きな2の(3)2回目でありますが、ゼロカーボンシティの取り組みについて、現状と課題を踏まえた今後の取組でございます。 ゼロカーボンシティの実現に向けて、これまで以上に市民や事業者の皆様に意識改革や行動変容を促し、実際の行動に着実につなげていくためには、まず、市役所自身が牽引役としてゼロカーボンに積極的に取り組む姿勢を示し、そこから得られる環境負荷低減効果や、電気代削減効果などのメリットを、市民の皆様方へ分かりやすくお伝えしていくことが大変重要だと考えております。 また、市民や事業者の皆様からは、新たな設備導入へのコスト負担や、法的な規制がハードルとなって行動に移せないといった声もお聞きしておりますことから、ニーズに合わせた助成制度の拡充や障壁となっている規制の緩和を検討するなど、取組を後押しする環境整備も重要であると認識をしております。 さらには、脱炭素に向けた技術革新を目指す民間企業や大学の研究機関などとの連携を通じ、最新のノウハウや技術を活用した取組を協働して推進することも、高いハードルを越えていくためには不可欠であります。 こうして産学官民が一体となってゼロカーボンシティの実現に向けて取り組んでいける、そうした環境意識の高い持続可能なまちづくりを、行政が強いリーダーシップを発揮して今後も進めてまいります。 大きな2の(4)の2回目でありますが、採用困難職種である技術職の確保に向けた取組についてでございます。 本市ではこれまでも技術職の確保に向け、採用ガイダンスや職員との座談会、技術系大学等へのOB訪問、学生インターンシップなど様々な取組を行っており、これらの取組を強化し、また継続してまいります。 さらに、新たな取組として、本市技術職の魅力を伝えるPR動画と技術職に特化した採用パンフレットを作成いたしました。採用活動に活用することで、就職を控えた技術系の学生に市役所の技術職の業務内容や魅力を分かりやすく伝え、就職先の選択肢としてもらいたいと考えております。今年度実施をいたしましたとよはし公共建築学生チャレンジコンペティションも、市の技術職の魅力を伝える一助になりました。このような魅力的な事業ともうまく連携をし、情報発信を行ってまいります。 また、採用試験についても、昨年までの春、秋の2回実施に加え、夏にも実施し、受験の機会を増やすことで採用確保を目指してまいります。 以上でございます。 ◆芳賀裕崇議員 それぞれ2回目の質問に市長よりお答えをいただきましたので、3回目の質問に入らせていただきたいと思います。 持続可能なまちづくりの推進についてのアフターコロナでのチャンスを生かしたまちづくりの具体策についてでありますが、コロナをきっかけに、働き方や暮らし方に対する意識は変わりつつあり、若者を中心に地方への移住や二地域居住への関心が高まっていることから、移住・定住施策に積極的に取り組まれていくとのことであります。 先ほど述べました東京圏在住者の地方都市への移住・定住に関するアンケートによりますと、東三河地域が移住候補に入る可能性はあると回答をされた人の中で、移住先に関する情報収集先の意向として、第1位が自治体のウェブサイトで63.4%となっており、そして、移住や住んでみたい地域の検討に役立つ情報としては、第1位が住まいで67.4%、第2位が仕事・就労で65.7%、第3位が生活費で52%、第4位が同率で医療環境と先輩移住者の声で43.4%となっています。 これらのアンケート結果を踏まえて、まちの魅力を情報発信するために、新年度には広報戦略室を設置されるとのことですので、ターゲットに的確に届け、戦略的に発信し、移住者の獲得に努めていただくことに期待をしたいと思います。 次に、(2)産業振興における課題に対する今後の方向性についてであります。 新たな雇用を生み出すための豊橋新城スマートインターチェンジ周辺での産業用地の確保や、選ばれる産業拠点として道路や港湾のインフラ整備についても、国や県などの関係機関に強く働きかけていかれるとのことであります。また、イノベーション創出やスタートアップ支援においては、地域産業に変革をもたらす新技術や新事業を生み出していき、産業人材の育成については、学び直しとしてニーズを捉えたリスキリングの環境をつくられるとのことでございます。 人材の確保としては、設備投資や就労環境の整備とともに、若者をターゲットにした戦略的な情報発信を実施されていくようであります。今、特に製造業や建設業をはじめ、飲食業までの幅広い業種で人手不足という声をよく耳にします。コロナ禍から回復の足かせにもなっています。生産年齢人口減少の影響が如実に現れてきていると思います。 また、本市の多くを占める中小企業への政策の基本となる中小企業振興条例の策定についても、ぜひ検討をしていただきたいと思います。地域の産業振興のためには、現場主義で現場の声を聞き対応されることに期待をしたいと思います。 次に、(3)ゼロカーボンシティの取り組みについて、現状と課題を踏まえた今後の取組についてであります。 これまで以上に市民や事業者の皆様に意識改革や行動変容を促し、そのためには市役所自身が積極的に取り組む姿勢を示し、環境負荷の低減効果や電気代の削減効果などのメリットを分かりやすく伝えることが大変重要であるとのことです。これはごもっともだと思います。 本市においては、照明のLED化や民間の事業者に協力してもらい、市の施設への太陽光発電の設置を行っているなど、ゼロカーボンに取り組む姿勢をもっと市民に広くPRすることが必要であると思います。 また、ニーズに合わせた助成制度の拡充や障壁となっている規制の緩和を検討するなど、取組を後押しする環境の整備も必要であり、民間企業や大学などと連携し、最新のノウハウや技術の活用も考えられているようですので、ぜひ行政が強いリーダーシップを持って進めていただきたいと思います。 現在、民間の事業者に協力してもらい、市民館やライフポート、総合動植物公園の駐車場に太陽光発電が設置されるようになっていますが、まだまだ設置可能な施設としては小中学校の校舎があると思います。新川小学校を除き、多くの学校は5キロワットか10キロワットの発電設備が平成17年に国の補助により設置されていますが、パワーコンディショナーの故障も発生し、その修理に多くの予算も必要となっています。小中学校の屋上の面積を考えれば、一定規模の発電容量も確保できると思いますので、ぜひ検討をしていただきたいと思います。 市役所のゼロカーボンに向けたロードマップは調査・作成されているようでありますので、目標達成に向けた進捗管理と施策の取組を実行していただきたいと思います。 次に、(4)組織・人事の在り方についての採用困難職種である技術職の確保に向けた取組についてであります。 技術職を確保するために、新たな取組としてPR動画や技術職に特化した採用パンフレットを作成し、市役所の技術職の業務内容を分かりやすく伝えるような取組も行われるとのことであります。確かに市役所での技術職の業務内容が民間の企業と比較すると分かりづらいかもしれませんので、有効な方法だと思われます。 また、採用試験も、春、秋に加え、夏にも実施することで、採用の機会を増やし人材確保をされていくとのことでありますので、技術職の採用が予定どおりできることに期待をしたいと思います。 しかし、ものづくり愛知では、特に技術職を必要とする一方で、技術職を育成するための高校などが少なく、求人とのバランスが取れていないと思います。工科高校や専門学校等の人数を増やせばよいと思われるかもしれませんが、そこには専門技術を生徒に教える教職員の数が確保できないという問題もあります。高校の件については県になりますので、知事がものづくりのまち愛知と常々言われておりますので、ものづくりのまち愛知が持続できるような取組ができるように、人材の育成に対しても強く要望していきたいと思います。 これまで持続可能なまちづくりに向けて、アフターコロナ、産業振興、ゼロカーボン、組織・人事など御答弁をいただきました。これらの内容を踏まえた持続可能なまちとするために、本市が選ばれるまちとなるために、市長のまちづくりの思いについて、3回目の質問としてお伺いをしたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ◎浅井由崇市長 大きな2の(1)から(4)の3回目ということだと思います。市長のまちづくりへの思いについてということであります。 私は、豊橋市が選ばれるまちになるためには、人づくりと、それから地域産業の活性化、そしてインフラの整備、さらには広域連携と、これが特に重要であると考えておりまして、先ほどお答えをいたしましたプロジェクトでありますとか、各事業を様々に展開してまいりました。中でも各プロジェクトにつきましては、部局横断で、そして様々な視点から検討をしてスピード感を持って取り組んできておるところであります。 昨年の末に日本経済新聞社などが実施をした共働き子育てしやすい街ランキング2022において、全国3位の評価をいただくなど、一定の成果を感じるところではありますけれども、今後も果敢にこの挑戦を続けて、さらなる成果につなげていきたいというように考えております。 また、私たちはやはりコロナ禍というものを経験して、そしてまた、その経験を経て、デジタル化の加速度的な進展等による新たな社会の到来を迎えようとしているというように思います。先が非常に見通しづらい社会において、新たな価値を創造し、社会的課題に立ち向かうためには、やはり官と民、それから国や県、さらにはそれぞれの自治体との間にある壁を、やはりしっかり対話を積み重ねることによって乗り越えて、各主体と緊密に連携することも大変重要だというように思っております。 そして、全ての施策に共通して言えるのは、実際に暮らす市民の目線に立って、どうすれば本当の意味で市民の生活が豊かになっていくのかを見極めて、市民の意見をしっかりと伺いながら実行すべきであるということであります。 従来の枠組みにとらわれることなく、市民の幸せを常に追い求めて、豊橋市が多くの方に選ばれるまちとなるように、粘り強く取り組んでまいりたいと思います。 以上です。 ◆芳賀裕崇議員 3回目の質問に市長よりお答えをいただきました。 ぜひお答えいただいたとおり、市民の目線に立ち、市民の意見を取り入れ、市民の幸福を常に追い求め、豊橋市が選ばれるまちとなることに大いに期待をしたいと思います。 私は今期をもって5期20年務めた議員生活を区切りにしますが、今後は次なるステージで、微力ではありますが市政発展のために協力できればと思っています。これまでお世話になった皆様に感謝申し上げ、質問を終わりとさせていただきます。ありがとうございました。----------------------------------- ○堀田伸一議長 次に、斎藤 啓議員。     〔斎藤 啓議員登壇〕 ◆斎藤啓議員 日本共産党豊橋市議団を代表して、一問一答方式にてこの3月定例会の代表質問を行います。 まず、大きな1として、新年度の事業についてです。浅井市長の予算大綱説明も踏まえて、新年度の予算に関わる幾つかの事柄についてお伺いをしていきたいと思います。 来る2023年度は、長引く新型コロナウイルス感染症の蔓延状況がいまだ抜け出たとは言えない深刻な状況の中での年度明けだと判断をしています。政府は5月より従来の2類感染症から5類感染症へと切り替える方針を発表しておりますが、新型コロナウイルス感染症は突然変異によって新たに強力な感染力や毒性の強化、あるいは市民の皆さんが得つつある抗体が機能しない、そうした変異を及ぼすに至る可能性が拭えません。 現在、感染力の拡大の中で、軽症者が増えている一方で死亡者も増えるという状況が生まれています。この先、感染が終息に向かうという根拠ははっきりはありませんで、次の波についても引き続いて警戒を持つべき状況にあることは間違いないと思います。そのためには、病床の確保、外来窓口の増強、高齢者施設への支援など感染の拡大を防ぐための対策や保健医療の体制などをしっかり確保する責任が政治の側にあると考えています。 片や国民生活においては40年ぶりという異常な物価高騰が暮らしと経済を直撃しています。とりわけ深刻なのは、働く人の賃金が上がらない、経済も停滞しているのに物価のみが上昇するという、戦後の経済でもかつてなかった異常事態が続いていることにあります。根底には、国の経済政策の失敗、異次元の金融緩和、構造的な貿易赤字、新自由主義による賃金の抑制路線などがこうした事態の根底にあると考えています。 私ども日本共産党は、こうした行動そのものを転換し、中小企業支援と併せての賃金上昇策を取る経済政策を訴えてきました。国会においては、敵基地攻撃能力などの閣議決定を受け、大軍拡を含んだ国予算に明確に反対をし、暮らしや地域経済の充実を求めているところであります。 こうした社会情勢の下での豊橋市の新年度の予算編成ですが、新年度予算案には、これまで日本共産党豊橋市議団として市民と共に実現の働きかけをしてきた事柄や、予算要望の中で重点要求として上げてきたことが幾つか予算として計上されています。子ども医療費の補助の対象拡大、給食費の補助の継続、保育料の負担軽減、市民病院の選定療養費の取扱いなどです。 市長は予算大綱説明で、まちづくりの土台が人づくりにあるとして、豊橋の未来を形づくっていく子どもや若者の学びの環境を整えることと子育て世帯への支援の充実に取り組んできたこと、また、そのほかにも産業振興や都市基盤整備、広域の連携などの取組について触れておりました。その上で新年度の予算に向けて、第6次豊橋市総合計画の分野別計画に基づいた取組を予算計上されています。 今回の代表質問では、その中で私ども日本共産党豊橋市議団として特徴的と見ている子育ての問題、教育の問題、そして高齢者の問題について取り上げて伺いたいと思います。 子育て分野は、市長が就任以来一貫して重視をしている分野と考えています。重点の第1分野、豊かな人間性を備え、未来を創る人が育つまちにおいては、新規の事業が多く盛り込まれています。 そこで、これらの事業に取り組む背景となった市民生活、とりわけ子育て世代の御家庭の現状と課題をどのように捉えているか、(1)として、子育て世代の現状と対応についてお伺いをします。 同じく、学校教育の推進、充実について、新規事業としてのエールームの設置やコミュニティ・スクールの導入、学校と企業のパートナー制度、ヤングケアラーの対応やスクールソーシャルワーカーの増員などが予算にも盛り込まれています。学校と子どもを取り巻く課題をどのように捉えて新年度の事業の展開となったのか、(2)として、学校と子どもを取り巻く課題認識についてお伺いをいたします。 こうした子育てや子どもに関わる施策の充実が進む一方で、新年度の予算では高齢者向けの施策が決定的に薄いと感じています。医療体制や介護、あるいは高齢者の皆さんの日常の生活の支援、経済状況などをどのように見ているのか、(3)として、高齢者の生活実態への課題認識と新年度の事業についてお伺いをいたします。 続きまして、大きな2として、市の進める多目的屋内施設について、お伺いをいたします。 既に今定例会では2月27日の第1日目に、豊橋公園への多目的屋内施設(新アリーナ)建設の賛否を問う住民投票条例の制定についてが議題となり、住民投票を願う市民の取組を受けて議論があったところです。 住民投票条例案については議会で賛成少数で否決をされておりますが、傍聴に駆けつけた市民の方々の人数と熱気を見ても、市民の皆さんの関心が大変高い事柄であろうかと思います。市民の間からは、この間の経過を振り返っても、市民の意思を確かめたとは言えない。とりわけ昨年5月30日の記者会見で突然の発表、豊橋公園への建設となった、なぜなのかとの疑問の声が今でも寄せられます。条例案に反対をした会派の皆さんも、市の説明が十分ではなかったのではということを指摘しておりました。私は、今回の質問の中で、なぜ浅井市長が選挙時の当初の考えを変えて豊橋公園での建設に立ち至ったのかということについて、その背景を掘り下げていきたいと考えています。 既に様々な資料などから、部内の検討では、豊橋公園を建設予定地とするということについて、一昨年の夏過ぎには視野に入れていたのではということも指摘をされています。しかし、何より決定的なのは、一昨年12月定例会の補正予算で実施をされた多目的屋内施設関連市場調査とその報告書によってです。市民にではなく、民間事業者に市場調査を行って意向を確かめたこの市場調査の結果こそが、私ども日本共産党は、今計画されている多目的屋内施設が市民の願いとかけ離れたものになってしまっており、このままの計画の推進は到底認め難いとする最大の理由であるということも浮き彫りにしていきたいと考えています。 そのキーワードは、一つは国のスタジアム・アリーナ改革について、二つ目のキーワードは県体育館のサテライトについて、そして三つ目のキーワードはPFI方式による民間企業の力を使った建設と管理や運営の手法についてです。いずれにも共通しているのは、多目的屋内施設が市民のスポーツの場としての体育施設ではなく、たくさんの集客をもって収益力を発揮して経済効果を発揮していく、そういうイベントを行うための、いわゆる箱物としてのアリーナと位置づけるその方向性についてです。 そこで、(1)として、本市の多目的屋内施設の整備についてのスポーツ庁の「スタジアム・アリーナ改革」との関わりについて伺います。 2点目に(2)として、愛知県新体育館のサテライトとしての位置付けについてお伺いをします。 3点目として、(3)PFI手法を取り入れることのメリット・デメリットに対する市の認識についてお伺いをいたします。 以上、1回目の質問とさせていただきます。 ◎浅井由崇市長 日本共産党豊橋市議団、斎藤 啓議員の御質問にお答えをいたします。 まず、大きな1の(1)子育て世代の現状と対応についてでございますが、物価高騰をはじめとする不透明な経済情勢の中、子育て世代を取り巻く現状は依然として厳しく、また、長く続くコロナ禍により人と人とのつながりや交流が少なくなることで孤立感や負担感が増している状況にあります。 こうした現状に対応するため、経済的な支援といたしましては、物価高騰分を含めて小中学校の給食を継続して無償提供するとともに、児童手当の対象外となる高校生世代への医療費助成を拡大することで経済的な不安が軽減できるよう、子育て世帯をしっかりと支えてまいります。また、孤立感や負担感の高まりを防ぐため、出産・子育て応援給付金に併せて、妊娠期から出産・子育てまでの伴走型の相談支援を行ってまいります。 さらに、家庭内の問題として表面化しづらいヤングケアラーについても、愛知県内のモデルとして選ばれた本市の支援事業を着実に進めるとともに、学校をはじめとした様々な関係機関と連携してケアをしていくなど、誰一人取り残すことがないよう対応をしてまいります。 今後も経済的な支援ときめ細やかな支援を一体的に行うことにより、安心して出産・子育てできる環境のさらなる充実を図りながら、子育てに優しいまちづくりを全力で進めてまいります。 大きな1の(3)高齢者の生活実態への課題認識と新年度の事業についてでございます。 長引くコロナ禍や物価高騰の影響により、特に年金のみで生活されている高齢者の暮らしは、大変厳しいものがあると認識をしています。そうした状況においても、今年度は、生活困窮世帯等にコロナ禍以降4回目となる給付金を迅速に交付し、必要な方へ必要な支援を行いました。 新年度の高齢者部門の予算につきましては、今年度の当初予算と比較し1億円以上を増額しているところであります。その新年度予算において重視した点といたしましては、高齢者の孤立化対策の推進をはじめ、高齢者の抱える多様な課題に適切に対応するための相談体制の強化、及び健康寿命の延伸を目指した介護予防やフレイル予防であり、こうした事業に力を入れた予算編成を行っています。高齢者数は今後もしばらくは増加し続ける見込みであることから、地域包括ケアシステムの一層の深化、これは深めるということでありますが、そして、推進を図り、全ての高齢者が地域で安心して暮らせるよう支援をしてまいります。 大きな2の(1)スポーツ庁の「スタジアム・アリーナ改革」との関わりについてでございます。 国は、平成28年に公表したスタジアム・アリーナ改革指針において、多様な世代が集う交流拠点として地域活性化の起爆剤となり得るスタジアム・アリーナの潜在力を最大限に発揮することが、スポーツの成長産業化には不可欠としています。 改革の具体的な目標として、2025年までに20か所のスタジアム・アリーナの実現を目指し、まちのにぎわい創出、地域の活性化、スポーツ機会の増加などによる地域の持続的成長やスタジアム・アリーナを核とした官民による新しい公益の発現を図ることを掲げています。 加えて、昨年6月には内閣府がPPP/PFI推進アクションプランを改訂し、スタジアム・アリーナ等のスポーツ施設におけるBTコンセッションの活用拡大に向けた取組を行うことを明らかにするなど、スタジアム・アリーナ改革をさらに進める具体的な施策の姿が見え出してきています。一方、本市の多目的屋内施設の検討においては、改めてゼロベースで整理し直す中で、総合体育館の老朽化や過密化といった状況や防災活動拠点としての活用、まちのにぎわい創出といった観点で整備の検討を進めているところであります。こうした本市の方向性は、現在の国のスタジアム・アリーナ改革の方向性とも一致をしており、国の方針を踏まえながら、本市のアリーナ整備を進めていきたいと考えております。 大きな2の(2)愛知県新体育館のサテライトとしての位置付けについてでございます。 愛知県の新体育館と本市の多目的屋内施設がスポーツ大会やイベントを連携しながら開催することで、相乗効果をもたらし、にぎわいの拠点として本市の発展、さらには東三河地域の振興にもつながるものと認識をしています。そのため、県の新体育館でイベントが行われる際に、本市の多目的屋内施設との連携が可能となるような仕組みを県と協議をしているところであります。 具体的な連携内容としては、例えば県の新体育館で開催するプロスポーツやコンサートなどのイベントの共同開催やICT技術を活用した同時配信、パブリックビューイングなどを想定しております。 大きな2の(3)PFI手法を取り入れることのメリット・デメリットに対する市の認識についてでございます。 PFI手法の中でも様々な方式がございますが、一般的なメリットといたしましては、民間事業者の資金やノウハウを幅広く活用することができることから、本市の財政負担の軽減につながるとともに、社会環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるサービスの提供を実現するということが挙げられます。その一方で、デメリットといたしましては、民間事業者に幅広い業務を任せることになるため、行政がこれまで以上に民間の業務状況を把握し、適切なモニタリングを行う必要があるとともに、長期契約となることが一般的であるため、将来の社会情勢の変動などを見通しにくいということが挙げられます。 以上でございます。 ◎山西正泰教育長 大きい1の新年度の予算と諸事業についてのうち、(2)の学校と子どもを取り巻く課題認識につきましては、私からお答えをさせていただきます。 本市の教育行政の一般方針において、目指す人物像を共生の意識を高め、自らの道を自分らしく歩む人と掲げております。相手を思いやる共生の心を大切にしながら、自己を確立し、夢や目標に向かって学び、考え、自らの道を自分らしく歩むことができる人の育成を目指し、これまで様々な施策を展開してまいりました。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、地域での行事も含め、様々な活動が制約をされ、子どもたちの成長にとって必要不可欠な人と人との関わりの機会が少なくなりました。これが要因の一つとなり、学校へ通いづらさを感じるなど、様々な不安を抱える子どもが増えております。 さらには、新たな生活様式の浸透や想定以上に進んでいる少子化など、子どもたちや学校、地域を取り巻く環境は大きく変化し、多様化していることへの対応が課題であると認識をしております。 こうした子どもたちや学校を取り巻く多様化する課題の解決に向け、子どもたち一人一人に寄り添ったきめ細かな支援の充実や、その子らしさを認め、受け入れ、意欲を引き出すことができる環境づくりを進めてまいります。加えまして、学校と保護者、地域住民が連携をした学校運営を進めるなど、地域と共にある学校づくりを推進してまいります。 以上であります。 ◆斎藤啓議員 それでは、答弁を受けて質問を続けていきたいと思います。 子育て世代の現状と対応について、お答えをいただきました。 物価高騰をはじめとする不透明な経済状況の中で子育て世代の現状は依然厳しいものがあるということ、そして、人と人とのつながりや交流が少なくなることで孤立感や負担感が増している状況にあるという認識でした。給食費の無償化の継続、医療費の助成で経済的な支援を行うことと、孤立感や負担感の高まりを防ぐため、出産・子育て応援給付金に併せて伴走型の相談支援を行うことなどを新年度の事業として提案をしているということでした。 私の周りで耳に入ってくる子育て世代の皆さん方に共通するのは、やはり今の瞬間は経済的な困難や不安が強くあるということなのです。大体今どきの子育て世代の御両親は共働きが前提で、経済的には長期的にも不安定、つまり短期の仕事を次々に入れていかなければいけないという状況で暮らしている方もたくさんいらっしゃいます。ましてや独り親家庭という状況になってきますと、ますます雇用が不安定。1回正社員で働いている状況ではなくなってから、ある程度の年齢になってから正社員でずっと雇ってもらえる条件というのは、今、本当に今日の社会経済の状況ではなくなってきているわけですので、そうした子育て世代の経済環境なども振り返ってみると、今回の給付、とりわけ現物の給付や支給が様々拡充をされているという予算案のその部分については、大いに歓迎をしたいと思います。 同時に、年度年度で、今年はこういうのをやってみますよということだけではなくて、やはり継続的に先の見通しを持って支えていけるような仕組みということについても強く求められているということも指摘をしたいと思います。給食費の無償化などの制度面やココエールや保健所、地域などと連携した相談の窓口や、アウトリーチでSOSを出せない御家庭にしっかりと支援の手を伸ばしていくということ、それによって困難を抱えた御家庭を見逃してしまうことがないような丁寧な取組が求められているところだと考えています。 そうした観点からの具体的な事業実施の中での取組がどのような状況になっているかということについては、予算特別委員会の審査の中で見ていきたいと考えています。 続いて、(2)の学校と子どもを取り巻く課題認識についてであります。 教育行政の一般方針として持っていた共生の意識を高め、自らの道を自分らしく歩む人を育てていくということが、新型コロナウイルス感染症の影響で、地域の行事をはじめ、様々な活動に制約があって、人と人との関わりの機会が少なくなっていること。それも要因の一つとなって、学校への通いづらさを感じているなど不安を抱える子どもが増えているということ。さらに、新たな生活様式や少子化などによって、子どもたちや学校、地域を取り巻く環境全体が変化をし、多様化していることへの対応が課題だということでありました。 これらの課題認識は私が感じている問題意識と共通のものがあると思っています。コロナ禍もこれで4年目ということになりますけれども、子どもたちが、人との接触を避けてもらわなければいけませんという状況の中で、年代を超えた人とのやり取りや様々な体験をする機会が極端に少なくなったという状況をずっと経てきました。マスクで相手の表情をつかみにくいことも子どもの発達に影響があるのではという指摘も社会的にもあったわけですが、全体として、コロナの対策ということで、例えば、給食の時間に友達と話をしながら、これ、おいしいねと、そういう本当に自然に行われていたような子どもたちの日常生活が困難になってきたことが、学校生活、家庭の生活、いずれにおいても子どもたちにとってストレスが多い状況だったということは間違いないと思います。 現場の教職員の皆さんが、そうした様々な制約の下でも、子どもたちに様々な体験、経験をさせていきたいという努力を図ってくださっているということは十分認識もしておりますけれども、それでもなお、全国で増加傾向が止まらない不登校の児童生徒の数であったりだとか、先般発表された厚生労働省の子どもの自殺数も、残念ながら過去最高という数字であったわけです。こうした現場の抱える、とりわけ子どもの抱える様々なストレスにしっかりと寄り添った対応が来年度においても求められていると感じています。 多様化する課題の解決、子どもに寄り添った支援、その子らしさを認め、受け入れ、意欲を引き出す環境や、学校、保護者、地域住民の連携などに取り組まれるということでありましたけれども、こちらも事業ベースの話になりますので、予算特別委員会の中でコロナ禍の拘束から一歩を踏み出したことも含めて、取組について聞いていきたいと思います。 また、教育分野においては、人の体制も含めて充実が図られていく必要があるというように思っていますので、来年度の予算の中での取組についても、また議論をしていきたいと思っています。 次に、三つ目の高齢者の生活実態への課題認識と新年度の事業についてであります。 コロナ禍や物価高による高齢者をめぐる環境の厳しさは、あらゆる年代の中でも最も厳しくのしかかっているであろうということは、これは言うまでもないと思うんです。大体御高齢の皆さんというのは年金暮らしで、収入を増やすすべというのを自分で独自に持っているということは、やはり決して多くはありません。そうした状況の中で、高齢であるがゆえに、例えば基礎疾患をお持ちである方々は、コロナの感染に対する恐怖、不安というのも大変強くあったりだとか、様々なそういう高齢者ならではの抱えている問題があると思うのです。 しかし豊橋は、この間の高齢者向けの施策については、公共交通に乗るための様々な補助に所得制限が導入をされていたり、来年で言いますと、来年度の予算では敬老祝金の支給について、これもまたさらに少なくなっていくという状況になっています。 豊橋は、人口は減っておりますが、世帯数は増えています。単身の高齢者、あるいは高齢夫婦のみの世帯なども、今多くなっています。答弁には新年度の予算で増額になったということもありましたけれども、大きくは、やはり高齢者そのものが増えているという状況の中で、社会保障費、あるいは扶助費の自然増によるものというのも当然多くあると思います。そうした状況を言いますと、直接の財政的な支援をあまねく高齢者にお渡しをするということがなかなか厳しくなっているというのは、これははっきりはしておるんですが、豊橋というその社会全体の中で、高齢者を独りぼっちにしないような地域の居場所づくり、買物難民などを生み出さないような生活圏をどう確立していくか。 高齢者の交通権を保障し、どこに住んでいても、自分が行かなければならない必要なところに足を運ぶことができるような地域交通の充実であるだとか、コロナ禍の下でも命と健康を守る医療や保健の環境が整備されていること、年を取っても安心して暮らせる介護をはじめとする社会保障制度がハード面でもソフト面でも充実をしていることなど、こうした観点からの施策がどこまでできているかが問われているのだろうなというように感じます。誰もがいつか行く道として、老後の不安のない希望を持てる豊橋市をつくるという、そういうビジョンを描いてのハード・ソフトの充実ということが、この先強く求められていると考えています。 こちらも新年度の事業でそうした取組がどこまで充実されているのか、あるいは足りないことがあるのか、こういう議論は予算特別委員会審査の全体の中で確かめていきたいと思っています。 大きな1については2回目を予算特別委員会審査の中に回すことにして、大きな二つ目の問題について踏み込んで聞いていきたいと思います。 スタジアム・アリーナ改革については、御答弁では、地域活性化の起爆剤となり得るスタジアム・アリーナの潜在力を最大限に発揮することが、スポーツの成長産業化に不可欠。まちのにぎわい創出、地域の活性化、スポーツ機会の増加による地域の持続的成長、新しい公益の発現を図ると、こういうことが答弁の中で言われておりました。 2018年にスポーツ庁と経済産業省がスタジアム・アリーナ改革ガイドブック〈第2版〉というものを発表しています。今、御答弁の中で触れていたようなことが、もう少し長くなりますけれども、中身に書いてあることを読み上げたいと思います。 「観るスポーツ」のためのスタジアム・アリーナは、定期的に数千人、数万人の人々を集める集客施設であり、飲食、宿泊、観光等周辺産業へ経済波及効果を生みだす地域活性化の起爆剤となる潜在力の高い基盤施設であると表現されているのです。さらに、スポーツの成長産業化を妨げている可能性のある、スポーツ施設に対する固定観念や前例主義等に関してマインドチェンジを促すとともに、地方公共団体やスポーツチーム等の責務、民間資金導入をはじめとする民間活用の在り方等を明確化し、もってスタジアム・アリーナを核とした官民による新しい公益の発現の在り方を提示すると、こういう表現なのです。 さらに、スマート・ベニューという考え方を入れておりまして、スマート・ベニューとは、周辺のエリアマネジメントを含む、複合的な機能を組み合わせたサステナブルな交流施設と、ちょっと1回読んでも何のことか分からないと思うのですけれども、その中でのキーワードに、多機能複合型、民間活力導入、街なか立地、収益力向上をキーワードとする、このように書いてあるのです。まさに豊橋の多目的屋内施設の目指している方向そのものなのです。 そして、この第2版には、前市長時代の豊橋の新アリーナ構想がスタジアム・アリーナに関する計画策定の例として紹介をされているわけなのです。今度の豊橋の新アリーナも、まさにこのスタジアム・アリーナ改革の方針に沿ったものとして考えられているということになるかと思うわけです。 そこで、2回目として、スタジアム・アリーナ改革に沿うことで、豊橋市としてはどういうメリットがあるということなのかをお伺いしたいと思います。 ◎田中久雄文化・スポーツ部長 国はスタジアム・アリーナ改革を進めるため、スタジアム・アリーナのPFIコンセッション方式での整備を積極的に進める方針を打ち出しており、スポーツ庁をはじめ関係省庁の連携の下、財政支援制度を重点的に措置するなど、整備に取り組む自治体を積極的に支援することとしております。 本市の多目的屋内施設の整備におきましても、こうした国の目指すアリーナ整備の方針、また、それに伴って拡充が図られる補助メニューに合致することとなれば、整備費等に関する国からの財政支援を受けやすくなるというメリットがあると考えております。 以上です。 ◆斎藤啓議員 国のこうした方針と豊橋の新アリーナの整備ということが重なっていく状況があれば、国の財政支援がメニューごとに受けられる、そういうことがメリットということで考えられているというわけです。 それは、やはり、ではこのアリーナが豊橋市民にとってどういうものとして整備をされていくことになるのですかということと当然重なってくるわけです。もっと踏み込んで言うと、市民の皆さんが望んでいるものがそこに合致をしているのですかということが問われてくるのではないかと思うわけです。 現在、コロナ禍の下で、人の集い方というものに大きな変化が生まれています。人々の生活様式も多きく変化をして、買物をするのも楽しむのも在宅でという流れが大きく強まりました。先ほども指摘した異常な物価高というような状況もある中で、旅行も少しずつ、今増えてはきているというようには言われておりますが、アリーナのような施設を造れば、人が寄り、地域経済に貢献できるということが、この先長きにわたって見渡せる、見通しができるとはなかなか言えない状況なのではないかということを指摘したいと思うわけです。 国も事例としていた前市長の計画の破綻が、なぜあれが失敗するのかと。失敗したといいますか、計画としては止まってしまったのかと。このことについては幾つかの説明がこの間もあったように思うのですけれども、結局、アリーナというものを造って、イベントをやって運営するという可能性を、あのときの企業が見限ったのではないかという見方もあるわけですが、市としてはその辺の認識をどのように考えているかお伺いしたいと思います。 ◎田中久雄文化・スポーツ部長 新型コロナウイルス感染症対策は、国が定める基本的対処方針が一部変更され、3月13日以降のイベント開催における感染防止対策の見直しが行われております。それに合わせて、様々なスポーツイベントにおきましても、適切な感染対策を前提に、参加人数の上限緩和や声出し応援の解禁といった動きがあり、スタジアム・アリーナには徐々に観客が戻り始めております。 こうした動きを踏まえ、本市といたしましては、プロスポーツや音楽コンサートなど魅力あるイベントを多目的屋内施設で開催することで、市内はもとより、市外あるいは県外からの誘客により、まちのにぎわい創出につなげていきたいと考えております。 以上です。 ◆斎藤啓議員 前回の計画の破綻ということには触れられなかったのですけれども、この先のスタジアム・アリーナについては、徐々に観客が戻ってきていて、まちのにぎわい創出につなげていきたいとの回答でした。 しかし、この後、改めてそのことも確認していきますけれども、何しろ30年程度の長きにわたって、そうした運営を続けていってもらうという話なのです。民間企業が可能性があるよと言っても、それが果たしてうまくいくのかどうかという保証は、私は率直に言って、今、見通せるとは言えないのではないかと思います。 そうした国のスタジアム・アリーナ改革という大きな流れが本当に、それが成功する所ももちろんあるかも分かりません。けれども、この豊橋できちんとそれが成り立つのかどうかということについては、しっかり見極めていかなければならないのではないかということを指摘したいと思います。 続いて、(2)愛知県新体育館のサテライトとしての位置付けについて、2回目にお伺いをしていきたいと思います。 県の体育館は、既にコンセッション方式で運営をするということで、企業も既に決まっているわけです。サテライトの位置づけについて、答弁では、スポーツ大会やイベントを連携しながら取り組むことでにぎわいにつなげていきたいのだということで言っておりました。ですので、県の新体育館でイベントが行われるときに豊橋でも連携がどう取れるかということを、そのような仕組みを今は県と協議しているということでございました。 しかし、運営権を持っているコンセッション方式の愛知県新体育館が既にそういう方向でいて、豊橋も、まだ何も発表されておりませんが、基本計画の中ではコンセッション方式を検討するということで話が進んでいる、検討をしているということだそうです。すると、市と県の関係、県新体育館の運営権を持つ民間企業と豊橋市のアリーナの、これはどういう方式か決まっていませんが、運営あるいは管理をする企業との仕組みの中でどういう連携を取ることを想定しているのかをお伺いしたいと思います。 ◎田中久雄文化・スポーツ部長 基本的には民間同士それぞれの運営事業者が連携することで、いずれのアリーナの運営においても魅力を高め、稼働率を向上させていくことを想定しておりますが、市としても、その後押しをしていきたいと、こういうように考えております。 そのため、こうした連携に積極的に取り組むことのできる環境をいかに整えるか、環境整備について県と協議していきたいと考えております。 以上です。 ◆斎藤啓議員 民間同士の運営事業者が連携をすることで、そうした取組、イベントを考えるのは、基本的にはコンセッション方式で運営会社が行うということが基本になろうかと思いますので、そういうことになると思うのです。しかし、豊橋で民間企業の募集をかけるのは、今後、基本計画ができて、要求水準書が出来上がってきて、その後募集をかけていくという状況になるわけです。この連携を取りやすいという条件が豊橋の新アリーナの選定の中の条件に入ってきて評価をされる、そういうことになると、例えば一般競争入札・総合方式などで点数が加算をされる場合に、連携を取りやすい企業、もっとずばり言ってしまうと、県の運営企業との関係を深めやすい企業が来やすい、参入しやすい、そういう状況がつくられ、民間企業の公平な競争を妨げるようなことが起こりはしないのかということも考えられるわけです。そうした企業が有利になるような状況があってはいけないと思いますが、市としての認識をお伺いしたいと思います。 ◎田中久雄文化・スポーツ部長 民間事業者の募集方法や選定基準につきましては、基本計画の策定や要求水準書等の作成後に改めて検討することとなりますが、議員御指摘のとおり、特定の企業が有利にならないよう、業者選定時の評価の観点や配点割合について公平性を担保していく必要があると認識しております。 以上です。 ◆斎藤啓議員 豊橋で今後、民間企業の募集をかける際に、こうしたことの取組が問われてくるだろうなというように思うわけです。 愛知県新体育館は、今、Aichi Smart Arenaグループというところが持っておりまして、維持管理は株式会社NTTドコモが中心の企業となって運営をされているという状況にあります。私どもはアリーナそのものに今反対という立場、このままのアリーナには反対という立場でございますが、サテライトという関係で運営するに当たって、入札の方式だけではなく、そもそもどこかぽんと一つだけということにならずに、多様な企業の参入の余地が当然残されていなければならないと思いますし、そこは今後の成り行きをしっかり見ていく必要があろうかと考えています。 続いて、(3)についてお伺いをしていきたいと思います。PFI手法についてです。 PFI手法ということについて、議場にいらっしゃる皆さんはよくお分かりになっていることと思いますけれども、釈迦に説法になってはごめんなさいなのですが、PFIとは、Private Finance Initiativeの略です。1999年に国が定めた民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法と呼ばれる法律ですが、これによって公共施設の建設に当たって、民間企業の主導で企画や資金調達を行っていくという手法です。 その特徴は、公共施設の建設費を地方債などの公共の資金、公的な資金のみではなくて、民間金融機関などの資金を用いることができるようになっていくこと、さらには、仕様の発注から性能発注に変わるところにあると。こういう建物を造ってくださいではなくて、こういうことができる建物を造ってくださいというイメージですが、そういうように変わるとされています。 御答弁ではPFI手法のメリットとして民間の資金やノウハウを幅広く活用できるということ、社会環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるサービスの提供を実現できるとのことでした。デメリットは、民間の業務状況への行政のモニタリングの必要性、それから、長期の契約となる中での将来の社会情勢の変動を見通しにくいということを触れられておりました。 PFI方式のメリットである民間の資金の活用ということでありますが、全国の様々なPFIの事例を分析していくと、現在、原材料のコスト高の下で、その原材料の調達費というのは民間であろうと公共であろうと大きく変わることはないわけです。また、資金の調達のための利息を考えると、当然、民間企業の金融機関の利子と公共の起債の利子というのは、公共の起債のほうが低くなる傾向があるわけです。 さらに、民間企業は、その企業の利益も確保しなければなりません。そのため、民間による経費の削減効果ということが、今日、PFIで無条件に確保されているような状況ではないのです。そのため民間企業は、維持管理における人件費で自らの収益も確保しつつ価格を下げていくということにならざるを得ません。そのことは施設の運営面では住民サービスの質の低下、あるいは地元の雇用の創出というけれども非正規ばかりですよねと、こういうような全体ではマイナス、デメリットとなるような要素も含まれているわけです。 また、社会環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるサービスというのは、デメリットで言っているところの社会情勢の変動などを見通しにくいということと表裏一体の関係になるのではないでしょうか。民間企業の柔軟性が発揮されることを期待していたとしても、その企業との付き合いが30年なりの長期にわたるわけです。何か企業を入れ替えて、より有利な、あるいはよりよい事業提案をしてきた事業者に入れ替えますというようにならない。それがPFI手法の大きな問題点だと思うわけです。 ある企業1社との長期の関係を持つ、それもアリーナの管理とコンセッションということを選択した場合は、単なる施設の管理、受付とかの業務、あるいは簡単な修繕とかをやってもらうという関係だけではなくて、その中でやる様々なイベントや企画の運営全体を1社にお願いするという関係になっていくわけです。それは、あまりにも硬直した、大変な状況になってしまうのではないかと思うわけです。 デメリットで言う民間の業務状態のモニタリングの必要性というのは、そうした1社と長く関わっていくということとも関係しています。東京オリンピックをめぐる委託業務の中で、汚職と談合が蔓延をしていたということが、今社会的に大問題になっています。委託する仕事の積算なども委託先の設定がブラックボックスで、行政が積算されたお金、これの中身が何なのかと言っても中身が見えないということにもなりかねないわけです。民間企業を挟むということについては、行政の側が、もちろん良心的な、真っ当な業者がほとんどだと思いますけれども、それをチェックする力は、間違いなく自治体側は持っていなければならない。これはどうしても避けられないわけなのです。 ほかにもPFI方式については、事業者の経営破綻のリスクがあること、事故後の損失があった場合の事業者と行政の負担の問題があることなどのデメリットも指摘をされています。内閣府もPFIの失敗事例を挙げて紹介をしています。豊橋市として、これらのPFIの失敗事例について、どのように評価をしているかを伺いたいと思います。 ◎田中久雄文化・スポーツ部長 1999年のPFI法施行から20年以上が経過し、全国で数多くのPFI事業が進められていますが、その中には何らかのトラブルにより事業の中止や契約解除に至った事例があることは承知しております。それらの事例については、社会経済環境の変化やリスクマネジメント不足などトラブルの要因や課題は様々ですが、事例ごとに要因や課題が検証され、対応策が整理されていることから、本市におきましても、こうした失敗事例から得られた教訓を生かした取組を進めていきたいと、そのように思っております。 以上です。 ◆斎藤啓議員 少し時間がなくなってきたので、少し飛ばしていきたいと思いますけれども、この先の30年、今決まったわけではありませんけれども、一定の長期にわたって事業としてやっていくということになっていきますと、このリスク、施設の管理の範囲で済まない様々なリスクもあるでしょうし、あるいはBリーグを収益の一つとして位置づけるというような問題もあるわけです。こうした長きにわたっての、とりわけ収益を見ていかなければいけないということについてのリスクの考え方を市としてどのように考えているか、お伺いしたいと思います。 ◎田中久雄文化・スポーツ部長 豊橋市の多目的屋内施設においては、三遠ネオフェニックス、Bリーグの収益を一定想定しております。長期間安定した施設運営を行うためには、そのほかのプロスポーツ利用や音楽コンサート、MICE利用といった貸館収入も見込む必要があると認識しております。このため、そうした利用に応える機能を施設に持たせ、施設利用者にとって魅力ある施設となるよう整備を図るとともに、これまで以上に積極的なイベント誘致にも取り組むことが行政並びに運営事業者に求められると考えており、そうした知見や能力がある事業者との連携が必要になると認識しております。 ◆斎藤啓議員 1者と30年近くの長きにわたっての契約というところで、そこに何らかの民間企業に対する期待感を持って当たらなければならないということに結局なってしまうのです。それは本当に豊橋市民の公共施設を造るという点では大きなリスクになるということを指摘したいと思います。 次に、新しいテーマで、若干踏み込んだ話になるのですけれども、防災拠点として今計画をしているということなのですが、民間企業が運営をしているところで、大きな災害が来ました、防災拠点として使うということになった場合、その損失が生じることになると思いますが、これは誰が負担することになるのかをお伺いしたいと思います。 ◎田中久雄文化・スポーツ部長 多目的屋内施設は大規模災害時の防災活動拠点とすることを想定しており、要求水準書にその旨をあらかじめ明記してまいります。災害時に防災活動拠点として市が利用することになり、運営事業者が施設を利用できなくなることで発生する損失については、実際の災害の状況などによって様々なケースが考えられ、そうした点も考慮しながら、リスク分担について基本計画やPFIの実施方針の中で明らかにしていく予定です。 以上です。 ◆斎藤啓議員 すると、例えば民間企業者が大きなイベントを計画していて、それ自体は災害があっても実施ができる状況にあった。しかし、アリーナを引き続き防災活動拠点として使うというようになった場合のように、単純に使用料の負担だけではなく、民間企業者が受けた損失そのものも市の負担となる可能性もあるということになるかと思うのですが、どうですか。 ◎田中久雄文化・スポーツ部長 その大規模災害時の規模や被害の状況によって、損失の種類や程度は異なることが想定され、そうした種々の損失に対し、市と事業者のどちらがリスクを負うべきなのか、そういったことを基本計画やPFIの実施方針の中で分担を定めていくということになっております。 ◆斎藤啓議員 それは、PFIの仕組みの中で言うと、自治体が負担をするという仕組みを取っているところも相当あるのです。つまり、公共施設で、災害時に使いますとなったときに、そこの運営企業が受けた損失を市民の皆さんの税金から補てんをしなければならないかもしれないと、こういうことだって起こり得るのです。このことはしっかりと契約そのものがどうなっていくかを見ていかなければいけないというように思っています。 次に、今、基本計画と要求水準書というものを準備しています。基本計画はどういう施設を造るのかです。要求水準書というのは、契約を結びたい企業との間で、こういう中身で契約を結びましょうという、仕様書のようなものだというように聞いております。今、この基本計画をつくって要求水準書までできてしまうということになると、市民の皆さんは基本計画で初めて見えてくる、どこにどういう施設を幾らで造るのか、これらが見えた段階で、もう既に要求水準書ができていて、すぐにもう企業との間の契約に足を進めることができると、こういう状況になってしまうことに対して、市民の皆さんが、どうなっているのかという声も上げているわけです。 この基本計画が出た時点で、きちんと市民の皆さんの判断が入る余地があるのか、お伺いしたいと思います。 ◎田中久雄文化・スポーツ部長 基本計画の中間報告書(案)を市議会へ報告後、パブリックコメントなどにより市民の皆さんの意見を募っていくことを予定しております。その後、基本計画の内容を前提として要求水準書を作成していく予定となっており、今後、事業を進めるためには、業者選定手続や施設整備に要する予算、そういったものをその都度議会に提案し、議決をいただくことが必要になると考えております。 以上です。 ◆斎藤啓議員 しかし、本当に今回の多目的屋内施設はどのようなものが、どのような機能を持って、どこに造るのか、幾らかかるのか、これらのことが全く市民の皆さんにまだ知らされていない段階なのです。知らされていない、明らかになっていない。これが明らかになった時点で、改めて市民の皆さんから、こういうのがいい、ああいうのがいい、ああだこうだと、こういう意見を交わしていくというのが、市民と一緒に造るということの前提なのではないですか。すると、基本計画から要求水準書まで、パブリックコメントだって、ただ聞きました、終わりと。基本計画どおりにやりますよと、こういうものであってはいけないはずなのです。きちんと改めて市民の皆さんに、このような施設を造ろうと思っているのだが、どうでしょうということを諮って、その上で次のステップに行くというのが本来求められるやり方なのではないかと思うわけです。 今日は時間がなくて少し端折った部分もありますけれども、今の計画全体が、とにかく民間企業がイベントを行って大きく盛り上げるということを前提とした施設を造る。そのために国の方針とも相まって、集客の可能性がある豊橋公園に造らなければならない、こういう状況にあるのではないかということを質問の中でも明らかにしながら聞いてまいりましたけれども、民間企業との関係でも、様々なリスク分担を含めて、まだまだ課題が山積をしています。そして、この先、ようやく基本計画が出て、その基本計画に基づいてどうするのかということをこれから市民の皆さんと一緒に考えなければならないという段階です。 今、渋滞の問題も、あるいは住環境の問題も、北側を流れる朝倉川の家屋倒壊等氾濫想定区域の指定をどう扱うかということについても、まだまだ市民の皆さんの疑問が尽きません。そういうことを考えると、今改めてきちんと計画を白紙に戻して、もう一回市民の皆さんと考え直すと、そういうやり方がどうしても求められるのではないかと思いますけれども、認識をお伺いします。 ◎田中久雄文化・スポーツ部長 現在策定中の基本計画の内容、これを市民の皆様にお示しし、御意見を頂きたいと考えております。そうした市民の意見をできるだけ取り入れて、そうすることで多くの方に親しまれ、利用される施設とし、本市の発展につなげてまいりたいと考えております。 以上です。 ◆斎藤啓議員 全体をお伺いいたしましても、やはりボタンの掛け違いとも言うべき深刻な事態が生まれているのではないかと思います。市民の皆さんの2年半前の市長選で示された、このアリーナに対する思いをしっかりと酌み取って、改めて白紙に戻して検討を図り直すことを強く期待して、私の質問を終わります。----------------------------------- ○堀田伸一議長 以上で、代表質問を終わります。----------------------------------- 本日の日程は終了いたしました。----------------------------------- 本日はこれをもちまして散会いたします。     午後2時55分散会...