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2045-06-11 熊本県議会 平成57年 6月 定例会 − 06月11日−02号 2045-06-11
熊本県議会Web

  1. 平成57年 6月 定例会 − 06月11日−02号 平成57年 6月 定例会 − 06月11日−02号 平成57年 6月 定例会 ┌──────────────────┐│  第 二 号(六月十一日)    │└──────────────────┘ 昭 和 五十七年 熊本県議会六月定例会会議録   第二号―――――――――――――――――――――――――――昭和五十七年六月十一日(金曜日)   ――――――――――――――――――――   議事日程 第二号  昭和五十七年六月十一日(金曜日)午前十時開議 第一 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)   ――――――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第一 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ―――――――○―――――――出席議員(五十二名)                 西 岡 勝 成 君                 深 水 吉 彦 君                 阿曽田   清 君                 橋 本 太 郎 君                 松 家   博 君                 岩 下 榮 一 君                 下 川   亨 君                 林 田 幸 治 君                 三 角 保 之 君                 岩 永 米 人 君                 児 玉 文 雄 君                 山 本 秀 久 君                 古 本 太 士 君                 渡 辺 知 博 君                 八 浪 知 行 君                 杉 森 猛 夫 君                 鏡   昭 二 君                 高 田 昭二郎 君                 柴 田 徳 義 君                 広 瀬 博 美 君                 浜 崎 三 鶴 君                 古 閑 一 夫 君                 魚 住 汎 英 君                 馬 場 三 則 君                 木 村 健 一 君                 平 川 和 人 君                 北 里 達之助 君                 金 子 康 男 君                 荒 木   斉 君                 井 上 栄 次 君                 竹 島   勇 君                 今 井   洸 君                 米 原 賢 士 君                 古 閑 三 博 君                 井ノ上 龍 生 君                 永 田 悦 雄 君                 甲 斐 孝 行 君                 八 木 繁 尚 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 小 材   学 君                 沼 川 洋 一 君                 水 田 伸 三 君                 杉 村 国 夫 君                 今 村   来 君                 浦 田   勝 君                 小 谷 久爾夫 君                 橋 本 盈 雄 君                 増 田 英 夫 君                 倉 重 末 喜 君                 中 村   晋 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(二名)                 宮 元 玄次郎 君                 岩 崎 六 郎 君   ――――――――――――――――――――説明のため出席した者         知事      沢 田 一 精 君         副知事     藤 本 伸 哉 君         出納長     松 下   勝 君         総務部長    原 田 富 夫 君         企画開発部長  岡 田 康 彦 君         福祉生活部長  山 下 寅 男 君         衛生部長    清 田 幸 雄 君         公害部長    山 内   新 君         商工観光労働         部長      八 浪 道 雄 君         農政部長    坂 本 清 登 君         林務水産部長  大 塚 由 成 君         土木部長    梅 野 倫 之 君         有明地域開発         局長      伴   正 善 君         公営企業管理者 松 永   徹 君         教育委員会         委員長     本 田 不二郎 君         教育長     外 村 次 郎 君         警察本部長   廣 谷 干 城 君         人事委員会         事務局長    下 林 政 寅 君         監査委員    井   輝 男 君   ――――――――――――――――――――事務局職員出席者         事務局長    川 上 和 彦         事務局次長   衛 藤 成一郎         議事課長    小 池 敏 之         議事課長補佐  辻     璋         主幹      山 下 勝 朗         参事      光 永 恭 子       ―――――――○―――――――   午前十時二十五分開議 ○議長(幸山繁信君) これより本日の会議を開きます。       ―――――――○――――――― △日程第一 代表質問議長(幸山繁信君) 日程に従いまして日程第一、代表質問を行います。発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。  なお、質問時間は一人九十分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。自由民主党代表永田悦雄君。   〔永田悦雄君登壇〕(拍手) ◆(永田悦雄君) おはようございます。自由民主党の永田悦雄でございます。六月の県議会におきまして、その先陣を承り党を代表して質問をいたします。あらかじめ通告をいたしておきましたので、通告に従いまして順次質問を進めてまいります。  さて、きょうは暦の上では入梅となっておりますが、ことしの梅雨は、気象庁予報によりますと陽性型で雨が少ないと、このように予報されておることも御承知のとおりでございます。ことしは、特にわれわれ農家は期待と不安を抱きながら、ただいま農繁期に突入しておるわけでございます。知事、執行部におかれましては、ただいまよりの私の質問につきまして、適切、明快にお答えをお願い申し上げたいと思います。それでは早速質問に入らせていただきます。  まず質問の第一は、水俣病について申し上げます。  水俣病対策につきましては、県政の重点課題として議会並びに執行部が一体となり取り組んできたところでございますが、当面する問題のまず第一に掲げますことは、チッソ県債の問題でございます。第二点は、水俣湾の堆積汚泥処理事業の今後の見通しについて、三番目には、認定業務の促進といった点について質問をいたします。知事の所信をお尋ねいたす次第でございます。  まず第一に、チッソ県債問題に関しましてお伺いをいたします。  本会議冒頭での知事の提案理由説明にもありましたように、本議会に提案されております補正予算は、チッソ県債継続発行の第一回分二十二億八千四百万円でありますが、これをこれまでの七回分、計百六十七億二千九百万円の発行額と合わせますと累計百九十億一千三百万円の巨額に上るわけでありまして、県財政に与える影響は少なからぬものがあろうかと考える次第でございます。  このチッソ県債問題につきましては、御承知のように、国は昨年十一月、水俣病関係閣僚会議を開催し、チッソに対する金融支援措置を今後も継続するものとし、県に対しては昭和五十九年度補償金支払い分まで県債を発行してほしいとの要請を行ったところでございます。昨年十二月県議会におきましても、県財政の将来を左右するきわめて重要な問題であることから慎重かつ真剣に討議が重ねられたわけでございます。その結果、国及びチッソに対しまして今後の対応について最善の努力を重ねていくよう一定の条件を付した上で、国の要請を受け入れることは、チッソの経営の現状から見ましてまことにやむを得ないとの結論を得るに至った経緯がございます。  申し上げるまでもなく、昨年十一月のこの水俣病関係関僚会議は、チッソ県債問題に関して国の責任ある積極的な対応を求めた本県の強い要望を背景に開催されたものであることは御承知のとおりでございます。具体的には、申し合わせ事項の一つとして、チッソの経営基盤の維持強化を図るための同社の子会社に対する日本開発銀行融資について了解がなされたところでございます。この開発銀行融資の実現につきましては、先ほど申し上げました十二月県議会で付された条件の第一番目に取り上げられておりまして、県債継続発行の重要な前提条件であるとして、県議会としてもその早急な実現を強く求める旨意思表明がなされてきたわけでございます。  そこで、このような経緯を踏まえまして、当面の大きな課題である開発銀行融資の実現についてお尋ねをいたします。  さきの新聞報道によりますと、開銀は、チッソの主要子会社の一つでありますチッソ石油化学に対し約四十億円の融資を行う意向を固め、またチッソの関係金融機関も、これに合わせ協調融資を行う方向で検討を始めたとのことでございます。知事の提案理由説明によりましても、今回の金融支援協議会におきまして、国側から開銀融資が期待できる旨表明されたことも御承知のとおりでございます。  私どもは、チッソがその再建を通じて、患者救済地域振興という社会責任を完遂できる日が一日も早く到来することを願うものであります。この観点から、開銀融資の見通しについて御答弁をお願い申し上げます。  次に、このような金融支援を受けているチッソの経営の現状、さらには今後の再建見通しについてお尋ねをいたします。  御承知のように、わが国経済は、個人消費や民間設備投資の伸び悩み等の要因によりまして停滞を続け、景気は総じて低調に推移していることは御承知のとおりでございます。石油化学業界におきましても業績の低迷が見られていると聞き及んでおります。このような状況の中でチッソは、去る二日、昭和五十六年度の決算を発表いたしました。新聞報道等によりますと、経常損益の部においては三千百万円余の黒字を生じておるものの、累積赤字はさらにふえ六百五十億円余に達したとのことでございます。  チッソにおきましては、同社の主要子会社も含め、昭和六十年度までにチッソグループとして収益基盤を徹底的に強化することをねらったいわゆる再建計画を策定し、すでにこの計画に沿い各種事業の合理化、新規分野事業への取り組みに着手しているということでございます。また、通産省日本興業銀行等は、六十年度までには一応再建のめどが立つとこの計画を高く評価しているとのことでございますが、今後、この計画の展開の見通しという観点からもチッソの経営状況につきまして大きな関心が持たれるところでございます。  これまで本県におきましては、昭和五十三年六月の閣議了解に基づき県債発行という方法によりチッソに対して金融支援を行ってきたところであり、またチッソの取引金融機関におきましても、同社に対して元本償還の凍結、金利の減免等という金融特別措置を講じてきております。さらにまた、昨年十一月の水俣病関係閣僚会議の申し合わせを踏まえ、今後もチッソに対し強力なる支援が続けられることが予定されているところではございますが、同社の経営基盤の維持強化を図るためには、このような関係各界からの支援もさることながら、再建へ向けてのチッソ自体の経営努力が大きな前提であることは申し上げるまでもございません。そこで、チッソの経営の現状並びに今後の見通しにつきまして御答弁をお願い申し上げます。  なお、チッソ県債問題につきまして最後になりますが、昨年十二月県議会におきましては、先ほど申し上げましたように、チッソ県債継続発行の前提条件という形で、チッソに対しまして特に、一つ、チッソ県債の償還について主要子会社と一体となって責任を持つことを明らかにすること、二つ、水俣工場を主体地域雇用の安定に努めること、この二点につきまして最善の努力を重ねるよう強く要望がなされ、県議会として今後の同社の対応を見守りながら対処することとされたところでございます。知事におかれても、チッソの対応状況を十分見きわめながら、その監視を続行されますことを強く要望する次第でございます。 次に、水俣病問題に関しまして、水俣湾の堆積汚泥処理事業、いわゆるヘドロ処理事業につきましてお伺いをいたします。  先月、新聞テレビ等におきまして報道されたとおり、第一工区の緑ノ鼻地区におきまして、護岸堤防構築のための巨大な鋼矢板セルの打ち込み工事が二十五日から開始されました。私も先日、現地を視察する機会を得まして、ヘドロ処理事業は順調な進捗を見ているとの説明を受け、また現にこの目でつぶさに湾内のすみずみまで一巡をし、安全確認のための厳しい監視体制等につきましてもあらかじめ承知しておりましたが、現地に行きまして、さらに厳重なその監視体制があることを見まして非常に意を強くしたわけでございます。これまでの知事、執行部環境庁運輸省等それぞれの関係機関、特に本県の出先機関であります現地の水俣湾公害防止事業所の職員の皆さんが、大変厳しい勤務状況の中でこの事業推進のために真剣な取り組みをしておられる姿を見まして、心から敬意を表した次第でございます。この場をかりまして、諸君の日ごろの取り組みについて改めて敬意を表す次第でございます。  御承知のとおり、このヘドロ処理事業は、水俣湾一円の環境を浄化し、地域住民の健康安全を守ることを目的とした公害防止事業として、昭和四十九年度から五十八年度までの十カ年計画で始められたものであります。総事業費は約二百三億円、このうち公害防止事業費は約百九十三億円という巨額の事業でありまして、チッソは公害の原因企業として百二十五億円余を負担するものとされているところでございます。  しかしながら、工事安全性をめぐる工事の差しとめ仮処分申請がありましたため、一時工事中断し、本格的な工事が開始されましたのは五十五年からでありますので、当然のことながら工事期間の延長といった問題や物価上昇等による事業費の増加といった問題が今後必ず生ずるものと思われます。この点につきまして、最近の一部報道によりますと、一つ、現在の計画が昭和五十八年度で期限切れとなるため、県は計画期間の延長と事業費の見直しを検討している、二つ、総事業費は四百七十億円程度になるものと見られ、うちチッソの負担額は三百億円程度となり、現在の負担額に比べ二百億円相当の負担増となる旨報道されたところでございます。  このような事業費の見直しは、県の負担増に直ちに結びつくものでありゆゆしき問題ではありますが、他方、水俣湾の環境浄化は、地元住民はもとより県民ひとしく期待しているところでありまして、ヘドロ処理事業の進捗を図るためにはやむを得ない面があろうかと思う次第でございます。  そこで、知事、執行部におかれましては、この点いろいろと御苦心があろうかと存じますが、事業費の見直しがいずれ必要となってくるものであるのか、そうであるとした場合、その内容はどのようなものになるのか。特に、チッソの負担額が増大することとなった場合に、チッソの再建計画に何らかの影響が生ずることとなるのか。こういった点につきまして、現状を踏まえ知事の御答弁をお願いいたします。御答弁をいただきまして再登壇をいたします。   〔知事沢田一精君登壇〕 ◎知事(沢田一精君) お答えをいたします。  チッソ県債の継続発行につきましては、去る十二月県議会におきまして慎重に御審議をいただき深く感謝申し上げておるところでございます。いま御質問の中にもございましたが、十二月県議会におきまして付されました条件の中の開銀融資について、その見通しはどうかとのお尋ねでございますので、まずお答えを申し上げます。  御承知のように、チッソ株式会社は、すでに開銀に対しまして、昭和六十年度までの設備投資に要する融資期待額百三十億円のうち約五十億円の融資の申し込みを行っているところであります。今回融資の対象とされておりますのは、この五十億円のうち、チッソ株式会社主要会社の一つでありますチッソ石油化学株式会社のオクタノール製法転換工事に要する約四十億円についてでありますが、開銀はすでに実地調査も完了しておりますので、私といたしましては、この融資が近く実現されるのは間違いない段階まで来ているとの感触を得ており、近く決定されるものと考えております。  御質問の第二点は、チッソ株式会社の経営の現状、再建の見通しについてでございます。  お尋ねの中にもございましたように、わが国経済を取り巻く環境は非常に厳しいものがあり、中でも石油化学工業界におきましては、昭和五十五年度以降、内需の低迷に加え、原料価格の高騰、輸入製品の増加等の悪条件が重なりましたため減収減益を招き、昭和五十六年度におきましては多くの企業が赤字決算を余儀なくされている現況のようであります。このような厳しい状況の中にありまして、チッソ株式会社におきましては、昨年度の決算において、ともかく収支ベースでわずか三千万円程度ではありますが黒字を出しているわけでございます。  この収益の内容を若干説明いたしますが、まず水俣工場におきましては製造部門で十七億五千万円の赤字を出しております。電気部門で十二億八千万円の黒字となっております。差し引き水俣工場におきましては四億七千万円の赤字となっております。それに水島工場の赤字二億四千万円を加えますと、チッソ株式会社の赤字額の合計は七億一千万円と相なるわけでございます。一方、チッソ株式会社は五井工場製品及び他社製品を販売して得た利益が七億四千万円程度ございます。この結果、チッソ株式会社は、ただいまお述べになりましたように三千万円余の経常利益を計上できたという内容になっておるようであります。  また、チッソ株式会社からの説明を受けてみますると、水俣工場におきます赤字要因の大部分は塩化ビニール部門の損失となっております。この塩化ビニール部門につきましては、昨年十二月、塩化ビニールモノマーの生産部門を停止いたしまして安価なモノマーを購入することとし、また塩化ビニールポリマーについては新鋭設備に取りかえる等の合理化対策が実施されたところでございますので、昭和五十七年度以降は、このように大幅な赤字を出さないでもよい体質ができ上がりつつあるというふうに考える次第でございます。現状のまま推移いたしますと、五十七年度におきましては水俣工場部門におきましても、ある程度の収益が見込まれるというふうに考えております。  ちなみに、五十六年度中に、チッソ株式会社が苦しい経営状況の中から、その合理化対策として、ただいま御説明申し上げました水俣工場及びその関連施設に投資いたしました額をひっくるめて申し上げますと総額で八億三千万円になっております。その内訳は、塩ビ樹脂関係が四億一千万円、塩ビモノマー関係が二億四千万円、液晶関係四千万円、発電所の水路等の補修費七千万円、電子材料関係等七千万円となっております。苦しい経営状況の中から、ただいま申し上げましたように、五十六年度単年度におきましても、このように八億三千万円に上る前向きの投資が行われ始めたことは評価してよろしいのではなかろうかと、このように考えるわけでございます。このようなチッソ株式会社の姿勢に対しまして、通産省当局も、厳しい環境の中でよくがんばっていると現時点では一応の評価をいたしておるようでございます。  これらのことから、私も、水俣工場につきましてはようやく再生の時代に入ったと受けとめております。チッソ株式会社も、これら合理化対策効果が徐々にあらわれてまいりまして再建のめどが立つと言っておりますので、チッソ株式会社に対しましては、今後とも経営基盤の維持強化を通じ、自前で患者救済が図られますよう最大限の努力を傾注してもらいたいと強く要望を行っておる次第であります。  なお、御要望にございました、チッソ株式会杜に対する条件の一つであります県債償還に当たりましてオールチッソとしての責任を明確にせよとの件につきましては、現在ほぼ煮詰まってまいっておりますので、近く議会に御報告できるものと考えております。  御質問の第二点、水俣病堆積汚泥処理事業の今後の見通し等についてお答えをいたします。  御指摘がございましたように、この事業は、地域住民の健康安全を守ることを目的として昭和四十九年度から十カ年計画で始めた公害防止事業でありますが、遺憾ながら途中、工事差しとめ仮処分申請による工事中断、またこの間における物価の変動などの理由で、現時点での工事の進捗状況から見ましても、工事期間の延長と事業費の見直しが必要となっておることは事実でございます。  事業費の見直しに当たりましては、工事による二次災害を絶対に発生させないことが第一の課題でありますので、経済面ももちろん考慮する必要がございますが、日進月歩する技術革新の中で、第一工区のこれまでの施行実績を踏まえまして、詳細かつ慎重に今後の工法について運輸省当局と協議を行っておる現況でございます。現時点ではまだ煮詰まってはおりませんが、工期については、あと七年ないし八年を要し、事業費については恐らく当初の二倍以上になると予想しているところであります。  また、見直しに当たりましての今後の見通しでありますが、チッソ株式会社に対する費用負担計画を変更する前提として、公害防止事業費事業者負担法の規定により県公害対策審議会の意見を聞く必要がございますので、煮詰まりましたならば、なるべく早くこの審議会に諮問し、その答申を得たいと思っております。なお、その間、同法の所管庁である環境庁を初め関係省庁との協議も必要であることはもちろんでございまして、この面につきましても幾らかの時日を要するのではないかと考えております。しかしながら、事はきわめて重大なことでありますので、この問題を今後進めるに当たりましては県議会の御意向を十分に尊重してまいりたいと考える次第であります。  また、事業費の見直しがチッソ株式会社の再建計画に大きな影響を与えるのではないかという御懸念でございますが、今後の事業費の見直しに伴い同社に対する費用負担計画も変更され、したがいまして将来的には同社の負担額もその分相当増加することとなり、将来の経営に影響が生ずることは否定できないものと考えます。しかしながら、当面は、チッソ株式会社の再建計画が昭和六十年度までとされており、また同社の負担額につきましては、この事業に関する限りは五年据え置きで三十年の長期分割納付が認められておりますので、この面からは再建計画に直接的に大きな影響は生じないものと考えます。  なお、水俣湾堆積汚泥処理事業に要する事業費のうちチッソ株式会社の負担分については、ほぼ全額を政府資金の起債によっているということでございます。また、この事業に伴い湾内に広大な造成地が生ずるということにもなりますので、この問題は、ストレートに考えますならば、いわゆるチッソ県債とは幾分異なった面があることは否定できないと思う次第でございますが、いずれにせよ、私といたしましては、チッソ株式会社が一日も早く健全な経営状態となり、あらゆる面でその社会的な責任を果たし得ることとなりますようこいねがうものであります。この面から、チッソ株式会社の再建計画の進展について、国、関係機関に対しさらに強力な支援方を今後とも要請し続けますとともに、今後この事業費の改定がなされたとした場合におきましては、同社の分割納付等の条件につきましても特段の配慮がなされるよう国に対し要望しなければならないと考えております。引き続き議員各位の御指導、御支援、御協力を切にお願いいたします。   〔永田悦雄君登壇〕 ◆(永田悦雄君) ただいま知事から質問に対しまして丁寧な御答弁をいただきました。私も、せんだって、申し上げましたように現地を訪れまして、水俣病の長い歴史と、これからさらにその地域発展につながるところのいろんな事業推進等を見まして本当に心強く感じたわけでございます。  チッソ県債の問題、さらにはチッソの経営の現況と今後の見通しについてもるる御答弁がありましたが、チッソに言わせますならば、ここ数年は資金的な制約のため設備の維持のみがその仕事であった、しかし五十六年度以降今年度からは、水俣工場の抜本的な合理化と、さらに新規事業の採択によりまして前向きの投資ができてまいりました、これも県議会初め関係機関の御指導のおかげでありますと大変感謝をしておられました。そのチッソの県債並びにこれからの見通しにつきましては、開発銀行の審査も終わり近くその決定も届くようになっております。また、六十年度目標にチッソ工場の再建のめどが立ちましたと、きっぱり社長さんもおっしゃいました。  ただいま知事から御答弁いただきましたことにおおむね了解をいたしまして、今後の問題といたしまして、審議会の意向を十分踏まえながら県議会とも相談をし、慎重にこの問題解決のために前向きで対処してまいりますと、このような御答弁をいただきましたので、一応了解して次の問題に移ります。  次に、工事安全性に関してお尋ねをいたしますが、これは要望に切りかえます。  知事、執行部におかれましては、ヘドロ処理事業の実施に当たっては二次公害を絶対に発生させないように監視を徹底させる旨、いままで事あるごとに述べてこられました。また、その事業推進には、綿密な監視実施計画にのっとり慎重な監視を続けておられることも十分承知をいたしております。しかしながら、工事もいよいよ本格化してまいりまして、海上での作業も多様なものとなり、工事船舶の往来も頻繁になってまいりますと、思わぬところで不測の事態も起こりかねません。そこで、今後とも安全性の確保にはなお細心の注意を払っていかれますよう、この機会に改めて要望いたしておきます。  次に、水俣病対策につきまして、最後に、その中心的課題でありますところの認定業務の促進に関しまして要望を申し上げます。  最近の報道や現地水俣の検診センターの職員のお話を聞きましても、水俣病認定申請者の方々の検診拒否が続いていることによりまして、審査の前提となる検診資料が整わず、今後の認定審査会の開催が危ぶまれているとのことでございます。認定業務の促進を図っていくことは、水俣病問題解決のための基本的な施策であり、県においては、これまで国に対し各般の要望を重ねてきたところであり、また熊本大学を初め医学部関係者、各関係機関の御協力をいただきながら、さらには本県の出先機関であります現地水俣病検診センター職員の日ごろのじみちな積み重ねも加えまして、認定業務の促進について鋭意努力をされているところでございます。県議会におきましても、制度の改善や国庫補助枠の拡大等につきましても、執行部ともども最大限の努力を傾け、国に対し要望をいたしておるところでございます。  このような状況の中で、一昨年九月以来、認定申請者の方々が県の再三の呼びかけにもかかわらず検診を拒否しているという事態が続いておりますことはまことに憂慮すべきことでございます。また、これらの方々が被害救済の道をみずから閉ざしていることをはなはだ残念に思う次第でございます。  すでに報道されておりますように、知事は、環境庁長官との会談あるいは申請者団体との話し合いを通じ事態の解決を図るべく最善の努力をしておられることも存じておりますが、今後とも関係各界との話し合いを通じ正常な姿で認定業務が促進されることとなりますよう、なお一層の努力を要望いたす次第でございます。  次に、行政改革の問題についてお尋ねをいたします。  新聞テレビ等による報道も盛んに行われておりますように、国においては、第二次臨時行政調査会が七月の基本答申に向けて各部会からの報告を次々と徴してきたところであり、特に、われわれ地方自治を担う者として、その動きに対し注目しておりましたところ、第三部会の報告が去る五月二十四日に土光会長にあてて提出されたところでございます。もちろん、三公社五現業に関する第四部会報告を初め、一国民として国の行政改革については注意深く見守っていく必要があるわけでありますが、県議会といたしましては、まずもって臨調の意向なり国の改革なりが本県に対してどのような影響を及ぼすものであるかという点が最大の関心事でございます。  折しも、知事は、年頭より県独自の行財政改革に取り組む旨表明され、約半年の間検討を続けてこられたと承っております。まず、県自体で進めておられる改革との関連において、ただいま触れました臨調第三部会報告をどのように受けとめておられるのか。各地方団体においては、理念なりあるいは方向なりについては大方賛意を表しつつも、国の過剰関与や補助金の整理合理化につき具体的な指摘を欠く点を物足りないと見る向きがほとんどであるように思います。知事のこれに対するところの御見解をお尋ねいたします。  次に、県独自の行財政改革についてお尋ねをいたします。  知事が行政改革を本年の重要課題の一つとして本格的な取り組みの姿勢をお示しになったことについては、県議会といたしましても高く評価をするところでございます。ただ、わが党も、行政改革を真に実りあるものとするためには、やはり単なるトップダウンの号令ばかりでなく、職員一人一人が意識改革をすることが一番大事なことだと思います。  そこで、このたびの行財政改革の推進に当たっては、このあたりに対する配慮、また実際にそれが仕事の上においてどのような結果を期待されたか、お尋ねする次第でございます。  第二に、行財政改革のスケジュールについては、さきの県議会でも、七月を目途にできるものからという決意のほどをお示しになりましたが、改革ということの性質上なかなか一朝一夕に片づくといったものではないと思うのでございます。したがって、七月から直ちに実行されること、さらに検討を続けられることもあろうかと思いますが、さしあたりどのような改革から手をつけられるのか。  行財政改革で通常取り上げられます項目として、事務事業の見直しとか組織の簡素合理化とかが検討されているであろうことは大体推察できるものでございます。具体的にはどういうことを実施していこうとされているのか。きょうの熊日のトップにも出ておりましたように、素案の一部は報道されておりますが、その内容についてそろそろ固まったものと思います。知事のお考えをお聞きしたいと思います。  また次に、当然ながら七月以降もこの改革運動をお続けになることと考えておりますが、そのように承知してよろしいのか確認しておきたいと思います。あわせて、七月以降の見通しも含めてお答えをいただきたいと思います。  最後に、行財政改革について、これが一番大切なことになると思いますが、改革実現への決意のほどをお伺いいたします。  国等においてもそのようでありますが、改革が具体化するに従って各論反対の声が強まり、実質的な改革が骨抜きにされる例が間々見られるようでございます。しかし、本気で改革に取り組まれるのであれば、県政全般の向上を図る観点から、多少の反対はあっても、なすべきことは断行するという気概が必要であります。いま国、地方を通じて行財政改革の機運がまさに高まったところでございます。この機を逸しては実のある行財政改革を実行する機会を失ってしまうのではないかと危惧するわけでございます。知事は、三期十二年の実績の上に立って、ひとつ勇断を持ってこのたびの行財政改革をお進めいただくよう、強い要望を兼ねて知事の決意をお尋ねする次第でございます。  御答弁をいただきまして再登壇いたします。   〔知事沢田一精君登壇〕 ◎知事(沢田一精君) 行政改革問題についてお答えを申し上げます。  御質問の第一点は、国と地方の機能分担等のあり方に関する臨調第三部会の報告をどう受けとめているかということのようでございました。  私も、他の地方自治体関係者と同様、第三部会が地方分権推進の視点に立ちまして、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体でという考えを採用したことについては一応評価するにやぶさかではありません。しかしながら、私どもが年来主張しております機関委任事務の問題、地方事務官制度の問題、補助金の問題等について、従来以上に踏み込んだ具体的な提言がなされていない点については大変残念に思っております。  これらの問題につきましては、地方制度調査会でもしばしば答申を行ってきているところでありまして、行政改革の一環として改めて国と地方の関係が諭ぜられるとすれば、まずこれらの点についてのより具体的な指摘がなされるべきであると考える次第であります。現状からいたしますと、七月の基本答申に、われわれ地方が望んでいる内容が織り込まれることが余り期待できませんけれども、今後の部会審議と最終答申に期待をいたしたいと考える次第であります。  第二点の御質問は、県独自の行財政改革についてであります。  まず、御質問の中で御所見を拝聴いたしましたように、職員一人一人の意識の問題について大変大事であると思うわけであります。今回の改革に当たりましては、当初から下からの盛り上がりを重視する方針を掲げた次第であります。現に、一月から去る三月にかけて行いました事務事業改善に関する各所属職員の提案の募集に際しまして、約四百件にも上る改善項目が提出されました。職員意識改革のスタートとしてはまずまずのものではなかろうかと考えております。もちろん意識の改革といった問題は一朝一夕に成るものではございません。じみちな努力をさらに継続していく必要があると考えております。  次に、この七月から実施を考えております改革事項についてであります。項目的には相当数に上りますため、そのうち重立ったものについてだけ申し述べさせていただきたいと存じます。  まず第一は、事務の簡素合理化ということでございます。この事務の簡素合理化の観点からは、部長から課長あるいは出先機関長への権限委譲に係るものや、財務会計事務のオンライン化への取り組み等を含め、ただいまお答えいたしました約四百件の提案の中から六十件をさしあたり実施に移すことを考えております。  第二は、組織機構の見直しについてであります。  有明地域開発局を廃止いたしまして土木部等へ引き継ぐことを初め、本庁組織については各部局ごとに原則として一課を削減いたしますほか、出先機関についても、住民サービスの低下を招かぬよう管理部門の見直しを中心とした合理化を進めることといたしたいと考えております。他方、昨今の経済情勢にかんがみまして、重要性が増していると考えられるたとえば企業誘致部門につきましては、専任組織を商工観光労働部に設けることといたしたいと考えております。  第三に、県組織の活性化を図りますため、職員の民間研修派遣等を実施するなど研修体制の充実を図りながら、県の組織全体としての能力向上に資したいと考えております。  なお、七月以降の行財政改革の推進についてでございますが、事務事業の見直しに限って見ましても約二百件の継続検討事項が残されております。そのほか、各種審議会等のあり方や市町村との権限委譲の問題など、いま考えられるだけでも相当の課題が存在しております。また、冒頭お答えいたしました臨調第三部会の提言等が今後なされることとなれば、これらも加えまして県としての対応を考えていかなければならないことはもちろんでございます。したがいまして、七月以降も引き続き改革作業を進めていかなければならないものと考えております。  最後に、私の改革実現への決意についてお尋ねがございました。  御指摘のとおりでございまして、行政改革では常に、何をしようとするのかということ以上に、実行するのかしないのかということが大きな課題とされるものであります。改革という事柄の性質上、県組織の内部外部を問わず、だれもがもろ手を挙げて大賛成というぐあいにはなかなかいきがたいものばかりでございまして、十分な話し合いにより適切な合意を導きつつ改革を進めたいと考えておりますが、私としては、この際、これまでの日常的な改善努力のみではなし得なかったことを含めまして、時代の流れに即応した県行政のあり方を模索しながら勇断を持って今後の行財政改革を断行していく決意であることをお答えいたしたいと存じます。   〔永田悦雄君登壇〕 ◆(永田悦雄君) ただいま知事から、行財政改革問題、特に臨調の第三部会報告に対するところの見解、これについて具体的な大綱をお示しになりました。先般、共同通信社の第三部会報告に対する九州各県知事の評価と、これについての意見の掲示がなされておりました。すでにもう御承知のことと思いますが、沢田知事は、まず一つ、具体性に欠け地方の実情をよくわかっていない、二つ目が、採点にはまだまだ至っておらないだろうと、このように手厳しい意見と評価をなされているのは皆様御承知のとおりでございます。ただいま知事の県行政改革に対するところの意欲と勇断を持ってやりますと力強い決意をいただきましたので安心をいたしまして、次の質問に移らせていただきます。 八〇年代県計画の推進につきまして知事にお尋ねいたします。まず質問の第一といたしまして、県計画二年目の知事の姿勢についてお尋ねするわけでございます。  県では昨年四月、昭和六十五年までの十年間を展望した長期計画、八〇年代熊本県総合計画を策定し公表されました。八〇年代という不透明で先行きの見通しがきわめて困難であると言われる時代を迎えるに当たりまして、あえて県政推進の基本方向を示されたこの計画に対しましては、地方の時代にふさわしく、地方からの発想を重視した地域主導型で、しかも経済発展をすべての判断基準とした従来の考え方から脱却して、人間尊重、生活優先の理念に立脚したものであるとして各方面から評価されております。私といたしましても、沢田県政になって昭和四十八年の県基本構想策定以来初めてのこの総合計画が、県政を取り巻く社会経済情勢について十分な認識の上に立って、さらには県民の要望や価値観の変化等を踏まえ、地域の特性や課題を整理し、具体的な振興計画を示しながら、知事という重責を認識し、長期的な展望に立って政策運営に誤りのない県政推進を目指したものとして積極的に評価をしているところでございます。  さて、このような県計画がスタートしてから一年を経過しまして二年目を迎えた段階でありますが、わずかこの一年の間におきましても内外の諸情勢は著しく変化をし、ますます厳しさを増しているかに見受けられるのでございます。まさに不確実な困難な時代であります。昨年暮れ以来のポーランド問題や、ことし四月に入りましてから突発いたしましたフォークランド諸島をめぐる紛争を見るまでもなく、国際社会におきましては、多極化の進展と国際緊張の高まりが続いております。また、アメリカやEC諸国におけるインフレの進行とともに、一千万人を超す失業者の増大など世界的な不況が深まる中で、これまで輸出の拡大を続けてきた日本に対して貿易不均衡の是正が強く求められており、経済大国として世界経済に大きな責任を負っているわが国といたしましては、今後ますます激しい外圧を受けることが予想されるのでございます。このことが、農業を基幹的産業の一つとしている本県にとりましてもきわめて憂慮すべき問題となっていることは御承知のとおりでございます。  一方、国内経済を見ますと、消費の低迷による景気の停滞が長く続いております。このため、新聞報道等によりますと、五十六年度の国の決算では三兆円にも上る歳入欠陥が伝えられております。  このように、わが国内外の社会経済情勢はきわめて厳しく、また今後とも大きく揺れ動きながら推移していくものと思われますが、このような時期であればこそ計画性と整合性を持った県政の展開が必要であると考えるのでございます。八〇年代熊本県総合計画は、まさにこのような時代的背景のもとにつくられ、本県の進むべき道を明らかにしたものであり、それぞれの施策が県計画で掲げられました基本方向と整合性を保っているかどうかは常に検証されていかなければならないと考えるものでございます。  そこで、お尋ねしたいことの第一は、県計画が目標として掲げているところの対比で、スタートの年である昨年度の県政の諸施策は総合的にどのような成果を見ていると考えておられるのか、このことについてまず第一点お尋ねをいたします。もちろん、十年の長期計画における初年度でありますので、計画の十分の一の成果を期待してのことではなく、今後計画を実施していくに当たっての素地がどのように固められておるのかということでございます。  次に、計画が公表された直後の昨年七月、国の第二次臨時行政調査会からの行政改革に関する第一次答申が出されて以来、行政改革政治上の大きな課題となっており、行政の簡素化やあるいは補助金等の整理合理化等いろいろのことが言われております。また、国、地方を問わず財政事情はきわめて厳しいばかりでなく、今後これが早い時期に改善されるということを期待できる状況にはございません。  このような四囲のいわば試練のときとも言うべき時代を進むに当たって、県民の衆知を集めて策定されましたこの八〇年代熊本県総合計画を知事はどのような姿勢で推進していこうとされておるのか、また、計画に掲げられました目標達成についてどのような見通しを持っておられるか、知事の御所見をお伺いいたしまして再登壇をいたします。   〔知事沢田一精君登壇〕 ◎知事(沢田一精君) 近年しばしば地方の時代ということが言われる中にありまして、かねてから私は地域社会の連帯感に基づく新しい豊かさを目指したふるさとづくりを提唱いたしてまいったところでありますが、不確実、不透明と言われる八〇年代を迎えるに当たりまして、このようなときにこそ県民が望む幸せは何であるかということを考え、求める新しい豊かさとは何かを真剣に考え、県全体として進むべき道を明らかにする必要があると考えまして、昨年、一九八〇年代の冒頭において熊本県総合計画を策定し、公表したところであります。  その後、これまで一年を経過する過程におきまして、国の内外の経済情勢を初めとするいろいろな情勢は以前にも増して不安定要因を増大させてきておることは、いま御質問の中でお述べになりましたとおりであります。内外の情勢の変化は、御指摘の農業についてはもちろんのこと、本県における経済社会情勢全般に対しましても直接間接に大きな影響を与えるものでありますが、幸い本県におきましては、一九七〇年代を通じ国全体が厳しい経済情勢のもとに推移してきた中にありまして、熊本県経済は総じて順調な伸びを見せてきており、福祉の充実や県民生活の向上等のためのいろいろの基盤も著しく強化されてきたと考えております。また、いま御質問の中にございましたように、国、自治体とも非常な財政難に陥っております中で、幸いにして本県は、五十七年度の県当初予算も御承知のような状態で編成することができた次第でございます。  八〇年代熊本県総合計画は、この一九七〇年代の県の成果を踏まえて策定したものでありますが、昨年度は特に計画の初年度でもあり総合計画に掲げられた施策の積極的推進に意を用いた次第であります。計画に掲げております主要な事業につきましては、現在全庁的に県計画の進行管理を行っておりまして、事業の進捗状況を総合的に把握することといたしておりますが、総合計画を策定発表しまして以来約一年間の基本的な具体的な事項について、例示的に若干申し述べたいと存ずる次第でございます。  基本計画は、第一に、心触れ合う快適な地域づくりの推進、第二は、豊かな生活を支える産業の振興、第三は、健康で明るい社会建設、第四は、あすを開く人づくりの推進、こういったことを基本的な柱として掲げておることは御承知のとおりであります。  その中でいろいろなことがなされてまいったわけでありますが、たとえば今年度から社会福祉振興基金が創設をされることになりました。また先般、御承知のように、私どもの長年の悲願でありました九州中央山地国定公園の指定がいよいよ本決まりになったわけであります。こういった将来へ向かっての快適な地域づくりのための基盤の整備ということがなされようとしております。  豊かな生活を支える産業の振興。外圧の中で、いかにして第一次産業戦略的にさらに安定したものにしていくかということは、もちろん日常努力をいたしているところでございますが、本県の将来にとりましてやはり何としましても一番大きな期待を持つものは、熊本テクノポリス建設構想の推進であると思うわけであります。全国に先駆けまして熊本テクノポリス建設構想の候補地点として名のりを上げ、基本計画が各方面の御協力によりまして策定され、中央におきましても相当の話題を呼んでおりますことは、県の将来にとりまして大変夢の多いことだと思うわけであります。あるいは先般、熊本国際空港ターミナルビルの着工を見たわけでございます。やはり何といたしましても将来の空の拠点といたしましての熊本空港の整備、今年度中には国際ターミナルビルが竣工をいたすわけでございますが、さらに国際的にも門戸を開く基盤となるものと期待をいたしております。  健康で明るい社会建設といったようなことと関連して若干申し上げますと、これも長年の私どもの希望であります南阿蘇大規模年金保養基地建設計画がいよいよ具体的に推進をされようとしております。あるいは県で計画をいたしております総合保健センターの基本計画ができまして、その準備が進められていきつつある現況でございます。  あすを開く人づくりの推進。いろいろな観点から問題はあると思うわけでございますが、県の大型施設として建設を急いでおります県立劇場、あるいは県立総合体育館、あるいはその次に来る大型施設として県立図書館等の大型施設建設が一応順調なテンポで進められておりますことは御承知のとおりであります。  最後に、国際的な視点から若干申し上げますが、中国あるいは米国、韓国等に対しまする友好関係の締結、これは県議会の全面的な御指導、御協力もございまして順調に進められようといたしておるわけでございます。  以上、若干のことについて具体的に申し上げましたが、このように内外の厳しい情勢のもとにありながら、七〇年代に築き上げました本県の成果を今後に向けてさらに継続発展させていく上で、計画の初年度としましてはかなりの実績を見ることができたものと考えておるところであります。しかし、今後さらに厳しい情勢が続くと覚悟しなければならない時期でございますので、あくまでも中長期的な展望に立って、この総合計画基本的な精神に沿った整合的な施策の推進が必要であると考えておる次第でありまして、総合的かつ計画的な県政の運営を行っていきます中で、計画の実現に最大限の努力を傾注してまいりたいと考えております。  最後に、特に私の所信を申し上げておきたいと思うわけでございますが、この八〇年代熊本県総合計画の一つの大きな特色は、この計画の中に各地域地域計画というものを織り込んだ点でございます。それぞれの地域の特色を十分に生かしまして、それぞれの地域に住んでおられる人々の発想を十分にくみ上げまして、それぞれの地域が八〇年代で何を目指すべきかということを、地域の皆さん方と一緒になりまして考えて策定をいたした経緯があるわけでございます。  こういった県民の衆知を結集して策定された経緯にかんがみまして、また特に私が今後大事なことであると考えておりますことは、この県の八〇年代総合計画を受けまして、各市町村におかれましてもそれぞれりっぱな計画の立案がなされたようでございます。また現になされつつあるようでございます。私は、県政の今後の一つの方向といたしましては、それらそれぞれの市町村の自主的な計画というものを十分に尊重いたしまして、この実現に手助けをするということが県政の果たすべき役割りの重要な部分ではないかと、こう考えておるわけであります。何も私が考え県が考えましたことを上から下に浸透させるというだけではなしに、地方がそれぞれの住民の生活に密着した計画を今後の構想として自主的に描かれます場合に、それをできるだけ尊重いたしまして、県と市町村が一体となってその実現に努力をするということが私は大変大事なことだと考えるわけでありまして、県民の総意による総合県政ということを目指してまいりたいと考えておるわけでございます。今後とも県議会各位の御指導と御支援をお願いいたしたいと存じます。   〔永田悦雄君登壇〕 ◆(永田悦雄君) 御答弁をいただきまして、時間もございませんので次に移りたいと思います。ただ、ただいま知事から御答弁がありましたように、地域の性格を特別配慮し、その地域の発想を取り上げながら県計画を強力に推進する、県はその手助けに惜しみなく努力すると、このような力強い御答弁をいただきましたので安心をいたしました。  次に、熊本平野総合開発の促進について、加勢川流域の排水対策について土木部長にお尋ねをいたします。  今日、農政の中で最も緊急を要する課題の一つに、水田利用再編対策の効率的な推進があります。御承知のとおり、米は、先般発表されました農業白書によりますと、昭和五十六年度におきまして四百四十万トンの古米を抱えております。過剰傾向にあります米の生産を調整しながら、需要の動向に見合って大豆、麦等の作物を導入し、その生産の拡大と農業経営の安定化を図ろうとするこの対策は、農家の不安を伴いながらも着実に推進されているところでございます。  古来、稲作のために先人達が営々と築いてまいりました水田に、他の畑作物の栽培が可能な状態にするためには、何を申しましても排水条件の整備改良を早急に実施することが最も重要なことは、いまさら私がここで申し上げる必要もございません。このため、国の要請を受けました農家におきましては、県を初め農業団体などの関係当局と一体となって土地基盤整備、とりわけ排水改良に積極的に取り組んでまいってきたところでございます。  近年、農産物の過剰に伴います価格の低迷と生産資材の高騰から農業所得が伸び悩み、苦しい農業経営を強いられております農家にとりまして、圃場を整備し、冠水の被害から守るため、湛水防除のためにポンプの設置をしております。その負担金を考えますとき、その償還には大きな苦労が伴うものでございます。私自身、農業者として、また土地改良区責任者をしておりますだけに、痛いほどその気持ちはわかるのでございます。国、県の指導により基盤整備に取り組み、水田利用再編対策に取り組んでこられた農家の後継者は、豊かで開けゆく熊本平野の将来を見詰めながら精いっぱいの努力を続けており、積極的に手を差し伸べてやることがわれわれに課せられた大きな使命であり責任でもございます。  さて、本県農業は、水田八万六千ヘクタール、畑六万三千ヘクタールの約十五万ヘクタールとなっております。その中心となります水田は、干拓により造成された水田を中心に、標高の低い平たんなところに立地しております関係から、排水には特に悩まされてまいったのでありますが、幸い稲作やイグサなど水に強い作物が主流であったため比較的に整備がおくれていたものであります。しかしながら、作物の生育時期によっては湛水によって壊滅的な打撃をこうむるほか、転作が強化される情勢になった今日、いやおうなく排水の整備を急がなくてはならない必要に迫られております。ところが、水田の排水対策は、地域河川とのかかわりがきわめて強く、土地基盤整備事業でせっかく排水の整備を進めましても、河川との一体性がなければ宝の持ち腐れに終わるわけでございます。  このような中で、本県水田のうち重要な位置にあります熊本平野は約一万二千ヘクタールの広さがあり、米だけでもおおよそ百五十億円の粗生産額を上げております。緑川の支川であります加勢川、木山川、矢形川、浜戸川などの中小河川に排水されておりますが、近年、都市化の進展とハウス栽培の増加などに伴いまして排水状況にもまた大きく変化を来し、その対策が急がれております。特に加勢川流域は、加勢川の改修のおくれから、一たび大雨、長雨が続けば、嘉島町熊本市の南部水田地帯、益城町の広い地域に白波が立ち、地図にない湖ができるありさまでございます。加勢川の改修は住民の悲願でもあります。このため、過去、本会議におきましてもたびたび論議されてきたところでございます。  御承知のとおり、加勢川建設省直轄の河川でございます。都市近郊の河川のため、用地費のかさむことも、莫大な事業予算を必要とすることも十分わかっております。昭和四十七年ごろから始まった改修は、全長十一キロにわたるうち、残念ながら野田ぜき及びその下流一部だけしか完成しておらず、遅々として進まずとしか言わざるを得ません。川尻の元三排水機場も、加勢川の水位が四メートル以上になりますと運転ができません。秋津・木山・飯野地区において基盤整備でつくりましたポンプもフル運転ができない状態であり一〇〇%の効果が発揮できません。嘉島町に至りましては、堤防がないばかりにポンプを据えつけることもできないのが現状でございます。  加勢川の改修のおくれによって被害を受けるのは、この地域に住む五十二万の地域住民であり農家であります。県ももろもろの問題はありましょうが、建設省だけにげたを預けないで、もっと本腰を入れて取り組んでいただかなければ住民は安心して暮らすことができません。また、われわれ農家も営農意欲がわいてまいりません。また、流域の水田利用再編対策の効率的な推進も、この加勢川改修の進度にかかっていることは明白であります。  そこで、加勢川改修についてお尋ねいたします。改修の完成はいつをめどに進められておるのか。また改修のおくれの原因は一体どこにあるのか。用地交渉の難航が原因であるとするならば、高速道路のように県が用地交渉に対応するといった強力な推進体制はとれないものか。土木部長の御所見をお伺いいたします。   〔土木部長梅野倫之君登壇〕 ◎土木部長(梅野倫之君) お答えいたします。  熊本平野総合開発の促進、特に加勢川の排水対策でございますが、加勢川昭和四十三年から河川改修に取り組んでおります。現在まで約五十四億円を投資しております。これまでに野団ぜきや新町橋の改築等が完了し、下流の六間ぜきの改築と、新町橋から下流の拡幅工事が残っているところでございます。  改修の完成は何年ぐらいかかるかとのお尋ねでございますが、実際に工事に携わっている建設省熊本工事事務所に問い合わせたところでございますが、厳しい公共事業の伸びの中でございますが、地元の協力を得て早期完成を図りたいということでございます。なお、県といたしましても、その早期完成に努力を惜しまないところでございます。  次に、改修のおくれた原因は何であるかという御質問でございますが、加勢川は低地を貫流する緩勾配の河川でございますし、莫大な費用と用地の確保が必要でございます。この用地の確保に年月を要し、過去数回、改修費を他の個所に回さざるを得なかったこともあり、用地の確保が先決というふうに考えております。  次に、用地交渉に対応するといった強力な推進体制をとれとのことでございました。この地域の用地を確保するためには、どうしても圃場整備事業と一緒にする必要があるという認識に立ちまして、国、県、地方が一体となりまして昨年運動をしたわけであります。昭和四十七年度の新規事業として中美登里地区の圃場整備事業の獲得に成功したところでございます。現在、建設省において地権者代表交渉を重ねているところでございますが、問題は買収価格にあると聞いております。県といたしましても、町と一体となり建設省と地権者の仲に入り、一日も早い交渉妥結に努め、加勢川の改修の促進を図りたいと考えております。 ◆(永田悦雄君) 自席からお許しをいただきます。  ただいま土木部長から加勢川改修の計画について御答弁をいただきましたが、この地域におけるところの地域住民、そして地方の時代と、さらにまた地域農政を発展するために、この河川改修は地域の積年の悲願でございます。知事のこれに対するところの決意のほどをお尋ねいたします。   〔知事沢田一精君登壇〕 ◎知事(沢田一精君) 加勢川の改修は、熊本平野総合開発の基幹をなす公共施設でありまして、これが早期改修なくしては、この地域の総合開発が成り立たないとの認識におきましては永田議員と全く同感でございます。  ただいま土木部長が申し述べましたように、加勢川の改修促進につきましては、その規模、困難性等からしましても、国、県並びに市町村の関係機関文字どおり一体となって取り組む必要があると考えております。いまもお答えいたしましたが、最大のネックが用地確保の問題であります。どうぞ関係住民の皆さん方も大局的な見地に立ちましてできるだけ御協力をいただきますよう特にお願い申し上げますと同時に、県も建設省と地権者との交渉に積極的に参加いたしまして、その調整に努め早期妥結を図ってまいらなければならぬかと考えます。  なお、政府に対しましては、このように財政再建で非常に厳しい時期ではございますが、必要な予算確保等について強く要望してまいりたいと考えます。   〔永田悦雄君登壇〕 ◆(永田悦雄君) ただいま土木部長並びに知事さんから決意のほどをお伺いいたしまして、まだ安心はなりませんけれども、これからが問題の出発だと、このように私は認識をいたします。地方の時代であり、さらにまた地域農政のためには、この加勢川改修はぜひとも実現させなくてはならない問題でございます。地域住民の念願をかなえさせていただきますように、特に国、そして地元の関係者の方々との間に県がじっくりひとつ入っていただいて、この問題の橋渡しをしていただきたい。特に、この問題で昨日私も参りましたが、やはり地権者の方々の協力の問題が一番問題になっておるようでございます。地権者の方々の御理解をいただくとともに、また県に対しては国の予算獲得に積極的な御努力をお願いしたいと思います。  長時間にわたる私の質問を以上で終わります。一つ国際交流問題も準備しておりましたが、先ほど知事の方から国際交流のいろいろな問題にも若干触れられましたので、そのことにつきましては後日各委員会等でもまた討議がなされることと思います。  以上をもちまして私の代表質問を全部終了いたします。御協力ありがとうございました。(拍手) ○議長(幸山繁信君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。   午前十一時五十三分休憩       ―――――――○―――――――   午後一時四分開議 ○副議長(井ノ上龍生君) 休憩前に引き続き会議を開きます。日本社会党代表中村晋君。   〔中村晋君登壇〕 ◆(中村晋君) 日本社会党代表いたしまして、それぞれ県政の重要課題につきまして、特に今回はすべて知事にお伺いしたいと思います。  昨日は、来年の知事選挙を想定されまして、沢田知事の後援会が盛大に発足したという新聞報道を見させていただきました。ずいぶんとあわただしい環境の中だと思いますが、ここで、県民から真に敬愛され尊敬される知事としての残された期間の中における最大の努力をお願いいたしますとともに、まず行政改革の理念についてお伺いをいたします。  知事は、本年年頭から県独自の行財政改革に取り組まれる旨表明をされまして、約半年にわたって検討を進めてこられたところと存じますが、その結果を踏まえ、この七月には改革の第一段階に着手されるとのことでございます。きょうの新聞発表等でも拝見をいたしておるところでございますが、行財政改革につきましては、さきの三月県議会におきまして、わが党の竹島議員が詳しく質問したところでございますので、本日は、それらの具体的な事項についての質問は省略をいたしますが、行財政改革の推進に際して最も重要な一点、すなわち知事が行財政改革に取り組むに当たっての理念についてだけ、ここで再確認の意味で質問をしておきたいと思います。  行財政改革は、基本的には行政の簡素効率化を図り、限られた財源の有効な活用を図るものとされておりますが、行政のあり方を論ずるに当たっては、やはり住民の立場というものを最も第一に考えていく必要があると思うのであります。効率化の名のもとに、安易なサービス水準の低下を生ずるようなことがあってはならないと考えます。伝えられるところによりますると、この七月には県庁組織の各部一課削減を図るというようなことが行われるようでございますが、行財政改革は、本来、画一的な、あるいは小手先の細工に終わってはならないのであります。住民サービスに手落ちのないようにするためにはどうしたらよいか、おくれた県政の水準をさらにどう引き上げていくかということを常に念頭に置いて推進していかなければならないと思うのであります。  ここで再度、知事がどのような理念に立って本県の行財政改革に臨んでおられるのか、お尋ねしたいと思います。  第二の課題として、公債費についてお伺いをいたします。  五十六年度末決算の本県公債費の現債高は、普通会計分で二千百九十億四千八百万円、水俣湾堆積汚泥処理事業の八十一億千百万円、チッソ貸付金百六十七億二千九百万円となっております。これらの合計額は二千四百三十八億八千八百万円であります。その償還額は、五十七年度から調べてみますと、五十七年度は三百二十三億八百万円、五十八年度は三百四十五億五千七百万円、五十九年度は三百八十七億二千九百万円、六十年度は三百七十三億五千百万円と毎年約四百億円近くの償還額が継続されて行われることになっていきます。県の財政運営にとっては大きな重みとなっていくことは自明の理でございます。  このような財政の中で、本県はさらに、水俣病公害患者援護対策、水俣湾の堆積汚泥除去事業、水俣・芦北地帯の環境浄化、産業開発による関係住民の生活の保障など最も重要な課題を解決するための努力を今後積み重ねていかなければなりません。  ここで、本議会予算関係としてはただ一つ提案されましたチッソ株式会社に対する金融支援措置に伴う県債等について知事の考えをお伺いいたします。  先ほど永田議員質問にもございましたが、チッソ株式会社に対する金融支援措置については、昭和五十三年十二月二十七日の貸し付けが三十三億五千万円、これを皮切りにして以来七回にわたって措置され、合計額は百六十七億二千九百万円となっておるのであります。これに今回予定されている二十二億八千四百万円を加えますと、実に百九十億一千三百万円となるのであります。そのほかに水俣湾堆積汚泥処理事業費百九十三億三千四百八十二万円があり、そのうち事業者負担の百二十五億六千八百十三万一千円がそっくり県債となる仕組みであり、この事業費は、その後の工事費上昇により、完成費用が現時点では四百億円ないし五百億円が必要であるとも言われております。これを単純計算した場合、チッソに関する県債は約五百億円以上になることが予想されるのであります。熊本県財政事情では余りにも過重な金額ではないでしょうか。果たして完済可能なものでありましょうか。全県民の立場に立って非常に心配するものでございます。これに対して政府態度はまことに消極的であり、肝心の最終責任熊本県に押しつけて、信用せよの一点ばりで逃げ回っているのが現状であります。熊本県政としては、これ以上政府に対して甘い顔はできないと思います。そのような立場に立って、以下四項目について質問をいたします。  第一点として、チッソ株式会社の経営現況と将来にわたっての県債返還能力についてお伺いをいたします。  第二点、チッソと主要関連各社が一体となった県債償還責任の明示はどうなっているのか。  第三、国が最終責任を明示しないことに対する知事の態度について。  第四点、県議会が了解する前提として決議をいたしました昭和五十三年十二月県議会での附帯決議、昨年十二月県議会での決議と現在時点における認識について、知事の確たる御見解をこの機会にお伺いいたします。   〔知事沢田一精君登壇〕 ◎知事(沢田一精君) まず、行政改革の理念についてお尋ねでございます。  このたびの行政改革の主眼は、臨調第一部会報告にも示されておりますように、近年の内外の環境変化のもとで、行政の機構や制度等を含めた包括的な見直しを行い、長期的な展望に立って今後の行政需要への対応を図っていくことにあると考えております。そしてそのための基本的な考え方としましては、第一に、社会経済情勢の変化に対応して行政の簡素効率化を進め、限られた人員と財源をできるだけ有効に活用できる体制づくりを行うことにあると考えます。第二に、これからの時代を見通して、新しい行政需要にいかに対応するかという体制づくりを行うことが必要であると考えております。もちろん、簡素化、効率化を進めるに当たりましては、ただいま御指摘のとおり、住民へのサービスに絶対手落ちがあってはならないことでございまして、これは当然のことでございます。そのために十分な配慮を行いながら、いま申し上げました二つの目的を達成できるように努力をしなければならないと考えております。  第二に、県債、特にチッソ県債等についての御質問にお答えをいたします。  御質問の第一点は、チッソ株式会社の経営の現況についてでございます。  午前中の永田議員代表質問にもお答えいたしましたとおり、石油化学工業界を取り巻く厳しい状況の中で、チッソ株式会社は、経常収支ベースで、わずか三千万円ではありますが利益を計上したようでございます。  これまでチッソ株式会社に対しましては、県としましては県債発行により、またチッソ株式会社の取引金融機関においては元本償還の凍結等により、さらにはチッソ株式会社主要子会社に対する開銀融資が近く決定されることとなる等の金融支援措置により、チッソ株式会社再建の道が講じられてまいっておることは御承知のとおりであります。その結果、チッソ株式会社は、昭和五十六年度からの再建計画を実施できるようになり、五十七年度にはある程度の収益が見込まれるという状態になってまいったと考えております。  しかしながら、御質問にもありますとおり、水俣湾堆積汚泥処理事業の見直しが必要となるなど、チッソ株式会社が現在進めております昭和六十年度までの再建計画には直接的には影響はないといたしましても、同社の将来の経営に大きな影響を与えることは否定できないと思われるわけでございます。  そこで、今後の取り組みにつきましては、午前中の永田議員にお答えいたしましたとおりでございますが、私としましては、チッソ株式会社の経営の維持強化について引き続き、国、関係機関に強く要請を続け、国に対しては特に特段の配慮がなされるよう要望いたしたいと考えております。  第二の御質問にお答えをいたしますが、これまた午前中の永田議員にお答えをいたしたところでありますが、県債償還に当たってオールチッソとしての責任を明確にする件につきましては、近く結論を得て議会に御報告できるものと考えております。  第三の御質問にお答えをいたします。国の最終的な責任を明示するようにしなければならぬと思いますが、これについての現在までの経過と私の考えいかんというお尋ねでございます。  御承知のように、チッソ県債問題につきましては、昭和五十三年十二月の第一回県債発行以来、県議会執行部一体となって、県選出国会議員の御支援、御指導も得ながら国に対しいろいろの要望を重ねてきたところであります。このいわゆる保証問題につきましては、県民の不安を払拭いたしますためにも、ぜひ国に明確な方針を出してもらうよう要望を続けてまいりましたことも御承知のとおりであります。特に、昨年十一月に開催されました水俣病関係閣僚会議の席上におきまして、万一チッソに不測の事態が生じたときは県財政にいささかの支障をも来さないよう国側において十分対策を講じていただくよう重ねて強く要望したところであります。しかしながら、国の対応は、原因者負担の原則を堅持するという立場から、昭和五十三年の閣議了解昭和五十五年十一月の関係閣僚会議の申し合わせの域をいまだ出るに至っていないのが実情であります。  しかしながら、申し上げるまでもございませんが、私は多額の県債を発行している県の立場からいたしましても、今後とも議会の御協力を得て粘り強く要望を重ねてまいらなければならないと決意いたしておりますので、よろしくお願いをいたします。  御質問の第四点にお答えを申し上げます。  県債発行の前提として付された昭和五十三年十二月県議会における八項目の附帯決議、さらに昨年十二月県議会において付された条件に対しましては、現在に至るまで国の対応は必ずしも十分とは言えない、むしろ不十分であるというふうに考えるが、その点についての私の認識はどうかとのお尋ねであったかと思います。  私としましては、これまでしばしばお答えしてまいりましたとおり、これらの諸条件の実現については、県議会及び執行部一体となって繰り返し強く要望してまいったところでございますが、その中で今回のチッソ株式会社主要子会社に対する開銀融資などがだんだんはっきりしてまいりましたことは一応評価できるものと考えております。しかし、ほかにつきましては、お話しのように必ずしも明確な方針の明示はなく、現在までいろいろと要望を重ねてまいりましたが、国の壁は厚かったと申し上げざるを得ないことはまことに残念に思っております。私といたしましては非常にむずかしい問題を含んではおりますが、今後とも議会の御協力を得ながら要望を続けてまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願いをいたしたいと存じます。   〔中村晋君登壇〕 ◆(中村晋君) 行財政改革、県債問題、それぞれ重要な課題でございますが、知事が答弁いたしましたように、今後それぞれの問題解決のために精力的に働いていただきますように要望をいたしまして、特に、これらの課題はそれぞれの関係委員会において詳しく論議をされるところでございますので、以上で終わりまして次にまいります。  第三の質問として、不況下における中小企業対策についてお伺いをいたします。  わが国経済は、二度にわたる石油危機を克服し、自律的成長過程をたどってきましたが、昭和五十五年ごろより石油価格の上昇によるデフレ効果があらわれ始め、経済の拡大は鈍化し、いわゆる景気にかげり現象が見られるようになりました。最近では景気の足踏み状態が続くなど、不透明で複雑かつきわめて困難な局面に立ち至っていると言わねばなりません。とりわけ中小企業を取り巻く経営環境はまことに厳しく、資金需要は減退し、金融の緩和策はとられても選別融資がふえるなど、中小企業を取り巻く不況は一段と深刻化しているところであります。昭和五十六年の全体を顧みましても、個人消費住宅投資などの個人部門の需要を中心として停滞ぎみで推移いたしておりまして、内需回復のおくれが、ひいては景気回復のおくれとなっているようであります。  本県におきましても同じ動きを示しておりますが、素材産業のウエートが高い本県では、とりわけ中小企業の不況感が強いものと考えられます。このように総じて伸び悩み傾向にある中小企業に対しては、今後ともより一層振興に努めなければならないと考えております。  私は、先般の三月議会におきましても不況問題を取り上げ、企業の積極的な誘致、既存企業の経営健全化対策等についてお尋ねいたしましたが、今回は、依然として続く景気停滞の中にあって、県の倒産防止対策及び融資制度の充実並びに高度化事業の推進及び高年齢層の就労開拓等についてお尋ねをいたします。  まず、倒産防止対策についてお尋ねいたします。  県内における企業倒産の状況を調べてみますと、五十二年度には二百十三件で百三十七億八百万円、五十三年度には百四十九件で百十七億六百万円、五十四年度では百二十九件で百三十六億一千四百万円、五十五年度では百五十六件で二百十五億七千八百万円、五十六年度は百七十五件で百八十三億八千七百万円となっております。この数字が示しておりますように、まことに不況の状況を如実に物語っております。  このうち昭和五十六年度の倒産企業を原因別に見てまいりますと、売り上げ不振が七十七件、放漫経営が四十二件、こげつき連鎖倒産が十八件、手形操作が十五件など不況型倒産が目立ってまいりました。また業種別では、建設業の七十三件で四一・七%、小売業の五十五件で三一・四%が大半を占めて、現下の長期化する不況を反映しているところであります。  本県の商工業では、中小企業が九九・三%を占めており、不況下における中小企業の振興はきわめて重要な課題であります。このような倒産の実情に対し、県ではどのような倒産防止のための対策を講じておられるのか、お伺いをいたします。  第二点は、中小企業向け融資の充実についてお尋ねいたします。  国においては、中小企業が民間機関からの融資がむずかしいもの、たとえば設備資金とか長期運転資金などについて、商工組合中央金庫等いわゆる政府中小企業金融機関を通じて中小企業に対する融資を行いつつ民間の中小企業金融の補完を行っているところであります。同時に、県におきましても、地域の実情に即した独自の融資制度を設け、その助成を図っておられますものの、本県におきましては、昨年の中小企業向けの総貸出残高は十四億八百六十八万円で、前年に比較して約一〇%以上も利用率が低くなっております。長引く景気の停滞から、金利の低下傾向にもかかわらず、せっかくの設備資金等前向き資金に伸びが見られなかったというのは問題ではなかろうかと思います。  そこで、このような状況のもとで、中小企業向け金融の充実について、特に零細企業に対しては今後どのような施策を進めていかれる所存か、お尋ねをいたします。  第三点は、中小企業に対する高度化事業の推進についてお尋ねをいたします。  先ほどより申し上げましたように、低成長時代にあっては、個別企業への金融面における制度の充実も必要でございますが、同時に長期的展望に立った不況に負けぬ体質の強化を図ることが最も必要ではなかろうかと思うのでございます。すなわち、個々の中小企業者が工場や店舗を集団化したり、あるいは事業部門を共同化するなど、名実ともに中小企業の経営体質を改めていく必要があるわけであります。  県においても、これらの事業については、いわゆる高度化事業として積極的な展開を図っておられることと思いますが、今後ともより推進を図る必要があろうと考えております。そこで、高度化事業について今後どのような構想と推進を図っていかれるのか、お尋ねをいたします。  いずれにいたしましても、中小企業が現在置かれている状況の中で、今後とも力がついていくような方向で県の積極的な対応を望む声はしきりでございます。  第四の問題といたしまして、高年齢層の就労対策についてお伺いをいたします。  現在、労働人口の急速な高齢化が進展しつつある中で、本県におきましては全国平均を上回るテンポで進展している状況であります。このような状況の中で、高齢者を取り巻く雇用情勢はきわめて厳しく、雇用の安定と職場の拡大を図ることは社会の重要な課題となってまいります。  現在、六十年に向かって六十歳定年の一般化の実現を目指してその推進が図られているようですが、本県の昭和五十六年六月一日現在における六十歳以上の定年制を実施している企業は、百人以上の規模を調査いたしましたところ、わずかに二五・八%にすぎません。また高年齢求職者も、労働人口が高齢化するに伴いまして、今後も増加の傾向が予想されています。  このような情勢の中で、高齢者雇用の場が確保され、雇用安定のための定年延長の推進等がどのように進められていくかということは重大な課題でございます。このような諸問題に対しまして県はどういう対策を考えているのか、この機会に知事の見解を御発表いただきたいと思います。   〔知事沢田一精君登壇〕 ◎知事(沢田一精君) 不況下の中小企業対策について、四点について御質問がございました。順次お答えを申し上げます。  厳しい環境の中で、本県の中小企業も経営の安定を図りますため、その合理化、新規事業の開拓、経営の多角化等の自主努力に努めておられるところでございますが、中小企業を取り巻く経済環境は予想以上に厳しく、ただいま御指摘のとおりであろうと思うわけであります。  国におきましても、昨年に引き続き本年三月に、公定歩合の引き下げ、公共事業の前倒し、住宅建設促進の第二次総合経済対策を打ち出したところであります。このような国の総合対策と相まちまして、県といたしましては商工団体等と連携をとりながら、各企業の実態に即した経営指導の強化、金融制度の拡充等を通じ、中小企業近代化、高度化事業等をも推進し、経営の安定向上に努めてまいっておるところでありますが、今後ともなお一層積極的に対処してまいる所存であります。  しかし、不幸にして経営不振等により倒産危機に直面される企業もございますので、これに対しましては昭和五十四年から特に、熊本、八代両商工会議所、県の商工会連合会に倒産防止特別相談室を設けまして、専門の商工調停士、弁護士等を配置し、倒産の未然防止のため、きめ細かな相談に応じてまいっているところであります。そのほか、中小企業倒産防止共済制度への加入促進、倒産関連特別保証制度の活用により連鎖倒産の防止に努めてまいっております。また、県の融資対策といたしまして、中小企業振興対策資金を初め、長期運転資金を融資する中小企業体質強化資金のほか、本年四月から特に融資対象の拡大を図りました中小企業不況対策資金などを総合的に活用していただき、企業倒産の未然防止と倒産企業に関連する連鎖倒産の防止に力を入れているところであります。  中小企業に対する融資制度の充実については、さきの三月県議会におきましてもお答えいたしたところであったかと思いますが、政府金融機関による融資のほか、長期かつ低利な資金を融資する単県の融資制度の運用を初め、設備近代化資金、設備貸与資金及び高度化資金の活用等により金融の円滑化に極力努めているところであります。本年度は、制度融資の全体枠を拡大いたしますとともに、特に中小企業特別小口資金、小企業安定資金及び季節資金など中小零細企業を対象とした資金につきまして、重点的に融資条件の緩和に努めたところであります。  なお、深刻な事態に直面しております中小企業の経営危機を打開いたしますため、地元金融機関に対しても、それぞれの実情に合わせた条件緩和等の措置について協力を依頼いたしますとともに、県経済上きわめて重要な地位を占める中小企業に対し、さらに商工関係団体等と緊密な連携をとりながら積極的な育成振興策を図ってまいりたいと考えております。  なお、今後とも国の金融施策や景気の動向等を十分に踏まえまして、中小企業に対する金融措置をできる限り実情に沿うよう運用に努力してまいりたいと考えます。  御質問の第三点は、高度化事業ということについてでございます。  中小企業強力な体質づくりを目指す高度化事業につきましては、従来から本県中小企業振興の重要施策として積極的に展開してまいったところであります。制度発足の三十三年から五十六年度末までの実績についてみますると、工場団地など工業部門で百七十四件、共同店舗など商業部門で百二十五件、合わせて二百九十九件について百九十二億円余の資金を投入し、たとえば共同化以前に比べまして二倍の売り上げを上げるなど相当の成果を上げているところであります。  県といたしましては、需要構造の変化、流通の革新、生産工程の革新あるいはエネルギー制約など今後一層多様化が想定されます経済環境の中で、中小企業財政基盤の安定化と景気変動への耐久力を向上させる必要がありますが、それとともにエレクトロニクス産業など先端技術を取り入れた新しい製品や、新しい技術の開発に努めることもまた必要であると考えております。それらを実現する手段として今後も大いに高度化事業を活用してまいりたいと考える次第であります。  特に近年、地方の時代と言われ、地域で豊かに暮らすという社会的な要請にこたえる観点からいたしまして、地域に密着した独自のビジョンに基づき、地場中小企業意欲向上を惹起しながら、地方行政の重要な課題である地域の振興を実現する有効な施策として、今後ともこの高度化事業を積極的に取り入れ推進してまいりたいと考えております。  御質問の第四点にお答えをいたします。高年齢層の就職対策についてであります。  御指摘のように、わが国の人口構造の高齢化は欧米等に例を見ないスピードで到来しており、とりわけ本県の高齢化は全国を上回るペースで進展しつつあるわけでございます。したがいまして、高年齢者に雇用の場を確保し、高年齢者の持つ豊かな経験と能力を生かしていただき、あわせて生きがいのある生活を送っていただくことは県政上きわめて重要な課題であると考えております。  このため、県としましては、高年齢雇用開発推進員や高年齢職業相談員を県下の公共職業安定所に配置し、高年齢者のニーズに合ったきめ細かな相談、指導等に当たり、その雇用の安定に努めてまいったところであります。  一方、企業に対しましては、高年齢者の雇用を容易にするための各種助成金制度の積極的な活用を図っていただくとともに、高年齢雇用率――ちなみに法定雇用率は六%でございまして、県下全体の現況は五・八%の達成状況になっておりますが、まだ法定雇用率に到達しておりませんので、この達成指導の強化に努めているところであります。  また、高年齢者の雇用の安定を図りますためには、定年年齢を延長し、同一企業にできるだけ長く雇用されることが適当であると考えます。したがいまして、県としては、昭和六十年度までに六十歳定年が一般化しますよう企業の労使協議による自主的な努力を促しますとともに、関係機関と連携の上、計画的な個別指導の実施及び定年延長奨励金等の有効活用に努めまして、定年延長の早期実現を図ってまいっておるところであります。  そこで、今後とも従来のこれら施策をより一層強化いたしますとともに、本年三月設立されました民間を主体とする社団法人高年齢者雇用開発協会等との連携を一層密にし、企業における定年年齢の延長や高年齢者の雇用の場の確保に努めてまいりたいと考えております。   〔中村晋君登壇〕 ◆(中村晋君) 特に高年齢者の人々の働く場所が非常に少ない、なくなっていくというようなことに対しては、いま知事が考えられておりますように格段の努力をお願いいたしますが、熊本には多くの官公庁、そうしてそれに付随する企業がございます。ところが、そういったところは定年も早い。結局、そういった事業体から下請の方へ押し寄せていく。そうすると下請の方ではますます既存の労働力の維持に非常な困難を来すというような現象等もございます。六十歳定年延長について積極的な業界指導を行うという県の姿勢でございますが、それはそれとして、まずみずからもそのような態勢を県の中でとらなければならない。県庁そのものが六十歳以前に推奨退職をやるというようなことで、果たして民間がこれに右へならえするかというようなことは、これはもう考えられない問題でございまして、率先垂範の実を県みずからもとっていくようにお考えをお願いいたしたいと存じます。  それと、いま零細企業が一番考えなければならないのはその企業体質をどう近代化していくかということでございます。そのためにこそ高度化資金が設定をされ、そうして近代化事業がとられて、県としても十分指導するという態勢にあるようでございますが、今日まで中小零細企業自体が、これら近代化、高度化事業に対して、どれくらいの関心を持ち、どれくらいの利用をしておるかというようなものを統計で見てまいりますと、驚くなかれ、近代化、高度化事業に対する施設の利用状況は〇・八程度の係数が出ております。国や県や市町村制度融資に対しては四九・九%、約五〇%程度の関心がございますが、近代化、高度化資金の利用率というのは、ほとんどもうないにひとしいような状態で進められておるということは問題ではなかろうかと思います。やはり、こういった県内の零細企業がどのような状態であるかということも今後十二分にこういった行政指導の中においては調査していく必要もございましょう。  また、県の企業経営についての相談をどれくらい中小零細企業がやっておるかということを統計で見てまいりますると、どこにも相談をしたことがないというのが三五・五%もございまして、こういったどこにも相談しない零細な経営企業者というのが今日の経済不況の中で非常に不安な状態で翻弄されておる。宣伝が足らないのか指導が足らないのか。特に零細企業対策の中においては、こういった現状を十分承知をされながら、きめ細かな指導を今後やっていただきますように要望をいたしておきます。  次の課題としては、当面最も大きな農政上の諸問題についてお伺いをいたします。  「日本農業のビジョン」と題しました竹中論文と篠原論文がいま提示をされて、農政の中においては大きな波紋を生じておる問題だと思います。この中で、まず竹中先生の考え方は、日本農業先進国農業であって、市場土地技術人材革命によって輸出産業化の可能性があり、過保護農業から脱却をして効率化農業を求めるならば、高い所得水準や教育ベル、総合技術開発能力を持っているので、すぐれた産業に成長し得る条件があると言っております。したがって、農業に対し行政の介入を極力減らし保護政策をとめることが、むしろ日本農業発展の道であると説いておられます。すなわち、米の慢性的過剰が続いておるため、生産米価は長期にわたって引き上げられずに実質的な値下がりとなり、米作に見切りをつける農家がふえて、やがて貸借の形で農地の本格的な流動化が促進されて、農業収入に依存しない第二種兼業者が多数となり、また一方、農業者の老齢化が進み、後継者のいない農業がふえて離農に拍車がかかり、それによって専業者への土地の集積化が進んで、将来十ヘクタール以上の借地経営が支配的となり、競争原理の導入を基調として政策的に戦略転換を急ぎ、価格支持、輸入制限、生産調整等の政府介入が緩和されるならば、必然的に市場革命が進行して、土地、規模、技術人材革命が活発化して、一九九〇年には米の第一次生産費は六十キロ当たり四千円台に低下して、国際価格競争に耐え得るとともに、二十ヘクタール農家は輸出産業になり得るというものでございます。  これに対して、篠原氏は、強大な米国農業に比べ、だめな日本農業というような先入観はまことに危険で、二十一世紀はむしろ日本農業であって、アメリカ農業は長続きしない、すなわち米国農業は、水資源の制約と砂漠化への不安があり、進行する土壌汚染と浸食に対する対策がない、家族農場社会の崩壊が考えられる、大企業による攪乱が行われる。こういったことに比べて、日本農業の強さを見詰め直してみますと、日本農業は豊富な水と天恵の気候に恵まれ、森林に支えられた土壌がある、豊かな人間性を育む地域社会がある、誇るべき食生活がある、歴史が浅く経済合理性のみに立脚した自然の使い捨て農法は危険きわまりない、すなわち、生命を維持する根源である土壌条件を急速に悪化させている米国農業は、みずから自壊作用を始めていると言っております。わが国は、長い歴史の中で自然との調和を図りながら、千年を超えて国民を養い、独自の文化と安定した社会をつくり上げた日本農業にはそれなりの強さがございます。二十一世紀は、労働生産性より環境面に配慮した、現在よりもむしろ人手を要する土地生産性が重視される時代が来る、すなわち、水も森も土地も再生され、あらゆる自然の資源は保全管理を行えば幾らでも人間に恩恵を与え続けられると論じられております。  現在、農業の生産性、付加価値等々問題の多い日本農業、そして農業熊本の選択する農政の方向として、以上の論文のいずれを選ぶか、いずれを可とするかということは、まことに将来のわが国、本県の農業を決定づける大きな指針ではなかろうかと思うのでございます。  こういった中で、まず最も当面する課題として、農産物輸入自由化と農業の振興策について知事の見解をお伺いいたします。  政府は、米国やEC諸国などの強い要請にこたえ、去る五月二十八日の経済対策閣僚会議で市場開放の第二弾を決定いたしました。その中で農産物関係は、一つ、豚肉調製品の輸入枠の拡大、パイナップルかん詰めと高度精密の最小輸入割り当て数量の保証、二つ、七面鳥の肉など十七品目の関税の引き下げ、三つ、ワイルドライス輸入検査手続の改善などとなっております。この結果、当面の山場とされたベルサイユ・サミットを、自由化に何ら触れることなく乗り切ることが一応できました。これは、米国側が国内の意識の不統一から、市場開放を求める態度が首尾一貫していなかったこともありますが、とりわけ農家、農業団体自由化は絶対に阻止しなければならないという強烈な運動を展開したことや、消費者団体も、わが国の農業をつぶすなと阻止に立ち上がったこと、さらには衆参両院農林水産委員会決議地方自治体議会決議などがこの結果につながっていると思います。  しかしながら問題が解決したわけではございません。米国が自由化の要求を将来にわたって引っ込めたわけでもないし、また国内には、農業自由貿易のスケープゴートにしようとする独占の側の声も無視してはならないことでございます。その意味では、ことしの十月から始まる牛肉、オレンジ、果汁の交渉では、貿易摩擦を解消するという視点から再び熾烈な自由化が要求されることを覚悟しなければならないと思います。  もちろん、わが国は自由輸入枠拡大は絶対に阻止しなければなりません。貿易摩擦の種は工業でございます。昨年一年間の貿易インバランスは、対米で百三十四億ドル、対ECで百三億ドルになっております。この不均衡は農産物貿易でもたらされたものでなくて、わが国の農産物貿易は逆に百四十億ドルという世界最大の入超国となっております。仮に米国が要求するとおりに牛肉、才レンジを自由化しても、わが国の輸入は金額にして五ないし七億ドル程度しかふえないと推計されております。  しかも、米国の農産物市場開放要求には、米国の農業関係者さえ首をかしげるような矛盾があると言われております。最大の関心品目である牛肉にいたしましても、米国は逆に世界一の輸入国であります。それよりも、自由化によって日本畜産破壊されるならば、米国の主力輸出農産物である飼料穀物の輸出が大減少してまいります。米国の本当のねらいは、まず、牛肉、オレンジといった日本農産物保護の壁を破って米を売り込むことにあると言われております。米国では最近、米の生産が急速に拡大し、現在四百五十万トンの輸出力があると言われております。その輸出価格は、日本着値で、わが国の消費者米価の四分の一であります。米国の対日戦略は、わが国最後のとりでである米に向けられていると言っても過言ではございません。このことはまことに日本にとって重大な問題でございます。  一面、このように安い農産品を自由輸入して安く供給してほしいという消費者の意見があることも事実ではございましょうが、しかし、果たして自由化が消費者の得になるものかということをこの際特に考えてみたいと思います。かつてレモンはわが国でも栽培されておりましたが、自由化によって消滅してしまいました。その結果、現在では米国の一方的な価格の押しつけで、高いレモン日本人は買わされております。最低限必要な国内生産を維持することは、生産者保護というよりも、むしろ消費者の生活安定に役立っているということが認識されなければならない重大な事項だと思います。  また、わが国は、特別に農業を過保護にしているのではないかという意見もあるようでございますが、欧米に比べて決してそうではないようです。むしろ日本は、世界一多い飼料穀物の輸入のごときも無関税であるなど、国境保護水準は先進国の中では最低と言っていいほどであります。また、農産物輸入は総輸入額の一二・五%で、原油に次いで第二位を占め、この結果、穀物の自給率は三三%で、三食のうち二食は外国農産物によって国民の胃袋が賄われておることになります。食糧自給率は、先進工業国では日本は世界最低、国家安全を確保する観点からはすでに危険水域を突破しております。地球上には現在五億人の餓死線上の人口存在し、年間四百万人を超える餓死者が出ていると国連の統計は報告しております。世界の食糧需給は、このように現在配分上に問題がありますが、やがて絶対的に不足することは間違いないと言われております。  以上のように、食糧をめぐる問題と展望を、国家安全食糧を確保するという視点からも、わが国農産物自由化と枠拡大は決して安易にやるべきでないことは自明の理であります。  そこで、知事にお尋ねいたしますが、今後、農産物自由化、枠拡大の要請に対してどのように取り組まれるつもりなのか。特に、このごろ自民党公認候補というのを非常に重視されておる知事として、特に日本農業を守る立場からも、この自由化問題に対してどのように考えておられるのか、はっきりお示しいただきたいと存じます。   〔知事沢田一精君登壇〕 ◎知事(沢田一精君) 御質問の中でお述べになりましたように、今回の日米農産物交渉は、市場開放自由化を織り込むことなく一応の結着を見ましたが、十月には、牛肉、柑橘に関する日米協議がセットされておるようでありまして、またその時点で自由化の強い要請がなされるものと考えておかなければならないと考えております。  御質問の中にございましたが、わが国は世界一の農産物輸入国であり、農産物の自給率がすでに限界まで低下している国であります。その上、主要農産物が過剰基調にあり、それらの生産調整を実施しているところでありますので、これ以上自由化を進めることは、国家安全を確保する上からも、また国内の農業を守る上からも、きわめて危険なことであることは自明の理でございます。特にアメリカ合衆国が強い関心を示しておりますオレンジ、果汁、牛肉は、本県におきましては農業の基幹作目として定着し、農業経営の中に重要な地位を占めており、これらの自由化は絶対阻止すべきであると考えております。  このため、私は、ミカンや肉用牛の生産県知事会や九州知事会などを通じ、このことを機会あるごとに強く訴えてきたところでございますが、特に先般は、全国知事会において、わが国屈指の農業県である本県が、農産物輸入自由化阻止の先頭に立つべきであると考え、このことを提案し、全国知事会の決議として決定をいたしたところであります。  しかしながら、農産物輸入自由化攻勢は、先ほど申し述べましたとおり、十月以降に再び本格化することが予想されますので、今後、さらに必要な施策を総合的に推進し足腰の強い県農業の確立に一層努めますとともに、県議会の御協力を得ながら、農業団体など各団体、諸機関と一体となって、将来とも自由化の阻止に万全の努力をしてまいる所存であります。   〔中村晋君登壇〕 ◆(中村晋君) ちょっと中村農政論文が長過ぎまして、知事の答弁はわりに簡単ですけれども、知事の農政に対する、自由化阻止に対する決意の一端はわかるようでございます。  次に、生産調整と飼料米についてお伺いをいたします。  今日、米の過剰に伴う減反政策は、面積で、九州四国の水田面積島根岡山鳥取を加えました六十七万ヘクタールの減反が行われております。米は、余ったのではなく、余らせられたのであります。麦も、自給不可能だったわけではなく、不可能にさせられたのであります。敗戦の翌年の飢餓時代には、米の生産は六百万トンに低下し、小麦も大麦もそれぞれ七十から五十万トンでありました。現在は米の潜在生産力は千四百万トンを超えております。しかし、昭和二十七年、麦の統制撤廃されたその年の十月、米国小麦の二十万トンの輸入が始まりました。米国独占資本パン食攻勢に屈服して、政府キッチンカーを繰り出して、米になじんだ二千年来の日本国民を、マスコミの宣伝とともにパン学校給食に踏み切るなど、国籍不明の植民地的食生活のパターンを定着させ、米食民族パン民族に変貌させられて、国土に見合った唯一の稲作水田を畑地化して、総合自給率七〇%、穀物自給率三〇%を割るような先進国最下位の自給率に現在陥れられております。  八〇年代の世界食糧は不安定な推移を見ましょうが、わが国には唯一の安定主穀である米の生産抑制が強行されております。水田では米が最も生産性も高く、しかも高度な技術一貫体制が確立しており、多目的利用の可能性と弾力性を持ち、畜産飼料生産基盤の安定化にも役立ち、飼料米として活用できる特徴をも持っております。しかも、水田を畑地化するためには基盤整備に多額の投資が必要で、その事業の補助行政改革の答申では融資に切りかえられて、ますます農家経営負担を重くしていくことになりつつあります。わが国には、田畑輪換不可能な湿田は百二十四万ヘクタールあり、基盤整備は毎年約五万ヘクタールしか進んでおりませんので、乾田畑地化するには二十数年を要すると言われております。さらに、どうしても乾田化ができない三十万ヘクタールがあると言われています。これらの湿田も飼料米耕地としては大いに活用の道があるはずであります。  さらに、ここで問題なのは畜産であります。畜産農業から離脱して、いまや加工畜産となって、自由化されたトウモロコシ、マイロは飼料用として無関税輸入され、その輸入依存度はますます高まり大商社にコントロールされて、飼料価格の高騰と肉の価格の低迷からいよいよ苦境を脱却できない状況になっております。わが国においてこそ、米の過剰の解決、対応策をヨーロッパに見習うべきでありましょう。  ヨーロッパでは一九六〇年に、麦の増産による過剰を軸といたしまして、EC内の食糧自給に踏み切ったときから、人間主食である麦を、同時に家畜飼料として活用し、主食は品質で、飼料は増収で勝負をしていくということになっております。わが国でも、米を主食飼料用に分かち、水田転作に活用すべきではなかろうかと思います。米国でも八〇%を飼料に、ヨーロッパでも六〇から七〇%を飼料にしておるようでございます。ヨーロッパでは、食用に適さないから小麦がえさとなったのではなく増産により過剰となったので、えさとなったのであります。ドイツのごときは主食だったバレイショを四分の三もえさに転換しております。外国飼料穀物も戦略品目となった今日、永久に安全輸入される保証はとうていありません。  飼料米は、輸入飼料価格との格差や、食用米との区別、食管制度の改正、品種選定と多収穫の課題等解決を要する面もありましょうが、一日も早く積極的な取り組みと、生産調整と畜産の解決策として公式に取り上げて推進してもらいたいものでありますが、県の積極的な対応ぶりが今日までなかなか見られないようでございます。  この機会に、こういった情勢の中で、減反と飼料対策、そうしてそのことが今日危機の中に置かれている畜産や酪農の振興とつながっていくことをお考えいただきまして、これらの対策をどのように積極的に推進されるおつもりか、これまたお伺いをいたします。   〔知事沢田一精君登壇〕 ◎知事(沢田一精君) 飼料米につきましては、お話のとおり、食糧管理法との関連や多収穫技術面等で未解決の問題が残されておりまして、国では八〇年代の農政の方向の中で、飼料米を含む飼料穀物の生産については、食糧安全保障という立場からも長期的な課題として取り組む必要があるといたしておるわけであります。  本県におきましても、転作面積が逐年拡大されます中で、水田利用再編対策を円滑に推進するために、県総合計画でも申し述べておりますとおり、農業の再編成という見地に立って、基盤整備を積極的に導入することにより水田の排水条件を良好にし、麦、大豆、飼料作物及び地域の営農条件に適合した特産物等の定着化を図り、地域農業の確立に努めているところであります。  特に、乾田化の困難な湿田に対する転作作物としましては、畜産の振興とも関連いたしまして、飼料用稲の早期実用化が強く要請されておりますので、昭和五十六年度から試験研究機関農業団体行政等で構成しております飼料用稲研究会を県に設置いたしまして、多収品種の開発や栽培法の確立、飼料米の家畜への肥育試験等、関係者が一体となって組織的、総合的に検討しておるところでございます。特に飼料米の問題は、水田の高い生産力を有効に活用するという見地から非常に重要な課題であると考えますので、本県産米の銘柄確立とも十分調和を図りながら今後も積極的に取り組んでまいりたいと考えております。   〔中村晋君登壇〕 ◆(中村晋君) 畜産一つ考えてみましても、不足払い制度ができて十五年、初年度の四十一年と五十三年を比較してみましても、乳製品輸入量は三・一倍に伸びておりますが、反面、国内の生乳の生産は一・八倍しか伸びておりません。五十三年の生乳生産量は六百十二万トンに対して、輸入量は生乳換算二百十九万トンで国内生乳の四二%に当たり、五十五年には二百四十七万トンと、わが国のバターや練乳等に加工される原料乳よりも多く、国内需要の二八%に相当すると言われております。これは輸入制限法律の網の目をくぐり抜けた偽装乳製品輸入して、利潤追求に手段を選ばぬ独占企業の影響によるものであると言われております。  畜産一つ考えてみましても、このように日本の農業生産品に対する対外貿易の影響というのは、直ちにそれらの需要の中に出てまいっております。今後、米の生産調整の問題や飼料米の問題、畜産危機、酪農振興等の諸問題等々十二分にこれら国際的な取引の現実というのも頭の中に入れられながら、日本の農政振興に十二分な努力と本県農業振興対策を講じていかれるように切望をいたしまして、次の水産業振興問題についてお伺いをいたします。  わが国の漁業は、対外的には九十カ国に及ぶ二百海里の設定によりまして遠洋漁業は大きな制約を受け、国内的には魚価の低迷と燃料油の価格の高騰により漁業経営は悪化するなど、きわめて厳しい状況に置かれております。このような厳しい環境下にありながらも、五十五年の漁業生産は史上初めて千百万トンを超えて、国民の食生活の上で大きな役割りを果たしてまいりました。  一方、漁業者の経済を支える生産金額は、対前年比五%増の二兆七千八百億円に達しておりますが、第一次石油危機当時見られたような諸物価の高騰を上回るような魚価の値上がりによる景気の状態はもはやなくなり、経済の停滞に伴い消費も全般に落ち込み、高くなった魚は敬遠され、魚離れが進み、漁業経営はだんだん苦しくなりつつあります。  しかしながら、水産物が重要な国民動物性たん白質の供給源には変わりなく、消費者には、たん白質、ミネラルビタミン栄養のバランスのとれた食品であり、日本人の体質に最も適したものと言われております。このような国民の要望にこたえるためには、わが国周辺のすぐれた漁場の総合的な活用と、漁業生産コストの引き下げと水産物の安定供給に努力が必要と思われます。  このような情勢の中で、本県漁業を見てまいりますと、有明海、不知火海の内湾と天草島周辺の外洋に面し、変化に富んだ恵まれた海域を漁場として、沿岸漁業主体漁業が営まれており、二百海里の影響も比較的少なく、これまでは漁業生産量、額ともにほぼ順調に伸びてきたようでございますが、ここ一、二年は、漁船漁業や採貝漁業などに生産の伸び悩みが見られると言われております。また、本県漁業の中で大きなウエートを占めております海面養殖漁業も、マダイ、ブリ、クルマエビ等の養殖は、若干の曲折はありながらもほぼ順調な伸びと発展が見られますものの、新たな養殖の適地は少なくなり、人工的な手を加えない限り今後の発展は望めないのではないかと言われております。養殖のもう一つの柱でありますノリ養殖は、技術の進歩と生産者の努力によって、生産量だけは安定向上してきたものの、これまた全国的な過剰生産により価格は大幅に下落してノリ養殖漁家の経営をだんだん苦しいものに陥れております。  このように多くの悩みと問題点を抱えている本県漁業振興のため、県当局も、魚礁の設置や培養殖場の造成など漁場の整備開発と、種苗の生産放流など資源増殖対策を積極的に進めておられますものの、何分他産業に比べて予算も非常に乏しく期待されるほどの実績が望めないのではないかと考えられます。  そこで、この際、次の四点について知事にお尋ねをいたします。  第一点は、県が進められております栽培漁業の成果と今後の施策についてどうするのか。  第二は、先ほど申し上げましたように、ノリ養殖事業の今後の指導方針について。  第三は、今日窮乏化し、転換を必要とするこれらの県内水産業に対する助成措置としての金融対策はどのように考えているのか。  第四点として、特に熊本県は、北は菊池川から南は球磨川に至ります多くの水量豊富な河川を持っております。ここに営まれておりました内水漁業もおろそかにすべきではございません。しかし、これらの河川も、近時県の指導がだんだんなくなり公害等々の発生等により、さらにはまた汚水による汚染等もあって、内水漁業というものがだんだんと政治の中から姿を消しつつあるようでございます。他県におきましては、中国アフリカ南米等々からいろいろな稚魚の導入を図りまして、そうして河川放流、繁殖をさせて、内水漁業を豊かにしておるというような積極策を取り入れておるようでございます。しかし、本県におきましては、先年移転されました内水漁業センター等の施設も非常に小さく、そうしてそこに研究される要員の数も少なく予算もほんのわずかで、一体ここで何ができるのだろうか。しかも、その中では特に高級な魚だけが対象になって、内水漁業として各河川放流されるような雑魚の、いろいろな古来の魚の養殖研究等は何ら行われておらないようでございますが、こういったことに対して、どのように今後、内水漁業を豊かにして県民のたん白源を確保するように考えておられるのか、あわせてお伺いをいたします。   〔知事沢田一精君登壇〕 ◎知事(沢田一精君) 県におきましては、水産振興の基本栽培漁業の推進に置きまして、各種の公共事業を導入し、漁場の整備開発を進めますとともに、重要魚種の種苗生産、放流保護育成など資源増殖対策を積極的に進めてまいったところであります。  御承知のように、マダイ、クルマエビの養殖生産は、全国で一位ないし二位の座を占めるまでに発展し、本県の漁業生産額の増大に大きく寄与していることは御承知のとおりであります。また、各地に設置を進めております大小の魚礁は、いまや釣り漁場として欠かせないものとなり、漁業関係者からさらに積極的な設置の要望が相次いでまいるなど相当の効果を上げているものと確信いたしております。  種苗の生産、放流により資源をふやしてとるという本来の栽培漁業は、本格的に手をつけてからまだ日が浅く、対象魚種もマダイ、クルマエビ、ヒラメ、アワビなどに限られておりまして、本県の漁業全体を左右するまでには至っておりませんが、一、二の例を挙げますと、たとえばマダイでは昭和五十年の生産量六百三十六トンが、五年後の昭和五十五年には一千七十六トンに増加をいたしております。また、魚礁や種苗放流効果もかなりあらわれてきたものと考えております。クルマエビにつきましても、一時百トン以下に低下していた生産量が、近年二百トン以上の安定した生産を維持しておるようであります。これも毎年一千万尾以上の種苗を放流している効果があらわれておるのではないかと考えております。  これらの魚種は、いずれも需要が多く経済的な価値も高いもので、漁業者の収入増に寄与するところはきわめて大きいと考えておりますが、いずれにいたしましても、種苗の放流効果は、毎年多量の種苗を放流し、保護育成して初めてあらわれると思いますので、今後、漁業関係者の理解を得ながら関係団体と一体となって努力してまいりたいと思っております。  なお、今後の施策について特に申し上げますが、冷蔵庫などの漁業近代化施設の整備並びに漁場の造成など各種の公共事業を導入しなければならないと考えております。また、栽培漁業推進の拠点である栽培漁業センターの施設をさらに増強いたしまして、種苗生産、放流の拡充を図る必要があると考えております。また、現在調査中の天草外海、有明湾口海域の漁場の総合的な開発につきましては、逐次事業化を図ってまいりたいと考えております。  第二点のノリ養殖の問題についてでございます。  その生産状況等につきましては、いま御質問にありましたとおりでございます。今後、産地間競争に打ちかっていくために対応策を考えなければならないというふうに思っております。県といたしましては、今後ノリ養殖については、品質の向上を最大の課題といたしまして、県漁連を中心にノリ関係漁協で組織している県ノリ養殖生産安定対策議会の中で十分協議しながら生産者への指導の徹底を図っていきたいと考えております。また、これらに必要な漁業金融対策についても、さらに一層十分の配慮をしてまいりたいと考えるところであります。  最後に、内水漁業対策について御質問がございました。  本県は、球磨川を初め大小の河川湖沼並びに潮遊池等に恵まれ、全国上位の生産量を上げておる現況であります。最近では、アユウナギ、ヤマメ等を主体とした養殖業も着実に成果を上げており、ますます発展する可能性を持っているものと考えております。今後とも漁業団体協力を得ながら種苗放流を積極的に推進してまいりますとともに、養殖業者に対しまして、資金のあっせん、種苗、魚病対策等の技術指導になお一層努力をしてまいりたいと考えております。  五十六年度、城南町内水面支場を建設し、水産資源の維持増大と養殖業の経営安定に必要な試験研究と調査指導を総合的に推進しているところでございますが、今後、お話にありましたように、調査研究対象魚種の拡大、施設内容の充実等に努め、内水漁業の発展も図ってまいりたいと考えます。 ◆(中村晋君) 長時間にわたります質疑で皆さんの御協力をいただきましたが、先般、知事は、中国広西壮族自治区と友好姉妹都市締結に非常な努力を払われましたことに心から敬意を表するものでございます。しかし、調印式が終わりましてからすぐあたふたともうお帰りになって、そして東京でいろいろ知事選挙の運動をされる、その報道を見ましてまことに何か残念な気がいたします。もう少し大熊本県知事としてどっしり構えておられるならば本当によかったなと、何か心さびしいものを熊本県民は持ったと思います。今後、さらにモンタナとの友好締結の問題もございます。そのときはもう知事選の候補者としては解決して堂堂と行かれることだろうとは思いますが、ぜひひとつ大熊本県知事としての貫禄を今後は十分お持ちになって堂々と行動されるように県民の一人として要望いたしまして、質問を終わります。(拍手) ○副議長(井ノ上龍生君) 以上で通告されました代表質問は全部終了いたしました。これをもって代表質問を終結いたします。  明十二日は午前十時から会議を開きます。日程は、議席に配付の議事日程第三号のとおりといたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後二時三十四分散会